10
Kobe University Repository : Kernel タイトル Title 短距離走における足の接地に関する研究(A study on foot to ground contact in sprint running) 著者 Author(s) 前田, 正登 掲載誌・巻号・ページ Citation スポーツ方法学研究,12(1):193-201 刊行日 Issue date 1999-03 資源タイプ Resource Type Journal Article / 学術雑誌論文 版区分 Resource Version publisher 権利 Rights DOI JaLCDOI URL http://www.lib.kobe-u.ac.jp/handle_kernel/90001651 PDF issue: 2020-02-27

Kobe University Repository : Kernel · 台のフォースプレート(キスラー社製挙世田a) 個1!尽駿偶成 が埋め込まれている.世験者には i 通常の競控の

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Kobe University Repository : Kernel

タイトルTit le

短距離走における足の接地に関する研究(A study on foot to groundcontact in sprint running)

著者Author(s) 前田, 正登

掲載誌・巻号・ページCitat ion スポーツ方法学研究,12(1):193-201

刊行日Issue date 1999-03

資源タイプResource Type Journal Art icle / 学術雑誌論文

版区分Resource Version publisher

権利Rights

DOI

JaLCDOI

URL http://www.lib.kobe-u.ac.jp/handle_kernel/90001651

PDF issue: 2020-02-27

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短距離走における足の接地に関する研究

A study on foot to ground contact in sprint running

前回正聾(神戸大学}

Masato Maed♂

Abstrad

h is Imponant 10 Improve not only the technique but the fitness in sprint nmning 10 rise the

per{onnar、ω 1n the p陪 淀川 paperit was forcused on the p羽 田 off.凹 t四 ntactin the technique of

sprint running. The ground reaction fo定自 wcremeasured during f.加 国ntact帆 thforce platfonn

m ,肌 malesprinters. There wεre vid田 tapedwith two high-sp世 d cameras 10 analyse their

movem朗 t5. The 陀 sultswere as follows

(1) The type of f,∞t landi噌 insprint凹 wcreclassified into tWQ types. One named 'toe-type' was

not almost attached the h健 Ion the ground, and other named 'heel-type' was aUached from the

heel 10 the toe in oder

(2) The movement of the leg in 'toe-type' runner was emphasized swing during leg driving phase

In 'heeHype' runner the陀 wereemphasized the extension and Oextion of the kn民 Butthere

were not 悶コognizedthe diffe陀 ncein the impulse during foot contact and running time. the

diffe陀 nceon these movements were not 50 big

(3) The ground reaction forces in 割 .chtype vari剖 withrunning stage during 1加m running. but

the type of foot c創刊actwas not changed

• Kobe Univers・'"

193

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194 スポーツ方法学研究第12巻第1号平成11句3刀

1 輔雷

陸上競桂の中で,短距離走。特に1曲mは殺も

が控目する花形値目である.1曲mの世界記揖は

男子では 1912年には10秒6であったが。製在で

は Dベイリーが1使褐年にアトラ ンタで樹立した

9秒84にまで短輔された.このよフな記島町向上

には緩々な要因が関陣していると考えられる.例

えば,眼技者の身体面賀町向上や新たなトレーニ

ング法の聞揖などによる体力の向上が挙げられ

る.また 全天候型のトラックで般桂が行われる

ようになったことや走路にあったスパイクンュー

ズが開発されたことなどの縮股.iH4の政普も大

きな重要因として挙げられるであろう.

しかし,短距離走において配揖向上のために

は,体力の向上や環揖周耳目改笹の他に,走る

控術,特に接地中に力を地面にうまく缶える陸地

控術を修得するこ とも不可欠である.闘世者が走

る時,地面に力を加えることができるのは足が地

面に接している時だけであり,その意味におい

て 短距離走における接地匝術を検討するこ と

は,パフォーマンスを向上させるためには重要で

あると考えられる.

これまでに短距般走における走動作に聞する研

究3-8)川や地而匠カの醐定研究附剛刷は数多く行

われているが,足の綾地について動作とその地面

巨カを含めて検酎しているものは見当たらない.

足の後地を検酎するにはI 脚動作。地面Eカの両

方を総合した研究が必聾であると思われる.

本研究では,臨走時の足の接地について 接地

時の地面IXt!と脚動作I 且びJJ!地耐桂の脚動作も

吉めて検問を行う .また曲m走を想定し?

1曲mを疾走する中での各距離地点の接地の変化

にも注目する.

2 研究方法

2.1 手聴き

被験者は,大学陣上離技師の短距離選手10名

(身長 1.77:tO.06m. 体重 64.5:t 4.1 kg.

1冊mの餓誼E揖 11由主O.51sec)とした.

実験偶成を図 1に示す.走路は全天陸型で, 一

台のフォースプレート(キスラー社製挙世田A)

個 1 !尽駿偶成

が埋め込まれている.世験者にはI 通常の競控の

ようにクラウチングスタートから全力疾走を行

い.カメラ帽の足でフォースプレートを踏むよう

に指示した.被験者がフォースプレートを踏むこ

とができなかった場合は。スタート位置を若干ず

らすことによって調節させた.

疾走距離は。 10.40. 70. 1冊mの4種類とし

た.本研究では1曲m疾走中の地面庄カの壷化に

も注目するが,そのためには. 1曲mの区間に図

1のような腔定を檀散幽所世ける必要がある.し

かし,尖験綿成上。閣のような世定が困難である

ため,ここではl凹mを10.40. 70. 1曲mの4種

類の距離それぞれで制定し。 1凹m疾走中の10m

地点。 40m地点, 70m地点. 1田m地点とした.

また.2台の高速度 VTRを用いてI 疾走中の

全身 (HSV-4凹 nac社製。 2∞fps)と足のク

ローズアップ (HSV-5曲, nac社製 250fps)を

それぞれ織影した.

フォ スプレートからの信号は,高速度 VTR

のパルス信号とともに.A!D聖換器を介してコ

ンピュータに取り込んだ.A!D変換器のサンプ

リング照波数は 1kHzであった.また同時に 光

電管醐定システムを周いて疾走タイムを醐定し

た.

2.2分析方量

撮影した全身の映偉から.ランエングの1周期

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前倒 短距雌走における足の8廃絶に闘する研究

分についてー図 2に示した肩峰札大転子,藤関

節中点外巣点,腫点,足先点の6点を削定点と

してデジタイズを行った.そして。これらの時系

列データをデジタルフィルタをJHいて10Hzで平

滑化した桂,股間節角度 0..牒聞飾角度0..足

関節角度 O.を。脚の最大鋸り出し時P..接地時

p, 檀地ゅの膝聞簡最大屈幽時p, 離地時P..脚の般大蹴り上げ時p.の 5つの局面について草

出した.

さらに,大転子を中心とした牒関節中点と外果

点、の軌跡を織き,脚の動作を描出した.そしてt

脚の極り出し,蹴り上げについて水平方向の変位

Lf. Lb及び鉛直方向の変位Hf.Hbを草出した.

また,脚の恒り下ろし (pj""P,),班り上げ

(P,-Ps)のそれぞれの時間 と距離から 脚ス

ウィング適度Vd,V..を算出した.足のクローズ

アップとして級車した映像は,着地時の様子を詳

細に見るために用いた.

収量されたフォ スプレートの情号から,作用

点における 3分カ(閉桂方向.左右方向,鉛宜方

向}を求めた.これらの曜は体重で除した値で示

しである.そして,その前後方向のカを時間割分

しカ績を算出した.また,鉛直方向のカが出カさ

れた時聞から各接地時間 Tf (: P2-P,), Tb

( : P,-P.), Ta (: Pz"""'P.)についても求め

た.(闘2"照)

なお.本研究の平均値の聾の検定には t検定を

用い,有意水準を 5%以下とした.

a H, e.

Lo,

図 2 測足項目

{左!!lI:'"鎌点大佳子股関節中点外操点班点庭先 Rの符測定,,<絡んだスティックピクチャーと..関節角度の定積.布閣 外来点の航跡による各局高の定.....のa量大..,凶し時1'., ~俊鳩"向。密資旭中の接関節..大網幽崎 P.. ・..時r. , l1liの..大眠り土げ時P.のsの局面匡.1

U

195

3 結果

3.1 足の綾地織式

飯本ら"は.ランニング時の足の接地様式を母

鼎球から接地する rつま先型,.かかとから後地

する rかかと型』 つま先型とかかと型の中間で

ある T中間型』の 3種類に舟顕している.また,

Payne剛はオりンピック級の理手で足の接地傑

式を観察し。かかとからつくタイプ,母指草から

つくタイプ!母指球をついてから足裏金体をつく

タイプ。フラットにつくタイプがあると分覇して

いる.

本研究 で観察 された接地蝿式のタイプを

図3,1.図 3.2に示す.図に示されるよっに.か

市L f ω

~ -.""陶ー 即興_..11 ..

泊。

島建

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r。岨@師酬蜘醐 0.1 9.12 IU・

両眠

国 3.1 つま先型』の地面Eカ

主~~~IL~イイ~

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- n酬ー鴫...一 回 酬

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IWl 0 0.問。,.(14 OJl除,ω0.1 II.Il 0.14

h 剛

図3.2 かかと型』の地面巨カ

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196 スポーツ方法学研究第12巻第"多平成H年 3n

111 各タイプ被験者の身長,体重及び各地点での疾走タイム

0"盟 かかと盟

主~1 .71 :1: 0 , ~4

削玄岬

2.19%0.07

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9.11剖凶

日開企0.2'7

一附

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lI.icht (同 1.76企0・6",M‘・・(¥a) &1.0主,.. ・,.......剛山自‘..,岨》

2.27:1:0.11

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ι伽 岨 同,) 9.20念0.61

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•• かとよりつま先の方が低い状態で母措球付近から i・2接地するタイプ{以桂 rつま先型J という}と

つま先がかかとより高い状瞳で1 かかと付近から

綾地するタイプ (以桂 『かかと型」という)の2

樋頬に骨瀕された.

rつま先型, 'かかと型』の各タイプ世験者に

おける身長 身体質量及び各距摩地'"での疾走タ

イムを表 1に示す.表に示されるように。岡酵の

身体特性に布意な韮は認められなかった.また

疾走タイムについても,有意な監は認められな

かった.

3.2 地面E力

足の接地儀式と地面tfi.1Jを図3.1 図3.2に示

す.図中白地面庄力の値は先行研究'"に世い

身体質量で障した値で示している.

図は70m地点。での地面反力を示しているが,こ

れを見るとかかと型J では接地直桂に鉛直方

向のカにおいて。体重の5併以上となる ピークが

昭められるのに対 し 「つま先型Jではそのよう

な箇所が認められなかった.

附桂方向のカは,正(プラス}を削方向 負

(マイナス)を後方向へのカとすると,両タイプ

とも檀地直後に前方向へのカで2つのピークが認

められ.その桂『つま先型』 ではすぐに後方向に

変化していた.一方 ,かかと型』では.前方向

へのカがすぐに後方向に密化していることはな

レ、.接地中の削桂方向の力械を図4に示す.これら

の値は,身体質量で除した値で示してある.闘で

は,正,負方向の地面匡カからそれぞれのカ掴を

求め.附方向のカ輯,後方向のカ積とし 接地中

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図4 般地中に得た力機

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図 5接地時間(.:p<O.OS)

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前悶 短距健走におげる足の信産地に闘する研究

に得たカ積としてその総和も示している.

全ての地点において'つま先型J と rかかと

型』に有意な聾は臨められなかった.しかし.前

方向の力摘は 7伽n地点を除いて rかかと型Jの

方が大きかった.桂方向のカ摘も.4白羽地点を除

いて rかかと型J の方が大きかった.また,接地

中の韓和についても, 40m地点を除いては rかか

と型Jの方が大きくつま先型」では70,1田m

地点。では前方向すなわち負の{直を示したつま

先型J では40m以降,前方向のカ積が噌加し,後

方向のカ積が減少していた.しかしかかと型J

では40m以降もほとんど置化は臨められなかっ

た.

3.3 蟻地時間

足の植地時間を図5に示す.図は接地期前半と

接地期桂半の時間及び全体の畿地時聞を示してい

る.

接地時聞は。全ての地点において rつま先型」

の方が rかかと型」よりも置かった.その中でも

1伽n地点。7伽n地点では有意な量として臨められ

た.

植地時聞を前半と後半に区分してみても,すべ

て rつま先型」のほうが rかかと型1 よりも短い

という結果であった 4つの地点での接地時聞

は つま先型, . かかと型J ともに1伽n地点で

最も畏く .40m地点では島も姫く。 40mから70

m. 回m地点では40m地点よりもやや長くなる

恒向であった.

3.4 闘の働きの軌跡

大転子を中心とした外巣点の軌跡は。rつま先

型』と「かかと型Jで相違が臨められた.この相

遣を定量的に且るために,外*点の藍位を,須高り

出し動作,蹴り上げ動作に分けて欄定した結果が

図6.1.図6.2である.

振り出し動作については.有意な蓋ではないも

のの,全ての地点において rつま先型J は『かか

と型J よりも鉛直方向の聖位が大きく ,高い位置

に顕り出されていた. つま先型,.'かかと型』

ともに1伽n地点では水平方向 鉛直方向のどちら

197

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E

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図6.1脚動作における水平方向の変位

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.'1m!.. -ヲ.. 陸軍。紳岨

組問 rom 1∞m

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制 m rom 咽 m

図6.2 脚動作における鉛直方向の変位

も小さい値であったが.40m地点では1命n地点よ

りも水平方向では耐O.06m.鉛直方向では約O凹

m大きな置を示し.動作が大きくなっていること

が認められた. しかし. 40m地点から 70m,

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198 スポーツ方法学研究第12巻第 1.善平成11年3月

1佃m地点と距離が伸びても大きな変化は且られ

なかった.

眠り上げ動作については,全ての地点で rかかと

型J の方が鉛直方向的変位が大きく 1 高い位置に

臨り上げる傾向が認められた.しかし,娠り出し

動作と同様に有意な差は認められなかった.ま

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_.・..崎+ 白山町

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図7.1 10m地点の各関節角度(・ pく0.05)

剛,.。皇百Ed‘

+叫日

+ 山 町

一・-.,."-・四+ 帥 ..町一_.山田+山富山

" 。陸地 .111 !lll!,*, 副 司眠りM

随 7.2 40m地点の各関節角度(・ p<O.05)

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+ 由日

+ 町日

干引量四+ 山 E盟国ーっ...時十 叫 .由知

。霊岨l.. .1fI """''''刷勘.J..I:.11

図7.3 7ωn地点の各関節角度(・ p<O.OS)

l'" f刷

一-.,...阿一.宇田F・.・白.

』唱酢ーで,.. 宮崎司帽

唱軍基-..~."悼-

ー・ー,て"量量・噌4・_.・t・F・・叫・

.',出c •• 軸. 園陸 劇一色げ

図7.4 1抽m地点の各関節角度(・pく0.05)

た。 rつま先型, 'かかと型』ともに10m地点の水

平方向 鉛直方向は他の地点よりも動作が小さ

く, 40m地点になると,水平方向では約O.02m

曲直方向では約O.03mその髄が大きくなってい

た.40m地点から70,1凹m地点へと距離が伸び

ても顕り出し動作と同様に大きな変化は見られな

かった.

3.5 関節角度

5つの局面における関節角度を図 7.1.......図 7.4

に示す.図では,股関節,膝関節,足関節角度を

各他点ごとに示している.

股関節腫関節角度は有意な韮ではなかった

ものの,陣地時以外のすべての局面で「つま先

型』の方が大きい角度を示し,離地時には,つ

ま先型』と「かかと型』の角度はほぼ同じ植を示

していた.

足開師角度についても,股間節,膝聞節角直と

同様につま先型」の方が大きい角度を示して

いたが,接地時,陣地時の蓋は有意であった.そ

して 蹴り上げ時には rつま先型』と「かかと

型」の角度は,ほぽ同じ値を示していた.

rつま先型,'かかと型Jの岡タイプにおいて

10m地点から40m地点にかけては企ての角度がや

や大きくなっていた.その桂の70m地点では 4

<10m地点とほぼ閉 じよ うな慣を示したが,1田m

地点では更に角度が大きくなる師向が認められた.

3.6 脚スウィング適度

脚のスウィング速度を図 8に示すつま先

型" 'かかと型J で比較すると,全ての地点にお

いて rつま先型J の方が『かかと型」よりも脚ス

ウィング連度が速いという結果であった.このこ

とは。スクイングの前半にもスウィングの桂半に

もあてはまる結果であった.

rつま先型,,かかと型」の両タイプともに,

スウィング速度は40m地点で最も速かった.その

後の70m,1曲問地点では徐々に速度は遍くなっ

ており 40m地点より O.3.......0.5m/s在度遅くなっ

ていた.また, 10m地点での速度が最も遅く,

40m地点とは2伽n/s程度の差があった.

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前倒錯.,M走における足の模地に隠する研究 199

3・君"〉司6

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蜘 7蜘

,射げ榊

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園8 脚のスウィング速度(・ r<O.05)

4 考繋

4.1 Ji!.の後地織式

走運動では 1サイクルの中で援り下ろしから接

地.蹴り上げという動作が速脱して行われる.そ

のため,接地の動作は握り下ろしや障り上げの動

作とも深〈関わっている.

rつま先型J の揺り下ろし動作は高い位置から

行われており,復り下ろし動作の最中に足先が下

がっていくのが観察された.そして。足先が下

がったままの状睡で母指球付近から地面に着地し

ていた,かかと型J の握り下ろし動作は rつま

先型J よりもやや低い位置から始まっており,か

かとがつま先よりも下に位置した状睡で,かかと

の外倒付近から積地していた.このような躍り下

ろし動作の相遣は綾地の線睡に大きく影響するも

のと推察される.

これら2つのタイプは,阜を握り出した時点で

は膝関節.足関節の角度はほぼ閉じ値を示してお

り.同じ状睡であったと考えられる.そこから

『つま先型』ではやや高い位置から腔関節角度を

ほとんど変えずに速い速度で脚を極り下ろしてお

り。いわゆる脚をスウィングするように復り下ろ

して着地に至っていることが伺える.一方か

かと型Jではやや低H立催から rつま先型』より

も遭い連度で揖り下ろしており 障関簡をやや小

さくして接地を迎えていることから,脚をスウィ

ングするというよりもかかとを地面に降ろすよう

に倉地しているものと考えられる.

これらの恒り下ろし動作の相違は接地時の地面

Eカにも現れていた.すなわちつま先型』で

は速いスウィング速度で脚を復り下ろして着地を

迎えているので.務地直桂にプレーキとなるよう

な前方向への力が加わりに<<.反対にかか

と型Jでは置り下ろし動作が Tつま先型』よりも

やや低い位置から,かかとを地面に向かって降ろ

すように着地しているので。省地によって前方向

への大きな力が生じたものと考える ζ とができ

る.

接地期の rつま先型」白脚動作は,足の後地時

聞が短く,股間節.膝聞節,足関節いずれの角度

も大きい状態で.連いスウィングを行っていた.

一方 「かかと型」では接地時聞が長く,また,

接地中の世間節隊問簡角度の『つま先型」との

蓋が着地時。離地時よりも大きいという いわゆ

る股間節と腔削節目屈曲 伸展動作が認められ

た.すなわち。 rつま先型』の脚動作は脚のス

クイング(股間節の伸展}に草きを置くタイプで

ありかかと型Jの脚動作は脚のスウィングよ

りも股間節と膳削節の屈幽 伸属に重きを置くタ

イプであると宵い換えることができる.

本研究の地面圧力世形から償地中に得たカ積を

算出したところωrつま先型J と rかかと型J に

韮は認めらなかった.また 両タイプで疾走速度

に量は認められなかった.中野ら町立。脚のス

ウィング速度が走速度に大きく関係していること

を報告しており,伊躍ら"も股聞節の伸展動作,

すなわち,脚のスウィング動作が疾走速度の甑と

なっていることを報告している.これらのことか

ら,両タイプは脚動作にわずかな相違が認められ

るものの疾走タイムや,それに関係する脚のス

ウィング速度に彫.するほどのものではないと考

えらnる.

服地した桂の足は置り上げられ前方に援り出さ

れる.眠り上げ動作では'-:>ま先型』町方が低い

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200 スポーツ方法学研究第12巻第l号 平 成JI年"

位置に.連い速度で障り上げられていた.また.

rかかと型J では 離地時の膝関節角度は Tつま

先型』とほぼ同じ角度まで伸展していたが。臨り

上げ時に rつま先型J よりも小さくなっていた.

これらから。 rかかと型」は+分に膝聞節を図曲

してから後り出し動作へと移行する動作であり,

『つま先!¥,!,は睦関節の屈曲を+分しないままに

すぐに板り出し動作へと移行する動作であるとい

うことができる.

以上のように rつま先型, 'かかと型』の接地

様式の遣いは,母指球付近で着地するか,かかと

の外側付近で継地するかという接地機式の相違だ

けにとどまらず,脚のスウィ y グに重きを世く

か.1県l節の屈曲伸展に亜きを置くかという 脚

の動作織式にまで及ぶ事象であることが示噴され

る.ただつま先型, 'かかと製』で族走タイム

に盤が認められるほどではなく これらの相遣は

それほど大きな差ではないものと場えられる.

4.2 100m走における後地

本研究では.各距離地点において rつま先型J

rかかと型」の綾地様式が全く別の様式に変化し

てしまうことはなかった.lOm地点はスター卜直

接であり.疾走速度を得るための動作が行われて

いる局面であるため,畿地中に得たカ積が他の地

,~と比べると特に大きかったことは当黙の結集で

ある.また,この地占の股関節。勝捌節角度の霊

化が他の地点よりも大きいことから白この局面の

脚動作がt也市を押して前方へ移動しようとする

(地而を押す)動作を行っていることが推察でき

る.その挫の40.70. 1田m地点へと疾走距離が

長くなるに世い,接地中に得たカ績は減少する聞

向であった.I伽nから4伽n地点にかけての脚動作

は圭ての関節角度が大きくなっており.lIiり出

し.瞳り上げの動作も大きくなっていることが伺

えた.しかし, 10m地点で見られたような綾地中

の股関節腔聞節の角度に大きな甚化は認められ

なかった.このことから.10m地点から'Om地点

にかけて.加速疾走から生法漉走へと動作も変様

していることが推察される.40m以降では,特に

量化が器められたものは脚スウィング連庄が低下

していたことであった.その他は脚動作の大きな

置化は認められなかったがt 股開閉,蹄開閉.足

関節角度はごくわずかではあるが大きくなってい

た.生連疾走においては膝聞節角度が増大すると

脚スウィング速庄が融少する"と冒われており

このような躍凶簡の伸展を抑えることでスピード

の低下を防ぐことができるのではないかと均えら

れる.

5 軸冒

恒距離走において,記融向上のためには体力の

向上だけではなく 走る控術を向上させることが

重要である.本研究では,短距離走における走控

術として接地局面に注目した.疾走中の地而Eカ

と疾走フォームの制定を行い,接地局面に関して

分続検制した.,.た。 1冊mを疾走する中での

接地の霊化についても検討した.その結集。以下

のことが明らかになった.

11)短距隙走の接lI!l様式を rつま先型,'かか

と型J の2種類に丹類した,つま先型J は母指

球付近からつま先にかけて接地し,かかとはほと

んど地而につかない按地儀式であり。 rかかと型』

は かかとからつま先にかけて順次足裏を地面に

つける綾地様式であった.

{剖 '-:>ま先型』は脚のスウィ ングに重きを置

く動作であり,かかと型』は股関節と臨聞節の

屈曲 伸展にEきを置く動作であることが維察さ

れた.しかし,接地中に得たカ捕や疾走タイムに

は置が臨められなかったので.動作円相i!;は大き

なものではないと考えられた.

131 1田m疾走中に 俊地儀式が置化すること

はなく.接地局面の分衡からも加速疾走から全連

疾走へと変化していることが後策できた.

以上のように 短距拘置走における接地儀式の相

遣は.それだけにとどまらず,脚の動作あるいは

走桂術そのものまでも異なることが示唖された.

しかし そのような動作に相遣があってもt 疾走

タイムには援が認めらなかったので そ叩盟も大

きなものではないと考えられた.

Page 10: Kobe University Repository : Kernel · 台のフォースプレート(キスラー社製挙世田a) 個1!尽駿偶成 が埋め込まれている.世験者には i 通常の競控の

前悶 短距健走におげる足の畿地に関する研究 201

剛辞

本測定に御悩カいただいたアシックススポ ツ工学研

究所の皆憾に厚〈お礼を申し上げます.

文獄

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