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1 1 (日本語翻訳版) 皮膚の糖化ストレスと光老化 市橋正光、 八木雅之、 埜本慶太郎、 米井嘉一 同志社大学大学院生命医科学研究科 アンチエイジングリサーチセンター 糖化ストレス研究センター Review Article Glycation Stress and Photo-Aging in Skin Masamitsu Ichihashi, Masayuki Yagi, Keitaro Nomoto, Yoshikazu Yonei Anti-Aging Medical Research Center and Glycation Stress Research Center, Graduate School of Life and Medical Sciences, Doshisha University Received: May. 17, 2011 Accepted: Jun. 2, 2011 Published online: Jun. 13, 2011 Anti-Aging Medicine 8 (3) : 23-29, 2011 本論文を引用する際はこちらを引用してください。 (c) Japanese Society of Anti-Aging Medicine 〒 610-0321 京都府京田辺市多々羅都谷 1-3 同志社大学大学院生命医科学研究科アンチエイジングリサーチセンター 教授 米井嘉一 電話:0774-65-6382 FAX:0774-65-6394 メール:[email protected] Anti-Aging Medicine 8 (3) : 23-29, 2011 抄録 本論文では加齢に伴う疾患や退行性変化に関わる糖化ストレスの概念を紹介する。 糖化ストレスは皮膚老化に関与する 光老化に次に大きな因子である。 糖化反応では、 グルコースや果糖などの還元糖と蛋白が非酵素的に結合して糖化蛋白 が生成される。 反応が進むと、 蛋白糖化最終生成物 (advanced glycation end products ; AGEs) が形成され、 組織に沈 着、 そして RAGE (receptor for AGEs) と呼ばれる受容体に結合し、 皮膚や他の組織に炎症性変化を惹起する。 糖化ストレ スの概念は還元糖とアルデヒド基に対する組織全体の反応性変化を捉えたものであり、 単に AGEs 産生のみを対象したもの ではない。 皮膚においては、 AGEs 化したコラーゲンは皮膚弾力性を弱め、 シワ形成に関与する。 皮膚に沈着した AGEs は自己蛍 (auto-fluorescence ; AF) として検知することができるが、 AF は加齢に伴って増加することを日本人女性 136 例のデー タで示した。 皮膚弾力性は AGEs 沈着量の増加とともに、 また紫外線暴露により低下する。 さらには皮膚の光老化は AGEs 沈着により著明により加速する。 糖化ストレスは、 従って皮膚老化についても同様に、 食事療法、 生活習慣の改善により血糖、 LDL コレステロールや中 性脂肪を適切に管理することで軽減することが可能である。 AGEs 生成阻害薬、 AGEs 分解促進薬や AGEs 受容体拮抗薬 などの抗糖化物質の使用も可能となるだろう。 この科学領域が発展することで、 抗加齢療法の新たな展開が期待できる。 KEY WORDS: 蛋白糖化最終生成物 (advanced glycation end products ;AGEs)、 皮膚弾力性、 紫外線、 ペントシジン、 カルボキシメチルリジン (N ε -(carboxyl)methyllysine; CML)

Masamitsu Ichihashi, Masayuki Yagi, Keitaro …anti-aging.gr.jp/english/pdf/2011/8(3)2329J.pdfMasamitsu Ichihashi, Masayuki Yagi, Keitaro Nomoto, Yoshikazu Yonei Anti-Aging Medical

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皮膚の糖化ストレスと光老化

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(日本語翻訳版)

皮膚の糖化ストレスと光老化

市橋正光、 八木雅之、 埜本慶太郎、 米井嘉一

同志社大学大学院生命医科学研究科 アンチエイジングリサーチセンター 糖化ストレス研究センター

Review ArticleGlycation Stress and Photo-Aging in Skin

Masamitsu Ichihashi, Masayuki Yagi, Keitaro Nomoto, Yoshikazu Yonei

Anti-Aging Medical Research Center and Glycation Stress Research Center, Graduate School of Life and Medical Sciences, Doshisha University

Received: May. 17, 2011 Accepted: Jun. 2, 2011Published online: Jun. 13, 2011

Anti-Aging Medicine 8 (3) : 23-29, 2011本論文を引用する際はこちらを引用してください。(c) Japanese Society of Anti-Aging Medicine

〒610-0321 京都府京田辺市多々羅都谷1-3同志社大学大学院生命医科学研究科アンチエイジングリサーチセンター

教授 米井嘉一電話:0774-65-6382 FAX:0774-65-6394 メール:[email protected]

Anti-Aging Medicine 8 (3) : 23-29, 2011

抄録

本論文では加齢に伴う疾患や退行性変化に関わる糖化ストレスの概念を紹介する。 糖化ストレスは皮膚老化に関与する

光老化に次に大きな因子である。 糖化反応では、 グルコースや果糖などの還元糖と蛋白が非酵素的に結合して糖化蛋白

が生成される。 反応が進むと、 蛋白糖化最終生成物 (advanced glycation end products ; AGEs) が形成され、 組織に沈

着、 そして RAGE (receptor for AGEs) と呼ばれる受容体に結合し、 皮膚や他の組織に炎症性変化を惹起する。 糖化ストレ

スの概念は還元糖とアルデヒド基に対する組織全体の反応性変化を捉えたものであり、 単に AGEs 産生のみを対象したもの

ではない。

皮膚においては、 AGEs 化したコラーゲンは皮膚弾力性を弱め、 シワ形成に関与する。 皮膚に沈着した AGEs は自己蛍

光 (auto-fluorescence ; AF) として検知することができるが、 AF は加齢に伴って増加することを日本人女性 136 例のデー

タで示した。 皮膚弾力性は AGEs 沈着量の増加とともに、 また紫外線暴露により低下する。 さらには皮膚の光老化は AGEs

沈着により著明により加速する。

糖化ストレスは、 従って皮膚老化についても同様に、 食事療法、 生活習慣の改善により血糖、 LDL コレステロールや中

性脂肪を適切に管理することで軽減することが可能である。 AGEs 生成阻害薬、 AGEs 分解促進薬や AGEs 受容体拮抗薬

などの抗糖化物質の使用も可能となるだろう。 この科学領域が発展することで、 抗加齢療法の新たな展開が期待できる。

KEY WORDS: 蛋白糖化最終生成物 (advanced glycation end products ;AGEs)、 皮膚弾力性、 紫外線、

            ペントシジン、 カルボキシメチルリジン (Nε-(carboxyl)methyllysine; CML)

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皮膚の糖化ストレスと光老化

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はじめに

グルコースなどの還元糖は塩基性溶液中でアルデヒド基とケ

トン基を形成する。 また脂質のβ酸化や過酸化によっても同様

にアルデヒド基とケトン基を生じる。 アルデヒドとケトンはカルボ

ニル基 (C=O) をもつことが特徴で、 カルボニル基は電気陰

性度の高い酸素原子に電子が引き寄せられて分極し、 炭素原

子は求核攻撃を受けやすくなっている。 人体においても同様

の反応が生じることが明らかにされてきたが 1)、 皮膚の退行性

変化への関与については十分な検討がなされていない。

これら反応基が蛋白質などの生体物質と非制御的に反応す

ると、 機能性蛋白の機能障害が生じる。 翻訳後修飾 (蛋白変

性)、 老廃物の蓄積、 機能性蛋白の劣化、 TCA サイクルの機

能障害、 細胞内シグナルの活性化や組織障害を惹起し、 加

齢に伴う退行性変化の大きな要因になる 1)。 糖化ストレスとは

これらの反応を総合的にとらえた概念である。

糖化ストレス

狭義のメイラード反応は、 還元糖と蛋白質の非酵素的、 非

可逆的な反応により、 シッフ塩基 (Schiff base) の形成、 アマ

ドリ転移、 様々な中間体形成を経て、 蛋白糖化最終生成物

(advanced glycation end products: AGEs) の生成に至るまで

の過程を意味する。 シッフ塩基は R1R2C=N-R3 (R3 = alkyl,

aryl, etc., not H) と表され、 グルコースなどの還元糖とタンパク

質中のアミノ基との反応から生成する可逆的な化合物である。

この反応にはリジンやアルギニンおよび蛋白質の N 末端アミノ

酸のアミノ基が関わっている 1)。 シッフ塩基は転移反応により

ケトアミン (ketoamine) 構造を有する不可逆的な化合物である

アマドリ転移物となる。 例として HbA1c は不可逆的ケトアミン構

造を有するアマドリ転移物である。 全体の反応は前期反応、 中

間体生成、 後期反応の3つのパートに分けられる (Fig. 1)。

中間体としては 3 デオキシグルコソン (3DG) 2)、グリオキサー

ル (GO) 3)、 メチルグリオキサール (MG) 4)、 グリコールア

ルデヒド (GA) 5) などがある。 これらはカルボルニル化生成

物が多い。 3DG はアマドリ化合物から生成されるα - ジカル

ボニル化合物で、 グルコースより 10,000 倍高い反応性を有し

AGEs の生成に関与する。 血漿 3DG 濃度が 100 nmol/l 上昇

すると糖尿病性網膜症、 腎症のリスクが約 2 倍になる 6)。 他

の AGEs もいくつかの加齢性疾患の発症に関与する。

別の反応系では、 細胞内では過剰なグルコースがミトコン

ドリアに作用し、 TCA 回路の反応不良を惹起し、 その結果

フマル酸が増加する。 蛋白質のシステインと反応して S-(2-

succinyl)cysteine (2SC) を形成する 1)。 蛋白質の修飾は生体内

で機能障害を惹起する。 細胞骨格蛋白、 ヒートショック蛋白 7)、

アディポネクチン 8) など様々な蛋白質が 2SC 化を受ける。

生成された AGEs がプロテアソームや酸化蛋白質分解酵素

により分解される機構も存在する。 老化蛋白質はプロテアソー

ム (Proteasome) や酸化蛋白質分解酵素 (Oxidized Protein

Hydrolase : OPH) とよばれる蛋白質分解酵素によって分解

除去される。 OPH は生体組織中に広く分布し、 酸化 ・ 糖化

蛋白質を優先的に分解するセリンプロテアーゼの一種であり9)、 蛋白質の N 末端アシル化アミノ酸を遊離する酵素である

アシルアミノ酸遊離酵素 (acylamino-acid-releasing enzyme :

AARE) として知られている 10)。 AARE の生体内における機能

は不明であり活性化作用も確認されていない。 OPH 活性は糖

尿病ラットの血清中において顕著に上昇し、 OPH 活性が上昇

した血清中においてカルボニル修飾蛋白質量が低いことが報

告されており 11)、 OPH が糖尿病や老化進展抑制に関わる可

能性がある。

AGE や中間体の代謝排泄経路についてもいくつかの酵素の

関与が知られている。 中間体メチルグリオキサール (MG) の

代謝酵素である glyoxalase 1 (GLO1) を過剰発現した動物で

は虚血再灌流による腎障害を抑制する 12)。 酸化ストレスや糖

化ストレスは糖尿病や生活習慣病など、 数多くの疾患や老化

進展に関与することから、 Proteasome 、 OPH、 GLO1 を活性

Fig. 1. Concept of glycation stress. AGEs: advanced glycation end products, RAGE: receptor for AGEs, TCA: tri-carboxylic acid.

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皮膚の糖化ストレスと光老化

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化する物質がこれらの疾患や老化進展の予防 ・ 治療薬となり

得る可能性がある。

しかし、 これらの酵素の活性は加齢とともに低下する 13)。 こ

のためプロテアソームや OPH の活性化 ・ 保護あるいは老化

蛋白質の蓄積予防はさまざまな疾患や老化予防に有用と考え

られる。

糖化ストレスとは還元糖やアルデヒド負荷による生体へストレ

スとその後の反応を総合的に捉えた概念である (Fig. 1)。 糖

化ストレスが最も顕著の現れた病態は糖尿病の合併症、 神

経症、 腎症、 網膜症である。 これらの病態では、 組織中に

AGEs が大量に蓄積する。 一般的に 160mg/ml の高血糖状態

は糖化ストレスが強い。 また、 アルコール摂取過剰や高中性

脂肪血症 ・ 高 LDL コレステロール血症によるアルデヒド生成

量が多い場合も糖化ストレスが強い。

糖化ストレスマーカー

グルコースと蛋白の非酵素的反応の過程で様々な物質が

生じる。 例えば、 前期反応で生成されるアマドリ化合物の

HbA1c (糖化ヘモグロビン) やグリコアルブミンは糖尿病の評

価に用いられる。

後期反応で生成される AGEs も糖化ストレスマーカーとし

て 利 用 で き る。 Nε-(carboxymethyl)lysine (CML) 14)、 ペ ン

ト シ ジ ン (pentosidine) 15)、 ピ ラ リ ン (pyrraline) 16)、 ク ロ

ス リ ン (clossline) 17)、 GA- ピ リ ジ ン (GA-pyridine) 18)、 Nε-

(carboxyethyl)lysine (CEL) 19)、 Nω-(carboxymethyl)arginine

(CMA) 20)、 フロイルフラニルイミダゾール (2-(2-furoyl)-4(5)-

(2-furanyl)-1H-imidazole) 21) などの化合物がある。

CML はグリオキサールを中間体として生成する非蛍光性 ・

非架橋性 AGEs で、 糖尿病や酸化ストレス亢進時にも生成す

る。 CML 化コラーゲンをヒト皮膚線維芽細胞に添加すると、 ア

ポトーシスが誘導される 22)。 皮膚では、 比較的代謝回転の速

い表皮層にも存在する 23)。 CML の局在は蛍光標識抗 CMR

ウサギ抗体を用いた蛍光染色により観察される (Fig. 2)。

次に一般的な AGEs はペントシジンである。 本物質はリボー

ス、アルギニン、リジンから生成する架橋性、蛍光性 AGEs で、

腎症の早期臨床マーカーの 1 つとして利用されている。 近年、

骨粗鬆症 (骨質の老化) を反映するマーカーとして注目され

ている 24)。 皮膚コラーゲン中にも存在して加齢と共に増加し、

糖尿病患者の蓄積量は同年齢の健常者よりも高い 25)。

AGEs受容体

AGEs 蓄積による組織・細胞障害に加えて、RAGE (Receptor

for AGEs) と結合し細胞シグナルを活性化し、 炎症性サイトカ

イン生成を惹起する機構がある 1)。 RAGE 以外にも AGEs をリ

ガンドとして認識する細胞表面受容体は多数報告されている。

RAGE は、 細胞内シグナル伝達から細胞応答を生じ AGE 受

容体として病態形成に機能的に働いている 1)。

RAGE の細胞内シグナリング伝達経路の代表的な一つは、

細胞内酸化ストレスの増強とそれに引き続く ras/MAP キナー

ゼ経路を介した転写因子 NF-κB の活性化である。 血管内

皮細胞においては、 AGEs 刺激による RAGE シグナルによっ

て vascular emdothelial growth factor (VEGF) の発現を誘導

し血管透過性の亢進や血管新生に関わり、 また vascular cell

adhesion molecule-1 (VCAM-1) を誘導し局所の炎症にも関与

Fig. 2. Distribution of CML in human skin. Fluorescent-immunohistochemistry using anti-CML polyclonal rabbit antibody 23). Green fluorescence indicates presence of CML in the epidermal layer. CML:Nε-(carboxyl)methyllysine. Cross-section of human skin. Bar indicates 20 µm.

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皮膚の糖化ストレスと光老化

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している 26)。

RAGE は通常細胞膜上に存在するが、 一部は測定可能な

可溶性 RAGE として細胞外に存在する 1)。 可溶性 RAGE は

デコイ (おとり) 受容体として AGEs と結合し、 細胞膜上の

RAGE 活性化を阻害する 27)。 従って糖化ストレス抵抗性の指

標となる。

糖化ストレスの皮膚への影響

皮膚に対する糖化ストレスとしては AGEs 蓄積が最も大きく

影響する。 CML は皮膚蓄積性 AGEs の代表であるが、 それ

以外にも多種の AGEs が存在する。 近年、 カルボニル化蛋白

質が表皮際外層の角層 に生じ、 光学特性を変化させることに

より皮膚の透明感を低下させる 28)。 真皮で AGE 化が進むと

皮膚の黄色化の原因になることが示されている 29)。 また、 代

謝回転の速い角層 の AGE 化のターゲットが角化細胞の分化

に伴って生成される K10 蛋白質であるとの報告がある 30)。

コラーゲン蛋白の AGE 化も一種の AGEs 蓄積である。コラー

ゲン線維は三重らせん構造を有し、 弾性線維とともに皮膚の

弾力性を維持する役割を担う。 コラーゲン蛋白を構成するリジ

ンやアルギニン残基は糖化反応を受けやすく、 AGE 化して線

維間架橋を形成し、 そのためにコラーゲンは可動性を失う 35)

(Fig. 3)。 コラーゲンの糖化は皮膚硬化やしわの原因となると

考えられる。

糖化ストレスにはペントシジンが関わる別の系がある。 ペント

シジンは NF-κB 活性化作用が強く、 炎症性サイトカインを介

して皮膚に炎症性変化を惹起する。

糖化ストレスと光老化

太陽紫外線 B と A および赤外線を長年にわたり繰返し浴び

た皮膚には、 光老化症状としてシミ (日光性黒子) とシワおよ

び腫瘍が発症する。 中でも、 シミは最も早く、 日本人では 40

歳を過ぎた頃から顔に出始める。 その後、 手背などにも同様

の小さな色素斑として多発する 32)。 色素性乾皮症 (紫外線に

よりダメージを受けた DNA を修復する酵素が欠損した稀な遺

伝性皮膚疾患) の患者では、シミは生後数ヶ月頃に出始める。

本症の発症機序は表皮角化細胞および色素細胞のメラニン生

成に関わる遺伝子 33) の変異によると考えられている。 すなわ

ち、 角化細胞の遺伝子 stem cell factor (SCF) などの発現

を亢める転写因子の変異である。 色素細胞では SCF 受容体

(c-kit)の変異がシミ形成に関与している可能性もある。しかし、

現時点ではどの遺伝子に変異が生じているかは明らかではな

い。

顔の皮膚色は加齢によりくすみが進み、 透明感が減少する。

その原因の一つは表皮のターンオーバーの遅延である。 この

ターンオーバー遅延に UV-A がどの程度関与しているかは明

らかではないが、 少なくとも一部は UV-A が角層の剥離に関

与する酵素活性の低下を引き起こすためと想像される。

AGEs 蓄積により惹起されるこれらの変化は光老化により増

強される 22,23)。

皮膚弾力性の減少

加齢に伴い皮膚の弾力性は失われる。 その原因としては線

維芽細胞の機能低下によるフィブロネクチンなど細胞外マトリッ

クス成分の産生低下、 コラーゲンやエラスチンなど弾性線維の

Fig. 3. Glycation of collagen and AGEs accumulation in the skin. Fluorescent AGEs in the skin are detected by AGE Reader. AGEs: advanced glycation end products.

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皮膚の糖化ストレスと光老化

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産生低下が挙げられる。 またコラーゲン蛋白も酸化や糖化に

より劣化する。 ヒトにおける皮膚弾力の加齢に伴う変化を Fig. 4に示した 34)。 2 型糖尿病患者では健常者に比べ弾力性曲線

が下方シフトし、 皮膚弾力の減少度合いが強い。 従って、 糖

化ストレスが皮膚弾力低下の大きな要因になっている。

一方、 しわは 30 歳ころから顔面に出始める。 主要因は光

老化による変化で、 真皮に存在する線維芽細胞が生成する

蛋白質、 弾性線維とコラーゲンの量的ならびに質的変化によ

ると考えられる 35-37)。 少量の日光暴露は AP-1 や NF-κB の

活性化を経て metalloproteinase を増加させ、 コラ-ゲンやエ

ラスチンを変性させる 35)。 また I 型プロコラーゲン産生を減少

させる 36)。 勿論、 浅いシワは表皮の乾燥による表皮の構造変

化も原因となる。 常に日光に曝露される顔や頚部には深いシ

ワが生じる。 農業従事者などではほとんど毎日多量の太陽光

線を浴びるため、 50 歳頃には特に頚部に菱形皮膚と呼ばれ

る三角形の深いシワが発症する。 深いしわに囲まれた皮膚は、

やや黄色みを帯び、 触れるとごわごわしていている。 菱形皮

膚の真皮には病理組織学的に抗 CML 抗体陽性物質が真皮

上層から中層にかけて塊状沈着しており、 日光弾性症 (solar

elastosis) と呼ばれる。 塊状沈着は van Gieson 染色でも確認

できる 23)。 この変化は、 顔面皮膚でも 20 歳ころではまだ見ら

れなし、 紫外線を浴びない皮膚では高齢になっても見られな

い。

UV-B は表皮角化細胞を刺激し、 炎症性サイトカイン IL-1

α、 IL-6 や TNF αを生成 ・ 放出する。 これらのサイトカイン

が真皮線維芽細胞およびオートクライン様式で角化細胞を刺

激し、 コラーゲンや弾性線維を切断する酵素 MMP-1、 MMP-

3、MMP-9 などの mRNA と蛋白質レベルを亢め、さらに活性を

亢進させ、 これらの線維成分の切断が進みしわになると考えら

れる 38)。 MMP-1 はコラーゲン線維を切断することが知られ、

シワ形成に関与すると考えられている。

動物実験レベルでは弾性線維を切断するエラスターゼ活性

を抑えることにより、 紫外線誘発シワ形成を著しく抑制できるこ

とから、 シワ形成は主に弾性線維の量的、 質的変化によると

の考え方が提示されている 37)。

さらなる機構として、 UV-A は直接真皮線維芽細胞に働き、

MMP-1 など線維蛋白質を切断する酵素の mRNA、 蛋白レベ

ルを亢めるためにシワ形成に至ると考えられている 39)。 UV-A

と -B による MMP-1 の mRNA 亢進の引き金には、 いずれも活

性酸素が関与している。 さらに、 最近、 赤外線が紫外線同様

に活性酸素を介して MMP-1 活性を亢進させ、 コラーゲン変

性に関与することが示されている 40)。 その細胞内活性化系路

には MAPK (mitogen-activated protein kinase) が関与する41)。 従って、 シワ形成の抑制に抗酸化剤が有効である可能性

がある。

非侵襲的皮膚AGEs 検査(AGE Reader)

皮膚 AGEs 沈着量を非侵襲的に評価する方法として AGE

reader ™ (DiagnOptics, Groningen, Netherlands) がある 42-44)。

本法は、 皮膚組織へ蓄積した AGEs が紫外線照射により励

起され特有の自己蛍光 (auto fuorescence; AF) を発する性

質があることを利用している (Fig. 3)。 糖尿病患者、 透析患

者の皮膚生検所見と照合した結果、 皮膚 AF はペントシジン、

CML などの AGEs の皮膚蓄積量とよく相関することが確認され

ている 45)。

我々の施設で集計した健常日本人女性の皮膚 AF 値の年

齢推移を Fig. 5 に示す。 皮膚 AGEs 蛍光は加齢に伴い増加

する。 欧米の白色人種における皮膚 AF 測定部位は前腕部、

上腕部が一般的であるが、 著者らの先行研究にてアジア系黄

Fig. 4. Changes in skin elasticity with age in diabetic patients and a control group. Data shows elasticity index R2 and R7 in healthy Japanese measured at left inner upper arms measured with a cutometer (Courage & Khazaka) 34). R2: biological elasticity (Ua1/Uf1), R7: elastic recovery (Ur1/Uf1), DM: diabetes mellitus. Data are expressed as mean ± standard error mean (SEM).

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皮膚の糖化ストレスと光老化

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色人種では前腕部は日焼けの影響により測定不可となる被検

者が多く出現するため、 日本人被検者では頬杖をついた姿勢

をとり、 右上腕背側部の肘から 10cm の部位にて測定すること

を推奨している 44)。 黄色人種での測定方法を確立させるため

には、 今後さらなるデータ集積が必要である。

AGE Reader による皮膚 AGEs 蛍光の検知が、 どの物質をど

の程度に深さまで反映するかについては不明である。 検知し

得る蛍光性 AGEs としてペントシジン、 クロスリン、 ピロピリジン

を想定している。

糖化ストレスの予防と治療

皮膚の老化を避けるためには光老化対策、 酸化ストレス対

策、 糖化ストレス対策が重要である。

一次予防としては骨格筋肉量の維持、 適度な運動、 適正な

食習慣が奨励される。 これは血糖の急激な上昇を避け、 イン

スリン抵抗性を増加させないためである。 グルコースの 70% は

骨格筋で消費され、 骨格筋量の減少がインスリン抵抗性増加

を助長するので筋肉負荷運動は重要である。 糖化ストレスを減

らす食習慣とは①ゆっくり食べる、 ②よく噛む、 ③血糖を急激

に上げない食材を選ぶ (例えば glycemic index (GI) 値を参照

する)、 ④ジュース ・ 炭酸飲料 ・ スイーツなど砂糖含有量の高

いものを避ける、 などである。 アルコールは体内でアセトアル

デヒドに代謝され糖化ストレスを増すので、 アルコール過剰摂

取も避けるべきである。

体重オーバーや腹囲高値のある者は人間ドック ・ 検診を受

け、 血糖管理、 LDL コレステロール管理、 中性脂肪管理を行

う。 数値目標はそれぞれのガイドラインを遵守する。

これらの生活習慣を是正した上で、 必要に応じて抗糖化物

質の摂取を考慮する。 将来的には、 生体における AGEs 関

連疾患の予防と治療には、 (1) AGEs の生成を阻害する AGEs

生成阻害物質、 (2) 生成した AGEs を分解する AGEs 分解促進

物質 (AGE breaker) 46,47)、 (3) AGEs 受容体拮抗物質 48) など

が考えられる。

AGEs 生成阻害物質としては、 アミノグアニジン 49-51) が代

表的であるが、 副作用が多いため日本では未だ臨床使用には

至っていない。 in vitro 試験 52) 及び動物実験 52)、 ヒト試験 34,53)

にてローマカミツレ、 ドクダミ、 西洋サンザシ、 ブドウ葉抽出

物が抗糖化活性をもつことが確認されている。 オウギ由来の

astragaloside が in vitro で CML およびペントシジンの生成抑

制を認めている 54)。

AGEs 分 解 促 進 物 質 と し て N-phenacylthiazolium や

N-phenacyl-4,5-dimethylthiazolium が知られている 46,47)。

RAGE についても創薬のヒントが隠されている。 全長膜

結合型 RAGE は細胞内シグナル伝達を惹起し炎症性サイ

トカイン生成を誘導するが、 可溶性 RAGE(soluble RAGE,

sRAGE) はデコイ受容体として働き AGEs の分解を助け RAGE

に対し拮抗的に作用する。 全長膜結合型 RAGE が matrix

metalloproteinase (MMP)9 や disintegrin and metalloproteinase

(ADAM)10 などの酵素によって細胞膜直上で切断 (shedding)

され、 可溶性 RAGE(soluble RAGE, sRAGE) を形成することが

分かってきた 1)。 従って、 この shedding を増強することは、 全

長膜結合型 RAGE を減少させると同時に、 sRAGE を増加させ

る。 AGEs-RAGE シグナルが調節できれば、 その後の細胞障

害や組織障害が緩和される可能性がある。 今後は、 shedding

を増強させる薬剤を開発するためにはさらなるメカニズムの解

明が必要である。

Fig. 5. Changes in skin AF derived from AGEs with age. Data shows AF values measured using an AGE Reader in healthy Japanese females (n = 136, mean age: 49.4 ± 20.6 years). Measurements were taken from a 10-cm length of skin on the back of the arm above the elbow. Regression line; Y = 0.017X + 1.0503, r = 0.603, p < 0.001. AF: auto fluorescence.

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