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電力中央研究所
キャニスタからのヘリウム漏えい検知器の開発
地球工学研究所
2016
STAR Japanese Conference 20162016年6月9日
竹田 浩文
1
発表の内容
研究の背景と目的
研究の内容
・ヘリウム漏えい検知器の原理
・小型キャニスタ模型試験計画
・事前解析例(STAR-CCM+を使用)
研究のスケジュール
2016 2
キャスクにおける長期貯蔵管理上の課題
2016
3
吊り金具
使用済燃料
外 筒
2次蓋
内 筒
吊り金具
バスケット
中性子吸収材
1次蓋
コンクリートキャスク
冷却空気出口
使用済燃料
バスケット
キャニスタ
冷却空気入口
コンクリート
(金属キャスク:蓋部の密封は金属ガスケットで担保) (コンクリートキャスク:密封はキャニスタの溶接蓋で担保)
金属キャスク コンクリートキャスク
長期健全性:・付着塩分検査方法の確立・Heリーク検知手法の確立・SCC対策
長期健全性:・金属ガスケットの経年劣化・燃料健全性確認
コンクリートキャスクの日本での実用化:・応力腐食割れ(SCC)対策・溶接部UT検査法確立
2016
使用済燃料貯蔵の国内外での現状
2016 4
~2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022 2023
■国内動向 再処理が行われなければ、2030年までに10,000tUの使用済燃料が余剰となる。乾式貯蔵だと2015年から15年間で、キャスク1,000基必要。
キャスク製造実績・米国(コンクリートキャスク):100基/年・ドイツ(金属キャスク):50基/年
■国外動向 WCS社によるテキサス州およびELEA社によるニューメキシコ州の統合型中間貯蔵施設(CISF)が計画されている。
電力1000tU貯蔵容量拡大
関電2000tU貯蔵施設
・2020年:地点の決定
・2030年:操業
統合型中間貯蔵施設(CISF)
・テキサス州40,000tU
・ニューメキシコ州70,000tU
は浜岡400tU貯蔵施設完成予定むつ3000tU貯蔵施設完成
米国長期貯蔵研究プログラム(ESCP) 2009~
IAEA CRP(DEMO) &SPARⅠ~ Ⅳ
IAEA CRP(AMP)
学会でのコンクリートキャスクの実用化に
向けての規格改定?
東海第二キャスク70tU
九電リラッキング480tU
むつ
2000tU
貯蔵施
設(期
間未
定)再処理工場竣工
MOX燃料加工工場竣工
米国:約9割がコンクリートキャスク
又はサイロ、約1700基
破線は、不確定な予定
ユッカマウンテン計画〇1987年に高レベル放射性廃棄物
処分場の候補地と決定〇2009年、バラク・オバマ政権は計画
中止を決定
コンクリートキャスクは、米国以外では、スペイン、東欧他で使
用されている。
新聞情報(国内)
2016 5
〇政府、電力ともに中間貯蔵の必要性を認識〇各電力社長の会合で2030年をめどに、使用済燃料6000tUを貯蔵拡大することに合意
WEB情報(国外)
2016 6
WCS社の中間貯蔵施設計画・場所:テキサス州・容量:40,000tU・その他:AREVAおよびNACが建設
ELEA社の中間貯蔵施設計画・場所:ニューメキシコ州・容量:70,000tU・その他:HOLTECが建設
2016
(輸送・貯蔵中の燃料被覆管の)温度分布
(輸送・貯蔵中の燃料被覆管の)応力分布
モニタリング- 外部
溶接キャニスタ - 大気腐食
燃料移送オプション
モニタリング - 内部
溶接キャニスタ - 水溶液腐食
ボルト締めキャスク - シールおよびボルトの疲労
ボルト締めキャスク - 大気腐食
ボルト締めキャスク - 水溶液腐食
乾燥問題
バーンアップクレジット
被覆管 - 水素化物再配向
中性子ポイズン - 熱劣化
減速材の遮断
被覆管 - 水素遅れ割れ
アイダホ国立研での燃料検査
被覆管 - クリープ
燃料集合体の構造 - 応力腐食割れ
中性子ポイズン - 脆化
被覆管 - 照射損傷の回復
被覆管 - 酸化
中性子ポイズン - クリープ
中性子ポイズン - 腐食
オーバーパック - 凍結融解
オーバーパック - 鉄筋腐食
ESCP(フェーズI):長期貯蔵管理上の課題の洗い出し・優先順位付け2012.4
7
2016 8
アルゴンヌ国立研究所での研究(1)
出典:2014年ESCPミーティング資料
キャニスタからのヘリウム漏えいが生じると、キャニスタ内のヘリウムの対流が変化し、キャニスタ上部温度が低下する現象を利用し、その温度変化情報を無線で、遠方にある集中管理室で、監視するシステムの構築を提案している。
2016 9
アルゴンヌ国立研究所での研究(2)
出典:2014年ESCPミーティング資料
ヘリウム漏えい時に、キャニスタ表面温度が変化する現象については、実物大コンクリートキャスク模型を用いた試験結果 [Takeda, H., et al, 2008. “Development of the detecting method of helium gas
leak from canister”, Nucl. Eng. Design, Vol. 238, 1220-1226.]を参照している。
参考:・竹田他、コンクリートキャスクの実用化研究-キャニスタ内ヘリウムの漏えい検知方法の開発-電力中央研究所 研究報告N04031(平成17年)・電力中央研究所、使用済核燃料貯蔵の基礎(ERC出版)
キャニスタ表面温度変化を用いたHe漏えい検知方法-実物大キャスク模型を用いた試験結果-
2016 10
キャニスタ上下温度差:ΔTBT=TB-TT
を監視すれば、He漏えいを検知できる。
0
1000
2000
3000
4000
5000
6000
-5 -4 -3 -2 -1 0 1 2 3 4 5
温度変化(℃)
高さ(mm)
0h12h36h
60h
Heリーク時
漏洩時
TB
高さ
(mm
)
温度変化(℃)
キャニスタ表面各部の温度変化
0
10
20
30
40
50
60
12
14
16
18
20
22
24
26
28
-96 -72 -48 -24 0 24 48 72 96 120
圧力(kPa)
ΔTBT
圧力(kPa) Δ
TBT (
℃)
時間(h)
TBBT TTT Δ給気温度が下がってもΔTBTは上昇している。
25
27
29
31
33
35
12
14
16
18
20
22
24
26
28
-96 -72 -48 -24 0 24 48 72 96 120
給気温度 ΔTBT
給気温度(℃
) ΔTBT (℃)
時間(h)
TT
TB TIN
0
1000
2000
3000
4000
5000
6000
-5 -4 -3 -2 -1 0 1 2 3 4 5
温度変化(℃)高さ(mm)
0h-19.6h-36h-60h
通常時
温度変化(℃)
高さ
(mm
)
通常時
TT
実物大コンクリートキャスク模型を用いた試験結果
コンクリートキャスク
冷却空気出口
使用済燃料
バスケット
キャニスタ
冷却空気入口
コンクリート
ΔTBTとTinの両方を監視すれば、早期にHe漏えいを検知できる。
圧力(kP
a)
ΔT(℃)
ΔT(℃)
給気温度(℃)
時間(h) 時間(h)
既漏えい検知方法(ΔTBT利用)の課題
2016 11
キャニスタ表面温度計測のためのセンサー(熱電対等)設置上の課題
・キャニスタ上部表面温度とキャニスタ底部表面温度の2ヶ所必要。・キャニスタ表面にセンサーを直接設置した場合、センサーの交換が困難。
TB
TT
TIN
TB
TT
TIN
TBBT TTT Δ
出典:使用済核燃料貯蔵の基礎(ERC出版)RCキャスク CFSキャスク
TT近傍の温度情報を利用する方法
2016 12
TLMTLB
TLM
TLB
グラスウール
コンクリート
鋼板
空気
67
68
69
70
71
72
73
74
75
76
77
120
121
122
123
124
125
126
127
128
129
130
-96 -84 -72 -60 -48 -36 -24 -12 0 12 24 36 48 60 72 84 96 108 120
TLB
TLM
温度(℃
)
時間(h)
温度(℃
)
CASE1
TLMTLB
TLM
TLB
試験データ
蓋底部(TLB)と蓋内部温度(TLM)は、気温の日変動を受けない。また、ヘリウム漏えい後、TLBは、キャニスタ上面温度(TT)の影響を受けるが、TLMは、受けない。
キャスク蓋に小孔を明け、温度センサーを挿入する。
なお、センサーでは、キャニスタ上部近傍温度と蓋内部温度を計測・監視することにより、漏えいを検知する。
原理 センサーの提案
漏えい開始
TLM
TLB
コンクリート
漏えいセンサー
キャニスタ上部
グラスウール
鋼板
改良型検知感度を向上させるために、センサー先端部をキャニスタ上面に近づけたもの。
TLMとTLBの差異を監視することにより、漏えい検知が可能
TB近傍の温度情報を利用する方法- THを求める方法 -
2016 13
TH
Tair∞=TIN
ha
λsステンレス
空気
ヘリウム
q1
q2
TB
ls
q3
TBI lHλH
H
BIHH
l
TTq
)(1
s
BBIs
l
TTq
)(2
)(3 INBa TThq
321 qqq
INBH TTT βα
0
10
20
30
40
50
60
-4.0
-2.0
0.0
2.0
4.0
6.0
8.0
-96 -84 -72 -60 -48 -36 -24 -12 0 12 24 36 48 60 72 84 96 108 120
TIN-29.6℃
TB-172.9℃
TH-205.5℃
圧力(kPa)
温度(℃
)時間(h)
CASE1
圧力(kPa)
キャニスタ底板
が成立する。
TH(キャニスタ内底部近傍温度)を既知のTBとTIN
から求め、TINと共に監視する。→TINが低下しても、TH
が上昇していれば、漏えい発生と判断される。
漏えい開始
原理
熱流束において
新たな温度指標THをTBとTINから求める
)(1s
s
H
H
a
llh
)(
s
s
H
H
a
llh
TB近傍の温度情報を利用する方法- センサー設置方法 -
2016 14
測定通路新設型既設流路利用型
このタイプのコンクリートキャスクでは、給気流路がストレートであり、キャニスタ底部へのアクセスが容易な場合は、センサー設置も容易。
センサーの提案
TB
TIN
このタイプのコンクリートキャスクでは、キャスク製作時に、作業ダクトを製作しておく必要がある。
漏えい検知器
2016 15
1)上部漏えいセンサー
キャスク蓋底部近傍温度(TLB)とキャスク蓋内部温度(TLM)を監視する。
2)底部漏えいセンサー
キャニスタ底部温度(TB)と給気口空気温度(TIN)を計測し、キャニスタ内底部近傍ヘリウム温度(TH)を計算し、THとTINを監視する。
上部漏えいセンサーを用いるか、底部漏えいセンサーを用いるかは、キャスクの流路構造等により、設置しやすい方を採用する。
竹田他、キャニスタの長期密封性能評価手法の開発(その2)-ヘリウム漏えい解析および簡便な漏えい検知手法の提案-電力中央研究所 研究報告N015006(平成27年)
小型キャニスタ模型試験計画
2016 16
2016 16
35mm 150mm 35mm
発熱部非発熱部 非発熱部
試験目的
キャニスタ内の圧力の違いによるキャニスタ表面温度の変化(特に、TTとTB)
についてのデータベースを構築する。
試験パラメータ・発熱量(12W~48W)・キャニスタ内圧(1atm~5atm)・キャニスタ内部気体(空気 or ヘリウム)
・キャニスタ姿勢(垂直、水平)
キャニスタバスケット
発熱体
発熱体の詳細
模型の構成要素
解析目的と解析モデルおよび条件
2016 17
解析条件・定常解析・発熱量:12W(1W/本×12本)~48W・キャニスタ内圧1atm~5atm
・キャニスタの表面熱伝達率:10W/m2/K
・キャニスタ内部気体:空気 or ヘリウム
解析モデル
解析目的
キャニスタ内の圧力の違いによるキャニスタ表面温度の変化(特に、TTとTB)についてのデータベースを構築する。
キャニスタ内部温度分布および流線
2016 18
事前解析の一例:・キャニスタ内部気体:空気・発熱量:12W・キャニスタ圧力:5atmおよび1atm
5atmでのキャニスタ内部温度分布 5atmでのキャニスタ内部流線
キャニスタ上部温度
2016 19
キャニスタ内圧が低下するとキャニスタ上部温度(TT)は、低下している。
キャニスタ底部温度
2016 20
キャニスタ内圧が低下するとキャニスタ底部温度(TB)は、上昇している。
今後の研究スケジュール
2016 21
Ⅰ. 試験・小型キャニスタ模型を用いた試験パラメータ:事発熱量、キャニスタ内圧、キャニスタ内気体の種類(空気、ヘリウム)
キャニスタ姿勢(垂直、水平)
・中型キャニスタ模型を用いキャスク流路を模擬した試験漏えい検知器の感度検討
Ⅱ. 解析(STAR-CCM+を使用)・小型キャニスタ模型を対象とした解析による現象のメカニズムの解明。・中型キャニスタ模型を用いキャスク流路を模擬した試験の解析・実機での現象の予測解析
Ⅲ. 評価・実機キャスクで漏えい検知器を使用した際の感度評価ならびに実機適用性評価