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MICインターナショナル株式会社 金井文昭

MICインターナショナル株式会社金井文昭mici.co.jp/Seminar/FDAQSR1705.pdfQSRは、ISO 13485:1996 (ISO 9001:1994)をベース に法制化 ISO 13485はISO 13485:2003(最新版は2016)に

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  • MICインターナショナル株式会社 金井文昭

  • 2

    1986年制ガン抗生物資の研究で薬学博士号取得(東京大学薬学部)

    1986年-1988年アメリカ合衆国国立衛生研究所客員研究員

    1990年-1996年(株)カネカ コレステロール吸着カラムでFDA PMA取得

    1996年―2002年カネカ New York 医療機器部長

    2002年―2005年(株)MIC メデイカル薬事部長

    2005年―現在ミックインタナショナル(株)代表取締役社長

  • 1. QSRとISO13485

    2. 各サブシステムの特徴及び対応手順書作成のポイント

    3. QSITに基づく各サブシステム査察のポイント

    - 経営 -設計管理

    -是正処置及び予防処置 -生産及び工程の管理

  • QSRは、ISO 13485:1996 (ISO 9001:1994)をベースに法制化

    ISO 13485は ISO 13485:2003(最新版は2016) に改訂されたが、QSRはISO 13485:1996をベースとしている。改正はUDI規則の導入等適宜行われている。

    QSR は一部の例外を除く、全クラスの医療機器に適用される

    第3者認証機関からすると二つの基準は異なる点があり、GAPがあるがFDAは基本的な内容はQSR とISO13485で差異はないと考えている。

    QSR とISO13485比較表 別紙資料参照

  • 製造業者は品質システムを確立し、それに従わなければならない

    「確立する-Establish」とは、「規定し、文書化し、実施する Define, Document, Do/Implement (3D)」

    連邦法で定められている。 -21CFR Part 820

    本質的にISO13485と同等

    →現行法はISO9001, ISO13485と整合性を取っている。

    この規制は、すべての製造業者が従うべき「フレームワーク」を示していて、各製品ごとに必要なシステムを製造業者自身が肉付けしていく。

  • 各サブシステムの特徴及び対応手順書

    作成のポイント

  • 経営

    設計管理

    是正処置予防処置

    材料管理記録・文書変更管理

    施設・環境管理

    生産・工程管理

  • 最も重要なサブシステムは「経営」である。

    § 820.20 - Management responsibility. § 820.22 - Quality audit. § 820.25 - Personnel.

    経営の責任で確立、維持すべきこと◦ 品質方針

    ◦ 経営者による見直し

    ◦ 品質監査の手順

    ◦ 品質システムの手順と指示書

    ◦ 品質システム管理責任者の任命と組織づくり

    ◦ 人的資源を含めたリソースの提供

    基本の品質システム手順書→後出

  • 設計管理一般

    最初に、設計・開発プロセスのどの時点で設計管理プログラムの対象となったのかの説明

    Research

    Development

  • 主要なアクティビティと実行責任の記載部品選択の責任のような細かいことは不要

    主要なアクティビティ(参照可能)◦ 設計インプット◦ 設計アウトプット◦ 設計審査◦ 設計検証◦ 設計妥当性確認◦ 設計移管◦ 設計変更◦ 設計履歴簿

  • Interfaceの記載

    異なるグループあるいは活動との相互的な関係を特定及び記載

    例:型の開発や検証試験、臨床試験を実施する外部業者からもたらされる要求事項があるかもしれない。このようなことを見越して前もって設計開発計画に入れておく。

    設計及び開発の進展に応じた計画の審査、更新、及び承認手順を記載

    更新が少なくなるように、細かいことは不要

  • 一般的に含まれる情報◦ 開発戦略を時系列的に示したもの(例えばガントチャート)

    ◦ タイミングに関する戦略概要(つまり開始、完了、及び分析)

    ◦ 計画の中で言及する次の試験あるいは活動に移る前に必要なデータの指定及び正当性

    ◦ 各ステージの具体的な成果

    ◦ 開始、完了、及び設計審査基準

    ◦ 次のタスクを開始する前に完了しなければならない重要な通過点

    ◦ リスクマネジメント活動

    →最初のリスクマネジメントは妥当性確認が完了するまでに実施、完了する。

    →リスクマネジメント活動をどの部分に組み込むか明確に説明

  • 機器の物理的及び性能要求事項で、設計の基本◦ 実際のユーザーニーズは何か?

    ◦ 機器が使用される場所は?

    ◦ 機器を使用するのはどんな人か?

    ◦ どのようにして機器が使用されるのか?

    ◦ どのような機器と一緒に用いられるのか?

    ◦ 使用される期間は?

    ◦ どんなリスクがあるのか、新たなリスクは何か?など

    「明確、正確、あいまいさがない」要求事項

    完全な一連の要求事項によって、機器の要求が成り立つ。

  • 手順書は…

    不完全、曖昧、あるいは互いに相反する要求に対処するためのプロセスあるいはメカニズムを記載

    設計インプットの文書化、審査、及び承認をどのように行うのかについて説明

  • 機器の設計インプット(要求事項)に適合した機器の仕様で機器原簿の基本。

    設計アウトプットのリストが必要

    →設計インプット、アウトプット、検証の方法と結果を表にしておくとわかりやすい。

    Input Output 試験方法 合否基準 試験結果

    IP-5:手持ち可能

    OP-10:重さは250g 以下

    重さを・・・で測定する。

    重さが250g±…

    重さ・・・ g

  • 手順書は…

    設計アウトプットの合格基準を含むかあるいはその参照先を含む

    機器が適切に機能するために不可欠である設計アウトプットの特定を確実にするために用いるメカニズムについて説明→表の作り方の説明

  • 手順書は・・・

    審査機器の正式な設計審査をどのように計画しているかの説明

    審査機器の設計・開発プロセスの適切なステージにおいて正式な設計審査が行われることをどのように確実にするのかについての説明

  • 手順書で確実にする方法を記載すべきこと

    1. 設計審査が包括的かつ体系的であること

    2. 設計審査対象のステージに関わりのある全部門及び全人員が設計審査に含まれていること

    3. すべての正式な設計審査に独立した個人が1人参加していること

    (この個人は従業員であるかもしれないが、審査対象の設計のステージに対して直接的な責任のないものである)

    4. 正式な設計審査に参加する必要のあるすべての専門家

  • 手順書では・・・

    設計アウトプットが設計インプット要求事項を満たしていることを確認するためのプロセスを記載

    設計アウトプットが設計インプット要求事項を満たしていない場合の解決のためのメカニズムを記載

    設計履歴簿用に設計検証活動を記録する方法を規定◦ 検証結果

    ◦ 設計の特定

    ◦ 検証方法

    ◦ 検証日

    ◦ 検証実施担当者

  • 手順書では・・・

    設計履歴簿用に設計妥当性確認の記録方法を規定すべき◦ 妥当性確認結果

    ◦ 設計の特定

    ◦ 妥当性確認方法

    ◦ 妥当性確認実施日

    ◦ 妥当性確認実施担当者

  • 量産時に用いることを予定している生産方法あるいは設備を用いて作られなかった機器での妥当性確認

    →量産時との同等性を証明するために用いたプロセスと科学的根拠の要約

    *FDAは製造、機器の同等性を評価する

    ユーザーニーズや意図する使用に対して機器が適合しているということを臨床的にどのように評価しているのか?の要約

    Programを含む機器(ソフトウェアやファームウェア)のソフトウェアバリデーション→別Guidance Document

    リスクマネジメントプログラムをどのように文書化し、使用し、また更新するのかについて記載

  • 設計アウトプットを製造に移管すること 移管された設計が:◦ 要求事項を満たしていること◦ 合否基準を含んでいること◦ 妥当性確認されたパラメータを含んでいること◦ 完全で、仕様が承認されていること◦ 機器原簿で文書化されていること

    手順書では・・・

    設計を製造に移管するための設計・開発活動の最終的な審査及び承認をどのように行うのかについての説明

    どの設計文書が機器原簿を構成する部分となるのか記載

  • 設計変更を実施する前の手順を確立し、維持しなければならない。

    手順書では・・

    いつの時点においてどのように変更管理を用いるのかについて記載◦ 変更前の元々の設計プロセスの中

    ◦ 元々の設計が製造に移管された後

    設計変更手順は、設計インプットを最初に変更した後に実施されることが分かるようにすること

  • 手順書では・・・

    特定の設計変更に対して妥当性確認を行う代わりに検証を行う場合の記載が必要◦ 理由を規定し、文書化する

    設計変更が実施される前に確実に変更の妥当性確認、検証、審査、及び承認を行う方法を説明する

    製造工程の変更がどのように管理されるのかについて記載

  • 最終製品の設計開発アクティビティの記録(設計履歴簿)を確立し、維持しなければならない。

    設計履歴簿(DHF)の中身を維持するための手順書が必要

    複数の機器が共通の設計履歴簿の中に含まれる場合には、手順書で同じ設計的要素を有する複数の機器(グループ)の中で個々の機器をどのように特定するのかについて説明

  • 経営管理の適用範囲: 基本的な品質システム文書

    品質システム手順書に含まれるもの

    1. 品質監査あるいは内部監査手順書

    2. 経営管理者による見直しの手順書

    3. 品質システム文書化資料の構成の概略

  • 品質マニュアル◦ 表題及び適用範囲

    ◦ 目次

    ◦ 定義(必要な場合)

    ◦ 品質マニュアル及び品質システム文書化資料の構成の概略

    ◦ 品質方針及び品質目標

    ◦ 組織構造及び組織の責任あるいは権限

    ◦ 基本的な品質システム手順書の参照

    ◦ サポートデータのガイド又はリスト(必要な場合)

  • 特定の要求に適合するような購買管理手順書を確立し、維持する

    →物質・サービス 供給業者、契約業者、コンサルタントの評価も含む 内部・外部供給業者ともに1. 製造業者組織の一部2. 製造業者とは別の品質システムが運用される3. 内部監査の対象外

    特定の要求に適合していることがわかる購買データや記録の確立と保持

    購買データや記録の承認

  • 手順書では・・・

    委託設計業者あるいは委託製造業者などの供給業者に対して適用される管理について指定

    供給業者評価プロセスについて記載

    ◦ 供給業者に対して行う管理の種類及びその範囲をどのように判断するのかについて記載

    条件を満たす供給業者の記録をどのように維持するのかを規定

    購買データ承認プロセスをどのように行うのか規定

    製品や付帯サービスが意図する使用を確実に満たすための購買評価と受け入れ基準のバランスのとり方

  • 生産フロー

    PMAの申請書類で要求されている

    機器の製造に関連するステップを特定する生産フロー図

    規格等の利用

    PMAの申請書類で要求されている

    製造工程あるいは機器について基準・規格を利用している場合、リストを提出

  • 機器が仕様に適合するための工程を、作成し、実施し、管理し、モニターする。

    工程がソフトウェアで管理されている場合、そのソフトウェアが使用目的に対して妥当性確認されていること

    →General Principles of Software Validation; Final Guidance for Industry and FDA Staff, 2002

    手順書では

    環境及び汚染管理条件が機器に悪影響を与える可能性がある場合は、その環境及び汚染管理のための手順が必要

  • 適用範囲:

    1. 部品・製造中製品・最終製品を検査・測定・試験する装置

    2. 製造に使用する装置を検査・測定・試験する装置

    検査・測定・試験装置が使用目的に適した性能を持つこと

    有効な結果を出す性能があること 訓練された従業員が操作すること 適切な基準(標準物質等)を用いて校正されていること

    検査・測定・試験装置の校正の記録は文書化し、保管する

  • 手順書では・・・

    検査・測定・試験装置の校正、検査、点検及び維持をどんな時に(どれくらいの間隔で)どのようにして実施しているのか説明する。

    装置の精度及び使用適合性が維持されるための、装置の取り扱い、保存、保管の規定を含むこと

  • すべての製品の検査や試験による検証が不可能である場合、すべての製品が仕様に適合し、一定の品質を保つことを保証するような工程を保証しなければならない→工程の妥当性 チャレンジテスト

    工程の妥当性は確立された手順に従って承認されなければならない。

    妥当性確認された工程の管理(文書化)◦ 日付・妥当性確認を承認した人◦ 監視・管理する方法とデータ・使用される主要な装置

    実質的には、品質に影響を与えるパラメータ解析とその監視・管理及びパラメータ同士の相関解析とその監視・管理

    変更または工程の逸脱があった場合、その工程を検査・評価し、場合によっては再度妥当性確認を行う

  • 工程バリデーション手順書

    1. 客観的かつ測定可能な合格基準を含むかあるいはその参照先を含む

    2. データ収集及び分析のための適切な統計学的方法がどのように用いられるかを記載

    3. 再バリデーション基準を規定

  • 外部から入ってくる製品

    1. 受け入れ検証方法の確立

    2. 規定の要求事項を満たすことの検証

    3. 受け入れまたは受け入れ却下の文書化

    工程内の製品

    1. 規定の要求事項を満たすような検証方法の確立

    2. 検証活動・承認とその文書化の間の製品管理

  • 最終製品

    1. DMRで確立した出荷判定基準に適合することを検証し、出荷の承認をする

    2. 出荷の承認がされるまでの最終製品の管理

  • 受け入れ承認手順書では・・・

    1. 受入承認活動の範囲:供給業者が実施した試験や供給業者が実施した試験データとそれに付随した外部試験施設が提供したデータを使用できれば取り上げる。

    2. 受入承認活動の範囲の判断は、医療機器製造業者が行う検査及び試験、供給業者の監査、供給業者との関係における品質履歴、及びリスクマネジメントプログラム等の評価手法の組み合わせに基づいて行う。

  • 受け入れ承認手順書では…

    3. 受入/受入却下を規定

    4. 受入却下あるいは不適合製品について◦ 廃棄に関する概略

    ◦ いつどのように不適合製品は手直しがされるのか

  • 受け入れ承認手順書では…

    5. 受入承認活動の文書化◦ 実施した活動、例えば化学的純度分析

    ◦ 受入承認活動実施日

    ◦ 結果

    ◦ 受入承認活動実施担当者の署名

    ◦ 適切な場合には使用器具

  • 出荷判定手順書

    1. 具体的な出荷基準を特定◦ 滅菌の出荷基準は生物学的指標の結果または

    ◦ バリデーションの行われたパラメーターに基づいた出荷プロトコール

    2. 最終製品がすべての合格基準を満たしておりそのことが適切に記録されるまでの間の最終製品の隔離あるいはその他管理について記載すべきである

  • 出荷判定手順書

    3. 以下が行われるまでは販売を目的に最終製品を出荷しないようにするためにどうするか

    ◦ 出荷のための機器原簿要求事項を満たす

    ◦ 関連する出荷データ及び文書化資料のレビュー

    ◦ 指定の者が署名をして出荷を許可する

    ◦ 最終出荷許可日の記録

  • 21 CFR Part 820

    § 820.90 - Nonconforming product. § 820.100 - Corrective and preventive action. § 820.198 - Complaint files. § 820.200 – Servicing. § 820.250 - Statistical techniques.

    Plus: Part 803: 重大事故報告 (MDR) Part 806: 修正・回収報告 (Report of correction

    and removal) Part 821: Tracking

  • Definition (Original: ISO9000)

    Corrective Action 是正処置: 発生した不適合(製品)

    を特定し、その原因を取り除き、再度不適合が起こらないようにする。

    ⇔ Correction 修正:発生した不適合(製品)を設置されている場所での修理や調整等で不適合ではなくすこと。

    Preventive Action 予防処置: 発生しうる不適合(製

    品)を特定し、その原因を取り除き、不適合が起こらないように予防すること

  • CAPA

    不適合製品の解析

    付帯サービスや内部監査の結果解析

    苦情の解析

    重大事故報告

    トラッキング

    修正・回収報告

  • 重大な傷害や機能不全および死亡事故報告

    MDRの手順はすべての製造業者で要求されている。

    公衆衛生へのリスク及びFDAから指定がない限り、担当者がMDRすべき事項を知り得てから30暦日以内にFDAのフォーム(Form 3500A) に必要事項を記入してFDAへ提出する

    公衆衛生へのリスク及びFDAからの指定があれば、5労働日以内にMDRを行う

  • 機器の修正または回収を行って修正する際、FDAへ報告を行うとともにその記録をし、保持する。

    修正・回収日から10労働日以内にFDAに報告

    1. ユーザーエラーを含む深刻な健康へのリスクがある場合の修正・回収

    2. 深刻な健康へのリスクがあるような、低品質であったり、表示が不正(間違った使用や理解を引き起こす)であるものの修正・回収

    報告の必要がない修正・回収1. MDRで報告済み2. 市場からの撤収

    3. 定期点検での通常の修理(定常の部品交換、キャリブレーション等)

    4. 製造業者が保管しているもの

  • 手順書では・・・1. 識別2. 文書化3. 評価4. 隔離5. 不適合製品の廃棄

    6. 評価プロセスに調査の必要性の判断及び不適合に関する責任者の通知が含まれていること

    7. 不適合製品の評価及び調査がどのようにCAPAシステムと結びついているかについて記載

    8. 不適合製品の使用を正当化するために必要な文書化及び使用許可に必要な署名を行う責任者を規定

  • 健全なCAPAシステムに含まれる規定

    1. 実際の不適合製品や品質の問題の特定と修正(Correction)

    2. 実際の不適合製品や品質の問題の原因の特定と除去(Corrective Action)

    3. 起こりうる不適合製品や品質の問題の原因の特定と除去(Preventive Action)

  • 手順書では・・・

    1. CAPAシステムがリスクマネジメントプログラムとどのように結び付いているかについて説明

    2. 不適合行為並びに不適合製品に対してCAPAシステムでどのように対処するのかについて規定

    3. 品質システムからの複数のデータインプットの分析について取り上げる

    ◦ 分析の対象は何か

    ◦ 分析の対象に含まれないものは何か

    ◦ 分析の対象に含まれないことを正当化するメカニズムは何か

  • 手順書では…4. 是正及び予防処置が効果的であり、機器に対して悪影響

    を確実に与えないようにするための規定◦ 検証及びバリデーションの判断方法◦ 方法及び手順の変更の記録を含めることの実施計画◦ 品質問題あるいは不適合製品に関する情報を責任者に届ける方法

    5. CAPA情報のどの情報をどのように経営者に見直しのために提出するのかについて規定

    6. CAPAプログラムに基づいて行われた設計変更と設計変更管理システム及びリスクマネジメントプログラムとがどのように相互に関係するのかについて説明

    7. 修正及び回収に関する規制あるいは医療機器に関する報告に関する規制(MDR)で要求される記録あるいは報告すべきかについて判断するためのCAPAシステム内での審査の必要性を含める

  • 苦情:文書、電子的、口頭での苦情すべてを含む

    手順書では・・・

    1. 苦情について調査が必要であるかどうかを判断するための基準あるいは判断プロセスについて記載

    2. 苦情について調査を行わなかったことの理由の正当性に関する記述

    ◦ 決定した責任者の名前も含める

    3. 苦情がMDRでもある場合、その苦情をどのように苦情ファイルの中で別個に特定しまた保存しているかを説明

    4. 苦情に関する調査の記録が不適合製品の取り扱いのための手順書とどのように連係しているかについて記載

    5. 苦情処理システムとCAPAシステム間の必要な連係を確実にし、またそれについて説明

  • 付帯サービス報告書から得られた情報についてのMDRをFDAに届け出る場合

    →どのように苦情処理システムと連係させているかについて説明

    →どのようにCAPAシステムに統合されているのかについて説明

  • 品質システム

    経営

    記録/文書変更管理

    是正処置

    予防処置

    是正、撤収の報告

    材料管理

    施設および環境管理

    重大事故報告

    設計管理

    生産及び工程管理

    トラッキング

  • FDAが公開している査察ガイドを熟読し

    準備をする。(QSIT)

  • QSITは品質システム規制(Quality SystemRegulation, QSR)にもとづく査察プロセスに関す

    るガイダンスをFDAの査察官に対して提供する。

    QSRはCFR連邦規制法、パート820に記載されており、ISO13485に準じた品質システムに関する規制。

    QSITを理解することにより、品質システムについてのFDAの考え方を知ることができ、また FDA査察準備も効率的に行うことができる。

  • FDAは経営管理、是正措置・予防措置、設計管理、および生産・工程管理を4つの主要サブシステムとして選択し、重要な査察対象としている。

    通常海外でFDAが査察を実施する場合事前に通知される。また査察を開始する前に経営を代表する管理責任者とのミーテイングを持ち、サブシステムに関する経営者の知識と理解力についての感触をつかみ、また製造業者のサブシステムの概要を把握する。

  • 監査目標

    判定フローチャート

    手順書の説明

    ・目的/重要性

    ・具体的な手順が項目ごとに詳細に

    書かれている

    (何を見るか、何をどう判定するか、

    何を報告するか)

    QSITを読めば、監査員の意図が理解できる

  • (1)査察官は「品質方針」「経営者による見直し」「品質監査の手順」「品質計画・品質システムの手順と指示書」が定義されていることを確認する。(2)査察官は品質方針が実行されていることを検証する。(3)査察官は製造業者が確立した組織構造が責任と権限および必要な資源に関する規定を含んでいることを確認する。(4)査察官は管理責任者が任命されていることを確認し、組織構造の中におけるその権限を評価する。

    61

  • (5)査察官は品質システムの適切さと有効性の審査を含む経営者による見直しが実施されていることを確認する。

    (6)査察官は品質監査が不適合項目に対する再監査を含んで実施されていることを検証する。

    重大なFDA Form483の指摘事項があった場合、

    内部監査で欠陥が特定されていない場合にはこの点につき別途FDA Form483で適切な品質監査の不

    足を指摘がされる。不適合事項に対する再監査を含む是正措置に対するフォローアップが実施されていない場合QSRに対する不適合としてFDA Form483で指摘がされる。

    62

  • (7)査察官は適切で有効な品質システムが確立され維持されていることを執行責任のある経営者が確認し、また適切な措置を実施しているか評価する。 経営管理あるいは他のサブシステムの審査の中で執行責任のある経営者が確認を怠り、また適切な措置を実施していないことを示す重要な不適合を査察官が発見した場合はFDA Form483で指摘がされる。

    査察の最終日には査察官はFDA Form483で指摘事項の記入を完了し、最後に経営者と会議に進み指摘事項の確認を行う。

    指摘事項の内容が理解できるか、納得できるかの確認が行われ、製造業者が認めた場合は何時までに回答するか査察官に返事をすることになる。

    63

  • (1) 設計プロジェクトの選択

    QSRの設計管理に対する要求はクラスIIとクラスIIIの医療機器およびクラスIの一部の医療機

    器に適用される。ここでは設計管理を評価するのが目的で医療機器そのものの評価が目的ではない。但し、医療機器が有効で安全でないという情報を査察官が得た場合は査察報告書(Enforcement Inspection Report, EIR)で報

    告する。査察官は始めにひとつのプロジェクトを選択し、製造業者が確立した設計管理のプロセス、方法、手順を評価する。

  • (2)査察官は設計手順書が定義され文書化されていることを確認する。

    (3)査察官は選んだ設計計画を審査する。

    (4)査察官は設計のインプットを確認する。

    (5)査察官は設計のアウトプットが明確であることを検証する

  • (6) 査察官は検証や妥当性確認の実施前に判定基準が定められていたことを検証する

    (7) 査察官は設計検証において設計のアウトプットが設計のインプットに適合していることを確認する。

    (8) 査察官は承認された設計が予め設定されたユーザー

    ニーズおよび意図する使用に適合していることを妥当性確認のデータが示しているか確認する。

  • (9)査察官は設計の妥当性確認により未解決の矛盾がないことを確認する。

    (10)医療機器がソフトウェアを含む場合はソフ

    トウェアバリデーションが実施されていることを査察官は確認する。

    (11)査察官はリスク分析が実施されていたことを確認する。

  • (12)査察官は設計の妥当性確認が最初の生産品またはその同等品を用いて実施されたかどうか確認する。

    (13)査察官は変更がバリデーションまたは検証により管理されたかどうか確認する。

    (14)査察官は設計審査が行われたことを確認する。

    (15)査察官は設計の移管が適切であるか確認する。

  • (1) 査察官はCAPAシステムの手順がQSRの要求に

    対応しており、定義され文書化されていることを検証する。

    (2)査察官は製品および品質の問題の適切な情報源

    が明確にされていたかどうか確認する。この情報源からのデータが是正処置を要求するかも知れない問題を識別するために分析されたかどうか確認する。

    (3) 査察官は不都合な傾向を示しているかもしれない

    製品、品質の情報源が識別されているかどうか確認する。

  • (4) 査察官はCAPAシステムから受けたデータが完全であり、正確であり、タイムリーであることを検証する。

    (5) 査察官は品質問題の再発を検出するために適切な統計的手法が用いられているか検証する。

  • (6)査察官は不適合の調査が手順に従って行われていることを確認する。

    未解決の製品不適合の可能性や不適合製品の出荷の可能性を探るため、終了していない不適合調査を査察官は審査する。患者や使用者に重大なリスクのある未解決の問題はそれを解決することができなければ製品回収を査察官は要求するかもしれない。

    (7)査察官は重大な製品・品質の問題に対し、適切な処置がとられていることを確認する。

  • (8)是正処置・予防処置が有効であったことおよ

    びその実行に先立った検証が実施されたことを査察官は確認する。査察官はまた、是正処置・予防処置が最終製品に悪影響を与えていないか確認する。

    査察官は是正処置・予防処置をとった後の問題の

    傾向を見ることなどにより、その有効性を確認する。検証の原則は検証試験のプロトコールが確立され、文書化された要求・仕様に対し、検証試験アウトプットが保存され、利用可能になっていることである。

  • (9)査察官は是正処置・予防処置が実行され文書化されていることを確認する。

    (10)査察官は不適合製品や品質問題の是正

    処置・予防処置に関わる情報が経営者による見直しのため情報提供されていることを確認する。

  • (1)査察官は次のような点を考慮して審査のための工程を選ぶ。

    ➀ CAPAで問題が指摘された工程

    ➁ リスクの高い医療機器が製造されている工程

    ➂ 製品の不具合を引き起こすリスクの高い工程

    ➃ 製造業者が不慣れかあるいは経験が不足して

    いる工程

    ➄ 複数の製品を製造している工程

    ➅ 多くの技術が用いられている工程

    ➆ 前回の査察でカバーされなかった工程

    ➇ 本部より査察を指示された工程

  • (2)査察官は選択された製造工程に用いる特定の手

    順および工程を管理し監視するための方法を審査する。

    (3)製品履歴簿を審査した結果その工程がパラメー

    ターの範囲を外れていた場合または不適合製品

    が存在していた場合、査察官は次のことを確認する。

    ➀全ての不適合が適切に処理されたこと。

    ➁装置の調整、校正、保全が適切に実施されたこと。

    ➂工程のバリデーションが適切に実施されたこと。

  • ③つづき査察官は手順書を審査する。バリデートされた工程に関する未解決の問題の兆候が見られた場合にはバリデーションに関する広範な次のような審査を査察官は行う。

    1. 試験サンプリングは妥当な統計的根拠にもとづき実施されたか

    2. 工程の管理限界にチャレンジテストが実施されたか3. 工程を変更する場合適切に行われたか4. 工程のオペレーターは適切に認定されたか

    5. 得られたデータは予め定められた製品仕様に常に適合しているか

  • (4)工程がソフトウェアでコントロールされている場合は

    ソフトウェアバリデーションが実施されていることを査察官は確認する。

  • FDAによる査察終了後15日以内にFDAに回答をすることとする要求-(2009/8/11発行のFederal Register Vol. 74, No. 153, Page 40211-

    40212翻訳添付)に対してどうすれば冷静に対応できるか

    78

  • 1.製造業者はFDA-483に対して文書回答を行う

    べきである。

    2.回答文書を作成する際にはFDA-483に記載され

    た具体的な指摘事項に対して回答を行うことが重要

    である。個々の指摘事項に対して回答自体はしてい

    るが、問題の解決にまで結びつくような内容になっ

    ていない。企業はFDA-483に記載する問題点につい

    てその根本的な原因を見つけることに取り組むべき

    である。

    79

  • 3.15日という期間の中で包括的な回答を行うことが出来ないがFDAは製造業者が問題への対処に誠実に取り組んでいるということを示す内容を回答文書の中に期待している。

    4.査察官は製造業者の限られた部分しか見ていない。例えば数千にも及ぶ記録があったとして査察官はその内50に目を通し、その内10に問題を見つかったとすると指摘として記載されるのはそれだけである。そうすると問題があったのは記録の内20%である。つまり、おそらくは全体で考えた場合にも20%に問題があることが示唆される。

    80

  • 5.回答文書では「指摘された10の問題を是正したことに加え、さらなる数の記録についても確認をした」ということで、FDAに対して報告する。

    6.このような類の是正に関する情報が回答文書に示されていたならば、“問題はもうない、警告文書を出す必要もないだろうとの判断になるかもしれない。

    81

  • 1.重点化と深掘り

    米国

    1. QSIT ガイダンスにも示されているように、QSITガイ

    ダンスに示された、重点化された主要サブシステムについて深く掘り下げて審査される。

    2. 実施状況の記録については、品質管理上十分なレベルかという観点からチェックされる。

    (日)欧

    ISO-13485 の全項目について、むらなく審査される。