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琉球大学主催 工学部情報工学科 卒業研究中間発表
MIDIを用いたロボットのモーション操作の実現
075754D 比嘉盛尚 指導教員 : 山田孝治
1 はじめに
2足型ヒューマノイドロボットがホビーロボットとして
安価に入手できるようになった今、人間がロボットを操作す
る機会が増えている。それに伴い多くのロボット操作のイ
ンターフェースが必要とされている。本研究では、ロボット
制御のデバイスとして電子楽器に注目した。電子楽器は音
源とコントローラーが独立しているため、コントローラー
がどのような形であろうとも音を制御できる。
電子楽器のインタフェース規格はMIDI[1]である。MIDIは、31.25Kbpsでの非同期シリアル通信によるデータの授受が可能である。MIDIをロボット制御に用いた例として、beat情報を用いてモーションを切り替える研究 [2]がなされている。ここで、MIDI規格に準拠した電子機器を操作することで、2足型ヒューマノイドロボットのモーションの
制御を目標とする。
2 MIDI
MIDI(Musical Instrument Digital Interface)は、シンセサイザーを搭載する電子楽器の演奏データの形式、プロ
トコル、物理インターフェースの総称で、世界共通規格で
ある。
MIDIのデータは、実際の音ではなく音楽の演奏情報である。具体的には、小節や拍といった時間概念、キーの強さ
や長さ、音色などが記録されている。データサイズは、実
際の音を録音しデジタル化したものに比べ、非常に小さい。
一本のMIDIケーブルには、最大 16の機器を扱えるよう 16チャンネル用意されている。また、MIDI規格では楽器のいろいろな演奏動作に対してMIDIメッセージが定義されており、具体的には、キーボードでは、鍵盤を「押す(ノート
オン)」、「放す(ノートオフ)」といった動作 1つ 1つに特定のMIDIメッセージを割り当てている。次におもなMIDIメッセージの例を示す。(表1)
表 1: MIDIメッセージの例MIDIメッセージ フォーマット
ノートオン 9n Note# Velosity
ノートオフ 8n Note# Velosity
プログラムチェンジ Cn Program#
2.1 MIDIメッセージ
前述したMIDIメッセージは、メッセージの種類を表すステータスバイトと 1つ以上のデータバイトに区別される。各バイトのなかでも最上位ビットが 1のものはステータスバイトで、最上位ビットが 0のものはデータビットである。次に、ステータスバイトとデータバイトについて示す。
• ステータスバイト
ステータスバイトの下位4ビットがチャンネルを指定
し、上位4ビットが命令の種類を表す。
• データバイト
ステータスバイトで指定された命令に応じてデータバ
イト数が変化し、その値は、命令のパラメータを表す。
具体的なMIDIメッセージの例を図 1に示す。
! !" # # " # # # #
# # " " " " # ## # " " " " # #
ステータスバイト
データバイト データバイト
チャンネル番号命令の種類
(発音命令)
音の高さ
(ピアノの最低音から60番目の高さ)
音の強さ
(128段階で60番目の音の強さ)
図 1: ノートオン命令の場合
2.2 MIDIの実装
本研究では、MIDI の実装には Max を用いる。Max はCycling ’74社 [3]が開発・保守している C言語をベースとしたマルチメディア用のビジュアルプログラミング言語で
ある。
3 2足型ヒューマノイドロボット
本研究室では、2足型ヒューマノイドロボットに近藤科学
株式会社 [4]のKHR-3HV(図 4)を用いている。22の自由度を持ち、RCB-4HVで制御され,モーション教示機能によってモーションの作成が容易となっている。
本研究では、この KHR-3HVを用いる。次に、RCB-4HVのプロトコルを示す。(図 2)
琉球大学主催 工学部情報工学科 卒業研究中間発表
サイズコマ
ンド
!"#
番号
動作
速度動作ポジション
チェッ
クサム
単独サーボ動作
$ % & ' ( )*
サイズコマ
ンド!"#番号
動作
速度動作ポジション
複数サーボ動作
$ % &~) +
チェッ
クサム
,-$.~,
図 2: RCB-4HVのプロトコル
サイズ・・・コマンド全体のバイト数
コマンド・・・単独操作 or複数操作ICS番号・・・動かす動作の指定動作速度・・・サーボの動作速度
動作ポジション・・・サーボを移動させる場所
4 適用方法
MIDI規格に準拠した電子楽器と計算機を接続し、電子楽器からのMIDI信号を計算機上で解析を行い、KHR-3HVのモーションとマッピングを行う。その結果から、KHR-3HVのモーション操作を行う。
制御フロー図を図 3に示す。
MIDI
信号
信号解析ロボットのモーショ
ンへのマッピング
シリアル
接続
MIDI
接続
!"#アプリケーション
制御
信号
図 3: 制御フロー
次に、マッピングの例を表 2に示す。
表 2: マッピング例命令 モーションの判別 挙動
ノートオン 音の高さ 実行
ノートオフ 音の高さ 終了
他命令 なし なし
複数命令 なし なし
5 実験内容
実機の運用にはメンテナンスや部品の劣化が懸念される
ため、利便性を考慮して 3Dモデル (図 5)を用意し、計算機上でシミュレーションを行う。実験環境を表 3で示す。
表 3: 実験環境
名称 (備考)
ロボット KHR-3HV
3DCG作成ソフト Blender(Ver. 2.49b)[5]
物理シミュレータ Bullet(Ver. 2.77)[6]
計算機 MacBookPro(MacOSX Ver. 10.6.5)
電子楽器 検討中
6 まとめと今後の課題
MIDI信号を用いた2足型ロボットのモーション操作を目標に、実現方法を検討した。現在は KHR-3HVの 3Dモデル (図 5)を作成中であり、今後はこの手法を計算機上を実装し、3Dモデルを用いて実験を行うとともに、MIDIプログラムの作成を進める。
図 4: KHR-3HV 図 5: 3D model
参考文献
[1] “MIDI MANUFACTURERS ASSOCIATION”http://www.midi.org/
[2] 中原直人宮崎光二中津良平:“音楽情報を用いたCGキャラクタのダンスモーションのリアルタイム制御”(電子情報通信学会,2008)
[3] “Cycling ’74”http://cycling74.com/
[4] “近藤科学株式会社”http://www.kondokagaku.jp/
[5] “Blender.org”http://www.blender.org/
[6] “BULLET PHYSICS LIBRARY”http://bulletphysics.org/wordpress/