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Occurrence of Anticancer Drugs
in Urban Rivers
大阪薬科大学
○東 剛志、井ノ山智美、寺西裕亮、石打浩隆、山岡美里、佐藤卓史、三野芳紀
September 9, 2013
都市河川における抗がん剤成分の存在実態
第16回日本水環境学会シンポジウム
MS技術研究委員会-環境分析におけるMS技術の新展開-
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研究の背景
・汚染実態と環境動態の把握
・下水処理工程での挙動の把握
・除去技術の開発
・水生生物を対象とした生態毒性
影響評価
・河川環境中から医薬品および
生活関連化学物質(PPCPs)が、
ng/L~μg/Lレベルで検出される
環境問題が世界的に報告される。
近年の目覚しい研究の発展により、
次第に概要が明らかになりつつなる。
Sewage
Hospital
Home
Does any problem Occur?
Sewage treatment plant
(田中ら (2008) 環境省 環境技術開発等推進費 研究報告書、
田中ら (2011) 国土交通省 建設技術研究開発費補助金 総合研究報告書)
Azuma et al. (2012)Environ. Sci. Technol
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生活環境・医療の進歩により暮らしも大きく推移
(厚生労働省)主な死因別にみた死亡率の年次推移(昭和22~平成23年)
がん
心臓病
・がんや心臓病、肺炎による死因
の上昇が顕著にみられる
肺炎
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・製薬会社で新薬開発が非常に盛んに進む。
・不治の病とされていた病気が、医薬品の進歩
により治療法も推移しつつある。
・従来型の抗がん剤と比較して副作用も軽減傾向。
①手術療法:がんの部位を取り除く
②薬物療法:血液を通じて全身を巡り、がん細胞を死滅・増殖を
抑制
③放射線療法:局所的にがん細胞を死滅・増殖を抑制
がんの三大療法-薬物療法の重要性ー
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河川環境中に存在するPPCPsの中に抗がん剤も
存在している??
・下水・河川水中から抗がん剤も検出される??
・水環境中に存在する場合、環境リスクとなりうる??
①:水環境中の存在実態については、未だ不明な部分が多い。
②:抗がん剤は元来強い毒性を利用した薬が多く、がん細胞だけ
でなく、健常細胞の機能までも抑制・破壊(強い副作用)
する特徴がある。
(東ら (2013)第36回京都大学環境衛生工学研究会シンポジウム)
→毒性影響評価の面でも重要であると考えられる化学物質!!
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研究の目的
①:水環境中の存在実態について、未だ不明な
ことも多い抗がん剤成分に注目し、これまでに
報告例の多い医薬品成分類と合わせて、存在
実態を把握する。
②:医薬品使用が多いと考えられる、人口の
密集する都市部を流れる河川を対象に調査
を行う。
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淀川T1
R1
S3,S3*
S1
T2
T4R2T5
神崎川
大正川
安威川
正雀川
山田川
R3R4
R5
S2
0 1km 3km
R5
0 5km 10km
研究対象流域
☞安威川・神崎川水系+淀川
(枚方大橋)を対象に調査
下水処理場放流水
河川(本川)
河川(支川)
Flow
・淀川:流域面積8,240km2、流域人口1,100万人
・安威川・神崎川:流域面積208km2、流域人口200万人
(BYQ水環境レポート (2009)、淀川水系神崎川ブロック河川整備計画 (2009))
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分析対象成分
・国内外で河川水からの検出例が
報告されており、検出濃度や検出
頻度が高い医薬品成分も合わせて
対象。
・日本国内での生産量及び販売高と、
未変化体での体外排泄割合を考慮
して、下水中の濃度が高いと予想
される抗がん剤成分を選定。
・漢方方剤や一部のフィトエストロ
ゲン成分についても対象。
1 Acetaminophen 解熱・鎮痛剤
2 Amantadine 抗インフルエンザ剤
3 Azithromycin 抗菌剤
4 Berberine 漢方方剤
5 Bicalutamide 抗がん剤
6 Caffeine 中枢神経作用剤
7 Capecitabine 抗がん剤
8 Carbamazepine 中枢神経作用剤
9 Cefdinir 抗菌剤
10 Ciprofloxacin 抗菌剤
11 Clarithromycin 抗菌剤
12 Crotamiton 鎮痒剤
13 Cyclophosphamide 抗がん剤
14 Daidzein フィトエストロゲン
15 Daidzin フィトエストロゲン
16 Doxifluridine 抗がん剤
17 Ethenzamide 解熱・鎮痛剤
18 Famciclovir 抗ウイルス剤
19 Genistein フィトエストロゲン
20 Genistin フィトエストロゲン
21 Glycitein フィトエストロゲン
22 Glycitin フィトエストロゲン
23 Ibuprofen 解熱・鎮痛剤
24 Indomethacin 抗炎症剤
25 Levofloxacin 抗菌剤
26 Oseltamivir 抗インフルエンザ剤
27 Oseltamivir carboxylate 抗インフルエンザ剤
28 Puerarin 漢方方剤
29 Tamoxifen 抗がん剤
30 Tegafur 抗がん剤
31 Theophylline 気管支拡張剤
32 Valaciclovir 抗ウイルス剤
33 Valganciclovir 抗ウイルス剤
34 Zanamivir 抗インフルエンザ剤
ID 成分名 薬効・用途
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採水(Ascorbic acid)
ろ過 : GF/B
固相抽出 : Oasis MAX
Load 1 mL/min
濃縮乾固(N2 gas)
再溶解 MeOH : 0.1% HCOOH = 1 : 9
UPLC ESI-MS/MS (MRM)
固相の洗浄 : pH11 Milli-Q water
溶出 : 2%-HCOOH Acetone(v/v)
2%-HCOOH MeOH(v/v)
×+×+
×+×+×+
下水処理場放流水・河川水
(pH11に調整)
分析フロー
10/16
1
10
100
1,000
10,000
Caffe
ine
Cro
tam
iton
Genis
tein
Azith
rom
ycin
Bic
alu
tam
ide
Cla
ryth
rom
ycin
Am
anta
din
e
Ibupro
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Levoflo
xacin
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eth
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Aceta
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Daid
zein
Theophyllin
e
Carb
am
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e
Tegafu
r
Eth
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Gly
cite
in
Tam
oxife
n
Valg
ancic
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Fam
cic
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Oselta
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Doxiflu
ridin
e
Berb
erin
e
Genis
tin
Cefd
inir
Cip
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xacin
Gly
citin
Cyclo
phospham
ide
Puera
rin
Daid
zin
Capecita
bin
e
Vala
cic
lovir
Oselta
miv
ir carb
oxyla
te
Zanam
ivir
濃度
(ng/L)
抗菌剤
抗ウイルス剤
抗がん剤
最大値
最小値
中央値
75%値
25%値
図 本川・支川・下水処理場放流水中の抗がん剤濃度の分布(ng/L)
結果
11/16
1
10
100
1,000
10,000
Azith
rom
ycin
Cla
rythro
myc
in
Levo
floxacin
Cip
roflo
xacin
Bic
alu
tam
ide
Tegafu
r
Tam
oxife
n
Doxiflu
ridin
e
Cyc
lophosp
ham
ide
Capecita
bin
e
濃度
(ng/L)
抗菌剤
枚方大橋平均値
抗がん剤
最大値
最小値
中央値
75%値
25%値
図 安威川・神埼川流域と淀川枚方大橋におけるBicalutamideの濃度分布
12/16図 予想される濃度と実環境中での実測濃度の比較
出荷量ベース 販売高ベース
Amantadine 34.5 186.6 281.9 N.A.
Azithromycin 90.6 439.5 N.A. 277.7
Bicalutamide 68.2 423.9 136.0 89.4
Capecitabine 3.4 6.2 N.A. 430.6
Carbamazepine 29.4 111.8 90.8 N.A.
Cefdinir 1.6 3.1 306.1 132.8
Ciprofloxacin 5.2 54.8 220.5 169.0
Clarythromycin 91.3 410.9 1581.3 914.0
Doxifluridine 0.4 N.D. N.A. 2.2
Ibuprofen 45.1 66.6 114.2 N.A.
Levofloxacin 57.2 666.7 649.3 1147.0
本川
予想濃度 (μg/L)実測濃度 (μg/L)
下水処理場流入水下水処理場放流水
(N.A.:Not Available)
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まとめ
①:これまでに検出報告例のある医薬品成分と同様に、抗がん剤
成分についても、下水及び河川水中に数ng/L~数百ng/Lの濃度
オーダーで存在している。
②:高濃度で検出される傾向にある抗菌剤と同程度の濃度で
抗がん剤成分が存在する。いずれの成分も、下水処理場由来の
構成割合が高く、河川特性により検出濃度が数倍程度異なる。
③:今後更なる情報の収集に努めると共に、
下水処理場における除去率・挙動の把握や、
生態毒性影響評価についても、研究を行う
ことの必要性が考えられる。
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本研究を行うにあたり、採水にご協力下さいました河川及び下水
処理場の関係者の方々に厚く御礼申し上げます。本研究は、河川
環境管理財団、琵琶湖・淀川水質保全機構から一部助成を受けて
実施しました。
謝辞
15/16
Thank you very much for your kind attention !
Contact address
Takashi Azuma (Ph.D. in Engineering) : [email protected]