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計測工学 II 【第1回】 計測システムの構成

MT2-Slides-01 · Title: MT2-Slides-01.pptx Author: Kobayashi Ikuo Created Date: 10/4/2013 5:06:44 AM

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計測工学II 【第1回】 計測システムの構成

今日の内容

• シラバスから •  計測システムはコンピュータを利用することにより自動化され、高精度化され、さらに、通信システムと接続されて実時間で状況を把握できるように進化している。様々な計測システムを学び、計測技術をシステムとして構成するために、どんな技術がつかわれているか、後期の課題の全体像をながめる。

• 教科書では、P235〜P256です。

後期の全体計画

• 【第1回】計測システムの構成

• 【第2回】電気信号の計測 • 【第3回】様々な信号処理回路

• 【第4回】アナログ信号の処理

• 【第5回】流体の測定 • 【第6回】圧力を測る • 【第7回】温度の計測(1) • 【第8回】温度の計測(2) • 【第9回】光測定

• 【第10回】音響計測と超音波

• 【第11回】分子・原子の状態と計測(1)

• 【第12回】分子・原子の状態と計測(2)

• 【第13回】Excelによる有意差検定

• 【第14回】計測と伝達関数、コンパートメント・モデル

• 【第15回】まとめ

計測とは

• 計測とは? 「数値化」「符号化」 •  目的: 定量的情報の取得

•  JIS Z 8103 •  特定の目的をもって、事物を量的にとらえるための方法・手段を考究し、

実施し、その結果を用いて所期の目的を達成させること。

• 目的とは? •  生体の状態を知る。 •  製品の状態(不良品)を調べる。 •  ロボットやメカトロニクスの制御。 •  空調など、環境を整える。 •  天気予報などの、将来予測・予知

計測と制御

• 単に知るだけ ・・・ •  健康診断(生体測定)や天気予報

•  特に、測定した結果を用いて、対象をコントロールすることはない。

• 測定した結果で、コントロールを行う場合 •  空調など(温度の変化で、エアコンの強度を変える。) •  ロボット(現在の腕や対象の位置を知って、位置の微調整をする。)

•  「制御」という動作を伴う。 •  → 「制御」とワンセットで、「広い意味の計測システム」として考える。

•  ⇔ 「制御」を伴わない場合は、狭義の「計測システム」となる。

計測システムの構成

• 教科書 P248

計測対象

センサ

アナログ 信号処理

AD変換器

ディジタル 信号処理

有用な情報

電気信号

ディジタル信号

広義の計測システム

• 教科書P248

コントローラ DA変換器

増幅器 アクチュエータ

制御対象

制御量

センサ AD変換器 アナログ 信号処理

目標値

偏差信号

生体計測システムの構成

• 標準テキスト:旧版P436、新版426

生体

電極・変換部

入力部

増幅部

信号処理部

校正信号

感度・ f

特性

表示部

記録部

警報部

コンピュータ

センサの役割

• 前期に、どんなセンサを学んだか?

• 物理量を変換する素子は ・・・ トランスデューサ

• トランスデューサのうち、出力が電気信号となっているものが •  センサ(Sensor)

•  センサは、トランスデューサの一種

サーボ機構とプロセス制御

• サーボ機構 (Servomechanism) •  物体の位置、方位、姿勢などを制御する。

• プロセス制御(Process Control) •  対象の温度、流量、組成などの「状態量」を制御する。

•  教科書P248

•  いずれも、「目標値」が与えられた場合には、制御された状態や位置などが「目標値」に一致しているか、センサによって計測し、差があった場合には「差」を求めて、制御量を調節する。

センサとアクチュエータ

• センサ •  状態量を電気信号に変換する素子 •  「計測」によって、コンピュータなどに「状態情報」を取り込む。 •  (人間の5感:視覚、聴覚、味覚、触覚、臭覚など)

• アクチュエータ •  電気信号によって、物理的な状態を変化させる。

物理量 センサ 電気 信号

電気 信号

物理量 アクチュエータ

制御を伴う医療機器

• CT装置の場合 •  撮像装置などを、高速で回転させながらデータを取得する場合がある。 •  このような「計測装置」の場合、「センサ」の位置の制御の問題があるた

め、「計測と制御」を同時に行っている。

http://www.toshiba.co.jp/tech/review/2011/09/66_09pdf/f02.pdf

AD変換とDA変換

• AD変換 (Analog to Digital Conversion) • DA変換 (Digital to Analog Conversion)

•  A/D変換とか、D/A変換と書くが、JISの用語を見ると厳密には「/」がなくて、AD変換、DA変換が用語として登録されている。

• Analog信号 •  電気回路を流れる電圧や、電流の値が意味を持っている。 •  心電図や、脳波、マイクロフォンから流れて来る電流など

• Digital信号 •  電流が流れているか、いないかの、ON/OFFの状態だけが意味がある。

AD変換での注意

• 教科書P235 • 標準テキスト旧版P132, 437 新版P188,P427

• 信号の周波数特性 (f特性) •  サンプリング周波数:対象の信号が持っている周波数成分の2倍以上が

必要。 •  サンプリング定理 (標本化定理)

• 信号の精度(分解能) •  分解能: 出力の値が変化する入力増加分 (教科書P9) •  AD変換を行うため、ディジタル値の「1」が分解能に相当する。 •  AD変換のビット数が重要になる。

AD変換のビット数と量子化精度

•  【計算練習】±5V の信号電圧を、8ビット、12ビット、16ビットでAD変換した場合の量子化精度を求めよ。

• 但し、簡単のため、8ビット:256 ≒ 250、 12ビット:4096≒4000として計算し、16ビットは2桁まで求めよ。

• 増幅前の心電図の信号強度が約1mVだとすると、何段階の数値でデータが数値化できるか?

• また、1000倍(60dB)に増幅したとすると、何段階の数値で数値化できるか?

データの処理と直線性

• アナログ系 •  周波数フィルタ、差動増幅(同相雑音除去)など •  信号増幅

• ディジタル系(ディジタル信号処理) •  位相の補償(遅延時間の補正)、時間成分の抽出 •  誤差(雑音)の低減、校正処理 → 物理量の抽出

• 統計処理 •  (計測したデータから「意味」を取り出す。) •  回帰式の計算:最小二乗法(教科書P256) •  相関係数の算出 •  有意差の抽出

後期の授業のテーマ

遅れ時間の補償が必要となる例

• 心臓の検査で、心電図、血圧、心音を同時に測定する場合、処理系が分かれていると、「遅延時間」が異なり、正しい計測結果を得るためには「時間遅れの補償」が必要となる場合があります。

心電図

心音

心内圧

増幅器 AD変換

マイクロフォン

圧力トランスデューサ

測定器A

測定器B

ディジタルフィルタの処理で、機器ごとに固有の遅延が発生

http://blogs.yahoo.co.jp/soyashi/22989354.html

心周期の計測の例

• それぞれの計測器ごとに、内部的な処理に「遅延」が発生するため、複数の医療機器を組み合わせる場合には数十m秒から、機種によっては数百ミリ秒のタイミングのズレが発生

http://blogs.yahoo.co.jp/soyashi/22989354.html

研究用のデータ採取で、特にタイミングを問題にするような研究では、要注意

次回予告 【第2回】電気信号の計測

•  【第2回】電気信号の計測

• ブリッジ回路、フレミングの左手の法則、フレミングの右手の法則、電磁力と誘導起電力、アナログ記録システム、オシロスコープ、ファンクションジェネレータなどについて学習する。

• 教科書では、P190〜P196です。