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シンポジウム
演題1
NAFLDと自己免疫性肝炎の鑑別
徳重 克年、橋本 悦子、八辻 賢、谷合 麻紀子、白鳥 敬子
東京女子医大消化器内科
Nonalcoholic fatty liver disease(NAFLD)と自己免疫性肝炎(AIH)には、血清学的な診断マーカ
ーが存在しない。AIHでは、International Autoimmune Hepatitis Group による score(AIH score)
により診断されているが、この診断基準は NAFLD を想定して作成されてない。また NAFLD におい
ても抗核抗体陽性例などの自己免疫現象を合併する頻度が高いことが知れている。そこで臨床病
理学的に NAFLD と診断された症例で、AIH score、抗核抗体などの意義に関して、臨床病理学的
に検討した。
【方法と対象】 臨床病理学的に診断された 212例(年齢 10-89 才、男性 103 例と女性 109例)
を対象とした。肝生検では、F0, 10 例、F1, 70 例、F2, 44 例、 F3, 43 例、F4,
45 例であった。AIH score は、肝生検前に算出した。また、抗核抗体(ANA)陽性
例に関しては、抗核抗体の力価で 1:40 以上と未満、1:80以上と未満の 2 群に分
けて多変量解析でその違いを検討した。
【結 果】 1.AIH score と NAFLD; 女性の患者では、106 例(97.2%)、男性では 21 例(20.4%)
が AIH score10 点以上であった。肝組織では全例脂肪沈着を認めた。また肝
組織で AIHの特徴も呈したのは、4例でこの 4例は AIH と NAFLD overlap 例
と診断した。
2.ANAと NAFLD; ANA 陽性率は、全体で 30%(男性 23%、女性 37%)であった。
ANA40 倍以上の症例と 40 未満の症例で比較では 40 倍以上の症例に女性が有
意に多く、ANA80 倍以上の症例とそれ未満の症例で比較すると、80 倍以上の
症例に BMI 30kg/m2 以上の高度肥満例が有意に多かった。
【結 語】 肝生検前の AIH score は、NAFLD においては AIHとの鑑別に有用でなかった。
NAFLD が疑われかつ抗核抗体陽性者においては、治療方針を決めるために治療前
の肝生検が必要である。