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NEDOレーザープロジェクトの概要説明など
NEDO「高輝度高効率次世代レーザー技術開発」PL
東京大学物性研究所 小林洋平
12017.1.26 第8回量子科学技術委員会@文部科学省
資料2-2科学技術・学術審議会先端研究基盤部会
量子科学技術委員会(第8回)平成29年1月26日
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目次
• NEDO「高輝度高効率次世代レーザー技術開発プロジェクト」の紹介• プレスリリース(p3)• 背景・概要・狙い(p4-p7)• 開発するレーザーの方向性(p8)• 学理によるパラメータ探索のコスト削減(プロジェクト外の内容含む)(p9)
• 取り組み例(p10-p13)
• プロジェクトの外側• 産学連携の大循環がもたらすアウトプット(p14)• プロジェクト間連携の重要性(p15-p16)
• 日本の強み・課題、今後の方向性(p17)
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NEDOレーザープロジェクト
ニュースリリース2016.7
実施者三菱電機スペクトロニクス大阪大学浜松ホトニクス東京大学産業技術総合研究所ギガフォトン京都大学スタンレー電気理化学研究所山口大学パナソニック東京工業大学富士ゼロックス金門光波レーザー技術総合研究所他再委託先、共同実施先
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最近の動き• 科学技術イノベーション総合戦略2016 (2016.5.24閣議決定)
• Society 5.0へ向けて重きを置くべき取組「新たな産業や技術基盤の創出の核となる先端レーザー等の量子ビーム利用技術の高度化」( P15-19 )
• 第5期科学技術基本計画 (2016.1.22閣議決定)• Society5.0の定義「超スマート社会とは、 「必要なもの・サービスを、必要な人に、必要な時に、必要なだけ提供し、社会の様々なニーズにきめ細かに対応でき、あらゆる人が質の高いサービスを受けられ、年齢、性別、地域、言語といった様々な違いを乗り越え、活き活きと快適に暮らすことのできる社会」である。 (p11)
• 新たな価値創出のコアとなる強みを有する基盤技術 「人やあらゆる「もの」から情報を収集する「センサ技術」」、 「革新的な計測技術、情報・エネルギー伝達技術、加工技術など、様々なコンポーネントの高度化によりシステムの差別化につながる「光・量子技術」」(p14)
• エネルギー、資源、食料の安定的な確保
• 超高齢化・人口減少社会等に対応する持続可能な社会の実現
• ものづくり・コトづくりの競争力向上
• 未来投資に向けた官民対話(第5回2016.4.12)• 世界に先駆けた第四次産業革命を実現していく。その鍵は、オープンイノベーションの実践と日本が強みを持つ分野でのデータ利活用である。
• 我が国の大学は、生まれ変わる。産学連携の体制を強化し、企業から大学・研究開発法人への投資を、今後10年間で3倍にふやすことを目指す。
• 産業競争力会議(2016.1.25)• 国際競争を勝ち抜ける協調・競争領域の明確化とプラットフォーム創出
• 第4次産業革命時代に即した世界トップレベルの人材の輩出
• 産業競争力会議(2016.5.19)• 人口減少社会、人手不足を克服するための生産性の抜本的向上
• 新たな産業構造への転換を支える人材強化 4
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なぜ国家プロジェクトか
大学・国研が持っているシーズ(原石)を
グローバル企業が産業化の可能性を
評価できるところまで国費で支援する。
原石を磨く (開発)
磨き方を探る(学理)
産業化に向けて企業が拾える技術開発を
産官学協創で5
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労働人口減少・炭酸ガス排出問題など近い将来に我が国において顕在化する数々の課題がある。これらについてIoT技術を取り入れた知的生産技術を確立することにより諸問題を解決し、超スマート社会を実現するために、レーザー加工分野における研究開発を行う。
参考文献第5期科学技術基本計画産業競争力会議未来投資に向けた官民対話科学技術イノベーション総合戦略2016
研究開発の概要
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経験と勘から最適化へ
AIによるフィードバックと
学理によるフィードフォワードとの融合
IoTによる知的(AI)生産システム
パラメータをふれる加工機(フィジカルシステム)と、サイバーシステムとを用いた循環最適化(CPS)による高品位少量多品種生産システム
課題:パラメータが膨大すぎる
解決法:加工学理の構築により、パラメータを絞り込むことでCPS循環コストを下げる
加工のパラメータはこれまで経験と勘から導き出されてきた。これをAIを駆使したシステムで導出したい。
ニーズ
サイバーシステム
フィジカルシステム
超スマート社会へ
学理
高輝度レーザーレーザー加工機
計測・評価
パラメ ータ制御
パラメ ータ制御
データ取得
シミ ュレーショ ン
予測
データベース
ディ ープラーニング
パラメ ータ
波長
パルス幅
パワー
繰り返し
etc.
パラメ ータ
掃引速度
繰り返し
パターン
etc.
形状
温度
スペクト ル
飛散物質
etc.
ユーザー企業
材料企業
他プロジェ クト
etc.
最適化生産
加工レシピ
加工データベース
シミ ュレーショ ンシミ ュレーショ ン
CPS
CPS
CPS
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高品位加工のための短波長・短パルスレーザー開発
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産業に重要な材料
ドイツ
パルス幅
波長
ドイツ
CO2
kW
Nd:YAGファイバー
kW
現状
レーザー加工用レーザー市場はドイツ・アメリカが強い。日本は加工用固体レーザーにおいて後塵を拝している。中でもドイツは短パルス高出力レーザーの開発を行っている。高品位加工には短波長または短パルスが適していると言われているなか、日本は短波長や短パルスレーザー技術に強みがある。短波長・短パルスのトレードオフライン上に材料によってそれぞれ適したパラメータがあると考えられる。新規レーザーの研究開発によりこれを探索する。
日本で狙う
・パラメータ探索のためのデータベースの作成
・加工プラットフォームの構築
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物質中のエネルギー散逸(伝達)を物理を出発点として考える。
経験で探し出されてきたパラメータを学理から絞り込む期待。
パラメータ探索のためのデータベース・加工の学理の重要性
“なぜものが切れるか”がわかる
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レーザーピーニング
表面微細構造形成
結合の切断
レーザー切断穴あけ
アブレーション
固体におけるエネルギー散逸
パラメータ探索のコスト削減
将来像(プロジェクト連携を含めた将来的な目標)10年程度:光と物質との初期過程
からマクロな加工までを結び付けたい20年程度:学理でパラメータ決定
・マルチフィジックス原子分子レベルからマクロなレベル
・マルチディシプリナリー物理、化学、材料科学
・マルチタイムスケールアト秒からミリ秒
なぜ難しいか?
非線形・非平衡・開放系
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CFRPやガラスを高品位に切断
航空機や自動車への利用
加工コスト削減
軽量化
CO2削減
ねらい1:難加工材料の高品位加工用レーザー
深紫外 または 超短パルス 最適パラメータの探索
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国内自動車・航空機における石油使用量(年間) ~100 Gℓ (炭酸ガス ~20000万tCO2)
1%の軽量化で200万tCO2の削減※CFRP等難加工性材料による軽量化レーザーピーニングによる軽量化
材料開発に強みを持つ日本で、新規加工プロセスは材料開発にも重要。
高パルスエネルギーレーザーでは日本は長い歴史を持つ。産業への適用の好機
産業用繰り返しパワーレーザー開発
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ねらい2:材料の改質等新規加工用レーザー
超高圧下での物質の理解
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「切る」から「貼る」へ
マクロ加工の需要はミクロ加工よりも多い産業のボリュームゾーン
切断の物理よりも先にある物理接合の過程の学理は更なるチャレンジ
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レーザーコーティングなど、積層造形や溶接
「なぜ物が切れるのか?」から
「どのように物をつけるか?」
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Additive Manufacturing におけるレーザーについて
加工がコーティングなので、要求される集光スポット径は比較的大きく、また、複数ビームを用いることによるスポット径の増大はわずかであるため、単独ビームに比べ、複数ビームを用いることによる設計上の加工精度低下は特にない。本研究開発でのスポット径は300μm~400μm。(粉末の粒径が50μm程度)
単独レーザーを使用する場合、母材にモルテンプール(溶融池)を作り、そこに粉末を供給して皮膜を形成する。
これに対し、複数レーザーを用いる場合は、飛行中の粉末を効率的に加熱・溶融することができるので、母材にモルテンプールを作ることなく皮膜を形成することができる。モルテンプールを作らないので(母材への熱影響が少なく、皮膜の希釈率も低い)高品質な皮膜を形成することができる。
複数ビーム(6ビーム)の重畳については、工作機械メーカーによる耐久試験により、高安定性を有していることが実証された。
レーザービーム
粉末
シングルビーム
レーザービーム
レーザービーム
粉末
新技術
加工エリアでビーム重畳
内閣府戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)革新的設計生産技術「高付加価値設計・製造を実現するレーザーコーティング技術の研究開発」の成果の一部(マルチレーザー加工ヘッド)を工作機械に搭載。第28回日本国際工作機械見本市 (JIMTOF 2016, Nov. 17 - 22, TOKYO BIG SIGHT, JAPAN)
モルテンプール(溶融池)
大阪大学 塚本先生資料より
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産学協創・プロジェクト連携がポイント
光源開発・物質開発・産業展開 の大循環を目指して
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産業ニーズ
基礎科学
材料科学
産業用ハイパワーレーザー
コヒーレント軟X線光源
物がなぜ切れるかの解明
より強い材料の開発
ハイパワーレーザーに向けた新規材料
光源科学
中赤外光源
光物性による物質の理解
医療・環境
自動運転
IoT, CPS省エネ(炭酸ガス削減)
機能性材料・省エネ
NEDO LOOP
天文・医療基礎物理・化学エネルギー・情報科学
高繰り返し高強度レーザー
• 高強度物理のシングルショット計測から精密計測へ
• 精密高強度物理の確立• 高出力コヒーレント軟X線光源の実現
へ• SOR光との相補的光源
• 高出力高繰り返しアト秒光源の実現へ
• 化学反応制御、機能性の物理
• 高出力高繰り返し中赤外光源の実現へ
• 医療・天文・環境• 破壊の物理の構築へ
• 精密破壊物理
ー光科学へのフィードバックの観点ー
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プロジェクト連携
• NEDOプロは大きな循環の一部
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• 特に基礎科学とその展開については、他の施策との連携
で大きな循環が実現する。
産業界
ニーズ翻訳
共同開発
学術界
提案
新規開発
NEDOプロなど基盤的プロジェクト
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「高輝度・高効率次世代レーザー技術開発」H28.6開始5年間参画メンバー東大、三菱電機(株) 、阪大、スペクトロニクス(株)浜松ホトニクス(株)、ギガフォトン(株)、産総研他
レーザー加工技術コンソーシアム
H29.3開始
加工用レーザー技術の確立
• レーザー加工プラットフォームの構築
• レーザー加工用計測評価技術
NEDOプロ参画メンバー材料メーカー自動車メーカー、自動車部品メーカ重工関連企業 等
光科学を横串とする戦略を機関を越えて共有
次世代レーザー加工技術
市場、顧客要求の探索
レーザー加工プラットフォームの構築
(柏キャンパス)
NEDOプロ「高輝度・高効率次世代 レー
ザー技術開発」
研究、開発、市場の連携人材の育成と流動化支援
東京大学 湯本先生資料より
H28.6開始
Photon Frontier NetworkAPSA/C-PhoST
ICCPT「コヒーレントフォトン技術によるイノベーション拠点」
H25.11開始
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レーザー加工の学理• 光と物質の相互作用の解明• 第一原理計算による
加工シミュレータ
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日本の強み・課題、今後の方向性
• 日本は光科学と材料科学の両方に強みを持つ
• 産業ではCFRPなど材料が強い
• セラミックなどレーザー材料にも強み
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強い材料を作ることと、何でも切れるレーザーを作ることとは表裏一体(切れない材料は強いけど使えない)
矛と盾
光科学・材料科学、及びそれぞれの産業界が更なる連携をして矛盾を競う
5年後までに加工の学理をどのように整理すればよいかを明らかにしたい。10年で加工の初期過程を理解しマルチタイムスケール間のそれぞれの物理をつなぎたい。20年でパラメータを予言できれば。