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Np(IV)水和酸化物の溶解度積 - JAEAJNC TN8400 2004 - 021 Np(IV)水和酸化物の溶解度積 (研究報告) 2004年12月 核燃料サイクル開発機構 - i - JNC TN8400

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  • JNC TN8400 2004 - 021

    Np(IV)水和酸化物の溶解度積

    (研究報告)

    2004年12月

    核燃料サイクル開発機構

    東海事業所

  • 本資料の全部または一部を複写・複製・転載する場合は、下記にお問い合わせください。

    〒319-1184 茨城県那珂郡東海村村松4番地49

    核燃料サイクル開発機構 技術展開部 技術協力課 電話: 029-282-1122(代表) ファック : 029-282-7980 電子メール: [email protected] Inquiries about copyright and reproduction should be addressed to:

    Technical Cooperation Section, Technology Management Division, Japan Nuclear Cycle Development Institute 4-49 Muramatsu, Tokai-mura, Naka-gun, Ibaraki, 319-1184 , Japan

    © 核燃料サイクル開発機構 (Japan Nuclear Cycle Development Institute)

    2004

  • - i -

    JNC TN8400 2004-021 2004年 12月

    Np(IV)水和酸化物の溶解度積

    (研究報告)

    藤原 健壮,小原 幸利*,森 孝司

    要 旨 高レベル放射性廃棄物地層処分の性能評価に資するため,ネプツニウム(Np)について還元条件下で 4価Np水和酸化物の溶解度を測定した。 溶解度の試験は過飽和法によって行った。試料水溶液は次のように作製した。ポリプロピレン

    チューブに過塩素酸ナトリウムによってイオン強度(I)を 1.0Mに調整した溶液と,水素ガスと白金黒(触媒)を用いて還元した Np(IV)の溶液を加えた後,水酸化ナトリウムと過塩素酸で水素イオン濃度(pHc) = 3付近に調整した。溶液調整した試料は密栓し,光による酸化を防ぐために暗室に入れ,室温(23 ± 2°C)で一定期間静置させた。Np(IV)の濃度は 線スペクトル法によって測定した。得られた溶解度は pHc の増加に伴って直線的に減少することが確認され,その溶解度と pHの傾きから,Npは加水分解して溶解していることが考察された。その結果をふまえて,次式

    NpO2•xH2O ⇄ Np4+ + 4OH + (x-2)H2O

    で表されるNp水和酸化物の解難反応についての見かけの(I = 1.0)溶解度積(Ksp)を算出した。また, SIT法によって外挿することにより,イオン強度の補正を行い,イオン強度(I = 0)における溶解度積(log Ksp° = -56.2 ± 0.3)を決定した。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 東海事業所 環境保全・研究開発センター 処分研究部 放射化学研究グループ * 検査開発株式会社

  • - ii -

    JNC TN8400 2004-021 December, 2004

    Solubility Product of Np(IV) Hydrous oxide.

    (Research Document)

    Kenso Fujiwara, Yukitoshi Kohara*, Takashi Mori

    Abstract

    In support of the performance assessment of geological disposal of high-level radioactive waste, solubility measurement of tetravalent neptunium (Np(IV)) hydroxide in a reducing condition was performed. Np stock solution was reduced by using H2 gas and platinum black (catalyst). Solubility was measured by using an oversaturation method. A sample solution of 1.0 M NaClO4 was spiked by the Np(IV) solution. The pHc value of approximatery 3 was obtained by adding NaOH and HClO4 solutions, and the sealed sample solution was stored at room tempreture (23 ± 2°C) in a shaded box to

    avoid photo-oxidation. The concentration of Np(IV) was measured by spectrometry. The solubility decreased with increasing pHc. This suggests that the hydrolysis species are predominantly formed where the slope of the solubility curve is flater. The solubility product (Ksp) of Np hydroxide (I = 1.0),

    for the reaction expressed as, NpO2•xH2O ⇄ Np4+ + 4OH + (x-2)H2O, was determined. The

    experimental values were extrapolated to the standard state (I = 0) by using the specific interaction theory (SIT) and the solubility product of Np hydroxide was determined to be log Ksp° = -56.2 ± 0.3.

    ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― Radiochemistry Group, Waste Isolation Research Division, Waste Management and Fuel Cycle Research Center, Tokai Works, Japan Nuclear Cycle Development Institute * Inspection and Development Company

  • JNC TN8400 2004 - 021

    - iii -

    目 次

    1 はじめに···········································································································1 2 ネプツニウムの還元試験 ·····················································································3 2.1 Np還元試験··································································································3 2.1.1 用いた試験装置·····························································································3 2.1.2 還元試験······································································································4 2.2 Npの還元試験結果·························································································5 3 Np溶解度試験 ··································································································7 3.1 試料調製 ········································································································7 3.2 濃度測定 ········································································································7 3.3 結果と考察 ·····································································································8 3.3.1 Npの溶解度·································································································8 3.3.2 Npの溶解度積の算出·····················································································9 4 おわりに········································································································· 11 4.1 本研究のまとめ ····························································································· 11 4.2 今後の課題 ··································································································· 11 5 参考文献·········································································································12

  • JNC TN8400 2004 - 021

    - iv -

    表 目 次

    表 3.1 溶解度データ ····························································································14 表 3.2 Np水和酸化物の溶解度積 ·············································································15

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    図 目 次 図 1.1 An(IV)水和酸化物の溶解度積と結晶イオン半径との関係·····································16 図 2.1 バブリング装置の簡略図··············································································17 図 2.2 GB内水素濃度の運転期間依存性 ···································································18 図 2.3 Np含有溶液の pHおよび酸化還元電位とバブリングの時間依存性························19 図 2.4 Npの吸光スペクトルと溶液の色 ···································································20 図 3.1 Np溶解度実験試験手順···············································································21 図 3.2 サンプル溶液の吸光スペクトル(pHc=2.19)·······················································22 図 3.3 pH-Eh 相関図 ···························································································22 図 3.4 液相におけるNp濃度のフィルター粒径分布依存性 ···········································23 図 3.5 固相の状態 ·······························································································23 図 3.6 過飽和法における Np濃度の静置時間依存性 ····················································24 図 3.7 Np水和酸化物の溶解度···············································································24 図 3.8 Np(IV)加水分解種の存在比 ··········································································25 図 3.9 Np(IV)水和酸化物溶解度積のイオン強度依存性 ················································25

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    - 1 -

    1 はじめに

    我が国では使用済み燃料の再処理から発生する高レベル放射性廃棄物のガラス固化体は,地

    下 300m より深い地層中に地層処分することを基本方針としている。このガラス固化体には,

    長寿命で放射能毒性が高いという特徴があるネプツニウム(Np)をはじめとする超ウラン元素

    が含まれている。したがって,地層処分の安全性評価にあたっては,超ウラン元素の地球環境

    中での挙動を理解し,予測することが不可欠となっている。特に Np237は半減期が 2.14 x 106

    年と長く,地層処分後の数百年以降において長期的な被爆線量を支配する核種のひとつと評価

    されており,安全評価の研究において重要な核種と考えられている。また,Np は酸化還元条

    件に鋭敏である。我が国の地層処分として想定される深地層は還元状態であることが予想され

    ていることから,還元条件下における Np の化学挙動を明らかにすることが重要な課題となっ

    ている。

    様々な溶液条件下での化学挙動を予測するために熱力学データが用いられるが,還元条件下

    の Np は錯体やポリマーなどの重合体の生成により,正確な熱力学データの値が得られていな

    い。また,生成しているポリマーなどのメカニズムに対しても,その解明は今なお不十分であ

    る。正確な熱力学データを求めるためには,地下水中の溶存化学種と生成する固相が明確な条

    件で試験を行う必要がある。

    熱力学データの一つである溶解度積は,固液間の平衡定数である。アクチニド元素の場合,

    特に溶解度制限固相の一つと考えられる水和酸化物の溶解度積は,溶解度の大小を論ずる上で

    基本的な指標であり,その値自体重要である。また,その他に地層処分の安全評価上重要な熱

    力学定数として,加水分解種や炭酸錯体種の評価を行う際に必要とされる加水分解定数や錯生

    成定数があるが,溶解度積はこれらを溶解度試験で定める場合にも用いられるので,きわめて

    重要な値である。しかしながら,アクチニド元素の溶解度積は実験的な観点からその信頼性に

    問題があるといわれている。例えば水和した 4価のアクチニド水和酸化物(AnO2•xH2O)の溶解

    度積(Ksp°)については,Raiらの文献 1)によると,溶解度積とアクチニドイオンのイオン半径と

    の間に直線的な関係があるとされているが,最近の研究では必ずしもこの関係を満たさない実

    験値が報告されている 2-13)(図.1.1)。図.1.1に示されるように特に Npの水和酸化物の溶解度積

    に関しては報告例も少なく,その報告値もばらついており,Np の水和酸化物の溶解度積を正

    確に求めることが急務である。

  • JNC TN8400 2004 - 021

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    報告例が少ない原因として,Np の溶存化学種を制御し,同定することが困難であることが

    考えられる。Npは溶液中で 5 価として安定に存在し,実験室系で 4 価に還元させても溶存し

    ている化学種や溶存酸素,光の微弱なエネルギーによって酸化されると考えられるために,室

    内実験系では Np に対する還元環境を維持することが困難である。還元保持剤を適宜加える方

    法もあるが,溶液の液性(pH やイオン強度など)が変化するといった欠点があり,場合によ

    っては,溶存化学種を変化させてしまう恐れがある。

    よって,本研究では,Np の溶解度積を求めるために,比較的溶解度制限固相が想定しやす

    く,溶存化学種の確認しやすい低 pH領域において,還元性条件下での 4価 Np(Np(IV))の溶解

    度を測定し,Np(IV)水和酸化物(NpO2•xH2O)の溶解度積(Ksp)を求めた。ここで Npの原液を 4

    価に還元させる方法および,溶解度試験サンプル作成後の還元保持の方法としてサンプル溶液

    の液性が変化しにくい水素ガスと白金触媒を用いた還元方法を用いた。また,Np の溶解度が

    平衡に到達するまでの期間に Npが 4価に保持できるように暗所に置き,固相の生成をより安

    定化させるために,溶解度試験サンプルを振とうさせず,一定期間静置させた。

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    2 溶解度試験に用いる Np(IV)の原液作製

    今回の溶解度試験では Np(IV)の熱力学データを取得することを目的とするために,放射化学

    研究施設(クオリティ)に設置された酸素濃度 1ppm以下の窒素雰囲気グローブボックス(GB)

    中で試験を実施した。その際,還元剤として溶液の液性(pH やイオン強度)が変化しにくい

    水素を使用した。また,目的化学種の還元状態を保持する必要があり,溶解度試験サンプルの

    還元保持剤としても水素を用いることとした。通常,水素を用いて還元剤とするとき,ガスボ

    ンべから直接ガスを送り込んで目的元素に接触させる方法がとられるが,クオリティの GBに

    はガスを通すことのできる配管がなかったために,GB 内全体を水素濃度の高い条件にし,送

    気ポンプで目的元素の溶液中に送り込む手法をとった。グローブボックス(GB)内の水素ガスの

    濃度を高く保持させるために,GB内の水素ガスの濃度を 5000ppm(0.5%H2-N2)に安定させ

    た。この水素ガス濃度の GB内でネプツニウムを含む過塩素酸溶液に白金触媒を入れ,水素ガ

    スを溶液内に混入する作業(バブリング作業)を続けることで水素分子を還元剤として作用さ

    せた。

    2.1 Npの還元試験

    2.1.1 試験装置

    水素ガスを用いた還元手法は,多くの水素ガスを試料溶液中に溶解させる必要がある。このため

    図 2.1に示す還元装置(バブリング装置)を作製した。この試験は前述の GB内で行い,還元試験

    サンプルは,170kBqの Npを含む 1.0M過塩素酸溶液(5ml)を用いた。Np-237の溶液は Amersham

    社から購入したもので Np 溶液の精製は行わなかったが,αスペクトルの結果により,不純物の妨

    害が見られないことを確認した。

    次に,水素ガスはそのままでは非常に安定であり,還元剤として働かせるためには触媒が必要で

    ある。通常水素ガスの触媒として白金が用いられ,還元効率は,温度と反応面積に影響される。温

    度に関しては高ければ反応効率は上昇するが,今回の試験では,温度を 23 ± 2 °Cに維持して試験

    を行うため,白金と試料溶液の接触面積を増やすために白金黒を作成し,試料溶液中に入れた。白

    金黒は次の手法で作成した。

    塩化白金酸(H2PtCl6)を純水に溶かし(約 1g の塩化白金酸に対し純水 30ml),3%程度の電解液を

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    作成した。この電解液に酢酸鉛を 10mg 程度添加した(鉛が共存すると良好な白金黒ができる)。

    塩化白金酸,酢酸鉛については和光純薬(株)の試薬を使用し,購入後の精製は行わなかった。こ

    の電解液に,Ptの平滑作用電極を白金対極とともに入れた。溶液をカソード分極し,約 30mA•cm 2

    の電流密度でメッキ反応(Ptの電析反応)を進行させた。メッキ時間は 5分程度行った。メッキ

    反応後電極を水洗いし,さらに 0.1M H2SO4水溶液中でメッキ反応と同様のカソード分極を行

    い,水洗いを行った。塩化白金酸や酢酸鉛については,和光純薬工業の特級試薬を使用し,特

    に精製は行わなかった。白金線はニラコ(株)製の径 1mmのものを使用した。

    2.1.2 還元試験

    GB内の環境は,3%水素窒素混合ガスを注入することによって,5000ppm(0.5%)の水素を含む

    窒素雰囲気に調整した。GB 内の水素濃度についてはガスクロマトグラフィーによって測定し

    (図 2.2),常に 5000ppmであることを確認した。また,GB内はガスボンベからのガスが充満

    しており,非常に乾燥している。よって,GB 内のガスを還元試験サンプルに送るときには,

    図2.1に示すように純水にガスを通してガスをまず湿潤させて還元試験サンプルに送り込んだ。

    この操作を行うことにより,サンプルの蒸発を防ぎ,長期間のバブリング作業を可能とした。

    なお,純水は一週間のバブリング作業で,場合によって 30ml 程度が蒸発してしまうことが確

    認され,定期的に純水を加えなければならないことも確認された。その時の試料溶液の水素イ

    オン濃度(pHc)や酸化還元電位(ORP)については,Ag/AgClガラス複合電極で測定した。3%水素

    窒素混合ガスは日本酸素(株)製のもの,ガスクロマトグラフィーはジーエルサイエンス(株)

    製のものガラス複合電極と pH/イオンメーターについてはいずれも東亜ディーケーケー(株)

    製のものを使用した。水素イオン濃度の測定には,参照電極 REを

    RE: 1.0 M NaClO4 | 0.9 M NaClO4 0.1 M NaCl | AgCl Ag (1)

    としたガラス複合電極を用いて行った。測定される起電力 Eは,(2)式のように水素イオン濃度

    と直線関係にある。

    E = E0 RT/ nF ln aH+ + Ej = E0* RT/ nF in [H+] + Ej (2)

    ここで,E0,E0*は定数,aH+は水素イオンの活量,Ejは液間電位差を表す。1.0 M の過塩素酸

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    ナトリウム水溶液に対してグランプロット 14)を用いることによって 1.0 Mの時の E0* + Ejを決

    定し,1.0 M の過塩素酸ナトリウム水溶液を内部標準溶液とする電極について校正を行い,そ

    の電極と同じ濃度の過塩素酸ナトリウムを溶媒とする試料溶液用の電極として用いた。

    溶液中の Np のイオンの価数については目視による色の変化確認と紫外可視吸光スペクトル法

    により確認した。吸光光度計は島津社製のものを使用した。溶液中の Np の変化は pHcや ORP

    を定期的に測定することにより確認した。

    2.2 試験結果

    2.1 の条件下でバブリング作業を行ったときの還元試験サンプル溶液の水素電極基準の酸化還元

    電位(Eh)とバブリング継続時間の関係を図 2.3 に示す。この結果から,水素を流す時間の経過に伴

    って酸化還元電位が下がっているのが確認され,水素が還元剤としてサンプル溶液を還元している

    ことが確認された。同時に pHcについては変化がないことも確認された(図 2.3)。一定期間バブリン

    グしたときの試料水溶液中の Np イオンの状態を目視と紫外可視吸光スペクトル法で確認した。得

    られた吸光スペクトルと試料水溶液の色を図 2.4 に示す。バブリング開始前の吸光スペクトルに

    Np(V)に特有の 617nmのピークが明瞭に確認された。溶液の色が Np(V)を示す濃い緑色であること

    からも Np(V)の存在が確認された。約 10日間の水素による還元で初期濃度 10-3M の Npの吸光ス

    ペクトルは Np(V)に特有の 617nm のピークが確認できなくなり,Np(IV)特有の 724nm のピーク

    をはじめとしたスペクトルのバンドが現れた。溶液の色に関しても 4価 Npを示す黄緑色になり,

    Npは水素によって還元されていることが確認された。約 30日で 3価のネプツニウムイオン(Np3+)

    特有のバンドが現れる程度までに還元されることが確認された。4価のメインピークである 724nm

    のピークも確認されていることから,溶液中のネプツニウムは 4価と 3価が共存していることが考

    えられる。目視による観察では Np(III)を示す紫色に変化していることが確認された。

    原子価が変化する電位は Np(V) / Np(IV)が 640mV程度,Np(IV) /Np(III)が 150mV程度である

    ことが報告されている 15)。今回実測された溶液の酸化還元電位の時間変化と溶存している Npの価

    数の推移から,酸化還元電位と Np の価数の相関は良く取れていると考えられる。試験期間中に酸

    化還元電位を支配する様な試薬を加えないかぎり,溶解度試験で実測された酸化還元電位は Np イ

    オンの存在比を表していると考えられる。水素バブリングの時間と酸化還元電位,pHc についての

    相関結果から,図 2.3に示されるように,湿潤した水素窒素混合ガスを加えても pH には変化が見

    られなかった。このことから,低 pH 条件下では今後溶液を一定の還元電位で保持させたい場合に

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    還元保持剤としても水素ガスの還元法は利用できることが確認された。

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    3 Np溶解度試験

    溶解度の試験は図 3.1に示すフローチャートに沿って行った。試料溶液に加える Npの原液は

    2 章に示した水素バブリングで 3 価に還元させたものを用いた。Np(III)のイオンは水溶液中で

    は不安定であり,3 日間ほど静置させると 4 価に酸化されることが報告されている 16)。溶解度

    試験では,固液平衡が到達するのに 1週間以上要すると考えられるので,3価の Npの原液を用

    いて溶解度試験の試料を調製した。

    3.1 試料調製

    試験はバッチ法,過飽和条件で行った。使用した Np試料の調製にあたっては 10mlのポリプ

    ロピレンチューブに 1M NaClO4を約 4ml入れ,イオン強度を調整した。その溶液に 2章で作成

    したNp(IV)の原液を1ml程度加え,NaOHまたはHClO4を加えて pHを 3程度に調整した。NaClO4

    についてはキシダ化学(株),HClO4は和光純薬(株),NaOH は関東化学(株)の特級試薬を

    用いており,特に購入後の精製は行わなかった。また,試料作成後の還元保持剤は一切添加し

    なかった。

    溶液を調整した溶解度試験の試料は密閉し,光を遮断するために暗所に入れ,平衡に到達す

    るまで一定期間室温で静置した。

    3.2 濃度測定

    試料水溶液を遮光したボックス内において一定期間室温(23 ± 2 °C)で静置させた後,試料水

    溶液の液相を分取し,分画分子量 3000のメンブランフィルターで遠心ろ過した。ろ液を 3%硝

    酸で 10倍から 100倍に希釈し,その溶液の一部(20 l)をステンレス皿に焼き付けたのち,Np-237

    をα線スペクトロメーター(SEIKO-EG&G)で測定した。溶存している Np の原子価を確認す

    るために,ろ液を紫外可視吸光スペクトル法により測定した。さらに,コロイドやポリマーの

    影響を考慮するために,ろ過するフィルターの孔径を分画分子量 5000, 10000, 50000, 100000,

    200000と孔径 0.45μmに変えて試料溶液をろ過させて,ろ液の濃度を測定した。濃度測定のた

    めの液相を分取後,試料水溶液の水素イオン濃度(pHc)および酸化還元電位を測定した。水素イ

    オン濃度の測定には参照電極を

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    1.0M 水溶液 | 0.9 M NaClO4, 0.1 M NaCl | AgCl, Ag (1)

    としたガラス複合電極を用いて行った 17)。水素イオン濃度(pHc)は,1.0 M NaClO4水溶液でイオ

    ン強度を調整した pHc=1.0, 2.0, 3.0の溶液を用いて補正した。酸化還元電位は Ag, AgCl複合電

    極(東亜ディーケーケー(株)製)を用いて測定した。

    固液平衡が確認された後,試料サンプルに生成した固相の状態については,固相の生成量が

    少ないために,XRD等の測定は行わず,目視により確認した。

    3.3 結果と考察

    3.3.1 Npの溶解度

    図 3.2に一ヶ月間静置させた後の試験溶液の紫外可視吸光スペクトルの結果を示す。溶液は

    pHc=2.25 のサンプルを測定した。Np の濃度が低いために吸光スペクトルのピークは明確では

    ないが,Np(V)の 617nm,Np(III)の 552nmのピークは認められず,724nmに Np(IV)を示すピー

    クの上昇が確認された。次に,得られた酸化還元電位と pHの関係を図 3.3に示す。プロットは

    実験結果を示し,図中の直線は文献値 3,15)から SIT法でイオン強度を 1.0に補正して得られた値

    を示している。この結果からも,溶存している Np イオンは主に 4 価で存在していることが確

    認され,加水分解種が生成している可能性も確認された。さらに,溶液中に存在するコロイド

    の影響を確認するために,孔径の異なるフィルターを用いてろ過し,濃度の傾向を確認した。

    その結果を図 3.4に示す。異なるフィルターの粒径でろ過した場合でも,ろ液の Np濃度は一定

    であると確認されたので,今回の試験条件ではコロイドの影響がないことが確認された。サン

    プル内に生成した制限固相については,生成量が少量であるために X線回折法を行うことがで

    きなかったが,目視(図 3.5)では褐色を呈しているのが認められたことから,Kitamura ら 18)

    が示した 4 価の Np 水和酸化物であることが推定された。また,得られた酸化還元電位からも

    既存の熱力学データ 19)を用いて溶解度制限固相を計算した結果,4 価の Np 水和酸化物が安定

    であることが確認された。

    図 3.6に pH値が 2.58および 3.30での試料溶液中の Np濃度の静置時間依存性を示す。また,

    表 3.1に pH, Eh, Np濃度の静的時間依存性を示す。Npの濃度は静置期間 4週間までは時間とと

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    - 9 -

    もに減少していくことが確認された。また,試料水溶液は 4 週間以上静置させると pH 等の液

    性と Np の濃度に変化が確認されなかったことから,平衡に到達していることと考えられる。

    平衡に到達したと考えられる Np溶解度と pHの関係を図 3.7に示す。得られた溶解度は文献値

    と比較するとその値は大きいことが確認されたが,本研究では文献値と比較するとイオン強度

    が高い条件で試験を行っているため,溶解度が高くなる傾向であると考えられる。この傾向に

    ついては今後イオン強度を変えて試験を行うことによって確認する計画である。

    3.3.2 Npの溶解度積の算出

    得られた溶解度の結果を用いて,この実験系における溶解度積 Ksp を求めた。今回の実験条

    件では,Npは 4価のイオンと 4価の水和酸化物の状態で平衡に到達したと考えられる。また,

    図 3.7 に示されるように,今回得られた溶解度の pHcに対する傾きの絶対値は 4 より小さくな

    っている。溶解している Npのイオンが Np4+の場合,傾きは-4となる。溶解度の傾きの絶対値

    が 4より小さい場合,溶存しているイオンは 4価より小さいイオンが存在しているためと考え

    られる。また,文献値 3,16)を用いて予測した加水分解種の存在比の pH 依存性を図 3.8 に示す。

    この図からわかるように,本実験の pHc領域では Npは(2)-(4)式で表されるような加水分解を起

    こしていると考えられる。

    Np4+ + OH ⇄ NpOH3+ (2)

    Np4+ + 2OH ⇄ Np(OH)22+ (3)

    Np4+ + 3OH ⇄ Np(OH)3+ (4)

    これらのことを考慮して(5)式で表される平衡定数(溶解度積)を求めた。

    NpO2•xH2O ⇄ Np4+ + 4OH + (x-2) H2O (5)

    得られた実験データ(図 3.7)から(2)-(5)式に基づき平衡小自乗法で適合させることにより,表

    3.2に示すイオン強度 I = 1.0M の見かけの溶解度積を求めた。このとき加水分解定数は 1°=14.5 ±

    0.2, 2°=28.3 ± 0.3, 3°=39.2 ± 116)を用い,イオン強度(I)の補正は SIT法(specific ion interaction

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    theory)19)を用いた。ここで,加水分解定数については,OECD-NEAの文献 19)では第一加水分解

    定数 1のみが記されており,第二,第三の加水分解定数については評価されていない。今回,高次

    加水分解定数の評価が必要と考え,Neckらの文献 3)を用いた。

    補正の際には、イオン相互作用係数(specific ion interaction coefficients)の値として

    (Np4+,ClO4 ) = 0.82 ± 0.05, (NpOH3+,ClO4 ) = 0.5 ± 0.2, (Np(OH)22+,ClO4 ) = 0.3 ± 0.3,

    (Np(OH)3+,ClO4 ) = 0.15 ± 0.1, (OH , Na+) = 0.04 ± 0.01を用いた 19)。水のイオン積についても

    文献値 20) (pKw = 13.76)を用いた。得られた見かけの溶解度積とイオン強度の関係を図 3.9に示す。

    SIT法では,あるイオン強度 Im(Imは重量モル濃度)で求められた見かけの溶解度積から(6)式を用い

    ることにより,I=0の溶解度積 Ksp°を求めることができる。

    log Ksp°= log Ksp(Im) 20D + [ (Np4+, ClO4 ) 4 (OH , Na+) ]Im (6)

    ここで Dは Debye- Hückel項で,25°Cでの値を用いた。実験値から得られた値に Debye- Hückel

    項を補正した値(log Ksp(Im) 20D)はイオン強度(重量モル濃度)に対して直線関係が成り立ち,その

    直線の傾きはイオン相互作用係数( (Np4+, ClO4 ) 4 (OH , Na+))を表す。

    得られた見かけの溶解度積についてはSIT法で I=0に補正し,その値を文献値と比較するとNeck

    らの値 14)に近く,Rai らの値 1)と若干異なる値が得られた (表 3.2)。溶解度の結果にはそれぞれ差

    が生じていたが,溶解度積の値を算出する際には Neckらの値 16)に近くなった。その原因は加水分

    解定数の評価やイオン強度の差の影響が考えられる。今後これらのことを考察するために加水分解

    定数を異なる実験的な観点から評価する必要がある。また,すべての文献でイオン強度の補正に SIT

    モデルを用いており,そのときに用いられるイオン相互作用係数は文献値を用いて補正した。地層

    処分の安全性を評価するためには,正確な熱力学データと,地下水環境下のイオン強度への補正が

    必要であり,今後文献値の評価を考えイオン相互作用係数を求める必要がある。

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    - 11 -

    4 おわりに

    4.1 本研究のまとめ

    ネプツニウムの溶解度の大小を議論する上で最も重要な平衡定数の一つであるネプツニウム

    水和酸化物の溶解度積を求めるために,弱酸性・還元条件下でのネプツニウムの溶解度を過飽

    和法で測定した。その結果,ネプツニウムイオンの固液間の平衡が確認され,試料溶液中の吸

    光スペクトルと酸化還元電位から,溶解しているネプツニウムは 4価であることが確認された。

    また,試験で生成した固相に関しては,目視により,4 価の水和酸化物であることが確認され

    た。得られた溶解度を水素イオン濃度(pHc)に対してプロットすることにより,pHc の上昇にと

    もなって溶解度が減少するという傾向が確認された。その溶解度曲線の傾きから溶存している

    ネプツニウムは Np4+の状態で存在しているのではなく,加水分解した状態で存在していると考

    察される。得られた溶解度の値は文献値と比較すると高い値が得られたが,それは本研究では

    溶液中のイオン強度が他の文献と比較して高かったためであると考えられる。得られた溶解度

    のデータと加水分解定数を用いてイオン強度 1.0M での見かけの溶解度積を求めた。この値に

    対して SIT法を用いてイオン強度が 0の時の溶解度積を算出し,その結果 Ksp° = 56.2 ± 0.3が

    得られた。

    4.2 今後の課題

    より信頼性の高い溶解度積を得るために,イオン強度の依存性を確認する必要がある。その

    際には文献値と直接比較できるよう,同じイオン強度の試験も行う。生成された固相を用い,

    不飽和の試験を行うことによって,過飽和試験での平衡の信頼性を向上させる必要がある。ま

    た,生成した固相に関しても XRD等で同定する必要がある。

    今回の溶解度試験の結果から,4 価のネプツニウムは弱酸性条件下でも加水分解しているこ

    とが確認された。今回の考察では,溶解度積を算出する際に加水分解の影響を考慮したが,そ

    の平衡定数は計算で求められた文献値を用いている。このため溶媒抽出法等により,実験によ

    り直接加水分解定数を求める必要がある。

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    5 参考文献

    1. Rai, D., Swanson, J. L. and Ryan, J. L.: “Solubility of NpO2•xH2O(am) in the Presence of

    Cu(I)/Cu(II) Redox Buffer”. Radiochim. Acta Vol. 42, pp. 35-41(1987).

    2. Fujiwara, K., Yamana, H., Fujii, T. and Moriyama, H.: “Determination of uranium(IV)

    hydrolysis constants and solubility product of UO2•xH2O”. Radiochim. Acta Vol. 91, pp.

    345-350(2003).

    3. Neck, V. and Kim, J. I.: “Solubility and Hydrolysis of Tetravalent Actinides. Radiochim”.

    Acta Vol. 89, pp. 1-16(2001).

    4. Moon, H. C.: “Equilibrium Ultrafiltration of Hydrolized Thorium(IV) Solutions”. Bull.

    Korean Chem. Soc. Vol. 10, pp. 270-272(1989).

    5. Östhols, E., Bruno, J. and Grenthe, I.: “On the Influence of Carbonate on Mineral

    Dissolution. III. the Solubility of Microcrystalline ThO2 in CO2-H2O media”. Geochim.

    Cosmochim. Acta Vol. 58, pp. 613-623(1994).

    6. Rai, D., Felmy, A. R. and Ryan, J. L.: “Uranium(IV) Hydrolysis Constants and Solubility

    Product of UO2•xH2O(am)”. Inorg. Chem. Vol. 29, pp. 260-264(1990).

    7. Yajima, T., Kawamura, Y. and Ueta, S.: “Uranium(IV) Solubility and Hydrolysis Constants

    under Reduced conditions”. Mat. Res. Soc. Symp. Proc. Vol. 353, pp. 1137-1142(1995).

    8. Rai, D., Felmy, A. R., Sterner, S. M., Moore, D. A., Mason, M. J. and Novak, C. F.: “The

    Solubility of Th(IV) and U(IV) Hydrous Oxides in Concentrated NaCl and MgCl2 Solutions”.

    Radiochim. Acta Vol. 79, pp. 239-247(1997).

    9. Kim, J. I. and Kanellakopulos, B.: “Solubility Products of Plutonium(IV) Oxide and

    Hydroxide”. Radiochim. Acta Vol. 48, pp. 145-150(1989).

    10. Capdevila, H. and Vitorge, P.: “Solubility Product of Pu(OH)4(am)”. Radiochim. Acta Vol. 82,

    pp.11-16(1998).

    11. Knopp, R., Neck, V. and Kim, J. I.: “Solubility, Hydrolysis and Colloid Formation of

    Plutonium(IV)”. Radiochim. Acta Vol. 86, pp. 101-108(1999).

    12. Rai, D., Hess, N. J., Felmy, A. R., Moore, D. A., Yui, M. and P. Vitorge.: “A Thermodynamic Model

    for the Solubility of PuO2(am) in the Aqueous K+-HCO3 -CO32 -OH -H2O System”. Radiochim.

    Acta Vol. 86, pp. 89-99(1999).

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    13. Fujiwara, K., Yamana, H., Fujii, T. and Moriyama, H.: “Solubility Product of Plutonium

    Hydrous Oxide and Its Ionic Strength Dependence”. Radiochim. Acta Vol. 90, pp.

    857-861(2002).

    14. Gran, G.: “Determination of the equivalence point in potentiometric titrations. Part II”.

    Analyst Vol. 77, p. 661(1952).

    15. Fuger, J. and Oetting, F. L.: The Chemical Thermodynamics of Actinide Elements and

    Compounds. International Atmic Energy Agency, Vienna(1976).

    16. Neck, V., Kim, J. I., Seidel, B. S., Marquardt, C. M., Dardenne, K., Jensen, M. P. and

    Hauser, W.: “A Spectroscopic Study of the Hydrolysis, Colloid Formation and Solubility of

    Np(IV)”. Radiochim. Acta Vol. 89, pp. 439-446(2001).

    17. Fujiwara, K., Yamana, H., Fujii, T. and Moriyama, H.: “Solubility Product of Plutonium

    Hydrous Oxide”. J. Nucl. Fuel Cycle Environ.Vol. 7, pp.17-23(2001).

    18. Kitamura, A. and Kohara, Y.: “Solubility of Neptunium(IV) in Carbonate Media”. J. Nucl.

    Sci. Technol. Supplement Vol. 3. pp.294-297(2002).

    19. Lemire, R. J., Fuger, J., Nitsche, H., Potter, P., Rand, M. H., Rydberg, J., Spahi, K.,

    Sullivan, J. C., Ullaman, W. J., Vitorge, P., Wanner, H.: Chemical Thermodynamics of

    Neptunium and Plutonium. North-Holland Amsterdam(2001).

    20. Baes, Jr., C.F., Mesmer, R. E.: The Hydrolysis of Cations. John Wiley & Sons, New

    York(1976).

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    - 14 -

    表 3.1 溶解度データ

    Period : 1 week 1 month

    Number pHc Eh (mV) [Np] (M) pHc Eh (mV) [Np] (M)

    1 2.14 137.0 1.20E-4 2.16 109.0 8.73E-5

    2 2.28 132.0 1.41E-4 2.25 94.9 1.02E-4

    3 2.59 127.0 7.26E-5 2.59 23.7 4.64E-5

    4 2.68 133.9 1.26E-4 2.90 42.0 1.04E-5

    5 3.03 88.7 5.84E-5 2.97 28.0 8.07E-6

    6 3.53 41.8 1.22E-5 3.05 15.8 3.15E-5

    7 3.78 48.6 1.22E-5 3.23 4.8 5.89E-6

    8 3.30 18.6 5.18E-6

    9 3.32 3.3 3.56E-6

    10 3.48 1.6 9.14E-7

    Period : 2 months 3 months

    Number pHc Eh (mV) [Np] (M) pHc Eh (mV) [Np] (M)

    1 2.19 17.0 6.26E-5

    2 2.27 1.9 8.38E-5 2.31 40.0 7.97E-5

    3 2.58 20.3 3.56E-5 2.40 23.9 6.24E-5

    4 2.78 8.0 3.88E-5 2.75 10.7 3.22E-5

    5 3.03 53.1 9.14E-6 3.10 44.1 8.35E-6

    6 3.04 30.0 1.39E-5

    7 3.21 55.1 5.40E-6

    10 3.44 0.7 2.80E-6

    Period : 4 months

    Number pHc Eh (mV) [Np] (M)

    2 2.30 41.9 7.53E-5

    3 2.57 25.7 6.14E-5

    4 2.73 12.7 3.51E-5

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    - 15 -

    表 3.2 Np水和酸化物の溶解度積

    I=0.1 M Period : 1-4 weeks

    Ref. Ionic strength (M) log Ksp

    D. Rai (1987) I= 0.03 53.3 ± 0.3

    I= 0 54.5 ± 0.3

    V. Neck (2001) I= 0.1 54.4 ± 0.4

    I= 0 56.4 ± 0.4

    This work I= 1.0 53.1 ± 0.3

    I= 0 56.2 ± 0.3

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    - 16 -

    -66

    -62

    -58

    -54

    -50

    -46 Rai et al. (1987) 1)Neck et al. (2001) 3)Moon (1989) 4)Osthols et al. (1994) 5)Rai et al. (1990) 6)Yajima et al. (1994) 7)Rai et al. (1997) 8)Fujiwar a et al. (2003) 2)Kim et al. (1989) 9)Capdevila et al. (1998) 10)Knopp et al. (1999) 11)Rai et al. (1999) 12)Fujiwar a et al. 13)

    1/r2 ( 1/m 2 )

    Th Pa U Np Pu

    ( X 1020 )

    Th - Pu

    U

    Th

    Pu

    0.9 0.95 1 1.05 1.1

    図 1.1 An(IV)水和酸化物の溶解度積と結晶イオン半径との関係

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    - 17 -

    図2.1 バブリング装置の概略図

    サンプル

    白金黒

    ガラス棒

    ガス供給ポンプ

    GB内

    乾燥したガス 湿潤したガス

    白金触媒付近で溶解した H2ガスが還元剤として働く

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    - 18 -

    図 2.2 GB内水素濃度の運転期間依存性

    (a)運転期間が約 1ヶ月の運転結果で,運転期間開始日をグラフの 0日としている。運転期間 10~

    16日目までは停電のために測定装置や循環装置すべてが停止していた。(b),(c)については,(a)の結

    果の立ち上がり部分を拡大しているものである。

    0

    1000

    2000

    3000

    4000

    5000

    6000

    16 16.5 17 17.5 18 18.5 19

    運転期間 (day)

    (c)(c)

    0

    1000

    2000

    3000

    4000

    5000

    6000

    0 5 10 15 20 25

    (a)

    0

    1000

    2000

    3000

    4000

    5000

    6000

    0 0.5 1 1.5 2 2.5 3

    (b)

    GB内の水素ガス濃度(ppm)

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    - 19 -

    図 2.3 Np含有溶液の pHおよび酸化還元電位とバブリングの時間依存性

    ちなみに原子価が変化する電位は Np(V) /Np(IV)が 640mV程度,Np(IV) /Np(III)が 150mV程度

    である。

    この結果から,酸化還元電位はバブリングの時間に依存して下がっているが,pH には変化がない

    ことが確認された。

    0

    200

    400

    600

    800

    1000

    1200

    0 5 10 15 20 25 30 35

    バブリング期間 (day)

    237 Np 1 x 10-2 M in 1.0 M H ClO4

    0.1

    0.2

    0.3

    0.4

    0.5

    Eh (

    mV

    ) vs.

    SHE

    pHc

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    - 20 -

    図 2.4 Npの吸光スペクトルと溶液の色

    (a)バブリング開始前,(b)バブリング開始 5日後,(c)バブリング開始 34日後(Np 1 x 102 M, in 1 M

    HClO4 酸化還元電位は(a),(b),(c)がそれぞれ 1092mV, 583mV, 59mV)。

    (a)は Np(V)のピーク,(b)は Np(IV)のピーク,(c)については Np(III)のピークがメインで確認され

    ている。(c)については同時に Np(IV)のピーク(724nm)が確認されている。この結果から,溶液中の

    Npイオンが還元されていることが確認できた。

    0

    0.05

    0.1

    0.15

    400 500 600 700 800

    波長 (nm)

    552 600 660 776724

    476

    (c)

    0

    0.05

    0.1

    0.15

    0.2

    617 (a)

    0

    0.05

    0.1

    0.15

    596

    724820

    504440(b)

    吸光度

    (arb

    .)

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    - 21 -

    pp製容器洗浄 NaClO4, HClO4

    などの溶液調整

    ENTRY 試料調整室

    NaOH, NH2OH

    水溶液の作成

    白金黒の作成

    Np(IV)原液の添加

    H2-N2バブリングに

    よるNpの還元

    pH, Ehの測定

    一定期間(~120日)

    静置

    限外ろ過(200 l) 限外ろ過フィルター

    の準備

    NMWL 3000

    吸光スペクトル測定

    焼き付け

    線測定

    NaClO4,

    HClO4,NaOH

    水溶液の添加

    GB内

    ENTRY 試料調整室

    図3.1. Np溶解度実験試験手順

    窒素バブリングによる

    溶残酸素の追い出し

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    - 22 -

    図 3.2 サンプル溶液の吸光スペクトル(pHc=2.19)

    図 3.3 pHc-Eh 相関図

    点は実験値を示し,実線は Npがトレーサー量のときの計算値を示す(酸化還元電位と加水分解定

    数の文献値を用いた。E(Np3+-Np4+) = 0.155 V and E(Np4+-NpO2+) = 0.739 V [16], 1°=14.5 ± 0.2,

    2°=28.3 ± 0.3 and 3°=39.2 ± 1 3))。

    400 450 500 550 600 650 700 750 800

    wavelength (nm )

    723

    -100

    0

    100

    200

    300

    400

    0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 4

    pHc

    Np3+

    Np4+Np OH3+

    Np(OH)2

    2+ NpO2+

    吸光度

    (arb

    .)E

    h (m

    V) v

    s. SH

    E

  • JNC TN8400 2004 - 021

    - 23 -

    図 3.4 液相における Np濃度のフィルター粒径分布依存性

    図 3.5 固相の状態

    目視により褐色の固相が,Np水和酸化物であることを確認

    10-7

    10-6

    10-5

    10-4

    10-3

    pHc = 3.44pHc = 3.32pHc = 2.78pHc = 2.27

    粒径

    3000 5000 10000 50000 200000 0.45 m(分画分子量)

    [Np]

    (mol

    /dm

    3 )

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    - 24 -

    図 3.6 過飽和法における Np濃度の静置時間依存性

    図 3.7 Np水和酸化物の溶解度

    ○と□はそれぞれ Raiらの文献値 1)I=0.03 M ,Neckらの文献値 I=0.1 M3)を表し,

    ●は本試験の結果 I=1.0 Mを表す。

    実線は式(2)-(5)を用いて最小自乗フィッティングしたものを表す。

    10-8

    10-7

    10-6

    10-5

    10-4

    10-3

    10-2

    10-1

    0 2 4 6 8 10 12 14 16

    No.1 (pH=3.30)

    No.2 (pH=2.58)

    Aging Tim e (weeks)

    10-7

    10-6

    10-5

    10-4

    10-3

    1 1.5 2 2.5 3 3.5 4

    D. Rai (1987)V. Neck (2001)1month2month3month4month

    pHc

    [Np]

    (mol

    /dm

    3 )[N

    p] (m

    ol/d

    m3 )

  • JNC TN8400 2004 - 021

    - 25 -

    図 3.8 Np(IV)加水分解種の存在比

    図 3.9 Np(IV)水和酸化物溶解度積のイオン強度依存性

    -58

    -57.5

    -57

    -56.5

    -56

    -55.5

    -55

    -54.5

    -54

    0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2

    D.Rai(1987) V.Neck(2001)This work

    Ionic st r ength (m ol/kg)

    0

    20

    40

    60

    80

    100

    0 1 2 3 4 5 6

    [Np4+]

    [Np(OH)3+]

    [Np(OH)2

    2+]

    [Np(OH)3

    +]

    pHc

    存在比

    (%)

    log

    Ksp

    -20D