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茨城・学びの会 2019セミナー 佐藤 教授:学習院大学特認教授 6月30日(日曜)茨城学院大学 学びの共同体」 創始者による 2019 基調講演 佐藤 教授 編集した者 当日のセミナー参加者の林 省三 がその写真撮影に基づき作成 資料の複製はお断り 省三は、ブラウザの検索窓に「奥野の郷 林省三」でヒット ホームページ「奥野の郷ほか同ブログ、Facebookあり 連絡はPCメール限定 メルアドはHP上

学びの共同体」 創始者によるokuno-no-sato.cocolog-nifty.com/blog/files/190630e4bd90e...茨城・学びの会 2019セミナー 佐藤 学 教授:学習院大学特認教授

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茨城・学びの会 2019セミナー佐藤 学 教授:学習院大学特認教授6月30日(日曜)茨城学院大学

「学びの共同体」創始者による2019 基調講演佐藤 学 教授 編集した者

当日のセミナー参加者の林 省三がその写真撮影に基づき作成

資料の複製はお断り

林 省三は、ブラウザの検索窓に「奥野の郷 林省三」でヒット ホームページ「奥野の郷ほか同ブログ、Facebookあり連絡はPCメール限定 メルアドはHP上

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学び合う場と関係と環境をつくるー教師の言葉とポジショニング授業中の教室の画像6枚右は原図

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学びの共同体の授業一人残らず学びの主人公に:質の高い学びの創造⇒

⇒個人作業の協同化⇒協同的な探求⇒ケアの共同体

<共有の学び>と<ジャンプの学び>

小学校低学年の授業⇒ペア学習⇒全体の学び合い

男女混合4人グループによる探求中心の授業

<真正の学び>による質の高い学びの創造

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グループ学習の効果を上げるためのポイント グループ学習を効果的にするための3つのポイント。① 話し合いにしない。既気合いにする。② 教え合いはしない。学び合いにする。③ 全体での発表は少ない方がいい。

机を動かさず身体の向きを変えて行うグループ学習では、効果は半減する。<4人の島を作る> <なぜか>

グループ間の移動は行わない。 <なぜか> グループ学習の人数は4人がベスト。5人は作らない。6人にしてはならない。

<なぜか> 「まず一人で次にグループで」は行わない。 <なぜか>

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小学低学年の授業づくり小学校低学年の授業づくりは、もっとも難しい。その理由は四つ。① 低学年ではグループ学習が使えない。② 低学年の内容レベルが低すぎる。③ さまざまな困難を抱えた子どもたちが存在する。④ 崩壊すると手に負えなくなる恐れから、教師が管理的になる傾向がある。*学びの場と環境づくり⇒「低学年べっちょり型」(低学年の子どもはくっつけばくっつくほど落着く)⇒テンションを絶対に上げない。*いつもペアで学び合う。*必ずジャンプの学びをいれる。

<細やかさ>と<丁寧さ>を育てる。⇒学びの作法を育てる。「楽しい授業」が子どもをつぶす。安心して学び会える教室を実現する。

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小学校1年生の教室づくり:ペア学習 1年生では、教師と自分の関わりを実感して始めて、他の子どもの声を聴く関係が築ける。それまでは「先生、先生、先生」という関係を抜け出せない。

1年生の子どもは、「一人で学ぶこと」も「グループで学びこと」も発達段階によって不可能である。

1年生の子どもは「内言」(思考の言話)が未発達である。ヴィゴキーが指摘したように、まず「外言」(コミュニケーションの思考)が発達し、それが「内化」されて「内言」が発達する。1,2年生はこの「内言」が未発達なため、対話の相手がいないと思考が出来ない。逆にいうと、2人のペア学習であれば思考ができる。だから。1.2年生の子どもは、ペア学習が大好きである。

1、2年生のうちに、どれだけ対話による学び(ペア学習)を経験したかによって、その後の思考と探求の能力が決定される。

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メモから 動物は模倣、人間は創造の学び 人間は言語も持っているから模倣能力を失った 意味づけと関係づけ

探求の能力は、複数の私<自己>との対話から探求のよって真正の学びが実現する

第一の学びモードは、内容を学ぶ 第二の学びモードは、内容の学び方を学ぶ⇒真正の学び

「第4次産業革命」でのキィ 創造性、探求、協同 理解する授業から探求する学びへ

ジャンプの学びの効用例)0,1~9の数字を1回だけ使って、一番大きい数字をつくって?

同じく、3番目に大きい数字は? (2番目でないのがミソ)

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学習科学による学びの再定義 学びは基地の世界から未知の世界への旅であり、新しい世界、新しい他者、新しい自己との対話である。

学びは個人的活動ではなく社会的活動であり、自然的過程(能力や技能の形成)ではなく文化的過程(意味と関係の構築)である。

動物の学び=自然過程、刺激と反応、コピー 人間の学び=再創造、コミュニケーションによる意味の再構築(社会的文化的実践)。私は、学びを対象世界(テクスト)との対話、他者との対話、自己との対話の三つの対話実践として定義している。この定義によれば、学びは認知手kじっせん(世界づくり)であり、対人的実践(仲間づくり)であり、実存的実践(自分づくり)である。 学び=意味と関係の編み直し。学びの他者の声を聴くことから出発する。聴き合う関係が対話的コミュニケーションを生みだし、対話的実践が学びを準備する(話し合いではない)。

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第1の学習モード(ラーニング1)と第2の学習モード(ラーニング2) かつてGregory Batesonは、何かを学ぶ活動において。知識の内容を学ぶ「第1次学習

proto-lerming=可視」(ラーニング1)と知識の学ぶ方を学ぶ(learning to learn)「第2次学習 deutero-learnig=不可視」(ラーニング2)の2つの学びが存在すると述べ、この2つのうち、ラーニング2(これは学問文化の伝統に根ざしている)こそが、本質的な学びであると述べていた。

社会や学問が安定している時代、あるいは緩やかな発展を遂げている時代は、ラーニング2は、水面下の学びではあるが、その様式やコードは安定している。

どちらの学びがより本質的で価値がある?その間、学びは、どう実現するのか?どう観察して評価されるのか?

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「第4次産業革命」による労働市場の未来予測 「第4次産業革命⇒2016年のダボス会議で提起される。(第一次産業革命:蒸気機関と紡織機。第二次産業革命:大工場大量生産システム、重化学工業。第三次産業革命:IT産業。第四次産業革命:AIとロボット、インターネットによる情報の集約化とビッグ・データ。

「第4次産業革命」により10~20年先の労働市場は激変する。①現在の労働市場の4割以上が、AIとロボットに交代する(単純労働の激減、中間管理職と経営部門の仕事の減少)

②10~20年後の労働の6割は現在存在しない仕事になる。③この労働市場の激変に@よって教育の格差による貧富の格差が著しく拡大する危険が待ち受けている。(包摂か、排除か)。さらに、第4次産業革命によって、公教育の企業化が急激に進行している。

アクティブ・ラーニングー(主体的で対話的で深い学び)の実現は、この「第4次産業革命」の時代において、子どもたちの学ぶ権利の実現と質の高い学びを保障し、社会に参加し活躍できる子どもに育てるための必須要件、公教育を擁護するための必須条件になっている。

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授業のおける共有の学びとジャンプの学び 小4算数 共有の学び0~9迄の数を1回だけ使って10桁の数を作るとき、①最も大きい数は何ですか?②最も小さい数は何ですか?

湖南省株州市星光小学校2年 共有の課題1,2,3のカードをつかって、2桁の数をつくるとな何通りできるか?

湖南省株州市星光小学校2年 ジャンプの課題①ABCの3人で写真を撮るとき、何通りの並び方があるか?

湖南省株州市星光小学校2年 ジャンプの課題②遊園地で4つの乗り物のうち2つに乗れるチケットがある。2つの乗り物の選び方は何通

りあるか

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数学(中3)平方根 共有の課題①√5×7+1= ②√8×10+1= ③√34×36+1=

数学(中3) 平方根 ジャンプの課題①:ミルフィーユ計算に挑戦しよう√30√31√32√33√34×36+1+1+1+1+1

数学(中3) 平方根 ジャンプの課題②上記の答えが合っていることを証明しなさい。

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探求=協同 学習者が中心,質の高い学び,子ども同士がケアし合うこと。

学びの共同体の実践は17か国に広がり,ドイツや南米でも取り入れ始めた。 中国で佐藤学の本を読んでいない教師はいないと言っても過言ではない。 ・学びの環境づくりが大切,思考力・探求力etcを伸ばすこと。ジャンプの課題は今後も重要

自力解決は今や中国と日本などアジアの一部でしかやっていない現実を知る。 話し合いは分かっていることの交流でしかない。だから,話し合いの活発なグループは何も学んでいない。ボソボソとつぶやきながら学ぶ(集中,思考)ことが大切である。

この課題なら夢中になって学ぶだろうという課題をつくる努力をする。

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英語の授業のこれから 英語の力=文脈の中で言葉を選んで組み立てること。暗記とトレーニングでは英語の力は身につかない。そうではなく,よい文章と出会うことが必要で教科書ではそれは難しい。

英語の授業後半にオーセンティックな教材を持ち込むこと。例えば,ニュース・アニメ(マザーグース)等の生きたものがよい。そして発音は丁寧に「フォニックス法」を取り入れる。

先進国でフィンランド,ドイツ,オランダ等の英語力が高いが,小学校では英語教育をやっていない。しかし,高校で2つの言語,大学で3つの言語を学ぶ。日本では英語は外国語と表現するが,これらの国では第1言語,第2言語,第3言語と呼ぶ。

英語は早くやればよいものではない。日本語力がないと英語力はつかない。

日本の高校で学ぶ単語数は約3500,しかし,大学入試で必要な単語数は約8000なのだから塾が栄える理由が分かる。

英語(各教科)の教養が高い先生ほどよい授業をしている。(する) 英語は楽しくやるとうるさくなるので,そこで嫌いになる子が必ず出てくることに注意。

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メモから 一人残らず学びの主人公に 質の高い学び 探求と協力 ケアし合う関係 グループ学習の効果を上げるポイント①話し合いにしない 聴き合いにする②教えあいにしない 学び合いにする 違いから学ぶ③全体での発表は少ない方がよい 分かったら終わる、分からないうちは考える④机を動かさず身体の向きを変えて行うグループ学習は効果は半減する⑤グループ間移動はしない→探求にならない⑥「まず一人で、つぎにグループで」は行わない⑦課題が易しくてはいけない。レベルを上げる⑧先生の動きは目立たず透明人間のように

安心して学べているか 静かか⑨子どもの行動は子どもの置かれている関係による

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「思考」と「探求」は違う

「思考」は一人でも可能だが、「探求」は共同でしか実現しない

「探求」の能力は、複数の<私(自己)>との対話ができる能力:この能力は協同的学びの中で育つ。

「探求」によって「真正の学び」:LearningⅡが実現する。

「探求」の能力は、「基礎能力(基礎知識)」より先行して発達する。基礎学力は、発展的学力によって引き上げられる。

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「理解中心の授業」から「探求中心の授業」へ

理解中心の授業

探求中心の授業

アクティブラーニング

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アクティブ・ラーニングの要件

真正の学び

聴き合う関係 ジャンプの課題

質の高い学びの要件

Authentic learning

Jumping taskListening relation

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http://blog.canpan.info/manabi-ibaraki/img/E8B3AAE381AEE9AB98E38184E5ADA6E381B3E38292E589B5E980A0E38199E3828BE68E88E6A5ADE381A5E3818FE3828A.pdf

http://blog.canpan.info/manabi-ibaraki/img/E8B3AAE381AEE9AB98E38184E5ADA6E381B3E381AEE69DA1E4BBB6.pdf

上記資料は、いずれも「茨城・学びの会 ブログ」http://blog.canpan.info/manabi-ibaraki/

に案内されている。必見!

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