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An IDC White Paper, Sponsored by Adobe 潜在需要、大きなリターン 分断された 文書プロセスの 問題に対処する Melissa Webster, March 2015

分断された 文書プロセスの 問題に対処する · 2020-02-21 · な優位性を得るとみている。「分断」が企業と顧客に及ぼす影響は甚大なものであるが、多くの場合におい

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潜在需要、大きなリターン

分断された 文書プロセスの 問題に対処する

Melissa Webster, March 2015

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エグゼクティブサマリーIDCでは2014年11月に、米国、英国、フランス、ドイツ、オーストラリア、日本における、ビジネス部門の

リーダー、IT部門のリーダー、インフォメーションワーカーの1,500人を対象として、回答者の企業における

文書ベースのビジネスプロセスの有効性を評価するためのグローバルな調査を実施した。今回の調査の

目的は、これらのプロセスが実際には非効率であり、その影響を理解することにあった。

この調査では、世界中で、あらゆる業種/規模の企業が、IDCが「分断された文書プロセス」と呼ぶ問題に苦

しんでいることが示されている。全般的には、「分断された文書プロセス」によって、販売契約や見積り、調達、

人材の採用と入社手続きなどのビジネス機能全体に渡って重大な遅延と誤りが生じている。回答者によると、

これはビジネス上の重大な阻害要因であり、売上高、コンプライアンス、コスト、生産性、およびカスタマー

エクスペリエンスに悪影響を及ぼしている。

この問題は至る所に広がっており、企業のすべての業務領域に影響を与えている。文書プロセスの分断は、

あらゆる部門で見られており、組織に対して重大な悪影響を及ぼしている。これらの問題は以下のような

悪影響を及ぼす。

• 売上高および売上認識に悪影響を及ぼし、監査上の問題の原因となる:76%の回答者が文書プロセスの

問題によって売上認識に影響が及ぶか、監査上の問題が起こるとしている。

• 事業の俊敏性の低下:ビジネスリーダーの46%が文書プロセスの分断によって可視性が失われるため、

計画、予測、予算のビジネス能力が損なわれるとしている。

• 従業員の生産性の低下と、営業コストの増加:ビジネスリーダーは、スタッフが管理業務に3分の1以上

(36%)の時間を費やしており、職務に充てる時間が3分の2未満(64%)であると述べている。

潜在需要、大きなリターン

分断された 文書プロセスの 問題に対処する

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分断された文書プロセス: 潜在需要、大きなリターン

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• 事業リスク/コンプライアンスリスクの発生:3分の1以上のビジネスリーダーが、署名、イニシャルまたは

日付が欠落しているか、あるいは適切な署名がされていない契約の問題を抱えているとしており、ほぼ

半数(46%)の回答者が署名された契約書のすべての写しが揃っているかどうかが把握できていないと

している。回答者の半数強(51%)が、ドキュメントの誤ったファイリングあるいは紛失の問題があるとし

ている。

• カスタマーエクスペリエンスへの悪影響:ビジネス部門のリーダーの77%が、既存のシステムにおける

自動化のギャップ、そして既存のシステム間の不統合によって、提供できるカスタマーエクスペリエンス

に悪影響が及ぶとしている。63%が文書プロセスの問題によって顧客満足度に悪影響が及ぶと回答し

ている。

カスタマーエクスペリエンスに対する悪影響が、企業にとって、売上の面で大きなコストとなっている。

分断された文書プロセスに対処することによって、コストとリスクの低減という面で極めて大きなメリットを

得ることが可能である。調査対象のビジネス部門のリーダーは、自分の部門における文書プロセスのギャッ

プを完全に解消することによって以下のメリットが得られると推定している。

• 売上の36%増加

• コストの30%削減

• 事業/コンプライアンスリスクの23%低減

IDCでは、短期的に「分断された文書プロセス」に取り組む企業が、それを無視する競合企業に対して明確

な優位性を得るとみている。「分断」が企業と顧客に及ぼす影響は甚大なものであるが、多くの場合におい

て既存システムのシャットダウンや多大な費用をかけることなくROIを実現することが可能である。企業では

「小さく始めて」、作業を段階的に拡大することが可能である。ただし、企業全体に渡って分断された文書プ

ロセスへの対処を目指す企業が最大のメリットを得ることになる。IDCでは、これはITが主導的な役割を担

う絶好の機会であると考えている。

本稿では、文書プロセスに関するIDCのグローバルな調査における主要な結果を報告し、分断された文書

プロセスに対処するための推奨事項を提示する。

モバイルでコネクテッドな世界における期待への対応:分断された文書プロセス企業は顧客からも、また従業員が企業ワークフローにもモバイルからアクセスできる仕組みをサポートす

る必要があり、さもなければ市場から取り残されるリスクを冒すことになる。モビリティとコネクティビティ

によって生活と仕事の方法が根本的に変化している。先進国においては今日、大多数(83%)の人々がイン

ターネットを使用している(2018年には86%に上昇することが予測される)。その中の多数(81%)が、モバ

イルデバイスを使用してインターネットにアクセスしている(2018年には、92%がモバイルデバイスを使用

してインターネットにアクセスすると予測される)1。

1IDC’s New Media Market Model, April 2014

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分断された文書プロセス: 潜在需要、大きなリターン

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しかし、モビリティやコネクティビティ、そしてエンタープライズリソースプランニング(ERP)、カスタマーリレー

ションシップマネージメント(CRM)、人事/人材管理(HCM)、サプライチェーン管理(SCM)、契約管理などの

専門的なビジネスアプリケーションへの巨大な投資にもかかわらず、エンタープライズビジネスプロセスの

多くにおける「最後のステップ」は依然として分断された、非連続的なエクスペリエンスがある。

この「最後のステップ」では、承認の取得、サインオフ、確認、あるいは他の関係者(社内/社外のステークホル

ダーを含む)からのレビューとコラボレーションなど、多く場合において「トランザクション」を完了するために

文書形態での情報交換が必要になる。結局、人は文書によって、アイデアの交換、情報の共有、理解の記録を

行っている。

しかし、これらの文書に必要な情報は、多くの場合、複数のシステム(本質的に「デジタルサイロ」)に含まれて

いる。調査対象のビジネス部門のリーダーの81%が、社内でのさまざまなシステム/アプリケーションが相互

に連携していないため、あるいは文書を渡す相手が異なるシステム/アプリケーションを使用しているために

問題が生じていると指摘している。システムが統合されていないため、インフォメーションワーカーは別々の手

作業を行う必要がある。その結果、これらのビジネスに不可欠なはずの文書ベースのプロセスは、脆弱で、誤り

が発生しやすく、リスクの高いものとなっている。

「分断された文書プロセス」によって、見積りから入金、調達から支払、採用から退職、あるいはその他のプロ

セスであるかどうかに関わらず、これらの文書プロセスがサポートするエンドツーエンドのビジネスプロセス

の質が損なわれている。IDCでは、分断された文書プロセスが、ミッションクリティカルなエンタープライズビ

ジネスプロセスの有効性と可視性に対する大きな阻害要因であると考えている。

隠れたリスク「最後のステップ」となる文書プロセスの自動化にギャップがあるため、ミスがすぐに発生する。多くの場合、

ミスはビジネスプロセス全体の最後の段階で発見されており、これによって重大な事業リスク/コンプライア

ンスリスクが生じている。ビジネスリーダーの36%が、署名、イニシャルまたは日付が欠落しているか、あるい

は適切な署名がされていない契約の問題を挙げている。51%が、文書がしばしば誤ってファイルされるか紛失

されるとしており、46%の回答者が署名された契約書のすべての写しが揃っているかどうか把握できていない

と回答している。

文書プロセスの分断によって、売上にも悪影響が及ぶ。4分の3(76%)のビジネスリーダーが、文書プロセスの

問題によって売上認識に影響が及ぶか、監査上の問題が起こるとしている。

分断された文書プロセスによって、ビジネスプロセスの可視性と追跡性(トレーサビリティ)が失われる。ビジ

ネスリーダーの55%が、文書が適切な人々によって見られたか、レビューされたか、署名されたかが分からな

いと述べており、最新のステータス情報を得ることが困難であるとしている。38%のビジネスリーダーが、文書

またはバージョンの異なる文書を適切な順序で管理するのが困難であるとしている。

また、分断された文書プロセスによってビジネスの俊敏性に悪影響が及んでいる。ビジネスリーダーの46%

が、効果的ではない文書プロセスによって可視性が失われるため、計画、予測、予算のビジネス能力が損なわ

れるとしている。

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隠れたコスト

インフォメーションワーカーは、日常的に分断された文書プロセスの影響を感じている。調査対象のインフォ

メーションワーカーの4分の3が、1つ以上のエンタープライズアプリケーションを使用しているが、「最後のス

テップ」の文書ベースのやり取りに関しては、生産性向上/コラボレーションの汎用ツールの寄せ集めを使用

して、場当たり的に手作業でつなぎ合わせて対応することを強いられている。インフォメーションワー

カーの半数以上(53%)が、ビジネスアプリケーションによって文書ベースのプロセスが自動化されていない、

さまざまなシステム/アプリケーションが相互に接続されていない、あるいはドキュメントを交換する必要の

ある人々が異なるシステム/アプリケーションを使用している、と回答している。

この結果として手作業によって、インフォメーションワーカーは膨大な時間と労力を使っており、生産性が低下

している。これは、企業の人件費の増加要因となっている。インフォメーションワーカーは多くの場合、手作業

で文書を作成しなければならず、複数の情報源から単一の文書を作成するに当たって、情報の切り貼りや、さ

まざまなフォーマット(時にはブランディング)の問題への対処に貴重な時間を費やしている。インフォメーシ

ョンワーカーの43%は、複数の分断されたシステム/アプリケーションを使用する必要があり、多くの場合に

おいて情報の切り貼りや再入力の必要があると回答している。

分断されたプロセスがユーザーの生産性に与える影響

分断された文書プロセスのため、文書そのものは多くの場合、紙に複数回入出力することになる。たとえば、

営業担当者と顧客は契約を締結するために、契約を印刷して署名し、それをPDFにスキャンし、電子メールで

返送しなければならない場合がある。インフォメーションワーカーの56%が、多くの場合において、文書を印刷

し、それをスキャンしてPDFを作成する必要があると回答している。

自動化されていないプロセスによって、紙の文書に対する企業の依存度は高まっている。実際、インフォメー

ションワーカーは現在、2年前と同等に多くの時間を紙の文書への対処に費やしている。平均して、インフォ

メーションワーカーの文書プロセスの5分の1が完全に紙ベース、5分の1が完全にデジタル、残りの60%が紙

とデジタルの混在となっている(言い換えると、文書ベースのプロセスの80%が、少なくとも部分的に紙に依存

している)。インフォメーションワーカーは、文書の作業に費やしている時間の約4分の1をペーパーワークに費

やしている。

また、自動化されていないプロセスによっても、文書をやり取りする際に問題が生じる可能性が高まる。イン

フォメーションワーカーの40%が、他の人に送った文書が常に正しく表示/印刷されるとは限らないと回答し

ており、38%の人が、受取人が文書を開くことすらできない場合があると回答している。

インフォメーションワーカーと、彼らの情報交換の相手は、電子メールや電話でのコミュニケーションを強いら

れているが、これは文書に関する重要な前後関係が失われていることを意味している。このことによっても、共

同作業が困難になっている。また、41%は、前後関係に関する情報のために電子メールに対する依存度が大

幅に高い、時差のある共同作業は困難であると回答している。

自動化されていないプロセスのため、インフォメーションワーカーは手作業で文書のルーティングを行い、

スプレッドシートやカレンダーのリマインダー機能を使用してドキュメントのステータスのフォローアップと

トラックを行う必要がある。また、53%が、文書へのレビュー、承認、署名を得るために、他の人々をフォロー

アップするのに多くの時間がかかっていると述べている。

自動化されて いないプロセスが、 紙のドキュメントに

対する企業の依存度 を高めている。

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加えて、文書プロセスは多くの場合、機能(部門)や組織をまたがった、複数の関係者間での情報交換であ

る。平均すると、3~5人、多くの場合は7人の人々が所定の文書をレビュー、承認、署名したり、その文書に対

するアクションをとる必要がある。これによって、フォローアップやステータスのトラックが一段と困難になっ

ている。

また、分断された文書プロセスによって、インフォメーションワーカーがモバイルデバイスを使用して仕事

を完了することがはるかに困難になっている。ほぼ半数(46%)が、多くの場合において、文書ベースの作業

を完了するには、自分のコンピューターの所まで戻らなければいけないと回答している。また、5分の3が、

モバイルデバイスでは、文書の表示、取得、編集、コメント、送信(レビューや署名のため)、トラック(送信し

た文書のレビューや署名のステータスのトラック)、署名ができないと回答している。

インフォメーションワーカーのこれほど高い比率の時間が文書の作業に費やされているため(80%)、これ

らすべてはスタッフの生産性に対する大きな重しとなっている。さらにインフォメーションワーカーは、仕事

時間の72%を各々の中核的な職務に投入していると回答している。すなわち、28%の時間が管理的な作業

に費やされている。文書の生成、承認または署名のためのルーティング、ステータスのトラック、署名/承認

済みの文書のファイリングを自動化するシステムがあれば、より高付加価値の活動のために各自の時間の

30%を解放することが可能であると推定している。

カスタマーエクスペリエンスへの悪影響

企業では、顧客対応のビジネスプロセスのを最新のものにするために大きな投資を行っている。しかし、

非効率な文書ベースのプロセスによってこの努力は損なわれている。ビジネス部門のリーダーの77%が、

既存のシステムにおける自動化のギャップ、そして既存システム間統合の欠如によって、提供できるカスタ

マーエクスペリエンスに悪影響が及ぶとしている。

ビジネスリーダーの63%が非効率な文書プロセスによって顧客満足度に悪影響が及ぶと回答している。ビ

ジネスリーダーの72%が、文書プロセスの改善によって、顧客満足度やブランド価値が高まるということに

同意している。ビジネスリーダーの82%がバックオフィスとフロントオフィスのビジネスプロセスからの摩

擦の解消が、カスタマーエクスペリエンスの向上に不可欠であるということに同意している。

分断された文書プロセスへの対処によるビジネス上のメリット

IDCではビジネス部門のリーダーに対して、自身の部門における自動化されていない文書プロセスを完全

に解消することによって得られる、売上、コスト、リスクに対する潜在的な影響の推定をたずねた。全体とし

て、ビジネス部門のリーダーは、これら3つのすべての分野において潜在的に巨大なリターンが得られると

みている。

• 売上の36%増加:ビジネス部門のリーダーの47%は、分断された文書プロセスへの対処によって売上

までの所要時間が短縮されると回答しており、46%は結果を得るまでの所要時間の短縮を挙げている。

そして41%は、新製品/サービスの市場投入の迅速化に寄与すると答えている。

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• コストの30%削減:ビジネス部門のリーダーとインフォメーションワーカーの45%は、分断された文書プロ

セスへの対処によってコストが削減されると回答し、インフォメーションワーカーの48%がミスと作業のやり

直しが減少すると回答している。またビジネス部門のリーダーの45%は部門の生産性が改善されるとしてお

り、41%は従業員がより重要で価値の高い活動に集中することが可能になると答えている。

• 事業リスク/コンプライアンスリスクの23%低減:分断された文書プロセスによって企業は、情報セキュリ

ティおよび機密/秘密情報の偶発的な漏洩は言うに及ばず、売上計上および契約コンプライアンスに関わ

るリスクに曝されることになる。IT部門のリーダーの半数以上が(55%)、過去12か月間において自社で情報

漏洩があったと回答している。

これほど魅力的なROIを提供できるIT投資はなかなかない。IDCでは、大半の企業が、コスト削減だけでもこの

投資が正当であることを説明できるとみている。

分断された文書プロセス: 部門別での例IDCの調査では、分断された文書プロセスが個々の部門のビジネスプロセスに及ぼす影響について、詳細な検

討を行った。前述の通り、この問題は至る所に広がっており、営業、マーケティング、人事(HR)、財務、購買、コン

プライアンス、法務、オペレーション、エンジニアリング/研究開発、製造を含む、企業のすべての業務領域に

影響を与えている。調査の回答者は、文書プロセスのギャップへの対処することによって、貴重な時間が解放

され、以下の事項を実現することが可能になると回答している。

• ブランディングや広告の改善

• よりパーソナライズされた顧客とのコミュニケーション

• 新製品/サービスの企画、製品品質の向上、顧客サービスの改善

• 請求/回収の改善、早期支払割引の確保によるキャッシュフローの改善

• 在庫管理の最適化

• 先見的な分析と計画に投入する時間の増加

以下のセクションでは、部門レベルにおける分断された文書プロセスの影響と、その対処によるメリットの詳細

な検討を行う。

営業部門における分断されたドキュメントへの対処

営業部門では、分断された文書プロセスへの対処によって時間の33%を解放できると推定している。これは、

営業担当者の3分の1を増員することと同じである。企業が売上を伸ばそうとする場合、これが大きな影響を

及ぼすことは明らかである。これに加えて、以下の事項が考えられる。

• 取引成立の迅速化によってリスクが解消され、 期の売上目標の達成と未達の分かれ目となる。

これほど魅力的な ROIを提供できる

IT投資はなかなか ない。IDCでは、 大半の企業が、

コスト削減のみに 基づいて投資を説得

できるとみている。

営業部門では、 分断された文書

プロセスへの対処に よって業務時間の 33%を解放できる

と推定している。 これは、営業担当者

の3分の1の増員 に等しい。

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分断された文書プロセス: 潜在需要、大きなリターン

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• 分断された文書プロセスへの対処によって、売上認識や監査に関わる問題の解消が可能となり、事業

リスク/コンプライアンスリスクが低減する。

• 販売管理において、案件パイプラインと予測に対する可視性と管理(コントロール)の強化が可能になる。

また、分断された文書プロセスへの対処によって、営業担当者が変化を生むことが可能になる。空いた時間

の使途に関して、営業担当者は以下のように回答している。

• 「顧客開拓、交渉、販売、そして既存顧客へのフォローアップによる追加の受注/推薦の獲得に、より多く

の時間を費やすことが可能になります」

• 「セールスチームの効率向上のためのコーチングに、より多くの時間を費やすことができます」

• 「販売の結果分析と、戦略的計画に、より多くの時間を費やすことが可能になります」

• 「競合情報の収集/分析を改善することが可能になります。これはチーム全体に役立ちます」

Figure 1は、営業スタッフの時間を消費する文書のタイプを示したものである。

営業担当者が扱う文書の19%が紙ベースであり、56.7%が紙とデジタルの組み合せである。完全にデジタ

ルな文書はわずか22.2%である。

FIGURE 1

営業担当者が時間を費やしている文書のタイプ

問:以下の文書に関して、1か月当たりで何件の処理をしますか?

ワークフローは主に紙ベース/手作業、デジタル/自動化、あるいは紙とデジタルの組み合せ、

のいずれですか?

n = 154 (営業で勤務するインフォメーションワーカー、1か月当たりのドキュメント数の中央値)

Source: IDC’s Global Document Processes Survey, November 2014

1か月当たりの営業の文書数

紙ベース/手作業 紙とデジタル の組み合せ

デジタル/自動化

35

30

25

20

15

10

5

0

注文処理

顧客との契約書

顧客の社内組織化 (オンボーディング)文書 提案、入札

営業プレゼンテーション秘密保持契約書

経費報告書

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人事部門における分断された文書プロセスへの対処人事部門では、分断された文書プロセスへの対処によって時間の31%を解放できると推定している。これは、人事担当

者の3分の1の増員と同じである。人事における分断された文書プロセスへの対処のメリットには以下が見込まれる。

• 従業員のトレーニングと能力開発のためのプログラムに費やす時間の増加 - 熟練労働者の増加

• 採用所要時間の短縮、採用の改善/人材獲得の競争力の向上

• 従業員の満足度/維持/ワークライフバランス(自宅に持ち帰る仕事の減少、残業の減少)の改善

ここでも、従業員は多くの変化をもたらすことが可能になると感じている。解放される時間を使用して達成できる事

項について、回答者は以下のように答えている。

• 「戦略的採用と面接に費やす時間を増やし、採用に関わる決定を改善することが可能になります」

• 「新規採用者のオリエンテーションプログラムを刷新して入社過程を加速し、革新的な従業員プログラムによっ

て企業文化と従業員のエンゲージメントを改善できる可能性があります」

• 「福利厚生プログラムに対する改善の評価と推奨を行うことができます」

Figure 2は、人事スタッフが時間を費やしている文書のタイプを示したものである。人事担当者が扱う文書の36%が紙

ベースであり、54%が紙とデジタルの組み合せである。完全にデジタルな文書はわずか9%である。

人事部門では、分断された文書プロセス

への対処によって 31%の時間 を

解放できると 推定している。

これは、人事担当者の3分の1の増員と 同じである。人事における分断された 文書プロセスへの

対処のメリットには以下が見込まれる。

FIGURE 2

人事担当者が時間を費やしている文書のタイプ

問:以下の文書に関して、1か月当たりで何件の処理をしますか?ワークフローは主に紙ベース/手

作業、デジタル/自動化、あるいは紙とデジタルの組み合せ、のいずれですか?

n = 155 (人事で勤務するインフォメーションワーカー、1か月当たりのドキュメント数の中央値)

1か月当たりの人事の文書数

紙ベース/手作業 紙とデジタル の組み合せ

デジタル/自動化

25

20

15

10

5

0

従業員の 福利厚生の登録文書

従業員の入社/組織編入文書 ポリシーおよび 手続き関連文書

休暇申請書従業員契約書

トレーニング登録フォーム従業員誓約書/権利放棄書

移民関連文書

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購買部門における分断された文書プロセスへの対処

購買部門では、分断された文書プロセスへの対処によって時間の33%を解放できると推定している。これは

3分の1の増員に等しい。組織へのメリットには以下が含まれる。

• 直接および間接財の調達戦略の最適化に費やす時間の増加

• 潜在的なプライシングの改善と、サプライチェーンリスクの低減

• 契約プロセスに対するコントロールと、サプライヤー/ベンダー契約の管理の改善

ここでも担当者は、解放される時間を高付加価値の活動に充てるアイデアをすぐに提示してくれている。

• 「RFPおよびRFQに対してより戦略的なアプローチを取り、交渉に費やす時間を増やすことが可能です」

• 「新しいベンダーを特定し、より有利な価格を引き出せる可能性があります」

• 「在庫管理を改善し、役員会と協力して戦略的調達に取り組むことができます」

Figure 3は、購買担当者の時間を消費するドキュメントのタイプを示したものである。購買部門で扱うドキュメン

トの17.4%が紙ベースであり、65.2%が紙とデジタルの組み合せである。完全にデジタルなドキュメントはわずか

17.4%である。

購買部門では、 分断された文書

プロセスへの対処に よって時間の33%を

解放できると 推定している。

FIGURE 3

購買担当者が時間を費やしている文書のタイプ

問:以下のドキュメントに関して、1か月当たりで何件のドキュメントの作業を行いますか?

ワークフローは主に紙ベース/手作業、デジタル/自動化、あるいは紙とデジタルの組み合せ、

のいずれですか?

n = 133 (購買で勤務するインフォメーションワーカー、1か月当たりのドキュメント数の中央値)

Source: IDC’s Global Document Processes Survey, November 2014

1か月当たりの購買の文書数

紙ベース/手作業 紙とデジタル の組み合せ

デジタル/自動化

160

140

120

100

80

60

40

20

0

注文書

ベンダー契約書

RFPs/RFIs/RFQsサプライヤー契約書

秘密保持契約書

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法務部門では、 文書ベースのビジネスプロセスの自動化によって時間の28%

を解放できると 回答している。

法務部門における分断された文書プロセスへの対処

法務部門では、文書ベースのビジネスプロセスにおけるギャップへの対処によって時間の28%を

解放できると回答している。これは、法務部門の人員3.5人当たり1人を増員することに

等しい。

法務部門における文書ベースのプロセスを改善するメリットには以下のものがある。

• 顧客、サプライヤー、ベンダー、パートナー、および従業員との契約のレビューとサインオフに法

務が費やす時間の劇的な短縮

• 契約に関連する会社のポリシーに対するコンプライアンスの改善

• 法務部門が、すべての署名済みの契約(さまざまな部門で作成される秘密保持契約を含む)の

正確で完全な写しを常に保持していることの保証

これに加えて、分断された文書プロセスへの対処によって、法務部門担当者はビジネスの成果にお

いて大きな変化を生むことが可能になる。解放される時間を使用して改善することのできる項目に

ついて、回答者は以下のように答えている。

• 「戦略的計画に、より多くの時間を費やすことが可能になります」

• 「法律の変更に関して、最新の情報を取得し、自社のリスクの最小化と機会の最大化に万全を期

すことができます」

• 「スタッフを引き付け、維持し、意欲を高めるような項目に、より多くの時間を費やすことが可能に

なります」

Figure 4は、法務担当者が費やしている文書のタイプを示したものである。法務担当者が扱う文書

の26.1%が紙ベースであり、58.3%が紙とデジタルの組み合せである。完全にデジタルな文書はわ

ずか15.6%である。

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分断された文書プロセス: 潜在需要、大きなリターン

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対策:ビジネスユーザーのニーズインフォメーションワーカーは、分断された文書プロセスを改善し、モバイルデバイスを使用してデジタル

サイロを超えて作業することを可能とするソリューションが必要であることを強く感じている。このような

ソリューションでは、Figure 5に示されている問題点に対処する必要がある。

FIGURE 4

法務担当者が時間を費やしている文書のタイプ

問:以下の文書に関して、1か月当たりで何件の処理をしますか?

ワークフローは主に紙ベース/手作業、デジタル/自動化、あるいは紙とデジタルの組み合せ、

のいずれですか?

n = 法務で勤務する114人の情報労働者;1か月当たりのドキュメント数の中央値

Source: IDC’s Global Document Processes Survey, November 2014

紙ベース/手作業 紙とデジタル の組み合せ

デジタル/自動化

180

160

140

120

100

80

60

40

20

0

注文書

ポリシーおよび手続きのドキュメント

開示ドキュメント

裁判所への提出書類

秘密保持契約書

顧客との契約書

1か月当たりの法務の文書数

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分断された文書プロセス: 潜在需要、大きなリターン

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コネクテッドで、モバイルな業務スタイルを可能とする現代的なソリューションが対策の重要な要素にな

る。ビジネス部門のリーダーの82%が、日常的に使用する必要のあるアプリケーションがすべてモバイル

デバイス上で動作すれば、自分のチームの生産性が大幅に向上するとしている。そして、IT部門のリーダー

の74%が、社外/社内の人々とのコラボレーションと共有を改善し、容易にすることがユーザーにとって

重要であるとしている。

ITのリーダーシップの機会ビジネス部門のリーダーおよびインフォメーションワーカーは、分断された文書プロセスの悪影響を熟知し

ているように見え、部門のビジネスリーダーは自部門における文書プロセスのギャップに対応するメリット

を確信しているが、この問題はこれまでのところ大半の組織において見過ごされている。このような、非常に

高いROIの機会が手付かずになっている理由はなぜであろうか。

文書の完了/署名後に自動的にファイルされる

ボタンのクリックで文書を電子署名/電子承認の ために送信可能な自動ルーティング

紙のフォームをファイリング可能な電子フォームに容易に 変換し、署名のために送信する方法がある

自分の業務用コンピューターから離れている時にも自分の文書にアクセスし、編集できる

一連の文書をまとめて、それらをセキュアかつ プロフェッショナルに提示する容易な方法がある

受信者が文書を見たかどうか追跡可能なステータス可視性

パーソナライズされた一連の文書を 容易に作成する方法がある

高速なアップロード/ダウンロードを提供する クラウドやWeb文書サービスがある

任意のデバイスから最新バージョンを誰とでも保有 できる、クラウドの利用による文書共有

n = 769

Note: データは各項目に対して1~5の尺度で、4あるいは5の評価を付けた回答者の比率を表している。尺度1~5の意味づけは、1は業務時間の節約にならない、5はその項目が業務時間の節約に大変役に立つということを表している。Source: IDC’s Global Document Processes Survey, November 2014

FIGURE 5

インフォメーションワーカーの業務時間の節約となる項目問: 業務時間の節約になる可能性のある項目に関して、以下の項目を1~5の尺度で評価してください。

61%

60%

60%

58%

57%

57%

55%

53%

52%

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IDCでは、この理由は、多くの場合、ビジネスサイドにおいてこの変革を主唱するのに最適な立場の推進役

が存在しないということであるとみている。IDCの調査が示している通り、ワークフロー完了までに7人程度

の人々がドキュメントに「接触」する場合があり、一般的にこれらの人々は異なる部門に所属している。

この結果、特定のワークフローに関して、決まった部門が「オーナー」になるということができない。実際、

調査において部門のインフォメーションワーカーに、自分が所定の文書タイプに関してオーナーであるの

か、あるいはレビュー担当者であるのか質問したところ、平均して半数が自らをオーナーであるとし、半数が

レビュー担当者であると回答している。

第2に、前述のような潜在的なROI改善は部門レベルにおいて魅力的であるが、戦略的チャンスは企業全体

に渡る分断された文書プロセスへの対処にある。したがって、企業のビジネスプロセスに対する広い観点

が必要である。部門のビジネスリーダーは、文書プロセスの分断が企業組織全体に与える広範な影響を理

解していない可能性がある。

IDCでは、これがITにとって絶好のチャンスであると考えている。ITがここで主導的な役割を担えば、ヒーロー

になることが可能である。分断された文書プロセスへの対処はビジネス部門の戦略的パートナーとしてIT

部門を活用することに極めて関連性が高く、これはITとビジネスが協力する良いチャンスである。本調査で

は、良好なカスタマーエクスペリエンスを提供する重要性に関して、ビジネス部門とIT部門が一致している

ことが示されている。ビジネスとITの双方が、IT予算に対して、ビジネス部門のコントロール/影響力が増し

えてきているとの見解を示している。同時に、IT部門はビジネス部門に対し重要な影響力があると感じて

いる。ITリーダーの60%が、IT部門の役割は2年前と比較してより戦略的になっていると回答しており、圧倒

的多数(94%)のITリーダーがIT部門に十分/潤沢な財源が与えられているとしている。

IT部門が企業の文書プロセス改善を目指すにあたり、ビジネス部門 とIT部門の間にギャップが存在する。

すなわち、IT部門はモバイル環境で行う情報作業に対する不便さを過小評価しているという点である。モバ

イルデバイス上での文書作業は、インフォメーションワーカーが今できていること、IT部門がすでに可能に

なっていると考えていることの間には大きなギャップがある。

ベストプラクティス:ステップ1:評価

企業では、最初にフロントオフィス(顧客向け)とバックオフィス(サポート)の両方での文書プロセスを評価

する必要がある。異なるプロセスは異なる成熟度レベル(Table 1)に分類できる。部門のビジネスリーダー

とチームメンバーに対するインタビューによってギャップを容易に特定することが可能である。

ワークフローの完了までに約7人の人々

が文書に「接触」する可能性がある。

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TABLE 1

文書プロセスの成熟度レベル 成熟度レベル

継続改善 (5)

定量管理 (4)

全社方針 (3)

限定導入 (2)

アドホック (1)

導入範囲

複数企業間

企業全体

複数部門、または 部門/組織横断的 なワークフロー

1つまたは複数部門、または部門/組織横断的なワークフロー

個別の部門内の ワークフロー

ビジネス価値

すべての文書ベースのビジネスプロセスに対するエンドツー エンドの可視性とコントロールが実現されている。継続的な洞察とプロセス改善。重要なビジネス価値が認識されている

複数の部門および/または部門横断的なビジネスプロセスの最適化されている。ROI は企業全体 で実証済み

部門レベル、または 重要な部門横断的/組織横断的なワークフローにおいて定量化可能なROI

ターゲットとなる ワークフローや部門に対して生産性向上 とコスト削減が実証 されている

個別の取り組みからのROIの事例

ユーザーエクスペリエンスとプロセスの特性

社外向け/社内向け両方で矛盾のないデジタル取引。プロセスは刷新され最適化されている

大半のデジタル取引に渡って信頼性が高く、一貫性のあるユーザーフレンドリーなエクスペリエンス。プロセスは自動化/自己文書化されている

ターゲットの部門横断的/部門内のワーク フローにおいて一貫性のあるユーザーエクスペリエンス。文書は完全にデジタルだが、ギャップが 残っている。プロセスの 文書化は不完全である

ワークフロー、部門間に おいてユーザーエクス ペリエンスに一貫性はない。紙とデジタルが混在しており、依然として自動化/文書化されていない

手作業による不十分な ユーザーエクスペリエンス。主に紙ベースで自動化/文書化されていない。

テクノロジー

最優秀活動(センター オブエクセレンス)または共有型サポート(シェアードサービスサポート)。 ベストプラクティスの組織的な共有。ユーザーは 各々のプロセスの導入が可能である 一部のケースにおいて ユーザーが活用するこ とが可能な、即時展開

(ラピッドデプロイメント)方法による、標準化/ サポートされたソリュー ションスタック

1つまたは複数の部門 あるいは機能分野に おいて共通のパターンと ソリューションスタックの重要なコンポーネントが特定されている。限定的な範囲とコストにおいて導入の方法論が確立されている 複数のプロジェクトが 識別されている。標準的なソリューションのいくつかのコンポーネントが特定されている

課題対応ベースで特定 された個別のプロジェクト。 その場しのぎのワンポイントソリューションの購入。 サイロ化されたアプローチはベンダーの利用あるいは専門知識の共有にはほとんど役立たない

Source: IDC, 2015

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紙の文書に対する依存度のベンチマークとして、IDCでは調査対象企業の約4分の1がアドホックレベル、

60%が限定導入レベル、そして6社に約1社が全社方針レベルにあると推定している。

次に、企業ではROIおよびステークホルダーの準備状況によってランク付けしたプロジェクト候補のリスを

作成すべきである。当初の候補として適切なものには以下が含まれる。

• 営業における売上発生およびその他の顧客向けのビジネスプロセス

• 採用や入社プロセスなどの戦略的人事プロセス

• 調達における直接および間接的なソーシング

• 法務における契約管理

ベストプラクティス:ステップ2:標準化

企業は共通のITへの標準化を目指すべきである。文書ベースのプロセスのリストは膨大であるが、課題や

要件は類似している。優れたソリューションには、次のような特徴がある。

• 既存のプロセスやシステムとの統合

• 顧客や従業員が直感的かつ容易に使用可能

• 簡単な管理と迅速な展開

• 業界標準のセキュリティへの準拠

• 経験豊富で信頼できるプロバイダーによる提供

調査対象の企業では、文書プロセスの課題に対処するために、電子署名ソリューション(25%)や電子

フォームソリューション(32%)に投資を行っている。

Figure 6は、ソリューションを選択する責任を持つIT担当者のための選択基準を示したものである。

ベストプラクティス:ステップ3:反復

企業では、迅速にROIを実証可能なプロジェクトに優先順位を付ける必要がある。企業では、最初のプロ

ジェクトから学んだスキルと教訓を生かして、最優秀活動(センターオブエクセレンス)あるいは活動型

コミュニティ(コミュニティオブプラクティス)を確立し、ベストプラクティスを共有すべきである。これに加え

て、企業ではプロジェクトの成功を宣伝し、各部門の「パワーユーザー」を養成することによって以下の事項

を推進する必要がある。

• 新たな部門のワークフローでプロセス改善の取組みを推進させる

• 共通ワークフローの活用による、新規部門へのメリットの展開

• 分断された文書プロセスへの対処の価値に対する広範な部門への認識醸成

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アクションを起こすことに対するリターン文書プロセスの分断は、カスタマーエクスペリエンスに対する企業の投資を損ない、企業は顧客の獲得と

維持において、競争上不利な立場に取り残されることになる。

既存のIT投資との互換性

情報セキュリティ

管理/保守/アップグレードの容易さ

アプリケーションのセキュリティ

特徴/機能

コンピューター、スマートフォン、およびタブレットで 統一されたユーザーインターフェース

社内/社外の人 と々の容易なコラボレーション /情報共有

ベンダーの将来性とサポート

サポートに必要なITスタッフ/スキルセット

SaaSとして、またはサブスクリプション によるサービス提供

利用やユーザートレーニングの容易さ

マルチデバイススタイルの業務のサポート (ソフトウェアは、ユーザーのデバイス間の移動に伴う

「状況」を追跡し、移動による業務中断がない)

企業内の多数のデバイス間での 文書のポータビリティ

n = 413 IT leaders

Note: データは各項目に対して1から5の尺度で、4あるいは5の評価を付けた回答者の比率を表している。尺度1~5の意味付けは、1はまったく重要ではない、5は極めて重要であるということを表している。

Source: IDC’s Global Document Processes Survey, November 2014

FIGURE 6

新規ソフトウェアソリューションのための重要な選択基準問:新しいソフトウェアを評価する際に、以下の要因はどの程度重要ですか?

68%

71%

73%

73%

74%

74%

74%

76%

77%

78%

78%

79%

79%

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企業では、フロントオフィスおよびバックオフィスにおけるビジネスプロセスのギャップに対処する必要が

あり、さもなければ市場から取り残されるリスクを冒すことになる。

分断された文書プロセスへの対処による潜在的なリターンは極めて魅力的である。前述の通り、ビジネス

部門のリーダーは、文書プロセスのギャップを解消することによって以下のメリットが得られると推定して

いる。

• 売上の36%増加

• コストの30%削減

• 事業/コンプライアンスリスクの23%低減

これらすべての理由から、分断された文書プロセスの解消はビジネスの必須課題であると言える。各部門

のビジネスリーダーとビジネスチームは、文書プロセスの分断による課題を認識しており、対処へのメリッ

トを理解している。しかし、大半の企業では、企業全体での問題の大きさ、対処による潜在的なリターンを

把握できていない。企業では、これを最優先課題とする必要がある。

分断された文書プロセスへの対処にはリーダーシップが必要である。IDCでは、ITがビジネス部門との協調

によってリーダーシップを提供できる最適な立場にあるとみている。文書プロセスにおける課題の多くは、

既存システムとアプリケーションを停止することなく、安価に対処することが可能であり、ROIを迅速に体感

することができる。これはIT部門にとって容易に成果を挙げることのできるチャンスであり、ビジネス部門に

とってのIT部門の戦略的位置付けの強化に寄与するだろう。

企業はまず戦術的なプロジェクトから開始し、反復的かつ漸進なアプローチによって、ROIの追加を実現す

ることが可能である。ただし、最大のメリットを得るのは、企業全体に渡って標準化されたアプローチをとる

企業である。

ビジネスにおけるデジタル化の進展が進展するほど分断された文書プロセスは明白になる一方である。

機敏な競合他社は、この対処を確実に実行するだろう。今、行動すべきである。

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付録:調査方法本ホワイトペーパーにおいて提示されたデータは、米国、英国、フランス、ドイツ、オーストラリア、日本にお

ける、ビジネス部門のリーダー、IT部門のリーダー、インフォメーションワーカーの1,518人を対象としてIDC

が2014年11月に実施した、グローバルなWebベースの調査結果を参照している。サンプルは各国に均等に

配分されており、対象は広範な業種と規模の企業に渡っている(回答者の60%は従業員が1,000人以上の

企業に所属している)。

役職別では、回答者の40%が上級/エグゼクティブマネジメント(CXO、マネージングディレクター、

EVP、SVP、VP)、33%が中間管理職(ディレクター、マネージャー)、27%が非管理職(スーパーバイザーを

含む)であった。

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5 Speen Street Framingham, MA 01701 USA 508.872.8200 Twitter: @IDC idc-insights-community.com www.idc.com

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