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つながり 生徒氏名 矢野光士郎 石岡 健大 入山奈緒子 優花 後藤 舜介 兵頭 知紀 松岡 恭平 豊島 美咲 二宮 昂大 吉本 乃英 指導者氏名 山田 哲司 菊池 光広 未利用魚を活用したブランディング戦略 ~郷土愛を育むソーシャルビジネスを目指して~

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つながり

生 徒 氏 名 矢野光士郎 石岡 健大 入山奈緒子 岡 優花後藤 舜介 兵頭 知紀 松岡 恭平 豊島 美咲二宮 昂大 吉本 乃英

指導者氏名 山田 哲司 菊池 光広

未利用魚を活用したブランディング戦略~郷土愛を育むソーシャルビジネスを目指して~

Page 2: 未利用魚を活用したブランディング戦略未利用魚を活用したブランディング戦略 第1章 はじめに 未利用魚を活用したブランディング戦略

2 魚食マップの作成

1 給食交流会について

3 大島での未利用魚ツアー

4 定食の試作会・原価計算

5 販売活動

・・・・・・・・・・・・・・P10

・・・・・・・・・・・・P15

・・・・・・・・・・・・・・・・・P18

はじめに

目 次

未利用魚を活用したブランディング戦略

第1章

仮 説第2章

実 践第3章

・・・・・・・・・・・・・・P11

・・・・・・・・・・・・P12

仮説の検証第4章

発 展第5章

まとめ第6章

1 新しいビジネスへの挑戦 ・・・・・・・・・・・・P 24

未利用魚を活用したブランディング戦略

1 八幡浜市の現状

2 A★KINDの活動3 未利用魚について

・・・・・・・・・・・・・・P3・・・・・・・・・・・・・・P3

・・・・・・・・・・・・・・P5

1 未利用魚を活用した魚食の推進活動

2 未利用魚のブランディング戦略3 SNSの活用

・・・・・・・・P6

・・・・・・・・・P8

・・・・・・・・・・・・・・・・P9

1 魚食の推進の成果

2 ブランディング化を目指す商品開発について

・・・・・・・・・・・・・・P 20

・・・・・P 20

3 今後の活動 ・・・・・・・・・・・・・・・・P 21

1 漁業活性化への道 ・・・・・・・・・・・・・P 22

2 ブランディング戦略の可能性・・・・・・・・・・・P 23

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第 1章 はじめに

未利用魚を活用したブランディング戦略

1.八幡浜市の現状

私たちの住む八幡浜市は第一次産業が盛んで、「みかんと魚のまち八幡浜」と言われている。農業では全国的にも有名な柑橘類の産地で、「真穴」「日の丸」などのブランドみかんも多く存在している。しかし、担い手不足による従事者の減少から耕作放棄地が増え、収穫量も減少している。漁業では、卸売りの際の掛け声(どーや、てや等)が

市民の方言になるほど八幡浜市に密着した産業である。毎日200種類を超える魚種が水揚げされており、漁獲量でも四国有数の水揚げ高を誇っている。魚の卸売りが行われる魚市場は四国で一番の設備を備えており、大都市にも多くの魚を輸送している。しかし現在では、後継者不足による従事者の高齢化などの原因から、漁獲量が減少している。昭和20年代には54隻あったトロール船も現在は2隻まで減少しており、漁業の衰退を感じさせる。また人口減少も進んでいて、平成10年の46,282人から平成30年の33,850人と、20年間で10,000人以上も減少している。

2.A★KINDの活動

平成26年から行っている観光列車「伊予灘ものがたり」のお見送り活動は、今年で5年目を迎える。観光客に笑顔で旗を振ったり一緒に写真を撮ったりすることで、観光客の満足度を高めるだけではなく、私たちの活動が地域貢献に繋がっていると実感することができた。また今年は、ツアーの満足度をさらに高めるために顔出しパネルを新しく作成し、お見送り活動をより豪華にした。ちゃんぽんやマーマレードなどのパネルも新しく作成したため、より多くの八幡浜の特産品を紹介する事にもつながった。

(2)BOCOタワー世界選手権A★KINDの部員が司会を務めるこのイベントは、毎年5月5日にみなと交流館で行われて

いる。4人1組でかまぼこ板を積み上げるこの競技は、集中力、計画力、チームワークを鍛えるのに最適で、小学校の授業にも利用されるほどである。当日は小学生から大人まで幅広い年代の方に参加していただき、観客も含めると交流館がいっぱいになるほどだった。選手権終了後は、小学生を対象にA★KINDが制作した「BOCOクイズ」を実施した。問題は全てかまぼこに関する物で、解説ではかまぼこが八幡浜の特産品であることや栄養価が高いことなどを紹介している。また○×クイズにすることで小学生でも気軽に参加でき、地元の良さを多くの人にアピールすることができた。

伊予灘ものがたりでのお見送り活動の様子

(1)伊予灘ものがたり・フェリーのお見送り活動

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未利用魚を活用したブランディング戦略

未利用魚を活用したブランディング戦略

未利用魚を活用したブランディング戦略

第 1章 はじめに(3)みかん検定今年で第10回となるみかん検定は、地元の方々に

もっとみかんのことを知ってもらいたいという目的でみなっと内で行われている「クリスマスオレンジフェスティバル」というイベントの中で実施している。筆記試験に加えて、実際にみかんを食べてその品種を選択肢から選ぶ実技試験も行うことで八幡浜のみかんにふれあう機会の創出につながっている。さらに今では市外の方も多く参加されており、八幡浜のみかんを他の地域に紹介する役割も担っている。そこで昨年から問題の難易度を変更し、市外の方

やみかんについてあまり詳しくない人でも参加しやすいようにした。同じく昨年から、クリスマスオレンジフェスティバルの総合司会にA★KINDの部員が参加し、みかん検定の広報だけでは無くイベント自体を盛り上げることにも貢献している。

(4)みかんタオル今治タオルを扱っている「七福タオル」様や地

元企業である「タニグチ刺繍」様と共同開発をした「みかんタオル」の販売は現在もA★KINDの活動の柱となっている。2年前から八幡浜市のふるさと納税に登録することができ、「ふるさとチョイス」「さとふる」の2つのサイトに返礼品として登録した。より広域の方々に八幡浜をアピールし続けている。また、みかんタオルのJANコードを発行してもらい、八幡浜駅のキオスクに置いてもらうなど、販路の拡大にもつながった。そしてふるさと納税への出品やキオスクでの販売が決定したことで商品の大量仕入れを行うことに決め、原価を下げることにも成功した。みかんタオルを通して八幡浜市の魅力をより広域に発信するために継続して活動を続けていきたい。

(5)地元柑橘との提携昨年の10月、私たち商業研究部に「沼に

ハマってきいてみた」という番組への出演依頼が来た。「沼にハマってきいてみた」とはNHKで放送されている番組で、毎回様々なジャンルに没頭している人やプロフェッショナルを紹介している。私たちが出演したのは「みかん沼」という回で、東大みかん愛好会の方々とみかんに関する知識やみかんを発信する活動について対決した。その中で、文化祭における地元商品の販売やふるさと納税に登録されたみかんタオルなど、私たちの活動も紹介していただいた。

みかん検定の様子

ふるさと納税品みかんタオル

←文化祭での販売の様子

NHKでのテレビ収録→

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未利用魚を活用したブランディング戦略

第 1章 はじめに

未利用魚を活用したブランディング戦略

また今年の3月には、JAにしうわの方々に取材していただき、「西宇和みかんブランドサイト」で5回に渡って掲載していただいた。このサイトでは、みかんに関する知識や各産地のこだわりなどを発信しており、主にA★KINDが行っている地元みかんをPRする活動を紹介していただいた。JAにしうわとは、これまでもみかん検定の実技試験に使用するみかんを提供していただくなど協力関係を築いていたため、これからも連携して地元みかんの発信に力を入れていきたい。

3.未利用魚について

八幡浜市では毎日多くの魚が水揚げされており、その魚種は200種類近くに及ぶ。これは、ト

ロール船による底引き網漁が行われているのも理由の1つである。しかし、水揚げされる魚の中には、「見た目が悪い」や「処理に手間がかかる」などの理由から「未利用魚」と呼ばれる魚が多く存在し、これらは商品価値が低いため、スーパーなどに出回ることがほとんど無い。

そこで今回は、発信力の弱さを改善するために給食提供や交流会の回数を増やして魚食の推進活動をさらに強化していくことを決定した。漁業活性化についても、未利用魚の魅力やおいしさをもっと広域の人たちに発信していき、未利用魚に付加価値をつける活動を行っていくことにした。以上の点から今回の活動テーマを「魚食の推進活動の強化」と「未利用魚のブランディング戦略」に決定した。

未利用魚

漁業従事者の減少や漁獲量の低下などが問題となっている八幡浜市においては、この未利用魚の価値を高めることが課題解決につながるのではないかと私たちは考え、昨年から研究を始めた。昨年度は「魚食の推進」と「漁業活性化」の為に未利用魚を使った給食メニューを開発し、地元小中学生に提供した。同時に交流会を行い、一緒に給食を食べながら未利用魚の魅力を伝えることで小中学生に興味関心を持ってもらうことにも成功した。しかし、この活動は、給食メニューを提供することで、地元小中学生を対象とした魚食の推進にはつながっていると実感することはできたが、漁業活性化には貢献できていないと感じた。また、魚食の推進についても、給食提供の回数が少なく、交流会も1校でしか実施できなかったことから、発信力が弱かったという反省点が上がった。

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未利用魚を活用したブランディング戦略

未利用魚を活用したブランディング戦略

第 2章 仮 説

甚大な被害をもたらした西日本豪雨災害の影響、予算の関係で給食メニューの提供が3回、交流会が2回から1回になった。八幡浜市の各小学校で、自分たちが考案した給食メニューを小学生たちに提供して食べてもらい、小学生に未利用魚の美味しさを知ってもらうこと、そしてその美味しさが小学生の保護者たちにも伝わることで、八幡浜市の水産業に興味を持ってもらえると考えた。

給食交流会は、私たち商業研究部や八幡浜市水産港湾課の目的である魚食の推進を発展させることができる活動である。そのため魚食の普及を目標としている私たちにとって、西日本豪雨災害の影響を受けて、給食交流会をはじめとする未利用魚を知ってもらう機会が減ってしまうことは大きな痛手だった。

昨年から始めた給食交流会でのアンケート結果から、魚食の推進活動を継続していくことで、小・中学生に魚への興味を持ってもらうことができるとわかった。西日本豪雨災害の影響は今もなお残っているが、給食メニューの提供や給食交流会を継続していかなければ魚食の普及につなげることは難しいと考えた。そのため今年度はシーフードセンター八幡浜で事前打ち合わせを入念に行い、給食メニュー提供を5回(6月、7月、9月、11月、1月)と交流会を3回(6月、9月、11月)実施することに決定した。

未利用魚を知ってもらい、魚に関心を持ってもらうためには、交流会や給食提供の機会を多く設けたほうがよいが、給食に提供できる魚の漁獲状況や、調理にかかる手間についても考えなければならない。私たちも未利用魚の調理に関する知識が不足していたので、シーフードセンターの方々や料理の専門家に未利用魚の調理法を教えてもらうことを決めた。また、「どの時期にどんな魚が獲れ、どの魚に人気がないのか」という疑問も解決すべく、現在の漁獲量や給食への提供状況も教えていただくことにした。

1.未利用魚を活用した魚食の推進活動

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第 2章 仮 説未利用魚を活用したブランディング戦略

魚食マップを通して、子供たちの親に実際に家庭で魚料理を作って食べてもらい、魚のおいしさや未利用魚について知ってもらうことで、魚料理を家庭で食べる機会が増えるのではと考え仮説を立てた。また、子供たちにもそのおいしさを知ってもらうことで、将来的に漁業の発展に貢献してもらえる人材の育成に繋がるのではないかと考え、魚食マップを提供することに決定した。予算の問題などもあり魚食マップの提供、魚食の推進を自分たちの力だけで実施していくことは難しいと考え、シーフードマイスターをはじめとする市の魚食事業と連携することで八幡浜市全体の漁業活性化に繋がると仮説を立てた。

給食提供を考える中で、給食センターに聞き取り調査を行った結果、若い世代は魚食の関心が低いことが分かった。私たちは小学生をはじめとする低年齢層に魚食への興味、関心を持ってもらうことを目標とし、どうすれば関心を持ってもらえるのか考えた。その中で、昨年から作成を続けてきた、八幡浜市で水揚げされる未利用魚の種類と調理方法を掲載した魚食マップを市内の小・中学生、教員全員に提供してみてはどうかという意見が出た。

魚食マップを市内の小・中学生、教員の方々に提供することで、八幡浜市で水揚げされ、普段食べている魚、そしてまだまだ知られていない未利用魚についての基礎的な知識を身に付け、興味を持ってもらうことができるのではないかと考えた。

江戸岡小学校での様子↑

←魚食マップ試作品

~話し合いの様子~

~打ち合わせの様子~

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未利用魚を活用したブランディング戦略

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第 2章 仮 説

未利用魚を活用したブランディング戦略

ブランディングというのは、「○○といえばあの商品」「このシンボルマークはあのサービス」といった意識をターゲットに浸透させることをいう。私たちは、未利用魚をブランディングすることで、例えば「八幡浜といえばみかんと魚」といわれるように「未利用魚といえば八幡浜」と付け加えることができたら未利用魚の価値を高めることができ、ビジネスとして成り立つのではないかと考えた。私たちは昨年作った未利用魚のSWOT分析を活用し、多くの未利用魚の利点を再認識ことができた。

強み①・・・ブランド化された魚に比べてかなり低コストであること。

強み②・・・ブランド化された魚に比べて未利用魚など健康効果(DHA…学習機能の向上や認知症を抑える、EPA…血液サラサラ効果や中性脂肪低下作用など)が多く含まれていること。

昨年実施した「未利用魚のSWOT分析」

このような状況の中、未利用魚の商品化を成功させることは非常に難しい取組である。商品化を成功させるためには、地元みなっとの日曜市などで販売活動を実施したり、南海放送のイベントに参加したりなど、未利用魚の美味しさや魅力を発信していくことで、八幡浜市全体の推進活動から漁業活性化へのつながりを作るきっかけになるのではと仮説を立てた。また小中学生に給食交流会を実施したり、魚食マップを提供することにより、魚食教育を受けて育った地元の子供たちが、大人になって1人でも多く、地元の水産業に興味を持ってもらい、将来活躍できる場所を提供することができれば、現在減少の一途をたどっている八幡浜市の漁業従事者の減少を食い止めることができるのではと考え、ソーシャルビジネスに挑戦することになった。

以上2点の強みをふまえ、商品開発をしていくうえで、近年の若者に流行りの健康ブームや食べ歩き文化を取り入れることで、女性や高齢者でも食べやすく、座らなくても歩きながら手軽に食べることができる商品を作ればビジネスチャンスがあるのではないかと考えた。未利用魚は大きさが不ぞろいであったり、小

骨が多くあって骨切りをしなければならなかったりすることもあり加工費が加算してしまう。また、安定供給が難しい魚種も数多く存在しているため、一般的に未利用魚の商品化は難しいといわれている。

2.未利用魚のブランディング戦略

八幡浜市水産物地方卸売市場の見学

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第 2章 仮 説

まずはコダテルで、「キトナル」の記事の書き方を教えていただいた。また、八幡浜高校にも来ていただき、「キトナル」への記事のアップ方法やアクセス数が増えるタイトルの付け方などを詳しく知ることができた。早速、地元の高校生しか知らないようなお店を紹介することになった。八幡浜高校近くにある名店「旨い家」に行き、定番メニューである「鶏の唐揚げ定食」について取材した。まずは、自分たちが「鶏の唐揚げ定食」を食べて、そのあとに店主の方に質問をした。旨い家には「鶏の唐揚げ定食」しかないため、材料へのこだわりや新メニューの計画などたくさんの情報を得ることが出できた。

その他にも、八幡浜市の大島にある大島テラスで「島カレー」や「アジフライ定食」の紹介をした。しかし、このキトナルに記事をあげる活動は、今年度の未利用魚を発信していく中ではあまり活用することができなかった。その理由として、販売活動が充実したため並行して記事を書こうとしていたが、部員が10人と少なく記事を書く際のお店への取材などに行くことができず記事をUPするまでに手が回らなかった。今後は、キトナルでの記事の更新を継続して行っていくことが課題となった。また、みなっとで地域おこし協力隊の大久保さんの話を聞いた際、Facebookライブの配信をしながら話をされていたので、自分たちも販売活動を実施する際には宣伝効果も期待できるライブ機能を活用することも手段の一つになると考えた。

八幡浜高校商業研究部がKITONARUであげた記事一覧(上の図)↑

八幡浜高校商業研究部のKITONARUのホームページ(右の図)→

「キトナル」ライター講習会の様子

3.SNSの活用

また商業研究部でYouTubeを活用

した発信活動を行い、記事だけでは伝えることができない味や店内の雰囲気を紹介するために食レポを実施することにした。しかし、計画は立てたものの実践しないままになっているため、今後の活動で実施していきたいと考えている。

昨年部員同士で未利用魚についての話し合いをしていく中で、「未利用魚を発信していく

ためには、若い人が多く利用しているSNSを活用する」という意見が出た。そこで私たちは商業研究部のOBであり、八幡浜市でコワーキングスペースという共同で仕事をする場所を提供している「コダテル」という施設を運営して、地方創生に関した活動をしている濱田規史さんを訪門し、「キトナル」という愛媛県のおすすめグルメや観光情報などを地域おこし協力隊などが中心となり紹介しているサイトの存在を教えていただいた。

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第 3章 実 践

まず、私たちは、平成31年3月八幡浜給食センター・八幡浜シーフードセンターへ行き、今年度の給食交流会・給食提供の計画案について話し合った。未利用魚を使用した給食をどのようなメニューで提供するか、実施時期、回数について給食センター・八幡浜シーフードセンターの事業案と照らし合わせながら話し合いを行った。四季によって水揚げされる魚種が違うので、季節ごとに様々な魚を食べてもらいたいと考え、自分たちの希望である年3回(6月、9月、11月)の給食交流会、5回(6月、7月、9月、11月、1月)の給食提供について協力していただけることになった。

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八幡浜シーフードセンターでの話し合い

メニューについては、八幡浜シーフードセンターで給食として提供する際の魚の骨切りや味付けなどをしてもらうことになった。1回目の交流会での給食メニューは、給食センターで試作品作りを行い、味をどうすれば小学生にとって食べやすいかなどを話し合いながら試作した。給食メニューはエソを使った「洋風すり身揚げ」に決定した。味は試行錯誤を重ね、魚が苦手な子供でも食べやすく、子供が人気のあるカレー味に決定した。すり身にすることで誰にでも食べやすく、魚を無駄なく全て食べることができると考えた。そして、すり身には良質なたんぱく質が含まれており、筋肉や骨・血液の素にもなるため、成長期の小学生に食べてもらいたいと思った。すり身にカレーの味を練りこむことで、魚の美味しさを残しつつ小・中学生が食べやすい味に仕上がった

八幡浜給食センターでの試作品作り

川之石小学校での給食交流会

1回目の給食交流会は、昨年同様食育の日である6月19日に川之石小学校で行った。昨年の給食メニュー「エソの甘辛揚げ」の試作段階での改善点であった小骨が気になり食べづらいという点を踏まえ、今年度はエソの骨切りなどをあまり行わないすり身で提供することになった。写真を使ってエソの説明を行ったところ「こんなに歯がギザギザしているんだ」など小学生が口々に色んな感想を言っていた。原材料の魚を見ることは小学生にとって貴重な体験であり、そのことで興味や関心を持ってもらえたと感じた。

1-1.給食交流会について

1-2.給食交流会

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未利用魚を活用したブランディング戦略

第 3章 実 践

未利用魚を活用したブランディング戦略

デザインも部員みんなと協力して考え決定した。最初は下敷きにして提供しようとしたが、市内小学生全員に提供すると予算の¥150,000をオーバーし¥300,000を越えるため、クリアファイルで提供した。実用性のあるものに魚食マップを取り入れることで小学生でもわかりやすく、魚についての興味関心や、魚食の推進に繋がると考えた。そして、私たちの活動をより多くの人に知ってもらうよい機会になった。

魚の種類などは、「八幡浜商工会議所」が行っていた「ZAKO48」という企画や「有限会社昭和水産」のホームページ、八幡浜シーフードセンターなどの資料や写真を活用して、小学生でも比較的理解を深めることができる内容で完成させることができた。魚食マップに、未利用魚を使った料理を載せることで、様々な料理の種類を知ってもらい、未利用魚の認知度をあげることができると考えた。

写真提供:愛媛新聞

江戸岡小学校で魚食マップ提供

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2.魚食マップ作製

昨年、給食交流会を実施したところ小学生があまり未利用魚について知らないことがわかった。それは、魚が調理された状態で出てくるので魚本来の姿形を見る機会が減っているからだと思う。しかし、給食では未利用魚のうち、限られた一部の魚しか提供できないので、より多くの未利用魚を知ってもうためのアイデアがないかとブレーンストーミングを重ねた。その結果、小学生でもわかりやすい魚食マップを作製し、提供することに決めた。

食べてもらった小学生にインタビューを行ったところ、メニューは「エソの洋風すり身揚げ」なのに「見た目が和風だったのでびっくりしたのですが、味がカレー味でとてもおいしかった。」という意見を得ることができた。また、校長先生からは「高校生がメニューを考えたということは、小学生にとってすごく刺激になった。将来、小学生の中にも、もしかしたら八幡浜の魚を使って料理を作りたい、という子供も増えてくるかもしれない。そういう意味ではとても有意義な時間になった。」と貴重な意見を頂いた。小学生に未利用魚についての知識や、調理方法について知ってもらい、興味を持ってもらいたい。そのことを踏まえて、小学生と楽しく交流することができた。そして、継続して推進活動を続けていきたいと思う。

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未利用魚を活用したブランディング戦略

第 3章 実 践

未利用魚を活用したブランディング戦略

3-1.大島での未利用魚ツアー(イベントの開催の提案について)

未利用魚を使って安定的に供給できるメニューを考案することと販売場所をどうするかという課題が発生した。販売場所については、昨年8月に八幡浜市で唯一の有人島である大島の「大島テラス」というカフェの定食として提供しようと考えた。しかし、大島に行くためには、八幡浜市にある道の駅みなっとからフェリーで20分以上もかかってしまう。

そのため、大島に来られるお客様が限られてしまうと不安になった。そこで、事前にインターネットなどで大島のことを調べると、大島は島としては国内初の「みなとオアシス」の認定を受けており、八幡浜市も積極的に力を入れていることが判明した。このことを踏まえ私たちは、大島で話し合いをする際に、

「月別の来島客数」・「現在の経営状況」・「どのような魚が獲れるのか」を質問することにした。そして私たちが企画する「未利用魚を使ったイベント」の開催を実施してもよいかと聞くことにした。

私たちの相談に協力していただけるのか聞いたところ、現在は地域おこし協力隊としての任務を終えられ、島に移住されて大島テラスを運営されている乘松様に協力していただいた。「月別の来島客数」については、8月から10月にかけての来客数が多く、逆に11月から2月には少なくなっていることが分かった。

3-2.イベントを実施する際の課題

これは、大島での娯楽は、サイクリングやダイビングなど夏に行うようなものが中心で、冬のイベントが少ないのは風が強く、寒いからという理由が挙げられている。質問が終わり、イベントの実施について相談したところ「高校

生が、未利用魚を使ってイベントをすることはすごく斬新。ぜひ、お願いします。」と快諾していただき、フェリーの運行回数が多くなるゴールデンウィークの4月29日に実施することに決定した。

イベントの実施をスムーズに行うために、私たちは準備を開始した。しかし、イベント募集の仕方や、ツアー内容についてなどの課題が多く発生し、私たちにはイベントを運営するノウハウが不足していたことを実感した。そこで、愛媛大学社会共創学部の学生の方々が、フィールド演習を大島でされることを知り、お手伝いとして参加した。

これまで課題になっていたところも大学生の方々からアドバイスをもらい、広範囲に募集する仕方や当日の手順などイベントのノウハウを詳しく学ぶことができた。また、イベント募集のチラシ作成もアドバイスをもらい、どのような写真を使うかや、色使いなどで印象を残せるようなものを作成することができ、チラシの大切さを勉強することができた。そのチラシを学校や八幡浜市のホームページ、大島テラスのインスタグラムなどのSNSを利用し発信に力を入れたところ、反響を呼びツアー定員30名はすぐに上限を超え、改めてSNSを利用した発信力に驚いた。

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未利用魚を活用したブランディング戦略

第 3章 実 践3-3.メニューについて

メニューについては、「シーフードセンター八幡浜」・「八幡浜給食センター」・「愛媛調理製菓専門学校」の方々から沢山指導していただいた。試作品は、「カナガシラの煮付け」・「スガレイの唐揚げ」・「グチの刺身」の3品を作った。煮付けについては、未利用魚の特徴である、安定的に供給できないこととサイズの不揃いなど、量に違いが出ることになってしまうことが問題点であった。そこで、大きさに違いがあまり出ないカナガシラを使用することにした。刺身については、大島で獲れたアジやメジナをその場で調理して刺身として提供することにした。「スガレイの唐揚げ」は、1食1匹で提供すると大きさが不揃いになってしまうため、1食あたり150gにした。

イベント当日の天気が雨という予報となり、予約キャンセルが多くツアー申込者34名のうち8名がキャンセルした。しかし、実際にイベントを行うと26名でも、人員が足りなくなってしまう場面もあった。

定食については、とても好評で「おいしい」や「骨があっても食べられる」などの声を聴くことができた。販売価格については、大島テラスにある定食メニューの価格である¥500で販売し、ツアーに参加していた方々には、定食の割引クーポン券を渡し、最大¥200の割引を行うことができるようにした。この¥200はオリエンテーションへの参加費や、大島テラスでのお土産品を買ってもらう狙いがあった。これからの販売活動でもこのようにお客様に喜

んでもらえる取り組みを実施しようと考えている。

3-4.ツアーについて

大島には、海岸線のすぐ近くに山がせまっており、海岸沿いに島を囲むように徒歩や、自転車で散策できるように道路が整備されている。大島の魅力として、竜王神社・竜王池や干潮時にだけ干潟が現れ、通ることのできるエンジェルロードなどがある。島全体が自然で囲まれているため、海水浴やキャンプなど多くの活動に利用することができ、リラックス効果も多くある。

そこで私たちは食後のツアー内容として、サイクリングやシーグラス拾いなどを計画していた。しかし、週間天気予報で当日が雨と知り、私たちは晴天時の計画しか立てていなかったため、雨天時の計画に立て直す必要があった。雨天時の計画としては、公民館でBOCOクイズやみかん検定などのレクリエーションをすることにした。

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未利用魚を活用したブランディング戦略

未利用魚を活用したブランディング戦略

未利用魚を活用したブランディング戦略

第 3章 実 践

3-5.メニュー開発について

メニュー開発では、「アジ」・「ヘボタチ」・「ハモ」を使った「すり身揚げ坊ちゃん団子風」や、「白身魚の甘辛丼」も新しく考案できた。6月15日に「愛媛調理製菓専門学校」の方々に教えていただきながら試作品を作った。

まず、「すり身揚げ坊ちゃん団子風」については、地元の魚を使いたいという気持ちがあり八幡浜で水揚げされている魚を使うことにした。未利用魚を扱っていく上でサイズ間の問題や漁獲量が安定しないなどの理由からすり身にして安定的に供給できるようにしたいという思いがあった。また、「愛媛県ならでは」という形にしようということで「坊ちゃん団子」をモチーフにした3色のすり身団子を作った。「青のり」・「ごま」・「海老粉」を使用し、緑・白・ピンクの3色にすることにした。しかし実際には、ごまを使用すると原価が高くなるという理由からパン粉に変更した。食べ歩き文化などを取り入れ、3色のすり身を串に刺して販売することにした。

次に白身魚の甘辛丼については、未利用魚の漁獲量が安定しないという理由で一種類の魚を使用するのではなく、数種類の白身魚を使用することでその日水揚げされた魚を使って安定して販売できると考えた。魚はフライにして、一口ほどで食べられる大きさにすることで魚本来の味を堪能してもらえると考えた。また、タレはどの魚にも合うようにしたいと考え、地元のみかんを使ったオリジナルのものにすることに決めた。みかんは河内晩柑を使用することにした。果肉はもちろん、みかんの皮も薄めに細かく切り、鰹節・昆布と共に出汁を取った。トッピングはフライの上からタレをかけ、その上からさらに果肉や野菜をのせた。しかし、これを商品にして販売するにはみかんの風味が強く、柑橘が苦手な人にはあまり好まれないと思い、改善が必要だと考えた。また、出汁をこした後残った皮や鰹節・昆布はふりかけにして販売することも可能なのではという意見もあがった。今後はメニューの改善を行い、実際に販売ができるように試行錯誤しながら取り組んでいきたい。

当日は受付の時点で予約客に当日の説明やメニューを先に決めてもらい、着いたらすぐに食べてもらえるようにした。大島に到着次第、テラスに案内し、定食を提供した。定食を食べてもらいながら使用した魚の写真を見てもらい、なぜ食卓に並ばないのか・あまり知られていないのか、など未利用魚についての説明や、調理の際に工夫したことなどの説明を行った。また、私たちの活動を取材していただくために市役所の方にも定食を食べてもらった。

食事を終えた時は、雨が降っていなかったので、シーグラスを拾いに浜辺に行った。公民館に移動し自分で取ったシーグラスや私たちが用意したビーズなどを使用してオリジナルのフォトフレーム作りをした。その後雨が降ってきたため、BOCOクイズやみかん検定などを行った。まず、みかん検定は筆記問題を解いてもらい、競争心を持ってもらうために上位3名には景品を用意した。BOCOクイズでは、公民館にあったホワイトボードを使用して○×クイズを行った。その後アンケートに答えていただき、「雨だったのが残念だったけどとても楽しかった。」などの声が多くあり大盛況だった。

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未利用魚を活用したブランディング戦略

第 3章 実 践

未利用魚を活用したブランディング戦略

4-1.定食の試作会・原価計算

大島テラスでの定食の販売価格が¥500と設定されていることが分かった。私たちは、これを踏まえ、¥500で販売するために原価を抑えることを目標とした。定食の原価計算をするにあたって本来人件費や光熱費などを合わせて計算していくべきだが高校生が定食を作ることになるので、人件費は計算に入れないこととした。

(1)定食のメニューの内容についてすべての定食にご飯や、味噌汁、大島で獲れたた

けのこや人参を使った一品を加えることとした。メインの魚は「カナガシラ」・「スガレイ」の2種類を提供した。(2)ご飯・味噌汁・一品の原価計算について原価

を計算するために、ご飯と味噌汁を一定の量にした。それぞれの原価は次のようになった。

4-2.すり身揚げ坊ちゃん団子風の原価計算

(3)メインの魚の原価計算について本来、未利用魚というのは安定的に供給

できないことや、サイズが不揃いであることなど多くの難点を抱えている。これを踏まえ、原価を計算していくと「カナガシラ」は1匹あたりのサイズの違いが大きいため、全体の重さを計り、1匹あたりの金額を見積もると1匹あたり¥124となる。「スガレイ」は、あまり大きさに違いはなかったがカナガシラと同じようにして原価を求めると、1匹あたり¥249となった。

油4個 ¥856竹串 ¥484ゴミ箱 ¥100すり身 ¥13,462

固める ¥149合計 ¥1,105合計 ¥13,946

※定食でのご飯や味噌汁などの一品を固定費とする

まず、7月21日に販売した「坊ちゃん団子風」について原価計算をしていき、原価表を作ってみると準備物の費用が予想よりも多くかかっていることが分かった。これは、すり身に高級魚である「ハモ」を使ったことや最初の販売ということから準備物の費用に多くかかってしまったことが原因であると分かった。

1本の原価はおよそ¥110となり、販売価格を¥200と設定することにした。

2回目の販売となる大島での坊ちゃん団子の原価計算は、1回目の販売時の反省点であった、消耗品の費用を必要最低限に抑えることで原価を安くすることができると考えた。しかし、日曜市で好評だったこともあり販売価格を前回と同じく¥200で設定した。原価を計算していくと、¥73になった。やはり消耗品の費用を削減できたことが原価を抑えることにつながった。

※1回目の原価表

※2回目の追加した原価表

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第 3章 実 践4-3.損益分岐点

原価表などの資料に加え、当日の売上金額・来島者数の資料などを用いて、損益分岐点を作成した。ここで問題になってくるのが、変動費だ。普通、変動費には固定費以外のものを入れるべきであるが、私たちは変動費の中に魚の取得原価を入れて計算することでうまくいくのではと考え、実行した。

そのためには商業を勉強している高校生ではあるが自分たちでは損益分岐点の作成をするには知識が不足しているため、商業科の先生方に作り方やどのようにつくればビジネスに繋がるかを教えてもらった。

変動費率=(変動費÷売上高)×100

固定費÷(1-変動費率)=損益分岐点

(¥3,750÷(1-(¥5,003÷¥15,900))=約¥5,470

当日の大島の売上金総額は、¥62,850となっており、その内訳は食事・ドリンク・お土産だ。食事については島でのメニューとの合計金額になっているのでそれを除いて計算すると、

となり、合計すると¥15,900が私たちの定食の売上金額となる。

刺身定食 9食×@600=5400円唐揚定食 10食×@500=5000円

煮付定食 11食×@500=5500円

これを式に当てはめると、

変動費・固定費などを設定し、変動費は魚の値段とし、計算していく。刺し身¥1,314・唐揚げ¥2,200・煮付け¥1,364

¥1,314+¥2,200+¥1,364=¥4,878すべて合計すると、¥4,878

これにご飯や味噌汁などの一品を追加すると¥5,003が変動費になる。

4-4,坊ちゃん団子風の損益分岐点

販売を行った「すり身揚げ坊ちゃん団子風」についても損益分岐点を作っていく。販売した本数は予定では、200本の販売であったが失敗などもあり196本販売することになった。

私たちは、売上・費用・利益の関係性を明らかにして次に活用できることをいろいろ見つけたいと思い、損益分岐点の作成を始めた。

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第 3章 実 践

4-5.道の駅みなっとへの換算

(1)みなっとの日曜市で販売する際の販売価格を設定する大島での定食の販売価格は、フェリー代などがあったので低く見積もっていた。しかし、一般的な飲食店の原価率は、およそ30%であり、利益を多くあげている店舗では原価率を約40%にすることで、おいしい料理を安く提供していることが分かっ

固定費÷(1-変動費率)=損益分岐点

(¥13,115÷(1-(¥12,663÷¥39,200))=約¥19,373

大島で販売した未利用魚の定食の損益分岐点と同様の作り方で、式に当てはめていくと

当日の売上金額が、 ¥196×¥200=¥39,200(販売数)×(販売価格)=(売上金額)

2回目の販売である8月11日の損益分岐点も同様に計算する。商品の販売数は1回目の販売時と同じ196本だった。

売上 ¥39,200

費用 ¥15,051

純利益 ¥24,149

固定費÷(1-変動費率)=損益分岐点

(¥13,946÷(1-(¥1,105÷¥39,200))=約¥14,350

1回目の表と2回目の表を比べてみると利益が大きく変わっていることが分かった。これは、やはり費用の経費を抑えられたことによる成果だと考えた。

売上 ¥39,200費用 ¥25,778

純利益 ¥13,422

式に当てはめていくと

これは、団子を96本販売するとマイナスにならない計算となる。

団子を約70本販売すればマイナスにならない計算となった。1回目の販売時に比べ、損益分岐点に¥5,023の違いが出ていることがわかり、

余分な費用の追加などを減らすことでもっと効率的で商業的な数字になるのではないかと考えた。

た。地方での販売となり、食品ロスなどを減らすために価格の設定を行った。そのことを踏まえて、私たちは定食を販売する際の価格を本来の30%にすると¥960になるが、原価率を45%にすることで¥640となり安く提供することができると考えた。

(2)みなっとで販売した際の換算を行うみなっとの日曜市で定食を販売したと仮定して計算すると、みなっとを訪れる

方がおよそ3,000人、その内、300人に食べてもらうことができたと仮定すると

300(人)×¥640=¥192,000(人数)×(販売価格)=(売上金額) となる

人口の多い町に換算していくとさらなる利益が見込め、ビジネスとしての可能性が高ると考えた。

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第 3章 実 践5-1.販売活動(道の駅みなっとでの日曜市)

5-2.地元メディアとの協力

7月21日に道の駅みなっとの日曜市で、「すり身揚げ坊ちゃん団子風」を約200本販売した。前日に部員全員で販売の準備を行った。ポップ広告の作成や実際に調理するための油や団子を刺すための串、調味料やキッチンペーパーなどを購入した。フライヤ―とガスについては地元業者から借りることができた。当日は、早朝から販売に向けて店舗作りや販売準備を行った。天気は雨で店舗の設置スペースも狭く、保温機、机を配置する場所など課題も多くあったが協力して準備することができた。

昨年7月の西日本豪雨災害の復興事業として、8月3日に松山市子規記念博物館で郷土料理を知ってもらう活動を実施した。まず、事前打ち合わせとして、料理研究家の中村和憲先生に八幡浜高校へお越しいただき、指導を受けながら実際に試作を行った。当日に使用する「デリシャ酢」と名付けた寿司酢を完成させた。宇和島市吉田町の「玉津柑橘クラブ」の方々が生産したみかんジュースで炊いたご飯に「デリシャ酢」を混ぜ込み酢飯にした。具材は八幡浜産ハモのすり身・梅肉・ねぎ・大葉・刻み海苔・細かく刻んだ沢庵などを使い、色彩豊かに仕上げた。

いざ販売が始まると、たくさんのお客さんに購入していただいた。なかには、5本以上を一気に購入していただいたお客さんもいて正直驚いた。若者をターゲットに販売を考えていたが、実際は主婦層の購入が多いように感じた。調理については常に温かい出来立ての状態で

お客さんに食べていただくために団子を揚げるタイミングを工夫した。上げる時にエビ粉が剥がれ落ちたり、団子が串にちゃんと刺さってなかったりなどの課題も見つかった。時折、雨風が強くなったため販売のペースが落ちないかと心配したが、予想以上に早く売れ、2時間弱で約200本の串も完売した。

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第 3章 実 践

未利用魚を活用したブランディング戦略

1.

5-3.大島での販売活動

7月14日に大島で大島テラス1周年記念イベントの打ち合わせを行った。「すり身揚げ坊ちゃん団子風」の販売数をどうするかなど話し合いを行い、当日の予定来客者数などを考慮して販売数を200本とし、1本¥200で販売することになった。みなっとの日曜市での反省を生かし、串の刺し方、雨風、暑さ対策などをしっかりと行いお客さんに出来たての「すり身揚げ坊ちゃん団子風」を販売できるよう準備を進めた。

実際に部員同士で自分なりの盛り付けを行い、どのように盛り付ければお客さんを引きつけられるかを考え、盛り付け方を工夫した。実際に中村先生、部員とで試食を行い、みかんとご飯は合わないと言っていた部員も美味しく食べることができた。八幡浜産のハモを使用していること、宇和島市吉

田町のみかんジュースを使用していることで西日本豪雨災害復興の願いを込めた。商品名は私たちA★KIND(アキンド)がメニュー考案した料理ということで「ハモ入りみかん寿司のデリシャ酢AKIN丼」と名付けた。

8月3日の早朝に、八幡浜高校で中村先生、部員とで調理を行ってから、車で1時間かけて会場である松山へ出発した。到着後、約300食の「ハモ入りみかん寿司のデリシャ酢AKIN丼」を無料で提供した。みかんジュースでご飯を炊くという斬新なアイデアや、高級魚であるハモを使っていることがお客さんに大好評であった。今後も継続して販売活動を行っていきたい。

当日の大島への来島者は普段の7倍ほどで、打ち合わせの時の予想通りであった。以前の日曜市の反省を活かし、エビ衣が剥がれないように油の温度を低くし、時間を掛けて揚げるなど工夫をしたため今回は失敗が少なかった。気温も高く決して販売に適した天候ではなかったが、熱中症対策もしっかりとでき、最後まで元気に販売活動を行うことができた。お客さんの呼び込みに苦戦したが、何回も絶え間なく声かけを行うことでお客さんを呼び込むことが出来た。売れ行きは好調で、前回と同様2時間弱で200本を完売させることができた。しかし、今回のように販売本数を少なめに設定するのか、売れ残りが出てももっと多く販売することを優先するのかは次回の販売活動までの課題として解決策を考えることにした。今後も新たな商品を開発し継続して販売活動を行っていきたい。

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下処理した「すり身揚げ坊ちゃん団子風}

イベント会場の様子

ハモ入りみかん寿司のデリシャ酢アキン丼

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第 4章 仮説の検証1.魚食の推進の成果

今回は給食交流会や魚食マップを配布することで多くの

若年層に地元の魚のおいしさを伝えることができたと感じた。交流会後のアンケートでは「おいしかった。」「また食べたい」「家でも食べたい」といった良い感想をもらうことができた。また、楽しく交流することができ、私たちの活動を知ってもらうことができたため、子どもたちが大人になった時に地元水産業で活躍するきっかけにもなったと感じることができた。

今回は主に未利用魚のブランディング化や商品開発に関する活

動を行った。八幡浜市政策推進課、愛媛新聞、八幡浜新聞などのメディアやSNSを通じて周知されるようになり、沢山の人に協力してもらい多くの活動に繋がったため、充実した活動になった。今回の具体的な活動として、7月にはみなとオアシス道の駅み

なっとで行われた日曜市で販売活動を行い、『すり身揚げ坊ちゃん団子風』を販売した。このすり身はハモを使用したものと、アジとヘボタチを使用したすり身であり、一般のスーパーで売られているすり身とは違い全体の7割が地元で獲れた魚で作られている。また現代の食べ歩き文化などを参考にし、気軽に食べることができるように、串に刺した団子状にしたため、子どもも簡単に食べることができた。一本で満腹感を得られるものであるため昼食や夕飯のために購入される方が多く、主婦層に人気があった。そして1本¥200の200本のすり身揚げは販売開始2時間で売り切れ、大盛況であった。しかし、午前中に売り切れてしまい繁盛するであろう時間に品物がなかったため、もっと多くの商品を準備しておくことでより多くの利益につながったのではないかと思われた。また、お客様からも改善する点など多くの貴重な意見をいただいたのでそれを参考に今後の活動に活かしていきたい。

2.ブランディング化を目指す商品開発について

しかし、この交流会をきっかけに子どもたちに自分たちが住んでいる地域の良さに気付いてもらい、誇りに思ってもらうことができたのではないかと思った。これからもこのような交流会を継続して行っていきたい。未来の八幡浜市の漁業従事者の減少を食い止め、若い人材を育成し、後継者を増やし八幡浜市の就労状況の課題を改善していくことで今後の八幡浜市の産業が良い方向に進んでいくだろう。

写真提供:愛媛新聞

写真提供:愛媛新聞

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しかし、現状は厳しく、現在の八幡浜市の漁業従事者や漁業団体の数は減少している。農業とは違い水産業は漁業権などの問題のため他人に委託することが難しかったり、従事者の高齢化により無理に漁をすることができないという理由から漁獲量が年々減少している。また今年度は昨年度よりも840トンも漁獲量が減少しているというように数値としても明確に結果がわかっている。また、西日本豪雨災害の影響もあり、養殖されていた魚が被害に遭うなど甚大な被害をもたらした。このため水揚げされた魚の値段も上がらず収入に繋がらない、その上長時間の仕事であるため、特に若者が漁業から離れていく原因になっているという現実がある。

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第 4章 仮説の検証

未利用魚を活用したブランディング戦略

また、8月にはテレビ局のイベントにも参加した。料理研究家の中村先生にもご指導していただきながら『ハモ入りみかん寿司のデリシャスアキン丼』というみかん寿司を提供した。このみかん寿司には地元で獲れたハモのすり身とみかんジュースを使用した。今回使用したこのみかんジュースは豪雨災害で被害を受けた宇和島市吉田町の玉津のみかんジュースである。また一般のみかん寿司とは違い、『デリシャ酢』という、一から出汁を取った和風な酢を使用したため、みかんの皮の苦みなどは抑えられ、まろやかな味わいとなった。このお酢はお客様からも好評で今までみかんごはんが苦手だった方々もスムーズに食べることができたと感想をいただいた。中に入れたすり身は良いアクセントとなりハモの風味も感じられ、すり身独特の弾力のある食感がみかんの風味と合いおいしく仕上がった。他にも大葉、梅、たくわんなどを入れた。様々な組み合わせで食べることで毎回新鮮な味を楽しむことができ、見た目も鮮やかで食感も楽しんでもらえる一品となりお客様からも評判であった。

3.今後の活動

今回の活動を様々なメディアに取り上げていただき、11月には大阪の百貨店で未利用魚を使用した商品の販売実践が決定した。大阪では「3色A★KINDANGO」を販売する。百貨店での販売になるため多くのお客様が来ることが予想される。そのため接客、呼びかけなどの販売力が必要となってくるだろう。

今回の活動はターゲットを若年層に絞ったことで若い人に魚のおいしさを伝え魚食産業への興味・関心を高めることができたと感じた。しかし、販売をしていく中で主婦層からの支持も高かったため、これからの活動ではターゲット層を広げ、多くの利益を得ることができるのではないかと感じた。また、ブランディング化するための過程やイベント企画のノウハウなど様々なことを学ぶことができた。そして、多くの人に地元の魚のおいしさを伝え漁業活性化に繋がる活動ができたと感じることができた。

試作会→

テレビ局のイベント

また、今回の活動により私たちの活動が周知され前進していると感じた。まだまだ解決しなければならない課題は多く道のりは厳しい状況ではあるが、高校生ならではのPR力でこれからも愛媛県の魅力を発信し、地元への手助けができるよう活動を継続していきたい。そして、後継者不足などの問題を解決し、八幡浜市の産業の未来を明るくしていきたい。

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未利用魚を活用したブランディング戦略

未利用魚を活用したブランディング戦略

第 5章 発 展

八幡浜市唯一の有人島である大島でも様々な活動を行った。4月の活動では、自分たちで

企画したツアーを実施した。私たちが考案した未利用魚のメニューを実際に大島テラスで販売する活動を行った。また、ツアー参加者に未利用魚の説明を行った。過去のみかん検定や大島に流れ着いたシーグラスでフォトフレームの作成も行い、参加者の方々が笑顔で楽しく活動してくださり、私たちもやりがいを感じることができた。しかし一方で、打ち合わせや準備が十分ではなく、連携がうまくいかない場面もあり、新たな課題が見つかった活動でもあった。8月には、大島1周年の記念イベントで、私たちが考案した未利用魚のメニューの販売をし

たり、大島テラスの手伝いを行ったりした。たくさんの方々が大島に来てくださり、未利用魚を使った「すり身揚げ坊ちゃん団子風」という商品を完売させることができた。

(1)様々な活動の反省点現在八幡浜市にはまだ知られていない魚、未利用魚が数多く存

在している。また、安定供給が難しく調理に手間がかかるため、商品化が進んでいない。安く販売されたり食べられたりする魚でありながらそのまま廃棄されるなど、多くの問題を抱えている。そこで私たち高校生は未利用魚を市内小・中学生に給食として提供した。また、市内の小学校を対象とし、小学生と一緒に私たちA★KINDが給食を食べる給食交流会も実施した。学校給食として提供することにより、より多くの地元の子どもたちにたくさんの未利用魚の存在を知ってもらうきっかけになった。また、地元で獲れる魚を使用しているため、地産地消にもつながり、八幡浜の漁業に興味をもってもらえた。実際に給食を提供し、子どもたちとの交流の中で、「おいしい!」という生の声を聞くことができた。愛媛新聞、八幡浜新聞などにも取材していただき、給食交流会の様子をメディアに取り上げていただいた。今後も新聞やテレビに取り上げていただくことで、私たちが考案したメニューが八幡浜市だけではなく、市外の方にまで紹介することができると考えている。

大島での販売活動は、未利用魚を発信していく上での大きな活動となった。当日は、テ

レビ局の取材も行われた。この半年近くで、大島の知名度は急激に向上してきている。大島テラスを運営されている乘松様は、元地域おこし協力隊の方だ。そのため、地域発信のノウハウを知っている。これからさらに大島で未利用魚を活用したメニューの販売に協力していただくことで、さらに未利用魚の認知度を上げられる可能性がある。

未利用魚の説明の様子 フォトフレーム作りの様子

1.漁業活性化への道

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未利用魚を活用したブランディング戦略

第 5章 発 展

未利用魚を活用したブランディング戦略

(2)未利用魚を広めていく上での予算の有効活用

しかし一方で、予算の問題もある。今年度八幡浜高校では、「地域に生き地域とともに歩む高校生育成事業」の研究指定を受けている。その中で割り当てられた予算の一部を私たち商業研究部の活動にも使った。これらの予算は、魚食マップの作成や地元イベントでの販売実践、伊予灘ものがたりやフェリーのお見送り活動のかぶり物や旗などの費用に使用した。しかし、私たちだけでの力で、未利用魚の販売促進を実現することは難しい。そこで、地元企業や行政などと協力して、魚食活動の予算の増加や、未利用魚の活性化を実現させる必要がある。私たちA★KINDの活動を継続していくためにも、八幡浜市水産港湾課をはじめとした行政や地元企業と協力して、さらに未利用魚の良さを発信していかなければならない。

私たちが考案した多くのメニューの販路拡大が現実になってきている。市内ですり身の

加工食品などを生産している八水蒲鉾株式会社に取材に行き、八幡浜のすり身の現状や現在私たちが考案したすり身団子の商品化について沢山の知識を得ることができた。私たちの考えた商品を実際に生産していただけないか尋ねてみた。しかし、企業が私たちの考案した新メニューを生産するとなると、それを作る機械の設備投資などに費用がかかってしまう。そして何より、新商品が多くの利益を出せる保証はないので実現は難しいと回答をもらった。そこで、今後私たちが考案したメニューを商品化する場合は、アドバイスをいただくなど協力していただくことになった。

地元イベントや大阪での販売活動を発展させることで、「すり身揚げ坊ちゃん団子風」

や「白身フライの甘辛丼」、「ハモ入りみかん寿司のデリシャ酢AKIN丼」、「三色A★KINDANGO」などは、地元企業とのコラボ商品として商品化を実現させていく予定だ。そして販売活動を実践し、利益を出すことでビジネスとして裏付けできる資料を作成していく。そして、地元企業に一人でも多くの雇用を生み出すために八幡浜市の魅力が伝わる研究を進めていき、さらに充実した活動にしていきたい。

2.ブランディング戦略の可能性

地域おこし協力隊の方々との話し合い活動大島の方々から料理の説明

すり身揚げ坊ちゃん団子風 ハモ入りみかん寿司のデリシャ酢A★KIN丼

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未利用魚を活用したブランディング戦略

未利用魚を活用したブランディング戦略

第 6章 まとめ

今回の活動では、「魚食の推進」と「未利用魚のブランディング戦略」の2本柱で研究と実践を重ねてきた。地域の方々と多く関わる中で、地元を愛する人たちと出会い、その方々の郷土愛を知ることができた。これからも郷土愛を育むために、今までの活動を継続していくことが大切だと感じた。昨年から継続している給食交流会に加え、もっと多くの人に未利用魚の魅力を知ってもらうためにも、スーパーや地元イベントで出店するなど、販売の機会を多くしていきたい。そして、販売活動を行う中で、八幡浜で水揚げされる魚のおいしさだけでなく八幡浜市の魅力も伝えられるよう取り組みを続けていく。

「人口減少」「少子高齢化」「後継者不足」など地方には共通した問題は多くある。これらの問題に高校生ならではのアイデアと行動力を取り入れ、今までの研究をより進化させ、もっと多くの人に八幡浜市の魅力の向上・発信を目指し、研究を重ねていきたい。そして、関係機関と協力関係を築いていき、雇用機会の増加や地域経済の活性化を目指し、八幡浜市をさらに盛り上げていきたい。

今年の活動テーマである「ソーシャルビジネス」には社会問題の解決を目指しながら、継続して活動を行っていくという意味合いがある。八幡浜市が抱える問題を考慮し、少ない子どもたちを大切に育て、そして、ふるさとで活躍できる環境を提供することの大切さを多くの地元の方々と関わることでより深く学ぶことができた。私たちの未利用魚を活用した活動はまだ続く。これからも未利用魚の商品化に力を入れ、私たちがビジネスとして裏づけできる資料を作成し、私たちの作った商品の販売を委託するなど地元企業との関係を深めていきたい。

1.新しいビジネスへの挑戦

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ご協力いただいた企業・団体等

八幡浜給食センター 港拓実行委員会

大島テラス 愛媛調理専門学校

JA西宇和 四国ツーリスト

ふるさとチョイス 南海放送

八幡浜みなっと 株式会社さとふる

コダテル 八幡浜市商工会議所

昭和水産 八西CATV

JR四国 愛媛新聞社

KIOSK 宮川菓子店

八幡浜新聞社 YGP

八幡浜市水産物地方卸売市場 八水蒲鉾

シーフードセンター八幡浜 日土小学校

四国旅客鉄道株式会社 八幡浜市役所

愛媛県南予地方局 地域おこし協力隊

伊予灘ものがたり企画室

未利用魚を活用したブランディング戦略

ご協力ありがとうございました

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