36
「波動加熱と電流駆動」日米ワークショップ報告 標記タイトルのmeetingが,1983年12月下旬,MITとGATとにまたがって開催された。 我が国からの出席者は,田中茂利(京大理),杉原 亮(名大プラズマ砺),阿部宏男(京大工), 福山 淳(岡山大工),渡辺二太(広島大核融合,現地参加)であった。一方,米国側の参加者は, C.S.Liu(GAT),M.Porkolab(MIT),A.Bers(MIT),B.Frled(UCLA),F.P W.Thompson(UC San Diego),A.Kaufmann(UC Berkeley)等約50名であった。 当ワークショップは,RF加熱と電流駆動に関するものであったが,日本側からの要請,即ち「本ワー クショップでは,ICHと電流駆動に、け論の焦点をおきたい」に応えた形で,ICHと電流駆動の 、sessi‘♪nが最も充実したsessionとなった。このことは別の見方をすれば,この2つのtopicsが現今の 最重要テーマであるということに,日米双方の意見が一致したことを示している。発表された研究の数 は約50件に及んだが,その8割,約40件は上記2つのtopicsに直接関係したものであった。 ここで,この2つのtoplcsに関する日米の研究をお・おまかにreviewして,その特徴,問題点を述べる ことにする。 1) RFによる電流駆動 1) LHWによ、る電流立ち上げ実験 立ち上げ実験は,電流駆動の実験のうちでも,最も新しいものである。小型装置における実験は, WT-2(京大理)のそれが代表的であるが,そこにおいて初めて原理的成功をおさめた立ち上げ実験が, 中型装置において行われた。 PLT(プリンストン大プラズマ研)では,150kAまで電流を立ち上げ ることが出来たξ報告された。JIPPT一且U(名大プ、ラズマ研)の結果は,絶対量こそ及ばないものの, そのsc&lingはPLTと同じ,又はそれを上まわるものである。 il〉 シミュレーション 阿部は,粒子シミュレーションによって,density cuto∫fが波の周波数に強く依存することを示し, 又アンテナのhigh n ll edgeの役割りの重要性を示唆した。 Ill)ECH,ICRFによる電流駆動 LHWによる電流駆動には,後に述べるようにいくつかの問題点があるが,それらのいくつかを乗り 越えられるものとし,て,上記2つの手法が以前声り考えられていた。Dandl,Hamasaki等は,E¢Hを 使うことによってトカマクの中のmirror㌻r即pingに非対称性を生じさせ,電流を流す計算を示した。 211

「波動加熱と電流駆動」日米ワークショップ報告jasosx.ils.uec.ac.jp/JSPF/JSPF_TEXT/jspf1984/jspf1984_03/...難 「波動加熱と電流駆動」日米ワークショップ報告

  • Upload
    others

  • View
    5

  • Download
    0

Embed Size (px)

Citation preview

難 「波動加熱と電流駆動」日米ワークショップ報告

 標記タイトルのmeetingが,1983年12月下旬,MITとGATとにまたがって開催された。

我が国からの出席者は,田中茂利(京大理),杉原 亮(名大プラズマ砺),阿部宏男(京大工),

福山 淳(岡山大工),渡辺二太(広島大核融合,現地参加)であった。一方,米国側の参加者は,

C.S.Liu(GAT),M.Porkolab(MIT),A.Bers(MIT),B.Frled(UCLA),F.Perkins(PPPL),

W.Thompson(UC San Diego),A.Kaufmann(UC Berkeley)等約50名であった。

 当ワークショップは,RF加熱と電流駆動に関するものであったが,日本側からの要請,即ち「本ワー

クショップでは,ICHと電流駆動に、け論の焦点をおきたい」に応えた形で,ICHと電流駆動の

、sessi‘♪nが最も充実したsessionとなった。このことは別の見方をすれば,この2つのtopicsが現今の

最重要テーマであるということに,日米双方の意見が一致したことを示している。発表された研究の数

は約50件に及んだが,その8割,約40件は上記2つのtopicsに直接関係したものであった。

ここで,この2つのtoplcsに関する日米の研究をお・おまかにreviewして,その特徴,問題点を述べる

ことにする。

 1) RFによる電流駆動

  1) LHWによ、る電流立ち上げ実験

 立ち上げ実験は,電流駆動の実験のうちでも,最も新しいものである。小型装置における実験は,

WT-2(京大理)のそれが代表的であるが,そこにおいて初めて原理的成功をおさめた立ち上げ実験が,

中型装置において行われた。 PLT(プリンストン大プラズマ研)では,150kAまで電流を立ち上げ

 ることが出来たξ報告された。JIPPT一且U(名大プ、ラズマ研)の結果は,絶対量こそ及ばないものの,

 そのsc&lingはPLTと同じ,又はそれを上まわるものである。

  il〉 シミュレーション

 阿部は,粒子シミュレーションによって,density cuto∫fが波の周波数に強く依存することを示し,

又アンテナのhigh n ll edgeの役割りの重要性を示唆した。

  Ill)ECH,ICRFによる電流駆動

 LHWによる電流駆動には,後に述べるようにいくつかの問題点があるが,それらのいくつかを乗り

越えられるものとし,て,上記2つの手法が以前声り考えられていた。Dandl,Hamasaki等は,E¢Hを

使うことによってトカマクの中のmirror㌻r即pingに非対称性を生じさせ,電流を流す計算を示した。

211

核融合研究第51巻第3号  1984年3月

この可能性は大きいので実験的検証が望まれる。一方,ICRFと電子とにランダウ共鳴を通じて相互作

用を起し,電流を生じさせる試みについてMauが具体的に計算を行った。そこでわかったことは,

アルファ粒子との相互作用が大きな問題となるであろうということでありた。

 lV)新しいアイデア・

 渡辺は,LHWの空問的なprof量leの非対称性を利用すれば,電流立ち上げの効率が格段によくなる

はずであると提案した。このアイデアは早急に実験的検証が望まれる。Fischは,荷電粒子のかたまり

(pellet)を外部から入射することによって,電流を生成するアイデアを示した。しかし,RFの場合に

くらべて,25%程度の効率の上昇を期待出来るのみである。電流保持では,高速電子と波を相互作用さ

せることが重要である。この際には,波として,性質のよいLHWの速波を使ったらどうかとの注目す

べき提案があった。

 V) いくつかの間題点

 ところで,電流駆動の物理的理解は必ずしも充分であるとは云えない。1つの問題は,入射波と粒子

とのcouplingが,理論の予測よりはるかによいということがある。この説明として,MITの理論グル

ープは,プラズマ中に入った波は,通常の予測よりはるかに,波長が短くなり,伝播がおそくなるとい

う計算を示した。又,GATのグループはシャーと揺動による波の散乱のため,伝播が遅くなるという

考え方を提案した。しかし,これらもコンセンサスを得られたとは思えない。これ以外に,駆動出来る

プラズマの密度に限界がありそうだということ,効率が密度の逆数に比例するため,高密度では使えな

くなるのではないかということなどが,大きな問題である。面),IV)で述べた手法は,これらのこと

を意識した,新しい提案であるが,いづれも実験的検証が必要である。新しい問題として浮び上って

きたものが前に述べたアルファ粒子による波の吸収である。これに対する対策はいまだ考えられていな

い。しかし,逆に,アルファ粒子を使って電流を生成させるという岡野達のアイデアは参考になるの

ではないだろうかQ

 2) IonCyclotronHeating

 I)アンテナ

 ICRF加熱にとって,重要な問題の1つは,結合効率のよいアンテナを製造することである。

Perkinsは1っのモデルを提案し,1㎡のポートから100MW注入出来ると主張した。しかし,数個

所に高電庄のかかる狭いギャップを含んでいるため,耐圧の問題をどうするのかが問題となった。

212

内外情報 「波動加熱と電流駆動」日米ワークショップ報告

 ll) Ion Bemsteln Modeによる加熱

 この実験が,JIPP T-H、Uによって行われ,予想以上の成功をおさめた。このことが報告されたと

たん,一躍,本ワークショップの最大のトピックスとなった。そして,JIPP T-H Uにおける更なる

実験,PLTでscale upした実験を求める声が多くあがった。

 ili) ICRF加熱

 PLTでの実験は,加熱と不純物という方向へ向っている。波動加熱にとって,不純物生成は最大の

問題であることから云って,当然の方針であろう。

 lV) シミュレーション

 Ion Bemstein mode加熱のシミュレーションを阿部,岡田が行い,結果を報告した。同じく,坂井等

によって行われた,ICRF加熱のシミュレーションの結果が報告された。これらのシミュレーション

は,世界的に初めてであるこどが,出席者に強い印象を与えた。

 加熱は,kineticな効果を無視しては考Fえられず,それには粒子シミュレーションが強力な武器にな

るのであるが,ICHの領域でのシミュレーションの試みが米国にないことが不思議である。粒子シミュ

レーションでは』長時間の計算時間が必要であり,そのための費用が出せないのが最大あ原因のようで

あった。この点は我が国は恵まれており,この分野の研究は一層推進すべきであるJ

 V) 数値解析

 解析的手法と,数値計算とを共用した福山等の,ICRF加熱の研究報告は,その見通しのよさと有用

性とが認められて好評であった。一方,米国では,Fokker-Planck項と準線形項を含んだ運動論的方

程式を,大がかりに計算機を使って解くことはかなり一般的である。物理設計等にはかかせない手法で

あろう。

                                (文責:杉原 亮)・

トカマクにおけるMHDベータリミットに関する専門家会議

                         (IAEA主催)、

 標記会合が,1984年7月4-6日,INTORワークショップの一環としてIAEA主催でローザンヌ

(スイス)で開催されます。

213

.核融合研究第51巻第3号  1984年3月

 この専門家会議の目的は,トカマクプラズマにおけるMHDベータリミットの役割りをレヴュー,

分析し,とくにINTORパラメータに関連して,理論と実験との比較を行うことにあります。

『この会議には,西独・日本・英国・米国,その他から約30名の専門家の参加を予定しています。この

会議には,正規の参加者のほかオブザーバーとしての参加も可能です。

 なお,大学関係者で参加希望の場合は,文部省学術国際局研究機関課へご連絡下さい。ただし,派遣

経費は参加者負担とのことです。

Twelfth lnternational Syrnposium on the Effects

        of Radiation on Materials

主催 ASTM Committee E-100n Nuclear Technology and Applications

期日 1984年6月18日~20日

場所 Williamsburg Hospitality House

   Williamsburg,Virginia,U.S.A

内容 OPressure vessel steels,ONeutron・lnduced sweHing,OMechanical properties,

  O Radiation(lamage』studies

参加登録申込締切 1984年6月4日

詳細問合せ先

  ASTM

  Mae Rumer

  1916 Ra6e Stre6t 聖

  Philadelphia』ゴPA19iO3, U。S.A.

214’

内外情報

Workshop on the Generation of High Fields for Particle

       Acceleration to Very High Energies

主催  CERN

期日  1984年9月25日~10月1日

場戸斤  Laboratori Nazionah del1’INFN,Frascati

内容 OPlasma beat-wave,,OLaser&grating,OInverse

  O VVakefield, and others

参加登録申込締切 1984年6月10日

詳細問合せ先   Dr.P.Bryant,CERN,Geneva,Swiss.

         Telex:23693 CH

F.E.L., O Two-beam,

SPRING COLLEGE ON RADIATION IN PLASMAS

主催  The Int‘lmational Centre for Theoretical Physics

期日 1985年5月27日~6月21日

場所 Miramare_Trieste,ITALY

内容 O Space plasma physlcs(27May-4June),O Laser/beam-plasma interactlons(4-12

  June),O MagneticaHy confined plasmas(12-21June)

参加登録申込締切 1984年11月15日

詳細問合せ先

  Intem&tional Centre for Theoretical Physics,

  College on Radiation in Plasmas,

  P.0.Box586

  1-34100Trieste,Italy

215

核融合研究第51巻第3号  1984年3月

FUSION CALENDAR

本学会1具務局で知り得たプラズマ・核融合関連の国内・外の学術的会合をカレンダーにまとめました。

これ以外の情報をご存知の会員の方は,事務局までご…報下されば幸いです。

なお,記載は①名称,②開催地,③主催等,④詳細問い合ll先です。また,④欄の「NF」にっ

いてはIAEA発行のNuclear Fusion誌をご覧下さい。

1984.5.14-16

①IntemationaIC・nferenceonPlasma Science

②St.L・uis,Missouri,USA

③NuclearandPlasmaScienceS・ciety, Institute of Electrical an(玉 Electronics

 Engineerlng

④NF

1984.5.14-18

①6・thlnternati・nalConference・n Plasma Surface Inter&ctions.in ControHed

 Fusion Device

② 名古屋大学

③ 名古屋大学

④プラズマ研究所宮原昭教授

1984.5,21-22

① Workshop on Synergistic Effects in

Surface Phenomena relαted to P玉asma-

Wall Interactions

② 名古屋大学プラズマ研究所

③名古屋大学プラズマ研究所

④プラズマ研究所鎌田耕治教授

1984.6.3-8

 ① 1984 Annual American、Nuclear’Soc.Meeting

②NewOrleans,LA

1984.6.18-20

 ① 12-th International Symposium on

 the Ef£ects o蛋 Ra(iiation on klaterials

②Willi&msburgH・spitalityHouse Williamsburg,Virginia,U.S。A。

③ASTMCommitteeE-100nNuclear Technology and ApPlications

④ASTM

1984.6.25-27

 ① 17・th Fluid Dynami亡s, Plasma

 Dynamics and Lasers Conference

②Snowmass,C・lorado,USA

③AmericanlnstituteofAeronautics and Astronauti(二s

④NF

216

I

FUSION CALENDAR

1984. 6. 27-29

(D 11-th Annual Conference on

Physics

~) Cambridge, UK

O Institute of Physics

~) NF

1984. 6. 27-7. 3

(D International Conference on

Physics

~) Lausanne, Switz('rland

O European l)hysical Society

~) NF

Plasma

Plasma

1984. 7. 4-6

(D h~7-i71 ~ It7~) MHD~: ~7*) ~ ・y l' i[ f~I~ 7;~ ~~+ f~ ~~~~

~) ~1-~f~;~, 7.4;~

~) IAEA

~) ~'~-+-15~i*~'-・-f'lli~~I~~*-,~J~~~"~~*~~f~"~-~

1984. 7. 23-27

(D 9-th International Conference on

Atomic Physics

~)' Seattle, USA

O O ICAP-9, Dept. of l)hys.,, Univ. of

Washington Seattle, WA 98195, USA

1984. 8. 19-24

O 19-th Intersociety Energy Conversion

Engineering Conference (IE(;EC)

~) San Francisco, CA

~)

O ¥Vallace J. Dodson, Gen'l Chairman

Advanced 'I'echnology Division

Raymond Kaiser Engineers

P. O. Box 23210 Oakland, CA 94623-2321 41 5 / 271 -4268

1984. 8. 21-24

O Europhysics Conference on Software

Engineering, Methods and Tools In Computational Physics

R Brussels, Belgium

O European Physical Society/ Computational l)hysics Group

O EPS/CPGBrussels Conference 84-Attn. Dr. Paul Van Binst

University of Brussels IHE

CP 230, Bd. du Triomphe

B-1050 Brussels, Belgium,

Tx 61051 vubco

July 1, 1984 : Deadline for application

attendance

1984. 8. 28-9. 5

(D XXI URSI GENERAL ASSEMBLY

~) FLORENCE ITALY

O URSI ~) .,i,.-)¥.-r';~~i,~l3 7l~~,r ~~~*'~~ t~;

P. Bauer and M. Petil, CNET/ RPE 38-40 rue du General Lecerc 92131 Issxles-Moulineaux France

Deadline for abstract : March 31, 1984

21 7

I

1984 9. 3-7

O 12-th Summer School and Symposium

on the Physics of lonized Gases (Sl)IG)

R Sibenik, Yugoslavia

~) Union of the Societies of Mathematicians,

Physicists and Astronomers of Yugoslavia

O NF Dr. M. Popovic

Institute of Physics, P. O. Box 57

1101 Beograd, Yugoslavia

1984. 9. 12-19

(D 10-thIAEA InternationalConference

on Plasma I)hysics and Controlled

Nuclear Fusion Research

R London, UK

O IAEA

O NF Conf. ~erv. Section. IAEA

P. O. Box 100

A-1400 Vienna, Austria

1984. 9. 16-20

~) Fifth APS Topical Conference on

High 'Femperature Plasma Diagnostics

(~) Tahoe City, California, U. S.A.

@ American Physical Society

~) Bulletin of the APS 29 No. 3 (1984) p. 598

218

1984~1; 3 ~

1984. 9. 24-28

(D Technical Committee on Plasma Confinment

and Heating in Stellarators

O F. G. Germany

O IAEA

O NF

1984.

~)

R O O

9. 24-28

1 3 -th Symposium on Fusion Technology

Varese, Italy

NF

1984. 9. 24-28

(D ICTP Trieste Commemorative Meeting on the Next Twenty Years

in Plasma Physics

R TRIESTE, Italy

O International Centre for

Theoretical Physics (ICTP)

O r~*'jC~~~ ~~i~Jl[~~{~.J,.~~, ~~lj~ p~lfil4~Lj~; I~[S

r~~j~~~~~~~~/-p*f~E~~aji,**,*~~, ~f~~~j~~~-~~~ ~fEElr~~=~~~-~~~~

l',)~)~~- IJ'- Eif*'~~l~_1"I.i

Dr. Breadan McNamara, LLNL. USA invitation only

1984. 9. 25-10. 1

~) Workshop on the Generation of High l<'ields for Particle Acceleration

to Very High Energies

R Frascati

R CERN ~) CERN

II

FUSION CALENDAR

1984. 10.

(D Te'chnical Committee

Blanket and First-Wall

~) USA

(~) IAEA

~) NF

on Fusion Technology

1984. 11. 19-22

~) 1-st International Conference on Fusion Reactor Materials (ICFRM-1)

~)

(~)

O

I

1984. 10. 8-17

~) Tbilisi School-Workshop on Plasma

Physics and Controled 'l'hermonuclear

Fusion

~) Telavi, GSSR, USSR

~) USSR Academy of Sciences

O N. Tsintsadze, Institute of Physics,

Georgian Academy of Sciences, Tbilisi,

USSR. TffJI[~~~: (j~;k )(7'~ 7~-. ~~)

};._Lj Jl]).J~~~ ( I~;: J~~~:)

1984.

~)

R O O 335

NY

10. 23-11. 3

American Physical Society

Boston, MA

American Physical Society East 45-th Street N_ ew York,

10017

1984. 10. 27-11. 3

~) Meeting of the Plasma Physics Division

of the American Physical Society

R Boston, Massachusetts, USA

~)

~) NF

1985. 2. 25-28

(D Fifth Topical Conference on Atomic

Processes in High Temperature Plasmas

~) Pacific Grove, California

U. S. A.

O APS O Bulletin of the APS 29 No. 3 (1984) p. 599 .

1985. 5.

CD International Conference on Plasma

Science

R pittsburgh, Pennsylvania, USA

O Nuclear and Plasma Sciences Society et al.

O NF

1985. 5. 27-6. 21

~) Spring College on Radiation

in Plasmas

(~) International Centre for Theoretical Physics

Italy , Trieste,

O IAEA, UNESCO O ~~)¥C~~=~~ i;LjJjl~~~~A

- 'J*' rl

B. McNamava, LLNL

219

I

1984~l; 3 ~

1985 6. 3-6. 6

~) The fifth COMPUMAG Conference on the Computation of Electromagnetic

Fields

R Colorado State University,

Fort Collins, Colorado, USA

O ~fH~ Colorado State University

O SECRETARIAT N. Ida. S. R. Satish

Electrical Engineering Department

Colorado State Univ.

Fort Collins, Colorado 80523 USA tel (303) 491 -7855 /491-5101

T. Nakata r~JLLI)~'~~~-=-il'-~~~'--.__*lS'~~~~~..~~l~~~~

Abstract deadline : 1984~l~lO n 10 ~

Full paper deadline : at Conference

1985. 11. 18-22

~) 11-th Symposium on Fusion Engineering

O Austin, Texas, USA

O Nuclear and Plasma Sciences Soclety

et al.

O NF

1987. 10. 27-30

(~ 12-th Symposium on Fusion Engineering

R princeton, New Jersey, USA

@ Nuclear and Plasma Sciences Society et al.

O NF

1986 8 31-9. 7.

O ~:-th International Conference on

Electron Microscopy

R ~.'~.~' ~1S

O ' I_J ~j~~~~;~~1~-~f~l!P'~;~Cljf'i',~~~~~~"t:~~~

O '~-'.J* ~[~j~~'~~~*~~~'l3~・'~'~[J>~i:~f~X/ ~t~=-i

1984.8.21 24

(D Europhysics Conference on Software

Engineerin*", Methods and Tools in Computational Physics

~) Brussels, Belgium

O European Physical Society et al.

O Dr. Paul Van Binst, Univ. of Brussels IIHE CP 230, Bd. du 'l'riomphe,

B-1050 , Brussels

220

《5

プラズマイオン分析器の開発

菅井秀郎,小島啓明,森 直生,豊田浩孝,奥田孝美

      (名古屋大学工学部)

    (1984年2月23日受理)

Development of a,Plasma Ion Ana,lyzer

Hideo Sugai,Hiroaki Kojima,Tadao Mori,

Hirota,ka Toyoda,a,nd Tεしka,yoshi Okuda,

(Received Februa,ry23,1984)

Abstract

   A P夏asma ion a,nalyzer for meas皿ing mass,虚ensity and temperature of ions

in a multi-ion species plasma has been devdoped. The analyzer隻s a simple a皿d

compact mass spectrometer where the magnet豊c field confining a plasma is used

directly for the 180 magnetic deflection of accelerated ions.  The numerical

simulations of the ana置yzer characteristics provide the useful guiding Principles for

the da,ta a皿a,lysis as well as the optimum analyzer design。 The test measureme皿ts

of a two-ion species plasma ha,s been ma,de,and the results are in good agreement

with t翫e theoretical predictions an廿the spectroscopic measureme皿ts.

§1まえがき

一種類だけのイオンと電子から成るプラズマは,理論上は考えられても現実には,その生成過程に

おいて不純物イオンが混入するので存在しえない。現実のプラズマは一般に多種類のイオンから成り

立っており,それぞれのイオン種の密度や温度が本質的に重要なパラメータになる場合がしばしばあ

る。たとえ微量であっても核融合反応に決定的な影響をもたらすので,不純物イオンの種類・密度・

空間分布などを知ることは必要不可欠になっている。また,イオン・イオンハイブリット共鳴を利用

するRF加熱1こおいては少数イオンの混合比が鍵であり,NB I加熱用のイオン源においてはプロトン

Fa£ulty of Engineering,Nagoya,University

221

核融合研究 第51巻第3号 1984年3月

の比率を極力高めることが重要な課題になっている。一方,半導体のプラズマプロセスにおい七は,

各種の分子イオンを定量的に測定することが必要になっている。

 このようなプラズマ中の各種イオンの分析法としては,可視光や真空紫外光を利用する分光法やレ

ーザー共鳴散乱法が用いられている・しかし何れの方法も大がかりな装置であり・ラングミュァプロ

ーブのように手軽に使用するわけにはいかない。そこで我々は,もっと小型で簡便なプラズマのイオ

ン種の分析器(プラズマイオン分析器)の開発を行った。

 プラズマイオン分析器は,質量の違いによるラーモア半径の差を利用し各種イオンを分離して,そ

の質量・密度・温度およびプラズマ電位を測定するもので,原理的には磁場偏向型の質量分析器の範

ちゅうに入る。プラズマ中のイオンをこの原理で分析する試みは古くからなされてきた1’2)。しかし,

測定されるイオン電流からプラズマのイオン組成を逆算するには幾つかの難問があり成功していない。

そこで我々は,まず第一にその逆算の方法を確立するために,分析器の特性を一般化して数薩シミュ

レーションを行った。この結果は一方において,小型・高分解能・高感度分析器の最適設計への指針

を与える。第二に空間電荷効果による密度の測定限界を明確にした。第三に,試作した分析器による

測定結果を分光法による結果と比較して,その信頼性をチェックした。

 これらの結果から,プラズマイオン分析器は小型で使いやすく,時間・空問分解能を備えた実用的

計測手段としての展望が開けた。今後,プラズマ物理の基礎実験やプラズマ・壁相互作用における境

界プラズマの診断,或は半導体のプラズマプロセスにおける診断など広い分野への応用が期待される。

以下の各節において,初めに分析器の理論的検討を述べ,次に実験的検討を述べる。

§2.プラズマイオン分析器の原理と構造

プラズマイオン分析器は・プラll』』』』, ら(Q)潟

ズマ閉じ込め用の磁場をそのまま1』・』1・・』,7』?  ト

欝認1凝』/ l                             2られない場合は・永久磁石などに・C・LLE¢T6R    品より測定用磁場を印加する)。                    ゴ

                             8図1(a)は,磁化プラズマ中に浸き,                   紘                               ACCELERATiNGれた分析器の原理図を示す・構造                        POTENTIAL V2

は簡単であり・スリットの切って    図1,プラズマイオン分析器の原理的な構造(a)と分析特性(b).

U2

10N

4士概

222

研究論文 プラズマイオン分析器の開発 菅井,他

ある入射電極G1,加速電極G2及びコレクタ電極Cから成る。G1の電位(V1、)をプラズマ電

位(Vp)に保ち・G2の電位(一V2)とCの電位(㎜Vc)をそれより低くバィアスする・電子は・G2

の負電位のため及びラーモァ半径が小さいためにG1,G2を通過できない。熱運動によってG1の

スリットから入ったイオンは,G2の負電位により一様磁場Bに垂直に加速される。G2のスリットを

通過したイオンは,無電界領域をラーモァ半径の円軌道を描き,コレクタ位置に合うとき電流として

観測される。コレクタ位置を固定してG2の加速電位(一V2)を変化すると,図1(b〉のように質量で

決まるある電圧の時にコレクタ電流のピークが出現する。

 G2のスリットとコレダタの距離をdとし,イオンの入射速度を無視すれば,コレクタ電流のピー

クを与える正味の加速電圧V。(=Vp+V2)は・簡単なラーモァ半径の計算から

               V。=qBd/8mi           (1)で与えられる。ただしq=Ze,miはイオンの電荷と質量であり,Bは磁東密度である。実際に分

析器を設計する時の便宜のために,数値式で示すと,

    V二1.20×10-5Zd2B2/μ           (1)ノ

    Oとなる。ここに,μ=mi/mp(mpは陽子質量)は質量数,dはcm,Bはガウス,V。はボルト

単位で与えている。

 何種類かの未知のイオンが混在する時,図1(b)の分析特性は幾つかのピークを示す。 そのピーク

電圧と(1)式から質量が求まり, ピークの高きからプラズマ申のイオン密度を,ピークの広がり具合

からイ埼ン温度を推定することが原理的に可能である。また,入射電極G1のバイアスを変えて特性

をとると,プラズマ電位を越える所から急激にイオン電流が減る。このことを逆に利用すれば,プラ

ズマ電位を測定することができる。

 なお,実用的には図1のような二重構造の箱型である必要はない。むしろ,プラズマ電位に近い大

きな電極G1をプラズマ中にむ・き出しにするのは,プラズマを乱すので好ましくない。後に4-1節

で述べるように,G2のスリット前面に最小限の大きさのG1をセットするにとどめ,残りのG2全

体を絶縁物でコーティングするか,浮動電位の導体箱で覆う。一方,原理図はコレクタを入射スリッ

トから1800回転した位置においているが,小型にするには90。ぐらいの方が良いと思われる。し

かし§4-1で述べるように,90。にすると質量分解能が極端に悪くなる。1800の時は自己収束効

果があり,図1(⑤の分析特性が最も鋭いピークとなって現われる。

223

核融合研究第5ユ巻第3号 1984年3月

§3・ 分析器の特性の解析

 §3-1   数値シミュレーションの方法

 磁場Bの方向に無限の長さをもつ理想的なプラズマイオン分

析器を考え,Bに垂直な2次元の閥題に帰着してその特性を調

べてみよう。図2のように磁場方向をz軸として・座標(x・y)

の原点を入射電極G1のスリットの中心に選ぶ。加速電極G2

のスリットの中心は座標(4,0)にあり,コレクタ電極は

(名一d)にある。G1・G2のスリット幅とコレクタ幅はいず

れも等しくaとする。G1の電位はプラズマ電位に等しく

y

 

B”…り…M”

                           O    し  X

                          .Ω、..._旦=2._ E=0

                           2

(v1=Vpニo),G2とcの電位は一Vaであるとする。こ

の時問題を3つの領域に分けて考える。すなわちプラズマ領域

                           Gl  G2(x<0),一様電場E=Va/4が存在する加速領域(0≦

                          図2.入射電極G l加速電極G2x<6),および電場のないラーモァ運動領域(x≧4)に分                            のスリーットと座標系。ける。

 プラズマ領域から加速領域へ単一種類の正イオンが,温度丁・をもつマックスウェル分布のランダ                        1ムな速度(VX1, Vy1)でランダムな位置から入射する場合を考える。個々の入射イオンについて

加速領域,ラーモア運動領域の軌道計算を行い,コレクタに到達するイオン電流I cをVaを変化し

ながら計算して,図1(b)のような分析器の特性を出したい。 ここで変数はVa,未知数はI cであ

り・パラメータは分析器のサイズ(d・a・4)・ 磁場Bおよびイオンの質量mi・電荷q・温度Ti

である。このようにパラメータが多いので,それぞれの値が違うたびにその特性を計算するのは余り

意味がない。そこである基本的な物理量で規格化し,一般則またはスケーリング則を導くことにする。

たとえば加速電圧V は(1)式のV で規格化し,分析器のサイズはdで規格化するなどして,次の        a         o

5つの無次元量にまとめる。

                   2  2加速電圧コレクタ電流

イォン熱速度

加速距離

スリット幅

ここでσはよく使うので(1y式に対応して,T

せば,

φ=8mi Va/q B (i

i=1/1   σ一(2mikTi/q2B2d2)1ρ

L=ゑ/d

A=a/d

       i〔eV〕・B〔G〕

         (2)

d〔cm〕を用いて数値式で示

224

研究論文 プラズマイオン分析器の開発 菅井,他

    σ一1.44×102T.・/2μ・/2Z一・/Bd         (2)ノ           1

となる。(2)式の1はG1のスリットを通過した入射イオン電流密度であり,プラズマ中のイオン密度

ni,熱速度Vi一(8kTi/πmi)1/2を用いて

   1-qniVi/4              (3)と与えられる。(1yと⑫)’式に対応して,n i〔cm-3〕を用いて数値式で示せば

    1-6.25×・・一14ZniTi1/2〆1/2〔A/cr♂〕     (3)ノ

となる。

時刻t一・に座標(・・y・)から速度(VX、・》で材ンを入射する・その後のイオンの加速

領域における位置は,dで規格化してξ二x/d,η;y/dとし,(2)式の無次元量を用いて

   ξ=α(1-cosτ)+βsinτ             ・            (4)

    η=η1一(φ/8L)τ十αsinτ一β(1-cosτ)          (5)

で与えられる。ここにα=φ/8L『+γ,x方向の初速度β;Vxl mi/qBd,y方向の初速度

γ=vyl mi/qBd・走行角τ=t q B/mi・入射位置n1二y1/dである・入射イオン

がG2に達する時の走行角をτ2とすれば,(4)式よりξ=Lとおいて

          α一L            α   τ2-c・s}1    -c・sヨ          (6)         4α2+β2    4α2+β2

となる。

 イオンがG2に達した時の座標を(L・η2)とする時・1η1<A/2ならばG2のスリットを通過                       2することができて,ラーモア運動領域で円軌道を描く。そして再びξ=Lにもどる時にη=η3に

なるとすれば,G2通過後にイオンが進んだ一y方向の距離は

    η2一η3 ;2(αsin τ2十βcos τ2)                          (7)

となる。

 以上の準備のもとに,マックスウェル分布に従う約104個のイオンを入射して,分析器の特性(穐

一I C特性)の数値シミュレーションを次の手順で行う。入射の初期条件として位置η1を一様乱数

で与え,初速度β,γを正規乱数で与える。このとき入射イオン電流としてβの総和をとる。次に加

速領域において(6〉式の走行角τ2を求め,これを(5)式に代入してG2における位置η2を求めて,

G2のスリットを通過できるかどうかを判定する。通過できるものについてラーモア運動領域におけ

225

核融合研究第51巻第3号 1984年3月

るy方向の飛距離を(7)式で計算し, コレクタに入るかどうかを判定する。うまくコレクタに到達し

たイオンについて,電流連続を考慮してそのイオンの入射電流βをコレクタ電流として加算していく。

このようにし七,加速電圧φを変化しながら入射電流の何割がコレクタ電流として観測されるかを

調べる。

 なお,この計算のモデルはz方向の長さを無限としているが・実際にはイオンラーモア半径よりず

っと長ければよい。また,計算の便宜上スリットとコレクタの幅を同じに仮定しているが,異なる場

合への拡張は容易である。一方,現実のプラズマでは,入射イオンの速度分布がマックスウェル分布

であるという保証はない。G1のバイァスがプラズマ電位に等しければ,加速されることも減速され

ることもないから,マックスウェルに近いと思われる。これは§3-4でふれるシースの問題に関係

してくる。

 §3-2  数値シミュレーションの結果

 シミュレーションによって得られたプラズマ

ィオン分析器の特性の例を図3に示す。

図3(a)は,イオンの熱速度がσ=0.02 と小

さい時,スリット幅(コレクタ幅)Aを変化し

た場合の特性を示したもので,φ乞1すなわ

ち(1〉式を満たす加速電圧の所にピークが現われ

ている。コレクタ電流のピーク値を圭 ,その                P1/2 の値を与える加速電圧の幅(半値幅)を

△φとする。容易に予想されるように,スリッ

ト幅を狭くするほど△φが小さく鋭い特性とな

り質量分解能は上がるが,iが減り感度が落            Pちてくる。図3(◎は入射イオンの熱速度をパラ

メータにした特性を示し,冒オン温度が高くな

るにつれてiが減少し△φが大きくなる。こ      Pれは,温度が低い程y方向の初速度が小さいか

ら,x方向に強く加速すると速度ベクトルがx

方向にそろい,スリットを通過しやすくなるこ

とから理解できる。また,図をみると温度が上

._1.O   (G)

髪臣雪Qα:O・5

2呂ゴ

8  00

L・○.03

σ=○.02

φip

AO.05003001

    09     1.o    i.lACC巳ERATINGPOTEN了IALφ

._1.O   (b)

峯霊砦QにO.5

9畠ゴ

8  QO

L・○.03

A・○.05

σ

○020040060080.10

図3.

    ○.9       1.O       l.I

ACCELERATINGPOTENTIAしφ

分析特性の数値シミュレーション。規格化

 された加速電圧φ,コレクタ電流i,スリ

 ット幅A,加速距離L,熱速度σ。

226

研究論文

 1.OQ,   (ア

’一  QO2

ト藷臣Q5α04

8   QO6とく  O〈)8

出 αlo  O  O      QO25      SしIT WIDTH A

プラズマイオン分析器の開発

しニ○。Ol (Q)

合α5ぐ

工←

OαO≧    σ    αIO]ヨO.050・Q8く   α06>    ○.04L   α02コく【 O工  O’

O.05・

L:○.Ol (b)

     QQ25      005   SUT WIDTH A

スリット幅Aに対するコレクタピーク

電流ipと半値幅△φ。

菅井,他

図4.

1.O

がるにつれてピークを与える電圧が小さくなる

ρがわかる。これは入射エネルギーが増して,

余り加速しなくてもコレクタに入るくらいのラ

ーモア半径になるためである。同様にして,初

速度分布を考慮すればピークのまわりの左右非

対称が説明できる。

 種々の条件で多数のシミュレーションを行い,

得られた分析特性をピーク電流i と半値幅              P△φで特徴づけて整理する。図4はスリット幅

Aを変化した場合を示し,図5は熱速度σを変

数として示し,図6は加速距離Lを変えた場合

を示、している。GI G2間の加速距離には余り

強く依存しないことが図6から分る。一方,ス

リット幅を大きくすると半値幅は直線的に増加

し,i は熱速度が小さい時は無関係で,大き   P

い時は線形にAと共に増加する。また,LとA

を一定にして熱速度を大きくしていくとiは                  P単調に減少し,△φは増加する。

.£

Z田に配⊃O.5

Qとく田0一

0 0

lp

L=O。024A=QOO7

△φ

       O.05

THERMAL VELOqTY σ

 O.1

    合    ぐ

    工    卜    Ω    き

 OO5    田    ⊃    」    く    >

    LL    」    く〔

  OエO.IO

図5・熱速度に対するピーク電流ipと半値蝿ハφ。

227

核融合研究 第51巻第3号 1984年3月

  !.○

    σ         A=○.α (G).3   α02ト

z〕   α04ににQ.5⊃

Q   QO6x   QQ8く〔。

   α!O](L

  O   O         O.025        0LO5 ・

    ACCELERATING  DISTANCE  L

もぐαO工卜93LρQ5ヨ≦

旨く〔 Oエ=   O          O.025         Q,05

    ACCELERATiNG DlSTANCE L.

図6.加速距離Lに対するピーク電流iと半値幅△φ。              P

Q.ioO.08Q.060.04Q.02

 §3-3   空間電荷効果

 前節までの計算は,加速領域において一様な電場E=V /6を仮定してきた。しかし,プラズマ                          a

の密度が非常に高い場合は,この領域内に正の空間電荷がたまり電場が歪んでくる。ついには電場の

方向が逆転してイオンの入射を阻止するほどになり,略はやコレクタ電流はプラズマ中のイオン密度

に比例しなくなってしまう。この空間電荷効果を調べるため,加速領域における磁場を無視する。こ

の近似は,通常イオンの熱エネルギーよりずっと大きい加速電圧を狭い電極間にかけるので,比較的

良く成り立つ。さらにイオンの初速度を無視すれば,チャイルド・ラングミュアの法則(3/2乗則)

がそのままイオンに対して適用できる。すなわち,加速距離召と電圧Vに対して空間電荷制限                                a

(x=0でE=0)の状態におけるイオン電流1は                      S

    I、一穿・(急1)艦ヂ   (8)

で与えられる。

 今・加速電圧Vaはコレクタ電流の甲一クを与えるように(1)式のVoにセットして・プラズマ中

のイオン密度n iを増していく場合を考える。入射点x=0でE>0である限り,すべてのイオン

228

研究論文 プラズマイオン分析器の開発 菅井,他

(Vx、> 0〉がG1を通過するから,入射電流は③式に等しくコレクタ電流はn iに正比例する。

しかし・きらにn iを増やしていくとある臨界密度においてx=0でE=0になり・空間電荷制限

を受ける。そのとき(3)式のランダム熱運動電流を(8〉式の空間電荷電流に等しいとおいて,(1)式を用

いれば臨界イオン密度n iは

    ・、一ぞ(、響)1ρ惑     (・)

             i     i

と与えられる。εをcm単位で表わして数値式で示せば

   n-3.63×10-2ZT.一・/2μ一3/2」2d3B3〔㎝一3〕    (9)/    S                l

になる。

 このようにイオン密度がn より増えると空間電荷で制限きれてコレクタ電流は飽和してしまう。            S実際には初速度をもって入射してくるので完全には飽和せず,(8)式よりも少し増加する。この初速度

の影響は,電子に対するラングミュア理論3)をイオンにやきなおすだけで得られる。すなわち,正の

空間電荷で電極間に生じる電位の山の高さをVm,位置をXmとすれば,電位Vの分布は方程式

   (1蔓プー一eφ+・手[eO艦(r)備σ] (・・)

                           によって与えられる。ここに

ε .

E lO£≦

ト之し』」

庄Ω二 一6

⊃10QZO

め7

B露500G  ’十 Ne

嘩㈱E㎜D

 囁ノnsns↓↓

\e隔/k¶

 Flo<

 ダ Φ

 〔L Σ ⊃ 工

 」 く1一 ← Z し↓j

 』 O 江

IO8      9              10    10         10

  10肘DENS l TY ni(cm”3》

図7.空間電荷効果による入射イオン電流の飽和。

  d=4cm,β=O.I cm,Ti=0,l eV。

ldlα

0一(V-Vm)/kTi・

X一(x-Xm)/λ・

λ一(ε。kTi/niq2)exp(㌔/2kTi)

であり,上符号はX<0,下符号

はX≧0の領域に対応している。

(10)式を数値的に解いて境界条件

x=0でV=0,x=6で

V=一V を満足するような解   a .

V ,x を求める。そのVを用m   m             m

いて電極G1のスリットを通過す

るイオン電流密度1を,入射イオ

ン密度niの関数として計算した

例を図7に示す。この例は,

229

核融合研究 第51巻第3号 1984年3月

μ/Z=20(ネオンイオン)に対して具体的に分析器のサイズを与えて計算したものである。参考の

ために・Gl G2間に発生する電位の山の大ききVm/k Tiも同図に示している・図において密度が

n”より低い間は(3)式に従ってイオン電流1は増加する。しかし,n’よりふえると空間電荷制 S                                               S

限領域に入り1は飽和する。この時,1の一部がコレクタ電流になるわけであるから,当然コレク

タ電流も飽和する。(9〉式の初速度を考えない臨界密度n は,n Zより少し小さい。しかし,大体                       S     Sの目安を与えてくれるので,

   ni≦ns             (・・)の範囲ならばコレクタ電流値はプラズマ中のイオン密度を正しく反映していると言える。n は測定                                     S可能な最大密度を示し,これを高くするには(9)式から明らかなように,B,dを大きくし,召を小さ

くする必要がある。

 §3-4  シース

 プラズマを測定するためその中に分析器を挿入すれば,周辺の密度や電位が変化していわゆるシー

スができる。厳密に言えば,そのシース内の荷電粒子を測定することになるので,シースの外の主プ

ラズマとの関係を把握しておく必要がある。

 プラズマイオン分析器の第1電極G1は・磁場

(z軸)方向の長さがb,y方向の長さがaノであ

り,入射スリットは幅aで長きbである時,イオ

ンラーモァ半径ρiとデバイ長λDとの間に

  b、・aノ>a・ρi・λD  (12)

の関係が成立つとする。無衝突プラズマを考え,

図8のようにG1のスリットの中心を原点とする

座標(x,y,z)を導入する。G1の前面にρi程

度の厚さのシースが発生する。簡単のため図のよ

うな直方体のシース領域を考え,その中の平均イ

オン密度をn*,電位をV*とし,シースの外の

主プラズマ領域の密度と電位をn ,V とする・             P   P

電極G1をVpにバイアスする。

 電子やイオンが磁力線に沿ってスパイラル運動

\  日、、

  ぐ  1 、、  1   、

  重  匿

  1  ,  顕  『  1  ,  1  匹

  l  l  5  奪  9  ,  1  重  1  し  ノノ

  ピ

 n  P

’決\

、   b

\、    ¥y  、         ダノ

     琢x     9・’91

     §

     1     臨     1           ノ

     ロ     3n    l 斎      肚

ヤ              ヨ

\、 4 i  、          1  ヤ          

協 \i    \;!7     ’虻8

図8.分析器前面のシースのモデル

230

研究論文 プラズマイオン分析器の開発 菅井,他

をしながらlzに亙の領魔入ってくる.こ礁,旋回中心がG1面からラーモア半径程度しか離

       2れていないならば,z方向にラーモア半径のオーダーの距離を進む間にG1面に衝突し捕集される。

ρi>ρeであるから・一ρi≦x≦ψeの領域を考えると主としてイオンだけが捕黙れるた

めの負の空間電荷がシrス内に発生し・磁力線方向に電子を追い返すようにk Te程度の電位降下を

生じ,V*蟹Vp-kTe/e となる。このようにして,Te>Tiであればイオンは磁場方向にい

わゆるボームのプレシースをへて,面積ρiぎ樋って髄程度の速度Vs一・・6・(kTe/mi)ψ

で両側からシース領域に流入する。一方,磁場に直直な方向にはx=一ρ1の面から面積a/bを通

り・ランダム熱速度V iで出入りする。同様にy方向に面積ρibを通って出入りする。また電極

G1に入るイオン電流は11=(qn*vi/4)a/bであり・(2)式のスリットヘ入るイオン電流密

度は1=(a『/a’b)11となる。結局,定常状態においてこのシース領域に対するイオン電流の

連続の式は

  qnpv$2ρia’+号(np-n*)vi2ρib+号(nガn*)viざb一(ざb/a)1(・3)

となる。ここでρi《a’なので,左辺第2項は第3項に比べて無視できる。さらに

(4ρi/b)(Te/Ti)1/2>・であれば,左辺は第・項のみが残り,

  qnpVs2ρia/b乞1           (・4)になる・この時・イオンは磁場方向から補給されて・シース内で磁場に垂直な電流としてG1に流入

する形になる。逆1こ(4ρi/b)(Te/Ti)1/2《・であれば,イオンは磁場1唾融x胴か

ら流入し,シースの負電位で加速を受け,G1直前の一ρe≦x≦0 の領域で減速されて,元の主

プラズマ領域と同じ分布関数にもどってからG1に流入すると考えられる。

§4・プラズマイオン分析器の試作と特性テスト

 §4一ユ   実験装置

 最初に製作した分析器は,図1の原理図と同様に二重構造の直方体の箱形で割に大きい。水素放電

プラズマ中φH+,H2+,H♂を同時に測定する目的で,d=4。6cm,6。4cm,7。8cmの3ヵ所

にコレクタを内蔵した。加速距離6=0・3cmでスリット幅aは0・1,0・2,0.3cmの3種類を試み

て比較した。

 次に製作した分析器はやや小型で,図9に示すように半径1・4Clhと2・6cmの2つのステンレス製

半円筒を組合わせて作った1800セクターである。これは一つの箱であり,加速電位にバィァスされ

る。外側が直接プラズマに触れないよいに絶縁物をコーティングしている。プラズマとじかに接する

231

核融合研究 第51巻第3号 1984年3月

のは0・5cm×3cmの入射電極G1だけである。各サィズは

  a士0.03cm, 召=0.1cm, d=4.2cm, aノ=0.5cm, b=3.O cm

である。代表的な実験条件としてB=1kG,Ti=0・3eVとすれぱイオンラーモア半径はHざで

0・15cm・Ne+に対して0・34cmである。またプラズマ密度を109cm晩 %=2eVとすれば,

デバィ長はλD=0。03cmである。なお,加速電場の一様性を良くするために,G1すG2のスリ

ットに細い銅メッシュ(1インチ当り750本,透過率40%)を張っている。これから述べるデータ

は,図12を除いてすべてこの分析器で得たものである。

 より小型化をはかるために90。セクターの分析器も試作してみた。 図2において,異なるyの位

置からx軸に平行にイオンを入射した場合,その軌道を作図すると丁度goo付近で収束することから,

90。セクターでは質量分解能も向上することを期待した。ところが測定してみるとその逆で,180。

セクターに比べて分解能がはるかに低下した。これは次のような理由による。異なるyの位置からイ

オンが斜めに入射した場合の軌道を重ねて作図               MONOCHRO噌

すると,9。・の所で最も広がり、8。・の所で再   GしASS  MATOR                        FIBER\                               PHOτQ一び収束する。すなわち・1800セクターは自己              MUしτIPLiER

収束性をもっているので分解能の点から最適で

あると言える。

 実験は,図9に示すように大半径55cm,小

半径13cmの基礎実験用トーラス装置4)でおこ

なった。24個のソレノイドコイルで発生した定

常トロイダル磁場(B≦1kG)中で, 一本

のタングステンフィラメントとリミタ間の直流

放電でプラズマ(密度109~1012cm-3,

Te⇒~6eV・Ti≦・・3eV)姓成する・竃

プラズマイオン分析器は大半径方向に可動であ

り,入射電極G1の面と磁力線とのなす角は

±10。の範囲で可変である。なお,放電気体は

水素,ヘリウム,ネオン,アルゴンを,単独ま

たは混合して使用し,ガス圧は10-4τbrr以下

である。

』素’.

忍す◇

ll日騨“

.⇔

PLASMA IONANALYZER

図9. 卜一ラスプラズマの断面とプラズマイオン

  分析器。

232

研究論文 プラズマィォン分析器の開発

 §4-2   質量測定と半値幅

得られたプラズマイオン分析器の特性

の例を図10に示す。 これは,ヘリウム

とネオンの混合気体で放電した場合にプ

                 」ラズマ中のイオンを分析したものである。                 ト                 Zこの放電は陽極を接地しており,それを u』                 筐基準にして電極G2にかけたバイァス  ⊃                 Q(一V2)が図の横軸である。正味のイオ 圧                 2ンの加速電圧V は,プラズマ電位V  O      a          p 田                 」を基準にしてVa=㌔+V2から求め ざ

                 Oなければならない。この実験では2つの

イオンの質量が既知であるから、,図10の

測定から逆に,(1)式を用いてプラズマ電

位と磁場Bを測定できる。すなわち,

Hざ(μ一4)はV2-54・OV・

Nざ(μ一20)はV2-9・OVでピー

菅井,他

B嵩1kG

N♂

H♂

11♂A

1O

図10.

         50ACCELERATING POTENTIAL V2 (V)

ヘリウム・イオン混合ガス放電で生成されたプラズマ

のイオン分析。ラベル1,皿,皿は表1の実験条件を

示す。

クをもち,d=4.2cmであるから,(1)’式に代入して連立方程式を立てて解けば,V =2・25V,                                   PB=1030Gを得る。磁場の値は3%ずれているがこれは測定誤差に入る。また,得られたプラズマ

電位2。25Vは,G1をラングミュアプローブとして用いて測定した値と合っている。未知のイオンを

分析する場合は,§4-3でも述べるようにG1をプローブとして使ってプラズマ電位を測定する必

要がある。

 なお,一この実験はトーラスプラズマで行われたので,磁場は大半径方向に変化している。

そこで図2において,磁束密度をB(x)=Bo/(1+x/馬)とおき,ラーモア運動領域におけ

るトーラス効果を考える。ただしR はx±0の位置の大半径でB はそこの磁場である。x/R               O                     O                    O

《1としてイオンの軌道計算をすると,B×▽Bの方向(yの負の方向)にドリフトする

のが分る。これを考慮すると,(1)式で与えたコレクタに捕集される加速電圧は,d《Rにおいて                                    O

    V。-一(qB2d2/8mi)(卜πd/8R。)『     (・)〃

と修正される。我々の実験では補正項(πd/8R )は3%程度の小さいもので無視できる。                     0 図10で測定された特性のピークの広がり具合を,§3-2の数値シミュレーションの結果と比較

してみる。(2)式で定義された無次元パラメータはL二〇・024,A=0・0071であり,ファラディカップ

233

核融合研究 第51巻第3号 1984年3月

測定で得られたイオン温度Ti乞0・3eVを②ノ式へ代入すると,Hぎに対してσ;0,038である。

このとき図5の計算結果によれば半値電圧△φ~0.025となるが,図10のデータは△φ~0.1で

あり約4倍広い特性になっている。N÷に対しても同様である。 このように質量分解能が劣化する               e原因としては次の点があげられる。まず第一に機械的な工作精度である。幅0・3mmのスリットG1,

G2を2つ作って正しく平行に固定し,そこから4cm離れた位置に同じ幅0・3mmのコレクタ部を

平行に固定するには特別の工夫が必要であろう。第二に電気的原因として,スリット近傍やコレクタ

近傍の電場の歪みと空間電荷効果である。前者については,スリットに細いメッシュを張って電子レ

ンズ効果をおさえている。後者にっいては,§3-3のx方向の問題ではなく,y方向に薄い板状の

イオン流が自分自身の空間電荷電場で広がる効果である。第三に入射スリツトの長さが有限であるた

め,端効果を生じて広がることも考えられる。最も可能性が高いのは第一にあげた工作精度である。

手作業に頼って製作したものであるから,まだまだ改善の余地がある。

 図11は水素ガス放電の場合の分析例である・H+・Hガ・Hずの各イオンの他に・mi/q=

15~20に相当する所に不純物イオンのピークが見える。これは,四重極型マスフィルターによる

ガス分析において水蒸気が多量に認められたのでH20+と思われる。放電電流を増すとイオン組成

が変化してH+の比率が高くなるのが分る。

y卜

Z]ぼに⊃

Q配○←

Q]」

JoQ

83930G

lMPURiTYlXIOl

H言

H室

   H←Iiσ9A

Id3LOA

Q6A

α2A

 O      IOO     200ACCELERATlNG POTENTIAL V2 (V)

  3 10

≧ナ

」く

FZl田←○ユ

oZトく匡]」IO]

QQく〔

H…

H…

Hご

SLOPE.一1/N:

B=820G

d=64mm

G=2mm

A7

図11.水素ガス放電プラズマのイオン分析。

  放電電流Idをパラメータとし,不純物

  イオンは10倍に拡大している。

     10

10N MASS NUMBER100

図12・qレクタ電沸のピークを与える加速電圧

  V。の質量による変化。

234

研究論文 プラズマイオン分析器の開発 菅井,他

 プラズマィオン分析器の第一の目的は,未知の各種イオンの質量を測定することにある。イオン温

度に比べて遥かに大きい加速電圧で分析するならば,第一近似として(1)式を用いて質量測定が行わ

れる。そこで(1)式の実験的確認が重要になる。 最初に試作した分析器を用いて,dやBを変化する

と(1)式に従ってコレクタ電流のピークを与える電圧が移動することを確かめた。次に同一のB,d

において質量依存性を調べるため,水素・ヘリウム・ネオン・アルゴンと放電ガスをかえて実験を行

った。プラズマ電位を測定して正味の加速電圧V を求めて得られた結果を図12に示す。実験は(1〉                    0式を示し,質量数に反比例して加速電圧が低下するのが分る。軽いイオンの場合は加速電圧が高くな

り,イオンがコレクタに衝突した時に二次電子が出る。しかし磁場が強い時は電子のラーモア半径が

小さいのでコレクタに再びもどってくる。特に二次電子が邪魔になるならば,コレクタ材料として二

次電子の出にくいグラファイトを用いるとか,コレクタ電位を加速電極より2,3V高い電位にして

電気的に抑制するなどの方策をとる必要があろう。

 §4-3  プラズマ電位・

 入射電極G1のバイァス電圧V1を変化した

時に,分析器の特性がどう変化するかを調べた。

図13は,B=930Gにおける109cm『3程度

の薄いネオンプラズマに対して・V1をパラメ

ータにしてとった分析特性の例を示す。プラズ

マ電位V は+3Vぐらいであるが,入射電極    Pのバイアスをそれより低い値から次第にプラズ

マ電位に近づけるとピーク電流は大きくなり,

V を越えると急激に減少して山の位置が左側 P

へずれてくるのが分る。この山の移動は次のよ

うに説明される。V1がVpを越えると,分析

器前面のシース内の電位はイオンのかわりに電

子が捕集されるため上昇し,その結果ピークを

与える加速電圧V2も上昇する(図13のV2は

正の値で示しているが,図2に示すように実際

はイオン加速になるように負にかけている)。

この測定結果を整理して,V1を横軸,ピーク

イオン温度測定とバイァス効果

Q

トZ]に匡⊃

Qに

oトo]」」

OQ

一8 -4  Q  4 ACCELERAηN G

 8  12  16 20VOしTAGE V2 (V)

図13.入射電極のバイアスV lをパラメータと

  する分析特性。

235

核融合研究第51巻第3号 1984年3月

電流1 を縦軸にとって表わしたのが図14であ   P

る。参考のためにHe+の例も示レているが,い

ずれの場合もプラズマ電位を越えると急激に減少

する。この傾向はラーモア半径の小さいH+の                  e方が顕著であり,プラズマ電位の測定にも利用で

きる。またプラズマ電位を越えた時の減少割合か

らTiを推定できるはずであるが,前述のように

シース電位も上昇するため複雑である。バイアス

V1がプラズマ電位より低い領域は8V程度

(~4T)にわたって1は余り大きい変化が   e         p

ない。この事はG1を浮動電位にしておけば大体

の測定ができることを意味する。従って,時間・

空間的にプラズマ電位が変動する場合は,バイア

 1.6

3ひた

ii…

∈1.2

ε

3』

Zlユ」α8にに⊃

Qと

くα4]〔L

Q

B=930G

 十Ne

 十He

PしASMAPOTENTiAL

一15  -IO   -5    Q

  B lAS VOLTAGE5   10Vl(V)

                       図14.入射電極のバイアスV iに対するピークスV・を浮動電位にしておけばよいこと1こなる・  電流値lp.

 プラズマ電位を簡単に測定するには,入射電極

をラングミュアプローブとして用いればよい。一方,イオン温度を測定する方法は幾つか考えられる。

分析器の質量分解能が高い場合は,数値シミュレーションの結果(図3~6)と,測定されたコレク

タ電流の半値幅を比較してイオン温度を逆算できる。また図3(b)のようにピークを与える電圧が温

度と共にずれるのを利用することも考えられる。全く別の方法として,コレクタ電圧のバイアスを変

化するやり方がある。すなわち,加速電圧V2はピークを与える所に固定しておいて,コレクタバイ

アスを高くしていく。そのバイアスがプラズマ電位より低い間はコレクタ電流は一定であるが・V                                         Pより高くするとイオンは減速きれてコレクタ電流が減る。その減少率はイオン温度で決定される。コレ

クタ近傍の電場分布の二次元的歪みをなくすため,幅広いコレクタを用いてその直前のG2の細いス

リットにメッシュを張ればうまくいくと思われる。まだこの実験は進めておらず,今後の重要な課題

である。現状ではTiを測定するために通常のファラディ カップを用いている。これは磁場方向に

加速・減速するもので,一種類のイオンの時しか正しくないが,簡単なモニターとして用いて大体の

温度を推定した。

 最後に,分析器の磁力線に対する角度がずれた時に,特性がどう変化するかを調べた。理想的には

入射スリット面は磁力線に平行でなければならない。図2または図8に示すように,入射スリットの

中心を原点として磁場方向をZ軸とする固定座標系(X,y,Z)を考える。そして分析器全体をX軸の

236

研究論文 プラズマイオン分析器の開発 菅井,他

一2坦’ξ

』9

ヒo [一z]に肛⊃Q O

(αl         l   Q。   ノP Q            O  Oo

    OOoo      ◎

        le        〆. ● ● ● ・ ・ ● ● ●

一8 -4  0  4  8ANGしE  ψ (degrees》

一2皿噌…

ρ’

》1

這崖砦o

(b)

o

     o    o      ロの      〆oo      lp o

 の     のσ   o  o            o

   ◎σ       le .●・.   る・・

  ●      ●●  ●●●●

○ 一8 -4  0  4  8  ANGしE  θ (degrees》

図15.分析器の磁場に対する角度を

  変化した時のコレクタ電流値

  の変化。He+,B=l kG,

  (a)θ=O,(b)ψ=0。

まわりに回転する時の角度をψ,y軸のまわりに回転する

時の角度をθと定義する。角度を1。ずつ変えながら分析

器の特性をとり,コレクタ電流のピーク値1をプロット                  Pしたのが図15である。参考のために・G1をプローブと

して用いて測定した電子飽和電流I eも一緒に図示してい

る。1 ・1 が回転軸ψに余りよらないのは,入射電極  p  e面に立てた法線が常に磁力線と直交しているからと思われ

る。それに比べて1 は回転角θに割と敏感に変化する。        Pこれは,入射面が磁力線を斜めに切るようになり,シース

の状態が大きく変化するためと考えられるが,まだ詳細は

不明である。トロイダル磁場に沿う電子の運動はシース形

成にシャープに効くと考えられ,磁力線の曲率半径とスリ

ットの長さの関係も問題になると思われる。重いNe+の

場合は,H+に比べてθによる変化がゆるやかであった。     e

 lO

くc

3-Z l]匡に⊃

Qとく

u〔L

 O.1

H6口kG \

o♂

o

賦○.5kG.8ひ●

ムム

  NeねkG

  lO9       1010  10NbENSITYni(c㎡5)

図16.空間電荷効果によるコレクタ電流の飽和。

lO闘

 §4-4   イオン密度測定と空間電荷効果

 イオン密度を増していくと,空間電荷効果のために

分析器のコレクタ電流が飽和することを確めた。この

飽和が起る密度は,⑨ノ式によればn 。cμ『3ρB3

               Sと予想されている。この飽和密度の質量数μと磁場

Bに対する依存性を調べた。図16は,ヘリウム放電

またはネオン放電においてプラズマ密度をラングミュ

アプローブで測定し,分析器のコレクタ電流を測定し

た例を示す。He+の場合,B=0.5kG において

1.7×1010cm-3 で飽和するが,B=1kGにお

いては1011cm-3まで飽和が見られない。同じ1kG

                  でも,重いNe+の場合は10cm で飽和するのが分

る。計算では,Ti=0,1eVのN♂の場合

B=0.5kG においては,図7に示すように

237

核融合研究 第51巻第3号 1984年3月

1.5×109cm『3で飽和する。これを1kGにすれば,23倍して1.2×1010cm-3で飽和するはず

であり,図16の測定結果と良く合う。また,質量が1/5であるHe+の0・5kGにおける飽和は,

璽の1kGの飽和砒べて,(9)・式より53/2/23一・.4倍の密魔おいて起こるはずであり,

図16の測定結果を大体説明できる。

 次に,イオン密度に比例して1が増大する領域について考察する。同じ磁場と密度であっても,             PI の値は軽いイオン程大きいことが図から分る。その第1の原因として,軽いと加速電圧が大きく P

なるので入射イオンの速度ベクトルがx方向にそろい,G2のスリットを通過しやすくなることがあ

げられる。この効果は無次元量σで表現きれるが・B=1kG・Ti=0・3eVとすればHe+に対し

てσ=0。038,Ne+に対してσ=0.085となる。これを図5に適用すると,コレクタヘの到達率

ip=Ic/1は,He+の方がNe+よりも5倍大きいことが分る。 更に第2の原因として,ラン

ダム熱運動による入射電流1が質量の平方根に反比例する事があげられる。この2つの原因からHざ

の方がN+より約10倍大きいコレクタ電流が予想きれるが,これは図16の測定結果を良く説明し    eている。

 §4-5  分光法による密度測定とのクロスチェック

 原理的には,分析器のコレクタ電流値から計算だけでイオン密度の絶体値を求める事が可能である。

しかし現実には,スリットに張ったメッシュの透過率や電極G1,G2,Cの幾何学的配置のズレな

どの問題が絡んでくるので,計算だけに頼るのは危険であろう。そこで例えば図16のように,製作

した分析器をヘリウムのような分っているガスで放電させて感度の較正を行うのが良い。すなわち含

図16の飽和しない領域のデータを使い,1 がわかれば逆にプラズマ中のイオン密度を正しく求め                 Pることができる。この感度較正はどれか1つの質量に対して行えば,未知のイオンに対しては数値シ

ミュレーションによるコレクタヘの到達率(図5)から計算することができる。

 一方,プラズマイオン分析器による密度測定が本当に正しいかどうかを,他の方法による結果と比較

検討する必要がある。そこで,分光測定とラングミュアプローブ測定を組み合わせた方法先5)との比較

をおこなった。複雑な分子イオンができないこと及び分光データがそろっている事から,ヘリウムと

ネオンの混合ガスの放電で生成されたプラズマを測定対象に選ぶ。装置図9に示すように窓から光を

                                     の分光器に導く。まずヘリウムだけでプラズマを作り,励起状態のヘリウム原子が発する5015Aの光

の強度測定をプローブによる密度測定と同時に行い,図17に示すデータを得る。 同様にしてネオン

       のガス放電で5852Aの分光測定を行う。次にHeとNeの混合ガス放電を行い,それぞれの線スペク

トルの強度測定をして,図17の較正直線を利用し各イオンの密度を逆算する。

238

研究論文 プラズマイオン分析器の開発 菅井,他

310⊂コ     B=l kGづトσ

              ロ         He(5015A)〉一

ト            \の

る窒1

             \  .墨            Ne(5852A lコ

」く〔

にト⊃     ●]Z O.i

      lOg       IOlo    IONDENSi†Yni(・c㎡5)

  図17.ヘリウム放電またはネオン放電における

    分光測定。

表1.混合イオンプラズマの実験条件と測定結果

実 験 条 件(PNe   PHe) 測定値(nNe/nHe)

分光法プラズマイオン分  析  器

1 8.3      6.O IO.2 lo.1

一 4,3      6.5 4.13 4.52

皿 3.2      8.4 3.67 2.19

            ら表における各分圧P Ne,PNeはi O  Torr単位

で表わし,測定値(nN./nH.)はN♂とHe+の

密度の比を表わす。

 混ぜたヘリウムとネオンのガス分圧PHe とPNeは,四重極型マスフィルターで測定する。実

験を行った3つの条件(混合比)を表1に示す。図10は,この1,皿,皿の実験条件に対応するプラ

ズマイオン分析器の測定例を示している。ファラディカップで測定したイオン温度Ti~0.3eV

を用いて得られたプラズマィオン分析器による測定結果を,上述の分光法で得られた値と比較して表

1にまとめてある・異なる方法で測定されたが・ヘリウムイオン密度nHeに対するネオン密度nHe

の比は,両者の間に大体の一致が見られた。この結果は,多種類のイオンが混在する場合,プラズマ

イオン分析器による測定において重畳の理が成り立っ事を示している。

§5.むすび

 ラングミュアプローブのように手軽に使えるプラズマイオン分析器の開発を行った。これは,磁場

偏向型の質量分析の原理に基づき,プラズマ中に混在する各種イオンを分離してその質量・密度・温

度およびプラズマ電位を測定するものである。この分析器の一般的な特性解析を行い,小型・高分解

能・高感度の分析器を設計するための指針を得た。また,試作した分析器による測定結果を分光法に

よる結果と比較して,その信頼性をチェックした。

 我々の手作りによる分析器は質量分解能がまだ低いが,真空工学分野では極めて高い分解能と感度

239

核融合研究 第51巻第3号 1984年3月

を実現している6’7)ので,まだまだ改良の余地が残されている。空間分解能を上げるには磁場を強

くして小型化すればよいので,プラズマ中の磁場とは別に分析用として永久磁石(B~10kG)やソ

レノイド磁石8)を用いることも考えられる。また,磁場を上げると質量分解能も向上する。一方,時

間分解能を上げるには,コレクタの位置を固定して加速電圧を掃引する方式は余り適当でない。むし

ろ,加速電圧を固定してコレクタを二次元の広い面(多チャンネル)にして,その面上に各イオン流

に応じた電気的イメージ(画豫)にかえて読みとる方式が望ましい。これは,マイクロチャンネルプ

レートとビジコンまたはSiダイオードアレィを利用するオプティカル臥マルチチャンネル・アナラ

イザー(DMA)と同様なシステムになる。

 プラズマイオン分析器の用途としては,広汎なプラズマ物理の基礎実験や,いわゆるスクレィプオ

フ・プラズマの不純物イオン計測,半導体のプラズマプロセスにおける各種の分子イオンの診断など

がある。今後ますます簡素化して使いやすい形に発展させると共に,一方では高分解能・高感度化の

要求にこたえて改良を重ねていく必要がある。

 最後に,本研究は文部省科学研究費補助金の援助を受けて行われたことを付記します。また,分析

器特性の数値シミュレーションは,名古屋大学プラズマ研究所の計算機利用共同研究で行われました。

参 考 文 献

1) J.E.Osher,Plasma Diagnostic Techniques edited by R.H.Huddlestone and

  S.L。Leonard(Aca,demlc Press,New York,1965),p.522.

2) H.W。Drawi皿,Plasma Diagnostics edited by W.Lochte-Holtgreven(Nort難一

  Holla,nd Publishi皿g Co.,Amsterdam,1968),p.777.

3) 1.La皿gmuir,Phys.Rev.21(1923)419.

4) H.Sugai,H‘Kojima and T.Oku〔la,Phys.Letters92A(1982)392.

5) M.Ono,M.Porkolab and R.P.H.Cha皿9,Pkys.Fluids23(1980)1656.

6) J.H.Reynolds,Rev.Sci.lnstrum.27(1956)928.

7) W.D.Davis and T.A.Vanderslice,1960Vac.Symp.Tmns.p.417(1961).

8) K.W.Ehlers,K.N.Leung and M.D.Williams,Rev.Sd.Instrum.50(1979)1031.

240

.一ワー乳諒舞コ=『目馳ぶ

1繊鵡蔚搬嬬縮額期詣デゲ窃獣

東芝における核融合技術開発

                         東芝原子力事業本部

                          原子エネルギー開発室

                               深井 佑 造

1.はじめに

 東芝における核融合研究はかなり古い。昭和33年に科学技術庁の原子力平和利用委託研究として,

同39年迄にトーラス形プラズマ発生装置を建設し,立体磁気軸トーラスプラズマ実験の先べんをつけ

た。同40年から45年には直線状テータピンチの実験を行い,同35年に日本大学のテ稲タピンチ装

置,37年に東大のプラズマベータトロン装置,40年に名大プラ研にプラズマ発生装置用マイクロ波

発生装置(TPM)及びTPCを製作納入した。

 その後昭和43年頃迄は,所謂核融合研究の反省期に入り,当社のこの分野の研究規模は縮小状態

にあった。同44年頃のトカマク方式の出現で,原研を中心とした研究開発が盛んになって来た。原研

のJ FT-1,J FT-2装置の閉じ込めの実験に参加し研究を進めた。そして昭和50年頃に社内体制

が確立し全社を挙げて,我国の核融合開発に参与して現在に至っている。

2.当社のとりくみ方

 図1に当社の開発体制を示した。原子力

事業本部が中心となり,企画推進を行い,

計測・照射研究の原子力技術研究所,炉心

(プラズマ物理)・超電導・トリチウム技

術開発のエネルギー機器研究所,耐高温材

料開発の金属セラミック材料研究所,プラ

ズマ機器・電源機器・加熱装置等の技術と

りまとめと設計担当の核融合開発部,本体・

周辺機器の製作設計を行う京浜事業所,電

源,制御装置,計測装置等の製作を行う府

中工場,浜川崎工場,三重工場。プラズマ

機器に関する技術開発を行う重電技術研究

原子力事業本部  原子エネルギー開発室

一原子力技術研究所

総合研究所r二認奏讐蓼罵究所

丁膿難讐

電波通信事業本部

要素部品事業部

計測事業部

NAIG総合研究所

図1.東芝における核融合開発体制図

241

核融合研究 第51巻第3号 1984年3月

表1.東芝の核融合分野における主な実績

核融合実験装置

原研

名大プラ研

阪大

GAT社

筑波大

京大

JT-60  詳細設計

JT-60 R&D VCB等JT-60  TFコイル製作

JT-60  PF電源

 RFC-XX製作PIACE-R l製作

 D皿用  VCB

 D皿用  525MVA・MG Big Dee真空気器GAMMA l O製作

WT一皿 製作

昭和51年

昭和52年

昭和58年

昭和60年

昭和51年

昭和53年昭和52年・

昭和56年

昭和59年

昭和56年

昭和59年

加熱装置

原研

名大プラ研

JFT-2用JFT-2用JT-60用JT-60用JT-60用JT-60用

JIPPT一五用

NBI用テストスタンド

RF装置NBl装置

クライストロン

NBl原型ユニット電源製作

NBl電源

lCRH製作

 NBl製作

昭和51年

昭和55年

昭和58年

昭和56年

昭和61年

昭和61年

昭和53年

昭和57年

超電導関係

原研

東北大

クラスター コイル製作

LCT用国内試験装置製作

パルサーC

パルサーD ハイブリッド マグネット

昭和55年

昭和56年

昭和56年

昭和56年

昭和59年

計測関係

原研 JT-60用JT-60用JT-60用

A3,イオン温度測定系

A5,X線計数測定系能動粒子線計測

昭和60年

昭和59年

昭和58年

核融合実験炉及び次期装置 概念設計

原研

名大プラ研

炉心工学試験装置設計

lNTOR設計次期装置設計

INTOR J一豆設計

FER(オプションB)設計

FER設計(n)(オプションB)

 R装置設計  1次~2次設計

  昭和54年

  昭和55年

  昭和56年

  昭和57年

  昭和58年

  昭和59年日召禾056~59年

242

グループ紹介 東芝における核融合技術開発 深 井

所,高周波加熱装置のマィクロ波発生装置担当の電波通信事業本部と要素部品事業部,計測機器製作

とシステム設計の計測事業部,ニュートロニクス担当のNAIG研が主な担当部署で,更に開発の必要に

応じて上記以外の部課の動員も行う。実際に問題の種類によってはそのような実例は多い。

 以上のように当社の核融合技術開発上の分野は非常に広範囲で,核融合炉や装置のシステム設計か

ら,本体及び計測を含むすべての周辺機器の製作・設計が可能である技術水準と体制が整備されてい

る。

2.当社の技術開発の実績

 以上のような全社的体制の下に,原研・大学等からの御要請に対し多くの実績を績み重ねつ㌧ある。

その主な実績を表1に示す。また表中の主な機器の写真を図2,図3,図4,図5に示した。

 図2は原研JT-60用PFコイル電源系に用いられている直流92kAを遮断する縦磁界型の真空バ

ルブを使用した直流遮断器である。この真空バルブは性能が優れているので,既に米国GAT社の

Doublet皿用の電源装置に輸出されている。

図2.JT-60用 PFコイル電源系92kA直流遮断器

243

           核融合研究 第51巻第3号.  1984年3月

 図3は名大プラ研に納入した高周波による閉じ込め機構の研究を目的とした開放端系の装置であり,

世界最大の二重カスプ型磁場配位を持っ極めて特徴的な性格を備えた実験装置である。

 図4は阪大超高温工学研究施設に納入した衝突圧縮加熱型プラズマ実験装置で,いわゆるテータピ

ンチ型装置である。

 図5は筑波大プラズマ研究センターに納入した全長27m,総重量180トンという世界最大のタン

デムミラー型実験装置である。

 その他本体関係では,表1に示すようにJT-60のTFコィルを製作し,製作中の機器として京

大のWT一皿,GAT祉 Doublet皿big Dee用真空容器がある。当社:としてはトカマク型,ミラ

ー型等主要な核融合装置の製作経験を持っている。また加熱装置ではJ FT-2用NBIの排気系,

JT-60用NBI電源系等,J T-60用RF装置と各種装置製作を経験した。

 次期装置関連では,原研の設計作業に昭和54年から参加し,本体構造等に種々の有効なアィデァ

を提案し,また名大のR計画にも積極的に参加している。ハード面では超電導関連の製作経験が主で,

原研クラスターコイル,LCT用国内試験装置, 世界最高の31テスラ級高磁場の東北大ハイブリッ

ド・マグネットを製作した。

図3.名大プラズマ研 RFC-XX本体

244

グループ紹介 東芝における核融合技術開発 深 井

図4・阪大PIACEτRI本体

図5.筑波大 GAMMA l O本体

      245

核融合研究 第51巻第3号 1984年3月

4.あとがき

 核融合技術開発はやなり長期に亘るものと思やれる。こ、では官傘民一体と蔵った開発協調が必要

であり,技術の継続』発展のためにはデ開発予算の維持が木可欠と考えられている。

当社は既に核融合の略全分署傾?F茸響を融また社内辛算によるR初を精力的に進め

ており・次期装即醗曙与すタく努力を続けている・か岬こして当御て1ま該齢技術の

発展のために,全社にま塑がる構断的奪体制を整え・今後も積極的を活動を緯けたいと考えているの

で,関係諸機関のご指導を引き続き切望するしだいである。

       』参考文、献.

’当社のより詳細な活動状況は下記の東芝レビューを参考にされたい。

東芝レビューV・至・8.臨9,、P763~796(i983)

246