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FUJITSU. 65, 1, p. 23-28 01, 201423 あらまし 2005年にアジア・太平洋地域宇宙機関会議(Asia-Pacic Regional Space Agency ForumAPRSAF)において,「アジア防災・危機管理システム」として「センチネルアジ ア(アジアの監視員)」が提唱された。センチネルアジアとは,14か国23機関および4国際 機関(当時)が参加した国際プロジェクトであり,アジア太平洋域における自然災害によ る被災者と社会的損失を軽減することを目的としている。センチネルアジアは,アジア 太平洋域への貢献を目的として独立行政法人宇宙航空研究開発機構が事務局となり活動 している。アジア太平洋域災害管理システム「センチネルアジアSTEP2 (以下,センチネ ルアジアシステム)」は,災害発生時に地球観測衛星が取得した地上の状況などの災害関 連情報を被災国の防災機関に提供するシステムであり,富士通は2008年から開発を進め, 2010331日より運用に供している。 本稿では,アジア太平洋域の災害監視をICTで支援すべく,富士通が構築したセンチネ ルアジアシステムの概要と適用した技術について紹介する。また,センチネルアジアシ ステムの利用実績を併せて紹介する。 Abstract In 2005, Sentinel Asia was proposed as a disaster management support system for Asia at the Asia-Pacic Regional Space Agency Forum (APRSAF). Sentinel Asia is an international project and the participants (at the time) were 23 agencies from 14 countries and four international organizations. The aim was to reduce the number of victims and social loss caused by natural disasters in the Asia-Pacic Region. For Sentinel Asia, the Japan Aerospace Exploration Agency is playing an active role as the secretariat in order to contribute to the Asia-Pacic Region. The Satellite-based Disaster Management System for the Asia-Pacic Region Sentinel Asia STEP 2(hereinafter the Sentinel Asia System) provides disaster prevention agencies in disaster-affected countries with disaster-related information, including data on the conditions on the ground, obtained by earth observation satellites, in the event of disasters. Fujitsu started working on its development in 2008, and it has been in operation since March 31, 2010. This paper presents an overview of the Sentinel Asia System developed by Fujitsu for making use of information and communications technology (ICT) to support disaster monitoring in the Asia-Pacic Region and describes applications of the technology. The results of using the Sentinel Asia System are also presented. 有山俊朗   齋藤 悠 地球観測衛星を利用した アジア太平洋域災害管理システム Satellite-based Disaster Management System for Asia-Pacific Region

地球観測衛星を利用した アジア太平洋域災害管理シ …...防災・危機管理システムを活用した国際プロジェ クト「センチネルアジア」が提唱された。センチ

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Page 1: 地球観測衛星を利用した アジア太平洋域災害管理シ …...防災・危機管理システムを活用した国際プロジェ クト「センチネルアジア」が提唱された。センチ

FUJITSU. 65, 1, p. 23-28 (01, 2014) 23

あ ら ま し

2005年にアジア・太平洋地域宇宙機関会議(Asia-Pacific Regional Space Agency Forum:APRSAF)において,「アジア防災・危機管理システム」として「センチネルアジア(アジアの監視員)」が提唱された。センチネルアジアとは,14か国23機関および4国際機関(当時)が参加した国際プロジェクトであり,アジア太平洋域における自然災害によ

る被災者と社会的損失を軽減することを目的としている。センチネルアジアは,アジア

太平洋域への貢献を目的として独立行政法人宇宙航空研究開発機構が事務局となり活動

している。アジア太平洋域災害管理システム「センチネルアジアSTEP2(以下,センチネルアジアシステム)」は,災害発生時に地球観測衛星が取得した地上の状況などの災害関

連情報を被災国の防災機関に提供するシステムであり,富士通は2008年から開発を進め,2010年3月31日より運用に供している。本稿では,アジア太平洋域の災害監視をICTで支援すべく,富士通が構築したセンチネ

ルアジアシステムの概要と適用した技術について紹介する。また,センチネルアジアシ

ステムの利用実績を併せて紹介する。

Abstract

In 2005, Sentinel Asia was proposed as a disaster management support system for Asia at the Asia-Pacific Regional Space Agency Forum (APRSAF). Sentinel Asia is an international project and the participants (at the time) were 23 agencies from 14 countries and four international organizations. The aim was to reduce the number of victims and social loss caused by natural disasters in the Asia-Pacific Region. For Sentinel Asia, the Japan Aerospace Exploration Agency is playing an active role as the secretariat in order to contribute to the Asia-Pacific Region. The Satellite-based Disaster Management System for the Asia-Pacific Region “Sentinel Asia STEP 2” (hereinafter the “Sentinel Asia System”) provides disaster prevention agencies in disaster-affected countries with disaster-related information, including data on the conditions on the ground, obtained by earth observation satellites, in the event of disasters. Fujitsu started working on its development in 2008, and it has been in operation since March 31, 2010. This paper presents an overview of the Sentinel Asia System developed by Fujitsu for making use of information and communications technology (ICT) to support disaster monitoring in the Asia-Pacific Region and describes applications of the technology. The results of using the Sentinel Asia System are also presented.

● 有山俊朗   ● 齋藤 悠

地球観測衛星を利用したアジア太平洋域災害管理システム

Satellite-based Disaster Management System for Asia-Pacific Region

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地球観測衛星を利用したアジア太平洋域災害管理システム

システム)」を構築し,2010年3月31日より本格稼働(3)している。本稿では,センチネルアジアシステムの概要とシステムを構築する上で直面した課題とそれを解決した富士通の技術について紹介する。また,センチネルアジアシステムを利用し対応した自然災害の対応実績についても紹介する。

センチネルアジアシステムの概要

センチネルアジアシステムは,アジア太平洋域において自然災害が発生した際に,被災地域を観測した地球観測データ,被災地の写真,被災状況の解析結果などの災害関連情報を災害発生国の防災機関に提供することで,災害時の情報を共有し災害対策などに利用するためのシステムである(図-1)。センチネルアジアシステムが防災機関向けに提供している主要サービスを以下に示す。(1) 災害発生国の防災機関による災害関連情報の提供要求災害発生時に災害発生国の防災機関が,被害状況などを把握するために災害関連情報の提供を各国機関に要求するサービスである。これにより,災害発生国の防災機関は,各国機関の協力を得て被災地域の災害関連情報を収集することができ,被害状況把握や復旧および復興に向けた各種情報を入手することを可能としている。(2) 災害関連情報の共有センチネルアジアシステムに登録した災害関連情報をインターネット上で提供するサービスである。これにより,災害発生国の防災機関が被災地の情報を含む災害関連情報を取得することができ,防災に活用することが可能である。具体的には,災害関連情報を参照する際に,国境・川・湖などの地理情報,都市部・植生などの土地被覆情報,世界の人口情報のような情報と災害関連情報を重ね合わせて同時に表示でき,複合的な情報とともに災害関連情報を把握することを可能としている。(3) 災害の予兆もしくは早期発見につながる定期的な災害関連情報の提供災害発生時の災害関連情報提供ではなく,定期的に雲情報・降雨情報・森林火災情報をデータ提供機関から取得し,防災機関に提供するサービス

センチネルアジアシステムの概要

ま え が き

アジア太平洋域における自然災害(洪水・地震・津波・火山噴火・山火事など)は,過去30年にわたり増加の一途をたどり,災害発生国は深刻な被害を受けている。これらの自然災害を監視する手段として,地球観測衛星を使用し対象地域を観測するリモートセンシング(宇宙からの地球探査)技術が効果的である。リモートセンシングは,宇宙から対象地域を広域にかつ一定期間ごとに同一の対象地域を観測することが可能であるため,自然災害が発生した際に,地球観測衛星から観測した被災地の災害前後の画像を比較・解析することで,災害被害域およびその状況を迅速にかつ広域に把握することが可能である。そのような背景の中,第12回アジア・太平洋地域宇宙機関会議(APRSAF-12)において,アジア防災・危機管理システムを活用した国際プロジェクト「センチネルアジア」が提唱された。センチネルアジアとは,地球観測衛星,通信衛星を利用する宇宙技術と災害関連情報を共有する情報通信技術により,自然災害が集中しているアジア太平洋域における「アジアの監視員」として,災害による被災者と社会経済的損失を軽減することを目的としたプロジェクトである。(1)

これは,我が国の宇宙基本法に基づき設置された宇宙開発戦略本部が策定した宇宙基本計画(2013年1月25日決定)に挙げられる「国際協力等の推進(宇宙外交)」と合致している。(2)

センチネルアジアは,アジア太平洋域の25か国・地域から76機関および14国際機関(2013年7月現在)で構成されるJoint Project Team(JPT)が,アジア防災センター(Asian Disaster Reduction Center)のメンバー機関(27のメンバー国,五つのアドバイザー国で構成)と密に連携し推進されている。JPTメンバーは,各国の防災機関,災害関連情報を提供するデータ提供機関,データを解析し解析結果を提供するデータ解析機関で構成され,独立行政法人宇宙航空研究開発機構(以下,JAXA)が事務局となり活動している。富士通は,アジアにおける防災・減災活動を支援するため,アジア太平洋域災害管理システム「センチネルアジアSTEP2(以下,センチネルアジア

ま え が き

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地球観測衛星を利用したアジア太平洋域災害管理システム

ジアシステムは,アジア太平洋域においてデータを共有するシステムであり,1か所にデータを蓄積すると利用者とデータを蓄積する場所との物理的な距離が長くなり,性能が劣化する。また,共有するデータは,各国機関ごとに利用可能なデータが決まっており,単純に全ての情報を共有することができない。

【対策】

センチネルアジアシステムでは,災害関連情報を一元管理し日本に設置する中央サーバと,必要な情報のみを管理する地域サーバを太平洋域の各地に設置する広域分散システムの構成とした。その結果,防災機関が直近の地域サーバから災害関連情報を利用することで,拠点間の物理的な距離を短くし,ダウンロード性能など利便性を向上させた。また,利用可能である災害関連情報のみを地域サーバに格納することで,アクセス権を確保した。● アジア太平洋域の各国機関間のデータ伝送に

おける課題と対策【課題】

災害発生国のデータ提供依頼に対応したデータ提供機関および解析機関が提供する災害関連情報

である。定期的に取得された災害関連情報を参照することにより,災害の予兆発見もしくは早期発見につなげることを可能としている。

アジア太平洋域の災害を監視するための課題と対策

アジア太平洋域の災害を監視し,災害関連情報を共有するセンチネルアジアシステムでは,下記課題が存在した。・ 災害関連情報をアジア太平洋域の広域で共有するための課題

・ アジア太平洋域の各国機関間のデータ伝送における課題以降に,課題の内容と実施した対策を記述する。

● 災害関連情報をアジア太平洋域の広域で共有するための課題と対策

【課題】

データを共有する一般的なシステムは,1か所にデータを蓄積し,利用者が必要に応じて取得することで共有を図っている。このとき,データ利用時のダウンロード性能を向上させるため,利用者とデータを蓄積する場所との物理的な距離が短いこと,および拠点間の通信基盤が十分に整備されていることが前提となる。しかし,センチネルア

アジア太平洋域の災害を監視するための課題と対策

図-1 センチネルアジアシステム概要

インターネット

インターネット

地球観測衛星(だいち)通信衛星(きずな)

一般ユーザー

災害情報

(地域サーバ)-アジア拠点 -

(地域サーバ)-アジア拠点 -

被災者 復旧活動被災者

インド衛星 など

災害情報

災害情報

衛星画像提供機関(JAXA,インドなど)

中央サーバ(日本)

地域サーバ(アジア拠点)

Disaster Management (Data Analysis) Node

Disaster Management (Data Analysis) Node

災害情報

防災担当者

防災機関(アジア太平洋各国)

防災支援情報

BI.DAN-GUN

BI.DAN-GUN

防災活動支援

衛星画像提供:JAXA

BI.DAN-GUN

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地球観測衛星を利用したアジア太平洋域災害管理システム

は,迅速に災害発生国の防災機関へ提供する必要がある。このとき,データ提供機関および解析機関から災害発生国への災害関連情報の提供は,国境をまたぐ長距離のデータ伝送である。そのため,データ伝送経路における通信基盤が非常に重要である。しかし,アジア太平洋域には,通信回線の品質が悪い,または通信回線の帯域が狭いなど通信基盤が十分に整備されていない地域が存在する。

【対策】

アジア太平洋域に存在する通信基盤が十分に整備されていない地域を考慮し,センチネルアジアシステムでは,インターネットを利用した地上通信回線のほかに衛星通信を利用した衛星通信回線を利用可能としている。衛星通信回線によるデータ伝送は,中央サーバより災害関連情報を送信し,超高速インターネット衛星「きずな(WINDS)」(4)

を経由して,各地域サーバで受信する。その結果,通信基盤が整備されていない地域を経由せずにデータ伝送が可能となり,迅速なデータ提供を可能としている。

富士通が提供した技術

前述した課題に対応する対策の中で,富士通が提供した技術を以降に紹介する。(1) 迅速に災害関連情報を提供する通信回線・伝送経路最適化技術防災機関に災害関連情報を伝送する経路は,地上通信回線と衛星通信回線の2種類が存在する。災害関連情報の配信計画(防災機関に災害関連情報を提供する計画)は,配信先地域の回線状況,災害関連情報の優先度,WINDSの利用可能時間帯とその時間帯の伝送可能地域および刻々と変化する状況を考慮し,災害関連情報が最も迅速に防災機関へ提供されるよう立案する必要がある。センチネルアジアシステムでは,災害関連情報の配信先・優先度・容量,WINDSの送信可能地域・割り当て時間,配信先地域サーバの設置地域・通信環境・WINDSアンテナの有無,および配信する上での基本情報である回線の種類・配信における優先度の情報全てを考慮し,最も迅速に防災機関へ災害関連情報を提供できる回線種別(地上回線もしくは衛星回線)・経路(中央サーバから地域サーバへの直接配信もしくは最終配信先地域サーバの

富士通が提供した技術

直近の地域サーバを経由するリレー配信)を選択し立案している。その立案された回線と経路に従うことで,災害関連情報を災害発生国の防災機関へ迅速に提供することを可能としている。(2) 低品質回線に強い高速・高信頼データ伝送技術最適な配信計画の一方で,最適なデータ伝送効率化においても富士通独自技術を導入している。一般的に,低品質回線を使用したデータ伝送ではパケット消失によりファイル再送が多発するため,配信完了までに長時間を要しデータ伝送効率が悪くなる。そこで,センチネルアジアシステムでは,当社製品である高速伝送パッケージ「BI.DAN-GUN」(5)

を適用することで,通常の伝送と比較し効率的な配信(FTPの約20倍)を可能とした。BI.DAN-GUN(図-2)は,UDP(User Datagram Protocol)通信に富士通研究所が独自に開発した消失訂正符号RPS(Random Parity Stream)(6),(7)を組み合わせることで,回線品質が悪く,瞬断やパケットのリトライ転送が多発する地域を通るインターネット回線においても,高信頼かつ高性能なファイル伝送を実現している。また,一方向通信であるWINDSを使用した衛星通信においても,ファイル伝送部分がUDP通信であるBI.DAN-GUNは,高速伝送が可能である。以上の技術を適用することで,アジア太平洋域の防災機関に災害関連情報を迅速に提供することを実現した。富士通は,そのほか保有する技術を最大限に活用し,「アジアの監視員」であるセンチネルアジアをICTで支えている。

利 用 実 績

本章では,センチネルアジアシステムを利用した実績を紹介する。(1) アジア太平洋域への展開実績現在アジア太平洋域に設置している地域サーバは,14か所である(図-3)。現在,これらの地域サーバに災害関連情報を提供している。(2) 防災機関による災害関連情報提供依頼の実績防災機関による災害関連情報の提供依頼件数は,

2007年3月~ 2013年7月の間で142件であり,これまで4971件の災害関連情報を防災機関に提供して

利 用 実 績

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地球観測衛星を利用したアジア太平洋域災害管理システム

ができる。また,このときのセンチネルアジアの対応に関し,当時の内閣府参事官(災害予防担当)からセンチネルアジア事務局(JAXA)に感謝状(8)が贈られている。

む  す  び

本稿では,センチネルアジアシステムとそれを完成させた富士通の技術について紹介した。また,センチネルアジアの展開実績を示すことで防災に対する貢献の一端を紹介した。今後も,センチネルアジアのシステム運用を通してアジア太平洋域の安心・安全な社会につながるよう貢献していきたい。最後に,本稿で述べたシステムの開発に当たって,的確なご指導を頂いた独立行政法人宇宙航空研究開発機構様,および関連機関の方々にこの場を借りて心からお礼を申し上げる。

む  す  び

いる。自然災害発生件数は,年別では2010年および2011年が多く,月別の発生件数では7月~ 10月の期間に集中して発生している。また,国別ではインドネシア・フィリピン・ベトナムの観測が多く,自然災害の種類は洪水が最も多い。インドネシアおよびフィリピンは,自然災害の種類が多く,洪水のほかにも地震・火山噴火による自然災害が発生しセンチネルアジアシステムが利用されている。(3) 東日本大震災への貢献

2011年3月11日に発生した東日本大震災では,センチネルアジアに日本から災害関連情報の提供依頼を実施し,JAXAの陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)および各国機関の地球観測データ{FORMOSAT-2(台湾),IRS(インド),THEOS(タイ)}が被害状況把握,復旧・復興計画に利用された。東日本大震災における各種災害関連情報(図-4)は,センチネルアジアシステムのWebサイトから参照することができ,各国機関の協力を確認すること

図-2 高速伝送パッケージ「BI.DAN-GUN」の伝送方式

図-3 アジア太平洋域の地域サーバ図-4 東日本大震災の災害関連情報

(センチネルアジアホームページ)

TCPコネクションの確立一定時間ごとに回線測定実施(転送速度,パケット消失率)

送信データ

<送信側>

符号化 復号

<受信側>

UDP

UDP

実行プロセス

CRCチェック

受信データブロック化

データ転送(回線測定結果を帯域制限に)

CRC:巡回冗長検査

<施策 2>自動復元ができない連続パケット消失の場合も,その近辺のデータのみ再送

<施策 1>受信側で消失パケットの自動生成

モンゴル

ネパール

スリランカ

インドネシア

フィリピンタイ ベトナム

バングラディッシュ

フィジー

カザフスタン

キルギス

マレーシア

インド

日本(中央サーバ)

台湾

災害関連情報の一覧震災後衛星データと震災前植生情報の同時表示

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地球観測衛星を利用したアジア太平洋域災害管理システム

(5) 富士通:BI.DAN-GUN(ビーアイドットダンガン). http://jp.fujitsu.com/solutions/industry/package/

dangun/(6) 亀山裕亮,佐藤裕一,吉田義史,瓜田誠一:クラウドコンピューティングに適した高速ファイル転送ソ

リューション.FUJITSU,Vol.60,No.5,p.470-475(2009).

(7) H. Kameyama and Y. Sato:Erasure Code with Small Reception Overhead and Its Application to Distributed Storage.IEEE 41st Annual Conference on Information Sciences and Systems,2007,p.80-85.

(8)JAXA:衛星利用推進サイト. http://www.sapc.jaxa.jp/antidisaster/index.html

参 考 文 献

(1) JAXA:APRSAF. http://www.aprsaf.org/(2) 内閣府:宇宙基本計画,平成25年度1月宇宙開発戦略本部決定.

http://www8.cao.go.jp/space/plan/keikaku.html(3) 富士通プレスリリース:人工衛星を利用したアジア太平洋域災害管理システム「センチネルアジア

STEP2」が本稼働. http://pr.fujitsu.com/jp/news/2010/04/1.html(4) JAXA:「きずな」(WINDS). http://www.jaxa.jp/projects/sat/winds/index_j.html

有山俊朗(ありやま としあき)

テクニカルコンピューティング・ソリューション事業本部科学システムソリューション統括部 所属現在,衛星データ利用分野のシステム開発に従事。

齋藤 悠(さいとう ゆう)

テクニカルコンピューティング・ソリューション事業本部科学システムソリューション統括部 所属現在,衛星データ利用分野のシステム開発に従事。

著 者 紹 介