地理情報システム（ＧＩＳ）導入による業務効率化に関する

苅田町の取組について

苅田町 施設建設課農林土木担当係長 佐村有人

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苅田町の紹介

苅田町は、北九州市と行橋市の間に位置する人口約3万7千人、面積48.98km2の町です。東は周防灘に面して、国際貿易港・苅田港と広大な臨海工業地帯が広がっています。また苅田港沖には北九州空港があり、苅田港、東九州自動車道苅田北九州空港インターチェンジと併せ、陸・海・空の交通結節拠点となっています。

【苅田町 航空写真】

【等覚寺松会】

【苅田山笠】

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課題と期待される効果

◎水道事業が抱える課題

給水収益の減少

行政改革による正規職員の減

水道施設の老朽化

水道料金の改定

技術の伝承

水道管の耐震化

窓口業務、浄水場の民間委託

・管路マップの電子化・窓口に端末を設置

施設抽出

現状(気付き)

・管路マップ紙媒体

・窓口対応の時間を要する

対策（構想）

業務の見直し、効率化

採用

（決断）

長寿命化計画の策定

・既設管路の情報整理

・既存施設の把握

・施設改修コストの算出

業務委託・導入コスト４,０００万円・保守、修正コスト発生

地理情報システム（GIS）を活用・KRIPP※1共同利用にてArcGIS導入

・地域性、先人の経験を反映

・職員にて入力（根気）※１：北九州地区電子自治体推進協議会の略称

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ＫＲＩＰＰの紹介

-北九州地区電子自治体推進協議会-(略称：KRIPP)では、北九州が導入したＧＩＳを共同利用し自治体の垣根を越えた地理空間情報の利用を行っている。

加盟自治体【北九州市、苅田町、香春町、行橋市、直方市、鞍手町】※共同ＧＩＳについては、平成25年から利用を開始。

■目的・期待する効果地理空間情報の高度利用を推進し、地域が抱える行政問題の解決を目的としている。また、調達コストや経費削減、業務の効率化が期待できる。

内 容

• 用語の説明（図面、写真）１．水道のしくみ

• 図面の用途、紙媒体での管理２．今までの管理

• マッピングデータの作成３．活用事例

• データの公開、情報の共有〃

• データ抽出機能〃

• 検針エリアのマッピング化〃

• 持ち出せるGIS（スマホアプリ）〃

• 促進経緯、用途別のまとめ、活用事例４．他部署での活用事例

• GIS導入による効果、効果額５．まとめ

配水管 給水管 水道メータ

1．水道のしくみ-給水管-配水管から分岐して設けられたもの

浄水場→配水池→配水管→給水管→水道メータ→家庭の蛇口

給水管標準図

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公道蔀

（設計禎算 1 水達課）

宅内蔀

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◎配水管布設工事写真

1．水道のしくみ

配水管

給水管

仕切弁

破損事故

埋設されているため詳細な情報は水道管理者でも分かりづらい

仕切弁BOX

誤った情報を伝えると

責任重大

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窓口での埋設確認

埋設管の調査内容は、管路の有無、工事年度、管種、

管径、メーター口径〔不動産関連〕

工事（給水、NTT、電気、ガス）の調査〔工事業者〕

水道管理者の業務（布設替工事、漏水事故）

管種、管径、布設年度、給水管の有無などを調査

（配水管の漏水は、仕切弁を閉めた場合の断水件数を把握）

2．図面の利用用途

削減職員による窓口対応約５件/日×１０分として 年間２００時間

水道工務担当（H27年当時）係長１名、担当職員3名、臨時職員1名

工事設計、積算、監督、打合せ給水工事対応、漏水対応など

担当職員不在時は、経験の浅い職員にて対応

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◎配水管網図

道路新設、宅地開発開発部は紙を貼り付ける作業にて対応

記入出来る情報が限られている（事故履歴や仕切弁の開閉など）

2．今までの図面管理

給水管やメーター位置までは記入できない

縮尺1/2500配水管の口径、布設年度、仕切弁、消火栓を手書き

◎給水装置の管理方法

2．今までの図面管理

ゼンリン住宅地図に約14,000件の水栓番号と水道メータの位置を手書き

水栓番号（手書き）

メータ位置（手書き）

配水管や仕切弁、消火栓、給水管までは記入できないⒸ 2017 ZENRIN CO.,LTD. (Z19JJ第039号)

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3．活 用 事 例◎マッピングデータ作成

デスクトップGIS

口径毎に色分けする事で幹線管路の情報が明確（黄緑φ100、青φ150など）

既にマッピングシステム等の電子媒体（シェイプファイル）があればデータ移行が可能【下水道マップもGISへ移行】

入力作業:平成26年9月から1.5年間・配水管： 3,411件 ・ 仕切弁： 5,201件・給水管：20,565件 ・ 消火栓： 1,599件・空気弁： 92件 ・ 水道ﾒｰﾀ：14,219件

※ ArcGIS保守契約および業務支援：ｅｓｒｉジャパン㈱

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3．活 用 事 例

メータ位置水栓番号

配水管の口径布設年度

給水管

消火栓

仕切弁

◎マッピングデータ作成（拡大） デスクトップGIS

Ⓒ 2017 ZENRIN CO.,LTD. (Z19JJ第039号)

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3．活 用 事 例

◎マッピングデータ公開（窓口端末の設置）

今までの窓口対応現在の窓口対応（H28.3月から運用）• 平成28年度実績 408件• 平成29年度実績 490件

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GISデータは、庁内データベースとアクセスするためデスクトップ端末から同時入力が可能

WEBアプリは、属性検索や住所検索も簡単、料金担当が使用（窓口の閲覧用として）

3．活 用 事 例

◎情報の参照と共有（webアプリ）

庁内 GIS データベース

デスクトップGIS Web アプリ

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3．活 用 事 例

◎情報の参照と共有（webアプリ） Web アプリ

Ⓒ 2017 ZENRIN CO.,LTD. (Z19JJ第039号)

水栓番号を入力する事で、目的地へズーム（簡単な操作で検索が可能）また、庁内LAN環境内であればどこでも使用可能

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3．活 用 事 例

◎データ抽出機能

データを抽出しグラフを作成老朽管の更新計画を作成

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布設年度

3．活 用 事 例◎検針エリアをマッピング化

水道メータの検針エリアの見直しに伴い現状をマッピング化

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3．活 用 事 例

漏水事故や、埋設調査は現地の情報

を正しく把握する必要がある

現地では庁内システムを見ることが出来

ないためデスクに戻る時間がロスとなる

夜間、休日も迅速に対応

クラウド GIS

スマホ用GISアプリ

◎持ち出せるGIS（スマホアプリ）

スマホ用GISアプリを使用すれば、現地でも情報が見れるため迅速な対応が可能

アクセス件数：約５００件/年

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4. 他部署での活用事例◎GIS活用の推移 GIS未経験の情報政策課2名、既存の統合型GISなどもないゼロからのスタート

導入後すぐには活用が進まず、2年目以降から一気に活用が増加（職員向けの操作説明および学習会を実施）

1年目の導入初期から5年目の現在にあたる活用発展期に至るまで、庁内で様々な用途で活用

導入初期 低滞期 周知期 発展期

１年目～ ２年目～ ３年目～ ４年目～ ５年目

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H25年度 H26年度 H27年度 H28年度 H29年度

GIS活用の推移

職員向け学習会を実施

4. 他部署での活用事例

用途 利用している課 項目 利用アプリ

全庁での地図の参照

全庁

・住宅地図 ・地番図 ・地形図 Web アプリ

・航空写真 ・用途地域図 （カスタマイズなし）

・路線綱図 ・固定資産

施設/設備管理

・上下水道課 ・水道設備管理 ・林地台帳 Webアプリ

・生涯学習課 ・遺跡管理 ・農地管理 デストップGIS

・くらし安全課 ・下水台帳 ・ゴミステーション （カスタマイズなし）

・施設建設課 ・防犯灯/反射鏡管理

・農政課 ・空き屋管理

・道路綱図

分析・上下水道課 ・水道設備の耐震適合分析 デスクトップGIS

・くらし安全課 ・災害区域に含まれる要援護者の把握 （カスタマイズなし）

情報発信 ・広報課 ・観光マップクラウド GIS

（カスタマイズなし）

情報共有

・施設建設 ・企画財政課・関連課での工事情報の共有・建築・土木事業者ランクマップ・通学路

Web アプリ

・生涯学習課 ・教育総務課 （カスタマイズなし）

・都市計画

・上下水道

現地調査 ・上下水道 ・水道設備の現地確認スマホ アプリ

（カスタマイズなし）

その他

・くらし安全課 ・災害時の被害情報の記録 Webアプリ

・選挙管理委員会 ・選挙ポスター看板の位置管理 デスクトップGIS

・契約検査課 ・契約行為に関わる土地管理 （カスタマイズなし）

◎用途別のまとめ

4. 他部署での活用事例◎庁内システムでの活用事例

固定資産台帳 都市計画図

住 宅 地 図 地 形 図

◎施設建設課での活用事例①

ため池

農道

井堰

4. 他部署での活用事例

作業効率向上

属性情報を参照

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作業効率向上

自席での作業が可能

◎施設建設課での活用事例②

4. 他部署での活用事例

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5. まとめ(1)

①管路マップの電子化

③窓口端末の設置 ④GISの庁内利用

②スマホアプリの構築

導入、保守コストを削減 管路情報の整理 現状の把握（未更新箇所も発見） 更新計画を策定 行政サービスの向上（信頼性）

漏水時の迅速な対応 埋設物の把握（透視性） 誤接合や破損事故の防止

（管工事組合への情報提供）

独自システムをGISへ集約（自席にて作業可能）

全庁利用や各課で台帳整理 庁内LAN環境であれば閲覧可能

窓口対応時間の縮減 いつでも同じ情報提供が可能 窓口端末による閲覧実績（上下水道）• 平成28年度実績 408件• 平成29年度実績 490件

業務の向上・コスト削減を実現

◎GIS導入における成果

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5. まとめ(2)◎GIS導入における費用対効果・GIS導入(H25～H29)におけるシステム費の削減額

内 容 導入コスト(円) 保守コスト(円) 計(円)

水道管路業務委託を採用 40,000,000 500,000×5年 42,500,000

下水道管路委託を継続 - 540,000×5年 2,700,000

合計A 45,200,000

内 容 負担金(円) 保守委託料(円) 計(円)

ArcGIS自治体サイトライセンス(苅田町全庁を対象)

2,100,000×5年 1,000,000×5年 15,500,000

合計B 15,500,000

システム費の削減額 合計A-B 29,700,000

・GIS導入後(H28～H29)における作業効率化により削減された推定人件費内 容 対象者(人) 短縮時間（分/日） 効果額(円/年) 効果額(円)

①管路マップ電子化による効果額 20 -30 -6,000,000 -12,000,000

②スマホアプリによる効果額 5 -30 -1,500,000 -3,000,000

③窓口端末利用による効果額 10 -15 -1,500,000 -3,000,000

④GIS庁内利用による効果額 100 -10 -10,000,000 -20,000,000

※平均時間外勤務単価2,500円/時間、勤務日数240日にて算出 合計C -38,000,000

削減された推定人件費 合計C -38,000,000

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ご清聴ありがとうございました。

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