小型化を目指したLED 照明用高周波直流電源の開発

九州工業大学 大学院 生命体工学研究科

助教 山田 洋明

2012年2月10日（金） 第108回産学交流サロン「ひびきのサロン」

キーワード

LED 照明，パワーエレクトロニクス，デジタル制御

内容

2. 開発概要紹介

3. 実機の紹介

(1) 開発の方向性

(2) システム全体の概略と開発状況

(3) 定電流出力昇圧部の動作

1.研究開発体制

2

(4) 今後の展望

研究開発体制

•回路基本設計•実験指導，補助九州工業大学

•回路詳細設計，製作•実験，評価新日本無線

•デジタル制御系の構築•実験，評価ECS

3

開発の方向性

4

既存システムの構成

LED 照明

電源ボックス（定電流電源）

AC 電源

開発するシステムの構成

LED 照明

AC 電源

開発する小型電源

6cm6cm

電流調整（調光）

LED 照明上部に収納可能な電源

比較的低価格な電源

LED 電源の小型化

5

小型化を実現するために・・・

・ スイッチングの高周波化

・昇圧チョッパの多重化

受動部品のサイズダウン

電流負担の軽減，高周波化に寄与

インダクタのインピーダンス：

キャパシタのインピーダンス：

�

�

周波数を2倍にすれば，インピーダンスも2倍

周波数を2倍にすれば，インピーダンスは 1/2倍

LED の主な仕様

6

順電圧 約 3.4V (700mA)LED 個数 72個

【700mA 通流時】

LED 電圧 約 245V

消費電力 約 172W

光出力 13,000lm 以上

この電気特性を満たす電源が必要！

通流電流 ～ 700mA

LED の点灯方式

一般的な点灯方式

定電圧点灯方式

7

定電流点灯方式

デューティ制御方式

順電流を一定に制御

順電圧のばらつきによる影響を低減可能

定電圧点灯 定電流点灯 デューティ制御

VVF1

VF2

IF

S

LED 電源の主な目標仕様

(2) 調光制御の実現

8

(3) 高力率・低ひずみ電源の実現

項目 最少 標準 最大 単位

入力電圧 80 100 120 Vrms

入力周波数 50 60 Hz出力電流 250 700 mA最大出力電圧 280 V最大出力電力 200 W電流リプル 400 mAp-p

(1) LED 照明に内蔵できる電源の実現

vS

開発予定の電源システムの概略

AC DCDC

0.25～0.7Adc

降圧機能+

高調波抑制・力率改善

昇圧機能+

電流目標値追従

9

すべての制御をデジタル電源制御用 DSC (Digital Signal Controller) で実現

vS Filter Filter LED

PWM 整流 昇圧チョッパ

演算装置

10

・デジタル電源制御用 DSC (Digital Signal Controller)新日本無線株式会社製 NJU20011 を使用

http://semicon.njr.co.jp/digital-power-control/index_2.html参考 URL

-電源回路のスイッチングに必要な演算処理-スイッチングパターンの出力

項目 仕様

電源電圧 3.3VCPU 16bit / 62.5MHz / 6段パイプラインメモリ Flash ROM 16kW

AD 変換器 12bit / 2Msps / 12chPWM 生成器 1ns分解能 / 8出力 /4ch

IO ポート 20本

研究開発スケジュール

11

基本構成の検討

• ～2011年12月基本回路設計

定電流昇圧出力部の開発

• 現在回路製作，評価

問題点の抽出

PWM 整流部の開発• 2012年3月～回路製作，評価

問題点の改善

vS Filter Filter LED

PWM 整流 昇圧チョッパ

基本的な回路構成と動作イメージ

+ +S1vS

Lf1

Cf1

iS

Cf2

L1iL1

D1

vLED

iLED

Cf3vDC

12

昇圧チョッパ回路

t0

vDC

t0

vLED

直流電圧を昇圧

注）実際のシステムでは電流フィードバック制御を適用

ダイオード整流回路

tt 00

vS vDC

交流 (AC) から直流 (DC) へただし，電流は制御不可注）最終的には制御整流器に変更

LED の調光

電流 iLEDの大きさで明るさを制御

多重化した昇圧チョッパ回路

+ +S1 S2vS

Lf1

Cf1

iS

Cf2

L2

L1iL1

iL2 D2

D1

vLED

iLED

Cf3vDC

13

t

t

S2

S1

t

ON ON

ON

OFF

OFF OFF

iL1 iL2

シミュレーションによる回路動作の確認

14

vT

IT

I(L1) I(L2)

ILED

0.7 0.71 0.72 0.73 0.74 0.75Time (s)

VLED

200V

-200V0vS

vLED

iLED

iS

iL1 iL2

400V

0

1A

0

5A

0

20A

-20A0

電源電圧

電源電流

インダクタ電流

LED 電流

LED 電圧

LED 電流リプル ±100mA以内

今後の展望

15

・ 電源側高調波電流の低減 （課題 1）

・ スイッチングに伴うノイズの低減 （課題 2）

・ 効率等の電源回路の評価

・保護機能の付加

電源への高調波電流の流出（課題 1）

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Lf1

Cf1 Cf2

Lf2

L2

L1

S1

S2

D2

D1

vS vLED

iLED

vDC

iS

Cf3

iL1

iL2

ダイオード整流回路の問題点

電流が不連続（キャパシタ Cf2充電時のみ電流流入）

電源側に高調波重畳

IT

vS

iS

PWM 整流

高調波電流の低減 （課題 1）

17

S1

S2

S3

S4

Lf1

Cf1 Cf2

Lf2

L2

L1

S1

S2

D2

D1

vS vLED

iLED

vDC

iS

Cf3

iL1

iL2

PWM 整流電源電圧と同位相の電流に近づけるようにスイッチを制御

IT

vS

iS高力率，低ひずみ率の電流

PWM 整流

ダイオード整流

スイッチングに伴うノイズの低減（課題 2）

18

・高周波スイッチングに伴う課題： スイッチングノイズ

t

S

t

t

vSW

vSW

iSW

iSW

S0

0

0

実際のスイッチング動作

理想的なスイッチング動作

急峻なスイッチングを避けるソフトスイッチングの検討

ONOFF OFF