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日本標準商品分類番号 2010 年 6 月(改訂第 9 版) 876419 医薬品インタビューフォーム 抗トリコモナス剤 日本薬局方 メトロニダゾール錠 フラジール ® 内服錠250mg Fla g yl ® 糖衣錠 処方せん医薬品 注 1) 1)注意-医師等の処方せんにより使用すること 1 錠中 メトロニダゾール 250 mg 和 名:メトロニダゾール 洋 名:Metronidazole 製造販売承認年月日 薬価基準収載・発売年月日 製造販売承認年月日:2008313日(販売名変更による) 薬価基準収載年月日:2008620日(販売名変更による) 発 売 年 月 日:196111開発・製造販売(輸入)・ 提携・販売会社名 製造販売元:塩野義製薬株式会社 医薬情報担当者の連絡先 塩野義製薬株式会社 医薬情報センター TEL 0120-956-734 FAX 06-6202-1541 医療関係者向けホームページ http://www.shionogi.co.jp/med/ IF 2010 6 月改訂の添付文書の記載に基づき改訂した。 最新の添付文書情報は,医薬品医療機器情報提供ホームページ http://www.info.pmda.go.jp/ にてご確認下さい。

日本薬局方 メトロニダゾール錠kosugi/zemi2011/iform/... · 注1)注意-医師等の処方せんにより使用すること. 規格・含量

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日本標準商品分類番号2010 年 6 月(改訂第 9版) 876419

医薬品インタビューフォーム

抗トリコモナス剤

日本薬局方 メトロニダゾール錠

フラジール® 内服錠250mg

Flagyl®

剤 形 糖衣錠

製 剤 の 規 制 区 分処方せん医薬品注1)

注 1)注意-医師等の処方せんにより使用すること

規 格 ・ 含 量 1 錠中 メトロニダゾール 250 mg

一 般 名和 名:メトロニダゾール

洋 名:Metronidazole

製 造 販 売 承 認 年 月 日

薬価基準収載・発売年月日

製造販売承認年月日:2008年 3月 13日(販売名変更による)

薬価基準収載年月日:2008年 6月 20日(販売名変更による)

発 売 年 月 日:1961年 11月

開発・製造販売(輸入)・

提 携 ・ 販 売 会 社 名製造販売元:塩野義製薬株式会社

医薬情報担当者の連絡先

問 い 合 わ せ 窓 口

塩野義製薬株式会社 医薬情報センター

TEL 0120-956-734 FAX 06-6202-1541

医療関係者向けホームページ http://www.shionogi.co.jp/med/

本 IF は 2010 年 6 月改訂の添付文書の記載に基づき改訂した。 最新の添付文書情報は,医薬品医療機器情報提供ホームページ http://www.info.pmda.go.jp/ にてご確認下さい。

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目 次

※印:必要に応じて薬剤師の先生方に医薬情報担当者(MR)とのインタビューにより記載していただく項目

Ⅰ.概要に関する項目 ...........................1

1.開発の経緯 ........................................ 1

2.製品の特徴及び有用性,類似薬との

比較................................................... 1

3.主な外国での発売状況 ...................... 2

Ⅱ.名称に関する項目 ...........................3

1.商品名 ............................................... 3

2.一般名 ............................................... 3

3.構造式又は示性式.............................. 3

4.分子式及び分子量.............................. 3

5.化学名(命名法).............................. 3

6.慣用名,別名,略号,記号番号 ........ 4

7.CAS 登録番号.................................... 4

Ⅲ.原薬の性状に関する項目 ................5

1.原薬の規制区分 ................................. 5

2.起源 ................................................... 5

3.物理化学的性質 ................................. 5

4.原薬の安定性..................................... 6

5.原薬の確認試験法.............................. 6

6.原薬の純度試験法.............................. 6

7.構造上関連のある化合物又は

化合物群 ........................................... 6

Ⅳ.製剤に関する項目 ...........................7

1.剤形 ................................................... 7

2.製剤上の特徴..................................... 8

3.製剤の組成 ........................................ 8

4.懸濁剤,乳剤の分散性に対する

注意................................................... 8

5.製剤の安定性..................................... 8

6.他剤との配合変化

(物理化学的変化)........................ 10

7.調製法及び溶解後の安定性 ............. 10

8.混入する可能性のある夾雑物.......... 10

9.溶出試験 .......................................... 10

10.生物学的試験法 ............................... 11

11.製剤中の原薬確認試験 .................... 11

12.製剤中の原薬定量法........................ 11

13.力価................................................. 11

14.その他 ............................................. 11

Ⅴ.治療に関する項目 .........................12

1.効能・効果 ...................................... 12

2.用法・用量 ...................................... 13

3.臨床適用 .......................................... 14

※4.その他の薬理作用............................ 15

5.治療的特徴 ...................................... 15

Ⅵ.使用上の注意に関する項目...........16

1.警告とその理由 ............................... 16

2.禁忌とその理由 ............................... 16

3.慎重投与とその理由 ........................ 17

4.一般的注意とその理由及び

処置方法.......................................... 17

5.相互作用 .......................................... 17

6.副作用.............................................. 18

7.薬物アレルギーに対する注意及び

試験法 ............................................. 21

8.高齢者への使用に関する注意 .......... 22

9.妊娠又は妊婦への使用に関する

注意................................................. 22

10.授乳婦への使用に関する注意.......... 22

11. 低出生体重児,新生児,乳児,

幼児,小児への使用に関する注意 .. 22

12.臨床検査値への影響........................ 22

13.過量投与時 ...................................... 22

14.適用上の注意................................... 22

15.薬剤交付時の注意事項 .................... 23

16.その他 ............................................. 23

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Ⅶ.薬効薬理に関する項目 ..................25

1.薬理学的に関連ある化合物又は

化合物群 ..........................................25

2.薬理作用 ..........................................25

3.薬理学的特徴 ...................................26

Ⅷ.体内薬物動態に関する項目...........27

1.血中濃度の推移,測定法 .................27

2.薬物速度論的パラメータ .................28

3.作用発現時間 ...................................28

4.作用持続時間 ...................................28

5.吸収..................................................28

6.分布..................................................29

7.代謝..................................................30

8.排泄..................................................31

9.透析等による除去率.........................31

Ⅸ.非臨床試験に関する項目 ..............32

1.一般薬理 ..........................................32

2.毒性..................................................32

3.動物での体内動態 ............................34

Ⅹ.取扱い上の注意,包装,承認等

に関する項目 ................................35

1.有効期間又は使用期限 .................... 35

2.貯法・保存条件 ............................... 35

3.薬剤取扱い上の注意点 .................... 35

4.包装 ................................................. 35

5.同一成分,同効薬 ........................... 35

6.製造販売承認年月日,承認番号 ...... 35

7.薬価基準収載年月日 ........................ 35

8.再審査期間の年数 ........................... 36

9.長期投与の可否 ............................... 36

10.薬価基準収載医薬品コード............. 36

ⅩⅠ.文献 ..............................................37

1.引用文献.......................................... 37

2.その他の参考文献 ........................... 39

3.文献請求先 ...................................... 39

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Ⅰ.概要に関する項目

1.開発の経緯

フラジール内服錠 250 mg は,1957 年フランス ローヌ・プーラン ローラー社

研究所(現サノフィ・アベンティスグループ)で開発された抗トリコモナス剤メ

トロニダゾールの経口用製剤である。国内では塩野義製薬が 1961 年輸入承認を

受け,同年発売した。

2005 年 7 月に日本ヘリコバクター学会からヘリコバクター・ピロリの二次除菌

療法の保険適用に係る要望書が提出されたことを受け,関連する会社が海外にお

ける承認状況及び国内外の公表文献等を科学的根拠として臨床試験を実施するこ

となく共同で申請し,2007 年 8 月 23 日に本剤とアモキシシリン水和物及びプ

ロトンポンプインヒビター(ランソプラゾール,オメプラゾール又はラベプラゾ

ールナトリウム)を用いた胃潰瘍,十二指腸潰瘍におけるヘリコバクター・ピロ

リ除菌に関する効能・効果及び用法・用量が追加承認された。

更に,2010 年 6 月 18 日に胃 MALT リンパ腫,特発性血小板減少性紫斑病,早

期胃癌に対する内視鏡的治療後胃におけるヘリコバクター・ピロリ除菌に関する

効能・効果が追加承認された。

2.製品の特徴及び有用性,類似薬との比較

(1) 男女両性のトリコモナス症に有効である。(15 頁)

(2) トリコモナス症(腟トリコモナスによる感染症)に対する再評価結果にお

ける有効性評価対象例 337 例中,治癒率は 96.4%(325 例)であった。ま

た,原虫再出現率は有効性評価対象例 284 例中,14.1%(40 例)であった。

(15 頁)

(3) 胃潰瘍・十二指腸潰瘍におけるヘリコバクター・ピロリ感染症に対するプ

ロトンポンプインヒビター/アモキシシリン水和物/メトロニダゾール併

用療法(PPI/AM 療法)は承認の用法・用量(プロトンポンプインヒビタ

ー常用量+アモキシシリン水和物 750 mg +メトロニダゾール 250 mg 1

日 2 回,7 日間)において 81.7 ~ 100%の除菌効果※が得られる治療法で

あることが報告されている。(15 頁) ※:評価基準等が異なる複数の臨床研究成績に基づき記載

(4) 妊婦に経口投与を避けるため,腟錠も販売している。(35 頁)

-1-

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(5) トリコモナス症に対する再評価結果における安全性評価対象例 968 例中,副

作用は 304 例(31.4%)に認められた。主なものは舌苔 75 例(7.7%),

食欲不振 73 例(7.5%),胃腸障害 32 例(3.3%)等の消化器症状であった。

(18,20 頁)

(6) 重大な副作用:長期投与により末梢神経障害があらわれることがある。(18

頁)

3.主な外国での発売状況

表Ⅰ-1 主な外国での発売状況

販売名 会社名 国名

Flagyl Aventis (現 Sanofi-Aventis)

フランス,ドイツ,スイス,

カナダ

Deflamon Bayer イタリア

Arilin Wolff ドイツ

Metrin Parnell オーストラリア

Index Nominum:International Drug Directory, 18th ed., (Swiss Pharmaceutical Society ed.), 2004, pp. 796-799, Medpharm Scientific Publishers, Stuttgart

-2-

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Ⅱ.名称に関する項目

1.商品名

(1) 和名

フラジール®内服錠250mg

(2) 洋名

Flagyl®

(3) 名称の由来

flagellum(鞭毛生物)+ YL(語尾調整)

2.一般名

(1) 和名(命名法)

メトロニダゾール(JAN)[日局]

(2) 洋名(命名法)

Metronidazole(JAN,INN)

3.構造式又は示性式

OHN

N CH3

O2N

4.分子式及び分子量

分子式:C6H9N3O3

分子量:171.15

5.化学名(命名法)

2-(2-Methyl-5-nitro-1H-imidazol-1-yl) ethanol(IUPAC)

-3-

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6.慣用名,別名,略号,記号番号

略号:MTZ,MNZ

治験成分記号:8823RP

7.CAS登録番号

443-48-1

-4-

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Ⅲ.原薬の性状に関する項目

1.原薬の規制区分

該当しない

2.起源

1955 年,2-ニトロイミダゾールがトリコモナスに効力があることがわかり,

多くのニトロイミダゾール化合物が合成されたが,メトロニダゾールは強力

な抗トリコモナス作用を持ち,毒性の弱い薬物として 1959 年に開発された 1)。

3.物理化学的性質

(1) 外観・性状 1)

白色~微黄白色の結晶又は結晶性の粉末である。

希塩酸に溶ける。光によって黄褐色になる。

(2) 溶解性 1)

表Ⅲ-1 溶解性 (測定温度 20 ± 5℃)

溶 媒 溶質 1 g を溶かすに要する溶媒量* 日本薬局方による溶解性の用語

酢酸(100) 1 mL 以上 10 mL 未満 溶けやすい

エタノール(99.5) 30 mL 以上 100 mL 未満 やや溶けにくい

アセトン 30 mL 以上 100 mL 未満 やや溶けにくい

水 100 mL 以上 1000 mL 未満 溶けにくい

*:日局 15 通則 29 による

(3) 吸湿性

吸湿性なし

(4) 融点(分解点),沸点,凝固点 1)

融点: 159 ~ 163℃

(5) 酸塩基解離定数

pKa=2.6(イミダゾール環)〔紫外可視吸光度測定法〕

(6) 分配係数 2)

0.81[pH 7.4,1-オクタノール/緩衝液]

-5-

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(7) その他の主な示性値

該当資料なし

4.原薬の安定性

保存条件:室内温湿度(温度 20 ~ 26℃,湿度 25 ~ 50%RH)

白色蛍光灯下 約 1000 lx(オープンシャーレ)

試験項目:外観,含量

試験結果:

(1) 外観;時間の経過と共に徐々に,うすい黄白色からうすい緑色を帯びた黄

色へ変化した。

(2) 含量 表Ⅲ-2 原薬の安定性

(1 ロット)

保存期間 試験項目 試験

開始時 3 日 7 日 14 日 21 日 30 日 60 日 90 日

含量*1(%) 99.3 99.8 99.2 100.0 99.7 99.3 99.4 98.6

残存率*2(%) 100 100.5 99.9 100.7 100.4 100.0 100.1 99.2

*1:標準溶液に対する比(%)で表示

*2:初期値に対する残存率(%)で表示

測定法;HPLC(High Performance Liquid Chromatography;液体クロマトグラフィー)

岩本健三ほか:塩野義製薬製造本部部内報告(1996)

5.原薬の確認試験法

日局「メトロニダゾール」の確認試験による。

6.原薬の純度試験法

日局「メトロニダゾール」の純度試験及び定量法による。

7.構造上関連のある化合物又は化合物群

ニトロイミダゾール誘導体

-6-

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Ⅳ.製剤に関する項目

1.剤形

(1) 剤形の区別,規格及び性状

表Ⅳ-1 組成・性状

販売名 フラジール内服錠250mg

成分・含量 (1 錠中)

メトロニダゾール 250 mg

添加物

コムギデンプン,グリセリン,メチルセルロー

ス,水アメ,タルク,ステアリン酸マグネシウ

ム,白糖,デンプングリコール酸ナトリウム,ア

ラビアゴム末,ゼラチン,沈降炭酸カルシウム,

安息香酸ナトリウム,カルナウバロウ

性状・剤形 白色の円形の糖衣錠で,においはなく,味は甘い。

外形

表面 裏面 側面

大きさ 直径 約 10.8 mm

厚さ 約 6.0 mm

重量 約 0.6 g

識別コード 763

(2) 製剤の物性

崩 壊 性 :日局一般試験法「崩壊試験 (1) 即放性製剤」の項に定めるコーテ

ィング錠の試験(試験液は崩壊試験第 1 液)を行うとき,10 ~ 25

分で崩壊し,これに適合する。

硬 性 :5 ~ 11 kg(S式硬度)

溶出速度:50 ~ 60 分(USP 回転バスケット法)

(3) 識別コード

上記「表Ⅳ-1 組成・性状」参照

-7-

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(4) pH,浸透圧比,粘度,比重,無菌の有無及び安定な pH 域等

該当しない

(5) 酸価,ヨウ素価等

該当しない

2.製剤上の特徴

主薬がわずかに苦みを有し,光によって変化するため,糖衣錠とした。

3.製剤の組成

(1) 原薬(活性成分)の含量

7 頁「表Ⅳ-1 組成・性状」参照

(2) 保存剤,賦形剤,安定剤,溶媒,溶解補助剤,基剤等

7 頁「表Ⅳ-1 組成・性状」参照

(3) 添付溶解液の組成及び内容量

該当しない

4.懸濁剤,乳剤の分散性に対する注意

該当しない

5.製剤の安定性

(1) 長期保存試験

室温・遮光・密栓の条件下 6 ヵ月経時で,各試験項目について安定であった。

表Ⅳ-2 製剤の安定性(長期保存試験)

(3 ロットの平均値)

保存期間 保存条件 試験項目 試験

開始時 2 ヵ月 4 ヵ月 6 ヵ月

性状 白色の 糖衣錠

白色の 糖衣錠

白色の 糖衣錠

白色の 糖衣錠 室温,遮光,密栓

含量*(%) 100.9 101.1 100.2 100.4

*:表示含量に対する含量(%),測定法;紫外可視吸光度測定法

永田耕一ほか:塩野義製薬製造部部内報告(1974)

-8-

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(2) 苛酷試験

1) 加温,加湿保存 表Ⅳ-3 製剤の安定性(加温,加湿保存)

(3 ロットの平均値)

保存期間 保存条件 試験項目

試験開始時 2 ヵ月 4 ヵ月

性状 白色の糖衣錠

わずかに黄色

味を帯びた白

色の糖衣錠

やや黄色味を

帯びた白色の

糖衣錠 45℃,遮光,密栓

(加温保存) 含量*(%) 100.9 101.2 100.6

性状 白色の糖衣錠

わずかに黄色

味を帯びた白

色の糖衣錠

やや黄色味を

帯びた白色の

糖衣錠 37℃, 75%RH,遮光

(加温・加湿保存) 含量*(%) 100.9 100.4 99.0

*:表示含量に対する含量(%),測定法;紫外可視吸光度測定法

永田耕一ほか:塩野義製薬製造部部内報告(1974)

2) 曝光保存

表Ⅳ-4 製剤の安定性(曝光保存)

(3 ロットの平均値)

保存期間 保存条件 試験項目

試験開始時 2 時間 5 時間

性状 白色の糖衣錠 白色の糖衣錠 わずかに黄色

味を帯びた白

色の糖衣錠

20℃,50%RH, 50000 lx

(曝光保存) 含量*(%) 100.9 100.7 100.3

*:表示含量に対する含量(%),測定法;紫外可視吸光度測定法

永田耕一ほか:塩野義製薬製造部部内報告(1974)

-9-

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6.他剤との配合変化(物理化学的変化)

該当資料なし

7.調製法及び溶解後の安定性

該当しない

8.混入する可能性のある夾雑物

2-メチル-5-ニトロイミダゾール

9.溶出試験

日局一般試験法「溶出試験法パドル法」により試験を行うとき,これに適合する

(本品の 90 分間の溶出率は 70%以上である)。

〔参 考〕品質再評価時の溶出試験結果

試 験 液:水(基準液),pH1.2,pH4.0,pH6.8

回 転 数:50 rpm

界面活性剤:使用せず

分 析 法:紫外可視吸光度測定法

表Ⅳ-1 溶出試験(メトロニダゾール錠)

-10-

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10.生物学的試験法

該当しない

11.製剤中の原薬確認試験

日局「メトロニダゾール錠」の確認試験による。

12.製剤中の原薬定量法

日局「メトロニダゾール錠」の定量法による。

13.力価

本剤は力価表示に該当しない

14.その他

-11-

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Ⅴ.治療に関する項目

※印:必要に応じて薬剤師の先生方に医薬情報担当者(MR)とのインタビューに

より記載していただく項目

1.効能・効果

1. トリコモナス症(腟トリコモナスによる感染症)

2. 下記におけるヘリコバクター・ピロリ感染症

胃潰瘍,十二指腸潰瘍,胃 MALT リンパ腫,特発性血小板減少性紫斑病,早期

胃癌に対する内視鏡的治療後胃

(解 説)

2005 年 7 月に日本ヘリコバクター学会からヘリコバクター・ピロリの二次除

菌療法の保険適用に係る要望書が提出されたことを受け,関連する会社が

1999 年 2 月 1 日付 研第 4 号,医薬審第 104 号,厚生省健康政策局研究開発

振興課長,厚生省医薬安全局審査管理課長通知「適応外使用に係る医療用医薬

品の取扱いについて」に則り,海外における承認状況及び国内外の公表文献等

を科学的根拠として,臨床試験を実施することなく共同で申請を行い,2007

年 8 月に本剤とアモキシシリン水和物及びプロトンポンプインヒビター(ラ

ンソプラゾール,オメプラゾール又はラベプラゾールナトリウム)を用いた胃

潰瘍,十二指腸潰瘍におけるヘリコバクター・ピロリ除菌に関する効能・効果

及び用法・用量は医学薬学上公知であるとして追加承認された。更に,2008

年 12 月に日本ヘリコバクター学会から 3 疾患に対するヘリコバクター・ピロ

リの二次除菌療法の保険適用に係る要望書が提出されたことを受け,関連する

会社が共同で同様に申請を行い,2010 年 6 月に胃 MALT リンパ腫,特発性血

小板減少性紫斑病,早期胃癌に対する内視鏡的治療後胃におけるヘリコバクタ

ー・ピロリ除菌に関する効能・効果が追加承認された。

<効能・効果に関連する使用上の注意>

本剤をヘリコバクター・ピロリ感染症に用いる場合

1.プロトンポンプインヒビター(ランソプラゾール,オメプラゾール又はラ

ベプラゾールナトリウム),アモキシシリン水和物及びクラリスロマイシ

ン併用による除菌治療が不成功だった患者に適用すること。

2.進行期胃 MALT リンパ腫に対するヘリコバクター・ピロリ除菌治療の有効

性は確立していない。

-12-

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3.特発性血小板減少性紫斑病に対しては,ガイドライン等を参照し,ヘリコ

バクター・ピロリ除菌治療が適切と判断される症例にのみ除菌治療を行う

こと。

4.早期胃癌に対する内視鏡的治療後胃以外には,ヘリコバクター・ピロリ除

菌治療による胃癌の発症抑制に対する有効性は確立していない。

(解 説)

1.国内においてはプロトンポンプインヒビター(PPI)+アモキシシリン水

和物(AMPC)+メトロニダゾール(MNZ)の一次除菌についての報告が

ないこと,本療法は,クラリスロマイシン(CAM)耐性ヘリコバクター・

ピロリに対し用いられるが,一次除菌前の薬剤感受性試験は一般的でない

こと,PPI+AMPC+CAM による併用療法に比し, PPI+AMPC+MNZ

による併用療法の除菌率はやや劣ること等の理由から本併用療法の効能・

効果は再除菌(二次除菌)法に限定されている。

2.胃 MALT リンパ腫:ヘリコバクター・ピロリ除菌治療の適応は,限局期

(Lugano 国際会議の分類の stageⅠ若しくはⅡ1)であり,進行期症例に

おける有効性は確立されていない。除菌治療後も経過観察を十分に行い,

必要に応じて適切な追加治療を行うこと。

3.特発性血小板減少性紫斑病(ITP):ヘリコバクター・ピロリ除菌治療の

適応となるのは,血小板数 1 万/μL を超える 18 歳以上の慢性 ITP 症例であ

る。除菌治療後も経過観察を十分に行い,必要に応じて適切な追加治療を

行うこと。

4.早期胃癌に対する内視鏡的治療後胃:ヘリコバクター・ピロリ除菌治療後

も内視鏡検査等による定期的な観察を行うこと。

( 印:2010 年 6 月改訂,添付文書第 9 版)

2.用法・用量

(1) 用量

(2) 用法

1. トリコモナス症(腟トリコモナスによる感染症)

通常,成人にはメトロニダゾールとして,1 クールとして,1 回 250 mg を 1

日 2 回,10 日間経口投与する。

-13-

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2. ヘリコバクター・ピロリ感染症

アモキシシリン水和物,クラリスロマイシン及びプロトンポンプインヒビタ

ー併用によるヘリコバクター・ピロリの除菌治療が不成功の場合

通常,成人にはメトロニダゾールとして,1 回 250 mg,アモキシシリン水和

物として 1 回 750 mg(力価)及びプロトンポンプインヒビターの 3 剤を同時

に 1 日 2 回,7 日間経口投与する。

(解 説)

12 頁「1. 効能・効果」の項参照

<用法・用量に関連する使用上の注意>

本剤をヘリコバクター・ピロリ感染症に用いる場合,プロトンポンプインヒビ

ターはランソプラゾールとして 1 回 30 mg,オメプラゾールとして 1 回 20

mg 又はラベプラゾールナトリウムとして 1 回 10 mg のいずれか 1 剤を選択す

る。

(解 説)

承認された併用療法においては PPI ごとに投与量が異なることから,薬剤ご

との用量を追記し,注意喚起を図った。

※(3) 最大使用投与量・投与期間

※(4) 小児用量

※(5) 高齢者用量

一般に高齢者では生理機能が低下しているので,慎重に投与すること。

※(6) 臓器障害時の投与量

肝障害,腎障害のある患者には投与量の減量若しくは投与間隔の延長について

報告がある 3,4)。

※(7) 透析時の補正投与量

-14-

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※(8) 特殊患者群に対する注意

※(9) 特別な投与法

3.臨床適用

(1) 臨床効果

1) トリコモナス症(腟トリコモナスによる感染症)

再評価結果における有効性評価対象例 337 例中,治癒率は 96.4%(325 例)

であった。また,原虫再出現率は有効性評価対象例 284 例中 14.1%(40

例)であった 5)。

表Ⅴ-1 臨床効果

一次効果 遠隔成績

有効性評価

対象例数 治癒例数

治癒率* (%)

有効性評価

対象例数 原虫再出現例

原虫再出現率 (%)

337 325 96.4 284 40 14.1

*:治癒率(%)=(治癒例数/有効性評価対象例数)× 100

2) 胃潰瘍・十二指腸潰瘍におけるヘリコバクター・ピロリ感染症

プロトンポンプインヒビター/アモキシシリン水和物/メトロニダゾール併用

療法(PPI/AM 療法)は承認の用法・用量(プロトンポンプインヒビター常

用量+アモキシシリン水和物 750 mg+メトロニダゾール 250 mg 1 日 2 回,

7 日間)において,81.7 ~ 100%の除菌効果※が得られる治療法であることが

報告されている。

※:評価基準等が異なる複数の臨床研究成績 6,7,8) に基づき記載

※(2) 従来使用されている薬物との比較臨床試験データ

※4.その他の薬理作用

5.治療的特徴

男性トリコモナス症にも有効で,パートナーとの同時治療を行うことにより原虫

再出現率は更に低くなる。

-15-

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Ⅵ.使用上の注意に関する項目 ( 印:2010 年 6 月改訂,添付文書第 9 版)

1.警告とその理由

添付文書に記載なし

2.禁忌とその理由

【禁忌(次の患者には投与しないこと)】

1. 既往に本剤の成分に対する過敏症を起こした患者

(解 説)

再投与により重篤な過敏症を起こすおそれがある。

2. 血液疾患のある患者(特発性血小板減少性紫斑病の患者を除く)[白血球減

少があらわれることがある。「Ⅴ.1.効能・効果に関連する使用上の注

意」の項参照]

(解 説)

本剤の投与により重篤ではないが白血球減少,好中球減少が認められている。

「特発性血小板減少性紫斑病におけるヘリコバクター・ピロリ感染症」の効

能・効果追加により,血液疾患のある患者から特発性血小板減少性紫斑病の患

者が除かれた。(2010 年 6 月追記)

3. 脳,脊髄に器質的疾患のある患者[中枢神経系症状があらわれることがあ

る。]

(解 説)

本剤は血液脳関門を通過し,過量投与で中枢神経系症状を示すことがある。本

疾患に投与した場合は,中枢神経系症状を起こす危険性が高いと考えられる。

4. 妊娠 3 ヵ月以内の婦人[「9. 妊娠又は妊婦への使用に関する注意」の項参

照]

(解 説)

胎児への影響は不明だが,胎盤関門を通過し胎児へ移行することが報告されて

いる。

-16-

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3.慎重投与とその理由

添付文書に記載なし

4.一般的注意とその理由及び処置方法

重要な基本的注意

本剤をヘリコバクター・ピロリ感染症に用いる場合は,プロトンポンプインヒビ

ター(ランソプラゾール,オメプラゾール又はラベプラゾールナトリウム)及び

アモキシシリン水和物の添付文書に記載されている禁忌,慎重投与,重大な副作

用等の使用上の注意を必ず確認すること。

(解 説)

併用療法においては,併用薬剤において禁忌,慎重投与,重大な副作用等が異

なることがあり,その使用においてはそれぞれの添付文書を確認し,十分理解

した上で投与する必要がある。

5.相互作用

(1) 併用療法時の注意

併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子

アルコール

腹部の疝痛,嘔吐,潮紅があら

われることがあるので,投与期

間中は飲酒を避けること。

本剤はアルコールの代謝過程

においてアルデヒド脱水素酵

素を阻害し,血中アセトアル

デヒド濃度を上昇させる。

リトナビル

ジスルフィラム-アルコール反

応を起こすおそれがある。

リトナビルはエタノール

18%を含有するので本剤に

より血中アセトアルデヒド

濃度を上昇させる。

ジスルフィラム精神症状(錯乱等)が出現する

ことがある。

機序は不明

ワルファリン

ワルファリンの抗凝血作用を増

強し,出血等があらわれること

がある。

本剤はワルファリンの代謝

を阻害し,その血中濃度を

上昇させる。

-17-

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[参 考]

Alexander, I.:Br. J. Clin. Pract., 1985, 39 (7), 292

USP DI;Vol.Ⅰ, Drug Information for the Health Care Professional, 14th

ed., 1994, p. 1905, The United States Pharmacopeial Convention, Inc.,

Rockville, Maryland

Physician’s Desk Reference, 50th ed., 1996, p. 2435, Medical Economic

Company Inc., Montvale, New Jersey

Rothstein, E. et al.:N. Engl. J. Med., 1969, 280 (18), 1006

O’Reilly, R. A. et al.:N. Engl. J. Med., 1976, 295 (7), 354

(2) 食物,嗜好品等による影響

併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子

アルコール

腹部の疝痛,嘔吐,潮紅があら

われることがあるので,投与期

間中は飲酒を避けること。

本剤はアルコールの代謝過程

においてアルデヒド脱水素酵

素を阻害し,血中アセトアル

デヒド濃度を上昇させる。

6.副作用

トリコモナス症に対する再評価結果における安全性評価対象例 968 例中,副作

用は 304 例(31.4%)に認められた 9)。

(1) 重大な副作用

末梢神経障害(0.1%未満):長期投与により末梢神経障害があらわれるこ

とがあるので,観察を十分に行い,四肢のしびれ,異常感等が認められた場

合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。

-18-

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(2) その他の副作用

1) トリコモナス症(腟トリコモナスによる感染症)

頻度

種類 5%以上又は頻度不明

過敏症注 1 発疹

消化器 舌苔,食欲不振,悪心,胃不快感,下痢,腹痛

血液 白血球減少

肝臓 AST(GOT)上昇,ALT(GPT)上昇,総ビリルビン上昇,

Al-P 上昇,LDH 上昇,γ-GTP 上昇

生殖器 Candida albicans の出現

その他 暗赤色尿

注 1:症状があらわれた場合には投与を中止すること。 2) ヘリコバクター・ピロリ感染症

頻度

種類 頻度不明

過敏症注 1 発疹,そう痒感

血液注 2 好塩基球増多

消化器 下痢,胸やけ,悪心,上腹部痛,味覚異常,口腔アフタ, 舌炎,出血性腸炎,鼓腸,黒色便

肝臓注 3 肝機能障害

精神神経系 うつ病,頭痛,浮動性めまい,不安定感

その他 眼精疲労,疲労,しびれ感

注 1:このような症状があらわれた場合には投与を中止すること。 注 2:投与中は定期的に血液学的検査を行うことが望ましい。また,異常が認め

られた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。 注 3:定期的に血液生化学的検査を行うことが望ましい。また,観察を十分に行

い,異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこ

と。

(解 説)

効能・効果の追加承認(ヘリコバクター・ピロリ感染症)に伴い,申請に用いた

文献中,本剤を含む三剤併用下で認められた副作用を追記した。

-19-

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(1) 項目別副作用出現率及び臨床検査値異常

トリコモナス症に対する再評価結果における安全性評価対象例 968 例中,副作用は

304 例(31.4%)に認められ,主なものは舌苔 75 例(7.7%),食欲不振 73 例

(7.5%),胃腸障害 32 例(3.3%)等の消化器症状であった。なお,臨床検査値

の異常変動の報告はなかった 9)。

表Ⅵ-1 副作用の発現状況

安全性評価対象例数 968 例

副作用発現例数 304 例

副作用発現件数 304 件

副作用発現率 31.4%

副作用の種類 発現例数 発現率(%)

舌苔 75 7.7

食欲不振 73 7.5

胃腸障害 32 3.3

悪心・嘔気 31 3.2

胃部不快感 23 2.4

軟便・下痢 19 2.0

舌の異常感 10 1.0

味覚異常 6 0.6

腹部膨満感 8 0.8

嘔吐 5 0.5

口内炎 4 0.4

腹痛 10 1.0

便秘 1 0.1

発疹 3 0.3

頭痛 4 0.4

(調査期間:1961 年~ 1973 年)

(2) 背景別副作用出現率

該当資料なし

-20-

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(3) 副作用発生原因及び処置方法

Candida albicans

発生原因:トリコモナスの死滅とそれに付随して混合感染を起こしていた細菌叢

の発育抑制によって,腟内容がその出現の下地となり,カンジダの繁

殖が助長される。いわゆる菌交代現象と考えられる 10)。

処置方法:カンジダ症の治療を行う。

(4) 日本でみられていない外国での副作用報告及びその出典

1) 口渇,めまい等が報告されている。

[参 考]

Doyle,J. C. et al.:Obstet. Gynecol., 1964, 24 (1),130

Porapakkham,S.:Obstet. Gynecol., 1967, 29 (2),213

2) クローン病*に対し,長期間大量投与した場合に発がん性があるという記載がある。

*:承認外効能・効果(12 頁「Ⅴ.1.効能・効果」の項参照)

[参 考]

Physicians’ Desk Reference, 47th ed., 1993, pp. 2259-2261, Medical Economic

Company Inc., Montvale, New Jersey

7.薬物アレルギーに対する注意及び試験法

【禁忌(次の患者には投与しないこと)】

1. 既往に本剤の成分に対する過敏症を起こした患者

副作用

(2) その他の副作用

1) トリコモナス症(腟トリコモナスによる感染症)

頻度

種類 5%以上又は頻度不明

過敏症注 1 発疹

注 1:症状があらわれた場合には投与を中止すること。

-21-

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2) ヘリコバクター・ピロリ感染症

頻度

種類 頻度不明

過敏症注 1 発疹,そう痒感

注 1:このような症状があらわれた場合には投与を中止すること。

8.高齢者への使用に関する注意

一般に高齢者では生理機能が低下しているので,慎重に投与すること。

9.妊娠又は妊婦への使用に関する注意

(1) 胎児に対する安全性は確立していないので,特に妊娠 3 ヵ月以内は経口投与

をしないこと。[経口投与により胎盤関門を通過して胎児へ移行することが

報告されている。(「Ⅷ.体内薬物動態に関する項目」の項参照)]

10.授乳婦への使用に関する注意

(2) 授乳中の婦人に投与する場合には授乳を中止させること。[母乳中へ移行す

ることが報告されている。(「Ⅷ.体内薬物動態に関する項目」の項参

照)]

11.低出生体重児,新生児,乳児,幼児,小児への使用に関する注意

添付文書に記載なし

12.臨床検査値への影響

添付文書に記載なし

13.過量投与時

添付文書に記載なし

14.適用上の注意

薬剤交付時:23 頁「15. 薬剤交付時の注意事項」の項参照

-22-

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15.薬剤交付時の注意事項

適応上の注意

薬剤交付時:PTP 包装の薬剤は PTP シートから取り出して服用するよう指導す

ること。(PTP シートの誤飲により,硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し,更には

穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている。)

相互作用

併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子

アルコール

腹部の疝痛,嘔吐,潮紅があら

われることがあるので,投与期

間中は飲酒を避けること。

本剤はアルコールの代謝過

程においてアルデヒド脱水

素酵素を阻害し,血中アセ

トアルデヒド濃度を上昇さ

せる。

16.その他

その他の注意

(1) 適応外疾患に対する高用量(用法・用量外)投与例において,次の副作用が

報告されている。

1) 中枢神経障害:痙攣,意識障害,構語障害,錯乱,幻覚,小脳失調等の中枢

神経障害が報告されているので,異常が認められた場合には,投与を中止

し,適切な処置を行うこと。

2) 急性膵炎:急性膵炎が報告されているので,腹痛,背部痛,悪心・嘔吐,血

清アミラーゼ値の上昇等の異常が認められた場合には,投与を中止し,適切

な処置を行うこと。

(解 説)

本剤の効能・効果,用法・用量の範囲内における報告例はないが,適応外疾患

に対する高用量(用法・用量外)投与例で本剤との因果関係を否定できない

「中枢神経障害」の副作用症例が国内で 4 例集積された。また,国外文献 11~30)

においても適応外投与例で「中枢神経障害」が 14 例,「急性膵炎」で 7 例報告

があることから,注意喚起を図った。

-23-

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(2) マウスに長期経口投与した場合,肺腫瘍が 31,32),またラットでは乳房腫瘍

の発生が報告されているが 33),ハムスターの生涯投与試験では腫瘍はみら

れていないとの報告がある 32)。

(3) ヘリコバクター・ピロリの除菌判定上の注意:ランソプラゾール等のプロ

トンポンプインヒビターやアモキシシリン水和物及びメトロニダゾールの

服用中や投与終了直後では,13C-尿素呼気試験の判定結果が偽陰性になる

可能性があるため,13C-尿素呼気試験による除菌判定を行う場合には,こ

れらの薬剤の投与終了後 4 週間以降の時点で実施することが望ましい。

(解 説)

効能・効果の追加承認(ヘリコバクター・ピロリ感染症)に伴い,ヘリコバクタ

ー・ピロリ除菌判定上の注意点を追記した。

-24-

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Ⅶ.薬効薬理に関する項目

1.薬理学的に関連ある化合物又は化合物群

チニダゾール,トリコマイシン,ピマリシン

2.薬理作用

(1) 作用部位・作用機序

作用部位:Trichomonas vaginalis の DNA

作用機序:Trichomonas vaginalis に対し,抗原虫作用を示す 34)。

抗原虫及びヘリコバクター・ピロリ除菌作用;メトロニダゾールは

原虫又はヘリコバクター・ピロリ菌体内のニトロ還元酵素系の反応

によって還元を受け,ニトロソ化合物(R-NO)に変化する。この

R-NO が抗原虫作用及びヘリコバクター・ピロリに対する殺菌作用

を示す。また,反応の途中で生成したヒドロキシラジカルが DNA

を切断し,DNA らせん構造の不安定化を招く 35,36,37)。

(2) 効力を裏付ける試験成績

1) in vitro 抗トリコモナス作用

① 標準株に対する感受性 38)

24 時間以内にトリコモナス原虫を 99%殺滅するに要する最小濃度は本剤

1:400000(sorel 培地)

② 臨床分離株に対する感受性分布 39)

表Ⅶ-1 感受性分布

1964 年 3 月以降に分離した腟トリコ

モナス株に対する MIC 分布(49 株)

MIC(µg/mL) 株数

1961 年 5 月分離の腟トリコモナ

ス保存株に対する MIC 分布 (株数不明)

0.39 2

0.78 14

1.56 23

3.12 9

6.25 1

1.56 ~ 3.12 µg/mL

-25-

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2) in vivo 抗トリコモナス作用

マウスの試験では本剤は 12.5 mg/kg,アミニトロゾールでは 100 mg/kg で原

虫性腫瘍形成を防止できた 40)。

3.薬理学的特徴

表Ⅶ-2 MIC による各種抗トリコモナス剤の比較 40,41)

抗原虫物質 MIC(µg/mL)

carbarsone 2500 ~ 5000

aminitrozole 1.56 ~ 12.5

furazolidone 0.78 ~ 6.25

chlordontoine 12.5 ~ 25.0

piperanitrozole 0.78 ~ 6.25

metronidazole 0.2 ~ 3.12

nimorazole 0.2 ~ 6.25

tinidazole 0.39 ~ 6.25

trichomycin 0.78 ~ 6.25*

pimaricin 12.5 ~ 50.0

*:単位;U/mL

(20%血清加 SYS 培地,37℃,48 時間)

-26-

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Ⅷ.体内薬物動態に関する項目

1.血中濃度の推移,測定法

(1) 治療上有効な血中濃度

該当資料なし

(2) 最高血中濃度到達時間

(3) 通常用量での血中濃度

1) 単回投与

健康婦人 5 例にメトロニダゾール内服錠 250 mg を単回経口投与したときの血

中濃度は,2 時間後に最高値を示した 42)。

(µg/mL)

mean(n = 5)

血中濃度

図Ⅷ-1 経口投与時の血中濃度(健康婦人)

表Ⅷ-1 薬物動態パラメーター(単回経口投与)

投与量(mg) n Cmax(µg/mL) Tmax(hr)

250 5 3.7 2

測定法:bioassay (mean)

時間

2) 反復投与

健康婦人 7 例にメトロニダゾール内服錠 250 mg を空腹時投与し,以後 12 時

間ごとに 7 日間投与した。化学的定量法により,血中濃度を投与期間中及び投

与終了 2 日目の計 9 日間にわたり連続測定した。

-27-

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血中濃度は 2 時間目に最高値 20.2 µg/mL を示し,血中に長時間遷延し,投与

後 12 時間目においても 4.5 µg/mL を示した。

その後 12 時間間隔の投与期間中,投与第 5 日までは血中に漸増傾向を呈した

が,第 6,7 日には飽和濃度に達し,一定となった 43)。

(4) 中毒症状を発現する血中濃度

該当資料なし

2.薬物速度論的パラメータ

(1) 吸収速度定数

該当資料なし

(2) 消失速度定数

該当資料なし

(3) 分布容積

該当資料なし

(4) 血清蛋白結合率(海外データ)

平衡透析法にて測定された血清蛋白結合率は 1 µg/mL の濃度では 8.1%,

10 µg/mL の濃度では 11.2%であった 44)。

(5) クリアランス

該当資料なし

(6) バイオアベイラビリティ

該当資料なし

3.作用発現時間

4.作用持続時間

5.吸収

経口投与により消化管より吸収される。

-28-

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6.分布

(1) 血液─脳関門通過性(海外データ)

通過する 45)。脳,脊髄に器質的疾患のある患者には禁忌である。

(2) 血液─胎盤関門通過性(海外データ)

分娩開始初期からメトロニダゾール内服錠 200 mg*を 3 時間ごと*に投与して,

母子各 24 例の血中濃度を測定した。新生児の血中濃度の平均値は 0.9 µg/mL

であり,胎盤関門を通過して胎児に移行することが認められた 46)。

*:承認外用法・用量(13 頁「Ⅴ.2.用法・用量」の項参照)

(3) 母乳中への移行性(海外データ)

平均年齢 22.5 歳の母親及び生後 5 日の新生児 10 例を選び,母親にメトロニダ

ゾール内服錠 200 mg*を経口投与し,4 時間ごと*に授乳して母乳中及び新生

児の血中への移行を測定した。母乳中の平均濃度は 4 時間 3.4 µg/mL,8 時間

2.2 µg/mL,12 時間 1.8 µg/mL で,母親の血中と同程度に移行したが,新生児

の血中濃度は痕跡~ 0.4 µg/mL と極めて微量であった 47)。

(測定法:polarography)

*:承認外用法・用量(13 頁「Ⅴ.2.用法・用量」の項参照)

(4) 髄液への移行性

該当資料なし

(5) その他の組織への移行性

1) 腟内移行

健康婦人 5 例にメトロニダゾール内服錠 250 mg を単回経口投与したときの各

体液内濃度は下表のとおりであった 42)。症例によって多少の変動を認めたが,

4 時間後まで十分な抗原虫濃度を示した。

表Ⅷ-2 体液内濃度(健康婦人)

投与量(mg)腟内濃度(µg/mL)

n = 3 ~ 5 尿中排泄量(mg)

n = 3 血中濃度(µg/mL)

n = 5

1 時間値trace~ 1.7 (平均 1.0)

0 ~ 6時間値

3.4 ~ 11.2(平均 7.9)

1 時間値 1.5 ~ 3.3 (平均 2.4)

2 時間値trace~ 4.1 (平均 2.6)

6 ~ 12時間値

6.2 ~ 11.1(平均 8.1)

2 時間値 3.1 ~ 4.4 (平均 3.7)

4 時間値trace~ 2.3 (平均 1.0)

12 ~ 24時間値

3.7 ~ 5.2 (平均 4.6)

4 時間値 2.4 ~ 3.1 (平均 2.7)

250

6 時間値trace~ 1.2 (平均 0.4)

0 ~ 48時間値

23.1 (回収率 9.2%)

6 時間値 1.4 ~ 2.4 (平均 1.9)

測定法:bioassay

-29-

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2) 精液中移行(海外データ)

成人男性 10 例にメトロニダゾール 1 回 200 mg*を 1 日 3 回*7 日間経口投与

したとき,その 8 時間後の精液中濃度は 4.8 µg/mL であった 47)。

(測定法:polarography)

*:承認外用法・用量(13 頁「Ⅴ.2.用法・用量」の項参照)

7.代謝

(1) 代謝部位及び代謝経路

1) 代謝部位:肝臓 48)。

2) 代謝経路(海外データ)

尿中に排泄されたニトロ基を含む代謝物中,未変化のメトロニダゾール及び

そのグルクロン酸抱合体が 30 ~ 40%を占め,1-(2-ヒドロキシエチル)-2-

ヒドロキシメチル-5-ニトロイミダゾール(側鎖の酸化物)及びそのグルクロ

ン酸抱合体が主代謝物で 40 ~ 50%を占めた 48)。

また,ヒトとイヌを用いたメトロニダゾールの代謝に関する研究では,以下

に示すような,同一の代謝パターンを示した 49)。

Ⅰメトロニダゾール ⅢⅡ

+N

N CH3O2N

CH2CH2OH

N

N CH3O2N

CH2CH2OC6H9O6

N

N CH3O2N

CH2CO2H

グルクロニド Ⅱ Ⅲ

グルクロニド

メトロニダゾール

図Ⅷ-2 代謝経路

(2) 初回通過効果の有無及びその割合

該当資料なし

(3) 代謝物の活性の有無

該当資料なし

(4) 活性代謝物の速度論的パラメータ

該当資料なし

-30-

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8.排泄

(1) 排泄部位

主に腎臓

(2) 排泄率

(3) 排泄速度

1) 単回投与

健康婦人 3 例にメトロニダゾール内服錠 250 mg を単回経口投与したとき,

48 時間までの尿中排泄率は,生物学的測定法では 9.2%,化学的定量法では

30.6%であった 42)。

2) 反復投与

健康婦人 7 例にメトロニダゾール内服錠 250 mg を空腹時内服させ,以後 12

時間ごとに 7 日間投与した。化学的定量法により,尿中濃度を投与期間中及び

投与終了後 2 日間,計 9 日間にわたり連続測定した。その結果,尿中にはよく

移行するが,その排泄は遅延型であった。

第 1 日( 0 ~ 6 時間) 30.2 mg

第 2 日( 6 ~ 12 時間) 27.9 mg

第 3 日( 0 ~ 12 時間)126.7 mg

第 4 日(12 ~ 24 時間)128.5 mg

すなわち,0 ~ 6 時間値と 6 ~ 12 時間値が等しく,尿中排泄と血中濃度と

の推移は平行しないといえる。第 5 日までは血中濃度上昇に応じ尿中排泄量も

増加し,第 6,7 日には一定となった 43)。

9.透析等による除去率

(1) 腹膜透析

該当資料なし

(2) 血液透析

該当資料なし

(3) 直接血液灌流

該当資料なし

-31-

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Ⅸ.非臨床試験に関する項目

1.一般薬理

イヌをペントバルビタールナトリウムの麻酔下におき,本剤を 5,10,20

mg/kg 静注して影響を観察した 50)。

(1) 動脈血圧に対して影響はなかった。

(2) ECG(心電図)にも変化はなかった。

(3) 呼吸は 20 mg/kg の大量で初めて呼吸振幅の減少と呼吸数の軽度促進がみられ

た。

(4) 交感神経系及び副交感神経においても機能の亢進あるいは減退はほとんど認め

られなかった。

2.毒性

(1) 急性毒性 38)

表Ⅸ-1 急性毒性 (LD50,mg/kg)

投与経路 動物種

経口

マウス 4300

(2) 亜急性毒性

1) ラット(albino 系)

メトロニダゾール 25,50 mg/kg/日を 1 ヵ月間経口投与した。体重曲線,一般

状態,血液所見,肝・腎機能,組織学的所見はいずれも対照群に比較し変化は

認められなかった 38)。

2) イヌ

メトロニダゾール 25,50,100 mg/kg/日を 1 ヵ月間経口投与した。体重曲線,

血液,病理組織学的所見はいずれも異常は認められなかった 38)。

(3) 慢性毒性

1) ラット

雌雄ラットにメトロニダゾール 75,150,300 mg/kg/日を 18 週間経口投与し

たところ,体重増加は 300 mg/kg/日投与群に抑制がみられたが,血液所見は正

常であり,組織所見では 300 mg/kg/日投与群の雄に精子形成減少があったほか

はすべて正常であった 51)。

-32-

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2) イヌ

メトロニダゾール 75,110,150,255 mg/kg/日を 4 ヵ月間経口投与した。4

ヵ月間の生存例はそれぞれ 4/4,1/4,0/4,0/5 であり,110 mg/kg/日以上投与

群の死亡例は中枢神経系症状,すなわち振戦,脱力,筋肉痙攣と著しい運動失

調を示した。その他血清電解質,肝・腎機能,臓器重量,組織学的所見には異

常はなかった 51)。

3) サル(アカゲザル)

雌雄(各 3 匹)にメトロニダゾール 75,150 mg/kg/日を 1 週 6 日間で 52 週間

経口投与した。150 mg/kg/日投与群で 2 匹死亡し,死亡に先立ち衰弱,うつ状

態,食欲欠乏,体重減少を来した。また,150 mg/kg/日投与群で ALT(GPT)

上昇,肝細胞変化が認められた 52)。

(4) 生殖試験(ラット等)

1) 催奇形性

雌ラット(Wistar 系)にメトロニダゾール 50 又は 100 mg/kg/日を交尾前 10

日間を含む 40 日間連続経口投与して,妊娠期間,出生児数,体重,死産率,

生後 1 週間の死亡数を観察したが,対照群に比較して変化なく,奇形も認めら

れなかった 53)。

雌マウス(ddN 系)にメトロニダゾール 100 又は 200 mg/kg/日を妊娠 8 日目

から 7 日間経口投与して,総着床数,生児数,生児重量,胎盤重量,胎児外形

異常を観察した。対照群に比較して顕著な差はなく,奇形も認められなかった

54)。

雌ウサギに交尾後第 4 日目又は第 8 日目から第 15 日目までメトロニダゾール

100 mg/日(約 33 mg/kg/日)を経口投与したが,有害な作用は認められなかっ

た。生存児の四肢,内臓についても奇形は認められなかった 55)。

2) 精子形成,生殖力への作用

雄ラット(Wistar 系)にメトロニダゾール 100 mg/kg/日又は 1000 mg/kg/日

を 15,30,60 日間連続経口投与した後,雌ラットと 10 日間交尾させたが,生

殖力阻害作用は認められなかった 53)。

(5) その他の特殊毒性

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3.動物での体内動態

(1) 吸収

ラットにおいてメトロニダゾールは消化管すべての部位で吸収が行われ,血中

濃度の高さもそれを示し,肝臓,胆汁から抱合型として腸内に入り次第に遊離

し,再吸収が行われる 56)。

(2) 分布

1) マウス(albino 系) 14C-標識メトロニダゾールを静注及び経口投与し,その体内分布をみた 45)。

① Autoradiogram

静脈内投与 20 分後,肝臓,胃,膀胱,腎臓に血中よりも高放射活性がみられ

た。時間の経過と共に組織の全放射活性の減少が起こり,24 時間では肝臓,唾

液腺,消化器,腎臓において血中よりも高濃度にみられたが,72 時間後には肝

臓のみにみられた。脳のある部分では,血中よりも高い放射活性を示した。

経口投与では,胃,腸管により高い活性がみられたほかは静脈内投与の場合と

有意な差がなかった。

② Radioassay

臓器を摘出して放射活性を測定した。

肝臓,唾液腺,消化管,腎臓における活性が血液中よりも高く,少なくとも注

射後 24 時間の間は組織に留まっていることを示す。

2) ラット

胃ゾンテにより 50 mg/kg 1 回強制投与し bioassay により測定した。投与後 3

時間値は腎臓>肝臓>血清>唾液腺>脳の順であり,6 ~ 12 時間値もこの傾

向を認めた。しかし,12 時間後にはいずれの臓器にも低値であった 57)。

(3) 代謝(イヌ)49)

30 頁「Ⅷ.7.代謝」の項参照

(4) 排泄

イヌ(ビーグル,2 匹)にメトロニダゾール 100 mg/kg を胃チューブを用いて

投与し,カテーテル挿入法により尿を採取した。投与後 6 時間のニトロイミダ

ゾールの回収率(メトロニダゾールに換算)は 38%及び 31%であった 49)。

(5) その他

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Ⅹ.取扱い上の注意,包装,承認等に関する項目

1.有効期間又は使用期限

使用期限:外箱等に表示(使用期間 5 年)

(8 頁「Ⅳ.5.製剤の安定性」の項参照)

2.貯法・保存条件

気密容器・室温保存

3.薬剤取扱い上の注意点

注意-医師等の処方せんにより使用すること

22 頁「Ⅵ.14.適用上の注意」の項参照

4.包装

フラジール内服錠 250 mg:PTP 100 錠(10 錠× 10)

5.同一成分,同効薬

同一成分薬:フラジール腟錠(塩野義),アスゾール錠(富士製工)

同 効 薬:チニダゾール

6.製造販売承認年月日,承認番号

表Ⅹ-1 承認年月日及び承認番号

承認年月日 2008 年 3 月 13 日注

承 認 番 号 22000AMX00878000

一部変更承認年月日 (効能・効果追加)※1

2010 年 6 月 18 日

※1:2.胃 MALT リンパ腫,特発性血小板減少性紫斑病,早期胃癌に対する内視鏡的治療後胃

におけるヘリコバクター・ピロリ感染症

注:販売名変更に伴う承認年月日

-35-

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7.薬価基準収載年月日

2008 年 6 月 20 日注

注:販売名変更に伴う薬価基準収載年月日

8.再審査期間の年数

再評価結果通知年月日:1976 年 10 月 28 日

9.長期投与の可否

厚生労働省告示第 107 号(平成 18 年 3 月 6 日付)で定められた「投薬期間に上

限が設けられている医薬品」には該当しない。

10.薬価基準収載医薬品コード

6419002F1131

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ⅩⅠ.文献

1.引用文献 (文献請求番号)

1) 第十五改正日本薬局方解説書,2006, C-4390-4394, 廣川書店,

東京

2) Anderson, R. F. et al.:Br. J. Cancer, 1979, 39, 705 197901186

3) 川口良人ほか:臨床透析,1998, 14 (S-1), 544 200100184

4) 斎藤 篤:腎と透析,1996, 41 (S), 807 199801364

5) 塩野義製薬集計;網野栄作ほか:産婦人科の実際,1964, 13 (3),

245〔196400045〕を含む計 10 文献

6) Shimoyama, T. et al.:J. Gastroenterol., 2004, 39 (10), 927 200701312

7) 沖本忠義ほか:第 9 回日本ヘリコバクター学会学術抄録集,

2003, p.46,松本 200701304

8) Isomoto, H. et al.:Aliment. Pharmacol. Ther., 2003, 18, 101 200701301

9) 塩野義製薬集計;長峰敏治ほか:臨床婦人科産科,1961, 15, (9),

769〔196100010〕を含む計 23 文献

10) 牛島陽一:福岡医学雑誌,1962, 53, 1071 196200151

11) Scott, S. D. et al.:Aust, J. Hosp. Pharm., 1994, 24 (4), 325 200401066

12) Horlen, C. K. et al.:Ann. Pharmacother., 2000, 34, 1273 200401079

13) Ahmed, A. et al.:Neurology, 1995, 45, 588 200401086

14) Pinsk, M. N. et al.:Pediatr. Res., 2002, 51 (4), 437A 200401063

15) Seok, J. I. et al.:Arch. Neurol., 2003, 60, 1796 200401077

16) Deenadayalu, V. et al.:Am. J. Gastroenterol., 2003, 98, S211 200401077

17) Woodruff, B. K. et al.:N. Engl. J. Med., 2002, 346 (1), 68 200401088

18) Heaney, C. J. et al.:Am. J. Neuroradiol, 2003, 24, 1615 200401071

19) Cecil, K. M. et al.:J. Comput. Assist. Tomogr., 2002, 26 (6),

948 200401087

20) Beloosesky, Y. et al.:Am. J. Med. Sci., 2000, 319 (5), 338 200401069

21) Mahl, T, C. et al.:J. Clin. Gastroenterol., 2003, 36 (4), 373 200401080

22) Schreiber, W. et al.:Am. J. Psychiatry, 1997, 154 (8), 1170 200401070

23) Uhl, M. D. et al.:Ann. Intern. Med., 1996, 124 (4), 455 200401078

24) Feola, D. J. et al.:Pharmacotherapy, 2002, 22 (11), 1508 200401073

25) Sura, M. E. et al.:Ann. Pharmacother., 2000, 34, 1152 200401085

26) Jongh, F. E. et al.:Ned. Tijdschr. Geneeskd., 1996, 140 (1), 37 200401110

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27) Corey, W. A. et al.:Rev. Infect. Dis., 1991, 13, 1213 200401082

28) Celifarco, A. et al.:Am. J. Gastroenterol., 1989, 84 (8), 958 200401072

29) Sanford, K. A. et al.:Ann. Intern. Med., 1998, 109, 756 200401084

30) Plotnick, B. H. et al.:Ann. Intern. Med., 1985, 103 (6), 891 200401083

31) Rustia, M. et al.:J. Natl. Cancer Inst., 1972, 48 (3), 721 197200266

32) Roe, F. J. C. et al.:Surgery, 1983, 93 (1), 158 198302421

33) Rustia, M. et al.:J. Natl. Cancer Inst., 1979, 63 (3), 863 197901172

34) Jennison, R. F. et al.:J. Clin. Pathol., 1961, 14, 431 196100029

35) Osato, MS.:Curr. Pharm. Des., 2000, 6, 1545 200701302

36) 山本達男ほか:日本臨牀,2005, 63 (S-11), 376 200602102

37) Upcroft, P. et al.:Clin. Microbiol. Rev., 2001, 14 (1), 150 200701303

38) Cosar, C. et al.:Ann. Inst. Pasteur., 1959, 96 (2), 238 195900063

39) 水野重光ほか:日本産婦人科学会雑誌,1965, 17 (8), 802 196500209

40) 青河寛次ほか:産婦人科治療,1971, 23 (1), 98 197100243

41) 青河寛次:ファルマシア,1971, 7 (3), 205 197100073

42) 青河寛次ほか:産婦人科の世界,1971, 23 (2), 183 197100108

43) 青河寛次ほか:産婦人科の世界,1974, 26 (2), 209 197400609

44) Schwartz, D. E. et al.:Chemotherapy, 1976, 22, 19 197600810

45) Placidi, G. F.:Arch. Int. Pharmacodyn., 1970, 188, 168 197000350

46) Scott, G. M.:J. Obstet. Gynaecol. Br. Common., 1961, 68 (5),

723 196100046

47) Scott, G. M. et al.:Br. J. Vener. Dis., 1961, 37, 278 196100028

48) Stambugh, J. E. et al.:J. Pharmacol. Exp. Ther., 1968, 161 (2),

373 196800111

49) Ings, R. M. J. et al.:Biochem. Pharmacol., 1966, 15, 515 196600199

50) Rhone Poulenc data, Dec. 29, 1958

51) Drill, V. A.:Excutive Hause Washington D.C., Sep. 29, 1961

52) Cosar, C. et al.:May & Baker“Flagyl”Brochure, 1972, 9

53) Ganter, P.:Gynecol. et Obstet., 1960, 59 (5), 609 196000112

54) 野原俊一:J. Antibiot.[B]., 1966, 19 (3), 164 196600048

55) Ingham:Rhone-Poulenc 研究報告,1963

56) Populaire, P. et al.:Therapie, 1971, 26, 581 197100331

57) 青河寛次ほか:産婦人科の世界,1972, 24 (12), 1409 197200307

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2.その他の参考文献

3.文献請求先

塩野義製薬株式会社 医薬情報センター

〒541-0045 大阪市中央区道修町 3 丁目 1 番 8 号

電話 0120-956-734

FAX 06-6202-1541

http://www.shionogi.co.jp/med/

日本病院薬剤師会の IF 様式に基づいて作成

®:サノフィ・アベンティスグループ登録商標

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製造販売元

塩野義製薬株式会社

大阪 市 中央 区道 修 町 3 丁 目 1 番 8 号

FGT-D-20 ( I1 ) 2010 年 6 月作成