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これらの 課題解決に向けて JAグループ北海道では、北海道水田農業の現状と課題を整理し、JAグループ北海道として北海道 水田農業が将来に向けて進むべき方向性を示すとともに、その実現に向けた総合的な戦略を構築し、 生産者・JA・連合会が一体となって取り組む指針として水田農業ビジョンの改訂を行いました。 ~水稲作付経営体数の減少と作付面積の増加~ ~水稲作付面積の減少~ 高齢化等により農家戸数が減少し、その際に発生した農地 を担い手が引き受けることで、一戸当たりの作付経営が増加 しています。 北海道の水稲作付面積は毎年約 1,000ha ずつ減少 しており、他の主産地と比較しても顕著です。一方で、 新潟県では面積を維持しており、北海道との差は拡大 しています。 生産意欲の低下 作付面積の増加 経営体数の減少 6.0 7.1 8.2 0.0 2.0 4.0 6.0 8.0 10.0 12.0 9.3 10.0 19,776 15,910 13,470 10,079 8,187 0 5 10 15 20 25 (単位:千戸) (単位:ha/戸) 2025年(予想) 2020年(予想) 2015年 2010年 2005年 既存の労働力では 水稲作付の維持が 困難となり麦・大豆等 へ切り替わっている (単位:千ha) 114 113 113 112 111 108 107 80 90 100 110 120 130 140 H23 H24 H25 H26 H27 H28 H29 北海道 新潟県 秋田県 水稲作付面積 の減少 差が 拡大! 生産量減少による 負のスパイラル 農家所得の減少 市場における マーケットシェアの低下 価格交渉力の 低下 北海道米の 生産量の減少 生産意欲を喚起する 一貫性を持った戦略的な取り組み 生産意欲を喚起する 農業所得を安定的に確保 担い手に魅力のある 北海道水田農業の実現 試験研究・生産・集荷・販売・消費拡大等において、一貫性を持った戦略的な取り組みにより、水田農業において生産 者が意欲を持って作付を行える農業所得を安定的に確保し、担い手にとって魅力ある北海道水田農業の実現を目指します。 将来にわたって日本の米生産をリードする 農業所得の確保による魅力ある水田農業 の実現 の実現 関係者が将来ビジョンを共有し、新たな生産・販売戦略の下、一丸となって取り組むことにより、これまでの北海道米 関係者の努力により高まった米どころとしての地位を確固たるものとし、将来にわたって日本の米生産をリードしていくこ とを目指します。 JA 新たな生産・販売戦略 将来ビジョンの共有 将来にわたり北海道を 「日本一の米どころ」 に! 生産者 連合会 全道一丸となった 取り組み 「ゆめぴりか」 「ななつぼし」 +5%の収量 シラタ対応系統の育成 省力化栽培技術の開発 コンタミ問題の解消 戦略的な生産販売の推進 「上育471号」の湛水直播 栽培指針の策定など シラタ耐性 道総研に対する委託試験を継続して実施(~H35~極多収品種・省力化栽培技術等の開発~ 全道共販の結集 気象変動 一戸当たりの 作付面積の拡大 消費動向の変動 生産者数の減少 様々な環境変化が起こり得る 集荷 生産 販売 オール北海道による強固な 北海道米流通体制の構築 全道共販の役割 北海道水田農業に必要な政策・支援策 収入 農業所得の 向上を目指す! 国に求める政策・支援策 国に求める政策・支援策 費用 +17%~ 「きらら397」対比 117% 多収系統の育成 +13%~ H33 H35 現在 平成295月の北海道農協米対 策本部の決定に基づき、作付品種の 集約を進めます 【集約のルール】 品種数の上限設定(20品種) 優良品種廃止の判断 全国への安定供給 細かなニーズへのマッチング 新規需要の創出 産地の努力を踏まえた精算 実需を見据えた販売による 安定需要の確保 「販売先との交渉力」を 高めた価格形成 全道共販の結集による 「価格交渉力を持った 生産販売体制を確立」 「更なるブランド形成による 価値向上」 北海道米の消費拡大対策 道内食率の向上 平成8年RY 道内食率 37% 平成24年RY以降 85%以上を維持 一方、米の消費量は 年々減少 北海道米の ブランド維持・ 消費拡大が必要 ~道内~ 道内食率85%の達成に加え、 「道民一人当たりの米消費量」を拡大 ~道外~ 北海道米のPRとキャンペーン 認知力向上と販路拡大 全国的な需要に応じた生産の推進 水田活用の直接支払交付金の必要予算の 安定的な確保 ナラシ対策の安定的な実施 輸出に取り組む産地・事業者への支援 低コスト・省力化栽培に資する技術や 機械・設備等の導入支援 基盤整備・土地改良事業の十分な予算  確保 多収品種の開発・導入等の支援 今後に向けては、北海道水田農業ビジョン(第3版)を参考に、 各地区でそれぞれの目指すべき姿とその達成に向けた戦略を検討していきます。 将来ビジョンを生産者・JA・連合会で共有し、ともに 魅力ある水田農業・日本一の米どころ北海道 を実現しましょう!! 平成 30 11 JAグループ北海道 北海道農協米対策本部 第 3 版 ダイジェスト版 「日本一の米どころ北海道」

北海道の水田農業が抱える課題 · による需要に応じた生産 毎年の水田部会で 「生産の目安」を決定し、 需要に応じた生産を実施 販売収入

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Page 1: 北海道の水田農業が抱える課題 · による需要に応じた生産 毎年の水田部会で 「生産の目安」を決定し、 需要に応じた生産を実施 販売収入

これらの課題解決に向けて

・・・

 JAグループ北海道では、北海道水田農業の現状と課題を整理し、JAグループ北海道として北海道水田農業が将来に向けて進むべき方向性を示すとともに、その実現に向けた総合的な戦略を構築し、生産者・JA・連合会が一体となって取り組む指針として水田農業ビジョンの改訂を行いました。

北海道の水田農業が抱える課題

北海道の水田農業が目指す方向

~水稲作付経営体数の減少と作付面積の増加~ ~水稲作付面積の減少~ 高齢化等により農家戸数が減少し、その際に発生した農地を担い手が引き受けることで、一戸当たりの作付経営が増加しています。

 北海道の水稲作付面積は毎年約1,000haずつ減少しており、他の主産地と比較しても顕著です。一方で、新潟県では面積を維持しており、北海道との差は拡大しています。

生産意欲の低下

作付面積の増加

経営体数の減少6.07.1

8.2

0.0

2.0

4.0

6.0

8.0

10.0

12.0

9.310.0

19,77615,910

13,47010,079

8,187

0

5

10

15

20

25(単位:千戸) (単位:ha/戸)

2025年(予想)2020年(予想)2015年2010年2005年

既存の労働力では水稲作付の維持が困難となり麦・大豆等へ切り替わっている

(単位:千ha)

114 113 113 112 111 108 107

80

90

100

110

120

130

140

H23 H24 H25 H26 H27 H28 H29

北海道 新潟県 秋田県

水稲作付面積の減少

差が拡大!

生産量減少による負のスパイラル

農家所得の減少

市場におけるマーケットシェアの低下

価格交渉力の低下

北海道米の生産量の減少

生産意欲を喚起する

試験研究

生産

集荷

販売

消費拡大

一貫性を持った戦略的な取り組み

生産意欲を喚起する農業所得を安定的に確保

担い手に魅力のある北海道水田農業の実現

 試験研究・生産・集荷・販売・消費拡大等において、一貫性を持った戦略的な取り組みにより、水田農業において生産者が意欲を持って作付を行える農業所得を安定的に確保し、担い手にとって魅力ある北海道水田農業の実現を目指します。

将来にわたって日本の米生産をリードする

農業所得の確保による魅力ある水田農業の実現

の実現 関係者が将来ビジョンを共有し、新たな生産・販売戦略の下、一丸となって取り組むことにより、これまでの北海道米関係者の努力により高まった米どころとしての地位を確固たるものとし、将来にわたって日本の米生産をリードしていくことを目指します。

JA

新たな生産・販売戦略

将来ビジョンの共有

将来にわたり北海道を「日本一の米どころ」に!

生産者連合会

全道一丸となった取り組み

北海道米の品種開発

「ゆめぴりか」「ななつぼし」+5%の収量

シラタ対応系統の育成

省力化栽培技術の開発コンタミ問題の解消戦略的な生産販売の推進

「上育471号」の湛水直播栽培指針の策定など

シラタ耐性

作付品種の集約化

道総研に対する委託試験を継続して実施(~H35)~極多収品種・省力化栽培技術等の開発~

全道共販の結集

気象変動 一戸当たりの作付面積の拡大消費動向の変動

生産者数の減少

様々な環境変化が起こり得る

集荷生産 販売オール北海道による強固な北海道米流通体制の構築

全道共販の役割

北海道水田農業に必要な政策・支援策

収入

農業所得の向上を目指す!国に求める政策・支援策 国に求める政策・支援策

費用

+17%~

「きらら397」対比117%多収系統の育成

+13%~

H33 H35現在

平成29年5月の北海道農協米対策本部の決定に基づき、作付品種の集約を進めます【集約のルール】●品種数の上限設定(20品種)●優良品種廃止の判断

✓ 全国への安定供給✓ 細かなニーズへのマッチング✓ 新規需要の創出✓ 産地の努力を踏まえた精算✓ 実需を見据えた販売による

安定需要の確保✓ 「販売先との交渉力」を

高めた価格形成

全道共販の結集による「価格交渉力を持った

生産販売体制を確立」「更なるブランド形成による

価値向上」

北海道米の消費拡大対策道内食率の向上

平成8年RY道内食率37%

平成24年RY以降85%以上を維持

一方、米の消費量は年々減少

北海道米のブランド維持・消費拡大が必要

~道内~道内食率85%の達成に加え、「道民一人当たりの米消費量」を拡大

~道外~北海道米のPRとキャンペーン認知力向上と販路拡大

●全国的な需要に応じた生産の推進●水田活用の直接支払交付金の必要予算の 安定的な確保●ナラシ対策の安定的な実施●輸出に取り組む産地・事業者への支援

●低コスト・省力化栽培に資する技術や 機械・設備等の導入支援●基盤整備・土地改良事業の十分な予算  確保●多収品種の開発・導入等の支援

今後に向けては、北海道水田農業ビジョン(第3版)を参考に、各地区でそれぞれの目指すべき姿とその達成に向けた戦略を検討していきます。

将来ビジョンを生産者・JA・連合会で共有し、ともに

魅力ある水田農業・日本一の米どころ北海道を実現しましょう!!

平成30年11月

JAグループ北海道北海道農協米対策本部

第3 版

ダイジェスト版

「日本一の米どころ北海道」

Page 2: 北海道の水田農業が抱える課題 · による需要に応じた生産 毎年の水田部会で 「生産の目安」を決定し、 需要に応じた生産を実施 販売収入

北海道の水田農業が目指す目標

北海道米の戦略

全体水張面積(107,000ha以上)

既存需要(107,000ha)

主食用米 加工用米輸出用米 その他

新たな需要の創設

+α弾力的運用

新規需要の創出により、水張面積の拡大へ

主食用米+加工用米(輸出用米)による需要に応じた生産

毎年の水田部会で「生産の目安」を決定し、需要に応じた生産を実施

販売収入

販売収入

水田活用の直接支払交付金

水田活用の直接支払交付金を活用し、主食用米と遜色のない所得を確保

主食用米の需要量は▲8万トン/年価格面や政策面を考慮すると、主食用米の面積増加=所得向上に

繋がるとは限らない

0

1,000

2,000

3,000

4,000

260万6千人【平均65.8歳】 209万7千人

【平均66.4歳】

農業就業人口335万3千人【平均63.2歳】

全国では農業就業人口が減少

(単位:千人)

全国

北海道

現在

全国

将来

北海道

北海道米の生産力を維持

平成17年 平成22年 平成27年

高齢化等により全国の生産力は減少

全国に占める北海道米のシェア拡大!

面積 目標

北海道の水稲作付面積107,000ha以上!

収量向上 経営費削減

価値の維持・向上

水稲において10a当たり5万円以上の所得を安定的に確保!

目標年次2023年(5年間)~ ~ 販売対策

家庭用(維持)~家庭用販売で全国一のシェア率~

(単位:%)

2016年度

2017年度

1位

北海道18.9

北海道16.2

2位

新潟13.2

新潟14.6

「POSデータによる米の価格・販売等の動向」(公益社団法人米穀安定供給確保支援機構)「2016年度版年報」および2017年度各月より算出(期間:当年4月~翌年3月)

全国で最も販売される産地を維持北海道米の価値の更なる向上を目指す

2023年産家庭用向け20万トン以上

品質向上、安定供給、多様なニーズへの商品展開

うるち米(主食用)

うるち米(水田活用米穀)

もち米

酒造好適米

低コスト・

省力化技術の普及

業務用(拡大)安定した需要が見込まれる

「コンビニ向け」

長期安定取引複数年契約

2023年産業務用向け15万トン

中長期的な需要確保稲作経営の安定化

ポジション別販売方向~プレミアム領域~

「ゆめぴりか」「ふっくりんこ」「おぼろづき」

家庭用精米

~ミドル領域~「ななつぼし」:家庭用精米、業務用でおにぎり・お弁当用「きたくりん」:道内家庭用、一部道外での「こだわり」需要「ゆめぴりか」:チルド用と家庭用ブレンド米「ふっくりんこ」:寿司用・弁当用と家庭用ブレンド米「上育471号」:用途適性にあった業務用、一部家庭用

~スタンダード領域~「きらら397」「そらゆき」「ほしまる」「大地の星」

中・外食向け

輸出用米

加工用米と同水準の所得確保を前提として販売拡大に取り組む

実需者側のニーズに合わせた用途別の作付を段階的に進める

冷凍米飯メーカーへ安定供給一定水準の供給量を確保

主食用米の動向に関わらず加工用米需要の伸長

冷凍米飯の需要拡大

ライフスタイルの変化「小食化」「個食化」「簡素化」

加工用米~1世帯1ヵ月当たり米購入数量と冷凍米飯生産量~(単位:kg/月) (単位:㌧)

100,000

120,000

140,000

160,000

180,000

50

60

70

80

H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28 H291世帯1ヵ月当たり購入量 冷凍米飯生産量

(1世帯当たりの年間購入数量:総務省家計調査)(冷凍米飯生産量:(一財)日本冷凍食品協会調べ)

産地 数量(㌧) シェア(%) 順位

北海道 43,440 20 1

新潟 30,247 14 2

佐賀 24,442 11 3

現行作付シェアの維持中食業態用への供給量拡大

一元集荷・複数年契約

「ダントツ日本一」のもち米産地を目指す

需要に基づく計画生産により安定販売・農家所得の確保

段階的な需要拡大・作付増加道内酒造メーカーにおける需要拡大による生産量の拡大30年産酒造好適米の需要調査では過去最高の2,084トン

生産対策

高密度播種

自動給水装置

水田センサー

直播

疎植

育苗箱数の削減と育苗作業の省力化が可能となる

水田の給排水をスマホによる遠隔操作で管理することで、水管理作業を大幅軽減できる

センサーで水位・水温を測定し、状況をスマホで確認することで、労働力の効率化が可能となる

育苗・田植え作業を省けるため、規模拡大と低コスト化が期待できる

株間を広げて栽培することで、育苗箱数を削減。一方で箱数を維持した場合、水張面積の拡大が可能となる

「地域に有効な技術の組み合わせ」により生産力と水張面積を維持・拡大!!

~所得目標設定にあたっての考え方~

生産意欲の湧く稲作農業所得を確保し担い手にとって魅力ある水田農業の実現

~面積目標設定にあたっての考え方~

主食用米

水田活用米穀(加工用米等)

所得 目標

①基準となる主食用米の所得が転作作物の中心である麦・大豆以上の所得を確保できること。

②米価が一定の水準まで回復し、米の直接支払交付金が廃止となる前の29年産所得水準を安定的に確保する。

①現状として毎年約1,000haずつ減少している水張面積の減少を食い止めることを目指し、水稲作付面積の目標を29年産並みの水稲作付面積である107,000ha以上に設定する。

将来的な国内需要の減少

北海道の目指す水張・所得イメージ

~29年産もち米検査数量・全国シェア~

「酒チェン」運動による道内酒造メーカーへの販売拡大低タンパク米比率の向上を通じた道外での品質評価獲得

品質を含めた安定供給対策