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E 私のホームページの別項で2019年2月2日にアップロードした原稿 「見てびっくり・聴いて楽しい珍品真空管のいろいろ」の続編です。 他にも真空管に関する原稿がHPに何本かありますので参照してください。 後述の超ド級の真空管E3030Bのフィラメントに電流を流した時の写真

後述の超ド級の真空管E3030Bのフィラメントに電流を流し …hiroshi-t.com/RARETUBECONT3.pdfE 私のホームページの別項で2019年2月2日にアップロードした原稿

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    私のホームページの別項で2019年2月2日にアップロードした原稿「見てびっくり・聴いて楽しい珍品真空管のいろいろ」の続編です。

    他にも真空管に関する原稿がHPに何本かありますので参照してください。

    後述の超ド級の真空管E3030Bのフィラメントに電流を流した時の写真

  • すでに何回も書いておりますように、真空管は聴覚的にも視覚的に

    も最高に素晴らしい部品です。真空管にも色々なものがあり、実に多

    種多様です。その中から普通の人には珍品と思われるのではないか

    という真空管をいくつか紹介します。ただし何事でもそうですが、珍品

    か否かの程度は、それぞれの人によって異なりますので、一概には言

    えませんが、ごく一般的な普通のオーディオマニアにとって珍品ではな

    いかと思われる真空管のいくつかを続編として、以下に紹介しますの

    で参考にしてください。大型真空管では、作動中に端子ピンに触れると

    超高圧のために命を落とすことがありますので、注意が必要です。

    何年か前に、大学生に真空管の素晴らしさを話していました。15分く

    らい熱弁で説明した後に彼らに質問はないか聞いたところ、まず最初

  • の質問は、なんと『先生、シンクウカンって何ですか?』でした。真空管

    なるものを、見たことも聞いたこともないそうで、非常に驚きました!興

    味のない人は、真空管を全く知らないし、どうでもよいようで、びっくりで

    す。しかし、どの分野でも類似で、このようなことはごく普通のことなの

    です。たとえば、全盛期のWE300Bの新古品を30万円でも喜んで買う

    マニアがいる反面、上記のような学生は、タダでもいらないと思います。

    価値観の違いには恐ろしいものがあります。美術品では、もっと差が大

    きいことでしょう。一枚が50億円くらいもする名画もたくさんありますが、

    興味のない人には正に『猫に小判』で、何事でも十人十色です。

    私は、いくつかの趣味を持っていますが、その一つが真空管で、蒐集

    やアンプの自作、音の評価など、色々な研究をしております。アンプの

    製作中に高電圧に感電して死にそうになった経験もあります。

  • パイナップル形Toshiba E3030B H:20cm x W:12cm 5.2kg 特大真空管(H: 最長部分の長さ、W: 最大部分の幅、いずれも概数、以下同様)プレート電圧100kV、パルス5A、1500W、フィラメント電圧7.5V (24A)の4極管で、非常に発熱するので、規格ではオイル冷却をする超ド級の

    高電圧が非常に危険な特殊真空管。これはオーディオ用ではありませんが、これでオーディオアンプを製作したベテランがおられますので、次のページにそのアンプの写真などを示します。

  • 前ページに写真を示した超ド級の真空管E3030Bで、新屋さんがステレオアンプを設計・製作した実例が下の写真です。この真空管は明らかにオーディオ用ではなく、東芝の医療用X線電源安定用レギュレーター管なのです。普通の人は、こんなのでアンプを作ろうなんて恐ろしくてとても思いません。下手すると感電して死にます。この写真は http://www.audio-romanesque.com/araya1.html からの引用です。とにかくこれは超凄い空前絶後のアンプです。音を聴いてみたいです。

    出力管にKT88や300Bなどの有名なオーディオ用の名真空管を使ったアンプは、世界中に星の数ほどあり、特にどうってことはありませんが、このようなE3030Bを使ったアンプは、世界中にこれ1台しか存在しないのではないかと思われる超貴重なものです。こんなアンプを実際に作ってしまう新屋さんは、本当に凄い実行力と能力を持つ真空管アンプの設計・製作者です。

  • 段々畑形JRC 6F62RH:14cm x W:7cm

    NHKの払下げ品。業務用の場合は、切れなくても早めに交換している。

  • 切腹形NEC 5121H:24.5cm x W:9cm

  • 出べそ形ELECTRONIC ENTERPRISES 808H:14.5cm x W:6.5cm

  • スリム形マツダ VRA 65/80H:13.5cm x W:3cm

  • 肥満形Western Electric 705WAH:12cm x W:5.5cm

    この真空管のフィラメントに電流を流した時の写真が次ページにあります

  • 前ページのWestern Electric 705WAのフィラメントに電流を流した時の写真で かなり明るい

  • 真空管の特別な使い方真空管の本来の使い方は、言うまでもなくアンプでの音声信号増幅などの電気回路のメイン部品としてですが、その他には形体が面白いものならば、オブジェとしての飾りにもなります。さらにそのフィラメントやヒーターに電流を流せば、ムードあるランプにもなります。その時の電圧をスライダックなどで変化させれば、明るさを自由に変えられます。ただし、構造によっては、暗くて照明には使えないものもあります。通

    常のオーディオ用の真空管、たとえば最もポピュラーな12AX7, ECC83, KT88, 2A3, 300B, 6550, EL34, 6CA7などは、外観は特にどうってことはなく、地味で飾りになりませんし、暗くて照明にも使えません。やはり、オーディオの世界ではあまり使わない送信管がそれに向いています。

    リラックスタイムに、照明をそのような真空管の灯りのみにして、アナログレコードを真空管アンプで聴けば、最高に至福の時となります。

  • やきものの壺の代わりにE3030B真空管を床の間に飾るのも風変わりで面白いのでは?!(この写真は伝千利休作の国宝茶室『待庵』なので現実には不可能だが各家庭なら容易)

  • 縦横比ギネス級超細長形

    ロシア軍球 レーダー用 UHF 進行波管 TWT yb1bH:38.5cm x W:3cm (ガラス管部のW:1.5cm)

    新品のこの真空管に付いてきたマニュアルの一部分を次ページに示します

  • 前ページの特殊なロシア管(新品・箱入り)に付いてきたロシア語のマニュアルの一部分

  • 緑の腹巻形Toshiba 1X2BH:7cm x W:2cm

  • 白磁筒形ITT ELECTRON TUBE DIVISION JAN 8613H:16cm x W:5.5cm

    (JAN: Joint Army and Navy アメリカ軍用)

  • UFO形NATIONAL UNION JAN-CNU-832AH:8cm x W:5.5cm

  • Eimac 3-500ZH:15cm x W:8cm

  • ADZAM 35/750H:14cm x W:8cm

  • UNITED ELECTRONICS CG-42H:19cm x W:5.5cm

  • Amperex 6155H:12cm x W:5.5cm

    最後のページ(完)にこのフィラメントに電流を流した時の写真があります

  • CETRON JAN 829BH:10cm x W:5.5cm

  • NEC 6080H:9cm x W:4cm

  • ナショナル S2001H:9.3cm x W:4cm

  • スプレー・シールド真空管について通常の真空管は、ガラス管の表面は自然の状態のままにしてあり、ガラス管に着色がなく透明であるので、中身がよく見えます。そのために、下記のスプレー・シールド真空管と対比させる場合には『クリヤー真空管(Clear Vacuum Tube)』

    と呼ばれています。この様なクリアー真空管の表面に塗装によって金属被膜遮蔽を施すスプレー・シールド処理またはメタライズド処理(金属被膜化処理)が好んでされていた時期がありました。スプレー・シールド処理というのは、ガラス管表面に亜鉛の微粉末を含むコーテイング塗料を吹き付ける方法で、電気的な遮蔽が目的でした。1928年後期には、ドイツのテレフンケン社がスプレー・シールド処理を導入しましたが、これが元祖となり、英国で最初に行われたのが1934年で、その後広くされるようになりました。ヨーロッパではフィリップス社が、1933年以降

    もっとも多くの種類のスプレー・シールド処理真空管を作り続けました。同社は、他社と異なり、灰色の金属被膜をそのままにして置くことに満足せず、金色の見た目にも鮮やかな仕上げを施して、見る人に楽しさを与えました。後にサイド・コンタクトを採用した真空管には、赤色の塗料を採用しました。ムラード社には同様な

  • 赤色塗装の真空管があります。

    スプレー・シールド処理方法は、英国やカナダでは、第二次世界大戦まで使用され、大戦中はスプレー・シールド処理を施した多くの軍用真空管が製造されました。戦後もムラード社は、スプレー・シールド処理のオクタル・ベース管、レットEシリーズ生産を続け、1950年頃まで使用されていました。マルコニ・オスラム社も戦後の初期に、数種類のスプレー・シールド処理のオクタル管を発売していました。

    3極真空管または電力増幅用真空管にスプレー・シールドを施す理由は、ガラス管壁内に電荷が蓄積するのを防ぎ、真空管雑音の防止とガラス管壁の局部的過熱の抑止です。

    以下にスプレー・シールド処理がなされて、さらに色々な色に着色された真空管の実例を示します。

  • スプレー・シールド管 ゴージャスな金色ロシア軍用 2K2MH:16cm x W:5.5cm

  • スプレー・シールド管 銀色ロシア軍用MAZDA SP41H:16cm x W:5.5cm

  • スプレー・シールド管 茶色ロシア軍用電池管 CO-241H:16cm x W:5.5cm

  • スプレー・シールド管 赤色NEOTRON 6J7H:16cm x W:5.5cm

  • 各真空管の特製や規格などについては、真空管規格表などをご覧ください。インターネットでも可能ですし、書物も色々とあります。書物の実物は: “AEG-TELEFUNKEN RÖHRENTASCHENBUCH”、『真空管規格表』、『マツダ真空管ハンドブック』、『現代 新・真空管技術事典』、『世界の真空管カタログ 真空管データ 7200種』を始め、何冊も手元にあります。

  • 特にお薦めはこの単行本です。何しろ大作で、総ページ数は634ページもあり、サイズは約18cm x26cm、厚みは約4cmで、ずっしり

    と重い貫禄のある本です。本のタイトルにもありますように、世界の真空管7200種のデータなどが図表とともに記載されていますので、主要なものはこの本でわかると思います。山川正光編纂 1995年6月28日誠文堂新光社発行で、当時の定価は7800円です。

  • 上述のAmperex 6155のフィラメントに電流を流した時の写真