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「都市農業」関連資料 63 都市農業の主な変遷 法律・制度等 昭和44年 6月14日 昭和49年 8月31日 昭和50年 昭和57年 昭和63年 6月28日 平成 3年 9月10日 平成 4年10月 1月 1日 平成27年 4月16日 平成28年 5月13日 8月 平成29年 5月 6月15日 平成29年 9月 12月 平成30年 4月 1日 平成30年 9月 1日 「新都市計画法」の施行 ◇区域区分制度の創設 ◇市街化区域内の農地は,宅地化すべきものとして位置付け 「生産緑地法」の施行 相続税納税猶予制度の施行 長期営農継続農地制度の創設 「総合土地対策要綱」閣議決定 土地の有効・高度利用の促進策の一環として,市街化区域内農地について は,宅地化するものと保全するものの区分の明確化を図ることとし,種々 の施策を講ずる。 「市街化区域内農地の計画的保全を図るための方策はいかにあるべきかにつ いての答申」(都市計画中央審議会) ◇市街化区域内農地の区分の明確化 ◇生産緑地地区制度の見直し 「改正生産緑地法」の施行 改正生産緑地法による新規指定(調布市は10月26日付け) 農地の相続税納税猶予制度の改正(終生営農) 「都市農業振興基本法」成立(4月22日施行) ◇都市農業の安定的な継続 ◇都市農業の有する機能の適切・十分な発揮⇒良好な都市環境の形成 都市農業振興基本計画 閣議決定 都市農業振興に関する新たな施策の方向性 ◇担い手の確保(都市農業の安定的な継続のため,多様な担い手の確保) ◇土地の確保(都市農地を「宅地化すべきもの」から「あるべきもの」へ 転換し計画的に農地を保全) ◇農業施策の本格展開(都市農地に対し,本格的に農業振興施策を展開) 「都市と共存し,都民生活に貢献する力強い東京農業の新たな展開」答申 (東京都農林・漁業振興対策審議会) 「東京都農業振興プラン~次代に向けた新たなステップ~」策定 「改正生産緑地法」の施行 ◇下限面積300㎡以上(市区町村の条例化) ◇一団性の運用(街区) ◇都市計画運用指針の指定基準の考え方(Uターン農地等の指定可能) ◇農業用施設の追加(農家レストラン,直売所,加工施設) ◇指定後30年を経過する生産緑地は,10年ごとに更新「特定生産緑地制 度」を創設 「改正都市緑地法」の施行 農地を緑地政策体系に位置付け,緑地の定義に農地が含まれることが明 記され,都市緑地法の諸制度の対象とすることを明確化 「都市農地の貸借の円滑化に関する法律」(案)公表 平成30年度税制改正大綱 「都市農地の貸借の円滑化に関する法律」による貸付の場合には,相続 税納税猶予制度が継続可 「改正都市計画法・改正建築基準法」の施行 住居系用途地域の一類型として「田園住居地域」を創設 「都市農地の貸借の円滑化に関する法律」の施行

「都市農業」関連資料€¦ · 「都市農業」関連資料 64 【都市農業をめぐる情勢について】 出典:農林水産省(平成30年5月) 1 都市農業の現状

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「都市農業」関連資料

63

「「都都市市農農業業」」関関連連資資料料

都市農業の主な変遷

年 月 法律・制度等

昭和44年 6月14日

昭和49年 8月31日

昭和50年

昭和57年

昭和63年 6月28日

平成 3年 9月10日

平成 4年10月

1月 1日

平成27年 4月16日

平成28年 5月13日

8月

平成29年 5月

6月15日

平成29年 9月

12月

平成30年 4月 1日

平成30年 9月 1日

「新都市計画法」の施行

◇区域区分制度の創設

◇市街化区域内の農地は,宅地化すべきものとして位置付け

「生産緑地法」の施行

相続税納税猶予制度の施行

長期営農継続農地制度の創設

「総合土地対策要綱」閣議決定

土地の有効・高度利用の促進策の一環として,市街化区域内農地について

は,宅地化するものと保全するものの区分の明確化を図ることとし,種々

の施策を講ずる。

「市街化区域内農地の計画的保全を図るための方策はいかにあるべきかにつ

いての答申」(都市計画中央審議会)

◇市街化区域内農地の区分の明確化

◇生産緑地地区制度の見直し

「改正生産緑地法」の施行

改正生産緑地法による新規指定(調布市は10月26日付け)

農地の相続税納税猶予制度の改正(終生営農)

「都市農業振興基本法」成立(4月22日施行)

◇都市農業の安定的な継続

◇都市農業の有する機能の適切・十分な発揮⇒良好な都市環境の形成

都市農業振興基本計画 閣議決定

都市農業振興に関する新たな施策の方向性

◇担い手の確保(都市農業の安定的な継続のため,多様な担い手の確保)

◇土地の確保(都市農地を「宅地化すべきもの」から「あるべきもの」へ

転換し計画的に農地を保全)

◇農業施策の本格展開(都市農地に対し,本格的に農業振興施策を展開)

「都市と共存し,都民生活に貢献する力強い東京農業の新たな展開」答申

(東京都農林・漁業振興対策審議会)

「東京都農業振興プラン~次代に向けた新たなステップ~」策定

「改正生産緑地法」の施行

◇下限面積300㎡以上(市区町村の条例化)

◇一団性の運用(街区)

◇都市計画運用指針の指定基準の考え方(Uターン農地等の指定可能)

◇農業用施設の追加(農家レストラン,直売所,加工施設)

◇指定後30年を経過する生産緑地は,10年ごとに更新「特定生産緑地制

度」を創設

「改正都市緑地法」の施行

農地を緑地政策体系に位置付け,緑地の定義に農地が含まれることが明

記され,都市緑地法の諸制度の対象とすることを明確化

「都市農地の貸借の円滑化に関する法律」(案)公表

平成30年度税制改正大綱

「都市農地の貸借の円滑化に関する法律」による貸付の場合には,相続

税納税猶予制度が継続可

「改正都市計画法・改正建築基準法」の施行

住居系用途地域の一類型として「田園住居地域」を創設

「都市農地の貸借の円滑化に関する法律」の施行

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「都市農業」関連資料

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【都市農業をめぐる情勢について】 出典:農林水産省(平成30年5月)

1 都市農業の現状

(1) 農業経営の状況

○ 都市農業とは,一般的に「市街化区域内農地とその周辺で営まれる農業」をいうことが多い。

○ 市街化区域内農地は全農地の2%程度であるが,都市農家の戸数や販売金額は全国の約1割である。

○ 都市農業は,①新鮮で安全な農産物の供給,②身近な農業体験・交流活動の場の提供,③災害時の防災

空間の確保,④やすらぎや潤いをもたらす緑地空間の提供,⑤国土・環境の保全,⑥都市住民の農業への

理解の醸成といった多様な役割を果たしている。

○ 個々の経営を見ると,まとまった農地がないこと等から,経営規模が一般的に小さい。

○ 生産面では,消費地の中での生産という条件を活かし,野菜を中心に多様な作物を生産する農業者が多

い。

○ 売上については,100万円未満の農業者が6割程度。一方,温室等の施設を利用し,年に数回転の生産

を行うことで相当の売上げをあげる経営も存在。農家所得については,丌動産経営所得の割合が大きい点

に特色。

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「都市農業」関連資料

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(2) 住民や地方自治体の意向

○ 都市住民を対象とした各種のアンケート調査においては,都市農業の多様な役割を評価し,都市農地

の保全を求める意見が多数。

○ また,都市部市区町村(行政)を対象としたアンケート調査においては,人口密度が1㎢当たり

5,000人を超えるような大都市の自治体において都市農地を保全すべきとの意向が顕著である一方,小

規模な市町村においては,消極的な意見が多い。

2 都市農地政策の経緯

(1) 都市計画法制定時における市街化区域内農地の位置付け

○ 高度経済成長に伴い,都市への急激な人口流入と産業集中が進む中,無秩序な市街地の拡大を防止しつ

つ,宅地開発需要等に対応していくため,昭和43年,新都市計画法が制定された。

○ 同法に基づき制定された市街化区域は,「おおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき

区域」とされ,その区域内の農地については,事前に届出を行えば転用が可能となった。また,同区域

において講じられる農業施策も,当面の営農継続に必要な効用が短期な措置に限られることとなった。

○ 一方,優良農地を主体とした農業地域を保全・形成し,農地の無秩序なかい廃等を抑制するため,翌昭

和44年には農業振興地域の整備に関する法律が制定された。同法に基づき指定された農用地区域は,

「農用地等として利用すべき土地の区域」とされ,同区域内の農地の転用は原則として許可されないこ

ととなった。また,主な農業振興施策はこの区域を対象として計画的・集中的に実施することとされ

た。

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「都市農業」関連資料

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(2) バブル期における宅地化の促進

○ 昭和60年代に入り,三大都市圏を中心として地価が高騰する中,市街化区域内の農地に対しては,そ

の宅地化が強く求められることなった。

○ これに対応するため,三大都市圏の特定市においては,平成3年以降,農業者の意向を踏まえ,農地

を「宅地化する農地」と「保全する農地」に区分されることとされた。その上で,「宅地化する農地」

に対しては,固定資産税の宅地並み課税,相続税の納税猶予制度の丌適用といった措置が適用され,宅

地化の促進が図られた。

(3) 都市農業の振興・都市農地の保全に向けた対応

○ 市街化区域内にあって「保全する農地」と区分された農地については,平成3年以降,生産緑地地区と

して指定され,生産緑地法に基づき,長期間農地としての管理が求められることとなった。このことを

受け,市街化区域内にあっても生産緑地については,効用が短期なものに限定せず農業施策を実施でき

ることとなった。

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「都市農業」関連資料

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(4) 都市農地に関する現行の税制措置

○ 農地に関する税制は,高額な税負担により,農業経営の維持が困難となる可能性があることに配慮し

た制度となっている。

○ 市街化区域内農地に係る相続税,固定資産税は,生産緑地とそれ以外の農地の区分などに応じ,課税

条件や評価が異なる仕組みとなっている。

○ 平成30年度税制改正において,都市農地の貸借の円滑化に関する法律案の成立を前提に,生産緑地

を貸借しても相続税の納税猶予措置が継続されることとなったところである。

(5) 平成30年度税制改正大綱

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「都市農業」関連資料

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3 都市農業振興基本法(平成27年4月22日施行)の概要

4 都市農業振興基本計画(平成28年5月13日閣議決定)の概要

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「都市農業」関連資料

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(参考)都市農業の多様な役割

都市農業は,①新鮮で安全な農産物の供給,②身近な農業体験・交流活動の場の提供,③災害時の防災空

間の確保,④やすらぎや潤いをもたらす緑地空間の提供,⑤国土・環境の保全,⑥都市住民の農業への理

解の醸成といった多様な役割を果たしている。

①新鮮で安全な農産物の供給

○ 都市での農業生産は野菜が中心であり,消費地の中で鮮度の高い農産物が生産されている。

○ 生産された農産物は,消費地の中で生産という特性を生かし,農協・市場へ出荷されるだけでなく,直

売等により販売されている。

○ また,学校給食等に対し,新鮮で安全な野菜を納入する取組も幅広く行われている。

都市農業の多様な役割

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「都市農業」関連資料

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②身近な農業体験・交流活動の場の提供

○ 農作業体験を希望する都市住民は多く,これを背景として市民農園の開設は年々増加傾向にある,また,

農園主のきめ細かい指導の下で,利用者が農業体験を行う「農業体験農園」も広がってきている。

○ 都市において,農産物の直売が広がる中,直売所を介した生産者と消費者の交流も拡大している。

③防災空間の確保

○ 建築物の密集する都市において,農地は貴重な空き地でもあり,火災時における延焼の防止や地震の際の

避難所・仮設住宅建設用地等として多様な役割を果たしている。

○ このような機能に着目し,農家や農協,地方公共団体により防災協力農地の協定締結が進められている。

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「都市農業」関連資料

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④やすらぎや潤いをもたらす緑地空間の提供

○ 都市農地は,市街地の中で貴重な緑地空間,水辺空間を提供していおり,都市住民の生活に「やすらぎ」

や「潤い」をもたらす役割を果たしている。

○ 住宅政策においても,住宅の供給等を着実に進める際には,地域ごとの住宅需要を見極めるとともに,地

域の実情に応じた都市農地の保全の在り方に留意するとの考え方が示されている。

⑤国土・環境の保全

都市農地は,樹林地等とともに都市の緑を形成する主要な要素となっている。これらの都市の緑は,ヒー

トアイランド現象(都市の中心部における高温地域の発生)の緩和,大雨の保水,地下水の涵養等により,

国土・環境の保全の役割を果たしている。

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「都市農業」関連資料

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⑥都市住民の農業への理解の醸成

農業・農地が身近に存在することで,都市住民が農業に触れる機会も増加する。都市農業には,このよう

な関わりを通じて,都市住民の農業への理解を醸成する役割も期待される。

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「都市農業」関連資料

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「都市農業」関連資料

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都市農業振興基本計画の概要

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「都市農業」関連資料

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東京都農業振興プランの概要

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「都市農業」関連資料

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都市農業振興基本法 (平成27年4月22日号外法律第14号)

第一章 総則

(目的)

第一条 この法律は、都市農業の振興に関し、基本理念及びその実現を図るのに基本となる事項を定め、並

びに国及び地方公共団体の責務等を明らかにすることにより、都市農業の振興に関する施策を総合的かつ

計画的に推進し、もって都市農業の安定的な継続を図るとともに、都市農業の有する機能の適切かつ十分

な発揮を通じて良好な都市環境の形成に資することを目的とする。

(定義)

第二条 この法律において「都市農業」とは、市街地及びその周辺の地域において行われる農業をいう。

(基本理念)

第三条 都市農業の振興は、都市農業が、これを営む者及びその他の関係者の努力により継続されてきたも

のであり、その生産活動を通じ、都市住民に地元産の新鮮な農産物を供給する機能のみならず、都市にお

ける防災、良好な景観の形成並びに国土及び環境の保全、都市住民が身近に農作業に親しむとともに農業

に関して学習することができる場並びに都市農業を営む者と都市住民及び都市住民相互の交流の場の提

供、都市住民の農業に対する理解の醸成等農産物の供給の機能以外の多様な機能を果たしていることに鑑

み、これらの機能が将来にわたって適切かつ十分に発揮されるとともに、そのことにより都市における農

地の有効な活用及び適正な保全が図られるよう、積極的に行われなければならない。

2 都市農業の振興は、我が国における尐子高齢化の進展及び人口の減尐等の状況並びに地球温暖化の防止

等の課題に対応した都市の在り方という観点を踏まえ、都市農業の有する前項の機能が適切かつ十分に発

揮されることが都市の健全な発展に資するとの認識に立って、土地利用に関する計画の下で、都市農業の

ための利用が継続される土地とそれ以外の土地とが共存する良好な市街地の形成に資するよう行われなけ

ればならない。

3 都市農業の振興に関する施策については、都市農業を営む者及び都市住民をはじめとする幅広い国民の

都市農業の有する第一項の機能等についての理解の下に、地域の実情に即して、その推進が図られなけれ

ばならない。

(国の責務)

第四条 国は、前条の基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、都市農業の振興に関する施策を

総合的に策定し、及び実施する責務を有する。

(地方公共団体の責務)

第五条 地方公共団体は、基本理念にのっとり、都市農業の振興に関し、国との適切な役割分担を踏まえ

て、当該地域の状況に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。

(都市農業を営む者等の努力)

第六条 都市農業を営む者及び農業に関する団体は、都市農業及びこれに関連する活動を行うに当たって

は、基本理念の実現に主体的に取り組むよう努めるものとする。

(関係者相互の連携及び協力)

第七条 国、地方公共団体、都市農業を営む者その他の関係者は、都市農業の振興に関する施策が円滑に実

施されるよう、相互に連携を図りながら協力するよう努めるものとする。

(法制上の措置等)

第八条 政府は、都市農業の振興に関する施策を実施するため必要な法制上、財政上、税制上又は金融上の

措置その他の措置を講じなければならない。

第二章 都市農業振興基本計画等

(都市農業振興基本計画)

第九条 政府は、都市農業の振興に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、都市農業振興基本計

画(以下「基本計画」という。)を定めなければならない。

2 基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。

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「都市農業」関連資料

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一 都市農業の振興に関する施策についての基本的な方針

二 次章に定める基本的施策の実施その他都市農業の振興に関し、政府が総合的かつ計画的に講ずべき施

三 前二号に掲げるもののほか、都市農業の振興に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要

な事項

3 農林水産大臣及び国土交通大臣は、基本計画の案を作成し、閣議の決定を求めなければならない。

4 農林水産大臣及び国土交通大臣は、前項の規定により基本計画の案を作成しようとするときは、あらか

じめ、関係行政機関の長に協議しなければならない。

5 農林水産大臣及び国土交通大臣は、第三項の規定により基本計画の案を作成しようとするときは、あら

かじめ、食料・農業・農村政策審議会及び社会資本整備審議会の意見を聴くとともに、都市農業を営む

者、都市住民等の多様な主体の意見を反映させるために必要な措置を講じなければならない。

6 政府は、第一項の規定により基本計画を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。

7 第三項から前項までの規定は、基本計画の変更について準用する。

(地方計画)

第十条 地方公共団体は、基本計画を基本として、当該地方公共団体における都市農業の振興に関する計画

(以下「地方計画」という。)を定めるよう努めなければならない。

2 地方公共団体は、地方計画を定めようとするときは、都市農業を営む者、都市住民等の多様な主体の意

見を反映させるために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

3 地方公共団体は、地方計画を定めたときは、遅滞なく、これを公表するよう努めなければならない。

4 前二項の規定は、地方計画の変更について準用する。

第三章 基本的施策

(都市農業の農産物を供給する機能の向上並びに都市農業の担い手の育成及び確保)

第十一条 国及び地方公共団体は、都市農業の有する農産物を供給する機能の向上並びに都市農業の担い手

の育成及び確保を図るため、農産物の生産に必要な施設の整備、都市農業の特性に応じた農業経営の展開

のための技術及び知識の普及指導、都市農業に関連する諸制度についての情報の提供、都市農業の経営の

安定向上に資するための農村地域における営農との連携の促進その他の必要な施策を講ずるものとする。

(都市農業の防災、良好な景観の形成並びに国土及び環境の保全等の機能の発揮)

第十二条 国及び地方公共団体は、都市農業の有する都市における防災、良好な景観の形成並びに国土及び

環境の保全等の機能が的確に発揮されるよう、これらの機能に関係する計画における当該機能の位置付け

の明確化、都市農業を営む者等とのこれらの機能の発揮に係る協定の締結、これらの機能の発揮に資する

施設の整備その他の必要な施策を講ずるものとする。

(的確な土地利用に関する計画の策定等のための施策)

第十三条 国及び地方公共団体は、都市農業のための利用が継続される土地とそれ以外の土地とが共存する

良好な市街地の形成を図るため、都市農業のための利用が継続される土地に関し、的確な土地利用に関す

る計画が策定され、及びこれに基づき土地利用の規制その他の措置が実施されるために必要な施策を講ず

るものとする。

(税制上の措置)

第十四条 国及び地方公共団体は、土地利用に関する計画及びこれに基づく措置を踏まえ、都市農業が安定

的かつ確実に継続されるよう、都市農業のための利用が継続される土地に関し、必要な税制上の措置を講

ずるものとする。

(都市農業により生産された農産物の地元における消費の促進)

第十五条 国及び地方公共団体は、都市農業により生産された農産物を地元において消費する地産地消の促

進を図るため、直売所の整備、都市農業を営む者と食品の製造、加工、流通若しくは販売又は食事の提供

を行う事業者との連携の促進その他販売先の開拓の支援、都市住民に対する地元産の農産物に関する情報

の提供、学校給食等における地元産の農産物の利用の推進その他の必要な施策を講ずるものとする。

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「都市農業」関連資料

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(農作業を体験することができる環境の整備等)

第十六条 国及び地方公共団体は、都市農業の有する第三条第一項の機能のうち同項の場を提供する機能が

発揮されるようにするとともに都市における農地の有効な活用が図られるようにし、及び都市住民の農業

に対する理解と関心を深めるため、市民農園の整備その他の農作業を体験することができる環境の整備、

教育及び高齢者、障害者等の福祉を目的とする都市農業の活用の推進その他の必要な施策を講ずるものと

する。

(学校教育における農作業の体験の機会の充実等)

第十七条 国及び地方公共団体は、前条の教育を目的とする都市農業の活用の推進に当たっては、特に学校

教育において、食及び食を支える人々の活動に対する児童及び生徒の理解が深まるよう、農作業の体験及

び都市農業を営む者との交流の機会その他農業に関する学習の機会を充実させるようにするものとする。

(国民の理解と関心の増進)

第十八条 国及び地方公共団体は、都市住民をはじめとする国民の都市農業に対する理解と関心を深めるよ

う、都市農業に関する知識の普及及び啓発のための広報活動、都市農業を営む者と都市住民との交流の促

進その他の必要な施策を講ずるものとする。

(都市住民による農業に関する知識及び技術の習得の促進等)

第十九条 国及び地方公共団体は、都市農業に関心を有する都市住民が都市農業の振興に係る多様な取組に

積極的に参加することができるよう、農業に関する知識及び技術の習得の促進その他の必要な施策を講ず

るものとする。

(調査研究の推進)

第二十条 国及び地方公共団体は、都市農業の振興に関し、必要な調査研究を推進するものとする。

(連携協力による施策の推進)

第二十一条 農林水産大臣及び国土交通大臣は、第十一条から前条までの施策が適切かつ効果的に策定さ

れ、及び実施されるよう、相互に又は関係行政機関の長との間の緊密な連携協力を図りつつ、それぞれの

所掌に係る都市農業の振興に関する施策を推進しなければならない。

附 則

(施行期日)

1 この法律は、公布の日から施行する。