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地域公共交通シンポジウム in中部 京都バス株式会社 運輸部次長 児玉 ~「移動を未来へつなぐ」 路線バス運営の観点から~

地域公共交通シンポジウム in中部 · • もともと、京都市街中心部と郊外を結ぶ「拠点間輸送」を得意とする 業態だった 京都市街中心部と郊外を結節する機能を持つ系統が大半

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Page 1: 地域公共交通シンポジウム in中部 · • もともと、京都市街中心部と郊外を結ぶ「拠点間輸送」を得意とする 業態だった 京都市街中心部と郊外を結節する機能を持つ系統が大半

地域公共交通シンポジウムin中部

京都バス株式会社運輸部次長 児玉 健

~「移動を未来へつなぐ」 路線バス運営の観点から~

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京都から来ました!京都バスです!!

京都交通

京都京阪バス

京都市域の主なバス事業者

丹後海陸交通

京都府下の主なバス事業者

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「京都バス」とは…①

•大正10(1921)年12月に創業(洛北自動車株式会社)•企業合併を経て、昭和21(1946)年、「京都バス株式会社」に•平成9(1997)年6月、京都市営地下鉄の延伸に合わせ、左京区岩倉・大原地域の路線が市バスから移管、京都バス一元運営に

•平成18(2006)年4月、京都市交通局バス営業所の管理を受託•平成27(2015)年11月、ICカードシステム供用(京都市バスと全く同じサービス)

•平成29(2017)年3月、京都市バスと共通の「ICOCAフリー定期券」発売

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京都バスの社章

鞍馬自動車株式会社の社章の原型を引き継いだもの

鞍馬山の天狗の羽団扇(ヤツデの葉)と、バスの車輪を組み合わせてデザイン化

全ての乗合バスに設置しています

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「京都バス」とは…②

•保有車両 127両(乗合111・貸切14・特定2)

•乗合認可キロ 226.4km(平成30(2018)年3月末時点)

•輸送人員 乗合11,584千人 貸切185千人 特定3千人

(平成29(2017)年度)

•乗合バス営業エリア• 京都駅を中心に、JR東海道線から北側• 左京区、北区など、京都市街の北東側• 右京区、西京区北側など、京都市街の西側• 市内中心部から「嵐山」「大原」「鞍馬・貴船」を結ぶエリア

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•路線のほとんどが京都市内• 京都市、大津市、高島市

• 大津市/高島市とはほぼ関わりがない

• 「洛北」「嵯峨嵐山」方面の観光客輸送• 左京・右京方面の通勤通学輸送、京都産業大学通学輸送

• 京都市左京区北部の山間路線を運行

観光・通学など、業務の繁閑差が非常に大きい

都心も、山間部も走行環境が非常に広範

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京都バスへの逆風• もともと、京都市街中心部と郊外を結ぶ「拠点間輸送」を得意とする業態だった

京都市街中心部と郊外を結節する機能を持つ系統が大半

→都市内交通は市電をルーツにする公営交通が担当

ところが…1980年代以降、京都市内では鉄道網の整備が….→地下鉄開業、JR複線電化

もともと「路線バスは利用減少傾向」なのに、「鉄道網の整備が京都バスの経営に追い打ちをかける」状態

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人員(千人)

年度

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1700

1750

1800

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2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017

運送収入(千円)

年度

需要が鉄道など他モードへ移転し、「底が見えない」状況

地下鉄延伸、

JR円町駅開業影響

地下鉄延伸、

JR円町駅開業影響

地下鉄東西線太秦天神川延伸影響

地下鉄延伸、

JR円町駅開業影響

地下鉄東西線太秦天神川延伸影響

2002年

2013年

2002年

2013年

輸送人員 運送収入

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京都バスの気づき

「速達性」「快適性」で鉄道に対抗することは困難

我々は、自社の都合で行動していないだろうか?

「会社が違うので出来ない」

決して楽観的経営状況ではない

どうすれば

とにかく、バスを

便利に!!

京都バスとか市バスとかじゃなくて!!

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京都のバスは「なんだか複雑」

市バスとか京都バスとか、バスに種類があるようだ

「目的地にスムーズに到着」出来るのであれば、バス会社なんてどこでもいい(関係ない/興味ない)

バス会社によって制度が

違う

バス会社によって案内が

違う

なのに

不安

ストレス

不信感

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バスの乗客は、「目的地に行くために、合理的な手段と

してバスを利用している」のであって、

そのバスは「京都バスである」必然性はない

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近くのバス事業者・京都市バスとの協力関係を構築

バスに対するニーズは同じはず! ◆ダイヤ ◆運賃制度 ◆MMの手法

だから

京都バスは京都市バスと「地域要望への対応(=MM手法)」を共通化

京都バスは京都市バスと「競合区間の運行ダイヤ」を共通化

京都バスは京都市バスと「運賃制度(普通運賃/回数券/定期券/企画券)」を共通化

バス事業者同士「シームレス化」で想いを共有!!12

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京都市バス・京都バスの連携を推進

例えば、こんなことやってます①

均一運賃区間の拡大(平成26(2014)年~29(2017)年)

「市バス・京都バス一日乗車券カード」(平成26(2014)年3月~)

500円で均一運賃区間の市バス・京都バスに乗車可能平成28(2016)年度は638万枚もの売上を記録

定期券サービスの共通化(平成29(2017)年4月)

市バス・京都バス共通「ICOCAフリー定期券」

「共通ICサービス」「共通回数券」制度に加え、均一運賃区間で双方のバスに乗れる定期券を発売開始

市バス&京都バスの制度を連携

平成30(2018)年3月から、「バス一日券(市バス・京都バス」に

名称変更、価格も600円に改定

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「シームレス化」=「分かりやすいバス」に

市バス&京都バスのダイヤを連携

ダイヤを事前調整

同じダイヤ改正日

共同してPR◆市バス◆京都バス◆地下鉄車内に掲出

京都駅のりばを統一(平成30(2018)年3月)

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「シームレス化」=「分かりやすいバス」に

市バス&京都バスの案内を連携市バス・バス車内案内モニタ 京都バス・バス車内案内モニタ

「見たことある!」「知ってる!」は、安心感(=認知) 15

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例えば、こんなことやってます②

•地域からの「バスを走らせて!」「増便して!」の要望に対して• 地域のバスを考えるのは事業者だけではない

• 行政/地域/事業者• 京都市バス沿線で実施されたMMで、これを実践

• 「市バス70号系統」に代表される、大きな成果が!!• 行政 =コーディネータに徹する!!

• 地域 =要望・要求だけでなく、「バスを維持する」アイディアを提案

• 事業者=採算ラインだけでなく、「地域の熱意」をベースに事業化チャレンジ• 「考え方の整理」「進むべき方向」を共有

• 「左京区岩倉幡枝地域」で全く同手法の取り組み中!

地域の皆さん・京都市歩くまち京都推進室と・バス利用促進MM

「汗をかかないと、実現しない」ことの共有

ただ要望する/要求するだけでなく

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例えば、こんなことやってます③

•京都市域の鉄道・バスにおける外国語案内に関すること• 各事業者が手探りで… →果たして正しいのかどうかよく分からない

• 事業者ごとに内容がバラバラ →行政サイドもなかなかリードしにくい

• 「悩み事」「進むべき方向」を共有•学識経験者/京都市/近畿運輸局/鉄道・バス事業者が一緒に

• 京都の公共交通で使える「指針」をみんなで考える• 「Good!事例」をみんなでマネする

• マネしてしまえば、そのうち共通化できる• 無理に進めようとしない

• 短期間で成果を求めない

• 『みんなで考え、作った』ことが大切

京都市公共交通ネットワーク会議・外国語案内充実WG

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無理しない出来るときに、出来ることを「ダイヤ改正のついでに、各社で」

良いものは「マネ」する基準を決めよう、独占しない

立場を相互理解京都市内だけ/複数府県にまたがる

鉄道8事業者、バス8事業者が集まる「外国語WG」

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無理しない出来るときに、出来ることを「ダイヤ改正のついでに、各社で」

良いものは「マネ」する基準を決めよう、独占しない

立場を相互理解京都市内だけ/複数府県にまたがる

鉄道8事業者、バス8事業者が集まる「外国語WG」

★会議は午後から(厳守!!)★終わったら、

きっちり「反省」★反省の場で

何かが??

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例えば、路線バスのような「地域の公共交通維持」に対し、

国も都道府県も市町村も事業者も、それぞれが様々な努力をしている

つまり

大きな目標(地域公共交通維持)は、みんな同じ

でも、 それぞれの組織内部で個別目標が微妙に異なっている

「思い」を共有できていない部分があるのでは??

「腹割ってコミュニケーション」「パートナー」20

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どうやらこれがキーワード?

「仲良く楽しく」「win=win」「愛は愛を呼ぶ」

皆さん、それぞれ一生懸命「仲間を増やそう」お互いの立場、考えをつぶさに「相互理解」一方通行は、ダメ

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公共交通は、まちと人をつなぐ、装置

• いつでも、だれでも、安心して安全に移動できる道具•住んでいるまちでも、知らないまちでも、同じように使える安心感•公共交通で働くひとたちは、そのまちで仕事を得てそのまちに貢献するよき市民の一員

だから今、公共交通に関わるひとたちがしっかり「つながる」ことで、まちの装置・公共交通を

次の時代に「つなげて」いきましょう!!22

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ありがとうございました

これからも「まちの装置」として、

京都がより素晴らしいまちになるよう、

努力を続けます

是非、ご指導ご示唆をお願い申し上げます

京都バス株式会社

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