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富士通キッズコンテンツ作成ハンドブック ペルソナマーケティン … · 本書は、「富士通キッズコンテンツ作成ハンドブック 基本編」付属の参考資料です。

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富士通 キッズコンテンツ作成ハンドブック ペルソナマーケティング編

目次

本ハンドブックについて ..................................................................................................................................................................................... 1

著作権について ................................................................................................................................................................................................ 1

1. 「富士通 キッズコンテンツ作成ハンドブック ペルソナマーケティング編」 について ........................................................................................ 2

2. ペルソナの概要 ............................................................................................................................................................................................ 3

2 - 1. ペルソナとは ................................................................................................................................................................................ 3

2 - 2. ペルソナマーケティング ................................................................................................................................................................ 3

2 - 3. ウェブサイト制作でのペルソナ利用のメリット ................................................................................................................................. 4

2 - 4. ペルソナの利用方法について ....................................................................................................................................................... 4

3. 本書のペルソナについて .............................................................................................................................................................................. 5

3 - 1. ペルソナの基礎データについて .................................................................................................................................................... 5

3 - 2. ペルソナ作成のフォーカス ............................................................................................................................................................ 5

3 - 3. ペルソナの作成プロセス ............................................................................................................................................................... 6

4. ペルソナ ...................................................................................................................................................................................................... 7

4 - 1. 小学生のペルソナ ........................................................................................................................................................................ 8

4 - 2. 先生のペルソナ ......................................................................................................................................................................... 12

4 - 3. 「調べ学習」でのインターネット利用について ...............................................................................................................................14

4 - 4. 保護者のペルソナ ...................................................................................................................................................................... 17

5. ペルソナの基礎データ ................................................................................................................................................................................ 19

5 - 1. 情報ソースについて ................................................................................................................................................................... 19

5 - 2. 小学生に関する基礎データ ........................................................................................................................................................ 20

5 - 3. 先生に関する基礎データ ............................................................................................................................................................ 21

5 - 4. 保護者に関する基礎データ ........................................................................................................................................................ 23

6. ペルソナの利用方法 .................................................................................................................................................................................. 24

6 - 1. 既存のサイトをレビューする場合 ................................................................................................................................................ 24

7. 本書のペルソナ作成のための調査 ............................................................................................................................................................. 26

7 - 1. 情報ソースの概要 ...................................................................................................................................................................... 26

7 - 2. インタビュー調査のサマリー ....................................................................................................................................................... 28

8. 参考文献 ................................................................................................................................................................................................... 34

9. 本書に関するお問い合わせ ........................................................................................................................................................................ 34

富士通 キッズコンテンツ作成ハンドブック ペルソナマーケティング編

本ハンドブックについて

「富士通 キッズコンテンツ作成ハンドブック」の対象

本ハンドブックは、主に企業などのウェブサイト担当者で子ども向けウェブコンテンツへ取り組まれる方を対象としています。

「富士通 キッズコンテンツ作成ハンドブック」の構成

本ハンドブックは、「基本編」と「ペルソナマーケティング編」の 2 冊から構成されます。

富士通 キッズコンテンツ作成ハンドブック

基本編 ペルソナマーケティング編

子ども向けウェブコンテンツ制作のポイントを、ユニバーサルデ 基本編付属の参考資料。

ザインを中心にまとめたもの。 子ども向けウェブコンテンツのターゲットである「小学生」、

文章表現や操作性など、子どもの特性を踏まえたコンテンツ制 「先生」、「保護者」の生活やインターネットの利用シーンを

作のノウハウを紹介している。 調査し、ペルソナの形でまとめたもの。

ペルソナとは

ペルソナとは、製品やサービスのユーザー像を仮想の人物として具体的に定義したものです。(本書では、便宜上ペルソナを記述した文書その

ものも「ペルソナ」と呼びます。)

ペルソナには、年齢、性別、家族構成などのプロフィールに加え、好み、生活スタイル、価値観などの情報が記述されます。また、ユーザーが製

品やサービスを、いつ、どこで、どのような目的で、また、どのような心理状態で利用するかをストーリー形式で記述することもあります。

近年、ペルソナは、製品やサービスの提供者がユーザーのニーズや製品やサービスの利用シーンを明確にイメージできる方法として、 HCD (Human Centered Design) やマーケティングの分野で注目され、多くの実践事例が報告されています。

著作権について

本ハンドブックは、著作権法上の著作物にあたります。著作権法上の例外を除き、本書の一部又は全部を富士通株式会社の許可なく複製、転

用することを禁じます。

本ハンドブックに関するご相談は、下記お問い合わせ先までご連絡ください。

お問い合わせ先:

富士通株式会社 キッズハンドブック事務局

[email protected]

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富士通 キッズコンテンツ作成ハンドブック ペルソナマーケティング編

1. 「富士通 キッズコンテンツ作成ハンドブック ペルソナマーケティング編」 について

概要

本書は、「富士通 キッズコンテンツ作成ハンドブック 基本編」付属の参考資料です。

子ども向けサイトのターゲットである「小学生」、「先生」、「保護者」の生活やインターネットの利用シーンを調査し、ペルソナの形でまとめていま

す。

ペルソナは、サイトや製品のターゲットユーザーを仮想の人物として具体的に記述するユーザー定義の方法であり、昨今、 HCD (Human

Centered Design) やマーケティングの分野で注目され、多くの実践事例が報告されています。

ペルソナをサイト制作に利用することで、サイト制作の関係者が、ユーザーのニーズやサイトの利用シーンを明確にイメージし、共有できるので、

ターゲットユーザーに適した企画、コンテンツ、操作性を実現しやすくなります。

目的

本書の目的は、子ども向けウェブコンテンツ制作の際にペルソナをご活用いただくことで、より有効なサイトを実現できるよう、サイト制作者の皆様

をご支援することです。

公開の意図

本書公開の意図は、「富士通 キッズコンテンツ作成ハンドブック 基本編」をご参照ください。

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富士通 キッズコンテンツ作成ハンドブック ペルソナマーケティング編

2. ペルソナの概要

2 - 1. ペルソナとは

ペルソナとは、製品やサービスのユーザー像を、仮想の人物として具体的に定義したものです。(本書では、便宜上、ペルソナを記述した文書そ

のものも「ペルソナ」と呼びます。)

ペルソナには、年齢、性別、家族構成などのプロフィールに加え、好み、生活スタイル、価値観などの情報が記述されます。また、ユーザーが製

品やサービスを、いつ、どこで、どのような目的で、また、どのような心理状態で利用するかをストーリー形式で記述することもあります。

近年、ペルソナは、製品やサービスの提供者が、ユーザーのニーズや製品やサービスの利用シーンを明確にイメージできる方法として、 HCD

(Human Centered Design) やマーケティングの分野で注目され、多くの実践事例が報告されています。

2 - 2. ペルソナマーケティング

従来、ユーザー像は、製品やサービスの提供者側の視点で定義され、主観的で実体と剥離したものになる場合がありました。また、市場調査など

ユーザーの実態の把握が試みられた場合でも、「 20 代女性層」、「中堅企業経営者」など、ユーザー像は平均的なグループとして定義されること

が多く、不鮮明になりがちでした。

これに対し、ペルソナマーケティングでは、市場調査などの定量的なデータをもとに、製品やサービスのターゲットとなるユーザーを絞り込み、さら

にインタビューなどの定性的な調査でターゲットとなるユーザーを詳細に把握します。この調査結果をもとに、仮想のユーザーであるペルソナを

具体的に定義します。そして、企画担当者や製品設計者は、このペルソナの立場に立ち、製品やサービスを検討します。

ペルソナマーケティングを実践することにより、ユーザーの視点で、ユーザーの経験を、客観的かつ具体的にデザインできます。また、企画、設

計、実装、マーケティング、宣伝・広告など、各部門間でペルソナを共有することで、ユーザーにとって一貫したメッセージや価値を持つ製品やサ

ービスを提供しやすくなります。

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富士通 キッズコンテンツ作成ハンドブック ペルソナマーケティング編

2 - 3. ウェブサイト制作でのペルソナ利用のメリット

ペルソナは、サイト運営の全工程で利用できます。また、全工程を通し、一貫して利用していくことが理想的です。

ペルソナを利用することにより、以下の効果が期待できます。

ユーザーの「見える化」を促進

ユーザー像を明確化できる

ペルソナを設定することで、ユーザー像が明確になります。その結果、ユーザーの課題、ニーズ、目的などの理解が促進され、サイト

の担当者が想定しているユーザー像と、実際のユーザーのギャップを埋めることができます。

ユーザー像を意識できる

ペルソナは、ユーザーを仮想の人物として具体的に表現します。

ペルソナを設定することで、サイト担当者は、「主婦層」、「会社員」などの平均化、抽象化されたグループではなく、「佐藤さん」、「鈴木

さん」などの具体的な個人としてユーザーを意識し、その行動を想像できるようになります。つまり、「小学生の子どもを持つ佐藤さんは、

このサイトを好きだろうか?」、「会社経営者の鈴木さんは、このサイトをいつ利用するだろうか?」と、具体的に考えやすくなります。

その結果、サイト担当者は常にユーザーを意識できるようになり、ユーザーにとって価値のあるサイトを実現しやすくなります。

ユーザー像を共有できる

経営者、ウェブマスター、デザイナーなど、サイトの関係者は、それぞれ異なるユーザー像を想定する傾向があります。ペルソナを定

義することで、サイトの関係者間でユーザー像を共有することができます。その結果、サイト運営に関する様々な判断や方針決定が容

易になります。

効果的かつ効率的なサイト運営を実現

上記の効果により、サイト運営の様々な工程で、企画、コンテンツ、デザインなどの有効性をユーザーの視点で評価することが可能になりま

す。また、関係者に共通するユーザーの視点で改善方針を議論できるので、合意形成と判断が容易になります。その結果、サイト運営を効

果的かつ効率的に進めることが可能になります。

2 - 4. ペルソナの利用方法について

本書の「6. ペルソナの利用方法」では、ペルソナを利用して既存のサイトをレビューする方法を簡単にご紹介します。より詳しい利用方法は、「 8.

参考文献」などをご参照下さい。

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富士通 キッズコンテンツ作成ハンドブック ペルソナマーケティング編

3. 本書のペルソナについて

本書では、子ども向けサイトの主要なユーザーとして「小学生」、「先生」、「保護者」を設定し、その生活やインターネットの利用シーンをペルソナ

の形でまとめています。

小学生

子ども向けサイトの主要なユーザーとして小学校の児童を設定しています。富士通の子ども向けサイト「富士通キッズ:夢をかたちに」に合わ

せ、小学校高学年( 5 年生以上)を想定しています。

先生

本書では、学校を含む学習でのインターネット利用に重点を置いています。そこで、子ども向けサイトを使った授業を企画する立場である先

生を、主要なユーザーの 1 つと考えています。

保護者

本書では、子どものインターネット利用には保護者の理解が必要であるという見解から、保護者を主要なユーザーの 1 つと考えています。

上記の 3 つのペルソナの「プロフィール」と「インターネットとパソコンの利用状況」を、「 4. ペルソナ」でご紹介しています。

なお、本書のペルソナに関する記述は、ペルソナ作成の過程での調査に基づくものであり、一般的な事実を保障するものではありません。

3 - 1. ペルソナの基礎データについて

本書のペルソナは、様々な調査から得た情報に基づいて作成されています。情報ソースには、インターネット上に公開されている他社の調査結

果、書籍、富士通で実施したインタビュー調査の結果などが含まれています。なお、情報ソースの詳細については、「 7. 本書のペルソナ作成の

ための調査」をご覧下さい。

各ペルソナの記述には、上記の調査結果に基づく部分と、ペルソナに現実味を持たせるための脚色の部分があります。調査結果に基づく部分を

確認できるように、「 5. ペルソナの基礎データ」に調査結果の抜粋をまとめ、ペルソナの記述から参照できるようにしてあります。

3 - 2. ペルソナ作成のフォーカス

本書のペルソナ作成では、調査の過程で、小学生の主なインターネットの利用は、以下の 2 つであると判断しました。

1. エンターテイメントでの利用

インターネットの利用として最も多いのが、ゲーム、漫画、タレントのコンテンツの閲覧での利用です。

2. 学習での利用

次に多いのが、学校での「調べ学習」 *や宿題などでの利用です。

富士通では、子ども向けサイト「富士通キッズ:夢をかたちに」を企業の社会的責任の一環として位置づけています。そこで、本書ではインターネ

ットを利用した学習をサイトの主な利用目的としました。そのため、本書でご紹介する調査やペルソナの記述は、インターネットを利用した学習に

重点を置いたものになっています。

*「調べ学習」の詳細は、「 4 - 3. 「調べ学習」でのインターネット利用について」をご参照下さい。

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富士通 キッズコンテンツ作成ハンドブック ペルソナマーケティング編

3 - 3. ペルソナの作成プロセス

ここでは、本書のペルソナを作成した際のプロセスの概要を示します。

なお、調査の詳細は、「 7. 本書のペルソナ作成のための調査」をご参照下さい。

1. 調査 ①

インターネット調査

インターネット上に公開されている、子どもの生活やパソコン利用に関するアンケート調査結果などを精査しました。

簡易インタビュー

小中学校の先生や保護者および子ども向けサイトを運営している方へ簡単なヒアリングを行いました。

2. 仮説設定

方針設定

企業の子ども向けサイトの利用シーンとして学校での「調べ学習」 *や「移動教室」に着目することとし、「小学生」、「先生」、「保護

者」を主要なユーザーとして設定しました。

ペルソナの仮説を設定

1.の調査結果をもとに、仮説的なペルソナを作成しました。

3. 調査 ②

インタビュー調査

小中学校の先生 4 名と、小学校 5、6 年生の子どもを持つ保護者 5 名へのインタビューを行いました。

この際、 2.で作成したペルソナの仮説を提示し、実態との乖離を把握しました。

教科書調査

小中学校の教科書を精査し、学校でのパソコンの活用状況や「調べ学習」のテーマを確認しました。

キーワードランキング調査

子ども向け検索サイトの検索キーワードのランキングを調査し、小学校の教科書のテーマとの関連性を確認しました。

4. 修正

ペルソナの洗練

3.の調査結果をもとに、ペルソナの記述を修正し、新たな情報を追加しました。

*「調べ学習」の詳細は、「 4 - 3. 「調べ学習」でのインターネット利用について」をご参照下さい。

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富士通 キッズコンテンツ作成ハンドブック ペルソナマーケティング編

4. ペルソナ

本章では、子ども向けサイトのターゲットである「小学生」、「先生」、「保護者」の 3 つのペルソナと、サイトの主な利用シーンと考えられる「調べ学

習」についてご紹介します。

ペルソナの構成

それぞれのペルソナの記述は、「プロフィール」と「インターネットとパソコンの利用シーン」で構成されます。

1. プロフィール

それぞれのペルソナの人物像に関する情報です。名前、年齢、家族構成、性格に加え、生活シーンを記述しています。

仮想の人物であるペルソナを、現実味のある生き生きとした存在として意識し、サイトの利用の背景にある様々な事情を理解するために

必要な情報です。

2. インターネットとパソコンの利用

本書のペルソナは、子ども向けサイトのユーザーを記述したものです。そこで、上記のプロフィールに加え、それぞれのユーザーの「イン

ターネットとパソコンの利用」について詳しく記述しています。

基礎データへの対応付け

各ペルソナの記述は、様々な調査結果に基づく部分とペルソナに現実味を持たせるための脚色の部分があります。調査結果に基づく部分を確

認できるように、「 5. ペルソナの基礎データ」に調査結果の抜粋をまとめています。ペルソナの各記述の文末の A1-1、B2-3 などの記号は、基礎

データの表の「 ID」欄に対応しています。

注. 本書のペルソナは、全て仮想の人物です。実在の人物・団体などにはいっさい関係ありません。

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富士通 キッズコンテンツ作成ハンドブック ペルソナマーケティング編

4 - 1. 小学生のペルソナ

ここでは、子ども向けサイトの主要なユーザーとして、小学校 5 年生の児童のペルソナを設定しています。

ペルソナの記述は、「プロフィール」と「インターネットとパソコンの利用」から構成されます。

1. プロフィール

「プロフィール」は、ペルソナの人物像に関する情報です。名前、年齢、家族構成、性格に加え、生活シーンを記述しています。仮想の人物であ

るペルソナを、現実味のある生き生きとした存在として意識し、サイトの利用の背景にある様々な事情を理解するために必要な情報です。

なお、A1-1、B2-3 などの各文末の記号は、「 5. ペルソナの基礎データ」の表の「ID」欄に対応しています。

注. 本書のペルソナは、全て仮想の人物です。実在の人物・団体などにはいっさい関係ありません。

名前 佐藤 美咲(女)

年齢 10 歳(小学校 5 年生)

家族構成大手メーカー勤務の父と専業主婦の母、 2 つ下の妹の 4

人家族。

性格

明るく温厚でクラスの人気者。学校の宿題はきちんとこな

して成績も優秀。 A2-1

好奇心旺盛で、気になったことは、わかるまでたずねた

り、調べたりしないと気が済まない。

生活シーン

よく遊ぶのは、近所に住んでいる同学年の萌ちゃん。他にも、小さい頃から友達だった 1 つ上の学年の遥ちゃんとも

遊ぶ。

近所の友達が通っているので、 4 年生の頃から一緒に学習塾に通っている。 A1-5, A1-6

一応、中学受験をしてみようと考えている。宿題はちょっと大変だけど、塾に行けば違う学校の友達にも会えるし、先

生は楽しいし、遊びにいく感覚。

3 歳の頃からピアノを習っている。 A1-5, A1-6

レッスンで練習するのはクラシックだけど、自分でも楽譜を買って、テレビで流れているポップスや映画の音楽を練習

することもある。年に 1 回発表会がある。 5 年生からは自分で曲を選べるので楽しみ。

休みの日は、近所の友達の家に遊びに行く。たまに、お父さんの運転で、家族そろってショッピングモールにお買い

物へ行くこともある。

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富士通 キッズコンテンツ作成ハンドブック ペルソナマーケティング編

2. インターネットとパソコンの利用

ここでは、ペルソナの「インターネットとパソコンの利用」について記述しています。子ども向けサイトの利用の背景、目的、条件に関する情報で

す。

なお、A1-1、B2-3 などの各文末の記号は、「 5. ペルソナの基礎データ」の表の「ID」欄に対応しています。

パソコンの環境やスキル

パソコンの環境 家族共用のノートパソコンを利用。

パソコンのスキル

ブラインドタッチはまだできないが、入力は 1人でもできるようになった。 A2-4

自分でパソコンを立ち上げて操作もできるので、両親が留守で1人の時でも、ゲームやネットサーフィン

ができる。 A4-3

その他 パソコンは、居間のテーブルに置いてある。ノートパソコンだとどこでも持ち運べるので、ソファに寝ころが

りながら使ったりもする。

主なパソコン利用シーン

授業での利用

学校では、週に1度くらいパソコンを使う授業がある。 B3-1

パソコンルームで、 2 人で 1 台のパソコンを使う。 B2-1

パソコンは、「調べ学習 *」に使うことが多い。「リサイクル」「地球温暖化」「ユニバーサルデザイ

ン」など、先生が与えたテーマについて、インターネットで調べて、まとめを作って発表する。 B4-4

たいていの子どもが家でもパソコンを使っているので、操作が苦手な子どもは多くない。 A2-1

宿題での利用

理科や社会の項目を詳しく調べる宿題が出た時は、図書館の本だけでなく、インターネットで調

べることもある。A4-5

教科書や参考書に載っていない詳しい情報も、パソコンを使って検索するとたくさん見つかる。

機械を扱うのも楽しい。 A2-2

授業ではわからなかったことでも、イラストやキャラクターやクイズでわかりやすく説明しているサ

イトを見ると、詳しく理解できる。

まずは、学校でも使っている「 Yahoo!きっず」で検索。欲しい情報が見つからない場合は、

「Yahoo!」を使って、子ども向けではない一般のサイトを見ることもある。 A4-6

たまに漢字の読みや言葉がわからない時は、お母さんに質問して教えてもらう。 C3-3

*「調べ学習」の詳細は、「 4 - 3. 「調べ学習」でのインターネット利用について」をご参照下さい。

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富士通 キッズコンテンツ作成ハンドブック ペルソナマーケティング編

その他のパソコン利用シーン

家族とのコミュニケーション

授業で面白いサイトを見た日は、帰ってすぐお母さんに報告して、自宅でも一緒に見る。夕飯の

時にお父さんにも教えてあげて、家族でその話題で盛り上がることもある。

家族との利用

次の休みにどこに行こうか、情報を仕入れる。お母さんがいくつか候補を挙げて、金曜日の夜に

みんなで検討。だいたいお母さんの意見に流されるけど…。

友達との利用

今学校で流行っているゲームや好きなアニメやブランドについて調べることもある。

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富士通 キッズコンテンツ作成ハンドブック ペルソナマーケティング編

(ご参考) 美咲の一週間

子ども向けサイトの主要なユーザーである小学生の生活を、より詳しくご理解いただくための参考情報です。

なお、A1-1、B2-3 などの各文末の記号は、「 5. ペルソナの基礎データ」の表の「ID」欄に対応しています。

月曜 火曜 水曜 木曜 金曜 土曜 日曜

7:00 起床 起床 起床 起床 起床

8:00

9:00

10:00

11:00

12:00

13:00

14:00

15:00

16:00

17:00

18:00

19:00

20:00

21:00

22:00

23:00

24:00

みじたく・朝食 みじたく・朝食 みじたく・朝食 みじたく・朝食 みじたく・朝食

就寝

起床

就寝

起床

登校 登校 登校 登校 登校

朝学習 朝学習 朝学習 朝学習 朝学習

テレビ / ゲーム テレビ / ゲーム

授業 授業 授業 授業 授業朝食 朝食

ピアノの練習 ピアノの練習

家で読書家族でスーパーへ買い物

昼食 昼食 昼食 昼食 昼食  ・お昼休み   ・お昼休み   ・お昼休み   ・お昼休み   ・お昼休み 昼食 昼食

授業 授業授業

授業(総合学習) 授業勉強 勉強

クラブ活動下校 下校

委員会活動

家族でおでかけ

近所の友達と遊ぶ

下校学校の宿題 学校の宿題

下校 ピアノの練習 下校

塾の宿題

ピアノのレッスン 友達の家で遊ぶ

ピアノの練習 ピアノの練習

軽食 軽食 自分の家で

学習塾 学習塾 友達と遊ぶ 帰宅

帰宅 帰宅 帰宅外食

テレビ / ゲーム

夕食・団らん 夕食・団らん 夕食・団らん 夕食・団らん帰宅

テレビ / ゲーム テレビ / ゲーム ネットサーフィン テレビ / ゲーム テレビ / ゲーム

食事 入浴 入浴 食事 入浴 入浴 入浴

学校の宿題 塾の宿題 学校の宿題 読書など 読書など入浴 入浴

学校の宿題

就寝 就寝

テレビ / ゲーム

就寝

テレビ / ゲーム

就寝

就寝 就寝 就寝

月曜日 クラブ活動の日。帰宅後は、週に2度の学習塾の日。 A1-5, A1-6

始まる時間が遅いので、早めに軽く食事。

帰ってきてからも食事を取る。この日はいつもより寝るのが遅い。

火曜日 ピアノのレッスンの日。 A1-5, A1-6

あわてて直前に練習をする。姉妹で一緒にレッスンを受けているので、待っている間は読書をする。

A1-3水曜日 先生が職員会議出席のため、児童は早く帰れる日。お友達の萌ちゃんの家に遊びに行く。

晴れた日は公園に行くこともあるが、ゲームをするなど室内で過ごすことが多い。

木曜日 午後はパソコンを使った授業がある。 B3-1

この日も学習塾へ行く。

金曜日 委員会活動の日。近所に住んでいる遥(はるか)ちゃんと同じ委員会で一緒に帰れる。 A1-2

そのまま自分の家で一緒に遊ぶ。

土曜日 ちょっと朝寝坊し、午後から家族でお出かけ。まずは近所の図書館で先週借りた本と CD を返し、新しいものを借りる。

その後家族でショッピングなどに出かける。土曜の夜は外食が多い。

日曜日 午前中はのんびり過ごす。家族で昼ごはんの買出しに出かける。午後は、近所の友達の家でゲームをしたり、おしゃべりしたりする。

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富士通 キッズコンテンツ作成ハンドブック ペルソナマーケティング編

4 - 2. 先生のペルソナ

ここでは、子ども向けサイトのユーザーとして、先生のペルソナを設定しています。本書では、学校を含む学習でのインターネット利用に重点を置

いているので、子ども向けサイトを使った授業を企画する立場である先生を主要なユーザーと考えています。

ペルソナの記述は、「プロフィール」と「インターネットとパソコンの利用」から構成されます。

1. プロフィール

「プロフィール」は、ペルソナの人物像に関する情報です。名前、年齢、家族構成、性格に加え、生活シーンを記述しています。仮想の人物であ

るペルソナを、現実味のある生き生きとした存在として意識し、サイトの利用の背景にある様々な事情を理解するために必要な情報です。

なお、A1-1、B2-3 などの各文末の記号は、「 5. ペルソナの基礎データ」の表の「ID」欄に対応しています。

注. 本書のペルソナは、全て仮想の人物です。実在の人物・団体などにはいっさい関係ありません。

名前 松本 秀幸(男)

年齢 32 歳

担任学年 公立小学校 5 年生

学歴 国立大学教育学部卒業

家族構成 父、母、姉の 4 人家族(実家住まい)

趣味 模型作り

生活シーン

子どもの目線を常に意識しており世話好きなため、児童から慕われている。クラスの児童の間で流行っているものや、

好きなテレビ番組をチェックすることもある。 B5-1

最近は子どもが関わるインターネット上のトラブルが増えており、担当クラスの児童が巻き込まれないか心配。児童に

きちんとしたインターネットの知識を身につけさせたい。 B3-5

比較的若いという理由で他の先生からパソコンやインターネットについてあれこれ聞かれることがある。 B5-2

たいていは答えられるが、詳しい方ではないので、知人に相談することもしばしば。

朝は児童が登校する前に出勤する。帰宅してからも、次の日の授業の予習や資料作りを行う。 B1-2

また、児童に見せるホームページの検索も行う。 B1-3

平日はゆっくり休む暇もなく、常に児童や授業のことを考えている。

児童には、なるべく毎日宿題を出すようにしている。パソコンを所有していない家庭も考慮し、インターネットの利用を

前提とした課題は出さないが、中にはインターネットで調べて、プリントアウトして来る児童もいる。 B4-6

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富士通 キッズコンテンツ作成ハンドブック ペルソナマーケティング編

2. インターネットとパソコンの利用

ここでは、ペルソナの「インターネットとパソコンの利用」について記述しています。子ども向けサイトの利用の背景、目的、条件に関する情報で

す。

なお、A1-1、B2-3 などの各文末の記号は、「 5. ペルソナの基礎データ」の表の「ID」欄に対応しています。

パソコンの環境やスキル

パソコンの環境 (自宅)

自分専用のノートパソコンを持っている。 B1-1

実家にも家族共用のものがあるが、たいていは自分のものを利用する。

パソコンの環境 (職員室)

共有のパソコンが数台あるが、インターネットにつながっているパソコンは1台だけ。 B2-3

使用頻度は高くない。

パソコンのスキル基本的な OS の操作、インターネットの操作、ブラインドタッチはできる。ソフトウェアのインストー

ルや各種設定などはだいたい分かるが、得意というほどではない。

主なパソコン利用シーン

授業での利用 (「調べ学習」 *)

理科、社会、総合学習などの授業で、パソコンを使って「調べ学習」を行うことがある。まず、教科

書で通常の授業を行う。次に、パソコンルームで関連するテーマやキーワードについてインター

ネットで調べさせる。 B4-4

最後に、調べたことをレポートにまとめさせたり、発表させたりする。

授業での利用 (「調べ学習」以外)

算数の図形の授業で、プレゼンテーションソフトを使って、事前に準備したアニメーションを見せ

ることもある。 B3-4

児童にとってイメージが沸きやすく、効果的な授業ができるので重宝している。

授業の準備での利用

文書作成などの一般的な利用に加え、「調べ学習」 *で児童に見せるサイトを探したりする。 B1-3

職員室のパソコンは、 1 台しかインターネットにつがなっていないので、自宅で作業する場合も

多い。B2-3

児童が楽しみながら勉強できるサイトを探す。教科書や口頭では伝えきれない動きや音を伝え

られるので、動画や音声のあるコンテンツは重宝する。 B4-3

*「調べ学習」の詳細は、「 4 - 3. 「調べ学習」でのインターネット利用について」をご参照下さい。

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富士通 キッズコンテンツ作成ハンドブック ペルソナマーケティング編

4 - 3. 「調べ学習」でのインターネット利用について

ここでは、「調べ学習」でのインターネット利用について記述します。

なお、ここでの記述は、本書のペルソナ作成の過程での調査に基づくものであり、一般的な事実を保障するものではありません。

「調べ学習」とは

「調べ学習」とは、児童が自分で情報を集め、その情報をまとめたり、発表したりすることを重視する授業の形態です。図書館、博物館、インター

ネットなどを利用するので、学校でのインターネット利用の主要なニーズの 1 つと考えられます。

インターネットを利用した「調べ学習」には、通常の授業での学習の後に、その内容をさらに深めるためにインターネットで調査を行う場合や、工

場見学などの移動教室や旅行の際に、予習や復習としてインターネットで調査を行う場合などがあります。

パソコンルームについて

一般に、インターネットを利用した「調べ学習」は、小学校のパソコンルームで実施されます。

現在、多くの小学校がパソコンルームを保有し、少なくとも児童 2 名に 1 台以上のパソコンが割り当てられています。学校によっては、先生のパソ

コンで児童のパソコンの画面を見ることができたり、先生のパソコンから児童のパソコンに見せたいコンテンツを表示させたりすることができます。

「調べ学習」でのインターネット利用のプロセス

以下に、インターネットを利用した「調べ学習」のプロセスの 1 例を紹介します。

1. 事前準備

教科書、パソコンルーム、その他(社会科見学、野外での観察など)を組み合わせた授業全体を組み立てる。

パソコンルームでの授業で児童に見せたいサイトを選ぶ。 (家庭での作業になる場合が多い)

選定には、以下の基準が考えられる。

・内容が教育上適切で信頼できるサイト

・児童が興味を持ちそうなサイト

・教室での通常の授業では伝えられない内容や表現のサイト (教科書に載っていない項目、音声や動画など)

2. 教室での授業

教室で教科書や資料集を使って通常の授業を行い、学習項目を学ばせる。

3. パソコンルームでの授業

パソコンルームで、児童にインターネットを利用して調べさせる。この際、子ども向け検索サイトが使われる場合が多い。

検索のさせ方には、以下のようなバリエーションがある。

・児童がある範囲内で自由にテーマを決め、自由なキーワードで検索する。

・先生がテーマを決め、児童が自由なキーワードで検索する。

・先生が検索キーワードなどを指導し、先生が見せたいサイトへ児童を誘導する。

4. 教室での授業 (まとめ、発表)

教室へ戻り、児童がインターネットで調べた事をレポートにまとめさせたり、発表させたりする。

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富士通 キッズコンテンツ作成ハンドブック ペルソナマーケティング編

「調べ学習」でのインターネット利用の事例

ここでは、「調べ学習」でのインターネット利用の事例として、先生へのインタビュー調査の際にご教示頂いた内容をご紹介します。

1. 教科や総合学習のテーマに関する「調べ学習」

例 1. 理科 「からだの仕組み」

ステップ1. 教室での授業 ( 6~7 時間)

まず、児童に椅子を上り下りさせ、呼吸があがった状態を体験させる。激しく運動することで、「息があがる」、「どきどきする」など、どん

な身体の変化があるかを考えさせる。

その後、「どうして息が荒くなるか調べてみよう。」と促し、教科書を使って吸う息、吐く息の違いを学習させる。

ステップ 2. パソコンルームでの授業 ( 2~3 時間)

心臓、呼吸、消化器官がどうやって動いているのか、肺の中の細胞がどうなっているのかを、インターネットを利用して調べさせる。

児童に自由に調べさせると、「いいのが見つかった。」など、児童同士でコミュニケーションが進み、 3~4 種類のサイトを皆で集中して

見るようになってくる。また、 10 分くらいするとうまく見つけられない児童が出てくるので、先生が手伝うようにしている。

心臓が動いている様子の動画などを見ることで、さらに理解を高めることができる。最後に、調べてわかったことをまとめさせる。

例 2. 社会 「世界の国々」

授業で世界の国々の特徴を学習するが、教科書ではアメリカや中国など代表的な国しか掲載されていない。

そこで、様々な国の中から興味を持った国を児童に選ばせ、その国や地域の特徴(貿易、気候など)を調べさせる。このような学習の方が学

びに深まりがある。

教科書に載っていない国について調べさせる場合、インターネットが役に立つ。

例 3. 総合学習 「環境」

ステップ1. 教室での授業

児童に、「環境問題についてどれくらい知っているか?」、「酸性雨について知っているか?」などを考えさせ、発表させる。

ステップ 2. 移動教室、社会見学

「環境の科学館」へ行き、実際にどのような環境問題があるのかを見学させる。

ステップ 3. パソコンルームでの授業( 4~5 時間)

それぞれの児童に科学館で見学して関心を持ったテーマを選ばせる。「地球温暖化」「酸性雨」「水質汚濁などの川の汚れ」「珊瑚礁

が壊れること」「ゴミを減らさないと大変」などのテーマがあがる。それぞれ選んだテーマについてインターネットで自由に調べさせる。

児童がうまく検索できない場合は、先生が手伝う。

例えば、「水質汚濁」について調べさせると、児童は「Yahoo!きっず」に「水質汚濁」と入力して検索するが、うまく発見できない。半分く

らいの児童は「あまり出ませんでした。」と言いだす。そこで、先生が「水 汚れ」で検索するようアドバイスしたり、水質に関するページを

開いて、「ここで調べるとあるかもよ。」と教えたりする。

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2. 移動教室、社会科見学の際の「調べ学習」

例 1. 社会科見学 「車工場見学」

社会で自動車産業の学習をしたときに、 S 自動車へ工場見学に行った。その際、 S 自動車、 T 自動車、 N 自動車など自動車メーカーの子ど

も向けサイトを見て予習をした。

例 2. 旅行 「静岡市」

ステップ 1. 旅行前の予習

学校で旅行に行く際、ただの旅行にならないように、自分が行く場所について予習させる。例えば、静岡市へ行く場合、静岡市で体験

できるサッカーや茶摘みなどについて調べさせる。これらは、市のホームページで紹介されている。

それぞれの市や地域などの情報は、図書館ではなかなか得られないので、インターネットが役に立つ。

ステップ 2. 旅行後の復習

旅行から帰った後、下級生に対して、自分が行ったところの紹介をする。(予定:インタビューの時点では、未実施)

現地で体験したことだけを書くのではなく市の歴史なども調べる。例えば、茶摘みを体験した場合は、静岡のお茶について調べる。

復習でいろいろ調べることで、単なる旅行の報告ではなく、勉強にもなる。

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4 - 4. 保護者のペルソナ

ここでは、子ども向けサイトのユーザーとして、保護者のペルソナを設定しています。本書では、子どものインターネット利用には保護者の理解が

必要であるとの見地から、保護者を主要なユーザーと考えています。

ペルソナの記述は、「プロフィール」と「インターネットとパソコンの利用」から構成されます。

1. プロフィール

「プロフィール」は、ペルソナの人物像に関する情報です。名前、年齢、家族構成、性格に加え、生活シーンを記述しています。仮想の人物であ

るペルソナを、現実味のある生き生きとした存在として意識し、サイトの利用の背景にある様々な事情を理解するために必要な情報です。

なお、A1-1、B2-3 などの各文末の記号は、「 5. ペルソナの基礎データ」の表の「ID」欄に対応しています。

注. 本書のペルソナは、全て仮想の人物です。実在の人物、団体などにはいっさい関係ありません。

名前 佐藤 幸子(女)

年齢 38 歳

職業 専業主婦

家族構成 夫、娘 2 人(小学校 3 年生、 5 年生)の 4 人家族

趣味 お菓子作り、映画鑑賞

生活シーン

近所の主婦とはランチを一緒にしたり、お菓子を持ち寄って誰かの家でお茶会を開いたり。同じぐらいの年齢の子ど

もを持つ主婦が多いので、家族ぐるみで付き合う。子どもたちの成績はお互い気になる。

娘の教育に熱心。勉強はあまり強制したくないが、一貫教育の学校に入れたいとは考えており、近所の学習塾に通

わせている。また、小さい頃に芸術的な能力を身に付けさせたいと思い、ピアノのレッスンにも通わせている。 C2-1

できれば早いうちに英語のレッスンにも通わせたいと思っている。 C2-1

子どもの安全には常に気を配っている。 C2-2

塾や習い事に行く時だけ、娘に携帯電話を持たせている。

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2. インターネットとパソコンの利用

ここでは、ペルソナの「インターネットとパソコンの利用」について記述しています。子ども向けサイトの利用の背景、目的、条件に関する情報で

す。

なお、A1-1、B2-3 などの各文末の記号は、「 5. ペルソナの基礎データ」の表の「ID」欄に対応しています。

パソコンの環境やスキル

パソコンの環境 夫の会社の社販で買ったノートパソコン。 C1-1

パソコンのスキル

パソコンは、インターネットとメールを主に利用する。 C1-3

昔、仕事でパソコンを使っていたので、検索などは特に苦ではない。性能にはあまりこだわりがないの

で、購入は夫に任せている。機能のわりに安ければよいと考えている。

主なパソコン利用シーン

個人的な利用

昼間、時間のある時はネットサーフィンを行うこともある。 C1-2

(朝や夜の家事が忙しい時は余裕がない。)

レジャースポットやレストランなど、週末に家族で出かけるところを調べたりする。 C1-4

食事を作る際に、レシピサイトを参照することもある。冷蔵庫にある素材から検索できるので、市

販の書籍より便利。

その他

子どものインターネット利用に関しての思い

パソコンの利用方法や基本的なネチケットは教えたので、基本的には娘を信頼している。 C3-4

しかし、知らないうちに怪しいサイトにたどり着いたり、学校の友達に変なサイトや遊びを教えら

れたりしないか、少々心配でもある。 C3-4

できるだけ安心で安全なサイトを見てもらいたい。

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5. ペルソナの基礎データ

本章では、各ペルソナの記述の裏づけとなる基礎データをまとめています。各ペルソナの記述の文末の記号は、基礎データの表の「 ID」の欄に

対応しています。

なお、ここでの記述は、本書のペルソナ作成の過程での調査に基づくものであり、一般的な事実を保障するものではありません。

5 - 1. 情報ソースについて

基礎データの表の「情報ソース」の欄は、基礎データのもとになった情報ソースに対応しています。情報ソースには、インターネット上に公開され

ている他社の調査結果、書籍、富士通で実施したインタビュー調査の結果などが含まれています。

以下に、情報ソースの一覧を掲載します。なお、情報ソースの詳細については、「 7. 本書のペルソナ作成のための調査」をご覧下さい。

①goo リサーチ 自主・共同調査結果集

「goo リサーチ」が公開している、子どもの生活に関するアンケート調査結果

http://research.goo.ne.jp/service/download.html

該当内容が記載されているボリューム番号を、「情報ソース」欄内に「 vol.」の形で記載しています。

②Benesse 教育研究開発センター 第1回子ども生活実態基本調査報告書

「Benesse 教育研究開発センター」が公開しているアンケート調査結果

http://benesse.jp/berd/data/index.shtml

③文部科学省 新学習指導要領

文部科学省が公開している文書

http://www.mext.go.jp/b_menu/shuppan/sonota/990301.htm

④専門家によるインタビュー

富士通で実施した、保護者 5 名、先生 4 名に対する、専門家によるインタビュー調査

⑤その他のインタビュー

富士通で実施した、子ども向けサイト担当者、保護者、先生など数名に対する簡単なインタビュー調査

⑥子ども向け検索サイトの検索キーワードランキング

「Yahoo!きっず」と「キッズ goo」が発表している、検索キーワードランキング

⑦教科書

小学校 5,6 年生の理科と社会の教科書

学校でのパソコンの活用状況や「調べ学習」のテーマを調査しました。

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5 - 2. 小学生に関する基礎データ

A1. 普段の生活について

ID 基礎データ 情報ソース

A1-1 午後 3 時から 4 時に帰宅する。( 48.0%) ① vol.9

A1-2 友達と下校する。( 65.8%) ① vol.9

A1-3 学校以外の遊び場所は、友達の家、公園や広場、自分の家などである。 ① vol.9, ④

A1-4 1人でいるときにすることは、主に、TV、ゲーム、読書(漫画含む)である。 ① vol.9, ④

A1-5 習い事に通っている。( 75.0%) ① vol.7

A1-6 学習塾以外の習い事には、音楽、水泳、英語、サッカーなどがある。 ④

A1-7 学校の年間行事などのイベントが大好きである。 ⑤

A2. パソコンのスキルや環境について

ID 基礎データ 情報ソース

A2-1 パソコンを利用する。成績が優秀な子ほどパソコンを利用する。 ②

A2-2 パソコンを使うのが楽しく、もっと使いこなせるようになりたい。 ②, ④

A2-3 インターネットを初めて利用した年齢は 3 歳から 5 歳が最も多い。 ① vol.4, ④

A2-4 自分でキーボード入力ができる。 ④

A2-5 保護者とパソコンを共有している。( 83.5%) ① vol.4, ④

A2-6 インターネットを利用する際のルールを決めている。( 59.2%) ① vol.4, ④

A3. 学校でのパソコン利用について

小学生の学校でのパソコン利用に関する基礎データは、「 5 - 3. 先生に関する基礎データ」に掲載しています。

A4. 家庭でのパソコン利用について

ID 基礎データ 情報ソース

A4-1 週に1日以上パソコンを使う。( 42.7%) ②, ④

A4-2 週に1時間以上パソコンを使う。( 52.7%) ① vol.4, ④

A4-3 1人でもパソコンの電源を入れ、インターネットで検索ができる。 ④, ⑤

A4-4 パソコンを使って、ゲーム、調べ物(趣味、遊び、勉強)、お絵かきを行う。 ②, ④

A4-5 学校の宿題を、パソコンを使って調べることもある。 ④

A4-6 子ども向け検索サイトで十分な情報が得られない場合は、一般の検索サイトを使い、一般のペー

ジを見ることもある。

A5. 携帯電話の利用について

ID 基礎データ 情報ソース

A5-1 携帯電話で家族に電話をかける。 ②, ④

A5-2 携帯電話を初めて持ったのは、小学生の頃である。( 26.3%) ① vol.1

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5 - 3. 先生に関する基礎データ

B1. 生活全般とパソコンの利用について

ID 基礎データ 情報ソース

B1-1 家庭には自分専用のパソコンがある。 ④, ⑤

B1-2 業務が多忙で、仕事を家に持ち帰ることが多々ある。 ④, ⑤

B1-3 授業で児童に紹介するサイトを家で事前に確認することがある。 ④, ⑤

B2. 学校でのパソコンの環境について

ID 基礎データ 情報ソース

B2-1 学校にはパソコンルームがあり、だいたい児童 2 人に 1 台はパソコンが用意されている。 ④, ⑤

B2-2 パソコンのトップページは「 Yahoo!きっず」である場合が多い。

※今回のインタビュー調査では、「 Yahoo!きっず」を使っている学校が、目立ちました。

④, ⑤

B2-3 職員室には共有のパソコンが数台あるが、セキュリティの都合上インターネットに繋がっているのは

1 台ほど。

④, ⑤

B3. 授業でのパソコンの利用について

ID 基礎データ 情報ソース

B3-1 週に 1 時間以上は学校でパソコンを利用する授業がある。( 25.3%) ① vol.4, ④

B3-2 通常の授業の中で、動画を見せるためにパソコンを利用することがある。 ④

B3-3 パソコンを使う授業の際、関係ないサイトを見る児童もいるので、注意が必要。児童の画面を確認

したり、児童の画面を操作したりできる機能がある。

④, ⑤

B3-4 プレゼンテーションソフトや表計算ソフトを活用したり、スキャナやプロジェクタを活用したりすること

がある。

④, ⑤

B3-5 時間があれば、児童にインターネットの知識を身に付けさせたい。 ④, ⑤

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B4. 「調べ学習」とインターネット利用について

ID 基礎データ 情報ソース

B4-1 「調べ学習」では、知識を高めると同時に、調べる能力を高めることも目的の1つである。 ⑤

B4-2 授業で子ども向けポータルサイトを利用している。( 66.5%) ① vol.4, ④

B4-3 理科、社会、総合学習においての「調べ学習」で、パソコンを活用する。

それぞれの教科の特色:

理科: 「心臓の動き」の動画など、教科書の文章や写真では表現できない情報を調べる。

社会: 「世界の国々」など、教科書には掲載しきれない情報について調べる。

総合学習: 「環境」「福祉」など、総合学習のテーマについて調べる。

④, ⑤, ⑦

B4-4 教科書に出てくる項目や総合学習のテーマのキーワードで検索し、サイトを閲覧する。

キーワードの例:

理科、社会: 「動物が食べているもの」、「世界の国」、「東京都の伝統工芸」など

総合学習: 「環境」、「バリアフリー」、「福祉」、「国際理解」など

③, ④, ⑤, ⑥, ⑦

B4-5 移動教室、社会科見学の見学先のサイトの内容を「予習」「復習」としてみることがある。 ④, ⑤

B4-6 全ての家庭にインターネットの環境があるとは限らないので、原則として、インターネットの利用を

前提とした宿題は出さない。しかし、中にはインターネットを利用して宿題を行う児童もいる。

④, ⑤

B5. 職務全般について

ID 基礎データ 情報ソース

B5-1 児童とのコミュニケーションを大切にし、普段の生活の把握にも努めている。 ④, ⑤

B5-2 先生のパソコンスキルに差がある。 ④, ⑤

B5-3 先生同士で情報の共有を積極的に行っている場合は少ない。 ④

B5-4 決められた時間数で教育課程を終わらせることが大切である。 ④, ⑤

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5 - 4. 保護者に関する基礎データ

C1. 普段の生活と自身のパソコン利用について

ID 基礎データ 情報ソース

C1-1 家庭に家族共有のパソコンがある。 ④, ⑤

C1-2 インターネットの利用はほぼ毎日であり、利用時間は平均数十分。 ④

C1-3 パソコンでは、メールのチェックやネットサーフィンのみを行っている。 ④

C2. 子どもへの態度について

ID 基礎データ 情報ソース

C2-1 子どもの教育に熱心であり、塾や習い事には積極的に通わせる。 ① vol.7

C2-2 子どもの安全に関して不安を抱いている。( 78.6%) ① vol.8

C2-3 子どもとのコミュニケーション手段としては、直接の会話を増やしたい。( 96.4%) ① vol.9

C2-4 学校、友人関係、テレビや勉強の話題で子どもとコミュニケーションをとる。 ① vol.9

C3. 子どもとのパソコン利用について

ID 基礎データ 情報ソース

C3-1 パソコンを使う際のルールを決めている。( 59.2%) ① vol.4, ④, ⑤

C3-2 子どものインターネット利用はだいたい把握している。 ④, ⑤

C3-3 読めない漢字や難しい言葉、検索方法に関して子どもに聞かれたら教えることがある。 ④, ⑤

C3-4 子どものネチケットの理解やメールのトラブルなどの問題には多少不安があるが、我が子は信頼し

ている。

④, ⑤

C3-5 パソコン、インターネットをうまく活用してほしいと考えている。 ④, ⑤

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6. ペルソナの利用方法

ペルソナは、サイト運営の全工程で利用できます。また、全工程を通し、一貫して利用していくことが理想的です。

本章では、ペルソナの 1 つの利用例として、既存のサイトをレビューする場合を簡単にご紹介します。

より詳しい利用方法は、「 8. 参考文献」などをご参照下さい。また、ペルソナを利用することによる効果は、「 2. ペルソナの概要」をご参照下さい。

6 - 1. 既存のサイトをレビューする場合

ここでは、ペルソナの 1 つの利用例として、既存のサイトをレビューする場合を簡単にご紹介します。

既存のサイトをレビューする場合、ペルソナの視点で、ペルソナの行動を推測しながら、 1 ページずつ確認していく方法が有効です。

これにより、ユーザーの視点でサイトの問題点を発見でき、リニューアルの方針検討に役立てることができます。また、この方法は、制作中のペー

ジのデザイン案をレビューする際にも有効です。

1. 準備

レビューの会議に先立って、ペルソナのドキュメントを準備します。この際、会議中に、参加者

全員がペルソナを意識できるように、ペルソナの写真やプロフィールをまとめたポスターやカ

ードを準備します。富士通では、右のような A4 サイズのカードを作成しました。

2. ペルソナの理解・共有

ペルソナのカードやポスターを、会議卓の上など、皆が見える場所に置きます。出席者でペ

ルソナのドキュメントを読み、ペルソナに関する情報を理解、共有します。

司会者が、ペルソナのドキュメントを音読して、説明するのも有効な方法です。

3. 状況の設定

ペルソナがサイトを使う際の背景を設定します。例えば、以下のような背景を設定します。司

会者が説明し、参加者で共有します。

「今日は、パソコンルームでの『調べ学習』の日です。

皆で、パソコンルームへ移動し、松本先生が、『今日は、二酸化炭素について調べまし

ょう。』と言いました。」

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4.ペルソナ視点でのレビュー

背景を想定した後、司会者が以下のように問いかけ、参加者に発言を促します。

「では、美咲ちゃんなら、まず何をすると思いますか?」

「さて、このページへ到達した時、最初に、美咲ちゃんはどう感じるでしょう?」

参加者で、ペルソナの行動や経験を推測しながら、ページの問題点や優れている点を見つ

け、議論していきます。

簡単な問題点に対しては、この場で、改善案を検討することも有用です。

1 つのページのレビューが終わったら、次のページをレビューします。この際、以下のような問いかけで、次のページへの誘導性を確認する

のも有用です。

「美咲ちゃんは、このリンク気付くでしょうか?」

「美咲ちゃんは、次のページを見たいでしょうか?」

このようなレビューを、対象とする全てのページに対して行い、検討内容を記録します。

必要に応じて、別のペルソナと背景を設定して、同様のレビューを行います。(例えば、松本先生が、授業で見せるサイトを探している場合

など)

5. 問題点と改善案の整理

レビューで発見した問題点や改善案を整理し、リニューアルの方針を検討する際の材料とします。

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7. 本書のペルソナ作成のための調査

本書のペルソナ作成にあたって、主に、「小学生」、「先生」、「保護者」のインターネット利用についての実態調査を行いました。

情報ソースには、インターネット上に公開されている他社の調査結果、書籍、富士通で実施したインタビュー調査の結果などが含まれています。

本章では、情報ソースの概要と富士通で実施したインタビュー調査のサマリーをご紹介します。

7 - 1. 情報ソースの概要

①goo リサーチ 自主・共同調査結果集

「goo リサーチ」が公開している子どもの生活に関するアンケート調査結果

http://research.goo.ne.jp/service/download.html

上記サイトに公開されている中から、以下のレポートを参照しました。括弧内に調査した組織や企業を掲載しています。

vol1. : 「子どもの携帯電話利用状況」に関する調査結果 (goo リサーチ調査)

vol3. : 「学校と家庭とのコミュニケーション手段への意識」に関する調査結果 (goo リサーチ調査)

vol4. : 第 4 回小学生のインターネット利用に関する調査、 「子どもの学力状況」に関する調査結果 (goo リサーチ調査)

vol7. : 子供の習い事に関する調査 (goo リサーチ・読売新聞社共同調査)

vol8. : 子供の安全とIT活用に関する調査、 学校選びについてのアンケート (goo リサーチ・ CNET Japan 共同調査)

vol9. : 小学生の放課後の過ごし方に関する調査、 子どもの時間の使い方に関する調査 (goo リサーチ・ CNET Japan 共同調査)

vol11. : 「少子化と生活の安定感との関係」調査結果 (goo リサーチ調査)

②Benesse 教育研究開発センター 第1回子ども生活実態基本調査報告書

「Benesse 教育研究開発センター」が公開しているアンケート調査結果

http://benesse.jp/berd/center/open/report/kodomoseikatu_data/2005/index.shtml

③文部科学省 新学習指導要領

文部科学省が公開している文書

http://www.mext.go.jp/b_menu/shuppan/sonota/990301.htm

④専門家によるインタビュー

富士通で実施した、保護者 5 名、先生 4 名に対する、専門家によるインタビュー調査

対象者

保護者 5 名 (母親・専業: 2 名、母親・有職: 2 名、父親: 1 名)

・小学校高学年の子どもを持つ方

・子どもと一緒にパソコンを利用することがある方

・子どもは学年、性別、長子・それ以外、学校種別(公立、私立)が偏らないよう留意

先生 4 名

・過去 3 年以内に小学 5、6 年生の担任をしている方

・パソコンやインターネットを利用した授業を実施している方

調査時期

2007 年 6 月~8 月

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⑤その他のインタビュー

富士通で実施した、子ども向けサイト担当者、保護者、先生など数名に対する簡単なインタビュー調査

対象者

保護者 1 名 (小学校高学年の子どもを持つ方)

先生 4 名 (小学校: 2 名、中学校: 2 名)

キッズ@nifty サイト担当者、他

⑥子ども向け検索サイトの検索キーワードランキング

「Yahoo!きっず」と「キッズgoo」が公開している、検索キーワードランキング

「Yahoo!きっず」

「キッズgoo」

http://kids.yahoo.co.jp/new/

http://kids.goo.ne.jp/info/ranking.html

⑦教科書

小学校の教科書

学校でのパソコンの活用状況や「調べ学習」のテーマを調査しました。

対象

学年: 5 年生、 6 年生

教科: 理科、社会

出版社: 東京書籍、教育出版、大日本図書、学校図書

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7 - 2. インタビュー調査のサマリー

ここでは、小学生の生活やインターネット利用についての理解を深めるための参考情報として、富士通で実施した、保護者 5 名、先生 4 名に対す

る、専門家によるインタビュー調査の結果の一部を抜粋し、掲載しています。

1. 小学校高学年の子どもとインターネット

普段のパソコンの使い方

・ 自分専用のパソコンがある子どもは少なく、親のパソコンを使っているケースが主流。

・ 子どものパソコンの利用開始時期は家庭により異なるが、早い子どもは幼稚園くらいからお絵かきなどで使い始めている。遅い子

どもで、小学校で使い始める 3 年生ごろから利用している。

・ 小学校高学年になると、キーボードを見ずに入力することはできなくても、手元を見ながらなら親の手助けがなくても入力ができ

る子どもが多い。

自宅でのインターネットの利用

・ 小学校高学年では、親と一緒のインターネット利用は少ない。ある程度のことなら子どもなりに工夫して自分ひとりで使っているこ

とが多い。

・ 親は、「勝手にインターネットは使わない」「利用するのは親がいるときだけ」「お金のかかることはしない」「時間の制限を守る」な

ど、利用のルールを決めて子どもにパソコンやインターネットを使わせている。

・ 子どもは「Yahoo!きっず」「キッズ goo」などの検索ページを利用していることが多いが、「 Google」「Yahoo!」など子ども向けでは

ないサイトを使っていることも少なくない。子ども向けサイトでは情報が限られており、求めている情報が得られないというのが主な

理由。

・ その他、子どもはインターネットで自分の興味のある漫画やタレント、ブランドのホームページなどを見ている様子。

・ 親と一緒の利用としては、週末出かける時の行き先(アミューズメント施設、映画館、食事など)の営業時間の情報などが挙げら

れた。

・ ブログの公開やチャットへの参加などの発信型の利用は、ごく一部の子どもに限定されている。

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2. 学校でのパソコンとのかかわり方

学校でのパソコンの利用

・ ほとんどの学校が 3~4 年生から授業の中でパソコンの利用を取り入れている。

・ 3~4 年生でパソコン、インターネットの基本的な使い方やルールを学んでいることが多く、 5~6 年生では授業の中でインターネ

ットを活用してより深く物事を調べるといった目的に使われている。

・ 公立小学校の場合、授業でパソコンを使うことはあっても、宿題でインターネットやパソコンの利用を積極的に勧めることはまずな

い。

<学校での様子>

・ 学校にはパソコンルームがあり、児童が授業でパソコンを使うときはその教室に移動して使用する。

・ パソコンの台数は学校により差があるが、大体 2 人に 1 台以上の台数で用意されている。

・ 学校によっては、先生は児童が閲覧している画面を分割表示にして教壇のパソコンで把握できるようにしているところもある。

ネチケットに関する教育と子どもの知識

・ 親はネチケットやパソコン利用の基本的な教育は学校で行われていると想定している。家庭でのネチケット教育は親のインター

ネット理解度に比例し、そもそも自分がよくわかっていないので教えられない、と感じている人もいる。

・ また、子どもの年齢によっては中途半端な教え方をすると、逆に好奇心を刺激して、子どもがこっそりいろいろ試してしまうことを

懸念する親も多く、教える内容については迷いが大きい。

・ インターネットの利用にあたり、子どもが理解していると親が想定しているネチケットやルールを以下に示す。

- 悪口を書かないこと、悪口を信じないこと

- 高額なお金を請求されるサイトもあるので気をつけること

- 個人情報は入力しないこと

・ 学校では「Yahoo!きっず」に掲載されている「 5 つのルール」と同等の内容のものを教育していると推察される。

・ 子どもの周りではインターネットよりもメールのトラブルが多く、チェーンメール防止に関する教育は学校や家で行われている。

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3. 小学校の授業とインターネット

「調べ学習」とは何か

・ 「調べ学習」は、先生が一方的に黒板や教科書を使って児童に教える従来型の授業に対して、児童が自分で興味を持って積極

的に授業に参加することを目的としたインタラクティブな授業の形式の 1 つである。

・ 「調べる」手法はインターネットには限らず、図書館の本や新聞を使って調べるものであっても「調べ学習」となる。

・ どの教科でも「調べ学習」は可能であるものの、実態としては総合学習など 1 つのテーマに長い時間をかけて取り組める教科で

取り入れられていることが多い。

企業サイトの活用度合いについて

・ 児童に見せるサイトを探すときに、先生自身が検索エンジンを使っていることが多く、そのときに企業サイトは検索結果にあがって

くることが少ない。企業や機関を指名して検索すること自体が少ないが、公的な機関の方が民間企業よりも公平性が高いと感じら

れており、使われる頻度が高い。

- 先生が児童に紹介するサイトとしてよく挙げられたのは「水道局のサイト」。

・ 企業サイトの中では、教科書で取り上げられる「自動車産業」に関連して T 自動車、N 自動車などのサイトは授業で利用されてい

る。利用してみれば「わかりやすい」などと、評価は悪くないものの、その後積極的に他の機会にも企業サイトを利用するまでは至

らず、企業サイト活用の幅は広がっていない。

・ その他、企業サイトが閲覧される機会としては社会科見学の「事前学習」「復習」が多い。

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4. インターネットやパソコンを子どもに使わせる授業

パソコンを子どもに使わせる授業について

・ 児童に好きな本などを画像と文章で紹介させるのに、スキャナやプレゼンテーションソフトを利用している。

インターネットを子どもに使わせる授業の特徴

・ 理科、社会、総合学習の授業の中に取り入れられているが、インターネット使用が主目的ではなく、児童が自ら調べる手法の 1

つとして利用されている。

・ 環境問題、全国の伝統工芸品、世界の国々など、教科書では一例しか扱っていないときに、児童が興味を持ったことや、教科書

では補いきれない内容をより深く理解するためにインターネットは利用されやすい。

・ インターネットで調べる際のテーマは、「世界の国」などの大きな題材の中で児童が自分で決めることもあれば、先生が与えること

もある。

インターネットを子どもに使わせる授業について

ステップ 3: インターネットで調べたことをまとめる授業

・インターネットで調べて分かったことをまとめる。まとめた内容を児童に発表させることもある。

- 先生が誘導をする際は、事前に先生自身が子どもに分かりやすく興味を持ってもらえそうなサイトを用意しておき、検索ボックス

に入れるキーワードと、その結果出てくるサイトの中から見て欲しいサイト名を黒板に書き、児童は黒板を見ながら操作する。

ステップ 2: パソコンルームでインターネットを使用する授業

・児童が興味を持った内容を自分で考え、調べる授業。パソコンルームでインターネットを使用して調べる。

・調べ方は、児童が自由に検索する場合と、先生が見せたいサイトに誘導して使わせる場合がある。

- 児童が自由に検索するときに利用頻度が高いのは「 Yahoo!きっず」。

ステップ 1: 教室で教科書を使用しての授業

・先生から児童に教える授業。教科書や資料集を使用して、単元のポイント事項を学ぶ。

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5. インターネットやパソコンを子どもに見せる場面

教科でインターネットやパソコンを子どもに見せる場面について

・ 授業の中でインターネットを先生が児童に見せるのは、「動画を見せて教えた方がわかりやすいとき」がもっともよく挙げられた。

・ 理科で噴火や地震など実験ができない内容を教えるときや、教科書の写真だけでは分かりにくいときに、動画を見せることで児

童にイメージを湧かせることを期待し、インターネットを利用している。また、ビデオよりも見せたい場面をピンポイントで見せること

ができる点がインターネットで動画を見せる利点として挙がっている。

・ パソコンソフトでは、算数の円グラフや棒グラフを分かりやすく説明するのに表計算ソフトを利用している例が挙げられた。

移動教室や社会科見学の際にインターネットやパソコンを子どもに見せる場面について

・ 社会科見学、修学旅行などのイベント時には訪問先サイトを子どもたちに見せている。

・ S 自動車の工場に社会科見学に行くとき、 S 自動車のサイトと一緒に T 自動車、N 自動車のサイトを見せるなど、訪問先企業と

同業種の企業サイトも一緒に閲覧されることがある。

・ 訪問先企業に子ども向けサイトがある場合には、子どもたちに見せており、分かりやすくて良いと評価をしているものの、企業の

キッズサイトの利用目的は「訪問先の情報を見る」ことが主目的である。

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富士通 キッズコンテンツ作成ハンドブック ペルソナマーケティング編

6. ペルソナの仮説に対するご意見

インタビュー調査の段階で仮説的に作成していた小学生のペルソナを提示し、ご意見を頂いた。その結果、以下のような知見を得られた。本書

のペルソナは、これらの結果を反映したものである。

小学校高学年の子どもについて

・ 週末の過ごし方について、高学年になると家族ぐるみで遊んだりすることは減る様子。子ども同士は仲良くしていても家族まで含

めては一緒に行動しない、との意見が多い。家族で出かけること自体はあるという意見が多数。

・ 調べる宿題が出たときは、パソコンで調べたほうが楽しいが、全ての家庭にインターネットの環境があるとは限らないので、インタ

ーネットで調べることを前提とした宿題は出ない。

・ 親がチェックしておいたサイトを子どもが後で見ることはほとんどない。親が子どものインターネット利用を手伝うシチュエーション

としては、検索がうまくできないときに、検索キーワードの書き方を教えることが多い。

・ 21 時台に眠る子どもは稀で、塾に行っている子どもは 23 時ごろまで起きている子どもも多い。

今回のインタビューでは、小学校高学年の男の子と女の子の生活シーンに異なる部分が見られた。

女の子

・ 習い事はピアノやバレエ。複数の習い事をしている子が多い。

・ 漫画や小説を好きな子は、仲間で集まって漫画を描いたり、小説を書いたりするなどの創作活動を始めている。

・ ファッションやブランドに対する興味が強くなってきて、持ち物などにこだわるようになる。

・ 週末は家族で外食したり、出かけたりすることもある。

男の子

・ 習い事は水泳、サッカー、野球など。週に練習が複数回あることが多い。

・ 週末も試合などがあることが多く、家族で出かけることは減ってくる。

・ 携帯ゲーム機などのゲームで遊ぶことを好む子どもが多い。友達と遊ぶときも、室内の場合はゲームをすることが多い。

・ 男の子と女の子では精神年齢が 1 歳以上開いている場合があり、男の子の中には 3 年生と意識や行動があまり変わらないように

見える子もいる。

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富士通 キッズコンテンツ作成ハンドブック ペルソナマーケティング編

8. 参考文献

「7. 本書のペルソナ作成のための調査」で紹介した資料以外にも、下記の資料を参考にしました。

・ John S. Pruitt 「ペルソナ戦略 - マーケティング、製品開発、デザインを顧客志向にする -」 (ダイヤモンド社 2007年)

・ 「日経情報ストラテジー 10 月号」 (日経 BP 社 2007年)

9. 本書に関するお問い合わせ

お問い合わせ先

富士通株式会社 キッズハンドブック事務局

[email protected]

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富士通 キッズコンテンツ作成ハンドブック ペルソナマーケティング編

2007 年 12 月 5 日版

企画・制作・発行 : 富士通株式会社

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