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令和元年度内閣府委託事業 地方自治体における少子化対策の取組状況に関する調査 報告書 令和2年3月 三菱 UFJ リサーチ&コンサルティング株式会社

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令和元年度内閣府委託事業

地方自治体における少子化対策の取組状況に関する調査

報告書

令和2年3月

三菱 UFJ リサーチ&コンサルティング株式会社

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■目次■

地域少子化対策強化事業の概要 ........................................................ 1

第1章 本調査研究の概要 ............................................................. 5

調査研究の目的 .................................................................. 5

調査研究の実施概要 ............................................................. 5

1. 自治体における少子化対策の取組状況の把握(自治体アンケート調査) ........... 5

2. 事例調査 ................................................................... 7

3. 平成 30 年度に実施された交付金事業の効果検証 ................................ 8

4. 企画・分析委員会の開催 ..................................................... 8

第2章 自治体における少子化対策の取組状況の把握(自治体アンケート調査) ............. 9

少子化対策全般について .......................................................... 9

1. 合計特殊出生率に関する目標の設定状況 ....................................... 9

2. 結婚・出生の変化に影響を与える社会環境 .................................... 11

3. 少子化対策の実施状況 ...................................................... 15

「結婚・妊娠・出産・育児の切れ目のない支援」への対応について .................. 23

1. 結婚・妊娠・出産・育児に関する支援事業への切れ目がある場合の対応状況 ......... 23

2. 結婚・妊娠・出産・育児の切れ目のない支援を実施する上での課題 ................. 24

「結婚に対する取組」について ................................................. 25

1. 施策の実施状況 ............................................................ 25

2. 施策の利用状況 ............................................................ 29

3. イベント等の開催状況 ...................................................... 31

4. 施策を実施した理由と課題、実施しない理由 .................................. 33

結婚支援センターの設置・運営について .......................................... 39

1. 設置状況 .................................................................. 39

2. 結婚支援センターの利用状況 ................................................ 41

3. 結婚支援センターの運営状況 ................................................ 44

新婚世帯への給付・助成等の実施状況 ............................................. 46

1. 施策の実施状況 ............................................................ 46

2. 自治体独自の給付・助成について ............................................ 53

3. 新婚世帯に対する給付・助成等を実施しなかった理由 ........................... 55

「結婚、妊娠・出産、乳児期を中心とする子育てに温かい社会づくり・機運の醸成の取

組」の実施状況 ................................................................... 57

1. 施策の実施状況 ............................................................ 57

2. イベント等の開催状況 ...................................................... 60

3. 施策の課題、実施しない理由 ................................................ 62

地域少子化対策重点推進交付金事業について ..................................... 64

1. 地域少子化対策重点推進交付金の効果等 ...................................... 64

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2. 地域少子化対策重点推進交付金活用後の状況について .......................... 66

総合的な少子化社会対策に関する取組 .......................................... 68

1. 関連計画の策定状況 ........................................................ 68

2. 総合的な少子化対策の取組状況 .............................................. 69

第3章 事例調査 .................................................................... 70

調査対象の選定 ................................................................. 70

1. モデル自治体の選定方法 .................................................... 70

2. 出生をめぐる状況 .......................................................... 73

3. 社会環境指標からみたモデル自治体の特徴 .................................... 77

事例調査結果 .................................................................. 89

1. 福井県、福井市 ............................................................ 89

2. 香川県、高松市 ........................................................... 110

3. 東京都、千代田区 ......................................................... 129

4. 奈良県、三郷町 ........................................................... 148

第4章 地域少子化対策重点推進交付金の定量的な効果検証 ............................. 167

地域少子化対策重点推進交付金事業の定量的な成果指標(KPI)の算出方法 ........... 167

1. 結婚支援のための体制整備・人材育成に関する取組 ........................... 168

2. ライフデザイン教育に関する取組 ........................................... 168

3. 子育てに温かい社会づくり・機運の醸成に関する取組 ......................... 168

地域少子化対策重点推進交付金の定量的な成果指標(KPI)の達成状況 .............. 169

1. 結婚支援のための体制整備・人材育成 ....................................... 169

2. ライフデザイン教育 ....................................................... 169

3. 子育てに温かい社会づくり・機運の醸成 ..................................... 169

達成状況の推移 .............................................................. 170

1. 結婚支援のための体制整備・人材育成 ....................................... 170

2. ライフデザイン教育 ....................................................... 170

3. 子育てに温かい社会づくり・機運の醸成 ..................................... 171

目標を達成した自治体の割合 ................................................... 172

第5章 総括 ....................................................................... 173

アンケート調査から得られた主な示唆 ............................................ 173

事例調査から得られた主な示唆 ................................................. 181

本調査結果のまとめ .......................................................... 185

1. 自治体における少子化対策の効果とは ....................................... 185

2. 結婚支援 ................................................................. 186

3. 子育て家庭支援 ........................................................... 189

4. 最後に ................................................................... 190

(参考資料編)

Ⅰ.自治体アンケート調査票

Ⅱ.アンケート結果(単純集計)

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地域少子化対策強化事業の概要

平成 25 年度に創設された地域少子化対策強化事業(事業執行の初年度は平成 26 年度)は、以下の経過

をたどり、現在の形になっている。

平成 25 年度~ 平成 25 年度補正予算で創設

【地域少子化対策強化交付金事業の採択・執行】

(平成 25 年度補正予算 30.1 億円、平成 26 年度補正予算 30.1 億円)

【目的】 結婚・妊娠・出産・育児の「切れ目ない支援」を行うことを目的に、地域の実情に応じた先駆的な

取組を行う自治体を支援

【対象分野】 ①結婚・妊娠・出産・育児の切れ目のない支援を行うための仕組みの構築

②結婚に向けた情報提供等

③妊娠・出産に関する情報提供

④結婚・妊娠・出産・育児をしやすい地域づくりに向けた環境整備

⑤少子化対策への前向きな機運の醸成(平成 26 年度補正事業で追加)

【審査・採択方式】 内閣府による審査

【効果の測定方法】 定性的な目標の設定(平成 25 年度補正予算)

定量的な目標の設定(平成 26 年度補正予算)

【補助率】10/10

平成 26 年度~

【内閣府行政事業レビュー公開プロセス】

【指摘事項】 ◆ 各地方公共団体の既存事業の PDCA サイクルを把握すべき

◆ 国においても 100%補助という点も考慮した上で定量的成果目標を設定すべき

◆ 地方創生と連携すべき

平成 27 年6月 22 日

【平成 27 年 秋の年次公開検証(「秋のレビュー」)】 【指摘事項】

◆ これまでの事業について、本当に効果があったかどうか検証すべき

◆ 政策体系の中での位置付けを明確化、地方公共団体の立場に立った見直しが必要

◆ 地方創生の深化のための新型交付金との関係を整理すべき

◆ 当初予算としては、補助率 10/10 の見直しが必要

平成 27 年 11 月 12 日

見直しの内容

○ 対象分野を2分野(①結婚に対する取組、②結婚、妊娠・出産、乳児期を中心とする子育てに

温かい社会づくり・機運の醸成の取組)に集約し、支援事業を重点化

○ 外部有識者による審査を導入

○ KPI の設定により、これまで以上に効果が見込まれる事業を採択

○ 当初予算事業について補助率の見直し(1/2)

○ 本交付金の対象分野に集約された取組は地方創生推進交付金の対象とならないが、自治体に混

乱が生じないよう、統一的マニュアルを作成し、申請・相談窓口を共同化

2度の行政事業レビューを踏まえ、以下の見直しを行った。

地域少子化対策強化交付金

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※事業の見直しに伴い名称も変更

地域少子化対策重点推進交付金

【地域少子化対策重点推進交付金事業の採択・執行】

(平成 27 年度補正予算 25.0 億円、平成 28 年度当初予算 5.0 億円)

【目的】 ○ 地域の実情に応じ、結婚に対する取組など少子化対策の先駆的な取組を行う自治体を支援(平成 27 年度補正予算)

○ これまでの自治体の取組から発掘された優良事例の横展開を支援(平成 28 年度当初予算)

【対象分野】 ①結婚に対する取組

②結婚、妊娠・出産、乳児期を中心とする子育てに温かい社会づくり・機運の醸成の取組

【審査・採択方式】 次のような観点で外部有識者による審査を実施

●地域の実情・課題に対して高い効果が見込まれるか(費用対効果を含む)

●市町村(都道府県)、民間との連携・役割分担は明確かつ適切か

●地域の実情に即した工夫が取り入れられているか

●KPI が適切に設定されているか(事業効果の定量的な検証が可能か)等

【効果の測定方法】 自治体は KPI の設定や定量的な効果検証を実施

内閣府としても全体の定量的な効果検証を実施

【補助率】10/10(平成 27 年度補正予算)、1/2(平成 28 年度当初予算)

平成 28 年度

【内閣府行政事業レビュー公開プロセス】

【指摘事項】 ◆ 国自身が定量的な目標を設定する必要がある。

◆ 継続的な効果発揮のためには、地域の体制整備や人材育成にも目を向ける必要がある。

平成 28 年6月 20 日

行政事業レビューを踏まえ、以下の見直しを行った。

見直しの内容

○ 国の新たな定量的成果指標(KPI)を定める。

平成 29 年度 【地域少子化対策重点推進交付金事業の採択・執行】

(平成 28 年度補正予算 40.0 億円、平成 29 年度当初予算 5.7 億円)

【目的】 ○ 「ニッポン一億総活躍プラン」に掲げられた結婚支援に係る新たな取組等を重点的に支援(平成 28 年度補正予算)

○ これまでの自治体の取組から発掘された優良事例の横展開を支援(平成 29 年度当初予算)

【対象分野】 <平成 28 年度補正予算>

①「ニッポン一億総活躍プラン」に掲げられた結婚支援に係る新たな取組(総合的な結婚支援、地方自治体と連携し

た企業・団体・学校等の自主的な取組に対する支援、その他緊急的に実施すべき先進的取組)(補助率 10/10)

②「ニッポン一億総活躍プラン」を推進するための地域の体制整備や人材育成に係る先進的な取組(補助率3/4)

<平成 29 年度当初予算>

①結婚に対する取組

②結婚、妊娠・出産、乳児期を中心とする子育てに温かい社会づくり・機運の醸成の取組

※その他結婚新生活支援事業あり

【審査・採択方式】

平成 28 年度以降に取り入れられている外部有識者による審査

【効果の測定方法】 自治体は KPI の設定や定量的な効果検証を実施

内閣府としても全体の定量的な効果検証を実施

【補助率】10/10・3/4(平成 28 年度補正予算)、1/2優良事例の横展開支援・2/3結婚新生活支援(平成 29 年度当初予算)

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平成 30 年度

【地域少子化対策重点推進交付金事業の採択・執行】

(平成 29 年度補正予算 20.0 億円、平成 30 年度当初予算 10.0 億円)

【目的】 ○ 「子育て安心プラン」の推進に資する取組を重点的に支援(平成 29 年度補正予算)

○ これまでの自治体の取組から発掘された優良事例の横展開を支援(平成 30 年度当初予算)

【対象分野】 <平成 29 年度補正予算>

①「子育て安心プラン」の推進に資する取組(総合的な結婚・子育て支援、地方自治体と連携した企業・団体・学

校等の自主的な取組に対する支援、企業・団体・学校等の創育工夫を活かした地域ぐるみの取組支援)(補助率

2/3)

②結婚、妊娠・出産、乳児期を中心とする子育てに温かい社会づくり・機運の醸成の取組(補助率1/2)

<平成 30 年度当初予算>

①結婚に対する取組

②結婚、妊娠・出産、乳児期を中心とする子育てに温かい社会づくり・機運の醸成の取組

※その他結婚新生活支援事業あり

【審査・採択方式】

平成 28 年度以降に取り入れられている外部有識者による審査

【効果の測定方法】 自治体は KPI の設定や定量的な効果検証を実施

内閣府としても全体の定量的な効果検証を実施

【補助率】2/3・1/2(平成 29 年度補正予算)、1/2優良事例の横展開支援・1/2結婚新生活支援(平成 30 年度当初予算)

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図 国における定量的な成果指標

平成 28 年 6 月の行政評価レビューを受けて定めた定量的成果指標が以下である。

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第1章 本調査研究の概要

調査研究の目的

本調査研究では、自治体における少子化対策の取組の広がり(地域少子化対策重点推進交付

金(以下「交付金」という。)の活用の有無を問わない。)を把握する。

また、「ニッポン一億総活躍プラン」(平成 28 年6月2日閣議決定)の見直しを見据え、交付

金創設時(平成 25 年度補正予算事業)から平成 30 年度に実施された事業を視野に入れ、平成

27 年度から平成 30 年度まで毎年度行ってきた交付金の効果検証に関する調査結果を総合した分

析を行う。

なお、交付金の効果検証は、平成 28 年6月 20 日に行われた内閣府行政事業レビュー公開プ

ロセスの取りまとめコメントを受けて設定した国の定量的成果指標の進捗を確認するものであ

る。

調査研究の実施概要

有識者により構成された企画・分析委員会の検討・助言のもと、次の1~3の内容・方法に

より交付金の効果検証を実施した。

1.自治体における少子化対策の取組状況の把握(自治体アンケート調査)

(1)調査目的 全国の都道府県及び市区町村が行っている少子化対策の取組状況について、労働環境や子育

て支援に関する取組に加え、交付金の対象である「結婚に対する取組」、「結婚、妊娠・出産、

乳児期を中心とする子育てに温かい社会づくり・機運の醸成の取組」、「結婚新生活支援事業」

について把握することを目的として、自治体アンケート調査を実施した。

(2)調査対象 全都道府県、全市区町村(47 都道府県、1,741 市区町村)

(3)調査実施方法 都道府県を対象としたアンケートは、47 都道府県の少子化対策担当部署に依頼した。市区町

村へのアンケートは、47 都道府県の少子化対策担当部署を経由して依頼した。アンケートの回

収は、電子メールにより行った。

(4)調査実施時期 令和元年 11 月 15 日(金)~同年 12 月 24 日(火)

(5)回収状況 有効回収数:1042 件(42 都道府県、1,000 市区町村)

有効回収率:58.3%

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(6)調査項目

主な設問内容 問番号

0. 貴自治体について ○基本情報 問 1

1. 少子化対策全般について ○合計特殊出生率に関する目標の設定状況

○結婚・出生の変化に影響を与える社会環境

○少子化対策の実施状況

問 2~

問 6

2.「結婚・妊娠・出産・育児の切

れ目のない支援」への対応につい

○結婚・妊娠・出産・育児に関する支援事業

への切れ目がある場合の対応状況

○結婚・妊娠・出産・育児の切れ目のない支

援を実施する上での課題

問 7~

問 8

3.「結婚に対する取組」について ○取組の実施状況

○施策の利用状況

○イベント等の開催状況

○施策を実施した理由と課題、実施しない理

問 9~

問 10、

問 16~

問 22

4. 結婚支援センターの設置・運

営について

○設置状況

○結婚支援センターの利用状況

○結婚支援センターの運営状況

問 11~

問 15

5. 新婚世帯への給付・助成等の

実施状況

○施策の実施状況

○自治体独自の給付・助成について

○施策を実施しない理由

問 23~

問 30

6.「結婚、妊娠・出産、乳児期を

中心とする子育てに温かい社会づ

くり・機運の醸成の取組」につい

○施策の実施状況

○施策の課題、実施しない理由

問 31~

問 35

7. 地域少子化対策重点推進交付

金事業について

○交付金の効果等について

○交付金活用後の状況について

問 36~

問 39

8. 総合的な少子化社会対策に関

する取組について

○計画の策定状況

○取組の実施状況

問 40~

問 42

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2.事例調査

(1)調査目的 近年、出生の状況について改善傾向がみられる市区町村を対象として、子育て支援、結婚に

対する支援等の少子化対策の取組状況を把握し、出生率の改善に影響を与えていると考えられ

る要因や社会環境の変化等について分析を行うため、事例調査(訪問ヒアリング)を実施し

た。

(2)調査対象・調査実施日 調査対象は、以下の1都3県、及び4市区町である。

No. 都道府県 市区町村 調査実施日

1 福井県 福井市 令和元年 11 月 26 日

2 香川県 高松市 令和元年 11 月 18 日

3 東京都 千代田区 令和2年1月8日

4 奈良県 三郷町 令和元年 11 月 12 日

(3)調査項目 主なヒアリング項目は、以下のとおりである。なお、ヒアリングはそれぞれの地域において、

都県及び市区町の担当者が一堂に会して実施した。

主なヒアリング項目

基本情報 ○近年の人口動向

○合計特殊出生率、出生数、未婚率の推移 /等

少子化対策全

般について

○少子化対策に関わる計画・方針

○これまでに実施した少子化対策の概要

○結婚・出生の変化に影響を与える社会環境

○20~30 代の結婚や子育てをめぐる近年の状況

○これまでに実施した少子化対策の成果

○少子化対策を実施する上での課題 /等

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3.平成 30 年度に実施された交付金事業の効果検証

平成 30 年度に実施された交付金事業(以下の(1)~(3))について、当該事業の定量的な

成果指標(KPI)で定めた数値目標の達成状況を把握した。

(1)平成 29 年度補正予算

https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/meeting/koufukin/h29/pdf/hosei/hosei_ichiran.pdf

(2)平成 30 年度当初予算 https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/meeting/koufukin/h30/pdf/tousho/koufu_ichiran.pdf

(3)平成 30 年度当初予算(結婚新生活支援事業) https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/meeting/hojokin/h30/pdf/kettei_ichiran.pdf

4.企画・分析委員会の開催

本調査研究の実施に当たり、有識者による企画・分析委員会を開催し、調査研究の方針や本

報告書内容の検討を行った。

(1)委員構成 企画・分析委員会は、次の4名の企画・分析委員で構成した(敬称略、委員は五十音順、

◎は委員長)。

氏名 現職

◎ 南島 和久 新潟大学法学部 教授

板本 洋子 NPO 法人 全国地域結婚支援センター(P-Co ネット)代表

岩澤 美帆 国立社会保障・人口問題研究所人口動向研究部長

坂本 純子 NPO 法人 新座子育てネットワーク 代表理事

(2)開催日程、テーマ

回数 開催日 議題

第1回 令和元年

9月9日(月)

○事業実施概要の検討

○事例調査の検討

○自治体アンケート調査設計(案)について

第2回 令和元年

10月25日(金)

○自治体アンケート調査の調査票(案)の検討

○事例調査のヒアリング項目(案)及び当日の流れにつ

いて

第3回 令和2年

2月12日(水)

○アンケート調査結果の報告

○事例調査結果の報告

○報告書(案)の検討

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第2章 自治体における少子化対策の取組状況の把握(自治体アンケート

調査)

少子化対策全般について

1.合計特殊出生率に関する目標の設定状況

(1)合計特殊出生率の目標設定値の有無

合計特殊出生率に関する目標について、「自治体独自の目標設定値あり」と回答した割合は、都

道府県では 61.9%、市区町村では 60.2%で、いずれも約6割となっている。

図表 1 合計特殊出生率の目標設定値の有無:単数回答(Q2)

注:なお、構成比(%)は、小数点第2位を四捨五入しているため、内訳の合計が 100%とならない場合がある。

以下同様。

(2)合計特殊出生率の目標年

合計特殊出生率に関する目標を設定している自治体について、目標年をみると、都道府県では、

「令和元年~4 年」が 61.5%でもっとも回答割合が高く、次いで「令和 5 年~9 年」が 19.2%、

「令和 10 年~14 年」が 11.5%となっている。市区町村では、「令和元年~4 年」が 63.3%でも

っとも回答割合が高く、次いで「令和 20 年以降」が 12.8%、「令和 5 年~9 年」が 8.6%となっ

ている。

図表 2 合計特殊出生率の目標年:数値回答(Q2sq1-1)

61.9%

60.2%

38.1%

39.5%

0.0%

0.3%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

都道府県(n=42)

市区町村(n=1000)

自治体独自の合計特殊出生率の目標設定値あり 自治体独自の合計特殊出生率の目標設定値なし

無回答

0.0%

3.2%

61.5%

63.3%

19.2%

8.6%

11.5%

8.5%

0.0%

1.3%

7.7%

12.8%

0.0%

1.7%

0.0%

0.7%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

都道府県(n=26)

市区町村(n=602)

平成30年まで 令和元年~4年 令和5年~9年 令和10年~14年 令和15年~19年

令和20年以降 その他 無回答

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(3)合計特殊出生率の目標値

合計特殊出生率に関する目標を設定している自治体について、目標値の水準をみると、都道府

県では、「1.8 以上 2.0 未満」が 34.6%でもっとも回答割合が高く、次いで「1.6 以上 1.8 未満」

が 30.8%となっている。市区町村では、「1.6 以上 1.8 未満」が 28.6%でもっとも回答割合が高

く、次いで「1.4 以上 1.6 未満」が 21.6%となっている。

図表 3 合計特殊出生率の目標値:数値回答(Q2sq1-2)

(4)少子化対策に関するその他の目標・指標の設定年

自治体独自の合計特殊出生率の目標を設定していない自治体に対して、少子化対策に関するそ

の他の目標・指標の設定年を確認した。 少子化対策に関するその他の目標・指標の設定年をみると、都道府県では、「令和元年~4 年」

が 43.8%、「令和 5 年~9 年」が 12.5%となっている。市区町村では、「令和元年~4 年」が 25.1%、

「令和 5 年~9 年」が 4.8%となっている。

図表 4 少子化対策に関するその他の目標・指標の目標年:数値回答(Q2sq2-1)

0.0%

1.2%

0.0%

5.6%

23.1%

21.6%

30.8%

28.6%

34.6%

18.9%

3.8%

20.8%

7.7%

3.2%

0.0%

0.2%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

都道府県(n=26)

市区町村(n=602)

1.2未満 1.2以上1.4未満 1.4以上1.6未満 1.6以上1.8未満 1.8以上2.0未満

2.0以上 その他 無回答

0.0%

0.3%

43.8%

25.1%

12.5%

4.8%

0.0%

1.0%

0.0%

0.0%

0.0%

3.0%

0.0%

1.5%

43.8%

64.3%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

都道府県(n=16)

市区町村(n=395)

平成30年まで 令和元年~4年 令和5年~9年 令和10年~14年 令和15年~19年

令和20年以降 その他 無回答

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2.結婚・出生の変化に影響を与える社会環境

(1)婚姻・出生の変化に影響を与えると想定されている社会環境(良い影響)

都道府県では、「若い世代の結婚や出産に対する意欲の向上」が 95.2%でもっとも回答割合が

高く、次いで「保育サービス・施設の充足」「企業における両立支援・柔軟な働き方の整備」がとも

に 92.9%となっている。市区町村では、「保育サービス・施設の充足」が 71.0%でもっとも回答割

合が高く、次いで「子育てに伴う費用や教育費の減少」が 67.2%となっている。

図表 5 婚姻・出生の変化に影響を与えると想定されている社会環境(良い影響):複数回答(Q3)

95.2%

92.9%

92.9%

90.5%

85.7%

73.8%

57.1%

52.4%

40.5%

9.5%

0.0%

0.0%

56.0%

71.0%

41.5%

67.2%

50.9%

59.2%

37.3%

21.7%

19.2%

2.8%

1.7%

6.5%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

若い世代の結婚や出産に対する意欲の向上

保育サービス・施設の充足

企業における両立支援・柔軟な働き方の整備

子育てに伴う費用や教育費の減少

雇用環境の改善

若年層の流入

地域経済の進展

結婚に伴う経済的負担が小さくなったこと

住宅費の低下

その他

特にない

無回答

都道府県(n=42)

市区町村(n=1000)

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(2)婚姻・出生の変化に影響を与えると想定されている社会環境(悪い影響)

都道府県では、「若い世代の結婚や出産に対する意欲の低下」が 97.6%でもっとも回答割合が

高く、次いで「保育サービス・施設の不足」が 95.2%となっている。市区町村では、「若年層の流

出・過疎化」が 71.5%でもっとも回答割合が高く、次いで「若い世代の結婚や出産に対する意欲

の低下」が 56.7%、「子育てに伴う費用や教育費の増大」が 51.0%となっている。

図表 6 婚姻・出生の変化に影響を与えると想定されている社会環境(悪い影響):複数回答(Q3)

97.6%

95.2%

92.9%

88.1%

83.3%

81.0%

59.5%

54.8%

40.5%

11.9%

0.0%

0.0%

56.7%

46.7%

51.0%

39.5%

71.5%

46.1%

42.1%

21.4%

17.6%

2.1%

1.7%

11.2%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

若い世代の結婚や出産に対する意欲の低下

保育サービス・施設の不足

子育てに伴う費用や教育費の増大

企業における両立支援・柔軟な働き方の整備不足

若年層の流出・過疎化

雇用環境の悪化

地域経済の停滞

結婚に伴う経済的負担が大きくなったこと

住宅費の高騰

その他

特にない

無回答

都道府県(n=42)

市区町村(n=1000)

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(3)少子化対策で想定される効果と既に現れている効果

①都道府県 「想定される効果」では、「出生数の増加」が 95.2%でもっとも回答割合が高く、次いで「婚姻

数の増加」が 90.5%となっているが、「既に現れている効果」では、「他自治体からの転入者の増

加」「他自治体への転出者の減少」はともに 2.4%、「出生数の増加」「婚姻数の増加」はともに 0.0%と、効果を実感している都道府県は非常に少ない。

図表 7 少子化対策で想定される効果と既に現れている効果(都道府県):複数回答(Q4)

注:「既に現れている効果」において、調査票には「特にない」の選択肢を設けているが、「無回答」が 83.3%と

高い回答割合となった。無回答ではあるが、特に効果を実感していない団体が多いと考えられる。 【「既に現れている効果」に関するその他の具体的な回答】

・合計特殊出生率の上昇 注:類似の回答内容があった場合は、いずれか1つを代表的な意見として掲載している。以下同様。

95.2%

90.5%

54.8%

47.6%

4.8%

0.0%

2.4%

0.0%

0.0%

2.4%

2.4%

4.8%

7.1%

83.3%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

出生数の増加

婚姻数の増加

他自治体からの転入者の増加

他自治体への転出者の減少

その他

特にない

無回答

想定される効果(n=42)

既に現れている効果(n=42)

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②市区町村 「想定される効果」では、「出生数の増加」が 66.1%でもっとも回答割合が高く、次いで「他自

治体からの転入者の増加」が 58.4%となっている。一方「既に現れている効果」では、「出生数

の増加」は 3.2%、「他自治体からの転入者の増加」は 13.7%にとどまっている。

図表 8 少子化対策で想定される効果と既に現れている効果(市区町村):複数回答(Q4)

注:「既に現れている効果」において、調査票には「特にない」の選択肢を設けているが、「無回答」が 62.7%と

高い回答割合となった。無回答ではあるが、特に効果を実感していない団体が多いと考えられる。

【「既に現れている効果」に関するその他の具体的な回答】 ・子育て世代の多様な働き方の推進と仕事と子育ての両立支援。 ・子育て世代の満足度の向上。 ・子育て環境満足度の向上。 ・子育てのしやすさ(子育てしやすいまちだと感じる人の割合の増加)。 ・子育てに係る経済的負担軽減、子育てに対する不安解消。 ・結婚適齢期世代及びその親の結婚に対する意識の醸成。 ・第2子以降の世帯が増加した。 ・就学前教育・保育施設に入園する児童数の増加(2歳児、満3歳児児童の入園者数の増加)。 ・不妊治療に対する経済的負担の軽減。 ・定住・移住者の増加。 ・合計特殊出生率の上昇。

66.1%

58.4%

49.0%

46.9%

2.0%

8.4%

8.8%

3.2%

13.7%

1.1%

4.8%

1.2%

18.7%

62.7%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

出生数の増加

他自治体からの転入者の増加

婚姻数の増加

他自治体への転出者の減少

その他

特にない

無回答

想定される効果(n=1000)

既に現れている効果(n=1000)

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3.少子化対策の実施状況

(1)国・都道府県基準への上乗せ事業または自治体の独自事業として行った少子化対策

平成 30 年度に取り組んでいた少子化対策のうち、国基準(市区町村の場合は国・都道府県基

準)への「上乗せ事業」または各自治体の「独自事業」として実施した事業を「a 保育・幼児教

育」「b 地域子育て支援」「c 家庭での子育て支援」「d 経済的支援」「e 妊娠・出産支援」「f 就労・

働き方に関する支援」「g 住環境の整備」の7分野ごとに把握した。 なお、以下①~⑦のグラフにおける「無回答」は、各分野においていずれの取組も「上乗せ事

業」あるいは「独自事業」として実施していない自治体の割合である。 ①a 保育・幼児教育

都道府県では、「保育料の軽減措置」が 61.9%でもっとも回答割合が高く、次いで「保育所概

要のホームページ等による情報提供」が 42.9%、「保育所定員等のホームページ等による情報提

供」が 40.5%となっている。市区町村では、「保育料の軽減措置」が 82.1%でもっとも回答割合

が高く、次いで「保育所概要のホームページ等による情報提供」が 62.1%、「保育所定員等のホ

ームページ等による情報提供」が 52.9%となっている。

図表 9 保育・幼児教育:複数回答(Q6(1)a)

61.9%

42.9%

40.5%

35.7%

33.3%

26.2%

26.2%

21.4%

19.0%

7.1%

7.1%

7.1%

4.8%

2.4%

2.4%

16.7%

7.1%

82.1%

62.1%

52.9%

49.9%

29.5%

33.0%

33.2%

33.9%

16.7%

23.1%

19.7%

9.7%

10.0%

36.7%

2.0%

5.7%

5.4%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

保育料の軽減措置

保育所概要のホームページ等による情報提供

保育所定員等のホームページ等による情報提供

障害児保育

認可保育所への職員加配

病児・病後児保育

幼稚園の入園料・授業料の軽減措置

保育事業者への助成

認可外保育施設への保育料の助成

保育所の増設または定員増

休日保育

幼稚園の職員加配

幼稚園の預かり保育を推進するための助成

延長保育

夜間保育

その他

無回答

都道府県(n=42)

市区町村(n=1000)

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②b 地域子育て支援 都道府県では、「放課後児童健全育成事業」が 35.7%でもっとも回答割合が高く、次いで「地

域子育て支援拠点事業または類似事業」「ファミリー・サポート・センターまたは類似事業」「そ

の他」がともに 16.7%、「親族・近隣の子育て助け合いの意識啓発」が 11.9%となっている。市区

町村では、「放課後児童健全育成事業」が 49.4%でもっとも回答割合が高く、次いで「地域子育

て支援拠点事業または類似事業」が 45.9%、「一時預かりまたは類似事業」が 43.3%となってい

る。

図表 10 地域子育て支援:複数回答(Q6(1)b)

③c 家庭での子育て支援

都道府県では、「子育て支援のハンドブック等の作成」が 38.1%でもっとも回答割合が高く、

次いで「子育ての方法や育児不安解消の相談事業」が 28.6%となっている。市区町村では、「子

育て支援のハンドブック等の作成」が 54.3%でもっとも回答割合が高く、次いで「子育ての方法

や育児不安解消の相談事業」が 53.2%となっている。

図表 11 家庭での子育て支援:複数回答(Q6(1)c)

35.7%

16.7%

16.7%

11.9%

7.1%

2.4%

16.7%

42.9%

49.4%

33.0%

45.9%

7.2%

43.3%

20.4%

4.6%

30.3%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

放課後児童健全育成事業

ファミリー・サポート・センターまたは類似事業

地域子育て支援拠点事業または類似事業

親族・近隣の子育て助け合いの意識啓発

一時預かりまたは類似事業

子育て短期支援事業

その他

無回答

38.1%

28.6%

14.3%

7.1%

2.4%

11.9%

35.7%

54.3%

53.2%

36.6%

18.0%

30.9%

6.6%

22.6%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

子育て支援のハンドブック等の作成

子育ての方法や育児不安解消の相談事業

育児サークル等の活動支援

子育てサポーターの養成

育児支援家庭訪問事業

その他

無回答

都道府県(n=42)

市区町村(n=1000)

都道府県(n=42)

市区町村(n=1000)

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④d 経済的支援 都道府県では、「乳幼児医療費助成」が 66.7%でもっとも回答割合が高く、次いで「一人親世

帯への経済的支援」が 33.3%、「その他」が 19.0%となっている。市区町村では、「乳幼児医療費

助成」が 77.5%でもっとも回答割合が高く、次いで「一人親世帯への経済的支援」が 35.1%、「多

子世帯への手当」が 15.1%となっている。

図表 12 経済的支援:複数回答(Q6(1)d)

⑤e 妊娠・出産支援

都道府県では、「不妊治療の経済的支援」が 57.1%でもっとも回答割合が高く、次いで「不妊

治療の情報提供や相談」が 33.3%、「妊娠や出産に関する相談事業」が 28.6%となっている。市

区町村では、「妊産婦検診や乳幼児健診」が 66.9%でもっとも回答割合が高く、次いで「不妊治

療の経済的支援」が 65.2%、「妊娠や出産に関する相談事業」が 57.0%となっている。

図表 13 妊娠・出産支援:複数回答(Q6(1)e)

66.7%

33.3%

14.3%

2.4%

2.4%

19.0%

19.0%

77.5%

35.1%

15.1%

12.6%

3.1%

9.4%

13.4%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

乳幼児医療費助成

一人親世帯への経済的支援

多子世帯への手当

金券配布・生活必需費等購入の優遇措置

ベビーシッター料等の軽減策

その他

無回答

57.1%

33.3%

28.6%

9.5%

7.1%

0.0%

0.0%

26.2%

19.0%

65.2%

45.4%

57.0%

55.5%

66.9%

11.1%

30.8%

10.6%

12.9%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

不妊治療の経済的支援

不妊治療の情報提供や相談

妊娠や出産に関する相談事業

乳児家庭全戸訪問

妊産婦検診や乳幼児健診

出産費用の助成

出産祝い金

その他

無回答

都道府県(n=42)

市区町村(n=1000)

都道府県(n=42)

市区町村(n=1000)

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⑥f 就労・働き方に関する支援 都道府県では、「企業の両立支援促進の表彰や認定マーク」が 76.2%でもっとも回答割合が高

く、次いで「企業の両立支援促進の研修・広報・相談」が 69.0%となっている。市区町村では、「女

性の再就職の研修・広報・相談」が 20.6%でもっとも回答割合が高く、次いで「企業の両立支援促

進の研修・広報・相談」が 11.4%となっている。

図表 14 就労・働き方に関する支援:複数回答(Q6(1)f)

⑦g 住環境の整備

都道府県では、「公営住宅への子育て世帯の優先入居」が 47.6%でもっとも回答割合が高く、

次いで「子からみた祖父母と親の同居・近居の支援」が 26.2%となっている。市区町村では、「他

自治体からの転入者受け入れの住宅支援」が 19.8%でもっとも回答割合が高く、次いで「子育て

世帯の住宅費助成または融資制度」が 18.2%となっている。

図表 15 住環境の整備:複数回答(Q6(1)g)

76.2%

69.0%

64.3%

42.9%

23.8%

16.7%

7.1%

14.3%

6.8%

11.4%

20.6%

5.5%

8.5%

2.3%

4.5%

69.0%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

企業の両立支援促進の表彰や認定マーク

企業の両立支援促進の研修・広報・相談

女性の再就職の研修・広報・相談

育児休業制度の取得促進のための施策

非正規雇用者の就職支援

両立支援事業者に対する経済的支援

その他

無回答

47.6%

26.2%

21.4%

16.7%

7.1%

4.8%

2.4%

11.9%

28.6%

13.5%

15.6%

18.2%

19.8%

4.0%

0.6%

2.5%

5.3%

51.6%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

公営住宅への子育て世帯の優先入居

子からみた祖父母と親の同居・近居の支援

子育て世帯の住宅費助成または融資制度

他自治体からの転入者受け入れの住宅支援

家族向け公営住宅の増設

子育て支援マンション等の認定制度

子育て世帯向け住宅提供者に対する助成

その他

無回答

都道府県(n=42)

市区町村(n=1000)

都道府県(n=42)

市区町村(n=1000)

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(2)最初の取組を開始した年代

国・都道府県基準への上乗せ事業または自治体の独自事業として行った少子化対策(問6)に

ついて、a~gの各分野における最初の取組を開始した年代について確認した。 なお、各分野においていずれの取組も実施していない自治体は母数に含めていないため、分野

ごとにnの値(回答自治体数)は異なっている。

①a 保育・幼児教育 都道府県では、「1999 年以前」が 48.7%でもっとも回答割合が高く、次いで「2000 年代」が

23.1%、「2010 年以降」が 15.4%となっている。市区町村では、「1999 年以前」が 31.2%でもっ

とも回答割合が高く、次いで「わからない」が 27.8%、「2010 年以降」が 23.2%となっている。

図表 16 最初の取組を開始した年代:保育・幼児教育:単数回答(Q6(2)a)

②b 地域子育て支援

都道府県では、「2010 年以降」が 37.5%でもっとも回答割合が高く、次いで「2000 年代」が

33.3%、「1999 年以前」が 12.5%となっている。市区町村では、「2000 年代」が 31.0%でもっと

も回答割合が高く、次いで「2010 年以降」が 20.9%、「1999 年以前」「わからない」が 20.8%と

なっている。

図表 17 最初の取組を開始した年代:地域子育て支援:単数回答(Q6(2)b)

48.7%

31.2%

23.1%

12.8%

15.4%

23.2%

10.3%

27.8%

2.6%

5.1%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

都道府県(n=39)

市区町村(n=946)

1999年以前 2000年代 2010年以降 わからない 無回答

12.5%

20.8%

33.3%

31.0%

37.5%

20.9%

8.3%

20.8%

8.3%

6.5%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

都道府県(n=24)

市区町村(n=697)

1999年以前 2000年代 2010年以降 わからない 無回答

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20

③c 家庭での子育て支援 都道府県では、「2000 年代」が 37.0%でもっとも回答割合が高く、次いで「1999 年以前」「2010

年以降」がともに 22.2%、「わからない」が 7.4%となっている。市区町村では、「2010 年以降」

が 24.5%でもっとも回答割合が高く、次いで「1999 年以前」が 23.9%、「わからない」が 22.0%となっている。

図表 18 最初の取組を開始した年代:家庭での子育て支援:単数回答(Q6(2)c)

④d 経済的支援

都道府県では、「1999 年以前」が 64.7%でもっとも回答割合が高く、次いで「2010 年以降」

が 14.7%、「2000 年代」が 5.9%となっている。市区町村では、「1999 年以前」が 29.9%でもっ

とも回答割合が高く、次いで「2010 年以降」が 23.9%、「2000 年代」が 19.3%となっている。

図表 19 最初の取組を開始した年代:経済的支援:単数回答(Q6(2)d)

22.2%

23.9%

37.0%

21.2%

22.2%

24.5%

7.4%

22.0%

11.1%

8.4%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

都道府県(n=27)

市区町村(n=774)

1999年以前 2000年代 2010年以降 わからない 無回答

64.7%

29.9%

5.9%

19.3%

14.7%

23.9%

2.9%

19.2%

11.8%

7.7%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

都道府県(n=34)

市区町村(n=866)

1999年以前 2000年代 2010年以降 わからない 無回答

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21

⑤e 妊娠・出産支援 都道府県では、「2010 年以降」が 41.2%でもっとも回答割合が高く、次いで「2000 年代」が

32.4%、「わからない」が 11.8%となっている。市区町村では、「1999 年以前」が 37.9%でもっ

とも回答割合が高く、次いで「2010 年以降」が 22.6%、「わからない」が 17.8%となっている。

図表 20 最初の取組を開始した年代:妊娠・出産支援:単数回答(Q6(2)e)

⑥f 就労・働き方に関する支援

都道府県では、「2000 年代」が 41.7%でもっとも回答割合が高く、次いで「2010 年以降」が

33.3%、「1999 年以前」「わからない」がともに 11.1%となっている。市区町村では、「2010 年以

降」が 47.1%でもっとも回答割合が高く、次いで「わからない」が 23.5%、「2000 年代」が 20.3%となっている。

図表 21 最初の取組を開始した年代:就労・働き方に関する支援:単数回答(Q6(2)f)

8.8%

37.9%

32.4%

15.0%

41.2%

22.6%

11.8%

17.8%

5.9%

6.7%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

都道府県(n=34)

市区町村(n=871)

1999年以前 2000年代 2010年以降 わからない 無回答

11.1%

2.6%

41.7%

20.3%

33.3%

47.1%

11.1%

23.5%

2.8%

6.5%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

都道府県(n=36)

市区町村(n=310)

1999年以前 2000年代 2010年以降 わからない 無回答

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22

⑦g 住環境の整備 都道府県では、「2010 年以降」が 46.7%でもっとも回答割合が高く、次いで「わからない」が

20.0%、「2000 年代」が 16.7%となっている。市区町村では、「2010 年以降」が 58.9%でもっと

も回答割合が高く、次いで「わからない」が 14.9%、「2000 年代」が 11.6%となっている。

図表 22 最初の取組を開始した年代:住環境の整備:単数回答(Q6(2)g)

(3)少子化対策で参考とした自治体の有無

少子化対策で「参考にした自治体がある」と回答した割合は、都道府県で 54.8%、市区町村で

15.9%となっている。

図表 23 少子化対策で参考とした自治体有無:単数回答(Q6(3))

6.7%

6.4%

16.7%

11.6%

46.7%

58.9%

20.0%

14.9%

10.0%

8.3%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

都道府県(n=30)

市区町村(n=484)

1999年以前 2000年代 2010年以降 わからない 無回答

54.8%

15.9%

38.1%

74.6%

7.1%

9.5%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

都道府県(n=42)

市区町村(n=1000)

参考にした自治体がある 参考にした自治体はない 無回答

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23

「結婚・妊娠・出産・育児の切れ目のない支援」への対応について

1.結婚・妊娠・出産・育児に関する支援事業への切れ目がある場合の対応状況

都道府県では、「切れ目があった部分について、地域少子化対策重点推進交付金で事業を実施し

た」が 50.0%でもっとも回答割合が高く、次いで「切れ目があった部分について、自主財源で事

業を実施した」が 40.5%となっている。 市区町村では、「まだ切れ目は完全につなぎ切れていない部分があるが、今後事業を実施する予

定である」が 26.4%でもっとも回答割合が高く、次いで「切れ目があった部分について、自主財

源で事業を実施した」が 25.1%となっている。

図表 24 結婚・妊娠・出産・育児に関する支援事業への切れ目がある場合の対応:複数回答(Q7)

図表 25 は、平成 30 年度調査報告書の調査結果(平成 29 年度実績に関する調査)である。平

成 29 年度における切れ目への対応をみると、「まだ切れ目は完全につなぎ切れていない部分があ

るが、今後事業を実施する予定である」との回答が都道府県・市区町村いずれも低下している一

方、「切れ目があった部分について、自主財源で事業を実施した」との回答が、都道府県では 8.6ポイント、市区町村では 9.0 ポイント上昇している。

図表 25 (参考)平成 29 年度における結婚・妊娠・出産・育児に関する支援事業への切れ目がある

場合の対応:複数回答

出典:平成 30 年度調査報告書「平成 30 年度内閣府委託事業 地域少子化対策強化事業の効果検証と事例調査

報告書」平成 31 年3月:63 ページ

50.0%

40.5%

16.7%

19.0%

0.0%

9.5%

4.8%

15.0%

25.1%

26.4%

4.9%

10.7%

14.1%

15.0%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

切れ目があった部分について、地域少子化対策

重点推進交付金で事業を実施した

切れ目があった部分について、自主財源で事業を

実施した

まだ切れ目は完全につなぎ切れていない部分が

あるが、今後事業を実施する予定である

事業実施以前に、結婚・妊娠・出産・育児に関する

支援の切れ目はない状態になっていた

切れ目があった部分について、対応する必要性を

感じていない

その他

無回答

都道府県(n=42)

市区町村(n=1000)

切れ目があった部分について、地域少子化対策

重点推進交付金で事業を実施した

切れ目があった部分について、自主財源で事業

を実施した

まだ切れ目は完全につなぎ切れていない部分

があるが、今後事業を実施する予定である

事業実施以前に、結婚・妊娠・出産・育児に関す

る支援の切れ目はない状態になっていた

切れ目があった部分について、対応する必要性

を感じていない

その他

無回答

単位:[%]

■ 都道府県(n=47)■ 市区町村(n=1,316)

53.2 31.9 23.4 23.4 0.0 0.011.9 16.1 28.2 14.1 20.7 13.2

切れ目があった部分について、交付金で事業を実施した

切れ目があった部分について、自主財源で事業を実施した

まだ切れ目は完全につなぎ切れていない部分があるが、今後事業を実施する予定

交付金事業実施以前に、結婚・妊娠・出産・育児に関する支援の切れ目はない状態になっていた

その他 無回答

切れ目への対応

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24

2.結婚・妊娠・出産・育児の切れ目のない支援を実施する上での課題

結婚・妊娠・出産・育児に関する支援事業への切れ目がある場合の対応(問7)において、「切

れ目があった部分について、地域少子化対策重点推進交付金(地域少子化対策強化交付金)で事

業を実施した」「切れ目があった部分について、自主財源で事業を実施した」「まだ切れ目は完全

につなぎ切れていない部分があるが、今後事業を実施する予定である」「地域少子化対策重点推進

交付金(地域少子化対策強化交付金)事業実施以前に、結婚・妊娠・出産・育児に関する支援の

切れ目はない状態になっていた」「その他」を1つでも回答した自治体について、結婚・妊娠・出

産・育児の切れ目のない支援を実施する上での課題を把握した。 都道府県では、「財源が不十分である」が 90.0%でもっとも回答割合が高く、次いで「人的資

源が不足している」が 50.0%となっている。市区町村では、「人的資源が不足している」が 60.3%でもっとも回答割合が高く、次いで「財源が不十分である」が 59.1%となっている。

図表 26 結婚・妊娠・出産・育児の切れ目のない支援を実施する上での課題:複数回答(Q8)

【その他の具体的な回答】 ○都道府県 参加者 ・当事者である 20~30 代の若者との接点が薄い。 庁内連携 ・庁内部局・関係機関との連携。

○市区町村 参加者 ・事業を実施していたが参加者がない等、事業を人的費用的資源を投

入して継続するほどのニーズがない。 ・女性の参加者確保。 ・事業があっても、利用が低水準にとどまっている施策がある。

効果検証、評価 ・事業の必要性に対する評価が分かれているから。 庁内、地域との連携 ・複数部署に跨るため、意思決定、情報共有などを円滑に行うこと。

・教育委員会との連携が不十分。 ・地域の様々な主体との連携体制の構築が必要である。

ニーズの多様化 ・多種多様化するケースがあり、追い付かないこともある。 近隣地域との関係 ・近隣自治体間において子育て世代の争奪戦になっている現状があ

り、マクロ面でのメリットが見込めていない。

90.0%

50.0%

22.5%

12.5%

10.0%

0.0%

7.5%

5.0%

59.1%

60.3%

53.8%

20.5%

26.1%

9.4%

4.6%

9.4%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

財源が不十分である

人的資源が不足している

取り組むための組織体制が不十分である

事業実施に必要な情報が不足している

効果的な事業計画が設計できない

どのように取り組めばよいのかわからない

その他

無回答

都道府県(n=40)

市区町村(n=790)

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25

「結婚に対する取組」について

1.施策の実施状況

(1)平成 30 年度における「結婚に対する取組」の実施状況と交付金の利用状況

都道府県における平成 30 年度の「結婚に対する取組」の実施率は、「h 情報発信」が 97.6%と

もっとも高く、次いで「j 企業・団体等との連携(希望者に対する情報提供等)」が 83.3%、「a 結婚支援センターの設置・運営」が 73.8%となっている。 市区町村では、「e 婚活イベント」が 52.6%ともっとも高く、次いで「h 情報発信」が 28.0%「f 独身者向け婚活セミナー・講演会等の開催」が 23.1%となっている。

図表 27 平成 30 年度における「結婚に関する取組」の実施状況:複数回答(Q10(1))

注1:実施率は、「交付金を活用して実施した」「交付金以外の補助金等を活用して実施した」「自主財源で実施し

た」「【市区町村のみ】都道府県事業に参加・協力・共同実施した」に1つでも回答した自治体の割合であ

る。 注2:上段が都道府県、下段が市区町村を表す。

単位:[%]

交付金を活用して実施した

交付金以外の補助金等を活用して実施した

自主財源で実施した

【市区町村のみ】都道府県の事業に参加・協力・共同実施した

過去に取り組んだことはあるが、H30年度は取り組まなかった

これまで一度も取り組んだことがない

73.8 38.1 4.8 33.3 0.0 4.8 21.4 0.0 66.015.7 0.9 0.9 6.6 8.0 1.2 78.7 4.4 13.019.0 11.9 2.4 7.1 0.0 11.9 66.7 2.4 14.920.4 1.6 1.0 16.1 2.9 4.5 70.4 4.7 18.957.1 35.7 2.4 23.8 0.0 0.0 40.5 2.4 48.914.3 0.9 0.5 2.5 11.1 0.8 79.9 5.0 10.440.5 21.4 4.8 16.7 0.0 4.8 54.8 0.0 25.518.6 1.7 1.2 14.2 2.3 2.1 74.2 5.1 14.661.9 23.8 4.8 35.7 0.0 21.4 14.3 2.4 59.652.6 4.9 8.3 38.2 4.7 15.4 29.7 2.3 53.459.5 35.7 0.0 26.2 0.0 28.6 7.1 4.8 70.223.1 4.7 2.7 14.5 1.9 12.3 59.7 4.9 24.231.0 23.8 0.0 7.1 0.0 21.4 47.6 0.0 23.45.1 1.0 0.5 2.7 1.0 5.7 83.8 5.4 6.7

97.6 35.7 2.4 59.5 0.0 2.4 0.0 0.0 93.628.0 2.4 2.2 17.8 8.1 1.1 66.3 4.6 24.964.3 35.7 7.1 21.4 0.0 11.9 21.4 2.4 63.817.5 0.5 2.2 14.0 1.4 3.0 74.2 5.3 16.383.3 50.0 4.8 33.3 0.0 2.4 11.9 2.4 83.021.5 2.1 2.1 15.4 2.8 2.2 71.3 5.0 17.126.2 14.3 0.0 11.9 0.0 21.4 50.0 2.4 36.23.3 0.2 0.2 2.2 0.8 2.3 89.0 5.4 2.8

61.9 42.9 4.8 19.0 0.0 9.5 26.2 2.4 61.715.8 2.3 1.1 10.0 3.0 5.3 74.3 4.6 15.72.4 2.4 0.0 0.0 0.0 4.8 90.5 2.4 2.11.8 0.2 0.2 1.1 0.4 0.7 92.3 5.2 1.3

35.7 21.4 2.4 14.3 0.0 4.8 40.5 19.0 25.511.7 3.9 0.8 6.8 1.1 1.8 70.2 16.3 10.4

h 情報発信(結婚支援センターのポータルサイト、 メルマガ、SNS等)

i 企業・団体等に対する支援

c マッチング(システムによるもの)

d マッチング(システム以外によるものすべて)

都道府県(n=42)市区町村(n=1,000)

e 婚活イベント

f 独身者向け婚活セミナー・講演会等の開催

n その他の結婚支援事業

m 講演会・セミナー等の講師の育成

l ボランティアの育成(地域のおせっかいさん等)

k 企業・団体等における結婚支援の取組状況調査

j 企業・団体等との連携(希望者に対する情報提供等)

g 独身者の親向け婚活セミナー

今年度実施 今年度の実施なし

b 相談業務(結婚支援センター以外の相談窓口)

〔参考〕平成29年度都道府県市区町村

無回答実施率

a 結婚支援センターの設置・運営

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26

都道府県における平成 30 年度の「結婚に対する取組」の実施状況を見ると、交付金を活用し

た取組分野数がもっとも多いのは徳島県(10 分野)であり、次いで京都府・高知県・香川県(9

分野)、石川県・長野県・鳥取県(8分野)となっている。交付金を活用していない取組分野数が

もっとも多いのは、秋田県(9分野)、次いで栃木県・佐賀県(8分野)である。

図表 28 平成 30 年度における「結婚に対する取組」の実施状況(都道府県)

a b c d e f g h i j k l m n

ター

(結

ター

ッチ

(シ

ッチ

(シ

ナー

ナー

(希

調

査 ボ

ィア

(地

っか

ナー

(交

(交

3

0

北海道 - 3 0 0 11

青森県 - - 4 1 0 9

岩手県 N N 4 1 2 9

宮城県 無回答 N 無回答 - 無回答 無回答 無回答 無回答 0 7 1 1

秋田県 N N 無回答 9 1 2 3

山形県 N N - 無回答 5 5 2 3

福島県

茨城県 N N 7 3 2 4

栃木県 8 0 0 6

群馬県 N - 6 1 1 7

埼玉県 N N - 3 2 2 9

千葉県

東京都 N N - 2 0 2 12

神奈川県 - - - 3 0 0 11

新潟県 - - 7 2 0 5

富山県 N 無回答 N 2 7 2 4

石川県 2 8 0 4

福井県 - 3 6 0 5

山梨県 N N 4 6 2 4

長野県 N - N N N 1 8 4 5

岐阜県 N - 7 2 1 5

静岡県 - - 0 0 0 14

愛知県 - - 無回答 2 0 0 11

三重県 - - 5 0 0 9

滋賀県 N N - 0 3 2 11

京都府 N N 0 9 2 5

大阪府

兵庫県

奈良県 - N 3 2 1 9

和歌山県

鳥取県 1 8 0 5

島根県 無回答 N N 無回答 7 3 2 2

岡山県 5 3 0 6

広島県 - N N 3 5 2 6

山口県 3 6 0 5

徳島県 0 10 0 4

香川県 N N 1 9 2 4

愛媛県 - - 1 5 0 8

高知県 - 0 9 0 5

福岡県 6 2 0 6

佐賀県 N - 8 1 1 5

長崎県 - 1 6 0 7

熊本県 N 無回答 N - 無回答 0 7 2 5

大分県 N N - 0 7 2 7

宮崎県 - - 7 0 0 7

鹿児島県 - - N 無回答 2 6 1 5

沖縄県 - N N 無回答 0 5 2 8

取組あり

(交付金活用以外)15 3 9 8 16 10 3 26 12 14 5 8 0 6 135 166 42 271

取組あり

(交付金活用)16 5 15 9 10 16 10 15 15 21 6 18 1 9

うち30年度に新たに取り

組まれたもの2 2 3 6 4 1 6 2 4 2 5 1 1 3

取組なし 11 33 17 25 15 15 29 1 14 7 30 15 40 19

凡例:「N」…平成29年度は実施し ていなかったが、平成30年度は実施、「-」…平成29年度は実施し ていたが、平成30年度は実施せず

灰色のセルは本年度回答が得られなかった団体である。

分野別

都道府県

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27

平成 30 年度に新たに取り組まれたのは、32 件である。 都道府県における平成 25 年度から平成 30 年度までの「結婚に対する取組」の実施状況の累計

について、平成 29 年度までの累計と比較すると、交付金を活用したことがある取組数は 280 件

(平成 30 年度調査報告書:23 ページ)から 315 件と、35 件増加している。

図表 29 平成 25 年度から平成 30 年度における「結婚に対する取組」の実施状況(都道府県)

a b c d e f g h i j k l m n結婚支援セ

ンター

の設

置・運営

相談業務

(結婚支援

センター

以外

の相談窓口

ッチング

(システム

によるもの

ッチング

(システム

以外によるも

のすべて

婚活イベン

独身者向け

婚活セミ

ナー

・講演

会等

独身者の親

向け婚活セミ

ナー

情報発信

企業・団体

等に対する支

援 企業・団体

等との連携

(希望者に

対する情報提

供等

企業・団体

等における結

婚支援の取

組状況調査

ボランテ

ィアの育成

(地域のお

っかいさん

講演会・セ

ミナー

等の講

師の育成

その他の結

婚支援事業

取組あり

(交付金活

用以外

取組あり

(交付金活

うち30年

度に新たに取

り組まれた

もの

取組なし

北海道 - - - - 0 7 0 7青森県 - - - - 7 1 0 6岩手県 - - N - N 4 4 2 6宮城県 N 0 8 1 6秋田県 5 6 0 3山形県 N - - 4 8 1 2福島県 0 10 0 4茨城県 N 4 7 1 3栃木県 - 4 7 0 3群馬県 N - 3 6 1 5埼玉県 N N - - 5 2 2 7千葉県 1 1 0 12東京都 N N - 3 0 2 11神奈川県 - - - - 1 6 0 7新潟県 - - 3 8 0 3富山県 N N - 0 11 2 3石川県 1 9 0 4福井県 - 3 7 0 4山梨県 N N 1 9 2 4長野県 - - - N N N 0 12 3 2岐阜県 - - 1 10 0 3静岡県 - - - - - - - 1 6 0 7愛知県 - - - - 1 6 0 7三重県 - - - 4 4 0 6滋賀県 - N N - 1 4 2 9京都府 - - N N 1 10 1 3大阪府 3 2 0 9兵庫県 7 3 0 4奈良県 - 2 4 0 8和歌山県 4 2 0 8鳥取県 - N 0 10 0 4島根県 N N 4 7 2 3岡山県 - - 0 10 0 4広島県 - N 1 8 1 5山口県 N 2 7 0 5徳島県 - 0 11 0 3香川県 - N 1 10 1 3愛媛県 - - - - 0 10 0 4高知県 - - - - 1 12 0 1福岡県 3 5 0 6佐賀県 N - 7 3 1 4長崎県 - - - 2 8 0 4熊本県 N N - 0 8 2 6大分県 N N - - 0 9 2 5宮崎県 - - - N 7 3 0 4鹿児島県 - - N 4 7 1 3沖縄県 - N N 0 7 2 7

取組あり(交付金活用以外)

8 5 2 7 15 10 9 14 11 11 5 3 0 6 106 315 32 237

取組あり(交付金活用)

26 12 24 13 23 34 19 33 29 32 19 30 4 17

うち30年度に新たに取り組まれたもの

2 1 3 3 2 1 5 2 4 0 5 1 1 2

取組なし 13 30 21 27 9 3 19 0 7 4 23 14 43 24凡例:「N」…こ れまでは実施していなかったが、平成30年度は実施、「-」…こ れまでは実施していたが、平成30年度は実施せず「N 」(斜体)は、平成25~28年度は実施していないが、昨年度は「無回答」であったため、本年度が初実施か判断できないものを指す

都道府県

分野別

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28

(2)最も古い「結婚に関する取組」を開始した年代

平成 30 年度における「結婚に対する取組」(問 10(1)a~n)のうち、もっとも古い取組を開始

した年代をみると、都道府県では、「2010 年以降」が 43.9%でもっとも回答割合が高く、次いで

「2000 年代」が 39.0%、「1999 年以前」が 9.8%となっている。市区町村では、「2010 年以降」

が 64.1%でもっとも回答割合が高く、次いで「わからない」が 12.0%、「2000 年代」が 10.6%と

なっている。

図表 30 最も古い取組を開始した年代:単数回答(Q10(2))

(3)「結婚に対する取組」の周知方法

平成 30 年度における「結婚に対する取組」(問 10(1)a~n)について、「交付金を活用して実施

した」「交付金以外の補助金等を活用して実施した」「自主財源で実施した」「【市区町村のみ】都

道府県の事業に参加・協力・共同実施した」に1つでも回答した自治体について、実施している取

組の周知方法を把握した。 都道府県では、「自治体の広報誌・チラシ」「自治体のホームページ」がともに 100%となって

いる。市区町村では、「自治体の広報紙・チラシ」が 85.1%でもっとも回答割合が高く、次いで「自

治体のホームページ」が 81.0%となっている。

図表 31 結婚に対する取組の周知方法:複数回答(Q18)

9.8%

10.4%

39.0%

10.6%

43.9%

64.1%

2.4%

12.0%

4.9%

2.9%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

都道府県(n=41)

市区町村(n=699)

1999年以前 2000年代 2010年以降 わからない 無回答

100.0%

100.0%

70.7%

65.9%

46.3%

17.1%

0.0%

0.0%

85.1%

81.0%

65.7%

31.9%

32.9%

17.6%

0.7%

2.9%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

自治体の広報紙・チラシ

自治体のホームページ

自治体の窓口

新聞記事・インターネット記事

民間との連携

その他

特に周知を行っていない

無回答

都道府県(n=41)

市区町村(n=699)

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29

2.施策の利用状況

(1)相談業務(結婚支援センター以外の相談窓口)の相談者数

平成 30 年度における「結婚に対する取組」(問 10(1))の「b 相談業務(結婚支援センター以

外の相談窓口)」において、「交付金を活用して実施した」「交付金以外の補助金等を活用して実施

した」「自主財源で実施した」「【市区町村のみ】都道府県の事業に参加・協力・共同実施した」に1

つでも回答した自治体について、相談業務の相談者数をみると、都道府県では、「250 人以上~

500 人未満」が 37.5%でもっとも回答割合が高く、次いで「50 人以上~100 人未満」が 25.0%となっている。市区町村では、「50 人未満」が 55.2%でもっとも回答割合が高く、次いで「50 人

以上~100 人未満」「100 人以上~250 人未満」がともに 10.3%となっている。

図表 32 相談業務(結婚支援センター以外の相談窓口)の相談者数:数値回答(Q16b)

注:相談者数は、延べ人数である。

12.5%

55.2%

25.0%

10.3%

12.5%

10.3%

37.5%

2.5%

0.0%

2.5%

0.0%

1.0%

12.5%

18.2%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

都道府県(n=8)

市区町村(n=203)

50人未満 50人以上~100人未満 100人以上~250人未満 250人以上~500人未満

500人以上~1000人未満 1000人以上 無回答

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30

(2)婚活イベントの参加者数

平成 30 年度における「結婚に対する取組」(問 10(1))の「e 婚活イベント」において、「交付

金を活用して実施した」「交付金以外の補助金等を活用して実施した」「自主財源で実施した」「【市

区町村のみ】都道府県の事業に参加・協力・共同実施した」に1つでも回答した自治体について、

参加者数をみると、都道府県では、「100 人以上~250 人未満」「1000 人以上」がともに 26.9%で

もっとも回答割合が高く、次いで「250 人以上~500 人未満」が 23.1%となっている。市区町村

では、「50 人未満」が 39.8%でもっとも回答割合が高く、次いで「50 人以上~100 人未満」が

27.4%となっている。

図表 33 婚活イベントの参加者数:数値回答(Q16e)

注:参加者数は延べ人数である。また、年間に複数のイベントを開催した場合は全て合計した参加者数である。

(3)独身者向け婚活セミナー・講演会等の参加者数

平成 30 年度における「結婚に対する取組」(問 10(1))の「f 独身者向け婚活セミナー・講演会

等」において、「交付金を活用して実施した」「交付金以外の補助金等を活用して実施した」「自主

財源で実施した」「【市区町村のみ】都道府県の事業に参加・協力・共同実施した」に1つでも回答

した自治体について、参加者数をみると、都道府県では、「250 人以上~500 人未満」が 28.0%で

もっとも回答割合が高く、次いで「100 人以上~250 人未満」が 24.0%となっている。市区町村

では、「50 人未満」が 64.5%でもっとも回答割合が高く、次いで「50 人以上~100 人未満」が

15.6%となっている。

図表 34 独身者向け婚活セミナー・講演会等の参加者数:数値回答(Q16f)

注:参加者数は延べ人数である。また、年間に複数のセミナー等を開催した場合は全て合計した参加者数である。

3.8%

39.8%

7.7%

27.4%

26.9%

23.8%

23.1%

4.2%

7.7%

0.8%

26.9%

0.0%

3.8%

4.0%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

都道府県(n=26)

市区町村(n=525)

50人未満 50人以上~100人未満 100人以上~250人未満 250人以上~500人未満

500人以上~1000人未満 1000人以上 無回答

16.0%

64.5%

20.0%

15.6%

24.0%

8.7%

28.0%

3.0%

8.0%

0.4%

0.0%

0.0%

4.0%

7.8%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

都道府県(n=25)

市区町村(n=231)

50人未満 50人以上~100人未満 100人以上~250人未満 250人以上~500人未満

500人以上~1000人未満 1000人以上 無回答

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31

(4)独身者の親向け婚活セミナーの参加者数

平成 30 年度における「結婚に対する取組」(問 10(1))の「g 独身者の親向け婚活セミナー」

において、「交付金を活用して実施した」「交付金以外の補助金等を活用して実施した」「自主財源

で実施した」「【市区町村のみ】都道府県の事業に参加・協力・共同実施した」に1つでも回答した

自治体について、参加者数をみると、都道府県では、「50 人未満」が 69.2%でもっとも回答割合

が高く、次いで「100 人以上~250 人未満」が 15.4%となっている。市区町村では、「50 人未満」

が 67.3%でもっとも回答割合が高く、次いで「50 人以上~100 人未満」が 11.5%となっている。

図表 35 独身者の親向け婚活セミナーの参加者数:数値回答(Q16g)

注:参加者数は延べ人数である。また、年間に複数のセミナーを開催した場合は全て合計した参加者数である。

3.イベント等の開催状況

(1)婚活イベントの開催地となった市区町村数

平成 30 年度における「結婚に対する取組」(問 10(1))の「e 婚活イベント」において、「交付

金を活用して実施した」「交付金以外の補助金等を活用して実施した」「自主財源で実施した」に

1つでも回答した都道府県について、開催地となった市区町村数を把握した。その結果、「1~5市区町村」が 64.0%、「11~20 市区町村」が 20.0%となっている。

図表 36 婚活イベントの開催地となった市区町村数:数値回答(Q17e)

69.2%

67.3%

7.7%

11.5%

15.4%

1.9%

0.0%

0.0%

0.0%

0.0%

0.0%

0.0%

7.7%

19.2%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

都道府県(n=13)

市区町村(n=52)

50人未満 50人以上~100人未満 100人以上~250人未満 250人以上~500人未満

500人以上~1000人未満 1000人以上 無回答

64.0%

0.0%

20.0%

4.0%

12.0%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

都道府県(n=25)

1~5市区町村 6~10市区町村 11~20市区町村 20市区町村以上 無回答

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32

(2)独身者向け婚活セミナー・講演会等の開催地となった市区町村数

平成 30 年度における「結婚に対する取組」(問 10(1))の「f 独身者向け婚活セミナー・講演会

等」において、「交付金を活用して実施した」「交付金以外の補助金等を活用して実施した」「自主

財源で実施した」に1つでも回答した都道府県について、開催地となった市区町村数を把握した。

その結果、「1~5 市区町村」が 84.0%、「6~10 市区町村」が 8.0%となっている。

図表 37 独身者向け婚活セミナー・講演会等の開催地となった市区町村数:数値回答(Q17f)

(3)独身者の親向け婚活セミナーの開催地となった市区町村数

平成 30 年度における「結婚に対する取組」(問 10(1))の「g 独身者の親向け婚活セミナー」

において、「交付金を活用して実施した」「交付金以外の補助金等を活用して実施した」「自主財源

で実施した」に1つでも回答した都道府県について、開催地となった市区町村数を把握した。そ

の結果、「1~5 市区町村」が 84.6%となっている。

図表 38 独身者の親向け婚活セミナーの開催地となった市区町村数:数値回答(Q17g)

84.0% 8.0%

0.0% 0.0%

8.0%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

都道府県(n=25)

1~5市区町村 6~10市区町村 11~20市区町村 20市区町村以上 無回答

84.6%

0.0% 0.0% 0.0%

15.4%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

都道府県(n=13)

1~5市区町村 6~10市区町村 11~20市区町村 20市区町村以上 無回答

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33

4.施策を実施した理由と課題、実施しない理由

(1)「結婚に対する取組」を実施した理由

平成 30 年度における「結婚に対する取組」(問 10(1)a~n)において、「交付金を活用して実施

した」「交付金以外の補助金等を活用して実施した」「自主財源で実施した」「【市区町村のみ】都

道府県の事業に参加・協力・共同実施した」に1つでも回答した自治体について、「結婚に対する取

組」を実施した理由について質問した。 都道府県、市区町村ともに「結婚への意欲がある人に出会いの場を提供するため」が、それぞ

れ 97.6%、84.5%ともっとも回答割合が高く、次いで「移住政策等、他の施策と組み合わせて実

施することにより相乗効果を図るため」がそれぞれ 14.6%、33.9%となっている。

図表 39 結婚に対する取組を実施した理由:複数回答(Q19)

【その他の具体的な内容】 ○都道府県 少子化対策 ・少子化対策において、比較的に明確な成果を得られるのが結婚支援

であるため。 ・人口減少対策。

97.6%

14.6%

14.6%

14.6%

7.3%

4.9%

7.3%

0.0%

84.5%

33.9%

13.3%

13.3%

7.7%

10.9%

7.7%

3.7%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

結婚への意欲がある人に出会いの場を提供するため

移住政策等、他の施策と組み合わせて実施することに

より相乗効果を図るため

首長の関心が高かったため

住民の要望があったため

議会で取り上げられたため

近隣の自治体が実施しているため

その他

無回答

結婚への意欲がある人に出会いの場を提供するため

移住政策等、他の施策と組み合わせて実施することに

より相乗効果を図るため

首長の関心が高かったため

住民の要望があったため

議会で取り上げられたため

近隣の自治体が実施しているため

その他

無回答

都道府県(n=41)

市区町村(n=699)

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34

【その他の具体的な内容(続き)】 ○市区町村 少子化対策 ・少子化対策の一環として。

・総合計画及び総合戦略において、出生率向上のための取組に位置づ

けられているため。 広域事業・近隣自治体

との連携 ・県より近隣市町村と広域的な婚活事業の推進を勧められたため。 ・近隣自治体と毎年合同で行っている。 ・郡内6町村で連携して取り組む事業があったため。 ・近隣の自治体と協力し各町の活性化や連携の強化へ繋げるため。

団体・大学等との連携 ・大学連携事業。 ・商工会が意欲的に事業を実施する意向があったため。 ・地元工業団地より要望があったため。 ・団体からの要請があったため。

地方創生・若者の定住

対策 ・地方創生のための若者定着に向けた取組のひとつとして実施。 ・市内企業の若手社員の離職抑制のため。 ・青年の仲間づくりのため。

一次産業等の後継者

対策 ・一次産業の後継者対策。 ・農村の農家の後継者対策としての花嫁対策。 ・町の主要産業の活性化、担い手の育成のため。

(2)「結婚に対する取組」における自治体の課題

平成 30 年度における「結婚に対する取組」(問 10(1)の a~n)において、「交付金を活用して

実施した」「交付金以外の補助金等を活用して実施した」「自主財源で実施した」「【市区町村のみ】

都道府県の事業に参加・協力・共同実施した」に1つでも回答した自治体について、「結婚に対する

取組」における課題について質問した。 都道府県では、「財源が不十分である」が 82.9%でもっとも回答割合が高く、次いで「人的資

源が不足している」が 46.3%となっている。市区町村では、「取り組むための組織体制が不十分

である」が 48.4%でもっとも回答割合が高く、次いで「人的資源が不足している」が 47.1%とな

っている。

図表 40 結婚に対する取組における自治体の課題:複数回答(Q20)

82.9%

46.3%

24.4%

12.2%

12.2%

0.0%

14.6%

2.4%

43.9%

47.1%

48.4%

19.2%

37.2%

11.7%

12.9%

6.7%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

財源が不十分である

人的資源が不足している

取り組むための組織体制が不十分である

事業実施に必要な情報が不足している

効果的な事業計画が設計できない

どのように取り組めばよいのかわからない

その他

無回答

都道府県(n=41)

市区町村(n=699)

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35

【その他の具体的な内容】 ○都道府県 参加者 ・中山間地域における取組が困難。

・当事者である 20~30 代との接点が薄い。 効果検証 ・少子化対策としての事業効果が不明であること。 近隣地域や民間との

連携 ・市町や企業との連携・役割分担。 ・民間企業との役割分担。

○市区町村 参加者 ・募集要項に合うような対象者がいない。

・事業のマンネリ化、参加者の重複等。 ・当事者である 20~30 代との接点が薄い。 ・市が主催する婚活イベントへの市内在住者の参加率が低迷しているこ

と。 ・自治体に婚活をしていることを知られたくない等の理由から,結婚相

談所への登録者が増えない。 効果検証 ・実施後の効果が判断できない。結果等(結婚等)まで追跡できない。

・市域内の少子化解消(出産)という成果に結びつかない。 ・婚活イベントを開催しても、カップルは成立するが、成婚にいたらな

い。 フォローアップ ・マッチング成立後のフォローアップ体制の構築。 近隣地域や民間と

の連携 ・単独での婚活イベント等には限界がある。 ・人口が少ない町であるため、参加者の重複を避けるため、近隣市町で

共同で婚活イベントを開催したいが、連携が難しい。 ・企業等に呼びかけるのが難しい。 ・部署間の連携(主となる担当部署が決まっていない)。

自治体の立場 ・民間企業との役割分担。 ・「結婚に対する取組」が基礎自治体の業務であるかが不明確。 ・マリッジ・ハラスメントの危惧。 ・人口増加のための婚活支援は難しいものがある。

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36

(3)「結婚に対する取組」を実施しなかった理由

平成 30 年度における「結婚に対する取組」(問 10(1)a~n)の全ての取組において、「過去に取

り組んだことはあるが、平成 30 年度は取り組まなかった」「これまで一度も取り組んだことがな

い」に1つでも回答した自治体について、平成 30 年度に「結婚に対する取組」を実施しなかった

理由について質問した。 市区町村では、「取り組むための組織体制が不十分であったため」が 47.2%でもっとも回答割

合が高く、次いで「人的資源が不足しているため」が 37.2%となっている。 なお、都道府県では該当する団体が1団体のため、回答結果については非公表とした。

図表 41 結婚に対する取組を実施しなかった理由:複数回答(Q21)

【その他の具体的な内容】 ○市区町村 民間・他団体の参入 ・民間主催の婚活イベントがあるため。

・民間に任せたほうがより良いサポートが可能と判断したため。 ・商工会にて婚活イベントを行っているため。 ・社会福祉協議会が実施をしているため。

ニーズの把握 ・住民のニーズを把握出来ていないため。 ・実施するにはニーズ調査や見込まれる効果の検証が必要と考え

る。 地域の理解 ・官製婚活に対して庁内外の理解が進んでいるとは言い難い状況

であるため。 自治体の立場 ・現時点「結婚」について、行政が直接関与することに疑問があり、

間接的な関与が適当であると考えられるから。 居住人口 ・東日本大震災及び原子力発電所事故の影響により居住人口が少

ないため。

47.2%

37.2%

31.6%

29.0%

22.3%

18.6%

17.8%

13.4%

9.7%

9.3%

8.9%

3.7%

0.4%

14.5%

1.9%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

取り組むための組織体制が不十分であったため

人的資源が不足しているため

財源がなかったため

効果が見込めなかったため

住民のニーズ・要望が高くないため

効果的な事業計画が設計できなかったため

事業実施に必要な情報が不足していたため

ほかに優先度の高い事業があったため

取り組む必要を感じなくなったため

取り組むための準備期間が不足していたため

どのように取り組めばよいかわからなかったため

都道府県が行う取組であるため

目的を達成したため

その他

無回答

市区町村(n=269)

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37

(4)過去に取り組んだことはあるが、平成 30 年度は実施しなかった取組がある理由

平成 30 年度における「結婚に対する取組」(問 10(1)a~n)のいずれかの取組について、「過去

に取り組んだことはあるが、平成 30 年度は取り組まなかった」に回答した自治体に対して、平

成 30 年度に取組をやめた理由について質問した。 都道府県では、「財源がなかったため」が 39.3%でもっとも回答割合が高く、次いで「ほかに

優先度の高い事業があったため」「市区町村が行う取組であるため」がともに 14.3%となってい

る。市区町村では、「効果が見込めなかったため」が 30.6%でもっとも回答割合が高く、次いで

「財源がなかったため」が 22.6%となっている。

図表 42 過去に取り組んだことはあるが、平成 30 年度は実施しなかった取組がある理由:複数回答

(Q22)

※都道府県は「市区町村が行う取組であるため」、市区町村は「都道府県が行う取組であるため」として回答。

39.3%

14.3%

14.3%

10.7%

7.1%

7.1%

7.1%

7.1%

7.1%

7.1%

3.6%

3.6%

10.7%

25.0%

22.6%

6.3%

2.3%

22.0%

22.3%

5.4%

15.4%

30.6%

6.6%

1.4%

3.1%

14.9%

10.9%

20.0%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

財源がなかったため

ほかに優先度の高い事業があったため

都道府県(又は市区町村)が行う取組であるため※

人的資源が不足しているため

取り組むための組織体制が不十分であったため

事業実施に必要な情報が不足していたため

効果的な事業計画が設計できなかったため

効果が見込めなかったため

取り組む必要を感じなくなったため

目的を達成したため

取り組むための準備期間が不足していたため

住民のニーズ・要望が高くないため

その他

無回答

都道府県(n=28)

市区町村(n=350)

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38

【その他の具体的な内容】 ○都道府県 民間・他団体の参入 ・民間の婚活イベント実施素地が培われたことから、本県直営を止

め、民間団体の結婚支援にシフトしたため。 ○市区町村 民間・他団体の参入 ・民間企業でも取組が盛んになってきたため。 参加者・参加団体 ・申し込みがなかったため。

・参加者の減少のため。 ・婚活イベント支援事業補助金制度があるが、活用する団体等がな

かったため。 ・農業後継者を対象に相談業務等を行っていたが、農業後継者自体

が減少し、ニーズがなくなってきたため。 効果検証、事業への評価 ・事業の必要性に対する評価が分かれているから。

・過去に実施していた補助金交付事業は、議会で抜本的な見直しが

必要と評価されたため。 県事業とのすみ分け ・県において婚活イベントが展開されているため。

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39

結婚支援センターの設置・運営について

以下では、平成 30 年度における「結婚に対する取組」(問 10(1))の「a 結婚支援センターの

設置・運営」において、「交付金を活用して実施した」「交付金以外の補助金等を活用して実施し

た」「自主財源で実施した」「【市区町村のみ】都道府県の事業に参加・協力・共同実施した」に1つ

でも回答した自治体について、結婚支援センターの設置・運営状況を把握した。

1.設置状況

(1)結婚支援センターの設置年

結婚支援センターを設置している自治体に設置年を質問したところ、都道府県では、「2 年~5年前」が 82.8%でもっとも回答割合が高く、次いで「2 年未満」が 10.3%、「6 年~10 年前」「11年以上前」がともに 3.4%となっている。市区町村では、「2 年~5 年前」が 63.7%でもっとも回

答割合が高く、次いで「6 年~10 年前」が 14.2%、「11 年以上前」が 13.3%となっている。

図表 43 結婚支援センターの設置年:数値回答(Q11-1)

(2)マッチングシステムの設置年

マッチングシステムを設置している自治体に設置年を質問したところ、都道府県では、「2 年~

5 年前」が 66.7%でもっとも回答割合が高く、「2 年未満」「6 年~10 年前」が 16.7%となってい

る。市区町村では、「2 年~5 年前」が 75.8%でもっとも回答割合が高く、次いで「6 年~10 年

前」が 12.1%となっている。

図表 44 マッチングシステムの設置年:数値回答(Q11-2)

10.3%

8.8%

82.8%

63.7%

3.4%

14.2%

3.4%

13.3%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

都道府県(n=29)

市区町村(n=113)

2年未満 2年~5年前 6年~10年前 11年以上前

16.7%

10.6%

66.7%

75.8%

16.7%

12.1%

0.0%

1.5%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

都道府県(n=24)

市区町村(n=66)

2年未満 2年~5年前 6年~10年前 11年以上前

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40

(3)アプリの設置年

アプリを設置している自治体に設置年を質問したところ、都道府県では1団体、市区町村では

8団体が回答した。回答のあった市区町村では「2 年~5 年前」が4団体であり、回答割合がも

っとも高かった。なお、都道府県については該当する団体が1団体のため、回答結果については

非公表とした。

図表 45 アプリの設置年:数値回答(Q11-3)

(4)サイトの設置年

サイトを設置している自治体に設置年を質問したところ、都道府県では、「2 年~5 年前」が

75.9%でもっとも回答割合が高く、次いで「6 年~10 年前」が 13.8%、「2 年未満」が 10.3%と

なっている。市区町村では、「2 年~5 年前」が 75.3%でもっとも回答割合が高く、次いで「6 年

~10 年前」が 16.4%、「2 年未満」が 8.2%となっている。

図表 46 サイトの設置年:数値回答(Q11-4)

25.0% 50.0% 25.0%

0.0%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

市区町村(n=8)

2年未満 2年~5年前 6年~10年前 11年以上前

10.3%

8.2%

75.9%

75.3%

13.8%

16.4%

0.0%

0.0%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

都道府県(n=29)

市区町村(n=73)

2年未満 2年~5年前 6年~10年前 11年以上前

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41

2.結婚支援センターの利用状況

(1)結婚支援センターへの登録人数(男性)

結婚支援センターへの登録人数(男性)について質問したところ、都道府県では、「500 人以上

~1000 人未満」が 32.3%でもっとも回答割合が高く、次いで「1000 人以上~2000 人未満」が

29.0%、「100 人以上~500 人未満」が 22.6%となっている。市区町村では、「50 人未満」が 24.2%でもっとも回答割合が高く、次いで「100 人以上~500 人未満」が 20.4%、「500 人以上~1000人未満」が 15.9%となっている。

図表 47 結婚支援センターへの登録人数(男性):数値回答(Q12-1)

(2)結婚支援センターへの登録人数(女性)

結婚支援センターへの登録人数(女性)について質問したところ、都道府県では、「500 人以上

~1000 人未満」が 41.9%でもっとも回答割合が高く、次いで「100 人以上~500 人未満」が 35.5%、

「1000 人以上~2000 人未満」が 9.7%となっている。市区町村では、「50 人未満」が 35.0%で

もっとも回答割合が高く、次いで「100 人以上~500 人未満」が 22.3%、「50 人以上~100 人未

満」が 12.7%となっている。

図表 48 結婚支援センターへの登録人数(女性):数値回答(Q12-2)

0.0%

24.2%

0.0%

9.6%

22.6%

20.4%

32.3%

15.9%

29.0%

8.3%

9.7%

0.0%

6.5%

21.7%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

都道府県(n=31)

市区町村(n=157)

50人未満 50人以上~100人未満 100人以上~500人未満

500人以上~1000人未満 1000人以上~2000人未満 2000人以上

無回答

0.0%

35.0%

0.0%

12.7%

35.5%

22.3%

41.9%

1.9%

9.7%

6.4%

6.5%

0.0%

6.5%

21.7%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

都道府県(n=31)

市区町村(n=157)

50人未満 50人以上~100人未満 100人以上~500人未満

500人以上~1000人未満 1000人以上~2000人未満 2000人以上

無回答

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42

(3)平成 30 年度における結婚支援センターを利用した引き合わせ数

平成 30 年度における結婚支援センターを利用した引き合わせ数について確認したところ、都

道府県では、「250 組以上~500 組未満」が 29.0%でもっとも回答割合が高く、次いで「500 組以

上~1000 組未満」「1000 組以上」が 25.8%、「50 組未満」「100 組以上~250 組未満」が 3.2%と

なっている。市区町村では、「50 組未満」が 35.7%でもっとも回答割合が高く、次いで「250 組

以上~500 組未満」が 14.6%、「100 組以上~250 組未満」が 12.1%となっている。

図表 49 平成 30 年度における結婚支援センターを利用した引き合わせ数:数値回答(Q13-1-1)

(4)開設以降平成 29 年度までの結婚支援センターを利用した引き合わせ数

開設から平成 29 年度までにおける結婚支援センターを利用した引き合わせ数について確認し

たところ、都道府県では、「1000 組以上」が 48.4%でもっとも回答割合が高く、次いで「500 組

以上~1000 組未満」が 12.9%、「250 組以上~500 組未満」が 9.7%となっている。市区町村で

は、「1000 組以上」が 23.6%でもっとも回答割合が高く、次いで「50 組未満」が 19.1%、「100組以上~250 組未満」が 7.0%となっている。

図表 50 開設以降平成 29 年度までの結婚支援センターを利用した引き合わせ数:数値回答(Q13-1-2)

3.2%

35.7%

0.0%

3.8%

3.2%

12.1%

29.0%

14.6%

25.8%

1.3%

25.8%

5.1%

12.9%

27.4%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

都道府県(n=31)

市区町村(n=157)

50組未満 50組以上~100組未満 100組以上~250組未満

250組以上~500組未満 500組以上~1000組未満 1000組以上

無回答

3.2%

19.1%

0.0%

4.5%

6.5%

7.0%

9.7%

6.4%

12.9%

1.3%

48.4%

23.6%

19.4%

38.2%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

都道府県(n=31)

市区町村(n=157)

50組未満 50組以上~100組未満 100組以上~250組未満

250組以上~500組未満 500組以上~1000組未満 1000組以上

無回答

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43

(5)平成 30 年度における結婚支援センターを利用した成婚組数

平成 30 年度における結婚支援センターを利用した成婚組数について確認したところ、都道府

県では、「10 組以上~25 組未満」が 29.0%でもっとも回答割合が高く、次いで「25 組以上~50組未満」が 19.4%、「50 組以上~125 組未満」が 16.1%となっている。市区町村では、「10 組未

満」が 47.8%でもっとも回答割合が高く、次いで「10 組以上~25 組未満」が 20.4%、「25 組以

上~50 組未満」が 4.5%となっている。

図表 51 平成 30 年度における結婚支援センターを利用した成婚組数:数値回答(Q13-2-1)

(6)開設以降平成 29 年度までの結婚支援センターを利用した成婚組数

開設から平成 29 年度までにおける結婚支援センターを利用した成婚組数について確認したと

ころ、都道府県では、「25 組以上~50 組未満」が 22.6%でもっとも回答割合が高く、次いで「10組以上~25 組未満」が 19.4%、「10 組未満」「250 組以上」が 12.9%となっている。市区町村で

は、「10 組未満」が 29.9%でもっとも回答割合が高く、次いで「50 組以上~125 組未満」が 19.7%、

「10 組以上~25 組未満」が 6.4%となっている。

図表 52 開設以降平成 29 年度までの結婚支援センターを利用した成婚組数:数値回答(Q13-2-2)

12.9%

47.8%

29.0%

20.4%

19.4%

4.5%

16.1%

1.3%

6.5%

0.6%

3.2%

0.0%

12.9%

25.5%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

都道府県(n=31)

市区町村(n=157)

10組未満 10組以上~25組未満 25組以上~50組未満

50組以上~125組未満 125組以上~250組未満 250組以上

無回答

12.9%

29.9%

19.4%

6.4%

22.6%

5.1%

3.2%

19.7%

6.5%

2.5%

12.9%

1.3%

22.6%

35.0%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

都道府県(n=31)

市区町村(n=157)

10組未満 10組以上~25組未満 25組以上~50組未満

50組以上~125組未満 125組以上~250組未満 250組以上

無回答

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44

3.結婚支援センターの運営状況

(1)登録者からの年会費の徴収状況

結婚支援センターへの登録者から、年会費を徴収している割合は、都道府県では 74.2%、市区

町村では 34.4%となっている。

図表 53 登録者からの年会費の徴収状況:単数回答(Q14)

(2)結婚支援センターの年会費

結婚支援センターへの登録者から年会費を徴収している自治体について、年会費の金額をみる

と、都道府県では、「5000 円以上~10000 円未満」が 78.3%でもっとも回答割合が高く、次いで

「3000 円以上~5000 円未満」が 13.0%となっている。市区町村では、「5000 円以上~10000 円

未満」が 64.8%でもっとも回答割合が高く、次いで「3000 円以上~5000 円未満」が 14.8%とな

っている。

図表 54 結婚支援センターの年会費:数値回答(Q14sq)

74.2%

34.4%

22.6%

44.6%

3.2%

21.0%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

都道府県(n=31)

市区町村(n=157)

徴収している 徴収していない 無回答

0.0%

13.0%

13.0%

14.8%

78.3%

64.8%

4.3%

7.4%

4.3%

0.0%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

都道府県(n=23)

市区町村(n=54)

3000円未満 3000円以上~5000円未満 5000円以上~10000円未満

10000円以上~15000円未満 15000円以上

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45

(3)結婚支援センター利用者の限定状況

結婚支援センターの利用者を「限定している」割合は、都道府県では 6.5%、市区町村では 16.6%となっている。

図表 55 結婚支援センター利用者の限定状況:単数回答(Q15)

(4)結婚支援センター利用者の登録可能範囲

結婚支援センターの利用者を限定している都道府県は2団体であり、登録可能範囲については、

いずれも「(センターが立地する)都道府県内まで」としている。同様に市区町村では、「(センタ

ーが立地する)市区町村内まで」が 42.3%でもっとも回答割合が高く、次いで「近隣の市区町村

内まで」が 34.6%となっている。

図表 56 結婚支援センター利用者の登録可能範囲:単数回答(Q15sq)

6.5%

16.6%

93.5%

61.8%

0.0%

21.7%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

都道府県(n=31)

市区町村(n=157)

限定している 限定していない 無回答

42.3% 34.6%

100.0%

15.4%

0.0%

0.0%

0.0%

7.7%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

都道府県(n=2)

市区町村(n=26)

市区町村内まで 近隣の市区町村内まで 都道府県内まで 近隣の都道府県内まで 無回答

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46

新婚世帯への給付・助成等の実施状況

1.施策の実施状況

(1)新婚世帯に対する給付・助成等の実施状況

平成 30 年度に、自治体内の新婚世帯に対して給付・助成等(新生活を経済的に支援する施策)

を実施している割合は、都道府県では2団体(4.8%)、市区町村では 290 団体(29.0%)となっ

ている。

図表 57 自治体内の新婚世帯に対する給付・助成等の実施有無:単数回答(Q23)

(2)新婚世帯に対する給付・助成等の事業

平成 30 年度に新婚世帯に対する給付・助成等を実施した自治体に対して、実施した事業につい

て質問した。 都道府県では、新婚世帯に対する給付・助成等を実施しているのは2団体であり、うち「自治体

独自の事業」が1団体となっている。市区町村では、「自治体独自の事業」が 60.7%でもっとも

回答割合が高く、次いで「内閣府の「地域少子化対策重点推進交付金(結婚新生活支援事業)」」

が 56.6%となっている。

図表 58 新婚世帯に対する給付・助成等の事業:複数回答(Q24)

4.8%

29.0%

95.2%

70.0%

0.0%

1.0%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

都道府県(n=42)

市区町村(n=1000)

実施した 実施していない 無回答

50.0%

0.0%

0.0%

50.0%

60.7%

56.6%

14.8%

0.0%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

自治体独自の事業

内閣府の「地域少子化対策重点推進交付金」

その他

無回答

自治体独自の事業

内閣府の「地域少子化対策重点推進交付金

(結婚新生活支援事業)」

その他

無回答

都道府県(n=2)

市区町村(n=290)

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47

(3)新婚世帯に対する給付・助成等の周知方法

新婚世帯に対する給付・助成等の周知方法をみると、都道府県では、「自治体の広報紙・チラシ」

「自治体の窓口」がそれぞれ1団体となっている。市区町村では、「自治体のホームページ」が

87.9%でもっとも回答割合が高く、次いで「自治体の広報紙・チラシ」が 84.8%となっている。

図表 59 新婚世帯に対する給付・助成等の周知方法:複数回答(Q25)

(4)結婚新生活支援事業を実施した理由

「内閣府の地域少子化対策重点推進交付金(結婚新生活支援事業)」を実施した自治体につい

て、実施した理由について質問した。 市区町村では、「「結婚新生活支援事業」による補助があったため」が 91.4%でもっとも回答割

合が高く、次いで「経済的理由で結婚をためらう人を支援するため」が 74.7%となっている。

図表 60 結婚新生活支援事業を実施した理由:複数回答[3つまで](Q26)

50.0%

50.0%

0.0%

0.0%

0.0%

0.0%

0.0%

0.0%

84.8%

84.1%

87.9%

11.0%

14.8%

5.9%

0.7%

3.4%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

自治体の広報紙・チラシ

自治体の窓口

自治体のホームページ

新聞記事・インターネット記事

民間との連携

その他

特に周知を行っていない

無回答

91.4%

74.7%

45.1%

6.8%

3.7%

2.5%

1.2%

0.6%

3.1%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

「結婚新生活支援事業」による補助があったため

経済的理由で結婚をためらう人を支援するため

移住政策等、他の施策と組み合わせて実施することによ

り相乗効果を図るため

首長の関心が高かったため

近隣の自治体が実施しているため

議会で取り上げられたため

住民の要望があったため

その他

無回答

「結婚新生活支援事業」による補助があったため

経済的理由で結婚をためらう人を支援するため

移住政策等、他の施策と組み合わせて実施することに

より相乗効果を図るため

首長の関心が高かったため

近隣の自治体が実施しているため

議会で取り上げられたため

住民の要望があったため

その他

無回答

都道府県(n=2)

市区町村(n=290)

市区町村(n=162)

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48

(5)結婚新生活支援事業を実施した市区町村の特徴

内閣府の「地域少子化対策重点推進交付金(結婚新生活支援事業)」(以下「結婚新生活支援事

業」という。)を実施している自治体の特徴をみるため、以下、新婚世帯に対する給付・助成等の

実施状況別に、少子化対策で想定される効果(問 4①)、結婚・妊娠・出産・育児に関する切れ目

への対応状況(問 7)、結婚・妊娠・出産・育児の切れ目のない支援を実施する上での課題(問 8)、地域少子化対策重点推進交付金事業を実施した結果(問 36)、少子化対策に関する取組に関して

定められている計画の有無(問 40)とのクロス集計を実施した。 なお、都道府県については、新婚世帯に対する給付・助成等の事業を実施している団体が2団

体であったため、以下では市区町村の回答のみを記載している。 <新婚世帯に対する給付・助成等(問 24)×少子化対策で想定される効果(問 4①)>

平成 30 年度に「結婚新生活支援事業を実施した」自治体は、他と比べて、「他自治体からの転

入者の増加」「婚姻数の増加」の回答割合が高くなっている。

図表 61 給付・助成等の実施状況別 少子化対策で想定される効果:単数回答(Q24×Q4①)

注:クロス軸の作成方法は以下のとおりである。以下同様。

「結婚新生活支援事業を実施した」 ;問 24 にて、「内閣府の「地域少子化対策重点推進交付金(結婚新生活支援事業)」と回答した自治体

「上記以外の新婚世帯に対する給付・助成等を行った」 ;問 24 にて、「自治体独自の事業」もしくは「その他」と回答した自治体

「新婚世帯に対する給付・助成等を行っていない」 ;問 23 にて、平成 30 年度に新婚世帯に対する給付・助成等を「実施していない」と回答した自治体

68.9%

66.5%

65.9%

48.2%

3.7%

3.7%

3.0%

62.7%

73.8%

57.1%

54.8%

0.8%

7.9%

4.0%

55.2%

64.6%

43.7%

45.2%

1.8%

9.6%

11.0%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

他自治体からの転入者の増加

出生数の増加

婚姻数の増加

他自治体への転出者の減少

その他

特にない

無回答

結婚新生活支援事業を実施した(n=164)

上記以外の新婚世帯に対する給付・助成等を行った(n=126)

新婚世帯に対する給付・助成等を行っていない(n=710)

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49

<新婚世帯に対する給付・助成等(問 24)×結婚・妊娠・出産・育児に関する切れ目への 対応状況(問 7)> 「結婚新生活支援事業を実施した」自治体は、他と比べて、「切れ目があった部分について、地

域少子化対策重点推進交付金で事業を実施した」とする割合が高い一方で、「まだ切れ目は完全に

つなぎ切れていない部分があるが、今後事業を実施する予定である」「切れ目があった部分につい

て、対応する必要性を感じていない」の回答割合が低くなっている。 また、「上記以外の新婚世帯に対する給付・助成等を行った」自治体は、「切れ目があった部分

について、自主財源で事業を実施した」の回答割合が他と比べて高くなっている。

図表 62 給付・助成等の実施状況別 結婚・妊娠・出産・育児に関する支援事業への切れ目がある場合

の対応:複数回答(Q24×Q7)

45.7%

20.7%

18.3%

11.0%

6.1%

6.7%

7.3%

10.3%

36.5%

28.6%

4.8%

7.1%

12.7%

12.7%

8.7%

24.1%

27.9%

3.5%

12.4%

16.1%

17.2%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

切れ目があった部分について、地域少子化対策重

点推進交付金で事業を実施した

切れ目があった部分について、自主財源で事業を実

施した

まだ切れ目は完全につなぎ切れていない部分があ

るが、今後事業を実施する予定である

事業実施以前に、結婚・妊娠・出産・育児に関する支

援の切れ目はない状態になっていた

切れ目があった部分について、対応する必要性を感

じていない

その他

無回答

切れ目があった部分について、地域少子化対策重

点推進交付金で事業を実施した

切れ目があった部分について、自主財源で事業を

実施した

まだ切れ目は完全につなぎ切れていない部分があ

るが、今後事業を実施する予定である

事業実施以前に、結婚・妊娠・出産・育児に関する

支援の切れ目はない状態になっていた

切れ目があった部分について、対応する必要性を

感じていない

その他

無回答

結婚新生活支援事業を実施した(n=164)

上記以外の新婚世帯に対する給付・助成等を行った(n=126)

新婚世帯に対する給付・助成等を行っていない(n=710)

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50

<新婚世帯に対する給付・助成等(問 24)×切れ目のない支援を実施する上での課題(問 8)> 「結婚新生活支援事業を実施した」自治体は、「財源が不十分である」と回答する割合が 71.1%

と、他の自治体に比べて高くなっている。

図表 63 給付・助成等の実施状況別 切れ目のない支援を実施する上での課題:複数回答

(Q24×Q8)

注:問 8 は、問 7 において「切れ目があった部分について、地域少子化対策重点推進交付金(地域少子化対

策強化交付金)で事業を実施した」「切れ目があった部分について、自主財源で事業を実施した」「まだ切

れ目は完全につなぎ切れていない部分があるが、今後事業を実施する予定である」「地域少子化対策重点

推進交付金(地域少子化対策強化交付金)事業実施以前に、結婚・妊娠・出産・育児に関する支援の切れ

目はない状態になっていた」「その他」のうち、1つでも回答した自治体が対象である。

71.1%

59.2%

52.8%

23.2%

19.0%

6.3%

2.8%

7.7%

59.8%

63.6%

56.1%

32.7%

23.4%

9.3%

3.7%

11.2%

55.8%

59.9%

53.6%

25.5%

20.3%

10.2%

5.2%

9.4%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

財源が不十分である

人的資源が不足している

取り組むための組織体制が不十分である

効果的な事業計画が設計できない

事業実施に必要な情報が不足している

どのように取り組めばよいのかわからない

その他

無回答

結婚新生活支援事業を実施した(n=142)

上記以外の新婚世帯に対する給付・助成等を行った(n=107)

新婚世帯に対する給付・助成等を行っていない(n=541)

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51

<新婚世帯に対する給付・助成等(問 24)×地域少子化対策重点推進交付金事業の実施結果 (問 36)>

「結婚新生活支援事業を実施した」自治体は、他と比べて、地域少子化対策重点推進交付金を

活用して、「これまで取り組んだことのない新規事業を行うことができた」、「既存の事業の、結

婚・妊娠・出産・育児で切れ目があった部分をつなぐことができた」などの回答割合が高くなって

いる。

図表 64 給付・助成等の実施状況別 地域少子化対策重点推進交付金事業の実施結果:複数回答

(Q24×Q36)

52.4%

32.3%

17.7%

17.1%

16.5%

11.6%

11.0%

10.4%

8.5%

5.5%

4.9%

4.9%

0.0%

0.0%

2.8%

15.1%

7.1%

5.6%

4.0%

5.6%

2.4%

7.1%

4.0%

4.0%

3.2%

4.0%

1.6%

1.6%

65.1%

4.0%

12.5%

5.1%

4.4%

3.2%

4.9%

2.1%

4.6%

3.1%

4.6%

1.5%

1.5%

1.5%

0.4%

75.6%

1.3%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

これまで取り組んだことのない新規事業を行うことが

できた

既存の事業の、結婚・妊娠・出産・育児で切れ目が

あった部分をつなぐことができた

少子化対策に関する自治体内の機運が醸成された

自治体内の少子化対策関連予算が増加した

他の自治体の少子化対策事業を参考にするなど、視

野が広がった

これまで以上に、自治体内の部局間での連携を図る

ようになった

結婚・妊娠・出産・育児に関する切れ目のない「情報

提供」が図れるようになった

自治体内の既存の少子化関連事業を整理し、見直し

を図れた

これまで以上に、地域の関係諸団体・組織との連携

を図るようになった

いずれもあてはまらない

結婚・妊娠・出産・育児に関する切れ目のない「人的・

組織的ネットワーク」がつくれた

これまで以上に、他の自治体との連携を図るように

なった

その他

これまで一度も地域少子化対策重点推進交付金事

業を実施したことがない

無回答

これまで取り組んだことのない新規事業を行うこと

ができた

既存の事業の、結婚・妊娠・出産・育児で切れ目が

あった部分をつなぐことができた

少子化対策に関する自治体内の機運が醸成された

自治体内の少子化対策関連予算が増加した

他の自治体の少子化対策事業を参考にするなど、

視野が広がった

これまで以上に、自治体内の部局間での連携を図る

ようになった

結婚・妊娠・出産・育児に関する切れ目のない「情報

提供」が図れるようになった

自治体内の既存の少子化関連事業を整理し、見直

しを図れた

これまで以上に、地域の関係諸団体・組織との連携

を図るようになった

いずれもあてはまらない

結婚・妊娠・出産・育児に関する切れ目のない「人

的・組織的ネットワーク」がつくれた

これまで以上に、他の自治体との連携を図るように

なった

その他

これまで一度も地域少子化対策重点推進交付金事

業を実施したことがない

無回答

結婚新生活支援事業を実施した(n=164)

上記以外の新婚世帯に対する給付・助成等を行った(n=126)

新婚世帯に対する給付・助成等を行っていない(n=710)

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52

<新婚世帯に対する給付・助成等(問 24)×少子化対策に関する取組に関して定められている 計画の有無(問 40)>

「結婚新生活支援事業を実施した」自治体は、少子化対策に関する取組に関して定められて

いる計画が「あり」と回答した割合が 82.3%と、他と比べて高い傾向がみられる。

図表 65 給付・助成等の実施状況別 少子化対策に関する取組に関して定められている計画の

有無:単数回答(Q24×Q40)

82.3%

72.2%

66.3%

11.6%

23.8%

29.2%

6.1%

4.0%

4.5%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

結婚新生活支援事業を実施した(n=164)

上記以外の新婚世帯に対する給付・助成等を行った

(n=126)

新婚世帯に対する給付・助成等を行っていない(n=710)

あり なし 無回答

上記以外の新婚世帯に対する給付・助成等を行った

(n=126)

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53

2.自治体独自の給付・助成について

(1)給付・助成等の支給条件の有無

「自治体独自の事業(祝い金・地域振興券等の給付)」を実施した自治体に対して、対象世帯に

ついての支給条件の有無を確認した。市区町村では、「設けている」が 73.3%となっている。 なお、都道府県では、該当する団体が1団体のため、以降の設問については市区町村の結果の

みを掲載している。

図表 66 自治体独自の給付・助成等の支給条件の設定状況:単数回答(Q27)

(2)自治体独自の給付・助成等の支給条件の具体的な内容

対象世帯についての支給条件を設けている自治体について、具体的な条件の内容について確認

した。 市区町村では、「税金等の滞納がないこと」が 65.9%でもっとも回答割合が高く、次いで「婚

姻届の受理日から一定期間内であること」が 63.6%、「婚姻後、一定期間自治体内に居住すること」

が 58.9%となっている。

図表 67 自治体独自の給付・助成等の支給条件の具体的な内容:複数回答(Q28)

73.3% 26.7%

0.0%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

市区町村(n=176)

設けている 設けていない 無回答

65.9%

63.6%

58.9%

32.6%

20.2%

7.0%

6.2%

31.0%

1.6%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

税金等の滞納がないこと

婚姻届の受理日から一定期間内であること

婚姻後、一定期間自治体内に居住すること

夫または妻、夫婦の合計年齢が一定値以下であること

市内の賃貸住宅に居住していること

世帯所得が一定額以下であること

夫または妻が地域外からの転入者であること

その他

無回答

市区町村(n=129)

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54

(3)自治体独自の給付等事業を実施した理由

自治体独自の給付等事業を実施した理由をみると、市区町村では、「移住政策等、他の施策と組

み合わせて実施することにより相乗効果を図るため」が 69.8%でもっとも回答割合が高く、次い

で「経済的理由で結婚をためらう人を支援するため」が 29.5%となっている。

図表 68 自治体独自の給付等事業を実施した理由:複数回答[3つまで](Q29)

【その他の具体的な内容】 ○市区町村 子育て支援 ・出産のお祝いと子育てをサポートすることで、安心して子どもを

産み育てる環境づくりを図るため。 経済的支援 ・多子世帯の経済負担を軽減するため。 地方創生・若者の定住対策 ・地域社会の中での一層の貢献の期待を担った若者を祝福するた

め。 ・婚姻を祝福するとともに経済的な支援を図ることで、若年層住民

の増加及び安定化を促進するため。 ・流出の抑制および定住促進のため。

一次産業等の後継者対策 ・一次産業の後継者対策。 ・農業後継者対策のため。

69.8%

29.5%

17.1%

8.5%

3.9%

3.9%

1.6%

14.7%

3.1%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

移住政策等、他の施策と組み合わせて実施することによ

り相乗効果を図るため

経済的理由で結婚をためらう人を支援するため

首長の関心が高かったため

近隣の自治体が実施しているため

住民の要望があったため

議会で取り上げられたため

以前、「結婚新生活支援事業」による補助を利用していた

が、自主財源に移行したため

その他

無回答

移住政策等、他の施策と組み合わせて実施することによ

り相乗効果を図るため

経済的理由で結婚をためらう人を支援するため

首長の関心が高かったため

近隣の自治体が実施しているため

住民の要望があったため

議会で取り上げられたため

以前、「結婚新生活支援事業」による補助を利用してい

たが、自主財源に移行したため

その他

無回答市区町村(n=129)

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55

3.新婚世帯に対する給付・助成等を実施しなかった理由

平成 30年度に新婚世帯に対する給付・助成等を実施しなかった自治体に、その理由を質問した。

都道府県では、「市区町村が行う取組であるため」が 62.5%でもっとも回答割合が高く、次いで

「財源がなかったため」が 20.0%、「ほかに優先度の高い事業があったため」が 17.5%となって

いる。市区町村では、「財源がなかったため」が 46.6%でもっとも回答割合が高く、次いで「取

り組むための組織体制が不十分であったため」が 33.0%、「効果が見込めなかったため」が 27.1%となっている。

図表 69 新婚世帯に対する給付・助成等を実施しなかった理由:複数回答(Q30)

※都道府県は「市区町村が行う取組であるため」、市区町村は「都道府県が行う取組であるため」として回答。

62.5%

20.0%

17.5%

7.5%

7.5%

5.0%

2.5%

0.0%

0.0%

0.0%

0.0%

0.0%

0.0%

15.0%

5.0%

1.0%

46.6%

13.7%

33.0%

27.1%

23.6%

16.6%

22.7%

6.0%

13.9%

6.7%

9.1%

0.3%

7.7%

2.3%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

都道府県(市区町村)が行う取組であるため※

財源がなかったため

ほかに優先度の高い事業があったため

取り組むための組織体制が不十分であったため

効果が見込めなかったため

人的資源が不足しているため

事業実施に必要な情報が不足していたため

効果的な事業計画が設計できなかったため

取り組むための準備期間が不足していたため

住民のニーズ・要望が高くないため

どのように取り組めばよいかわからなかったため

取り組む必要を感じなくなったため

目的を達成したため

その他

無回答

都道府県(n=40)

市区町村(n=700)

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56

【その他の具体的な内容】 ○都道府県

○市区町村 他事業の実施 ・子育て支援の方に力を入れているため。

・住宅に関する補助事業を実施しているため。 ・新婚世帯だけでなく、定住促進として支援事業を行っているため。

民間の参入 ・民間企業が独自に子育て世帯に対する家賃割引を実施されてお

り、市として給付・助成事業を実施することは、民間の事業に影

響を及ぼす可能性があるため。 ニーズの把握 ・ニーズの把握、制度設計が難しいため。 効果検証 ・費用対効果などを考慮しながら慎重に検討すべきであり、実施に

いたっていない。 ・結婚を後押しする目的につながっているとは言い難い点もあり、

市として事業実施には至っていない。 対象の限定性 ・「新婚世帯のみ」を理由とした給付・助成等の必要性を感じないた

め。 ・年齢制限の壁があるため。

自治体の立場 ・行政が支援をどこまで行うか議論が分かれた。 財源 ・財源有りきの制度導入は、後々財源がなくなった際に継続が難し

くなるので取り組まない。

市区町村事業とのすみ

分け

・市町村事業として実施しているため。 ・市町村の取り組みに任せているため。 ・内閣府の結婚新生活支援事業について、市町村への間接補助を行っ

ている。 ・市町で実施すべき事業と考えるため。

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57

「結婚、妊娠・出産、乳児期を中心とする子育てに温かい社会づくり・機運の醸成の取

組」の実施状況

1.施策の実施状況

(1)平成 30 年度における「結婚、妊娠・出産、乳児期を中心とする子育てに温かい社会づく

り・機運の醸成の取組」(以下「機運醸成の取組」という。)の実施状況と交付金の利用状況

平成 30 年度における「機運醸成の取組」の実施状況をみると、都道府県では、「h 子育て支援

パスポート事業」が 97.6%でもっとも回答割合が高く、次いで「b 男性の家事・育児への参画促

進に関する取組」が 78.6%となっている。市区町村では、「b 男性の家事・育児への参画促進に

関する取組」が 34.0%でもっとも回答割合が高く、次いで「e 乳幼児とのふれあい体験」が 31.0%となっている。

図表 70 平成 30 年度における「機運醸成の取組」の実施状況:複数回答(Q31(1))

注1:実施率は、「交付金を活用して実施した」「交付金以外の補助金等を活用して実施した」「自主財源で実施し

た」「【市区町村のみ】都道府県事業に参加・協力・共同実施した」に1つでも回答した自治体の割合であ

る。 注2:上段が都道府県、下段が市区町村を表す。

単位:[%]

交付金を活用して実施した

交付金以外の補助金等を活用して実施した

自主財源で実施した

【市区町村のみ】都道府県の事業に参加・協力・共同実施した

過去に取り組んだことはあるが、H30年度は取り組まなかった

これまで一度も取り組んだことがない

59.5 14.3 16.7 28.6 0.0 7.1 21.4 11.9 59.69.9 0.2 0.8 7.7 1.4 2.6 78.5 9.0 13.0

78.6 47.6 14.3 21.4 0.0 7.1 4.8 9.5 70.234.0 1.3 4.7 26.9 2.7 4.9 54.1 7.0 37.476.2 54.8 7.1 16.7 0.0 7.1 7.1 9.5 74.59.4 1.3 1.4 6.3 0.6 2.7 79.1 8.8 12.2

50.0 28.6 9.5 11.9 0.0 16.7 23.8 9.5 46.86.5 0.8 1.1 4.4 0.6 3.4 80.9 9.2 7.8

28.6 23.8 0.0 4.8 0.0 19.0 42.9 9.5 38.331.0 1.7 3.9 24.5 1.5 4.9 56.7 7.4 36.228.6 21.4 0.0 7.1 0.0 38.1 26.2 7.1 40.41.5 0.1 0.2 0.2 1.0 2.7 87.1 8.7 4.0

21.4 11.9 2.4 9.5 0.0 0.0 71.4 7.1 17.06.3 0.0 0.0 0.3 6.0 0.6 84.8 8.3 4.6

97.6 33.3 2.4 64.3 0.0 0.0 0.0 2.4 100.029.8 0.1 0.3 5.3 24.9 0.7 62.0 7.5 36.94.8 4.8 0.0 0.0 0.0 9.5 76.2 9.5 2.13.0 0.1 0.4 1.9 0.7 1.5 86.3 9.2 1.8

52.4 23.8 4.8 26.2 0.0 9.5 28.6 9.5 51.117.5 0.6 4.3 11.1 2.3 2.7 71.0 8.8 19.528.6 19.0 0.0 9.5 0.0 14.3 47.6 9.5 40.48.3 0.1 1.3 6.1 1.1 3.1 79.2 9.4 8.7

76.2 40.5 2.4 35.7 0.0 7.1 9.5 7.1 72.37.0 0.7 1.1 4.0 1.3 2.9 81.0 9.1 8.5

14.3 7.1 2.4 4.8 0.0 0.0 7.1 78.6 10.61.8 0.1 0.4 1.3 0.1 0.9 35.2 62.1 3.8

m その他

g 結婚応援パスポート事業

都道府県(n=42)市区町村(n=1,000)

実施率

i 講演会・セミナー等の講師の育成

j 支援者(ボランティアを含む)の育成

k 地域の課題の抽出・分析、見える化等の取組

h子育て支援パスポート事業

f 結婚応援フォーラム

e 乳幼児とのふれあい体験

d ライフデザイン教育(社会人対象)

c ライフデザイン教育(学生対象)

b 男性の家事・育児への参画促進に関する取組

a 男性の配偶者の出産直後の休暇取得の促進に関する取組

今年度実施 今年度の実施なし

〔参考〕平成29年度都道府県市区町村

l 機運醸成の取組(キャンペーンなど)

無回答

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58

都道府県における平成 30 年度の「機運醸成の取組」の実施状況をみると、交付金を活用した

取組分野数がもっとも多いのは滋賀県・京都府(7分野)であり、次いで富山県・石川県・鳥取

県・高知県(6分野)となっている。交付金を活用していない取組分野数がもっとも多いのは、

東京都・山口県(7分野)、次いで栃木県・群馬県・岡山県(6分野)である。

図表 71 平成 30 年度における「機運醸成の取組」の実施状況(都道府県)

a b c d e f g h i j k l m男性の配偶者の出産直後

の休暇取得の促進に関す

る取組

男性の家事・育児

への参画促進に

関する取組

ライフデザイン教育

(学

生対象

ライフデザイン教育

(社

会人対象

乳幼児とのふれあい体験

結婚応援フ

ォー

ラム

結婚応援パスポー

ト事業

子育て支援

パスポー

ト事業

講演会・セミナー

等の講

師の育成

支援者

(ボランテ

ィアを

含む

)の育成

地域の課題の抽出・分

、見える化等の取組

機運醸成の取組

(キ

ャン

ペー

ンなど

その他

取組あり

(交付金活用以外

取組あり

(交付金活用

うち30年度に新たに取

り組まれたもの

取組なし

北海道 - N N 無回答 1 4 2 7青森県 N N N 無回答 3 2 3 7岩手県 無回答 無回答 無回答 無回答 無回答 無回答 無回答 無回答 無回答 無回答 無回答 無回答 0 1 0 0宮城県 無回答 無回答 無回答 無回答 無回答 無回答 無回答 無回答 無回答 無回答 無回答 無回答 0 1 0 0秋田県 - - 無回答 5 2 0 5山形県 - 無回答 3 3 0 6福島県茨城県 N N N N 4 5 4 4栃木県 無回答 6 0 0 6群馬県 - - 6 4 0 3埼玉県 N N N 無回答 0 4 3 8千葉県東京都 7 1 0 5神奈川県 - 無回答 - 無回答 3 1 0 7新潟県 N N - 無回答 5 2 2 5富山県 無回答 - 2 6 0 4石川県 - N - 無回答 1 6 1 5福井県 - - - 無回答 2 1 0 9山梨県 無回答 無回答 無回答 無回答 無回答 無回答 無回答 無回答 無回答 0 4 0 0長野県 N N N 無回答 2 5 3 5岐阜県 無回答 2 4 0 6静岡県 - - - - - 無回答 2 2 0 8愛知県 N N - 無回答 3 3 2 6三重県 - 無回答 5 3 0 4滋賀県 N N 無回答 1 7 2 4京都府 無回答 1 7 0 4大阪府兵庫県奈良県 - N N 3 3 2 7和歌山県鳥取県 - - - 無回答 2 6 0 4島根県 - - N - N 無回答 5 3 2 4岡山県 無回答 6 3 0 3広島県 N - N 5 4 2 4山口県 N 無回答 7 1 1 4徳島県 無回答 4 5 0 3香川県 - - - - - - 無回答 1 2 0 9愛媛県 N - N N - N 3 4 4 6高知県 無回答 0 6 0 6福岡県 N 無回答 3 5 1 4佐賀県 - - 無回答 4 2 0 6長崎県 - - 0 4 0 9熊本県 N N - 無回答 3 4 2 5大分県 N - 無回答 3 3 1 6宮崎県 - - 4 3 0 6鹿児島県 - - N 無回答 2 3 1 7沖縄県 無回答 無回答 無回答 無回答 無回答 無回答 無回答 無回答 無回答 無回答 無回答 無回答 1 0 0 0

取組あり(交付金活用以外) 19 13 9 9 2 3 4 27 0 12 4 15 3 120 139 38 211

取組あり(交付金活用) 6 20 23 12 10 9 5 14 2 10 8 17 3

うち30年度に新たに取り組まれたもの 4 4 4 5 1 3 3 0 2 5 4 3 0取組なし 12 5 6 17 26 27 30 0 36 16 26 7 3

凡例:「N」…平成29年度は実施し ていなかったが、平成30年度は実施、「-」…平成29年度は実施し ていたが、平成30年度は実施せず灰色のセルは本年度回答が得られなかった団体である。

分野別

都道府県

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59

平成 30 年度に新たに取り組まれたのは、30 件である。 都道府県における平成 25 年度から平成 30 年度までの「機運醸成の取組」の実施状況の累計に

ついて、平成 29 年度までの累計と比較すると、交付金を活用したことがある取組数は 258 件(平

成 30 年度調査報告書:49 ページ)から 299 件と、41 件増加している。

図表 72 平成 25 年度から平成 30 年度における「機運醸成の取組」の実施状況(都道府県)

a b c d e f g h i j k l m男性の配偶

者の出産直後

の休暇取得

の促進に関す

る取組

男性の家事

・育児

への参画促

進に

関する取組

ライフデザ

イン教育

(学

生対象

ライフデザ

イン教育

(社

会人対象

乳幼児との

ふれあい体験

結婚応援フ

ォー

ラム

結婚応援パ

スポー

ト事業

子育て支援

パスポー

事業

講演会・セ

ミナー

等の講

師の育成

支援者

(ボ

ランテ

ィアを

含む

)の育

地域の課題

の抽出・分

、見える

化等の取組

機運醸成の

取組

(キ

ャン

ペー

ンなど

その他

取組あり

(交付金活

用以外

取組あり

(交付金活

うち30年

度に新たに取

り組まれた

もの

取組なし

北海道 - N - N 2 6 2 5青森県 - - 0 7 0 6岩手県 3 2 0 8宮城県 2 3 0 8秋田県 - - - 6 4 0 3山形県 - - 1 9 0 3福島県 0 2 0 11茨城県 N N N N 4 6 4 3栃木県 - - 1 7 0 5群馬県 - - N 2 10 0 1埼玉県 - ‐ - N 3 4 1 6千葉県 3 2 0 8東京都 7 1 0 5神奈川県 - - - - 1 9 0 3新潟県 N - N - 4 5 2 4富山県 - N 1 9 0 3石川県 - - N - 2 8 1 3福井県 ‐ ‐ - - - - 3 6 0 4山梨県 1 6 0 6長野県 N N ‐ - 2 8 2 3岐阜県 ‐ 1 6 0 6静岡県 - - - - ‐ - 2 8 0 3愛知県 N N - - ‐ 3 6 2 4三重県 ‐ - 3 7 0 3滋賀県 N N 0 8 2 5京都府 - - - 0 12 0 1大阪府 4 3 0 6兵庫県 1 5 0 7奈良県 - - ‐ N N 2 7 2 4和歌山県 0 7 0 6鳥取県 - - - 0 11 0 2島根県 ‐ - N ‐ N 4 7 2 2岡山県 2 8 0 3広島県 N - N N 3 7 2 3山口県 - N - 4 6 1 3徳島県 3 6 0 4香川県 - - - - - - ‐ 1 9 0 3愛媛県 - - N N - N 2 8 3 3高知県 - - - - 0 10 0 3福岡県 2 7 0 4佐賀県 ‐ - 4 4 0 5長崎県 - ‐ - - - 1 8 0 4熊本県 N N - 2 6 2 5大分県 N ‐ 1 6 1 6宮崎県 N N ‐ N 5 4 0 4鹿児島県 - ‐ ‐ N - 5 5 1 3沖縄県 0 4 0 9

取組あり(交付金活用以外)

19 13 4 6 6 3 0 6 1 15 11 14 5 103 299 30 209

取組あり(交付金活用)

18 30 39 28 19 35 11 41 5 15 23 24 11

うち30年度に新たに取り組まれたもの

2 3 1 4 1 2 3 0 2 5 4 3 0取組なし 10 4 4 13 22 9 36 0 41 17 13 9 31

凡例:「N」…こ れまでは実施していなかったが、平成30年度は実施、「-」…こ れまでは実施していたが、平成30年度は実施せず「N 」(斜体)は、平成25~28年度は実施していないが、昨年度は「無回答」であったため、本年度が初実施か判断できないものを指す

都道府県

分野別

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60

(2)最も古い「機運醸成の取組」を開始した年代

平成 30 年度における「機運醸成の取組」(問 31(1)a~m)のうち、もっとも古い取組を開始し

た年代をみると、都道府県では、「2000 年代」が 45.2%でもっとも回答割合が高く、次いで「2010年以降」が 26.2%となっている。市区町村では、「2010 年以降」が 34.2%でもっとも回答割合が

高く、次いで「わからない」が 24.5%となっている。

図表 73 最も古い取組を開始した年代:単数回答(Q31(2))

2.イベント等の開催状況

(1)乳幼児とのふれあい体験の開催地となった市区町村数

平成 30 年度における「機運醸成の取組」(問 31(1))の「e 乳幼児とのふれあい体験」におい

て、「交付金を活用して実施した」「交付金以外の補助金等を活用して実施した」「自主財源で実施

した」に1つでも回答した都道府県について、開催地となった市区町村数を把握した。その結果、

「1~5 市区町村」が 50.0%、「6~10 市区町村」が 25.0%となっている。

図表 74 乳幼児とのふれあい体験の開催地となった市区町村数:数値回答(Q32e)

11.9%

12.7%

45.2%

22.8%

26.2%

34.2%

16.7%

24.5%

0.0%

5.8%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

都道府県(n=42)

市区町村(n=640)

1999年以前 2000年代 2010年以降 わからない 無回答

50.0% 25.0% 8.3% 8.3% 8.3%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

都道府県(n=12)

1~5市区町村 6~10市区町村 11~20市区町村 20市区町村以上 無回答

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61

(2)結婚応援フォーラムの開催地となった市区町村数

平成 30 年度における「機運醸成の取組」(問 31(1))の「f 結婚応援フォーラム」において、

「交付金を活用して実施した」「交付金以外の補助金等を活用して実施した」「自主財源で実施し

た」に1つでも回答した都道府県について、開催地となった市区町村数をみると、「1~5 市区町

村」が 83.3%となっている。

図表 75 結婚応援フォーラムの開催地となった市区町村数:数値回答(Q32f)

(3)「機運醸成の取組」の周知方法

平成 30 年度における「機運醸成の取組」(問 31(1)a~m)について、「交付金を活用して実施

した」「交付金以外の補助金等を活用して実施した」「自主財源で実施した」「【市区町村のみ】都

道府県の事業に参加・協力・共同実施した」に1つでも回答した自治体に対して、実施している取

組の周知方法を把握した。 都道府県では、「自治体の広報紙・チラシ」「自治体のホームページ」が 97.6%でもっとも回答

割合が高く、次いで「新聞記事・インターネット記事」が 69.0%となっている。市区町村では、

「自治体の広報紙・チラシ」が 68.1%でもっとも回答割合が高く、次いで「自治体のホームペー

ジ」が 64.7%となっている。

図表 76 「機運醸成の取組」の周知方法:複数回答(Q33)

83.3%

0.0% 0.0%0.0%

16.7%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

都道府県(n=12)

1~5市区町村 6~10市区町村 11~20市区町村 20市区町村以上 無回答

97.6%

97.6%

69.0%

64.3%

40.5%

11.9%

0.0%

0.0%

68.1%

64.7%

12.3%

60.2%

11.4%

12.7%

6.3%

8.3%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

自治体の広報紙・チラシ

自治体のホームページ

新聞記事・インターネット記事

自治体の窓口

民間との連携

その他

特に周知を行っていない

無回答

都道府県(n=42)

市区町村(n=640)

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62

3.施策の課題、実施しない理由

(1)「機運醸成の取組」における課題

平成 30 年度における「機運醸成の取組」(問 31(1)a~m)において、「交付金を活用して実施

した」「交付金以外の補助金等を活用して実施した」「自主財源で実施した」「【市区町村のみ】都

道府県の事業に参加・協力・共同実施した」に1つでも回答した自治体に、取組の課題について質

問した。 都道府県では、「財源が不十分である」が 85.7%でもっとも回答割合が高く、次いで「人的資

源が不足している」が 45.2%となっている。市区町村では、「人的資源が不足している」が 53.6%でもっとも回答割合が高く、次いで「取り組むための組織体制が不十分である」が 51.4%となっ

ている。

図表 77 「機運醸成の取組」における課題:複数回答(Q34)

【その他の具体的な内容】 ○都道府県 参加者 ・当事者である 20~30 代との接点が薄い。 効果検証 ・事業による成果の把握が困難。

・取り組みの効果が見えづらい。 近隣地域や民間との連携

・男性の育児休業取得等にかかる企業側の協力を得ること。

○市区町村 参加者 ・セミナー等の集客が難しい。

・講座等への参加が困難な方へのアプローチ。 効果検証 ・事業効果が目に見えて出るものではないため、事業の必要性について

理解を得にくいところがある。 ・即効的な取組みはなく、長い取組みが必要。

近隣地域や民間との連携

・部署の垣根をこえた連携や情報共有が不十分である。 ・地域の様々な主体との連携体制の構築が必要である。 ・サービス等を提供、事業に協力できる民間事業所がない。 ・男性の育児休業取得等にかかる企業側の協力を得ること。

周知方法 ・情報発信力、制度の周知方法。 自治体の立場 ・基本、結婚については、それぞれ人の生き方であることから、自治体

が介入することが難しい。

85.7%

45.2%

28.6%

16.7%

9.5%

0.0%

11.9%

2.4%

50.3%

53.6%

51.4%

28.4%

16.3%

8.1%

4.4%

12.2%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

財源が不十分である

人的資源が不足している

取り組むための組織体制が不十分である

効果的な事業計画が設計できない

事業実施に必要な情報が不足している

どのように取り組めばよいのかわからない

その他

無回答

都道府県(n=42)

市区町村(n=640)

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63

(2)「機運醸成の取組」を実施しなかった理由

平成 30 年度における「機運醸成の取組」(問 31(1)a~m)の全ての取組において、「過去に取

り組んだことはあるが、平成 30 年度は取り組まなかった」「これまで一度も取り組んだことがな

い」に1つでも回答した自治体について、平成 30 年度に事業を実施しなかった理由について質

問した。 都道府県は該当する団体がなく、全都道府県で「機運醸成の取組」が何らか実施されている。

市区町村では、「取り組むための組織体制が不十分であったため」が 59.0%でもっとも回答割合

が高く、次いで「人的資源が不足しているため」が 50.3%となっている。

図表 78 「機運醸成の取組」を実施しなかった理由:複数回答(Q35)

【その他の具体的な内容】 ○市区町村 他事業の実施 ・その他の事業で妊娠・出産、乳児期等の子育て支援を行っているため。 体制整備 ・結婚から妊娠までを所管すべき担当やその業務内容が明確ではないた

め。 対象の限定性 ・「新婚世帯のみ」を理由とした給付・助成等の必要性を感じないため。

・年齢制限の壁があるため。 その他 ・町全体の日々の活動の中で、機運の醸成が出来ていると感じている。

59.0%

50.3%

42.1%

26.8%

18.0%

16.4%

15.8%

15.3%

7.7%

7.1%

4.9%

3.3%

1.1%

2.7%

3.8%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

取り組むための組織体制が不十分であったため

人的資源が不足しているため

財源がなかったため

効果的な事業計画が設計できなかったため

事業実施に必要な情報が不足していたため

住民のニーズ・要望が高くないため

効果が見込めなかったため

どのように取り組めばよいかわからなかったため

取り組むための準備期間が不足していたため

ほかに優先度の高い事業があったため

取り組む必要を感じなくなったため

都道府県(又は市区町村)が行う取組であるため

目的を達成したため

その他

無回答

市区町村(n=183)

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64

地域少子化対策重点推進交付金事業について

1.地域少子化対策重点推進交付金の効果等

(1)地域少子化対策重点推進交付金事業を実施したことによる結果

地域少子化対策重点推進交付金事業を実施したことによる結果について質問した。都道府県で

は、「これまで取り組んだことのない新規事業を行うことができた」が 76.2%でもっとも回答割

合が高く、次いで「他の自治体の少子化対策事業を参考にするなど、視野が広がった」が 57.1%となっている。市区町村では、「これまで一度も地域少子化対策重点推進交付金事業を実施したこ

とがない」が 61.9%でもっとも回答割合が高く、次いで「これまで取り組んだことのない新規事

業を行うことができた」が 19.4%となっている。

図表 79 地域少子化対策重点推進交付金事業を実施したことによる結果:複数回答(Q36)

76.2%

57.1%

42.9%

40.5%

38.1%

38.1%

35.7%

33.3%

28.6%

19.0%

9.5%

0.0%

0.0%

0.0%

0.0%

19.4%

6.9%

6.0%

5.6%

9.8%

5.2%

6.7%

2.1%

4.4%

2.4%

3.7%

0.5%

2.4%

61.9%

2.8%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

これまで取り組んだことのない新規事業を行うことが…

他の自治体の少子化対策事業を参考にするなど、視…

結婚・妊娠・出産・育児に関する切れ目のない「情報…

自治体内の少子化対策関連予算が増加した

既存の事業の、結婚・妊娠・出産・育児で切れ目が…

これまで以上に、地域の関係諸団体・組織との連携を…

少子化対策に関する自治体内の機運が醸成された

これまで以上に、他の自治体との連携を図るように…

自治体内の既存の少子化関連事業を整理し、見直し…

結婚・妊娠・出産・育児に関する切れ目のない「人的・…

これまで以上に、自治体内の部局間での連携を図る…

その他

いずれもあてはまらない

これまで一度も地域少子化対策重点推進交付金事…

無回答

これまで取り組んだことのない新規事業を行うことが

できた

他の自治体の少子化対策事業を参考にするなど、視

野が広がった

結婚・妊娠・出産・育児に関する切れ目のない「情報提

供」が図れるようになった

自治体内の少子化対策関連予算が増加した

既存の事業の、結婚・妊娠・出産・育児で切れ目が

あった部分をつなぐことができた

これまで以上に、地域の関係諸団体・組織との連携を

図るようになった

少子化対策に関する自治体内の機運が醸成された

これまで以上に、他の自治体との連携を図るように

なった

自治体内の既存の少子化関連事業を整理し、見直し

を図れた

結婚・妊娠・出産・育児に関する切れ目のない「人的・

組織的ネットワーク」がつくれた

これまで以上に、自治体内の部局間での連携を図る

ようになった

その他

いずれもあてはまらない

これまで一度も地域少子化対策重点推進交付金事業

を実施したことがない

無回答

都道府県(n=42)

市区町村(n=1000)

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65

(2)これまでにその事業に取り組まなかった理由

地域少子化対策重点推進交付金事業を実施したことによる結果において、「これまで取り組ん

だことのない新規事業を行うことができた」と回答した自治体に対して、これまでその事業に取

り組まなかった理由について把握した。 都道府県では、「財源がなかったため」が 81.3%でもっとも回答割合が高く、次いで「事業実

施に必要な情報が不足していたため」が 37.5%となっている。市区町村では、「財源がなかった

ため」が 83.5%でもっとも回答割合が高く、次いで「事業実施に必要な情報が不足していたため」

が 36.1%となっている。

図表 80 これまでにその事業に取り組まなかった理由:複数回答(Q37)

81.3%

37.5%

9.4%

0.0%

15.6%

0.0%

83.5%

36.1%

17.5%

12.4%

4.1%

0.5%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

財源がなかったため

事業実施に必要な情報が不足していたため

人的資源が不足していたため

他部局にまたがる事業だったため

その他

無回答

都道府県(n=32)

市区町村(n=194)

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66

2.地域少子化対策重点推進交付金活用後の状況について

(1)「結婚に関する取組」について

「結婚に関する取組」について、地域少子化対策重点推進交付金の活用後の状況をみると、都

道府県では、「交付金の活用をやめた後、自主財源で取組を継続している」が 45.2%でもっとも回

答割合が高く、次いで「交付金の活用をやめた後、取組自体の実施をとりやめた」が 33.3%とな

っている。市区町村では、「これまで一度も地域少子化対策重点推進交付金事業を実施したことが

ない」が 66.7%でもっとも回答割合が高く、次いで「いずれの取組についても、継続して交付金

を活用している」が 13.5%、「交付金の活用をやめた後、自主財源で取組を継続している」が 6.3%となっている。

図表 81 「結婚に関する取組」について、交付金活用後の状況:複数回答(Q38)

45.2%

33.3%

21.4%

4.8%

2.4%

0.0%

4.8%

2.4%

6.3%

3.7%

13.5%

1.3%

66.7%

0.6%

1.7%

7.1%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

交付金の活用をやめた後、自主財源で取組を継続し

ている

交付金の活用をやめた後、取組自体の実施をとりや

めた

いずれの取組についても、継続して交付金を活用し

ている

交付金の活用をやめた後、交付金以外の補助金等

を活用して取組を継続している

これまで一度も地域少子化対策重点推進交付金事

業を実施したことがない

【市区町村のみ】交付金の活用をやめた後、都道府

県の事業に参加・協力・共同実施した

その他

無回答

交付金の活用をやめた後、自主財源で取組を継続

している

交付金の活用をやめた後、取組自体の実施をとり

やめた

いずれの取組についても、継続して交付金を活用し

ている

交付金の活用をやめた後、交付金以外の補助金等

を活用して取組を継続している

これまで一度も地域少子化対策重点推進交付金事

業を実施したことがない

【市区町村のみ】交付金の活用をやめた後、都道府

県の事業に参加・協力・共同実施した

その他

無回答

都道府県(n=42)

市区町村(n=1000)

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67

(2)「機運醸成の取組」について

「機運醸成の取組」について地域少子化対策重点推進交付金の活用後の状況をみると、都道府

県では、「交付金の活用をやめた後、自主財源で取組を継続している」が 40.5%でもっとも回答割

合が高く、次いで「交付金の活用をやめた後、取組自体の実施をとりやめた」が 38.1%となって

いる。市区町村では、「これまで一度も地域少子化対策重点推進交付金事業を実施したことがな

い」の回答割合が 70.6%ともっとも高く、「いずれの取組についても、継続して交付金を活用して

いる」「交付金の活用をやめた後、自主財源で取組を継続している」がともに7%程度となってい

る。

図表 82 「機運醸成の取組」について、交付金活用後の状況:複数回答(Q39)

40.5%

38.1%

26.2%

4.8%

0.0%

0.0%

7.1%

7.1%

7.3%

2.9%

7.4%

1.0%

0.4%

70.6%

1.4%

10.3%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

交付金の活用をやめた後、自主財源で取組を継続し

ている

交付金の活用をやめた後、取組自体の実施をとりや

めた

いずれの取組についても、継続して交付金を活用し

ている

交付金の活用をやめた後、交付金以外の補助金等

を活用して取組を継続している

【市区町村のみ】交付金の活用をやめた後、都道府

県の事業に参加・協力・共同実施した

これまで一度も地域少子化対策重点推進交付金事

業を実施したことがない

その他

無回答

交付金の活用をやめた後、自主財源で取組を継続

している

交付金の活用をやめた後、取組自体の実施をとり

やめた

いずれの取組についても、継続して交付金を活用

している

交付金の活用をやめた後、交付金以外の補助金

等を活用して取組を継続している

【市区町村のみ】交付金の活用をやめた後、都道

府県の事業に参加・協力・共同実施した

これまで一度も地域少子化対策重点推進交付金

事業を実施したことがない

その他

無回答

都道府県(n=42)

市区町村(n=1000)

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68

総合的な少子化社会対策に関する取組

1.関連計画の策定状況

(1)「少子化対策に関する取組」に関して定められている計画の有無

「少子化対策に関する取組」に関して定められている計画が「ある」とする割合は、都道府県

では 92.9%、市区町村では 69.7%となっている。

図表 83 少子化対策に関する取組に関して定められている計画の有無:単数回答(Q40)

(2)「少子化対策に関する取組」に関して定めている計画の制定・策定年

「少子化対策に関する取組」に関して計画を定めている自治体について、計画の制定・策定年

をみると、都道府県では、「2015~2019 年」が 56.4%でもっとも回答割合が高く、次いで「2005~2009 年」が 20.5%となっている。市区町村では、「2015~2019 年」が 72.5%でもっとも回答

割合が高く、次いで「2010~2014 年」が 9.0%となっている。

図表 84 「少子化対策に関する取組」に関して定めている計画の制定・策定年:数値回答(Q40sq)

92.9%

69.7%

7.1%

25.6%

0.0%

4.7%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

都道府県(n=42)

市区町村(n=1000)

あり なし 無回答

12.8%

2.3%

2.6%

3.2%

20.5%

8.3%

2.6%

9.0%

56.4%

72.5%

5.1%

4.7%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

都道府県(n=39)

市区町村(n=697)

1999年以前 2000~2004年 2005~2009年 2010~2014年

2015~2019年 無回答

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69

2.総合的な少子化対策の取組状況

総合的な少子化対策の取組状況について、下表a~eの各分類に含まれる取組について、平成

30 年度末時点で1つ以上実施している自治体数を集計したところ、都道府県では、b~eの分野

は、いずれも実施率が 90%を超えている。市区町村では、「c 妊娠・出産段階の支援」の実施率

が 89.2%でもっとも高く、次いで「b 結婚段階の支援」が 63.6%となっている。 個別の取組についてみると、都道府県では「不妊治療等への支援」「子育て支援パスポート等事

業」がともに 95.2%でもっとも回答割合が高く、次いで「都道府県が行う結婚支援の取組に関す

る情報提供」が 92.9%となっている。市区町村では、「妊娠・出産に関する相談支援」が 82.1%で

もっとも回答割合が高く、次いで「不妊治療等への支援」が 76.3%となっている。

図表 85 総合的な少子化社会対策の取組状況:複数回答(Q41)

注:上段が都道府県、下段が市区町村を表す。

単位:[%]

1つ以上実施ワンストップ相談窓口の設置

関係団体のネットワーク化

都道府県が設置している相談窓口等に関する情報提供

その他

76.2 23.8 35.7 59.5 4.855.3 26.8 21.0 33.6 4.7

1つ以上実施マリッジサポーターの育成・交流

スキルアップセミナーや婚活イベントの実施

都道府県が行う結婚支援の取組に関する情報提供

マッチングシステムの構築、運営、高度化

その他

97.6 61.9 78.6 92.9 57.1 7.163.6 15.1 44.3 45.1 14.3 3.8

1つ以上実施 不妊治療等への支援妊娠・出産に関する正しい知識の情報提供

産後ケアの充実妊娠・出産に関する相談支援

その他

100.0 95.2 83.3 59.5 90.5 2.489.2 76.3 70.7 59.4 82.1 3.3

1つ以上実施子育てサポーター人材育成

放課後児童クラブにおける学習サポーター養成

子育て支援パスポート等事業

子育てバリアフリーの推進

その他

97.6 33.3 19.0 95.2 19.0 2.451.1 24.3 8.6 32.8 7.8 4.5

1つ以上実施

出産直後の男性の休暇取得や男性の家事・育児への参画を促進する機運醸成の取組

乳幼児とのふれあい体験

ライフデザインに関する取組

その他_温かい機運の醸成

92.9 83.3 40.5 85.7 7.149.9 27.5 35.0 13.8 2.3

平成30年度時点で上記はいずれも実施していない

その他

0.0 0.02.6 2.8

                      都道府県(n=42)      市区町村(n=1000)a 切れ目のない支援を行うための仕組みの構築

b 結婚段階の支援

c 妊娠・出産段階の支援

d 結婚・妊娠・出産・育児をしやすい地域づくり

e 結婚・妊娠・出産・育児に関する温かい機運の醸成

f その他

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70

第3章 事例調査

調査対象の選定

1.モデル自治体の選定方法

自治体における少子化対策の取組の効果検証の一環として、近年の出生動向の変化データに基

づきモデル自治体を選出し、統計データ分析及び事例調査(訪問ヒアリング)を行った。 モデル自治体の抽出方法は以下のとおりである。

■3指標による都道府県のタイプ分類(8タイプ)

まず、先行研究である、少子化と男女共同参画に関する専門調査会「少子化と男女共同参画に

関する社会環境の国内分析報告書」(平成 18 年)(以下、「平成 18 年調査」という。)における都

道府県の分類の考え方を用い、「直近 10 年の合計特殊出生率の変化率」、「合計特殊出生率の水

準」、「女性有業率の水準」の3つの指標により、都道府県のタイプ分類を行った。なお、分類に

用いた合計特殊出生率のデータは平成 30(2018)年、女性有業率のデータは平成 29(2017)年

である。 タイプ分類の結果は、図表 86 のとおりである。8タイプのうち、タイプ①~④はいずれも、

近年「出生率が都道府県平均よりも上昇している」地域である。出生率が回復している地域であ

ることは共通しているが、出生率及び女性有業率の水準をみると、それぞれ「①もともと出生率

の水準も女性の有業率も高い地域」、「②もともと出生率の水準は高いが女性の有業率は低い地

域」、「③もともと出生率の水準は低いが女性の有業率は高い地域」、「④もともと出生率の水準は

低く、女性の有業率も低い地域」という異なる特徴を有している。

図表 86 都道府県タイプ分類

合計特殊出生

率の変化率 平均以上 平均より下

合計特殊出生

率の水準 平均以上 平均より下 平均以上 平均より下

女性有業率の

水準 平均以上

平均 より下

平均 以上

平均 より下

平均 以上

平均 より下

平均 以上

平均より下

タイプ ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ 都道府県名 富山県、石川県

福井県、山梨県 長野県、岐阜県 三重県、鳥取県 島根県、長崎県 宮崎県

愛知県 山口県 徳島県 香川県 愛媛県

青森県 東京都 高知県

兵庫県 奈良県 福岡県

佐賀県 熊本県 鹿児島県

福島県 滋賀県 岡山県 広島県 大分県 沖縄県

岩手県 秋田県 山形県 群馬県 新潟県 静岡県

北海道、宮城県 茨城県、栃木県 埼玉県、千葉県 神奈川県、京都府 大阪府、和歌山県

出生率や女性の有業率の絶対的な水準は、各地域の社会背景の影響も強く、容易には変え難い

といえる。少子化対策において、全国に共通の課題はあろうが、各地域に必要な対策を検討する

上では、東京と沖縄を比較しても有意な課題は見つけ難いといえる。平成 18 年調査においても、

昭和 46(1971)年から平成 14(2002)年までの変化を概観し、都道府県間の相対的な関係(水

準の序列)について、時系列ではあまり変化がみられないことを指摘している。

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71

1.0

1.5

2.0

2.5

3.0

3.5

4.0

4.5

45.0 55.0 65.0 75.0

2007

1.0

1.5

2.0

2.5

3.0

3.5

4.0

4.5

45.0 55.0 65.0 75.0

2012

1.0

1.5

2.0

2.5

3.0

3.5

4.0

4.5

45.0 55.0 65.0 75.0

2017

例えば、性別役割分業意識や結婚に対する考え方、地域・親族のインフォーマルな支え合い等

の社会環境の違いによって、出生率の回復や子育て環境の向上に求められる課題は異なると考え

られる。そのため、各自治体における近年の取組の効果をみるにあたっては、異なるタイプの中

から、それぞれモデル自治体を抽出することとした。 なお、平成 18 年調査以降の 10 年間で、都道府県の女性の有業率と出生率の推移を示したもの

が、図表 88 である。これをみると、平成 18 年調査(図表 87)では、女性有業率が上昇しつつ

出生率は落ち込み続けていたが、直近 10 年では、同じく女性有業率は上昇しつつも、出生率が

わずかながら上昇していることがわかる。

図表 87 都道府県における女性有業率と合計特殊出生率:1971 年、1987 年、2002 年

出典:「少子化と男女共同参画に関する社会環境の国内分析報告書」(男女共同参画会議 少子化と男女共同参画に

関する専門調査会、平成 18 年9月)

図表 88 都道府県における女性有業率と合計特殊出生率:2007 年、2012 年、2017 年

女性有業率(%) 女性有業率(%) 女性有業率(%)

合計特殊出生率

女性有業率:15~64 歳(%)

合計特殊出生率 合計特殊出生率

女性有業率:15~64 歳(%) 女性有業率:15~64 歳(%)

合計特殊出生率

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72

このように、昭和 46(1971)年からの約 50 年間の変化をみると、直近 10 年はそれ以前には

みられなかった、出生率の改善というポジティブな変化が、わずかながら起こっているといえる。

事例調査では、全国の都道府県の中でも、そうしたポジティブな変化が比較的大きく起こってい

る(出生率の上昇率が高い)都道府県を対象に、出生率変化の背景で、どのような社会環境や施

策の変化が起きているのかを、統計データ及びヒアリングを通じて把握することを目的とした。 ■モデル自治体の選定

以下では、事例調査の対象とするモデル自治体の選定に当たり、先述したタイプ①~④(都道

府県平均に比べて、出生率の上昇率が高いタイプ)に該当する地域を、「合計特殊出生率」と「女

性の有業率」の2軸によりプロットした(図表 89)。 次に、各タイプから、それぞれのタイプの特徴を端的に表している都県を、1か所ずつ抽出し

た。具体的には、図中の赤い点で示した都道府県平均から離れた都県として、タイプ①:福井県、

タイプ②:香川県、タイプ③:東京都、タイプ④:奈良県を選定した。 さらに、上記都県内の市区町村の直近 10 年間の出生数の変化を比較し、出生数の増加率が大

きい(もしくは減少幅が小さい)自治体を、モデル自治体として選定した。各タイプのモデル自

治体は、タイプ①:福井県福井市、タイプ②:香川県高松市、タイプ③:東京都千代田区、タイ

プ④:奈良県三郷町である。

図表 89 合計特殊出生率と女性の有業率による分類:タイプ①~④

■事例調査の進め方

事例調査にあたっては、まず社会環境指標(統計データ)及びヒアリング調査により当該都県

の特徴を把握し、次に、モデル自治体の社会環境及び施策の特徴を、主にヒアリングにより把握

した。市区町村レベルでは、全市区町村で比較できる統計データが少ないため、ヒアリング調査

及び自治体が独自に収集している統計データ等に基づいて、近年の社会環境の変化及び取組状況

等の把握することとした。

青森県

東京都

富山県

石川県

福井県

山梨県 長野県

岐阜県愛知県

三重県

兵庫県

奈良県

鳥取県

島根県

山口県

徳島県

香川県愛媛県

高知県福岡県

長崎県

宮崎県

1.1

1.2

1.3

1.4

1.5

1.6

1.7

1.8

62 64 66 68 70 72 74 76

合計特殊出生率(20

18

年)

女性の有業率(2017年)、%

①②

④ ③

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73

なお、保育等の子育て支援策の実施主体は主に市区町村であるが、本調査では、市区町村レベ

ルで比較する前に、まず都県レベルで社会環境指標を比較した上で、同一都県内での社会環境の

共通性を前提として、市区町村レベルの特徴を比較するという手順を踏んでいる。なぜなら、雇

用環境や、親との同居・近居の状況(インフォーマルな子育て支援)、ライフスタイルに関する意

識(性別役割分担意識等)、働き方(仕事と子育ての両立可能性)等、少子化に関係すると考えら

れる社会環境のうち、保育等自治体が実施する子育て支援施策を除くと、多くは市区町村を超え

て広い範囲で共通性を有しており、そうした共通性を考慮せずに市区町村単位の違いを分析する

のは難しいと考えられるためである。また、先に述べたように、市区町村単位の統計データが少

ないという面もある。 モデル自治体の調査結果については、まず都県の社会環境指標の特徴を紹介し、その次に、当

該都県から選定したモデル自治体の社会環境や施策の紹介を行っている。分析の視点は、各地域

が有する社会環境の特徴や近年の変化をふまえ、自治体がどのように課題を設定して施策を実施

しているのか、それらの施策は、「結婚」あるいは「子育て環境」のいずれにポジティブな変化を

もたらしていると考えられるか、という点である。

2.出生をめぐる状況

我が国においては、少子化対策の検討に際しては、「結婚」(未婚化の解消)及び「子育て環境」

の改善という2軸で背景を分析し、施策検討がなされてきた。図表 90 は、本調査研究の委員で

もある岩澤美帆氏による「初婚行動と夫婦出生行動効果の要因分析」である。各年代における合

計特殊出生率(TFR)の変化の要因を、「初婚行動(結婚)の変化」と「それ以外」に分解してい

る。「それ以外」の要因は、主に夫婦出生行動(結婚した夫婦間の子ども数)の変化で説明される。

図表 90 初婚行動と夫婦出生行動効果の要因分析

注:この分析は、1932 年~1957 年生まれ女性の初婚年齢別出生過程を標準パターンとし、それ以降の世代で初婚行動にのみ

現実の変化が生じた場合の TFR をシミュレーションによって求めることにより、TFR 低下における初婚行動変化の影響

を測定したものである。初婚行動以外の変化には、夫婦の出生行動および離婚・死別・再婚行動の変化が含まれる。な

お、今回分析に用いた初婚率および出生率は、日本人女性に発生する初婚及び出生に限定した指標を用いている。基本的

な考え方については、岩澤美帆「近年の期間 TFR 変動における結婚行動および夫婦の出生行動変化の寄与について」『人

口問題研究』、58(3)を参照。 資料:岩澤美帆委員作成

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74

図表 90 から、平成 17(2005)年まで合計特殊出生率が低下(マイナスに変化)していた時期

は、主に「初婚行動の(マイナスの)変化」が要因となっており、主に未婚化・晩婚化による出

生率の低下が起こっていたということがいえる。一方、平成 17(2005)年以降平成 27(2015)年までの、合計特殊出生率が上昇(プラスに変化)している時期については、逆に「夫婦間出生

行動」が主な要因となっており、結婚した夫婦間の子ども数の増加により、出生率の上昇が起こ

っていた。また、初婚行動の変化もそれ以前と比べ改善しているとみられ、出生率をプラスに変

化させる力はないが、マイナスに変化させてもいない。直近の平成 27(2015)~平成 29(2017)年については、引き続き「夫婦間出生行動」はプラスに効いているものの、「初婚行動の(マイナ

スの)変化」がそれを上回っており、トータルで合計特殊出生率はわずかに低下(マイナスに変

化)している。 この分析結果から、全国的にここ約 10 年の推移をみると、未婚化・晩婚化には歯止めがかか

りつつあるものの出生率にプラスに寄与するほどの改善には至っておらず、結婚した夫婦間の子

ども数が改善したことによって、出生率が回復傾向にある、ただし、足下のところでは、また初

婚行動を抑制する要因が働いている、ということができる。つまり、結婚の対策はいまだ効果を

上げられていないが、子育て支援は効果を上げつつある、という仮説が設定できる。 自治体においても、「結婚」と「子育て環境」という2つの視点から、社会環境の変化や施策を

捉えることで、自治体の取組課題や期待される効果を分析することができるのではないかと考え

る。本調査研究では、「結婚」及び「子育て環境」のそれぞれに関係するとみられる社会環境指標

や施策を整理するにあたって、「ニッポン一億総活躍プラン」(平成 28 年6月2日閣議決定)で

示された樹形図を参考とした。同樹形図(次ページ参照)は、希望出生率 1.8 に向け、検討すべ

き方向性(期待される効果)や対応策(取組課題)をまとめたものである。プランでは、国全体

の施策が想定されていることから、必ずしも全てを自治体に適用することはできないが、この枠

組みをベースに、次節以降、自治体ごとの社会環境(期待される効果が出ているか)や施策内容

を整理していくこととする。

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75

図表 91 希望出生率 1.8 に向けた樹形図

出典:「ニッポン一億総活躍プラン(概要)」(平成 28 年6月2日閣議決定)

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76

「ニッポン一億総活躍プラン」を参考に、都道府県単位で取得可能な社会環境指標(統計デ

ータ)を整理したものが、下表である。モデル自治体の社会環境指標について、「Ⅱ.事例調査

結果」において整理を行った。

図表 92 モデル自治体について整理を行う社会環境指標

分野 社会環境指標

1.結婚をめぐる社会環境指標

(1)若者の雇用安定・待遇改善 完全失業率

若年雇用者に占める非正規雇用者比率

成人(未婚)の子が親と同居している割合

(2)出会いの機会 -

2.出産・子育てをめぐる社会環境指標 (1)女性活躍の状況 女性雇用者に占める正規雇用者比率

男女の賃金格差

管理職女性比率

(2)親族によるインフォーマルな支援力 三世代同居率

近居率

(3)多様な保育サービスの充実・待機児童の

解消

保育所利用率

待機児童割合

17 歳以下人口1人あたり児童福祉費

(4)教育費負担感の軽減 人口1人あたり教育費

(5)仕事と育児が両立できる職場環境 1日の就業時間

-:働き方の見直しや自治体の結婚支援関連施策の実施等、施策によるところが大きく、統計でつかめていない。

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77

3.社会環境指標からみたモデル自治体の特徴

ここでは、47 都道府県について、合計特殊出生率の上昇率と各社会環境指標の相関を整理し、

調査対象である4都県の特徴を概観する。なお、各種データの出典や算出方法については、本節

末尾に記載している。 以下では、各指標について、47 都道府県の散布図を示している。調査対象である4都県につい

ては、散布図内に都県名を明記している。また、4都県の特徴を把握するため、全国平均および

都道府県平均の数値もプロットしている。全国平均は、各指標に関する全国レベルの水準を示す

(例えば、合計特殊出生率の上昇率は日本全体における水準)。都道府県平均は、都道府県ごとに

算出される数値を 47 都道府県で平均したものである。都道府県間で数値に偏りがあるため、全

国平均と都道府県平均は必ずしも一致しない。なお、散布図上に描写した近似直線およびモデル

式は、全国平均や都道府県平均は含めず、47 都道府県のデータ(n=47)に基づいて算出したも

のである。

(1)結婚をめぐる社会環境指標

①若者の雇用安定・待遇改善 若者の雇用安定・待遇改善の状況をみるために、合計特殊出生率の上昇率と各都道府県の完全

失業率との相関をみたものが図表 93 である。図中のモデル式(y=-1.90x+11.3)のxの係数

(-1.90)が、合計特殊出生率の上昇率に対する完全失業率の相関の向き(プラスもしくはマイ

ナス)である。ここでは係数はマイナスであり、完全失業率の高い地域ほど合計特殊出生率の上

昇率が低いという傾向がみられる。 調査対象の4都県についてみると、福井県の完全失業率は全国の都道府県平均よりも低い。香

川県と奈良県は全国平均よりは低いが、都道府県平均と比べるとほぼ同じか、やや高い状況であ

る。

図表 93 合計特殊出生率の上昇率(2008~2018)と完全失業率

東京都

福井県

奈良県香川県

全国平均

都道府県平均

y = -1.90x + 11.3

R² = 0.060

2

4

6

8

10

12

14

16

18

0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 4

合計

特殊

出生

率の

上昇

(2008~

201

8、%

失業率(2018、%)

(労働力調査、都道府県別完全失業率(モデル推計値))

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78

次に、若年雇用者(15~24 歳)に占める非正規雇用比率をみると、合計特殊出生率の上昇率と

の間にはほぼ相関はみられない。xの係数はプラスではあるが0に近く、近似直線(赤の点線)

はほぼフラットである。 一般的に、合計特殊出生率と若年雇用者の非正規雇用比率との間に相関がある可能性が高いが、

直近 10年の出生率の変化と若年の非正規雇用比率は、ほとんど関係がみられないことがわかる。

図表 94 合計特殊出生率の上昇率(2008~2018)と若年雇用者(15~24 歳)に占める

非正規雇用比率

成人の子が親と同居している割合、いわゆるパラサイトシングルの比率についてみると、xの

係数は、わずかにプラスとなっている。親と同居している場合、経済的に余裕があることで結婚

につながりやすい可能性が考えられる。

図表 95 合計特殊出生率の上昇率(2008~2018)と成人(未婚)の子が親と同居している割合

東京都

福井県

奈良県

香川県

全国平均

都道府県平均

y = 0.007x + 6.94

R² = 0.00030

2

4

6

8

10

12

14

16

18

20 30 40 50 60 70

合計

特殊

出生

率の

上昇

(2008~

201

8、%

若年雇用者(15~24歳)に占める非正規雇用比率(2017、%)

東京都

福井県

奈良県

香川県

全国平均

都道府県平均

y = 0.10x + 3.79

R² = 0.010

2

4

6

8

10

12

14

16

18

20 25 30 35 40 45 50

合計

特殊

出生

率の

上昇

(2008~

201

8、%

成人(未婚)の子(25~34歳)が、親と同居している割合(2015、%)

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79

②出会いの機会 出会いの機会については、自治体の結婚支援関連施策や、企業における働き方の見直し等、様々

な施策があるが、社会環境として表すことは難しいといえる。なお、「Ⅱ.事例調査結果」では、

若年層の転出入状況をみている。このほか、「(2)⑤仕事と育児が両立できる職場環境」の指標

として紹介している「1日あたり就業時間(男性 25~54 歳)」も、関連する指標といえる。 (2)出産・子育てをめぐる社会環境指標

①女性活躍の状況 出産・子育てをめぐる社会環境指標として、女性活躍の状況をみる意味は多義的である。男女

共同参画施策と少子化対策は、車の両輪のように強い関係性を持つ。女性が仕事か子育てかの二

者択一を迫られず、その両方を選択できるような環境を整えることが、先進国における少子化対

策の大きな柱であるといえる。女性の社会進出が進む過程で、そうした環境整備が追い付かず、

先進国の少子化は進んだが、一方で対策を行ってきた欧米諸国ではそうした環境が整うことで、

女性の就業率等を上げながら、出生率も回復基調に乗せることに一定程度成功している。 女性活躍の指標の一つとして、女性雇用者に占める正規雇用者比率についてみると、xの係数

はプラスとなっている。近似曲線の傾きは小さいが、女性の正規雇用者比率が高い地域の方が、

合計特殊出生率が上昇している傾向がみられる。

図表 96 合計特殊出生率の上昇率(2008~2018)と女性雇用者に占める正規雇用者比率

東京都

福井県

奈良県香川県

全国平均

都道府県平均

y = 0.15x + 0.52

R² = 0.030

2

4

6

8

10

12

14

16

18

30 35 40 45 50 55 60

合計

特殊

出生

率の

上昇

(2008~

201

8、%

女性雇用者に占める正規雇用者比率(2017,%)

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80

次に、男女の賃金格差をみると、これもわずかではあるがプラスの係数である。賃金格差は、

男性を 100 とした場合の女性の賃金水準を表しており、数値が大きい方が男女格差は小さい。 4都県のうち、奈良県は女性の就業率が低いことで知られ、女性雇用者に占める正規雇用比率

も低い(図表 96 参照)が、男女の賃金格差は小さいことがわかる。奈良県は、女性の正社員と

しての雇用機会は少ないが、正社員に占める公務員の割合が高く、女性も比較的高い賃金水準に

あると推察される。

図表 97 合計特殊出生率の上昇率(2008~2018)と男女の賃金格差

管理的職業従事者及び専門的・技術的職業従事者に占める女性の割合についてみると、xの係

数はプラスとなっている。4都県のうち、福井県及び香川県は、女性の正規雇用者比率及び男女

の賃金格差、管理職女性比率いずれも都道府県平均より高く、「女性活躍県」であるといえる。

図表 98 合計特殊出生率の上昇率(2008~2018)と管理職女性比率

東京都

福井県

奈良県

香川県

全国平均

都道府県平均

y = 0.15x - 3.43

R² = 0.0140

2

4

6

8

10

12

14

16

18

64 66 68 70 72 74 76 78 80

合計

特殊

出生

率の

上昇

(2008~

201

8、%

男女の賃金格差(2018)(一般労働者およびパートの時間当たりの決まって支給される給与額について、

男性の額を100としたときの女性の額)

東京都

福井県

奈良県

香川県

全国平均

都道府県平均

y = 0.23x - 5.07

R² = 0.090

2

4

6

8

10

12

14

16

18

30 35 40 45 50 55 60 65 70

合計

特殊

出生

率の

上昇

(2008~

201

8、%

管理職女性比率(2015、%)(管理的職業従事者・専門的・技術的職業従事者に占める女性割合(雇用者))

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81

②親族によるインフォーマルな支援力 親族によるインフォーマルな支援力をみるために、各都道府県の三世代同居率及び近居率との

相関をみたものが図表 99~図表 100 である。 まず三世代同居率について、合計特殊出生率の上昇率との関係をみると、xの係数はマイナス

となっている。これは、三世代同居率の低い地域の方が、合計特殊出生率が上昇していることを

示している。平成 18 年調査等で指摘されているように、従来の日本では、三世代同居率が高い

地域の方が、出生率が高いという傾向がみられた。しかし、出生率が回復している海外の先進国

では、三世代同居率と出生率の間に相関はみられず、インフォ―マルな支援に頼らなくてよい、

子育ての社会化が進んでいることが背景にあると考えられている。近年の日本の変化において、

三世代同居率が低い地域の方が、出生率が高いという変化が生じていることは、日本でも子育て

の社会化が進んでいる可能性を示唆している。 ただし、近居率についてみると、プラスの係数となっている。つまり、これら2つの指標をみ

ると、合計特殊出生率の上昇に対して三世代同居はマイナスに効いているが、近居によるインフ

ォーマルな支援はプラスに効いており、日本でも子育ての社会化が進んだと直ちに断定すること

はできないといえる。おそらく、祖父母等との同居が減少し、インフォーマルな支援力が減少し

た分を、近居と社会的な子育て支援の両方が支えているのではないかと考えられる。この点は、

ヒアリング調査においてもみていく。

図表 99 合計特殊出生率の上昇率(2008~2018)と三世代同居率

東京都

福井県

奈良県

香川県

全国平均

都道府県平均

y = -0.12x + 8.19

R² = 0.0130

2

4

6

8

10

12

14

16

18

0 5 10 15 20

合計

特殊

出生

率の

上昇

(2008~

201

8、%

三世代同居率(2015、%)

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82

図表 100 合計特殊出生率の上昇率(2008~2018)と近居率

③多様な保育サービスの充実・待機児の解消

多様な保育サービスの充実・待機児の解消の状況をみるために、合計特殊出生率の上昇率と、

各都道府県の保育所利用率の相関をみたものが図表 101 である。保育所利用率の係数はプラス

であり、保育所利用率が高いほど、合計特殊出生率も高いという傾向がみられる。 また、4都県のうち、三世代同居率がもっとも高い福井県において、保育所利用率も高くなっ

ている。福井県は、三世代同居率が都道府県平均と比較して高い水準にあるが、必ずしも祖父母

がかつてのように子育てを支援しているとは限らず、高齢者としての労働力も期待される中、保

育所等の社会的な支援が期待されている可能性が考えられる。

図表 101 合計特殊出生率の上昇率(2008~2018)と保育所利用率

東京都

福井県

奈良県

香川県

全国平均

都道府県平均

y = 0.82x + 1.80

R² = 0.100

2

4

6

8

10

12

14

16

18

0 2 4 6 8 10 12

合計

特殊

出生

率の

上昇

(2008~

201

8、%

近居率(2018、%)(普通世帯全体に占める子どもが徒歩5分程度の場所に住んでいる、あるいは、

片道15分未満の場所に住んでいる世帯の割合)

東京都

福井県

奈良県

香川県

全国平均

都道府県平均

y = 0.12x + 3.60

R² = 0.1620

2

4

6

8

10

12

14

16

18

0 10 20 30 40 50 60 70

合計

特殊

出生

率の

上昇

(2008~

201

8、%

保育サービスの利用割合(2017、%)

(0~4歳人口に占める保育所等利用者数の割合)

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83

次に、保育所等への申込者数に対する待機児童数の割合をみると、やはり係数はマイナスであ

り、待機児童割合が低い地域の方が、合計特殊出生率が上昇している傾向がみられる。また、4

都県のうち、東京都は都道府県平均を大きく下回っている。

図表 102 合計特殊出生率の上昇率(2008~2018)と待機児童割合

保育以外の多様な子育て支援の充実度をみる指標として、17 歳以下人口1人あたり児童福祉費

をみると、xの係数はわずかではあるがプラスとなっている。 4都県のうち、特に東京都が高く、子育て支援サービスの充実度がみてとれる。このほか、福

井県及び香川県も、都道府県平均よりも高い水準となっている。

図表 103 合計特殊出生率の上昇率(2008~2018)と 17 歳以下人口1人あたり児童福祉費

東京都

福井県

奈良県

香川県

全国平均

都道府県平均

y = -1.15x + 7.83

R² = 0.0350

2

4

6

8

10

12

14

16

18

0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5

合計

特殊

出生

率の

上昇

(2008~

201

8、%

待機児童割合(2018年4月、%)

(保育所等への申込者数に対する待機児童数の割合)

東京都福井県

奈良県

香川県

全国平均

都道府県平均

y = 0.014x + 0.54

R² = 0.0530

2

4

6

8

10

12

14

16

18

0 100 200 300 400 500 600 700 800

合計

特殊

出生

率の

上昇

(2008~

201

8、%

17歳以下人口1人あたり児童福祉費(2016、千円)

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84

④教育費負担感の軽減 教育費負担感の軽減策として、人口1人あたり教育費についてみると、係数はわずかではある

がプラスとなっている。1人あたり教育費の高い地域の方が、合計特殊出生率が上昇している傾

向がみられる。

図表 104 合計特殊出生率の上昇率(2008~2018)と人口1人あたり教育費

東京都

福井県

奈良県

香川県

全国平均

都道府県平均

y = 0.03x + 2.78

R² = 0.0320

2

4

6

8

10

12

14

16

18

0 50 100 150 200 250

合計

特殊

出生

率の

上昇

(2008~

201

8、%

人口1人あたり教育費(2016、千円)

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85

⑤仕事と育児が両立できる職場環境 最後に、仕事と子育てが両立可能な環境を表す指標として、1日の就業時間についてみると、

係数はマイナスであり、1日の就業時間が短い地域の方が、合計特殊出生率が上昇している傾向

がみられる。 日本では、従来の企業における働き方は、残業を当たり前とする「男性の働き方」がスタンダ

ードとされてきた。この「男性の働き方」が変化し、1日の就業時間が減少することにより、男

女ともに仕事と子育てが両立可能な働き方が実現することが期待されている。 4都県のうち、注目すべきは東京都の1日の就業時間であり、都道府県平均とほぼ同水準で、

決して長いわけではないことである。

図表 105 合計特殊出生率の上昇率(2008~2018)と1日の就業時間

東京都

福井県

奈良県

香川県

全国平均

都道府県平均

y = -1.77x + 24.5

R² = 0.0160

2

4

6

8

10

12

14

16

18

9 9.2 9.4 9.6 9.8 10 10.2 10.4

合計

特殊

出生

率の

上昇

(2008~

201

8、%

1日の就業時間(2016、時間)

(平日、行動者平均、男性25~54歳)

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86

以上、13 の社会環境指標について、4都県の特徴を一覧したものが図表 106 である。表では、

各社会環境指標の係数(合計特殊出生率の上昇率に対する相関の向き)がプラスの場合は、都道

府県平均よりも高い場合に「〇」、逆に係数がマイナスの場合は、都道府県平均よりも低い場合に

「○」を付けている。 4都県では、いずれも直近 10 年の合計特殊出生率の上昇率が、都道府県平均を上回っている

が、社会環境指標の特徴には大きな違いがあることがわかる。さらに、奈良県は平成 20(2008)~平成 30(2018)年における合計特殊出生率の上昇率が全国でもっとも高い地域であるが、「○」

の付いた社会環境指標は相対的に少なく、これらの指標で説明できない要因によっても、出生率

が上昇していることがみてとれる。

図表 106 モデル自治体における主な社会環境指標の特徴

福井県 香川県 東京都 奈良県 1)完全失業率の低さ ○ 2)若年雇用者に占める非正規雇用者比率の低さ 〇 〇 3)成人(未婚)の子が親と同居している割合の高さ 〇 ○ 〇 4)正社員女性比率の高さ(女性雇用者に占める正

規雇用者比率) 〇 〇 〇

5)男女の賃金格差の小ささ(決まって支給される

給与) 〇 〇 〇

6)管理職女性比率の高さ(管理的職業従事者・専

門・技術的職業従事者に占める女性) 〇 〇

7)三世代同居率の低さ 〇 〇 〇 8)近居率の高さ(二世代間近居割合) 〇 〇 9)保育所利用率の高さ(0~4歳) 〇 〇 10)待機児童割合の低さ 〇 〇 11)児童福祉費(17 歳以下人口1人あたり)の高

さ 〇 〇 〇

12)教育費公的負担の高さ(人口1人あたり) 〇 〇 13)就業時間の短さ(男性 25~54 歳,1日あたり)

注:指標の「高さ・低さ」について、合計特殊出生率の上昇率に対して指標の係数がプラスの場合は「高さ」、

マイナスの場合は「低さ」と表記している。

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87

前述した 13 の社会環境指標について、それぞれの定義・算出方法及びデータの出典を、図表 107 にとりまとめた。

図表 107 各種データの出典および算出方法

用いたデータ 定義・算出方法 データの出典 合計特殊出生率の

上昇率 平成 20(2008)年の合計特殊出生率から

平成 30(2018)年の合計特殊出生率への

変化率を算出

厚生労働省「人口動態調査」

完全失業率の低さ 15 歳以上人口における完全失業率(モデ

ル推計値) 総務省「労働力調査」

若年雇用者に占め

る非正規雇用者比

率の低さ

15~24 歳雇用者(男女計)に占める 15~24 歳の非正規職員・従業員比率

総務省「就業構造基本調査」

成人(未婚)の子

が親と同居してい

る割合の高さ

25~34 歳の総人口に占める 25~34 歳で親

と同居している者の割合 総務省「国勢調査」

正社員女性比率の

高さ(女性雇用者

に占める正規雇用

者比率)

女性雇用者(役員を除く)に占める正規職

員・従業員の割合 総務省「就業構造基本調査」

男女の賃金格差の

小ささ(決まって

支給される給与)

男性の一般労働者およびパートの時間あた

りの決まって支給される給与額に対する女

性の比率。 一般労働者についてはきまって支給する現

金給与額を、所定内実労働時間と超過実労

働時間を足した総実労働時間で除して時間

当たりの賃金を計算し、パートは時間あた

り所定内給与額をもち、それぞれ労働者数

で加重平均したもので男女間の賃金格差を

算出。

厚生労働省「賃金構造基本統計

調査」

管理職女性比率の

高さ(管理的職業

従事者・専門・技

術的職業従事者に

占める女性)

男女 15 歳以上就業者における、管理的職

業従事者・専門的・技術的職業従事者(雇

用者)に占める女性割合

男女 15 歳以上就業者および、

管理的職業従事者・専門的・技

術的職業従事者(雇用者)数

は、いずれも総務省「国勢調

査」による 三世代同居率の低

さ 一般世帯総世帯数に対する三世代世帯数の

割合 総務省「国勢調査」

近居率の高さ(二

世代間近居割合) 普通世帯全体に占める子どもが徒歩5分程

度の場所に住んでいる、あるいは、片道

15 分未満の場所に住んでいる世帯の割合

子どもが徒歩5分程度の場所に

住んでいる、あるいは、片道 15分未満の場所に住んでいる世帯

数は総務省「住宅・土地統計調

査」による。 普通世帯全体は総務省「国勢調

査」による。

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88

用いたデータ 定義・算出方法 データの出典 保育所利用率の高

さ(0~4歳) 0~4歳人口に占める保育所等利用者数

(0~4歳)の比率 保育所等利用者数は厚生労働省

「社会福祉施設等調査」によ

る。 0~4歳人口は総務省「人口推

計」による。 待機児童割合の低

さ 申込者数に対する、待機児童数の割合 厚生労働省「保育所等関連状況

取りまとめ」 児童福祉費(17歳以下人口1人あ

たり)の高さ

17 歳以下人口1人あたり児童福祉費

[県・市町村財政合計] 総務省「社会生活統計指標」

教育費公的負担の

高さ(人口1人あ

たり)

人口1人あたり教育費 [県・市町村財政

合計] 総務省「社会生活統計指標」

就業時間の長さ

(男性 25~54 歳,1日あたり)

25~54 歳男性の平日の1日就業時間(行

動者平均、就業状態は総数) 総務省「社会生活基本調査」

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89

事例調査結果

1.福井県、福井市

(1)団体の概要

■福井県

1)人口 786,740 人 2)面積 4190.49 ㎢ 3)人口密度 187.7(人/㎢) 4)合計特殊出生率 1.67(平成 30 年) 5)出生数 5,826 人(平成 30 年) 6)65 歳以上人口比率 28.6%

■福井市

1)人口 265,904 人 2)面積 536.41 ㎢ 3)人口密度 495.7(人/㎢) 4)合計特殊出生率 1.61(平成 30 年) 5)出生数 2,149(平成 30 年) 6)65 歳以上人口比率 28.1%

出典:1)~3)及び 6)は総務省「国勢調査」(平成 27 年)、4)~5)は厚生労働省「人口動態調査」(各年)

図表 108 福井市の位置

出典:福井県ウェブサイト https://www.pref.fukui.lg.jp/doc/toukei-jouhou/shimachi_list.html

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90

(2)社会環境指標に関する特徴

【主な特徴】 ■福井県 ・合計特殊出生率は、平成 30 年において 1.67 と、全国平均の 1.42 を大きく上回っている。

全国平均は、平成 17 年に 1.26 で底を打っているが、福井県はその1年前の平成 16 年に

1.45 で底を打っており、全国よりも一足早く上昇に転じている。 ・平成 27 年において男女ともに 25~39 歳のいずれの年代も全国の未婚率をやや下回ってい

るが、経年変化をみると、未婚率は上昇している。 ・女性の労働力率は平成 27 年において 53.9%と全国でもっとも高く、女性雇用者に占める正

規雇用者比率も平成 29 年において 50.6%と都道府県平均より高い傾向にあるが、男女間の

賃金格差は依然として残っている。 ・共働き世帯の割合(夫婦世帯数に占める夫、妻ともに就業者である世帯の割合)も平成 27

年において 58.6%と全国でもっとも高い。ただし、男性の1日あたり就業時間は都道府県

平均よりも長く、男性は長時間労働となっている傾向がうかがえる。 ・三世代同居率、近居率はともに都道府県平均よりも高いが、経年変化をみると低下傾向にあ

る。一方で保育所利用率は、平成 29 年において 59.8%と都道府県平均を大きく上回ってい

ることに加え、経年でみても増加傾向となっている。 ・以上より、福井県は、従来から、女性が結婚・出産後も就業継続し、祖父母等親族のインフ

ォーマルな支援を得ながら子育てをすることで、国内では比較的高い女性就業率と出生率

を有するという社会環境にあったことがわかる。このタイプの地域の特徴としては、女性の

有業率は高いものの、仕事に加えて家事や育児に関する女性の負担感が強く、キャリア意欲

の高い女性には結婚・出産がネガティブに働くリスクを持つ可能性がある。また、成人が親

と同居する割合が高いことが、独立して家族形成をはかるインセンティブを弱めている可

能性がある。近年、同居・近居が減ってきたことは、子育てのインフォーマルな支援力が低

下する一方、女性のキャリアと子育ての両立や若者の自立を抑制する要因が減少している

可能性がある。インフォーマルな支援に代わる地域の子育て支援(保育のみならず多様な子

育て支援や相談機能等)が豊富に提供されることで、子育ての社会化が比較的良好に進んで

いることが、近年の出生率の改善に寄与しているのではないか。今後、男性の長時間労働や

通勤時間を減らし、性別役割分業意識も解消して、夫が子育てを担えるようになることで、

女性のより積極的な就業意欲を引き出し、それが、共働きの経済的な安定を基盤として、希

望する結婚や出産の実現につながるのではないか。 ■福井市 ・合計特殊出生率は、平成 30 年において 1.61 であり、全国平均を上回っている。 ・未婚率は、男女ともに 25~44 歳までいずれの年齢層においても、上昇傾向にある。 ・転入超過率は平成 12 年から 27 年まで一貫して0%を下回り、転出超過が続いているが、

平成 22 年以降は横ばいとなっている。

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91

①福井県 1)人口動態に関するデータ (合計特殊出生率の状況) ○福井県の合計特殊出生率は平成 30 年において 1.67 であり、全国平均 1.42 を上回っている。

図表 109 福井県の合計特殊出生率、出生数の推移

出典:福井県長期ビジョン推進本部会議「福井県の現状データ集」※データは厚生労働省「平成 28 年人口動態統

計調査」 (婚姻の状況) ○男女別年齢別有配偶率の推移をみると、いずれの年代においても男性の方が女性よりも低くな

っている。また、経年でみると、男女とも低下傾向となっている。

図表 110 福井県の男女別年齢別有配偶率の推移

出典:総務省「国勢調査」(各年)

21.5 20.3 18.4 15.9

68.361.8 60.3 58.5

82.0 77.9 73.8 70.0

88.2 83.6 80.5 77.0

0

20

40

60

80

100

平成12年 平成17年 平成22年 平成27年

福井県 男性

20代 30代 40代 50代

(%)

33.4 29.2 27.0 24.6

82.6 75.3 71.8 69.4

88.785.7 81.3 77.2

84.084.0 84.0

81.8

0

20

40

60

80

100

平成12年 平成17年 平成22年 平成27年

福井県 女性

20代 30代 40代 50代

(%)

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92

○平成 30 年における平均初婚年齢は、男性 30.5 歳、女性 28.9 歳であり、全国平均(男性 31.1歳、女性 29.4 歳)と比べるとやや低いが、経年でみると晩婚化が進んでいる。

図表 111 福井県の男女別平均初婚年齢の推移

出典:福井県長期ビジョン推進本部会議「福井県の現状データ集」※データは厚生労働省「平成 28 年人口動態統

計調査」 ○男女別年齢別未婚率の推移をみると、男女ともに 25~39 歳までいずれの年齢層でも、全国の

未婚率をやや下回っている。ただし、経年でみると、男性の 30~34 歳、女性の 25~29 歳にお

いて、未婚率が大きく上昇している。

図表 112 福井県の男女別年齢別未婚率の推移

出典:福井県長期ビジョン推進本部会議「福井県の現状データ集」※データは総務省「国勢調査」(各年)

(全国 35.0)

(全国 72.7)

(全国 47.1)

(全国 61.3)

(全国 34.6)

(全国 23.9)

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93

(夫婦間出生力の変化) ○平成 27 年における一般世帯の妻の年齢別に子ども数をみると、20 代では「子どもなし」が

38.2%でもっとも割合が高くなっている。30 代では、「子ども2人」が 41.8%でもっとも割合

が高いが、平成 12 年と比較すると、20 代・30 代のいずれも「子どもなし」の割合が増加して

いる。

図表 113 福井県の夫婦のいる一般世帯における、妻の年齢別子ども数

注:夫婦のいる一般世帯とは、「夫婦のいる核家族世帯」+「夫婦のいるその他の世帯(同居の親あり)」+「夫

婦のいるその他の世帯(同居の親なし)」の合計。

出典:総務省「国勢調査」(各年) 2)結婚をめぐる社会環境 (若者の雇用環境) ○男女別賃金の推移をみると、20 代男性はほぼ横ばいで推移しているが、30~40 代男性は減少

傾向となっている。一方、女性は 20 代以上では上昇傾向となっている。ただし、賃金の水準

は、いずれの年代でも女性の方が男性より低くなっている。

図表 114 福井県の男女別賃金(決まって支給する現金額)の推移

出典:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」(各年)

33.6

35.7

35.3

38.2

39.1

37.9

37.6

35.8

23.6

22.9

22

21.5

3.5

3.2

4.7

4.0

0.3

0.3

0.4

0.5

0% 20% 40% 60% 80% 100%

平成12年

平成17年

平成22年

平成27年

福井県:20代

子どもなし 子ども1人 子ども2人 子ども3人 子ども4人以上

10.8

14.2

15.8

15.8

18.8

22.6

23.5

23.6

47.6

45.3

43.7

41.8

20.6

16.0

15.0

16.4

2.1

1.9

2.0

2.3

0% 20% 40% 60% 80% 100%

平成12年

平成17年

平成22年

平成27年

福井県:30代

子どもなし 子ども1人 子ども2人 子ども3人 子ども4人以上

204.2 208.5

246.7 251.8

337.3 315.7

415.5

374.1392.8

405.3

0

100

200

300

400

500

平成14年 平成16年 平成18年 平成20年 平成22年 平成24年 平成26年 平成28年 平成30年

福井県 男性

10代 20代 30代 40代 50代

(千円)

176.9176.3198.1

215.5

227.2231.8

242.2

253.0232.2

254.4

0

100

200

300

400

500

平成14年 平成16年 平成18年 平成20年 平成22年 平成24年 平成26年 平成28年 平成30年

福井県 女性

10代 20代 30代 40代 50代

(千円)

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94

○平成 30 年における完全失業率は、都道府県平均よりも低く、1.4%となっている。

図表 115 福井県の完全失業率

平成 30 年

全国平均 1 2.5%

都道府県平均 2.1%

福井県 1.4%

出典:総務省「労働力調査」(平成 30 年)

○若年雇用者に占める非正規雇用者比率(15~24 歳(男女計))は都道府県平均よりも低く、平

成 29 年において 32.2%となっている。また、経年でみると、平成 19 年以降、ゆるやかに低下

しており、改善がみられる。

図表 116 福井県の若年雇用者に占める非正規雇用者比率(15~24 歳(男女計))の推移

平成 14 年 平成 19 年 平成 24 年 平成 29 年

全国平均 46.7% 46.8% 50.0% 48.1%

都道府県平均 43.6% 43.1% 45.9% 42.2%

福井県 29.9% 34.7% 33.9% 32.2%

出典:総務省「就業構造基本調査」(各年)

○平成 27 年における未婚者が親と同居している割合(25~34 歳)は、都道府県平均よりも高く、

40.1%となっている。

図表 117 福井県の未婚者が親と同居している割合(25~34 歳)

平成 27 年

全国平均 32.1%

都道府県平均 34.7%

福井県 40.1%

出典:総務省「国勢調査」(平成 27 年)

(出会いの機会:若年層の転出入状況) ○若年層の転出入の状況をみると、転入者数、転出者数とも 20 代では増加傾向にある一方、30

代ではほぼ横ばいで推移している。 ○平成 30 年における男女別転入超過率をみると、女性の方が、男性と比較して転出超過の傾向

が強いことがうかがえる。

1 全国平均は、各指標に関する全国レベルの水準を示す。都道府県平均は、都道府県ごとに算出される数値を 47 都道府県で

平均したものである。都道府県間で数値に偏りがあるため、全国平均と都道府県平均は必ずしも一致しない。以下同様。

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95

図表 118 福井県の転入者数の推移

出典:総務省「住民基本台帳人口移動報告」(各年)

図表 119 福井県の転出者数の推移

出典:総務省「住民基本台帳人口移動報告」(各年)

図表 120 福井県の男女別転入超過率

全体 男性 女性

平成 30 年 -0.31% -0.25% -0.36%

注:転入超過率=(転入者数(外国人含む)-転出者数(外国人含む))/総人口(外国人含む)

出典:総務省「住民基本台帳人口移動報告」(平成 30 年)

5,8475,339

2,2301,8811,2601,259

7906520

2000

4000

6000

8000

平成30年平成29年平成28年平成27年平成26年平成25年平成24年平成23年平成22年

福井県 男性:転入

全体 20代 30代 40代

4,0293,719

1,5551,347951895

4042940

2000

4000

6000

8000

平成30年平成29年平成28年平成27年平成26年平成25年平成24年平成23年平成22年

福井県 女性:転入

全体 20代 30代 40代

6,8105,961

2,8842,265

1,2921,148

8636930

2000

4000

6000

8000

平成30年平成29年平成28年平成27年平成26年平成25年平成24年平成23年平成22年

福井県 男性:転出

全体 20代 30代 40代

5,453

4,507

2,4341,868

1,037934506335

0

2000

4000

6000

8000

平成30年平成29年平成28年平成27年平成26年平成25年平成24年平成23年平成22年

福井県 女性:転出

全体 20代 30代 40代

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96

3)出産・子育てをめぐる社会環境 (女性活躍の状況) ○女性の年齢階級別労働力率(M 字カーブ)は、平成 22 年、平成 27 年時点のいずれも全国と比

較して M 字の谷が浅い、弱い M 字カーブとなっている。平成 22 年と比較すると、平成 27 年

は、25 歳以上の全ての年齢階級において労働力率が上昇している。

図表 121 福井県の女性の年齢別労働力率

出典:福井県「平成 27 年国勢調査 就業状態等基本集計 福井県結果の概要」※データは総務省「国勢調査」

○女性雇用者に占める正規雇用者比率は、都道府県平均よりも高く、平成 29 年において 50.6%となっている。経年でみると、平成 14 年以降は一貫して低下傾向となっている。

図表 122 福井県の女性雇用者に占める正規雇用者比率

平成 14 年 平成 19 年 平成 24 年 平成 29 年

全国平均 47.0% 43.0% 42.5% 43.4%

都道府県平均 48.6% 45.0% 44.0% 44.8%

福井県 59.4% 53.1% 51.2% 50.6%

出典:総務省「就業構造基本調査」(各年)

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97

○管理的職業従事者・専門的・技術的職業従事者に占める女性の割合は、都道府県平均よりもや

や高く、平成 27 年において 55.9%となっている。ただ、いわゆる管理職(管理的職業従事者)

に限ると、8.9%であり、全国平均や都道府県平均よりも低い状況にある。

図表 123 福井県の管理的職業従事者・専門的・技術的職業従事者に占める女性割合(雇用者)

平成 27 年

うち管理的

職業従事者

全国平均 49.1% 9.7%

都道府県平均 53.6% 9.2%

福井県 55.9% 8.9%

出典:総務省「国勢調査」(平成 27 年)

(三世代同居等親族による支援力) ○三世代同居率は、都道府県平均よりも高い水準にあるが、平成 12 年と比較すると一貫して低

下傾向にあり、平成 27 年において 14.9%となっている。 ○また、近居率は平成 30 年において 7.8%と、都道府県平均よりやや高くなっている。

図表 124 福井県の三世代同居率の推移

平成 12 年 平成 17 年 平成 22 年 平成 27 年

全国平均 10.1% 8.6% 7.1% 5.6%

都道府県平均 13.4% 11.6% 9.7% 7.8%

福井県 23.1% 20.2% 17.5% 14.9%

出典:総務省「国勢調査」(各年)

図表 125 福井県の近居率の推移

平成 15 年 平成 20 年 平成 25 年 平成 30 年

全国平均 7.2% 7.0% 6.0% 5.6%

都道府県平均 8.1% 8.0% 7.1% 6.7%

福井県 8.4% 8.4% 7.8% 7.8%

出典:総務省「住宅・土地統計調査」(各年)

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98

(多様な保育サービス) ○保育所利用率は、女性の有業率の高さを反映して、平成 29 年において 59.8%と都道府県平均

を大きく上回っている。また、経年でみても一貫して増加傾向となっている。

図表 126 福井県の保育所利用率の推移

平成 14 年 平成 19 年 平成 24 年 平成 29 年

全国平均 23.0% 26.4% 29.0% 35.8%

都道府県平均 27.4% 24.4% 25.8% 29.7%

福井県 41.1% 46.7% 52.1% 59.8%

出典:保育所利用者数は厚生労働省「社会福祉施設等調査」(各年)、人口は総務省「人口推計」

(各年 10 月1日現在) ○保育所等への申込者数に対する待機児童の割合は、平成 31 年4月1日時点において 0.04%と

都道府県平均を大きく下回っている。

図表 127 福井県の待機児童割合

平成 31 年

4月1日時点

全国平均 0.60%

都道府県平均 0.46%

福井県 0.04%

注:保育所等への申込者数に対する待機児童数の割合

出典:厚生労働省「保育所等関連状況取りまとめ」(平成 31 年4月1日)

○17 歳以下人口1人あたり児童福祉費(県・市町村財政合計)は、平成 28 年において 517.7 千

円と都道府県平均よりも高く、平成 14 年以降、一貫して増加している。

図表 128 福井県の 17 歳以下人口1人あたり児童福祉費(県・市町村財政合計)の推移

平成 14 年 平成 19 年 平成 24 年 平成 28 年

全国平均 213.9 267.9 391.2 472.2

都道府県平均 222.1 276.6 394.3 473.7

福井県 268.8 336.2 447.2 517.7

単位:千円

出典:総務省「社会生活統計指標-都道府県の指標-」(各年)

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(教育費負担感の軽減) ○人口1人あたり教育費(県・市町村財政合計)は、平成 28 年において 181.0 千円と都道府県

平均よりも高く、平成 19 年にいったん落ち込んだ後、増加傾向となっている。

図表 129 福井県の人口1人あたり教育費(県・市町村財政合計)の推移

平成 14 年 平成 19 年 平成 24 年 平成 28 年

全国平均 139.9 129.5 127.7 133.3

都道府県平均 153.8 140.6 142.1 148.4

福井県 179.5 161.9 168.0 181.0

単位:千円

出典:総務省「社会生活統計指標-都道府県の指標-」(各年)

(仕事と育児の両立ができる職場環境) ○25~54 歳男性の1日あたり就業時間は、平成 28 年において 10.04 時間と、都道府県平均より

も長くなっている。一方、通勤・通学時間は 1.06 時間と都道府県平均よりも短いが、経年でみ

ると増加傾向となっている。

図表 130 福井県の男性(25~54 歳)の「1日あたり就業時間」及び「通勤・通学時間」の推移

1日あたり就業時間 (平日、行動者平均、男性 25~54 歳)

通勤・通学時間 (平日、行動者平均、男性 25~54 歳)

平成13年 平成18年 平成23年 平成28年 平成13年 平成18年 平成23年 平成28年

全国平均 9.32 9.77 9.83 9.85 1.19 1.35 1.35 1.48

都道府県

平均 9.42 9.76 9.75 9.77 1.11 1.15 1.15 1.24

福井県 9.42 10.11 9.70 10.04 0.87 0.93 0.95 1.06

単位:時間 出典:総務省「社会生活基本調査」(各年)

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100

②福井市 ○福井市の合計特殊出生率は、平成 30 年において 1.61 であり、全国平均 1.42 を上回っている。

図表 131 福井市の合計特殊出生率、出生数の推移

出典:福井市ホームページ https://www.city.fukui.lg.jp/fukusi/kosodate/syousika/shusshouritu.html

※データは厚生労働省「人口動態統計調査」福井県「衛生統計年報人口動態統計」

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○福井市の男女別年齢別未婚率をみると、男女ともにいずれの年齢層においても上昇傾向にある。

図表 132 福井市の男女別年齢別未婚率の推移

出典:福井市「第二期福井市子ども・子育て支援事業計画」※データは総務省「国勢調査」(各年) ○転入超過率は平成 12 年から 27 年まで一貫して0%を下回っており、転出超過が続いている

が、平成 22 年以降は横ばいとなっている。

図表 133 福井市の転入超過率の推移

平成 12 年 平成 17 年 平成 22 年 平成 27 年

-0.59% -0.77% -0.13% -0.13%

注:転入超過率=(転入者数(外国人含む)-転出者数(外国人含む))/総人口(外国人含む)

出典:総務省「都道府県・市区町村のすがた」(各年)

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102

(3)結婚支援・子育て支援に関する取組状況

【主な特徴】 ■福井県 ・平成6年度から県の委託事業により結婚相談所を運営するなど、全国でももっとも早い段階

から結婚に対する支援に取り組み始めた。 ・保育所の利用率が高いことからも、「いかに安心して保育所に入所できるか」という点にニ

ーズがある。合わせて、延長保育や病児・病後児保育施設の整備等多様な保育を拡充したり、

一時預かりや家事援助等のサポートを充実させることで、インフォーマルな支援に頼らず、

仕事と子育ての両立を達成できるような支援に重点を置いている。 ■福井市 ・結婚に対する支援や子育てに対する支援の情報をまとめたポータルサイトを運営している

が、同サイトのリニューアル時に「地域少子化対策重点強化交付金」を活用し、その後のサ

イト運営は市の独自予算により継続している。 ・民間セクターとの連携が進んでおり、事業を実施する際に民間の協力を得やすい。そのため、

行政単独で事業を実施する場合に比べて、短期間で結果が出やすいといえる。

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①少子化対策全体の取組状況 ■福井県

○少子化対策に係る取組として、平成 30 年時点において、以下の取組を実施している。(自治体

アンケート調査結果より)

【保育・幼児教育】 ・保育料の軽減措置 ・保育所概要のホームページ等による情報提供 ・保育所定員等のホームページ等による情報提供 ・認可保育所への職員加配 ・病児・病後児保育 ・障害児保育 ・幼稚園の入園料・授業料の軽減措置 ・保育事業者への助成 【地域子育て支援】 ・一時預かりまたは類似事業 【家庭での子育て支援】 ・子育ての方法や育児不安解消の相談事業 ・子育て支援のハンドブック等の作成 【経済的支援】 ・乳幼児医療費助成 ・一人親世帯への経済的支援 【妊娠・出産支援】 ・不妊治療の情報提供や相談 ・不妊治療の経済的支援 【就労・働き方に関する支援】 ・両立支援事業者に対する経済的支援 ・企業の両立支援促進の表彰や認定マーク ・育児休業制度の取得促進のための施策 【住環境の整備】 ・子育て世帯の住宅費助成または融資制度 ・公営住宅への子育て世帯の優先入居 ・子からみた祖父母と親の同居・近居(三世代同居・近居)の支援 ・他自治体からの転入者受け入れの住宅支援

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■福井市

○少子化対策に係る取組として、平成 30 年時点において、以下の取組を実施している。(自治体

アンケート調査結果より)

②結婚支援に係る取組 ■福井県

○平成6年度から県の委託事業により結婚相談所を運営している(相談所の開設自体は昭和 39年度である)。「結婚相談・見合い」「出会いの場の創出」「結婚観・家族観の醸成」の三本柱で

取組を行っており、特に「結婚相談・見合い」については結婚相談所の運営に加え、平成 22 年

度から「地域の縁結びさん応援事業」として、ボランティアによる結婚相談、お見合い等を行

っている。 ○平成 27 年度からは、地域だけでなく職場を通じた縁結びや出会いを促進するため、「ふくい結

婚応援企業」として登録する企業・団体の希望する独身従業員に対し婚活イベント情報等を紹

介するほか、他企業との交流会や婚活イベント等を開催している。 ○「結婚観・家庭観の醸成」に関する取組として、高校や大学への出前講座や「ハッピー・デー

ト」プロジェクト(夫婦や恋人を対象とした割引等のサービスを提供する店舗の登録制度)を

【保育・幼児教育】 ・保育料の軽減措置 ・保育所概要のホームページ等による情報提供 ・保育所定員等のホームページ等による情報提供 ・延長保育(11 時間超保育) ・夜間保育 ・障害児保育 ・幼稚園の入園料・授業料の軽減措置 ・幼稚園の職員加配 ・保育事業者への助成 【地域子育て支援】 ・放課後児童健全育成事業 【家庭での子育て支援】 ・子育て支援のハンドブック等の作成 【経済的支援】 ・乳幼児医療費助成 ・ベビーシッター料等の軽減策 ・一人親世帯への経済的支援 【妊娠・出産支援】 ・不妊治療の経済的支援 ・妊娠や出産に関する相談事業 ・妊産婦検診や乳幼児健診 【就労・働き方に関する支援】 ・両立支援事業者に対する経済的支援 ・企業の両立支援促進の研修・広報・相談 ・企業の両立支援促進の表彰や認定マーク ・育児休業制度の取得促進のための施策 ・女性の再就職の研修・広報・相談 ・非正規雇用者の就職支援 【住環境の整備】 ・子育て世帯の住宅費助成または融資制度 ・子育て世帯向け住宅提供者に対する助成 ・他自治体からの転入者受け入れの住宅支援

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実施している。

図表 134 結婚相談所の広報用チラシ

出典:福井県ホームページ https://www.pref.fukui.lg.jp/doc/joseikatuyaku/marriage/kekkonsoudan.html

○女性の県外への転出率が高いため、県外(特に関西圏)をターゲットにイベントを開催してい

るが、周知方法に課題があると感じている。また、他自治体との連携も難しい状況にある。 ○県内の小規模自治体では結婚支援に注力することが難しいため、複数自治体合同で婚活イベン

ト等を実施する際の支援や、マッチングシステムの構築について、県が実施できないかと考え

ている。 ○結婚支援及び結婚、妊娠・出産、乳児期を中心とする子育てに温かい社会づくり・機運の醸成

に係る取組として、平成 30 年時点において、以下の取組を実施している。(自治体アンケート

調査結果より)

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106

■福井市

○福井市主催の婚活イベントにおいて、婚活講座や「縁活お助け人」(地域のボランティア)によ

る婚活サポートやカップルへのフォローを組み合わせた事業を実施している。市の単独事業で

はあるが、福井県が実施している「地域の縁結びさん応援事業」や「ふくい結婚応援企業」事

業とも連携している。

図表 135 福井市主催の婚活イベント・講座のチラシ<出愛❤恋々応援事業>

出典:ふくい婚活カフェウェブサイト http://www.city.fukui.lg.jp/fukusi/kosodate/syousika/deaikoikoi_d/fil/event.pdf

【結婚支援の取組】 ・マッチング(システム以外によるものすべて) ・婚活イベント ・独身者向け婚活セミナー・講演会等の開催 ・情報発信(結婚支援センターのポータルサイト、メルマガ、SNS 等) ・企業・団体等に対する支援 ・企業・団体等との連携(希望者に対する情報提供等) ・企業・団体等における結婚支援の取組状況調査 ・ボランティアの育成(地域のおせっかいさん等) 【結婚、妊娠・出産、乳児期を中心とする子育てに温かい社会づくり・機運の醸成の取組】 ・都道府県が設置している相談窓口等に関する情報提供 ・マリッジサポーターの育成・交流 ・スキルアップセミナーや婚活イベントの実施 ・都道府県が行う結婚支援の取組に関する情報提供 ・不妊治療等への支援 ・妊娠・出産に関する正しい知識の情報提供 ・産後ケアの充実 ・妊娠・出産に関する相談支援 ・子育てサポーター人材育成 ・子育て支援パスポート等事業 ・出産直後の男性の休暇取得や男性の家事・育児への参画を促進する機運醸成の取組 ・ライフデザインに関する取組

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○結婚支援及び結婚、妊娠・出産、乳児期を中心とする子育てに温かい社会づくり・機運の醸成

に係る取組として、平成 30 年時点において、以下の取組を実施している。(自治体アンケート

調査結果より)

③子育て支援の取組 ■福井県

○三世代同居が減少していること、近居していたとしても、祖父母が働いており子どもを預ける

ことが難しい世帯が増加していることから、1~2歳児の保育所利用率が高い。 ○福井県内の NPO 法人の活動分野をみると、子育て支援を行う団体がもっとも多い。 ○福井県では、子育て支援の分野だけではなく他の分野においても、早い時期から事業を民間に

委託する流れが構築されていたため、行政と民間が連携する体制が整っている。そのため、行

政のみで事業を行うケースよりも短期間で結果が出やすい。 ○子育て支援については「保育所に安心して入所できること」に対するニーズが高く、一時預か

り事業や、家事援助等のサポートも整備している。 ○仕事と子育ての両立支援としては、「ふくい子宝応援給付金」(第一子の出産後、短時間勤務期

間中に第二子の育児休業を取得した際、フルタイム勤務時の賃金水準による給付金との差額相

当分を支給する制度)を平成 26 年度に創設しており、短時間勤務の利用と若い世代の出産を

後押ししている。 ○子育て支援については市町が実質的な支援を担い、県は財政的な支援を行うという棲み分けで

ある。一方で、個々の市町では企業への働きかけ(男性の働き方改善等)を行うことは困難で

あるため、県が担うものだと考えている。 ■福井市

○市内 48 の小学校区に設置している「地域子育て支援委員会」(平成 15 年設置)において、子

育て支援を提供していた。児童館やセンター等多くの担い手が「子育てひろば」を運営するよ

うになったため、現在は各小学校区の公民館(社会教育の場という位置づけ)が子育て支援の

担い手として重要な役割を果たしている。 ○近隣の鯖江市や坂井市に居を構え、福井市内に通勤する場合も多いため、若い世代を対象に、

住宅支援施策を行っている。

【結婚支援の取組】 ・相談業務(結婚支援センター以外の相談窓口) ・婚活イベント ・独身者向け婚活セミナー・講演会等の開催 ・独身者の親向け婚活セミナー ・情報発信(結婚支援センターのポータルサイト、メルマガ、SNS 等) ・企業・団体等との連携(希望者に対する情報提供等) ・ボランティアの育成(地域のおせっかいさん等) 【結婚、妊娠・出産、乳児期を中心とする子育てに温かい社会づくり・機運の醸成の取組】 ・男性の家事・育児への参画促進に関する取組 ・ライフデザイン教育(学生対象) ・乳幼児とのふれあい体験 ・支援者(ボランティアを含む)の育成 ・機運醸成の取組(キャンペーンなど)

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108

○病児・病後児保育は市内に4か所整備しており、他自治体からも受け入れている。

○結婚支援や子育て支援に関する情報提供を目的として、「はぐくむ.net」というサイトを市で

運営している。サイトのリニューアル時に「地域少子化対策重点強化交付金」を活用し、その

後のサイト運営や継続的なメンテナンスは、市の予算から支出している。

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109

福井県・福井市の事例調査についての委員所感

人口の減少傾向が続く中で、国および地方自治体の少子化対策と子ども・子育て支援策の重要

性は高まっている。地域少子化対策重点推進交付金等による地方自治体の「結婚、妊娠・出産、

子育てに温かい社会づくり・機運の醸成の取組」や「結婚に対する取組」および地域の実情に即

した少子化対策について、これまで効果検証を重ねながら特徴的な自治体の取組を実地調査し、

ポジティブな変化をもたらす要因を探索してきた。 平成 31 年度は、都道府県平均に比べて出生率の上昇率が高い自治体を4つのタイプに分類し、

タイプごとに一都県を選び、同都県のモデル市区町村と合わせて社会環境指標データの分析と実

地調査を行った。筆者は、4つのうち「元々出生率の水準も女性の有業率も高い地域」に分類さ

れた福井県の実地調査にあたった。 福井県は、合計特殊出生率が全国平均を 0.25 ポイント上回り、全国と比べて未婚率が低く、女

性の労働力人口比率がもっとも高い県である。 同県では、平成6年から全国でもっとも早い自治体による結婚支援が行われており、その前身

となる結婚相談所は、昭和 39 年に既に開所されていた。長年に渡る結婚支援の経験とノウハウ

の蓄積、地域人材の登用や育成、ネットワークの広がりが、現在の「縁結び活動」を推進する上

で有効に機能しており 、交付金を活用した同県の「総合的な結婚支援事業」と福井市の「出愛♥恋々応援事業」においても、企業や職場、商店などと一体となって推進する環境を形成していた。

子ども・子育て支援において福井県は、多様な担い手(NPO や生活協同組合等)や地域社会に

目を向け、いち早く支援策を展開してきた。平成 17 年度に始まった子育て相談に対応する人材

を地域に配する「子育てマイスター」や同 19 年度開始の「ママ・ファースト運動」等の事業は、

子育てにやさしい社会の実現を目指した、機運醸成の先駆けであり、現在の同県の合計特殊出生

率の高さを下支えする、県民の子ども・子育てへの意識に影響を与えてきたものと推察される。 女性の労働力人口比率が全国でもっとも高く、正規雇用率も高い水準にある福井県は、これま

で三世代同居率や近居率が全国よりも高く、共働き家庭の子育てを祖父母世代や親族が支えてき

た。しかし近年では同居や近居が減少傾向にあり、共働き核家族家庭の保育ニーズが高まり続け

ている。平成 29 年度からは、福井市をはじめとする一部の市で待機児童が発生し、認定こども園

化や多様な主体による保育の受け皿整備を求められている。 旧来型の親族による子育て支援が困難な状況を迎えつつあるものの、福井県の男性の就業時間

は全国平均を上回っており、働き方改革が進んでいない実態が捉えられている。 実地調査に赴いた日、福井新聞に「福井人の不幸せ−幸福度日本一のもとで」と題した連載記事

が掲載され、「女性の痛み 家庭支える」との見出しが踊った。「ふくい×AI 未来の幸せアクショ

ンリサーチ」(福井新聞と日立京大ラボの共同研究プロジェクト)が「福井人の不幸せ」について

募集したところ、「母として、妻としての負担を感じるという女性からの声が最も多かった」とし

て、女性に負担の高い福井人の実態が綴られていた。今回の社会環境指標データからも、こうし

た状況は推察されている。出生率も女性の有業率も高い福井県が、今後、性別役割分業からどの

ように脱し、どのような道筋で、男女共同参画時代の家族モデルを描き、少子化を克服していく

のか、期待を込めて見守っていきたい。 坂本純子(NPO 法人新座子育てネットワーク 代表理事)

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110

2.香川県、高松市

(1)団体の概要

■香川県

1)人口 976,263 人 2)面積 1876.72 ㎢ 3)人口密度 520.2(人/㎢) 4)合計特殊出生率 1.61(平成 30 年) 5)出生数 6,899 人(平成 30 年) 6)65 歳以上人口比率 29.9%

■高松市

1)人口 420,748 人 2)面積 375.41 ㎢ 3)人口密度 1120.8(人/㎢) 4)合計特殊出生率 1.53(平成 25 年) 5)出生数 3,604 人(平成 29 年) 6)65 歳以上人口比率 27.0%

出典:1)~3)及び 6)は総務省「国勢調査」(平成 27 年)、4)~5)は厚生労働省「人口動態調査」(各年)

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(2)社会環境指標に関する特徴

【主な特徴】 ■香川県 ・合計特殊出生率は、全国と比較して高い水準にある。特に平成 22 年以降は、全国とおよそ

0.15~0.2 ポイントの差がみられる。全国と同じく平成 17 年に底を打っている。 ・男女別未婚率、男女別平均初婚年齢ともに、全国よりも低い水準で推移している。 ・若年雇用者(15~24 歳)に占める非正規雇用比率は、都道府県平均と比較して低い状況に

ある。 ・女性雇用者に占める正規雇用者比率も、都道府県よりやや高い水準で推移している。 ・もともとコンパクトな県・市町であったことに加え、近年は住宅地の開発が進み、交通の便

が良くなったため、三世代同居よりも近居の割合が高まっている。また、通勤・通学時間も、

都道府県平均に比べて短い。 ・以上より、香川県は合計特殊出生率が全国より高い水準にあり、未婚率や平均初婚年齢等の

結婚をめぐる状況も、全国と比べるとよいといえる。夫婦間の子ども数も、30 歳代で近年

3人以上の世帯の割合が微増している。これらの背景として、若年雇用者に占める非正規雇

用者比率が低く雇用環境が比較的良好であることや、元々三世代同居等により祖父母等の

インフォーマルな支援が得られる環境にあったことがある。近年、三世代同居率は減少傾向

にあるが近居率は都道府県平均を上回っており、引き続きインフォーマルな子育て支援が

受けやすいこと、また職住近接で通勤負担が少ないことなどから、子育てと仕事が両立しや

すい環境が実現していると考えられる。コンパクトな地域で充実した子育て支援が提供さ

れていることも、プラス要因と考えられるが、保育所の利用率は都道府県平均と比べて低

く、今後さらに同居・近居が減少した場合に課題が生じる可能性がある。待機児童割合も、

都道府県平均と比べると高い水準である。また、全国に比べれば低いものの、上昇傾向が続

いている未婚率の増加も、今後の課題であろう。 ■高松市 ・合計特殊出生率は、1.53(平成 25 年)と全国を上回り、経年でも緩やかに上昇している。 ・未婚率は男女とも上昇傾向にあるが、男性の 20~24 歳及び 30~34 歳では下降又は横ばい

となっている。 ・転出入の状況をみると、平成 22 年以降は、転入超過に転じている。

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112

①香川県 1)人口動態に関するデータ (合計特殊出生率の状況) ○香川県の合計特殊出生率は平成 28 年において 1.64 であり、全国平均 1.44 を上回っている。

図表 136 香川県の合計特殊出生率の推移

出典:厚生労働省「平成 28 年人口動態統計調査」

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113

(婚姻の状況) ○男女別年齢別有配偶率は、平成 27 年において、いずれの年代でも男性の方が女性より低くな

っている。また、経年でみると、男女とも低下傾向となっている。

図表 137 香川県の男女別年齢別有配偶率の推移

出典:総務省「国勢調査」(各年) ○平成 27 年において、20~24 歳男性の未婚率は 92.9%、25~29 歳では同 68.5%、30~34 歳で

は同 44.5%となっており、いずれの年齢層においても全国平均より低い傾向がみられる。

図表 138 香川県の年齢別未婚率の推移(男性)

出典:厚生労働省「平成 28 年人口動態統計調査」

24.3 22.3 21.1 18.9

66.760.4 59.0 57.2

80.5 75.770.6 67.0

86.081.5

78.2 74.2

0

20

40

60

80

100

平成12年 平成17年 平成22年 平成27年

香川県 男性

20代 30代 40代 50代

(%)

33.6 29.8 28.0 25.7

77.2 70.0 67.4 66.1

85.7 81.7

75.9 71.982.2 81.2 80.8

77.7

0

20

40

60

80

100

平成12年 平成17年 平成22年 平成27年

香川県 女性

20代 30代 40代 50代

(%)

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114

○平成 27 年において、20~24 歳女性の未婚率は 88.4%、25~29 歳では同 57.7%、30~34 歳で

は同 31.8%となっており、男性と同様に、いずれの年齢層においても全国平均より低い傾向が

みられる。

図表 139 香川県の年齢別未婚率の推移(女性)

出典:厚生労働省「平成 28 年人口動態統計調査」 ○平均初婚年齢は平成 28 年度において、男性 30.4 歳、女性 28.9 歳である。全国平均の男性 31.1

歳、女性 29.4 歳より、やや低くなっている。

図表 140 香川県の男女別平均初婚年齢の推移

出典:厚生労働省「平成 28 年人口動態統計調査」

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115

○母親の出生時年齢の平均は、平成 28 年度において、第1子では 30.1 歳、第2子では 32.1 歳、

第3子では 33.2 歳となっており、第1子~第3子いずれについても全国平均より低くなって

いる。

図表 141 香川県における母親の平均出生時年齢の推移

出典:厚生労働省「平成 28 年人口動態統計調査」

(夫婦間出生力の変化) ○平成 27 年における一般世帯の妻の年齢別に子ども数をみると、20 代では「子ども1人」が

36.2%でもっとも割合が高くなっている。30 代では、「子ども2人」が 41.7%でもっとも割合

が高いが、平成 12 年と比較すると、30 代において「子どもなし」の割合が増加している。

図表 142 香川県の夫婦のいる一般世帯における、妻の年齢別子ども数

注:夫婦のいる一般世帯とは、「夫婦のいる核家族世帯」+「夫婦のいるその他の世帯(同居の親あり)」+「夫

婦のいるその他の世帯(同居の親なし)」の合計。

出典:総務省「国勢調査」(各年)

33.9

32.8

33.4

35.0

38.3

38.1

38.2

36.2

23.7

24.6

23

22.9

3.8

4.1

4.7

5.3

0.3

0.4

0.7

0.7

0% 20% 40% 60% 80% 100%

平成12年

平成17年

平成22年

平成27年

香川県:20代

子どもなし 子ども1人 子ども2人 子ども3人 子ども4人以上

12.0

15.2

16.4

16.5

20.9

23.9

24.3

24.8

48.3

45.3

43.5

41.7

16.8

13.8

13.9

14.3

2.0

1.8

1.9

2.6

0% 20% 40% 60% 80% 100%

平成12年

平成17年

平成22年

平成27年

香川県:30代

子どもなし 子ども1人 子ども2人 子ども3人 子ども4人以上

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116

2)結婚をめぐる社会環境 (若者の雇用環境) ○男女別賃金の推移をみると、20~30 代の男女ともに、概ね上昇傾向となっている。ただし、賃

金の水準は、いずれの年代でも女性の方が男性より低くなっている。

図表 143 香川県の男女別賃金(決まって支給する現金額)の推移

出典:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」(各年)

○平成 30 年における完全失業率は、都道府県平均とほぼ同水準である。

図表 144 香川県の完全失業率

平成 30 年

全国平均 2 2.5%

都道府県平均 2.1%

香川県 2.2%

出典:総務省「労働力調査」(平成 30 年) ○若年雇用者に占める非正規雇用者比率(15~24 歳(男女計))は都道府県平均よりも低く、平

成 29 年において 31.6%となっている。経年でみると、平成 19 年から 24 年にかけての上昇幅

は都道府県平均より大きいが、平成 24 年から 29 年にかけての下降幅も都道府県平均より大き

くなっている。

図表 145 香川県の若年雇用者に占める非正規雇用者比率(15~24 歳(男女計))の推移

平成 14 年 平成 19 年 平成 24 年 平成 29 年

全国平均 46.7% 46.8% 50.0% 48.1%

都道府県平均 43.6% 43.1% 45.9% 42.2%

香川県 37.3% 36.1% 42.2% 31.6%

出典:総務省「就業構造基本調査」(各年)

2 全国平均は、各指標に関する全国レベルの水準を示す。都道府県平均は、都道府県ごとに算出される数値を 47 都道府県で

平均したものである。都道府県間で数値に偏りがあるため、全国平均と都道府県平均は必ずしも一致しない。以下同様。

171.1214.4

235.5 252.4

313.4 326.1

382.2

380.1378.1

412.3

0

100

200

300

400

500

平成14年 平成16年 平成18年 平成20年 平成22年 平成24年 平成26年 平成28年 平成30年

香川県 男性

10代 20代 30代 40代 50代

(千円)

192.2178.8190.8221.5

226.9253.5

243.3264.0231.4

282.4

0

100

200

300

400

500

平成14年 平成16年 平成18年 平成20年 平成22年 平成24年 平成26年 平成28年 平成30年

香川県 女性

10代 20代 30代 40代 50代

(千円)

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117

○平成 27 年における未婚者が親と同居している割合(25~34 歳)は、都道府県平均とほぼ同水

準である。

図表 146 香川県の未婚者が親と同居している割合(25~34 歳)

平成 27 年

全国平均 32.1%

都道府県平均 34.7%

香川県 35.0%

出典:総務省「国勢調査」(平成 27 年) (出会いの機会:若年層の転出入状況) ○若年層の転出入の状況をみると、20 代男性の転入者数はほぼ横ばい、20 代女性の転入者数は

増加傾向にある。30 代は男女とも転入者数が減少傾向となっているが、転出者数も同じく低下

傾向にあり、結婚・子育て世代において県内にとどまる人が増加しているとみられる。 ○平成 30 年における県全体の転入超過率をみると、男女ともに転出超過となっているが、男女

差はあまりみられない。

図表 147 香川県の転入者数の推移

出典:総務省「住民基本台帳人口移動報告」(各年)

図表 148 香川県の転出者数の推移

出典:総務省「住民基本台帳人口移動報告」(各年)

10,17010,627

3,4823,476

2,1072,468

1,4021,3330

4000

8000

12000

平成30年平成29年平成28年平成27年平成26年平成25年平成24年平成23年平成22年

香川県 男性:転入

全体 20代 30代 40代

10,96911,282

4,1973,793

2,0822,389

1,4471,3750

4000

8000

12000

平成30年平成29年平成28年平成27年平成26年平成25年平成24年平成23年平成22年

香川県 女性:転入

全体 20代 30代 40代

7,6937,831

2,6842,628

1,7661,989

8596720

4000

8000

12000

平成30年平成29年平成28年平成27年平成26年平成25年平成24年平成23年平成22年

香川県 男性:転出

全体 20代 30代 40代

8,5708,581

3,3832,934

1,7192,043

8647630

4000

8000

12000

平成30年平成29年平成28年平成27年平成26年平成25年平成24年平成23年平成22年

香川県 女性:転出

全体 20代 30代 40代

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118

図表 149 香川県の男女別転入超過率

全体 男性 女性

平成 30 年 -0.17% -0.17% -0.18%

注:転入超過率=(転入者数(外国人含む)-転出者数(外国人含む))/総人口(外国人含む)

出典:総務省「住民基本台帳人口移動報告」(平成 30 年)

3)出産・子育てをめぐる社会環境 (女性活躍の状況) ○女性の年齢別有業率は、平成9年から平成 24 年にかけていわゆる M 字カーブがゆるやかにな

っている。また、20 歳~40 歳にかけて、有業率が下がり始めるタイミングのシフトもみられ

る。

図表 150 香川県の女性の年齢別有業率

出典:総務省「就業構造基本調査」(各年) ○女性雇用者に占める正規雇用者比率は、平成 29 年において 47.3%となっている。平成 19 年以

降、増減はあるが、概ね横ばいとなっている。

図表 151 香川県の女性雇用者に占める正規雇用者比率

平成 14 年 平成 19 年 平成 24 年 平成 29 年

全国平均 47.0% 43.0% 42.5% 43.4%

都道府県平均 48.6% 45.0% 44.0% 44.8%

香川県 53.0% 49.4% 47.1% 47.3%

出典:総務省「就業構造基本調査」(各年)

(H9)

(H24)

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119

○平成 27 年における管理的職業従事者・専門的・技術的職業従事者に占める女性割合(雇用者)

は、都道府県平均よりも高く、57.4%となっている。

図表 152 香川県の管理的職業従事者・専門的・技術的職業従事者に占める女性割合(雇用者)

平成 27 年

うち管理的

職業従事者

全国平均 49.1% 9.7%

都道府県平均 53.6% 9.2%

香川県 57.4% 8.8%

出典:総務省「国勢調査」(平成 27 年)

(三世代同居等親族による支援力) ○三世代同居率、近居率ともに低下傾向にあり、平成 27 年の三世代同居率は 6.5%と都道府県平均

より低くなっている。また、平成 30 年の近居率は 8.8%と都道府県平均より高くなっている。 ○平成 12 年時点の三世代同居率と、平成 15 年時点の近居率を比較すると、三世代同居率の方が

約2ポイント高いが、平成 27 年時点の三世代同居率と、平成 30 年時点の近居率を比較する

と、近居率の方が約2ポイント高くなっている。

図表 153 香川県の三世代同居率の推移

平成 12 年 平成 17 年 平成 22 年 平成 27 年

全国平均 10.1% 8.6% 7.1% 5.6%

都道府県平均 13.4% 11.6% 9.7% 7.8%

香川県 12.9% 10.6% 8.5% 6.5%

出典:総務省「国勢調査」(各年) 図表 154 香川県の近居率の推移

平成 15 年 平成 20 年 平成 25 年 平成 30 年

全国平均 7.2% 7.0% 6.0% 5.6%

都道府県平均 8.1% 8.0% 7.1% 6.7%

香川県 10.3% 10.3% 9.1% 8.8%

出典:総務省「住宅・土地統計調査」(各年) (多様な保育サービス) ○保育所利用率は、平成 29 年において 24.7%と都道府県平均よりも低いが、平成 19 年以降はゆ

るやかに上昇している。 図表 155 香川県の保育所利用率の推移

平成 14 年 平成 19 年 平成 24 年 平成 29 年

全国平均 23.0% 26.4% 29.0% 35.8%

都道府県平均 27.4% 24.4% 25.8% 29.7%

香川県 32.8% 21.3% 21.7% 24.7%

出典:保育所利用者数は厚生労働省「社会福祉施設等調査」(各年)、人口は総務省「人口推計」

(各年 10 月1日現在)

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120

○保育所等への申込者数に対する待機児童の割合は、平成 31 年4月1日時点において都道府県

平均よりも高く、0.79%となっている。

図表 156 香川県の待機児童割合

平成 31 年

4月1日時点

全国平均 0.60%

都道府県平均 0.46%

香川県 0.79%

注:保育所等への申込者数に対する待機児童数の割合

出典:厚生労働省「保育所等関連状況取りまとめ」(平成 31 年4月1日)

○17 歳以下人口1人あたり児童福祉費(県・市町村財政合計)は、平成 28 年において都道府県

平均よりも高く、496.2 千円となっている。また、経年でみると、平成 14 年以降一貫して増加

傾向となっている。

図表 157 香川県の 17 歳以下人口1人あたり児童福祉費(県・市町村財政合計)の推移

平成 14 年 平成 19 年 平成 24 年 平成 28 年

全国平均 213.9 267.9 391.2 472.2

都道府県平均 222.1 276.6 394.3 473.7

香川県 229.9 270.5 393.4 496.2

単位:千円

出典:総務省「社会生活統計指標-都道府県の指標-」(各年)

(教育費負担感の軽減) ○人口1人あたり教育費(県・市町村財政合計)は、平成 28 年において都道府県平均よりも高

く、157.9 千円となっている。また、経年でみると平成 19 年以降は増加傾向となっている。

図表 158 香川県の人口1人あたり教育費(県・市町村財政合計)の推移

平成 14 年 平成 19 年 平成 24 年 平成 28 年

全国平均 139.9 129.5 127.7 133.3

都道府県平均 153.8 140.6 142.1 148.4

香川県 147.1 137.6 153.3 157.9

単位:千円

出典:総務省「社会生活統計指標-都道府県の指標-」(各年)

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121

(仕事と育児の両立ができる職場環境) ○25~54 歳男性の1日あたり就業時間は、平成 28 年において 9.98 時間と都道府県平均よりも

長いが、通勤・通学時間は 1.04 時間と都道府県平均よりも短くなっている。

図表 159 香川県の男性(25~54 歳)の「1日あたり就業時間」及び「通勤・通学時間」の推移

1日あたり就業時間 (平日、行動者平均、男性 25~54 歳)

通勤・通学時間 (平日、行動者平均、男性 25~54 歳)

平成13年 平成18年 平成23年 平成28年 平成13年 平成18年 平成23年 平成28年

全国平均 9.32 9.77 9.83 9.85 1.19 1.35 1.35 1.48

都道府県

平均 9.42 9.76 9.75 9.77 1.11 1.15 1.15 1.24

香川県 9.36 9.87 10.04 9.98 0.86 1.10 0.97 1.04

単位:時間 出典:総務省「社会生活基本調査」(各年)

②高松市 (合計特殊出生率の状況) ○高松市の合計特殊出生率は、平成 25 年において 1.53 であり、全国平均 1.43 を上回っている

が、香川県内平均 1.59 よりは低くなっている。

図表 160 高松市の合計特殊出生率の推移

出典:高松すくすく子育てプラン(平成 27 年3月) ※データは厚生労働省「人口動態統計調査」

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122

(婚姻の状況) ○男女別年齢別有配偶率は、男女いずれの年齢層においても下降傾向がみられる。

図表 161 高松市の男女別年齢別有配偶率の推移

出典:総務省「国勢調査」(各年)より作成 ○高松市の未婚率を経年でみると、男女ともほとんどの年齢層において上昇傾向にあるが、20~24

歳男性及び 30~34 歳男性では、低下または横ばい傾向となっている。

図表 162 高松市の男女別年齢別未婚率の推移

出典:総務省「国勢調査」(各年)より作成 ○転入超過率は平成 17 年までは0%を下回り、転出超過が続いていたが、平成 22 年以降は転入

超過に転じている。 ○高松市へのヒアリングにおいて、平成 16 年から市内の住宅開発が進み、若い世代の受け皿に

なったことが、人口の流入に影響しているのではないかという指摘があった。

図表 163 高松市の転入超過率の推移

平成 12 年 平成 17 年 平成 22 年 平成 27 年

-0.44% -0.55% 0.12% 0.09%

注:転入超過率=(転入者数(外国人含む)-転出者数(外国人含む))/総人口(外国人含む)

出典:総務省「都道府県・市区町村のすがた」(各年)

7.9 7.4 5.7

33.6 34.0 31.2

57.1 56.1 55.0

67.9 66.1 63.8

0.0

10.0

20.0

30.0

40.0

50.0

60.0

70.0

80.0

90.0

100.0

平成17年 平成22年 平成27年

高松市 男性

20~24歳 25~29歳 30~34歳 35~39歳

%

7.9 7.4 5.7

33.6 34.0 31.2

57.1 56.1 55.0

67.9 66.1 63.8

0.0

10.0

20.0

30.0

40.0

50.0

60.0

70.0

80.0

90.0

100.0

平成17年 平成22年 平成27年

高松市 女性

20~24歳 25~29歳 30~34歳 35~39歳

%

91.7 91.6 89.2

65.1 63.9 64.5

40.1 40.7 40.1

25.3 29.5 30.4

0.0

10.0

20.0

30.0

40.0

50.0

60.0

70.0

80.0

90.0

100.0

平成17年 平成22年 平成27年

高松市 男性

20~24歳 25~29歳 30~34歳 35~39歳

%

86.0 86.6 87.2

53.3 54.9 56.4

27.3 30.7 31.5

17.7 19.8 21.4

0.0

10.0

20.0

30.0

40.0

50.0

60.0

70.0

80.0

90.0

100.0

平成17年 平成22年 平成27年

高松市 女性

20~24歳 25~29歳 30~34歳 35~39歳

%

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123

(3)結婚支援・子育て支援に関する取組状況

①少子化対策全体の取組状況 ■香川県

○少子化対策に係る取組として、平成 30 年時点において、以下の取組を実施している。(自治体

アンケート調査結果より)

【主な特徴】 ■香川県 ・結婚に対する支援は、複数の窓口を設けることや団体の協力を得ることで、対人口に対する

マッチングシステムへの登録数は比較的高い水準にある。 ・面積の小さい県でありながら、子育て支援拠点数が多く、活発に活動している NPO 法人や

地域の団体が各地に存在している。行政による子育てを支援する拠点の多さと支援を行う

民間団体の力で、子育て支援の量と質が、広範にわたってカバーされている。 ■高松市 ・結婚支援に関する取組については、主に香川県の取組に協力を行っている。 ・高松市内においても、子育て支援拠点数が多く、NPO の活動や地域コミュニティの協力の

もと充実した支援体制のほか、「中学生と乳幼児のふれあい事業」「父親手帳」など、充実し

た取組の展開が行われている。

【保育・幼児教育】 ・保育料の軽減措置 ・保育所概要のホームページ等による情報提供 ・保育所定員等のホームページ等による情報提供 ・幼稚園の入園料・授業料の軽減措置 【経済的支援】 ・乳幼児医療費助成 ・多子世帯向け子育て支援パスポート 【妊娠・出産支援】 ・不妊治療の情報提供や相談 ・不妊治療の経済的支援 ・妊娠や出産に関する相談事業 ・乳児家庭全戸訪問 ・不妊症治療の経済的支援、妊孕性温存治療の経済的支援 【就労・働き方に関する支援】 ・企業の両立支援促進の研修・広報・相談 ・企業の両立支援促進の表彰や認定マーク ・女性の再就職の研修・広報・相談 【住環境の整備】 ・公営住宅への子育て世帯の優先入居 ・他自治体からの転入者受け入れの住宅支援

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124

■高松市

○少子化対策に係る取組として、平成 30 年時点において、以下の取組を実施している。(自治体

アンケート調査結果等より)

②結婚に対する支援 ■香川県

○結婚に対する支援は、「香川県健やか子ども支援計画」において、「結婚・妊娠期からの支援」

として記載がある。

○平成 27 年度から、地域の美容院・理容院・サロン等において、店舗スタッフが顧客に対して、

結婚支援や子育て支援についての情報提供を行う「縁結び・子育て美容-eki」事業を実施して

いる。約 420 店舗(令和元年 11 月末時点)を、認定店舗として認定のうえ、協力してもらっ

ている。

○平成 28 年度より結婚支援センター事業を、地域少子化対策重点推進交付金を使って開始。か

がわ縁結び支援センター(EN-MUSU かがわ)を設置し、公益財団法人かがわ健康福祉機構に

委託のうえ、事業を実施している。1対1の個別マッチングによるお見合い事業や、登録企業・

団体等が実施する婚活イベントの支援等に取り組んでいる。 ○かがわ縁結び支援センターでは、セミナーや個別相談会を開催している。また、婚活を行う本

人に対するセミナーだけでなく、親御さん向けのセミナーも実施している。 ○マッチングシステムへの登録数はピーク時は約 1,500 人、直近では約 1,200 人(令和元年 11 月

末時点)となっている。登録者の男女比は概ね6:5である。また、これまでの成婚数は 70 件

(令和元年 11 月末時点)となっている。県内の幅広い地域から登録ができるよう、出張窓口を

設置するなどして、県内での窓口を増やしている。

○平成 29 年度から、協力団体や協力企業を募り始めた。出会い・結婚を希望する独身男女にそ

【保育・幼児教育】 ・保育料の軽減措置 ・保育所概要のホームページ等による情報提供 ・保育所の増設または定員増 ・延長保育(11 時間超保育) ・障害児保育 ・幼稚園の入園料・授業料の軽減措置 【地域子育て支援】 ・一時預かりまたは類似事業 ・子育て短期支援(ショートステイ)事業 【家庭での子育て支援】 ・育児サークル等の活動支援 ・子育て支援のハンドブック等の作成 【経済的支援】 ・乳幼児医療費助成 【妊娠・出産支援】 ・不妊治療の経済的支援 ・妊婦歯科健診、乳幼児歯科健診 【就労・働き方に関する支援】 ・企業の両立支援促進の表彰や認定マーク ・女性の再就職の研修・広報・相談 【住環境の整備】 ・子からみた祖父母と親の同居・近居(三世代同居・近居)の支援

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125

の機会を提供する団体を「応援団体」、結婚に向けた後押しや環境づくりに取り組む団体を「協

力団体」と呼んでいる。令和元年 11 月末時点で、52 の応援団体と、351 の協力団体の登録が

ある。 ○令和元年度からは、保険外交員の協力を得て、進学・結婚・出産等の人生のライフイベントの

タイミングで、結婚を希望する方やその親御さん、子育て中の保護者への支援を行っている

(「縁結び・子育てサポーター」)。

○結婚支援及び結婚、妊娠・出産、乳児期を中心とする子育てに温かい社会づくり・機運の醸成

に係る取組として、平成 30 年時点において、以下の取組を実施している。(自治体アンケート

調査結果より)

■高松市

○結婚支援に関する市としての事業は行っていないが、香川県の取組に協力している。 ○結婚支援及び結婚、妊娠・出産、乳児期を中心とする子育てに温かい社会づくり・機運の醸成

に係る取組として、平成 30 年時点において、以下の取組を実施している。(自治体アンケート

調査結果より)

【結婚支援の取組】 ・結婚支援センターの設置・運営 ・相談業務(結婚支援センター以外の相談窓口) ・マッチング(システムによるもの) ・婚活イベント ・独身者向け婚活セミナー・講演会等の開催 ・情報発信(結婚支援センターのポータルサイト、メルマガ、SNS 等) ・企業・団体等に対する支援 ・企業・団体等との連携(希望者に対する情報提供等) ・企業・団体等における結婚支援の取組状況調査 ・ボランティアの育成(地域のおせっかいさん等) 【結婚、妊娠・出産、乳児期を中心とする子育てに温かい社会づくり・機運の醸成の取組】 ・ライフデザイン教育(学生対象) ・子育て支援パスポート事業 ・支援者(ボランティアを含む)の育成

【結婚支援の取組】※都道府県の取組に参加・協力・共同実施 ・婚活イベント ・情報発信(結婚支援センターのポータルサイト、メルマガ、SNS 等) 【結婚、妊娠・出産、乳児期を中心とする子育てに温かい社会づくり・機運の醸成の取組】 ・男性の配偶者の出産直後の休暇取得の促進に関する取組 ・男性の家事・育児への参画促進に関する取組 ・乳幼児とのふれあい体験

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126

③子育てに対する支援 ■香川県

○地域における子育て支援については、「地域における子ども・子育て支援の充実」「放課後児童

クラブなどの放課後児童対策」「社会全体での子育て支援ネットワークの充実」「子ども・子育

てに関する相談・援助体制の充実」の4つの目標を掲げている。 ○子育て支援拠点の数は全国で5位(2019 年度時点)。面積の小さな県にたくさんの拠点がある

ことで、充実した支援が可能となっている。 ○各地に NPO 法人など民間の団体が存在し、活動を行っている。県は従来から、子育て分野に

関わらず幅広い政策分野において、各団体と連携して事業を行うことを基本としてきた。そう

した中でも、子育て支援に関わる団体が育っている。 ○子育て支援拠点を始めとした支援の充実と子育て支援に取り組む NPO の活動等により、子育

て環境が良くなってきている。 ○「かがわこどもの駅」事業では、授乳やおむつ替えなどができる設備のある施設を、かがわこ

どもの駅として認定し、認定マークを交付している。 ○支援店に協力をしてもらう、「かがわ育児の日」としている毎月 19 日にお得なサービスを提供

する「みんなトクだね応援団」事業を実施している。また、3人以上の子どもを持つ家庭を応

援する店舗や施設にてサービスや特典を受けられる「さんさんパスポート」事業を実施してい

る。

図表 164 「みんなトクだね応援団」「さんさんパスポート」「かがわこどもの駅」のロゴマーク

■高松市

○取組の方向性として、「子どもの成長への支援」「子育て家庭への支援」「子どもの成長・子育て

家庭を支える環境づくり」の3つを掲げている。 ○高松市内においても、子育て支援拠点が充実しており、市内に 31 拠点ある。市内の全域をカ

バーすることができている。 ○また、高松市内においても、NPO の活動や小学校区における地域コミュニティ協議会の活動な

ど、地域での活動がまだ残っている。「中学生と乳幼児のふれあい事業」なども、NPO の協力

があってこそ継続が可能になっている。 ○イクメンに関する冊子である「父親手帳」を作成した。平成 29 年に手帳を刷新。妻に寄り添う

こと、イクボスに関する情報を盛り込んでいる。

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127

図表 165 父親手帳「夫の出番 パパの出番」

出典:高松市「たかまつ父親手帳「夫の出番 パパの出番」」

http://www.city.takamatsu.kagawa.jp/kurashi/kosodate/shienjigyo/shienjigyo/chichioya.html

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香川県・高松市の事例調査についての委員所感

少子化対策は「結婚・妊娠・出産・子育て」と切れ目のない支援が主要政策となっている。し

かし行政の区分のなかでは、実際の事業は連動した動きにはなっていない。結婚支援事業の現場

は「成婚」を究極の目標としてとらえての事業展開がされる。「成婚」の先にある子育てや晩産化

は、別の「担当区分」だ。広く複眼的に結婚支援をとらえた企画や取組は全国的にも少ない。結

婚への機運醸成の一環として「ライフデザイン」に関する取り組みもあるが、参加者の年代や企

画内容も婚活事業との連続性を意識しての事業という感は薄い。結婚支援は目に見える効果を実

感できないことで、その課題は恒常的に、参加者集めの苦労や、運営の人的資源と財政不足に留

まっている。そこにどう風穴をあけ、結婚意識の変化を得ることができるのかキーワードと感じ

ている。 そのような問題意識を持っていたところ、改めて「切れ目ない支援意識」の重要性を気づかせ

てくれたのが、香川県と高松市のヒアリング調査であり、興味深いものであった。香川県の合計

特殊出生率が高い水準にあり、未婚率が全国平均より低く、女性の有業率も近年上昇傾向にある。

しかも通勤時間が全国に比べて短い傾向にあるという。 結婚の機運醸成のためには「結婚後の暮らしの支援」が地域の若い世代に見えているか、とい

う点が重要であることにあらためて気づかせてくれた。 香川県の特徴の一つは県内における子育て支援の活動の「密度の高さ」である。NPO団体な

ど「民間団体との連携」の動きが活発で、住民意識として出産から子育てへの支援が「あたりま

え」となっている。充実した子育て支援があり、かつ自治体の物理的なコンパクトさによって、

子育て支援の「密度」が高いものになっており、子育て支援の環境と利用者が常に住民に見えて

いる状況を生み出している。 また、香川県の特徴である「三世代同居率」は減少しているが、親との近居は残っている。つ

まり若い世代にとって、近距離に家族や官民の子育て支援があり、地域の「狭さ」のなかに、子

育て支援が日常の光景となっている。かつての世間体という若者にとって息苦しかった「規範」

が、むしろ「切れ目のない支援」のある環境を生み出し、それが若い世代に見えているというこ

とだ。 結婚や子育てを「コスパ」で考えがちな若い世代が多い。「出会いの場」だけでは、「結婚して

からも応援」が見えていない。それをどう「地域」が見せていくかが重要だ。香川県は「うどん

県」といわれる。「うどん屋」の数の密集を実感させるのも「狭さ」効果かもしれない。 「高松市」では、結婚支援は行っていないが、子育て支援を担い、結婚支援は広域な事業展開

の効果をはかる香川県が担うことで役割分担をしている。 「結婚支援事業」には、成婚を目的とするという歯車と、結婚や出産は常に個人の選択であり

「価値観の押し付け」を抑止するという歯車がある。この両輪は走りすぎず、行き過ぎずブレー

キをかけあい、どう目的にたどりつけばいいのか、歯がゆさと、困惑の中で「成果」を探し続け

る事業でもある。ここに「切れ目ない支援」を盛り込んだ「地域の支援発見型」出会いイベント

や、住民参加型の「子育て世代」との交流のある「ライフデザイン」企画を期待したい。

板本洋子(NPO 法人 全国地域結婚支援センター 代表)

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129

3.東京都、千代田区

(1)団体の概要

■東京都

1)人口 13,515,271 人 2)面積 2190.93 ㎢ 3)人口密度 6168.7(人/㎢) 4)合計特殊出生率 1.20(平成 30 年) 5)出生数 107,150 人(平成 30 年) 6)65 歳以上人口比率 22.7%

■千代田区

1)人口 58,406 人 2)面積 11.66 ㎢ 3)人口密度 5009.1(人/㎢) 4)合計特殊出生率 1.30(平成 27 年) 5)出生数 619 人(平成 26 年) 6)65 歳以上人口比率 18.2%

出典:1)~3)及び 6)は総務省「国勢調査」(平成 27 年)、4)~5)は厚生労働省「人口動態調査」(各年)

図表 166 千代田区の位置

出典:千代田区「2018 千代田の土地利用 1.千代田区の概況」

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(2)社会環境指標に関する特徴

【主な特徴】 ■東京都 ・合計特殊出生率は全国平均を下回っているものの、過去 10 年間(平成 17 年~27 年)では、

概ね上昇傾向となっている。 ・平均初婚年齢、未婚率は男女ともに全国より高いが、特に 30~34 歳の未婚率は、男女とも

過去 10 年間(平成 17 年~27 年)で低下しており、全国平均に近づいている。 ・若年雇用者(15~24 歳)に占める非正規雇用者比率は都道府県平均よりも高い。 ・20 代の賃金は、男女とも概ね上昇傾向にある。 ・20 代では男女とも転入者数が増加傾向にある。また、30 代は女性において、転入者数が転

出者数を上回っており、子育て世代にあたる層が流入している。 ・女性の有業率、女性雇用者に占める正規雇用者比率ともに都道府県平均より高く、保育所

等の申込者に占める待機児童割合が高くなっている。ただし、平成 29 年における保育所

利用率はほぼ都道府県平均並みである。 ・もともと三世代同居率、近居率は都道府県平均よりも低かったが、近年さらに低下してい

る。 ・男性の1日あたり就業時間(25~54 歳)は、平成 28 年において都道府県平均とほぼ同程

度であるが、通勤・通学時間は 1.77 時間と、都道府県平均を大きく上回っており、男性の

帰宅時間が遅いことがうかがえる。 ・以上より、30~34 歳の未婚率の低下にみられるように若者の結婚をめぐる環境の改善がみ

られており、背景として、若年層の賃金水準の改善や、女性雇用者に占める正規雇用者比

率の高さなど、雇用環境が比較的良好であることがあげられる。また、もともと三世代同

居や近居等、親族による子育て支援は少ない地域であるが、近年は保育所利用率が上昇し

ているほか、17 歳以下人口1人あたり児童福祉費が都道府県平均を大きく上回りながら増

加しており、フォーマルな子育て支援が充実してきていることがうかがえる。ただし、公

的な教育費の支出は少ない。男性の就業時間はもともと長いが、他の地域の就業時間が長

くなったことで、全国平均と同水準になってきている。一方、通勤時間は未だ全国平均よ

りも長い。男性の家事・育児時間は、全国平均よりは長いがわずかである。女性の家事時

間は全国平均よりも短く、家事の効率化を進めている様子もみてとれる。全国的にみて、

インフォーマルな支援に頼らず、社会的な支援により子育てを行い、仕事と子育ての両立

を図るモデルになりうると考えられるが、人口規模が大きいため、今後のさらなる女性の

就業継続率の増加や出生率の増加に対応した子育てサービスを柔軟に提供していけるか、

地域内に共通した情報提供や子育ての安心感の醸成をいかに行えるかが課題であろう。 ■千代田区 ・過去 10 年間(平成 17 年~27 年)で、合計特殊出生率及び出生数がともに上昇・増加して

いる。また、平成 26 年以降、合計特殊出生率は東京都の平均を上回っている。 ・転入者数についても平成 24 年以降、大きく増加している。

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131

①東京都 1)人口動態に関するデータ (合計特殊出生率の状況) ○東京都の合計特殊出生率の推移をみると、平成 28 年において 1.24 と全国平均を下回っている

ものの、過去最低の水準となった平成 17 年の 1.00 以降、概ね上昇傾向となっている。

図表 167 東京都の合計特殊出生率の推移

注:昭和 36~39 年、41~44 年の東京都の合計特殊出生率については、発表されていない。 出典:東京都「子供・子育て支援総合計画」※データは厚生労働省「平成 28 年人口動態統計調査」

図表 168 東京都の出生数の推移

出典:東京都「子供・子育て支援総合計画」※データは厚生労働省「平成 28 年人口動態統計調査」東京都福祉保

健局「平成 28 年人口動態統計年報」

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(婚姻の状況) ○男女別年齢別有配偶率は、平成 27 年において、いずれの年代でも男性の方が女性よりも低く

なっている。また、経年でみると、全体的には低下傾向にあるが、30 代の有配偶率は男女とも

平成 22 年から 27 年にかけてやや上昇している。

図表 169 東京都の男女別年齢別有配偶率の推移

出典:総務省「国勢調査」(各年) ○平成 28 年における平均初婚年齢は、男性 32.3 歳、女性 30.5 歳と、全国平均(男性 31.1 歳、

女性 29.4 歳)と比較して男女とも初婚年齢が高い傾向にある。

図表 170 東京都の男女別平均初婚年齢の推移

出典:東京都「子供・子育て支援総合計画」※データは総務省「国勢調査」(各年)

12.1 11.2 11.2 10.6

51.1 47.4 46.5 47.6

69.0 64.7 61.1 60.0

75.3 70.6 67.9 66.4

0

20

40

60

80

100

平成12年 平成17年 平成22年 平成27年

東京都 男性

20代 30代 40代 50代

(%)

20.7 18.0 17.3 16.4

63.9 58.8 56.9 58.2

76.1

71.0 66.5 66.875.773.4 70.8 69.5

0

20

40

60

80

100

平成12年 平成17年 平成22年 平成27年

東京都 女性

20代 30代 40代 50代

(%)

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133

○未婚率の推移をみると、男女とも全国平均よりも未婚率が高い傾向にある。昭和 50 年以降、

平成 17 年までは未婚率の上昇が続いていたが、過去 10 年間(平成 17 年~27 年)ではやや低

下傾向となっており、全国平均に近づいている。

図表 171 東京都の男女別年齢別未婚率の推移(上段が男性、下段が女性)

【男性】

【女性】

出典:東京都「子供・子育て支援総合計画(中間見直し版)」※データは総務省「国勢調査」(各年)

54.3 54.2

65.3

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134

(夫婦間出生力の変化) ○平成 27 年における一般世帯の妻の年齢別に子ども数をみると、20 代では「子どもなし」が

54.6%でもっとも割合が高くなっている。30 代では、「子どもなし」「子ども1人」「子ども2

人」がそれぞれ3割前後と、ほぼ同程度の割合となっている。平成 12 年と比較すると、20 代・

30 代のいずれにおいても、「子どもなし」の割合が増加している。

図表 172 東京都の夫婦のいる一般世帯における、妻の年齢別子ども数

注:夫婦のいる一般世帯とは、「夫婦のいる核家族世帯」+「夫婦のいるその他の世帯(同居の親あり)」+「夫

婦のいるその他の世帯(同居の親なし)」の合計。

出典:総務省「国勢調査」(各年)

2)結婚をめぐる社会環境 (若者の雇用環境) ○男女別賃金の推移をみると、20 代では男女とも上昇傾向、30 代では横ばいとなっている。た

だし、賃金の水準は、いずれの年代でも女性の方が男性より低くなっている。

図表 173 東京都の男女別賃金(決まって支給する現金給与額)の推移

出典:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」(各年)

50.6

51.2

52.5

54.6

33.3

33.1

32.1

31.1

14.0

13.7

12.9

11.7

1.9

1.8

2.2

2.2

0.2

0.2

0.3

0.3

0% 20% 40% 60% 80% 100%

平成12年

平成17年

平成22年

平成27年

東京都:20代

子どもなし 子ども1人 子ども2人 子ども3人 子ども4人以上

26.1

29.9

31.5

29.8

27.6

29.2

30.5

32.4

36.0

32.3

30.0

29.7

9.1

7.5

6.9

6.9

1.2

1.0

1.0

1.1

0% 20% 40% 60% 80% 100%

平成12年

平成17年

平成22年

平成27年

東京都:30代

子どもなし 子ども1人 子ども2人 子ども3人 子ども4人以上

182.9208.1

275.7 291.0

411.6 415.0

515.3 505.8

531.7564.0

0

100

200

300

400

500

600

平成14年 平成16年 平成18年 平成20年 平成22年 平成24年 平成26年 平成28年 平成30年

東京都 男性

10代 20代 30代 40代 50代

(千円)

179.2 199.3247.7 263.5320.5 319.0

345.6

358.6

332.8 375.6

0

100

200

300

400

500

600

平成14年 平成16年 平成18年 平成20年 平成22年 平成24年 平成26年 平成28年 平成30年

東京都 女性

10代 20代 30代 40代 50代

(千円)

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135

○平成 30 年における完全失業率は、都道府県平均よりも高く、2.6%となっている。

図表 174 東京都の完全失業率

平成 30 年

全国平均 3 2.5%

都道府県平均 2.1%

東京都 2.6%

出典:総務省「労働力調査」(平成 30 年) ○若年雇用者に占める非正規雇用者比率(15~24 歳(男女計))は都道府県平均よりも高く、平

成 29 年において 53.6%となっている。また、経年でみると都道府県平均・東京都ともに平成

19 年から 24 年にかけて上昇したあと、平成 29 年は再び低下している。

図表 175 東京都の若年雇用者に占める非正規雇用者比率(15~24 歳(男女計))の推移

平成 14 年 平成 19 年 平成 24 年 平成 29 年

全国平均 46.7% 46.8% 50.0% 48.1%

都道府県平均 43.6% 43.1% 45.9% 42.2%

東京都 54.8% 52.5% 56.9% 53.6%

出典:総務省「就業構造基本調査」(各年)

○平成 27 年における未婚者が親と同居している割合(25~34 歳)は、都道府県平均よりも低く、

23.0%となっている。

図表 176 東京都の未婚者が親と同居している割合(25~34 歳)

平成 27 年

全国平均 32.1%

都道府県平均 34.7%

東京都 23.0%

出典:総務省「国勢調査」(平成 27 年)

3 全国平均は、各指標に関する全国レベルの水準を示す。都道府県平均は、都道府県ごとに算出される数値を 47 都道府県で

平均したものである。都道府県間で数値に偏りがあるため、全国平均と都道府県平均は必ずしも一致しない。以下同様。

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(出会いの機会:若年層の転出入状況) ○若年層の転出入の状況をみると、特に 20 代において男女とも転入者数が大きく増加している

が、30 代も緩やかに増加している。一方、転出者数については、30 代男性は低下傾向、30 代

女性はほぼ横ばいで推移している。東京都全体の転入超過率をみると、平成 30 年において転

入超過となっており、男性より女性の方がその傾向が強いことがわかる。

図表 177 東京都の転入者数の推移

出典:厚生労働省「住民基本台帳人口移動報告」(各年)

図表 178 東京都の転出者数の推移

出典:厚生労働省「住民基本台帳人口移動報告」(各年)

図表 179 東京都の男女別転入超過率

全体 男性 女性

平成 30 年 0.58% 0.47% 0.68%

注:転入超過率=(転入者数(外国人含む)-転出者数(外国人含む))/総人口(外国人含む)

出典:総務省「住民基本台帳人口移動報告」(平成 30 年)

240,946

211,886

112,37988,092

52,48150,94324,87322,736

0

50000

100000

150000

200000

250000

平成30年平成29年平成28年平成27年平成26年平成25年平成24年平成23年平成22年

東京都 男性:転入

全体 20代 30代 40代

219,682

184,432

107,07080,178

46,02845,445

18,51814,044

0

50000

100000

150000

200000

250000

平成30年平成29年平成28年平成27年平成26年平成25年平成24年平成23年平成22年

東京都 女性:転入

全体 20代 30代 40代

208,923192,563

78,85868,32952,78353,883

25,64523,133

0

50000

100000

150000

200000

250000

平成30年平成29年平成28年平成27年平成26年平成25年平成24年平成23年平成22年

東京都 男性:転出

全体 20代 30代 40代

171,861155,424

66,33957,27743,74343,630

16,85412,9620

50000

100000

150000

200000

250000

平成30年平成29年平成28年平成27年平成26年平成25年平成24年平成23年平成22年

東京都 女性:転出

全体 20代 30代 40代

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137

3)出産・子育てをめぐる社会環境 (女性活躍の状況) ○女性の年齢別有業率をみると、平成 14 年よりも平成 24 年では、「25~29 歳」及び「30~34

歳」の有業率が上昇している。しかし、「35~39 歳」でもっとも落ち込み、その後 40 代に緩や

かに回復するという M 字カーブは、依然としてみられる。

図表 180 東京都の女性の年齢別有業率

出典:東京都「子供・子育て支援総合計画」※データは東京都総務局「都民の就業構造」 ○女性雇用者に占める正規雇用者比率は、平成 24 年に比べて平成 29 年の方がやや高く、平成 29

年において 49.3%となっている。

図表 181 東京都の女性雇用者に占める正規雇用者比率

平成 14 年 平成 19 年 平成 24 年 平成 29 年

全国平均 47.0% 43.0% 42.5% 43.4%

都道府県平均 48.6% 45.0% 44.0% 44.8%

東京都 49.3% 46.0% 48.1% 49.3%

出典:総務省「就業構造基本調査」(各年)

○管理的職業従事者・専門的・技術的職業従事者に占める女性割合(雇用者)は、平成 27 年にお

いて 43.1%と、都道府県平均よりも低くなっている。

図表 182 東京都の管理的職業従事者・専門的・技術的職業従事者に占める女性割合(雇用者)

平成 27 年

うち管理的

職業従事者

全国平均 49.1% 9.7%

都道府県平均 53.6% 9.2%

東京都 43.1% 13.8%

出典:総務省「国勢調査」(平成 27 年)

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138

(三世代同居等親族による支援力) ○三世代同居率、近居率ともに都道府県平均を大きく下回っており、平成 27 年における三世代

同居率は 1.8%、平成 30 年における近居率は 2.8%となっている。また、経年でみると、いず

れも低下傾向となっている。

図表 183 東京都の三世代同居率の推移

平成 12 年 平成 17 年 平成 22 年 平成 27 年

全国平均 10.1% 8.6% 7.1% 5.6%

都道府県平均 13.4% 11.6% 9.7% 7.8%

東京都 3.6% 3.1% 2.3% 1.8%

出典:総務省「国勢調査」(各年)

図表 184 東京都の近居率の推移

平成 15 年 平成 20 年 平成 25 年 平成 30 年

全国平均 7.2% 7.0% 6.0% 5.6%

都道府県平均 8.1% 8.0% 7.1% 6.7%

東京都 4.5% 4.0% 3.2% 2.8%

出典:総務省「住宅・土地統計調査」(各年) ○6歳未満の子どものいる家庭における夫婦の家事・育児時間(1日あたり)をみると、妻に

ついては、育児の時間は全国平均とほぼ変わらないが、家事の時間は短い傾向にある。夫に

ついては、家事・育児の時間ともに全国平均より長い傾向がみられる。

図表 185 東京都の6歳未満の子どものいる家庭における夫婦の家事・育児時間(1日あたり)

出典:東京都「子供・子育て支援総合計画」※データは総務省「平成 28 年社会生活基本調査」

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139

(多様な保育サービス) ○保育所利用率は、平成 29 年において 30.3%と都道府県平均とほぼ同水準であるが、経年でみ

ると増加傾向となっている。

図表 186 東京都の保育所利用率の推移

平成 14 年 平成 19 年 平成 24 年 平成 29 年

全国平均 23.0% 26.4% 29.0% 35.8%

都道府県平均 27.4% 24.4% 25.8% 29.7%

東京都 22.1% 23.6% 25.2% 30.3%

出典:保育所利用者数は厚生労働省「社会福祉施設等調査」(各年)、人口は総務省「人口推計」

(各年 10 月 1 日現在) ○保育所等への申込者数に対する待機児童の割合は、平成 31 年4月1日時点において 1.19%と

都道府県平均を大きく上回っている。

図表 187 東京都の待機児童割合

平成 31 年

4月1日時点

全国平均 0.60%

都道府県平均 0.46%

東京都 1.19%

注:保育所等への申込者数に対する待機児童数の割合

出典:厚生労働省「保育所等関連状況取りまとめ」(平成 31 年4月1日)

○17 歳以下人口1人あたり児童福祉費(県・市町村財政合計)は、平成 28 年において都道府県

平均を大きく上回っており、691.1 千円となっている。また、経年でみても、平成 14 年から 28年にかけて、大きく増加している。

図表 188 東京都の 17 歳以下人口1人あたり児童福祉費(県・市町村財政合計)の推移

平成 14 年 平成 19 年 平成 24 年 平成 28 年

全国平均 213.9 267.9 391.2 472.2

都道府県平均 222.1 276.6 394.3 473.7

東京都 342.3 401.5 588.0 691.1

単位:千円 出典:総務省「社会生活統計指標-都道府県の指標-」(各年)

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140

(教育費負担感の軽減) ○人口1人あたり教育費(県・市町村財政合計)は、平成 28 年において都道府県平均よりも低

く、124.5 千円となっている。また、経年でみると、平成 14 年から 24 年までは減少傾向とな

っているが、平成 28 年は増加している。

図表 189 東京都の人口1人あたり教育費(県・市町村財政合計)の推移

平成 14 年 平成 19 年 平成 24 年 平成 28 年

全国平均 139.9 129.5 127.7 133.3

都道府県平均 153.8 140.6 142.1 148.4

東京都 120.2 119.1 114.5 124.5

単位:千円 出典:総務省「社会生活統計指標-都道府県の指標-」(各年)

(仕事と育児の両立ができる職場環境) ○25~54 歳男性の1日あたり就業時間は、平成 23 年に比べて 28 年の方が短く、平成 28 年にお

いて 9.78 時間と都道府県平均とほぼ同水準である。また、通勤・通学時間は 1.77 時間と都道

府県平均よりも長く、経年でみると概ね増加傾向にある。

図表 190 東京都の男性(25~54 歳)の「1日あたり就業時間」及び「通勤・通学時間」の推移

1日あたり就業時間 (平日、行動者平均、男性 25~54 歳)

通勤・通学時間 (平日、行動者平均、男性 25~54 歳)

平成13年 平成18年 平成23年 平成28年 平成13年 平成18年 平成23年 平成28年

全国平均 9.32 9.77 9.83 9.85 1.19 1.35 1.35 1.48

都道府県

平均 9.42 9.76 9.75 9.77 1.11 1.15 1.15 1.24

東京都 9.71 9.49 9.95 9.78 1.69 1.64 1.67 1.77

単位:時間 出典:総務省「社会生活基本調査」(各年)

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141

②千代田区 ○千代田区の合計特殊出生率は全国平均を下回っているものの、過去 10 年間(平成 17 年~27

年)で上昇しており、平成 26 年には東京都平均を上回っている。

図表 191 千代田区の合計特殊出生率の推移

出典:千代田区「第二次健康千代田 21 」※データは「東京都人口動態統計年報等」 ○出生数についても、平成 17 年以降、増加傾向となっている。また、転出入者数の推移をみる

と、平成 24 年以降、転入者数が大きく増加している。

図表 192 千代田区の出生数・転出入者数の推移

出典:千代田区「第二次健康千代田 21」※データは「住民基本台帳」

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142

○転入超過率は一貫して0%を上回っており、転入超過が続いている。特に、平成 27 年は 2.36%と、転入超過の傾向が強まっている。

図表 193 千代田区の転入超過率の推移

平成 12 年 平成 17 年 平成 22 年 平成 27 年

0.60% 2.31% 1.41% 2.36%

注:転入超過率=(転入者数(外国人含む)-転出者数(外国人含む))/総人口(外国人含む)

出典:総務省「都道府県・市区町村のすがた」(各年)

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143

(3)結婚支援・子育て支援に関する取組状況

【主な特徴】 ■東京都 ・結婚に対する支援については、民間によるサービスが多いこともあり、自治体が積極的にマ

ッチングシステムやイベント等を開催するのではなく、結婚を希望しながらも一歩踏み出

せない人への後押しとなる情報提供などを通じて、結婚に向けた気運の醸成を行っている。 ・保育所利用率が全国平均よりも低い中で、0~2歳児を在宅で子育てしている家庭に対する

支援等も充実させていく方針にある。 ■千代田区 ・近隣自治体に比べ、比較的保育所に入所しやすいことが子育て世帯流入の要因の一つになっ

ていると考えられる。 ・子育てに対する支援の直近の課題としては保育所の整備が挙げられる。一方で、共働き世帯

に向けた子育て環境の整備、一時的な預かりサービス、若年妊婦にむけた支援等、子育て支

援に対するニーズは多様化している。

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144

①少子化対策全体の取組状況 ■千代田区

○少子化対策に係る取組として、平成 30 年時点において、以下の取組を実施している。(自治体

アンケート調査結果より)

【保育・幼児教育】 ・保育料の軽減措置 ・保育所概要のホームページ等による情報提供 ・保育所定員等のホームページ等による情報提供 ・保育所の増設または定員増 ・認可保育所への職員加配 ・延長保育(11 時間超保育) ・病児・病後児保育 ・認可外保育施設への保育料の助成 ・保育事業者への助成 【地域子育て支援】 ・ファミリー・サポート・センターまたは類似事業 ・地域子育て支援拠点事業または類似事業 ・一時預かりまたは類似事業 ・放課後児童健全育成事業 ・子育て短期支援(ショートステイ)事業 【家庭での子育て支援】 ・子育ての方法や育児不安解消の相談事業 ・子育てサポーターの養成 ・育児支援家庭訪問事業 ・子育て支援のハンドブック等の作成 【経済的支援】 ・乳幼児医療費助成 ・ベビーシッター料等の軽減策 ・一人親世帯への経済的支援 【妊娠・出産支援】 ・不妊治療の情報提供や相談 ・不妊治療の経済的支援 ・出産費用の助成 ・妊娠や出産に関する相談事業 ・妊産婦検診や乳幼児健診 ・乳児家庭全戸訪問 【就労・働き方に関する支援】 ・育児休業制度の取得促進のための施策 【住環境の整備】 ・子育て世帯の住宅費助成または融資制度 ・子からみた祖父母と親の同居・近居(三世代同居・近居)の支援

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145

②結婚に対する支援 ■東京都

○結婚支援のための民間サービス(マッチングシステムやイベント等)が多いこともあり、東京

都では、結婚を希望しながらも一歩を踏み出せないでいる人を後押しするための施策として情

報提供(ポータルサイトの運営)、セミナー等を行い、結婚に向けた気運の醸成に取り組んでい

る。

図表 194 TOKYO ふたり STORY ポータルサイトのイメージ

出典:東京都結婚支援ポータルサイト「TOKYO ふたり STORY」

https://www.futari-story.metro.tokyo.lg.jp/about/ ○東京都内でも、基礎自治体によって取組状況は大きく異なる。 ○結婚支援及び結婚しやすい環境の整備に資する取組として、平成 30 年時点において、以下の

取組を実施している。

■千代田区

○千代田区では、結婚に対する支援については実施していない。

【結婚支援の取組】 ・ライフデザインセミナー・結婚応援イベント等の開催 ・情報発信(東京都結婚支援ポータルサイト、SNS 等) 【結婚しやすい環境の整備に資する取組】 ・ライフ・ワーク・バランスの推進 ・雇用・就労支援 ・女性活躍 ・消費生活相談 ・妊娠・出産・子育てに関する取組 ・企業向け支援 等

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146

③子育てに対する支援 ■東京都

○東京都が区部・市部用の施策を用意しているわけではなく、基礎自治体が中心に行う施策に対

して財政支援を行うというすみ分けとなっている。 ○保育所の整備については、今後3年間は増設予定だが、その後需要が落ち着いてくるのではな

いかと考えている。 ○妊娠・出産などのライフプランについて、若年層向けの普及啓発にも取り組んでいる。 ○0~2歳児を在宅で子育てしている家庭に対しても子育てひろばなどの支援を行うとともに、

支援を必要とする家庭を早期に把握できるよう、アウトリーチ的な支援にも取り組んでいる。 ■千代田区

○一時期、区の人口が4万人程度に落ち込んだ際には、住宅施策(整備、開発)に力を入れてい

た。その後、人口が5万人を超えた頃から子育て環境や働く環境の整備に取り組んできたが、

都心への人口流入傾向が続いており、令和2(2020)年1月時点では人口は約6万 4000 人で

ある。 ○もともと子育て世帯が多い地域ではなかったため、待機児童数は0の状態が続いていた。近隣

区に比べて保育所に入所しやすいことも子育て世帯流入の要因の一つになっている可能性が

あると思われる。 ○就学前人口が今後も増加すると、小学校数が足りなくなることが懸念される。ただし、保育所

へ入所するために近隣区から引っ越してくる家庭が多いことや、私立小学校への入学ニーズも

あるため、現在の就学前人口の全数が千代田区内の公立小学校に移行するわけではない。 ○区の子育て支援施策における最優先事項は、保育所の整備による受け皿拡大である。一方で、

課題は園庭用の敷地や代替の園庭となる公園が近隣にないケースが多いことである。 ○東京都内には子育て支援団体や NPO 法人の活動が活発な地域もあるが、千代田区ではファミ

リー・サポート・センター事業等、地域の協力によって成り立つ事業については担い手が不足

している状況にある。 ○千代田区ではフルタイムの共働き世帯が多いため、専業主婦を対象とした施策よりフルタイム

の共働き世帯を対象に、就労をしながら子育てをしやすい環境の整備に重点を置いている。 ○共働き世帯が多いことに伴い、延長保育及び夕食の提供に対するニーズや、病児保育に対する

ニーズも高い。千代田区では病後児保育を実施しているが、病児保育は実施していない。 ○高校在学の3月末までの医療費無償化を全国に先駆けて平成 23 年度から実施している。

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147

都市部の婚活支援のむずかしさ

東京都では、結婚に関する取組をはじめたばかりである、とのことであった。 東京都は、「TOKYO ふたり STORY」というポータルサイトを提供している。このサイトに

は、「結婚を望む一人ひとりに、自分らしい“ふたり”の形を考えていただきたい、との思いを

込めました」との説明が添えられている。東京都における行政の婚活支援はむずかしい。その論

点を3つにしぼってみておこう。 第1に、都市部では民間事業者が数多くの婚活支援サービスを提供している。そのなかにあっ

て行政が同様のサービスを提供しようとするとき、民業圧迫にならないことが求められる。しか

し、税を原資としてサービス提供活動をする場合、行政活動にも何らかの成果が求められる。そ

うしたジレンマないし緊張があるということである。 第2に、都市部では行政に対し、多くの批判が寄せられる。東京都の婚活支援では、「産めよ・

増やせよではないか」「価値観の押し付けではないか」という批判にセンシティブになっている

とのことであった。多くの人びとが集まる都市部では、多様な意見に耳を傾けなければならない。

こうした緊張こそ、都市行政ならではのむずかしさとなる。なお東京都では、「あくまで〈個々

人の希望を叶える〉という方向で取組を行っている」とのことであった。 第3に、東京の都心では、昼間人口と夜間人口の乖離が大きい。昼間は仕事のために都心に出

てくるが、夜は自宅のあるまちに戻るのである。さらに、公共交通機関の発達によって、千葉県、

神奈川県、埼玉県など隣接府県にまでその範囲はひろがっている。当然、東京都の住民、すなわ

ち「都民」を対象とした婚活支援策を展開しようとしても、対象を住民に限定することは困難で

ある。まして、23 区においては、なおさらである。 だからといって東京の自治体は、何も婚活支援策を講じなくてもよいのだろうか。地方創生政

策の発端となった「増田レポート」では、東京をはじめとする大都市圏に若年人口が集中し、晩

婚化・晩産化が進行するなかで、「人口のブラックホール現象」が生じるとされていた。やはり、

婚活支援の取組は必要であり、自治体にはその責務がある。ただし、都市自治体が婚活支援サー

ビスを提供しようとするとき、自治体の区域を超えることを前提としなければならない。このと

き、政策のアウトカムは区域を越えた複数の自治体間ネットワークのなかでみいだされなければ

ならないだろう。

南島和久(新潟大学法学部 教授)

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148

4.奈良県、三郷町

(1)団体の概要

■奈良県

1)人口 1,364,316 人 2)面積 3690.94 ㎢ 3)人口密度 369.6(人/㎢) 4)合計特殊出生率 1.37(平成 30 年) 5)出生数 8,947 人(平成 30 年) 6)65 歳以上人口比率 28.7%

■三郷町

1)人口 23,571 人 2)面積 8.79 ㎢ 3)人口密度 2681.6(人/㎢) 4)合計特殊出生率 1.36(平成 22 年) 5)出生数 166 人(平成 26 年) 6)65 歳以上人口比率 30.0%

出典:1)~3)及び 6)は総務省「国勢調査」(平成 27 年)、4)~5)は厚生労働省「人口動態調査」(各年)

図表 195 三郷町の位置

出典:奈良県ウェブサイト http://www.pref.nara.jp/1232.htm

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149

(2)社会環境指標に関する特徴

【主な特徴】 ■奈良県 ・合計特殊出生率は 1.37(平成 30 年)と、全国よりも低い水準である。過去 10 年間の上昇

率はモデル地域の中でもっとも高い。 ・25~34 歳の未婚率は男女とも全国平均を上回り、高い水準である。 ・夫婦間の出生数は、30 代では「子どもなし」「子ども1人」の割合がともに増加傾向にある。 ・女性の就業率の水準は全国でもっとも低いが、過去5年間(平成 22 年~27 年)の就業率の

上昇幅は全国でもっとも大きく、M 字カーブの底である 35~39 歳の年齢層では、56.2%(平成 22 年)から 64.1%(平成 27 年)へ上昇している。

・大阪のベッドタウンとして県外就業率が高く、男性(25~54 歳)の通勤時間は 1.71 時間と

都道府県平均を大きく上回っている。また、同じく1日あたり就業時間も 10.19 時間と都道

府県平均よりも長く、男性の帰宅時間が全国でももっとも遅い状況にある。 ・三世代同居率、近居率はともに減少傾向にあり、親族等による子育ての支援が少なくなって

いることがうかがえる。一方、保育所利用率は平成 19 年以降上昇傾向にあり、平成 29 年

において 26.2%と都道府県平均に近づいている。 ・以上より、従来は女性が専業主婦で、男性が外で長く働くというモデルが一般的であったが、

近年は女性の就業率が大きく上昇しており、保育所利用率も都道府県平均に近づいている。

女性の管理職比率も比較的高い。こうした背景の中、出生率も上昇している。一方、男性の

帰宅時間が遅い状況が改善しない中で、近年は、三世代同居率や近居率ともに低下してお

り、親族等によるインフォーマルな支援が減少していると考えられる。そのため、保育所等

のフォーマルな支援の役割や、夫婦ともに子育てができる環境を整える必要が高まってい

るが、保育所の利用率は都道府県平均と比較していまだ低い。 ■三郷町 ・合計特殊出生率は 1.36(平成 22 年)と、全国よりも高く、奈良県平均よりも高い水準であ

る。 ・平成 22 年から 27 年にかけて、転入超過率が上昇し、平成 27 年は転入者数が転出者数を上

回っている。

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150

①奈良県 1)人口動態に関するデータ (合計特殊出生率の状況) ○奈良県の合計特殊出生率は平成 30 年において 1.37 であり、全国平均 1.42 を下回っているが、

平成 17 年の 1.16 を底に上昇に転じている。

図表 196 奈良県の出生数及び合計特殊出生率の推移

平成 25 年 平成 26 年 平成 27 年 平成 28 年 平成 29 年 平成 30 年

合計特殊出生率 1.31 1.27 1.38 1.36 1.33 1.37

出 生 数 10,190 9,625 9,832 9,430 8,965 8,947

出典:奈良県「奈良県すべての子ども健やかはぐくみプラン」※データは厚生労働省「人口動態統計調査」(各年) (婚姻の状況) ○男女別年齢別有配偶率は、平成 27 年において、50 代を除くいずれの年代でも男性の方が女性

よりも低く、経年でみると、男女とも低下傾向となっている。

図表 197 奈良県の男女別年齢別有配偶率の推移

出典:総務省「国勢調査」(各年)

3.08

2.08

1.49

1.16

0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

2.5

3.0

3.5

4.0

4.5

5.0

0

50

100

150

200

250

300

1947 51 55 59 63 67 71 75 79 83 87 91 95 99 03 07 11 15

(百人)

(年)

出生数(奈良県)

合計特殊出生率(全国)

合計特殊出生率(奈良県)[ '75以前は5年毎]

・第1次ベビーブーム(昭和22~24年)

・最高の出生数21,946人(S24)

・ひのえうま1966年(昭和41)年10,014人

・第2次ベビーブーム(昭和46~49年)19,659人(S48年)

・1.57ショック1989(平成元)年合計特殊出生率(県)1.49

・最新2018(平成30)年

出生数 8,947人合計特殊出生率 1.37

18.0 15.4 14.7 13.4

68.660.9 57.9 56.7

84.9 80.274.0

70.2

89.8 86.082.3 78.7

0

20

40

60

80

100

平成12年 平成17年 平成22年 平成27年

奈良県 男性

20代 30代 40代 50代

(%)

25.5 20.8 19.4 17.8

76.368.3 64.1 63.0

86.5

82.0 76.0 72.4

84.6 83.5 81.578.2

0

20

40

60

80

100

平成12年 平成17年 平成22年 平成27年

奈良県 女性

20代 30代 40代 50代

(%)

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151

○平成 30 年における平均初婚年齢は、夫が 31.0 歳、妻が 29.4 歳と全国と概ね同程度となって

いる。経年でみると、夫、妻ともに上昇傾向にあり、晩婚化が進行しているが、平成 27 年から

平成 30 年にかけては横ばいである。

図表 198 奈良県の平均初婚年齢の推移

出典:奈良県「奈良県すべての子ども健やかはぐくみプラン」※データは厚生労働省「人口動態統計調査」(各年) ○平成 27 年における 25~29 歳未婚率は男性 74.7%、女性 66.6%、30~34 歳未婚率は男性

47.3%、女性 37.8%と、男女とも全国平均より高い水準である。

図表 199 奈良県の男女別年齢別未婚率の推移

出典:奈良県「奈良県すべての子ども健やかはぐくみプラン」 ※データは総務省「国勢調査」(各年)

28.4歳 28.5歳28.8歳

29.8歳

30.5歳

31.1歳 31.1歳

28.3歳28.3歳 28.7歳

29.7歳

30.4歳

31.0歳 31.0歳

25.9歳26.3歳

27.0歳

28.0歳

28.8歳29.4歳 29.4歳

25.7歳26.2歳

27.1歳

28.0歳

28.9歳29.4歳 29.4歳

25歳

26歳

27歳

28歳

29歳

30歳

31歳

32歳

H2 H7 H12 H17 H22 H27 H30

平均初婚年齢の推移(奈良県・全国)

全国 夫

全国 妻奈良県 夫

奈良県 妻

65.1%67.4%

69.4%71.4% 71.8%

72.7%

62.1%

65.3%

69.6%

73.0% 73.6%74.7%

40.4%

48.2%

54.0%

59.1%60.3% 61.3%

39.0%

48.7%

56.6%

63.5% 65.2%66.6%

35%

40%

45%

50%

55%

60%

65%

70%

75%

80%

H2 H7 H12 H17 H22 H27

25~29歳の未婚率(奈良県・全国)

全国

男性

全国

女性

奈良県

男性

奈良県

女性

出典:国勢調査(総務省)

32.8%

37.5%

42.9%

47.1% 47.3%

47.1%

26.1%

30.3%

37.6%

44.1%

46.8%

47.3%

13.9%

19.7%

26.6%

32.0%34.5% 34.6%

11.2%

16.6%

25.0%

32.2%

37.0%37.8%

10%

15%

20%

25%

30%

35%

40%

45%

50%

H2 H7 H12 H17 H22 H27

30~34歳の未婚率(奈良県・全国)

全国

男性

全国

女性

奈良県

男性

奈良県

女性

出典:国勢調査(総務省)

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152

(夫婦間出生力の変化) ○平成 27 年における一般世帯の妻の年齢別に子ども数をみると、20 代では「子どもなし」と「子

ども1人」がほぼ同程度の割合となっている。一方、30 代では、「子ども2人」が 41.1%でも

っとも割合が高い。平成 12 年と比較すると、20 代では「子ども3人」の割合が微増している

一方、30 代では、「子どもなし」「子ども1人」の割合がともに増加傾向にある。

図表 200 奈良県の夫婦のいる一般世帯における、妻の年齢別子ども数

注:夫婦のいる一般世帯とは、「夫婦のいる核家族世帯」+「夫婦のいるその他の世帯(同居の親あり)」+「夫

婦のいるその他の世帯(同居の親なし)」の合計。

出典:総務省「国勢調査」(各年) 2)結婚をめぐる社会環境 (若者の雇用環境) ○男女別賃金の推移をみると、20~30 代男女ともに、平成 20 年から 22 年にかけて一度落ち込

んだ後、平成 30 年にかけて回復傾向となっている。ただし、賃金の水準は、いずれの年代でも

女性の方が男性より低くなっている。

図表 201 奈良県の男女別賃金(決まって支給する現金給与額)の推移

出典:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」(各年)

38.3

35.8

36.2

37.2

37.8

39.1

37.4

36.7

20.9

21.4

21.7

20.7

2.8

3.3

4.2

4.6

0.2

0.3

0.5

0.7

0% 20% 40% 60% 80% 100%

平成12年

平成17年

平成22年

平成27年

奈良県:20代

子どもなし 子ども1人 子ども2人 子ども3人 子ども4人以上

14.1

16.9

17.7

17.3

22.9

25.4

26.2

26.4

47.6

44.5

42.9

41.1

13.7

11.8

11.6

13.0

1.7

1.4

1.7

2.2

0% 20% 40% 60% 80% 100%

平成12年

平成17年

平成22年

平成27年

奈良県:30代

子どもなし 子ども1人 子ども2人 子ども3人 子ども4人以上

146.0187.8

246.6 258.3

350.6 337.9

434.8392.4

437.3 429.9

0

100

200

300

400

500

平成14年 平成16年 平成18年 平成20年 平成22年 平成24年 平成26年 平成28年 平成30年

奈良県 男性

10代 20代 30代 40代 50代

(千円)

157.2 170.7218.7

240.8

268.4

284.2

283.4299.8

250.9

302.4

0

100

200

300

400

500

平成14年 平成16年 平成18年 平成20年 平成22年 平成24年 平成26年 平成28年 平成30年

奈良県 女性

10代 20代 30代 40代 50代

(千円)

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153

○平成 30 年における完全失業率は、都道府県平均より高く、2.4%となっている。

図表 202 奈良県の完全失業率

平成 30 年

全国平均 4 2.5%

都道府県平均 2.1%

奈良県 2.4%

出典:総務省「労働力調査」(平成 30 年) ○若年雇用者に占める非正規雇用者比率(15~24 歳(男女計))は都道府県平均よりも高く、平

成 29 年において 54.2%となっている。経年でみると、都道府県平均・奈良県ともに平成 19 年

から 24 年にかけて上昇したあと、平成 29 年は再び低下している。

図表 203 奈良県の若年雇用者に占める非正規雇用者比率(15~24 歳(男女計))の推移

平成 14 年 平成 19 年 平成 24 年 平成 29 年

全国平均 46.7% 46.8% 50.0% 48.1%

都道府県平均 43.6% 43.1% 45.9% 42.2%

奈良県 52.3% 49.8% 59.5% 54.2%

出典:総務省「就業構造基本調査」(各年)

○平成 27 年における未婚者が親と同居している割合(25~34 歳)は、都道府県平均よりも高く、

43.2%となっている。

図表 204 奈良県の未婚者が親と同居している割合(25~34 歳)

平成 27 年

全国平均 32.1%

都道府県平均 34.7%

奈良県 43.2%

出典:総務省「国勢調査」(平成 27 年)

4 全国平均は、各指標に関する全国レベルの水準を示す。都道府県平均は、都道府県ごとに算出される数値を 47 都道府県で

平均したものである。都道府県間で数値に偏りがあるため、全国平均と都道府県平均は必ずしも一致しない。以下同様。

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154

(出会いの機会:若年層の転出入状況) ○若年層の転出入の状況をみると、20 代では男女とも転入者数が微増傾向にあるが、30 代では

減少傾向となっている。一方、転出者数については、20 代では男女とも増加傾向にあるが、30代では男女とも低下傾向にある。

○平成 30 年における転入超過率をみると、全体では転出超過となっているが、男性において女

性よりその傾向が強いことがわかる。 ○奈良県へのヒアリングにおいて、20 代において、女性よりも男性の県外転出率が高く、県内の

20 代の男女比をみると女性の方が高くなっているという指摘があった。

図表 205 奈良県の転入者数の推移

出典:総務省「住民基本台帳人口移動報告」(各年)

図表 206 奈良県の転出者数の推移

出典:総務省「住民基本台帳人口移動報告」(各年)

図表 207 奈良県の男女別転入超過率

全体 男性 女性

平成 30 年 -0.30% -0.36% -0.24%

注:転入超過率=(転入者数(外国人含む)-転出者数(外国人含む))/総人口(外国人含む)

出典:総務省「住民基本台帳人口移動報告」(平成 30 年)

12,36713,183

4,0353,941

2,6413,307

1,4781,376

0

4000

8000

12000

16000

平成30年平成29年平成28年平成27年平成26年平成25年平成24年平成23年平成22年

奈良県 男性:転入

全体 20代 30代 40代

11,62112,507

3,7163,592

2,4513,182

1,1741,014

0

4000

8000

12000

16000

平成30年平成29年平成28年平成27年平成26年平成25年平成24年平成23年平成22年

奈良県 女性:転入

全体 20代 30代 40代

14,60314,611

6,2545,509

2,8713,315

1,4531,445

0

4000

8000

12000

16000

平成30年平成29年平成28年平成27年平成26年平成25年平成24年平成23年平成22年

奈良県 男性:転出

全体 20代 30代 40代

13,34513,376

5,5875,128

2,7743,231

1,1781,032

0

4000

8000

12000

16000

平成30年平成29年平成28年平成27年平成26年平成25年平成24年平成23年平成22年

奈良県 女性:転出

全体 20代 30代 40代

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155

3)出産・子育てをめぐる社会環境 (女性活躍の状況) ○女性の年齢別就業率(M 字カーブ)は、全国と比較して M 字の谷が深く、全国でもっとも低

い水準となっている。ただし、過去5年間(平成 22 年~27 年)でみると、「20~24 歳」を除

いた全年齢層で就業率が上昇しており、就業率の上昇幅は全国でもっとも高くなっている。

図表 208 奈良県の女性の年齢別就業率

出典:奈良県「奈良県すべての子ども健やかはぐくみプラン」 ※データは総務省「国勢調査」(各年) ○女性雇用者に占める正規雇用者比率は、平成 14 年以降低下傾向にあり、平成 29 年において

39.2%となっている。

図表 209 奈良県の女性雇用者に占める正規雇用者比率

平成 14 年 平成 19 年 平成 24 年 平成 29 年

全国平均 47.0% 43.0% 42.5% 43.4%

都道府県平均 48.6% 45.0% 44.0% 44.8%

奈良県 46.6% 40.7% 40.4% 39.2%

出典:総務省「就業構造基本調査」(各年)

○管理的職業従事者・専門的・技術的職業従事者に占める女性割合(雇用者)は、平成 27 年にお

いて 50.7%と、都道府県平均よりも低くなっている。

図表 210 奈良県の管理的職業従事者・専門的・技術的職業従事者に占める女性割合(雇用者)

平成 27 年

うち管理的

職業従事者

全国平均 49.1% 9.7%

都道府県平均 53.6% 9.2%

奈良県 50.7% 11.0%

出典:総務省「国勢調査」(平成 27 年)

60.1%

70.4%

59.7%

56.2%

61.5%65.6%

62.1%

50.8%

34.6%

59.9%

75.3%

65.6%

64.1%

67.7%70.1%

68.0%

59.8%

40.5%

64.3%

73.0%

65.0%

64.2%

69.0%72.8% 70.7%

61.8%

45.7%

65.3%

77.1%

70.3%70.1%

73.5%

75.5%74.2%

67.7%

50.8%

30%

35%

40%

45%

50%

55%

60%

65%

70%

75%

80%

20~24歳 30~34歳 40~44歳 50~54歳 60~64歳

女性の年齢別就業率

奈良県H22 奈良県H27全国H22 全国H27

20~ 25~ 30~ 35~ 40~ 45~ 50~ 55~ 60~ 24 歳 29 歳 34 歳 39 歳 44 歳 49 歳 54 歳 59 歳 64 歳

(H22) (H27)

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156

(三世代同居等親族による支援力) ○平成 27 年における三世代同居率は 6.5%と、都道府県平均より低い。また、平成 30 年におけ

る近居率は 6.7%と都道府県平均と同率となっている。また、経年でみると、いずれも低下傾

向となっている。 ○平成 12 年時点の三世代同居率と、平成 15 年時点の近居率を比較すると、三世代同居率の方が

約5ポイント高いが、平成 27 年時点の三世代同居率と、平成 30 年時点の近居率を比較する

と、近居率の方が三世代同居率をわずかに上回っている。

図表 211 奈良県の三世代同居率の推移

平成 12 年 平成 17 年 平成 22 年 平成 27 年

全国 10.1% 8.6% 7.1% 5.6%

都道府県平均 13.4% 11.6% 9.7% 7.8%

奈良県 12.1% 10.3% 8.2% 6.5%

出典:総務省「国勢調査」(各年)

図表 212 奈良県の近居率の推移

平成 15 年 平成 20 年 平成 25 年 平成 30 年

全国 7.2% 7.0% 6.0% 5.6%

都道府県平均 8.1% 8.0% 7.1% 6.7%

奈良県 7.5% 7.4% 7.3% 6.7%

出典:総務省「住宅・土地統計調査」(各年) (多様な保育サービス) ○保育所利用率は、平成 29 年において 26.2%と都道府県平均より低いが、経年でみると平成 19

年以降、上昇傾向となっている。

図表 213 奈良県の保育所利用率の推移

平成 14 年 平成 19 年 平成 24 年 平成 29 年

全国 23.0% 26.4% 29.0% 35.8%

都道府県平均 27.4% 24.4% 25.8% 29.7%

奈良県 21.8% 18.8% 21.3% 26.2%

出典:保育所利用者数は厚生労働省「社会福祉施設等調査」(各年)、人口は総務省「人口推計」

(各年 10 月1日現在)

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157

○保育所等への申込者数に対する待機児童の割合は、平成 31 年4月1日時点において都道府県

平均よりも高く、0.77%となっている。

図表 214 奈良県の待機児童割合

平成 31 年

4月1日時点

全国 0.60%

都道府県平均 0.46%

奈良県 0.77%

注:保育所等への申込者数に対する待機児童数の割合

出典:厚生労働省「保育所等関連状況取りまとめ」(平成 31 年4月1日)

○17 歳以下人口1人あたり児童福祉費(県・市町村財政合計)は、平成 28 年において都道府県

平均よりも低く、398.0 千円となっている。ただし、経年でみると、一貫して増加傾向にある。

図表 215 奈良県の 17 歳以下人口1人あたり児童福祉費(県・市町村財政合計)の推移

平成 14 年 平成 19 年 平成 24 年 平成 28 年

全国 213.9 267.9 391.2 472.2

都道府県平均 222.1 276.6 394.3 473.7

奈良県 197.8 240.2 348.5 398.0

単位:千円 出典:総務省「社会生活統計指標-都道府県の指標-」(各年)

(教育費負担感の軽減) ○人口1人あたり教育費(県・市町村財政合計)は、平成 28 年において都道府県平均よりも低

く、132.9 千円となっている。また、経年でみると、平成 14 年から 24 年までは減少傾向とな

っているが、平成 28 年は増加している。

図表 216 奈良県の人口1人あたり教育費(県・市町村財政合計)の推移

平成 14 年 平成 19 年 平成 24 年 平成 28 年

全国 139.9 129.5 127.7 133.3

都道府県平均 153.8 140.6 142.1 148.4

奈良県 147.0 127.0 126.6 132.9

単位:千円 出典:総務省「社会生活統計指標-都道府県の指標-」(各年)

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158

(仕事と育児の両立ができる職場環境) ○25~54 歳男性の1日あたり就業時間は、平成 28 年において 10.19 時間と都道府県平均より

も長い。また、通勤・通学時間も 1.71 時間と都道府県平均よりも長い。 ○奈良県へのヒアリングにおいて、大阪のベッドタウンとして県外就業率が高く、就業時間・

通勤時間ともに長いため、男性の帰宅時間が遅いことにつながっているという指摘があっ

た。

図表 217 奈良県の男性(25~54 歳)の「1日あたり就業時間」及び「通勤・通学時間」の推移

1日あたり就業時間 (平日、行動者平均、男性 25~54 歳)

通勤・通学時間 (平日、行動者平均、男性 25~54 歳)

平成13年 平成18年 平成23年 平成28年 平成13年 平成18年 平成23年 平成28年

全国平均 9.32 9.77 9.83 9.85 1.19 1.35 1.35 1.48

都道府県

平均 9.42 9.76 9.75 9.77 1.11 1.15 1.15 1.24

奈良県 9.71 10.23 9.95 10.19 1.71 1.65 1.57 1.71

単位:時間 出典:総務省「社会生活基本調査」(各年)

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159

②三郷町 ○平成 22 年時点の合計特殊出生率は 1.36 と、奈良県平均の 1.29 を上回っている。

図表 218 三郷町の合計特殊出生率の推移

出典:三郷町「人口ビジョン」(平成 28 年) ※元データは、三郷町データ 厚生労働省「人口動態保健所・市

区町村別統計」、奈良県データ 厚生労働省「人口動態統計」

○平成 26 年の出生数は 166 人であり、平成 24 年以降、減少傾向となっている。

図表 219 三郷町の出生数の推移

出典:三郷町「人口ビジョン」(平成 28 年) ※元データは、県保健衛生統計データ「人口動態統計」

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160

○転入超過率は年度により増減があるが、平成 27 年は 0.35%となっており、平成 22 年の転出超

過から、転入超過に転じている。

図表 220 三郷町の転入超過率の推移

平成 12 年 平成 17 年 平成 22 年 平成 27 年

-0.70% 0.07% -0.18% 0.35%

注:転入超過率=(転入者数(外国人含む)-転出者数(外国人含む))/総人口(外国人含む)

出典:総務省「都道府県・市区町村のすがた」(各年)

図表 221 三郷町の転入数と転出数の推移

出典:三郷町「人口ビジョン」(平成 28 年) ※元データは、奈良県統計課「奈良県推計人口」

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161

(3)結婚支援・子育て支援に関する取組状況

①少子化対策全体の取組状況 ■奈良県

○少子化対策に係る取組として、平成 30 年時点において、以下の取組を実施している。(自治体

アンケート調査結果より)

【主な特徴】 ■奈良県 ・13 年前から、「ストップ少子化」を掲げて、主に結婚と子育ての両輪で取組を全国に先駆け

て実施してきた。 ・結婚支援に取り組む NPO 等、活動熱心な団体が育っており、行政が民間の活動についてい

くという面もある。 ・行政が結婚支援に取り組むことについて、県民からは「(行政が行うため)安心感がある」

という声があるが、民間サービスの利用経験率も高まっており、行政が実施する必要性は以

前に比べると低下している。

■三郷町

・結婚支援として実施している施策は多くないが、婚活イベント等の開催支援を目的として、

「婚活支援補助金」を実施している。 ・子育て世代が安心して暮らせる、魅力あるまちづくりを掲げ、出産後の乳幼児全戸訪問、保

育所利用者への経済的支援、小学校での ICT を活用した教育の推進のほか、住宅支援施策

や、新婚世帯への家賃助成等に取り組んでいる。

【保育・幼児教育】 ・障害児保育 ・認可外保育施設への保育料の助成 ・その他:産休等代替職員設置事業補助、家庭支援推進保育事業 【家庭での子育て支援】 ・子育て支援のハンドブック等の作成 【就労・働き方に関する支援】 ・企業の両立支援促進の研修・広報・相談 ・企業の両立支援促進の表彰や認定マーク ・育児休業制度の取得促進のための施策 ・女性の再就職の研修・広報・相談 【住環境の整備】 ・家族向け公営住宅の増設

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■三郷町

○少子化対策に係る取組として、平成 30 年時点において、以下の取組を実施している。(自治体

アンケート調査結果より)

②結婚に対する支援 ■奈良県

○13 年前から、「ストップ少子化」を掲げて、主に結婚と子育ての両輪で取組を進めてきた。平

成 17 年には、全国に先駆けて「なら結婚応援団事業」を開始、さらに平成 21 年には、「なら

父親の子育て応援事業」を開始した。 ○このように、結婚応援団や子育て応援団事業等を全国に先駆的に実施してきたことから、現在、

他自治体で実施されているようなメニューについては、ひととおり実施されている。 ○結婚支援の一環として、「奈良県こども・子育て応援県民会議」を立ち上げて、地域団体や有識

者を巻き込んで活動を進めてきた。行政は担当者の入れ替わりがあるが、民間はそのようなこ

とがないため、活動熱心な団体も育ち、行政が民間の活動についていくという面もある。 ○県民意識調査において、県が結婚応援団事業を行う意義を聴取しているが、これまでは「(行政

が行うため)安心感がある」という理由があげられてきた。しかし、民間サービスを利用した

経験がある割合も高まって、行政が結婚支援に取り組む必要性は、以前に比べると低下してい

る。

○また、結婚支援の事業そのものが飲食店の営利につながる側面があり、公共的なイベントとし

て開催する難しさなどから、過去にもトラブルにつながるケースが少なくないことから、今後

は、行政は HP やメルマガ等でイベントの広報・宣伝を担っていきたいと考えている。

○結婚支援及び結婚、妊娠・出産、乳児期を中心とする子育てに温かい社会づくり・機運の醸成

に係る取組として、平成 30 年時点において、以下の取組を実施している。(自治体アンケート

調査結果より)

【家庭での子育て支援】 ・子育ての方法や育児不安解消の相談事業 【妊娠・出産支援】 ・不妊治療の経済的支援 ・妊娠や出産に関する相談事業 ・妊産婦検診や乳幼児健診 ・乳児家庭全戸訪問

【結婚支援の取組】 ・婚活イベント ・独身者向け婚活セミナー・講演会等の開催 ・情報発信(結婚支援センターのポータルサイト、メルマガ、SNS 等) ・企業・団体等に対する支援 ・企業・団体等との連携(希望者に対する情報提供等) 【結婚、妊娠・出産、乳児期を中心とする子育てに温かい社会づくり・機運の醸成の取組】 ・男性の配偶者の出産直後の休暇取得の促進に関する取組 ・男性の家事・育児への参画促進に関する取組 ・ライフデザイン教育(社会人対象) ・子育て支援パスポート事業 ・地域の課題の抽出・分析、見える化等の取組 ・機運醸成の取組(キャンペーンなど)

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■三郷町

○婚活支援事業(交流イベント等)を実施する団体に対して、事業費の一部を補助する「婚活支

援補助金」の交付を行っている。平成 29 年の実績は2件であった。 ○補助対象事業は、20 歳以上の独身男女を対象とすることや、参加者数 10 人以上で、町内在住

又は在勤者が参加者全体の半数以上となる事業であることなどを要件としている。また、補助

金額は、補助対象経費から参加費その他の収入額を控除した額とし、一事業につき 10 万円が

限度である。 ○イベントでの成婚カップル数は把握しているが、その後結婚につながったのかどうかまでは、

町では確認していない。 ③子育てに対する支援 ■奈良県

○奈良県、県内市町村、「奈良県こども・子育て応援県民会議」で、様々な分野・地域で子育てを

応援する企業、店舗、NPO 等を団員とする「なら子育て応援団」を平成 17 年に設立した。 ○「なら子育て応援団」事業では、妊婦及び 18 歳未満のお子さんがいる世帯を対象として、料金

等の割引や特典などのサービスを行っている。さらに、登録者約 19,000 人にメルマガを発信

しており、子育て関係のイベントのほか、県内の複数の担当課と連携して、子育て世代に参加

してほしい観光関連イベント等を、メルマガで周知している。 ○県内や大阪府内に私立学校が多く、塾にかかる費用が全国1位など、教育熱心な家庭が多いこ

とが特徴といえる。県民アンケートでも、子育てにお金がかかる理由として、「高等学校教育に

かかる費用」、「大学教育にかかる費用」が上位にあがっている。

■三郷町

○まちづくり総合戦略において、妊娠期から子育て期の連携を掲げ、若い世代が住みやすく、

結婚・出産・子育ての場として選ばれる生活環境を作るため、子育て支援施策を推進してい

る。 ○三郷町では、これまで病児保育やファミリー・サポート事業を実施していなかったが、今後

整備を進めていく。町外から引っ越してきた子育て世帯から、要望があった。 ○子育て支援拠点は、年間約5千人の利用者がいる。利用者の相談事に手厚く対応できるよう、

相談体制の充実を図りたい。 ○新興住宅地では、子どもが3人以上の世帯が多い。ただし、子育ての不安感は非常に高く、妊

娠期から保健師が関わって支援する体制を整えている。妊娠中の不安について、コンシェルジ

ュと一緒に、丁寧に関わるようにしている。小さな町なので、住民との距離が近い点がメリッ

トだろう。 ○経済的支援に係る施策は、近隣自治体とあまり変わらないが、保育所については、昨年9月か

ら第2子以降の保育料の無償化を行っていた。さらに、令和元年 10 月以降、国の施策として

保育の無償化が実施され、より充実した経済的支援となっている。 ○町内には、幼稚園、保育園、小学校、中学校、県立高校、私立大学が立地しており、教育環境

は充実している。大阪府や奈良県内には、私立中学も多い。また、町内の小学校と中学校は、

今後小中一貫校になることが予定されている。

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○町長の方針として次代を担う子どもたちへの投資に力を入れている。公立小学校では、タブレ

ットを3人に1人、整備している。そのほか電子黒板の設置や、校内のインターネット環境の

整備など、ICT 教育に力をいれている。 ○住宅施策として、民間企業が宅地開発した区画を町が買い取り、やや安価な価格で販売を行っ

た。その結果、もともと町内にあった民間賃貸住宅に空き家がでてきたため、平成 26 年より、

町内の民間賃貸住宅に転入した若年夫婦世帯と子育て世帯を対象として、家賃助成を行ってい

る。助成額は、月額1万円を最長3年間、最大 36 万円である。また、対象世帯の所得条件とし

て、合計所得金額が 797 万2千円以下という条件を設けている。 ○三郷町は大阪へ通勤するにはアクセスもよく、子育て世代が流入しているが、一方で待機児童

が生じており、小規模保育や家庭的保育を開始している。住宅の家賃が近隣市町村に比べて安

いこともあり、転入してくる世帯には、ひとり親世帯など支援が必要な家庭が含まれている。

図表 222 三郷町家賃助成の案内パンフレット

出典:三郷町資料

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奈良県および三郷町の結婚・出産をめぐる地域環境と課題

生活圏でとらえることの重要性

2000 年代以降の少子化に対する政府の取り組みでは、少子化問題が幅広い世代に関わることで

あり包括的な対策群が必要であること、公的領域だけでなく企業など民間部門との連携が必要で

あると認識されたこと、生活圏である地域はその環境が多様であり、地域独自の課題、対応が必

要であることが強く認識されている。こうした流れの中で、地方自治体は、管轄地域の婚姻発生

や出生数の動向把握と分析、子育てに関する住民ニーズの把握、少子化関連の独自政策の策定を

進めることになった。全国調査などで、2005 年以降、合計特殊出生率や夫婦の出生力も改善し、

とくに都市部居住者や高学歴男女、リベラルな性別役割意識を持つ女性など、かつては夫婦出生

力が抑制されていた集団において結婚後の出生力が上昇している傾向が確認されているが、これ

らはあくまでも全国調査からとらえられる平均的な結果であり、多様な社会経済的背景をもつ

個々の地域社会において同様の解釈ができるとは限らない。今般、奈良県および奈良県三郷町の

担当者に当該自治体の少子化をめぐる状況と取り組みを説明していただく機会を得、地方自治体

から見た課題認識などを共有することができた。

奈良県および三郷町の特徴

まず、子ども・女性局担当者から、奈良県について以下のような特徴が示された。合計出生率

は全国よりも低めであり、平均初婚年齢は男女とも全国よりも高め、婚姻率は全国よりも低めで

ある。続いて、社会経済的状況では、専業主婦率が高く、女性が就業していない(都道府県でも

っとも女性が就業していない)、県外就業率が高く通勤時間が長い、核家族割合が高い、妻の家事

時間が長い、といった特徴である。 そのほか、国勢調査などの各種指標と併せて奈良県および奈良県三郷町の特徴を概観すると、

奈良県の特徴としては、やや高齢化しており、人口が流出、とりわけ若い男性が流出することに

より若い女性が過剰になっている。県外就業が多く、婚姻が少なく、性別役割分業の傾向が相対

的に強い、ということになる。父親の家事・育児参加については、父親の参加度合いが現状では

あまりにも低く、期待そのものが低い、という話も聞かれた。 奈良県および三郷町の担当者に対するヒアリングの中で出てきた話としては、教育熱心で大学

進学志向が高い土地柄であり、大阪勤務のベッドタウンとなっていることが指摘されていた。ど

ちらかというと性別分業型が望まれる特徴がある。 三郷町については、京阪神都市圏へのアクセスに便利なこと、近年、家族層向けの住宅地開発

が進み、これが町内の夫婦の増加につながっている。タブレット、ICT を活用した小学生向け授

業、エアコン強化など、教育現場の取り組みも熱心である。新規移住者の子育てサポートについ

ては、子ども健康課の担当者が「特別なことはやっていない」といいながらも、母親教室や相談

に地道に対応していることが確認できた。日常の親を支援する仕組みが整っている、ということ

が、親同士に口コミなどで広がり、三郷町は子育てしやすい地域だ、移転先の候補としてよい、

という評価につながっている可能性がある。子育て支援の「目玉」「秘策」を強調するより、日々

の子育てが問題なくできそうだ、という安心感が三郷町の強みであると認識した。

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奈良県および三郷町の課題

自治体が少子化対策に取り組むにあたっての問題として担当者から語られたこととしては、

対策の効果というものを定量的にとらえるという必要性は理解できるものの、人口減少下で

は、出生数といった単純な指標では、対策とそれが住民に与えている影響を有効にとらえきれ

ないというものである。各種指標は、確かに実態を表すものとして間違ってはいないものの、

パフォーマンス指標として扱うべきではないことも少なくない。少子化対策の評価において

も、いわゆる「総合評価」方式のような総合的評価をどう組み入れるかが、とりわけ地方自治

体では重要な課題となっている。EBPM や KPI など客観的評価体制の土壌が整いつつある中

で、こうした体制を有効なものとして維持するためにも、評価も対象となるパフォーマンス指

標の選定には注意を払うべきであると感じた。 また未婚化が進む中で、地域の婚活支援といった取り組みも行われている。しかしながら、

公的に結婚支援を行う根拠、理由付けが十分に共有されておらず、事業を進める上で動きにく

さがあること、婚活支援事業において参加者や企画側がトラブルに遭遇することが指摘され

ていた。行政と地域の NPO など中間組織が連携し、準市場を育成していくことが必要であろ

う。 そのほか、奈良県の未婚率が高い要因として、男性に偏った県外流出がある。20 代の女性

人口が男性に比べて過剰になっており、構造的な結婚難状況が起きている。人口移動の実態、

要因を分析するとともに、男性が県内にとどまるあるいは県外から呼び込む環境作り、そし

て、結婚市場を近隣県をも含む形で形成できるかといった視点を結婚支援に取り入れていく

ことが有効であると考えられる。 奈良県における次世代を担う子どもに投資するという意識が高い雰囲気は子育て環境の充

実を進める上では有効であるが、他方で男性が経済力を担い、女性は子育てに専念するという

分業方式が、それぞれにとって大きな負担となる、あるいは期待水準の過大な上昇につながっ

ている可能性が有り、このことが奈良県における結婚の成立の難しさに帰結している可能性

がある。現在の合計特殊出生率の低さは、主に有配偶率の低さが説明すると理解できるので、

結婚形成を阻害している要因、上記のような流出の偏りによる男女人口のアンバランスの解

消と同時に、分業以外の夫婦のあり方を許容する柔軟な意識、家族を持つことに対する安心感

の醸成などが鍵になりそうである。

岩澤美帆(国立社会保障・人口問題研究所 人口動向研究部長)

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第4章 地域少子化対策重点推進交付金の定量的な効果検証

地域少子化対策重点推進交付金事業の定量的な成果指標(KPI)の算出方法

全国の都道府県及び市区町村を対象に行ったアンケート(本報告書「第2章 自治体における

少子化対策の取組状況の把握」に掲載)の結果をもとに、本事業の定量的な成果指標(KPI)で

定めた数値目標の達成状況を把握した。 地域少子化対策重点推進交付金(以下「交付金」という。)については、平成 28 年6月の内閣

府行政事業レビュー公開プロセスにおいて、次の指摘を受けた(平成 28 年6月 20 日)。

・ 国自身が定量的な目標を設定する必要がある

・ 継続的な効果発揮のためには、地域の体制整備や人材育成にも目を向ける必要がある

これを受け、地域少子化対策重点推進交付金の国の新たな定量的な成果指標(KPI)として、

次の具体的な数値目標を定めた。

① 交付金を活用して行う、結婚支援のための体制整備又は人材育成に関する取組(ボ

ランティア育成等)を住民が活用し得る地方自治体の割合

54%(令和元年度)

② 交付金を活用して行うライフデザイン教育に関する取組を住民が活用し得る都道

府県、市区町村の割合

都道府県 85%、市区町村8%(令和元年度)

③ 交付金を活用して行う、結婚、妊娠・出産、乳児期を中心とする子育てに温かい社

会づくり・機運の醸成の取組(男性の出産直後の休暇取得の促進等)を住民が活用し

得る地方自治体の割合

74%(令和元年度)

今回の効果検証は、上記①~③に関し、平成 30 年度単年度の取組状況を明らかにするもので

あり、以下に示す結果となった。

① 交付金を活用して行う、結婚支援のための体制整備又は人材育成に関する取組(ボ

ランティア育成等)を住民が活用し得る地方自治体の割合

31.4%(平成 30 年度、昨年度比 7.5 ポイント減)

② 交付金を活用して行うライフデザイン教育に関する取組を住民が活用し得る都道

府県、市区町村の割合

都道府県 51.1%(平成 30 年度、昨年度比 2.1 ポイント減)

市区町村 1.0%(平成 30 年度、昨年度比 1.6 ポイント減)

③ 交付金を活用して行う、結婚、妊娠・出産、乳児期を中心とする子育てに温かい社

会づくり・機運の醸成の取組(男性の出産直後の休暇取得の促進等)を住民が活用し

得る地方自治体の割合

50.9%(平成 30 年度、昨年度比 4.0 ポイント増)

※前述した令和元年度の数値目標は、平成 26 年度から令和元年度までの取組を住民が活用し得る自治体数で

ある。 ※本調査で回答があった自治体数は、全 47 都道府県中 42 都道府県(回収率 89.3%)、全 1,741 市区町村(令和

元年7月現在)中 1,000 市区町村(回収率 57.4%)である。

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1.結婚支援のための体制整備・人材育成に関する取組

本成果指標は、「交付金を活用して行う、結婚支援のための体制整備又は人材育成に関する取組

(ボランティア育成等)を住民が活用し得る地方自治体の割合」である。 対象とする取組は、本調査研究で行ったアンケートの「問 10(1)a 結婚支援センターの設

置・運営」、「問 10(1)c マッチング(システムによるもの)」、「問 10(1)l ボランティア

の育成(地域のおせっかいさん等)」の三つである。 これらの事項について以下の二つの条件に適合する自治体数をカウントした。 ①:平成 30 年度に、交付金を活用して上記の取組を二つ以上実施した。 ②:これまでに交付金を活用して上記の取組を実施したことがあり、それ以降自主財源で事業

を継続している。 ②の条件を定めたのは、①の条件に該当するその年度に交付金を活用して事業を実施している

自治体だけでなく、過去に交付金を活用することにより事業を実施する体制を整備することがで

きた自治体も、本成果指標に含まれると考えられるからである。また、都道府県がこれらの条件

を満たす場合、その都道府県下の住民もその取組の利用が可能であると考えられるため、その都

道府県下すべての市区町村がカバーされるものとしてカウントした。

2.ライフデザイン教育に関する取組

本成果指標は、「交付金を活用して行うライフデザイン教育に関する取組を住民が利用し得る

都道府県、市区町村の割合」である。対象とする取組は本調査研究で行ったアンケートの「問 31(1)c ライフデザイン教育(学生対象)」、「問 31(1)d ライフデザイン教育(成人対象)」

の二つであり、都道府県、市区町村においていずれかの取組を実施している自治体数をカウント

した。

3.子育てに温かい社会づくり・機運の醸成に関する取組

本成果指標は、「交付金を活用して行う、結婚、妊娠・出産、乳児期を中心とする子育てに温か

い社会づくり・機運の醸成の取組(男性の出産直後の休暇取得の促進等)を住民が活用し得る地

方自治体の割合」である。対象とする取組は、本調査研究で行ったアンケートの「問 31(1)a 男性の配偶者の出産直後の休暇取得の促進に関する取組」、「問 31(1)b 男性の家事・育児へ

の参画促進に関する取組」の二つであり、上記「1.結婚支援のための体制整備・人材育成に関

する取組」と同様の方法で自治体数をカウントした。

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地域少子化対策重点推進交付金の定量的な成果指標(KPI)の達成状況

各指標について、条件に適合する自治体数は以下のとおりである。

1.結婚支援のための体制整備・人材育成

①平成 30 年度に交付金を活用して対象の取組に二つ以上取り組んだ都道府県

16 府県(469 市区町村) ②過去に交付金を活用して以来、交付金以外の財源で事業を続けてきた都道府県

2県(75 市区町村) ③上記 18 府県には属さないが、単独で対象の取組に二つ以上取り組んでいる市区町村

3市 以上のことから、次のようになる。

(469+75+3)÷1,741×100=31.4% ※全市区町村数 1,741 を分母とした。

2.ライフデザイン教育

①平成 30 年度に交付金を活用して対象の取組に取り組んだ都道府県

24 道府県 ②平成 30 年度に交付金を活用して対象の取組に取り組んだ市区町村

17 市区町村 以上のことから、次のようになる。

都道府県: 24÷47×100=51.1% 市区町村: 17÷1,741×100=1.0%

※全市区町村数 1,741 を分母とした。

3.子育てに温かい社会づくり・機運の醸成

①平成 30 年度に交付金を活用して対象の取組に取り組んだ都道府県

20 道県(844 市区町村) ②過去に交付金を活用して以来、交付金以外の財源で事業を続けてきた都道府県

1県(35 市区町村) ③上記 21 道県には属さないが、単独で対象の取組に二つ以上取り組んでいる市区町村

7市区町村 以上のことから、次のようになる。

(844+35+7)÷1,741×100=50.9% ※全市区町村数 1,741 を分母とした。

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170

達成状況の推移

各指標について、平成 27 年度からの達成状況の推移を示す。

1.結婚支援のための体制整備・人材育成

結婚支援のための体制整備・人材育成の取組の推移を見ると、対象となる取組を住民が活用し

得る地方自治体の割合は、平成 29 年度まで増加傾向にあるが、平成 30 年度は平成 29 年度と比

べて 7.5 ポイント減少している。

図表 223 交付金を活用して行った結婚支援のための体制整備・人材育成に関する取組を

住民が活用し得る地方自治体の割合の推移

2.ライフデザイン教育

ライフデザイン教育の取組の推移を見ると、対象となる取組を住民が活用し得る地方自治体の

割合は、平成 29 年度と比較すると都道府県で 2.1 ポイント、市区町村で 1.6 ポイント減少となっ

ている。

図表 224 交付金を活用して行ったライフデザイン教育に関する取組を住民が活用し得る地方自治体

の割合の推移(左図:都道府県、右図:市区町村)

13.1%32.7% 38.9% 31.4%

54%

0%

50%

100%

平成27年度 28年度 29年度 30年度 令和元年度目標値

54.4% 44.7% 53.2% 51.1%

85%

0%

50%

100%

平成27年度 28年度 29年度 30年度 令和元年度目標値

2.6% 1.9% 2.6%1.0%

8%

0%

5%

10%

平成27年度 28年度 29年度 30年度 令和元年度目標値

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3.子育てに温かい社会づくり・機運の醸成

子育てに温かい社会づくり・機運の醸成の取組の推移を見ると、対象となる取組を住民が活用

し得る地方自治体の割合は、平成 29 年度と比較すると 4.0 ポイント増加している。

図表 225 結婚支援のための体制整備・人材育成に関する取組を住民が活用し得る

地方自治体の割合の推移

45.9% 41.3% 46.9% 50.9%74%

0%

50%

100%

平成27年度 28年度 29年度 30年度 令和元年度目標値

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目標を達成した自治体の割合

平成 25 年度補正予算で創設され、平成 26 年度に事業が実施された地域少子化対策強化事業

は、個別事業の採択に当たり定量的な目標は設定されていたものの、評価基準となるような KPIは設定されていなかった。その後、平成 27 年度の2度の行政事業レビューを踏まえ、対象分野

の集約・重点化、外部有識者による審査導入、補助率の見直し(当初予算事業)、統一的マニュア

ルの作成、申請・相談窓口の共同化に加え、取組ごとに類型化された KPI を設定することにより

これまで以上に効果が見込まれる事業を採択するといった見直しを行った。 この見直しを反映した審査・採択方式は、平成 28 年度から実施され、平成 29・30 年度に実施

された事業でもこの審査・採択方式が用いられ、交付金事業を実施する自治体では KPI の設定や

定量的な効果検証が行われた。 平成 28 年6月の行政事業レビューにおいては、国自身が定量的な目標を設定する必要がある

との指摘があり、国においても、新たな定量的成果指標(KPI)を定めた。 その中で、アウトカム(第1段階)として、次の具体的な数値目標を定めた。

定量的目標を各自治体において KPI として設定

目標を達成した申請自治体の割合:100%(令和元年度)

今回の効果検証では、各自治体が平成 30 年度に実施した交付金事業において設定した KPI について、平成 30 年度単年度の定量的な目標達成状況を確認した。結果は以下のとおりである。

平成 30 年度に各自治体が設定した定量的目標 KPI について、

目標を達成した申請事業の割合:75%

うち、都道府県が実施した事業:75%

市区町村が実施した事業:74%

(実施された交付金事業のうち、重要業績評価指標(KPI)及び定量的成果目標の平均達

成率8割以上の事業の割合)

※同一自治体で複数の事業を実施している場合は、事業によって達成率が異なるため、事業を単位として割合を

算出している。なお、広域行政事業組合の実施事業は市区町村事業に含めて算出した。

また、平成 28 年度以降の達成状況の推移をみると、以下のとおり増加傾向となっている。

図表 226 各自治体が設定した定量的目標 KPI を達成した地方自治体の割合の推移

(左図:全体、右図:都道府県・市区町村別)

55% 61%75%

100%

0%

50%

100%

28年度 29年度 30年度 令和元年度目標値

59% 59%

75%100%

52%

62% 74%

0%

50%

100%

28年度 29年度 30年度 令和元年度目標値

都道府県 市区町村

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173

第5章 総括

本章では、本調査で実施した自治体アンケート調査及び事例調査結果の総括と、今後、自治体

が少子化対策に取り組む上での示唆について、とりまとめたい。

アンケート調査から得られた主な示唆

本調査では、全自治体に対してアンケート調査を実施し、少子化対策の実施状況及び地域少子

化対策重点推進交付金(以下、本章では「交付金」という。)の活用状況や課題、効果等について

把握を行った。 ■少子化対策による効果を実感している自治体は非常に低い水準にとどまる

まず、少子化対策で想定される効果と既に現れている効果について尋ねたところ、都道府県で

では「想定される効果」として、「出生数の増加」(95.2%)、「婚姻数の増加」(90.5%)がともに

9割以上挙げられているのに対して、「既に現れている効果」では、「他自治体からの転入者の増

加」「他自治体への転出者の減少」はともに 2.4%、「出生数の増加」「婚姻数の増加」はともに 0.0%と、少子化対策による効果を実感している都道府県が非常に少ないことがうかがえる結果となっ

た。

【13 ページ再掲】図表 7 少子化対策で想定される効果と既に現れている効果(都道府県):

複数回答(Q4)

注:「既に現れている効果」において、調査票には「特にない」の選択肢を設けているが、「無回答」が 83.3%と

高い回答割合となった。無回答ではあるが、特に効果を実感していない団体が多いと考えられる。

同様に、市区町村についても、「想定される効果」として、「出生数の増加」(66.1%)、「他自治

体からの転入者の増加」(58.4%)が6割前後挙げられているのに対して、「既に現れている効果」

では、「出生数の増加」(3.2%)、「他自治体からの転入者の増加」(13.7%)ともに低い水準にと

どまっており、少子化対策による効果を実感している市区町村が非常に少ないことがうかがえる

結果となった。

95.2%

90.5%

54.8%

47.6%

4.8%

0.0%

2.4%

0.0%

0.0%

2.4%

2.4%

4.8%

7.1%

83.3%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

出生数の増加

婚姻数の増加

他自治体からの転入者の増加

他自治体への転出者の減少

その他

特にない

無回答

想定される効果(n=42)

既に現れている効果(n=42)

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174

【14 ページ再掲】図表 8 少子化対策で想定される効果と既に現れている効果(市区町村):

複数回答(Q4)

注:「既に現れている効果」において、調査票には「特にない」の選択肢を設けているが、「無回答」が 62.7%と

高い回答割合となった。無回答ではあるが、特に効果を実感していない団体が多いと考えられる。 ■結婚に関する取組、機運醸成の取組とも、多くの項目で昨年以上の実施率

次に、施策の実施状況をみると、平成 30 年度における「結婚に関する取組」の実施率について

は、都道府県では、「h 情報発信」(97.6%)、「j 企業・団体等との連携(希望者に対する情報提

供等)」(83.3%)、「a 結婚支援センターの設置・運営」(73.8%)、市区町村では、「e 婚活イベン

ト」(52.6%)、「h 情報発信」(28.0%)「f 独身者向け婚活セミナー・講演会等の開催」(23.1%)

などが上位に挙げられた。 平成 29 年度と比べると、都道府県では、「f 独身者向け婚活セミナー・講演会等の開催」及び

「k 企業・団体等における結婚支援の取組状況調査」を除く全ての項目で、実施率が上昇してい

た。また、市区町村では、「e 婚活イベント」「f 独身者向け婚活セミナー・講演会等の開催」及

び「g 独身者の親向け婚活セミナー」を除く全ての項目で、実施率が上昇していた。 同じく「機運醸成の取組」の実施率については、都道府県では、「h 子育て支援パスポート事

業」(97.6%)、「b 男性の家事・育児への参画促進に関する取組」(78.6%)、市区町村では、「b 男性の家事・育児への参画促進に関する取組」(34.0%)、「e 乳幼児とのふれあい体験」(31.0%)

などが上位となっていた。 平成 29 年度と比べると、都道府県では、「b 家事・育児への参画促進に関する取組」「c ライフ

デザイン教育(学生対象)」「d ライフデザイン教育(社会人対象)」「g 結婚応援パスポート事業」

「i 講演会・セミナー等の講師の育成」「j 支援者(ボランティアを含む)の育成」「l 機運醸成の

取組(キャンペーンなど)」「m その他」の項目で、実施率が上昇していた。また、市区町村では、

「g 結婚応援パスポート事業」「i 講演会・セミナー等の講師の育成」の項目で、実施率が上昇し

ていた。

66.1%

58.4%

49.0%

46.9%

2.0%

8.4%

8.8%

3.2%

13.7%

1.1%

4.8%

1.2%

18.7%

62.7%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

出生数の増加

他自治体からの転入者の増加

婚姻数の増加

他自治体への転出者の減少

その他

特にない

無回答

想定される効果(n=1000)

既に現れている効果(n=1000)

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175

【25 ページ再掲】図表 27 平成 30 年度における「結婚に関する取組」の実施状況:

複数回答(Q10(1))

注1:実施率は、「交付金を活用して実施した」「交付金以外の補助金等を活用して実施した」「自主財源で実施し

た」「【市区町村のみ】都道府県事業に参加・協力・共同実施した」に1つでも回答した自治体の割合であ

る。 注2:上段が都道府県、下段が市区町村を表す。

単位:[%]

交付金を活用して実施した

交付金以外の補助金等を活用して実施した

自主財源で実施した

【市区町村のみ】都道府県の事業に参加・協力・共同実施した

過去に取り組んだことはあるが、H30年度は取り組まなかった

これまで一度も取り組んだことがない

73.8 38.1 4.8 33.3 0.0 4.8 21.4 0.0 66.015.7 0.9 0.9 6.6 8.0 1.2 78.7 4.4 13.019.0 11.9 2.4 7.1 0.0 11.9 66.7 2.4 14.920.4 1.6 1.0 16.1 2.9 4.5 70.4 4.7 18.957.1 35.7 2.4 23.8 0.0 0.0 40.5 2.4 48.914.3 0.9 0.5 2.5 11.1 0.8 79.9 5.0 10.440.5 21.4 4.8 16.7 0.0 4.8 54.8 0.0 25.518.6 1.7 1.2 14.2 2.3 2.1 74.2 5.1 14.661.9 23.8 4.8 35.7 0.0 21.4 14.3 2.4 59.652.6 4.9 8.3 38.2 4.7 15.4 29.7 2.3 53.459.5 35.7 0.0 26.2 0.0 28.6 7.1 4.8 70.223.1 4.7 2.7 14.5 1.9 12.3 59.7 4.9 24.231.0 23.8 0.0 7.1 0.0 21.4 47.6 0.0 23.45.1 1.0 0.5 2.7 1.0 5.7 83.8 5.4 6.7

97.6 35.7 2.4 59.5 0.0 2.4 0.0 0.0 93.628.0 2.4 2.2 17.8 8.1 1.1 66.3 4.6 24.964.3 35.7 7.1 21.4 0.0 11.9 21.4 2.4 63.817.5 0.5 2.2 14.0 1.4 3.0 74.2 5.3 16.383.3 50.0 4.8 33.3 0.0 2.4 11.9 2.4 83.021.5 2.1 2.1 15.4 2.8 2.2 71.3 5.0 17.126.2 14.3 0.0 11.9 0.0 21.4 50.0 2.4 36.23.3 0.2 0.2 2.2 0.8 2.3 89.0 5.4 2.8

61.9 42.9 4.8 19.0 0.0 9.5 26.2 2.4 61.715.8 2.3 1.1 10.0 3.0 5.3 74.3 4.6 15.72.4 2.4 0.0 0.0 0.0 4.8 90.5 2.4 2.11.8 0.2 0.2 1.1 0.4 0.7 92.3 5.2 1.3

35.7 21.4 2.4 14.3 0.0 4.8 40.5 19.0 25.511.7 3.9 0.8 6.8 1.1 1.8 70.2 16.3 10.4

h 情報発信(結婚支援センターのポータルサイト、 メルマガ、SNS等)

i 企業・団体等に対する支援

c マッチング(システムによるもの)

d マッチング(システム以外によるものすべて)

都道府県(n=42)市区町村(n=1,000)

e 婚活イベント

f 独身者向け婚活セミナー・講演会等の開催

n その他の結婚支援事業

m 講演会・セミナー等の講師の育成

l ボランティアの育成(地域のおせっかいさん等)

k 企業・団体等における結婚支援の取組状況調査

j 企業・団体等との連携(希望者に対する情報提供等)

g 独身者の親向け婚活セミナー

今年度実施 今年度の実施なし

b 相談業務(結婚支援センター以外の相談窓口)

〔参考〕平成29年度都道府県市区町村

無回答実施率

a 結婚支援センターの設置・運営

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176

【57 ページ再掲】図表 70 平成 30 年度における「機運醸成の取組」の実施状況:

複数回答(Q31(1))

注1:実施率は、「交付金を活用して実施した」「交付金以外の補助金等を活用して実施した」「自主財源で実施し

た」「【市区町村のみ】都道府県事業に参加・協力・共同実施した」に1つでも回答した自治体の割合であ

る。 注2:上段が都道府県、下段が市区町村を表す。

単位:[%]

交付金を活用して実施した

交付金以外の補助金等を活用して実施した

自主財源で実施した

【市区町村のみ】都道府県の事業に参加・協力・共同実施した

過去に取り組んだことはあるが、H30年度は取り組まなかった

これまで一度も取り組んだことがない

59.5 14.3 16.7 28.6 0.0 7.1 21.4 11.9 59.69.9 0.2 0.8 7.7 1.4 2.6 78.5 9.0 13.0

78.6 47.6 14.3 21.4 0.0 7.1 4.8 9.5 70.234.0 1.3 4.7 26.9 2.7 4.9 54.1 7.0 37.476.2 54.8 7.1 16.7 0.0 7.1 7.1 9.5 74.59.4 1.3 1.4 6.3 0.6 2.7 79.1 8.8 12.2

50.0 28.6 9.5 11.9 0.0 16.7 23.8 9.5 46.86.5 0.8 1.1 4.4 0.6 3.4 80.9 9.2 7.8

28.6 23.8 0.0 4.8 0.0 19.0 42.9 9.5 38.331.0 1.7 3.9 24.5 1.5 4.9 56.7 7.4 36.228.6 21.4 0.0 7.1 0.0 38.1 26.2 7.1 40.41.5 0.1 0.2 0.2 1.0 2.7 87.1 8.7 4.0

21.4 11.9 2.4 9.5 0.0 0.0 71.4 7.1 17.06.3 0.0 0.0 0.3 6.0 0.6 84.8 8.3 4.6

97.6 33.3 2.4 64.3 0.0 0.0 0.0 2.4 100.029.8 0.1 0.3 5.3 24.9 0.7 62.0 7.5 36.94.8 4.8 0.0 0.0 0.0 9.5 76.2 9.5 2.13.0 0.1 0.4 1.9 0.7 1.5 86.3 9.2 1.8

52.4 23.8 4.8 26.2 0.0 9.5 28.6 9.5 51.117.5 0.6 4.3 11.1 2.3 2.7 71.0 8.8 19.528.6 19.0 0.0 9.5 0.0 14.3 47.6 9.5 40.48.3 0.1 1.3 6.1 1.1 3.1 79.2 9.4 8.7

76.2 40.5 2.4 35.7 0.0 7.1 9.5 7.1 72.37.0 0.7 1.1 4.0 1.3 2.9 81.0 9.1 8.5

14.3 7.1 2.4 4.8 0.0 0.0 7.1 78.6 10.61.8 0.1 0.4 1.3 0.1 0.9 35.2 62.1 3.8

m その他

g 結婚応援パスポート事業

都道府県(n=42)市区町村(n=1,000)

実施率

i 講演会・セミナー等の講師の育成

j 支援者(ボランティアを含む)の育成

k 地域の課題の抽出・分析、見える化等の取組

h子育て支援パスポート事業

f 結婚応援フォーラム

e 乳幼児とのふれあい体験

d ライフデザイン教育(社会人対象)

c ライフデザイン教育(学生対象)

b 男性の家事・育児への参画促進に関する取組

a 男性の配偶者の出産直後の休暇取得の促進に関する取組

今年度実施 今年度の実施なし

〔参考〕平成29年度都道府県市区町村

l 機運醸成の取組(キャンペーンなど)

無回答

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177

■結婚に関する取組、機運醸成の取組とも、「財源」「人的資源」の不足が取組における主な課題。

市区町村では「取り組むための組織体制」の不足も上位 「結婚に対する取組」を実施している団体に対して、取組における課題を尋ねたところ、都道

府県・市区町村ともに「財源が不十分である」(都道府県 82.9%、市区町村 43.9%)との回答割

合が高く、財源の確保に課題を感じている団体が多いことが明らかとなった。次いで、都道府県

では「人的資源が不足している」(46.3%)が半数程度挙げられた。 市区町村では、「取り組むための組織体制が不十分である」(48.4%)、「人的資源が不足してい

る」(47.1%)がそれぞれ半数程度と、財源だけでなく、体制や人材面でも課題を感じている団体

が多いことがうかがえる結果となった。

【34 ページ再掲】図表 40 結婚に対する取組における自治体の課題:複数回答(Q20)

同様に、「機運醸成の取組」を実施している団体に対して、取組における課題を尋ねたところ、

都道府県では、「財源が不十分である」(85.7%)、「人的資源が不足している」(45.2%)が上位に

挙げられた。また、市区町村では、「人的資源が不足している」(53.6%)、「取り組むための組織

体制が不十分である」(51.4%)、「財源が不足している」(50.3%)が上位に挙げられ、「結婚に対

する取組」と同じく、都道府県・市区町村ともに財源の不足のほか、体制や人材面でも課題を感

じている団体が多いことがうかがえる結果となった。

【62 ページ再掲】図表 77 「機運醸成の取組」における課題:複数回答(Q34)

82.9%

46.3%

24.4%

12.2%

12.2%

0.0%

14.6%

2.4%

43.9%

47.1%

48.4%

19.2%

37.2%

11.7%

12.9%

6.7%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

財源が不十分である

人的資源が不足している

取り組むための組織体制が不十分である

事業実施に必要な情報が不足している

効果的な事業計画が設計できない

どのように取り組めばよいのかわからない

その他

無回答

85.7%

45.2%

28.6%

16.7%

9.5%

0.0%

11.9%

2.4%

50.3%

53.6%

51.4%

28.4%

16.3%

8.1%

4.4%

12.2%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

財源が不十分である

人的資源が不足している

取り組むための組織体制が不十分である

効果的な事業計画が設計できない

事業実施に必要な情報が不足している

どのように取り組めばよいのかわからない

その他

無回答

都道府県(n=41)

市区町村(n=699)

都道府県(n=42)

市区町村(n=640)

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178

■取組を実施していない理由は、市区町村では、「取り組むための組織体制」「人的体制」の不足

が上位 一方、平成 30 年度に「結婚に対する取組」「機運醸成の取組」を実施しなかった団体に、それ

ぞれ実施しなかった理由を尋ねたところ、市区町村では、いずれも「取り組むための組織体制が

不十分であったため」「人的資源が不足しているため」「財源がなかったため」といった理由が上

位に挙げられた。事業実施に当たり、「組織体制」や「人的体制」が、「財源不足」とあわせて大

きな課題となっていることが明らかとなった。

【36 ページ再掲】図表 41 結婚に対する取組を実施しなかった理由:複数回答(Q21)

【63 ページ再掲】図表 78 「機運醸成の取組」を実施しなかった理由:複数回答(Q35)

47.2%

37.2%

31.6%

29.0%

22.3%

18.6%

17.8%

13.4%

9.7%

9.3%

8.9%

3.7%

0.4%

14.5%

1.9%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

取り組むための組織体制が不十分であったため

人的資源が不足しているため

財源がなかったため

効果が見込めなかったため

住民のニーズ・要望が高くないため

効果的な事業計画が設計できなかったため

事業実施に必要な情報が不足していたため

ほかに優先度の高い事業があったため

取り組む必要を感じなくなったため

取り組むための準備期間が不足していたため

どのように取り組めばよいかわからなかったため

都道府県が行う取組であるため

目的を達成したため

その他

無回答

59.0%

50.3%

42.1%

26.8%

18.0%

16.4%

15.8%

15.3%

7.7%

7.1%

4.9%

3.3%

1.1%

2.7%

3.8%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

取り組むための組織体制が不十分であったため

人的資源が不足しているため

財源がなかったため

効果的な事業計画が設計できなかったため

事業実施に必要な情報が不足していたため

住民のニーズ・要望が高くないため

効果が見込めなかったため

どのように取り組めばよいかわからなかったため

取り組むための準備期間が不足していたため

ほかに優先度の高い事業があったため

取り組む必要を感じなくなったため

都道府県(又は市区町村)が行う取組であるため

目的を達成したため

その他

無回答

市区町村(n=269)

市区町村(n=183)

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179

■交付金の効果として新規事業や、他自治体へ視野を広げるきっかけに 交付金事業を実施したことによる効果として、都道府県では、「これまで取り組んだことのない

新規事業を行うことができた」(76.2%)、「他の自治体の少子化対策事業を参考にするなど、視野

が広がった」(57.1%)が上位に挙げられた。一方、市区町村では、「これまで一度も地域少子化

対策重点推進交付金事業を実施したことがない」を除くと、「これまで取り組んだことのない新規

事業を行うことができた」(19.4%)がもっとも多く挙げられた。

【64 ページ再掲】図表 79 地域少子化対策重点推進交付金事業を実施したことによる結果:

複数回答(Q36)

さらに、交付金事業を実施した効果として「これまで取り組んだことのない新規事業を行うこ

とができた」と回答した自治体に、これまで当該事業に取り組まなかった理由を尋ねたところ、

都道府県・市区町村ともに、「財源がなかったため」(都道府県 81.3%、市区町村 83.5%)、「事業

実施に必要な情報が不足していたため」(都道府県 37.5%、市区町村 36.1%)等が多く挙げられ

た。交付金を活用することにより、こうした課題を解決し、自治体が新たな施策に取り組むきっ

かけとなっていることがうかがえる。

76.2%

57.1%

42.9%

40.5%

38.1%

38.1%

35.7%

33.3%

28.6%

19.0%

9.5%

0.0%

0.0%

0.0%

0.0%

19.4%

6.9%

6.0%

5.6%

9.8%

5.2%

6.7%

2.1%

4.4%

2.4%

3.7%

0.5%

2.4%

61.9%

2.8%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

これまで取り組んだことのない新規事業を行うことが…

他の自治体の少子化対策事業を参考にするなど、視…

結婚・妊娠・出産・育児に関する切れ目のない「情報…

自治体内の少子化対策関連予算が増加した

既存の事業の、結婚・妊娠・出産・育児で切れ目が…

これまで以上に、地域の関係諸団体・組織との連携を…

少子化対策に関する自治体内の機運が醸成された

これまで以上に、他の自治体との連携を図るように…

自治体内の既存の少子化関連事業を整理し、見直し…

結婚・妊娠・出産・育児に関する切れ目のない「人的・…

これまで以上に、自治体内の部局間での連携を図る…

その他

いずれもあてはまらない

これまで一度も地域少子化対策重点推進交付金事…

無回答

これまで取り組んだことのない新規事業を行うことが

できた

他の自治体の少子化対策事業を参考にするなど、視

野が広がった

結婚・妊娠・出産・育児に関する切れ目のない「情報提

供」が図れるようになった

自治体内の少子化対策関連予算が増加した

既存の事業の、結婚・妊娠・出産・育児で切れ目が

あった部分をつなぐことができた

これまで以上に、地域の関係諸団体・組織との連携を

図るようになった

少子化対策に関する自治体内の機運が醸成された

これまで以上に、他の自治体との連携を図るように

なった

自治体内の既存の少子化関連事業を整理し、見直し

を図れた

結婚・妊娠・出産・育児に関する切れ目のない「人的・

組織的ネットワーク」がつくれた

これまで以上に、自治体内の部局間での連携を図る

ようになった

その他

いずれもあてはまらない

これまで一度も地域少子化対策重点推進交付金事業

を実施したことがない

無回答

都道府県(n=42)

市区町村(n=1000)

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180

【65 ページ再掲】図表 80 これまでにその事業に取り組まなかった理由:複数回答(Q37)

■交付金事業を実施した後、都道府県では約半数が自主財源で事業を継続

さらに、「結婚に関する取組」「機運醸成の取組」について、地域少子化対策重点推進交付金を

活用した後の状況をみると、都道府県では、「交付金の活用をやめた後、自主財源で取組を継続し

ている」が半数弱ともっとも回答割合が高く、交付金で実施した事業のうち、一定程度は自治体

の自主財源で引き続き実施されていることがわかる。

【66 ページ再掲】図表 81 「結婚に関する取組」について、交付金活用後の状況:複数回答

(Q38)

【67 ページ再掲】図表 82 「機運醸成の取組」について、交付金活用後の状況:複数回答(Q39)

81.3%

37.5%

9.4%

0.0%

15.6%

0.0%

83.5%

36.1%

17.5%

12.4%

4.1%

0.5%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

財源がなかったため

事業実施に必要な情報が不足していたため

人的資源が不足していたため

他部局にまたがる事業だったため

その他

無回答

45.2%

33.3%

21.4%

4.8%

2.4%

0.0%

4.8%

2.4%

6.3%

3.7%

13.5%

1.3%

66.7%

0.6%

1.7%

7.1%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

交付金の活用をやめた後、自主財源で取組を継続し

ている

交付金の活用をやめた後、取組自体の実施をとりや

めた

いずれの取組についても、継続して交付金を活用し

ている

交付金の活用をやめた後、交付金以外の補助金等

を活用して取組を継続している

これまで一度も地域少子化対策重点推進交付金事

業を実施したことがない

【市区町村のみ】交付金の活用をやめた後、都道府

県の事業に参加・協力・共同実施した

その他

無回答

交付金の活用をやめた後、自主財源で取組を継続

している

交付金の活用をやめた後、取組自体の実施をとり

やめた

いずれの取組についても、継続して交付金を活用し

ている

交付金の活用をやめた後、交付金以外の補助金等

を活用して取組を継続している

これまで一度も地域少子化対策重点推進交付金事

業を実施したことがない

【市区町村のみ】交付金の活用をやめた後、都道府

県の事業に参加・協力・共同実施した

その他

無回答

40.5%

38.1%

26.2%

4.8%

0.0%

0.0%

7.1%

7.1%

7.3%

2.9%

7.4%

1.0%

0.4%

70.6%

1.4%

10.3%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

交付金の活用をやめた後、自主財源で取組を継続し

ている

交付金の活用をやめた後、取組自体の実施をとりや

めた

いずれの取組についても、継続して交付金を活用し

ている

交付金の活用をやめた後、交付金以外の補助金等

を活用して取組を継続している

【市区町村のみ】交付金の活用をやめた後、都道府

県の事業に参加・協力・共同実施した

これまで一度も地域少子化対策重点推進交付金事

業を実施したことがない

その他

無回答

交付金の活用をやめた後、自主財源で取組を継続

している

交付金の活用をやめた後、取組自体の実施をとり

やめた

いずれの取組についても、継続して交付金を活用

している

交付金の活用をやめた後、交付金以外の補助金

等を活用して取組を継続している

【市区町村のみ】交付金の活用をやめた後、都道

府県の事業に参加・協力・共同実施した

これまで一度も地域少子化対策重点推進交付金

事業を実施したことがない

その他

無回答

都道府県(n=32)

市区町村(n=194)

都道府県(n=42)

市区町村(n=1000)

都道府県(n=42)

市区町村(n=1000)

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181

事例調査から得られた主な示唆

事例調査(第3章)において述べたとおり、少子化対策においては、全国に共通の課題はある

ものの、各地域において必要な施策を検討する際には、出生に影響を与える社会環境や、性別役

割分業や結婚に対する意識の違いを考慮したうえで検討することが必要となる。 そこで、本調査では、近年の合計特殊出生率の上昇率が、都道府県平均を上回る4都県から各

一団体ずつ、モデル自治体を選定し、結婚・出生の変化に影響を与える社会環境の変化や、20~30 代の結婚や子育てをめぐる近年の状況について、統計データの整理分析及びヒアリング調査

を通じて、把握を試みた。 以下では、4つの地域の特徴と課題について、それぞれとりまとめを行った。

■タイプ①:福井県福井市(もともと出生率の水準も女性有業率も高い地域)

(特徴と課題) ・福井県は、もともと女性の有業率が高く、共働き世帯率が全国一である。全国平均と比べて

高い(ポジティブな)指標として、平均初婚年齢の低さ、未婚率の低さ、若年層の非正規雇

用者比率の低さ、女性雇用者に占める正規雇用者比率の高さ、近居率の高さ、保育所利用率

の高さ、通勤時間の短さなどがあげられる。 ・三世代同居率の高さを反映して、核家族世帯割合は全国平均より低いが、近年はほぼ全国平

均並みの水準に近づいており、共働きの核家族が増加している。 ・こうした世帯状況の変化を反映して、もともと全国的にも高い保育所利用率はさらに上昇傾

向にある。祖父母が働いているケースも増え、従来の祖父母や親族等によるインフォーマル

な子育て支援から、保育所等のフォーマルな子育て支援へと移行してきていると考えられ

る。 ・女性雇用者に占める正規雇用者比率の高さや、若者の非正規雇用者比率の低さ、失業率の低

さなどにみられるように、女性や若年層の雇用環境が安定しているほか、福井県、福井市と

もに、企業における両立支援施策(両立支援に取り組む事業者への助成、企業に対する表彰・

認知、育児休業の取得促進に向けた企業への働きかけ等)を多く実施しており、女性が妊娠・

出産後も働き、仕事と子育てを両立しやすい職場環境が整っている。 ・福井市では、結婚支援や、子育て支援など、行政が施策を実施する際に民間に委託する流れ

が構築されており、行政と民間が連携して取り組む体制が整っており、行政が単独で事業を

実施する場合に比べて、短期間で成果が出やすいという特徴がある。

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182

■タイプ②:香川県高松市(もともと出生率の水準は高いが、女性有業率は低い地域)

(特徴と課題) ・香川県は、もともと女性の有業率は全国より低いが、近年は上昇傾向にある。 ・全国平均と比べて高い(ポジティブな)指標として、20~34 歳女性の未婚率の低さ、平均

初婚年齢の低さ、若年層の非正規雇用者比率の低さ、女性雇用者に占める正規雇用者比率の

高さ、近居率の高さ、通勤時間の短さなどがあげられる。 ・未婚率は下がっていないが、合計特殊出生率は上昇している。30 歳代の夫婦間子ども数が

近年3人以上の世帯の割合が微増していることなどが要因とみられる。 ・もともとコンパクトな県・市町であったことに加え、近年は住宅地の開発が進み、交通の便

がよくなったことから、三世代同居よりも近居の割合が高まっている。 ・香川県、高松市の子育て環境として、子育て支援拠点が充実しており、高松市内には 31 拠

点が整備されている。市内の全域をカバーすることができており、家庭で子育てをする世帯

への支援が充実している。 ・香川県、高松市では、NPO 法人などの民間団体が多く活動している。具体的には、保育、

親子のひろば事業等子育て支援拠点活動、放課後児童クラブ、乳幼児とのふれあい事業など

様々な事業において民間団体が受け皿となっている。子育てタクシーなど、香川県の NPOが生み出し、全国に展開された事業もある。こうした民間団体が育っている背景としては、

行政が、子育て分野に関わらず幅広い政策分野において、従来から、各団体と連携して事業

を行うことを基本としてきたことがあると考えられる。中でも、特に子育て支援に関わる団

体が育っているという特徴があり、全国的に有名な NPO 法人が県全域を対象に活動してい

ることや、比較的コンパクトな県の中で取組の効果が見えやすく、他の団体も含めて、良い

取組が普及しやすいことも理由ではないかと考えられる。 ・子育て支援拠点を始めとした支援の充実と子育て支援に取り組む NPO の活動の存在に加え

て、コンパクトで職住近接のまちづくりや、若年層の雇用環境の安定などが子育てしやすい

環境につながっている。今後、こうした結婚・出産・子育てまでの充実した「切れ目ない支

援」が未婚率の減少につながることが期待される。

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183

■タイプ③:東京都千代田区(もともと出生率の水準は低いが、女性有業率は高い地域)

(特徴と課題) ・東京都では、もともと女性の有業率は全国より高く、女性雇用者に占める正規雇用者比率も

全国を上回っている。そのほか、全国平均と比べて高い(ポジティブな)指標として、児童

福祉費の高さ、転入超過率の高さなどがあげられる。 ・一方、全国平均と比べて低い(ネガティブな)指標として、25~34 歳女性の未婚率の高さ、

平均初婚年齢の高さ、若年層の非正規雇用者比率の高さ、近居率の低さ、待機児童割合の高

さ、通勤時間の長さなどがあげられる。 ・ただし、全国的には未婚率が上昇傾向にある中、東京都では平成 17 年から平成 27 年にか

けて、男女とも 25~34 歳では未婚率が低下しており改善がみられる。背景として、景気回

復による若年層の雇用環境の改善で、若年層の正社員比率や賃金水準の上昇がみられ、30代の有配偶率の底上げにつながっていることがあげられる。

・千代田区では近年、人口の流入が続いており、合計特殊出生率は上昇傾向にあり、平成 26年以降、東京都平均を上回っている。もともと子育て世帯が多い地域ではなかったため待機

児童がいない状態が長く続いており、近隣の特別区と比べて保育所に入所しやすいことも、

子育て世帯が流入する要因の一つになったと考えられる。 ・千代田区では、こうした共働き世帯に対する子育て支援として、保育所の整備による受け皿

の拡大、延長保育や夕食の提供等を実施している。 ・高校在学の3月末までの医療費無償化などを全国に先駆けて実施してきたことから、行政に

よる手厚い経済的支援も、千代田区で子育てをする魅力の一つとなっているものと思われ

る。

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184

■タイプ④:奈良県三郷町(もともと出生率の水準は低く、女性有業率も低い地域)

このように、合計特殊出生率が回復傾向にある都県ではあるが、地域によって、少子化に影響

を与えると考えられる社会環境の状況や、課題に対する自治体の取組状況に、大きな違いがみら

れる。少子化対策を実施する際には、それぞれの地域の特徴と課題をふまえ、取組を進めていく

ことが必要となる。

(特徴と課題) ・奈良県では、もともと女性の就業率が低く、専業主婦率が全国一であるが、近年は女性の就

業率が高まっている。平成 22~27 年間の5年間では、女性の就業率の上昇幅が全国でもっ

とも高くなっており、以前と比べると改善傾向にある。 ・全国平均と比べて高い(ポジティブな)指標として、男女の賃金格差の小ささ、成人の子が

親と同居している割合の高さなどがあげられる。 ・一方、全国平均と比べて低い(ネガティブな)指標として、25~39 歳女性の未婚率の高さ、

若者層の非正規雇用者比率の高さ、保育所利用率の低さ、男性の1日あたり就業時間および

通勤時間の長さなどがあげられる。 ・「男性は仕事、女性は家事・育児」という性別役割分業意識が強く、県民調査では、女性が

結婚相手に求めることとして「経済力」をあげる割合も、全国より約 10 ポイント高くなっ

ている。男性の所得水準に対する期待の高さや、未婚女性の経済力の低さが、結婚に対する

ハードルを高める要因となっている可能性が考えられる。 ・三郷町では、若年層向けの分譲住宅を町が比較的安価に販売しているほか、町外から民間賃

貸住宅に転入する子育て・新婚世帯向けに、家賃助成を行っており、転入増が続いている。 ・三郷町の子育ての環境は、町内に幼稚園から大学まで立地しており、公立小学校での ICT 教

育や公立小中一貫校の整備など、次世代の教育投資を町長のリーダーシップのもと推進し

ている。 ・子育て不安解消のため、新生児の全戸訪問を 100%実施し、保健師によるきめ細やかな相談

体制を整備したり、住民の声を受けて、近年は病児保育事業や、子どもの発達障害に関する

支援等の新たな施策にも取り組んでいる。 ・このように、人口規模が小さいがゆえに、行政がスピーディに施策を展開しやすいことや、

住民と顔が見える関係を築きやすいといったメリットを生かして、安心して子育てができ

る環境が整っている町であることが子育て世代に認知され、結婚・出産・子育ての場として

選ばれていると考えられる。

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本調査結果のまとめ

ここでは、本事業の目的である「自治体における少子化対策の取組の広がりを踏まえた少子化

社会対策大綱の見直しにおける課題の整理」と、昨年までの行政レビューも踏まえた「地域少子

化対策重点推進(強化)交付金」の運用における課題を提示する。

1.自治体における少子化対策の効果とは

自治体における少子化対策の効果について、合計特殊出生率や出生数を直接的なアウトカムと

して検証することは困難である。合計特殊出生率に関する目標を設定している自治体は、都道府

県では 61.9%、市区町村では 60.2%でいずれも約6割あるが(図表 1)、目標の有無にかかわら

ず、目標を達成する道筋を示したり施策の体系的な効果検証を行っている自治体は少ないとみら

れる。 これには、主に2つの理由が考えられる。一つは、結婚や出産に関する意思決定に対し政策的

な関与を行うべきでないとする、先進各国に共通の考え方である。そのため、行う施策は、あく

までも「結婚や出産の希望が実現しやすい環境整備」ということになる。この考え方は、多くの

自治体に共通であり、国の考え方も共通であると考えられるが、自治体間にも考え方に温度差が

みられる。一方は、「希望が実現しやすい環境整備」を行った先に、目標とする出生率や出生数の

上昇があると仮定する立場と、もう一方は、出生に関するアウトカムはまったく意識せず、結婚

や子育ての支援を行っているに過ぎない、とする立場である。国は、「ニッポン一億総活躍プラン」

で、三本の矢の一つとして「希望出生率 1.8」を打ち出し、先の考え方でいえば、前者の立場と言

えようが、「子ども・子育て支援法」等、子どもをめぐる様々な法律に基づき環境整備を進める自

治体においては、目的が分散化され、少子化社会対策基本法ができた当時と比べ、出生に関する

アウトカムに対する目的意識は薄れているとみられる。 もう一つの理由としては、出生動向に影響を与える社会環境は多様であり、自治体の取組の効

果は限定的であるため、各自治体が長年取組を行ってきたものの施策の効果を実感できず「少子

化対策疲れ」を起こし、出生に関するアウトカムを意識することをあえて避けているということ

である。日本全体でみても、少子化対策が本格的にスタートするきっかけとなった、1989 年の合

計特殊出生率 1.57(戦後最低の出生率であった 1966 年丙午の 1.58 を下回ったことから「1.57 シ

ョック」と呼ばれた)から、その後少子化対策の様々な取組が行われたものの、2005 年まで出生

率は下がり続けている。2005 年を底として上昇基調にあるものの、2018 年時点で 1.42 と、依然

1.57 を下回っている。景気の影響も大きいとみられるが、施策の及ぶ範囲で見ても、労働時間や

両立可能な柔軟な働き方の導入などは、基礎自治体の範囲で変化を起こせるものではない。従っ

て、自治体においては、出生に関するアウトカムで施策の効果を測ることを回避しようとする動

機が働く。 本報告書にも掲載している「国における定量的な成果指標」のロジックに沿えば、アウトプッ

トや第一段階のアウトカムまでは、各自治体の施策の検証は可能であり、これまで交付金を活用

した自治体の成果も概ね示されている。問題は、中間アウトカムと最終アウトカムにいたる道筋

やロジックを提示し、自治体の施策外の影響をある程度「より分けて」、自治体の施策の効果を見

える化し、進捗を確認できるようにすることが必要であろう。

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186

そのために、本事業では、広域自治体である都道府県単位で共通する社会環境(雇用関連の施

策を含む)を示した上で、都道府県と市区町村の施策をみていく方法を試みた。その上で、合計

特殊出生率の変化を、結婚(初婚効果)と夫婦間出生数の変化とに分解して考えれば、自治体で

行っている結婚支援と子育て家庭支援との関係性が一定程度みえてくる。もちろん、結婚には、

出会いの機会創出などの直接的な支援だけでなく、子育て不安の解消など子育て家庭支援の効果

の影響も無視することはできない。また、子育て家庭支援には、働き方改革など国や都道府県単

位の影響が大きな施策も含まれ、市区町村単位のみで効果を測定することは困難な面もある。さ

らには、未婚対策も子育て家庭支援も景気の影響を受けることから、自治体の取組だけで効果を

みることには限界があることは言うまでもない。 上記のような条件付きではあるが、結婚支援と子育て家庭支援の視点から、モデル自治体にお

ける施策とその効果について調査・検討を行った。モデル自治体については、近年出生動向にポ

ジティブな変化が起こっている(合計特殊出生率の上昇率が平均よりも大きい)都道府県から4

都県を抽出した(図表 89)。さらに、それぞれの都県の中で、比較的出生率の上昇傾向が顕著に

みられる自治体、あるいは充実した施策を行っていると都県が考える市区町村を推薦してもらい、

4つの都県とそれぞれ1市区町をセットとして調査を行った。結果として、それぞれの地域で、

どのような社会環境の変化と施策の導入が出生動向の変化を促しているのかがある程度見えて

きた。 なお、交付金の事業は、これまでの行政レビューを経て、単に新規性のある取組を支援するの

ではなく、「結婚、妊娠・出産、乳児期を中心とする子育てに温かい社会づくり・機運の醸成」や

「「子育て安心プラン」の推進に資する取組(総合的な結婚・子育て支援、地方自治体と連携した

企業・団体・学校等の自主的な取組に対する支援、企業・学校・団体等の創意工夫を生かした地

域ぐるみの取組支援)」を主な対象としている。これには、既存の自治体の取組を点検した上で、

結婚、妊娠・出産、子育てまでの「切れ目ない支援」を行っていくために必要な施策を支援する、

という意義と、当該地域に必要な支援の「量的・面的な充足」を図るための工夫ある取組に支援

する、という意義があると考えられる。「切れ目ない支援」と「量的・面的な充足」が、当該地域

で安心して、結婚・出産・子育てを可能とする環境を創出し、そうした環境が「温かい社会づく

り・機運の醸成」につながると考えられるためである。また、いかに新規性のある有意義な事業

だとしても、支援の対象となる人や世帯が、地域のほんの一部であるなら、出生率や未婚率とい

った人口動態統計に影響を及ぼすような効果は期待できない、という意味でもある。 これまでの事業評価では、保育以外の支援について「量的・面的な充足」を測ることが困難で

あった。今年度事業では、アンケート調査やヒアリングを通じて、この充足状況を測ることを試

みたが、各自治体がそうした視点で施策を実施していないこともあり、保育分野を除いて「量的・

面的な充足」状況を確認することは困難であった。今後、国においては、保育の利用率等になら

い、他の事業においても、その地域のニーズを充足するに十分な量的支援があるか、地域全体に

施策が及んでいるか、という評価の視点を、自治体と共有することが必要ではないかと考える。

2.結婚支援

第3章の岩澤委員による「初婚行動と夫婦出生行動効果の要因分析」(図表 90)(73 ページ)

でも示されているとおり、全国でみた場合、近年の出生率の回復要因は、主に夫婦間出生等、結

婚(初婚)効果以外の要素によっている。単純化すれば、未婚化の解消の効果ではなく、夫婦間

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の子ども数が増えている(実際には、結婚によらぬ出産も含まれていると考えられるが)という

ことになる。モデル自治体でみても、明らかな未婚化の改善がみられたのは、東京都のみである

(図表 171)。モデル自治体では、主に都県において結婚支援の取組が行われていた。実施して

いる取組については、周知やイベント内容に関わる人材の育成等の工夫が行われており、モデル

自治体の職員の実感ベースでは、結婚支援センターへの登録者数やイベント参加者、成婚組数等

において、一定の効果が実感されている。(成婚組数の把握は困難だが、福井市のように、独自事

業として成婚記念品を贈ることで成婚組数把握に努め、組数の増加を確認している自治体もあ

る。)ただし、その効果は、自治体全体の未婚率を下げる、といったレベルには及んでいない。取

組を始めて、まだ数年の自治体が多く、民間と連携した取組の実績等が十分に把握されていない

ことを差し引いたとしても、まだ、各自治体の人口規模に対して、取組が十分行きわたっている

とは言い難い。今後の課題として、より広範に影響を及ぼすよう、登録者や参加者を増やすなど、

事業の規模を拡大していく必要があろう。 ただし、結婚支援の取組は民間でも行われていることから、都県としてどこまで直接関与すべ

きか難しいといった意見もあり、事業を拡大していくことへの躊躇もみられる。東京都のように

民間の活動をサポート(情報提供等)していく形での機運醸成に軸を置くという考え方もあろう。

また、同じく東京都では、マッチングは民間でも行っていることから、都の役割として、若者が

積極的に「ライフプラン」を考える機会を提供する取組(ポータルサイトの作成を通じた情報発

信、婚活の前段階からライフプランについて考えてもらう機会の提供(セミナー、イベント)、夫

婦のエピソード募集(結婚について考えてもらう)、大学でのライフデザインセミナー)等に力を

入れている。今後は、未婚率の高い状態や子どもの少ない状態が継続している社会では、若者が

結婚や子どもを持つことに具体的なイメージを持ちづらいといった課題もあるため、今後他の自

治体でも、こうしたライフプランニング支援というアプローチへの注目が高まる可能性もある。 また、未婚の理由として、「出会いの機会がない」ということが多くあげられるが、出会いの場

の創出というアプローチだけでなく、働き方改革による未婚者の仕事以外の活動の広がりを促す

効果も期待される。平成 19 年に出された「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲

章」に基づき、すべての労働者の働き方の見直しが求められたが、調和を図る必要性があるのは

子育てニーズのある労働者だけとの認識が払しょくしきれず、未婚者の働き方については見直し

が進まなかった。そのため、平成 30 年に「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関す

る法律」が公布され、労働者が「個々の事情に応じた多様で柔軟な働き方を、自分で「選択」で

きるようにするための改革」が前進することとなった。労働時間の短縮に限らず、柔軟な働き方

で、仕事以外の生活を充実させるための時間的な余裕を生み出すことができれば、未婚者の生活

における活動領域が増える可能性もあり、結果として「出会い」の機会が増えることも期待でき

る。 ただし、出会いが実際に結婚に結び付く過程では、経済的な不安も課題となる。今回の調査で、

東京都で未婚率の減少傾向がみられたのも、都としての出会いの機会創出や機運の醸成の効果だ

けでなく、それらの施策の下支えとして、若年の雇用環境の改善があったと考えられる(図表 173)。他の地域では、若年層の賃金の推移をみても、東京都に比べると安定的に上昇していると

はいえない。従って、他の地域においても、若年の雇用環境の改善が進めば、その環境改善を下

支えとして、現在行っている自治体による結婚支援の取組(出会いの機会創出)の効果が出てく

る可能性もある。また、本事業の板本委員の考察にあるとおり、「結婚の機運醸成のためには「結

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188

婚後の暮らしの支援」が地域の若い世代に見えているか、という点が重要である」という指摘も

重要であり(128 ページ)、今回のモデル自治体にみるような子育て支援の充実や安心な子育て機

運の醸成、出産・子育てに関する「切れ目ない支援」が、結婚の機運醸成にいかにつながるか、

といった視点での検証も今後必要であろう。 交付金との関係についてみると、アンケート結果にあるように、都道府県レベルの取組につい

ては、交付金を活用した後に独自事業として継続している自治体も少なくない(図表 81、図表 82)。交付金活用が、取組の契機となっており、国が一定の助成を行うことで、その後の都道府県

の取組を促す効果があるとみられる。ただし、モデル自治体のヒアリングからは、当初の大規模

な周知活動だけでなく、定期的に新しい層にアプローチすることの重要性や、結婚支援センター

のマッチングシステムの見直し等の必要性が指摘されている。例えば、香川県では、「平成 29 年

に縁結びをする応援団体を集めたことで関係者が増えたが、いまは伸び悩んでいる」と、追加的

周知策の必要性を指摘している。香川県のヒアリングに同行いただいた板本委員によれば、近年

はマッチングシステムも様々な形で進化しており、古いシステムについての見直しが期待される。

こうした追加的施策を行うための交付金活用のニーズがあるとも考えられる。一方、市区町村で

は、まだ多くの自治体において、交付金が活用されていない。都道府県との役割分担という面も

あるが、都道府県のみで、全域での広範な活動を展開することは困難であると考えられ、今後、

地域全体で隈なく活動を展開していき、未婚率の低下というアウトカムにつなげるためには、都

道府県と連携した市区町村の取組が期待される。 また、アンケート結果では、事業を実施できない理由として、市区町村では財源不足や人的体

制の不足を挙げる割合が高かった(図表 41)。財源不足については、交付金を活用する場合も、

市区町村の支出も必要となることから、単に交付金があることを周知しただけでは、活用されな

いという懸念がある。特に、結婚支援については、モデル自治体の例をみても都道府県が主であ

るという認識を持つ市区町村が多いと考えられることから、支出を伴う取組は回避される可能性

も高いと考えられる。事業を実施するための組織体制がない、という自治体の回答も多い。その

ため、今後、市区町村の取組を促すためには、交付金(平成 29 年度当初予算、平成 30 年度当初

予算)交付要綱に、交付の目的として「これまでの地方自治体の取組から発掘された優良事例の

横展開を支援する」と掲げられていることから、交付金を活用している市区町村の優良事例を示

すことや、都道府県との連携方策(体制強化策や取組の進め方等)、市区町村が参加することの効

果等を示すことで、都道府県任せにせず、市区町村も交付金を活用して結婚支援の取組を行おう

とする動機づけをすることが必要であろう。 新婚世帯に対する給付・助成等については、新婚世帯の家賃補助等経済的な支援へのニーズは

あるとみられ、実施している自治体もある(図表 57)。実態として、こうした支援施策について、

結婚を意識する前の住民へアプローチすることは難しく、結婚そのものを促す効果があるとはい

えないが、地域において結婚を支援する機運の醸成に資する取組として位置づけられている。た

だし、今回のモデル自治体でも、三郷町や千代田区など、周辺自治体と比較して、同自治体が「選

ばれる」ことを意識し、家族形成をする際の住居に関する優遇策をとっている。結婚そのものを

促しているとはいえないが、こうした取組を実施した自治体が若年カップルを呼び込み、結果と

して、当該自治体の少子化対策にはつながっていると考えられる。アンケート結果では、結婚新

生活支援事業を実施している自治体では、実施していない自治体と比べ、少子化対策で想定され

る効果について、他自治体からの転入者の増加や婚姻数の増加について、実感している割合が高

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189

い傾向がみられた(図表 61)。さらには、結婚・妊娠・出産・育児に関する支援事業への切れ目

がある場合の対応として、「地域少子化対策重点推進交付金で事業を実施した」と回答した割合も

高く(図表 62)、交付金事業の実施結果として「これまで取り組んだことのない新規事業を行う

ことができた」「既存の事業の、結婚・妊娠・出産・育児で切れ目があった部分をつなぐことがで

きた」と回答した割合も高い(図表 64)。すなわち、様々な支援メニューが必要とされる中で、

新婚世帯に対する支援は優先度の高い施策とまではいえないかもしれないが、切れ目ない支援を

考えた時に必要な施策であり、既存事業をある程度充足させられた自治体が、次の一手として取

り組みたい施策であると考えられる。そして、交付金がこの新規事業に着手するきっかけを作っ

ており、今後は、まだ「切れ目ない支援を実現」できていない自治体に着目し、この事業を普及

していくことが期待される。

3.子育て家庭支援

子育て家庭支援については、モデル自治体では、保育等個々のサービスの充実のみならず、妊

娠・出産・保育・教育への切れ目ない支援や地域への徹底した周知活動等を通じて、子育て支援

が地域の子育て不安の解消、安心の醸成につながるような取組が行われていた。また、モデル自

治体に共通して、官民の連携がよく図られている。NPO 等、民間への委託によるサービス量の拡

充のみならず、直接子育て家庭と接する民間からの新しい企画提案を自治体が柔軟に受け入れる

ことで、時代の変化に伴う子育て家庭のニーズに即した支援の提供が可能になっているとみられ

る。 東京以外のモデル自治体では、もともと三世代同居によるインフォーマルな子育て支援が行わ

れていたものの、近年は三世代同居率の低下傾向がみられる(図表 124、図表 153、図表 211)。同居は減っても近居により一定程度インフォーマルな子育て支援力が保たれているが、保育以外

の多様な子育て支援(子育て広場や訪問による相談機能等)の充実が、低下するインフォーマル

な支援をカバーしているとみられる。元々、同居も近居も少なくインフォーマルな支援のなかっ

た東京では、近年の子育て支援の充実の効果はより高く影響しているとみられる。 東京の出生率の水準はいまだ低いものの、近年の上昇率が高いことも、こうした社会的な子育

て支援が、インフォーマルな支援に代替する力を持ってきたことを象徴しているのではないか。

東京は、未婚の男女が働き、結婚に伴い近隣県に流出する、という構造的な課題を持っているが、

近年、正社員女性の妊娠・出産に伴う離職が減少し、正社員夫婦が増加することで、職住接近を

第一として東京で家族形成をする傾向もみられる。今回モデル自治体となった千代田区では、そ

うした時代の変化にあわせ、以前と比べ若い層にも手の届く価格帯の民間のマンション建設が増

えてきたことに加え、区が、区内転居や親元近居する際の家賃補助や住宅購入支援、正社員夫婦

を意識した子育て支援(延長保育や病後児保育の充実等)を行った結果、急速に子育て家庭が増

えているとみられる。東京都・千代田区は、若年層の雇用環境の改善と経済力をもった正社員夫

婦の増加を背景として、これらの社会環境の変化に応じた子育て支援を充実させたことで、結果

として、未婚率の低下と出生率の上昇を同時に実現していると考えられる。もちろん、他の地域

と比較すれば、東京は、三世代同居率の低さや地域の付き合いの少なさ等によるインフォーマル

な支援力の低さとそれに伴う子育て不安の強さ、依然高い水準の労働時間と通勤時間(図表 190)による男性の子育て不参加傾向、女性の就業率の増加に追い付かない保育所整備等の課題(図表 186)から、出生率の水準は相対的に低い。しかし、雇用環境の改善と子育ての社会的な支援の充

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実がセットで進めば、東京は、今後さらに出生率の上昇が期待される。 それぞれの地域によって、今後の少子化対策の課題は異なるが、全国的にインフォーマルな支

援が低下しつつ、女性の就業継続と男性の育児参画、という変化が共通して起こるとすれば、東

京型の出生率の回復(子育て家庭の経済力の上昇プラス多様な子育て支援による、未婚率の低下

と夫婦間出生力の上昇)が地方でも起こってくる可能性がある。その際、要となるのは、「結婚・

妊娠・出産・育児の切れ目ない支援」や、充実したサービスを周知し、結婚の機運や子育ての安

心感を醸成することであろう。東京都や千代田区も、近年の出生率の改善傾向やその背景につい

ては、あまり認識しておらず、施策の効果についての独自の分析も実施していないということで

あった。今回のモデル自治体の中でも、特に、出生率が低いという印象の強い東京でポジティブ

な変化が起こっているという事実は、広く周知される必要がある。 アンケート調査では、結婚と同様、子育て支援関係の交付金事業についても「実施できない理

由」として、財源不足と人的体制の不足が挙げられている(図表 78)。財源不足については、社

会環境指標のうち「0~4歳人口に占める保育所利用率」(図表 101)及び「17 歳以下人口1人

あたりの児童福祉費」(図表 103)の指標と、「合計特殊出生率の上昇率」との間に、正の相関が

みられている。施策がその効果をあげるためには、対象層の住民に対して、量的な充足が図られ

ることが重要であることが示唆されているといえる。結婚と同様に、いくら良い取組みであって

も、地域にあまねく行き渡る量が提供されなければ、自治体の出生率に影響するほどの効果にま

で至らない、ということである。そうした意味では、モデル自治体においても、病児保育や、す

べての家庭を対象とした保育以外の子育て支援など、量的に不足している施策はあると考えられ

る。人的体制については、モデル自治体では、民間への委託や補助事業等により民間と連携して

施策を推進することで、施策を量的・面的に充実させることにつながっている。全国的に有名な

子育て支援 NPO をはじめ多くの NPO が活躍する香川県では、子育て支援拠点の数は全国5位

と、県の面積に対していえば全国トップレベルの子育て支援環境の充実度を実現している。県の

担当者へのヒアリングでは、そのことが出産、子育てをしやすい環境を実現しつつ女性の就業率

も押し上げていると実感されていた。また、事業ノウハウの不足については、国や都道府県が、

結婚支援同様、子育て支援を効果的に実施している市区町村の事例を情報提供・横展開していく

ことが必要と考えられる。

4.最後に

地域の結婚・子育て力は、もともとの地縁・血縁によるインフォーマルな支援環境の弱体化に

対して、社会化された子育て支援(官民の施策・サービス)がどれだけ補えるか、というところ

で決まるという見方ができる。そのような観点でみた場合、これまでは、インフォーマルな支援

環境の弱体化のスピード・レベルに子育ての社会化が追い付かなかったため、出生率が低下し続

けた、という言い方ができよう。そして、この 10 年は、インフォーマルな支援環境の弱体化のス

ピード・レベルに、ようやく子育ての社会化が追い付きつつあるため、出生率の一定の上昇がみ

られると考えられる。 その子育ての社会化において、自治体の施策が果たす役割は大きい。少子化の改善には、様々

な要素が関係している。今回の調査でみた社会環境の変化だけをみても、モデル自治体で、出生

率の上昇にプラスに効くと考えられる方向に、すべての指標が変化しているわけではなかった。

良くなっている環境もあれば、悪くなっている環境もある(図表 106)、というのが実態である。

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そして、その傾向は、全国共通のものもあれば、地域によって異なるものもある。本来、国が推

し進める少子化対策は、これらの社会環境すべてに良い変化をもたらすことを目的として取り組

まれている。それぞれの社会環境指標について、国・都道府県・市区町村、いずれのレベルの取

組みの効果が期待されているのか、ある程度の整理はされているが、その効果に対する検証は構

造的に行われていない。国・都道府県・市区町村の役割と、期待される効果について確認し、都

道府県・市区町村が、各団体の取組において、どのような社会環境指標をメルクマールとして取

り組めばよいのか、示唆することが必要である。 長年の少子化対策の中で、「効果が出ない」と感じられている期間が長く、多くの自治体、特に

市区町村は、先に述べたように「少子化対策疲れ」を起こしていると考えられる。雇用環境など、

市区町村が直接的に責任を持てない領域を明らかにしつつ、市区町村の取組の効果を「見える化」

する、言い換えれば、ようやく回復基調に乗ってきた出生率に対する距離の取り方を提示するこ

とで、市区町村に効果を意識したさらなる取組を促すことができよう。もちろん経済環境の下支

えは必要だが、今後は、さらに「切れ目なく」「量的・面的に充足」した子育て支援を提供するこ

とで、全国的な出生率の上昇も期待できるのではないか。そして、この「切れ目なく」「量的・面

的に充足」させるための新規事業や民間と連携したサービスの拡充を行うに際し、交付金をいか

に役立てられるかが課題であり、先行する自治体の取り組み手法と効果を示しつつ、引き続き周

知を行う必要がある。

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