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Hitotsubashi University Repository Title � : �(1) Author(s) �, Citation �. �, 29: 3-67 Issue Date 1992-01-10 Type Departmental Bulletin Paper Text Version publisher URL http://doi.org/10.15057/9558 Right

日本の教員文化 : その実証的研究(1) URL Righthermes-ir.lib.hit-u.ac.jp/rs/bitstream/10086/9558/1/...36。812 11.049 47.861 高 等小中高学盲聾養学学灘学学欝校校校通校校校

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Hitotsubashi University Repository

Title 日本の教員文化 : その実証的研究(1)

Author(s) 久冨, 善之

Citation 一橋大学研究年報. 社会学研究, 29: 3-67

Issue Date 1992-01-10

Type Departmental Bulletin Paper

Text Version publisher

URL http://doi.org/10.15057/9558

Right

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日本の教員文化

 1その実証的研究ω1

久 冨 善 之

日本の教員文化

5)141〔31(2111)’教員文化への課題意識

 学校教員という存在

 教員文化がある

 教員文化は学校ごとやや違った姿で

現代学校の性格と教員文化

 調査実証研究のいぐつかの試み

二、教員集団と教員文化-干葉県A市調査

 ω 調査の目的」対象・・方法・、

 働 回答者のプ亘フィール

㈹ 教員個人の文化的背景・社会的背景

3

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一橋大学研究年報 社会学研究 29

α0) (9) (8} (7) (6} (5) (41

職揚内での相互交流

職揚の雰囲気

職揚のインフォーマル・グループ

教員間の相互評価と忠告

教育活動への公的規制について

教育観・教職観、そして多忙

教員文化諸要素間の関係

         (以下、続編)

4

一、

員文化への課題意識

 ω 学校教員という存在

 近代学校に「教師」として雇用されて、生徒に対して教育活動を営む一群の人びとがいる。教員、あるいは学校教

員(ω98一け雷9曾)と呼ばれる人たちがそれである。

「教師」という日本語は、「人生の教師」などと、学校制度を離れた揚面での「師弟」関係にも使われる。しかし、

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日本の教員文化

間違っても「人生の教員」とは言わない。教員という存在は、社会的に一つの層をなすほど多人数いて、近代学校制

度の成立に伴い、この制度の中心的担い手として大量的に雇用されることによって登揚したのである。

 実際、学校関係の統計をみると、学校教員の数は驚くほど多い。学齢期(。。98一お。)の子どもたちのいる所、学

校があり、生徒の数の何分の一、何十分の一かの教員が必ずいる。一九九〇年五月一日調べの日本文部省の「学校基

                     (1)

本調査」によれぱ、学校教育法に言う「正規の学校」の本務教員数は、約一二八万四千人で、日本の全人口の一%を

越えている。性格が異なるとして、私たち(「教員文化研究会」1後述)がとりあえず研究対象からはずしている、

幼稚園、高専、短大・大学の教員を除いても、その数は、約一〇六万三千人で、日本の全就業人口のおよそ一・八%

にあたっている。私たちの回りに働いている人がいれば、その五五人に一人は、小・中・高の教員なのである。特別

の資格を有する専門職業の数は多いが、教員層は、その中で数の多さでは間違いなく第一位であり、押しも押されぬ

一つの社会層を形成している。

 彼らの職揚は言うまでもなく学校である。学校の日常的な人的構成は、児童・生徒と教員、それに事務・用務・給

食などの職員とで成り立っている。ここで「日常的」と言うのは、非常勤の「校医」といった健康管理に関する重要

存在が他にあるし、またその学校の父母や地域住民が、教職員と対等の資格でもって学校運営に参加すべきであると

                (2)

いう有力な議論を意識してのことである。だが、たとえば父母の学校教育に対する権限をどのようなレベルで直接・

間接に認めるにせよ、学校という制度が、ある校地・校舎と人的構成とを以って区切られる相対的に独自な存在とし

            (3)

てあることは否定しようがない。

 さて、学校の日常的人的構成における最大多数は、もちろん児童・生徒であるが、彼らはこの職揚の目的的存在で

あって、ここで働いているわけではない。学校を職揚とする働き手の中では、教員が圧倒的多数である。表-は、学

5

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表1諸学校の本務教員数・職員数(1ggO年5月1日)

本務教員数 本務職員数 本務者計

444,218人  105,976  5502194

286,065      41,406     327,471

286,006      65,018     351,024

 1,838   379  2,217

 3,381  2,020  5,401 4,605      2,280      6,885

 36。812      11.049      47.861

    制

    信

校校校通校校校

学学灘学学欝

小中高学盲聾養

   等

   高

1,291,053228,12817062,925

『学校基本調査』1990年版より。

とも言えるのである。「教育はつまるところ教師である」とよく言われる。

の前に立って教育の営みを現実に展開し、

点にあるだろう。と同時にここで、この文句のかくされた第二の含意に思い至る。

の性格、実際上の働きは、教員たちのあり方によって決定される、

ブルデューは、人間と人間集団がその内側に刻み込んで揚面状況に応じて働く行動原理・性向の体系を「ハビトゥ

校基本調査の数値にもとづいて作表しているが、他の職種は全て合わせても

教員層の四分一に及ばない。つまり、教員は社会層として巨大なばかりでな

く、彼らの職揚としての学校において例外なく圧倒的多数を占める存在でも

ある。しかもそれは、たとえば病院という職場に、医師や事務員に比べて看

護婦が多いというのとは状況が異なる。自分たちの上に職務権限上「君臨」

する別職種をいただいていない。校長、教頭、主任はあるが、いずれも教員

層内部の地位にすぎない。つまりまさに、「学校は、教員たちを専制君主と

               (4)

していただく組織体」(W・ウォーラー)なのである。

 この議論で筆者は、他の職種の意義を低く見ようとしているのではない。

ただ客観的にみて、学校という制度にとって教員という存在が格別に大きい

位置を占めているという単純なことがらを確認しているのである。教員たち

はもちろん、近代学校制度があってはじめて、これに雇用された者たちであ

るが、同時に彼らが学校という制度の事実上のあり方を日常的に決めている

               この短い言葉の第一の含意は、子ども達

 その成否・効果を実際を決する最大の要素は教師のあり方である、という

                  つまり制度としての学校の事実上

           という点である。現代フランスの社会学者、P・

6

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ス」(3庄εの)」と呼んでいるが、

                           (5)

そのハピトゥスと制度との関係について次のように述べている。

 ハビトゥスを介して行為者たちは制度へと客観化された歴史の性質を帯ぴることになる。そしてこのハビトゥス

こそ、制度にひとが住まい、制度を実践の中で我が物とし、またそこからして、制度を活動状態に、生ける強力な

状態に保ち、制度を死せる文字、死語の状態からたえず引き離し、そこに沈澱せる意味感覚を甦らせるのを可能に

する当のものに他ならない。ただし、再活性化の反対物でも、その条件でもある修正と変形を制度に加えながらで

はあるが。より良く表現するなら、ハビトゥスとは、それによって制度が自らの全き現実化を見い出す当のもので

ある。

日本の教員文化

 学校という制度に、教員たちのハビトゥスが棲みつき、それを通して制度は自らを現実化するのである。

 こうして、教員という存在は、近代社会における一つの巨大な社会層であるとともに、とりわけ学校制度にあって

は、その制度が働きを現実化する過程にある最重要ファクターでもあるのである。

 ω 教員文化がある

           ヤ   ヤ   ヤ

 これまで「教員たちのあり方」というようなややばく然とした表現で述べてきたもの、それをつきつめればそこに

「教員文化」(富8冨房.昌一言お)」がある。

 教員文化という言葉はまだそんなに熟していないが、近年になマて使われ始めている。たとえば、教員文化を一つ

                                               (6)

の職業文化として考察した現代イギリスの教育社会学者、D・H・ハーグリーブスは、次のように書いている。

7

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一橋大学研究年報 社会学研究 29

 大部分の職業は、一つの“職業文化”の中におかれている。この用語で指しているのは、すでにその職業にある

人々によって共有され理解されているところの信念、慣習、伝統、ものの考え方・感じ方や他人とのつき合い方な

どの一つのセットなのである。

これに依拠しながら、私は

                       (7)

「職業文化としての教員文化」を次のように定義してきた。

 教員文化とは、教員世界に見い出されるモーダルなあるいは変異的な行動型を要素とするものであるが、その単

純な和であるより、その背後にあって行動を律し、教員たちに”世界解釈〃のコードを与えている組織された全体

である。その全体は、教員という職業の遂行(仕事と生活を含めて)にまつわって歴史的に選択され、形成され、

継承され、また創造されながら変容して行くところの蓄積された信念・慣習・伝統・思考法・心性・つき合い方な

どのセットからなっている。

8

 このやや長いわりには抽象的な定義によってカテゴライズされるような事実が確実に存在するのかどうか、それが

具体的に確かめられねばならない。と言うのも、一つの社会層がもつ固有の文化なるものは、そこに校舎があったり

                               ヤ  ヤ

グラウンドがあったり、あれこれの教材があったりすることほどには、これと指すことのできない、見えにくい姿を

                       かたぎ

している。たとえばそれは、「教員たちの体質」「教員気質」とか、「教員らしさ」「教員くささ」と表現されるもので

あったりする。

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これについて、東京のある中学校教師(佐藤博氏)

         (8)

は次のように述ぺている。

 あると思いますね。新卒の青年もやがて「教師らしくなったね」と同僚から言われるようになりますし、やはり

この世界独特の文化があるのだろうと思います。でも、外に出ると、その身についた「教師らしさ」を隠そうとす

る人も多いですね。でもたとえば、春休みなど旅行に行っても、教師の集団はすぐわかります。やはり、どこか独

特の雰囲気がありますから。(中略)

 よくいえば知的な面もあると思いますが、真面目で固い雰囲気、それに顔つきや目つきがどこか”評価”の視線

を含んでいるんですね。やはり教員文化と呼べるものがあってそれに染っていくという気がします。

 教員文化があるとすれば、それはどのような有形・無形の、あるいは顕在・潜在の姿で自己をあらわすものなのか。

それら諸要素とその具体的なあらわれを確かめて行かねばならない。

日本の教員文化

(3)

教員文化は学校ごとやや違った姿で

 「最初に赴任したのがどんな学校かによって、その人の教員人生が違ってくる」とは、教員たちがよく語る経験的

実感である。職業人としての初期体験の重要さである。初期体験がある意味では「白紙」に刻み込まれ、それ以降の

体験が、それとの異同、それとの距離の大小として体験され、蓄積されるからである。

 同時に、右の経験談は、法制度上は同種の学校であっても(加えて地域やその他の条件を同じくする場合でも)、

ヤ  ヤ  ヤ

「どんな学校か」とその違いや個性が、教員たちによって意識されていることを意味する。もちろんそのような違い

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一橋大学研究年報 社会学研究 29

や個性が、学校の存在する地域(校区)の違い、入ってくる生徒たちの違いによって生じることはあるだろう。しか

し、同じ地域の、通学区もよく似た小学校どうし、中学校どうしでさえ、強く「どんな学校か」が意識されるとすれ

ぱ、それはまさに学校職揚の圧倒的多数を占める教員たちが、そこに集うことによって作り出している雰囲気の違い

こそが大きいと言わねぱならない。

 だとすれぱ、教員文化はどこでも一律・一色なのではなく、そこに学校による違いというものがあると考えられる。

そのことは、学校の数だけ、教員文化の型があるということになるだろうか。

 むしろこう考えてみたい。教員文化の中には、定義で「モーダルなあるいは変異的な行動型を要素とする」と述べ

たような、あれこれの側面や要素があって、それが現実の学校の中でどのように結びつき、その学校の支配的な雰囲

気を形成するのかは、学校ごとに微妙な差、時には大きな違いを生じうる、と。

 だとすれば、学校ごとの違いそのものの存在、そのあらわれ方、そこにおける諸要素の結びつきが追究される必要

がある。

10

〔4〕

現代学校の性格と教員文化

 現代日本の学校が、競争と管理的抑圧とをその支配的性格としていることは、この教員調査に併行して私たちが実

                                     (9)

施した「(学校に通う子ども達の)学校体験」調査にクリアーに浮かび上った点である。この学校性格がどういう回

路で働いているのか、またそこに変革はあり得るのかどうか。ここに、日本の教育をめぐる中心間題があると考える。

 この問題は、教員および教員文化とどういう関係にあるだろうか。ブルデューからの引用で述べたように、学校制

度が現実化するにあたって、教員と教員文化とが最重要ファクターになっているとすれば、それらが現代学校の支配

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日本の教員文化

的性格(その競争性と管理的抑圧性)を支えていることは否定できない。しかし、ここで日本の教員文化を「競争と

抑圧を支えるもの」と性格づけてしまうのはやや単純だと思う。たとえぱ、学校の支配的性格が、今日のようではな

かった時代があったのではないか。また、今日の日本でも、支配的性格に抗して別の学校のあり方をつくり出してい

るところもあるのではないか。そして、それらの支え手もまた日本の教員たちに他ならない。だとすれば、日本の教

員文化の中にある諸要素のうちのいくつかのものが、ある条件の下で独特の結ぴつき方をして、今日学校の支配的性

格(競争と抑圧)を支えるものになっていると考えられる。

                そうだとすれば、そのような諸要素の結びつきの姿を明らかにする必要がある。

A.教員集団と教員文化,1986年2月実施

  千葉県A市,全小・中学校

B,教師のr学校化」調査,1987年12月実施

  埼玉県全域,郵送

C。教師のr競争」観調査,1988年1月実施

  埼玉県全域,郵送D.教師の「非行」観調査,1989年12月実施

  東京都全域,郵送

E.教師のr校則」観調査,1990年1月実施

  東京都,埼玉県,千葉県,郵送

そこにまた、別の結びつきへの変化の可能性を考える。それは、現在の支配的性

格の下で潜在化している学校の別な性格を顕在化させる可能性にもつながってい

る。

(5)

調査実証研究のいくつかの試み

 以上のような課題意識を持ちながら、一九八六~一九九〇年の五年間に、上の

枠内に示すようなA~Eの一連の教員調査を実施した。

 A調査は、右に述べてきた「③教員文化の存在」「③学校ごとの教員文化」と

いう課題に対応している。B、C、D、E調査はいずれも、「図教員文化の存在」

とともに「團現代学校の性格と教員文化」の課題に対応したものである。以下ま

ずA調査の結果から考察して行くことにする。

11

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一橋大学研究年報 社会学研究 29

(11

二、教員集団と教員文化-千葉県A市調査

         (10)

調査の目的・対象・方法

この調査の狙いは次の三点にあった。

① 「教員文化」の内容、その構成諸要素を考えるー「教員文化」という概念はあいまい多義的でいまだ確立され

 てない。そこでとりあえず、その構成諸要素と要素間の関連を仮説的に立て、これを調査で把握していく。

② 個別学校.ことに、教員文化の諸側面の差異があるとすれぱ、その差異じしんの存在を確かめ、学校を単位とする

 教員文化の類型を考えるーこれまで教員を対象とする統計調査にあっては、個々の学校は調査対象者をつかむ場

 ではあっても「そこに個性的ないし類型的な教員集団・教員文化が展開する揚」として把握されていなかった。こ

 の調査では、一つの市の全小・中学校を対象とし、教員の回答を個々の学校.ことに集積した結果を新しい変数とす

 る集計手法で、学校.ことの教員文化の差異を明らかにし、類型化をめざす。

③ 学校を単位とする教員文化の差異・類型が、個ルの教員の子ども観・教育観、ひいてはその教育行為に、具体的

 にどう影響しているか、という関連をさぐる。

12

図-は、質問紙の質問項目を設定する際に考えた枠組である。この枠組は、

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日本の教員文化

       図1調査の枠組  り込まれる、また逆に集団から影響を受けるという面と、集団には入り込まず影響を受けることが少い領野に止ま

 る面とがある。この二面の境界は必ずしも分明でないということを「破線」が示している。

 規範に基礎づけられ、それにも影響された教員相互の独特のインタラクションの型を通してなされていく。

                         ◎ それらはいずれも制度的拘束の下にあるが、制度的拘

                          束もインタラクシ日ンの型も文化の中に入り込み、教員

                          文化の組織的・制度的側面を構成する。個々の学校の教

                          員文化はこうして、教員集団の集団過程を基礎にその上

                          に成立する。

④ 個麦の学校の教員集団を念頭においている。

◎ 個々の教員は、社会的・文化的背景を持ってこの集団に参入する。一旦参入すると、それが集団の要素としてと

⑤ 集団の文化的特性の形成は、単に個々人のそれの総和としてではなく、その揚に過去に蓄積され存在した価値.

その背景

o過去の社会化(知識・行動)

○現在の関心・余暇・交友

個々の教員

教員相互のinteraction

の型

教育文化の諸側面

とその型

制度的諸拘束

といった諸点を図化したものである。

 調査の対象は、千葉県A市に存在する全小・中学校(小

学校一八校、中学校六校、いずれも市立)の教員。ただし、

校長・教頭を除き、養護教諭を含む七二一名。

 方法は、まず各学校に依頼して全対象者に質間紙を配布。

各学校の職員室内に調査者側で用意した「回収用小包箱」

13

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一橋大学研究年報 社会学研究 29

表2学校ごとの基礎データー覧

学校     学校規模  地域性  対象者と回収状況   回答者の平均

真ど創立学級数ランク(3区分)獺数回収嬬羅年齢教職経曜離

小学校

123456789012345678

000000000111111111

111111111111111111

M5年 30特3

M41  12

M6  26

M6  12Ml6   9

M41  27M6  15S42 17特1S49 21特1

M5 30特1M7   6M41   6S46  23

S50  24S52  ’24

S55  L26

S56  22

S59  24

451621715877719058

4131131223  232322

㌣㌣小㌣中ゑ小尖大ゑ大大

8346700949

311     122

86.4%33.0歳 10,6年

86.7   32,5    10.1

45.2   29.8    7。7

37.5  31.2    9.5

58.3   28.1     6.4

7100。0

7100.0

25 92.6

25 80.6

22 75.9

30100.0

23 92.6

26 92.9

90,5   30.1    8.2

96.0   30.5    8.0

76.3   31.0    9.4

   33.0   8.0

   33、7    12.7

   30.6   8,1

   30.8   8.5

   33.3    10.5

   30.4   7。2

   32.5    10.0

   30,1   7.5

4.7年3.2

3.9

2。7

5.3

OO660157250

5生3生555生ふふa

中学校

201・S22

202 S22

203 S48

204 S35

205 S51

206 S57

46特139特133

14

37

13

過大 旧市街

過大 旧市街

過大新興住宅

中 農村部

過大新興住宅

中 新興住宅

611261

7!Q525ワ創

Q’Q’08ウθ2

34ζり141

51.3%30.3歳

80.3

98.0

81.8

75.0

57.1

29.2

31.6

27.2

30.7

29.5

7.2年6.2

8.7

4.1

7.7

6.7

3。2年3.7

4,4

2.1

3.2

2.4

14

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日本の教員文化

       図2調査質問項目の一覧

一フェイス(ボトム)シート〔基本属性〕

。性別       o組合加入有無  ・勤務校(小・中)

o年齢        Q前職経験    o学級担任の有無

。現在校勤務年数  。配偶者の有無   その学年

o教職経験年数    その職業    ・担当教科

。出身校

餓揚の様子

囲気

見交流,疎通,会議,議

つき合い

ンフオーマル・グループ

存在とそれへの参加

6項)

師たちの類型(14項)

任校との比較

告や批判の内容(12項)

場への満足(6項)

揚で気にかけるもの

項)

一職o雰匪

 意媚

 論づ

Oイン の有

 (16

0教師

o前但

o忠告・職檬

o職躯 (6萄

との会話

,相手,理由,

内容

へのコミットメン

職場

o同僚頻度

 その

o職揚 ト

発言

相談

 もら

言,相談,助言,

談にのる,助言して

らう

r個人生活一

。読書指向

Q読書量

O文化・スポ

 (7項)

・資格などの

 .習

・っき合う人

薩臨

スポーツ活動

どのための学

講羅)育観r

を置き、封入された無記名回答紙をこれ

に投入してもらって、まとまった所でこ

の小包を郵送してもらうという形をとっ

た。

 回収は、二四校帆二二校の返送で、二

噂校については応答が得られなかった。回

収票は五二五票、回収率七二・八%と、

この種の調査としてばかなりの高率であ

った。なお、対象校の基本属性(小・中、

       一

創立年、規模、地域、対象教員数)と、

回収数・回収率および回収サンプルより

算出した属性(教員の平均年齢、平均教

職経験年数、現在校在職年平均)を一覧

にしたのが、表2 である。回収率をみ

ると、二校で五〇%を下回っているが、

過半数の学校において八○%をこえる高

回収率であった。

 質問項目は、図2に一覧したように、

15

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表3

          一橋大学研究年報

回答者の性別と年齢段階(小・中別)

社会学研究 29

    性 別計  男  女(不明)

    年 齢 段 階(歳)

20    25    30    35    40

~24~29~34~39~4950~(不明)

小学校31582  226 (7) 38 113 83 47 17 13 (4)

26.6%73.4一 12.2 36.3 26.7 15.1

5.5

4.2

中学校210123  81 (6) 39 91 39 19 11 9 (2)

60.3 39.7一 18.8 43.8 18.8

9.1

5.3

4.3

ノ」・・中計  205  307 (13)

   525      40,0  60.0   一

77 204 122 66 28 22 (6)14.839.3 23,5 12.7 5.4 4,2 一

 (「無回答 (不明)」は%計算から除いてある。以下同じ)

比較

  A市小,中学校教員の性別・年齢層別構成(教職員名簿より1985,4,1.)

男・女卜24歳25-29 30~34 35~39 40~49 50~

小学校 28.4% 71.6  13.0%    38,6 27.0 14.52.9

4.1

中学校 60。7   39,3  20.0      46.4 18.2 10.57.1

3.9

表4 回答者の教職経験年数・現在校勤務年数,組合加入(小・中別)

教職経験年数 現在校勤務年数 組合加入の有無~4年5~10~15年(不明)   9年14年~

1,2年解年5~7年8年~       (不明) 有 無 (不明)

小82 111 71 47(4) 117 69 88 37 (4) 227 86 (2)

26.4   35.7  22.8 15.1  一 37.6 22.2  28.3 11.9  一 72.5 27.5  一

中 101 60 21 25(3) 88 67 35 16 (4) 188 20 (2)48.8   29.0   10.1 12.1  一 42。7  32.5  17.0   7.8  一 90.4 9.6  一

小・中計

183 171 92 72(7)

5.3  33.0  17.8 13.9  一

205136 123 53 (8)

9.7 26.3  23.8 10。3  一

415106 (4)

9,7 20.3  一

16

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日本の教員文化

図-調査枠組にそって配置された。個々の質問の内容は、以下の結果考察でみていただきたい。結果図表には「設

問」が示してある。

 ③ 回答者のプ・フィール

 表3は、回答者の性別と年齢段階とを示してある。小学校は女性が多く(七三・四%)、中学校は男性が多い(六

〇・三%)という全国的にも一般的な構成となっている。年齢別では、二〇歳代から三〇歳代前半までで小・中とも

七五~八O%を占めていて、若い人達中心の構成となっている。これは人口急増県千葉に一般的な特徴であると言わ

れている。なおへ表3の回答者構成を、同表下段に示した一九八五年A市教職員名簿からの同種の集計と比較すると、

構成比で若干の違いがある箇所もあるが、おおむね重っており、回答者七二・八%がA市教員全体から特に偏ったサ

ンプルではないと言える。

 表4は、教職経験年数、現在校勤務年数、組合加入の有無を示している。経験年数は右の年齢とも関連して一〇年

未満が小・中とも六、七割台になっている。特に中学校では五年未満が四八・八%に及んでいる。一五年以上の経験

者は、小学校で一五・一%、中学校で二丁一%しかいない。

 現在校勤務年数では、一、二年が小・中とも四割前後、三、四年までで小学校五九・八%、中学校七五・二%と、

これも短い人が多い状況である。組合加入は小学校(七二・五%)より中学校(九〇・四%)が多く、また図3でみ

              ヤ

るように女性(七五・六%)より男性(八五・九%)の方がやや多くなっている。.年齢層別で、三〇歳代前半が八

九.三%と最も多いのに対して、二〇歳代前半で五五・八%と組合加入率が下っている重大な傾向も図3の下段に示

されている。

17

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                    一橋大学研究年報 社会学研究 29

        表6前職経験(小・中別男・女別)

〔設問〕教職にっく前に他の職業にっいたことは

    人数  %    小     中     男    女

1.ある  90  17.3  54 17.3  36 17.5  43 21・0  42 13・8

2,ない 429 82.7 259 82。7 170 82。5 162 79.0 263 86・2

 計519100.0313100.0206100.0205100。0305100・0

       表7配偶者の職業(小・中別,男・女別)

           人数  %  小    中    男    女

1.教師     14348。58946。85451。45953・68245・82,それ以外の仕事をもって11438,6g147.g 2321.g161459653.6 いる

3.仕事をしていない   3812.910 5,3 2826.73531.8 1 0。6

     計    295100.0190100.Q105100,0110100・0177100・0

い。図4下段に年齢層別をみると、当然ながら若い層に独身者が多

く、二〇歳代の後半から三〇歳代に向けて急激に有配偶率が高まる

ことがわかる。

ところで、有配偶者のみに、その配偶者の職業をたずねた結果の

表7がもっと重要である。男性教師の場合、その妻も教師である比

率は五三・六%と実に過半数に汲んでおり、その女性配偶者が有職

婦人であるケース(五三・六十一四・五n六八・一%)のうちの約

八割を占めている。おそるべき高比率と言わねぱならない。女性教

師の揚合でも、その配偶者が教師である比率は四五・八%と半数に

近い。このサンプルで確認された共働き夫婦は二五六組($+一〇十

〇。

十8)あるが、そのうち教師どうしは一四一組($+o。b。)、五五.

一%であって、過半数が教師どうしのカップルなのである。D.

H・ハーグリーブスは、教師どうしの結婚の多さを「インセチュア

               (11)

ス(日8ωεo霧近親相姦的)」と表現しているが、それが当るほど

の教師どうしの結婚・配偶関係の多さと言わねぱならない。

〔31

個人の文化的背景・社会的背景

教員社会の人的構成は不動のものではなく、世代的にみれぱ、次

20

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々とリタイァがあり、続々と新人が参入してくる。新人は誰もが、それぞれの個人的な生活、個人的な文化的.社会

的背景を持ってこの世界に入ってくる。先の調査枠組(図-)に示したように、個人の文化生活も、教員集団参入後

は学校における相互交渉、そこに形成される教員文化に影響されるので、参入前の姿そのままとは限らない。しかし、

個人生活は職揚の影響を受けながらも相対的に独自なものと考えて質間している。

                     図頓 獣噌強吾(岳駆面如二)

[謬田]鋏蒔詩算僧.“ぐ’o詩耕嘩%〈獣蜘皆叫噂サ。野S一~o。3Ψ鈷4噛ぐノ計愚・ぴωO薩きd〈改噛ぐゾ。

   (蜘-叩育○)

日本の教員文化

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曹   魍

倉 ・π ・謬郵翻_磐サ掃ゆ、譲

母き磁群毅碑 π 叫(思 サ が 庫

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( 7回矯購嚇罪 )

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21

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一橋大学研究年報 社会学研究 29

  表8月平均読書冊数〔設間〕あなたは,漫画や週刊誌

 を除いて,平均すると毎月どれ

 くら“本を読みますか。

23.3%

29.7

27.3

15.14.8

120人153

141

78

25

  1冊

  2冊

 3創4冊

 5~9冊

10~20冊

図5は「よく読む本」の種類をたず

ねている。「趣味に関する本」が六

四・一%で第一位の選択であるが、

「教育・教科にかんする専門書」六

一・四%、「教育系雑誌」四九・一

%がこれに次いでおり、教師たちが

教育の仕事に直接関係する書物を読

む傾向は弱いとは言えない。日本教

師の生まじめさを示すものと考える。

 図5の右で年齢層別にみると、「教育・教科の専門書」「教育系雑

誌」を読む者は中高年齢層に多く、若くなるほどその比率が下る傾

向が確認される。若い層ほど多いのは「趣味」「週刊誌」「漫画」で

ある。「最近の若い教師は本を読まなくなった」という活字離れ傾

向がベテラン教師の嘆きとして聞かれるが、統計的傾向としても根

拠のないものではない。しかし、二〇歳代で「教育・教科の専門

書」「教育系雑誌」がなおいずれも四、五割台であって、先に述べ

た「日本教師の生まじめさ」はむしろ維持されている。

 表8は、漫画や週刊誌を除いて月に平均読む本の冊数をたずねた

          図6文化・レクレーシヨンの活動[設問]あなたは、最近3ヶ月間に、仕事をはなれて次のようなことをどの程度しました

  か。次のa~9のそれぞれについてあてはまる番号に○をつけてください。

1. 2回以上行った 2. 1回以上行った3.行かなかった

0  10 20 30 40 50 60%’

a.映画 98 28.9 (%は1十2の累積で表示)、

b.絵画・彫刻などの展覧会6.0 26.4

c.音楽会 84 30.3

d.習いごと、おけいこごと 20.3 22.9

e.旅行、ハイキング 17.6 52.7

f。っり、登山 1.4 4.9

9,ズルフ、スキーなど 107 30.0

22

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1日本の教員文化

    表9資格等のための教育受講の有無(小・車別,男・女別)

 〔設問〕あなたは,現在,資格を取ったり,教養を高めたりするために通信教

  育をうけたり,学校に通ったりしていますか。

       人数  %    小    中    男    女

1.している   45   8.6  32 10.2 13 6,2 7 3・4  38 12・4

2.していない  479  91.4  282 89.8 197 93.8198 96.6 268 87・6

  計524100.0314100,0210100。0205100・0306100・0

結果で、二冊、三、四冊が多いが、五冊以上の回答も二割ある。

 図6は、代表的な文化・リクリェーション活動を七項目あげて、最近三ケ月における

(仕事を離れての)それら活動の有無をたずねた結果である。図の比率は「2回以上行

った」の%を第一に、次いで「-回行った」までの累積の%を示している。累積では

「旅行、ハイキング」が五二・七%と最も多く、これが教員たちに最も普及した趣味で

あることがわかる。この結果は、フランスのブルデューによる階級・階層の趣味に関す

   (U)

る研究結果とも符合している。「映画」「展覧会」「音楽会」について、これと比較する

他層のデータが手元にないので速断できないが、三ヶ月以内という期間でいずれも三割

前後という比率は、一般勤労者より相当高いのではないかという印象を与える。「つり.

登山」が少いが、季節が冬だった点を割り引く必要がある。

 小・中別、男・女別、年齢層別データを示すスペースがないが、そこにみられた特徴は

 ① 映画、展覧会、音楽会はいずれも女性にやや多く、習い.ことはほとんど女性であ

  る。

 ② 年齢に関して系統的な差のあるものは少く、「ゴルフ・スキーなど」のみが若い

  層に多い。

などである。

 表9は、資格等のための受講の有無をたずねた結果で、全体で八・六%、女性では一

二・四%が「している」と答えている。後ヤこみるように、教員たちは一般に多忙で声っ

23

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                      一橋大学研究年報 社会学研究 29

         図7.仕事を離れたときつき合う人

[設問]あなたは、仕事をはなれたとき、どのような人とのつきあ1’が多いです皇㌔

   次の・一・・のうち多い方から順に3つ選楓□に番号を記入してくだごい・,

           0           .  50  ,  , 80,%

1

12.4

39.5

48.4

68.1

3.6

 5.6

.4

5,214.3

20.364.0

イ0/、

12.8 41.4

田{書

4.6 25.1

27.3

1.同じ学校の同僚

2。勤務校のちがう教師

3.児童・生徒   0・4

4.卒業生(教え子)0・4

5.児童・生徒の父母0・4

6.現在加入している サークルなどの友人

7.学生時代の友人

8.親類

49.近隣の人

10.その他の知人

 て、こうした活動を経常的に行うことの方が、

 暇をみつけて音楽会に、展覧会に行くことより

 難しいと思われる。

  以上のような生活の中での活動の他に、図7

 は仕事を離れたときの交流関係をたずねた結果

殉 である。選択肢を一〇項目示して、つき合うこ

(積とが多い順に、一位・二位・三位をあげてもら

累の っている。図の%は、一位選択と、三位までの

で雌墨き表示してある.「同じ学校の同僚」が、

三第一位選択三九・五%、三位まで累積六八●

択 一%と最も多い。私たちの調査枠組における

轡ある学校の教暴団」「贅相互谷叶・§置

一第が私生活にも強く浸透していることがわかる。

 また「勤務校のちがう教師」の選択もかなり多

 いが、これは次にみる(図8で)ようにその多

 くが以前の同僚である可能性が高い。この二項

      9

 で、第一位選択は過半数、三位まで累積で一〇

 〇%を越えるのである。

24

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100%

日本の教員文化

      図8年齢層別の仕事を離れ’たときつき合う人

   0                50

23.8 50.11.3

5.2

47. 胃b

10.9 25.29.4

5.2

41.7 11.7 17.5

29.2 18.5 9.2 18.5

3.8

34.6 11.5 11.5

9.5

38.1 23.8

↑ ↑

20代前半

20代後半

30代前半

30イLに孝麦斗三

40代

50代以上

    ll、。勤霧校の1、!親類

1.同じ学校の教師  ちがう教師 7.学生時代の友人

「児童・生徒」「卒業生(教え子)」「児童・生徒の父母」

は、第一位選択がいずれも二人(○・四%)しかなく、

三位まで累積でも二~六%でしかない。これと対比して

みると、教員たちのつき合いがいかに「教員仲間」

(齢

9R畠程窃)」に強く固っているかは歴然である。

「現在加入しているサークルなどの友人」も教員である

可能性が高いが、これは少くとも「同じ学校の同僚」と

いう枠をこえている揚合が多い選択であろう。一位選択

五・二%、三位まで一四・三%は、それ以上詳しく聞い

てないので断言し難いが、日本の教員たちの中に存在す

る学校という枠をこえた関係の存在を予想させる。

「学生時代の友人」は、全体として二番目に多い項目だ

が、このうちどれだけが現在教員であるかはわからない。

 図8は、右の第一位選択について、主な四項目(選択

肢-、2、7、8)だけを各年齢層別に表示したもので

ある。「学生時代の友人」について言えば、二〇歳代前

半で五〇・一%と圧倒的であるが、年齢上昇とともに急

                     25

速に減少する。「去る者は日々に疎し」である。「同じ学

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一橋大学研究年報 社会学研究 29

校の同僚」は二〇代後半から三〇代前半で四〇%台のピークにある。それより上の層で比率が下るのは「勤務校のち

がう教師」の項がふえるからである。そこからこれは、以前の勤務校の同僚ではないかという推測がなされる。なお、

五〇代以上の層において「同じ学校の同僚」が特別に少い。若い教員たちが圧倒的に多い学校で、五〇代になってな

お校長・教頭についてない揚合、それが自ら望んだものにせよ強いられたものにせよ、他の年齢層とはやや異なる性

格を持つ層になっていることがうかがえる。

 またここに図表がないが、男女別で「同じ学校の同僚」の第一位選択をみると、男性教師五五・九%、女性教師二

八・O%で、約二倍の差がある。つまり学校という枠・教員仲間というしばりは、彼らの交際圏に関して、女性より

も男性により強く働いている傾向が見い出せるのである。

14)

職揚内での相互交流

26

 職揚における教員集団内の相互交流(一鼻R8江8)はどのようなものであるか。この相互交流を通して、個々人は

教員集団に組み込まれ、またこの交流の上に現実の教員文化が学校ごとに生み出される、そしてその教員文化が日常

の相互交流を規制(ないし奨励)する。この関係は、調査枠組(図-)に示した通りである。

 教員集団内の相互交流(日富β魯9)には、とりあえず学校制度内のフォーマルなものと、インフォーマルなもの

とを区別できる。インフォーマルなものとして表10は空き時間の会話をたずねた結果である。最近一週間で、空き時

間の同僚との会話が「しょっちゅうあった」五七・O%、「何度かあった」三六・八%でここまでで九割を越え、「ほ

とんどなかった」は六・二%しかない。もっとも「全くなかった」○・○%は当然として、一週間で「ほとんどなか

った」が六二一%にせよいることが問題、という見方もできる。小・中別をみると、小学校の方が明らかにインフズ

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日本の教員文化

     表10職揚のインフォーマルな会話(小・中別)

〔設問〕最近1週間のことを思い出して,次の質問に答えてください。

 あなたは,学年会や職員会など正規の会合を除いて,休み時間や空き時

 間,放課後に同僚と話をしましたか。

人数  % 小 中

つ た

あ 

うたかた

ゆつなつ

ちあどか

つかんな計

よ度とく

し何ほ全

La3。4。

一一

294

190

32

 0

516

57.0

36.8

 6.2

 0.0

100.0

153  49,4

131  42.3

26   8,4

310   100.0

141  68.4

59  28.6

 6   2,9

206   100.0

  〔上で1と2に○をつけた方のみにお聞きします.〕

→ sg1 その話し相手はだれが最も多かったです瓶

   の人は,次のどれにあたりますか。

1人選ぶとすれば,そ

人数 % 小 中

1.校長や教頭

2.主任クラスの教師

3.その他の教師

   計

11

41

432

484

 2.3   7   2。5

 8,5     32     11.3

89.3    245     86.3

100,0    284    100.0

 4    2.0

 9   4.5

187   93,5

200    100,0

→ sg2なぜその人が話し相手になったのですか。次の1~8のう

   ち,最もあてはまるものを1つ選んで○をつけてください。

人数 %

1。担当学年が同じだから

2.担当の教科が同じだから

3。年齢が近いから

4.話しやすいから

5.職員室の席が近いから

6.たよりになるから

7.共通の話題があったから

8.その他(

   計

161

27

39

106

32

 9

100

 9

483

33.3

 5.6

 8.1

21.9

 6.6

 1.9

20.7

 1.9

100。0

sg3へ↓

27

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     図9職場でのインフォーマルな会話の内容(小・中別)

[設問]SQ3、それはどのような内容の話でしたか。次の1~19の中から、多いものを3つ選ぴ、番号に

  Oをつけてください。

項目

1.問題のある児童・生徒の話

2。学級経営

3。学校行事のうちあわせ

4.教科の内容や指導法

5.児童・生徳の進路

6.児童・生徒の家庭・親

7。給与や労動条件

8.健康

9.管理職・同僚教師の話

10.家庭

11.趣味

12.スポーツ

13.テレビ・ラジオ番組

14.芸能

15.社会情勢

16.政治

17。教育制度や教育政策

18,教職員組合

19,その他(具体的に)

 そ校表  因理 の長10話の的 他 ・の し存時 の教中相在間 一頭段手をに 般・にに予止 教主みつ想ま 師任るいさら と よ よ てせな

 がりうはるい 多も に ’ 。   、    、

0 10203040506070%67.9%

まざまの面での教員間の

交流が全般的に小学校の

方が少い傾向があり、物

理的時間に止まらない要

                               て、休み時間にも教室に

                               いる機会が多く、物理的

9 9 1 0 1 3 5 1 0 5 7 1 8 3 4 7 0 9  な接触時間が少いことが、

臥3。翫乳・3乞G乳敏乳絃翫砿4“巳乞L乞

233   

1112   1

                               まず要因としてあげられ

 「[-」         r              る。後にみるように、さ

               ーマルな会話が少い。こ

9 5 5 4 0 5 0 5            28

肱 引 L 凪 L 艦 L &  れは、この市のどの小学

く      く    く

               校も、教員の机が職員室

ク              マ         イゆ    イを     

5 2 0 12 0 L L 乞  の他に教室に置いてあっ

               て、休み時間にも教室に

               いる機会が多く、物理的

7 1 8 3 4 7 0 9 な妾独噂閉が少いことが、

小  中

65.4%く71.6

26.5     27.4

44.5〉18。9

35.3     34.8

0.4《16.4

7.4   9.0

0.4 く 5.0

12.7 >  7.5

17.7     16.4

25.8〉 7二〇

24.4  〈  31.8

  < 12.9

    4。5

    1.5

  く 16.4

    1,0

  く 4,5

    1.0

   3.5

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   日本の教員文化

        図10職揚におけるrややフォーマルな交流」への参加醐]あなたはふだんの職雛活の帆次のa-eのようなことがありますか・それぞれについて

   あてはまる番号に○をつけてください。

積表示)

1.よ く  る   あ る

2.時々3.あまり 4.全 く     な い   な い

0 10 20 30 40 50 60 70%<交流5項目〉

(%は1+2の累a.職員会・学年会などで積極的

に発言する

14.5% 55.4

b.教育上の悩みや問題点につい

て、同僚に相談する25.8

77.5

c.指導法などについて他の教師

に助言する

5.4    42.3

d.他の教師の悩みなどの相談に

のる

7.4       61.9

e.指導法について他の教師から

助言してもらう

い。表の下段でその人と話した理由をみると、「担当学年が同じ」

「話しやすい」「共通の話題があった」が多く選択されており、こ

れらの点で小・中の差は少い。

 さて、こうした職揚でのインフォーマルな会話の内容であるが、

図9は、一九項目示して多いものを三つ選んでもらった結果であ

る。「問題のある児童・生徒の話」が六七・九%と他を圧する最

高の比率である。これが、お互いに「手を焼いている」という感

じのグチのこぼし合いになっているのか、それとも指導の難しい

子どもについて複数の教員たちが相談しながら見守って行く機会

となっているのか、ここでは判断できないが、いずれにせよ「職

員室の話は、野球・マージャン・競馬ばかり…・:」などと一部に

言われるのは明らかに誇張であって、何と言っても子どもの話が

最も多いのである。「趣味」(二七・五%)は、「学級経営」(二

六・九%)、「学校行事のうちあわせ」(三三・九%)、「教科の内

容や指導法」(三五・一%)とおよそ並ぶレベルにある。いずれ

にせよ、項目-~6の仕事関係に比べて、項目11~Uの趣味など

の方が多いとは決して言えない。

 しかし、「給与や労働条件」(二・三%)、「政治」(○.四%×

29

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「教育制度や教育政策」(二・七%)、「教職員組合」(一・○%)と、こうした話題が少い。教員に対する統制↑管理

が、日常会話にまで浸透・定着している結果であろうか。

 図9の右側で、小.中比較をみると、男女比率の違いを反映した「家庭」「スポーツ」、学校段階を直接反映した

「進路」の他では、たとえぱ「学校行事のうちあわせ」が小学校でずっと高いのが目立つ。クラス担任制と、教科担

任制と、小・中の仕組みの違いが、学校行事を進める際の教員内コミュニケーションの組み方の違いを生んでいる。

いずれにせよ、小・中とも「問題のある児童・生徒の話」が断然多いことに変りがない。

 図10は、職場におけるもう少しフォーマルな交流への参加として、会議での発言、教育上の悩みの相談(する、さ

れる×同じく助言(する、される)の五点をきいた結果である。「b、相談する」が、「よくある」二五・八%、「時

々ある」までの累積七七・五%で、五項目の中では最も多い交流である。「e、助言してもらう」がこれに次いでお

り、「よくある」も累積でも「d、相談にのる」「c、助言する」をいずれも上回っている。これは次にみるように教

員の年齢層との関係が深い。

 全体的にみて、先の日常会話の「間題のある児童・生徒の話」の場合と同じく、職揚の日常生活の中で、同僚どう

しの相談・助言が教育の仕事に関係してかなりの頻度で(調査が予想していた以上の比率で)あることが示されてい

る。職員会・学年会などでの「積極的発言」は、「よくある」一四・五%、累積五五・四%で、これは多いと考える

べきかむ七ろ少いのか、ここでは何とも言えない。

 各項目にづいて小・中間に差がほとんどないので表を省略した。年齢層の間の差は当然とは言え大きい。表11にみ

るように、「a、発言」は三〇代後半以上へ向けて.「よくある」の比率がだんだんふえている。「b、相談する」は二

〇代・三〇代が多く、逆に「c、助言する」は三〇代後半から四〇代が多い。五〇代は少い。「d、相談にのる」も

30

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日本の教員文化   、   1・

     表11年齢層別のrややフォーマルな交流」への参加

  rよくある」の% 響騨羅騨4峨籔岱

&灘饒誉霧などで・積’L3.ε・脂⑲23・・828・63…

b簿罐纏鞍こつ.2a22註樹,2“2λ7・生3・ε8

                      でc・ 講鱗 て他の教α・’2・5’4211・69・8・59・5

d.伸の教師の悩みなどの相談 5。3  6,4・ 4.2・16.9 14.3  5.0 にのる

e.指導塗について廻の教師か 40,0 1g.7  6.7  7.7  3.7  0.0 ら助責してもらっ

これと同傾向にある。「e、助言してもらう」は二〇代前半の初任時に

多く、以降急減している。教育の仕事に関連する「ややフォーマルな交

流」については、三〇代後半から四〇代が中心になっており、そこに若

い教員達が組み込まれて行っている。五〇代はここでもやや離れた特異

な存在である。

 先に、私的な日常生活の面で、教員達のつき合いが学校教員仲間に強

く枠づけぢれている二とをみたが、その学校職揚内部での日常の交流は、

年齢層.ことの性格の違いを含みながら全体的にはかなり高い相互交流レ

ベルにあると考えてよい。なお小・中の比較では、担任制や机の揚所の

違いもあってか、小学校の方がやや日常会話が少いという傾向をみるこ

とができた。

⑤ 職揚の雰囲気

 職場の教員集団の雰囲気こそ、学校ごとの教員文化がその有形.無形

の姿をあらわす部分であると考える。

 図11は、職場の雰囲気の「活性度」をはかる五つの項目について、四

段階で回答してもらった結果である。「c、職員会・学年会などがよく

開かれている」への肯定が最も多い。そこでの議論の「d、活発さ」に

31

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1

一橋大学研究年報 社会学研究 29

              図=露盤3聰圏独3「煎酵無」

[讐]き§鳶蓮舞’ぎ-・-。3さ営ミき叫尋。却き醜註3気栄舞“紫育

  ○嘩oq^〈欲磐♂

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ついては肯定比率は下るが、それでも「やや」までの累積で五一・九%と約半数が肯定している。「a、活発な意見

交流」「b、校長廠頭との

意志疎通」も、「やや」までの肯察半警こえて萱「e在事をは嚢ての交流」

と同レベルにあるの述から、全体としてみると学校という職揚は「活性」のある所という感じが教員たちにかなりあ

る、とみてよい。図の右端で小.中を比較してみると、「c、会議開催」を除いて他の四項目いずれも、小学校が中

学校より活性度が低いという回答が多くなっている。これはなぜだろうか。先の日常会話も小学校の方が少い、とい

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 日本の教員文化

 表12職場の雰囲気「活性度」5項目についての学校ごとの「そう思う」  比率の分布

Q蹴簡阜蓑欝鵬翻櫻餐ぷ糠朧鷲朧茜    ・項目講,課雛麟鮒れてい鞭鞭蓄F麹響鞭       て活発な意見くはかられて    とが多い。淡学校      交流が行われいる。                       3ごとの    ている。                         区パーセント   rそう思う」%rそう思う」%rそう思う」%rそう思う」%rそう思う」%分

22段階         (1+2) 9(1+2)  (1+2)  (1+2)  (1+2)

(%) o ●

淡↓

~4.99

5~9.99 O10~14.99 ● ●●● ●●

15~19.99 ●●●

20~24,99 ●

25~29,99 ● ●●○ ● ○

30~34.99 ● ●●

35~39.99 ● ○ ●● ●●

40~44.99 ●●● ●●●● ● ●●●○ ●●●

45~49.99 ●● ●

50~5499 ● ● ●○ ●

55~59.99 ●●○○ ● ●

60解64.99 ● ●● ●●○

65~69.99 ●● ●○○ OO ●○○

70~74.99 OO ○ ●○ ●O ●○↑濃

75-79.99 ○○ ●●●●○○ ●

80~84.99 ○ ●●●●● ●○○

85~89.99 ●●● ● ●●○

90解94.99 ●○ ●

95~99,99 ●

100

淡↓一倉

  ●は小学校1校,○は中学校1校雰囲気の濃淡は上下から20%を越える所で隷引きした。

33

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う結果であったが、職揚の雰囲気の面でも小学校の方が全体的に低調であるとすれぱ、この原因は十分追究するに値

する。

 ところで「職揚の雰囲気」は、回答は個人のものであるが、ことがらは個人についてでなく職揚についての質問で

あるから、その分析単位は、個人よりも各学校であるべきである。そこで、回答のあった二二校(小一六、中六)そ

れぞれでデータをアグリゲート(集積)した結果が表12である。これは一つひとつの学校ごと、その学校の有効回答

者中の何%が各項目に「そう思う」(非常に・ややの和)と肯定的に答えたか、その比率を五%きざみに区切られた

枠の中に、小学校……●、中学校……Oで表示して記入したものである。もし一つの学校の回答教員たちの観察が一

致するものであるならば、●とOの記号は、○%か一〇〇%の枠の中に集中するはずである。ところが、○%の小学

校が「b、校長・教頭との意志疎通」について一校あるだけである。ここだけは全回答者がこの項目に否定的だった

わけである。しかし他はいずれも五~九九%の間に分布している。つまり回答教員たちの観察はそれぞれの学校の中

で「肯定」と「否定」とに割れているのである。個々人の観察ないし経験している事実そのものに違いがあるだろう

し、感じ方や判断規準が違って同じ事実も別様に観察・経験していることがあるだろう。だとすれば、大多数の人が

肯定的に回答している揚合、それはこの雰囲気の「濃い」学校、多くの人が否定的に回答している場合を「淡い」学

校と考えることができる。

 そう考えて表12をみると、「c、会議開催」が比較的高い比率に集っている他は、四項目ともほとんど否定からほ

とんど肯定まで実に広い範囲に各学校がちらぱっている。その広がりは、下は○~二〇%台から上は八○~九〇%台

であって、同じ質問文に対して、学校によって回答傾向がこれほど違うことは、予想をはるかに越える驚きであった。

この竜とには、学校ごとの雰囲気の違いは相当の明瞭さをもって存在することが示されており、ひいてはその背景に

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ある学校、ことの教員文化の独特の構成というものをはっきりと感じさせる。

 またcを除く各項目で、小学校が肯定率の低い方にかなり集中しており、中学校は六校ながら肯定率のやや高い方

に偏っている。先に述べた小学校の活性度の低さは、学校ごとでみると、このような分布の差になっているわけであ

る。

日本の教員文化’

(6)

職揚のインフォーマル・グループ

 集団は文化の組織的側面であると言われる。教員文化は、集団をその担い手として形成・展開されるとともに、そ

の文化の質が集団の姿に現実化する。とりわけ、インフォーマル・グループの存在と活動とは、潜在・顕在の形で、

集団と文化の質を表現していると考える。

 表13は、学校職揚に考えられる一五種のインフォーマル・グループを例示し、それがこの学校にあるかないか、あ

るとすれぱ自分がどの程度参加しているか、最も熱心に参加しているのはどれか、学校運営上の発言力を持っている

グループしがあるか、あるとすれぱどれか、という一連の質問に対する回答結果を示したものである。

・例示されたすべての種類のどれにも、少くとも「ある」という回答があった。調査者側の考えたインフォーマル・

グループは、公然.隠然の差はあれ教員社会に存在する。その中で「ある」回答比率の高いもの(却ち多くの職揚に

公然と存在しているもの)は比率の多い順に

 &、若い人たちのグループ    (七三・七%)

音、

鳥間』一、. (油ハ一二.○%)

          ド

 d、卿ポーツを楽しむグループ  (五五・五%)

35

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     表13職揚のインフォーマル・グループの存在と参加

〔設問〕あなたの学校には仕事を離れても親しくつきあっているグループがあり ますか。次のa~pのそれぞれにっいて,「1.ある 2.ない」で答えてくだ さい・また,r1.ある」と答えた人は,あなた自身,そのグループにどの程度 参加していますか。               sg l  sg2(%)

「ある」

%そのう1.熱心に参加   (2.つきあい程度)

最も熱心参加

学校運営上発言力

a。若い人たちのグループ

73.7 22.O(49.5) 20.0 12.7

b。ベテランの人たちのグループ

20.6 10.8(39.2) 0.7 35.7

c.女性のグループ 46.6 15.5(45.3) 10.50.2

d.スポーッを楽しむグノレーフ。 55.5 3α3(32,9)

8.5

0.0

e,室内遊戯(麻雀・囲碁など)を楽しむグループ

24.1 13.3(30.0)3.1

0.2

£読書・俳句・短歌・音楽など,教養・文化のグループ

12.0 23.3(36.7)2.8

0.0

&飲み仲間 63.0 21.9(43.1)9.2

0.4

h,管理職を目ざす人たちのグループ

8.2

0.0(15.4) 0.O 19.8

i.同一学年の担任者のグノレープ

55.1 3&6(50.6) 19.47.1

1.同一教科の担当者のグループ

35.1 40.0(49.7) 6.3

2.4

k.教職員組合加入者のグループ

43.5 1娼(66,0)2.8

8.7

1.民間教育研究サークノレの仲間 12.9 31.3(18.8)

2.2

0.8

m,いわゆるr学閥」2.8 0.0(7.7)

0.0

0.0

n,出身地による集まり3.8 5.3(36.8)

0.2

0.0

α学校運営に対する考え方の違いから生まれたグループ

10.7 13.2(32.1) 0.0

8.7

pその他あれば具体的に(      )

1.2 83.3(0.0) 0.4

0.8

N=395  N=126 ↑    ↑

 〔Ω9でa~pのうちどれか1っでも「1.ある」に○をつけた  人のみにお聞きします。〕

→S91.あなたご自身がもっとも熱心に参加しているのはどの  グループですか。  1っだけ選ぴ,a解pの符号を□に記入してください。

→S92.この学校を運営していく上で発言力をもっているグループがあり  ますか。

  ちいくつでも選ぴ,その符号を□に記入してください。

36

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日本の教員文化

 i、同一学年の担当者のグループ (五五・一%)

 c、女性のグループ       (四六・六%)

 k、教職員組合加入者のグループ (四三・五%)

 j、同一教科の担当者のグループ (三五・一%)

の七項目である。これに対して「ある」回答比率の低いもの(即ち実際に存在そのものが少いか、あっても「隠然」

たる存在であるため非加入者にはっきり見えていない、あるいは加入者も「ある」という回答がためらわれたもの)

は、比率の少い方から、

 m、いわゆる「学閥」      (二・八%)

 n、出身地による集り      (三・八%)

 h、管理職をめざす人たちのグループ         (八・二%)

 o、学校運営に対する考え方の違いから生れたグループ  (一〇・七%)

 f、読書・俳句・短歌・音楽など、教養・文化のグループ (一二・○%)

 1、民間教育研究サークルの仲間 (一二・九%)

の六項目がある。右の二群の中間にあたっているのは、

 e、室内遊戯(麻雀・囲碁など)を楽しむグループ    (二四・一%)

 b、ベテランの人たちのグループ (二〇・六%)

の二項目である。

 回答比率の高いもの-群、中間を2群、低いものを3群としよう。それぞれのインフォーマル・グループの存在を

37

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みとめた人がそれにどの程度参加しているかでみると、-群はいずれも参加率も高い。「-、熱心に」「2、つきあい

程度」を加えると、どれも六〇~九〇%の参加である。その中で、「熱心に」が他より多いのは、「d、スポーツ」

「i、同一学年」「j、同一教科」である。ここでも、学校の学年・教科という枠がインフォーマルグループをも強く

枠づけていることがわかる。そのカに対抗できているのは、スポーツ同好のグループだけである。-群の他の四項

(a、c、g、k)は、「つき合い程度」が「熱心に」の二~三倍で、凝集力は必ずしも強くない。

 二群の二つ(b、e)は、参加率四〇~五〇%であるが「つきあい程度」がこれも多くなっている。

 三群については、その存在を指摘した人がそれぞれ一割かそれ以下であるが、その中では「f、教養・文化」「1、

民間教育研究サークル」が高い参加率と熱心な参加があることがわかる。教員社会に、参加者は多くはないが文化.

教養・教育研究の熱心なグループがあることを銘記しなければならない。

「h、管理職めざす」「m、学閥」「o、学校運営」などは、存在が数%指摘されているものの、参加者も熱心な人も

著しく少くなっている。これは熱心な構成員がそう回答してくれなかった可能性がある。ともあれ、隠然とながら、

こうしたグループもまた学校の教員社会の中に存在することが確認される。

 表13の右側で、「最も熱心な参加」の一つ選択では、「a、若い人たち」(二〇・○%)、「i、同一学年担当」(一

九・四%)の二つが抜きん出ている。表14でこれを小・中別にみると、小・中とも同じa、i二項が一位・二位の比

率である。小学校ではこれに次いで「c、女性」、中学校では「d、スポーツ」「g、飲み仲間」「.⊃、同一教科」が

一〇%を越えている。c、d、9項は表14の右側の男女別が反映し、」項は中学校の教科担任制の反映と理解できる。

 表13にもどって、その下段で「学校運営上の発言力のもつグループ」の存在を聞いている。「ある」とする人は、

二六・四%と約四分の一であるが、これもことがらじしんに隠然性がある点を考慮しておかねばならない。表13の右

38

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日本の教員文化

  表14最も熱心に参加しているグループ(小・中別,男・女別)

インフォーマル・グループ 全体 小 中 男 女

乱若い人たちのグループ92

20.0

56

20.8

36

18,9

36

19.1

53

20.2

hベテランの人たちのグループ

3 0.7 2 0.7 1 0.5 2 1.1 10.4

c.女性のグループ48

10。5

36

13.4

12

 6.3

0 0.0 47

17.9

d.スポーッを楽しむグループ39

 8,5

17

 6,3

22

11.6

27

14.4

103.8

e.室内遊戯(麻雀・囲碁など)を楽しむグループ

14

 3.1

1 0.4 13

 6.8

14

 7.4

00.0

f読書・俳句・短歌・音楽など,教養・文化のグループ

13

 2.8

8 3.0 5 2.6 4 2.1 93.4

&飲み仲間42

 9.2

21

 7.8

21

11.1

32

17.0

93.4

h.管理職を目ざす人たちのグノレーフD

0 0.0 0 0.0 0 0.0 O O.0 00.0

i.同一学年の担任者のグループ

89

19。4

60

22.3

29

15,3

27

14,4

61

23.3

」.同一教科の担当者のグループ

29

 6.3

9 3.3 20

10.5

16

 8.5

135.0

k.教職員組合加入者のグループ

13

 2.8

8 3.0 5 2.6 7 3.7 62.3

1.民間教育研究サークルの仲間

10

 2.2

6 2.2 4 2.1 6 3.2 31.1

m.いわゆるr学閥」0 0.0 0 0.0 0 0,0 O O.0 0

0.0

n.出身地による集まり1 0.2 1 0.4 0 0.0 1 0.5 0

0.0

o.学校運営に対する考え方の違いから生まれたグループ

0 0.0 0 0.0 0 0.0 0 0.0 0O.0

μその他あれば具体的に2 0.4 1 0.4 1 0。5 0 0.0 2

0.8

計395

 86.1

226

 84.0

169

 88。8

172

 91.4

214

81.6

39

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表15学校運営に発言力のあるグループ(小・中別,男・女別)

インフォーマル・グループ 全 体 小 中 1男 女

乱若い人たちのグループ16

12.7

6 11。3 10

13.7

8 12.3 8 13,3

bベテランの人たちのグループ

45

35.7

19

35.8

26

35.6

27

41.5

18

30,0

G女性のグループ1 0.8 1 1.9 0 0.0 0 0.0 1 1.7

d。スポーッを楽しむグループ0 0.0 O O.0 0 0.O 0 0.0 0 0.0

e、室内遊戯(麻雀・囲碁など)を楽しむグループ

1 0.8 O O.0 1 1.4 1 1.5 0 0.0

f.読書・俳句・短歌・音楽など,教養・文化のグループ

0 0.0 0 0.O 0 0.0 0 0。0 0 0,0

g.飲み仲間2 0.4 2 3.8 O O.0 1 1.5 1 1,7

h.管理職を目ざす人たちのグノレープ

25

19.8

11

20.8

14

19.2

12

18.5

13

21,7

i。同一学年の担任者のグループ

9 7.1 3 5.7 6 8.2 4 6.2 5 8.3

3 2.4 2 3,8 1 1.4 2 3.1 1 1.7

k教職員組合加入者のグループ

11

 8,7

6 11.3 5 6.8 4 6.2 6 10。0

1 0.8 0 0.0 1 1.4 1 1.5 0 0.0

m.いわゆるr学閥」0 0.0 0 0.0 0 0.0 O O.0 0 0.0

n.出身地による集まり0 0.0 0 0.0 0 0.0 0 0.0 0 0,0

α学校運営に対する考え方の違いから生まれたグループ

11

 8.7

3 5.7 8 11.0 4 6.2 7 11.7

p.その他あれば具体的に1 0、8 0 0.0 1 1.4 1 1,5 O O.0

計126

100.0

53

100.0

73

100.0

65

100.0

60

100.0

40

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端に、「それはどのグループか」をたずねた結果が示されている。「b、ベテランたち」(三五.七%)、「h、管理職め

ざす」(一九・八%)となっており、参加者は少数ながらまさに「隠然」たるカを感じさせる。最も参加者の多い公

然グループ「a、若い人たち」は二丁七%あり、若い人達がリーダー・シップをとっている学校があるア一ともわか

る。また「k、組合」「o、学校運営の考え方の違い」がともに八・七%あって、学校運営をめぐる教職員間の対立

の存在を示している。「m、学閥」は○%で、この地域で特別の組織力を示していない。

 表15で、これを小・中別にみると、もともとそういうグループが「ある」とする者は、小学校二三.五%、中学校

四三・二%と中学校にずっと多い(表13の下段)。それがどのグループかについての回答分布は、小.中であまり差

がなく、やはり「b、ベテランたち」(三五・八%と三五・六%)、「h、管理職をめざす人たち」(一八.五%と二

一・七%)の二項が抜きん出ている。

 学校職揚のインフォーマル・グループについては、いくつか重要な発見があった。年齢〔若い人、ベテラン〕、性

〔女性〕、担当〔同一学年、同一教科〕にはじまって、スポーツ・文化・教養.研究.娯楽.飲み仲間といった文化.

リクリエーション面での共通項を軸に、あるいは組合・学校運営・管理職など政治面がからんで、そして出身地.学

閥といった属性が組織化されて、といった形で実に多様に存在する。参加率や参加の熱心さでは、学年.教科という

学校のフォーマルな枠がそのままインフォーマル化したグループヘの参加は活発である。そア}に年齢(若い、ベテラ

ン)、スポーツ、管理職をめざす、といった要因も強く存在して、学校内の発言力を競っている面がみられる。.)れ

らと別に、文化・教養・教育研究の熱心なグループが参加者比率は少いながら存在するのである。

41

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ひN 憲慮琳姻謁 騨暗駕盗齢駁弊ー

                 図12教員たちの相互評価(小・中別)

[設間]あなたの職場には、次のa~nにあげるような教師がいますか。それぞれについて答えてください。

く教師タイプ14項目>

1.かなり多 い

2.や や多 い

3.少しはい る

4.全 くいない

「かなり多いJの%

 小 ・中0  10  20  30 40  50 60 70%

57・8               14.0 25.8a.教科指導法の工夫・研究に熱心な

教師18.8

b.教科の専門知識が豊かな教師 14.9 50.5

c.学級経営が苦手な教師    2.8 14.0

(1+2の累計%で表示)           6.8  26.8

          1.3  4.9

          3,9  12.6

          4。8  28,2

d.生徒指導にたけている教師    7.4 37.7

e.部活動に特別熱心な教師 14.6 48.3

f.勤務時間外も残って仕事をする教師

51.3 7g.4       34.4 76.6

9.同僚に親しまれている教師 18.6 60.6             12.9 26.9

              1.8h.他の人に高圧的姿勢をとる教師 6.3                      0.3  3.9

i.会議などで自分の考えを発言しない教師

14.7 45。6               13。2 16.9

N寸

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一●却く舞弟C汁ぐキ廿σoづ・ぴ磐晋

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犀=裂蟻伴30艇酔ぐ感獣叫。準叫針 ぐ毒書        。」

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6

日本の教員文化

 ω 教員間の相互評価と忠告

 教員同士のお互いを評価する眼は、直接に教員たちの行動を規制し、あるは励ますカになっているだろう。

 図12は、あなたの職揚に次のような教師はいるか、と一四項目あげて四段階で回答してもらった結果である。「-、

かなり多い」の回答が一〇%をこえ、「2、やや多い」までの累積が四〇%を越えるものが六項目ある。多い方から

順に(%は累積)、

 f、勤務時間外も残って仕事をする教師  (七九・四%)

 9、同僚に親しまれている教師  (六〇・六%)

 a、教科指導法の工夫・研究に熱心な教師  (五七・八%)

43

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 b、教科の専門知識が豊かな教師  (五〇・五%)

 e、部活動に熱心な教師  (四八・三%)

 i、会議などで自分の意見を発言しない教師  (四五・六%)

の六項である。逆に選択の著しく少い項目は少い順に  (%は累積)、

 n、精神的に不安定な教師  (三・八%)

 h、他の人に高圧的姿勢をとる教師  (六・三%)

 k、同僚とのつきあいをあまり好まない教師  (八・一%)

 m、出世や昇進を気にする教師  (八・八%)

 c、学級経営が苦手な教師 

(一

・0%)

の五項である。右の二群の中間に、

 d、生徒指導にたけている教師  (三七・七%)

 .」、早く転任したいと思っている教師  (二八・五%)

 1、他の教師の手本となるようなベテラン教師  (二五・二%)

の三項がある。学校によっても違い、個人の観察や評価にも違いがあろうが、いずれにせよa~nのような一四類型

の教師タイプが、多かれ少なかれ学校に存在することは確認できよう。「多い」とする回答比率の高いものを一群、

中間を二群、低いものを三群とする。一群の六項のような教員たちが多いことは、教員世界の話にもよく出てくると

ころで、一応額面通り受け取ろう。しかしその意味では、三群の五項目のような教員たちの話もよく例に出るのであ

るから、その存在比に図11の結果ほどの大差があるかどうか、そのまま受け取りにくい面もある。三群は表現がいず

44

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日本の教員文化

れもはっきりマイナス価値であり、一群はおおむねプラス価値の表現である。ここから推測されることは、教員たち

が自分たちの同僚に対する相互評価を無記名アンケートの形であれ「外部」に表明するときには、否定的評価を抑制

し、肯定的評価の方を押し出する傾向がある、という点である。だとすると一群中はっきリプラス価値の9、a、b

を除いて、やや両価的な「f、居残り」「e、部活に熱心」「i、会議で発言しない」の三項目については「多い」と

いう回答を、掛け値なしにその通り受け取れることになる。

 とするとまた、二群中プラス価値表現の「d、生徒指導にたけて」「1、他の教師の手本」の二項が、一群中プラ

ス表現の9、a、bより選択が少いことで、d、1は確かにそれほどは多くないと受けとれる。同様に、二群中やや

マイナス表現の「j、早く転任したい」が、三群の五項目より選択が多いということで、実際にある程度多いという

ことか、あるいは「転任希望」を彼らが三群五項ほどはマイナス価値と受け止めていないか、といった推測ができ

る。 

同僚評価を外に出すときのバイァスが右に推測したようにあるにせよ、なお異なる様相があるにせよ、図11の右端

の小・中比較をみると、「m、出世・昇進」を除く全ての項目で中学校の方が「かなり多い」の回答比率が小学校の

それを大きく上回っている。ここに示していないが、「やや」までの累積でもまったく同傾向になっている。これは

なぜか。プラス・マイナス両表現共通に中学校が多いので、右の述べたバイァスの強弱ではない。ここでその原因を

特定できないが、ともかく小学校と中学校との教員社会と教員文化とに、かなりの差が存在することがここでも確認

されるのである。この点は後に、学校、ことにも確かめたい。

 ところで、教員どうしは相互不干渉が特徴であると言われる。また逆に、教員社会の掟に反する態度・行動に対し

ては強いサンクションが働くとも言われる。表巧は、そうしたサンクションの一形態として、校長.教頭や同僚から

45

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         一橋大学研究年報 社会学研究 29

    表16忠告を受けた経験(小・中別)〔設問〕あなたは,次の.a~1までのことについて,これまでに校長・教頭や同

僚からr他の人と違っている」,あるいはrみんなに合わせてほしい」とい

った意味の忠告や批判をうけたことがありますか。次のa~1のそれぞれに

ついてお答えください。

〈忠告の種類12項目>

a.学級経営のしたか

b。教科指導のしかた

FC.生徒指導のしかた

d.クラブ活動や部活動にっいて

e.校外活鋤について

f・自分の服装や礼儀について

&児童・生徒との接し方について

h,父母との対応について

i、勤務時間や有給休暇のとり方について

j・教職員組合の加入や活動に

ついて

k.同僚とのっきあいについて

L勤務時間外の生活について

1.現在校である

8.6%

6.3

9.0

6.9

3.9

9.7

7.4

5.7

5.5

5.7

2.5

2.5

は以た

で  つ

校があ

在いに

現な前

a

3.1

3.7

3.3

2、4

2,9

5.5

2.9

2.0

2.3

4。1

0.8

2.5

3、ない 「1十2」の%

88.2        18.1

89.9        10.8

87.6        18.7

90.8        15。8

93.1 8.9

84.8  13.6  17,6

89.7    7.1   15.1

92.4   7.5   7.8

92.2    7.5    7.8

90,2   10.1  10.3

96,7   2.3   4.9

94.9   4.5   5.9

の同調を強いる(「みんなに合

              46

わせて」)形での忠告を受けた

経験についてたずねた結果であ

る。現在校ないし以前に何らか

のこうした忠告を受けた経験を

全て合算すると、五割強の者が

「ある(あった)」の回答をして

いる。a~1の個々の項目につ

いて言えば、現在校ではいずれ

も一割未満、以前を含めても一

割台に達するものはa、b、c、

f、9の五項でしかない。これ

を小・中別にみると、「1十2」

の%で、どの項目でもやはり中

学校が小学校を、大きくあるい

はわずかに上回っている。どう

してであろうか。中学校の方が、

教員に対する管理と同調圧力が

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強いと言えるのか、あるいはこれまで何度もみてきたような中学校におけるフォーマル・インフ才ーマルな交流の活

性度が、この「忠告」にも反映していると考えるのか。ここでも小・中の教員文化の質の違いを感じさせられる。な

お、「忠告」については、その内容を具体的に記入してもらっている(オープン・アンサー)が、それは三章で分析

する。

日本の教員文化

(81

教育活動への公的規制について

 学校には、法制度をもバックに持った最もフォーマルなコミュニケーション回路が設定されている。それは、教員

たちの日常の教育活動やこれまでみてきた職揚のインフォーマルな交流・グループ・雰囲気.相互評価に対する明示

的な規制ないし支え導きになっているはずである。これを教員たちがどう受け止めているか。

 図13は・a~fの六つの公的規制ルートについて、実際にそのルートからのサンクションがあるかないか(ない場

合は「5、ない」)、ある揚合はその内容に対する満足度を四段階でたずねた結果である。「-、大いに満足」はいずれ

もそんなに多くないが、「2、やや満足」までの累積でみると、「a、校長や教頭の指導・助言」「b、職員会議の決定」

「c、学年会や教科会の申し合わせ」という学校教員集団内部の回路について、いずれも五割を越えている。特に、

より身近なc項に「満足」選択が多い。逆に「d、PTAからの要請」「e、地域からの意見」「f、教育委員会の指

導・指示」については、全くないはずはないと思われるが、存在そのものを認めない回答(「5、ない」)が三~五割

に及ぴ、存在を認める者も「1、大いに満足」はほとんどなく、「やや」まで累計でも、a、b、cに比べて著しく

低い「満足」回答になっている。d、e、fはいずれも、学校教員集団の外側からの規制ルートである。内部と外部

とに対する著しい態度の違いが浮かび上っている。彼らが教員集団内部にアイデンティティの根拠を置いている姿が

47

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軍竃

               図嵩 》書灘蓮♪3難湘無(、一・・そ望)

掛吋鑓鈷芽3角~{3臼伴姫晩㊧δ晩猷ぴ齢堕却藁∩馬3輪演蟄海Cぺつ叫叫サ。

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Φ●報冴珍・聾謎ゆ蝉態誌蔦聲鳶 婚・ぴ3嫁函・矧睡   一』

譜・oo

h●鐘叫嚇翅ゆs謙翼・謙帥卜。.。

ωも。●Qo

みえている。図13の右端で小・中比較をみると、a、b、cにほとんど差がないが、d、e、fでいずれも中学校に

「満足」が低い。これは、中学校教員の方がいっそう父母・住民や行政から距離があること、その分だけ教員仲間の

交流の中に彼らのアイデンティティの根拠を見い出そうとする傾向が強いことを示すと理解される。この点は、これ

48

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日本の教員文化

までの小・中の間の一連の差異指摘と符合する。

 表17は、先に「職場の雰囲気」を分析した表12と同じく、データを学校ごとアグリゲートして、各学校ごとの「満

足」回答比率を五%きざみに表示したものである。これまで小・中の違いにいくつか注目してきたが、実際には個々

の学校、ことの差が非常に大きく、この点で小学校と中学校との分布にある程度の差がみられる。表17のd、e、fの

欄をみると、比率の高い方に中学校がほとんどない。表12の際と同じく上・下から学校数が二〇%をこえる所に線を

引き、「低満足群」「中満足群」「高満足群」に三区分してみると、d・e・fの教員集団外からの規制について、高満

足群に属する中学校はほとんどない(eに一校のみ)。外部からの規制に対する中学校教員たちの受け止めの低さは、

学校.ことデータでも実証されている。ただし、そうした小・中比較以上に、個々の学校ごとの差が著しく大きいこと、

教員集団内外の公的規制について学校ごとにかなり大きく状況が異なっていることがここでも確認される。

 さて、こうした公的規制を、実際の教育活動上どの程度「気にかける」かを、先と同じ六項目について四段階でた

ずねた結果が図14に示されている。「大いに気にする」「やや気にする」は前問と同じく、a、b、cに多く、d、e、

fに少い。教員集団内部についてみると、「大いに気にする」は、a〈b〈cの順になっており、一人ひとりの教員

                                  り

により身近かな所での規制の方が、実際の教育活動により強く働くという点が示されている。この傾向は、図Uの右

端でみると、小学校より中学校でより強く出ている。中学校では「c、学年会や教科会の申し合わせ」を「大いに気

にする」が五八・O%に及んでいる。また同じ小・中比較で「f、教育委員会の指導・指示」について「大いに気

にする」に二倍以上の差があって小学校が多い。「a、校長や教頭の指導・助言」についても、二倍ではないがやや

同じ傾向がある。外部あるいは上(校長・教頭)からの規制は、教員集団の交流が密なほどこれに強く屈折され、あ

るいはスクリーニングされるという重要な関係が示されていると考える。

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    表17教育活動へのフォーマルな規制に対するr満足」(1+2),

              学校ごとの比率の分布

0 ● ●

飼4.99

5~9.99 ●○ ●○

10解14,99 ○ ● ○

15~1999 ●● ●● ● ●●○ ●●●○ ●○

20~2499 ● ●○ ●●●○  ●○○

25~29.99 ●● ●●●●○○ ●●●○○ ●

30卍34,99 ●○ ● ●○

35解39.99 ● ●○ ●○ ●●○

40~44.99 ● ○ ●● ●● ●●

45~49.99 ● ○ ○ ● ●

50~54.99 ●●● ●● ● ●● ● ●●●●●

55僧59.99 ● ●● ●●●○

60~64,99 ● OO ●●●○ ●

65~69,99 ●● ●●●○ ●●●○ ●

70圏7499 ○ ●●● ●

75~79.99 OO ●● ●●●○○

80解84.99 O ● ●

85~89.99

90創94.99 ● ○

95解99.99

100

●●●○

●●●○  ●

●●●○

低ー↓

τ高

●●●○○

    ●は小学校   ○は中学校満足度の高・低は上・下から20%を越えた所で線引きした。

50

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 ⑨ 教育観、教職観そして多忙

 教員たちが、自分たちの仕事や、その目的的存在である子ども、そして教職じしんをどうみているか。教育観・子

ども観・教職観といった「観(イデオ・ギー)」もまた教員文化の構成要素であり、これが彼らの世界を内側から支

えるということがある。

                  図零 》書溢蓮嘩独π叫が繭岡(、」-・暑こロ一一)

     [聾謡]卵き貸野猷蒔覚艸蝉課疎群嘩⇒ゆ旨δ’郎き伊3臼伴堂ぴ嘩馬S譲無塗πサ等(5鮮叫サD

        ”~{S郎き醜きπOぐ、ぺ娩麟抽く哉噛~。喚C畔~麟ゆ算「㎝。蒔5」π○嘩o郊ぺく茂肋5。

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51

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          表18子ども観・教育観〔設間〕子ども観・教育観について,次のA.B2っの意見のうち,あなたはど ちらの意見に賛成ですか。1~4の番号に○をつけてください。

A に賛成 Bに賛成

Aの意見大いに

どちらとい

どちらとい 大いに

Bの意見

えば えば

く1) 6.5%

A,子どもの勉強には 43.5 B.子どもの勉強はで

親や教師の強制が必 37.3 きるだけ子どもの自要だ 12.7 主性にまかせるよう

にすべきだ

(2) 12.1

A.それぞれの子ども 41.7 B.教師のやり方次第

には教師のカではど 32.1 で,それぞれの子どうしようもない能力

4.0 もから,いくらでも

の限界がある 可能性をひきだせる

13) 14.5

A、義務教育段階では 37.8 B.義務教育段階でどの子どもに対して 29.5 は,一人ひとりの個も,最低限以上の能 18.2 性や能力に応じた教カを育てることにカ 育にカをおくべきだをおくべきだ

〔4) 0.2

A,教師は子どもが現2.9 B.教師は子どもの現

在やりたいことをが 40.0 在の興味・関心をのまんさせても高い学 56.9 ばして,充実した学歴を得させるように 校生活がおくれるよ指導すべきだ うにすべきだ。

(5)

25.7A.現在の日本は学歴 46.0 B.現在の日本は,学の高いものが得をす 21.5 歴でははかれないそる社会だ

6.8 の人の人格や実力が

ものをいう社会だ(6)

17.4

A.教師は今後,地域 54.0 B.教師は,地域社会社会の文化活動にも 21.9 の文化活動から解放っと積極的にかかわ

6.7

され,学校教育の活っていくべきだ 動に専念すべきだ

(71

A.人生には競争や対6.9 B.人生には他人との

立がつきものだ。だ 24.9 融和が必要だ。だかから,自分の意見や 46.6 ら,まず他人の話を態度を他人に理解し 21.5 じっくり聞いて,自てもらえるように, 分の意見や態度を決まず心がけなければ めるように心がけなならない。 ければならない。

52

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 表18は、子ども観・教育観について、七組の相互に対立する意見を提示して、どちらに賛成かを四段階で答えても

らった結果である。A、Bに意見が大きく分れるものは、

 ω、勉強における強制か自主か

 個、教育の限界か可能性か

 個、義務教育における最低限重視か個性重視か

の三項である。他の四項は回答が片方に偏しており、

 回、学歴獲得のためがまんを〈充実した学校生活を

 ㈲、日本は学歴社会〉学歴以外がものをいう社会

 ㈲、教師は地域文化活動をV地域から解放されて学校に専念を

 ω、自分の意見を積極的にく他人の話をじっくり聞いてから

のようになっている。團、⑯は、こういう「観」をたずねたときにありがちな「立て前」が出たのではないか。既に

みたように、教員たちは学校内教員集団にアイデンティティの根拠を求め、地域を相対的に軽視しているのに、㈲の

ように「地域文化活動への教員参加の重要性」を指摘されると、そちらに回答が偏っているのである。表18には小.

中比較データが示されていないが、たとえば同じ㈲項について、「Aに大いに賛成」は、小:…二四.九%、中…..

二一・二%、「どちらかといえばAに」まで累計で小……六八・八%、中……七五・四%であって、これまで地域社

会の位置づけの低かった中学教員たちが、この問では小学校より位置づけが高いというズレた結果になっている。こ

れがもし、中学校の教科担当教員たちが、自分たちの専門性を生かした地域文化活動への参加意思が強いのだとすれ

ぱ実に喜ばしいことであるが。

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[馨琶]勝舜詩碑、

oo げ 周に脇 o

         図一ω 蝉露竈(、』ノ・丑邊)

鉾醤伴ぐノψ薄綜嘩ぺ3野ψ育鋤瞭池d叫サ。芽3㊤~ぴQ3郎置州渉πOぐノペ掛麟抽く達肋ぐ♂

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洋珍書π嵩欝噛溶か尊凛“達

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鱒羅憲8π塗康遠,3噛5岸麟達

函蹄。匿雨蜂n勲叫か謁93び

蛮汗餐識

尋O昏吻σ3びぴ{岸艦識

皿四蘇醇嘩蜘節ぐゾ趣き餌{坤瞑“哉

皿導S愚.抽π苓oぺ皿霜愚π

寄きぴ洋督達

一9 刷勘く州ゆ  N。 六u右却ψ ω・酎%O郎ゆ 轟。命く郎ψ恥艸 』四ψ       、頓  ゆ    ㌔娠ぴ爵ぞノ   『岨証9鎌ぐノ

                               「q勘く州ゾ嘩ゆ」S訳一〇 ωOωO 心O ㎝O OO 刈O OOO OO訳         、ナ      ニ一

Go■刈    qN,刈      (一十NS湘訓凸、訳)           oo。㎝     O、一 一〇・卜o                              O。ω    一ーO

                   一90

 図15は、教職という仕事をどういうものと考えるかについて、a~9の七項目を提示し四段階で答えてもらった結

果である。「c、精神的に気苦労の多い」が、「強くそう思う」七六・○%、「やや」まで入れて九六・六%という圧

倒的な肯定を受けている。「f、自己犠牲を強いられる」も三八・二%(「やや」まで八○・八%)というかなり高い

支持になっている。「d、児童・生徒に接する喜びのある」「e、やりがいのある」も四八~九%(「やや」まで九二

~三%)という強い肯定を受けている。否定が強いのは「b、経済的に恵まれた」で、肯定が一〇%しかない。「a、

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        表19 多忙感(小・中別,男・女別)

〔設問〕あなたは毎日の仕事が忙しいと感じていますか。次から1つ選ぴ○を

 つけてください。

         人数    %    小   中   男   女

1.弓螢く感じる     410   78.4   79.4  76。9  77。6  79.4

2.ときどき感じる   108   20.7   19.0  23.1  22.0  19,3

3.あまり感じない   1   0.2   0.3  0。0  0.0  0.3

4・まったく感じない   4    0.8    1・3   0・0  0・5   LO

   計    523  100.0

社会的に尊敬される」「9、自分の考えに沿って自律的にやれる」の二項は肯定・否

定が割れている。わずか七項目であるが、この中にすでに教員たちの持つ支配的な教

職イメージが浮んでいる。それは「経済的にはさして恵まれず、自己犠牲もあり、気

苦労も多いが、子どもに接することを喜びとしやりがいとして仕事に向かう教師た

ち」という像である。

 これらの点で小・中を比較してみると、中学で「犠牲」「気苦労」に肯定が多く、

「喜び」「やりがい」が逆に少い(図15の右端)。今日の学校での教育困難のレベルを

そのまま反映してであろう。中学校の方がより重く厳しい教職観になっている。しか

しこのような子どもとの関係での教育困難が、直ちに教員世界の沈うつ・不活性につ

ながっているわけではないのであって、むしろ中学校の方が教員集団内のフォーマ

ル・インフォーマルな交流が活発であった。ここに現代のすさまじい中学校現揚にあ

っても多くの教員たちが何とか教師としてやって行ける教員文化の秘密があると考え

る。

 教職には多忙がつきもののようにずっと言われてきた。表19は、毎日の仕事の忙し

さについてたずねた結果である。忙しさを「あまり感じない」「まったく感じない」

は、全回答者中わずか五人、一%にすぎず、九九%の回答者が多忙を表明している。

そして「-、強く感じる」が七八・四%と圧倒的である。こうした傾向は表19の右側

でみるように、小・中、男・女ともに共通であり、とりわけ中学校では一〇〇%が多

55

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          図16教員が余分の仕事と感じるもの

[設問]あなたは毎日の仕事の中で余分な時間がとられていると感じるのは次のどれですか。

   強く感じるものから2つ選び、口に番号を記入してください。

           q 義0 零0&0 49 5060 7080%

19.5 31.6 (累計%)

5.5 (第2位選択)3.4

.6

(第1位選択)

8.9 20.9

8,318.3

10.1 4.95.9

2.6

3.0 1.2

11.6  3.6

42.4 73.5

5.3 2.43.6

0.21.0

1.学校行事

2.学級指導・運営

3.教科指導     2

4.校務分掌

5.会議

6.クラブ・部活の指導

7.児董・生徒の個別指導

8.父母との対応

9.研究・研修

10.1事務的な仕事

11.組合活動

12.その他(具体的に)

13.余分な仕事はない

(回答者数 507)

忙を表明している。

 図16は、それでは毎日の仕事の中で「余分な時

間がとられている」と感じるものを、仕事二一項

目を示して、一位・二位と選択してもらった結果

である。「余分な仕事はない」という回答は一・

○%だけで、九九%は「余分の仕事」を指摘して

いる。中でも「10、事務的な仕事」は一位選択四

二・四%、二位まで累積七三・五%と断然高比率

になっている。次いで「学校行事」「校務分掌」

「会議」「研究・研修」「クラブ・部活の指導」な

どがある程度の比率でならんでいる。

 表20で小・中比較をみると、第一位選択はほと

んどよく似ているが、「学校行事」が小学校で選

択が多く(二三・四%)、「会議」が中学校で多い

(一四・二%)といった点が眼につく。行事や会

議は、学校の活動と運営とのそれぞれ大事な側面

であり、個々の教員たちがその内実の伴いを実感

することができれば決して「余分」と思わないも

56

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日本の教員文化

表20教員が余分な仕皐と感じるもの,第一位選択(小・中別,男・女別)

全 体数 %

 小数 %

 中数 %

 男数 %

 女数 %

1.学校行事 99 19.5 71 23.4 28 13.7 29 14,6 66 22.3

2.学級指導・運営 17  3.4 3  1,0 14  6.9 11  5。5 6  2.0

3.教科指導 8  1.6 6  2.0 2  1.0 2  1.0 6  2.O

4.校務分掌 45  8.9 30  9.9 15  7.4 21 10.6 23  7。8

5.会 議 42  8.3 13  4.3 29 14.2 19  9.5 21  7.1

6.クラブ・部活の指導 25  4.9 10  3.3 15  7.4 13  6,5 12  4。1

7.児童・生徒の個別指導 13  2.6 4  1.3 9  4.4 8  4.0 4  1.4

8.父母との対応 6  1.2 2  0,7 4  2.Q 5  2.5 1  0.3

9.研究・研修 18  3.6 13  4.3 5  2.5 7  3.5 11  3,7

1α事務的な仕事 215 42.4 143 47,2 72 35.3 72 36,2 139 47.0

11,組合活動 12  2.4 5  1.7 7  3.4 8  4.0 4  1.4

12.その他(具体的に 2  0.4 1  0.3 1  0.5 1  Q,5 1  0.3

13.余分な仕事はない 5  1,0 2  0.7 3  1.5 3  1.5 2  0.7

計 507 100.0 303 100.0 204 100.0 199 100.0 296 100.0

のであろう。この点での、学校行事・会議

の形骸化、スケデュール化あるいは儀礼化

を感じさせる回答結果である。

少し時期をさかのぽるが、彼らの教職観

の源の一つとしてその入職動機をたずねて

いる。表21は、第一の動機選択と、第二動

機までの累積とを示してある。「やりがい

のある仕事」が第一動機四〇・五%、第二

まで五七・八%と断然多く選択されている。

次いで「能力や性格にあっている」「自分

の人間的成長を考えられる」が選ばれてい

る。これらはいずれも自己と教職との関係

づけにかかわる動機であって、それとは対

照的に仕事そのものの客観的属性(経済的、

時間的、社会的など)への選択はいずれも

低い。右のような諸傾向は、表22で小・中、

男・女別をみても、驚くほどよく似たもの

            57

となっていた。ただ「男女が比較的対等に

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     表21教職への入職動機〔設問〕あなたが,教師になろうと決めたとき,その動機になったものは次の

どれですか。強い方から2つ選び,□に番号を記入してください。

第1の動機 第2の動機累積%)

1.社会的に尊敬されているから 2.5% 3.9%

2.うきしずみのない安定した仕事だから6.2

14.5

3.経済的に生活が保障されているから3.7

10.2

4.能力や性格にあっているから 19.7 29.3

5.やりがいのある仕事だから 40.5 57.8

6.自由になる時間があるから1.7

3.5

7.仕事をとおして社会に貢献できるから4.8

16.2

8.自分の人間的成長を考えられるから8.5

23.1

9.他人にわずらわされずに仕事ができるから0.4

5.8

10。男女が比較的対等に仕事ができるから4.4

18.3

11.その他(             )6.9

10.2

12.特に動機はない 0.8一

(回答者数   519)

 岡 教員文化諸要素間の関係

 ここでこれまでみてきた教員文化の諸要

素について、学校ごとのアグリゲート・デ

ータを使い、その相互関係をいくつか検討

してみたい。この検討のため表23の表頭に

みるように、96「一週間の同僚との会話」、

97a「職員会・学年会などで積極的に発

言する」、99職場のインフォーマル・グ

ループ  a「若い人たちのグループ」、d

「スポーツを楽しむグループ」、h「管理職

仕事ができるから」は女性だけが選択して

                   58

いて、第一動機で女性の七・五%、当初予

想していたほどの選択比率ではなかった。

 教職観と多忙との関連については、「文

化としての多忙」というテーマでやや詳し

        (12)

く検討したことがあるので、ここでは省略

する。

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華採賦藩Q椅皿

表22教職への第一の動機(小・中別,男・女別)

039

6602

628

01752

3椴261ー

702193121586219881

3011501

57321000

974219712

702702

%男数人

024

9512

45U

82864

68387

53りー

4511

%中数人

437

9ひ521

9401

02254

16347

024

8641i8881i0001

[513301804

%、4数人

9伊16

4602

9,29

21857

3346311615ー

53n138625844

6021402

体%姦

5231

26詔

7319

719210

504021

719

8生52

他のそ11

全 体

人数 %

詔拶0210925僻223364四

  12       5

 小人数 %

6、2  20

3。7  9

19,7  57

4・小6

・・7 5生81・1

8.5  26

・・4 2

生4 ・7

6・gl24

0.8  1

 %

中数

 人

6.4  12

2.9  10

18.2  45

43.3  74

1.6  4

35i・4

8小8α61・

5.4  6

7・6 ・2

0.3  3

・・α・13・3皿・12・4

9 9 0 ユ ’0 ’8 £ 90 9 。9 5 0

ε生2236268025100

           1

 %

男数

 人

216871810222

1147 

11  

1 0

           2

 %

女数

 人

5.9  20

5.4  8

82.8  52

38・小26

3512

5小2&gl26

・・511

…1237・g 24

0.7  2

あ 6 0 洛 ン 9 5 3 5 9 フ

6 乞 7 1 0 3 & 軌 7 7 0

  1 △・

…小・5・・…ひ頃

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データ抜すい(13項目)

在rある」% g10.職場に次のような教師r多い」%    教育活動を行Q玖う上でr大い

気にする」%k.教職員合加入のグノレープ

1.民間教研究サークノレの

9.同僚にしまれいる教

j。早く転任したいと思

ている教

1(1+2)

m.出世や進を:気に

る教師

a.校長や頭の指・助言

c.学年会や教科会

申し合わせ

●●●●

●00● ●●●●● ●●●●●

●OO●●0 ●● ●●●●○ ●

●● ●● ●●○○

● ● ●●● ●○ ●●

●●● ●○○ ○ ● ●○

●○ ○ ○ ●O ●

●○ ● ●●● ●●● O●●○ ● ○○ ●0●●

○●

● ● ● O ● ●

●●●○ ●● ● ● ○ ●●●

●○ ●0 ●

● ● ●●O ●●

● ● ● ○○○

●● ●●●

●○ ●●● ● ●0

●● ●○○○

● ● ●○

OOO ○

60

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日本の教員文化

表23学校ごとのアグリゲート・

諸質問

    項目学校ごとのノ寸一セン

ト22段階

0

~4.99

5~9.99

10~14.99

15~19,99

20解24.99

25~29.99

30~34,99

35~39.99

40~44.99

45~49.99

50~54.99

55~59.99

60~64.99

65~69.99

70~74.99

75川79.99

80~84.99

85削89.99

90~94.99

95~99、99

100

96.一週97a.職員間の同僚会学年会なとの会話どで,積極r1,しょ的に発言すっちゅう るあった」 「ある」%%    (1+2)

a.若い b.スポー h.管理職 i.同一学年

人たち ツを楽し を目ざす 担当者ののグノレ む 人たちの グノレープ

一プ グノレープ グノレープ

g9.職場内インフォーマル・グループの存

0●

@●㊥

o●○⑤㊥⑪

0●O○

O

○○

●●○

●●●○

⑭一●一

 ●00

0●●

●●●●○  ●

●OO OO●

●○●  ●

●○●  ●

●●●○●

●●●●●

●○

●●●

O○

●●●

●●●○

●○

●○

○ ●○

●●  ●

●は小学校 Oは中学校

61

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衷24学校の雰囲気r活性度」a項と他項目との相関

思竺∫75%以上曹う艶雰囲気の濃、、学校)

   /   45%未満〔淡〕5校        ( 〃 〃の薄い〃)

〔濃〕5校i83.3,79.6,55.6,50.0,41.7(m=62,0%)

    ぺ〔淡〕5校i53.6,45、8,35.7,34.6,28.6(m=39.7%〉

    …〔濃〕5校i83、3,81.6,80.O,71.4,44.0(m=72.1%)

〔淡〕5校i68.0,41.4,36.0,35.7,14,3(m=39.1%)

    ヨ〔濃〕5校114、3,14.3,33.3,33.3,44.4(m=27.9%)

〔淡〕5校i28.0,37.9,48.O,50.0,57.1(m=44.2%)

rそう思a・自校の教師間で教材研 究や児童・生徒の指導 について,活発な意見 交流が行われている

①Ω6,最近一週間の同僚との会

話rしょっちゅうあった」%

②98.e、仕事をはなれても同 じ学校の教師間でつきあうこ とが多いrそう思う」%

③91生乱校長や教頭の指導助言「大いに気にする」%

を目ざす人たちのグループ」、i「同一学年担当者のグループ」、k「教

職員組合加入者のグループ」、1「民間教育研究サークルの仲間」、910

職揚にいる教師類型ー9「同僚に親しまれている教師」、j「早く転

任したいと思っている教師」、m「出世や昇進を気にする教師」、914教

育活動上気にすることーa「校長や教頭の指導・助言」、b「学年会

や教科会の申し合わせ」、以上の一三項目を取り上げ、いずれも肯定の

回答の学校ごとの比率をアグリゲートで算出し、表12、17と同様五%き

ざみでプロットしてある。

「管理職をめざすグループ」の存在と、「出世や昇進を気にする教師」

が多い、との二項目については、O~一〇%に集中がみられるが・その

他の項目はいずれも広く分布している。その分布の幅(レンジ)は五〇

~一〇〇%に及んでいる。つまりほとんどの項目で、学校ごとの差が極

めて大きく、当初の仮説「教員文化に学校、ことの違いがある」はここで

も実証されている。

 さて、表24、25、26、27の四表は、先に表Eで検討した学校の雰囲気

「活性度」で有意味であったa、b、d、e項のそれぞれについて、表

23

とり上げた諸項目との相関が顕著なものを表示している。

 表24は、「a、教員間の活発な意見交流」について、その学校の教員

62

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     表25 学校の雰囲気r活性度」b項と他項目との相関

墜膿義1鎌b.校長・教頭と他の教職員との  間に意志の疎通がうまくはか  られている

④g10。j。早く転任し     1

たいと思っている教r多い」%     1

⑤913.a,校長や教頭〔濃〕8校ig2・鈎83・3・7卿a2・667・639・567・誰7、つ%)

の指導助言,r満足」    1

⑥9・3。h職員会議の〔濃)8校19L7,8卿69,75島67・廟66・7・6α5・温72つ%)

 決定r満足」%       ,          〔淡〕7校183.3,79.6,60。9,57.1,52.4,48.8,23.1(m=57。9%)

たちの自己評価によってその雰囲気が〔濃〕と判断される五校と、逆に

〔淡〕と判断される五校とを選び出し、表側の①~③の三項目との相関を

みたものである。すると、予想されることであるが、交見交流活発さの

濃・淡は、①インフォーマルな会話、②仕事をはなれた同僚とのつき合い、

との正の相関が明瞭である。表は、各々五校のアグリゲート・データがそ

のまま並んだ後に、五校の平均値mが示してある。逆に③校長・教頭の指

導・助言を「大いに気にする」%とは、負の相関になっている。このこと

で、先に「公的規制」に関して小・中比較によって予想した関係が、ここ

で学校.ことのデータの相関を通して実証されている。即ち「教員集団内の

交流の活発さが、上からの規制を屈折ないしスクリーニングする」という

関係である。

 表25は、学校雰囲気「活性度」b項「校長・教頭と他の教職員との意志

疎通」の〔濃〕八校と〔淡〕七校とを選び出し、これと顕著な相関のある

項目④~⑥との関係を示している。④「早く転任したいと思っている教

   ヤ  ヤ

師」が多いとは負の相関にあり、転任希望の多さに管理職との関係の良し

悪しが強く関与していることが示されている。⑤「校長・教頭の指導・助

    ヤ  ヤ

言」への満足とは当然ながら極めて強い正の相関にある、というより変数

                       ヤ  ヤ

としてほとんど重っている。⑥「職員会議の決定」への満足とも正の相関

63ノ

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r活性度」d項と他項目との相関

「そう思独{:1撫1欝     衰26 学校の雰囲気

d,職員会・学年会などで活発な  議論がなされている

膿農器叢liill論i器三i謬

     ロ〔濃〕5校i76.2,72。7,72.0,6L2,56.5   (m=67.7%)

〔淡〕6校i61.1,46.2,33.3,28.6,28.6,0.0 (m=33.0%)

①96、最近一週間の同僚と の会話「しょっちゅうあ った」%

⑦g lo.a.教科指導法の工

 夫・研究に熱心な教師 r多い」%

     表27学校の雰囲気r活性養」e項と他項目との相関

喋編膿募層聯の「そう墜{灘霧黙馨

      ヒ〔濃〕5校i100.0,94.9,82.6,76.5,70.0(m=84,8%)

      }

〔淡〕5校i66,7,609,50.O,33,3,16.7 (m=45.5%)

〔濃〕5校llOO.0,92.3,84.4,62.1,44.4(m==76.6%)

      …

〔淡〕5校i77.8,50.0,47.S,33.3,0.0 (m=41.8%)

      旨

〔濃〕5校192.3,85.7,83.3,83.0,65.5(m=S2.0%)

      i

〔淡〕5校i57。1,50。0,50.0,33.3,16.7(m=41.4%)

⑧Ω9.a。若い人たちのグル ープ「ある」%

⑨99.d,スポーッを楽しむ グノレープ「ある」%

⑩99.g・飲み仲間   rある」%

がある。

 だとすると、「活性度」のa項とb項とは、

若干背反する面を含みながらも別の軸になっ

ていると考えねばならない。教員集団の交流

に対して、上からの別の要因が介入し、もう

一つの要素として学校教員集団の日常を組み

立てている。

 表26は、学校雰囲気「活性度」d項「職員

会・学年会などで活発な議論」の〔濃〕五校

と〔淡〕六校とを選び出し、これと顕著な相

関にある項目、①、⑦との関係を示している。

①インフォーマルな会話、⑦教科指導法のエ

                 む

夫・研究に熱心な教師の多さ、といずれも正

の相関を示している。d項はa項にやや近い

性格があって、ともに項目①と正の相関があ

るが、a項がより教員集団内部凝集を示して

いるのに対して、d項はより開かれた「活

性」、教員の教育の仕事と学校の運営との内

64、

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実向上の方向に開かれた「活性」を示している。

 表27は、学校雰囲気「活性度」e項「仕事をはなれても、同じ学校の教師間でつきあうことが多い」の〔濃〕五校

と〔淡〕五校とを選び出し、これと顕著な相関にある項目⑧、⑨、⑩の関係を示している。e項は表24ですでにa項

と強い相関にあることがわかっているが、ここでは⑧若い人たちのグループの存在、⑨スポーツを楽しむグループの

存在、⑩飲み仲間の存在、といずれも強い正の相関にある。e項はa項にやや近いが、むしろ文化・スポーツ・娯楽

といった私生活の共有の方向に開かれた「活性」を示している。

 こうして、表24~27を通してみると、教員文化の構成諸要素は、その間に要素間のいくつかの相関性を含みながら、

相互におり重って一つひとつの学校にそれぞれ教員文化の姿を織り出していると考えられる。そして、その中に教職

員間の交流のいくつかの面での活発さ(不活発)という軸が間違いなくありそうだということ、この軸がその相互に、

また他の諸要因(たとえぱ管理職の指導性)とどうからまっているかいないか、それが間題だということが浮かぴ上

っている。

 この分析をもう一歩進め深めるために、

④、諸要素間の関連について、その統計的構造をつかむ多変量解析を行う。

◎、学校.ことの性格をアグリゲートデータの数値でつかむだけでなく、より具体的な材料で、つまり回答者が「オー

 プンアンサー」欄に自由記入してくれた回答(たとえば「前任校に比ぺての本校の特徴」など)を素材に「より生

 き生きした姿」でつかむ。

◎、管理職というものが、学校性格・学校教員文化の性格にどれだけ影響を与えるものかについて、並行して実施し

 た各校の校長・教頭アンケート結果をつき合せて検討する。

65

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の三点がとりあえず求められている。

(次号につづく)

(-)教育基本法第六条・八条にいう「法律で定める学校」、すなわち学校教育法第一条に規定する「学校」は、「小学校、中学

 校、高等学校、大学、高等専門学校、盲学校、聾学校、養護学校、及ぴ幼稚園」である。

(2) たとえば『世界』一九九〇年五月号。

(3) ここでは、いわゆる「参加」や「共同」を否定する議論を立てているのではない。ただ、学校制度の内と外との境界がま

 るでないかのように考えるとすれば、それは空想であるという点を述べている。

(4)≦巴ざ5≦・い↓ぎω090δ零9日08三夷(『教えることの社会学』)、Zo毛吋o詩”一畠コ≦蓄鴫雪αω8即一8斜℃や

。。

ρ石山・橋爪訳『学校集団』明治図書、一九五七年、二四~二七頁参照。

(5)団8邑2コピ。8霧℃声ぼ2ρ評冴騨憲昌F這o。9,8・今村・港訳『実践感覚』-、みすず書房、一九八八年、

九一頁。

(6)

 唱℃・

(7)

(8)

(9)

(10)

使河原)

会学的研究』を共同執筆する際、

本稿は、

(11)

(皿)

国帥お器零。即∪.=‘目げoo目一言80{38三お}置目げΦ9毘oおo{9芸oOoヨ冥o富塁貯oω98一}■o且o旨幻国コむo。N‘

一〇NI一℃O・

筆者編『教員文化の社会学的研究』多賀出版、一九八八年、二三頁。

対論「子どもと学校の現実をデータをとおして考える⑤1教員文化」、『子どものしあわせ』一九八九年八月。

筆者稿「学校社会の性格転換」、原・藤岡編『現代企業社会と生涯学習』大月書店、一九八八年。

この調査は、文部省科学研究費補助金を受けて行われた。また調査は第一次教員文化研究会四名(久冨、佐藤、油布、勅

  の共同研究として行われ、その中間報告は、一九八六年日本教育社会学会大会に発表した。また前出『教員文化の社

             この調査のある部分にもとずいて油布氏が「教員集団の実証的研究」を第3章に書いている。

  それらとデータを分有しながらも、視角も解釈も一新してとり組んだものである。

鵠巽讐雷<o即o℃・9梓4℃■8N●

P・ブルデュー『ディスタンクシオン』1・H、石井洋二郎訳、藤原書店、一九八九~九〇年。

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(13) 筆者稿「文化としての多忙間題と教職観」、前出『教員文化の社会学的研究』所収。

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