Upload
others
View
2
Download
0
Embed Size (px)
Citation preview
抗がん剤の副作用とその対策
関西医科大学附属枚方病院
化学療法センター
看護師 大島 真弓
2010年 11月27日
化学療法センター入口
化学療法センター 診察室
化学療法センター 受付
点滴室(リクライニングシート)
点滴室(ベッド)
化学療法センタースタッフ
胃がんの治療法
《局所療法》癌とその周囲のかぎられた部分を治療する。
内視鏡的治療
手術療法
放射線療法
《全身療法》体内の癌細胞全てを標的として、その分裂・増殖を抑える治療。
化学療法(抗がん剤治療)
抗体療法
化学療法(抗がん剤治療)について
がん細胞を死滅させたり、増殖を抑える作用をもつ。
血液中に入った抗がん剤は全身に行き渡るため、がん細胞がどこにあってもそれを壊滅できる可能性がある。
抗がん剤の改良により副作用は軽減され、症状をコントロールする治療も進歩した。
多くは通院治療。仕事や家事への支障なく、ほぼ通常の日常生活を送れる。
抗がん剤治療が必要な場合
他の臓器に転移があり、手術でとりきれない場合
他の臓器には転移はないが、がんが大きくて手術でとりきれない可能性が高い場合
手術を受けたが、がんがとりきれなかった場合
手術を受けたが、再発する可能性が高い場合
再発した場合
抗がん剤治療の目的
がんを縮小させること。
がんが広がらないようにすること。
がんの進行を遅らせること。
がんが原因と考えられる痛みなどの症状を和らげること。
抗がん剤の種類・投与方法
内服薬・点滴薬。効果の異なるものや同じ効果でも少しずつ違う個性があり、単剤で使用したり、組み合わせて使用する。投与方法も様々あり、内服、点滴、癌細胞へカテーテルで直接投与などがある。
抗がん剤の種類、投与方法の選択は、主治医が癌の種類、部位、進行度及び患者さんの症状、全身状態から総合的に判断します。
副作用の起こる理由
・がん細胞は活発に細胞分裂して無制限に増殖すると いう特徴がある。
・抗がん剤はこの分裂を抑える事でがん細胞が増殖できないようにする。
・正常な細胞にも活発に細胞分裂するものがあるため影響を受けてしまう。
その為に起きた症状が
副作用として現れる。
抗がん剤の影響を受けやすい臓器
骨髄内(白血球、赤血球、血少板など血液成分)
消化管(口・胃・腸の粘膜)
生殖器(卵巣・睾丸)
毛根
副作用の症状について
使用する抗がん剤の種類、体調、体質などが影響する。
現れる時期や程度、持続時間に個人差がある。
抗がん剤の種類により、ご自身が生活上注意したり工夫する事で症状を軽減したり、予防できる場合もある。
ほとんどが一時的で、早めに対処すれば軽くでき、上手く付き合いながら、治療が終われば回復する。
副作用の発現時期
抗がん剤投与数時間~数日悪心、嘔吐、発熱、食欲不振、倦怠感アレルギー反応(皮膚の赤み、かゆみ、じんま疹など)
数日~数週間出血(鼻血、歯茎からの出血、青あざ)感染しやすくなる(発熱、肺炎など)脱毛・口内炎・下痢、便秘、腹痛・手足のしびれ・関節痛
数週間~数ヶ月色素沈着(爪や皮膚が黒くなる)貧血(めまい・立ちくらみ)・爪の変化・味覚の変化匂いに敏感になる
数ヶ月~腎臓障害(きわめてまれ)
44
56
44
44
6
6
55
10
5
10
50
25
5
70
10
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
90%
100%
嘔気・嘔吐
下痢・便秘
手足のしびれ
発熱
不眠
その他
コントロールできてない
薬を飲んでもコントロールできてない
薬を飲んでコントロールできてる
全くない
副作用アンケート結果
吐き気・おう吐
胃や腸の粘膜や脳に抗がん剤が影響して出現する。
症状の程度は、抗がん剤の種類や個人差により違う。
投与後24時間以内に出現するもの、24時間以降に出現し数日間持続するもの、過去の抗がん剤の経験から予測されて、投与前より起こるものがある。
吐き気・おう吐対策
一回の食事量は少なめに、無理に食べない。
さっぱりした物が食べやすい。
匂いがダメな時は、冷めた料理にする。
消化吸収に負担の少ない食べ物を選んで、よくかんで食べる。
食後2時間は、上半身を起こした姿勢で、ゆっくりと過ごす。
気分転換(外食や音楽鑑賞など)。
かかりつけ医を持つ。
感染
・抗がん剤治療1~2週間後から、骨髄抑制のため、白血球が減少。
白血球の役割:細菌やウイルスと闘う兵隊
・白血球が少なくなると、感染しやすい状態になる。この為、肺炎をはじめ、口内、皮膚、尿路、肛門、性器などの感染に対する注意が必要です。
感染予防対策白血球の低下する時期を知りましょう。
うがい:こまめにしましょう。
歯みがきの習慣
手洗い:外出後 食事前 調理前
マスク装着:人ごみを避ける
調理器具の消毒:まな板 包丁
布きんなど
新鮮な食材を選ぶ
ケガに注意して、キズを作らない。
下痢
・抗がん剤が腸管の粘膜に影響を与えるために出現する。
・1日に何度も下痢をする日が続く場合
・差し込むような腹痛があって下痢をしているような場合
・・・主治医の診察を受けてください。
下痢対策
水分を十分に補給。脱水症に注意。
心身の安静と保温に努める。
食事は温かく、消化吸収のよいものを選ぶ。
1回の食事量を少なめにし、食べる回数を増やして食べる。
口内炎
・抗がん剤の直接作用によるものと、白血球減少による抵抗力の低下により、口の中で感染を起こすことがある。
・唾液が減少し、口腔や喉の粘膜が荒れる。荒れたところに雑菌が入り、感染を起こしやすくなる。
・一度発症すると食事摂取量の低下につながる為、口の中を清潔にして、
感染の予防が大切。
口内炎対策治療開始前に歯の検診を受け、ブラッシングや歯磨きなど口腔ケアのアドバイスを受ける。歯槽膿漏の治療。
食後の歯みがきでは、歯茎を痛めない、軟らかい歯ブラシを使用し、口腔内の観察を十分に行う。
口腔内の乾燥を防ぎ、唾液の分泌を促す。(うがい、シュガーレスガム、飴や氷、レモン水、加湿器、マスク着用など)
脱毛治療開始2~3週間で脱毛が始まります。
一時的な症状で、治療終了3~6ヶ月後には再び発毛がみられる。
眉毛、体毛なども頭髪と同様に脱毛するが、時期が来れば、元に戻ります。
脱毛対策髪の長い方は、短くカットすると、脱毛量がへり、薄くなるのが目立ちにくくなります。
脱毛開始時に頭皮の痛み、かゆみを感じる時は、洗髪で頭皮の新陳代謝を促し、症状を軽減させます。
頭皮の皮脂量は顔の2倍以上、よく泡立てた、低刺激なシャンプーで優しく毎日洗髪、低温のドライヤーで乾かしましょう。
治療開始前にカツラ(ウィッグ)の準備もお勧めします。
毛染め・パーマ:治療終了1年後からが目安
手や足先のしびれ
治療数日後より、手の先や足の先がしびれたり、刺すような痛みがあったり、感覚が鈍くなったりすることがあります。
主に、手袋や靴下を履く範囲に起こります。
日常生活上の問題が生じるため、それぞれにあった工夫が必要。
しびれ対策
症状がひどくならないように観察し、早めに医師に相談する。
症状を軽くしたり、ひどくならないような薬(鎮痛剤、漢方薬など)の投与。
転ばないように注意し、すべりにくい履物を選ぶ。
やけどや、けがなどの二次被害を予防するための手袋、靴下の着用。
その他自分でできる副作用対策こわがらずによく知る。初めての体験で誰でも不安です。自分の癌について、治療内容・副作用についてよく知る。
自己管理ノート・日記のすすめ。自分でチェックしておく事で、2回目以降の治療の目安になり、いつ副作用が出現するか理解しておくと精神的に落ち着く。自分で早期に見つけることもできる。
がまんせずに伝える。上手にコミュニケーションをとる。
安心して抗がん剤治療を受けるための12か条
1条 病気を理解する2条 治療を理解する3条 副作用を理解する4条 副作用の対処法を知る5条 健康食品、代替医療におぼれない6条 普通の生活を送る7条 何でもがんと結びつけて考えない8条 先々のことを考えない9条 近い時期に楽しいことを計画する10条 良い友達と付き合い、家族を大切にする11条 仕方のないこと、済んだことにこだわらない12条 納得するまで聞いてみる