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これからの指導・支援に必要な 遠隔学習について
日本福祉大学・金森克浩
1
目次
1.はじめに 2.どんな事ができるか体験しよう 3.Webコンテンツの紹介 4.終わりに
2
1.はじめに
3
これまでの一斉授業ができなくなって
4
9年前にタイムスリップ
5
ICTはなぜ普及しないか?
使い方が分からない
何が使えるか分からない
使って効果があるか分からない
事例の紹介 情報の紹介
基本の考え方
2011年の大支援研資料より
普及率16%の論理• イノベーター2.5% • オピニオンリーダー13.5% • アーリーマジョリティー34% • レイトマジョリティー34% • ラガード16%
エベレット・M・ロジャース “Diffusion of Innovations”(邦題『イノベーション普及学』)
2011年の大支援研資料より
この順番を一気に通り越してしまった
8
ところで・・・
9
「学ぶ」とはどういうこと?
10
11
分かる授業と楽しい授業
対面での大量生産による追いつけ追い越せの学習では解決しない• 旧来型の講義受講形式の学習は、明治維新の頃
の、海外の進んだ学問を学ぶためには効率が良かったが、今の時代には合わなくなっている。 • 何でもGoogleで調べられる時代 • AIが答えを教えてくれる時代
• 頭が良くて、頭が悪いこと
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大切なのは自分で答えを見つけるための問いかけ
価値観は時代によって大きく変わる
https://www8.cao.go.jp/cstp/society5_0/index.html
書くとは・・・?
紙と鉛筆 ワープロとキーボード スマホと音声入力
親が受けた教育
今の教育
子どもたちが 大人になる時代
20年前
20年後
Michael Barber 40年 Gap説
遠隔学習は特別支援教育が先行していた• 訪問教育における遠隔教育実践 • 1976年に山口県の病弱養護学校において閉回
路テレビシステムを用いた遠隔学習が行われていた。 • それ以来、1995年インターネット黎明期の
100校プロジェクトなどで、見直され、さまざまな形での遠隔学習が実施されてきている。
17
国立特別支援教育総合研究所(2009年)「病弱教育におけるICTを活用した 教育情報アーカイブの在り方に関する実証的研究」より引用
遠隔教育はオンライン授業じゃない• 小学校での実例
• 学校で一生懸命プリント教材を用意していた話 • これは一時しのぎであり、コロナが収まれば元
に戻る(対面一斉授業)に戻るという幻想
18
遠隔授業の形態
•同期型授業(zoomやMeet、Teemsなどのビデオ会議システムの利用) • オンライン動画(YouTubeなどの動画の活
用) • オンデマンド教材(Webサイトに教材や課題を掲示) •紙の教材などを郵送して •電話をして
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オンライン授業はこちら• なにもしない
20
0
20
40
60
80
100
120
教科書や紙の教材の活⽤
テレビ放送の活⽤
教育委員会等が作成した学習動画の活⽤
左記以外のデジタル教材
同時双⽅向型オンライン指導
家庭でも安全にできる運動 その
他
学校が課した家庭における学習の内容
⼩学校 中学校 ⾼等学校 特別⽀援学校
文部科学省「新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた公立学校における学習指導等に関する状況について」より作成
学校が課した家庭における学習内容(6月23日時点)
オンライン動画のちょっとしたコツ
• 特別支援YouTuberの福島勇さん(174iamsam)によると、動画の視聴者が集中できるのは最大で1分。 • NHKの子ども番組も1つのシーンは1分以内と聞
いた事がある。 • 授業の組み立てにも参考になる。
21
でもオンライン学習は 知的障害の無い人向けでしょという考えに対して
22
石神井特別支援学校の事例
https://moov.ooo/article/5eb9f3931b05ee0697dd219a
それでも尻込みする人たちに対して
24
熊本市の教育長ブログより
• 「できることからやる。できる範囲で工夫する。」 • 学校は(もともと完璧ではないのに)完璧主義です
ので、全校・全員で一律にできなければ、何もしない、となりがちです。
25
「えっ、この非常時にさえICTを使わないのなぜ?」文科省説明会(5月11日)
26note「”えっ、この非常時にさえICTを使わないのなぜ?"の文科省説明会[5月11日]を文字起こししてみた」より
ところで・・・
27
大学ではどうしてるか?
•多くの大学がオンライン授業を実施している。 • しかし、その実施方法はまちまち • その中で障害のある学生への配慮はどうなって
いるだろう
28
多くの大学がオンライン化
29
面接授業 面接・遠隔を併用 遠隔授業国立大学 1 55 30
公立大学 8 72 22
私立大学 145 492 187
高等専門学校 19 23 15
全体 173 642 254
0
100
200
300
400
500
600
700
国⽴⼤学 公⽴⼤学 私⽴⼤学 ⾼等専⾨学校 全体
⼤学等での授業実施状況(7⽉1⽇時点)
⾯接授業 ⾯接・遠隔を併⽤ 遠隔授業
文部科学省「新型コロナウイルス感染症の状況を踏まえた大学等の授業の実施状況」より作成
実施方法はまちまち
• zoomなどを利用した同期型の授業やオンデマンドコンテンツを使った授業 • プレゼンデータをPDFで送り、講義は音声のみと
いう大学も
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障がい学生の合理的配慮は
•筑波大学「障害のある学生の受講を想定した遠隔授業の対応について(ver.1)」 •慶應義塾大学・中野研究室「視覚障害のある学生
のためのアクセシブルなオンライン講義」
• など、それまでに行ってきたノウハウを拡張させて実施
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日本福祉大学では
• 5月のゴールデンウイークからオンライン授業 •原則zoomを使っての双方向だが、教員によっ
てはオンデマンド教材(YouTubeやGoogleドライブへの動画の登録)や課題の提示など • zoomの授業では原則、学生の画面はオフで音声もオフに • スマホ等で参加する学生もいたので、ほぼ参加
していた。 •6月末から対面授業に戻ったが、コロナの広が
りでまたオンラインに
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金森の講義ではどうしていたか?
• 90分フルの講義にはしなかった • PC画面を見るだけの講義視聴は結構疲れる • 実態としてはスマホを見て話は聞いてない
かも •30・30・30
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オンライン授業をやってみて
•良かった点 • 学生の出席状況が良くなった • 学生の反応がよく分かる • 学生からの質問がダイレクトに聞ける • 授業中に騒がない
•課題点 • 学生の出席状況が悪くなった • 学生の反応がよく分からない •ちょっとした演習ができない • 授業を聞いているのか聞いていないのか分からない
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オンライン授業をやってみて
•障がい学生への配慮点
• UDトークを使ってリアルタイムに文字起こしをしている(誤変換も多いが) •手話通訳が必要な学生やノートテイクと同じことはでき
ない •肢体不自由の学生の場合はPCの方が学習には適していた様子 • 教材をほとんどPDFで提供したので、視覚障害学生が受講していた場合は、別に送らなくても良かった(これまでは印刷資料と別にメールで送っていた) • 支援機器の利用についての直接的なサポートが難しい
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オンライン授業をやってみて
• zoom活用のTips
•音質は重要、できるだけいいマイクやヘッドセットを用意する。(パソコンのマイクやスピーカーは限界がある) •受講者の通信状況はまちまちなので、トラフィックに負荷がかかる動画や音声はなるべく使わない。(動画は別に用意して後で見てもらう) • 通信状態で音声が聞こえない人のためにUDトークの画面は補助になった。 •対面よりもより短めの時間で休憩を入れる。(休憩がな
い場合は展開を変えて気分をリフレッシュさせる)
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皆さんと一緒に体験
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ブレイクアウトセッションでやってみよう
39
オンライン学習に使えるWebコンテンツ
40
文部科学省 子供の学び応援サイト• https://www.mext.go.jp/a_menu/ikusei/gakusyushien/index_00001.htm
41
スポーツ庁 子供の運動あそび応援サイト• https://www.mext.go.jp/sports/b_menu/
sports/mcatetop03/list/detail/jsa_00012.html
42
NHK for school
• https://www.nhk.or.jp/school/ • NHKのEテレで放送した番組。コンテンツに
よっては、指導案や副教材なども用意されている。 • 特別支援ではお勧めはストレッチマンゴールド • https://www.nhk.or.jp/tokushi/
smangold/
43
仙台高等専門学校 竹島研究室
• http://htake-lab.moo.jp/lab/ •重度肢体不自由児のためのコミュニケーション獲得を目的とした文字学習eラーニングシステムや、算数学習に困難を抱える児童のためのタイルを用いた支援ソフト
44
kanzaSoft学習教材集
• http://kanza.qee.jp/
•石川県の特別支援学校にお勤めだった神佐さんが作られたオンライン学習ソフト集
45
FLASH教材+iPad教材試作室
• http://neverland8857.sakura.ne.jp/
•東京都の特別支援学校の教員の吉村さんが作られたオンライン教材集
46
Facebook「コロナ中の支援・教材情報ベース」• https://www.facebook.com/groups/
258963475149186/ • 国立特別支援教育総合研究所の杉浦徹さんがコ
ロナの状況の中で、使える支援機器や教材の情報を交流するページを作成。
47
kintaのブログ、アプリ総合ページ• https://www.magicaltoybox.org/kinta/
apri/ •各OS別、また障害別にアプリケーションのリ
ストを整理
48
電子書籍(DAISY、その他)
• https://www.magicaltoybox.org/kinta/ipad/ebookcreate/ • 「電子書籍を使ってみよう・作ってみよう」 • 特にお勧めはDAISY •伊藤忠記念財団「わいわい文庫」 • https://www.itc-zaidan.or.jp/
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おわりに
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コロナが終わっても制限される子どもたち• なぜICTなのか?
•圧倒的に情報が制限される
• 特別支援教育は情報教育
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オンラインをやる事で 見えてくるリアル•デジタル先生は「余白」と表現 • 直接会う意味を考えたい •対面、非対面それぞれ良さがあるはず
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ブレイクアウトセッションで情報交換を
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最後に
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文部科学省 初中教育ニュ-ス(初等中等教育局メ-ルマガジン)第394号(令和2年8月14日)
〔中学校2年生の保護者〕 現在中学2年生の娘に、彼女専用のタブレットを与えたのは小学1年生のことでした。当時はどんなことに、どんな風に使うのか、親として見ていることが楽しくて、子どもから相談されない限り使い方は娘に任せていました。 すると、絵本を描いたり、絵日記や作文を書いたりし始めました。でき上がったものは、文字ではなく音声が流れる絵本、写真や動画を貼り付けた絵日記、印象的な場面を生き生きと描いた作文。親の想像をはるかに超えた、ユニークなものばかりでした。 ただひとつ、問題がありました。それは、この素晴らしい自らの表現や作品を、先生やお友だちと共有したいと思ってもできないことです。学校でもそのような場面はなく、娘はとてもがっかりしておりました。 今年度になって、奈良県全域で、先生と子どもたちに共有アカウントが発行されました。秋には、1人1台のデバイスが配布され、学習にも活用することが決定しているそうです。娘は、今から「オンラインでのリアルタイム双方向のコミュニケーションを活用して、他の子や他校の子と問題を共有したり、解決策を考えたりしてみたい。他の学校の取り組みや、いろんな先生の授業を受けてみたい」と話しています。娘が、小学1年生のときに夢みていた、自分で作ったデジタルコンテンツの発表の場としても活用できるのでは?と期待しています。 パソコンが今までのパソコンとしてではなく、新しい形の文具のひとつとして、子どもたちが自由にどんどん活用して、時間や場所に縛られずに新しいことに挑戦して、大人を驚かせる時代がすぐそこまできていると感じています。
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