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30 COCCOC10 920212漫画 栁田 竜也(宮崎大学) 写真(表紙)・編集 小八重 美和 協力 COC+参加校/協力校 印刷 北一株式会社 編集長 西村 勇 COCこれがおいしい! vol.5 宮崎市編— 「牡蠣 キノコ クリームリゾット」 鹿15 1970鹿みやざき COC + 参加校および協力校でも様々な取り組みが行われています 宮崎公立大学学長 有馬晋作 宮崎キャンパスの食品開発科学科で開講してい る「食品工場見学」は、県北・県央・県南の地区に わけて3日間にわたり工場見学を実施しています。 座学では経験できない工場現場での食品原料処 理や製造工程等、生産活動の実態を理解し、知見 の拡大・深化を目指すとともに、県内にある企業に 対する興味関心を高める機会となっています。また、 管理栄養学科では、県内に多くの管理栄養士を派 遣している給食受託企業の説明会・試験を学内で 開催し、地元で就職希望の学生が受験をしました。 管理栄養学科では約7割の学生が県内で就職をし ています。 学務部就職課 鬼丸 千明 南九州大学 本学は約9割が県内出身者で、平成29年度の 県内就職率は7割超でした。希望する職業に就き 早期離職を防ぐ為にも、業界・職種研究、自己分析 に力を入れており、入学後すぐに就職支援ガイダ ンスを実施しています。地元企業の人事担当者を 招いて、企業が求める人材や採用面接での様子、 ご自身の体験談を話していただき、また県内企業 に就職した卒業生の講演では、実際に働く身近な 方の現場の声を聞き仕事内容について学ぶ場と なっています。教職員が連携し学生ひとりひとりに 合わせたきめ細やかな対応を行っています。 学務部就職課 柏木 由佳 南九州短期大学 本学学生が宮崎県内での就職向上を図るため、 地元企業の魅力や働き方を若手社員より学生に 直接伝えるとともに、学生の生の声や考え方を気軽 に意見交換できるイベントを開催しております。 また、就職先と学生のマッチングの機会となる就 職面談会を学内のほか、宮崎市、福岡市で開催し ております。特に医療福祉分野では採用側として卒 業生の姿も目立ちます。先輩からの“生の声”を聞き、 質問もしやすいため、納得した進路選択や地元定 着にも繋がると思っております。 キャリアサポートセンター 猪股 健久 九州保健福祉大学 商品持参 青い空、広大なビーチ、南国を感じさせる フェニックスやユッカ、緑々しい芝が生い茂 るそのロケーションは贅沢そのもの。26年前、 大阪から移住してきた長野徹さんがオープ ンしたカフェ「コーストライフ」。全国から集ま る厳選の牡蠣や、地元の食材をふんだんに 使ったプレートメニューを、ゆっくりと海を眺 めながら堪能してみてはいかがでしょう。 私のおすすめは、「牡蠣とキノコのクリー ムリゾット」。魚介のダシが詰まったリゾットに 大ぶりの牡蠣が味わえて、子供も大好きな 人気メニューです。 併設するサーフショップ「ハイサーフ」で は、初心者向けのサーフィンスクールもやっ ています。海上がりに外のベンチでコーヒー を飲んで、休日を過ごすのもまた最高です。 JR曾山寺駅から徒歩10分ですので、20 歳以上の方は車の運転を忘れて、昼から ビールという選択も1つですね。 宮崎大学 (甲斐) 2018.11 vol.5

これがおいしい! vol.5 「牡蠣とキノコの クリームリゾット」 · 2019-03-14 · は、初心者向けのサーフィンスクールもやっ ています。海上がりに外のベンチでコーヒー

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Page 1: これがおいしい! vol.5 「牡蠣とキノコの クリームリゾット」 · 2019-03-14 · は、初心者向けのサーフィンスクールもやっ ています。海上がりに外のベンチでコーヒー

 平成30年度前期から管理栄

養学科・食品開発科学科・環境

園芸学科・子ども教育学科を

有する南九州大学と国際教養

学科を有する南九州短期大学

がみやざきCOC+に協力校

として参加しました︒県内への

就職率が高い同校では︑学生の

早期離職を防ぐための様々な

取り組みを行っています︒みや

ざきCOC+に参加する事で︑

今後更に離職率が減少するな

ど︑学生の将来に良い影響がも

たらされる事が期待されます︒

 

10月9日︑経団連が企業の

採用活動の解禁時期などを定

めたルールを2021年春の

入社分から策定しない事を正

式に表明しました︒影響を受

けるのは現在の大学2年生か

らとなります︒これを受け︑政

府が新ルールを設ける動きも

あり︑今後の動向に注目ですね︒

漫画 栁田 竜也(宮崎大学)  写真(表紙)・編集 小八重 美和  協力 COC+参加校/協力校  印刷 北一株式会社  編集長 西村 勇

みやざきCOC+に新たに

南九州大学と南九州短期

大学が参加しました

経団連が就活ルールの策定

をしない事を表明

トピックス

これがおいしい! vol.5—宮崎市編—

「牡蠣とキノコの  クリームリゾット」

 

私が鹿児島から宮崎に赴任して︑

15年が過ぎました︒私が最初に宮

崎に来たのは︑小学校のときの修学

旅行でした︒1970年代の高度

経済成長時代で︑宮崎が新婚旅行

のメッカにもなっていました︒その後

は︑家族旅行で何回か青島などを

訪問しました︒つまり︑それまで私

にとっての宮崎は観光地でした︒

 

現在︑私にとって宮崎は︑職場が

あり家族もいる大切な生活の場で

す︒鹿児島と比較すると︑だいぶ生

活しやすいです︒物価が安いですし︑

桜島のように火山灰が何回も降ら

ないのが助かります︒ただ最近は︑

宮崎でも新燃岳などの噴火が頻発

しています︒霧島も︑桜島のように

降灰はあるが有力な観光資源とい

う展開が必要になるでしょう︒その

ほか︑宮崎のどこの自治体も中心

市街地の活性化が課題となってい

ます︒私の専門は地方自治論なの

で︑活性化の面で協力したいと思い

ます︒

 

あと︑私の職場の宮崎公立大学

は︑小規模大学なので︑先生や学生

との距離も近く何かと楽しくやっ

ています︒公私とも私にとって宮崎

は︑有り難く大切な地といえます︒

私と

みやざき

リレーコラム

みやざきCOC+参加校および協力校でも様々な取り組みが行われています

宮崎公立大学学長有馬晋作

 宮崎キャンパスの食品開発科学科で開講している「食品工場見学」は、県北・県央・県南の地区にわけて3日間にわたり工場見学を実施しています。座学では経験できない工場現場での食品原料処理や製造工程等、生産活動の実態を理解し、知見の拡大・深化を目指すとともに、県内にある企業に対する興味関心を高める機会となっています。また、管理栄養学科では、県内に多くの管理栄養士を派遣している給食受託企業の説明会・試験を学内で開催し、地元で就職希望の学生が受験をしました。管理栄養学科では約7割の学生が県内で就職をしています。

学務部就職課 鬼丸 千明

南九州大学 本学は約9割が県内出身者で、平成29年度の県内就職率は7割超でした。希望する職業に就き早期離職を防ぐ為にも、業界・職種研究、自己分析に力を入れており、入学後すぐに就職支援ガイダンスを実施しています。地元企業の人事担当者を招いて、企業が求める人材や採用面接での様子、ご自身の体験談を話していただき、また県内企業に就職した卒業生の講演では、実際に働く身近な方の現場の声を聞き仕事内容について学ぶ場となっています。教職員が連携し学生ひとりひとりに合わせたきめ細やかな対応を行っています。

学務部就職課 柏木 由佳

南九州短期大学 本学学生が宮崎県内での就職向上を図るため、地元企業の魅力や働き方を若手社員より学生に直接伝えるとともに、学生の生の声や考え方を気軽に意見交換できるイベントを開催しております。 また、就職先と学生のマッチングの機会となる就職面談会を学内のほか、宮崎市、福岡市で開催しております。特に医療福祉分野では採用側として卒業生の姿も目立ちます。先輩からの“生の声”を聞き、質問もしやすいため、納得した進路選択や地元定着にも繋がると思っております。

キャリアサポートセンター 猪股 健久

九州保健福祉大学

商 品 持 参

 青い空、広大なビーチ、南国を感じさせるフェニックスやユッカ、緑 し々い芝が生い茂るそのロケーションは贅沢そのもの。26年前、大阪から移住してきた長野徹さんがオープンしたカフェ「コーストライフ」。全国から集まる厳選の牡蠣や、地元の食材をふんだんに使ったプレートメニューを、ゆっくりと海を眺めながら堪能してみてはいかがでしょう。 私のおすすめは、「牡蠣とキノコのクリームリゾット」。魚介のダシが詰まったリゾットに大ぶりの牡蠣が味わえて、子供も大好きな人気メニューです。 併設するサーフショップ「ハイサーフ」で

は、初心者向けのサーフィンスクールもやっています。海上がりに外のベンチでコーヒーを飲んで、休日を過ごすのもまた最高です。 JR曾山寺駅から徒歩10分ですので、20歳以上の方は車の運転を忘れて、昼からビールという選択も1つですね。

宮崎大学 (甲斐)

2 0 1 8 . 1 1

vol.5

Page 2: これがおいしい! vol.5 「牡蠣とキノコの クリームリゾット」 · 2019-03-14 · は、初心者向けのサーフィンスクールもやっ ています。海上がりに外のベンチでコーヒー

 この授業は大学や高専で医学の知

識を学ぶことが出来ない学生に受け

てほしいと思っています︒予防医学の

知識を身に着けることで将来の皆さ

んと家族︑周りの友達︑将来の部下の

人生が大きく変わると信じています︒

スライドの見所の大きさや言葉に注

意して︑わかり易い授業になるように

心がけています︒さらに授業に合わせ

た教科書が皆さんの知識の定着と興

味を湧かせてくれることでしょう︒

■受講生の声

●医学系に興味があったのと︑健康の

康が﹁幸﹂だったので︑体の事だけでは

なく幸せについて考えたり︑学ぶ事が

できるのかなと思って受けました︒も

ちろん体の事も学べたのですが︑心の

面から気持ち良く︑もっと幸せになる

生き方について学ぶ事ができました︒

●もともと医療関係の事に興味が

あったのでこの授業を受けようと思い

ました︒先生が丁寧に伝えようとし

てくれるのが伝わる授業で︑すごく楽

しく学ぶことができました︒受動喫

煙などタバコを吸わない人にも害にな

るという事などを身近な人から伝え

ていけたらなと思いました︒

●私は部活でソフトテニスをしている

のですが︑シラバスを見てそこで使え

るかもしれないと思い︑受講しました︒

実際受講してみてとても勉強になり

ましたし︑部活でも活かしていきたい

です︒

●シラバスを見て面白そうだと思い︑

受講を決めました︒タバコが生活習慣

病だけでなく︑様々な病気関わってい

るなど︑思ったより知らない事が多く

て︑詳しく知る事ができたので︑とて

も楽しかったです︒

●僕はジムでトレーニングしたり︑体

を動かすことが好きなので︑病気に

なってできなくなるのを予防したい

と思い︑受講を決めました︒自分はお

酒もタバコもしないし︑運動もするの

で︑今は大丈夫かなと思いましたけ

ど︑今後歳をとっていくと︑糖尿病な

ど気を付けなければいけないので︑憶

えておこうと思いました︒

●シラバスでAEDの使い方を教えて

もらえると知って︑知りたかったので

受講しました︒知らないこともいっぱ

いあってとてもためになりました︒

AEDも実際使うとなると不安な面

もありますが︑がんばってみたいです︒

 この授業は﹁学生が授業を作る﹂と

いうサブタイトルが付いていて︑配信型

授業では実際に学生が様々な産業分

野の専門家に会って取材を行い︑受講

者はそこにある事例問題について考

えるという構成になっています︒対面

型授業では︑受講生が講師の熱量や

お互いの表情や息づかいを感じなが

らケースメソッドという手法を用いた

グループワークを行います︒知識を学

ぶのも大切ですが︑この授業では答え

の無い問題にチャレンジして︑自分以

外の様々な人生背景を持った人たち

といろいろな角度から意見を出し合

う事で刺激し合い︑自己モデルを一旦

壊して自分の視野を広げる﹁自己モ

デルの更新﹂をしたいと思っています︒

ですからこの授業では︑他者の意見を

頭から否定しない︑賛成意見も反対

意見も多様な考え方があってしかる

べきで︑どんな意見を言っても攻撃さ

れたり恥をかく事がないような場づ

くりをするよう心がけています︒

■受講生の声

●今までの経験で︑RESAS︵地域

経済分析システム︶のアプリコンテスト

に挑戦したり︑都城工業高等専門学

校であるプログラミングコンテストの

課題が﹁ICTによる地方創生﹂だっ

た事もあり︑ICTと地方創生は自

分にとって身近なものだったので︑この

授業を選択しました︒限られた時間

での問題解決は難しいと感じました

が︑普段接点のない様々な学年︑学校

の人たちと地域の問題解決に取り組

み議論した事は︑意思疎通の良い勉

強になりました︒普段接しているもの

の見方が変わったというか︑視野が広

がった感じがします︒

●もともとICTについて興味が

あったことと︑将来は情報系の仕事に

就きたいと思っているので︑仕事で役

立てたいと思い受講しました︒問題

が漠然としていたり︑答えの無いケー

スメッソッドでは気持ちがモヤモヤし

ましたが︑色々な学科の人と話をす

ると一人では考えつかなかった視点

や考え方に触れる事ができ︑視野が

広がった気がしました︒短い時間で大

変でしたが︑実用化できたらいいなと

思えるアイデアが生まれたのは良

かったです︒知識を学ぶ授業ではなか

なかできないアクティブラーニングを

もっとやってみたいと思いました︒

 この授業は異分野の情報を知った

り︑学外の視点が欲しい人︑生々しい

リアルな情報による刺激を受けたい

人に受講してもらえたらと思います︒

まず︑みやざきCOC+の講義スタイ

ルがオンラインを取り入れた新しいス

タイルです︒そしてこの講義はいろいろ

な地域の人にご協力をいただいて︑か

なりリアルに話をしてもらっています︒

教科書や研究論文などは本質的な

事を学ぶ上では大切なのですが︑どん

どん古くなっていきます︒COC+で

地域性を学ぶには生っぽさ︑現実に即

した本当のリアルを伝えないと意味

がないと思っています︒ですから︑僕の

授業では協力してくれている方も含

めこの講義以外では聞くことができ

ない︑生々しい本当のことを話すよう

にしています︒対面型講義では学年も

バラバラの違う大学・高専生たちと同

じテーマでディスカッションします︒自

分のコミュニティの中だけで学ぶのでは

なくて︑違うコミュニティの人と議論が

出来るというのも魅力だと思います︒

■受講生の声

●COC+

という響きに興味があっ

たのと︑パソコンを使って受講する授業

だと聞いて受講を決めました︒今日

の対面型講義は︑いつもの授業より先

生のお話が面白かったです︒また︑就

職する会社の選び方など︑思っていた

視点と違ったので︑参考になりました︒

●地域で成長するICT企業という

事で就職活動に活かせる知識が得ら

れるのではないかと思い︑受講しまし

た︒実際受講してみて︑就活に対する

視点がガラッと変わりました︒オンラ

インの授業動画の製作の仕方が面白

いなと思いました︒先生の話し方とか

髪型とかも︒

●もともと経営にちょっと興味が

あったのですが︑宮崎公立大学に経営

学部みたいなものが無かったのと︑自

分が普段勉強している分野と違う方

向性のものを学んでみたかったので︑

今回みやざきCOC+で受講できる

と聞いて受講してみました︒授業では

普段聞けないようなお話が聞けたり︑

若いというか新しい考え方や視点を

学べて︑新鮮でしたし︑貴重な体験に

なりました︒就活の際にどんな考え

方で企業を見ておいた方がいいかな

ど︑1年生という早い段階で知る事

ができたのは良かったです︒

 亜熱帯薬食資源学と聞いてみなさ

んはどんな事を想像するでしょうか︒

この授業では宮崎など温暖地で育つ

薬用植物や有毒な植物を紹介した

り︑ブルーベリーなどの身近な農作物

の中で最近機能性がたくさん分かっ

てきたものを取り扱っています︒オン

ラインの配信授業ではフィールドワー

クという事で︑できる限り宮崎県内

をあちこち訪れ︑生の声を聞けるよ

うにしました︒県内で薬学が学べる学

校が九州保健福祉大学しかないので︑

薬学について触れたいという学生さん

や漢方や生薬についてちょっと知って

みたいなと思っている学生さんにはぜ

ひ受講してもらいたいです︒

■受講生の声

●将来は食に関係した職業に就きた

いと思っており︑勉強になるかなと

思って受講を決めました︒自分は海

洋生物環境学科なので︑フルーツなど

の植物については知らない事も多く︑

勉強になりました︒料理をするのが

好きなので︑スパイスを扱う時などに

も利用できそうです︒

●まず配信型の授業に興味を惹かれ︑

自分は物質工学科なので薬学も興味

があって︑この授業を受講しようと決

めました︒宮崎の特産品に含まれる

有効成分などを知る事ができたので︑

卒研にも活かせそうです︒特にブルー

ベリーの実より葉の方が薬用成分が

多いという事や︑口からや注射など

接種の仕方によって有効だったり毒に

なったりする成分があるなど︑物質

の通過経路による変化や作用の違い

を知れたのが良かったです︒

どんな授業?

受講してみて

どうだった? 受講の

動機は?

いつでもどこでも受講できるインターネットを利用した授業構成が特徴の「みやざきCOC+科目(宮崎産業人材育成教育プログラム)」ですが、平成30年度前期までに延べ1679人の学生が受講しています。今回は担当教員と受講生が顔を合わせる機会となる対面型講義で前期各科目の担当教員と受講生にお話を伺いました。

ICTの地域活用

宮崎大学金岡 保之

九州保健福祉大学甲斐 久博

亜熱帯薬食資源学

地域で成長するICT企業

宮崎大学土屋 有

健幸予防医学

宮崎県立看護大学江藤 敏治

 この授業は﹁ひと﹂との出合いを大

切にしてます︒﹁キャリア﹂に関する理

論はさまざまにありますが︑宮崎で

活躍する﹁ひと﹂をとりあげ︑その方

の事業や信念を対談形式で紹介し

ます︒加えて︑その講師に関係した

キャリアに関するワークをすることで︑

自身の問題や関心を醸成することが

目的です︒地域で活躍している﹁ローカ

ルヒーロー﹂は︑普通の大学生活ではな

かなか出合うことができません︒ま

た非常に忙しい方々なので決まった

時間に来てもらうという難しさもあ

ります︒そこで︑コンテンツ形式にする

ことで多くの人に魅力を伝えられる

のかなと思います︒一方で︑﹁ひと﹂の

もつ魅力を画面越しにどのように伝

えたらいいか︑が作成時には非常に悩

んだところです︒だから対談では︑あ

えて原稿は用意せずライブ感を重視

して︑講師の熱が伝わるように心がけ

ました︒︵講師の皆さんには負担をお

かけしたと思いますが…

︶初対面で

そのまま対談︑という講義回もあり︑

ある種の良い緊張感の中で作れたコン

テンツではないかと思います︒そうし

たところが伝わったらうれしいです

ね︒

■受講生の声

●入学時にもらったパンフレットでこの

授業の事を知りました︒︑私は宮崎出

身ではないのですが︑だからこそ地域

に密着したことがしたいと思っており︑

そのために県は違えど︑何かできるこ

とがあるのではないかと︑期待して受

講しようと思いました︒人生の先輩

である色々な方の話を聞けて︑自分

のために役立つようなものがあったの

ではないかと思います︒

●私は生まれも育ちも宮崎で︑将来

は公務員の技術職に就きたいと思っ

ているので︑そこで役立つのではないか

と思い︑受講しました︒地元のために

できる事が︑色々な方面でたくさん

あることが分かりましたし︑講師の

方の人生経験を聞くことで︑大学在

学中に自分がやらないといけないこ

とが明確になりました︒

●最初は周りの人がたくさん受ける

と言っていたので︑受けようかなといっ

たくらいの気持ちで受けました︒実

際に受講してみて︑色々な事を経験

されている多くの方々の話を聞けて

ためになりましたし︑自分ももっと

色々な経験をしていかないといけない

と感じました︒

●4年生になったら就活をしないと

いけないのですが︑まだ将来の夢もな

く︑イメージが湧かなかったので︑この

ような機会に参加した方がいいのか

なと思って受けてみました︒実際に受

講してみて︑最後のレポートを書くと

きに︑自分の将来像がイメージできる

ようになったかなと思います︒

●最初は宮崎より都会の方がいい仕

事があると思っていて︑宮崎で就職す

る事は考えていなかったんですが︑も

しかしたら宮崎にもいい職業がある

のかなと思い︑受講しました︒高校が

商業系の高校だったので︑偏った職種

の人のお話しか聞いてこなかったので

すが︑この授業では色々な職業︑色々

なキャリアの方のお話を聞けて︑大変

参考になりました︒

 この授業では︑製品がどのように考

え︵設計︶されて︑ものづくり︵生産︶

に至っているかが分かってきます︒宮

崎県内の多くの製造業では︑キラっと

輝くものづくりを行っており︑それを

授業の中で紹介しています︒身近なと

ころに︑価値が存在することを認識

してもらいたいと思います︒

■受講生の声

●私は工学部なので︑ものづくりと関

りがあるのですが︑それが生活やデザ

インとどう関わっているのか知りたい

と思い受講を決めました︒実際に受

講して︑﹁居住者参加の住まいづくり﹂

で集合住宅の多目的スペースを活用

しようという事例などは︑すごく良い

と思いましたし︑心理学がデザインに

関係するといった事も理解できて︑こ

こで生活とデザインがくっつくのだな

と感動しました︒

●集中講義に何かとろうかなって

思ったのと︑比較的工学部にかかわり

がある分野かなと思ったので︑受講し

ました︒僕はバイトをしていて︑バイト

先では女性が多いのですが︑そのこと

もあり︑日本の人口の推移や労働人

口の割合について学んだ時︑宮崎が全

国でも出生率が高く︑女性の働く割

合も高いというのを知って︑とても印

象深かったです︒

 この授業では政治というものが︑普

段の生活の中にあるとても身近なも

のであることを知ってもらえたらと

思います︒水道やゴミや学校など︑身

近な行政サービスはたくさんありま

す︒それらのサービスのほとんどは市

町村が行っていて︑中央自治制度の中

で皆さんが選挙で選んだ市町村長や

議会委員が具体的な事を決めて運

営されています︒つまり中央自治とい

う制度の中で行政は動いていますか

ら︑選挙等で皆さんがどう行動する

かが影響していくわけです︒皆さんの

生活が良くなるよう行政サービスが

改善されていくためには︑皆さんが中

央自治や地方自治の仕組みを理解

して行動する事が重要になります︒

■受講生の声

●授業で地方自治について学ぶ機会

があり︑もっと学んでみたいと思った

ので受講しました︒特に道州制の仕

組みなどをあまり知らなかったので

すが︑この授業を通して知れて良かっ

たです︒

●もともと公務員に興味があり︑地

方自治という事で︑公務員に関係す

る内容なので︑受講しました︒議会が

どういう仕組みになっているか︑公務

員の採用や人材育成について学ぶこ

とができたので︑将来の就職にとても

役立つと感じました︒

●私の地元は延岡で︑将来は延岡に

戻って地元のために働くのが夢なので

すが︑そのためには地方自治とか行

政について知っておく必要があると

思ったのと︑興味はあるけど自分で勉

強するには苦手な分野だったので︑こ

の機会に勉強させてもらおうと思い︑

受講しました︒最初は苦手意識しか

なかったのですが︑受講してみると想

像と違い︑仕組みがわかって︑なるほ

どと面白くなりました︒具体的に公

務員になってからの目標が持てるよ

うになったので︑今後は苦手意識なく

勉強に取り組めると思います︒

 この授業は︑﹁ベンチャービジネス﹂と

﹁ビジネスプランニング﹂という分かれ

た分野を一つにした授業で︑ベンチャー

という基礎的な知識と実際に事業計

画を作ってみる﹁do﹂の工程を一通り

学べるようになっています︒学問として

の﹁ベンチャービジネス﹂に興味がある

学生さんだけでなく︑実際に事業計

画を作ってみたいと思っている学生さ

んにとっても参考になる実践的な内

容だと思います︒授業の構成として︑

対面型授業の時間を多めに設定して

いますが︑配信型授業では︑通常の講

義に加えて︑学外の企業や団体を実

際に訪問し︑宮崎県内の起業実例や

支援機関について︑臨場感を持って伝

えられるようなコンテンツの制作をし

ました︒対面型講義と配信型講義に

ついては︑それぞれの良さがあります

が︑この2つのバランスが難しいと感じ

ながら授業を行っています︒

■受講生の声

●将来もしかしたら︑ベンチャー企業

を起業するか︑その手助けをする場

面が来るかも知れないと考え︑ベン

チャー企業の起業で出来る限り失敗

しない方法を学びたいと思い受講し

ました︒資金の調達やリスクへの対応

など︑企業として立ちゆくように何

をするか決めてゆく事は︑難しいと感

じましたが︑慎重に考え︑最善と思え

る案を出すのは面白く︑それが社会

に影響する未来を想像すると︑夢が

広がりました︒

●地方で起こすベンチャーに興味があ

り︑この講義を通じてベンチャーの実

例を知り︑具体的な知識をつけたい

と思い受講しました︒最初はベン

チャープランニングについての知識がほ

とんど無かったので︑ちゃんと履修で

きるか不安でしたが︑受講が進むにつ

れ︑普段の生活にも生かせる身近な

ものと気づきました︒自分は固定概

念が強い部分があるので︑もっと発想

力がつくよう︑積極的に発表したり︑

様々な考え方を吸収していきたいと

思います︒

「オンライン+対面」 で学ぶ宮崎産業人材育成教育プログラム

みやざき COC+科目

「オンライン+対面」 で学ぶ宮崎産業人材育成教育プログラム

みやざき COC+科目

みやざきCOC+では宮崎大学、宮崎県立看護大学、宮崎公立大学、九州保健福祉大学、都城工業高等専門学校、そして今年度から協力校として参加した南九州大学、南九州短期大学をあわせた7大学・高専が宮崎県内の産業ニーズを捉えた人材育成に取り組んでいます。

生活デザイン・ものづくり概論

都城工業高等専門学校

地域キャリアデザイン地方自治と行政

宮崎公立大学有馬 晋作

ベンチャー・プランニング論

宮崎大学丹生 晃隆

高橋 明宏 杉本 弘文

仁愛大学(元宮崎大学)早川 公

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企業 声の 学生 声の

参加学生アンケート結果

ウィークリー・ワーク

・カフェは

もう体験されましたか?

 

宮崎県内の企業、自治体や経済団体、みやざきCOC+参加校の

協力のもと、平成30年度前期クール(2018年5月17日〜7月11日)

は全12回のウィークリー・ワーク・カフェが実施され、通常の企業

説明会とは異なる穏やかな雰囲気の中、延べ62の企業と269人の

学生が交流を行いました。

 

今回は実際に参加した学生と企業担当者の声を集めました。

一般的な企業説明会と異なる大きな特徴

・対象は大学・高専の 1年生から 大学院生まで !・学生は私服で参加OK!

 

ウィークリー・ワーク・カ

フェは平日に開催する事もあ

り、授業の合間を使って参加

する学生がほとんどです。授

業との兼ね合いもあるとは思

いますが、前期クールは1年

生と3年生の参加が目立ちま

した。また、ウィークリー・

ワーク・カフェに参加して初

めて知った企業が多かった事

が分かります。参加した学生

からは、参加して良かった、

また参加したいとの回答が

90%以上と大変好評でした。

是非参加したい52%参加したい

38%

分らない10%

もう一度Weekly Work Café に参加したいと感じましたか

とても良かった65%

良かった33%

普通だった2%

Weekly Work Café に参加してどのように感じましたか

1社38%

0 社27%

2 社21%

3 社7%

未回答4%

4社2%

5 社1%

今回の参加企業で以前から知っていた企業は何社ありましたか?

修士課程 1年3%

4年6%

2 年14%

未回答16%

3 年28%

1 年33%

学年

農学部25%

人文学部19%

工学部18%

未回答15%

地域資源創成学部17%

国際教養学部1%

医学部2%

教育学部3%

学部

実際の現場で働いている方と近い距離で話を聞くことができてよかったです。就活に限らず人事やその他の企業の情報や話も聞けて大変良かったです。

前回と同様に企業の方たちと近い距離でのお話ができてとても良かったです。他のインターンシップフェアにも顔を出すこともあるのですが、ここのウィークリーカフェは一番雰囲気がよくて、来て良かったなぁといつも思います。

自分が知らなかった業界についても詳しく話が聞けたり、企業の説明だけではなく、働くことについて貴重な話が聞けて良かったです。

会社の社長さんや人事の方と私服を着てリラックスして話すことができて、とても楽しかったし、良かった。

企業の方や就職した先輩のお話を聞ける場が身近にあってとてもありがたいです。

企業の方と就活の事以外にも色んな話ができて元気が出ました。楽しかったです。

今まで都合がつかずに参加できませんでしたが、今回参加してみて、自分の知らなかった職種を知ることができ、就職に関してもっと調べてみようと思えました。

今回もいい話が聞けました!!次回もぜひ参加したいです。

企業の方と直接話すことがないので、色々な話が聞けてよかったです。

企業の方とこのような距離感で話をする機会はあまりないのですごく新鮮だった。

様々な分野と関われ、視野が広がりました。

とても楽しく、少し世界が広がったと思います!!

自分にあった会社の選び方を教わることができ、とてもためになった。

自分の知りたい業種について詳しく知れたので良かった。

全く知らない企業の話を聞くことができたし、企業の説明だけでなく就活についても話を聞けたので、非常に勉強になった。説明会のような雰囲気ではなく、ラフな感じだったことも良かった。

意外と面白かった。初めはお菓子を食べてすぐ帰ろうとしたが、話が面白くて最後までいてしまった。パンフレットに載っていることではなくその人自身のエピソードや面白さを知ることで、企業にも興味がわいた。

会社を覚えてもらう良い機会になりました。

就活の際や、自分が仕事を探す際に注目している点など、若い視点での意見を聞くことができて、大変勉強になりました。面接についてとても思い悩んでいる学生さんもいらっしゃって、自分の体験談などで微力ながらアドバイスできたので嬉しい気持ちにもなりました。

大変フランクに学生と交流ができるので良かったです。当社に対する印象であったり、学生の様々な視点からの意見が聞けてこちらとしても大変勉強になりました。

学生も幅広くて、学生の考え方や質問もできたり聞けたり、参考になりました。新しい採用方法につながりそうです。

学生から学ぶことが多くまた参加したい。今の学生が考えていることを聞くことで企業としてどう動いていくか考える機会になった。

一年生の参加もあり、継続する事で宮崎の企業を知る機会が増えていくと思うので、次回も参加したいと思います。

色々な夢を聞けておもしろかった。当社の業種について学部の壁があると思っている学生さんが多かった。

学生の素の表情や、企業に対して知りたいことなど、気をつかいすぎない関係で話ができて良かったです。

大学生の生の声を聞けて、とても新鮮で楽しかったです。ありがとうございました!

学生の皆さんが、自分の将来について真剣に考え、取り組む姿勢に大変良い刺激を受けました。

幅広い年齢、分野の学生と話せて、インターンシップに求めるものなど聞けて勉強になった。

学生の悩みを直接聞き、今後の採用に結び付けるキッカケにもなった。更なる拡大と内容充実を要望(期待)したい。

若い学生たちと話せてよかった。意欲のある学生たちが多くて今後が楽しみです。

Page 4: これがおいしい! vol.5 「牡蠣とキノコの クリームリゾット」 · 2019-03-14 · は、初心者向けのサーフィンスクールもやっ ています。海上がりに外のベンチでコーヒー

脳外科から救急へ

出口 まずは先生の経歴をお聞かせください︒

落合 

私は宮崎市出身で高校まではずっと宮

崎市で過ごしたので︑大学ぐらいは他のところに

行こうと思っていましたが︑結局行った所は清武

町︵当時は宮崎郡︶の宮崎医科大学︵現宮崎大

学付属病院︶でした︒医学部で6年勉強して︑卒

業後はマンガ﹁ブラック・ジャック﹂の影響もあって︑

外傷に対応できる外科系に進みたいと思い︑脳

外科に入局しました︒最初は宮崎大学の脳外科

で研鑽を積み︑その後救急の研修に行こうと

思っていましたが︑結局は県内の関連病院︑特に

県立宮崎病院に合計13年勤務しました︒県立

宮崎病院では︑救命救急科も兼任させていただ

きました︒そして2012年から縁があり宮崎

大学にお世話になっています︒医師としてのス

タートは脳外科でしたが︑脳外科は救急患者さ

んが多かったので︑徐々に脳外科以外の救急患

者さんを診る事も多くなり︑その結果救急の専

門知識も持つようになり︑脳外科と救急科の2

本立てでやっていく事になりました︒

原田 脳外科から救急へ視点を移された時の

きっかけを教えてください︒

落合 脳外科にいながら救急をやりたいという

思いは募っていたんですが︑一番の経験は身内が

交通事故にあった事でした︒家の前で事故にあっ

て︑大変危険な状態だったのですが︑事故の音を

聞きつけて近所に住んでいらっしゃった医師がか

けつけてくれ︑病院に着くまでに窒息を防ぐな

どの適切な処置をしていただき︑命をつなぐ事

ができました︒病院に着くまで処置を待っていた

ら助からない命も多くあると感じ︑救急へ軸足

を移したいという思いが強くなりました︒

宮崎で考える救急医療

吉田 日本の1次・2次・3次救急とアメリカ

のER救急との違いや︑良い点や悪い点などは

ありますか?

落合 患者さん目線でいくとアメリカのER方

式の方が良いと思います︒ER方式は重症度も

年齢も関係なく受け入れるので︑患者さんはた

だそこに行けばいいのです︒日本では1次・2次・

3次救急と分かれていますので︑患者さんがあ

る程度選ばないといけない面があります︒ただ︑

通常ERには患者さんが殺到しますので︑必ず

看護師さんがトリアージ︵重症度の判断︶を行い

診察の順番を決めないと重症の患者さんが手

遅れになってしまいます︒また︑ERの先生方は

最初の診療だけで︑軽症でしたらお薬の処方や

処置をして帰宅させますが︑入院が必要な患者

さんについては︑専門の診療科に入院治療をお

願いすることになります︒ERはその裏側に多

くの専門の診療科の先生がいないとできないと

いうのはありますね︒

原田 最近︑日本でも看護師の方がトリアージ

について触れるようになったとお聞きしたのです

が︑本当ですか?

落合 今︑救急外来は看護師さんのトリアージ

に力を入れています︒多くの患者さんが同時期

に救急外来に来た場合︑重症の患者さんの診断

が遅れないようにするため︑看護師さんのトリ

アージが診療報酬科目に加わったことや︑日本

臨床救急医学会などがJTAS(

主に救急外

来や時間外外来で使用される緊急度判定支援

システム)

の研修コースを実施するなど︑今後も

看護師さんの外来トリアージは需要が高まって

いくと思います︒そしてきっと看護師さんもやり

がいを感じていると思います︒

吉田 総合診療医でも救急の手が届かない部

分で救急の診察をする事はできますか?

落合 はい︑できると思います︒私は︑近いうちに

救急と総合診療は一緒になるんじゃないかと

思っています︒たとえば在宅医療を行っている総

合診療の先生は往診に行きますが︑救急の先生

もドクターヘリやドクターカーで急病の患者さ

んのところに駆けつけますので︑これも立派な往

診なんです︒やってる事は一緒なんですよ︒総合

診療は内科的なものが中心で︑救急は外科的な

要素や緊急処置が必要な患者さんが多いとい

う違いはあるのですが︑知り合いの総合診療の

先生も将来的にそうなるんじゃないかとお話さ

れていました︒

吉田 宮崎での初期治療でここは助かるという

エリアを円で囲っていったとき︑隙間は発生しま

すか?

落合 いい質問ですね︒当然あります︒たとえば

脳梗塞は︑発症して4.5時間以内に血栓を溶かす

薬を入れたら3割の人は良くなると言われま

すが︑宮崎県では︑この治療が行える施設は限

られています︒当然この治療ができない地域も

存在します︒ですから︑そういう地域では総合医

療の先生や救急の先生は︑専門外でも診なくて

はいけないわけです︒またこの治療は︑限られた

時間で速やかに対応しなければならない︒よって︑

そのような地域の医師に対しICTを用いて遠

隔的に診療の支援を行い︑とりあえず応急治療

をして専門施設へ搬送していただくような取り

組みも行っています︒

吉田 県境を越えて各医療機関が協力してい

ることはありますか?

落合 そうですね︑災害時は県境を越えた運

用を余儀なくされますが︑ドクターヘリは平時

は県境を越える事はできません︒行政区域の問

題があるんですね︒佐賀と福岡と大分は自県で

対応できない場合は他県から入ってこれるとい

う協定を結んでいますが︑宮崎はまだです︒たと

えば︑高千穂町の患者さんを熊本の病院に送っ

てほしいという要請が時々あるのですが︑宮崎ド

クターヘリが基地病院から高千穂町まで迎えに

行くと30分かかります︒しかし大分ドクターヘリ

が基地病院から迎えに行くと15分くらいですみ

ます︒そういう意味で県境が関係なくなると本

当はいいのですが︑県によってドクターヘリの運航

方針も違うので難しいですね︒

中村 医療関係者側から行政に働きかける事

はできないんですか?

落合 もちろんできます︒行政の方に相談して︑

話し合って︑一緒に色々な事を変えて行く事は

とても大事です︒

原田 今後懸念されている事として南海トラフ

地震がありますが︑それについて何か取り組ま

れている事はありますか?

落合 まず︑宮崎大学付属病院でも年に1回︑

地震が起こったことを想定した大規模災害訓

練を行っています︒南海トラフ地震で津波が起こ

ると宮崎市の沿岸部は15分から20分の間に15

メートルくらいの津波が来ます︒宮崎大学付属

病院は高台にありますので︑津波の被害を受け

ない分︑患者さんは多くやってくることが予想

されます︒そのときの対応マニュアルは作成してい

ます︒毎年政府主催で大規模地震時医療活動

訓練を行っています︒これは︑大地震や津波被害

が発生したことを想定した訓練です︒今年度は

南海トラフ地震で四国4県と大分県︑宮崎県が

被災したという想定で︑現在訓練企画や災害医

療体制の見直しなどを行っています︒災害に関

係のある団体や部署との連携も深まってきてい

ます︒

宮崎で学ぶメリット

出口 先生は県立宮崎病院から宮崎大学に来

られたわけですが︑教育機関という部分での違

いはどうですか?

落合 大学には一般病院にない多くのマンパワー

があり︑いろいろな教育を実践できるという点

ではとても良い場所だと思います︒研修医の教

育にしても︑いろいろな方面と連携しながら多

くの症例を経験していただくことができます︒

また︑大学で学んだあとは地域で腕試しをして︑

その後にまた大学に戻って学ぶことができるの

も大学のメリットですね︒

中村 地域と都市部で医療現場に違いなどはあ

りますか?

落合 最近は︑医学部を卒業したすぐの初期研

修は自分の出身校などの慣れた病院で行い︑そ

の後の後期研修︵専門研修︶は有名病院に行き

たいという声をよく聞きます︒もちろん有名病

院は教育体制もしっかりしていますからそれで

もいいとは思いますが︑大都市圏は医療施設も

多いため幅広い診療はできず︑何かに特化しな

ければならない面があります︒また︑有名病院

は症例も多いけれども︑そこで研修する医師も

多いので︑結局一人ひとりが症例を経験する

チャンスが少なくなってしまう懸念があります︒

その一方で︑宮崎ではもともと人手不足ですか

ら︑少ない人数で幅広くなんでもやらないとい

けない︒おまけに医師も少ないから︑幅広く多く

の症例を経験できるというメリットがあり︑後

期研修も救急総合診療を目指すのであれば地

方が経験が広がると思います︒しかし︑とはいっ

てもやはり一回は大都市の有名病院に勤務し

たいと希望される医師もいますので︑私たちの

施設では︑研修している先生方が希望すれば︑ど

こかのタイミングで1年から2年程度希望する

有名病院へ研修にいっていただくように道を開い

ています︒そうやって一度外の世界を見てくると︑

﹁なんだ︑宮崎とあまり変わらないんだ﹂と安心

し︑宮崎の医療に専念できるようになる医師も

多いです︒若いうちは短期間でも一度は外の世

界を見に行かれるのもいいと思います︒

吉田 医療について情報発信する際︑宮崎で誇

れる事例などありますか?

落合 あります︒学会発表においても︑大都市

圏の施設からの発表は︑どちらかというと専門

を深く掘り下げる内容が多いのですが︑逆に地

方の施設からの発表は︑症例数では大都市圏の

施設にはかなわないものの︑総合的に幅広く情

報を発信できます︒どちらが良いというわけで

もありませんが︑地方でも決して大都市に引け

を取る事はないと思います︒

出口 私は以前︑工学部に所属していたのです

が︑工学部の学生も大きい都市︑大きい会社に

行きたがるんですよね︒当時は﹁よし︑頑張って

こい﹂と送り出す立場だったのですが︑今は地域

資源創成学部でどうしたら学生が宮崎に残って

くれるのか︑頭を悩ませています︒中村さんは将

来は地元宮崎で働きたいという事でしたが︑原

田君と吉田君は将来どうしようかと考えてい

ますか?

原田 僕は地元佐賀と宮崎が環境的に似てる

と思うので︑宮崎で経験を積んで︑その知識や経

験をいつか佐賀に持ち帰って︑佐賀で力になれれ

ばいいなと考えています︒

吉田 卒業して出ていく人というのは︑自分への

メリットがあるかどうかで判断していると思う

ので︑もっと宮崎のすごい所を発信していけば︑宮

崎に残るだけでなく︑地方のドクターヘリに乗り

たいという人などが都市部から宮崎に来たいと

思ってもらえるのではないかと思います︒

落合 そうですね︒頑張ります︒

出口 最後に落合先生から学生さんにメッセー

ジをお願いします︒

落合 勉強も大事ですが︑今は学生時代にしか

できない事にいろいろと挑戦してほしいと思いま

す︒就職すると仕事に追われ自由な時間も少な

くなってきますから︒医学部は特に卒業してか

らの勉強が大切ですので︑卒業したら︑一生懸命

やってください︒その時お願いしたいのが︑自分の

可能性を自分で狭めないようにしてほしいとい

う事です︒自分はこれしかしないというのではな

く︑自分の可能性を広げながら研修をしてもら

いたいです︒

 

後日︑中村さんが宮崎大学医学部附属病院

の採用試験に合格したとのうれしい知らせが!

お世話になる事があるかもしれませんね︒

ドクターヘリを有する宮崎大学医学部附属病院救命救急センターのセンター長であり、学生に救急医療についての講義も行っている落合秀信教授にお話を伺いました。

出口 近士(でぐち ちかし)宮崎大学地域資源創成学部教授大分県出身

対談後日ドクターヘリを間近で見学させていただきました!

「配属当初は血を見るのがダメでした。」と語るドクターヘリの操縦士中村浩二さん

落合 秀信 ( おちあい ひでのぶ )宮崎大学医学部附属病院救命救急センターセンター長 ( 併 ) 教授宮崎県出身

原田 遼平(はらだ りょうへい)宮崎大学医学部看護学科 2 年佐賀県出身

吉田 遼(よしだ りょう)宮崎大学医学部医学科 3 年神奈川県出身

中村 麻里(なかむら まり)宮崎県立看護大学看護学部看護学科 4 年宮崎県出身

西都

国富声

延岡

宮崎県立西都原考古博物館 

館長

     

 

 

大山 

江里子

延岡8代目鐘守

     

 

 

日高 

康彦

      

日高 

真理子

●フィールドミュージアム構想

 地域住民が︑自分の住んでい

るところをよく理解して︑地

域について﹁おらが村﹂のことを

理解していくことは︑現在の社

会で︑とても大切なことだと思

います︒

 

今︑国富町ではフィールド

ミュージアム構想というものを

すすめています︒これは︑国富

町全てがミュージアムであると

いう考え方で︑それを地域の住

民が検証しながら文化的な情

報を理解して発信していくこ

とです︒平成28年から始まり

ました︒

 

僕は地理の専門家で歴史の

専門家ではないのだけれど︑高

校︑大学で教員をしておった関

係で︑歴史関係の仕事をする

ことが多く︑町では郷土史の講

座も手伝っていました︒講座は

今までの活動を活かしながら︑

という思いで行っています︒地

域の歴史研究家が少ないので

どうやらお鉢が回ってきたよ

うです︒宮崎県史を作ったメン

バーに入っていたので︑そのメン

バーに声をかけて数人で国富

町内に史跡ガイドのボランティ

アを結成しました︒具体的に

フィールドミュージアムを進め

ることができる環境が整って

きました︒

 この活動は当初︑役場から

県外の事業者に依頼して推進

されていました︒ミーティングが

1回︑2回と行われ︑その後に

突然﹁コアエリア﹂という言葉が

資料にでてきました︒いきなり

の言葉だったので担当者に聞い

てみたら︑役場の人間と事業

者が決定していたもので﹁案で

す︒﹂ということでした︒県外の

方が主導してスマートな進め

方だと思いましたが︑そのよう

なエリアは参加できる住民が

集まったところから︑けんけん

ごうごうと意見交換をして︑

泥臭く作り上げたものが大事

だと感じていました︒現在は史

跡ガイドグループでけんけんご

うごうと話し合っています︒

 

四国巡礼八十八箇所︑昔は

四国に行けない人のためにお

遍路を各地につくった︒本庄

︵国富町︶ではかなりの広い範

囲でお大師様をたてた︒1日

では廻りきれないほどであった︒

子供の頃の記憶として︑お大師

様を台を出して女性がお接待

をした日があったことを︑はっ

きりと覚えている︒メンバー達

が八十八箇所を丹念に調べ上

げた︒残っているものもあれば︑

なくなってしまったもの︑自宅

で保管していたものもあった︒

メンバーが写真撮影して︑丁度

まとめたところです︒こういう

ものを残していくことが大切

だと感じている︒進めれば︑一

人歩きをして活躍する人達が

でてくる︒

●皆んなよそもの

 

肥後にしても薩摩にしても︑

ひとつの文化圏を築いて︑その

中での営みをし続けてきたわ

けね︒宮崎県︑日向の場合はい

ろんな藩があって︑日向といい

ながら実はアイデンティーがな

かった県なのね︒いろいろな藩

があって︑ひとつの文化圏を用

いなかったことが大きい︒そう

いう意味で︑よそから入ってき

た人たちは入りやすかったの

だと思う︒外から入った人たち

には鹿児島だったらすぐに﹁よ

そもの﹂となるが︑宮崎では︑

いってみれば皆んな﹁よそもの﹂

だった︒あれは高鍋だ︑佐土原

だ︑あれは天領だ︑あれは飫肥

だ︑皆んなお互いがよそもの

だった︒よそから入った人達は

ここで仕事もし易くて︑自分達

の先進的な知見を上手く活か

したことが︑宮崎の為になった︒

そういうことが目立つ県であ

るということです︒

●打って響かん

 てげてげもいいっちゃけどね︒

てげてげであってはならんとこ

ろが︑てげてげでは困る︒

 ひとつのテーマを立て︑行政

の目標として柱に掲げれて︑熱

い思いを役場の職員︑首長も

共有してほしい︒通り一遍の対

応で穏便に済ませるのではな

くて︑あえて波を立ててほしい︒

 

また︑今までの県内大学は

なにをして来たか︒COC+の

取り組みは︑時期を得た大変

価値があることと感じていま

す︒県民も期待しています︒

●ユニークな展示の博物館

 

現在︑西都原古墳では319基

の古墳が確認されています︒大

正元年に︑本格的な古墳の調

査が行われたのもこの西都原

が最初です︒その中でも男狭穂

塚古墳︵おさほづかこふん︶は

帆立貝形古墳では日本最大で︑

女狭穂塚古墳︵めさほづかこふ

ん︶ は九州最大の前方後円墳

です︒このふたつは陵墓参考地

︵りょうぼさんこうち︶といって︑

皇族の関係者が葬られている

可能性があります︒秋の古墳

祭りの時だけ公開されます︒

有形文化財は国宝ですが︑そ

れに相当する遺跡などにあた

る特別史跡に指定されていま

す︒

 

博物館は平成16年に﹁考古

学を通して過去を知り︑今を

認識し︑未来を想像する活力

を築く博物館﹂を基本理念と

して開館しました︒展示の方

法は独創的で︑東京や県外か

ら多くの方に評価をいただいて

います︒入場料は無料で︑ボラ

ンティアによる案内も無料です︒

 この博物館の特徴は古墳群

と一体となったフィールド

ミュージアムということです︒常

設展示ではなく︑常に新しいも

のを展示するということで常

新︵じょうしん︶展示を行ってい

ます︒

 もうひとつは︑ユニバーサルデ

ザインです︒ハンズオンといって土

器や模型に直接触れることが

できます︒ウェアブルの音声ガ

イドや︑触察ピクトといって視

覚障害がある方が手で触って

わかるような立体的なサイン

もあります︒無料のアプリでは︑

今いる博物館の場所や︑展示

説明も中国語︑英語︑韓国語

と多言語化できます︒

 

また運営では﹁NPO法人

iさいと﹂にミュージアムショップ

や予約など運営支援をして頂

いています︒眺めがとても良い

喫茶ラウンジは︑障害者支援

施設﹁うからの里﹂の方々に運

営して頂き︑働く場にもなって

います︒お客さんからはもとて

も評判です︒

●宮崎の豊かな時間の流れ

 

私は︑高校で家庭科の教員

から富島高校校長︑副館長を

経て現在館長を務めさせて頂

いています︒家庭科での﹁生きる

ための力や知恵﹂が︑いまに繋

がっているという視点から見れ

ること︑教育という立場から︑

考古学を知らないという県民

目線でも役に立てているかなぁ

と思っています︒

 宮崎は﹁人﹂・﹁自然﹂︑この文

化を大事にしていかなければ

と思っています︒手間暇かけた

りする時間が︑逆に豊かな時

間だということを︑もう一度気

付く必要があると︑感じていま

す︒都会の子供達は︑梅干しで

もお味噌でも︑お店に売ってい

るものとして思っているかもし

れないけれど︑梅から実を取っ

てしそとつけたり︑お味噌もそ

うですね︒そういう手作りをす

ることにかける時間に豊かさ

があって︑この文化が宮崎は各

地に残っていると思うんです︒

そういうことが贅沢なことだっ

て気付いて欲しい︒

●可能性を信じて

 

学生には︑社会に出たら想

定外のことが必ず待っているよ︑

と伝えたい︒答えもひとつでは

ないし︑色々な解決策があって︑

どれがベターかを柔軟に判断

する力がとても必要になりま

す︒先人達や過去に学ぶこと

を大切にしてほしい︒そして︑自

分で未来を切り拓く力をつけ

てほしい︒可能性は無限大︒自

分がこうなりたい︑ありたいと

想い描いて︑﹁欲しい!﹂と思わ

ないと絶対だめ︒そこから可能

性が出てくる︒可能性を信じ

て頑張ってほしい︒

●正確に鐘を撞く

 

卒業と同時に社会人となっ

て︑転勤族で九州内を転々と

していました︒早期退職を利

用して親のこともあるので︑宮

崎に帰りたいと考えていまし

た︒引越す前は福岡にいて︑延

岡で仕事を探すとなかなか思

い当たるものがありませんで

した︒福岡ではいろいろ仕事も

あるので︑どうしようかと思っ

ていた丁度その時に︑募集のこ

とを知りました︒夫婦でという

ことも条件にあったので︑家内

と相談して応募してみること

にしました︒住居も付いている

のはよかったです︒

 自分も小さな時は︑この鐘の

真下に住んでいたので︑生活の

中に何気に時の鐘がありまし

た︒延岡では︑時計がわりの生

活の一部となっている方も多く

いると感じています︒昨年10月

から鐘を撞いて皆さんの思い

を多く感じていますが︑まだま

だ余裕がないのが実感です︒

やっと一年経ちました︒今は思

いより︑正確に鐘を撞くことに

集中しているのが正直なとこ

ろです︒

●生活のリズム感

 

都市に住んでいるとバタバタ

と時間がすぎていきました︒時

間に追い立てられる感じでし

た︒延岡に戻ってきてからは︑

ゆったりしているので︑落ち着

いて暮らしている感じがします︒

実際民法テレビが二局しかあ

りませんが︑ケーブルテレビを

入れるとたくさんのチャンネル

が見れます︒相談してケーブル

を引かないことにしました︒見

ないと決めると︑﹁えっ !? こん

なに時間って沢山あったの?﹂

と感じます︒今まで︑テレビに

縛られていた生活をしていたこ

とを感じて︑その時間を楽し

むことにしています︒

 

延岡には日曜日がお休みの

スーパーがあります︒昔は当た

り前だったのですが︑都市部で

は考えられません︒こういう生

活感が残っていることは︑私た

ち昭和の人間には良い気がし

ています︒二人とも﹁ばぁちゃん

子﹂だった︒幼い時に刷り込ま

れた感覚に︑一世代前の保守

的な部分がある気がしていま

す︒延岡は懐かしい感覚があり

ます︒夜はちゃんと街が暗くな

るとか︑静かだねとか︒そうい

う感覚が丁度︑今の自分たち

には合っています︒

 こちらの人が﹁こっちは何に

もないでしょ﹂︑﹁つまらないで

しょ﹂とすごくリアルに言ってい

るのに驚きます︒ほんとは﹁何

もないけどいい場所でしょ!﹂︑

﹁都会にはない︑いいものもある

のよ!﹂って言ってほしい︒都会

からくると︑ここには新鮮なも

のがたくさんある︒自然はいっ

ぱいあるし︑﹁楽しんでください

ね日高さん!﹂って言われると︑

何か新しいことをやってみよう

かなと感じることができる︒

 

先日︑行縢山︵むかばきや

ま︶というところに連れて行っ

てもらいました︒﹁なんだこれ

は!﹂という絶景でした︒もの

すごく感動しました︒素晴ら

しい風景が普通にありすぎて︑

住んでいる人がわからないのだ

と感じています︒外からきたら︑

宮崎のありきたりな風景や︑

観光地はとても感動します︒

﹁昔はよかったんよ!﹂と言わ

れる方が多いのですが︑﹁今で

もいいから!﹂って伝えたい︒

迎える人達が﹁ここにおいで!﹂︑

﹁こっちはいいよ!﹂という発信

をもっとすれば︑多くの人が訪

れてくれると思う︒移住したい

人も増えると思う︒

●地域の良いところ

 

時代が違うと思いますが︑

私たちの学生の時代は︑県外に

出る流れがあった気がする︒当

時COC+みたいな地元企業

への取り組みがあったら絶対利

用したいと思う︒今は自由な

時代︒昔は世間を知る︑という

ことで都会に行った︒今は地方

にいても︑たくさん情報が取れ

る︒出たくなったらいつでも出

れる︒自分で︑今いる地域の︑い

いところを先ずは見つけてほ

しい︒それで物足りなさを感じ

て外へ出るというのは良いと思

います︒

国富町在住

     

 

 

 

杉尾 

良也