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(公社)日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会 NACS
東日本支部 標準化を考える会 田近秀子
電気通信大学ISシンポジウム
「信頼性とシステム安全学」 2016年3月1日(火)
子ども服の標準化(JIS L 4129(ヨイフク)
~消費者が主体となった安全性の確立~
1
どちらを選びますか?
危険性①②
3
①首周りのヒモ フード▶窒息
②ウエストから 下のヒモ ▶転倒 ▶ ひきずられ
子ども服に潜む危険性!
4
こんな事故が起きています!
首のがヒモが滑り台に引っかかり首がしまる
フードがドアノブに引っかかる
フード:規格対象外
▶事故は起こっている
5
こんな事故が起きています!
上着のヒモが自転車に巻き込まれる
ズボンの裾のヒモが乗り物に挟まれる
テーマ選択理由
(財)日本規格協会「標準化セミナー」に参加 2009年
1.欧米は、子ども服の安全規格がある
日本は公的な安全基準がない 2.日本でも子ども服の事故が発生? 安全規準を作り規格化する必要性
子ども服の安全対策 「統一安全基準の必要性」を取上げ
研究会の目的 消費者の声をJIS規格へ反映
アメリカ 1997年制定 米国材料試験協会(ASTM) イギリス 1997年制定 英国規格協会(BSI) 2007年改訂 先進的 EU 2004年制定 欧州標準化委員会(CEN) →加盟各国で適用
7
海外の子ども服安全規格
日本 公的な安全基準はない
アジア 中国・韓国・台湾 制定済
8
探したら・・・
あった! 東京都の調査 2006年 1,163人
“子ども服による事故” ■危害、危険、ひやり・ハットを経験した人→77% ■6人に1人の→実際に危害 ■事故をどこにも連絡していない人→96%
何かないの? なんでないの?
全日本婦人子供服工業組合連合会(全婦連) 2008年 “子供衣料の設計に関する安全対策ガイドライン”
1歳~12 歳 フード、フード及び襟首の引きヒモ、上着・ズボンの裾のヒモ等
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他に有用なデータはない
子ども服のJIS化を推進する ために
独自の調査を開始
百貨店、スーパー
ガイドラインを逸脱している商品 ごくわずか
インターネットで商品検索
フードの引き紐のついている商品 多数販売
10
全婦連ガイドラインの普及実態調査 (店頭・インターネット) 2010年8月~10月
危害内容
0 10 20 30 40 50
破損・折損
操作・使用性の欠落
その他
部品脱落
化学物質による危険
バリ・鋭利
異物混入
なし
針
ファスナー
皮膚障害
ボタン
危険内容
子ども服のヒモに関わる事故情報はない
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国民生活センターPIO-NETにおける事故事例調査 2004年4月~2010年9月(109件) 2010年10月情報開示請求
事業者アンケートの実施 2010年11月~12月
目的
全婦連ガイドラインの周知度合い フードやヒモ、装飾品の取り付け基準はあるか 統一した基準づくりが必要か
依頼数 70社 百貨店:9社 スーパー:4社 メーカー・販売・通販等:57社
回答数:25社 回答率 : 35.7%
回答:25社
(1)知っている 20社(80%) (2)知らない 5社(20%) (1)の場合、貴社での対応は いかがですか? 回答 ①対応済み 8社 ②対応中 9社 ③今後対応予定 0 ④対応予定無し 1社 ⑤無回答 2社
8割が知っているが、対応は様々
アンケートの結果
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フードを採用する対象年齢の基準はあるか?
・ある5社(20%)=1歳から(1社) 4歳から(1社) 7~8歳から(1社)
・特にない14社(56%)
首周りに引きヒモを付ける対象年齢の基準はあるか? ・ある8社(32%)・・・つけない基準
2歳未満(1社) 100cm未満(1社) 4歳未満(1社)
8歳未満(1社) 12歳未満(1社)
・特にない4社(16%)
・その他9社(36%) ・無回答4社(16%)
各社の自主基準は様々で、安全対策はバラバラ
アンケートの結果
半数以上が統一安全基準は必要と回答 (1)必要 13社(52%) (2)分からない6社(24%)
(3)必要ない3社(12%) (4)無回答3社(12%) 回答数=25社
統一した安全基準は必要か?
アンケートの結果
子ども服の事故情報は極めて少なく、事故が適切に 報告される仕組みがない、行政が把握できていない
統一安全基準の策定は事業者にとってもメリット
中小・業界団体などに所属していないが多く、情報が行き届かない・一部の通販やインターネットでは危険な製品が多い。⇒業界全体の合意は難しい
現状と問題点
各社の自主基準は様々で安全対策のレベルはバラバラ
このままでは今後も危険な商品が消費者の元に届く可能性が・・⇒調査結果をまとめ訴える!
消費者視点で安全性の確立を
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意見交換 2011年4月~9月
経済産業省
消費者委員会
キッズデザイン 協議会
子どもが事故にあう可能性を放置するのは社会にとってリスクがある
親のリスク認識を高める努力が消費者にも必要
事故情報の調査や事業者との協議を踏まえた規格原案の作成を考える
産業技術総合 研究所
病院・消防署との連携がポイント JISは、行政ではなく、事業者自ら作るべき
子どもを守る為に規格を作ろう
テーマ:子ども服の安全性と標準化
1.「子ども服の安全規格の必要性」について 発表・問題提起 2.パネルディスカッション 事業者~消費者~行政~消費者問題専門家
~半数以上はアパレル関連事業者~
標準化セミナー開催 2011年11月19日
パネルディスカッション
参加者 標準化は外圧に押されて行うべきではなく、事業者自らがすべき。 重篤な事故に繋がるケースを問題にして、消費者の意見は主観的でなく、 論理的に
事業者団体:ガイドラインの周知を目指しているが、標準化のために は外力が必要
消費者:危険性な子ども服を見せ、安全に配慮した基準の必要性
メーカー:各社の安全対策にはバラツキがあり、安全性のレベルは 十分ではない
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セミナー後のアンケート
統一した安全基準は必要か?
98%が必要・あった方がいいと回答
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読売新聞 子ども服 安全規格求める声
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試行錯誤・・・
自分たちの活動の 評価と広報
<講評>
子ども服の事故防止の重要な視点が網羅 調査内容は社会有用性が高い 提言をどのように公知化していくかが重要
リサーチ分野 子どもの安全安心デザイン子ども部門
第6回キッズデザイン賞受賞 2012年7月
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子ども服に潜む危険性と研究成果の周知が今後の重要な課題
子ども服の統一安全基準の早急な策定を提言
マスメディアの反響・威力
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各新聞の他 テレビ6番組、ラジオ2番組で 子ども服標準化問題が紹介(2012~2013年)
⇒視聴者からの意見・情報をフィードバックして貰う
暮らし解説
あさイチ
UP!
NHKTV
NHKTV
名古屋TV
メディアの取材から得た情報・意見
<事故事例> ・ズボンの裾のヒモがエスカレーターにひっかかり転倒 ・(見知らぬ男に)後ろからフードを引っ張られた
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<保護者等からの意見>
・フードは周りの物音が聞こえず危険 ・事故につながる危険性を予測しない保護者が多い ・以前から危険に思いこのテーマ待っていた ・ズボン裾のヒモなど危険な服が多すぎる ・シンプルな服がない ・子どもの活動を想像し安全第一で作ってほしい
メディアの取材から得た情報・意見
<教師・保育士からの意見> ・フード・ヒモの危険は以前から母親に伝えてきた ・デザイン重視の子ども服が安価に手に入る ・危険性を理解し協力してもらうことが難しい ・テレビでこのテーマを取り上たことは画期的! ・母親達との話題にし、 子どもの安全を守りたい!
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より良いJIS制定の為に2012年12月
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多くの自治体(保育課)
・子ども服の危険性について認識
・独自の決まりはない ・対応は各保育園に一任 保育現場(保育園・幼稚園) ・フードやヒモの危険性は認識 ・保護者に注意を呼び掛けている 親からは、「フードの無い子ども服が売ってない」
保育の現場調査(都内・多摩・神奈川)
事業者は保育現場の取り組みを知らない!
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新潟 NACS子ども服セミナー 2012年11月10日
寒冷地でのフードの必要性 母親 ・外出時、ちょっとフードを被せたい ・防寒着にはフードは必要・・・でも ・防寒着の下に着る=ふだん着る服には不要 新潟NHKが取材・放送→子育て世代から反響
大阪 NACS標準化セミナー 2012年12月2日
事業者と消費者の意見交換 消費者 ・リーディングカンパニーが率先してやるべき ・店頭で目立つように表示(ポップ)して欲しい 事業者 ・子ども服業界にリーディングカンパニーは存在しない ・安全性を強調するのは、他の商品を批判するようだ
JIS化に向けた検討会発足
消費者が主体的に関わり 消費者の声を規格に反映
経済産業省 事業者 検査機関
消費者(NACS) 30
先導調査委員会2012年 規格素案決定
Q あなたの服は、だれがえらんでいますか?
経済産業省「夏休み子ども見学デー」 2013年8月7日・8日 アンケート&意見聞き取り調査 回答数:194枚 (大人127人・ 子ども126人 重複あり)
実態調査 子どもの声を聞いてみよう!
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Q フードはすきですか?
<すき> ・かわいい ・雨の日に傘がわり
<どちらでもない> ・学校・幼稚園で禁止 ・かわいいけど引っ かかりそう
<きらい> ・じゃま ・あぶない
7割の子どもたちが どちらでもないか きらい
子どもの声
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Q. ヒモはすきですか? <すき>
・かわいい ・調節できる
<きらい> ・じゃま めんどう ・ひっかかる ・学校に着ていけ ない
<どちらでもない> ・あっても意味がない ・必要ない
8割の子どもたちが どちらでもないか きらい
子どもの声
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ステークホルダーエンゲージメントのメリット ○ 消費者(保護者や子ども達)・企業の意見を聞いた →実態把握、提言の根拠となり活動を後押し
○ 消費者とのコミュニケーションは企業にとってもメリット 例:積極的に協力し消費者セミナー参加・意見交換 →JIS原案作成委員会に参加・マスメディアも取り上げ宣伝効果大 消費者へのアピール・信頼に繋がる ※安全性について、いかに主導的な立場をとっていくかが重要
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JIS原案作成委員会がスタート2013年 2014年6月公表 2015年12月制定公示
~消費者が主体的に関わり消費者の声を反映~ 不信感(合意の覆し) 課題も(フードは参考など)
<背中のひも>
<股より下のすそのひも>
<頭、および首まわりのひも>
垂れ下がっているひもをつけることは できません。
後ろから出るひもは つけられません。
股より下に裾がある場合、垂れ下がったひもをつけることはできません。 (例:上着、ズボンの裾)
子ども服のヒモのJIS規格 (13歳未満が着用する子ども服が対象)
に7歳未満には、首周りのヒモに厳しい基準 ※フードは付属書
ISO/IECガイド50 (子ども14歳未満)
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~子どもの安全を守る為には どういうことに注意して取り組むか~ ISO/IECガイド51を基本に ・子どもは小さな大人ではない ・子どもの安全保護対策も大人の対策とは違う ・子どもが傷害を負うリスクを最小限に抑える 製品を開発
「子どもの安全性についての国際的な指針」 JIS化へ
ISO/IEC Guide 50のスタンスと内容
・子ども用製品に限らず、子どもが接触する全ての製品・サービス・ プロセスが対象→例:設計者・建築家・製造者・通信・サービス業
・子どもの特性から生まれる行動・使われ方は誤使用としない (シュレッダー・電気ケトル) ・リスクアセスメント→対策→残留リスクの提示 ・危険源の除去→発生確率・重篤度の低減 ・子どもの発達成長の特性と事故(身体的・生理的・運動・認知面要因) ・危険源:機械的(隙間・突起・転落)、熱、転倒・衝突、溺死、窒息など ・適切な安全対策→装置・設置・装着・行動誘発・表示
~日本からの提案~ 見えない子どもへの配慮、車のモニターやミ ラーを工夫し死角に入る子どもを捉える(マツダ)
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