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これからの日本に求められるアジア歯科医療協働

-アジアがいま願うこと、われわれが今できること-

抄 録 集

日 本 歯 科 医 学 会

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は じ め に

わが国における歯科医療は、欧米諸国に比較して遜色ないレベルに達し、ある領域では技術・

器材ともに最先端を突き進むものがあります。一方、日本歯科商工協会、日本歯科医師会および

本学会を含めた臨産学官で開発・上市した「デンタパックココロ™」は、今後の在宅歯科診療の

コアとなる機器といえましょう。併せて、昨年の11月11日(金)には、アジア諸国の国民が

本当に必要とする歯科医療や「デンタパックココロ™」を見本とした新しい診療キットの意義・

有効性についての意見交換がなされました。

これらを背景に、アジアがいま切実に願う歯科医療について確認・認識し、日本の歯科医療関

係者一人ひとりが、自らの取り組みについて明確化を図り、本当に必要な医療提供を見据えた

“アジア歯科医療協働”が求められています。

そこで、今回のシンポジウムを開催し、これからの日本に求められるアジア歯科医療協働に

向けた一歩を踏み出すことにします。

平成29年3月

日本歯科医学会 学術講演委員会

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これからの日本に求められるアジア歯科医療協働 -アジアがいま願うこと、われわれが今できること-

日 程

開催日時 平成29年4月23日(日) 10:00~14:00

開催場所 歯科医師会館 1階大会議室 (東京都千代田区九段北4-1-20)

≪司会進行≫ 学術講演委員会委員長 奈 良 陽一郎

10:00 【開会の辞】櫻 井 薫(日本歯科医学会常任理事)

【挨 拶】住 友 雅 人(日本歯科医学会会長)

10:10 【特別講演】座 長:住 友 雅 人(日本歯科医学会会長)

講 師:北 原 茂 実(医療法人社団 KNI 理事長)

演 題:世界を救う新しい医療 ~ 北原グループの挑戦 ~

11:10 -質疑応答- モデレーター:住 友 雅 人(日本歯科医学会会長)

11:30 -休 憩-

講演1~3担当座長:大 川 周 治(学術講演委員会委員)

11:40 【講演 1】講 師:黒 田 賢 一(日本歯科商工会)

演 題:わが国の超高齢社会対応型ポータブル器材パッケージと

アジア諸国における実情を踏まえた課題と展望

12:05 【講演 2】講 師:T h w e Z i n E i(東京医科歯科大学大学院4年生:ミャンマー)

演 題:ミャンマーにおける実際の歯科事情

12:20 【講演 3】講 師:小 林 健一郎(こばやし歯科クリニック)

演 題:モンゴル人のモンゴル人によるモンゴル人のための民間医療施設を創る

12:40 -休 憩-

講演4~5担当座長:福 本 恵 吾(学術講演委員会副委員長)

12:45 【講演 4】講 師:鈴 木 將 之(鶴見大学歯学部)

演 題:SCHECの歯科ボランティア活動における職種の役割

13:05 【講演 5】講 師:志 賀 千 尋(近藤歯科)

演 題:持続的なグローバル歯科人材の育成を見据えた取り組み

13:25 -質疑応答- モデレーター:奈 良 陽一郎(学術講演委員会委員長)

長谷川 篤 司(学術講演委員会委員)

13:55 【閉会の辞】小 林 馨(日本歯科医学会理事)

日本歯科医学会主催シンポジウム

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 医療とは「いかに人が良く生き、よく死ぬか、その全てをプロデュースする総合生活産業である」、北原グループは医療をそう再定義しています。 超高齢化が進み、もはや破綻寸前の日本の医療体制。医療を総合生活産業と捉えることで、破綻を回避する「新しい医療の形」が見えてきます。 医療は本来、病院という箱の中だけで行われるべきものではなく、電気・水道・保険・給食・農業・ITインフラなど、人々の健康に関わるあらゆることが医療になりうるのです。北原グループの本拠地である東京都八王子市では、独居高齢者が増加する社会に向けて、事前に記録した緊急時に受けたい医療や終末医療に対する意思表明の活用、IoTを使った生活に関する未来のシュミレートとそれに基づいた指導などを可能にするサービス「デジタルリビングウィル」や、医療者が生活全てをサポートする「トータルライフサポートサービス」、医療と自然と IoT の融合をコンセプトとした病院に代わる癒しの場「ヒーリングファシリティ」などの開発を進めています。 我々は医療の産業化の一つの形として、日本の医療の輸出も行っています。北原グループは、その国に実際に入り込み、地産地消の医療を構築することを目的とするアウトバウンドの医療輸出を進めています。2016 年 9 月にカンボジアのプノンペンに救命センターをオープンしました。ここでも、病院を建てるだけでなく、運営システム、教育システム、レストラン、ITインフラなど病院に関わる全てのノウハウを提供し、カンボジアの国とその医療の発展に貢献するのが狙いです。 八王子での取り組みも医療の海外輸出も目的は1つ、このままでは破綻する日本の医療を救うための革新を起こすことです。

学 歴1979 年 東京大学医学部卒業

職 歴1979 年 東京大学医学部附属病院 脳神経外科 研修1995 年 北原脳神経外科病院(現 北原国際病院) 開設

 救急・手術から在宅・リハビリテーションまで一環した医療を提供すべく,現在は医療法人社団KNI として八王子市内に 4施設,宮城県東松島市に 1施設を経営.

2016 年 カンボジアに病院を開院(9月)

著 書「病院」がトヨタを超える日(講談社+α新書)「病院」が東北を救う日(講談社+α新書)あなたの仕事は「誰を」幸せにするか?(ダイヤモンド社)

世界を救う新しい医療~ 北原グループの挑戦 ~

医療法人社団 KNI 理事長北 原 茂 実

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▼▼▼ 世界を救う新しい医療 ~ 北原グループの挑戦 ~

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 要介護高齢者の口腔実態調査に関する報告によれば、約9割には何らかの歯科治療のニーズがあるが、実際に受診した者は3割に満たないことが示されている。また超高齢社会を進む我が国においては、平成 28 年 11 月現在要介護者数が 630 万人に達しており、それに伴い歯科治療のニーズも拡大していることが推測される。 歯科産業界としては、日本歯科医師会、日本歯科医学会等の指導を頂きながら、経済産業省委託医工連携事業化推進事業において、在宅歯科診療用器材パッケージを開発し上市することができた。本パッケージは、診療に必要とされる器材が大量になるという歯科の特殊性に鑑み、可搬・軽量性とともに診療に応じて器材の組換えが自由に行えるという特徴を兼ね備えている。 歯科医療の支援を必要とする諸外国にとって、歯科医療先進国かつ超高齢社会にある我が国のポータブル型歯科器材は、可搬・軽量性の観点からは極めて有効であろう。しかし、それらの国々における歯科治療・器材へのニーズは我が国と大きく異なる。それらのニーズに対しては、現地からの情報収集は勿論、同時に地理的・経済的な環境要因を考慮した上での解決策提供が不可欠であり、我が国のポータブル型歯科器材を、そのままの形で応用することは難しいと考えられる。 本日は、昨年 11 月に日本歯科医学会のはからいにより実現した、留学生との意見交換会から、具体的にどのような対策が必要と考えられるかをお話したい。

学 歴1983 年~1984 年 テネシー州立大学留学1986 年 大東文化大学 卒業

職 歴1997 年 吉田製作所 入社

わが国の超高齢社会対応型ポータブル器材パッケージとアジア諸国における実情を踏まえた課題と展望

株式会社吉田製作所 国際本部 部長代理黒 田 賢 一

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わが国の超高齢社会対応型ポータブル器材パッケージとアジア諸国における実情を踏まえた課題と展望

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 私のふるさとミャンマーは、2015 年以来、劇的な変化を遂げ、民主化への歩みを進めることによって、国際社会にとって興味深い地域となっています。新しい政府は、各部門そして全領域における改善を成し遂げようと努力し、住民すべてを対象とする口腔保健を含めた医療システムの更なる改善に挑戦しています。 ミャンマーでは、う蝕と歯周病が主たる口腔保健問題といえます。少ない歯科医師数と低い国策費によって、農村部における口腔保健医療への“身近さ”には制限があり、全体的な口腔保健教育は依然として低いといえましょう。これら弱点を乗り越えるために、歯科機器、先進技術、学術的協力に対する国際支援は重要な役割を担っています。 現在、30 名以上のミャンマー人歯科医師が、日本国政府あるいは非政府団体の支援を受けて日本で研鑚を積んでいます。近い将来、我が国民のQOLを改善する技巧有能者や社会的責任を有する国際水準の歯科医師が、次第に増加すると信じています。一つ確かなことは、日本がそれら変化を支えてくださる私たちのありがたい国になるであろうことです。 今回の講演では、ミャンマーにおける本当の歯科事情や歯科専門職などについてお話し、また、我が国のニーズを踏まえたデンタパックココロ“ジュニア”に向けた希望などについて、述べさせていただきます。

学 歴2013 年 2 月 ミャンマー連邦共和国 ヤンゴン 歯科医学大学 卒業(B.D.S.取得)2014 年 4 月 東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 口腔機能再構築学講座 

う蝕制御学分野 入学

職 歴2012 年 11 月 ミャンマー連邦共和国 ヤンゴン SwelDaw歯科クリニック 

非常勤歯科医師(2013 年 9 月まで)2012 年 7 月 ミャンマー連邦共和国Myaungmya 病院 歯科センター 

ボランティア―歯科医師(2013 年 9 月まで)

ミャンマーにおける実際の歯科事情

東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科口腔機能再構築学講座 う蝕制御学分野 

Thwe Zin Ei

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▼▼▼ ミャンマーにおける実際の歯科事情

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 「モンゴル人のモンゴル人によるモンゴル人のための民間医療施設を創る。」というコンセプトのもと現地医療施設を、構想 2年、設立して 3年になる。その間、文化や制度の違いで道程は容易ではなくまた現状も変化の過程である。相互の共育も行い人材交流を重ね、歯科医師になる人材を創り出している。日本人が現地に定期的に訪れるモデルではなくモンゴル人に行動変容を促し、自立していくような事業計画を設計した。日本での歯学研修を短期ではあるが(最長 3ヶ月)を延べ歯科医師 6名、スタッフ 3人を受入れた。またモンゴルの歯科大学で講義をしたり、夏休みにウランバートルにて日本の歯科大学生と現地の歯科大生と交流会をしたり、賛同してくれる患者さんやスタッフ、企業に寄付を募り、衣服や歯ブラシの支援物資を保育園にプレゼントしたりした。ウランバートルとゴビで水質調査(フッ素濃度)をなどの研究も行ったりと様々な活動を行った。今回はその一部も報告する。今年は歯科訪問ユニットやマイクロスコープなど新しい器具を導入する。これによる新たな展開が楽しみです。将来は IT技術を使い遠隔診断、相互研修、医療ツーリズムも行っていきたい。日本の訪問歯科の技術を応用して遊牧民の子供たちへの検診や治療も行いたい。 このような活動が可能だったのも「人のつながり」がきっかけです。当日は現地のパートナーでありこの活動に影響されて自ら歯学部に入学したテムジン君もご紹介したいと思います。

学 歴1999 年 東京歯科大学 卒業1999 年 東京歯科大学歯科補綴学第一講座入局(歯科臨床研修医)2000 年 東京歯科大学歯科臨床研修医修了

職 歴2002 年 東京歯科大学歯科有床義歯補綴学専攻生入局2005 年 こばやし歯科クリニック開設(~現在に至る)2014 年 東京歯科大学歯科有床義歯補綴学専攻生修了2015 年 博士(歯学)の学位受領(東京歯科大学 老年歯科補綴学)2015 年 東京歯科大学老年歯科補綴学講座 非常勤講師

モンゴル人のモンゴル人によるモンゴル人のための民間医療施設を創る

こばやし歯科クリニック小 林 健一郎

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▼▼▼ モンゴル人のモンゴル人によるモンゴル人のための民間医療施設を創る

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 インドシナ半島に位置するカンボジア王国は、都市部の発展はめざましいものの、郊外の農村地域はいまだに電気も通っていない所が多い。 SCHEC(SupportforCambodianHealth,Education&Communities)は、カンボジアのシェムリアップ州を中心に、歯科診療活動と井戸提供活動の他に、小学校建設支援を行っている団体で、正式名称を「カンボジアの健康及び教育と地域を支援する会」という。 歯科診療活動は、乾季になる 11 月下旬に行われる。現在のメンバーは歯科医師、歯科衛生士、看護師、一般ボランティアの総勢 40 名程となる。 歯科医師は主に診療を行うが、一回で治療を完結することを考慮し、症状の軽い齲蝕以外は、抜歯になる事も多い。必要があれば複数名で協議し、方針を決定する。齲蝕処置では携帯式発電機を動力源に、ポータブルユニットのエアータービンや電気エンジン、手用切削器具で齲蝕を除去し、レジンやグラスアイオノマー充填を行っている。 歯科衛生士は診療補助をはじめ、器具消毒、スケーリング、TBI などを行う。TBI では視覚教材のエプロンシアターなどを用いて、現地小学生の理解向上に努めている。 看護師は診療補助と器具消毒の他に、患者急変時対応、スタッフの健康管理も行っている。血圧測定は電源を必要としない小型のアネロイド型を使用している。 一般ボランティアは患者の誘導と整理などを行う。気が付くと、子供たちが術者の真横にいたりするので、安全な診療と効率向上には、ボランティアの方々の協力が欠かせない。 今後は、カンボジアでの歯科医療体制を充実させ、将来的にはカンボジア国民で歯科疾患を減らせる環境づくりを目指している。

学 歴1997 年 聖学院高等学校 卒業1997 年 鶴見大学歯学部歯学科 入学2003 年 鶴見大学歯学部歯学科 卒業

職 歴2003 年 鶴見大学歯学部歯科麻酔学講座 歯科研修医2004 年 鶴見大学歯科麻酔学講座 診療科助手2005 年 東京都立清瀬小児病院 麻酔科 研修2006 年 鶴見大学歯学部歯科麻酔学講座 診療科助手2013 年 鶴見大学歯学部歯科麻酔学講座 学部助手2014 年 北水会記念病院 歯科・口腔外科 歯科麻酔 主任2015 年 鶴見大学歯学部歯科麻酔学講座 助教 (現在に至る)

SCHEC の歯科ボランティア活動における職種の役割

鶴見大学歯学部歯科麻酔学講座鈴 木 將 之

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 演者は、2013 年スリランカ首相府より招聘され、ペラデニア大学歯学部を視察した。ペラデニア大学歯学部はかつて日本のODAによって建造後、歯科技術移転されたが、現在は口腔がん治療センターなど主要部門において他国の支援を受け、無償資金協力によって整備された施設で自律的に運営されるという当初の支援目的は不十分な状態である。2015 年にはモンゴル国ウランバートルの基幹病院、クリニック計 15 カ所をチベット仏教センターの支援の下視察した。クリニックでは、最新の設備を備え一歯科医院内で全科の治療に対応する試みがなされている一方で、基幹病院では自費負担不可能な患者が長蛇の列を成し、放置したう蝕から蜂窩織炎を起こした子供が多く見られた。アジアは今、急速な経済発展が続き、新興市場に移行した国々においては、これまでのハードインフラ支援から脱却し、自国の高度医療人材育成(とくに女性歯科医師や衛生士)、日本型先進インフラ医療、医療産業の誘致など、新しいニーズが存在している。一方、日本は超高齢化時代を迎え、労働力・高度技能人材の確保、国際競争力の回復、少子高齢化対策は切実な課題であり、日本による先進的歯科医療教育支援や歯科インフラの導入は、お互いの目標達成に向けた「共有リソース」として永続的に協業できる関係(相互繁栄)、仕事を「発注する方」と「受注する方」という関係に縛られることなく、対等な関係(相互利益)をもたらすものとなる。さらにお互いを補完しあう「相互支援」によって稼働効率が向上する関係(相互補完)により、Win—Win であることが、次世代の真のパートナーシップであるといえる。

学 歴1996 年 3 月 日本歯科大学歯学部 卒業1996 年 4 月 日本歯科大学歯学部大学院 歯科臨床系専攻 入学2000 年 3 月 日本歯科大学歯学部大学院 歯科臨床系専攻 修了

職 歴2000 年 4 月 日本歯科大学附属病院 臨床研修生(総合診療科)2001 年 3 月 日本歯科大学附属病院 臨床研修生 修了2001 年 4 月 大泉学園町 近藤歯科 勤務      日本歯科保存学会 専門医

持続的なグローバル歯科人材の育成を見据えた取り組み

近藤歯科志 賀 千 尋

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▼▼▼ 持続的なグローバル歯科人材の育成を見据えた取り組み