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地域の実情に応じて、高齢者が、可能な限り、住 み慣れた地域でその有する能力に応じ自立した日常 生活を営むことができるよう、医療、介護、介護予 防、住まい及び自立した日常生活の支援が包括的に 確保される体制 「地域包括ケアシステム」の定義 (厚労省) 地域包括ケアシステムとは、高齢者などの生活上の安心、 健康を確保するために、医療や介護のみならず、福祉サー ビスを含めた様々な生活支援サービスが、サービス利用者 の選択に基づき、日常生活の場(日常生活圏域)で適切に 提供できる体制をもつシステムと考えている。 地域包括ケアシステムとは (広島県)

「地域包括ケアシステム」の定義 (厚労省) · 日常生活圏域 (30分でかけつけられる圏域) 介護 生活支援 医療 住まい 予防 最近の概念図

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Page 1: 「地域包括ケアシステム」の定義 (厚労省) · 日常生活圏域 (30分でかけつけられる圏域) 介護 生活支援 医療 住まい 予防 最近の概念図

地域の実情に応じて、高齢者が、可能な限り、住み慣れた地域でその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、医療、介護、介護予防、住まい及び自立した日常生活の支援が包括的に確保される体制

「地域包括ケアシステム」の定義 (厚労省)

地域包括ケアシステムとは、高齢者などの生活上の安心、健康を確保するために、医療や介護のみならず、福祉サービスを含めた様々な生活支援サービスが、サービス利用者の選択に基づき、日常生活の場(日常生活圏域)で適切に提供できる体制をもつシステムと考えている。

地域包括ケアシステムとは (広島県)

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住 民 ボランティア 保健福祉推進員 保健補導員 民生委員 企業・NPO (保健・医療・介護・福祉)

行 政 保健福祉センター 健康管理センター 地域包括支援センター 保険者等 国保連合会 保険者協議会

専門職

利用者

「 面 」 の 連 携

地域包括ケアシステムのネットワーク

- 地域連携システム、点から線へ、線から面へ ―

〔施設、相互連携〕

「線」の連携

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シームレスな医療・介護連携

専 門 職 専門施設

シームレス

医 療 リハビリ 介 護 在宅ケア

医療・リハビリ リハビリ 介 護 在宅ケア

中断

救命

救急

退院 医療・リハビリ

中断

(医療・リハビリ中断例)

(シームレスなサービス提供例)

救命

救急

退院 介

医療

連携

維持期

回復期

リハビリ

介護

施設

在宅

ケア

継 続

寝たきり

介護

リハビリ

再開・開始

リハビリ

(急性期)

行 政 住 民

自助・公助・共助・互助

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地域包括ケアシステム構築の手法

○ 農 村 型 ( 中山間地域型 )

○ 島 嶼 ・ 沿 岸 型

○ 都 市 型

○ 大 都 市 型

○ 団 地 型

○ その地域に見合ったシステムを構築

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1,479 1,450

1,484 1,516

1,513 1,564

1,587 1,625

1,676 1,740

1,814 1,841 1,867

1,965 2,040 2,070

2,136 2,181

2,209 2,240

2,247 2,281 2,301

2,348 2,332

2,343 2,340

2,359 2,345 2,325

2,308

2,276 2,313 2,312 3.8

3.4

3.3

2.8

1.8

1.1 1.0

0.9

1.1

0.9

1.0

0.8

1.0 1.0

0.9 0.8

0.6

0.8 1.0

0.7 0.8

1.0 1.0 1.0 1.0 1.0

1.11.2

1.0 1.0

1.2

1.11.0

1.2

0

500

1000

1500

2000

2500

0.0

1.0

2.0

3.0

4.0

S5556 57 58 59 60 61 62 63 H1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25

% 在宅寝たきり老人の割合

地域包括ケアシステムの成果

寝たきりの減

医療費伸び率の鈍化

経済効果

地域(まち)の活性化

(まちづくり)

0

100,000

200,000

300,000

400,000

500,000

600,000

700,000

800,000

昭和60

年度

昭和63

年度

平成3

年度

平成5

年度

平成7

年度

平成9

年度

平成1

0年度

平成1

1年度

平成1

2年度

平成1

3年度

平成14

年度

平成15

年度

平成16

年度

老人医療費(御調町) 562,014 557,584 610,654 653,886 668,895 676,120 660,518 714,384 631,991 642,995 628,529 647,548 664,371

同広島県平均 523,491 590,304 638,758 680,289 699,546 733,585 740,154 760,754 725,707 732,133 704,341 714,457 737,137

御調町一人あたり(国保)老人医療費(公立みつぎ総合病院) 金額

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長寿社会における“まちづくり”

保健・医療・介護・福祉と生活の連携

○ 環境、建築(住まい)、教育

○ 高齢者住宅

三世代同居住宅

○ 公民館

学校・保育所

ショッピングセンター

○ 就労(雇用)

特別養護老人ホーム

養護老人ホーム ○ ケアハウス(軽費老人ホーム) グループホーム 有料老人ホーム

○ 社会福祉協議会

住民参加

住民組織

保健福祉推進員

福祉事務所

(総合)福祉センター

住民参加

訪問看護ステーション

在宅介護支援センター

老人保健施設

ホスピス

地域包括支援

センター

健康増進センター

保健福祉センター

(健康管理センター)

保 健 所

病 院

診療所

一般

療養型 精神

結核

保 健 (健康づくり) 生 活

医 療 介護・福祉

(地域包括ケアシステムのイメージ)

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日常生活圏域

(30分でかけつけられる圏域)

介護

生活支援 医療

住まい 予防

最近の概念図

保 健

医 療

生 活

福 祉

介 護

地域包括ケアシステムのイメージ

〔医療を切り口として〕

〔介護を切り口として〕

( 山 口 昇 )

(地域包括ケアの5つの視点による取組み)

(厚労省)

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地域包括ケアシステムの課題 ○ 「人」と「金」 ○ 縦割りの歪(壁) ○ シームレスなサービス提供 (医療と介護、施設ケアと在宅ケアの連携) ○ 首長と住民の理解と協力 ○ 専門職の認識 → 地域包括ケアの概念の理解 →「人」をみる医療・介護・福祉 →「生活」の視点が重要 →「連携」多職種連携、医療介護連携、 「面」の連携の重要性

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望ましい病院(診療所)機能

診療機能Ⅰ(ハード) 施 設 ・ 設 備

患者にやさしいハード 診療機能 Ⅱ(ソフト) 理念 マンパワー チーム医療、看護の質 インフォームド・コンセント 医療の安全性 病診間・病病間連携 リハビリテーション、緩和ケア

運営管理 経営管理 → 人事考課 オーダリングシステム 電子カルテ レセプト電算化 その他 I T 化(情報の共有化、 費用対効果)

地域のニーズに

応える機能

診療機能 Ⅲ

(学術性、診療の質)

患者サービス 食事、療養環境

アメニティの向上

( 山 口 昇 )

保健福祉総合施設(総合保健施設)

在宅ケア、医療介護連携

包括医療、介護保険への対応

地域包括ケアシステムの構築

地域連携室の役割

点から線へ、線から面へ

地域リハビリテーション、在宅緩和ケア

(回復期リハビリテーション)病棟

※ 問題点は「人」と「金」

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新たな病院機能評価の概要(変遷)

病院機能 評価

更なる医療の質の向上のため、評価項

目だけでなく評価手法を含めた抜本的

な改定を実施した。

<3rdG:Ver.1.0の主な特徴>

・病院の特性に応じた機能種別の選択

・評価内容の重点化

・プロセス重視の審査

・継続的な質改善活動の支援

・付加機能評価(リハビリテーション機能

(回復期))の改定

特 徴

1996.2~ 2002.7~ 2013.4~

平成25年(2013年)4月より、「機能種別版評価項目 (3rdG:Ver.1.0)」を運用

第一世代

Ver.1.0~ Ver.3.1

第二世代

Ver.4.0~ Ver.6.0

第三世代 3rdG:Ver.1.0~

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地域医療が必修科目となった

意義とその背景(新医師臨床研修制度) ○ 医療の動向 CureとCare

Hospital Care、からHome Careへ

○ 社会の変容と医学・医療技術の進歩

○ 専門化・細分化の歪

○ 地域包括医療の意義

○ 医療と介護の総合的提供

介護保険制度の創設

○ プライマリ・ケアの重視

○ 専門化と総合性(包括医療)→ 総合診療専門医の誕生

○ 特定の医療現場の経験

在宅医療、へき地・離島診療所、中小病院、診療所

○ 医療介護総合確保推進法の成立

○ 国民のニーズに応える医療とは

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医療は変わる

社会保障と税の一体改革

社会保障制度改革国民会議

医療介護総合確保推進法

第6次医療法改正

医療提供体制の改正

医療計画(医療ビジョン)と介護保険事業計画の整合性

○ 専門医と総合診療医(総合診療専門医の誕生) 日本専門医機構で基準等検討(H.26)

○ 「地域包括ケアシステムの構築に資する在宅医療の推進」 (社保審医療部会)(H.25)

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地域包括ケアシステムと病院運営 (公立みつぎ総合病院)

○ 患者のニーズに応える ― 信頼度が高まる ○ シームレスなサービス提供 ○ 状態像に応じたサービスを提供 ○ スムーズな医療・介護連携 (多職種連携、ケアマネの活用) ○ 急性期から回復期、施設ケア、在宅医療まで、必要 な時に適切なサービス提供が可能で、ロスがない ○ 診療報酬上も相互にカバー ○ 当院では介護保険が医業収益の約1/4を占めている ○ 地域包括ケア病棟の新設 ○ 包括ケアを各部門毎にみると不採算部門が あるが、トータルでみれば採算ペースにのっている

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広島県における地域包括ケア推進センターの設置

○ 広島県の1つの組織として新設 ○ 全国にも殆んど前例がない → 知事の大英断 → 県の役割と責任を明確にしたもの ○ これらは高齢者保健福祉・介護だけでなく、医療面でも 地域医療再生計画の一環として地域包括ケア(推進)の 必要性を示したもの ○ 地域包括ケアシステム構築の手法はその地域毎にそれぞれ 異なってしかるべき → 県内125の日常生活圏域にそれぞれ125通り のシステムを構築 ○ これによって県民は老後安心して住みなれた地域で生活 出来る ○ 今後は広島から全国に発信していく

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広島県地域包括ケア推進センター

〔地域包括ケア推進センター 運営協議会〕

〔小委員会〕 ・ WTのリーダー ・ 有識者

多職種連携 推進WT

在宅ケア推進WT (地域包括支援センター)

地域リハビリ テーションWT

看取り部会

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「広島県地域包括ケア推進センター」の取組み(まとめ)

①チームケアの推進

②医療介護人材の育成を推進

③地域リハビリテーション体制の構築

④地域包括支援センターの機能強化

⑤専門相談の実施

⑥市町・地域包括支援センターの評価(アセスメント・指標の決定)

⑦モデル事業の実施(5類型化)

・チームケア推進モデル事業

・多職種連携推進研修会(個別研修会)

・地域リハビリテーション推進モデル事業

・地域包括ケア推進研修事業 (専門外知識取得)

・地域包括ケアシステム構築の類型化とそれに伴なうモデル事業

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ケアマネマイスター広島の誕生 ○ケアマネジャーのスーパーバイザー的存在

○広島県知事認定

(平成24年度より選考試験を経て誕生)

○広島県地域包括ケア推進センターや高齢者対策

推進等の関連各種会議に出席

○市町等の要請に応じ、アドバイザーとして出席

○自らの連絡会議、研修会等を開催

○県下の地域包括ケアに関するモデル事業等に参加

○県下のケアマネジャーの研修会等に講師として出席

○毎年5名程度誕生予定

(平成24年度4名、25年度3名、 現在計7名)

資料11

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地域包括ケアシステムのキーワード 1)連 携 医療介護連携(シームレス) → 総合確保(一体化) 多職種連携 行政、住民を含めた「面」の連携

2)在 宅 ○ Hospital Care から Home Careへ ⇒ 施設ケアと在宅ケアの連携、住まい ○在宅(医療)ケア(多職種連携による支援)、 リハビリテーション ○地域包括支援センターの機能強化(拠点)

3)地 域 ○Community based(住民参加) ○生活支援、見守り ○地域包括ケアシステム構築は ⇒ 地域(まち)づくりにつながる ⇒ 地域ぐるみのシステム

4)ハードとソフト

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医療・介護

地域包括ケア システム

医療・介護に支えられた 地域包括ケアシステム

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QOLとQOD

○ いかに生きるか → QOL (生き方) ○ いかに死ぬか → QOD 死に場所、死に方

(Good Death)

○ Good Death も 地域包括ケアシステムの一環 ○ 緩和ケア病棟、在宅緩和ケアも同様

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1) 超高齢社会をクリアするためには 地域包括ケアシステムの構築が不可欠 2) キーワード: ①連 携 ②在 宅 ③地 域 3) 「地域包括ケアシステム」は 地域(まち)づくりそのもの 4) 生活、人生の質 (QOL、QOD) 5) 市町村の役割責任と県の役割 6) 医療も変る → 「人」をみる医療・介護 → 総合診療専門医の誕生 (日本専門医機構の設置) → 地域医療介護総合確保推進法

おわりに