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「PRIMERGY BX920 S1」 国立大学法人 北陸先端科学技術大学院大学 様 「VMware」と「Citrix XenApp」を活用した、仮想化によるメリットを実現 大学内の共通ICTインフラ 環境として、 先進の学内 プライベートクラウド を構築 北陸先端科学技術大学院大学様(石川県能美市)では、学生・教職員・事務職員が共用 する全学共通のICTインフラ環境の再整備に乗り出しました。仮想化によるサーバ集約、 リソース最適化、そしてクラウド時代の新環境構築へ向け、仮想サーバクラウドシステムと して選ばれたのは、富士通のブレードサーバ「PRIMERGY BX920 S1」と、「VMware vSphere 4 Enterprise」+「Citrix XenApp」。このベストマッチングにより、先進の学内 プライベートクラウドを実現。学内ICTインフラ環境としての可能性を大きく拡げました。 左/情報科学センター 准教授(工学) 敷田 幹文 氏 中/情報科学センター 助教 博士(情報科学) 宇多 仁 氏 右/情報科学センター 助教 博士(政策・メディア) 小原 泰弘 氏 世界最高水準の研究と大学院教育を支える ICTインフラを整備する 北陸先端科学技術大学院大学様(以下、 JAIST様) は、次代の科学技術創造の指導的役割を担う人材の 育成を目的に、先端科学技術分野における世界最高 水準の研究と、それを背景とする大学院教育を実施 する新構想の国立大学院大学として1990年に創設さ れ今年で20周年を迎えられました。 世界のトップレベルをいく研究・教育を推進する上 で、その情報・研究データの生成・蓄積・利用をストレ スなく支える高度なICT環境の整備は不可欠です。そ のインテリジェント・キャンパスの基盤となる全学共 通のICTインフラを整備しているのが「情報科学セン ター」です。同センターでは、開学当初より、つねに他 大学の3年先を行く先進的かつチャレンジングなシス テムを導入してきました。同学にとっては、研究素材 という一面もあり、安定稼働とのバランスを図りなが ら、つねに最先端の設計・思想・技術を採り入れ、蓄 積し、応用・進化させるという視点で導入が進められ てきました。 仮想化によるサーバ集約、リソースの 有効活用へ向け、クラウド化を模索 その中で、4年前に導入されたのが、学生・教職員・ 事務職員が使うWindowsのターミナルサーバで、 120 台という規模の1Uサーバが所狭しと積み上がってい ました。しかしそれらの稼働状況を分析してみると、 24 時間オープンのキャンパスで、事務局・学生・研究室そ れぞれのサーバ利用頻度は時間によってバラツキが ありました。これらのサーバをなんとか効率化できな いか。例えば事務局は昼間100%使っていても夜は使 われずにいる、学生は24時間均等に使う、中には計算 すればするほど研究が進むという人もいる。ならば使 われずにあまっているリソースを上手く融通できない か。そこでリソースの最適化と有効活用をテーマに、 3 年ほど前からサーバの統合、クラウド化へ向けた模索 がはじまりました。 「仮想化、クラウドという環境が大学でどう活かせる か、安定的に、安全に、活用できるかどうか。2年前から 物理ノードにして3~5台程度の小規模な環境を作り、 徐々に評価を続けてきました。この2年間の良好な成 果に加え、これまでのシステムが更新時期を迎えたこ とも相まって、プライベートクラウドの導入に踏み切り ました」と、宇多氏は振り返られます。 「PRIMERGY」に「VMware vSphere 4」 「Citrix XenApp」でシステムを構成 導入されたシステムは、富士通のブレードサーバ 「PRIMERGY BX920 S1」の上に仮想化するためのハイ 12

「VMware 」と「Citrix XenApp」を活用した、仮想 …jp.fujitsu.com/journal/publication_number/330/journal330...仮想サーバを必要な数だけ作るというシステム。ター

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「 PRIMERGY BX920 S1」国立大学法人 北陸先端科学技術大学院大学 様

「VMware」と「Citrix XenApp」を活用した、仮想化によるメリットを実現

大学内の共通ICTインフラ環境として、先進の学内プライベートクラウドを構築

北陸先端科学技術大学院大学様(石川県能美市)では、学生・教職員・事務職員が共用する全学共通のICTインフラ環境の再整備に乗り出しました。仮想化によるサーバ集約、リソース最適化、そしてクラウド時代の新環境構築へ向け、仮想サーバクラウドシステムとして選ばれたのは、富士通のブレードサーバ「PRIMERGY BX920 S1」と、「VMware vSphere 4 Enterprise」+「Citrix XenApp」。このベストマッチングにより、先進の学内プライベートクラウドを実現。学内ICTインフラ環境としての可能性を大きく拡げました。

左/情報科学センター 准教授(工学) 敷田 幹文 氏中/情報科学センター 助教 博士(情報科学) 宇多 仁 氏右/情報科学センター 助教 博士(政策・メディア) 小原 泰弘 氏

世界最高水準の研究と大学院教育を支えるICTインフラを整備する 北陸先端科学技術大学院大学様(以下、JAIST様)

は、次代の科学技術創造の指導的役割を担う人材の

育成を目的に、先端科学技術分野における世界最高

水準の研究と、それを背景とする大学院教育を実施

する新構想の国立大学院大学として1990年に創設さ

れ今年で20周年を迎えられました。

 世界のトップレベルをいく研究・教育を推進する上

で、その情報・研究データの生成・蓄積・利用をストレ

スなく支える高度なICT環境の整備は不可欠です。そ

のインテリジェント・キャンパスの基盤となる全学共

通のICTインフラを整備しているのが「情報科学セン

ター」です。同センターでは、開学当初より、つねに他

大学の3年先を行く先進的かつチャレンジングなシス

テムを導入してきました。同学にとっては、研究素材

という一面もあり、安定稼働とのバランスを図りなが

ら、つねに最先端の設計・思想・技術を採り入れ、蓄

積し、応用・進化させるという視点で導入が進められ

てきました。

仮想化によるサーバ集約、リソースの有効活用へ向け、クラウド化を模索 その中で、4年前に導入されたのが、学生・教職員・

事務職員が使うWindowsのターミナルサーバで、 120

台という規模の1Uサーバが所狭しと積み上がってい

ました。しかしそれらの稼働状況を分析してみると、 24

時間オープンのキャンパスで、事務局・学生・研究室そ

れぞれのサーバ利用頻度は時間によってバラツキが

ありました。これらのサーバをなんとか効率化できな

いか。例えば事務局は昼間100%使っていても夜は使

われずにいる、学生は24時間均等に使う、中には計算

すればするほど研究が進むという人もいる。ならば使

われずにあまっているリソースを上手く融通できない

か。そこでリソースの最適化と有効活用をテーマに、 3

年ほど前からサーバの統合、クラウド化へ向けた模索

がはじまりました。

 「仮想化、クラウドという環境が大学でどう活かせる

か、安定的に、安全に、活用できるかどうか。2年前から

物理ノードにして3~5台程度の小規模な環境を作り、

徐々に評価を続けてきました。この2年間の良好な成

果に加え、これまでのシステムが更新時期を迎えたこ

とも相まって、プライベートクラウドの導入に踏み切り

ました」と、宇多氏は振り返られます。

「PRIMERGY」に「VMware vSphere 4」「Citrix XenApp」でシステムを構成 導入されたシステムは、富士通のブレードサーバ

「PRIMERGY BX920 S1」の上に仮想化するためのハイ

12

■システム構成(導入前/導入後)

PRIMERGY RX200 S2:80台(ターミナルサーバ120台、ラック7本)

PRIMERGY BX620 S2:40台

導入前

消費電力:48%削減設置スペース:70%削減

PRIMERGY BX920 S1:54台(ターミナルサーバ36台、ラック2本)

ETERNUS DX80:3台

導入後

パーバイザーとして「VMware vSphere 4 Enterprise」、

その上にいままで載せていたターミナルサービスの

仮想サーバを必要な数だけ作るというシステム。ター

ミナルサービスに関しては、学生・教職員の机上にある

シンクライアントからの接続部分に「Citrix XenApp」を

組み込んでいます。

 同システムについて宇多氏は「「PRIMERGY」は対

密度当たりのハードウェア数が他社に比べて非常

に高いですね。仮想化の部分でもVMwareや他のハイ

パーバイザー等、いろいろな構成パターンでご提案い

ただき、様々な観点から比較検討した結果、今回のシ

ステムを採用しました」と、語られます。

仮想化が多彩なメリットを生み出す 120台の物理ノードを約50台に削減。これにより消

費電力は48%減、設置スペースも70%減。当初この

120台のサーバを設置するのに7ラックを要していたも

のが2ラックに余裕で収まっている状態です。

 システムやハードウェアの更新、OSのバージョンアッ

プ等が容易にできるのも大きなメリットです。また、今

回のシステムでは、全てのサーバがクラウドのマネジ

メント・システム上で管理できるので、管理コストやオ

ペレーションコストの低減等にもつながります。さら

に、仮想化により新しいサーバのイメージが手軽に作

れるようになりました。必要に応じてリモートで簡単に

スケールアップできるようになり、数時間後にサーバ

を10台増やしておくといったことも、いとも簡単にでき

るようになりました。

 このように柔軟にいろいろなことができるようになっ

たのが、今回の非常に大きな特徴だと言えます。

学内クラウド化のさらなる魅力創造へ 「今後、ターミナルサーバ以外にもいろいろなものを

このシステムに載せることで、真の意味でのクラウドの

うまみというのが見えてくると思います。例えばソフト

の配付方法一つで、キャンパスのあり方やライフスタ

イルが変わる可能性もあります。いろいろなものが組

み合わさることの複雑さはありますが、それを超える

利便性を膨らませたい」と、小原氏は語られます。 

 一般的にサーバの稼働率は10~20%くらいですが、

様々なサーバを組み合わせ、あまったリソースをシェア

することで、平均10%だった稼働率を80%に引き上げ

られれば、8倍のシステムになる。そうした効率的な活

用で投資対効果を高めたいというねらいもあります。

 「今後、学内で仮想サーバを手軽に貸し出せるような環

境づくりを、いま考えています」と、宇多氏。敷田氏は「現

在のシステムを今後も発展させ、さらに進化した大規模

クラウドシステムを探究していきます」と、語られます。

 必要な人が、必要なサーバやソフトを、必要な時に、

手軽にスムーズに、安全に取り込めるサービスの提供

へ。JAIST様の学内プライベートクラウドを、今後も富

士通の技術が支えてまいります。

国立大学法人北陸先端科学技術大学院大学創  立  1990年 10月学 生 数 925名    教職員数 315名U R L  http://www.jaist.ac.jp/

(2010年4月 1日現在)

導入事例 / F UJITSU JOURNAL / JUL.-AUG.2010 13