1
お客様訪問 PESP USER'S SUCCESS デジタル印刷にカラーマネジメントのKCSは不可欠 ㈱ひらりは、アナログの製版専業の会社としてスタートし ているが、現在はオフセット印刷に加えてデジタル印刷を手 掛ける印刷会社に成長している。 「地方都市はどうしても小ロットのものが多いため、効率 をより高めなければなりません。そして、利益を上げるため には効率的な設備が必要です」と語る木下社長は、本年3月 にデジタル印刷機Impremia C70を導入している。 C70を選んだ理由を伺うと、「今までと明らかに違うとこ ろは、カラーマッチングが出来るか出来ないかです。カラー マッチングという見地に立った時に、KOMORIを選択する しかないわけです」と断言するように、カラーマッチングを 実現するK-ColorSimulator(K-カラーシミュレーター、以 下KCSで表記)を不可欠のソフトとして導入している。 オフセット印刷と遜色のないデジタル印刷 「当社では、PODやオンデマンド印刷と言わないで、“デ ジタル印刷”と言っています」と語る木下社長は、印刷会社と してのデジタル印刷にこだわりを持っている。 木下社長は、「C70の出力見本を見てオフセットと遜色の ない発色に正直びっくりしました。他メーカーでもいい色で 出力することはできます。でもオフセットの色と比べると、 『これはPODですから』とか『オンデマンドですから』という 言い方をよくされます。しかし、私は納得できませんでし た。印刷会社として商売しているからには、印刷から目をそ らして『それはそれ、これはこれ』という区切りをつけること はできません。印刷機による印刷がベースにあって、オフセ ットの色と遜色のない近似値でデジタル印刷ができるかが、 私たちには重要なのです。 KCSがあるのとないのとではまったく別物です。なけれ ば今までのPODと同じなのです。でもKCSがあることによ って“デジタル印刷機”に変わります。これが大きく違うとこ ろだと思います。C70とKCSの組み合せは、私たちが使っ てみたいプロユースのシステムです」と語る。 自分たちですぐにカラーテーブルが作り直せる 木下社長に、あらためてKCSのメリットについて伺った。 「従来のCMSソフトでは、カラーテーブルを作り直すのに かなりの時間と費用がかかっていました。だからいつでも時 間や費用をかけずにやれるKCSは、とても便利で武器になっ ています。『厳しい色の仕事だから色のチェックからやろう』 という時に、KCSがあれば印刷機側でチャートを刷ってカラ ーテーブルをすぐに作り直すことができます。また、主な紙 のテーブルを作っておけば大体の紙に合致しますし、さらに 本紙でチャートを刷って合わせ込みを行うことによって、よ り私たちの意識レベルに近づいたものをお客様に提案するこ とができます。例えば上質紙の場合、旧来のPODではテカリ が出たり奇麗に出てしまいますが、KCSを搭載したことによ ってオフセットの沈み感を再現できます。しかも自分たちで すぐに調整できることが非常に大きいですね」と語る。 色や表裏の見当がきちんと合う正確さ 小林課長にC70+KCSによるデジタル印刷ついて伺った。 「紙による色の出方の細やかな調整が自分たちでできるの が、一番の魅力ですね。オフセットでは上質には上質、マッ トにはマットの特有の色調や発色がありますが、限りなく近 い色合わせがデジタル印刷で実現できます。 実は、導入前は早い、安いというコピー機の延長のイメー ジでしたので、KCSというものが正直なところ理解できて いませんでした。実際に、KOMORIの説明を聞いて、出力 見本を見ると、オフセットと遜色ないのに正直驚きました。 それで導入することになったのです」と語られた。 新たな営業ができる素材や商材を研究 「今までのオフセット印刷の売り方ではなく、デジタル印 刷には新しい売り方、営業の仕方が必要」と語る木下社長 に、デジタル印刷の営業の仕方について伺った。 「デジタル印刷=オフセット印刷、それが私たちの基本ス タンスです。どちらか見分けがつかないクオリティでお客様 に提案しています。 例えば、お客様からプレゼン用として、印刷機で校正を刷 ってA4中綴じのパンフを10冊作って欲しいという話があ りました。当社は本機の色校正としてもC70を使ってお り、日常的にデザイン制作段階から本紙レベルでの校正をや っています。そこでお客様に新しい方法として、本紙を使っ てC70で作成する提案を行いました。そして、お客様には 『OKになればそのまま印刷機で刷れます。あらためて校正 を出す必要もなくなりますし、お客様にとって納期短縮や費 用削減にもつながります』というお話をしています。 また、成形状態のフィルムに出力すれば、そのまま1枚か らでも商品になります。今までは量産したものを売っていま したが、1枚作って1枚売ることは直に相手の顔も見ること ができます。それが次の商売や通常の印刷の仕事にもつなが っていくのではないかと期待しています。このように今まで と違った売り方、営業の仕方を多様に模索しながら、新たな 素材や商材を研究しているところです」と語られた。 直接のお客様を増やすための武器になる 木下社長に今後の展開について伺った。 「デジタル印刷は、印刷会社の心強い味方になります。直 接のお客様を増やすための武器にもなります。ですから、印 刷会社においてはKCSを1台でも導入すべきだと思いま す。カラーマネジメントを行って、色の統一性を絶えず図っ ておくことによって印刷会社としての生業を継続していけま すし、これからも紙を扱っていけるという自信にもつながり ます。私たちは紙を主体にものごとを考えていますので、こ れは“紙(神)様”を味方につけているということになります。 営業的、現場的なノウハウの積み重ねが、これからの自信に つながります」と語る木下社長は、加速度が増すデジタル印 刷の時代を見据えて、将来への自信を追求している。 Impremia C70とKCS の導入。カラーマネジメ ントのデジタル印刷で将来への自信を追求。 株式会社ひらり 株式会社ひらりは、バブル崩壊の翌年の1993年に製版専業の会社として創業。本 年20周年目を迎えているが、デジタル(CTP)化の活況の煽りを受けて2005年には印 刷業に業態を転換している。以来、リスロン40(菊全判4色機、コーター付)、エンス ロン29W(菊半裁寸延4色機)を導入して、薄物・厚物の両方の印刷に対応し、リーマ ンショックや東北大震災の苦境を乗り切ってきた。 そして、本年2月、「デジタル印刷の時代に入った」と判断した木下社長は、デジタルプ リンティングシステムImpremia C70とカラーマッチングソフトのK-ColorSimulator を導入している。その導入理由と成果について、木下社長、小林英一郎管理課課長にお 聞きした。 本社/北海道札幌市北区新川1条4-1-1 http://www.hirari.co.jp TEL/011-763-0088 ※KCS=K-ColorSimulator(カラーマッチングソフト) ON PRESS No.187 2013年9月号 ON PRESS No.187 2013年9月号 代表取締役社長 木下 一世氏 小林英一郎様 ㈱ひらり 社屋 KCS搭載のImpremia C70 K-ColorSimulatorセッティング画面

OP special 01-32 font - KOMORI-Kare · ってa4中綴じのパンフを10冊作って欲しいという話があ りました。当社は本機の色校正としてもc70を使ってお

  • Upload
    others

  • View
    2

  • Download
    0

Embed Size (px)

Citation preview

Page 1: OP special 01-32 font - KOMORI-Kare · ってa4中綴じのパンフを10冊作って欲しいという話があ りました。当社は本機の色校正としてもc70を使ってお

お客様訪問PESP USER'S SUCCESS

デジタル印刷にカラーマネジメントのKCSは不可欠㈱ひらりは、アナログの製版専業の会社としてスタートし

ているが、現在はオフセット印刷に加えてデジタル印刷を手

掛ける印刷会社に成長している。

「地方都市はどうしても小ロットのものが多いため、効率

をより高めなければなりません。そして、利益を上げるため

には効率的な設備が必要です」と語る木下社長は、本年3月

にデジタル印刷機Impremia C70を導入している。

C70を選んだ理由を伺うと、「今までと明らかに違うとこ

ろは、カラーマッチングが出来るか出来ないかです。カラー

マッチングという見地に立った時に、KOMORIを選択する

しかないわけです」と断言するように、カラーマッチングを

実現するK-ColorSimulator(K-カラーシミュレーター、以

下KCSで表記)を不可欠のソフトとして導入している。

オフセット印刷と遜色のないデジタル印刷「当社では、PODやオンデマンド印刷と言わないで、“デ

ジタル印刷”と言っています」と語る木下社長は、印刷会社と

してのデジタル印刷にこだわりを持っている。

木下社長は、「C70の出力見本を見てオフセットと遜色の

ない発色に正直びっくりしました。他メーカーでもいい色で

出力することはできます。でもオフセットの色と比べると、

『これはPODですから』とか『オンデマンドですから』という

言い方をよくされます。しかし、私は納得できませんでし

た。印刷会社として商売しているからには、印刷から目をそ

らして『それはそれ、これはこれ』という区切りをつけること

はできません。印刷機による印刷がベースにあって、オフセ

ットの色と遜色のない近似値でデジタル印刷ができるかが、

私たちには重要なのです。

KCSがあるのとないのとではまったく別物です。なけれ

ば今までのPODと同じなのです。でもKCSがあることによ

って“デジタル印刷機”に変わります。これが大きく違うとこ

ろだと思います。C70とKCSの組み合せは、私たちが使っ

てみたいプロユースのシステムです」と語る。

自分たちですぐにカラーテーブルが作り直せる木下社長に、あらためてKCSのメリットについて伺った。

「従来のCMSソフトでは、カラーテーブルを作り直すのに

かなりの時間と費用がかかっていました。だからいつでも時

間や費用をかけずにやれるKCSは、とても便利で武器になっ

ています。『厳しい色の仕事だから色のチェックからやろう』

という時に、KCSがあれば印刷機側でチャートを刷ってカラ

ーテーブルをすぐに作り直すことができます。また、主な紙

のテーブルを作っておけば大体の紙に合致しますし、さらに

本紙でチャートを刷って合わせ込みを行うことによって、よ

り私たちの意識レベルに近づいたものをお客様に提案するこ

とができます。例えば上質紙の場合、旧来のPODではテカリ

が出たり奇麗に出てしまいますが、KCSを搭載したことによ

ってオフセットの沈み感を再現できます。しかも自分たちで

すぐに調整できることが非常に大きいですね」と語る。

色や表裏の見当がきちんと合う正確さ小林課長にC70+KCSによるデジタル印刷ついて伺った。

「紙による色の出方の細やかな調整が自分たちでできるの

が、一番の魅力ですね。オフセットでは上質には上質、マッ

トにはマットの特有の色調や発色がありますが、限りなく近

い色合わせがデジタル印刷で実現できます。

実は、導入前は早い、安いというコピー機の延長のイメー

ジでしたので、KCSというものが正直なところ理解できて

いませんでした。実際に、KOMORIの説明を聞いて、出力

見本を見ると、オフセットと遜色ないのに正直驚きました。

それで導入することになったのです」と語られた。

新たな営業ができる素材や商材を研究「今までのオフセット印刷の売り方ではなく、デジタル印

刷には新しい売り方、営業の仕方が必要」と語る木下社長

に、デジタル印刷の営業の仕方について伺った。

「デジタル印刷=オフセット印刷、それが私たちの基本ス

タンスです。どちらか見分けがつかないクオリティでお客様

に提案しています。

例えば、お客様からプレゼン用として、印刷機で校正を刷

ってA4中綴じのパンフを10冊作って欲しいという話があ

りました。当社は本機の色校正としてもC70を使ってお

り、日常的にデザイン制作段階から本紙レベルでの校正をや

っています。そこでお客様に新しい方法として、本紙を使っ

てC70で作成する提案を行いました。そして、お客様には

『OKになればそのまま印刷機で刷れます。あらためて校正

を出す必要もなくなりますし、お客様にとって納期短縮や費

用削減にもつながります』というお話をしています。

また、成形状態のフィルムに出力すれば、そのまま1枚か

らでも商品になります。今までは量産したものを売っていま

したが、1枚作って1枚売ることは直に相手の顔も見ること

ができます。それが次の商売や通常の印刷の仕事にもつなが

っていくのではないかと期待しています。このように今まで

と違った売り方、営業の仕方を多様に模索しながら、新たな

素材や商材を研究しているところです」と語られた。

直接のお客様を増やすための武器になる木下社長に今後の展開について伺った。

「デジタル印刷は、印刷会社の心強い味方になります。直

接のお客様を増やすための武器にもなります。ですから、印

刷会社においてはKCSを1台でも導入すべきだと思いま

す。カラーマネジメントを行って、色の統一性を絶えず図っ

ておくことによって印刷会社としての生業を継続していけま

すし、これからも紙を扱っていけるという自信にもつながり

ます。私たちは紙を主体にものごとを考えていますので、こ

れは“紙(神)様”を味方につけているということになります。

営業的、現場的なノウハウの積み重ねが、これからの自信に

つながります」と語る木下社長は、加速度が増すデジタル印

刷の時代を見据えて、将来への自信を追求している。

Impremia C70とKCS※の導入。カラーマネジメ ントのデジタル印刷で将来への自信を追求。

株式会社ひらり

KOMORI/ON PRESS No.187/P07-08 2013.07.30 08.02x2 08.09 09.02

株式会社ひらりは、バブル崩壊の翌年の1993年に製版専業の会社として創業。本年20周年目を迎えているが、デジタル(CTP)化の活況の煽りを受けて2005年には印刷業に業態を転換している。以来、リスロン40(菊全判4色機、コーター付)、エンスロン29W(菊半裁寸延4色機)を導入して、薄物・厚物の両方の印刷に対応し、リーマンショックや東北大震災の苦境を乗り切ってきた。

そして、本年2月、「デジタル印刷の時代に入った」と判断した木下社長は、デジタルプリンティングシステムImpremia C70とカラーマッチングソフトのK-ColorSimulatorを導入している。その導入理由と成果について、木下社長、小林英一郎管理課課長にお聞きした。

本社/北海道札幌市北区新川1条4-1-1http://www.hirari.co.jpTEL/011-763-0088

※KCS=K-ColorSimulator(カラーマッチングソフト)

ON PRESS No.187 2013年9月号 ON PRESS No.187 2013年9月号

代表取締役社長 木下 一世氏

小林英一郎様

㈱ひらり 社屋

KCS搭載のImpremia C70K-ColorSimulatorセッティング画面