Upload
others
View
0
Download
0
Embed Size (px)
Citation preview
[P5.1.2] 吸着式ヒートポンプを用いた高効率灯油燃焼機器の開発
(高効率給湯器グループ)
松山第502研究室 ○大久保智浩、新藤貴志、田中靖国
子安通第501研究室 中塚康夫、遠藤幹雄
1. 研究開発の目的
地球温暖化防止に世界が一丸となって取り組むことを目的とする京都議定書が 2006 年 2
月に発効し、日本においては 2008~2012 年の 5 年間で温室効果ガスを6%削減(対 1990 年
比)することが要求されている。ところが民生部門(業務)における CO2排出量は 4.3%増加
(2002 年実績)となっており、この部門における削減実現が急務である。CO2排出に関する民
生部門の内訳を見ると、業務分野が約 55%を占め、この業務分野における熱エネルギー消費
の用途の約 25%を給湯が占めている。
これらの観点から、業務用給湯器の超高効率化を進め、エネルギー消費の削減を実現す
べきであり、その結果として CO2排出量の削減が実現されるといえる。超高効率化の手法と
して、吸着式ヒートポンプの採用を目論み、また熱源ボイラ単体の高効率化も目指す。
また昨今 CO2排出量削減の切り札とも称されている新エネルギー、所謂バイオ燃料にも対応
する燃焼器を開発し、更なる地球温暖化の対策としたい。
以上のことより、本研究の 終目標は「 吸着式ヒートポンプと石油燃焼式(新エネルギー
対応)潜熱回収型温水ボイラの組み合わせにより COP=1.3 が可能なシステムを開発する。」
事とした。
以下に開発の目標値をまとめる。
(1)吸着式ヒートポンプと高効率温水ボイラを組み合わせシステムの 適構成を決定す
る。
(2)高効率を目指すため、低位発熱量基準で 102%の潜熱回収式の温水ボイラを開発する。
(3)実機ボイラへ搭載可能な高ターンダウンレシオ燃焼機器(バイオ燃料など新エネルギ
ー対応)を開発する。
(4)NOx 排出濃度を灯油燃料で 40ppm(O2 0%換算)以下、CO 排出濃度 100ppm 以下とな
る燃焼要素技術を開発する。
2. 研究開発の内容
2.1 吸着式ヒートポンプの構造と作動方法
本開発において 重要パーツの一つとして位置づけられている吸着式ヒートポンプにつ
いて説明する。
吸着式ヒートポンプは、ケーシング、吸着剤、熱交換器、および冷媒から構成される。
ケーシング内に熱交換器が2つ以上取り付けられており、その周囲を取り巻くように吸着
剤、および冷媒が充填されている。また、ケーシング内は冷媒の飽和蒸気だけが存在する
低真空状態に保たれている。吸着剤にはゼオライト系、シリカゲル系、活性炭系などが多
く使用され、冷媒は通常は水が用いられる。当研究室では、シリカゲル系の吸着剤を吸着
剤として充填した吸着式ヒートポンプを使用した(1)。
吸着式ヒートポンプは、再生工程と吸着工程を繰り返して作動する。再生工程を開始す
る時点では、吸着剤は冷媒の蒸気を十分に吸着した状態である。このときに高温水などの
高温熱源を、吸着剤に接する熱交換器に通すと、吸着剤が加熱され、吸着していた冷媒蒸
気が脱離される。これが冷媒液と接触して凝縮し、凝縮熱が発生する。このとき冷媒に接
する熱交換器に水を通すと、この凝縮熱によって加熱され、温水が発生する。吸着剤から
の冷媒蒸気の脱離がこれ以上行われなくなった時点で再生工程が終了する。
再生工程が終了すると、吸着工程に移る。このとき、水の流路を電動弁などで切り替え
て、吸着剤に接する熱交換器に水が流れ、冷媒に接する熱交換器内を低温熱源が流れるよ
うにする。低温熱源とは室温の液体であり、低温の冷媒に熱を与えるものである。
吸着工程を開始する時点では、吸着剤は乾燥した状態である。また、凝縮が完全に終了
すると、容器内は低真空状態なので、冷媒の温度は室温より数℃程度低くなっている。こ
のとき、冷媒に接する熱交換器内に室温の水を流すと、冷媒温度は室温近くまで上昇して、
冷媒の蒸発が促進される。冷媒蒸気は吸着剤に吸着されて吸着熱を発生し、吸着剤に接す
る熱交換器内に水を通すと加熱されて温水が発生する。冷媒に熱を奪われて室温より低く
なった低温熱源は、大気熱、地熱、その他の未利用熱などを利用して室温近くまで戻され、
循環されて再び冷媒を加熱する。冷媒温度が室温近くまで上昇すると吸着工程が終了し、
再び再生工程に戻るという仕組みである。
このように吸着式ヒートポンプは高温熱源を駆動源として作動し、温水を発生すること
ができる。また、吸着工程では、大気熱などの外部の熱を利用しているため、結果として
COP=1 を超える高い効率を発揮する。本研究はこの性質を利用して、高効率の給湯器を開発
するものである。図 2.1-1 に吸着式ヒートポンプの構成と作動原理を模式的に示した。ま
た、図 2.1-2 に吸着式ヒートポンプを流れる各ラインの水の温度変化を示した。
図 2.1-1 吸着式ヒートポンプの構成と作動原理
吸着剤
水
切換
吸着剤
水
切換
高温熱源
低温熱源給水
給水
吸着剤
水
切換
吸着剤
水
切換
高温熱源
低温熱源給水
給水
20.0
30.0
40.0
50.0
60.0
70.0
80.0
90.0
0 200 400 600 800 1000時間(秒)
温度
(℃
)
④HP上入口 ⑤HP上出口 ⑥HP下入口 ⑦HP下出口
再生過程 吸着過程切換 切換
入力①
入力②(空気からの熱入力)
出力① 出力②
時 間
温度
(室温)
20.0
30.0
40.0
50.0
60.0
70.0
80.0
90.0
0 200 400 600 800 1000時間(秒)
温度
(℃
)
④HP上入口 ⑤HP上出口 ⑥HP下入口 ⑦HP下出口
再生過程 吸着過程切換 切換
入力①
入力②(空気からの熱入力)
出力① 出力②
時 間
温度
(室温)
再生過程 吸着過程切換 切換
入力①
入力②(空気からの熱入力)
出力① 出力②
時 間
温度
(室温)
図 2.1-2 吸着式ヒートポンプ各ラインの温度変化
2.2 吸着式ヒートポンプ給湯システム試験
試験装置は給湯器ユニットとヒートポンプユニットから構成される。給水がヒートポン
プユニットで予熱され、それを給湯ユニットが追い焚きして、設定温度の湯を作る仕組み
である。
ヒートポンプユニットは、主として吸着式ヒートポンプ、ラジエータ、プレート熱交換
器を備えており、これらの間を水が流れる4つのライン、すなわち高温熱源ライン、低温
熱源ライン、循環水ライン、および給水ラインが流れるようになっている。高温熱源ライ
ン、低温熱源ライン、循環水ラインは閉鎖系であり、内部を流れる水が循環するように、
フィルポンプなどの水循環ポンプが取り付けられている。
4つの水ラインの役割と流路について次に説明する。
高温熱源は給湯ユニットで作られる 80℃の高温水を使用する。高温熱源ラインは、高温
水が吸着式ヒートポンプに熱を与えた後、循環ポンプで給湯ユニットに戻されて、再び 80℃
まで加熱されるようにした。
低温熱源ラインは、低温熱源が吸着式ヒートポンプとラジエータの間を循環して流れるよ
うにした。吸着式ヒートポンプで熱を奪われて低温になった低温熱源水は、循環ポンプに
よってラジエータに導かれ、大気熱をもらって再び室温まで戻される。
循環水ラインは、吸着式ヒートポンプとプレート熱交換器の間を循環して流れるようにし
た。吸着工程・再生工程において吸着式ヒートポンプで生産した熱は、循環水ラインを流
れる水に伝えられた後に循環ポンプによってプレート熱交換器に入り、ここで給水ライン
を流れる水と熱交換され、再び吸着式ヒートポンプに戻される。
ヒートポンプユニットで給水は吸着-再生工程開始時点では高温熱源とほぼ同じ温度ま
で加熱されるが、終了時点ではほとんど加熱されない。このように温度が大きく上下する
状態で給水を給湯ユニットに導入すると、給湯ユニットが出湯温度を設定値どおりに正確
にコントロールできないので、バッファとなるタンクをヒートポンプユニット出口に設け
て、給水温度の平準化を図るようにした。
高温熱源
低温熱源
水
水
こうしてヒートポンプユニットで予熱された給水は給水ラインを取って給湯ユニットに
導入されて、そこで設定温度まで追い焚きされる。
今年度は、燃料消費量に対する効率UPに特に注目したため、効率の指標として、COP で
はなく連続給湯効率を用いた。連続給湯効率の測定は JIS S 3031 に準拠した。以下に連続
給湯効率の計算式を示す。
連続給湯効率(%)= ×100
給水が得た熱量を算出するために、電磁式流量センサによって給水流量を測定し、また、
T型熱電対によって温度上昇を測定した。給水が得た熱量は、高温熱源から得た熱量と低
温熱源から得た熱量の和と等しいはずである。これを確認するために、高温熱源と低温熱
源についても同様に流量と温度変化を測定した。また、燃料が消費した熱量を算出するた
めに、LPG 流量計あるいは灯油流量計を用いて燃料消費量を測定した。流量計と熱電対は計
測用ロガー(3)に接続し、データを収集して、エクセルで作成した解析プログラムにてデー
タ解析を行った。
図 2.2-1 に、吸着式ヒートポンプ給湯システム試験装置の模式図を示した。
図 2.2-1 吸着式ヒートポンプ給湯システム試験装置
燃料が消費した熱量 給水が得た熱量
高温熱源ライン 給水ライン
低温熱源ライン
循環水ライン
出湯給湯ユニット ヒートポンプユニット
ラジエータ
吸着式ヒートポンプ
プレート熱交換器循環ポンプ
高温熱源ライン 給水ライン
低温熱源ライン
循環水ライン
出湯給湯ユニット ヒートポンプユニット
ラジエータ
吸着式ヒートポンプ
プレート熱交換器循環ポンプ循環ポンプ
2.3 燃焼試験装置
試験装置の本体となる燃焼試験装置(4)は
図 2.3-1 に示す簡易貫流ボイラを改造した
もので、定格燃焼量 112kW(96,000kcal/h)、
熱出力 99kW(85,000kcal/h)である。
このボイラの燃焼室は、図 2.3-2 に示す
ように複数の水管をピッチ径 382mm の環状に
垂直配列して構成されており、燃焼室高さは
745mm である。配置された水管は燃焼室出口部を
除いて縦ヒレを介して密接している。
図 2.3-1 試験装置の概観写真
図 2.3-2 燃焼室の構造と燃焼ガス流れ
2.4 試験用燃料
試験用燃料としては表 2.4-1 に示す性状の灯油を使用した。
表 2.4-1 灯油の性状
色 - >+30
真発熱量 J/g 43,370
密度(15℃) g/cm3 0.7922
動粘度(30℃) mm2/s 1.298
引火点 ℃ 42.0
硫黄分 ppm 1
2.5 低 NOx、広ターンダウンレシオ燃焼機器のための検討
一般的な低 NOx 燃焼技術には自己再循環や濃淡燃焼、多段燃焼、希薄予混合燃焼などがあ
り、本研究で用いた燃焼器も自己再循環や濃淡燃焼を採用している。このような低 NOx 燃
焼技術の他に、NOx 低減技術として排ガス再循環や水噴霧などがある。排ガス再循環や水噴
霧といった NOx 低減技術は、さまざまな燃焼器に適用可能な技術であるが、その効果は燃
焼器のタイプや燃料性状によって左右され一様でない。
そこで本研究では2次空気ノズルを持つ空間保炎型燃焼器において、ωフロー缶体用に2
次空気ノズルを炉出口方向と反対側に向け傾斜させ火炎が炉の中央に維持できるバーナ構
造をベースにし、広ターンダウンレシオを成立させることを目標とした。
燃焼試験には図 2.5-1 に示した空間保炎型燃焼器を用いた。
図 2.5-1 空間保炎型燃焼器の構造
2.5.1 燃焼筒が燃焼性に与える影響
2.0 ガロン×60°ホローコーンタイプのノズルチップを使用して、2次空気流速が 23m/s
2 次空気ノズルの角度が 10°の場合に燃焼筒を取り付け燃焼筒が燃焼性に与える影響につ
いて調べた。燃焼筒は高さが 80mm のものを使用し、ノズルチップ先端から 20mm の条件で
比較を行った。表 2.5-1 に試験条件を示し、図 2.5-2、図 2.5-3 にバーナ構造を示す。
表 2.5-1 試験条件(燃焼筒が燃焼性に与える影響)
2 次空気ノズルの噴出口形状 16.0mm×10.0mm
2 次空気ノズル個数 8 個
2 次空気噴出速度 23m/s
燃料噴霧ノズル 2.0G×60°
燃焼筒スキマ 20mm
燃焼筒高さ 80mm
図 2.5-2 燃焼筒なしバーナ 図 2.5-3 燃焼筒ありバーナ
2.5.2 ターンダウンレシオ確認試験
2.0 ガロン×60°ホローコーンタイプノズルチップを使用して、2次空気流速が 23m/s 2 次
空気ノズルの角度が 10°、燃焼筒高さが 80mm、ノズルチップ先端から 20mm の位置に燃焼
筒を取り付けたの場合に、input 量が 100、75、50、30%の各条件で比較を行った。表 2.5-2
試験条件を示し、図 2.5-4 にバーナ構造を示す。
表 2.5-2 試験条件(ターンダウンレシオ確認試験)
2 次空気ノズルの噴出口形状 16.0mm×10.0mm
2 次空気ノズル個数 8 個
2 次空気噴出流速 23m/s
燃料噴霧ノズル 2.0G×60°A
燃焼筒スキマ 20mm
燃焼筒高さ 80mm
Input 量 100%、75%、50%、30%
図 2.5-4 終形状バーナ
3.研究開発の結果
3.1 吸着式ヒートポンプ給湯システムの効率
100kW 級業務用無圧式温水ヒータ(効率 88%、低位発熱量基準)を用いて、図 2.2-1 で示
した吸着式ヒートポンプ給湯システム試験装置を組み上げ、出力および効率の評価を行っ
た。吸着式ヒートポンプについて、高温熱源、低温熱源、循環水の温度および流量の 適
条件を検討し、その条件で作動させたところ、ヒートポンプユニット単体の出力は約 15kW、
効率は 150~160%程度であった。
吸着式ヒートポンプ給湯システム全体の効率を図 3.1-1 に示した。点が実測値、実線は
ヒートポンプと無圧式温水ヒータそれぞれ単体の効率と出力から計算した予測値を示して
いる。これらがほぼ一致していることから、吸着式ヒートポンプの能力が試験装置におい
て、十分に発揮されていると判断した。
図 3.1-1 吸着式ヒートポンプ-給湯器組み合わせ試験結果
高効率の吸着式ヒートポンプ給湯システムを開発するためには、図 3.1-2 について重点的
に検討する必要があることがわかった。
図 3.1-2 高効率吸着式ヒートポンプ給湯システムの開発課題
0.0
20.0
40.0
60.0
80.0
100.0
120.0
140.0
0 20 40 60 80 100 120
熱源機出力(kW)
給湯
器全
体効
率(%
)
0
20
40
60
80
100
120
140
給湯
器全
体出
力(kW
)
出力(計算値)
出力(実測値)
効率(計算値)
効率(実測値)
温水ヒータ効率(計算値)
効率
(%
)
出力
(kW
)
温水ヒータ出力(kW)
0.0
20.0
40.0
60.0
80.0
100.0
120.0
140.0
0 20 40 60 80 100 120
熱源機出力(kW)
給湯
器全
体効
率(%
)
0
20
40
60
80
100
120
140
給湯
器全
体出
力(kW
)
出力(計算値)
出力(実測値)
効率(計算値)
効率(実測値)
温水ヒータ効率(計算値)
効率
(%
)
出力
(kW
)
温水ヒータ出力(kW)
<缶体>(問題点)・高温排ガスの熱が有効に使われていない。
排ガスからの14kWの熱回収による効率UPは計算上ヒートポンプ40kW分に相当。
(解決手法)・専用の潜熱回収熱交換器の開発。
<バーナ>(問題点)・低負荷運転時はON-OFF運転になり、給湯ユニッ
トの効率が低下する。定格の半分の出力の場合、効率は約6ポイント低下する。
(解決手法)・低負荷でもON-OFF運転にならない高ターンダウ
ン比バーナの開発。
<吸着式ヒートポンプ>(問題点)・出力が低い。また出力の割には寸法が大き
すぎる。(解決手法)・高出力かつ省スペースの吸着式ヒートポン
プの選定。
<プレート熱交換器>(問題点)・総括伝熱係数が小さい。また圧力損失が大
きい。(解決手法)・高性能かつ低圧損のプレート式熱交換器
の選定。
<缶体>(問題点)・高温排ガスの熱が有効に使われていない。
排ガスからの14kWの熱回収による効率UPは計算上ヒートポンプ40kW分に相当。
(解決手法)・専用の潜熱回収熱交換器の開発。
<バーナ>(問題点)・低負荷運転時はON-OFF運転になり、給湯ユニッ
トの効率が低下する。定格の半分の出力の場合、効率は約6ポイント低下する。
(解決手法)・低負荷でもON-OFF運転にならない高ターンダウ
ン比バーナの開発。
<吸着式ヒートポンプ>(問題点)・出力が低い。また出力の割には寸法が大き
すぎる。(解決手法)・高出力かつ省スペースの吸着式ヒートポン
プの選定。
<プレート熱交換器>(問題点)・総括伝熱係数が小さい。また圧力損失が大
きい。(解決手法)・高性能かつ低圧損のプレート式熱交換器
の選定。
3.2 低 NOx、広ターンダウンレシオ燃焼機器の確認結果
3.2.1 燃焼筒が燃焼性に与える影響
火炎の安定性向上、CO 濃度のボトム低減のために 2 次空気ノズルの下流側に燃焼筒を設
けた場合の結果を図 3.2-1 に示す。
燃焼筒を取り付ける事により CO 濃度のボトムが 0ppm まで低下し、さらに高 O2側に約 2%燃
焼範囲が広がった。ただし NOx 濃度については約 5ppm 程度増加したが、NOx 濃度について
は 25ppm 以下であり、目標値である 40ppm をクリアできていることが確認できた。これは、
燃焼筒を設置することで高温領域が形成され反応が促進されるため燃焼性が改善できたと
思われる。
図 3.2-1 燃焼筒が燃焼性に与える影響
3.2.2 ターンダウンレシオ確認試試験
燃焼筒が燃焼性に与える影響の試験結果により、ターンダウンレシオの確認を行った場
合の結果を図 3.2-2 に示す。結果として 45%負荷までは燃焼性が目標を上回ることが確認
できた。しかし、31%負荷では NOx 濃度は目標値を満たすが、CO 濃度が目標値である 100ppm
を超える結果となった。
0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 6.0
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
スモ
ーク
度
O2〔%〕
スモーク(燃焼筒なし)
スモーク(d=20mm・あり)
0
10
20
30
40
50
60
0
50
100
150
200
250
300
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
NOx濃
度〔
ppm〕
CO濃
度〔
ppm〕
O2〔%〕
CO(燃焼筒なし)
CO(d=20mm・あり)
NOx(燃焼筒なし)
NOx(d=20mm・あり)
図 3.2-2 ターンダウンレシオ確認試験結果
4.まとめ
4.1 平成19年度の研究開発のまとめ
①給湯器開発に関する課題抽出検討
給湯器の効率を上昇させるためには、ヒートポンプユニットの高出力化、排ガスの潜熱
回収、およびバーナの広ターンダウン化が も重要であることが明らかになった。
②低 NOx 広ターンダウンレシオバーナの開発
100%負荷時の燃焼性については目標値である NOx 排出濃度 40ppm(O2=0%換算)以下、
CO 濃度 100ppm 以下を満足し、O2=5%時に NOx 濃度≒23ppm(O2=0%換算)、CO≒0ppm である
ことが明らかになった。
また、上記バーナ構造のターンダウンレシオについては1:2が限界であることが確認
でき、これはターンダウンレシオを広げていくと、2次空気流速が遅くなり燃料と空気の
ミキシングが低下するために燃焼性が悪化していると考えられるため燃料と空気のミキシ
ング性能を向上させる必要があることが明らかになった。
4.2 今後の課題
100%負荷において目標燃焼性を満足するバーナ形状を決定できたが、ターンダウンレシ
オについては1:2が限界であったため、今後燃焼性を維持しながらターンダウンを広げ
る必要がある。また、吸着式ヒートポンプと高効率温水ボイラを組み合わせて 適運転方
法の検証、実証を行う必要がある。
0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 6.0
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
スモ
ーク
度
O2 [ppm]
スモーク度[101%]
スモーク度[73%]
スモーク度[45%]
スモーク度[31%]
0
10
20
30
40
50
60
0
50
100
150
200
250
300
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
NO
x濃
度〔
pp
m〕
CO[ppm
]
O2 [%]
CO[101%]CO[73%]CO[45%]CO[31%]NOx[101%]NOx[73%]NOx[45%]NOx[31%]