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2017.aug. vol.88

浅葱色に見えた夢Dramatic Kho TaoPhoto & Text : Kyu Furumi

MAPCLICK!

urpriseS驚き

　今回の取材期間中は海の透明度には恵まれなかった。タオに到着するなり、そんな情報が飛び込んではきたものの、落ち込んでいても仕方がないし、透明度は一晩で劇的に変わることもあるので、余計なことは一切考えずに撮影に臨んだ。数日たったある日。やはり透明度が回復する気配は感じられないが、一本潜り終わった船上に「サウスウエストピナクルにジンベエが出た」と連絡が入った。僕らを乗せたバンザイ号はポイントへ急行した。前に潜っていたダイバーたちが水面に浮い

ている。数名は見られたようだが、透明度が悪すぎて、断念しEXしたのだという。　やはり水中はかなり透明度が悪かった。大村さんと一緒に泳ぐ距離から推測すると5～6m見えていれば良い方か。粘って探すがやはり見当たらない。でも確かに気配は感じる。ダイブタイムは50分ほど経過し、気づけば大村さんとも逸れていた。一人そろそろEX を考え始めた時、僕の視界の右端の魚群が割れた。次の瞬間現れたのは待ちに待ったあいつだった。

ceanO海

タオの海はいつでもダイナミックだ

ceanO海

　「他の海ではなかなか見かけないと思うんですけど、タオにはなぜかいっぱいいて、今ちょうど求愛シーズンの真っ盛りなんですよ」とガイドの大村さんが話す。その魚はヨロイアジ。「ヨロイアジ……？」聞いたことがあるようで無いような名前。パッとイメージが思い浮かびそうだけど、浮かんでこない。実際にその求愛の現場まで連れて行ってもらうと、猛スピードで行ったり来たりする影が見える。ギラギラと光る銀色のボディ。しかも雄は身体を黒く興奮色に染め上げて、雌を追いかけ回しているぞ。すごいスピード感と迫力。ギンガメアジの求愛などとは違い、かなりアグレッシブな激しいチェイシング。これは撮影が難しいなぁとも思ったが、コツを掴めば意外なほど接近できたりもする。またじっくりと観察してみたい魚が増えた。

ブラックメタリックに輝く

ceanO海 魚群こそがタオの真骨頂

　透明度に苦戦させられた撮影ではあったものの、やはりタオの魚群は凄まじいものがあるし、ラッキーなことにジンベエにも出会えた。しかし今回は何より、透明度が悪いからこそ感じられることがある、という実感を持つことができた。なかなか具体的に説明することが難しいのだが、見えない（見難い）ことによって、すぐそばで起きている物事を想像したり、出来事に敏感になることによって、これまでとは少し違った感覚で潜ることができた。「生き物たちの気配を感じながら潜る」というべきか。まだしっかりと人に伝えるには少し整理が必要だけれども、そう思うと足元にいつも居てくれる小さな生き物たちの存在も余計に愛しく思えるようなった。

いつもそばにいてくれる安心感omanceRロマンス

　タオの魅力はダイビングだけにあらず。と高名な人物が言ったかどうかは分からないが、それは間違っていない。タオは欧米人のバックパッカーの間では、世界一のディスティネーションとして知られているので、ローカルタイ料理はもちろんのこと、インド料理、ハンバーガー、などなど様々な人気レストランが軒を連ねる。なかでも一押しなのがビッグブルー・チャバからも徒歩圏内のイタリアンレストラン「ファランゴ」。前菜からピッツァ、パスタ、ワインまで何から何まで旨い。それから個

人的に推したいのはローカルタイ料理のムーカタ。あまり日本では馴染みがないかもしれないが、焼肉と鍋を足して割ったような面白い料理。味は絶品、太鼓判。ビッグブルーのスタッフ陣は、食通が多いので、ぜひ遠慮せずに色々聞き出し、タオの街の食を満喫してほしい。最終日にダイビングができない時などは、タクシーボートでナンユアン島へ行き、素晴らしい展望を堪能するのも良いだろう。

タオへの旅の満足度は半端じゃない！

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