失敗事例に学ぶPM論 - AIRnet · 出典： A Guide to the Project Management Body of Knowledge (PMBOK®Guide) 2000 Edition

© Toshiba Solutions Corporation 2006

失敗事例に学ぶＰＭ論　

ソリューション第三事業部クロスインダストリーソリューション部　　　　　　　　　　　　　福本　勲　　（中小企業診断士、ＰＭＰ）　2006年 11月

(社)中小企業診断協会　東京支部　ＳＣＭとＩＴ経営・実践研究会　11月度定例会　

© Toshiba Solutions Corporation 2006 1

はじめに　　　　

IT経営を実践するためには、失敗プロジェクトを撲滅しなければなりません。

　ところが「現場」では様々な理由でプロジェクトの失敗が起きています。

　起きていることの幾つかは・・・これから話します。

　だからせめて・・・中小企業診断士はプロジェクトの直接の当事者であってもなくても、プロジェクトがうまくいかない理由とその処方箋は理解しておいて欲しいと思います。

　そのために敢えて恥を曝すような話をします。

　特に買い手側に立たれるメンバーには申し訳ない話もありますが良く理解しておいて欲しいと思います。　


東芝ソリューションにおけるプロジェクト標準化


プロジェクト管理手法により得られなければいけない効果プロジェクト管理手法により得られなければいけない効果

ＳＩｅｒにとって～

最善なＳＩ・コンサルティングサービスを提供できる

プロジェクト・アプローチに際して、成果物情報を共有できる

あらゆる規模のプロジェクトに柔軟に対応できる

人材（コンサルタント）の育成、管理を行うことができる

プロジェクト管理者にとって～

Work Breakdown Structure (WBS) による標準的なアプローチができる

WBSを柔軟に適用できる

プロジェクトに投入するスタッフのレベルを明確にする

高い生産性を実現できる

プロジェクトチームにとって～

ロールベースの視点でプロジェクトを見ることができる

成果物とその目的を明確にできる

タスクベースでアプローチを集約できる

標準化やガイドラインの設定ができる

低いLearning Curveが設定できる

クライアントにとって～

意志疎通が容易になる

長期的なビジネス要求に答えられる

一定レベルのサービスが期待できる

同レベルでの成果物が期待できる

ユーザー情報の活用が可能

ユーザー参画による開発を推進できる

ＰＭ手法の目的（本来の・・・）　


東芝ソリューションにおけるＰＭ標準化　　　

ＴＳＯＬプロジェクトタスク標準　ＩＳＤＳ（業務・アーキテクチャ・アプリケーション・環境・プロジェクト管理）

SP

企画・立案

RA

要求分析

BD

基本設計　

SD

システム設計　

PD

開発

IT

結合テスト

ST

システムテスト

CT

ユ｜ザテスト

OP

運用支援

MT

保守

プロジェクトマネジメント知識体系　PMBOK

勘と経験　　　　

システム維持

　全体の進め方をＰＪ全体で合意することが必要

　　　　　　　→納得できる運用・進め方　


　ＩＳＤＳが定義する工程は、企画立案、開発、テスト、運用保守の大きな４つの工程で構成されています。各工程はさらに細かく定義され、全部で１０工程に別れています。　

企画・立案：ＳＰ

要件分析：ＲＡＰＪ計画

：ＰＰ基本設計

：ＢＤ

基本設計：ＢＤｼｽﾃﾑ設計

：ＳＤ詳細設計：ＤＤ

ﾌﾟﾛｸﾞﾗﾐﾝｸﾞ：ＰＧ

単体ﾃｽﾄ：ＰＴ

ﾌﾟﾛｸﾞﾗﾑ開発：ＰＤ

結合ﾃｽﾄ：ＩＴ外部接続

ﾃｽﾄ：IFｼｽﾃﾑﾃｽﾄ

：ＳＴ

ｼｽﾃﾑﾃｽﾄ：ＳＴﾕｰｻﾞ検証ﾃｽﾄ：ＣＴ運用開始前

：ＯＰ１運用開始後

：ＯＰ２

運用支援：ＯＰ保守：ＭＴ

企画・立案開発

テスト運用

　ＰＪ全体の進め方を決定（重要）・・・・でもこの工程にはそれ程時間がかけられない　

東芝ソリューションにおけるＰＪタスク標準　　


PMBOK （プロジェクトマネジメント方法論、知識集約）

　プロジェクトマネジメントは、プロジェクトの要求事項を満足させるために、知識、スキル、ツール及び技法をプロジェクト活動へ展開することである。　プロジェクトマネジメントは、立上げ、計画、実行、コントロール、終結などのプロセス群を適用することによって達成される。

　　　

9つの知識エリア

9つの知識エリア

1.プロジェクト統合マネジメント2.プロジェクト・スコープマネジメント3.プロジェクト・タイム・マネジメント4.プロジェクト・コスト・マネジメント5.プロジェクト品質マネジメント6.プロジェクト人的資源マネジメント7.プロジェクト・コミュニケーション・マネジメント8.プロジェクト・リスク・マネジメント9.プロジェクト調達マネジメント　　

出典：　A Guide to the Project Management Body of Knowledge (PMBOK®Guide) 2000 Edition


ＰＪの失敗　　　

＝　関係者皆の失敗　

エンドユーザ　

受注者　

発注者　

ステークホルダー　

　　・・・・・・・・・


ＰＪを失敗させないためには・・・ポイント

　■可視化【見える化】　　　－　要件（当初／追加）　　　－　進捗（遅れ／先行）　　　－　課題／問題点／ＴｏＤｏ　　　－　設計仕様／図面　　　－　合意事項／決定事項

　■方法論【Methodology】　　　－　経験／ノウハウの集大成　　　－　合理的な手法　　　－　論理的な前後関係　　　－　工程毎の成果物（ドキュメント、プログラム、エビデンス）

　■可視化【見える化】　　　－　要件（当初／追加）　　　－　進捗（遅れ／先行）　　　－　課題／問題点／ＴｏＤｏ　　　－　設計仕様／図面　　　－　合意事項／決定事項

　■方法論【Methodology】　　　－　経験／ノウハウの集大成　　　－　合理的な手法　　　－　論理的な前後関係　　　－　工程毎の成果物（ドキュメント、プログラム、エビデンス）

＋＋　■共通の認識　　　－　言葉の定義　　　－　ＰＪ範囲（スコープ）　　　　　・・・・・・・

　■共通の認識　　　－　言葉の定義　　　－　ＰＪ範囲（スコープ）　　　　　・・・・・・・


失敗事例の分類　


　ＰＭの自責　　PMBOKのような「あるべき論」に

どうして届かないのか、届かせるにはどうしたら良いか

　他責　　ＰＭを理解しない　

　社内メンバ、クライアントとどの様に付き合っていくか　

本日の話における分類　


自責　


標準化は実施してきた　

　プロジェクト計画書(標準版）作成

　　　－　プロジェクト計画タスクにおける成果物の雛型として作成　　　－　スケジュール、体制、役割、運営ルールなどを定義すると　　　　　ともに必要な成果物フォーマットを含む。

　　　－　文書の作成はプロジェクト計画タスクでクライアントと合意

　　　　　の上実施するとともに、更新は、ＰＭタスクの合意・承認

　　　　　事項であることを定義。

　　　－　更新作業はプロジェクト期間中にＰＭＯなどの組織が行う。

　　　　　（ＰＭＯの必要性を定義）　　　

　プロジェクト計画書(標準版）作成

　　　－　プロジェクト計画タスクにおける成果物の雛型として作成　　　－　スケジュール、体制、役割、運営ルールなどを定義すると　　　　　ともに必要な成果物フォーマットを含む。

　　　－　文書の作成はプロジェクト計画タスクでクライアントと合意

　　　　　の上実施するとともに、更新は、ＰＭタスクの合意・承認

　　　　　事項であることを定義。

　　　－　更新作業はプロジェクト期間中にＰＭＯなどの組織が行う。

　　　　　（ＰＭＯの必要性を定義）　　　

　プロジェクトを実施しながら社内教育も実施　　プロジェクトを実施しながら社内教育も実施　


標準プロジェクト計画書の目次（ご参考）　

　体制と役割分担　マスタースケジュールとＷＢＳ　　会議体　進捗管理　課題管理　文書管理　成果物レビュー・承認手続き　変更管理　

　体制と役割分担　マスタースケジュールとＷＢＳ　　会議体　進捗管理　課題管理　文書管理　成果物レビュー・承認手続き　変更管理　


何故　啓蒙されないのか　　　

　教育の不足なのか？　　　　　　使う人のスキルなのか？　　

　教育の不足なのか？　　　　　　使う人のスキルなのか？　　

ＰＭだけでなくＰＪメンバの全てが把握して利用しているのか？　　=>恐らく、把握できているのは “失敗経験のある”ＰＭだけ　　

ＰＭだけでなくＰＪメンバの全てが把握して利用しているのか？　　=>恐らく、把握できているのは “失敗経験のある”ＰＭだけ　　

【PM】　・それ以外のメソッドで　　作られたものは見ない　　という姿勢があるか？？

【PM】　・それ以外のメソッドで　　作られたものは見ない　　という姿勢があるか？？

【PJメンバ】　・本当の意義を理解してい　　るか？？

【PJメンバ】　・本当の意義を理解してい　　るか？？

とは言っても・・・・　　　　　　■社員の生活はかかっています。　　■人の本能もある。　

とは言っても・・・・　　　　　　■社員の生活はかかっています。　　■人の本能もある。　


社内のカベ（SalesとPMの役割分担）　　


Golfに例えると・・・・本当は　　

ＰＡＲ５：ロングホール

３打で乗っけるよ！！

３打で乗っけるよ！！

２パットでいれるね！！

２パットでいれるね！！

ＰＭ　

ＨＡＰＰＹＨＡＰＰＹﾌﾟﾘｾｰﾙｽ　


Golfに例えると・・・・実際は　　

ﾌﾟﾘｾｰﾙｽ　ＰＭ　

ＯＢだ！！ＯＢだ！！チョロだ!!チョロだ!!

１つで入れてよ!!１つで入れてよ!!

次で取替そう!!次で

取替そう!! 無理だよそんなの!!無理だよそんなの!!

　はじまる前から破綻!!　　はじまる前から破綻!!　


何故　考えが違ってしまうのか　　

“人類は皆兄弟”とはいわないまでも　

　同じ会社の社員はせめて一丸で　

“人類は皆兄弟”とはいわないまでも　

　同じ会社の社員はせめて一丸で　


社内のカベ（ライン長とPMの役割分担）　　


現状問題のあるＰＪを何とか終わらせる

現状問題のあるＰＪを何とか終わらせる

現状問題の無いＰＪを問題ないまま終わらせる

現状問題の無いＰＪを問題ないまま終わらせる

優秀リソースの投入

悪魔のサイクル！！


PMBOKプロセス群と業務プロセスの対応

Initiating Processes(立上プロセス)


Planning Processes(計画プロセス)


Controlling Processes(コントロールプロセス)


Executing Processes(実行プロセス)


Closing Processes(終結プロセス)




失敗するＰＪ（カベ①）　　












ナビゲータ無しで道を走る

ナビゲータ無しで道を走る


失敗するＰＪ（カベ②）　　












そもそも実行　能力がない

　

そもそも実行　能力がない

　


マルチベンダ発注というクライアントのカベ　　　　　


　

発注者Ａ社　

受注者Ｙ社　　

受注者Ｚ社　　

マルチベンダ発注　

マルチベンダ発注のマネージメント（１）　　

受注者Ｘ社　　　

Ｘ社から見たＡ社とＸ社の分解ポイント

Ｘ社から見たＡ社とＸ社の分解ポイント


　

発注者Ａ社　

受注者Ｙ社ＰＭ　　　　

受注者Ｚ社ＰＭ　　


マルチベンダ発注のマネージメント（２）　　

受注者Ｘ社ＰＭ　　　　

プロジェクトマネージメントを実施すべき階層

プロジェクトマネージメントを実施すべき階層

サブマネージメントを実施すべき階層

サブマネージメントを実施すべき階層


　

発注者Ａ社　

受注者Ｙ社ＰＭ　　　　

受注者Ｚ社ＰＭ　　


マルチベンダ発注のマネージメント（３）　　

受注者Ｘ社ＰＭ　　　　

クライアントの期待する

マネージメント

クライアントの期待する

マネージメント

委譲/依頼をしたか??

マネージメントのサービスレベルが受注者外に及ぶことを伝えたか??

コストは??　　

委譲/依頼をしたか??

マネージメントのサービスレベルが受注者外に及ぶことを伝えたか??

コストは??　　















失敗するＰＪ（カベ③）　　












地図無しで道を走る

地図無しで道を走る


どうすれば良いか　　　

経営革新

業務革新

ＩＴ組織業務プロセス

Ｘ社

Ｙ社

・・

ＰＪ計画

ＰＪ計画

ＰＪ計画

ＰＪ計画共有

共有

共有

共有

全体のオーナは誰か！！立案すべき計画範囲は何処か？？

全体のオーナは誰か！！立案すべき計画範囲は何処か？？


　お金を払う側がマネージメントの最上層にいることを意識すべきである　

　お金を払う側がマネージメントの最上層にいることを意識すべきである　

重要な意識付け　


まとめ　　


プロジェクト計画　　　　　

　プロジェクトマネジメントを進めるための規約をプロジェクト内で合意。プロジェクトに発注者／受注者の区別は無いことを前提に共有。　　　　

体制と役割分担の定義会議体の定義スケジュール進捗管理品質管理ライブラリ管理成果物レビュー・承認手続き

文書／データ管理変更管理課題・検討管理機器管理設計管理　

体制と役割分担の定義会議体の定義スケジュール進捗管理品質管理ライブラリ管理成果物レビュー・承認手続き

文書／データ管理変更管理課題・検討管理機器管理設計管理　

ＰＪ開始直ぐにはじめるべき

ＰＪ開始直ぐにはじめるべき















Ｉｎ　ｔｈｅ　ｓａｍｅ　ｂｏａｔ．


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