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1 PMX エディタの手引き-1 Ryoichiro Debuchi MMD(MikuMukuDance) / MMM(MikuMikuMoving)用のモデルやキャラクターモデルを作成する方法は実 は確立されていません。いろいろな人が開発したツールやプラグインを使います。やり方も一通りではあり ません。ここでは、一番単純な Metasequoia と PMX エディタを使う方法を試します。 PMX エディタ ダウンロード とある工房 http://kkhk22.seesaa.net/category/14045227-1.html PmxEditor 029.zip (Windows 7 64bit) #32bit 環境では PMX エディタ 32bit 化パッケージで修正します。 PMX エディタとは 3D モデルに階層化ボーンを入れ、ウェイトを付けます。(スキニング) また、トゥーンシェード特有の質感(輪郭線、セルフシャドー等)を編集します。 表情を付けるためにモーフターゲットをいくつかセットすることもできます。 チュートリアル 1 PMX で 3D モデルの見かけを調整する 1) まず、メタセコイアで好きな形を作ります。材質も 適当に付けておきます。 2) ファイル→名前を付けて保存 →ファイルの種類: Direct3D Retained Mode (*.x)で保存します。(デフォルトは 拡大率 0.01 倍) 3) Pmx エディタを立ち上げます。Pmx 編集→ファイ ル→インポート (サイズ:任意 5 倍位がちょうどよいようで す。)

PMXエディタ ダウンロード とある工房 …2 4)Pmx編集→材質タブを開きます。 メタセコイアの材質名は残念ながら受け継がれないようです。「材質1」といった名前になります。

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Page 1: PMXエディタ ダウンロード とある工房 …2 4)Pmx編集→材質タブを開きます。 メタセコイアの材質名は残念ながら受け継がれないようです。「材質1」といった名前になります。

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PMX エディタの手引き-1

Ryoichiro Debuchi

MMD(MikuMukuDance) / MMM(MikuMikuMoving)用のモデルやキャラクターモデルを作成する方法は実

は確立されていません。いろいろな人が開発したツールやプラグインを使います。やり方も一通りではあり

ません。ここでは、一番単純な Metasequoia と PMX エディタを使う方法を試します。

PMX エディタ ダウンロード とある工房 http://kkhk22.seesaa.net/category/14045227-1.html PmxEditor 029.zip (Windows 7 64bit)

#32bit 環境では PMX エディタ 32bit 化パッケージで修正します。

PMX エディタとは 3D モデルに階層化ボーンを入れ、ウェイトを付けます。(スキニング)

また、トゥーンシェード特有の質感(輪郭線、セルフシャドー等)を編集します。

表情を付けるためにモーフターゲットをいくつかセットすることもできます。

チュートリアル 1 – PMX で 3D モデルの見かけを調整する

1) まず、メタセコイアで好きな形を作ります。材質も

適当に付けておきます。

2) ファイル→名前を付けて保存→ファイルの種類:

Direct3D Retained Mode (*.x)で保存します。(デフォルトは

拡大率 0.01 倍)

3) Pmx エディタを立ち上げます。Pmx 編集→ファイ

ル→インポート (サイズ:任意 5 倍位がちょうどよいようで

す。)

Page 2: PMXエディタ ダウンロード とある工房 …2 4)Pmx編集→材質タブを開きます。 メタセコイアの材質名は残念ながら受け継がれないようです。「材質1」といった名前になります。

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4)Pmx 編集→材質タブを開きます。

メタセコイアの材質名は残念ながら受け継がれないようです。「材質 1」といった名前になります。

パラメーターをいじってみましょう。

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材質色:

・拡散色 – 基本の色

・反射色 -反射する色

環境色―ベースに一様に付く色

非透過度-(0~1) 透過の割合

描画:

・地面影 – 地面に影ができま

す。

・セルフ影 – 自分自身の影を落

とします。

エッジ(輪郭):

・有効 -輪郭を付けます。

・サイズ-輪郭の太さです。

4) Pmx 編集→ファイル→

エクスポートで保存します。これ

は*.x ファイルで保存されます。

5) Pmx 編集→ファイル→

名前を付けて保存で保存します。

これは、*.pmx ファイルで保存し

ます。

6) MMM を立ち上げます。ファイル→モデル読み込みで*.pmx ファイルを読み込みます。ファイル→アクセサ

リ読み込みで*.x ファイルを読み込みます。

質感の違いを確認してみましょう。モデルは輪郭が付きますが、アクセサリには付きません。また、アクセ

サリの質感は通常の 3D のような質感が付きます。

モデルを選択するには左下の人アイコンタブを選んでから、モデルを右下のアイコンから選択します。ア

クセサリを選択するには左下のリングアイコンタブを選んでから、アクセサリを右下のアイコンから選択し

ます。いずれも、UIハンドルで移動/回転ができます。

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物理演算 (物理シミュレーション)

Bullet Physics Engine を使っています。

剛体とは?: MMD/MMM では、3Dモデルを目に見えない「剛体」で近似させて物理シミュレーションを行

います。剛体には球体、直方体、カプセル形が用意されています。

・剛体設定 – 重力による落下、剛体どうしの衝突判定を行います。

・Joint 設定 – 剛体どうしを Joint でつなぐと、リンク体としての重力、ばねの動きを行います。

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剛体タイプ:

・Bone 追従 – 関連ボーンの動きに100%追従します。→物理演算タイプとの衝突判定を行う。

・物理演算タイプ – さまざまな物理演算に従って動作します。

チュートリアル 2 – 物理シミュレーションその1 ボーリング

1) ボーリングのピン、ボール、バットをメタセコイアで作成します。すべて、ファイル→名前を付けて保存→

ファイルの種類:Direct3D Retainded Mode (*.x)で保存します。

2) Pmx エディタを立ち上げます。Pmx 編集→ファイル→インポートでボールの*.x ファイルを読み込みます。

材質を調整します。

3) Pmx 編集→「剛体」タブを開きます。左下の「+」で剛体を追加します。剛体名は BODY_0 等とします。

関連ボーン: 0:センター 剛体タイプ:物理演算 形状:球 グループ 1

サイズ/姿勢 半径:これはモデルの大きさによります。位置:x=0 y=0 z=0 回転:x=0 y=0 z=0

物理演算パラメーター 質量:1 移動減速 0.5 反発力:0.5 回転減衰:0.5 摩擦力:0.5 等とします。

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4) このままでは、ボーンを動かしてもボール本体が付いてこないのでウェイト塗りをします。

PmxView→「塗」でウェイト/UV 描画ダイアログがでます。「開始」ボタンを押せば頂点が黒点で出ます。「●」

ボタンを選び、ウェイト値を 100 にして、塗りつぶしのないようにボールの頂点をすべて赤に塗ります。

最後に Pmx 編集→情報→モデル名:と コメント:に「ボール」と入れておけば MMM で表示されます。

5) ボーリングのピンも同様に制作します。剛体設定は次のようにします。形状が「箱」になっているところが

違います。サイズはモデルによって変わります。

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6) 最後にバットを作ります。剛体設定は、剛体タイプがボーン追従になっているところが違います。

7) 下準備ができたところで、いよいよ MMM を開きます。

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ファイル→モデル読み込みで、ボール、ピン、バットを読み込みます。ピンは何度も読めば複数同じもの

が出せます。

8)物理演算→剛体表示をON、動作:常に演算をONにすると剛体が赤い枠で表示されます。これがモデ

ルを近似する剛体ですので、位置とサイズがあっているか確認します。合わない場合は、PMX エディタに

戻って剛体のサイズ/位置設定等を修正します。MMM のモデルは右下のモデルアイコンを右クリック→

モデル削除で消して、もう一度モデル読み込みをします。

9)物理演算→動作:再生時のみ演算にした状態で、ピンを配置します。右下のアイコンで真上からの視

点でボーンをドラッグすると配置しやすいです。すべて、フレーム 0 で「センター」にキーフレームを打って

おきます。同様にボールも適当な位置に配置してフレーム 0 でキーを打ちます。

10)バットでボールを打って転がします。バットも適当な位置に配置してフレーム 0 でキーを打ちます。次

にフレーム 3 辺りでバットを回転させてボールに当てて振り切るようにします。

11)アニメーションの長さを稼ぎたいので、左下のカメラアイコンを選んで、タイムラインにカメラを出し、フ

レーム 0 と例えばフレーム 100 にキーを打ちます。

12)左下をモデルに戻して、プレイバックボタンでアニメーションを再生します。うまく、ボールが飛んでピン

を倒せましたでしょうか? 実は物理シミュレーションはランダムが入っているので、一度一度結果が違

います。バットがかすったり、ボールがうまく飛ばなかったりすることもあります。何度かプレイバックして

みましょう。

ボーンアニメーションと物理シミュレーション

3DCG のキャラクターアニメーションにはボーンアニメーションがよく使われます。体モデル(スキン)に骨

にあたるボーンを入れて滑らかに変形させてアニメーションさせる手法です。また、物理シミュレーションと

して、ボーンが接続されたリンク体のアニメーションのやり方を学びましょう。

ボーンアニメーションの基本用語:

スキン --- ボーンで変形させられる3Dオブジェクト。

ボーン --- スキンを変形させる「骨」。始まりと終わりがある。

ウェイト --- ボーン変形は各頂点の各ボーンからの回転移動影響度を合計して計算します。

あるボーンがある頂点への影響度をウェイト(0~1)と呼びます。ウェイトはツールによってペイントのように塗

ったり、アンカーオブジェクトで指定する方法などがあります。

アンカー --- ウェイトを計算するときに、ボーンの影響範囲を3Dモデルで作って指定する方法があります。

この場合、その範囲を指定するモデルのことをアンカーと呼びます。

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チュートリアル 3 –物理シミュレーションその2 モデルにボーンを入れてふわふわ動く物体を作る

実は、PMX エディタではボーンを手入力で数値で入れて作成しなければなりません。ググってみれば

いろいろなやり方があるようです。

1) メタセコイアで適当なテストモデルを作ります。ここでは、細長い風船を作ることにします。

2) 新規オブジェクトを作成した後、面の生成→辺で、ボーンとなるラインを引いていきます。引いた後、移

動で頂点位置を調整します

3) ボーンとなるラインの各頂点を範囲 R 等で選択します。移動Vで移動ダイアログ表示されます。「絶対」

すればその頂点の座標がでるので、メモを取ります。すべてのボーン頂点の座標を調べてメモを取って

おきます。

4) モデルをいつものように*.x ファイルで保存します。

5) PMX エディタを立ち上げ、ファイル→インポートで*.x ファイルを読み込みます。

6) PMX エディタ→Pmx編集→ボーンでボーンを入れて行きます。手作業入力します。

・左下「+」で新しいボーンができます。

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・左下「×」で選択ボーンを消します。

・ボーン名で適切な名前を付けます。

・「位置」にメモを取った XYZ 座標を入れます。(スケールを変えている場合は注意!)二重丸のボーン

位置が表示されます。

・「親ボーン」は親となるボーンの番号を入れます。(センターの親ボーンは-1 です。)

・「表示先」は、「ボーン」にチェックを入れ、そのボーンの先となるボーンの番号を入れると針型のボー

ンが表示されます。(先端のボーンの親は-1 です)

番号付けの注意として、リストの上から下に向かって親子関係を保つようにします。枝分かれする場合

は下に続けていってもかまいません。順番がおかしいボーンは赤色になります。

・緑色のアイコンは回転と移動のできるボーンです。水色は回転のみです。設定は「性能」でできます。

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7) ウェイト入れ 実はウェイト入れは非常に難しい作業です。PMX エディタだけではなかなかうまくいかな

いのですが、とりあえず今回はすべて 100%の影響度でウェイトを付けてみてください。

PmxView から「塗」ボタンでウェイト/UV描画ダイアログを出します。開始でウェイト塗りが始まります。

頂点が表示されます。●ボタンで円状に塗ります。サイズは PmxView から「選」ボタンで選択オブジェク

ト管理ダイアログを出し、「範囲」で変えられます。「ウェイト値」を今回は「0」か「100」に設定して塗ってく

ださい。100%の頂点は赤色となります。Pmx 編集の「ボーン」タブから選んだボーンのウェイトが塗られ

ます。各頂点では各ボーンの影響度の合計=100 となるように調整されるので、一度塗ったところも勝手

に変化します!何度も塗り直すとそのうちうまくいくと思います。

8) 確認のためには、PmxView から「T」ボタンで TransformView を出します。ボーンを選ぶか直接ボーンを

クリックでUIハンドルが出るので、回してみて問題がないかチェックします。

9) 続いて物理演算設定します。ちょっとややこしいところです。図を参考にしてください。

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Pmx 編集→剛体 で左下「+」ボタンで剛体を追加します。名前は BODY_0 とします。

剛体タイプはボーン追従とします。他の設定は図で確認してください。反発力=1 です。

剛体を追加していきます。初めの剛体以外は設定が違います。剛体タイプは物理演算、反発力=0.1

にしています。剛体の位置に気をつけてください。関連ボーンの位置をいれます。

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10) 続いて Joint 設定します。図のように設定していきます。これも位置に気を付けてください。

11) うまくいきましたら、情報欄に「風船」等とモデル名を入れて、Pmx 編集→ファイル→名前を付け

て保存で、*.pmx ファイルで保存します。

12) MMM のファイル→モデル読み込みで読み込み確認します。

物理演算→動作:常に演算にチェックを入れ、センターのハンドルで移動/回転で動かしてみます。ぷよぷ

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よすれば成功です。センターをキーフレームアニメーションにすることももちろんできます。

エフェクト

MMM はリアルタイム 3D なので、エフェクトはプログラマブルシェーダーで作られており、グラフィックボード

で直接計算されています。そのため、アニメーションにしなくとも効果が確認できます。

MMM 用エフェクトのいくつかは開発ページからダウンロードできます。

https://sites.google.com/site/moggproject/mmm MikuMikuMoving 用に改変したエフェクト エフェクトは大きく次のものに分けられます。

・シェーダー(見かけ/質感)系

・パーティクル系

・カメラ効果系

#オリジナルシェーダーを開発することもできます。また、パーティクル系は.x モデルやテクスチャ画像を使

っていることが多いので、簡単に改造できます。

チュートリアル4– エフェクトを使う

MMM を開き適当なモデルを読み込んでおきます。

1)KiraKira を使ってみます。ファイル→エフェクト読み込み で解凍した KiraKIra.fxm を読み込みます。*.fxm

がシェーダープログラム本体です。ファイル→エフェクト有効を ON にします。キラキラ光る雪が降り始めま

す。MMM左下の星アイコンでエフェクトのパラメーターが表示されます。いろいろ試してみましょう。

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Sakura,Balloon も同様のパーティクル系の効果です。

2)blushed を使ってみます。同様にファイル→エフェクト読み込みで Brushed.fxm を読み込みます。

今回はファイル→エフェクト割り当てを開きます。モデル名がでるので、エフェクトをクリックして「Brushed」を

選び OK します。モデルがちょっとベルベットみたいな質感になります。

AdultShader,Mechanic_v2.0 も同様にモデルの質感を変えるシェーダーです。

3)SvDOF を使ってみます。同様にファイル→エフェクト読み込みで SvDOF.fxm を読み込みます。

これはカメラシミュレーションのシェーダーです。Extend パラメーターでぼける距離を設定できます。

SSAO,TrueCamer,MotionBlur も同様にカメラ効果のエフェクトです。

エフェクトのパラメーターにもキーを打ってアニメーションにすることもできます。