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Securitized Products Strategy JP モルガン証券株式会社 東京 2008 10 22 アナリストによる証明および投資銀行部門の顧客関係をはじめとする重要なディスクロージャーに関し ては本リサーチ末尾をご覧ください。J.P.モルガンは本リサーチでカバーした会社と取引関係にある、 もしくは今後取引をする意図があります。従って、投資家は本レポートの客観性に影響を与え得る利害 関係が存在する可能性をご理解ください。投資家は、本レポートが、投資判断の材料の一つにすぎない ことをご理解ください。 PSJ モデル 妥当性の検証と予測値の価格評価への応用 目次 1. はじめに PSJ モデル導入の目的 フォワード金利シナリオにおける PSJ 予測値の公表開始について 2. PSJ モデルとは 約定返済と繰上返済 PSJ モデル 3. 標準 PSJ モデルのパラメータの妥当性検証 住宅金融支援機構公開の繰上返済データ データフィッティング 4. PSJ 予測値の算出 期限前償還速度の予想 J.P.モルガン 住宅金融支援機構 プリペイメントモデル PSJ の算出と予想 CPR の比較 5. 価格評価への応用 MBS の価格指標 PSJ モデルによる価格指標の算出 PSJ モデルによる価格評価 6. PSJ 値の公表について 7. まとめ MBS ストラテジスト 正田 智昭 AC (03) 6736-1757 [email protected] 本稿は弊社リサーチ・サイト http://jmos.jpmorgan.com でもご覧いただけます。 http://www.morganmarkets.com

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Securitized Products Strategy JP モルガン証券株式会社 東京

2008 年 10 月 22 日

アナリストによる証明および投資銀行部門の顧客関係をはじめとする重要なディスクロージャーに関しては本リサーチ末尾をご覧ください。J.P.モルガンは本リサーチでカバーした会社と取引関係にある、もしくは今後取引をする意図があります。従って、投資家は本レポートの客観性に影響を与え得る利害関係が存在する可能性をご理解ください。投資家は、本レポートが、投資判断の材料の一つにすぎないことをご理解ください。

PSJ モデル

妥当性の検証と予測値の価格評価への応用

目次

1. はじめに

PSJ モデル導入の目的

フォワード金利シナリオにおける PSJ 予測値の公表開始について

2. PSJ モデルとは

約定返済と繰上返済

PSJ モデル

3. 標準 PSJ モデルのパラメータの妥当性検証

住宅金融支援機構公開の繰上返済データ

データフィッティング

4. PSJ 予測値の算出

期限前償還速度の予想

J.P.モルガン 住宅金融支援機構 プリペイメントモデル

PSJ の算出と予想 CPR の比較

5. 価格評価への応用

MBS の価格指標

PSJ モデルによる価格指標の算出

PSJ モデルによる価格評価

6. PSJ 値の公表について

7. まとめ

MBS ストラテジスト

正田 智昭AC

(03) 6736-1757 [email protected]

本稿は弊社リサーチ・サイトhttp://jmos.jpmorgan.com でもご覧いただけます。 http://www.morganmarkets.com

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2008 年 10 月 22 日 Securitized products Strategy 正田 智昭 AC PSJ モデル - 妥当性の検証と予測値の価格評価への応用 (81-3) 6736-1757 [email protected]

2

1. はじめに

PSJ モデル導入の目的

住宅ローン証券化商品(Mortgage Backed Security、以下 MBS)の期限前償還速度に関する

市場参加者共通の尺度として、平成 18 年 4 月、日本証券業協会により標準期限前償還

(Prepayment Standard Japan、以下 PSJ)モデルが導入された1。

MBS の投資価値判断には、元本の期限前償還の予想に基づくキャッシュフローの分析が

欠かせないが、期限前償還は担保となる住宅ローンの特性や市場環境など様々な要因の影

響を受けるため、市場参加者ごとにその予想シナリオは異なり得る。MBS 流通市場にお

ける取引活性化と流動性の向上のためには、期限前償還の速度に対する見方を相互に比較

する必要があり、期限前償還シナリオを簡便に表現できる、多くの市場参加者に利用可能

なモデルが求められる。

米国では、こうした考え方に基づいて 1985 年に The Securities Industry and Finance Market Association(当時 Public Securities Association)が PSAを導入し、現在も多くの投資家に活

用されている。これを参考に日本版の PSA(すなわち、PSJ)を導入するべきではないか、

というのが PSJ 導入に関する議論の背景である。

フォワード金利シナリオにおける PSJ 予測値の公表開始について

弊社では、期限前償還の金利シナリオ分析を重視する立場から、将来に渡って現在の金利

カーブが継続するという仮定の下で機構/公庫 MBS2の PSJ 予測値を算出、公表してきたが、

PSJ 予測値に対する投資家ニーズとして価格評価への応用が強まってきたことから、より

価格評価への有用性の高い、フォワード金利が実現するという金利の仮定の下での算出結

果についても併せて公表を開始する。

金利シナリオの変更により、ベースシナリオで 0.6 ポイントから 1.5 ポイント程度、PSJ予測値が低下する(表 1、図 1 左)。 イールドカーブをパラレルシフトするシナリオでは、

金利を 100bp 下げた場合での影響が大きい(表 1、図 1 右)。これは繰上返済のアットザ

マネーがこのシナリオ付近にあるので、金利の感応度が高いためである。特に WALAが

短い月次債でこの影響が大きい。

表 1:ベース金利シナリオによる PSJ 予測値の差

WALA -200 -100 -50 unch +50 +100 +200

月次債 0ヶ月以上30ヶ月以下 0.06 3.08 1.88 1.15 0.84 0.62 0.32

31ヶ月以上から60ヶ月以下 0.04 1.70 1.22 0.80 0.57 0.44 0.23

61ヶ月以上 0.01 1.76 1.60 1.04 0.67 0.47 0.31

S種債 - 0.02 1.62 1.57 1.04 0.66 0.46 0.33

イールドカーブシフト(bp)

出所:J.P.モルガン

コンスタントシナリオおよびフォワードシナリオでの PSJ 予測値の比較。コンスタントシナリオにおける PSJ 予測値からフォワードシナリオにおける PSJ 予測値を

引いた値の各カテゴリーにおける平均値。評価日は 2008 年 10 月 17 日。

1PSJ モデルの厳密な定義や各種指標の算出方法などの詳細については日本証券業協会 「PSJ モデルガイドブック」を参照。 2 住宅金融支援機構が発行した貸付債権担保住宅金融支援機構債券、およびその前身である住宅金融公庫が発行した貸付債権担保

住宅金融公庫債券。

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3

図 1: ベース金利シナリオによる PSJ 予測値の差

0.60

0.80

1.00

1.20

1.40

1.60

6.5 7.0 7.5 8.0 8.5 9.0 9.5 10.0 10.5コンスタントシナリオにおけるPSJ予測値 (%)

PSJ 予

測値

の差

(ppt

)

月次債

S種債

0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

2.5

3.0

3.5

-200 -100 -50 unch +50 +100 +200イールドカーブシフト (bp)

PSJ 予

測値

の差

(ppt

)

月次 (WALA 0-30)

月次 (WALA 31-60)

月次 (WALA 61-)

S種

出所:J.P.モルガン

コンスタントシナリオおよびフォワードシナリオでの PSJ 予測値の比較。縦軸はコンスタントシナリオにおける PSJ 予測値からフォワードシナリオにおける PSJ 予

測値を引いた値。評価日は 2008 年 10 月 17 日。

2. PSJ モデルとは

約定返済と繰上返済

MBS とは多数の住宅ローン債権を担保として、そのキャッシュフローを投資家に分配す

る証券である。MBS の元本償還は担保となる住宅ローンの元本返済に連動するため、

MBS は期限前償還のある長期の分割償還債という特徴をもつ。したがって MBS の投資価

値判断では、元本償還の分析、すなわち分割償還スケジュールの把握および期限前償還の

予想が重要となる。

MBS の担保となる住宅ローンの元本返済には「約定返済」と「繰上返済」の二種類があ

る。約定返済は、ローン契約のスケジュールに沿った元本返済である。一般に住宅ローン

の元本は毎月分割で返済され、元本と金利を合計した毎月の総支払額が一定となる元利金

等返済などが代表的な返済方法である。

繰上返済は、返済スケジュールを早めて元本を返済するものであり、債務者が任意でおこ

なう任意繰上返済と、延滞などの理由による代位弁済がある。任意繰上返済では、残存元

本の全てを一括返済することも、その一部のみを返済することも可能である。

ある程度の数の担保債権を有する MBS では、ほぼ確実に元本の期限前償還が発生し、約

定どおりに元本が償還されることは普通あり得ない。したがって元本償還は期限前償還の

発生を前提として考えなければならない。

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4

PSJ モデル

繰上返済速度の指標として、予定残存元本額3に対する月中の繰上返済額の比率である

SMM(Single Monthly Mortality-月次繰上返済率)もしくは、SMM を年率換算した CPR4

(Conditional Prepayment Rate -繰上返済率)が広く用いられる。

通常、すぐに返してしまうつもりで融資を受ける人はいないので、融資直後に繰上返済す

る債務者は少ない。その後、時間の経過とともに繰上返済が増えていくという傾向がある。

繰上返済のこの特性をモデル化するため、PSJ モデルでは CPR が以下で述べるような

WALAの関数として与えられるものとする。WALA(Weighted Average Loan Age-加重平

均経過期間)とは、担保ローンの融資からの経過期間を融資残高で加重平均したものであ

る。

PSJ モデルでは、CPR は WALA=0 での切片 CPR i %から直線的に増加し、シーズニング

月数 n ヶ月で水平 CPR r %に達した後はその値を維持する(図 2)。特に標準モデルでは、

i = 0%、n = 60 ヶ月に固定され、パラメータは r だけになる。これを「 r %PSJ」と表記す

る。切片 CPR とシーズニング月数をフリーにしたモデルはカスタマイズド・モデルとよ

ばれる。

図 2: PSJ モデル

加重平均経過期間(WALA)

期限

前償

還率

(CP

R )

ni

r

出所:J.P.モルガン

3 前月末の残存元本額から当月の約定返済額を減じた額 4 CPR という略語は、将来のある期間、繰上償還率が一定となることを仮定した Constant Prepayment Rate-均一繰上償還率モデル

の意味でも用いられる。

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3. 標準 PSJ モデルのパラメータの妥当性検証

住宅金融支援機構公開の繰上返済データ

住宅金融支援機構は、1985 年以降に融資されたローンについて、1996 年 5 月以降の繰上

返済の実績サンプルデータを公開している。この実績データへのフィッティングにより、

標準 PSJ モデルのパラメータの妥当性を検証する。

債務者が繰上返済する理由には様々なものが考えられるが、融資金利と現在の金利の差と

して定義される「金利インセンティブ」が、債務者の繰上返済に大きく影響することがわ

かっている。繰上返済と金利との関係は再投資リスクに直結するため、MBS への投資判

断においてもこの点は特に重要である。

経過期間と金利インセンティブの切り口で、データから繰上返済率の特徴を見てみる。ま

ず横軸に経過期間、縦軸に繰上返済率をとると(図 3 左)、繰上返済率は当初数十ヶ月を

かけて徐々に立ち上がること、50 ヶ月から 70 ヶ月程度でピークに達した後は徐々に低下

することなどがわかる。次に横軸に金利インセンティブをとると(図 3 右)金利インセン

ティブが上がるほど繰上返済が増えることがわかる。局所回帰の手法を用いてトレンドラ

インを引くと、その傾向はより明確になる。

図 3: 住宅金融支援機構公開の繰上返済データ

出所: 住宅金融支援機構, J.P.モルガン

機構公開データのうちローンの金消契約年月別の繰上返済サンプルデータである「スタティックデータ」を用いた。横軸は左図では WALA、右図では金利インセン

ティブ。プロットは CPRであるが、単月の CPRはノイズが大きいため、SMMを 3ヶ月累積して CPRに変換した。濃淡は左図では金利インセンティブ、右図では

WALAを表す。ラインは局所回帰の手法により求めた特定の金利インセンティブ(左)もしくは WALA(右)に対応する局所平均 CPRを表す。局所回帰の重み付け

はデータ特性に応じて適宜調整した。

繰上返済率がピーク後に徐々に低下する傾向は、ローンプール内の繰上返済に積極的な債

務者が概ね返済を終えてしまうと繰上返済率が低下する、バーンアウトと呼ばれる現象で

あり、過去に繰上返済率が高かったローンプールでより顕著になる。したがってバーンア

ウト現象のモデル化には、繰上返済の履歴を考慮する必要がある。

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データサンプル期間中、金利は概ね低下傾向にあったため、経過期間と金利インセンティ

ブをプロットすると、時間経過とともに金利インセンティブが上昇するデータに偏ってい

る(図 4)。データの特徴として、インセンティブがマイナスのデータは少ないこと、イ

ンセンティブがゼロ付近のデータも 150 ヶ月程度までしかないこと、インセンティブが

+3%付近のデータは長期間存在するが、当初の 50 ヶ月程度は存在しないことに留意する

必要がある。

図 4:住宅金融支援機構公開の繰上返済データ

出所: 住宅金融支援機構, J.P.モルガン

機構公開データのうちローンの金消契約年月別の繰上返済サンプルデータである「スタティックデータ」を用いた。プロットの色

は CPRをあらわすが、単月の CPRはノイズが大きいため、SMMを 3ヶ月累積して CPRに変換した。縦軸の金利インセンティブ

(incentive)は融資金利とその時点でのローン金利の差であり、大きいほどローン金利が低いことを意味する。

データフィッティング

標準モデルにおけるパラメータ設定(シーズニング月数 60 ヶ月、切片 CPR 0%)の妥当

性をデータから検証する。金利傾向に偏りがある影響を排除するため、金利インセンティ

ブと経過期間の平面上で局所回帰の手法を用いて、金利インセンティブごとにカスタマイ

ズド PSJ のパラメータを推定し、標準モデルと比較する。金利インセンティブの範囲は、 -1.0% から +1.5%とする。

まず、全てのパラメータ(シーズニング月数、切片 CPR、水平 CPR)をフリーにすると、

シーズニング月数は 48 ヶ月 ~ 99 ヶ月、切片 CPR は - 0.07% ~ + 0.11%が 適と推定され

た(表 2)。切片 CPR はほぼゼロとみなして問題ないと判断し、これをゼロに固定した

フィッティングでは、シーズニング月数は 51 ヶ月 ~ 72 ヶ月が 適という結果を得た。

マーカーの色は

CPR を表す

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表 2:カスタマイズド PSJ モデルによるデータフィッティング 金利インセンティブ -1.0% -0.5% 0.0% 0.5% 1.0% 1.5% シーズニング月数 48.5 54.0 60.0 68.0 80.2 99.5

切片CPR -0.07% -0.06% -0.03% 0.03% 0.09% 0.11% 水平CPR 3.38% 4.03% 4.77% 5.62% 6.61% 7.85%

金利インセンティブ -1.0% -0.5% 0.0% 0.5% 1.0% 1.5% シーズニング月数 51.9 57.3 62.0 65.5 68.9 71.9切片CPR (固定) 0.00% 0.00% 0.00% 0.00% 0.00% 0.00%

水平CPR 3.40% 4.06% 4.79% 5.58% 6.41% 7.24% 出所: 住宅金融支援機構, J.P.モルガン

金利インセンティブを固定し、WALA=1~180 ヶ月の範囲で局所回帰の手法により CPR の平均と分散を推定し、その結果にもっ

とも良くフィットするカスタマイズド PSJ モデルのパラメータを推定した。局所回帰の重み付けはデータ特性に応じて適宜調整

した。

局所回帰の結果と比較すると(図 5)、データはバーンアウト現象の影響を受けているた

め、立ち上がりの期間と推定したシーズニング期間は必ずしも一致していない。しかし、

バーンアウト現象はそれまでの繰上返済の履歴に依存するため、バーンアウト現象を含め

て過去のデータに完全にフィットさせることは、そもそも PSJ モデルの目的を超えるもの

である。

この点を考慮すれば、前後十ヶ月程度のばらつきがあるシーズニング月数の近似として、

60 ヶ月という値は十分許容範囲内である。結論として、住宅金融支援機構公表の過去の

繰上返済データと照らし合わせた結果、標準 PSJ モデルのパラメータ設定の妥当性は高い

といえる。

図 5:カスタマイズド PSJ モデルによるデータフィッティング

0 50 100 1500

2

4

6

8

10incentive = -1.0

WALA [month]

CP

R [%

]

0 50 100 1500

2

4

6

8

10incentive = -0.5

WALA [month]

CP

R [%

]

0 50 100 1500

2

4

6

8

10incentive = 0.0

WALA [month]

CP

R [%

]

0 50 100 1500

2

4

6

8

10incentive = 0.5

WALA [month]

CP

R [%

]

0 50 100 1500

2

4

6

8

10incentive = 1.0

WALA [month]

CP

R [%

]

0 50 100 1500

2

4

6

8

10incentive = 1.5

WALA [month]

CP

R [%

]

psjdata

psjdata

psjdata

psjdata

psjdata

psjdata

出所: 住宅金融支援機構, J.P.モルガン

金利インセンティブを固定し、WALA=1~180 ヶ月の範囲で局所回帰の手法により CPR の平均と分散を推定し、その結果にもっ

とも良くフィットするカスタマイズド PSJ モデルのパラメータを推定した。ただし切片 CPR は 0 に固定した。局所回帰の重み付

けはデータ特性に応じて適宜調整した。

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4. PSJ 予測値の算出

期限前償還速度の予想と金利シナリオ

機構/公庫 MBS に対する期限前償還速度の予想における PSJ モデルの有効性を検証する。

将来の期限前償還速度の予想は、一般に過去の期限前償還の傾向を基に、対象となる

MBS の特性と現在の市場状況などの外部要因を加味しておこなわれる。外部要因として

は、とりわけ将来の金利カーブが重要となるが、金利予想はそれ自体が期限前償還予想と

同じかそれ以上に困難である。また、金利変動はヘッジの手段が存在することもあり、期

限前償還速度の予想は、金利予想から分離した形で前提とした金利シナリオとともに提示

される方が実用上都合がよい。

そのため、一般に期限前償還の予想はある程度客観的な金利のベースシナリオと、そこか

らのパラレルシフトなどの派生シナリオを前提としておこなわれる。具体的には、現在の

金利カーブで固定するコンスタントシナリオ、フォワード金利が実現するフォワードシナ

リオ、多数のシナリオのリスク中立確率における平均をとるシミュレーションなどである。

J.P.モルガン 住宅金融支援機構 プリペイメントモデル

弊社では、機構/公庫 MBS の期限前償還率の予想とそれに基づく価格・リスク評価のため、

「J.P.モルガン住宅金融支援機構プリペイメントモデル5」を開発した。このモデルは、債

券属性と将来の金利カーブ予想をもとに繰上返済率の予想値を算出するものであり、繰上

返済の要因としては「借換」「引越」「一部返済」および「延滞債権買取」を想定し、各

要因の特性に基づいて繰上返済をモデル化している。

例えば、「借換」「引越」では当初数年かけて繰上返済が徐々に増加するが、「一部返

済」では逆に時間経過とともに繰上返済が徐々に減少する傾向がある。また、「借換」は

金利感応度が高く、金利が上昇するとほぼ起こらなくなり、逆に金利が低下すると大きく

増加する。一方「引越」「一部返済」に対する金利の影響としては、金利上昇によりいく

らか減少する程度であり、金利低下による増加はほとんどおこらない。

弊社モデルでは、これらの要因にそれまでの繰上返済率に応じたバーンアウトや、季節と

税効果による補正、更に一部繰上げ返済による満期の短縮効果を加味し、前提となる金利

シナリオに沿った将来の繰上返済を予想する。

機構/公庫 MBS の累積繰上返済率について実績値と弊社モデルによる予想値を比較すると

(図 6)、一時的な乖離が若干みられるものの、長期的にみるとモデル予想と実績値は良

く対応しており、弊社モデルの信頼性を確認できる。

5 07 年 8 月付け弊社レポート「JP モルガン 住宅金融支援機構 プリペイメントモデル」参照

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9

図 6:各 MBS における累積 SMM の実績値とモデル予想値の比較

0 20 40 60 800

0.1

0.2

0.3

0.4

0.5koko 1

0 20 40 60 800

0.1

0.2

0.3

0.4

0.5koko 11

0 20 40 60 800

0.1

0.2

0.3

0.4

0.5koko 21

0 20 40 60 800

0.1

0.2

0.3

0.4

0.5koko 31

0 10 20 30 400

0.1

0.2

kiko 1

0 10 20 30 400

0.1

0.2

koko s-1

0 10 20 30 400

0.1

0.2

kiko s-1

0 20 40 60 800

0.1

0.2

0.3

0.4

all

actmdl

actmdl

actmdl

actmdl

actmdl

actmdl

actmdl

actmdl

出所:住宅金融支援機構、J.P.モルガン

横軸は発行からの経過期間(月)、縦軸は累積の SMMであり、actは実績、mdlは弊社モデルによる予想を意味する。kokoは公庫 MBS、kikoは機構 MBSを意味する。allは全

ての機構/公庫 MBSの残存元本加重平均である。

PSJ 予測値の算出と予想 CPR の比較

期限前償還モデルにより予想した将来の期限前償還は、MBS の満期までの各月における

期限前償還率(CPR)の系列である。これを PSJ 予測値に換算するにあたり、弊社では市

場慣行に従い、10%クリーンアップコールの実施を仮定した場合の WAL(Weighted Average Life ‐加重平均残存期間)がモデル予想と等しくなる PSJ 値を求め、これを弊社

の機構/公庫 MBS の PSJ 予測値としている。

具体例として、機構 17 回債の WALを弊社モデルにより予想し、同じ WALを与える PSJ値を算出する。金利シナリオは、コンスタントおよびフォワードをベースシナリオとして、

-200bp から+200bp までのそれぞれ 5 つのシナリオと、リスク中立確率におけるシミュレー

ションとした(表 3、図 7)。評価日は 08 年 9 月 26 日とする。

繰上返済は金利低下により促進され、金利上昇により抑制されるため、WALは金利低下

シナリオでは短くなり、金利上昇シナリオでは長くなる。ベース金利シナリオの比較では、

フォワードシナリオでは将来的に金利が上昇するため、コンスタントシナリオより WALが長くなる。シミュレーションでは、フォワード金利を中心として確率的に金利シナリオ

を発生させるため、概ねフォワードシナリオに近い結果となるが、この例では金利上昇に

おける WALの延長を下降における WALの短縮が上回るという非対称性により、シミュ

レーションにおける WALはフォワードシナリオより若干短いという結果になった。

このように、将来の金利カーブをイメージするとき、フォワードシナリオではコンスタン

トシナリオより1つ余計なステップが入るため、シナリオ分析のベースとしてはコンスタ

ントシナリオの方が直感的に理解しやすい。しかし価格評価においては後述するようにフ

ォワードシナリオの方が実用的である。

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弊社モデルと PSJ モデルによる予想 CPR を各シナリオで比較すると(図 8、9)、全体的

な形状としては概ね似通っている。細部をみると、弊社モデル予想 CPR には季節効果に

よる一年周期の変動と、バーンアウト効果による 60 ヶ月以降での CPR の漸減傾向が見ら

れる。十分に長い残存期間を持つ MBS の評価において、キャッシュフローの季節変動は

さほど重要ではない。CPR が高い金利低下シナリオにおいてバーンアウト現象が顕著であ

るが、その他の金利シナリオでは PSJ モデルは弊社モデル予想のよい近似となっている。

ベース金利シナリオの比較では、フォワードシナリオでは金利上昇により将来の CPR が

低下するが、評価日の金利環境ではどちらのシナリオでも PSJ モデルによる近似の有効性

に大きな違いは見られない。

表 3:金利シナリオごとの WAL と相当する PSJ 予測値

コンスタント

シフト -200bp -100bp 0bp +100bp +200bpWAL 5.78 6.36 8.43 9.54 10.31PSJ 19.08% 16.25% 9.92% 7.80% 6.62%

シミュレーション

シフト 0bpWAL 9.06PSJ 8.64%

フォワード

シフト -200bp -100bp 0bp +100bp +200bpWAL 5.94 7.89 9.33 10.15 10.66PSJ 18.22% 11.19% 8.15% 6.85% 6.14%

出所:J.P.モルガン

図 7:金利シナリオごとの WAL と相当する PSJ 予測値

5

6

7

8

9

10

11

-200bp -100bp 0bp +100bp +200bp

金利シフト (bp)

WAL

(年)

コンスタント

フォワード

シミュレーション

6

8

10

12

14

16

18

20

-200bp -100bp 0bp +100bp +200bp

金利シフト (bp)

PSJ

(%)

コンスタント

フォワード

シミュレーション

出所:J.P.モルガン

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図 8:J.P.モルガンモデルおよび PSJ モデルによる予想 CPR(金利カーブ:コンスタント)

コンスタント / シフト:- 200bp

0%

5%

10%

15%

20%

0 30 60 90 120 150 180wala (ヶ月)

CPR

JPMPSJ

コンスタント / シフト:- 100bp

0%

5%

10%

15%

20%

0 30 60 90 120 150 180wala (ヶ月)

CPR

JPMPSJ

コンスタント / シフト:- ±0bp

0%

5%

10%

15%

20%

0 30 60 90 120 150 180wala (ヶ月)

CPR

JPMPSJ

コンスタント / シフト:-+100bp

0%

5%

10%

15%

20%

0 30 60 90 120 150 180wala (ヶ月)

CPR

JPMPSJ

出所:JPモルガン

コンスタント / シフト:+200bp

0%

5%

10%

15%

20%

0 30 60 90 120 150 180wala (ヶ月)

CPR

JPMPSJ

図 9:JP モルガンモデルおよび PSJ モデルによる予想 CPR(金利カーブ:フォワード)

フォワード / シフト:- 200bp

0%

5%

10%

15%

20%

0 30 60 90 120 150 180wala (ヶ月)

CPR

JPMPSJ

フォワード / シフト:- 100bp

0%

5%

10%

15%

20%

0 30 60 90 120 150 180wala (ヶ月)

CPR

JPMPSJ

フォワード / シフト:- ±0bp

0%

5%

10%

15%

20%

0 30 60 90 120 150 180wala (ヶ月)

CPR

JPMPSJ

フォワード / シフト:+100bp

0%

5%

10%

15%

20%

0 30 60 90 120 150 180wala (ヶ月)

CPR

JPMPSJ

出所:J.P.モルガン

フォワード / シフト:+200bp

0%

5%

10%

15%

20%

0 30 60 90 120 150 180wala (ヶ月)

CPR

JPMPSJ

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5. 価格評価への応用

MBS の価格指標

PSJ モデルを用いて MBS の価格を評価する手法について述べる。MBS の価格指標として

は一般に以下のものが用いられる。

• 利回り(イールド)

特定の期限前償還の仮定に基づくキャッシュフローを用いて算出される利回りは も基

本的な収益指標である。一般にフォワード金利の実現を前提とした期限前償還を仮定す

る。MBS がパーの場合は期限前償還によらずイールドは必ずクーポンレートに等しい。

• I スプレッド

金利カーブの一点に対する利回りの差、いわゆるノミナルスプレッドである。参照金利

としては、WAL に近い残存年をもつ JGB の利回りが用いられることが多い。簡便だが、

長期の分割償還債という MBS の特性により、金利カーブ形状の影響を受けやすい。

• Zスプレッド

ゼロカーブに対する上乗せスプレッドであり、特定の期限前償還の仮定に基づくキャッ

シュフローを用いて算出される。一般にフォワード金利の実現を前提とした期限前償還

を仮定する。その場合、金利ボラティリティのゼロ極限における OAS(後述)に等しく

なり、ゼロボラティリティ OAS ともよばれる。I スプレッドより正確だが、依然として

金利カーブの確率変動を考慮しない静的な評価指標である。

• オプション調整後スプレッド(OAS)

将来的な金利の確率変動と、それに伴う期限前償還率の変動を考慮した、金利カーブ全

体に対する上乗せスプレッドである。理論的には金利カーブの形状や金利ボラティリテ

ィの変化をヘッジした超過収益率に相当し、 も精緻なスプレッド指標といえる。ただ

し、その算出には確率金利モデルが必要となり、モデル依存性も高い。

PSJ モデルによる価格指標の算出

OAS は、金利の確率変動を考慮した動的な指標であるため、その算出には金利の確率的な

パスごとに期限前償還のパスとそれに基づくキャッシュフローを算出する必要がある。金

利のパスごとに PSJ を算出しても、その情報を市場参加者間で交換することは容易ではな

いことから、PSJ を市場の共通尺度として利用するという観点では、PSJ と動的な分析

(OAS)の相性はあまりよくないと言える。

一方、静的な分析指標であるイールドや Zスプレッドは、PSJ モデルによる一つのキャッ

シュフロー系列から算出可能であり、PSJ モデルとの相性がよいといえる。前節と同様に

機構 17 回債を例に、弊社モデルおよび PSJ モデルにより算出した、機構 MBS の Zスプレ

ッドとイールドを比較してみる(表 4)。PSJ モデルのパラメータは、各ベースシナリオ

の値(表 3)を用いた。

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Zスプレッド、イールドのどちらについても PSJ モデルと弊社モデルとでかなり近い数値

が得られたが、Zスプレッドでは金利シナリオをそろえることで精度がより高まるという

結果となった。一般に価格指標の算出では、キャッシュフローとしてフォワードシナリオ

を仮定することから、価格評価では PSJ 値としてもフォワードシナリオにおける値を用い

ることが適切と思われる。

表 4:イールドおよび Z スプレッド

イールド コンスタント フォワード シミュレーション

JPMモデル 2.082 2.079 -PSJモデル 2.089 2.085 2.086 Zスプレッド コンスタント フォワード シミュレーション

JPMモデル 53.2 45.0 -PSJモデル 54.1 46.5 48.7

出所:J.P.モルガン

評価日における機構 17回債の JSDA価格に対応するイールドおよび Zスプレッド

PSJ モデルによる価格評価

金利カーブが変化した場合の MBS の価格変化を、PSJ モデルと弊社モデルにより評価する。

金利カーブ変化のシナリオは、パラレルシフト、スティープ/フラット、バタフライにつ

いて上下それぞれの 6 通りを考える(図 10)。

I スプレッドを用いた PSJ モデルによる価格評価では、参照債券のイールドに I スプレッド

を加算して MBS のイールドを算出し、PSJ モデルから算出されるキャッシュフローをその

イールドで割り引く。Zスプレッドを用いる場合は、ゼロカーブに Zスプレッドを加算し

た金利によりキャッシュフローを割り引けばよい。弊社モデルによる評価では OAS を固

定して価格を算出する。

金利変化により、WALとそれに対応する PSJ 値も若干変化するため(表 5)、その補正を

おこなった場合と、ベースシナリオの PSJ 値を用いた場合を考える。つまり PSJ モデルに

よる評価は全部で 4 通りとなる。

図 10:金利変化シナリオ

-15

-10

-5

0

5

10

15

0 5 10 15 20 25

term (y)

shift

(bp)

-15

-10

-5

0

5

10

15

0 5 10 15 20 25

term (y)

shift

(bp)

-15

-10

-5

0

5

10

15

0 5 10 15 20 25

term (y)

shift

(bp)

作成:J.P.モルガン

パラレルシフト(左)、スティープ/フラット(中)、バタフライ(右)

表 5:金利変化シナリオごとの WAL と PSJ 値

ベース ベア・パラレル ブル・パラレル ベア・スティープ ブル・フラット ベア・バタフライ ブル・バタフライ

WAL 9.33 9.43 9.23 9.43 9.23 9.38 9.27 PSJ 8.15 % 7.99 % 8.34 % 7.99 % 8.34 % 8.06 % 8.26 % 作成:J.P.モルガン

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表 6:金利変化シナリオごとの価格変化

価格変化(円) ベア・パラレル ブル・パラレル ベア・スティープ ブル・フラット ベア・バタフライ ブル・バタフライ

JPMモデル -0.81 0.81 -0.70 0.70 -0.23 0.23Zスプレッド 補正あり -0.86 0.86 -0.74 0.74 -0.26 0.27Iスプレッド 補正あり -0.82 0.82 -0.82 0.82 -0.82 0.82Zスプレッド 補正なし -0.79 0.80 -0.67 0.68 -0.23 0.23Iスプレッド 補正なし -0.81 0.82 -0.81 0.82 -0.81 0.82 作成:J.P.モルガン

PSJ値はフォワードシナリオに基づいて算出。「補正あり」は金利シナリオごとに PSJ値を再計算、「補正なし」ではベースシナリオの PSJ値を使用。Iスプレ

ッドは 10年金利に対する上乗せスプレッドとして評価。

図 11:金利変化シナリオごとの価格変化

-1.00

-0.80

-0.60

-0.40

-0.20

0.00

+0.20

+0.40

+0.60

+0.80

+1.00

ベア・パラレル ブル・パラレル ベア・スティープ ブル・フラット ベア・バタフライ ブル・バタフライ

価格

変化

(円

JPMモデル

Zスプレッド補正あり

Iスプレッド補正あり

Zスプレッド補正なし

Iスプレッド補正なし

作成:J.P.モルガン

パラレルシフトでは、PSJ モデルは 4 つの手法全において弊社モデルに近い価格変化を示

している(表 6、図 11)。スティープ/フラットおよびバタフライのシナリオでは、I スプ

レッドによる評価の誤差が大きくなっている。とりわけバタフライシナリオにおいてその

傾向が顕著である。この結果には I スプレッドでは金利カーブの形状が考慮されないとい

う弱点が現れている。

全体的に、PSJ モデルによる Zスプレッドを用いた価格評価は、弊社モデルによる評価の

よい近似となっている。I スプレッドによる価格評価も、金利変化がパラレルシフトに近

い場合には簡便性という観点から有効性が認められる。

PSJ 値の補正については、いずれの場合も有意な改善は見られなかったが、PSJ 値の変化

が大きい場合、もしくは PSJ 値の変化が価格に大きな影響を与える場合(MBS の価格がパ

ーから大きく乖離している場合)には、補正が必要になると思われる。

6. PSJ 値の公表について

弊社では市場慣行に従い 10%クリーンアップコールの実施を仮定した場合の WAL(加重

平均残存期間)が弊社モデル予想と等しくなる PSJ 値を求め、これを弊社の機構/公庫

MBS の PSJ 予測値としている。

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上記の WALの算出にあたり、期限前償還の金利シナリオ分析を重視する立場から、弊社

では従来コンスタントシナリオを仮定してきたが、PSJ 予測値に対する投資家ニーズとし

て価格評価への応用が強まってきたことから、より価格評価への有用性の高いフォワード

シナリオでの算出結果についても併せて公表を開始する。

弊社では、以下を通じて定期的に機構/公庫 MBS の PSJ 値を報告している。価格指標の算

出を意図したものではフォワードシナリオ、期限前償還についての金利シナリオ分析を意

図したものではコンスタントシナリオを金利のベースシナリオとしている。

• 住宅金融支援機構

… 新発債発行時、フォワードシナリオ*

• 日本証券業協会

… 毎月 1 日および 15 日、コンスタントベース 9 シナリオ (協会による統計処理の上で公表)

• Bloomberg

… 日次、フォワードシナリオ * (JUKI/JUKO コマンド)

… 週次、コンスタントベース 9 シナリオ (VALL コマンド)

• 弊社日次レポート「Price and Spread」

… 日次、フォワードシナリオ*

• 弊社ウェブサイト MorganMarkets 内データベース DataQuery

… 日次、コンスタントシナリオ及びフォワードシナリオ

*10 月 22 日以降公表分より変更。それ以前はコンスタントシナリオ。

7. まとめ

過去の繰上返済へのフィッティングおよび、弊社モデルのような分析的なモデルによる将

来の期限前償還予想の近似において、PSJ モデルの有効性が確認された。

価格評価の面では、イールドおよび Zスプレッドの水準として、PSJ モデルにより弊社モ

デル算出値に概ね近い値が得られた。PSJ モデルと Zスプレッドにより、通常の日中変化

程度の金利変化の範囲では、実用的な精度での価格評価が可能と思われる。

MBS 市場の発展に、期限前償還速度に関する市場参加者共通の尺度が必要であることに

疑問の余地はない。PSJ モデルは簡便なモデルであり万能ではないが、弊社を含む多数の

市場参加者が機構/公庫 MBS についてその予想値を公表しており、市場インフラとして既

に定着している。

MBS の流通市場の活性化のためには、期限前償還に対するコンセンサスを測る道具とし

て、あるいは売買における期限前償還の尺度として、PSJ モデルの更なる活用を図ること

が有益である。

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金融商品取引法に基づく表示事項 (Below statement explains possibilities of risk of financial instruments in Japanese language. This is to follow “the Financial Instruments and Exchange Law” regulated by Government of Japan.) JPモルガン証券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第 82号 株式取引は株価の変動等により損失が生じる恐れがあります。また、外国株式取引の場合、為替相場の変動によっても損失が生じるおそれがあります。 外国預託証券取引は価格の変動等により損失が生じる恐れがあります。また、為替相場の変動によっても損失が生じるおそれがあります。 債券の価格は、市場の金利水準の変化に対応して変動しますので、償還前に換金する場合には、損失が生じるおそれがあります。また、外国債券の場合、為替相場の変動によっても損失が生じるおそれがあります。 市場先物取引(日経 225株価指数先物取引、日本国債先物取引、ユーロ円 3ヶ月金利先物取引、CME NIKKEI 225、HK HANGSENG INDEX等)の必要証拠金額は、SPAN○R 等各取引所の定める方法により、先物取引、オプション取引、先物オプション取引全体の建玉から生じるリスクに応じて計算されますので、市場先物取引の額の証拠金の額に対する比率は、常に一定ではなく、取引の額が証拠金の額を上回る場合があります。市場先物の価格は、対象とする株価指数、有価証券の価格、金利、通貨の変動等により上下しますので、これにより損失が発生するおそれがあり、また当該株価指数、有価証券の価格、金利、通貨が大きく変動することで発生する損失の額が差し入れていただく証拠金の額を上回る恐れがあります。また、当該市場先物取引が外貨建て取引の場合、為替相場の変動によって損失が生じるおそれがあります。 市場オプション取引、市場先物オプション取引(日経 225株価指数オプション取引、日本国債オプション取引、金利先物オプション取引、CME Options on Three-Month Eurodollar Futures等)の証拠金額は、SPAN○R 等各取引所の定める方法により、先物取引、オプション取引、先物オプション取引全体の建玉から生じるリスクに応じて計算されますので、市場オプション、市場先物オプション取引の額の証拠金の額に対する比率は、常に一定ではなく、取引の額が保証金の額を上回る場合があります。市場オプション取引、市場先物オプションの価格は、対象とする株価指数、有価証券の価格、金利、通貨の変動等により上下しますので、これにより損失が発生するおそれがあり、また当該株価指数、有価証券の価格、金利、通貨が大きく変動することで発生する損失の額が差し入れていただく保証金の額を上回る恐れがあります。また、当該市場オプション取引、市場先物オプション取引が外貨建て取引の場合、為替相場の変動によって損失が生じるおそれがあります。 不動産投資信託受益証券又は投資証券(J-REIT)は、不動産等を投資対象として組み入れるという仕組みを有しております。取引所における需給関係や、不動産関連資産への投資の動向、他の資産への投資との比較、株式市場の状況、金利情勢、経済情勢等、市場を取り巻く様々な要因の影響を受けるので本証券の基準価格も変動する可能性があります。また、本証券の基準価額は、組み入れた不動産等に物的・法的に瑕疵があった場合に変動する可能性があります。上記の要因により基準価格が変動することにより、元本欠損が生ずるおそれがあります。 転換社債の価格は、市場での株式の価格、株式への転換条件、金利水準等の変化に対応して変動しますので、償還前に換金する場合には、損失が生じるおそれがあります。債券の発行者の業務や財産の状況の変化に伴い、債券の価格が変動することによって損失が生じるおそれがあります。株式への転換を選択された場合、転換後の財産の価格や評価額が債券の当初購入金額を下回るおそれがあります。新株予約権を行使できる期間に制限があります。償還等に伴って交付される株式の評価額が債券の当初購入金額を下回るおそれがあります。 投資信託の基準価格は、組み入れた株式や債券の値動き、為替相場の変動等の影響により上下しますので、これにより投資元本を割り込むおそれがあります。 店頭デリバティブ取引は、金利指標、通貨の価格、信用状況、株価等の変動を直接の原因として損失が生ずることとなるおそれがある取引です。また、ISDAマスター契約におけるクレジット・サポート・アネックス(Credit Support Annex)等の担保契約の適用がある場合、金利指標、通貨の価格等の参照指標が大きく変動することで、あるいはクレジットイベントが発生して、プロテクションの売り手側が支払うべき金額が差入れ済みの担保の額を上回る場合に、発生する損失の額が差し入れていただく担保の額を上回る恐れがあります。店頭デリバティブ取引の想定元本は、当該デリバティブ取引等についてお客様に差し入れていただく担保の額を上回る可能性があります。店頭デリバティブ取引にあたり差し入れていただく担保の額は担保契約の内容により異なるため、想定元本の担保額に対する比率上限を算出することはできません。店頭デリバティブ取引では反対取引を行おうとする場合は価格に差があり、原則として同じ価格での反対売買を行うことは出来ません。 上記記載の商品等へのご投資の際には、以下の手数料等を頂戴いたします。株式取引、外国預託証券、市場先物取引、市場オプション取引、市場先物オプション取引、不動産投資信託受益証券又は投資証券の場合は事前にお客様と個別に合意した手数料率の委託手数料および消費税を、また投資信託の場合は、銘柄ごとに設定された申し込み手数料、信託財産留保金、信託報酬などの諸経費をご負担いただきます。債券および転換社債のお取引の場合は、購入対価のみお支払いいただくことになります。 商品毎に手数料等およびリスクは異なりますので、実際に上記取引を行っていただく前には当該商品等の契約締結前交付書面や目論見書またはお客様向け資料をよくお読みください。 加入協会/日本証券業協会、社団法人金融先物取引業協会

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アナリストによる証明 本リサーチの表紙において“AC”と表示されたリサーチアナリストが、次のことをここに証明する。(複数のリサーチアナリストが本リサーチの共同第一責任者である場合は、表紙において“AC”と記載されているアナリスト、もしくは本リサーチ内に氏名を掲載された者が、それぞれに当該有価証券または発行体に関する記述について、個別に、次のことをここに証明する。)(1)本リサーチにおいて示された全ての意見は、当該有価証券或いは当該有価証券発行体のありとあらゆる点に関するリサーチアナリスト個人の意見を正確に反映するものであること (2) リサーチアナリストへの報酬は、現在、過去、未来において、直接間接を問わず、本リサーチにおいて示された特定の推奨或いは意見とは一切関連のないものであること。 利益相反:本リサーチはJ.P.モルガンのクレジットリサーチアナリストの見通し、意見及び推奨を含みます。リサーチアナリストは、その分析の質及び正確さ、クライアントの反応、トレーディングデスク

及び会社の業績、競争力に部分的に応じて報酬を授受致します。一般論として、J.P.モルガンおよび/もしくはその関連会社は通常、リサーチレポートで議論された債券につき、マーケットメイク及び自己勘

定による取引を行っています。クレジットリサーチにおけるレーティングの説明 レーティングシステム: J.P.モルガンは以下の定義に基づいてセクター/発行体のポートフォリオ・ウエイティングを行って

います: Overweight(今後3ヶ月以内に、関連するインデックス、セクターまたはベンチマークをアウトパフォームすると予想されるリスクポジション)Neutral(今後3ヶ月以内に、関連するインデックス、

セクターまたはベンチマークと同程度であると予想されるリスクポジション)Underweight(今後3ヶ月以内に、関連するインデックス、セクターまたはベンチマークをアンダーパフォームすると予想される

リスクポジション)J.P.モルガンのエマージングマーケットリサーチではレーティングとしてMarketweightを使用していますが、これはNeutralに相当するものです。評価とその方法: J.P.モルガンのクレジ

ットリサーチでは、発行体についてレーティング(Overweight, Underweight , Neutral)を付与する際、発行体に対するクレジット観及び株式との相対的評価を基に、クレジットレーティングエージェンシーが付

与するレーティング及び株価を加味しています。発行体に対するクレジット観は、社債の期限が到来し満期となった時に、発行体が償還できるのかどうかに対するJ.P.モルガンの意見を基にしています。J.P.モルガンではこれを精査するため、その他の要素に加え、社債や確定負債(資本投資を含む場合がある)に対するキャッシュフロー比など一般的な信用比率を使用し、発行体のクレジットポジションを分析

しています。J.P.モルガンではさらに、発行体がキャッシュフローを生み出す能力についても、同セクターの比較可能な企業の一般的な財務指標、例えば収益、利益成長率、利幅、自己の正味資産に対するバ

ランスシートの構成などを検討することで分析を行っています。アナリスト報酬:本レポートの準備、執筆にたずさわったアナリストの報酬は、リサーチの質や正確さ、クライアントの反応、競争力、会社

全体の業績など、様々な要因によって決まります。会社全体の業績には、投資銀行部門および債券部門の業績が含まれます。 米国以外のアナリスト登録:特に記載が無い限り、レポート表紙に記載された米

国以外のアナリストはJPMSIの米国関連会社以外の関連会社の従業員であり、NYSEおよびNASDの規定にあるリサーチアナリストとしての登録あるいは資格を有しておらず、JPMSIの特殊関係人でなく、

NASD Rule 2711およびNYSE Rule 472の規制である調査対象企業とのコミュニケーション、パブリックアピアランスおよびリサーチアナリストの取引口座における有価証券取引に関する制約を受けない可能

性があります。 その他のディスクロージャー:J.P.モルガンは、J.P. Morgan Securities Inc. (JPMSI)および全世界における米国以外の関連会社のブランドネームです。 オプションに関する調査資料:本資料で提供する情報がオプションに関する調査資料である場合、当該情報は適切なオプションリスクディスクロージャー資料を受領した場合に限り、入手が可能となります。

Option Clearing Corporation's Characteristics and Risks of Standardized Optionsの資料入手に関しては、J.P.モルガンの担当者にご連絡いただくか、もしくはOption Clearing Corporation (OCC)のウェブサイト

http://www.optionsclearing.com/publications/risks/riskstoc.pdf.をご覧ください。 法人:米国: JPMSIはNYSE、FINRA ならびにSIPCの会員です。J.P. Morgan Futures Inc.はNFAの会員です。JPMorgan Chase Bank, N.A..はFDICの会員であり、英国ではFinancial Services Authorityの監督下にあり

ます。英国: J.P. Morgan Securities Ltd. (JPMSL) はロンドン証券取引所の会員であり、FSAの監督下にあります。イギリスおよびウェールズで登録されています: No. 2711006. Registered Office 125 London Wall, London EC2Y 5AJ。南アフリカ: J.P. Morgan Equities Limitedはヨハネスブルグ証券取引所の会員でFSBの監督下にあります。香港:J.P. Morgan Securities (Asia Pacific) Limited (CE番号は AAJ321)は香港の

Hong Kong Monetary AuthorityおよびSecurities and Futures Commissionに登録されています。韓国:J.P. Morgan Securities (Far East) Ltd., Seoul branch はKorea Financial Supervisory Serviceの監督下にあります。オ

ーストラリア:J.P. Morgan Australia Limited (ABN 52 002 888 011/AFS Licence No:238188)はASICの監督下にあり、J.P. Morgan Securities Australia Limited (ABN 61 003 245 234/AFS Licence No:238066)はASXから

証券業務の認可を受けており、ASICの監督下にあります。台湾:J.P. Morgan Securities (Taiwan) Limitedは台湾証券取引所(会社型)および台湾金融監督委員会(Taiwan Securities and Futures Bereau)の監督下にあ

ります。インド:J.P. Morgan India Private Limited はインド証券取引所(National Stock Exchange of the India Limited)とボンベイ証券取引所(The Stock Exchange, Mumbai) の会員であり、Securities and Exchange Board of Indiaの監督下にあります。タイ: JPMorgan Securities (Thailand) Limited は、タイ証券取引所の会員で、Ministry of Finance and the Securities and Exchange Commission の監督下にあります。インドネシ

ア: PT J.P. Morgan Securities Indonesiaは、インドネシア証券取引所の会員であり、BAPEPAMの監督下にあります。フィリピン: J.P. Morgan Securities Philippines Inc.はフィリピン証券取引所の会員で、フィリ

ピン証券取引委員会(SEC)の監督下にあります。ブラジル: Banco J.P. Morgan S.A.はブラジル証券取引委員会 (CVM)およびブラジル中央銀行(BCB)の監督下にあります。メキシコ: J.P. Morgan Casa de Bolsa, S.A. de C.V.、J.P. Morgan Grupo Financieroはメキシコ証券取引所の会員であり、National Banking and Securities Exchange Commissionからブローカーディーラーとして認可を受けております。シンガポ

ール:シンガポール内における当調査資料の発行・配布はシンガポール証券取引所の会員でManetary Authority of Singapore (MAS)監督下のJ.P. Morgan Securities Singapore Private Limited (JPMSS)[mica (p) 207/01/2008、Co. Reg. No.:199405335R]および/もしくは, MAS監督下のJPMorgan Chase Bank, N.A., Singapore branch (JPMCB Singapore)が行っております。マレーシア: 当調査資料の発行・配布はJ.P. Morgan Securities (Malaysia) Sdn Bhd (18146-X)(従来はJ.P. Morgan Malaysia Sdn Bhd)が行っており、Bursa Malaysia Securities Bhdの会員で、マレーシアのSecurities Commissionからディーラーとして認可を受け

ております。パキスタン:J. P. Morgan Pakistan Broking (Pvt.) Ltd は、カラチ証券取引所の会員で、Securities and Exchange Commission of Pakistan の監督下にあります。 Country and Region Specific Disclosures U.K. and European Economic Area (EEA): Issued and approved for distribution in the U.K. and the EEA by JPMSL. Investment research issued by JPMSL has been prepared in accordance with JPMSL’s Policies for Managing Conflicts of Interest in Connection with Investment Research which outline the effective organisational and administrative arrangements set up within JPMSL for the prevention and avoidance of conflicts of interest with respect to research recommendations, including information barriers, and can be found at http://www.jpmorgan.com/pdfdoc/research/ConflictManagementPolicy.pdf. This report has been issued in the U.K. only to persons of a kind described in Article 19 (5), 38, 47 and 49 of the Financial Services and Markets Act 2000 (Financial Promotion) Order 2005 (all such persons being referred to as "relevant persons"). This document must not be acted on or relied on by persons who are not relevant persons.Any investment or investment activity to which this document relates is only available to relevant persons and will be engaged in only with relevant persons. In other EEA countries, the report has been issued to persons regarded as professional investors (or equivalent) in their home jurisdiction. Germany: This material is distributed in Germany by J.P. Morgan Securities Ltd. Frankfurt Branch and JPMorgan Chase Bank, N.A., Frankfurt Branch who are regulated by the Bundesanstalt fur Finanzdienstleistungsaufsicht. Australia: This material is issued and distributed by JPMSAL in Australia to "wholesale clients" only. JPMSAL does not issue or distribute this material to "retail clients." The recipient of this material must not distribute it to any third party or outside Australia without the prior written consent of JPMSAL. For the purposes of this paragraph the terms "wholesale client" and "retail client" have the meanings given to them in section 761G of the Corporations Act 2001. Hong Kong: The 1% ownership disclosure as of the previous month end satisfies the requirements under Paragraph 16.5(a) of the Hong Kong Code of Conduct for persons licensed by or registered with the Securities and Futures Commission. (For research published within the first ten days of the month, the disclosure may be based on the month end data from two months' prior.) J.P. Morgan Broking (Hong Kong) Limited is the liquidity provider for derivative warrants issued by J.P. Morgan International Derivatives Ltd and listed on The Stock Exchange of Hong Kong Limited. An updated list can be found on HKEx website: http://www.hkex.com.hk/prod/dw/Lp.htm. Japan: There is a risk that a loss may occur due to a change in the price of the shares in the case of share trading, and that a loss may occur due to the exchange rate in the case of foreign share trading. In the case of share trading, JPMorgan Securities Japan Co., Ltd., will be receiving a brokerage fee and consumption tax (shouhizei) calculated by multiplying the executed price by the commission rate which was individually agreed between JPMorgan Securities Japan Co., Ltd., and the customer in advance. Financial Instruments Firms: JPMorgan Securities Japan Co., Ltd., Kanto Local Finance Bureau (kinsho) No. [82] Participating Association / Japan Securities Dealers Association, The Financial Futures Association of Japan. Korea: This report may have been edited or contributed to from time to time by affiliates of J.P. Morgan Securities (Far East) Ltd, Seoul branch. Singapore: JPMSI and/or its affiliates may have a holding in any of the securities discussed in this report; for securities where the holding is 1% or greater, the specific holding is disclosed in the Important Disclosures section above. India: For private circulation only not for sale. Pakistan: For private circulation only not for sale. New Zealand: This material is issued and distributed by JPMSAL in New Zealand only to persons whose principal business is the investment of money or who, in the course of and for the purposes of their business, habitually invest money. JPMSAL does not issue or distribute this material to members of "the public" as determined in accordance with section 3 of the Securities Act 1978. The recipient of this material must not distribute it to any third party or outside New Zealand without the prior written consent of JPMSAL. 一般:追加情報は御要望に応じてお渡しいたします。本資料で提供している情報は信頼できると考える筋から得たものですが、JPMorgan Chase & Co.、もしくは関連会社、および/もしくは子会社(総称して

J.P.モルガン)は、JPMSIおよび/もしくはその関連会社に関するディスクロージャーおよびアナリストと有価証券の発行企業との関係を示すディスクロージャー以外については、掲載された情報の完全性ある

いは正確性を保証するものではありません。言及されている有価証券の価格は、明記がない限り市場取引終了時点のものです。見解や評価は記載時点での判断であり、予告なしに変更されることがあります。

過去のパフォーマンスは、将来における結果を示唆するものではありません。本資料に掲載されている見解や推奨は各投資家の状況、目標、あるいはニーズを考慮したものではなく、特定の投資家に対し、

特定の証券、金融商品、あるいは投資戦略を薦めるものではありません。本資料の受領にあたり、本資料に掲載されている証券または金融商品に関する判断は投資家ご自身でなさるようお願いいたします。

米国以外の関連会社が発行した調査資料の米国内での配布、および内容に関する責任はJPMSIが負っております。J.P.モルガンは企業の開発や発表事項、市場の状況あるいは公表された情報に基づき、企業お

よび業界に関して定期的に情報のアップデートを提供することができます。準拠法により認められている場合を除き、投資家はアナリストとの連絡および取引の執行は現地のJ.P.モルガン子会社、あるいは関

連会社を通じて行ってください。(「その他のディスクロージャー」2008年9月29日改訂) Copyright 2008 JPMorgan Chase & Co. - All rights reserved. 本資料および本資料で提供している情報は、J.P.モルガンの文書による同意なしに再版、転載、販売および再配布することを禁

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