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1 PEN November November 2010 Volume 1, Number 8 PEN Public Engagement with Nano- based Emerging Technologies N E W S L E T T E R ISSN 2185 - 3231

Public Engagement with Nano- PEN November …...5 PEN November 【知財】 中国、10年で特許強国に(2010.11.12) 中国国家知識産権局は11日に「全国特許事業発展戦略

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Page 1: Public Engagement with Nano- PEN November …...5 PEN November 【知財】 中国、10年で特許強国に(2010.11.12) 中国国家知識産権局は11日に「全国特許事業発展戦略

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November 2010

Volume 1 Number 8

PENPublic Engagement with Nano-based Emerging TechnologiesN E W S L E T T E R

ISSN 2185 - 3231

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Table of Contents

海外情報 helliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphellip 3

連載 環境規制 helliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphellip 11

Column かわいいだけではないらしい helliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphellip 13

国内情報 helliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphellip 14

Column 宝石という名前の虫 helliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphellip 17

寄稿 京都議定書で日本は何を主張すべきであったか helliphelliphelliphelliphellip 18

特集 10年におよぶナノテクノロジー研究開発の発展的継承を hellip 20

Cutting-Edge Technologies helliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphellip 23

News Pod helliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphellip 32

イベント案内 helliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphellip 35

Cover鋭いまなざしミサゴ表紙は今まさに獲物のコイを捕らえることに成功したばかりのミサゴですミサゴはタカの仲間の猛禽でカラスよりも少し大きな体をしています魚を主食とするため魚を捕らえて離さない足の棘と水から飛び上がるための細長い翼を持っていますつくば市周辺では霞ヶ浦で見ることができます

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【リスク管理コミュニケーション】ナノテクノロジーの研究開発に対する建設的な批判を

(20101118)環境 NGO の Friends of the Earth はナノテクノロジー研

究開発の環境コストと技術的な可能性についてのレポート

を公開したこれまでにナノテクノロジーが解決すると期

待を込めて述べられていた技術的な可能性について分析し

ている

多様なデータが集められているがその分析には少々疑問

を感じざるを得ないというのも最近では研究開発を進

める側において Hype を超えた取組みが始められてしかる

べきと考え始められていることについては触れられていな

いなど解析に片手落ちな部分が垣間見られるのである

FoE のレポートに対して Nanowerk online に建設的な批判

を交えた詳しい解説記事が掲載されている

Nanotechnologyrsquos true climate and energy cost exposedhttpwwwfoeorgnanotechnologyE28099s-true-climate-and-

energy-cost-exposed

Blowing hot air ndash how not to criticize nanotechnology

httpwwwnanowerkcomspotlightspotid=19060php

【管理策】オーストラリア政府の情報提供呼びかけへの反応は鈍いものに(20101117)オ ー ス ト ラ リ ア の National Industrial Notification and

Assessment Scheme (NICNAS) は2008 年に2回目のボ

ランタリーなナノ材料情報提供の呼びかけを行ったしか

しこの呼びかけに対する産業界からの反応は鈍くナノ物

質 6 種を扱う7社からの情報提供にとどまったNICNAS

のレポートによるとこの数字は 2006 年に実施された際

の 22 社が 21 種の材料情報を提供したのと比べても格段

に低い結果であった報告数の減少によって予定されて

いたナノ材料管理のための現状分析が十分に実施できな

かったNICNAS はレポートで英国の環境食料農村

地域省や米国の環境保護庁が実施したボランタリーな報告

の試み同様失敗に終わったと結論づけている

httpwwwnanowerkcomnewsnewsid=19044php

【管理策】産 業 界 が 率 先 す る ナ ノ テ ク ノ ロ ジ ー EHS へ の 対 応

(20111117)米国のナノカーボン材料を製造する企業 12 社が今年 4 月

に設立した NanoSafety Consortium for Carbon(NCC)の

活動について紹介するレポートが発表されたNCC は設

立以来ナノカーボン材料の環境健康安全(EHS)と

関連の規制策に積極的に取り組んできた米国環境保護

庁(EPA)へNCC として毒性試験法の提案も行っている

レポートではNCC 設立の背景EPA へ提案した代表的

なナノカーボン材料の毒性試験方法についてなど現在実施

されている取組みそして目標などが簡潔にまとめられて

いる

NCC は11 月 1 日に米国の化学品製造者協会(SOCMA)

に設けられたナノテクノロジー連合(Nanotechnology

Coalition) と の 連 携 を 発 表 し て い るSOCMA は 現 在

300 社を超える会員企業を抱えている両者の連携により

市場化に向けた動きが加速することが期待されているhttp wwwnano lawrepor t com201011ar t i c l e s an -

industrydriven-approach-to-ehs-issues

httpwwwnanowerkcomnewsnewsid=18747php

【有害性評価】ナノ材料と植物細胞の関係(20101116)カーボンナノチューブ(CNT)には多様な分野での応用が

期待されているが農業分野もまたその例にもれず肥料

や農薬への応用が有望視されている一方で動物試験の結

果からCNT は健康や環境へ有害な影響があるのではな

いかと懸念されてもいる

海外情報

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r 中国の研究グループはナズナや稲の細胞に単層 CNT を

暴露させ細胞生存力遺伝子損傷活性酸素種発生遺

伝子発現などの様々な観点からその影響を調べた稲の細

胞を利用した試験では CNT を注入した細胞は酸化ストレ

スによって死滅したというしかし個々の水稲細胞は死

滅したが組織片への影響は観察されなかったしたがっ

てナノ材料の植物への影響は限定されたものと考えられ

るという論文は The American Journal of Botany に掲載

されたhttpwwweurekalertorgpub_releases2010-11ajob-nad111610

php

【管理策】カ ー ボ ン ナ ノ チ ュ ー ブ の 新 た な 管 理 方 法 を 提 案

(20101116)カリフォルニア大の研究グループはカーボンナノチュー

ブ(CNT)の管理に「Anticipatory governance」という方

策を取り入れることを提案した CNT の環境や健康への

影響についてのデータは十分とはいえない状況にあるそ

こで本策は CNT が「もしかしたら有害かもしれない」と

考えて取り扱うことを提案している本策は十分な科学

的データの得られない段階で新興技術について何らかの

判断を下さなくてはならない場合の一般的な対応策を提供

する本策を提案したカルフォルニア大学バークレー校の

Mark Philbrick 氏はCNT の場合も確かな科学的データが

集められ管理策が策定されるまでの規制の空白を埋める

ことができ賢明な取扱い方法だとしている論文は米国

リスク分析学会の Risk Analysis に掲載されているh t t p o n l i n e l i b r a r y w i l e y c o m d o i 1 0 1 1 1 1 j 1 5 3 9 -

6924201001445xfull

httpnanotechwirecomnewsaspnid=11064 

【EHS】ナノ粒子の種類と肺での反応の違いについての新しい知見

(20101117)英国エジンバラ大学の呼吸器毒性の専門家である Ken

Donaldson 氏らの研究によるとナノサイズの金属酸化物

粒子が肺へ与える影響には粒子の種類ごとに大きな変化あ

ることが明らかになったしたがって製造事業者はどの

ような種類の粒子を扱っているのかについて十分注意して

労働者保護の対策を採るべきだとしている4 種のナノサ

イズの金属酸化物粒子をラットに投与したところ肺で起

きる炎症の型が粒子ごとに大きく異なっており他の粒子

に比べて喘息様の症状を引き起こす可能性の高いものも

あった論文は Environmental Health Perspective に掲載

された

httpwwwedacuknewsall-newsnanoparticles-171110

httpehp03niehsnihgovarticleinfo3Adoi2F1012892Fe

hp1002201

【EHS】欧 州 で の ナ ノ 粒 子 の 環 境 影 響 に つ い て の 研 究 の 現 状

(201011)ナノ材料を用いた製品が増え続けており製造使用廃

棄の際にどのような影響があるのかに関心が集まってい

る現在様々な国や機関でナノ材料の有害性評価研究や

リスク評価研究が行われているメディアを通じて欧州の

リーディングエッジテクノロジーのイノベーション化を促

進する NPO の Youriscom はエストニアなどで行われて

いる研究を中心とした環境や健康への影響についての専門

家の意見をまとめた記事を配信したエストニアの河川水

などにはナノ粒子の毒性低減能力があるとする研究有益

な土壌中微生物への金属ナノ粒子の影響についてのユタ州

立大学の調査金ナノ粒子環境影響についてのダブリン大

学食品健康研究所の調査などが紹介されているhttpwwwyouriscomLatest_NewsHow_Do_Nanoparticles_

Impact_Our_Environment_And_Uskl

【医薬品】米国で医療応用に向けたナノ材料研究の連携が新たにスタート(20101112)米国国立がん研究所(NCI)にはナノ材料のバイオ医薬

品やがん治療への応用について研究することを目的として

Nanotechnology Characterization Laboratory(NCL)が設

けられているNCL はこのほど新たに米国環境健康科学

研究所(NIEHS)とナノ材料のリスクおよび有害性評価

研究を共同で実施するために連携することとなった共同

研究は NIEHS の新たに 13 億ドルかけて始めるプログラ

ムの一部として実施される両者は本研究によりナノ材

料の物理化学的特性がナノ材料の生体内での挙動やナ

ノ材料により引き起こされる生体反応に与える影響につい

てより多くのことを明らかにできるとしているNCL はこ

れまでに 200 種以上のナノ粒子の評価を行っており評

価データの蓄積も両者の協力によって加速できると期待さ

れているhttpnclcancergovNCL20NIEHS2020Press20Release20

11-08-10pdf

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【知財】中国10 年で特許強国に(20101112)中国国家知識産権局は 11 日に「全国特許事業発展戦略

(2011-2020)」を発表このなかで 2020 年までに特許強

国になることを目指すとしているこれは 12 日付新華社

通信が伝えたもので中国の特許出願件数はすでに世界の

第 5 位にまで浮上特許審査力も世界のトップレベルにま

で向上してきているまた2008 年から 2009 年にかけて

特許出願件数は 18特許授与件数は 41 もの増加を示

している

【EHS】吸入ナノ粒子の体内挙動(2010117)ベスイスラエルディーコネス医療センターとハーバー

ド大学公衆衛生学科の研究グループはリアルタイムイ

メージング技術を用いて体内でのナノ粒子の挙動を明ら

かにした帯電のない直径 34nm 以下のナノ粒子は曝露

後 30 分以内に肺で観察されたまた 6nm 以下の粒子は

5 分以内で肺までたどり着きその後腎臓へ移動し尿とし

て排出される本研究によって呼吸により体内に入った

ナノ粒子の移動経路が明らかにされたことから今後ド

ラッグデリバリ用の材料開発に弾みがつくことが期待され

る論文は Nature Biotechnology に掲載されたh t t p w w w r s c o r g c h e m i s t r y w o r l d N e w s 2 0 1 0

November07111001asp

httpwwwbidmcorgNewsInResearch2010November

Nanoparticlesaspx 

【管理策】ナノテクノロジー管理に自主的な取組みが果たす役割とは ナノテクノロジー管理策についての新しいレポート

(2010114)ウッドローウィルソン国際学術センターに設けられている

Project on Emerging Nanotechnology は ナ ノ テ ク ノ ロ

ジーの責任ある研究開発における自主的な管理の可能性に

ついて分析したレポートを公表したこのレポートでは

ナノテクノロジーの利用からナノテクノロジー製品にいた

るまでの様々な自主的な管理の取組みを取り上げている

レポートの著者の Daniel Fiorino 氏の専門は環境政策であ

りこれまでに環境を保護するために行われてきた様々な

自主的な取組みについてナノテクノロジー分野でも用い

ることを検討し紹介している過去の事例と現時点まで

にナノテクノロジー分野で行われている様々な取組みを分

類分析し自主的な取組みと規制によらない管理もナ

ノテクノロジーを適切な管理のためには欠かすことのでき

ない重要な仕組みであるとしている

httpwwwnanotechprojectorgnewsarchive8348

【化粧品】適切な日焼止め購入の手引き(1112 月号)現在2 つのタイプの日焼止めが販売されている物理的

に紫外線を防ぐタイプと化学反応によって紫外線を吸収す

るタイプである欧州委員会が公表した調査によると後

者のタイプはサンゴとその生態系に有害な影響を与える

などこのところ環境への有害な影響があると指摘されて

いる環境情報誌 G Online は日焼止めの特集を組みそ

のなかで消費者向けの日焼止購入の手引きとして当面

は皮膚を透過するには大きすぎ白くならない程度には小

さいマイクロサイズの粒子を含む日焼止め使用を勧めてい

httpwwwgmagazinecomaufeatures2320here-comes-sun

【EHS】製 品 ラ イ フ サ イ ク ル に お け る ナ ノ 粒 子 の 環 境 排 出

(2010113)ドイツ連邦環境省は4 種のナノ粒子を対象としてナノテ

クノロジー製品のライフサイクルアセスメント(LCA)を

実施した研究対象とされたのは布巾に使われているナ

ノサイズの銀壁面用ペンキの二酸化チタンタイヤの充

填剤のカーボンブラックディーゼル燃料の添加剤の酸化

セリウムである製品からのナノ物質やナノ構造材料の環

境排出は多様な影響を受けることほとんどがマトリック

スに埋めこまれた状態で起こること等が明らかになった

主要な排出経路は大気と水中であるがたとえば水中に排

出されたナノ粒子の計測には技術的な限界があるなど現

時点ではリスク評価のために一般化できるような結論を

導き出すのは難しいと分析している

httpwwwnanowerkcomnewsnewsid=18808php

Study of nanoparticle emission of selected products during

their life cyclehttpwwwumweltbundesamtdetechnik-verfahren-sicherheit-e

publikationentexte_52_2010_kurzfassung_epdf

【EHS】ナノ材料毒性の現実とは(2010112)Du Pont 社 の 自 主 的 管 理 策 NanoRiskFramework の 作 成

にかかわった David B Warheit 氏はテレビの人気番組

Myth Buster(日本では怪しい伝説のタイトルで放送中)

にならって広く信じられている「ナノ材料を用いた製品

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r の数が増加しているのでナノ粒子が環境中に放出され

て最終的には食物連関のなかに取り込まれる可能性が高

まっている」との単純化した考えについて分析を加えて

いる実際にはナノ材料の環境や健康への影響を明ら

かにするのは容易ではない Warheit 氏は

1ナノ粒子は常にその凝集体より有害である

2サイズと表面特性が常に有害性を判断する指標になる

3すべてのナノサイズの二酸化チタンは同じ毒性プロ

ファイルをもつ

4既存のグッドプラクティスは役立たない

5 ナノ粒子の炎症性評価は in vitro か in silico の試験方法

で評価できるという 5 つのナノ材料毒性にまつわる「伝

説」を取り上げている

Warheit 氏はたとえばサイズではなく表面活性が毒

性を決めると示唆する研究が存在することを指摘し重

要なのはナノ材料の毒性は複雑な要素が絡み合って決ま

るものであり単純なモデルでは明らかにできないこと

を理解することであるとしているまたナノ材料毒性

の研究は非常にゆっくりとした速度でしか進んでいない

そのため研究そのものの数が少なく相互に矛盾する

結果が出されてもいる公表されている試験結果の限界

について理解しておくべきとも述べている

httpwwwnanowerkcomspotlightspotid=18774php

【政策】NNI2011 年度の新規戦略プラン固まる(2010111)米国大統領官邸の科学技術政策室と国家科学技術会議

(NSTC)のナノスケール科学工学技術小委員会は国家

ナノテクノロジー戦略(NNI)の 2011 年度の戦略プラン

の草案を公表しパブリックコメントの募集を開始した

戦略プランは米国のナノテクノロジー研究開発の方向

性を決めるものである重点分野予算配分関係連邦

政府機関のミッションやプログラム等の各項目について

専門家の助言を受けて作成されているパブリックコン

サルテーションは NNI の専用のポータルサイトで 11 月

30 日まで募集しているhttpwwwelectroiq comindexdisplaynanotech-wire-

news1294308577html 

【EHSリスク管理】ナノ粒子と環境(201011)フォトニック工学に関する総合情報サイト Photoniccom

はナノ粒子と環境に関するノースカロライナの Wake

Forest 大学と Duke 大学の共同のレビューを掲載した

環境中に排出されたナノ粒子は様々な生物学的影響をも

たらす可能性があるこのような影響は特定のナノ粒

子の化学組成だけでなく環境中での凝集状態などによっ

ても左右さると考えられているナノ粒子の環境への影

響についての研究は増加しつつある研究の関心は大き

く分けて(1)環境への排出経路と排出時のナノ材料の

状態(2)環境に派出されるナノ材料の毒性(3)環境

中でのナノ材料の挙動と蓄積性(4)最終的なナノ材料

の環境中運命と環境からの回収にある現在細胞レベ

ルでの生体とナノ材料の相互作用などについて少しずつ

明らかになりつつあるしかし自然界ではナノ材料は

多くの場合凝集状態になると考えられるが実際にどの

ような形状になるのかについて確定的なことはまだ不明

であるこのようなことから多くの研究機関や大学で

研究が政府の支援を受けて広く市場で用いられる前に

リスクを見極めるために急ピッチで研究を進めている

httpwwwphotonicscomArticleaspxAID=44805

【管理策】米国のナノテクノロジー管理策について(20101029)化学が社会に与える影響評価を行っている米国の NPO

Chemical Heritage Foundation からナノテクノロジーの

分析に関するレポートと環境保護庁(EPA)の有害物質

規制法(TSCA)の改正に関するレポートが公表された

ライフサイクルに関するレポートはナノテクノロジー

関連の材料の製造から製品の廃棄にいたるまでの各ライ

フサイクルに対応する連邦政府の管理策や規制策を分析

した結果をまとめたものであるTSCA 改正に関してのレ

ポートは3 つの機関が TSCA のナノテクノロジーへの適

用という観点から行った提言を紹介したものhttpwwwelectroiqcomindexdisplaynanotech-article-

display1319373325articlessmall-timesnanotechmems

industry-news2010octobernanotechnology-lifehtml

【EHS農業】植 物 で は 細 胞 へ の ナ ノ 粒 子 の 移 動 は 確 認 で き ず

(20101029)ナノ材料が生物学的に重要な様々な防御機能を潜り抜け

てしまうのではないかと懸念されているナノ材料の

生体内での移動はすでに哺乳類で確認されているスイ

スのチューリヒ工科大学の研究チームは主要な穀物で

あるトウモロコシにおける酸化セリウムナノ粒子の吸収

と移動について分析を行ったトウモロコシを酸化セリ

ウムナノ粒子のエアロゾルおよび懸濁液に暴露したとこ

ろ葉に 50 μ g の吸収がみられたしかしエアロゾル

に暴露させた株に新しく生長した葉に酸化セリウムナノ

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粒子が移動している事実は確認されなかったしたがっ

て植物の防御壁は哺乳類の防御壁よりも強固なのでは

ないかと考えられるhttpiconriceedudetailscfmrid=48442 

httppubsacsorgcennews88i448844news8html

【政策】ECナノ材料の定義について意見を募集(20101025)欧州委員会(EC)はナノ材料の草案段階の定義について

公開しオンラインで意見募集を開始したEC が公開し

た定義では次の 3 項目の条件を満たす材料は全てナノマ

テリアルとみなすという3 項目は①外部構造の 1 次

元以上が 1 nm から 100 nm②内部構造もしくは表面の

1 次元以上が 1 nm から 100 nm③単位体積当りの全表

面積が 60 m2cm3 以上となる物質とされている意見

募集は 11 月 19 日まで行われEC は意見募集の結果を踏

まえて最終的な定義案を作成する現時点で欧州域内に

おいて法的に拘束力のあるナノマテリアルの定義は化

粧品規制(Cosmetics Regulation 12232009)に記され

ている定義のみであるhttpwwwfoodnavigatorcomScience-NutritionEC-calls-for-views-

on-nanomaterial-definition 

【コミュニケーション】米国におけるナノテクノロジー食品応用研究の情報公開は不十分(20101025)米国の生化学者の DM Beck 氏はナノテクノロジーの

食品応用の現状と将来展開について分析し米国の消費

者は欧州たとえば英国の状況に比べて十分な情報や

情報共有の機会を提供されているとは言えない状況にあ

ると批判している情報が不足しているために消費者

の態度が化粧品や医薬品に対するものとは異なっている

と分析しているBeck 氏は研究開発の透明性という部

分で化粧品や医薬品もさして変わらないが消費者の

反応ははるかに慎重なものだと指摘するhttpwwwwibwcomhomeheadlinesControversy_Surrounds_

Nanotech_Food_Experiments_105736283html

【政策】カナダ研究開発支援に大型の予算配分(20101025)カナダのイノベーション基金(CFI)は研究基盤整備を

支援するために 6 億カナダドル(約 492 億円)の予算を

配分する予算配分の内訳は大規模科学イニシアチブ

大学向けの競争的資金最先端基金新イニシアチブ基

金リーダーズオポチュニティ基金となっている全予

算の約 3 分の 1 ずつがそれぞれ大規模科学イニシアチ

ブとリーダーズオポチュニティ基金に配分される

httpwwwinnovationcaennews20101025240

【EHS】ナ ノ テ ク ノ ロ ジ ー 製 品 の 海 洋 生 態 系 へ の 影 響

(20101022)ナノ材料の環境影響についてはまだほとんど研究が進

んでおらず十分なことがわかっているとは言い難い

コネチカット州の New Haven 大学の研究者らは海岸

や桟橋に付着しているぬるぬるしたスライム状のバイオ

フィルムを調べることで様々な日用品を排出源とする

ナノ材料の海洋生態系への影響を明らかにできるかもし

れないとして研究を始めている

httpwwwnanowerkcomnewsnewsid=18632php

【EHS】ナノ医薬品の開発と不確実性(20101021)米 国 で 開 催 さ れ て い た ナ ノ 医 薬 品 American Society

of Nanomedicine の 年 会 で 毒 性 学 の 専 門 家 で あ る

Rochester 大学の Gunter Oberdorster 教授が慎重に言

葉を選びつつナノ医薬品の開発においても新たな分

野の開拓につきものの不確実性に伴う課題に積極的に取

り組むべきだと語った様々なリスクが懸念されている

ものの「新しい材料の正確な知識の入手がもっとも重要

である」と Oberdorster 教授は指摘した現在実施され

ている多くの有害性試験は試験動物へのナノ材料の投

与量が実際的な量とは言えず正確な評価ができないと

も指摘したOberdorster 教授は正確な有害性評価リ

スク評価ひいては有効な医薬品開発のためにさらなる

研究が必要と結んでいるhttpnewhavenindependentorgindexphparchivesentrysafety_

a_concern_for_nanomedicine_tooid_30430

【産業化】現 実 を 見 据 え た ナ ノ テ ク ノ ロ ジ ー 研 究 開 発 の 出 番

(20101020)ナノテクノロジー研究開発は一頃の地に足のつかない

高揚した状況からナノテクノロジーで何が可能なのか

を冷静に分析しつつ実用化のための戦略を定めるべき

状況にあるとの認識へと変化している

10 月 20 日に Industry Week Online にRice 大学主催フ

ラーレン発見 25 周年記念シンポジウムにあわせてこれ

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r までに発表された市場レポートや多くの専門家の意見を

引用しNano-Hype が収まった後のナノテクノロジー研

究の行方についてまとめた記事が掲載された

一部のナノ材料が半導体産業などで利用され始めている

ものの全米科学財団(NSF)が 2000 年に予測したよ

うな 1 兆ドル規模の市場は創出できていないこと結局

NSF の市場予測によって実現したのはナノテクノロジー

への非現実的な期待に火をつけることだけであったと指

摘このような状況の背景には革新的な発展を可能に

する技術の実現に関する課題とこのような開発にかか

る高コストの問題があるとしているさらに環境健康

安全への懸念が研究開発の行方を一層不確かなものと

していると述べている

NSF の予測を大幅に下回るものの2009 年の米国のナノ

テクノロジー関連市場は 120 億ドル規模にまで成長して

いる今後も順調に成長を続ければ2015 年には 260

億ドル程度の市場に成長することが期待できる現在

最も市場化が進んでいるのが高機能材料を作り出して

いる化学品産業であるまた健康関連産業とりわけ患

者にやさしい診断用ツールなどの分野で近い将来大きな

飛躍が見込まれるとしRice 大学が 2010 年 4 月に試験

的なナノスケール腫瘍診断用チップの開発に成功してい

ることを指摘しているhttpwwwindustryweekcomarticlesnanotechnology_beyond_

the_hype_23017aspx

【医薬品】ナ ノ 粒 子 を 利 用 し た が ん 治 療 薬 の 製 品 化 が 活 発 化

(20101015)がんについての研究は進んできているものの1950 年代

以降もがんの治療法に画期的といえるような大きな進歩

はない化学療法は患者にとって相変わらずつらく苦し

いもので治療に用いられる薬は健康な細胞もがん細胞

とともに破壊してしまっているしかしナノ材料を用い

たがん治療薬がこのような状況を早晩改善する希望が出

てきたナノ医薬品は初期のハイプの段階を抜け出して

製品化目指して着実に進んでいる今では50 を超える

企業ががんの治療や診断に用いるためのナノ粒子ベース

の医薬品の開発に取り組んでいるこのうちの 34 社はこ

こ 4 年の間に設立された現在活発に臨床試験が行わ

れているナノ医薬品はより複雑で高機能なものである

httpwwwsciencemagorgcgicontentfull3306002314 

【政策産業化】ドイツバーデンヴュルテンベルク州に新しい最先端クラスター発足(20101015)ドイツのバーデンヴュルテンベルク州に準備中であっ

た最先端マイクロシステム研究クラスター Micro TEC

Suumldwest が公式に活動を始めたMicro TEC Suumldwest では

同州を中心に 350 を超える大学研究機関製造やサー

ビス関連企業が29 のプロジェクトに参加することにな

るドイツ連邦教育研究省が 4000 万ユーロ約 46 億円

の資金援助を行う予定httpwwwmstbwdedemstindexhtml

httpmicrotec-suedwestdecmsfront_contentphpchangelang=2

【産業化】各国で実施したナノテクノロジー研究開発の長期展望に関する調査結果を公表(20101013)世界の最新技術動向を調査している米国の NPO である

World Technology Evaluation Center(WTEC)はナノ

テクノロジー研究開発の長期的展望と研究の方向性につ

いてまとめたレポート「Nano2」を公表した本レポー

トは全米科学財団(NSF)の支援を受けWTEC が世界

各国で実施した調査と 2010 年前半に米国ドイツ日本

シンガポールで実施したワークショップでの議論を基に

して作成されたNSF の Mihail Roco 氏が本調査の責任者

であるレポートではこれまでに指摘されてきた様々

な課題について解決に向けた取り組みの状況がまとめ

られているこれらの既存の課題に加え長期的展望に

たった研究開発のための今後の取り組みの方向性につい

ての専門家の提言が盛り込まれている本レポートは草

案の段階でコメントを募集中である

httpwwwwtecorgnano2

http2020scienceorg20101013nanotechnology-2-0-the-next-

ten-years-of-nano-risk-research 

【政策】オーストラリア工業ナノ材料を化学物質管理の対象へ

(2010105)オ ー ス ト ラ リ ア の National Industrial Notification and

Assessment Scheme (NICNAS)は工業ナノ材料を化学

物質管理のための枠組みを定める「工業化学物質報告

評価法」3 章に定める新規化学物質とし報告義務のある

行政手続きの対象とするとして官報で告知したNICNAS

における工業ナノ材料の定義は「ナノスケールで特別

な物性あるいは構造をもつように製造加工設計された

1nm から 100nm のサイズのナノオブジェクト(12

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3 の次元のいずれかがナノスケールであること)あるいは

ナノ構造(ナノスケールの内部構造もしくは表面)である」

物質とされているまた本項は既存の化学物質のナ

ノサイズの物質にも適用される輸送のためにオースト

ラリアのいずれかの港空港を通過する場合や年間 100g

以下の研究目的の輸入などが適用を免除される適用の

開始は 2011 年 1 月 1 日であるhttpwwwnicnasgovauPublicationsChemical_Gazette

pdf2010oct_wholepdfpage=14 

【社会的影響】ナノテクノロジーとアフリカ大陸(2010106)これまで様々な科学技術が途上国の抱える様々な課題

を解決すると喧伝されてきたナノテクノロジーについ

ても例外ではないしかしこのような考え方は少々単純

すぎると途上国の専門家は考えている2010 年のはじめ

にコートジボワールで開催されたワークショップでア

フリカ諸国にはリスクを避けるためにナノ材料の使用や

輸入を拒否する権利があるとの主張がなされたこのワー

クショップでアフリカ諸国の専門家はベネフィットだ

けでなく科学技術の進歩がもたらす社会的な影響につ

いても関心を持つべきであると述べている

ナノ材料のような新興の材料を用いた製造工程の急激な

変化に途上国の労働者がついてゆくのは困難であること

など技術的発展が必ずしもベネフィットにつながらな

い可能性も指摘されているまた今後ナノテクノロジー

を活用しようとするアフリカ諸国の前に特許の問題が立

ちふさがる可能性が非常に高いと予想されている

いずれにしろナノテクノロジーがアフリカ諸国の経済

に大きな影響を与えることは必至である重要なことは

アフリカの将来を左右するナノテクノロジー研究開発を

どのような方向に進めるのかの決定に当事者として関

与する道を確保できるのかということである

httppambazukaorgencategoryfeatures67525

【産業化】ユ ニ バ ー サ ル メ モ リ デ バ イ ス で IC 市 場 の 巻 き 返 し

(2010105)ユニバーサルメモリデバイスで高性能の小型モバイル機

器の実現するために各国企業が激しい開発競争を行って

いるナノテクノロジーの科学的経済的側面の解析で

欧州の化学技術政策に大きな影響力をもつ Obsevatory

NANO はユニバーサルメモリデバイス向け技術や実現

に向けた課題そして欧州連合(EU)における開発の現

状について簡潔にまとめたレポートを公表した

一時考えられていたような単一の技術がユニバーサルメ

モリデバイスを実現するとは考え難くナノテクノロジー

はユニバーサルメモリデバイス実現の重要な核とみなさ

れる現在の集積回路の世界市場は米国とアジア圏の企

業に席巻されているがObsevatoryNANO はレポートで

ナノテクノロジーとユニバーサルメモリをベースとする

技術開発によって欧州はその牙城を崩すことができる

と分析しているhttpwwwnanoforumorgnf06~modul~showmore~folder~99999~

scc~news~scid~4152~htmlaction=longviewamp

【EHS】ナノテクノロジーの健康環境安全影響の今後について(2010101)米国マサチューセッツ州立大学ローウェル校(UMass-

Lowell)で 9 月 22 日~ 23 日に開催されたカンファレン

ス Destination Nano における主要なテーマの一つが健康

環境安全影響(EHS)であった米国国立労働衛生研究

所(NIOSH)の Chuck Geraci 氏はNIOSH の最近の EHS

分野における活動を紹介した腫瘍や炎症等の発生など

生体影響とナノ粒子とを関係について明らかにする研究

が注目を集めたナノテクノロジーの研究と製造の現場

におけるより適切な管理方法の探求にも力を入れている

またリスクキャラクタリゼーションも NIOSH の重要な

研究課題のひとつであるNIOSH の研究グループは二酸

化チタンの微粒子について気中濃度 02mgm3 を超え

ると炎症や腫瘍の発生リスクが高まることを突き止めて

いる近くカーボンナノチューブに関するリスクキャラ

クタリゼーションが公表される予定であるノースイー

スタン大学の Jackie Isaacs 氏はスイッチング材料とし

てのカーボンナノチューブ(CNT)の全ライフサイクル

についてリスク分析を行ったIsaacs 氏は米国内の埋

め立て地に蓄積する可能性のある CNT の量についても計

算している

UMass-Lowell と NISOH は今後ナノマテリアルの暴

露評価研究を協力して行い中小規模の製造企業や研究

室における適切な取扱いについてのガイドラインを作成

する予定でいるhttpwwwelectroiqcomindexdisplaynanotech-article-

display6748552362articlessmall-timesnanotechmemstools-

equipmentproduction-equipment2010septemberdestination-

nano_html 

10

PEN

Nov

embe

r 世界の人々は科学にかかわる課題についてどのように考えているのかIn Science We Trust by Scientific American and A Pacific Divide by Nature

Scientific American と Nature が共同で科学に関連する

様々なトピックについて世界各国の読者を対象に意識

調査を行ったその結果の概要が日経サイエンス 12 月号

と Nature9 月号に掲載された

本調査は注意深く対象を選択する通常の意識調査とは

異なり両誌の読者を対象としてオンラインで行われた

ものであり「人々の」という言葉が通常想起するような

幅広い市民を対象としたものではないことをまず最初に

指摘しておきたい調査は 2010 年夏に実施され回答

を寄せたのは約 21000 人でそのうち 19の回答者が

博士号保有者であった日本からの回答者は 1196 件で

あった

全体の傾向としては回答者の多くが科学に信頼を寄せ

ていることが明らかとなったただしトピックごとの

回答ついて詳細にみると各トピックで取り上げている

個別の科学に対する信頼度について回答者の居住地域

によってかなりのばらつきも見られた

地域による回答のばらつきがあまり見られなかった設問

の一つが科学技術に関して誰の発言を信頼するかと

いうものであるこの設問への回答では政治家やジャー

ナリストなどの他の発信源を大きく引き離して科学者

が最も信頼できる発信源とみなされているまた経済

状況が厳しくとも科学予算を削るべきではなく代わり

に国防関連予算を削るべきと考える回答者の割合が多い

直ちに見返りはないとしても科学は将来の社会のため

の投資に値すると多くの人々は考えているようである

一方科学と政治の関わりについては回答者の居住地

域のおかれた政治状況や歴史的な経緯などを反映して

大きなばらつきが見られた例えばドイツでは科学者

に対して政治への積極的な関与を求める回答者の割合

が非常に高いのに対して中国では半数近くの回答者が

科学者は政治から距離を置くべきだと考えている個々

の科学技術に対する考え方にも居住地域による差がか

なり見られる日米欧の比較では遺伝子組み換え作物

や原子力利用に対して欧州における拒否感は日本と米

国に比べかなり高くなっている一方ナノテクノロジー

の利用に関しては米国や欧州に比較して日本ではかな

り多くの回答者が不安に感じているようである

同じ調査の結果について Nature 誌に A global survey of

the scientifically literate public reveals a pacific divide

on key issues in science という速報記事が掲載された

Nature 誌では日本を含むアジア圏と欧米の参加者とで

大きく異なる回答が寄せられた設問について取り上げて

いるそのような設問の一つに進化論に関するものが

ある日本からの回答者のうち進化論では生命の多様

性を説明できないと考える人は 349にも上っており

米国の 129英国の 54 に比べて顕著に高い数値と

なっているこの進化論に対する懐疑的な日本の回答は

普段我々が直観的に感じている日本の科学の理解につ

いての状況とそぐわないその理由として設問の作り

が英語を母語としない回答者に対して誤解と与えた可能

性や京都大学の加藤氏が Nature 誌へのコメントで指

摘するように真摯に考えればどのような科学的知識も

100正しいとは言えないと答えざるを得なかったこと

が考えられる

同じ調査結果について Nature 誌に掲載された速報記事

と日経サイエンス誌の記事を読み比べると全く違う

調査あるいは調査対象であったかのように映るこの違

いはNature 誌が同誌の事前の予想と大きく違ってい

た部分欧米とアジアの差に着目し特にその部分を取

り上げたために生まれたと考えられる

日経サイエンス

h t t p w w w n i k k e i - s c i e n c e c o m p a g e

magazine1012201012_092html 

Nature のニュース速報

http wwwnature comnews2010100922

full467388ahtml 

調査結果

httpgonaturecomeKv3nX 

11

PEN N

ovember

欧州議会 RoHS 改定作業の現状

欧 州 議 会 Committee on Environment Public Health and

Food Safety(ENVI) 委員会が取りまとめた RoHS 指令改定

案の議会本会議での採決は今月 22 日となったようである

ここで採択され理事会で採択されれば 2014 年以降の施

行に向けた動きとなる今月の本誌 PEN の発行は諸般の

事情から 25 日を予定しており23 日には原稿を締め切る

したがって採択の結果は今月号では速報できないと思われ

る重大な採択がされるような事態になれば読者の皆様

には別途速報として情報提供する

これまで特に欧州議会の中での目立った動きは察知できな

いもののENVI 委員会の主要メンバーは附属書 IV の禁

止物質リストにナノ銀を盛り込むことでその全面使用禁止

求める方針を断念したようであるこれは先月号本誌で示

した議長国ベルギーの提案に従ったものと思われるただ

大変気になるのはもう一つのカーボンナノチューブがどの

ようになっているのかがよく見えない点で水面下でどの

ような議論がすすめられているのか気になっていた先

週述べたとおりベルギー案は追加リストそのものの撤廃

を求めておりその他のナノマテリアルを含む物質に対す

るラベル表示義務さらには安全性データの欧州委員会へ

の提出義務も含まれていない今後の展開は最も強く修

正案を主張してきた ENVI ラポーターの Jill Evans 氏らが

ベルギー案にどこまで歩み寄った形で 22 日の投票を迎え

るかにかかっている

これに関連して中小企業ビジネス支援サイト J-Net21 は

18 日「欧州委カーボンナノチューブ RoHS 規制見送り」

とする速報をリリースしたそれによると今回示された

改正案には二つのナノマテリアルの使用が制限されていな

いとのことまた二つのナノマテリアル以外のナノマテリ

アルに求められていた表示義務についてはまだ議論が続い

ているようである [12]

ま た 23 日 に ロ ン ド ン の Nanotechnology Industries

Association からナノテクノロジービジネス推進協議会へ

届いた情報によると欧州議会と理事会は RoHSWEEE 指

令における「ナノマテリアル」の記述について合意に達し

た模様でその内容は産業界にとも歓迎すべき内容になっ

ているとのこと内容の詳細について現時点では把握でき

ていないるものの少しずつではあるが確実に猶予すべき

事態から脱却しつつあるとみてよい

このような状況のなか今月は日本国内においても RoHS

指令改定案に二つのナノマテリアルの全面禁止やその他の

ナノマテリアルの表示義務が盛り込まれている点について

周知が進み様々な論評が行われたので短く整理してお

まず「問題が多いナノ材料への RoHS 規制」と題する社

説を掲載し問題を明らかにしたのが11 月 15 日付化

学工業日報であるその社説の論旨は「欧州では科学的

確実性が明らかでないリスクを事後的に管理するより予

防的対策が費用対効果からも優れているという考えが根強

い」としたうえで今回の改定案を「極端な予防原則の適

用といわざるを得ない」と指摘しているさらに「日本

の産業界に与える影響も無視できないだけに日本政府や

ナノマテリアルに関連した事業を展開する企業業界団体

は積極的に情報発信すべきである」と欧州議会に対して

明確な意思表示をすべきとのメッセージで社説の最後を

締めくくっている

RoHS 指令改正案にナノ材料が追加された事実を解説した

のは11 月 12 日付日刊工業新聞である37 もの化学物

質を禁止物質候補としさらにカーボンナノチューブとナ

ノ銀に規制を設け適用範囲も拡大される改正案の内容を

解説したうえで22 日に迫ってきた改定案の採択がその

まま施行される可能性は低いと予測しているもし改正案

のまま施行された場合今後の研究開発を停滞させる恐れ

があると指摘している実際に日本などの産業界からの反

連載環境規制 第 7 回

アメリカの環境規制オバマ政権以降の展開

12

PEN

Nov

embe

r 発も大きく「本会議の採択を受けて開催される理事会は

調停案を出す」との観測を示している以上のような解説

の締め括りとして「日本の産業界としては代替材料やナ

ノ材料の安全性評価手法の開発など2014 年の施行を見

すえ早めに体制を整えておく必要がある」と指摘してい

このように日本国内でも ENVI の Jill Evans 女史がまとめ

た RoHS 指令改定案に対する修正意見に対する反発が強ま

るなか2009 年に厚生労働省や経済産業省環境省が相

次いで公表したナノ材料曝露提言のためのレポートやガイ

ドラインに準拠した対策も進みつつある今月 10 日日

本エアーテックはカーボンナノチューブなどのナノ材料

を安全に扱うための作業器具「ナノパーティクル排気ベン

チ」を開発販売を開始したナノ粒子捕集効率の高いフィ

ルターや引き出しと一体化した掃除機曝露防止のため

の手袋や防塵マスク防護服といった対策が図られている

節末になるが昨今の欧州議会の動きに関してナノ

テクノロジービジネス推進協議会の事務局より欧州

の ナ ノ テ ク ノ ロ ジ ー 産 業 の ア ソ シ エ ー シ ョ ン で あ る

Nanotechnology Industries Association (NIA) と の 間 で 交

わされた情報などを逐次配信していただいたことを付記

しお礼を申し上げる

アメリカの環境規制オバマ政権以降の展開

連載の本題に戻る2009 年民主党オバマ政権が発足し

て以降環境政策環境規制に関しても様々な改革が図ら

れるようになってきたこれはオバマ政権に代わったから

ということではないが米国議会は全ての連邦機関に対し

て 5 年間の戦略計画の策定と 3 年ごとの計画の見直しの実

施を要請している政府の行政評価の一環として 1993 年

以降行なわれている rdquoGovernment Performance of Result

Actrdquo で通常 GPRA と呼ばれこれまで各省庁の政策決定

と実行に大きな影響を与えてきたこれを受けて EPA は

今月 7 日2011 年度からの 5 年間の戦略を公表している

[3]環境と健康を守るための 5 つの戦略的な目標として

①気候変動への取り組みと大気汚染の減少②米国内の水

環境の向上③コミュニティの汚染源の根絶と持続的発展

④化学物質の適正な使用と汚染の防止⑤環境関連法の実

施強化を挙げているまた5 つの戦略目標と合わせて

EPA 首脳部が掲げる 7 つの優先分野における取り組みの進

捗状況を図るための新たな指標も設けられている

これに関連して EPA はTSCA インベントリー利用の改革

を進めている米国内で製造もしくは米国に輸入される

すべての化学物質は「TSCA インベントリー」と呼ばれ

るリストで管理される現在 8 万物質以上が収載されてい

る TSCA インベントリーにない化学物質を製造あるいは

輸入する場合EPA に対する届出義務がありこの届出を

行い EPA の審査を受けることでその化学物質が TSCA イン

ベントリーに新規物質として追加される仕組みになってい

るここでいう届出とは90 日前までに行わなければな

らない製造前届出(PMN)であり生産量暴露排出量

の推計人の健康や環境への影響に関するデータ等が求め

られるただし医薬品農薬や食品添加物等の他の法律で

規制される物質や研究開発目的の化学物質には除外措置が

設けられている [4]PMN は届出業者に新たな試験の実施

を求めておらず届出業者が有しているデータのみを提出

すればよいとされているそこで EPA は定量的構造活性

相関等の手法により届出物質の生態毒性値を予測しその

結果に基づきリスク評価を行っている

オバマ政権以降この TSCA インベントリーの改革がすす

められてきたすでに 2010 年 3 月には基本的な検索を無

料化するなどインベントリーのリニューアルを実施しイ

ンベントリー検索が容易になっているまたインベント

リーのデータは通常年二回更新されるがインベントリー

へ新規化学物質の登録が行われる場合は官報で事前に告知

されるようになっている [5]

SNUR とは

EPA の規制措置について触れたついでに今後の議論のた

めに重要新規利用規則(SNUR)についても理解を深めて

おきたいSNUR については経済産業省化学物質管理課の

HP の記述にその内容をくみ取りやすいので以下に引

用させていただく [6]

「TSCA においては評価の各段階で新規化学物質の申請

者と同意を取りながら進めていくという審査体系をとって

おり懸念のある化学物質に対する規制は個別の申請毎

にきめ細かい措置が講じられる体系となっている規制

は申請者に対する同意指令(Consent Order)及び申請

者以外の者にも同様に規制を行うための重要新規利用規則

(SNURSignificant New Use Rule)により行われる同意

指令は当該化学物質のリスクが明確に評価できないにもか

かわらず健康や環境にリスクをもたらす恐れや放出

暴露量が多い恐れのある場合に発せられリスク評価に十

13

PEN N

ovember

分なデータがそろうまでの製造等を制限するものである

同意指令は申請者に対して発せられるが公平性の観点か

ら当該化学物質を取扱う全事業者に対して同意指令と同等

の制限を規制するのが重要新規利用(SNUR)である対

象物質について SNUR 要件を遵守できない場合には事前

に重要新規利用届出(SNUN)を提出し個別に審査を受

けることとなるSNUR 対象物質に対する制限措置として

はMSDS 作成やラベリング使用者への注意義務数量

制限や特定用途の制限個別事業者における排水管理など

の幅広い手法があげられており対象物質に応じて適切な

規制が適用される」

したがってTSCA のインベントリーに登録された化学物

質が SNUR に指定されるということはPMN 届出業者と

の同意指令の中で当該化学物質の健康や環境影響が無視

できないことの反映である先月号の本誌 PEN で述べた

とおりEPA がこれまでナノマテリアルで交わした同意

指令はイギリスの Thomas Swan 社の子会社でアメリカ

New Jersey 州 Lyndhurst で CNT 製造を行っている Swan

Chemical Inc であるEPA が昨年来 CNT を SNUR 対象物

質にする方向でパブリックコメントを求めてきたがこれ

は Swan Chemical Inc との間で交わされた同意指令の内容

を他の CNT 製造企業にも求めることを意味するEPA の

SNUR での単層および多層 CNT の規制もいよいよ最終段

階に入ってきている

Reference[1] httpj-net21smrjgojpwatchnews_tyusentry20101118-15

html

[2] httpj-net21smrjgojpwatchnews_tyusentry20101117-15

html

[3]httpyosemiteepagovopaadmpressnsfd0cf6618525a9efb8

5257359003fb69d60a5ce970092692e852577b5005c4ff3Open

Document

[4] httpwwwepagov

[5] httpwwwepagovopptnewchemspubsinvntoryhtm

[6]httpwwwmetigojppolicychemical_management03kanri

f1htm

かわいいだけではないらしい

日本ではペットとしてイヌと人気を二分しているネコかわいい口に重大な秘密が隠されていたようです

イヌは舌ですくい上げて水を飲んでいることが分かっています水を飲み終わったイヌの口元は濡れています

しかしネコはミルクを飲んでも口元が汚れないしどうもイヌとは飲み方が違うようだと考えた Pedro Reis 氏

らは高速イメージング技術を用いてネコの秘密にメスをいれました

その結果ネコは重力と慣性力を利用して水を飲んでいることが明らかになりましたネコはまず舌先だけを

水やミルクなどの液体に軽く接触させたのち舌を丸めますそして丸めた舌を元に戻す際の慣性力を使って水

の柱を作りそれを吸い込むようにして飲んでいるのですネコのサイズが変わると舌を水につけるスピード

が落ちてゆっくりとした動きに変わるものの動きそのものは全く同じであることが観察によって明らかになっ

ていますネコ科で 2 番目に体が大きいライオンの飲み方も小さなイエネコの飲み方も同じなのです

様々な分野で活躍する働くイヌと違って「ただかわいいだけ」と言われるネコですがその精緻な舌の動きと

機能はソフトロボット技術研究の進展に役立つと期待されています

How Cats Lap Water Uptake by Felis Catus PMReis RStocker SJung JMArstoff Science 20101111 (online

publication)

httpwwwsciencemagorgcontentearly20101110science1195421

14

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Nov

embe

r

基本政策専門調査会資料公開総合科学技術会議

11 月 17 日中央合同庁舎第4号館で開催された第 11 回

総合科学技術会議基本政策専門調査会の資料が公開され

た10 月 18 日~ 11 月 8 日にかけて行われたパブリック

コメントの結果等も公開されている特に注目される「Ⅴ

社会とともに創り進める政策の展開」の項目のなかの「社

会と科学技術イノベーションとの関係深化」の課題には

①「国民の視点に基づく科学技術イノベーション政策の推

進」には欧米にくらべ遅れている「政策の企画立案及び

推進への国民参画」の促進が必要その方法論を研究し

具体的な参画の場や運用を整備すべき国の機関のみなら

ず各地の大学や研究機関が主体的に参画できるものであ

るべき②科学技術だけでなく社会についての知を総合

しなければイノベーションは不可能③「倫理的法的

社会的課題への対応」でヒトの臨床試験に関する法律

動物実験バイオ施設といった具体例を論ずるべきといっ

た意見が集約されている

また民主党政権が達成目標としている「政府研究開発投

資の対 GDP 比 1」に関しては資料 4 - 1 の第 4 期科

学技術基本計画における投資目標のなかに2008 年度の

実績が 072 であったことが示されているちなみにア

メリカは政府研究開発投資の対 GDP 比 1 を維持してい

httpwww8caogojpcstptyousakaiseisakuindexhtml

科学技術に関する最近の話題への国民の関心について科学技術政策研究所 (NISTEP)

文部科学省所管の科学技術政策研究所は科学技術に関す

る最近の話題への注目度など速報性のあるデータについて

公開したまた同研究所は「日本の研究者を対象とした科

学における知識生産プロセスについての大規模アンケート

調査」の結果についても公表を行ったhttpwwwnistepgojpnistepabout09html

httpwwwnistepgojpachievftxjpnmat191jpdfmat191j_

reportpdf

公共政策のためのパブリックコメント2011 年度予算編成に伴い9 月末から政策コンテストが

進められているこれは市民から広く意見を聞くパブリッ

クコメントのことであるところがある省の政策担当者が

政策立案に関わった専門家に提出方法についてメールで周

知し間接的ながらも意見の提出を促した事実が明らかと

なったこの問題は今月 18 日付新聞各紙で報道された

時代の流れである政策の公共性に逆行し公共の利益に反

する行為であるいわずもがなではあるがパブリックコ

メントが義務的な制度ではなく今後政策や予算立案の過

程で当然の仕組みとして定着していくためにもパブリッ

クコメントを広く公平に集める仕組みつくりは危急の課題

であり集まったコメントに耳を傾ける真摯さが政策サイ

ドに求められている政策や予算に対するパブリックコメ

ントは政策の公共性に必要不可欠の仕組みであり科学技

術の社会受容の重要なプロセスである「パブリックコメ

ントを行いました」という既成事実のためにあるのではな

共同声明「国際化拠点整備事業(グローバル 30)の強化を要望する」11 月 16 日

東北大学筑波大学東京大学名古屋大学京都大学

大阪大学九州大学慶應義塾大学上智大学明治大学

早稲田大学同志社大学立命館大学

平成 21 年度に開始された国際化拠点整備事業(グローバ

ル 30)に採択されている上記 13 の大学は昨年に引き

続き本事業が行政刷新会議の事業仕分けの対象となったこ

とに関して共同声明を発表したその骨子は国際的視

点と人材教育の視点から大学及び日本社会の国際化のた

国内情報

15

PEN N

ovember

めのグローバル 30 をさらに拡充強化されることを政府に

要望するものでまた予算の縮減などになれば国際社会に

おける日本の信頼が大きく傷つくばかりでなく日本の将

来について致命的な打撃を与えるのではないかと指摘して

いるh t t p w w w o s a k a - u a c j p j a n e w s t o p i c s 2 0 1 0 1 1

files20101116_2pdf

加速する EV 市場電気自動車 (EV) 市場が大きく展開し始めたすでに三菱

自動車は昨年から EV アイミーブを市場に投入している

日産自動車は今年 7 月から EV リーフの試乗会を行ってき

たがいよいよ来 12 月には EV リーフの日米同時の販売

を開始するこれにあわせて 12 月 45 日に横浜市内で

公道上での試乗会が行われる今後は技術提携を進めるフ

ランスのルノー社との技術の共通化が図られる

このような動きに対しトヨタやホンダはこれまで EV に

は慎重な姿勢を維持してきたしかしこの数か月でその姿

勢にも大きな変化が出てきた今月 17 日から開催されて

いるロサンジェルスのモーターショーでトヨタは RAV4

の EV モデルホンダはフィットの EV モデルをそれぞれ

公開しているこれまでハイブリッド技術で覇権を制して

きたトヨタはこの 5 月にカリフォルニアの EV 開発ベン

チャーであるテスラと資本提携スポーツタイプ多目的車

(SUV)をベースとした EV の開発を加速させているテス

ラは 2008 年から時速 200km を誇るロードスターの市場

投入実績を有しておりトヨタ以外にもすでにダイムラー

とも資本提携を行っているまた今月にはパナソニックと

電池の共同開発を開始するなど2015 年の本格的なアジ

ア市場での販売計画に向けて技術開発を加速させている

テスラの技術は家電製品に使われる汎用電池を多数並べて

用いるところに特徴があり現時点では車載用専用の電池

の開発を進める他の EV との差別化を図ることに注力して

いる

このような一連の動きは2012 年のカリフォルニア州に

おける環境規制の施行を見据えたもので2012 年が EV

普及にとってフラグポイントになるアメリカでもゼロエ

ミッション EV の開発が活発に行われ経営破たんしてい

た GM が 11 月 18 日に株式市場に再上場するなどアメ

リカの産業構造も大きく変わりつつあるただモーター周

りの技術に関しては中国企業との共同開発も進められて

いる

このような EV 市場の急展開の様相は日本の経済を支え

てきた自動車産業に大きな質的変化をもたらしつつある

EV は「自動車が家電製品になる」と形容されるように

車載用駆動電源としての 2 次電池の高性能化やリチウム

資源の確保さらには太陽光発電利用やスマートグリッド

まで含めたエネルギーデリバリーシステムや充電インフラ

等々幅広い産業活性化の起爆剤でもあるEV がオフィ

スや家庭の家電とつながればIT 産業にも大きなビジネス

チャンスが到来する自動車産業は家電メーカー総合

商社IT 企業その他さまざまな技術領域を巻き込んだ覇

権争いに突入していこうとしておりこれまで ldquo 城下町 rdquo

と称された日本の垂直統合型自動車産業そのものが大きく

変わりつつあるといっても過言ではない

ところで「モーターをタイヤにした」構造的には内燃機関

式に比べ単純な構造の乗り物でもある EV の市場には新

興国の新規産業が参入しやすいという一面がある上述し

たような 2012~15 年にかけて強まる世界的な環境規制を

追い風に新興国から多くの EV 産業への参入が予想され

る実際に中国広東省のベンチャー企業 BYD などはそ

の急先鋒として成長し続けている日本の産業は1990

年のバブル崩壊以降 20 年にわたって「技術で勝って市

場をとれない」状況に苛まれてきた対処策の一つは技術

開発と経営の基本姿勢である言うまでもなく技術が発展

することは製品の質の向上に結び付くのだがただ「より

良い技術をふんだんに詰め込めばおのずと製品は売れる」

という安易な技術への過信や過剰な技術の詰め込みがイノ

ベーションプロセスに負に作用することも事実であるエ

リアごとに大きく異なる市場のニーズを的確に把握するこ

とと急速に展開する市場に対応した経営意思決定の迅速

化がキーになる

もう一つは国際的な枠組みでのインフラ技術の標準化であ

る一国一票の投票権を持つ国際標準化の策定プロセスで

は欧州が圧倒的な強さを維持しており日本は常に苦戦

を強いられる立場にある国際電気標準会議 (IEC) におけ

る EV インフラ技術の標準化チャデモ協議会といった日

本の対応については週刊エコノミスト 12 月号 40 ~ 41

頁に詳しい

また日刊自動車新聞によると電気自動車普及協議会が

EV の高電圧周りの安全対策などに関するガイドラインの

策定を始めているが緊急性の高い項目は今年度中に情報

公開される模様である

国立研究開発機関(仮称)構想省庁の縦割り政策の弊害を解消して研究開発を効率的に進

めることを目的に文部科学省は 38 の独立行政法人研究

機関の再編統合を図る仮称「国立研究開発機関」構想を

打ち出している海江田科学技術政策相はその設置法案を

来年度の通常国会に提出する考えを明らかにしこれに併

せて発足に向けたスケジュール作りがすでに検討チームの

中で始まっているその一方蓮舫内閣府特命担当大臣(行

16

PEN

Nov

embe

r 政刷新)公務員制度改革担当は文部科学省ではなく内閣

府主導で予算編成を行うべきとの考えを示し行政刷新会

議も「焼け太りは許さない」と文部科学省を牽制設置法

そのものの提出をくい止めたい考えである他の様々な施

策同様これも民主党政権内での軋轢となっている

化学5社化学物質情報伝達を電機大手と共通化中小企業ビジネス支援サイト J-Net21 は11 月 15 日に

日本の化学大手 5 社がアーティクルマネジメント推進協

議会の仕組みを活用して製品に含まれる化学物質の伝達

方法を電機大手と共通化することを発表サプライチェー

ンでの情報伝達の共通化が図られるhttpj-net21smrjgojpwatchnews_tyusentry20101115-10

html

22 年度科学技術関係補正予算閣議決定先月末の 26 日平成 22 年度補正予算 4 兆 8500 億円が

閣議決定された今月 11 日付科学新聞はこのうち科学

技術関係予算を文部科学省のスパコン「京」への 186

億円などを含め約 1500 ~ 2000 億円程度と見積もってい

る経済産業省関係では産学官連携のイノベーション拠点

立地支援事業への支援策が多く盛り込まれているつくば

イノベーションアリーナ中核拠点と位置づけられている産

総研には補正予算 30 億円が配分されている

なお内閣府総合科学技術会議は 11 月 4 日2010 年度

の当初予算額 3 兆 5878 億円に対し補正予算案は 1864

億円経済危機対応地域活性化予備費は 141 億円で

合計は 3 兆 7742 億円となったことを明らかにした補正

予算の詳細については 11 月 4 日「平成 22 年度経済危機

対応地域活性化予備費及び補正予算案(科学技術関係予

算)について」として内閣府から公開された

httpwww8caogojpcstpbudgeth22hoseipdf

ナノボーグの販売軽量化フレキシブル化が進む様々なデバイスをまとめて

身に着けることが可能な服が「ナノボーグ」である東工

大谷岡教授が名付けたもので4 日付日刊工業新聞による

と今月にも太陽電池を電源とするジャケットがアメリカ

のアパレルメーカーから発売される

httpwwwnikkancojpnewsnkx0320101104eaahhtml

ldquoNBCI ナノナビ rdquo 創刊ビジネス環境のグローバル化オープン化に伴って政策

や規制動向研究開発動向の迅速な情報共有への要求が高

まりつつあるこれに応え一般社団法人ナノテクノロジー

ビジネス推進協議会(NBCI)は不定期の情報誌 ldquoNBCI

ナノナビ rdquo を創刊先月末より会員向け配信を開始した

創刊号では標準化の重要な課題であるナノラベリング(使

用ナノ材料の周知目的)の動きナノネット活用等につい

て最新の動向が配信された

httpwwwnbcijp

フラーレンのナノエレ応用脚光を浴びるカーボンナノチューブやグラフェンに比べ

フラーレン(C60)のナノエレクトロニクスへの応用展開

は広がらない状況が続いてきたがこの度 C60 を積層し

た有機トランジスタが開発されたこれは 11 月 1 日付日

経産業新聞が報じたもので大阪大学と山形大学大日本

印刷の共同研究の成果である試作された C60 を含む有

機トランジスタは従来の有機トランジスタより大きな電

流を流すことが出来400 キロヘルツの高速応答が得られ

たとのこと

筑波大に生命科学研究拠点先月末筑波大は先端学際領域研究センター通称 TARA

センターを改組し生命領域学際研究センターを設立浅

島誠氏がセンター長に就任した今後 20 人の研究部隊が

幹細胞研究などに特化した研究を展開する

新規事業への投資を名城ナノカーボン10 月 29 日付の金融専門誌ニッキンは名城ナノカーボ

ンの橋本剛氏をとりあげた同社は 2005 年 4 月に当時

銀行員であった橋本氏が名城大安藤義則教授と共に設立

したカーボンナノチューブの開発製造販売を手がける

名城大発ベンチャー橋本氏は今後 5 ~ 10 年で名城ナノ

カーボンの上場を目指すとし取引金融機関に対して新規

事業への具体的な資金投入を期待している

CNT 生産能力倍増昭和電工10 月 29 日付化学工業日報は昭和電工(株)川崎事業

所におけるカーボンナノチューブ (CNT) の年産 100 トン

から 200 トンへ引き上げ計画を報じた同社はリチウム

イオン 2 次電池向け気相成長 CNT の供給を行っているが

今後はさらに急速な需要拡大が進む可能性もありさらに

生産体制の拡大を図る可能性もある

17

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ovember

宝石という名前の虫

タマムシはタマムシ科の 4 センチメートルほどの甲虫です漢字では玉虫と書きます玉とは宝石のことで

その名のとおり赤い縦の線が走る虹色がかった緑色の金属光沢の美しい翅をもっています

法隆寺所蔵の国宝「玉虫厨子」を教科書などで見たことがある人も多いのではないでしょうか厨子は仏像な

どの礼拝の対象をしまう大切な入れ物のことです天平の世の人々がその大切な厨子の壁面を飾る細工の材料

にタマムシこそが相応しいと思ったのも納得できる美しい甲虫です残念ながら現在では玉虫厨子の壁面の

翅の多くは脱落してしまっていますが往時を再現した複製品から天平の時代の華やかな色が想像できます

タマムシは時代や洋の東西を問わず美しいと思われるようでベルギーにはその美しさに憑かれて宮殿の天

井を大量のタマムシの翅で飾った現代工芸家もいます

タマムシは厨子に使われた翅だけでなく腹部や脚触角なども緑色の光沢を放っていますまた美しい

翅が良くわかるような背面からの写真が多いので米粒型のすんなりした形のイメージが強いですが横から

見た体には以外と厚みがあります成虫は樹冠を飛び回り主にニレ科の広葉樹の葉を食べています幼虫は

カブトムシの幼虫に似た白いずんぐりしたイモムシで餌も葉ではなく木ですそのため害虫に分類されても

います

岐阜県高山市「茶の湯美術館」に玉虫厨子のレプリカが展示されています

httpwwwnakada-netjpchanoyutamamushi_zushihtmtamamushi 

18

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Nov

embe

r

これを批准した結果日本は 1990 年を基準として 6の

温室効果ガス削減を国際的に約束した日本国憲法によれ

ば国際条約は守らなければならないことになっているの

で「チーム -6」などという運動が日本全国にできた

これの何が間違いだったのであろうか以下その根拠を説

明する尚現在の一次エネルギー源は 80以上が化石

燃料によるものであるからエネルギー消費と温室効果ガス

排出はほぼ同義語であるまた国内総生産(GDP) の増

大すなわち経済成長は社会の安定と国民の安心感を支え

る基本的な要素でありその減少は社会の不安定化をもた

らすため増大させることが必須である

日本は 1973 年の第一次石油危機で大きなダメージを受

けそれから「省エネルギー技術」の開発を血眼になって

推進したその結果図 1 に示すように日本は世界一の「省

エネ大国」になったのである図で縦軸は石油換算のエネ

ルギー消費量横軸は GDP をドル換算したもので1995

年のデータを示してある斜目の破線は一定の GDP を作

り出すのに必要なエネルギー量をトン単位で示しており

これが小さいほどエネルギー効率のいい社会であるつま

り使用エネルギーが少なくなるか同じエネルギーを使っ

ても生産額が多くなればエネルギー効率は良くなる

 エネルギー効率=使用エネルギー生産額(GDP)

図から明らかなように日本は 1995 年時点でも既に世

界で一番エネルギー効率の良い国だったのであるドイツ

フランスイタリアなどは日本の 15 倍イギリスは 2 倍

アメリカが 3 倍中国やロシアに至っては何と 10 倍以上

のエネルギーを浪費しているということが一目瞭然であ

る日本がこのようなエネルギー効率の良い状態から更に

エネルギー消費を減らすなどと言うことは被虐趣味以外

の何物でもないちなみに図 1 は小生が京都議定書を見て

「これは誤りである」と確信し直ぐに作成したものであり

13 年前には既に分っていたことである

それでは日本は何を主張すれば良かったのか賢明な読

者は図 1 を見れば直ぐに考え付くであろうそう「世界

の皆さん今後 10 年間でエネルギー効率を高くする努力

をし現在の日本並みとまでいかなくても少なくとも近

付く努力をしてください」と主張すべきだったのだこれ

なら発展途上国も経済発展を保障されるから合意できたで

あろうし何よりも日本の「省エネ技術」を世界標準とし

て輸出可能であったろう昨年中華人民共和国(中国)が

出した指標はまさにこのような考えに基づいたものであろ

うどこかの国の首相が温室効果ガス排出量(=エネル

ギー消費量)の 25の削減を持ち出したのに対し「中国

はエネルギー効率(=使用エネルギー生産額)を 40

向上させる」と主張した図1から見ても彼等は 1995 年

の日本の水準に追いつくだけで 90の削減が可能であり

40などというのは非常に容易な達成目標であることは

明らかであるまさに国際条約を締結する上での基本的

な事項である「自国の利益を最優先する」という原理原

則にも合致している流石は厳しい歴史を体験してきた国

京都議定書が提案されてから既に 10 年以上経過した今

更と思われる方もおられるかも知れないが現在の日本が

抱える様々な矛盾の出発点の一つが京都議定書であると考

えざるを得ない以上ここで改めてその問題点を明らかに

したい環境省のホームページに掲載されている京都議定

書の内容は以下のとおりである

(httpwwwenvgojpearthcop63-2html)

ポイント先進国の温室効果ガス排出量について法的拘束力

 のある数値目標を各国毎に設定

国際的に協調して目標を達成するための仕組みを

 導入(排出量取引クリーン開発メカニズム共同

 実施など)

途上国に対しては数値目標などの新たな義務は導

 入せず

寄稿京都議定書で日本は何を主張すべきであったか東洋大学大学院学際融合科学研究科 教授 和田恭雄

19

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ovember

は違うなどと感心してはいられない

今からでも遅くない「2010 年を基準としてエネルギー

効率の向上を図る」ことを国際的な合意目標に切り替え

るべきである無論為替レートは 2010 年現在の 1 ド

ル= 80 円程度に固定して比較すべきである現在の円

高を考えれば分母が大きくなることが日本の利益につ

ながるからだ国際条約においては「被虐趣味」は最低

の選択であることを忘れてはならない「率先垂範」など

と言う言葉は国際社会では通用しない無論表面上は大

いに賞賛されようが腹の底で「カモが来た」と思われ

食い物にされるだけである他人から褒められるために

自らの競争力を放棄するようなことは止めるべきである

京都議定書を他山の石としてナノテクノロジーの世界

でも「自らの強みを世界の標準にする」という基本的な

姿勢を取るべきであるのは当然のことであるdarr

darr 世界各国のエネルギー消費量と総生産の比較図右下

に行くほどエネルギー効率が高く同じ GDP を創り出す

のに温室効果ガスの排出量が少ないということを示す

日本は 1995 年当時既に世界一の「省エネ大国」であり

西ヨーロッパの 15 倍米国の 3 倍ロシアなどよりも

10 倍以上効率の良い経済体制になっていたことが分か

る世界中の国が日本を手本にすれば温室効果ガスの排

出量を減らしつつ経済成長が可能になり即ち皆がハッ

ピーになれることを示すことができるばかりでなく日

本の省エネ技術を世界標準にすることも主張できる根拠

となる

20

PEN

Nov

embe

r

日本では21 世の始まりと共に科学技術政策に基づ

いてナノテクノロジーの研究開発への戦略的投資が開始

された2001 年度からの第 2 期科学技術基本計画と

2006 年度からの第 3 期科学技術基本計画の都合 10 年

間にわたる優先的戦略的な研究開発の資源の投入も余

すところ4ヶ月となった

21 世紀を担うと期待されたナノテクノロジーには研

究開発側から社会への一方的な応用があたりまえであっ

たこれまでの科学技術とは異なる研究開発の方法論が導

入されたコア技術の研究開発と並行してその技術の社

会的影響を検討しそれをさらにコア技術の研究開発に

フィードバックするという新しい研究開発の方法論であ

る [1]ナノテクノロジーの社会的影響にとって最も重

要で緊急の課題がナノ材料の環境健康影響安全 (EHS)

の課題であった技術の社会的影響を検討しながら進め

られているナノテクノロジーの研究開発がうまくいくか

どうかこのことがナノテクノロジーに続く今後の新興

の科学技術の研究開発のあり方に大きな影響を与えるこ

とになる社会的影響をフィードバックしながら進める

責任ある研究開発がはじめて試みられた日本のナノテク

ノロジーがこれまで 10 年間にわたって戦略的研究開発

投資を続けてきた現在どのような状況にあるのか今回

の特集ではそれを俯瞰的に解析する

まず国内の全ての新聞と雑誌に掲載されたナノテクノ

ロジー関連記事の数を統計的指標としてナノテクノロ

ジーの研究開発に対して日本の社会がどの程度の関心を

示しているのか評価することを試みる図1に日本

のメディアに掲載されたナノテクノロジー関連の記事の

年推移を示すグラフから明らかなようにナノテクノ

ロジーへの戦略的研究開発投資が始まった 2001 年まで

日本のメディアはほとんどナノテクノロジーを取り上げ

ていないただこれは日本にナノテクノロジーの萌芽

的研究開発がなかったということではない

一例をあげるなら工業技術院は産業科学技術研究開発

制度の一環として新エネルギー産業技術総合開発機

構(NEDO)の委託により原子分子極限操作技術の研

究開発プロジェクトを展開した1992 年から 10 年間に

わたり分子原子をボトムアップ的に集積する研究開発

を進めたこのプロジェクトは技術研究組合オングスト

ロームテクノロジー研究機構(ATP)と呼ばれたさらに

ATP と産業技術融合領域研究所は同研究所内にアトム

テクノロジー研究体(JRCAT)を設置して産官学の共同

研究プロジェクトを推進した折しも日本は 1990 年の

バブル経済の崩壊後失われた 10 年と称される経済の停

滞に苦しんでいたまだナノテクノロジーに対する期待

は高まってはいなかったが日本のナノテクノロジーは

着実に萌芽的研究開発を進めていた困難な経済のなか

で日本のナノテクノロジーはその萌芽に向けた着実な

準備をしていたといえるのだがこのような地道な研究

開発が進められていた点はこの統計からは見えにくい

0

500

1000

1500

2000

2500

3000

3500

4000

4500

5000

1990

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2001

2002

2003

2004

2005

2006

2007

2008

2009

図 1

特集

10 年におよぶナノテクノロジー研究成果の発展的継承を 

21

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2001 年度から戦略的な究開発投資が開始されると同時

にナノテクノロジーへの関心は急速に増していった

わずか 2 年後の 2003 年にはその期待は極みに達して

いる上述したとおり我々はこの統計で縦軸をナノテ

クノロジーに対する社会の関心と見なしておりこれは

David M Berube 氏が示した典型的な Hype 曲線の縦軸

「Visibility」と同義とみなせる [2]その類似性を図 2 に

示す

図 2

日本では Nano-Hype と呼べるピークが高性能瞬間湯

沸器よろしく戦略的研究開発投資が開始されたわず

か 2 年後の 2003 年に出現しているのであるまたJ

Fenn らはこのようなピークを図 3 に示すようにイノ

ベーションのハイプサイクルにおける rdquoPeak of Inflated

Expectationsrdquo と表現している [3]

Exp

ect

atio

ns

Time

InnovationTrigger

Trough ofDisillusionment

Slope ofEnlightenment

Plateau ofProductivity

Peak of InflatedExpectations

図 3

この時期はナノテクノロジーの将来価値への大きな期

待の反面研究開発の実態は希薄である実体の伴わな

い過剰な期待を理由に「一部の有力な科学者や政策担当

者がこのような Hype の状況を意図的に作りだした」と非

難する論調もある確かに Nano-Hype はナノテクノロジー

の将来価値への期待が研究開発の実態を上回る状況では

あるがナノテクノロジーに対する社会の関心や期待を

喚起しその期待を背景にナノテクノロジーへの研究開

発投資が漸次増加していったことも事実であるまたナ

ノテクノロジーの事をもっと知りたいという知的欲求も

刺激されそれに応えるためにいくつかの大学ではサイ

エンスコミュニケータやサイエンスインタープリタサ

イエンスジャーナリストの養成講座等が開設されたさ

らに今日年間 2000 回以上のサイエンスカフェが全国各

地で開かれるなどナノテクノロジーのような新興の科

学技術のパブリックエンゲージメントの活動の契機にも

なったNano-Hype と呼ばれる状況がそのような様々

なプラスの効果を日本にもたらしたことも忘れてはなら

2003年

2010年

2003年

22

PEN

Nov

embe

r ない点である

実体の伴わない過剰な期待が徐々に覚めていく Negative-

Hype の状況はHype が極みに達した 2003 年直後の

2004 年から 2007 年にかけて顕著に現れてくる依然

として政府のナノテクノロジー材料領域への研究開発

投資が伸びるなかメディアがナノテクノロジーを取り

上げる頻度は急速に下がり社会の関心は冷めていった

過剰な期待が冷静さを取り戻していく Negative-Hype は

必然であるとしても注目しておかなければならない大

事な点は Negative-Hype がいつ止むかいつ底を打つの

かである図 1 から明らかなように2004 年以降 2007

年まで急速に下降しているものの2008 年から 2009 年

と明らかに Negative-Hype は底を打っている

上述の J Fenn らは新しいハイプサイクルの縦軸の評価尺

度を議論しているのだが図 4 に示すようにハイプサイ

クルのプロフィールが二つの要素からなることを示して

いる [4]この指標を採用すると今年 2010 年の日本の

ナノテクノロジーはHype が終わりエンジニアリング

またはビジネスが徐々にその成熟度を増していくちょ

うどその過渡期にあるとみてよい今後ナノテクノロジー

がITエネルギー環境ライフサイエンスといった様々

な技術分野の基盤技術としてその実用化に貢献していく

現在はちょうどその転換点にあるそのプロセスを確実

に進めていくには中長期的な一貫した科学技術政策に

よりナノテクノロジーの基礎的な研究開発を継続的に

推し進めていくことが肝要である

図 4

そして10 年に及ぶ科学技術政策に基づいたナノテク

ノロジーの戦略的研究開発投資の成果を応用実用化

へ確実につなげていくために取り組まなければならない

もっとも重要な課題が包括的で実態のあるナノテクノ

ロジーのパブリックエンゲージメントの活動である昨

今ナノテクノロジーの研究開発と並行して社会受容

パブリックエンゲージメントの活動の重要性が指摘され

るようになってきたしかしこの課題に関する解釈は

依然としてまとまりを欠いているだけでなく「こういっ

た課題への取り組みが大事である」といったことが最後

の部分に申しわけ程度に記述されている例も多々見受け

られる取り組んでいるという既成事実のために実体の

伴わないパブリックエンゲージメントの活動が進められ

ると将来的にナノテクノロジーへの信頼も失墜しかね

ない多様な課題を含む社会受容パブリックエンゲー

ジメントの活動には包括的な視点で具体的実践的に取

り組んでいく必要がある

ReferenceRoco M C amp Bainbridge W S 2001 ldquoSocietal

Implications of Nanoscience and Nanotechnologyrdquo

Kluwer Academic Publishers

Berube M B amp Roco M C(FRW) 2005 ldquoNano-Hype

The truth behind the nanotechnology buzzrdquo Prometheus

Books

イノベーションのハイプサイクル

「Mastering the Hype Cycle」J Fenn M Raskino

Harvard Business Press 2008

M Raskino J Fenn IT Management(ITM) ITM-09-

37 Research Note 2010 年 2 月 9 日

23

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ovember

【CO2 排出量】世 界 的 な 金 融 危 機 に も か か わ ら ず2009 年 の 化 石 燃料 由 来 の 二 酸 化 炭 素 排 出 量 の 減 少 は 小 幅 に と ど ま る

(20101122)国立環境研究所(国環研)

国環研はグローバルカーボンプロジェクト (GCP) が 11

月 22 日の Nature Geoscience 誌の電子版に調査結果を発

表すると速報したその内容は世界金融危機の経済的

影響にも関わらず2009 年における世界の化石燃料由来

の二酸化炭素排出削減量が予測値である 28を下回り

前年比 13にとどまったことで同じく GDP の減少も予

測値を下回っている

httpwwwniesgojpwhatsnew20102010112220101122html

【量子コンピューティング】量子コンピュータ実現への障壁を緩和する誤り耐性方式を開発 (20101124)日本電信電話(株)京都大学

量子コンピュータに必須な量子ゲートは確実に正しい演

算をすることはなくある程度の誤り確率をもつため量

子コンピュータを実現するためには演算の誤り訂正を行

う技術の実現が必須となる演算の誤り訂正を行うために

はある程度誤り確率の低い量子ゲートが必要であると考

えられてきたが今回共同研究チームは誤り確率が非常

に高い量子ゲートを用いても量子計算が可能となる誤り耐

性のある量子計算方式を世界で初めて示した

httpwwwnttcojpnews20101011101124ahtml

【光電変換】ナノギャップ光アンテナにより高効率化した有機超薄膜による光電変換 

(20101122)物質材料研究機構北海道大学

NIMS と北大の共同研究チームは有機超薄膜型の光電変

換分子素子において光吸収電子伝達といった必要な機

能をもつ部品を連結した分子から成る単分子超薄膜を原

子レベルで表面制御した平滑な金電極面と金ナノ粒子で挟

み込むことによってナノギャップ型の光アンテナを導入

することに成功したその結果光アンテナ 1 つあたりで

光誘起電子移動反応が約 50 倍の効率に高まることを実

証した

httpwwwnimsgojpnewspress201011p201011220html

【EV】シンガポール政府と電気自動車の普及に関する覚書を締結

(201011 19)三菱自動車(株)

MMC はシンガポール政府と電気自動車(EV)普及のため

の活動に協力する内容の協定を締結したことを発表した

今回の活動はシンガポールの経済開発庁が中心となり

同国のエネルギー市場監督庁陸上交通庁との間で EV タ

スクフォースを組成し同国の EV 普及を目的としたユー

ザー向け補助金制度や充電インフラ整備などの検証を行う

ものこの活動の中でMMC は CCA を通じ 2011 年より

順次『i-MiEV(アイミーブ)』25 台を供給し実証走行

試験に協力していくhttpwwwmitsubishi-motorscompublishpressrelease_jp

corporate2010newsdetail4407html

【リチウム二次電池】リチウム二次電池の量産化実証工場が竣工 年間生産能力6 万 6000kWh (201011 18)三菱重工業(株)

リチウム二次電池事業への本格参入に向け長崎造船所内

に建設していた同電池の量産化実証工場が17 日竣工し

た年間生産能力は 6 万 6000kWh中型電池換算で約

40 万個に相当する今後各種実証技術に取り組み早期

の本格的な商業量産につなげていくとしている

プレスリリースより

CUTTING-EDGE TECHNOLOGIES

24

PEN

Nov

embe

r httpwwwmhicojpnewsstory1011184999html

【基礎科学物質の起源】動きがのろい冷反水素原子を 38 個も磁気瓶に閉じ込める物質と反物質の違いを知る手がかりとなる冷反物質研究が新段階に (201011 18)物質材料研究機構(NIMS)

NIMS は欧州原子核研究所(CERN)の国際共同研究グルー

プに参加し反物質の代表格である反水素原子を独自に

開発した八重極磁気瓶の中に 38 個も閉じ込めることに世

界で初めて成功した反水素原子の原材料である反陽子(陽

子の反粒子)と陽電子(電子の反粒子)を八重極磁場コ

イルとミラーコイルを組み合わせた磁気瓶の中に蓄積し

そっと混ぜ合わせて冷たい反水素原子を大量に生成した

反水素原子は電気的に中性の小さな磁石なので反水素原

子ができあがったころ(約 1 秒後)を見計らって電圧を

加え残存している反陽子と陽電子をことごとく排除した

その後磁気瓶の磁場を瞬時にゼロにすると磁気瓶内に

とどまっていた反水素原子は装置の壁に当たって消滅し

パイ中間子などのさまざまな粒子を放出するこれらの粒

子を磁気瓶を包む 3 枚の検出器で観測した結果捕捉し

ていた反水素原子を 38 個も確認することができた後述

するように同内容は理化学研究所からもリリースされたhttpwwwrikenjpr-worldinforeleasepress2010101118

indexhtml

【超伝導】ピセンのカリウムドープに伴う電子構造変化の直接観測 

(201011 17)岡山大学

岡山大学の研究グループはピセンおよびカリウムドープ

ピセンの電子構造を実験的に観測する事に世界で初めて成

功したカリウムドープピセンは芳香族炭化水素における

初めての超電導体であるがカリウムドープピセンの超電

導メカニズムまた超電導を誘起する電子構造は解明され

ていない研究グループは光電子分光法を用いピセンのカ

リウムドープに伴う電子構造変化を直接的に観測した結

果ピセンのカリウムドープに伴う電子構造変化を観測

芳香族炭化水素超電導体の超電導メカニズム解明および新

規超電導体探索の指針になると期待されるhttpwwwokayama-unetrenkeidocumentpdfpressrelease

press-101117pdf

【慣性力発電】慣性力(振動)発電技術を商品化 国内最大手エース社のバッグに慣性力発電ユニットを搭載 (201011 17)伊藤忠商事(株)

米国 CIIIS 社の持つ慣性力発電(振動発電)技術を用いて

人体の運動による振動で発電する慣性力発電ユニットを開

発した国内鞄最大手のエース株式会社がこの慣性力発

電ユニットを搭載したバッグの販売を行う

httpwwwitochucojpjanews2010101117html

【生物多様性】多様性進化の背景に『甲状腺機能低下』 (201011 16)東北大学

生物多様性の喪失は現在急速に進んでおり多様性の進化

維持機構を解明することは世界的な課題である生物多様

性の創出は多くの場合新規環境に生き物が侵出すること

によって始まるが生物が新規環境へどのように適応して

行くのかその過程については多くが未解明である東北

大学の研究チームはこのたび新規環境への適応に甲状腺

ホルモンの進化が重要であることを発見したhttpwwwtohokuacjpjapanesenewimgpressimgtohokuuniv-

press_20101116pdf

【ナノ物性】ナノスケールの鉄磁石を電界でコントロール

(201011 01)千葉大学

磁石の N と S 極は磁界を用いることでコントロールでき

るが千葉大学の研究チームはナノスケールの鉄の磁石の

極性をエネルギーの要らない電界でコントロールできるこ

とを見出したhttpwwwchiba-uacjppublicitypresspdf201020101102nano

pdf

【SOFC 関連材料技術】 画期的な電解質材料の開発に成功 固体酸化物燃料電池の商用化に一歩前進 (201011 18 )物質材料研究機構(NIMS)

NIMS の研究グループは電解質材料に必要とされる三つ

の要件イオン伝導性化学的安定性焼結性のすべてを

高いレベルで満足する2種類の材料を開発することに成功

したひとつは10 のプラセオジムを含むイットリウム

添加ジルコン酸バリウム(BZPY)でもうひとつは酸

化ニッケル (NiO) とイットリウム添加ジルコン酸バリウム

25

PEN N

ovember

(BZY) の混合粉末を固めた基板上にプレス成形された BZI

であるhttpwwwnimsgojpnewspress201011201011180

p201011180pdf

【レアアース】微生物でレアアースの回収が可能に バクテリアがレアアースを濃縮する現象を発見 (201011 17)広島大学高エネルギー加速器研究機構高輝度光科学研

究センター

共同研究グループは微生物の細胞表面では微生物が存在

しない周囲部分に比べてレアアースを高濃度に濃縮する現

象を見出したまたレアアースの中でも特に希少価値の高

い元素が選択的に濃縮することを発見その濃縮メカニズ

ムを放射光を用いたX線吸収法により明らかにした

httpwwwkekjpjanewspress2010RareEarthElementshtml

【はやぶさ】はやぶさカプセル内の微粒子の起源が判明(201011 17)宇宙航空研究開発機構

「はやぶさ」のサンプルキャッチャー室から特殊形状のヘ

ラで採集された微粒子を走査型電子顕微鏡にて観察および

分析した結果1500 個程度の微粒子を岩石質と同定した

更にその分析結果を検討したところそのほぼ全てが地

球外物質であり小惑星イトカワ由来であると判断するに

至った

httpwwwjaxajppress20101120101117_sac_hayabusapdf

【超伝導基礎科学】超伝導のメカニズム解明に大きな手がかり ルテニウム酸化物の電子の運動状態を選択的に可視化することに成功 電子対を形成する「のり」の起源を初めて解明

(201011 17)広島大学産総研

1994 年に日本で発見されたルテニウム酸化物超伝導体は

ユニークな超伝導状態を示しこれまで数多くの研究が行

われてきたがいまだにその超伝導のメカニズムは謎のま

まであった超伝導が生じるためには電子と電子を「のり」

で結びつけ「電子対」にする必要がある共同研究グルー

プは放射光の直線偏光特性を活用するため放射光の光

軸のまわりに回転可能な高分解能角度分解光電子分光装置

を開発しルテニウム酸化物超伝導体の超伝導機構解明に

重要な手がかりをつかんだ研究グループが開発した新装

置を用いることによりルテニウム酸化物超伝導体の異な

る運動状態にある電子を選択的に分離しながら精密に分

析することが初めて可能となったその結果物質の電子対

を形成するための「のり」として結晶を作っている原子

の振動が重要な役割を果たしていることその「のり」が

どのくらい強く働いているのか等が明らかとなった httpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101117

pr20101117html

世界最高性能基準光源を開発 安定高精度高速の三拍子そろった光信号の発生に成功 (201011 15) 情報通信研究機構(NICT)国立天文台(NAOJ)

NICT と NAOJ はNICT 独自の高消光比変調技術を利用

し精度を保ったまま周波数範囲を拡大する構成を提案し

たNAOJ の安定度向上技術による制御機能を組み合わせ

ることで世界最高性能の基準信号発生装置を共同開発

し100 ギガヘルツを超える高速信号の長距離伝送を実現

した本装置の方式により従来技術の課題であった安定

性周波数範囲精度の問題を解決した安定性は 2 台の

レーザを用いる従来方式に比べて 10 倍以上を実現し信

号の乱れを 30 万年に 1 秒以下とすることに成功したま

た精度は従来型変調器と比較し 1000 倍以上周波数範

囲は 4 倍を達成したhttpwww2nictgojppubwhatsnewpressh22101115101115

html

【基礎科学レーザ分光】電子の氷を光で融かす一瞬を捉える 光が有機物質を変える瞬間の超高速スナップショット (201011 15)東北大学自然科学研究機構分子科学研究所科学技術振

興機構(JST)

共同研究グループは光の照射によって有機物質の色や

電気伝導度が大きく変化する光誘起相転移現象の最初の瞬

間を捉えることに成功した電場と磁場の振動である光の

振動の3周期分に匹敵する極めて短いパルス光をポンププ

ローブ分光によって二次元有機物質における電荷秩序の

融解のダイナミクスすなわちldquo 電子の氷 rdquo が光によっ

てどのように解け絶縁体から金属へと変化するのかと

いう問題を明らかにしたものこの成果 12 月初めには米

国物理学会誌 Physical Review Letters オンライン版で公開

予定

httpwwwjstgojpprannounce20101117-2indexhtml

【熱電材料】水を使って絶縁体から効率のよい熱電材料を作ることに成

26

PEN

Nov

embe

r 功 希少毒性金属を含まない安価簡便な熱電材料創製に新たな道 (201011 15)科学技術振興機構 (JST)名古屋大学

熱電材料は熱を電気に変換することができることからエ

ンジンの排熱を利用して発電するハイブリッド自動車など

への応用が期待されているが従来の熱電材料はビスマ

スアンチモン鉛テルルといった希少毒性金属など

を含む問題があったJST 課題解決型基礎研究の一環とし

て名古屋大学の研究グループは水の電気分解を利用し

安くてありふれた絶縁体酸化物表面を大きな熱電効果を示

す金属へ変えることに成功した大量に水を含んだ多孔質

ガラスを新規に開発しこの多孔質ガラスを金属チタンと

チタン酸ストロンチウムに挟んで電圧を加えると水の電

気分解によって絶縁体のはずのチタン酸ストロンチウムの

表面に厚さ 3 ナノメートル以下の極めて薄い金属チタン酸

ストロンチウムが生成した通常の金属チタン酸ストロン

チウムに対して 4~5 倍高い電圧を示すことから従来の

熱電材料の約 2 倍の熱電性能が期待できる

httpwwwjstgojpprannounce20101117indexhtml

【基礎科学物質の起源】国際研究チーム反水素原子を瓶の中に閉じこめることに成功(20101118)理化学研究所

8 か国からなる研究チームは欧州合同原子核研究機関

(CERN)の装置を用いて加速器で反陽子と陽電子を作

成し磁場の中に閉じこめたのちに撹拌して反陽子と陽

電子1個ずつを結びつけ反水素原子を生成した反水素

生成後に余った反陽子と陽電子を取り除き反水素原子だ

けを特殊な瓶の中に封じ込めることに成功した計 38 個

の反水素原子が 02 秒間存在したことを確認反物質は

Dan Brown の小説「天使と悪魔」で非常に微量で爆発

を起こす材料として登場するしかし今回の手法では短

時間に消滅してしまい爆弾に使える量をためるのは不可

能だという17 日付の Nature Online 版に掲載

httpwwwrikenjpr-worldinforeleasepress2010101118 

【マックスウェルの悪魔実証】情報をエネルギーに変換することに成功 ldquo マックスウェルの悪魔 rdquo を実験により世界で初めて実現新規ナノデバイスの実現に期待 (201011 15)中央大学東京大学

微細加工技術とサブミクロンスケールのリアルタイム制御

システムを組み合わせ「マックスウェルの悪魔」と呼ば

れる科学史上の重要な概念を世界で初めて実験により実現

した これによって情報をエネルギーに変換できるこ

とを初めて示すとともに情報を媒介して駆動する新規ナ

ノデバイスの実現の可能性を示した マックスウェルの

悪魔は熱力学の根本に関わる概念でありこれを実現でき

た学問的意義は大きいまた科学者以外にもよく知られ

たテーマであり多くの人が興味を持つ話題でもある情

報を媒介して駆動する新規のナノデバイスを実現できる可

能性があり基礎的研究にとどまらずナノサイエンスで

の新しい制御法への応用が期待できるこの成果は 11 月

14 日に Nature Physics Online に公開された

Toyabe Sagawa Ueda Muneyuki and Sano

ldquoExperimental demonstration of information-to-energy

conversion and validation of the generalized Jarzynski

equalityrdquo

httpwwwsu-tokyoacjppresspress-2010-42html

詳細は中央大学 HPhttpwwwchuo-uacjpchuo-unewscontents_jhtmlsuffix=kampmo

de=topamptopics=12513

【基礎科学分子バネ】電子の出し入れで硬さが劇的に変わる分子バネを開発 たった 1 つの電子放出で分子全体の動きやすさが 450 倍も変化 (201011 15)理化学研究所科学技術振興機構(JST)

6 個の炭素原子が環状につながったベンゼン環は有機化

合物において最も基本的な構成ユニットの一つでありベ

ンゼン環をさまざまな形で結合させたものが盛んに研究さ

れてきたしかしベンゼン環を隣り合う炭素の位置で結

合させたオルトフェニレンは単純な構造でありながら合

成が難しいためこれまでほとんど研究がなされておらず

その性質は解明されていなかった理化学研究所の研究グ

ループはベンゼン環 48 個を隣り合った炭素の位置で結

合させたオルトフェニレンを世界で初めて合成したオル

トフェニレンは3 つのベンゼン環が 1 ピッチのらせんを

形成するバネ状の構造をしているがこのようなバネ状の

構造を持った分子はさまざまな機能を発揮するためエ

レクトロニクスや分子機械への応用の可能性が高まってい

る研究グループはこのバネ状分子から電子を 1 つ取

り去るとバネの硬さが劇的に増してらせんの反転速度が

約 450 分の 1 も遅くなることを突き止めたまたこの

1 個の電子の出し入れに応じてバネのピッチが 3263Aring か

ら 3224Aring と変化したこれまで電子が高密度に含まれ

た分子バネは電子を出し入れすることでその振る舞いが

変化することが理論上予想されていたがこのように電子

を多量に含む分子バネの合成は難しく実験的にも証明さ

れていなかった硬さの変化というこれまで実現すること

27

PEN N

ovember

ができなかった応答をする分子バネの登場は応答性分子

の分野に新たなコンセプトをもたらすと注目される本研

究成果はJST 戦略的創造研究推進事業 発展研究 (ERATO-

SORST)「分子プログラミングによる電子ナノ空間の創成

と応用」の一環として行われたものhttpwwwrikenjpr-worldinforeleasepress2010101115

indexhtml

【自己組織化基質選択的会合】分子間の特異的な相互作用による新規材料集積法を開発 分子が好みの分子を見分けて接着 (201011 15)大阪大学科学技術振興機構(JST)

近年分子認識を利用して分子と分子を非共有結合でつな

げることによりさまざまな超分子錯体が合成されさらに

これらを自己集合させる研究が行われているこれらの研

究において形成される集合体は分子の大きさであるナノ

メートルからマイクロメートルの極めて小さなもので高

倍率の顕微鏡を使わなければ見えない分子認識に基づい

て手軽に使えるくらいの大きな自己組織体を作り出すこと

はナノテクノロジー分野において分子を自己組織化さ

せて機能性材料を創製する上で重要な課題であった大阪

大学の研究グループはホスト分子としてシクロデキスト

リンをゲスト分子としてシクロデキストリンが結合する

化合物を用いてそのホスト-ゲスト相互作用を利用して

多様な自己組織化超分子ポリマーの構造体を作りマクロ

スケールで機能を発現させる研究を進めている今回D

NAやタンパク質の分子量決定に広く用いられるアクリル

アミドゲルを土台にしてこのゲルにシクロデキストリン

とゲスト分子をそれぞれ別々に導入し「ホストゲル」と

「ゲストゲル」を合成したこの両者を水中で振動させる

とゲルが接着する挙動が観察されミリメートルからセン

チメートルの大きさの物体を分子認識により自己集積でき

ることを世界で初めて実証したさらにシクロデキストリ

ンとゲスト分子との相互作用の強さの違いによって選択的

に特定のゲル同士を接着させることができることがわかっ

httpwwwjstgojpprannounce20101115indexhtml

【ブタノール分離膜】バイオブタノールの省エネルギー型膜分離精製技術を開発1 wt ブタノール水溶液から80 wt 以上の高濃度ブタノールの回収が可能 (201011 15)産総研

産総研は1 wt 程度の希薄なブタノール水溶液からゼ

オライト系分離膜を用いて 80 wt 以上に濃縮したブタ

ノールを回収できる省エネルギー型のバイオブタノール精

製技術を開発した ブタノールはエタノールと比較して

発熱量が大きいことから地球温暖化対策に貢献できる再

生可能なバイオ液体燃料すなわちポストバイオエタノー

ルとして期待されている今回合成条件の最適化を進め

高いアルコール選択透過性をもつシリカライト分離膜を合

成し膜分離法によって低濃度ブタノール水溶液から高

濃度ブタノールの回収が可能となった従来の分離膜を用

いた場合に比べてブタノール回収のためのエネルギーを

50 ~ 70 程度低減できることが期待される httpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101113

pr20101113html

【分子生物学】 化学合成したペプチドからウイルスの殻構造を組み上げることに成功 新規ナノ材料や医療材料としての応用に期待 (201011 12) 九州大学北九州市立大学

共同研究グループは化学合成したペプチドから約 40 ナ

ノメートルのウイルスの殻構造を組み上げることに世界で

初めて成功した球状の植物ウイルスから遺伝子を除いた

キャプシド構造と呼ばれる殻構造は決まった大きさのナ

ノ空間であることからナノ物質の反応器や運び手として

利用する研究が国内外で盛んに行われているしかしこ

れまでウイルスのキャプシド構造を得るにはウイルス

の遺伝子をバクテリア内に導入して生産させる必要があっ

た本研究では遺伝子やバクテリアを用いない完全化学

合成によってウイルスキャプシドを構築することに成功

した今回ウイルスの殻構造を簡単なペプチドから構築

できたことで様々な機能性ウイルスキャプシドを人工的

に創成する道が拓けたと言えるこのペプチドからなるナ

ノカプセルに適切な化学修飾を施すことによりナノ物質

合成のための反応器や医薬品の運び手人工ワクチンを

創成するための足場材料として応用できるものと期待され

るhttpwwwkyushu-uacjppressrelease20102010-11-12-04pdf

【レアメタル】レアメタル使用量削減技術の実用化を加速(20101110)新エネルギー産業技術総合開発機構 (NEDO)

NEDO はレアアース総合対策の一環として企業が取り

組むレアメタル使用量削減技術の実用化を加速するための

助成事業(事業規模約 100 億円)を 2010 年度補正予算

の成立を前提に行うこの助成事業では短期間で実用化

が期待できる以下の技術開発を対象として①レアメタル

28

PEN

Nov

embe

r を代替する材料の技術開発 ②レアメタルの使用量を削

減する技術開発 ③レアメタルのリサイクルを促進する

技術開発 ④その他のレアメタル消費の削減に資する技

術開発を行うhttpapp3infocnedogojpinformationskoubopressEFnedopre

ss2010-11-068550095069

【導波路型光スイッチ】光スイッチの消費電力を従来の 2 分の 1 に低減 増え続けるネットワーク機器の消費電力問題を解決 (201011 09)( 株 ) 富士通研究所

同社はシリコンフォトニクス技術を適用した導波路型光

スイッチについて世界で初めてシリコンゲルマニウム

(SiGe)細線構造を用いることで従来のシリコン細線構

造に比べて消費電力を約 2 分の 1 に低減することに成

功した幅広い波長に対応して高速に動作できるタイプの

光スイッチ素子としては世界最小の消費電力を実現して

いるhttpprfujitsucomjpnews2010119html

【ナノ構造機能】昆虫が足を擦る秘密をナノテクノロジーで解明 生体模倣による新しい材料機能の開発に活用 (201011 09)物質材料研究機構マックスプランク研究所キール大

共同研究チームは環境問題で循環型社会実現に求められる

「接着と分離」を繰り返せる未来の接合技術の開発研究に

おいてガラスのような平坦な表面を逆さまでも歩行でき

る昆虫の足の裏の優れた接着性に着目し昆虫(ハムシ)

の歩行調査を行いナノテクノロジーを用いた実験により

昆虫が摩擦により汚れを感じていることを突き止めた

httpwwwnimsgojpnewspress201011p201011090html

【超音波流量計半導体プロセス】極微量な流量を精密に測定できる超音波流量計を開発 半導体製造装置の性能を向上させ環境負荷を低減しランニングコストを削減 (201011 09)産総研( 株 ) アツデン東京計装 ( 株 )

3 者は共同で10 mLmin( 誤差plusmn 01 mLmin) 以下の極

微量な流量を精密に測定できる超音波流量計を開発した

この流量計は超音波ガイド波の伝搬に関する基礎理論の

見直しを行い超音波を高周波化し設計を最適化するこ

とにより開発したものでこれまでの超音波流量計では計

測できなかった微小な流速領域での流量測定ができるこ

の超音波流量計は半導体製造装置で利用される薬液の高

精度な制御を可能にし半導体製造装置の高性能化環境

負荷の低減ランニングコスト削減へ貢献すると期待され

る httpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101109

pr20101109html

【研究交流】中国上海における国際交流事業の実施同済大学と大学間学術交流協定を締結 (201011 08)大阪大学

10 月 21 日上海において開催した上海教育研究センター

開所式記念講演会祝賀会には鷲田清一総長をはじめ

とする大阪大学教職員中国の学術交流協定校関係者大

阪大学同窓会会員など約 130 人が列席し盛況の内に終

了した翌 22 日23 日には第 15 回大阪大学上海交

通大学学術交流セミナーが上海交通大学情報ネットワーク

センターを主会場として開催され7つの研究会に約 100

人が参加したさらに 23 日と 24 日の両日上海東亜展

覧館を会場に開催された中国国際教育展に大阪大学のブー

スを出展し100 人を超える留学相談者が本学のブースを

訪れた翌 10 月 22 日鷲田清一総長は上海市内にある

同済大学を訪問裴学長陳副学長ほか大学関係者と懇談

するとともに大学間学術交流協定及び学生交流覚書の調

印式に臨んだこれにより中国の大学との 10 番目の協定

が成立したhttpwwwosaka-uacjpjanewstopics20101120101108_1

httpwwwosaka-uacjpjanewstopics20101120101108_2

【高耐久性セラミック】激しい熱変化にも強度劣化しない窒化ケイ素系セラミックスを開発 窒化ホウ素の微粒子を分散させ耐熱衝撃性を飛躍的に向上 (201011 08)産総研三井金属鉱業(株)

両者は共同で従来品に比べて耐熱衝撃性と高温での強度

を飛躍的に高めた窒化ケイ素系セラミックスを開発した

今回窒化ケイ素(Si3N4)をベースとして高い熱伝導

率をもつ粒界相を形成させるとともにそこに非晶質に近

い窒化ホウ素のナノメートルオーダーの微粒子を分散させ

ることで耐熱衝撃性を飛躍的に向上させた従来の窒化

ケイ素が 1000 の温度差で強度が低下するのに対して

今回の開発材は電気炉で 1400 に加熱した後水中に投

下することを 10 回繰り返してもほとんど強度が劣化しな

かったまたこの開発材について大気中 1200 で高温

29

PEN N

ovember

曲げ試験を行ったところ室温と同程度の強度を保持して

いたセラミックスでは大型化すると小試験片では得られ

た特性が得られず実用化を進める上での課題になること

が多いがこの開発材では焼結条件を最適化することに

よって直径 82 mm 長さ 370 mm の比較的大型の部品で

も試験片と同様の組織物性が得られたまた実際の

製品形状に近い部品の焼成も可能となったhttpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101108

pr20101108html

【ミリ波発信器】ミリ波帯無線通信の実用化にめど 世界最高性能の低雑音局部発振器を開発 (201011 08)東京工業大学

東工大の研究グループは雑音を従来の 100 分の1以下

に低減したミリ波帯局部発振器を開発した20GHz 帯の

発振器と 60GHz 帯の注入同期型直交局部発振器を組み合

わせることにより世界最高の低位相雑音性能を達成した

無線通信の周波数帯ひっ迫を解消する技術として 60GHz

ミリ波帯の利用が注目されているがミリ波帯ではコイル

やコンデンサの損失が大きくなり位相雑音特性が劣化す

るのがネックだった今回はこれを解決したものでミ

リ波無線通信の実用化につながる成果発振器は 65 ナノ

メートルのシリコン CMOS プロセスを利用して試作した

580GHz から 636GHz の周波数範囲で 4 相正弦波出力が

可能でこの発振器により10Gbps(毎秒 100 億ビット)

以上の超高速ミリ波帯無線通信の実現が期待されるh t t p w w w o l d t i t e c h a c j p t o k y o - t e c h - i n - t h e - n e w s j

archives2010111289174400html

【炭素繊維応用】住宅向け外装材「炭素繊維補強サイディング」の本格展開について 優れた強度と耐熱寸法安定性で 15 年の基材保証を実現 (20101105)東レ ACE(株)

東レの子会社東レ ACE は炭素繊維で補強した窯業系サ

イディングを開発し本格販売と市場展開を開始する「炭

素繊維補強サイディング」はセメント質原料に炭素繊維

を添加配合して成型固着させた建物外壁用のセメントボー

ドで従来の窯業系サイディングの優れた防耐火性耐久

性等を維持しつつ更なる強度補強効果や火災高温時の

変形や熱収縮によるひび割れの抑制など耐熱寸法安定性

も向上させることで基材 15 年保証を実現する 本製品

に使用している炭素繊維は軽くて強く優れた高温特性や

耐熱性を有し非常に細い繊維を多く配合できることから

外装材としての強度補強効果も期待できるとしている

httpwwwtoraycojpnewsaffilnr101105html

【光ファイバーナノインプリント】ナノ格子反射防止表面光ファイバー先端に形成ナノ技術で安く製作 (20101105)東北大学

東北大の研究グループは微小な窪みが多数形成された反

射防止構造体を光ファイバーの先端に製作する技術を開発

した光ファイバーは光通信や光分析装置の構成部品とし

て使われており光源受光素子やレンズなどの光部品と

の接続損失を減らすために先端に反射防止膜が形成され

ている従来の反射防止膜は真空装置を使って薄膜を付け

るためコストが問題であった研究グループはナノイン

プリント技術を用いて光ファイバー先端のコア部に 270

ナノメートル間隔で微小な円錐状の窪みを形成し反射損

失を低減することに成功したナノインプリント技術は

基板に塗布したポリマーに原版を押し付けて微細パターン

を転写する技術で高価な露光装置や真空装置が不要なた

めナノ構造を安価に製作することができる今回光ファ

イバー先端にナノ構造を製作するために専用のナノインプ

リント装置を開発した窪みの間隔が光の波長よりも小さ

い場合屈折率が変化し反射波が生じにくくなる反射

率や波長帯域は窪みの形状間隔や高さで決まり従来

の反射防止膜よりも設計の自由度が高いため要求に合わ

せて種々の反射防止表面を製作することが可能 httpwwwtohokuacjpjapanese201011press20101105-2

html

【人工筋肉機能材料】光を運動エネルギーに変える新高分子素材の開発に成功 世界で初めて分子を大面積で 3 次元的に配列させ新機能を実現 (20101105)理化学研究所

光で変形したり電子を流すなどの機能を持った分子を人工

的に規則正しく大面積で集積することができると機能性

材料の性能向上や革新的新機能の発現につながるそのた

め世界中で精力的に開発が行われているがこれまで実現

させた例はなかった理化学研究所の研究グループは光

で構造が変化するアゾベンゼン分子を組み込んだブラシ状

の高分子「ポリマーブラシ」を大面積で 3 次元的に一挙

に配列させる手法の開発に初めて成功したこの規則性の

ある 3 次元集積構造は延伸したテフロンシートにポリ

マーブラシを挟み込みアイロンに似た熱と圧力を加える

といういたって簡単な操作で実現したさらにこのフィ

30

PEN

Nov

embe

r ルムに光を当てるとアゾベンゼン分子の構造変化が一方

向に集約しフィルムが湾曲するという巨視的変形を引き

起こすことを見いだしたすなわちこの新しいフィルム

は光エネルギーを運動エネルギーに変換する機能を持って

おり新たな人工筋肉材料などへの展開が期待されるま

た本技術は有機薄膜太陽電池をはじめとする次世代の機

能材料の開発にも革新をもたらすと期待されるhttpwwwrikenjpr-worldinforeleasepress2010101105

indexhtml

【リチウムイオン電池正極材料】常温プロセスで全固体薄膜リチウムイオン電池の試作に成功 エアロゾルデポジション法による蓄電池製造の新工法開発を本格化 (2010115)産総研

産総研はトヨタ自動車 ( 株 ) と共同で産総研が開発し

たセラミックス材料の常温高速コーティングプロセスであ

るエアロゾルデポジション (AD) 法を用いて酸化物系の

正極材料負極材料固体電解質材料を薄膜積層化して

金属基板上に 3 層構造からなる全固体薄膜リチウム (Li) イ

オン電池を試作蓄電池としての充放電特性を世界で初め

て確認した 従来型の薄膜技術とは異なりAD 法を用い

ると基板の加熱が不要でまた厚膜化も容易であるそ

のため成膜時間が大幅に短縮でき蓄電池の生産性向上

やプロセスコストの大幅な低減が期待される今後は AD

法を用いた本格的な全固体電池の共同開発を進めていく httpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101105

pr20101105html

【記録デバイススピントルク素子】次世代超高密度 HDD に向けたマイクロ波アシスト記録の基本技術を開発 磁気ヘッドに搭載可能なスピントルク素子を用いた磁気情報の書き換えを確認 (2010115)新エネルギー産業技術総合開発機構(NEDO)(株)日

立製作所

NEDO はハードディスク装置(HDD)の開発製造会社で

ある日立グローバルストレージテクノロジーズの協力を得

て従来の磁気記録方式の限界を超えHDD の記録密度

を飛躍的に伸ばす方式として期待されているマイクロ波ア

シスト磁気記録方式の基本技術を開発しその原理を実験

的に確認したマイクロ波アシスト記録では記録媒体の

小領域にマイクロ波帯の高周波磁界を加え磁気情報の書

き込みを容易にする今回開発したのはヘッドに搭載可

能な高周波磁界を発生するスピントルク発振素子でこの

素子を用いて記録媒体上に磁気情報を記録できることを実

験的に確認したこれまで外部のマイクロ波発生装置を

用いたマイクロ波アシスト効果の報告例はあったが今回

微細な発振素子を用いた磁気情報の記録を確認できたこと

により将来この素子を記録ヘッドに搭載しマイクロ波

アシスト記録を実用的に行える可能性が示されたhttpapp3infocnedogojpinformationskoubopressEFnedopre

ss2010-11-029718160145

【基礎科学物性】絶縁体が金属に変わる新原理の解明 超伝導素子や熱電変換素子の開発へ道(20101104)東北大学

東北大学原子分子材料科学高等研究機構の研究グループ

は高品質酸化物薄膜において電気が流れにくい絶縁体

状態から流れやすい金属状態への遷移機構を解明した材

料における電気の流れやすさは電気を流す担い手である

伝導キャリアが物質中にどれだけ含まれるか伝導キャリ

アがどれくらいスムーズに動きまわれるかによって決ま

るつまり伝導キャリアの濃度を増やしたり材料中で

伝導キャリアの動きを妨げる原因になるひずみや欠陥を少

なくすると電気はより流れやすくなる本研究では人

工宝石として知られるチタン酸ストロンチウム (SrTiO3)

の絶縁体を用い伝導電子を生み出すキャリア供給層を

SrTiO3 絶縁体間に挟み込んだ絶縁体層 キャリア供給層

絶縁体層の層状界面構造をもつ高品質超格子構造を作製す

ることで絶縁体層の体積を増加させると反対に電気が流

れやすい金属状態になる現象を発見した最新の電子顕微

鏡技術を用いた原子構造解析と電子状態の理論計算を駆使

して絶縁体を増加させると界面で結晶のひずみが少なく

なり高導電化することを解明した本研究が明らかにした

界面での結晶のひずみを制御することによって絶縁体を金

属状態へ変化できる現象は様々な材料でも普遍的に起こる

と考えられ絶縁体から金属へ変わる境目で性能が向上す

る新超伝導体や新熱電材料の開発に展開することが可能と

期待されるhttpwwwtohokuacjpjapanesenewimgpressimgtohokuuniv-

presspdf

【環状高分子】様々な環状高分子の自在な合成に成功 「かたち」に基づく機能開発に期待(2010112)東京工業大学

東工大の研究グループはこれまで困難とされてきた

種々の含環状高分子の選択的な合成に成功した同研究

グループで開発された単環状高分子合成プロセスである

31

PEN N

ovember

Electrostatic Self-Assembly and Covalent Fixation Process

と有機合成化学の新手法であるクリックケミストリー

を組み合わせることで様々な「かたち」の自在な構築

を達成した本手法の開発により近年注目を集めてい

る「かたち」に基づいた高分子物性の探索を加速させる

ものと期待されるhttp wwwo ld t i t e ch ac j p tokyo - t ech - in - the -news j

archives2010111288656000html

【異分野連携オープンイノベーションモデル】応用脳科学コンソーシアム 脳科学及びその周辺領域の学術知見を活用したオープンイノベーションモデルの研究活動を開始 異業種の民間企業と異分野の脳科学研究者が連携し事業性の高い研究テーマを推進 (2010111)アサヒビール(株)(株)NTT データ積水ハウス(株)

(株)竹中工務店帝人(株)凸版印刷(株)日産自動

車(株)(株)博報堂(株)NTT データ経営研究所

NTT データ経営研究所が日本神経科学学会の協力を得て

2010 年 10 月 1 日に創設した「応用脳科学コンソーシア

ム」においてそれぞれの事業活動に関連する独創性の

高い研究テーマについて複数の「応用脳科学 RampD 研究会」

を立ち上げるRampD 研究会では各 RampD 研究会を設置

した特別会員企業が各テーマに関連の深い脳科学及び

その関連領域の研究者を招聘し異業種である他の会員

企業とともに最新の研究知見を活用してオープンイノ

ベーションモデルの研究活動を実施する各社が設置す

る RampD 研究会は現時点で(1)おいしさの総合評価研究

会(アサヒビール)(2)ヘルスケア脳情報クラウド研究

会(NTT データ)(3)インタラクティブ住環境研究会(積

水ハウス株式会社)(4)コミュニケーション空間研究

会(竹中工務店)(5)メディアエンゲージメント研究

会(博報堂)この他の RampD 研究会については今後随

時応用脳科学コンソーシアムのウェブサイト httpwww

keieikencojpcan で公開予定

httpwwwnttdatacojprelease2010110101html

【レーザ技術基礎光物性】熱を加えずに結晶を柔らかくすることに成功 高強度テラヘルツ電磁パルスで分子ネットワーク操作が可能に 

(2010111)京都大学科学技術振興機構(JST)

京都大学はテラヘルツ電磁パルスと呼ばれる新しい光

を物質に照射することで1兆分の1秒の短い時間で結

晶中の分子を大振幅で揺さぶり熱平衡状態では実現で

きないような分子変位を実現することに世界で初めて成

功した実験結果は結晶が実効的にやわらかくなったこ

とを意味するものでさらに強いテラヘルツ電磁パルス

によって高効率で結晶を融解させることを示唆するこ

れは熱による反応を起こすことなく新しい分子間のネッ

トワークやたんぱく質などの巨大分子の立体配位を操作

できることを示しており化学合成における反応促進や

創薬における有機分子結晶の精製での活用が考えられる

今回の成果は JST 戦略的創造研究推進事業日本学術振

興会学術創成プロジェクト「動的相スイッチ機構を内在

する有機電子材料の開拓と非平衡物性科学への展開」お

よび京都大学グローバル COE プログラム「普遍性と創発

性から紡ぐ次世代物理学」によるものhttpwwwjstgojpprannounce20101101indexhtml

【高周波デバイス】透 明 な 高 周 波 デ バ イ ス 見 え な い ア ン テ ナ へ の 道

(20101028)物質材料研究機構太陽誘電(株)

両者は共同で透明な高周波デバイスを製造するための

基本技術である微細な金属配線と酸化物透明導電体から

なるハイブリッド構造を開発した本技術は不透明で

あるが高い伝導性を示す金属と透明ではあるが金属の

100 分の 1 程度の伝導率にとどまる酸化物透明導電体と

を組合せ両者の特性を相補的に活用することにより

透明でありかつ携帯電話をはじめとする無線デジタ

ル通信に用いられるギガヘルツ帯の高周波に対して高い

伝送特性を示す素子構造を実現した

httpwwwnimsgojpnewspress201010p201010280html

【エコ製品環境経営】COP10 に向けた環境配慮型製品技術の取り組み ポリ乳酸繊維 ldquo エコディア rdquo 使用商品の提供や連携事業「メッセナゴヤ 2010」への出展を通じ環境保全の取り組みを強化 (20101028)東レ ( 株 )

同社は10 月 11 日 ( 月 ) から 29 日 ( 金 ) に開催された

生物多様性条約第 10 回締約国会議 (COP10) に向けて

ポリ乳酸繊維 ldquo エコディア rdquo 使用商品の提供などを通じて

環境に配慮した運営に協力したまたCOP10 の連携事

業である環境エネルギーをテーマとした展示会「メッ

セナゴヤ 2010」に出展し環境に配慮した次世代自動車

や最先端航空機向けの先端材料を紹介した

httpwwwtoraycojpnewsfibernr101028html

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NEWS POD 著作権の関係で記事のタイトルと詳細内容は標記できませんので簡略に表示しています詳しい内容に関しては各新聞及び雑誌をご覧ください

ナノテクノロジー

研究開発最前線

20101122 日 刊 工 業 新 聞 News

ウェーブ 21

X 線レーザー

20101121 東京読売新聞

新潟ナノテク研究会

20101120 日本経済新聞

ナノテクとバイオ

20101120 下野新聞

バイオ起業

20101119 朝日新聞

ナノ粒子の構造制御

20101119 日刊工業新聞

水素原子観察

20101119 科学新聞

光ファイバー関連技術

20101119 科学新聞

希少金属対策

20101118 日刊工業新聞

熱電材料

20101117 日経速報ニュース

化学合成でナノ構造

20101117 日経産業新聞

つくばナノテク研究拠点への投資

20101117 日刊工業新聞

分子バネ

20101116 日経速報ニュース

ナノバイオ融合

20101116 日経産業新聞

フレンドオブアースのナノテク評

20101116 エコロジーエクスプレス

クラスターテクノロジー

20101112 産経新聞

実用化助成

20101111 日刊産業新聞

接着のメカニズム

20101110 日経産業新聞

電子材料

20101110 日経産業新聞

ナノ磁石

20101110 東京新聞

高分解能放射線検出器

20101110 化学工業日報

電池電極材料

20101108 日本経済新聞

食の安全性

20101108 日経エコロジー

ナノ磁石実用化

20101105 朝日新聞

ナノテク接着剤

20101105 日刊工業新聞

水素原子の観察

20101105 日刊工業新聞

補正予算案

20101105 科学新聞

ナノ磁石

20101104 日本経済新聞

ナノボーグ

20101104 日刊工業新聞

ITO 電極代替技術

20101104 鉄鋼新聞

レアアース代替材

20101103 日本経済新聞電子版

セクション

ナノ鉄磁

20101103 毎日新聞

有機トランジスタ

20101101 日 経 速 報 ニ ュ ー ス

アーカイブ

有機トランジスタ

20101101 日経産業新聞

ナノムービー

20101101 日経サイエンス

低燃費タイヤ

20101030 朝日新聞

筑波大生命科学研究拠点

20101030 茨城新聞

レアアース代替材

20101029 日経産業新聞

播磨地域

20101029 化学工業日報

ナノ粒子操作

20101029 科学新聞

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NEWS POD 著作権の関係で記事のタイトルと詳細内容は標記できませんので簡略に表示しています詳しい内容に関しては各新聞及び雑誌をご覧ください

中国新5カ年計画

20101028 日本経済新聞

高機能消臭素材

20101028 化学工業日報

環境規制等

終わりの科学

20101201 日経サイエンス

電気自動車の覇権

20101123 週刊エコノミスト

環境規制対応

20101122 日経産業新聞

温暖化ガス排出枠

20101122 日経産業新聞

ロス自動車ショー

20101119 日経産業新聞

EV と環境規制

20101119 朝日新聞

EV

20101119 東京新聞

環境と法規制

20101119 化学工業日報

トヨタとテスラ

20101118 読売新聞速報ニュー

CO2 排出量削減

20101118 日経産業新聞

カリフォルニア州環境規制と EV

20101112 日本経済新聞

環境規制

20101112 日本経済新聞

環境規制

20101112 日経産業新聞

米韓 FTA

20101112 朝日新聞

米韓 FTA

20101112 毎日新聞

顔料

20101112 化学工業日報

レアメタル供給規制

20101111 日本経済新聞

潮冷熱

20101110 日本経済新聞

レアアース生産と環境規制

20101108 ダウジョーンズ中国企

業ニュース

韓米FTA

20101101 中央日報

科学技術政策

競争的資金制度

20101122 日本経済新聞

科学技術関係補正予算案 

20101122 THE DOCTOR

韓国 KIST

20101121 朝鮮日報

科学技術政策

20101119 日本経済新聞電子版

セクション

科学技術政策

20101118 日本経済新聞

科学技術政策

20101118 日経産業新聞

女性研究者

20101117 日経速報ニュース

科学技術予算

20101114 東京読売新聞

トップ1論文

20101112 科学新聞

中国特許強国に

20101112 新華社ニュース

関経連と科学技術政策

20101110 産経新聞 

科学技術産業一体政策

20101109 日刊工業新聞

優れた論文の条件

20101105 毎日新聞

「焼け太り許さぬ」

20101102 朝日新聞

国の研究開発投資目標

20101029 日刊工業新聞

科技政策で提言

20101027 日経産業新聞

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科学への信頼に関する読者調査

20101201 日経サイエンス

「カップリング反応」アニメ化

20101110 朝日新聞東京読売

新聞他

科学と社会つなぐ人材

20101025 東京新聞

NEWS POD 

情報誌 PEN 購読のご案内PEN の継続的な購読をご希望の方は下記のメールアドレスまでお名前ご所属メールアドレスをご記入の上ご連絡ください登録配信は無料ですnano-penmaistgojp

PEN は原則月 1 回配信しますバックナンバーと PEN の前身【AIST-TOKYO ナノテク情報】をナノシステム研究部門ホームページにて公開しています httpunitaistgojpnrinano-planindexhtml

PEN は皆さまとの情報共有を目的としていますお持ちの情報で共有すべきものがあれば nano-penmaistgojp までお寄せ下さい

いただいた個人情報は産総研 個人情報保護方針(プライバシーポリシー)に基づき大切に管理し情報誌 PEN の運営と私達のイベントのご案内のみに使用させていただきます

科学技術コミュニケーション

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イベント案内

[産学連携研究開発]大阪大学ナノ理工学人材育成産学コンソーシアム 第 3 回ナノ理工学情報交流会場所大阪大学中之島センター 7 階 講義室 3(講師来訪)

   大阪大学東京オフィスサテライト教室

(遠隔講義配信)

   四日市商工会議所内サテライト教室

(遠隔講義配信)については調整中です

コンソーシアム HP にてご確認ください

   ナノテク社会人教育プログラムの開講をされてい

る場合遠隔講義配信に対応可能です事務局まで

ご連絡ください

日時2010 年 12 月 10 日(金)1330 ~ 1900 頃

主催大阪大学ナノ理工学人材育成産学コンソーシアム 

概要ナノ理工学人材育成産学コンソーシアムでは活動

の一環として産学連携のきっかけを提供すべく企業と

大学の双方からテーマに即した研究開発やトピックを紹介

し会員同士の意見交換と情報共有の促進をはかっていま

す第 3 回目となる今回は「光を用いたナノテクノロジー

の新展開」をテーマに開催しますプログラムなどの詳細

は下記の HP をご参照下さい

参加費コンソーシアム会員学生及び大阪大学教職員は

無料(コンソーシアム企業会員の場合社内から何名でも

無料で参加が可能です)

上記以外の方は資料作成費 1000 円が必要になります

参加登録氏名所属連絡先懇談会への出欠を記載の

上メールにて大阪大学ナノ理工学人材育成産学コンソー

シアム事務局(nano-consnanoscienceorjp)へお申込み

下さい

httpwwwnanoscienceorjp

[コミュニケーション]科学コミュニケーション研究会 第 1 回関西支部勉強会日時2010 年 12 月 2 日 1800 ~ 2000

場所京都大学 吉田泉殿

主催科学コミュニケーション研究会 関西支部有志

概要大阪教育大学科学教育センターの中矢史雄氏を講師

に招きオーストラリアの科学技術コミュニケーションに

ついてオーストラリア国立大学科学意識向上センター

での経験なども交えてお話いただきます定員は 25 名で

す事前申し込みが必要です

httpbitlybPmTP9

[展示会]セミコンジャパン 2010日時12 月 1 日~ 3 日

場所幕張メッセ

主催SEMI

概要国内外の最新のマイクロエレクトロニクス技術に関

する情報を入手することのできる世界最大の半導体製造装

置材料展です

httpwwwsemiconjapanorgjaindexhtm

[知財]アジア特許庁シンポジウム日時2010 年 12 月 3 日(金)930 ~ 1210

場所ホテル日航奈良 飛天の間

主催特許庁

概要日本中国韓国インドネシアマレーシアシ

ンガポールの特許庁幹部を招き各国の知財保護強化の取

組みやアジアにおける知財協力を紹介しますまたパ

ネルディスカッションを設けアジアにおける人材育成協

力の方向性について議論します

httpwwwintergroupjp~convasia

[人材育成]応用物理学会 人財育成シンポジウム -日本の危機を科学が救うそのためのリーダー育成を考える-日時2010 年 11 月 29 日(月)1000 ~ 1710

場所東京工業大学デジタル多目的ホール

主催応用物理学会

概要急速に進むグローバル化に対応のできる人材を育成

するための課題や応用物理学会が貢献することのできる

具体的な取り組みについて議論します

イベント案内へ掲載を希望される方は nano-penmaistgojp までご一報ください

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r h t t p w w w j s a p o r j p a c t i v i t i e s e d u c a t i o n

symppt2010symphtml 

[コミュニケーション]科学技術とメディアのより良い関係に向けて日時11 月 26 日 1815 ~ 2030

場所早稲田大学大隈小講堂

主催サイエンスメディアセンター(SMC)

概要英国オーストラリアのサイエンスメディアセ

ンターの関係者米国のサイエンスコミュニケータを交え

て研究者とメディアの有益な関係性構築に向けた取り組

みについて議論します参加費は無料同時通訳がつきま

httpsmc-japanorgp=403 

[異分野連携]医学領域と工学領域連携研究シンポジウム ‐ 未来を拓く医工連携 ‐日時2010 年 11 月 27 日(土)

場所山口大学医学部第 3 講義室

主催日本学術会議中国四国地区会議山口大学

概要がんの個別化医療をメインテーマにこれからの医

工連携のあり方について講演と議論を行います

httpwwwscjgojpjaeventpdf100-t-3pdf 

[人材育成]マイクロナノエンジニアリング シンポジウム ‐ イノベーションと人材育成 ‐日時2010 年 12 月 8 日(水)1300 ~ 1700

場所日本学術会議 講堂

主催日本学術会議 マイクロナノエンジニアリング分

科会日本機械学会 マイクロナノ工学専門会議

概要学際的分野であるマイクロナノエンジニアリング

は大学大学院における教育の整備関連する産業界

学術界での研究開発における分野融合的な取組みが不可欠

です本シンポジウムでは人材育成を軸とした課題につ

いて議論します

httpwwwscjgojpjaeventpdf100-s-3-1pdf

[ 博物館展示 ]自然に学ぶ ネイチャーテクノロジーとライフスタイル展開催中です

場所国立科学博物館 (東京上野公園)

日時2010 年 10 月 26 日~ 2010 年 2 月 11 日

主催東北大学大学院環境科学研究科国立科学博物館

特定非営利活動法人ものづくり生命文明機構

概要蝶や鳥など生き物や自然の仕組みにヒントを得た環

境負荷の低い技術と将来的な応用の可能性から日本文化

に根差した共生型の新しいライフスタイルのあり方につい

て紹介します国立科学博物館の入館料600円が必要です

httpwwwkahakugojpevent201010natureindex

html

[人材育成]シンポジウム「世界を魅せる日本の課題解決型基礎研究~JST 目利き制度とその可能性」日時2010 年 12 月 6 日(月)1000-1800 (0900 受

付開始)

場所東京国際フォーラム B5 ホール

主催(独)科学技術振興機構(JST)

概要JST がこれまでに行ってきた戦略的創造研究推進

事業の成果を振り返りつつ今後の日本の科学技術の発

展に向けた事業のあり方について参加者の皆様と議論しま

httpwwwsenryaku30jstgojp 

[ 持続可能性 ]学術会議シンポジウム「低炭素化に向けた経済社会エネルギーのあり方と実現のシナリオ」日時2010 年 12 月 9 日(木)1330 ~ 1700

場所学術会議講堂

主催土木工学建築学委員会低炭素建築都市分科会

社会資本分科会

概要両分科会は中~超長期のエネルギー消費量削減シ

ナリオ策定に取り組んできました本シンポジウムでは

分科会の検討結果や削減のための様々な取り組みを紹介

し今後のとりまとめ作業に向けた議論を行います

httpwwwscjgojpjaeventpdf104-s-3-6pdf 

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PEN 編集室関谷瑞木阿多誠文独立行政法人産業技術総合研究所 ナノシステム研究部門 305-8568 つくば市梅園 1-1-1 産総研つくばセンター中央第 2 M404Email nano-penmaistgojpTel029-861-5185 Fax 029-861-5339

編集後記

今月 8 日に長野県長野市で開催された第 3 回国際ナノ

ワークショップ「ナノテクノロジーの社会受容~ナノ

材料の工業標準化の国際的な動向と環境影響について

~」の会場で多くの企業の皆様と意見交換をする貴

重な機会を得た目まぐるしい勢いで変わってゆく諸

外国の環境規制策の動向に民間企業の皆様が神経を

とがらせておられることがひしひしと感じられた東

京から新幹線で 1 時間半インターネットでリアルタ

イムに世界とつながることのできる時代とはいえ情

報物人が集積する地である東京とは異なる苦労も

あることもお聞きした美しい山々きれいな空気あ

るいは世界に誇る観光遺産と科学技術を結び付けて

地域振興をはかりたいとの頑張っておいでの方にもお

会いした

月刊という制約はあるもののこうした方々にとって

タイムリーで有用な情報を提供し続けたいと改めて

強く感じた

ちなみにPEN を発行しているつくば市の産総研つく

ばセンターへもつくばエクスプレスと路線バスを乗

り継いで都心からは約 1 時間半かかる

2010 年 11 月 25 日

PEN 編集室一同ウナギツカミ

Page 2: Public Engagement with Nano- PEN November …...5 PEN November 【知財】 中国、10年で特許強国に(2010.11.12) 中国国家知識産権局は11日に「全国特許事業発展戦略

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Table of Contents

海外情報 helliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphellip 3

連載 環境規制 helliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphellip 11

Column かわいいだけではないらしい helliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphellip 13

国内情報 helliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphellip 14

Column 宝石という名前の虫 helliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphellip 17

寄稿 京都議定書で日本は何を主張すべきであったか helliphelliphelliphelliphellip 18

特集 10年におよぶナノテクノロジー研究開発の発展的継承を hellip 20

Cutting-Edge Technologies helliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphellip 23

News Pod helliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphellip 32

イベント案内 helliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphellip 35

Cover鋭いまなざしミサゴ表紙は今まさに獲物のコイを捕らえることに成功したばかりのミサゴですミサゴはタカの仲間の猛禽でカラスよりも少し大きな体をしています魚を主食とするため魚を捕らえて離さない足の棘と水から飛び上がるための細長い翼を持っていますつくば市周辺では霞ヶ浦で見ることができます

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【リスク管理コミュニケーション】ナノテクノロジーの研究開発に対する建設的な批判を

(20101118)環境 NGO の Friends of the Earth はナノテクノロジー研

究開発の環境コストと技術的な可能性についてのレポート

を公開したこれまでにナノテクノロジーが解決すると期

待を込めて述べられていた技術的な可能性について分析し

ている

多様なデータが集められているがその分析には少々疑問

を感じざるを得ないというのも最近では研究開発を進

める側において Hype を超えた取組みが始められてしかる

べきと考え始められていることについては触れられていな

いなど解析に片手落ちな部分が垣間見られるのである

FoE のレポートに対して Nanowerk online に建設的な批判

を交えた詳しい解説記事が掲載されている

Nanotechnologyrsquos true climate and energy cost exposedhttpwwwfoeorgnanotechnologyE28099s-true-climate-and-

energy-cost-exposed

Blowing hot air ndash how not to criticize nanotechnology

httpwwwnanowerkcomspotlightspotid=19060php

【管理策】オーストラリア政府の情報提供呼びかけへの反応は鈍いものに(20101117)オ ー ス ト ラ リ ア の National Industrial Notification and

Assessment Scheme (NICNAS) は2008 年に2回目のボ

ランタリーなナノ材料情報提供の呼びかけを行ったしか

しこの呼びかけに対する産業界からの反応は鈍くナノ物

質 6 種を扱う7社からの情報提供にとどまったNICNAS

のレポートによるとこの数字は 2006 年に実施された際

の 22 社が 21 種の材料情報を提供したのと比べても格段

に低い結果であった報告数の減少によって予定されて

いたナノ材料管理のための現状分析が十分に実施できな

かったNICNAS はレポートで英国の環境食料農村

地域省や米国の環境保護庁が実施したボランタリーな報告

の試み同様失敗に終わったと結論づけている

httpwwwnanowerkcomnewsnewsid=19044php

【管理策】産 業 界 が 率 先 す る ナ ノ テ ク ノ ロ ジ ー EHS へ の 対 応

(20111117)米国のナノカーボン材料を製造する企業 12 社が今年 4 月

に設立した NanoSafety Consortium for Carbon(NCC)の

活動について紹介するレポートが発表されたNCC は設

立以来ナノカーボン材料の環境健康安全(EHS)と

関連の規制策に積極的に取り組んできた米国環境保護

庁(EPA)へNCC として毒性試験法の提案も行っている

レポートではNCC 設立の背景EPA へ提案した代表的

なナノカーボン材料の毒性試験方法についてなど現在実施

されている取組みそして目標などが簡潔にまとめられて

いる

NCC は11 月 1 日に米国の化学品製造者協会(SOCMA)

に設けられたナノテクノロジー連合(Nanotechnology

Coalition) と の 連 携 を 発 表 し て い るSOCMA は 現 在

300 社を超える会員企業を抱えている両者の連携により

市場化に向けた動きが加速することが期待されているhttp wwwnano lawrepor t com201011ar t i c l e s an -

industrydriven-approach-to-ehs-issues

httpwwwnanowerkcomnewsnewsid=18747php

【有害性評価】ナノ材料と植物細胞の関係(20101116)カーボンナノチューブ(CNT)には多様な分野での応用が

期待されているが農業分野もまたその例にもれず肥料

や農薬への応用が有望視されている一方で動物試験の結

果からCNT は健康や環境へ有害な影響があるのではな

いかと懸念されてもいる

海外情報

4

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r 中国の研究グループはナズナや稲の細胞に単層 CNT を

暴露させ細胞生存力遺伝子損傷活性酸素種発生遺

伝子発現などの様々な観点からその影響を調べた稲の細

胞を利用した試験では CNT を注入した細胞は酸化ストレ

スによって死滅したというしかし個々の水稲細胞は死

滅したが組織片への影響は観察されなかったしたがっ

てナノ材料の植物への影響は限定されたものと考えられ

るという論文は The American Journal of Botany に掲載

されたhttpwwweurekalertorgpub_releases2010-11ajob-nad111610

php

【管理策】カ ー ボ ン ナ ノ チ ュ ー ブ の 新 た な 管 理 方 法 を 提 案

(20101116)カリフォルニア大の研究グループはカーボンナノチュー

ブ(CNT)の管理に「Anticipatory governance」という方

策を取り入れることを提案した CNT の環境や健康への

影響についてのデータは十分とはいえない状況にあるそ

こで本策は CNT が「もしかしたら有害かもしれない」と

考えて取り扱うことを提案している本策は十分な科学

的データの得られない段階で新興技術について何らかの

判断を下さなくてはならない場合の一般的な対応策を提供

する本策を提案したカルフォルニア大学バークレー校の

Mark Philbrick 氏はCNT の場合も確かな科学的データが

集められ管理策が策定されるまでの規制の空白を埋める

ことができ賢明な取扱い方法だとしている論文は米国

リスク分析学会の Risk Analysis に掲載されているh t t p o n l i n e l i b r a r y w i l e y c o m d o i 1 0 1 1 1 1 j 1 5 3 9 -

6924201001445xfull

httpnanotechwirecomnewsaspnid=11064 

【EHS】ナノ粒子の種類と肺での反応の違いについての新しい知見

(20101117)英国エジンバラ大学の呼吸器毒性の専門家である Ken

Donaldson 氏らの研究によるとナノサイズの金属酸化物

粒子が肺へ与える影響には粒子の種類ごとに大きな変化あ

ることが明らかになったしたがって製造事業者はどの

ような種類の粒子を扱っているのかについて十分注意して

労働者保護の対策を採るべきだとしている4 種のナノサ

イズの金属酸化物粒子をラットに投与したところ肺で起

きる炎症の型が粒子ごとに大きく異なっており他の粒子

に比べて喘息様の症状を引き起こす可能性の高いものも

あった論文は Environmental Health Perspective に掲載

された

httpwwwedacuknewsall-newsnanoparticles-171110

httpehp03niehsnihgovarticleinfo3Adoi2F1012892Fe

hp1002201

【EHS】欧 州 で の ナ ノ 粒 子 の 環 境 影 響 に つ い て の 研 究 の 現 状

(201011)ナノ材料を用いた製品が増え続けており製造使用廃

棄の際にどのような影響があるのかに関心が集まってい

る現在様々な国や機関でナノ材料の有害性評価研究や

リスク評価研究が行われているメディアを通じて欧州の

リーディングエッジテクノロジーのイノベーション化を促

進する NPO の Youriscom はエストニアなどで行われて

いる研究を中心とした環境や健康への影響についての専門

家の意見をまとめた記事を配信したエストニアの河川水

などにはナノ粒子の毒性低減能力があるとする研究有益

な土壌中微生物への金属ナノ粒子の影響についてのユタ州

立大学の調査金ナノ粒子環境影響についてのダブリン大

学食品健康研究所の調査などが紹介されているhttpwwwyouriscomLatest_NewsHow_Do_Nanoparticles_

Impact_Our_Environment_And_Uskl

【医薬品】米国で医療応用に向けたナノ材料研究の連携が新たにスタート(20101112)米国国立がん研究所(NCI)にはナノ材料のバイオ医薬

品やがん治療への応用について研究することを目的として

Nanotechnology Characterization Laboratory(NCL)が設

けられているNCL はこのほど新たに米国環境健康科学

研究所(NIEHS)とナノ材料のリスクおよび有害性評価

研究を共同で実施するために連携することとなった共同

研究は NIEHS の新たに 13 億ドルかけて始めるプログラ

ムの一部として実施される両者は本研究によりナノ材

料の物理化学的特性がナノ材料の生体内での挙動やナ

ノ材料により引き起こされる生体反応に与える影響につい

てより多くのことを明らかにできるとしているNCL はこ

れまでに 200 種以上のナノ粒子の評価を行っており評

価データの蓄積も両者の協力によって加速できると期待さ

れているhttpnclcancergovNCL20NIEHS2020Press20Release20

11-08-10pdf

5

PEN N

ovember

【知財】中国10 年で特許強国に(20101112)中国国家知識産権局は 11 日に「全国特許事業発展戦略

(2011-2020)」を発表このなかで 2020 年までに特許強

国になることを目指すとしているこれは 12 日付新華社

通信が伝えたもので中国の特許出願件数はすでに世界の

第 5 位にまで浮上特許審査力も世界のトップレベルにま

で向上してきているまた2008 年から 2009 年にかけて

特許出願件数は 18特許授与件数は 41 もの増加を示

している

【EHS】吸入ナノ粒子の体内挙動(2010117)ベスイスラエルディーコネス医療センターとハーバー

ド大学公衆衛生学科の研究グループはリアルタイムイ

メージング技術を用いて体内でのナノ粒子の挙動を明ら

かにした帯電のない直径 34nm 以下のナノ粒子は曝露

後 30 分以内に肺で観察されたまた 6nm 以下の粒子は

5 分以内で肺までたどり着きその後腎臓へ移動し尿とし

て排出される本研究によって呼吸により体内に入った

ナノ粒子の移動経路が明らかにされたことから今後ド

ラッグデリバリ用の材料開発に弾みがつくことが期待され

る論文は Nature Biotechnology に掲載されたh t t p w w w r s c o r g c h e m i s t r y w o r l d N e w s 2 0 1 0

November07111001asp

httpwwwbidmcorgNewsInResearch2010November

Nanoparticlesaspx 

【管理策】ナノテクノロジー管理に自主的な取組みが果たす役割とは ナノテクノロジー管理策についての新しいレポート

(2010114)ウッドローウィルソン国際学術センターに設けられている

Project on Emerging Nanotechnology は ナ ノ テ ク ノ ロ

ジーの責任ある研究開発における自主的な管理の可能性に

ついて分析したレポートを公表したこのレポートでは

ナノテクノロジーの利用からナノテクノロジー製品にいた

るまでの様々な自主的な管理の取組みを取り上げている

レポートの著者の Daniel Fiorino 氏の専門は環境政策であ

りこれまでに環境を保護するために行われてきた様々な

自主的な取組みについてナノテクノロジー分野でも用い

ることを検討し紹介している過去の事例と現時点まで

にナノテクノロジー分野で行われている様々な取組みを分

類分析し自主的な取組みと規制によらない管理もナ

ノテクノロジーを適切な管理のためには欠かすことのでき

ない重要な仕組みであるとしている

httpwwwnanotechprojectorgnewsarchive8348

【化粧品】適切な日焼止め購入の手引き(1112 月号)現在2 つのタイプの日焼止めが販売されている物理的

に紫外線を防ぐタイプと化学反応によって紫外線を吸収す

るタイプである欧州委員会が公表した調査によると後

者のタイプはサンゴとその生態系に有害な影響を与える

などこのところ環境への有害な影響があると指摘されて

いる環境情報誌 G Online は日焼止めの特集を組みそ

のなかで消費者向けの日焼止購入の手引きとして当面

は皮膚を透過するには大きすぎ白くならない程度には小

さいマイクロサイズの粒子を含む日焼止め使用を勧めてい

httpwwwgmagazinecomaufeatures2320here-comes-sun

【EHS】製 品 ラ イ フ サ イ ク ル に お け る ナ ノ 粒 子 の 環 境 排 出

(2010113)ドイツ連邦環境省は4 種のナノ粒子を対象としてナノテ

クノロジー製品のライフサイクルアセスメント(LCA)を

実施した研究対象とされたのは布巾に使われているナ

ノサイズの銀壁面用ペンキの二酸化チタンタイヤの充

填剤のカーボンブラックディーゼル燃料の添加剤の酸化

セリウムである製品からのナノ物質やナノ構造材料の環

境排出は多様な影響を受けることほとんどがマトリック

スに埋めこまれた状態で起こること等が明らかになった

主要な排出経路は大気と水中であるがたとえば水中に排

出されたナノ粒子の計測には技術的な限界があるなど現

時点ではリスク評価のために一般化できるような結論を

導き出すのは難しいと分析している

httpwwwnanowerkcomnewsnewsid=18808php

Study of nanoparticle emission of selected products during

their life cyclehttpwwwumweltbundesamtdetechnik-verfahren-sicherheit-e

publikationentexte_52_2010_kurzfassung_epdf

【EHS】ナノ材料毒性の現実とは(2010112)Du Pont 社 の 自 主 的 管 理 策 NanoRiskFramework の 作 成

にかかわった David B Warheit 氏はテレビの人気番組

Myth Buster(日本では怪しい伝説のタイトルで放送中)

にならって広く信じられている「ナノ材料を用いた製品

6

PEN

Nov

embe

r の数が増加しているのでナノ粒子が環境中に放出され

て最終的には食物連関のなかに取り込まれる可能性が高

まっている」との単純化した考えについて分析を加えて

いる実際にはナノ材料の環境や健康への影響を明ら

かにするのは容易ではない Warheit 氏は

1ナノ粒子は常にその凝集体より有害である

2サイズと表面特性が常に有害性を判断する指標になる

3すべてのナノサイズの二酸化チタンは同じ毒性プロ

ファイルをもつ

4既存のグッドプラクティスは役立たない

5 ナノ粒子の炎症性評価は in vitro か in silico の試験方法

で評価できるという 5 つのナノ材料毒性にまつわる「伝

説」を取り上げている

Warheit 氏はたとえばサイズではなく表面活性が毒

性を決めると示唆する研究が存在することを指摘し重

要なのはナノ材料の毒性は複雑な要素が絡み合って決ま

るものであり単純なモデルでは明らかにできないこと

を理解することであるとしているまたナノ材料毒性

の研究は非常にゆっくりとした速度でしか進んでいない

そのため研究そのものの数が少なく相互に矛盾する

結果が出されてもいる公表されている試験結果の限界

について理解しておくべきとも述べている

httpwwwnanowerkcomspotlightspotid=18774php

【政策】NNI2011 年度の新規戦略プラン固まる(2010111)米国大統領官邸の科学技術政策室と国家科学技術会議

(NSTC)のナノスケール科学工学技術小委員会は国家

ナノテクノロジー戦略(NNI)の 2011 年度の戦略プラン

の草案を公表しパブリックコメントの募集を開始した

戦略プランは米国のナノテクノロジー研究開発の方向

性を決めるものである重点分野予算配分関係連邦

政府機関のミッションやプログラム等の各項目について

専門家の助言を受けて作成されているパブリックコン

サルテーションは NNI の専用のポータルサイトで 11 月

30 日まで募集しているhttpwwwelectroiq comindexdisplaynanotech-wire-

news1294308577html 

【EHSリスク管理】ナノ粒子と環境(201011)フォトニック工学に関する総合情報サイト Photoniccom

はナノ粒子と環境に関するノースカロライナの Wake

Forest 大学と Duke 大学の共同のレビューを掲載した

環境中に排出されたナノ粒子は様々な生物学的影響をも

たらす可能性があるこのような影響は特定のナノ粒

子の化学組成だけでなく環境中での凝集状態などによっ

ても左右さると考えられているナノ粒子の環境への影

響についての研究は増加しつつある研究の関心は大き

く分けて(1)環境への排出経路と排出時のナノ材料の

状態(2)環境に派出されるナノ材料の毒性(3)環境

中でのナノ材料の挙動と蓄積性(4)最終的なナノ材料

の環境中運命と環境からの回収にある現在細胞レベ

ルでの生体とナノ材料の相互作用などについて少しずつ

明らかになりつつあるしかし自然界ではナノ材料は

多くの場合凝集状態になると考えられるが実際にどの

ような形状になるのかについて確定的なことはまだ不明

であるこのようなことから多くの研究機関や大学で

研究が政府の支援を受けて広く市場で用いられる前に

リスクを見極めるために急ピッチで研究を進めている

httpwwwphotonicscomArticleaspxAID=44805

【管理策】米国のナノテクノロジー管理策について(20101029)化学が社会に与える影響評価を行っている米国の NPO

Chemical Heritage Foundation からナノテクノロジーの

分析に関するレポートと環境保護庁(EPA)の有害物質

規制法(TSCA)の改正に関するレポートが公表された

ライフサイクルに関するレポートはナノテクノロジー

関連の材料の製造から製品の廃棄にいたるまでの各ライ

フサイクルに対応する連邦政府の管理策や規制策を分析

した結果をまとめたものであるTSCA 改正に関してのレ

ポートは3 つの機関が TSCA のナノテクノロジーへの適

用という観点から行った提言を紹介したものhttpwwwelectroiqcomindexdisplaynanotech-article-

display1319373325articlessmall-timesnanotechmems

industry-news2010octobernanotechnology-lifehtml

【EHS農業】植 物 で は 細 胞 へ の ナ ノ 粒 子 の 移 動 は 確 認 で き ず

(20101029)ナノ材料が生物学的に重要な様々な防御機能を潜り抜け

てしまうのではないかと懸念されているナノ材料の

生体内での移動はすでに哺乳類で確認されているスイ

スのチューリヒ工科大学の研究チームは主要な穀物で

あるトウモロコシにおける酸化セリウムナノ粒子の吸収

と移動について分析を行ったトウモロコシを酸化セリ

ウムナノ粒子のエアロゾルおよび懸濁液に暴露したとこ

ろ葉に 50 μ g の吸収がみられたしかしエアロゾル

に暴露させた株に新しく生長した葉に酸化セリウムナノ

7

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ovember

粒子が移動している事実は確認されなかったしたがっ

て植物の防御壁は哺乳類の防御壁よりも強固なのでは

ないかと考えられるhttpiconriceedudetailscfmrid=48442 

httppubsacsorgcennews88i448844news8html

【政策】ECナノ材料の定義について意見を募集(20101025)欧州委員会(EC)はナノ材料の草案段階の定義について

公開しオンラインで意見募集を開始したEC が公開し

た定義では次の 3 項目の条件を満たす材料は全てナノマ

テリアルとみなすという3 項目は①外部構造の 1 次

元以上が 1 nm から 100 nm②内部構造もしくは表面の

1 次元以上が 1 nm から 100 nm③単位体積当りの全表

面積が 60 m2cm3 以上となる物質とされている意見

募集は 11 月 19 日まで行われEC は意見募集の結果を踏

まえて最終的な定義案を作成する現時点で欧州域内に

おいて法的に拘束力のあるナノマテリアルの定義は化

粧品規制(Cosmetics Regulation 12232009)に記され

ている定義のみであるhttpwwwfoodnavigatorcomScience-NutritionEC-calls-for-views-

on-nanomaterial-definition 

【コミュニケーション】米国におけるナノテクノロジー食品応用研究の情報公開は不十分(20101025)米国の生化学者の DM Beck 氏はナノテクノロジーの

食品応用の現状と将来展開について分析し米国の消費

者は欧州たとえば英国の状況に比べて十分な情報や

情報共有の機会を提供されているとは言えない状況にあ

ると批判している情報が不足しているために消費者

の態度が化粧品や医薬品に対するものとは異なっている

と分析しているBeck 氏は研究開発の透明性という部

分で化粧品や医薬品もさして変わらないが消費者の

反応ははるかに慎重なものだと指摘するhttpwwwwibwcomhomeheadlinesControversy_Surrounds_

Nanotech_Food_Experiments_105736283html

【政策】カナダ研究開発支援に大型の予算配分(20101025)カナダのイノベーション基金(CFI)は研究基盤整備を

支援するために 6 億カナダドル(約 492 億円)の予算を

配分する予算配分の内訳は大規模科学イニシアチブ

大学向けの競争的資金最先端基金新イニシアチブ基

金リーダーズオポチュニティ基金となっている全予

算の約 3 分の 1 ずつがそれぞれ大規模科学イニシアチ

ブとリーダーズオポチュニティ基金に配分される

httpwwwinnovationcaennews20101025240

【EHS】ナ ノ テ ク ノ ロ ジ ー 製 品 の 海 洋 生 態 系 へ の 影 響

(20101022)ナノ材料の環境影響についてはまだほとんど研究が進

んでおらず十分なことがわかっているとは言い難い

コネチカット州の New Haven 大学の研究者らは海岸

や桟橋に付着しているぬるぬるしたスライム状のバイオ

フィルムを調べることで様々な日用品を排出源とする

ナノ材料の海洋生態系への影響を明らかにできるかもし

れないとして研究を始めている

httpwwwnanowerkcomnewsnewsid=18632php

【EHS】ナノ医薬品の開発と不確実性(20101021)米 国 で 開 催 さ れ て い た ナ ノ 医 薬 品 American Society

of Nanomedicine の 年 会 で 毒 性 学 の 専 門 家 で あ る

Rochester 大学の Gunter Oberdorster 教授が慎重に言

葉を選びつつナノ医薬品の開発においても新たな分

野の開拓につきものの不確実性に伴う課題に積極的に取

り組むべきだと語った様々なリスクが懸念されている

ものの「新しい材料の正確な知識の入手がもっとも重要

である」と Oberdorster 教授は指摘した現在実施され

ている多くの有害性試験は試験動物へのナノ材料の投

与量が実際的な量とは言えず正確な評価ができないと

も指摘したOberdorster 教授は正確な有害性評価リ

スク評価ひいては有効な医薬品開発のためにさらなる

研究が必要と結んでいるhttpnewhavenindependentorgindexphparchivesentrysafety_

a_concern_for_nanomedicine_tooid_30430

【産業化】現 実 を 見 据 え た ナ ノ テ ク ノ ロ ジ ー 研 究 開 発 の 出 番

(20101020)ナノテクノロジー研究開発は一頃の地に足のつかない

高揚した状況からナノテクノロジーで何が可能なのか

を冷静に分析しつつ実用化のための戦略を定めるべき

状況にあるとの認識へと変化している

10 月 20 日に Industry Week Online にRice 大学主催フ

ラーレン発見 25 周年記念シンポジウムにあわせてこれ

8

PEN

Nov

embe

r までに発表された市場レポートや多くの専門家の意見を

引用しNano-Hype が収まった後のナノテクノロジー研

究の行方についてまとめた記事が掲載された

一部のナノ材料が半導体産業などで利用され始めている

ものの全米科学財団(NSF)が 2000 年に予測したよ

うな 1 兆ドル規模の市場は創出できていないこと結局

NSF の市場予測によって実現したのはナノテクノロジー

への非現実的な期待に火をつけることだけであったと指

摘このような状況の背景には革新的な発展を可能に

する技術の実現に関する課題とこのような開発にかか

る高コストの問題があるとしているさらに環境健康

安全への懸念が研究開発の行方を一層不確かなものと

していると述べている

NSF の予測を大幅に下回るものの2009 年の米国のナノ

テクノロジー関連市場は 120 億ドル規模にまで成長して

いる今後も順調に成長を続ければ2015 年には 260

億ドル程度の市場に成長することが期待できる現在

最も市場化が進んでいるのが高機能材料を作り出して

いる化学品産業であるまた健康関連産業とりわけ患

者にやさしい診断用ツールなどの分野で近い将来大きな

飛躍が見込まれるとしRice 大学が 2010 年 4 月に試験

的なナノスケール腫瘍診断用チップの開発に成功してい

ることを指摘しているhttpwwwindustryweekcomarticlesnanotechnology_beyond_

the_hype_23017aspx

【医薬品】ナ ノ 粒 子 を 利 用 し た が ん 治 療 薬 の 製 品 化 が 活 発 化

(20101015)がんについての研究は進んできているものの1950 年代

以降もがんの治療法に画期的といえるような大きな進歩

はない化学療法は患者にとって相変わらずつらく苦し

いもので治療に用いられる薬は健康な細胞もがん細胞

とともに破壊してしまっているしかしナノ材料を用い

たがん治療薬がこのような状況を早晩改善する希望が出

てきたナノ医薬品は初期のハイプの段階を抜け出して

製品化目指して着実に進んでいる今では50 を超える

企業ががんの治療や診断に用いるためのナノ粒子ベース

の医薬品の開発に取り組んでいるこのうちの 34 社はこ

こ 4 年の間に設立された現在活発に臨床試験が行わ

れているナノ医薬品はより複雑で高機能なものである

httpwwwsciencemagorgcgicontentfull3306002314 

【政策産業化】ドイツバーデンヴュルテンベルク州に新しい最先端クラスター発足(20101015)ドイツのバーデンヴュルテンベルク州に準備中であっ

た最先端マイクロシステム研究クラスター Micro TEC

Suumldwest が公式に活動を始めたMicro TEC Suumldwest では

同州を中心に 350 を超える大学研究機関製造やサー

ビス関連企業が29 のプロジェクトに参加することにな

るドイツ連邦教育研究省が 4000 万ユーロ約 46 億円

の資金援助を行う予定httpwwwmstbwdedemstindexhtml

httpmicrotec-suedwestdecmsfront_contentphpchangelang=2

【産業化】各国で実施したナノテクノロジー研究開発の長期展望に関する調査結果を公表(20101013)世界の最新技術動向を調査している米国の NPO である

World Technology Evaluation Center(WTEC)はナノ

テクノロジー研究開発の長期的展望と研究の方向性につ

いてまとめたレポート「Nano2」を公表した本レポー

トは全米科学財団(NSF)の支援を受けWTEC が世界

各国で実施した調査と 2010 年前半に米国ドイツ日本

シンガポールで実施したワークショップでの議論を基に

して作成されたNSF の Mihail Roco 氏が本調査の責任者

であるレポートではこれまでに指摘されてきた様々

な課題について解決に向けた取り組みの状況がまとめ

られているこれらの既存の課題に加え長期的展望に

たった研究開発のための今後の取り組みの方向性につい

ての専門家の提言が盛り込まれている本レポートは草

案の段階でコメントを募集中である

httpwwwwtecorgnano2

http2020scienceorg20101013nanotechnology-2-0-the-next-

ten-years-of-nano-risk-research 

【政策】オーストラリア工業ナノ材料を化学物質管理の対象へ

(2010105)オ ー ス ト ラ リ ア の National Industrial Notification and

Assessment Scheme (NICNAS)は工業ナノ材料を化学

物質管理のための枠組みを定める「工業化学物質報告

評価法」3 章に定める新規化学物質とし報告義務のある

行政手続きの対象とするとして官報で告知したNICNAS

における工業ナノ材料の定義は「ナノスケールで特別

な物性あるいは構造をもつように製造加工設計された

1nm から 100nm のサイズのナノオブジェクト(12

9

PEN N

ovember

3 の次元のいずれかがナノスケールであること)あるいは

ナノ構造(ナノスケールの内部構造もしくは表面)である」

物質とされているまた本項は既存の化学物質のナ

ノサイズの物質にも適用される輸送のためにオースト

ラリアのいずれかの港空港を通過する場合や年間 100g

以下の研究目的の輸入などが適用を免除される適用の

開始は 2011 年 1 月 1 日であるhttpwwwnicnasgovauPublicationsChemical_Gazette

pdf2010oct_wholepdfpage=14 

【社会的影響】ナノテクノロジーとアフリカ大陸(2010106)これまで様々な科学技術が途上国の抱える様々な課題

を解決すると喧伝されてきたナノテクノロジーについ

ても例外ではないしかしこのような考え方は少々単純

すぎると途上国の専門家は考えている2010 年のはじめ

にコートジボワールで開催されたワークショップでア

フリカ諸国にはリスクを避けるためにナノ材料の使用や

輸入を拒否する権利があるとの主張がなされたこのワー

クショップでアフリカ諸国の専門家はベネフィットだ

けでなく科学技術の進歩がもたらす社会的な影響につ

いても関心を持つべきであると述べている

ナノ材料のような新興の材料を用いた製造工程の急激な

変化に途上国の労働者がついてゆくのは困難であること

など技術的発展が必ずしもベネフィットにつながらな

い可能性も指摘されているまた今後ナノテクノロジー

を活用しようとするアフリカ諸国の前に特許の問題が立

ちふさがる可能性が非常に高いと予想されている

いずれにしろナノテクノロジーがアフリカ諸国の経済

に大きな影響を与えることは必至である重要なことは

アフリカの将来を左右するナノテクノロジー研究開発を

どのような方向に進めるのかの決定に当事者として関

与する道を確保できるのかということである

httppambazukaorgencategoryfeatures67525

【産業化】ユ ニ バ ー サ ル メ モ リ デ バ イ ス で IC 市 場 の 巻 き 返 し

(2010105)ユニバーサルメモリデバイスで高性能の小型モバイル機

器の実現するために各国企業が激しい開発競争を行って

いるナノテクノロジーの科学的経済的側面の解析で

欧州の化学技術政策に大きな影響力をもつ Obsevatory

NANO はユニバーサルメモリデバイス向け技術や実現

に向けた課題そして欧州連合(EU)における開発の現

状について簡潔にまとめたレポートを公表した

一時考えられていたような単一の技術がユニバーサルメ

モリデバイスを実現するとは考え難くナノテクノロジー

はユニバーサルメモリデバイス実現の重要な核とみなさ

れる現在の集積回路の世界市場は米国とアジア圏の企

業に席巻されているがObsevatoryNANO はレポートで

ナノテクノロジーとユニバーサルメモリをベースとする

技術開発によって欧州はその牙城を崩すことができる

と分析しているhttpwwwnanoforumorgnf06~modul~showmore~folder~99999~

scc~news~scid~4152~htmlaction=longviewamp

【EHS】ナノテクノロジーの健康環境安全影響の今後について(2010101)米国マサチューセッツ州立大学ローウェル校(UMass-

Lowell)で 9 月 22 日~ 23 日に開催されたカンファレン

ス Destination Nano における主要なテーマの一つが健康

環境安全影響(EHS)であった米国国立労働衛生研究

所(NIOSH)の Chuck Geraci 氏はNIOSH の最近の EHS

分野における活動を紹介した腫瘍や炎症等の発生など

生体影響とナノ粒子とを関係について明らかにする研究

が注目を集めたナノテクノロジーの研究と製造の現場

におけるより適切な管理方法の探求にも力を入れている

またリスクキャラクタリゼーションも NIOSH の重要な

研究課題のひとつであるNIOSH の研究グループは二酸

化チタンの微粒子について気中濃度 02mgm3 を超え

ると炎症や腫瘍の発生リスクが高まることを突き止めて

いる近くカーボンナノチューブに関するリスクキャラ

クタリゼーションが公表される予定であるノースイー

スタン大学の Jackie Isaacs 氏はスイッチング材料とし

てのカーボンナノチューブ(CNT)の全ライフサイクル

についてリスク分析を行ったIsaacs 氏は米国内の埋

め立て地に蓄積する可能性のある CNT の量についても計

算している

UMass-Lowell と NISOH は今後ナノマテリアルの暴

露評価研究を協力して行い中小規模の製造企業や研究

室における適切な取扱いについてのガイドラインを作成

する予定でいるhttpwwwelectroiqcomindexdisplaynanotech-article-

display6748552362articlessmall-timesnanotechmemstools-

equipmentproduction-equipment2010septemberdestination-

nano_html 

10

PEN

Nov

embe

r 世界の人々は科学にかかわる課題についてどのように考えているのかIn Science We Trust by Scientific American and A Pacific Divide by Nature

Scientific American と Nature が共同で科学に関連する

様々なトピックについて世界各国の読者を対象に意識

調査を行ったその結果の概要が日経サイエンス 12 月号

と Nature9 月号に掲載された

本調査は注意深く対象を選択する通常の意識調査とは

異なり両誌の読者を対象としてオンラインで行われた

ものであり「人々の」という言葉が通常想起するような

幅広い市民を対象としたものではないことをまず最初に

指摘しておきたい調査は 2010 年夏に実施され回答

を寄せたのは約 21000 人でそのうち 19の回答者が

博士号保有者であった日本からの回答者は 1196 件で

あった

全体の傾向としては回答者の多くが科学に信頼を寄せ

ていることが明らかとなったただしトピックごとの

回答ついて詳細にみると各トピックで取り上げている

個別の科学に対する信頼度について回答者の居住地域

によってかなりのばらつきも見られた

地域による回答のばらつきがあまり見られなかった設問

の一つが科学技術に関して誰の発言を信頼するかと

いうものであるこの設問への回答では政治家やジャー

ナリストなどの他の発信源を大きく引き離して科学者

が最も信頼できる発信源とみなされているまた経済

状況が厳しくとも科学予算を削るべきではなく代わり

に国防関連予算を削るべきと考える回答者の割合が多い

直ちに見返りはないとしても科学は将来の社会のため

の投資に値すると多くの人々は考えているようである

一方科学と政治の関わりについては回答者の居住地

域のおかれた政治状況や歴史的な経緯などを反映して

大きなばらつきが見られた例えばドイツでは科学者

に対して政治への積極的な関与を求める回答者の割合

が非常に高いのに対して中国では半数近くの回答者が

科学者は政治から距離を置くべきだと考えている個々

の科学技術に対する考え方にも居住地域による差がか

なり見られる日米欧の比較では遺伝子組み換え作物

や原子力利用に対して欧州における拒否感は日本と米

国に比べかなり高くなっている一方ナノテクノロジー

の利用に関しては米国や欧州に比較して日本ではかな

り多くの回答者が不安に感じているようである

同じ調査の結果について Nature 誌に A global survey of

the scientifically literate public reveals a pacific divide

on key issues in science という速報記事が掲載された

Nature 誌では日本を含むアジア圏と欧米の参加者とで

大きく異なる回答が寄せられた設問について取り上げて

いるそのような設問の一つに進化論に関するものが

ある日本からの回答者のうち進化論では生命の多様

性を説明できないと考える人は 349にも上っており

米国の 129英国の 54 に比べて顕著に高い数値と

なっているこの進化論に対する懐疑的な日本の回答は

普段我々が直観的に感じている日本の科学の理解につ

いての状況とそぐわないその理由として設問の作り

が英語を母語としない回答者に対して誤解と与えた可能

性や京都大学の加藤氏が Nature 誌へのコメントで指

摘するように真摯に考えればどのような科学的知識も

100正しいとは言えないと答えざるを得なかったこと

が考えられる

同じ調査結果について Nature 誌に掲載された速報記事

と日経サイエンス誌の記事を読み比べると全く違う

調査あるいは調査対象であったかのように映るこの違

いはNature 誌が同誌の事前の予想と大きく違ってい

た部分欧米とアジアの差に着目し特にその部分を取

り上げたために生まれたと考えられる

日経サイエンス

h t t p w w w n i k k e i - s c i e n c e c o m p a g e

magazine1012201012_092html 

Nature のニュース速報

http wwwnature comnews2010100922

full467388ahtml 

調査結果

httpgonaturecomeKv3nX 

11

PEN N

ovember

欧州議会 RoHS 改定作業の現状

欧 州 議 会 Committee on Environment Public Health and

Food Safety(ENVI) 委員会が取りまとめた RoHS 指令改定

案の議会本会議での採決は今月 22 日となったようである

ここで採択され理事会で採択されれば 2014 年以降の施

行に向けた動きとなる今月の本誌 PEN の発行は諸般の

事情から 25 日を予定しており23 日には原稿を締め切る

したがって採択の結果は今月号では速報できないと思われ

る重大な採択がされるような事態になれば読者の皆様

には別途速報として情報提供する

これまで特に欧州議会の中での目立った動きは察知できな

いもののENVI 委員会の主要メンバーは附属書 IV の禁

止物質リストにナノ銀を盛り込むことでその全面使用禁止

求める方針を断念したようであるこれは先月号本誌で示

した議長国ベルギーの提案に従ったものと思われるただ

大変気になるのはもう一つのカーボンナノチューブがどの

ようになっているのかがよく見えない点で水面下でどの

ような議論がすすめられているのか気になっていた先

週述べたとおりベルギー案は追加リストそのものの撤廃

を求めておりその他のナノマテリアルを含む物質に対す

るラベル表示義務さらには安全性データの欧州委員会へ

の提出義務も含まれていない今後の展開は最も強く修

正案を主張してきた ENVI ラポーターの Jill Evans 氏らが

ベルギー案にどこまで歩み寄った形で 22 日の投票を迎え

るかにかかっている

これに関連して中小企業ビジネス支援サイト J-Net21 は

18 日「欧州委カーボンナノチューブ RoHS 規制見送り」

とする速報をリリースしたそれによると今回示された

改正案には二つのナノマテリアルの使用が制限されていな

いとのことまた二つのナノマテリアル以外のナノマテリ

アルに求められていた表示義務についてはまだ議論が続い

ているようである [12]

ま た 23 日 に ロ ン ド ン の Nanotechnology Industries

Association からナノテクノロジービジネス推進協議会へ

届いた情報によると欧州議会と理事会は RoHSWEEE 指

令における「ナノマテリアル」の記述について合意に達し

た模様でその内容は産業界にとも歓迎すべき内容になっ

ているとのこと内容の詳細について現時点では把握でき

ていないるものの少しずつではあるが確実に猶予すべき

事態から脱却しつつあるとみてよい

このような状況のなか今月は日本国内においても RoHS

指令改定案に二つのナノマテリアルの全面禁止やその他の

ナノマテリアルの表示義務が盛り込まれている点について

周知が進み様々な論評が行われたので短く整理してお

まず「問題が多いナノ材料への RoHS 規制」と題する社

説を掲載し問題を明らかにしたのが11 月 15 日付化

学工業日報であるその社説の論旨は「欧州では科学的

確実性が明らかでないリスクを事後的に管理するより予

防的対策が費用対効果からも優れているという考えが根強

い」としたうえで今回の改定案を「極端な予防原則の適

用といわざるを得ない」と指摘しているさらに「日本

の産業界に与える影響も無視できないだけに日本政府や

ナノマテリアルに関連した事業を展開する企業業界団体

は積極的に情報発信すべきである」と欧州議会に対して

明確な意思表示をすべきとのメッセージで社説の最後を

締めくくっている

RoHS 指令改正案にナノ材料が追加された事実を解説した

のは11 月 12 日付日刊工業新聞である37 もの化学物

質を禁止物質候補としさらにカーボンナノチューブとナ

ノ銀に規制を設け適用範囲も拡大される改正案の内容を

解説したうえで22 日に迫ってきた改定案の採択がその

まま施行される可能性は低いと予測しているもし改正案

のまま施行された場合今後の研究開発を停滞させる恐れ

があると指摘している実際に日本などの産業界からの反

連載環境規制 第 7 回

アメリカの環境規制オバマ政権以降の展開

12

PEN

Nov

embe

r 発も大きく「本会議の採択を受けて開催される理事会は

調停案を出す」との観測を示している以上のような解説

の締め括りとして「日本の産業界としては代替材料やナ

ノ材料の安全性評価手法の開発など2014 年の施行を見

すえ早めに体制を整えておく必要がある」と指摘してい

このように日本国内でも ENVI の Jill Evans 女史がまとめ

た RoHS 指令改定案に対する修正意見に対する反発が強ま

るなか2009 年に厚生労働省や経済産業省環境省が相

次いで公表したナノ材料曝露提言のためのレポートやガイ

ドラインに準拠した対策も進みつつある今月 10 日日

本エアーテックはカーボンナノチューブなどのナノ材料

を安全に扱うための作業器具「ナノパーティクル排気ベン

チ」を開発販売を開始したナノ粒子捕集効率の高いフィ

ルターや引き出しと一体化した掃除機曝露防止のため

の手袋や防塵マスク防護服といった対策が図られている

節末になるが昨今の欧州議会の動きに関してナノ

テクノロジービジネス推進協議会の事務局より欧州

の ナ ノ テ ク ノ ロ ジ ー 産 業 の ア ソ シ エ ー シ ョ ン で あ る

Nanotechnology Industries Association (NIA) と の 間 で 交

わされた情報などを逐次配信していただいたことを付記

しお礼を申し上げる

アメリカの環境規制オバマ政権以降の展開

連載の本題に戻る2009 年民主党オバマ政権が発足し

て以降環境政策環境規制に関しても様々な改革が図ら

れるようになってきたこれはオバマ政権に代わったから

ということではないが米国議会は全ての連邦機関に対し

て 5 年間の戦略計画の策定と 3 年ごとの計画の見直しの実

施を要請している政府の行政評価の一環として 1993 年

以降行なわれている rdquoGovernment Performance of Result

Actrdquo で通常 GPRA と呼ばれこれまで各省庁の政策決定

と実行に大きな影響を与えてきたこれを受けて EPA は

今月 7 日2011 年度からの 5 年間の戦略を公表している

[3]環境と健康を守るための 5 つの戦略的な目標として

①気候変動への取り組みと大気汚染の減少②米国内の水

環境の向上③コミュニティの汚染源の根絶と持続的発展

④化学物質の適正な使用と汚染の防止⑤環境関連法の実

施強化を挙げているまた5 つの戦略目標と合わせて

EPA 首脳部が掲げる 7 つの優先分野における取り組みの進

捗状況を図るための新たな指標も設けられている

これに関連して EPA はTSCA インベントリー利用の改革

を進めている米国内で製造もしくは米国に輸入される

すべての化学物質は「TSCA インベントリー」と呼ばれ

るリストで管理される現在 8 万物質以上が収載されてい

る TSCA インベントリーにない化学物質を製造あるいは

輸入する場合EPA に対する届出義務がありこの届出を

行い EPA の審査を受けることでその化学物質が TSCA イン

ベントリーに新規物質として追加される仕組みになってい

るここでいう届出とは90 日前までに行わなければな

らない製造前届出(PMN)であり生産量暴露排出量

の推計人の健康や環境への影響に関するデータ等が求め

られるただし医薬品農薬や食品添加物等の他の法律で

規制される物質や研究開発目的の化学物質には除外措置が

設けられている [4]PMN は届出業者に新たな試験の実施

を求めておらず届出業者が有しているデータのみを提出

すればよいとされているそこで EPA は定量的構造活性

相関等の手法により届出物質の生態毒性値を予測しその

結果に基づきリスク評価を行っている

オバマ政権以降この TSCA インベントリーの改革がすす

められてきたすでに 2010 年 3 月には基本的な検索を無

料化するなどインベントリーのリニューアルを実施しイ

ンベントリー検索が容易になっているまたインベント

リーのデータは通常年二回更新されるがインベントリー

へ新規化学物質の登録が行われる場合は官報で事前に告知

されるようになっている [5]

SNUR とは

EPA の規制措置について触れたついでに今後の議論のた

めに重要新規利用規則(SNUR)についても理解を深めて

おきたいSNUR については経済産業省化学物質管理課の

HP の記述にその内容をくみ取りやすいので以下に引

用させていただく [6]

「TSCA においては評価の各段階で新規化学物質の申請

者と同意を取りながら進めていくという審査体系をとって

おり懸念のある化学物質に対する規制は個別の申請毎

にきめ細かい措置が講じられる体系となっている規制

は申請者に対する同意指令(Consent Order)及び申請

者以外の者にも同様に規制を行うための重要新規利用規則

(SNURSignificant New Use Rule)により行われる同意

指令は当該化学物質のリスクが明確に評価できないにもか

かわらず健康や環境にリスクをもたらす恐れや放出

暴露量が多い恐れのある場合に発せられリスク評価に十

13

PEN N

ovember

分なデータがそろうまでの製造等を制限するものである

同意指令は申請者に対して発せられるが公平性の観点か

ら当該化学物質を取扱う全事業者に対して同意指令と同等

の制限を規制するのが重要新規利用(SNUR)である対

象物質について SNUR 要件を遵守できない場合には事前

に重要新規利用届出(SNUN)を提出し個別に審査を受

けることとなるSNUR 対象物質に対する制限措置として

はMSDS 作成やラベリング使用者への注意義務数量

制限や特定用途の制限個別事業者における排水管理など

の幅広い手法があげられており対象物質に応じて適切な

規制が適用される」

したがってTSCA のインベントリーに登録された化学物

質が SNUR に指定されるということはPMN 届出業者と

の同意指令の中で当該化学物質の健康や環境影響が無視

できないことの反映である先月号の本誌 PEN で述べた

とおりEPA がこれまでナノマテリアルで交わした同意

指令はイギリスの Thomas Swan 社の子会社でアメリカ

New Jersey 州 Lyndhurst で CNT 製造を行っている Swan

Chemical Inc であるEPA が昨年来 CNT を SNUR 対象物

質にする方向でパブリックコメントを求めてきたがこれ

は Swan Chemical Inc との間で交わされた同意指令の内容

を他の CNT 製造企業にも求めることを意味するEPA の

SNUR での単層および多層 CNT の規制もいよいよ最終段

階に入ってきている

Reference[1] httpj-net21smrjgojpwatchnews_tyusentry20101118-15

html

[2] httpj-net21smrjgojpwatchnews_tyusentry20101117-15

html

[3]httpyosemiteepagovopaadmpressnsfd0cf6618525a9efb8

5257359003fb69d60a5ce970092692e852577b5005c4ff3Open

Document

[4] httpwwwepagov

[5] httpwwwepagovopptnewchemspubsinvntoryhtm

[6]httpwwwmetigojppolicychemical_management03kanri

f1htm

かわいいだけではないらしい

日本ではペットとしてイヌと人気を二分しているネコかわいい口に重大な秘密が隠されていたようです

イヌは舌ですくい上げて水を飲んでいることが分かっています水を飲み終わったイヌの口元は濡れています

しかしネコはミルクを飲んでも口元が汚れないしどうもイヌとは飲み方が違うようだと考えた Pedro Reis 氏

らは高速イメージング技術を用いてネコの秘密にメスをいれました

その結果ネコは重力と慣性力を利用して水を飲んでいることが明らかになりましたネコはまず舌先だけを

水やミルクなどの液体に軽く接触させたのち舌を丸めますそして丸めた舌を元に戻す際の慣性力を使って水

の柱を作りそれを吸い込むようにして飲んでいるのですネコのサイズが変わると舌を水につけるスピード

が落ちてゆっくりとした動きに変わるものの動きそのものは全く同じであることが観察によって明らかになっ

ていますネコ科で 2 番目に体が大きいライオンの飲み方も小さなイエネコの飲み方も同じなのです

様々な分野で活躍する働くイヌと違って「ただかわいいだけ」と言われるネコですがその精緻な舌の動きと

機能はソフトロボット技術研究の進展に役立つと期待されています

How Cats Lap Water Uptake by Felis Catus PMReis RStocker SJung JMArstoff Science 20101111 (online

publication)

httpwwwsciencemagorgcontentearly20101110science1195421

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r

基本政策専門調査会資料公開総合科学技術会議

11 月 17 日中央合同庁舎第4号館で開催された第 11 回

総合科学技術会議基本政策専門調査会の資料が公開され

た10 月 18 日~ 11 月 8 日にかけて行われたパブリック

コメントの結果等も公開されている特に注目される「Ⅴ

社会とともに創り進める政策の展開」の項目のなかの「社

会と科学技術イノベーションとの関係深化」の課題には

①「国民の視点に基づく科学技術イノベーション政策の推

進」には欧米にくらべ遅れている「政策の企画立案及び

推進への国民参画」の促進が必要その方法論を研究し

具体的な参画の場や運用を整備すべき国の機関のみなら

ず各地の大学や研究機関が主体的に参画できるものであ

るべき②科学技術だけでなく社会についての知を総合

しなければイノベーションは不可能③「倫理的法的

社会的課題への対応」でヒトの臨床試験に関する法律

動物実験バイオ施設といった具体例を論ずるべきといっ

た意見が集約されている

また民主党政権が達成目標としている「政府研究開発投

資の対 GDP 比 1」に関しては資料 4 - 1 の第 4 期科

学技術基本計画における投資目標のなかに2008 年度の

実績が 072 であったことが示されているちなみにア

メリカは政府研究開発投資の対 GDP 比 1 を維持してい

httpwww8caogojpcstptyousakaiseisakuindexhtml

科学技術に関する最近の話題への国民の関心について科学技術政策研究所 (NISTEP)

文部科学省所管の科学技術政策研究所は科学技術に関す

る最近の話題への注目度など速報性のあるデータについて

公開したまた同研究所は「日本の研究者を対象とした科

学における知識生産プロセスについての大規模アンケート

調査」の結果についても公表を行ったhttpwwwnistepgojpnistepabout09html

httpwwwnistepgojpachievftxjpnmat191jpdfmat191j_

reportpdf

公共政策のためのパブリックコメント2011 年度予算編成に伴い9 月末から政策コンテストが

進められているこれは市民から広く意見を聞くパブリッ

クコメントのことであるところがある省の政策担当者が

政策立案に関わった専門家に提出方法についてメールで周

知し間接的ながらも意見の提出を促した事実が明らかと

なったこの問題は今月 18 日付新聞各紙で報道された

時代の流れである政策の公共性に逆行し公共の利益に反

する行為であるいわずもがなではあるがパブリックコ

メントが義務的な制度ではなく今後政策や予算立案の過

程で当然の仕組みとして定着していくためにもパブリッ

クコメントを広く公平に集める仕組みつくりは危急の課題

であり集まったコメントに耳を傾ける真摯さが政策サイ

ドに求められている政策や予算に対するパブリックコメ

ントは政策の公共性に必要不可欠の仕組みであり科学技

術の社会受容の重要なプロセスである「パブリックコメ

ントを行いました」という既成事実のためにあるのではな

共同声明「国際化拠点整備事業(グローバル 30)の強化を要望する」11 月 16 日

東北大学筑波大学東京大学名古屋大学京都大学

大阪大学九州大学慶應義塾大学上智大学明治大学

早稲田大学同志社大学立命館大学

平成 21 年度に開始された国際化拠点整備事業(グローバ

ル 30)に採択されている上記 13 の大学は昨年に引き

続き本事業が行政刷新会議の事業仕分けの対象となったこ

とに関して共同声明を発表したその骨子は国際的視

点と人材教育の視点から大学及び日本社会の国際化のた

国内情報

15

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ovember

めのグローバル 30 をさらに拡充強化されることを政府に

要望するものでまた予算の縮減などになれば国際社会に

おける日本の信頼が大きく傷つくばかりでなく日本の将

来について致命的な打撃を与えるのではないかと指摘して

いるh t t p w w w o s a k a - u a c j p j a n e w s t o p i c s 2 0 1 0 1 1

files20101116_2pdf

加速する EV 市場電気自動車 (EV) 市場が大きく展開し始めたすでに三菱

自動車は昨年から EV アイミーブを市場に投入している

日産自動車は今年 7 月から EV リーフの試乗会を行ってき

たがいよいよ来 12 月には EV リーフの日米同時の販売

を開始するこれにあわせて 12 月 45 日に横浜市内で

公道上での試乗会が行われる今後は技術提携を進めるフ

ランスのルノー社との技術の共通化が図られる

このような動きに対しトヨタやホンダはこれまで EV に

は慎重な姿勢を維持してきたしかしこの数か月でその姿

勢にも大きな変化が出てきた今月 17 日から開催されて

いるロサンジェルスのモーターショーでトヨタは RAV4

の EV モデルホンダはフィットの EV モデルをそれぞれ

公開しているこれまでハイブリッド技術で覇権を制して

きたトヨタはこの 5 月にカリフォルニアの EV 開発ベン

チャーであるテスラと資本提携スポーツタイプ多目的車

(SUV)をベースとした EV の開発を加速させているテス

ラは 2008 年から時速 200km を誇るロードスターの市場

投入実績を有しておりトヨタ以外にもすでにダイムラー

とも資本提携を行っているまた今月にはパナソニックと

電池の共同開発を開始するなど2015 年の本格的なアジ

ア市場での販売計画に向けて技術開発を加速させている

テスラの技術は家電製品に使われる汎用電池を多数並べて

用いるところに特徴があり現時点では車載用専用の電池

の開発を進める他の EV との差別化を図ることに注力して

いる

このような一連の動きは2012 年のカリフォルニア州に

おける環境規制の施行を見据えたもので2012 年が EV

普及にとってフラグポイントになるアメリカでもゼロエ

ミッション EV の開発が活発に行われ経営破たんしてい

た GM が 11 月 18 日に株式市場に再上場するなどアメ

リカの産業構造も大きく変わりつつあるただモーター周

りの技術に関しては中国企業との共同開発も進められて

いる

このような EV 市場の急展開の様相は日本の経済を支え

てきた自動車産業に大きな質的変化をもたらしつつある

EV は「自動車が家電製品になる」と形容されるように

車載用駆動電源としての 2 次電池の高性能化やリチウム

資源の確保さらには太陽光発電利用やスマートグリッド

まで含めたエネルギーデリバリーシステムや充電インフラ

等々幅広い産業活性化の起爆剤でもあるEV がオフィ

スや家庭の家電とつながればIT 産業にも大きなビジネス

チャンスが到来する自動車産業は家電メーカー総合

商社IT 企業その他さまざまな技術領域を巻き込んだ覇

権争いに突入していこうとしておりこれまで ldquo 城下町 rdquo

と称された日本の垂直統合型自動車産業そのものが大きく

変わりつつあるといっても過言ではない

ところで「モーターをタイヤにした」構造的には内燃機関

式に比べ単純な構造の乗り物でもある EV の市場には新

興国の新規産業が参入しやすいという一面がある上述し

たような 2012~15 年にかけて強まる世界的な環境規制を

追い風に新興国から多くの EV 産業への参入が予想され

る実際に中国広東省のベンチャー企業 BYD などはそ

の急先鋒として成長し続けている日本の産業は1990

年のバブル崩壊以降 20 年にわたって「技術で勝って市

場をとれない」状況に苛まれてきた対処策の一つは技術

開発と経営の基本姿勢である言うまでもなく技術が発展

することは製品の質の向上に結び付くのだがただ「より

良い技術をふんだんに詰め込めばおのずと製品は売れる」

という安易な技術への過信や過剰な技術の詰め込みがイノ

ベーションプロセスに負に作用することも事実であるエ

リアごとに大きく異なる市場のニーズを的確に把握するこ

とと急速に展開する市場に対応した経営意思決定の迅速

化がキーになる

もう一つは国際的な枠組みでのインフラ技術の標準化であ

る一国一票の投票権を持つ国際標準化の策定プロセスで

は欧州が圧倒的な強さを維持しており日本は常に苦戦

を強いられる立場にある国際電気標準会議 (IEC) におけ

る EV インフラ技術の標準化チャデモ協議会といった日

本の対応については週刊エコノミスト 12 月号 40 ~ 41

頁に詳しい

また日刊自動車新聞によると電気自動車普及協議会が

EV の高電圧周りの安全対策などに関するガイドラインの

策定を始めているが緊急性の高い項目は今年度中に情報

公開される模様である

国立研究開発機関(仮称)構想省庁の縦割り政策の弊害を解消して研究開発を効率的に進

めることを目的に文部科学省は 38 の独立行政法人研究

機関の再編統合を図る仮称「国立研究開発機関」構想を

打ち出している海江田科学技術政策相はその設置法案を

来年度の通常国会に提出する考えを明らかにしこれに併

せて発足に向けたスケジュール作りがすでに検討チームの

中で始まっているその一方蓮舫内閣府特命担当大臣(行

16

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embe

r 政刷新)公務員制度改革担当は文部科学省ではなく内閣

府主導で予算編成を行うべきとの考えを示し行政刷新会

議も「焼け太りは許さない」と文部科学省を牽制設置法

そのものの提出をくい止めたい考えである他の様々な施

策同様これも民主党政権内での軋轢となっている

化学5社化学物質情報伝達を電機大手と共通化中小企業ビジネス支援サイト J-Net21 は11 月 15 日に

日本の化学大手 5 社がアーティクルマネジメント推進協

議会の仕組みを活用して製品に含まれる化学物質の伝達

方法を電機大手と共通化することを発表サプライチェー

ンでの情報伝達の共通化が図られるhttpj-net21smrjgojpwatchnews_tyusentry20101115-10

html

22 年度科学技術関係補正予算閣議決定先月末の 26 日平成 22 年度補正予算 4 兆 8500 億円が

閣議決定された今月 11 日付科学新聞はこのうち科学

技術関係予算を文部科学省のスパコン「京」への 186

億円などを含め約 1500 ~ 2000 億円程度と見積もってい

る経済産業省関係では産学官連携のイノベーション拠点

立地支援事業への支援策が多く盛り込まれているつくば

イノベーションアリーナ中核拠点と位置づけられている産

総研には補正予算 30 億円が配分されている

なお内閣府総合科学技術会議は 11 月 4 日2010 年度

の当初予算額 3 兆 5878 億円に対し補正予算案は 1864

億円経済危機対応地域活性化予備費は 141 億円で

合計は 3 兆 7742 億円となったことを明らかにした補正

予算の詳細については 11 月 4 日「平成 22 年度経済危機

対応地域活性化予備費及び補正予算案(科学技術関係予

算)について」として内閣府から公開された

httpwww8caogojpcstpbudgeth22hoseipdf

ナノボーグの販売軽量化フレキシブル化が進む様々なデバイスをまとめて

身に着けることが可能な服が「ナノボーグ」である東工

大谷岡教授が名付けたもので4 日付日刊工業新聞による

と今月にも太陽電池を電源とするジャケットがアメリカ

のアパレルメーカーから発売される

httpwwwnikkancojpnewsnkx0320101104eaahhtml

ldquoNBCI ナノナビ rdquo 創刊ビジネス環境のグローバル化オープン化に伴って政策

や規制動向研究開発動向の迅速な情報共有への要求が高

まりつつあるこれに応え一般社団法人ナノテクノロジー

ビジネス推進協議会(NBCI)は不定期の情報誌 ldquoNBCI

ナノナビ rdquo を創刊先月末より会員向け配信を開始した

創刊号では標準化の重要な課題であるナノラベリング(使

用ナノ材料の周知目的)の動きナノネット活用等につい

て最新の動向が配信された

httpwwwnbcijp

フラーレンのナノエレ応用脚光を浴びるカーボンナノチューブやグラフェンに比べ

フラーレン(C60)のナノエレクトロニクスへの応用展開

は広がらない状況が続いてきたがこの度 C60 を積層し

た有機トランジスタが開発されたこれは 11 月 1 日付日

経産業新聞が報じたもので大阪大学と山形大学大日本

印刷の共同研究の成果である試作された C60 を含む有

機トランジスタは従来の有機トランジスタより大きな電

流を流すことが出来400 キロヘルツの高速応答が得られ

たとのこと

筑波大に生命科学研究拠点先月末筑波大は先端学際領域研究センター通称 TARA

センターを改組し生命領域学際研究センターを設立浅

島誠氏がセンター長に就任した今後 20 人の研究部隊が

幹細胞研究などに特化した研究を展開する

新規事業への投資を名城ナノカーボン10 月 29 日付の金融専門誌ニッキンは名城ナノカーボ

ンの橋本剛氏をとりあげた同社は 2005 年 4 月に当時

銀行員であった橋本氏が名城大安藤義則教授と共に設立

したカーボンナノチューブの開発製造販売を手がける

名城大発ベンチャー橋本氏は今後 5 ~ 10 年で名城ナノ

カーボンの上場を目指すとし取引金融機関に対して新規

事業への具体的な資金投入を期待している

CNT 生産能力倍増昭和電工10 月 29 日付化学工業日報は昭和電工(株)川崎事業

所におけるカーボンナノチューブ (CNT) の年産 100 トン

から 200 トンへ引き上げ計画を報じた同社はリチウム

イオン 2 次電池向け気相成長 CNT の供給を行っているが

今後はさらに急速な需要拡大が進む可能性もありさらに

生産体制の拡大を図る可能性もある

17

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宝石という名前の虫

タマムシはタマムシ科の 4 センチメートルほどの甲虫です漢字では玉虫と書きます玉とは宝石のことで

その名のとおり赤い縦の線が走る虹色がかった緑色の金属光沢の美しい翅をもっています

法隆寺所蔵の国宝「玉虫厨子」を教科書などで見たことがある人も多いのではないでしょうか厨子は仏像な

どの礼拝の対象をしまう大切な入れ物のことです天平の世の人々がその大切な厨子の壁面を飾る細工の材料

にタマムシこそが相応しいと思ったのも納得できる美しい甲虫です残念ながら現在では玉虫厨子の壁面の

翅の多くは脱落してしまっていますが往時を再現した複製品から天平の時代の華やかな色が想像できます

タマムシは時代や洋の東西を問わず美しいと思われるようでベルギーにはその美しさに憑かれて宮殿の天

井を大量のタマムシの翅で飾った現代工芸家もいます

タマムシは厨子に使われた翅だけでなく腹部や脚触角なども緑色の光沢を放っていますまた美しい

翅が良くわかるような背面からの写真が多いので米粒型のすんなりした形のイメージが強いですが横から

見た体には以外と厚みがあります成虫は樹冠を飛び回り主にニレ科の広葉樹の葉を食べています幼虫は

カブトムシの幼虫に似た白いずんぐりしたイモムシで餌も葉ではなく木ですそのため害虫に分類されても

います

岐阜県高山市「茶の湯美術館」に玉虫厨子のレプリカが展示されています

httpwwwnakada-netjpchanoyutamamushi_zushihtmtamamushi 

18

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embe

r

これを批准した結果日本は 1990 年を基準として 6の

温室効果ガス削減を国際的に約束した日本国憲法によれ

ば国際条約は守らなければならないことになっているの

で「チーム -6」などという運動が日本全国にできた

これの何が間違いだったのであろうか以下その根拠を説

明する尚現在の一次エネルギー源は 80以上が化石

燃料によるものであるからエネルギー消費と温室効果ガス

排出はほぼ同義語であるまた国内総生産(GDP) の増

大すなわち経済成長は社会の安定と国民の安心感を支え

る基本的な要素でありその減少は社会の不安定化をもた

らすため増大させることが必須である

日本は 1973 年の第一次石油危機で大きなダメージを受

けそれから「省エネルギー技術」の開発を血眼になって

推進したその結果図 1 に示すように日本は世界一の「省

エネ大国」になったのである図で縦軸は石油換算のエネ

ルギー消費量横軸は GDP をドル換算したもので1995

年のデータを示してある斜目の破線は一定の GDP を作

り出すのに必要なエネルギー量をトン単位で示しており

これが小さいほどエネルギー効率のいい社会であるつま

り使用エネルギーが少なくなるか同じエネルギーを使っ

ても生産額が多くなればエネルギー効率は良くなる

 エネルギー効率=使用エネルギー生産額(GDP)

図から明らかなように日本は 1995 年時点でも既に世

界で一番エネルギー効率の良い国だったのであるドイツ

フランスイタリアなどは日本の 15 倍イギリスは 2 倍

アメリカが 3 倍中国やロシアに至っては何と 10 倍以上

のエネルギーを浪費しているということが一目瞭然であ

る日本がこのようなエネルギー効率の良い状態から更に

エネルギー消費を減らすなどと言うことは被虐趣味以外

の何物でもないちなみに図 1 は小生が京都議定書を見て

「これは誤りである」と確信し直ぐに作成したものであり

13 年前には既に分っていたことである

それでは日本は何を主張すれば良かったのか賢明な読

者は図 1 を見れば直ぐに考え付くであろうそう「世界

の皆さん今後 10 年間でエネルギー効率を高くする努力

をし現在の日本並みとまでいかなくても少なくとも近

付く努力をしてください」と主張すべきだったのだこれ

なら発展途上国も経済発展を保障されるから合意できたで

あろうし何よりも日本の「省エネ技術」を世界標準とし

て輸出可能であったろう昨年中華人民共和国(中国)が

出した指標はまさにこのような考えに基づいたものであろ

うどこかの国の首相が温室効果ガス排出量(=エネル

ギー消費量)の 25の削減を持ち出したのに対し「中国

はエネルギー効率(=使用エネルギー生産額)を 40

向上させる」と主張した図1から見ても彼等は 1995 年

の日本の水準に追いつくだけで 90の削減が可能であり

40などというのは非常に容易な達成目標であることは

明らかであるまさに国際条約を締結する上での基本的

な事項である「自国の利益を最優先する」という原理原

則にも合致している流石は厳しい歴史を体験してきた国

京都議定書が提案されてから既に 10 年以上経過した今

更と思われる方もおられるかも知れないが現在の日本が

抱える様々な矛盾の出発点の一つが京都議定書であると考

えざるを得ない以上ここで改めてその問題点を明らかに

したい環境省のホームページに掲載されている京都議定

書の内容は以下のとおりである

(httpwwwenvgojpearthcop63-2html)

ポイント先進国の温室効果ガス排出量について法的拘束力

 のある数値目標を各国毎に設定

国際的に協調して目標を達成するための仕組みを

 導入(排出量取引クリーン開発メカニズム共同

 実施など)

途上国に対しては数値目標などの新たな義務は導

 入せず

寄稿京都議定書で日本は何を主張すべきであったか東洋大学大学院学際融合科学研究科 教授 和田恭雄

19

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は違うなどと感心してはいられない

今からでも遅くない「2010 年を基準としてエネルギー

効率の向上を図る」ことを国際的な合意目標に切り替え

るべきである無論為替レートは 2010 年現在の 1 ド

ル= 80 円程度に固定して比較すべきである現在の円

高を考えれば分母が大きくなることが日本の利益につ

ながるからだ国際条約においては「被虐趣味」は最低

の選択であることを忘れてはならない「率先垂範」など

と言う言葉は国際社会では通用しない無論表面上は大

いに賞賛されようが腹の底で「カモが来た」と思われ

食い物にされるだけである他人から褒められるために

自らの競争力を放棄するようなことは止めるべきである

京都議定書を他山の石としてナノテクノロジーの世界

でも「自らの強みを世界の標準にする」という基本的な

姿勢を取るべきであるのは当然のことであるdarr

darr 世界各国のエネルギー消費量と総生産の比較図右下

に行くほどエネルギー効率が高く同じ GDP を創り出す

のに温室効果ガスの排出量が少ないということを示す

日本は 1995 年当時既に世界一の「省エネ大国」であり

西ヨーロッパの 15 倍米国の 3 倍ロシアなどよりも

10 倍以上効率の良い経済体制になっていたことが分か

る世界中の国が日本を手本にすれば温室効果ガスの排

出量を減らしつつ経済成長が可能になり即ち皆がハッ

ピーになれることを示すことができるばかりでなく日

本の省エネ技術を世界標準にすることも主張できる根拠

となる

20

PEN

Nov

embe

r

日本では21 世の始まりと共に科学技術政策に基づ

いてナノテクノロジーの研究開発への戦略的投資が開始

された2001 年度からの第 2 期科学技術基本計画と

2006 年度からの第 3 期科学技術基本計画の都合 10 年

間にわたる優先的戦略的な研究開発の資源の投入も余

すところ4ヶ月となった

21 世紀を担うと期待されたナノテクノロジーには研

究開発側から社会への一方的な応用があたりまえであっ

たこれまでの科学技術とは異なる研究開発の方法論が導

入されたコア技術の研究開発と並行してその技術の社

会的影響を検討しそれをさらにコア技術の研究開発に

フィードバックするという新しい研究開発の方法論であ

る [1]ナノテクノロジーの社会的影響にとって最も重

要で緊急の課題がナノ材料の環境健康影響安全 (EHS)

の課題であった技術の社会的影響を検討しながら進め

られているナノテクノロジーの研究開発がうまくいくか

どうかこのことがナノテクノロジーに続く今後の新興

の科学技術の研究開発のあり方に大きな影響を与えるこ

とになる社会的影響をフィードバックしながら進める

責任ある研究開発がはじめて試みられた日本のナノテク

ノロジーがこれまで 10 年間にわたって戦略的研究開発

投資を続けてきた現在どのような状況にあるのか今回

の特集ではそれを俯瞰的に解析する

まず国内の全ての新聞と雑誌に掲載されたナノテクノ

ロジー関連記事の数を統計的指標としてナノテクノロ

ジーの研究開発に対して日本の社会がどの程度の関心を

示しているのか評価することを試みる図1に日本

のメディアに掲載されたナノテクノロジー関連の記事の

年推移を示すグラフから明らかなようにナノテクノ

ロジーへの戦略的研究開発投資が始まった 2001 年まで

日本のメディアはほとんどナノテクノロジーを取り上げ

ていないただこれは日本にナノテクノロジーの萌芽

的研究開発がなかったということではない

一例をあげるなら工業技術院は産業科学技術研究開発

制度の一環として新エネルギー産業技術総合開発機

構(NEDO)の委託により原子分子極限操作技術の研

究開発プロジェクトを展開した1992 年から 10 年間に

わたり分子原子をボトムアップ的に集積する研究開発

を進めたこのプロジェクトは技術研究組合オングスト

ロームテクノロジー研究機構(ATP)と呼ばれたさらに

ATP と産業技術融合領域研究所は同研究所内にアトム

テクノロジー研究体(JRCAT)を設置して産官学の共同

研究プロジェクトを推進した折しも日本は 1990 年の

バブル経済の崩壊後失われた 10 年と称される経済の停

滞に苦しんでいたまだナノテクノロジーに対する期待

は高まってはいなかったが日本のナノテクノロジーは

着実に萌芽的研究開発を進めていた困難な経済のなか

で日本のナノテクノロジーはその萌芽に向けた着実な

準備をしていたといえるのだがこのような地道な研究

開発が進められていた点はこの統計からは見えにくい

0

500

1000

1500

2000

2500

3000

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4000

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5000

1990

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2000

2001

2002

2003

2004

2005

2006

2007

2008

2009

図 1

特集

10 年におよぶナノテクノロジー研究成果の発展的継承を 

21

PEN N

ovember

2001 年度から戦略的な究開発投資が開始されると同時

にナノテクノロジーへの関心は急速に増していった

わずか 2 年後の 2003 年にはその期待は極みに達して

いる上述したとおり我々はこの統計で縦軸をナノテ

クノロジーに対する社会の関心と見なしておりこれは

David M Berube 氏が示した典型的な Hype 曲線の縦軸

「Visibility」と同義とみなせる [2]その類似性を図 2 に

示す

図 2

日本では Nano-Hype と呼べるピークが高性能瞬間湯

沸器よろしく戦略的研究開発投資が開始されたわず

か 2 年後の 2003 年に出現しているのであるまたJ

Fenn らはこのようなピークを図 3 に示すようにイノ

ベーションのハイプサイクルにおける rdquoPeak of Inflated

Expectationsrdquo と表現している [3]

Exp

ect

atio

ns

Time

InnovationTrigger

Trough ofDisillusionment

Slope ofEnlightenment

Plateau ofProductivity

Peak of InflatedExpectations

図 3

この時期はナノテクノロジーの将来価値への大きな期

待の反面研究開発の実態は希薄である実体の伴わな

い過剰な期待を理由に「一部の有力な科学者や政策担当

者がこのような Hype の状況を意図的に作りだした」と非

難する論調もある確かに Nano-Hype はナノテクノロジー

の将来価値への期待が研究開発の実態を上回る状況では

あるがナノテクノロジーに対する社会の関心や期待を

喚起しその期待を背景にナノテクノロジーへの研究開

発投資が漸次増加していったことも事実であるまたナ

ノテクノロジーの事をもっと知りたいという知的欲求も

刺激されそれに応えるためにいくつかの大学ではサイ

エンスコミュニケータやサイエンスインタープリタサ

イエンスジャーナリストの養成講座等が開設されたさ

らに今日年間 2000 回以上のサイエンスカフェが全国各

地で開かれるなどナノテクノロジーのような新興の科

学技術のパブリックエンゲージメントの活動の契機にも

なったNano-Hype と呼ばれる状況がそのような様々

なプラスの効果を日本にもたらしたことも忘れてはなら

2003年

2010年

2003年

22

PEN

Nov

embe

r ない点である

実体の伴わない過剰な期待が徐々に覚めていく Negative-

Hype の状況はHype が極みに達した 2003 年直後の

2004 年から 2007 年にかけて顕著に現れてくる依然

として政府のナノテクノロジー材料領域への研究開発

投資が伸びるなかメディアがナノテクノロジーを取り

上げる頻度は急速に下がり社会の関心は冷めていった

過剰な期待が冷静さを取り戻していく Negative-Hype は

必然であるとしても注目しておかなければならない大

事な点は Negative-Hype がいつ止むかいつ底を打つの

かである図 1 から明らかなように2004 年以降 2007

年まで急速に下降しているものの2008 年から 2009 年

と明らかに Negative-Hype は底を打っている

上述の J Fenn らは新しいハイプサイクルの縦軸の評価尺

度を議論しているのだが図 4 に示すようにハイプサイ

クルのプロフィールが二つの要素からなることを示して

いる [4]この指標を採用すると今年 2010 年の日本の

ナノテクノロジーはHype が終わりエンジニアリング

またはビジネスが徐々にその成熟度を増していくちょ

うどその過渡期にあるとみてよい今後ナノテクノロジー

がITエネルギー環境ライフサイエンスといった様々

な技術分野の基盤技術としてその実用化に貢献していく

現在はちょうどその転換点にあるそのプロセスを確実

に進めていくには中長期的な一貫した科学技術政策に

よりナノテクノロジーの基礎的な研究開発を継続的に

推し進めていくことが肝要である

図 4

そして10 年に及ぶ科学技術政策に基づいたナノテク

ノロジーの戦略的研究開発投資の成果を応用実用化

へ確実につなげていくために取り組まなければならない

もっとも重要な課題が包括的で実態のあるナノテクノ

ロジーのパブリックエンゲージメントの活動である昨

今ナノテクノロジーの研究開発と並行して社会受容

パブリックエンゲージメントの活動の重要性が指摘され

るようになってきたしかしこの課題に関する解釈は

依然としてまとまりを欠いているだけでなく「こういっ

た課題への取り組みが大事である」といったことが最後

の部分に申しわけ程度に記述されている例も多々見受け

られる取り組んでいるという既成事実のために実体の

伴わないパブリックエンゲージメントの活動が進められ

ると将来的にナノテクノロジーへの信頼も失墜しかね

ない多様な課題を含む社会受容パブリックエンゲー

ジメントの活動には包括的な視点で具体的実践的に取

り組んでいく必要がある

ReferenceRoco M C amp Bainbridge W S 2001 ldquoSocietal

Implications of Nanoscience and Nanotechnologyrdquo

Kluwer Academic Publishers

Berube M B amp Roco M C(FRW) 2005 ldquoNano-Hype

The truth behind the nanotechnology buzzrdquo Prometheus

Books

イノベーションのハイプサイクル

「Mastering the Hype Cycle」J Fenn M Raskino

Harvard Business Press 2008

M Raskino J Fenn IT Management(ITM) ITM-09-

37 Research Note 2010 年 2 月 9 日

23

PEN N

ovember

【CO2 排出量】世 界 的 な 金 融 危 機 に も か か わ ら ず2009 年 の 化 石 燃料 由 来 の 二 酸 化 炭 素 排 出 量 の 減 少 は 小 幅 に と ど ま る

(20101122)国立環境研究所(国環研)

国環研はグローバルカーボンプロジェクト (GCP) が 11

月 22 日の Nature Geoscience 誌の電子版に調査結果を発

表すると速報したその内容は世界金融危機の経済的

影響にも関わらず2009 年における世界の化石燃料由来

の二酸化炭素排出削減量が予測値である 28を下回り

前年比 13にとどまったことで同じく GDP の減少も予

測値を下回っている

httpwwwniesgojpwhatsnew20102010112220101122html

【量子コンピューティング】量子コンピュータ実現への障壁を緩和する誤り耐性方式を開発 (20101124)日本電信電話(株)京都大学

量子コンピュータに必須な量子ゲートは確実に正しい演

算をすることはなくある程度の誤り確率をもつため量

子コンピュータを実現するためには演算の誤り訂正を行

う技術の実現が必須となる演算の誤り訂正を行うために

はある程度誤り確率の低い量子ゲートが必要であると考

えられてきたが今回共同研究チームは誤り確率が非常

に高い量子ゲートを用いても量子計算が可能となる誤り耐

性のある量子計算方式を世界で初めて示した

httpwwwnttcojpnews20101011101124ahtml

【光電変換】ナノギャップ光アンテナにより高効率化した有機超薄膜による光電変換 

(20101122)物質材料研究機構北海道大学

NIMS と北大の共同研究チームは有機超薄膜型の光電変

換分子素子において光吸収電子伝達といった必要な機

能をもつ部品を連結した分子から成る単分子超薄膜を原

子レベルで表面制御した平滑な金電極面と金ナノ粒子で挟

み込むことによってナノギャップ型の光アンテナを導入

することに成功したその結果光アンテナ 1 つあたりで

光誘起電子移動反応が約 50 倍の効率に高まることを実

証した

httpwwwnimsgojpnewspress201011p201011220html

【EV】シンガポール政府と電気自動車の普及に関する覚書を締結

(201011 19)三菱自動車(株)

MMC はシンガポール政府と電気自動車(EV)普及のため

の活動に協力する内容の協定を締結したことを発表した

今回の活動はシンガポールの経済開発庁が中心となり

同国のエネルギー市場監督庁陸上交通庁との間で EV タ

スクフォースを組成し同国の EV 普及を目的としたユー

ザー向け補助金制度や充電インフラ整備などの検証を行う

ものこの活動の中でMMC は CCA を通じ 2011 年より

順次『i-MiEV(アイミーブ)』25 台を供給し実証走行

試験に協力していくhttpwwwmitsubishi-motorscompublishpressrelease_jp

corporate2010newsdetail4407html

【リチウム二次電池】リチウム二次電池の量産化実証工場が竣工 年間生産能力6 万 6000kWh (201011 18)三菱重工業(株)

リチウム二次電池事業への本格参入に向け長崎造船所内

に建設していた同電池の量産化実証工場が17 日竣工し

た年間生産能力は 6 万 6000kWh中型電池換算で約

40 万個に相当する今後各種実証技術に取り組み早期

の本格的な商業量産につなげていくとしている

プレスリリースより

CUTTING-EDGE TECHNOLOGIES

24

PEN

Nov

embe

r httpwwwmhicojpnewsstory1011184999html

【基礎科学物質の起源】動きがのろい冷反水素原子を 38 個も磁気瓶に閉じ込める物質と反物質の違いを知る手がかりとなる冷反物質研究が新段階に (201011 18)物質材料研究機構(NIMS)

NIMS は欧州原子核研究所(CERN)の国際共同研究グルー

プに参加し反物質の代表格である反水素原子を独自に

開発した八重極磁気瓶の中に 38 個も閉じ込めることに世

界で初めて成功した反水素原子の原材料である反陽子(陽

子の反粒子)と陽電子(電子の反粒子)を八重極磁場コ

イルとミラーコイルを組み合わせた磁気瓶の中に蓄積し

そっと混ぜ合わせて冷たい反水素原子を大量に生成した

反水素原子は電気的に中性の小さな磁石なので反水素原

子ができあがったころ(約 1 秒後)を見計らって電圧を

加え残存している反陽子と陽電子をことごとく排除した

その後磁気瓶の磁場を瞬時にゼロにすると磁気瓶内に

とどまっていた反水素原子は装置の壁に当たって消滅し

パイ中間子などのさまざまな粒子を放出するこれらの粒

子を磁気瓶を包む 3 枚の検出器で観測した結果捕捉し

ていた反水素原子を 38 個も確認することができた後述

するように同内容は理化学研究所からもリリースされたhttpwwwrikenjpr-worldinforeleasepress2010101118

indexhtml

【超伝導】ピセンのカリウムドープに伴う電子構造変化の直接観測 

(201011 17)岡山大学

岡山大学の研究グループはピセンおよびカリウムドープ

ピセンの電子構造を実験的に観測する事に世界で初めて成

功したカリウムドープピセンは芳香族炭化水素における

初めての超電導体であるがカリウムドープピセンの超電

導メカニズムまた超電導を誘起する電子構造は解明され

ていない研究グループは光電子分光法を用いピセンのカ

リウムドープに伴う電子構造変化を直接的に観測した結

果ピセンのカリウムドープに伴う電子構造変化を観測

芳香族炭化水素超電導体の超電導メカニズム解明および新

規超電導体探索の指針になると期待されるhttpwwwokayama-unetrenkeidocumentpdfpressrelease

press-101117pdf

【慣性力発電】慣性力(振動)発電技術を商品化 国内最大手エース社のバッグに慣性力発電ユニットを搭載 (201011 17)伊藤忠商事(株)

米国 CIIIS 社の持つ慣性力発電(振動発電)技術を用いて

人体の運動による振動で発電する慣性力発電ユニットを開

発した国内鞄最大手のエース株式会社がこの慣性力発

電ユニットを搭載したバッグの販売を行う

httpwwwitochucojpjanews2010101117html

【生物多様性】多様性進化の背景に『甲状腺機能低下』 (201011 16)東北大学

生物多様性の喪失は現在急速に進んでおり多様性の進化

維持機構を解明することは世界的な課題である生物多様

性の創出は多くの場合新規環境に生き物が侵出すること

によって始まるが生物が新規環境へどのように適応して

行くのかその過程については多くが未解明である東北

大学の研究チームはこのたび新規環境への適応に甲状腺

ホルモンの進化が重要であることを発見したhttpwwwtohokuacjpjapanesenewimgpressimgtohokuuniv-

press_20101116pdf

【ナノ物性】ナノスケールの鉄磁石を電界でコントロール

(201011 01)千葉大学

磁石の N と S 極は磁界を用いることでコントロールでき

るが千葉大学の研究チームはナノスケールの鉄の磁石の

極性をエネルギーの要らない電界でコントロールできるこ

とを見出したhttpwwwchiba-uacjppublicitypresspdf201020101102nano

pdf

【SOFC 関連材料技術】 画期的な電解質材料の開発に成功 固体酸化物燃料電池の商用化に一歩前進 (201011 18 )物質材料研究機構(NIMS)

NIMS の研究グループは電解質材料に必要とされる三つ

の要件イオン伝導性化学的安定性焼結性のすべてを

高いレベルで満足する2種類の材料を開発することに成功

したひとつは10 のプラセオジムを含むイットリウム

添加ジルコン酸バリウム(BZPY)でもうひとつは酸

化ニッケル (NiO) とイットリウム添加ジルコン酸バリウム

25

PEN N

ovember

(BZY) の混合粉末を固めた基板上にプレス成形された BZI

であるhttpwwwnimsgojpnewspress201011201011180

p201011180pdf

【レアアース】微生物でレアアースの回収が可能に バクテリアがレアアースを濃縮する現象を発見 (201011 17)広島大学高エネルギー加速器研究機構高輝度光科学研

究センター

共同研究グループは微生物の細胞表面では微生物が存在

しない周囲部分に比べてレアアースを高濃度に濃縮する現

象を見出したまたレアアースの中でも特に希少価値の高

い元素が選択的に濃縮することを発見その濃縮メカニズ

ムを放射光を用いたX線吸収法により明らかにした

httpwwwkekjpjanewspress2010RareEarthElementshtml

【はやぶさ】はやぶさカプセル内の微粒子の起源が判明(201011 17)宇宙航空研究開発機構

「はやぶさ」のサンプルキャッチャー室から特殊形状のヘ

ラで採集された微粒子を走査型電子顕微鏡にて観察および

分析した結果1500 個程度の微粒子を岩石質と同定した

更にその分析結果を検討したところそのほぼ全てが地

球外物質であり小惑星イトカワ由来であると判断するに

至った

httpwwwjaxajppress20101120101117_sac_hayabusapdf

【超伝導基礎科学】超伝導のメカニズム解明に大きな手がかり ルテニウム酸化物の電子の運動状態を選択的に可視化することに成功 電子対を形成する「のり」の起源を初めて解明

(201011 17)広島大学産総研

1994 年に日本で発見されたルテニウム酸化物超伝導体は

ユニークな超伝導状態を示しこれまで数多くの研究が行

われてきたがいまだにその超伝導のメカニズムは謎のま

まであった超伝導が生じるためには電子と電子を「のり」

で結びつけ「電子対」にする必要がある共同研究グルー

プは放射光の直線偏光特性を活用するため放射光の光

軸のまわりに回転可能な高分解能角度分解光電子分光装置

を開発しルテニウム酸化物超伝導体の超伝導機構解明に

重要な手がかりをつかんだ研究グループが開発した新装

置を用いることによりルテニウム酸化物超伝導体の異な

る運動状態にある電子を選択的に分離しながら精密に分

析することが初めて可能となったその結果物質の電子対

を形成するための「のり」として結晶を作っている原子

の振動が重要な役割を果たしていることその「のり」が

どのくらい強く働いているのか等が明らかとなった httpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101117

pr20101117html

世界最高性能基準光源を開発 安定高精度高速の三拍子そろった光信号の発生に成功 (201011 15) 情報通信研究機構(NICT)国立天文台(NAOJ)

NICT と NAOJ はNICT 独自の高消光比変調技術を利用

し精度を保ったまま周波数範囲を拡大する構成を提案し

たNAOJ の安定度向上技術による制御機能を組み合わせ

ることで世界最高性能の基準信号発生装置を共同開発

し100 ギガヘルツを超える高速信号の長距離伝送を実現

した本装置の方式により従来技術の課題であった安定

性周波数範囲精度の問題を解決した安定性は 2 台の

レーザを用いる従来方式に比べて 10 倍以上を実現し信

号の乱れを 30 万年に 1 秒以下とすることに成功したま

た精度は従来型変調器と比較し 1000 倍以上周波数範

囲は 4 倍を達成したhttpwww2nictgojppubwhatsnewpressh22101115101115

html

【基礎科学レーザ分光】電子の氷を光で融かす一瞬を捉える 光が有機物質を変える瞬間の超高速スナップショット (201011 15)東北大学自然科学研究機構分子科学研究所科学技術振

興機構(JST)

共同研究グループは光の照射によって有機物質の色や

電気伝導度が大きく変化する光誘起相転移現象の最初の瞬

間を捉えることに成功した電場と磁場の振動である光の

振動の3周期分に匹敵する極めて短いパルス光をポンププ

ローブ分光によって二次元有機物質における電荷秩序の

融解のダイナミクスすなわちldquo 電子の氷 rdquo が光によっ

てどのように解け絶縁体から金属へと変化するのかと

いう問題を明らかにしたものこの成果 12 月初めには米

国物理学会誌 Physical Review Letters オンライン版で公開

予定

httpwwwjstgojpprannounce20101117-2indexhtml

【熱電材料】水を使って絶縁体から効率のよい熱電材料を作ることに成

26

PEN

Nov

embe

r 功 希少毒性金属を含まない安価簡便な熱電材料創製に新たな道 (201011 15)科学技術振興機構 (JST)名古屋大学

熱電材料は熱を電気に変換することができることからエ

ンジンの排熱を利用して発電するハイブリッド自動車など

への応用が期待されているが従来の熱電材料はビスマ

スアンチモン鉛テルルといった希少毒性金属など

を含む問題があったJST 課題解決型基礎研究の一環とし

て名古屋大学の研究グループは水の電気分解を利用し

安くてありふれた絶縁体酸化物表面を大きな熱電効果を示

す金属へ変えることに成功した大量に水を含んだ多孔質

ガラスを新規に開発しこの多孔質ガラスを金属チタンと

チタン酸ストロンチウムに挟んで電圧を加えると水の電

気分解によって絶縁体のはずのチタン酸ストロンチウムの

表面に厚さ 3 ナノメートル以下の極めて薄い金属チタン酸

ストロンチウムが生成した通常の金属チタン酸ストロン

チウムに対して 4~5 倍高い電圧を示すことから従来の

熱電材料の約 2 倍の熱電性能が期待できる

httpwwwjstgojpprannounce20101117indexhtml

【基礎科学物質の起源】国際研究チーム反水素原子を瓶の中に閉じこめることに成功(20101118)理化学研究所

8 か国からなる研究チームは欧州合同原子核研究機関

(CERN)の装置を用いて加速器で反陽子と陽電子を作

成し磁場の中に閉じこめたのちに撹拌して反陽子と陽

電子1個ずつを結びつけ反水素原子を生成した反水素

生成後に余った反陽子と陽電子を取り除き反水素原子だ

けを特殊な瓶の中に封じ込めることに成功した計 38 個

の反水素原子が 02 秒間存在したことを確認反物質は

Dan Brown の小説「天使と悪魔」で非常に微量で爆発

を起こす材料として登場するしかし今回の手法では短

時間に消滅してしまい爆弾に使える量をためるのは不可

能だという17 日付の Nature Online 版に掲載

httpwwwrikenjpr-worldinforeleasepress2010101118 

【マックスウェルの悪魔実証】情報をエネルギーに変換することに成功 ldquo マックスウェルの悪魔 rdquo を実験により世界で初めて実現新規ナノデバイスの実現に期待 (201011 15)中央大学東京大学

微細加工技術とサブミクロンスケールのリアルタイム制御

システムを組み合わせ「マックスウェルの悪魔」と呼ば

れる科学史上の重要な概念を世界で初めて実験により実現

した これによって情報をエネルギーに変換できるこ

とを初めて示すとともに情報を媒介して駆動する新規ナ

ノデバイスの実現の可能性を示した マックスウェルの

悪魔は熱力学の根本に関わる概念でありこれを実現でき

た学問的意義は大きいまた科学者以外にもよく知られ

たテーマであり多くの人が興味を持つ話題でもある情

報を媒介して駆動する新規のナノデバイスを実現できる可

能性があり基礎的研究にとどまらずナノサイエンスで

の新しい制御法への応用が期待できるこの成果は 11 月

14 日に Nature Physics Online に公開された

Toyabe Sagawa Ueda Muneyuki and Sano

ldquoExperimental demonstration of information-to-energy

conversion and validation of the generalized Jarzynski

equalityrdquo

httpwwwsu-tokyoacjppresspress-2010-42html

詳細は中央大学 HPhttpwwwchuo-uacjpchuo-unewscontents_jhtmlsuffix=kampmo

de=topamptopics=12513

【基礎科学分子バネ】電子の出し入れで硬さが劇的に変わる分子バネを開発 たった 1 つの電子放出で分子全体の動きやすさが 450 倍も変化 (201011 15)理化学研究所科学技術振興機構(JST)

6 個の炭素原子が環状につながったベンゼン環は有機化

合物において最も基本的な構成ユニットの一つでありベ

ンゼン環をさまざまな形で結合させたものが盛んに研究さ

れてきたしかしベンゼン環を隣り合う炭素の位置で結

合させたオルトフェニレンは単純な構造でありながら合

成が難しいためこれまでほとんど研究がなされておらず

その性質は解明されていなかった理化学研究所の研究グ

ループはベンゼン環 48 個を隣り合った炭素の位置で結

合させたオルトフェニレンを世界で初めて合成したオル

トフェニレンは3 つのベンゼン環が 1 ピッチのらせんを

形成するバネ状の構造をしているがこのようなバネ状の

構造を持った分子はさまざまな機能を発揮するためエ

レクトロニクスや分子機械への応用の可能性が高まってい

る研究グループはこのバネ状分子から電子を 1 つ取

り去るとバネの硬さが劇的に増してらせんの反転速度が

約 450 分の 1 も遅くなることを突き止めたまたこの

1 個の電子の出し入れに応じてバネのピッチが 3263Aring か

ら 3224Aring と変化したこれまで電子が高密度に含まれ

た分子バネは電子を出し入れすることでその振る舞いが

変化することが理論上予想されていたがこのように電子

を多量に含む分子バネの合成は難しく実験的にも証明さ

れていなかった硬さの変化というこれまで実現すること

27

PEN N

ovember

ができなかった応答をする分子バネの登場は応答性分子

の分野に新たなコンセプトをもたらすと注目される本研

究成果はJST 戦略的創造研究推進事業 発展研究 (ERATO-

SORST)「分子プログラミングによる電子ナノ空間の創成

と応用」の一環として行われたものhttpwwwrikenjpr-worldinforeleasepress2010101115

indexhtml

【自己組織化基質選択的会合】分子間の特異的な相互作用による新規材料集積法を開発 分子が好みの分子を見分けて接着 (201011 15)大阪大学科学技術振興機構(JST)

近年分子認識を利用して分子と分子を非共有結合でつな

げることによりさまざまな超分子錯体が合成されさらに

これらを自己集合させる研究が行われているこれらの研

究において形成される集合体は分子の大きさであるナノ

メートルからマイクロメートルの極めて小さなもので高

倍率の顕微鏡を使わなければ見えない分子認識に基づい

て手軽に使えるくらいの大きな自己組織体を作り出すこと

はナノテクノロジー分野において分子を自己組織化さ

せて機能性材料を創製する上で重要な課題であった大阪

大学の研究グループはホスト分子としてシクロデキスト

リンをゲスト分子としてシクロデキストリンが結合する

化合物を用いてそのホスト-ゲスト相互作用を利用して

多様な自己組織化超分子ポリマーの構造体を作りマクロ

スケールで機能を発現させる研究を進めている今回D

NAやタンパク質の分子量決定に広く用いられるアクリル

アミドゲルを土台にしてこのゲルにシクロデキストリン

とゲスト分子をそれぞれ別々に導入し「ホストゲル」と

「ゲストゲル」を合成したこの両者を水中で振動させる

とゲルが接着する挙動が観察されミリメートルからセン

チメートルの大きさの物体を分子認識により自己集積でき

ることを世界で初めて実証したさらにシクロデキストリ

ンとゲスト分子との相互作用の強さの違いによって選択的

に特定のゲル同士を接着させることができることがわかっ

httpwwwjstgojpprannounce20101115indexhtml

【ブタノール分離膜】バイオブタノールの省エネルギー型膜分離精製技術を開発1 wt ブタノール水溶液から80 wt 以上の高濃度ブタノールの回収が可能 (201011 15)産総研

産総研は1 wt 程度の希薄なブタノール水溶液からゼ

オライト系分離膜を用いて 80 wt 以上に濃縮したブタ

ノールを回収できる省エネルギー型のバイオブタノール精

製技術を開発した ブタノールはエタノールと比較して

発熱量が大きいことから地球温暖化対策に貢献できる再

生可能なバイオ液体燃料すなわちポストバイオエタノー

ルとして期待されている今回合成条件の最適化を進め

高いアルコール選択透過性をもつシリカライト分離膜を合

成し膜分離法によって低濃度ブタノール水溶液から高

濃度ブタノールの回収が可能となった従来の分離膜を用

いた場合に比べてブタノール回収のためのエネルギーを

50 ~ 70 程度低減できることが期待される httpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101113

pr20101113html

【分子生物学】 化学合成したペプチドからウイルスの殻構造を組み上げることに成功 新規ナノ材料や医療材料としての応用に期待 (201011 12) 九州大学北九州市立大学

共同研究グループは化学合成したペプチドから約 40 ナ

ノメートルのウイルスの殻構造を組み上げることに世界で

初めて成功した球状の植物ウイルスから遺伝子を除いた

キャプシド構造と呼ばれる殻構造は決まった大きさのナ

ノ空間であることからナノ物質の反応器や運び手として

利用する研究が国内外で盛んに行われているしかしこ

れまでウイルスのキャプシド構造を得るにはウイルス

の遺伝子をバクテリア内に導入して生産させる必要があっ

た本研究では遺伝子やバクテリアを用いない完全化学

合成によってウイルスキャプシドを構築することに成功

した今回ウイルスの殻構造を簡単なペプチドから構築

できたことで様々な機能性ウイルスキャプシドを人工的

に創成する道が拓けたと言えるこのペプチドからなるナ

ノカプセルに適切な化学修飾を施すことによりナノ物質

合成のための反応器や医薬品の運び手人工ワクチンを

創成するための足場材料として応用できるものと期待され

るhttpwwwkyushu-uacjppressrelease20102010-11-12-04pdf

【レアメタル】レアメタル使用量削減技術の実用化を加速(20101110)新エネルギー産業技術総合開発機構 (NEDO)

NEDO はレアアース総合対策の一環として企業が取り

組むレアメタル使用量削減技術の実用化を加速するための

助成事業(事業規模約 100 億円)を 2010 年度補正予算

の成立を前提に行うこの助成事業では短期間で実用化

が期待できる以下の技術開発を対象として①レアメタル

28

PEN

Nov

embe

r を代替する材料の技術開発 ②レアメタルの使用量を削

減する技術開発 ③レアメタルのリサイクルを促進する

技術開発 ④その他のレアメタル消費の削減に資する技

術開発を行うhttpapp3infocnedogojpinformationskoubopressEFnedopre

ss2010-11-068550095069

【導波路型光スイッチ】光スイッチの消費電力を従来の 2 分の 1 に低減 増え続けるネットワーク機器の消費電力問題を解決 (201011 09)( 株 ) 富士通研究所

同社はシリコンフォトニクス技術を適用した導波路型光

スイッチについて世界で初めてシリコンゲルマニウム

(SiGe)細線構造を用いることで従来のシリコン細線構

造に比べて消費電力を約 2 分の 1 に低減することに成

功した幅広い波長に対応して高速に動作できるタイプの

光スイッチ素子としては世界最小の消費電力を実現して

いるhttpprfujitsucomjpnews2010119html

【ナノ構造機能】昆虫が足を擦る秘密をナノテクノロジーで解明 生体模倣による新しい材料機能の開発に活用 (201011 09)物質材料研究機構マックスプランク研究所キール大

共同研究チームは環境問題で循環型社会実現に求められる

「接着と分離」を繰り返せる未来の接合技術の開発研究に

おいてガラスのような平坦な表面を逆さまでも歩行でき

る昆虫の足の裏の優れた接着性に着目し昆虫(ハムシ)

の歩行調査を行いナノテクノロジーを用いた実験により

昆虫が摩擦により汚れを感じていることを突き止めた

httpwwwnimsgojpnewspress201011p201011090html

【超音波流量計半導体プロセス】極微量な流量を精密に測定できる超音波流量計を開発 半導体製造装置の性能を向上させ環境負荷を低減しランニングコストを削減 (201011 09)産総研( 株 ) アツデン東京計装 ( 株 )

3 者は共同で10 mLmin( 誤差plusmn 01 mLmin) 以下の極

微量な流量を精密に測定できる超音波流量計を開発した

この流量計は超音波ガイド波の伝搬に関する基礎理論の

見直しを行い超音波を高周波化し設計を最適化するこ

とにより開発したものでこれまでの超音波流量計では計

測できなかった微小な流速領域での流量測定ができるこ

の超音波流量計は半導体製造装置で利用される薬液の高

精度な制御を可能にし半導体製造装置の高性能化環境

負荷の低減ランニングコスト削減へ貢献すると期待され

る httpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101109

pr20101109html

【研究交流】中国上海における国際交流事業の実施同済大学と大学間学術交流協定を締結 (201011 08)大阪大学

10 月 21 日上海において開催した上海教育研究センター

開所式記念講演会祝賀会には鷲田清一総長をはじめ

とする大阪大学教職員中国の学術交流協定校関係者大

阪大学同窓会会員など約 130 人が列席し盛況の内に終

了した翌 22 日23 日には第 15 回大阪大学上海交

通大学学術交流セミナーが上海交通大学情報ネットワーク

センターを主会場として開催され7つの研究会に約 100

人が参加したさらに 23 日と 24 日の両日上海東亜展

覧館を会場に開催された中国国際教育展に大阪大学のブー

スを出展し100 人を超える留学相談者が本学のブースを

訪れた翌 10 月 22 日鷲田清一総長は上海市内にある

同済大学を訪問裴学長陳副学長ほか大学関係者と懇談

するとともに大学間学術交流協定及び学生交流覚書の調

印式に臨んだこれにより中国の大学との 10 番目の協定

が成立したhttpwwwosaka-uacjpjanewstopics20101120101108_1

httpwwwosaka-uacjpjanewstopics20101120101108_2

【高耐久性セラミック】激しい熱変化にも強度劣化しない窒化ケイ素系セラミックスを開発 窒化ホウ素の微粒子を分散させ耐熱衝撃性を飛躍的に向上 (201011 08)産総研三井金属鉱業(株)

両者は共同で従来品に比べて耐熱衝撃性と高温での強度

を飛躍的に高めた窒化ケイ素系セラミックスを開発した

今回窒化ケイ素(Si3N4)をベースとして高い熱伝導

率をもつ粒界相を形成させるとともにそこに非晶質に近

い窒化ホウ素のナノメートルオーダーの微粒子を分散させ

ることで耐熱衝撃性を飛躍的に向上させた従来の窒化

ケイ素が 1000 の温度差で強度が低下するのに対して

今回の開発材は電気炉で 1400 に加熱した後水中に投

下することを 10 回繰り返してもほとんど強度が劣化しな

かったまたこの開発材について大気中 1200 で高温

29

PEN N

ovember

曲げ試験を行ったところ室温と同程度の強度を保持して

いたセラミックスでは大型化すると小試験片では得られ

た特性が得られず実用化を進める上での課題になること

が多いがこの開発材では焼結条件を最適化することに

よって直径 82 mm 長さ 370 mm の比較的大型の部品で

も試験片と同様の組織物性が得られたまた実際の

製品形状に近い部品の焼成も可能となったhttpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101108

pr20101108html

【ミリ波発信器】ミリ波帯無線通信の実用化にめど 世界最高性能の低雑音局部発振器を開発 (201011 08)東京工業大学

東工大の研究グループは雑音を従来の 100 分の1以下

に低減したミリ波帯局部発振器を開発した20GHz 帯の

発振器と 60GHz 帯の注入同期型直交局部発振器を組み合

わせることにより世界最高の低位相雑音性能を達成した

無線通信の周波数帯ひっ迫を解消する技術として 60GHz

ミリ波帯の利用が注目されているがミリ波帯ではコイル

やコンデンサの損失が大きくなり位相雑音特性が劣化す

るのがネックだった今回はこれを解決したものでミ

リ波無線通信の実用化につながる成果発振器は 65 ナノ

メートルのシリコン CMOS プロセスを利用して試作した

580GHz から 636GHz の周波数範囲で 4 相正弦波出力が

可能でこの発振器により10Gbps(毎秒 100 億ビット)

以上の超高速ミリ波帯無線通信の実現が期待されるh t t p w w w o l d t i t e c h a c j p t o k y o - t e c h - i n - t h e - n e w s j

archives2010111289174400html

【炭素繊維応用】住宅向け外装材「炭素繊維補強サイディング」の本格展開について 優れた強度と耐熱寸法安定性で 15 年の基材保証を実現 (20101105)東レ ACE(株)

東レの子会社東レ ACE は炭素繊維で補強した窯業系サ

イディングを開発し本格販売と市場展開を開始する「炭

素繊維補強サイディング」はセメント質原料に炭素繊維

を添加配合して成型固着させた建物外壁用のセメントボー

ドで従来の窯業系サイディングの優れた防耐火性耐久

性等を維持しつつ更なる強度補強効果や火災高温時の

変形や熱収縮によるひび割れの抑制など耐熱寸法安定性

も向上させることで基材 15 年保証を実現する 本製品

に使用している炭素繊維は軽くて強く優れた高温特性や

耐熱性を有し非常に細い繊維を多く配合できることから

外装材としての強度補強効果も期待できるとしている

httpwwwtoraycojpnewsaffilnr101105html

【光ファイバーナノインプリント】ナノ格子反射防止表面光ファイバー先端に形成ナノ技術で安く製作 (20101105)東北大学

東北大の研究グループは微小な窪みが多数形成された反

射防止構造体を光ファイバーの先端に製作する技術を開発

した光ファイバーは光通信や光分析装置の構成部品とし

て使われており光源受光素子やレンズなどの光部品と

の接続損失を減らすために先端に反射防止膜が形成され

ている従来の反射防止膜は真空装置を使って薄膜を付け

るためコストが問題であった研究グループはナノイン

プリント技術を用いて光ファイバー先端のコア部に 270

ナノメートル間隔で微小な円錐状の窪みを形成し反射損

失を低減することに成功したナノインプリント技術は

基板に塗布したポリマーに原版を押し付けて微細パターン

を転写する技術で高価な露光装置や真空装置が不要なた

めナノ構造を安価に製作することができる今回光ファ

イバー先端にナノ構造を製作するために専用のナノインプ

リント装置を開発した窪みの間隔が光の波長よりも小さ

い場合屈折率が変化し反射波が生じにくくなる反射

率や波長帯域は窪みの形状間隔や高さで決まり従来

の反射防止膜よりも設計の自由度が高いため要求に合わ

せて種々の反射防止表面を製作することが可能 httpwwwtohokuacjpjapanese201011press20101105-2

html

【人工筋肉機能材料】光を運動エネルギーに変える新高分子素材の開発に成功 世界で初めて分子を大面積で 3 次元的に配列させ新機能を実現 (20101105)理化学研究所

光で変形したり電子を流すなどの機能を持った分子を人工

的に規則正しく大面積で集積することができると機能性

材料の性能向上や革新的新機能の発現につながるそのた

め世界中で精力的に開発が行われているがこれまで実現

させた例はなかった理化学研究所の研究グループは光

で構造が変化するアゾベンゼン分子を組み込んだブラシ状

の高分子「ポリマーブラシ」を大面積で 3 次元的に一挙

に配列させる手法の開発に初めて成功したこの規則性の

ある 3 次元集積構造は延伸したテフロンシートにポリ

マーブラシを挟み込みアイロンに似た熱と圧力を加える

といういたって簡単な操作で実現したさらにこのフィ

30

PEN

Nov

embe

r ルムに光を当てるとアゾベンゼン分子の構造変化が一方

向に集約しフィルムが湾曲するという巨視的変形を引き

起こすことを見いだしたすなわちこの新しいフィルム

は光エネルギーを運動エネルギーに変換する機能を持って

おり新たな人工筋肉材料などへの展開が期待されるま

た本技術は有機薄膜太陽電池をはじめとする次世代の機

能材料の開発にも革新をもたらすと期待されるhttpwwwrikenjpr-worldinforeleasepress2010101105

indexhtml

【リチウムイオン電池正極材料】常温プロセスで全固体薄膜リチウムイオン電池の試作に成功 エアロゾルデポジション法による蓄電池製造の新工法開発を本格化 (2010115)産総研

産総研はトヨタ自動車 ( 株 ) と共同で産総研が開発し

たセラミックス材料の常温高速コーティングプロセスであ

るエアロゾルデポジション (AD) 法を用いて酸化物系の

正極材料負極材料固体電解質材料を薄膜積層化して

金属基板上に 3 層構造からなる全固体薄膜リチウム (Li) イ

オン電池を試作蓄電池としての充放電特性を世界で初め

て確認した 従来型の薄膜技術とは異なりAD 法を用い

ると基板の加熱が不要でまた厚膜化も容易であるそ

のため成膜時間が大幅に短縮でき蓄電池の生産性向上

やプロセスコストの大幅な低減が期待される今後は AD

法を用いた本格的な全固体電池の共同開発を進めていく httpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101105

pr20101105html

【記録デバイススピントルク素子】次世代超高密度 HDD に向けたマイクロ波アシスト記録の基本技術を開発 磁気ヘッドに搭載可能なスピントルク素子を用いた磁気情報の書き換えを確認 (2010115)新エネルギー産業技術総合開発機構(NEDO)(株)日

立製作所

NEDO はハードディスク装置(HDD)の開発製造会社で

ある日立グローバルストレージテクノロジーズの協力を得

て従来の磁気記録方式の限界を超えHDD の記録密度

を飛躍的に伸ばす方式として期待されているマイクロ波ア

シスト磁気記録方式の基本技術を開発しその原理を実験

的に確認したマイクロ波アシスト記録では記録媒体の

小領域にマイクロ波帯の高周波磁界を加え磁気情報の書

き込みを容易にする今回開発したのはヘッドに搭載可

能な高周波磁界を発生するスピントルク発振素子でこの

素子を用いて記録媒体上に磁気情報を記録できることを実

験的に確認したこれまで外部のマイクロ波発生装置を

用いたマイクロ波アシスト効果の報告例はあったが今回

微細な発振素子を用いた磁気情報の記録を確認できたこと

により将来この素子を記録ヘッドに搭載しマイクロ波

アシスト記録を実用的に行える可能性が示されたhttpapp3infocnedogojpinformationskoubopressEFnedopre

ss2010-11-029718160145

【基礎科学物性】絶縁体が金属に変わる新原理の解明 超伝導素子や熱電変換素子の開発へ道(20101104)東北大学

東北大学原子分子材料科学高等研究機構の研究グループ

は高品質酸化物薄膜において電気が流れにくい絶縁体

状態から流れやすい金属状態への遷移機構を解明した材

料における電気の流れやすさは電気を流す担い手である

伝導キャリアが物質中にどれだけ含まれるか伝導キャリ

アがどれくらいスムーズに動きまわれるかによって決ま

るつまり伝導キャリアの濃度を増やしたり材料中で

伝導キャリアの動きを妨げる原因になるひずみや欠陥を少

なくすると電気はより流れやすくなる本研究では人

工宝石として知られるチタン酸ストロンチウム (SrTiO3)

の絶縁体を用い伝導電子を生み出すキャリア供給層を

SrTiO3 絶縁体間に挟み込んだ絶縁体層 キャリア供給層

絶縁体層の層状界面構造をもつ高品質超格子構造を作製す

ることで絶縁体層の体積を増加させると反対に電気が流

れやすい金属状態になる現象を発見した最新の電子顕微

鏡技術を用いた原子構造解析と電子状態の理論計算を駆使

して絶縁体を増加させると界面で結晶のひずみが少なく

なり高導電化することを解明した本研究が明らかにした

界面での結晶のひずみを制御することによって絶縁体を金

属状態へ変化できる現象は様々な材料でも普遍的に起こる

と考えられ絶縁体から金属へ変わる境目で性能が向上す

る新超伝導体や新熱電材料の開発に展開することが可能と

期待されるhttpwwwtohokuacjpjapanesenewimgpressimgtohokuuniv-

presspdf

【環状高分子】様々な環状高分子の自在な合成に成功 「かたち」に基づく機能開発に期待(2010112)東京工業大学

東工大の研究グループはこれまで困難とされてきた

種々の含環状高分子の選択的な合成に成功した同研究

グループで開発された単環状高分子合成プロセスである

31

PEN N

ovember

Electrostatic Self-Assembly and Covalent Fixation Process

と有機合成化学の新手法であるクリックケミストリー

を組み合わせることで様々な「かたち」の自在な構築

を達成した本手法の開発により近年注目を集めてい

る「かたち」に基づいた高分子物性の探索を加速させる

ものと期待されるhttp wwwo ld t i t e ch ac j p tokyo - t ech - in - the -news j

archives2010111288656000html

【異分野連携オープンイノベーションモデル】応用脳科学コンソーシアム 脳科学及びその周辺領域の学術知見を活用したオープンイノベーションモデルの研究活動を開始 異業種の民間企業と異分野の脳科学研究者が連携し事業性の高い研究テーマを推進 (2010111)アサヒビール(株)(株)NTT データ積水ハウス(株)

(株)竹中工務店帝人(株)凸版印刷(株)日産自動

車(株)(株)博報堂(株)NTT データ経営研究所

NTT データ経営研究所が日本神経科学学会の協力を得て

2010 年 10 月 1 日に創設した「応用脳科学コンソーシア

ム」においてそれぞれの事業活動に関連する独創性の

高い研究テーマについて複数の「応用脳科学 RampD 研究会」

を立ち上げるRampD 研究会では各 RampD 研究会を設置

した特別会員企業が各テーマに関連の深い脳科学及び

その関連領域の研究者を招聘し異業種である他の会員

企業とともに最新の研究知見を活用してオープンイノ

ベーションモデルの研究活動を実施する各社が設置す

る RampD 研究会は現時点で(1)おいしさの総合評価研究

会(アサヒビール)(2)ヘルスケア脳情報クラウド研究

会(NTT データ)(3)インタラクティブ住環境研究会(積

水ハウス株式会社)(4)コミュニケーション空間研究

会(竹中工務店)(5)メディアエンゲージメント研究

会(博報堂)この他の RampD 研究会については今後随

時応用脳科学コンソーシアムのウェブサイト httpwww

keieikencojpcan で公開予定

httpwwwnttdatacojprelease2010110101html

【レーザ技術基礎光物性】熱を加えずに結晶を柔らかくすることに成功 高強度テラヘルツ電磁パルスで分子ネットワーク操作が可能に 

(2010111)京都大学科学技術振興機構(JST)

京都大学はテラヘルツ電磁パルスと呼ばれる新しい光

を物質に照射することで1兆分の1秒の短い時間で結

晶中の分子を大振幅で揺さぶり熱平衡状態では実現で

きないような分子変位を実現することに世界で初めて成

功した実験結果は結晶が実効的にやわらかくなったこ

とを意味するものでさらに強いテラヘルツ電磁パルス

によって高効率で結晶を融解させることを示唆するこ

れは熱による反応を起こすことなく新しい分子間のネッ

トワークやたんぱく質などの巨大分子の立体配位を操作

できることを示しており化学合成における反応促進や

創薬における有機分子結晶の精製での活用が考えられる

今回の成果は JST 戦略的創造研究推進事業日本学術振

興会学術創成プロジェクト「動的相スイッチ機構を内在

する有機電子材料の開拓と非平衡物性科学への展開」お

よび京都大学グローバル COE プログラム「普遍性と創発

性から紡ぐ次世代物理学」によるものhttpwwwjstgojpprannounce20101101indexhtml

【高周波デバイス】透 明 な 高 周 波 デ バ イ ス 見 え な い ア ン テ ナ へ の 道

(20101028)物質材料研究機構太陽誘電(株)

両者は共同で透明な高周波デバイスを製造するための

基本技術である微細な金属配線と酸化物透明導電体から

なるハイブリッド構造を開発した本技術は不透明で

あるが高い伝導性を示す金属と透明ではあるが金属の

100 分の 1 程度の伝導率にとどまる酸化物透明導電体と

を組合せ両者の特性を相補的に活用することにより

透明でありかつ携帯電話をはじめとする無線デジタ

ル通信に用いられるギガヘルツ帯の高周波に対して高い

伝送特性を示す素子構造を実現した

httpwwwnimsgojpnewspress201010p201010280html

【エコ製品環境経営】COP10 に向けた環境配慮型製品技術の取り組み ポリ乳酸繊維 ldquo エコディア rdquo 使用商品の提供や連携事業「メッセナゴヤ 2010」への出展を通じ環境保全の取り組みを強化 (20101028)東レ ( 株 )

同社は10 月 11 日 ( 月 ) から 29 日 ( 金 ) に開催された

生物多様性条約第 10 回締約国会議 (COP10) に向けて

ポリ乳酸繊維 ldquo エコディア rdquo 使用商品の提供などを通じて

環境に配慮した運営に協力したまたCOP10 の連携事

業である環境エネルギーをテーマとした展示会「メッ

セナゴヤ 2010」に出展し環境に配慮した次世代自動車

や最先端航空機向けの先端材料を紹介した

httpwwwtoraycojpnewsfibernr101028html

32

PEN

Nov

embe

r

NEWS POD 著作権の関係で記事のタイトルと詳細内容は標記できませんので簡略に表示しています詳しい内容に関しては各新聞及び雑誌をご覧ください

ナノテクノロジー

研究開発最前線

20101122 日 刊 工 業 新 聞 News

ウェーブ 21

X 線レーザー

20101121 東京読売新聞

新潟ナノテク研究会

20101120 日本経済新聞

ナノテクとバイオ

20101120 下野新聞

バイオ起業

20101119 朝日新聞

ナノ粒子の構造制御

20101119 日刊工業新聞

水素原子観察

20101119 科学新聞

光ファイバー関連技術

20101119 科学新聞

希少金属対策

20101118 日刊工業新聞

熱電材料

20101117 日経速報ニュース

化学合成でナノ構造

20101117 日経産業新聞

つくばナノテク研究拠点への投資

20101117 日刊工業新聞

分子バネ

20101116 日経速報ニュース

ナノバイオ融合

20101116 日経産業新聞

フレンドオブアースのナノテク評

20101116 エコロジーエクスプレス

クラスターテクノロジー

20101112 産経新聞

実用化助成

20101111 日刊産業新聞

接着のメカニズム

20101110 日経産業新聞

電子材料

20101110 日経産業新聞

ナノ磁石

20101110 東京新聞

高分解能放射線検出器

20101110 化学工業日報

電池電極材料

20101108 日本経済新聞

食の安全性

20101108 日経エコロジー

ナノ磁石実用化

20101105 朝日新聞

ナノテク接着剤

20101105 日刊工業新聞

水素原子の観察

20101105 日刊工業新聞

補正予算案

20101105 科学新聞

ナノ磁石

20101104 日本経済新聞

ナノボーグ

20101104 日刊工業新聞

ITO 電極代替技術

20101104 鉄鋼新聞

レアアース代替材

20101103 日本経済新聞電子版

セクション

ナノ鉄磁

20101103 毎日新聞

有機トランジスタ

20101101 日 経 速 報 ニ ュ ー ス

アーカイブ

有機トランジスタ

20101101 日経産業新聞

ナノムービー

20101101 日経サイエンス

低燃費タイヤ

20101030 朝日新聞

筑波大生命科学研究拠点

20101030 茨城新聞

レアアース代替材

20101029 日経産業新聞

播磨地域

20101029 化学工業日報

ナノ粒子操作

20101029 科学新聞

33

PEN N

ovember

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中国新5カ年計画

20101028 日本経済新聞

高機能消臭素材

20101028 化学工業日報

環境規制等

終わりの科学

20101201 日経サイエンス

電気自動車の覇権

20101123 週刊エコノミスト

環境規制対応

20101122 日経産業新聞

温暖化ガス排出枠

20101122 日経産業新聞

ロス自動車ショー

20101119 日経産業新聞

EV と環境規制

20101119 朝日新聞

EV

20101119 東京新聞

環境と法規制

20101119 化学工業日報

トヨタとテスラ

20101118 読売新聞速報ニュー

CO2 排出量削減

20101118 日経産業新聞

カリフォルニア州環境規制と EV

20101112 日本経済新聞

環境規制

20101112 日本経済新聞

環境規制

20101112 日経産業新聞

米韓 FTA

20101112 朝日新聞

米韓 FTA

20101112 毎日新聞

顔料

20101112 化学工業日報

レアメタル供給規制

20101111 日本経済新聞

潮冷熱

20101110 日本経済新聞

レアアース生産と環境規制

20101108 ダウジョーンズ中国企

業ニュース

韓米FTA

20101101 中央日報

科学技術政策

競争的資金制度

20101122 日本経済新聞

科学技術関係補正予算案 

20101122 THE DOCTOR

韓国 KIST

20101121 朝鮮日報

科学技術政策

20101119 日本経済新聞電子版

セクション

科学技術政策

20101118 日本経済新聞

科学技術政策

20101118 日経産業新聞

女性研究者

20101117 日経速報ニュース

科学技術予算

20101114 東京読売新聞

トップ1論文

20101112 科学新聞

中国特許強国に

20101112 新華社ニュース

関経連と科学技術政策

20101110 産経新聞 

科学技術産業一体政策

20101109 日刊工業新聞

優れた論文の条件

20101105 毎日新聞

「焼け太り許さぬ」

20101102 朝日新聞

国の研究開発投資目標

20101029 日刊工業新聞

科技政策で提言

20101027 日経産業新聞

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PEN

Nov

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r

科学への信頼に関する読者調査

20101201 日経サイエンス

「カップリング反応」アニメ化

20101110 朝日新聞東京読売

新聞他

科学と社会つなぐ人材

20101025 東京新聞

NEWS POD 

情報誌 PEN 購読のご案内PEN の継続的な購読をご希望の方は下記のメールアドレスまでお名前ご所属メールアドレスをご記入の上ご連絡ください登録配信は無料ですnano-penmaistgojp

PEN は原則月 1 回配信しますバックナンバーと PEN の前身【AIST-TOKYO ナノテク情報】をナノシステム研究部門ホームページにて公開しています httpunitaistgojpnrinano-planindexhtml

PEN は皆さまとの情報共有を目的としていますお持ちの情報で共有すべきものがあれば nano-penmaistgojp までお寄せ下さい

いただいた個人情報は産総研 個人情報保護方針(プライバシーポリシー)に基づき大切に管理し情報誌 PEN の運営と私達のイベントのご案内のみに使用させていただきます

科学技術コミュニケーション

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イベント案内

[産学連携研究開発]大阪大学ナノ理工学人材育成産学コンソーシアム 第 3 回ナノ理工学情報交流会場所大阪大学中之島センター 7 階 講義室 3(講師来訪)

   大阪大学東京オフィスサテライト教室

(遠隔講義配信)

   四日市商工会議所内サテライト教室

(遠隔講義配信)については調整中です

コンソーシアム HP にてご確認ください

   ナノテク社会人教育プログラムの開講をされてい

る場合遠隔講義配信に対応可能です事務局まで

ご連絡ください

日時2010 年 12 月 10 日(金)1330 ~ 1900 頃

主催大阪大学ナノ理工学人材育成産学コンソーシアム 

概要ナノ理工学人材育成産学コンソーシアムでは活動

の一環として産学連携のきっかけを提供すべく企業と

大学の双方からテーマに即した研究開発やトピックを紹介

し会員同士の意見交換と情報共有の促進をはかっていま

す第 3 回目となる今回は「光を用いたナノテクノロジー

の新展開」をテーマに開催しますプログラムなどの詳細

は下記の HP をご参照下さい

参加費コンソーシアム会員学生及び大阪大学教職員は

無料(コンソーシアム企業会員の場合社内から何名でも

無料で参加が可能です)

上記以外の方は資料作成費 1000 円が必要になります

参加登録氏名所属連絡先懇談会への出欠を記載の

上メールにて大阪大学ナノ理工学人材育成産学コンソー

シアム事務局(nano-consnanoscienceorjp)へお申込み

下さい

httpwwwnanoscienceorjp

[コミュニケーション]科学コミュニケーション研究会 第 1 回関西支部勉強会日時2010 年 12 月 2 日 1800 ~ 2000

場所京都大学 吉田泉殿

主催科学コミュニケーション研究会 関西支部有志

概要大阪教育大学科学教育センターの中矢史雄氏を講師

に招きオーストラリアの科学技術コミュニケーションに

ついてオーストラリア国立大学科学意識向上センター

での経験なども交えてお話いただきます定員は 25 名で

す事前申し込みが必要です

httpbitlybPmTP9

[展示会]セミコンジャパン 2010日時12 月 1 日~ 3 日

場所幕張メッセ

主催SEMI

概要国内外の最新のマイクロエレクトロニクス技術に関

する情報を入手することのできる世界最大の半導体製造装

置材料展です

httpwwwsemiconjapanorgjaindexhtm

[知財]アジア特許庁シンポジウム日時2010 年 12 月 3 日(金)930 ~ 1210

場所ホテル日航奈良 飛天の間

主催特許庁

概要日本中国韓国インドネシアマレーシアシ

ンガポールの特許庁幹部を招き各国の知財保護強化の取

組みやアジアにおける知財協力を紹介しますまたパ

ネルディスカッションを設けアジアにおける人材育成協

力の方向性について議論します

httpwwwintergroupjp~convasia

[人材育成]応用物理学会 人財育成シンポジウム -日本の危機を科学が救うそのためのリーダー育成を考える-日時2010 年 11 月 29 日(月)1000 ~ 1710

場所東京工業大学デジタル多目的ホール

主催応用物理学会

概要急速に進むグローバル化に対応のできる人材を育成

するための課題や応用物理学会が貢献することのできる

具体的な取り組みについて議論します

イベント案内へ掲載を希望される方は nano-penmaistgojp までご一報ください

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r h t t p w w w j s a p o r j p a c t i v i t i e s e d u c a t i o n

symppt2010symphtml 

[コミュニケーション]科学技術とメディアのより良い関係に向けて日時11 月 26 日 1815 ~ 2030

場所早稲田大学大隈小講堂

主催サイエンスメディアセンター(SMC)

概要英国オーストラリアのサイエンスメディアセ

ンターの関係者米国のサイエンスコミュニケータを交え

て研究者とメディアの有益な関係性構築に向けた取り組

みについて議論します参加費は無料同時通訳がつきま

httpsmc-japanorgp=403 

[異分野連携]医学領域と工学領域連携研究シンポジウム ‐ 未来を拓く医工連携 ‐日時2010 年 11 月 27 日(土)

場所山口大学医学部第 3 講義室

主催日本学術会議中国四国地区会議山口大学

概要がんの個別化医療をメインテーマにこれからの医

工連携のあり方について講演と議論を行います

httpwwwscjgojpjaeventpdf100-t-3pdf 

[人材育成]マイクロナノエンジニアリング シンポジウム ‐ イノベーションと人材育成 ‐日時2010 年 12 月 8 日(水)1300 ~ 1700

場所日本学術会議 講堂

主催日本学術会議 マイクロナノエンジニアリング分

科会日本機械学会 マイクロナノ工学専門会議

概要学際的分野であるマイクロナノエンジニアリング

は大学大学院における教育の整備関連する産業界

学術界での研究開発における分野融合的な取組みが不可欠

です本シンポジウムでは人材育成を軸とした課題につ

いて議論します

httpwwwscjgojpjaeventpdf100-s-3-1pdf

[ 博物館展示 ]自然に学ぶ ネイチャーテクノロジーとライフスタイル展開催中です

場所国立科学博物館 (東京上野公園)

日時2010 年 10 月 26 日~ 2010 年 2 月 11 日

主催東北大学大学院環境科学研究科国立科学博物館

特定非営利活動法人ものづくり生命文明機構

概要蝶や鳥など生き物や自然の仕組みにヒントを得た環

境負荷の低い技術と将来的な応用の可能性から日本文化

に根差した共生型の新しいライフスタイルのあり方につい

て紹介します国立科学博物館の入館料600円が必要です

httpwwwkahakugojpevent201010natureindex

html

[人材育成]シンポジウム「世界を魅せる日本の課題解決型基礎研究~JST 目利き制度とその可能性」日時2010 年 12 月 6 日(月)1000-1800 (0900 受

付開始)

場所東京国際フォーラム B5 ホール

主催(独)科学技術振興機構(JST)

概要JST がこれまでに行ってきた戦略的創造研究推進

事業の成果を振り返りつつ今後の日本の科学技術の発

展に向けた事業のあり方について参加者の皆様と議論しま

httpwwwsenryaku30jstgojp 

[ 持続可能性 ]学術会議シンポジウム「低炭素化に向けた経済社会エネルギーのあり方と実現のシナリオ」日時2010 年 12 月 9 日(木)1330 ~ 1700

場所学術会議講堂

主催土木工学建築学委員会低炭素建築都市分科会

社会資本分科会

概要両分科会は中~超長期のエネルギー消費量削減シ

ナリオ策定に取り組んできました本シンポジウムでは

分科会の検討結果や削減のための様々な取り組みを紹介

し今後のとりまとめ作業に向けた議論を行います

httpwwwscjgojpjaeventpdf104-s-3-6pdf 

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PEN 編集室関谷瑞木阿多誠文独立行政法人産業技術総合研究所 ナノシステム研究部門 305-8568 つくば市梅園 1-1-1 産総研つくばセンター中央第 2 M404Email nano-penmaistgojpTel029-861-5185 Fax 029-861-5339

編集後記

今月 8 日に長野県長野市で開催された第 3 回国際ナノ

ワークショップ「ナノテクノロジーの社会受容~ナノ

材料の工業標準化の国際的な動向と環境影響について

~」の会場で多くの企業の皆様と意見交換をする貴

重な機会を得た目まぐるしい勢いで変わってゆく諸

外国の環境規制策の動向に民間企業の皆様が神経を

とがらせておられることがひしひしと感じられた東

京から新幹線で 1 時間半インターネットでリアルタ

イムに世界とつながることのできる時代とはいえ情

報物人が集積する地である東京とは異なる苦労も

あることもお聞きした美しい山々きれいな空気あ

るいは世界に誇る観光遺産と科学技術を結び付けて

地域振興をはかりたいとの頑張っておいでの方にもお

会いした

月刊という制約はあるもののこうした方々にとって

タイムリーで有用な情報を提供し続けたいと改めて

強く感じた

ちなみにPEN を発行しているつくば市の産総研つく

ばセンターへもつくばエクスプレスと路線バスを乗

り継いで都心からは約 1 時間半かかる

2010 年 11 月 25 日

PEN 編集室一同ウナギツカミ

Page 3: Public Engagement with Nano- PEN November …...5 PEN November 【知財】 中国、10年で特許強国に(2010.11.12) 中国国家知識産権局は11日に「全国特許事業発展戦略

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【リスク管理コミュニケーション】ナノテクノロジーの研究開発に対する建設的な批判を

(20101118)環境 NGO の Friends of the Earth はナノテクノロジー研

究開発の環境コストと技術的な可能性についてのレポート

を公開したこれまでにナノテクノロジーが解決すると期

待を込めて述べられていた技術的な可能性について分析し

ている

多様なデータが集められているがその分析には少々疑問

を感じざるを得ないというのも最近では研究開発を進

める側において Hype を超えた取組みが始められてしかる

べきと考え始められていることについては触れられていな

いなど解析に片手落ちな部分が垣間見られるのである

FoE のレポートに対して Nanowerk online に建設的な批判

を交えた詳しい解説記事が掲載されている

Nanotechnologyrsquos true climate and energy cost exposedhttpwwwfoeorgnanotechnologyE28099s-true-climate-and-

energy-cost-exposed

Blowing hot air ndash how not to criticize nanotechnology

httpwwwnanowerkcomspotlightspotid=19060php

【管理策】オーストラリア政府の情報提供呼びかけへの反応は鈍いものに(20101117)オ ー ス ト ラ リ ア の National Industrial Notification and

Assessment Scheme (NICNAS) は2008 年に2回目のボ

ランタリーなナノ材料情報提供の呼びかけを行ったしか

しこの呼びかけに対する産業界からの反応は鈍くナノ物

質 6 種を扱う7社からの情報提供にとどまったNICNAS

のレポートによるとこの数字は 2006 年に実施された際

の 22 社が 21 種の材料情報を提供したのと比べても格段

に低い結果であった報告数の減少によって予定されて

いたナノ材料管理のための現状分析が十分に実施できな

かったNICNAS はレポートで英国の環境食料農村

地域省や米国の環境保護庁が実施したボランタリーな報告

の試み同様失敗に終わったと結論づけている

httpwwwnanowerkcomnewsnewsid=19044php

【管理策】産 業 界 が 率 先 す る ナ ノ テ ク ノ ロ ジ ー EHS へ の 対 応

(20111117)米国のナノカーボン材料を製造する企業 12 社が今年 4 月

に設立した NanoSafety Consortium for Carbon(NCC)の

活動について紹介するレポートが発表されたNCC は設

立以来ナノカーボン材料の環境健康安全(EHS)と

関連の規制策に積極的に取り組んできた米国環境保護

庁(EPA)へNCC として毒性試験法の提案も行っている

レポートではNCC 設立の背景EPA へ提案した代表的

なナノカーボン材料の毒性試験方法についてなど現在実施

されている取組みそして目標などが簡潔にまとめられて

いる

NCC は11 月 1 日に米国の化学品製造者協会(SOCMA)

に設けられたナノテクノロジー連合(Nanotechnology

Coalition) と の 連 携 を 発 表 し て い るSOCMA は 現 在

300 社を超える会員企業を抱えている両者の連携により

市場化に向けた動きが加速することが期待されているhttp wwwnano lawrepor t com201011ar t i c l e s an -

industrydriven-approach-to-ehs-issues

httpwwwnanowerkcomnewsnewsid=18747php

【有害性評価】ナノ材料と植物細胞の関係(20101116)カーボンナノチューブ(CNT)には多様な分野での応用が

期待されているが農業分野もまたその例にもれず肥料

や農薬への応用が有望視されている一方で動物試験の結

果からCNT は健康や環境へ有害な影響があるのではな

いかと懸念されてもいる

海外情報

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r 中国の研究グループはナズナや稲の細胞に単層 CNT を

暴露させ細胞生存力遺伝子損傷活性酸素種発生遺

伝子発現などの様々な観点からその影響を調べた稲の細

胞を利用した試験では CNT を注入した細胞は酸化ストレ

スによって死滅したというしかし個々の水稲細胞は死

滅したが組織片への影響は観察されなかったしたがっ

てナノ材料の植物への影響は限定されたものと考えられ

るという論文は The American Journal of Botany に掲載

されたhttpwwweurekalertorgpub_releases2010-11ajob-nad111610

php

【管理策】カ ー ボ ン ナ ノ チ ュ ー ブ の 新 た な 管 理 方 法 を 提 案

(20101116)カリフォルニア大の研究グループはカーボンナノチュー

ブ(CNT)の管理に「Anticipatory governance」という方

策を取り入れることを提案した CNT の環境や健康への

影響についてのデータは十分とはいえない状況にあるそ

こで本策は CNT が「もしかしたら有害かもしれない」と

考えて取り扱うことを提案している本策は十分な科学

的データの得られない段階で新興技術について何らかの

判断を下さなくてはならない場合の一般的な対応策を提供

する本策を提案したカルフォルニア大学バークレー校の

Mark Philbrick 氏はCNT の場合も確かな科学的データが

集められ管理策が策定されるまでの規制の空白を埋める

ことができ賢明な取扱い方法だとしている論文は米国

リスク分析学会の Risk Analysis に掲載されているh t t p o n l i n e l i b r a r y w i l e y c o m d o i 1 0 1 1 1 1 j 1 5 3 9 -

6924201001445xfull

httpnanotechwirecomnewsaspnid=11064 

【EHS】ナノ粒子の種類と肺での反応の違いについての新しい知見

(20101117)英国エジンバラ大学の呼吸器毒性の専門家である Ken

Donaldson 氏らの研究によるとナノサイズの金属酸化物

粒子が肺へ与える影響には粒子の種類ごとに大きな変化あ

ることが明らかになったしたがって製造事業者はどの

ような種類の粒子を扱っているのかについて十分注意して

労働者保護の対策を採るべきだとしている4 種のナノサ

イズの金属酸化物粒子をラットに投与したところ肺で起

きる炎症の型が粒子ごとに大きく異なっており他の粒子

に比べて喘息様の症状を引き起こす可能性の高いものも

あった論文は Environmental Health Perspective に掲載

された

httpwwwedacuknewsall-newsnanoparticles-171110

httpehp03niehsnihgovarticleinfo3Adoi2F1012892Fe

hp1002201

【EHS】欧 州 で の ナ ノ 粒 子 の 環 境 影 響 に つ い て の 研 究 の 現 状

(201011)ナノ材料を用いた製品が増え続けており製造使用廃

棄の際にどのような影響があるのかに関心が集まってい

る現在様々な国や機関でナノ材料の有害性評価研究や

リスク評価研究が行われているメディアを通じて欧州の

リーディングエッジテクノロジーのイノベーション化を促

進する NPO の Youriscom はエストニアなどで行われて

いる研究を中心とした環境や健康への影響についての専門

家の意見をまとめた記事を配信したエストニアの河川水

などにはナノ粒子の毒性低減能力があるとする研究有益

な土壌中微生物への金属ナノ粒子の影響についてのユタ州

立大学の調査金ナノ粒子環境影響についてのダブリン大

学食品健康研究所の調査などが紹介されているhttpwwwyouriscomLatest_NewsHow_Do_Nanoparticles_

Impact_Our_Environment_And_Uskl

【医薬品】米国で医療応用に向けたナノ材料研究の連携が新たにスタート(20101112)米国国立がん研究所(NCI)にはナノ材料のバイオ医薬

品やがん治療への応用について研究することを目的として

Nanotechnology Characterization Laboratory(NCL)が設

けられているNCL はこのほど新たに米国環境健康科学

研究所(NIEHS)とナノ材料のリスクおよび有害性評価

研究を共同で実施するために連携することとなった共同

研究は NIEHS の新たに 13 億ドルかけて始めるプログラ

ムの一部として実施される両者は本研究によりナノ材

料の物理化学的特性がナノ材料の生体内での挙動やナ

ノ材料により引き起こされる生体反応に与える影響につい

てより多くのことを明らかにできるとしているNCL はこ

れまでに 200 種以上のナノ粒子の評価を行っており評

価データの蓄積も両者の協力によって加速できると期待さ

れているhttpnclcancergovNCL20NIEHS2020Press20Release20

11-08-10pdf

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【知財】中国10 年で特許強国に(20101112)中国国家知識産権局は 11 日に「全国特許事業発展戦略

(2011-2020)」を発表このなかで 2020 年までに特許強

国になることを目指すとしているこれは 12 日付新華社

通信が伝えたもので中国の特許出願件数はすでに世界の

第 5 位にまで浮上特許審査力も世界のトップレベルにま

で向上してきているまた2008 年から 2009 年にかけて

特許出願件数は 18特許授与件数は 41 もの増加を示

している

【EHS】吸入ナノ粒子の体内挙動(2010117)ベスイスラエルディーコネス医療センターとハーバー

ド大学公衆衛生学科の研究グループはリアルタイムイ

メージング技術を用いて体内でのナノ粒子の挙動を明ら

かにした帯電のない直径 34nm 以下のナノ粒子は曝露

後 30 分以内に肺で観察されたまた 6nm 以下の粒子は

5 分以内で肺までたどり着きその後腎臓へ移動し尿とし

て排出される本研究によって呼吸により体内に入った

ナノ粒子の移動経路が明らかにされたことから今後ド

ラッグデリバリ用の材料開発に弾みがつくことが期待され

る論文は Nature Biotechnology に掲載されたh t t p w w w r s c o r g c h e m i s t r y w o r l d N e w s 2 0 1 0

November07111001asp

httpwwwbidmcorgNewsInResearch2010November

Nanoparticlesaspx 

【管理策】ナノテクノロジー管理に自主的な取組みが果たす役割とは ナノテクノロジー管理策についての新しいレポート

(2010114)ウッドローウィルソン国際学術センターに設けられている

Project on Emerging Nanotechnology は ナ ノ テ ク ノ ロ

ジーの責任ある研究開発における自主的な管理の可能性に

ついて分析したレポートを公表したこのレポートでは

ナノテクノロジーの利用からナノテクノロジー製品にいた

るまでの様々な自主的な管理の取組みを取り上げている

レポートの著者の Daniel Fiorino 氏の専門は環境政策であ

りこれまでに環境を保護するために行われてきた様々な

自主的な取組みについてナノテクノロジー分野でも用い

ることを検討し紹介している過去の事例と現時点まで

にナノテクノロジー分野で行われている様々な取組みを分

類分析し自主的な取組みと規制によらない管理もナ

ノテクノロジーを適切な管理のためには欠かすことのでき

ない重要な仕組みであるとしている

httpwwwnanotechprojectorgnewsarchive8348

【化粧品】適切な日焼止め購入の手引き(1112 月号)現在2 つのタイプの日焼止めが販売されている物理的

に紫外線を防ぐタイプと化学反応によって紫外線を吸収す

るタイプである欧州委員会が公表した調査によると後

者のタイプはサンゴとその生態系に有害な影響を与える

などこのところ環境への有害な影響があると指摘されて

いる環境情報誌 G Online は日焼止めの特集を組みそ

のなかで消費者向けの日焼止購入の手引きとして当面

は皮膚を透過するには大きすぎ白くならない程度には小

さいマイクロサイズの粒子を含む日焼止め使用を勧めてい

httpwwwgmagazinecomaufeatures2320here-comes-sun

【EHS】製 品 ラ イ フ サ イ ク ル に お け る ナ ノ 粒 子 の 環 境 排 出

(2010113)ドイツ連邦環境省は4 種のナノ粒子を対象としてナノテ

クノロジー製品のライフサイクルアセスメント(LCA)を

実施した研究対象とされたのは布巾に使われているナ

ノサイズの銀壁面用ペンキの二酸化チタンタイヤの充

填剤のカーボンブラックディーゼル燃料の添加剤の酸化

セリウムである製品からのナノ物質やナノ構造材料の環

境排出は多様な影響を受けることほとんどがマトリック

スに埋めこまれた状態で起こること等が明らかになった

主要な排出経路は大気と水中であるがたとえば水中に排

出されたナノ粒子の計測には技術的な限界があるなど現

時点ではリスク評価のために一般化できるような結論を

導き出すのは難しいと分析している

httpwwwnanowerkcomnewsnewsid=18808php

Study of nanoparticle emission of selected products during

their life cyclehttpwwwumweltbundesamtdetechnik-verfahren-sicherheit-e

publikationentexte_52_2010_kurzfassung_epdf

【EHS】ナノ材料毒性の現実とは(2010112)Du Pont 社 の 自 主 的 管 理 策 NanoRiskFramework の 作 成

にかかわった David B Warheit 氏はテレビの人気番組

Myth Buster(日本では怪しい伝説のタイトルで放送中)

にならって広く信じられている「ナノ材料を用いた製品

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r の数が増加しているのでナノ粒子が環境中に放出され

て最終的には食物連関のなかに取り込まれる可能性が高

まっている」との単純化した考えについて分析を加えて

いる実際にはナノ材料の環境や健康への影響を明ら

かにするのは容易ではない Warheit 氏は

1ナノ粒子は常にその凝集体より有害である

2サイズと表面特性が常に有害性を判断する指標になる

3すべてのナノサイズの二酸化チタンは同じ毒性プロ

ファイルをもつ

4既存のグッドプラクティスは役立たない

5 ナノ粒子の炎症性評価は in vitro か in silico の試験方法

で評価できるという 5 つのナノ材料毒性にまつわる「伝

説」を取り上げている

Warheit 氏はたとえばサイズではなく表面活性が毒

性を決めると示唆する研究が存在することを指摘し重

要なのはナノ材料の毒性は複雑な要素が絡み合って決ま

るものであり単純なモデルでは明らかにできないこと

を理解することであるとしているまたナノ材料毒性

の研究は非常にゆっくりとした速度でしか進んでいない

そのため研究そのものの数が少なく相互に矛盾する

結果が出されてもいる公表されている試験結果の限界

について理解しておくべきとも述べている

httpwwwnanowerkcomspotlightspotid=18774php

【政策】NNI2011 年度の新規戦略プラン固まる(2010111)米国大統領官邸の科学技術政策室と国家科学技術会議

(NSTC)のナノスケール科学工学技術小委員会は国家

ナノテクノロジー戦略(NNI)の 2011 年度の戦略プラン

の草案を公表しパブリックコメントの募集を開始した

戦略プランは米国のナノテクノロジー研究開発の方向

性を決めるものである重点分野予算配分関係連邦

政府機関のミッションやプログラム等の各項目について

専門家の助言を受けて作成されているパブリックコン

サルテーションは NNI の専用のポータルサイトで 11 月

30 日まで募集しているhttpwwwelectroiq comindexdisplaynanotech-wire-

news1294308577html 

【EHSリスク管理】ナノ粒子と環境(201011)フォトニック工学に関する総合情報サイト Photoniccom

はナノ粒子と環境に関するノースカロライナの Wake

Forest 大学と Duke 大学の共同のレビューを掲載した

環境中に排出されたナノ粒子は様々な生物学的影響をも

たらす可能性があるこのような影響は特定のナノ粒

子の化学組成だけでなく環境中での凝集状態などによっ

ても左右さると考えられているナノ粒子の環境への影

響についての研究は増加しつつある研究の関心は大き

く分けて(1)環境への排出経路と排出時のナノ材料の

状態(2)環境に派出されるナノ材料の毒性(3)環境

中でのナノ材料の挙動と蓄積性(4)最終的なナノ材料

の環境中運命と環境からの回収にある現在細胞レベ

ルでの生体とナノ材料の相互作用などについて少しずつ

明らかになりつつあるしかし自然界ではナノ材料は

多くの場合凝集状態になると考えられるが実際にどの

ような形状になるのかについて確定的なことはまだ不明

であるこのようなことから多くの研究機関や大学で

研究が政府の支援を受けて広く市場で用いられる前に

リスクを見極めるために急ピッチで研究を進めている

httpwwwphotonicscomArticleaspxAID=44805

【管理策】米国のナノテクノロジー管理策について(20101029)化学が社会に与える影響評価を行っている米国の NPO

Chemical Heritage Foundation からナノテクノロジーの

分析に関するレポートと環境保護庁(EPA)の有害物質

規制法(TSCA)の改正に関するレポートが公表された

ライフサイクルに関するレポートはナノテクノロジー

関連の材料の製造から製品の廃棄にいたるまでの各ライ

フサイクルに対応する連邦政府の管理策や規制策を分析

した結果をまとめたものであるTSCA 改正に関してのレ

ポートは3 つの機関が TSCA のナノテクノロジーへの適

用という観点から行った提言を紹介したものhttpwwwelectroiqcomindexdisplaynanotech-article-

display1319373325articlessmall-timesnanotechmems

industry-news2010octobernanotechnology-lifehtml

【EHS農業】植 物 で は 細 胞 へ の ナ ノ 粒 子 の 移 動 は 確 認 で き ず

(20101029)ナノ材料が生物学的に重要な様々な防御機能を潜り抜け

てしまうのではないかと懸念されているナノ材料の

生体内での移動はすでに哺乳類で確認されているスイ

スのチューリヒ工科大学の研究チームは主要な穀物で

あるトウモロコシにおける酸化セリウムナノ粒子の吸収

と移動について分析を行ったトウモロコシを酸化セリ

ウムナノ粒子のエアロゾルおよび懸濁液に暴露したとこ

ろ葉に 50 μ g の吸収がみられたしかしエアロゾル

に暴露させた株に新しく生長した葉に酸化セリウムナノ

7

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粒子が移動している事実は確認されなかったしたがっ

て植物の防御壁は哺乳類の防御壁よりも強固なのでは

ないかと考えられるhttpiconriceedudetailscfmrid=48442 

httppubsacsorgcennews88i448844news8html

【政策】ECナノ材料の定義について意見を募集(20101025)欧州委員会(EC)はナノ材料の草案段階の定義について

公開しオンラインで意見募集を開始したEC が公開し

た定義では次の 3 項目の条件を満たす材料は全てナノマ

テリアルとみなすという3 項目は①外部構造の 1 次

元以上が 1 nm から 100 nm②内部構造もしくは表面の

1 次元以上が 1 nm から 100 nm③単位体積当りの全表

面積が 60 m2cm3 以上となる物質とされている意見

募集は 11 月 19 日まで行われEC は意見募集の結果を踏

まえて最終的な定義案を作成する現時点で欧州域内に

おいて法的に拘束力のあるナノマテリアルの定義は化

粧品規制(Cosmetics Regulation 12232009)に記され

ている定義のみであるhttpwwwfoodnavigatorcomScience-NutritionEC-calls-for-views-

on-nanomaterial-definition 

【コミュニケーション】米国におけるナノテクノロジー食品応用研究の情報公開は不十分(20101025)米国の生化学者の DM Beck 氏はナノテクノロジーの

食品応用の現状と将来展開について分析し米国の消費

者は欧州たとえば英国の状況に比べて十分な情報や

情報共有の機会を提供されているとは言えない状況にあ

ると批判している情報が不足しているために消費者

の態度が化粧品や医薬品に対するものとは異なっている

と分析しているBeck 氏は研究開発の透明性という部

分で化粧品や医薬品もさして変わらないが消費者の

反応ははるかに慎重なものだと指摘するhttpwwwwibwcomhomeheadlinesControversy_Surrounds_

Nanotech_Food_Experiments_105736283html

【政策】カナダ研究開発支援に大型の予算配分(20101025)カナダのイノベーション基金(CFI)は研究基盤整備を

支援するために 6 億カナダドル(約 492 億円)の予算を

配分する予算配分の内訳は大規模科学イニシアチブ

大学向けの競争的資金最先端基金新イニシアチブ基

金リーダーズオポチュニティ基金となっている全予

算の約 3 分の 1 ずつがそれぞれ大規模科学イニシアチ

ブとリーダーズオポチュニティ基金に配分される

httpwwwinnovationcaennews20101025240

【EHS】ナ ノ テ ク ノ ロ ジ ー 製 品 の 海 洋 生 態 系 へ の 影 響

(20101022)ナノ材料の環境影響についてはまだほとんど研究が進

んでおらず十分なことがわかっているとは言い難い

コネチカット州の New Haven 大学の研究者らは海岸

や桟橋に付着しているぬるぬるしたスライム状のバイオ

フィルムを調べることで様々な日用品を排出源とする

ナノ材料の海洋生態系への影響を明らかにできるかもし

れないとして研究を始めている

httpwwwnanowerkcomnewsnewsid=18632php

【EHS】ナノ医薬品の開発と不確実性(20101021)米 国 で 開 催 さ れ て い た ナ ノ 医 薬 品 American Society

of Nanomedicine の 年 会 で 毒 性 学 の 専 門 家 で あ る

Rochester 大学の Gunter Oberdorster 教授が慎重に言

葉を選びつつナノ医薬品の開発においても新たな分

野の開拓につきものの不確実性に伴う課題に積極的に取

り組むべきだと語った様々なリスクが懸念されている

ものの「新しい材料の正確な知識の入手がもっとも重要

である」と Oberdorster 教授は指摘した現在実施され

ている多くの有害性試験は試験動物へのナノ材料の投

与量が実際的な量とは言えず正確な評価ができないと

も指摘したOberdorster 教授は正確な有害性評価リ

スク評価ひいては有効な医薬品開発のためにさらなる

研究が必要と結んでいるhttpnewhavenindependentorgindexphparchivesentrysafety_

a_concern_for_nanomedicine_tooid_30430

【産業化】現 実 を 見 据 え た ナ ノ テ ク ノ ロ ジ ー 研 究 開 発 の 出 番

(20101020)ナノテクノロジー研究開発は一頃の地に足のつかない

高揚した状況からナノテクノロジーで何が可能なのか

を冷静に分析しつつ実用化のための戦略を定めるべき

状況にあるとの認識へと変化している

10 月 20 日に Industry Week Online にRice 大学主催フ

ラーレン発見 25 周年記念シンポジウムにあわせてこれ

8

PEN

Nov

embe

r までに発表された市場レポートや多くの専門家の意見を

引用しNano-Hype が収まった後のナノテクノロジー研

究の行方についてまとめた記事が掲載された

一部のナノ材料が半導体産業などで利用され始めている

ものの全米科学財団(NSF)が 2000 年に予測したよ

うな 1 兆ドル規模の市場は創出できていないこと結局

NSF の市場予測によって実現したのはナノテクノロジー

への非現実的な期待に火をつけることだけであったと指

摘このような状況の背景には革新的な発展を可能に

する技術の実現に関する課題とこのような開発にかか

る高コストの問題があるとしているさらに環境健康

安全への懸念が研究開発の行方を一層不確かなものと

していると述べている

NSF の予測を大幅に下回るものの2009 年の米国のナノ

テクノロジー関連市場は 120 億ドル規模にまで成長して

いる今後も順調に成長を続ければ2015 年には 260

億ドル程度の市場に成長することが期待できる現在

最も市場化が進んでいるのが高機能材料を作り出して

いる化学品産業であるまた健康関連産業とりわけ患

者にやさしい診断用ツールなどの分野で近い将来大きな

飛躍が見込まれるとしRice 大学が 2010 年 4 月に試験

的なナノスケール腫瘍診断用チップの開発に成功してい

ることを指摘しているhttpwwwindustryweekcomarticlesnanotechnology_beyond_

the_hype_23017aspx

【医薬品】ナ ノ 粒 子 を 利 用 し た が ん 治 療 薬 の 製 品 化 が 活 発 化

(20101015)がんについての研究は進んできているものの1950 年代

以降もがんの治療法に画期的といえるような大きな進歩

はない化学療法は患者にとって相変わらずつらく苦し

いもので治療に用いられる薬は健康な細胞もがん細胞

とともに破壊してしまっているしかしナノ材料を用い

たがん治療薬がこのような状況を早晩改善する希望が出

てきたナノ医薬品は初期のハイプの段階を抜け出して

製品化目指して着実に進んでいる今では50 を超える

企業ががんの治療や診断に用いるためのナノ粒子ベース

の医薬品の開発に取り組んでいるこのうちの 34 社はこ

こ 4 年の間に設立された現在活発に臨床試験が行わ

れているナノ医薬品はより複雑で高機能なものである

httpwwwsciencemagorgcgicontentfull3306002314 

【政策産業化】ドイツバーデンヴュルテンベルク州に新しい最先端クラスター発足(20101015)ドイツのバーデンヴュルテンベルク州に準備中であっ

た最先端マイクロシステム研究クラスター Micro TEC

Suumldwest が公式に活動を始めたMicro TEC Suumldwest では

同州を中心に 350 を超える大学研究機関製造やサー

ビス関連企業が29 のプロジェクトに参加することにな

るドイツ連邦教育研究省が 4000 万ユーロ約 46 億円

の資金援助を行う予定httpwwwmstbwdedemstindexhtml

httpmicrotec-suedwestdecmsfront_contentphpchangelang=2

【産業化】各国で実施したナノテクノロジー研究開発の長期展望に関する調査結果を公表(20101013)世界の最新技術動向を調査している米国の NPO である

World Technology Evaluation Center(WTEC)はナノ

テクノロジー研究開発の長期的展望と研究の方向性につ

いてまとめたレポート「Nano2」を公表した本レポー

トは全米科学財団(NSF)の支援を受けWTEC が世界

各国で実施した調査と 2010 年前半に米国ドイツ日本

シンガポールで実施したワークショップでの議論を基に

して作成されたNSF の Mihail Roco 氏が本調査の責任者

であるレポートではこれまでに指摘されてきた様々

な課題について解決に向けた取り組みの状況がまとめ

られているこれらの既存の課題に加え長期的展望に

たった研究開発のための今後の取り組みの方向性につい

ての専門家の提言が盛り込まれている本レポートは草

案の段階でコメントを募集中である

httpwwwwtecorgnano2

http2020scienceorg20101013nanotechnology-2-0-the-next-

ten-years-of-nano-risk-research 

【政策】オーストラリア工業ナノ材料を化学物質管理の対象へ

(2010105)オ ー ス ト ラ リ ア の National Industrial Notification and

Assessment Scheme (NICNAS)は工業ナノ材料を化学

物質管理のための枠組みを定める「工業化学物質報告

評価法」3 章に定める新規化学物質とし報告義務のある

行政手続きの対象とするとして官報で告知したNICNAS

における工業ナノ材料の定義は「ナノスケールで特別

な物性あるいは構造をもつように製造加工設計された

1nm から 100nm のサイズのナノオブジェクト(12

9

PEN N

ovember

3 の次元のいずれかがナノスケールであること)あるいは

ナノ構造(ナノスケールの内部構造もしくは表面)である」

物質とされているまた本項は既存の化学物質のナ

ノサイズの物質にも適用される輸送のためにオースト

ラリアのいずれかの港空港を通過する場合や年間 100g

以下の研究目的の輸入などが適用を免除される適用の

開始は 2011 年 1 月 1 日であるhttpwwwnicnasgovauPublicationsChemical_Gazette

pdf2010oct_wholepdfpage=14 

【社会的影響】ナノテクノロジーとアフリカ大陸(2010106)これまで様々な科学技術が途上国の抱える様々な課題

を解決すると喧伝されてきたナノテクノロジーについ

ても例外ではないしかしこのような考え方は少々単純

すぎると途上国の専門家は考えている2010 年のはじめ

にコートジボワールで開催されたワークショップでア

フリカ諸国にはリスクを避けるためにナノ材料の使用や

輸入を拒否する権利があるとの主張がなされたこのワー

クショップでアフリカ諸国の専門家はベネフィットだ

けでなく科学技術の進歩がもたらす社会的な影響につ

いても関心を持つべきであると述べている

ナノ材料のような新興の材料を用いた製造工程の急激な

変化に途上国の労働者がついてゆくのは困難であること

など技術的発展が必ずしもベネフィットにつながらな

い可能性も指摘されているまた今後ナノテクノロジー

を活用しようとするアフリカ諸国の前に特許の問題が立

ちふさがる可能性が非常に高いと予想されている

いずれにしろナノテクノロジーがアフリカ諸国の経済

に大きな影響を与えることは必至である重要なことは

アフリカの将来を左右するナノテクノロジー研究開発を

どのような方向に進めるのかの決定に当事者として関

与する道を確保できるのかということである

httppambazukaorgencategoryfeatures67525

【産業化】ユ ニ バ ー サ ル メ モ リ デ バ イ ス で IC 市 場 の 巻 き 返 し

(2010105)ユニバーサルメモリデバイスで高性能の小型モバイル機

器の実現するために各国企業が激しい開発競争を行って

いるナノテクノロジーの科学的経済的側面の解析で

欧州の化学技術政策に大きな影響力をもつ Obsevatory

NANO はユニバーサルメモリデバイス向け技術や実現

に向けた課題そして欧州連合(EU)における開発の現

状について簡潔にまとめたレポートを公表した

一時考えられていたような単一の技術がユニバーサルメ

モリデバイスを実現するとは考え難くナノテクノロジー

はユニバーサルメモリデバイス実現の重要な核とみなさ

れる現在の集積回路の世界市場は米国とアジア圏の企

業に席巻されているがObsevatoryNANO はレポートで

ナノテクノロジーとユニバーサルメモリをベースとする

技術開発によって欧州はその牙城を崩すことができる

と分析しているhttpwwwnanoforumorgnf06~modul~showmore~folder~99999~

scc~news~scid~4152~htmlaction=longviewamp

【EHS】ナノテクノロジーの健康環境安全影響の今後について(2010101)米国マサチューセッツ州立大学ローウェル校(UMass-

Lowell)で 9 月 22 日~ 23 日に開催されたカンファレン

ス Destination Nano における主要なテーマの一つが健康

環境安全影響(EHS)であった米国国立労働衛生研究

所(NIOSH)の Chuck Geraci 氏はNIOSH の最近の EHS

分野における活動を紹介した腫瘍や炎症等の発生など

生体影響とナノ粒子とを関係について明らかにする研究

が注目を集めたナノテクノロジーの研究と製造の現場

におけるより適切な管理方法の探求にも力を入れている

またリスクキャラクタリゼーションも NIOSH の重要な

研究課題のひとつであるNIOSH の研究グループは二酸

化チタンの微粒子について気中濃度 02mgm3 を超え

ると炎症や腫瘍の発生リスクが高まることを突き止めて

いる近くカーボンナノチューブに関するリスクキャラ

クタリゼーションが公表される予定であるノースイー

スタン大学の Jackie Isaacs 氏はスイッチング材料とし

てのカーボンナノチューブ(CNT)の全ライフサイクル

についてリスク分析を行ったIsaacs 氏は米国内の埋

め立て地に蓄積する可能性のある CNT の量についても計

算している

UMass-Lowell と NISOH は今後ナノマテリアルの暴

露評価研究を協力して行い中小規模の製造企業や研究

室における適切な取扱いについてのガイドラインを作成

する予定でいるhttpwwwelectroiqcomindexdisplaynanotech-article-

display6748552362articlessmall-timesnanotechmemstools-

equipmentproduction-equipment2010septemberdestination-

nano_html 

10

PEN

Nov

embe

r 世界の人々は科学にかかわる課題についてどのように考えているのかIn Science We Trust by Scientific American and A Pacific Divide by Nature

Scientific American と Nature が共同で科学に関連する

様々なトピックについて世界各国の読者を対象に意識

調査を行ったその結果の概要が日経サイエンス 12 月号

と Nature9 月号に掲載された

本調査は注意深く対象を選択する通常の意識調査とは

異なり両誌の読者を対象としてオンラインで行われた

ものであり「人々の」という言葉が通常想起するような

幅広い市民を対象としたものではないことをまず最初に

指摘しておきたい調査は 2010 年夏に実施され回答

を寄せたのは約 21000 人でそのうち 19の回答者が

博士号保有者であった日本からの回答者は 1196 件で

あった

全体の傾向としては回答者の多くが科学に信頼を寄せ

ていることが明らかとなったただしトピックごとの

回答ついて詳細にみると各トピックで取り上げている

個別の科学に対する信頼度について回答者の居住地域

によってかなりのばらつきも見られた

地域による回答のばらつきがあまり見られなかった設問

の一つが科学技術に関して誰の発言を信頼するかと

いうものであるこの設問への回答では政治家やジャー

ナリストなどの他の発信源を大きく引き離して科学者

が最も信頼できる発信源とみなされているまた経済

状況が厳しくとも科学予算を削るべきではなく代わり

に国防関連予算を削るべきと考える回答者の割合が多い

直ちに見返りはないとしても科学は将来の社会のため

の投資に値すると多くの人々は考えているようである

一方科学と政治の関わりについては回答者の居住地

域のおかれた政治状況や歴史的な経緯などを反映して

大きなばらつきが見られた例えばドイツでは科学者

に対して政治への積極的な関与を求める回答者の割合

が非常に高いのに対して中国では半数近くの回答者が

科学者は政治から距離を置くべきだと考えている個々

の科学技術に対する考え方にも居住地域による差がか

なり見られる日米欧の比較では遺伝子組み換え作物

や原子力利用に対して欧州における拒否感は日本と米

国に比べかなり高くなっている一方ナノテクノロジー

の利用に関しては米国や欧州に比較して日本ではかな

り多くの回答者が不安に感じているようである

同じ調査の結果について Nature 誌に A global survey of

the scientifically literate public reveals a pacific divide

on key issues in science という速報記事が掲載された

Nature 誌では日本を含むアジア圏と欧米の参加者とで

大きく異なる回答が寄せられた設問について取り上げて

いるそのような設問の一つに進化論に関するものが

ある日本からの回答者のうち進化論では生命の多様

性を説明できないと考える人は 349にも上っており

米国の 129英国の 54 に比べて顕著に高い数値と

なっているこの進化論に対する懐疑的な日本の回答は

普段我々が直観的に感じている日本の科学の理解につ

いての状況とそぐわないその理由として設問の作り

が英語を母語としない回答者に対して誤解と与えた可能

性や京都大学の加藤氏が Nature 誌へのコメントで指

摘するように真摯に考えればどのような科学的知識も

100正しいとは言えないと答えざるを得なかったこと

が考えられる

同じ調査結果について Nature 誌に掲載された速報記事

と日経サイエンス誌の記事を読み比べると全く違う

調査あるいは調査対象であったかのように映るこの違

いはNature 誌が同誌の事前の予想と大きく違ってい

た部分欧米とアジアの差に着目し特にその部分を取

り上げたために生まれたと考えられる

日経サイエンス

h t t p w w w n i k k e i - s c i e n c e c o m p a g e

magazine1012201012_092html 

Nature のニュース速報

http wwwnature comnews2010100922

full467388ahtml 

調査結果

httpgonaturecomeKv3nX 

11

PEN N

ovember

欧州議会 RoHS 改定作業の現状

欧 州 議 会 Committee on Environment Public Health and

Food Safety(ENVI) 委員会が取りまとめた RoHS 指令改定

案の議会本会議での採決は今月 22 日となったようである

ここで採択され理事会で採択されれば 2014 年以降の施

行に向けた動きとなる今月の本誌 PEN の発行は諸般の

事情から 25 日を予定しており23 日には原稿を締め切る

したがって採択の結果は今月号では速報できないと思われ

る重大な採択がされるような事態になれば読者の皆様

には別途速報として情報提供する

これまで特に欧州議会の中での目立った動きは察知できな

いもののENVI 委員会の主要メンバーは附属書 IV の禁

止物質リストにナノ銀を盛り込むことでその全面使用禁止

求める方針を断念したようであるこれは先月号本誌で示

した議長国ベルギーの提案に従ったものと思われるただ

大変気になるのはもう一つのカーボンナノチューブがどの

ようになっているのかがよく見えない点で水面下でどの

ような議論がすすめられているのか気になっていた先

週述べたとおりベルギー案は追加リストそのものの撤廃

を求めておりその他のナノマテリアルを含む物質に対す

るラベル表示義務さらには安全性データの欧州委員会へ

の提出義務も含まれていない今後の展開は最も強く修

正案を主張してきた ENVI ラポーターの Jill Evans 氏らが

ベルギー案にどこまで歩み寄った形で 22 日の投票を迎え

るかにかかっている

これに関連して中小企業ビジネス支援サイト J-Net21 は

18 日「欧州委カーボンナノチューブ RoHS 規制見送り」

とする速報をリリースしたそれによると今回示された

改正案には二つのナノマテリアルの使用が制限されていな

いとのことまた二つのナノマテリアル以外のナノマテリ

アルに求められていた表示義務についてはまだ議論が続い

ているようである [12]

ま た 23 日 に ロ ン ド ン の Nanotechnology Industries

Association からナノテクノロジービジネス推進協議会へ

届いた情報によると欧州議会と理事会は RoHSWEEE 指

令における「ナノマテリアル」の記述について合意に達し

た模様でその内容は産業界にとも歓迎すべき内容になっ

ているとのこと内容の詳細について現時点では把握でき

ていないるものの少しずつではあるが確実に猶予すべき

事態から脱却しつつあるとみてよい

このような状況のなか今月は日本国内においても RoHS

指令改定案に二つのナノマテリアルの全面禁止やその他の

ナノマテリアルの表示義務が盛り込まれている点について

周知が進み様々な論評が行われたので短く整理してお

まず「問題が多いナノ材料への RoHS 規制」と題する社

説を掲載し問題を明らかにしたのが11 月 15 日付化

学工業日報であるその社説の論旨は「欧州では科学的

確実性が明らかでないリスクを事後的に管理するより予

防的対策が費用対効果からも優れているという考えが根強

い」としたうえで今回の改定案を「極端な予防原則の適

用といわざるを得ない」と指摘しているさらに「日本

の産業界に与える影響も無視できないだけに日本政府や

ナノマテリアルに関連した事業を展開する企業業界団体

は積極的に情報発信すべきである」と欧州議会に対して

明確な意思表示をすべきとのメッセージで社説の最後を

締めくくっている

RoHS 指令改正案にナノ材料が追加された事実を解説した

のは11 月 12 日付日刊工業新聞である37 もの化学物

質を禁止物質候補としさらにカーボンナノチューブとナ

ノ銀に規制を設け適用範囲も拡大される改正案の内容を

解説したうえで22 日に迫ってきた改定案の採択がその

まま施行される可能性は低いと予測しているもし改正案

のまま施行された場合今後の研究開発を停滞させる恐れ

があると指摘している実際に日本などの産業界からの反

連載環境規制 第 7 回

アメリカの環境規制オバマ政権以降の展開

12

PEN

Nov

embe

r 発も大きく「本会議の採択を受けて開催される理事会は

調停案を出す」との観測を示している以上のような解説

の締め括りとして「日本の産業界としては代替材料やナ

ノ材料の安全性評価手法の開発など2014 年の施行を見

すえ早めに体制を整えておく必要がある」と指摘してい

このように日本国内でも ENVI の Jill Evans 女史がまとめ

た RoHS 指令改定案に対する修正意見に対する反発が強ま

るなか2009 年に厚生労働省や経済産業省環境省が相

次いで公表したナノ材料曝露提言のためのレポートやガイ

ドラインに準拠した対策も進みつつある今月 10 日日

本エアーテックはカーボンナノチューブなどのナノ材料

を安全に扱うための作業器具「ナノパーティクル排気ベン

チ」を開発販売を開始したナノ粒子捕集効率の高いフィ

ルターや引き出しと一体化した掃除機曝露防止のため

の手袋や防塵マスク防護服といった対策が図られている

節末になるが昨今の欧州議会の動きに関してナノ

テクノロジービジネス推進協議会の事務局より欧州

の ナ ノ テ ク ノ ロ ジ ー 産 業 の ア ソ シ エ ー シ ョ ン で あ る

Nanotechnology Industries Association (NIA) と の 間 で 交

わされた情報などを逐次配信していただいたことを付記

しお礼を申し上げる

アメリカの環境規制オバマ政権以降の展開

連載の本題に戻る2009 年民主党オバマ政権が発足し

て以降環境政策環境規制に関しても様々な改革が図ら

れるようになってきたこれはオバマ政権に代わったから

ということではないが米国議会は全ての連邦機関に対し

て 5 年間の戦略計画の策定と 3 年ごとの計画の見直しの実

施を要請している政府の行政評価の一環として 1993 年

以降行なわれている rdquoGovernment Performance of Result

Actrdquo で通常 GPRA と呼ばれこれまで各省庁の政策決定

と実行に大きな影響を与えてきたこれを受けて EPA は

今月 7 日2011 年度からの 5 年間の戦略を公表している

[3]環境と健康を守るための 5 つの戦略的な目標として

①気候変動への取り組みと大気汚染の減少②米国内の水

環境の向上③コミュニティの汚染源の根絶と持続的発展

④化学物質の適正な使用と汚染の防止⑤環境関連法の実

施強化を挙げているまた5 つの戦略目標と合わせて

EPA 首脳部が掲げる 7 つの優先分野における取り組みの進

捗状況を図るための新たな指標も設けられている

これに関連して EPA はTSCA インベントリー利用の改革

を進めている米国内で製造もしくは米国に輸入される

すべての化学物質は「TSCA インベントリー」と呼ばれ

るリストで管理される現在 8 万物質以上が収載されてい

る TSCA インベントリーにない化学物質を製造あるいは

輸入する場合EPA に対する届出義務がありこの届出を

行い EPA の審査を受けることでその化学物質が TSCA イン

ベントリーに新規物質として追加される仕組みになってい

るここでいう届出とは90 日前までに行わなければな

らない製造前届出(PMN)であり生産量暴露排出量

の推計人の健康や環境への影響に関するデータ等が求め

られるただし医薬品農薬や食品添加物等の他の法律で

規制される物質や研究開発目的の化学物質には除外措置が

設けられている [4]PMN は届出業者に新たな試験の実施

を求めておらず届出業者が有しているデータのみを提出

すればよいとされているそこで EPA は定量的構造活性

相関等の手法により届出物質の生態毒性値を予測しその

結果に基づきリスク評価を行っている

オバマ政権以降この TSCA インベントリーの改革がすす

められてきたすでに 2010 年 3 月には基本的な検索を無

料化するなどインベントリーのリニューアルを実施しイ

ンベントリー検索が容易になっているまたインベント

リーのデータは通常年二回更新されるがインベントリー

へ新規化学物質の登録が行われる場合は官報で事前に告知

されるようになっている [5]

SNUR とは

EPA の規制措置について触れたついでに今後の議論のた

めに重要新規利用規則(SNUR)についても理解を深めて

おきたいSNUR については経済産業省化学物質管理課の

HP の記述にその内容をくみ取りやすいので以下に引

用させていただく [6]

「TSCA においては評価の各段階で新規化学物質の申請

者と同意を取りながら進めていくという審査体系をとって

おり懸念のある化学物質に対する規制は個別の申請毎

にきめ細かい措置が講じられる体系となっている規制

は申請者に対する同意指令(Consent Order)及び申請

者以外の者にも同様に規制を行うための重要新規利用規則

(SNURSignificant New Use Rule)により行われる同意

指令は当該化学物質のリスクが明確に評価できないにもか

かわらず健康や環境にリスクをもたらす恐れや放出

暴露量が多い恐れのある場合に発せられリスク評価に十

13

PEN N

ovember

分なデータがそろうまでの製造等を制限するものである

同意指令は申請者に対して発せられるが公平性の観点か

ら当該化学物質を取扱う全事業者に対して同意指令と同等

の制限を規制するのが重要新規利用(SNUR)である対

象物質について SNUR 要件を遵守できない場合には事前

に重要新規利用届出(SNUN)を提出し個別に審査を受

けることとなるSNUR 対象物質に対する制限措置として

はMSDS 作成やラベリング使用者への注意義務数量

制限や特定用途の制限個別事業者における排水管理など

の幅広い手法があげられており対象物質に応じて適切な

規制が適用される」

したがってTSCA のインベントリーに登録された化学物

質が SNUR に指定されるということはPMN 届出業者と

の同意指令の中で当該化学物質の健康や環境影響が無視

できないことの反映である先月号の本誌 PEN で述べた

とおりEPA がこれまでナノマテリアルで交わした同意

指令はイギリスの Thomas Swan 社の子会社でアメリカ

New Jersey 州 Lyndhurst で CNT 製造を行っている Swan

Chemical Inc であるEPA が昨年来 CNT を SNUR 対象物

質にする方向でパブリックコメントを求めてきたがこれ

は Swan Chemical Inc との間で交わされた同意指令の内容

を他の CNT 製造企業にも求めることを意味するEPA の

SNUR での単層および多層 CNT の規制もいよいよ最終段

階に入ってきている

Reference[1] httpj-net21smrjgojpwatchnews_tyusentry20101118-15

html

[2] httpj-net21smrjgojpwatchnews_tyusentry20101117-15

html

[3]httpyosemiteepagovopaadmpressnsfd0cf6618525a9efb8

5257359003fb69d60a5ce970092692e852577b5005c4ff3Open

Document

[4] httpwwwepagov

[5] httpwwwepagovopptnewchemspubsinvntoryhtm

[6]httpwwwmetigojppolicychemical_management03kanri

f1htm

かわいいだけではないらしい

日本ではペットとしてイヌと人気を二分しているネコかわいい口に重大な秘密が隠されていたようです

イヌは舌ですくい上げて水を飲んでいることが分かっています水を飲み終わったイヌの口元は濡れています

しかしネコはミルクを飲んでも口元が汚れないしどうもイヌとは飲み方が違うようだと考えた Pedro Reis 氏

らは高速イメージング技術を用いてネコの秘密にメスをいれました

その結果ネコは重力と慣性力を利用して水を飲んでいることが明らかになりましたネコはまず舌先だけを

水やミルクなどの液体に軽く接触させたのち舌を丸めますそして丸めた舌を元に戻す際の慣性力を使って水

の柱を作りそれを吸い込むようにして飲んでいるのですネコのサイズが変わると舌を水につけるスピード

が落ちてゆっくりとした動きに変わるものの動きそのものは全く同じであることが観察によって明らかになっ

ていますネコ科で 2 番目に体が大きいライオンの飲み方も小さなイエネコの飲み方も同じなのです

様々な分野で活躍する働くイヌと違って「ただかわいいだけ」と言われるネコですがその精緻な舌の動きと

機能はソフトロボット技術研究の進展に役立つと期待されています

How Cats Lap Water Uptake by Felis Catus PMReis RStocker SJung JMArstoff Science 20101111 (online

publication)

httpwwwsciencemagorgcontentearly20101110science1195421

14

PEN

Nov

embe

r

基本政策専門調査会資料公開総合科学技術会議

11 月 17 日中央合同庁舎第4号館で開催された第 11 回

総合科学技術会議基本政策専門調査会の資料が公開され

た10 月 18 日~ 11 月 8 日にかけて行われたパブリック

コメントの結果等も公開されている特に注目される「Ⅴ

社会とともに創り進める政策の展開」の項目のなかの「社

会と科学技術イノベーションとの関係深化」の課題には

①「国民の視点に基づく科学技術イノベーション政策の推

進」には欧米にくらべ遅れている「政策の企画立案及び

推進への国民参画」の促進が必要その方法論を研究し

具体的な参画の場や運用を整備すべき国の機関のみなら

ず各地の大学や研究機関が主体的に参画できるものであ

るべき②科学技術だけでなく社会についての知を総合

しなければイノベーションは不可能③「倫理的法的

社会的課題への対応」でヒトの臨床試験に関する法律

動物実験バイオ施設といった具体例を論ずるべきといっ

た意見が集約されている

また民主党政権が達成目標としている「政府研究開発投

資の対 GDP 比 1」に関しては資料 4 - 1 の第 4 期科

学技術基本計画における投資目標のなかに2008 年度の

実績が 072 であったことが示されているちなみにア

メリカは政府研究開発投資の対 GDP 比 1 を維持してい

httpwww8caogojpcstptyousakaiseisakuindexhtml

科学技術に関する最近の話題への国民の関心について科学技術政策研究所 (NISTEP)

文部科学省所管の科学技術政策研究所は科学技術に関す

る最近の話題への注目度など速報性のあるデータについて

公開したまた同研究所は「日本の研究者を対象とした科

学における知識生産プロセスについての大規模アンケート

調査」の結果についても公表を行ったhttpwwwnistepgojpnistepabout09html

httpwwwnistepgojpachievftxjpnmat191jpdfmat191j_

reportpdf

公共政策のためのパブリックコメント2011 年度予算編成に伴い9 月末から政策コンテストが

進められているこれは市民から広く意見を聞くパブリッ

クコメントのことであるところがある省の政策担当者が

政策立案に関わった専門家に提出方法についてメールで周

知し間接的ながらも意見の提出を促した事実が明らかと

なったこの問題は今月 18 日付新聞各紙で報道された

時代の流れである政策の公共性に逆行し公共の利益に反

する行為であるいわずもがなではあるがパブリックコ

メントが義務的な制度ではなく今後政策や予算立案の過

程で当然の仕組みとして定着していくためにもパブリッ

クコメントを広く公平に集める仕組みつくりは危急の課題

であり集まったコメントに耳を傾ける真摯さが政策サイ

ドに求められている政策や予算に対するパブリックコメ

ントは政策の公共性に必要不可欠の仕組みであり科学技

術の社会受容の重要なプロセスである「パブリックコメ

ントを行いました」という既成事実のためにあるのではな

共同声明「国際化拠点整備事業(グローバル 30)の強化を要望する」11 月 16 日

東北大学筑波大学東京大学名古屋大学京都大学

大阪大学九州大学慶應義塾大学上智大学明治大学

早稲田大学同志社大学立命館大学

平成 21 年度に開始された国際化拠点整備事業(グローバ

ル 30)に採択されている上記 13 の大学は昨年に引き

続き本事業が行政刷新会議の事業仕分けの対象となったこ

とに関して共同声明を発表したその骨子は国際的視

点と人材教育の視点から大学及び日本社会の国際化のた

国内情報

15

PEN N

ovember

めのグローバル 30 をさらに拡充強化されることを政府に

要望するものでまた予算の縮減などになれば国際社会に

おける日本の信頼が大きく傷つくばかりでなく日本の将

来について致命的な打撃を与えるのではないかと指摘して

いるh t t p w w w o s a k a - u a c j p j a n e w s t o p i c s 2 0 1 0 1 1

files20101116_2pdf

加速する EV 市場電気自動車 (EV) 市場が大きく展開し始めたすでに三菱

自動車は昨年から EV アイミーブを市場に投入している

日産自動車は今年 7 月から EV リーフの試乗会を行ってき

たがいよいよ来 12 月には EV リーフの日米同時の販売

を開始するこれにあわせて 12 月 45 日に横浜市内で

公道上での試乗会が行われる今後は技術提携を進めるフ

ランスのルノー社との技術の共通化が図られる

このような動きに対しトヨタやホンダはこれまで EV に

は慎重な姿勢を維持してきたしかしこの数か月でその姿

勢にも大きな変化が出てきた今月 17 日から開催されて

いるロサンジェルスのモーターショーでトヨタは RAV4

の EV モデルホンダはフィットの EV モデルをそれぞれ

公開しているこれまでハイブリッド技術で覇権を制して

きたトヨタはこの 5 月にカリフォルニアの EV 開発ベン

チャーであるテスラと資本提携スポーツタイプ多目的車

(SUV)をベースとした EV の開発を加速させているテス

ラは 2008 年から時速 200km を誇るロードスターの市場

投入実績を有しておりトヨタ以外にもすでにダイムラー

とも資本提携を行っているまた今月にはパナソニックと

電池の共同開発を開始するなど2015 年の本格的なアジ

ア市場での販売計画に向けて技術開発を加速させている

テスラの技術は家電製品に使われる汎用電池を多数並べて

用いるところに特徴があり現時点では車載用専用の電池

の開発を進める他の EV との差別化を図ることに注力して

いる

このような一連の動きは2012 年のカリフォルニア州に

おける環境規制の施行を見据えたもので2012 年が EV

普及にとってフラグポイントになるアメリカでもゼロエ

ミッション EV の開発が活発に行われ経営破たんしてい

た GM が 11 月 18 日に株式市場に再上場するなどアメ

リカの産業構造も大きく変わりつつあるただモーター周

りの技術に関しては中国企業との共同開発も進められて

いる

このような EV 市場の急展開の様相は日本の経済を支え

てきた自動車産業に大きな質的変化をもたらしつつある

EV は「自動車が家電製品になる」と形容されるように

車載用駆動電源としての 2 次電池の高性能化やリチウム

資源の確保さらには太陽光発電利用やスマートグリッド

まで含めたエネルギーデリバリーシステムや充電インフラ

等々幅広い産業活性化の起爆剤でもあるEV がオフィ

スや家庭の家電とつながればIT 産業にも大きなビジネス

チャンスが到来する自動車産業は家電メーカー総合

商社IT 企業その他さまざまな技術領域を巻き込んだ覇

権争いに突入していこうとしておりこれまで ldquo 城下町 rdquo

と称された日本の垂直統合型自動車産業そのものが大きく

変わりつつあるといっても過言ではない

ところで「モーターをタイヤにした」構造的には内燃機関

式に比べ単純な構造の乗り物でもある EV の市場には新

興国の新規産業が参入しやすいという一面がある上述し

たような 2012~15 年にかけて強まる世界的な環境規制を

追い風に新興国から多くの EV 産業への参入が予想され

る実際に中国広東省のベンチャー企業 BYD などはそ

の急先鋒として成長し続けている日本の産業は1990

年のバブル崩壊以降 20 年にわたって「技術で勝って市

場をとれない」状況に苛まれてきた対処策の一つは技術

開発と経営の基本姿勢である言うまでもなく技術が発展

することは製品の質の向上に結び付くのだがただ「より

良い技術をふんだんに詰め込めばおのずと製品は売れる」

という安易な技術への過信や過剰な技術の詰め込みがイノ

ベーションプロセスに負に作用することも事実であるエ

リアごとに大きく異なる市場のニーズを的確に把握するこ

とと急速に展開する市場に対応した経営意思決定の迅速

化がキーになる

もう一つは国際的な枠組みでのインフラ技術の標準化であ

る一国一票の投票権を持つ国際標準化の策定プロセスで

は欧州が圧倒的な強さを維持しており日本は常に苦戦

を強いられる立場にある国際電気標準会議 (IEC) におけ

る EV インフラ技術の標準化チャデモ協議会といった日

本の対応については週刊エコノミスト 12 月号 40 ~ 41

頁に詳しい

また日刊自動車新聞によると電気自動車普及協議会が

EV の高電圧周りの安全対策などに関するガイドラインの

策定を始めているが緊急性の高い項目は今年度中に情報

公開される模様である

国立研究開発機関(仮称)構想省庁の縦割り政策の弊害を解消して研究開発を効率的に進

めることを目的に文部科学省は 38 の独立行政法人研究

機関の再編統合を図る仮称「国立研究開発機関」構想を

打ち出している海江田科学技術政策相はその設置法案を

来年度の通常国会に提出する考えを明らかにしこれに併

せて発足に向けたスケジュール作りがすでに検討チームの

中で始まっているその一方蓮舫内閣府特命担当大臣(行

16

PEN

Nov

embe

r 政刷新)公務員制度改革担当は文部科学省ではなく内閣

府主導で予算編成を行うべきとの考えを示し行政刷新会

議も「焼け太りは許さない」と文部科学省を牽制設置法

そのものの提出をくい止めたい考えである他の様々な施

策同様これも民主党政権内での軋轢となっている

化学5社化学物質情報伝達を電機大手と共通化中小企業ビジネス支援サイト J-Net21 は11 月 15 日に

日本の化学大手 5 社がアーティクルマネジメント推進協

議会の仕組みを活用して製品に含まれる化学物質の伝達

方法を電機大手と共通化することを発表サプライチェー

ンでの情報伝達の共通化が図られるhttpj-net21smrjgojpwatchnews_tyusentry20101115-10

html

22 年度科学技術関係補正予算閣議決定先月末の 26 日平成 22 年度補正予算 4 兆 8500 億円が

閣議決定された今月 11 日付科学新聞はこのうち科学

技術関係予算を文部科学省のスパコン「京」への 186

億円などを含め約 1500 ~ 2000 億円程度と見積もってい

る経済産業省関係では産学官連携のイノベーション拠点

立地支援事業への支援策が多く盛り込まれているつくば

イノベーションアリーナ中核拠点と位置づけられている産

総研には補正予算 30 億円が配分されている

なお内閣府総合科学技術会議は 11 月 4 日2010 年度

の当初予算額 3 兆 5878 億円に対し補正予算案は 1864

億円経済危機対応地域活性化予備費は 141 億円で

合計は 3 兆 7742 億円となったことを明らかにした補正

予算の詳細については 11 月 4 日「平成 22 年度経済危機

対応地域活性化予備費及び補正予算案(科学技術関係予

算)について」として内閣府から公開された

httpwww8caogojpcstpbudgeth22hoseipdf

ナノボーグの販売軽量化フレキシブル化が進む様々なデバイスをまとめて

身に着けることが可能な服が「ナノボーグ」である東工

大谷岡教授が名付けたもので4 日付日刊工業新聞による

と今月にも太陽電池を電源とするジャケットがアメリカ

のアパレルメーカーから発売される

httpwwwnikkancojpnewsnkx0320101104eaahhtml

ldquoNBCI ナノナビ rdquo 創刊ビジネス環境のグローバル化オープン化に伴って政策

や規制動向研究開発動向の迅速な情報共有への要求が高

まりつつあるこれに応え一般社団法人ナノテクノロジー

ビジネス推進協議会(NBCI)は不定期の情報誌 ldquoNBCI

ナノナビ rdquo を創刊先月末より会員向け配信を開始した

創刊号では標準化の重要な課題であるナノラベリング(使

用ナノ材料の周知目的)の動きナノネット活用等につい

て最新の動向が配信された

httpwwwnbcijp

フラーレンのナノエレ応用脚光を浴びるカーボンナノチューブやグラフェンに比べ

フラーレン(C60)のナノエレクトロニクスへの応用展開

は広がらない状況が続いてきたがこの度 C60 を積層し

た有機トランジスタが開発されたこれは 11 月 1 日付日

経産業新聞が報じたもので大阪大学と山形大学大日本

印刷の共同研究の成果である試作された C60 を含む有

機トランジスタは従来の有機トランジスタより大きな電

流を流すことが出来400 キロヘルツの高速応答が得られ

たとのこと

筑波大に生命科学研究拠点先月末筑波大は先端学際領域研究センター通称 TARA

センターを改組し生命領域学際研究センターを設立浅

島誠氏がセンター長に就任した今後 20 人の研究部隊が

幹細胞研究などに特化した研究を展開する

新規事業への投資を名城ナノカーボン10 月 29 日付の金融専門誌ニッキンは名城ナノカーボ

ンの橋本剛氏をとりあげた同社は 2005 年 4 月に当時

銀行員であった橋本氏が名城大安藤義則教授と共に設立

したカーボンナノチューブの開発製造販売を手がける

名城大発ベンチャー橋本氏は今後 5 ~ 10 年で名城ナノ

カーボンの上場を目指すとし取引金融機関に対して新規

事業への具体的な資金投入を期待している

CNT 生産能力倍増昭和電工10 月 29 日付化学工業日報は昭和電工(株)川崎事業

所におけるカーボンナノチューブ (CNT) の年産 100 トン

から 200 トンへ引き上げ計画を報じた同社はリチウム

イオン 2 次電池向け気相成長 CNT の供給を行っているが

今後はさらに急速な需要拡大が進む可能性もありさらに

生産体制の拡大を図る可能性もある

17

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ovember

宝石という名前の虫

タマムシはタマムシ科の 4 センチメートルほどの甲虫です漢字では玉虫と書きます玉とは宝石のことで

その名のとおり赤い縦の線が走る虹色がかった緑色の金属光沢の美しい翅をもっています

法隆寺所蔵の国宝「玉虫厨子」を教科書などで見たことがある人も多いのではないでしょうか厨子は仏像な

どの礼拝の対象をしまう大切な入れ物のことです天平の世の人々がその大切な厨子の壁面を飾る細工の材料

にタマムシこそが相応しいと思ったのも納得できる美しい甲虫です残念ながら現在では玉虫厨子の壁面の

翅の多くは脱落してしまっていますが往時を再現した複製品から天平の時代の華やかな色が想像できます

タマムシは時代や洋の東西を問わず美しいと思われるようでベルギーにはその美しさに憑かれて宮殿の天

井を大量のタマムシの翅で飾った現代工芸家もいます

タマムシは厨子に使われた翅だけでなく腹部や脚触角なども緑色の光沢を放っていますまた美しい

翅が良くわかるような背面からの写真が多いので米粒型のすんなりした形のイメージが強いですが横から

見た体には以外と厚みがあります成虫は樹冠を飛び回り主にニレ科の広葉樹の葉を食べています幼虫は

カブトムシの幼虫に似た白いずんぐりしたイモムシで餌も葉ではなく木ですそのため害虫に分類されても

います

岐阜県高山市「茶の湯美術館」に玉虫厨子のレプリカが展示されています

httpwwwnakada-netjpchanoyutamamushi_zushihtmtamamushi 

18

PEN

Nov

embe

r

これを批准した結果日本は 1990 年を基準として 6の

温室効果ガス削減を国際的に約束した日本国憲法によれ

ば国際条約は守らなければならないことになっているの

で「チーム -6」などという運動が日本全国にできた

これの何が間違いだったのであろうか以下その根拠を説

明する尚現在の一次エネルギー源は 80以上が化石

燃料によるものであるからエネルギー消費と温室効果ガス

排出はほぼ同義語であるまた国内総生産(GDP) の増

大すなわち経済成長は社会の安定と国民の安心感を支え

る基本的な要素でありその減少は社会の不安定化をもた

らすため増大させることが必須である

日本は 1973 年の第一次石油危機で大きなダメージを受

けそれから「省エネルギー技術」の開発を血眼になって

推進したその結果図 1 に示すように日本は世界一の「省

エネ大国」になったのである図で縦軸は石油換算のエネ

ルギー消費量横軸は GDP をドル換算したもので1995

年のデータを示してある斜目の破線は一定の GDP を作

り出すのに必要なエネルギー量をトン単位で示しており

これが小さいほどエネルギー効率のいい社会であるつま

り使用エネルギーが少なくなるか同じエネルギーを使っ

ても生産額が多くなればエネルギー効率は良くなる

 エネルギー効率=使用エネルギー生産額(GDP)

図から明らかなように日本は 1995 年時点でも既に世

界で一番エネルギー効率の良い国だったのであるドイツ

フランスイタリアなどは日本の 15 倍イギリスは 2 倍

アメリカが 3 倍中国やロシアに至っては何と 10 倍以上

のエネルギーを浪費しているということが一目瞭然であ

る日本がこのようなエネルギー効率の良い状態から更に

エネルギー消費を減らすなどと言うことは被虐趣味以外

の何物でもないちなみに図 1 は小生が京都議定書を見て

「これは誤りである」と確信し直ぐに作成したものであり

13 年前には既に分っていたことである

それでは日本は何を主張すれば良かったのか賢明な読

者は図 1 を見れば直ぐに考え付くであろうそう「世界

の皆さん今後 10 年間でエネルギー効率を高くする努力

をし現在の日本並みとまでいかなくても少なくとも近

付く努力をしてください」と主張すべきだったのだこれ

なら発展途上国も経済発展を保障されるから合意できたで

あろうし何よりも日本の「省エネ技術」を世界標準とし

て輸出可能であったろう昨年中華人民共和国(中国)が

出した指標はまさにこのような考えに基づいたものであろ

うどこかの国の首相が温室効果ガス排出量(=エネル

ギー消費量)の 25の削減を持ち出したのに対し「中国

はエネルギー効率(=使用エネルギー生産額)を 40

向上させる」と主張した図1から見ても彼等は 1995 年

の日本の水準に追いつくだけで 90の削減が可能であり

40などというのは非常に容易な達成目標であることは

明らかであるまさに国際条約を締結する上での基本的

な事項である「自国の利益を最優先する」という原理原

則にも合致している流石は厳しい歴史を体験してきた国

京都議定書が提案されてから既に 10 年以上経過した今

更と思われる方もおられるかも知れないが現在の日本が

抱える様々な矛盾の出発点の一つが京都議定書であると考

えざるを得ない以上ここで改めてその問題点を明らかに

したい環境省のホームページに掲載されている京都議定

書の内容は以下のとおりである

(httpwwwenvgojpearthcop63-2html)

ポイント先進国の温室効果ガス排出量について法的拘束力

 のある数値目標を各国毎に設定

国際的に協調して目標を達成するための仕組みを

 導入(排出量取引クリーン開発メカニズム共同

 実施など)

途上国に対しては数値目標などの新たな義務は導

 入せず

寄稿京都議定書で日本は何を主張すべきであったか東洋大学大学院学際融合科学研究科 教授 和田恭雄

19

PEN N

ovember

は違うなどと感心してはいられない

今からでも遅くない「2010 年を基準としてエネルギー

効率の向上を図る」ことを国際的な合意目標に切り替え

るべきである無論為替レートは 2010 年現在の 1 ド

ル= 80 円程度に固定して比較すべきである現在の円

高を考えれば分母が大きくなることが日本の利益につ

ながるからだ国際条約においては「被虐趣味」は最低

の選択であることを忘れてはならない「率先垂範」など

と言う言葉は国際社会では通用しない無論表面上は大

いに賞賛されようが腹の底で「カモが来た」と思われ

食い物にされるだけである他人から褒められるために

自らの競争力を放棄するようなことは止めるべきである

京都議定書を他山の石としてナノテクノロジーの世界

でも「自らの強みを世界の標準にする」という基本的な

姿勢を取るべきであるのは当然のことであるdarr

darr 世界各国のエネルギー消費量と総生産の比較図右下

に行くほどエネルギー効率が高く同じ GDP を創り出す

のに温室効果ガスの排出量が少ないということを示す

日本は 1995 年当時既に世界一の「省エネ大国」であり

西ヨーロッパの 15 倍米国の 3 倍ロシアなどよりも

10 倍以上効率の良い経済体制になっていたことが分か

る世界中の国が日本を手本にすれば温室効果ガスの排

出量を減らしつつ経済成長が可能になり即ち皆がハッ

ピーになれることを示すことができるばかりでなく日

本の省エネ技術を世界標準にすることも主張できる根拠

となる

20

PEN

Nov

embe

r

日本では21 世の始まりと共に科学技術政策に基づ

いてナノテクノロジーの研究開発への戦略的投資が開始

された2001 年度からの第 2 期科学技術基本計画と

2006 年度からの第 3 期科学技術基本計画の都合 10 年

間にわたる優先的戦略的な研究開発の資源の投入も余

すところ4ヶ月となった

21 世紀を担うと期待されたナノテクノロジーには研

究開発側から社会への一方的な応用があたりまえであっ

たこれまでの科学技術とは異なる研究開発の方法論が導

入されたコア技術の研究開発と並行してその技術の社

会的影響を検討しそれをさらにコア技術の研究開発に

フィードバックするという新しい研究開発の方法論であ

る [1]ナノテクノロジーの社会的影響にとって最も重

要で緊急の課題がナノ材料の環境健康影響安全 (EHS)

の課題であった技術の社会的影響を検討しながら進め

られているナノテクノロジーの研究開発がうまくいくか

どうかこのことがナノテクノロジーに続く今後の新興

の科学技術の研究開発のあり方に大きな影響を与えるこ

とになる社会的影響をフィードバックしながら進める

責任ある研究開発がはじめて試みられた日本のナノテク

ノロジーがこれまで 10 年間にわたって戦略的研究開発

投資を続けてきた現在どのような状況にあるのか今回

の特集ではそれを俯瞰的に解析する

まず国内の全ての新聞と雑誌に掲載されたナノテクノ

ロジー関連記事の数を統計的指標としてナノテクノロ

ジーの研究開発に対して日本の社会がどの程度の関心を

示しているのか評価することを試みる図1に日本

のメディアに掲載されたナノテクノロジー関連の記事の

年推移を示すグラフから明らかなようにナノテクノ

ロジーへの戦略的研究開発投資が始まった 2001 年まで

日本のメディアはほとんどナノテクノロジーを取り上げ

ていないただこれは日本にナノテクノロジーの萌芽

的研究開発がなかったということではない

一例をあげるなら工業技術院は産業科学技術研究開発

制度の一環として新エネルギー産業技術総合開発機

構(NEDO)の委託により原子分子極限操作技術の研

究開発プロジェクトを展開した1992 年から 10 年間に

わたり分子原子をボトムアップ的に集積する研究開発

を進めたこのプロジェクトは技術研究組合オングスト

ロームテクノロジー研究機構(ATP)と呼ばれたさらに

ATP と産業技術融合領域研究所は同研究所内にアトム

テクノロジー研究体(JRCAT)を設置して産官学の共同

研究プロジェクトを推進した折しも日本は 1990 年の

バブル経済の崩壊後失われた 10 年と称される経済の停

滞に苦しんでいたまだナノテクノロジーに対する期待

は高まってはいなかったが日本のナノテクノロジーは

着実に萌芽的研究開発を進めていた困難な経済のなか

で日本のナノテクノロジーはその萌芽に向けた着実な

準備をしていたといえるのだがこのような地道な研究

開発が進められていた点はこの統計からは見えにくい

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2001

2002

2003

2004

2005

2006

2007

2008

2009

図 1

特集

10 年におよぶナノテクノロジー研究成果の発展的継承を 

21

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ovember

2001 年度から戦略的な究開発投資が開始されると同時

にナノテクノロジーへの関心は急速に増していった

わずか 2 年後の 2003 年にはその期待は極みに達して

いる上述したとおり我々はこの統計で縦軸をナノテ

クノロジーに対する社会の関心と見なしておりこれは

David M Berube 氏が示した典型的な Hype 曲線の縦軸

「Visibility」と同義とみなせる [2]その類似性を図 2 に

示す

図 2

日本では Nano-Hype と呼べるピークが高性能瞬間湯

沸器よろしく戦略的研究開発投資が開始されたわず

か 2 年後の 2003 年に出現しているのであるまたJ

Fenn らはこのようなピークを図 3 に示すようにイノ

ベーションのハイプサイクルにおける rdquoPeak of Inflated

Expectationsrdquo と表現している [3]

Exp

ect

atio

ns

Time

InnovationTrigger

Trough ofDisillusionment

Slope ofEnlightenment

Plateau ofProductivity

Peak of InflatedExpectations

図 3

この時期はナノテクノロジーの将来価値への大きな期

待の反面研究開発の実態は希薄である実体の伴わな

い過剰な期待を理由に「一部の有力な科学者や政策担当

者がこのような Hype の状況を意図的に作りだした」と非

難する論調もある確かに Nano-Hype はナノテクノロジー

の将来価値への期待が研究開発の実態を上回る状況では

あるがナノテクノロジーに対する社会の関心や期待を

喚起しその期待を背景にナノテクノロジーへの研究開

発投資が漸次増加していったことも事実であるまたナ

ノテクノロジーの事をもっと知りたいという知的欲求も

刺激されそれに応えるためにいくつかの大学ではサイ

エンスコミュニケータやサイエンスインタープリタサ

イエンスジャーナリストの養成講座等が開設されたさ

らに今日年間 2000 回以上のサイエンスカフェが全国各

地で開かれるなどナノテクノロジーのような新興の科

学技術のパブリックエンゲージメントの活動の契機にも

なったNano-Hype と呼ばれる状況がそのような様々

なプラスの効果を日本にもたらしたことも忘れてはなら

2003年

2010年

2003年

22

PEN

Nov

embe

r ない点である

実体の伴わない過剰な期待が徐々に覚めていく Negative-

Hype の状況はHype が極みに達した 2003 年直後の

2004 年から 2007 年にかけて顕著に現れてくる依然

として政府のナノテクノロジー材料領域への研究開発

投資が伸びるなかメディアがナノテクノロジーを取り

上げる頻度は急速に下がり社会の関心は冷めていった

過剰な期待が冷静さを取り戻していく Negative-Hype は

必然であるとしても注目しておかなければならない大

事な点は Negative-Hype がいつ止むかいつ底を打つの

かである図 1 から明らかなように2004 年以降 2007

年まで急速に下降しているものの2008 年から 2009 年

と明らかに Negative-Hype は底を打っている

上述の J Fenn らは新しいハイプサイクルの縦軸の評価尺

度を議論しているのだが図 4 に示すようにハイプサイ

クルのプロフィールが二つの要素からなることを示して

いる [4]この指標を採用すると今年 2010 年の日本の

ナノテクノロジーはHype が終わりエンジニアリング

またはビジネスが徐々にその成熟度を増していくちょ

うどその過渡期にあるとみてよい今後ナノテクノロジー

がITエネルギー環境ライフサイエンスといった様々

な技術分野の基盤技術としてその実用化に貢献していく

現在はちょうどその転換点にあるそのプロセスを確実

に進めていくには中長期的な一貫した科学技術政策に

よりナノテクノロジーの基礎的な研究開発を継続的に

推し進めていくことが肝要である

図 4

そして10 年に及ぶ科学技術政策に基づいたナノテク

ノロジーの戦略的研究開発投資の成果を応用実用化

へ確実につなげていくために取り組まなければならない

もっとも重要な課題が包括的で実態のあるナノテクノ

ロジーのパブリックエンゲージメントの活動である昨

今ナノテクノロジーの研究開発と並行して社会受容

パブリックエンゲージメントの活動の重要性が指摘され

るようになってきたしかしこの課題に関する解釈は

依然としてまとまりを欠いているだけでなく「こういっ

た課題への取り組みが大事である」といったことが最後

の部分に申しわけ程度に記述されている例も多々見受け

られる取り組んでいるという既成事実のために実体の

伴わないパブリックエンゲージメントの活動が進められ

ると将来的にナノテクノロジーへの信頼も失墜しかね

ない多様な課題を含む社会受容パブリックエンゲー

ジメントの活動には包括的な視点で具体的実践的に取

り組んでいく必要がある

ReferenceRoco M C amp Bainbridge W S 2001 ldquoSocietal

Implications of Nanoscience and Nanotechnologyrdquo

Kluwer Academic Publishers

Berube M B amp Roco M C(FRW) 2005 ldquoNano-Hype

The truth behind the nanotechnology buzzrdquo Prometheus

Books

イノベーションのハイプサイクル

「Mastering the Hype Cycle」J Fenn M Raskino

Harvard Business Press 2008

M Raskino J Fenn IT Management(ITM) ITM-09-

37 Research Note 2010 年 2 月 9 日

23

PEN N

ovember

【CO2 排出量】世 界 的 な 金 融 危 機 に も か か わ ら ず2009 年 の 化 石 燃料 由 来 の 二 酸 化 炭 素 排 出 量 の 減 少 は 小 幅 に と ど ま る

(20101122)国立環境研究所(国環研)

国環研はグローバルカーボンプロジェクト (GCP) が 11

月 22 日の Nature Geoscience 誌の電子版に調査結果を発

表すると速報したその内容は世界金融危機の経済的

影響にも関わらず2009 年における世界の化石燃料由来

の二酸化炭素排出削減量が予測値である 28を下回り

前年比 13にとどまったことで同じく GDP の減少も予

測値を下回っている

httpwwwniesgojpwhatsnew20102010112220101122html

【量子コンピューティング】量子コンピュータ実現への障壁を緩和する誤り耐性方式を開発 (20101124)日本電信電話(株)京都大学

量子コンピュータに必須な量子ゲートは確実に正しい演

算をすることはなくある程度の誤り確率をもつため量

子コンピュータを実現するためには演算の誤り訂正を行

う技術の実現が必須となる演算の誤り訂正を行うために

はある程度誤り確率の低い量子ゲートが必要であると考

えられてきたが今回共同研究チームは誤り確率が非常

に高い量子ゲートを用いても量子計算が可能となる誤り耐

性のある量子計算方式を世界で初めて示した

httpwwwnttcojpnews20101011101124ahtml

【光電変換】ナノギャップ光アンテナにより高効率化した有機超薄膜による光電変換 

(20101122)物質材料研究機構北海道大学

NIMS と北大の共同研究チームは有機超薄膜型の光電変

換分子素子において光吸収電子伝達といった必要な機

能をもつ部品を連結した分子から成る単分子超薄膜を原

子レベルで表面制御した平滑な金電極面と金ナノ粒子で挟

み込むことによってナノギャップ型の光アンテナを導入

することに成功したその結果光アンテナ 1 つあたりで

光誘起電子移動反応が約 50 倍の効率に高まることを実

証した

httpwwwnimsgojpnewspress201011p201011220html

【EV】シンガポール政府と電気自動車の普及に関する覚書を締結

(201011 19)三菱自動車(株)

MMC はシンガポール政府と電気自動車(EV)普及のため

の活動に協力する内容の協定を締結したことを発表した

今回の活動はシンガポールの経済開発庁が中心となり

同国のエネルギー市場監督庁陸上交通庁との間で EV タ

スクフォースを組成し同国の EV 普及を目的としたユー

ザー向け補助金制度や充電インフラ整備などの検証を行う

ものこの活動の中でMMC は CCA を通じ 2011 年より

順次『i-MiEV(アイミーブ)』25 台を供給し実証走行

試験に協力していくhttpwwwmitsubishi-motorscompublishpressrelease_jp

corporate2010newsdetail4407html

【リチウム二次電池】リチウム二次電池の量産化実証工場が竣工 年間生産能力6 万 6000kWh (201011 18)三菱重工業(株)

リチウム二次電池事業への本格参入に向け長崎造船所内

に建設していた同電池の量産化実証工場が17 日竣工し

た年間生産能力は 6 万 6000kWh中型電池換算で約

40 万個に相当する今後各種実証技術に取り組み早期

の本格的な商業量産につなげていくとしている

プレスリリースより

CUTTING-EDGE TECHNOLOGIES

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PEN

Nov

embe

r httpwwwmhicojpnewsstory1011184999html

【基礎科学物質の起源】動きがのろい冷反水素原子を 38 個も磁気瓶に閉じ込める物質と反物質の違いを知る手がかりとなる冷反物質研究が新段階に (201011 18)物質材料研究機構(NIMS)

NIMS は欧州原子核研究所(CERN)の国際共同研究グルー

プに参加し反物質の代表格である反水素原子を独自に

開発した八重極磁気瓶の中に 38 個も閉じ込めることに世

界で初めて成功した反水素原子の原材料である反陽子(陽

子の反粒子)と陽電子(電子の反粒子)を八重極磁場コ

イルとミラーコイルを組み合わせた磁気瓶の中に蓄積し

そっと混ぜ合わせて冷たい反水素原子を大量に生成した

反水素原子は電気的に中性の小さな磁石なので反水素原

子ができあがったころ(約 1 秒後)を見計らって電圧を

加え残存している反陽子と陽電子をことごとく排除した

その後磁気瓶の磁場を瞬時にゼロにすると磁気瓶内に

とどまっていた反水素原子は装置の壁に当たって消滅し

パイ中間子などのさまざまな粒子を放出するこれらの粒

子を磁気瓶を包む 3 枚の検出器で観測した結果捕捉し

ていた反水素原子を 38 個も確認することができた後述

するように同内容は理化学研究所からもリリースされたhttpwwwrikenjpr-worldinforeleasepress2010101118

indexhtml

【超伝導】ピセンのカリウムドープに伴う電子構造変化の直接観測 

(201011 17)岡山大学

岡山大学の研究グループはピセンおよびカリウムドープ

ピセンの電子構造を実験的に観測する事に世界で初めて成

功したカリウムドープピセンは芳香族炭化水素における

初めての超電導体であるがカリウムドープピセンの超電

導メカニズムまた超電導を誘起する電子構造は解明され

ていない研究グループは光電子分光法を用いピセンのカ

リウムドープに伴う電子構造変化を直接的に観測した結

果ピセンのカリウムドープに伴う電子構造変化を観測

芳香族炭化水素超電導体の超電導メカニズム解明および新

規超電導体探索の指針になると期待されるhttpwwwokayama-unetrenkeidocumentpdfpressrelease

press-101117pdf

【慣性力発電】慣性力(振動)発電技術を商品化 国内最大手エース社のバッグに慣性力発電ユニットを搭載 (201011 17)伊藤忠商事(株)

米国 CIIIS 社の持つ慣性力発電(振動発電)技術を用いて

人体の運動による振動で発電する慣性力発電ユニットを開

発した国内鞄最大手のエース株式会社がこの慣性力発

電ユニットを搭載したバッグの販売を行う

httpwwwitochucojpjanews2010101117html

【生物多様性】多様性進化の背景に『甲状腺機能低下』 (201011 16)東北大学

生物多様性の喪失は現在急速に進んでおり多様性の進化

維持機構を解明することは世界的な課題である生物多様

性の創出は多くの場合新規環境に生き物が侵出すること

によって始まるが生物が新規環境へどのように適応して

行くのかその過程については多くが未解明である東北

大学の研究チームはこのたび新規環境への適応に甲状腺

ホルモンの進化が重要であることを発見したhttpwwwtohokuacjpjapanesenewimgpressimgtohokuuniv-

press_20101116pdf

【ナノ物性】ナノスケールの鉄磁石を電界でコントロール

(201011 01)千葉大学

磁石の N と S 極は磁界を用いることでコントロールでき

るが千葉大学の研究チームはナノスケールの鉄の磁石の

極性をエネルギーの要らない電界でコントロールできるこ

とを見出したhttpwwwchiba-uacjppublicitypresspdf201020101102nano

pdf

【SOFC 関連材料技術】 画期的な電解質材料の開発に成功 固体酸化物燃料電池の商用化に一歩前進 (201011 18 )物質材料研究機構(NIMS)

NIMS の研究グループは電解質材料に必要とされる三つ

の要件イオン伝導性化学的安定性焼結性のすべてを

高いレベルで満足する2種類の材料を開発することに成功

したひとつは10 のプラセオジムを含むイットリウム

添加ジルコン酸バリウム(BZPY)でもうひとつは酸

化ニッケル (NiO) とイットリウム添加ジルコン酸バリウム

25

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ovember

(BZY) の混合粉末を固めた基板上にプレス成形された BZI

であるhttpwwwnimsgojpnewspress201011201011180

p201011180pdf

【レアアース】微生物でレアアースの回収が可能に バクテリアがレアアースを濃縮する現象を発見 (201011 17)広島大学高エネルギー加速器研究機構高輝度光科学研

究センター

共同研究グループは微生物の細胞表面では微生物が存在

しない周囲部分に比べてレアアースを高濃度に濃縮する現

象を見出したまたレアアースの中でも特に希少価値の高

い元素が選択的に濃縮することを発見その濃縮メカニズ

ムを放射光を用いたX線吸収法により明らかにした

httpwwwkekjpjanewspress2010RareEarthElementshtml

【はやぶさ】はやぶさカプセル内の微粒子の起源が判明(201011 17)宇宙航空研究開発機構

「はやぶさ」のサンプルキャッチャー室から特殊形状のヘ

ラで採集された微粒子を走査型電子顕微鏡にて観察および

分析した結果1500 個程度の微粒子を岩石質と同定した

更にその分析結果を検討したところそのほぼ全てが地

球外物質であり小惑星イトカワ由来であると判断するに

至った

httpwwwjaxajppress20101120101117_sac_hayabusapdf

【超伝導基礎科学】超伝導のメカニズム解明に大きな手がかり ルテニウム酸化物の電子の運動状態を選択的に可視化することに成功 電子対を形成する「のり」の起源を初めて解明

(201011 17)広島大学産総研

1994 年に日本で発見されたルテニウム酸化物超伝導体は

ユニークな超伝導状態を示しこれまで数多くの研究が行

われてきたがいまだにその超伝導のメカニズムは謎のま

まであった超伝導が生じるためには電子と電子を「のり」

で結びつけ「電子対」にする必要がある共同研究グルー

プは放射光の直線偏光特性を活用するため放射光の光

軸のまわりに回転可能な高分解能角度分解光電子分光装置

を開発しルテニウム酸化物超伝導体の超伝導機構解明に

重要な手がかりをつかんだ研究グループが開発した新装

置を用いることによりルテニウム酸化物超伝導体の異な

る運動状態にある電子を選択的に分離しながら精密に分

析することが初めて可能となったその結果物質の電子対

を形成するための「のり」として結晶を作っている原子

の振動が重要な役割を果たしていることその「のり」が

どのくらい強く働いているのか等が明らかとなった httpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101117

pr20101117html

世界最高性能基準光源を開発 安定高精度高速の三拍子そろった光信号の発生に成功 (201011 15) 情報通信研究機構(NICT)国立天文台(NAOJ)

NICT と NAOJ はNICT 独自の高消光比変調技術を利用

し精度を保ったまま周波数範囲を拡大する構成を提案し

たNAOJ の安定度向上技術による制御機能を組み合わせ

ることで世界最高性能の基準信号発生装置を共同開発

し100 ギガヘルツを超える高速信号の長距離伝送を実現

した本装置の方式により従来技術の課題であった安定

性周波数範囲精度の問題を解決した安定性は 2 台の

レーザを用いる従来方式に比べて 10 倍以上を実現し信

号の乱れを 30 万年に 1 秒以下とすることに成功したま

た精度は従来型変調器と比較し 1000 倍以上周波数範

囲は 4 倍を達成したhttpwww2nictgojppubwhatsnewpressh22101115101115

html

【基礎科学レーザ分光】電子の氷を光で融かす一瞬を捉える 光が有機物質を変える瞬間の超高速スナップショット (201011 15)東北大学自然科学研究機構分子科学研究所科学技術振

興機構(JST)

共同研究グループは光の照射によって有機物質の色や

電気伝導度が大きく変化する光誘起相転移現象の最初の瞬

間を捉えることに成功した電場と磁場の振動である光の

振動の3周期分に匹敵する極めて短いパルス光をポンププ

ローブ分光によって二次元有機物質における電荷秩序の

融解のダイナミクスすなわちldquo 電子の氷 rdquo が光によっ

てどのように解け絶縁体から金属へと変化するのかと

いう問題を明らかにしたものこの成果 12 月初めには米

国物理学会誌 Physical Review Letters オンライン版で公開

予定

httpwwwjstgojpprannounce20101117-2indexhtml

【熱電材料】水を使って絶縁体から効率のよい熱電材料を作ることに成

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embe

r 功 希少毒性金属を含まない安価簡便な熱電材料創製に新たな道 (201011 15)科学技術振興機構 (JST)名古屋大学

熱電材料は熱を電気に変換することができることからエ

ンジンの排熱を利用して発電するハイブリッド自動車など

への応用が期待されているが従来の熱電材料はビスマ

スアンチモン鉛テルルといった希少毒性金属など

を含む問題があったJST 課題解決型基礎研究の一環とし

て名古屋大学の研究グループは水の電気分解を利用し

安くてありふれた絶縁体酸化物表面を大きな熱電効果を示

す金属へ変えることに成功した大量に水を含んだ多孔質

ガラスを新規に開発しこの多孔質ガラスを金属チタンと

チタン酸ストロンチウムに挟んで電圧を加えると水の電

気分解によって絶縁体のはずのチタン酸ストロンチウムの

表面に厚さ 3 ナノメートル以下の極めて薄い金属チタン酸

ストロンチウムが生成した通常の金属チタン酸ストロン

チウムに対して 4~5 倍高い電圧を示すことから従来の

熱電材料の約 2 倍の熱電性能が期待できる

httpwwwjstgojpprannounce20101117indexhtml

【基礎科学物質の起源】国際研究チーム反水素原子を瓶の中に閉じこめることに成功(20101118)理化学研究所

8 か国からなる研究チームは欧州合同原子核研究機関

(CERN)の装置を用いて加速器で反陽子と陽電子を作

成し磁場の中に閉じこめたのちに撹拌して反陽子と陽

電子1個ずつを結びつけ反水素原子を生成した反水素

生成後に余った反陽子と陽電子を取り除き反水素原子だ

けを特殊な瓶の中に封じ込めることに成功した計 38 個

の反水素原子が 02 秒間存在したことを確認反物質は

Dan Brown の小説「天使と悪魔」で非常に微量で爆発

を起こす材料として登場するしかし今回の手法では短

時間に消滅してしまい爆弾に使える量をためるのは不可

能だという17 日付の Nature Online 版に掲載

httpwwwrikenjpr-worldinforeleasepress2010101118 

【マックスウェルの悪魔実証】情報をエネルギーに変換することに成功 ldquo マックスウェルの悪魔 rdquo を実験により世界で初めて実現新規ナノデバイスの実現に期待 (201011 15)中央大学東京大学

微細加工技術とサブミクロンスケールのリアルタイム制御

システムを組み合わせ「マックスウェルの悪魔」と呼ば

れる科学史上の重要な概念を世界で初めて実験により実現

した これによって情報をエネルギーに変換できるこ

とを初めて示すとともに情報を媒介して駆動する新規ナ

ノデバイスの実現の可能性を示した マックスウェルの

悪魔は熱力学の根本に関わる概念でありこれを実現でき

た学問的意義は大きいまた科学者以外にもよく知られ

たテーマであり多くの人が興味を持つ話題でもある情

報を媒介して駆動する新規のナノデバイスを実現できる可

能性があり基礎的研究にとどまらずナノサイエンスで

の新しい制御法への応用が期待できるこの成果は 11 月

14 日に Nature Physics Online に公開された

Toyabe Sagawa Ueda Muneyuki and Sano

ldquoExperimental demonstration of information-to-energy

conversion and validation of the generalized Jarzynski

equalityrdquo

httpwwwsu-tokyoacjppresspress-2010-42html

詳細は中央大学 HPhttpwwwchuo-uacjpchuo-unewscontents_jhtmlsuffix=kampmo

de=topamptopics=12513

【基礎科学分子バネ】電子の出し入れで硬さが劇的に変わる分子バネを開発 たった 1 つの電子放出で分子全体の動きやすさが 450 倍も変化 (201011 15)理化学研究所科学技術振興機構(JST)

6 個の炭素原子が環状につながったベンゼン環は有機化

合物において最も基本的な構成ユニットの一つでありベ

ンゼン環をさまざまな形で結合させたものが盛んに研究さ

れてきたしかしベンゼン環を隣り合う炭素の位置で結

合させたオルトフェニレンは単純な構造でありながら合

成が難しいためこれまでほとんど研究がなされておらず

その性質は解明されていなかった理化学研究所の研究グ

ループはベンゼン環 48 個を隣り合った炭素の位置で結

合させたオルトフェニレンを世界で初めて合成したオル

トフェニレンは3 つのベンゼン環が 1 ピッチのらせんを

形成するバネ状の構造をしているがこのようなバネ状の

構造を持った分子はさまざまな機能を発揮するためエ

レクトロニクスや分子機械への応用の可能性が高まってい

る研究グループはこのバネ状分子から電子を 1 つ取

り去るとバネの硬さが劇的に増してらせんの反転速度が

約 450 分の 1 も遅くなることを突き止めたまたこの

1 個の電子の出し入れに応じてバネのピッチが 3263Aring か

ら 3224Aring と変化したこれまで電子が高密度に含まれ

た分子バネは電子を出し入れすることでその振る舞いが

変化することが理論上予想されていたがこのように電子

を多量に含む分子バネの合成は難しく実験的にも証明さ

れていなかった硬さの変化というこれまで実現すること

27

PEN N

ovember

ができなかった応答をする分子バネの登場は応答性分子

の分野に新たなコンセプトをもたらすと注目される本研

究成果はJST 戦略的創造研究推進事業 発展研究 (ERATO-

SORST)「分子プログラミングによる電子ナノ空間の創成

と応用」の一環として行われたものhttpwwwrikenjpr-worldinforeleasepress2010101115

indexhtml

【自己組織化基質選択的会合】分子間の特異的な相互作用による新規材料集積法を開発 分子が好みの分子を見分けて接着 (201011 15)大阪大学科学技術振興機構(JST)

近年分子認識を利用して分子と分子を非共有結合でつな

げることによりさまざまな超分子錯体が合成されさらに

これらを自己集合させる研究が行われているこれらの研

究において形成される集合体は分子の大きさであるナノ

メートルからマイクロメートルの極めて小さなもので高

倍率の顕微鏡を使わなければ見えない分子認識に基づい

て手軽に使えるくらいの大きな自己組織体を作り出すこと

はナノテクノロジー分野において分子を自己組織化さ

せて機能性材料を創製する上で重要な課題であった大阪

大学の研究グループはホスト分子としてシクロデキスト

リンをゲスト分子としてシクロデキストリンが結合する

化合物を用いてそのホスト-ゲスト相互作用を利用して

多様な自己組織化超分子ポリマーの構造体を作りマクロ

スケールで機能を発現させる研究を進めている今回D

NAやタンパク質の分子量決定に広く用いられるアクリル

アミドゲルを土台にしてこのゲルにシクロデキストリン

とゲスト分子をそれぞれ別々に導入し「ホストゲル」と

「ゲストゲル」を合成したこの両者を水中で振動させる

とゲルが接着する挙動が観察されミリメートルからセン

チメートルの大きさの物体を分子認識により自己集積でき

ることを世界で初めて実証したさらにシクロデキストリ

ンとゲスト分子との相互作用の強さの違いによって選択的

に特定のゲル同士を接着させることができることがわかっ

httpwwwjstgojpprannounce20101115indexhtml

【ブタノール分離膜】バイオブタノールの省エネルギー型膜分離精製技術を開発1 wt ブタノール水溶液から80 wt 以上の高濃度ブタノールの回収が可能 (201011 15)産総研

産総研は1 wt 程度の希薄なブタノール水溶液からゼ

オライト系分離膜を用いて 80 wt 以上に濃縮したブタ

ノールを回収できる省エネルギー型のバイオブタノール精

製技術を開発した ブタノールはエタノールと比較して

発熱量が大きいことから地球温暖化対策に貢献できる再

生可能なバイオ液体燃料すなわちポストバイオエタノー

ルとして期待されている今回合成条件の最適化を進め

高いアルコール選択透過性をもつシリカライト分離膜を合

成し膜分離法によって低濃度ブタノール水溶液から高

濃度ブタノールの回収が可能となった従来の分離膜を用

いた場合に比べてブタノール回収のためのエネルギーを

50 ~ 70 程度低減できることが期待される httpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101113

pr20101113html

【分子生物学】 化学合成したペプチドからウイルスの殻構造を組み上げることに成功 新規ナノ材料や医療材料としての応用に期待 (201011 12) 九州大学北九州市立大学

共同研究グループは化学合成したペプチドから約 40 ナ

ノメートルのウイルスの殻構造を組み上げることに世界で

初めて成功した球状の植物ウイルスから遺伝子を除いた

キャプシド構造と呼ばれる殻構造は決まった大きさのナ

ノ空間であることからナノ物質の反応器や運び手として

利用する研究が国内外で盛んに行われているしかしこ

れまでウイルスのキャプシド構造を得るにはウイルス

の遺伝子をバクテリア内に導入して生産させる必要があっ

た本研究では遺伝子やバクテリアを用いない完全化学

合成によってウイルスキャプシドを構築することに成功

した今回ウイルスの殻構造を簡単なペプチドから構築

できたことで様々な機能性ウイルスキャプシドを人工的

に創成する道が拓けたと言えるこのペプチドからなるナ

ノカプセルに適切な化学修飾を施すことによりナノ物質

合成のための反応器や医薬品の運び手人工ワクチンを

創成するための足場材料として応用できるものと期待され

るhttpwwwkyushu-uacjppressrelease20102010-11-12-04pdf

【レアメタル】レアメタル使用量削減技術の実用化を加速(20101110)新エネルギー産業技術総合開発機構 (NEDO)

NEDO はレアアース総合対策の一環として企業が取り

組むレアメタル使用量削減技術の実用化を加速するための

助成事業(事業規模約 100 億円)を 2010 年度補正予算

の成立を前提に行うこの助成事業では短期間で実用化

が期待できる以下の技術開発を対象として①レアメタル

28

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Nov

embe

r を代替する材料の技術開発 ②レアメタルの使用量を削

減する技術開発 ③レアメタルのリサイクルを促進する

技術開発 ④その他のレアメタル消費の削減に資する技

術開発を行うhttpapp3infocnedogojpinformationskoubopressEFnedopre

ss2010-11-068550095069

【導波路型光スイッチ】光スイッチの消費電力を従来の 2 分の 1 に低減 増え続けるネットワーク機器の消費電力問題を解決 (201011 09)( 株 ) 富士通研究所

同社はシリコンフォトニクス技術を適用した導波路型光

スイッチについて世界で初めてシリコンゲルマニウム

(SiGe)細線構造を用いることで従来のシリコン細線構

造に比べて消費電力を約 2 分の 1 に低減することに成

功した幅広い波長に対応して高速に動作できるタイプの

光スイッチ素子としては世界最小の消費電力を実現して

いるhttpprfujitsucomjpnews2010119html

【ナノ構造機能】昆虫が足を擦る秘密をナノテクノロジーで解明 生体模倣による新しい材料機能の開発に活用 (201011 09)物質材料研究機構マックスプランク研究所キール大

共同研究チームは環境問題で循環型社会実現に求められる

「接着と分離」を繰り返せる未来の接合技術の開発研究に

おいてガラスのような平坦な表面を逆さまでも歩行でき

る昆虫の足の裏の優れた接着性に着目し昆虫(ハムシ)

の歩行調査を行いナノテクノロジーを用いた実験により

昆虫が摩擦により汚れを感じていることを突き止めた

httpwwwnimsgojpnewspress201011p201011090html

【超音波流量計半導体プロセス】極微量な流量を精密に測定できる超音波流量計を開発 半導体製造装置の性能を向上させ環境負荷を低減しランニングコストを削減 (201011 09)産総研( 株 ) アツデン東京計装 ( 株 )

3 者は共同で10 mLmin( 誤差plusmn 01 mLmin) 以下の極

微量な流量を精密に測定できる超音波流量計を開発した

この流量計は超音波ガイド波の伝搬に関する基礎理論の

見直しを行い超音波を高周波化し設計を最適化するこ

とにより開発したものでこれまでの超音波流量計では計

測できなかった微小な流速領域での流量測定ができるこ

の超音波流量計は半導体製造装置で利用される薬液の高

精度な制御を可能にし半導体製造装置の高性能化環境

負荷の低減ランニングコスト削減へ貢献すると期待され

る httpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101109

pr20101109html

【研究交流】中国上海における国際交流事業の実施同済大学と大学間学術交流協定を締結 (201011 08)大阪大学

10 月 21 日上海において開催した上海教育研究センター

開所式記念講演会祝賀会には鷲田清一総長をはじめ

とする大阪大学教職員中国の学術交流協定校関係者大

阪大学同窓会会員など約 130 人が列席し盛況の内に終

了した翌 22 日23 日には第 15 回大阪大学上海交

通大学学術交流セミナーが上海交通大学情報ネットワーク

センターを主会場として開催され7つの研究会に約 100

人が参加したさらに 23 日と 24 日の両日上海東亜展

覧館を会場に開催された中国国際教育展に大阪大学のブー

スを出展し100 人を超える留学相談者が本学のブースを

訪れた翌 10 月 22 日鷲田清一総長は上海市内にある

同済大学を訪問裴学長陳副学長ほか大学関係者と懇談

するとともに大学間学術交流協定及び学生交流覚書の調

印式に臨んだこれにより中国の大学との 10 番目の協定

が成立したhttpwwwosaka-uacjpjanewstopics20101120101108_1

httpwwwosaka-uacjpjanewstopics20101120101108_2

【高耐久性セラミック】激しい熱変化にも強度劣化しない窒化ケイ素系セラミックスを開発 窒化ホウ素の微粒子を分散させ耐熱衝撃性を飛躍的に向上 (201011 08)産総研三井金属鉱業(株)

両者は共同で従来品に比べて耐熱衝撃性と高温での強度

を飛躍的に高めた窒化ケイ素系セラミックスを開発した

今回窒化ケイ素(Si3N4)をベースとして高い熱伝導

率をもつ粒界相を形成させるとともにそこに非晶質に近

い窒化ホウ素のナノメートルオーダーの微粒子を分散させ

ることで耐熱衝撃性を飛躍的に向上させた従来の窒化

ケイ素が 1000 の温度差で強度が低下するのに対して

今回の開発材は電気炉で 1400 に加熱した後水中に投

下することを 10 回繰り返してもほとんど強度が劣化しな

かったまたこの開発材について大気中 1200 で高温

29

PEN N

ovember

曲げ試験を行ったところ室温と同程度の強度を保持して

いたセラミックスでは大型化すると小試験片では得られ

た特性が得られず実用化を進める上での課題になること

が多いがこの開発材では焼結条件を最適化することに

よって直径 82 mm 長さ 370 mm の比較的大型の部品で

も試験片と同様の組織物性が得られたまた実際の

製品形状に近い部品の焼成も可能となったhttpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101108

pr20101108html

【ミリ波発信器】ミリ波帯無線通信の実用化にめど 世界最高性能の低雑音局部発振器を開発 (201011 08)東京工業大学

東工大の研究グループは雑音を従来の 100 分の1以下

に低減したミリ波帯局部発振器を開発した20GHz 帯の

発振器と 60GHz 帯の注入同期型直交局部発振器を組み合

わせることにより世界最高の低位相雑音性能を達成した

無線通信の周波数帯ひっ迫を解消する技術として 60GHz

ミリ波帯の利用が注目されているがミリ波帯ではコイル

やコンデンサの損失が大きくなり位相雑音特性が劣化す

るのがネックだった今回はこれを解決したものでミ

リ波無線通信の実用化につながる成果発振器は 65 ナノ

メートルのシリコン CMOS プロセスを利用して試作した

580GHz から 636GHz の周波数範囲で 4 相正弦波出力が

可能でこの発振器により10Gbps(毎秒 100 億ビット)

以上の超高速ミリ波帯無線通信の実現が期待されるh t t p w w w o l d t i t e c h a c j p t o k y o - t e c h - i n - t h e - n e w s j

archives2010111289174400html

【炭素繊維応用】住宅向け外装材「炭素繊維補強サイディング」の本格展開について 優れた強度と耐熱寸法安定性で 15 年の基材保証を実現 (20101105)東レ ACE(株)

東レの子会社東レ ACE は炭素繊維で補強した窯業系サ

イディングを開発し本格販売と市場展開を開始する「炭

素繊維補強サイディング」はセメント質原料に炭素繊維

を添加配合して成型固着させた建物外壁用のセメントボー

ドで従来の窯業系サイディングの優れた防耐火性耐久

性等を維持しつつ更なる強度補強効果や火災高温時の

変形や熱収縮によるひび割れの抑制など耐熱寸法安定性

も向上させることで基材 15 年保証を実現する 本製品

に使用している炭素繊維は軽くて強く優れた高温特性や

耐熱性を有し非常に細い繊維を多く配合できることから

外装材としての強度補強効果も期待できるとしている

httpwwwtoraycojpnewsaffilnr101105html

【光ファイバーナノインプリント】ナノ格子反射防止表面光ファイバー先端に形成ナノ技術で安く製作 (20101105)東北大学

東北大の研究グループは微小な窪みが多数形成された反

射防止構造体を光ファイバーの先端に製作する技術を開発

した光ファイバーは光通信や光分析装置の構成部品とし

て使われており光源受光素子やレンズなどの光部品と

の接続損失を減らすために先端に反射防止膜が形成され

ている従来の反射防止膜は真空装置を使って薄膜を付け

るためコストが問題であった研究グループはナノイン

プリント技術を用いて光ファイバー先端のコア部に 270

ナノメートル間隔で微小な円錐状の窪みを形成し反射損

失を低減することに成功したナノインプリント技術は

基板に塗布したポリマーに原版を押し付けて微細パターン

を転写する技術で高価な露光装置や真空装置が不要なた

めナノ構造を安価に製作することができる今回光ファ

イバー先端にナノ構造を製作するために専用のナノインプ

リント装置を開発した窪みの間隔が光の波長よりも小さ

い場合屈折率が変化し反射波が生じにくくなる反射

率や波長帯域は窪みの形状間隔や高さで決まり従来

の反射防止膜よりも設計の自由度が高いため要求に合わ

せて種々の反射防止表面を製作することが可能 httpwwwtohokuacjpjapanese201011press20101105-2

html

【人工筋肉機能材料】光を運動エネルギーに変える新高分子素材の開発に成功 世界で初めて分子を大面積で 3 次元的に配列させ新機能を実現 (20101105)理化学研究所

光で変形したり電子を流すなどの機能を持った分子を人工

的に規則正しく大面積で集積することができると機能性

材料の性能向上や革新的新機能の発現につながるそのた

め世界中で精力的に開発が行われているがこれまで実現

させた例はなかった理化学研究所の研究グループは光

で構造が変化するアゾベンゼン分子を組み込んだブラシ状

の高分子「ポリマーブラシ」を大面積で 3 次元的に一挙

に配列させる手法の開発に初めて成功したこの規則性の

ある 3 次元集積構造は延伸したテフロンシートにポリ

マーブラシを挟み込みアイロンに似た熱と圧力を加える

といういたって簡単な操作で実現したさらにこのフィ

30

PEN

Nov

embe

r ルムに光を当てるとアゾベンゼン分子の構造変化が一方

向に集約しフィルムが湾曲するという巨視的変形を引き

起こすことを見いだしたすなわちこの新しいフィルム

は光エネルギーを運動エネルギーに変換する機能を持って

おり新たな人工筋肉材料などへの展開が期待されるま

た本技術は有機薄膜太陽電池をはじめとする次世代の機

能材料の開発にも革新をもたらすと期待されるhttpwwwrikenjpr-worldinforeleasepress2010101105

indexhtml

【リチウムイオン電池正極材料】常温プロセスで全固体薄膜リチウムイオン電池の試作に成功 エアロゾルデポジション法による蓄電池製造の新工法開発を本格化 (2010115)産総研

産総研はトヨタ自動車 ( 株 ) と共同で産総研が開発し

たセラミックス材料の常温高速コーティングプロセスであ

るエアロゾルデポジション (AD) 法を用いて酸化物系の

正極材料負極材料固体電解質材料を薄膜積層化して

金属基板上に 3 層構造からなる全固体薄膜リチウム (Li) イ

オン電池を試作蓄電池としての充放電特性を世界で初め

て確認した 従来型の薄膜技術とは異なりAD 法を用い

ると基板の加熱が不要でまた厚膜化も容易であるそ

のため成膜時間が大幅に短縮でき蓄電池の生産性向上

やプロセスコストの大幅な低減が期待される今後は AD

法を用いた本格的な全固体電池の共同開発を進めていく httpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101105

pr20101105html

【記録デバイススピントルク素子】次世代超高密度 HDD に向けたマイクロ波アシスト記録の基本技術を開発 磁気ヘッドに搭載可能なスピントルク素子を用いた磁気情報の書き換えを確認 (2010115)新エネルギー産業技術総合開発機構(NEDO)(株)日

立製作所

NEDO はハードディスク装置(HDD)の開発製造会社で

ある日立グローバルストレージテクノロジーズの協力を得

て従来の磁気記録方式の限界を超えHDD の記録密度

を飛躍的に伸ばす方式として期待されているマイクロ波ア

シスト磁気記録方式の基本技術を開発しその原理を実験

的に確認したマイクロ波アシスト記録では記録媒体の

小領域にマイクロ波帯の高周波磁界を加え磁気情報の書

き込みを容易にする今回開発したのはヘッドに搭載可

能な高周波磁界を発生するスピントルク発振素子でこの

素子を用いて記録媒体上に磁気情報を記録できることを実

験的に確認したこれまで外部のマイクロ波発生装置を

用いたマイクロ波アシスト効果の報告例はあったが今回

微細な発振素子を用いた磁気情報の記録を確認できたこと

により将来この素子を記録ヘッドに搭載しマイクロ波

アシスト記録を実用的に行える可能性が示されたhttpapp3infocnedogojpinformationskoubopressEFnedopre

ss2010-11-029718160145

【基礎科学物性】絶縁体が金属に変わる新原理の解明 超伝導素子や熱電変換素子の開発へ道(20101104)東北大学

東北大学原子分子材料科学高等研究機構の研究グループ

は高品質酸化物薄膜において電気が流れにくい絶縁体

状態から流れやすい金属状態への遷移機構を解明した材

料における電気の流れやすさは電気を流す担い手である

伝導キャリアが物質中にどれだけ含まれるか伝導キャリ

アがどれくらいスムーズに動きまわれるかによって決ま

るつまり伝導キャリアの濃度を増やしたり材料中で

伝導キャリアの動きを妨げる原因になるひずみや欠陥を少

なくすると電気はより流れやすくなる本研究では人

工宝石として知られるチタン酸ストロンチウム (SrTiO3)

の絶縁体を用い伝導電子を生み出すキャリア供給層を

SrTiO3 絶縁体間に挟み込んだ絶縁体層 キャリア供給層

絶縁体層の層状界面構造をもつ高品質超格子構造を作製す

ることで絶縁体層の体積を増加させると反対に電気が流

れやすい金属状態になる現象を発見した最新の電子顕微

鏡技術を用いた原子構造解析と電子状態の理論計算を駆使

して絶縁体を増加させると界面で結晶のひずみが少なく

なり高導電化することを解明した本研究が明らかにした

界面での結晶のひずみを制御することによって絶縁体を金

属状態へ変化できる現象は様々な材料でも普遍的に起こる

と考えられ絶縁体から金属へ変わる境目で性能が向上す

る新超伝導体や新熱電材料の開発に展開することが可能と

期待されるhttpwwwtohokuacjpjapanesenewimgpressimgtohokuuniv-

presspdf

【環状高分子】様々な環状高分子の自在な合成に成功 「かたち」に基づく機能開発に期待(2010112)東京工業大学

東工大の研究グループはこれまで困難とされてきた

種々の含環状高分子の選択的な合成に成功した同研究

グループで開発された単環状高分子合成プロセスである

31

PEN N

ovember

Electrostatic Self-Assembly and Covalent Fixation Process

と有機合成化学の新手法であるクリックケミストリー

を組み合わせることで様々な「かたち」の自在な構築

を達成した本手法の開発により近年注目を集めてい

る「かたち」に基づいた高分子物性の探索を加速させる

ものと期待されるhttp wwwo ld t i t e ch ac j p tokyo - t ech - in - the -news j

archives2010111288656000html

【異分野連携オープンイノベーションモデル】応用脳科学コンソーシアム 脳科学及びその周辺領域の学術知見を活用したオープンイノベーションモデルの研究活動を開始 異業種の民間企業と異分野の脳科学研究者が連携し事業性の高い研究テーマを推進 (2010111)アサヒビール(株)(株)NTT データ積水ハウス(株)

(株)竹中工務店帝人(株)凸版印刷(株)日産自動

車(株)(株)博報堂(株)NTT データ経営研究所

NTT データ経営研究所が日本神経科学学会の協力を得て

2010 年 10 月 1 日に創設した「応用脳科学コンソーシア

ム」においてそれぞれの事業活動に関連する独創性の

高い研究テーマについて複数の「応用脳科学 RampD 研究会」

を立ち上げるRampD 研究会では各 RampD 研究会を設置

した特別会員企業が各テーマに関連の深い脳科学及び

その関連領域の研究者を招聘し異業種である他の会員

企業とともに最新の研究知見を活用してオープンイノ

ベーションモデルの研究活動を実施する各社が設置す

る RampD 研究会は現時点で(1)おいしさの総合評価研究

会(アサヒビール)(2)ヘルスケア脳情報クラウド研究

会(NTT データ)(3)インタラクティブ住環境研究会(積

水ハウス株式会社)(4)コミュニケーション空間研究

会(竹中工務店)(5)メディアエンゲージメント研究

会(博報堂)この他の RampD 研究会については今後随

時応用脳科学コンソーシアムのウェブサイト httpwww

keieikencojpcan で公開予定

httpwwwnttdatacojprelease2010110101html

【レーザ技術基礎光物性】熱を加えずに結晶を柔らかくすることに成功 高強度テラヘルツ電磁パルスで分子ネットワーク操作が可能に 

(2010111)京都大学科学技術振興機構(JST)

京都大学はテラヘルツ電磁パルスと呼ばれる新しい光

を物質に照射することで1兆分の1秒の短い時間で結

晶中の分子を大振幅で揺さぶり熱平衡状態では実現で

きないような分子変位を実現することに世界で初めて成

功した実験結果は結晶が実効的にやわらかくなったこ

とを意味するものでさらに強いテラヘルツ電磁パルス

によって高効率で結晶を融解させることを示唆するこ

れは熱による反応を起こすことなく新しい分子間のネッ

トワークやたんぱく質などの巨大分子の立体配位を操作

できることを示しており化学合成における反応促進や

創薬における有機分子結晶の精製での活用が考えられる

今回の成果は JST 戦略的創造研究推進事業日本学術振

興会学術創成プロジェクト「動的相スイッチ機構を内在

する有機電子材料の開拓と非平衡物性科学への展開」お

よび京都大学グローバル COE プログラム「普遍性と創発

性から紡ぐ次世代物理学」によるものhttpwwwjstgojpprannounce20101101indexhtml

【高周波デバイス】透 明 な 高 周 波 デ バ イ ス 見 え な い ア ン テ ナ へ の 道

(20101028)物質材料研究機構太陽誘電(株)

両者は共同で透明な高周波デバイスを製造するための

基本技術である微細な金属配線と酸化物透明導電体から

なるハイブリッド構造を開発した本技術は不透明で

あるが高い伝導性を示す金属と透明ではあるが金属の

100 分の 1 程度の伝導率にとどまる酸化物透明導電体と

を組合せ両者の特性を相補的に活用することにより

透明でありかつ携帯電話をはじめとする無線デジタ

ル通信に用いられるギガヘルツ帯の高周波に対して高い

伝送特性を示す素子構造を実現した

httpwwwnimsgojpnewspress201010p201010280html

【エコ製品環境経営】COP10 に向けた環境配慮型製品技術の取り組み ポリ乳酸繊維 ldquo エコディア rdquo 使用商品の提供や連携事業「メッセナゴヤ 2010」への出展を通じ環境保全の取り組みを強化 (20101028)東レ ( 株 )

同社は10 月 11 日 ( 月 ) から 29 日 ( 金 ) に開催された

生物多様性条約第 10 回締約国会議 (COP10) に向けて

ポリ乳酸繊維 ldquo エコディア rdquo 使用商品の提供などを通じて

環境に配慮した運営に協力したまたCOP10 の連携事

業である環境エネルギーをテーマとした展示会「メッ

セナゴヤ 2010」に出展し環境に配慮した次世代自動車

や最先端航空機向けの先端材料を紹介した

httpwwwtoraycojpnewsfibernr101028html

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embe

r

NEWS POD 著作権の関係で記事のタイトルと詳細内容は標記できませんので簡略に表示しています詳しい内容に関しては各新聞及び雑誌をご覧ください

ナノテクノロジー

研究開発最前線

20101122 日 刊 工 業 新 聞 News

ウェーブ 21

X 線レーザー

20101121 東京読売新聞

新潟ナノテク研究会

20101120 日本経済新聞

ナノテクとバイオ

20101120 下野新聞

バイオ起業

20101119 朝日新聞

ナノ粒子の構造制御

20101119 日刊工業新聞

水素原子観察

20101119 科学新聞

光ファイバー関連技術

20101119 科学新聞

希少金属対策

20101118 日刊工業新聞

熱電材料

20101117 日経速報ニュース

化学合成でナノ構造

20101117 日経産業新聞

つくばナノテク研究拠点への投資

20101117 日刊工業新聞

分子バネ

20101116 日経速報ニュース

ナノバイオ融合

20101116 日経産業新聞

フレンドオブアースのナノテク評

20101116 エコロジーエクスプレス

クラスターテクノロジー

20101112 産経新聞

実用化助成

20101111 日刊産業新聞

接着のメカニズム

20101110 日経産業新聞

電子材料

20101110 日経産業新聞

ナノ磁石

20101110 東京新聞

高分解能放射線検出器

20101110 化学工業日報

電池電極材料

20101108 日本経済新聞

食の安全性

20101108 日経エコロジー

ナノ磁石実用化

20101105 朝日新聞

ナノテク接着剤

20101105 日刊工業新聞

水素原子の観察

20101105 日刊工業新聞

補正予算案

20101105 科学新聞

ナノ磁石

20101104 日本経済新聞

ナノボーグ

20101104 日刊工業新聞

ITO 電極代替技術

20101104 鉄鋼新聞

レアアース代替材

20101103 日本経済新聞電子版

セクション

ナノ鉄磁

20101103 毎日新聞

有機トランジスタ

20101101 日 経 速 報 ニ ュ ー ス

アーカイブ

有機トランジスタ

20101101 日経産業新聞

ナノムービー

20101101 日経サイエンス

低燃費タイヤ

20101030 朝日新聞

筑波大生命科学研究拠点

20101030 茨城新聞

レアアース代替材

20101029 日経産業新聞

播磨地域

20101029 化学工業日報

ナノ粒子操作

20101029 科学新聞

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NEWS POD 著作権の関係で記事のタイトルと詳細内容は標記できませんので簡略に表示しています詳しい内容に関しては各新聞及び雑誌をご覧ください

中国新5カ年計画

20101028 日本経済新聞

高機能消臭素材

20101028 化学工業日報

環境規制等

終わりの科学

20101201 日経サイエンス

電気自動車の覇権

20101123 週刊エコノミスト

環境規制対応

20101122 日経産業新聞

温暖化ガス排出枠

20101122 日経産業新聞

ロス自動車ショー

20101119 日経産業新聞

EV と環境規制

20101119 朝日新聞

EV

20101119 東京新聞

環境と法規制

20101119 化学工業日報

トヨタとテスラ

20101118 読売新聞速報ニュー

CO2 排出量削減

20101118 日経産業新聞

カリフォルニア州環境規制と EV

20101112 日本経済新聞

環境規制

20101112 日本経済新聞

環境規制

20101112 日経産業新聞

米韓 FTA

20101112 朝日新聞

米韓 FTA

20101112 毎日新聞

顔料

20101112 化学工業日報

レアメタル供給規制

20101111 日本経済新聞

潮冷熱

20101110 日本経済新聞

レアアース生産と環境規制

20101108 ダウジョーンズ中国企

業ニュース

韓米FTA

20101101 中央日報

科学技術政策

競争的資金制度

20101122 日本経済新聞

科学技術関係補正予算案 

20101122 THE DOCTOR

韓国 KIST

20101121 朝鮮日報

科学技術政策

20101119 日本経済新聞電子版

セクション

科学技術政策

20101118 日本経済新聞

科学技術政策

20101118 日経産業新聞

女性研究者

20101117 日経速報ニュース

科学技術予算

20101114 東京読売新聞

トップ1論文

20101112 科学新聞

中国特許強国に

20101112 新華社ニュース

関経連と科学技術政策

20101110 産経新聞 

科学技術産業一体政策

20101109 日刊工業新聞

優れた論文の条件

20101105 毎日新聞

「焼け太り許さぬ」

20101102 朝日新聞

国の研究開発投資目標

20101029 日刊工業新聞

科技政策で提言

20101027 日経産業新聞

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r

科学への信頼に関する読者調査

20101201 日経サイエンス

「カップリング反応」アニメ化

20101110 朝日新聞東京読売

新聞他

科学と社会つなぐ人材

20101025 東京新聞

NEWS POD 

情報誌 PEN 購読のご案内PEN の継続的な購読をご希望の方は下記のメールアドレスまでお名前ご所属メールアドレスをご記入の上ご連絡ください登録配信は無料ですnano-penmaistgojp

PEN は原則月 1 回配信しますバックナンバーと PEN の前身【AIST-TOKYO ナノテク情報】をナノシステム研究部門ホームページにて公開しています httpunitaistgojpnrinano-planindexhtml

PEN は皆さまとの情報共有を目的としていますお持ちの情報で共有すべきものがあれば nano-penmaistgojp までお寄せ下さい

いただいた個人情報は産総研 個人情報保護方針(プライバシーポリシー)に基づき大切に管理し情報誌 PEN の運営と私達のイベントのご案内のみに使用させていただきます

科学技術コミュニケーション

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イベント案内

[産学連携研究開発]大阪大学ナノ理工学人材育成産学コンソーシアム 第 3 回ナノ理工学情報交流会場所大阪大学中之島センター 7 階 講義室 3(講師来訪)

   大阪大学東京オフィスサテライト教室

(遠隔講義配信)

   四日市商工会議所内サテライト教室

(遠隔講義配信)については調整中です

コンソーシアム HP にてご確認ください

   ナノテク社会人教育プログラムの開講をされてい

る場合遠隔講義配信に対応可能です事務局まで

ご連絡ください

日時2010 年 12 月 10 日(金)1330 ~ 1900 頃

主催大阪大学ナノ理工学人材育成産学コンソーシアム 

概要ナノ理工学人材育成産学コンソーシアムでは活動

の一環として産学連携のきっかけを提供すべく企業と

大学の双方からテーマに即した研究開発やトピックを紹介

し会員同士の意見交換と情報共有の促進をはかっていま

す第 3 回目となる今回は「光を用いたナノテクノロジー

の新展開」をテーマに開催しますプログラムなどの詳細

は下記の HP をご参照下さい

参加費コンソーシアム会員学生及び大阪大学教職員は

無料(コンソーシアム企業会員の場合社内から何名でも

無料で参加が可能です)

上記以外の方は資料作成費 1000 円が必要になります

参加登録氏名所属連絡先懇談会への出欠を記載の

上メールにて大阪大学ナノ理工学人材育成産学コンソー

シアム事務局(nano-consnanoscienceorjp)へお申込み

下さい

httpwwwnanoscienceorjp

[コミュニケーション]科学コミュニケーション研究会 第 1 回関西支部勉強会日時2010 年 12 月 2 日 1800 ~ 2000

場所京都大学 吉田泉殿

主催科学コミュニケーション研究会 関西支部有志

概要大阪教育大学科学教育センターの中矢史雄氏を講師

に招きオーストラリアの科学技術コミュニケーションに

ついてオーストラリア国立大学科学意識向上センター

での経験なども交えてお話いただきます定員は 25 名で

す事前申し込みが必要です

httpbitlybPmTP9

[展示会]セミコンジャパン 2010日時12 月 1 日~ 3 日

場所幕張メッセ

主催SEMI

概要国内外の最新のマイクロエレクトロニクス技術に関

する情報を入手することのできる世界最大の半導体製造装

置材料展です

httpwwwsemiconjapanorgjaindexhtm

[知財]アジア特許庁シンポジウム日時2010 年 12 月 3 日(金)930 ~ 1210

場所ホテル日航奈良 飛天の間

主催特許庁

概要日本中国韓国インドネシアマレーシアシ

ンガポールの特許庁幹部を招き各国の知財保護強化の取

組みやアジアにおける知財協力を紹介しますまたパ

ネルディスカッションを設けアジアにおける人材育成協

力の方向性について議論します

httpwwwintergroupjp~convasia

[人材育成]応用物理学会 人財育成シンポジウム -日本の危機を科学が救うそのためのリーダー育成を考える-日時2010 年 11 月 29 日(月)1000 ~ 1710

場所東京工業大学デジタル多目的ホール

主催応用物理学会

概要急速に進むグローバル化に対応のできる人材を育成

するための課題や応用物理学会が貢献することのできる

具体的な取り組みについて議論します

イベント案内へ掲載を希望される方は nano-penmaistgojp までご一報ください

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PEN

Nov

embe

r h t t p w w w j s a p o r j p a c t i v i t i e s e d u c a t i o n

symppt2010symphtml 

[コミュニケーション]科学技術とメディアのより良い関係に向けて日時11 月 26 日 1815 ~ 2030

場所早稲田大学大隈小講堂

主催サイエンスメディアセンター(SMC)

概要英国オーストラリアのサイエンスメディアセ

ンターの関係者米国のサイエンスコミュニケータを交え

て研究者とメディアの有益な関係性構築に向けた取り組

みについて議論します参加費は無料同時通訳がつきま

httpsmc-japanorgp=403 

[異分野連携]医学領域と工学領域連携研究シンポジウム ‐ 未来を拓く医工連携 ‐日時2010 年 11 月 27 日(土)

場所山口大学医学部第 3 講義室

主催日本学術会議中国四国地区会議山口大学

概要がんの個別化医療をメインテーマにこれからの医

工連携のあり方について講演と議論を行います

httpwwwscjgojpjaeventpdf100-t-3pdf 

[人材育成]マイクロナノエンジニアリング シンポジウム ‐ イノベーションと人材育成 ‐日時2010 年 12 月 8 日(水)1300 ~ 1700

場所日本学術会議 講堂

主催日本学術会議 マイクロナノエンジニアリング分

科会日本機械学会 マイクロナノ工学専門会議

概要学際的分野であるマイクロナノエンジニアリング

は大学大学院における教育の整備関連する産業界

学術界での研究開発における分野融合的な取組みが不可欠

です本シンポジウムでは人材育成を軸とした課題につ

いて議論します

httpwwwscjgojpjaeventpdf100-s-3-1pdf

[ 博物館展示 ]自然に学ぶ ネイチャーテクノロジーとライフスタイル展開催中です

場所国立科学博物館 (東京上野公園)

日時2010 年 10 月 26 日~ 2010 年 2 月 11 日

主催東北大学大学院環境科学研究科国立科学博物館

特定非営利活動法人ものづくり生命文明機構

概要蝶や鳥など生き物や自然の仕組みにヒントを得た環

境負荷の低い技術と将来的な応用の可能性から日本文化

に根差した共生型の新しいライフスタイルのあり方につい

て紹介します国立科学博物館の入館料600円が必要です

httpwwwkahakugojpevent201010natureindex

html

[人材育成]シンポジウム「世界を魅せる日本の課題解決型基礎研究~JST 目利き制度とその可能性」日時2010 年 12 月 6 日(月)1000-1800 (0900 受

付開始)

場所東京国際フォーラム B5 ホール

主催(独)科学技術振興機構(JST)

概要JST がこれまでに行ってきた戦略的創造研究推進

事業の成果を振り返りつつ今後の日本の科学技術の発

展に向けた事業のあり方について参加者の皆様と議論しま

httpwwwsenryaku30jstgojp 

[ 持続可能性 ]学術会議シンポジウム「低炭素化に向けた経済社会エネルギーのあり方と実現のシナリオ」日時2010 年 12 月 9 日(木)1330 ~ 1700

場所学術会議講堂

主催土木工学建築学委員会低炭素建築都市分科会

社会資本分科会

概要両分科会は中~超長期のエネルギー消費量削減シ

ナリオ策定に取り組んできました本シンポジウムでは

分科会の検討結果や削減のための様々な取り組みを紹介

し今後のとりまとめ作業に向けた議論を行います

httpwwwscjgojpjaeventpdf104-s-3-6pdf 

37

PEN N

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PEN 編集室関谷瑞木阿多誠文独立行政法人産業技術総合研究所 ナノシステム研究部門 305-8568 つくば市梅園 1-1-1 産総研つくばセンター中央第 2 M404Email nano-penmaistgojpTel029-861-5185 Fax 029-861-5339

編集後記

今月 8 日に長野県長野市で開催された第 3 回国際ナノ

ワークショップ「ナノテクノロジーの社会受容~ナノ

材料の工業標準化の国際的な動向と環境影響について

~」の会場で多くの企業の皆様と意見交換をする貴

重な機会を得た目まぐるしい勢いで変わってゆく諸

外国の環境規制策の動向に民間企業の皆様が神経を

とがらせておられることがひしひしと感じられた東

京から新幹線で 1 時間半インターネットでリアルタ

イムに世界とつながることのできる時代とはいえ情

報物人が集積する地である東京とは異なる苦労も

あることもお聞きした美しい山々きれいな空気あ

るいは世界に誇る観光遺産と科学技術を結び付けて

地域振興をはかりたいとの頑張っておいでの方にもお

会いした

月刊という制約はあるもののこうした方々にとって

タイムリーで有用な情報を提供し続けたいと改めて

強く感じた

ちなみにPEN を発行しているつくば市の産総研つく

ばセンターへもつくばエクスプレスと路線バスを乗

り継いで都心からは約 1 時間半かかる

2010 年 11 月 25 日

PEN 編集室一同ウナギツカミ

Page 4: Public Engagement with Nano- PEN November …...5 PEN November 【知財】 中国、10年で特許強国に(2010.11.12) 中国国家知識産権局は11日に「全国特許事業発展戦略

4

PEN

Nov

embe

r 中国の研究グループはナズナや稲の細胞に単層 CNT を

暴露させ細胞生存力遺伝子損傷活性酸素種発生遺

伝子発現などの様々な観点からその影響を調べた稲の細

胞を利用した試験では CNT を注入した細胞は酸化ストレ

スによって死滅したというしかし個々の水稲細胞は死

滅したが組織片への影響は観察されなかったしたがっ

てナノ材料の植物への影響は限定されたものと考えられ

るという論文は The American Journal of Botany に掲載

されたhttpwwweurekalertorgpub_releases2010-11ajob-nad111610

php

【管理策】カ ー ボ ン ナ ノ チ ュ ー ブ の 新 た な 管 理 方 法 を 提 案

(20101116)カリフォルニア大の研究グループはカーボンナノチュー

ブ(CNT)の管理に「Anticipatory governance」という方

策を取り入れることを提案した CNT の環境や健康への

影響についてのデータは十分とはいえない状況にあるそ

こで本策は CNT が「もしかしたら有害かもしれない」と

考えて取り扱うことを提案している本策は十分な科学

的データの得られない段階で新興技術について何らかの

判断を下さなくてはならない場合の一般的な対応策を提供

する本策を提案したカルフォルニア大学バークレー校の

Mark Philbrick 氏はCNT の場合も確かな科学的データが

集められ管理策が策定されるまでの規制の空白を埋める

ことができ賢明な取扱い方法だとしている論文は米国

リスク分析学会の Risk Analysis に掲載されているh t t p o n l i n e l i b r a r y w i l e y c o m d o i 1 0 1 1 1 1 j 1 5 3 9 -

6924201001445xfull

httpnanotechwirecomnewsaspnid=11064 

【EHS】ナノ粒子の種類と肺での反応の違いについての新しい知見

(20101117)英国エジンバラ大学の呼吸器毒性の専門家である Ken

Donaldson 氏らの研究によるとナノサイズの金属酸化物

粒子が肺へ与える影響には粒子の種類ごとに大きな変化あ

ることが明らかになったしたがって製造事業者はどの

ような種類の粒子を扱っているのかについて十分注意して

労働者保護の対策を採るべきだとしている4 種のナノサ

イズの金属酸化物粒子をラットに投与したところ肺で起

きる炎症の型が粒子ごとに大きく異なっており他の粒子

に比べて喘息様の症状を引き起こす可能性の高いものも

あった論文は Environmental Health Perspective に掲載

された

httpwwwedacuknewsall-newsnanoparticles-171110

httpehp03niehsnihgovarticleinfo3Adoi2F1012892Fe

hp1002201

【EHS】欧 州 で の ナ ノ 粒 子 の 環 境 影 響 に つ い て の 研 究 の 現 状

(201011)ナノ材料を用いた製品が増え続けており製造使用廃

棄の際にどのような影響があるのかに関心が集まってい

る現在様々な国や機関でナノ材料の有害性評価研究や

リスク評価研究が行われているメディアを通じて欧州の

リーディングエッジテクノロジーのイノベーション化を促

進する NPO の Youriscom はエストニアなどで行われて

いる研究を中心とした環境や健康への影響についての専門

家の意見をまとめた記事を配信したエストニアの河川水

などにはナノ粒子の毒性低減能力があるとする研究有益

な土壌中微生物への金属ナノ粒子の影響についてのユタ州

立大学の調査金ナノ粒子環境影響についてのダブリン大

学食品健康研究所の調査などが紹介されているhttpwwwyouriscomLatest_NewsHow_Do_Nanoparticles_

Impact_Our_Environment_And_Uskl

【医薬品】米国で医療応用に向けたナノ材料研究の連携が新たにスタート(20101112)米国国立がん研究所(NCI)にはナノ材料のバイオ医薬

品やがん治療への応用について研究することを目的として

Nanotechnology Characterization Laboratory(NCL)が設

けられているNCL はこのほど新たに米国環境健康科学

研究所(NIEHS)とナノ材料のリスクおよび有害性評価

研究を共同で実施するために連携することとなった共同

研究は NIEHS の新たに 13 億ドルかけて始めるプログラ

ムの一部として実施される両者は本研究によりナノ材

料の物理化学的特性がナノ材料の生体内での挙動やナ

ノ材料により引き起こされる生体反応に与える影響につい

てより多くのことを明らかにできるとしているNCL はこ

れまでに 200 種以上のナノ粒子の評価を行っており評

価データの蓄積も両者の協力によって加速できると期待さ

れているhttpnclcancergovNCL20NIEHS2020Press20Release20

11-08-10pdf

5

PEN N

ovember

【知財】中国10 年で特許強国に(20101112)中国国家知識産権局は 11 日に「全国特許事業発展戦略

(2011-2020)」を発表このなかで 2020 年までに特許強

国になることを目指すとしているこれは 12 日付新華社

通信が伝えたもので中国の特許出願件数はすでに世界の

第 5 位にまで浮上特許審査力も世界のトップレベルにま

で向上してきているまた2008 年から 2009 年にかけて

特許出願件数は 18特許授与件数は 41 もの増加を示

している

【EHS】吸入ナノ粒子の体内挙動(2010117)ベスイスラエルディーコネス医療センターとハーバー

ド大学公衆衛生学科の研究グループはリアルタイムイ

メージング技術を用いて体内でのナノ粒子の挙動を明ら

かにした帯電のない直径 34nm 以下のナノ粒子は曝露

後 30 分以内に肺で観察されたまた 6nm 以下の粒子は

5 分以内で肺までたどり着きその後腎臓へ移動し尿とし

て排出される本研究によって呼吸により体内に入った

ナノ粒子の移動経路が明らかにされたことから今後ド

ラッグデリバリ用の材料開発に弾みがつくことが期待され

る論文は Nature Biotechnology に掲載されたh t t p w w w r s c o r g c h e m i s t r y w o r l d N e w s 2 0 1 0

November07111001asp

httpwwwbidmcorgNewsInResearch2010November

Nanoparticlesaspx 

【管理策】ナノテクノロジー管理に自主的な取組みが果たす役割とは ナノテクノロジー管理策についての新しいレポート

(2010114)ウッドローウィルソン国際学術センターに設けられている

Project on Emerging Nanotechnology は ナ ノ テ ク ノ ロ

ジーの責任ある研究開発における自主的な管理の可能性に

ついて分析したレポートを公表したこのレポートでは

ナノテクノロジーの利用からナノテクノロジー製品にいた

るまでの様々な自主的な管理の取組みを取り上げている

レポートの著者の Daniel Fiorino 氏の専門は環境政策であ

りこれまでに環境を保護するために行われてきた様々な

自主的な取組みについてナノテクノロジー分野でも用い

ることを検討し紹介している過去の事例と現時点まで

にナノテクノロジー分野で行われている様々な取組みを分

類分析し自主的な取組みと規制によらない管理もナ

ノテクノロジーを適切な管理のためには欠かすことのでき

ない重要な仕組みであるとしている

httpwwwnanotechprojectorgnewsarchive8348

【化粧品】適切な日焼止め購入の手引き(1112 月号)現在2 つのタイプの日焼止めが販売されている物理的

に紫外線を防ぐタイプと化学反応によって紫外線を吸収す

るタイプである欧州委員会が公表した調査によると後

者のタイプはサンゴとその生態系に有害な影響を与える

などこのところ環境への有害な影響があると指摘されて

いる環境情報誌 G Online は日焼止めの特集を組みそ

のなかで消費者向けの日焼止購入の手引きとして当面

は皮膚を透過するには大きすぎ白くならない程度には小

さいマイクロサイズの粒子を含む日焼止め使用を勧めてい

httpwwwgmagazinecomaufeatures2320here-comes-sun

【EHS】製 品 ラ イ フ サ イ ク ル に お け る ナ ノ 粒 子 の 環 境 排 出

(2010113)ドイツ連邦環境省は4 種のナノ粒子を対象としてナノテ

クノロジー製品のライフサイクルアセスメント(LCA)を

実施した研究対象とされたのは布巾に使われているナ

ノサイズの銀壁面用ペンキの二酸化チタンタイヤの充

填剤のカーボンブラックディーゼル燃料の添加剤の酸化

セリウムである製品からのナノ物質やナノ構造材料の環

境排出は多様な影響を受けることほとんどがマトリック

スに埋めこまれた状態で起こること等が明らかになった

主要な排出経路は大気と水中であるがたとえば水中に排

出されたナノ粒子の計測には技術的な限界があるなど現

時点ではリスク評価のために一般化できるような結論を

導き出すのは難しいと分析している

httpwwwnanowerkcomnewsnewsid=18808php

Study of nanoparticle emission of selected products during

their life cyclehttpwwwumweltbundesamtdetechnik-verfahren-sicherheit-e

publikationentexte_52_2010_kurzfassung_epdf

【EHS】ナノ材料毒性の現実とは(2010112)Du Pont 社 の 自 主 的 管 理 策 NanoRiskFramework の 作 成

にかかわった David B Warheit 氏はテレビの人気番組

Myth Buster(日本では怪しい伝説のタイトルで放送中)

にならって広く信じられている「ナノ材料を用いた製品

6

PEN

Nov

embe

r の数が増加しているのでナノ粒子が環境中に放出され

て最終的には食物連関のなかに取り込まれる可能性が高

まっている」との単純化した考えについて分析を加えて

いる実際にはナノ材料の環境や健康への影響を明ら

かにするのは容易ではない Warheit 氏は

1ナノ粒子は常にその凝集体より有害である

2サイズと表面特性が常に有害性を判断する指標になる

3すべてのナノサイズの二酸化チタンは同じ毒性プロ

ファイルをもつ

4既存のグッドプラクティスは役立たない

5 ナノ粒子の炎症性評価は in vitro か in silico の試験方法

で評価できるという 5 つのナノ材料毒性にまつわる「伝

説」を取り上げている

Warheit 氏はたとえばサイズではなく表面活性が毒

性を決めると示唆する研究が存在することを指摘し重

要なのはナノ材料の毒性は複雑な要素が絡み合って決ま

るものであり単純なモデルでは明らかにできないこと

を理解することであるとしているまたナノ材料毒性

の研究は非常にゆっくりとした速度でしか進んでいない

そのため研究そのものの数が少なく相互に矛盾する

結果が出されてもいる公表されている試験結果の限界

について理解しておくべきとも述べている

httpwwwnanowerkcomspotlightspotid=18774php

【政策】NNI2011 年度の新規戦略プラン固まる(2010111)米国大統領官邸の科学技術政策室と国家科学技術会議

(NSTC)のナノスケール科学工学技術小委員会は国家

ナノテクノロジー戦略(NNI)の 2011 年度の戦略プラン

の草案を公表しパブリックコメントの募集を開始した

戦略プランは米国のナノテクノロジー研究開発の方向

性を決めるものである重点分野予算配分関係連邦

政府機関のミッションやプログラム等の各項目について

専門家の助言を受けて作成されているパブリックコン

サルテーションは NNI の専用のポータルサイトで 11 月

30 日まで募集しているhttpwwwelectroiq comindexdisplaynanotech-wire-

news1294308577html 

【EHSリスク管理】ナノ粒子と環境(201011)フォトニック工学に関する総合情報サイト Photoniccom

はナノ粒子と環境に関するノースカロライナの Wake

Forest 大学と Duke 大学の共同のレビューを掲載した

環境中に排出されたナノ粒子は様々な生物学的影響をも

たらす可能性があるこのような影響は特定のナノ粒

子の化学組成だけでなく環境中での凝集状態などによっ

ても左右さると考えられているナノ粒子の環境への影

響についての研究は増加しつつある研究の関心は大き

く分けて(1)環境への排出経路と排出時のナノ材料の

状態(2)環境に派出されるナノ材料の毒性(3)環境

中でのナノ材料の挙動と蓄積性(4)最終的なナノ材料

の環境中運命と環境からの回収にある現在細胞レベ

ルでの生体とナノ材料の相互作用などについて少しずつ

明らかになりつつあるしかし自然界ではナノ材料は

多くの場合凝集状態になると考えられるが実際にどの

ような形状になるのかについて確定的なことはまだ不明

であるこのようなことから多くの研究機関や大学で

研究が政府の支援を受けて広く市場で用いられる前に

リスクを見極めるために急ピッチで研究を進めている

httpwwwphotonicscomArticleaspxAID=44805

【管理策】米国のナノテクノロジー管理策について(20101029)化学が社会に与える影響評価を行っている米国の NPO

Chemical Heritage Foundation からナノテクノロジーの

分析に関するレポートと環境保護庁(EPA)の有害物質

規制法(TSCA)の改正に関するレポートが公表された

ライフサイクルに関するレポートはナノテクノロジー

関連の材料の製造から製品の廃棄にいたるまでの各ライ

フサイクルに対応する連邦政府の管理策や規制策を分析

した結果をまとめたものであるTSCA 改正に関してのレ

ポートは3 つの機関が TSCA のナノテクノロジーへの適

用という観点から行った提言を紹介したものhttpwwwelectroiqcomindexdisplaynanotech-article-

display1319373325articlessmall-timesnanotechmems

industry-news2010octobernanotechnology-lifehtml

【EHS農業】植 物 で は 細 胞 へ の ナ ノ 粒 子 の 移 動 は 確 認 で き ず

(20101029)ナノ材料が生物学的に重要な様々な防御機能を潜り抜け

てしまうのではないかと懸念されているナノ材料の

生体内での移動はすでに哺乳類で確認されているスイ

スのチューリヒ工科大学の研究チームは主要な穀物で

あるトウモロコシにおける酸化セリウムナノ粒子の吸収

と移動について分析を行ったトウモロコシを酸化セリ

ウムナノ粒子のエアロゾルおよび懸濁液に暴露したとこ

ろ葉に 50 μ g の吸収がみられたしかしエアロゾル

に暴露させた株に新しく生長した葉に酸化セリウムナノ

7

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ovember

粒子が移動している事実は確認されなかったしたがっ

て植物の防御壁は哺乳類の防御壁よりも強固なのでは

ないかと考えられるhttpiconriceedudetailscfmrid=48442 

httppubsacsorgcennews88i448844news8html

【政策】ECナノ材料の定義について意見を募集(20101025)欧州委員会(EC)はナノ材料の草案段階の定義について

公開しオンラインで意見募集を開始したEC が公開し

た定義では次の 3 項目の条件を満たす材料は全てナノマ

テリアルとみなすという3 項目は①外部構造の 1 次

元以上が 1 nm から 100 nm②内部構造もしくは表面の

1 次元以上が 1 nm から 100 nm③単位体積当りの全表

面積が 60 m2cm3 以上となる物質とされている意見

募集は 11 月 19 日まで行われEC は意見募集の結果を踏

まえて最終的な定義案を作成する現時点で欧州域内に

おいて法的に拘束力のあるナノマテリアルの定義は化

粧品規制(Cosmetics Regulation 12232009)に記され

ている定義のみであるhttpwwwfoodnavigatorcomScience-NutritionEC-calls-for-views-

on-nanomaterial-definition 

【コミュニケーション】米国におけるナノテクノロジー食品応用研究の情報公開は不十分(20101025)米国の生化学者の DM Beck 氏はナノテクノロジーの

食品応用の現状と将来展開について分析し米国の消費

者は欧州たとえば英国の状況に比べて十分な情報や

情報共有の機会を提供されているとは言えない状況にあ

ると批判している情報が不足しているために消費者

の態度が化粧品や医薬品に対するものとは異なっている

と分析しているBeck 氏は研究開発の透明性という部

分で化粧品や医薬品もさして変わらないが消費者の

反応ははるかに慎重なものだと指摘するhttpwwwwibwcomhomeheadlinesControversy_Surrounds_

Nanotech_Food_Experiments_105736283html

【政策】カナダ研究開発支援に大型の予算配分(20101025)カナダのイノベーション基金(CFI)は研究基盤整備を

支援するために 6 億カナダドル(約 492 億円)の予算を

配分する予算配分の内訳は大規模科学イニシアチブ

大学向けの競争的資金最先端基金新イニシアチブ基

金リーダーズオポチュニティ基金となっている全予

算の約 3 分の 1 ずつがそれぞれ大規模科学イニシアチ

ブとリーダーズオポチュニティ基金に配分される

httpwwwinnovationcaennews20101025240

【EHS】ナ ノ テ ク ノ ロ ジ ー 製 品 の 海 洋 生 態 系 へ の 影 響

(20101022)ナノ材料の環境影響についてはまだほとんど研究が進

んでおらず十分なことがわかっているとは言い難い

コネチカット州の New Haven 大学の研究者らは海岸

や桟橋に付着しているぬるぬるしたスライム状のバイオ

フィルムを調べることで様々な日用品を排出源とする

ナノ材料の海洋生態系への影響を明らかにできるかもし

れないとして研究を始めている

httpwwwnanowerkcomnewsnewsid=18632php

【EHS】ナノ医薬品の開発と不確実性(20101021)米 国 で 開 催 さ れ て い た ナ ノ 医 薬 品 American Society

of Nanomedicine の 年 会 で 毒 性 学 の 専 門 家 で あ る

Rochester 大学の Gunter Oberdorster 教授が慎重に言

葉を選びつつナノ医薬品の開発においても新たな分

野の開拓につきものの不確実性に伴う課題に積極的に取

り組むべきだと語った様々なリスクが懸念されている

ものの「新しい材料の正確な知識の入手がもっとも重要

である」と Oberdorster 教授は指摘した現在実施され

ている多くの有害性試験は試験動物へのナノ材料の投

与量が実際的な量とは言えず正確な評価ができないと

も指摘したOberdorster 教授は正確な有害性評価リ

スク評価ひいては有効な医薬品開発のためにさらなる

研究が必要と結んでいるhttpnewhavenindependentorgindexphparchivesentrysafety_

a_concern_for_nanomedicine_tooid_30430

【産業化】現 実 を 見 据 え た ナ ノ テ ク ノ ロ ジ ー 研 究 開 発 の 出 番

(20101020)ナノテクノロジー研究開発は一頃の地に足のつかない

高揚した状況からナノテクノロジーで何が可能なのか

を冷静に分析しつつ実用化のための戦略を定めるべき

状況にあるとの認識へと変化している

10 月 20 日に Industry Week Online にRice 大学主催フ

ラーレン発見 25 周年記念シンポジウムにあわせてこれ

8

PEN

Nov

embe

r までに発表された市場レポートや多くの専門家の意見を

引用しNano-Hype が収まった後のナノテクノロジー研

究の行方についてまとめた記事が掲載された

一部のナノ材料が半導体産業などで利用され始めている

ものの全米科学財団(NSF)が 2000 年に予測したよ

うな 1 兆ドル規模の市場は創出できていないこと結局

NSF の市場予測によって実現したのはナノテクノロジー

への非現実的な期待に火をつけることだけであったと指

摘このような状況の背景には革新的な発展を可能に

する技術の実現に関する課題とこのような開発にかか

る高コストの問題があるとしているさらに環境健康

安全への懸念が研究開発の行方を一層不確かなものと

していると述べている

NSF の予測を大幅に下回るものの2009 年の米国のナノ

テクノロジー関連市場は 120 億ドル規模にまで成長して

いる今後も順調に成長を続ければ2015 年には 260

億ドル程度の市場に成長することが期待できる現在

最も市場化が進んでいるのが高機能材料を作り出して

いる化学品産業であるまた健康関連産業とりわけ患

者にやさしい診断用ツールなどの分野で近い将来大きな

飛躍が見込まれるとしRice 大学が 2010 年 4 月に試験

的なナノスケール腫瘍診断用チップの開発に成功してい

ることを指摘しているhttpwwwindustryweekcomarticlesnanotechnology_beyond_

the_hype_23017aspx

【医薬品】ナ ノ 粒 子 を 利 用 し た が ん 治 療 薬 の 製 品 化 が 活 発 化

(20101015)がんについての研究は進んできているものの1950 年代

以降もがんの治療法に画期的といえるような大きな進歩

はない化学療法は患者にとって相変わらずつらく苦し

いもので治療に用いられる薬は健康な細胞もがん細胞

とともに破壊してしまっているしかしナノ材料を用い

たがん治療薬がこのような状況を早晩改善する希望が出

てきたナノ医薬品は初期のハイプの段階を抜け出して

製品化目指して着実に進んでいる今では50 を超える

企業ががんの治療や診断に用いるためのナノ粒子ベース

の医薬品の開発に取り組んでいるこのうちの 34 社はこ

こ 4 年の間に設立された現在活発に臨床試験が行わ

れているナノ医薬品はより複雑で高機能なものである

httpwwwsciencemagorgcgicontentfull3306002314 

【政策産業化】ドイツバーデンヴュルテンベルク州に新しい最先端クラスター発足(20101015)ドイツのバーデンヴュルテンベルク州に準備中であっ

た最先端マイクロシステム研究クラスター Micro TEC

Suumldwest が公式に活動を始めたMicro TEC Suumldwest では

同州を中心に 350 を超える大学研究機関製造やサー

ビス関連企業が29 のプロジェクトに参加することにな

るドイツ連邦教育研究省が 4000 万ユーロ約 46 億円

の資金援助を行う予定httpwwwmstbwdedemstindexhtml

httpmicrotec-suedwestdecmsfront_contentphpchangelang=2

【産業化】各国で実施したナノテクノロジー研究開発の長期展望に関する調査結果を公表(20101013)世界の最新技術動向を調査している米国の NPO である

World Technology Evaluation Center(WTEC)はナノ

テクノロジー研究開発の長期的展望と研究の方向性につ

いてまとめたレポート「Nano2」を公表した本レポー

トは全米科学財団(NSF)の支援を受けWTEC が世界

各国で実施した調査と 2010 年前半に米国ドイツ日本

シンガポールで実施したワークショップでの議論を基に

して作成されたNSF の Mihail Roco 氏が本調査の責任者

であるレポートではこれまでに指摘されてきた様々

な課題について解決に向けた取り組みの状況がまとめ

られているこれらの既存の課題に加え長期的展望に

たった研究開発のための今後の取り組みの方向性につい

ての専門家の提言が盛り込まれている本レポートは草

案の段階でコメントを募集中である

httpwwwwtecorgnano2

http2020scienceorg20101013nanotechnology-2-0-the-next-

ten-years-of-nano-risk-research 

【政策】オーストラリア工業ナノ材料を化学物質管理の対象へ

(2010105)オ ー ス ト ラ リ ア の National Industrial Notification and

Assessment Scheme (NICNAS)は工業ナノ材料を化学

物質管理のための枠組みを定める「工業化学物質報告

評価法」3 章に定める新規化学物質とし報告義務のある

行政手続きの対象とするとして官報で告知したNICNAS

における工業ナノ材料の定義は「ナノスケールで特別

な物性あるいは構造をもつように製造加工設計された

1nm から 100nm のサイズのナノオブジェクト(12

9

PEN N

ovember

3 の次元のいずれかがナノスケールであること)あるいは

ナノ構造(ナノスケールの内部構造もしくは表面)である」

物質とされているまた本項は既存の化学物質のナ

ノサイズの物質にも適用される輸送のためにオースト

ラリアのいずれかの港空港を通過する場合や年間 100g

以下の研究目的の輸入などが適用を免除される適用の

開始は 2011 年 1 月 1 日であるhttpwwwnicnasgovauPublicationsChemical_Gazette

pdf2010oct_wholepdfpage=14 

【社会的影響】ナノテクノロジーとアフリカ大陸(2010106)これまで様々な科学技術が途上国の抱える様々な課題

を解決すると喧伝されてきたナノテクノロジーについ

ても例外ではないしかしこのような考え方は少々単純

すぎると途上国の専門家は考えている2010 年のはじめ

にコートジボワールで開催されたワークショップでア

フリカ諸国にはリスクを避けるためにナノ材料の使用や

輸入を拒否する権利があるとの主張がなされたこのワー

クショップでアフリカ諸国の専門家はベネフィットだ

けでなく科学技術の進歩がもたらす社会的な影響につ

いても関心を持つべきであると述べている

ナノ材料のような新興の材料を用いた製造工程の急激な

変化に途上国の労働者がついてゆくのは困難であること

など技術的発展が必ずしもベネフィットにつながらな

い可能性も指摘されているまた今後ナノテクノロジー

を活用しようとするアフリカ諸国の前に特許の問題が立

ちふさがる可能性が非常に高いと予想されている

いずれにしろナノテクノロジーがアフリカ諸国の経済

に大きな影響を与えることは必至である重要なことは

アフリカの将来を左右するナノテクノロジー研究開発を

どのような方向に進めるのかの決定に当事者として関

与する道を確保できるのかということである

httppambazukaorgencategoryfeatures67525

【産業化】ユ ニ バ ー サ ル メ モ リ デ バ イ ス で IC 市 場 の 巻 き 返 し

(2010105)ユニバーサルメモリデバイスで高性能の小型モバイル機

器の実現するために各国企業が激しい開発競争を行って

いるナノテクノロジーの科学的経済的側面の解析で

欧州の化学技術政策に大きな影響力をもつ Obsevatory

NANO はユニバーサルメモリデバイス向け技術や実現

に向けた課題そして欧州連合(EU)における開発の現

状について簡潔にまとめたレポートを公表した

一時考えられていたような単一の技術がユニバーサルメ

モリデバイスを実現するとは考え難くナノテクノロジー

はユニバーサルメモリデバイス実現の重要な核とみなさ

れる現在の集積回路の世界市場は米国とアジア圏の企

業に席巻されているがObsevatoryNANO はレポートで

ナノテクノロジーとユニバーサルメモリをベースとする

技術開発によって欧州はその牙城を崩すことができる

と分析しているhttpwwwnanoforumorgnf06~modul~showmore~folder~99999~

scc~news~scid~4152~htmlaction=longviewamp

【EHS】ナノテクノロジーの健康環境安全影響の今後について(2010101)米国マサチューセッツ州立大学ローウェル校(UMass-

Lowell)で 9 月 22 日~ 23 日に開催されたカンファレン

ス Destination Nano における主要なテーマの一つが健康

環境安全影響(EHS)であった米国国立労働衛生研究

所(NIOSH)の Chuck Geraci 氏はNIOSH の最近の EHS

分野における活動を紹介した腫瘍や炎症等の発生など

生体影響とナノ粒子とを関係について明らかにする研究

が注目を集めたナノテクノロジーの研究と製造の現場

におけるより適切な管理方法の探求にも力を入れている

またリスクキャラクタリゼーションも NIOSH の重要な

研究課題のひとつであるNIOSH の研究グループは二酸

化チタンの微粒子について気中濃度 02mgm3 を超え

ると炎症や腫瘍の発生リスクが高まることを突き止めて

いる近くカーボンナノチューブに関するリスクキャラ

クタリゼーションが公表される予定であるノースイー

スタン大学の Jackie Isaacs 氏はスイッチング材料とし

てのカーボンナノチューブ(CNT)の全ライフサイクル

についてリスク分析を行ったIsaacs 氏は米国内の埋

め立て地に蓄積する可能性のある CNT の量についても計

算している

UMass-Lowell と NISOH は今後ナノマテリアルの暴

露評価研究を協力して行い中小規模の製造企業や研究

室における適切な取扱いについてのガイドラインを作成

する予定でいるhttpwwwelectroiqcomindexdisplaynanotech-article-

display6748552362articlessmall-timesnanotechmemstools-

equipmentproduction-equipment2010septemberdestination-

nano_html 

10

PEN

Nov

embe

r 世界の人々は科学にかかわる課題についてどのように考えているのかIn Science We Trust by Scientific American and A Pacific Divide by Nature

Scientific American と Nature が共同で科学に関連する

様々なトピックについて世界各国の読者を対象に意識

調査を行ったその結果の概要が日経サイエンス 12 月号

と Nature9 月号に掲載された

本調査は注意深く対象を選択する通常の意識調査とは

異なり両誌の読者を対象としてオンラインで行われた

ものであり「人々の」という言葉が通常想起するような

幅広い市民を対象としたものではないことをまず最初に

指摘しておきたい調査は 2010 年夏に実施され回答

を寄せたのは約 21000 人でそのうち 19の回答者が

博士号保有者であった日本からの回答者は 1196 件で

あった

全体の傾向としては回答者の多くが科学に信頼を寄せ

ていることが明らかとなったただしトピックごとの

回答ついて詳細にみると各トピックで取り上げている

個別の科学に対する信頼度について回答者の居住地域

によってかなりのばらつきも見られた

地域による回答のばらつきがあまり見られなかった設問

の一つが科学技術に関して誰の発言を信頼するかと

いうものであるこの設問への回答では政治家やジャー

ナリストなどの他の発信源を大きく引き離して科学者

が最も信頼できる発信源とみなされているまた経済

状況が厳しくとも科学予算を削るべきではなく代わり

に国防関連予算を削るべきと考える回答者の割合が多い

直ちに見返りはないとしても科学は将来の社会のため

の投資に値すると多くの人々は考えているようである

一方科学と政治の関わりについては回答者の居住地

域のおかれた政治状況や歴史的な経緯などを反映して

大きなばらつきが見られた例えばドイツでは科学者

に対して政治への積極的な関与を求める回答者の割合

が非常に高いのに対して中国では半数近くの回答者が

科学者は政治から距離を置くべきだと考えている個々

の科学技術に対する考え方にも居住地域による差がか

なり見られる日米欧の比較では遺伝子組み換え作物

や原子力利用に対して欧州における拒否感は日本と米

国に比べかなり高くなっている一方ナノテクノロジー

の利用に関しては米国や欧州に比較して日本ではかな

り多くの回答者が不安に感じているようである

同じ調査の結果について Nature 誌に A global survey of

the scientifically literate public reveals a pacific divide

on key issues in science という速報記事が掲載された

Nature 誌では日本を含むアジア圏と欧米の参加者とで

大きく異なる回答が寄せられた設問について取り上げて

いるそのような設問の一つに進化論に関するものが

ある日本からの回答者のうち進化論では生命の多様

性を説明できないと考える人は 349にも上っており

米国の 129英国の 54 に比べて顕著に高い数値と

なっているこの進化論に対する懐疑的な日本の回答は

普段我々が直観的に感じている日本の科学の理解につ

いての状況とそぐわないその理由として設問の作り

が英語を母語としない回答者に対して誤解と与えた可能

性や京都大学の加藤氏が Nature 誌へのコメントで指

摘するように真摯に考えればどのような科学的知識も

100正しいとは言えないと答えざるを得なかったこと

が考えられる

同じ調査結果について Nature 誌に掲載された速報記事

と日経サイエンス誌の記事を読み比べると全く違う

調査あるいは調査対象であったかのように映るこの違

いはNature 誌が同誌の事前の予想と大きく違ってい

た部分欧米とアジアの差に着目し特にその部分を取

り上げたために生まれたと考えられる

日経サイエンス

h t t p w w w n i k k e i - s c i e n c e c o m p a g e

magazine1012201012_092html 

Nature のニュース速報

http wwwnature comnews2010100922

full467388ahtml 

調査結果

httpgonaturecomeKv3nX 

11

PEN N

ovember

欧州議会 RoHS 改定作業の現状

欧 州 議 会 Committee on Environment Public Health and

Food Safety(ENVI) 委員会が取りまとめた RoHS 指令改定

案の議会本会議での採決は今月 22 日となったようである

ここで採択され理事会で採択されれば 2014 年以降の施

行に向けた動きとなる今月の本誌 PEN の発行は諸般の

事情から 25 日を予定しており23 日には原稿を締め切る

したがって採択の結果は今月号では速報できないと思われ

る重大な採択がされるような事態になれば読者の皆様

には別途速報として情報提供する

これまで特に欧州議会の中での目立った動きは察知できな

いもののENVI 委員会の主要メンバーは附属書 IV の禁

止物質リストにナノ銀を盛り込むことでその全面使用禁止

求める方針を断念したようであるこれは先月号本誌で示

した議長国ベルギーの提案に従ったものと思われるただ

大変気になるのはもう一つのカーボンナノチューブがどの

ようになっているのかがよく見えない点で水面下でどの

ような議論がすすめられているのか気になっていた先

週述べたとおりベルギー案は追加リストそのものの撤廃

を求めておりその他のナノマテリアルを含む物質に対す

るラベル表示義務さらには安全性データの欧州委員会へ

の提出義務も含まれていない今後の展開は最も強く修

正案を主張してきた ENVI ラポーターの Jill Evans 氏らが

ベルギー案にどこまで歩み寄った形で 22 日の投票を迎え

るかにかかっている

これに関連して中小企業ビジネス支援サイト J-Net21 は

18 日「欧州委カーボンナノチューブ RoHS 規制見送り」

とする速報をリリースしたそれによると今回示された

改正案には二つのナノマテリアルの使用が制限されていな

いとのことまた二つのナノマテリアル以外のナノマテリ

アルに求められていた表示義務についてはまだ議論が続い

ているようである [12]

ま た 23 日 に ロ ン ド ン の Nanotechnology Industries

Association からナノテクノロジービジネス推進協議会へ

届いた情報によると欧州議会と理事会は RoHSWEEE 指

令における「ナノマテリアル」の記述について合意に達し

た模様でその内容は産業界にとも歓迎すべき内容になっ

ているとのこと内容の詳細について現時点では把握でき

ていないるものの少しずつではあるが確実に猶予すべき

事態から脱却しつつあるとみてよい

このような状況のなか今月は日本国内においても RoHS

指令改定案に二つのナノマテリアルの全面禁止やその他の

ナノマテリアルの表示義務が盛り込まれている点について

周知が進み様々な論評が行われたので短く整理してお

まず「問題が多いナノ材料への RoHS 規制」と題する社

説を掲載し問題を明らかにしたのが11 月 15 日付化

学工業日報であるその社説の論旨は「欧州では科学的

確実性が明らかでないリスクを事後的に管理するより予

防的対策が費用対効果からも優れているという考えが根強

い」としたうえで今回の改定案を「極端な予防原則の適

用といわざるを得ない」と指摘しているさらに「日本

の産業界に与える影響も無視できないだけに日本政府や

ナノマテリアルに関連した事業を展開する企業業界団体

は積極的に情報発信すべきである」と欧州議会に対して

明確な意思表示をすべきとのメッセージで社説の最後を

締めくくっている

RoHS 指令改正案にナノ材料が追加された事実を解説した

のは11 月 12 日付日刊工業新聞である37 もの化学物

質を禁止物質候補としさらにカーボンナノチューブとナ

ノ銀に規制を設け適用範囲も拡大される改正案の内容を

解説したうえで22 日に迫ってきた改定案の採択がその

まま施行される可能性は低いと予測しているもし改正案

のまま施行された場合今後の研究開発を停滞させる恐れ

があると指摘している実際に日本などの産業界からの反

連載環境規制 第 7 回

アメリカの環境規制オバマ政権以降の展開

12

PEN

Nov

embe

r 発も大きく「本会議の採択を受けて開催される理事会は

調停案を出す」との観測を示している以上のような解説

の締め括りとして「日本の産業界としては代替材料やナ

ノ材料の安全性評価手法の開発など2014 年の施行を見

すえ早めに体制を整えておく必要がある」と指摘してい

このように日本国内でも ENVI の Jill Evans 女史がまとめ

た RoHS 指令改定案に対する修正意見に対する反発が強ま

るなか2009 年に厚生労働省や経済産業省環境省が相

次いで公表したナノ材料曝露提言のためのレポートやガイ

ドラインに準拠した対策も進みつつある今月 10 日日

本エアーテックはカーボンナノチューブなどのナノ材料

を安全に扱うための作業器具「ナノパーティクル排気ベン

チ」を開発販売を開始したナノ粒子捕集効率の高いフィ

ルターや引き出しと一体化した掃除機曝露防止のため

の手袋や防塵マスク防護服といった対策が図られている

節末になるが昨今の欧州議会の動きに関してナノ

テクノロジービジネス推進協議会の事務局より欧州

の ナ ノ テ ク ノ ロ ジ ー 産 業 の ア ソ シ エ ー シ ョ ン で あ る

Nanotechnology Industries Association (NIA) と の 間 で 交

わされた情報などを逐次配信していただいたことを付記

しお礼を申し上げる

アメリカの環境規制オバマ政権以降の展開

連載の本題に戻る2009 年民主党オバマ政権が発足し

て以降環境政策環境規制に関しても様々な改革が図ら

れるようになってきたこれはオバマ政権に代わったから

ということではないが米国議会は全ての連邦機関に対し

て 5 年間の戦略計画の策定と 3 年ごとの計画の見直しの実

施を要請している政府の行政評価の一環として 1993 年

以降行なわれている rdquoGovernment Performance of Result

Actrdquo で通常 GPRA と呼ばれこれまで各省庁の政策決定

と実行に大きな影響を与えてきたこれを受けて EPA は

今月 7 日2011 年度からの 5 年間の戦略を公表している

[3]環境と健康を守るための 5 つの戦略的な目標として

①気候変動への取り組みと大気汚染の減少②米国内の水

環境の向上③コミュニティの汚染源の根絶と持続的発展

④化学物質の適正な使用と汚染の防止⑤環境関連法の実

施強化を挙げているまた5 つの戦略目標と合わせて

EPA 首脳部が掲げる 7 つの優先分野における取り組みの進

捗状況を図るための新たな指標も設けられている

これに関連して EPA はTSCA インベントリー利用の改革

を進めている米国内で製造もしくは米国に輸入される

すべての化学物質は「TSCA インベントリー」と呼ばれ

るリストで管理される現在 8 万物質以上が収載されてい

る TSCA インベントリーにない化学物質を製造あるいは

輸入する場合EPA に対する届出義務がありこの届出を

行い EPA の審査を受けることでその化学物質が TSCA イン

ベントリーに新規物質として追加される仕組みになってい

るここでいう届出とは90 日前までに行わなければな

らない製造前届出(PMN)であり生産量暴露排出量

の推計人の健康や環境への影響に関するデータ等が求め

られるただし医薬品農薬や食品添加物等の他の法律で

規制される物質や研究開発目的の化学物質には除外措置が

設けられている [4]PMN は届出業者に新たな試験の実施

を求めておらず届出業者が有しているデータのみを提出

すればよいとされているそこで EPA は定量的構造活性

相関等の手法により届出物質の生態毒性値を予測しその

結果に基づきリスク評価を行っている

オバマ政権以降この TSCA インベントリーの改革がすす

められてきたすでに 2010 年 3 月には基本的な検索を無

料化するなどインベントリーのリニューアルを実施しイ

ンベントリー検索が容易になっているまたインベント

リーのデータは通常年二回更新されるがインベントリー

へ新規化学物質の登録が行われる場合は官報で事前に告知

されるようになっている [5]

SNUR とは

EPA の規制措置について触れたついでに今後の議論のた

めに重要新規利用規則(SNUR)についても理解を深めて

おきたいSNUR については経済産業省化学物質管理課の

HP の記述にその内容をくみ取りやすいので以下に引

用させていただく [6]

「TSCA においては評価の各段階で新規化学物質の申請

者と同意を取りながら進めていくという審査体系をとって

おり懸念のある化学物質に対する規制は個別の申請毎

にきめ細かい措置が講じられる体系となっている規制

は申請者に対する同意指令(Consent Order)及び申請

者以外の者にも同様に規制を行うための重要新規利用規則

(SNURSignificant New Use Rule)により行われる同意

指令は当該化学物質のリスクが明確に評価できないにもか

かわらず健康や環境にリスクをもたらす恐れや放出

暴露量が多い恐れのある場合に発せられリスク評価に十

13

PEN N

ovember

分なデータがそろうまでの製造等を制限するものである

同意指令は申請者に対して発せられるが公平性の観点か

ら当該化学物質を取扱う全事業者に対して同意指令と同等

の制限を規制するのが重要新規利用(SNUR)である対

象物質について SNUR 要件を遵守できない場合には事前

に重要新規利用届出(SNUN)を提出し個別に審査を受

けることとなるSNUR 対象物質に対する制限措置として

はMSDS 作成やラベリング使用者への注意義務数量

制限や特定用途の制限個別事業者における排水管理など

の幅広い手法があげられており対象物質に応じて適切な

規制が適用される」

したがってTSCA のインベントリーに登録された化学物

質が SNUR に指定されるということはPMN 届出業者と

の同意指令の中で当該化学物質の健康や環境影響が無視

できないことの反映である先月号の本誌 PEN で述べた

とおりEPA がこれまでナノマテリアルで交わした同意

指令はイギリスの Thomas Swan 社の子会社でアメリカ

New Jersey 州 Lyndhurst で CNT 製造を行っている Swan

Chemical Inc であるEPA が昨年来 CNT を SNUR 対象物

質にする方向でパブリックコメントを求めてきたがこれ

は Swan Chemical Inc との間で交わされた同意指令の内容

を他の CNT 製造企業にも求めることを意味するEPA の

SNUR での単層および多層 CNT の規制もいよいよ最終段

階に入ってきている

Reference[1] httpj-net21smrjgojpwatchnews_tyusentry20101118-15

html

[2] httpj-net21smrjgojpwatchnews_tyusentry20101117-15

html

[3]httpyosemiteepagovopaadmpressnsfd0cf6618525a9efb8

5257359003fb69d60a5ce970092692e852577b5005c4ff3Open

Document

[4] httpwwwepagov

[5] httpwwwepagovopptnewchemspubsinvntoryhtm

[6]httpwwwmetigojppolicychemical_management03kanri

f1htm

かわいいだけではないらしい

日本ではペットとしてイヌと人気を二分しているネコかわいい口に重大な秘密が隠されていたようです

イヌは舌ですくい上げて水を飲んでいることが分かっています水を飲み終わったイヌの口元は濡れています

しかしネコはミルクを飲んでも口元が汚れないしどうもイヌとは飲み方が違うようだと考えた Pedro Reis 氏

らは高速イメージング技術を用いてネコの秘密にメスをいれました

その結果ネコは重力と慣性力を利用して水を飲んでいることが明らかになりましたネコはまず舌先だけを

水やミルクなどの液体に軽く接触させたのち舌を丸めますそして丸めた舌を元に戻す際の慣性力を使って水

の柱を作りそれを吸い込むようにして飲んでいるのですネコのサイズが変わると舌を水につけるスピード

が落ちてゆっくりとした動きに変わるものの動きそのものは全く同じであることが観察によって明らかになっ

ていますネコ科で 2 番目に体が大きいライオンの飲み方も小さなイエネコの飲み方も同じなのです

様々な分野で活躍する働くイヌと違って「ただかわいいだけ」と言われるネコですがその精緻な舌の動きと

機能はソフトロボット技術研究の進展に役立つと期待されています

How Cats Lap Water Uptake by Felis Catus PMReis RStocker SJung JMArstoff Science 20101111 (online

publication)

httpwwwsciencemagorgcontentearly20101110science1195421

14

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Nov

embe

r

基本政策専門調査会資料公開総合科学技術会議

11 月 17 日中央合同庁舎第4号館で開催された第 11 回

総合科学技術会議基本政策専門調査会の資料が公開され

た10 月 18 日~ 11 月 8 日にかけて行われたパブリック

コメントの結果等も公開されている特に注目される「Ⅴ

社会とともに創り進める政策の展開」の項目のなかの「社

会と科学技術イノベーションとの関係深化」の課題には

①「国民の視点に基づく科学技術イノベーション政策の推

進」には欧米にくらべ遅れている「政策の企画立案及び

推進への国民参画」の促進が必要その方法論を研究し

具体的な参画の場や運用を整備すべき国の機関のみなら

ず各地の大学や研究機関が主体的に参画できるものであ

るべき②科学技術だけでなく社会についての知を総合

しなければイノベーションは不可能③「倫理的法的

社会的課題への対応」でヒトの臨床試験に関する法律

動物実験バイオ施設といった具体例を論ずるべきといっ

た意見が集約されている

また民主党政権が達成目標としている「政府研究開発投

資の対 GDP 比 1」に関しては資料 4 - 1 の第 4 期科

学技術基本計画における投資目標のなかに2008 年度の

実績が 072 であったことが示されているちなみにア

メリカは政府研究開発投資の対 GDP 比 1 を維持してい

httpwww8caogojpcstptyousakaiseisakuindexhtml

科学技術に関する最近の話題への国民の関心について科学技術政策研究所 (NISTEP)

文部科学省所管の科学技術政策研究所は科学技術に関す

る最近の話題への注目度など速報性のあるデータについて

公開したまた同研究所は「日本の研究者を対象とした科

学における知識生産プロセスについての大規模アンケート

調査」の結果についても公表を行ったhttpwwwnistepgojpnistepabout09html

httpwwwnistepgojpachievftxjpnmat191jpdfmat191j_

reportpdf

公共政策のためのパブリックコメント2011 年度予算編成に伴い9 月末から政策コンテストが

進められているこれは市民から広く意見を聞くパブリッ

クコメントのことであるところがある省の政策担当者が

政策立案に関わった専門家に提出方法についてメールで周

知し間接的ながらも意見の提出を促した事実が明らかと

なったこの問題は今月 18 日付新聞各紙で報道された

時代の流れである政策の公共性に逆行し公共の利益に反

する行為であるいわずもがなではあるがパブリックコ

メントが義務的な制度ではなく今後政策や予算立案の過

程で当然の仕組みとして定着していくためにもパブリッ

クコメントを広く公平に集める仕組みつくりは危急の課題

であり集まったコメントに耳を傾ける真摯さが政策サイ

ドに求められている政策や予算に対するパブリックコメ

ントは政策の公共性に必要不可欠の仕組みであり科学技

術の社会受容の重要なプロセスである「パブリックコメ

ントを行いました」という既成事実のためにあるのではな

共同声明「国際化拠点整備事業(グローバル 30)の強化を要望する」11 月 16 日

東北大学筑波大学東京大学名古屋大学京都大学

大阪大学九州大学慶應義塾大学上智大学明治大学

早稲田大学同志社大学立命館大学

平成 21 年度に開始された国際化拠点整備事業(グローバ

ル 30)に採択されている上記 13 の大学は昨年に引き

続き本事業が行政刷新会議の事業仕分けの対象となったこ

とに関して共同声明を発表したその骨子は国際的視

点と人材教育の視点から大学及び日本社会の国際化のた

国内情報

15

PEN N

ovember

めのグローバル 30 をさらに拡充強化されることを政府に

要望するものでまた予算の縮減などになれば国際社会に

おける日本の信頼が大きく傷つくばかりでなく日本の将

来について致命的な打撃を与えるのではないかと指摘して

いるh t t p w w w o s a k a - u a c j p j a n e w s t o p i c s 2 0 1 0 1 1

files20101116_2pdf

加速する EV 市場電気自動車 (EV) 市場が大きく展開し始めたすでに三菱

自動車は昨年から EV アイミーブを市場に投入している

日産自動車は今年 7 月から EV リーフの試乗会を行ってき

たがいよいよ来 12 月には EV リーフの日米同時の販売

を開始するこれにあわせて 12 月 45 日に横浜市内で

公道上での試乗会が行われる今後は技術提携を進めるフ

ランスのルノー社との技術の共通化が図られる

このような動きに対しトヨタやホンダはこれまで EV に

は慎重な姿勢を維持してきたしかしこの数か月でその姿

勢にも大きな変化が出てきた今月 17 日から開催されて

いるロサンジェルスのモーターショーでトヨタは RAV4

の EV モデルホンダはフィットの EV モデルをそれぞれ

公開しているこれまでハイブリッド技術で覇権を制して

きたトヨタはこの 5 月にカリフォルニアの EV 開発ベン

チャーであるテスラと資本提携スポーツタイプ多目的車

(SUV)をベースとした EV の開発を加速させているテス

ラは 2008 年から時速 200km を誇るロードスターの市場

投入実績を有しておりトヨタ以外にもすでにダイムラー

とも資本提携を行っているまた今月にはパナソニックと

電池の共同開発を開始するなど2015 年の本格的なアジ

ア市場での販売計画に向けて技術開発を加速させている

テスラの技術は家電製品に使われる汎用電池を多数並べて

用いるところに特徴があり現時点では車載用専用の電池

の開発を進める他の EV との差別化を図ることに注力して

いる

このような一連の動きは2012 年のカリフォルニア州に

おける環境規制の施行を見据えたもので2012 年が EV

普及にとってフラグポイントになるアメリカでもゼロエ

ミッション EV の開発が活発に行われ経営破たんしてい

た GM が 11 月 18 日に株式市場に再上場するなどアメ

リカの産業構造も大きく変わりつつあるただモーター周

りの技術に関しては中国企業との共同開発も進められて

いる

このような EV 市場の急展開の様相は日本の経済を支え

てきた自動車産業に大きな質的変化をもたらしつつある

EV は「自動車が家電製品になる」と形容されるように

車載用駆動電源としての 2 次電池の高性能化やリチウム

資源の確保さらには太陽光発電利用やスマートグリッド

まで含めたエネルギーデリバリーシステムや充電インフラ

等々幅広い産業活性化の起爆剤でもあるEV がオフィ

スや家庭の家電とつながればIT 産業にも大きなビジネス

チャンスが到来する自動車産業は家電メーカー総合

商社IT 企業その他さまざまな技術領域を巻き込んだ覇

権争いに突入していこうとしておりこれまで ldquo 城下町 rdquo

と称された日本の垂直統合型自動車産業そのものが大きく

変わりつつあるといっても過言ではない

ところで「モーターをタイヤにした」構造的には内燃機関

式に比べ単純な構造の乗り物でもある EV の市場には新

興国の新規産業が参入しやすいという一面がある上述し

たような 2012~15 年にかけて強まる世界的な環境規制を

追い風に新興国から多くの EV 産業への参入が予想され

る実際に中国広東省のベンチャー企業 BYD などはそ

の急先鋒として成長し続けている日本の産業は1990

年のバブル崩壊以降 20 年にわたって「技術で勝って市

場をとれない」状況に苛まれてきた対処策の一つは技術

開発と経営の基本姿勢である言うまでもなく技術が発展

することは製品の質の向上に結び付くのだがただ「より

良い技術をふんだんに詰め込めばおのずと製品は売れる」

という安易な技術への過信や過剰な技術の詰め込みがイノ

ベーションプロセスに負に作用することも事実であるエ

リアごとに大きく異なる市場のニーズを的確に把握するこ

とと急速に展開する市場に対応した経営意思決定の迅速

化がキーになる

もう一つは国際的な枠組みでのインフラ技術の標準化であ

る一国一票の投票権を持つ国際標準化の策定プロセスで

は欧州が圧倒的な強さを維持しており日本は常に苦戦

を強いられる立場にある国際電気標準会議 (IEC) におけ

る EV インフラ技術の標準化チャデモ協議会といった日

本の対応については週刊エコノミスト 12 月号 40 ~ 41

頁に詳しい

また日刊自動車新聞によると電気自動車普及協議会が

EV の高電圧周りの安全対策などに関するガイドラインの

策定を始めているが緊急性の高い項目は今年度中に情報

公開される模様である

国立研究開発機関(仮称)構想省庁の縦割り政策の弊害を解消して研究開発を効率的に進

めることを目的に文部科学省は 38 の独立行政法人研究

機関の再編統合を図る仮称「国立研究開発機関」構想を

打ち出している海江田科学技術政策相はその設置法案を

来年度の通常国会に提出する考えを明らかにしこれに併

せて発足に向けたスケジュール作りがすでに検討チームの

中で始まっているその一方蓮舫内閣府特命担当大臣(行

16

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Nov

embe

r 政刷新)公務員制度改革担当は文部科学省ではなく内閣

府主導で予算編成を行うべきとの考えを示し行政刷新会

議も「焼け太りは許さない」と文部科学省を牽制設置法

そのものの提出をくい止めたい考えである他の様々な施

策同様これも民主党政権内での軋轢となっている

化学5社化学物質情報伝達を電機大手と共通化中小企業ビジネス支援サイト J-Net21 は11 月 15 日に

日本の化学大手 5 社がアーティクルマネジメント推進協

議会の仕組みを活用して製品に含まれる化学物質の伝達

方法を電機大手と共通化することを発表サプライチェー

ンでの情報伝達の共通化が図られるhttpj-net21smrjgojpwatchnews_tyusentry20101115-10

html

22 年度科学技術関係補正予算閣議決定先月末の 26 日平成 22 年度補正予算 4 兆 8500 億円が

閣議決定された今月 11 日付科学新聞はこのうち科学

技術関係予算を文部科学省のスパコン「京」への 186

億円などを含め約 1500 ~ 2000 億円程度と見積もってい

る経済産業省関係では産学官連携のイノベーション拠点

立地支援事業への支援策が多く盛り込まれているつくば

イノベーションアリーナ中核拠点と位置づけられている産

総研には補正予算 30 億円が配分されている

なお内閣府総合科学技術会議は 11 月 4 日2010 年度

の当初予算額 3 兆 5878 億円に対し補正予算案は 1864

億円経済危機対応地域活性化予備費は 141 億円で

合計は 3 兆 7742 億円となったことを明らかにした補正

予算の詳細については 11 月 4 日「平成 22 年度経済危機

対応地域活性化予備費及び補正予算案(科学技術関係予

算)について」として内閣府から公開された

httpwww8caogojpcstpbudgeth22hoseipdf

ナノボーグの販売軽量化フレキシブル化が進む様々なデバイスをまとめて

身に着けることが可能な服が「ナノボーグ」である東工

大谷岡教授が名付けたもので4 日付日刊工業新聞による

と今月にも太陽電池を電源とするジャケットがアメリカ

のアパレルメーカーから発売される

httpwwwnikkancojpnewsnkx0320101104eaahhtml

ldquoNBCI ナノナビ rdquo 創刊ビジネス環境のグローバル化オープン化に伴って政策

や規制動向研究開発動向の迅速な情報共有への要求が高

まりつつあるこれに応え一般社団法人ナノテクノロジー

ビジネス推進協議会(NBCI)は不定期の情報誌 ldquoNBCI

ナノナビ rdquo を創刊先月末より会員向け配信を開始した

創刊号では標準化の重要な課題であるナノラベリング(使

用ナノ材料の周知目的)の動きナノネット活用等につい

て最新の動向が配信された

httpwwwnbcijp

フラーレンのナノエレ応用脚光を浴びるカーボンナノチューブやグラフェンに比べ

フラーレン(C60)のナノエレクトロニクスへの応用展開

は広がらない状況が続いてきたがこの度 C60 を積層し

た有機トランジスタが開発されたこれは 11 月 1 日付日

経産業新聞が報じたもので大阪大学と山形大学大日本

印刷の共同研究の成果である試作された C60 を含む有

機トランジスタは従来の有機トランジスタより大きな電

流を流すことが出来400 キロヘルツの高速応答が得られ

たとのこと

筑波大に生命科学研究拠点先月末筑波大は先端学際領域研究センター通称 TARA

センターを改組し生命領域学際研究センターを設立浅

島誠氏がセンター長に就任した今後 20 人の研究部隊が

幹細胞研究などに特化した研究を展開する

新規事業への投資を名城ナノカーボン10 月 29 日付の金融専門誌ニッキンは名城ナノカーボ

ンの橋本剛氏をとりあげた同社は 2005 年 4 月に当時

銀行員であった橋本氏が名城大安藤義則教授と共に設立

したカーボンナノチューブの開発製造販売を手がける

名城大発ベンチャー橋本氏は今後 5 ~ 10 年で名城ナノ

カーボンの上場を目指すとし取引金融機関に対して新規

事業への具体的な資金投入を期待している

CNT 生産能力倍増昭和電工10 月 29 日付化学工業日報は昭和電工(株)川崎事業

所におけるカーボンナノチューブ (CNT) の年産 100 トン

から 200 トンへ引き上げ計画を報じた同社はリチウム

イオン 2 次電池向け気相成長 CNT の供給を行っているが

今後はさらに急速な需要拡大が進む可能性もありさらに

生産体制の拡大を図る可能性もある

17

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宝石という名前の虫

タマムシはタマムシ科の 4 センチメートルほどの甲虫です漢字では玉虫と書きます玉とは宝石のことで

その名のとおり赤い縦の線が走る虹色がかった緑色の金属光沢の美しい翅をもっています

法隆寺所蔵の国宝「玉虫厨子」を教科書などで見たことがある人も多いのではないでしょうか厨子は仏像な

どの礼拝の対象をしまう大切な入れ物のことです天平の世の人々がその大切な厨子の壁面を飾る細工の材料

にタマムシこそが相応しいと思ったのも納得できる美しい甲虫です残念ながら現在では玉虫厨子の壁面の

翅の多くは脱落してしまっていますが往時を再現した複製品から天平の時代の華やかな色が想像できます

タマムシは時代や洋の東西を問わず美しいと思われるようでベルギーにはその美しさに憑かれて宮殿の天

井を大量のタマムシの翅で飾った現代工芸家もいます

タマムシは厨子に使われた翅だけでなく腹部や脚触角なども緑色の光沢を放っていますまた美しい

翅が良くわかるような背面からの写真が多いので米粒型のすんなりした形のイメージが強いですが横から

見た体には以外と厚みがあります成虫は樹冠を飛び回り主にニレ科の広葉樹の葉を食べています幼虫は

カブトムシの幼虫に似た白いずんぐりしたイモムシで餌も葉ではなく木ですそのため害虫に分類されても

います

岐阜県高山市「茶の湯美術館」に玉虫厨子のレプリカが展示されています

httpwwwnakada-netjpchanoyutamamushi_zushihtmtamamushi 

18

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Nov

embe

r

これを批准した結果日本は 1990 年を基準として 6の

温室効果ガス削減を国際的に約束した日本国憲法によれ

ば国際条約は守らなければならないことになっているの

で「チーム -6」などという運動が日本全国にできた

これの何が間違いだったのであろうか以下その根拠を説

明する尚現在の一次エネルギー源は 80以上が化石

燃料によるものであるからエネルギー消費と温室効果ガス

排出はほぼ同義語であるまた国内総生産(GDP) の増

大すなわち経済成長は社会の安定と国民の安心感を支え

る基本的な要素でありその減少は社会の不安定化をもた

らすため増大させることが必須である

日本は 1973 年の第一次石油危機で大きなダメージを受

けそれから「省エネルギー技術」の開発を血眼になって

推進したその結果図 1 に示すように日本は世界一の「省

エネ大国」になったのである図で縦軸は石油換算のエネ

ルギー消費量横軸は GDP をドル換算したもので1995

年のデータを示してある斜目の破線は一定の GDP を作

り出すのに必要なエネルギー量をトン単位で示しており

これが小さいほどエネルギー効率のいい社会であるつま

り使用エネルギーが少なくなるか同じエネルギーを使っ

ても生産額が多くなればエネルギー効率は良くなる

 エネルギー効率=使用エネルギー生産額(GDP)

図から明らかなように日本は 1995 年時点でも既に世

界で一番エネルギー効率の良い国だったのであるドイツ

フランスイタリアなどは日本の 15 倍イギリスは 2 倍

アメリカが 3 倍中国やロシアに至っては何と 10 倍以上

のエネルギーを浪費しているということが一目瞭然であ

る日本がこのようなエネルギー効率の良い状態から更に

エネルギー消費を減らすなどと言うことは被虐趣味以外

の何物でもないちなみに図 1 は小生が京都議定書を見て

「これは誤りである」と確信し直ぐに作成したものであり

13 年前には既に分っていたことである

それでは日本は何を主張すれば良かったのか賢明な読

者は図 1 を見れば直ぐに考え付くであろうそう「世界

の皆さん今後 10 年間でエネルギー効率を高くする努力

をし現在の日本並みとまでいかなくても少なくとも近

付く努力をしてください」と主張すべきだったのだこれ

なら発展途上国も経済発展を保障されるから合意できたで

あろうし何よりも日本の「省エネ技術」を世界標準とし

て輸出可能であったろう昨年中華人民共和国(中国)が

出した指標はまさにこのような考えに基づいたものであろ

うどこかの国の首相が温室効果ガス排出量(=エネル

ギー消費量)の 25の削減を持ち出したのに対し「中国

はエネルギー効率(=使用エネルギー生産額)を 40

向上させる」と主張した図1から見ても彼等は 1995 年

の日本の水準に追いつくだけで 90の削減が可能であり

40などというのは非常に容易な達成目標であることは

明らかであるまさに国際条約を締結する上での基本的

な事項である「自国の利益を最優先する」という原理原

則にも合致している流石は厳しい歴史を体験してきた国

京都議定書が提案されてから既に 10 年以上経過した今

更と思われる方もおられるかも知れないが現在の日本が

抱える様々な矛盾の出発点の一つが京都議定書であると考

えざるを得ない以上ここで改めてその問題点を明らかに

したい環境省のホームページに掲載されている京都議定

書の内容は以下のとおりである

(httpwwwenvgojpearthcop63-2html)

ポイント先進国の温室効果ガス排出量について法的拘束力

 のある数値目標を各国毎に設定

国際的に協調して目標を達成するための仕組みを

 導入(排出量取引クリーン開発メカニズム共同

 実施など)

途上国に対しては数値目標などの新たな義務は導

 入せず

寄稿京都議定書で日本は何を主張すべきであったか東洋大学大学院学際融合科学研究科 教授 和田恭雄

19

PEN N

ovember

は違うなどと感心してはいられない

今からでも遅くない「2010 年を基準としてエネルギー

効率の向上を図る」ことを国際的な合意目標に切り替え

るべきである無論為替レートは 2010 年現在の 1 ド

ル= 80 円程度に固定して比較すべきである現在の円

高を考えれば分母が大きくなることが日本の利益につ

ながるからだ国際条約においては「被虐趣味」は最低

の選択であることを忘れてはならない「率先垂範」など

と言う言葉は国際社会では通用しない無論表面上は大

いに賞賛されようが腹の底で「カモが来た」と思われ

食い物にされるだけである他人から褒められるために

自らの競争力を放棄するようなことは止めるべきである

京都議定書を他山の石としてナノテクノロジーの世界

でも「自らの強みを世界の標準にする」という基本的な

姿勢を取るべきであるのは当然のことであるdarr

darr 世界各国のエネルギー消費量と総生産の比較図右下

に行くほどエネルギー効率が高く同じ GDP を創り出す

のに温室効果ガスの排出量が少ないということを示す

日本は 1995 年当時既に世界一の「省エネ大国」であり

西ヨーロッパの 15 倍米国の 3 倍ロシアなどよりも

10 倍以上効率の良い経済体制になっていたことが分か

る世界中の国が日本を手本にすれば温室効果ガスの排

出量を減らしつつ経済成長が可能になり即ち皆がハッ

ピーになれることを示すことができるばかりでなく日

本の省エネ技術を世界標準にすることも主張できる根拠

となる

20

PEN

Nov

embe

r

日本では21 世の始まりと共に科学技術政策に基づ

いてナノテクノロジーの研究開発への戦略的投資が開始

された2001 年度からの第 2 期科学技術基本計画と

2006 年度からの第 3 期科学技術基本計画の都合 10 年

間にわたる優先的戦略的な研究開発の資源の投入も余

すところ4ヶ月となった

21 世紀を担うと期待されたナノテクノロジーには研

究開発側から社会への一方的な応用があたりまえであっ

たこれまでの科学技術とは異なる研究開発の方法論が導

入されたコア技術の研究開発と並行してその技術の社

会的影響を検討しそれをさらにコア技術の研究開発に

フィードバックするという新しい研究開発の方法論であ

る [1]ナノテクノロジーの社会的影響にとって最も重

要で緊急の課題がナノ材料の環境健康影響安全 (EHS)

の課題であった技術の社会的影響を検討しながら進め

られているナノテクノロジーの研究開発がうまくいくか

どうかこのことがナノテクノロジーに続く今後の新興

の科学技術の研究開発のあり方に大きな影響を与えるこ

とになる社会的影響をフィードバックしながら進める

責任ある研究開発がはじめて試みられた日本のナノテク

ノロジーがこれまで 10 年間にわたって戦略的研究開発

投資を続けてきた現在どのような状況にあるのか今回

の特集ではそれを俯瞰的に解析する

まず国内の全ての新聞と雑誌に掲載されたナノテクノ

ロジー関連記事の数を統計的指標としてナノテクノロ

ジーの研究開発に対して日本の社会がどの程度の関心を

示しているのか評価することを試みる図1に日本

のメディアに掲載されたナノテクノロジー関連の記事の

年推移を示すグラフから明らかなようにナノテクノ

ロジーへの戦略的研究開発投資が始まった 2001 年まで

日本のメディアはほとんどナノテクノロジーを取り上げ

ていないただこれは日本にナノテクノロジーの萌芽

的研究開発がなかったということではない

一例をあげるなら工業技術院は産業科学技術研究開発

制度の一環として新エネルギー産業技術総合開発機

構(NEDO)の委託により原子分子極限操作技術の研

究開発プロジェクトを展開した1992 年から 10 年間に

わたり分子原子をボトムアップ的に集積する研究開発

を進めたこのプロジェクトは技術研究組合オングスト

ロームテクノロジー研究機構(ATP)と呼ばれたさらに

ATP と産業技術融合領域研究所は同研究所内にアトム

テクノロジー研究体(JRCAT)を設置して産官学の共同

研究プロジェクトを推進した折しも日本は 1990 年の

バブル経済の崩壊後失われた 10 年と称される経済の停

滞に苦しんでいたまだナノテクノロジーに対する期待

は高まってはいなかったが日本のナノテクノロジーは

着実に萌芽的研究開発を進めていた困難な経済のなか

で日本のナノテクノロジーはその萌芽に向けた着実な

準備をしていたといえるのだがこのような地道な研究

開発が進められていた点はこの統計からは見えにくい

0

500

1000

1500

2000

2500

3000

3500

4000

4500

5000

1990

1991

1992

1993

1994

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1998

1999

2000

2001

2002

2003

2004

2005

2006

2007

2008

2009

図 1

特集

10 年におよぶナノテクノロジー研究成果の発展的継承を 

21

PEN N

ovember

2001 年度から戦略的な究開発投資が開始されると同時

にナノテクノロジーへの関心は急速に増していった

わずか 2 年後の 2003 年にはその期待は極みに達して

いる上述したとおり我々はこの統計で縦軸をナノテ

クノロジーに対する社会の関心と見なしておりこれは

David M Berube 氏が示した典型的な Hype 曲線の縦軸

「Visibility」と同義とみなせる [2]その類似性を図 2 に

示す

図 2

日本では Nano-Hype と呼べるピークが高性能瞬間湯

沸器よろしく戦略的研究開発投資が開始されたわず

か 2 年後の 2003 年に出現しているのであるまたJ

Fenn らはこのようなピークを図 3 に示すようにイノ

ベーションのハイプサイクルにおける rdquoPeak of Inflated

Expectationsrdquo と表現している [3]

Exp

ect

atio

ns

Time

InnovationTrigger

Trough ofDisillusionment

Slope ofEnlightenment

Plateau ofProductivity

Peak of InflatedExpectations

図 3

この時期はナノテクノロジーの将来価値への大きな期

待の反面研究開発の実態は希薄である実体の伴わな

い過剰な期待を理由に「一部の有力な科学者や政策担当

者がこのような Hype の状況を意図的に作りだした」と非

難する論調もある確かに Nano-Hype はナノテクノロジー

の将来価値への期待が研究開発の実態を上回る状況では

あるがナノテクノロジーに対する社会の関心や期待を

喚起しその期待を背景にナノテクノロジーへの研究開

発投資が漸次増加していったことも事実であるまたナ

ノテクノロジーの事をもっと知りたいという知的欲求も

刺激されそれに応えるためにいくつかの大学ではサイ

エンスコミュニケータやサイエンスインタープリタサ

イエンスジャーナリストの養成講座等が開設されたさ

らに今日年間 2000 回以上のサイエンスカフェが全国各

地で開かれるなどナノテクノロジーのような新興の科

学技術のパブリックエンゲージメントの活動の契機にも

なったNano-Hype と呼ばれる状況がそのような様々

なプラスの効果を日本にもたらしたことも忘れてはなら

2003年

2010年

2003年

22

PEN

Nov

embe

r ない点である

実体の伴わない過剰な期待が徐々に覚めていく Negative-

Hype の状況はHype が極みに達した 2003 年直後の

2004 年から 2007 年にかけて顕著に現れてくる依然

として政府のナノテクノロジー材料領域への研究開発

投資が伸びるなかメディアがナノテクノロジーを取り

上げる頻度は急速に下がり社会の関心は冷めていった

過剰な期待が冷静さを取り戻していく Negative-Hype は

必然であるとしても注目しておかなければならない大

事な点は Negative-Hype がいつ止むかいつ底を打つの

かである図 1 から明らかなように2004 年以降 2007

年まで急速に下降しているものの2008 年から 2009 年

と明らかに Negative-Hype は底を打っている

上述の J Fenn らは新しいハイプサイクルの縦軸の評価尺

度を議論しているのだが図 4 に示すようにハイプサイ

クルのプロフィールが二つの要素からなることを示して

いる [4]この指標を採用すると今年 2010 年の日本の

ナノテクノロジーはHype が終わりエンジニアリング

またはビジネスが徐々にその成熟度を増していくちょ

うどその過渡期にあるとみてよい今後ナノテクノロジー

がITエネルギー環境ライフサイエンスといった様々

な技術分野の基盤技術としてその実用化に貢献していく

現在はちょうどその転換点にあるそのプロセスを確実

に進めていくには中長期的な一貫した科学技術政策に

よりナノテクノロジーの基礎的な研究開発を継続的に

推し進めていくことが肝要である

図 4

そして10 年に及ぶ科学技術政策に基づいたナノテク

ノロジーの戦略的研究開発投資の成果を応用実用化

へ確実につなげていくために取り組まなければならない

もっとも重要な課題が包括的で実態のあるナノテクノ

ロジーのパブリックエンゲージメントの活動である昨

今ナノテクノロジーの研究開発と並行して社会受容

パブリックエンゲージメントの活動の重要性が指摘され

るようになってきたしかしこの課題に関する解釈は

依然としてまとまりを欠いているだけでなく「こういっ

た課題への取り組みが大事である」といったことが最後

の部分に申しわけ程度に記述されている例も多々見受け

られる取り組んでいるという既成事実のために実体の

伴わないパブリックエンゲージメントの活動が進められ

ると将来的にナノテクノロジーへの信頼も失墜しかね

ない多様な課題を含む社会受容パブリックエンゲー

ジメントの活動には包括的な視点で具体的実践的に取

り組んでいく必要がある

ReferenceRoco M C amp Bainbridge W S 2001 ldquoSocietal

Implications of Nanoscience and Nanotechnologyrdquo

Kluwer Academic Publishers

Berube M B amp Roco M C(FRW) 2005 ldquoNano-Hype

The truth behind the nanotechnology buzzrdquo Prometheus

Books

イノベーションのハイプサイクル

「Mastering the Hype Cycle」J Fenn M Raskino

Harvard Business Press 2008

M Raskino J Fenn IT Management(ITM) ITM-09-

37 Research Note 2010 年 2 月 9 日

23

PEN N

ovember

【CO2 排出量】世 界 的 な 金 融 危 機 に も か か わ ら ず2009 年 の 化 石 燃料 由 来 の 二 酸 化 炭 素 排 出 量 の 減 少 は 小 幅 に と ど ま る

(20101122)国立環境研究所(国環研)

国環研はグローバルカーボンプロジェクト (GCP) が 11

月 22 日の Nature Geoscience 誌の電子版に調査結果を発

表すると速報したその内容は世界金融危機の経済的

影響にも関わらず2009 年における世界の化石燃料由来

の二酸化炭素排出削減量が予測値である 28を下回り

前年比 13にとどまったことで同じく GDP の減少も予

測値を下回っている

httpwwwniesgojpwhatsnew20102010112220101122html

【量子コンピューティング】量子コンピュータ実現への障壁を緩和する誤り耐性方式を開発 (20101124)日本電信電話(株)京都大学

量子コンピュータに必須な量子ゲートは確実に正しい演

算をすることはなくある程度の誤り確率をもつため量

子コンピュータを実現するためには演算の誤り訂正を行

う技術の実現が必須となる演算の誤り訂正を行うために

はある程度誤り確率の低い量子ゲートが必要であると考

えられてきたが今回共同研究チームは誤り確率が非常

に高い量子ゲートを用いても量子計算が可能となる誤り耐

性のある量子計算方式を世界で初めて示した

httpwwwnttcojpnews20101011101124ahtml

【光電変換】ナノギャップ光アンテナにより高効率化した有機超薄膜による光電変換 

(20101122)物質材料研究機構北海道大学

NIMS と北大の共同研究チームは有機超薄膜型の光電変

換分子素子において光吸収電子伝達といった必要な機

能をもつ部品を連結した分子から成る単分子超薄膜を原

子レベルで表面制御した平滑な金電極面と金ナノ粒子で挟

み込むことによってナノギャップ型の光アンテナを導入

することに成功したその結果光アンテナ 1 つあたりで

光誘起電子移動反応が約 50 倍の効率に高まることを実

証した

httpwwwnimsgojpnewspress201011p201011220html

【EV】シンガポール政府と電気自動車の普及に関する覚書を締結

(201011 19)三菱自動車(株)

MMC はシンガポール政府と電気自動車(EV)普及のため

の活動に協力する内容の協定を締結したことを発表した

今回の活動はシンガポールの経済開発庁が中心となり

同国のエネルギー市場監督庁陸上交通庁との間で EV タ

スクフォースを組成し同国の EV 普及を目的としたユー

ザー向け補助金制度や充電インフラ整備などの検証を行う

ものこの活動の中でMMC は CCA を通じ 2011 年より

順次『i-MiEV(アイミーブ)』25 台を供給し実証走行

試験に協力していくhttpwwwmitsubishi-motorscompublishpressrelease_jp

corporate2010newsdetail4407html

【リチウム二次電池】リチウム二次電池の量産化実証工場が竣工 年間生産能力6 万 6000kWh (201011 18)三菱重工業(株)

リチウム二次電池事業への本格参入に向け長崎造船所内

に建設していた同電池の量産化実証工場が17 日竣工し

た年間生産能力は 6 万 6000kWh中型電池換算で約

40 万個に相当する今後各種実証技術に取り組み早期

の本格的な商業量産につなげていくとしている

プレスリリースより

CUTTING-EDGE TECHNOLOGIES

24

PEN

Nov

embe

r httpwwwmhicojpnewsstory1011184999html

【基礎科学物質の起源】動きがのろい冷反水素原子を 38 個も磁気瓶に閉じ込める物質と反物質の違いを知る手がかりとなる冷反物質研究が新段階に (201011 18)物質材料研究機構(NIMS)

NIMS は欧州原子核研究所(CERN)の国際共同研究グルー

プに参加し反物質の代表格である反水素原子を独自に

開発した八重極磁気瓶の中に 38 個も閉じ込めることに世

界で初めて成功した反水素原子の原材料である反陽子(陽

子の反粒子)と陽電子(電子の反粒子)を八重極磁場コ

イルとミラーコイルを組み合わせた磁気瓶の中に蓄積し

そっと混ぜ合わせて冷たい反水素原子を大量に生成した

反水素原子は電気的に中性の小さな磁石なので反水素原

子ができあがったころ(約 1 秒後)を見計らって電圧を

加え残存している反陽子と陽電子をことごとく排除した

その後磁気瓶の磁場を瞬時にゼロにすると磁気瓶内に

とどまっていた反水素原子は装置の壁に当たって消滅し

パイ中間子などのさまざまな粒子を放出するこれらの粒

子を磁気瓶を包む 3 枚の検出器で観測した結果捕捉し

ていた反水素原子を 38 個も確認することができた後述

するように同内容は理化学研究所からもリリースされたhttpwwwrikenjpr-worldinforeleasepress2010101118

indexhtml

【超伝導】ピセンのカリウムドープに伴う電子構造変化の直接観測 

(201011 17)岡山大学

岡山大学の研究グループはピセンおよびカリウムドープ

ピセンの電子構造を実験的に観測する事に世界で初めて成

功したカリウムドープピセンは芳香族炭化水素における

初めての超電導体であるがカリウムドープピセンの超電

導メカニズムまた超電導を誘起する電子構造は解明され

ていない研究グループは光電子分光法を用いピセンのカ

リウムドープに伴う電子構造変化を直接的に観測した結

果ピセンのカリウムドープに伴う電子構造変化を観測

芳香族炭化水素超電導体の超電導メカニズム解明および新

規超電導体探索の指針になると期待されるhttpwwwokayama-unetrenkeidocumentpdfpressrelease

press-101117pdf

【慣性力発電】慣性力(振動)発電技術を商品化 国内最大手エース社のバッグに慣性力発電ユニットを搭載 (201011 17)伊藤忠商事(株)

米国 CIIIS 社の持つ慣性力発電(振動発電)技術を用いて

人体の運動による振動で発電する慣性力発電ユニットを開

発した国内鞄最大手のエース株式会社がこの慣性力発

電ユニットを搭載したバッグの販売を行う

httpwwwitochucojpjanews2010101117html

【生物多様性】多様性進化の背景に『甲状腺機能低下』 (201011 16)東北大学

生物多様性の喪失は現在急速に進んでおり多様性の進化

維持機構を解明することは世界的な課題である生物多様

性の創出は多くの場合新規環境に生き物が侵出すること

によって始まるが生物が新規環境へどのように適応して

行くのかその過程については多くが未解明である東北

大学の研究チームはこのたび新規環境への適応に甲状腺

ホルモンの進化が重要であることを発見したhttpwwwtohokuacjpjapanesenewimgpressimgtohokuuniv-

press_20101116pdf

【ナノ物性】ナノスケールの鉄磁石を電界でコントロール

(201011 01)千葉大学

磁石の N と S 極は磁界を用いることでコントロールでき

るが千葉大学の研究チームはナノスケールの鉄の磁石の

極性をエネルギーの要らない電界でコントロールできるこ

とを見出したhttpwwwchiba-uacjppublicitypresspdf201020101102nano

pdf

【SOFC 関連材料技術】 画期的な電解質材料の開発に成功 固体酸化物燃料電池の商用化に一歩前進 (201011 18 )物質材料研究機構(NIMS)

NIMS の研究グループは電解質材料に必要とされる三つ

の要件イオン伝導性化学的安定性焼結性のすべてを

高いレベルで満足する2種類の材料を開発することに成功

したひとつは10 のプラセオジムを含むイットリウム

添加ジルコン酸バリウム(BZPY)でもうひとつは酸

化ニッケル (NiO) とイットリウム添加ジルコン酸バリウム

25

PEN N

ovember

(BZY) の混合粉末を固めた基板上にプレス成形された BZI

であるhttpwwwnimsgojpnewspress201011201011180

p201011180pdf

【レアアース】微生物でレアアースの回収が可能に バクテリアがレアアースを濃縮する現象を発見 (201011 17)広島大学高エネルギー加速器研究機構高輝度光科学研

究センター

共同研究グループは微生物の細胞表面では微生物が存在

しない周囲部分に比べてレアアースを高濃度に濃縮する現

象を見出したまたレアアースの中でも特に希少価値の高

い元素が選択的に濃縮することを発見その濃縮メカニズ

ムを放射光を用いたX線吸収法により明らかにした

httpwwwkekjpjanewspress2010RareEarthElementshtml

【はやぶさ】はやぶさカプセル内の微粒子の起源が判明(201011 17)宇宙航空研究開発機構

「はやぶさ」のサンプルキャッチャー室から特殊形状のヘ

ラで採集された微粒子を走査型電子顕微鏡にて観察および

分析した結果1500 個程度の微粒子を岩石質と同定した

更にその分析結果を検討したところそのほぼ全てが地

球外物質であり小惑星イトカワ由来であると判断するに

至った

httpwwwjaxajppress20101120101117_sac_hayabusapdf

【超伝導基礎科学】超伝導のメカニズム解明に大きな手がかり ルテニウム酸化物の電子の運動状態を選択的に可視化することに成功 電子対を形成する「のり」の起源を初めて解明

(201011 17)広島大学産総研

1994 年に日本で発見されたルテニウム酸化物超伝導体は

ユニークな超伝導状態を示しこれまで数多くの研究が行

われてきたがいまだにその超伝導のメカニズムは謎のま

まであった超伝導が生じるためには電子と電子を「のり」

で結びつけ「電子対」にする必要がある共同研究グルー

プは放射光の直線偏光特性を活用するため放射光の光

軸のまわりに回転可能な高分解能角度分解光電子分光装置

を開発しルテニウム酸化物超伝導体の超伝導機構解明に

重要な手がかりをつかんだ研究グループが開発した新装

置を用いることによりルテニウム酸化物超伝導体の異な

る運動状態にある電子を選択的に分離しながら精密に分

析することが初めて可能となったその結果物質の電子対

を形成するための「のり」として結晶を作っている原子

の振動が重要な役割を果たしていることその「のり」が

どのくらい強く働いているのか等が明らかとなった httpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101117

pr20101117html

世界最高性能基準光源を開発 安定高精度高速の三拍子そろった光信号の発生に成功 (201011 15) 情報通信研究機構(NICT)国立天文台(NAOJ)

NICT と NAOJ はNICT 独自の高消光比変調技術を利用

し精度を保ったまま周波数範囲を拡大する構成を提案し

たNAOJ の安定度向上技術による制御機能を組み合わせ

ることで世界最高性能の基準信号発生装置を共同開発

し100 ギガヘルツを超える高速信号の長距離伝送を実現

した本装置の方式により従来技術の課題であった安定

性周波数範囲精度の問題を解決した安定性は 2 台の

レーザを用いる従来方式に比べて 10 倍以上を実現し信

号の乱れを 30 万年に 1 秒以下とすることに成功したま

た精度は従来型変調器と比較し 1000 倍以上周波数範

囲は 4 倍を達成したhttpwww2nictgojppubwhatsnewpressh22101115101115

html

【基礎科学レーザ分光】電子の氷を光で融かす一瞬を捉える 光が有機物質を変える瞬間の超高速スナップショット (201011 15)東北大学自然科学研究機構分子科学研究所科学技術振

興機構(JST)

共同研究グループは光の照射によって有機物質の色や

電気伝導度が大きく変化する光誘起相転移現象の最初の瞬

間を捉えることに成功した電場と磁場の振動である光の

振動の3周期分に匹敵する極めて短いパルス光をポンププ

ローブ分光によって二次元有機物質における電荷秩序の

融解のダイナミクスすなわちldquo 電子の氷 rdquo が光によっ

てどのように解け絶縁体から金属へと変化するのかと

いう問題を明らかにしたものこの成果 12 月初めには米

国物理学会誌 Physical Review Letters オンライン版で公開

予定

httpwwwjstgojpprannounce20101117-2indexhtml

【熱電材料】水を使って絶縁体から効率のよい熱電材料を作ることに成

26

PEN

Nov

embe

r 功 希少毒性金属を含まない安価簡便な熱電材料創製に新たな道 (201011 15)科学技術振興機構 (JST)名古屋大学

熱電材料は熱を電気に変換することができることからエ

ンジンの排熱を利用して発電するハイブリッド自動車など

への応用が期待されているが従来の熱電材料はビスマ

スアンチモン鉛テルルといった希少毒性金属など

を含む問題があったJST 課題解決型基礎研究の一環とし

て名古屋大学の研究グループは水の電気分解を利用し

安くてありふれた絶縁体酸化物表面を大きな熱電効果を示

す金属へ変えることに成功した大量に水を含んだ多孔質

ガラスを新規に開発しこの多孔質ガラスを金属チタンと

チタン酸ストロンチウムに挟んで電圧を加えると水の電

気分解によって絶縁体のはずのチタン酸ストロンチウムの

表面に厚さ 3 ナノメートル以下の極めて薄い金属チタン酸

ストロンチウムが生成した通常の金属チタン酸ストロン

チウムに対して 4~5 倍高い電圧を示すことから従来の

熱電材料の約 2 倍の熱電性能が期待できる

httpwwwjstgojpprannounce20101117indexhtml

【基礎科学物質の起源】国際研究チーム反水素原子を瓶の中に閉じこめることに成功(20101118)理化学研究所

8 か国からなる研究チームは欧州合同原子核研究機関

(CERN)の装置を用いて加速器で反陽子と陽電子を作

成し磁場の中に閉じこめたのちに撹拌して反陽子と陽

電子1個ずつを結びつけ反水素原子を生成した反水素

生成後に余った反陽子と陽電子を取り除き反水素原子だ

けを特殊な瓶の中に封じ込めることに成功した計 38 個

の反水素原子が 02 秒間存在したことを確認反物質は

Dan Brown の小説「天使と悪魔」で非常に微量で爆発

を起こす材料として登場するしかし今回の手法では短

時間に消滅してしまい爆弾に使える量をためるのは不可

能だという17 日付の Nature Online 版に掲載

httpwwwrikenjpr-worldinforeleasepress2010101118 

【マックスウェルの悪魔実証】情報をエネルギーに変換することに成功 ldquo マックスウェルの悪魔 rdquo を実験により世界で初めて実現新規ナノデバイスの実現に期待 (201011 15)中央大学東京大学

微細加工技術とサブミクロンスケールのリアルタイム制御

システムを組み合わせ「マックスウェルの悪魔」と呼ば

れる科学史上の重要な概念を世界で初めて実験により実現

した これによって情報をエネルギーに変換できるこ

とを初めて示すとともに情報を媒介して駆動する新規ナ

ノデバイスの実現の可能性を示した マックスウェルの

悪魔は熱力学の根本に関わる概念でありこれを実現でき

た学問的意義は大きいまた科学者以外にもよく知られ

たテーマであり多くの人が興味を持つ話題でもある情

報を媒介して駆動する新規のナノデバイスを実現できる可

能性があり基礎的研究にとどまらずナノサイエンスで

の新しい制御法への応用が期待できるこの成果は 11 月

14 日に Nature Physics Online に公開された

Toyabe Sagawa Ueda Muneyuki and Sano

ldquoExperimental demonstration of information-to-energy

conversion and validation of the generalized Jarzynski

equalityrdquo

httpwwwsu-tokyoacjppresspress-2010-42html

詳細は中央大学 HPhttpwwwchuo-uacjpchuo-unewscontents_jhtmlsuffix=kampmo

de=topamptopics=12513

【基礎科学分子バネ】電子の出し入れで硬さが劇的に変わる分子バネを開発 たった 1 つの電子放出で分子全体の動きやすさが 450 倍も変化 (201011 15)理化学研究所科学技術振興機構(JST)

6 個の炭素原子が環状につながったベンゼン環は有機化

合物において最も基本的な構成ユニットの一つでありベ

ンゼン環をさまざまな形で結合させたものが盛んに研究さ

れてきたしかしベンゼン環を隣り合う炭素の位置で結

合させたオルトフェニレンは単純な構造でありながら合

成が難しいためこれまでほとんど研究がなされておらず

その性質は解明されていなかった理化学研究所の研究グ

ループはベンゼン環 48 個を隣り合った炭素の位置で結

合させたオルトフェニレンを世界で初めて合成したオル

トフェニレンは3 つのベンゼン環が 1 ピッチのらせんを

形成するバネ状の構造をしているがこのようなバネ状の

構造を持った分子はさまざまな機能を発揮するためエ

レクトロニクスや分子機械への応用の可能性が高まってい

る研究グループはこのバネ状分子から電子を 1 つ取

り去るとバネの硬さが劇的に増してらせんの反転速度が

約 450 分の 1 も遅くなることを突き止めたまたこの

1 個の電子の出し入れに応じてバネのピッチが 3263Aring か

ら 3224Aring と変化したこれまで電子が高密度に含まれ

た分子バネは電子を出し入れすることでその振る舞いが

変化することが理論上予想されていたがこのように電子

を多量に含む分子バネの合成は難しく実験的にも証明さ

れていなかった硬さの変化というこれまで実現すること

27

PEN N

ovember

ができなかった応答をする分子バネの登場は応答性分子

の分野に新たなコンセプトをもたらすと注目される本研

究成果はJST 戦略的創造研究推進事業 発展研究 (ERATO-

SORST)「分子プログラミングによる電子ナノ空間の創成

と応用」の一環として行われたものhttpwwwrikenjpr-worldinforeleasepress2010101115

indexhtml

【自己組織化基質選択的会合】分子間の特異的な相互作用による新規材料集積法を開発 分子が好みの分子を見分けて接着 (201011 15)大阪大学科学技術振興機構(JST)

近年分子認識を利用して分子と分子を非共有結合でつな

げることによりさまざまな超分子錯体が合成されさらに

これらを自己集合させる研究が行われているこれらの研

究において形成される集合体は分子の大きさであるナノ

メートルからマイクロメートルの極めて小さなもので高

倍率の顕微鏡を使わなければ見えない分子認識に基づい

て手軽に使えるくらいの大きな自己組織体を作り出すこと

はナノテクノロジー分野において分子を自己組織化さ

せて機能性材料を創製する上で重要な課題であった大阪

大学の研究グループはホスト分子としてシクロデキスト

リンをゲスト分子としてシクロデキストリンが結合する

化合物を用いてそのホスト-ゲスト相互作用を利用して

多様な自己組織化超分子ポリマーの構造体を作りマクロ

スケールで機能を発現させる研究を進めている今回D

NAやタンパク質の分子量決定に広く用いられるアクリル

アミドゲルを土台にしてこのゲルにシクロデキストリン

とゲスト分子をそれぞれ別々に導入し「ホストゲル」と

「ゲストゲル」を合成したこの両者を水中で振動させる

とゲルが接着する挙動が観察されミリメートルからセン

チメートルの大きさの物体を分子認識により自己集積でき

ることを世界で初めて実証したさらにシクロデキストリ

ンとゲスト分子との相互作用の強さの違いによって選択的

に特定のゲル同士を接着させることができることがわかっ

httpwwwjstgojpprannounce20101115indexhtml

【ブタノール分離膜】バイオブタノールの省エネルギー型膜分離精製技術を開発1 wt ブタノール水溶液から80 wt 以上の高濃度ブタノールの回収が可能 (201011 15)産総研

産総研は1 wt 程度の希薄なブタノール水溶液からゼ

オライト系分離膜を用いて 80 wt 以上に濃縮したブタ

ノールを回収できる省エネルギー型のバイオブタノール精

製技術を開発した ブタノールはエタノールと比較して

発熱量が大きいことから地球温暖化対策に貢献できる再

生可能なバイオ液体燃料すなわちポストバイオエタノー

ルとして期待されている今回合成条件の最適化を進め

高いアルコール選択透過性をもつシリカライト分離膜を合

成し膜分離法によって低濃度ブタノール水溶液から高

濃度ブタノールの回収が可能となった従来の分離膜を用

いた場合に比べてブタノール回収のためのエネルギーを

50 ~ 70 程度低減できることが期待される httpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101113

pr20101113html

【分子生物学】 化学合成したペプチドからウイルスの殻構造を組み上げることに成功 新規ナノ材料や医療材料としての応用に期待 (201011 12) 九州大学北九州市立大学

共同研究グループは化学合成したペプチドから約 40 ナ

ノメートルのウイルスの殻構造を組み上げることに世界で

初めて成功した球状の植物ウイルスから遺伝子を除いた

キャプシド構造と呼ばれる殻構造は決まった大きさのナ

ノ空間であることからナノ物質の反応器や運び手として

利用する研究が国内外で盛んに行われているしかしこ

れまでウイルスのキャプシド構造を得るにはウイルス

の遺伝子をバクテリア内に導入して生産させる必要があっ

た本研究では遺伝子やバクテリアを用いない完全化学

合成によってウイルスキャプシドを構築することに成功

した今回ウイルスの殻構造を簡単なペプチドから構築

できたことで様々な機能性ウイルスキャプシドを人工的

に創成する道が拓けたと言えるこのペプチドからなるナ

ノカプセルに適切な化学修飾を施すことによりナノ物質

合成のための反応器や医薬品の運び手人工ワクチンを

創成するための足場材料として応用できるものと期待され

るhttpwwwkyushu-uacjppressrelease20102010-11-12-04pdf

【レアメタル】レアメタル使用量削減技術の実用化を加速(20101110)新エネルギー産業技術総合開発機構 (NEDO)

NEDO はレアアース総合対策の一環として企業が取り

組むレアメタル使用量削減技術の実用化を加速するための

助成事業(事業規模約 100 億円)を 2010 年度補正予算

の成立を前提に行うこの助成事業では短期間で実用化

が期待できる以下の技術開発を対象として①レアメタル

28

PEN

Nov

embe

r を代替する材料の技術開発 ②レアメタルの使用量を削

減する技術開発 ③レアメタルのリサイクルを促進する

技術開発 ④その他のレアメタル消費の削減に資する技

術開発を行うhttpapp3infocnedogojpinformationskoubopressEFnedopre

ss2010-11-068550095069

【導波路型光スイッチ】光スイッチの消費電力を従来の 2 分の 1 に低減 増え続けるネットワーク機器の消費電力問題を解決 (201011 09)( 株 ) 富士通研究所

同社はシリコンフォトニクス技術を適用した導波路型光

スイッチについて世界で初めてシリコンゲルマニウム

(SiGe)細線構造を用いることで従来のシリコン細線構

造に比べて消費電力を約 2 分の 1 に低減することに成

功した幅広い波長に対応して高速に動作できるタイプの

光スイッチ素子としては世界最小の消費電力を実現して

いるhttpprfujitsucomjpnews2010119html

【ナノ構造機能】昆虫が足を擦る秘密をナノテクノロジーで解明 生体模倣による新しい材料機能の開発に活用 (201011 09)物質材料研究機構マックスプランク研究所キール大

共同研究チームは環境問題で循環型社会実現に求められる

「接着と分離」を繰り返せる未来の接合技術の開発研究に

おいてガラスのような平坦な表面を逆さまでも歩行でき

る昆虫の足の裏の優れた接着性に着目し昆虫(ハムシ)

の歩行調査を行いナノテクノロジーを用いた実験により

昆虫が摩擦により汚れを感じていることを突き止めた

httpwwwnimsgojpnewspress201011p201011090html

【超音波流量計半導体プロセス】極微量な流量を精密に測定できる超音波流量計を開発 半導体製造装置の性能を向上させ環境負荷を低減しランニングコストを削減 (201011 09)産総研( 株 ) アツデン東京計装 ( 株 )

3 者は共同で10 mLmin( 誤差plusmn 01 mLmin) 以下の極

微量な流量を精密に測定できる超音波流量計を開発した

この流量計は超音波ガイド波の伝搬に関する基礎理論の

見直しを行い超音波を高周波化し設計を最適化するこ

とにより開発したものでこれまでの超音波流量計では計

測できなかった微小な流速領域での流量測定ができるこ

の超音波流量計は半導体製造装置で利用される薬液の高

精度な制御を可能にし半導体製造装置の高性能化環境

負荷の低減ランニングコスト削減へ貢献すると期待され

る httpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101109

pr20101109html

【研究交流】中国上海における国際交流事業の実施同済大学と大学間学術交流協定を締結 (201011 08)大阪大学

10 月 21 日上海において開催した上海教育研究センター

開所式記念講演会祝賀会には鷲田清一総長をはじめ

とする大阪大学教職員中国の学術交流協定校関係者大

阪大学同窓会会員など約 130 人が列席し盛況の内に終

了した翌 22 日23 日には第 15 回大阪大学上海交

通大学学術交流セミナーが上海交通大学情報ネットワーク

センターを主会場として開催され7つの研究会に約 100

人が参加したさらに 23 日と 24 日の両日上海東亜展

覧館を会場に開催された中国国際教育展に大阪大学のブー

スを出展し100 人を超える留学相談者が本学のブースを

訪れた翌 10 月 22 日鷲田清一総長は上海市内にある

同済大学を訪問裴学長陳副学長ほか大学関係者と懇談

するとともに大学間学術交流協定及び学生交流覚書の調

印式に臨んだこれにより中国の大学との 10 番目の協定

が成立したhttpwwwosaka-uacjpjanewstopics20101120101108_1

httpwwwosaka-uacjpjanewstopics20101120101108_2

【高耐久性セラミック】激しい熱変化にも強度劣化しない窒化ケイ素系セラミックスを開発 窒化ホウ素の微粒子を分散させ耐熱衝撃性を飛躍的に向上 (201011 08)産総研三井金属鉱業(株)

両者は共同で従来品に比べて耐熱衝撃性と高温での強度

を飛躍的に高めた窒化ケイ素系セラミックスを開発した

今回窒化ケイ素(Si3N4)をベースとして高い熱伝導

率をもつ粒界相を形成させるとともにそこに非晶質に近

い窒化ホウ素のナノメートルオーダーの微粒子を分散させ

ることで耐熱衝撃性を飛躍的に向上させた従来の窒化

ケイ素が 1000 の温度差で強度が低下するのに対して

今回の開発材は電気炉で 1400 に加熱した後水中に投

下することを 10 回繰り返してもほとんど強度が劣化しな

かったまたこの開発材について大気中 1200 で高温

29

PEN N

ovember

曲げ試験を行ったところ室温と同程度の強度を保持して

いたセラミックスでは大型化すると小試験片では得られ

た特性が得られず実用化を進める上での課題になること

が多いがこの開発材では焼結条件を最適化することに

よって直径 82 mm 長さ 370 mm の比較的大型の部品で

も試験片と同様の組織物性が得られたまた実際の

製品形状に近い部品の焼成も可能となったhttpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101108

pr20101108html

【ミリ波発信器】ミリ波帯無線通信の実用化にめど 世界最高性能の低雑音局部発振器を開発 (201011 08)東京工業大学

東工大の研究グループは雑音を従来の 100 分の1以下

に低減したミリ波帯局部発振器を開発した20GHz 帯の

発振器と 60GHz 帯の注入同期型直交局部発振器を組み合

わせることにより世界最高の低位相雑音性能を達成した

無線通信の周波数帯ひっ迫を解消する技術として 60GHz

ミリ波帯の利用が注目されているがミリ波帯ではコイル

やコンデンサの損失が大きくなり位相雑音特性が劣化す

るのがネックだった今回はこれを解決したものでミ

リ波無線通信の実用化につながる成果発振器は 65 ナノ

メートルのシリコン CMOS プロセスを利用して試作した

580GHz から 636GHz の周波数範囲で 4 相正弦波出力が

可能でこの発振器により10Gbps(毎秒 100 億ビット)

以上の超高速ミリ波帯無線通信の実現が期待されるh t t p w w w o l d t i t e c h a c j p t o k y o - t e c h - i n - t h e - n e w s j

archives2010111289174400html

【炭素繊維応用】住宅向け外装材「炭素繊維補強サイディング」の本格展開について 優れた強度と耐熱寸法安定性で 15 年の基材保証を実現 (20101105)東レ ACE(株)

東レの子会社東レ ACE は炭素繊維で補強した窯業系サ

イディングを開発し本格販売と市場展開を開始する「炭

素繊維補強サイディング」はセメント質原料に炭素繊維

を添加配合して成型固着させた建物外壁用のセメントボー

ドで従来の窯業系サイディングの優れた防耐火性耐久

性等を維持しつつ更なる強度補強効果や火災高温時の

変形や熱収縮によるひび割れの抑制など耐熱寸法安定性

も向上させることで基材 15 年保証を実現する 本製品

に使用している炭素繊維は軽くて強く優れた高温特性や

耐熱性を有し非常に細い繊維を多く配合できることから

外装材としての強度補強効果も期待できるとしている

httpwwwtoraycojpnewsaffilnr101105html

【光ファイバーナノインプリント】ナノ格子反射防止表面光ファイバー先端に形成ナノ技術で安く製作 (20101105)東北大学

東北大の研究グループは微小な窪みが多数形成された反

射防止構造体を光ファイバーの先端に製作する技術を開発

した光ファイバーは光通信や光分析装置の構成部品とし

て使われており光源受光素子やレンズなどの光部品と

の接続損失を減らすために先端に反射防止膜が形成され

ている従来の反射防止膜は真空装置を使って薄膜を付け

るためコストが問題であった研究グループはナノイン

プリント技術を用いて光ファイバー先端のコア部に 270

ナノメートル間隔で微小な円錐状の窪みを形成し反射損

失を低減することに成功したナノインプリント技術は

基板に塗布したポリマーに原版を押し付けて微細パターン

を転写する技術で高価な露光装置や真空装置が不要なた

めナノ構造を安価に製作することができる今回光ファ

イバー先端にナノ構造を製作するために専用のナノインプ

リント装置を開発した窪みの間隔が光の波長よりも小さ

い場合屈折率が変化し反射波が生じにくくなる反射

率や波長帯域は窪みの形状間隔や高さで決まり従来

の反射防止膜よりも設計の自由度が高いため要求に合わ

せて種々の反射防止表面を製作することが可能 httpwwwtohokuacjpjapanese201011press20101105-2

html

【人工筋肉機能材料】光を運動エネルギーに変える新高分子素材の開発に成功 世界で初めて分子を大面積で 3 次元的に配列させ新機能を実現 (20101105)理化学研究所

光で変形したり電子を流すなどの機能を持った分子を人工

的に規則正しく大面積で集積することができると機能性

材料の性能向上や革新的新機能の発現につながるそのた

め世界中で精力的に開発が行われているがこれまで実現

させた例はなかった理化学研究所の研究グループは光

で構造が変化するアゾベンゼン分子を組み込んだブラシ状

の高分子「ポリマーブラシ」を大面積で 3 次元的に一挙

に配列させる手法の開発に初めて成功したこの規則性の

ある 3 次元集積構造は延伸したテフロンシートにポリ

マーブラシを挟み込みアイロンに似た熱と圧力を加える

といういたって簡単な操作で実現したさらにこのフィ

30

PEN

Nov

embe

r ルムに光を当てるとアゾベンゼン分子の構造変化が一方

向に集約しフィルムが湾曲するという巨視的変形を引き

起こすことを見いだしたすなわちこの新しいフィルム

は光エネルギーを運動エネルギーに変換する機能を持って

おり新たな人工筋肉材料などへの展開が期待されるま

た本技術は有機薄膜太陽電池をはじめとする次世代の機

能材料の開発にも革新をもたらすと期待されるhttpwwwrikenjpr-worldinforeleasepress2010101105

indexhtml

【リチウムイオン電池正極材料】常温プロセスで全固体薄膜リチウムイオン電池の試作に成功 エアロゾルデポジション法による蓄電池製造の新工法開発を本格化 (2010115)産総研

産総研はトヨタ自動車 ( 株 ) と共同で産総研が開発し

たセラミックス材料の常温高速コーティングプロセスであ

るエアロゾルデポジション (AD) 法を用いて酸化物系の

正極材料負極材料固体電解質材料を薄膜積層化して

金属基板上に 3 層構造からなる全固体薄膜リチウム (Li) イ

オン電池を試作蓄電池としての充放電特性を世界で初め

て確認した 従来型の薄膜技術とは異なりAD 法を用い

ると基板の加熱が不要でまた厚膜化も容易であるそ

のため成膜時間が大幅に短縮でき蓄電池の生産性向上

やプロセスコストの大幅な低減が期待される今後は AD

法を用いた本格的な全固体電池の共同開発を進めていく httpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101105

pr20101105html

【記録デバイススピントルク素子】次世代超高密度 HDD に向けたマイクロ波アシスト記録の基本技術を開発 磁気ヘッドに搭載可能なスピントルク素子を用いた磁気情報の書き換えを確認 (2010115)新エネルギー産業技術総合開発機構(NEDO)(株)日

立製作所

NEDO はハードディスク装置(HDD)の開発製造会社で

ある日立グローバルストレージテクノロジーズの協力を得

て従来の磁気記録方式の限界を超えHDD の記録密度

を飛躍的に伸ばす方式として期待されているマイクロ波ア

シスト磁気記録方式の基本技術を開発しその原理を実験

的に確認したマイクロ波アシスト記録では記録媒体の

小領域にマイクロ波帯の高周波磁界を加え磁気情報の書

き込みを容易にする今回開発したのはヘッドに搭載可

能な高周波磁界を発生するスピントルク発振素子でこの

素子を用いて記録媒体上に磁気情報を記録できることを実

験的に確認したこれまで外部のマイクロ波発生装置を

用いたマイクロ波アシスト効果の報告例はあったが今回

微細な発振素子を用いた磁気情報の記録を確認できたこと

により将来この素子を記録ヘッドに搭載しマイクロ波

アシスト記録を実用的に行える可能性が示されたhttpapp3infocnedogojpinformationskoubopressEFnedopre

ss2010-11-029718160145

【基礎科学物性】絶縁体が金属に変わる新原理の解明 超伝導素子や熱電変換素子の開発へ道(20101104)東北大学

東北大学原子分子材料科学高等研究機構の研究グループ

は高品質酸化物薄膜において電気が流れにくい絶縁体

状態から流れやすい金属状態への遷移機構を解明した材

料における電気の流れやすさは電気を流す担い手である

伝導キャリアが物質中にどれだけ含まれるか伝導キャリ

アがどれくらいスムーズに動きまわれるかによって決ま

るつまり伝導キャリアの濃度を増やしたり材料中で

伝導キャリアの動きを妨げる原因になるひずみや欠陥を少

なくすると電気はより流れやすくなる本研究では人

工宝石として知られるチタン酸ストロンチウム (SrTiO3)

の絶縁体を用い伝導電子を生み出すキャリア供給層を

SrTiO3 絶縁体間に挟み込んだ絶縁体層 キャリア供給層

絶縁体層の層状界面構造をもつ高品質超格子構造を作製す

ることで絶縁体層の体積を増加させると反対に電気が流

れやすい金属状態になる現象を発見した最新の電子顕微

鏡技術を用いた原子構造解析と電子状態の理論計算を駆使

して絶縁体を増加させると界面で結晶のひずみが少なく

なり高導電化することを解明した本研究が明らかにした

界面での結晶のひずみを制御することによって絶縁体を金

属状態へ変化できる現象は様々な材料でも普遍的に起こる

と考えられ絶縁体から金属へ変わる境目で性能が向上す

る新超伝導体や新熱電材料の開発に展開することが可能と

期待されるhttpwwwtohokuacjpjapanesenewimgpressimgtohokuuniv-

presspdf

【環状高分子】様々な環状高分子の自在な合成に成功 「かたち」に基づく機能開発に期待(2010112)東京工業大学

東工大の研究グループはこれまで困難とされてきた

種々の含環状高分子の選択的な合成に成功した同研究

グループで開発された単環状高分子合成プロセスである

31

PEN N

ovember

Electrostatic Self-Assembly and Covalent Fixation Process

と有機合成化学の新手法であるクリックケミストリー

を組み合わせることで様々な「かたち」の自在な構築

を達成した本手法の開発により近年注目を集めてい

る「かたち」に基づいた高分子物性の探索を加速させる

ものと期待されるhttp wwwo ld t i t e ch ac j p tokyo - t ech - in - the -news j

archives2010111288656000html

【異分野連携オープンイノベーションモデル】応用脳科学コンソーシアム 脳科学及びその周辺領域の学術知見を活用したオープンイノベーションモデルの研究活動を開始 異業種の民間企業と異分野の脳科学研究者が連携し事業性の高い研究テーマを推進 (2010111)アサヒビール(株)(株)NTT データ積水ハウス(株)

(株)竹中工務店帝人(株)凸版印刷(株)日産自動

車(株)(株)博報堂(株)NTT データ経営研究所

NTT データ経営研究所が日本神経科学学会の協力を得て

2010 年 10 月 1 日に創設した「応用脳科学コンソーシア

ム」においてそれぞれの事業活動に関連する独創性の

高い研究テーマについて複数の「応用脳科学 RampD 研究会」

を立ち上げるRampD 研究会では各 RampD 研究会を設置

した特別会員企業が各テーマに関連の深い脳科学及び

その関連領域の研究者を招聘し異業種である他の会員

企業とともに最新の研究知見を活用してオープンイノ

ベーションモデルの研究活動を実施する各社が設置す

る RampD 研究会は現時点で(1)おいしさの総合評価研究

会(アサヒビール)(2)ヘルスケア脳情報クラウド研究

会(NTT データ)(3)インタラクティブ住環境研究会(積

水ハウス株式会社)(4)コミュニケーション空間研究

会(竹中工務店)(5)メディアエンゲージメント研究

会(博報堂)この他の RampD 研究会については今後随

時応用脳科学コンソーシアムのウェブサイト httpwww

keieikencojpcan で公開予定

httpwwwnttdatacojprelease2010110101html

【レーザ技術基礎光物性】熱を加えずに結晶を柔らかくすることに成功 高強度テラヘルツ電磁パルスで分子ネットワーク操作が可能に 

(2010111)京都大学科学技術振興機構(JST)

京都大学はテラヘルツ電磁パルスと呼ばれる新しい光

を物質に照射することで1兆分の1秒の短い時間で結

晶中の分子を大振幅で揺さぶり熱平衡状態では実現で

きないような分子変位を実現することに世界で初めて成

功した実験結果は結晶が実効的にやわらかくなったこ

とを意味するものでさらに強いテラヘルツ電磁パルス

によって高効率で結晶を融解させることを示唆するこ

れは熱による反応を起こすことなく新しい分子間のネッ

トワークやたんぱく質などの巨大分子の立体配位を操作

できることを示しており化学合成における反応促進や

創薬における有機分子結晶の精製での活用が考えられる

今回の成果は JST 戦略的創造研究推進事業日本学術振

興会学術創成プロジェクト「動的相スイッチ機構を内在

する有機電子材料の開拓と非平衡物性科学への展開」お

よび京都大学グローバル COE プログラム「普遍性と創発

性から紡ぐ次世代物理学」によるものhttpwwwjstgojpprannounce20101101indexhtml

【高周波デバイス】透 明 な 高 周 波 デ バ イ ス 見 え な い ア ン テ ナ へ の 道

(20101028)物質材料研究機構太陽誘電(株)

両者は共同で透明な高周波デバイスを製造するための

基本技術である微細な金属配線と酸化物透明導電体から

なるハイブリッド構造を開発した本技術は不透明で

あるが高い伝導性を示す金属と透明ではあるが金属の

100 分の 1 程度の伝導率にとどまる酸化物透明導電体と

を組合せ両者の特性を相補的に活用することにより

透明でありかつ携帯電話をはじめとする無線デジタ

ル通信に用いられるギガヘルツ帯の高周波に対して高い

伝送特性を示す素子構造を実現した

httpwwwnimsgojpnewspress201010p201010280html

【エコ製品環境経営】COP10 に向けた環境配慮型製品技術の取り組み ポリ乳酸繊維 ldquo エコディア rdquo 使用商品の提供や連携事業「メッセナゴヤ 2010」への出展を通じ環境保全の取り組みを強化 (20101028)東レ ( 株 )

同社は10 月 11 日 ( 月 ) から 29 日 ( 金 ) に開催された

生物多様性条約第 10 回締約国会議 (COP10) に向けて

ポリ乳酸繊維 ldquo エコディア rdquo 使用商品の提供などを通じて

環境に配慮した運営に協力したまたCOP10 の連携事

業である環境エネルギーをテーマとした展示会「メッ

セナゴヤ 2010」に出展し環境に配慮した次世代自動車

や最先端航空機向けの先端材料を紹介した

httpwwwtoraycojpnewsfibernr101028html

32

PEN

Nov

embe

r

NEWS POD 著作権の関係で記事のタイトルと詳細内容は標記できませんので簡略に表示しています詳しい内容に関しては各新聞及び雑誌をご覧ください

ナノテクノロジー

研究開発最前線

20101122 日 刊 工 業 新 聞 News

ウェーブ 21

X 線レーザー

20101121 東京読売新聞

新潟ナノテク研究会

20101120 日本経済新聞

ナノテクとバイオ

20101120 下野新聞

バイオ起業

20101119 朝日新聞

ナノ粒子の構造制御

20101119 日刊工業新聞

水素原子観察

20101119 科学新聞

光ファイバー関連技術

20101119 科学新聞

希少金属対策

20101118 日刊工業新聞

熱電材料

20101117 日経速報ニュース

化学合成でナノ構造

20101117 日経産業新聞

つくばナノテク研究拠点への投資

20101117 日刊工業新聞

分子バネ

20101116 日経速報ニュース

ナノバイオ融合

20101116 日経産業新聞

フレンドオブアースのナノテク評

20101116 エコロジーエクスプレス

クラスターテクノロジー

20101112 産経新聞

実用化助成

20101111 日刊産業新聞

接着のメカニズム

20101110 日経産業新聞

電子材料

20101110 日経産業新聞

ナノ磁石

20101110 東京新聞

高分解能放射線検出器

20101110 化学工業日報

電池電極材料

20101108 日本経済新聞

食の安全性

20101108 日経エコロジー

ナノ磁石実用化

20101105 朝日新聞

ナノテク接着剤

20101105 日刊工業新聞

水素原子の観察

20101105 日刊工業新聞

補正予算案

20101105 科学新聞

ナノ磁石

20101104 日本経済新聞

ナノボーグ

20101104 日刊工業新聞

ITO 電極代替技術

20101104 鉄鋼新聞

レアアース代替材

20101103 日本経済新聞電子版

セクション

ナノ鉄磁

20101103 毎日新聞

有機トランジスタ

20101101 日 経 速 報 ニ ュ ー ス

アーカイブ

有機トランジスタ

20101101 日経産業新聞

ナノムービー

20101101 日経サイエンス

低燃費タイヤ

20101030 朝日新聞

筑波大生命科学研究拠点

20101030 茨城新聞

レアアース代替材

20101029 日経産業新聞

播磨地域

20101029 化学工業日報

ナノ粒子操作

20101029 科学新聞

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ovember

NEWS POD 著作権の関係で記事のタイトルと詳細内容は標記できませんので簡略に表示しています詳しい内容に関しては各新聞及び雑誌をご覧ください

中国新5カ年計画

20101028 日本経済新聞

高機能消臭素材

20101028 化学工業日報

環境規制等

終わりの科学

20101201 日経サイエンス

電気自動車の覇権

20101123 週刊エコノミスト

環境規制対応

20101122 日経産業新聞

温暖化ガス排出枠

20101122 日経産業新聞

ロス自動車ショー

20101119 日経産業新聞

EV と環境規制

20101119 朝日新聞

EV

20101119 東京新聞

環境と法規制

20101119 化学工業日報

トヨタとテスラ

20101118 読売新聞速報ニュー

CO2 排出量削減

20101118 日経産業新聞

カリフォルニア州環境規制と EV

20101112 日本経済新聞

環境規制

20101112 日本経済新聞

環境規制

20101112 日経産業新聞

米韓 FTA

20101112 朝日新聞

米韓 FTA

20101112 毎日新聞

顔料

20101112 化学工業日報

レアメタル供給規制

20101111 日本経済新聞

潮冷熱

20101110 日本経済新聞

レアアース生産と環境規制

20101108 ダウジョーンズ中国企

業ニュース

韓米FTA

20101101 中央日報

科学技術政策

競争的資金制度

20101122 日本経済新聞

科学技術関係補正予算案 

20101122 THE DOCTOR

韓国 KIST

20101121 朝鮮日報

科学技術政策

20101119 日本経済新聞電子版

セクション

科学技術政策

20101118 日本経済新聞

科学技術政策

20101118 日経産業新聞

女性研究者

20101117 日経速報ニュース

科学技術予算

20101114 東京読売新聞

トップ1論文

20101112 科学新聞

中国特許強国に

20101112 新華社ニュース

関経連と科学技術政策

20101110 産経新聞 

科学技術産業一体政策

20101109 日刊工業新聞

優れた論文の条件

20101105 毎日新聞

「焼け太り許さぬ」

20101102 朝日新聞

国の研究開発投資目標

20101029 日刊工業新聞

科技政策で提言

20101027 日経産業新聞

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embe

r

科学への信頼に関する読者調査

20101201 日経サイエンス

「カップリング反応」アニメ化

20101110 朝日新聞東京読売

新聞他

科学と社会つなぐ人材

20101025 東京新聞

NEWS POD 

情報誌 PEN 購読のご案内PEN の継続的な購読をご希望の方は下記のメールアドレスまでお名前ご所属メールアドレスをご記入の上ご連絡ください登録配信は無料ですnano-penmaistgojp

PEN は原則月 1 回配信しますバックナンバーと PEN の前身【AIST-TOKYO ナノテク情報】をナノシステム研究部門ホームページにて公開しています httpunitaistgojpnrinano-planindexhtml

PEN は皆さまとの情報共有を目的としていますお持ちの情報で共有すべきものがあれば nano-penmaistgojp までお寄せ下さい

いただいた個人情報は産総研 個人情報保護方針(プライバシーポリシー)に基づき大切に管理し情報誌 PEN の運営と私達のイベントのご案内のみに使用させていただきます

科学技術コミュニケーション

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イベント案内

[産学連携研究開発]大阪大学ナノ理工学人材育成産学コンソーシアム 第 3 回ナノ理工学情報交流会場所大阪大学中之島センター 7 階 講義室 3(講師来訪)

   大阪大学東京オフィスサテライト教室

(遠隔講義配信)

   四日市商工会議所内サテライト教室

(遠隔講義配信)については調整中です

コンソーシアム HP にてご確認ください

   ナノテク社会人教育プログラムの開講をされてい

る場合遠隔講義配信に対応可能です事務局まで

ご連絡ください

日時2010 年 12 月 10 日(金)1330 ~ 1900 頃

主催大阪大学ナノ理工学人材育成産学コンソーシアム 

概要ナノ理工学人材育成産学コンソーシアムでは活動

の一環として産学連携のきっかけを提供すべく企業と

大学の双方からテーマに即した研究開発やトピックを紹介

し会員同士の意見交換と情報共有の促進をはかっていま

す第 3 回目となる今回は「光を用いたナノテクノロジー

の新展開」をテーマに開催しますプログラムなどの詳細

は下記の HP をご参照下さい

参加費コンソーシアム会員学生及び大阪大学教職員は

無料(コンソーシアム企業会員の場合社内から何名でも

無料で参加が可能です)

上記以外の方は資料作成費 1000 円が必要になります

参加登録氏名所属連絡先懇談会への出欠を記載の

上メールにて大阪大学ナノ理工学人材育成産学コンソー

シアム事務局(nano-consnanoscienceorjp)へお申込み

下さい

httpwwwnanoscienceorjp

[コミュニケーション]科学コミュニケーション研究会 第 1 回関西支部勉強会日時2010 年 12 月 2 日 1800 ~ 2000

場所京都大学 吉田泉殿

主催科学コミュニケーション研究会 関西支部有志

概要大阪教育大学科学教育センターの中矢史雄氏を講師

に招きオーストラリアの科学技術コミュニケーションに

ついてオーストラリア国立大学科学意識向上センター

での経験なども交えてお話いただきます定員は 25 名で

す事前申し込みが必要です

httpbitlybPmTP9

[展示会]セミコンジャパン 2010日時12 月 1 日~ 3 日

場所幕張メッセ

主催SEMI

概要国内外の最新のマイクロエレクトロニクス技術に関

する情報を入手することのできる世界最大の半導体製造装

置材料展です

httpwwwsemiconjapanorgjaindexhtm

[知財]アジア特許庁シンポジウム日時2010 年 12 月 3 日(金)930 ~ 1210

場所ホテル日航奈良 飛天の間

主催特許庁

概要日本中国韓国インドネシアマレーシアシ

ンガポールの特許庁幹部を招き各国の知財保護強化の取

組みやアジアにおける知財協力を紹介しますまたパ

ネルディスカッションを設けアジアにおける人材育成協

力の方向性について議論します

httpwwwintergroupjp~convasia

[人材育成]応用物理学会 人財育成シンポジウム -日本の危機を科学が救うそのためのリーダー育成を考える-日時2010 年 11 月 29 日(月)1000 ~ 1710

場所東京工業大学デジタル多目的ホール

主催応用物理学会

概要急速に進むグローバル化に対応のできる人材を育成

するための課題や応用物理学会が貢献することのできる

具体的な取り組みについて議論します

イベント案内へ掲載を希望される方は nano-penmaistgojp までご一報ください

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PEN

Nov

embe

r h t t p w w w j s a p o r j p a c t i v i t i e s e d u c a t i o n

symppt2010symphtml 

[コミュニケーション]科学技術とメディアのより良い関係に向けて日時11 月 26 日 1815 ~ 2030

場所早稲田大学大隈小講堂

主催サイエンスメディアセンター(SMC)

概要英国オーストラリアのサイエンスメディアセ

ンターの関係者米国のサイエンスコミュニケータを交え

て研究者とメディアの有益な関係性構築に向けた取り組

みについて議論します参加費は無料同時通訳がつきま

httpsmc-japanorgp=403 

[異分野連携]医学領域と工学領域連携研究シンポジウム ‐ 未来を拓く医工連携 ‐日時2010 年 11 月 27 日(土)

場所山口大学医学部第 3 講義室

主催日本学術会議中国四国地区会議山口大学

概要がんの個別化医療をメインテーマにこれからの医

工連携のあり方について講演と議論を行います

httpwwwscjgojpjaeventpdf100-t-3pdf 

[人材育成]マイクロナノエンジニアリング シンポジウム ‐ イノベーションと人材育成 ‐日時2010 年 12 月 8 日(水)1300 ~ 1700

場所日本学術会議 講堂

主催日本学術会議 マイクロナノエンジニアリング分

科会日本機械学会 マイクロナノ工学専門会議

概要学際的分野であるマイクロナノエンジニアリング

は大学大学院における教育の整備関連する産業界

学術界での研究開発における分野融合的な取組みが不可欠

です本シンポジウムでは人材育成を軸とした課題につ

いて議論します

httpwwwscjgojpjaeventpdf100-s-3-1pdf

[ 博物館展示 ]自然に学ぶ ネイチャーテクノロジーとライフスタイル展開催中です

場所国立科学博物館 (東京上野公園)

日時2010 年 10 月 26 日~ 2010 年 2 月 11 日

主催東北大学大学院環境科学研究科国立科学博物館

特定非営利活動法人ものづくり生命文明機構

概要蝶や鳥など生き物や自然の仕組みにヒントを得た環

境負荷の低い技術と将来的な応用の可能性から日本文化

に根差した共生型の新しいライフスタイルのあり方につい

て紹介します国立科学博物館の入館料600円が必要です

httpwwwkahakugojpevent201010natureindex

html

[人材育成]シンポジウム「世界を魅せる日本の課題解決型基礎研究~JST 目利き制度とその可能性」日時2010 年 12 月 6 日(月)1000-1800 (0900 受

付開始)

場所東京国際フォーラム B5 ホール

主催(独)科学技術振興機構(JST)

概要JST がこれまでに行ってきた戦略的創造研究推進

事業の成果を振り返りつつ今後の日本の科学技術の発

展に向けた事業のあり方について参加者の皆様と議論しま

httpwwwsenryaku30jstgojp 

[ 持続可能性 ]学術会議シンポジウム「低炭素化に向けた経済社会エネルギーのあり方と実現のシナリオ」日時2010 年 12 月 9 日(木)1330 ~ 1700

場所学術会議講堂

主催土木工学建築学委員会低炭素建築都市分科会

社会資本分科会

概要両分科会は中~超長期のエネルギー消費量削減シ

ナリオ策定に取り組んできました本シンポジウムでは

分科会の検討結果や削減のための様々な取り組みを紹介

し今後のとりまとめ作業に向けた議論を行います

httpwwwscjgojpjaeventpdf104-s-3-6pdf 

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PEN 編集室関谷瑞木阿多誠文独立行政法人産業技術総合研究所 ナノシステム研究部門 305-8568 つくば市梅園 1-1-1 産総研つくばセンター中央第 2 M404Email nano-penmaistgojpTel029-861-5185 Fax 029-861-5339

編集後記

今月 8 日に長野県長野市で開催された第 3 回国際ナノ

ワークショップ「ナノテクノロジーの社会受容~ナノ

材料の工業標準化の国際的な動向と環境影響について

~」の会場で多くの企業の皆様と意見交換をする貴

重な機会を得た目まぐるしい勢いで変わってゆく諸

外国の環境規制策の動向に民間企業の皆様が神経を

とがらせておられることがひしひしと感じられた東

京から新幹線で 1 時間半インターネットでリアルタ

イムに世界とつながることのできる時代とはいえ情

報物人が集積する地である東京とは異なる苦労も

あることもお聞きした美しい山々きれいな空気あ

るいは世界に誇る観光遺産と科学技術を結び付けて

地域振興をはかりたいとの頑張っておいでの方にもお

会いした

月刊という制約はあるもののこうした方々にとって

タイムリーで有用な情報を提供し続けたいと改めて

強く感じた

ちなみにPEN を発行しているつくば市の産総研つく

ばセンターへもつくばエクスプレスと路線バスを乗

り継いで都心からは約 1 時間半かかる

2010 年 11 月 25 日

PEN 編集室一同ウナギツカミ

Page 5: Public Engagement with Nano- PEN November …...5 PEN November 【知財】 中国、10年で特許強国に(2010.11.12) 中国国家知識産権局は11日に「全国特許事業発展戦略

5

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【知財】中国10 年で特許強国に(20101112)中国国家知識産権局は 11 日に「全国特許事業発展戦略

(2011-2020)」を発表このなかで 2020 年までに特許強

国になることを目指すとしているこれは 12 日付新華社

通信が伝えたもので中国の特許出願件数はすでに世界の

第 5 位にまで浮上特許審査力も世界のトップレベルにま

で向上してきているまた2008 年から 2009 年にかけて

特許出願件数は 18特許授与件数は 41 もの増加を示

している

【EHS】吸入ナノ粒子の体内挙動(2010117)ベスイスラエルディーコネス医療センターとハーバー

ド大学公衆衛生学科の研究グループはリアルタイムイ

メージング技術を用いて体内でのナノ粒子の挙動を明ら

かにした帯電のない直径 34nm 以下のナノ粒子は曝露

後 30 分以内に肺で観察されたまた 6nm 以下の粒子は

5 分以内で肺までたどり着きその後腎臓へ移動し尿とし

て排出される本研究によって呼吸により体内に入った

ナノ粒子の移動経路が明らかにされたことから今後ド

ラッグデリバリ用の材料開発に弾みがつくことが期待され

る論文は Nature Biotechnology に掲載されたh t t p w w w r s c o r g c h e m i s t r y w o r l d N e w s 2 0 1 0

November07111001asp

httpwwwbidmcorgNewsInResearch2010November

Nanoparticlesaspx 

【管理策】ナノテクノロジー管理に自主的な取組みが果たす役割とは ナノテクノロジー管理策についての新しいレポート

(2010114)ウッドローウィルソン国際学術センターに設けられている

Project on Emerging Nanotechnology は ナ ノ テ ク ノ ロ

ジーの責任ある研究開発における自主的な管理の可能性に

ついて分析したレポートを公表したこのレポートでは

ナノテクノロジーの利用からナノテクノロジー製品にいた

るまでの様々な自主的な管理の取組みを取り上げている

レポートの著者の Daniel Fiorino 氏の専門は環境政策であ

りこれまでに環境を保護するために行われてきた様々な

自主的な取組みについてナノテクノロジー分野でも用い

ることを検討し紹介している過去の事例と現時点まで

にナノテクノロジー分野で行われている様々な取組みを分

類分析し自主的な取組みと規制によらない管理もナ

ノテクノロジーを適切な管理のためには欠かすことのでき

ない重要な仕組みであるとしている

httpwwwnanotechprojectorgnewsarchive8348

【化粧品】適切な日焼止め購入の手引き(1112 月号)現在2 つのタイプの日焼止めが販売されている物理的

に紫外線を防ぐタイプと化学反応によって紫外線を吸収す

るタイプである欧州委員会が公表した調査によると後

者のタイプはサンゴとその生態系に有害な影響を与える

などこのところ環境への有害な影響があると指摘されて

いる環境情報誌 G Online は日焼止めの特集を組みそ

のなかで消費者向けの日焼止購入の手引きとして当面

は皮膚を透過するには大きすぎ白くならない程度には小

さいマイクロサイズの粒子を含む日焼止め使用を勧めてい

httpwwwgmagazinecomaufeatures2320here-comes-sun

【EHS】製 品 ラ イ フ サ イ ク ル に お け る ナ ノ 粒 子 の 環 境 排 出

(2010113)ドイツ連邦環境省は4 種のナノ粒子を対象としてナノテ

クノロジー製品のライフサイクルアセスメント(LCA)を

実施した研究対象とされたのは布巾に使われているナ

ノサイズの銀壁面用ペンキの二酸化チタンタイヤの充

填剤のカーボンブラックディーゼル燃料の添加剤の酸化

セリウムである製品からのナノ物質やナノ構造材料の環

境排出は多様な影響を受けることほとんどがマトリック

スに埋めこまれた状態で起こること等が明らかになった

主要な排出経路は大気と水中であるがたとえば水中に排

出されたナノ粒子の計測には技術的な限界があるなど現

時点ではリスク評価のために一般化できるような結論を

導き出すのは難しいと分析している

httpwwwnanowerkcomnewsnewsid=18808php

Study of nanoparticle emission of selected products during

their life cyclehttpwwwumweltbundesamtdetechnik-verfahren-sicherheit-e

publikationentexte_52_2010_kurzfassung_epdf

【EHS】ナノ材料毒性の現実とは(2010112)Du Pont 社 の 自 主 的 管 理 策 NanoRiskFramework の 作 成

にかかわった David B Warheit 氏はテレビの人気番組

Myth Buster(日本では怪しい伝説のタイトルで放送中)

にならって広く信じられている「ナノ材料を用いた製品

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r の数が増加しているのでナノ粒子が環境中に放出され

て最終的には食物連関のなかに取り込まれる可能性が高

まっている」との単純化した考えについて分析を加えて

いる実際にはナノ材料の環境や健康への影響を明ら

かにするのは容易ではない Warheit 氏は

1ナノ粒子は常にその凝集体より有害である

2サイズと表面特性が常に有害性を判断する指標になる

3すべてのナノサイズの二酸化チタンは同じ毒性プロ

ファイルをもつ

4既存のグッドプラクティスは役立たない

5 ナノ粒子の炎症性評価は in vitro か in silico の試験方法

で評価できるという 5 つのナノ材料毒性にまつわる「伝

説」を取り上げている

Warheit 氏はたとえばサイズではなく表面活性が毒

性を決めると示唆する研究が存在することを指摘し重

要なのはナノ材料の毒性は複雑な要素が絡み合って決ま

るものであり単純なモデルでは明らかにできないこと

を理解することであるとしているまたナノ材料毒性

の研究は非常にゆっくりとした速度でしか進んでいない

そのため研究そのものの数が少なく相互に矛盾する

結果が出されてもいる公表されている試験結果の限界

について理解しておくべきとも述べている

httpwwwnanowerkcomspotlightspotid=18774php

【政策】NNI2011 年度の新規戦略プラン固まる(2010111)米国大統領官邸の科学技術政策室と国家科学技術会議

(NSTC)のナノスケール科学工学技術小委員会は国家

ナノテクノロジー戦略(NNI)の 2011 年度の戦略プラン

の草案を公表しパブリックコメントの募集を開始した

戦略プランは米国のナノテクノロジー研究開発の方向

性を決めるものである重点分野予算配分関係連邦

政府機関のミッションやプログラム等の各項目について

専門家の助言を受けて作成されているパブリックコン

サルテーションは NNI の専用のポータルサイトで 11 月

30 日まで募集しているhttpwwwelectroiq comindexdisplaynanotech-wire-

news1294308577html 

【EHSリスク管理】ナノ粒子と環境(201011)フォトニック工学に関する総合情報サイト Photoniccom

はナノ粒子と環境に関するノースカロライナの Wake

Forest 大学と Duke 大学の共同のレビューを掲載した

環境中に排出されたナノ粒子は様々な生物学的影響をも

たらす可能性があるこのような影響は特定のナノ粒

子の化学組成だけでなく環境中での凝集状態などによっ

ても左右さると考えられているナノ粒子の環境への影

響についての研究は増加しつつある研究の関心は大き

く分けて(1)環境への排出経路と排出時のナノ材料の

状態(2)環境に派出されるナノ材料の毒性(3)環境

中でのナノ材料の挙動と蓄積性(4)最終的なナノ材料

の環境中運命と環境からの回収にある現在細胞レベ

ルでの生体とナノ材料の相互作用などについて少しずつ

明らかになりつつあるしかし自然界ではナノ材料は

多くの場合凝集状態になると考えられるが実際にどの

ような形状になるのかについて確定的なことはまだ不明

であるこのようなことから多くの研究機関や大学で

研究が政府の支援を受けて広く市場で用いられる前に

リスクを見極めるために急ピッチで研究を進めている

httpwwwphotonicscomArticleaspxAID=44805

【管理策】米国のナノテクノロジー管理策について(20101029)化学が社会に与える影響評価を行っている米国の NPO

Chemical Heritage Foundation からナノテクノロジーの

分析に関するレポートと環境保護庁(EPA)の有害物質

規制法(TSCA)の改正に関するレポートが公表された

ライフサイクルに関するレポートはナノテクノロジー

関連の材料の製造から製品の廃棄にいたるまでの各ライ

フサイクルに対応する連邦政府の管理策や規制策を分析

した結果をまとめたものであるTSCA 改正に関してのレ

ポートは3 つの機関が TSCA のナノテクノロジーへの適

用という観点から行った提言を紹介したものhttpwwwelectroiqcomindexdisplaynanotech-article-

display1319373325articlessmall-timesnanotechmems

industry-news2010octobernanotechnology-lifehtml

【EHS農業】植 物 で は 細 胞 へ の ナ ノ 粒 子 の 移 動 は 確 認 で き ず

(20101029)ナノ材料が生物学的に重要な様々な防御機能を潜り抜け

てしまうのではないかと懸念されているナノ材料の

生体内での移動はすでに哺乳類で確認されているスイ

スのチューリヒ工科大学の研究チームは主要な穀物で

あるトウモロコシにおける酸化セリウムナノ粒子の吸収

と移動について分析を行ったトウモロコシを酸化セリ

ウムナノ粒子のエアロゾルおよび懸濁液に暴露したとこ

ろ葉に 50 μ g の吸収がみられたしかしエアロゾル

に暴露させた株に新しく生長した葉に酸化セリウムナノ

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粒子が移動している事実は確認されなかったしたがっ

て植物の防御壁は哺乳類の防御壁よりも強固なのでは

ないかと考えられるhttpiconriceedudetailscfmrid=48442 

httppubsacsorgcennews88i448844news8html

【政策】ECナノ材料の定義について意見を募集(20101025)欧州委員会(EC)はナノ材料の草案段階の定義について

公開しオンラインで意見募集を開始したEC が公開し

た定義では次の 3 項目の条件を満たす材料は全てナノマ

テリアルとみなすという3 項目は①外部構造の 1 次

元以上が 1 nm から 100 nm②内部構造もしくは表面の

1 次元以上が 1 nm から 100 nm③単位体積当りの全表

面積が 60 m2cm3 以上となる物質とされている意見

募集は 11 月 19 日まで行われEC は意見募集の結果を踏

まえて最終的な定義案を作成する現時点で欧州域内に

おいて法的に拘束力のあるナノマテリアルの定義は化

粧品規制(Cosmetics Regulation 12232009)に記され

ている定義のみであるhttpwwwfoodnavigatorcomScience-NutritionEC-calls-for-views-

on-nanomaterial-definition 

【コミュニケーション】米国におけるナノテクノロジー食品応用研究の情報公開は不十分(20101025)米国の生化学者の DM Beck 氏はナノテクノロジーの

食品応用の現状と将来展開について分析し米国の消費

者は欧州たとえば英国の状況に比べて十分な情報や

情報共有の機会を提供されているとは言えない状況にあ

ると批判している情報が不足しているために消費者

の態度が化粧品や医薬品に対するものとは異なっている

と分析しているBeck 氏は研究開発の透明性という部

分で化粧品や医薬品もさして変わらないが消費者の

反応ははるかに慎重なものだと指摘するhttpwwwwibwcomhomeheadlinesControversy_Surrounds_

Nanotech_Food_Experiments_105736283html

【政策】カナダ研究開発支援に大型の予算配分(20101025)カナダのイノベーション基金(CFI)は研究基盤整備を

支援するために 6 億カナダドル(約 492 億円)の予算を

配分する予算配分の内訳は大規模科学イニシアチブ

大学向けの競争的資金最先端基金新イニシアチブ基

金リーダーズオポチュニティ基金となっている全予

算の約 3 分の 1 ずつがそれぞれ大規模科学イニシアチ

ブとリーダーズオポチュニティ基金に配分される

httpwwwinnovationcaennews20101025240

【EHS】ナ ノ テ ク ノ ロ ジ ー 製 品 の 海 洋 生 態 系 へ の 影 響

(20101022)ナノ材料の環境影響についてはまだほとんど研究が進

んでおらず十分なことがわかっているとは言い難い

コネチカット州の New Haven 大学の研究者らは海岸

や桟橋に付着しているぬるぬるしたスライム状のバイオ

フィルムを調べることで様々な日用品を排出源とする

ナノ材料の海洋生態系への影響を明らかにできるかもし

れないとして研究を始めている

httpwwwnanowerkcomnewsnewsid=18632php

【EHS】ナノ医薬品の開発と不確実性(20101021)米 国 で 開 催 さ れ て い た ナ ノ 医 薬 品 American Society

of Nanomedicine の 年 会 で 毒 性 学 の 専 門 家 で あ る

Rochester 大学の Gunter Oberdorster 教授が慎重に言

葉を選びつつナノ医薬品の開発においても新たな分

野の開拓につきものの不確実性に伴う課題に積極的に取

り組むべきだと語った様々なリスクが懸念されている

ものの「新しい材料の正確な知識の入手がもっとも重要

である」と Oberdorster 教授は指摘した現在実施され

ている多くの有害性試験は試験動物へのナノ材料の投

与量が実際的な量とは言えず正確な評価ができないと

も指摘したOberdorster 教授は正確な有害性評価リ

スク評価ひいては有効な医薬品開発のためにさらなる

研究が必要と結んでいるhttpnewhavenindependentorgindexphparchivesentrysafety_

a_concern_for_nanomedicine_tooid_30430

【産業化】現 実 を 見 据 え た ナ ノ テ ク ノ ロ ジ ー 研 究 開 発 の 出 番

(20101020)ナノテクノロジー研究開発は一頃の地に足のつかない

高揚した状況からナノテクノロジーで何が可能なのか

を冷静に分析しつつ実用化のための戦略を定めるべき

状況にあるとの認識へと変化している

10 月 20 日に Industry Week Online にRice 大学主催フ

ラーレン発見 25 周年記念シンポジウムにあわせてこれ

8

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Nov

embe

r までに発表された市場レポートや多くの専門家の意見を

引用しNano-Hype が収まった後のナノテクノロジー研

究の行方についてまとめた記事が掲載された

一部のナノ材料が半導体産業などで利用され始めている

ものの全米科学財団(NSF)が 2000 年に予測したよ

うな 1 兆ドル規模の市場は創出できていないこと結局

NSF の市場予測によって実現したのはナノテクノロジー

への非現実的な期待に火をつけることだけであったと指

摘このような状況の背景には革新的な発展を可能に

する技術の実現に関する課題とこのような開発にかか

る高コストの問題があるとしているさらに環境健康

安全への懸念が研究開発の行方を一層不確かなものと

していると述べている

NSF の予測を大幅に下回るものの2009 年の米国のナノ

テクノロジー関連市場は 120 億ドル規模にまで成長して

いる今後も順調に成長を続ければ2015 年には 260

億ドル程度の市場に成長することが期待できる現在

最も市場化が進んでいるのが高機能材料を作り出して

いる化学品産業であるまた健康関連産業とりわけ患

者にやさしい診断用ツールなどの分野で近い将来大きな

飛躍が見込まれるとしRice 大学が 2010 年 4 月に試験

的なナノスケール腫瘍診断用チップの開発に成功してい

ることを指摘しているhttpwwwindustryweekcomarticlesnanotechnology_beyond_

the_hype_23017aspx

【医薬品】ナ ノ 粒 子 を 利 用 し た が ん 治 療 薬 の 製 品 化 が 活 発 化

(20101015)がんについての研究は進んできているものの1950 年代

以降もがんの治療法に画期的といえるような大きな進歩

はない化学療法は患者にとって相変わらずつらく苦し

いもので治療に用いられる薬は健康な細胞もがん細胞

とともに破壊してしまっているしかしナノ材料を用い

たがん治療薬がこのような状況を早晩改善する希望が出

てきたナノ医薬品は初期のハイプの段階を抜け出して

製品化目指して着実に進んでいる今では50 を超える

企業ががんの治療や診断に用いるためのナノ粒子ベース

の医薬品の開発に取り組んでいるこのうちの 34 社はこ

こ 4 年の間に設立された現在活発に臨床試験が行わ

れているナノ医薬品はより複雑で高機能なものである

httpwwwsciencemagorgcgicontentfull3306002314 

【政策産業化】ドイツバーデンヴュルテンベルク州に新しい最先端クラスター発足(20101015)ドイツのバーデンヴュルテンベルク州に準備中であっ

た最先端マイクロシステム研究クラスター Micro TEC

Suumldwest が公式に活動を始めたMicro TEC Suumldwest では

同州を中心に 350 を超える大学研究機関製造やサー

ビス関連企業が29 のプロジェクトに参加することにな

るドイツ連邦教育研究省が 4000 万ユーロ約 46 億円

の資金援助を行う予定httpwwwmstbwdedemstindexhtml

httpmicrotec-suedwestdecmsfront_contentphpchangelang=2

【産業化】各国で実施したナノテクノロジー研究開発の長期展望に関する調査結果を公表(20101013)世界の最新技術動向を調査している米国の NPO である

World Technology Evaluation Center(WTEC)はナノ

テクノロジー研究開発の長期的展望と研究の方向性につ

いてまとめたレポート「Nano2」を公表した本レポー

トは全米科学財団(NSF)の支援を受けWTEC が世界

各国で実施した調査と 2010 年前半に米国ドイツ日本

シンガポールで実施したワークショップでの議論を基に

して作成されたNSF の Mihail Roco 氏が本調査の責任者

であるレポートではこれまでに指摘されてきた様々

な課題について解決に向けた取り組みの状況がまとめ

られているこれらの既存の課題に加え長期的展望に

たった研究開発のための今後の取り組みの方向性につい

ての専門家の提言が盛り込まれている本レポートは草

案の段階でコメントを募集中である

httpwwwwtecorgnano2

http2020scienceorg20101013nanotechnology-2-0-the-next-

ten-years-of-nano-risk-research 

【政策】オーストラリア工業ナノ材料を化学物質管理の対象へ

(2010105)オ ー ス ト ラ リ ア の National Industrial Notification and

Assessment Scheme (NICNAS)は工業ナノ材料を化学

物質管理のための枠組みを定める「工業化学物質報告

評価法」3 章に定める新規化学物質とし報告義務のある

行政手続きの対象とするとして官報で告知したNICNAS

における工業ナノ材料の定義は「ナノスケールで特別

な物性あるいは構造をもつように製造加工設計された

1nm から 100nm のサイズのナノオブジェクト(12

9

PEN N

ovember

3 の次元のいずれかがナノスケールであること)あるいは

ナノ構造(ナノスケールの内部構造もしくは表面)である」

物質とされているまた本項は既存の化学物質のナ

ノサイズの物質にも適用される輸送のためにオースト

ラリアのいずれかの港空港を通過する場合や年間 100g

以下の研究目的の輸入などが適用を免除される適用の

開始は 2011 年 1 月 1 日であるhttpwwwnicnasgovauPublicationsChemical_Gazette

pdf2010oct_wholepdfpage=14 

【社会的影響】ナノテクノロジーとアフリカ大陸(2010106)これまで様々な科学技術が途上国の抱える様々な課題

を解決すると喧伝されてきたナノテクノロジーについ

ても例外ではないしかしこのような考え方は少々単純

すぎると途上国の専門家は考えている2010 年のはじめ

にコートジボワールで開催されたワークショップでア

フリカ諸国にはリスクを避けるためにナノ材料の使用や

輸入を拒否する権利があるとの主張がなされたこのワー

クショップでアフリカ諸国の専門家はベネフィットだ

けでなく科学技術の進歩がもたらす社会的な影響につ

いても関心を持つべきであると述べている

ナノ材料のような新興の材料を用いた製造工程の急激な

変化に途上国の労働者がついてゆくのは困難であること

など技術的発展が必ずしもベネフィットにつながらな

い可能性も指摘されているまた今後ナノテクノロジー

を活用しようとするアフリカ諸国の前に特許の問題が立

ちふさがる可能性が非常に高いと予想されている

いずれにしろナノテクノロジーがアフリカ諸国の経済

に大きな影響を与えることは必至である重要なことは

アフリカの将来を左右するナノテクノロジー研究開発を

どのような方向に進めるのかの決定に当事者として関

与する道を確保できるのかということである

httppambazukaorgencategoryfeatures67525

【産業化】ユ ニ バ ー サ ル メ モ リ デ バ イ ス で IC 市 場 の 巻 き 返 し

(2010105)ユニバーサルメモリデバイスで高性能の小型モバイル機

器の実現するために各国企業が激しい開発競争を行って

いるナノテクノロジーの科学的経済的側面の解析で

欧州の化学技術政策に大きな影響力をもつ Obsevatory

NANO はユニバーサルメモリデバイス向け技術や実現

に向けた課題そして欧州連合(EU)における開発の現

状について簡潔にまとめたレポートを公表した

一時考えられていたような単一の技術がユニバーサルメ

モリデバイスを実現するとは考え難くナノテクノロジー

はユニバーサルメモリデバイス実現の重要な核とみなさ

れる現在の集積回路の世界市場は米国とアジア圏の企

業に席巻されているがObsevatoryNANO はレポートで

ナノテクノロジーとユニバーサルメモリをベースとする

技術開発によって欧州はその牙城を崩すことができる

と分析しているhttpwwwnanoforumorgnf06~modul~showmore~folder~99999~

scc~news~scid~4152~htmlaction=longviewamp

【EHS】ナノテクノロジーの健康環境安全影響の今後について(2010101)米国マサチューセッツ州立大学ローウェル校(UMass-

Lowell)で 9 月 22 日~ 23 日に開催されたカンファレン

ス Destination Nano における主要なテーマの一つが健康

環境安全影響(EHS)であった米国国立労働衛生研究

所(NIOSH)の Chuck Geraci 氏はNIOSH の最近の EHS

分野における活動を紹介した腫瘍や炎症等の発生など

生体影響とナノ粒子とを関係について明らかにする研究

が注目を集めたナノテクノロジーの研究と製造の現場

におけるより適切な管理方法の探求にも力を入れている

またリスクキャラクタリゼーションも NIOSH の重要な

研究課題のひとつであるNIOSH の研究グループは二酸

化チタンの微粒子について気中濃度 02mgm3 を超え

ると炎症や腫瘍の発生リスクが高まることを突き止めて

いる近くカーボンナノチューブに関するリスクキャラ

クタリゼーションが公表される予定であるノースイー

スタン大学の Jackie Isaacs 氏はスイッチング材料とし

てのカーボンナノチューブ(CNT)の全ライフサイクル

についてリスク分析を行ったIsaacs 氏は米国内の埋

め立て地に蓄積する可能性のある CNT の量についても計

算している

UMass-Lowell と NISOH は今後ナノマテリアルの暴

露評価研究を協力して行い中小規模の製造企業や研究

室における適切な取扱いについてのガイドラインを作成

する予定でいるhttpwwwelectroiqcomindexdisplaynanotech-article-

display6748552362articlessmall-timesnanotechmemstools-

equipmentproduction-equipment2010septemberdestination-

nano_html 

10

PEN

Nov

embe

r 世界の人々は科学にかかわる課題についてどのように考えているのかIn Science We Trust by Scientific American and A Pacific Divide by Nature

Scientific American と Nature が共同で科学に関連する

様々なトピックについて世界各国の読者を対象に意識

調査を行ったその結果の概要が日経サイエンス 12 月号

と Nature9 月号に掲載された

本調査は注意深く対象を選択する通常の意識調査とは

異なり両誌の読者を対象としてオンラインで行われた

ものであり「人々の」という言葉が通常想起するような

幅広い市民を対象としたものではないことをまず最初に

指摘しておきたい調査は 2010 年夏に実施され回答

を寄せたのは約 21000 人でそのうち 19の回答者が

博士号保有者であった日本からの回答者は 1196 件で

あった

全体の傾向としては回答者の多くが科学に信頼を寄せ

ていることが明らかとなったただしトピックごとの

回答ついて詳細にみると各トピックで取り上げている

個別の科学に対する信頼度について回答者の居住地域

によってかなりのばらつきも見られた

地域による回答のばらつきがあまり見られなかった設問

の一つが科学技術に関して誰の発言を信頼するかと

いうものであるこの設問への回答では政治家やジャー

ナリストなどの他の発信源を大きく引き離して科学者

が最も信頼できる発信源とみなされているまた経済

状況が厳しくとも科学予算を削るべきではなく代わり

に国防関連予算を削るべきと考える回答者の割合が多い

直ちに見返りはないとしても科学は将来の社会のため

の投資に値すると多くの人々は考えているようである

一方科学と政治の関わりについては回答者の居住地

域のおかれた政治状況や歴史的な経緯などを反映して

大きなばらつきが見られた例えばドイツでは科学者

に対して政治への積極的な関与を求める回答者の割合

が非常に高いのに対して中国では半数近くの回答者が

科学者は政治から距離を置くべきだと考えている個々

の科学技術に対する考え方にも居住地域による差がか

なり見られる日米欧の比較では遺伝子組み換え作物

や原子力利用に対して欧州における拒否感は日本と米

国に比べかなり高くなっている一方ナノテクノロジー

の利用に関しては米国や欧州に比較して日本ではかな

り多くの回答者が不安に感じているようである

同じ調査の結果について Nature 誌に A global survey of

the scientifically literate public reveals a pacific divide

on key issues in science という速報記事が掲載された

Nature 誌では日本を含むアジア圏と欧米の参加者とで

大きく異なる回答が寄せられた設問について取り上げて

いるそのような設問の一つに進化論に関するものが

ある日本からの回答者のうち進化論では生命の多様

性を説明できないと考える人は 349にも上っており

米国の 129英国の 54 に比べて顕著に高い数値と

なっているこの進化論に対する懐疑的な日本の回答は

普段我々が直観的に感じている日本の科学の理解につ

いての状況とそぐわないその理由として設問の作り

が英語を母語としない回答者に対して誤解と与えた可能

性や京都大学の加藤氏が Nature 誌へのコメントで指

摘するように真摯に考えればどのような科学的知識も

100正しいとは言えないと答えざるを得なかったこと

が考えられる

同じ調査結果について Nature 誌に掲載された速報記事

と日経サイエンス誌の記事を読み比べると全く違う

調査あるいは調査対象であったかのように映るこの違

いはNature 誌が同誌の事前の予想と大きく違ってい

た部分欧米とアジアの差に着目し特にその部分を取

り上げたために生まれたと考えられる

日経サイエンス

h t t p w w w n i k k e i - s c i e n c e c o m p a g e

magazine1012201012_092html 

Nature のニュース速報

http wwwnature comnews2010100922

full467388ahtml 

調査結果

httpgonaturecomeKv3nX 

11

PEN N

ovember

欧州議会 RoHS 改定作業の現状

欧 州 議 会 Committee on Environment Public Health and

Food Safety(ENVI) 委員会が取りまとめた RoHS 指令改定

案の議会本会議での採決は今月 22 日となったようである

ここで採択され理事会で採択されれば 2014 年以降の施

行に向けた動きとなる今月の本誌 PEN の発行は諸般の

事情から 25 日を予定しており23 日には原稿を締め切る

したがって採択の結果は今月号では速報できないと思われ

る重大な採択がされるような事態になれば読者の皆様

には別途速報として情報提供する

これまで特に欧州議会の中での目立った動きは察知できな

いもののENVI 委員会の主要メンバーは附属書 IV の禁

止物質リストにナノ銀を盛り込むことでその全面使用禁止

求める方針を断念したようであるこれは先月号本誌で示

した議長国ベルギーの提案に従ったものと思われるただ

大変気になるのはもう一つのカーボンナノチューブがどの

ようになっているのかがよく見えない点で水面下でどの

ような議論がすすめられているのか気になっていた先

週述べたとおりベルギー案は追加リストそのものの撤廃

を求めておりその他のナノマテリアルを含む物質に対す

るラベル表示義務さらには安全性データの欧州委員会へ

の提出義務も含まれていない今後の展開は最も強く修

正案を主張してきた ENVI ラポーターの Jill Evans 氏らが

ベルギー案にどこまで歩み寄った形で 22 日の投票を迎え

るかにかかっている

これに関連して中小企業ビジネス支援サイト J-Net21 は

18 日「欧州委カーボンナノチューブ RoHS 規制見送り」

とする速報をリリースしたそれによると今回示された

改正案には二つのナノマテリアルの使用が制限されていな

いとのことまた二つのナノマテリアル以外のナノマテリ

アルに求められていた表示義務についてはまだ議論が続い

ているようである [12]

ま た 23 日 に ロ ン ド ン の Nanotechnology Industries

Association からナノテクノロジービジネス推進協議会へ

届いた情報によると欧州議会と理事会は RoHSWEEE 指

令における「ナノマテリアル」の記述について合意に達し

た模様でその内容は産業界にとも歓迎すべき内容になっ

ているとのこと内容の詳細について現時点では把握でき

ていないるものの少しずつではあるが確実に猶予すべき

事態から脱却しつつあるとみてよい

このような状況のなか今月は日本国内においても RoHS

指令改定案に二つのナノマテリアルの全面禁止やその他の

ナノマテリアルの表示義務が盛り込まれている点について

周知が進み様々な論評が行われたので短く整理してお

まず「問題が多いナノ材料への RoHS 規制」と題する社

説を掲載し問題を明らかにしたのが11 月 15 日付化

学工業日報であるその社説の論旨は「欧州では科学的

確実性が明らかでないリスクを事後的に管理するより予

防的対策が費用対効果からも優れているという考えが根強

い」としたうえで今回の改定案を「極端な予防原則の適

用といわざるを得ない」と指摘しているさらに「日本

の産業界に与える影響も無視できないだけに日本政府や

ナノマテリアルに関連した事業を展開する企業業界団体

は積極的に情報発信すべきである」と欧州議会に対して

明確な意思表示をすべきとのメッセージで社説の最後を

締めくくっている

RoHS 指令改正案にナノ材料が追加された事実を解説した

のは11 月 12 日付日刊工業新聞である37 もの化学物

質を禁止物質候補としさらにカーボンナノチューブとナ

ノ銀に規制を設け適用範囲も拡大される改正案の内容を

解説したうえで22 日に迫ってきた改定案の採択がその

まま施行される可能性は低いと予測しているもし改正案

のまま施行された場合今後の研究開発を停滞させる恐れ

があると指摘している実際に日本などの産業界からの反

連載環境規制 第 7 回

アメリカの環境規制オバマ政権以降の展開

12

PEN

Nov

embe

r 発も大きく「本会議の採択を受けて開催される理事会は

調停案を出す」との観測を示している以上のような解説

の締め括りとして「日本の産業界としては代替材料やナ

ノ材料の安全性評価手法の開発など2014 年の施行を見

すえ早めに体制を整えておく必要がある」と指摘してい

このように日本国内でも ENVI の Jill Evans 女史がまとめ

た RoHS 指令改定案に対する修正意見に対する反発が強ま

るなか2009 年に厚生労働省や経済産業省環境省が相

次いで公表したナノ材料曝露提言のためのレポートやガイ

ドラインに準拠した対策も進みつつある今月 10 日日

本エアーテックはカーボンナノチューブなどのナノ材料

を安全に扱うための作業器具「ナノパーティクル排気ベン

チ」を開発販売を開始したナノ粒子捕集効率の高いフィ

ルターや引き出しと一体化した掃除機曝露防止のため

の手袋や防塵マスク防護服といった対策が図られている

節末になるが昨今の欧州議会の動きに関してナノ

テクノロジービジネス推進協議会の事務局より欧州

の ナ ノ テ ク ノ ロ ジ ー 産 業 の ア ソ シ エ ー シ ョ ン で あ る

Nanotechnology Industries Association (NIA) と の 間 で 交

わされた情報などを逐次配信していただいたことを付記

しお礼を申し上げる

アメリカの環境規制オバマ政権以降の展開

連載の本題に戻る2009 年民主党オバマ政権が発足し

て以降環境政策環境規制に関しても様々な改革が図ら

れるようになってきたこれはオバマ政権に代わったから

ということではないが米国議会は全ての連邦機関に対し

て 5 年間の戦略計画の策定と 3 年ごとの計画の見直しの実

施を要請している政府の行政評価の一環として 1993 年

以降行なわれている rdquoGovernment Performance of Result

Actrdquo で通常 GPRA と呼ばれこれまで各省庁の政策決定

と実行に大きな影響を与えてきたこれを受けて EPA は

今月 7 日2011 年度からの 5 年間の戦略を公表している

[3]環境と健康を守るための 5 つの戦略的な目標として

①気候変動への取り組みと大気汚染の減少②米国内の水

環境の向上③コミュニティの汚染源の根絶と持続的発展

④化学物質の適正な使用と汚染の防止⑤環境関連法の実

施強化を挙げているまた5 つの戦略目標と合わせて

EPA 首脳部が掲げる 7 つの優先分野における取り組みの進

捗状況を図るための新たな指標も設けられている

これに関連して EPA はTSCA インベントリー利用の改革

を進めている米国内で製造もしくは米国に輸入される

すべての化学物質は「TSCA インベントリー」と呼ばれ

るリストで管理される現在 8 万物質以上が収載されてい

る TSCA インベントリーにない化学物質を製造あるいは

輸入する場合EPA に対する届出義務がありこの届出を

行い EPA の審査を受けることでその化学物質が TSCA イン

ベントリーに新規物質として追加される仕組みになってい

るここでいう届出とは90 日前までに行わなければな

らない製造前届出(PMN)であり生産量暴露排出量

の推計人の健康や環境への影響に関するデータ等が求め

られるただし医薬品農薬や食品添加物等の他の法律で

規制される物質や研究開発目的の化学物質には除外措置が

設けられている [4]PMN は届出業者に新たな試験の実施

を求めておらず届出業者が有しているデータのみを提出

すればよいとされているそこで EPA は定量的構造活性

相関等の手法により届出物質の生態毒性値を予測しその

結果に基づきリスク評価を行っている

オバマ政権以降この TSCA インベントリーの改革がすす

められてきたすでに 2010 年 3 月には基本的な検索を無

料化するなどインベントリーのリニューアルを実施しイ

ンベントリー検索が容易になっているまたインベント

リーのデータは通常年二回更新されるがインベントリー

へ新規化学物質の登録が行われる場合は官報で事前に告知

されるようになっている [5]

SNUR とは

EPA の規制措置について触れたついでに今後の議論のた

めに重要新規利用規則(SNUR)についても理解を深めて

おきたいSNUR については経済産業省化学物質管理課の

HP の記述にその内容をくみ取りやすいので以下に引

用させていただく [6]

「TSCA においては評価の各段階で新規化学物質の申請

者と同意を取りながら進めていくという審査体系をとって

おり懸念のある化学物質に対する規制は個別の申請毎

にきめ細かい措置が講じられる体系となっている規制

は申請者に対する同意指令(Consent Order)及び申請

者以外の者にも同様に規制を行うための重要新規利用規則

(SNURSignificant New Use Rule)により行われる同意

指令は当該化学物質のリスクが明確に評価できないにもか

かわらず健康や環境にリスクをもたらす恐れや放出

暴露量が多い恐れのある場合に発せられリスク評価に十

13

PEN N

ovember

分なデータがそろうまでの製造等を制限するものである

同意指令は申請者に対して発せられるが公平性の観点か

ら当該化学物質を取扱う全事業者に対して同意指令と同等

の制限を規制するのが重要新規利用(SNUR)である対

象物質について SNUR 要件を遵守できない場合には事前

に重要新規利用届出(SNUN)を提出し個別に審査を受

けることとなるSNUR 対象物質に対する制限措置として

はMSDS 作成やラベリング使用者への注意義務数量

制限や特定用途の制限個別事業者における排水管理など

の幅広い手法があげられており対象物質に応じて適切な

規制が適用される」

したがってTSCA のインベントリーに登録された化学物

質が SNUR に指定されるということはPMN 届出業者と

の同意指令の中で当該化学物質の健康や環境影響が無視

できないことの反映である先月号の本誌 PEN で述べた

とおりEPA がこれまでナノマテリアルで交わした同意

指令はイギリスの Thomas Swan 社の子会社でアメリカ

New Jersey 州 Lyndhurst で CNT 製造を行っている Swan

Chemical Inc であるEPA が昨年来 CNT を SNUR 対象物

質にする方向でパブリックコメントを求めてきたがこれ

は Swan Chemical Inc との間で交わされた同意指令の内容

を他の CNT 製造企業にも求めることを意味するEPA の

SNUR での単層および多層 CNT の規制もいよいよ最終段

階に入ってきている

Reference[1] httpj-net21smrjgojpwatchnews_tyusentry20101118-15

html

[2] httpj-net21smrjgojpwatchnews_tyusentry20101117-15

html

[3]httpyosemiteepagovopaadmpressnsfd0cf6618525a9efb8

5257359003fb69d60a5ce970092692e852577b5005c4ff3Open

Document

[4] httpwwwepagov

[5] httpwwwepagovopptnewchemspubsinvntoryhtm

[6]httpwwwmetigojppolicychemical_management03kanri

f1htm

かわいいだけではないらしい

日本ではペットとしてイヌと人気を二分しているネコかわいい口に重大な秘密が隠されていたようです

イヌは舌ですくい上げて水を飲んでいることが分かっています水を飲み終わったイヌの口元は濡れています

しかしネコはミルクを飲んでも口元が汚れないしどうもイヌとは飲み方が違うようだと考えた Pedro Reis 氏

らは高速イメージング技術を用いてネコの秘密にメスをいれました

その結果ネコは重力と慣性力を利用して水を飲んでいることが明らかになりましたネコはまず舌先だけを

水やミルクなどの液体に軽く接触させたのち舌を丸めますそして丸めた舌を元に戻す際の慣性力を使って水

の柱を作りそれを吸い込むようにして飲んでいるのですネコのサイズが変わると舌を水につけるスピード

が落ちてゆっくりとした動きに変わるものの動きそのものは全く同じであることが観察によって明らかになっ

ていますネコ科で 2 番目に体が大きいライオンの飲み方も小さなイエネコの飲み方も同じなのです

様々な分野で活躍する働くイヌと違って「ただかわいいだけ」と言われるネコですがその精緻な舌の動きと

機能はソフトロボット技術研究の進展に役立つと期待されています

How Cats Lap Water Uptake by Felis Catus PMReis RStocker SJung JMArstoff Science 20101111 (online

publication)

httpwwwsciencemagorgcontentearly20101110science1195421

14

PEN

Nov

embe

r

基本政策専門調査会資料公開総合科学技術会議

11 月 17 日中央合同庁舎第4号館で開催された第 11 回

総合科学技術会議基本政策専門調査会の資料が公開され

た10 月 18 日~ 11 月 8 日にかけて行われたパブリック

コメントの結果等も公開されている特に注目される「Ⅴ

社会とともに創り進める政策の展開」の項目のなかの「社

会と科学技術イノベーションとの関係深化」の課題には

①「国民の視点に基づく科学技術イノベーション政策の推

進」には欧米にくらべ遅れている「政策の企画立案及び

推進への国民参画」の促進が必要その方法論を研究し

具体的な参画の場や運用を整備すべき国の機関のみなら

ず各地の大学や研究機関が主体的に参画できるものであ

るべき②科学技術だけでなく社会についての知を総合

しなければイノベーションは不可能③「倫理的法的

社会的課題への対応」でヒトの臨床試験に関する法律

動物実験バイオ施設といった具体例を論ずるべきといっ

た意見が集約されている

また民主党政権が達成目標としている「政府研究開発投

資の対 GDP 比 1」に関しては資料 4 - 1 の第 4 期科

学技術基本計画における投資目標のなかに2008 年度の

実績が 072 であったことが示されているちなみにア

メリカは政府研究開発投資の対 GDP 比 1 を維持してい

httpwww8caogojpcstptyousakaiseisakuindexhtml

科学技術に関する最近の話題への国民の関心について科学技術政策研究所 (NISTEP)

文部科学省所管の科学技術政策研究所は科学技術に関す

る最近の話題への注目度など速報性のあるデータについて

公開したまた同研究所は「日本の研究者を対象とした科

学における知識生産プロセスについての大規模アンケート

調査」の結果についても公表を行ったhttpwwwnistepgojpnistepabout09html

httpwwwnistepgojpachievftxjpnmat191jpdfmat191j_

reportpdf

公共政策のためのパブリックコメント2011 年度予算編成に伴い9 月末から政策コンテストが

進められているこれは市民から広く意見を聞くパブリッ

クコメントのことであるところがある省の政策担当者が

政策立案に関わった専門家に提出方法についてメールで周

知し間接的ながらも意見の提出を促した事実が明らかと

なったこの問題は今月 18 日付新聞各紙で報道された

時代の流れである政策の公共性に逆行し公共の利益に反

する行為であるいわずもがなではあるがパブリックコ

メントが義務的な制度ではなく今後政策や予算立案の過

程で当然の仕組みとして定着していくためにもパブリッ

クコメントを広く公平に集める仕組みつくりは危急の課題

であり集まったコメントに耳を傾ける真摯さが政策サイ

ドに求められている政策や予算に対するパブリックコメ

ントは政策の公共性に必要不可欠の仕組みであり科学技

術の社会受容の重要なプロセスである「パブリックコメ

ントを行いました」という既成事実のためにあるのではな

共同声明「国際化拠点整備事業(グローバル 30)の強化を要望する」11 月 16 日

東北大学筑波大学東京大学名古屋大学京都大学

大阪大学九州大学慶應義塾大学上智大学明治大学

早稲田大学同志社大学立命館大学

平成 21 年度に開始された国際化拠点整備事業(グローバ

ル 30)に採択されている上記 13 の大学は昨年に引き

続き本事業が行政刷新会議の事業仕分けの対象となったこ

とに関して共同声明を発表したその骨子は国際的視

点と人材教育の視点から大学及び日本社会の国際化のた

国内情報

15

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ovember

めのグローバル 30 をさらに拡充強化されることを政府に

要望するものでまた予算の縮減などになれば国際社会に

おける日本の信頼が大きく傷つくばかりでなく日本の将

来について致命的な打撃を与えるのではないかと指摘して

いるh t t p w w w o s a k a - u a c j p j a n e w s t o p i c s 2 0 1 0 1 1

files20101116_2pdf

加速する EV 市場電気自動車 (EV) 市場が大きく展開し始めたすでに三菱

自動車は昨年から EV アイミーブを市場に投入している

日産自動車は今年 7 月から EV リーフの試乗会を行ってき

たがいよいよ来 12 月には EV リーフの日米同時の販売

を開始するこれにあわせて 12 月 45 日に横浜市内で

公道上での試乗会が行われる今後は技術提携を進めるフ

ランスのルノー社との技術の共通化が図られる

このような動きに対しトヨタやホンダはこれまで EV に

は慎重な姿勢を維持してきたしかしこの数か月でその姿

勢にも大きな変化が出てきた今月 17 日から開催されて

いるロサンジェルスのモーターショーでトヨタは RAV4

の EV モデルホンダはフィットの EV モデルをそれぞれ

公開しているこれまでハイブリッド技術で覇権を制して

きたトヨタはこの 5 月にカリフォルニアの EV 開発ベン

チャーであるテスラと資本提携スポーツタイプ多目的車

(SUV)をベースとした EV の開発を加速させているテス

ラは 2008 年から時速 200km を誇るロードスターの市場

投入実績を有しておりトヨタ以外にもすでにダイムラー

とも資本提携を行っているまた今月にはパナソニックと

電池の共同開発を開始するなど2015 年の本格的なアジ

ア市場での販売計画に向けて技術開発を加速させている

テスラの技術は家電製品に使われる汎用電池を多数並べて

用いるところに特徴があり現時点では車載用専用の電池

の開発を進める他の EV との差別化を図ることに注力して

いる

このような一連の動きは2012 年のカリフォルニア州に

おける環境規制の施行を見据えたもので2012 年が EV

普及にとってフラグポイントになるアメリカでもゼロエ

ミッション EV の開発が活発に行われ経営破たんしてい

た GM が 11 月 18 日に株式市場に再上場するなどアメ

リカの産業構造も大きく変わりつつあるただモーター周

りの技術に関しては中国企業との共同開発も進められて

いる

このような EV 市場の急展開の様相は日本の経済を支え

てきた自動車産業に大きな質的変化をもたらしつつある

EV は「自動車が家電製品になる」と形容されるように

車載用駆動電源としての 2 次電池の高性能化やリチウム

資源の確保さらには太陽光発電利用やスマートグリッド

まで含めたエネルギーデリバリーシステムや充電インフラ

等々幅広い産業活性化の起爆剤でもあるEV がオフィ

スや家庭の家電とつながればIT 産業にも大きなビジネス

チャンスが到来する自動車産業は家電メーカー総合

商社IT 企業その他さまざまな技術領域を巻き込んだ覇

権争いに突入していこうとしておりこれまで ldquo 城下町 rdquo

と称された日本の垂直統合型自動車産業そのものが大きく

変わりつつあるといっても過言ではない

ところで「モーターをタイヤにした」構造的には内燃機関

式に比べ単純な構造の乗り物でもある EV の市場には新

興国の新規産業が参入しやすいという一面がある上述し

たような 2012~15 年にかけて強まる世界的な環境規制を

追い風に新興国から多くの EV 産業への参入が予想され

る実際に中国広東省のベンチャー企業 BYD などはそ

の急先鋒として成長し続けている日本の産業は1990

年のバブル崩壊以降 20 年にわたって「技術で勝って市

場をとれない」状況に苛まれてきた対処策の一つは技術

開発と経営の基本姿勢である言うまでもなく技術が発展

することは製品の質の向上に結び付くのだがただ「より

良い技術をふんだんに詰め込めばおのずと製品は売れる」

という安易な技術への過信や過剰な技術の詰め込みがイノ

ベーションプロセスに負に作用することも事実であるエ

リアごとに大きく異なる市場のニーズを的確に把握するこ

とと急速に展開する市場に対応した経営意思決定の迅速

化がキーになる

もう一つは国際的な枠組みでのインフラ技術の標準化であ

る一国一票の投票権を持つ国際標準化の策定プロセスで

は欧州が圧倒的な強さを維持しており日本は常に苦戦

を強いられる立場にある国際電気標準会議 (IEC) におけ

る EV インフラ技術の標準化チャデモ協議会といった日

本の対応については週刊エコノミスト 12 月号 40 ~ 41

頁に詳しい

また日刊自動車新聞によると電気自動車普及協議会が

EV の高電圧周りの安全対策などに関するガイドラインの

策定を始めているが緊急性の高い項目は今年度中に情報

公開される模様である

国立研究開発機関(仮称)構想省庁の縦割り政策の弊害を解消して研究開発を効率的に進

めることを目的に文部科学省は 38 の独立行政法人研究

機関の再編統合を図る仮称「国立研究開発機関」構想を

打ち出している海江田科学技術政策相はその設置法案を

来年度の通常国会に提出する考えを明らかにしこれに併

せて発足に向けたスケジュール作りがすでに検討チームの

中で始まっているその一方蓮舫内閣府特命担当大臣(行

16

PEN

Nov

embe

r 政刷新)公務員制度改革担当は文部科学省ではなく内閣

府主導で予算編成を行うべきとの考えを示し行政刷新会

議も「焼け太りは許さない」と文部科学省を牽制設置法

そのものの提出をくい止めたい考えである他の様々な施

策同様これも民主党政権内での軋轢となっている

化学5社化学物質情報伝達を電機大手と共通化中小企業ビジネス支援サイト J-Net21 は11 月 15 日に

日本の化学大手 5 社がアーティクルマネジメント推進協

議会の仕組みを活用して製品に含まれる化学物質の伝達

方法を電機大手と共通化することを発表サプライチェー

ンでの情報伝達の共通化が図られるhttpj-net21smrjgojpwatchnews_tyusentry20101115-10

html

22 年度科学技術関係補正予算閣議決定先月末の 26 日平成 22 年度補正予算 4 兆 8500 億円が

閣議決定された今月 11 日付科学新聞はこのうち科学

技術関係予算を文部科学省のスパコン「京」への 186

億円などを含め約 1500 ~ 2000 億円程度と見積もってい

る経済産業省関係では産学官連携のイノベーション拠点

立地支援事業への支援策が多く盛り込まれているつくば

イノベーションアリーナ中核拠点と位置づけられている産

総研には補正予算 30 億円が配分されている

なお内閣府総合科学技術会議は 11 月 4 日2010 年度

の当初予算額 3 兆 5878 億円に対し補正予算案は 1864

億円経済危機対応地域活性化予備費は 141 億円で

合計は 3 兆 7742 億円となったことを明らかにした補正

予算の詳細については 11 月 4 日「平成 22 年度経済危機

対応地域活性化予備費及び補正予算案(科学技術関係予

算)について」として内閣府から公開された

httpwww8caogojpcstpbudgeth22hoseipdf

ナノボーグの販売軽量化フレキシブル化が進む様々なデバイスをまとめて

身に着けることが可能な服が「ナノボーグ」である東工

大谷岡教授が名付けたもので4 日付日刊工業新聞による

と今月にも太陽電池を電源とするジャケットがアメリカ

のアパレルメーカーから発売される

httpwwwnikkancojpnewsnkx0320101104eaahhtml

ldquoNBCI ナノナビ rdquo 創刊ビジネス環境のグローバル化オープン化に伴って政策

や規制動向研究開発動向の迅速な情報共有への要求が高

まりつつあるこれに応え一般社団法人ナノテクノロジー

ビジネス推進協議会(NBCI)は不定期の情報誌 ldquoNBCI

ナノナビ rdquo を創刊先月末より会員向け配信を開始した

創刊号では標準化の重要な課題であるナノラベリング(使

用ナノ材料の周知目的)の動きナノネット活用等につい

て最新の動向が配信された

httpwwwnbcijp

フラーレンのナノエレ応用脚光を浴びるカーボンナノチューブやグラフェンに比べ

フラーレン(C60)のナノエレクトロニクスへの応用展開

は広がらない状況が続いてきたがこの度 C60 を積層し

た有機トランジスタが開発されたこれは 11 月 1 日付日

経産業新聞が報じたもので大阪大学と山形大学大日本

印刷の共同研究の成果である試作された C60 を含む有

機トランジスタは従来の有機トランジスタより大きな電

流を流すことが出来400 キロヘルツの高速応答が得られ

たとのこと

筑波大に生命科学研究拠点先月末筑波大は先端学際領域研究センター通称 TARA

センターを改組し生命領域学際研究センターを設立浅

島誠氏がセンター長に就任した今後 20 人の研究部隊が

幹細胞研究などに特化した研究を展開する

新規事業への投資を名城ナノカーボン10 月 29 日付の金融専門誌ニッキンは名城ナノカーボ

ンの橋本剛氏をとりあげた同社は 2005 年 4 月に当時

銀行員であった橋本氏が名城大安藤義則教授と共に設立

したカーボンナノチューブの開発製造販売を手がける

名城大発ベンチャー橋本氏は今後 5 ~ 10 年で名城ナノ

カーボンの上場を目指すとし取引金融機関に対して新規

事業への具体的な資金投入を期待している

CNT 生産能力倍増昭和電工10 月 29 日付化学工業日報は昭和電工(株)川崎事業

所におけるカーボンナノチューブ (CNT) の年産 100 トン

から 200 トンへ引き上げ計画を報じた同社はリチウム

イオン 2 次電池向け気相成長 CNT の供給を行っているが

今後はさらに急速な需要拡大が進む可能性もありさらに

生産体制の拡大を図る可能性もある

17

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ovember

宝石という名前の虫

タマムシはタマムシ科の 4 センチメートルほどの甲虫です漢字では玉虫と書きます玉とは宝石のことで

その名のとおり赤い縦の線が走る虹色がかった緑色の金属光沢の美しい翅をもっています

法隆寺所蔵の国宝「玉虫厨子」を教科書などで見たことがある人も多いのではないでしょうか厨子は仏像な

どの礼拝の対象をしまう大切な入れ物のことです天平の世の人々がその大切な厨子の壁面を飾る細工の材料

にタマムシこそが相応しいと思ったのも納得できる美しい甲虫です残念ながら現在では玉虫厨子の壁面の

翅の多くは脱落してしまっていますが往時を再現した複製品から天平の時代の華やかな色が想像できます

タマムシは時代や洋の東西を問わず美しいと思われるようでベルギーにはその美しさに憑かれて宮殿の天

井を大量のタマムシの翅で飾った現代工芸家もいます

タマムシは厨子に使われた翅だけでなく腹部や脚触角なども緑色の光沢を放っていますまた美しい

翅が良くわかるような背面からの写真が多いので米粒型のすんなりした形のイメージが強いですが横から

見た体には以外と厚みがあります成虫は樹冠を飛び回り主にニレ科の広葉樹の葉を食べています幼虫は

カブトムシの幼虫に似た白いずんぐりしたイモムシで餌も葉ではなく木ですそのため害虫に分類されても

います

岐阜県高山市「茶の湯美術館」に玉虫厨子のレプリカが展示されています

httpwwwnakada-netjpchanoyutamamushi_zushihtmtamamushi 

18

PEN

Nov

embe

r

これを批准した結果日本は 1990 年を基準として 6の

温室効果ガス削減を国際的に約束した日本国憲法によれ

ば国際条約は守らなければならないことになっているの

で「チーム -6」などという運動が日本全国にできた

これの何が間違いだったのであろうか以下その根拠を説

明する尚現在の一次エネルギー源は 80以上が化石

燃料によるものであるからエネルギー消費と温室効果ガス

排出はほぼ同義語であるまた国内総生産(GDP) の増

大すなわち経済成長は社会の安定と国民の安心感を支え

る基本的な要素でありその減少は社会の不安定化をもた

らすため増大させることが必須である

日本は 1973 年の第一次石油危機で大きなダメージを受

けそれから「省エネルギー技術」の開発を血眼になって

推進したその結果図 1 に示すように日本は世界一の「省

エネ大国」になったのである図で縦軸は石油換算のエネ

ルギー消費量横軸は GDP をドル換算したもので1995

年のデータを示してある斜目の破線は一定の GDP を作

り出すのに必要なエネルギー量をトン単位で示しており

これが小さいほどエネルギー効率のいい社会であるつま

り使用エネルギーが少なくなるか同じエネルギーを使っ

ても生産額が多くなればエネルギー効率は良くなる

 エネルギー効率=使用エネルギー生産額(GDP)

図から明らかなように日本は 1995 年時点でも既に世

界で一番エネルギー効率の良い国だったのであるドイツ

フランスイタリアなどは日本の 15 倍イギリスは 2 倍

アメリカが 3 倍中国やロシアに至っては何と 10 倍以上

のエネルギーを浪費しているということが一目瞭然であ

る日本がこのようなエネルギー効率の良い状態から更に

エネルギー消費を減らすなどと言うことは被虐趣味以外

の何物でもないちなみに図 1 は小生が京都議定書を見て

「これは誤りである」と確信し直ぐに作成したものであり

13 年前には既に分っていたことである

それでは日本は何を主張すれば良かったのか賢明な読

者は図 1 を見れば直ぐに考え付くであろうそう「世界

の皆さん今後 10 年間でエネルギー効率を高くする努力

をし現在の日本並みとまでいかなくても少なくとも近

付く努力をしてください」と主張すべきだったのだこれ

なら発展途上国も経済発展を保障されるから合意できたで

あろうし何よりも日本の「省エネ技術」を世界標準とし

て輸出可能であったろう昨年中華人民共和国(中国)が

出した指標はまさにこのような考えに基づいたものであろ

うどこかの国の首相が温室効果ガス排出量(=エネル

ギー消費量)の 25の削減を持ち出したのに対し「中国

はエネルギー効率(=使用エネルギー生産額)を 40

向上させる」と主張した図1から見ても彼等は 1995 年

の日本の水準に追いつくだけで 90の削減が可能であり

40などというのは非常に容易な達成目標であることは

明らかであるまさに国際条約を締結する上での基本的

な事項である「自国の利益を最優先する」という原理原

則にも合致している流石は厳しい歴史を体験してきた国

京都議定書が提案されてから既に 10 年以上経過した今

更と思われる方もおられるかも知れないが現在の日本が

抱える様々な矛盾の出発点の一つが京都議定書であると考

えざるを得ない以上ここで改めてその問題点を明らかに

したい環境省のホームページに掲載されている京都議定

書の内容は以下のとおりである

(httpwwwenvgojpearthcop63-2html)

ポイント先進国の温室効果ガス排出量について法的拘束力

 のある数値目標を各国毎に設定

国際的に協調して目標を達成するための仕組みを

 導入(排出量取引クリーン開発メカニズム共同

 実施など)

途上国に対しては数値目標などの新たな義務は導

 入せず

寄稿京都議定書で日本は何を主張すべきであったか東洋大学大学院学際融合科学研究科 教授 和田恭雄

19

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ovember

は違うなどと感心してはいられない

今からでも遅くない「2010 年を基準としてエネルギー

効率の向上を図る」ことを国際的な合意目標に切り替え

るべきである無論為替レートは 2010 年現在の 1 ド

ル= 80 円程度に固定して比較すべきである現在の円

高を考えれば分母が大きくなることが日本の利益につ

ながるからだ国際条約においては「被虐趣味」は最低

の選択であることを忘れてはならない「率先垂範」など

と言う言葉は国際社会では通用しない無論表面上は大

いに賞賛されようが腹の底で「カモが来た」と思われ

食い物にされるだけである他人から褒められるために

自らの競争力を放棄するようなことは止めるべきである

京都議定書を他山の石としてナノテクノロジーの世界

でも「自らの強みを世界の標準にする」という基本的な

姿勢を取るべきであるのは当然のことであるdarr

darr 世界各国のエネルギー消費量と総生産の比較図右下

に行くほどエネルギー効率が高く同じ GDP を創り出す

のに温室効果ガスの排出量が少ないということを示す

日本は 1995 年当時既に世界一の「省エネ大国」であり

西ヨーロッパの 15 倍米国の 3 倍ロシアなどよりも

10 倍以上効率の良い経済体制になっていたことが分か

る世界中の国が日本を手本にすれば温室効果ガスの排

出量を減らしつつ経済成長が可能になり即ち皆がハッ

ピーになれることを示すことができるばかりでなく日

本の省エネ技術を世界標準にすることも主張できる根拠

となる

20

PEN

Nov

embe

r

日本では21 世の始まりと共に科学技術政策に基づ

いてナノテクノロジーの研究開発への戦略的投資が開始

された2001 年度からの第 2 期科学技術基本計画と

2006 年度からの第 3 期科学技術基本計画の都合 10 年

間にわたる優先的戦略的な研究開発の資源の投入も余

すところ4ヶ月となった

21 世紀を担うと期待されたナノテクノロジーには研

究開発側から社会への一方的な応用があたりまえであっ

たこれまでの科学技術とは異なる研究開発の方法論が導

入されたコア技術の研究開発と並行してその技術の社

会的影響を検討しそれをさらにコア技術の研究開発に

フィードバックするという新しい研究開発の方法論であ

る [1]ナノテクノロジーの社会的影響にとって最も重

要で緊急の課題がナノ材料の環境健康影響安全 (EHS)

の課題であった技術の社会的影響を検討しながら進め

られているナノテクノロジーの研究開発がうまくいくか

どうかこのことがナノテクノロジーに続く今後の新興

の科学技術の研究開発のあり方に大きな影響を与えるこ

とになる社会的影響をフィードバックしながら進める

責任ある研究開発がはじめて試みられた日本のナノテク

ノロジーがこれまで 10 年間にわたって戦略的研究開発

投資を続けてきた現在どのような状況にあるのか今回

の特集ではそれを俯瞰的に解析する

まず国内の全ての新聞と雑誌に掲載されたナノテクノ

ロジー関連記事の数を統計的指標としてナノテクノロ

ジーの研究開発に対して日本の社会がどの程度の関心を

示しているのか評価することを試みる図1に日本

のメディアに掲載されたナノテクノロジー関連の記事の

年推移を示すグラフから明らかなようにナノテクノ

ロジーへの戦略的研究開発投資が始まった 2001 年まで

日本のメディアはほとんどナノテクノロジーを取り上げ

ていないただこれは日本にナノテクノロジーの萌芽

的研究開発がなかったということではない

一例をあげるなら工業技術院は産業科学技術研究開発

制度の一環として新エネルギー産業技術総合開発機

構(NEDO)の委託により原子分子極限操作技術の研

究開発プロジェクトを展開した1992 年から 10 年間に

わたり分子原子をボトムアップ的に集積する研究開発

を進めたこのプロジェクトは技術研究組合オングスト

ロームテクノロジー研究機構(ATP)と呼ばれたさらに

ATP と産業技術融合領域研究所は同研究所内にアトム

テクノロジー研究体(JRCAT)を設置して産官学の共同

研究プロジェクトを推進した折しも日本は 1990 年の

バブル経済の崩壊後失われた 10 年と称される経済の停

滞に苦しんでいたまだナノテクノロジーに対する期待

は高まってはいなかったが日本のナノテクノロジーは

着実に萌芽的研究開発を進めていた困難な経済のなか

で日本のナノテクノロジーはその萌芽に向けた着実な

準備をしていたといえるのだがこのような地道な研究

開発が進められていた点はこの統計からは見えにくい

0

500

1000

1500

2000

2500

3000

3500

4000

4500

5000

1990

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1992

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1999

2000

2001

2002

2003

2004

2005

2006

2007

2008

2009

図 1

特集

10 年におよぶナノテクノロジー研究成果の発展的継承を 

21

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ovember

2001 年度から戦略的な究開発投資が開始されると同時

にナノテクノロジーへの関心は急速に増していった

わずか 2 年後の 2003 年にはその期待は極みに達して

いる上述したとおり我々はこの統計で縦軸をナノテ

クノロジーに対する社会の関心と見なしておりこれは

David M Berube 氏が示した典型的な Hype 曲線の縦軸

「Visibility」と同義とみなせる [2]その類似性を図 2 に

示す

図 2

日本では Nano-Hype と呼べるピークが高性能瞬間湯

沸器よろしく戦略的研究開発投資が開始されたわず

か 2 年後の 2003 年に出現しているのであるまたJ

Fenn らはこのようなピークを図 3 に示すようにイノ

ベーションのハイプサイクルにおける rdquoPeak of Inflated

Expectationsrdquo と表現している [3]

Exp

ect

atio

ns

Time

InnovationTrigger

Trough ofDisillusionment

Slope ofEnlightenment

Plateau ofProductivity

Peak of InflatedExpectations

図 3

この時期はナノテクノロジーの将来価値への大きな期

待の反面研究開発の実態は希薄である実体の伴わな

い過剰な期待を理由に「一部の有力な科学者や政策担当

者がこのような Hype の状況を意図的に作りだした」と非

難する論調もある確かに Nano-Hype はナノテクノロジー

の将来価値への期待が研究開発の実態を上回る状況では

あるがナノテクノロジーに対する社会の関心や期待を

喚起しその期待を背景にナノテクノロジーへの研究開

発投資が漸次増加していったことも事実であるまたナ

ノテクノロジーの事をもっと知りたいという知的欲求も

刺激されそれに応えるためにいくつかの大学ではサイ

エンスコミュニケータやサイエンスインタープリタサ

イエンスジャーナリストの養成講座等が開設されたさ

らに今日年間 2000 回以上のサイエンスカフェが全国各

地で開かれるなどナノテクノロジーのような新興の科

学技術のパブリックエンゲージメントの活動の契機にも

なったNano-Hype と呼ばれる状況がそのような様々

なプラスの効果を日本にもたらしたことも忘れてはなら

2003年

2010年

2003年

22

PEN

Nov

embe

r ない点である

実体の伴わない過剰な期待が徐々に覚めていく Negative-

Hype の状況はHype が極みに達した 2003 年直後の

2004 年から 2007 年にかけて顕著に現れてくる依然

として政府のナノテクノロジー材料領域への研究開発

投資が伸びるなかメディアがナノテクノロジーを取り

上げる頻度は急速に下がり社会の関心は冷めていった

過剰な期待が冷静さを取り戻していく Negative-Hype は

必然であるとしても注目しておかなければならない大

事な点は Negative-Hype がいつ止むかいつ底を打つの

かである図 1 から明らかなように2004 年以降 2007

年まで急速に下降しているものの2008 年から 2009 年

と明らかに Negative-Hype は底を打っている

上述の J Fenn らは新しいハイプサイクルの縦軸の評価尺

度を議論しているのだが図 4 に示すようにハイプサイ

クルのプロフィールが二つの要素からなることを示して

いる [4]この指標を採用すると今年 2010 年の日本の

ナノテクノロジーはHype が終わりエンジニアリング

またはビジネスが徐々にその成熟度を増していくちょ

うどその過渡期にあるとみてよい今後ナノテクノロジー

がITエネルギー環境ライフサイエンスといった様々

な技術分野の基盤技術としてその実用化に貢献していく

現在はちょうどその転換点にあるそのプロセスを確実

に進めていくには中長期的な一貫した科学技術政策に

よりナノテクノロジーの基礎的な研究開発を継続的に

推し進めていくことが肝要である

図 4

そして10 年に及ぶ科学技術政策に基づいたナノテク

ノロジーの戦略的研究開発投資の成果を応用実用化

へ確実につなげていくために取り組まなければならない

もっとも重要な課題が包括的で実態のあるナノテクノ

ロジーのパブリックエンゲージメントの活動である昨

今ナノテクノロジーの研究開発と並行して社会受容

パブリックエンゲージメントの活動の重要性が指摘され

るようになってきたしかしこの課題に関する解釈は

依然としてまとまりを欠いているだけでなく「こういっ

た課題への取り組みが大事である」といったことが最後

の部分に申しわけ程度に記述されている例も多々見受け

られる取り組んでいるという既成事実のために実体の

伴わないパブリックエンゲージメントの活動が進められ

ると将来的にナノテクノロジーへの信頼も失墜しかね

ない多様な課題を含む社会受容パブリックエンゲー

ジメントの活動には包括的な視点で具体的実践的に取

り組んでいく必要がある

ReferenceRoco M C amp Bainbridge W S 2001 ldquoSocietal

Implications of Nanoscience and Nanotechnologyrdquo

Kluwer Academic Publishers

Berube M B amp Roco M C(FRW) 2005 ldquoNano-Hype

The truth behind the nanotechnology buzzrdquo Prometheus

Books

イノベーションのハイプサイクル

「Mastering the Hype Cycle」J Fenn M Raskino

Harvard Business Press 2008

M Raskino J Fenn IT Management(ITM) ITM-09-

37 Research Note 2010 年 2 月 9 日

23

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【CO2 排出量】世 界 的 な 金 融 危 機 に も か か わ ら ず2009 年 の 化 石 燃料 由 来 の 二 酸 化 炭 素 排 出 量 の 減 少 は 小 幅 に と ど ま る

(20101122)国立環境研究所(国環研)

国環研はグローバルカーボンプロジェクト (GCP) が 11

月 22 日の Nature Geoscience 誌の電子版に調査結果を発

表すると速報したその内容は世界金融危機の経済的

影響にも関わらず2009 年における世界の化石燃料由来

の二酸化炭素排出削減量が予測値である 28を下回り

前年比 13にとどまったことで同じく GDP の減少も予

測値を下回っている

httpwwwniesgojpwhatsnew20102010112220101122html

【量子コンピューティング】量子コンピュータ実現への障壁を緩和する誤り耐性方式を開発 (20101124)日本電信電話(株)京都大学

量子コンピュータに必須な量子ゲートは確実に正しい演

算をすることはなくある程度の誤り確率をもつため量

子コンピュータを実現するためには演算の誤り訂正を行

う技術の実現が必須となる演算の誤り訂正を行うために

はある程度誤り確率の低い量子ゲートが必要であると考

えられてきたが今回共同研究チームは誤り確率が非常

に高い量子ゲートを用いても量子計算が可能となる誤り耐

性のある量子計算方式を世界で初めて示した

httpwwwnttcojpnews20101011101124ahtml

【光電変換】ナノギャップ光アンテナにより高効率化した有機超薄膜による光電変換 

(20101122)物質材料研究機構北海道大学

NIMS と北大の共同研究チームは有機超薄膜型の光電変

換分子素子において光吸収電子伝達といった必要な機

能をもつ部品を連結した分子から成る単分子超薄膜を原

子レベルで表面制御した平滑な金電極面と金ナノ粒子で挟

み込むことによってナノギャップ型の光アンテナを導入

することに成功したその結果光アンテナ 1 つあたりで

光誘起電子移動反応が約 50 倍の効率に高まることを実

証した

httpwwwnimsgojpnewspress201011p201011220html

【EV】シンガポール政府と電気自動車の普及に関する覚書を締結

(201011 19)三菱自動車(株)

MMC はシンガポール政府と電気自動車(EV)普及のため

の活動に協力する内容の協定を締結したことを発表した

今回の活動はシンガポールの経済開発庁が中心となり

同国のエネルギー市場監督庁陸上交通庁との間で EV タ

スクフォースを組成し同国の EV 普及を目的としたユー

ザー向け補助金制度や充電インフラ整備などの検証を行う

ものこの活動の中でMMC は CCA を通じ 2011 年より

順次『i-MiEV(アイミーブ)』25 台を供給し実証走行

試験に協力していくhttpwwwmitsubishi-motorscompublishpressrelease_jp

corporate2010newsdetail4407html

【リチウム二次電池】リチウム二次電池の量産化実証工場が竣工 年間生産能力6 万 6000kWh (201011 18)三菱重工業(株)

リチウム二次電池事業への本格参入に向け長崎造船所内

に建設していた同電池の量産化実証工場が17 日竣工し

た年間生産能力は 6 万 6000kWh中型電池換算で約

40 万個に相当する今後各種実証技術に取り組み早期

の本格的な商業量産につなげていくとしている

プレスリリースより

CUTTING-EDGE TECHNOLOGIES

24

PEN

Nov

embe

r httpwwwmhicojpnewsstory1011184999html

【基礎科学物質の起源】動きがのろい冷反水素原子を 38 個も磁気瓶に閉じ込める物質と反物質の違いを知る手がかりとなる冷反物質研究が新段階に (201011 18)物質材料研究機構(NIMS)

NIMS は欧州原子核研究所(CERN)の国際共同研究グルー

プに参加し反物質の代表格である反水素原子を独自に

開発した八重極磁気瓶の中に 38 個も閉じ込めることに世

界で初めて成功した反水素原子の原材料である反陽子(陽

子の反粒子)と陽電子(電子の反粒子)を八重極磁場コ

イルとミラーコイルを組み合わせた磁気瓶の中に蓄積し

そっと混ぜ合わせて冷たい反水素原子を大量に生成した

反水素原子は電気的に中性の小さな磁石なので反水素原

子ができあがったころ(約 1 秒後)を見計らって電圧を

加え残存している反陽子と陽電子をことごとく排除した

その後磁気瓶の磁場を瞬時にゼロにすると磁気瓶内に

とどまっていた反水素原子は装置の壁に当たって消滅し

パイ中間子などのさまざまな粒子を放出するこれらの粒

子を磁気瓶を包む 3 枚の検出器で観測した結果捕捉し

ていた反水素原子を 38 個も確認することができた後述

するように同内容は理化学研究所からもリリースされたhttpwwwrikenjpr-worldinforeleasepress2010101118

indexhtml

【超伝導】ピセンのカリウムドープに伴う電子構造変化の直接観測 

(201011 17)岡山大学

岡山大学の研究グループはピセンおよびカリウムドープ

ピセンの電子構造を実験的に観測する事に世界で初めて成

功したカリウムドープピセンは芳香族炭化水素における

初めての超電導体であるがカリウムドープピセンの超電

導メカニズムまた超電導を誘起する電子構造は解明され

ていない研究グループは光電子分光法を用いピセンのカ

リウムドープに伴う電子構造変化を直接的に観測した結

果ピセンのカリウムドープに伴う電子構造変化を観測

芳香族炭化水素超電導体の超電導メカニズム解明および新

規超電導体探索の指針になると期待されるhttpwwwokayama-unetrenkeidocumentpdfpressrelease

press-101117pdf

【慣性力発電】慣性力(振動)発電技術を商品化 国内最大手エース社のバッグに慣性力発電ユニットを搭載 (201011 17)伊藤忠商事(株)

米国 CIIIS 社の持つ慣性力発電(振動発電)技術を用いて

人体の運動による振動で発電する慣性力発電ユニットを開

発した国内鞄最大手のエース株式会社がこの慣性力発

電ユニットを搭載したバッグの販売を行う

httpwwwitochucojpjanews2010101117html

【生物多様性】多様性進化の背景に『甲状腺機能低下』 (201011 16)東北大学

生物多様性の喪失は現在急速に進んでおり多様性の進化

維持機構を解明することは世界的な課題である生物多様

性の創出は多くの場合新規環境に生き物が侵出すること

によって始まるが生物が新規環境へどのように適応して

行くのかその過程については多くが未解明である東北

大学の研究チームはこのたび新規環境への適応に甲状腺

ホルモンの進化が重要であることを発見したhttpwwwtohokuacjpjapanesenewimgpressimgtohokuuniv-

press_20101116pdf

【ナノ物性】ナノスケールの鉄磁石を電界でコントロール

(201011 01)千葉大学

磁石の N と S 極は磁界を用いることでコントロールでき

るが千葉大学の研究チームはナノスケールの鉄の磁石の

極性をエネルギーの要らない電界でコントロールできるこ

とを見出したhttpwwwchiba-uacjppublicitypresspdf201020101102nano

pdf

【SOFC 関連材料技術】 画期的な電解質材料の開発に成功 固体酸化物燃料電池の商用化に一歩前進 (201011 18 )物質材料研究機構(NIMS)

NIMS の研究グループは電解質材料に必要とされる三つ

の要件イオン伝導性化学的安定性焼結性のすべてを

高いレベルで満足する2種類の材料を開発することに成功

したひとつは10 のプラセオジムを含むイットリウム

添加ジルコン酸バリウム(BZPY)でもうひとつは酸

化ニッケル (NiO) とイットリウム添加ジルコン酸バリウム

25

PEN N

ovember

(BZY) の混合粉末を固めた基板上にプレス成形された BZI

であるhttpwwwnimsgojpnewspress201011201011180

p201011180pdf

【レアアース】微生物でレアアースの回収が可能に バクテリアがレアアースを濃縮する現象を発見 (201011 17)広島大学高エネルギー加速器研究機構高輝度光科学研

究センター

共同研究グループは微生物の細胞表面では微生物が存在

しない周囲部分に比べてレアアースを高濃度に濃縮する現

象を見出したまたレアアースの中でも特に希少価値の高

い元素が選択的に濃縮することを発見その濃縮メカニズ

ムを放射光を用いたX線吸収法により明らかにした

httpwwwkekjpjanewspress2010RareEarthElementshtml

【はやぶさ】はやぶさカプセル内の微粒子の起源が判明(201011 17)宇宙航空研究開発機構

「はやぶさ」のサンプルキャッチャー室から特殊形状のヘ

ラで採集された微粒子を走査型電子顕微鏡にて観察および

分析した結果1500 個程度の微粒子を岩石質と同定した

更にその分析結果を検討したところそのほぼ全てが地

球外物質であり小惑星イトカワ由来であると判断するに

至った

httpwwwjaxajppress20101120101117_sac_hayabusapdf

【超伝導基礎科学】超伝導のメカニズム解明に大きな手がかり ルテニウム酸化物の電子の運動状態を選択的に可視化することに成功 電子対を形成する「のり」の起源を初めて解明

(201011 17)広島大学産総研

1994 年に日本で発見されたルテニウム酸化物超伝導体は

ユニークな超伝導状態を示しこれまで数多くの研究が行

われてきたがいまだにその超伝導のメカニズムは謎のま

まであった超伝導が生じるためには電子と電子を「のり」

で結びつけ「電子対」にする必要がある共同研究グルー

プは放射光の直線偏光特性を活用するため放射光の光

軸のまわりに回転可能な高分解能角度分解光電子分光装置

を開発しルテニウム酸化物超伝導体の超伝導機構解明に

重要な手がかりをつかんだ研究グループが開発した新装

置を用いることによりルテニウム酸化物超伝導体の異な

る運動状態にある電子を選択的に分離しながら精密に分

析することが初めて可能となったその結果物質の電子対

を形成するための「のり」として結晶を作っている原子

の振動が重要な役割を果たしていることその「のり」が

どのくらい強く働いているのか等が明らかとなった httpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101117

pr20101117html

世界最高性能基準光源を開発 安定高精度高速の三拍子そろった光信号の発生に成功 (201011 15) 情報通信研究機構(NICT)国立天文台(NAOJ)

NICT と NAOJ はNICT 独自の高消光比変調技術を利用

し精度を保ったまま周波数範囲を拡大する構成を提案し

たNAOJ の安定度向上技術による制御機能を組み合わせ

ることで世界最高性能の基準信号発生装置を共同開発

し100 ギガヘルツを超える高速信号の長距離伝送を実現

した本装置の方式により従来技術の課題であった安定

性周波数範囲精度の問題を解決した安定性は 2 台の

レーザを用いる従来方式に比べて 10 倍以上を実現し信

号の乱れを 30 万年に 1 秒以下とすることに成功したま

た精度は従来型変調器と比較し 1000 倍以上周波数範

囲は 4 倍を達成したhttpwww2nictgojppubwhatsnewpressh22101115101115

html

【基礎科学レーザ分光】電子の氷を光で融かす一瞬を捉える 光が有機物質を変える瞬間の超高速スナップショット (201011 15)東北大学自然科学研究機構分子科学研究所科学技術振

興機構(JST)

共同研究グループは光の照射によって有機物質の色や

電気伝導度が大きく変化する光誘起相転移現象の最初の瞬

間を捉えることに成功した電場と磁場の振動である光の

振動の3周期分に匹敵する極めて短いパルス光をポンププ

ローブ分光によって二次元有機物質における電荷秩序の

融解のダイナミクスすなわちldquo 電子の氷 rdquo が光によっ

てどのように解け絶縁体から金属へと変化するのかと

いう問題を明らかにしたものこの成果 12 月初めには米

国物理学会誌 Physical Review Letters オンライン版で公開

予定

httpwwwjstgojpprannounce20101117-2indexhtml

【熱電材料】水を使って絶縁体から効率のよい熱電材料を作ることに成

26

PEN

Nov

embe

r 功 希少毒性金属を含まない安価簡便な熱電材料創製に新たな道 (201011 15)科学技術振興機構 (JST)名古屋大学

熱電材料は熱を電気に変換することができることからエ

ンジンの排熱を利用して発電するハイブリッド自動車など

への応用が期待されているが従来の熱電材料はビスマ

スアンチモン鉛テルルといった希少毒性金属など

を含む問題があったJST 課題解決型基礎研究の一環とし

て名古屋大学の研究グループは水の電気分解を利用し

安くてありふれた絶縁体酸化物表面を大きな熱電効果を示

す金属へ変えることに成功した大量に水を含んだ多孔質

ガラスを新規に開発しこの多孔質ガラスを金属チタンと

チタン酸ストロンチウムに挟んで電圧を加えると水の電

気分解によって絶縁体のはずのチタン酸ストロンチウムの

表面に厚さ 3 ナノメートル以下の極めて薄い金属チタン酸

ストロンチウムが生成した通常の金属チタン酸ストロン

チウムに対して 4~5 倍高い電圧を示すことから従来の

熱電材料の約 2 倍の熱電性能が期待できる

httpwwwjstgojpprannounce20101117indexhtml

【基礎科学物質の起源】国際研究チーム反水素原子を瓶の中に閉じこめることに成功(20101118)理化学研究所

8 か国からなる研究チームは欧州合同原子核研究機関

(CERN)の装置を用いて加速器で反陽子と陽電子を作

成し磁場の中に閉じこめたのちに撹拌して反陽子と陽

電子1個ずつを結びつけ反水素原子を生成した反水素

生成後に余った反陽子と陽電子を取り除き反水素原子だ

けを特殊な瓶の中に封じ込めることに成功した計 38 個

の反水素原子が 02 秒間存在したことを確認反物質は

Dan Brown の小説「天使と悪魔」で非常に微量で爆発

を起こす材料として登場するしかし今回の手法では短

時間に消滅してしまい爆弾に使える量をためるのは不可

能だという17 日付の Nature Online 版に掲載

httpwwwrikenjpr-worldinforeleasepress2010101118 

【マックスウェルの悪魔実証】情報をエネルギーに変換することに成功 ldquo マックスウェルの悪魔 rdquo を実験により世界で初めて実現新規ナノデバイスの実現に期待 (201011 15)中央大学東京大学

微細加工技術とサブミクロンスケールのリアルタイム制御

システムを組み合わせ「マックスウェルの悪魔」と呼ば

れる科学史上の重要な概念を世界で初めて実験により実現

した これによって情報をエネルギーに変換できるこ

とを初めて示すとともに情報を媒介して駆動する新規ナ

ノデバイスの実現の可能性を示した マックスウェルの

悪魔は熱力学の根本に関わる概念でありこれを実現でき

た学問的意義は大きいまた科学者以外にもよく知られ

たテーマであり多くの人が興味を持つ話題でもある情

報を媒介して駆動する新規のナノデバイスを実現できる可

能性があり基礎的研究にとどまらずナノサイエンスで

の新しい制御法への応用が期待できるこの成果は 11 月

14 日に Nature Physics Online に公開された

Toyabe Sagawa Ueda Muneyuki and Sano

ldquoExperimental demonstration of information-to-energy

conversion and validation of the generalized Jarzynski

equalityrdquo

httpwwwsu-tokyoacjppresspress-2010-42html

詳細は中央大学 HPhttpwwwchuo-uacjpchuo-unewscontents_jhtmlsuffix=kampmo

de=topamptopics=12513

【基礎科学分子バネ】電子の出し入れで硬さが劇的に変わる分子バネを開発 たった 1 つの電子放出で分子全体の動きやすさが 450 倍も変化 (201011 15)理化学研究所科学技術振興機構(JST)

6 個の炭素原子が環状につながったベンゼン環は有機化

合物において最も基本的な構成ユニットの一つでありベ

ンゼン環をさまざまな形で結合させたものが盛んに研究さ

れてきたしかしベンゼン環を隣り合う炭素の位置で結

合させたオルトフェニレンは単純な構造でありながら合

成が難しいためこれまでほとんど研究がなされておらず

その性質は解明されていなかった理化学研究所の研究グ

ループはベンゼン環 48 個を隣り合った炭素の位置で結

合させたオルトフェニレンを世界で初めて合成したオル

トフェニレンは3 つのベンゼン環が 1 ピッチのらせんを

形成するバネ状の構造をしているがこのようなバネ状の

構造を持った分子はさまざまな機能を発揮するためエ

レクトロニクスや分子機械への応用の可能性が高まってい

る研究グループはこのバネ状分子から電子を 1 つ取

り去るとバネの硬さが劇的に増してらせんの反転速度が

約 450 分の 1 も遅くなることを突き止めたまたこの

1 個の電子の出し入れに応じてバネのピッチが 3263Aring か

ら 3224Aring と変化したこれまで電子が高密度に含まれ

た分子バネは電子を出し入れすることでその振る舞いが

変化することが理論上予想されていたがこのように電子

を多量に含む分子バネの合成は難しく実験的にも証明さ

れていなかった硬さの変化というこれまで実現すること

27

PEN N

ovember

ができなかった応答をする分子バネの登場は応答性分子

の分野に新たなコンセプトをもたらすと注目される本研

究成果はJST 戦略的創造研究推進事業 発展研究 (ERATO-

SORST)「分子プログラミングによる電子ナノ空間の創成

と応用」の一環として行われたものhttpwwwrikenjpr-worldinforeleasepress2010101115

indexhtml

【自己組織化基質選択的会合】分子間の特異的な相互作用による新規材料集積法を開発 分子が好みの分子を見分けて接着 (201011 15)大阪大学科学技術振興機構(JST)

近年分子認識を利用して分子と分子を非共有結合でつな

げることによりさまざまな超分子錯体が合成されさらに

これらを自己集合させる研究が行われているこれらの研

究において形成される集合体は分子の大きさであるナノ

メートルからマイクロメートルの極めて小さなもので高

倍率の顕微鏡を使わなければ見えない分子認識に基づい

て手軽に使えるくらいの大きな自己組織体を作り出すこと

はナノテクノロジー分野において分子を自己組織化さ

せて機能性材料を創製する上で重要な課題であった大阪

大学の研究グループはホスト分子としてシクロデキスト

リンをゲスト分子としてシクロデキストリンが結合する

化合物を用いてそのホスト-ゲスト相互作用を利用して

多様な自己組織化超分子ポリマーの構造体を作りマクロ

スケールで機能を発現させる研究を進めている今回D

NAやタンパク質の分子量決定に広く用いられるアクリル

アミドゲルを土台にしてこのゲルにシクロデキストリン

とゲスト分子をそれぞれ別々に導入し「ホストゲル」と

「ゲストゲル」を合成したこの両者を水中で振動させる

とゲルが接着する挙動が観察されミリメートルからセン

チメートルの大きさの物体を分子認識により自己集積でき

ることを世界で初めて実証したさらにシクロデキストリ

ンとゲスト分子との相互作用の強さの違いによって選択的

に特定のゲル同士を接着させることができることがわかっ

httpwwwjstgojpprannounce20101115indexhtml

【ブタノール分離膜】バイオブタノールの省エネルギー型膜分離精製技術を開発1 wt ブタノール水溶液から80 wt 以上の高濃度ブタノールの回収が可能 (201011 15)産総研

産総研は1 wt 程度の希薄なブタノール水溶液からゼ

オライト系分離膜を用いて 80 wt 以上に濃縮したブタ

ノールを回収できる省エネルギー型のバイオブタノール精

製技術を開発した ブタノールはエタノールと比較して

発熱量が大きいことから地球温暖化対策に貢献できる再

生可能なバイオ液体燃料すなわちポストバイオエタノー

ルとして期待されている今回合成条件の最適化を進め

高いアルコール選択透過性をもつシリカライト分離膜を合

成し膜分離法によって低濃度ブタノール水溶液から高

濃度ブタノールの回収が可能となった従来の分離膜を用

いた場合に比べてブタノール回収のためのエネルギーを

50 ~ 70 程度低減できることが期待される httpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101113

pr20101113html

【分子生物学】 化学合成したペプチドからウイルスの殻構造を組み上げることに成功 新規ナノ材料や医療材料としての応用に期待 (201011 12) 九州大学北九州市立大学

共同研究グループは化学合成したペプチドから約 40 ナ

ノメートルのウイルスの殻構造を組み上げることに世界で

初めて成功した球状の植物ウイルスから遺伝子を除いた

キャプシド構造と呼ばれる殻構造は決まった大きさのナ

ノ空間であることからナノ物質の反応器や運び手として

利用する研究が国内外で盛んに行われているしかしこ

れまでウイルスのキャプシド構造を得るにはウイルス

の遺伝子をバクテリア内に導入して生産させる必要があっ

た本研究では遺伝子やバクテリアを用いない完全化学

合成によってウイルスキャプシドを構築することに成功

した今回ウイルスの殻構造を簡単なペプチドから構築

できたことで様々な機能性ウイルスキャプシドを人工的

に創成する道が拓けたと言えるこのペプチドからなるナ

ノカプセルに適切な化学修飾を施すことによりナノ物質

合成のための反応器や医薬品の運び手人工ワクチンを

創成するための足場材料として応用できるものと期待され

るhttpwwwkyushu-uacjppressrelease20102010-11-12-04pdf

【レアメタル】レアメタル使用量削減技術の実用化を加速(20101110)新エネルギー産業技術総合開発機構 (NEDO)

NEDO はレアアース総合対策の一環として企業が取り

組むレアメタル使用量削減技術の実用化を加速するための

助成事業(事業規模約 100 億円)を 2010 年度補正予算

の成立を前提に行うこの助成事業では短期間で実用化

が期待できる以下の技術開発を対象として①レアメタル

28

PEN

Nov

embe

r を代替する材料の技術開発 ②レアメタルの使用量を削

減する技術開発 ③レアメタルのリサイクルを促進する

技術開発 ④その他のレアメタル消費の削減に資する技

術開発を行うhttpapp3infocnedogojpinformationskoubopressEFnedopre

ss2010-11-068550095069

【導波路型光スイッチ】光スイッチの消費電力を従来の 2 分の 1 に低減 増え続けるネットワーク機器の消費電力問題を解決 (201011 09)( 株 ) 富士通研究所

同社はシリコンフォトニクス技術を適用した導波路型光

スイッチについて世界で初めてシリコンゲルマニウム

(SiGe)細線構造を用いることで従来のシリコン細線構

造に比べて消費電力を約 2 分の 1 に低減することに成

功した幅広い波長に対応して高速に動作できるタイプの

光スイッチ素子としては世界最小の消費電力を実現して

いるhttpprfujitsucomjpnews2010119html

【ナノ構造機能】昆虫が足を擦る秘密をナノテクノロジーで解明 生体模倣による新しい材料機能の開発に活用 (201011 09)物質材料研究機構マックスプランク研究所キール大

共同研究チームは環境問題で循環型社会実現に求められる

「接着と分離」を繰り返せる未来の接合技術の開発研究に

おいてガラスのような平坦な表面を逆さまでも歩行でき

る昆虫の足の裏の優れた接着性に着目し昆虫(ハムシ)

の歩行調査を行いナノテクノロジーを用いた実験により

昆虫が摩擦により汚れを感じていることを突き止めた

httpwwwnimsgojpnewspress201011p201011090html

【超音波流量計半導体プロセス】極微量な流量を精密に測定できる超音波流量計を開発 半導体製造装置の性能を向上させ環境負荷を低減しランニングコストを削減 (201011 09)産総研( 株 ) アツデン東京計装 ( 株 )

3 者は共同で10 mLmin( 誤差plusmn 01 mLmin) 以下の極

微量な流量を精密に測定できる超音波流量計を開発した

この流量計は超音波ガイド波の伝搬に関する基礎理論の

見直しを行い超音波を高周波化し設計を最適化するこ

とにより開発したものでこれまでの超音波流量計では計

測できなかった微小な流速領域での流量測定ができるこ

の超音波流量計は半導体製造装置で利用される薬液の高

精度な制御を可能にし半導体製造装置の高性能化環境

負荷の低減ランニングコスト削減へ貢献すると期待され

る httpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101109

pr20101109html

【研究交流】中国上海における国際交流事業の実施同済大学と大学間学術交流協定を締結 (201011 08)大阪大学

10 月 21 日上海において開催した上海教育研究センター

開所式記念講演会祝賀会には鷲田清一総長をはじめ

とする大阪大学教職員中国の学術交流協定校関係者大

阪大学同窓会会員など約 130 人が列席し盛況の内に終

了した翌 22 日23 日には第 15 回大阪大学上海交

通大学学術交流セミナーが上海交通大学情報ネットワーク

センターを主会場として開催され7つの研究会に約 100

人が参加したさらに 23 日と 24 日の両日上海東亜展

覧館を会場に開催された中国国際教育展に大阪大学のブー

スを出展し100 人を超える留学相談者が本学のブースを

訪れた翌 10 月 22 日鷲田清一総長は上海市内にある

同済大学を訪問裴学長陳副学長ほか大学関係者と懇談

するとともに大学間学術交流協定及び学生交流覚書の調

印式に臨んだこれにより中国の大学との 10 番目の協定

が成立したhttpwwwosaka-uacjpjanewstopics20101120101108_1

httpwwwosaka-uacjpjanewstopics20101120101108_2

【高耐久性セラミック】激しい熱変化にも強度劣化しない窒化ケイ素系セラミックスを開発 窒化ホウ素の微粒子を分散させ耐熱衝撃性を飛躍的に向上 (201011 08)産総研三井金属鉱業(株)

両者は共同で従来品に比べて耐熱衝撃性と高温での強度

を飛躍的に高めた窒化ケイ素系セラミックスを開発した

今回窒化ケイ素(Si3N4)をベースとして高い熱伝導

率をもつ粒界相を形成させるとともにそこに非晶質に近

い窒化ホウ素のナノメートルオーダーの微粒子を分散させ

ることで耐熱衝撃性を飛躍的に向上させた従来の窒化

ケイ素が 1000 の温度差で強度が低下するのに対して

今回の開発材は電気炉で 1400 に加熱した後水中に投

下することを 10 回繰り返してもほとんど強度が劣化しな

かったまたこの開発材について大気中 1200 で高温

29

PEN N

ovember

曲げ試験を行ったところ室温と同程度の強度を保持して

いたセラミックスでは大型化すると小試験片では得られ

た特性が得られず実用化を進める上での課題になること

が多いがこの開発材では焼結条件を最適化することに

よって直径 82 mm 長さ 370 mm の比較的大型の部品で

も試験片と同様の組織物性が得られたまた実際の

製品形状に近い部品の焼成も可能となったhttpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101108

pr20101108html

【ミリ波発信器】ミリ波帯無線通信の実用化にめど 世界最高性能の低雑音局部発振器を開発 (201011 08)東京工業大学

東工大の研究グループは雑音を従来の 100 分の1以下

に低減したミリ波帯局部発振器を開発した20GHz 帯の

発振器と 60GHz 帯の注入同期型直交局部発振器を組み合

わせることにより世界最高の低位相雑音性能を達成した

無線通信の周波数帯ひっ迫を解消する技術として 60GHz

ミリ波帯の利用が注目されているがミリ波帯ではコイル

やコンデンサの損失が大きくなり位相雑音特性が劣化す

るのがネックだった今回はこれを解決したものでミ

リ波無線通信の実用化につながる成果発振器は 65 ナノ

メートルのシリコン CMOS プロセスを利用して試作した

580GHz から 636GHz の周波数範囲で 4 相正弦波出力が

可能でこの発振器により10Gbps(毎秒 100 億ビット)

以上の超高速ミリ波帯無線通信の実現が期待されるh t t p w w w o l d t i t e c h a c j p t o k y o - t e c h - i n - t h e - n e w s j

archives2010111289174400html

【炭素繊維応用】住宅向け外装材「炭素繊維補強サイディング」の本格展開について 優れた強度と耐熱寸法安定性で 15 年の基材保証を実現 (20101105)東レ ACE(株)

東レの子会社東レ ACE は炭素繊維で補強した窯業系サ

イディングを開発し本格販売と市場展開を開始する「炭

素繊維補強サイディング」はセメント質原料に炭素繊維

を添加配合して成型固着させた建物外壁用のセメントボー

ドで従来の窯業系サイディングの優れた防耐火性耐久

性等を維持しつつ更なる強度補強効果や火災高温時の

変形や熱収縮によるひび割れの抑制など耐熱寸法安定性

も向上させることで基材 15 年保証を実現する 本製品

に使用している炭素繊維は軽くて強く優れた高温特性や

耐熱性を有し非常に細い繊維を多く配合できることから

外装材としての強度補強効果も期待できるとしている

httpwwwtoraycojpnewsaffilnr101105html

【光ファイバーナノインプリント】ナノ格子反射防止表面光ファイバー先端に形成ナノ技術で安く製作 (20101105)東北大学

東北大の研究グループは微小な窪みが多数形成された反

射防止構造体を光ファイバーの先端に製作する技術を開発

した光ファイバーは光通信や光分析装置の構成部品とし

て使われており光源受光素子やレンズなどの光部品と

の接続損失を減らすために先端に反射防止膜が形成され

ている従来の反射防止膜は真空装置を使って薄膜を付け

るためコストが問題であった研究グループはナノイン

プリント技術を用いて光ファイバー先端のコア部に 270

ナノメートル間隔で微小な円錐状の窪みを形成し反射損

失を低減することに成功したナノインプリント技術は

基板に塗布したポリマーに原版を押し付けて微細パターン

を転写する技術で高価な露光装置や真空装置が不要なた

めナノ構造を安価に製作することができる今回光ファ

イバー先端にナノ構造を製作するために専用のナノインプ

リント装置を開発した窪みの間隔が光の波長よりも小さ

い場合屈折率が変化し反射波が生じにくくなる反射

率や波長帯域は窪みの形状間隔や高さで決まり従来

の反射防止膜よりも設計の自由度が高いため要求に合わ

せて種々の反射防止表面を製作することが可能 httpwwwtohokuacjpjapanese201011press20101105-2

html

【人工筋肉機能材料】光を運動エネルギーに変える新高分子素材の開発に成功 世界で初めて分子を大面積で 3 次元的に配列させ新機能を実現 (20101105)理化学研究所

光で変形したり電子を流すなどの機能を持った分子を人工

的に規則正しく大面積で集積することができると機能性

材料の性能向上や革新的新機能の発現につながるそのた

め世界中で精力的に開発が行われているがこれまで実現

させた例はなかった理化学研究所の研究グループは光

で構造が変化するアゾベンゼン分子を組み込んだブラシ状

の高分子「ポリマーブラシ」を大面積で 3 次元的に一挙

に配列させる手法の開発に初めて成功したこの規則性の

ある 3 次元集積構造は延伸したテフロンシートにポリ

マーブラシを挟み込みアイロンに似た熱と圧力を加える

といういたって簡単な操作で実現したさらにこのフィ

30

PEN

Nov

embe

r ルムに光を当てるとアゾベンゼン分子の構造変化が一方

向に集約しフィルムが湾曲するという巨視的変形を引き

起こすことを見いだしたすなわちこの新しいフィルム

は光エネルギーを運動エネルギーに変換する機能を持って

おり新たな人工筋肉材料などへの展開が期待されるま

た本技術は有機薄膜太陽電池をはじめとする次世代の機

能材料の開発にも革新をもたらすと期待されるhttpwwwrikenjpr-worldinforeleasepress2010101105

indexhtml

【リチウムイオン電池正極材料】常温プロセスで全固体薄膜リチウムイオン電池の試作に成功 エアロゾルデポジション法による蓄電池製造の新工法開発を本格化 (2010115)産総研

産総研はトヨタ自動車 ( 株 ) と共同で産総研が開発し

たセラミックス材料の常温高速コーティングプロセスであ

るエアロゾルデポジション (AD) 法を用いて酸化物系の

正極材料負極材料固体電解質材料を薄膜積層化して

金属基板上に 3 層構造からなる全固体薄膜リチウム (Li) イ

オン電池を試作蓄電池としての充放電特性を世界で初め

て確認した 従来型の薄膜技術とは異なりAD 法を用い

ると基板の加熱が不要でまた厚膜化も容易であるそ

のため成膜時間が大幅に短縮でき蓄電池の生産性向上

やプロセスコストの大幅な低減が期待される今後は AD

法を用いた本格的な全固体電池の共同開発を進めていく httpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101105

pr20101105html

【記録デバイススピントルク素子】次世代超高密度 HDD に向けたマイクロ波アシスト記録の基本技術を開発 磁気ヘッドに搭載可能なスピントルク素子を用いた磁気情報の書き換えを確認 (2010115)新エネルギー産業技術総合開発機構(NEDO)(株)日

立製作所

NEDO はハードディスク装置(HDD)の開発製造会社で

ある日立グローバルストレージテクノロジーズの協力を得

て従来の磁気記録方式の限界を超えHDD の記録密度

を飛躍的に伸ばす方式として期待されているマイクロ波ア

シスト磁気記録方式の基本技術を開発しその原理を実験

的に確認したマイクロ波アシスト記録では記録媒体の

小領域にマイクロ波帯の高周波磁界を加え磁気情報の書

き込みを容易にする今回開発したのはヘッドに搭載可

能な高周波磁界を発生するスピントルク発振素子でこの

素子を用いて記録媒体上に磁気情報を記録できることを実

験的に確認したこれまで外部のマイクロ波発生装置を

用いたマイクロ波アシスト効果の報告例はあったが今回

微細な発振素子を用いた磁気情報の記録を確認できたこと

により将来この素子を記録ヘッドに搭載しマイクロ波

アシスト記録を実用的に行える可能性が示されたhttpapp3infocnedogojpinformationskoubopressEFnedopre

ss2010-11-029718160145

【基礎科学物性】絶縁体が金属に変わる新原理の解明 超伝導素子や熱電変換素子の開発へ道(20101104)東北大学

東北大学原子分子材料科学高等研究機構の研究グループ

は高品質酸化物薄膜において電気が流れにくい絶縁体

状態から流れやすい金属状態への遷移機構を解明した材

料における電気の流れやすさは電気を流す担い手である

伝導キャリアが物質中にどれだけ含まれるか伝導キャリ

アがどれくらいスムーズに動きまわれるかによって決ま

るつまり伝導キャリアの濃度を増やしたり材料中で

伝導キャリアの動きを妨げる原因になるひずみや欠陥を少

なくすると電気はより流れやすくなる本研究では人

工宝石として知られるチタン酸ストロンチウム (SrTiO3)

の絶縁体を用い伝導電子を生み出すキャリア供給層を

SrTiO3 絶縁体間に挟み込んだ絶縁体層 キャリア供給層

絶縁体層の層状界面構造をもつ高品質超格子構造を作製す

ることで絶縁体層の体積を増加させると反対に電気が流

れやすい金属状態になる現象を発見した最新の電子顕微

鏡技術を用いた原子構造解析と電子状態の理論計算を駆使

して絶縁体を増加させると界面で結晶のひずみが少なく

なり高導電化することを解明した本研究が明らかにした

界面での結晶のひずみを制御することによって絶縁体を金

属状態へ変化できる現象は様々な材料でも普遍的に起こる

と考えられ絶縁体から金属へ変わる境目で性能が向上す

る新超伝導体や新熱電材料の開発に展開することが可能と

期待されるhttpwwwtohokuacjpjapanesenewimgpressimgtohokuuniv-

presspdf

【環状高分子】様々な環状高分子の自在な合成に成功 「かたち」に基づく機能開発に期待(2010112)東京工業大学

東工大の研究グループはこれまで困難とされてきた

種々の含環状高分子の選択的な合成に成功した同研究

グループで開発された単環状高分子合成プロセスである

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Electrostatic Self-Assembly and Covalent Fixation Process

と有機合成化学の新手法であるクリックケミストリー

を組み合わせることで様々な「かたち」の自在な構築

を達成した本手法の開発により近年注目を集めてい

る「かたち」に基づいた高分子物性の探索を加速させる

ものと期待されるhttp wwwo ld t i t e ch ac j p tokyo - t ech - in - the -news j

archives2010111288656000html

【異分野連携オープンイノベーションモデル】応用脳科学コンソーシアム 脳科学及びその周辺領域の学術知見を活用したオープンイノベーションモデルの研究活動を開始 異業種の民間企業と異分野の脳科学研究者が連携し事業性の高い研究テーマを推進 (2010111)アサヒビール(株)(株)NTT データ積水ハウス(株)

(株)竹中工務店帝人(株)凸版印刷(株)日産自動

車(株)(株)博報堂(株)NTT データ経営研究所

NTT データ経営研究所が日本神経科学学会の協力を得て

2010 年 10 月 1 日に創設した「応用脳科学コンソーシア

ム」においてそれぞれの事業活動に関連する独創性の

高い研究テーマについて複数の「応用脳科学 RampD 研究会」

を立ち上げるRampD 研究会では各 RampD 研究会を設置

した特別会員企業が各テーマに関連の深い脳科学及び

その関連領域の研究者を招聘し異業種である他の会員

企業とともに最新の研究知見を活用してオープンイノ

ベーションモデルの研究活動を実施する各社が設置す

る RampD 研究会は現時点で(1)おいしさの総合評価研究

会(アサヒビール)(2)ヘルスケア脳情報クラウド研究

会(NTT データ)(3)インタラクティブ住環境研究会(積

水ハウス株式会社)(4)コミュニケーション空間研究

会(竹中工務店)(5)メディアエンゲージメント研究

会(博報堂)この他の RampD 研究会については今後随

時応用脳科学コンソーシアムのウェブサイト httpwww

keieikencojpcan で公開予定

httpwwwnttdatacojprelease2010110101html

【レーザ技術基礎光物性】熱を加えずに結晶を柔らかくすることに成功 高強度テラヘルツ電磁パルスで分子ネットワーク操作が可能に 

(2010111)京都大学科学技術振興機構(JST)

京都大学はテラヘルツ電磁パルスと呼ばれる新しい光

を物質に照射することで1兆分の1秒の短い時間で結

晶中の分子を大振幅で揺さぶり熱平衡状態では実現で

きないような分子変位を実現することに世界で初めて成

功した実験結果は結晶が実効的にやわらかくなったこ

とを意味するものでさらに強いテラヘルツ電磁パルス

によって高効率で結晶を融解させることを示唆するこ

れは熱による反応を起こすことなく新しい分子間のネッ

トワークやたんぱく質などの巨大分子の立体配位を操作

できることを示しており化学合成における反応促進や

創薬における有機分子結晶の精製での活用が考えられる

今回の成果は JST 戦略的創造研究推進事業日本学術振

興会学術創成プロジェクト「動的相スイッチ機構を内在

する有機電子材料の開拓と非平衡物性科学への展開」お

よび京都大学グローバル COE プログラム「普遍性と創発

性から紡ぐ次世代物理学」によるものhttpwwwjstgojpprannounce20101101indexhtml

【高周波デバイス】透 明 な 高 周 波 デ バ イ ス 見 え な い ア ン テ ナ へ の 道

(20101028)物質材料研究機構太陽誘電(株)

両者は共同で透明な高周波デバイスを製造するための

基本技術である微細な金属配線と酸化物透明導電体から

なるハイブリッド構造を開発した本技術は不透明で

あるが高い伝導性を示す金属と透明ではあるが金属の

100 分の 1 程度の伝導率にとどまる酸化物透明導電体と

を組合せ両者の特性を相補的に活用することにより

透明でありかつ携帯電話をはじめとする無線デジタ

ル通信に用いられるギガヘルツ帯の高周波に対して高い

伝送特性を示す素子構造を実現した

httpwwwnimsgojpnewspress201010p201010280html

【エコ製品環境経営】COP10 に向けた環境配慮型製品技術の取り組み ポリ乳酸繊維 ldquo エコディア rdquo 使用商品の提供や連携事業「メッセナゴヤ 2010」への出展を通じ環境保全の取り組みを強化 (20101028)東レ ( 株 )

同社は10 月 11 日 ( 月 ) から 29 日 ( 金 ) に開催された

生物多様性条約第 10 回締約国会議 (COP10) に向けて

ポリ乳酸繊維 ldquo エコディア rdquo 使用商品の提供などを通じて

環境に配慮した運営に協力したまたCOP10 の連携事

業である環境エネルギーをテーマとした展示会「メッ

セナゴヤ 2010」に出展し環境に配慮した次世代自動車

や最先端航空機向けの先端材料を紹介した

httpwwwtoraycojpnewsfibernr101028html

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NEWS POD 著作権の関係で記事のタイトルと詳細内容は標記できませんので簡略に表示しています詳しい内容に関しては各新聞及び雑誌をご覧ください

ナノテクノロジー

研究開発最前線

20101122 日 刊 工 業 新 聞 News

ウェーブ 21

X 線レーザー

20101121 東京読売新聞

新潟ナノテク研究会

20101120 日本経済新聞

ナノテクとバイオ

20101120 下野新聞

バイオ起業

20101119 朝日新聞

ナノ粒子の構造制御

20101119 日刊工業新聞

水素原子観察

20101119 科学新聞

光ファイバー関連技術

20101119 科学新聞

希少金属対策

20101118 日刊工業新聞

熱電材料

20101117 日経速報ニュース

化学合成でナノ構造

20101117 日経産業新聞

つくばナノテク研究拠点への投資

20101117 日刊工業新聞

分子バネ

20101116 日経速報ニュース

ナノバイオ融合

20101116 日経産業新聞

フレンドオブアースのナノテク評

20101116 エコロジーエクスプレス

クラスターテクノロジー

20101112 産経新聞

実用化助成

20101111 日刊産業新聞

接着のメカニズム

20101110 日経産業新聞

電子材料

20101110 日経産業新聞

ナノ磁石

20101110 東京新聞

高分解能放射線検出器

20101110 化学工業日報

電池電極材料

20101108 日本経済新聞

食の安全性

20101108 日経エコロジー

ナノ磁石実用化

20101105 朝日新聞

ナノテク接着剤

20101105 日刊工業新聞

水素原子の観察

20101105 日刊工業新聞

補正予算案

20101105 科学新聞

ナノ磁石

20101104 日本経済新聞

ナノボーグ

20101104 日刊工業新聞

ITO 電極代替技術

20101104 鉄鋼新聞

レアアース代替材

20101103 日本経済新聞電子版

セクション

ナノ鉄磁

20101103 毎日新聞

有機トランジスタ

20101101 日 経 速 報 ニ ュ ー ス

アーカイブ

有機トランジスタ

20101101 日経産業新聞

ナノムービー

20101101 日経サイエンス

低燃費タイヤ

20101030 朝日新聞

筑波大生命科学研究拠点

20101030 茨城新聞

レアアース代替材

20101029 日経産業新聞

播磨地域

20101029 化学工業日報

ナノ粒子操作

20101029 科学新聞

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NEWS POD 著作権の関係で記事のタイトルと詳細内容は標記できませんので簡略に表示しています詳しい内容に関しては各新聞及び雑誌をご覧ください

中国新5カ年計画

20101028 日本経済新聞

高機能消臭素材

20101028 化学工業日報

環境規制等

終わりの科学

20101201 日経サイエンス

電気自動車の覇権

20101123 週刊エコノミスト

環境規制対応

20101122 日経産業新聞

温暖化ガス排出枠

20101122 日経産業新聞

ロス自動車ショー

20101119 日経産業新聞

EV と環境規制

20101119 朝日新聞

EV

20101119 東京新聞

環境と法規制

20101119 化学工業日報

トヨタとテスラ

20101118 読売新聞速報ニュー

CO2 排出量削減

20101118 日経産業新聞

カリフォルニア州環境規制と EV

20101112 日本経済新聞

環境規制

20101112 日本経済新聞

環境規制

20101112 日経産業新聞

米韓 FTA

20101112 朝日新聞

米韓 FTA

20101112 毎日新聞

顔料

20101112 化学工業日報

レアメタル供給規制

20101111 日本経済新聞

潮冷熱

20101110 日本経済新聞

レアアース生産と環境規制

20101108 ダウジョーンズ中国企

業ニュース

韓米FTA

20101101 中央日報

科学技術政策

競争的資金制度

20101122 日本経済新聞

科学技術関係補正予算案 

20101122 THE DOCTOR

韓国 KIST

20101121 朝鮮日報

科学技術政策

20101119 日本経済新聞電子版

セクション

科学技術政策

20101118 日本経済新聞

科学技術政策

20101118 日経産業新聞

女性研究者

20101117 日経速報ニュース

科学技術予算

20101114 東京読売新聞

トップ1論文

20101112 科学新聞

中国特許強国に

20101112 新華社ニュース

関経連と科学技術政策

20101110 産経新聞 

科学技術産業一体政策

20101109 日刊工業新聞

優れた論文の条件

20101105 毎日新聞

「焼け太り許さぬ」

20101102 朝日新聞

国の研究開発投資目標

20101029 日刊工業新聞

科技政策で提言

20101027 日経産業新聞

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科学への信頼に関する読者調査

20101201 日経サイエンス

「カップリング反応」アニメ化

20101110 朝日新聞東京読売

新聞他

科学と社会つなぐ人材

20101025 東京新聞

NEWS POD 

情報誌 PEN 購読のご案内PEN の継続的な購読をご希望の方は下記のメールアドレスまでお名前ご所属メールアドレスをご記入の上ご連絡ください登録配信は無料ですnano-penmaistgojp

PEN は原則月 1 回配信しますバックナンバーと PEN の前身【AIST-TOKYO ナノテク情報】をナノシステム研究部門ホームページにて公開しています httpunitaistgojpnrinano-planindexhtml

PEN は皆さまとの情報共有を目的としていますお持ちの情報で共有すべきものがあれば nano-penmaistgojp までお寄せ下さい

いただいた個人情報は産総研 個人情報保護方針(プライバシーポリシー)に基づき大切に管理し情報誌 PEN の運営と私達のイベントのご案内のみに使用させていただきます

科学技術コミュニケーション

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イベント案内

[産学連携研究開発]大阪大学ナノ理工学人材育成産学コンソーシアム 第 3 回ナノ理工学情報交流会場所大阪大学中之島センター 7 階 講義室 3(講師来訪)

   大阪大学東京オフィスサテライト教室

(遠隔講義配信)

   四日市商工会議所内サテライト教室

(遠隔講義配信)については調整中です

コンソーシアム HP にてご確認ください

   ナノテク社会人教育プログラムの開講をされてい

る場合遠隔講義配信に対応可能です事務局まで

ご連絡ください

日時2010 年 12 月 10 日(金)1330 ~ 1900 頃

主催大阪大学ナノ理工学人材育成産学コンソーシアム 

概要ナノ理工学人材育成産学コンソーシアムでは活動

の一環として産学連携のきっかけを提供すべく企業と

大学の双方からテーマに即した研究開発やトピックを紹介

し会員同士の意見交換と情報共有の促進をはかっていま

す第 3 回目となる今回は「光を用いたナノテクノロジー

の新展開」をテーマに開催しますプログラムなどの詳細

は下記の HP をご参照下さい

参加費コンソーシアム会員学生及び大阪大学教職員は

無料(コンソーシアム企業会員の場合社内から何名でも

無料で参加が可能です)

上記以外の方は資料作成費 1000 円が必要になります

参加登録氏名所属連絡先懇談会への出欠を記載の

上メールにて大阪大学ナノ理工学人材育成産学コンソー

シアム事務局(nano-consnanoscienceorjp)へお申込み

下さい

httpwwwnanoscienceorjp

[コミュニケーション]科学コミュニケーション研究会 第 1 回関西支部勉強会日時2010 年 12 月 2 日 1800 ~ 2000

場所京都大学 吉田泉殿

主催科学コミュニケーション研究会 関西支部有志

概要大阪教育大学科学教育センターの中矢史雄氏を講師

に招きオーストラリアの科学技術コミュニケーションに

ついてオーストラリア国立大学科学意識向上センター

での経験なども交えてお話いただきます定員は 25 名で

す事前申し込みが必要です

httpbitlybPmTP9

[展示会]セミコンジャパン 2010日時12 月 1 日~ 3 日

場所幕張メッセ

主催SEMI

概要国内外の最新のマイクロエレクトロニクス技術に関

する情報を入手することのできる世界最大の半導体製造装

置材料展です

httpwwwsemiconjapanorgjaindexhtm

[知財]アジア特許庁シンポジウム日時2010 年 12 月 3 日(金)930 ~ 1210

場所ホテル日航奈良 飛天の間

主催特許庁

概要日本中国韓国インドネシアマレーシアシ

ンガポールの特許庁幹部を招き各国の知財保護強化の取

組みやアジアにおける知財協力を紹介しますまたパ

ネルディスカッションを設けアジアにおける人材育成協

力の方向性について議論します

httpwwwintergroupjp~convasia

[人材育成]応用物理学会 人財育成シンポジウム -日本の危機を科学が救うそのためのリーダー育成を考える-日時2010 年 11 月 29 日(月)1000 ~ 1710

場所東京工業大学デジタル多目的ホール

主催応用物理学会

概要急速に進むグローバル化に対応のできる人材を育成

するための課題や応用物理学会が貢献することのできる

具体的な取り組みについて議論します

イベント案内へ掲載を希望される方は nano-penmaistgojp までご一報ください

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r h t t p w w w j s a p o r j p a c t i v i t i e s e d u c a t i o n

symppt2010symphtml 

[コミュニケーション]科学技術とメディアのより良い関係に向けて日時11 月 26 日 1815 ~ 2030

場所早稲田大学大隈小講堂

主催サイエンスメディアセンター(SMC)

概要英国オーストラリアのサイエンスメディアセ

ンターの関係者米国のサイエンスコミュニケータを交え

て研究者とメディアの有益な関係性構築に向けた取り組

みについて議論します参加費は無料同時通訳がつきま

httpsmc-japanorgp=403 

[異分野連携]医学領域と工学領域連携研究シンポジウム ‐ 未来を拓く医工連携 ‐日時2010 年 11 月 27 日(土)

場所山口大学医学部第 3 講義室

主催日本学術会議中国四国地区会議山口大学

概要がんの個別化医療をメインテーマにこれからの医

工連携のあり方について講演と議論を行います

httpwwwscjgojpjaeventpdf100-t-3pdf 

[人材育成]マイクロナノエンジニアリング シンポジウム ‐ イノベーションと人材育成 ‐日時2010 年 12 月 8 日(水)1300 ~ 1700

場所日本学術会議 講堂

主催日本学術会議 マイクロナノエンジニアリング分

科会日本機械学会 マイクロナノ工学専門会議

概要学際的分野であるマイクロナノエンジニアリング

は大学大学院における教育の整備関連する産業界

学術界での研究開発における分野融合的な取組みが不可欠

です本シンポジウムでは人材育成を軸とした課題につ

いて議論します

httpwwwscjgojpjaeventpdf100-s-3-1pdf

[ 博物館展示 ]自然に学ぶ ネイチャーテクノロジーとライフスタイル展開催中です

場所国立科学博物館 (東京上野公園)

日時2010 年 10 月 26 日~ 2010 年 2 月 11 日

主催東北大学大学院環境科学研究科国立科学博物館

特定非営利活動法人ものづくり生命文明機構

概要蝶や鳥など生き物や自然の仕組みにヒントを得た環

境負荷の低い技術と将来的な応用の可能性から日本文化

に根差した共生型の新しいライフスタイルのあり方につい

て紹介します国立科学博物館の入館料600円が必要です

httpwwwkahakugojpevent201010natureindex

html

[人材育成]シンポジウム「世界を魅せる日本の課題解決型基礎研究~JST 目利き制度とその可能性」日時2010 年 12 月 6 日(月)1000-1800 (0900 受

付開始)

場所東京国際フォーラム B5 ホール

主催(独)科学技術振興機構(JST)

概要JST がこれまでに行ってきた戦略的創造研究推進

事業の成果を振り返りつつ今後の日本の科学技術の発

展に向けた事業のあり方について参加者の皆様と議論しま

httpwwwsenryaku30jstgojp 

[ 持続可能性 ]学術会議シンポジウム「低炭素化に向けた経済社会エネルギーのあり方と実現のシナリオ」日時2010 年 12 月 9 日(木)1330 ~ 1700

場所学術会議講堂

主催土木工学建築学委員会低炭素建築都市分科会

社会資本分科会

概要両分科会は中~超長期のエネルギー消費量削減シ

ナリオ策定に取り組んできました本シンポジウムでは

分科会の検討結果や削減のための様々な取り組みを紹介

し今後のとりまとめ作業に向けた議論を行います

httpwwwscjgojpjaeventpdf104-s-3-6pdf 

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PEN 編集室関谷瑞木阿多誠文独立行政法人産業技術総合研究所 ナノシステム研究部門 305-8568 つくば市梅園 1-1-1 産総研つくばセンター中央第 2 M404Email nano-penmaistgojpTel029-861-5185 Fax 029-861-5339

編集後記

今月 8 日に長野県長野市で開催された第 3 回国際ナノ

ワークショップ「ナノテクノロジーの社会受容~ナノ

材料の工業標準化の国際的な動向と環境影響について

~」の会場で多くの企業の皆様と意見交換をする貴

重な機会を得た目まぐるしい勢いで変わってゆく諸

外国の環境規制策の動向に民間企業の皆様が神経を

とがらせておられることがひしひしと感じられた東

京から新幹線で 1 時間半インターネットでリアルタ

イムに世界とつながることのできる時代とはいえ情

報物人が集積する地である東京とは異なる苦労も

あることもお聞きした美しい山々きれいな空気あ

るいは世界に誇る観光遺産と科学技術を結び付けて

地域振興をはかりたいとの頑張っておいでの方にもお

会いした

月刊という制約はあるもののこうした方々にとって

タイムリーで有用な情報を提供し続けたいと改めて

強く感じた

ちなみにPEN を発行しているつくば市の産総研つく

ばセンターへもつくばエクスプレスと路線バスを乗

り継いで都心からは約 1 時間半かかる

2010 年 11 月 25 日

PEN 編集室一同ウナギツカミ

Page 6: Public Engagement with Nano- PEN November …...5 PEN November 【知財】 中国、10年で特許強国に(2010.11.12) 中国国家知識産権局は11日に「全国特許事業発展戦略

6

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r の数が増加しているのでナノ粒子が環境中に放出され

て最終的には食物連関のなかに取り込まれる可能性が高

まっている」との単純化した考えについて分析を加えて

いる実際にはナノ材料の環境や健康への影響を明ら

かにするのは容易ではない Warheit 氏は

1ナノ粒子は常にその凝集体より有害である

2サイズと表面特性が常に有害性を判断する指標になる

3すべてのナノサイズの二酸化チタンは同じ毒性プロ

ファイルをもつ

4既存のグッドプラクティスは役立たない

5 ナノ粒子の炎症性評価は in vitro か in silico の試験方法

で評価できるという 5 つのナノ材料毒性にまつわる「伝

説」を取り上げている

Warheit 氏はたとえばサイズではなく表面活性が毒

性を決めると示唆する研究が存在することを指摘し重

要なのはナノ材料の毒性は複雑な要素が絡み合って決ま

るものであり単純なモデルでは明らかにできないこと

を理解することであるとしているまたナノ材料毒性

の研究は非常にゆっくりとした速度でしか進んでいない

そのため研究そのものの数が少なく相互に矛盾する

結果が出されてもいる公表されている試験結果の限界

について理解しておくべきとも述べている

httpwwwnanowerkcomspotlightspotid=18774php

【政策】NNI2011 年度の新規戦略プラン固まる(2010111)米国大統領官邸の科学技術政策室と国家科学技術会議

(NSTC)のナノスケール科学工学技術小委員会は国家

ナノテクノロジー戦略(NNI)の 2011 年度の戦略プラン

の草案を公表しパブリックコメントの募集を開始した

戦略プランは米国のナノテクノロジー研究開発の方向

性を決めるものである重点分野予算配分関係連邦

政府機関のミッションやプログラム等の各項目について

専門家の助言を受けて作成されているパブリックコン

サルテーションは NNI の専用のポータルサイトで 11 月

30 日まで募集しているhttpwwwelectroiq comindexdisplaynanotech-wire-

news1294308577html 

【EHSリスク管理】ナノ粒子と環境(201011)フォトニック工学に関する総合情報サイト Photoniccom

はナノ粒子と環境に関するノースカロライナの Wake

Forest 大学と Duke 大学の共同のレビューを掲載した

環境中に排出されたナノ粒子は様々な生物学的影響をも

たらす可能性があるこのような影響は特定のナノ粒

子の化学組成だけでなく環境中での凝集状態などによっ

ても左右さると考えられているナノ粒子の環境への影

響についての研究は増加しつつある研究の関心は大き

く分けて(1)環境への排出経路と排出時のナノ材料の

状態(2)環境に派出されるナノ材料の毒性(3)環境

中でのナノ材料の挙動と蓄積性(4)最終的なナノ材料

の環境中運命と環境からの回収にある現在細胞レベ

ルでの生体とナノ材料の相互作用などについて少しずつ

明らかになりつつあるしかし自然界ではナノ材料は

多くの場合凝集状態になると考えられるが実際にどの

ような形状になるのかについて確定的なことはまだ不明

であるこのようなことから多くの研究機関や大学で

研究が政府の支援を受けて広く市場で用いられる前に

リスクを見極めるために急ピッチで研究を進めている

httpwwwphotonicscomArticleaspxAID=44805

【管理策】米国のナノテクノロジー管理策について(20101029)化学が社会に与える影響評価を行っている米国の NPO

Chemical Heritage Foundation からナノテクノロジーの

分析に関するレポートと環境保護庁(EPA)の有害物質

規制法(TSCA)の改正に関するレポートが公表された

ライフサイクルに関するレポートはナノテクノロジー

関連の材料の製造から製品の廃棄にいたるまでの各ライ

フサイクルに対応する連邦政府の管理策や規制策を分析

した結果をまとめたものであるTSCA 改正に関してのレ

ポートは3 つの機関が TSCA のナノテクノロジーへの適

用という観点から行った提言を紹介したものhttpwwwelectroiqcomindexdisplaynanotech-article-

display1319373325articlessmall-timesnanotechmems

industry-news2010octobernanotechnology-lifehtml

【EHS農業】植 物 で は 細 胞 へ の ナ ノ 粒 子 の 移 動 は 確 認 で き ず

(20101029)ナノ材料が生物学的に重要な様々な防御機能を潜り抜け

てしまうのではないかと懸念されているナノ材料の

生体内での移動はすでに哺乳類で確認されているスイ

スのチューリヒ工科大学の研究チームは主要な穀物で

あるトウモロコシにおける酸化セリウムナノ粒子の吸収

と移動について分析を行ったトウモロコシを酸化セリ

ウムナノ粒子のエアロゾルおよび懸濁液に暴露したとこ

ろ葉に 50 μ g の吸収がみられたしかしエアロゾル

に暴露させた株に新しく生長した葉に酸化セリウムナノ

7

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粒子が移動している事実は確認されなかったしたがっ

て植物の防御壁は哺乳類の防御壁よりも強固なのでは

ないかと考えられるhttpiconriceedudetailscfmrid=48442 

httppubsacsorgcennews88i448844news8html

【政策】ECナノ材料の定義について意見を募集(20101025)欧州委員会(EC)はナノ材料の草案段階の定義について

公開しオンラインで意見募集を開始したEC が公開し

た定義では次の 3 項目の条件を満たす材料は全てナノマ

テリアルとみなすという3 項目は①外部構造の 1 次

元以上が 1 nm から 100 nm②内部構造もしくは表面の

1 次元以上が 1 nm から 100 nm③単位体積当りの全表

面積が 60 m2cm3 以上となる物質とされている意見

募集は 11 月 19 日まで行われEC は意見募集の結果を踏

まえて最終的な定義案を作成する現時点で欧州域内に

おいて法的に拘束力のあるナノマテリアルの定義は化

粧品規制(Cosmetics Regulation 12232009)に記され

ている定義のみであるhttpwwwfoodnavigatorcomScience-NutritionEC-calls-for-views-

on-nanomaterial-definition 

【コミュニケーション】米国におけるナノテクノロジー食品応用研究の情報公開は不十分(20101025)米国の生化学者の DM Beck 氏はナノテクノロジーの

食品応用の現状と将来展開について分析し米国の消費

者は欧州たとえば英国の状況に比べて十分な情報や

情報共有の機会を提供されているとは言えない状況にあ

ると批判している情報が不足しているために消費者

の態度が化粧品や医薬品に対するものとは異なっている

と分析しているBeck 氏は研究開発の透明性という部

分で化粧品や医薬品もさして変わらないが消費者の

反応ははるかに慎重なものだと指摘するhttpwwwwibwcomhomeheadlinesControversy_Surrounds_

Nanotech_Food_Experiments_105736283html

【政策】カナダ研究開発支援に大型の予算配分(20101025)カナダのイノベーション基金(CFI)は研究基盤整備を

支援するために 6 億カナダドル(約 492 億円)の予算を

配分する予算配分の内訳は大規模科学イニシアチブ

大学向けの競争的資金最先端基金新イニシアチブ基

金リーダーズオポチュニティ基金となっている全予

算の約 3 分の 1 ずつがそれぞれ大規模科学イニシアチ

ブとリーダーズオポチュニティ基金に配分される

httpwwwinnovationcaennews20101025240

【EHS】ナ ノ テ ク ノ ロ ジ ー 製 品 の 海 洋 生 態 系 へ の 影 響

(20101022)ナノ材料の環境影響についてはまだほとんど研究が進

んでおらず十分なことがわかっているとは言い難い

コネチカット州の New Haven 大学の研究者らは海岸

や桟橋に付着しているぬるぬるしたスライム状のバイオ

フィルムを調べることで様々な日用品を排出源とする

ナノ材料の海洋生態系への影響を明らかにできるかもし

れないとして研究を始めている

httpwwwnanowerkcomnewsnewsid=18632php

【EHS】ナノ医薬品の開発と不確実性(20101021)米 国 で 開 催 さ れ て い た ナ ノ 医 薬 品 American Society

of Nanomedicine の 年 会 で 毒 性 学 の 専 門 家 で あ る

Rochester 大学の Gunter Oberdorster 教授が慎重に言

葉を選びつつナノ医薬品の開発においても新たな分

野の開拓につきものの不確実性に伴う課題に積極的に取

り組むべきだと語った様々なリスクが懸念されている

ものの「新しい材料の正確な知識の入手がもっとも重要

である」と Oberdorster 教授は指摘した現在実施され

ている多くの有害性試験は試験動物へのナノ材料の投

与量が実際的な量とは言えず正確な評価ができないと

も指摘したOberdorster 教授は正確な有害性評価リ

スク評価ひいては有効な医薬品開発のためにさらなる

研究が必要と結んでいるhttpnewhavenindependentorgindexphparchivesentrysafety_

a_concern_for_nanomedicine_tooid_30430

【産業化】現 実 を 見 据 え た ナ ノ テ ク ノ ロ ジ ー 研 究 開 発 の 出 番

(20101020)ナノテクノロジー研究開発は一頃の地に足のつかない

高揚した状況からナノテクノロジーで何が可能なのか

を冷静に分析しつつ実用化のための戦略を定めるべき

状況にあるとの認識へと変化している

10 月 20 日に Industry Week Online にRice 大学主催フ

ラーレン発見 25 周年記念シンポジウムにあわせてこれ

8

PEN

Nov

embe

r までに発表された市場レポートや多くの専門家の意見を

引用しNano-Hype が収まった後のナノテクノロジー研

究の行方についてまとめた記事が掲載された

一部のナノ材料が半導体産業などで利用され始めている

ものの全米科学財団(NSF)が 2000 年に予測したよ

うな 1 兆ドル規模の市場は創出できていないこと結局

NSF の市場予測によって実現したのはナノテクノロジー

への非現実的な期待に火をつけることだけであったと指

摘このような状況の背景には革新的な発展を可能に

する技術の実現に関する課題とこのような開発にかか

る高コストの問題があるとしているさらに環境健康

安全への懸念が研究開発の行方を一層不確かなものと

していると述べている

NSF の予測を大幅に下回るものの2009 年の米国のナノ

テクノロジー関連市場は 120 億ドル規模にまで成長して

いる今後も順調に成長を続ければ2015 年には 260

億ドル程度の市場に成長することが期待できる現在

最も市場化が進んでいるのが高機能材料を作り出して

いる化学品産業であるまた健康関連産業とりわけ患

者にやさしい診断用ツールなどの分野で近い将来大きな

飛躍が見込まれるとしRice 大学が 2010 年 4 月に試験

的なナノスケール腫瘍診断用チップの開発に成功してい

ることを指摘しているhttpwwwindustryweekcomarticlesnanotechnology_beyond_

the_hype_23017aspx

【医薬品】ナ ノ 粒 子 を 利 用 し た が ん 治 療 薬 の 製 品 化 が 活 発 化

(20101015)がんについての研究は進んできているものの1950 年代

以降もがんの治療法に画期的といえるような大きな進歩

はない化学療法は患者にとって相変わらずつらく苦し

いもので治療に用いられる薬は健康な細胞もがん細胞

とともに破壊してしまっているしかしナノ材料を用い

たがん治療薬がこのような状況を早晩改善する希望が出

てきたナノ医薬品は初期のハイプの段階を抜け出して

製品化目指して着実に進んでいる今では50 を超える

企業ががんの治療や診断に用いるためのナノ粒子ベース

の医薬品の開発に取り組んでいるこのうちの 34 社はこ

こ 4 年の間に設立された現在活発に臨床試験が行わ

れているナノ医薬品はより複雑で高機能なものである

httpwwwsciencemagorgcgicontentfull3306002314 

【政策産業化】ドイツバーデンヴュルテンベルク州に新しい最先端クラスター発足(20101015)ドイツのバーデンヴュルテンベルク州に準備中であっ

た最先端マイクロシステム研究クラスター Micro TEC

Suumldwest が公式に活動を始めたMicro TEC Suumldwest では

同州を中心に 350 を超える大学研究機関製造やサー

ビス関連企業が29 のプロジェクトに参加することにな

るドイツ連邦教育研究省が 4000 万ユーロ約 46 億円

の資金援助を行う予定httpwwwmstbwdedemstindexhtml

httpmicrotec-suedwestdecmsfront_contentphpchangelang=2

【産業化】各国で実施したナノテクノロジー研究開発の長期展望に関する調査結果を公表(20101013)世界の最新技術動向を調査している米国の NPO である

World Technology Evaluation Center(WTEC)はナノ

テクノロジー研究開発の長期的展望と研究の方向性につ

いてまとめたレポート「Nano2」を公表した本レポー

トは全米科学財団(NSF)の支援を受けWTEC が世界

各国で実施した調査と 2010 年前半に米国ドイツ日本

シンガポールで実施したワークショップでの議論を基に

して作成されたNSF の Mihail Roco 氏が本調査の責任者

であるレポートではこれまでに指摘されてきた様々

な課題について解決に向けた取り組みの状況がまとめ

られているこれらの既存の課題に加え長期的展望に

たった研究開発のための今後の取り組みの方向性につい

ての専門家の提言が盛り込まれている本レポートは草

案の段階でコメントを募集中である

httpwwwwtecorgnano2

http2020scienceorg20101013nanotechnology-2-0-the-next-

ten-years-of-nano-risk-research 

【政策】オーストラリア工業ナノ材料を化学物質管理の対象へ

(2010105)オ ー ス ト ラ リ ア の National Industrial Notification and

Assessment Scheme (NICNAS)は工業ナノ材料を化学

物質管理のための枠組みを定める「工業化学物質報告

評価法」3 章に定める新規化学物質とし報告義務のある

行政手続きの対象とするとして官報で告知したNICNAS

における工業ナノ材料の定義は「ナノスケールで特別

な物性あるいは構造をもつように製造加工設計された

1nm から 100nm のサイズのナノオブジェクト(12

9

PEN N

ovember

3 の次元のいずれかがナノスケールであること)あるいは

ナノ構造(ナノスケールの内部構造もしくは表面)である」

物質とされているまた本項は既存の化学物質のナ

ノサイズの物質にも適用される輸送のためにオースト

ラリアのいずれかの港空港を通過する場合や年間 100g

以下の研究目的の輸入などが適用を免除される適用の

開始は 2011 年 1 月 1 日であるhttpwwwnicnasgovauPublicationsChemical_Gazette

pdf2010oct_wholepdfpage=14 

【社会的影響】ナノテクノロジーとアフリカ大陸(2010106)これまで様々な科学技術が途上国の抱える様々な課題

を解決すると喧伝されてきたナノテクノロジーについ

ても例外ではないしかしこのような考え方は少々単純

すぎると途上国の専門家は考えている2010 年のはじめ

にコートジボワールで開催されたワークショップでア

フリカ諸国にはリスクを避けるためにナノ材料の使用や

輸入を拒否する権利があるとの主張がなされたこのワー

クショップでアフリカ諸国の専門家はベネフィットだ

けでなく科学技術の進歩がもたらす社会的な影響につ

いても関心を持つべきであると述べている

ナノ材料のような新興の材料を用いた製造工程の急激な

変化に途上国の労働者がついてゆくのは困難であること

など技術的発展が必ずしもベネフィットにつながらな

い可能性も指摘されているまた今後ナノテクノロジー

を活用しようとするアフリカ諸国の前に特許の問題が立

ちふさがる可能性が非常に高いと予想されている

いずれにしろナノテクノロジーがアフリカ諸国の経済

に大きな影響を与えることは必至である重要なことは

アフリカの将来を左右するナノテクノロジー研究開発を

どのような方向に進めるのかの決定に当事者として関

与する道を確保できるのかということである

httppambazukaorgencategoryfeatures67525

【産業化】ユ ニ バ ー サ ル メ モ リ デ バ イ ス で IC 市 場 の 巻 き 返 し

(2010105)ユニバーサルメモリデバイスで高性能の小型モバイル機

器の実現するために各国企業が激しい開発競争を行って

いるナノテクノロジーの科学的経済的側面の解析で

欧州の化学技術政策に大きな影響力をもつ Obsevatory

NANO はユニバーサルメモリデバイス向け技術や実現

に向けた課題そして欧州連合(EU)における開発の現

状について簡潔にまとめたレポートを公表した

一時考えられていたような単一の技術がユニバーサルメ

モリデバイスを実現するとは考え難くナノテクノロジー

はユニバーサルメモリデバイス実現の重要な核とみなさ

れる現在の集積回路の世界市場は米国とアジア圏の企

業に席巻されているがObsevatoryNANO はレポートで

ナノテクノロジーとユニバーサルメモリをベースとする

技術開発によって欧州はその牙城を崩すことができる

と分析しているhttpwwwnanoforumorgnf06~modul~showmore~folder~99999~

scc~news~scid~4152~htmlaction=longviewamp

【EHS】ナノテクノロジーの健康環境安全影響の今後について(2010101)米国マサチューセッツ州立大学ローウェル校(UMass-

Lowell)で 9 月 22 日~ 23 日に開催されたカンファレン

ス Destination Nano における主要なテーマの一つが健康

環境安全影響(EHS)であった米国国立労働衛生研究

所(NIOSH)の Chuck Geraci 氏はNIOSH の最近の EHS

分野における活動を紹介した腫瘍や炎症等の発生など

生体影響とナノ粒子とを関係について明らかにする研究

が注目を集めたナノテクノロジーの研究と製造の現場

におけるより適切な管理方法の探求にも力を入れている

またリスクキャラクタリゼーションも NIOSH の重要な

研究課題のひとつであるNIOSH の研究グループは二酸

化チタンの微粒子について気中濃度 02mgm3 を超え

ると炎症や腫瘍の発生リスクが高まることを突き止めて

いる近くカーボンナノチューブに関するリスクキャラ

クタリゼーションが公表される予定であるノースイー

スタン大学の Jackie Isaacs 氏はスイッチング材料とし

てのカーボンナノチューブ(CNT)の全ライフサイクル

についてリスク分析を行ったIsaacs 氏は米国内の埋

め立て地に蓄積する可能性のある CNT の量についても計

算している

UMass-Lowell と NISOH は今後ナノマテリアルの暴

露評価研究を協力して行い中小規模の製造企業や研究

室における適切な取扱いについてのガイドラインを作成

する予定でいるhttpwwwelectroiqcomindexdisplaynanotech-article-

display6748552362articlessmall-timesnanotechmemstools-

equipmentproduction-equipment2010septemberdestination-

nano_html 

10

PEN

Nov

embe

r 世界の人々は科学にかかわる課題についてどのように考えているのかIn Science We Trust by Scientific American and A Pacific Divide by Nature

Scientific American と Nature が共同で科学に関連する

様々なトピックについて世界各国の読者を対象に意識

調査を行ったその結果の概要が日経サイエンス 12 月号

と Nature9 月号に掲載された

本調査は注意深く対象を選択する通常の意識調査とは

異なり両誌の読者を対象としてオンラインで行われた

ものであり「人々の」という言葉が通常想起するような

幅広い市民を対象としたものではないことをまず最初に

指摘しておきたい調査は 2010 年夏に実施され回答

を寄せたのは約 21000 人でそのうち 19の回答者が

博士号保有者であった日本からの回答者は 1196 件で

あった

全体の傾向としては回答者の多くが科学に信頼を寄せ

ていることが明らかとなったただしトピックごとの

回答ついて詳細にみると各トピックで取り上げている

個別の科学に対する信頼度について回答者の居住地域

によってかなりのばらつきも見られた

地域による回答のばらつきがあまり見られなかった設問

の一つが科学技術に関して誰の発言を信頼するかと

いうものであるこの設問への回答では政治家やジャー

ナリストなどの他の発信源を大きく引き離して科学者

が最も信頼できる発信源とみなされているまた経済

状況が厳しくとも科学予算を削るべきではなく代わり

に国防関連予算を削るべきと考える回答者の割合が多い

直ちに見返りはないとしても科学は将来の社会のため

の投資に値すると多くの人々は考えているようである

一方科学と政治の関わりについては回答者の居住地

域のおかれた政治状況や歴史的な経緯などを反映して

大きなばらつきが見られた例えばドイツでは科学者

に対して政治への積極的な関与を求める回答者の割合

が非常に高いのに対して中国では半数近くの回答者が

科学者は政治から距離を置くべきだと考えている個々

の科学技術に対する考え方にも居住地域による差がか

なり見られる日米欧の比較では遺伝子組み換え作物

や原子力利用に対して欧州における拒否感は日本と米

国に比べかなり高くなっている一方ナノテクノロジー

の利用に関しては米国や欧州に比較して日本ではかな

り多くの回答者が不安に感じているようである

同じ調査の結果について Nature 誌に A global survey of

the scientifically literate public reveals a pacific divide

on key issues in science という速報記事が掲載された

Nature 誌では日本を含むアジア圏と欧米の参加者とで

大きく異なる回答が寄せられた設問について取り上げて

いるそのような設問の一つに進化論に関するものが

ある日本からの回答者のうち進化論では生命の多様

性を説明できないと考える人は 349にも上っており

米国の 129英国の 54 に比べて顕著に高い数値と

なっているこの進化論に対する懐疑的な日本の回答は

普段我々が直観的に感じている日本の科学の理解につ

いての状況とそぐわないその理由として設問の作り

が英語を母語としない回答者に対して誤解と与えた可能

性や京都大学の加藤氏が Nature 誌へのコメントで指

摘するように真摯に考えればどのような科学的知識も

100正しいとは言えないと答えざるを得なかったこと

が考えられる

同じ調査結果について Nature 誌に掲載された速報記事

と日経サイエンス誌の記事を読み比べると全く違う

調査あるいは調査対象であったかのように映るこの違

いはNature 誌が同誌の事前の予想と大きく違ってい

た部分欧米とアジアの差に着目し特にその部分を取

り上げたために生まれたと考えられる

日経サイエンス

h t t p w w w n i k k e i - s c i e n c e c o m p a g e

magazine1012201012_092html 

Nature のニュース速報

http wwwnature comnews2010100922

full467388ahtml 

調査結果

httpgonaturecomeKv3nX 

11

PEN N

ovember

欧州議会 RoHS 改定作業の現状

欧 州 議 会 Committee on Environment Public Health and

Food Safety(ENVI) 委員会が取りまとめた RoHS 指令改定

案の議会本会議での採決は今月 22 日となったようである

ここで採択され理事会で採択されれば 2014 年以降の施

行に向けた動きとなる今月の本誌 PEN の発行は諸般の

事情から 25 日を予定しており23 日には原稿を締め切る

したがって採択の結果は今月号では速報できないと思われ

る重大な採択がされるような事態になれば読者の皆様

には別途速報として情報提供する

これまで特に欧州議会の中での目立った動きは察知できな

いもののENVI 委員会の主要メンバーは附属書 IV の禁

止物質リストにナノ銀を盛り込むことでその全面使用禁止

求める方針を断念したようであるこれは先月号本誌で示

した議長国ベルギーの提案に従ったものと思われるただ

大変気になるのはもう一つのカーボンナノチューブがどの

ようになっているのかがよく見えない点で水面下でどの

ような議論がすすめられているのか気になっていた先

週述べたとおりベルギー案は追加リストそのものの撤廃

を求めておりその他のナノマテリアルを含む物質に対す

るラベル表示義務さらには安全性データの欧州委員会へ

の提出義務も含まれていない今後の展開は最も強く修

正案を主張してきた ENVI ラポーターの Jill Evans 氏らが

ベルギー案にどこまで歩み寄った形で 22 日の投票を迎え

るかにかかっている

これに関連して中小企業ビジネス支援サイト J-Net21 は

18 日「欧州委カーボンナノチューブ RoHS 規制見送り」

とする速報をリリースしたそれによると今回示された

改正案には二つのナノマテリアルの使用が制限されていな

いとのことまた二つのナノマテリアル以外のナノマテリ

アルに求められていた表示義務についてはまだ議論が続い

ているようである [12]

ま た 23 日 に ロ ン ド ン の Nanotechnology Industries

Association からナノテクノロジービジネス推進協議会へ

届いた情報によると欧州議会と理事会は RoHSWEEE 指

令における「ナノマテリアル」の記述について合意に達し

た模様でその内容は産業界にとも歓迎すべき内容になっ

ているとのこと内容の詳細について現時点では把握でき

ていないるものの少しずつではあるが確実に猶予すべき

事態から脱却しつつあるとみてよい

このような状況のなか今月は日本国内においても RoHS

指令改定案に二つのナノマテリアルの全面禁止やその他の

ナノマテリアルの表示義務が盛り込まれている点について

周知が進み様々な論評が行われたので短く整理してお

まず「問題が多いナノ材料への RoHS 規制」と題する社

説を掲載し問題を明らかにしたのが11 月 15 日付化

学工業日報であるその社説の論旨は「欧州では科学的

確実性が明らかでないリスクを事後的に管理するより予

防的対策が費用対効果からも優れているという考えが根強

い」としたうえで今回の改定案を「極端な予防原則の適

用といわざるを得ない」と指摘しているさらに「日本

の産業界に与える影響も無視できないだけに日本政府や

ナノマテリアルに関連した事業を展開する企業業界団体

は積極的に情報発信すべきである」と欧州議会に対して

明確な意思表示をすべきとのメッセージで社説の最後を

締めくくっている

RoHS 指令改正案にナノ材料が追加された事実を解説した

のは11 月 12 日付日刊工業新聞である37 もの化学物

質を禁止物質候補としさらにカーボンナノチューブとナ

ノ銀に規制を設け適用範囲も拡大される改正案の内容を

解説したうえで22 日に迫ってきた改定案の採択がその

まま施行される可能性は低いと予測しているもし改正案

のまま施行された場合今後の研究開発を停滞させる恐れ

があると指摘している実際に日本などの産業界からの反

連載環境規制 第 7 回

アメリカの環境規制オバマ政権以降の展開

12

PEN

Nov

embe

r 発も大きく「本会議の採択を受けて開催される理事会は

調停案を出す」との観測を示している以上のような解説

の締め括りとして「日本の産業界としては代替材料やナ

ノ材料の安全性評価手法の開発など2014 年の施行を見

すえ早めに体制を整えておく必要がある」と指摘してい

このように日本国内でも ENVI の Jill Evans 女史がまとめ

た RoHS 指令改定案に対する修正意見に対する反発が強ま

るなか2009 年に厚生労働省や経済産業省環境省が相

次いで公表したナノ材料曝露提言のためのレポートやガイ

ドラインに準拠した対策も進みつつある今月 10 日日

本エアーテックはカーボンナノチューブなどのナノ材料

を安全に扱うための作業器具「ナノパーティクル排気ベン

チ」を開発販売を開始したナノ粒子捕集効率の高いフィ

ルターや引き出しと一体化した掃除機曝露防止のため

の手袋や防塵マスク防護服といった対策が図られている

節末になるが昨今の欧州議会の動きに関してナノ

テクノロジービジネス推進協議会の事務局より欧州

の ナ ノ テ ク ノ ロ ジ ー 産 業 の ア ソ シ エ ー シ ョ ン で あ る

Nanotechnology Industries Association (NIA) と の 間 で 交

わされた情報などを逐次配信していただいたことを付記

しお礼を申し上げる

アメリカの環境規制オバマ政権以降の展開

連載の本題に戻る2009 年民主党オバマ政権が発足し

て以降環境政策環境規制に関しても様々な改革が図ら

れるようになってきたこれはオバマ政権に代わったから

ということではないが米国議会は全ての連邦機関に対し

て 5 年間の戦略計画の策定と 3 年ごとの計画の見直しの実

施を要請している政府の行政評価の一環として 1993 年

以降行なわれている rdquoGovernment Performance of Result

Actrdquo で通常 GPRA と呼ばれこれまで各省庁の政策決定

と実行に大きな影響を与えてきたこれを受けて EPA は

今月 7 日2011 年度からの 5 年間の戦略を公表している

[3]環境と健康を守るための 5 つの戦略的な目標として

①気候変動への取り組みと大気汚染の減少②米国内の水

環境の向上③コミュニティの汚染源の根絶と持続的発展

④化学物質の適正な使用と汚染の防止⑤環境関連法の実

施強化を挙げているまた5 つの戦略目標と合わせて

EPA 首脳部が掲げる 7 つの優先分野における取り組みの進

捗状況を図るための新たな指標も設けられている

これに関連して EPA はTSCA インベントリー利用の改革

を進めている米国内で製造もしくは米国に輸入される

すべての化学物質は「TSCA インベントリー」と呼ばれ

るリストで管理される現在 8 万物質以上が収載されてい

る TSCA インベントリーにない化学物質を製造あるいは

輸入する場合EPA に対する届出義務がありこの届出を

行い EPA の審査を受けることでその化学物質が TSCA イン

ベントリーに新規物質として追加される仕組みになってい

るここでいう届出とは90 日前までに行わなければな

らない製造前届出(PMN)であり生産量暴露排出量

の推計人の健康や環境への影響に関するデータ等が求め

られるただし医薬品農薬や食品添加物等の他の法律で

規制される物質や研究開発目的の化学物質には除外措置が

設けられている [4]PMN は届出業者に新たな試験の実施

を求めておらず届出業者が有しているデータのみを提出

すればよいとされているそこで EPA は定量的構造活性

相関等の手法により届出物質の生態毒性値を予測しその

結果に基づきリスク評価を行っている

オバマ政権以降この TSCA インベントリーの改革がすす

められてきたすでに 2010 年 3 月には基本的な検索を無

料化するなどインベントリーのリニューアルを実施しイ

ンベントリー検索が容易になっているまたインベント

リーのデータは通常年二回更新されるがインベントリー

へ新規化学物質の登録が行われる場合は官報で事前に告知

されるようになっている [5]

SNUR とは

EPA の規制措置について触れたついでに今後の議論のた

めに重要新規利用規則(SNUR)についても理解を深めて

おきたいSNUR については経済産業省化学物質管理課の

HP の記述にその内容をくみ取りやすいので以下に引

用させていただく [6]

「TSCA においては評価の各段階で新規化学物質の申請

者と同意を取りながら進めていくという審査体系をとって

おり懸念のある化学物質に対する規制は個別の申請毎

にきめ細かい措置が講じられる体系となっている規制

は申請者に対する同意指令(Consent Order)及び申請

者以外の者にも同様に規制を行うための重要新規利用規則

(SNURSignificant New Use Rule)により行われる同意

指令は当該化学物質のリスクが明確に評価できないにもか

かわらず健康や環境にリスクをもたらす恐れや放出

暴露量が多い恐れのある場合に発せられリスク評価に十

13

PEN N

ovember

分なデータがそろうまでの製造等を制限するものである

同意指令は申請者に対して発せられるが公平性の観点か

ら当該化学物質を取扱う全事業者に対して同意指令と同等

の制限を規制するのが重要新規利用(SNUR)である対

象物質について SNUR 要件を遵守できない場合には事前

に重要新規利用届出(SNUN)を提出し個別に審査を受

けることとなるSNUR 対象物質に対する制限措置として

はMSDS 作成やラベリング使用者への注意義務数量

制限や特定用途の制限個別事業者における排水管理など

の幅広い手法があげられており対象物質に応じて適切な

規制が適用される」

したがってTSCA のインベントリーに登録された化学物

質が SNUR に指定されるということはPMN 届出業者と

の同意指令の中で当該化学物質の健康や環境影響が無視

できないことの反映である先月号の本誌 PEN で述べた

とおりEPA がこれまでナノマテリアルで交わした同意

指令はイギリスの Thomas Swan 社の子会社でアメリカ

New Jersey 州 Lyndhurst で CNT 製造を行っている Swan

Chemical Inc であるEPA が昨年来 CNT を SNUR 対象物

質にする方向でパブリックコメントを求めてきたがこれ

は Swan Chemical Inc との間で交わされた同意指令の内容

を他の CNT 製造企業にも求めることを意味するEPA の

SNUR での単層および多層 CNT の規制もいよいよ最終段

階に入ってきている

Reference[1] httpj-net21smrjgojpwatchnews_tyusentry20101118-15

html

[2] httpj-net21smrjgojpwatchnews_tyusentry20101117-15

html

[3]httpyosemiteepagovopaadmpressnsfd0cf6618525a9efb8

5257359003fb69d60a5ce970092692e852577b5005c4ff3Open

Document

[4] httpwwwepagov

[5] httpwwwepagovopptnewchemspubsinvntoryhtm

[6]httpwwwmetigojppolicychemical_management03kanri

f1htm

かわいいだけではないらしい

日本ではペットとしてイヌと人気を二分しているネコかわいい口に重大な秘密が隠されていたようです

イヌは舌ですくい上げて水を飲んでいることが分かっています水を飲み終わったイヌの口元は濡れています

しかしネコはミルクを飲んでも口元が汚れないしどうもイヌとは飲み方が違うようだと考えた Pedro Reis 氏

らは高速イメージング技術を用いてネコの秘密にメスをいれました

その結果ネコは重力と慣性力を利用して水を飲んでいることが明らかになりましたネコはまず舌先だけを

水やミルクなどの液体に軽く接触させたのち舌を丸めますそして丸めた舌を元に戻す際の慣性力を使って水

の柱を作りそれを吸い込むようにして飲んでいるのですネコのサイズが変わると舌を水につけるスピード

が落ちてゆっくりとした動きに変わるものの動きそのものは全く同じであることが観察によって明らかになっ

ていますネコ科で 2 番目に体が大きいライオンの飲み方も小さなイエネコの飲み方も同じなのです

様々な分野で活躍する働くイヌと違って「ただかわいいだけ」と言われるネコですがその精緻な舌の動きと

機能はソフトロボット技術研究の進展に役立つと期待されています

How Cats Lap Water Uptake by Felis Catus PMReis RStocker SJung JMArstoff Science 20101111 (online

publication)

httpwwwsciencemagorgcontentearly20101110science1195421

14

PEN

Nov

embe

r

基本政策専門調査会資料公開総合科学技術会議

11 月 17 日中央合同庁舎第4号館で開催された第 11 回

総合科学技術会議基本政策専門調査会の資料が公開され

た10 月 18 日~ 11 月 8 日にかけて行われたパブリック

コメントの結果等も公開されている特に注目される「Ⅴ

社会とともに創り進める政策の展開」の項目のなかの「社

会と科学技術イノベーションとの関係深化」の課題には

①「国民の視点に基づく科学技術イノベーション政策の推

進」には欧米にくらべ遅れている「政策の企画立案及び

推進への国民参画」の促進が必要その方法論を研究し

具体的な参画の場や運用を整備すべき国の機関のみなら

ず各地の大学や研究機関が主体的に参画できるものであ

るべき②科学技術だけでなく社会についての知を総合

しなければイノベーションは不可能③「倫理的法的

社会的課題への対応」でヒトの臨床試験に関する法律

動物実験バイオ施設といった具体例を論ずるべきといっ

た意見が集約されている

また民主党政権が達成目標としている「政府研究開発投

資の対 GDP 比 1」に関しては資料 4 - 1 の第 4 期科

学技術基本計画における投資目標のなかに2008 年度の

実績が 072 であったことが示されているちなみにア

メリカは政府研究開発投資の対 GDP 比 1 を維持してい

httpwww8caogojpcstptyousakaiseisakuindexhtml

科学技術に関する最近の話題への国民の関心について科学技術政策研究所 (NISTEP)

文部科学省所管の科学技術政策研究所は科学技術に関す

る最近の話題への注目度など速報性のあるデータについて

公開したまた同研究所は「日本の研究者を対象とした科

学における知識生産プロセスについての大規模アンケート

調査」の結果についても公表を行ったhttpwwwnistepgojpnistepabout09html

httpwwwnistepgojpachievftxjpnmat191jpdfmat191j_

reportpdf

公共政策のためのパブリックコメント2011 年度予算編成に伴い9 月末から政策コンテストが

進められているこれは市民から広く意見を聞くパブリッ

クコメントのことであるところがある省の政策担当者が

政策立案に関わった専門家に提出方法についてメールで周

知し間接的ながらも意見の提出を促した事実が明らかと

なったこの問題は今月 18 日付新聞各紙で報道された

時代の流れである政策の公共性に逆行し公共の利益に反

する行為であるいわずもがなではあるがパブリックコ

メントが義務的な制度ではなく今後政策や予算立案の過

程で当然の仕組みとして定着していくためにもパブリッ

クコメントを広く公平に集める仕組みつくりは危急の課題

であり集まったコメントに耳を傾ける真摯さが政策サイ

ドに求められている政策や予算に対するパブリックコメ

ントは政策の公共性に必要不可欠の仕組みであり科学技

術の社会受容の重要なプロセスである「パブリックコメ

ントを行いました」という既成事実のためにあるのではな

共同声明「国際化拠点整備事業(グローバル 30)の強化を要望する」11 月 16 日

東北大学筑波大学東京大学名古屋大学京都大学

大阪大学九州大学慶應義塾大学上智大学明治大学

早稲田大学同志社大学立命館大学

平成 21 年度に開始された国際化拠点整備事業(グローバ

ル 30)に採択されている上記 13 の大学は昨年に引き

続き本事業が行政刷新会議の事業仕分けの対象となったこ

とに関して共同声明を発表したその骨子は国際的視

点と人材教育の視点から大学及び日本社会の国際化のた

国内情報

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ovember

めのグローバル 30 をさらに拡充強化されることを政府に

要望するものでまた予算の縮減などになれば国際社会に

おける日本の信頼が大きく傷つくばかりでなく日本の将

来について致命的な打撃を与えるのではないかと指摘して

いるh t t p w w w o s a k a - u a c j p j a n e w s t o p i c s 2 0 1 0 1 1

files20101116_2pdf

加速する EV 市場電気自動車 (EV) 市場が大きく展開し始めたすでに三菱

自動車は昨年から EV アイミーブを市場に投入している

日産自動車は今年 7 月から EV リーフの試乗会を行ってき

たがいよいよ来 12 月には EV リーフの日米同時の販売

を開始するこれにあわせて 12 月 45 日に横浜市内で

公道上での試乗会が行われる今後は技術提携を進めるフ

ランスのルノー社との技術の共通化が図られる

このような動きに対しトヨタやホンダはこれまで EV に

は慎重な姿勢を維持してきたしかしこの数か月でその姿

勢にも大きな変化が出てきた今月 17 日から開催されて

いるロサンジェルスのモーターショーでトヨタは RAV4

の EV モデルホンダはフィットの EV モデルをそれぞれ

公開しているこれまでハイブリッド技術で覇権を制して

きたトヨタはこの 5 月にカリフォルニアの EV 開発ベン

チャーであるテスラと資本提携スポーツタイプ多目的車

(SUV)をベースとした EV の開発を加速させているテス

ラは 2008 年から時速 200km を誇るロードスターの市場

投入実績を有しておりトヨタ以外にもすでにダイムラー

とも資本提携を行っているまた今月にはパナソニックと

電池の共同開発を開始するなど2015 年の本格的なアジ

ア市場での販売計画に向けて技術開発を加速させている

テスラの技術は家電製品に使われる汎用電池を多数並べて

用いるところに特徴があり現時点では車載用専用の電池

の開発を進める他の EV との差別化を図ることに注力して

いる

このような一連の動きは2012 年のカリフォルニア州に

おける環境規制の施行を見据えたもので2012 年が EV

普及にとってフラグポイントになるアメリカでもゼロエ

ミッション EV の開発が活発に行われ経営破たんしてい

た GM が 11 月 18 日に株式市場に再上場するなどアメ

リカの産業構造も大きく変わりつつあるただモーター周

りの技術に関しては中国企業との共同開発も進められて

いる

このような EV 市場の急展開の様相は日本の経済を支え

てきた自動車産業に大きな質的変化をもたらしつつある

EV は「自動車が家電製品になる」と形容されるように

車載用駆動電源としての 2 次電池の高性能化やリチウム

資源の確保さらには太陽光発電利用やスマートグリッド

まで含めたエネルギーデリバリーシステムや充電インフラ

等々幅広い産業活性化の起爆剤でもあるEV がオフィ

スや家庭の家電とつながればIT 産業にも大きなビジネス

チャンスが到来する自動車産業は家電メーカー総合

商社IT 企業その他さまざまな技術領域を巻き込んだ覇

権争いに突入していこうとしておりこれまで ldquo 城下町 rdquo

と称された日本の垂直統合型自動車産業そのものが大きく

変わりつつあるといっても過言ではない

ところで「モーターをタイヤにした」構造的には内燃機関

式に比べ単純な構造の乗り物でもある EV の市場には新

興国の新規産業が参入しやすいという一面がある上述し

たような 2012~15 年にかけて強まる世界的な環境規制を

追い風に新興国から多くの EV 産業への参入が予想され

る実際に中国広東省のベンチャー企業 BYD などはそ

の急先鋒として成長し続けている日本の産業は1990

年のバブル崩壊以降 20 年にわたって「技術で勝って市

場をとれない」状況に苛まれてきた対処策の一つは技術

開発と経営の基本姿勢である言うまでもなく技術が発展

することは製品の質の向上に結び付くのだがただ「より

良い技術をふんだんに詰め込めばおのずと製品は売れる」

という安易な技術への過信や過剰な技術の詰め込みがイノ

ベーションプロセスに負に作用することも事実であるエ

リアごとに大きく異なる市場のニーズを的確に把握するこ

とと急速に展開する市場に対応した経営意思決定の迅速

化がキーになる

もう一つは国際的な枠組みでのインフラ技術の標準化であ

る一国一票の投票権を持つ国際標準化の策定プロセスで

は欧州が圧倒的な強さを維持しており日本は常に苦戦

を強いられる立場にある国際電気標準会議 (IEC) におけ

る EV インフラ技術の標準化チャデモ協議会といった日

本の対応については週刊エコノミスト 12 月号 40 ~ 41

頁に詳しい

また日刊自動車新聞によると電気自動車普及協議会が

EV の高電圧周りの安全対策などに関するガイドラインの

策定を始めているが緊急性の高い項目は今年度中に情報

公開される模様である

国立研究開発機関(仮称)構想省庁の縦割り政策の弊害を解消して研究開発を効率的に進

めることを目的に文部科学省は 38 の独立行政法人研究

機関の再編統合を図る仮称「国立研究開発機関」構想を

打ち出している海江田科学技術政策相はその設置法案を

来年度の通常国会に提出する考えを明らかにしこれに併

せて発足に向けたスケジュール作りがすでに検討チームの

中で始まっているその一方蓮舫内閣府特命担当大臣(行

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embe

r 政刷新)公務員制度改革担当は文部科学省ではなく内閣

府主導で予算編成を行うべきとの考えを示し行政刷新会

議も「焼け太りは許さない」と文部科学省を牽制設置法

そのものの提出をくい止めたい考えである他の様々な施

策同様これも民主党政権内での軋轢となっている

化学5社化学物質情報伝達を電機大手と共通化中小企業ビジネス支援サイト J-Net21 は11 月 15 日に

日本の化学大手 5 社がアーティクルマネジメント推進協

議会の仕組みを活用して製品に含まれる化学物質の伝達

方法を電機大手と共通化することを発表サプライチェー

ンでの情報伝達の共通化が図られるhttpj-net21smrjgojpwatchnews_tyusentry20101115-10

html

22 年度科学技術関係補正予算閣議決定先月末の 26 日平成 22 年度補正予算 4 兆 8500 億円が

閣議決定された今月 11 日付科学新聞はこのうち科学

技術関係予算を文部科学省のスパコン「京」への 186

億円などを含め約 1500 ~ 2000 億円程度と見積もってい

る経済産業省関係では産学官連携のイノベーション拠点

立地支援事業への支援策が多く盛り込まれているつくば

イノベーションアリーナ中核拠点と位置づけられている産

総研には補正予算 30 億円が配分されている

なお内閣府総合科学技術会議は 11 月 4 日2010 年度

の当初予算額 3 兆 5878 億円に対し補正予算案は 1864

億円経済危機対応地域活性化予備費は 141 億円で

合計は 3 兆 7742 億円となったことを明らかにした補正

予算の詳細については 11 月 4 日「平成 22 年度経済危機

対応地域活性化予備費及び補正予算案(科学技術関係予

算)について」として内閣府から公開された

httpwww8caogojpcstpbudgeth22hoseipdf

ナノボーグの販売軽量化フレキシブル化が進む様々なデバイスをまとめて

身に着けることが可能な服が「ナノボーグ」である東工

大谷岡教授が名付けたもので4 日付日刊工業新聞による

と今月にも太陽電池を電源とするジャケットがアメリカ

のアパレルメーカーから発売される

httpwwwnikkancojpnewsnkx0320101104eaahhtml

ldquoNBCI ナノナビ rdquo 創刊ビジネス環境のグローバル化オープン化に伴って政策

や規制動向研究開発動向の迅速な情報共有への要求が高

まりつつあるこれに応え一般社団法人ナノテクノロジー

ビジネス推進協議会(NBCI)は不定期の情報誌 ldquoNBCI

ナノナビ rdquo を創刊先月末より会員向け配信を開始した

創刊号では標準化の重要な課題であるナノラベリング(使

用ナノ材料の周知目的)の動きナノネット活用等につい

て最新の動向が配信された

httpwwwnbcijp

フラーレンのナノエレ応用脚光を浴びるカーボンナノチューブやグラフェンに比べ

フラーレン(C60)のナノエレクトロニクスへの応用展開

は広がらない状況が続いてきたがこの度 C60 を積層し

た有機トランジスタが開発されたこれは 11 月 1 日付日

経産業新聞が報じたもので大阪大学と山形大学大日本

印刷の共同研究の成果である試作された C60 を含む有

機トランジスタは従来の有機トランジスタより大きな電

流を流すことが出来400 キロヘルツの高速応答が得られ

たとのこと

筑波大に生命科学研究拠点先月末筑波大は先端学際領域研究センター通称 TARA

センターを改組し生命領域学際研究センターを設立浅

島誠氏がセンター長に就任した今後 20 人の研究部隊が

幹細胞研究などに特化した研究を展開する

新規事業への投資を名城ナノカーボン10 月 29 日付の金融専門誌ニッキンは名城ナノカーボ

ンの橋本剛氏をとりあげた同社は 2005 年 4 月に当時

銀行員であった橋本氏が名城大安藤義則教授と共に設立

したカーボンナノチューブの開発製造販売を手がける

名城大発ベンチャー橋本氏は今後 5 ~ 10 年で名城ナノ

カーボンの上場を目指すとし取引金融機関に対して新規

事業への具体的な資金投入を期待している

CNT 生産能力倍増昭和電工10 月 29 日付化学工業日報は昭和電工(株)川崎事業

所におけるカーボンナノチューブ (CNT) の年産 100 トン

から 200 トンへ引き上げ計画を報じた同社はリチウム

イオン 2 次電池向け気相成長 CNT の供給を行っているが

今後はさらに急速な需要拡大が進む可能性もありさらに

生産体制の拡大を図る可能性もある

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宝石という名前の虫

タマムシはタマムシ科の 4 センチメートルほどの甲虫です漢字では玉虫と書きます玉とは宝石のことで

その名のとおり赤い縦の線が走る虹色がかった緑色の金属光沢の美しい翅をもっています

法隆寺所蔵の国宝「玉虫厨子」を教科書などで見たことがある人も多いのではないでしょうか厨子は仏像な

どの礼拝の対象をしまう大切な入れ物のことです天平の世の人々がその大切な厨子の壁面を飾る細工の材料

にタマムシこそが相応しいと思ったのも納得できる美しい甲虫です残念ながら現在では玉虫厨子の壁面の

翅の多くは脱落してしまっていますが往時を再現した複製品から天平の時代の華やかな色が想像できます

タマムシは時代や洋の東西を問わず美しいと思われるようでベルギーにはその美しさに憑かれて宮殿の天

井を大量のタマムシの翅で飾った現代工芸家もいます

タマムシは厨子に使われた翅だけでなく腹部や脚触角なども緑色の光沢を放っていますまた美しい

翅が良くわかるような背面からの写真が多いので米粒型のすんなりした形のイメージが強いですが横から

見た体には以外と厚みがあります成虫は樹冠を飛び回り主にニレ科の広葉樹の葉を食べています幼虫は

カブトムシの幼虫に似た白いずんぐりしたイモムシで餌も葉ではなく木ですそのため害虫に分類されても

います

岐阜県高山市「茶の湯美術館」に玉虫厨子のレプリカが展示されています

httpwwwnakada-netjpchanoyutamamushi_zushihtmtamamushi 

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r

これを批准した結果日本は 1990 年を基準として 6の

温室効果ガス削減を国際的に約束した日本国憲法によれ

ば国際条約は守らなければならないことになっているの

で「チーム -6」などという運動が日本全国にできた

これの何が間違いだったのであろうか以下その根拠を説

明する尚現在の一次エネルギー源は 80以上が化石

燃料によるものであるからエネルギー消費と温室効果ガス

排出はほぼ同義語であるまた国内総生産(GDP) の増

大すなわち経済成長は社会の安定と国民の安心感を支え

る基本的な要素でありその減少は社会の不安定化をもた

らすため増大させることが必須である

日本は 1973 年の第一次石油危機で大きなダメージを受

けそれから「省エネルギー技術」の開発を血眼になって

推進したその結果図 1 に示すように日本は世界一の「省

エネ大国」になったのである図で縦軸は石油換算のエネ

ルギー消費量横軸は GDP をドル換算したもので1995

年のデータを示してある斜目の破線は一定の GDP を作

り出すのに必要なエネルギー量をトン単位で示しており

これが小さいほどエネルギー効率のいい社会であるつま

り使用エネルギーが少なくなるか同じエネルギーを使っ

ても生産額が多くなればエネルギー効率は良くなる

 エネルギー効率=使用エネルギー生産額(GDP)

図から明らかなように日本は 1995 年時点でも既に世

界で一番エネルギー効率の良い国だったのであるドイツ

フランスイタリアなどは日本の 15 倍イギリスは 2 倍

アメリカが 3 倍中国やロシアに至っては何と 10 倍以上

のエネルギーを浪費しているということが一目瞭然であ

る日本がこのようなエネルギー効率の良い状態から更に

エネルギー消費を減らすなどと言うことは被虐趣味以外

の何物でもないちなみに図 1 は小生が京都議定書を見て

「これは誤りである」と確信し直ぐに作成したものであり

13 年前には既に分っていたことである

それでは日本は何を主張すれば良かったのか賢明な読

者は図 1 を見れば直ぐに考え付くであろうそう「世界

の皆さん今後 10 年間でエネルギー効率を高くする努力

をし現在の日本並みとまでいかなくても少なくとも近

付く努力をしてください」と主張すべきだったのだこれ

なら発展途上国も経済発展を保障されるから合意できたで

あろうし何よりも日本の「省エネ技術」を世界標準とし

て輸出可能であったろう昨年中華人民共和国(中国)が

出した指標はまさにこのような考えに基づいたものであろ

うどこかの国の首相が温室効果ガス排出量(=エネル

ギー消費量)の 25の削減を持ち出したのに対し「中国

はエネルギー効率(=使用エネルギー生産額)を 40

向上させる」と主張した図1から見ても彼等は 1995 年

の日本の水準に追いつくだけで 90の削減が可能であり

40などというのは非常に容易な達成目標であることは

明らかであるまさに国際条約を締結する上での基本的

な事項である「自国の利益を最優先する」という原理原

則にも合致している流石は厳しい歴史を体験してきた国

京都議定書が提案されてから既に 10 年以上経過した今

更と思われる方もおられるかも知れないが現在の日本が

抱える様々な矛盾の出発点の一つが京都議定書であると考

えざるを得ない以上ここで改めてその問題点を明らかに

したい環境省のホームページに掲載されている京都議定

書の内容は以下のとおりである

(httpwwwenvgojpearthcop63-2html)

ポイント先進国の温室効果ガス排出量について法的拘束力

 のある数値目標を各国毎に設定

国際的に協調して目標を達成するための仕組みを

 導入(排出量取引クリーン開発メカニズム共同

 実施など)

途上国に対しては数値目標などの新たな義務は導

 入せず

寄稿京都議定書で日本は何を主張すべきであったか東洋大学大学院学際融合科学研究科 教授 和田恭雄

19

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は違うなどと感心してはいられない

今からでも遅くない「2010 年を基準としてエネルギー

効率の向上を図る」ことを国際的な合意目標に切り替え

るべきである無論為替レートは 2010 年現在の 1 ド

ル= 80 円程度に固定して比較すべきである現在の円

高を考えれば分母が大きくなることが日本の利益につ

ながるからだ国際条約においては「被虐趣味」は最低

の選択であることを忘れてはならない「率先垂範」など

と言う言葉は国際社会では通用しない無論表面上は大

いに賞賛されようが腹の底で「カモが来た」と思われ

食い物にされるだけである他人から褒められるために

自らの競争力を放棄するようなことは止めるべきである

京都議定書を他山の石としてナノテクノロジーの世界

でも「自らの強みを世界の標準にする」という基本的な

姿勢を取るべきであるのは当然のことであるdarr

darr 世界各国のエネルギー消費量と総生産の比較図右下

に行くほどエネルギー効率が高く同じ GDP を創り出す

のに温室効果ガスの排出量が少ないということを示す

日本は 1995 年当時既に世界一の「省エネ大国」であり

西ヨーロッパの 15 倍米国の 3 倍ロシアなどよりも

10 倍以上効率の良い経済体制になっていたことが分か

る世界中の国が日本を手本にすれば温室効果ガスの排

出量を減らしつつ経済成長が可能になり即ち皆がハッ

ピーになれることを示すことができるばかりでなく日

本の省エネ技術を世界標準にすることも主張できる根拠

となる

20

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embe

r

日本では21 世の始まりと共に科学技術政策に基づ

いてナノテクノロジーの研究開発への戦略的投資が開始

された2001 年度からの第 2 期科学技術基本計画と

2006 年度からの第 3 期科学技術基本計画の都合 10 年

間にわたる優先的戦略的な研究開発の資源の投入も余

すところ4ヶ月となった

21 世紀を担うと期待されたナノテクノロジーには研

究開発側から社会への一方的な応用があたりまえであっ

たこれまでの科学技術とは異なる研究開発の方法論が導

入されたコア技術の研究開発と並行してその技術の社

会的影響を検討しそれをさらにコア技術の研究開発に

フィードバックするという新しい研究開発の方法論であ

る [1]ナノテクノロジーの社会的影響にとって最も重

要で緊急の課題がナノ材料の環境健康影響安全 (EHS)

の課題であった技術の社会的影響を検討しながら進め

られているナノテクノロジーの研究開発がうまくいくか

どうかこのことがナノテクノロジーに続く今後の新興

の科学技術の研究開発のあり方に大きな影響を与えるこ

とになる社会的影響をフィードバックしながら進める

責任ある研究開発がはじめて試みられた日本のナノテク

ノロジーがこれまで 10 年間にわたって戦略的研究開発

投資を続けてきた現在どのような状況にあるのか今回

の特集ではそれを俯瞰的に解析する

まず国内の全ての新聞と雑誌に掲載されたナノテクノ

ロジー関連記事の数を統計的指標としてナノテクノロ

ジーの研究開発に対して日本の社会がどの程度の関心を

示しているのか評価することを試みる図1に日本

のメディアに掲載されたナノテクノロジー関連の記事の

年推移を示すグラフから明らかなようにナノテクノ

ロジーへの戦略的研究開発投資が始まった 2001 年まで

日本のメディアはほとんどナノテクノロジーを取り上げ

ていないただこれは日本にナノテクノロジーの萌芽

的研究開発がなかったということではない

一例をあげるなら工業技術院は産業科学技術研究開発

制度の一環として新エネルギー産業技術総合開発機

構(NEDO)の委託により原子分子極限操作技術の研

究開発プロジェクトを展開した1992 年から 10 年間に

わたり分子原子をボトムアップ的に集積する研究開発

を進めたこのプロジェクトは技術研究組合オングスト

ロームテクノロジー研究機構(ATP)と呼ばれたさらに

ATP と産業技術融合領域研究所は同研究所内にアトム

テクノロジー研究体(JRCAT)を設置して産官学の共同

研究プロジェクトを推進した折しも日本は 1990 年の

バブル経済の崩壊後失われた 10 年と称される経済の停

滞に苦しんでいたまだナノテクノロジーに対する期待

は高まってはいなかったが日本のナノテクノロジーは

着実に萌芽的研究開発を進めていた困難な経済のなか

で日本のナノテクノロジーはその萌芽に向けた着実な

準備をしていたといえるのだがこのような地道な研究

開発が進められていた点はこの統計からは見えにくい

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2002

2003

2004

2005

2006

2007

2008

2009

図 1

特集

10 年におよぶナノテクノロジー研究成果の発展的継承を 

21

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2001 年度から戦略的な究開発投資が開始されると同時

にナノテクノロジーへの関心は急速に増していった

わずか 2 年後の 2003 年にはその期待は極みに達して

いる上述したとおり我々はこの統計で縦軸をナノテ

クノロジーに対する社会の関心と見なしておりこれは

David M Berube 氏が示した典型的な Hype 曲線の縦軸

「Visibility」と同義とみなせる [2]その類似性を図 2 に

示す

図 2

日本では Nano-Hype と呼べるピークが高性能瞬間湯

沸器よろしく戦略的研究開発投資が開始されたわず

か 2 年後の 2003 年に出現しているのであるまたJ

Fenn らはこのようなピークを図 3 に示すようにイノ

ベーションのハイプサイクルにおける rdquoPeak of Inflated

Expectationsrdquo と表現している [3]

Exp

ect

atio

ns

Time

InnovationTrigger

Trough ofDisillusionment

Slope ofEnlightenment

Plateau ofProductivity

Peak of InflatedExpectations

図 3

この時期はナノテクノロジーの将来価値への大きな期

待の反面研究開発の実態は希薄である実体の伴わな

い過剰な期待を理由に「一部の有力な科学者や政策担当

者がこのような Hype の状況を意図的に作りだした」と非

難する論調もある確かに Nano-Hype はナノテクノロジー

の将来価値への期待が研究開発の実態を上回る状況では

あるがナノテクノロジーに対する社会の関心や期待を

喚起しその期待を背景にナノテクノロジーへの研究開

発投資が漸次増加していったことも事実であるまたナ

ノテクノロジーの事をもっと知りたいという知的欲求も

刺激されそれに応えるためにいくつかの大学ではサイ

エンスコミュニケータやサイエンスインタープリタサ

イエンスジャーナリストの養成講座等が開設されたさ

らに今日年間 2000 回以上のサイエンスカフェが全国各

地で開かれるなどナノテクノロジーのような新興の科

学技術のパブリックエンゲージメントの活動の契機にも

なったNano-Hype と呼ばれる状況がそのような様々

なプラスの効果を日本にもたらしたことも忘れてはなら

2003年

2010年

2003年

22

PEN

Nov

embe

r ない点である

実体の伴わない過剰な期待が徐々に覚めていく Negative-

Hype の状況はHype が極みに達した 2003 年直後の

2004 年から 2007 年にかけて顕著に現れてくる依然

として政府のナノテクノロジー材料領域への研究開発

投資が伸びるなかメディアがナノテクノロジーを取り

上げる頻度は急速に下がり社会の関心は冷めていった

過剰な期待が冷静さを取り戻していく Negative-Hype は

必然であるとしても注目しておかなければならない大

事な点は Negative-Hype がいつ止むかいつ底を打つの

かである図 1 から明らかなように2004 年以降 2007

年まで急速に下降しているものの2008 年から 2009 年

と明らかに Negative-Hype は底を打っている

上述の J Fenn らは新しいハイプサイクルの縦軸の評価尺

度を議論しているのだが図 4 に示すようにハイプサイ

クルのプロフィールが二つの要素からなることを示して

いる [4]この指標を採用すると今年 2010 年の日本の

ナノテクノロジーはHype が終わりエンジニアリング

またはビジネスが徐々にその成熟度を増していくちょ

うどその過渡期にあるとみてよい今後ナノテクノロジー

がITエネルギー環境ライフサイエンスといった様々

な技術分野の基盤技術としてその実用化に貢献していく

現在はちょうどその転換点にあるそのプロセスを確実

に進めていくには中長期的な一貫した科学技術政策に

よりナノテクノロジーの基礎的な研究開発を継続的に

推し進めていくことが肝要である

図 4

そして10 年に及ぶ科学技術政策に基づいたナノテク

ノロジーの戦略的研究開発投資の成果を応用実用化

へ確実につなげていくために取り組まなければならない

もっとも重要な課題が包括的で実態のあるナノテクノ

ロジーのパブリックエンゲージメントの活動である昨

今ナノテクノロジーの研究開発と並行して社会受容

パブリックエンゲージメントの活動の重要性が指摘され

るようになってきたしかしこの課題に関する解釈は

依然としてまとまりを欠いているだけでなく「こういっ

た課題への取り組みが大事である」といったことが最後

の部分に申しわけ程度に記述されている例も多々見受け

られる取り組んでいるという既成事実のために実体の

伴わないパブリックエンゲージメントの活動が進められ

ると将来的にナノテクノロジーへの信頼も失墜しかね

ない多様な課題を含む社会受容パブリックエンゲー

ジメントの活動には包括的な視点で具体的実践的に取

り組んでいく必要がある

ReferenceRoco M C amp Bainbridge W S 2001 ldquoSocietal

Implications of Nanoscience and Nanotechnologyrdquo

Kluwer Academic Publishers

Berube M B amp Roco M C(FRW) 2005 ldquoNano-Hype

The truth behind the nanotechnology buzzrdquo Prometheus

Books

イノベーションのハイプサイクル

「Mastering the Hype Cycle」J Fenn M Raskino

Harvard Business Press 2008

M Raskino J Fenn IT Management(ITM) ITM-09-

37 Research Note 2010 年 2 月 9 日

23

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【CO2 排出量】世 界 的 な 金 融 危 機 に も か か わ ら ず2009 年 の 化 石 燃料 由 来 の 二 酸 化 炭 素 排 出 量 の 減 少 は 小 幅 に と ど ま る

(20101122)国立環境研究所(国環研)

国環研はグローバルカーボンプロジェクト (GCP) が 11

月 22 日の Nature Geoscience 誌の電子版に調査結果を発

表すると速報したその内容は世界金融危機の経済的

影響にも関わらず2009 年における世界の化石燃料由来

の二酸化炭素排出削減量が予測値である 28を下回り

前年比 13にとどまったことで同じく GDP の減少も予

測値を下回っている

httpwwwniesgojpwhatsnew20102010112220101122html

【量子コンピューティング】量子コンピュータ実現への障壁を緩和する誤り耐性方式を開発 (20101124)日本電信電話(株)京都大学

量子コンピュータに必須な量子ゲートは確実に正しい演

算をすることはなくある程度の誤り確率をもつため量

子コンピュータを実現するためには演算の誤り訂正を行

う技術の実現が必須となる演算の誤り訂正を行うために

はある程度誤り確率の低い量子ゲートが必要であると考

えられてきたが今回共同研究チームは誤り確率が非常

に高い量子ゲートを用いても量子計算が可能となる誤り耐

性のある量子計算方式を世界で初めて示した

httpwwwnttcojpnews20101011101124ahtml

【光電変換】ナノギャップ光アンテナにより高効率化した有機超薄膜による光電変換 

(20101122)物質材料研究機構北海道大学

NIMS と北大の共同研究チームは有機超薄膜型の光電変

換分子素子において光吸収電子伝達といった必要な機

能をもつ部品を連結した分子から成る単分子超薄膜を原

子レベルで表面制御した平滑な金電極面と金ナノ粒子で挟

み込むことによってナノギャップ型の光アンテナを導入

することに成功したその結果光アンテナ 1 つあたりで

光誘起電子移動反応が約 50 倍の効率に高まることを実

証した

httpwwwnimsgojpnewspress201011p201011220html

【EV】シンガポール政府と電気自動車の普及に関する覚書を締結

(201011 19)三菱自動車(株)

MMC はシンガポール政府と電気自動車(EV)普及のため

の活動に協力する内容の協定を締結したことを発表した

今回の活動はシンガポールの経済開発庁が中心となり

同国のエネルギー市場監督庁陸上交通庁との間で EV タ

スクフォースを組成し同国の EV 普及を目的としたユー

ザー向け補助金制度や充電インフラ整備などの検証を行う

ものこの活動の中でMMC は CCA を通じ 2011 年より

順次『i-MiEV(アイミーブ)』25 台を供給し実証走行

試験に協力していくhttpwwwmitsubishi-motorscompublishpressrelease_jp

corporate2010newsdetail4407html

【リチウム二次電池】リチウム二次電池の量産化実証工場が竣工 年間生産能力6 万 6000kWh (201011 18)三菱重工業(株)

リチウム二次電池事業への本格参入に向け長崎造船所内

に建設していた同電池の量産化実証工場が17 日竣工し

た年間生産能力は 6 万 6000kWh中型電池換算で約

40 万個に相当する今後各種実証技術に取り組み早期

の本格的な商業量産につなげていくとしている

プレスリリースより

CUTTING-EDGE TECHNOLOGIES

24

PEN

Nov

embe

r httpwwwmhicojpnewsstory1011184999html

【基礎科学物質の起源】動きがのろい冷反水素原子を 38 個も磁気瓶に閉じ込める物質と反物質の違いを知る手がかりとなる冷反物質研究が新段階に (201011 18)物質材料研究機構(NIMS)

NIMS は欧州原子核研究所(CERN)の国際共同研究グルー

プに参加し反物質の代表格である反水素原子を独自に

開発した八重極磁気瓶の中に 38 個も閉じ込めることに世

界で初めて成功した反水素原子の原材料である反陽子(陽

子の反粒子)と陽電子(電子の反粒子)を八重極磁場コ

イルとミラーコイルを組み合わせた磁気瓶の中に蓄積し

そっと混ぜ合わせて冷たい反水素原子を大量に生成した

反水素原子は電気的に中性の小さな磁石なので反水素原

子ができあがったころ(約 1 秒後)を見計らって電圧を

加え残存している反陽子と陽電子をことごとく排除した

その後磁気瓶の磁場を瞬時にゼロにすると磁気瓶内に

とどまっていた反水素原子は装置の壁に当たって消滅し

パイ中間子などのさまざまな粒子を放出するこれらの粒

子を磁気瓶を包む 3 枚の検出器で観測した結果捕捉し

ていた反水素原子を 38 個も確認することができた後述

するように同内容は理化学研究所からもリリースされたhttpwwwrikenjpr-worldinforeleasepress2010101118

indexhtml

【超伝導】ピセンのカリウムドープに伴う電子構造変化の直接観測 

(201011 17)岡山大学

岡山大学の研究グループはピセンおよびカリウムドープ

ピセンの電子構造を実験的に観測する事に世界で初めて成

功したカリウムドープピセンは芳香族炭化水素における

初めての超電導体であるがカリウムドープピセンの超電

導メカニズムまた超電導を誘起する電子構造は解明され

ていない研究グループは光電子分光法を用いピセンのカ

リウムドープに伴う電子構造変化を直接的に観測した結

果ピセンのカリウムドープに伴う電子構造変化を観測

芳香族炭化水素超電導体の超電導メカニズム解明および新

規超電導体探索の指針になると期待されるhttpwwwokayama-unetrenkeidocumentpdfpressrelease

press-101117pdf

【慣性力発電】慣性力(振動)発電技術を商品化 国内最大手エース社のバッグに慣性力発電ユニットを搭載 (201011 17)伊藤忠商事(株)

米国 CIIIS 社の持つ慣性力発電(振動発電)技術を用いて

人体の運動による振動で発電する慣性力発電ユニットを開

発した国内鞄最大手のエース株式会社がこの慣性力発

電ユニットを搭載したバッグの販売を行う

httpwwwitochucojpjanews2010101117html

【生物多様性】多様性進化の背景に『甲状腺機能低下』 (201011 16)東北大学

生物多様性の喪失は現在急速に進んでおり多様性の進化

維持機構を解明することは世界的な課題である生物多様

性の創出は多くの場合新規環境に生き物が侵出すること

によって始まるが生物が新規環境へどのように適応して

行くのかその過程については多くが未解明である東北

大学の研究チームはこのたび新規環境への適応に甲状腺

ホルモンの進化が重要であることを発見したhttpwwwtohokuacjpjapanesenewimgpressimgtohokuuniv-

press_20101116pdf

【ナノ物性】ナノスケールの鉄磁石を電界でコントロール

(201011 01)千葉大学

磁石の N と S 極は磁界を用いることでコントロールでき

るが千葉大学の研究チームはナノスケールの鉄の磁石の

極性をエネルギーの要らない電界でコントロールできるこ

とを見出したhttpwwwchiba-uacjppublicitypresspdf201020101102nano

pdf

【SOFC 関連材料技術】 画期的な電解質材料の開発に成功 固体酸化物燃料電池の商用化に一歩前進 (201011 18 )物質材料研究機構(NIMS)

NIMS の研究グループは電解質材料に必要とされる三つ

の要件イオン伝導性化学的安定性焼結性のすべてを

高いレベルで満足する2種類の材料を開発することに成功

したひとつは10 のプラセオジムを含むイットリウム

添加ジルコン酸バリウム(BZPY)でもうひとつは酸

化ニッケル (NiO) とイットリウム添加ジルコン酸バリウム

25

PEN N

ovember

(BZY) の混合粉末を固めた基板上にプレス成形された BZI

であるhttpwwwnimsgojpnewspress201011201011180

p201011180pdf

【レアアース】微生物でレアアースの回収が可能に バクテリアがレアアースを濃縮する現象を発見 (201011 17)広島大学高エネルギー加速器研究機構高輝度光科学研

究センター

共同研究グループは微生物の細胞表面では微生物が存在

しない周囲部分に比べてレアアースを高濃度に濃縮する現

象を見出したまたレアアースの中でも特に希少価値の高

い元素が選択的に濃縮することを発見その濃縮メカニズ

ムを放射光を用いたX線吸収法により明らかにした

httpwwwkekjpjanewspress2010RareEarthElementshtml

【はやぶさ】はやぶさカプセル内の微粒子の起源が判明(201011 17)宇宙航空研究開発機構

「はやぶさ」のサンプルキャッチャー室から特殊形状のヘ

ラで採集された微粒子を走査型電子顕微鏡にて観察および

分析した結果1500 個程度の微粒子を岩石質と同定した

更にその分析結果を検討したところそのほぼ全てが地

球外物質であり小惑星イトカワ由来であると判断するに

至った

httpwwwjaxajppress20101120101117_sac_hayabusapdf

【超伝導基礎科学】超伝導のメカニズム解明に大きな手がかり ルテニウム酸化物の電子の運動状態を選択的に可視化することに成功 電子対を形成する「のり」の起源を初めて解明

(201011 17)広島大学産総研

1994 年に日本で発見されたルテニウム酸化物超伝導体は

ユニークな超伝導状態を示しこれまで数多くの研究が行

われてきたがいまだにその超伝導のメカニズムは謎のま

まであった超伝導が生じるためには電子と電子を「のり」

で結びつけ「電子対」にする必要がある共同研究グルー

プは放射光の直線偏光特性を活用するため放射光の光

軸のまわりに回転可能な高分解能角度分解光電子分光装置

を開発しルテニウム酸化物超伝導体の超伝導機構解明に

重要な手がかりをつかんだ研究グループが開発した新装

置を用いることによりルテニウム酸化物超伝導体の異な

る運動状態にある電子を選択的に分離しながら精密に分

析することが初めて可能となったその結果物質の電子対

を形成するための「のり」として結晶を作っている原子

の振動が重要な役割を果たしていることその「のり」が

どのくらい強く働いているのか等が明らかとなった httpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101117

pr20101117html

世界最高性能基準光源を開発 安定高精度高速の三拍子そろった光信号の発生に成功 (201011 15) 情報通信研究機構(NICT)国立天文台(NAOJ)

NICT と NAOJ はNICT 独自の高消光比変調技術を利用

し精度を保ったまま周波数範囲を拡大する構成を提案し

たNAOJ の安定度向上技術による制御機能を組み合わせ

ることで世界最高性能の基準信号発生装置を共同開発

し100 ギガヘルツを超える高速信号の長距離伝送を実現

した本装置の方式により従来技術の課題であった安定

性周波数範囲精度の問題を解決した安定性は 2 台の

レーザを用いる従来方式に比べて 10 倍以上を実現し信

号の乱れを 30 万年に 1 秒以下とすることに成功したま

た精度は従来型変調器と比較し 1000 倍以上周波数範

囲は 4 倍を達成したhttpwww2nictgojppubwhatsnewpressh22101115101115

html

【基礎科学レーザ分光】電子の氷を光で融かす一瞬を捉える 光が有機物質を変える瞬間の超高速スナップショット (201011 15)東北大学自然科学研究機構分子科学研究所科学技術振

興機構(JST)

共同研究グループは光の照射によって有機物質の色や

電気伝導度が大きく変化する光誘起相転移現象の最初の瞬

間を捉えることに成功した電場と磁場の振動である光の

振動の3周期分に匹敵する極めて短いパルス光をポンププ

ローブ分光によって二次元有機物質における電荷秩序の

融解のダイナミクスすなわちldquo 電子の氷 rdquo が光によっ

てどのように解け絶縁体から金属へと変化するのかと

いう問題を明らかにしたものこの成果 12 月初めには米

国物理学会誌 Physical Review Letters オンライン版で公開

予定

httpwwwjstgojpprannounce20101117-2indexhtml

【熱電材料】水を使って絶縁体から効率のよい熱電材料を作ることに成

26

PEN

Nov

embe

r 功 希少毒性金属を含まない安価簡便な熱電材料創製に新たな道 (201011 15)科学技術振興機構 (JST)名古屋大学

熱電材料は熱を電気に変換することができることからエ

ンジンの排熱を利用して発電するハイブリッド自動車など

への応用が期待されているが従来の熱電材料はビスマ

スアンチモン鉛テルルといった希少毒性金属など

を含む問題があったJST 課題解決型基礎研究の一環とし

て名古屋大学の研究グループは水の電気分解を利用し

安くてありふれた絶縁体酸化物表面を大きな熱電効果を示

す金属へ変えることに成功した大量に水を含んだ多孔質

ガラスを新規に開発しこの多孔質ガラスを金属チタンと

チタン酸ストロンチウムに挟んで電圧を加えると水の電

気分解によって絶縁体のはずのチタン酸ストロンチウムの

表面に厚さ 3 ナノメートル以下の極めて薄い金属チタン酸

ストロンチウムが生成した通常の金属チタン酸ストロン

チウムに対して 4~5 倍高い電圧を示すことから従来の

熱電材料の約 2 倍の熱電性能が期待できる

httpwwwjstgojpprannounce20101117indexhtml

【基礎科学物質の起源】国際研究チーム反水素原子を瓶の中に閉じこめることに成功(20101118)理化学研究所

8 か国からなる研究チームは欧州合同原子核研究機関

(CERN)の装置を用いて加速器で反陽子と陽電子を作

成し磁場の中に閉じこめたのちに撹拌して反陽子と陽

電子1個ずつを結びつけ反水素原子を生成した反水素

生成後に余った反陽子と陽電子を取り除き反水素原子だ

けを特殊な瓶の中に封じ込めることに成功した計 38 個

の反水素原子が 02 秒間存在したことを確認反物質は

Dan Brown の小説「天使と悪魔」で非常に微量で爆発

を起こす材料として登場するしかし今回の手法では短

時間に消滅してしまい爆弾に使える量をためるのは不可

能だという17 日付の Nature Online 版に掲載

httpwwwrikenjpr-worldinforeleasepress2010101118 

【マックスウェルの悪魔実証】情報をエネルギーに変換することに成功 ldquo マックスウェルの悪魔 rdquo を実験により世界で初めて実現新規ナノデバイスの実現に期待 (201011 15)中央大学東京大学

微細加工技術とサブミクロンスケールのリアルタイム制御

システムを組み合わせ「マックスウェルの悪魔」と呼ば

れる科学史上の重要な概念を世界で初めて実験により実現

した これによって情報をエネルギーに変換できるこ

とを初めて示すとともに情報を媒介して駆動する新規ナ

ノデバイスの実現の可能性を示した マックスウェルの

悪魔は熱力学の根本に関わる概念でありこれを実現でき

た学問的意義は大きいまた科学者以外にもよく知られ

たテーマであり多くの人が興味を持つ話題でもある情

報を媒介して駆動する新規のナノデバイスを実現できる可

能性があり基礎的研究にとどまらずナノサイエンスで

の新しい制御法への応用が期待できるこの成果は 11 月

14 日に Nature Physics Online に公開された

Toyabe Sagawa Ueda Muneyuki and Sano

ldquoExperimental demonstration of information-to-energy

conversion and validation of the generalized Jarzynski

equalityrdquo

httpwwwsu-tokyoacjppresspress-2010-42html

詳細は中央大学 HPhttpwwwchuo-uacjpchuo-unewscontents_jhtmlsuffix=kampmo

de=topamptopics=12513

【基礎科学分子バネ】電子の出し入れで硬さが劇的に変わる分子バネを開発 たった 1 つの電子放出で分子全体の動きやすさが 450 倍も変化 (201011 15)理化学研究所科学技術振興機構(JST)

6 個の炭素原子が環状につながったベンゼン環は有機化

合物において最も基本的な構成ユニットの一つでありベ

ンゼン環をさまざまな形で結合させたものが盛んに研究さ

れてきたしかしベンゼン環を隣り合う炭素の位置で結

合させたオルトフェニレンは単純な構造でありながら合

成が難しいためこれまでほとんど研究がなされておらず

その性質は解明されていなかった理化学研究所の研究グ

ループはベンゼン環 48 個を隣り合った炭素の位置で結

合させたオルトフェニレンを世界で初めて合成したオル

トフェニレンは3 つのベンゼン環が 1 ピッチのらせんを

形成するバネ状の構造をしているがこのようなバネ状の

構造を持った分子はさまざまな機能を発揮するためエ

レクトロニクスや分子機械への応用の可能性が高まってい

る研究グループはこのバネ状分子から電子を 1 つ取

り去るとバネの硬さが劇的に増してらせんの反転速度が

約 450 分の 1 も遅くなることを突き止めたまたこの

1 個の電子の出し入れに応じてバネのピッチが 3263Aring か

ら 3224Aring と変化したこれまで電子が高密度に含まれ

た分子バネは電子を出し入れすることでその振る舞いが

変化することが理論上予想されていたがこのように電子

を多量に含む分子バネの合成は難しく実験的にも証明さ

れていなかった硬さの変化というこれまで実現すること

27

PEN N

ovember

ができなかった応答をする分子バネの登場は応答性分子

の分野に新たなコンセプトをもたらすと注目される本研

究成果はJST 戦略的創造研究推進事業 発展研究 (ERATO-

SORST)「分子プログラミングによる電子ナノ空間の創成

と応用」の一環として行われたものhttpwwwrikenjpr-worldinforeleasepress2010101115

indexhtml

【自己組織化基質選択的会合】分子間の特異的な相互作用による新規材料集積法を開発 分子が好みの分子を見分けて接着 (201011 15)大阪大学科学技術振興機構(JST)

近年分子認識を利用して分子と分子を非共有結合でつな

げることによりさまざまな超分子錯体が合成されさらに

これらを自己集合させる研究が行われているこれらの研

究において形成される集合体は分子の大きさであるナノ

メートルからマイクロメートルの極めて小さなもので高

倍率の顕微鏡を使わなければ見えない分子認識に基づい

て手軽に使えるくらいの大きな自己組織体を作り出すこと

はナノテクノロジー分野において分子を自己組織化さ

せて機能性材料を創製する上で重要な課題であった大阪

大学の研究グループはホスト分子としてシクロデキスト

リンをゲスト分子としてシクロデキストリンが結合する

化合物を用いてそのホスト-ゲスト相互作用を利用して

多様な自己組織化超分子ポリマーの構造体を作りマクロ

スケールで機能を発現させる研究を進めている今回D

NAやタンパク質の分子量決定に広く用いられるアクリル

アミドゲルを土台にしてこのゲルにシクロデキストリン

とゲスト分子をそれぞれ別々に導入し「ホストゲル」と

「ゲストゲル」を合成したこの両者を水中で振動させる

とゲルが接着する挙動が観察されミリメートルからセン

チメートルの大きさの物体を分子認識により自己集積でき

ることを世界で初めて実証したさらにシクロデキストリ

ンとゲスト分子との相互作用の強さの違いによって選択的

に特定のゲル同士を接着させることができることがわかっ

httpwwwjstgojpprannounce20101115indexhtml

【ブタノール分離膜】バイオブタノールの省エネルギー型膜分離精製技術を開発1 wt ブタノール水溶液から80 wt 以上の高濃度ブタノールの回収が可能 (201011 15)産総研

産総研は1 wt 程度の希薄なブタノール水溶液からゼ

オライト系分離膜を用いて 80 wt 以上に濃縮したブタ

ノールを回収できる省エネルギー型のバイオブタノール精

製技術を開発した ブタノールはエタノールと比較して

発熱量が大きいことから地球温暖化対策に貢献できる再

生可能なバイオ液体燃料すなわちポストバイオエタノー

ルとして期待されている今回合成条件の最適化を進め

高いアルコール選択透過性をもつシリカライト分離膜を合

成し膜分離法によって低濃度ブタノール水溶液から高

濃度ブタノールの回収が可能となった従来の分離膜を用

いた場合に比べてブタノール回収のためのエネルギーを

50 ~ 70 程度低減できることが期待される httpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101113

pr20101113html

【分子生物学】 化学合成したペプチドからウイルスの殻構造を組み上げることに成功 新規ナノ材料や医療材料としての応用に期待 (201011 12) 九州大学北九州市立大学

共同研究グループは化学合成したペプチドから約 40 ナ

ノメートルのウイルスの殻構造を組み上げることに世界で

初めて成功した球状の植物ウイルスから遺伝子を除いた

キャプシド構造と呼ばれる殻構造は決まった大きさのナ

ノ空間であることからナノ物質の反応器や運び手として

利用する研究が国内外で盛んに行われているしかしこ

れまでウイルスのキャプシド構造を得るにはウイルス

の遺伝子をバクテリア内に導入して生産させる必要があっ

た本研究では遺伝子やバクテリアを用いない完全化学

合成によってウイルスキャプシドを構築することに成功

した今回ウイルスの殻構造を簡単なペプチドから構築

できたことで様々な機能性ウイルスキャプシドを人工的

に創成する道が拓けたと言えるこのペプチドからなるナ

ノカプセルに適切な化学修飾を施すことによりナノ物質

合成のための反応器や医薬品の運び手人工ワクチンを

創成するための足場材料として応用できるものと期待され

るhttpwwwkyushu-uacjppressrelease20102010-11-12-04pdf

【レアメタル】レアメタル使用量削減技術の実用化を加速(20101110)新エネルギー産業技術総合開発機構 (NEDO)

NEDO はレアアース総合対策の一環として企業が取り

組むレアメタル使用量削減技術の実用化を加速するための

助成事業(事業規模約 100 億円)を 2010 年度補正予算

の成立を前提に行うこの助成事業では短期間で実用化

が期待できる以下の技術開発を対象として①レアメタル

28

PEN

Nov

embe

r を代替する材料の技術開発 ②レアメタルの使用量を削

減する技術開発 ③レアメタルのリサイクルを促進する

技術開発 ④その他のレアメタル消費の削減に資する技

術開発を行うhttpapp3infocnedogojpinformationskoubopressEFnedopre

ss2010-11-068550095069

【導波路型光スイッチ】光スイッチの消費電力を従来の 2 分の 1 に低減 増え続けるネットワーク機器の消費電力問題を解決 (201011 09)( 株 ) 富士通研究所

同社はシリコンフォトニクス技術を適用した導波路型光

スイッチについて世界で初めてシリコンゲルマニウム

(SiGe)細線構造を用いることで従来のシリコン細線構

造に比べて消費電力を約 2 分の 1 に低減することに成

功した幅広い波長に対応して高速に動作できるタイプの

光スイッチ素子としては世界最小の消費電力を実現して

いるhttpprfujitsucomjpnews2010119html

【ナノ構造機能】昆虫が足を擦る秘密をナノテクノロジーで解明 生体模倣による新しい材料機能の開発に活用 (201011 09)物質材料研究機構マックスプランク研究所キール大

共同研究チームは環境問題で循環型社会実現に求められる

「接着と分離」を繰り返せる未来の接合技術の開発研究に

おいてガラスのような平坦な表面を逆さまでも歩行でき

る昆虫の足の裏の優れた接着性に着目し昆虫(ハムシ)

の歩行調査を行いナノテクノロジーを用いた実験により

昆虫が摩擦により汚れを感じていることを突き止めた

httpwwwnimsgojpnewspress201011p201011090html

【超音波流量計半導体プロセス】極微量な流量を精密に測定できる超音波流量計を開発 半導体製造装置の性能を向上させ環境負荷を低減しランニングコストを削減 (201011 09)産総研( 株 ) アツデン東京計装 ( 株 )

3 者は共同で10 mLmin( 誤差plusmn 01 mLmin) 以下の極

微量な流量を精密に測定できる超音波流量計を開発した

この流量計は超音波ガイド波の伝搬に関する基礎理論の

見直しを行い超音波を高周波化し設計を最適化するこ

とにより開発したものでこれまでの超音波流量計では計

測できなかった微小な流速領域での流量測定ができるこ

の超音波流量計は半導体製造装置で利用される薬液の高

精度な制御を可能にし半導体製造装置の高性能化環境

負荷の低減ランニングコスト削減へ貢献すると期待され

る httpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101109

pr20101109html

【研究交流】中国上海における国際交流事業の実施同済大学と大学間学術交流協定を締結 (201011 08)大阪大学

10 月 21 日上海において開催した上海教育研究センター

開所式記念講演会祝賀会には鷲田清一総長をはじめ

とする大阪大学教職員中国の学術交流協定校関係者大

阪大学同窓会会員など約 130 人が列席し盛況の内に終

了した翌 22 日23 日には第 15 回大阪大学上海交

通大学学術交流セミナーが上海交通大学情報ネットワーク

センターを主会場として開催され7つの研究会に約 100

人が参加したさらに 23 日と 24 日の両日上海東亜展

覧館を会場に開催された中国国際教育展に大阪大学のブー

スを出展し100 人を超える留学相談者が本学のブースを

訪れた翌 10 月 22 日鷲田清一総長は上海市内にある

同済大学を訪問裴学長陳副学長ほか大学関係者と懇談

するとともに大学間学術交流協定及び学生交流覚書の調

印式に臨んだこれにより中国の大学との 10 番目の協定

が成立したhttpwwwosaka-uacjpjanewstopics20101120101108_1

httpwwwosaka-uacjpjanewstopics20101120101108_2

【高耐久性セラミック】激しい熱変化にも強度劣化しない窒化ケイ素系セラミックスを開発 窒化ホウ素の微粒子を分散させ耐熱衝撃性を飛躍的に向上 (201011 08)産総研三井金属鉱業(株)

両者は共同で従来品に比べて耐熱衝撃性と高温での強度

を飛躍的に高めた窒化ケイ素系セラミックスを開発した

今回窒化ケイ素(Si3N4)をベースとして高い熱伝導

率をもつ粒界相を形成させるとともにそこに非晶質に近

い窒化ホウ素のナノメートルオーダーの微粒子を分散させ

ることで耐熱衝撃性を飛躍的に向上させた従来の窒化

ケイ素が 1000 の温度差で強度が低下するのに対して

今回の開発材は電気炉で 1400 に加熱した後水中に投

下することを 10 回繰り返してもほとんど強度が劣化しな

かったまたこの開発材について大気中 1200 で高温

29

PEN N

ovember

曲げ試験を行ったところ室温と同程度の強度を保持して

いたセラミックスでは大型化すると小試験片では得られ

た特性が得られず実用化を進める上での課題になること

が多いがこの開発材では焼結条件を最適化することに

よって直径 82 mm 長さ 370 mm の比較的大型の部品で

も試験片と同様の組織物性が得られたまた実際の

製品形状に近い部品の焼成も可能となったhttpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101108

pr20101108html

【ミリ波発信器】ミリ波帯無線通信の実用化にめど 世界最高性能の低雑音局部発振器を開発 (201011 08)東京工業大学

東工大の研究グループは雑音を従来の 100 分の1以下

に低減したミリ波帯局部発振器を開発した20GHz 帯の

発振器と 60GHz 帯の注入同期型直交局部発振器を組み合

わせることにより世界最高の低位相雑音性能を達成した

無線通信の周波数帯ひっ迫を解消する技術として 60GHz

ミリ波帯の利用が注目されているがミリ波帯ではコイル

やコンデンサの損失が大きくなり位相雑音特性が劣化す

るのがネックだった今回はこれを解決したものでミ

リ波無線通信の実用化につながる成果発振器は 65 ナノ

メートルのシリコン CMOS プロセスを利用して試作した

580GHz から 636GHz の周波数範囲で 4 相正弦波出力が

可能でこの発振器により10Gbps(毎秒 100 億ビット)

以上の超高速ミリ波帯無線通信の実現が期待されるh t t p w w w o l d t i t e c h a c j p t o k y o - t e c h - i n - t h e - n e w s j

archives2010111289174400html

【炭素繊維応用】住宅向け外装材「炭素繊維補強サイディング」の本格展開について 優れた強度と耐熱寸法安定性で 15 年の基材保証を実現 (20101105)東レ ACE(株)

東レの子会社東レ ACE は炭素繊維で補強した窯業系サ

イディングを開発し本格販売と市場展開を開始する「炭

素繊維補強サイディング」はセメント質原料に炭素繊維

を添加配合して成型固着させた建物外壁用のセメントボー

ドで従来の窯業系サイディングの優れた防耐火性耐久

性等を維持しつつ更なる強度補強効果や火災高温時の

変形や熱収縮によるひび割れの抑制など耐熱寸法安定性

も向上させることで基材 15 年保証を実現する 本製品

に使用している炭素繊維は軽くて強く優れた高温特性や

耐熱性を有し非常に細い繊維を多く配合できることから

外装材としての強度補強効果も期待できるとしている

httpwwwtoraycojpnewsaffilnr101105html

【光ファイバーナノインプリント】ナノ格子反射防止表面光ファイバー先端に形成ナノ技術で安く製作 (20101105)東北大学

東北大の研究グループは微小な窪みが多数形成された反

射防止構造体を光ファイバーの先端に製作する技術を開発

した光ファイバーは光通信や光分析装置の構成部品とし

て使われており光源受光素子やレンズなどの光部品と

の接続損失を減らすために先端に反射防止膜が形成され

ている従来の反射防止膜は真空装置を使って薄膜を付け

るためコストが問題であった研究グループはナノイン

プリント技術を用いて光ファイバー先端のコア部に 270

ナノメートル間隔で微小な円錐状の窪みを形成し反射損

失を低減することに成功したナノインプリント技術は

基板に塗布したポリマーに原版を押し付けて微細パターン

を転写する技術で高価な露光装置や真空装置が不要なた

めナノ構造を安価に製作することができる今回光ファ

イバー先端にナノ構造を製作するために専用のナノインプ

リント装置を開発した窪みの間隔が光の波長よりも小さ

い場合屈折率が変化し反射波が生じにくくなる反射

率や波長帯域は窪みの形状間隔や高さで決まり従来

の反射防止膜よりも設計の自由度が高いため要求に合わ

せて種々の反射防止表面を製作することが可能 httpwwwtohokuacjpjapanese201011press20101105-2

html

【人工筋肉機能材料】光を運動エネルギーに変える新高分子素材の開発に成功 世界で初めて分子を大面積で 3 次元的に配列させ新機能を実現 (20101105)理化学研究所

光で変形したり電子を流すなどの機能を持った分子を人工

的に規則正しく大面積で集積することができると機能性

材料の性能向上や革新的新機能の発現につながるそのた

め世界中で精力的に開発が行われているがこれまで実現

させた例はなかった理化学研究所の研究グループは光

で構造が変化するアゾベンゼン分子を組み込んだブラシ状

の高分子「ポリマーブラシ」を大面積で 3 次元的に一挙

に配列させる手法の開発に初めて成功したこの規則性の

ある 3 次元集積構造は延伸したテフロンシートにポリ

マーブラシを挟み込みアイロンに似た熱と圧力を加える

といういたって簡単な操作で実現したさらにこのフィ

30

PEN

Nov

embe

r ルムに光を当てるとアゾベンゼン分子の構造変化が一方

向に集約しフィルムが湾曲するという巨視的変形を引き

起こすことを見いだしたすなわちこの新しいフィルム

は光エネルギーを運動エネルギーに変換する機能を持って

おり新たな人工筋肉材料などへの展開が期待されるま

た本技術は有機薄膜太陽電池をはじめとする次世代の機

能材料の開発にも革新をもたらすと期待されるhttpwwwrikenjpr-worldinforeleasepress2010101105

indexhtml

【リチウムイオン電池正極材料】常温プロセスで全固体薄膜リチウムイオン電池の試作に成功 エアロゾルデポジション法による蓄電池製造の新工法開発を本格化 (2010115)産総研

産総研はトヨタ自動車 ( 株 ) と共同で産総研が開発し

たセラミックス材料の常温高速コーティングプロセスであ

るエアロゾルデポジション (AD) 法を用いて酸化物系の

正極材料負極材料固体電解質材料を薄膜積層化して

金属基板上に 3 層構造からなる全固体薄膜リチウム (Li) イ

オン電池を試作蓄電池としての充放電特性を世界で初め

て確認した 従来型の薄膜技術とは異なりAD 法を用い

ると基板の加熱が不要でまた厚膜化も容易であるそ

のため成膜時間が大幅に短縮でき蓄電池の生産性向上

やプロセスコストの大幅な低減が期待される今後は AD

法を用いた本格的な全固体電池の共同開発を進めていく httpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101105

pr20101105html

【記録デバイススピントルク素子】次世代超高密度 HDD に向けたマイクロ波アシスト記録の基本技術を開発 磁気ヘッドに搭載可能なスピントルク素子を用いた磁気情報の書き換えを確認 (2010115)新エネルギー産業技術総合開発機構(NEDO)(株)日

立製作所

NEDO はハードディスク装置(HDD)の開発製造会社で

ある日立グローバルストレージテクノロジーズの協力を得

て従来の磁気記録方式の限界を超えHDD の記録密度

を飛躍的に伸ばす方式として期待されているマイクロ波ア

シスト磁気記録方式の基本技術を開発しその原理を実験

的に確認したマイクロ波アシスト記録では記録媒体の

小領域にマイクロ波帯の高周波磁界を加え磁気情報の書

き込みを容易にする今回開発したのはヘッドに搭載可

能な高周波磁界を発生するスピントルク発振素子でこの

素子を用いて記録媒体上に磁気情報を記録できることを実

験的に確認したこれまで外部のマイクロ波発生装置を

用いたマイクロ波アシスト効果の報告例はあったが今回

微細な発振素子を用いた磁気情報の記録を確認できたこと

により将来この素子を記録ヘッドに搭載しマイクロ波

アシスト記録を実用的に行える可能性が示されたhttpapp3infocnedogojpinformationskoubopressEFnedopre

ss2010-11-029718160145

【基礎科学物性】絶縁体が金属に変わる新原理の解明 超伝導素子や熱電変換素子の開発へ道(20101104)東北大学

東北大学原子分子材料科学高等研究機構の研究グループ

は高品質酸化物薄膜において電気が流れにくい絶縁体

状態から流れやすい金属状態への遷移機構を解明した材

料における電気の流れやすさは電気を流す担い手である

伝導キャリアが物質中にどれだけ含まれるか伝導キャリ

アがどれくらいスムーズに動きまわれるかによって決ま

るつまり伝導キャリアの濃度を増やしたり材料中で

伝導キャリアの動きを妨げる原因になるひずみや欠陥を少

なくすると電気はより流れやすくなる本研究では人

工宝石として知られるチタン酸ストロンチウム (SrTiO3)

の絶縁体を用い伝導電子を生み出すキャリア供給層を

SrTiO3 絶縁体間に挟み込んだ絶縁体層 キャリア供給層

絶縁体層の層状界面構造をもつ高品質超格子構造を作製す

ることで絶縁体層の体積を増加させると反対に電気が流

れやすい金属状態になる現象を発見した最新の電子顕微

鏡技術を用いた原子構造解析と電子状態の理論計算を駆使

して絶縁体を増加させると界面で結晶のひずみが少なく

なり高導電化することを解明した本研究が明らかにした

界面での結晶のひずみを制御することによって絶縁体を金

属状態へ変化できる現象は様々な材料でも普遍的に起こる

と考えられ絶縁体から金属へ変わる境目で性能が向上す

る新超伝導体や新熱電材料の開発に展開することが可能と

期待されるhttpwwwtohokuacjpjapanesenewimgpressimgtohokuuniv-

presspdf

【環状高分子】様々な環状高分子の自在な合成に成功 「かたち」に基づく機能開発に期待(2010112)東京工業大学

東工大の研究グループはこれまで困難とされてきた

種々の含環状高分子の選択的な合成に成功した同研究

グループで開発された単環状高分子合成プロセスである

31

PEN N

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Electrostatic Self-Assembly and Covalent Fixation Process

と有機合成化学の新手法であるクリックケミストリー

を組み合わせることで様々な「かたち」の自在な構築

を達成した本手法の開発により近年注目を集めてい

る「かたち」に基づいた高分子物性の探索を加速させる

ものと期待されるhttp wwwo ld t i t e ch ac j p tokyo - t ech - in - the -news j

archives2010111288656000html

【異分野連携オープンイノベーションモデル】応用脳科学コンソーシアム 脳科学及びその周辺領域の学術知見を活用したオープンイノベーションモデルの研究活動を開始 異業種の民間企業と異分野の脳科学研究者が連携し事業性の高い研究テーマを推進 (2010111)アサヒビール(株)(株)NTT データ積水ハウス(株)

(株)竹中工務店帝人(株)凸版印刷(株)日産自動

車(株)(株)博報堂(株)NTT データ経営研究所

NTT データ経営研究所が日本神経科学学会の協力を得て

2010 年 10 月 1 日に創設した「応用脳科学コンソーシア

ム」においてそれぞれの事業活動に関連する独創性の

高い研究テーマについて複数の「応用脳科学 RampD 研究会」

を立ち上げるRampD 研究会では各 RampD 研究会を設置

した特別会員企業が各テーマに関連の深い脳科学及び

その関連領域の研究者を招聘し異業種である他の会員

企業とともに最新の研究知見を活用してオープンイノ

ベーションモデルの研究活動を実施する各社が設置す

る RampD 研究会は現時点で(1)おいしさの総合評価研究

会(アサヒビール)(2)ヘルスケア脳情報クラウド研究

会(NTT データ)(3)インタラクティブ住環境研究会(積

水ハウス株式会社)(4)コミュニケーション空間研究

会(竹中工務店)(5)メディアエンゲージメント研究

会(博報堂)この他の RampD 研究会については今後随

時応用脳科学コンソーシアムのウェブサイト httpwww

keieikencojpcan で公開予定

httpwwwnttdatacojprelease2010110101html

【レーザ技術基礎光物性】熱を加えずに結晶を柔らかくすることに成功 高強度テラヘルツ電磁パルスで分子ネットワーク操作が可能に 

(2010111)京都大学科学技術振興機構(JST)

京都大学はテラヘルツ電磁パルスと呼ばれる新しい光

を物質に照射することで1兆分の1秒の短い時間で結

晶中の分子を大振幅で揺さぶり熱平衡状態では実現で

きないような分子変位を実現することに世界で初めて成

功した実験結果は結晶が実効的にやわらかくなったこ

とを意味するものでさらに強いテラヘルツ電磁パルス

によって高効率で結晶を融解させることを示唆するこ

れは熱による反応を起こすことなく新しい分子間のネッ

トワークやたんぱく質などの巨大分子の立体配位を操作

できることを示しており化学合成における反応促進や

創薬における有機分子結晶の精製での活用が考えられる

今回の成果は JST 戦略的創造研究推進事業日本学術振

興会学術創成プロジェクト「動的相スイッチ機構を内在

する有機電子材料の開拓と非平衡物性科学への展開」お

よび京都大学グローバル COE プログラム「普遍性と創発

性から紡ぐ次世代物理学」によるものhttpwwwjstgojpprannounce20101101indexhtml

【高周波デバイス】透 明 な 高 周 波 デ バ イ ス 見 え な い ア ン テ ナ へ の 道

(20101028)物質材料研究機構太陽誘電(株)

両者は共同で透明な高周波デバイスを製造するための

基本技術である微細な金属配線と酸化物透明導電体から

なるハイブリッド構造を開発した本技術は不透明で

あるが高い伝導性を示す金属と透明ではあるが金属の

100 分の 1 程度の伝導率にとどまる酸化物透明導電体と

を組合せ両者の特性を相補的に活用することにより

透明でありかつ携帯電話をはじめとする無線デジタ

ル通信に用いられるギガヘルツ帯の高周波に対して高い

伝送特性を示す素子構造を実現した

httpwwwnimsgojpnewspress201010p201010280html

【エコ製品環境経営】COP10 に向けた環境配慮型製品技術の取り組み ポリ乳酸繊維 ldquo エコディア rdquo 使用商品の提供や連携事業「メッセナゴヤ 2010」への出展を通じ環境保全の取り組みを強化 (20101028)東レ ( 株 )

同社は10 月 11 日 ( 月 ) から 29 日 ( 金 ) に開催された

生物多様性条約第 10 回締約国会議 (COP10) に向けて

ポリ乳酸繊維 ldquo エコディア rdquo 使用商品の提供などを通じて

環境に配慮した運営に協力したまたCOP10 の連携事

業である環境エネルギーをテーマとした展示会「メッ

セナゴヤ 2010」に出展し環境に配慮した次世代自動車

や最先端航空機向けの先端材料を紹介した

httpwwwtoraycojpnewsfibernr101028html

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embe

r

NEWS POD 著作権の関係で記事のタイトルと詳細内容は標記できませんので簡略に表示しています詳しい内容に関しては各新聞及び雑誌をご覧ください

ナノテクノロジー

研究開発最前線

20101122 日 刊 工 業 新 聞 News

ウェーブ 21

X 線レーザー

20101121 東京読売新聞

新潟ナノテク研究会

20101120 日本経済新聞

ナノテクとバイオ

20101120 下野新聞

バイオ起業

20101119 朝日新聞

ナノ粒子の構造制御

20101119 日刊工業新聞

水素原子観察

20101119 科学新聞

光ファイバー関連技術

20101119 科学新聞

希少金属対策

20101118 日刊工業新聞

熱電材料

20101117 日経速報ニュース

化学合成でナノ構造

20101117 日経産業新聞

つくばナノテク研究拠点への投資

20101117 日刊工業新聞

分子バネ

20101116 日経速報ニュース

ナノバイオ融合

20101116 日経産業新聞

フレンドオブアースのナノテク評

20101116 エコロジーエクスプレス

クラスターテクノロジー

20101112 産経新聞

実用化助成

20101111 日刊産業新聞

接着のメカニズム

20101110 日経産業新聞

電子材料

20101110 日経産業新聞

ナノ磁石

20101110 東京新聞

高分解能放射線検出器

20101110 化学工業日報

電池電極材料

20101108 日本経済新聞

食の安全性

20101108 日経エコロジー

ナノ磁石実用化

20101105 朝日新聞

ナノテク接着剤

20101105 日刊工業新聞

水素原子の観察

20101105 日刊工業新聞

補正予算案

20101105 科学新聞

ナノ磁石

20101104 日本経済新聞

ナノボーグ

20101104 日刊工業新聞

ITO 電極代替技術

20101104 鉄鋼新聞

レアアース代替材

20101103 日本経済新聞電子版

セクション

ナノ鉄磁

20101103 毎日新聞

有機トランジスタ

20101101 日 経 速 報 ニ ュ ー ス

アーカイブ

有機トランジスタ

20101101 日経産業新聞

ナノムービー

20101101 日経サイエンス

低燃費タイヤ

20101030 朝日新聞

筑波大生命科学研究拠点

20101030 茨城新聞

レアアース代替材

20101029 日経産業新聞

播磨地域

20101029 化学工業日報

ナノ粒子操作

20101029 科学新聞

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NEWS POD 著作権の関係で記事のタイトルと詳細内容は標記できませんので簡略に表示しています詳しい内容に関しては各新聞及び雑誌をご覧ください

中国新5カ年計画

20101028 日本経済新聞

高機能消臭素材

20101028 化学工業日報

環境規制等

終わりの科学

20101201 日経サイエンス

電気自動車の覇権

20101123 週刊エコノミスト

環境規制対応

20101122 日経産業新聞

温暖化ガス排出枠

20101122 日経産業新聞

ロス自動車ショー

20101119 日経産業新聞

EV と環境規制

20101119 朝日新聞

EV

20101119 東京新聞

環境と法規制

20101119 化学工業日報

トヨタとテスラ

20101118 読売新聞速報ニュー

CO2 排出量削減

20101118 日経産業新聞

カリフォルニア州環境規制と EV

20101112 日本経済新聞

環境規制

20101112 日本経済新聞

環境規制

20101112 日経産業新聞

米韓 FTA

20101112 朝日新聞

米韓 FTA

20101112 毎日新聞

顔料

20101112 化学工業日報

レアメタル供給規制

20101111 日本経済新聞

潮冷熱

20101110 日本経済新聞

レアアース生産と環境規制

20101108 ダウジョーンズ中国企

業ニュース

韓米FTA

20101101 中央日報

科学技術政策

競争的資金制度

20101122 日本経済新聞

科学技術関係補正予算案 

20101122 THE DOCTOR

韓国 KIST

20101121 朝鮮日報

科学技術政策

20101119 日本経済新聞電子版

セクション

科学技術政策

20101118 日本経済新聞

科学技術政策

20101118 日経産業新聞

女性研究者

20101117 日経速報ニュース

科学技術予算

20101114 東京読売新聞

トップ1論文

20101112 科学新聞

中国特許強国に

20101112 新華社ニュース

関経連と科学技術政策

20101110 産経新聞 

科学技術産業一体政策

20101109 日刊工業新聞

優れた論文の条件

20101105 毎日新聞

「焼け太り許さぬ」

20101102 朝日新聞

国の研究開発投資目標

20101029 日刊工業新聞

科技政策で提言

20101027 日経産業新聞

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科学への信頼に関する読者調査

20101201 日経サイエンス

「カップリング反応」アニメ化

20101110 朝日新聞東京読売

新聞他

科学と社会つなぐ人材

20101025 東京新聞

NEWS POD 

情報誌 PEN 購読のご案内PEN の継続的な購読をご希望の方は下記のメールアドレスまでお名前ご所属メールアドレスをご記入の上ご連絡ください登録配信は無料ですnano-penmaistgojp

PEN は原則月 1 回配信しますバックナンバーと PEN の前身【AIST-TOKYO ナノテク情報】をナノシステム研究部門ホームページにて公開しています httpunitaistgojpnrinano-planindexhtml

PEN は皆さまとの情報共有を目的としていますお持ちの情報で共有すべきものがあれば nano-penmaistgojp までお寄せ下さい

いただいた個人情報は産総研 個人情報保護方針(プライバシーポリシー)に基づき大切に管理し情報誌 PEN の運営と私達のイベントのご案内のみに使用させていただきます

科学技術コミュニケーション

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イベント案内

[産学連携研究開発]大阪大学ナノ理工学人材育成産学コンソーシアム 第 3 回ナノ理工学情報交流会場所大阪大学中之島センター 7 階 講義室 3(講師来訪)

   大阪大学東京オフィスサテライト教室

(遠隔講義配信)

   四日市商工会議所内サテライト教室

(遠隔講義配信)については調整中です

コンソーシアム HP にてご確認ください

   ナノテク社会人教育プログラムの開講をされてい

る場合遠隔講義配信に対応可能です事務局まで

ご連絡ください

日時2010 年 12 月 10 日(金)1330 ~ 1900 頃

主催大阪大学ナノ理工学人材育成産学コンソーシアム 

概要ナノ理工学人材育成産学コンソーシアムでは活動

の一環として産学連携のきっかけを提供すべく企業と

大学の双方からテーマに即した研究開発やトピックを紹介

し会員同士の意見交換と情報共有の促進をはかっていま

す第 3 回目となる今回は「光を用いたナノテクノロジー

の新展開」をテーマに開催しますプログラムなどの詳細

は下記の HP をご参照下さい

参加費コンソーシアム会員学生及び大阪大学教職員は

無料(コンソーシアム企業会員の場合社内から何名でも

無料で参加が可能です)

上記以外の方は資料作成費 1000 円が必要になります

参加登録氏名所属連絡先懇談会への出欠を記載の

上メールにて大阪大学ナノ理工学人材育成産学コンソー

シアム事務局(nano-consnanoscienceorjp)へお申込み

下さい

httpwwwnanoscienceorjp

[コミュニケーション]科学コミュニケーション研究会 第 1 回関西支部勉強会日時2010 年 12 月 2 日 1800 ~ 2000

場所京都大学 吉田泉殿

主催科学コミュニケーション研究会 関西支部有志

概要大阪教育大学科学教育センターの中矢史雄氏を講師

に招きオーストラリアの科学技術コミュニケーションに

ついてオーストラリア国立大学科学意識向上センター

での経験なども交えてお話いただきます定員は 25 名で

す事前申し込みが必要です

httpbitlybPmTP9

[展示会]セミコンジャパン 2010日時12 月 1 日~ 3 日

場所幕張メッセ

主催SEMI

概要国内外の最新のマイクロエレクトロニクス技術に関

する情報を入手することのできる世界最大の半導体製造装

置材料展です

httpwwwsemiconjapanorgjaindexhtm

[知財]アジア特許庁シンポジウム日時2010 年 12 月 3 日(金)930 ~ 1210

場所ホテル日航奈良 飛天の間

主催特許庁

概要日本中国韓国インドネシアマレーシアシ

ンガポールの特許庁幹部を招き各国の知財保護強化の取

組みやアジアにおける知財協力を紹介しますまたパ

ネルディスカッションを設けアジアにおける人材育成協

力の方向性について議論します

httpwwwintergroupjp~convasia

[人材育成]応用物理学会 人財育成シンポジウム -日本の危機を科学が救うそのためのリーダー育成を考える-日時2010 年 11 月 29 日(月)1000 ~ 1710

場所東京工業大学デジタル多目的ホール

主催応用物理学会

概要急速に進むグローバル化に対応のできる人材を育成

するための課題や応用物理学会が貢献することのできる

具体的な取り組みについて議論します

イベント案内へ掲載を希望される方は nano-penmaistgojp までご一報ください

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embe

r h t t p w w w j s a p o r j p a c t i v i t i e s e d u c a t i o n

symppt2010symphtml 

[コミュニケーション]科学技術とメディアのより良い関係に向けて日時11 月 26 日 1815 ~ 2030

場所早稲田大学大隈小講堂

主催サイエンスメディアセンター(SMC)

概要英国オーストラリアのサイエンスメディアセ

ンターの関係者米国のサイエンスコミュニケータを交え

て研究者とメディアの有益な関係性構築に向けた取り組

みについて議論します参加費は無料同時通訳がつきま

httpsmc-japanorgp=403 

[異分野連携]医学領域と工学領域連携研究シンポジウム ‐ 未来を拓く医工連携 ‐日時2010 年 11 月 27 日(土)

場所山口大学医学部第 3 講義室

主催日本学術会議中国四国地区会議山口大学

概要がんの個別化医療をメインテーマにこれからの医

工連携のあり方について講演と議論を行います

httpwwwscjgojpjaeventpdf100-t-3pdf 

[人材育成]マイクロナノエンジニアリング シンポジウム ‐ イノベーションと人材育成 ‐日時2010 年 12 月 8 日(水)1300 ~ 1700

場所日本学術会議 講堂

主催日本学術会議 マイクロナノエンジニアリング分

科会日本機械学会 マイクロナノ工学専門会議

概要学際的分野であるマイクロナノエンジニアリング

は大学大学院における教育の整備関連する産業界

学術界での研究開発における分野融合的な取組みが不可欠

です本シンポジウムでは人材育成を軸とした課題につ

いて議論します

httpwwwscjgojpjaeventpdf100-s-3-1pdf

[ 博物館展示 ]自然に学ぶ ネイチャーテクノロジーとライフスタイル展開催中です

場所国立科学博物館 (東京上野公園)

日時2010 年 10 月 26 日~ 2010 年 2 月 11 日

主催東北大学大学院環境科学研究科国立科学博物館

特定非営利活動法人ものづくり生命文明機構

概要蝶や鳥など生き物や自然の仕組みにヒントを得た環

境負荷の低い技術と将来的な応用の可能性から日本文化

に根差した共生型の新しいライフスタイルのあり方につい

て紹介します国立科学博物館の入館料600円が必要です

httpwwwkahakugojpevent201010natureindex

html

[人材育成]シンポジウム「世界を魅せる日本の課題解決型基礎研究~JST 目利き制度とその可能性」日時2010 年 12 月 6 日(月)1000-1800 (0900 受

付開始)

場所東京国際フォーラム B5 ホール

主催(独)科学技術振興機構(JST)

概要JST がこれまでに行ってきた戦略的創造研究推進

事業の成果を振り返りつつ今後の日本の科学技術の発

展に向けた事業のあり方について参加者の皆様と議論しま

httpwwwsenryaku30jstgojp 

[ 持続可能性 ]学術会議シンポジウム「低炭素化に向けた経済社会エネルギーのあり方と実現のシナリオ」日時2010 年 12 月 9 日(木)1330 ~ 1700

場所学術会議講堂

主催土木工学建築学委員会低炭素建築都市分科会

社会資本分科会

概要両分科会は中~超長期のエネルギー消費量削減シ

ナリオ策定に取り組んできました本シンポジウムでは

分科会の検討結果や削減のための様々な取り組みを紹介

し今後のとりまとめ作業に向けた議論を行います

httpwwwscjgojpjaeventpdf104-s-3-6pdf 

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PEN 編集室関谷瑞木阿多誠文独立行政法人産業技術総合研究所 ナノシステム研究部門 305-8568 つくば市梅園 1-1-1 産総研つくばセンター中央第 2 M404Email nano-penmaistgojpTel029-861-5185 Fax 029-861-5339

編集後記

今月 8 日に長野県長野市で開催された第 3 回国際ナノ

ワークショップ「ナノテクノロジーの社会受容~ナノ

材料の工業標準化の国際的な動向と環境影響について

~」の会場で多くの企業の皆様と意見交換をする貴

重な機会を得た目まぐるしい勢いで変わってゆく諸

外国の環境規制策の動向に民間企業の皆様が神経を

とがらせておられることがひしひしと感じられた東

京から新幹線で 1 時間半インターネットでリアルタ

イムに世界とつながることのできる時代とはいえ情

報物人が集積する地である東京とは異なる苦労も

あることもお聞きした美しい山々きれいな空気あ

るいは世界に誇る観光遺産と科学技術を結び付けて

地域振興をはかりたいとの頑張っておいでの方にもお

会いした

月刊という制約はあるもののこうした方々にとって

タイムリーで有用な情報を提供し続けたいと改めて

強く感じた

ちなみにPEN を発行しているつくば市の産総研つく

ばセンターへもつくばエクスプレスと路線バスを乗

り継いで都心からは約 1 時間半かかる

2010 年 11 月 25 日

PEN 編集室一同ウナギツカミ

Page 7: Public Engagement with Nano- PEN November …...5 PEN November 【知財】 中国、10年で特許強国に(2010.11.12) 中国国家知識産権局は11日に「全国特許事業発展戦略

7

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粒子が移動している事実は確認されなかったしたがっ

て植物の防御壁は哺乳類の防御壁よりも強固なのでは

ないかと考えられるhttpiconriceedudetailscfmrid=48442 

httppubsacsorgcennews88i448844news8html

【政策】ECナノ材料の定義について意見を募集(20101025)欧州委員会(EC)はナノ材料の草案段階の定義について

公開しオンラインで意見募集を開始したEC が公開し

た定義では次の 3 項目の条件を満たす材料は全てナノマ

テリアルとみなすという3 項目は①外部構造の 1 次

元以上が 1 nm から 100 nm②内部構造もしくは表面の

1 次元以上が 1 nm から 100 nm③単位体積当りの全表

面積が 60 m2cm3 以上となる物質とされている意見

募集は 11 月 19 日まで行われEC は意見募集の結果を踏

まえて最終的な定義案を作成する現時点で欧州域内に

おいて法的に拘束力のあるナノマテリアルの定義は化

粧品規制(Cosmetics Regulation 12232009)に記され

ている定義のみであるhttpwwwfoodnavigatorcomScience-NutritionEC-calls-for-views-

on-nanomaterial-definition 

【コミュニケーション】米国におけるナノテクノロジー食品応用研究の情報公開は不十分(20101025)米国の生化学者の DM Beck 氏はナノテクノロジーの

食品応用の現状と将来展開について分析し米国の消費

者は欧州たとえば英国の状況に比べて十分な情報や

情報共有の機会を提供されているとは言えない状況にあ

ると批判している情報が不足しているために消費者

の態度が化粧品や医薬品に対するものとは異なっている

と分析しているBeck 氏は研究開発の透明性という部

分で化粧品や医薬品もさして変わらないが消費者の

反応ははるかに慎重なものだと指摘するhttpwwwwibwcomhomeheadlinesControversy_Surrounds_

Nanotech_Food_Experiments_105736283html

【政策】カナダ研究開発支援に大型の予算配分(20101025)カナダのイノベーション基金(CFI)は研究基盤整備を

支援するために 6 億カナダドル(約 492 億円)の予算を

配分する予算配分の内訳は大規模科学イニシアチブ

大学向けの競争的資金最先端基金新イニシアチブ基

金リーダーズオポチュニティ基金となっている全予

算の約 3 分の 1 ずつがそれぞれ大規模科学イニシアチ

ブとリーダーズオポチュニティ基金に配分される

httpwwwinnovationcaennews20101025240

【EHS】ナ ノ テ ク ノ ロ ジ ー 製 品 の 海 洋 生 態 系 へ の 影 響

(20101022)ナノ材料の環境影響についてはまだほとんど研究が進

んでおらず十分なことがわかっているとは言い難い

コネチカット州の New Haven 大学の研究者らは海岸

や桟橋に付着しているぬるぬるしたスライム状のバイオ

フィルムを調べることで様々な日用品を排出源とする

ナノ材料の海洋生態系への影響を明らかにできるかもし

れないとして研究を始めている

httpwwwnanowerkcomnewsnewsid=18632php

【EHS】ナノ医薬品の開発と不確実性(20101021)米 国 で 開 催 さ れ て い た ナ ノ 医 薬 品 American Society

of Nanomedicine の 年 会 で 毒 性 学 の 専 門 家 で あ る

Rochester 大学の Gunter Oberdorster 教授が慎重に言

葉を選びつつナノ医薬品の開発においても新たな分

野の開拓につきものの不確実性に伴う課題に積極的に取

り組むべきだと語った様々なリスクが懸念されている

ものの「新しい材料の正確な知識の入手がもっとも重要

である」と Oberdorster 教授は指摘した現在実施され

ている多くの有害性試験は試験動物へのナノ材料の投

与量が実際的な量とは言えず正確な評価ができないと

も指摘したOberdorster 教授は正確な有害性評価リ

スク評価ひいては有効な医薬品開発のためにさらなる

研究が必要と結んでいるhttpnewhavenindependentorgindexphparchivesentrysafety_

a_concern_for_nanomedicine_tooid_30430

【産業化】現 実 を 見 据 え た ナ ノ テ ク ノ ロ ジ ー 研 究 開 発 の 出 番

(20101020)ナノテクノロジー研究開発は一頃の地に足のつかない

高揚した状況からナノテクノロジーで何が可能なのか

を冷静に分析しつつ実用化のための戦略を定めるべき

状況にあるとの認識へと変化している

10 月 20 日に Industry Week Online にRice 大学主催フ

ラーレン発見 25 周年記念シンポジウムにあわせてこれ

8

PEN

Nov

embe

r までに発表された市場レポートや多くの専門家の意見を

引用しNano-Hype が収まった後のナノテクノロジー研

究の行方についてまとめた記事が掲載された

一部のナノ材料が半導体産業などで利用され始めている

ものの全米科学財団(NSF)が 2000 年に予測したよ

うな 1 兆ドル規模の市場は創出できていないこと結局

NSF の市場予測によって実現したのはナノテクノロジー

への非現実的な期待に火をつけることだけであったと指

摘このような状況の背景には革新的な発展を可能に

する技術の実現に関する課題とこのような開発にかか

る高コストの問題があるとしているさらに環境健康

安全への懸念が研究開発の行方を一層不確かなものと

していると述べている

NSF の予測を大幅に下回るものの2009 年の米国のナノ

テクノロジー関連市場は 120 億ドル規模にまで成長して

いる今後も順調に成長を続ければ2015 年には 260

億ドル程度の市場に成長することが期待できる現在

最も市場化が進んでいるのが高機能材料を作り出して

いる化学品産業であるまた健康関連産業とりわけ患

者にやさしい診断用ツールなどの分野で近い将来大きな

飛躍が見込まれるとしRice 大学が 2010 年 4 月に試験

的なナノスケール腫瘍診断用チップの開発に成功してい

ることを指摘しているhttpwwwindustryweekcomarticlesnanotechnology_beyond_

the_hype_23017aspx

【医薬品】ナ ノ 粒 子 を 利 用 し た が ん 治 療 薬 の 製 品 化 が 活 発 化

(20101015)がんについての研究は進んできているものの1950 年代

以降もがんの治療法に画期的といえるような大きな進歩

はない化学療法は患者にとって相変わらずつらく苦し

いもので治療に用いられる薬は健康な細胞もがん細胞

とともに破壊してしまっているしかしナノ材料を用い

たがん治療薬がこのような状況を早晩改善する希望が出

てきたナノ医薬品は初期のハイプの段階を抜け出して

製品化目指して着実に進んでいる今では50 を超える

企業ががんの治療や診断に用いるためのナノ粒子ベース

の医薬品の開発に取り組んでいるこのうちの 34 社はこ

こ 4 年の間に設立された現在活発に臨床試験が行わ

れているナノ医薬品はより複雑で高機能なものである

httpwwwsciencemagorgcgicontentfull3306002314 

【政策産業化】ドイツバーデンヴュルテンベルク州に新しい最先端クラスター発足(20101015)ドイツのバーデンヴュルテンベルク州に準備中であっ

た最先端マイクロシステム研究クラスター Micro TEC

Suumldwest が公式に活動を始めたMicro TEC Suumldwest では

同州を中心に 350 を超える大学研究機関製造やサー

ビス関連企業が29 のプロジェクトに参加することにな

るドイツ連邦教育研究省が 4000 万ユーロ約 46 億円

の資金援助を行う予定httpwwwmstbwdedemstindexhtml

httpmicrotec-suedwestdecmsfront_contentphpchangelang=2

【産業化】各国で実施したナノテクノロジー研究開発の長期展望に関する調査結果を公表(20101013)世界の最新技術動向を調査している米国の NPO である

World Technology Evaluation Center(WTEC)はナノ

テクノロジー研究開発の長期的展望と研究の方向性につ

いてまとめたレポート「Nano2」を公表した本レポー

トは全米科学財団(NSF)の支援を受けWTEC が世界

各国で実施した調査と 2010 年前半に米国ドイツ日本

シンガポールで実施したワークショップでの議論を基に

して作成されたNSF の Mihail Roco 氏が本調査の責任者

であるレポートではこれまでに指摘されてきた様々

な課題について解決に向けた取り組みの状況がまとめ

られているこれらの既存の課題に加え長期的展望に

たった研究開発のための今後の取り組みの方向性につい

ての専門家の提言が盛り込まれている本レポートは草

案の段階でコメントを募集中である

httpwwwwtecorgnano2

http2020scienceorg20101013nanotechnology-2-0-the-next-

ten-years-of-nano-risk-research 

【政策】オーストラリア工業ナノ材料を化学物質管理の対象へ

(2010105)オ ー ス ト ラ リ ア の National Industrial Notification and

Assessment Scheme (NICNAS)は工業ナノ材料を化学

物質管理のための枠組みを定める「工業化学物質報告

評価法」3 章に定める新規化学物質とし報告義務のある

行政手続きの対象とするとして官報で告知したNICNAS

における工業ナノ材料の定義は「ナノスケールで特別

な物性あるいは構造をもつように製造加工設計された

1nm から 100nm のサイズのナノオブジェクト(12

9

PEN N

ovember

3 の次元のいずれかがナノスケールであること)あるいは

ナノ構造(ナノスケールの内部構造もしくは表面)である」

物質とされているまた本項は既存の化学物質のナ

ノサイズの物質にも適用される輸送のためにオースト

ラリアのいずれかの港空港を通過する場合や年間 100g

以下の研究目的の輸入などが適用を免除される適用の

開始は 2011 年 1 月 1 日であるhttpwwwnicnasgovauPublicationsChemical_Gazette

pdf2010oct_wholepdfpage=14 

【社会的影響】ナノテクノロジーとアフリカ大陸(2010106)これまで様々な科学技術が途上国の抱える様々な課題

を解決すると喧伝されてきたナノテクノロジーについ

ても例外ではないしかしこのような考え方は少々単純

すぎると途上国の専門家は考えている2010 年のはじめ

にコートジボワールで開催されたワークショップでア

フリカ諸国にはリスクを避けるためにナノ材料の使用や

輸入を拒否する権利があるとの主張がなされたこのワー

クショップでアフリカ諸国の専門家はベネフィットだ

けでなく科学技術の進歩がもたらす社会的な影響につ

いても関心を持つべきであると述べている

ナノ材料のような新興の材料を用いた製造工程の急激な

変化に途上国の労働者がついてゆくのは困難であること

など技術的発展が必ずしもベネフィットにつながらな

い可能性も指摘されているまた今後ナノテクノロジー

を活用しようとするアフリカ諸国の前に特許の問題が立

ちふさがる可能性が非常に高いと予想されている

いずれにしろナノテクノロジーがアフリカ諸国の経済

に大きな影響を与えることは必至である重要なことは

アフリカの将来を左右するナノテクノロジー研究開発を

どのような方向に進めるのかの決定に当事者として関

与する道を確保できるのかということである

httppambazukaorgencategoryfeatures67525

【産業化】ユ ニ バ ー サ ル メ モ リ デ バ イ ス で IC 市 場 の 巻 き 返 し

(2010105)ユニバーサルメモリデバイスで高性能の小型モバイル機

器の実現するために各国企業が激しい開発競争を行って

いるナノテクノロジーの科学的経済的側面の解析で

欧州の化学技術政策に大きな影響力をもつ Obsevatory

NANO はユニバーサルメモリデバイス向け技術や実現

に向けた課題そして欧州連合(EU)における開発の現

状について簡潔にまとめたレポートを公表した

一時考えられていたような単一の技術がユニバーサルメ

モリデバイスを実現するとは考え難くナノテクノロジー

はユニバーサルメモリデバイス実現の重要な核とみなさ

れる現在の集積回路の世界市場は米国とアジア圏の企

業に席巻されているがObsevatoryNANO はレポートで

ナノテクノロジーとユニバーサルメモリをベースとする

技術開発によって欧州はその牙城を崩すことができる

と分析しているhttpwwwnanoforumorgnf06~modul~showmore~folder~99999~

scc~news~scid~4152~htmlaction=longviewamp

【EHS】ナノテクノロジーの健康環境安全影響の今後について(2010101)米国マサチューセッツ州立大学ローウェル校(UMass-

Lowell)で 9 月 22 日~ 23 日に開催されたカンファレン

ス Destination Nano における主要なテーマの一つが健康

環境安全影響(EHS)であった米国国立労働衛生研究

所(NIOSH)の Chuck Geraci 氏はNIOSH の最近の EHS

分野における活動を紹介した腫瘍や炎症等の発生など

生体影響とナノ粒子とを関係について明らかにする研究

が注目を集めたナノテクノロジーの研究と製造の現場

におけるより適切な管理方法の探求にも力を入れている

またリスクキャラクタリゼーションも NIOSH の重要な

研究課題のひとつであるNIOSH の研究グループは二酸

化チタンの微粒子について気中濃度 02mgm3 を超え

ると炎症や腫瘍の発生リスクが高まることを突き止めて

いる近くカーボンナノチューブに関するリスクキャラ

クタリゼーションが公表される予定であるノースイー

スタン大学の Jackie Isaacs 氏はスイッチング材料とし

てのカーボンナノチューブ(CNT)の全ライフサイクル

についてリスク分析を行ったIsaacs 氏は米国内の埋

め立て地に蓄積する可能性のある CNT の量についても計

算している

UMass-Lowell と NISOH は今後ナノマテリアルの暴

露評価研究を協力して行い中小規模の製造企業や研究

室における適切な取扱いについてのガイドラインを作成

する予定でいるhttpwwwelectroiqcomindexdisplaynanotech-article-

display6748552362articlessmall-timesnanotechmemstools-

equipmentproduction-equipment2010septemberdestination-

nano_html 

10

PEN

Nov

embe

r 世界の人々は科学にかかわる課題についてどのように考えているのかIn Science We Trust by Scientific American and A Pacific Divide by Nature

Scientific American と Nature が共同で科学に関連する

様々なトピックについて世界各国の読者を対象に意識

調査を行ったその結果の概要が日経サイエンス 12 月号

と Nature9 月号に掲載された

本調査は注意深く対象を選択する通常の意識調査とは

異なり両誌の読者を対象としてオンラインで行われた

ものであり「人々の」という言葉が通常想起するような

幅広い市民を対象としたものではないことをまず最初に

指摘しておきたい調査は 2010 年夏に実施され回答

を寄せたのは約 21000 人でそのうち 19の回答者が

博士号保有者であった日本からの回答者は 1196 件で

あった

全体の傾向としては回答者の多くが科学に信頼を寄せ

ていることが明らかとなったただしトピックごとの

回答ついて詳細にみると各トピックで取り上げている

個別の科学に対する信頼度について回答者の居住地域

によってかなりのばらつきも見られた

地域による回答のばらつきがあまり見られなかった設問

の一つが科学技術に関して誰の発言を信頼するかと

いうものであるこの設問への回答では政治家やジャー

ナリストなどの他の発信源を大きく引き離して科学者

が最も信頼できる発信源とみなされているまた経済

状況が厳しくとも科学予算を削るべきではなく代わり

に国防関連予算を削るべきと考える回答者の割合が多い

直ちに見返りはないとしても科学は将来の社会のため

の投資に値すると多くの人々は考えているようである

一方科学と政治の関わりについては回答者の居住地

域のおかれた政治状況や歴史的な経緯などを反映して

大きなばらつきが見られた例えばドイツでは科学者

に対して政治への積極的な関与を求める回答者の割合

が非常に高いのに対して中国では半数近くの回答者が

科学者は政治から距離を置くべきだと考えている個々

の科学技術に対する考え方にも居住地域による差がか

なり見られる日米欧の比較では遺伝子組み換え作物

や原子力利用に対して欧州における拒否感は日本と米

国に比べかなり高くなっている一方ナノテクノロジー

の利用に関しては米国や欧州に比較して日本ではかな

り多くの回答者が不安に感じているようである

同じ調査の結果について Nature 誌に A global survey of

the scientifically literate public reveals a pacific divide

on key issues in science という速報記事が掲載された

Nature 誌では日本を含むアジア圏と欧米の参加者とで

大きく異なる回答が寄せられた設問について取り上げて

いるそのような設問の一つに進化論に関するものが

ある日本からの回答者のうち進化論では生命の多様

性を説明できないと考える人は 349にも上っており

米国の 129英国の 54 に比べて顕著に高い数値と

なっているこの進化論に対する懐疑的な日本の回答は

普段我々が直観的に感じている日本の科学の理解につ

いての状況とそぐわないその理由として設問の作り

が英語を母語としない回答者に対して誤解と与えた可能

性や京都大学の加藤氏が Nature 誌へのコメントで指

摘するように真摯に考えればどのような科学的知識も

100正しいとは言えないと答えざるを得なかったこと

が考えられる

同じ調査結果について Nature 誌に掲載された速報記事

と日経サイエンス誌の記事を読み比べると全く違う

調査あるいは調査対象であったかのように映るこの違

いはNature 誌が同誌の事前の予想と大きく違ってい

た部分欧米とアジアの差に着目し特にその部分を取

り上げたために生まれたと考えられる

日経サイエンス

h t t p w w w n i k k e i - s c i e n c e c o m p a g e

magazine1012201012_092html 

Nature のニュース速報

http wwwnature comnews2010100922

full467388ahtml 

調査結果

httpgonaturecomeKv3nX 

11

PEN N

ovember

欧州議会 RoHS 改定作業の現状

欧 州 議 会 Committee on Environment Public Health and

Food Safety(ENVI) 委員会が取りまとめた RoHS 指令改定

案の議会本会議での採決は今月 22 日となったようである

ここで採択され理事会で採択されれば 2014 年以降の施

行に向けた動きとなる今月の本誌 PEN の発行は諸般の

事情から 25 日を予定しており23 日には原稿を締め切る

したがって採択の結果は今月号では速報できないと思われ

る重大な採択がされるような事態になれば読者の皆様

には別途速報として情報提供する

これまで特に欧州議会の中での目立った動きは察知できな

いもののENVI 委員会の主要メンバーは附属書 IV の禁

止物質リストにナノ銀を盛り込むことでその全面使用禁止

求める方針を断念したようであるこれは先月号本誌で示

した議長国ベルギーの提案に従ったものと思われるただ

大変気になるのはもう一つのカーボンナノチューブがどの

ようになっているのかがよく見えない点で水面下でどの

ような議論がすすめられているのか気になっていた先

週述べたとおりベルギー案は追加リストそのものの撤廃

を求めておりその他のナノマテリアルを含む物質に対す

るラベル表示義務さらには安全性データの欧州委員会へ

の提出義務も含まれていない今後の展開は最も強く修

正案を主張してきた ENVI ラポーターの Jill Evans 氏らが

ベルギー案にどこまで歩み寄った形で 22 日の投票を迎え

るかにかかっている

これに関連して中小企業ビジネス支援サイト J-Net21 は

18 日「欧州委カーボンナノチューブ RoHS 規制見送り」

とする速報をリリースしたそれによると今回示された

改正案には二つのナノマテリアルの使用が制限されていな

いとのことまた二つのナノマテリアル以外のナノマテリ

アルに求められていた表示義務についてはまだ議論が続い

ているようである [12]

ま た 23 日 に ロ ン ド ン の Nanotechnology Industries

Association からナノテクノロジービジネス推進協議会へ

届いた情報によると欧州議会と理事会は RoHSWEEE 指

令における「ナノマテリアル」の記述について合意に達し

た模様でその内容は産業界にとも歓迎すべき内容になっ

ているとのこと内容の詳細について現時点では把握でき

ていないるものの少しずつではあるが確実に猶予すべき

事態から脱却しつつあるとみてよい

このような状況のなか今月は日本国内においても RoHS

指令改定案に二つのナノマテリアルの全面禁止やその他の

ナノマテリアルの表示義務が盛り込まれている点について

周知が進み様々な論評が行われたので短く整理してお

まず「問題が多いナノ材料への RoHS 規制」と題する社

説を掲載し問題を明らかにしたのが11 月 15 日付化

学工業日報であるその社説の論旨は「欧州では科学的

確実性が明らかでないリスクを事後的に管理するより予

防的対策が費用対効果からも優れているという考えが根強

い」としたうえで今回の改定案を「極端な予防原則の適

用といわざるを得ない」と指摘しているさらに「日本

の産業界に与える影響も無視できないだけに日本政府や

ナノマテリアルに関連した事業を展開する企業業界団体

は積極的に情報発信すべきである」と欧州議会に対して

明確な意思表示をすべきとのメッセージで社説の最後を

締めくくっている

RoHS 指令改正案にナノ材料が追加された事実を解説した

のは11 月 12 日付日刊工業新聞である37 もの化学物

質を禁止物質候補としさらにカーボンナノチューブとナ

ノ銀に規制を設け適用範囲も拡大される改正案の内容を

解説したうえで22 日に迫ってきた改定案の採択がその

まま施行される可能性は低いと予測しているもし改正案

のまま施行された場合今後の研究開発を停滞させる恐れ

があると指摘している実際に日本などの産業界からの反

連載環境規制 第 7 回

アメリカの環境規制オバマ政権以降の展開

12

PEN

Nov

embe

r 発も大きく「本会議の採択を受けて開催される理事会は

調停案を出す」との観測を示している以上のような解説

の締め括りとして「日本の産業界としては代替材料やナ

ノ材料の安全性評価手法の開発など2014 年の施行を見

すえ早めに体制を整えておく必要がある」と指摘してい

このように日本国内でも ENVI の Jill Evans 女史がまとめ

た RoHS 指令改定案に対する修正意見に対する反発が強ま

るなか2009 年に厚生労働省や経済産業省環境省が相

次いで公表したナノ材料曝露提言のためのレポートやガイ

ドラインに準拠した対策も進みつつある今月 10 日日

本エアーテックはカーボンナノチューブなどのナノ材料

を安全に扱うための作業器具「ナノパーティクル排気ベン

チ」を開発販売を開始したナノ粒子捕集効率の高いフィ

ルターや引き出しと一体化した掃除機曝露防止のため

の手袋や防塵マスク防護服といった対策が図られている

節末になるが昨今の欧州議会の動きに関してナノ

テクノロジービジネス推進協議会の事務局より欧州

の ナ ノ テ ク ノ ロ ジ ー 産 業 の ア ソ シ エ ー シ ョ ン で あ る

Nanotechnology Industries Association (NIA) と の 間 で 交

わされた情報などを逐次配信していただいたことを付記

しお礼を申し上げる

アメリカの環境規制オバマ政権以降の展開

連載の本題に戻る2009 年民主党オバマ政権が発足し

て以降環境政策環境規制に関しても様々な改革が図ら

れるようになってきたこれはオバマ政権に代わったから

ということではないが米国議会は全ての連邦機関に対し

て 5 年間の戦略計画の策定と 3 年ごとの計画の見直しの実

施を要請している政府の行政評価の一環として 1993 年

以降行なわれている rdquoGovernment Performance of Result

Actrdquo で通常 GPRA と呼ばれこれまで各省庁の政策決定

と実行に大きな影響を与えてきたこれを受けて EPA は

今月 7 日2011 年度からの 5 年間の戦略を公表している

[3]環境と健康を守るための 5 つの戦略的な目標として

①気候変動への取り組みと大気汚染の減少②米国内の水

環境の向上③コミュニティの汚染源の根絶と持続的発展

④化学物質の適正な使用と汚染の防止⑤環境関連法の実

施強化を挙げているまた5 つの戦略目標と合わせて

EPA 首脳部が掲げる 7 つの優先分野における取り組みの進

捗状況を図るための新たな指標も設けられている

これに関連して EPA はTSCA インベントリー利用の改革

を進めている米国内で製造もしくは米国に輸入される

すべての化学物質は「TSCA インベントリー」と呼ばれ

るリストで管理される現在 8 万物質以上が収載されてい

る TSCA インベントリーにない化学物質を製造あるいは

輸入する場合EPA に対する届出義務がありこの届出を

行い EPA の審査を受けることでその化学物質が TSCA イン

ベントリーに新規物質として追加される仕組みになってい

るここでいう届出とは90 日前までに行わなければな

らない製造前届出(PMN)であり生産量暴露排出量

の推計人の健康や環境への影響に関するデータ等が求め

られるただし医薬品農薬や食品添加物等の他の法律で

規制される物質や研究開発目的の化学物質には除外措置が

設けられている [4]PMN は届出業者に新たな試験の実施

を求めておらず届出業者が有しているデータのみを提出

すればよいとされているそこで EPA は定量的構造活性

相関等の手法により届出物質の生態毒性値を予測しその

結果に基づきリスク評価を行っている

オバマ政権以降この TSCA インベントリーの改革がすす

められてきたすでに 2010 年 3 月には基本的な検索を無

料化するなどインベントリーのリニューアルを実施しイ

ンベントリー検索が容易になっているまたインベント

リーのデータは通常年二回更新されるがインベントリー

へ新規化学物質の登録が行われる場合は官報で事前に告知

されるようになっている [5]

SNUR とは

EPA の規制措置について触れたついでに今後の議論のた

めに重要新規利用規則(SNUR)についても理解を深めて

おきたいSNUR については経済産業省化学物質管理課の

HP の記述にその内容をくみ取りやすいので以下に引

用させていただく [6]

「TSCA においては評価の各段階で新規化学物質の申請

者と同意を取りながら進めていくという審査体系をとって

おり懸念のある化学物質に対する規制は個別の申請毎

にきめ細かい措置が講じられる体系となっている規制

は申請者に対する同意指令(Consent Order)及び申請

者以外の者にも同様に規制を行うための重要新規利用規則

(SNURSignificant New Use Rule)により行われる同意

指令は当該化学物質のリスクが明確に評価できないにもか

かわらず健康や環境にリスクをもたらす恐れや放出

暴露量が多い恐れのある場合に発せられリスク評価に十

13

PEN N

ovember

分なデータがそろうまでの製造等を制限するものである

同意指令は申請者に対して発せられるが公平性の観点か

ら当該化学物質を取扱う全事業者に対して同意指令と同等

の制限を規制するのが重要新規利用(SNUR)である対

象物質について SNUR 要件を遵守できない場合には事前

に重要新規利用届出(SNUN)を提出し個別に審査を受

けることとなるSNUR 対象物質に対する制限措置として

はMSDS 作成やラベリング使用者への注意義務数量

制限や特定用途の制限個別事業者における排水管理など

の幅広い手法があげられており対象物質に応じて適切な

規制が適用される」

したがってTSCA のインベントリーに登録された化学物

質が SNUR に指定されるということはPMN 届出業者と

の同意指令の中で当該化学物質の健康や環境影響が無視

できないことの反映である先月号の本誌 PEN で述べた

とおりEPA がこれまでナノマテリアルで交わした同意

指令はイギリスの Thomas Swan 社の子会社でアメリカ

New Jersey 州 Lyndhurst で CNT 製造を行っている Swan

Chemical Inc であるEPA が昨年来 CNT を SNUR 対象物

質にする方向でパブリックコメントを求めてきたがこれ

は Swan Chemical Inc との間で交わされた同意指令の内容

を他の CNT 製造企業にも求めることを意味するEPA の

SNUR での単層および多層 CNT の規制もいよいよ最終段

階に入ってきている

Reference[1] httpj-net21smrjgojpwatchnews_tyusentry20101118-15

html

[2] httpj-net21smrjgojpwatchnews_tyusentry20101117-15

html

[3]httpyosemiteepagovopaadmpressnsfd0cf6618525a9efb8

5257359003fb69d60a5ce970092692e852577b5005c4ff3Open

Document

[4] httpwwwepagov

[5] httpwwwepagovopptnewchemspubsinvntoryhtm

[6]httpwwwmetigojppolicychemical_management03kanri

f1htm

かわいいだけではないらしい

日本ではペットとしてイヌと人気を二分しているネコかわいい口に重大な秘密が隠されていたようです

イヌは舌ですくい上げて水を飲んでいることが分かっています水を飲み終わったイヌの口元は濡れています

しかしネコはミルクを飲んでも口元が汚れないしどうもイヌとは飲み方が違うようだと考えた Pedro Reis 氏

らは高速イメージング技術を用いてネコの秘密にメスをいれました

その結果ネコは重力と慣性力を利用して水を飲んでいることが明らかになりましたネコはまず舌先だけを

水やミルクなどの液体に軽く接触させたのち舌を丸めますそして丸めた舌を元に戻す際の慣性力を使って水

の柱を作りそれを吸い込むようにして飲んでいるのですネコのサイズが変わると舌を水につけるスピード

が落ちてゆっくりとした動きに変わるものの動きそのものは全く同じであることが観察によって明らかになっ

ていますネコ科で 2 番目に体が大きいライオンの飲み方も小さなイエネコの飲み方も同じなのです

様々な分野で活躍する働くイヌと違って「ただかわいいだけ」と言われるネコですがその精緻な舌の動きと

機能はソフトロボット技術研究の進展に役立つと期待されています

How Cats Lap Water Uptake by Felis Catus PMReis RStocker SJung JMArstoff Science 20101111 (online

publication)

httpwwwsciencemagorgcontentearly20101110science1195421

14

PEN

Nov

embe

r

基本政策専門調査会資料公開総合科学技術会議

11 月 17 日中央合同庁舎第4号館で開催された第 11 回

総合科学技術会議基本政策専門調査会の資料が公開され

た10 月 18 日~ 11 月 8 日にかけて行われたパブリック

コメントの結果等も公開されている特に注目される「Ⅴ

社会とともに創り進める政策の展開」の項目のなかの「社

会と科学技術イノベーションとの関係深化」の課題には

①「国民の視点に基づく科学技術イノベーション政策の推

進」には欧米にくらべ遅れている「政策の企画立案及び

推進への国民参画」の促進が必要その方法論を研究し

具体的な参画の場や運用を整備すべき国の機関のみなら

ず各地の大学や研究機関が主体的に参画できるものであ

るべき②科学技術だけでなく社会についての知を総合

しなければイノベーションは不可能③「倫理的法的

社会的課題への対応」でヒトの臨床試験に関する法律

動物実験バイオ施設といった具体例を論ずるべきといっ

た意見が集約されている

また民主党政権が達成目標としている「政府研究開発投

資の対 GDP 比 1」に関しては資料 4 - 1 の第 4 期科

学技術基本計画における投資目標のなかに2008 年度の

実績が 072 であったことが示されているちなみにア

メリカは政府研究開発投資の対 GDP 比 1 を維持してい

httpwww8caogojpcstptyousakaiseisakuindexhtml

科学技術に関する最近の話題への国民の関心について科学技術政策研究所 (NISTEP)

文部科学省所管の科学技術政策研究所は科学技術に関す

る最近の話題への注目度など速報性のあるデータについて

公開したまた同研究所は「日本の研究者を対象とした科

学における知識生産プロセスについての大規模アンケート

調査」の結果についても公表を行ったhttpwwwnistepgojpnistepabout09html

httpwwwnistepgojpachievftxjpnmat191jpdfmat191j_

reportpdf

公共政策のためのパブリックコメント2011 年度予算編成に伴い9 月末から政策コンテストが

進められているこれは市民から広く意見を聞くパブリッ

クコメントのことであるところがある省の政策担当者が

政策立案に関わった専門家に提出方法についてメールで周

知し間接的ながらも意見の提出を促した事実が明らかと

なったこの問題は今月 18 日付新聞各紙で報道された

時代の流れである政策の公共性に逆行し公共の利益に反

する行為であるいわずもがなではあるがパブリックコ

メントが義務的な制度ではなく今後政策や予算立案の過

程で当然の仕組みとして定着していくためにもパブリッ

クコメントを広く公平に集める仕組みつくりは危急の課題

であり集まったコメントに耳を傾ける真摯さが政策サイ

ドに求められている政策や予算に対するパブリックコメ

ントは政策の公共性に必要不可欠の仕組みであり科学技

術の社会受容の重要なプロセスである「パブリックコメ

ントを行いました」という既成事実のためにあるのではな

共同声明「国際化拠点整備事業(グローバル 30)の強化を要望する」11 月 16 日

東北大学筑波大学東京大学名古屋大学京都大学

大阪大学九州大学慶應義塾大学上智大学明治大学

早稲田大学同志社大学立命館大学

平成 21 年度に開始された国際化拠点整備事業(グローバ

ル 30)に採択されている上記 13 の大学は昨年に引き

続き本事業が行政刷新会議の事業仕分けの対象となったこ

とに関して共同声明を発表したその骨子は国際的視

点と人材教育の視点から大学及び日本社会の国際化のた

国内情報

15

PEN N

ovember

めのグローバル 30 をさらに拡充強化されることを政府に

要望するものでまた予算の縮減などになれば国際社会に

おける日本の信頼が大きく傷つくばかりでなく日本の将

来について致命的な打撃を与えるのではないかと指摘して

いるh t t p w w w o s a k a - u a c j p j a n e w s t o p i c s 2 0 1 0 1 1

files20101116_2pdf

加速する EV 市場電気自動車 (EV) 市場が大きく展開し始めたすでに三菱

自動車は昨年から EV アイミーブを市場に投入している

日産自動車は今年 7 月から EV リーフの試乗会を行ってき

たがいよいよ来 12 月には EV リーフの日米同時の販売

を開始するこれにあわせて 12 月 45 日に横浜市内で

公道上での試乗会が行われる今後は技術提携を進めるフ

ランスのルノー社との技術の共通化が図られる

このような動きに対しトヨタやホンダはこれまで EV に

は慎重な姿勢を維持してきたしかしこの数か月でその姿

勢にも大きな変化が出てきた今月 17 日から開催されて

いるロサンジェルスのモーターショーでトヨタは RAV4

の EV モデルホンダはフィットの EV モデルをそれぞれ

公開しているこれまでハイブリッド技術で覇権を制して

きたトヨタはこの 5 月にカリフォルニアの EV 開発ベン

チャーであるテスラと資本提携スポーツタイプ多目的車

(SUV)をベースとした EV の開発を加速させているテス

ラは 2008 年から時速 200km を誇るロードスターの市場

投入実績を有しておりトヨタ以外にもすでにダイムラー

とも資本提携を行っているまた今月にはパナソニックと

電池の共同開発を開始するなど2015 年の本格的なアジ

ア市場での販売計画に向けて技術開発を加速させている

テスラの技術は家電製品に使われる汎用電池を多数並べて

用いるところに特徴があり現時点では車載用専用の電池

の開発を進める他の EV との差別化を図ることに注力して

いる

このような一連の動きは2012 年のカリフォルニア州に

おける環境規制の施行を見据えたもので2012 年が EV

普及にとってフラグポイントになるアメリカでもゼロエ

ミッション EV の開発が活発に行われ経営破たんしてい

た GM が 11 月 18 日に株式市場に再上場するなどアメ

リカの産業構造も大きく変わりつつあるただモーター周

りの技術に関しては中国企業との共同開発も進められて

いる

このような EV 市場の急展開の様相は日本の経済を支え

てきた自動車産業に大きな質的変化をもたらしつつある

EV は「自動車が家電製品になる」と形容されるように

車載用駆動電源としての 2 次電池の高性能化やリチウム

資源の確保さらには太陽光発電利用やスマートグリッド

まで含めたエネルギーデリバリーシステムや充電インフラ

等々幅広い産業活性化の起爆剤でもあるEV がオフィ

スや家庭の家電とつながればIT 産業にも大きなビジネス

チャンスが到来する自動車産業は家電メーカー総合

商社IT 企業その他さまざまな技術領域を巻き込んだ覇

権争いに突入していこうとしておりこれまで ldquo 城下町 rdquo

と称された日本の垂直統合型自動車産業そのものが大きく

変わりつつあるといっても過言ではない

ところで「モーターをタイヤにした」構造的には内燃機関

式に比べ単純な構造の乗り物でもある EV の市場には新

興国の新規産業が参入しやすいという一面がある上述し

たような 2012~15 年にかけて強まる世界的な環境規制を

追い風に新興国から多くの EV 産業への参入が予想され

る実際に中国広東省のベンチャー企業 BYD などはそ

の急先鋒として成長し続けている日本の産業は1990

年のバブル崩壊以降 20 年にわたって「技術で勝って市

場をとれない」状況に苛まれてきた対処策の一つは技術

開発と経営の基本姿勢である言うまでもなく技術が発展

することは製品の質の向上に結び付くのだがただ「より

良い技術をふんだんに詰め込めばおのずと製品は売れる」

という安易な技術への過信や過剰な技術の詰め込みがイノ

ベーションプロセスに負に作用することも事実であるエ

リアごとに大きく異なる市場のニーズを的確に把握するこ

とと急速に展開する市場に対応した経営意思決定の迅速

化がキーになる

もう一つは国際的な枠組みでのインフラ技術の標準化であ

る一国一票の投票権を持つ国際標準化の策定プロセスで

は欧州が圧倒的な強さを維持しており日本は常に苦戦

を強いられる立場にある国際電気標準会議 (IEC) におけ

る EV インフラ技術の標準化チャデモ協議会といった日

本の対応については週刊エコノミスト 12 月号 40 ~ 41

頁に詳しい

また日刊自動車新聞によると電気自動車普及協議会が

EV の高電圧周りの安全対策などに関するガイドラインの

策定を始めているが緊急性の高い項目は今年度中に情報

公開される模様である

国立研究開発機関(仮称)構想省庁の縦割り政策の弊害を解消して研究開発を効率的に進

めることを目的に文部科学省は 38 の独立行政法人研究

機関の再編統合を図る仮称「国立研究開発機関」構想を

打ち出している海江田科学技術政策相はその設置法案を

来年度の通常国会に提出する考えを明らかにしこれに併

せて発足に向けたスケジュール作りがすでに検討チームの

中で始まっているその一方蓮舫内閣府特命担当大臣(行

16

PEN

Nov

embe

r 政刷新)公務員制度改革担当は文部科学省ではなく内閣

府主導で予算編成を行うべきとの考えを示し行政刷新会

議も「焼け太りは許さない」と文部科学省を牽制設置法

そのものの提出をくい止めたい考えである他の様々な施

策同様これも民主党政権内での軋轢となっている

化学5社化学物質情報伝達を電機大手と共通化中小企業ビジネス支援サイト J-Net21 は11 月 15 日に

日本の化学大手 5 社がアーティクルマネジメント推進協

議会の仕組みを活用して製品に含まれる化学物質の伝達

方法を電機大手と共通化することを発表サプライチェー

ンでの情報伝達の共通化が図られるhttpj-net21smrjgojpwatchnews_tyusentry20101115-10

html

22 年度科学技術関係補正予算閣議決定先月末の 26 日平成 22 年度補正予算 4 兆 8500 億円が

閣議決定された今月 11 日付科学新聞はこのうち科学

技術関係予算を文部科学省のスパコン「京」への 186

億円などを含め約 1500 ~ 2000 億円程度と見積もってい

る経済産業省関係では産学官連携のイノベーション拠点

立地支援事業への支援策が多く盛り込まれているつくば

イノベーションアリーナ中核拠点と位置づけられている産

総研には補正予算 30 億円が配分されている

なお内閣府総合科学技術会議は 11 月 4 日2010 年度

の当初予算額 3 兆 5878 億円に対し補正予算案は 1864

億円経済危機対応地域活性化予備費は 141 億円で

合計は 3 兆 7742 億円となったことを明らかにした補正

予算の詳細については 11 月 4 日「平成 22 年度経済危機

対応地域活性化予備費及び補正予算案(科学技術関係予

算)について」として内閣府から公開された

httpwww8caogojpcstpbudgeth22hoseipdf

ナノボーグの販売軽量化フレキシブル化が進む様々なデバイスをまとめて

身に着けることが可能な服が「ナノボーグ」である東工

大谷岡教授が名付けたもので4 日付日刊工業新聞による

と今月にも太陽電池を電源とするジャケットがアメリカ

のアパレルメーカーから発売される

httpwwwnikkancojpnewsnkx0320101104eaahhtml

ldquoNBCI ナノナビ rdquo 創刊ビジネス環境のグローバル化オープン化に伴って政策

や規制動向研究開発動向の迅速な情報共有への要求が高

まりつつあるこれに応え一般社団法人ナノテクノロジー

ビジネス推進協議会(NBCI)は不定期の情報誌 ldquoNBCI

ナノナビ rdquo を創刊先月末より会員向け配信を開始した

創刊号では標準化の重要な課題であるナノラベリング(使

用ナノ材料の周知目的)の動きナノネット活用等につい

て最新の動向が配信された

httpwwwnbcijp

フラーレンのナノエレ応用脚光を浴びるカーボンナノチューブやグラフェンに比べ

フラーレン(C60)のナノエレクトロニクスへの応用展開

は広がらない状況が続いてきたがこの度 C60 を積層し

た有機トランジスタが開発されたこれは 11 月 1 日付日

経産業新聞が報じたもので大阪大学と山形大学大日本

印刷の共同研究の成果である試作された C60 を含む有

機トランジスタは従来の有機トランジスタより大きな電

流を流すことが出来400 キロヘルツの高速応答が得られ

たとのこと

筑波大に生命科学研究拠点先月末筑波大は先端学際領域研究センター通称 TARA

センターを改組し生命領域学際研究センターを設立浅

島誠氏がセンター長に就任した今後 20 人の研究部隊が

幹細胞研究などに特化した研究を展開する

新規事業への投資を名城ナノカーボン10 月 29 日付の金融専門誌ニッキンは名城ナノカーボ

ンの橋本剛氏をとりあげた同社は 2005 年 4 月に当時

銀行員であった橋本氏が名城大安藤義則教授と共に設立

したカーボンナノチューブの開発製造販売を手がける

名城大発ベンチャー橋本氏は今後 5 ~ 10 年で名城ナノ

カーボンの上場を目指すとし取引金融機関に対して新規

事業への具体的な資金投入を期待している

CNT 生産能力倍増昭和電工10 月 29 日付化学工業日報は昭和電工(株)川崎事業

所におけるカーボンナノチューブ (CNT) の年産 100 トン

から 200 トンへ引き上げ計画を報じた同社はリチウム

イオン 2 次電池向け気相成長 CNT の供給を行っているが

今後はさらに急速な需要拡大が進む可能性もありさらに

生産体制の拡大を図る可能性もある

17

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ovember

宝石という名前の虫

タマムシはタマムシ科の 4 センチメートルほどの甲虫です漢字では玉虫と書きます玉とは宝石のことで

その名のとおり赤い縦の線が走る虹色がかった緑色の金属光沢の美しい翅をもっています

法隆寺所蔵の国宝「玉虫厨子」を教科書などで見たことがある人も多いのではないでしょうか厨子は仏像な

どの礼拝の対象をしまう大切な入れ物のことです天平の世の人々がその大切な厨子の壁面を飾る細工の材料

にタマムシこそが相応しいと思ったのも納得できる美しい甲虫です残念ながら現在では玉虫厨子の壁面の

翅の多くは脱落してしまっていますが往時を再現した複製品から天平の時代の華やかな色が想像できます

タマムシは時代や洋の東西を問わず美しいと思われるようでベルギーにはその美しさに憑かれて宮殿の天

井を大量のタマムシの翅で飾った現代工芸家もいます

タマムシは厨子に使われた翅だけでなく腹部や脚触角なども緑色の光沢を放っていますまた美しい

翅が良くわかるような背面からの写真が多いので米粒型のすんなりした形のイメージが強いですが横から

見た体には以外と厚みがあります成虫は樹冠を飛び回り主にニレ科の広葉樹の葉を食べています幼虫は

カブトムシの幼虫に似た白いずんぐりしたイモムシで餌も葉ではなく木ですそのため害虫に分類されても

います

岐阜県高山市「茶の湯美術館」に玉虫厨子のレプリカが展示されています

httpwwwnakada-netjpchanoyutamamushi_zushihtmtamamushi 

18

PEN

Nov

embe

r

これを批准した結果日本は 1990 年を基準として 6の

温室効果ガス削減を国際的に約束した日本国憲法によれ

ば国際条約は守らなければならないことになっているの

で「チーム -6」などという運動が日本全国にできた

これの何が間違いだったのであろうか以下その根拠を説

明する尚現在の一次エネルギー源は 80以上が化石

燃料によるものであるからエネルギー消費と温室効果ガス

排出はほぼ同義語であるまた国内総生産(GDP) の増

大すなわち経済成長は社会の安定と国民の安心感を支え

る基本的な要素でありその減少は社会の不安定化をもた

らすため増大させることが必須である

日本は 1973 年の第一次石油危機で大きなダメージを受

けそれから「省エネルギー技術」の開発を血眼になって

推進したその結果図 1 に示すように日本は世界一の「省

エネ大国」になったのである図で縦軸は石油換算のエネ

ルギー消費量横軸は GDP をドル換算したもので1995

年のデータを示してある斜目の破線は一定の GDP を作

り出すのに必要なエネルギー量をトン単位で示しており

これが小さいほどエネルギー効率のいい社会であるつま

り使用エネルギーが少なくなるか同じエネルギーを使っ

ても生産額が多くなればエネルギー効率は良くなる

 エネルギー効率=使用エネルギー生産額(GDP)

図から明らかなように日本は 1995 年時点でも既に世

界で一番エネルギー効率の良い国だったのであるドイツ

フランスイタリアなどは日本の 15 倍イギリスは 2 倍

アメリカが 3 倍中国やロシアに至っては何と 10 倍以上

のエネルギーを浪費しているということが一目瞭然であ

る日本がこのようなエネルギー効率の良い状態から更に

エネルギー消費を減らすなどと言うことは被虐趣味以外

の何物でもないちなみに図 1 は小生が京都議定書を見て

「これは誤りである」と確信し直ぐに作成したものであり

13 年前には既に分っていたことである

それでは日本は何を主張すれば良かったのか賢明な読

者は図 1 を見れば直ぐに考え付くであろうそう「世界

の皆さん今後 10 年間でエネルギー効率を高くする努力

をし現在の日本並みとまでいかなくても少なくとも近

付く努力をしてください」と主張すべきだったのだこれ

なら発展途上国も経済発展を保障されるから合意できたで

あろうし何よりも日本の「省エネ技術」を世界標準とし

て輸出可能であったろう昨年中華人民共和国(中国)が

出した指標はまさにこのような考えに基づいたものであろ

うどこかの国の首相が温室効果ガス排出量(=エネル

ギー消費量)の 25の削減を持ち出したのに対し「中国

はエネルギー効率(=使用エネルギー生産額)を 40

向上させる」と主張した図1から見ても彼等は 1995 年

の日本の水準に追いつくだけで 90の削減が可能であり

40などというのは非常に容易な達成目標であることは

明らかであるまさに国際条約を締結する上での基本的

な事項である「自国の利益を最優先する」という原理原

則にも合致している流石は厳しい歴史を体験してきた国

京都議定書が提案されてから既に 10 年以上経過した今

更と思われる方もおられるかも知れないが現在の日本が

抱える様々な矛盾の出発点の一つが京都議定書であると考

えざるを得ない以上ここで改めてその問題点を明らかに

したい環境省のホームページに掲載されている京都議定

書の内容は以下のとおりである

(httpwwwenvgojpearthcop63-2html)

ポイント先進国の温室効果ガス排出量について法的拘束力

 のある数値目標を各国毎に設定

国際的に協調して目標を達成するための仕組みを

 導入(排出量取引クリーン開発メカニズム共同

 実施など)

途上国に対しては数値目標などの新たな義務は導

 入せず

寄稿京都議定書で日本は何を主張すべきであったか東洋大学大学院学際融合科学研究科 教授 和田恭雄

19

PEN N

ovember

は違うなどと感心してはいられない

今からでも遅くない「2010 年を基準としてエネルギー

効率の向上を図る」ことを国際的な合意目標に切り替え

るべきである無論為替レートは 2010 年現在の 1 ド

ル= 80 円程度に固定して比較すべきである現在の円

高を考えれば分母が大きくなることが日本の利益につ

ながるからだ国際条約においては「被虐趣味」は最低

の選択であることを忘れてはならない「率先垂範」など

と言う言葉は国際社会では通用しない無論表面上は大

いに賞賛されようが腹の底で「カモが来た」と思われ

食い物にされるだけである他人から褒められるために

自らの競争力を放棄するようなことは止めるべきである

京都議定書を他山の石としてナノテクノロジーの世界

でも「自らの強みを世界の標準にする」という基本的な

姿勢を取るべきであるのは当然のことであるdarr

darr 世界各国のエネルギー消費量と総生産の比較図右下

に行くほどエネルギー効率が高く同じ GDP を創り出す

のに温室効果ガスの排出量が少ないということを示す

日本は 1995 年当時既に世界一の「省エネ大国」であり

西ヨーロッパの 15 倍米国の 3 倍ロシアなどよりも

10 倍以上効率の良い経済体制になっていたことが分か

る世界中の国が日本を手本にすれば温室効果ガスの排

出量を減らしつつ経済成長が可能になり即ち皆がハッ

ピーになれることを示すことができるばかりでなく日

本の省エネ技術を世界標準にすることも主張できる根拠

となる

20

PEN

Nov

embe

r

日本では21 世の始まりと共に科学技術政策に基づ

いてナノテクノロジーの研究開発への戦略的投資が開始

された2001 年度からの第 2 期科学技術基本計画と

2006 年度からの第 3 期科学技術基本計画の都合 10 年

間にわたる優先的戦略的な研究開発の資源の投入も余

すところ4ヶ月となった

21 世紀を担うと期待されたナノテクノロジーには研

究開発側から社会への一方的な応用があたりまえであっ

たこれまでの科学技術とは異なる研究開発の方法論が導

入されたコア技術の研究開発と並行してその技術の社

会的影響を検討しそれをさらにコア技術の研究開発に

フィードバックするという新しい研究開発の方法論であ

る [1]ナノテクノロジーの社会的影響にとって最も重

要で緊急の課題がナノ材料の環境健康影響安全 (EHS)

の課題であった技術の社会的影響を検討しながら進め

られているナノテクノロジーの研究開発がうまくいくか

どうかこのことがナノテクノロジーに続く今後の新興

の科学技術の研究開発のあり方に大きな影響を与えるこ

とになる社会的影響をフィードバックしながら進める

責任ある研究開発がはじめて試みられた日本のナノテク

ノロジーがこれまで 10 年間にわたって戦略的研究開発

投資を続けてきた現在どのような状況にあるのか今回

の特集ではそれを俯瞰的に解析する

まず国内の全ての新聞と雑誌に掲載されたナノテクノ

ロジー関連記事の数を統計的指標としてナノテクノロ

ジーの研究開発に対して日本の社会がどの程度の関心を

示しているのか評価することを試みる図1に日本

のメディアに掲載されたナノテクノロジー関連の記事の

年推移を示すグラフから明らかなようにナノテクノ

ロジーへの戦略的研究開発投資が始まった 2001 年まで

日本のメディアはほとんどナノテクノロジーを取り上げ

ていないただこれは日本にナノテクノロジーの萌芽

的研究開発がなかったということではない

一例をあげるなら工業技術院は産業科学技術研究開発

制度の一環として新エネルギー産業技術総合開発機

構(NEDO)の委託により原子分子極限操作技術の研

究開発プロジェクトを展開した1992 年から 10 年間に

わたり分子原子をボトムアップ的に集積する研究開発

を進めたこのプロジェクトは技術研究組合オングスト

ロームテクノロジー研究機構(ATP)と呼ばれたさらに

ATP と産業技術融合領域研究所は同研究所内にアトム

テクノロジー研究体(JRCAT)を設置して産官学の共同

研究プロジェクトを推進した折しも日本は 1990 年の

バブル経済の崩壊後失われた 10 年と称される経済の停

滞に苦しんでいたまだナノテクノロジーに対する期待

は高まってはいなかったが日本のナノテクノロジーは

着実に萌芽的研究開発を進めていた困難な経済のなか

で日本のナノテクノロジーはその萌芽に向けた着実な

準備をしていたといえるのだがこのような地道な研究

開発が進められていた点はこの統計からは見えにくい

0

500

1000

1500

2000

2500

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1990

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2001

2002

2003

2004

2005

2006

2007

2008

2009

図 1

特集

10 年におよぶナノテクノロジー研究成果の発展的継承を 

21

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ovember

2001 年度から戦略的な究開発投資が開始されると同時

にナノテクノロジーへの関心は急速に増していった

わずか 2 年後の 2003 年にはその期待は極みに達して

いる上述したとおり我々はこの統計で縦軸をナノテ

クノロジーに対する社会の関心と見なしておりこれは

David M Berube 氏が示した典型的な Hype 曲線の縦軸

「Visibility」と同義とみなせる [2]その類似性を図 2 に

示す

図 2

日本では Nano-Hype と呼べるピークが高性能瞬間湯

沸器よろしく戦略的研究開発投資が開始されたわず

か 2 年後の 2003 年に出現しているのであるまたJ

Fenn らはこのようなピークを図 3 に示すようにイノ

ベーションのハイプサイクルにおける rdquoPeak of Inflated

Expectationsrdquo と表現している [3]

Exp

ect

atio

ns

Time

InnovationTrigger

Trough ofDisillusionment

Slope ofEnlightenment

Plateau ofProductivity

Peak of InflatedExpectations

図 3

この時期はナノテクノロジーの将来価値への大きな期

待の反面研究開発の実態は希薄である実体の伴わな

い過剰な期待を理由に「一部の有力な科学者や政策担当

者がこのような Hype の状況を意図的に作りだした」と非

難する論調もある確かに Nano-Hype はナノテクノロジー

の将来価値への期待が研究開発の実態を上回る状況では

あるがナノテクノロジーに対する社会の関心や期待を

喚起しその期待を背景にナノテクノロジーへの研究開

発投資が漸次増加していったことも事実であるまたナ

ノテクノロジーの事をもっと知りたいという知的欲求も

刺激されそれに応えるためにいくつかの大学ではサイ

エンスコミュニケータやサイエンスインタープリタサ

イエンスジャーナリストの養成講座等が開設されたさ

らに今日年間 2000 回以上のサイエンスカフェが全国各

地で開かれるなどナノテクノロジーのような新興の科

学技術のパブリックエンゲージメントの活動の契機にも

なったNano-Hype と呼ばれる状況がそのような様々

なプラスの効果を日本にもたらしたことも忘れてはなら

2003年

2010年

2003年

22

PEN

Nov

embe

r ない点である

実体の伴わない過剰な期待が徐々に覚めていく Negative-

Hype の状況はHype が極みに達した 2003 年直後の

2004 年から 2007 年にかけて顕著に現れてくる依然

として政府のナノテクノロジー材料領域への研究開発

投資が伸びるなかメディアがナノテクノロジーを取り

上げる頻度は急速に下がり社会の関心は冷めていった

過剰な期待が冷静さを取り戻していく Negative-Hype は

必然であるとしても注目しておかなければならない大

事な点は Negative-Hype がいつ止むかいつ底を打つの

かである図 1 から明らかなように2004 年以降 2007

年まで急速に下降しているものの2008 年から 2009 年

と明らかに Negative-Hype は底を打っている

上述の J Fenn らは新しいハイプサイクルの縦軸の評価尺

度を議論しているのだが図 4 に示すようにハイプサイ

クルのプロフィールが二つの要素からなることを示して

いる [4]この指標を採用すると今年 2010 年の日本の

ナノテクノロジーはHype が終わりエンジニアリング

またはビジネスが徐々にその成熟度を増していくちょ

うどその過渡期にあるとみてよい今後ナノテクノロジー

がITエネルギー環境ライフサイエンスといった様々

な技術分野の基盤技術としてその実用化に貢献していく

現在はちょうどその転換点にあるそのプロセスを確実

に進めていくには中長期的な一貫した科学技術政策に

よりナノテクノロジーの基礎的な研究開発を継続的に

推し進めていくことが肝要である

図 4

そして10 年に及ぶ科学技術政策に基づいたナノテク

ノロジーの戦略的研究開発投資の成果を応用実用化

へ確実につなげていくために取り組まなければならない

もっとも重要な課題が包括的で実態のあるナノテクノ

ロジーのパブリックエンゲージメントの活動である昨

今ナノテクノロジーの研究開発と並行して社会受容

パブリックエンゲージメントの活動の重要性が指摘され

るようになってきたしかしこの課題に関する解釈は

依然としてまとまりを欠いているだけでなく「こういっ

た課題への取り組みが大事である」といったことが最後

の部分に申しわけ程度に記述されている例も多々見受け

られる取り組んでいるという既成事実のために実体の

伴わないパブリックエンゲージメントの活動が進められ

ると将来的にナノテクノロジーへの信頼も失墜しかね

ない多様な課題を含む社会受容パブリックエンゲー

ジメントの活動には包括的な視点で具体的実践的に取

り組んでいく必要がある

ReferenceRoco M C amp Bainbridge W S 2001 ldquoSocietal

Implications of Nanoscience and Nanotechnologyrdquo

Kluwer Academic Publishers

Berube M B amp Roco M C(FRW) 2005 ldquoNano-Hype

The truth behind the nanotechnology buzzrdquo Prometheus

Books

イノベーションのハイプサイクル

「Mastering the Hype Cycle」J Fenn M Raskino

Harvard Business Press 2008

M Raskino J Fenn IT Management(ITM) ITM-09-

37 Research Note 2010 年 2 月 9 日

23

PEN N

ovember

【CO2 排出量】世 界 的 な 金 融 危 機 に も か か わ ら ず2009 年 の 化 石 燃料 由 来 の 二 酸 化 炭 素 排 出 量 の 減 少 は 小 幅 に と ど ま る

(20101122)国立環境研究所(国環研)

国環研はグローバルカーボンプロジェクト (GCP) が 11

月 22 日の Nature Geoscience 誌の電子版に調査結果を発

表すると速報したその内容は世界金融危機の経済的

影響にも関わらず2009 年における世界の化石燃料由来

の二酸化炭素排出削減量が予測値である 28を下回り

前年比 13にとどまったことで同じく GDP の減少も予

測値を下回っている

httpwwwniesgojpwhatsnew20102010112220101122html

【量子コンピューティング】量子コンピュータ実現への障壁を緩和する誤り耐性方式を開発 (20101124)日本電信電話(株)京都大学

量子コンピュータに必須な量子ゲートは確実に正しい演

算をすることはなくある程度の誤り確率をもつため量

子コンピュータを実現するためには演算の誤り訂正を行

う技術の実現が必須となる演算の誤り訂正を行うために

はある程度誤り確率の低い量子ゲートが必要であると考

えられてきたが今回共同研究チームは誤り確率が非常

に高い量子ゲートを用いても量子計算が可能となる誤り耐

性のある量子計算方式を世界で初めて示した

httpwwwnttcojpnews20101011101124ahtml

【光電変換】ナノギャップ光アンテナにより高効率化した有機超薄膜による光電変換 

(20101122)物質材料研究機構北海道大学

NIMS と北大の共同研究チームは有機超薄膜型の光電変

換分子素子において光吸収電子伝達といった必要な機

能をもつ部品を連結した分子から成る単分子超薄膜を原

子レベルで表面制御した平滑な金電極面と金ナノ粒子で挟

み込むことによってナノギャップ型の光アンテナを導入

することに成功したその結果光アンテナ 1 つあたりで

光誘起電子移動反応が約 50 倍の効率に高まることを実

証した

httpwwwnimsgojpnewspress201011p201011220html

【EV】シンガポール政府と電気自動車の普及に関する覚書を締結

(201011 19)三菱自動車(株)

MMC はシンガポール政府と電気自動車(EV)普及のため

の活動に協力する内容の協定を締結したことを発表した

今回の活動はシンガポールの経済開発庁が中心となり

同国のエネルギー市場監督庁陸上交通庁との間で EV タ

スクフォースを組成し同国の EV 普及を目的としたユー

ザー向け補助金制度や充電インフラ整備などの検証を行う

ものこの活動の中でMMC は CCA を通じ 2011 年より

順次『i-MiEV(アイミーブ)』25 台を供給し実証走行

試験に協力していくhttpwwwmitsubishi-motorscompublishpressrelease_jp

corporate2010newsdetail4407html

【リチウム二次電池】リチウム二次電池の量産化実証工場が竣工 年間生産能力6 万 6000kWh (201011 18)三菱重工業(株)

リチウム二次電池事業への本格参入に向け長崎造船所内

に建設していた同電池の量産化実証工場が17 日竣工し

た年間生産能力は 6 万 6000kWh中型電池換算で約

40 万個に相当する今後各種実証技術に取り組み早期

の本格的な商業量産につなげていくとしている

プレスリリースより

CUTTING-EDGE TECHNOLOGIES

24

PEN

Nov

embe

r httpwwwmhicojpnewsstory1011184999html

【基礎科学物質の起源】動きがのろい冷反水素原子を 38 個も磁気瓶に閉じ込める物質と反物質の違いを知る手がかりとなる冷反物質研究が新段階に (201011 18)物質材料研究機構(NIMS)

NIMS は欧州原子核研究所(CERN)の国際共同研究グルー

プに参加し反物質の代表格である反水素原子を独自に

開発した八重極磁気瓶の中に 38 個も閉じ込めることに世

界で初めて成功した反水素原子の原材料である反陽子(陽

子の反粒子)と陽電子(電子の反粒子)を八重極磁場コ

イルとミラーコイルを組み合わせた磁気瓶の中に蓄積し

そっと混ぜ合わせて冷たい反水素原子を大量に生成した

反水素原子は電気的に中性の小さな磁石なので反水素原

子ができあがったころ(約 1 秒後)を見計らって電圧を

加え残存している反陽子と陽電子をことごとく排除した

その後磁気瓶の磁場を瞬時にゼロにすると磁気瓶内に

とどまっていた反水素原子は装置の壁に当たって消滅し

パイ中間子などのさまざまな粒子を放出するこれらの粒

子を磁気瓶を包む 3 枚の検出器で観測した結果捕捉し

ていた反水素原子を 38 個も確認することができた後述

するように同内容は理化学研究所からもリリースされたhttpwwwrikenjpr-worldinforeleasepress2010101118

indexhtml

【超伝導】ピセンのカリウムドープに伴う電子構造変化の直接観測 

(201011 17)岡山大学

岡山大学の研究グループはピセンおよびカリウムドープ

ピセンの電子構造を実験的に観測する事に世界で初めて成

功したカリウムドープピセンは芳香族炭化水素における

初めての超電導体であるがカリウムドープピセンの超電

導メカニズムまた超電導を誘起する電子構造は解明され

ていない研究グループは光電子分光法を用いピセンのカ

リウムドープに伴う電子構造変化を直接的に観測した結

果ピセンのカリウムドープに伴う電子構造変化を観測

芳香族炭化水素超電導体の超電導メカニズム解明および新

規超電導体探索の指針になると期待されるhttpwwwokayama-unetrenkeidocumentpdfpressrelease

press-101117pdf

【慣性力発電】慣性力(振動)発電技術を商品化 国内最大手エース社のバッグに慣性力発電ユニットを搭載 (201011 17)伊藤忠商事(株)

米国 CIIIS 社の持つ慣性力発電(振動発電)技術を用いて

人体の運動による振動で発電する慣性力発電ユニットを開

発した国内鞄最大手のエース株式会社がこの慣性力発

電ユニットを搭載したバッグの販売を行う

httpwwwitochucojpjanews2010101117html

【生物多様性】多様性進化の背景に『甲状腺機能低下』 (201011 16)東北大学

生物多様性の喪失は現在急速に進んでおり多様性の進化

維持機構を解明することは世界的な課題である生物多様

性の創出は多くの場合新規環境に生き物が侵出すること

によって始まるが生物が新規環境へどのように適応して

行くのかその過程については多くが未解明である東北

大学の研究チームはこのたび新規環境への適応に甲状腺

ホルモンの進化が重要であることを発見したhttpwwwtohokuacjpjapanesenewimgpressimgtohokuuniv-

press_20101116pdf

【ナノ物性】ナノスケールの鉄磁石を電界でコントロール

(201011 01)千葉大学

磁石の N と S 極は磁界を用いることでコントロールでき

るが千葉大学の研究チームはナノスケールの鉄の磁石の

極性をエネルギーの要らない電界でコントロールできるこ

とを見出したhttpwwwchiba-uacjppublicitypresspdf201020101102nano

pdf

【SOFC 関連材料技術】 画期的な電解質材料の開発に成功 固体酸化物燃料電池の商用化に一歩前進 (201011 18 )物質材料研究機構(NIMS)

NIMS の研究グループは電解質材料に必要とされる三つ

の要件イオン伝導性化学的安定性焼結性のすべてを

高いレベルで満足する2種類の材料を開発することに成功

したひとつは10 のプラセオジムを含むイットリウム

添加ジルコン酸バリウム(BZPY)でもうひとつは酸

化ニッケル (NiO) とイットリウム添加ジルコン酸バリウム

25

PEN N

ovember

(BZY) の混合粉末を固めた基板上にプレス成形された BZI

であるhttpwwwnimsgojpnewspress201011201011180

p201011180pdf

【レアアース】微生物でレアアースの回収が可能に バクテリアがレアアースを濃縮する現象を発見 (201011 17)広島大学高エネルギー加速器研究機構高輝度光科学研

究センター

共同研究グループは微生物の細胞表面では微生物が存在

しない周囲部分に比べてレアアースを高濃度に濃縮する現

象を見出したまたレアアースの中でも特に希少価値の高

い元素が選択的に濃縮することを発見その濃縮メカニズ

ムを放射光を用いたX線吸収法により明らかにした

httpwwwkekjpjanewspress2010RareEarthElementshtml

【はやぶさ】はやぶさカプセル内の微粒子の起源が判明(201011 17)宇宙航空研究開発機構

「はやぶさ」のサンプルキャッチャー室から特殊形状のヘ

ラで採集された微粒子を走査型電子顕微鏡にて観察および

分析した結果1500 個程度の微粒子を岩石質と同定した

更にその分析結果を検討したところそのほぼ全てが地

球外物質であり小惑星イトカワ由来であると判断するに

至った

httpwwwjaxajppress20101120101117_sac_hayabusapdf

【超伝導基礎科学】超伝導のメカニズム解明に大きな手がかり ルテニウム酸化物の電子の運動状態を選択的に可視化することに成功 電子対を形成する「のり」の起源を初めて解明

(201011 17)広島大学産総研

1994 年に日本で発見されたルテニウム酸化物超伝導体は

ユニークな超伝導状態を示しこれまで数多くの研究が行

われてきたがいまだにその超伝導のメカニズムは謎のま

まであった超伝導が生じるためには電子と電子を「のり」

で結びつけ「電子対」にする必要がある共同研究グルー

プは放射光の直線偏光特性を活用するため放射光の光

軸のまわりに回転可能な高分解能角度分解光電子分光装置

を開発しルテニウム酸化物超伝導体の超伝導機構解明に

重要な手がかりをつかんだ研究グループが開発した新装

置を用いることによりルテニウム酸化物超伝導体の異な

る運動状態にある電子を選択的に分離しながら精密に分

析することが初めて可能となったその結果物質の電子対

を形成するための「のり」として結晶を作っている原子

の振動が重要な役割を果たしていることその「のり」が

どのくらい強く働いているのか等が明らかとなった httpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101117

pr20101117html

世界最高性能基準光源を開発 安定高精度高速の三拍子そろった光信号の発生に成功 (201011 15) 情報通信研究機構(NICT)国立天文台(NAOJ)

NICT と NAOJ はNICT 独自の高消光比変調技術を利用

し精度を保ったまま周波数範囲を拡大する構成を提案し

たNAOJ の安定度向上技術による制御機能を組み合わせ

ることで世界最高性能の基準信号発生装置を共同開発

し100 ギガヘルツを超える高速信号の長距離伝送を実現

した本装置の方式により従来技術の課題であった安定

性周波数範囲精度の問題を解決した安定性は 2 台の

レーザを用いる従来方式に比べて 10 倍以上を実現し信

号の乱れを 30 万年に 1 秒以下とすることに成功したま

た精度は従来型変調器と比較し 1000 倍以上周波数範

囲は 4 倍を達成したhttpwww2nictgojppubwhatsnewpressh22101115101115

html

【基礎科学レーザ分光】電子の氷を光で融かす一瞬を捉える 光が有機物質を変える瞬間の超高速スナップショット (201011 15)東北大学自然科学研究機構分子科学研究所科学技術振

興機構(JST)

共同研究グループは光の照射によって有機物質の色や

電気伝導度が大きく変化する光誘起相転移現象の最初の瞬

間を捉えることに成功した電場と磁場の振動である光の

振動の3周期分に匹敵する極めて短いパルス光をポンププ

ローブ分光によって二次元有機物質における電荷秩序の

融解のダイナミクスすなわちldquo 電子の氷 rdquo が光によっ

てどのように解け絶縁体から金属へと変化するのかと

いう問題を明らかにしたものこの成果 12 月初めには米

国物理学会誌 Physical Review Letters オンライン版で公開

予定

httpwwwjstgojpprannounce20101117-2indexhtml

【熱電材料】水を使って絶縁体から効率のよい熱電材料を作ることに成

26

PEN

Nov

embe

r 功 希少毒性金属を含まない安価簡便な熱電材料創製に新たな道 (201011 15)科学技術振興機構 (JST)名古屋大学

熱電材料は熱を電気に変換することができることからエ

ンジンの排熱を利用して発電するハイブリッド自動車など

への応用が期待されているが従来の熱電材料はビスマ

スアンチモン鉛テルルといった希少毒性金属など

を含む問題があったJST 課題解決型基礎研究の一環とし

て名古屋大学の研究グループは水の電気分解を利用し

安くてありふれた絶縁体酸化物表面を大きな熱電効果を示

す金属へ変えることに成功した大量に水を含んだ多孔質

ガラスを新規に開発しこの多孔質ガラスを金属チタンと

チタン酸ストロンチウムに挟んで電圧を加えると水の電

気分解によって絶縁体のはずのチタン酸ストロンチウムの

表面に厚さ 3 ナノメートル以下の極めて薄い金属チタン酸

ストロンチウムが生成した通常の金属チタン酸ストロン

チウムに対して 4~5 倍高い電圧を示すことから従来の

熱電材料の約 2 倍の熱電性能が期待できる

httpwwwjstgojpprannounce20101117indexhtml

【基礎科学物質の起源】国際研究チーム反水素原子を瓶の中に閉じこめることに成功(20101118)理化学研究所

8 か国からなる研究チームは欧州合同原子核研究機関

(CERN)の装置を用いて加速器で反陽子と陽電子を作

成し磁場の中に閉じこめたのちに撹拌して反陽子と陽

電子1個ずつを結びつけ反水素原子を生成した反水素

生成後に余った反陽子と陽電子を取り除き反水素原子だ

けを特殊な瓶の中に封じ込めることに成功した計 38 個

の反水素原子が 02 秒間存在したことを確認反物質は

Dan Brown の小説「天使と悪魔」で非常に微量で爆発

を起こす材料として登場するしかし今回の手法では短

時間に消滅してしまい爆弾に使える量をためるのは不可

能だという17 日付の Nature Online 版に掲載

httpwwwrikenjpr-worldinforeleasepress2010101118 

【マックスウェルの悪魔実証】情報をエネルギーに変換することに成功 ldquo マックスウェルの悪魔 rdquo を実験により世界で初めて実現新規ナノデバイスの実現に期待 (201011 15)中央大学東京大学

微細加工技術とサブミクロンスケールのリアルタイム制御

システムを組み合わせ「マックスウェルの悪魔」と呼ば

れる科学史上の重要な概念を世界で初めて実験により実現

した これによって情報をエネルギーに変換できるこ

とを初めて示すとともに情報を媒介して駆動する新規ナ

ノデバイスの実現の可能性を示した マックスウェルの

悪魔は熱力学の根本に関わる概念でありこれを実現でき

た学問的意義は大きいまた科学者以外にもよく知られ

たテーマであり多くの人が興味を持つ話題でもある情

報を媒介して駆動する新規のナノデバイスを実現できる可

能性があり基礎的研究にとどまらずナノサイエンスで

の新しい制御法への応用が期待できるこの成果は 11 月

14 日に Nature Physics Online に公開された

Toyabe Sagawa Ueda Muneyuki and Sano

ldquoExperimental demonstration of information-to-energy

conversion and validation of the generalized Jarzynski

equalityrdquo

httpwwwsu-tokyoacjppresspress-2010-42html

詳細は中央大学 HPhttpwwwchuo-uacjpchuo-unewscontents_jhtmlsuffix=kampmo

de=topamptopics=12513

【基礎科学分子バネ】電子の出し入れで硬さが劇的に変わる分子バネを開発 たった 1 つの電子放出で分子全体の動きやすさが 450 倍も変化 (201011 15)理化学研究所科学技術振興機構(JST)

6 個の炭素原子が環状につながったベンゼン環は有機化

合物において最も基本的な構成ユニットの一つでありベ

ンゼン環をさまざまな形で結合させたものが盛んに研究さ

れてきたしかしベンゼン環を隣り合う炭素の位置で結

合させたオルトフェニレンは単純な構造でありながら合

成が難しいためこれまでほとんど研究がなされておらず

その性質は解明されていなかった理化学研究所の研究グ

ループはベンゼン環 48 個を隣り合った炭素の位置で結

合させたオルトフェニレンを世界で初めて合成したオル

トフェニレンは3 つのベンゼン環が 1 ピッチのらせんを

形成するバネ状の構造をしているがこのようなバネ状の

構造を持った分子はさまざまな機能を発揮するためエ

レクトロニクスや分子機械への応用の可能性が高まってい

る研究グループはこのバネ状分子から電子を 1 つ取

り去るとバネの硬さが劇的に増してらせんの反転速度が

約 450 分の 1 も遅くなることを突き止めたまたこの

1 個の電子の出し入れに応じてバネのピッチが 3263Aring か

ら 3224Aring と変化したこれまで電子が高密度に含まれ

た分子バネは電子を出し入れすることでその振る舞いが

変化することが理論上予想されていたがこのように電子

を多量に含む分子バネの合成は難しく実験的にも証明さ

れていなかった硬さの変化というこれまで実現すること

27

PEN N

ovember

ができなかった応答をする分子バネの登場は応答性分子

の分野に新たなコンセプトをもたらすと注目される本研

究成果はJST 戦略的創造研究推進事業 発展研究 (ERATO-

SORST)「分子プログラミングによる電子ナノ空間の創成

と応用」の一環として行われたものhttpwwwrikenjpr-worldinforeleasepress2010101115

indexhtml

【自己組織化基質選択的会合】分子間の特異的な相互作用による新規材料集積法を開発 分子が好みの分子を見分けて接着 (201011 15)大阪大学科学技術振興機構(JST)

近年分子認識を利用して分子と分子を非共有結合でつな

げることによりさまざまな超分子錯体が合成されさらに

これらを自己集合させる研究が行われているこれらの研

究において形成される集合体は分子の大きさであるナノ

メートルからマイクロメートルの極めて小さなもので高

倍率の顕微鏡を使わなければ見えない分子認識に基づい

て手軽に使えるくらいの大きな自己組織体を作り出すこと

はナノテクノロジー分野において分子を自己組織化さ

せて機能性材料を創製する上で重要な課題であった大阪

大学の研究グループはホスト分子としてシクロデキスト

リンをゲスト分子としてシクロデキストリンが結合する

化合物を用いてそのホスト-ゲスト相互作用を利用して

多様な自己組織化超分子ポリマーの構造体を作りマクロ

スケールで機能を発現させる研究を進めている今回D

NAやタンパク質の分子量決定に広く用いられるアクリル

アミドゲルを土台にしてこのゲルにシクロデキストリン

とゲスト分子をそれぞれ別々に導入し「ホストゲル」と

「ゲストゲル」を合成したこの両者を水中で振動させる

とゲルが接着する挙動が観察されミリメートルからセン

チメートルの大きさの物体を分子認識により自己集積でき

ることを世界で初めて実証したさらにシクロデキストリ

ンとゲスト分子との相互作用の強さの違いによって選択的

に特定のゲル同士を接着させることができることがわかっ

httpwwwjstgojpprannounce20101115indexhtml

【ブタノール分離膜】バイオブタノールの省エネルギー型膜分離精製技術を開発1 wt ブタノール水溶液から80 wt 以上の高濃度ブタノールの回収が可能 (201011 15)産総研

産総研は1 wt 程度の希薄なブタノール水溶液からゼ

オライト系分離膜を用いて 80 wt 以上に濃縮したブタ

ノールを回収できる省エネルギー型のバイオブタノール精

製技術を開発した ブタノールはエタノールと比較して

発熱量が大きいことから地球温暖化対策に貢献できる再

生可能なバイオ液体燃料すなわちポストバイオエタノー

ルとして期待されている今回合成条件の最適化を進め

高いアルコール選択透過性をもつシリカライト分離膜を合

成し膜分離法によって低濃度ブタノール水溶液から高

濃度ブタノールの回収が可能となった従来の分離膜を用

いた場合に比べてブタノール回収のためのエネルギーを

50 ~ 70 程度低減できることが期待される httpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101113

pr20101113html

【分子生物学】 化学合成したペプチドからウイルスの殻構造を組み上げることに成功 新規ナノ材料や医療材料としての応用に期待 (201011 12) 九州大学北九州市立大学

共同研究グループは化学合成したペプチドから約 40 ナ

ノメートルのウイルスの殻構造を組み上げることに世界で

初めて成功した球状の植物ウイルスから遺伝子を除いた

キャプシド構造と呼ばれる殻構造は決まった大きさのナ

ノ空間であることからナノ物質の反応器や運び手として

利用する研究が国内外で盛んに行われているしかしこ

れまでウイルスのキャプシド構造を得るにはウイルス

の遺伝子をバクテリア内に導入して生産させる必要があっ

た本研究では遺伝子やバクテリアを用いない完全化学

合成によってウイルスキャプシドを構築することに成功

した今回ウイルスの殻構造を簡単なペプチドから構築

できたことで様々な機能性ウイルスキャプシドを人工的

に創成する道が拓けたと言えるこのペプチドからなるナ

ノカプセルに適切な化学修飾を施すことによりナノ物質

合成のための反応器や医薬品の運び手人工ワクチンを

創成するための足場材料として応用できるものと期待され

るhttpwwwkyushu-uacjppressrelease20102010-11-12-04pdf

【レアメタル】レアメタル使用量削減技術の実用化を加速(20101110)新エネルギー産業技術総合開発機構 (NEDO)

NEDO はレアアース総合対策の一環として企業が取り

組むレアメタル使用量削減技術の実用化を加速するための

助成事業(事業規模約 100 億円)を 2010 年度補正予算

の成立を前提に行うこの助成事業では短期間で実用化

が期待できる以下の技術開発を対象として①レアメタル

28

PEN

Nov

embe

r を代替する材料の技術開発 ②レアメタルの使用量を削

減する技術開発 ③レアメタルのリサイクルを促進する

技術開発 ④その他のレアメタル消費の削減に資する技

術開発を行うhttpapp3infocnedogojpinformationskoubopressEFnedopre

ss2010-11-068550095069

【導波路型光スイッチ】光スイッチの消費電力を従来の 2 分の 1 に低減 増え続けるネットワーク機器の消費電力問題を解決 (201011 09)( 株 ) 富士通研究所

同社はシリコンフォトニクス技術を適用した導波路型光

スイッチについて世界で初めてシリコンゲルマニウム

(SiGe)細線構造を用いることで従来のシリコン細線構

造に比べて消費電力を約 2 分の 1 に低減することに成

功した幅広い波長に対応して高速に動作できるタイプの

光スイッチ素子としては世界最小の消費電力を実現して

いるhttpprfujitsucomjpnews2010119html

【ナノ構造機能】昆虫が足を擦る秘密をナノテクノロジーで解明 生体模倣による新しい材料機能の開発に活用 (201011 09)物質材料研究機構マックスプランク研究所キール大

共同研究チームは環境問題で循環型社会実現に求められる

「接着と分離」を繰り返せる未来の接合技術の開発研究に

おいてガラスのような平坦な表面を逆さまでも歩行でき

る昆虫の足の裏の優れた接着性に着目し昆虫(ハムシ)

の歩行調査を行いナノテクノロジーを用いた実験により

昆虫が摩擦により汚れを感じていることを突き止めた

httpwwwnimsgojpnewspress201011p201011090html

【超音波流量計半導体プロセス】極微量な流量を精密に測定できる超音波流量計を開発 半導体製造装置の性能を向上させ環境負荷を低減しランニングコストを削減 (201011 09)産総研( 株 ) アツデン東京計装 ( 株 )

3 者は共同で10 mLmin( 誤差plusmn 01 mLmin) 以下の極

微量な流量を精密に測定できる超音波流量計を開発した

この流量計は超音波ガイド波の伝搬に関する基礎理論の

見直しを行い超音波を高周波化し設計を最適化するこ

とにより開発したものでこれまでの超音波流量計では計

測できなかった微小な流速領域での流量測定ができるこ

の超音波流量計は半導体製造装置で利用される薬液の高

精度な制御を可能にし半導体製造装置の高性能化環境

負荷の低減ランニングコスト削減へ貢献すると期待され

る httpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101109

pr20101109html

【研究交流】中国上海における国際交流事業の実施同済大学と大学間学術交流協定を締結 (201011 08)大阪大学

10 月 21 日上海において開催した上海教育研究センター

開所式記念講演会祝賀会には鷲田清一総長をはじめ

とする大阪大学教職員中国の学術交流協定校関係者大

阪大学同窓会会員など約 130 人が列席し盛況の内に終

了した翌 22 日23 日には第 15 回大阪大学上海交

通大学学術交流セミナーが上海交通大学情報ネットワーク

センターを主会場として開催され7つの研究会に約 100

人が参加したさらに 23 日と 24 日の両日上海東亜展

覧館を会場に開催された中国国際教育展に大阪大学のブー

スを出展し100 人を超える留学相談者が本学のブースを

訪れた翌 10 月 22 日鷲田清一総長は上海市内にある

同済大学を訪問裴学長陳副学長ほか大学関係者と懇談

するとともに大学間学術交流協定及び学生交流覚書の調

印式に臨んだこれにより中国の大学との 10 番目の協定

が成立したhttpwwwosaka-uacjpjanewstopics20101120101108_1

httpwwwosaka-uacjpjanewstopics20101120101108_2

【高耐久性セラミック】激しい熱変化にも強度劣化しない窒化ケイ素系セラミックスを開発 窒化ホウ素の微粒子を分散させ耐熱衝撃性を飛躍的に向上 (201011 08)産総研三井金属鉱業(株)

両者は共同で従来品に比べて耐熱衝撃性と高温での強度

を飛躍的に高めた窒化ケイ素系セラミックスを開発した

今回窒化ケイ素(Si3N4)をベースとして高い熱伝導

率をもつ粒界相を形成させるとともにそこに非晶質に近

い窒化ホウ素のナノメートルオーダーの微粒子を分散させ

ることで耐熱衝撃性を飛躍的に向上させた従来の窒化

ケイ素が 1000 の温度差で強度が低下するのに対して

今回の開発材は電気炉で 1400 に加熱した後水中に投

下することを 10 回繰り返してもほとんど強度が劣化しな

かったまたこの開発材について大気中 1200 で高温

29

PEN N

ovember

曲げ試験を行ったところ室温と同程度の強度を保持して

いたセラミックスでは大型化すると小試験片では得られ

た特性が得られず実用化を進める上での課題になること

が多いがこの開発材では焼結条件を最適化することに

よって直径 82 mm 長さ 370 mm の比較的大型の部品で

も試験片と同様の組織物性が得られたまた実際の

製品形状に近い部品の焼成も可能となったhttpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101108

pr20101108html

【ミリ波発信器】ミリ波帯無線通信の実用化にめど 世界最高性能の低雑音局部発振器を開発 (201011 08)東京工業大学

東工大の研究グループは雑音を従来の 100 分の1以下

に低減したミリ波帯局部発振器を開発した20GHz 帯の

発振器と 60GHz 帯の注入同期型直交局部発振器を組み合

わせることにより世界最高の低位相雑音性能を達成した

無線通信の周波数帯ひっ迫を解消する技術として 60GHz

ミリ波帯の利用が注目されているがミリ波帯ではコイル

やコンデンサの損失が大きくなり位相雑音特性が劣化す

るのがネックだった今回はこれを解決したものでミ

リ波無線通信の実用化につながる成果発振器は 65 ナノ

メートルのシリコン CMOS プロセスを利用して試作した

580GHz から 636GHz の周波数範囲で 4 相正弦波出力が

可能でこの発振器により10Gbps(毎秒 100 億ビット)

以上の超高速ミリ波帯無線通信の実現が期待されるh t t p w w w o l d t i t e c h a c j p t o k y o - t e c h - i n - t h e - n e w s j

archives2010111289174400html

【炭素繊維応用】住宅向け外装材「炭素繊維補強サイディング」の本格展開について 優れた強度と耐熱寸法安定性で 15 年の基材保証を実現 (20101105)東レ ACE(株)

東レの子会社東レ ACE は炭素繊維で補強した窯業系サ

イディングを開発し本格販売と市場展開を開始する「炭

素繊維補強サイディング」はセメント質原料に炭素繊維

を添加配合して成型固着させた建物外壁用のセメントボー

ドで従来の窯業系サイディングの優れた防耐火性耐久

性等を維持しつつ更なる強度補強効果や火災高温時の

変形や熱収縮によるひび割れの抑制など耐熱寸法安定性

も向上させることで基材 15 年保証を実現する 本製品

に使用している炭素繊維は軽くて強く優れた高温特性や

耐熱性を有し非常に細い繊維を多く配合できることから

外装材としての強度補強効果も期待できるとしている

httpwwwtoraycojpnewsaffilnr101105html

【光ファイバーナノインプリント】ナノ格子反射防止表面光ファイバー先端に形成ナノ技術で安く製作 (20101105)東北大学

東北大の研究グループは微小な窪みが多数形成された反

射防止構造体を光ファイバーの先端に製作する技術を開発

した光ファイバーは光通信や光分析装置の構成部品とし

て使われており光源受光素子やレンズなどの光部品と

の接続損失を減らすために先端に反射防止膜が形成され

ている従来の反射防止膜は真空装置を使って薄膜を付け

るためコストが問題であった研究グループはナノイン

プリント技術を用いて光ファイバー先端のコア部に 270

ナノメートル間隔で微小な円錐状の窪みを形成し反射損

失を低減することに成功したナノインプリント技術は

基板に塗布したポリマーに原版を押し付けて微細パターン

を転写する技術で高価な露光装置や真空装置が不要なた

めナノ構造を安価に製作することができる今回光ファ

イバー先端にナノ構造を製作するために専用のナノインプ

リント装置を開発した窪みの間隔が光の波長よりも小さ

い場合屈折率が変化し反射波が生じにくくなる反射

率や波長帯域は窪みの形状間隔や高さで決まり従来

の反射防止膜よりも設計の自由度が高いため要求に合わ

せて種々の反射防止表面を製作することが可能 httpwwwtohokuacjpjapanese201011press20101105-2

html

【人工筋肉機能材料】光を運動エネルギーに変える新高分子素材の開発に成功 世界で初めて分子を大面積で 3 次元的に配列させ新機能を実現 (20101105)理化学研究所

光で変形したり電子を流すなどの機能を持った分子を人工

的に規則正しく大面積で集積することができると機能性

材料の性能向上や革新的新機能の発現につながるそのた

め世界中で精力的に開発が行われているがこれまで実現

させた例はなかった理化学研究所の研究グループは光

で構造が変化するアゾベンゼン分子を組み込んだブラシ状

の高分子「ポリマーブラシ」を大面積で 3 次元的に一挙

に配列させる手法の開発に初めて成功したこの規則性の

ある 3 次元集積構造は延伸したテフロンシートにポリ

マーブラシを挟み込みアイロンに似た熱と圧力を加える

といういたって簡単な操作で実現したさらにこのフィ

30

PEN

Nov

embe

r ルムに光を当てるとアゾベンゼン分子の構造変化が一方

向に集約しフィルムが湾曲するという巨視的変形を引き

起こすことを見いだしたすなわちこの新しいフィルム

は光エネルギーを運動エネルギーに変換する機能を持って

おり新たな人工筋肉材料などへの展開が期待されるま

た本技術は有機薄膜太陽電池をはじめとする次世代の機

能材料の開発にも革新をもたらすと期待されるhttpwwwrikenjpr-worldinforeleasepress2010101105

indexhtml

【リチウムイオン電池正極材料】常温プロセスで全固体薄膜リチウムイオン電池の試作に成功 エアロゾルデポジション法による蓄電池製造の新工法開発を本格化 (2010115)産総研

産総研はトヨタ自動車 ( 株 ) と共同で産総研が開発し

たセラミックス材料の常温高速コーティングプロセスであ

るエアロゾルデポジション (AD) 法を用いて酸化物系の

正極材料負極材料固体電解質材料を薄膜積層化して

金属基板上に 3 層構造からなる全固体薄膜リチウム (Li) イ

オン電池を試作蓄電池としての充放電特性を世界で初め

て確認した 従来型の薄膜技術とは異なりAD 法を用い

ると基板の加熱が不要でまた厚膜化も容易であるそ

のため成膜時間が大幅に短縮でき蓄電池の生産性向上

やプロセスコストの大幅な低減が期待される今後は AD

法を用いた本格的な全固体電池の共同開発を進めていく httpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101105

pr20101105html

【記録デバイススピントルク素子】次世代超高密度 HDD に向けたマイクロ波アシスト記録の基本技術を開発 磁気ヘッドに搭載可能なスピントルク素子を用いた磁気情報の書き換えを確認 (2010115)新エネルギー産業技術総合開発機構(NEDO)(株)日

立製作所

NEDO はハードディスク装置(HDD)の開発製造会社で

ある日立グローバルストレージテクノロジーズの協力を得

て従来の磁気記録方式の限界を超えHDD の記録密度

を飛躍的に伸ばす方式として期待されているマイクロ波ア

シスト磁気記録方式の基本技術を開発しその原理を実験

的に確認したマイクロ波アシスト記録では記録媒体の

小領域にマイクロ波帯の高周波磁界を加え磁気情報の書

き込みを容易にする今回開発したのはヘッドに搭載可

能な高周波磁界を発生するスピントルク発振素子でこの

素子を用いて記録媒体上に磁気情報を記録できることを実

験的に確認したこれまで外部のマイクロ波発生装置を

用いたマイクロ波アシスト効果の報告例はあったが今回

微細な発振素子を用いた磁気情報の記録を確認できたこと

により将来この素子を記録ヘッドに搭載しマイクロ波

アシスト記録を実用的に行える可能性が示されたhttpapp3infocnedogojpinformationskoubopressEFnedopre

ss2010-11-029718160145

【基礎科学物性】絶縁体が金属に変わる新原理の解明 超伝導素子や熱電変換素子の開発へ道(20101104)東北大学

東北大学原子分子材料科学高等研究機構の研究グループ

は高品質酸化物薄膜において電気が流れにくい絶縁体

状態から流れやすい金属状態への遷移機構を解明した材

料における電気の流れやすさは電気を流す担い手である

伝導キャリアが物質中にどれだけ含まれるか伝導キャリ

アがどれくらいスムーズに動きまわれるかによって決ま

るつまり伝導キャリアの濃度を増やしたり材料中で

伝導キャリアの動きを妨げる原因になるひずみや欠陥を少

なくすると電気はより流れやすくなる本研究では人

工宝石として知られるチタン酸ストロンチウム (SrTiO3)

の絶縁体を用い伝導電子を生み出すキャリア供給層を

SrTiO3 絶縁体間に挟み込んだ絶縁体層 キャリア供給層

絶縁体層の層状界面構造をもつ高品質超格子構造を作製す

ることで絶縁体層の体積を増加させると反対に電気が流

れやすい金属状態になる現象を発見した最新の電子顕微

鏡技術を用いた原子構造解析と電子状態の理論計算を駆使

して絶縁体を増加させると界面で結晶のひずみが少なく

なり高導電化することを解明した本研究が明らかにした

界面での結晶のひずみを制御することによって絶縁体を金

属状態へ変化できる現象は様々な材料でも普遍的に起こる

と考えられ絶縁体から金属へ変わる境目で性能が向上す

る新超伝導体や新熱電材料の開発に展開することが可能と

期待されるhttpwwwtohokuacjpjapanesenewimgpressimgtohokuuniv-

presspdf

【環状高分子】様々な環状高分子の自在な合成に成功 「かたち」に基づく機能開発に期待(2010112)東京工業大学

東工大の研究グループはこれまで困難とされてきた

種々の含環状高分子の選択的な合成に成功した同研究

グループで開発された単環状高分子合成プロセスである

31

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Electrostatic Self-Assembly and Covalent Fixation Process

と有機合成化学の新手法であるクリックケミストリー

を組み合わせることで様々な「かたち」の自在な構築

を達成した本手法の開発により近年注目を集めてい

る「かたち」に基づいた高分子物性の探索を加速させる

ものと期待されるhttp wwwo ld t i t e ch ac j p tokyo - t ech - in - the -news j

archives2010111288656000html

【異分野連携オープンイノベーションモデル】応用脳科学コンソーシアム 脳科学及びその周辺領域の学術知見を活用したオープンイノベーションモデルの研究活動を開始 異業種の民間企業と異分野の脳科学研究者が連携し事業性の高い研究テーマを推進 (2010111)アサヒビール(株)(株)NTT データ積水ハウス(株)

(株)竹中工務店帝人(株)凸版印刷(株)日産自動

車(株)(株)博報堂(株)NTT データ経営研究所

NTT データ経営研究所が日本神経科学学会の協力を得て

2010 年 10 月 1 日に創設した「応用脳科学コンソーシア

ム」においてそれぞれの事業活動に関連する独創性の

高い研究テーマについて複数の「応用脳科学 RampD 研究会」

を立ち上げるRampD 研究会では各 RampD 研究会を設置

した特別会員企業が各テーマに関連の深い脳科学及び

その関連領域の研究者を招聘し異業種である他の会員

企業とともに最新の研究知見を活用してオープンイノ

ベーションモデルの研究活動を実施する各社が設置す

る RampD 研究会は現時点で(1)おいしさの総合評価研究

会(アサヒビール)(2)ヘルスケア脳情報クラウド研究

会(NTT データ)(3)インタラクティブ住環境研究会(積

水ハウス株式会社)(4)コミュニケーション空間研究

会(竹中工務店)(5)メディアエンゲージメント研究

会(博報堂)この他の RampD 研究会については今後随

時応用脳科学コンソーシアムのウェブサイト httpwww

keieikencojpcan で公開予定

httpwwwnttdatacojprelease2010110101html

【レーザ技術基礎光物性】熱を加えずに結晶を柔らかくすることに成功 高強度テラヘルツ電磁パルスで分子ネットワーク操作が可能に 

(2010111)京都大学科学技術振興機構(JST)

京都大学はテラヘルツ電磁パルスと呼ばれる新しい光

を物質に照射することで1兆分の1秒の短い時間で結

晶中の分子を大振幅で揺さぶり熱平衡状態では実現で

きないような分子変位を実現することに世界で初めて成

功した実験結果は結晶が実効的にやわらかくなったこ

とを意味するものでさらに強いテラヘルツ電磁パルス

によって高効率で結晶を融解させることを示唆するこ

れは熱による反応を起こすことなく新しい分子間のネッ

トワークやたんぱく質などの巨大分子の立体配位を操作

できることを示しており化学合成における反応促進や

創薬における有機分子結晶の精製での活用が考えられる

今回の成果は JST 戦略的創造研究推進事業日本学術振

興会学術創成プロジェクト「動的相スイッチ機構を内在

する有機電子材料の開拓と非平衡物性科学への展開」お

よび京都大学グローバル COE プログラム「普遍性と創発

性から紡ぐ次世代物理学」によるものhttpwwwjstgojpprannounce20101101indexhtml

【高周波デバイス】透 明 な 高 周 波 デ バ イ ス 見 え な い ア ン テ ナ へ の 道

(20101028)物質材料研究機構太陽誘電(株)

両者は共同で透明な高周波デバイスを製造するための

基本技術である微細な金属配線と酸化物透明導電体から

なるハイブリッド構造を開発した本技術は不透明で

あるが高い伝導性を示す金属と透明ではあるが金属の

100 分の 1 程度の伝導率にとどまる酸化物透明導電体と

を組合せ両者の特性を相補的に活用することにより

透明でありかつ携帯電話をはじめとする無線デジタ

ル通信に用いられるギガヘルツ帯の高周波に対して高い

伝送特性を示す素子構造を実現した

httpwwwnimsgojpnewspress201010p201010280html

【エコ製品環境経営】COP10 に向けた環境配慮型製品技術の取り組み ポリ乳酸繊維 ldquo エコディア rdquo 使用商品の提供や連携事業「メッセナゴヤ 2010」への出展を通じ環境保全の取り組みを強化 (20101028)東レ ( 株 )

同社は10 月 11 日 ( 月 ) から 29 日 ( 金 ) に開催された

生物多様性条約第 10 回締約国会議 (COP10) に向けて

ポリ乳酸繊維 ldquo エコディア rdquo 使用商品の提供などを通じて

環境に配慮した運営に協力したまたCOP10 の連携事

業である環境エネルギーをテーマとした展示会「メッ

セナゴヤ 2010」に出展し環境に配慮した次世代自動車

や最先端航空機向けの先端材料を紹介した

httpwwwtoraycojpnewsfibernr101028html

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NEWS POD 著作権の関係で記事のタイトルと詳細内容は標記できませんので簡略に表示しています詳しい内容に関しては各新聞及び雑誌をご覧ください

ナノテクノロジー

研究開発最前線

20101122 日 刊 工 業 新 聞 News

ウェーブ 21

X 線レーザー

20101121 東京読売新聞

新潟ナノテク研究会

20101120 日本経済新聞

ナノテクとバイオ

20101120 下野新聞

バイオ起業

20101119 朝日新聞

ナノ粒子の構造制御

20101119 日刊工業新聞

水素原子観察

20101119 科学新聞

光ファイバー関連技術

20101119 科学新聞

希少金属対策

20101118 日刊工業新聞

熱電材料

20101117 日経速報ニュース

化学合成でナノ構造

20101117 日経産業新聞

つくばナノテク研究拠点への投資

20101117 日刊工業新聞

分子バネ

20101116 日経速報ニュース

ナノバイオ融合

20101116 日経産業新聞

フレンドオブアースのナノテク評

20101116 エコロジーエクスプレス

クラスターテクノロジー

20101112 産経新聞

実用化助成

20101111 日刊産業新聞

接着のメカニズム

20101110 日経産業新聞

電子材料

20101110 日経産業新聞

ナノ磁石

20101110 東京新聞

高分解能放射線検出器

20101110 化学工業日報

電池電極材料

20101108 日本経済新聞

食の安全性

20101108 日経エコロジー

ナノ磁石実用化

20101105 朝日新聞

ナノテク接着剤

20101105 日刊工業新聞

水素原子の観察

20101105 日刊工業新聞

補正予算案

20101105 科学新聞

ナノ磁石

20101104 日本経済新聞

ナノボーグ

20101104 日刊工業新聞

ITO 電極代替技術

20101104 鉄鋼新聞

レアアース代替材

20101103 日本経済新聞電子版

セクション

ナノ鉄磁

20101103 毎日新聞

有機トランジスタ

20101101 日 経 速 報 ニ ュ ー ス

アーカイブ

有機トランジスタ

20101101 日経産業新聞

ナノムービー

20101101 日経サイエンス

低燃費タイヤ

20101030 朝日新聞

筑波大生命科学研究拠点

20101030 茨城新聞

レアアース代替材

20101029 日経産業新聞

播磨地域

20101029 化学工業日報

ナノ粒子操作

20101029 科学新聞

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NEWS POD 著作権の関係で記事のタイトルと詳細内容は標記できませんので簡略に表示しています詳しい内容に関しては各新聞及び雑誌をご覧ください

中国新5カ年計画

20101028 日本経済新聞

高機能消臭素材

20101028 化学工業日報

環境規制等

終わりの科学

20101201 日経サイエンス

電気自動車の覇権

20101123 週刊エコノミスト

環境規制対応

20101122 日経産業新聞

温暖化ガス排出枠

20101122 日経産業新聞

ロス自動車ショー

20101119 日経産業新聞

EV と環境規制

20101119 朝日新聞

EV

20101119 東京新聞

環境と法規制

20101119 化学工業日報

トヨタとテスラ

20101118 読売新聞速報ニュー

CO2 排出量削減

20101118 日経産業新聞

カリフォルニア州環境規制と EV

20101112 日本経済新聞

環境規制

20101112 日本経済新聞

環境規制

20101112 日経産業新聞

米韓 FTA

20101112 朝日新聞

米韓 FTA

20101112 毎日新聞

顔料

20101112 化学工業日報

レアメタル供給規制

20101111 日本経済新聞

潮冷熱

20101110 日本経済新聞

レアアース生産と環境規制

20101108 ダウジョーンズ中国企

業ニュース

韓米FTA

20101101 中央日報

科学技術政策

競争的資金制度

20101122 日本経済新聞

科学技術関係補正予算案 

20101122 THE DOCTOR

韓国 KIST

20101121 朝鮮日報

科学技術政策

20101119 日本経済新聞電子版

セクション

科学技術政策

20101118 日本経済新聞

科学技術政策

20101118 日経産業新聞

女性研究者

20101117 日経速報ニュース

科学技術予算

20101114 東京読売新聞

トップ1論文

20101112 科学新聞

中国特許強国に

20101112 新華社ニュース

関経連と科学技術政策

20101110 産経新聞 

科学技術産業一体政策

20101109 日刊工業新聞

優れた論文の条件

20101105 毎日新聞

「焼け太り許さぬ」

20101102 朝日新聞

国の研究開発投資目標

20101029 日刊工業新聞

科技政策で提言

20101027 日経産業新聞

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科学への信頼に関する読者調査

20101201 日経サイエンス

「カップリング反応」アニメ化

20101110 朝日新聞東京読売

新聞他

科学と社会つなぐ人材

20101025 東京新聞

NEWS POD 

情報誌 PEN 購読のご案内PEN の継続的な購読をご希望の方は下記のメールアドレスまでお名前ご所属メールアドレスをご記入の上ご連絡ください登録配信は無料ですnano-penmaistgojp

PEN は原則月 1 回配信しますバックナンバーと PEN の前身【AIST-TOKYO ナノテク情報】をナノシステム研究部門ホームページにて公開しています httpunitaistgojpnrinano-planindexhtml

PEN は皆さまとの情報共有を目的としていますお持ちの情報で共有すべきものがあれば nano-penmaistgojp までお寄せ下さい

いただいた個人情報は産総研 個人情報保護方針(プライバシーポリシー)に基づき大切に管理し情報誌 PEN の運営と私達のイベントのご案内のみに使用させていただきます

科学技術コミュニケーション

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イベント案内

[産学連携研究開発]大阪大学ナノ理工学人材育成産学コンソーシアム 第 3 回ナノ理工学情報交流会場所大阪大学中之島センター 7 階 講義室 3(講師来訪)

   大阪大学東京オフィスサテライト教室

(遠隔講義配信)

   四日市商工会議所内サテライト教室

(遠隔講義配信)については調整中です

コンソーシアム HP にてご確認ください

   ナノテク社会人教育プログラムの開講をされてい

る場合遠隔講義配信に対応可能です事務局まで

ご連絡ください

日時2010 年 12 月 10 日(金)1330 ~ 1900 頃

主催大阪大学ナノ理工学人材育成産学コンソーシアム 

概要ナノ理工学人材育成産学コンソーシアムでは活動

の一環として産学連携のきっかけを提供すべく企業と

大学の双方からテーマに即した研究開発やトピックを紹介

し会員同士の意見交換と情報共有の促進をはかっていま

す第 3 回目となる今回は「光を用いたナノテクノロジー

の新展開」をテーマに開催しますプログラムなどの詳細

は下記の HP をご参照下さい

参加費コンソーシアム会員学生及び大阪大学教職員は

無料(コンソーシアム企業会員の場合社内から何名でも

無料で参加が可能です)

上記以外の方は資料作成費 1000 円が必要になります

参加登録氏名所属連絡先懇談会への出欠を記載の

上メールにて大阪大学ナノ理工学人材育成産学コンソー

シアム事務局(nano-consnanoscienceorjp)へお申込み

下さい

httpwwwnanoscienceorjp

[コミュニケーション]科学コミュニケーション研究会 第 1 回関西支部勉強会日時2010 年 12 月 2 日 1800 ~ 2000

場所京都大学 吉田泉殿

主催科学コミュニケーション研究会 関西支部有志

概要大阪教育大学科学教育センターの中矢史雄氏を講師

に招きオーストラリアの科学技術コミュニケーションに

ついてオーストラリア国立大学科学意識向上センター

での経験なども交えてお話いただきます定員は 25 名で

す事前申し込みが必要です

httpbitlybPmTP9

[展示会]セミコンジャパン 2010日時12 月 1 日~ 3 日

場所幕張メッセ

主催SEMI

概要国内外の最新のマイクロエレクトロニクス技術に関

する情報を入手することのできる世界最大の半導体製造装

置材料展です

httpwwwsemiconjapanorgjaindexhtm

[知財]アジア特許庁シンポジウム日時2010 年 12 月 3 日(金)930 ~ 1210

場所ホテル日航奈良 飛天の間

主催特許庁

概要日本中国韓国インドネシアマレーシアシ

ンガポールの特許庁幹部を招き各国の知財保護強化の取

組みやアジアにおける知財協力を紹介しますまたパ

ネルディスカッションを設けアジアにおける人材育成協

力の方向性について議論します

httpwwwintergroupjp~convasia

[人材育成]応用物理学会 人財育成シンポジウム -日本の危機を科学が救うそのためのリーダー育成を考える-日時2010 年 11 月 29 日(月)1000 ~ 1710

場所東京工業大学デジタル多目的ホール

主催応用物理学会

概要急速に進むグローバル化に対応のできる人材を育成

するための課題や応用物理学会が貢献することのできる

具体的な取り組みについて議論します

イベント案内へ掲載を希望される方は nano-penmaistgojp までご一報ください

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r h t t p w w w j s a p o r j p a c t i v i t i e s e d u c a t i o n

symppt2010symphtml 

[コミュニケーション]科学技術とメディアのより良い関係に向けて日時11 月 26 日 1815 ~ 2030

場所早稲田大学大隈小講堂

主催サイエンスメディアセンター(SMC)

概要英国オーストラリアのサイエンスメディアセ

ンターの関係者米国のサイエンスコミュニケータを交え

て研究者とメディアの有益な関係性構築に向けた取り組

みについて議論します参加費は無料同時通訳がつきま

httpsmc-japanorgp=403 

[異分野連携]医学領域と工学領域連携研究シンポジウム ‐ 未来を拓く医工連携 ‐日時2010 年 11 月 27 日(土)

場所山口大学医学部第 3 講義室

主催日本学術会議中国四国地区会議山口大学

概要がんの個別化医療をメインテーマにこれからの医

工連携のあり方について講演と議論を行います

httpwwwscjgojpjaeventpdf100-t-3pdf 

[人材育成]マイクロナノエンジニアリング シンポジウム ‐ イノベーションと人材育成 ‐日時2010 年 12 月 8 日(水)1300 ~ 1700

場所日本学術会議 講堂

主催日本学術会議 マイクロナノエンジニアリング分

科会日本機械学会 マイクロナノ工学専門会議

概要学際的分野であるマイクロナノエンジニアリング

は大学大学院における教育の整備関連する産業界

学術界での研究開発における分野融合的な取組みが不可欠

です本シンポジウムでは人材育成を軸とした課題につ

いて議論します

httpwwwscjgojpjaeventpdf100-s-3-1pdf

[ 博物館展示 ]自然に学ぶ ネイチャーテクノロジーとライフスタイル展開催中です

場所国立科学博物館 (東京上野公園)

日時2010 年 10 月 26 日~ 2010 年 2 月 11 日

主催東北大学大学院環境科学研究科国立科学博物館

特定非営利活動法人ものづくり生命文明機構

概要蝶や鳥など生き物や自然の仕組みにヒントを得た環

境負荷の低い技術と将来的な応用の可能性から日本文化

に根差した共生型の新しいライフスタイルのあり方につい

て紹介します国立科学博物館の入館料600円が必要です

httpwwwkahakugojpevent201010natureindex

html

[人材育成]シンポジウム「世界を魅せる日本の課題解決型基礎研究~JST 目利き制度とその可能性」日時2010 年 12 月 6 日(月)1000-1800 (0900 受

付開始)

場所東京国際フォーラム B5 ホール

主催(独)科学技術振興機構(JST)

概要JST がこれまでに行ってきた戦略的創造研究推進

事業の成果を振り返りつつ今後の日本の科学技術の発

展に向けた事業のあり方について参加者の皆様と議論しま

httpwwwsenryaku30jstgojp 

[ 持続可能性 ]学術会議シンポジウム「低炭素化に向けた経済社会エネルギーのあり方と実現のシナリオ」日時2010 年 12 月 9 日(木)1330 ~ 1700

場所学術会議講堂

主催土木工学建築学委員会低炭素建築都市分科会

社会資本分科会

概要両分科会は中~超長期のエネルギー消費量削減シ

ナリオ策定に取り組んできました本シンポジウムでは

分科会の検討結果や削減のための様々な取り組みを紹介

し今後のとりまとめ作業に向けた議論を行います

httpwwwscjgojpjaeventpdf104-s-3-6pdf 

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PEN 編集室関谷瑞木阿多誠文独立行政法人産業技術総合研究所 ナノシステム研究部門 305-8568 つくば市梅園 1-1-1 産総研つくばセンター中央第 2 M404Email nano-penmaistgojpTel029-861-5185 Fax 029-861-5339

編集後記

今月 8 日に長野県長野市で開催された第 3 回国際ナノ

ワークショップ「ナノテクノロジーの社会受容~ナノ

材料の工業標準化の国際的な動向と環境影響について

~」の会場で多くの企業の皆様と意見交換をする貴

重な機会を得た目まぐるしい勢いで変わってゆく諸

外国の環境規制策の動向に民間企業の皆様が神経を

とがらせておられることがひしひしと感じられた東

京から新幹線で 1 時間半インターネットでリアルタ

イムに世界とつながることのできる時代とはいえ情

報物人が集積する地である東京とは異なる苦労も

あることもお聞きした美しい山々きれいな空気あ

るいは世界に誇る観光遺産と科学技術を結び付けて

地域振興をはかりたいとの頑張っておいでの方にもお

会いした

月刊という制約はあるもののこうした方々にとって

タイムリーで有用な情報を提供し続けたいと改めて

強く感じた

ちなみにPEN を発行しているつくば市の産総研つく

ばセンターへもつくばエクスプレスと路線バスを乗

り継いで都心からは約 1 時間半かかる

2010 年 11 月 25 日

PEN 編集室一同ウナギツカミ

Page 8: Public Engagement with Nano- PEN November …...5 PEN November 【知財】 中国、10年で特許強国に(2010.11.12) 中国国家知識産権局は11日に「全国特許事業発展戦略

8

PEN

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embe

r までに発表された市場レポートや多くの専門家の意見を

引用しNano-Hype が収まった後のナノテクノロジー研

究の行方についてまとめた記事が掲載された

一部のナノ材料が半導体産業などで利用され始めている

ものの全米科学財団(NSF)が 2000 年に予測したよ

うな 1 兆ドル規模の市場は創出できていないこと結局

NSF の市場予測によって実現したのはナノテクノロジー

への非現実的な期待に火をつけることだけであったと指

摘このような状況の背景には革新的な発展を可能に

する技術の実現に関する課題とこのような開発にかか

る高コストの問題があるとしているさらに環境健康

安全への懸念が研究開発の行方を一層不確かなものと

していると述べている

NSF の予測を大幅に下回るものの2009 年の米国のナノ

テクノロジー関連市場は 120 億ドル規模にまで成長して

いる今後も順調に成長を続ければ2015 年には 260

億ドル程度の市場に成長することが期待できる現在

最も市場化が進んでいるのが高機能材料を作り出して

いる化学品産業であるまた健康関連産業とりわけ患

者にやさしい診断用ツールなどの分野で近い将来大きな

飛躍が見込まれるとしRice 大学が 2010 年 4 月に試験

的なナノスケール腫瘍診断用チップの開発に成功してい

ることを指摘しているhttpwwwindustryweekcomarticlesnanotechnology_beyond_

the_hype_23017aspx

【医薬品】ナ ノ 粒 子 を 利 用 し た が ん 治 療 薬 の 製 品 化 が 活 発 化

(20101015)がんについての研究は進んできているものの1950 年代

以降もがんの治療法に画期的といえるような大きな進歩

はない化学療法は患者にとって相変わらずつらく苦し

いもので治療に用いられる薬は健康な細胞もがん細胞

とともに破壊してしまっているしかしナノ材料を用い

たがん治療薬がこのような状況を早晩改善する希望が出

てきたナノ医薬品は初期のハイプの段階を抜け出して

製品化目指して着実に進んでいる今では50 を超える

企業ががんの治療や診断に用いるためのナノ粒子ベース

の医薬品の開発に取り組んでいるこのうちの 34 社はこ

こ 4 年の間に設立された現在活発に臨床試験が行わ

れているナノ医薬品はより複雑で高機能なものである

httpwwwsciencemagorgcgicontentfull3306002314 

【政策産業化】ドイツバーデンヴュルテンベルク州に新しい最先端クラスター発足(20101015)ドイツのバーデンヴュルテンベルク州に準備中であっ

た最先端マイクロシステム研究クラスター Micro TEC

Suumldwest が公式に活動を始めたMicro TEC Suumldwest では

同州を中心に 350 を超える大学研究機関製造やサー

ビス関連企業が29 のプロジェクトに参加することにな

るドイツ連邦教育研究省が 4000 万ユーロ約 46 億円

の資金援助を行う予定httpwwwmstbwdedemstindexhtml

httpmicrotec-suedwestdecmsfront_contentphpchangelang=2

【産業化】各国で実施したナノテクノロジー研究開発の長期展望に関する調査結果を公表(20101013)世界の最新技術動向を調査している米国の NPO である

World Technology Evaluation Center(WTEC)はナノ

テクノロジー研究開発の長期的展望と研究の方向性につ

いてまとめたレポート「Nano2」を公表した本レポー

トは全米科学財団(NSF)の支援を受けWTEC が世界

各国で実施した調査と 2010 年前半に米国ドイツ日本

シンガポールで実施したワークショップでの議論を基に

して作成されたNSF の Mihail Roco 氏が本調査の責任者

であるレポートではこれまでに指摘されてきた様々

な課題について解決に向けた取り組みの状況がまとめ

られているこれらの既存の課題に加え長期的展望に

たった研究開発のための今後の取り組みの方向性につい

ての専門家の提言が盛り込まれている本レポートは草

案の段階でコメントを募集中である

httpwwwwtecorgnano2

http2020scienceorg20101013nanotechnology-2-0-the-next-

ten-years-of-nano-risk-research 

【政策】オーストラリア工業ナノ材料を化学物質管理の対象へ

(2010105)オ ー ス ト ラ リ ア の National Industrial Notification and

Assessment Scheme (NICNAS)は工業ナノ材料を化学

物質管理のための枠組みを定める「工業化学物質報告

評価法」3 章に定める新規化学物質とし報告義務のある

行政手続きの対象とするとして官報で告知したNICNAS

における工業ナノ材料の定義は「ナノスケールで特別

な物性あるいは構造をもつように製造加工設計された

1nm から 100nm のサイズのナノオブジェクト(12

9

PEN N

ovember

3 の次元のいずれかがナノスケールであること)あるいは

ナノ構造(ナノスケールの内部構造もしくは表面)である」

物質とされているまた本項は既存の化学物質のナ

ノサイズの物質にも適用される輸送のためにオースト

ラリアのいずれかの港空港を通過する場合や年間 100g

以下の研究目的の輸入などが適用を免除される適用の

開始は 2011 年 1 月 1 日であるhttpwwwnicnasgovauPublicationsChemical_Gazette

pdf2010oct_wholepdfpage=14 

【社会的影響】ナノテクノロジーとアフリカ大陸(2010106)これまで様々な科学技術が途上国の抱える様々な課題

を解決すると喧伝されてきたナノテクノロジーについ

ても例外ではないしかしこのような考え方は少々単純

すぎると途上国の専門家は考えている2010 年のはじめ

にコートジボワールで開催されたワークショップでア

フリカ諸国にはリスクを避けるためにナノ材料の使用や

輸入を拒否する権利があるとの主張がなされたこのワー

クショップでアフリカ諸国の専門家はベネフィットだ

けでなく科学技術の進歩がもたらす社会的な影響につ

いても関心を持つべきであると述べている

ナノ材料のような新興の材料を用いた製造工程の急激な

変化に途上国の労働者がついてゆくのは困難であること

など技術的発展が必ずしもベネフィットにつながらな

い可能性も指摘されているまた今後ナノテクノロジー

を活用しようとするアフリカ諸国の前に特許の問題が立

ちふさがる可能性が非常に高いと予想されている

いずれにしろナノテクノロジーがアフリカ諸国の経済

に大きな影響を与えることは必至である重要なことは

アフリカの将来を左右するナノテクノロジー研究開発を

どのような方向に進めるのかの決定に当事者として関

与する道を確保できるのかということである

httppambazukaorgencategoryfeatures67525

【産業化】ユ ニ バ ー サ ル メ モ リ デ バ イ ス で IC 市 場 の 巻 き 返 し

(2010105)ユニバーサルメモリデバイスで高性能の小型モバイル機

器の実現するために各国企業が激しい開発競争を行って

いるナノテクノロジーの科学的経済的側面の解析で

欧州の化学技術政策に大きな影響力をもつ Obsevatory

NANO はユニバーサルメモリデバイス向け技術や実現

に向けた課題そして欧州連合(EU)における開発の現

状について簡潔にまとめたレポートを公表した

一時考えられていたような単一の技術がユニバーサルメ

モリデバイスを実現するとは考え難くナノテクノロジー

はユニバーサルメモリデバイス実現の重要な核とみなさ

れる現在の集積回路の世界市場は米国とアジア圏の企

業に席巻されているがObsevatoryNANO はレポートで

ナノテクノロジーとユニバーサルメモリをベースとする

技術開発によって欧州はその牙城を崩すことができる

と分析しているhttpwwwnanoforumorgnf06~modul~showmore~folder~99999~

scc~news~scid~4152~htmlaction=longviewamp

【EHS】ナノテクノロジーの健康環境安全影響の今後について(2010101)米国マサチューセッツ州立大学ローウェル校(UMass-

Lowell)で 9 月 22 日~ 23 日に開催されたカンファレン

ス Destination Nano における主要なテーマの一つが健康

環境安全影響(EHS)であった米国国立労働衛生研究

所(NIOSH)の Chuck Geraci 氏はNIOSH の最近の EHS

分野における活動を紹介した腫瘍や炎症等の発生など

生体影響とナノ粒子とを関係について明らかにする研究

が注目を集めたナノテクノロジーの研究と製造の現場

におけるより適切な管理方法の探求にも力を入れている

またリスクキャラクタリゼーションも NIOSH の重要な

研究課題のひとつであるNIOSH の研究グループは二酸

化チタンの微粒子について気中濃度 02mgm3 を超え

ると炎症や腫瘍の発生リスクが高まることを突き止めて

いる近くカーボンナノチューブに関するリスクキャラ

クタリゼーションが公表される予定であるノースイー

スタン大学の Jackie Isaacs 氏はスイッチング材料とし

てのカーボンナノチューブ(CNT)の全ライフサイクル

についてリスク分析を行ったIsaacs 氏は米国内の埋

め立て地に蓄積する可能性のある CNT の量についても計

算している

UMass-Lowell と NISOH は今後ナノマテリアルの暴

露評価研究を協力して行い中小規模の製造企業や研究

室における適切な取扱いについてのガイドラインを作成

する予定でいるhttpwwwelectroiqcomindexdisplaynanotech-article-

display6748552362articlessmall-timesnanotechmemstools-

equipmentproduction-equipment2010septemberdestination-

nano_html 

10

PEN

Nov

embe

r 世界の人々は科学にかかわる課題についてどのように考えているのかIn Science We Trust by Scientific American and A Pacific Divide by Nature

Scientific American と Nature が共同で科学に関連する

様々なトピックについて世界各国の読者を対象に意識

調査を行ったその結果の概要が日経サイエンス 12 月号

と Nature9 月号に掲載された

本調査は注意深く対象を選択する通常の意識調査とは

異なり両誌の読者を対象としてオンラインで行われた

ものであり「人々の」という言葉が通常想起するような

幅広い市民を対象としたものではないことをまず最初に

指摘しておきたい調査は 2010 年夏に実施され回答

を寄せたのは約 21000 人でそのうち 19の回答者が

博士号保有者であった日本からの回答者は 1196 件で

あった

全体の傾向としては回答者の多くが科学に信頼を寄せ

ていることが明らかとなったただしトピックごとの

回答ついて詳細にみると各トピックで取り上げている

個別の科学に対する信頼度について回答者の居住地域

によってかなりのばらつきも見られた

地域による回答のばらつきがあまり見られなかった設問

の一つが科学技術に関して誰の発言を信頼するかと

いうものであるこの設問への回答では政治家やジャー

ナリストなどの他の発信源を大きく引き離して科学者

が最も信頼できる発信源とみなされているまた経済

状況が厳しくとも科学予算を削るべきではなく代わり

に国防関連予算を削るべきと考える回答者の割合が多い

直ちに見返りはないとしても科学は将来の社会のため

の投資に値すると多くの人々は考えているようである

一方科学と政治の関わりについては回答者の居住地

域のおかれた政治状況や歴史的な経緯などを反映して

大きなばらつきが見られた例えばドイツでは科学者

に対して政治への積極的な関与を求める回答者の割合

が非常に高いのに対して中国では半数近くの回答者が

科学者は政治から距離を置くべきだと考えている個々

の科学技術に対する考え方にも居住地域による差がか

なり見られる日米欧の比較では遺伝子組み換え作物

や原子力利用に対して欧州における拒否感は日本と米

国に比べかなり高くなっている一方ナノテクノロジー

の利用に関しては米国や欧州に比較して日本ではかな

り多くの回答者が不安に感じているようである

同じ調査の結果について Nature 誌に A global survey of

the scientifically literate public reveals a pacific divide

on key issues in science という速報記事が掲載された

Nature 誌では日本を含むアジア圏と欧米の参加者とで

大きく異なる回答が寄せられた設問について取り上げて

いるそのような設問の一つに進化論に関するものが

ある日本からの回答者のうち進化論では生命の多様

性を説明できないと考える人は 349にも上っており

米国の 129英国の 54 に比べて顕著に高い数値と

なっているこの進化論に対する懐疑的な日本の回答は

普段我々が直観的に感じている日本の科学の理解につ

いての状況とそぐわないその理由として設問の作り

が英語を母語としない回答者に対して誤解と与えた可能

性や京都大学の加藤氏が Nature 誌へのコメントで指

摘するように真摯に考えればどのような科学的知識も

100正しいとは言えないと答えざるを得なかったこと

が考えられる

同じ調査結果について Nature 誌に掲載された速報記事

と日経サイエンス誌の記事を読み比べると全く違う

調査あるいは調査対象であったかのように映るこの違

いはNature 誌が同誌の事前の予想と大きく違ってい

た部分欧米とアジアの差に着目し特にその部分を取

り上げたために生まれたと考えられる

日経サイエンス

h t t p w w w n i k k e i - s c i e n c e c o m p a g e

magazine1012201012_092html 

Nature のニュース速報

http wwwnature comnews2010100922

full467388ahtml 

調査結果

httpgonaturecomeKv3nX 

11

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ovember

欧州議会 RoHS 改定作業の現状

欧 州 議 会 Committee on Environment Public Health and

Food Safety(ENVI) 委員会が取りまとめた RoHS 指令改定

案の議会本会議での採決は今月 22 日となったようである

ここで採択され理事会で採択されれば 2014 年以降の施

行に向けた動きとなる今月の本誌 PEN の発行は諸般の

事情から 25 日を予定しており23 日には原稿を締め切る

したがって採択の結果は今月号では速報できないと思われ

る重大な採択がされるような事態になれば読者の皆様

には別途速報として情報提供する

これまで特に欧州議会の中での目立った動きは察知できな

いもののENVI 委員会の主要メンバーは附属書 IV の禁

止物質リストにナノ銀を盛り込むことでその全面使用禁止

求める方針を断念したようであるこれは先月号本誌で示

した議長国ベルギーの提案に従ったものと思われるただ

大変気になるのはもう一つのカーボンナノチューブがどの

ようになっているのかがよく見えない点で水面下でどの

ような議論がすすめられているのか気になっていた先

週述べたとおりベルギー案は追加リストそのものの撤廃

を求めておりその他のナノマテリアルを含む物質に対す

るラベル表示義務さらには安全性データの欧州委員会へ

の提出義務も含まれていない今後の展開は最も強く修

正案を主張してきた ENVI ラポーターの Jill Evans 氏らが

ベルギー案にどこまで歩み寄った形で 22 日の投票を迎え

るかにかかっている

これに関連して中小企業ビジネス支援サイト J-Net21 は

18 日「欧州委カーボンナノチューブ RoHS 規制見送り」

とする速報をリリースしたそれによると今回示された

改正案には二つのナノマテリアルの使用が制限されていな

いとのことまた二つのナノマテリアル以外のナノマテリ

アルに求められていた表示義務についてはまだ議論が続い

ているようである [12]

ま た 23 日 に ロ ン ド ン の Nanotechnology Industries

Association からナノテクノロジービジネス推進協議会へ

届いた情報によると欧州議会と理事会は RoHSWEEE 指

令における「ナノマテリアル」の記述について合意に達し

た模様でその内容は産業界にとも歓迎すべき内容になっ

ているとのこと内容の詳細について現時点では把握でき

ていないるものの少しずつではあるが確実に猶予すべき

事態から脱却しつつあるとみてよい

このような状況のなか今月は日本国内においても RoHS

指令改定案に二つのナノマテリアルの全面禁止やその他の

ナノマテリアルの表示義務が盛り込まれている点について

周知が進み様々な論評が行われたので短く整理してお

まず「問題が多いナノ材料への RoHS 規制」と題する社

説を掲載し問題を明らかにしたのが11 月 15 日付化

学工業日報であるその社説の論旨は「欧州では科学的

確実性が明らかでないリスクを事後的に管理するより予

防的対策が費用対効果からも優れているという考えが根強

い」としたうえで今回の改定案を「極端な予防原則の適

用といわざるを得ない」と指摘しているさらに「日本

の産業界に与える影響も無視できないだけに日本政府や

ナノマテリアルに関連した事業を展開する企業業界団体

は積極的に情報発信すべきである」と欧州議会に対して

明確な意思表示をすべきとのメッセージで社説の最後を

締めくくっている

RoHS 指令改正案にナノ材料が追加された事実を解説した

のは11 月 12 日付日刊工業新聞である37 もの化学物

質を禁止物質候補としさらにカーボンナノチューブとナ

ノ銀に規制を設け適用範囲も拡大される改正案の内容を

解説したうえで22 日に迫ってきた改定案の採択がその

まま施行される可能性は低いと予測しているもし改正案

のまま施行された場合今後の研究開発を停滞させる恐れ

があると指摘している実際に日本などの産業界からの反

連載環境規制 第 7 回

アメリカの環境規制オバマ政権以降の展開

12

PEN

Nov

embe

r 発も大きく「本会議の採択を受けて開催される理事会は

調停案を出す」との観測を示している以上のような解説

の締め括りとして「日本の産業界としては代替材料やナ

ノ材料の安全性評価手法の開発など2014 年の施行を見

すえ早めに体制を整えておく必要がある」と指摘してい

このように日本国内でも ENVI の Jill Evans 女史がまとめ

た RoHS 指令改定案に対する修正意見に対する反発が強ま

るなか2009 年に厚生労働省や経済産業省環境省が相

次いで公表したナノ材料曝露提言のためのレポートやガイ

ドラインに準拠した対策も進みつつある今月 10 日日

本エアーテックはカーボンナノチューブなどのナノ材料

を安全に扱うための作業器具「ナノパーティクル排気ベン

チ」を開発販売を開始したナノ粒子捕集効率の高いフィ

ルターや引き出しと一体化した掃除機曝露防止のため

の手袋や防塵マスク防護服といった対策が図られている

節末になるが昨今の欧州議会の動きに関してナノ

テクノロジービジネス推進協議会の事務局より欧州

の ナ ノ テ ク ノ ロ ジ ー 産 業 の ア ソ シ エ ー シ ョ ン で あ る

Nanotechnology Industries Association (NIA) と の 間 で 交

わされた情報などを逐次配信していただいたことを付記

しお礼を申し上げる

アメリカの環境規制オバマ政権以降の展開

連載の本題に戻る2009 年民主党オバマ政権が発足し

て以降環境政策環境規制に関しても様々な改革が図ら

れるようになってきたこれはオバマ政権に代わったから

ということではないが米国議会は全ての連邦機関に対し

て 5 年間の戦略計画の策定と 3 年ごとの計画の見直しの実

施を要請している政府の行政評価の一環として 1993 年

以降行なわれている rdquoGovernment Performance of Result

Actrdquo で通常 GPRA と呼ばれこれまで各省庁の政策決定

と実行に大きな影響を与えてきたこれを受けて EPA は

今月 7 日2011 年度からの 5 年間の戦略を公表している

[3]環境と健康を守るための 5 つの戦略的な目標として

①気候変動への取り組みと大気汚染の減少②米国内の水

環境の向上③コミュニティの汚染源の根絶と持続的発展

④化学物質の適正な使用と汚染の防止⑤環境関連法の実

施強化を挙げているまた5 つの戦略目標と合わせて

EPA 首脳部が掲げる 7 つの優先分野における取り組みの進

捗状況を図るための新たな指標も設けられている

これに関連して EPA はTSCA インベントリー利用の改革

を進めている米国内で製造もしくは米国に輸入される

すべての化学物質は「TSCA インベントリー」と呼ばれ

るリストで管理される現在 8 万物質以上が収載されてい

る TSCA インベントリーにない化学物質を製造あるいは

輸入する場合EPA に対する届出義務がありこの届出を

行い EPA の審査を受けることでその化学物質が TSCA イン

ベントリーに新規物質として追加される仕組みになってい

るここでいう届出とは90 日前までに行わなければな

らない製造前届出(PMN)であり生産量暴露排出量

の推計人の健康や環境への影響に関するデータ等が求め

られるただし医薬品農薬や食品添加物等の他の法律で

規制される物質や研究開発目的の化学物質には除外措置が

設けられている [4]PMN は届出業者に新たな試験の実施

を求めておらず届出業者が有しているデータのみを提出

すればよいとされているそこで EPA は定量的構造活性

相関等の手法により届出物質の生態毒性値を予測しその

結果に基づきリスク評価を行っている

オバマ政権以降この TSCA インベントリーの改革がすす

められてきたすでに 2010 年 3 月には基本的な検索を無

料化するなどインベントリーのリニューアルを実施しイ

ンベントリー検索が容易になっているまたインベント

リーのデータは通常年二回更新されるがインベントリー

へ新規化学物質の登録が行われる場合は官報で事前に告知

されるようになっている [5]

SNUR とは

EPA の規制措置について触れたついでに今後の議論のた

めに重要新規利用規則(SNUR)についても理解を深めて

おきたいSNUR については経済産業省化学物質管理課の

HP の記述にその内容をくみ取りやすいので以下に引

用させていただく [6]

「TSCA においては評価の各段階で新規化学物質の申請

者と同意を取りながら進めていくという審査体系をとって

おり懸念のある化学物質に対する規制は個別の申請毎

にきめ細かい措置が講じられる体系となっている規制

は申請者に対する同意指令(Consent Order)及び申請

者以外の者にも同様に規制を行うための重要新規利用規則

(SNURSignificant New Use Rule)により行われる同意

指令は当該化学物質のリスクが明確に評価できないにもか

かわらず健康や環境にリスクをもたらす恐れや放出

暴露量が多い恐れのある場合に発せられリスク評価に十

13

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ovember

分なデータがそろうまでの製造等を制限するものである

同意指令は申請者に対して発せられるが公平性の観点か

ら当該化学物質を取扱う全事業者に対して同意指令と同等

の制限を規制するのが重要新規利用(SNUR)である対

象物質について SNUR 要件を遵守できない場合には事前

に重要新規利用届出(SNUN)を提出し個別に審査を受

けることとなるSNUR 対象物質に対する制限措置として

はMSDS 作成やラベリング使用者への注意義務数量

制限や特定用途の制限個別事業者における排水管理など

の幅広い手法があげられており対象物質に応じて適切な

規制が適用される」

したがってTSCA のインベントリーに登録された化学物

質が SNUR に指定されるということはPMN 届出業者と

の同意指令の中で当該化学物質の健康や環境影響が無視

できないことの反映である先月号の本誌 PEN で述べた

とおりEPA がこれまでナノマテリアルで交わした同意

指令はイギリスの Thomas Swan 社の子会社でアメリカ

New Jersey 州 Lyndhurst で CNT 製造を行っている Swan

Chemical Inc であるEPA が昨年来 CNT を SNUR 対象物

質にする方向でパブリックコメントを求めてきたがこれ

は Swan Chemical Inc との間で交わされた同意指令の内容

を他の CNT 製造企業にも求めることを意味するEPA の

SNUR での単層および多層 CNT の規制もいよいよ最終段

階に入ってきている

Reference[1] httpj-net21smrjgojpwatchnews_tyusentry20101118-15

html

[2] httpj-net21smrjgojpwatchnews_tyusentry20101117-15

html

[3]httpyosemiteepagovopaadmpressnsfd0cf6618525a9efb8

5257359003fb69d60a5ce970092692e852577b5005c4ff3Open

Document

[4] httpwwwepagov

[5] httpwwwepagovopptnewchemspubsinvntoryhtm

[6]httpwwwmetigojppolicychemical_management03kanri

f1htm

かわいいだけではないらしい

日本ではペットとしてイヌと人気を二分しているネコかわいい口に重大な秘密が隠されていたようです

イヌは舌ですくい上げて水を飲んでいることが分かっています水を飲み終わったイヌの口元は濡れています

しかしネコはミルクを飲んでも口元が汚れないしどうもイヌとは飲み方が違うようだと考えた Pedro Reis 氏

らは高速イメージング技術を用いてネコの秘密にメスをいれました

その結果ネコは重力と慣性力を利用して水を飲んでいることが明らかになりましたネコはまず舌先だけを

水やミルクなどの液体に軽く接触させたのち舌を丸めますそして丸めた舌を元に戻す際の慣性力を使って水

の柱を作りそれを吸い込むようにして飲んでいるのですネコのサイズが変わると舌を水につけるスピード

が落ちてゆっくりとした動きに変わるものの動きそのものは全く同じであることが観察によって明らかになっ

ていますネコ科で 2 番目に体が大きいライオンの飲み方も小さなイエネコの飲み方も同じなのです

様々な分野で活躍する働くイヌと違って「ただかわいいだけ」と言われるネコですがその精緻な舌の動きと

機能はソフトロボット技術研究の進展に役立つと期待されています

How Cats Lap Water Uptake by Felis Catus PMReis RStocker SJung JMArstoff Science 20101111 (online

publication)

httpwwwsciencemagorgcontentearly20101110science1195421

14

PEN

Nov

embe

r

基本政策専門調査会資料公開総合科学技術会議

11 月 17 日中央合同庁舎第4号館で開催された第 11 回

総合科学技術会議基本政策専門調査会の資料が公開され

た10 月 18 日~ 11 月 8 日にかけて行われたパブリック

コメントの結果等も公開されている特に注目される「Ⅴ

社会とともに創り進める政策の展開」の項目のなかの「社

会と科学技術イノベーションとの関係深化」の課題には

①「国民の視点に基づく科学技術イノベーション政策の推

進」には欧米にくらべ遅れている「政策の企画立案及び

推進への国民参画」の促進が必要その方法論を研究し

具体的な参画の場や運用を整備すべき国の機関のみなら

ず各地の大学や研究機関が主体的に参画できるものであ

るべき②科学技術だけでなく社会についての知を総合

しなければイノベーションは不可能③「倫理的法的

社会的課題への対応」でヒトの臨床試験に関する法律

動物実験バイオ施設といった具体例を論ずるべきといっ

た意見が集約されている

また民主党政権が達成目標としている「政府研究開発投

資の対 GDP 比 1」に関しては資料 4 - 1 の第 4 期科

学技術基本計画における投資目標のなかに2008 年度の

実績が 072 であったことが示されているちなみにア

メリカは政府研究開発投資の対 GDP 比 1 を維持してい

httpwww8caogojpcstptyousakaiseisakuindexhtml

科学技術に関する最近の話題への国民の関心について科学技術政策研究所 (NISTEP)

文部科学省所管の科学技術政策研究所は科学技術に関す

る最近の話題への注目度など速報性のあるデータについて

公開したまた同研究所は「日本の研究者を対象とした科

学における知識生産プロセスについての大規模アンケート

調査」の結果についても公表を行ったhttpwwwnistepgojpnistepabout09html

httpwwwnistepgojpachievftxjpnmat191jpdfmat191j_

reportpdf

公共政策のためのパブリックコメント2011 年度予算編成に伴い9 月末から政策コンテストが

進められているこれは市民から広く意見を聞くパブリッ

クコメントのことであるところがある省の政策担当者が

政策立案に関わった専門家に提出方法についてメールで周

知し間接的ながらも意見の提出を促した事実が明らかと

なったこの問題は今月 18 日付新聞各紙で報道された

時代の流れである政策の公共性に逆行し公共の利益に反

する行為であるいわずもがなではあるがパブリックコ

メントが義務的な制度ではなく今後政策や予算立案の過

程で当然の仕組みとして定着していくためにもパブリッ

クコメントを広く公平に集める仕組みつくりは危急の課題

であり集まったコメントに耳を傾ける真摯さが政策サイ

ドに求められている政策や予算に対するパブリックコメ

ントは政策の公共性に必要不可欠の仕組みであり科学技

術の社会受容の重要なプロセスである「パブリックコメ

ントを行いました」という既成事実のためにあるのではな

共同声明「国際化拠点整備事業(グローバル 30)の強化を要望する」11 月 16 日

東北大学筑波大学東京大学名古屋大学京都大学

大阪大学九州大学慶應義塾大学上智大学明治大学

早稲田大学同志社大学立命館大学

平成 21 年度に開始された国際化拠点整備事業(グローバ

ル 30)に採択されている上記 13 の大学は昨年に引き

続き本事業が行政刷新会議の事業仕分けの対象となったこ

とに関して共同声明を発表したその骨子は国際的視

点と人材教育の視点から大学及び日本社会の国際化のた

国内情報

15

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ovember

めのグローバル 30 をさらに拡充強化されることを政府に

要望するものでまた予算の縮減などになれば国際社会に

おける日本の信頼が大きく傷つくばかりでなく日本の将

来について致命的な打撃を与えるのではないかと指摘して

いるh t t p w w w o s a k a - u a c j p j a n e w s t o p i c s 2 0 1 0 1 1

files20101116_2pdf

加速する EV 市場電気自動車 (EV) 市場が大きく展開し始めたすでに三菱

自動車は昨年から EV アイミーブを市場に投入している

日産自動車は今年 7 月から EV リーフの試乗会を行ってき

たがいよいよ来 12 月には EV リーフの日米同時の販売

を開始するこれにあわせて 12 月 45 日に横浜市内で

公道上での試乗会が行われる今後は技術提携を進めるフ

ランスのルノー社との技術の共通化が図られる

このような動きに対しトヨタやホンダはこれまで EV に

は慎重な姿勢を維持してきたしかしこの数か月でその姿

勢にも大きな変化が出てきた今月 17 日から開催されて

いるロサンジェルスのモーターショーでトヨタは RAV4

の EV モデルホンダはフィットの EV モデルをそれぞれ

公開しているこれまでハイブリッド技術で覇権を制して

きたトヨタはこの 5 月にカリフォルニアの EV 開発ベン

チャーであるテスラと資本提携スポーツタイプ多目的車

(SUV)をベースとした EV の開発を加速させているテス

ラは 2008 年から時速 200km を誇るロードスターの市場

投入実績を有しておりトヨタ以外にもすでにダイムラー

とも資本提携を行っているまた今月にはパナソニックと

電池の共同開発を開始するなど2015 年の本格的なアジ

ア市場での販売計画に向けて技術開発を加速させている

テスラの技術は家電製品に使われる汎用電池を多数並べて

用いるところに特徴があり現時点では車載用専用の電池

の開発を進める他の EV との差別化を図ることに注力して

いる

このような一連の動きは2012 年のカリフォルニア州に

おける環境規制の施行を見据えたもので2012 年が EV

普及にとってフラグポイントになるアメリカでもゼロエ

ミッション EV の開発が活発に行われ経営破たんしてい

た GM が 11 月 18 日に株式市場に再上場するなどアメ

リカの産業構造も大きく変わりつつあるただモーター周

りの技術に関しては中国企業との共同開発も進められて

いる

このような EV 市場の急展開の様相は日本の経済を支え

てきた自動車産業に大きな質的変化をもたらしつつある

EV は「自動車が家電製品になる」と形容されるように

車載用駆動電源としての 2 次電池の高性能化やリチウム

資源の確保さらには太陽光発電利用やスマートグリッド

まで含めたエネルギーデリバリーシステムや充電インフラ

等々幅広い産業活性化の起爆剤でもあるEV がオフィ

スや家庭の家電とつながればIT 産業にも大きなビジネス

チャンスが到来する自動車産業は家電メーカー総合

商社IT 企業その他さまざまな技術領域を巻き込んだ覇

権争いに突入していこうとしておりこれまで ldquo 城下町 rdquo

と称された日本の垂直統合型自動車産業そのものが大きく

変わりつつあるといっても過言ではない

ところで「モーターをタイヤにした」構造的には内燃機関

式に比べ単純な構造の乗り物でもある EV の市場には新

興国の新規産業が参入しやすいという一面がある上述し

たような 2012~15 年にかけて強まる世界的な環境規制を

追い風に新興国から多くの EV 産業への参入が予想され

る実際に中国広東省のベンチャー企業 BYD などはそ

の急先鋒として成長し続けている日本の産業は1990

年のバブル崩壊以降 20 年にわたって「技術で勝って市

場をとれない」状況に苛まれてきた対処策の一つは技術

開発と経営の基本姿勢である言うまでもなく技術が発展

することは製品の質の向上に結び付くのだがただ「より

良い技術をふんだんに詰め込めばおのずと製品は売れる」

という安易な技術への過信や過剰な技術の詰め込みがイノ

ベーションプロセスに負に作用することも事実であるエ

リアごとに大きく異なる市場のニーズを的確に把握するこ

とと急速に展開する市場に対応した経営意思決定の迅速

化がキーになる

もう一つは国際的な枠組みでのインフラ技術の標準化であ

る一国一票の投票権を持つ国際標準化の策定プロセスで

は欧州が圧倒的な強さを維持しており日本は常に苦戦

を強いられる立場にある国際電気標準会議 (IEC) におけ

る EV インフラ技術の標準化チャデモ協議会といった日

本の対応については週刊エコノミスト 12 月号 40 ~ 41

頁に詳しい

また日刊自動車新聞によると電気自動車普及協議会が

EV の高電圧周りの安全対策などに関するガイドラインの

策定を始めているが緊急性の高い項目は今年度中に情報

公開される模様である

国立研究開発機関(仮称)構想省庁の縦割り政策の弊害を解消して研究開発を効率的に進

めることを目的に文部科学省は 38 の独立行政法人研究

機関の再編統合を図る仮称「国立研究開発機関」構想を

打ち出している海江田科学技術政策相はその設置法案を

来年度の通常国会に提出する考えを明らかにしこれに併

せて発足に向けたスケジュール作りがすでに検討チームの

中で始まっているその一方蓮舫内閣府特命担当大臣(行

16

PEN

Nov

embe

r 政刷新)公務員制度改革担当は文部科学省ではなく内閣

府主導で予算編成を行うべきとの考えを示し行政刷新会

議も「焼け太りは許さない」と文部科学省を牽制設置法

そのものの提出をくい止めたい考えである他の様々な施

策同様これも民主党政権内での軋轢となっている

化学5社化学物質情報伝達を電機大手と共通化中小企業ビジネス支援サイト J-Net21 は11 月 15 日に

日本の化学大手 5 社がアーティクルマネジメント推進協

議会の仕組みを活用して製品に含まれる化学物質の伝達

方法を電機大手と共通化することを発表サプライチェー

ンでの情報伝達の共通化が図られるhttpj-net21smrjgojpwatchnews_tyusentry20101115-10

html

22 年度科学技術関係補正予算閣議決定先月末の 26 日平成 22 年度補正予算 4 兆 8500 億円が

閣議決定された今月 11 日付科学新聞はこのうち科学

技術関係予算を文部科学省のスパコン「京」への 186

億円などを含め約 1500 ~ 2000 億円程度と見積もってい

る経済産業省関係では産学官連携のイノベーション拠点

立地支援事業への支援策が多く盛り込まれているつくば

イノベーションアリーナ中核拠点と位置づけられている産

総研には補正予算 30 億円が配分されている

なお内閣府総合科学技術会議は 11 月 4 日2010 年度

の当初予算額 3 兆 5878 億円に対し補正予算案は 1864

億円経済危機対応地域活性化予備費は 141 億円で

合計は 3 兆 7742 億円となったことを明らかにした補正

予算の詳細については 11 月 4 日「平成 22 年度経済危機

対応地域活性化予備費及び補正予算案(科学技術関係予

算)について」として内閣府から公開された

httpwww8caogojpcstpbudgeth22hoseipdf

ナノボーグの販売軽量化フレキシブル化が進む様々なデバイスをまとめて

身に着けることが可能な服が「ナノボーグ」である東工

大谷岡教授が名付けたもので4 日付日刊工業新聞による

と今月にも太陽電池を電源とするジャケットがアメリカ

のアパレルメーカーから発売される

httpwwwnikkancojpnewsnkx0320101104eaahhtml

ldquoNBCI ナノナビ rdquo 創刊ビジネス環境のグローバル化オープン化に伴って政策

や規制動向研究開発動向の迅速な情報共有への要求が高

まりつつあるこれに応え一般社団法人ナノテクノロジー

ビジネス推進協議会(NBCI)は不定期の情報誌 ldquoNBCI

ナノナビ rdquo を創刊先月末より会員向け配信を開始した

創刊号では標準化の重要な課題であるナノラベリング(使

用ナノ材料の周知目的)の動きナノネット活用等につい

て最新の動向が配信された

httpwwwnbcijp

フラーレンのナノエレ応用脚光を浴びるカーボンナノチューブやグラフェンに比べ

フラーレン(C60)のナノエレクトロニクスへの応用展開

は広がらない状況が続いてきたがこの度 C60 を積層し

た有機トランジスタが開発されたこれは 11 月 1 日付日

経産業新聞が報じたもので大阪大学と山形大学大日本

印刷の共同研究の成果である試作された C60 を含む有

機トランジスタは従来の有機トランジスタより大きな電

流を流すことが出来400 キロヘルツの高速応答が得られ

たとのこと

筑波大に生命科学研究拠点先月末筑波大は先端学際領域研究センター通称 TARA

センターを改組し生命領域学際研究センターを設立浅

島誠氏がセンター長に就任した今後 20 人の研究部隊が

幹細胞研究などに特化した研究を展開する

新規事業への投資を名城ナノカーボン10 月 29 日付の金融専門誌ニッキンは名城ナノカーボ

ンの橋本剛氏をとりあげた同社は 2005 年 4 月に当時

銀行員であった橋本氏が名城大安藤義則教授と共に設立

したカーボンナノチューブの開発製造販売を手がける

名城大発ベンチャー橋本氏は今後 5 ~ 10 年で名城ナノ

カーボンの上場を目指すとし取引金融機関に対して新規

事業への具体的な資金投入を期待している

CNT 生産能力倍増昭和電工10 月 29 日付化学工業日報は昭和電工(株)川崎事業

所におけるカーボンナノチューブ (CNT) の年産 100 トン

から 200 トンへ引き上げ計画を報じた同社はリチウム

イオン 2 次電池向け気相成長 CNT の供給を行っているが

今後はさらに急速な需要拡大が進む可能性もありさらに

生産体制の拡大を図る可能性もある

17

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ovember

宝石という名前の虫

タマムシはタマムシ科の 4 センチメートルほどの甲虫です漢字では玉虫と書きます玉とは宝石のことで

その名のとおり赤い縦の線が走る虹色がかった緑色の金属光沢の美しい翅をもっています

法隆寺所蔵の国宝「玉虫厨子」を教科書などで見たことがある人も多いのではないでしょうか厨子は仏像な

どの礼拝の対象をしまう大切な入れ物のことです天平の世の人々がその大切な厨子の壁面を飾る細工の材料

にタマムシこそが相応しいと思ったのも納得できる美しい甲虫です残念ながら現在では玉虫厨子の壁面の

翅の多くは脱落してしまっていますが往時を再現した複製品から天平の時代の華やかな色が想像できます

タマムシは時代や洋の東西を問わず美しいと思われるようでベルギーにはその美しさに憑かれて宮殿の天

井を大量のタマムシの翅で飾った現代工芸家もいます

タマムシは厨子に使われた翅だけでなく腹部や脚触角なども緑色の光沢を放っていますまた美しい

翅が良くわかるような背面からの写真が多いので米粒型のすんなりした形のイメージが強いですが横から

見た体には以外と厚みがあります成虫は樹冠を飛び回り主にニレ科の広葉樹の葉を食べています幼虫は

カブトムシの幼虫に似た白いずんぐりしたイモムシで餌も葉ではなく木ですそのため害虫に分類されても

います

岐阜県高山市「茶の湯美術館」に玉虫厨子のレプリカが展示されています

httpwwwnakada-netjpchanoyutamamushi_zushihtmtamamushi 

18

PEN

Nov

embe

r

これを批准した結果日本は 1990 年を基準として 6の

温室効果ガス削減を国際的に約束した日本国憲法によれ

ば国際条約は守らなければならないことになっているの

で「チーム -6」などという運動が日本全国にできた

これの何が間違いだったのであろうか以下その根拠を説

明する尚現在の一次エネルギー源は 80以上が化石

燃料によるものであるからエネルギー消費と温室効果ガス

排出はほぼ同義語であるまた国内総生産(GDP) の増

大すなわち経済成長は社会の安定と国民の安心感を支え

る基本的な要素でありその減少は社会の不安定化をもた

らすため増大させることが必須である

日本は 1973 年の第一次石油危機で大きなダメージを受

けそれから「省エネルギー技術」の開発を血眼になって

推進したその結果図 1 に示すように日本は世界一の「省

エネ大国」になったのである図で縦軸は石油換算のエネ

ルギー消費量横軸は GDP をドル換算したもので1995

年のデータを示してある斜目の破線は一定の GDP を作

り出すのに必要なエネルギー量をトン単位で示しており

これが小さいほどエネルギー効率のいい社会であるつま

り使用エネルギーが少なくなるか同じエネルギーを使っ

ても生産額が多くなればエネルギー効率は良くなる

 エネルギー効率=使用エネルギー生産額(GDP)

図から明らかなように日本は 1995 年時点でも既に世

界で一番エネルギー効率の良い国だったのであるドイツ

フランスイタリアなどは日本の 15 倍イギリスは 2 倍

アメリカが 3 倍中国やロシアに至っては何と 10 倍以上

のエネルギーを浪費しているということが一目瞭然であ

る日本がこのようなエネルギー効率の良い状態から更に

エネルギー消費を減らすなどと言うことは被虐趣味以外

の何物でもないちなみに図 1 は小生が京都議定書を見て

「これは誤りである」と確信し直ぐに作成したものであり

13 年前には既に分っていたことである

それでは日本は何を主張すれば良かったのか賢明な読

者は図 1 を見れば直ぐに考え付くであろうそう「世界

の皆さん今後 10 年間でエネルギー効率を高くする努力

をし現在の日本並みとまでいかなくても少なくとも近

付く努力をしてください」と主張すべきだったのだこれ

なら発展途上国も経済発展を保障されるから合意できたで

あろうし何よりも日本の「省エネ技術」を世界標準とし

て輸出可能であったろう昨年中華人民共和国(中国)が

出した指標はまさにこのような考えに基づいたものであろ

うどこかの国の首相が温室効果ガス排出量(=エネル

ギー消費量)の 25の削減を持ち出したのに対し「中国

はエネルギー効率(=使用エネルギー生産額)を 40

向上させる」と主張した図1から見ても彼等は 1995 年

の日本の水準に追いつくだけで 90の削減が可能であり

40などというのは非常に容易な達成目標であることは

明らかであるまさに国際条約を締結する上での基本的

な事項である「自国の利益を最優先する」という原理原

則にも合致している流石は厳しい歴史を体験してきた国

京都議定書が提案されてから既に 10 年以上経過した今

更と思われる方もおられるかも知れないが現在の日本が

抱える様々な矛盾の出発点の一つが京都議定書であると考

えざるを得ない以上ここで改めてその問題点を明らかに

したい環境省のホームページに掲載されている京都議定

書の内容は以下のとおりである

(httpwwwenvgojpearthcop63-2html)

ポイント先進国の温室効果ガス排出量について法的拘束力

 のある数値目標を各国毎に設定

国際的に協調して目標を達成するための仕組みを

 導入(排出量取引クリーン開発メカニズム共同

 実施など)

途上国に対しては数値目標などの新たな義務は導

 入せず

寄稿京都議定書で日本は何を主張すべきであったか東洋大学大学院学際融合科学研究科 教授 和田恭雄

19

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ovember

は違うなどと感心してはいられない

今からでも遅くない「2010 年を基準としてエネルギー

効率の向上を図る」ことを国際的な合意目標に切り替え

るべきである無論為替レートは 2010 年現在の 1 ド

ル= 80 円程度に固定して比較すべきである現在の円

高を考えれば分母が大きくなることが日本の利益につ

ながるからだ国際条約においては「被虐趣味」は最低

の選択であることを忘れてはならない「率先垂範」など

と言う言葉は国際社会では通用しない無論表面上は大

いに賞賛されようが腹の底で「カモが来た」と思われ

食い物にされるだけである他人から褒められるために

自らの競争力を放棄するようなことは止めるべきである

京都議定書を他山の石としてナノテクノロジーの世界

でも「自らの強みを世界の標準にする」という基本的な

姿勢を取るべきであるのは当然のことであるdarr

darr 世界各国のエネルギー消費量と総生産の比較図右下

に行くほどエネルギー効率が高く同じ GDP を創り出す

のに温室効果ガスの排出量が少ないということを示す

日本は 1995 年当時既に世界一の「省エネ大国」であり

西ヨーロッパの 15 倍米国の 3 倍ロシアなどよりも

10 倍以上効率の良い経済体制になっていたことが分か

る世界中の国が日本を手本にすれば温室効果ガスの排

出量を減らしつつ経済成長が可能になり即ち皆がハッ

ピーになれることを示すことができるばかりでなく日

本の省エネ技術を世界標準にすることも主張できる根拠

となる

20

PEN

Nov

embe

r

日本では21 世の始まりと共に科学技術政策に基づ

いてナノテクノロジーの研究開発への戦略的投資が開始

された2001 年度からの第 2 期科学技術基本計画と

2006 年度からの第 3 期科学技術基本計画の都合 10 年

間にわたる優先的戦略的な研究開発の資源の投入も余

すところ4ヶ月となった

21 世紀を担うと期待されたナノテクノロジーには研

究開発側から社会への一方的な応用があたりまえであっ

たこれまでの科学技術とは異なる研究開発の方法論が導

入されたコア技術の研究開発と並行してその技術の社

会的影響を検討しそれをさらにコア技術の研究開発に

フィードバックするという新しい研究開発の方法論であ

る [1]ナノテクノロジーの社会的影響にとって最も重

要で緊急の課題がナノ材料の環境健康影響安全 (EHS)

の課題であった技術の社会的影響を検討しながら進め

られているナノテクノロジーの研究開発がうまくいくか

どうかこのことがナノテクノロジーに続く今後の新興

の科学技術の研究開発のあり方に大きな影響を与えるこ

とになる社会的影響をフィードバックしながら進める

責任ある研究開発がはじめて試みられた日本のナノテク

ノロジーがこれまで 10 年間にわたって戦略的研究開発

投資を続けてきた現在どのような状況にあるのか今回

の特集ではそれを俯瞰的に解析する

まず国内の全ての新聞と雑誌に掲載されたナノテクノ

ロジー関連記事の数を統計的指標としてナノテクノロ

ジーの研究開発に対して日本の社会がどの程度の関心を

示しているのか評価することを試みる図1に日本

のメディアに掲載されたナノテクノロジー関連の記事の

年推移を示すグラフから明らかなようにナノテクノ

ロジーへの戦略的研究開発投資が始まった 2001 年まで

日本のメディアはほとんどナノテクノロジーを取り上げ

ていないただこれは日本にナノテクノロジーの萌芽

的研究開発がなかったということではない

一例をあげるなら工業技術院は産業科学技術研究開発

制度の一環として新エネルギー産業技術総合開発機

構(NEDO)の委託により原子分子極限操作技術の研

究開発プロジェクトを展開した1992 年から 10 年間に

わたり分子原子をボトムアップ的に集積する研究開発

を進めたこのプロジェクトは技術研究組合オングスト

ロームテクノロジー研究機構(ATP)と呼ばれたさらに

ATP と産業技術融合領域研究所は同研究所内にアトム

テクノロジー研究体(JRCAT)を設置して産官学の共同

研究プロジェクトを推進した折しも日本は 1990 年の

バブル経済の崩壊後失われた 10 年と称される経済の停

滞に苦しんでいたまだナノテクノロジーに対する期待

は高まってはいなかったが日本のナノテクノロジーは

着実に萌芽的研究開発を進めていた困難な経済のなか

で日本のナノテクノロジーはその萌芽に向けた着実な

準備をしていたといえるのだがこのような地道な研究

開発が進められていた点はこの統計からは見えにくい

0

500

1000

1500

2000

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2001

2002

2003

2004

2005

2006

2007

2008

2009

図 1

特集

10 年におよぶナノテクノロジー研究成果の発展的継承を 

21

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2001 年度から戦略的な究開発投資が開始されると同時

にナノテクノロジーへの関心は急速に増していった

わずか 2 年後の 2003 年にはその期待は極みに達して

いる上述したとおり我々はこの統計で縦軸をナノテ

クノロジーに対する社会の関心と見なしておりこれは

David M Berube 氏が示した典型的な Hype 曲線の縦軸

「Visibility」と同義とみなせる [2]その類似性を図 2 に

示す

図 2

日本では Nano-Hype と呼べるピークが高性能瞬間湯

沸器よろしく戦略的研究開発投資が開始されたわず

か 2 年後の 2003 年に出現しているのであるまたJ

Fenn らはこのようなピークを図 3 に示すようにイノ

ベーションのハイプサイクルにおける rdquoPeak of Inflated

Expectationsrdquo と表現している [3]

Exp

ect

atio

ns

Time

InnovationTrigger

Trough ofDisillusionment

Slope ofEnlightenment

Plateau ofProductivity

Peak of InflatedExpectations

図 3

この時期はナノテクノロジーの将来価値への大きな期

待の反面研究開発の実態は希薄である実体の伴わな

い過剰な期待を理由に「一部の有力な科学者や政策担当

者がこのような Hype の状況を意図的に作りだした」と非

難する論調もある確かに Nano-Hype はナノテクノロジー

の将来価値への期待が研究開発の実態を上回る状況では

あるがナノテクノロジーに対する社会の関心や期待を

喚起しその期待を背景にナノテクノロジーへの研究開

発投資が漸次増加していったことも事実であるまたナ

ノテクノロジーの事をもっと知りたいという知的欲求も

刺激されそれに応えるためにいくつかの大学ではサイ

エンスコミュニケータやサイエンスインタープリタサ

イエンスジャーナリストの養成講座等が開設されたさ

らに今日年間 2000 回以上のサイエンスカフェが全国各

地で開かれるなどナノテクノロジーのような新興の科

学技術のパブリックエンゲージメントの活動の契機にも

なったNano-Hype と呼ばれる状況がそのような様々

なプラスの効果を日本にもたらしたことも忘れてはなら

2003年

2010年

2003年

22

PEN

Nov

embe

r ない点である

実体の伴わない過剰な期待が徐々に覚めていく Negative-

Hype の状況はHype が極みに達した 2003 年直後の

2004 年から 2007 年にかけて顕著に現れてくる依然

として政府のナノテクノロジー材料領域への研究開発

投資が伸びるなかメディアがナノテクノロジーを取り

上げる頻度は急速に下がり社会の関心は冷めていった

過剰な期待が冷静さを取り戻していく Negative-Hype は

必然であるとしても注目しておかなければならない大

事な点は Negative-Hype がいつ止むかいつ底を打つの

かである図 1 から明らかなように2004 年以降 2007

年まで急速に下降しているものの2008 年から 2009 年

と明らかに Negative-Hype は底を打っている

上述の J Fenn らは新しいハイプサイクルの縦軸の評価尺

度を議論しているのだが図 4 に示すようにハイプサイ

クルのプロフィールが二つの要素からなることを示して

いる [4]この指標を採用すると今年 2010 年の日本の

ナノテクノロジーはHype が終わりエンジニアリング

またはビジネスが徐々にその成熟度を増していくちょ

うどその過渡期にあるとみてよい今後ナノテクノロジー

がITエネルギー環境ライフサイエンスといった様々

な技術分野の基盤技術としてその実用化に貢献していく

現在はちょうどその転換点にあるそのプロセスを確実

に進めていくには中長期的な一貫した科学技術政策に

よりナノテクノロジーの基礎的な研究開発を継続的に

推し進めていくことが肝要である

図 4

そして10 年に及ぶ科学技術政策に基づいたナノテク

ノロジーの戦略的研究開発投資の成果を応用実用化

へ確実につなげていくために取り組まなければならない

もっとも重要な課題が包括的で実態のあるナノテクノ

ロジーのパブリックエンゲージメントの活動である昨

今ナノテクノロジーの研究開発と並行して社会受容

パブリックエンゲージメントの活動の重要性が指摘され

るようになってきたしかしこの課題に関する解釈は

依然としてまとまりを欠いているだけでなく「こういっ

た課題への取り組みが大事である」といったことが最後

の部分に申しわけ程度に記述されている例も多々見受け

られる取り組んでいるという既成事実のために実体の

伴わないパブリックエンゲージメントの活動が進められ

ると将来的にナノテクノロジーへの信頼も失墜しかね

ない多様な課題を含む社会受容パブリックエンゲー

ジメントの活動には包括的な視点で具体的実践的に取

り組んでいく必要がある

ReferenceRoco M C amp Bainbridge W S 2001 ldquoSocietal

Implications of Nanoscience and Nanotechnologyrdquo

Kluwer Academic Publishers

Berube M B amp Roco M C(FRW) 2005 ldquoNano-Hype

The truth behind the nanotechnology buzzrdquo Prometheus

Books

イノベーションのハイプサイクル

「Mastering the Hype Cycle」J Fenn M Raskino

Harvard Business Press 2008

M Raskino J Fenn IT Management(ITM) ITM-09-

37 Research Note 2010 年 2 月 9 日

23

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【CO2 排出量】世 界 的 な 金 融 危 機 に も か か わ ら ず2009 年 の 化 石 燃料 由 来 の 二 酸 化 炭 素 排 出 量 の 減 少 は 小 幅 に と ど ま る

(20101122)国立環境研究所(国環研)

国環研はグローバルカーボンプロジェクト (GCP) が 11

月 22 日の Nature Geoscience 誌の電子版に調査結果を発

表すると速報したその内容は世界金融危機の経済的

影響にも関わらず2009 年における世界の化石燃料由来

の二酸化炭素排出削減量が予測値である 28を下回り

前年比 13にとどまったことで同じく GDP の減少も予

測値を下回っている

httpwwwniesgojpwhatsnew20102010112220101122html

【量子コンピューティング】量子コンピュータ実現への障壁を緩和する誤り耐性方式を開発 (20101124)日本電信電話(株)京都大学

量子コンピュータに必須な量子ゲートは確実に正しい演

算をすることはなくある程度の誤り確率をもつため量

子コンピュータを実現するためには演算の誤り訂正を行

う技術の実現が必須となる演算の誤り訂正を行うために

はある程度誤り確率の低い量子ゲートが必要であると考

えられてきたが今回共同研究チームは誤り確率が非常

に高い量子ゲートを用いても量子計算が可能となる誤り耐

性のある量子計算方式を世界で初めて示した

httpwwwnttcojpnews20101011101124ahtml

【光電変換】ナノギャップ光アンテナにより高効率化した有機超薄膜による光電変換 

(20101122)物質材料研究機構北海道大学

NIMS と北大の共同研究チームは有機超薄膜型の光電変

換分子素子において光吸収電子伝達といった必要な機

能をもつ部品を連結した分子から成る単分子超薄膜を原

子レベルで表面制御した平滑な金電極面と金ナノ粒子で挟

み込むことによってナノギャップ型の光アンテナを導入

することに成功したその結果光アンテナ 1 つあたりで

光誘起電子移動反応が約 50 倍の効率に高まることを実

証した

httpwwwnimsgojpnewspress201011p201011220html

【EV】シンガポール政府と電気自動車の普及に関する覚書を締結

(201011 19)三菱自動車(株)

MMC はシンガポール政府と電気自動車(EV)普及のため

の活動に協力する内容の協定を締結したことを発表した

今回の活動はシンガポールの経済開発庁が中心となり

同国のエネルギー市場監督庁陸上交通庁との間で EV タ

スクフォースを組成し同国の EV 普及を目的としたユー

ザー向け補助金制度や充電インフラ整備などの検証を行う

ものこの活動の中でMMC は CCA を通じ 2011 年より

順次『i-MiEV(アイミーブ)』25 台を供給し実証走行

試験に協力していくhttpwwwmitsubishi-motorscompublishpressrelease_jp

corporate2010newsdetail4407html

【リチウム二次電池】リチウム二次電池の量産化実証工場が竣工 年間生産能力6 万 6000kWh (201011 18)三菱重工業(株)

リチウム二次電池事業への本格参入に向け長崎造船所内

に建設していた同電池の量産化実証工場が17 日竣工し

た年間生産能力は 6 万 6000kWh中型電池換算で約

40 万個に相当する今後各種実証技術に取り組み早期

の本格的な商業量産につなげていくとしている

プレスリリースより

CUTTING-EDGE TECHNOLOGIES

24

PEN

Nov

embe

r httpwwwmhicojpnewsstory1011184999html

【基礎科学物質の起源】動きがのろい冷反水素原子を 38 個も磁気瓶に閉じ込める物質と反物質の違いを知る手がかりとなる冷反物質研究が新段階に (201011 18)物質材料研究機構(NIMS)

NIMS は欧州原子核研究所(CERN)の国際共同研究グルー

プに参加し反物質の代表格である反水素原子を独自に

開発した八重極磁気瓶の中に 38 個も閉じ込めることに世

界で初めて成功した反水素原子の原材料である反陽子(陽

子の反粒子)と陽電子(電子の反粒子)を八重極磁場コ

イルとミラーコイルを組み合わせた磁気瓶の中に蓄積し

そっと混ぜ合わせて冷たい反水素原子を大量に生成した

反水素原子は電気的に中性の小さな磁石なので反水素原

子ができあがったころ(約 1 秒後)を見計らって電圧を

加え残存している反陽子と陽電子をことごとく排除した

その後磁気瓶の磁場を瞬時にゼロにすると磁気瓶内に

とどまっていた反水素原子は装置の壁に当たって消滅し

パイ中間子などのさまざまな粒子を放出するこれらの粒

子を磁気瓶を包む 3 枚の検出器で観測した結果捕捉し

ていた反水素原子を 38 個も確認することができた後述

するように同内容は理化学研究所からもリリースされたhttpwwwrikenjpr-worldinforeleasepress2010101118

indexhtml

【超伝導】ピセンのカリウムドープに伴う電子構造変化の直接観測 

(201011 17)岡山大学

岡山大学の研究グループはピセンおよびカリウムドープ

ピセンの電子構造を実験的に観測する事に世界で初めて成

功したカリウムドープピセンは芳香族炭化水素における

初めての超電導体であるがカリウムドープピセンの超電

導メカニズムまた超電導を誘起する電子構造は解明され

ていない研究グループは光電子分光法を用いピセンのカ

リウムドープに伴う電子構造変化を直接的に観測した結

果ピセンのカリウムドープに伴う電子構造変化を観測

芳香族炭化水素超電導体の超電導メカニズム解明および新

規超電導体探索の指針になると期待されるhttpwwwokayama-unetrenkeidocumentpdfpressrelease

press-101117pdf

【慣性力発電】慣性力(振動)発電技術を商品化 国内最大手エース社のバッグに慣性力発電ユニットを搭載 (201011 17)伊藤忠商事(株)

米国 CIIIS 社の持つ慣性力発電(振動発電)技術を用いて

人体の運動による振動で発電する慣性力発電ユニットを開

発した国内鞄最大手のエース株式会社がこの慣性力発

電ユニットを搭載したバッグの販売を行う

httpwwwitochucojpjanews2010101117html

【生物多様性】多様性進化の背景に『甲状腺機能低下』 (201011 16)東北大学

生物多様性の喪失は現在急速に進んでおり多様性の進化

維持機構を解明することは世界的な課題である生物多様

性の創出は多くの場合新規環境に生き物が侵出すること

によって始まるが生物が新規環境へどのように適応して

行くのかその過程については多くが未解明である東北

大学の研究チームはこのたび新規環境への適応に甲状腺

ホルモンの進化が重要であることを発見したhttpwwwtohokuacjpjapanesenewimgpressimgtohokuuniv-

press_20101116pdf

【ナノ物性】ナノスケールの鉄磁石を電界でコントロール

(201011 01)千葉大学

磁石の N と S 極は磁界を用いることでコントロールでき

るが千葉大学の研究チームはナノスケールの鉄の磁石の

極性をエネルギーの要らない電界でコントロールできるこ

とを見出したhttpwwwchiba-uacjppublicitypresspdf201020101102nano

pdf

【SOFC 関連材料技術】 画期的な電解質材料の開発に成功 固体酸化物燃料電池の商用化に一歩前進 (201011 18 )物質材料研究機構(NIMS)

NIMS の研究グループは電解質材料に必要とされる三つ

の要件イオン伝導性化学的安定性焼結性のすべてを

高いレベルで満足する2種類の材料を開発することに成功

したひとつは10 のプラセオジムを含むイットリウム

添加ジルコン酸バリウム(BZPY)でもうひとつは酸

化ニッケル (NiO) とイットリウム添加ジルコン酸バリウム

25

PEN N

ovember

(BZY) の混合粉末を固めた基板上にプレス成形された BZI

であるhttpwwwnimsgojpnewspress201011201011180

p201011180pdf

【レアアース】微生物でレアアースの回収が可能に バクテリアがレアアースを濃縮する現象を発見 (201011 17)広島大学高エネルギー加速器研究機構高輝度光科学研

究センター

共同研究グループは微生物の細胞表面では微生物が存在

しない周囲部分に比べてレアアースを高濃度に濃縮する現

象を見出したまたレアアースの中でも特に希少価値の高

い元素が選択的に濃縮することを発見その濃縮メカニズ

ムを放射光を用いたX線吸収法により明らかにした

httpwwwkekjpjanewspress2010RareEarthElementshtml

【はやぶさ】はやぶさカプセル内の微粒子の起源が判明(201011 17)宇宙航空研究開発機構

「はやぶさ」のサンプルキャッチャー室から特殊形状のヘ

ラで採集された微粒子を走査型電子顕微鏡にて観察および

分析した結果1500 個程度の微粒子を岩石質と同定した

更にその分析結果を検討したところそのほぼ全てが地

球外物質であり小惑星イトカワ由来であると判断するに

至った

httpwwwjaxajppress20101120101117_sac_hayabusapdf

【超伝導基礎科学】超伝導のメカニズム解明に大きな手がかり ルテニウム酸化物の電子の運動状態を選択的に可視化することに成功 電子対を形成する「のり」の起源を初めて解明

(201011 17)広島大学産総研

1994 年に日本で発見されたルテニウム酸化物超伝導体は

ユニークな超伝導状態を示しこれまで数多くの研究が行

われてきたがいまだにその超伝導のメカニズムは謎のま

まであった超伝導が生じるためには電子と電子を「のり」

で結びつけ「電子対」にする必要がある共同研究グルー

プは放射光の直線偏光特性を活用するため放射光の光

軸のまわりに回転可能な高分解能角度分解光電子分光装置

を開発しルテニウム酸化物超伝導体の超伝導機構解明に

重要な手がかりをつかんだ研究グループが開発した新装

置を用いることによりルテニウム酸化物超伝導体の異な

る運動状態にある電子を選択的に分離しながら精密に分

析することが初めて可能となったその結果物質の電子対

を形成するための「のり」として結晶を作っている原子

の振動が重要な役割を果たしていることその「のり」が

どのくらい強く働いているのか等が明らかとなった httpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101117

pr20101117html

世界最高性能基準光源を開発 安定高精度高速の三拍子そろった光信号の発生に成功 (201011 15) 情報通信研究機構(NICT)国立天文台(NAOJ)

NICT と NAOJ はNICT 独自の高消光比変調技術を利用

し精度を保ったまま周波数範囲を拡大する構成を提案し

たNAOJ の安定度向上技術による制御機能を組み合わせ

ることで世界最高性能の基準信号発生装置を共同開発

し100 ギガヘルツを超える高速信号の長距離伝送を実現

した本装置の方式により従来技術の課題であった安定

性周波数範囲精度の問題を解決した安定性は 2 台の

レーザを用いる従来方式に比べて 10 倍以上を実現し信

号の乱れを 30 万年に 1 秒以下とすることに成功したま

た精度は従来型変調器と比較し 1000 倍以上周波数範

囲は 4 倍を達成したhttpwww2nictgojppubwhatsnewpressh22101115101115

html

【基礎科学レーザ分光】電子の氷を光で融かす一瞬を捉える 光が有機物質を変える瞬間の超高速スナップショット (201011 15)東北大学自然科学研究機構分子科学研究所科学技術振

興機構(JST)

共同研究グループは光の照射によって有機物質の色や

電気伝導度が大きく変化する光誘起相転移現象の最初の瞬

間を捉えることに成功した電場と磁場の振動である光の

振動の3周期分に匹敵する極めて短いパルス光をポンププ

ローブ分光によって二次元有機物質における電荷秩序の

融解のダイナミクスすなわちldquo 電子の氷 rdquo が光によっ

てどのように解け絶縁体から金属へと変化するのかと

いう問題を明らかにしたものこの成果 12 月初めには米

国物理学会誌 Physical Review Letters オンライン版で公開

予定

httpwwwjstgojpprannounce20101117-2indexhtml

【熱電材料】水を使って絶縁体から効率のよい熱電材料を作ることに成

26

PEN

Nov

embe

r 功 希少毒性金属を含まない安価簡便な熱電材料創製に新たな道 (201011 15)科学技術振興機構 (JST)名古屋大学

熱電材料は熱を電気に変換することができることからエ

ンジンの排熱を利用して発電するハイブリッド自動車など

への応用が期待されているが従来の熱電材料はビスマ

スアンチモン鉛テルルといった希少毒性金属など

を含む問題があったJST 課題解決型基礎研究の一環とし

て名古屋大学の研究グループは水の電気分解を利用し

安くてありふれた絶縁体酸化物表面を大きな熱電効果を示

す金属へ変えることに成功した大量に水を含んだ多孔質

ガラスを新規に開発しこの多孔質ガラスを金属チタンと

チタン酸ストロンチウムに挟んで電圧を加えると水の電

気分解によって絶縁体のはずのチタン酸ストロンチウムの

表面に厚さ 3 ナノメートル以下の極めて薄い金属チタン酸

ストロンチウムが生成した通常の金属チタン酸ストロン

チウムに対して 4~5 倍高い電圧を示すことから従来の

熱電材料の約 2 倍の熱電性能が期待できる

httpwwwjstgojpprannounce20101117indexhtml

【基礎科学物質の起源】国際研究チーム反水素原子を瓶の中に閉じこめることに成功(20101118)理化学研究所

8 か国からなる研究チームは欧州合同原子核研究機関

(CERN)の装置を用いて加速器で反陽子と陽電子を作

成し磁場の中に閉じこめたのちに撹拌して反陽子と陽

電子1個ずつを結びつけ反水素原子を生成した反水素

生成後に余った反陽子と陽電子を取り除き反水素原子だ

けを特殊な瓶の中に封じ込めることに成功した計 38 個

の反水素原子が 02 秒間存在したことを確認反物質は

Dan Brown の小説「天使と悪魔」で非常に微量で爆発

を起こす材料として登場するしかし今回の手法では短

時間に消滅してしまい爆弾に使える量をためるのは不可

能だという17 日付の Nature Online 版に掲載

httpwwwrikenjpr-worldinforeleasepress2010101118 

【マックスウェルの悪魔実証】情報をエネルギーに変換することに成功 ldquo マックスウェルの悪魔 rdquo を実験により世界で初めて実現新規ナノデバイスの実現に期待 (201011 15)中央大学東京大学

微細加工技術とサブミクロンスケールのリアルタイム制御

システムを組み合わせ「マックスウェルの悪魔」と呼ば

れる科学史上の重要な概念を世界で初めて実験により実現

した これによって情報をエネルギーに変換できるこ

とを初めて示すとともに情報を媒介して駆動する新規ナ

ノデバイスの実現の可能性を示した マックスウェルの

悪魔は熱力学の根本に関わる概念でありこれを実現でき

た学問的意義は大きいまた科学者以外にもよく知られ

たテーマであり多くの人が興味を持つ話題でもある情

報を媒介して駆動する新規のナノデバイスを実現できる可

能性があり基礎的研究にとどまらずナノサイエンスで

の新しい制御法への応用が期待できるこの成果は 11 月

14 日に Nature Physics Online に公開された

Toyabe Sagawa Ueda Muneyuki and Sano

ldquoExperimental demonstration of information-to-energy

conversion and validation of the generalized Jarzynski

equalityrdquo

httpwwwsu-tokyoacjppresspress-2010-42html

詳細は中央大学 HPhttpwwwchuo-uacjpchuo-unewscontents_jhtmlsuffix=kampmo

de=topamptopics=12513

【基礎科学分子バネ】電子の出し入れで硬さが劇的に変わる分子バネを開発 たった 1 つの電子放出で分子全体の動きやすさが 450 倍も変化 (201011 15)理化学研究所科学技術振興機構(JST)

6 個の炭素原子が環状につながったベンゼン環は有機化

合物において最も基本的な構成ユニットの一つでありベ

ンゼン環をさまざまな形で結合させたものが盛んに研究さ

れてきたしかしベンゼン環を隣り合う炭素の位置で結

合させたオルトフェニレンは単純な構造でありながら合

成が難しいためこれまでほとんど研究がなされておらず

その性質は解明されていなかった理化学研究所の研究グ

ループはベンゼン環 48 個を隣り合った炭素の位置で結

合させたオルトフェニレンを世界で初めて合成したオル

トフェニレンは3 つのベンゼン環が 1 ピッチのらせんを

形成するバネ状の構造をしているがこのようなバネ状の

構造を持った分子はさまざまな機能を発揮するためエ

レクトロニクスや分子機械への応用の可能性が高まってい

る研究グループはこのバネ状分子から電子を 1 つ取

り去るとバネの硬さが劇的に増してらせんの反転速度が

約 450 分の 1 も遅くなることを突き止めたまたこの

1 個の電子の出し入れに応じてバネのピッチが 3263Aring か

ら 3224Aring と変化したこれまで電子が高密度に含まれ

た分子バネは電子を出し入れすることでその振る舞いが

変化することが理論上予想されていたがこのように電子

を多量に含む分子バネの合成は難しく実験的にも証明さ

れていなかった硬さの変化というこれまで実現すること

27

PEN N

ovember

ができなかった応答をする分子バネの登場は応答性分子

の分野に新たなコンセプトをもたらすと注目される本研

究成果はJST 戦略的創造研究推進事業 発展研究 (ERATO-

SORST)「分子プログラミングによる電子ナノ空間の創成

と応用」の一環として行われたものhttpwwwrikenjpr-worldinforeleasepress2010101115

indexhtml

【自己組織化基質選択的会合】分子間の特異的な相互作用による新規材料集積法を開発 分子が好みの分子を見分けて接着 (201011 15)大阪大学科学技術振興機構(JST)

近年分子認識を利用して分子と分子を非共有結合でつな

げることによりさまざまな超分子錯体が合成されさらに

これらを自己集合させる研究が行われているこれらの研

究において形成される集合体は分子の大きさであるナノ

メートルからマイクロメートルの極めて小さなもので高

倍率の顕微鏡を使わなければ見えない分子認識に基づい

て手軽に使えるくらいの大きな自己組織体を作り出すこと

はナノテクノロジー分野において分子を自己組織化さ

せて機能性材料を創製する上で重要な課題であった大阪

大学の研究グループはホスト分子としてシクロデキスト

リンをゲスト分子としてシクロデキストリンが結合する

化合物を用いてそのホスト-ゲスト相互作用を利用して

多様な自己組織化超分子ポリマーの構造体を作りマクロ

スケールで機能を発現させる研究を進めている今回D

NAやタンパク質の分子量決定に広く用いられるアクリル

アミドゲルを土台にしてこのゲルにシクロデキストリン

とゲスト分子をそれぞれ別々に導入し「ホストゲル」と

「ゲストゲル」を合成したこの両者を水中で振動させる

とゲルが接着する挙動が観察されミリメートルからセン

チメートルの大きさの物体を分子認識により自己集積でき

ることを世界で初めて実証したさらにシクロデキストリ

ンとゲスト分子との相互作用の強さの違いによって選択的

に特定のゲル同士を接着させることができることがわかっ

httpwwwjstgojpprannounce20101115indexhtml

【ブタノール分離膜】バイオブタノールの省エネルギー型膜分離精製技術を開発1 wt ブタノール水溶液から80 wt 以上の高濃度ブタノールの回収が可能 (201011 15)産総研

産総研は1 wt 程度の希薄なブタノール水溶液からゼ

オライト系分離膜を用いて 80 wt 以上に濃縮したブタ

ノールを回収できる省エネルギー型のバイオブタノール精

製技術を開発した ブタノールはエタノールと比較して

発熱量が大きいことから地球温暖化対策に貢献できる再

生可能なバイオ液体燃料すなわちポストバイオエタノー

ルとして期待されている今回合成条件の最適化を進め

高いアルコール選択透過性をもつシリカライト分離膜を合

成し膜分離法によって低濃度ブタノール水溶液から高

濃度ブタノールの回収が可能となった従来の分離膜を用

いた場合に比べてブタノール回収のためのエネルギーを

50 ~ 70 程度低減できることが期待される httpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101113

pr20101113html

【分子生物学】 化学合成したペプチドからウイルスの殻構造を組み上げることに成功 新規ナノ材料や医療材料としての応用に期待 (201011 12) 九州大学北九州市立大学

共同研究グループは化学合成したペプチドから約 40 ナ

ノメートルのウイルスの殻構造を組み上げることに世界で

初めて成功した球状の植物ウイルスから遺伝子を除いた

キャプシド構造と呼ばれる殻構造は決まった大きさのナ

ノ空間であることからナノ物質の反応器や運び手として

利用する研究が国内外で盛んに行われているしかしこ

れまでウイルスのキャプシド構造を得るにはウイルス

の遺伝子をバクテリア内に導入して生産させる必要があっ

た本研究では遺伝子やバクテリアを用いない完全化学

合成によってウイルスキャプシドを構築することに成功

した今回ウイルスの殻構造を簡単なペプチドから構築

できたことで様々な機能性ウイルスキャプシドを人工的

に創成する道が拓けたと言えるこのペプチドからなるナ

ノカプセルに適切な化学修飾を施すことによりナノ物質

合成のための反応器や医薬品の運び手人工ワクチンを

創成するための足場材料として応用できるものと期待され

るhttpwwwkyushu-uacjppressrelease20102010-11-12-04pdf

【レアメタル】レアメタル使用量削減技術の実用化を加速(20101110)新エネルギー産業技術総合開発機構 (NEDO)

NEDO はレアアース総合対策の一環として企業が取り

組むレアメタル使用量削減技術の実用化を加速するための

助成事業(事業規模約 100 億円)を 2010 年度補正予算

の成立を前提に行うこの助成事業では短期間で実用化

が期待できる以下の技術開発を対象として①レアメタル

28

PEN

Nov

embe

r を代替する材料の技術開発 ②レアメタルの使用量を削

減する技術開発 ③レアメタルのリサイクルを促進する

技術開発 ④その他のレアメタル消費の削減に資する技

術開発を行うhttpapp3infocnedogojpinformationskoubopressEFnedopre

ss2010-11-068550095069

【導波路型光スイッチ】光スイッチの消費電力を従来の 2 分の 1 に低減 増え続けるネットワーク機器の消費電力問題を解決 (201011 09)( 株 ) 富士通研究所

同社はシリコンフォトニクス技術を適用した導波路型光

スイッチについて世界で初めてシリコンゲルマニウム

(SiGe)細線構造を用いることで従来のシリコン細線構

造に比べて消費電力を約 2 分の 1 に低減することに成

功した幅広い波長に対応して高速に動作できるタイプの

光スイッチ素子としては世界最小の消費電力を実現して

いるhttpprfujitsucomjpnews2010119html

【ナノ構造機能】昆虫が足を擦る秘密をナノテクノロジーで解明 生体模倣による新しい材料機能の開発に活用 (201011 09)物質材料研究機構マックスプランク研究所キール大

共同研究チームは環境問題で循環型社会実現に求められる

「接着と分離」を繰り返せる未来の接合技術の開発研究に

おいてガラスのような平坦な表面を逆さまでも歩行でき

る昆虫の足の裏の優れた接着性に着目し昆虫(ハムシ)

の歩行調査を行いナノテクノロジーを用いた実験により

昆虫が摩擦により汚れを感じていることを突き止めた

httpwwwnimsgojpnewspress201011p201011090html

【超音波流量計半導体プロセス】極微量な流量を精密に測定できる超音波流量計を開発 半導体製造装置の性能を向上させ環境負荷を低減しランニングコストを削減 (201011 09)産総研( 株 ) アツデン東京計装 ( 株 )

3 者は共同で10 mLmin( 誤差plusmn 01 mLmin) 以下の極

微量な流量を精密に測定できる超音波流量計を開発した

この流量計は超音波ガイド波の伝搬に関する基礎理論の

見直しを行い超音波を高周波化し設計を最適化するこ

とにより開発したものでこれまでの超音波流量計では計

測できなかった微小な流速領域での流量測定ができるこ

の超音波流量計は半導体製造装置で利用される薬液の高

精度な制御を可能にし半導体製造装置の高性能化環境

負荷の低減ランニングコスト削減へ貢献すると期待され

る httpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101109

pr20101109html

【研究交流】中国上海における国際交流事業の実施同済大学と大学間学術交流協定を締結 (201011 08)大阪大学

10 月 21 日上海において開催した上海教育研究センター

開所式記念講演会祝賀会には鷲田清一総長をはじめ

とする大阪大学教職員中国の学術交流協定校関係者大

阪大学同窓会会員など約 130 人が列席し盛況の内に終

了した翌 22 日23 日には第 15 回大阪大学上海交

通大学学術交流セミナーが上海交通大学情報ネットワーク

センターを主会場として開催され7つの研究会に約 100

人が参加したさらに 23 日と 24 日の両日上海東亜展

覧館を会場に開催された中国国際教育展に大阪大学のブー

スを出展し100 人を超える留学相談者が本学のブースを

訪れた翌 10 月 22 日鷲田清一総長は上海市内にある

同済大学を訪問裴学長陳副学長ほか大学関係者と懇談

するとともに大学間学術交流協定及び学生交流覚書の調

印式に臨んだこれにより中国の大学との 10 番目の協定

が成立したhttpwwwosaka-uacjpjanewstopics20101120101108_1

httpwwwosaka-uacjpjanewstopics20101120101108_2

【高耐久性セラミック】激しい熱変化にも強度劣化しない窒化ケイ素系セラミックスを開発 窒化ホウ素の微粒子を分散させ耐熱衝撃性を飛躍的に向上 (201011 08)産総研三井金属鉱業(株)

両者は共同で従来品に比べて耐熱衝撃性と高温での強度

を飛躍的に高めた窒化ケイ素系セラミックスを開発した

今回窒化ケイ素(Si3N4)をベースとして高い熱伝導

率をもつ粒界相を形成させるとともにそこに非晶質に近

い窒化ホウ素のナノメートルオーダーの微粒子を分散させ

ることで耐熱衝撃性を飛躍的に向上させた従来の窒化

ケイ素が 1000 の温度差で強度が低下するのに対して

今回の開発材は電気炉で 1400 に加熱した後水中に投

下することを 10 回繰り返してもほとんど強度が劣化しな

かったまたこの開発材について大気中 1200 で高温

29

PEN N

ovember

曲げ試験を行ったところ室温と同程度の強度を保持して

いたセラミックスでは大型化すると小試験片では得られ

た特性が得られず実用化を進める上での課題になること

が多いがこの開発材では焼結条件を最適化することに

よって直径 82 mm 長さ 370 mm の比較的大型の部品で

も試験片と同様の組織物性が得られたまた実際の

製品形状に近い部品の焼成も可能となったhttpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101108

pr20101108html

【ミリ波発信器】ミリ波帯無線通信の実用化にめど 世界最高性能の低雑音局部発振器を開発 (201011 08)東京工業大学

東工大の研究グループは雑音を従来の 100 分の1以下

に低減したミリ波帯局部発振器を開発した20GHz 帯の

発振器と 60GHz 帯の注入同期型直交局部発振器を組み合

わせることにより世界最高の低位相雑音性能を達成した

無線通信の周波数帯ひっ迫を解消する技術として 60GHz

ミリ波帯の利用が注目されているがミリ波帯ではコイル

やコンデンサの損失が大きくなり位相雑音特性が劣化す

るのがネックだった今回はこれを解決したものでミ

リ波無線通信の実用化につながる成果発振器は 65 ナノ

メートルのシリコン CMOS プロセスを利用して試作した

580GHz から 636GHz の周波数範囲で 4 相正弦波出力が

可能でこの発振器により10Gbps(毎秒 100 億ビット)

以上の超高速ミリ波帯無線通信の実現が期待されるh t t p w w w o l d t i t e c h a c j p t o k y o - t e c h - i n - t h e - n e w s j

archives2010111289174400html

【炭素繊維応用】住宅向け外装材「炭素繊維補強サイディング」の本格展開について 優れた強度と耐熱寸法安定性で 15 年の基材保証を実現 (20101105)東レ ACE(株)

東レの子会社東レ ACE は炭素繊維で補強した窯業系サ

イディングを開発し本格販売と市場展開を開始する「炭

素繊維補強サイディング」はセメント質原料に炭素繊維

を添加配合して成型固着させた建物外壁用のセメントボー

ドで従来の窯業系サイディングの優れた防耐火性耐久

性等を維持しつつ更なる強度補強効果や火災高温時の

変形や熱収縮によるひび割れの抑制など耐熱寸法安定性

も向上させることで基材 15 年保証を実現する 本製品

に使用している炭素繊維は軽くて強く優れた高温特性や

耐熱性を有し非常に細い繊維を多く配合できることから

外装材としての強度補強効果も期待できるとしている

httpwwwtoraycojpnewsaffilnr101105html

【光ファイバーナノインプリント】ナノ格子反射防止表面光ファイバー先端に形成ナノ技術で安く製作 (20101105)東北大学

東北大の研究グループは微小な窪みが多数形成された反

射防止構造体を光ファイバーの先端に製作する技術を開発

した光ファイバーは光通信や光分析装置の構成部品とし

て使われており光源受光素子やレンズなどの光部品と

の接続損失を減らすために先端に反射防止膜が形成され

ている従来の反射防止膜は真空装置を使って薄膜を付け

るためコストが問題であった研究グループはナノイン

プリント技術を用いて光ファイバー先端のコア部に 270

ナノメートル間隔で微小な円錐状の窪みを形成し反射損

失を低減することに成功したナノインプリント技術は

基板に塗布したポリマーに原版を押し付けて微細パターン

を転写する技術で高価な露光装置や真空装置が不要なた

めナノ構造を安価に製作することができる今回光ファ

イバー先端にナノ構造を製作するために専用のナノインプ

リント装置を開発した窪みの間隔が光の波長よりも小さ

い場合屈折率が変化し反射波が生じにくくなる反射

率や波長帯域は窪みの形状間隔や高さで決まり従来

の反射防止膜よりも設計の自由度が高いため要求に合わ

せて種々の反射防止表面を製作することが可能 httpwwwtohokuacjpjapanese201011press20101105-2

html

【人工筋肉機能材料】光を運動エネルギーに変える新高分子素材の開発に成功 世界で初めて分子を大面積で 3 次元的に配列させ新機能を実現 (20101105)理化学研究所

光で変形したり電子を流すなどの機能を持った分子を人工

的に規則正しく大面積で集積することができると機能性

材料の性能向上や革新的新機能の発現につながるそのた

め世界中で精力的に開発が行われているがこれまで実現

させた例はなかった理化学研究所の研究グループは光

で構造が変化するアゾベンゼン分子を組み込んだブラシ状

の高分子「ポリマーブラシ」を大面積で 3 次元的に一挙

に配列させる手法の開発に初めて成功したこの規則性の

ある 3 次元集積構造は延伸したテフロンシートにポリ

マーブラシを挟み込みアイロンに似た熱と圧力を加える

といういたって簡単な操作で実現したさらにこのフィ

30

PEN

Nov

embe

r ルムに光を当てるとアゾベンゼン分子の構造変化が一方

向に集約しフィルムが湾曲するという巨視的変形を引き

起こすことを見いだしたすなわちこの新しいフィルム

は光エネルギーを運動エネルギーに変換する機能を持って

おり新たな人工筋肉材料などへの展開が期待されるま

た本技術は有機薄膜太陽電池をはじめとする次世代の機

能材料の開発にも革新をもたらすと期待されるhttpwwwrikenjpr-worldinforeleasepress2010101105

indexhtml

【リチウムイオン電池正極材料】常温プロセスで全固体薄膜リチウムイオン電池の試作に成功 エアロゾルデポジション法による蓄電池製造の新工法開発を本格化 (2010115)産総研

産総研はトヨタ自動車 ( 株 ) と共同で産総研が開発し

たセラミックス材料の常温高速コーティングプロセスであ

るエアロゾルデポジション (AD) 法を用いて酸化物系の

正極材料負極材料固体電解質材料を薄膜積層化して

金属基板上に 3 層構造からなる全固体薄膜リチウム (Li) イ

オン電池を試作蓄電池としての充放電特性を世界で初め

て確認した 従来型の薄膜技術とは異なりAD 法を用い

ると基板の加熱が不要でまた厚膜化も容易であるそ

のため成膜時間が大幅に短縮でき蓄電池の生産性向上

やプロセスコストの大幅な低減が期待される今後は AD

法を用いた本格的な全固体電池の共同開発を進めていく httpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101105

pr20101105html

【記録デバイススピントルク素子】次世代超高密度 HDD に向けたマイクロ波アシスト記録の基本技術を開発 磁気ヘッドに搭載可能なスピントルク素子を用いた磁気情報の書き換えを確認 (2010115)新エネルギー産業技術総合開発機構(NEDO)(株)日

立製作所

NEDO はハードディスク装置(HDD)の開発製造会社で

ある日立グローバルストレージテクノロジーズの協力を得

て従来の磁気記録方式の限界を超えHDD の記録密度

を飛躍的に伸ばす方式として期待されているマイクロ波ア

シスト磁気記録方式の基本技術を開発しその原理を実験

的に確認したマイクロ波アシスト記録では記録媒体の

小領域にマイクロ波帯の高周波磁界を加え磁気情報の書

き込みを容易にする今回開発したのはヘッドに搭載可

能な高周波磁界を発生するスピントルク発振素子でこの

素子を用いて記録媒体上に磁気情報を記録できることを実

験的に確認したこれまで外部のマイクロ波発生装置を

用いたマイクロ波アシスト効果の報告例はあったが今回

微細な発振素子を用いた磁気情報の記録を確認できたこと

により将来この素子を記録ヘッドに搭載しマイクロ波

アシスト記録を実用的に行える可能性が示されたhttpapp3infocnedogojpinformationskoubopressEFnedopre

ss2010-11-029718160145

【基礎科学物性】絶縁体が金属に変わる新原理の解明 超伝導素子や熱電変換素子の開発へ道(20101104)東北大学

東北大学原子分子材料科学高等研究機構の研究グループ

は高品質酸化物薄膜において電気が流れにくい絶縁体

状態から流れやすい金属状態への遷移機構を解明した材

料における電気の流れやすさは電気を流す担い手である

伝導キャリアが物質中にどれだけ含まれるか伝導キャリ

アがどれくらいスムーズに動きまわれるかによって決ま

るつまり伝導キャリアの濃度を増やしたり材料中で

伝導キャリアの動きを妨げる原因になるひずみや欠陥を少

なくすると電気はより流れやすくなる本研究では人

工宝石として知られるチタン酸ストロンチウム (SrTiO3)

の絶縁体を用い伝導電子を生み出すキャリア供給層を

SrTiO3 絶縁体間に挟み込んだ絶縁体層 キャリア供給層

絶縁体層の層状界面構造をもつ高品質超格子構造を作製す

ることで絶縁体層の体積を増加させると反対に電気が流

れやすい金属状態になる現象を発見した最新の電子顕微

鏡技術を用いた原子構造解析と電子状態の理論計算を駆使

して絶縁体を増加させると界面で結晶のひずみが少なく

なり高導電化することを解明した本研究が明らかにした

界面での結晶のひずみを制御することによって絶縁体を金

属状態へ変化できる現象は様々な材料でも普遍的に起こる

と考えられ絶縁体から金属へ変わる境目で性能が向上す

る新超伝導体や新熱電材料の開発に展開することが可能と

期待されるhttpwwwtohokuacjpjapanesenewimgpressimgtohokuuniv-

presspdf

【環状高分子】様々な環状高分子の自在な合成に成功 「かたち」に基づく機能開発に期待(2010112)東京工業大学

東工大の研究グループはこれまで困難とされてきた

種々の含環状高分子の選択的な合成に成功した同研究

グループで開発された単環状高分子合成プロセスである

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Electrostatic Self-Assembly and Covalent Fixation Process

と有機合成化学の新手法であるクリックケミストリー

を組み合わせることで様々な「かたち」の自在な構築

を達成した本手法の開発により近年注目を集めてい

る「かたち」に基づいた高分子物性の探索を加速させる

ものと期待されるhttp wwwo ld t i t e ch ac j p tokyo - t ech - in - the -news j

archives2010111288656000html

【異分野連携オープンイノベーションモデル】応用脳科学コンソーシアム 脳科学及びその周辺領域の学術知見を活用したオープンイノベーションモデルの研究活動を開始 異業種の民間企業と異分野の脳科学研究者が連携し事業性の高い研究テーマを推進 (2010111)アサヒビール(株)(株)NTT データ積水ハウス(株)

(株)竹中工務店帝人(株)凸版印刷(株)日産自動

車(株)(株)博報堂(株)NTT データ経営研究所

NTT データ経営研究所が日本神経科学学会の協力を得て

2010 年 10 月 1 日に創設した「応用脳科学コンソーシア

ム」においてそれぞれの事業活動に関連する独創性の

高い研究テーマについて複数の「応用脳科学 RampD 研究会」

を立ち上げるRampD 研究会では各 RampD 研究会を設置

した特別会員企業が各テーマに関連の深い脳科学及び

その関連領域の研究者を招聘し異業種である他の会員

企業とともに最新の研究知見を活用してオープンイノ

ベーションモデルの研究活動を実施する各社が設置す

る RampD 研究会は現時点で(1)おいしさの総合評価研究

会(アサヒビール)(2)ヘルスケア脳情報クラウド研究

会(NTT データ)(3)インタラクティブ住環境研究会(積

水ハウス株式会社)(4)コミュニケーション空間研究

会(竹中工務店)(5)メディアエンゲージメント研究

会(博報堂)この他の RampD 研究会については今後随

時応用脳科学コンソーシアムのウェブサイト httpwww

keieikencojpcan で公開予定

httpwwwnttdatacojprelease2010110101html

【レーザ技術基礎光物性】熱を加えずに結晶を柔らかくすることに成功 高強度テラヘルツ電磁パルスで分子ネットワーク操作が可能に 

(2010111)京都大学科学技術振興機構(JST)

京都大学はテラヘルツ電磁パルスと呼ばれる新しい光

を物質に照射することで1兆分の1秒の短い時間で結

晶中の分子を大振幅で揺さぶり熱平衡状態では実現で

きないような分子変位を実現することに世界で初めて成

功した実験結果は結晶が実効的にやわらかくなったこ

とを意味するものでさらに強いテラヘルツ電磁パルス

によって高効率で結晶を融解させることを示唆するこ

れは熱による反応を起こすことなく新しい分子間のネッ

トワークやたんぱく質などの巨大分子の立体配位を操作

できることを示しており化学合成における反応促進や

創薬における有機分子結晶の精製での活用が考えられる

今回の成果は JST 戦略的創造研究推進事業日本学術振

興会学術創成プロジェクト「動的相スイッチ機構を内在

する有機電子材料の開拓と非平衡物性科学への展開」お

よび京都大学グローバル COE プログラム「普遍性と創発

性から紡ぐ次世代物理学」によるものhttpwwwjstgojpprannounce20101101indexhtml

【高周波デバイス】透 明 な 高 周 波 デ バ イ ス 見 え な い ア ン テ ナ へ の 道

(20101028)物質材料研究機構太陽誘電(株)

両者は共同で透明な高周波デバイスを製造するための

基本技術である微細な金属配線と酸化物透明導電体から

なるハイブリッド構造を開発した本技術は不透明で

あるが高い伝導性を示す金属と透明ではあるが金属の

100 分の 1 程度の伝導率にとどまる酸化物透明導電体と

を組合せ両者の特性を相補的に活用することにより

透明でありかつ携帯電話をはじめとする無線デジタ

ル通信に用いられるギガヘルツ帯の高周波に対して高い

伝送特性を示す素子構造を実現した

httpwwwnimsgojpnewspress201010p201010280html

【エコ製品環境経営】COP10 に向けた環境配慮型製品技術の取り組み ポリ乳酸繊維 ldquo エコディア rdquo 使用商品の提供や連携事業「メッセナゴヤ 2010」への出展を通じ環境保全の取り組みを強化 (20101028)東レ ( 株 )

同社は10 月 11 日 ( 月 ) から 29 日 ( 金 ) に開催された

生物多様性条約第 10 回締約国会議 (COP10) に向けて

ポリ乳酸繊維 ldquo エコディア rdquo 使用商品の提供などを通じて

環境に配慮した運営に協力したまたCOP10 の連携事

業である環境エネルギーをテーマとした展示会「メッ

セナゴヤ 2010」に出展し環境に配慮した次世代自動車

や最先端航空機向けの先端材料を紹介した

httpwwwtoraycojpnewsfibernr101028html

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NEWS POD 著作権の関係で記事のタイトルと詳細内容は標記できませんので簡略に表示しています詳しい内容に関しては各新聞及び雑誌をご覧ください

ナノテクノロジー

研究開発最前線

20101122 日 刊 工 業 新 聞 News

ウェーブ 21

X 線レーザー

20101121 東京読売新聞

新潟ナノテク研究会

20101120 日本経済新聞

ナノテクとバイオ

20101120 下野新聞

バイオ起業

20101119 朝日新聞

ナノ粒子の構造制御

20101119 日刊工業新聞

水素原子観察

20101119 科学新聞

光ファイバー関連技術

20101119 科学新聞

希少金属対策

20101118 日刊工業新聞

熱電材料

20101117 日経速報ニュース

化学合成でナノ構造

20101117 日経産業新聞

つくばナノテク研究拠点への投資

20101117 日刊工業新聞

分子バネ

20101116 日経速報ニュース

ナノバイオ融合

20101116 日経産業新聞

フレンドオブアースのナノテク評

20101116 エコロジーエクスプレス

クラスターテクノロジー

20101112 産経新聞

実用化助成

20101111 日刊産業新聞

接着のメカニズム

20101110 日経産業新聞

電子材料

20101110 日経産業新聞

ナノ磁石

20101110 東京新聞

高分解能放射線検出器

20101110 化学工業日報

電池電極材料

20101108 日本経済新聞

食の安全性

20101108 日経エコロジー

ナノ磁石実用化

20101105 朝日新聞

ナノテク接着剤

20101105 日刊工業新聞

水素原子の観察

20101105 日刊工業新聞

補正予算案

20101105 科学新聞

ナノ磁石

20101104 日本経済新聞

ナノボーグ

20101104 日刊工業新聞

ITO 電極代替技術

20101104 鉄鋼新聞

レアアース代替材

20101103 日本経済新聞電子版

セクション

ナノ鉄磁

20101103 毎日新聞

有機トランジスタ

20101101 日 経 速 報 ニ ュ ー ス

アーカイブ

有機トランジスタ

20101101 日経産業新聞

ナノムービー

20101101 日経サイエンス

低燃費タイヤ

20101030 朝日新聞

筑波大生命科学研究拠点

20101030 茨城新聞

レアアース代替材

20101029 日経産業新聞

播磨地域

20101029 化学工業日報

ナノ粒子操作

20101029 科学新聞

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NEWS POD 著作権の関係で記事のタイトルと詳細内容は標記できませんので簡略に表示しています詳しい内容に関しては各新聞及び雑誌をご覧ください

中国新5カ年計画

20101028 日本経済新聞

高機能消臭素材

20101028 化学工業日報

環境規制等

終わりの科学

20101201 日経サイエンス

電気自動車の覇権

20101123 週刊エコノミスト

環境規制対応

20101122 日経産業新聞

温暖化ガス排出枠

20101122 日経産業新聞

ロス自動車ショー

20101119 日経産業新聞

EV と環境規制

20101119 朝日新聞

EV

20101119 東京新聞

環境と法規制

20101119 化学工業日報

トヨタとテスラ

20101118 読売新聞速報ニュー

CO2 排出量削減

20101118 日経産業新聞

カリフォルニア州環境規制と EV

20101112 日本経済新聞

環境規制

20101112 日本経済新聞

環境規制

20101112 日経産業新聞

米韓 FTA

20101112 朝日新聞

米韓 FTA

20101112 毎日新聞

顔料

20101112 化学工業日報

レアメタル供給規制

20101111 日本経済新聞

潮冷熱

20101110 日本経済新聞

レアアース生産と環境規制

20101108 ダウジョーンズ中国企

業ニュース

韓米FTA

20101101 中央日報

科学技術政策

競争的資金制度

20101122 日本経済新聞

科学技術関係補正予算案 

20101122 THE DOCTOR

韓国 KIST

20101121 朝鮮日報

科学技術政策

20101119 日本経済新聞電子版

セクション

科学技術政策

20101118 日本経済新聞

科学技術政策

20101118 日経産業新聞

女性研究者

20101117 日経速報ニュース

科学技術予算

20101114 東京読売新聞

トップ1論文

20101112 科学新聞

中国特許強国に

20101112 新華社ニュース

関経連と科学技術政策

20101110 産経新聞 

科学技術産業一体政策

20101109 日刊工業新聞

優れた論文の条件

20101105 毎日新聞

「焼け太り許さぬ」

20101102 朝日新聞

国の研究開発投資目標

20101029 日刊工業新聞

科技政策で提言

20101027 日経産業新聞

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科学への信頼に関する読者調査

20101201 日経サイエンス

「カップリング反応」アニメ化

20101110 朝日新聞東京読売

新聞他

科学と社会つなぐ人材

20101025 東京新聞

NEWS POD 

情報誌 PEN 購読のご案内PEN の継続的な購読をご希望の方は下記のメールアドレスまでお名前ご所属メールアドレスをご記入の上ご連絡ください登録配信は無料ですnano-penmaistgojp

PEN は原則月 1 回配信しますバックナンバーと PEN の前身【AIST-TOKYO ナノテク情報】をナノシステム研究部門ホームページにて公開しています httpunitaistgojpnrinano-planindexhtml

PEN は皆さまとの情報共有を目的としていますお持ちの情報で共有すべきものがあれば nano-penmaistgojp までお寄せ下さい

いただいた個人情報は産総研 個人情報保護方針(プライバシーポリシー)に基づき大切に管理し情報誌 PEN の運営と私達のイベントのご案内のみに使用させていただきます

科学技術コミュニケーション

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イベント案内

[産学連携研究開発]大阪大学ナノ理工学人材育成産学コンソーシアム 第 3 回ナノ理工学情報交流会場所大阪大学中之島センター 7 階 講義室 3(講師来訪)

   大阪大学東京オフィスサテライト教室

(遠隔講義配信)

   四日市商工会議所内サテライト教室

(遠隔講義配信)については調整中です

コンソーシアム HP にてご確認ください

   ナノテク社会人教育プログラムの開講をされてい

る場合遠隔講義配信に対応可能です事務局まで

ご連絡ください

日時2010 年 12 月 10 日(金)1330 ~ 1900 頃

主催大阪大学ナノ理工学人材育成産学コンソーシアム 

概要ナノ理工学人材育成産学コンソーシアムでは活動

の一環として産学連携のきっかけを提供すべく企業と

大学の双方からテーマに即した研究開発やトピックを紹介

し会員同士の意見交換と情報共有の促進をはかっていま

す第 3 回目となる今回は「光を用いたナノテクノロジー

の新展開」をテーマに開催しますプログラムなどの詳細

は下記の HP をご参照下さい

参加費コンソーシアム会員学生及び大阪大学教職員は

無料(コンソーシアム企業会員の場合社内から何名でも

無料で参加が可能です)

上記以外の方は資料作成費 1000 円が必要になります

参加登録氏名所属連絡先懇談会への出欠を記載の

上メールにて大阪大学ナノ理工学人材育成産学コンソー

シアム事務局(nano-consnanoscienceorjp)へお申込み

下さい

httpwwwnanoscienceorjp

[コミュニケーション]科学コミュニケーション研究会 第 1 回関西支部勉強会日時2010 年 12 月 2 日 1800 ~ 2000

場所京都大学 吉田泉殿

主催科学コミュニケーション研究会 関西支部有志

概要大阪教育大学科学教育センターの中矢史雄氏を講師

に招きオーストラリアの科学技術コミュニケーションに

ついてオーストラリア国立大学科学意識向上センター

での経験なども交えてお話いただきます定員は 25 名で

す事前申し込みが必要です

httpbitlybPmTP9

[展示会]セミコンジャパン 2010日時12 月 1 日~ 3 日

場所幕張メッセ

主催SEMI

概要国内外の最新のマイクロエレクトロニクス技術に関

する情報を入手することのできる世界最大の半導体製造装

置材料展です

httpwwwsemiconjapanorgjaindexhtm

[知財]アジア特許庁シンポジウム日時2010 年 12 月 3 日(金)930 ~ 1210

場所ホテル日航奈良 飛天の間

主催特許庁

概要日本中国韓国インドネシアマレーシアシ

ンガポールの特許庁幹部を招き各国の知財保護強化の取

組みやアジアにおける知財協力を紹介しますまたパ

ネルディスカッションを設けアジアにおける人材育成協

力の方向性について議論します

httpwwwintergroupjp~convasia

[人材育成]応用物理学会 人財育成シンポジウム -日本の危機を科学が救うそのためのリーダー育成を考える-日時2010 年 11 月 29 日(月)1000 ~ 1710

場所東京工業大学デジタル多目的ホール

主催応用物理学会

概要急速に進むグローバル化に対応のできる人材を育成

するための課題や応用物理学会が貢献することのできる

具体的な取り組みについて議論します

イベント案内へ掲載を希望される方は nano-penmaistgojp までご一報ください

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r h t t p w w w j s a p o r j p a c t i v i t i e s e d u c a t i o n

symppt2010symphtml 

[コミュニケーション]科学技術とメディアのより良い関係に向けて日時11 月 26 日 1815 ~ 2030

場所早稲田大学大隈小講堂

主催サイエンスメディアセンター(SMC)

概要英国オーストラリアのサイエンスメディアセ

ンターの関係者米国のサイエンスコミュニケータを交え

て研究者とメディアの有益な関係性構築に向けた取り組

みについて議論します参加費は無料同時通訳がつきま

httpsmc-japanorgp=403 

[異分野連携]医学領域と工学領域連携研究シンポジウム ‐ 未来を拓く医工連携 ‐日時2010 年 11 月 27 日(土)

場所山口大学医学部第 3 講義室

主催日本学術会議中国四国地区会議山口大学

概要がんの個別化医療をメインテーマにこれからの医

工連携のあり方について講演と議論を行います

httpwwwscjgojpjaeventpdf100-t-3pdf 

[人材育成]マイクロナノエンジニアリング シンポジウム ‐ イノベーションと人材育成 ‐日時2010 年 12 月 8 日(水)1300 ~ 1700

場所日本学術会議 講堂

主催日本学術会議 マイクロナノエンジニアリング分

科会日本機械学会 マイクロナノ工学専門会議

概要学際的分野であるマイクロナノエンジニアリング

は大学大学院における教育の整備関連する産業界

学術界での研究開発における分野融合的な取組みが不可欠

です本シンポジウムでは人材育成を軸とした課題につ

いて議論します

httpwwwscjgojpjaeventpdf100-s-3-1pdf

[ 博物館展示 ]自然に学ぶ ネイチャーテクノロジーとライフスタイル展開催中です

場所国立科学博物館 (東京上野公園)

日時2010 年 10 月 26 日~ 2010 年 2 月 11 日

主催東北大学大学院環境科学研究科国立科学博物館

特定非営利活動法人ものづくり生命文明機構

概要蝶や鳥など生き物や自然の仕組みにヒントを得た環

境負荷の低い技術と将来的な応用の可能性から日本文化

に根差した共生型の新しいライフスタイルのあり方につい

て紹介します国立科学博物館の入館料600円が必要です

httpwwwkahakugojpevent201010natureindex

html

[人材育成]シンポジウム「世界を魅せる日本の課題解決型基礎研究~JST 目利き制度とその可能性」日時2010 年 12 月 6 日(月)1000-1800 (0900 受

付開始)

場所東京国際フォーラム B5 ホール

主催(独)科学技術振興機構(JST)

概要JST がこれまでに行ってきた戦略的創造研究推進

事業の成果を振り返りつつ今後の日本の科学技術の発

展に向けた事業のあり方について参加者の皆様と議論しま

httpwwwsenryaku30jstgojp 

[ 持続可能性 ]学術会議シンポジウム「低炭素化に向けた経済社会エネルギーのあり方と実現のシナリオ」日時2010 年 12 月 9 日(木)1330 ~ 1700

場所学術会議講堂

主催土木工学建築学委員会低炭素建築都市分科会

社会資本分科会

概要両分科会は中~超長期のエネルギー消費量削減シ

ナリオ策定に取り組んできました本シンポジウムでは

分科会の検討結果や削減のための様々な取り組みを紹介

し今後のとりまとめ作業に向けた議論を行います

httpwwwscjgojpjaeventpdf104-s-3-6pdf 

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PEN 編集室関谷瑞木阿多誠文独立行政法人産業技術総合研究所 ナノシステム研究部門 305-8568 つくば市梅園 1-1-1 産総研つくばセンター中央第 2 M404Email nano-penmaistgojpTel029-861-5185 Fax 029-861-5339

編集後記

今月 8 日に長野県長野市で開催された第 3 回国際ナノ

ワークショップ「ナノテクノロジーの社会受容~ナノ

材料の工業標準化の国際的な動向と環境影響について

~」の会場で多くの企業の皆様と意見交換をする貴

重な機会を得た目まぐるしい勢いで変わってゆく諸

外国の環境規制策の動向に民間企業の皆様が神経を

とがらせておられることがひしひしと感じられた東

京から新幹線で 1 時間半インターネットでリアルタ

イムに世界とつながることのできる時代とはいえ情

報物人が集積する地である東京とは異なる苦労も

あることもお聞きした美しい山々きれいな空気あ

るいは世界に誇る観光遺産と科学技術を結び付けて

地域振興をはかりたいとの頑張っておいでの方にもお

会いした

月刊という制約はあるもののこうした方々にとって

タイムリーで有用な情報を提供し続けたいと改めて

強く感じた

ちなみにPEN を発行しているつくば市の産総研つく

ばセンターへもつくばエクスプレスと路線バスを乗

り継いで都心からは約 1 時間半かかる

2010 年 11 月 25 日

PEN 編集室一同ウナギツカミ

Page 9: Public Engagement with Nano- PEN November …...5 PEN November 【知財】 中国、10年で特許強国に(2010.11.12) 中国国家知識産権局は11日に「全国特許事業発展戦略

9

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ovember

3 の次元のいずれかがナノスケールであること)あるいは

ナノ構造(ナノスケールの内部構造もしくは表面)である」

物質とされているまた本項は既存の化学物質のナ

ノサイズの物質にも適用される輸送のためにオースト

ラリアのいずれかの港空港を通過する場合や年間 100g

以下の研究目的の輸入などが適用を免除される適用の

開始は 2011 年 1 月 1 日であるhttpwwwnicnasgovauPublicationsChemical_Gazette

pdf2010oct_wholepdfpage=14 

【社会的影響】ナノテクノロジーとアフリカ大陸(2010106)これまで様々な科学技術が途上国の抱える様々な課題

を解決すると喧伝されてきたナノテクノロジーについ

ても例外ではないしかしこのような考え方は少々単純

すぎると途上国の専門家は考えている2010 年のはじめ

にコートジボワールで開催されたワークショップでア

フリカ諸国にはリスクを避けるためにナノ材料の使用や

輸入を拒否する権利があるとの主張がなされたこのワー

クショップでアフリカ諸国の専門家はベネフィットだ

けでなく科学技術の進歩がもたらす社会的な影響につ

いても関心を持つべきであると述べている

ナノ材料のような新興の材料を用いた製造工程の急激な

変化に途上国の労働者がついてゆくのは困難であること

など技術的発展が必ずしもベネフィットにつながらな

い可能性も指摘されているまた今後ナノテクノロジー

を活用しようとするアフリカ諸国の前に特許の問題が立

ちふさがる可能性が非常に高いと予想されている

いずれにしろナノテクノロジーがアフリカ諸国の経済

に大きな影響を与えることは必至である重要なことは

アフリカの将来を左右するナノテクノロジー研究開発を

どのような方向に進めるのかの決定に当事者として関

与する道を確保できるのかということである

httppambazukaorgencategoryfeatures67525

【産業化】ユ ニ バ ー サ ル メ モ リ デ バ イ ス で IC 市 場 の 巻 き 返 し

(2010105)ユニバーサルメモリデバイスで高性能の小型モバイル機

器の実現するために各国企業が激しい開発競争を行って

いるナノテクノロジーの科学的経済的側面の解析で

欧州の化学技術政策に大きな影響力をもつ Obsevatory

NANO はユニバーサルメモリデバイス向け技術や実現

に向けた課題そして欧州連合(EU)における開発の現

状について簡潔にまとめたレポートを公表した

一時考えられていたような単一の技術がユニバーサルメ

モリデバイスを実現するとは考え難くナノテクノロジー

はユニバーサルメモリデバイス実現の重要な核とみなさ

れる現在の集積回路の世界市場は米国とアジア圏の企

業に席巻されているがObsevatoryNANO はレポートで

ナノテクノロジーとユニバーサルメモリをベースとする

技術開発によって欧州はその牙城を崩すことができる

と分析しているhttpwwwnanoforumorgnf06~modul~showmore~folder~99999~

scc~news~scid~4152~htmlaction=longviewamp

【EHS】ナノテクノロジーの健康環境安全影響の今後について(2010101)米国マサチューセッツ州立大学ローウェル校(UMass-

Lowell)で 9 月 22 日~ 23 日に開催されたカンファレン

ス Destination Nano における主要なテーマの一つが健康

環境安全影響(EHS)であった米国国立労働衛生研究

所(NIOSH)の Chuck Geraci 氏はNIOSH の最近の EHS

分野における活動を紹介した腫瘍や炎症等の発生など

生体影響とナノ粒子とを関係について明らかにする研究

が注目を集めたナノテクノロジーの研究と製造の現場

におけるより適切な管理方法の探求にも力を入れている

またリスクキャラクタリゼーションも NIOSH の重要な

研究課題のひとつであるNIOSH の研究グループは二酸

化チタンの微粒子について気中濃度 02mgm3 を超え

ると炎症や腫瘍の発生リスクが高まることを突き止めて

いる近くカーボンナノチューブに関するリスクキャラ

クタリゼーションが公表される予定であるノースイー

スタン大学の Jackie Isaacs 氏はスイッチング材料とし

てのカーボンナノチューブ(CNT)の全ライフサイクル

についてリスク分析を行ったIsaacs 氏は米国内の埋

め立て地に蓄積する可能性のある CNT の量についても計

算している

UMass-Lowell と NISOH は今後ナノマテリアルの暴

露評価研究を協力して行い中小規模の製造企業や研究

室における適切な取扱いについてのガイドラインを作成

する予定でいるhttpwwwelectroiqcomindexdisplaynanotech-article-

display6748552362articlessmall-timesnanotechmemstools-

equipmentproduction-equipment2010septemberdestination-

nano_html 

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r 世界の人々は科学にかかわる課題についてどのように考えているのかIn Science We Trust by Scientific American and A Pacific Divide by Nature

Scientific American と Nature が共同で科学に関連する

様々なトピックについて世界各国の読者を対象に意識

調査を行ったその結果の概要が日経サイエンス 12 月号

と Nature9 月号に掲載された

本調査は注意深く対象を選択する通常の意識調査とは

異なり両誌の読者を対象としてオンラインで行われた

ものであり「人々の」という言葉が通常想起するような

幅広い市民を対象としたものではないことをまず最初に

指摘しておきたい調査は 2010 年夏に実施され回答

を寄せたのは約 21000 人でそのうち 19の回答者が

博士号保有者であった日本からの回答者は 1196 件で

あった

全体の傾向としては回答者の多くが科学に信頼を寄せ

ていることが明らかとなったただしトピックごとの

回答ついて詳細にみると各トピックで取り上げている

個別の科学に対する信頼度について回答者の居住地域

によってかなりのばらつきも見られた

地域による回答のばらつきがあまり見られなかった設問

の一つが科学技術に関して誰の発言を信頼するかと

いうものであるこの設問への回答では政治家やジャー

ナリストなどの他の発信源を大きく引き離して科学者

が最も信頼できる発信源とみなされているまた経済

状況が厳しくとも科学予算を削るべきではなく代わり

に国防関連予算を削るべきと考える回答者の割合が多い

直ちに見返りはないとしても科学は将来の社会のため

の投資に値すると多くの人々は考えているようである

一方科学と政治の関わりについては回答者の居住地

域のおかれた政治状況や歴史的な経緯などを反映して

大きなばらつきが見られた例えばドイツでは科学者

に対して政治への積極的な関与を求める回答者の割合

が非常に高いのに対して中国では半数近くの回答者が

科学者は政治から距離を置くべきだと考えている個々

の科学技術に対する考え方にも居住地域による差がか

なり見られる日米欧の比較では遺伝子組み換え作物

や原子力利用に対して欧州における拒否感は日本と米

国に比べかなり高くなっている一方ナノテクノロジー

の利用に関しては米国や欧州に比較して日本ではかな

り多くの回答者が不安に感じているようである

同じ調査の結果について Nature 誌に A global survey of

the scientifically literate public reveals a pacific divide

on key issues in science という速報記事が掲載された

Nature 誌では日本を含むアジア圏と欧米の参加者とで

大きく異なる回答が寄せられた設問について取り上げて

いるそのような設問の一つに進化論に関するものが

ある日本からの回答者のうち進化論では生命の多様

性を説明できないと考える人は 349にも上っており

米国の 129英国の 54 に比べて顕著に高い数値と

なっているこの進化論に対する懐疑的な日本の回答は

普段我々が直観的に感じている日本の科学の理解につ

いての状況とそぐわないその理由として設問の作り

が英語を母語としない回答者に対して誤解と与えた可能

性や京都大学の加藤氏が Nature 誌へのコメントで指

摘するように真摯に考えればどのような科学的知識も

100正しいとは言えないと答えざるを得なかったこと

が考えられる

同じ調査結果について Nature 誌に掲載された速報記事

と日経サイエンス誌の記事を読み比べると全く違う

調査あるいは調査対象であったかのように映るこの違

いはNature 誌が同誌の事前の予想と大きく違ってい

た部分欧米とアジアの差に着目し特にその部分を取

り上げたために生まれたと考えられる

日経サイエンス

h t t p w w w n i k k e i - s c i e n c e c o m p a g e

magazine1012201012_092html 

Nature のニュース速報

http wwwnature comnews2010100922

full467388ahtml 

調査結果

httpgonaturecomeKv3nX 

11

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欧州議会 RoHS 改定作業の現状

欧 州 議 会 Committee on Environment Public Health and

Food Safety(ENVI) 委員会が取りまとめた RoHS 指令改定

案の議会本会議での採決は今月 22 日となったようである

ここで採択され理事会で採択されれば 2014 年以降の施

行に向けた動きとなる今月の本誌 PEN の発行は諸般の

事情から 25 日を予定しており23 日には原稿を締め切る

したがって採択の結果は今月号では速報できないと思われ

る重大な採択がされるような事態になれば読者の皆様

には別途速報として情報提供する

これまで特に欧州議会の中での目立った動きは察知できな

いもののENVI 委員会の主要メンバーは附属書 IV の禁

止物質リストにナノ銀を盛り込むことでその全面使用禁止

求める方針を断念したようであるこれは先月号本誌で示

した議長国ベルギーの提案に従ったものと思われるただ

大変気になるのはもう一つのカーボンナノチューブがどの

ようになっているのかがよく見えない点で水面下でどの

ような議論がすすめられているのか気になっていた先

週述べたとおりベルギー案は追加リストそのものの撤廃

を求めておりその他のナノマテリアルを含む物質に対す

るラベル表示義務さらには安全性データの欧州委員会へ

の提出義務も含まれていない今後の展開は最も強く修

正案を主張してきた ENVI ラポーターの Jill Evans 氏らが

ベルギー案にどこまで歩み寄った形で 22 日の投票を迎え

るかにかかっている

これに関連して中小企業ビジネス支援サイト J-Net21 は

18 日「欧州委カーボンナノチューブ RoHS 規制見送り」

とする速報をリリースしたそれによると今回示された

改正案には二つのナノマテリアルの使用が制限されていな

いとのことまた二つのナノマテリアル以外のナノマテリ

アルに求められていた表示義務についてはまだ議論が続い

ているようである [12]

ま た 23 日 に ロ ン ド ン の Nanotechnology Industries

Association からナノテクノロジービジネス推進協議会へ

届いた情報によると欧州議会と理事会は RoHSWEEE 指

令における「ナノマテリアル」の記述について合意に達し

た模様でその内容は産業界にとも歓迎すべき内容になっ

ているとのこと内容の詳細について現時点では把握でき

ていないるものの少しずつではあるが確実に猶予すべき

事態から脱却しつつあるとみてよい

このような状況のなか今月は日本国内においても RoHS

指令改定案に二つのナノマテリアルの全面禁止やその他の

ナノマテリアルの表示義務が盛り込まれている点について

周知が進み様々な論評が行われたので短く整理してお

まず「問題が多いナノ材料への RoHS 規制」と題する社

説を掲載し問題を明らかにしたのが11 月 15 日付化

学工業日報であるその社説の論旨は「欧州では科学的

確実性が明らかでないリスクを事後的に管理するより予

防的対策が費用対効果からも優れているという考えが根強

い」としたうえで今回の改定案を「極端な予防原則の適

用といわざるを得ない」と指摘しているさらに「日本

の産業界に与える影響も無視できないだけに日本政府や

ナノマテリアルに関連した事業を展開する企業業界団体

は積極的に情報発信すべきである」と欧州議会に対して

明確な意思表示をすべきとのメッセージで社説の最後を

締めくくっている

RoHS 指令改正案にナノ材料が追加された事実を解説した

のは11 月 12 日付日刊工業新聞である37 もの化学物

質を禁止物質候補としさらにカーボンナノチューブとナ

ノ銀に規制を設け適用範囲も拡大される改正案の内容を

解説したうえで22 日に迫ってきた改定案の採択がその

まま施行される可能性は低いと予測しているもし改正案

のまま施行された場合今後の研究開発を停滞させる恐れ

があると指摘している実際に日本などの産業界からの反

連載環境規制 第 7 回

アメリカの環境規制オバマ政権以降の展開

12

PEN

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embe

r 発も大きく「本会議の採択を受けて開催される理事会は

調停案を出す」との観測を示している以上のような解説

の締め括りとして「日本の産業界としては代替材料やナ

ノ材料の安全性評価手法の開発など2014 年の施行を見

すえ早めに体制を整えておく必要がある」と指摘してい

このように日本国内でも ENVI の Jill Evans 女史がまとめ

た RoHS 指令改定案に対する修正意見に対する反発が強ま

るなか2009 年に厚生労働省や経済産業省環境省が相

次いで公表したナノ材料曝露提言のためのレポートやガイ

ドラインに準拠した対策も進みつつある今月 10 日日

本エアーテックはカーボンナノチューブなどのナノ材料

を安全に扱うための作業器具「ナノパーティクル排気ベン

チ」を開発販売を開始したナノ粒子捕集効率の高いフィ

ルターや引き出しと一体化した掃除機曝露防止のため

の手袋や防塵マスク防護服といった対策が図られている

節末になるが昨今の欧州議会の動きに関してナノ

テクノロジービジネス推進協議会の事務局より欧州

の ナ ノ テ ク ノ ロ ジ ー 産 業 の ア ソ シ エ ー シ ョ ン で あ る

Nanotechnology Industries Association (NIA) と の 間 で 交

わされた情報などを逐次配信していただいたことを付記

しお礼を申し上げる

アメリカの環境規制オバマ政権以降の展開

連載の本題に戻る2009 年民主党オバマ政権が発足し

て以降環境政策環境規制に関しても様々な改革が図ら

れるようになってきたこれはオバマ政権に代わったから

ということではないが米国議会は全ての連邦機関に対し

て 5 年間の戦略計画の策定と 3 年ごとの計画の見直しの実

施を要請している政府の行政評価の一環として 1993 年

以降行なわれている rdquoGovernment Performance of Result

Actrdquo で通常 GPRA と呼ばれこれまで各省庁の政策決定

と実行に大きな影響を与えてきたこれを受けて EPA は

今月 7 日2011 年度からの 5 年間の戦略を公表している

[3]環境と健康を守るための 5 つの戦略的な目標として

①気候変動への取り組みと大気汚染の減少②米国内の水

環境の向上③コミュニティの汚染源の根絶と持続的発展

④化学物質の適正な使用と汚染の防止⑤環境関連法の実

施強化を挙げているまた5 つの戦略目標と合わせて

EPA 首脳部が掲げる 7 つの優先分野における取り組みの進

捗状況を図るための新たな指標も設けられている

これに関連して EPA はTSCA インベントリー利用の改革

を進めている米国内で製造もしくは米国に輸入される

すべての化学物質は「TSCA インベントリー」と呼ばれ

るリストで管理される現在 8 万物質以上が収載されてい

る TSCA インベントリーにない化学物質を製造あるいは

輸入する場合EPA に対する届出義務がありこの届出を

行い EPA の審査を受けることでその化学物質が TSCA イン

ベントリーに新規物質として追加される仕組みになってい

るここでいう届出とは90 日前までに行わなければな

らない製造前届出(PMN)であり生産量暴露排出量

の推計人の健康や環境への影響に関するデータ等が求め

られるただし医薬品農薬や食品添加物等の他の法律で

規制される物質や研究開発目的の化学物質には除外措置が

設けられている [4]PMN は届出業者に新たな試験の実施

を求めておらず届出業者が有しているデータのみを提出

すればよいとされているそこで EPA は定量的構造活性

相関等の手法により届出物質の生態毒性値を予測しその

結果に基づきリスク評価を行っている

オバマ政権以降この TSCA インベントリーの改革がすす

められてきたすでに 2010 年 3 月には基本的な検索を無

料化するなどインベントリーのリニューアルを実施しイ

ンベントリー検索が容易になっているまたインベント

リーのデータは通常年二回更新されるがインベントリー

へ新規化学物質の登録が行われる場合は官報で事前に告知

されるようになっている [5]

SNUR とは

EPA の規制措置について触れたついでに今後の議論のた

めに重要新規利用規則(SNUR)についても理解を深めて

おきたいSNUR については経済産業省化学物質管理課の

HP の記述にその内容をくみ取りやすいので以下に引

用させていただく [6]

「TSCA においては評価の各段階で新規化学物質の申請

者と同意を取りながら進めていくという審査体系をとって

おり懸念のある化学物質に対する規制は個別の申請毎

にきめ細かい措置が講じられる体系となっている規制

は申請者に対する同意指令(Consent Order)及び申請

者以外の者にも同様に規制を行うための重要新規利用規則

(SNURSignificant New Use Rule)により行われる同意

指令は当該化学物質のリスクが明確に評価できないにもか

かわらず健康や環境にリスクをもたらす恐れや放出

暴露量が多い恐れのある場合に発せられリスク評価に十

13

PEN N

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分なデータがそろうまでの製造等を制限するものである

同意指令は申請者に対して発せられるが公平性の観点か

ら当該化学物質を取扱う全事業者に対して同意指令と同等

の制限を規制するのが重要新規利用(SNUR)である対

象物質について SNUR 要件を遵守できない場合には事前

に重要新規利用届出(SNUN)を提出し個別に審査を受

けることとなるSNUR 対象物質に対する制限措置として

はMSDS 作成やラベリング使用者への注意義務数量

制限や特定用途の制限個別事業者における排水管理など

の幅広い手法があげられており対象物質に応じて適切な

規制が適用される」

したがってTSCA のインベントリーに登録された化学物

質が SNUR に指定されるということはPMN 届出業者と

の同意指令の中で当該化学物質の健康や環境影響が無視

できないことの反映である先月号の本誌 PEN で述べた

とおりEPA がこれまでナノマテリアルで交わした同意

指令はイギリスの Thomas Swan 社の子会社でアメリカ

New Jersey 州 Lyndhurst で CNT 製造を行っている Swan

Chemical Inc であるEPA が昨年来 CNT を SNUR 対象物

質にする方向でパブリックコメントを求めてきたがこれ

は Swan Chemical Inc との間で交わされた同意指令の内容

を他の CNT 製造企業にも求めることを意味するEPA の

SNUR での単層および多層 CNT の規制もいよいよ最終段

階に入ってきている

Reference[1] httpj-net21smrjgojpwatchnews_tyusentry20101118-15

html

[2] httpj-net21smrjgojpwatchnews_tyusentry20101117-15

html

[3]httpyosemiteepagovopaadmpressnsfd0cf6618525a9efb8

5257359003fb69d60a5ce970092692e852577b5005c4ff3Open

Document

[4] httpwwwepagov

[5] httpwwwepagovopptnewchemspubsinvntoryhtm

[6]httpwwwmetigojppolicychemical_management03kanri

f1htm

かわいいだけではないらしい

日本ではペットとしてイヌと人気を二分しているネコかわいい口に重大な秘密が隠されていたようです

イヌは舌ですくい上げて水を飲んでいることが分かっています水を飲み終わったイヌの口元は濡れています

しかしネコはミルクを飲んでも口元が汚れないしどうもイヌとは飲み方が違うようだと考えた Pedro Reis 氏

らは高速イメージング技術を用いてネコの秘密にメスをいれました

その結果ネコは重力と慣性力を利用して水を飲んでいることが明らかになりましたネコはまず舌先だけを

水やミルクなどの液体に軽く接触させたのち舌を丸めますそして丸めた舌を元に戻す際の慣性力を使って水

の柱を作りそれを吸い込むようにして飲んでいるのですネコのサイズが変わると舌を水につけるスピード

が落ちてゆっくりとした動きに変わるものの動きそのものは全く同じであることが観察によって明らかになっ

ていますネコ科で 2 番目に体が大きいライオンの飲み方も小さなイエネコの飲み方も同じなのです

様々な分野で活躍する働くイヌと違って「ただかわいいだけ」と言われるネコですがその精緻な舌の動きと

機能はソフトロボット技術研究の進展に役立つと期待されています

How Cats Lap Water Uptake by Felis Catus PMReis RStocker SJung JMArstoff Science 20101111 (online

publication)

httpwwwsciencemagorgcontentearly20101110science1195421

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r

基本政策専門調査会資料公開総合科学技術会議

11 月 17 日中央合同庁舎第4号館で開催された第 11 回

総合科学技術会議基本政策専門調査会の資料が公開され

た10 月 18 日~ 11 月 8 日にかけて行われたパブリック

コメントの結果等も公開されている特に注目される「Ⅴ

社会とともに創り進める政策の展開」の項目のなかの「社

会と科学技術イノベーションとの関係深化」の課題には

①「国民の視点に基づく科学技術イノベーション政策の推

進」には欧米にくらべ遅れている「政策の企画立案及び

推進への国民参画」の促進が必要その方法論を研究し

具体的な参画の場や運用を整備すべき国の機関のみなら

ず各地の大学や研究機関が主体的に参画できるものであ

るべき②科学技術だけでなく社会についての知を総合

しなければイノベーションは不可能③「倫理的法的

社会的課題への対応」でヒトの臨床試験に関する法律

動物実験バイオ施設といった具体例を論ずるべきといっ

た意見が集約されている

また民主党政権が達成目標としている「政府研究開発投

資の対 GDP 比 1」に関しては資料 4 - 1 の第 4 期科

学技術基本計画における投資目標のなかに2008 年度の

実績が 072 であったことが示されているちなみにア

メリカは政府研究開発投資の対 GDP 比 1 を維持してい

httpwww8caogojpcstptyousakaiseisakuindexhtml

科学技術に関する最近の話題への国民の関心について科学技術政策研究所 (NISTEP)

文部科学省所管の科学技術政策研究所は科学技術に関す

る最近の話題への注目度など速報性のあるデータについて

公開したまた同研究所は「日本の研究者を対象とした科

学における知識生産プロセスについての大規模アンケート

調査」の結果についても公表を行ったhttpwwwnistepgojpnistepabout09html

httpwwwnistepgojpachievftxjpnmat191jpdfmat191j_

reportpdf

公共政策のためのパブリックコメント2011 年度予算編成に伴い9 月末から政策コンテストが

進められているこれは市民から広く意見を聞くパブリッ

クコメントのことであるところがある省の政策担当者が

政策立案に関わった専門家に提出方法についてメールで周

知し間接的ながらも意見の提出を促した事実が明らかと

なったこの問題は今月 18 日付新聞各紙で報道された

時代の流れである政策の公共性に逆行し公共の利益に反

する行為であるいわずもがなではあるがパブリックコ

メントが義務的な制度ではなく今後政策や予算立案の過

程で当然の仕組みとして定着していくためにもパブリッ

クコメントを広く公平に集める仕組みつくりは危急の課題

であり集まったコメントに耳を傾ける真摯さが政策サイ

ドに求められている政策や予算に対するパブリックコメ

ントは政策の公共性に必要不可欠の仕組みであり科学技

術の社会受容の重要なプロセスである「パブリックコメ

ントを行いました」という既成事実のためにあるのではな

共同声明「国際化拠点整備事業(グローバル 30)の強化を要望する」11 月 16 日

東北大学筑波大学東京大学名古屋大学京都大学

大阪大学九州大学慶應義塾大学上智大学明治大学

早稲田大学同志社大学立命館大学

平成 21 年度に開始された国際化拠点整備事業(グローバ

ル 30)に採択されている上記 13 の大学は昨年に引き

続き本事業が行政刷新会議の事業仕分けの対象となったこ

とに関して共同声明を発表したその骨子は国際的視

点と人材教育の視点から大学及び日本社会の国際化のた

国内情報

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ovember

めのグローバル 30 をさらに拡充強化されることを政府に

要望するものでまた予算の縮減などになれば国際社会に

おける日本の信頼が大きく傷つくばかりでなく日本の将

来について致命的な打撃を与えるのではないかと指摘して

いるh t t p w w w o s a k a - u a c j p j a n e w s t o p i c s 2 0 1 0 1 1

files20101116_2pdf

加速する EV 市場電気自動車 (EV) 市場が大きく展開し始めたすでに三菱

自動車は昨年から EV アイミーブを市場に投入している

日産自動車は今年 7 月から EV リーフの試乗会を行ってき

たがいよいよ来 12 月には EV リーフの日米同時の販売

を開始するこれにあわせて 12 月 45 日に横浜市内で

公道上での試乗会が行われる今後は技術提携を進めるフ

ランスのルノー社との技術の共通化が図られる

このような動きに対しトヨタやホンダはこれまで EV に

は慎重な姿勢を維持してきたしかしこの数か月でその姿

勢にも大きな変化が出てきた今月 17 日から開催されて

いるロサンジェルスのモーターショーでトヨタは RAV4

の EV モデルホンダはフィットの EV モデルをそれぞれ

公開しているこれまでハイブリッド技術で覇権を制して

きたトヨタはこの 5 月にカリフォルニアの EV 開発ベン

チャーであるテスラと資本提携スポーツタイプ多目的車

(SUV)をベースとした EV の開発を加速させているテス

ラは 2008 年から時速 200km を誇るロードスターの市場

投入実績を有しておりトヨタ以外にもすでにダイムラー

とも資本提携を行っているまた今月にはパナソニックと

電池の共同開発を開始するなど2015 年の本格的なアジ

ア市場での販売計画に向けて技術開発を加速させている

テスラの技術は家電製品に使われる汎用電池を多数並べて

用いるところに特徴があり現時点では車載用専用の電池

の開発を進める他の EV との差別化を図ることに注力して

いる

このような一連の動きは2012 年のカリフォルニア州に

おける環境規制の施行を見据えたもので2012 年が EV

普及にとってフラグポイントになるアメリカでもゼロエ

ミッション EV の開発が活発に行われ経営破たんしてい

た GM が 11 月 18 日に株式市場に再上場するなどアメ

リカの産業構造も大きく変わりつつあるただモーター周

りの技術に関しては中国企業との共同開発も進められて

いる

このような EV 市場の急展開の様相は日本の経済を支え

てきた自動車産業に大きな質的変化をもたらしつつある

EV は「自動車が家電製品になる」と形容されるように

車載用駆動電源としての 2 次電池の高性能化やリチウム

資源の確保さらには太陽光発電利用やスマートグリッド

まで含めたエネルギーデリバリーシステムや充電インフラ

等々幅広い産業活性化の起爆剤でもあるEV がオフィ

スや家庭の家電とつながればIT 産業にも大きなビジネス

チャンスが到来する自動車産業は家電メーカー総合

商社IT 企業その他さまざまな技術領域を巻き込んだ覇

権争いに突入していこうとしておりこれまで ldquo 城下町 rdquo

と称された日本の垂直統合型自動車産業そのものが大きく

変わりつつあるといっても過言ではない

ところで「モーターをタイヤにした」構造的には内燃機関

式に比べ単純な構造の乗り物でもある EV の市場には新

興国の新規産業が参入しやすいという一面がある上述し

たような 2012~15 年にかけて強まる世界的な環境規制を

追い風に新興国から多くの EV 産業への参入が予想され

る実際に中国広東省のベンチャー企業 BYD などはそ

の急先鋒として成長し続けている日本の産業は1990

年のバブル崩壊以降 20 年にわたって「技術で勝って市

場をとれない」状況に苛まれてきた対処策の一つは技術

開発と経営の基本姿勢である言うまでもなく技術が発展

することは製品の質の向上に結び付くのだがただ「より

良い技術をふんだんに詰め込めばおのずと製品は売れる」

という安易な技術への過信や過剰な技術の詰め込みがイノ

ベーションプロセスに負に作用することも事実であるエ

リアごとに大きく異なる市場のニーズを的確に把握するこ

とと急速に展開する市場に対応した経営意思決定の迅速

化がキーになる

もう一つは国際的な枠組みでのインフラ技術の標準化であ

る一国一票の投票権を持つ国際標準化の策定プロセスで

は欧州が圧倒的な強さを維持しており日本は常に苦戦

を強いられる立場にある国際電気標準会議 (IEC) におけ

る EV インフラ技術の標準化チャデモ協議会といった日

本の対応については週刊エコノミスト 12 月号 40 ~ 41

頁に詳しい

また日刊自動車新聞によると電気自動車普及協議会が

EV の高電圧周りの安全対策などに関するガイドラインの

策定を始めているが緊急性の高い項目は今年度中に情報

公開される模様である

国立研究開発機関(仮称)構想省庁の縦割り政策の弊害を解消して研究開発を効率的に進

めることを目的に文部科学省は 38 の独立行政法人研究

機関の再編統合を図る仮称「国立研究開発機関」構想を

打ち出している海江田科学技術政策相はその設置法案を

来年度の通常国会に提出する考えを明らかにしこれに併

せて発足に向けたスケジュール作りがすでに検討チームの

中で始まっているその一方蓮舫内閣府特命担当大臣(行

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r 政刷新)公務員制度改革担当は文部科学省ではなく内閣

府主導で予算編成を行うべきとの考えを示し行政刷新会

議も「焼け太りは許さない」と文部科学省を牽制設置法

そのものの提出をくい止めたい考えである他の様々な施

策同様これも民主党政権内での軋轢となっている

化学5社化学物質情報伝達を電機大手と共通化中小企業ビジネス支援サイト J-Net21 は11 月 15 日に

日本の化学大手 5 社がアーティクルマネジメント推進協

議会の仕組みを活用して製品に含まれる化学物質の伝達

方法を電機大手と共通化することを発表サプライチェー

ンでの情報伝達の共通化が図られるhttpj-net21smrjgojpwatchnews_tyusentry20101115-10

html

22 年度科学技術関係補正予算閣議決定先月末の 26 日平成 22 年度補正予算 4 兆 8500 億円が

閣議決定された今月 11 日付科学新聞はこのうち科学

技術関係予算を文部科学省のスパコン「京」への 186

億円などを含め約 1500 ~ 2000 億円程度と見積もってい

る経済産業省関係では産学官連携のイノベーション拠点

立地支援事業への支援策が多く盛り込まれているつくば

イノベーションアリーナ中核拠点と位置づけられている産

総研には補正予算 30 億円が配分されている

なお内閣府総合科学技術会議は 11 月 4 日2010 年度

の当初予算額 3 兆 5878 億円に対し補正予算案は 1864

億円経済危機対応地域活性化予備費は 141 億円で

合計は 3 兆 7742 億円となったことを明らかにした補正

予算の詳細については 11 月 4 日「平成 22 年度経済危機

対応地域活性化予備費及び補正予算案(科学技術関係予

算)について」として内閣府から公開された

httpwww8caogojpcstpbudgeth22hoseipdf

ナノボーグの販売軽量化フレキシブル化が進む様々なデバイスをまとめて

身に着けることが可能な服が「ナノボーグ」である東工

大谷岡教授が名付けたもので4 日付日刊工業新聞による

と今月にも太陽電池を電源とするジャケットがアメリカ

のアパレルメーカーから発売される

httpwwwnikkancojpnewsnkx0320101104eaahhtml

ldquoNBCI ナノナビ rdquo 創刊ビジネス環境のグローバル化オープン化に伴って政策

や規制動向研究開発動向の迅速な情報共有への要求が高

まりつつあるこれに応え一般社団法人ナノテクノロジー

ビジネス推進協議会(NBCI)は不定期の情報誌 ldquoNBCI

ナノナビ rdquo を創刊先月末より会員向け配信を開始した

創刊号では標準化の重要な課題であるナノラベリング(使

用ナノ材料の周知目的)の動きナノネット活用等につい

て最新の動向が配信された

httpwwwnbcijp

フラーレンのナノエレ応用脚光を浴びるカーボンナノチューブやグラフェンに比べ

フラーレン(C60)のナノエレクトロニクスへの応用展開

は広がらない状況が続いてきたがこの度 C60 を積層し

た有機トランジスタが開発されたこれは 11 月 1 日付日

経産業新聞が報じたもので大阪大学と山形大学大日本

印刷の共同研究の成果である試作された C60 を含む有

機トランジスタは従来の有機トランジスタより大きな電

流を流すことが出来400 キロヘルツの高速応答が得られ

たとのこと

筑波大に生命科学研究拠点先月末筑波大は先端学際領域研究センター通称 TARA

センターを改組し生命領域学際研究センターを設立浅

島誠氏がセンター長に就任した今後 20 人の研究部隊が

幹細胞研究などに特化した研究を展開する

新規事業への投資を名城ナノカーボン10 月 29 日付の金融専門誌ニッキンは名城ナノカーボ

ンの橋本剛氏をとりあげた同社は 2005 年 4 月に当時

銀行員であった橋本氏が名城大安藤義則教授と共に設立

したカーボンナノチューブの開発製造販売を手がける

名城大発ベンチャー橋本氏は今後 5 ~ 10 年で名城ナノ

カーボンの上場を目指すとし取引金融機関に対して新規

事業への具体的な資金投入を期待している

CNT 生産能力倍増昭和電工10 月 29 日付化学工業日報は昭和電工(株)川崎事業

所におけるカーボンナノチューブ (CNT) の年産 100 トン

から 200 トンへ引き上げ計画を報じた同社はリチウム

イオン 2 次電池向け気相成長 CNT の供給を行っているが

今後はさらに急速な需要拡大が進む可能性もありさらに

生産体制の拡大を図る可能性もある

17

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宝石という名前の虫

タマムシはタマムシ科の 4 センチメートルほどの甲虫です漢字では玉虫と書きます玉とは宝石のことで

その名のとおり赤い縦の線が走る虹色がかった緑色の金属光沢の美しい翅をもっています

法隆寺所蔵の国宝「玉虫厨子」を教科書などで見たことがある人も多いのではないでしょうか厨子は仏像な

どの礼拝の対象をしまう大切な入れ物のことです天平の世の人々がその大切な厨子の壁面を飾る細工の材料

にタマムシこそが相応しいと思ったのも納得できる美しい甲虫です残念ながら現在では玉虫厨子の壁面の

翅の多くは脱落してしまっていますが往時を再現した複製品から天平の時代の華やかな色が想像できます

タマムシは時代や洋の東西を問わず美しいと思われるようでベルギーにはその美しさに憑かれて宮殿の天

井を大量のタマムシの翅で飾った現代工芸家もいます

タマムシは厨子に使われた翅だけでなく腹部や脚触角なども緑色の光沢を放っていますまた美しい

翅が良くわかるような背面からの写真が多いので米粒型のすんなりした形のイメージが強いですが横から

見た体には以外と厚みがあります成虫は樹冠を飛び回り主にニレ科の広葉樹の葉を食べています幼虫は

カブトムシの幼虫に似た白いずんぐりしたイモムシで餌も葉ではなく木ですそのため害虫に分類されても

います

岐阜県高山市「茶の湯美術館」に玉虫厨子のレプリカが展示されています

httpwwwnakada-netjpchanoyutamamushi_zushihtmtamamushi 

18

PEN

Nov

embe

r

これを批准した結果日本は 1990 年を基準として 6の

温室効果ガス削減を国際的に約束した日本国憲法によれ

ば国際条約は守らなければならないことになっているの

で「チーム -6」などという運動が日本全国にできた

これの何が間違いだったのであろうか以下その根拠を説

明する尚現在の一次エネルギー源は 80以上が化石

燃料によるものであるからエネルギー消費と温室効果ガス

排出はほぼ同義語であるまた国内総生産(GDP) の増

大すなわち経済成長は社会の安定と国民の安心感を支え

る基本的な要素でありその減少は社会の不安定化をもた

らすため増大させることが必須である

日本は 1973 年の第一次石油危機で大きなダメージを受

けそれから「省エネルギー技術」の開発を血眼になって

推進したその結果図 1 に示すように日本は世界一の「省

エネ大国」になったのである図で縦軸は石油換算のエネ

ルギー消費量横軸は GDP をドル換算したもので1995

年のデータを示してある斜目の破線は一定の GDP を作

り出すのに必要なエネルギー量をトン単位で示しており

これが小さいほどエネルギー効率のいい社会であるつま

り使用エネルギーが少なくなるか同じエネルギーを使っ

ても生産額が多くなればエネルギー効率は良くなる

 エネルギー効率=使用エネルギー生産額(GDP)

図から明らかなように日本は 1995 年時点でも既に世

界で一番エネルギー効率の良い国だったのであるドイツ

フランスイタリアなどは日本の 15 倍イギリスは 2 倍

アメリカが 3 倍中国やロシアに至っては何と 10 倍以上

のエネルギーを浪費しているということが一目瞭然であ

る日本がこのようなエネルギー効率の良い状態から更に

エネルギー消費を減らすなどと言うことは被虐趣味以外

の何物でもないちなみに図 1 は小生が京都議定書を見て

「これは誤りである」と確信し直ぐに作成したものであり

13 年前には既に分っていたことである

それでは日本は何を主張すれば良かったのか賢明な読

者は図 1 を見れば直ぐに考え付くであろうそう「世界

の皆さん今後 10 年間でエネルギー効率を高くする努力

をし現在の日本並みとまでいかなくても少なくとも近

付く努力をしてください」と主張すべきだったのだこれ

なら発展途上国も経済発展を保障されるから合意できたで

あろうし何よりも日本の「省エネ技術」を世界標準とし

て輸出可能であったろう昨年中華人民共和国(中国)が

出した指標はまさにこのような考えに基づいたものであろ

うどこかの国の首相が温室効果ガス排出量(=エネル

ギー消費量)の 25の削減を持ち出したのに対し「中国

はエネルギー効率(=使用エネルギー生産額)を 40

向上させる」と主張した図1から見ても彼等は 1995 年

の日本の水準に追いつくだけで 90の削減が可能であり

40などというのは非常に容易な達成目標であることは

明らかであるまさに国際条約を締結する上での基本的

な事項である「自国の利益を最優先する」という原理原

則にも合致している流石は厳しい歴史を体験してきた国

京都議定書が提案されてから既に 10 年以上経過した今

更と思われる方もおられるかも知れないが現在の日本が

抱える様々な矛盾の出発点の一つが京都議定書であると考

えざるを得ない以上ここで改めてその問題点を明らかに

したい環境省のホームページに掲載されている京都議定

書の内容は以下のとおりである

(httpwwwenvgojpearthcop63-2html)

ポイント先進国の温室効果ガス排出量について法的拘束力

 のある数値目標を各国毎に設定

国際的に協調して目標を達成するための仕組みを

 導入(排出量取引クリーン開発メカニズム共同

 実施など)

途上国に対しては数値目標などの新たな義務は導

 入せず

寄稿京都議定書で日本は何を主張すべきであったか東洋大学大学院学際融合科学研究科 教授 和田恭雄

19

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ovember

は違うなどと感心してはいられない

今からでも遅くない「2010 年を基準としてエネルギー

効率の向上を図る」ことを国際的な合意目標に切り替え

るべきである無論為替レートは 2010 年現在の 1 ド

ル= 80 円程度に固定して比較すべきである現在の円

高を考えれば分母が大きくなることが日本の利益につ

ながるからだ国際条約においては「被虐趣味」は最低

の選択であることを忘れてはならない「率先垂範」など

と言う言葉は国際社会では通用しない無論表面上は大

いに賞賛されようが腹の底で「カモが来た」と思われ

食い物にされるだけである他人から褒められるために

自らの競争力を放棄するようなことは止めるべきである

京都議定書を他山の石としてナノテクノロジーの世界

でも「自らの強みを世界の標準にする」という基本的な

姿勢を取るべきであるのは当然のことであるdarr

darr 世界各国のエネルギー消費量と総生産の比較図右下

に行くほどエネルギー効率が高く同じ GDP を創り出す

のに温室効果ガスの排出量が少ないということを示す

日本は 1995 年当時既に世界一の「省エネ大国」であり

西ヨーロッパの 15 倍米国の 3 倍ロシアなどよりも

10 倍以上効率の良い経済体制になっていたことが分か

る世界中の国が日本を手本にすれば温室効果ガスの排

出量を減らしつつ経済成長が可能になり即ち皆がハッ

ピーになれることを示すことができるばかりでなく日

本の省エネ技術を世界標準にすることも主張できる根拠

となる

20

PEN

Nov

embe

r

日本では21 世の始まりと共に科学技術政策に基づ

いてナノテクノロジーの研究開発への戦略的投資が開始

された2001 年度からの第 2 期科学技術基本計画と

2006 年度からの第 3 期科学技術基本計画の都合 10 年

間にわたる優先的戦略的な研究開発の資源の投入も余

すところ4ヶ月となった

21 世紀を担うと期待されたナノテクノロジーには研

究開発側から社会への一方的な応用があたりまえであっ

たこれまでの科学技術とは異なる研究開発の方法論が導

入されたコア技術の研究開発と並行してその技術の社

会的影響を検討しそれをさらにコア技術の研究開発に

フィードバックするという新しい研究開発の方法論であ

る [1]ナノテクノロジーの社会的影響にとって最も重

要で緊急の課題がナノ材料の環境健康影響安全 (EHS)

の課題であった技術の社会的影響を検討しながら進め

られているナノテクノロジーの研究開発がうまくいくか

どうかこのことがナノテクノロジーに続く今後の新興

の科学技術の研究開発のあり方に大きな影響を与えるこ

とになる社会的影響をフィードバックしながら進める

責任ある研究開発がはじめて試みられた日本のナノテク

ノロジーがこれまで 10 年間にわたって戦略的研究開発

投資を続けてきた現在どのような状況にあるのか今回

の特集ではそれを俯瞰的に解析する

まず国内の全ての新聞と雑誌に掲載されたナノテクノ

ロジー関連記事の数を統計的指標としてナノテクノロ

ジーの研究開発に対して日本の社会がどの程度の関心を

示しているのか評価することを試みる図1に日本

のメディアに掲載されたナノテクノロジー関連の記事の

年推移を示すグラフから明らかなようにナノテクノ

ロジーへの戦略的研究開発投資が始まった 2001 年まで

日本のメディアはほとんどナノテクノロジーを取り上げ

ていないただこれは日本にナノテクノロジーの萌芽

的研究開発がなかったということではない

一例をあげるなら工業技術院は産業科学技術研究開発

制度の一環として新エネルギー産業技術総合開発機

構(NEDO)の委託により原子分子極限操作技術の研

究開発プロジェクトを展開した1992 年から 10 年間に

わたり分子原子をボトムアップ的に集積する研究開発

を進めたこのプロジェクトは技術研究組合オングスト

ロームテクノロジー研究機構(ATP)と呼ばれたさらに

ATP と産業技術融合領域研究所は同研究所内にアトム

テクノロジー研究体(JRCAT)を設置して産官学の共同

研究プロジェクトを推進した折しも日本は 1990 年の

バブル経済の崩壊後失われた 10 年と称される経済の停

滞に苦しんでいたまだナノテクノロジーに対する期待

は高まってはいなかったが日本のナノテクノロジーは

着実に萌芽的研究開発を進めていた困難な経済のなか

で日本のナノテクノロジーはその萌芽に向けた着実な

準備をしていたといえるのだがこのような地道な研究

開発が進められていた点はこの統計からは見えにくい

0

500

1000

1500

2000

2500

3000

3500

4000

4500

5000

1990

1991

1992

1993

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1998

1999

2000

2001

2002

2003

2004

2005

2006

2007

2008

2009

図 1

特集

10 年におよぶナノテクノロジー研究成果の発展的継承を 

21

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ovember

2001 年度から戦略的な究開発投資が開始されると同時

にナノテクノロジーへの関心は急速に増していった

わずか 2 年後の 2003 年にはその期待は極みに達して

いる上述したとおり我々はこの統計で縦軸をナノテ

クノロジーに対する社会の関心と見なしておりこれは

David M Berube 氏が示した典型的な Hype 曲線の縦軸

「Visibility」と同義とみなせる [2]その類似性を図 2 に

示す

図 2

日本では Nano-Hype と呼べるピークが高性能瞬間湯

沸器よろしく戦略的研究開発投資が開始されたわず

か 2 年後の 2003 年に出現しているのであるまたJ

Fenn らはこのようなピークを図 3 に示すようにイノ

ベーションのハイプサイクルにおける rdquoPeak of Inflated

Expectationsrdquo と表現している [3]

Exp

ect

atio

ns

Time

InnovationTrigger

Trough ofDisillusionment

Slope ofEnlightenment

Plateau ofProductivity

Peak of InflatedExpectations

図 3

この時期はナノテクノロジーの将来価値への大きな期

待の反面研究開発の実態は希薄である実体の伴わな

い過剰な期待を理由に「一部の有力な科学者や政策担当

者がこのような Hype の状況を意図的に作りだした」と非

難する論調もある確かに Nano-Hype はナノテクノロジー

の将来価値への期待が研究開発の実態を上回る状況では

あるがナノテクノロジーに対する社会の関心や期待を

喚起しその期待を背景にナノテクノロジーへの研究開

発投資が漸次増加していったことも事実であるまたナ

ノテクノロジーの事をもっと知りたいという知的欲求も

刺激されそれに応えるためにいくつかの大学ではサイ

エンスコミュニケータやサイエンスインタープリタサ

イエンスジャーナリストの養成講座等が開設されたさ

らに今日年間 2000 回以上のサイエンスカフェが全国各

地で開かれるなどナノテクノロジーのような新興の科

学技術のパブリックエンゲージメントの活動の契機にも

なったNano-Hype と呼ばれる状況がそのような様々

なプラスの効果を日本にもたらしたことも忘れてはなら

2003年

2010年

2003年

22

PEN

Nov

embe

r ない点である

実体の伴わない過剰な期待が徐々に覚めていく Negative-

Hype の状況はHype が極みに達した 2003 年直後の

2004 年から 2007 年にかけて顕著に現れてくる依然

として政府のナノテクノロジー材料領域への研究開発

投資が伸びるなかメディアがナノテクノロジーを取り

上げる頻度は急速に下がり社会の関心は冷めていった

過剰な期待が冷静さを取り戻していく Negative-Hype は

必然であるとしても注目しておかなければならない大

事な点は Negative-Hype がいつ止むかいつ底を打つの

かである図 1 から明らかなように2004 年以降 2007

年まで急速に下降しているものの2008 年から 2009 年

と明らかに Negative-Hype は底を打っている

上述の J Fenn らは新しいハイプサイクルの縦軸の評価尺

度を議論しているのだが図 4 に示すようにハイプサイ

クルのプロフィールが二つの要素からなることを示して

いる [4]この指標を採用すると今年 2010 年の日本の

ナノテクノロジーはHype が終わりエンジニアリング

またはビジネスが徐々にその成熟度を増していくちょ

うどその過渡期にあるとみてよい今後ナノテクノロジー

がITエネルギー環境ライフサイエンスといった様々

な技術分野の基盤技術としてその実用化に貢献していく

現在はちょうどその転換点にあるそのプロセスを確実

に進めていくには中長期的な一貫した科学技術政策に

よりナノテクノロジーの基礎的な研究開発を継続的に

推し進めていくことが肝要である

図 4

そして10 年に及ぶ科学技術政策に基づいたナノテク

ノロジーの戦略的研究開発投資の成果を応用実用化

へ確実につなげていくために取り組まなければならない

もっとも重要な課題が包括的で実態のあるナノテクノ

ロジーのパブリックエンゲージメントの活動である昨

今ナノテクノロジーの研究開発と並行して社会受容

パブリックエンゲージメントの活動の重要性が指摘され

るようになってきたしかしこの課題に関する解釈は

依然としてまとまりを欠いているだけでなく「こういっ

た課題への取り組みが大事である」といったことが最後

の部分に申しわけ程度に記述されている例も多々見受け

られる取り組んでいるという既成事実のために実体の

伴わないパブリックエンゲージメントの活動が進められ

ると将来的にナノテクノロジーへの信頼も失墜しかね

ない多様な課題を含む社会受容パブリックエンゲー

ジメントの活動には包括的な視点で具体的実践的に取

り組んでいく必要がある

ReferenceRoco M C amp Bainbridge W S 2001 ldquoSocietal

Implications of Nanoscience and Nanotechnologyrdquo

Kluwer Academic Publishers

Berube M B amp Roco M C(FRW) 2005 ldquoNano-Hype

The truth behind the nanotechnology buzzrdquo Prometheus

Books

イノベーションのハイプサイクル

「Mastering the Hype Cycle」J Fenn M Raskino

Harvard Business Press 2008

M Raskino J Fenn IT Management(ITM) ITM-09-

37 Research Note 2010 年 2 月 9 日

23

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ovember

【CO2 排出量】世 界 的 な 金 融 危 機 に も か か わ ら ず2009 年 の 化 石 燃料 由 来 の 二 酸 化 炭 素 排 出 量 の 減 少 は 小 幅 に と ど ま る

(20101122)国立環境研究所(国環研)

国環研はグローバルカーボンプロジェクト (GCP) が 11

月 22 日の Nature Geoscience 誌の電子版に調査結果を発

表すると速報したその内容は世界金融危機の経済的

影響にも関わらず2009 年における世界の化石燃料由来

の二酸化炭素排出削減量が予測値である 28を下回り

前年比 13にとどまったことで同じく GDP の減少も予

測値を下回っている

httpwwwniesgojpwhatsnew20102010112220101122html

【量子コンピューティング】量子コンピュータ実現への障壁を緩和する誤り耐性方式を開発 (20101124)日本電信電話(株)京都大学

量子コンピュータに必須な量子ゲートは確実に正しい演

算をすることはなくある程度の誤り確率をもつため量

子コンピュータを実現するためには演算の誤り訂正を行

う技術の実現が必須となる演算の誤り訂正を行うために

はある程度誤り確率の低い量子ゲートが必要であると考

えられてきたが今回共同研究チームは誤り確率が非常

に高い量子ゲートを用いても量子計算が可能となる誤り耐

性のある量子計算方式を世界で初めて示した

httpwwwnttcojpnews20101011101124ahtml

【光電変換】ナノギャップ光アンテナにより高効率化した有機超薄膜による光電変換 

(20101122)物質材料研究機構北海道大学

NIMS と北大の共同研究チームは有機超薄膜型の光電変

換分子素子において光吸収電子伝達といった必要な機

能をもつ部品を連結した分子から成る単分子超薄膜を原

子レベルで表面制御した平滑な金電極面と金ナノ粒子で挟

み込むことによってナノギャップ型の光アンテナを導入

することに成功したその結果光アンテナ 1 つあたりで

光誘起電子移動反応が約 50 倍の効率に高まることを実

証した

httpwwwnimsgojpnewspress201011p201011220html

【EV】シンガポール政府と電気自動車の普及に関する覚書を締結

(201011 19)三菱自動車(株)

MMC はシンガポール政府と電気自動車(EV)普及のため

の活動に協力する内容の協定を締結したことを発表した

今回の活動はシンガポールの経済開発庁が中心となり

同国のエネルギー市場監督庁陸上交通庁との間で EV タ

スクフォースを組成し同国の EV 普及を目的としたユー

ザー向け補助金制度や充電インフラ整備などの検証を行う

ものこの活動の中でMMC は CCA を通じ 2011 年より

順次『i-MiEV(アイミーブ)』25 台を供給し実証走行

試験に協力していくhttpwwwmitsubishi-motorscompublishpressrelease_jp

corporate2010newsdetail4407html

【リチウム二次電池】リチウム二次電池の量産化実証工場が竣工 年間生産能力6 万 6000kWh (201011 18)三菱重工業(株)

リチウム二次電池事業への本格参入に向け長崎造船所内

に建設していた同電池の量産化実証工場が17 日竣工し

た年間生産能力は 6 万 6000kWh中型電池換算で約

40 万個に相当する今後各種実証技術に取り組み早期

の本格的な商業量産につなげていくとしている

プレスリリースより

CUTTING-EDGE TECHNOLOGIES

24

PEN

Nov

embe

r httpwwwmhicojpnewsstory1011184999html

【基礎科学物質の起源】動きがのろい冷反水素原子を 38 個も磁気瓶に閉じ込める物質と反物質の違いを知る手がかりとなる冷反物質研究が新段階に (201011 18)物質材料研究機構(NIMS)

NIMS は欧州原子核研究所(CERN)の国際共同研究グルー

プに参加し反物質の代表格である反水素原子を独自に

開発した八重極磁気瓶の中に 38 個も閉じ込めることに世

界で初めて成功した反水素原子の原材料である反陽子(陽

子の反粒子)と陽電子(電子の反粒子)を八重極磁場コ

イルとミラーコイルを組み合わせた磁気瓶の中に蓄積し

そっと混ぜ合わせて冷たい反水素原子を大量に生成した

反水素原子は電気的に中性の小さな磁石なので反水素原

子ができあがったころ(約 1 秒後)を見計らって電圧を

加え残存している反陽子と陽電子をことごとく排除した

その後磁気瓶の磁場を瞬時にゼロにすると磁気瓶内に

とどまっていた反水素原子は装置の壁に当たって消滅し

パイ中間子などのさまざまな粒子を放出するこれらの粒

子を磁気瓶を包む 3 枚の検出器で観測した結果捕捉し

ていた反水素原子を 38 個も確認することができた後述

するように同内容は理化学研究所からもリリースされたhttpwwwrikenjpr-worldinforeleasepress2010101118

indexhtml

【超伝導】ピセンのカリウムドープに伴う電子構造変化の直接観測 

(201011 17)岡山大学

岡山大学の研究グループはピセンおよびカリウムドープ

ピセンの電子構造を実験的に観測する事に世界で初めて成

功したカリウムドープピセンは芳香族炭化水素における

初めての超電導体であるがカリウムドープピセンの超電

導メカニズムまた超電導を誘起する電子構造は解明され

ていない研究グループは光電子分光法を用いピセンのカ

リウムドープに伴う電子構造変化を直接的に観測した結

果ピセンのカリウムドープに伴う電子構造変化を観測

芳香族炭化水素超電導体の超電導メカニズム解明および新

規超電導体探索の指針になると期待されるhttpwwwokayama-unetrenkeidocumentpdfpressrelease

press-101117pdf

【慣性力発電】慣性力(振動)発電技術を商品化 国内最大手エース社のバッグに慣性力発電ユニットを搭載 (201011 17)伊藤忠商事(株)

米国 CIIIS 社の持つ慣性力発電(振動発電)技術を用いて

人体の運動による振動で発電する慣性力発電ユニットを開

発した国内鞄最大手のエース株式会社がこの慣性力発

電ユニットを搭載したバッグの販売を行う

httpwwwitochucojpjanews2010101117html

【生物多様性】多様性進化の背景に『甲状腺機能低下』 (201011 16)東北大学

生物多様性の喪失は現在急速に進んでおり多様性の進化

維持機構を解明することは世界的な課題である生物多様

性の創出は多くの場合新規環境に生き物が侵出すること

によって始まるが生物が新規環境へどのように適応して

行くのかその過程については多くが未解明である東北

大学の研究チームはこのたび新規環境への適応に甲状腺

ホルモンの進化が重要であることを発見したhttpwwwtohokuacjpjapanesenewimgpressimgtohokuuniv-

press_20101116pdf

【ナノ物性】ナノスケールの鉄磁石を電界でコントロール

(201011 01)千葉大学

磁石の N と S 極は磁界を用いることでコントロールでき

るが千葉大学の研究チームはナノスケールの鉄の磁石の

極性をエネルギーの要らない電界でコントロールできるこ

とを見出したhttpwwwchiba-uacjppublicitypresspdf201020101102nano

pdf

【SOFC 関連材料技術】 画期的な電解質材料の開発に成功 固体酸化物燃料電池の商用化に一歩前進 (201011 18 )物質材料研究機構(NIMS)

NIMS の研究グループは電解質材料に必要とされる三つ

の要件イオン伝導性化学的安定性焼結性のすべてを

高いレベルで満足する2種類の材料を開発することに成功

したひとつは10 のプラセオジムを含むイットリウム

添加ジルコン酸バリウム(BZPY)でもうひとつは酸

化ニッケル (NiO) とイットリウム添加ジルコン酸バリウム

25

PEN N

ovember

(BZY) の混合粉末を固めた基板上にプレス成形された BZI

であるhttpwwwnimsgojpnewspress201011201011180

p201011180pdf

【レアアース】微生物でレアアースの回収が可能に バクテリアがレアアースを濃縮する現象を発見 (201011 17)広島大学高エネルギー加速器研究機構高輝度光科学研

究センター

共同研究グループは微生物の細胞表面では微生物が存在

しない周囲部分に比べてレアアースを高濃度に濃縮する現

象を見出したまたレアアースの中でも特に希少価値の高

い元素が選択的に濃縮することを発見その濃縮メカニズ

ムを放射光を用いたX線吸収法により明らかにした

httpwwwkekjpjanewspress2010RareEarthElementshtml

【はやぶさ】はやぶさカプセル内の微粒子の起源が判明(201011 17)宇宙航空研究開発機構

「はやぶさ」のサンプルキャッチャー室から特殊形状のヘ

ラで採集された微粒子を走査型電子顕微鏡にて観察および

分析した結果1500 個程度の微粒子を岩石質と同定した

更にその分析結果を検討したところそのほぼ全てが地

球外物質であり小惑星イトカワ由来であると判断するに

至った

httpwwwjaxajppress20101120101117_sac_hayabusapdf

【超伝導基礎科学】超伝導のメカニズム解明に大きな手がかり ルテニウム酸化物の電子の運動状態を選択的に可視化することに成功 電子対を形成する「のり」の起源を初めて解明

(201011 17)広島大学産総研

1994 年に日本で発見されたルテニウム酸化物超伝導体は

ユニークな超伝導状態を示しこれまで数多くの研究が行

われてきたがいまだにその超伝導のメカニズムは謎のま

まであった超伝導が生じるためには電子と電子を「のり」

で結びつけ「電子対」にする必要がある共同研究グルー

プは放射光の直線偏光特性を活用するため放射光の光

軸のまわりに回転可能な高分解能角度分解光電子分光装置

を開発しルテニウム酸化物超伝導体の超伝導機構解明に

重要な手がかりをつかんだ研究グループが開発した新装

置を用いることによりルテニウム酸化物超伝導体の異な

る運動状態にある電子を選択的に分離しながら精密に分

析することが初めて可能となったその結果物質の電子対

を形成するための「のり」として結晶を作っている原子

の振動が重要な役割を果たしていることその「のり」が

どのくらい強く働いているのか等が明らかとなった httpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101117

pr20101117html

世界最高性能基準光源を開発 安定高精度高速の三拍子そろった光信号の発生に成功 (201011 15) 情報通信研究機構(NICT)国立天文台(NAOJ)

NICT と NAOJ はNICT 独自の高消光比変調技術を利用

し精度を保ったまま周波数範囲を拡大する構成を提案し

たNAOJ の安定度向上技術による制御機能を組み合わせ

ることで世界最高性能の基準信号発生装置を共同開発

し100 ギガヘルツを超える高速信号の長距離伝送を実現

した本装置の方式により従来技術の課題であった安定

性周波数範囲精度の問題を解決した安定性は 2 台の

レーザを用いる従来方式に比べて 10 倍以上を実現し信

号の乱れを 30 万年に 1 秒以下とすることに成功したま

た精度は従来型変調器と比較し 1000 倍以上周波数範

囲は 4 倍を達成したhttpwww2nictgojppubwhatsnewpressh22101115101115

html

【基礎科学レーザ分光】電子の氷を光で融かす一瞬を捉える 光が有機物質を変える瞬間の超高速スナップショット (201011 15)東北大学自然科学研究機構分子科学研究所科学技術振

興機構(JST)

共同研究グループは光の照射によって有機物質の色や

電気伝導度が大きく変化する光誘起相転移現象の最初の瞬

間を捉えることに成功した電場と磁場の振動である光の

振動の3周期分に匹敵する極めて短いパルス光をポンププ

ローブ分光によって二次元有機物質における電荷秩序の

融解のダイナミクスすなわちldquo 電子の氷 rdquo が光によっ

てどのように解け絶縁体から金属へと変化するのかと

いう問題を明らかにしたものこの成果 12 月初めには米

国物理学会誌 Physical Review Letters オンライン版で公開

予定

httpwwwjstgojpprannounce20101117-2indexhtml

【熱電材料】水を使って絶縁体から効率のよい熱電材料を作ることに成

26

PEN

Nov

embe

r 功 希少毒性金属を含まない安価簡便な熱電材料創製に新たな道 (201011 15)科学技術振興機構 (JST)名古屋大学

熱電材料は熱を電気に変換することができることからエ

ンジンの排熱を利用して発電するハイブリッド自動車など

への応用が期待されているが従来の熱電材料はビスマ

スアンチモン鉛テルルといった希少毒性金属など

を含む問題があったJST 課題解決型基礎研究の一環とし

て名古屋大学の研究グループは水の電気分解を利用し

安くてありふれた絶縁体酸化物表面を大きな熱電効果を示

す金属へ変えることに成功した大量に水を含んだ多孔質

ガラスを新規に開発しこの多孔質ガラスを金属チタンと

チタン酸ストロンチウムに挟んで電圧を加えると水の電

気分解によって絶縁体のはずのチタン酸ストロンチウムの

表面に厚さ 3 ナノメートル以下の極めて薄い金属チタン酸

ストロンチウムが生成した通常の金属チタン酸ストロン

チウムに対して 4~5 倍高い電圧を示すことから従来の

熱電材料の約 2 倍の熱電性能が期待できる

httpwwwjstgojpprannounce20101117indexhtml

【基礎科学物質の起源】国際研究チーム反水素原子を瓶の中に閉じこめることに成功(20101118)理化学研究所

8 か国からなる研究チームは欧州合同原子核研究機関

(CERN)の装置を用いて加速器で反陽子と陽電子を作

成し磁場の中に閉じこめたのちに撹拌して反陽子と陽

電子1個ずつを結びつけ反水素原子を生成した反水素

生成後に余った反陽子と陽電子を取り除き反水素原子だ

けを特殊な瓶の中に封じ込めることに成功した計 38 個

の反水素原子が 02 秒間存在したことを確認反物質は

Dan Brown の小説「天使と悪魔」で非常に微量で爆発

を起こす材料として登場するしかし今回の手法では短

時間に消滅してしまい爆弾に使える量をためるのは不可

能だという17 日付の Nature Online 版に掲載

httpwwwrikenjpr-worldinforeleasepress2010101118 

【マックスウェルの悪魔実証】情報をエネルギーに変換することに成功 ldquo マックスウェルの悪魔 rdquo を実験により世界で初めて実現新規ナノデバイスの実現に期待 (201011 15)中央大学東京大学

微細加工技術とサブミクロンスケールのリアルタイム制御

システムを組み合わせ「マックスウェルの悪魔」と呼ば

れる科学史上の重要な概念を世界で初めて実験により実現

した これによって情報をエネルギーに変換できるこ

とを初めて示すとともに情報を媒介して駆動する新規ナ

ノデバイスの実現の可能性を示した マックスウェルの

悪魔は熱力学の根本に関わる概念でありこれを実現でき

た学問的意義は大きいまた科学者以外にもよく知られ

たテーマであり多くの人が興味を持つ話題でもある情

報を媒介して駆動する新規のナノデバイスを実現できる可

能性があり基礎的研究にとどまらずナノサイエンスで

の新しい制御法への応用が期待できるこの成果は 11 月

14 日に Nature Physics Online に公開された

Toyabe Sagawa Ueda Muneyuki and Sano

ldquoExperimental demonstration of information-to-energy

conversion and validation of the generalized Jarzynski

equalityrdquo

httpwwwsu-tokyoacjppresspress-2010-42html

詳細は中央大学 HPhttpwwwchuo-uacjpchuo-unewscontents_jhtmlsuffix=kampmo

de=topamptopics=12513

【基礎科学分子バネ】電子の出し入れで硬さが劇的に変わる分子バネを開発 たった 1 つの電子放出で分子全体の動きやすさが 450 倍も変化 (201011 15)理化学研究所科学技術振興機構(JST)

6 個の炭素原子が環状につながったベンゼン環は有機化

合物において最も基本的な構成ユニットの一つでありベ

ンゼン環をさまざまな形で結合させたものが盛んに研究さ

れてきたしかしベンゼン環を隣り合う炭素の位置で結

合させたオルトフェニレンは単純な構造でありながら合

成が難しいためこれまでほとんど研究がなされておらず

その性質は解明されていなかった理化学研究所の研究グ

ループはベンゼン環 48 個を隣り合った炭素の位置で結

合させたオルトフェニレンを世界で初めて合成したオル

トフェニレンは3 つのベンゼン環が 1 ピッチのらせんを

形成するバネ状の構造をしているがこのようなバネ状の

構造を持った分子はさまざまな機能を発揮するためエ

レクトロニクスや分子機械への応用の可能性が高まってい

る研究グループはこのバネ状分子から電子を 1 つ取

り去るとバネの硬さが劇的に増してらせんの反転速度が

約 450 分の 1 も遅くなることを突き止めたまたこの

1 個の電子の出し入れに応じてバネのピッチが 3263Aring か

ら 3224Aring と変化したこれまで電子が高密度に含まれ

た分子バネは電子を出し入れすることでその振る舞いが

変化することが理論上予想されていたがこのように電子

を多量に含む分子バネの合成は難しく実験的にも証明さ

れていなかった硬さの変化というこれまで実現すること

27

PEN N

ovember

ができなかった応答をする分子バネの登場は応答性分子

の分野に新たなコンセプトをもたらすと注目される本研

究成果はJST 戦略的創造研究推進事業 発展研究 (ERATO-

SORST)「分子プログラミングによる電子ナノ空間の創成

と応用」の一環として行われたものhttpwwwrikenjpr-worldinforeleasepress2010101115

indexhtml

【自己組織化基質選択的会合】分子間の特異的な相互作用による新規材料集積法を開発 分子が好みの分子を見分けて接着 (201011 15)大阪大学科学技術振興機構(JST)

近年分子認識を利用して分子と分子を非共有結合でつな

げることによりさまざまな超分子錯体が合成されさらに

これらを自己集合させる研究が行われているこれらの研

究において形成される集合体は分子の大きさであるナノ

メートルからマイクロメートルの極めて小さなもので高

倍率の顕微鏡を使わなければ見えない分子認識に基づい

て手軽に使えるくらいの大きな自己組織体を作り出すこと

はナノテクノロジー分野において分子を自己組織化さ

せて機能性材料を創製する上で重要な課題であった大阪

大学の研究グループはホスト分子としてシクロデキスト

リンをゲスト分子としてシクロデキストリンが結合する

化合物を用いてそのホスト-ゲスト相互作用を利用して

多様な自己組織化超分子ポリマーの構造体を作りマクロ

スケールで機能を発現させる研究を進めている今回D

NAやタンパク質の分子量決定に広く用いられるアクリル

アミドゲルを土台にしてこのゲルにシクロデキストリン

とゲスト分子をそれぞれ別々に導入し「ホストゲル」と

「ゲストゲル」を合成したこの両者を水中で振動させる

とゲルが接着する挙動が観察されミリメートルからセン

チメートルの大きさの物体を分子認識により自己集積でき

ることを世界で初めて実証したさらにシクロデキストリ

ンとゲスト分子との相互作用の強さの違いによって選択的

に特定のゲル同士を接着させることができることがわかっ

httpwwwjstgojpprannounce20101115indexhtml

【ブタノール分離膜】バイオブタノールの省エネルギー型膜分離精製技術を開発1 wt ブタノール水溶液から80 wt 以上の高濃度ブタノールの回収が可能 (201011 15)産総研

産総研は1 wt 程度の希薄なブタノール水溶液からゼ

オライト系分離膜を用いて 80 wt 以上に濃縮したブタ

ノールを回収できる省エネルギー型のバイオブタノール精

製技術を開発した ブタノールはエタノールと比較して

発熱量が大きいことから地球温暖化対策に貢献できる再

生可能なバイオ液体燃料すなわちポストバイオエタノー

ルとして期待されている今回合成条件の最適化を進め

高いアルコール選択透過性をもつシリカライト分離膜を合

成し膜分離法によって低濃度ブタノール水溶液から高

濃度ブタノールの回収が可能となった従来の分離膜を用

いた場合に比べてブタノール回収のためのエネルギーを

50 ~ 70 程度低減できることが期待される httpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101113

pr20101113html

【分子生物学】 化学合成したペプチドからウイルスの殻構造を組み上げることに成功 新規ナノ材料や医療材料としての応用に期待 (201011 12) 九州大学北九州市立大学

共同研究グループは化学合成したペプチドから約 40 ナ

ノメートルのウイルスの殻構造を組み上げることに世界で

初めて成功した球状の植物ウイルスから遺伝子を除いた

キャプシド構造と呼ばれる殻構造は決まった大きさのナ

ノ空間であることからナノ物質の反応器や運び手として

利用する研究が国内外で盛んに行われているしかしこ

れまでウイルスのキャプシド構造を得るにはウイルス

の遺伝子をバクテリア内に導入して生産させる必要があっ

た本研究では遺伝子やバクテリアを用いない完全化学

合成によってウイルスキャプシドを構築することに成功

した今回ウイルスの殻構造を簡単なペプチドから構築

できたことで様々な機能性ウイルスキャプシドを人工的

に創成する道が拓けたと言えるこのペプチドからなるナ

ノカプセルに適切な化学修飾を施すことによりナノ物質

合成のための反応器や医薬品の運び手人工ワクチンを

創成するための足場材料として応用できるものと期待され

るhttpwwwkyushu-uacjppressrelease20102010-11-12-04pdf

【レアメタル】レアメタル使用量削減技術の実用化を加速(20101110)新エネルギー産業技術総合開発機構 (NEDO)

NEDO はレアアース総合対策の一環として企業が取り

組むレアメタル使用量削減技術の実用化を加速するための

助成事業(事業規模約 100 億円)を 2010 年度補正予算

の成立を前提に行うこの助成事業では短期間で実用化

が期待できる以下の技術開発を対象として①レアメタル

28

PEN

Nov

embe

r を代替する材料の技術開発 ②レアメタルの使用量を削

減する技術開発 ③レアメタルのリサイクルを促進する

技術開発 ④その他のレアメタル消費の削減に資する技

術開発を行うhttpapp3infocnedogojpinformationskoubopressEFnedopre

ss2010-11-068550095069

【導波路型光スイッチ】光スイッチの消費電力を従来の 2 分の 1 に低減 増え続けるネットワーク機器の消費電力問題を解決 (201011 09)( 株 ) 富士通研究所

同社はシリコンフォトニクス技術を適用した導波路型光

スイッチについて世界で初めてシリコンゲルマニウム

(SiGe)細線構造を用いることで従来のシリコン細線構

造に比べて消費電力を約 2 分の 1 に低減することに成

功した幅広い波長に対応して高速に動作できるタイプの

光スイッチ素子としては世界最小の消費電力を実現して

いるhttpprfujitsucomjpnews2010119html

【ナノ構造機能】昆虫が足を擦る秘密をナノテクノロジーで解明 生体模倣による新しい材料機能の開発に活用 (201011 09)物質材料研究機構マックスプランク研究所キール大

共同研究チームは環境問題で循環型社会実現に求められる

「接着と分離」を繰り返せる未来の接合技術の開発研究に

おいてガラスのような平坦な表面を逆さまでも歩行でき

る昆虫の足の裏の優れた接着性に着目し昆虫(ハムシ)

の歩行調査を行いナノテクノロジーを用いた実験により

昆虫が摩擦により汚れを感じていることを突き止めた

httpwwwnimsgojpnewspress201011p201011090html

【超音波流量計半導体プロセス】極微量な流量を精密に測定できる超音波流量計を開発 半導体製造装置の性能を向上させ環境負荷を低減しランニングコストを削減 (201011 09)産総研( 株 ) アツデン東京計装 ( 株 )

3 者は共同で10 mLmin( 誤差plusmn 01 mLmin) 以下の極

微量な流量を精密に測定できる超音波流量計を開発した

この流量計は超音波ガイド波の伝搬に関する基礎理論の

見直しを行い超音波を高周波化し設計を最適化するこ

とにより開発したものでこれまでの超音波流量計では計

測できなかった微小な流速領域での流量測定ができるこ

の超音波流量計は半導体製造装置で利用される薬液の高

精度な制御を可能にし半導体製造装置の高性能化環境

負荷の低減ランニングコスト削減へ貢献すると期待され

る httpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101109

pr20101109html

【研究交流】中国上海における国際交流事業の実施同済大学と大学間学術交流協定を締結 (201011 08)大阪大学

10 月 21 日上海において開催した上海教育研究センター

開所式記念講演会祝賀会には鷲田清一総長をはじめ

とする大阪大学教職員中国の学術交流協定校関係者大

阪大学同窓会会員など約 130 人が列席し盛況の内に終

了した翌 22 日23 日には第 15 回大阪大学上海交

通大学学術交流セミナーが上海交通大学情報ネットワーク

センターを主会場として開催され7つの研究会に約 100

人が参加したさらに 23 日と 24 日の両日上海東亜展

覧館を会場に開催された中国国際教育展に大阪大学のブー

スを出展し100 人を超える留学相談者が本学のブースを

訪れた翌 10 月 22 日鷲田清一総長は上海市内にある

同済大学を訪問裴学長陳副学長ほか大学関係者と懇談

するとともに大学間学術交流協定及び学生交流覚書の調

印式に臨んだこれにより中国の大学との 10 番目の協定

が成立したhttpwwwosaka-uacjpjanewstopics20101120101108_1

httpwwwosaka-uacjpjanewstopics20101120101108_2

【高耐久性セラミック】激しい熱変化にも強度劣化しない窒化ケイ素系セラミックスを開発 窒化ホウ素の微粒子を分散させ耐熱衝撃性を飛躍的に向上 (201011 08)産総研三井金属鉱業(株)

両者は共同で従来品に比べて耐熱衝撃性と高温での強度

を飛躍的に高めた窒化ケイ素系セラミックスを開発した

今回窒化ケイ素(Si3N4)をベースとして高い熱伝導

率をもつ粒界相を形成させるとともにそこに非晶質に近

い窒化ホウ素のナノメートルオーダーの微粒子を分散させ

ることで耐熱衝撃性を飛躍的に向上させた従来の窒化

ケイ素が 1000 の温度差で強度が低下するのに対して

今回の開発材は電気炉で 1400 に加熱した後水中に投

下することを 10 回繰り返してもほとんど強度が劣化しな

かったまたこの開発材について大気中 1200 で高温

29

PEN N

ovember

曲げ試験を行ったところ室温と同程度の強度を保持して

いたセラミックスでは大型化すると小試験片では得られ

た特性が得られず実用化を進める上での課題になること

が多いがこの開発材では焼結条件を最適化することに

よって直径 82 mm 長さ 370 mm の比較的大型の部品で

も試験片と同様の組織物性が得られたまた実際の

製品形状に近い部品の焼成も可能となったhttpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101108

pr20101108html

【ミリ波発信器】ミリ波帯無線通信の実用化にめど 世界最高性能の低雑音局部発振器を開発 (201011 08)東京工業大学

東工大の研究グループは雑音を従来の 100 分の1以下

に低減したミリ波帯局部発振器を開発した20GHz 帯の

発振器と 60GHz 帯の注入同期型直交局部発振器を組み合

わせることにより世界最高の低位相雑音性能を達成した

無線通信の周波数帯ひっ迫を解消する技術として 60GHz

ミリ波帯の利用が注目されているがミリ波帯ではコイル

やコンデンサの損失が大きくなり位相雑音特性が劣化す

るのがネックだった今回はこれを解決したものでミ

リ波無線通信の実用化につながる成果発振器は 65 ナノ

メートルのシリコン CMOS プロセスを利用して試作した

580GHz から 636GHz の周波数範囲で 4 相正弦波出力が

可能でこの発振器により10Gbps(毎秒 100 億ビット)

以上の超高速ミリ波帯無線通信の実現が期待されるh t t p w w w o l d t i t e c h a c j p t o k y o - t e c h - i n - t h e - n e w s j

archives2010111289174400html

【炭素繊維応用】住宅向け外装材「炭素繊維補強サイディング」の本格展開について 優れた強度と耐熱寸法安定性で 15 年の基材保証を実現 (20101105)東レ ACE(株)

東レの子会社東レ ACE は炭素繊維で補強した窯業系サ

イディングを開発し本格販売と市場展開を開始する「炭

素繊維補強サイディング」はセメント質原料に炭素繊維

を添加配合して成型固着させた建物外壁用のセメントボー

ドで従来の窯業系サイディングの優れた防耐火性耐久

性等を維持しつつ更なる強度補強効果や火災高温時の

変形や熱収縮によるひび割れの抑制など耐熱寸法安定性

も向上させることで基材 15 年保証を実現する 本製品

に使用している炭素繊維は軽くて強く優れた高温特性や

耐熱性を有し非常に細い繊維を多く配合できることから

外装材としての強度補強効果も期待できるとしている

httpwwwtoraycojpnewsaffilnr101105html

【光ファイバーナノインプリント】ナノ格子反射防止表面光ファイバー先端に形成ナノ技術で安く製作 (20101105)東北大学

東北大の研究グループは微小な窪みが多数形成された反

射防止構造体を光ファイバーの先端に製作する技術を開発

した光ファイバーは光通信や光分析装置の構成部品とし

て使われており光源受光素子やレンズなどの光部品と

の接続損失を減らすために先端に反射防止膜が形成され

ている従来の反射防止膜は真空装置を使って薄膜を付け

るためコストが問題であった研究グループはナノイン

プリント技術を用いて光ファイバー先端のコア部に 270

ナノメートル間隔で微小な円錐状の窪みを形成し反射損

失を低減することに成功したナノインプリント技術は

基板に塗布したポリマーに原版を押し付けて微細パターン

を転写する技術で高価な露光装置や真空装置が不要なた

めナノ構造を安価に製作することができる今回光ファ

イバー先端にナノ構造を製作するために専用のナノインプ

リント装置を開発した窪みの間隔が光の波長よりも小さ

い場合屈折率が変化し反射波が生じにくくなる反射

率や波長帯域は窪みの形状間隔や高さで決まり従来

の反射防止膜よりも設計の自由度が高いため要求に合わ

せて種々の反射防止表面を製作することが可能 httpwwwtohokuacjpjapanese201011press20101105-2

html

【人工筋肉機能材料】光を運動エネルギーに変える新高分子素材の開発に成功 世界で初めて分子を大面積で 3 次元的に配列させ新機能を実現 (20101105)理化学研究所

光で変形したり電子を流すなどの機能を持った分子を人工

的に規則正しく大面積で集積することができると機能性

材料の性能向上や革新的新機能の発現につながるそのた

め世界中で精力的に開発が行われているがこれまで実現

させた例はなかった理化学研究所の研究グループは光

で構造が変化するアゾベンゼン分子を組み込んだブラシ状

の高分子「ポリマーブラシ」を大面積で 3 次元的に一挙

に配列させる手法の開発に初めて成功したこの規則性の

ある 3 次元集積構造は延伸したテフロンシートにポリ

マーブラシを挟み込みアイロンに似た熱と圧力を加える

といういたって簡単な操作で実現したさらにこのフィ

30

PEN

Nov

embe

r ルムに光を当てるとアゾベンゼン分子の構造変化が一方

向に集約しフィルムが湾曲するという巨視的変形を引き

起こすことを見いだしたすなわちこの新しいフィルム

は光エネルギーを運動エネルギーに変換する機能を持って

おり新たな人工筋肉材料などへの展開が期待されるま

た本技術は有機薄膜太陽電池をはじめとする次世代の機

能材料の開発にも革新をもたらすと期待されるhttpwwwrikenjpr-worldinforeleasepress2010101105

indexhtml

【リチウムイオン電池正極材料】常温プロセスで全固体薄膜リチウムイオン電池の試作に成功 エアロゾルデポジション法による蓄電池製造の新工法開発を本格化 (2010115)産総研

産総研はトヨタ自動車 ( 株 ) と共同で産総研が開発し

たセラミックス材料の常温高速コーティングプロセスであ

るエアロゾルデポジション (AD) 法を用いて酸化物系の

正極材料負極材料固体電解質材料を薄膜積層化して

金属基板上に 3 層構造からなる全固体薄膜リチウム (Li) イ

オン電池を試作蓄電池としての充放電特性を世界で初め

て確認した 従来型の薄膜技術とは異なりAD 法を用い

ると基板の加熱が不要でまた厚膜化も容易であるそ

のため成膜時間が大幅に短縮でき蓄電池の生産性向上

やプロセスコストの大幅な低減が期待される今後は AD

法を用いた本格的な全固体電池の共同開発を進めていく httpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101105

pr20101105html

【記録デバイススピントルク素子】次世代超高密度 HDD に向けたマイクロ波アシスト記録の基本技術を開発 磁気ヘッドに搭載可能なスピントルク素子を用いた磁気情報の書き換えを確認 (2010115)新エネルギー産業技術総合開発機構(NEDO)(株)日

立製作所

NEDO はハードディスク装置(HDD)の開発製造会社で

ある日立グローバルストレージテクノロジーズの協力を得

て従来の磁気記録方式の限界を超えHDD の記録密度

を飛躍的に伸ばす方式として期待されているマイクロ波ア

シスト磁気記録方式の基本技術を開発しその原理を実験

的に確認したマイクロ波アシスト記録では記録媒体の

小領域にマイクロ波帯の高周波磁界を加え磁気情報の書

き込みを容易にする今回開発したのはヘッドに搭載可

能な高周波磁界を発生するスピントルク発振素子でこの

素子を用いて記録媒体上に磁気情報を記録できることを実

験的に確認したこれまで外部のマイクロ波発生装置を

用いたマイクロ波アシスト効果の報告例はあったが今回

微細な発振素子を用いた磁気情報の記録を確認できたこと

により将来この素子を記録ヘッドに搭載しマイクロ波

アシスト記録を実用的に行える可能性が示されたhttpapp3infocnedogojpinformationskoubopressEFnedopre

ss2010-11-029718160145

【基礎科学物性】絶縁体が金属に変わる新原理の解明 超伝導素子や熱電変換素子の開発へ道(20101104)東北大学

東北大学原子分子材料科学高等研究機構の研究グループ

は高品質酸化物薄膜において電気が流れにくい絶縁体

状態から流れやすい金属状態への遷移機構を解明した材

料における電気の流れやすさは電気を流す担い手である

伝導キャリアが物質中にどれだけ含まれるか伝導キャリ

アがどれくらいスムーズに動きまわれるかによって決ま

るつまり伝導キャリアの濃度を増やしたり材料中で

伝導キャリアの動きを妨げる原因になるひずみや欠陥を少

なくすると電気はより流れやすくなる本研究では人

工宝石として知られるチタン酸ストロンチウム (SrTiO3)

の絶縁体を用い伝導電子を生み出すキャリア供給層を

SrTiO3 絶縁体間に挟み込んだ絶縁体層 キャリア供給層

絶縁体層の層状界面構造をもつ高品質超格子構造を作製す

ることで絶縁体層の体積を増加させると反対に電気が流

れやすい金属状態になる現象を発見した最新の電子顕微

鏡技術を用いた原子構造解析と電子状態の理論計算を駆使

して絶縁体を増加させると界面で結晶のひずみが少なく

なり高導電化することを解明した本研究が明らかにした

界面での結晶のひずみを制御することによって絶縁体を金

属状態へ変化できる現象は様々な材料でも普遍的に起こる

と考えられ絶縁体から金属へ変わる境目で性能が向上す

る新超伝導体や新熱電材料の開発に展開することが可能と

期待されるhttpwwwtohokuacjpjapanesenewimgpressimgtohokuuniv-

presspdf

【環状高分子】様々な環状高分子の自在な合成に成功 「かたち」に基づく機能開発に期待(2010112)東京工業大学

東工大の研究グループはこれまで困難とされてきた

種々の含環状高分子の選択的な合成に成功した同研究

グループで開発された単環状高分子合成プロセスである

31

PEN N

ovember

Electrostatic Self-Assembly and Covalent Fixation Process

と有機合成化学の新手法であるクリックケミストリー

を組み合わせることで様々な「かたち」の自在な構築

を達成した本手法の開発により近年注目を集めてい

る「かたち」に基づいた高分子物性の探索を加速させる

ものと期待されるhttp wwwo ld t i t e ch ac j p tokyo - t ech - in - the -news j

archives2010111288656000html

【異分野連携オープンイノベーションモデル】応用脳科学コンソーシアム 脳科学及びその周辺領域の学術知見を活用したオープンイノベーションモデルの研究活動を開始 異業種の民間企業と異分野の脳科学研究者が連携し事業性の高い研究テーマを推進 (2010111)アサヒビール(株)(株)NTT データ積水ハウス(株)

(株)竹中工務店帝人(株)凸版印刷(株)日産自動

車(株)(株)博報堂(株)NTT データ経営研究所

NTT データ経営研究所が日本神経科学学会の協力を得て

2010 年 10 月 1 日に創設した「応用脳科学コンソーシア

ム」においてそれぞれの事業活動に関連する独創性の

高い研究テーマについて複数の「応用脳科学 RampD 研究会」

を立ち上げるRampD 研究会では各 RampD 研究会を設置

した特別会員企業が各テーマに関連の深い脳科学及び

その関連領域の研究者を招聘し異業種である他の会員

企業とともに最新の研究知見を活用してオープンイノ

ベーションモデルの研究活動を実施する各社が設置す

る RampD 研究会は現時点で(1)おいしさの総合評価研究

会(アサヒビール)(2)ヘルスケア脳情報クラウド研究

会(NTT データ)(3)インタラクティブ住環境研究会(積

水ハウス株式会社)(4)コミュニケーション空間研究

会(竹中工務店)(5)メディアエンゲージメント研究

会(博報堂)この他の RampD 研究会については今後随

時応用脳科学コンソーシアムのウェブサイト httpwww

keieikencojpcan で公開予定

httpwwwnttdatacojprelease2010110101html

【レーザ技術基礎光物性】熱を加えずに結晶を柔らかくすることに成功 高強度テラヘルツ電磁パルスで分子ネットワーク操作が可能に 

(2010111)京都大学科学技術振興機構(JST)

京都大学はテラヘルツ電磁パルスと呼ばれる新しい光

を物質に照射することで1兆分の1秒の短い時間で結

晶中の分子を大振幅で揺さぶり熱平衡状態では実現で

きないような分子変位を実現することに世界で初めて成

功した実験結果は結晶が実効的にやわらかくなったこ

とを意味するものでさらに強いテラヘルツ電磁パルス

によって高効率で結晶を融解させることを示唆するこ

れは熱による反応を起こすことなく新しい分子間のネッ

トワークやたんぱく質などの巨大分子の立体配位を操作

できることを示しており化学合成における反応促進や

創薬における有機分子結晶の精製での活用が考えられる

今回の成果は JST 戦略的創造研究推進事業日本学術振

興会学術創成プロジェクト「動的相スイッチ機構を内在

する有機電子材料の開拓と非平衡物性科学への展開」お

よび京都大学グローバル COE プログラム「普遍性と創発

性から紡ぐ次世代物理学」によるものhttpwwwjstgojpprannounce20101101indexhtml

【高周波デバイス】透 明 な 高 周 波 デ バ イ ス 見 え な い ア ン テ ナ へ の 道

(20101028)物質材料研究機構太陽誘電(株)

両者は共同で透明な高周波デバイスを製造するための

基本技術である微細な金属配線と酸化物透明導電体から

なるハイブリッド構造を開発した本技術は不透明で

あるが高い伝導性を示す金属と透明ではあるが金属の

100 分の 1 程度の伝導率にとどまる酸化物透明導電体と

を組合せ両者の特性を相補的に活用することにより

透明でありかつ携帯電話をはじめとする無線デジタ

ル通信に用いられるギガヘルツ帯の高周波に対して高い

伝送特性を示す素子構造を実現した

httpwwwnimsgojpnewspress201010p201010280html

【エコ製品環境経営】COP10 に向けた環境配慮型製品技術の取り組み ポリ乳酸繊維 ldquo エコディア rdquo 使用商品の提供や連携事業「メッセナゴヤ 2010」への出展を通じ環境保全の取り組みを強化 (20101028)東レ ( 株 )

同社は10 月 11 日 ( 月 ) から 29 日 ( 金 ) に開催された

生物多様性条約第 10 回締約国会議 (COP10) に向けて

ポリ乳酸繊維 ldquo エコディア rdquo 使用商品の提供などを通じて

環境に配慮した運営に協力したまたCOP10 の連携事

業である環境エネルギーをテーマとした展示会「メッ

セナゴヤ 2010」に出展し環境に配慮した次世代自動車

や最先端航空機向けの先端材料を紹介した

httpwwwtoraycojpnewsfibernr101028html

32

PEN

Nov

embe

r

NEWS POD 著作権の関係で記事のタイトルと詳細内容は標記できませんので簡略に表示しています詳しい内容に関しては各新聞及び雑誌をご覧ください

ナノテクノロジー

研究開発最前線

20101122 日 刊 工 業 新 聞 News

ウェーブ 21

X 線レーザー

20101121 東京読売新聞

新潟ナノテク研究会

20101120 日本経済新聞

ナノテクとバイオ

20101120 下野新聞

バイオ起業

20101119 朝日新聞

ナノ粒子の構造制御

20101119 日刊工業新聞

水素原子観察

20101119 科学新聞

光ファイバー関連技術

20101119 科学新聞

希少金属対策

20101118 日刊工業新聞

熱電材料

20101117 日経速報ニュース

化学合成でナノ構造

20101117 日経産業新聞

つくばナノテク研究拠点への投資

20101117 日刊工業新聞

分子バネ

20101116 日経速報ニュース

ナノバイオ融合

20101116 日経産業新聞

フレンドオブアースのナノテク評

20101116 エコロジーエクスプレス

クラスターテクノロジー

20101112 産経新聞

実用化助成

20101111 日刊産業新聞

接着のメカニズム

20101110 日経産業新聞

電子材料

20101110 日経産業新聞

ナノ磁石

20101110 東京新聞

高分解能放射線検出器

20101110 化学工業日報

電池電極材料

20101108 日本経済新聞

食の安全性

20101108 日経エコロジー

ナノ磁石実用化

20101105 朝日新聞

ナノテク接着剤

20101105 日刊工業新聞

水素原子の観察

20101105 日刊工業新聞

補正予算案

20101105 科学新聞

ナノ磁石

20101104 日本経済新聞

ナノボーグ

20101104 日刊工業新聞

ITO 電極代替技術

20101104 鉄鋼新聞

レアアース代替材

20101103 日本経済新聞電子版

セクション

ナノ鉄磁

20101103 毎日新聞

有機トランジスタ

20101101 日 経 速 報 ニ ュ ー ス

アーカイブ

有機トランジスタ

20101101 日経産業新聞

ナノムービー

20101101 日経サイエンス

低燃費タイヤ

20101030 朝日新聞

筑波大生命科学研究拠点

20101030 茨城新聞

レアアース代替材

20101029 日経産業新聞

播磨地域

20101029 化学工業日報

ナノ粒子操作

20101029 科学新聞

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NEWS POD 著作権の関係で記事のタイトルと詳細内容は標記できませんので簡略に表示しています詳しい内容に関しては各新聞及び雑誌をご覧ください

中国新5カ年計画

20101028 日本経済新聞

高機能消臭素材

20101028 化学工業日報

環境規制等

終わりの科学

20101201 日経サイエンス

電気自動車の覇権

20101123 週刊エコノミスト

環境規制対応

20101122 日経産業新聞

温暖化ガス排出枠

20101122 日経産業新聞

ロス自動車ショー

20101119 日経産業新聞

EV と環境規制

20101119 朝日新聞

EV

20101119 東京新聞

環境と法規制

20101119 化学工業日報

トヨタとテスラ

20101118 読売新聞速報ニュー

CO2 排出量削減

20101118 日経産業新聞

カリフォルニア州環境規制と EV

20101112 日本経済新聞

環境規制

20101112 日本経済新聞

環境規制

20101112 日経産業新聞

米韓 FTA

20101112 朝日新聞

米韓 FTA

20101112 毎日新聞

顔料

20101112 化学工業日報

レアメタル供給規制

20101111 日本経済新聞

潮冷熱

20101110 日本経済新聞

レアアース生産と環境規制

20101108 ダウジョーンズ中国企

業ニュース

韓米FTA

20101101 中央日報

科学技術政策

競争的資金制度

20101122 日本経済新聞

科学技術関係補正予算案 

20101122 THE DOCTOR

韓国 KIST

20101121 朝鮮日報

科学技術政策

20101119 日本経済新聞電子版

セクション

科学技術政策

20101118 日本経済新聞

科学技術政策

20101118 日経産業新聞

女性研究者

20101117 日経速報ニュース

科学技術予算

20101114 東京読売新聞

トップ1論文

20101112 科学新聞

中国特許強国に

20101112 新華社ニュース

関経連と科学技術政策

20101110 産経新聞 

科学技術産業一体政策

20101109 日刊工業新聞

優れた論文の条件

20101105 毎日新聞

「焼け太り許さぬ」

20101102 朝日新聞

国の研究開発投資目標

20101029 日刊工業新聞

科技政策で提言

20101027 日経産業新聞

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Nov

embe

r

科学への信頼に関する読者調査

20101201 日経サイエンス

「カップリング反応」アニメ化

20101110 朝日新聞東京読売

新聞他

科学と社会つなぐ人材

20101025 東京新聞

NEWS POD 

情報誌 PEN 購読のご案内PEN の継続的な購読をご希望の方は下記のメールアドレスまでお名前ご所属メールアドレスをご記入の上ご連絡ください登録配信は無料ですnano-penmaistgojp

PEN は原則月 1 回配信しますバックナンバーと PEN の前身【AIST-TOKYO ナノテク情報】をナノシステム研究部門ホームページにて公開しています httpunitaistgojpnrinano-planindexhtml

PEN は皆さまとの情報共有を目的としていますお持ちの情報で共有すべきものがあれば nano-penmaistgojp までお寄せ下さい

いただいた個人情報は産総研 個人情報保護方針(プライバシーポリシー)に基づき大切に管理し情報誌 PEN の運営と私達のイベントのご案内のみに使用させていただきます

科学技術コミュニケーション

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イベント案内

[産学連携研究開発]大阪大学ナノ理工学人材育成産学コンソーシアム 第 3 回ナノ理工学情報交流会場所大阪大学中之島センター 7 階 講義室 3(講師来訪)

   大阪大学東京オフィスサテライト教室

(遠隔講義配信)

   四日市商工会議所内サテライト教室

(遠隔講義配信)については調整中です

コンソーシアム HP にてご確認ください

   ナノテク社会人教育プログラムの開講をされてい

る場合遠隔講義配信に対応可能です事務局まで

ご連絡ください

日時2010 年 12 月 10 日(金)1330 ~ 1900 頃

主催大阪大学ナノ理工学人材育成産学コンソーシアム 

概要ナノ理工学人材育成産学コンソーシアムでは活動

の一環として産学連携のきっかけを提供すべく企業と

大学の双方からテーマに即した研究開発やトピックを紹介

し会員同士の意見交換と情報共有の促進をはかっていま

す第 3 回目となる今回は「光を用いたナノテクノロジー

の新展開」をテーマに開催しますプログラムなどの詳細

は下記の HP をご参照下さい

参加費コンソーシアム会員学生及び大阪大学教職員は

無料(コンソーシアム企業会員の場合社内から何名でも

無料で参加が可能です)

上記以外の方は資料作成費 1000 円が必要になります

参加登録氏名所属連絡先懇談会への出欠を記載の

上メールにて大阪大学ナノ理工学人材育成産学コンソー

シアム事務局(nano-consnanoscienceorjp)へお申込み

下さい

httpwwwnanoscienceorjp

[コミュニケーション]科学コミュニケーション研究会 第 1 回関西支部勉強会日時2010 年 12 月 2 日 1800 ~ 2000

場所京都大学 吉田泉殿

主催科学コミュニケーション研究会 関西支部有志

概要大阪教育大学科学教育センターの中矢史雄氏を講師

に招きオーストラリアの科学技術コミュニケーションに

ついてオーストラリア国立大学科学意識向上センター

での経験なども交えてお話いただきます定員は 25 名で

す事前申し込みが必要です

httpbitlybPmTP9

[展示会]セミコンジャパン 2010日時12 月 1 日~ 3 日

場所幕張メッセ

主催SEMI

概要国内外の最新のマイクロエレクトロニクス技術に関

する情報を入手することのできる世界最大の半導体製造装

置材料展です

httpwwwsemiconjapanorgjaindexhtm

[知財]アジア特許庁シンポジウム日時2010 年 12 月 3 日(金)930 ~ 1210

場所ホテル日航奈良 飛天の間

主催特許庁

概要日本中国韓国インドネシアマレーシアシ

ンガポールの特許庁幹部を招き各国の知財保護強化の取

組みやアジアにおける知財協力を紹介しますまたパ

ネルディスカッションを設けアジアにおける人材育成協

力の方向性について議論します

httpwwwintergroupjp~convasia

[人材育成]応用物理学会 人財育成シンポジウム -日本の危機を科学が救うそのためのリーダー育成を考える-日時2010 年 11 月 29 日(月)1000 ~ 1710

場所東京工業大学デジタル多目的ホール

主催応用物理学会

概要急速に進むグローバル化に対応のできる人材を育成

するための課題や応用物理学会が貢献することのできる

具体的な取り組みについて議論します

イベント案内へ掲載を希望される方は nano-penmaistgojp までご一報ください

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Nov

embe

r h t t p w w w j s a p o r j p a c t i v i t i e s e d u c a t i o n

symppt2010symphtml 

[コミュニケーション]科学技術とメディアのより良い関係に向けて日時11 月 26 日 1815 ~ 2030

場所早稲田大学大隈小講堂

主催サイエンスメディアセンター(SMC)

概要英国オーストラリアのサイエンスメディアセ

ンターの関係者米国のサイエンスコミュニケータを交え

て研究者とメディアの有益な関係性構築に向けた取り組

みについて議論します参加費は無料同時通訳がつきま

httpsmc-japanorgp=403 

[異分野連携]医学領域と工学領域連携研究シンポジウム ‐ 未来を拓く医工連携 ‐日時2010 年 11 月 27 日(土)

場所山口大学医学部第 3 講義室

主催日本学術会議中国四国地区会議山口大学

概要がんの個別化医療をメインテーマにこれからの医

工連携のあり方について講演と議論を行います

httpwwwscjgojpjaeventpdf100-t-3pdf 

[人材育成]マイクロナノエンジニアリング シンポジウム ‐ イノベーションと人材育成 ‐日時2010 年 12 月 8 日(水)1300 ~ 1700

場所日本学術会議 講堂

主催日本学術会議 マイクロナノエンジニアリング分

科会日本機械学会 マイクロナノ工学専門会議

概要学際的分野であるマイクロナノエンジニアリング

は大学大学院における教育の整備関連する産業界

学術界での研究開発における分野融合的な取組みが不可欠

です本シンポジウムでは人材育成を軸とした課題につ

いて議論します

httpwwwscjgojpjaeventpdf100-s-3-1pdf

[ 博物館展示 ]自然に学ぶ ネイチャーテクノロジーとライフスタイル展開催中です

場所国立科学博物館 (東京上野公園)

日時2010 年 10 月 26 日~ 2010 年 2 月 11 日

主催東北大学大学院環境科学研究科国立科学博物館

特定非営利活動法人ものづくり生命文明機構

概要蝶や鳥など生き物や自然の仕組みにヒントを得た環

境負荷の低い技術と将来的な応用の可能性から日本文化

に根差した共生型の新しいライフスタイルのあり方につい

て紹介します国立科学博物館の入館料600円が必要です

httpwwwkahakugojpevent201010natureindex

html

[人材育成]シンポジウム「世界を魅せる日本の課題解決型基礎研究~JST 目利き制度とその可能性」日時2010 年 12 月 6 日(月)1000-1800 (0900 受

付開始)

場所東京国際フォーラム B5 ホール

主催(独)科学技術振興機構(JST)

概要JST がこれまでに行ってきた戦略的創造研究推進

事業の成果を振り返りつつ今後の日本の科学技術の発

展に向けた事業のあり方について参加者の皆様と議論しま

httpwwwsenryaku30jstgojp 

[ 持続可能性 ]学術会議シンポジウム「低炭素化に向けた経済社会エネルギーのあり方と実現のシナリオ」日時2010 年 12 月 9 日(木)1330 ~ 1700

場所学術会議講堂

主催土木工学建築学委員会低炭素建築都市分科会

社会資本分科会

概要両分科会は中~超長期のエネルギー消費量削減シ

ナリオ策定に取り組んできました本シンポジウムでは

分科会の検討結果や削減のための様々な取り組みを紹介

し今後のとりまとめ作業に向けた議論を行います

httpwwwscjgojpjaeventpdf104-s-3-6pdf 

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PEN 編集室関谷瑞木阿多誠文独立行政法人産業技術総合研究所 ナノシステム研究部門 305-8568 つくば市梅園 1-1-1 産総研つくばセンター中央第 2 M404Email nano-penmaistgojpTel029-861-5185 Fax 029-861-5339

編集後記

今月 8 日に長野県長野市で開催された第 3 回国際ナノ

ワークショップ「ナノテクノロジーの社会受容~ナノ

材料の工業標準化の国際的な動向と環境影響について

~」の会場で多くの企業の皆様と意見交換をする貴

重な機会を得た目まぐるしい勢いで変わってゆく諸

外国の環境規制策の動向に民間企業の皆様が神経を

とがらせておられることがひしひしと感じられた東

京から新幹線で 1 時間半インターネットでリアルタ

イムに世界とつながることのできる時代とはいえ情

報物人が集積する地である東京とは異なる苦労も

あることもお聞きした美しい山々きれいな空気あ

るいは世界に誇る観光遺産と科学技術を結び付けて

地域振興をはかりたいとの頑張っておいでの方にもお

会いした

月刊という制約はあるもののこうした方々にとって

タイムリーで有用な情報を提供し続けたいと改めて

強く感じた

ちなみにPEN を発行しているつくば市の産総研つく

ばセンターへもつくばエクスプレスと路線バスを乗

り継いで都心からは約 1 時間半かかる

2010 年 11 月 25 日

PEN 編集室一同ウナギツカミ

Page 10: Public Engagement with Nano- PEN November …...5 PEN November 【知財】 中国、10年で特許強国に(2010.11.12) 中国国家知識産権局は11日に「全国特許事業発展戦略

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r 世界の人々は科学にかかわる課題についてどのように考えているのかIn Science We Trust by Scientific American and A Pacific Divide by Nature

Scientific American と Nature が共同で科学に関連する

様々なトピックについて世界各国の読者を対象に意識

調査を行ったその結果の概要が日経サイエンス 12 月号

と Nature9 月号に掲載された

本調査は注意深く対象を選択する通常の意識調査とは

異なり両誌の読者を対象としてオンラインで行われた

ものであり「人々の」という言葉が通常想起するような

幅広い市民を対象としたものではないことをまず最初に

指摘しておきたい調査は 2010 年夏に実施され回答

を寄せたのは約 21000 人でそのうち 19の回答者が

博士号保有者であった日本からの回答者は 1196 件で

あった

全体の傾向としては回答者の多くが科学に信頼を寄せ

ていることが明らかとなったただしトピックごとの

回答ついて詳細にみると各トピックで取り上げている

個別の科学に対する信頼度について回答者の居住地域

によってかなりのばらつきも見られた

地域による回答のばらつきがあまり見られなかった設問

の一つが科学技術に関して誰の発言を信頼するかと

いうものであるこの設問への回答では政治家やジャー

ナリストなどの他の発信源を大きく引き離して科学者

が最も信頼できる発信源とみなされているまた経済

状況が厳しくとも科学予算を削るべきではなく代わり

に国防関連予算を削るべきと考える回答者の割合が多い

直ちに見返りはないとしても科学は将来の社会のため

の投資に値すると多くの人々は考えているようである

一方科学と政治の関わりについては回答者の居住地

域のおかれた政治状況や歴史的な経緯などを反映して

大きなばらつきが見られた例えばドイツでは科学者

に対して政治への積極的な関与を求める回答者の割合

が非常に高いのに対して中国では半数近くの回答者が

科学者は政治から距離を置くべきだと考えている個々

の科学技術に対する考え方にも居住地域による差がか

なり見られる日米欧の比較では遺伝子組み換え作物

や原子力利用に対して欧州における拒否感は日本と米

国に比べかなり高くなっている一方ナノテクノロジー

の利用に関しては米国や欧州に比較して日本ではかな

り多くの回答者が不安に感じているようである

同じ調査の結果について Nature 誌に A global survey of

the scientifically literate public reveals a pacific divide

on key issues in science という速報記事が掲載された

Nature 誌では日本を含むアジア圏と欧米の参加者とで

大きく異なる回答が寄せられた設問について取り上げて

いるそのような設問の一つに進化論に関するものが

ある日本からの回答者のうち進化論では生命の多様

性を説明できないと考える人は 349にも上っており

米国の 129英国の 54 に比べて顕著に高い数値と

なっているこの進化論に対する懐疑的な日本の回答は

普段我々が直観的に感じている日本の科学の理解につ

いての状況とそぐわないその理由として設問の作り

が英語を母語としない回答者に対して誤解と与えた可能

性や京都大学の加藤氏が Nature 誌へのコメントで指

摘するように真摯に考えればどのような科学的知識も

100正しいとは言えないと答えざるを得なかったこと

が考えられる

同じ調査結果について Nature 誌に掲載された速報記事

と日経サイエンス誌の記事を読み比べると全く違う

調査あるいは調査対象であったかのように映るこの違

いはNature 誌が同誌の事前の予想と大きく違ってい

た部分欧米とアジアの差に着目し特にその部分を取

り上げたために生まれたと考えられる

日経サイエンス

h t t p w w w n i k k e i - s c i e n c e c o m p a g e

magazine1012201012_092html 

Nature のニュース速報

http wwwnature comnews2010100922

full467388ahtml 

調査結果

httpgonaturecomeKv3nX 

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欧州議会 RoHS 改定作業の現状

欧 州 議 会 Committee on Environment Public Health and

Food Safety(ENVI) 委員会が取りまとめた RoHS 指令改定

案の議会本会議での採決は今月 22 日となったようである

ここで採択され理事会で採択されれば 2014 年以降の施

行に向けた動きとなる今月の本誌 PEN の発行は諸般の

事情から 25 日を予定しており23 日には原稿を締め切る

したがって採択の結果は今月号では速報できないと思われ

る重大な採択がされるような事態になれば読者の皆様

には別途速報として情報提供する

これまで特に欧州議会の中での目立った動きは察知できな

いもののENVI 委員会の主要メンバーは附属書 IV の禁

止物質リストにナノ銀を盛り込むことでその全面使用禁止

求める方針を断念したようであるこれは先月号本誌で示

した議長国ベルギーの提案に従ったものと思われるただ

大変気になるのはもう一つのカーボンナノチューブがどの

ようになっているのかがよく見えない点で水面下でどの

ような議論がすすめられているのか気になっていた先

週述べたとおりベルギー案は追加リストそのものの撤廃

を求めておりその他のナノマテリアルを含む物質に対す

るラベル表示義務さらには安全性データの欧州委員会へ

の提出義務も含まれていない今後の展開は最も強く修

正案を主張してきた ENVI ラポーターの Jill Evans 氏らが

ベルギー案にどこまで歩み寄った形で 22 日の投票を迎え

るかにかかっている

これに関連して中小企業ビジネス支援サイト J-Net21 は

18 日「欧州委カーボンナノチューブ RoHS 規制見送り」

とする速報をリリースしたそれによると今回示された

改正案には二つのナノマテリアルの使用が制限されていな

いとのことまた二つのナノマテリアル以外のナノマテリ

アルに求められていた表示義務についてはまだ議論が続い

ているようである [12]

ま た 23 日 に ロ ン ド ン の Nanotechnology Industries

Association からナノテクノロジービジネス推進協議会へ

届いた情報によると欧州議会と理事会は RoHSWEEE 指

令における「ナノマテリアル」の記述について合意に達し

た模様でその内容は産業界にとも歓迎すべき内容になっ

ているとのこと内容の詳細について現時点では把握でき

ていないるものの少しずつではあるが確実に猶予すべき

事態から脱却しつつあるとみてよい

このような状況のなか今月は日本国内においても RoHS

指令改定案に二つのナノマテリアルの全面禁止やその他の

ナノマテリアルの表示義務が盛り込まれている点について

周知が進み様々な論評が行われたので短く整理してお

まず「問題が多いナノ材料への RoHS 規制」と題する社

説を掲載し問題を明らかにしたのが11 月 15 日付化

学工業日報であるその社説の論旨は「欧州では科学的

確実性が明らかでないリスクを事後的に管理するより予

防的対策が費用対効果からも優れているという考えが根強

い」としたうえで今回の改定案を「極端な予防原則の適

用といわざるを得ない」と指摘しているさらに「日本

の産業界に与える影響も無視できないだけに日本政府や

ナノマテリアルに関連した事業を展開する企業業界団体

は積極的に情報発信すべきである」と欧州議会に対して

明確な意思表示をすべきとのメッセージで社説の最後を

締めくくっている

RoHS 指令改正案にナノ材料が追加された事実を解説した

のは11 月 12 日付日刊工業新聞である37 もの化学物

質を禁止物質候補としさらにカーボンナノチューブとナ

ノ銀に規制を設け適用範囲も拡大される改正案の内容を

解説したうえで22 日に迫ってきた改定案の採択がその

まま施行される可能性は低いと予測しているもし改正案

のまま施行された場合今後の研究開発を停滞させる恐れ

があると指摘している実際に日本などの産業界からの反

連載環境規制 第 7 回

アメリカの環境規制オバマ政権以降の展開

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r 発も大きく「本会議の採択を受けて開催される理事会は

調停案を出す」との観測を示している以上のような解説

の締め括りとして「日本の産業界としては代替材料やナ

ノ材料の安全性評価手法の開発など2014 年の施行を見

すえ早めに体制を整えておく必要がある」と指摘してい

このように日本国内でも ENVI の Jill Evans 女史がまとめ

た RoHS 指令改定案に対する修正意見に対する反発が強ま

るなか2009 年に厚生労働省や経済産業省環境省が相

次いで公表したナノ材料曝露提言のためのレポートやガイ

ドラインに準拠した対策も進みつつある今月 10 日日

本エアーテックはカーボンナノチューブなどのナノ材料

を安全に扱うための作業器具「ナノパーティクル排気ベン

チ」を開発販売を開始したナノ粒子捕集効率の高いフィ

ルターや引き出しと一体化した掃除機曝露防止のため

の手袋や防塵マスク防護服といった対策が図られている

節末になるが昨今の欧州議会の動きに関してナノ

テクノロジービジネス推進協議会の事務局より欧州

の ナ ノ テ ク ノ ロ ジ ー 産 業 の ア ソ シ エ ー シ ョ ン で あ る

Nanotechnology Industries Association (NIA) と の 間 で 交

わされた情報などを逐次配信していただいたことを付記

しお礼を申し上げる

アメリカの環境規制オバマ政権以降の展開

連載の本題に戻る2009 年民主党オバマ政権が発足し

て以降環境政策環境規制に関しても様々な改革が図ら

れるようになってきたこれはオバマ政権に代わったから

ということではないが米国議会は全ての連邦機関に対し

て 5 年間の戦略計画の策定と 3 年ごとの計画の見直しの実

施を要請している政府の行政評価の一環として 1993 年

以降行なわれている rdquoGovernment Performance of Result

Actrdquo で通常 GPRA と呼ばれこれまで各省庁の政策決定

と実行に大きな影響を与えてきたこれを受けて EPA は

今月 7 日2011 年度からの 5 年間の戦略を公表している

[3]環境と健康を守るための 5 つの戦略的な目標として

①気候変動への取り組みと大気汚染の減少②米国内の水

環境の向上③コミュニティの汚染源の根絶と持続的発展

④化学物質の適正な使用と汚染の防止⑤環境関連法の実

施強化を挙げているまた5 つの戦略目標と合わせて

EPA 首脳部が掲げる 7 つの優先分野における取り組みの進

捗状況を図るための新たな指標も設けられている

これに関連して EPA はTSCA インベントリー利用の改革

を進めている米国内で製造もしくは米国に輸入される

すべての化学物質は「TSCA インベントリー」と呼ばれ

るリストで管理される現在 8 万物質以上が収載されてい

る TSCA インベントリーにない化学物質を製造あるいは

輸入する場合EPA に対する届出義務がありこの届出を

行い EPA の審査を受けることでその化学物質が TSCA イン

ベントリーに新規物質として追加される仕組みになってい

るここでいう届出とは90 日前までに行わなければな

らない製造前届出(PMN)であり生産量暴露排出量

の推計人の健康や環境への影響に関するデータ等が求め

られるただし医薬品農薬や食品添加物等の他の法律で

規制される物質や研究開発目的の化学物質には除外措置が

設けられている [4]PMN は届出業者に新たな試験の実施

を求めておらず届出業者が有しているデータのみを提出

すればよいとされているそこで EPA は定量的構造活性

相関等の手法により届出物質の生態毒性値を予測しその

結果に基づきリスク評価を行っている

オバマ政権以降この TSCA インベントリーの改革がすす

められてきたすでに 2010 年 3 月には基本的な検索を無

料化するなどインベントリーのリニューアルを実施しイ

ンベントリー検索が容易になっているまたインベント

リーのデータは通常年二回更新されるがインベントリー

へ新規化学物質の登録が行われる場合は官報で事前に告知

されるようになっている [5]

SNUR とは

EPA の規制措置について触れたついでに今後の議論のた

めに重要新規利用規則(SNUR)についても理解を深めて

おきたいSNUR については経済産業省化学物質管理課の

HP の記述にその内容をくみ取りやすいので以下に引

用させていただく [6]

「TSCA においては評価の各段階で新規化学物質の申請

者と同意を取りながら進めていくという審査体系をとって

おり懸念のある化学物質に対する規制は個別の申請毎

にきめ細かい措置が講じられる体系となっている規制

は申請者に対する同意指令(Consent Order)及び申請

者以外の者にも同様に規制を行うための重要新規利用規則

(SNURSignificant New Use Rule)により行われる同意

指令は当該化学物質のリスクが明確に評価できないにもか

かわらず健康や環境にリスクをもたらす恐れや放出

暴露量が多い恐れのある場合に発せられリスク評価に十

13

PEN N

ovember

分なデータがそろうまでの製造等を制限するものである

同意指令は申請者に対して発せられるが公平性の観点か

ら当該化学物質を取扱う全事業者に対して同意指令と同等

の制限を規制するのが重要新規利用(SNUR)である対

象物質について SNUR 要件を遵守できない場合には事前

に重要新規利用届出(SNUN)を提出し個別に審査を受

けることとなるSNUR 対象物質に対する制限措置として

はMSDS 作成やラベリング使用者への注意義務数量

制限や特定用途の制限個別事業者における排水管理など

の幅広い手法があげられており対象物質に応じて適切な

規制が適用される」

したがってTSCA のインベントリーに登録された化学物

質が SNUR に指定されるということはPMN 届出業者と

の同意指令の中で当該化学物質の健康や環境影響が無視

できないことの反映である先月号の本誌 PEN で述べた

とおりEPA がこれまでナノマテリアルで交わした同意

指令はイギリスの Thomas Swan 社の子会社でアメリカ

New Jersey 州 Lyndhurst で CNT 製造を行っている Swan

Chemical Inc であるEPA が昨年来 CNT を SNUR 対象物

質にする方向でパブリックコメントを求めてきたがこれ

は Swan Chemical Inc との間で交わされた同意指令の内容

を他の CNT 製造企業にも求めることを意味するEPA の

SNUR での単層および多層 CNT の規制もいよいよ最終段

階に入ってきている

Reference[1] httpj-net21smrjgojpwatchnews_tyusentry20101118-15

html

[2] httpj-net21smrjgojpwatchnews_tyusentry20101117-15

html

[3]httpyosemiteepagovopaadmpressnsfd0cf6618525a9efb8

5257359003fb69d60a5ce970092692e852577b5005c4ff3Open

Document

[4] httpwwwepagov

[5] httpwwwepagovopptnewchemspubsinvntoryhtm

[6]httpwwwmetigojppolicychemical_management03kanri

f1htm

かわいいだけではないらしい

日本ではペットとしてイヌと人気を二分しているネコかわいい口に重大な秘密が隠されていたようです

イヌは舌ですくい上げて水を飲んでいることが分かっています水を飲み終わったイヌの口元は濡れています

しかしネコはミルクを飲んでも口元が汚れないしどうもイヌとは飲み方が違うようだと考えた Pedro Reis 氏

らは高速イメージング技術を用いてネコの秘密にメスをいれました

その結果ネコは重力と慣性力を利用して水を飲んでいることが明らかになりましたネコはまず舌先だけを

水やミルクなどの液体に軽く接触させたのち舌を丸めますそして丸めた舌を元に戻す際の慣性力を使って水

の柱を作りそれを吸い込むようにして飲んでいるのですネコのサイズが変わると舌を水につけるスピード

が落ちてゆっくりとした動きに変わるものの動きそのものは全く同じであることが観察によって明らかになっ

ていますネコ科で 2 番目に体が大きいライオンの飲み方も小さなイエネコの飲み方も同じなのです

様々な分野で活躍する働くイヌと違って「ただかわいいだけ」と言われるネコですがその精緻な舌の動きと

機能はソフトロボット技術研究の進展に役立つと期待されています

How Cats Lap Water Uptake by Felis Catus PMReis RStocker SJung JMArstoff Science 20101111 (online

publication)

httpwwwsciencemagorgcontentearly20101110science1195421

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r

基本政策専門調査会資料公開総合科学技術会議

11 月 17 日中央合同庁舎第4号館で開催された第 11 回

総合科学技術会議基本政策専門調査会の資料が公開され

た10 月 18 日~ 11 月 8 日にかけて行われたパブリック

コメントの結果等も公開されている特に注目される「Ⅴ

社会とともに創り進める政策の展開」の項目のなかの「社

会と科学技術イノベーションとの関係深化」の課題には

①「国民の視点に基づく科学技術イノベーション政策の推

進」には欧米にくらべ遅れている「政策の企画立案及び

推進への国民参画」の促進が必要その方法論を研究し

具体的な参画の場や運用を整備すべき国の機関のみなら

ず各地の大学や研究機関が主体的に参画できるものであ

るべき②科学技術だけでなく社会についての知を総合

しなければイノベーションは不可能③「倫理的法的

社会的課題への対応」でヒトの臨床試験に関する法律

動物実験バイオ施設といった具体例を論ずるべきといっ

た意見が集約されている

また民主党政権が達成目標としている「政府研究開発投

資の対 GDP 比 1」に関しては資料 4 - 1 の第 4 期科

学技術基本計画における投資目標のなかに2008 年度の

実績が 072 であったことが示されているちなみにア

メリカは政府研究開発投資の対 GDP 比 1 を維持してい

httpwww8caogojpcstptyousakaiseisakuindexhtml

科学技術に関する最近の話題への国民の関心について科学技術政策研究所 (NISTEP)

文部科学省所管の科学技術政策研究所は科学技術に関す

る最近の話題への注目度など速報性のあるデータについて

公開したまた同研究所は「日本の研究者を対象とした科

学における知識生産プロセスについての大規模アンケート

調査」の結果についても公表を行ったhttpwwwnistepgojpnistepabout09html

httpwwwnistepgojpachievftxjpnmat191jpdfmat191j_

reportpdf

公共政策のためのパブリックコメント2011 年度予算編成に伴い9 月末から政策コンテストが

進められているこれは市民から広く意見を聞くパブリッ

クコメントのことであるところがある省の政策担当者が

政策立案に関わった専門家に提出方法についてメールで周

知し間接的ながらも意見の提出を促した事実が明らかと

なったこの問題は今月 18 日付新聞各紙で報道された

時代の流れである政策の公共性に逆行し公共の利益に反

する行為であるいわずもがなではあるがパブリックコ

メントが義務的な制度ではなく今後政策や予算立案の過

程で当然の仕組みとして定着していくためにもパブリッ

クコメントを広く公平に集める仕組みつくりは危急の課題

であり集まったコメントに耳を傾ける真摯さが政策サイ

ドに求められている政策や予算に対するパブリックコメ

ントは政策の公共性に必要不可欠の仕組みであり科学技

術の社会受容の重要なプロセスである「パブリックコメ

ントを行いました」という既成事実のためにあるのではな

共同声明「国際化拠点整備事業(グローバル 30)の強化を要望する」11 月 16 日

東北大学筑波大学東京大学名古屋大学京都大学

大阪大学九州大学慶應義塾大学上智大学明治大学

早稲田大学同志社大学立命館大学

平成 21 年度に開始された国際化拠点整備事業(グローバ

ル 30)に採択されている上記 13 の大学は昨年に引き

続き本事業が行政刷新会議の事業仕分けの対象となったこ

とに関して共同声明を発表したその骨子は国際的視

点と人材教育の視点から大学及び日本社会の国際化のた

国内情報

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ovember

めのグローバル 30 をさらに拡充強化されることを政府に

要望するものでまた予算の縮減などになれば国際社会に

おける日本の信頼が大きく傷つくばかりでなく日本の将

来について致命的な打撃を与えるのではないかと指摘して

いるh t t p w w w o s a k a - u a c j p j a n e w s t o p i c s 2 0 1 0 1 1

files20101116_2pdf

加速する EV 市場電気自動車 (EV) 市場が大きく展開し始めたすでに三菱

自動車は昨年から EV アイミーブを市場に投入している

日産自動車は今年 7 月から EV リーフの試乗会を行ってき

たがいよいよ来 12 月には EV リーフの日米同時の販売

を開始するこれにあわせて 12 月 45 日に横浜市内で

公道上での試乗会が行われる今後は技術提携を進めるフ

ランスのルノー社との技術の共通化が図られる

このような動きに対しトヨタやホンダはこれまで EV に

は慎重な姿勢を維持してきたしかしこの数か月でその姿

勢にも大きな変化が出てきた今月 17 日から開催されて

いるロサンジェルスのモーターショーでトヨタは RAV4

の EV モデルホンダはフィットの EV モデルをそれぞれ

公開しているこれまでハイブリッド技術で覇権を制して

きたトヨタはこの 5 月にカリフォルニアの EV 開発ベン

チャーであるテスラと資本提携スポーツタイプ多目的車

(SUV)をベースとした EV の開発を加速させているテス

ラは 2008 年から時速 200km を誇るロードスターの市場

投入実績を有しておりトヨタ以外にもすでにダイムラー

とも資本提携を行っているまた今月にはパナソニックと

電池の共同開発を開始するなど2015 年の本格的なアジ

ア市場での販売計画に向けて技術開発を加速させている

テスラの技術は家電製品に使われる汎用電池を多数並べて

用いるところに特徴があり現時点では車載用専用の電池

の開発を進める他の EV との差別化を図ることに注力して

いる

このような一連の動きは2012 年のカリフォルニア州に

おける環境規制の施行を見据えたもので2012 年が EV

普及にとってフラグポイントになるアメリカでもゼロエ

ミッション EV の開発が活発に行われ経営破たんしてい

た GM が 11 月 18 日に株式市場に再上場するなどアメ

リカの産業構造も大きく変わりつつあるただモーター周

りの技術に関しては中国企業との共同開発も進められて

いる

このような EV 市場の急展開の様相は日本の経済を支え

てきた自動車産業に大きな質的変化をもたらしつつある

EV は「自動車が家電製品になる」と形容されるように

車載用駆動電源としての 2 次電池の高性能化やリチウム

資源の確保さらには太陽光発電利用やスマートグリッド

まで含めたエネルギーデリバリーシステムや充電インフラ

等々幅広い産業活性化の起爆剤でもあるEV がオフィ

スや家庭の家電とつながればIT 産業にも大きなビジネス

チャンスが到来する自動車産業は家電メーカー総合

商社IT 企業その他さまざまな技術領域を巻き込んだ覇

権争いに突入していこうとしておりこれまで ldquo 城下町 rdquo

と称された日本の垂直統合型自動車産業そのものが大きく

変わりつつあるといっても過言ではない

ところで「モーターをタイヤにした」構造的には内燃機関

式に比べ単純な構造の乗り物でもある EV の市場には新

興国の新規産業が参入しやすいという一面がある上述し

たような 2012~15 年にかけて強まる世界的な環境規制を

追い風に新興国から多くの EV 産業への参入が予想され

る実際に中国広東省のベンチャー企業 BYD などはそ

の急先鋒として成長し続けている日本の産業は1990

年のバブル崩壊以降 20 年にわたって「技術で勝って市

場をとれない」状況に苛まれてきた対処策の一つは技術

開発と経営の基本姿勢である言うまでもなく技術が発展

することは製品の質の向上に結び付くのだがただ「より

良い技術をふんだんに詰め込めばおのずと製品は売れる」

という安易な技術への過信や過剰な技術の詰め込みがイノ

ベーションプロセスに負に作用することも事実であるエ

リアごとに大きく異なる市場のニーズを的確に把握するこ

とと急速に展開する市場に対応した経営意思決定の迅速

化がキーになる

もう一つは国際的な枠組みでのインフラ技術の標準化であ

る一国一票の投票権を持つ国際標準化の策定プロセスで

は欧州が圧倒的な強さを維持しており日本は常に苦戦

を強いられる立場にある国際電気標準会議 (IEC) におけ

る EV インフラ技術の標準化チャデモ協議会といった日

本の対応については週刊エコノミスト 12 月号 40 ~ 41

頁に詳しい

また日刊自動車新聞によると電気自動車普及協議会が

EV の高電圧周りの安全対策などに関するガイドラインの

策定を始めているが緊急性の高い項目は今年度中に情報

公開される模様である

国立研究開発機関(仮称)構想省庁の縦割り政策の弊害を解消して研究開発を効率的に進

めることを目的に文部科学省は 38 の独立行政法人研究

機関の再編統合を図る仮称「国立研究開発機関」構想を

打ち出している海江田科学技術政策相はその設置法案を

来年度の通常国会に提出する考えを明らかにしこれに併

せて発足に向けたスケジュール作りがすでに検討チームの

中で始まっているその一方蓮舫内閣府特命担当大臣(行

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r 政刷新)公務員制度改革担当は文部科学省ではなく内閣

府主導で予算編成を行うべきとの考えを示し行政刷新会

議も「焼け太りは許さない」と文部科学省を牽制設置法

そのものの提出をくい止めたい考えである他の様々な施

策同様これも民主党政権内での軋轢となっている

化学5社化学物質情報伝達を電機大手と共通化中小企業ビジネス支援サイト J-Net21 は11 月 15 日に

日本の化学大手 5 社がアーティクルマネジメント推進協

議会の仕組みを活用して製品に含まれる化学物質の伝達

方法を電機大手と共通化することを発表サプライチェー

ンでの情報伝達の共通化が図られるhttpj-net21smrjgojpwatchnews_tyusentry20101115-10

html

22 年度科学技術関係補正予算閣議決定先月末の 26 日平成 22 年度補正予算 4 兆 8500 億円が

閣議決定された今月 11 日付科学新聞はこのうち科学

技術関係予算を文部科学省のスパコン「京」への 186

億円などを含め約 1500 ~ 2000 億円程度と見積もってい

る経済産業省関係では産学官連携のイノベーション拠点

立地支援事業への支援策が多く盛り込まれているつくば

イノベーションアリーナ中核拠点と位置づけられている産

総研には補正予算 30 億円が配分されている

なお内閣府総合科学技術会議は 11 月 4 日2010 年度

の当初予算額 3 兆 5878 億円に対し補正予算案は 1864

億円経済危機対応地域活性化予備費は 141 億円で

合計は 3 兆 7742 億円となったことを明らかにした補正

予算の詳細については 11 月 4 日「平成 22 年度経済危機

対応地域活性化予備費及び補正予算案(科学技術関係予

算)について」として内閣府から公開された

httpwww8caogojpcstpbudgeth22hoseipdf

ナノボーグの販売軽量化フレキシブル化が進む様々なデバイスをまとめて

身に着けることが可能な服が「ナノボーグ」である東工

大谷岡教授が名付けたもので4 日付日刊工業新聞による

と今月にも太陽電池を電源とするジャケットがアメリカ

のアパレルメーカーから発売される

httpwwwnikkancojpnewsnkx0320101104eaahhtml

ldquoNBCI ナノナビ rdquo 創刊ビジネス環境のグローバル化オープン化に伴って政策

や規制動向研究開発動向の迅速な情報共有への要求が高

まりつつあるこれに応え一般社団法人ナノテクノロジー

ビジネス推進協議会(NBCI)は不定期の情報誌 ldquoNBCI

ナノナビ rdquo を創刊先月末より会員向け配信を開始した

創刊号では標準化の重要な課題であるナノラベリング(使

用ナノ材料の周知目的)の動きナノネット活用等につい

て最新の動向が配信された

httpwwwnbcijp

フラーレンのナノエレ応用脚光を浴びるカーボンナノチューブやグラフェンに比べ

フラーレン(C60)のナノエレクトロニクスへの応用展開

は広がらない状況が続いてきたがこの度 C60 を積層し

た有機トランジスタが開発されたこれは 11 月 1 日付日

経産業新聞が報じたもので大阪大学と山形大学大日本

印刷の共同研究の成果である試作された C60 を含む有

機トランジスタは従来の有機トランジスタより大きな電

流を流すことが出来400 キロヘルツの高速応答が得られ

たとのこと

筑波大に生命科学研究拠点先月末筑波大は先端学際領域研究センター通称 TARA

センターを改組し生命領域学際研究センターを設立浅

島誠氏がセンター長に就任した今後 20 人の研究部隊が

幹細胞研究などに特化した研究を展開する

新規事業への投資を名城ナノカーボン10 月 29 日付の金融専門誌ニッキンは名城ナノカーボ

ンの橋本剛氏をとりあげた同社は 2005 年 4 月に当時

銀行員であった橋本氏が名城大安藤義則教授と共に設立

したカーボンナノチューブの開発製造販売を手がける

名城大発ベンチャー橋本氏は今後 5 ~ 10 年で名城ナノ

カーボンの上場を目指すとし取引金融機関に対して新規

事業への具体的な資金投入を期待している

CNT 生産能力倍増昭和電工10 月 29 日付化学工業日報は昭和電工(株)川崎事業

所におけるカーボンナノチューブ (CNT) の年産 100 トン

から 200 トンへ引き上げ計画を報じた同社はリチウム

イオン 2 次電池向け気相成長 CNT の供給を行っているが

今後はさらに急速な需要拡大が進む可能性もありさらに

生産体制の拡大を図る可能性もある

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宝石という名前の虫

タマムシはタマムシ科の 4 センチメートルほどの甲虫です漢字では玉虫と書きます玉とは宝石のことで

その名のとおり赤い縦の線が走る虹色がかった緑色の金属光沢の美しい翅をもっています

法隆寺所蔵の国宝「玉虫厨子」を教科書などで見たことがある人も多いのではないでしょうか厨子は仏像な

どの礼拝の対象をしまう大切な入れ物のことです天平の世の人々がその大切な厨子の壁面を飾る細工の材料

にタマムシこそが相応しいと思ったのも納得できる美しい甲虫です残念ながら現在では玉虫厨子の壁面の

翅の多くは脱落してしまっていますが往時を再現した複製品から天平の時代の華やかな色が想像できます

タマムシは時代や洋の東西を問わず美しいと思われるようでベルギーにはその美しさに憑かれて宮殿の天

井を大量のタマムシの翅で飾った現代工芸家もいます

タマムシは厨子に使われた翅だけでなく腹部や脚触角なども緑色の光沢を放っていますまた美しい

翅が良くわかるような背面からの写真が多いので米粒型のすんなりした形のイメージが強いですが横から

見た体には以外と厚みがあります成虫は樹冠を飛び回り主にニレ科の広葉樹の葉を食べています幼虫は

カブトムシの幼虫に似た白いずんぐりしたイモムシで餌も葉ではなく木ですそのため害虫に分類されても

います

岐阜県高山市「茶の湯美術館」に玉虫厨子のレプリカが展示されています

httpwwwnakada-netjpchanoyutamamushi_zushihtmtamamushi 

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これを批准した結果日本は 1990 年を基準として 6の

温室効果ガス削減を国際的に約束した日本国憲法によれ

ば国際条約は守らなければならないことになっているの

で「チーム -6」などという運動が日本全国にできた

これの何が間違いだったのであろうか以下その根拠を説

明する尚現在の一次エネルギー源は 80以上が化石

燃料によるものであるからエネルギー消費と温室効果ガス

排出はほぼ同義語であるまた国内総生産(GDP) の増

大すなわち経済成長は社会の安定と国民の安心感を支え

る基本的な要素でありその減少は社会の不安定化をもた

らすため増大させることが必須である

日本は 1973 年の第一次石油危機で大きなダメージを受

けそれから「省エネルギー技術」の開発を血眼になって

推進したその結果図 1 に示すように日本は世界一の「省

エネ大国」になったのである図で縦軸は石油換算のエネ

ルギー消費量横軸は GDP をドル換算したもので1995

年のデータを示してある斜目の破線は一定の GDP を作

り出すのに必要なエネルギー量をトン単位で示しており

これが小さいほどエネルギー効率のいい社会であるつま

り使用エネルギーが少なくなるか同じエネルギーを使っ

ても生産額が多くなればエネルギー効率は良くなる

 エネルギー効率=使用エネルギー生産額(GDP)

図から明らかなように日本は 1995 年時点でも既に世

界で一番エネルギー効率の良い国だったのであるドイツ

フランスイタリアなどは日本の 15 倍イギリスは 2 倍

アメリカが 3 倍中国やロシアに至っては何と 10 倍以上

のエネルギーを浪費しているということが一目瞭然であ

る日本がこのようなエネルギー効率の良い状態から更に

エネルギー消費を減らすなどと言うことは被虐趣味以外

の何物でもないちなみに図 1 は小生が京都議定書を見て

「これは誤りである」と確信し直ぐに作成したものであり

13 年前には既に分っていたことである

それでは日本は何を主張すれば良かったのか賢明な読

者は図 1 を見れば直ぐに考え付くであろうそう「世界

の皆さん今後 10 年間でエネルギー効率を高くする努力

をし現在の日本並みとまでいかなくても少なくとも近

付く努力をしてください」と主張すべきだったのだこれ

なら発展途上国も経済発展を保障されるから合意できたで

あろうし何よりも日本の「省エネ技術」を世界標準とし

て輸出可能であったろう昨年中華人民共和国(中国)が

出した指標はまさにこのような考えに基づいたものであろ

うどこかの国の首相が温室効果ガス排出量(=エネル

ギー消費量)の 25の削減を持ち出したのに対し「中国

はエネルギー効率(=使用エネルギー生産額)を 40

向上させる」と主張した図1から見ても彼等は 1995 年

の日本の水準に追いつくだけで 90の削減が可能であり

40などというのは非常に容易な達成目標であることは

明らかであるまさに国際条約を締結する上での基本的

な事項である「自国の利益を最優先する」という原理原

則にも合致している流石は厳しい歴史を体験してきた国

京都議定書が提案されてから既に 10 年以上経過した今

更と思われる方もおられるかも知れないが現在の日本が

抱える様々な矛盾の出発点の一つが京都議定書であると考

えざるを得ない以上ここで改めてその問題点を明らかに

したい環境省のホームページに掲載されている京都議定

書の内容は以下のとおりである

(httpwwwenvgojpearthcop63-2html)

ポイント先進国の温室効果ガス排出量について法的拘束力

 のある数値目標を各国毎に設定

国際的に協調して目標を達成するための仕組みを

 導入(排出量取引クリーン開発メカニズム共同

 実施など)

途上国に対しては数値目標などの新たな義務は導

 入せず

寄稿京都議定書で日本は何を主張すべきであったか東洋大学大学院学際融合科学研究科 教授 和田恭雄

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は違うなどと感心してはいられない

今からでも遅くない「2010 年を基準としてエネルギー

効率の向上を図る」ことを国際的な合意目標に切り替え

るべきである無論為替レートは 2010 年現在の 1 ド

ル= 80 円程度に固定して比較すべきである現在の円

高を考えれば分母が大きくなることが日本の利益につ

ながるからだ国際条約においては「被虐趣味」は最低

の選択であることを忘れてはならない「率先垂範」など

と言う言葉は国際社会では通用しない無論表面上は大

いに賞賛されようが腹の底で「カモが来た」と思われ

食い物にされるだけである他人から褒められるために

自らの競争力を放棄するようなことは止めるべきである

京都議定書を他山の石としてナノテクノロジーの世界

でも「自らの強みを世界の標準にする」という基本的な

姿勢を取るべきであるのは当然のことであるdarr

darr 世界各国のエネルギー消費量と総生産の比較図右下

に行くほどエネルギー効率が高く同じ GDP を創り出す

のに温室効果ガスの排出量が少ないということを示す

日本は 1995 年当時既に世界一の「省エネ大国」であり

西ヨーロッパの 15 倍米国の 3 倍ロシアなどよりも

10 倍以上効率の良い経済体制になっていたことが分か

る世界中の国が日本を手本にすれば温室効果ガスの排

出量を減らしつつ経済成長が可能になり即ち皆がハッ

ピーになれることを示すことができるばかりでなく日

本の省エネ技術を世界標準にすることも主張できる根拠

となる

20

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r

日本では21 世の始まりと共に科学技術政策に基づ

いてナノテクノロジーの研究開発への戦略的投資が開始

された2001 年度からの第 2 期科学技術基本計画と

2006 年度からの第 3 期科学技術基本計画の都合 10 年

間にわたる優先的戦略的な研究開発の資源の投入も余

すところ4ヶ月となった

21 世紀を担うと期待されたナノテクノロジーには研

究開発側から社会への一方的な応用があたりまえであっ

たこれまでの科学技術とは異なる研究開発の方法論が導

入されたコア技術の研究開発と並行してその技術の社

会的影響を検討しそれをさらにコア技術の研究開発に

フィードバックするという新しい研究開発の方法論であ

る [1]ナノテクノロジーの社会的影響にとって最も重

要で緊急の課題がナノ材料の環境健康影響安全 (EHS)

の課題であった技術の社会的影響を検討しながら進め

られているナノテクノロジーの研究開発がうまくいくか

どうかこのことがナノテクノロジーに続く今後の新興

の科学技術の研究開発のあり方に大きな影響を与えるこ

とになる社会的影響をフィードバックしながら進める

責任ある研究開発がはじめて試みられた日本のナノテク

ノロジーがこれまで 10 年間にわたって戦略的研究開発

投資を続けてきた現在どのような状況にあるのか今回

の特集ではそれを俯瞰的に解析する

まず国内の全ての新聞と雑誌に掲載されたナノテクノ

ロジー関連記事の数を統計的指標としてナノテクノロ

ジーの研究開発に対して日本の社会がどの程度の関心を

示しているのか評価することを試みる図1に日本

のメディアに掲載されたナノテクノロジー関連の記事の

年推移を示すグラフから明らかなようにナノテクノ

ロジーへの戦略的研究開発投資が始まった 2001 年まで

日本のメディアはほとんどナノテクノロジーを取り上げ

ていないただこれは日本にナノテクノロジーの萌芽

的研究開発がなかったということではない

一例をあげるなら工業技術院は産業科学技術研究開発

制度の一環として新エネルギー産業技術総合開発機

構(NEDO)の委託により原子分子極限操作技術の研

究開発プロジェクトを展開した1992 年から 10 年間に

わたり分子原子をボトムアップ的に集積する研究開発

を進めたこのプロジェクトは技術研究組合オングスト

ロームテクノロジー研究機構(ATP)と呼ばれたさらに

ATP と産業技術融合領域研究所は同研究所内にアトム

テクノロジー研究体(JRCAT)を設置して産官学の共同

研究プロジェクトを推進した折しも日本は 1990 年の

バブル経済の崩壊後失われた 10 年と称される経済の停

滞に苦しんでいたまだナノテクノロジーに対する期待

は高まってはいなかったが日本のナノテクノロジーは

着実に萌芽的研究開発を進めていた困難な経済のなか

で日本のナノテクノロジーはその萌芽に向けた着実な

準備をしていたといえるのだがこのような地道な研究

開発が進められていた点はこの統計からは見えにくい

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2002

2003

2004

2005

2006

2007

2008

2009

図 1

特集

10 年におよぶナノテクノロジー研究成果の発展的継承を 

21

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2001 年度から戦略的な究開発投資が開始されると同時

にナノテクノロジーへの関心は急速に増していった

わずか 2 年後の 2003 年にはその期待は極みに達して

いる上述したとおり我々はこの統計で縦軸をナノテ

クノロジーに対する社会の関心と見なしておりこれは

David M Berube 氏が示した典型的な Hype 曲線の縦軸

「Visibility」と同義とみなせる [2]その類似性を図 2 に

示す

図 2

日本では Nano-Hype と呼べるピークが高性能瞬間湯

沸器よろしく戦略的研究開発投資が開始されたわず

か 2 年後の 2003 年に出現しているのであるまたJ

Fenn らはこのようなピークを図 3 に示すようにイノ

ベーションのハイプサイクルにおける rdquoPeak of Inflated

Expectationsrdquo と表現している [3]

Exp

ect

atio

ns

Time

InnovationTrigger

Trough ofDisillusionment

Slope ofEnlightenment

Plateau ofProductivity

Peak of InflatedExpectations

図 3

この時期はナノテクノロジーの将来価値への大きな期

待の反面研究開発の実態は希薄である実体の伴わな

い過剰な期待を理由に「一部の有力な科学者や政策担当

者がこのような Hype の状況を意図的に作りだした」と非

難する論調もある確かに Nano-Hype はナノテクノロジー

の将来価値への期待が研究開発の実態を上回る状況では

あるがナノテクノロジーに対する社会の関心や期待を

喚起しその期待を背景にナノテクノロジーへの研究開

発投資が漸次増加していったことも事実であるまたナ

ノテクノロジーの事をもっと知りたいという知的欲求も

刺激されそれに応えるためにいくつかの大学ではサイ

エンスコミュニケータやサイエンスインタープリタサ

イエンスジャーナリストの養成講座等が開設されたさ

らに今日年間 2000 回以上のサイエンスカフェが全国各

地で開かれるなどナノテクノロジーのような新興の科

学技術のパブリックエンゲージメントの活動の契機にも

なったNano-Hype と呼ばれる状況がそのような様々

なプラスの効果を日本にもたらしたことも忘れてはなら

2003年

2010年

2003年

22

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Nov

embe

r ない点である

実体の伴わない過剰な期待が徐々に覚めていく Negative-

Hype の状況はHype が極みに達した 2003 年直後の

2004 年から 2007 年にかけて顕著に現れてくる依然

として政府のナノテクノロジー材料領域への研究開発

投資が伸びるなかメディアがナノテクノロジーを取り

上げる頻度は急速に下がり社会の関心は冷めていった

過剰な期待が冷静さを取り戻していく Negative-Hype は

必然であるとしても注目しておかなければならない大

事な点は Negative-Hype がいつ止むかいつ底を打つの

かである図 1 から明らかなように2004 年以降 2007

年まで急速に下降しているものの2008 年から 2009 年

と明らかに Negative-Hype は底を打っている

上述の J Fenn らは新しいハイプサイクルの縦軸の評価尺

度を議論しているのだが図 4 に示すようにハイプサイ

クルのプロフィールが二つの要素からなることを示して

いる [4]この指標を採用すると今年 2010 年の日本の

ナノテクノロジーはHype が終わりエンジニアリング

またはビジネスが徐々にその成熟度を増していくちょ

うどその過渡期にあるとみてよい今後ナノテクノロジー

がITエネルギー環境ライフサイエンスといった様々

な技術分野の基盤技術としてその実用化に貢献していく

現在はちょうどその転換点にあるそのプロセスを確実

に進めていくには中長期的な一貫した科学技術政策に

よりナノテクノロジーの基礎的な研究開発を継続的に

推し進めていくことが肝要である

図 4

そして10 年に及ぶ科学技術政策に基づいたナノテク

ノロジーの戦略的研究開発投資の成果を応用実用化

へ確実につなげていくために取り組まなければならない

もっとも重要な課題が包括的で実態のあるナノテクノ

ロジーのパブリックエンゲージメントの活動である昨

今ナノテクノロジーの研究開発と並行して社会受容

パブリックエンゲージメントの活動の重要性が指摘され

るようになってきたしかしこの課題に関する解釈は

依然としてまとまりを欠いているだけでなく「こういっ

た課題への取り組みが大事である」といったことが最後

の部分に申しわけ程度に記述されている例も多々見受け

られる取り組んでいるという既成事実のために実体の

伴わないパブリックエンゲージメントの活動が進められ

ると将来的にナノテクノロジーへの信頼も失墜しかね

ない多様な課題を含む社会受容パブリックエンゲー

ジメントの活動には包括的な視点で具体的実践的に取

り組んでいく必要がある

ReferenceRoco M C amp Bainbridge W S 2001 ldquoSocietal

Implications of Nanoscience and Nanotechnologyrdquo

Kluwer Academic Publishers

Berube M B amp Roco M C(FRW) 2005 ldquoNano-Hype

The truth behind the nanotechnology buzzrdquo Prometheus

Books

イノベーションのハイプサイクル

「Mastering the Hype Cycle」J Fenn M Raskino

Harvard Business Press 2008

M Raskino J Fenn IT Management(ITM) ITM-09-

37 Research Note 2010 年 2 月 9 日

23

PEN N

ovember

【CO2 排出量】世 界 的 な 金 融 危 機 に も か か わ ら ず2009 年 の 化 石 燃料 由 来 の 二 酸 化 炭 素 排 出 量 の 減 少 は 小 幅 に と ど ま る

(20101122)国立環境研究所(国環研)

国環研はグローバルカーボンプロジェクト (GCP) が 11

月 22 日の Nature Geoscience 誌の電子版に調査結果を発

表すると速報したその内容は世界金融危機の経済的

影響にも関わらず2009 年における世界の化石燃料由来

の二酸化炭素排出削減量が予測値である 28を下回り

前年比 13にとどまったことで同じく GDP の減少も予

測値を下回っている

httpwwwniesgojpwhatsnew20102010112220101122html

【量子コンピューティング】量子コンピュータ実現への障壁を緩和する誤り耐性方式を開発 (20101124)日本電信電話(株)京都大学

量子コンピュータに必須な量子ゲートは確実に正しい演

算をすることはなくある程度の誤り確率をもつため量

子コンピュータを実現するためには演算の誤り訂正を行

う技術の実現が必須となる演算の誤り訂正を行うために

はある程度誤り確率の低い量子ゲートが必要であると考

えられてきたが今回共同研究チームは誤り確率が非常

に高い量子ゲートを用いても量子計算が可能となる誤り耐

性のある量子計算方式を世界で初めて示した

httpwwwnttcojpnews20101011101124ahtml

【光電変換】ナノギャップ光アンテナにより高効率化した有機超薄膜による光電変換 

(20101122)物質材料研究機構北海道大学

NIMS と北大の共同研究チームは有機超薄膜型の光電変

換分子素子において光吸収電子伝達といった必要な機

能をもつ部品を連結した分子から成る単分子超薄膜を原

子レベルで表面制御した平滑な金電極面と金ナノ粒子で挟

み込むことによってナノギャップ型の光アンテナを導入

することに成功したその結果光アンテナ 1 つあたりで

光誘起電子移動反応が約 50 倍の効率に高まることを実

証した

httpwwwnimsgojpnewspress201011p201011220html

【EV】シンガポール政府と電気自動車の普及に関する覚書を締結

(201011 19)三菱自動車(株)

MMC はシンガポール政府と電気自動車(EV)普及のため

の活動に協力する内容の協定を締結したことを発表した

今回の活動はシンガポールの経済開発庁が中心となり

同国のエネルギー市場監督庁陸上交通庁との間で EV タ

スクフォースを組成し同国の EV 普及を目的としたユー

ザー向け補助金制度や充電インフラ整備などの検証を行う

ものこの活動の中でMMC は CCA を通じ 2011 年より

順次『i-MiEV(アイミーブ)』25 台を供給し実証走行

試験に協力していくhttpwwwmitsubishi-motorscompublishpressrelease_jp

corporate2010newsdetail4407html

【リチウム二次電池】リチウム二次電池の量産化実証工場が竣工 年間生産能力6 万 6000kWh (201011 18)三菱重工業(株)

リチウム二次電池事業への本格参入に向け長崎造船所内

に建設していた同電池の量産化実証工場が17 日竣工し

た年間生産能力は 6 万 6000kWh中型電池換算で約

40 万個に相当する今後各種実証技術に取り組み早期

の本格的な商業量産につなげていくとしている

プレスリリースより

CUTTING-EDGE TECHNOLOGIES

24

PEN

Nov

embe

r httpwwwmhicojpnewsstory1011184999html

【基礎科学物質の起源】動きがのろい冷反水素原子を 38 個も磁気瓶に閉じ込める物質と反物質の違いを知る手がかりとなる冷反物質研究が新段階に (201011 18)物質材料研究機構(NIMS)

NIMS は欧州原子核研究所(CERN)の国際共同研究グルー

プに参加し反物質の代表格である反水素原子を独自に

開発した八重極磁気瓶の中に 38 個も閉じ込めることに世

界で初めて成功した反水素原子の原材料である反陽子(陽

子の反粒子)と陽電子(電子の反粒子)を八重極磁場コ

イルとミラーコイルを組み合わせた磁気瓶の中に蓄積し

そっと混ぜ合わせて冷たい反水素原子を大量に生成した

反水素原子は電気的に中性の小さな磁石なので反水素原

子ができあがったころ(約 1 秒後)を見計らって電圧を

加え残存している反陽子と陽電子をことごとく排除した

その後磁気瓶の磁場を瞬時にゼロにすると磁気瓶内に

とどまっていた反水素原子は装置の壁に当たって消滅し

パイ中間子などのさまざまな粒子を放出するこれらの粒

子を磁気瓶を包む 3 枚の検出器で観測した結果捕捉し

ていた反水素原子を 38 個も確認することができた後述

するように同内容は理化学研究所からもリリースされたhttpwwwrikenjpr-worldinforeleasepress2010101118

indexhtml

【超伝導】ピセンのカリウムドープに伴う電子構造変化の直接観測 

(201011 17)岡山大学

岡山大学の研究グループはピセンおよびカリウムドープ

ピセンの電子構造を実験的に観測する事に世界で初めて成

功したカリウムドープピセンは芳香族炭化水素における

初めての超電導体であるがカリウムドープピセンの超電

導メカニズムまた超電導を誘起する電子構造は解明され

ていない研究グループは光電子分光法を用いピセンのカ

リウムドープに伴う電子構造変化を直接的に観測した結

果ピセンのカリウムドープに伴う電子構造変化を観測

芳香族炭化水素超電導体の超電導メカニズム解明および新

規超電導体探索の指針になると期待されるhttpwwwokayama-unetrenkeidocumentpdfpressrelease

press-101117pdf

【慣性力発電】慣性力(振動)発電技術を商品化 国内最大手エース社のバッグに慣性力発電ユニットを搭載 (201011 17)伊藤忠商事(株)

米国 CIIIS 社の持つ慣性力発電(振動発電)技術を用いて

人体の運動による振動で発電する慣性力発電ユニットを開

発した国内鞄最大手のエース株式会社がこの慣性力発

電ユニットを搭載したバッグの販売を行う

httpwwwitochucojpjanews2010101117html

【生物多様性】多様性進化の背景に『甲状腺機能低下』 (201011 16)東北大学

生物多様性の喪失は現在急速に進んでおり多様性の進化

維持機構を解明することは世界的な課題である生物多様

性の創出は多くの場合新規環境に生き物が侵出すること

によって始まるが生物が新規環境へどのように適応して

行くのかその過程については多くが未解明である東北

大学の研究チームはこのたび新規環境への適応に甲状腺

ホルモンの進化が重要であることを発見したhttpwwwtohokuacjpjapanesenewimgpressimgtohokuuniv-

press_20101116pdf

【ナノ物性】ナノスケールの鉄磁石を電界でコントロール

(201011 01)千葉大学

磁石の N と S 極は磁界を用いることでコントロールでき

るが千葉大学の研究チームはナノスケールの鉄の磁石の

極性をエネルギーの要らない電界でコントロールできるこ

とを見出したhttpwwwchiba-uacjppublicitypresspdf201020101102nano

pdf

【SOFC 関連材料技術】 画期的な電解質材料の開発に成功 固体酸化物燃料電池の商用化に一歩前進 (201011 18 )物質材料研究機構(NIMS)

NIMS の研究グループは電解質材料に必要とされる三つ

の要件イオン伝導性化学的安定性焼結性のすべてを

高いレベルで満足する2種類の材料を開発することに成功

したひとつは10 のプラセオジムを含むイットリウム

添加ジルコン酸バリウム(BZPY)でもうひとつは酸

化ニッケル (NiO) とイットリウム添加ジルコン酸バリウム

25

PEN N

ovember

(BZY) の混合粉末を固めた基板上にプレス成形された BZI

であるhttpwwwnimsgojpnewspress201011201011180

p201011180pdf

【レアアース】微生物でレアアースの回収が可能に バクテリアがレアアースを濃縮する現象を発見 (201011 17)広島大学高エネルギー加速器研究機構高輝度光科学研

究センター

共同研究グループは微生物の細胞表面では微生物が存在

しない周囲部分に比べてレアアースを高濃度に濃縮する現

象を見出したまたレアアースの中でも特に希少価値の高

い元素が選択的に濃縮することを発見その濃縮メカニズ

ムを放射光を用いたX線吸収法により明らかにした

httpwwwkekjpjanewspress2010RareEarthElementshtml

【はやぶさ】はやぶさカプセル内の微粒子の起源が判明(201011 17)宇宙航空研究開発機構

「はやぶさ」のサンプルキャッチャー室から特殊形状のヘ

ラで採集された微粒子を走査型電子顕微鏡にて観察および

分析した結果1500 個程度の微粒子を岩石質と同定した

更にその分析結果を検討したところそのほぼ全てが地

球外物質であり小惑星イトカワ由来であると判断するに

至った

httpwwwjaxajppress20101120101117_sac_hayabusapdf

【超伝導基礎科学】超伝導のメカニズム解明に大きな手がかり ルテニウム酸化物の電子の運動状態を選択的に可視化することに成功 電子対を形成する「のり」の起源を初めて解明

(201011 17)広島大学産総研

1994 年に日本で発見されたルテニウム酸化物超伝導体は

ユニークな超伝導状態を示しこれまで数多くの研究が行

われてきたがいまだにその超伝導のメカニズムは謎のま

まであった超伝導が生じるためには電子と電子を「のり」

で結びつけ「電子対」にする必要がある共同研究グルー

プは放射光の直線偏光特性を活用するため放射光の光

軸のまわりに回転可能な高分解能角度分解光電子分光装置

を開発しルテニウム酸化物超伝導体の超伝導機構解明に

重要な手がかりをつかんだ研究グループが開発した新装

置を用いることによりルテニウム酸化物超伝導体の異な

る運動状態にある電子を選択的に分離しながら精密に分

析することが初めて可能となったその結果物質の電子対

を形成するための「のり」として結晶を作っている原子

の振動が重要な役割を果たしていることその「のり」が

どのくらい強く働いているのか等が明らかとなった httpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101117

pr20101117html

世界最高性能基準光源を開発 安定高精度高速の三拍子そろった光信号の発生に成功 (201011 15) 情報通信研究機構(NICT)国立天文台(NAOJ)

NICT と NAOJ はNICT 独自の高消光比変調技術を利用

し精度を保ったまま周波数範囲を拡大する構成を提案し

たNAOJ の安定度向上技術による制御機能を組み合わせ

ることで世界最高性能の基準信号発生装置を共同開発

し100 ギガヘルツを超える高速信号の長距離伝送を実現

した本装置の方式により従来技術の課題であった安定

性周波数範囲精度の問題を解決した安定性は 2 台の

レーザを用いる従来方式に比べて 10 倍以上を実現し信

号の乱れを 30 万年に 1 秒以下とすることに成功したま

た精度は従来型変調器と比較し 1000 倍以上周波数範

囲は 4 倍を達成したhttpwww2nictgojppubwhatsnewpressh22101115101115

html

【基礎科学レーザ分光】電子の氷を光で融かす一瞬を捉える 光が有機物質を変える瞬間の超高速スナップショット (201011 15)東北大学自然科学研究機構分子科学研究所科学技術振

興機構(JST)

共同研究グループは光の照射によって有機物質の色や

電気伝導度が大きく変化する光誘起相転移現象の最初の瞬

間を捉えることに成功した電場と磁場の振動である光の

振動の3周期分に匹敵する極めて短いパルス光をポンププ

ローブ分光によって二次元有機物質における電荷秩序の

融解のダイナミクスすなわちldquo 電子の氷 rdquo が光によっ

てどのように解け絶縁体から金属へと変化するのかと

いう問題を明らかにしたものこの成果 12 月初めには米

国物理学会誌 Physical Review Letters オンライン版で公開

予定

httpwwwjstgojpprannounce20101117-2indexhtml

【熱電材料】水を使って絶縁体から効率のよい熱電材料を作ることに成

26

PEN

Nov

embe

r 功 希少毒性金属を含まない安価簡便な熱電材料創製に新たな道 (201011 15)科学技術振興機構 (JST)名古屋大学

熱電材料は熱を電気に変換することができることからエ

ンジンの排熱を利用して発電するハイブリッド自動車など

への応用が期待されているが従来の熱電材料はビスマ

スアンチモン鉛テルルといった希少毒性金属など

を含む問題があったJST 課題解決型基礎研究の一環とし

て名古屋大学の研究グループは水の電気分解を利用し

安くてありふれた絶縁体酸化物表面を大きな熱電効果を示

す金属へ変えることに成功した大量に水を含んだ多孔質

ガラスを新規に開発しこの多孔質ガラスを金属チタンと

チタン酸ストロンチウムに挟んで電圧を加えると水の電

気分解によって絶縁体のはずのチタン酸ストロンチウムの

表面に厚さ 3 ナノメートル以下の極めて薄い金属チタン酸

ストロンチウムが生成した通常の金属チタン酸ストロン

チウムに対して 4~5 倍高い電圧を示すことから従来の

熱電材料の約 2 倍の熱電性能が期待できる

httpwwwjstgojpprannounce20101117indexhtml

【基礎科学物質の起源】国際研究チーム反水素原子を瓶の中に閉じこめることに成功(20101118)理化学研究所

8 か国からなる研究チームは欧州合同原子核研究機関

(CERN)の装置を用いて加速器で反陽子と陽電子を作

成し磁場の中に閉じこめたのちに撹拌して反陽子と陽

電子1個ずつを結びつけ反水素原子を生成した反水素

生成後に余った反陽子と陽電子を取り除き反水素原子だ

けを特殊な瓶の中に封じ込めることに成功した計 38 個

の反水素原子が 02 秒間存在したことを確認反物質は

Dan Brown の小説「天使と悪魔」で非常に微量で爆発

を起こす材料として登場するしかし今回の手法では短

時間に消滅してしまい爆弾に使える量をためるのは不可

能だという17 日付の Nature Online 版に掲載

httpwwwrikenjpr-worldinforeleasepress2010101118 

【マックスウェルの悪魔実証】情報をエネルギーに変換することに成功 ldquo マックスウェルの悪魔 rdquo を実験により世界で初めて実現新規ナノデバイスの実現に期待 (201011 15)中央大学東京大学

微細加工技術とサブミクロンスケールのリアルタイム制御

システムを組み合わせ「マックスウェルの悪魔」と呼ば

れる科学史上の重要な概念を世界で初めて実験により実現

した これによって情報をエネルギーに変換できるこ

とを初めて示すとともに情報を媒介して駆動する新規ナ

ノデバイスの実現の可能性を示した マックスウェルの

悪魔は熱力学の根本に関わる概念でありこれを実現でき

た学問的意義は大きいまた科学者以外にもよく知られ

たテーマであり多くの人が興味を持つ話題でもある情

報を媒介して駆動する新規のナノデバイスを実現できる可

能性があり基礎的研究にとどまらずナノサイエンスで

の新しい制御法への応用が期待できるこの成果は 11 月

14 日に Nature Physics Online に公開された

Toyabe Sagawa Ueda Muneyuki and Sano

ldquoExperimental demonstration of information-to-energy

conversion and validation of the generalized Jarzynski

equalityrdquo

httpwwwsu-tokyoacjppresspress-2010-42html

詳細は中央大学 HPhttpwwwchuo-uacjpchuo-unewscontents_jhtmlsuffix=kampmo

de=topamptopics=12513

【基礎科学分子バネ】電子の出し入れで硬さが劇的に変わる分子バネを開発 たった 1 つの電子放出で分子全体の動きやすさが 450 倍も変化 (201011 15)理化学研究所科学技術振興機構(JST)

6 個の炭素原子が環状につながったベンゼン環は有機化

合物において最も基本的な構成ユニットの一つでありベ

ンゼン環をさまざまな形で結合させたものが盛んに研究さ

れてきたしかしベンゼン環を隣り合う炭素の位置で結

合させたオルトフェニレンは単純な構造でありながら合

成が難しいためこれまでほとんど研究がなされておらず

その性質は解明されていなかった理化学研究所の研究グ

ループはベンゼン環 48 個を隣り合った炭素の位置で結

合させたオルトフェニレンを世界で初めて合成したオル

トフェニレンは3 つのベンゼン環が 1 ピッチのらせんを

形成するバネ状の構造をしているがこのようなバネ状の

構造を持った分子はさまざまな機能を発揮するためエ

レクトロニクスや分子機械への応用の可能性が高まってい

る研究グループはこのバネ状分子から電子を 1 つ取

り去るとバネの硬さが劇的に増してらせんの反転速度が

約 450 分の 1 も遅くなることを突き止めたまたこの

1 個の電子の出し入れに応じてバネのピッチが 3263Aring か

ら 3224Aring と変化したこれまで電子が高密度に含まれ

た分子バネは電子を出し入れすることでその振る舞いが

変化することが理論上予想されていたがこのように電子

を多量に含む分子バネの合成は難しく実験的にも証明さ

れていなかった硬さの変化というこれまで実現すること

27

PEN N

ovember

ができなかった応答をする分子バネの登場は応答性分子

の分野に新たなコンセプトをもたらすと注目される本研

究成果はJST 戦略的創造研究推進事業 発展研究 (ERATO-

SORST)「分子プログラミングによる電子ナノ空間の創成

と応用」の一環として行われたものhttpwwwrikenjpr-worldinforeleasepress2010101115

indexhtml

【自己組織化基質選択的会合】分子間の特異的な相互作用による新規材料集積法を開発 分子が好みの分子を見分けて接着 (201011 15)大阪大学科学技術振興機構(JST)

近年分子認識を利用して分子と分子を非共有結合でつな

げることによりさまざまな超分子錯体が合成されさらに

これらを自己集合させる研究が行われているこれらの研

究において形成される集合体は分子の大きさであるナノ

メートルからマイクロメートルの極めて小さなもので高

倍率の顕微鏡を使わなければ見えない分子認識に基づい

て手軽に使えるくらいの大きな自己組織体を作り出すこと

はナノテクノロジー分野において分子を自己組織化さ

せて機能性材料を創製する上で重要な課題であった大阪

大学の研究グループはホスト分子としてシクロデキスト

リンをゲスト分子としてシクロデキストリンが結合する

化合物を用いてそのホスト-ゲスト相互作用を利用して

多様な自己組織化超分子ポリマーの構造体を作りマクロ

スケールで機能を発現させる研究を進めている今回D

NAやタンパク質の分子量決定に広く用いられるアクリル

アミドゲルを土台にしてこのゲルにシクロデキストリン

とゲスト分子をそれぞれ別々に導入し「ホストゲル」と

「ゲストゲル」を合成したこの両者を水中で振動させる

とゲルが接着する挙動が観察されミリメートルからセン

チメートルの大きさの物体を分子認識により自己集積でき

ることを世界で初めて実証したさらにシクロデキストリ

ンとゲスト分子との相互作用の強さの違いによって選択的

に特定のゲル同士を接着させることができることがわかっ

httpwwwjstgojpprannounce20101115indexhtml

【ブタノール分離膜】バイオブタノールの省エネルギー型膜分離精製技術を開発1 wt ブタノール水溶液から80 wt 以上の高濃度ブタノールの回収が可能 (201011 15)産総研

産総研は1 wt 程度の希薄なブタノール水溶液からゼ

オライト系分離膜を用いて 80 wt 以上に濃縮したブタ

ノールを回収できる省エネルギー型のバイオブタノール精

製技術を開発した ブタノールはエタノールと比較して

発熱量が大きいことから地球温暖化対策に貢献できる再

生可能なバイオ液体燃料すなわちポストバイオエタノー

ルとして期待されている今回合成条件の最適化を進め

高いアルコール選択透過性をもつシリカライト分離膜を合

成し膜分離法によって低濃度ブタノール水溶液から高

濃度ブタノールの回収が可能となった従来の分離膜を用

いた場合に比べてブタノール回収のためのエネルギーを

50 ~ 70 程度低減できることが期待される httpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101113

pr20101113html

【分子生物学】 化学合成したペプチドからウイルスの殻構造を組み上げることに成功 新規ナノ材料や医療材料としての応用に期待 (201011 12) 九州大学北九州市立大学

共同研究グループは化学合成したペプチドから約 40 ナ

ノメートルのウイルスの殻構造を組み上げることに世界で

初めて成功した球状の植物ウイルスから遺伝子を除いた

キャプシド構造と呼ばれる殻構造は決まった大きさのナ

ノ空間であることからナノ物質の反応器や運び手として

利用する研究が国内外で盛んに行われているしかしこ

れまでウイルスのキャプシド構造を得るにはウイルス

の遺伝子をバクテリア内に導入して生産させる必要があっ

た本研究では遺伝子やバクテリアを用いない完全化学

合成によってウイルスキャプシドを構築することに成功

した今回ウイルスの殻構造を簡単なペプチドから構築

できたことで様々な機能性ウイルスキャプシドを人工的

に創成する道が拓けたと言えるこのペプチドからなるナ

ノカプセルに適切な化学修飾を施すことによりナノ物質

合成のための反応器や医薬品の運び手人工ワクチンを

創成するための足場材料として応用できるものと期待され

るhttpwwwkyushu-uacjppressrelease20102010-11-12-04pdf

【レアメタル】レアメタル使用量削減技術の実用化を加速(20101110)新エネルギー産業技術総合開発機構 (NEDO)

NEDO はレアアース総合対策の一環として企業が取り

組むレアメタル使用量削減技術の実用化を加速するための

助成事業(事業規模約 100 億円)を 2010 年度補正予算

の成立を前提に行うこの助成事業では短期間で実用化

が期待できる以下の技術開発を対象として①レアメタル

28

PEN

Nov

embe

r を代替する材料の技術開発 ②レアメタルの使用量を削

減する技術開発 ③レアメタルのリサイクルを促進する

技術開発 ④その他のレアメタル消費の削減に資する技

術開発を行うhttpapp3infocnedogojpinformationskoubopressEFnedopre

ss2010-11-068550095069

【導波路型光スイッチ】光スイッチの消費電力を従来の 2 分の 1 に低減 増え続けるネットワーク機器の消費電力問題を解決 (201011 09)( 株 ) 富士通研究所

同社はシリコンフォトニクス技術を適用した導波路型光

スイッチについて世界で初めてシリコンゲルマニウム

(SiGe)細線構造を用いることで従来のシリコン細線構

造に比べて消費電力を約 2 分の 1 に低減することに成

功した幅広い波長に対応して高速に動作できるタイプの

光スイッチ素子としては世界最小の消費電力を実現して

いるhttpprfujitsucomjpnews2010119html

【ナノ構造機能】昆虫が足を擦る秘密をナノテクノロジーで解明 生体模倣による新しい材料機能の開発に活用 (201011 09)物質材料研究機構マックスプランク研究所キール大

共同研究チームは環境問題で循環型社会実現に求められる

「接着と分離」を繰り返せる未来の接合技術の開発研究に

おいてガラスのような平坦な表面を逆さまでも歩行でき

る昆虫の足の裏の優れた接着性に着目し昆虫(ハムシ)

の歩行調査を行いナノテクノロジーを用いた実験により

昆虫が摩擦により汚れを感じていることを突き止めた

httpwwwnimsgojpnewspress201011p201011090html

【超音波流量計半導体プロセス】極微量な流量を精密に測定できる超音波流量計を開発 半導体製造装置の性能を向上させ環境負荷を低減しランニングコストを削減 (201011 09)産総研( 株 ) アツデン東京計装 ( 株 )

3 者は共同で10 mLmin( 誤差plusmn 01 mLmin) 以下の極

微量な流量を精密に測定できる超音波流量計を開発した

この流量計は超音波ガイド波の伝搬に関する基礎理論の

見直しを行い超音波を高周波化し設計を最適化するこ

とにより開発したものでこれまでの超音波流量計では計

測できなかった微小な流速領域での流量測定ができるこ

の超音波流量計は半導体製造装置で利用される薬液の高

精度な制御を可能にし半導体製造装置の高性能化環境

負荷の低減ランニングコスト削減へ貢献すると期待され

る httpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101109

pr20101109html

【研究交流】中国上海における国際交流事業の実施同済大学と大学間学術交流協定を締結 (201011 08)大阪大学

10 月 21 日上海において開催した上海教育研究センター

開所式記念講演会祝賀会には鷲田清一総長をはじめ

とする大阪大学教職員中国の学術交流協定校関係者大

阪大学同窓会会員など約 130 人が列席し盛況の内に終

了した翌 22 日23 日には第 15 回大阪大学上海交

通大学学術交流セミナーが上海交通大学情報ネットワーク

センターを主会場として開催され7つの研究会に約 100

人が参加したさらに 23 日と 24 日の両日上海東亜展

覧館を会場に開催された中国国際教育展に大阪大学のブー

スを出展し100 人を超える留学相談者が本学のブースを

訪れた翌 10 月 22 日鷲田清一総長は上海市内にある

同済大学を訪問裴学長陳副学長ほか大学関係者と懇談

するとともに大学間学術交流協定及び学生交流覚書の調

印式に臨んだこれにより中国の大学との 10 番目の協定

が成立したhttpwwwosaka-uacjpjanewstopics20101120101108_1

httpwwwosaka-uacjpjanewstopics20101120101108_2

【高耐久性セラミック】激しい熱変化にも強度劣化しない窒化ケイ素系セラミックスを開発 窒化ホウ素の微粒子を分散させ耐熱衝撃性を飛躍的に向上 (201011 08)産総研三井金属鉱業(株)

両者は共同で従来品に比べて耐熱衝撃性と高温での強度

を飛躍的に高めた窒化ケイ素系セラミックスを開発した

今回窒化ケイ素(Si3N4)をベースとして高い熱伝導

率をもつ粒界相を形成させるとともにそこに非晶質に近

い窒化ホウ素のナノメートルオーダーの微粒子を分散させ

ることで耐熱衝撃性を飛躍的に向上させた従来の窒化

ケイ素が 1000 の温度差で強度が低下するのに対して

今回の開発材は電気炉で 1400 に加熱した後水中に投

下することを 10 回繰り返してもほとんど強度が劣化しな

かったまたこの開発材について大気中 1200 で高温

29

PEN N

ovember

曲げ試験を行ったところ室温と同程度の強度を保持して

いたセラミックスでは大型化すると小試験片では得られ

た特性が得られず実用化を進める上での課題になること

が多いがこの開発材では焼結条件を最適化することに

よって直径 82 mm 長さ 370 mm の比較的大型の部品で

も試験片と同様の組織物性が得られたまた実際の

製品形状に近い部品の焼成も可能となったhttpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101108

pr20101108html

【ミリ波発信器】ミリ波帯無線通信の実用化にめど 世界最高性能の低雑音局部発振器を開発 (201011 08)東京工業大学

東工大の研究グループは雑音を従来の 100 分の1以下

に低減したミリ波帯局部発振器を開発した20GHz 帯の

発振器と 60GHz 帯の注入同期型直交局部発振器を組み合

わせることにより世界最高の低位相雑音性能を達成した

無線通信の周波数帯ひっ迫を解消する技術として 60GHz

ミリ波帯の利用が注目されているがミリ波帯ではコイル

やコンデンサの損失が大きくなり位相雑音特性が劣化す

るのがネックだった今回はこれを解決したものでミ

リ波無線通信の実用化につながる成果発振器は 65 ナノ

メートルのシリコン CMOS プロセスを利用して試作した

580GHz から 636GHz の周波数範囲で 4 相正弦波出力が

可能でこの発振器により10Gbps(毎秒 100 億ビット)

以上の超高速ミリ波帯無線通信の実現が期待されるh t t p w w w o l d t i t e c h a c j p t o k y o - t e c h - i n - t h e - n e w s j

archives2010111289174400html

【炭素繊維応用】住宅向け外装材「炭素繊維補強サイディング」の本格展開について 優れた強度と耐熱寸法安定性で 15 年の基材保証を実現 (20101105)東レ ACE(株)

東レの子会社東レ ACE は炭素繊維で補強した窯業系サ

イディングを開発し本格販売と市場展開を開始する「炭

素繊維補強サイディング」はセメント質原料に炭素繊維

を添加配合して成型固着させた建物外壁用のセメントボー

ドで従来の窯業系サイディングの優れた防耐火性耐久

性等を維持しつつ更なる強度補強効果や火災高温時の

変形や熱収縮によるひび割れの抑制など耐熱寸法安定性

も向上させることで基材 15 年保証を実現する 本製品

に使用している炭素繊維は軽くて強く優れた高温特性や

耐熱性を有し非常に細い繊維を多く配合できることから

外装材としての強度補強効果も期待できるとしている

httpwwwtoraycojpnewsaffilnr101105html

【光ファイバーナノインプリント】ナノ格子反射防止表面光ファイバー先端に形成ナノ技術で安く製作 (20101105)東北大学

東北大の研究グループは微小な窪みが多数形成された反

射防止構造体を光ファイバーの先端に製作する技術を開発

した光ファイバーは光通信や光分析装置の構成部品とし

て使われており光源受光素子やレンズなどの光部品と

の接続損失を減らすために先端に反射防止膜が形成され

ている従来の反射防止膜は真空装置を使って薄膜を付け

るためコストが問題であった研究グループはナノイン

プリント技術を用いて光ファイバー先端のコア部に 270

ナノメートル間隔で微小な円錐状の窪みを形成し反射損

失を低減することに成功したナノインプリント技術は

基板に塗布したポリマーに原版を押し付けて微細パターン

を転写する技術で高価な露光装置や真空装置が不要なた

めナノ構造を安価に製作することができる今回光ファ

イバー先端にナノ構造を製作するために専用のナノインプ

リント装置を開発した窪みの間隔が光の波長よりも小さ

い場合屈折率が変化し反射波が生じにくくなる反射

率や波長帯域は窪みの形状間隔や高さで決まり従来

の反射防止膜よりも設計の自由度が高いため要求に合わ

せて種々の反射防止表面を製作することが可能 httpwwwtohokuacjpjapanese201011press20101105-2

html

【人工筋肉機能材料】光を運動エネルギーに変える新高分子素材の開発に成功 世界で初めて分子を大面積で 3 次元的に配列させ新機能を実現 (20101105)理化学研究所

光で変形したり電子を流すなどの機能を持った分子を人工

的に規則正しく大面積で集積することができると機能性

材料の性能向上や革新的新機能の発現につながるそのた

め世界中で精力的に開発が行われているがこれまで実現

させた例はなかった理化学研究所の研究グループは光

で構造が変化するアゾベンゼン分子を組み込んだブラシ状

の高分子「ポリマーブラシ」を大面積で 3 次元的に一挙

に配列させる手法の開発に初めて成功したこの規則性の

ある 3 次元集積構造は延伸したテフロンシートにポリ

マーブラシを挟み込みアイロンに似た熱と圧力を加える

といういたって簡単な操作で実現したさらにこのフィ

30

PEN

Nov

embe

r ルムに光を当てるとアゾベンゼン分子の構造変化が一方

向に集約しフィルムが湾曲するという巨視的変形を引き

起こすことを見いだしたすなわちこの新しいフィルム

は光エネルギーを運動エネルギーに変換する機能を持って

おり新たな人工筋肉材料などへの展開が期待されるま

た本技術は有機薄膜太陽電池をはじめとする次世代の機

能材料の開発にも革新をもたらすと期待されるhttpwwwrikenjpr-worldinforeleasepress2010101105

indexhtml

【リチウムイオン電池正極材料】常温プロセスで全固体薄膜リチウムイオン電池の試作に成功 エアロゾルデポジション法による蓄電池製造の新工法開発を本格化 (2010115)産総研

産総研はトヨタ自動車 ( 株 ) と共同で産総研が開発し

たセラミックス材料の常温高速コーティングプロセスであ

るエアロゾルデポジション (AD) 法を用いて酸化物系の

正極材料負極材料固体電解質材料を薄膜積層化して

金属基板上に 3 層構造からなる全固体薄膜リチウム (Li) イ

オン電池を試作蓄電池としての充放電特性を世界で初め

て確認した 従来型の薄膜技術とは異なりAD 法を用い

ると基板の加熱が不要でまた厚膜化も容易であるそ

のため成膜時間が大幅に短縮でき蓄電池の生産性向上

やプロセスコストの大幅な低減が期待される今後は AD

法を用いた本格的な全固体電池の共同開発を進めていく httpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101105

pr20101105html

【記録デバイススピントルク素子】次世代超高密度 HDD に向けたマイクロ波アシスト記録の基本技術を開発 磁気ヘッドに搭載可能なスピントルク素子を用いた磁気情報の書き換えを確認 (2010115)新エネルギー産業技術総合開発機構(NEDO)(株)日

立製作所

NEDO はハードディスク装置(HDD)の開発製造会社で

ある日立グローバルストレージテクノロジーズの協力を得

て従来の磁気記録方式の限界を超えHDD の記録密度

を飛躍的に伸ばす方式として期待されているマイクロ波ア

シスト磁気記録方式の基本技術を開発しその原理を実験

的に確認したマイクロ波アシスト記録では記録媒体の

小領域にマイクロ波帯の高周波磁界を加え磁気情報の書

き込みを容易にする今回開発したのはヘッドに搭載可

能な高周波磁界を発生するスピントルク発振素子でこの

素子を用いて記録媒体上に磁気情報を記録できることを実

験的に確認したこれまで外部のマイクロ波発生装置を

用いたマイクロ波アシスト効果の報告例はあったが今回

微細な発振素子を用いた磁気情報の記録を確認できたこと

により将来この素子を記録ヘッドに搭載しマイクロ波

アシスト記録を実用的に行える可能性が示されたhttpapp3infocnedogojpinformationskoubopressEFnedopre

ss2010-11-029718160145

【基礎科学物性】絶縁体が金属に変わる新原理の解明 超伝導素子や熱電変換素子の開発へ道(20101104)東北大学

東北大学原子分子材料科学高等研究機構の研究グループ

は高品質酸化物薄膜において電気が流れにくい絶縁体

状態から流れやすい金属状態への遷移機構を解明した材

料における電気の流れやすさは電気を流す担い手である

伝導キャリアが物質中にどれだけ含まれるか伝導キャリ

アがどれくらいスムーズに動きまわれるかによって決ま

るつまり伝導キャリアの濃度を増やしたり材料中で

伝導キャリアの動きを妨げる原因になるひずみや欠陥を少

なくすると電気はより流れやすくなる本研究では人

工宝石として知られるチタン酸ストロンチウム (SrTiO3)

の絶縁体を用い伝導電子を生み出すキャリア供給層を

SrTiO3 絶縁体間に挟み込んだ絶縁体層 キャリア供給層

絶縁体層の層状界面構造をもつ高品質超格子構造を作製す

ることで絶縁体層の体積を増加させると反対に電気が流

れやすい金属状態になる現象を発見した最新の電子顕微

鏡技術を用いた原子構造解析と電子状態の理論計算を駆使

して絶縁体を増加させると界面で結晶のひずみが少なく

なり高導電化することを解明した本研究が明らかにした

界面での結晶のひずみを制御することによって絶縁体を金

属状態へ変化できる現象は様々な材料でも普遍的に起こる

と考えられ絶縁体から金属へ変わる境目で性能が向上す

る新超伝導体や新熱電材料の開発に展開することが可能と

期待されるhttpwwwtohokuacjpjapanesenewimgpressimgtohokuuniv-

presspdf

【環状高分子】様々な環状高分子の自在な合成に成功 「かたち」に基づく機能開発に期待(2010112)東京工業大学

東工大の研究グループはこれまで困難とされてきた

種々の含環状高分子の選択的な合成に成功した同研究

グループで開発された単環状高分子合成プロセスである

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Electrostatic Self-Assembly and Covalent Fixation Process

と有機合成化学の新手法であるクリックケミストリー

を組み合わせることで様々な「かたち」の自在な構築

を達成した本手法の開発により近年注目を集めてい

る「かたち」に基づいた高分子物性の探索を加速させる

ものと期待されるhttp wwwo ld t i t e ch ac j p tokyo - t ech - in - the -news j

archives2010111288656000html

【異分野連携オープンイノベーションモデル】応用脳科学コンソーシアム 脳科学及びその周辺領域の学術知見を活用したオープンイノベーションモデルの研究活動を開始 異業種の民間企業と異分野の脳科学研究者が連携し事業性の高い研究テーマを推進 (2010111)アサヒビール(株)(株)NTT データ積水ハウス(株)

(株)竹中工務店帝人(株)凸版印刷(株)日産自動

車(株)(株)博報堂(株)NTT データ経営研究所

NTT データ経営研究所が日本神経科学学会の協力を得て

2010 年 10 月 1 日に創設した「応用脳科学コンソーシア

ム」においてそれぞれの事業活動に関連する独創性の

高い研究テーマについて複数の「応用脳科学 RampD 研究会」

を立ち上げるRampD 研究会では各 RampD 研究会を設置

した特別会員企業が各テーマに関連の深い脳科学及び

その関連領域の研究者を招聘し異業種である他の会員

企業とともに最新の研究知見を活用してオープンイノ

ベーションモデルの研究活動を実施する各社が設置す

る RampD 研究会は現時点で(1)おいしさの総合評価研究

会(アサヒビール)(2)ヘルスケア脳情報クラウド研究

会(NTT データ)(3)インタラクティブ住環境研究会(積

水ハウス株式会社)(4)コミュニケーション空間研究

会(竹中工務店)(5)メディアエンゲージメント研究

会(博報堂)この他の RampD 研究会については今後随

時応用脳科学コンソーシアムのウェブサイト httpwww

keieikencojpcan で公開予定

httpwwwnttdatacojprelease2010110101html

【レーザ技術基礎光物性】熱を加えずに結晶を柔らかくすることに成功 高強度テラヘルツ電磁パルスで分子ネットワーク操作が可能に 

(2010111)京都大学科学技術振興機構(JST)

京都大学はテラヘルツ電磁パルスと呼ばれる新しい光

を物質に照射することで1兆分の1秒の短い時間で結

晶中の分子を大振幅で揺さぶり熱平衡状態では実現で

きないような分子変位を実現することに世界で初めて成

功した実験結果は結晶が実効的にやわらかくなったこ

とを意味するものでさらに強いテラヘルツ電磁パルス

によって高効率で結晶を融解させることを示唆するこ

れは熱による反応を起こすことなく新しい分子間のネッ

トワークやたんぱく質などの巨大分子の立体配位を操作

できることを示しており化学合成における反応促進や

創薬における有機分子結晶の精製での活用が考えられる

今回の成果は JST 戦略的創造研究推進事業日本学術振

興会学術創成プロジェクト「動的相スイッチ機構を内在

する有機電子材料の開拓と非平衡物性科学への展開」お

よび京都大学グローバル COE プログラム「普遍性と創発

性から紡ぐ次世代物理学」によるものhttpwwwjstgojpprannounce20101101indexhtml

【高周波デバイス】透 明 な 高 周 波 デ バ イ ス 見 え な い ア ン テ ナ へ の 道

(20101028)物質材料研究機構太陽誘電(株)

両者は共同で透明な高周波デバイスを製造するための

基本技術である微細な金属配線と酸化物透明導電体から

なるハイブリッド構造を開発した本技術は不透明で

あるが高い伝導性を示す金属と透明ではあるが金属の

100 分の 1 程度の伝導率にとどまる酸化物透明導電体と

を組合せ両者の特性を相補的に活用することにより

透明でありかつ携帯電話をはじめとする無線デジタ

ル通信に用いられるギガヘルツ帯の高周波に対して高い

伝送特性を示す素子構造を実現した

httpwwwnimsgojpnewspress201010p201010280html

【エコ製品環境経営】COP10 に向けた環境配慮型製品技術の取り組み ポリ乳酸繊維 ldquo エコディア rdquo 使用商品の提供や連携事業「メッセナゴヤ 2010」への出展を通じ環境保全の取り組みを強化 (20101028)東レ ( 株 )

同社は10 月 11 日 ( 月 ) から 29 日 ( 金 ) に開催された

生物多様性条約第 10 回締約国会議 (COP10) に向けて

ポリ乳酸繊維 ldquo エコディア rdquo 使用商品の提供などを通じて

環境に配慮した運営に協力したまたCOP10 の連携事

業である環境エネルギーをテーマとした展示会「メッ

セナゴヤ 2010」に出展し環境に配慮した次世代自動車

や最先端航空機向けの先端材料を紹介した

httpwwwtoraycojpnewsfibernr101028html

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NEWS POD 著作権の関係で記事のタイトルと詳細内容は標記できませんので簡略に表示しています詳しい内容に関しては各新聞及び雑誌をご覧ください

ナノテクノロジー

研究開発最前線

20101122 日 刊 工 業 新 聞 News

ウェーブ 21

X 線レーザー

20101121 東京読売新聞

新潟ナノテク研究会

20101120 日本経済新聞

ナノテクとバイオ

20101120 下野新聞

バイオ起業

20101119 朝日新聞

ナノ粒子の構造制御

20101119 日刊工業新聞

水素原子観察

20101119 科学新聞

光ファイバー関連技術

20101119 科学新聞

希少金属対策

20101118 日刊工業新聞

熱電材料

20101117 日経速報ニュース

化学合成でナノ構造

20101117 日経産業新聞

つくばナノテク研究拠点への投資

20101117 日刊工業新聞

分子バネ

20101116 日経速報ニュース

ナノバイオ融合

20101116 日経産業新聞

フレンドオブアースのナノテク評

20101116 エコロジーエクスプレス

クラスターテクノロジー

20101112 産経新聞

実用化助成

20101111 日刊産業新聞

接着のメカニズム

20101110 日経産業新聞

電子材料

20101110 日経産業新聞

ナノ磁石

20101110 東京新聞

高分解能放射線検出器

20101110 化学工業日報

電池電極材料

20101108 日本経済新聞

食の安全性

20101108 日経エコロジー

ナノ磁石実用化

20101105 朝日新聞

ナノテク接着剤

20101105 日刊工業新聞

水素原子の観察

20101105 日刊工業新聞

補正予算案

20101105 科学新聞

ナノ磁石

20101104 日本経済新聞

ナノボーグ

20101104 日刊工業新聞

ITO 電極代替技術

20101104 鉄鋼新聞

レアアース代替材

20101103 日本経済新聞電子版

セクション

ナノ鉄磁

20101103 毎日新聞

有機トランジスタ

20101101 日 経 速 報 ニ ュ ー ス

アーカイブ

有機トランジスタ

20101101 日経産業新聞

ナノムービー

20101101 日経サイエンス

低燃費タイヤ

20101030 朝日新聞

筑波大生命科学研究拠点

20101030 茨城新聞

レアアース代替材

20101029 日経産業新聞

播磨地域

20101029 化学工業日報

ナノ粒子操作

20101029 科学新聞

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NEWS POD 著作権の関係で記事のタイトルと詳細内容は標記できませんので簡略に表示しています詳しい内容に関しては各新聞及び雑誌をご覧ください

中国新5カ年計画

20101028 日本経済新聞

高機能消臭素材

20101028 化学工業日報

環境規制等

終わりの科学

20101201 日経サイエンス

電気自動車の覇権

20101123 週刊エコノミスト

環境規制対応

20101122 日経産業新聞

温暖化ガス排出枠

20101122 日経産業新聞

ロス自動車ショー

20101119 日経産業新聞

EV と環境規制

20101119 朝日新聞

EV

20101119 東京新聞

環境と法規制

20101119 化学工業日報

トヨタとテスラ

20101118 読売新聞速報ニュー

CO2 排出量削減

20101118 日経産業新聞

カリフォルニア州環境規制と EV

20101112 日本経済新聞

環境規制

20101112 日本経済新聞

環境規制

20101112 日経産業新聞

米韓 FTA

20101112 朝日新聞

米韓 FTA

20101112 毎日新聞

顔料

20101112 化学工業日報

レアメタル供給規制

20101111 日本経済新聞

潮冷熱

20101110 日本経済新聞

レアアース生産と環境規制

20101108 ダウジョーンズ中国企

業ニュース

韓米FTA

20101101 中央日報

科学技術政策

競争的資金制度

20101122 日本経済新聞

科学技術関係補正予算案 

20101122 THE DOCTOR

韓国 KIST

20101121 朝鮮日報

科学技術政策

20101119 日本経済新聞電子版

セクション

科学技術政策

20101118 日本経済新聞

科学技術政策

20101118 日経産業新聞

女性研究者

20101117 日経速報ニュース

科学技術予算

20101114 東京読売新聞

トップ1論文

20101112 科学新聞

中国特許強国に

20101112 新華社ニュース

関経連と科学技術政策

20101110 産経新聞 

科学技術産業一体政策

20101109 日刊工業新聞

優れた論文の条件

20101105 毎日新聞

「焼け太り許さぬ」

20101102 朝日新聞

国の研究開発投資目標

20101029 日刊工業新聞

科技政策で提言

20101027 日経産業新聞

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科学への信頼に関する読者調査

20101201 日経サイエンス

「カップリング反応」アニメ化

20101110 朝日新聞東京読売

新聞他

科学と社会つなぐ人材

20101025 東京新聞

NEWS POD 

情報誌 PEN 購読のご案内PEN の継続的な購読をご希望の方は下記のメールアドレスまでお名前ご所属メールアドレスをご記入の上ご連絡ください登録配信は無料ですnano-penmaistgojp

PEN は原則月 1 回配信しますバックナンバーと PEN の前身【AIST-TOKYO ナノテク情報】をナノシステム研究部門ホームページにて公開しています httpunitaistgojpnrinano-planindexhtml

PEN は皆さまとの情報共有を目的としていますお持ちの情報で共有すべきものがあれば nano-penmaistgojp までお寄せ下さい

いただいた個人情報は産総研 個人情報保護方針(プライバシーポリシー)に基づき大切に管理し情報誌 PEN の運営と私達のイベントのご案内のみに使用させていただきます

科学技術コミュニケーション

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イベント案内

[産学連携研究開発]大阪大学ナノ理工学人材育成産学コンソーシアム 第 3 回ナノ理工学情報交流会場所大阪大学中之島センター 7 階 講義室 3(講師来訪)

   大阪大学東京オフィスサテライト教室

(遠隔講義配信)

   四日市商工会議所内サテライト教室

(遠隔講義配信)については調整中です

コンソーシアム HP にてご確認ください

   ナノテク社会人教育プログラムの開講をされてい

る場合遠隔講義配信に対応可能です事務局まで

ご連絡ください

日時2010 年 12 月 10 日(金)1330 ~ 1900 頃

主催大阪大学ナノ理工学人材育成産学コンソーシアム 

概要ナノ理工学人材育成産学コンソーシアムでは活動

の一環として産学連携のきっかけを提供すべく企業と

大学の双方からテーマに即した研究開発やトピックを紹介

し会員同士の意見交換と情報共有の促進をはかっていま

す第 3 回目となる今回は「光を用いたナノテクノロジー

の新展開」をテーマに開催しますプログラムなどの詳細

は下記の HP をご参照下さい

参加費コンソーシアム会員学生及び大阪大学教職員は

無料(コンソーシアム企業会員の場合社内から何名でも

無料で参加が可能です)

上記以外の方は資料作成費 1000 円が必要になります

参加登録氏名所属連絡先懇談会への出欠を記載の

上メールにて大阪大学ナノ理工学人材育成産学コンソー

シアム事務局(nano-consnanoscienceorjp)へお申込み

下さい

httpwwwnanoscienceorjp

[コミュニケーション]科学コミュニケーション研究会 第 1 回関西支部勉強会日時2010 年 12 月 2 日 1800 ~ 2000

場所京都大学 吉田泉殿

主催科学コミュニケーション研究会 関西支部有志

概要大阪教育大学科学教育センターの中矢史雄氏を講師

に招きオーストラリアの科学技術コミュニケーションに

ついてオーストラリア国立大学科学意識向上センター

での経験なども交えてお話いただきます定員は 25 名で

す事前申し込みが必要です

httpbitlybPmTP9

[展示会]セミコンジャパン 2010日時12 月 1 日~ 3 日

場所幕張メッセ

主催SEMI

概要国内外の最新のマイクロエレクトロニクス技術に関

する情報を入手することのできる世界最大の半導体製造装

置材料展です

httpwwwsemiconjapanorgjaindexhtm

[知財]アジア特許庁シンポジウム日時2010 年 12 月 3 日(金)930 ~ 1210

場所ホテル日航奈良 飛天の間

主催特許庁

概要日本中国韓国インドネシアマレーシアシ

ンガポールの特許庁幹部を招き各国の知財保護強化の取

組みやアジアにおける知財協力を紹介しますまたパ

ネルディスカッションを設けアジアにおける人材育成協

力の方向性について議論します

httpwwwintergroupjp~convasia

[人材育成]応用物理学会 人財育成シンポジウム -日本の危機を科学が救うそのためのリーダー育成を考える-日時2010 年 11 月 29 日(月)1000 ~ 1710

場所東京工業大学デジタル多目的ホール

主催応用物理学会

概要急速に進むグローバル化に対応のできる人材を育成

するための課題や応用物理学会が貢献することのできる

具体的な取り組みについて議論します

イベント案内へ掲載を希望される方は nano-penmaistgojp までご一報ください

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r h t t p w w w j s a p o r j p a c t i v i t i e s e d u c a t i o n

symppt2010symphtml 

[コミュニケーション]科学技術とメディアのより良い関係に向けて日時11 月 26 日 1815 ~ 2030

場所早稲田大学大隈小講堂

主催サイエンスメディアセンター(SMC)

概要英国オーストラリアのサイエンスメディアセ

ンターの関係者米国のサイエンスコミュニケータを交え

て研究者とメディアの有益な関係性構築に向けた取り組

みについて議論します参加費は無料同時通訳がつきま

httpsmc-japanorgp=403 

[異分野連携]医学領域と工学領域連携研究シンポジウム ‐ 未来を拓く医工連携 ‐日時2010 年 11 月 27 日(土)

場所山口大学医学部第 3 講義室

主催日本学術会議中国四国地区会議山口大学

概要がんの個別化医療をメインテーマにこれからの医

工連携のあり方について講演と議論を行います

httpwwwscjgojpjaeventpdf100-t-3pdf 

[人材育成]マイクロナノエンジニアリング シンポジウム ‐ イノベーションと人材育成 ‐日時2010 年 12 月 8 日(水)1300 ~ 1700

場所日本学術会議 講堂

主催日本学術会議 マイクロナノエンジニアリング分

科会日本機械学会 マイクロナノ工学専門会議

概要学際的分野であるマイクロナノエンジニアリング

は大学大学院における教育の整備関連する産業界

学術界での研究開発における分野融合的な取組みが不可欠

です本シンポジウムでは人材育成を軸とした課題につ

いて議論します

httpwwwscjgojpjaeventpdf100-s-3-1pdf

[ 博物館展示 ]自然に学ぶ ネイチャーテクノロジーとライフスタイル展開催中です

場所国立科学博物館 (東京上野公園)

日時2010 年 10 月 26 日~ 2010 年 2 月 11 日

主催東北大学大学院環境科学研究科国立科学博物館

特定非営利活動法人ものづくり生命文明機構

概要蝶や鳥など生き物や自然の仕組みにヒントを得た環

境負荷の低い技術と将来的な応用の可能性から日本文化

に根差した共生型の新しいライフスタイルのあり方につい

て紹介します国立科学博物館の入館料600円が必要です

httpwwwkahakugojpevent201010natureindex

html

[人材育成]シンポジウム「世界を魅せる日本の課題解決型基礎研究~JST 目利き制度とその可能性」日時2010 年 12 月 6 日(月)1000-1800 (0900 受

付開始)

場所東京国際フォーラム B5 ホール

主催(独)科学技術振興機構(JST)

概要JST がこれまでに行ってきた戦略的創造研究推進

事業の成果を振り返りつつ今後の日本の科学技術の発

展に向けた事業のあり方について参加者の皆様と議論しま

httpwwwsenryaku30jstgojp 

[ 持続可能性 ]学術会議シンポジウム「低炭素化に向けた経済社会エネルギーのあり方と実現のシナリオ」日時2010 年 12 月 9 日(木)1330 ~ 1700

場所学術会議講堂

主催土木工学建築学委員会低炭素建築都市分科会

社会資本分科会

概要両分科会は中~超長期のエネルギー消費量削減シ

ナリオ策定に取り組んできました本シンポジウムでは

分科会の検討結果や削減のための様々な取り組みを紹介

し今後のとりまとめ作業に向けた議論を行います

httpwwwscjgojpjaeventpdf104-s-3-6pdf 

37

PEN N

ovember

PEN 編集室関谷瑞木阿多誠文独立行政法人産業技術総合研究所 ナノシステム研究部門 305-8568 つくば市梅園 1-1-1 産総研つくばセンター中央第 2 M404Email nano-penmaistgojpTel029-861-5185 Fax 029-861-5339

編集後記

今月 8 日に長野県長野市で開催された第 3 回国際ナノ

ワークショップ「ナノテクノロジーの社会受容~ナノ

材料の工業標準化の国際的な動向と環境影響について

~」の会場で多くの企業の皆様と意見交換をする貴

重な機会を得た目まぐるしい勢いで変わってゆく諸

外国の環境規制策の動向に民間企業の皆様が神経を

とがらせておられることがひしひしと感じられた東

京から新幹線で 1 時間半インターネットでリアルタ

イムに世界とつながることのできる時代とはいえ情

報物人が集積する地である東京とは異なる苦労も

あることもお聞きした美しい山々きれいな空気あ

るいは世界に誇る観光遺産と科学技術を結び付けて

地域振興をはかりたいとの頑張っておいでの方にもお

会いした

月刊という制約はあるもののこうした方々にとって

タイムリーで有用な情報を提供し続けたいと改めて

強く感じた

ちなみにPEN を発行しているつくば市の産総研つく

ばセンターへもつくばエクスプレスと路線バスを乗

り継いで都心からは約 1 時間半かかる

2010 年 11 月 25 日

PEN 編集室一同ウナギツカミ

Page 11: Public Engagement with Nano- PEN November …...5 PEN November 【知財】 中国、10年で特許強国に(2010.11.12) 中国国家知識産権局は11日に「全国特許事業発展戦略

11

PEN N

ovember

欧州議会 RoHS 改定作業の現状

欧 州 議 会 Committee on Environment Public Health and

Food Safety(ENVI) 委員会が取りまとめた RoHS 指令改定

案の議会本会議での採決は今月 22 日となったようである

ここで採択され理事会で採択されれば 2014 年以降の施

行に向けた動きとなる今月の本誌 PEN の発行は諸般の

事情から 25 日を予定しており23 日には原稿を締め切る

したがって採択の結果は今月号では速報できないと思われ

る重大な採択がされるような事態になれば読者の皆様

には別途速報として情報提供する

これまで特に欧州議会の中での目立った動きは察知できな

いもののENVI 委員会の主要メンバーは附属書 IV の禁

止物質リストにナノ銀を盛り込むことでその全面使用禁止

求める方針を断念したようであるこれは先月号本誌で示

した議長国ベルギーの提案に従ったものと思われるただ

大変気になるのはもう一つのカーボンナノチューブがどの

ようになっているのかがよく見えない点で水面下でどの

ような議論がすすめられているのか気になっていた先

週述べたとおりベルギー案は追加リストそのものの撤廃

を求めておりその他のナノマテリアルを含む物質に対す

るラベル表示義務さらには安全性データの欧州委員会へ

の提出義務も含まれていない今後の展開は最も強く修

正案を主張してきた ENVI ラポーターの Jill Evans 氏らが

ベルギー案にどこまで歩み寄った形で 22 日の投票を迎え

るかにかかっている

これに関連して中小企業ビジネス支援サイト J-Net21 は

18 日「欧州委カーボンナノチューブ RoHS 規制見送り」

とする速報をリリースしたそれによると今回示された

改正案には二つのナノマテリアルの使用が制限されていな

いとのことまた二つのナノマテリアル以外のナノマテリ

アルに求められていた表示義務についてはまだ議論が続い

ているようである [12]

ま た 23 日 に ロ ン ド ン の Nanotechnology Industries

Association からナノテクノロジービジネス推進協議会へ

届いた情報によると欧州議会と理事会は RoHSWEEE 指

令における「ナノマテリアル」の記述について合意に達し

た模様でその内容は産業界にとも歓迎すべき内容になっ

ているとのこと内容の詳細について現時点では把握でき

ていないるものの少しずつではあるが確実に猶予すべき

事態から脱却しつつあるとみてよい

このような状況のなか今月は日本国内においても RoHS

指令改定案に二つのナノマテリアルの全面禁止やその他の

ナノマテリアルの表示義務が盛り込まれている点について

周知が進み様々な論評が行われたので短く整理してお

まず「問題が多いナノ材料への RoHS 規制」と題する社

説を掲載し問題を明らかにしたのが11 月 15 日付化

学工業日報であるその社説の論旨は「欧州では科学的

確実性が明らかでないリスクを事後的に管理するより予

防的対策が費用対効果からも優れているという考えが根強

い」としたうえで今回の改定案を「極端な予防原則の適

用といわざるを得ない」と指摘しているさらに「日本

の産業界に与える影響も無視できないだけに日本政府や

ナノマテリアルに関連した事業を展開する企業業界団体

は積極的に情報発信すべきである」と欧州議会に対して

明確な意思表示をすべきとのメッセージで社説の最後を

締めくくっている

RoHS 指令改正案にナノ材料が追加された事実を解説した

のは11 月 12 日付日刊工業新聞である37 もの化学物

質を禁止物質候補としさらにカーボンナノチューブとナ

ノ銀に規制を設け適用範囲も拡大される改正案の内容を

解説したうえで22 日に迫ってきた改定案の採択がその

まま施行される可能性は低いと予測しているもし改正案

のまま施行された場合今後の研究開発を停滞させる恐れ

があると指摘している実際に日本などの産業界からの反

連載環境規制 第 7 回

アメリカの環境規制オバマ政権以降の展開

12

PEN

Nov

embe

r 発も大きく「本会議の採択を受けて開催される理事会は

調停案を出す」との観測を示している以上のような解説

の締め括りとして「日本の産業界としては代替材料やナ

ノ材料の安全性評価手法の開発など2014 年の施行を見

すえ早めに体制を整えておく必要がある」と指摘してい

このように日本国内でも ENVI の Jill Evans 女史がまとめ

た RoHS 指令改定案に対する修正意見に対する反発が強ま

るなか2009 年に厚生労働省や経済産業省環境省が相

次いで公表したナノ材料曝露提言のためのレポートやガイ

ドラインに準拠した対策も進みつつある今月 10 日日

本エアーテックはカーボンナノチューブなどのナノ材料

を安全に扱うための作業器具「ナノパーティクル排気ベン

チ」を開発販売を開始したナノ粒子捕集効率の高いフィ

ルターや引き出しと一体化した掃除機曝露防止のため

の手袋や防塵マスク防護服といった対策が図られている

節末になるが昨今の欧州議会の動きに関してナノ

テクノロジービジネス推進協議会の事務局より欧州

の ナ ノ テ ク ノ ロ ジ ー 産 業 の ア ソ シ エ ー シ ョ ン で あ る

Nanotechnology Industries Association (NIA) と の 間 で 交

わされた情報などを逐次配信していただいたことを付記

しお礼を申し上げる

アメリカの環境規制オバマ政権以降の展開

連載の本題に戻る2009 年民主党オバマ政権が発足し

て以降環境政策環境規制に関しても様々な改革が図ら

れるようになってきたこれはオバマ政権に代わったから

ということではないが米国議会は全ての連邦機関に対し

て 5 年間の戦略計画の策定と 3 年ごとの計画の見直しの実

施を要請している政府の行政評価の一環として 1993 年

以降行なわれている rdquoGovernment Performance of Result

Actrdquo で通常 GPRA と呼ばれこれまで各省庁の政策決定

と実行に大きな影響を与えてきたこれを受けて EPA は

今月 7 日2011 年度からの 5 年間の戦略を公表している

[3]環境と健康を守るための 5 つの戦略的な目標として

①気候変動への取り組みと大気汚染の減少②米国内の水

環境の向上③コミュニティの汚染源の根絶と持続的発展

④化学物質の適正な使用と汚染の防止⑤環境関連法の実

施強化を挙げているまた5 つの戦略目標と合わせて

EPA 首脳部が掲げる 7 つの優先分野における取り組みの進

捗状況を図るための新たな指標も設けられている

これに関連して EPA はTSCA インベントリー利用の改革

を進めている米国内で製造もしくは米国に輸入される

すべての化学物質は「TSCA インベントリー」と呼ばれ

るリストで管理される現在 8 万物質以上が収載されてい

る TSCA インベントリーにない化学物質を製造あるいは

輸入する場合EPA に対する届出義務がありこの届出を

行い EPA の審査を受けることでその化学物質が TSCA イン

ベントリーに新規物質として追加される仕組みになってい

るここでいう届出とは90 日前までに行わなければな

らない製造前届出(PMN)であり生産量暴露排出量

の推計人の健康や環境への影響に関するデータ等が求め

られるただし医薬品農薬や食品添加物等の他の法律で

規制される物質や研究開発目的の化学物質には除外措置が

設けられている [4]PMN は届出業者に新たな試験の実施

を求めておらず届出業者が有しているデータのみを提出

すればよいとされているそこで EPA は定量的構造活性

相関等の手法により届出物質の生態毒性値を予測しその

結果に基づきリスク評価を行っている

オバマ政権以降この TSCA インベントリーの改革がすす

められてきたすでに 2010 年 3 月には基本的な検索を無

料化するなどインベントリーのリニューアルを実施しイ

ンベントリー検索が容易になっているまたインベント

リーのデータは通常年二回更新されるがインベントリー

へ新規化学物質の登録が行われる場合は官報で事前に告知

されるようになっている [5]

SNUR とは

EPA の規制措置について触れたついでに今後の議論のた

めに重要新規利用規則(SNUR)についても理解を深めて

おきたいSNUR については経済産業省化学物質管理課の

HP の記述にその内容をくみ取りやすいので以下に引

用させていただく [6]

「TSCA においては評価の各段階で新規化学物質の申請

者と同意を取りながら進めていくという審査体系をとって

おり懸念のある化学物質に対する規制は個別の申請毎

にきめ細かい措置が講じられる体系となっている規制

は申請者に対する同意指令(Consent Order)及び申請

者以外の者にも同様に規制を行うための重要新規利用規則

(SNURSignificant New Use Rule)により行われる同意

指令は当該化学物質のリスクが明確に評価できないにもか

かわらず健康や環境にリスクをもたらす恐れや放出

暴露量が多い恐れのある場合に発せられリスク評価に十

13

PEN N

ovember

分なデータがそろうまでの製造等を制限するものである

同意指令は申請者に対して発せられるが公平性の観点か

ら当該化学物質を取扱う全事業者に対して同意指令と同等

の制限を規制するのが重要新規利用(SNUR)である対

象物質について SNUR 要件を遵守できない場合には事前

に重要新規利用届出(SNUN)を提出し個別に審査を受

けることとなるSNUR 対象物質に対する制限措置として

はMSDS 作成やラベリング使用者への注意義務数量

制限や特定用途の制限個別事業者における排水管理など

の幅広い手法があげられており対象物質に応じて適切な

規制が適用される」

したがってTSCA のインベントリーに登録された化学物

質が SNUR に指定されるということはPMN 届出業者と

の同意指令の中で当該化学物質の健康や環境影響が無視

できないことの反映である先月号の本誌 PEN で述べた

とおりEPA がこれまでナノマテリアルで交わした同意

指令はイギリスの Thomas Swan 社の子会社でアメリカ

New Jersey 州 Lyndhurst で CNT 製造を行っている Swan

Chemical Inc であるEPA が昨年来 CNT を SNUR 対象物

質にする方向でパブリックコメントを求めてきたがこれ

は Swan Chemical Inc との間で交わされた同意指令の内容

を他の CNT 製造企業にも求めることを意味するEPA の

SNUR での単層および多層 CNT の規制もいよいよ最終段

階に入ってきている

Reference[1] httpj-net21smrjgojpwatchnews_tyusentry20101118-15

html

[2] httpj-net21smrjgojpwatchnews_tyusentry20101117-15

html

[3]httpyosemiteepagovopaadmpressnsfd0cf6618525a9efb8

5257359003fb69d60a5ce970092692e852577b5005c4ff3Open

Document

[4] httpwwwepagov

[5] httpwwwepagovopptnewchemspubsinvntoryhtm

[6]httpwwwmetigojppolicychemical_management03kanri

f1htm

かわいいだけではないらしい

日本ではペットとしてイヌと人気を二分しているネコかわいい口に重大な秘密が隠されていたようです

イヌは舌ですくい上げて水を飲んでいることが分かっています水を飲み終わったイヌの口元は濡れています

しかしネコはミルクを飲んでも口元が汚れないしどうもイヌとは飲み方が違うようだと考えた Pedro Reis 氏

らは高速イメージング技術を用いてネコの秘密にメスをいれました

その結果ネコは重力と慣性力を利用して水を飲んでいることが明らかになりましたネコはまず舌先だけを

水やミルクなどの液体に軽く接触させたのち舌を丸めますそして丸めた舌を元に戻す際の慣性力を使って水

の柱を作りそれを吸い込むようにして飲んでいるのですネコのサイズが変わると舌を水につけるスピード

が落ちてゆっくりとした動きに変わるものの動きそのものは全く同じであることが観察によって明らかになっ

ていますネコ科で 2 番目に体が大きいライオンの飲み方も小さなイエネコの飲み方も同じなのです

様々な分野で活躍する働くイヌと違って「ただかわいいだけ」と言われるネコですがその精緻な舌の動きと

機能はソフトロボット技術研究の進展に役立つと期待されています

How Cats Lap Water Uptake by Felis Catus PMReis RStocker SJung JMArstoff Science 20101111 (online

publication)

httpwwwsciencemagorgcontentearly20101110science1195421

14

PEN

Nov

embe

r

基本政策専門調査会資料公開総合科学技術会議

11 月 17 日中央合同庁舎第4号館で開催された第 11 回

総合科学技術会議基本政策専門調査会の資料が公開され

た10 月 18 日~ 11 月 8 日にかけて行われたパブリック

コメントの結果等も公開されている特に注目される「Ⅴ

社会とともに創り進める政策の展開」の項目のなかの「社

会と科学技術イノベーションとの関係深化」の課題には

①「国民の視点に基づく科学技術イノベーション政策の推

進」には欧米にくらべ遅れている「政策の企画立案及び

推進への国民参画」の促進が必要その方法論を研究し

具体的な参画の場や運用を整備すべき国の機関のみなら

ず各地の大学や研究機関が主体的に参画できるものであ

るべき②科学技術だけでなく社会についての知を総合

しなければイノベーションは不可能③「倫理的法的

社会的課題への対応」でヒトの臨床試験に関する法律

動物実験バイオ施設といった具体例を論ずるべきといっ

た意見が集約されている

また民主党政権が達成目標としている「政府研究開発投

資の対 GDP 比 1」に関しては資料 4 - 1 の第 4 期科

学技術基本計画における投資目標のなかに2008 年度の

実績が 072 であったことが示されているちなみにア

メリカは政府研究開発投資の対 GDP 比 1 を維持してい

httpwww8caogojpcstptyousakaiseisakuindexhtml

科学技術に関する最近の話題への国民の関心について科学技術政策研究所 (NISTEP)

文部科学省所管の科学技術政策研究所は科学技術に関す

る最近の話題への注目度など速報性のあるデータについて

公開したまた同研究所は「日本の研究者を対象とした科

学における知識生産プロセスについての大規模アンケート

調査」の結果についても公表を行ったhttpwwwnistepgojpnistepabout09html

httpwwwnistepgojpachievftxjpnmat191jpdfmat191j_

reportpdf

公共政策のためのパブリックコメント2011 年度予算編成に伴い9 月末から政策コンテストが

進められているこれは市民から広く意見を聞くパブリッ

クコメントのことであるところがある省の政策担当者が

政策立案に関わった専門家に提出方法についてメールで周

知し間接的ながらも意見の提出を促した事実が明らかと

なったこの問題は今月 18 日付新聞各紙で報道された

時代の流れである政策の公共性に逆行し公共の利益に反

する行為であるいわずもがなではあるがパブリックコ

メントが義務的な制度ではなく今後政策や予算立案の過

程で当然の仕組みとして定着していくためにもパブリッ

クコメントを広く公平に集める仕組みつくりは危急の課題

であり集まったコメントに耳を傾ける真摯さが政策サイ

ドに求められている政策や予算に対するパブリックコメ

ントは政策の公共性に必要不可欠の仕組みであり科学技

術の社会受容の重要なプロセスである「パブリックコメ

ントを行いました」という既成事実のためにあるのではな

共同声明「国際化拠点整備事業(グローバル 30)の強化を要望する」11 月 16 日

東北大学筑波大学東京大学名古屋大学京都大学

大阪大学九州大学慶應義塾大学上智大学明治大学

早稲田大学同志社大学立命館大学

平成 21 年度に開始された国際化拠点整備事業(グローバ

ル 30)に採択されている上記 13 の大学は昨年に引き

続き本事業が行政刷新会議の事業仕分けの対象となったこ

とに関して共同声明を発表したその骨子は国際的視

点と人材教育の視点から大学及び日本社会の国際化のた

国内情報

15

PEN N

ovember

めのグローバル 30 をさらに拡充強化されることを政府に

要望するものでまた予算の縮減などになれば国際社会に

おける日本の信頼が大きく傷つくばかりでなく日本の将

来について致命的な打撃を与えるのではないかと指摘して

いるh t t p w w w o s a k a - u a c j p j a n e w s t o p i c s 2 0 1 0 1 1

files20101116_2pdf

加速する EV 市場電気自動車 (EV) 市場が大きく展開し始めたすでに三菱

自動車は昨年から EV アイミーブを市場に投入している

日産自動車は今年 7 月から EV リーフの試乗会を行ってき

たがいよいよ来 12 月には EV リーフの日米同時の販売

を開始するこれにあわせて 12 月 45 日に横浜市内で

公道上での試乗会が行われる今後は技術提携を進めるフ

ランスのルノー社との技術の共通化が図られる

このような動きに対しトヨタやホンダはこれまで EV に

は慎重な姿勢を維持してきたしかしこの数か月でその姿

勢にも大きな変化が出てきた今月 17 日から開催されて

いるロサンジェルスのモーターショーでトヨタは RAV4

の EV モデルホンダはフィットの EV モデルをそれぞれ

公開しているこれまでハイブリッド技術で覇権を制して

きたトヨタはこの 5 月にカリフォルニアの EV 開発ベン

チャーであるテスラと資本提携スポーツタイプ多目的車

(SUV)をベースとした EV の開発を加速させているテス

ラは 2008 年から時速 200km を誇るロードスターの市場

投入実績を有しておりトヨタ以外にもすでにダイムラー

とも資本提携を行っているまた今月にはパナソニックと

電池の共同開発を開始するなど2015 年の本格的なアジ

ア市場での販売計画に向けて技術開発を加速させている

テスラの技術は家電製品に使われる汎用電池を多数並べて

用いるところに特徴があり現時点では車載用専用の電池

の開発を進める他の EV との差別化を図ることに注力して

いる

このような一連の動きは2012 年のカリフォルニア州に

おける環境規制の施行を見据えたもので2012 年が EV

普及にとってフラグポイントになるアメリカでもゼロエ

ミッション EV の開発が活発に行われ経営破たんしてい

た GM が 11 月 18 日に株式市場に再上場するなどアメ

リカの産業構造も大きく変わりつつあるただモーター周

りの技術に関しては中国企業との共同開発も進められて

いる

このような EV 市場の急展開の様相は日本の経済を支え

てきた自動車産業に大きな質的変化をもたらしつつある

EV は「自動車が家電製品になる」と形容されるように

車載用駆動電源としての 2 次電池の高性能化やリチウム

資源の確保さらには太陽光発電利用やスマートグリッド

まで含めたエネルギーデリバリーシステムや充電インフラ

等々幅広い産業活性化の起爆剤でもあるEV がオフィ

スや家庭の家電とつながればIT 産業にも大きなビジネス

チャンスが到来する自動車産業は家電メーカー総合

商社IT 企業その他さまざまな技術領域を巻き込んだ覇

権争いに突入していこうとしておりこれまで ldquo 城下町 rdquo

と称された日本の垂直統合型自動車産業そのものが大きく

変わりつつあるといっても過言ではない

ところで「モーターをタイヤにした」構造的には内燃機関

式に比べ単純な構造の乗り物でもある EV の市場には新

興国の新規産業が参入しやすいという一面がある上述し

たような 2012~15 年にかけて強まる世界的な環境規制を

追い風に新興国から多くの EV 産業への参入が予想され

る実際に中国広東省のベンチャー企業 BYD などはそ

の急先鋒として成長し続けている日本の産業は1990

年のバブル崩壊以降 20 年にわたって「技術で勝って市

場をとれない」状況に苛まれてきた対処策の一つは技術

開発と経営の基本姿勢である言うまでもなく技術が発展

することは製品の質の向上に結び付くのだがただ「より

良い技術をふんだんに詰め込めばおのずと製品は売れる」

という安易な技術への過信や過剰な技術の詰め込みがイノ

ベーションプロセスに負に作用することも事実であるエ

リアごとに大きく異なる市場のニーズを的確に把握するこ

とと急速に展開する市場に対応した経営意思決定の迅速

化がキーになる

もう一つは国際的な枠組みでのインフラ技術の標準化であ

る一国一票の投票権を持つ国際標準化の策定プロセスで

は欧州が圧倒的な強さを維持しており日本は常に苦戦

を強いられる立場にある国際電気標準会議 (IEC) におけ

る EV インフラ技術の標準化チャデモ協議会といった日

本の対応については週刊エコノミスト 12 月号 40 ~ 41

頁に詳しい

また日刊自動車新聞によると電気自動車普及協議会が

EV の高電圧周りの安全対策などに関するガイドラインの

策定を始めているが緊急性の高い項目は今年度中に情報

公開される模様である

国立研究開発機関(仮称)構想省庁の縦割り政策の弊害を解消して研究開発を効率的に進

めることを目的に文部科学省は 38 の独立行政法人研究

機関の再編統合を図る仮称「国立研究開発機関」構想を

打ち出している海江田科学技術政策相はその設置法案を

来年度の通常国会に提出する考えを明らかにしこれに併

せて発足に向けたスケジュール作りがすでに検討チームの

中で始まっているその一方蓮舫内閣府特命担当大臣(行

16

PEN

Nov

embe

r 政刷新)公務員制度改革担当は文部科学省ではなく内閣

府主導で予算編成を行うべきとの考えを示し行政刷新会

議も「焼け太りは許さない」と文部科学省を牽制設置法

そのものの提出をくい止めたい考えである他の様々な施

策同様これも民主党政権内での軋轢となっている

化学5社化学物質情報伝達を電機大手と共通化中小企業ビジネス支援サイト J-Net21 は11 月 15 日に

日本の化学大手 5 社がアーティクルマネジメント推進協

議会の仕組みを活用して製品に含まれる化学物質の伝達

方法を電機大手と共通化することを発表サプライチェー

ンでの情報伝達の共通化が図られるhttpj-net21smrjgojpwatchnews_tyusentry20101115-10

html

22 年度科学技術関係補正予算閣議決定先月末の 26 日平成 22 年度補正予算 4 兆 8500 億円が

閣議決定された今月 11 日付科学新聞はこのうち科学

技術関係予算を文部科学省のスパコン「京」への 186

億円などを含め約 1500 ~ 2000 億円程度と見積もってい

る経済産業省関係では産学官連携のイノベーション拠点

立地支援事業への支援策が多く盛り込まれているつくば

イノベーションアリーナ中核拠点と位置づけられている産

総研には補正予算 30 億円が配分されている

なお内閣府総合科学技術会議は 11 月 4 日2010 年度

の当初予算額 3 兆 5878 億円に対し補正予算案は 1864

億円経済危機対応地域活性化予備費は 141 億円で

合計は 3 兆 7742 億円となったことを明らかにした補正

予算の詳細については 11 月 4 日「平成 22 年度経済危機

対応地域活性化予備費及び補正予算案(科学技術関係予

算)について」として内閣府から公開された

httpwww8caogojpcstpbudgeth22hoseipdf

ナノボーグの販売軽量化フレキシブル化が進む様々なデバイスをまとめて

身に着けることが可能な服が「ナノボーグ」である東工

大谷岡教授が名付けたもので4 日付日刊工業新聞による

と今月にも太陽電池を電源とするジャケットがアメリカ

のアパレルメーカーから発売される

httpwwwnikkancojpnewsnkx0320101104eaahhtml

ldquoNBCI ナノナビ rdquo 創刊ビジネス環境のグローバル化オープン化に伴って政策

や規制動向研究開発動向の迅速な情報共有への要求が高

まりつつあるこれに応え一般社団法人ナノテクノロジー

ビジネス推進協議会(NBCI)は不定期の情報誌 ldquoNBCI

ナノナビ rdquo を創刊先月末より会員向け配信を開始した

創刊号では標準化の重要な課題であるナノラベリング(使

用ナノ材料の周知目的)の動きナノネット活用等につい

て最新の動向が配信された

httpwwwnbcijp

フラーレンのナノエレ応用脚光を浴びるカーボンナノチューブやグラフェンに比べ

フラーレン(C60)のナノエレクトロニクスへの応用展開

は広がらない状況が続いてきたがこの度 C60 を積層し

た有機トランジスタが開発されたこれは 11 月 1 日付日

経産業新聞が報じたもので大阪大学と山形大学大日本

印刷の共同研究の成果である試作された C60 を含む有

機トランジスタは従来の有機トランジスタより大きな電

流を流すことが出来400 キロヘルツの高速応答が得られ

たとのこと

筑波大に生命科学研究拠点先月末筑波大は先端学際領域研究センター通称 TARA

センターを改組し生命領域学際研究センターを設立浅

島誠氏がセンター長に就任した今後 20 人の研究部隊が

幹細胞研究などに特化した研究を展開する

新規事業への投資を名城ナノカーボン10 月 29 日付の金融専門誌ニッキンは名城ナノカーボ

ンの橋本剛氏をとりあげた同社は 2005 年 4 月に当時

銀行員であった橋本氏が名城大安藤義則教授と共に設立

したカーボンナノチューブの開発製造販売を手がける

名城大発ベンチャー橋本氏は今後 5 ~ 10 年で名城ナノ

カーボンの上場を目指すとし取引金融機関に対して新規

事業への具体的な資金投入を期待している

CNT 生産能力倍増昭和電工10 月 29 日付化学工業日報は昭和電工(株)川崎事業

所におけるカーボンナノチューブ (CNT) の年産 100 トン

から 200 トンへ引き上げ計画を報じた同社はリチウム

イオン 2 次電池向け気相成長 CNT の供給を行っているが

今後はさらに急速な需要拡大が進む可能性もありさらに

生産体制の拡大を図る可能性もある

17

PEN N

ovember

宝石という名前の虫

タマムシはタマムシ科の 4 センチメートルほどの甲虫です漢字では玉虫と書きます玉とは宝石のことで

その名のとおり赤い縦の線が走る虹色がかった緑色の金属光沢の美しい翅をもっています

法隆寺所蔵の国宝「玉虫厨子」を教科書などで見たことがある人も多いのではないでしょうか厨子は仏像な

どの礼拝の対象をしまう大切な入れ物のことです天平の世の人々がその大切な厨子の壁面を飾る細工の材料

にタマムシこそが相応しいと思ったのも納得できる美しい甲虫です残念ながら現在では玉虫厨子の壁面の

翅の多くは脱落してしまっていますが往時を再現した複製品から天平の時代の華やかな色が想像できます

タマムシは時代や洋の東西を問わず美しいと思われるようでベルギーにはその美しさに憑かれて宮殿の天

井を大量のタマムシの翅で飾った現代工芸家もいます

タマムシは厨子に使われた翅だけでなく腹部や脚触角なども緑色の光沢を放っていますまた美しい

翅が良くわかるような背面からの写真が多いので米粒型のすんなりした形のイメージが強いですが横から

見た体には以外と厚みがあります成虫は樹冠を飛び回り主にニレ科の広葉樹の葉を食べています幼虫は

カブトムシの幼虫に似た白いずんぐりしたイモムシで餌も葉ではなく木ですそのため害虫に分類されても

います

岐阜県高山市「茶の湯美術館」に玉虫厨子のレプリカが展示されています

httpwwwnakada-netjpchanoyutamamushi_zushihtmtamamushi 

18

PEN

Nov

embe

r

これを批准した結果日本は 1990 年を基準として 6の

温室効果ガス削減を国際的に約束した日本国憲法によれ

ば国際条約は守らなければならないことになっているの

で「チーム -6」などという運動が日本全国にできた

これの何が間違いだったのであろうか以下その根拠を説

明する尚現在の一次エネルギー源は 80以上が化石

燃料によるものであるからエネルギー消費と温室効果ガス

排出はほぼ同義語であるまた国内総生産(GDP) の増

大すなわち経済成長は社会の安定と国民の安心感を支え

る基本的な要素でありその減少は社会の不安定化をもた

らすため増大させることが必須である

日本は 1973 年の第一次石油危機で大きなダメージを受

けそれから「省エネルギー技術」の開発を血眼になって

推進したその結果図 1 に示すように日本は世界一の「省

エネ大国」になったのである図で縦軸は石油換算のエネ

ルギー消費量横軸は GDP をドル換算したもので1995

年のデータを示してある斜目の破線は一定の GDP を作

り出すのに必要なエネルギー量をトン単位で示しており

これが小さいほどエネルギー効率のいい社会であるつま

り使用エネルギーが少なくなるか同じエネルギーを使っ

ても生産額が多くなればエネルギー効率は良くなる

 エネルギー効率=使用エネルギー生産額(GDP)

図から明らかなように日本は 1995 年時点でも既に世

界で一番エネルギー効率の良い国だったのであるドイツ

フランスイタリアなどは日本の 15 倍イギリスは 2 倍

アメリカが 3 倍中国やロシアに至っては何と 10 倍以上

のエネルギーを浪費しているということが一目瞭然であ

る日本がこのようなエネルギー効率の良い状態から更に

エネルギー消費を減らすなどと言うことは被虐趣味以外

の何物でもないちなみに図 1 は小生が京都議定書を見て

「これは誤りである」と確信し直ぐに作成したものであり

13 年前には既に分っていたことである

それでは日本は何を主張すれば良かったのか賢明な読

者は図 1 を見れば直ぐに考え付くであろうそう「世界

の皆さん今後 10 年間でエネルギー効率を高くする努力

をし現在の日本並みとまでいかなくても少なくとも近

付く努力をしてください」と主張すべきだったのだこれ

なら発展途上国も経済発展を保障されるから合意できたで

あろうし何よりも日本の「省エネ技術」を世界標準とし

て輸出可能であったろう昨年中華人民共和国(中国)が

出した指標はまさにこのような考えに基づいたものであろ

うどこかの国の首相が温室効果ガス排出量(=エネル

ギー消費量)の 25の削減を持ち出したのに対し「中国

はエネルギー効率(=使用エネルギー生産額)を 40

向上させる」と主張した図1から見ても彼等は 1995 年

の日本の水準に追いつくだけで 90の削減が可能であり

40などというのは非常に容易な達成目標であることは

明らかであるまさに国際条約を締結する上での基本的

な事項である「自国の利益を最優先する」という原理原

則にも合致している流石は厳しい歴史を体験してきた国

京都議定書が提案されてから既に 10 年以上経過した今

更と思われる方もおられるかも知れないが現在の日本が

抱える様々な矛盾の出発点の一つが京都議定書であると考

えざるを得ない以上ここで改めてその問題点を明らかに

したい環境省のホームページに掲載されている京都議定

書の内容は以下のとおりである

(httpwwwenvgojpearthcop63-2html)

ポイント先進国の温室効果ガス排出量について法的拘束力

 のある数値目標を各国毎に設定

国際的に協調して目標を達成するための仕組みを

 導入(排出量取引クリーン開発メカニズム共同

 実施など)

途上国に対しては数値目標などの新たな義務は導

 入せず

寄稿京都議定書で日本は何を主張すべきであったか東洋大学大学院学際融合科学研究科 教授 和田恭雄

19

PEN N

ovember

は違うなどと感心してはいられない

今からでも遅くない「2010 年を基準としてエネルギー

効率の向上を図る」ことを国際的な合意目標に切り替え

るべきである無論為替レートは 2010 年現在の 1 ド

ル= 80 円程度に固定して比較すべきである現在の円

高を考えれば分母が大きくなることが日本の利益につ

ながるからだ国際条約においては「被虐趣味」は最低

の選択であることを忘れてはならない「率先垂範」など

と言う言葉は国際社会では通用しない無論表面上は大

いに賞賛されようが腹の底で「カモが来た」と思われ

食い物にされるだけである他人から褒められるために

自らの競争力を放棄するようなことは止めるべきである

京都議定書を他山の石としてナノテクノロジーの世界

でも「自らの強みを世界の標準にする」という基本的な

姿勢を取るべきであるのは当然のことであるdarr

darr 世界各国のエネルギー消費量と総生産の比較図右下

に行くほどエネルギー効率が高く同じ GDP を創り出す

のに温室効果ガスの排出量が少ないということを示す

日本は 1995 年当時既に世界一の「省エネ大国」であり

西ヨーロッパの 15 倍米国の 3 倍ロシアなどよりも

10 倍以上効率の良い経済体制になっていたことが分か

る世界中の国が日本を手本にすれば温室効果ガスの排

出量を減らしつつ経済成長が可能になり即ち皆がハッ

ピーになれることを示すことができるばかりでなく日

本の省エネ技術を世界標準にすることも主張できる根拠

となる

20

PEN

Nov

embe

r

日本では21 世の始まりと共に科学技術政策に基づ

いてナノテクノロジーの研究開発への戦略的投資が開始

された2001 年度からの第 2 期科学技術基本計画と

2006 年度からの第 3 期科学技術基本計画の都合 10 年

間にわたる優先的戦略的な研究開発の資源の投入も余

すところ4ヶ月となった

21 世紀を担うと期待されたナノテクノロジーには研

究開発側から社会への一方的な応用があたりまえであっ

たこれまでの科学技術とは異なる研究開発の方法論が導

入されたコア技術の研究開発と並行してその技術の社

会的影響を検討しそれをさらにコア技術の研究開発に

フィードバックするという新しい研究開発の方法論であ

る [1]ナノテクノロジーの社会的影響にとって最も重

要で緊急の課題がナノ材料の環境健康影響安全 (EHS)

の課題であった技術の社会的影響を検討しながら進め

られているナノテクノロジーの研究開発がうまくいくか

どうかこのことがナノテクノロジーに続く今後の新興

の科学技術の研究開発のあり方に大きな影響を与えるこ

とになる社会的影響をフィードバックしながら進める

責任ある研究開発がはじめて試みられた日本のナノテク

ノロジーがこれまで 10 年間にわたって戦略的研究開発

投資を続けてきた現在どのような状況にあるのか今回

の特集ではそれを俯瞰的に解析する

まず国内の全ての新聞と雑誌に掲載されたナノテクノ

ロジー関連記事の数を統計的指標としてナノテクノロ

ジーの研究開発に対して日本の社会がどの程度の関心を

示しているのか評価することを試みる図1に日本

のメディアに掲載されたナノテクノロジー関連の記事の

年推移を示すグラフから明らかなようにナノテクノ

ロジーへの戦略的研究開発投資が始まった 2001 年まで

日本のメディアはほとんどナノテクノロジーを取り上げ

ていないただこれは日本にナノテクノロジーの萌芽

的研究開発がなかったということではない

一例をあげるなら工業技術院は産業科学技術研究開発

制度の一環として新エネルギー産業技術総合開発機

構(NEDO)の委託により原子分子極限操作技術の研

究開発プロジェクトを展開した1992 年から 10 年間に

わたり分子原子をボトムアップ的に集積する研究開発

を進めたこのプロジェクトは技術研究組合オングスト

ロームテクノロジー研究機構(ATP)と呼ばれたさらに

ATP と産業技術融合領域研究所は同研究所内にアトム

テクノロジー研究体(JRCAT)を設置して産官学の共同

研究プロジェクトを推進した折しも日本は 1990 年の

バブル経済の崩壊後失われた 10 年と称される経済の停

滞に苦しんでいたまだナノテクノロジーに対する期待

は高まってはいなかったが日本のナノテクノロジーは

着実に萌芽的研究開発を進めていた困難な経済のなか

で日本のナノテクノロジーはその萌芽に向けた着実な

準備をしていたといえるのだがこのような地道な研究

開発が進められていた点はこの統計からは見えにくい

0

500

1000

1500

2000

2500

3000

3500

4000

4500

5000

1990

1991

1992

1993

1994

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1996

1997

1998

1999

2000

2001

2002

2003

2004

2005

2006

2007

2008

2009

図 1

特集

10 年におよぶナノテクノロジー研究成果の発展的継承を 

21

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ovember

2001 年度から戦略的な究開発投資が開始されると同時

にナノテクノロジーへの関心は急速に増していった

わずか 2 年後の 2003 年にはその期待は極みに達して

いる上述したとおり我々はこの統計で縦軸をナノテ

クノロジーに対する社会の関心と見なしておりこれは

David M Berube 氏が示した典型的な Hype 曲線の縦軸

「Visibility」と同義とみなせる [2]その類似性を図 2 に

示す

図 2

日本では Nano-Hype と呼べるピークが高性能瞬間湯

沸器よろしく戦略的研究開発投資が開始されたわず

か 2 年後の 2003 年に出現しているのであるまたJ

Fenn らはこのようなピークを図 3 に示すようにイノ

ベーションのハイプサイクルにおける rdquoPeak of Inflated

Expectationsrdquo と表現している [3]

Exp

ect

atio

ns

Time

InnovationTrigger

Trough ofDisillusionment

Slope ofEnlightenment

Plateau ofProductivity

Peak of InflatedExpectations

図 3

この時期はナノテクノロジーの将来価値への大きな期

待の反面研究開発の実態は希薄である実体の伴わな

い過剰な期待を理由に「一部の有力な科学者や政策担当

者がこのような Hype の状況を意図的に作りだした」と非

難する論調もある確かに Nano-Hype はナノテクノロジー

の将来価値への期待が研究開発の実態を上回る状況では

あるがナノテクノロジーに対する社会の関心や期待を

喚起しその期待を背景にナノテクノロジーへの研究開

発投資が漸次増加していったことも事実であるまたナ

ノテクノロジーの事をもっと知りたいという知的欲求も

刺激されそれに応えるためにいくつかの大学ではサイ

エンスコミュニケータやサイエンスインタープリタサ

イエンスジャーナリストの養成講座等が開設されたさ

らに今日年間 2000 回以上のサイエンスカフェが全国各

地で開かれるなどナノテクノロジーのような新興の科

学技術のパブリックエンゲージメントの活動の契機にも

なったNano-Hype と呼ばれる状況がそのような様々

なプラスの効果を日本にもたらしたことも忘れてはなら

2003年

2010年

2003年

22

PEN

Nov

embe

r ない点である

実体の伴わない過剰な期待が徐々に覚めていく Negative-

Hype の状況はHype が極みに達した 2003 年直後の

2004 年から 2007 年にかけて顕著に現れてくる依然

として政府のナノテクノロジー材料領域への研究開発

投資が伸びるなかメディアがナノテクノロジーを取り

上げる頻度は急速に下がり社会の関心は冷めていった

過剰な期待が冷静さを取り戻していく Negative-Hype は

必然であるとしても注目しておかなければならない大

事な点は Negative-Hype がいつ止むかいつ底を打つの

かである図 1 から明らかなように2004 年以降 2007

年まで急速に下降しているものの2008 年から 2009 年

と明らかに Negative-Hype は底を打っている

上述の J Fenn らは新しいハイプサイクルの縦軸の評価尺

度を議論しているのだが図 4 に示すようにハイプサイ

クルのプロフィールが二つの要素からなることを示して

いる [4]この指標を採用すると今年 2010 年の日本の

ナノテクノロジーはHype が終わりエンジニアリング

またはビジネスが徐々にその成熟度を増していくちょ

うどその過渡期にあるとみてよい今後ナノテクノロジー

がITエネルギー環境ライフサイエンスといった様々

な技術分野の基盤技術としてその実用化に貢献していく

現在はちょうどその転換点にあるそのプロセスを確実

に進めていくには中長期的な一貫した科学技術政策に

よりナノテクノロジーの基礎的な研究開発を継続的に

推し進めていくことが肝要である

図 4

そして10 年に及ぶ科学技術政策に基づいたナノテク

ノロジーの戦略的研究開発投資の成果を応用実用化

へ確実につなげていくために取り組まなければならない

もっとも重要な課題が包括的で実態のあるナノテクノ

ロジーのパブリックエンゲージメントの活動である昨

今ナノテクノロジーの研究開発と並行して社会受容

パブリックエンゲージメントの活動の重要性が指摘され

るようになってきたしかしこの課題に関する解釈は

依然としてまとまりを欠いているだけでなく「こういっ

た課題への取り組みが大事である」といったことが最後

の部分に申しわけ程度に記述されている例も多々見受け

られる取り組んでいるという既成事実のために実体の

伴わないパブリックエンゲージメントの活動が進められ

ると将来的にナノテクノロジーへの信頼も失墜しかね

ない多様な課題を含む社会受容パブリックエンゲー

ジメントの活動には包括的な視点で具体的実践的に取

り組んでいく必要がある

ReferenceRoco M C amp Bainbridge W S 2001 ldquoSocietal

Implications of Nanoscience and Nanotechnologyrdquo

Kluwer Academic Publishers

Berube M B amp Roco M C(FRW) 2005 ldquoNano-Hype

The truth behind the nanotechnology buzzrdquo Prometheus

Books

イノベーションのハイプサイクル

「Mastering the Hype Cycle」J Fenn M Raskino

Harvard Business Press 2008

M Raskino J Fenn IT Management(ITM) ITM-09-

37 Research Note 2010 年 2 月 9 日

23

PEN N

ovember

【CO2 排出量】世 界 的 な 金 融 危 機 に も か か わ ら ず2009 年 の 化 石 燃料 由 来 の 二 酸 化 炭 素 排 出 量 の 減 少 は 小 幅 に と ど ま る

(20101122)国立環境研究所(国環研)

国環研はグローバルカーボンプロジェクト (GCP) が 11

月 22 日の Nature Geoscience 誌の電子版に調査結果を発

表すると速報したその内容は世界金融危機の経済的

影響にも関わらず2009 年における世界の化石燃料由来

の二酸化炭素排出削減量が予測値である 28を下回り

前年比 13にとどまったことで同じく GDP の減少も予

測値を下回っている

httpwwwniesgojpwhatsnew20102010112220101122html

【量子コンピューティング】量子コンピュータ実現への障壁を緩和する誤り耐性方式を開発 (20101124)日本電信電話(株)京都大学

量子コンピュータに必須な量子ゲートは確実に正しい演

算をすることはなくある程度の誤り確率をもつため量

子コンピュータを実現するためには演算の誤り訂正を行

う技術の実現が必須となる演算の誤り訂正を行うために

はある程度誤り確率の低い量子ゲートが必要であると考

えられてきたが今回共同研究チームは誤り確率が非常

に高い量子ゲートを用いても量子計算が可能となる誤り耐

性のある量子計算方式を世界で初めて示した

httpwwwnttcojpnews20101011101124ahtml

【光電変換】ナノギャップ光アンテナにより高効率化した有機超薄膜による光電変換 

(20101122)物質材料研究機構北海道大学

NIMS と北大の共同研究チームは有機超薄膜型の光電変

換分子素子において光吸収電子伝達といった必要な機

能をもつ部品を連結した分子から成る単分子超薄膜を原

子レベルで表面制御した平滑な金電極面と金ナノ粒子で挟

み込むことによってナノギャップ型の光アンテナを導入

することに成功したその結果光アンテナ 1 つあたりで

光誘起電子移動反応が約 50 倍の効率に高まることを実

証した

httpwwwnimsgojpnewspress201011p201011220html

【EV】シンガポール政府と電気自動車の普及に関する覚書を締結

(201011 19)三菱自動車(株)

MMC はシンガポール政府と電気自動車(EV)普及のため

の活動に協力する内容の協定を締結したことを発表した

今回の活動はシンガポールの経済開発庁が中心となり

同国のエネルギー市場監督庁陸上交通庁との間で EV タ

スクフォースを組成し同国の EV 普及を目的としたユー

ザー向け補助金制度や充電インフラ整備などの検証を行う

ものこの活動の中でMMC は CCA を通じ 2011 年より

順次『i-MiEV(アイミーブ)』25 台を供給し実証走行

試験に協力していくhttpwwwmitsubishi-motorscompublishpressrelease_jp

corporate2010newsdetail4407html

【リチウム二次電池】リチウム二次電池の量産化実証工場が竣工 年間生産能力6 万 6000kWh (201011 18)三菱重工業(株)

リチウム二次電池事業への本格参入に向け長崎造船所内

に建設していた同電池の量産化実証工場が17 日竣工し

た年間生産能力は 6 万 6000kWh中型電池換算で約

40 万個に相当する今後各種実証技術に取り組み早期

の本格的な商業量産につなげていくとしている

プレスリリースより

CUTTING-EDGE TECHNOLOGIES

24

PEN

Nov

embe

r httpwwwmhicojpnewsstory1011184999html

【基礎科学物質の起源】動きがのろい冷反水素原子を 38 個も磁気瓶に閉じ込める物質と反物質の違いを知る手がかりとなる冷反物質研究が新段階に (201011 18)物質材料研究機構(NIMS)

NIMS は欧州原子核研究所(CERN)の国際共同研究グルー

プに参加し反物質の代表格である反水素原子を独自に

開発した八重極磁気瓶の中に 38 個も閉じ込めることに世

界で初めて成功した反水素原子の原材料である反陽子(陽

子の反粒子)と陽電子(電子の反粒子)を八重極磁場コ

イルとミラーコイルを組み合わせた磁気瓶の中に蓄積し

そっと混ぜ合わせて冷たい反水素原子を大量に生成した

反水素原子は電気的に中性の小さな磁石なので反水素原

子ができあがったころ(約 1 秒後)を見計らって電圧を

加え残存している反陽子と陽電子をことごとく排除した

その後磁気瓶の磁場を瞬時にゼロにすると磁気瓶内に

とどまっていた反水素原子は装置の壁に当たって消滅し

パイ中間子などのさまざまな粒子を放出するこれらの粒

子を磁気瓶を包む 3 枚の検出器で観測した結果捕捉し

ていた反水素原子を 38 個も確認することができた後述

するように同内容は理化学研究所からもリリースされたhttpwwwrikenjpr-worldinforeleasepress2010101118

indexhtml

【超伝導】ピセンのカリウムドープに伴う電子構造変化の直接観測 

(201011 17)岡山大学

岡山大学の研究グループはピセンおよびカリウムドープ

ピセンの電子構造を実験的に観測する事に世界で初めて成

功したカリウムドープピセンは芳香族炭化水素における

初めての超電導体であるがカリウムドープピセンの超電

導メカニズムまた超電導を誘起する電子構造は解明され

ていない研究グループは光電子分光法を用いピセンのカ

リウムドープに伴う電子構造変化を直接的に観測した結

果ピセンのカリウムドープに伴う電子構造変化を観測

芳香族炭化水素超電導体の超電導メカニズム解明および新

規超電導体探索の指針になると期待されるhttpwwwokayama-unetrenkeidocumentpdfpressrelease

press-101117pdf

【慣性力発電】慣性力(振動)発電技術を商品化 国内最大手エース社のバッグに慣性力発電ユニットを搭載 (201011 17)伊藤忠商事(株)

米国 CIIIS 社の持つ慣性力発電(振動発電)技術を用いて

人体の運動による振動で発電する慣性力発電ユニットを開

発した国内鞄最大手のエース株式会社がこの慣性力発

電ユニットを搭載したバッグの販売を行う

httpwwwitochucojpjanews2010101117html

【生物多様性】多様性進化の背景に『甲状腺機能低下』 (201011 16)東北大学

生物多様性の喪失は現在急速に進んでおり多様性の進化

維持機構を解明することは世界的な課題である生物多様

性の創出は多くの場合新規環境に生き物が侵出すること

によって始まるが生物が新規環境へどのように適応して

行くのかその過程については多くが未解明である東北

大学の研究チームはこのたび新規環境への適応に甲状腺

ホルモンの進化が重要であることを発見したhttpwwwtohokuacjpjapanesenewimgpressimgtohokuuniv-

press_20101116pdf

【ナノ物性】ナノスケールの鉄磁石を電界でコントロール

(201011 01)千葉大学

磁石の N と S 極は磁界を用いることでコントロールでき

るが千葉大学の研究チームはナノスケールの鉄の磁石の

極性をエネルギーの要らない電界でコントロールできるこ

とを見出したhttpwwwchiba-uacjppublicitypresspdf201020101102nano

pdf

【SOFC 関連材料技術】 画期的な電解質材料の開発に成功 固体酸化物燃料電池の商用化に一歩前進 (201011 18 )物質材料研究機構(NIMS)

NIMS の研究グループは電解質材料に必要とされる三つ

の要件イオン伝導性化学的安定性焼結性のすべてを

高いレベルで満足する2種類の材料を開発することに成功

したひとつは10 のプラセオジムを含むイットリウム

添加ジルコン酸バリウム(BZPY)でもうひとつは酸

化ニッケル (NiO) とイットリウム添加ジルコン酸バリウム

25

PEN N

ovember

(BZY) の混合粉末を固めた基板上にプレス成形された BZI

であるhttpwwwnimsgojpnewspress201011201011180

p201011180pdf

【レアアース】微生物でレアアースの回収が可能に バクテリアがレアアースを濃縮する現象を発見 (201011 17)広島大学高エネルギー加速器研究機構高輝度光科学研

究センター

共同研究グループは微生物の細胞表面では微生物が存在

しない周囲部分に比べてレアアースを高濃度に濃縮する現

象を見出したまたレアアースの中でも特に希少価値の高

い元素が選択的に濃縮することを発見その濃縮メカニズ

ムを放射光を用いたX線吸収法により明らかにした

httpwwwkekjpjanewspress2010RareEarthElementshtml

【はやぶさ】はやぶさカプセル内の微粒子の起源が判明(201011 17)宇宙航空研究開発機構

「はやぶさ」のサンプルキャッチャー室から特殊形状のヘ

ラで採集された微粒子を走査型電子顕微鏡にて観察および

分析した結果1500 個程度の微粒子を岩石質と同定した

更にその分析結果を検討したところそのほぼ全てが地

球外物質であり小惑星イトカワ由来であると判断するに

至った

httpwwwjaxajppress20101120101117_sac_hayabusapdf

【超伝導基礎科学】超伝導のメカニズム解明に大きな手がかり ルテニウム酸化物の電子の運動状態を選択的に可視化することに成功 電子対を形成する「のり」の起源を初めて解明

(201011 17)広島大学産総研

1994 年に日本で発見されたルテニウム酸化物超伝導体は

ユニークな超伝導状態を示しこれまで数多くの研究が行

われてきたがいまだにその超伝導のメカニズムは謎のま

まであった超伝導が生じるためには電子と電子を「のり」

で結びつけ「電子対」にする必要がある共同研究グルー

プは放射光の直線偏光特性を活用するため放射光の光

軸のまわりに回転可能な高分解能角度分解光電子分光装置

を開発しルテニウム酸化物超伝導体の超伝導機構解明に

重要な手がかりをつかんだ研究グループが開発した新装

置を用いることによりルテニウム酸化物超伝導体の異な

る運動状態にある電子を選択的に分離しながら精密に分

析することが初めて可能となったその結果物質の電子対

を形成するための「のり」として結晶を作っている原子

の振動が重要な役割を果たしていることその「のり」が

どのくらい強く働いているのか等が明らかとなった httpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101117

pr20101117html

世界最高性能基準光源を開発 安定高精度高速の三拍子そろった光信号の発生に成功 (201011 15) 情報通信研究機構(NICT)国立天文台(NAOJ)

NICT と NAOJ はNICT 独自の高消光比変調技術を利用

し精度を保ったまま周波数範囲を拡大する構成を提案し

たNAOJ の安定度向上技術による制御機能を組み合わせ

ることで世界最高性能の基準信号発生装置を共同開発

し100 ギガヘルツを超える高速信号の長距離伝送を実現

した本装置の方式により従来技術の課題であった安定

性周波数範囲精度の問題を解決した安定性は 2 台の

レーザを用いる従来方式に比べて 10 倍以上を実現し信

号の乱れを 30 万年に 1 秒以下とすることに成功したま

た精度は従来型変調器と比較し 1000 倍以上周波数範

囲は 4 倍を達成したhttpwww2nictgojppubwhatsnewpressh22101115101115

html

【基礎科学レーザ分光】電子の氷を光で融かす一瞬を捉える 光が有機物質を変える瞬間の超高速スナップショット (201011 15)東北大学自然科学研究機構分子科学研究所科学技術振

興機構(JST)

共同研究グループは光の照射によって有機物質の色や

電気伝導度が大きく変化する光誘起相転移現象の最初の瞬

間を捉えることに成功した電場と磁場の振動である光の

振動の3周期分に匹敵する極めて短いパルス光をポンププ

ローブ分光によって二次元有機物質における電荷秩序の

融解のダイナミクスすなわちldquo 電子の氷 rdquo が光によっ

てどのように解け絶縁体から金属へと変化するのかと

いう問題を明らかにしたものこの成果 12 月初めには米

国物理学会誌 Physical Review Letters オンライン版で公開

予定

httpwwwjstgojpprannounce20101117-2indexhtml

【熱電材料】水を使って絶縁体から効率のよい熱電材料を作ることに成

26

PEN

Nov

embe

r 功 希少毒性金属を含まない安価簡便な熱電材料創製に新たな道 (201011 15)科学技術振興機構 (JST)名古屋大学

熱電材料は熱を電気に変換することができることからエ

ンジンの排熱を利用して発電するハイブリッド自動車など

への応用が期待されているが従来の熱電材料はビスマ

スアンチモン鉛テルルといった希少毒性金属など

を含む問題があったJST 課題解決型基礎研究の一環とし

て名古屋大学の研究グループは水の電気分解を利用し

安くてありふれた絶縁体酸化物表面を大きな熱電効果を示

す金属へ変えることに成功した大量に水を含んだ多孔質

ガラスを新規に開発しこの多孔質ガラスを金属チタンと

チタン酸ストロンチウムに挟んで電圧を加えると水の電

気分解によって絶縁体のはずのチタン酸ストロンチウムの

表面に厚さ 3 ナノメートル以下の極めて薄い金属チタン酸

ストロンチウムが生成した通常の金属チタン酸ストロン

チウムに対して 4~5 倍高い電圧を示すことから従来の

熱電材料の約 2 倍の熱電性能が期待できる

httpwwwjstgojpprannounce20101117indexhtml

【基礎科学物質の起源】国際研究チーム反水素原子を瓶の中に閉じこめることに成功(20101118)理化学研究所

8 か国からなる研究チームは欧州合同原子核研究機関

(CERN)の装置を用いて加速器で反陽子と陽電子を作

成し磁場の中に閉じこめたのちに撹拌して反陽子と陽

電子1個ずつを結びつけ反水素原子を生成した反水素

生成後に余った反陽子と陽電子を取り除き反水素原子だ

けを特殊な瓶の中に封じ込めることに成功した計 38 個

の反水素原子が 02 秒間存在したことを確認反物質は

Dan Brown の小説「天使と悪魔」で非常に微量で爆発

を起こす材料として登場するしかし今回の手法では短

時間に消滅してしまい爆弾に使える量をためるのは不可

能だという17 日付の Nature Online 版に掲載

httpwwwrikenjpr-worldinforeleasepress2010101118 

【マックスウェルの悪魔実証】情報をエネルギーに変換することに成功 ldquo マックスウェルの悪魔 rdquo を実験により世界で初めて実現新規ナノデバイスの実現に期待 (201011 15)中央大学東京大学

微細加工技術とサブミクロンスケールのリアルタイム制御

システムを組み合わせ「マックスウェルの悪魔」と呼ば

れる科学史上の重要な概念を世界で初めて実験により実現

した これによって情報をエネルギーに変換できるこ

とを初めて示すとともに情報を媒介して駆動する新規ナ

ノデバイスの実現の可能性を示した マックスウェルの

悪魔は熱力学の根本に関わる概念でありこれを実現でき

た学問的意義は大きいまた科学者以外にもよく知られ

たテーマであり多くの人が興味を持つ話題でもある情

報を媒介して駆動する新規のナノデバイスを実現できる可

能性があり基礎的研究にとどまらずナノサイエンスで

の新しい制御法への応用が期待できるこの成果は 11 月

14 日に Nature Physics Online に公開された

Toyabe Sagawa Ueda Muneyuki and Sano

ldquoExperimental demonstration of information-to-energy

conversion and validation of the generalized Jarzynski

equalityrdquo

httpwwwsu-tokyoacjppresspress-2010-42html

詳細は中央大学 HPhttpwwwchuo-uacjpchuo-unewscontents_jhtmlsuffix=kampmo

de=topamptopics=12513

【基礎科学分子バネ】電子の出し入れで硬さが劇的に変わる分子バネを開発 たった 1 つの電子放出で分子全体の動きやすさが 450 倍も変化 (201011 15)理化学研究所科学技術振興機構(JST)

6 個の炭素原子が環状につながったベンゼン環は有機化

合物において最も基本的な構成ユニットの一つでありベ

ンゼン環をさまざまな形で結合させたものが盛んに研究さ

れてきたしかしベンゼン環を隣り合う炭素の位置で結

合させたオルトフェニレンは単純な構造でありながら合

成が難しいためこれまでほとんど研究がなされておらず

その性質は解明されていなかった理化学研究所の研究グ

ループはベンゼン環 48 個を隣り合った炭素の位置で結

合させたオルトフェニレンを世界で初めて合成したオル

トフェニレンは3 つのベンゼン環が 1 ピッチのらせんを

形成するバネ状の構造をしているがこのようなバネ状の

構造を持った分子はさまざまな機能を発揮するためエ

レクトロニクスや分子機械への応用の可能性が高まってい

る研究グループはこのバネ状分子から電子を 1 つ取

り去るとバネの硬さが劇的に増してらせんの反転速度が

約 450 分の 1 も遅くなることを突き止めたまたこの

1 個の電子の出し入れに応じてバネのピッチが 3263Aring か

ら 3224Aring と変化したこれまで電子が高密度に含まれ

た分子バネは電子を出し入れすることでその振る舞いが

変化することが理論上予想されていたがこのように電子

を多量に含む分子バネの合成は難しく実験的にも証明さ

れていなかった硬さの変化というこれまで実現すること

27

PEN N

ovember

ができなかった応答をする分子バネの登場は応答性分子

の分野に新たなコンセプトをもたらすと注目される本研

究成果はJST 戦略的創造研究推進事業 発展研究 (ERATO-

SORST)「分子プログラミングによる電子ナノ空間の創成

と応用」の一環として行われたものhttpwwwrikenjpr-worldinforeleasepress2010101115

indexhtml

【自己組織化基質選択的会合】分子間の特異的な相互作用による新規材料集積法を開発 分子が好みの分子を見分けて接着 (201011 15)大阪大学科学技術振興機構(JST)

近年分子認識を利用して分子と分子を非共有結合でつな

げることによりさまざまな超分子錯体が合成されさらに

これらを自己集合させる研究が行われているこれらの研

究において形成される集合体は分子の大きさであるナノ

メートルからマイクロメートルの極めて小さなもので高

倍率の顕微鏡を使わなければ見えない分子認識に基づい

て手軽に使えるくらいの大きな自己組織体を作り出すこと

はナノテクノロジー分野において分子を自己組織化さ

せて機能性材料を創製する上で重要な課題であった大阪

大学の研究グループはホスト分子としてシクロデキスト

リンをゲスト分子としてシクロデキストリンが結合する

化合物を用いてそのホスト-ゲスト相互作用を利用して

多様な自己組織化超分子ポリマーの構造体を作りマクロ

スケールで機能を発現させる研究を進めている今回D

NAやタンパク質の分子量決定に広く用いられるアクリル

アミドゲルを土台にしてこのゲルにシクロデキストリン

とゲスト分子をそれぞれ別々に導入し「ホストゲル」と

「ゲストゲル」を合成したこの両者を水中で振動させる

とゲルが接着する挙動が観察されミリメートルからセン

チメートルの大きさの物体を分子認識により自己集積でき

ることを世界で初めて実証したさらにシクロデキストリ

ンとゲスト分子との相互作用の強さの違いによって選択的

に特定のゲル同士を接着させることができることがわかっ

httpwwwjstgojpprannounce20101115indexhtml

【ブタノール分離膜】バイオブタノールの省エネルギー型膜分離精製技術を開発1 wt ブタノール水溶液から80 wt 以上の高濃度ブタノールの回収が可能 (201011 15)産総研

産総研は1 wt 程度の希薄なブタノール水溶液からゼ

オライト系分離膜を用いて 80 wt 以上に濃縮したブタ

ノールを回収できる省エネルギー型のバイオブタノール精

製技術を開発した ブタノールはエタノールと比較して

発熱量が大きいことから地球温暖化対策に貢献できる再

生可能なバイオ液体燃料すなわちポストバイオエタノー

ルとして期待されている今回合成条件の最適化を進め

高いアルコール選択透過性をもつシリカライト分離膜を合

成し膜分離法によって低濃度ブタノール水溶液から高

濃度ブタノールの回収が可能となった従来の分離膜を用

いた場合に比べてブタノール回収のためのエネルギーを

50 ~ 70 程度低減できることが期待される httpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101113

pr20101113html

【分子生物学】 化学合成したペプチドからウイルスの殻構造を組み上げることに成功 新規ナノ材料や医療材料としての応用に期待 (201011 12) 九州大学北九州市立大学

共同研究グループは化学合成したペプチドから約 40 ナ

ノメートルのウイルスの殻構造を組み上げることに世界で

初めて成功した球状の植物ウイルスから遺伝子を除いた

キャプシド構造と呼ばれる殻構造は決まった大きさのナ

ノ空間であることからナノ物質の反応器や運び手として

利用する研究が国内外で盛んに行われているしかしこ

れまでウイルスのキャプシド構造を得るにはウイルス

の遺伝子をバクテリア内に導入して生産させる必要があっ

た本研究では遺伝子やバクテリアを用いない完全化学

合成によってウイルスキャプシドを構築することに成功

した今回ウイルスの殻構造を簡単なペプチドから構築

できたことで様々な機能性ウイルスキャプシドを人工的

に創成する道が拓けたと言えるこのペプチドからなるナ

ノカプセルに適切な化学修飾を施すことによりナノ物質

合成のための反応器や医薬品の運び手人工ワクチンを

創成するための足場材料として応用できるものと期待され

るhttpwwwkyushu-uacjppressrelease20102010-11-12-04pdf

【レアメタル】レアメタル使用量削減技術の実用化を加速(20101110)新エネルギー産業技術総合開発機構 (NEDO)

NEDO はレアアース総合対策の一環として企業が取り

組むレアメタル使用量削減技術の実用化を加速するための

助成事業(事業規模約 100 億円)を 2010 年度補正予算

の成立を前提に行うこの助成事業では短期間で実用化

が期待できる以下の技術開発を対象として①レアメタル

28

PEN

Nov

embe

r を代替する材料の技術開発 ②レアメタルの使用量を削

減する技術開発 ③レアメタルのリサイクルを促進する

技術開発 ④その他のレアメタル消費の削減に資する技

術開発を行うhttpapp3infocnedogojpinformationskoubopressEFnedopre

ss2010-11-068550095069

【導波路型光スイッチ】光スイッチの消費電力を従来の 2 分の 1 に低減 増え続けるネットワーク機器の消費電力問題を解決 (201011 09)( 株 ) 富士通研究所

同社はシリコンフォトニクス技術を適用した導波路型光

スイッチについて世界で初めてシリコンゲルマニウム

(SiGe)細線構造を用いることで従来のシリコン細線構

造に比べて消費電力を約 2 分の 1 に低減することに成

功した幅広い波長に対応して高速に動作できるタイプの

光スイッチ素子としては世界最小の消費電力を実現して

いるhttpprfujitsucomjpnews2010119html

【ナノ構造機能】昆虫が足を擦る秘密をナノテクノロジーで解明 生体模倣による新しい材料機能の開発に活用 (201011 09)物質材料研究機構マックスプランク研究所キール大

共同研究チームは環境問題で循環型社会実現に求められる

「接着と分離」を繰り返せる未来の接合技術の開発研究に

おいてガラスのような平坦な表面を逆さまでも歩行でき

る昆虫の足の裏の優れた接着性に着目し昆虫(ハムシ)

の歩行調査を行いナノテクノロジーを用いた実験により

昆虫が摩擦により汚れを感じていることを突き止めた

httpwwwnimsgojpnewspress201011p201011090html

【超音波流量計半導体プロセス】極微量な流量を精密に測定できる超音波流量計を開発 半導体製造装置の性能を向上させ環境負荷を低減しランニングコストを削減 (201011 09)産総研( 株 ) アツデン東京計装 ( 株 )

3 者は共同で10 mLmin( 誤差plusmn 01 mLmin) 以下の極

微量な流量を精密に測定できる超音波流量計を開発した

この流量計は超音波ガイド波の伝搬に関する基礎理論の

見直しを行い超音波を高周波化し設計を最適化するこ

とにより開発したものでこれまでの超音波流量計では計

測できなかった微小な流速領域での流量測定ができるこ

の超音波流量計は半導体製造装置で利用される薬液の高

精度な制御を可能にし半導体製造装置の高性能化環境

負荷の低減ランニングコスト削減へ貢献すると期待され

る httpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101109

pr20101109html

【研究交流】中国上海における国際交流事業の実施同済大学と大学間学術交流協定を締結 (201011 08)大阪大学

10 月 21 日上海において開催した上海教育研究センター

開所式記念講演会祝賀会には鷲田清一総長をはじめ

とする大阪大学教職員中国の学術交流協定校関係者大

阪大学同窓会会員など約 130 人が列席し盛況の内に終

了した翌 22 日23 日には第 15 回大阪大学上海交

通大学学術交流セミナーが上海交通大学情報ネットワーク

センターを主会場として開催され7つの研究会に約 100

人が参加したさらに 23 日と 24 日の両日上海東亜展

覧館を会場に開催された中国国際教育展に大阪大学のブー

スを出展し100 人を超える留学相談者が本学のブースを

訪れた翌 10 月 22 日鷲田清一総長は上海市内にある

同済大学を訪問裴学長陳副学長ほか大学関係者と懇談

するとともに大学間学術交流協定及び学生交流覚書の調

印式に臨んだこれにより中国の大学との 10 番目の協定

が成立したhttpwwwosaka-uacjpjanewstopics20101120101108_1

httpwwwosaka-uacjpjanewstopics20101120101108_2

【高耐久性セラミック】激しい熱変化にも強度劣化しない窒化ケイ素系セラミックスを開発 窒化ホウ素の微粒子を分散させ耐熱衝撃性を飛躍的に向上 (201011 08)産総研三井金属鉱業(株)

両者は共同で従来品に比べて耐熱衝撃性と高温での強度

を飛躍的に高めた窒化ケイ素系セラミックスを開発した

今回窒化ケイ素(Si3N4)をベースとして高い熱伝導

率をもつ粒界相を形成させるとともにそこに非晶質に近

い窒化ホウ素のナノメートルオーダーの微粒子を分散させ

ることで耐熱衝撃性を飛躍的に向上させた従来の窒化

ケイ素が 1000 の温度差で強度が低下するのに対して

今回の開発材は電気炉で 1400 に加熱した後水中に投

下することを 10 回繰り返してもほとんど強度が劣化しな

かったまたこの開発材について大気中 1200 で高温

29

PEN N

ovember

曲げ試験を行ったところ室温と同程度の強度を保持して

いたセラミックスでは大型化すると小試験片では得られ

た特性が得られず実用化を進める上での課題になること

が多いがこの開発材では焼結条件を最適化することに

よって直径 82 mm 長さ 370 mm の比較的大型の部品で

も試験片と同様の組織物性が得られたまた実際の

製品形状に近い部品の焼成も可能となったhttpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101108

pr20101108html

【ミリ波発信器】ミリ波帯無線通信の実用化にめど 世界最高性能の低雑音局部発振器を開発 (201011 08)東京工業大学

東工大の研究グループは雑音を従来の 100 分の1以下

に低減したミリ波帯局部発振器を開発した20GHz 帯の

発振器と 60GHz 帯の注入同期型直交局部発振器を組み合

わせることにより世界最高の低位相雑音性能を達成した

無線通信の周波数帯ひっ迫を解消する技術として 60GHz

ミリ波帯の利用が注目されているがミリ波帯ではコイル

やコンデンサの損失が大きくなり位相雑音特性が劣化す

るのがネックだった今回はこれを解決したものでミ

リ波無線通信の実用化につながる成果発振器は 65 ナノ

メートルのシリコン CMOS プロセスを利用して試作した

580GHz から 636GHz の周波数範囲で 4 相正弦波出力が

可能でこの発振器により10Gbps(毎秒 100 億ビット)

以上の超高速ミリ波帯無線通信の実現が期待されるh t t p w w w o l d t i t e c h a c j p t o k y o - t e c h - i n - t h e - n e w s j

archives2010111289174400html

【炭素繊維応用】住宅向け外装材「炭素繊維補強サイディング」の本格展開について 優れた強度と耐熱寸法安定性で 15 年の基材保証を実現 (20101105)東レ ACE(株)

東レの子会社東レ ACE は炭素繊維で補強した窯業系サ

イディングを開発し本格販売と市場展開を開始する「炭

素繊維補強サイディング」はセメント質原料に炭素繊維

を添加配合して成型固着させた建物外壁用のセメントボー

ドで従来の窯業系サイディングの優れた防耐火性耐久

性等を維持しつつ更なる強度補強効果や火災高温時の

変形や熱収縮によるひび割れの抑制など耐熱寸法安定性

も向上させることで基材 15 年保証を実現する 本製品

に使用している炭素繊維は軽くて強く優れた高温特性や

耐熱性を有し非常に細い繊維を多く配合できることから

外装材としての強度補強効果も期待できるとしている

httpwwwtoraycojpnewsaffilnr101105html

【光ファイバーナノインプリント】ナノ格子反射防止表面光ファイバー先端に形成ナノ技術で安く製作 (20101105)東北大学

東北大の研究グループは微小な窪みが多数形成された反

射防止構造体を光ファイバーの先端に製作する技術を開発

した光ファイバーは光通信や光分析装置の構成部品とし

て使われており光源受光素子やレンズなどの光部品と

の接続損失を減らすために先端に反射防止膜が形成され

ている従来の反射防止膜は真空装置を使って薄膜を付け

るためコストが問題であった研究グループはナノイン

プリント技術を用いて光ファイバー先端のコア部に 270

ナノメートル間隔で微小な円錐状の窪みを形成し反射損

失を低減することに成功したナノインプリント技術は

基板に塗布したポリマーに原版を押し付けて微細パターン

を転写する技術で高価な露光装置や真空装置が不要なた

めナノ構造を安価に製作することができる今回光ファ

イバー先端にナノ構造を製作するために専用のナノインプ

リント装置を開発した窪みの間隔が光の波長よりも小さ

い場合屈折率が変化し反射波が生じにくくなる反射

率や波長帯域は窪みの形状間隔や高さで決まり従来

の反射防止膜よりも設計の自由度が高いため要求に合わ

せて種々の反射防止表面を製作することが可能 httpwwwtohokuacjpjapanese201011press20101105-2

html

【人工筋肉機能材料】光を運動エネルギーに変える新高分子素材の開発に成功 世界で初めて分子を大面積で 3 次元的に配列させ新機能を実現 (20101105)理化学研究所

光で変形したり電子を流すなどの機能を持った分子を人工

的に規則正しく大面積で集積することができると機能性

材料の性能向上や革新的新機能の発現につながるそのた

め世界中で精力的に開発が行われているがこれまで実現

させた例はなかった理化学研究所の研究グループは光

で構造が変化するアゾベンゼン分子を組み込んだブラシ状

の高分子「ポリマーブラシ」を大面積で 3 次元的に一挙

に配列させる手法の開発に初めて成功したこの規則性の

ある 3 次元集積構造は延伸したテフロンシートにポリ

マーブラシを挟み込みアイロンに似た熱と圧力を加える

といういたって簡単な操作で実現したさらにこのフィ

30

PEN

Nov

embe

r ルムに光を当てるとアゾベンゼン分子の構造変化が一方

向に集約しフィルムが湾曲するという巨視的変形を引き

起こすことを見いだしたすなわちこの新しいフィルム

は光エネルギーを運動エネルギーに変換する機能を持って

おり新たな人工筋肉材料などへの展開が期待されるま

た本技術は有機薄膜太陽電池をはじめとする次世代の機

能材料の開発にも革新をもたらすと期待されるhttpwwwrikenjpr-worldinforeleasepress2010101105

indexhtml

【リチウムイオン電池正極材料】常温プロセスで全固体薄膜リチウムイオン電池の試作に成功 エアロゾルデポジション法による蓄電池製造の新工法開発を本格化 (2010115)産総研

産総研はトヨタ自動車 ( 株 ) と共同で産総研が開発し

たセラミックス材料の常温高速コーティングプロセスであ

るエアロゾルデポジション (AD) 法を用いて酸化物系の

正極材料負極材料固体電解質材料を薄膜積層化して

金属基板上に 3 層構造からなる全固体薄膜リチウム (Li) イ

オン電池を試作蓄電池としての充放電特性を世界で初め

て確認した 従来型の薄膜技術とは異なりAD 法を用い

ると基板の加熱が不要でまた厚膜化も容易であるそ

のため成膜時間が大幅に短縮でき蓄電池の生産性向上

やプロセスコストの大幅な低減が期待される今後は AD

法を用いた本格的な全固体電池の共同開発を進めていく httpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101105

pr20101105html

【記録デバイススピントルク素子】次世代超高密度 HDD に向けたマイクロ波アシスト記録の基本技術を開発 磁気ヘッドに搭載可能なスピントルク素子を用いた磁気情報の書き換えを確認 (2010115)新エネルギー産業技術総合開発機構(NEDO)(株)日

立製作所

NEDO はハードディスク装置(HDD)の開発製造会社で

ある日立グローバルストレージテクノロジーズの協力を得

て従来の磁気記録方式の限界を超えHDD の記録密度

を飛躍的に伸ばす方式として期待されているマイクロ波ア

シスト磁気記録方式の基本技術を開発しその原理を実験

的に確認したマイクロ波アシスト記録では記録媒体の

小領域にマイクロ波帯の高周波磁界を加え磁気情報の書

き込みを容易にする今回開発したのはヘッドに搭載可

能な高周波磁界を発生するスピントルク発振素子でこの

素子を用いて記録媒体上に磁気情報を記録できることを実

験的に確認したこれまで外部のマイクロ波発生装置を

用いたマイクロ波アシスト効果の報告例はあったが今回

微細な発振素子を用いた磁気情報の記録を確認できたこと

により将来この素子を記録ヘッドに搭載しマイクロ波

アシスト記録を実用的に行える可能性が示されたhttpapp3infocnedogojpinformationskoubopressEFnedopre

ss2010-11-029718160145

【基礎科学物性】絶縁体が金属に変わる新原理の解明 超伝導素子や熱電変換素子の開発へ道(20101104)東北大学

東北大学原子分子材料科学高等研究機構の研究グループ

は高品質酸化物薄膜において電気が流れにくい絶縁体

状態から流れやすい金属状態への遷移機構を解明した材

料における電気の流れやすさは電気を流す担い手である

伝導キャリアが物質中にどれだけ含まれるか伝導キャリ

アがどれくらいスムーズに動きまわれるかによって決ま

るつまり伝導キャリアの濃度を増やしたり材料中で

伝導キャリアの動きを妨げる原因になるひずみや欠陥を少

なくすると電気はより流れやすくなる本研究では人

工宝石として知られるチタン酸ストロンチウム (SrTiO3)

の絶縁体を用い伝導電子を生み出すキャリア供給層を

SrTiO3 絶縁体間に挟み込んだ絶縁体層 キャリア供給層

絶縁体層の層状界面構造をもつ高品質超格子構造を作製す

ることで絶縁体層の体積を増加させると反対に電気が流

れやすい金属状態になる現象を発見した最新の電子顕微

鏡技術を用いた原子構造解析と電子状態の理論計算を駆使

して絶縁体を増加させると界面で結晶のひずみが少なく

なり高導電化することを解明した本研究が明らかにした

界面での結晶のひずみを制御することによって絶縁体を金

属状態へ変化できる現象は様々な材料でも普遍的に起こる

と考えられ絶縁体から金属へ変わる境目で性能が向上す

る新超伝導体や新熱電材料の開発に展開することが可能と

期待されるhttpwwwtohokuacjpjapanesenewimgpressimgtohokuuniv-

presspdf

【環状高分子】様々な環状高分子の自在な合成に成功 「かたち」に基づく機能開発に期待(2010112)東京工業大学

東工大の研究グループはこれまで困難とされてきた

種々の含環状高分子の選択的な合成に成功した同研究

グループで開発された単環状高分子合成プロセスである

31

PEN N

ovember

Electrostatic Self-Assembly and Covalent Fixation Process

と有機合成化学の新手法であるクリックケミストリー

を組み合わせることで様々な「かたち」の自在な構築

を達成した本手法の開発により近年注目を集めてい

る「かたち」に基づいた高分子物性の探索を加速させる

ものと期待されるhttp wwwo ld t i t e ch ac j p tokyo - t ech - in - the -news j

archives2010111288656000html

【異分野連携オープンイノベーションモデル】応用脳科学コンソーシアム 脳科学及びその周辺領域の学術知見を活用したオープンイノベーションモデルの研究活動を開始 異業種の民間企業と異分野の脳科学研究者が連携し事業性の高い研究テーマを推進 (2010111)アサヒビール(株)(株)NTT データ積水ハウス(株)

(株)竹中工務店帝人(株)凸版印刷(株)日産自動

車(株)(株)博報堂(株)NTT データ経営研究所

NTT データ経営研究所が日本神経科学学会の協力を得て

2010 年 10 月 1 日に創設した「応用脳科学コンソーシア

ム」においてそれぞれの事業活動に関連する独創性の

高い研究テーマについて複数の「応用脳科学 RampD 研究会」

を立ち上げるRampD 研究会では各 RampD 研究会を設置

した特別会員企業が各テーマに関連の深い脳科学及び

その関連領域の研究者を招聘し異業種である他の会員

企業とともに最新の研究知見を活用してオープンイノ

ベーションモデルの研究活動を実施する各社が設置す

る RampD 研究会は現時点で(1)おいしさの総合評価研究

会(アサヒビール)(2)ヘルスケア脳情報クラウド研究

会(NTT データ)(3)インタラクティブ住環境研究会(積

水ハウス株式会社)(4)コミュニケーション空間研究

会(竹中工務店)(5)メディアエンゲージメント研究

会(博報堂)この他の RampD 研究会については今後随

時応用脳科学コンソーシアムのウェブサイト httpwww

keieikencojpcan で公開予定

httpwwwnttdatacojprelease2010110101html

【レーザ技術基礎光物性】熱を加えずに結晶を柔らかくすることに成功 高強度テラヘルツ電磁パルスで分子ネットワーク操作が可能に 

(2010111)京都大学科学技術振興機構(JST)

京都大学はテラヘルツ電磁パルスと呼ばれる新しい光

を物質に照射することで1兆分の1秒の短い時間で結

晶中の分子を大振幅で揺さぶり熱平衡状態では実現で

きないような分子変位を実現することに世界で初めて成

功した実験結果は結晶が実効的にやわらかくなったこ

とを意味するものでさらに強いテラヘルツ電磁パルス

によって高効率で結晶を融解させることを示唆するこ

れは熱による反応を起こすことなく新しい分子間のネッ

トワークやたんぱく質などの巨大分子の立体配位を操作

できることを示しており化学合成における反応促進や

創薬における有機分子結晶の精製での活用が考えられる

今回の成果は JST 戦略的創造研究推進事業日本学術振

興会学術創成プロジェクト「動的相スイッチ機構を内在

する有機電子材料の開拓と非平衡物性科学への展開」お

よび京都大学グローバル COE プログラム「普遍性と創発

性から紡ぐ次世代物理学」によるものhttpwwwjstgojpprannounce20101101indexhtml

【高周波デバイス】透 明 な 高 周 波 デ バ イ ス 見 え な い ア ン テ ナ へ の 道

(20101028)物質材料研究機構太陽誘電(株)

両者は共同で透明な高周波デバイスを製造するための

基本技術である微細な金属配線と酸化物透明導電体から

なるハイブリッド構造を開発した本技術は不透明で

あるが高い伝導性を示す金属と透明ではあるが金属の

100 分の 1 程度の伝導率にとどまる酸化物透明導電体と

を組合せ両者の特性を相補的に活用することにより

透明でありかつ携帯電話をはじめとする無線デジタ

ル通信に用いられるギガヘルツ帯の高周波に対して高い

伝送特性を示す素子構造を実現した

httpwwwnimsgojpnewspress201010p201010280html

【エコ製品環境経営】COP10 に向けた環境配慮型製品技術の取り組み ポリ乳酸繊維 ldquo エコディア rdquo 使用商品の提供や連携事業「メッセナゴヤ 2010」への出展を通じ環境保全の取り組みを強化 (20101028)東レ ( 株 )

同社は10 月 11 日 ( 月 ) から 29 日 ( 金 ) に開催された

生物多様性条約第 10 回締約国会議 (COP10) に向けて

ポリ乳酸繊維 ldquo エコディア rdquo 使用商品の提供などを通じて

環境に配慮した運営に協力したまたCOP10 の連携事

業である環境エネルギーをテーマとした展示会「メッ

セナゴヤ 2010」に出展し環境に配慮した次世代自動車

や最先端航空機向けの先端材料を紹介した

httpwwwtoraycojpnewsfibernr101028html

32

PEN

Nov

embe

r

NEWS POD 著作権の関係で記事のタイトルと詳細内容は標記できませんので簡略に表示しています詳しい内容に関しては各新聞及び雑誌をご覧ください

ナノテクノロジー

研究開発最前線

20101122 日 刊 工 業 新 聞 News

ウェーブ 21

X 線レーザー

20101121 東京読売新聞

新潟ナノテク研究会

20101120 日本経済新聞

ナノテクとバイオ

20101120 下野新聞

バイオ起業

20101119 朝日新聞

ナノ粒子の構造制御

20101119 日刊工業新聞

水素原子観察

20101119 科学新聞

光ファイバー関連技術

20101119 科学新聞

希少金属対策

20101118 日刊工業新聞

熱電材料

20101117 日経速報ニュース

化学合成でナノ構造

20101117 日経産業新聞

つくばナノテク研究拠点への投資

20101117 日刊工業新聞

分子バネ

20101116 日経速報ニュース

ナノバイオ融合

20101116 日経産業新聞

フレンドオブアースのナノテク評

20101116 エコロジーエクスプレス

クラスターテクノロジー

20101112 産経新聞

実用化助成

20101111 日刊産業新聞

接着のメカニズム

20101110 日経産業新聞

電子材料

20101110 日経産業新聞

ナノ磁石

20101110 東京新聞

高分解能放射線検出器

20101110 化学工業日報

電池電極材料

20101108 日本経済新聞

食の安全性

20101108 日経エコロジー

ナノ磁石実用化

20101105 朝日新聞

ナノテク接着剤

20101105 日刊工業新聞

水素原子の観察

20101105 日刊工業新聞

補正予算案

20101105 科学新聞

ナノ磁石

20101104 日本経済新聞

ナノボーグ

20101104 日刊工業新聞

ITO 電極代替技術

20101104 鉄鋼新聞

レアアース代替材

20101103 日本経済新聞電子版

セクション

ナノ鉄磁

20101103 毎日新聞

有機トランジスタ

20101101 日 経 速 報 ニ ュ ー ス

アーカイブ

有機トランジスタ

20101101 日経産業新聞

ナノムービー

20101101 日経サイエンス

低燃費タイヤ

20101030 朝日新聞

筑波大生命科学研究拠点

20101030 茨城新聞

レアアース代替材

20101029 日経産業新聞

播磨地域

20101029 化学工業日報

ナノ粒子操作

20101029 科学新聞

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NEWS POD 著作権の関係で記事のタイトルと詳細内容は標記できませんので簡略に表示しています詳しい内容に関しては各新聞及び雑誌をご覧ください

中国新5カ年計画

20101028 日本経済新聞

高機能消臭素材

20101028 化学工業日報

環境規制等

終わりの科学

20101201 日経サイエンス

電気自動車の覇権

20101123 週刊エコノミスト

環境規制対応

20101122 日経産業新聞

温暖化ガス排出枠

20101122 日経産業新聞

ロス自動車ショー

20101119 日経産業新聞

EV と環境規制

20101119 朝日新聞

EV

20101119 東京新聞

環境と法規制

20101119 化学工業日報

トヨタとテスラ

20101118 読売新聞速報ニュー

CO2 排出量削減

20101118 日経産業新聞

カリフォルニア州環境規制と EV

20101112 日本経済新聞

環境規制

20101112 日本経済新聞

環境規制

20101112 日経産業新聞

米韓 FTA

20101112 朝日新聞

米韓 FTA

20101112 毎日新聞

顔料

20101112 化学工業日報

レアメタル供給規制

20101111 日本経済新聞

潮冷熱

20101110 日本経済新聞

レアアース生産と環境規制

20101108 ダウジョーンズ中国企

業ニュース

韓米FTA

20101101 中央日報

科学技術政策

競争的資金制度

20101122 日本経済新聞

科学技術関係補正予算案 

20101122 THE DOCTOR

韓国 KIST

20101121 朝鮮日報

科学技術政策

20101119 日本経済新聞電子版

セクション

科学技術政策

20101118 日本経済新聞

科学技術政策

20101118 日経産業新聞

女性研究者

20101117 日経速報ニュース

科学技術予算

20101114 東京読売新聞

トップ1論文

20101112 科学新聞

中国特許強国に

20101112 新華社ニュース

関経連と科学技術政策

20101110 産経新聞 

科学技術産業一体政策

20101109 日刊工業新聞

優れた論文の条件

20101105 毎日新聞

「焼け太り許さぬ」

20101102 朝日新聞

国の研究開発投資目標

20101029 日刊工業新聞

科技政策で提言

20101027 日経産業新聞

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r

科学への信頼に関する読者調査

20101201 日経サイエンス

「カップリング反応」アニメ化

20101110 朝日新聞東京読売

新聞他

科学と社会つなぐ人材

20101025 東京新聞

NEWS POD 

情報誌 PEN 購読のご案内PEN の継続的な購読をご希望の方は下記のメールアドレスまでお名前ご所属メールアドレスをご記入の上ご連絡ください登録配信は無料ですnano-penmaistgojp

PEN は原則月 1 回配信しますバックナンバーと PEN の前身【AIST-TOKYO ナノテク情報】をナノシステム研究部門ホームページにて公開しています httpunitaistgojpnrinano-planindexhtml

PEN は皆さまとの情報共有を目的としていますお持ちの情報で共有すべきものがあれば nano-penmaistgojp までお寄せ下さい

いただいた個人情報は産総研 個人情報保護方針(プライバシーポリシー)に基づき大切に管理し情報誌 PEN の運営と私達のイベントのご案内のみに使用させていただきます

科学技術コミュニケーション

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イベント案内

[産学連携研究開発]大阪大学ナノ理工学人材育成産学コンソーシアム 第 3 回ナノ理工学情報交流会場所大阪大学中之島センター 7 階 講義室 3(講師来訪)

   大阪大学東京オフィスサテライト教室

(遠隔講義配信)

   四日市商工会議所内サテライト教室

(遠隔講義配信)については調整中です

コンソーシアム HP にてご確認ください

   ナノテク社会人教育プログラムの開講をされてい

る場合遠隔講義配信に対応可能です事務局まで

ご連絡ください

日時2010 年 12 月 10 日(金)1330 ~ 1900 頃

主催大阪大学ナノ理工学人材育成産学コンソーシアム 

概要ナノ理工学人材育成産学コンソーシアムでは活動

の一環として産学連携のきっかけを提供すべく企業と

大学の双方からテーマに即した研究開発やトピックを紹介

し会員同士の意見交換と情報共有の促進をはかっていま

す第 3 回目となる今回は「光を用いたナノテクノロジー

の新展開」をテーマに開催しますプログラムなどの詳細

は下記の HP をご参照下さい

参加費コンソーシアム会員学生及び大阪大学教職員は

無料(コンソーシアム企業会員の場合社内から何名でも

無料で参加が可能です)

上記以外の方は資料作成費 1000 円が必要になります

参加登録氏名所属連絡先懇談会への出欠を記載の

上メールにて大阪大学ナノ理工学人材育成産学コンソー

シアム事務局(nano-consnanoscienceorjp)へお申込み

下さい

httpwwwnanoscienceorjp

[コミュニケーション]科学コミュニケーション研究会 第 1 回関西支部勉強会日時2010 年 12 月 2 日 1800 ~ 2000

場所京都大学 吉田泉殿

主催科学コミュニケーション研究会 関西支部有志

概要大阪教育大学科学教育センターの中矢史雄氏を講師

に招きオーストラリアの科学技術コミュニケーションに

ついてオーストラリア国立大学科学意識向上センター

での経験なども交えてお話いただきます定員は 25 名で

す事前申し込みが必要です

httpbitlybPmTP9

[展示会]セミコンジャパン 2010日時12 月 1 日~ 3 日

場所幕張メッセ

主催SEMI

概要国内外の最新のマイクロエレクトロニクス技術に関

する情報を入手することのできる世界最大の半導体製造装

置材料展です

httpwwwsemiconjapanorgjaindexhtm

[知財]アジア特許庁シンポジウム日時2010 年 12 月 3 日(金)930 ~ 1210

場所ホテル日航奈良 飛天の間

主催特許庁

概要日本中国韓国インドネシアマレーシアシ

ンガポールの特許庁幹部を招き各国の知財保護強化の取

組みやアジアにおける知財協力を紹介しますまたパ

ネルディスカッションを設けアジアにおける人材育成協

力の方向性について議論します

httpwwwintergroupjp~convasia

[人材育成]応用物理学会 人財育成シンポジウム -日本の危機を科学が救うそのためのリーダー育成を考える-日時2010 年 11 月 29 日(月)1000 ~ 1710

場所東京工業大学デジタル多目的ホール

主催応用物理学会

概要急速に進むグローバル化に対応のできる人材を育成

するための課題や応用物理学会が貢献することのできる

具体的な取り組みについて議論します

イベント案内へ掲載を希望される方は nano-penmaistgojp までご一報ください

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Nov

embe

r h t t p w w w j s a p o r j p a c t i v i t i e s e d u c a t i o n

symppt2010symphtml 

[コミュニケーション]科学技術とメディアのより良い関係に向けて日時11 月 26 日 1815 ~ 2030

場所早稲田大学大隈小講堂

主催サイエンスメディアセンター(SMC)

概要英国オーストラリアのサイエンスメディアセ

ンターの関係者米国のサイエンスコミュニケータを交え

て研究者とメディアの有益な関係性構築に向けた取り組

みについて議論します参加費は無料同時通訳がつきま

httpsmc-japanorgp=403 

[異分野連携]医学領域と工学領域連携研究シンポジウム ‐ 未来を拓く医工連携 ‐日時2010 年 11 月 27 日(土)

場所山口大学医学部第 3 講義室

主催日本学術会議中国四国地区会議山口大学

概要がんの個別化医療をメインテーマにこれからの医

工連携のあり方について講演と議論を行います

httpwwwscjgojpjaeventpdf100-t-3pdf 

[人材育成]マイクロナノエンジニアリング シンポジウム ‐ イノベーションと人材育成 ‐日時2010 年 12 月 8 日(水)1300 ~ 1700

場所日本学術会議 講堂

主催日本学術会議 マイクロナノエンジニアリング分

科会日本機械学会 マイクロナノ工学専門会議

概要学際的分野であるマイクロナノエンジニアリング

は大学大学院における教育の整備関連する産業界

学術界での研究開発における分野融合的な取組みが不可欠

です本シンポジウムでは人材育成を軸とした課題につ

いて議論します

httpwwwscjgojpjaeventpdf100-s-3-1pdf

[ 博物館展示 ]自然に学ぶ ネイチャーテクノロジーとライフスタイル展開催中です

場所国立科学博物館 (東京上野公園)

日時2010 年 10 月 26 日~ 2010 年 2 月 11 日

主催東北大学大学院環境科学研究科国立科学博物館

特定非営利活動法人ものづくり生命文明機構

概要蝶や鳥など生き物や自然の仕組みにヒントを得た環

境負荷の低い技術と将来的な応用の可能性から日本文化

に根差した共生型の新しいライフスタイルのあり方につい

て紹介します国立科学博物館の入館料600円が必要です

httpwwwkahakugojpevent201010natureindex

html

[人材育成]シンポジウム「世界を魅せる日本の課題解決型基礎研究~JST 目利き制度とその可能性」日時2010 年 12 月 6 日(月)1000-1800 (0900 受

付開始)

場所東京国際フォーラム B5 ホール

主催(独)科学技術振興機構(JST)

概要JST がこれまでに行ってきた戦略的創造研究推進

事業の成果を振り返りつつ今後の日本の科学技術の発

展に向けた事業のあり方について参加者の皆様と議論しま

httpwwwsenryaku30jstgojp 

[ 持続可能性 ]学術会議シンポジウム「低炭素化に向けた経済社会エネルギーのあり方と実現のシナリオ」日時2010 年 12 月 9 日(木)1330 ~ 1700

場所学術会議講堂

主催土木工学建築学委員会低炭素建築都市分科会

社会資本分科会

概要両分科会は中~超長期のエネルギー消費量削減シ

ナリオ策定に取り組んできました本シンポジウムでは

分科会の検討結果や削減のための様々な取り組みを紹介

し今後のとりまとめ作業に向けた議論を行います

httpwwwscjgojpjaeventpdf104-s-3-6pdf 

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PEN 編集室関谷瑞木阿多誠文独立行政法人産業技術総合研究所 ナノシステム研究部門 305-8568 つくば市梅園 1-1-1 産総研つくばセンター中央第 2 M404Email nano-penmaistgojpTel029-861-5185 Fax 029-861-5339

編集後記

今月 8 日に長野県長野市で開催された第 3 回国際ナノ

ワークショップ「ナノテクノロジーの社会受容~ナノ

材料の工業標準化の国際的な動向と環境影響について

~」の会場で多くの企業の皆様と意見交換をする貴

重な機会を得た目まぐるしい勢いで変わってゆく諸

外国の環境規制策の動向に民間企業の皆様が神経を

とがらせておられることがひしひしと感じられた東

京から新幹線で 1 時間半インターネットでリアルタ

イムに世界とつながることのできる時代とはいえ情

報物人が集積する地である東京とは異なる苦労も

あることもお聞きした美しい山々きれいな空気あ

るいは世界に誇る観光遺産と科学技術を結び付けて

地域振興をはかりたいとの頑張っておいでの方にもお

会いした

月刊という制約はあるもののこうした方々にとって

タイムリーで有用な情報を提供し続けたいと改めて

強く感じた

ちなみにPEN を発行しているつくば市の産総研つく

ばセンターへもつくばエクスプレスと路線バスを乗

り継いで都心からは約 1 時間半かかる

2010 年 11 月 25 日

PEN 編集室一同ウナギツカミ

Page 12: Public Engagement with Nano- PEN November …...5 PEN November 【知財】 中国、10年で特許強国に(2010.11.12) 中国国家知識産権局は11日に「全国特許事業発展戦略

12

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r 発も大きく「本会議の採択を受けて開催される理事会は

調停案を出す」との観測を示している以上のような解説

の締め括りとして「日本の産業界としては代替材料やナ

ノ材料の安全性評価手法の開発など2014 年の施行を見

すえ早めに体制を整えておく必要がある」と指摘してい

このように日本国内でも ENVI の Jill Evans 女史がまとめ

た RoHS 指令改定案に対する修正意見に対する反発が強ま

るなか2009 年に厚生労働省や経済産業省環境省が相

次いで公表したナノ材料曝露提言のためのレポートやガイ

ドラインに準拠した対策も進みつつある今月 10 日日

本エアーテックはカーボンナノチューブなどのナノ材料

を安全に扱うための作業器具「ナノパーティクル排気ベン

チ」を開発販売を開始したナノ粒子捕集効率の高いフィ

ルターや引き出しと一体化した掃除機曝露防止のため

の手袋や防塵マスク防護服といった対策が図られている

節末になるが昨今の欧州議会の動きに関してナノ

テクノロジービジネス推進協議会の事務局より欧州

の ナ ノ テ ク ノ ロ ジ ー 産 業 の ア ソ シ エ ー シ ョ ン で あ る

Nanotechnology Industries Association (NIA) と の 間 で 交

わされた情報などを逐次配信していただいたことを付記

しお礼を申し上げる

アメリカの環境規制オバマ政権以降の展開

連載の本題に戻る2009 年民主党オバマ政権が発足し

て以降環境政策環境規制に関しても様々な改革が図ら

れるようになってきたこれはオバマ政権に代わったから

ということではないが米国議会は全ての連邦機関に対し

て 5 年間の戦略計画の策定と 3 年ごとの計画の見直しの実

施を要請している政府の行政評価の一環として 1993 年

以降行なわれている rdquoGovernment Performance of Result

Actrdquo で通常 GPRA と呼ばれこれまで各省庁の政策決定

と実行に大きな影響を与えてきたこれを受けて EPA は

今月 7 日2011 年度からの 5 年間の戦略を公表している

[3]環境と健康を守るための 5 つの戦略的な目標として

①気候変動への取り組みと大気汚染の減少②米国内の水

環境の向上③コミュニティの汚染源の根絶と持続的発展

④化学物質の適正な使用と汚染の防止⑤環境関連法の実

施強化を挙げているまた5 つの戦略目標と合わせて

EPA 首脳部が掲げる 7 つの優先分野における取り組みの進

捗状況を図るための新たな指標も設けられている

これに関連して EPA はTSCA インベントリー利用の改革

を進めている米国内で製造もしくは米国に輸入される

すべての化学物質は「TSCA インベントリー」と呼ばれ

るリストで管理される現在 8 万物質以上が収載されてい

る TSCA インベントリーにない化学物質を製造あるいは

輸入する場合EPA に対する届出義務がありこの届出を

行い EPA の審査を受けることでその化学物質が TSCA イン

ベントリーに新規物質として追加される仕組みになってい

るここでいう届出とは90 日前までに行わなければな

らない製造前届出(PMN)であり生産量暴露排出量

の推計人の健康や環境への影響に関するデータ等が求め

られるただし医薬品農薬や食品添加物等の他の法律で

規制される物質や研究開発目的の化学物質には除外措置が

設けられている [4]PMN は届出業者に新たな試験の実施

を求めておらず届出業者が有しているデータのみを提出

すればよいとされているそこで EPA は定量的構造活性

相関等の手法により届出物質の生態毒性値を予測しその

結果に基づきリスク評価を行っている

オバマ政権以降この TSCA インベントリーの改革がすす

められてきたすでに 2010 年 3 月には基本的な検索を無

料化するなどインベントリーのリニューアルを実施しイ

ンベントリー検索が容易になっているまたインベント

リーのデータは通常年二回更新されるがインベントリー

へ新規化学物質の登録が行われる場合は官報で事前に告知

されるようになっている [5]

SNUR とは

EPA の規制措置について触れたついでに今後の議論のた

めに重要新規利用規則(SNUR)についても理解を深めて

おきたいSNUR については経済産業省化学物質管理課の

HP の記述にその内容をくみ取りやすいので以下に引

用させていただく [6]

「TSCA においては評価の各段階で新規化学物質の申請

者と同意を取りながら進めていくという審査体系をとって

おり懸念のある化学物質に対する規制は個別の申請毎

にきめ細かい措置が講じられる体系となっている規制

は申請者に対する同意指令(Consent Order)及び申請

者以外の者にも同様に規制を行うための重要新規利用規則

(SNURSignificant New Use Rule)により行われる同意

指令は当該化学物質のリスクが明確に評価できないにもか

かわらず健康や環境にリスクをもたらす恐れや放出

暴露量が多い恐れのある場合に発せられリスク評価に十

13

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分なデータがそろうまでの製造等を制限するものである

同意指令は申請者に対して発せられるが公平性の観点か

ら当該化学物質を取扱う全事業者に対して同意指令と同等

の制限を規制するのが重要新規利用(SNUR)である対

象物質について SNUR 要件を遵守できない場合には事前

に重要新規利用届出(SNUN)を提出し個別に審査を受

けることとなるSNUR 対象物質に対する制限措置として

はMSDS 作成やラベリング使用者への注意義務数量

制限や特定用途の制限個別事業者における排水管理など

の幅広い手法があげられており対象物質に応じて適切な

規制が適用される」

したがってTSCA のインベントリーに登録された化学物

質が SNUR に指定されるということはPMN 届出業者と

の同意指令の中で当該化学物質の健康や環境影響が無視

できないことの反映である先月号の本誌 PEN で述べた

とおりEPA がこれまでナノマテリアルで交わした同意

指令はイギリスの Thomas Swan 社の子会社でアメリカ

New Jersey 州 Lyndhurst で CNT 製造を行っている Swan

Chemical Inc であるEPA が昨年来 CNT を SNUR 対象物

質にする方向でパブリックコメントを求めてきたがこれ

は Swan Chemical Inc との間で交わされた同意指令の内容

を他の CNT 製造企業にも求めることを意味するEPA の

SNUR での単層および多層 CNT の規制もいよいよ最終段

階に入ってきている

Reference[1] httpj-net21smrjgojpwatchnews_tyusentry20101118-15

html

[2] httpj-net21smrjgojpwatchnews_tyusentry20101117-15

html

[3]httpyosemiteepagovopaadmpressnsfd0cf6618525a9efb8

5257359003fb69d60a5ce970092692e852577b5005c4ff3Open

Document

[4] httpwwwepagov

[5] httpwwwepagovopptnewchemspubsinvntoryhtm

[6]httpwwwmetigojppolicychemical_management03kanri

f1htm

かわいいだけではないらしい

日本ではペットとしてイヌと人気を二分しているネコかわいい口に重大な秘密が隠されていたようです

イヌは舌ですくい上げて水を飲んでいることが分かっています水を飲み終わったイヌの口元は濡れています

しかしネコはミルクを飲んでも口元が汚れないしどうもイヌとは飲み方が違うようだと考えた Pedro Reis 氏

らは高速イメージング技術を用いてネコの秘密にメスをいれました

その結果ネコは重力と慣性力を利用して水を飲んでいることが明らかになりましたネコはまず舌先だけを

水やミルクなどの液体に軽く接触させたのち舌を丸めますそして丸めた舌を元に戻す際の慣性力を使って水

の柱を作りそれを吸い込むようにして飲んでいるのですネコのサイズが変わると舌を水につけるスピード

が落ちてゆっくりとした動きに変わるものの動きそのものは全く同じであることが観察によって明らかになっ

ていますネコ科で 2 番目に体が大きいライオンの飲み方も小さなイエネコの飲み方も同じなのです

様々な分野で活躍する働くイヌと違って「ただかわいいだけ」と言われるネコですがその精緻な舌の動きと

機能はソフトロボット技術研究の進展に役立つと期待されています

How Cats Lap Water Uptake by Felis Catus PMReis RStocker SJung JMArstoff Science 20101111 (online

publication)

httpwwwsciencemagorgcontentearly20101110science1195421

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r

基本政策専門調査会資料公開総合科学技術会議

11 月 17 日中央合同庁舎第4号館で開催された第 11 回

総合科学技術会議基本政策専門調査会の資料が公開され

た10 月 18 日~ 11 月 8 日にかけて行われたパブリック

コメントの結果等も公開されている特に注目される「Ⅴ

社会とともに創り進める政策の展開」の項目のなかの「社

会と科学技術イノベーションとの関係深化」の課題には

①「国民の視点に基づく科学技術イノベーション政策の推

進」には欧米にくらべ遅れている「政策の企画立案及び

推進への国民参画」の促進が必要その方法論を研究し

具体的な参画の場や運用を整備すべき国の機関のみなら

ず各地の大学や研究機関が主体的に参画できるものであ

るべき②科学技術だけでなく社会についての知を総合

しなければイノベーションは不可能③「倫理的法的

社会的課題への対応」でヒトの臨床試験に関する法律

動物実験バイオ施設といった具体例を論ずるべきといっ

た意見が集約されている

また民主党政権が達成目標としている「政府研究開発投

資の対 GDP 比 1」に関しては資料 4 - 1 の第 4 期科

学技術基本計画における投資目標のなかに2008 年度の

実績が 072 であったことが示されているちなみにア

メリカは政府研究開発投資の対 GDP 比 1 を維持してい

httpwww8caogojpcstptyousakaiseisakuindexhtml

科学技術に関する最近の話題への国民の関心について科学技術政策研究所 (NISTEP)

文部科学省所管の科学技術政策研究所は科学技術に関す

る最近の話題への注目度など速報性のあるデータについて

公開したまた同研究所は「日本の研究者を対象とした科

学における知識生産プロセスについての大規模アンケート

調査」の結果についても公表を行ったhttpwwwnistepgojpnistepabout09html

httpwwwnistepgojpachievftxjpnmat191jpdfmat191j_

reportpdf

公共政策のためのパブリックコメント2011 年度予算編成に伴い9 月末から政策コンテストが

進められているこれは市民から広く意見を聞くパブリッ

クコメントのことであるところがある省の政策担当者が

政策立案に関わった専門家に提出方法についてメールで周

知し間接的ながらも意見の提出を促した事実が明らかと

なったこの問題は今月 18 日付新聞各紙で報道された

時代の流れである政策の公共性に逆行し公共の利益に反

する行為であるいわずもがなではあるがパブリックコ

メントが義務的な制度ではなく今後政策や予算立案の過

程で当然の仕組みとして定着していくためにもパブリッ

クコメントを広く公平に集める仕組みつくりは危急の課題

であり集まったコメントに耳を傾ける真摯さが政策サイ

ドに求められている政策や予算に対するパブリックコメ

ントは政策の公共性に必要不可欠の仕組みであり科学技

術の社会受容の重要なプロセスである「パブリックコメ

ントを行いました」という既成事実のためにあるのではな

共同声明「国際化拠点整備事業(グローバル 30)の強化を要望する」11 月 16 日

東北大学筑波大学東京大学名古屋大学京都大学

大阪大学九州大学慶應義塾大学上智大学明治大学

早稲田大学同志社大学立命館大学

平成 21 年度に開始された国際化拠点整備事業(グローバ

ル 30)に採択されている上記 13 の大学は昨年に引き

続き本事業が行政刷新会議の事業仕分けの対象となったこ

とに関して共同声明を発表したその骨子は国際的視

点と人材教育の視点から大学及び日本社会の国際化のた

国内情報

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めのグローバル 30 をさらに拡充強化されることを政府に

要望するものでまた予算の縮減などになれば国際社会に

おける日本の信頼が大きく傷つくばかりでなく日本の将

来について致命的な打撃を与えるのではないかと指摘して

いるh t t p w w w o s a k a - u a c j p j a n e w s t o p i c s 2 0 1 0 1 1

files20101116_2pdf

加速する EV 市場電気自動車 (EV) 市場が大きく展開し始めたすでに三菱

自動車は昨年から EV アイミーブを市場に投入している

日産自動車は今年 7 月から EV リーフの試乗会を行ってき

たがいよいよ来 12 月には EV リーフの日米同時の販売

を開始するこれにあわせて 12 月 45 日に横浜市内で

公道上での試乗会が行われる今後は技術提携を進めるフ

ランスのルノー社との技術の共通化が図られる

このような動きに対しトヨタやホンダはこれまで EV に

は慎重な姿勢を維持してきたしかしこの数か月でその姿

勢にも大きな変化が出てきた今月 17 日から開催されて

いるロサンジェルスのモーターショーでトヨタは RAV4

の EV モデルホンダはフィットの EV モデルをそれぞれ

公開しているこれまでハイブリッド技術で覇権を制して

きたトヨタはこの 5 月にカリフォルニアの EV 開発ベン

チャーであるテスラと資本提携スポーツタイプ多目的車

(SUV)をベースとした EV の開発を加速させているテス

ラは 2008 年から時速 200km を誇るロードスターの市場

投入実績を有しておりトヨタ以外にもすでにダイムラー

とも資本提携を行っているまた今月にはパナソニックと

電池の共同開発を開始するなど2015 年の本格的なアジ

ア市場での販売計画に向けて技術開発を加速させている

テスラの技術は家電製品に使われる汎用電池を多数並べて

用いるところに特徴があり現時点では車載用専用の電池

の開発を進める他の EV との差別化を図ることに注力して

いる

このような一連の動きは2012 年のカリフォルニア州に

おける環境規制の施行を見据えたもので2012 年が EV

普及にとってフラグポイントになるアメリカでもゼロエ

ミッション EV の開発が活発に行われ経営破たんしてい

た GM が 11 月 18 日に株式市場に再上場するなどアメ

リカの産業構造も大きく変わりつつあるただモーター周

りの技術に関しては中国企業との共同開発も進められて

いる

このような EV 市場の急展開の様相は日本の経済を支え

てきた自動車産業に大きな質的変化をもたらしつつある

EV は「自動車が家電製品になる」と形容されるように

車載用駆動電源としての 2 次電池の高性能化やリチウム

資源の確保さらには太陽光発電利用やスマートグリッド

まで含めたエネルギーデリバリーシステムや充電インフラ

等々幅広い産業活性化の起爆剤でもあるEV がオフィ

スや家庭の家電とつながればIT 産業にも大きなビジネス

チャンスが到来する自動車産業は家電メーカー総合

商社IT 企業その他さまざまな技術領域を巻き込んだ覇

権争いに突入していこうとしておりこれまで ldquo 城下町 rdquo

と称された日本の垂直統合型自動車産業そのものが大きく

変わりつつあるといっても過言ではない

ところで「モーターをタイヤにした」構造的には内燃機関

式に比べ単純な構造の乗り物でもある EV の市場には新

興国の新規産業が参入しやすいという一面がある上述し

たような 2012~15 年にかけて強まる世界的な環境規制を

追い風に新興国から多くの EV 産業への参入が予想され

る実際に中国広東省のベンチャー企業 BYD などはそ

の急先鋒として成長し続けている日本の産業は1990

年のバブル崩壊以降 20 年にわたって「技術で勝って市

場をとれない」状況に苛まれてきた対処策の一つは技術

開発と経営の基本姿勢である言うまでもなく技術が発展

することは製品の質の向上に結び付くのだがただ「より

良い技術をふんだんに詰め込めばおのずと製品は売れる」

という安易な技術への過信や過剰な技術の詰め込みがイノ

ベーションプロセスに負に作用することも事実であるエ

リアごとに大きく異なる市場のニーズを的確に把握するこ

とと急速に展開する市場に対応した経営意思決定の迅速

化がキーになる

もう一つは国際的な枠組みでのインフラ技術の標準化であ

る一国一票の投票権を持つ国際標準化の策定プロセスで

は欧州が圧倒的な強さを維持しており日本は常に苦戦

を強いられる立場にある国際電気標準会議 (IEC) におけ

る EV インフラ技術の標準化チャデモ協議会といった日

本の対応については週刊エコノミスト 12 月号 40 ~ 41

頁に詳しい

また日刊自動車新聞によると電気自動車普及協議会が

EV の高電圧周りの安全対策などに関するガイドラインの

策定を始めているが緊急性の高い項目は今年度中に情報

公開される模様である

国立研究開発機関(仮称)構想省庁の縦割り政策の弊害を解消して研究開発を効率的に進

めることを目的に文部科学省は 38 の独立行政法人研究

機関の再編統合を図る仮称「国立研究開発機関」構想を

打ち出している海江田科学技術政策相はその設置法案を

来年度の通常国会に提出する考えを明らかにしこれに併

せて発足に向けたスケジュール作りがすでに検討チームの

中で始まっているその一方蓮舫内閣府特命担当大臣(行

16

PEN

Nov

embe

r 政刷新)公務員制度改革担当は文部科学省ではなく内閣

府主導で予算編成を行うべきとの考えを示し行政刷新会

議も「焼け太りは許さない」と文部科学省を牽制設置法

そのものの提出をくい止めたい考えである他の様々な施

策同様これも民主党政権内での軋轢となっている

化学5社化学物質情報伝達を電機大手と共通化中小企業ビジネス支援サイト J-Net21 は11 月 15 日に

日本の化学大手 5 社がアーティクルマネジメント推進協

議会の仕組みを活用して製品に含まれる化学物質の伝達

方法を電機大手と共通化することを発表サプライチェー

ンでの情報伝達の共通化が図られるhttpj-net21smrjgojpwatchnews_tyusentry20101115-10

html

22 年度科学技術関係補正予算閣議決定先月末の 26 日平成 22 年度補正予算 4 兆 8500 億円が

閣議決定された今月 11 日付科学新聞はこのうち科学

技術関係予算を文部科学省のスパコン「京」への 186

億円などを含め約 1500 ~ 2000 億円程度と見積もってい

る経済産業省関係では産学官連携のイノベーション拠点

立地支援事業への支援策が多く盛り込まれているつくば

イノベーションアリーナ中核拠点と位置づけられている産

総研には補正予算 30 億円が配分されている

なお内閣府総合科学技術会議は 11 月 4 日2010 年度

の当初予算額 3 兆 5878 億円に対し補正予算案は 1864

億円経済危機対応地域活性化予備費は 141 億円で

合計は 3 兆 7742 億円となったことを明らかにした補正

予算の詳細については 11 月 4 日「平成 22 年度経済危機

対応地域活性化予備費及び補正予算案(科学技術関係予

算)について」として内閣府から公開された

httpwww8caogojpcstpbudgeth22hoseipdf

ナノボーグの販売軽量化フレキシブル化が進む様々なデバイスをまとめて

身に着けることが可能な服が「ナノボーグ」である東工

大谷岡教授が名付けたもので4 日付日刊工業新聞による

と今月にも太陽電池を電源とするジャケットがアメリカ

のアパレルメーカーから発売される

httpwwwnikkancojpnewsnkx0320101104eaahhtml

ldquoNBCI ナノナビ rdquo 創刊ビジネス環境のグローバル化オープン化に伴って政策

や規制動向研究開発動向の迅速な情報共有への要求が高

まりつつあるこれに応え一般社団法人ナノテクノロジー

ビジネス推進協議会(NBCI)は不定期の情報誌 ldquoNBCI

ナノナビ rdquo を創刊先月末より会員向け配信を開始した

創刊号では標準化の重要な課題であるナノラベリング(使

用ナノ材料の周知目的)の動きナノネット活用等につい

て最新の動向が配信された

httpwwwnbcijp

フラーレンのナノエレ応用脚光を浴びるカーボンナノチューブやグラフェンに比べ

フラーレン(C60)のナノエレクトロニクスへの応用展開

は広がらない状況が続いてきたがこの度 C60 を積層し

た有機トランジスタが開発されたこれは 11 月 1 日付日

経産業新聞が報じたもので大阪大学と山形大学大日本

印刷の共同研究の成果である試作された C60 を含む有

機トランジスタは従来の有機トランジスタより大きな電

流を流すことが出来400 キロヘルツの高速応答が得られ

たとのこと

筑波大に生命科学研究拠点先月末筑波大は先端学際領域研究センター通称 TARA

センターを改組し生命領域学際研究センターを設立浅

島誠氏がセンター長に就任した今後 20 人の研究部隊が

幹細胞研究などに特化した研究を展開する

新規事業への投資を名城ナノカーボン10 月 29 日付の金融専門誌ニッキンは名城ナノカーボ

ンの橋本剛氏をとりあげた同社は 2005 年 4 月に当時

銀行員であった橋本氏が名城大安藤義則教授と共に設立

したカーボンナノチューブの開発製造販売を手がける

名城大発ベンチャー橋本氏は今後 5 ~ 10 年で名城ナノ

カーボンの上場を目指すとし取引金融機関に対して新規

事業への具体的な資金投入を期待している

CNT 生産能力倍増昭和電工10 月 29 日付化学工業日報は昭和電工(株)川崎事業

所におけるカーボンナノチューブ (CNT) の年産 100 トン

から 200 トンへ引き上げ計画を報じた同社はリチウム

イオン 2 次電池向け気相成長 CNT の供給を行っているが

今後はさらに急速な需要拡大が進む可能性もありさらに

生産体制の拡大を図る可能性もある

17

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ovember

宝石という名前の虫

タマムシはタマムシ科の 4 センチメートルほどの甲虫です漢字では玉虫と書きます玉とは宝石のことで

その名のとおり赤い縦の線が走る虹色がかった緑色の金属光沢の美しい翅をもっています

法隆寺所蔵の国宝「玉虫厨子」を教科書などで見たことがある人も多いのではないでしょうか厨子は仏像な

どの礼拝の対象をしまう大切な入れ物のことです天平の世の人々がその大切な厨子の壁面を飾る細工の材料

にタマムシこそが相応しいと思ったのも納得できる美しい甲虫です残念ながら現在では玉虫厨子の壁面の

翅の多くは脱落してしまっていますが往時を再現した複製品から天平の時代の華やかな色が想像できます

タマムシは時代や洋の東西を問わず美しいと思われるようでベルギーにはその美しさに憑かれて宮殿の天

井を大量のタマムシの翅で飾った現代工芸家もいます

タマムシは厨子に使われた翅だけでなく腹部や脚触角なども緑色の光沢を放っていますまた美しい

翅が良くわかるような背面からの写真が多いので米粒型のすんなりした形のイメージが強いですが横から

見た体には以外と厚みがあります成虫は樹冠を飛び回り主にニレ科の広葉樹の葉を食べています幼虫は

カブトムシの幼虫に似た白いずんぐりしたイモムシで餌も葉ではなく木ですそのため害虫に分類されても

います

岐阜県高山市「茶の湯美術館」に玉虫厨子のレプリカが展示されています

httpwwwnakada-netjpchanoyutamamushi_zushihtmtamamushi 

18

PEN

Nov

embe

r

これを批准した結果日本は 1990 年を基準として 6の

温室効果ガス削減を国際的に約束した日本国憲法によれ

ば国際条約は守らなければならないことになっているの

で「チーム -6」などという運動が日本全国にできた

これの何が間違いだったのであろうか以下その根拠を説

明する尚現在の一次エネルギー源は 80以上が化石

燃料によるものであるからエネルギー消費と温室効果ガス

排出はほぼ同義語であるまた国内総生産(GDP) の増

大すなわち経済成長は社会の安定と国民の安心感を支え

る基本的な要素でありその減少は社会の不安定化をもた

らすため増大させることが必須である

日本は 1973 年の第一次石油危機で大きなダメージを受

けそれから「省エネルギー技術」の開発を血眼になって

推進したその結果図 1 に示すように日本は世界一の「省

エネ大国」になったのである図で縦軸は石油換算のエネ

ルギー消費量横軸は GDP をドル換算したもので1995

年のデータを示してある斜目の破線は一定の GDP を作

り出すのに必要なエネルギー量をトン単位で示しており

これが小さいほどエネルギー効率のいい社会であるつま

り使用エネルギーが少なくなるか同じエネルギーを使っ

ても生産額が多くなればエネルギー効率は良くなる

 エネルギー効率=使用エネルギー生産額(GDP)

図から明らかなように日本は 1995 年時点でも既に世

界で一番エネルギー効率の良い国だったのであるドイツ

フランスイタリアなどは日本の 15 倍イギリスは 2 倍

アメリカが 3 倍中国やロシアに至っては何と 10 倍以上

のエネルギーを浪費しているということが一目瞭然であ

る日本がこのようなエネルギー効率の良い状態から更に

エネルギー消費を減らすなどと言うことは被虐趣味以外

の何物でもないちなみに図 1 は小生が京都議定書を見て

「これは誤りである」と確信し直ぐに作成したものであり

13 年前には既に分っていたことである

それでは日本は何を主張すれば良かったのか賢明な読

者は図 1 を見れば直ぐに考え付くであろうそう「世界

の皆さん今後 10 年間でエネルギー効率を高くする努力

をし現在の日本並みとまでいかなくても少なくとも近

付く努力をしてください」と主張すべきだったのだこれ

なら発展途上国も経済発展を保障されるから合意できたで

あろうし何よりも日本の「省エネ技術」を世界標準とし

て輸出可能であったろう昨年中華人民共和国(中国)が

出した指標はまさにこのような考えに基づいたものであろ

うどこかの国の首相が温室効果ガス排出量(=エネル

ギー消費量)の 25の削減を持ち出したのに対し「中国

はエネルギー効率(=使用エネルギー生産額)を 40

向上させる」と主張した図1から見ても彼等は 1995 年

の日本の水準に追いつくだけで 90の削減が可能であり

40などというのは非常に容易な達成目標であることは

明らかであるまさに国際条約を締結する上での基本的

な事項である「自国の利益を最優先する」という原理原

則にも合致している流石は厳しい歴史を体験してきた国

京都議定書が提案されてから既に 10 年以上経過した今

更と思われる方もおられるかも知れないが現在の日本が

抱える様々な矛盾の出発点の一つが京都議定書であると考

えざるを得ない以上ここで改めてその問題点を明らかに

したい環境省のホームページに掲載されている京都議定

書の内容は以下のとおりである

(httpwwwenvgojpearthcop63-2html)

ポイント先進国の温室効果ガス排出量について法的拘束力

 のある数値目標を各国毎に設定

国際的に協調して目標を達成するための仕組みを

 導入(排出量取引クリーン開発メカニズム共同

 実施など)

途上国に対しては数値目標などの新たな義務は導

 入せず

寄稿京都議定書で日本は何を主張すべきであったか東洋大学大学院学際融合科学研究科 教授 和田恭雄

19

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ovember

は違うなどと感心してはいられない

今からでも遅くない「2010 年を基準としてエネルギー

効率の向上を図る」ことを国際的な合意目標に切り替え

るべきである無論為替レートは 2010 年現在の 1 ド

ル= 80 円程度に固定して比較すべきである現在の円

高を考えれば分母が大きくなることが日本の利益につ

ながるからだ国際条約においては「被虐趣味」は最低

の選択であることを忘れてはならない「率先垂範」など

と言う言葉は国際社会では通用しない無論表面上は大

いに賞賛されようが腹の底で「カモが来た」と思われ

食い物にされるだけである他人から褒められるために

自らの競争力を放棄するようなことは止めるべきである

京都議定書を他山の石としてナノテクノロジーの世界

でも「自らの強みを世界の標準にする」という基本的な

姿勢を取るべきであるのは当然のことであるdarr

darr 世界各国のエネルギー消費量と総生産の比較図右下

に行くほどエネルギー効率が高く同じ GDP を創り出す

のに温室効果ガスの排出量が少ないということを示す

日本は 1995 年当時既に世界一の「省エネ大国」であり

西ヨーロッパの 15 倍米国の 3 倍ロシアなどよりも

10 倍以上効率の良い経済体制になっていたことが分か

る世界中の国が日本を手本にすれば温室効果ガスの排

出量を減らしつつ経済成長が可能になり即ち皆がハッ

ピーになれることを示すことができるばかりでなく日

本の省エネ技術を世界標準にすることも主張できる根拠

となる

20

PEN

Nov

embe

r

日本では21 世の始まりと共に科学技術政策に基づ

いてナノテクノロジーの研究開発への戦略的投資が開始

された2001 年度からの第 2 期科学技術基本計画と

2006 年度からの第 3 期科学技術基本計画の都合 10 年

間にわたる優先的戦略的な研究開発の資源の投入も余

すところ4ヶ月となった

21 世紀を担うと期待されたナノテクノロジーには研

究開発側から社会への一方的な応用があたりまえであっ

たこれまでの科学技術とは異なる研究開発の方法論が導

入されたコア技術の研究開発と並行してその技術の社

会的影響を検討しそれをさらにコア技術の研究開発に

フィードバックするという新しい研究開発の方法論であ

る [1]ナノテクノロジーの社会的影響にとって最も重

要で緊急の課題がナノ材料の環境健康影響安全 (EHS)

の課題であった技術の社会的影響を検討しながら進め

られているナノテクノロジーの研究開発がうまくいくか

どうかこのことがナノテクノロジーに続く今後の新興

の科学技術の研究開発のあり方に大きな影響を与えるこ

とになる社会的影響をフィードバックしながら進める

責任ある研究開発がはじめて試みられた日本のナノテク

ノロジーがこれまで 10 年間にわたって戦略的研究開発

投資を続けてきた現在どのような状況にあるのか今回

の特集ではそれを俯瞰的に解析する

まず国内の全ての新聞と雑誌に掲載されたナノテクノ

ロジー関連記事の数を統計的指標としてナノテクノロ

ジーの研究開発に対して日本の社会がどの程度の関心を

示しているのか評価することを試みる図1に日本

のメディアに掲載されたナノテクノロジー関連の記事の

年推移を示すグラフから明らかなようにナノテクノ

ロジーへの戦略的研究開発投資が始まった 2001 年まで

日本のメディアはほとんどナノテクノロジーを取り上げ

ていないただこれは日本にナノテクノロジーの萌芽

的研究開発がなかったということではない

一例をあげるなら工業技術院は産業科学技術研究開発

制度の一環として新エネルギー産業技術総合開発機

構(NEDO)の委託により原子分子極限操作技術の研

究開発プロジェクトを展開した1992 年から 10 年間に

わたり分子原子をボトムアップ的に集積する研究開発

を進めたこのプロジェクトは技術研究組合オングスト

ロームテクノロジー研究機構(ATP)と呼ばれたさらに

ATP と産業技術融合領域研究所は同研究所内にアトム

テクノロジー研究体(JRCAT)を設置して産官学の共同

研究プロジェクトを推進した折しも日本は 1990 年の

バブル経済の崩壊後失われた 10 年と称される経済の停

滞に苦しんでいたまだナノテクノロジーに対する期待

は高まってはいなかったが日本のナノテクノロジーは

着実に萌芽的研究開発を進めていた困難な経済のなか

で日本のナノテクノロジーはその萌芽に向けた着実な

準備をしていたといえるのだがこのような地道な研究

開発が進められていた点はこの統計からは見えにくい

0

500

1000

1500

2000

2500

3000

3500

4000

4500

5000

1990

1991

1992

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1994

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1997

1998

1999

2000

2001

2002

2003

2004

2005

2006

2007

2008

2009

図 1

特集

10 年におよぶナノテクノロジー研究成果の発展的継承を 

21

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ovember

2001 年度から戦略的な究開発投資が開始されると同時

にナノテクノロジーへの関心は急速に増していった

わずか 2 年後の 2003 年にはその期待は極みに達して

いる上述したとおり我々はこの統計で縦軸をナノテ

クノロジーに対する社会の関心と見なしておりこれは

David M Berube 氏が示した典型的な Hype 曲線の縦軸

「Visibility」と同義とみなせる [2]その類似性を図 2 に

示す

図 2

日本では Nano-Hype と呼べるピークが高性能瞬間湯

沸器よろしく戦略的研究開発投資が開始されたわず

か 2 年後の 2003 年に出現しているのであるまたJ

Fenn らはこのようなピークを図 3 に示すようにイノ

ベーションのハイプサイクルにおける rdquoPeak of Inflated

Expectationsrdquo と表現している [3]

Exp

ect

atio

ns

Time

InnovationTrigger

Trough ofDisillusionment

Slope ofEnlightenment

Plateau ofProductivity

Peak of InflatedExpectations

図 3

この時期はナノテクノロジーの将来価値への大きな期

待の反面研究開発の実態は希薄である実体の伴わな

い過剰な期待を理由に「一部の有力な科学者や政策担当

者がこのような Hype の状況を意図的に作りだした」と非

難する論調もある確かに Nano-Hype はナノテクノロジー

の将来価値への期待が研究開発の実態を上回る状況では

あるがナノテクノロジーに対する社会の関心や期待を

喚起しその期待を背景にナノテクノロジーへの研究開

発投資が漸次増加していったことも事実であるまたナ

ノテクノロジーの事をもっと知りたいという知的欲求も

刺激されそれに応えるためにいくつかの大学ではサイ

エンスコミュニケータやサイエンスインタープリタサ

イエンスジャーナリストの養成講座等が開設されたさ

らに今日年間 2000 回以上のサイエンスカフェが全国各

地で開かれるなどナノテクノロジーのような新興の科

学技術のパブリックエンゲージメントの活動の契機にも

なったNano-Hype と呼ばれる状況がそのような様々

なプラスの効果を日本にもたらしたことも忘れてはなら

2003年

2010年

2003年

22

PEN

Nov

embe

r ない点である

実体の伴わない過剰な期待が徐々に覚めていく Negative-

Hype の状況はHype が極みに達した 2003 年直後の

2004 年から 2007 年にかけて顕著に現れてくる依然

として政府のナノテクノロジー材料領域への研究開発

投資が伸びるなかメディアがナノテクノロジーを取り

上げる頻度は急速に下がり社会の関心は冷めていった

過剰な期待が冷静さを取り戻していく Negative-Hype は

必然であるとしても注目しておかなければならない大

事な点は Negative-Hype がいつ止むかいつ底を打つの

かである図 1 から明らかなように2004 年以降 2007

年まで急速に下降しているものの2008 年から 2009 年

と明らかに Negative-Hype は底を打っている

上述の J Fenn らは新しいハイプサイクルの縦軸の評価尺

度を議論しているのだが図 4 に示すようにハイプサイ

クルのプロフィールが二つの要素からなることを示して

いる [4]この指標を採用すると今年 2010 年の日本の

ナノテクノロジーはHype が終わりエンジニアリング

またはビジネスが徐々にその成熟度を増していくちょ

うどその過渡期にあるとみてよい今後ナノテクノロジー

がITエネルギー環境ライフサイエンスといった様々

な技術分野の基盤技術としてその実用化に貢献していく

現在はちょうどその転換点にあるそのプロセスを確実

に進めていくには中長期的な一貫した科学技術政策に

よりナノテクノロジーの基礎的な研究開発を継続的に

推し進めていくことが肝要である

図 4

そして10 年に及ぶ科学技術政策に基づいたナノテク

ノロジーの戦略的研究開発投資の成果を応用実用化

へ確実につなげていくために取り組まなければならない

もっとも重要な課題が包括的で実態のあるナノテクノ

ロジーのパブリックエンゲージメントの活動である昨

今ナノテクノロジーの研究開発と並行して社会受容

パブリックエンゲージメントの活動の重要性が指摘され

るようになってきたしかしこの課題に関する解釈は

依然としてまとまりを欠いているだけでなく「こういっ

た課題への取り組みが大事である」といったことが最後

の部分に申しわけ程度に記述されている例も多々見受け

られる取り組んでいるという既成事実のために実体の

伴わないパブリックエンゲージメントの活動が進められ

ると将来的にナノテクノロジーへの信頼も失墜しかね

ない多様な課題を含む社会受容パブリックエンゲー

ジメントの活動には包括的な視点で具体的実践的に取

り組んでいく必要がある

ReferenceRoco M C amp Bainbridge W S 2001 ldquoSocietal

Implications of Nanoscience and Nanotechnologyrdquo

Kluwer Academic Publishers

Berube M B amp Roco M C(FRW) 2005 ldquoNano-Hype

The truth behind the nanotechnology buzzrdquo Prometheus

Books

イノベーションのハイプサイクル

「Mastering the Hype Cycle」J Fenn M Raskino

Harvard Business Press 2008

M Raskino J Fenn IT Management(ITM) ITM-09-

37 Research Note 2010 年 2 月 9 日

23

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【CO2 排出量】世 界 的 な 金 融 危 機 に も か か わ ら ず2009 年 の 化 石 燃料 由 来 の 二 酸 化 炭 素 排 出 量 の 減 少 は 小 幅 に と ど ま る

(20101122)国立環境研究所(国環研)

国環研はグローバルカーボンプロジェクト (GCP) が 11

月 22 日の Nature Geoscience 誌の電子版に調査結果を発

表すると速報したその内容は世界金融危機の経済的

影響にも関わらず2009 年における世界の化石燃料由来

の二酸化炭素排出削減量が予測値である 28を下回り

前年比 13にとどまったことで同じく GDP の減少も予

測値を下回っている

httpwwwniesgojpwhatsnew20102010112220101122html

【量子コンピューティング】量子コンピュータ実現への障壁を緩和する誤り耐性方式を開発 (20101124)日本電信電話(株)京都大学

量子コンピュータに必須な量子ゲートは確実に正しい演

算をすることはなくある程度の誤り確率をもつため量

子コンピュータを実現するためには演算の誤り訂正を行

う技術の実現が必須となる演算の誤り訂正を行うために

はある程度誤り確率の低い量子ゲートが必要であると考

えられてきたが今回共同研究チームは誤り確率が非常

に高い量子ゲートを用いても量子計算が可能となる誤り耐

性のある量子計算方式を世界で初めて示した

httpwwwnttcojpnews20101011101124ahtml

【光電変換】ナノギャップ光アンテナにより高効率化した有機超薄膜による光電変換 

(20101122)物質材料研究機構北海道大学

NIMS と北大の共同研究チームは有機超薄膜型の光電変

換分子素子において光吸収電子伝達といった必要な機

能をもつ部品を連結した分子から成る単分子超薄膜を原

子レベルで表面制御した平滑な金電極面と金ナノ粒子で挟

み込むことによってナノギャップ型の光アンテナを導入

することに成功したその結果光アンテナ 1 つあたりで

光誘起電子移動反応が約 50 倍の効率に高まることを実

証した

httpwwwnimsgojpnewspress201011p201011220html

【EV】シンガポール政府と電気自動車の普及に関する覚書を締結

(201011 19)三菱自動車(株)

MMC はシンガポール政府と電気自動車(EV)普及のため

の活動に協力する内容の協定を締結したことを発表した

今回の活動はシンガポールの経済開発庁が中心となり

同国のエネルギー市場監督庁陸上交通庁との間で EV タ

スクフォースを組成し同国の EV 普及を目的としたユー

ザー向け補助金制度や充電インフラ整備などの検証を行う

ものこの活動の中でMMC は CCA を通じ 2011 年より

順次『i-MiEV(アイミーブ)』25 台を供給し実証走行

試験に協力していくhttpwwwmitsubishi-motorscompublishpressrelease_jp

corporate2010newsdetail4407html

【リチウム二次電池】リチウム二次電池の量産化実証工場が竣工 年間生産能力6 万 6000kWh (201011 18)三菱重工業(株)

リチウム二次電池事業への本格参入に向け長崎造船所内

に建設していた同電池の量産化実証工場が17 日竣工し

た年間生産能力は 6 万 6000kWh中型電池換算で約

40 万個に相当する今後各種実証技術に取り組み早期

の本格的な商業量産につなげていくとしている

プレスリリースより

CUTTING-EDGE TECHNOLOGIES

24

PEN

Nov

embe

r httpwwwmhicojpnewsstory1011184999html

【基礎科学物質の起源】動きがのろい冷反水素原子を 38 個も磁気瓶に閉じ込める物質と反物質の違いを知る手がかりとなる冷反物質研究が新段階に (201011 18)物質材料研究機構(NIMS)

NIMS は欧州原子核研究所(CERN)の国際共同研究グルー

プに参加し反物質の代表格である反水素原子を独自に

開発した八重極磁気瓶の中に 38 個も閉じ込めることに世

界で初めて成功した反水素原子の原材料である反陽子(陽

子の反粒子)と陽電子(電子の反粒子)を八重極磁場コ

イルとミラーコイルを組み合わせた磁気瓶の中に蓄積し

そっと混ぜ合わせて冷たい反水素原子を大量に生成した

反水素原子は電気的に中性の小さな磁石なので反水素原

子ができあがったころ(約 1 秒後)を見計らって電圧を

加え残存している反陽子と陽電子をことごとく排除した

その後磁気瓶の磁場を瞬時にゼロにすると磁気瓶内に

とどまっていた反水素原子は装置の壁に当たって消滅し

パイ中間子などのさまざまな粒子を放出するこれらの粒

子を磁気瓶を包む 3 枚の検出器で観測した結果捕捉し

ていた反水素原子を 38 個も確認することができた後述

するように同内容は理化学研究所からもリリースされたhttpwwwrikenjpr-worldinforeleasepress2010101118

indexhtml

【超伝導】ピセンのカリウムドープに伴う電子構造変化の直接観測 

(201011 17)岡山大学

岡山大学の研究グループはピセンおよびカリウムドープ

ピセンの電子構造を実験的に観測する事に世界で初めて成

功したカリウムドープピセンは芳香族炭化水素における

初めての超電導体であるがカリウムドープピセンの超電

導メカニズムまた超電導を誘起する電子構造は解明され

ていない研究グループは光電子分光法を用いピセンのカ

リウムドープに伴う電子構造変化を直接的に観測した結

果ピセンのカリウムドープに伴う電子構造変化を観測

芳香族炭化水素超電導体の超電導メカニズム解明および新

規超電導体探索の指針になると期待されるhttpwwwokayama-unetrenkeidocumentpdfpressrelease

press-101117pdf

【慣性力発電】慣性力(振動)発電技術を商品化 国内最大手エース社のバッグに慣性力発電ユニットを搭載 (201011 17)伊藤忠商事(株)

米国 CIIIS 社の持つ慣性力発電(振動発電)技術を用いて

人体の運動による振動で発電する慣性力発電ユニットを開

発した国内鞄最大手のエース株式会社がこの慣性力発

電ユニットを搭載したバッグの販売を行う

httpwwwitochucojpjanews2010101117html

【生物多様性】多様性進化の背景に『甲状腺機能低下』 (201011 16)東北大学

生物多様性の喪失は現在急速に進んでおり多様性の進化

維持機構を解明することは世界的な課題である生物多様

性の創出は多くの場合新規環境に生き物が侵出すること

によって始まるが生物が新規環境へどのように適応して

行くのかその過程については多くが未解明である東北

大学の研究チームはこのたび新規環境への適応に甲状腺

ホルモンの進化が重要であることを発見したhttpwwwtohokuacjpjapanesenewimgpressimgtohokuuniv-

press_20101116pdf

【ナノ物性】ナノスケールの鉄磁石を電界でコントロール

(201011 01)千葉大学

磁石の N と S 極は磁界を用いることでコントロールでき

るが千葉大学の研究チームはナノスケールの鉄の磁石の

極性をエネルギーの要らない電界でコントロールできるこ

とを見出したhttpwwwchiba-uacjppublicitypresspdf201020101102nano

pdf

【SOFC 関連材料技術】 画期的な電解質材料の開発に成功 固体酸化物燃料電池の商用化に一歩前進 (201011 18 )物質材料研究機構(NIMS)

NIMS の研究グループは電解質材料に必要とされる三つ

の要件イオン伝導性化学的安定性焼結性のすべてを

高いレベルで満足する2種類の材料を開発することに成功

したひとつは10 のプラセオジムを含むイットリウム

添加ジルコン酸バリウム(BZPY)でもうひとつは酸

化ニッケル (NiO) とイットリウム添加ジルコン酸バリウム

25

PEN N

ovember

(BZY) の混合粉末を固めた基板上にプレス成形された BZI

であるhttpwwwnimsgojpnewspress201011201011180

p201011180pdf

【レアアース】微生物でレアアースの回収が可能に バクテリアがレアアースを濃縮する現象を発見 (201011 17)広島大学高エネルギー加速器研究機構高輝度光科学研

究センター

共同研究グループは微生物の細胞表面では微生物が存在

しない周囲部分に比べてレアアースを高濃度に濃縮する現

象を見出したまたレアアースの中でも特に希少価値の高

い元素が選択的に濃縮することを発見その濃縮メカニズ

ムを放射光を用いたX線吸収法により明らかにした

httpwwwkekjpjanewspress2010RareEarthElementshtml

【はやぶさ】はやぶさカプセル内の微粒子の起源が判明(201011 17)宇宙航空研究開発機構

「はやぶさ」のサンプルキャッチャー室から特殊形状のヘ

ラで採集された微粒子を走査型電子顕微鏡にて観察および

分析した結果1500 個程度の微粒子を岩石質と同定した

更にその分析結果を検討したところそのほぼ全てが地

球外物質であり小惑星イトカワ由来であると判断するに

至った

httpwwwjaxajppress20101120101117_sac_hayabusapdf

【超伝導基礎科学】超伝導のメカニズム解明に大きな手がかり ルテニウム酸化物の電子の運動状態を選択的に可視化することに成功 電子対を形成する「のり」の起源を初めて解明

(201011 17)広島大学産総研

1994 年に日本で発見されたルテニウム酸化物超伝導体は

ユニークな超伝導状態を示しこれまで数多くの研究が行

われてきたがいまだにその超伝導のメカニズムは謎のま

まであった超伝導が生じるためには電子と電子を「のり」

で結びつけ「電子対」にする必要がある共同研究グルー

プは放射光の直線偏光特性を活用するため放射光の光

軸のまわりに回転可能な高分解能角度分解光電子分光装置

を開発しルテニウム酸化物超伝導体の超伝導機構解明に

重要な手がかりをつかんだ研究グループが開発した新装

置を用いることによりルテニウム酸化物超伝導体の異な

る運動状態にある電子を選択的に分離しながら精密に分

析することが初めて可能となったその結果物質の電子対

を形成するための「のり」として結晶を作っている原子

の振動が重要な役割を果たしていることその「のり」が

どのくらい強く働いているのか等が明らかとなった httpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101117

pr20101117html

世界最高性能基準光源を開発 安定高精度高速の三拍子そろった光信号の発生に成功 (201011 15) 情報通信研究機構(NICT)国立天文台(NAOJ)

NICT と NAOJ はNICT 独自の高消光比変調技術を利用

し精度を保ったまま周波数範囲を拡大する構成を提案し

たNAOJ の安定度向上技術による制御機能を組み合わせ

ることで世界最高性能の基準信号発生装置を共同開発

し100 ギガヘルツを超える高速信号の長距離伝送を実現

した本装置の方式により従来技術の課題であった安定

性周波数範囲精度の問題を解決した安定性は 2 台の

レーザを用いる従来方式に比べて 10 倍以上を実現し信

号の乱れを 30 万年に 1 秒以下とすることに成功したま

た精度は従来型変調器と比較し 1000 倍以上周波数範

囲は 4 倍を達成したhttpwww2nictgojppubwhatsnewpressh22101115101115

html

【基礎科学レーザ分光】電子の氷を光で融かす一瞬を捉える 光が有機物質を変える瞬間の超高速スナップショット (201011 15)東北大学自然科学研究機構分子科学研究所科学技術振

興機構(JST)

共同研究グループは光の照射によって有機物質の色や

電気伝導度が大きく変化する光誘起相転移現象の最初の瞬

間を捉えることに成功した電場と磁場の振動である光の

振動の3周期分に匹敵する極めて短いパルス光をポンププ

ローブ分光によって二次元有機物質における電荷秩序の

融解のダイナミクスすなわちldquo 電子の氷 rdquo が光によっ

てどのように解け絶縁体から金属へと変化するのかと

いう問題を明らかにしたものこの成果 12 月初めには米

国物理学会誌 Physical Review Letters オンライン版で公開

予定

httpwwwjstgojpprannounce20101117-2indexhtml

【熱電材料】水を使って絶縁体から効率のよい熱電材料を作ることに成

26

PEN

Nov

embe

r 功 希少毒性金属を含まない安価簡便な熱電材料創製に新たな道 (201011 15)科学技術振興機構 (JST)名古屋大学

熱電材料は熱を電気に変換することができることからエ

ンジンの排熱を利用して発電するハイブリッド自動車など

への応用が期待されているが従来の熱電材料はビスマ

スアンチモン鉛テルルといった希少毒性金属など

を含む問題があったJST 課題解決型基礎研究の一環とし

て名古屋大学の研究グループは水の電気分解を利用し

安くてありふれた絶縁体酸化物表面を大きな熱電効果を示

す金属へ変えることに成功した大量に水を含んだ多孔質

ガラスを新規に開発しこの多孔質ガラスを金属チタンと

チタン酸ストロンチウムに挟んで電圧を加えると水の電

気分解によって絶縁体のはずのチタン酸ストロンチウムの

表面に厚さ 3 ナノメートル以下の極めて薄い金属チタン酸

ストロンチウムが生成した通常の金属チタン酸ストロン

チウムに対して 4~5 倍高い電圧を示すことから従来の

熱電材料の約 2 倍の熱電性能が期待できる

httpwwwjstgojpprannounce20101117indexhtml

【基礎科学物質の起源】国際研究チーム反水素原子を瓶の中に閉じこめることに成功(20101118)理化学研究所

8 か国からなる研究チームは欧州合同原子核研究機関

(CERN)の装置を用いて加速器で反陽子と陽電子を作

成し磁場の中に閉じこめたのちに撹拌して反陽子と陽

電子1個ずつを結びつけ反水素原子を生成した反水素

生成後に余った反陽子と陽電子を取り除き反水素原子だ

けを特殊な瓶の中に封じ込めることに成功した計 38 個

の反水素原子が 02 秒間存在したことを確認反物質は

Dan Brown の小説「天使と悪魔」で非常に微量で爆発

を起こす材料として登場するしかし今回の手法では短

時間に消滅してしまい爆弾に使える量をためるのは不可

能だという17 日付の Nature Online 版に掲載

httpwwwrikenjpr-worldinforeleasepress2010101118 

【マックスウェルの悪魔実証】情報をエネルギーに変換することに成功 ldquo マックスウェルの悪魔 rdquo を実験により世界で初めて実現新規ナノデバイスの実現に期待 (201011 15)中央大学東京大学

微細加工技術とサブミクロンスケールのリアルタイム制御

システムを組み合わせ「マックスウェルの悪魔」と呼ば

れる科学史上の重要な概念を世界で初めて実験により実現

した これによって情報をエネルギーに変換できるこ

とを初めて示すとともに情報を媒介して駆動する新規ナ

ノデバイスの実現の可能性を示した マックスウェルの

悪魔は熱力学の根本に関わる概念でありこれを実現でき

た学問的意義は大きいまた科学者以外にもよく知られ

たテーマであり多くの人が興味を持つ話題でもある情

報を媒介して駆動する新規のナノデバイスを実現できる可

能性があり基礎的研究にとどまらずナノサイエンスで

の新しい制御法への応用が期待できるこの成果は 11 月

14 日に Nature Physics Online に公開された

Toyabe Sagawa Ueda Muneyuki and Sano

ldquoExperimental demonstration of information-to-energy

conversion and validation of the generalized Jarzynski

equalityrdquo

httpwwwsu-tokyoacjppresspress-2010-42html

詳細は中央大学 HPhttpwwwchuo-uacjpchuo-unewscontents_jhtmlsuffix=kampmo

de=topamptopics=12513

【基礎科学分子バネ】電子の出し入れで硬さが劇的に変わる分子バネを開発 たった 1 つの電子放出で分子全体の動きやすさが 450 倍も変化 (201011 15)理化学研究所科学技術振興機構(JST)

6 個の炭素原子が環状につながったベンゼン環は有機化

合物において最も基本的な構成ユニットの一つでありベ

ンゼン環をさまざまな形で結合させたものが盛んに研究さ

れてきたしかしベンゼン環を隣り合う炭素の位置で結

合させたオルトフェニレンは単純な構造でありながら合

成が難しいためこれまでほとんど研究がなされておらず

その性質は解明されていなかった理化学研究所の研究グ

ループはベンゼン環 48 個を隣り合った炭素の位置で結

合させたオルトフェニレンを世界で初めて合成したオル

トフェニレンは3 つのベンゼン環が 1 ピッチのらせんを

形成するバネ状の構造をしているがこのようなバネ状の

構造を持った分子はさまざまな機能を発揮するためエ

レクトロニクスや分子機械への応用の可能性が高まってい

る研究グループはこのバネ状分子から電子を 1 つ取

り去るとバネの硬さが劇的に増してらせんの反転速度が

約 450 分の 1 も遅くなることを突き止めたまたこの

1 個の電子の出し入れに応じてバネのピッチが 3263Aring か

ら 3224Aring と変化したこれまで電子が高密度に含まれ

た分子バネは電子を出し入れすることでその振る舞いが

変化することが理論上予想されていたがこのように電子

を多量に含む分子バネの合成は難しく実験的にも証明さ

れていなかった硬さの変化というこれまで実現すること

27

PEN N

ovember

ができなかった応答をする分子バネの登場は応答性分子

の分野に新たなコンセプトをもたらすと注目される本研

究成果はJST 戦略的創造研究推進事業 発展研究 (ERATO-

SORST)「分子プログラミングによる電子ナノ空間の創成

と応用」の一環として行われたものhttpwwwrikenjpr-worldinforeleasepress2010101115

indexhtml

【自己組織化基質選択的会合】分子間の特異的な相互作用による新規材料集積法を開発 分子が好みの分子を見分けて接着 (201011 15)大阪大学科学技術振興機構(JST)

近年分子認識を利用して分子と分子を非共有結合でつな

げることによりさまざまな超分子錯体が合成されさらに

これらを自己集合させる研究が行われているこれらの研

究において形成される集合体は分子の大きさであるナノ

メートルからマイクロメートルの極めて小さなもので高

倍率の顕微鏡を使わなければ見えない分子認識に基づい

て手軽に使えるくらいの大きな自己組織体を作り出すこと

はナノテクノロジー分野において分子を自己組織化さ

せて機能性材料を創製する上で重要な課題であった大阪

大学の研究グループはホスト分子としてシクロデキスト

リンをゲスト分子としてシクロデキストリンが結合する

化合物を用いてそのホスト-ゲスト相互作用を利用して

多様な自己組織化超分子ポリマーの構造体を作りマクロ

スケールで機能を発現させる研究を進めている今回D

NAやタンパク質の分子量決定に広く用いられるアクリル

アミドゲルを土台にしてこのゲルにシクロデキストリン

とゲスト分子をそれぞれ別々に導入し「ホストゲル」と

「ゲストゲル」を合成したこの両者を水中で振動させる

とゲルが接着する挙動が観察されミリメートルからセン

チメートルの大きさの物体を分子認識により自己集積でき

ることを世界で初めて実証したさらにシクロデキストリ

ンとゲスト分子との相互作用の強さの違いによって選択的

に特定のゲル同士を接着させることができることがわかっ

httpwwwjstgojpprannounce20101115indexhtml

【ブタノール分離膜】バイオブタノールの省エネルギー型膜分離精製技術を開発1 wt ブタノール水溶液から80 wt 以上の高濃度ブタノールの回収が可能 (201011 15)産総研

産総研は1 wt 程度の希薄なブタノール水溶液からゼ

オライト系分離膜を用いて 80 wt 以上に濃縮したブタ

ノールを回収できる省エネルギー型のバイオブタノール精

製技術を開発した ブタノールはエタノールと比較して

発熱量が大きいことから地球温暖化対策に貢献できる再

生可能なバイオ液体燃料すなわちポストバイオエタノー

ルとして期待されている今回合成条件の最適化を進め

高いアルコール選択透過性をもつシリカライト分離膜を合

成し膜分離法によって低濃度ブタノール水溶液から高

濃度ブタノールの回収が可能となった従来の分離膜を用

いた場合に比べてブタノール回収のためのエネルギーを

50 ~ 70 程度低減できることが期待される httpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101113

pr20101113html

【分子生物学】 化学合成したペプチドからウイルスの殻構造を組み上げることに成功 新規ナノ材料や医療材料としての応用に期待 (201011 12) 九州大学北九州市立大学

共同研究グループは化学合成したペプチドから約 40 ナ

ノメートルのウイルスの殻構造を組み上げることに世界で

初めて成功した球状の植物ウイルスから遺伝子を除いた

キャプシド構造と呼ばれる殻構造は決まった大きさのナ

ノ空間であることからナノ物質の反応器や運び手として

利用する研究が国内外で盛んに行われているしかしこ

れまでウイルスのキャプシド構造を得るにはウイルス

の遺伝子をバクテリア内に導入して生産させる必要があっ

た本研究では遺伝子やバクテリアを用いない完全化学

合成によってウイルスキャプシドを構築することに成功

した今回ウイルスの殻構造を簡単なペプチドから構築

できたことで様々な機能性ウイルスキャプシドを人工的

に創成する道が拓けたと言えるこのペプチドからなるナ

ノカプセルに適切な化学修飾を施すことによりナノ物質

合成のための反応器や医薬品の運び手人工ワクチンを

創成するための足場材料として応用できるものと期待され

るhttpwwwkyushu-uacjppressrelease20102010-11-12-04pdf

【レアメタル】レアメタル使用量削減技術の実用化を加速(20101110)新エネルギー産業技術総合開発機構 (NEDO)

NEDO はレアアース総合対策の一環として企業が取り

組むレアメタル使用量削減技術の実用化を加速するための

助成事業(事業規模約 100 億円)を 2010 年度補正予算

の成立を前提に行うこの助成事業では短期間で実用化

が期待できる以下の技術開発を対象として①レアメタル

28

PEN

Nov

embe

r を代替する材料の技術開発 ②レアメタルの使用量を削

減する技術開発 ③レアメタルのリサイクルを促進する

技術開発 ④その他のレアメタル消費の削減に資する技

術開発を行うhttpapp3infocnedogojpinformationskoubopressEFnedopre

ss2010-11-068550095069

【導波路型光スイッチ】光スイッチの消費電力を従来の 2 分の 1 に低減 増え続けるネットワーク機器の消費電力問題を解決 (201011 09)( 株 ) 富士通研究所

同社はシリコンフォトニクス技術を適用した導波路型光

スイッチについて世界で初めてシリコンゲルマニウム

(SiGe)細線構造を用いることで従来のシリコン細線構

造に比べて消費電力を約 2 分の 1 に低減することに成

功した幅広い波長に対応して高速に動作できるタイプの

光スイッチ素子としては世界最小の消費電力を実現して

いるhttpprfujitsucomjpnews2010119html

【ナノ構造機能】昆虫が足を擦る秘密をナノテクノロジーで解明 生体模倣による新しい材料機能の開発に活用 (201011 09)物質材料研究機構マックスプランク研究所キール大

共同研究チームは環境問題で循環型社会実現に求められる

「接着と分離」を繰り返せる未来の接合技術の開発研究に

おいてガラスのような平坦な表面を逆さまでも歩行でき

る昆虫の足の裏の優れた接着性に着目し昆虫(ハムシ)

の歩行調査を行いナノテクノロジーを用いた実験により

昆虫が摩擦により汚れを感じていることを突き止めた

httpwwwnimsgojpnewspress201011p201011090html

【超音波流量計半導体プロセス】極微量な流量を精密に測定できる超音波流量計を開発 半導体製造装置の性能を向上させ環境負荷を低減しランニングコストを削減 (201011 09)産総研( 株 ) アツデン東京計装 ( 株 )

3 者は共同で10 mLmin( 誤差plusmn 01 mLmin) 以下の極

微量な流量を精密に測定できる超音波流量計を開発した

この流量計は超音波ガイド波の伝搬に関する基礎理論の

見直しを行い超音波を高周波化し設計を最適化するこ

とにより開発したものでこれまでの超音波流量計では計

測できなかった微小な流速領域での流量測定ができるこ

の超音波流量計は半導体製造装置で利用される薬液の高

精度な制御を可能にし半導体製造装置の高性能化環境

負荷の低減ランニングコスト削減へ貢献すると期待され

る httpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101109

pr20101109html

【研究交流】中国上海における国際交流事業の実施同済大学と大学間学術交流協定を締結 (201011 08)大阪大学

10 月 21 日上海において開催した上海教育研究センター

開所式記念講演会祝賀会には鷲田清一総長をはじめ

とする大阪大学教職員中国の学術交流協定校関係者大

阪大学同窓会会員など約 130 人が列席し盛況の内に終

了した翌 22 日23 日には第 15 回大阪大学上海交

通大学学術交流セミナーが上海交通大学情報ネットワーク

センターを主会場として開催され7つの研究会に約 100

人が参加したさらに 23 日と 24 日の両日上海東亜展

覧館を会場に開催された中国国際教育展に大阪大学のブー

スを出展し100 人を超える留学相談者が本学のブースを

訪れた翌 10 月 22 日鷲田清一総長は上海市内にある

同済大学を訪問裴学長陳副学長ほか大学関係者と懇談

するとともに大学間学術交流協定及び学生交流覚書の調

印式に臨んだこれにより中国の大学との 10 番目の協定

が成立したhttpwwwosaka-uacjpjanewstopics20101120101108_1

httpwwwosaka-uacjpjanewstopics20101120101108_2

【高耐久性セラミック】激しい熱変化にも強度劣化しない窒化ケイ素系セラミックスを開発 窒化ホウ素の微粒子を分散させ耐熱衝撃性を飛躍的に向上 (201011 08)産総研三井金属鉱業(株)

両者は共同で従来品に比べて耐熱衝撃性と高温での強度

を飛躍的に高めた窒化ケイ素系セラミックスを開発した

今回窒化ケイ素(Si3N4)をベースとして高い熱伝導

率をもつ粒界相を形成させるとともにそこに非晶質に近

い窒化ホウ素のナノメートルオーダーの微粒子を分散させ

ることで耐熱衝撃性を飛躍的に向上させた従来の窒化

ケイ素が 1000 の温度差で強度が低下するのに対して

今回の開発材は電気炉で 1400 に加熱した後水中に投

下することを 10 回繰り返してもほとんど強度が劣化しな

かったまたこの開発材について大気中 1200 で高温

29

PEN N

ovember

曲げ試験を行ったところ室温と同程度の強度を保持して

いたセラミックスでは大型化すると小試験片では得られ

た特性が得られず実用化を進める上での課題になること

が多いがこの開発材では焼結条件を最適化することに

よって直径 82 mm 長さ 370 mm の比較的大型の部品で

も試験片と同様の組織物性が得られたまた実際の

製品形状に近い部品の焼成も可能となったhttpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101108

pr20101108html

【ミリ波発信器】ミリ波帯無線通信の実用化にめど 世界最高性能の低雑音局部発振器を開発 (201011 08)東京工業大学

東工大の研究グループは雑音を従来の 100 分の1以下

に低減したミリ波帯局部発振器を開発した20GHz 帯の

発振器と 60GHz 帯の注入同期型直交局部発振器を組み合

わせることにより世界最高の低位相雑音性能を達成した

無線通信の周波数帯ひっ迫を解消する技術として 60GHz

ミリ波帯の利用が注目されているがミリ波帯ではコイル

やコンデンサの損失が大きくなり位相雑音特性が劣化す

るのがネックだった今回はこれを解決したものでミ

リ波無線通信の実用化につながる成果発振器は 65 ナノ

メートルのシリコン CMOS プロセスを利用して試作した

580GHz から 636GHz の周波数範囲で 4 相正弦波出力が

可能でこの発振器により10Gbps(毎秒 100 億ビット)

以上の超高速ミリ波帯無線通信の実現が期待されるh t t p w w w o l d t i t e c h a c j p t o k y o - t e c h - i n - t h e - n e w s j

archives2010111289174400html

【炭素繊維応用】住宅向け外装材「炭素繊維補強サイディング」の本格展開について 優れた強度と耐熱寸法安定性で 15 年の基材保証を実現 (20101105)東レ ACE(株)

東レの子会社東レ ACE は炭素繊維で補強した窯業系サ

イディングを開発し本格販売と市場展開を開始する「炭

素繊維補強サイディング」はセメント質原料に炭素繊維

を添加配合して成型固着させた建物外壁用のセメントボー

ドで従来の窯業系サイディングの優れた防耐火性耐久

性等を維持しつつ更なる強度補強効果や火災高温時の

変形や熱収縮によるひび割れの抑制など耐熱寸法安定性

も向上させることで基材 15 年保証を実現する 本製品

に使用している炭素繊維は軽くて強く優れた高温特性や

耐熱性を有し非常に細い繊維を多く配合できることから

外装材としての強度補強効果も期待できるとしている

httpwwwtoraycojpnewsaffilnr101105html

【光ファイバーナノインプリント】ナノ格子反射防止表面光ファイバー先端に形成ナノ技術で安く製作 (20101105)東北大学

東北大の研究グループは微小な窪みが多数形成された反

射防止構造体を光ファイバーの先端に製作する技術を開発

した光ファイバーは光通信や光分析装置の構成部品とし

て使われており光源受光素子やレンズなどの光部品と

の接続損失を減らすために先端に反射防止膜が形成され

ている従来の反射防止膜は真空装置を使って薄膜を付け

るためコストが問題であった研究グループはナノイン

プリント技術を用いて光ファイバー先端のコア部に 270

ナノメートル間隔で微小な円錐状の窪みを形成し反射損

失を低減することに成功したナノインプリント技術は

基板に塗布したポリマーに原版を押し付けて微細パターン

を転写する技術で高価な露光装置や真空装置が不要なた

めナノ構造を安価に製作することができる今回光ファ

イバー先端にナノ構造を製作するために専用のナノインプ

リント装置を開発した窪みの間隔が光の波長よりも小さ

い場合屈折率が変化し反射波が生じにくくなる反射

率や波長帯域は窪みの形状間隔や高さで決まり従来

の反射防止膜よりも設計の自由度が高いため要求に合わ

せて種々の反射防止表面を製作することが可能 httpwwwtohokuacjpjapanese201011press20101105-2

html

【人工筋肉機能材料】光を運動エネルギーに変える新高分子素材の開発に成功 世界で初めて分子を大面積で 3 次元的に配列させ新機能を実現 (20101105)理化学研究所

光で変形したり電子を流すなどの機能を持った分子を人工

的に規則正しく大面積で集積することができると機能性

材料の性能向上や革新的新機能の発現につながるそのた

め世界中で精力的に開発が行われているがこれまで実現

させた例はなかった理化学研究所の研究グループは光

で構造が変化するアゾベンゼン分子を組み込んだブラシ状

の高分子「ポリマーブラシ」を大面積で 3 次元的に一挙

に配列させる手法の開発に初めて成功したこの規則性の

ある 3 次元集積構造は延伸したテフロンシートにポリ

マーブラシを挟み込みアイロンに似た熱と圧力を加える

といういたって簡単な操作で実現したさらにこのフィ

30

PEN

Nov

embe

r ルムに光を当てるとアゾベンゼン分子の構造変化が一方

向に集約しフィルムが湾曲するという巨視的変形を引き

起こすことを見いだしたすなわちこの新しいフィルム

は光エネルギーを運動エネルギーに変換する機能を持って

おり新たな人工筋肉材料などへの展開が期待されるま

た本技術は有機薄膜太陽電池をはじめとする次世代の機

能材料の開発にも革新をもたらすと期待されるhttpwwwrikenjpr-worldinforeleasepress2010101105

indexhtml

【リチウムイオン電池正極材料】常温プロセスで全固体薄膜リチウムイオン電池の試作に成功 エアロゾルデポジション法による蓄電池製造の新工法開発を本格化 (2010115)産総研

産総研はトヨタ自動車 ( 株 ) と共同で産総研が開発し

たセラミックス材料の常温高速コーティングプロセスであ

るエアロゾルデポジション (AD) 法を用いて酸化物系の

正極材料負極材料固体電解質材料を薄膜積層化して

金属基板上に 3 層構造からなる全固体薄膜リチウム (Li) イ

オン電池を試作蓄電池としての充放電特性を世界で初め

て確認した 従来型の薄膜技術とは異なりAD 法を用い

ると基板の加熱が不要でまた厚膜化も容易であるそ

のため成膜時間が大幅に短縮でき蓄電池の生産性向上

やプロセスコストの大幅な低減が期待される今後は AD

法を用いた本格的な全固体電池の共同開発を進めていく httpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101105

pr20101105html

【記録デバイススピントルク素子】次世代超高密度 HDD に向けたマイクロ波アシスト記録の基本技術を開発 磁気ヘッドに搭載可能なスピントルク素子を用いた磁気情報の書き換えを確認 (2010115)新エネルギー産業技術総合開発機構(NEDO)(株)日

立製作所

NEDO はハードディスク装置(HDD)の開発製造会社で

ある日立グローバルストレージテクノロジーズの協力を得

て従来の磁気記録方式の限界を超えHDD の記録密度

を飛躍的に伸ばす方式として期待されているマイクロ波ア

シスト磁気記録方式の基本技術を開発しその原理を実験

的に確認したマイクロ波アシスト記録では記録媒体の

小領域にマイクロ波帯の高周波磁界を加え磁気情報の書

き込みを容易にする今回開発したのはヘッドに搭載可

能な高周波磁界を発生するスピントルク発振素子でこの

素子を用いて記録媒体上に磁気情報を記録できることを実

験的に確認したこれまで外部のマイクロ波発生装置を

用いたマイクロ波アシスト効果の報告例はあったが今回

微細な発振素子を用いた磁気情報の記録を確認できたこと

により将来この素子を記録ヘッドに搭載しマイクロ波

アシスト記録を実用的に行える可能性が示されたhttpapp3infocnedogojpinformationskoubopressEFnedopre

ss2010-11-029718160145

【基礎科学物性】絶縁体が金属に変わる新原理の解明 超伝導素子や熱電変換素子の開発へ道(20101104)東北大学

東北大学原子分子材料科学高等研究機構の研究グループ

は高品質酸化物薄膜において電気が流れにくい絶縁体

状態から流れやすい金属状態への遷移機構を解明した材

料における電気の流れやすさは電気を流す担い手である

伝導キャリアが物質中にどれだけ含まれるか伝導キャリ

アがどれくらいスムーズに動きまわれるかによって決ま

るつまり伝導キャリアの濃度を増やしたり材料中で

伝導キャリアの動きを妨げる原因になるひずみや欠陥を少

なくすると電気はより流れやすくなる本研究では人

工宝石として知られるチタン酸ストロンチウム (SrTiO3)

の絶縁体を用い伝導電子を生み出すキャリア供給層を

SrTiO3 絶縁体間に挟み込んだ絶縁体層 キャリア供給層

絶縁体層の層状界面構造をもつ高品質超格子構造を作製す

ることで絶縁体層の体積を増加させると反対に電気が流

れやすい金属状態になる現象を発見した最新の電子顕微

鏡技術を用いた原子構造解析と電子状態の理論計算を駆使

して絶縁体を増加させると界面で結晶のひずみが少なく

なり高導電化することを解明した本研究が明らかにした

界面での結晶のひずみを制御することによって絶縁体を金

属状態へ変化できる現象は様々な材料でも普遍的に起こる

と考えられ絶縁体から金属へ変わる境目で性能が向上す

る新超伝導体や新熱電材料の開発に展開することが可能と

期待されるhttpwwwtohokuacjpjapanesenewimgpressimgtohokuuniv-

presspdf

【環状高分子】様々な環状高分子の自在な合成に成功 「かたち」に基づく機能開発に期待(2010112)東京工業大学

東工大の研究グループはこれまで困難とされてきた

種々の含環状高分子の選択的な合成に成功した同研究

グループで開発された単環状高分子合成プロセスである

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Electrostatic Self-Assembly and Covalent Fixation Process

と有機合成化学の新手法であるクリックケミストリー

を組み合わせることで様々な「かたち」の自在な構築

を達成した本手法の開発により近年注目を集めてい

る「かたち」に基づいた高分子物性の探索を加速させる

ものと期待されるhttp wwwo ld t i t e ch ac j p tokyo - t ech - in - the -news j

archives2010111288656000html

【異分野連携オープンイノベーションモデル】応用脳科学コンソーシアム 脳科学及びその周辺領域の学術知見を活用したオープンイノベーションモデルの研究活動を開始 異業種の民間企業と異分野の脳科学研究者が連携し事業性の高い研究テーマを推進 (2010111)アサヒビール(株)(株)NTT データ積水ハウス(株)

(株)竹中工務店帝人(株)凸版印刷(株)日産自動

車(株)(株)博報堂(株)NTT データ経営研究所

NTT データ経営研究所が日本神経科学学会の協力を得て

2010 年 10 月 1 日に創設した「応用脳科学コンソーシア

ム」においてそれぞれの事業活動に関連する独創性の

高い研究テーマについて複数の「応用脳科学 RampD 研究会」

を立ち上げるRampD 研究会では各 RampD 研究会を設置

した特別会員企業が各テーマに関連の深い脳科学及び

その関連領域の研究者を招聘し異業種である他の会員

企業とともに最新の研究知見を活用してオープンイノ

ベーションモデルの研究活動を実施する各社が設置す

る RampD 研究会は現時点で(1)おいしさの総合評価研究

会(アサヒビール)(2)ヘルスケア脳情報クラウド研究

会(NTT データ)(3)インタラクティブ住環境研究会(積

水ハウス株式会社)(4)コミュニケーション空間研究

会(竹中工務店)(5)メディアエンゲージメント研究

会(博報堂)この他の RampD 研究会については今後随

時応用脳科学コンソーシアムのウェブサイト httpwww

keieikencojpcan で公開予定

httpwwwnttdatacojprelease2010110101html

【レーザ技術基礎光物性】熱を加えずに結晶を柔らかくすることに成功 高強度テラヘルツ電磁パルスで分子ネットワーク操作が可能に 

(2010111)京都大学科学技術振興機構(JST)

京都大学はテラヘルツ電磁パルスと呼ばれる新しい光

を物質に照射することで1兆分の1秒の短い時間で結

晶中の分子を大振幅で揺さぶり熱平衡状態では実現で

きないような分子変位を実現することに世界で初めて成

功した実験結果は結晶が実効的にやわらかくなったこ

とを意味するものでさらに強いテラヘルツ電磁パルス

によって高効率で結晶を融解させることを示唆するこ

れは熱による反応を起こすことなく新しい分子間のネッ

トワークやたんぱく質などの巨大分子の立体配位を操作

できることを示しており化学合成における反応促進や

創薬における有機分子結晶の精製での活用が考えられる

今回の成果は JST 戦略的創造研究推進事業日本学術振

興会学術創成プロジェクト「動的相スイッチ機構を内在

する有機電子材料の開拓と非平衡物性科学への展開」お

よび京都大学グローバル COE プログラム「普遍性と創発

性から紡ぐ次世代物理学」によるものhttpwwwjstgojpprannounce20101101indexhtml

【高周波デバイス】透 明 な 高 周 波 デ バ イ ス 見 え な い ア ン テ ナ へ の 道

(20101028)物質材料研究機構太陽誘電(株)

両者は共同で透明な高周波デバイスを製造するための

基本技術である微細な金属配線と酸化物透明導電体から

なるハイブリッド構造を開発した本技術は不透明で

あるが高い伝導性を示す金属と透明ではあるが金属の

100 分の 1 程度の伝導率にとどまる酸化物透明導電体と

を組合せ両者の特性を相補的に活用することにより

透明でありかつ携帯電話をはじめとする無線デジタ

ル通信に用いられるギガヘルツ帯の高周波に対して高い

伝送特性を示す素子構造を実現した

httpwwwnimsgojpnewspress201010p201010280html

【エコ製品環境経営】COP10 に向けた環境配慮型製品技術の取り組み ポリ乳酸繊維 ldquo エコディア rdquo 使用商品の提供や連携事業「メッセナゴヤ 2010」への出展を通じ環境保全の取り組みを強化 (20101028)東レ ( 株 )

同社は10 月 11 日 ( 月 ) から 29 日 ( 金 ) に開催された

生物多様性条約第 10 回締約国会議 (COP10) に向けて

ポリ乳酸繊維 ldquo エコディア rdquo 使用商品の提供などを通じて

環境に配慮した運営に協力したまたCOP10 の連携事

業である環境エネルギーをテーマとした展示会「メッ

セナゴヤ 2010」に出展し環境に配慮した次世代自動車

や最先端航空機向けの先端材料を紹介した

httpwwwtoraycojpnewsfibernr101028html

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NEWS POD 著作権の関係で記事のタイトルと詳細内容は標記できませんので簡略に表示しています詳しい内容に関しては各新聞及び雑誌をご覧ください

ナノテクノロジー

研究開発最前線

20101122 日 刊 工 業 新 聞 News

ウェーブ 21

X 線レーザー

20101121 東京読売新聞

新潟ナノテク研究会

20101120 日本経済新聞

ナノテクとバイオ

20101120 下野新聞

バイオ起業

20101119 朝日新聞

ナノ粒子の構造制御

20101119 日刊工業新聞

水素原子観察

20101119 科学新聞

光ファイバー関連技術

20101119 科学新聞

希少金属対策

20101118 日刊工業新聞

熱電材料

20101117 日経速報ニュース

化学合成でナノ構造

20101117 日経産業新聞

つくばナノテク研究拠点への投資

20101117 日刊工業新聞

分子バネ

20101116 日経速報ニュース

ナノバイオ融合

20101116 日経産業新聞

フレンドオブアースのナノテク評

20101116 エコロジーエクスプレス

クラスターテクノロジー

20101112 産経新聞

実用化助成

20101111 日刊産業新聞

接着のメカニズム

20101110 日経産業新聞

電子材料

20101110 日経産業新聞

ナノ磁石

20101110 東京新聞

高分解能放射線検出器

20101110 化学工業日報

電池電極材料

20101108 日本経済新聞

食の安全性

20101108 日経エコロジー

ナノ磁石実用化

20101105 朝日新聞

ナノテク接着剤

20101105 日刊工業新聞

水素原子の観察

20101105 日刊工業新聞

補正予算案

20101105 科学新聞

ナノ磁石

20101104 日本経済新聞

ナノボーグ

20101104 日刊工業新聞

ITO 電極代替技術

20101104 鉄鋼新聞

レアアース代替材

20101103 日本経済新聞電子版

セクション

ナノ鉄磁

20101103 毎日新聞

有機トランジスタ

20101101 日 経 速 報 ニ ュ ー ス

アーカイブ

有機トランジスタ

20101101 日経産業新聞

ナノムービー

20101101 日経サイエンス

低燃費タイヤ

20101030 朝日新聞

筑波大生命科学研究拠点

20101030 茨城新聞

レアアース代替材

20101029 日経産業新聞

播磨地域

20101029 化学工業日報

ナノ粒子操作

20101029 科学新聞

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NEWS POD 著作権の関係で記事のタイトルと詳細内容は標記できませんので簡略に表示しています詳しい内容に関しては各新聞及び雑誌をご覧ください

中国新5カ年計画

20101028 日本経済新聞

高機能消臭素材

20101028 化学工業日報

環境規制等

終わりの科学

20101201 日経サイエンス

電気自動車の覇権

20101123 週刊エコノミスト

環境規制対応

20101122 日経産業新聞

温暖化ガス排出枠

20101122 日経産業新聞

ロス自動車ショー

20101119 日経産業新聞

EV と環境規制

20101119 朝日新聞

EV

20101119 東京新聞

環境と法規制

20101119 化学工業日報

トヨタとテスラ

20101118 読売新聞速報ニュー

CO2 排出量削減

20101118 日経産業新聞

カリフォルニア州環境規制と EV

20101112 日本経済新聞

環境規制

20101112 日本経済新聞

環境規制

20101112 日経産業新聞

米韓 FTA

20101112 朝日新聞

米韓 FTA

20101112 毎日新聞

顔料

20101112 化学工業日報

レアメタル供給規制

20101111 日本経済新聞

潮冷熱

20101110 日本経済新聞

レアアース生産と環境規制

20101108 ダウジョーンズ中国企

業ニュース

韓米FTA

20101101 中央日報

科学技術政策

競争的資金制度

20101122 日本経済新聞

科学技術関係補正予算案 

20101122 THE DOCTOR

韓国 KIST

20101121 朝鮮日報

科学技術政策

20101119 日本経済新聞電子版

セクション

科学技術政策

20101118 日本経済新聞

科学技術政策

20101118 日経産業新聞

女性研究者

20101117 日経速報ニュース

科学技術予算

20101114 東京読売新聞

トップ1論文

20101112 科学新聞

中国特許強国に

20101112 新華社ニュース

関経連と科学技術政策

20101110 産経新聞 

科学技術産業一体政策

20101109 日刊工業新聞

優れた論文の条件

20101105 毎日新聞

「焼け太り許さぬ」

20101102 朝日新聞

国の研究開発投資目標

20101029 日刊工業新聞

科技政策で提言

20101027 日経産業新聞

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科学への信頼に関する読者調査

20101201 日経サイエンス

「カップリング反応」アニメ化

20101110 朝日新聞東京読売

新聞他

科学と社会つなぐ人材

20101025 東京新聞

NEWS POD 

情報誌 PEN 購読のご案内PEN の継続的な購読をご希望の方は下記のメールアドレスまでお名前ご所属メールアドレスをご記入の上ご連絡ください登録配信は無料ですnano-penmaistgojp

PEN は原則月 1 回配信しますバックナンバーと PEN の前身【AIST-TOKYO ナノテク情報】をナノシステム研究部門ホームページにて公開しています httpunitaistgojpnrinano-planindexhtml

PEN は皆さまとの情報共有を目的としていますお持ちの情報で共有すべきものがあれば nano-penmaistgojp までお寄せ下さい

いただいた個人情報は産総研 個人情報保護方針(プライバシーポリシー)に基づき大切に管理し情報誌 PEN の運営と私達のイベントのご案内のみに使用させていただきます

科学技術コミュニケーション

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イベント案内

[産学連携研究開発]大阪大学ナノ理工学人材育成産学コンソーシアム 第 3 回ナノ理工学情報交流会場所大阪大学中之島センター 7 階 講義室 3(講師来訪)

   大阪大学東京オフィスサテライト教室

(遠隔講義配信)

   四日市商工会議所内サテライト教室

(遠隔講義配信)については調整中です

コンソーシアム HP にてご確認ください

   ナノテク社会人教育プログラムの開講をされてい

る場合遠隔講義配信に対応可能です事務局まで

ご連絡ください

日時2010 年 12 月 10 日(金)1330 ~ 1900 頃

主催大阪大学ナノ理工学人材育成産学コンソーシアム 

概要ナノ理工学人材育成産学コンソーシアムでは活動

の一環として産学連携のきっかけを提供すべく企業と

大学の双方からテーマに即した研究開発やトピックを紹介

し会員同士の意見交換と情報共有の促進をはかっていま

す第 3 回目となる今回は「光を用いたナノテクノロジー

の新展開」をテーマに開催しますプログラムなどの詳細

は下記の HP をご参照下さい

参加費コンソーシアム会員学生及び大阪大学教職員は

無料(コンソーシアム企業会員の場合社内から何名でも

無料で参加が可能です)

上記以外の方は資料作成費 1000 円が必要になります

参加登録氏名所属連絡先懇談会への出欠を記載の

上メールにて大阪大学ナノ理工学人材育成産学コンソー

シアム事務局(nano-consnanoscienceorjp)へお申込み

下さい

httpwwwnanoscienceorjp

[コミュニケーション]科学コミュニケーション研究会 第 1 回関西支部勉強会日時2010 年 12 月 2 日 1800 ~ 2000

場所京都大学 吉田泉殿

主催科学コミュニケーション研究会 関西支部有志

概要大阪教育大学科学教育センターの中矢史雄氏を講師

に招きオーストラリアの科学技術コミュニケーションに

ついてオーストラリア国立大学科学意識向上センター

での経験なども交えてお話いただきます定員は 25 名で

す事前申し込みが必要です

httpbitlybPmTP9

[展示会]セミコンジャパン 2010日時12 月 1 日~ 3 日

場所幕張メッセ

主催SEMI

概要国内外の最新のマイクロエレクトロニクス技術に関

する情報を入手することのできる世界最大の半導体製造装

置材料展です

httpwwwsemiconjapanorgjaindexhtm

[知財]アジア特許庁シンポジウム日時2010 年 12 月 3 日(金)930 ~ 1210

場所ホテル日航奈良 飛天の間

主催特許庁

概要日本中国韓国インドネシアマレーシアシ

ンガポールの特許庁幹部を招き各国の知財保護強化の取

組みやアジアにおける知財協力を紹介しますまたパ

ネルディスカッションを設けアジアにおける人材育成協

力の方向性について議論します

httpwwwintergroupjp~convasia

[人材育成]応用物理学会 人財育成シンポジウム -日本の危機を科学が救うそのためのリーダー育成を考える-日時2010 年 11 月 29 日(月)1000 ~ 1710

場所東京工業大学デジタル多目的ホール

主催応用物理学会

概要急速に進むグローバル化に対応のできる人材を育成

するための課題や応用物理学会が貢献することのできる

具体的な取り組みについて議論します

イベント案内へ掲載を希望される方は nano-penmaistgojp までご一報ください

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r h t t p w w w j s a p o r j p a c t i v i t i e s e d u c a t i o n

symppt2010symphtml 

[コミュニケーション]科学技術とメディアのより良い関係に向けて日時11 月 26 日 1815 ~ 2030

場所早稲田大学大隈小講堂

主催サイエンスメディアセンター(SMC)

概要英国オーストラリアのサイエンスメディアセ

ンターの関係者米国のサイエンスコミュニケータを交え

て研究者とメディアの有益な関係性構築に向けた取り組

みについて議論します参加費は無料同時通訳がつきま

httpsmc-japanorgp=403 

[異分野連携]医学領域と工学領域連携研究シンポジウム ‐ 未来を拓く医工連携 ‐日時2010 年 11 月 27 日(土)

場所山口大学医学部第 3 講義室

主催日本学術会議中国四国地区会議山口大学

概要がんの個別化医療をメインテーマにこれからの医

工連携のあり方について講演と議論を行います

httpwwwscjgojpjaeventpdf100-t-3pdf 

[人材育成]マイクロナノエンジニアリング シンポジウム ‐ イノベーションと人材育成 ‐日時2010 年 12 月 8 日(水)1300 ~ 1700

場所日本学術会議 講堂

主催日本学術会議 マイクロナノエンジニアリング分

科会日本機械学会 マイクロナノ工学専門会議

概要学際的分野であるマイクロナノエンジニアリング

は大学大学院における教育の整備関連する産業界

学術界での研究開発における分野融合的な取組みが不可欠

です本シンポジウムでは人材育成を軸とした課題につ

いて議論します

httpwwwscjgojpjaeventpdf100-s-3-1pdf

[ 博物館展示 ]自然に学ぶ ネイチャーテクノロジーとライフスタイル展開催中です

場所国立科学博物館 (東京上野公園)

日時2010 年 10 月 26 日~ 2010 年 2 月 11 日

主催東北大学大学院環境科学研究科国立科学博物館

特定非営利活動法人ものづくり生命文明機構

概要蝶や鳥など生き物や自然の仕組みにヒントを得た環

境負荷の低い技術と将来的な応用の可能性から日本文化

に根差した共生型の新しいライフスタイルのあり方につい

て紹介します国立科学博物館の入館料600円が必要です

httpwwwkahakugojpevent201010natureindex

html

[人材育成]シンポジウム「世界を魅せる日本の課題解決型基礎研究~JST 目利き制度とその可能性」日時2010 年 12 月 6 日(月)1000-1800 (0900 受

付開始)

場所東京国際フォーラム B5 ホール

主催(独)科学技術振興機構(JST)

概要JST がこれまでに行ってきた戦略的創造研究推進

事業の成果を振り返りつつ今後の日本の科学技術の発

展に向けた事業のあり方について参加者の皆様と議論しま

httpwwwsenryaku30jstgojp 

[ 持続可能性 ]学術会議シンポジウム「低炭素化に向けた経済社会エネルギーのあり方と実現のシナリオ」日時2010 年 12 月 9 日(木)1330 ~ 1700

場所学術会議講堂

主催土木工学建築学委員会低炭素建築都市分科会

社会資本分科会

概要両分科会は中~超長期のエネルギー消費量削減シ

ナリオ策定に取り組んできました本シンポジウムでは

分科会の検討結果や削減のための様々な取り組みを紹介

し今後のとりまとめ作業に向けた議論を行います

httpwwwscjgojpjaeventpdf104-s-3-6pdf 

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PEN 編集室関谷瑞木阿多誠文独立行政法人産業技術総合研究所 ナノシステム研究部門 305-8568 つくば市梅園 1-1-1 産総研つくばセンター中央第 2 M404Email nano-penmaistgojpTel029-861-5185 Fax 029-861-5339

編集後記

今月 8 日に長野県長野市で開催された第 3 回国際ナノ

ワークショップ「ナノテクノロジーの社会受容~ナノ

材料の工業標準化の国際的な動向と環境影響について

~」の会場で多くの企業の皆様と意見交換をする貴

重な機会を得た目まぐるしい勢いで変わってゆく諸

外国の環境規制策の動向に民間企業の皆様が神経を

とがらせておられることがひしひしと感じられた東

京から新幹線で 1 時間半インターネットでリアルタ

イムに世界とつながることのできる時代とはいえ情

報物人が集積する地である東京とは異なる苦労も

あることもお聞きした美しい山々きれいな空気あ

るいは世界に誇る観光遺産と科学技術を結び付けて

地域振興をはかりたいとの頑張っておいでの方にもお

会いした

月刊という制約はあるもののこうした方々にとって

タイムリーで有用な情報を提供し続けたいと改めて

強く感じた

ちなみにPEN を発行しているつくば市の産総研つく

ばセンターへもつくばエクスプレスと路線バスを乗

り継いで都心からは約 1 時間半かかる

2010 年 11 月 25 日

PEN 編集室一同ウナギツカミ

Page 13: Public Engagement with Nano- PEN November …...5 PEN November 【知財】 中国、10年で特許強国に(2010.11.12) 中国国家知識産権局は11日に「全国特許事業発展戦略

13

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分なデータがそろうまでの製造等を制限するものである

同意指令は申請者に対して発せられるが公平性の観点か

ら当該化学物質を取扱う全事業者に対して同意指令と同等

の制限を規制するのが重要新規利用(SNUR)である対

象物質について SNUR 要件を遵守できない場合には事前

に重要新規利用届出(SNUN)を提出し個別に審査を受

けることとなるSNUR 対象物質に対する制限措置として

はMSDS 作成やラベリング使用者への注意義務数量

制限や特定用途の制限個別事業者における排水管理など

の幅広い手法があげられており対象物質に応じて適切な

規制が適用される」

したがってTSCA のインベントリーに登録された化学物

質が SNUR に指定されるということはPMN 届出業者と

の同意指令の中で当該化学物質の健康や環境影響が無視

できないことの反映である先月号の本誌 PEN で述べた

とおりEPA がこれまでナノマテリアルで交わした同意

指令はイギリスの Thomas Swan 社の子会社でアメリカ

New Jersey 州 Lyndhurst で CNT 製造を行っている Swan

Chemical Inc であるEPA が昨年来 CNT を SNUR 対象物

質にする方向でパブリックコメントを求めてきたがこれ

は Swan Chemical Inc との間で交わされた同意指令の内容

を他の CNT 製造企業にも求めることを意味するEPA の

SNUR での単層および多層 CNT の規制もいよいよ最終段

階に入ってきている

Reference[1] httpj-net21smrjgojpwatchnews_tyusentry20101118-15

html

[2] httpj-net21smrjgojpwatchnews_tyusentry20101117-15

html

[3]httpyosemiteepagovopaadmpressnsfd0cf6618525a9efb8

5257359003fb69d60a5ce970092692e852577b5005c4ff3Open

Document

[4] httpwwwepagov

[5] httpwwwepagovopptnewchemspubsinvntoryhtm

[6]httpwwwmetigojppolicychemical_management03kanri

f1htm

かわいいだけではないらしい

日本ではペットとしてイヌと人気を二分しているネコかわいい口に重大な秘密が隠されていたようです

イヌは舌ですくい上げて水を飲んでいることが分かっています水を飲み終わったイヌの口元は濡れています

しかしネコはミルクを飲んでも口元が汚れないしどうもイヌとは飲み方が違うようだと考えた Pedro Reis 氏

らは高速イメージング技術を用いてネコの秘密にメスをいれました

その結果ネコは重力と慣性力を利用して水を飲んでいることが明らかになりましたネコはまず舌先だけを

水やミルクなどの液体に軽く接触させたのち舌を丸めますそして丸めた舌を元に戻す際の慣性力を使って水

の柱を作りそれを吸い込むようにして飲んでいるのですネコのサイズが変わると舌を水につけるスピード

が落ちてゆっくりとした動きに変わるものの動きそのものは全く同じであることが観察によって明らかになっ

ていますネコ科で 2 番目に体が大きいライオンの飲み方も小さなイエネコの飲み方も同じなのです

様々な分野で活躍する働くイヌと違って「ただかわいいだけ」と言われるネコですがその精緻な舌の動きと

機能はソフトロボット技術研究の進展に役立つと期待されています

How Cats Lap Water Uptake by Felis Catus PMReis RStocker SJung JMArstoff Science 20101111 (online

publication)

httpwwwsciencemagorgcontentearly20101110science1195421

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基本政策専門調査会資料公開総合科学技術会議

11 月 17 日中央合同庁舎第4号館で開催された第 11 回

総合科学技術会議基本政策専門調査会の資料が公開され

た10 月 18 日~ 11 月 8 日にかけて行われたパブリック

コメントの結果等も公開されている特に注目される「Ⅴ

社会とともに創り進める政策の展開」の項目のなかの「社

会と科学技術イノベーションとの関係深化」の課題には

①「国民の視点に基づく科学技術イノベーション政策の推

進」には欧米にくらべ遅れている「政策の企画立案及び

推進への国民参画」の促進が必要その方法論を研究し

具体的な参画の場や運用を整備すべき国の機関のみなら

ず各地の大学や研究機関が主体的に参画できるものであ

るべき②科学技術だけでなく社会についての知を総合

しなければイノベーションは不可能③「倫理的法的

社会的課題への対応」でヒトの臨床試験に関する法律

動物実験バイオ施設といった具体例を論ずるべきといっ

た意見が集約されている

また民主党政権が達成目標としている「政府研究開発投

資の対 GDP 比 1」に関しては資料 4 - 1 の第 4 期科

学技術基本計画における投資目標のなかに2008 年度の

実績が 072 であったことが示されているちなみにア

メリカは政府研究開発投資の対 GDP 比 1 を維持してい

httpwww8caogojpcstptyousakaiseisakuindexhtml

科学技術に関する最近の話題への国民の関心について科学技術政策研究所 (NISTEP)

文部科学省所管の科学技術政策研究所は科学技術に関す

る最近の話題への注目度など速報性のあるデータについて

公開したまた同研究所は「日本の研究者を対象とした科

学における知識生産プロセスについての大規模アンケート

調査」の結果についても公表を行ったhttpwwwnistepgojpnistepabout09html

httpwwwnistepgojpachievftxjpnmat191jpdfmat191j_

reportpdf

公共政策のためのパブリックコメント2011 年度予算編成に伴い9 月末から政策コンテストが

進められているこれは市民から広く意見を聞くパブリッ

クコメントのことであるところがある省の政策担当者が

政策立案に関わった専門家に提出方法についてメールで周

知し間接的ながらも意見の提出を促した事実が明らかと

なったこの問題は今月 18 日付新聞各紙で報道された

時代の流れである政策の公共性に逆行し公共の利益に反

する行為であるいわずもがなではあるがパブリックコ

メントが義務的な制度ではなく今後政策や予算立案の過

程で当然の仕組みとして定着していくためにもパブリッ

クコメントを広く公平に集める仕組みつくりは危急の課題

であり集まったコメントに耳を傾ける真摯さが政策サイ

ドに求められている政策や予算に対するパブリックコメ

ントは政策の公共性に必要不可欠の仕組みであり科学技

術の社会受容の重要なプロセスである「パブリックコメ

ントを行いました」という既成事実のためにあるのではな

共同声明「国際化拠点整備事業(グローバル 30)の強化を要望する」11 月 16 日

東北大学筑波大学東京大学名古屋大学京都大学

大阪大学九州大学慶應義塾大学上智大学明治大学

早稲田大学同志社大学立命館大学

平成 21 年度に開始された国際化拠点整備事業(グローバ

ル 30)に採択されている上記 13 の大学は昨年に引き

続き本事業が行政刷新会議の事業仕分けの対象となったこ

とに関して共同声明を発表したその骨子は国際的視

点と人材教育の視点から大学及び日本社会の国際化のた

国内情報

15

PEN N

ovember

めのグローバル 30 をさらに拡充強化されることを政府に

要望するものでまた予算の縮減などになれば国際社会に

おける日本の信頼が大きく傷つくばかりでなく日本の将

来について致命的な打撃を与えるのではないかと指摘して

いるh t t p w w w o s a k a - u a c j p j a n e w s t o p i c s 2 0 1 0 1 1

files20101116_2pdf

加速する EV 市場電気自動車 (EV) 市場が大きく展開し始めたすでに三菱

自動車は昨年から EV アイミーブを市場に投入している

日産自動車は今年 7 月から EV リーフの試乗会を行ってき

たがいよいよ来 12 月には EV リーフの日米同時の販売

を開始するこれにあわせて 12 月 45 日に横浜市内で

公道上での試乗会が行われる今後は技術提携を進めるフ

ランスのルノー社との技術の共通化が図られる

このような動きに対しトヨタやホンダはこれまで EV に

は慎重な姿勢を維持してきたしかしこの数か月でその姿

勢にも大きな変化が出てきた今月 17 日から開催されて

いるロサンジェルスのモーターショーでトヨタは RAV4

の EV モデルホンダはフィットの EV モデルをそれぞれ

公開しているこれまでハイブリッド技術で覇権を制して

きたトヨタはこの 5 月にカリフォルニアの EV 開発ベン

チャーであるテスラと資本提携スポーツタイプ多目的車

(SUV)をベースとした EV の開発を加速させているテス

ラは 2008 年から時速 200km を誇るロードスターの市場

投入実績を有しておりトヨタ以外にもすでにダイムラー

とも資本提携を行っているまた今月にはパナソニックと

電池の共同開発を開始するなど2015 年の本格的なアジ

ア市場での販売計画に向けて技術開発を加速させている

テスラの技術は家電製品に使われる汎用電池を多数並べて

用いるところに特徴があり現時点では車載用専用の電池

の開発を進める他の EV との差別化を図ることに注力して

いる

このような一連の動きは2012 年のカリフォルニア州に

おける環境規制の施行を見据えたもので2012 年が EV

普及にとってフラグポイントになるアメリカでもゼロエ

ミッション EV の開発が活発に行われ経営破たんしてい

た GM が 11 月 18 日に株式市場に再上場するなどアメ

リカの産業構造も大きく変わりつつあるただモーター周

りの技術に関しては中国企業との共同開発も進められて

いる

このような EV 市場の急展開の様相は日本の経済を支え

てきた自動車産業に大きな質的変化をもたらしつつある

EV は「自動車が家電製品になる」と形容されるように

車載用駆動電源としての 2 次電池の高性能化やリチウム

資源の確保さらには太陽光発電利用やスマートグリッド

まで含めたエネルギーデリバリーシステムや充電インフラ

等々幅広い産業活性化の起爆剤でもあるEV がオフィ

スや家庭の家電とつながればIT 産業にも大きなビジネス

チャンスが到来する自動車産業は家電メーカー総合

商社IT 企業その他さまざまな技術領域を巻き込んだ覇

権争いに突入していこうとしておりこれまで ldquo 城下町 rdquo

と称された日本の垂直統合型自動車産業そのものが大きく

変わりつつあるといっても過言ではない

ところで「モーターをタイヤにした」構造的には内燃機関

式に比べ単純な構造の乗り物でもある EV の市場には新

興国の新規産業が参入しやすいという一面がある上述し

たような 2012~15 年にかけて強まる世界的な環境規制を

追い風に新興国から多くの EV 産業への参入が予想され

る実際に中国広東省のベンチャー企業 BYD などはそ

の急先鋒として成長し続けている日本の産業は1990

年のバブル崩壊以降 20 年にわたって「技術で勝って市

場をとれない」状況に苛まれてきた対処策の一つは技術

開発と経営の基本姿勢である言うまでもなく技術が発展

することは製品の質の向上に結び付くのだがただ「より

良い技術をふんだんに詰め込めばおのずと製品は売れる」

という安易な技術への過信や過剰な技術の詰め込みがイノ

ベーションプロセスに負に作用することも事実であるエ

リアごとに大きく異なる市場のニーズを的確に把握するこ

とと急速に展開する市場に対応した経営意思決定の迅速

化がキーになる

もう一つは国際的な枠組みでのインフラ技術の標準化であ

る一国一票の投票権を持つ国際標準化の策定プロセスで

は欧州が圧倒的な強さを維持しており日本は常に苦戦

を強いられる立場にある国際電気標準会議 (IEC) におけ

る EV インフラ技術の標準化チャデモ協議会といった日

本の対応については週刊エコノミスト 12 月号 40 ~ 41

頁に詳しい

また日刊自動車新聞によると電気自動車普及協議会が

EV の高電圧周りの安全対策などに関するガイドラインの

策定を始めているが緊急性の高い項目は今年度中に情報

公開される模様である

国立研究開発機関(仮称)構想省庁の縦割り政策の弊害を解消して研究開発を効率的に進

めることを目的に文部科学省は 38 の独立行政法人研究

機関の再編統合を図る仮称「国立研究開発機関」構想を

打ち出している海江田科学技術政策相はその設置法案を

来年度の通常国会に提出する考えを明らかにしこれに併

せて発足に向けたスケジュール作りがすでに検討チームの

中で始まっているその一方蓮舫内閣府特命担当大臣(行

16

PEN

Nov

embe

r 政刷新)公務員制度改革担当は文部科学省ではなく内閣

府主導で予算編成を行うべきとの考えを示し行政刷新会

議も「焼け太りは許さない」と文部科学省を牽制設置法

そのものの提出をくい止めたい考えである他の様々な施

策同様これも民主党政権内での軋轢となっている

化学5社化学物質情報伝達を電機大手と共通化中小企業ビジネス支援サイト J-Net21 は11 月 15 日に

日本の化学大手 5 社がアーティクルマネジメント推進協

議会の仕組みを活用して製品に含まれる化学物質の伝達

方法を電機大手と共通化することを発表サプライチェー

ンでの情報伝達の共通化が図られるhttpj-net21smrjgojpwatchnews_tyusentry20101115-10

html

22 年度科学技術関係補正予算閣議決定先月末の 26 日平成 22 年度補正予算 4 兆 8500 億円が

閣議決定された今月 11 日付科学新聞はこのうち科学

技術関係予算を文部科学省のスパコン「京」への 186

億円などを含め約 1500 ~ 2000 億円程度と見積もってい

る経済産業省関係では産学官連携のイノベーション拠点

立地支援事業への支援策が多く盛り込まれているつくば

イノベーションアリーナ中核拠点と位置づけられている産

総研には補正予算 30 億円が配分されている

なお内閣府総合科学技術会議は 11 月 4 日2010 年度

の当初予算額 3 兆 5878 億円に対し補正予算案は 1864

億円経済危機対応地域活性化予備費は 141 億円で

合計は 3 兆 7742 億円となったことを明らかにした補正

予算の詳細については 11 月 4 日「平成 22 年度経済危機

対応地域活性化予備費及び補正予算案(科学技術関係予

算)について」として内閣府から公開された

httpwww8caogojpcstpbudgeth22hoseipdf

ナノボーグの販売軽量化フレキシブル化が進む様々なデバイスをまとめて

身に着けることが可能な服が「ナノボーグ」である東工

大谷岡教授が名付けたもので4 日付日刊工業新聞による

と今月にも太陽電池を電源とするジャケットがアメリカ

のアパレルメーカーから発売される

httpwwwnikkancojpnewsnkx0320101104eaahhtml

ldquoNBCI ナノナビ rdquo 創刊ビジネス環境のグローバル化オープン化に伴って政策

や規制動向研究開発動向の迅速な情報共有への要求が高

まりつつあるこれに応え一般社団法人ナノテクノロジー

ビジネス推進協議会(NBCI)は不定期の情報誌 ldquoNBCI

ナノナビ rdquo を創刊先月末より会員向け配信を開始した

創刊号では標準化の重要な課題であるナノラベリング(使

用ナノ材料の周知目的)の動きナノネット活用等につい

て最新の動向が配信された

httpwwwnbcijp

フラーレンのナノエレ応用脚光を浴びるカーボンナノチューブやグラフェンに比べ

フラーレン(C60)のナノエレクトロニクスへの応用展開

は広がらない状況が続いてきたがこの度 C60 を積層し

た有機トランジスタが開発されたこれは 11 月 1 日付日

経産業新聞が報じたもので大阪大学と山形大学大日本

印刷の共同研究の成果である試作された C60 を含む有

機トランジスタは従来の有機トランジスタより大きな電

流を流すことが出来400 キロヘルツの高速応答が得られ

たとのこと

筑波大に生命科学研究拠点先月末筑波大は先端学際領域研究センター通称 TARA

センターを改組し生命領域学際研究センターを設立浅

島誠氏がセンター長に就任した今後 20 人の研究部隊が

幹細胞研究などに特化した研究を展開する

新規事業への投資を名城ナノカーボン10 月 29 日付の金融専門誌ニッキンは名城ナノカーボ

ンの橋本剛氏をとりあげた同社は 2005 年 4 月に当時

銀行員であった橋本氏が名城大安藤義則教授と共に設立

したカーボンナノチューブの開発製造販売を手がける

名城大発ベンチャー橋本氏は今後 5 ~ 10 年で名城ナノ

カーボンの上場を目指すとし取引金融機関に対して新規

事業への具体的な資金投入を期待している

CNT 生産能力倍増昭和電工10 月 29 日付化学工業日報は昭和電工(株)川崎事業

所におけるカーボンナノチューブ (CNT) の年産 100 トン

から 200 トンへ引き上げ計画を報じた同社はリチウム

イオン 2 次電池向け気相成長 CNT の供給を行っているが

今後はさらに急速な需要拡大が進む可能性もありさらに

生産体制の拡大を図る可能性もある

17

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ovember

宝石という名前の虫

タマムシはタマムシ科の 4 センチメートルほどの甲虫です漢字では玉虫と書きます玉とは宝石のことで

その名のとおり赤い縦の線が走る虹色がかった緑色の金属光沢の美しい翅をもっています

法隆寺所蔵の国宝「玉虫厨子」を教科書などで見たことがある人も多いのではないでしょうか厨子は仏像な

どの礼拝の対象をしまう大切な入れ物のことです天平の世の人々がその大切な厨子の壁面を飾る細工の材料

にタマムシこそが相応しいと思ったのも納得できる美しい甲虫です残念ながら現在では玉虫厨子の壁面の

翅の多くは脱落してしまっていますが往時を再現した複製品から天平の時代の華やかな色が想像できます

タマムシは時代や洋の東西を問わず美しいと思われるようでベルギーにはその美しさに憑かれて宮殿の天

井を大量のタマムシの翅で飾った現代工芸家もいます

タマムシは厨子に使われた翅だけでなく腹部や脚触角なども緑色の光沢を放っていますまた美しい

翅が良くわかるような背面からの写真が多いので米粒型のすんなりした形のイメージが強いですが横から

見た体には以外と厚みがあります成虫は樹冠を飛び回り主にニレ科の広葉樹の葉を食べています幼虫は

カブトムシの幼虫に似た白いずんぐりしたイモムシで餌も葉ではなく木ですそのため害虫に分類されても

います

岐阜県高山市「茶の湯美術館」に玉虫厨子のレプリカが展示されています

httpwwwnakada-netjpchanoyutamamushi_zushihtmtamamushi 

18

PEN

Nov

embe

r

これを批准した結果日本は 1990 年を基準として 6の

温室効果ガス削減を国際的に約束した日本国憲法によれ

ば国際条約は守らなければならないことになっているの

で「チーム -6」などという運動が日本全国にできた

これの何が間違いだったのであろうか以下その根拠を説

明する尚現在の一次エネルギー源は 80以上が化石

燃料によるものであるからエネルギー消費と温室効果ガス

排出はほぼ同義語であるまた国内総生産(GDP) の増

大すなわち経済成長は社会の安定と国民の安心感を支え

る基本的な要素でありその減少は社会の不安定化をもた

らすため増大させることが必須である

日本は 1973 年の第一次石油危機で大きなダメージを受

けそれから「省エネルギー技術」の開発を血眼になって

推進したその結果図 1 に示すように日本は世界一の「省

エネ大国」になったのである図で縦軸は石油換算のエネ

ルギー消費量横軸は GDP をドル換算したもので1995

年のデータを示してある斜目の破線は一定の GDP を作

り出すのに必要なエネルギー量をトン単位で示しており

これが小さいほどエネルギー効率のいい社会であるつま

り使用エネルギーが少なくなるか同じエネルギーを使っ

ても生産額が多くなればエネルギー効率は良くなる

 エネルギー効率=使用エネルギー生産額(GDP)

図から明らかなように日本は 1995 年時点でも既に世

界で一番エネルギー効率の良い国だったのであるドイツ

フランスイタリアなどは日本の 15 倍イギリスは 2 倍

アメリカが 3 倍中国やロシアに至っては何と 10 倍以上

のエネルギーを浪費しているということが一目瞭然であ

る日本がこのようなエネルギー効率の良い状態から更に

エネルギー消費を減らすなどと言うことは被虐趣味以外

の何物でもないちなみに図 1 は小生が京都議定書を見て

「これは誤りである」と確信し直ぐに作成したものであり

13 年前には既に分っていたことである

それでは日本は何を主張すれば良かったのか賢明な読

者は図 1 を見れば直ぐに考え付くであろうそう「世界

の皆さん今後 10 年間でエネルギー効率を高くする努力

をし現在の日本並みとまでいかなくても少なくとも近

付く努力をしてください」と主張すべきだったのだこれ

なら発展途上国も経済発展を保障されるから合意できたで

あろうし何よりも日本の「省エネ技術」を世界標準とし

て輸出可能であったろう昨年中華人民共和国(中国)が

出した指標はまさにこのような考えに基づいたものであろ

うどこかの国の首相が温室効果ガス排出量(=エネル

ギー消費量)の 25の削減を持ち出したのに対し「中国

はエネルギー効率(=使用エネルギー生産額)を 40

向上させる」と主張した図1から見ても彼等は 1995 年

の日本の水準に追いつくだけで 90の削減が可能であり

40などというのは非常に容易な達成目標であることは

明らかであるまさに国際条約を締結する上での基本的

な事項である「自国の利益を最優先する」という原理原

則にも合致している流石は厳しい歴史を体験してきた国

京都議定書が提案されてから既に 10 年以上経過した今

更と思われる方もおられるかも知れないが現在の日本が

抱える様々な矛盾の出発点の一つが京都議定書であると考

えざるを得ない以上ここで改めてその問題点を明らかに

したい環境省のホームページに掲載されている京都議定

書の内容は以下のとおりである

(httpwwwenvgojpearthcop63-2html)

ポイント先進国の温室効果ガス排出量について法的拘束力

 のある数値目標を各国毎に設定

国際的に協調して目標を達成するための仕組みを

 導入(排出量取引クリーン開発メカニズム共同

 実施など)

途上国に対しては数値目標などの新たな義務は導

 入せず

寄稿京都議定書で日本は何を主張すべきであったか東洋大学大学院学際融合科学研究科 教授 和田恭雄

19

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ovember

は違うなどと感心してはいられない

今からでも遅くない「2010 年を基準としてエネルギー

効率の向上を図る」ことを国際的な合意目標に切り替え

るべきである無論為替レートは 2010 年現在の 1 ド

ル= 80 円程度に固定して比較すべきである現在の円

高を考えれば分母が大きくなることが日本の利益につ

ながるからだ国際条約においては「被虐趣味」は最低

の選択であることを忘れてはならない「率先垂範」など

と言う言葉は国際社会では通用しない無論表面上は大

いに賞賛されようが腹の底で「カモが来た」と思われ

食い物にされるだけである他人から褒められるために

自らの競争力を放棄するようなことは止めるべきである

京都議定書を他山の石としてナノテクノロジーの世界

でも「自らの強みを世界の標準にする」という基本的な

姿勢を取るべきであるのは当然のことであるdarr

darr 世界各国のエネルギー消費量と総生産の比較図右下

に行くほどエネルギー効率が高く同じ GDP を創り出す

のに温室効果ガスの排出量が少ないということを示す

日本は 1995 年当時既に世界一の「省エネ大国」であり

西ヨーロッパの 15 倍米国の 3 倍ロシアなどよりも

10 倍以上効率の良い経済体制になっていたことが分か

る世界中の国が日本を手本にすれば温室効果ガスの排

出量を減らしつつ経済成長が可能になり即ち皆がハッ

ピーになれることを示すことができるばかりでなく日

本の省エネ技術を世界標準にすることも主張できる根拠

となる

20

PEN

Nov

embe

r

日本では21 世の始まりと共に科学技術政策に基づ

いてナノテクノロジーの研究開発への戦略的投資が開始

された2001 年度からの第 2 期科学技術基本計画と

2006 年度からの第 3 期科学技術基本計画の都合 10 年

間にわたる優先的戦略的な研究開発の資源の投入も余

すところ4ヶ月となった

21 世紀を担うと期待されたナノテクノロジーには研

究開発側から社会への一方的な応用があたりまえであっ

たこれまでの科学技術とは異なる研究開発の方法論が導

入されたコア技術の研究開発と並行してその技術の社

会的影響を検討しそれをさらにコア技術の研究開発に

フィードバックするという新しい研究開発の方法論であ

る [1]ナノテクノロジーの社会的影響にとって最も重

要で緊急の課題がナノ材料の環境健康影響安全 (EHS)

の課題であった技術の社会的影響を検討しながら進め

られているナノテクノロジーの研究開発がうまくいくか

どうかこのことがナノテクノロジーに続く今後の新興

の科学技術の研究開発のあり方に大きな影響を与えるこ

とになる社会的影響をフィードバックしながら進める

責任ある研究開発がはじめて試みられた日本のナノテク

ノロジーがこれまで 10 年間にわたって戦略的研究開発

投資を続けてきた現在どのような状況にあるのか今回

の特集ではそれを俯瞰的に解析する

まず国内の全ての新聞と雑誌に掲載されたナノテクノ

ロジー関連記事の数を統計的指標としてナノテクノロ

ジーの研究開発に対して日本の社会がどの程度の関心を

示しているのか評価することを試みる図1に日本

のメディアに掲載されたナノテクノロジー関連の記事の

年推移を示すグラフから明らかなようにナノテクノ

ロジーへの戦略的研究開発投資が始まった 2001 年まで

日本のメディアはほとんどナノテクノロジーを取り上げ

ていないただこれは日本にナノテクノロジーの萌芽

的研究開発がなかったということではない

一例をあげるなら工業技術院は産業科学技術研究開発

制度の一環として新エネルギー産業技術総合開発機

構(NEDO)の委託により原子分子極限操作技術の研

究開発プロジェクトを展開した1992 年から 10 年間に

わたり分子原子をボトムアップ的に集積する研究開発

を進めたこのプロジェクトは技術研究組合オングスト

ロームテクノロジー研究機構(ATP)と呼ばれたさらに

ATP と産業技術融合領域研究所は同研究所内にアトム

テクノロジー研究体(JRCAT)を設置して産官学の共同

研究プロジェクトを推進した折しも日本は 1990 年の

バブル経済の崩壊後失われた 10 年と称される経済の停

滞に苦しんでいたまだナノテクノロジーに対する期待

は高まってはいなかったが日本のナノテクノロジーは

着実に萌芽的研究開発を進めていた困難な経済のなか

で日本のナノテクノロジーはその萌芽に向けた着実な

準備をしていたといえるのだがこのような地道な研究

開発が進められていた点はこの統計からは見えにくい

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2001

2002

2003

2004

2005

2006

2007

2008

2009

図 1

特集

10 年におよぶナノテクノロジー研究成果の発展的継承を 

21

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ovember

2001 年度から戦略的な究開発投資が開始されると同時

にナノテクノロジーへの関心は急速に増していった

わずか 2 年後の 2003 年にはその期待は極みに達して

いる上述したとおり我々はこの統計で縦軸をナノテ

クノロジーに対する社会の関心と見なしておりこれは

David M Berube 氏が示した典型的な Hype 曲線の縦軸

「Visibility」と同義とみなせる [2]その類似性を図 2 に

示す

図 2

日本では Nano-Hype と呼べるピークが高性能瞬間湯

沸器よろしく戦略的研究開発投資が開始されたわず

か 2 年後の 2003 年に出現しているのであるまたJ

Fenn らはこのようなピークを図 3 に示すようにイノ

ベーションのハイプサイクルにおける rdquoPeak of Inflated

Expectationsrdquo と表現している [3]

Exp

ect

atio

ns

Time

InnovationTrigger

Trough ofDisillusionment

Slope ofEnlightenment

Plateau ofProductivity

Peak of InflatedExpectations

図 3

この時期はナノテクノロジーの将来価値への大きな期

待の反面研究開発の実態は希薄である実体の伴わな

い過剰な期待を理由に「一部の有力な科学者や政策担当

者がこのような Hype の状況を意図的に作りだした」と非

難する論調もある確かに Nano-Hype はナノテクノロジー

の将来価値への期待が研究開発の実態を上回る状況では

あるがナノテクノロジーに対する社会の関心や期待を

喚起しその期待を背景にナノテクノロジーへの研究開

発投資が漸次増加していったことも事実であるまたナ

ノテクノロジーの事をもっと知りたいという知的欲求も

刺激されそれに応えるためにいくつかの大学ではサイ

エンスコミュニケータやサイエンスインタープリタサ

イエンスジャーナリストの養成講座等が開設されたさ

らに今日年間 2000 回以上のサイエンスカフェが全国各

地で開かれるなどナノテクノロジーのような新興の科

学技術のパブリックエンゲージメントの活動の契機にも

なったNano-Hype と呼ばれる状況がそのような様々

なプラスの効果を日本にもたらしたことも忘れてはなら

2003年

2010年

2003年

22

PEN

Nov

embe

r ない点である

実体の伴わない過剰な期待が徐々に覚めていく Negative-

Hype の状況はHype が極みに達した 2003 年直後の

2004 年から 2007 年にかけて顕著に現れてくる依然

として政府のナノテクノロジー材料領域への研究開発

投資が伸びるなかメディアがナノテクノロジーを取り

上げる頻度は急速に下がり社会の関心は冷めていった

過剰な期待が冷静さを取り戻していく Negative-Hype は

必然であるとしても注目しておかなければならない大

事な点は Negative-Hype がいつ止むかいつ底を打つの

かである図 1 から明らかなように2004 年以降 2007

年まで急速に下降しているものの2008 年から 2009 年

と明らかに Negative-Hype は底を打っている

上述の J Fenn らは新しいハイプサイクルの縦軸の評価尺

度を議論しているのだが図 4 に示すようにハイプサイ

クルのプロフィールが二つの要素からなることを示して

いる [4]この指標を採用すると今年 2010 年の日本の

ナノテクノロジーはHype が終わりエンジニアリング

またはビジネスが徐々にその成熟度を増していくちょ

うどその過渡期にあるとみてよい今後ナノテクノロジー

がITエネルギー環境ライフサイエンスといった様々

な技術分野の基盤技術としてその実用化に貢献していく

現在はちょうどその転換点にあるそのプロセスを確実

に進めていくには中長期的な一貫した科学技術政策に

よりナノテクノロジーの基礎的な研究開発を継続的に

推し進めていくことが肝要である

図 4

そして10 年に及ぶ科学技術政策に基づいたナノテク

ノロジーの戦略的研究開発投資の成果を応用実用化

へ確実につなげていくために取り組まなければならない

もっとも重要な課題が包括的で実態のあるナノテクノ

ロジーのパブリックエンゲージメントの活動である昨

今ナノテクノロジーの研究開発と並行して社会受容

パブリックエンゲージメントの活動の重要性が指摘され

るようになってきたしかしこの課題に関する解釈は

依然としてまとまりを欠いているだけでなく「こういっ

た課題への取り組みが大事である」といったことが最後

の部分に申しわけ程度に記述されている例も多々見受け

られる取り組んでいるという既成事実のために実体の

伴わないパブリックエンゲージメントの活動が進められ

ると将来的にナノテクノロジーへの信頼も失墜しかね

ない多様な課題を含む社会受容パブリックエンゲー

ジメントの活動には包括的な視点で具体的実践的に取

り組んでいく必要がある

ReferenceRoco M C amp Bainbridge W S 2001 ldquoSocietal

Implications of Nanoscience and Nanotechnologyrdquo

Kluwer Academic Publishers

Berube M B amp Roco M C(FRW) 2005 ldquoNano-Hype

The truth behind the nanotechnology buzzrdquo Prometheus

Books

イノベーションのハイプサイクル

「Mastering the Hype Cycle」J Fenn M Raskino

Harvard Business Press 2008

M Raskino J Fenn IT Management(ITM) ITM-09-

37 Research Note 2010 年 2 月 9 日

23

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【CO2 排出量】世 界 的 な 金 融 危 機 に も か か わ ら ず2009 年 の 化 石 燃料 由 来 の 二 酸 化 炭 素 排 出 量 の 減 少 は 小 幅 に と ど ま る

(20101122)国立環境研究所(国環研)

国環研はグローバルカーボンプロジェクト (GCP) が 11

月 22 日の Nature Geoscience 誌の電子版に調査結果を発

表すると速報したその内容は世界金融危機の経済的

影響にも関わらず2009 年における世界の化石燃料由来

の二酸化炭素排出削減量が予測値である 28を下回り

前年比 13にとどまったことで同じく GDP の減少も予

測値を下回っている

httpwwwniesgojpwhatsnew20102010112220101122html

【量子コンピューティング】量子コンピュータ実現への障壁を緩和する誤り耐性方式を開発 (20101124)日本電信電話(株)京都大学

量子コンピュータに必須な量子ゲートは確実に正しい演

算をすることはなくある程度の誤り確率をもつため量

子コンピュータを実現するためには演算の誤り訂正を行

う技術の実現が必須となる演算の誤り訂正を行うために

はある程度誤り確率の低い量子ゲートが必要であると考

えられてきたが今回共同研究チームは誤り確率が非常

に高い量子ゲートを用いても量子計算が可能となる誤り耐

性のある量子計算方式を世界で初めて示した

httpwwwnttcojpnews20101011101124ahtml

【光電変換】ナノギャップ光アンテナにより高効率化した有機超薄膜による光電変換 

(20101122)物質材料研究機構北海道大学

NIMS と北大の共同研究チームは有機超薄膜型の光電変

換分子素子において光吸収電子伝達といった必要な機

能をもつ部品を連結した分子から成る単分子超薄膜を原

子レベルで表面制御した平滑な金電極面と金ナノ粒子で挟

み込むことによってナノギャップ型の光アンテナを導入

することに成功したその結果光アンテナ 1 つあたりで

光誘起電子移動反応が約 50 倍の効率に高まることを実

証した

httpwwwnimsgojpnewspress201011p201011220html

【EV】シンガポール政府と電気自動車の普及に関する覚書を締結

(201011 19)三菱自動車(株)

MMC はシンガポール政府と電気自動車(EV)普及のため

の活動に協力する内容の協定を締結したことを発表した

今回の活動はシンガポールの経済開発庁が中心となり

同国のエネルギー市場監督庁陸上交通庁との間で EV タ

スクフォースを組成し同国の EV 普及を目的としたユー

ザー向け補助金制度や充電インフラ整備などの検証を行う

ものこの活動の中でMMC は CCA を通じ 2011 年より

順次『i-MiEV(アイミーブ)』25 台を供給し実証走行

試験に協力していくhttpwwwmitsubishi-motorscompublishpressrelease_jp

corporate2010newsdetail4407html

【リチウム二次電池】リチウム二次電池の量産化実証工場が竣工 年間生産能力6 万 6000kWh (201011 18)三菱重工業(株)

リチウム二次電池事業への本格参入に向け長崎造船所内

に建設していた同電池の量産化実証工場が17 日竣工し

た年間生産能力は 6 万 6000kWh中型電池換算で約

40 万個に相当する今後各種実証技術に取り組み早期

の本格的な商業量産につなげていくとしている

プレスリリースより

CUTTING-EDGE TECHNOLOGIES

24

PEN

Nov

embe

r httpwwwmhicojpnewsstory1011184999html

【基礎科学物質の起源】動きがのろい冷反水素原子を 38 個も磁気瓶に閉じ込める物質と反物質の違いを知る手がかりとなる冷反物質研究が新段階に (201011 18)物質材料研究機構(NIMS)

NIMS は欧州原子核研究所(CERN)の国際共同研究グルー

プに参加し反物質の代表格である反水素原子を独自に

開発した八重極磁気瓶の中に 38 個も閉じ込めることに世

界で初めて成功した反水素原子の原材料である反陽子(陽

子の反粒子)と陽電子(電子の反粒子)を八重極磁場コ

イルとミラーコイルを組み合わせた磁気瓶の中に蓄積し

そっと混ぜ合わせて冷たい反水素原子を大量に生成した

反水素原子は電気的に中性の小さな磁石なので反水素原

子ができあがったころ(約 1 秒後)を見計らって電圧を

加え残存している反陽子と陽電子をことごとく排除した

その後磁気瓶の磁場を瞬時にゼロにすると磁気瓶内に

とどまっていた反水素原子は装置の壁に当たって消滅し

パイ中間子などのさまざまな粒子を放出するこれらの粒

子を磁気瓶を包む 3 枚の検出器で観測した結果捕捉し

ていた反水素原子を 38 個も確認することができた後述

するように同内容は理化学研究所からもリリースされたhttpwwwrikenjpr-worldinforeleasepress2010101118

indexhtml

【超伝導】ピセンのカリウムドープに伴う電子構造変化の直接観測 

(201011 17)岡山大学

岡山大学の研究グループはピセンおよびカリウムドープ

ピセンの電子構造を実験的に観測する事に世界で初めて成

功したカリウムドープピセンは芳香族炭化水素における

初めての超電導体であるがカリウムドープピセンの超電

導メカニズムまた超電導を誘起する電子構造は解明され

ていない研究グループは光電子分光法を用いピセンのカ

リウムドープに伴う電子構造変化を直接的に観測した結

果ピセンのカリウムドープに伴う電子構造変化を観測

芳香族炭化水素超電導体の超電導メカニズム解明および新

規超電導体探索の指針になると期待されるhttpwwwokayama-unetrenkeidocumentpdfpressrelease

press-101117pdf

【慣性力発電】慣性力(振動)発電技術を商品化 国内最大手エース社のバッグに慣性力発電ユニットを搭載 (201011 17)伊藤忠商事(株)

米国 CIIIS 社の持つ慣性力発電(振動発電)技術を用いて

人体の運動による振動で発電する慣性力発電ユニットを開

発した国内鞄最大手のエース株式会社がこの慣性力発

電ユニットを搭載したバッグの販売を行う

httpwwwitochucojpjanews2010101117html

【生物多様性】多様性進化の背景に『甲状腺機能低下』 (201011 16)東北大学

生物多様性の喪失は現在急速に進んでおり多様性の進化

維持機構を解明することは世界的な課題である生物多様

性の創出は多くの場合新規環境に生き物が侵出すること

によって始まるが生物が新規環境へどのように適応して

行くのかその過程については多くが未解明である東北

大学の研究チームはこのたび新規環境への適応に甲状腺

ホルモンの進化が重要であることを発見したhttpwwwtohokuacjpjapanesenewimgpressimgtohokuuniv-

press_20101116pdf

【ナノ物性】ナノスケールの鉄磁石を電界でコントロール

(201011 01)千葉大学

磁石の N と S 極は磁界を用いることでコントロールでき

るが千葉大学の研究チームはナノスケールの鉄の磁石の

極性をエネルギーの要らない電界でコントロールできるこ

とを見出したhttpwwwchiba-uacjppublicitypresspdf201020101102nano

pdf

【SOFC 関連材料技術】 画期的な電解質材料の開発に成功 固体酸化物燃料電池の商用化に一歩前進 (201011 18 )物質材料研究機構(NIMS)

NIMS の研究グループは電解質材料に必要とされる三つ

の要件イオン伝導性化学的安定性焼結性のすべてを

高いレベルで満足する2種類の材料を開発することに成功

したひとつは10 のプラセオジムを含むイットリウム

添加ジルコン酸バリウム(BZPY)でもうひとつは酸

化ニッケル (NiO) とイットリウム添加ジルコン酸バリウム

25

PEN N

ovember

(BZY) の混合粉末を固めた基板上にプレス成形された BZI

であるhttpwwwnimsgojpnewspress201011201011180

p201011180pdf

【レアアース】微生物でレアアースの回収が可能に バクテリアがレアアースを濃縮する現象を発見 (201011 17)広島大学高エネルギー加速器研究機構高輝度光科学研

究センター

共同研究グループは微生物の細胞表面では微生物が存在

しない周囲部分に比べてレアアースを高濃度に濃縮する現

象を見出したまたレアアースの中でも特に希少価値の高

い元素が選択的に濃縮することを発見その濃縮メカニズ

ムを放射光を用いたX線吸収法により明らかにした

httpwwwkekjpjanewspress2010RareEarthElementshtml

【はやぶさ】はやぶさカプセル内の微粒子の起源が判明(201011 17)宇宙航空研究開発機構

「はやぶさ」のサンプルキャッチャー室から特殊形状のヘ

ラで採集された微粒子を走査型電子顕微鏡にて観察および

分析した結果1500 個程度の微粒子を岩石質と同定した

更にその分析結果を検討したところそのほぼ全てが地

球外物質であり小惑星イトカワ由来であると判断するに

至った

httpwwwjaxajppress20101120101117_sac_hayabusapdf

【超伝導基礎科学】超伝導のメカニズム解明に大きな手がかり ルテニウム酸化物の電子の運動状態を選択的に可視化することに成功 電子対を形成する「のり」の起源を初めて解明

(201011 17)広島大学産総研

1994 年に日本で発見されたルテニウム酸化物超伝導体は

ユニークな超伝導状態を示しこれまで数多くの研究が行

われてきたがいまだにその超伝導のメカニズムは謎のま

まであった超伝導が生じるためには電子と電子を「のり」

で結びつけ「電子対」にする必要がある共同研究グルー

プは放射光の直線偏光特性を活用するため放射光の光

軸のまわりに回転可能な高分解能角度分解光電子分光装置

を開発しルテニウム酸化物超伝導体の超伝導機構解明に

重要な手がかりをつかんだ研究グループが開発した新装

置を用いることによりルテニウム酸化物超伝導体の異な

る運動状態にある電子を選択的に分離しながら精密に分

析することが初めて可能となったその結果物質の電子対

を形成するための「のり」として結晶を作っている原子

の振動が重要な役割を果たしていることその「のり」が

どのくらい強く働いているのか等が明らかとなった httpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101117

pr20101117html

世界最高性能基準光源を開発 安定高精度高速の三拍子そろった光信号の発生に成功 (201011 15) 情報通信研究機構(NICT)国立天文台(NAOJ)

NICT と NAOJ はNICT 独自の高消光比変調技術を利用

し精度を保ったまま周波数範囲を拡大する構成を提案し

たNAOJ の安定度向上技術による制御機能を組み合わせ

ることで世界最高性能の基準信号発生装置を共同開発

し100 ギガヘルツを超える高速信号の長距離伝送を実現

した本装置の方式により従来技術の課題であった安定

性周波数範囲精度の問題を解決した安定性は 2 台の

レーザを用いる従来方式に比べて 10 倍以上を実現し信

号の乱れを 30 万年に 1 秒以下とすることに成功したま

た精度は従来型変調器と比較し 1000 倍以上周波数範

囲は 4 倍を達成したhttpwww2nictgojppubwhatsnewpressh22101115101115

html

【基礎科学レーザ分光】電子の氷を光で融かす一瞬を捉える 光が有機物質を変える瞬間の超高速スナップショット (201011 15)東北大学自然科学研究機構分子科学研究所科学技術振

興機構(JST)

共同研究グループは光の照射によって有機物質の色や

電気伝導度が大きく変化する光誘起相転移現象の最初の瞬

間を捉えることに成功した電場と磁場の振動である光の

振動の3周期分に匹敵する極めて短いパルス光をポンププ

ローブ分光によって二次元有機物質における電荷秩序の

融解のダイナミクスすなわちldquo 電子の氷 rdquo が光によっ

てどのように解け絶縁体から金属へと変化するのかと

いう問題を明らかにしたものこの成果 12 月初めには米

国物理学会誌 Physical Review Letters オンライン版で公開

予定

httpwwwjstgojpprannounce20101117-2indexhtml

【熱電材料】水を使って絶縁体から効率のよい熱電材料を作ることに成

26

PEN

Nov

embe

r 功 希少毒性金属を含まない安価簡便な熱電材料創製に新たな道 (201011 15)科学技術振興機構 (JST)名古屋大学

熱電材料は熱を電気に変換することができることからエ

ンジンの排熱を利用して発電するハイブリッド自動車など

への応用が期待されているが従来の熱電材料はビスマ

スアンチモン鉛テルルといった希少毒性金属など

を含む問題があったJST 課題解決型基礎研究の一環とし

て名古屋大学の研究グループは水の電気分解を利用し

安くてありふれた絶縁体酸化物表面を大きな熱電効果を示

す金属へ変えることに成功した大量に水を含んだ多孔質

ガラスを新規に開発しこの多孔質ガラスを金属チタンと

チタン酸ストロンチウムに挟んで電圧を加えると水の電

気分解によって絶縁体のはずのチタン酸ストロンチウムの

表面に厚さ 3 ナノメートル以下の極めて薄い金属チタン酸

ストロンチウムが生成した通常の金属チタン酸ストロン

チウムに対して 4~5 倍高い電圧を示すことから従来の

熱電材料の約 2 倍の熱電性能が期待できる

httpwwwjstgojpprannounce20101117indexhtml

【基礎科学物質の起源】国際研究チーム反水素原子を瓶の中に閉じこめることに成功(20101118)理化学研究所

8 か国からなる研究チームは欧州合同原子核研究機関

(CERN)の装置を用いて加速器で反陽子と陽電子を作

成し磁場の中に閉じこめたのちに撹拌して反陽子と陽

電子1個ずつを結びつけ反水素原子を生成した反水素

生成後に余った反陽子と陽電子を取り除き反水素原子だ

けを特殊な瓶の中に封じ込めることに成功した計 38 個

の反水素原子が 02 秒間存在したことを確認反物質は

Dan Brown の小説「天使と悪魔」で非常に微量で爆発

を起こす材料として登場するしかし今回の手法では短

時間に消滅してしまい爆弾に使える量をためるのは不可

能だという17 日付の Nature Online 版に掲載

httpwwwrikenjpr-worldinforeleasepress2010101118 

【マックスウェルの悪魔実証】情報をエネルギーに変換することに成功 ldquo マックスウェルの悪魔 rdquo を実験により世界で初めて実現新規ナノデバイスの実現に期待 (201011 15)中央大学東京大学

微細加工技術とサブミクロンスケールのリアルタイム制御

システムを組み合わせ「マックスウェルの悪魔」と呼ば

れる科学史上の重要な概念を世界で初めて実験により実現

した これによって情報をエネルギーに変換できるこ

とを初めて示すとともに情報を媒介して駆動する新規ナ

ノデバイスの実現の可能性を示した マックスウェルの

悪魔は熱力学の根本に関わる概念でありこれを実現でき

た学問的意義は大きいまた科学者以外にもよく知られ

たテーマであり多くの人が興味を持つ話題でもある情

報を媒介して駆動する新規のナノデバイスを実現できる可

能性があり基礎的研究にとどまらずナノサイエンスで

の新しい制御法への応用が期待できるこの成果は 11 月

14 日に Nature Physics Online に公開された

Toyabe Sagawa Ueda Muneyuki and Sano

ldquoExperimental demonstration of information-to-energy

conversion and validation of the generalized Jarzynski

equalityrdquo

httpwwwsu-tokyoacjppresspress-2010-42html

詳細は中央大学 HPhttpwwwchuo-uacjpchuo-unewscontents_jhtmlsuffix=kampmo

de=topamptopics=12513

【基礎科学分子バネ】電子の出し入れで硬さが劇的に変わる分子バネを開発 たった 1 つの電子放出で分子全体の動きやすさが 450 倍も変化 (201011 15)理化学研究所科学技術振興機構(JST)

6 個の炭素原子が環状につながったベンゼン環は有機化

合物において最も基本的な構成ユニットの一つでありベ

ンゼン環をさまざまな形で結合させたものが盛んに研究さ

れてきたしかしベンゼン環を隣り合う炭素の位置で結

合させたオルトフェニレンは単純な構造でありながら合

成が難しいためこれまでほとんど研究がなされておらず

その性質は解明されていなかった理化学研究所の研究グ

ループはベンゼン環 48 個を隣り合った炭素の位置で結

合させたオルトフェニレンを世界で初めて合成したオル

トフェニレンは3 つのベンゼン環が 1 ピッチのらせんを

形成するバネ状の構造をしているがこのようなバネ状の

構造を持った分子はさまざまな機能を発揮するためエ

レクトロニクスや分子機械への応用の可能性が高まってい

る研究グループはこのバネ状分子から電子を 1 つ取

り去るとバネの硬さが劇的に増してらせんの反転速度が

約 450 分の 1 も遅くなることを突き止めたまたこの

1 個の電子の出し入れに応じてバネのピッチが 3263Aring か

ら 3224Aring と変化したこれまで電子が高密度に含まれ

た分子バネは電子を出し入れすることでその振る舞いが

変化することが理論上予想されていたがこのように電子

を多量に含む分子バネの合成は難しく実験的にも証明さ

れていなかった硬さの変化というこれまで実現すること

27

PEN N

ovember

ができなかった応答をする分子バネの登場は応答性分子

の分野に新たなコンセプトをもたらすと注目される本研

究成果はJST 戦略的創造研究推進事業 発展研究 (ERATO-

SORST)「分子プログラミングによる電子ナノ空間の創成

と応用」の一環として行われたものhttpwwwrikenjpr-worldinforeleasepress2010101115

indexhtml

【自己組織化基質選択的会合】分子間の特異的な相互作用による新規材料集積法を開発 分子が好みの分子を見分けて接着 (201011 15)大阪大学科学技術振興機構(JST)

近年分子認識を利用して分子と分子を非共有結合でつな

げることによりさまざまな超分子錯体が合成されさらに

これらを自己集合させる研究が行われているこれらの研

究において形成される集合体は分子の大きさであるナノ

メートルからマイクロメートルの極めて小さなもので高

倍率の顕微鏡を使わなければ見えない分子認識に基づい

て手軽に使えるくらいの大きな自己組織体を作り出すこと

はナノテクノロジー分野において分子を自己組織化さ

せて機能性材料を創製する上で重要な課題であった大阪

大学の研究グループはホスト分子としてシクロデキスト

リンをゲスト分子としてシクロデキストリンが結合する

化合物を用いてそのホスト-ゲスト相互作用を利用して

多様な自己組織化超分子ポリマーの構造体を作りマクロ

スケールで機能を発現させる研究を進めている今回D

NAやタンパク質の分子量決定に広く用いられるアクリル

アミドゲルを土台にしてこのゲルにシクロデキストリン

とゲスト分子をそれぞれ別々に導入し「ホストゲル」と

「ゲストゲル」を合成したこの両者を水中で振動させる

とゲルが接着する挙動が観察されミリメートルからセン

チメートルの大きさの物体を分子認識により自己集積でき

ることを世界で初めて実証したさらにシクロデキストリ

ンとゲスト分子との相互作用の強さの違いによって選択的

に特定のゲル同士を接着させることができることがわかっ

httpwwwjstgojpprannounce20101115indexhtml

【ブタノール分離膜】バイオブタノールの省エネルギー型膜分離精製技術を開発1 wt ブタノール水溶液から80 wt 以上の高濃度ブタノールの回収が可能 (201011 15)産総研

産総研は1 wt 程度の希薄なブタノール水溶液からゼ

オライト系分離膜を用いて 80 wt 以上に濃縮したブタ

ノールを回収できる省エネルギー型のバイオブタノール精

製技術を開発した ブタノールはエタノールと比較して

発熱量が大きいことから地球温暖化対策に貢献できる再

生可能なバイオ液体燃料すなわちポストバイオエタノー

ルとして期待されている今回合成条件の最適化を進め

高いアルコール選択透過性をもつシリカライト分離膜を合

成し膜分離法によって低濃度ブタノール水溶液から高

濃度ブタノールの回収が可能となった従来の分離膜を用

いた場合に比べてブタノール回収のためのエネルギーを

50 ~ 70 程度低減できることが期待される httpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101113

pr20101113html

【分子生物学】 化学合成したペプチドからウイルスの殻構造を組み上げることに成功 新規ナノ材料や医療材料としての応用に期待 (201011 12) 九州大学北九州市立大学

共同研究グループは化学合成したペプチドから約 40 ナ

ノメートルのウイルスの殻構造を組み上げることに世界で

初めて成功した球状の植物ウイルスから遺伝子を除いた

キャプシド構造と呼ばれる殻構造は決まった大きさのナ

ノ空間であることからナノ物質の反応器や運び手として

利用する研究が国内外で盛んに行われているしかしこ

れまでウイルスのキャプシド構造を得るにはウイルス

の遺伝子をバクテリア内に導入して生産させる必要があっ

た本研究では遺伝子やバクテリアを用いない完全化学

合成によってウイルスキャプシドを構築することに成功

した今回ウイルスの殻構造を簡単なペプチドから構築

できたことで様々な機能性ウイルスキャプシドを人工的

に創成する道が拓けたと言えるこのペプチドからなるナ

ノカプセルに適切な化学修飾を施すことによりナノ物質

合成のための反応器や医薬品の運び手人工ワクチンを

創成するための足場材料として応用できるものと期待され

るhttpwwwkyushu-uacjppressrelease20102010-11-12-04pdf

【レアメタル】レアメタル使用量削減技術の実用化を加速(20101110)新エネルギー産業技術総合開発機構 (NEDO)

NEDO はレアアース総合対策の一環として企業が取り

組むレアメタル使用量削減技術の実用化を加速するための

助成事業(事業規模約 100 億円)を 2010 年度補正予算

の成立を前提に行うこの助成事業では短期間で実用化

が期待できる以下の技術開発を対象として①レアメタル

28

PEN

Nov

embe

r を代替する材料の技術開発 ②レアメタルの使用量を削

減する技術開発 ③レアメタルのリサイクルを促進する

技術開発 ④その他のレアメタル消費の削減に資する技

術開発を行うhttpapp3infocnedogojpinformationskoubopressEFnedopre

ss2010-11-068550095069

【導波路型光スイッチ】光スイッチの消費電力を従来の 2 分の 1 に低減 増え続けるネットワーク機器の消費電力問題を解決 (201011 09)( 株 ) 富士通研究所

同社はシリコンフォトニクス技術を適用した導波路型光

スイッチについて世界で初めてシリコンゲルマニウム

(SiGe)細線構造を用いることで従来のシリコン細線構

造に比べて消費電力を約 2 分の 1 に低減することに成

功した幅広い波長に対応して高速に動作できるタイプの

光スイッチ素子としては世界最小の消費電力を実現して

いるhttpprfujitsucomjpnews2010119html

【ナノ構造機能】昆虫が足を擦る秘密をナノテクノロジーで解明 生体模倣による新しい材料機能の開発に活用 (201011 09)物質材料研究機構マックスプランク研究所キール大

共同研究チームは環境問題で循環型社会実現に求められる

「接着と分離」を繰り返せる未来の接合技術の開発研究に

おいてガラスのような平坦な表面を逆さまでも歩行でき

る昆虫の足の裏の優れた接着性に着目し昆虫(ハムシ)

の歩行調査を行いナノテクノロジーを用いた実験により

昆虫が摩擦により汚れを感じていることを突き止めた

httpwwwnimsgojpnewspress201011p201011090html

【超音波流量計半導体プロセス】極微量な流量を精密に測定できる超音波流量計を開発 半導体製造装置の性能を向上させ環境負荷を低減しランニングコストを削減 (201011 09)産総研( 株 ) アツデン東京計装 ( 株 )

3 者は共同で10 mLmin( 誤差plusmn 01 mLmin) 以下の極

微量な流量を精密に測定できる超音波流量計を開発した

この流量計は超音波ガイド波の伝搬に関する基礎理論の

見直しを行い超音波を高周波化し設計を最適化するこ

とにより開発したものでこれまでの超音波流量計では計

測できなかった微小な流速領域での流量測定ができるこ

の超音波流量計は半導体製造装置で利用される薬液の高

精度な制御を可能にし半導体製造装置の高性能化環境

負荷の低減ランニングコスト削減へ貢献すると期待され

る httpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101109

pr20101109html

【研究交流】中国上海における国際交流事業の実施同済大学と大学間学術交流協定を締結 (201011 08)大阪大学

10 月 21 日上海において開催した上海教育研究センター

開所式記念講演会祝賀会には鷲田清一総長をはじめ

とする大阪大学教職員中国の学術交流協定校関係者大

阪大学同窓会会員など約 130 人が列席し盛況の内に終

了した翌 22 日23 日には第 15 回大阪大学上海交

通大学学術交流セミナーが上海交通大学情報ネットワーク

センターを主会場として開催され7つの研究会に約 100

人が参加したさらに 23 日と 24 日の両日上海東亜展

覧館を会場に開催された中国国際教育展に大阪大学のブー

スを出展し100 人を超える留学相談者が本学のブースを

訪れた翌 10 月 22 日鷲田清一総長は上海市内にある

同済大学を訪問裴学長陳副学長ほか大学関係者と懇談

するとともに大学間学術交流協定及び学生交流覚書の調

印式に臨んだこれにより中国の大学との 10 番目の協定

が成立したhttpwwwosaka-uacjpjanewstopics20101120101108_1

httpwwwosaka-uacjpjanewstopics20101120101108_2

【高耐久性セラミック】激しい熱変化にも強度劣化しない窒化ケイ素系セラミックスを開発 窒化ホウ素の微粒子を分散させ耐熱衝撃性を飛躍的に向上 (201011 08)産総研三井金属鉱業(株)

両者は共同で従来品に比べて耐熱衝撃性と高温での強度

を飛躍的に高めた窒化ケイ素系セラミックスを開発した

今回窒化ケイ素(Si3N4)をベースとして高い熱伝導

率をもつ粒界相を形成させるとともにそこに非晶質に近

い窒化ホウ素のナノメートルオーダーの微粒子を分散させ

ることで耐熱衝撃性を飛躍的に向上させた従来の窒化

ケイ素が 1000 の温度差で強度が低下するのに対して

今回の開発材は電気炉で 1400 に加熱した後水中に投

下することを 10 回繰り返してもほとんど強度が劣化しな

かったまたこの開発材について大気中 1200 で高温

29

PEN N

ovember

曲げ試験を行ったところ室温と同程度の強度を保持して

いたセラミックスでは大型化すると小試験片では得られ

た特性が得られず実用化を進める上での課題になること

が多いがこの開発材では焼結条件を最適化することに

よって直径 82 mm 長さ 370 mm の比較的大型の部品で

も試験片と同様の組織物性が得られたまた実際の

製品形状に近い部品の焼成も可能となったhttpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101108

pr20101108html

【ミリ波発信器】ミリ波帯無線通信の実用化にめど 世界最高性能の低雑音局部発振器を開発 (201011 08)東京工業大学

東工大の研究グループは雑音を従来の 100 分の1以下

に低減したミリ波帯局部発振器を開発した20GHz 帯の

発振器と 60GHz 帯の注入同期型直交局部発振器を組み合

わせることにより世界最高の低位相雑音性能を達成した

無線通信の周波数帯ひっ迫を解消する技術として 60GHz

ミリ波帯の利用が注目されているがミリ波帯ではコイル

やコンデンサの損失が大きくなり位相雑音特性が劣化す

るのがネックだった今回はこれを解決したものでミ

リ波無線通信の実用化につながる成果発振器は 65 ナノ

メートルのシリコン CMOS プロセスを利用して試作した

580GHz から 636GHz の周波数範囲で 4 相正弦波出力が

可能でこの発振器により10Gbps(毎秒 100 億ビット)

以上の超高速ミリ波帯無線通信の実現が期待されるh t t p w w w o l d t i t e c h a c j p t o k y o - t e c h - i n - t h e - n e w s j

archives2010111289174400html

【炭素繊維応用】住宅向け外装材「炭素繊維補強サイディング」の本格展開について 優れた強度と耐熱寸法安定性で 15 年の基材保証を実現 (20101105)東レ ACE(株)

東レの子会社東レ ACE は炭素繊維で補強した窯業系サ

イディングを開発し本格販売と市場展開を開始する「炭

素繊維補強サイディング」はセメント質原料に炭素繊維

を添加配合して成型固着させた建物外壁用のセメントボー

ドで従来の窯業系サイディングの優れた防耐火性耐久

性等を維持しつつ更なる強度補強効果や火災高温時の

変形や熱収縮によるひび割れの抑制など耐熱寸法安定性

も向上させることで基材 15 年保証を実現する 本製品

に使用している炭素繊維は軽くて強く優れた高温特性や

耐熱性を有し非常に細い繊維を多く配合できることから

外装材としての強度補強効果も期待できるとしている

httpwwwtoraycojpnewsaffilnr101105html

【光ファイバーナノインプリント】ナノ格子反射防止表面光ファイバー先端に形成ナノ技術で安く製作 (20101105)東北大学

東北大の研究グループは微小な窪みが多数形成された反

射防止構造体を光ファイバーの先端に製作する技術を開発

した光ファイバーは光通信や光分析装置の構成部品とし

て使われており光源受光素子やレンズなどの光部品と

の接続損失を減らすために先端に反射防止膜が形成され

ている従来の反射防止膜は真空装置を使って薄膜を付け

るためコストが問題であった研究グループはナノイン

プリント技術を用いて光ファイバー先端のコア部に 270

ナノメートル間隔で微小な円錐状の窪みを形成し反射損

失を低減することに成功したナノインプリント技術は

基板に塗布したポリマーに原版を押し付けて微細パターン

を転写する技術で高価な露光装置や真空装置が不要なた

めナノ構造を安価に製作することができる今回光ファ

イバー先端にナノ構造を製作するために専用のナノインプ

リント装置を開発した窪みの間隔が光の波長よりも小さ

い場合屈折率が変化し反射波が生じにくくなる反射

率や波長帯域は窪みの形状間隔や高さで決まり従来

の反射防止膜よりも設計の自由度が高いため要求に合わ

せて種々の反射防止表面を製作することが可能 httpwwwtohokuacjpjapanese201011press20101105-2

html

【人工筋肉機能材料】光を運動エネルギーに変える新高分子素材の開発に成功 世界で初めて分子を大面積で 3 次元的に配列させ新機能を実現 (20101105)理化学研究所

光で変形したり電子を流すなどの機能を持った分子を人工

的に規則正しく大面積で集積することができると機能性

材料の性能向上や革新的新機能の発現につながるそのた

め世界中で精力的に開発が行われているがこれまで実現

させた例はなかった理化学研究所の研究グループは光

で構造が変化するアゾベンゼン分子を組み込んだブラシ状

の高分子「ポリマーブラシ」を大面積で 3 次元的に一挙

に配列させる手法の開発に初めて成功したこの規則性の

ある 3 次元集積構造は延伸したテフロンシートにポリ

マーブラシを挟み込みアイロンに似た熱と圧力を加える

といういたって簡単な操作で実現したさらにこのフィ

30

PEN

Nov

embe

r ルムに光を当てるとアゾベンゼン分子の構造変化が一方

向に集約しフィルムが湾曲するという巨視的変形を引き

起こすことを見いだしたすなわちこの新しいフィルム

は光エネルギーを運動エネルギーに変換する機能を持って

おり新たな人工筋肉材料などへの展開が期待されるま

た本技術は有機薄膜太陽電池をはじめとする次世代の機

能材料の開発にも革新をもたらすと期待されるhttpwwwrikenjpr-worldinforeleasepress2010101105

indexhtml

【リチウムイオン電池正極材料】常温プロセスで全固体薄膜リチウムイオン電池の試作に成功 エアロゾルデポジション法による蓄電池製造の新工法開発を本格化 (2010115)産総研

産総研はトヨタ自動車 ( 株 ) と共同で産総研が開発し

たセラミックス材料の常温高速コーティングプロセスであ

るエアロゾルデポジション (AD) 法を用いて酸化物系の

正極材料負極材料固体電解質材料を薄膜積層化して

金属基板上に 3 層構造からなる全固体薄膜リチウム (Li) イ

オン電池を試作蓄電池としての充放電特性を世界で初め

て確認した 従来型の薄膜技術とは異なりAD 法を用い

ると基板の加熱が不要でまた厚膜化も容易であるそ

のため成膜時間が大幅に短縮でき蓄電池の生産性向上

やプロセスコストの大幅な低減が期待される今後は AD

法を用いた本格的な全固体電池の共同開発を進めていく httpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101105

pr20101105html

【記録デバイススピントルク素子】次世代超高密度 HDD に向けたマイクロ波アシスト記録の基本技術を開発 磁気ヘッドに搭載可能なスピントルク素子を用いた磁気情報の書き換えを確認 (2010115)新エネルギー産業技術総合開発機構(NEDO)(株)日

立製作所

NEDO はハードディスク装置(HDD)の開発製造会社で

ある日立グローバルストレージテクノロジーズの協力を得

て従来の磁気記録方式の限界を超えHDD の記録密度

を飛躍的に伸ばす方式として期待されているマイクロ波ア

シスト磁気記録方式の基本技術を開発しその原理を実験

的に確認したマイクロ波アシスト記録では記録媒体の

小領域にマイクロ波帯の高周波磁界を加え磁気情報の書

き込みを容易にする今回開発したのはヘッドに搭載可

能な高周波磁界を発生するスピントルク発振素子でこの

素子を用いて記録媒体上に磁気情報を記録できることを実

験的に確認したこれまで外部のマイクロ波発生装置を

用いたマイクロ波アシスト効果の報告例はあったが今回

微細な発振素子を用いた磁気情報の記録を確認できたこと

により将来この素子を記録ヘッドに搭載しマイクロ波

アシスト記録を実用的に行える可能性が示されたhttpapp3infocnedogojpinformationskoubopressEFnedopre

ss2010-11-029718160145

【基礎科学物性】絶縁体が金属に変わる新原理の解明 超伝導素子や熱電変換素子の開発へ道(20101104)東北大学

東北大学原子分子材料科学高等研究機構の研究グループ

は高品質酸化物薄膜において電気が流れにくい絶縁体

状態から流れやすい金属状態への遷移機構を解明した材

料における電気の流れやすさは電気を流す担い手である

伝導キャリアが物質中にどれだけ含まれるか伝導キャリ

アがどれくらいスムーズに動きまわれるかによって決ま

るつまり伝導キャリアの濃度を増やしたり材料中で

伝導キャリアの動きを妨げる原因になるひずみや欠陥を少

なくすると電気はより流れやすくなる本研究では人

工宝石として知られるチタン酸ストロンチウム (SrTiO3)

の絶縁体を用い伝導電子を生み出すキャリア供給層を

SrTiO3 絶縁体間に挟み込んだ絶縁体層 キャリア供給層

絶縁体層の層状界面構造をもつ高品質超格子構造を作製す

ることで絶縁体層の体積を増加させると反対に電気が流

れやすい金属状態になる現象を発見した最新の電子顕微

鏡技術を用いた原子構造解析と電子状態の理論計算を駆使

して絶縁体を増加させると界面で結晶のひずみが少なく

なり高導電化することを解明した本研究が明らかにした

界面での結晶のひずみを制御することによって絶縁体を金

属状態へ変化できる現象は様々な材料でも普遍的に起こる

と考えられ絶縁体から金属へ変わる境目で性能が向上す

る新超伝導体や新熱電材料の開発に展開することが可能と

期待されるhttpwwwtohokuacjpjapanesenewimgpressimgtohokuuniv-

presspdf

【環状高分子】様々な環状高分子の自在な合成に成功 「かたち」に基づく機能開発に期待(2010112)東京工業大学

東工大の研究グループはこれまで困難とされてきた

種々の含環状高分子の選択的な合成に成功した同研究

グループで開発された単環状高分子合成プロセスである

31

PEN N

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Electrostatic Self-Assembly and Covalent Fixation Process

と有機合成化学の新手法であるクリックケミストリー

を組み合わせることで様々な「かたち」の自在な構築

を達成した本手法の開発により近年注目を集めてい

る「かたち」に基づいた高分子物性の探索を加速させる

ものと期待されるhttp wwwo ld t i t e ch ac j p tokyo - t ech - in - the -news j

archives2010111288656000html

【異分野連携オープンイノベーションモデル】応用脳科学コンソーシアム 脳科学及びその周辺領域の学術知見を活用したオープンイノベーションモデルの研究活動を開始 異業種の民間企業と異分野の脳科学研究者が連携し事業性の高い研究テーマを推進 (2010111)アサヒビール(株)(株)NTT データ積水ハウス(株)

(株)竹中工務店帝人(株)凸版印刷(株)日産自動

車(株)(株)博報堂(株)NTT データ経営研究所

NTT データ経営研究所が日本神経科学学会の協力を得て

2010 年 10 月 1 日に創設した「応用脳科学コンソーシア

ム」においてそれぞれの事業活動に関連する独創性の

高い研究テーマについて複数の「応用脳科学 RampD 研究会」

を立ち上げるRampD 研究会では各 RampD 研究会を設置

した特別会員企業が各テーマに関連の深い脳科学及び

その関連領域の研究者を招聘し異業種である他の会員

企業とともに最新の研究知見を活用してオープンイノ

ベーションモデルの研究活動を実施する各社が設置す

る RampD 研究会は現時点で(1)おいしさの総合評価研究

会(アサヒビール)(2)ヘルスケア脳情報クラウド研究

会(NTT データ)(3)インタラクティブ住環境研究会(積

水ハウス株式会社)(4)コミュニケーション空間研究

会(竹中工務店)(5)メディアエンゲージメント研究

会(博報堂)この他の RampD 研究会については今後随

時応用脳科学コンソーシアムのウェブサイト httpwww

keieikencojpcan で公開予定

httpwwwnttdatacojprelease2010110101html

【レーザ技術基礎光物性】熱を加えずに結晶を柔らかくすることに成功 高強度テラヘルツ電磁パルスで分子ネットワーク操作が可能に 

(2010111)京都大学科学技術振興機構(JST)

京都大学はテラヘルツ電磁パルスと呼ばれる新しい光

を物質に照射することで1兆分の1秒の短い時間で結

晶中の分子を大振幅で揺さぶり熱平衡状態では実現で

きないような分子変位を実現することに世界で初めて成

功した実験結果は結晶が実効的にやわらかくなったこ

とを意味するものでさらに強いテラヘルツ電磁パルス

によって高効率で結晶を融解させることを示唆するこ

れは熱による反応を起こすことなく新しい分子間のネッ

トワークやたんぱく質などの巨大分子の立体配位を操作

できることを示しており化学合成における反応促進や

創薬における有機分子結晶の精製での活用が考えられる

今回の成果は JST 戦略的創造研究推進事業日本学術振

興会学術創成プロジェクト「動的相スイッチ機構を内在

する有機電子材料の開拓と非平衡物性科学への展開」お

よび京都大学グローバル COE プログラム「普遍性と創発

性から紡ぐ次世代物理学」によるものhttpwwwjstgojpprannounce20101101indexhtml

【高周波デバイス】透 明 な 高 周 波 デ バ イ ス 見 え な い ア ン テ ナ へ の 道

(20101028)物質材料研究機構太陽誘電(株)

両者は共同で透明な高周波デバイスを製造するための

基本技術である微細な金属配線と酸化物透明導電体から

なるハイブリッド構造を開発した本技術は不透明で

あるが高い伝導性を示す金属と透明ではあるが金属の

100 分の 1 程度の伝導率にとどまる酸化物透明導電体と

を組合せ両者の特性を相補的に活用することにより

透明でありかつ携帯電話をはじめとする無線デジタ

ル通信に用いられるギガヘルツ帯の高周波に対して高い

伝送特性を示す素子構造を実現した

httpwwwnimsgojpnewspress201010p201010280html

【エコ製品環境経営】COP10 に向けた環境配慮型製品技術の取り組み ポリ乳酸繊維 ldquo エコディア rdquo 使用商品の提供や連携事業「メッセナゴヤ 2010」への出展を通じ環境保全の取り組みを強化 (20101028)東レ ( 株 )

同社は10 月 11 日 ( 月 ) から 29 日 ( 金 ) に開催された

生物多様性条約第 10 回締約国会議 (COP10) に向けて

ポリ乳酸繊維 ldquo エコディア rdquo 使用商品の提供などを通じて

環境に配慮した運営に協力したまたCOP10 の連携事

業である環境エネルギーをテーマとした展示会「メッ

セナゴヤ 2010」に出展し環境に配慮した次世代自動車

や最先端航空機向けの先端材料を紹介した

httpwwwtoraycojpnewsfibernr101028html

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embe

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NEWS POD 著作権の関係で記事のタイトルと詳細内容は標記できませんので簡略に表示しています詳しい内容に関しては各新聞及び雑誌をご覧ください

ナノテクノロジー

研究開発最前線

20101122 日 刊 工 業 新 聞 News

ウェーブ 21

X 線レーザー

20101121 東京読売新聞

新潟ナノテク研究会

20101120 日本経済新聞

ナノテクとバイオ

20101120 下野新聞

バイオ起業

20101119 朝日新聞

ナノ粒子の構造制御

20101119 日刊工業新聞

水素原子観察

20101119 科学新聞

光ファイバー関連技術

20101119 科学新聞

希少金属対策

20101118 日刊工業新聞

熱電材料

20101117 日経速報ニュース

化学合成でナノ構造

20101117 日経産業新聞

つくばナノテク研究拠点への投資

20101117 日刊工業新聞

分子バネ

20101116 日経速報ニュース

ナノバイオ融合

20101116 日経産業新聞

フレンドオブアースのナノテク評

20101116 エコロジーエクスプレス

クラスターテクノロジー

20101112 産経新聞

実用化助成

20101111 日刊産業新聞

接着のメカニズム

20101110 日経産業新聞

電子材料

20101110 日経産業新聞

ナノ磁石

20101110 東京新聞

高分解能放射線検出器

20101110 化学工業日報

電池電極材料

20101108 日本経済新聞

食の安全性

20101108 日経エコロジー

ナノ磁石実用化

20101105 朝日新聞

ナノテク接着剤

20101105 日刊工業新聞

水素原子の観察

20101105 日刊工業新聞

補正予算案

20101105 科学新聞

ナノ磁石

20101104 日本経済新聞

ナノボーグ

20101104 日刊工業新聞

ITO 電極代替技術

20101104 鉄鋼新聞

レアアース代替材

20101103 日本経済新聞電子版

セクション

ナノ鉄磁

20101103 毎日新聞

有機トランジスタ

20101101 日 経 速 報 ニ ュ ー ス

アーカイブ

有機トランジスタ

20101101 日経産業新聞

ナノムービー

20101101 日経サイエンス

低燃費タイヤ

20101030 朝日新聞

筑波大生命科学研究拠点

20101030 茨城新聞

レアアース代替材

20101029 日経産業新聞

播磨地域

20101029 化学工業日報

ナノ粒子操作

20101029 科学新聞

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NEWS POD 著作権の関係で記事のタイトルと詳細内容は標記できませんので簡略に表示しています詳しい内容に関しては各新聞及び雑誌をご覧ください

中国新5カ年計画

20101028 日本経済新聞

高機能消臭素材

20101028 化学工業日報

環境規制等

終わりの科学

20101201 日経サイエンス

電気自動車の覇権

20101123 週刊エコノミスト

環境規制対応

20101122 日経産業新聞

温暖化ガス排出枠

20101122 日経産業新聞

ロス自動車ショー

20101119 日経産業新聞

EV と環境規制

20101119 朝日新聞

EV

20101119 東京新聞

環境と法規制

20101119 化学工業日報

トヨタとテスラ

20101118 読売新聞速報ニュー

CO2 排出量削減

20101118 日経産業新聞

カリフォルニア州環境規制と EV

20101112 日本経済新聞

環境規制

20101112 日本経済新聞

環境規制

20101112 日経産業新聞

米韓 FTA

20101112 朝日新聞

米韓 FTA

20101112 毎日新聞

顔料

20101112 化学工業日報

レアメタル供給規制

20101111 日本経済新聞

潮冷熱

20101110 日本経済新聞

レアアース生産と環境規制

20101108 ダウジョーンズ中国企

業ニュース

韓米FTA

20101101 中央日報

科学技術政策

競争的資金制度

20101122 日本経済新聞

科学技術関係補正予算案 

20101122 THE DOCTOR

韓国 KIST

20101121 朝鮮日報

科学技術政策

20101119 日本経済新聞電子版

セクション

科学技術政策

20101118 日本経済新聞

科学技術政策

20101118 日経産業新聞

女性研究者

20101117 日経速報ニュース

科学技術予算

20101114 東京読売新聞

トップ1論文

20101112 科学新聞

中国特許強国に

20101112 新華社ニュース

関経連と科学技術政策

20101110 産経新聞 

科学技術産業一体政策

20101109 日刊工業新聞

優れた論文の条件

20101105 毎日新聞

「焼け太り許さぬ」

20101102 朝日新聞

国の研究開発投資目標

20101029 日刊工業新聞

科技政策で提言

20101027 日経産業新聞

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科学への信頼に関する読者調査

20101201 日経サイエンス

「カップリング反応」アニメ化

20101110 朝日新聞東京読売

新聞他

科学と社会つなぐ人材

20101025 東京新聞

NEWS POD 

情報誌 PEN 購読のご案内PEN の継続的な購読をご希望の方は下記のメールアドレスまでお名前ご所属メールアドレスをご記入の上ご連絡ください登録配信は無料ですnano-penmaistgojp

PEN は原則月 1 回配信しますバックナンバーと PEN の前身【AIST-TOKYO ナノテク情報】をナノシステム研究部門ホームページにて公開しています httpunitaistgojpnrinano-planindexhtml

PEN は皆さまとの情報共有を目的としていますお持ちの情報で共有すべきものがあれば nano-penmaistgojp までお寄せ下さい

いただいた個人情報は産総研 個人情報保護方針(プライバシーポリシー)に基づき大切に管理し情報誌 PEN の運営と私達のイベントのご案内のみに使用させていただきます

科学技術コミュニケーション

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イベント案内

[産学連携研究開発]大阪大学ナノ理工学人材育成産学コンソーシアム 第 3 回ナノ理工学情報交流会場所大阪大学中之島センター 7 階 講義室 3(講師来訪)

   大阪大学東京オフィスサテライト教室

(遠隔講義配信)

   四日市商工会議所内サテライト教室

(遠隔講義配信)については調整中です

コンソーシアム HP にてご確認ください

   ナノテク社会人教育プログラムの開講をされてい

る場合遠隔講義配信に対応可能です事務局まで

ご連絡ください

日時2010 年 12 月 10 日(金)1330 ~ 1900 頃

主催大阪大学ナノ理工学人材育成産学コンソーシアム 

概要ナノ理工学人材育成産学コンソーシアムでは活動

の一環として産学連携のきっかけを提供すべく企業と

大学の双方からテーマに即した研究開発やトピックを紹介

し会員同士の意見交換と情報共有の促進をはかっていま

す第 3 回目となる今回は「光を用いたナノテクノロジー

の新展開」をテーマに開催しますプログラムなどの詳細

は下記の HP をご参照下さい

参加費コンソーシアム会員学生及び大阪大学教職員は

無料(コンソーシアム企業会員の場合社内から何名でも

無料で参加が可能です)

上記以外の方は資料作成費 1000 円が必要になります

参加登録氏名所属連絡先懇談会への出欠を記載の

上メールにて大阪大学ナノ理工学人材育成産学コンソー

シアム事務局(nano-consnanoscienceorjp)へお申込み

下さい

httpwwwnanoscienceorjp

[コミュニケーション]科学コミュニケーション研究会 第 1 回関西支部勉強会日時2010 年 12 月 2 日 1800 ~ 2000

場所京都大学 吉田泉殿

主催科学コミュニケーション研究会 関西支部有志

概要大阪教育大学科学教育センターの中矢史雄氏を講師

に招きオーストラリアの科学技術コミュニケーションに

ついてオーストラリア国立大学科学意識向上センター

での経験なども交えてお話いただきます定員は 25 名で

す事前申し込みが必要です

httpbitlybPmTP9

[展示会]セミコンジャパン 2010日時12 月 1 日~ 3 日

場所幕張メッセ

主催SEMI

概要国内外の最新のマイクロエレクトロニクス技術に関

する情報を入手することのできる世界最大の半導体製造装

置材料展です

httpwwwsemiconjapanorgjaindexhtm

[知財]アジア特許庁シンポジウム日時2010 年 12 月 3 日(金)930 ~ 1210

場所ホテル日航奈良 飛天の間

主催特許庁

概要日本中国韓国インドネシアマレーシアシ

ンガポールの特許庁幹部を招き各国の知財保護強化の取

組みやアジアにおける知財協力を紹介しますまたパ

ネルディスカッションを設けアジアにおける人材育成協

力の方向性について議論します

httpwwwintergroupjp~convasia

[人材育成]応用物理学会 人財育成シンポジウム -日本の危機を科学が救うそのためのリーダー育成を考える-日時2010 年 11 月 29 日(月)1000 ~ 1710

場所東京工業大学デジタル多目的ホール

主催応用物理学会

概要急速に進むグローバル化に対応のできる人材を育成

するための課題や応用物理学会が貢献することのできる

具体的な取り組みについて議論します

イベント案内へ掲載を希望される方は nano-penmaistgojp までご一報ください

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embe

r h t t p w w w j s a p o r j p a c t i v i t i e s e d u c a t i o n

symppt2010symphtml 

[コミュニケーション]科学技術とメディアのより良い関係に向けて日時11 月 26 日 1815 ~ 2030

場所早稲田大学大隈小講堂

主催サイエンスメディアセンター(SMC)

概要英国オーストラリアのサイエンスメディアセ

ンターの関係者米国のサイエンスコミュニケータを交え

て研究者とメディアの有益な関係性構築に向けた取り組

みについて議論します参加費は無料同時通訳がつきま

httpsmc-japanorgp=403 

[異分野連携]医学領域と工学領域連携研究シンポジウム ‐ 未来を拓く医工連携 ‐日時2010 年 11 月 27 日(土)

場所山口大学医学部第 3 講義室

主催日本学術会議中国四国地区会議山口大学

概要がんの個別化医療をメインテーマにこれからの医

工連携のあり方について講演と議論を行います

httpwwwscjgojpjaeventpdf100-t-3pdf 

[人材育成]マイクロナノエンジニアリング シンポジウム ‐ イノベーションと人材育成 ‐日時2010 年 12 月 8 日(水)1300 ~ 1700

場所日本学術会議 講堂

主催日本学術会議 マイクロナノエンジニアリング分

科会日本機械学会 マイクロナノ工学専門会議

概要学際的分野であるマイクロナノエンジニアリング

は大学大学院における教育の整備関連する産業界

学術界での研究開発における分野融合的な取組みが不可欠

です本シンポジウムでは人材育成を軸とした課題につ

いて議論します

httpwwwscjgojpjaeventpdf100-s-3-1pdf

[ 博物館展示 ]自然に学ぶ ネイチャーテクノロジーとライフスタイル展開催中です

場所国立科学博物館 (東京上野公園)

日時2010 年 10 月 26 日~ 2010 年 2 月 11 日

主催東北大学大学院環境科学研究科国立科学博物館

特定非営利活動法人ものづくり生命文明機構

概要蝶や鳥など生き物や自然の仕組みにヒントを得た環

境負荷の低い技術と将来的な応用の可能性から日本文化

に根差した共生型の新しいライフスタイルのあり方につい

て紹介します国立科学博物館の入館料600円が必要です

httpwwwkahakugojpevent201010natureindex

html

[人材育成]シンポジウム「世界を魅せる日本の課題解決型基礎研究~JST 目利き制度とその可能性」日時2010 年 12 月 6 日(月)1000-1800 (0900 受

付開始)

場所東京国際フォーラム B5 ホール

主催(独)科学技術振興機構(JST)

概要JST がこれまでに行ってきた戦略的創造研究推進

事業の成果を振り返りつつ今後の日本の科学技術の発

展に向けた事業のあり方について参加者の皆様と議論しま

httpwwwsenryaku30jstgojp 

[ 持続可能性 ]学術会議シンポジウム「低炭素化に向けた経済社会エネルギーのあり方と実現のシナリオ」日時2010 年 12 月 9 日(木)1330 ~ 1700

場所学術会議講堂

主催土木工学建築学委員会低炭素建築都市分科会

社会資本分科会

概要両分科会は中~超長期のエネルギー消費量削減シ

ナリオ策定に取り組んできました本シンポジウムでは

分科会の検討結果や削減のための様々な取り組みを紹介

し今後のとりまとめ作業に向けた議論を行います

httpwwwscjgojpjaeventpdf104-s-3-6pdf 

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PEN 編集室関谷瑞木阿多誠文独立行政法人産業技術総合研究所 ナノシステム研究部門 305-8568 つくば市梅園 1-1-1 産総研つくばセンター中央第 2 M404Email nano-penmaistgojpTel029-861-5185 Fax 029-861-5339

編集後記

今月 8 日に長野県長野市で開催された第 3 回国際ナノ

ワークショップ「ナノテクノロジーの社会受容~ナノ

材料の工業標準化の国際的な動向と環境影響について

~」の会場で多くの企業の皆様と意見交換をする貴

重な機会を得た目まぐるしい勢いで変わってゆく諸

外国の環境規制策の動向に民間企業の皆様が神経を

とがらせておられることがひしひしと感じられた東

京から新幹線で 1 時間半インターネットでリアルタ

イムに世界とつながることのできる時代とはいえ情

報物人が集積する地である東京とは異なる苦労も

あることもお聞きした美しい山々きれいな空気あ

るいは世界に誇る観光遺産と科学技術を結び付けて

地域振興をはかりたいとの頑張っておいでの方にもお

会いした

月刊という制約はあるもののこうした方々にとって

タイムリーで有用な情報を提供し続けたいと改めて

強く感じた

ちなみにPEN を発行しているつくば市の産総研つく

ばセンターへもつくばエクスプレスと路線バスを乗

り継いで都心からは約 1 時間半かかる

2010 年 11 月 25 日

PEN 編集室一同ウナギツカミ

Page 14: Public Engagement with Nano- PEN November …...5 PEN November 【知財】 中国、10年で特許強国に(2010.11.12) 中国国家知識産権局は11日に「全国特許事業発展戦略

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基本政策専門調査会資料公開総合科学技術会議

11 月 17 日中央合同庁舎第4号館で開催された第 11 回

総合科学技術会議基本政策専門調査会の資料が公開され

た10 月 18 日~ 11 月 8 日にかけて行われたパブリック

コメントの結果等も公開されている特に注目される「Ⅴ

社会とともに創り進める政策の展開」の項目のなかの「社

会と科学技術イノベーションとの関係深化」の課題には

①「国民の視点に基づく科学技術イノベーション政策の推

進」には欧米にくらべ遅れている「政策の企画立案及び

推進への国民参画」の促進が必要その方法論を研究し

具体的な参画の場や運用を整備すべき国の機関のみなら

ず各地の大学や研究機関が主体的に参画できるものであ

るべき②科学技術だけでなく社会についての知を総合

しなければイノベーションは不可能③「倫理的法的

社会的課題への対応」でヒトの臨床試験に関する法律

動物実験バイオ施設といった具体例を論ずるべきといっ

た意見が集約されている

また民主党政権が達成目標としている「政府研究開発投

資の対 GDP 比 1」に関しては資料 4 - 1 の第 4 期科

学技術基本計画における投資目標のなかに2008 年度の

実績が 072 であったことが示されているちなみにア

メリカは政府研究開発投資の対 GDP 比 1 を維持してい

httpwww8caogojpcstptyousakaiseisakuindexhtml

科学技術に関する最近の話題への国民の関心について科学技術政策研究所 (NISTEP)

文部科学省所管の科学技術政策研究所は科学技術に関す

る最近の話題への注目度など速報性のあるデータについて

公開したまた同研究所は「日本の研究者を対象とした科

学における知識生産プロセスについての大規模アンケート

調査」の結果についても公表を行ったhttpwwwnistepgojpnistepabout09html

httpwwwnistepgojpachievftxjpnmat191jpdfmat191j_

reportpdf

公共政策のためのパブリックコメント2011 年度予算編成に伴い9 月末から政策コンテストが

進められているこれは市民から広く意見を聞くパブリッ

クコメントのことであるところがある省の政策担当者が

政策立案に関わった専門家に提出方法についてメールで周

知し間接的ながらも意見の提出を促した事実が明らかと

なったこの問題は今月 18 日付新聞各紙で報道された

時代の流れである政策の公共性に逆行し公共の利益に反

する行為であるいわずもがなではあるがパブリックコ

メントが義務的な制度ではなく今後政策や予算立案の過

程で当然の仕組みとして定着していくためにもパブリッ

クコメントを広く公平に集める仕組みつくりは危急の課題

であり集まったコメントに耳を傾ける真摯さが政策サイ

ドに求められている政策や予算に対するパブリックコメ

ントは政策の公共性に必要不可欠の仕組みであり科学技

術の社会受容の重要なプロセスである「パブリックコメ

ントを行いました」という既成事実のためにあるのではな

共同声明「国際化拠点整備事業(グローバル 30)の強化を要望する」11 月 16 日

東北大学筑波大学東京大学名古屋大学京都大学

大阪大学九州大学慶應義塾大学上智大学明治大学

早稲田大学同志社大学立命館大学

平成 21 年度に開始された国際化拠点整備事業(グローバ

ル 30)に採択されている上記 13 の大学は昨年に引き

続き本事業が行政刷新会議の事業仕分けの対象となったこ

とに関して共同声明を発表したその骨子は国際的視

点と人材教育の視点から大学及び日本社会の国際化のた

国内情報

15

PEN N

ovember

めのグローバル 30 をさらに拡充強化されることを政府に

要望するものでまた予算の縮減などになれば国際社会に

おける日本の信頼が大きく傷つくばかりでなく日本の将

来について致命的な打撃を与えるのではないかと指摘して

いるh t t p w w w o s a k a - u a c j p j a n e w s t o p i c s 2 0 1 0 1 1

files20101116_2pdf

加速する EV 市場電気自動車 (EV) 市場が大きく展開し始めたすでに三菱

自動車は昨年から EV アイミーブを市場に投入している

日産自動車は今年 7 月から EV リーフの試乗会を行ってき

たがいよいよ来 12 月には EV リーフの日米同時の販売

を開始するこれにあわせて 12 月 45 日に横浜市内で

公道上での試乗会が行われる今後は技術提携を進めるフ

ランスのルノー社との技術の共通化が図られる

このような動きに対しトヨタやホンダはこれまで EV に

は慎重な姿勢を維持してきたしかしこの数か月でその姿

勢にも大きな変化が出てきた今月 17 日から開催されて

いるロサンジェルスのモーターショーでトヨタは RAV4

の EV モデルホンダはフィットの EV モデルをそれぞれ

公開しているこれまでハイブリッド技術で覇権を制して

きたトヨタはこの 5 月にカリフォルニアの EV 開発ベン

チャーであるテスラと資本提携スポーツタイプ多目的車

(SUV)をベースとした EV の開発を加速させているテス

ラは 2008 年から時速 200km を誇るロードスターの市場

投入実績を有しておりトヨタ以外にもすでにダイムラー

とも資本提携を行っているまた今月にはパナソニックと

電池の共同開発を開始するなど2015 年の本格的なアジ

ア市場での販売計画に向けて技術開発を加速させている

テスラの技術は家電製品に使われる汎用電池を多数並べて

用いるところに特徴があり現時点では車載用専用の電池

の開発を進める他の EV との差別化を図ることに注力して

いる

このような一連の動きは2012 年のカリフォルニア州に

おける環境規制の施行を見据えたもので2012 年が EV

普及にとってフラグポイントになるアメリカでもゼロエ

ミッション EV の開発が活発に行われ経営破たんしてい

た GM が 11 月 18 日に株式市場に再上場するなどアメ

リカの産業構造も大きく変わりつつあるただモーター周

りの技術に関しては中国企業との共同開発も進められて

いる

このような EV 市場の急展開の様相は日本の経済を支え

てきた自動車産業に大きな質的変化をもたらしつつある

EV は「自動車が家電製品になる」と形容されるように

車載用駆動電源としての 2 次電池の高性能化やリチウム

資源の確保さらには太陽光発電利用やスマートグリッド

まで含めたエネルギーデリバリーシステムや充電インフラ

等々幅広い産業活性化の起爆剤でもあるEV がオフィ

スや家庭の家電とつながればIT 産業にも大きなビジネス

チャンスが到来する自動車産業は家電メーカー総合

商社IT 企業その他さまざまな技術領域を巻き込んだ覇

権争いに突入していこうとしておりこれまで ldquo 城下町 rdquo

と称された日本の垂直統合型自動車産業そのものが大きく

変わりつつあるといっても過言ではない

ところで「モーターをタイヤにした」構造的には内燃機関

式に比べ単純な構造の乗り物でもある EV の市場には新

興国の新規産業が参入しやすいという一面がある上述し

たような 2012~15 年にかけて強まる世界的な環境規制を

追い風に新興国から多くの EV 産業への参入が予想され

る実際に中国広東省のベンチャー企業 BYD などはそ

の急先鋒として成長し続けている日本の産業は1990

年のバブル崩壊以降 20 年にわたって「技術で勝って市

場をとれない」状況に苛まれてきた対処策の一つは技術

開発と経営の基本姿勢である言うまでもなく技術が発展

することは製品の質の向上に結び付くのだがただ「より

良い技術をふんだんに詰め込めばおのずと製品は売れる」

という安易な技術への過信や過剰な技術の詰め込みがイノ

ベーションプロセスに負に作用することも事実であるエ

リアごとに大きく異なる市場のニーズを的確に把握するこ

とと急速に展開する市場に対応した経営意思決定の迅速

化がキーになる

もう一つは国際的な枠組みでのインフラ技術の標準化であ

る一国一票の投票権を持つ国際標準化の策定プロセスで

は欧州が圧倒的な強さを維持しており日本は常に苦戦

を強いられる立場にある国際電気標準会議 (IEC) におけ

る EV インフラ技術の標準化チャデモ協議会といった日

本の対応については週刊エコノミスト 12 月号 40 ~ 41

頁に詳しい

また日刊自動車新聞によると電気自動車普及協議会が

EV の高電圧周りの安全対策などに関するガイドラインの

策定を始めているが緊急性の高い項目は今年度中に情報

公開される模様である

国立研究開発機関(仮称)構想省庁の縦割り政策の弊害を解消して研究開発を効率的に進

めることを目的に文部科学省は 38 の独立行政法人研究

機関の再編統合を図る仮称「国立研究開発機関」構想を

打ち出している海江田科学技術政策相はその設置法案を

来年度の通常国会に提出する考えを明らかにしこれに併

せて発足に向けたスケジュール作りがすでに検討チームの

中で始まっているその一方蓮舫内閣府特命担当大臣(行

16

PEN

Nov

embe

r 政刷新)公務員制度改革担当は文部科学省ではなく内閣

府主導で予算編成を行うべきとの考えを示し行政刷新会

議も「焼け太りは許さない」と文部科学省を牽制設置法

そのものの提出をくい止めたい考えである他の様々な施

策同様これも民主党政権内での軋轢となっている

化学5社化学物質情報伝達を電機大手と共通化中小企業ビジネス支援サイト J-Net21 は11 月 15 日に

日本の化学大手 5 社がアーティクルマネジメント推進協

議会の仕組みを活用して製品に含まれる化学物質の伝達

方法を電機大手と共通化することを発表サプライチェー

ンでの情報伝達の共通化が図られるhttpj-net21smrjgojpwatchnews_tyusentry20101115-10

html

22 年度科学技術関係補正予算閣議決定先月末の 26 日平成 22 年度補正予算 4 兆 8500 億円が

閣議決定された今月 11 日付科学新聞はこのうち科学

技術関係予算を文部科学省のスパコン「京」への 186

億円などを含め約 1500 ~ 2000 億円程度と見積もってい

る経済産業省関係では産学官連携のイノベーション拠点

立地支援事業への支援策が多く盛り込まれているつくば

イノベーションアリーナ中核拠点と位置づけられている産

総研には補正予算 30 億円が配分されている

なお内閣府総合科学技術会議は 11 月 4 日2010 年度

の当初予算額 3 兆 5878 億円に対し補正予算案は 1864

億円経済危機対応地域活性化予備費は 141 億円で

合計は 3 兆 7742 億円となったことを明らかにした補正

予算の詳細については 11 月 4 日「平成 22 年度経済危機

対応地域活性化予備費及び補正予算案(科学技術関係予

算)について」として内閣府から公開された

httpwww8caogojpcstpbudgeth22hoseipdf

ナノボーグの販売軽量化フレキシブル化が進む様々なデバイスをまとめて

身に着けることが可能な服が「ナノボーグ」である東工

大谷岡教授が名付けたもので4 日付日刊工業新聞による

と今月にも太陽電池を電源とするジャケットがアメリカ

のアパレルメーカーから発売される

httpwwwnikkancojpnewsnkx0320101104eaahhtml

ldquoNBCI ナノナビ rdquo 創刊ビジネス環境のグローバル化オープン化に伴って政策

や規制動向研究開発動向の迅速な情報共有への要求が高

まりつつあるこれに応え一般社団法人ナノテクノロジー

ビジネス推進協議会(NBCI)は不定期の情報誌 ldquoNBCI

ナノナビ rdquo を創刊先月末より会員向け配信を開始した

創刊号では標準化の重要な課題であるナノラベリング(使

用ナノ材料の周知目的)の動きナノネット活用等につい

て最新の動向が配信された

httpwwwnbcijp

フラーレンのナノエレ応用脚光を浴びるカーボンナノチューブやグラフェンに比べ

フラーレン(C60)のナノエレクトロニクスへの応用展開

は広がらない状況が続いてきたがこの度 C60 を積層し

た有機トランジスタが開発されたこれは 11 月 1 日付日

経産業新聞が報じたもので大阪大学と山形大学大日本

印刷の共同研究の成果である試作された C60 を含む有

機トランジスタは従来の有機トランジスタより大きな電

流を流すことが出来400 キロヘルツの高速応答が得られ

たとのこと

筑波大に生命科学研究拠点先月末筑波大は先端学際領域研究センター通称 TARA

センターを改組し生命領域学際研究センターを設立浅

島誠氏がセンター長に就任した今後 20 人の研究部隊が

幹細胞研究などに特化した研究を展開する

新規事業への投資を名城ナノカーボン10 月 29 日付の金融専門誌ニッキンは名城ナノカーボ

ンの橋本剛氏をとりあげた同社は 2005 年 4 月に当時

銀行員であった橋本氏が名城大安藤義則教授と共に設立

したカーボンナノチューブの開発製造販売を手がける

名城大発ベンチャー橋本氏は今後 5 ~ 10 年で名城ナノ

カーボンの上場を目指すとし取引金融機関に対して新規

事業への具体的な資金投入を期待している

CNT 生産能力倍増昭和電工10 月 29 日付化学工業日報は昭和電工(株)川崎事業

所におけるカーボンナノチューブ (CNT) の年産 100 トン

から 200 トンへ引き上げ計画を報じた同社はリチウム

イオン 2 次電池向け気相成長 CNT の供給を行っているが

今後はさらに急速な需要拡大が進む可能性もありさらに

生産体制の拡大を図る可能性もある

17

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ovember

宝石という名前の虫

タマムシはタマムシ科の 4 センチメートルほどの甲虫です漢字では玉虫と書きます玉とは宝石のことで

その名のとおり赤い縦の線が走る虹色がかった緑色の金属光沢の美しい翅をもっています

法隆寺所蔵の国宝「玉虫厨子」を教科書などで見たことがある人も多いのではないでしょうか厨子は仏像な

どの礼拝の対象をしまう大切な入れ物のことです天平の世の人々がその大切な厨子の壁面を飾る細工の材料

にタマムシこそが相応しいと思ったのも納得できる美しい甲虫です残念ながら現在では玉虫厨子の壁面の

翅の多くは脱落してしまっていますが往時を再現した複製品から天平の時代の華やかな色が想像できます

タマムシは時代や洋の東西を問わず美しいと思われるようでベルギーにはその美しさに憑かれて宮殿の天

井を大量のタマムシの翅で飾った現代工芸家もいます

タマムシは厨子に使われた翅だけでなく腹部や脚触角なども緑色の光沢を放っていますまた美しい

翅が良くわかるような背面からの写真が多いので米粒型のすんなりした形のイメージが強いですが横から

見た体には以外と厚みがあります成虫は樹冠を飛び回り主にニレ科の広葉樹の葉を食べています幼虫は

カブトムシの幼虫に似た白いずんぐりしたイモムシで餌も葉ではなく木ですそのため害虫に分類されても

います

岐阜県高山市「茶の湯美術館」に玉虫厨子のレプリカが展示されています

httpwwwnakada-netjpchanoyutamamushi_zushihtmtamamushi 

18

PEN

Nov

embe

r

これを批准した結果日本は 1990 年を基準として 6の

温室効果ガス削減を国際的に約束した日本国憲法によれ

ば国際条約は守らなければならないことになっているの

で「チーム -6」などという運動が日本全国にできた

これの何が間違いだったのであろうか以下その根拠を説

明する尚現在の一次エネルギー源は 80以上が化石

燃料によるものであるからエネルギー消費と温室効果ガス

排出はほぼ同義語であるまた国内総生産(GDP) の増

大すなわち経済成長は社会の安定と国民の安心感を支え

る基本的な要素でありその減少は社会の不安定化をもた

らすため増大させることが必須である

日本は 1973 年の第一次石油危機で大きなダメージを受

けそれから「省エネルギー技術」の開発を血眼になって

推進したその結果図 1 に示すように日本は世界一の「省

エネ大国」になったのである図で縦軸は石油換算のエネ

ルギー消費量横軸は GDP をドル換算したもので1995

年のデータを示してある斜目の破線は一定の GDP を作

り出すのに必要なエネルギー量をトン単位で示しており

これが小さいほどエネルギー効率のいい社会であるつま

り使用エネルギーが少なくなるか同じエネルギーを使っ

ても生産額が多くなればエネルギー効率は良くなる

 エネルギー効率=使用エネルギー生産額(GDP)

図から明らかなように日本は 1995 年時点でも既に世

界で一番エネルギー効率の良い国だったのであるドイツ

フランスイタリアなどは日本の 15 倍イギリスは 2 倍

アメリカが 3 倍中国やロシアに至っては何と 10 倍以上

のエネルギーを浪費しているということが一目瞭然であ

る日本がこのようなエネルギー効率の良い状態から更に

エネルギー消費を減らすなどと言うことは被虐趣味以外

の何物でもないちなみに図 1 は小生が京都議定書を見て

「これは誤りである」と確信し直ぐに作成したものであり

13 年前には既に分っていたことである

それでは日本は何を主張すれば良かったのか賢明な読

者は図 1 を見れば直ぐに考え付くであろうそう「世界

の皆さん今後 10 年間でエネルギー効率を高くする努力

をし現在の日本並みとまでいかなくても少なくとも近

付く努力をしてください」と主張すべきだったのだこれ

なら発展途上国も経済発展を保障されるから合意できたで

あろうし何よりも日本の「省エネ技術」を世界標準とし

て輸出可能であったろう昨年中華人民共和国(中国)が

出した指標はまさにこのような考えに基づいたものであろ

うどこかの国の首相が温室効果ガス排出量(=エネル

ギー消費量)の 25の削減を持ち出したのに対し「中国

はエネルギー効率(=使用エネルギー生産額)を 40

向上させる」と主張した図1から見ても彼等は 1995 年

の日本の水準に追いつくだけで 90の削減が可能であり

40などというのは非常に容易な達成目標であることは

明らかであるまさに国際条約を締結する上での基本的

な事項である「自国の利益を最優先する」という原理原

則にも合致している流石は厳しい歴史を体験してきた国

京都議定書が提案されてから既に 10 年以上経過した今

更と思われる方もおられるかも知れないが現在の日本が

抱える様々な矛盾の出発点の一つが京都議定書であると考

えざるを得ない以上ここで改めてその問題点を明らかに

したい環境省のホームページに掲載されている京都議定

書の内容は以下のとおりである

(httpwwwenvgojpearthcop63-2html)

ポイント先進国の温室効果ガス排出量について法的拘束力

 のある数値目標を各国毎に設定

国際的に協調して目標を達成するための仕組みを

 導入(排出量取引クリーン開発メカニズム共同

 実施など)

途上国に対しては数値目標などの新たな義務は導

 入せず

寄稿京都議定書で日本は何を主張すべきであったか東洋大学大学院学際融合科学研究科 教授 和田恭雄

19

PEN N

ovember

は違うなどと感心してはいられない

今からでも遅くない「2010 年を基準としてエネルギー

効率の向上を図る」ことを国際的な合意目標に切り替え

るべきである無論為替レートは 2010 年現在の 1 ド

ル= 80 円程度に固定して比較すべきである現在の円

高を考えれば分母が大きくなることが日本の利益につ

ながるからだ国際条約においては「被虐趣味」は最低

の選択であることを忘れてはならない「率先垂範」など

と言う言葉は国際社会では通用しない無論表面上は大

いに賞賛されようが腹の底で「カモが来た」と思われ

食い物にされるだけである他人から褒められるために

自らの競争力を放棄するようなことは止めるべきである

京都議定書を他山の石としてナノテクノロジーの世界

でも「自らの強みを世界の標準にする」という基本的な

姿勢を取るべきであるのは当然のことであるdarr

darr 世界各国のエネルギー消費量と総生産の比較図右下

に行くほどエネルギー効率が高く同じ GDP を創り出す

のに温室効果ガスの排出量が少ないということを示す

日本は 1995 年当時既に世界一の「省エネ大国」であり

西ヨーロッパの 15 倍米国の 3 倍ロシアなどよりも

10 倍以上効率の良い経済体制になっていたことが分か

る世界中の国が日本を手本にすれば温室効果ガスの排

出量を減らしつつ経済成長が可能になり即ち皆がハッ

ピーになれることを示すことができるばかりでなく日

本の省エネ技術を世界標準にすることも主張できる根拠

となる

20

PEN

Nov

embe

r

日本では21 世の始まりと共に科学技術政策に基づ

いてナノテクノロジーの研究開発への戦略的投資が開始

された2001 年度からの第 2 期科学技術基本計画と

2006 年度からの第 3 期科学技術基本計画の都合 10 年

間にわたる優先的戦略的な研究開発の資源の投入も余

すところ4ヶ月となった

21 世紀を担うと期待されたナノテクノロジーには研

究開発側から社会への一方的な応用があたりまえであっ

たこれまでの科学技術とは異なる研究開発の方法論が導

入されたコア技術の研究開発と並行してその技術の社

会的影響を検討しそれをさらにコア技術の研究開発に

フィードバックするという新しい研究開発の方法論であ

る [1]ナノテクノロジーの社会的影響にとって最も重

要で緊急の課題がナノ材料の環境健康影響安全 (EHS)

の課題であった技術の社会的影響を検討しながら進め

られているナノテクノロジーの研究開発がうまくいくか

どうかこのことがナノテクノロジーに続く今後の新興

の科学技術の研究開発のあり方に大きな影響を与えるこ

とになる社会的影響をフィードバックしながら進める

責任ある研究開発がはじめて試みられた日本のナノテク

ノロジーがこれまで 10 年間にわたって戦略的研究開発

投資を続けてきた現在どのような状況にあるのか今回

の特集ではそれを俯瞰的に解析する

まず国内の全ての新聞と雑誌に掲載されたナノテクノ

ロジー関連記事の数を統計的指標としてナノテクノロ

ジーの研究開発に対して日本の社会がどの程度の関心を

示しているのか評価することを試みる図1に日本

のメディアに掲載されたナノテクノロジー関連の記事の

年推移を示すグラフから明らかなようにナノテクノ

ロジーへの戦略的研究開発投資が始まった 2001 年まで

日本のメディアはほとんどナノテクノロジーを取り上げ

ていないただこれは日本にナノテクノロジーの萌芽

的研究開発がなかったということではない

一例をあげるなら工業技術院は産業科学技術研究開発

制度の一環として新エネルギー産業技術総合開発機

構(NEDO)の委託により原子分子極限操作技術の研

究開発プロジェクトを展開した1992 年から 10 年間に

わたり分子原子をボトムアップ的に集積する研究開発

を進めたこのプロジェクトは技術研究組合オングスト

ロームテクノロジー研究機構(ATP)と呼ばれたさらに

ATP と産業技術融合領域研究所は同研究所内にアトム

テクノロジー研究体(JRCAT)を設置して産官学の共同

研究プロジェクトを推進した折しも日本は 1990 年の

バブル経済の崩壊後失われた 10 年と称される経済の停

滞に苦しんでいたまだナノテクノロジーに対する期待

は高まってはいなかったが日本のナノテクノロジーは

着実に萌芽的研究開発を進めていた困難な経済のなか

で日本のナノテクノロジーはその萌芽に向けた着実な

準備をしていたといえるのだがこのような地道な研究

開発が進められていた点はこの統計からは見えにくい

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2001

2002

2003

2004

2005

2006

2007

2008

2009

図 1

特集

10 年におよぶナノテクノロジー研究成果の発展的継承を 

21

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ovember

2001 年度から戦略的な究開発投資が開始されると同時

にナノテクノロジーへの関心は急速に増していった

わずか 2 年後の 2003 年にはその期待は極みに達して

いる上述したとおり我々はこの統計で縦軸をナノテ

クノロジーに対する社会の関心と見なしておりこれは

David M Berube 氏が示した典型的な Hype 曲線の縦軸

「Visibility」と同義とみなせる [2]その類似性を図 2 に

示す

図 2

日本では Nano-Hype と呼べるピークが高性能瞬間湯

沸器よろしく戦略的研究開発投資が開始されたわず

か 2 年後の 2003 年に出現しているのであるまたJ

Fenn らはこのようなピークを図 3 に示すようにイノ

ベーションのハイプサイクルにおける rdquoPeak of Inflated

Expectationsrdquo と表現している [3]

Exp

ect

atio

ns

Time

InnovationTrigger

Trough ofDisillusionment

Slope ofEnlightenment

Plateau ofProductivity

Peak of InflatedExpectations

図 3

この時期はナノテクノロジーの将来価値への大きな期

待の反面研究開発の実態は希薄である実体の伴わな

い過剰な期待を理由に「一部の有力な科学者や政策担当

者がこのような Hype の状況を意図的に作りだした」と非

難する論調もある確かに Nano-Hype はナノテクノロジー

の将来価値への期待が研究開発の実態を上回る状況では

あるがナノテクノロジーに対する社会の関心や期待を

喚起しその期待を背景にナノテクノロジーへの研究開

発投資が漸次増加していったことも事実であるまたナ

ノテクノロジーの事をもっと知りたいという知的欲求も

刺激されそれに応えるためにいくつかの大学ではサイ

エンスコミュニケータやサイエンスインタープリタサ

イエンスジャーナリストの養成講座等が開設されたさ

らに今日年間 2000 回以上のサイエンスカフェが全国各

地で開かれるなどナノテクノロジーのような新興の科

学技術のパブリックエンゲージメントの活動の契機にも

なったNano-Hype と呼ばれる状況がそのような様々

なプラスの効果を日本にもたらしたことも忘れてはなら

2003年

2010年

2003年

22

PEN

Nov

embe

r ない点である

実体の伴わない過剰な期待が徐々に覚めていく Negative-

Hype の状況はHype が極みに達した 2003 年直後の

2004 年から 2007 年にかけて顕著に現れてくる依然

として政府のナノテクノロジー材料領域への研究開発

投資が伸びるなかメディアがナノテクノロジーを取り

上げる頻度は急速に下がり社会の関心は冷めていった

過剰な期待が冷静さを取り戻していく Negative-Hype は

必然であるとしても注目しておかなければならない大

事な点は Negative-Hype がいつ止むかいつ底を打つの

かである図 1 から明らかなように2004 年以降 2007

年まで急速に下降しているものの2008 年から 2009 年

と明らかに Negative-Hype は底を打っている

上述の J Fenn らは新しいハイプサイクルの縦軸の評価尺

度を議論しているのだが図 4 に示すようにハイプサイ

クルのプロフィールが二つの要素からなることを示して

いる [4]この指標を採用すると今年 2010 年の日本の

ナノテクノロジーはHype が終わりエンジニアリング

またはビジネスが徐々にその成熟度を増していくちょ

うどその過渡期にあるとみてよい今後ナノテクノロジー

がITエネルギー環境ライフサイエンスといった様々

な技術分野の基盤技術としてその実用化に貢献していく

現在はちょうどその転換点にあるそのプロセスを確実

に進めていくには中長期的な一貫した科学技術政策に

よりナノテクノロジーの基礎的な研究開発を継続的に

推し進めていくことが肝要である

図 4

そして10 年に及ぶ科学技術政策に基づいたナノテク

ノロジーの戦略的研究開発投資の成果を応用実用化

へ確実につなげていくために取り組まなければならない

もっとも重要な課題が包括的で実態のあるナノテクノ

ロジーのパブリックエンゲージメントの活動である昨

今ナノテクノロジーの研究開発と並行して社会受容

パブリックエンゲージメントの活動の重要性が指摘され

るようになってきたしかしこの課題に関する解釈は

依然としてまとまりを欠いているだけでなく「こういっ

た課題への取り組みが大事である」といったことが最後

の部分に申しわけ程度に記述されている例も多々見受け

られる取り組んでいるという既成事実のために実体の

伴わないパブリックエンゲージメントの活動が進められ

ると将来的にナノテクノロジーへの信頼も失墜しかね

ない多様な課題を含む社会受容パブリックエンゲー

ジメントの活動には包括的な視点で具体的実践的に取

り組んでいく必要がある

ReferenceRoco M C amp Bainbridge W S 2001 ldquoSocietal

Implications of Nanoscience and Nanotechnologyrdquo

Kluwer Academic Publishers

Berube M B amp Roco M C(FRW) 2005 ldquoNano-Hype

The truth behind the nanotechnology buzzrdquo Prometheus

Books

イノベーションのハイプサイクル

「Mastering the Hype Cycle」J Fenn M Raskino

Harvard Business Press 2008

M Raskino J Fenn IT Management(ITM) ITM-09-

37 Research Note 2010 年 2 月 9 日

23

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ovember

【CO2 排出量】世 界 的 な 金 融 危 機 に も か か わ ら ず2009 年 の 化 石 燃料 由 来 の 二 酸 化 炭 素 排 出 量 の 減 少 は 小 幅 に と ど ま る

(20101122)国立環境研究所(国環研)

国環研はグローバルカーボンプロジェクト (GCP) が 11

月 22 日の Nature Geoscience 誌の電子版に調査結果を発

表すると速報したその内容は世界金融危機の経済的

影響にも関わらず2009 年における世界の化石燃料由来

の二酸化炭素排出削減量が予測値である 28を下回り

前年比 13にとどまったことで同じく GDP の減少も予

測値を下回っている

httpwwwniesgojpwhatsnew20102010112220101122html

【量子コンピューティング】量子コンピュータ実現への障壁を緩和する誤り耐性方式を開発 (20101124)日本電信電話(株)京都大学

量子コンピュータに必須な量子ゲートは確実に正しい演

算をすることはなくある程度の誤り確率をもつため量

子コンピュータを実現するためには演算の誤り訂正を行

う技術の実現が必須となる演算の誤り訂正を行うために

はある程度誤り確率の低い量子ゲートが必要であると考

えられてきたが今回共同研究チームは誤り確率が非常

に高い量子ゲートを用いても量子計算が可能となる誤り耐

性のある量子計算方式を世界で初めて示した

httpwwwnttcojpnews20101011101124ahtml

【光電変換】ナノギャップ光アンテナにより高効率化した有機超薄膜による光電変換 

(20101122)物質材料研究機構北海道大学

NIMS と北大の共同研究チームは有機超薄膜型の光電変

換分子素子において光吸収電子伝達といった必要な機

能をもつ部品を連結した分子から成る単分子超薄膜を原

子レベルで表面制御した平滑な金電極面と金ナノ粒子で挟

み込むことによってナノギャップ型の光アンテナを導入

することに成功したその結果光アンテナ 1 つあたりで

光誘起電子移動反応が約 50 倍の効率に高まることを実

証した

httpwwwnimsgojpnewspress201011p201011220html

【EV】シンガポール政府と電気自動車の普及に関する覚書を締結

(201011 19)三菱自動車(株)

MMC はシンガポール政府と電気自動車(EV)普及のため

の活動に協力する内容の協定を締結したことを発表した

今回の活動はシンガポールの経済開発庁が中心となり

同国のエネルギー市場監督庁陸上交通庁との間で EV タ

スクフォースを組成し同国の EV 普及を目的としたユー

ザー向け補助金制度や充電インフラ整備などの検証を行う

ものこの活動の中でMMC は CCA を通じ 2011 年より

順次『i-MiEV(アイミーブ)』25 台を供給し実証走行

試験に協力していくhttpwwwmitsubishi-motorscompublishpressrelease_jp

corporate2010newsdetail4407html

【リチウム二次電池】リチウム二次電池の量産化実証工場が竣工 年間生産能力6 万 6000kWh (201011 18)三菱重工業(株)

リチウム二次電池事業への本格参入に向け長崎造船所内

に建設していた同電池の量産化実証工場が17 日竣工し

た年間生産能力は 6 万 6000kWh中型電池換算で約

40 万個に相当する今後各種実証技術に取り組み早期

の本格的な商業量産につなげていくとしている

プレスリリースより

CUTTING-EDGE TECHNOLOGIES

24

PEN

Nov

embe

r httpwwwmhicojpnewsstory1011184999html

【基礎科学物質の起源】動きがのろい冷反水素原子を 38 個も磁気瓶に閉じ込める物質と反物質の違いを知る手がかりとなる冷反物質研究が新段階に (201011 18)物質材料研究機構(NIMS)

NIMS は欧州原子核研究所(CERN)の国際共同研究グルー

プに参加し反物質の代表格である反水素原子を独自に

開発した八重極磁気瓶の中に 38 個も閉じ込めることに世

界で初めて成功した反水素原子の原材料である反陽子(陽

子の反粒子)と陽電子(電子の反粒子)を八重極磁場コ

イルとミラーコイルを組み合わせた磁気瓶の中に蓄積し

そっと混ぜ合わせて冷たい反水素原子を大量に生成した

反水素原子は電気的に中性の小さな磁石なので反水素原

子ができあがったころ(約 1 秒後)を見計らって電圧を

加え残存している反陽子と陽電子をことごとく排除した

その後磁気瓶の磁場を瞬時にゼロにすると磁気瓶内に

とどまっていた反水素原子は装置の壁に当たって消滅し

パイ中間子などのさまざまな粒子を放出するこれらの粒

子を磁気瓶を包む 3 枚の検出器で観測した結果捕捉し

ていた反水素原子を 38 個も確認することができた後述

するように同内容は理化学研究所からもリリースされたhttpwwwrikenjpr-worldinforeleasepress2010101118

indexhtml

【超伝導】ピセンのカリウムドープに伴う電子構造変化の直接観測 

(201011 17)岡山大学

岡山大学の研究グループはピセンおよびカリウムドープ

ピセンの電子構造を実験的に観測する事に世界で初めて成

功したカリウムドープピセンは芳香族炭化水素における

初めての超電導体であるがカリウムドープピセンの超電

導メカニズムまた超電導を誘起する電子構造は解明され

ていない研究グループは光電子分光法を用いピセンのカ

リウムドープに伴う電子構造変化を直接的に観測した結

果ピセンのカリウムドープに伴う電子構造変化を観測

芳香族炭化水素超電導体の超電導メカニズム解明および新

規超電導体探索の指針になると期待されるhttpwwwokayama-unetrenkeidocumentpdfpressrelease

press-101117pdf

【慣性力発電】慣性力(振動)発電技術を商品化 国内最大手エース社のバッグに慣性力発電ユニットを搭載 (201011 17)伊藤忠商事(株)

米国 CIIIS 社の持つ慣性力発電(振動発電)技術を用いて

人体の運動による振動で発電する慣性力発電ユニットを開

発した国内鞄最大手のエース株式会社がこの慣性力発

電ユニットを搭載したバッグの販売を行う

httpwwwitochucojpjanews2010101117html

【生物多様性】多様性進化の背景に『甲状腺機能低下』 (201011 16)東北大学

生物多様性の喪失は現在急速に進んでおり多様性の進化

維持機構を解明することは世界的な課題である生物多様

性の創出は多くの場合新規環境に生き物が侵出すること

によって始まるが生物が新規環境へどのように適応して

行くのかその過程については多くが未解明である東北

大学の研究チームはこのたび新規環境への適応に甲状腺

ホルモンの進化が重要であることを発見したhttpwwwtohokuacjpjapanesenewimgpressimgtohokuuniv-

press_20101116pdf

【ナノ物性】ナノスケールの鉄磁石を電界でコントロール

(201011 01)千葉大学

磁石の N と S 極は磁界を用いることでコントロールでき

るが千葉大学の研究チームはナノスケールの鉄の磁石の

極性をエネルギーの要らない電界でコントロールできるこ

とを見出したhttpwwwchiba-uacjppublicitypresspdf201020101102nano

pdf

【SOFC 関連材料技術】 画期的な電解質材料の開発に成功 固体酸化物燃料電池の商用化に一歩前進 (201011 18 )物質材料研究機構(NIMS)

NIMS の研究グループは電解質材料に必要とされる三つ

の要件イオン伝導性化学的安定性焼結性のすべてを

高いレベルで満足する2種類の材料を開発することに成功

したひとつは10 のプラセオジムを含むイットリウム

添加ジルコン酸バリウム(BZPY)でもうひとつは酸

化ニッケル (NiO) とイットリウム添加ジルコン酸バリウム

25

PEN N

ovember

(BZY) の混合粉末を固めた基板上にプレス成形された BZI

であるhttpwwwnimsgojpnewspress201011201011180

p201011180pdf

【レアアース】微生物でレアアースの回収が可能に バクテリアがレアアースを濃縮する現象を発見 (201011 17)広島大学高エネルギー加速器研究機構高輝度光科学研

究センター

共同研究グループは微生物の細胞表面では微生物が存在

しない周囲部分に比べてレアアースを高濃度に濃縮する現

象を見出したまたレアアースの中でも特に希少価値の高

い元素が選択的に濃縮することを発見その濃縮メカニズ

ムを放射光を用いたX線吸収法により明らかにした

httpwwwkekjpjanewspress2010RareEarthElementshtml

【はやぶさ】はやぶさカプセル内の微粒子の起源が判明(201011 17)宇宙航空研究開発機構

「はやぶさ」のサンプルキャッチャー室から特殊形状のヘ

ラで採集された微粒子を走査型電子顕微鏡にて観察および

分析した結果1500 個程度の微粒子を岩石質と同定した

更にその分析結果を検討したところそのほぼ全てが地

球外物質であり小惑星イトカワ由来であると判断するに

至った

httpwwwjaxajppress20101120101117_sac_hayabusapdf

【超伝導基礎科学】超伝導のメカニズム解明に大きな手がかり ルテニウム酸化物の電子の運動状態を選択的に可視化することに成功 電子対を形成する「のり」の起源を初めて解明

(201011 17)広島大学産総研

1994 年に日本で発見されたルテニウム酸化物超伝導体は

ユニークな超伝導状態を示しこれまで数多くの研究が行

われてきたがいまだにその超伝導のメカニズムは謎のま

まであった超伝導が生じるためには電子と電子を「のり」

で結びつけ「電子対」にする必要がある共同研究グルー

プは放射光の直線偏光特性を活用するため放射光の光

軸のまわりに回転可能な高分解能角度分解光電子分光装置

を開発しルテニウム酸化物超伝導体の超伝導機構解明に

重要な手がかりをつかんだ研究グループが開発した新装

置を用いることによりルテニウム酸化物超伝導体の異な

る運動状態にある電子を選択的に分離しながら精密に分

析することが初めて可能となったその結果物質の電子対

を形成するための「のり」として結晶を作っている原子

の振動が重要な役割を果たしていることその「のり」が

どのくらい強く働いているのか等が明らかとなった httpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101117

pr20101117html

世界最高性能基準光源を開発 安定高精度高速の三拍子そろった光信号の発生に成功 (201011 15) 情報通信研究機構(NICT)国立天文台(NAOJ)

NICT と NAOJ はNICT 独自の高消光比変調技術を利用

し精度を保ったまま周波数範囲を拡大する構成を提案し

たNAOJ の安定度向上技術による制御機能を組み合わせ

ることで世界最高性能の基準信号発生装置を共同開発

し100 ギガヘルツを超える高速信号の長距離伝送を実現

した本装置の方式により従来技術の課題であった安定

性周波数範囲精度の問題を解決した安定性は 2 台の

レーザを用いる従来方式に比べて 10 倍以上を実現し信

号の乱れを 30 万年に 1 秒以下とすることに成功したま

た精度は従来型変調器と比較し 1000 倍以上周波数範

囲は 4 倍を達成したhttpwww2nictgojppubwhatsnewpressh22101115101115

html

【基礎科学レーザ分光】電子の氷を光で融かす一瞬を捉える 光が有機物質を変える瞬間の超高速スナップショット (201011 15)東北大学自然科学研究機構分子科学研究所科学技術振

興機構(JST)

共同研究グループは光の照射によって有機物質の色や

電気伝導度が大きく変化する光誘起相転移現象の最初の瞬

間を捉えることに成功した電場と磁場の振動である光の

振動の3周期分に匹敵する極めて短いパルス光をポンププ

ローブ分光によって二次元有機物質における電荷秩序の

融解のダイナミクスすなわちldquo 電子の氷 rdquo が光によっ

てどのように解け絶縁体から金属へと変化するのかと

いう問題を明らかにしたものこの成果 12 月初めには米

国物理学会誌 Physical Review Letters オンライン版で公開

予定

httpwwwjstgojpprannounce20101117-2indexhtml

【熱電材料】水を使って絶縁体から効率のよい熱電材料を作ることに成

26

PEN

Nov

embe

r 功 希少毒性金属を含まない安価簡便な熱電材料創製に新たな道 (201011 15)科学技術振興機構 (JST)名古屋大学

熱電材料は熱を電気に変換することができることからエ

ンジンの排熱を利用して発電するハイブリッド自動車など

への応用が期待されているが従来の熱電材料はビスマ

スアンチモン鉛テルルといった希少毒性金属など

を含む問題があったJST 課題解決型基礎研究の一環とし

て名古屋大学の研究グループは水の電気分解を利用し

安くてありふれた絶縁体酸化物表面を大きな熱電効果を示

す金属へ変えることに成功した大量に水を含んだ多孔質

ガラスを新規に開発しこの多孔質ガラスを金属チタンと

チタン酸ストロンチウムに挟んで電圧を加えると水の電

気分解によって絶縁体のはずのチタン酸ストロンチウムの

表面に厚さ 3 ナノメートル以下の極めて薄い金属チタン酸

ストロンチウムが生成した通常の金属チタン酸ストロン

チウムに対して 4~5 倍高い電圧を示すことから従来の

熱電材料の約 2 倍の熱電性能が期待できる

httpwwwjstgojpprannounce20101117indexhtml

【基礎科学物質の起源】国際研究チーム反水素原子を瓶の中に閉じこめることに成功(20101118)理化学研究所

8 か国からなる研究チームは欧州合同原子核研究機関

(CERN)の装置を用いて加速器で反陽子と陽電子を作

成し磁場の中に閉じこめたのちに撹拌して反陽子と陽

電子1個ずつを結びつけ反水素原子を生成した反水素

生成後に余った反陽子と陽電子を取り除き反水素原子だ

けを特殊な瓶の中に封じ込めることに成功した計 38 個

の反水素原子が 02 秒間存在したことを確認反物質は

Dan Brown の小説「天使と悪魔」で非常に微量で爆発

を起こす材料として登場するしかし今回の手法では短

時間に消滅してしまい爆弾に使える量をためるのは不可

能だという17 日付の Nature Online 版に掲載

httpwwwrikenjpr-worldinforeleasepress2010101118 

【マックスウェルの悪魔実証】情報をエネルギーに変換することに成功 ldquo マックスウェルの悪魔 rdquo を実験により世界で初めて実現新規ナノデバイスの実現に期待 (201011 15)中央大学東京大学

微細加工技術とサブミクロンスケールのリアルタイム制御

システムを組み合わせ「マックスウェルの悪魔」と呼ば

れる科学史上の重要な概念を世界で初めて実験により実現

した これによって情報をエネルギーに変換できるこ

とを初めて示すとともに情報を媒介して駆動する新規ナ

ノデバイスの実現の可能性を示した マックスウェルの

悪魔は熱力学の根本に関わる概念でありこれを実現でき

た学問的意義は大きいまた科学者以外にもよく知られ

たテーマであり多くの人が興味を持つ話題でもある情

報を媒介して駆動する新規のナノデバイスを実現できる可

能性があり基礎的研究にとどまらずナノサイエンスで

の新しい制御法への応用が期待できるこの成果は 11 月

14 日に Nature Physics Online に公開された

Toyabe Sagawa Ueda Muneyuki and Sano

ldquoExperimental demonstration of information-to-energy

conversion and validation of the generalized Jarzynski

equalityrdquo

httpwwwsu-tokyoacjppresspress-2010-42html

詳細は中央大学 HPhttpwwwchuo-uacjpchuo-unewscontents_jhtmlsuffix=kampmo

de=topamptopics=12513

【基礎科学分子バネ】電子の出し入れで硬さが劇的に変わる分子バネを開発 たった 1 つの電子放出で分子全体の動きやすさが 450 倍も変化 (201011 15)理化学研究所科学技術振興機構(JST)

6 個の炭素原子が環状につながったベンゼン環は有機化

合物において最も基本的な構成ユニットの一つでありベ

ンゼン環をさまざまな形で結合させたものが盛んに研究さ

れてきたしかしベンゼン環を隣り合う炭素の位置で結

合させたオルトフェニレンは単純な構造でありながら合

成が難しいためこれまでほとんど研究がなされておらず

その性質は解明されていなかった理化学研究所の研究グ

ループはベンゼン環 48 個を隣り合った炭素の位置で結

合させたオルトフェニレンを世界で初めて合成したオル

トフェニレンは3 つのベンゼン環が 1 ピッチのらせんを

形成するバネ状の構造をしているがこのようなバネ状の

構造を持った分子はさまざまな機能を発揮するためエ

レクトロニクスや分子機械への応用の可能性が高まってい

る研究グループはこのバネ状分子から電子を 1 つ取

り去るとバネの硬さが劇的に増してらせんの反転速度が

約 450 分の 1 も遅くなることを突き止めたまたこの

1 個の電子の出し入れに応じてバネのピッチが 3263Aring か

ら 3224Aring と変化したこれまで電子が高密度に含まれ

た分子バネは電子を出し入れすることでその振る舞いが

変化することが理論上予想されていたがこのように電子

を多量に含む分子バネの合成は難しく実験的にも証明さ

れていなかった硬さの変化というこれまで実現すること

27

PEN N

ovember

ができなかった応答をする分子バネの登場は応答性分子

の分野に新たなコンセプトをもたらすと注目される本研

究成果はJST 戦略的創造研究推進事業 発展研究 (ERATO-

SORST)「分子プログラミングによる電子ナノ空間の創成

と応用」の一環として行われたものhttpwwwrikenjpr-worldinforeleasepress2010101115

indexhtml

【自己組織化基質選択的会合】分子間の特異的な相互作用による新規材料集積法を開発 分子が好みの分子を見分けて接着 (201011 15)大阪大学科学技術振興機構(JST)

近年分子認識を利用して分子と分子を非共有結合でつな

げることによりさまざまな超分子錯体が合成されさらに

これらを自己集合させる研究が行われているこれらの研

究において形成される集合体は分子の大きさであるナノ

メートルからマイクロメートルの極めて小さなもので高

倍率の顕微鏡を使わなければ見えない分子認識に基づい

て手軽に使えるくらいの大きな自己組織体を作り出すこと

はナノテクノロジー分野において分子を自己組織化さ

せて機能性材料を創製する上で重要な課題であった大阪

大学の研究グループはホスト分子としてシクロデキスト

リンをゲスト分子としてシクロデキストリンが結合する

化合物を用いてそのホスト-ゲスト相互作用を利用して

多様な自己組織化超分子ポリマーの構造体を作りマクロ

スケールで機能を発現させる研究を進めている今回D

NAやタンパク質の分子量決定に広く用いられるアクリル

アミドゲルを土台にしてこのゲルにシクロデキストリン

とゲスト分子をそれぞれ別々に導入し「ホストゲル」と

「ゲストゲル」を合成したこの両者を水中で振動させる

とゲルが接着する挙動が観察されミリメートルからセン

チメートルの大きさの物体を分子認識により自己集積でき

ることを世界で初めて実証したさらにシクロデキストリ

ンとゲスト分子との相互作用の強さの違いによって選択的

に特定のゲル同士を接着させることができることがわかっ

httpwwwjstgojpprannounce20101115indexhtml

【ブタノール分離膜】バイオブタノールの省エネルギー型膜分離精製技術を開発1 wt ブタノール水溶液から80 wt 以上の高濃度ブタノールの回収が可能 (201011 15)産総研

産総研は1 wt 程度の希薄なブタノール水溶液からゼ

オライト系分離膜を用いて 80 wt 以上に濃縮したブタ

ノールを回収できる省エネルギー型のバイオブタノール精

製技術を開発した ブタノールはエタノールと比較して

発熱量が大きいことから地球温暖化対策に貢献できる再

生可能なバイオ液体燃料すなわちポストバイオエタノー

ルとして期待されている今回合成条件の最適化を進め

高いアルコール選択透過性をもつシリカライト分離膜を合

成し膜分離法によって低濃度ブタノール水溶液から高

濃度ブタノールの回収が可能となった従来の分離膜を用

いた場合に比べてブタノール回収のためのエネルギーを

50 ~ 70 程度低減できることが期待される httpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101113

pr20101113html

【分子生物学】 化学合成したペプチドからウイルスの殻構造を組み上げることに成功 新規ナノ材料や医療材料としての応用に期待 (201011 12) 九州大学北九州市立大学

共同研究グループは化学合成したペプチドから約 40 ナ

ノメートルのウイルスの殻構造を組み上げることに世界で

初めて成功した球状の植物ウイルスから遺伝子を除いた

キャプシド構造と呼ばれる殻構造は決まった大きさのナ

ノ空間であることからナノ物質の反応器や運び手として

利用する研究が国内外で盛んに行われているしかしこ

れまでウイルスのキャプシド構造を得るにはウイルス

の遺伝子をバクテリア内に導入して生産させる必要があっ

た本研究では遺伝子やバクテリアを用いない完全化学

合成によってウイルスキャプシドを構築することに成功

した今回ウイルスの殻構造を簡単なペプチドから構築

できたことで様々な機能性ウイルスキャプシドを人工的

に創成する道が拓けたと言えるこのペプチドからなるナ

ノカプセルに適切な化学修飾を施すことによりナノ物質

合成のための反応器や医薬品の運び手人工ワクチンを

創成するための足場材料として応用できるものと期待され

るhttpwwwkyushu-uacjppressrelease20102010-11-12-04pdf

【レアメタル】レアメタル使用量削減技術の実用化を加速(20101110)新エネルギー産業技術総合開発機構 (NEDO)

NEDO はレアアース総合対策の一環として企業が取り

組むレアメタル使用量削減技術の実用化を加速するための

助成事業(事業規模約 100 億円)を 2010 年度補正予算

の成立を前提に行うこの助成事業では短期間で実用化

が期待できる以下の技術開発を対象として①レアメタル

28

PEN

Nov

embe

r を代替する材料の技術開発 ②レアメタルの使用量を削

減する技術開発 ③レアメタルのリサイクルを促進する

技術開発 ④その他のレアメタル消費の削減に資する技

術開発を行うhttpapp3infocnedogojpinformationskoubopressEFnedopre

ss2010-11-068550095069

【導波路型光スイッチ】光スイッチの消費電力を従来の 2 分の 1 に低減 増え続けるネットワーク機器の消費電力問題を解決 (201011 09)( 株 ) 富士通研究所

同社はシリコンフォトニクス技術を適用した導波路型光

スイッチについて世界で初めてシリコンゲルマニウム

(SiGe)細線構造を用いることで従来のシリコン細線構

造に比べて消費電力を約 2 分の 1 に低減することに成

功した幅広い波長に対応して高速に動作できるタイプの

光スイッチ素子としては世界最小の消費電力を実現して

いるhttpprfujitsucomjpnews2010119html

【ナノ構造機能】昆虫が足を擦る秘密をナノテクノロジーで解明 生体模倣による新しい材料機能の開発に活用 (201011 09)物質材料研究機構マックスプランク研究所キール大

共同研究チームは環境問題で循環型社会実現に求められる

「接着と分離」を繰り返せる未来の接合技術の開発研究に

おいてガラスのような平坦な表面を逆さまでも歩行でき

る昆虫の足の裏の優れた接着性に着目し昆虫(ハムシ)

の歩行調査を行いナノテクノロジーを用いた実験により

昆虫が摩擦により汚れを感じていることを突き止めた

httpwwwnimsgojpnewspress201011p201011090html

【超音波流量計半導体プロセス】極微量な流量を精密に測定できる超音波流量計を開発 半導体製造装置の性能を向上させ環境負荷を低減しランニングコストを削減 (201011 09)産総研( 株 ) アツデン東京計装 ( 株 )

3 者は共同で10 mLmin( 誤差plusmn 01 mLmin) 以下の極

微量な流量を精密に測定できる超音波流量計を開発した

この流量計は超音波ガイド波の伝搬に関する基礎理論の

見直しを行い超音波を高周波化し設計を最適化するこ

とにより開発したものでこれまでの超音波流量計では計

測できなかった微小な流速領域での流量測定ができるこ

の超音波流量計は半導体製造装置で利用される薬液の高

精度な制御を可能にし半導体製造装置の高性能化環境

負荷の低減ランニングコスト削減へ貢献すると期待され

る httpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101109

pr20101109html

【研究交流】中国上海における国際交流事業の実施同済大学と大学間学術交流協定を締結 (201011 08)大阪大学

10 月 21 日上海において開催した上海教育研究センター

開所式記念講演会祝賀会には鷲田清一総長をはじめ

とする大阪大学教職員中国の学術交流協定校関係者大

阪大学同窓会会員など約 130 人が列席し盛況の内に終

了した翌 22 日23 日には第 15 回大阪大学上海交

通大学学術交流セミナーが上海交通大学情報ネットワーク

センターを主会場として開催され7つの研究会に約 100

人が参加したさらに 23 日と 24 日の両日上海東亜展

覧館を会場に開催された中国国際教育展に大阪大学のブー

スを出展し100 人を超える留学相談者が本学のブースを

訪れた翌 10 月 22 日鷲田清一総長は上海市内にある

同済大学を訪問裴学長陳副学長ほか大学関係者と懇談

するとともに大学間学術交流協定及び学生交流覚書の調

印式に臨んだこれにより中国の大学との 10 番目の協定

が成立したhttpwwwosaka-uacjpjanewstopics20101120101108_1

httpwwwosaka-uacjpjanewstopics20101120101108_2

【高耐久性セラミック】激しい熱変化にも強度劣化しない窒化ケイ素系セラミックスを開発 窒化ホウ素の微粒子を分散させ耐熱衝撃性を飛躍的に向上 (201011 08)産総研三井金属鉱業(株)

両者は共同で従来品に比べて耐熱衝撃性と高温での強度

を飛躍的に高めた窒化ケイ素系セラミックスを開発した

今回窒化ケイ素(Si3N4)をベースとして高い熱伝導

率をもつ粒界相を形成させるとともにそこに非晶質に近

い窒化ホウ素のナノメートルオーダーの微粒子を分散させ

ることで耐熱衝撃性を飛躍的に向上させた従来の窒化

ケイ素が 1000 の温度差で強度が低下するのに対して

今回の開発材は電気炉で 1400 に加熱した後水中に投

下することを 10 回繰り返してもほとんど強度が劣化しな

かったまたこの開発材について大気中 1200 で高温

29

PEN N

ovember

曲げ試験を行ったところ室温と同程度の強度を保持して

いたセラミックスでは大型化すると小試験片では得られ

た特性が得られず実用化を進める上での課題になること

が多いがこの開発材では焼結条件を最適化することに

よって直径 82 mm 長さ 370 mm の比較的大型の部品で

も試験片と同様の組織物性が得られたまた実際の

製品形状に近い部品の焼成も可能となったhttpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101108

pr20101108html

【ミリ波発信器】ミリ波帯無線通信の実用化にめど 世界最高性能の低雑音局部発振器を開発 (201011 08)東京工業大学

東工大の研究グループは雑音を従来の 100 分の1以下

に低減したミリ波帯局部発振器を開発した20GHz 帯の

発振器と 60GHz 帯の注入同期型直交局部発振器を組み合

わせることにより世界最高の低位相雑音性能を達成した

無線通信の周波数帯ひっ迫を解消する技術として 60GHz

ミリ波帯の利用が注目されているがミリ波帯ではコイル

やコンデンサの損失が大きくなり位相雑音特性が劣化す

るのがネックだった今回はこれを解決したものでミ

リ波無線通信の実用化につながる成果発振器は 65 ナノ

メートルのシリコン CMOS プロセスを利用して試作した

580GHz から 636GHz の周波数範囲で 4 相正弦波出力が

可能でこの発振器により10Gbps(毎秒 100 億ビット)

以上の超高速ミリ波帯無線通信の実現が期待されるh t t p w w w o l d t i t e c h a c j p t o k y o - t e c h - i n - t h e - n e w s j

archives2010111289174400html

【炭素繊維応用】住宅向け外装材「炭素繊維補強サイディング」の本格展開について 優れた強度と耐熱寸法安定性で 15 年の基材保証を実現 (20101105)東レ ACE(株)

東レの子会社東レ ACE は炭素繊維で補強した窯業系サ

イディングを開発し本格販売と市場展開を開始する「炭

素繊維補強サイディング」はセメント質原料に炭素繊維

を添加配合して成型固着させた建物外壁用のセメントボー

ドで従来の窯業系サイディングの優れた防耐火性耐久

性等を維持しつつ更なる強度補強効果や火災高温時の

変形や熱収縮によるひび割れの抑制など耐熱寸法安定性

も向上させることで基材 15 年保証を実現する 本製品

に使用している炭素繊維は軽くて強く優れた高温特性や

耐熱性を有し非常に細い繊維を多く配合できることから

外装材としての強度補強効果も期待できるとしている

httpwwwtoraycojpnewsaffilnr101105html

【光ファイバーナノインプリント】ナノ格子反射防止表面光ファイバー先端に形成ナノ技術で安く製作 (20101105)東北大学

東北大の研究グループは微小な窪みが多数形成された反

射防止構造体を光ファイバーの先端に製作する技術を開発

した光ファイバーは光通信や光分析装置の構成部品とし

て使われており光源受光素子やレンズなどの光部品と

の接続損失を減らすために先端に反射防止膜が形成され

ている従来の反射防止膜は真空装置を使って薄膜を付け

るためコストが問題であった研究グループはナノイン

プリント技術を用いて光ファイバー先端のコア部に 270

ナノメートル間隔で微小な円錐状の窪みを形成し反射損

失を低減することに成功したナノインプリント技術は

基板に塗布したポリマーに原版を押し付けて微細パターン

を転写する技術で高価な露光装置や真空装置が不要なた

めナノ構造を安価に製作することができる今回光ファ

イバー先端にナノ構造を製作するために専用のナノインプ

リント装置を開発した窪みの間隔が光の波長よりも小さ

い場合屈折率が変化し反射波が生じにくくなる反射

率や波長帯域は窪みの形状間隔や高さで決まり従来

の反射防止膜よりも設計の自由度が高いため要求に合わ

せて種々の反射防止表面を製作することが可能 httpwwwtohokuacjpjapanese201011press20101105-2

html

【人工筋肉機能材料】光を運動エネルギーに変える新高分子素材の開発に成功 世界で初めて分子を大面積で 3 次元的に配列させ新機能を実現 (20101105)理化学研究所

光で変形したり電子を流すなどの機能を持った分子を人工

的に規則正しく大面積で集積することができると機能性

材料の性能向上や革新的新機能の発現につながるそのた

め世界中で精力的に開発が行われているがこれまで実現

させた例はなかった理化学研究所の研究グループは光

で構造が変化するアゾベンゼン分子を組み込んだブラシ状

の高分子「ポリマーブラシ」を大面積で 3 次元的に一挙

に配列させる手法の開発に初めて成功したこの規則性の

ある 3 次元集積構造は延伸したテフロンシートにポリ

マーブラシを挟み込みアイロンに似た熱と圧力を加える

といういたって簡単な操作で実現したさらにこのフィ

30

PEN

Nov

embe

r ルムに光を当てるとアゾベンゼン分子の構造変化が一方

向に集約しフィルムが湾曲するという巨視的変形を引き

起こすことを見いだしたすなわちこの新しいフィルム

は光エネルギーを運動エネルギーに変換する機能を持って

おり新たな人工筋肉材料などへの展開が期待されるま

た本技術は有機薄膜太陽電池をはじめとする次世代の機

能材料の開発にも革新をもたらすと期待されるhttpwwwrikenjpr-worldinforeleasepress2010101105

indexhtml

【リチウムイオン電池正極材料】常温プロセスで全固体薄膜リチウムイオン電池の試作に成功 エアロゾルデポジション法による蓄電池製造の新工法開発を本格化 (2010115)産総研

産総研はトヨタ自動車 ( 株 ) と共同で産総研が開発し

たセラミックス材料の常温高速コーティングプロセスであ

るエアロゾルデポジション (AD) 法を用いて酸化物系の

正極材料負極材料固体電解質材料を薄膜積層化して

金属基板上に 3 層構造からなる全固体薄膜リチウム (Li) イ

オン電池を試作蓄電池としての充放電特性を世界で初め

て確認した 従来型の薄膜技術とは異なりAD 法を用い

ると基板の加熱が不要でまた厚膜化も容易であるそ

のため成膜時間が大幅に短縮でき蓄電池の生産性向上

やプロセスコストの大幅な低減が期待される今後は AD

法を用いた本格的な全固体電池の共同開発を進めていく httpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101105

pr20101105html

【記録デバイススピントルク素子】次世代超高密度 HDD に向けたマイクロ波アシスト記録の基本技術を開発 磁気ヘッドに搭載可能なスピントルク素子を用いた磁気情報の書き換えを確認 (2010115)新エネルギー産業技術総合開発機構(NEDO)(株)日

立製作所

NEDO はハードディスク装置(HDD)の開発製造会社で

ある日立グローバルストレージテクノロジーズの協力を得

て従来の磁気記録方式の限界を超えHDD の記録密度

を飛躍的に伸ばす方式として期待されているマイクロ波ア

シスト磁気記録方式の基本技術を開発しその原理を実験

的に確認したマイクロ波アシスト記録では記録媒体の

小領域にマイクロ波帯の高周波磁界を加え磁気情報の書

き込みを容易にする今回開発したのはヘッドに搭載可

能な高周波磁界を発生するスピントルク発振素子でこの

素子を用いて記録媒体上に磁気情報を記録できることを実

験的に確認したこれまで外部のマイクロ波発生装置を

用いたマイクロ波アシスト効果の報告例はあったが今回

微細な発振素子を用いた磁気情報の記録を確認できたこと

により将来この素子を記録ヘッドに搭載しマイクロ波

アシスト記録を実用的に行える可能性が示されたhttpapp3infocnedogojpinformationskoubopressEFnedopre

ss2010-11-029718160145

【基礎科学物性】絶縁体が金属に変わる新原理の解明 超伝導素子や熱電変換素子の開発へ道(20101104)東北大学

東北大学原子分子材料科学高等研究機構の研究グループ

は高品質酸化物薄膜において電気が流れにくい絶縁体

状態から流れやすい金属状態への遷移機構を解明した材

料における電気の流れやすさは電気を流す担い手である

伝導キャリアが物質中にどれだけ含まれるか伝導キャリ

アがどれくらいスムーズに動きまわれるかによって決ま

るつまり伝導キャリアの濃度を増やしたり材料中で

伝導キャリアの動きを妨げる原因になるひずみや欠陥を少

なくすると電気はより流れやすくなる本研究では人

工宝石として知られるチタン酸ストロンチウム (SrTiO3)

の絶縁体を用い伝導電子を生み出すキャリア供給層を

SrTiO3 絶縁体間に挟み込んだ絶縁体層 キャリア供給層

絶縁体層の層状界面構造をもつ高品質超格子構造を作製す

ることで絶縁体層の体積を増加させると反対に電気が流

れやすい金属状態になる現象を発見した最新の電子顕微

鏡技術を用いた原子構造解析と電子状態の理論計算を駆使

して絶縁体を増加させると界面で結晶のひずみが少なく

なり高導電化することを解明した本研究が明らかにした

界面での結晶のひずみを制御することによって絶縁体を金

属状態へ変化できる現象は様々な材料でも普遍的に起こる

と考えられ絶縁体から金属へ変わる境目で性能が向上す

る新超伝導体や新熱電材料の開発に展開することが可能と

期待されるhttpwwwtohokuacjpjapanesenewimgpressimgtohokuuniv-

presspdf

【環状高分子】様々な環状高分子の自在な合成に成功 「かたち」に基づく機能開発に期待(2010112)東京工業大学

東工大の研究グループはこれまで困難とされてきた

種々の含環状高分子の選択的な合成に成功した同研究

グループで開発された単環状高分子合成プロセスである

31

PEN N

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Electrostatic Self-Assembly and Covalent Fixation Process

と有機合成化学の新手法であるクリックケミストリー

を組み合わせることで様々な「かたち」の自在な構築

を達成した本手法の開発により近年注目を集めてい

る「かたち」に基づいた高分子物性の探索を加速させる

ものと期待されるhttp wwwo ld t i t e ch ac j p tokyo - t ech - in - the -news j

archives2010111288656000html

【異分野連携オープンイノベーションモデル】応用脳科学コンソーシアム 脳科学及びその周辺領域の学術知見を活用したオープンイノベーションモデルの研究活動を開始 異業種の民間企業と異分野の脳科学研究者が連携し事業性の高い研究テーマを推進 (2010111)アサヒビール(株)(株)NTT データ積水ハウス(株)

(株)竹中工務店帝人(株)凸版印刷(株)日産自動

車(株)(株)博報堂(株)NTT データ経営研究所

NTT データ経営研究所が日本神経科学学会の協力を得て

2010 年 10 月 1 日に創設した「応用脳科学コンソーシア

ム」においてそれぞれの事業活動に関連する独創性の

高い研究テーマについて複数の「応用脳科学 RampD 研究会」

を立ち上げるRampD 研究会では各 RampD 研究会を設置

した特別会員企業が各テーマに関連の深い脳科学及び

その関連領域の研究者を招聘し異業種である他の会員

企業とともに最新の研究知見を活用してオープンイノ

ベーションモデルの研究活動を実施する各社が設置す

る RampD 研究会は現時点で(1)おいしさの総合評価研究

会(アサヒビール)(2)ヘルスケア脳情報クラウド研究

会(NTT データ)(3)インタラクティブ住環境研究会(積

水ハウス株式会社)(4)コミュニケーション空間研究

会(竹中工務店)(5)メディアエンゲージメント研究

会(博報堂)この他の RampD 研究会については今後随

時応用脳科学コンソーシアムのウェブサイト httpwww

keieikencojpcan で公開予定

httpwwwnttdatacojprelease2010110101html

【レーザ技術基礎光物性】熱を加えずに結晶を柔らかくすることに成功 高強度テラヘルツ電磁パルスで分子ネットワーク操作が可能に 

(2010111)京都大学科学技術振興機構(JST)

京都大学はテラヘルツ電磁パルスと呼ばれる新しい光

を物質に照射することで1兆分の1秒の短い時間で結

晶中の分子を大振幅で揺さぶり熱平衡状態では実現で

きないような分子変位を実現することに世界で初めて成

功した実験結果は結晶が実効的にやわらかくなったこ

とを意味するものでさらに強いテラヘルツ電磁パルス

によって高効率で結晶を融解させることを示唆するこ

れは熱による反応を起こすことなく新しい分子間のネッ

トワークやたんぱく質などの巨大分子の立体配位を操作

できることを示しており化学合成における反応促進や

創薬における有機分子結晶の精製での活用が考えられる

今回の成果は JST 戦略的創造研究推進事業日本学術振

興会学術創成プロジェクト「動的相スイッチ機構を内在

する有機電子材料の開拓と非平衡物性科学への展開」お

よび京都大学グローバル COE プログラム「普遍性と創発

性から紡ぐ次世代物理学」によるものhttpwwwjstgojpprannounce20101101indexhtml

【高周波デバイス】透 明 な 高 周 波 デ バ イ ス 見 え な い ア ン テ ナ へ の 道

(20101028)物質材料研究機構太陽誘電(株)

両者は共同で透明な高周波デバイスを製造するための

基本技術である微細な金属配線と酸化物透明導電体から

なるハイブリッド構造を開発した本技術は不透明で

あるが高い伝導性を示す金属と透明ではあるが金属の

100 分の 1 程度の伝導率にとどまる酸化物透明導電体と

を組合せ両者の特性を相補的に活用することにより

透明でありかつ携帯電話をはじめとする無線デジタ

ル通信に用いられるギガヘルツ帯の高周波に対して高い

伝送特性を示す素子構造を実現した

httpwwwnimsgojpnewspress201010p201010280html

【エコ製品環境経営】COP10 に向けた環境配慮型製品技術の取り組み ポリ乳酸繊維 ldquo エコディア rdquo 使用商品の提供や連携事業「メッセナゴヤ 2010」への出展を通じ環境保全の取り組みを強化 (20101028)東レ ( 株 )

同社は10 月 11 日 ( 月 ) から 29 日 ( 金 ) に開催された

生物多様性条約第 10 回締約国会議 (COP10) に向けて

ポリ乳酸繊維 ldquo エコディア rdquo 使用商品の提供などを通じて

環境に配慮した運営に協力したまたCOP10 の連携事

業である環境エネルギーをテーマとした展示会「メッ

セナゴヤ 2010」に出展し環境に配慮した次世代自動車

や最先端航空機向けの先端材料を紹介した

httpwwwtoraycojpnewsfibernr101028html

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embe

r

NEWS POD 著作権の関係で記事のタイトルと詳細内容は標記できませんので簡略に表示しています詳しい内容に関しては各新聞及び雑誌をご覧ください

ナノテクノロジー

研究開発最前線

20101122 日 刊 工 業 新 聞 News

ウェーブ 21

X 線レーザー

20101121 東京読売新聞

新潟ナノテク研究会

20101120 日本経済新聞

ナノテクとバイオ

20101120 下野新聞

バイオ起業

20101119 朝日新聞

ナノ粒子の構造制御

20101119 日刊工業新聞

水素原子観察

20101119 科学新聞

光ファイバー関連技術

20101119 科学新聞

希少金属対策

20101118 日刊工業新聞

熱電材料

20101117 日経速報ニュース

化学合成でナノ構造

20101117 日経産業新聞

つくばナノテク研究拠点への投資

20101117 日刊工業新聞

分子バネ

20101116 日経速報ニュース

ナノバイオ融合

20101116 日経産業新聞

フレンドオブアースのナノテク評

20101116 エコロジーエクスプレス

クラスターテクノロジー

20101112 産経新聞

実用化助成

20101111 日刊産業新聞

接着のメカニズム

20101110 日経産業新聞

電子材料

20101110 日経産業新聞

ナノ磁石

20101110 東京新聞

高分解能放射線検出器

20101110 化学工業日報

電池電極材料

20101108 日本経済新聞

食の安全性

20101108 日経エコロジー

ナノ磁石実用化

20101105 朝日新聞

ナノテク接着剤

20101105 日刊工業新聞

水素原子の観察

20101105 日刊工業新聞

補正予算案

20101105 科学新聞

ナノ磁石

20101104 日本経済新聞

ナノボーグ

20101104 日刊工業新聞

ITO 電極代替技術

20101104 鉄鋼新聞

レアアース代替材

20101103 日本経済新聞電子版

セクション

ナノ鉄磁

20101103 毎日新聞

有機トランジスタ

20101101 日 経 速 報 ニ ュ ー ス

アーカイブ

有機トランジスタ

20101101 日経産業新聞

ナノムービー

20101101 日経サイエンス

低燃費タイヤ

20101030 朝日新聞

筑波大生命科学研究拠点

20101030 茨城新聞

レアアース代替材

20101029 日経産業新聞

播磨地域

20101029 化学工業日報

ナノ粒子操作

20101029 科学新聞

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NEWS POD 著作権の関係で記事のタイトルと詳細内容は標記できませんので簡略に表示しています詳しい内容に関しては各新聞及び雑誌をご覧ください

中国新5カ年計画

20101028 日本経済新聞

高機能消臭素材

20101028 化学工業日報

環境規制等

終わりの科学

20101201 日経サイエンス

電気自動車の覇権

20101123 週刊エコノミスト

環境規制対応

20101122 日経産業新聞

温暖化ガス排出枠

20101122 日経産業新聞

ロス自動車ショー

20101119 日経産業新聞

EV と環境規制

20101119 朝日新聞

EV

20101119 東京新聞

環境と法規制

20101119 化学工業日報

トヨタとテスラ

20101118 読売新聞速報ニュー

CO2 排出量削減

20101118 日経産業新聞

カリフォルニア州環境規制と EV

20101112 日本経済新聞

環境規制

20101112 日本経済新聞

環境規制

20101112 日経産業新聞

米韓 FTA

20101112 朝日新聞

米韓 FTA

20101112 毎日新聞

顔料

20101112 化学工業日報

レアメタル供給規制

20101111 日本経済新聞

潮冷熱

20101110 日本経済新聞

レアアース生産と環境規制

20101108 ダウジョーンズ中国企

業ニュース

韓米FTA

20101101 中央日報

科学技術政策

競争的資金制度

20101122 日本経済新聞

科学技術関係補正予算案 

20101122 THE DOCTOR

韓国 KIST

20101121 朝鮮日報

科学技術政策

20101119 日本経済新聞電子版

セクション

科学技術政策

20101118 日本経済新聞

科学技術政策

20101118 日経産業新聞

女性研究者

20101117 日経速報ニュース

科学技術予算

20101114 東京読売新聞

トップ1論文

20101112 科学新聞

中国特許強国に

20101112 新華社ニュース

関経連と科学技術政策

20101110 産経新聞 

科学技術産業一体政策

20101109 日刊工業新聞

優れた論文の条件

20101105 毎日新聞

「焼け太り許さぬ」

20101102 朝日新聞

国の研究開発投資目標

20101029 日刊工業新聞

科技政策で提言

20101027 日経産業新聞

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科学への信頼に関する読者調査

20101201 日経サイエンス

「カップリング反応」アニメ化

20101110 朝日新聞東京読売

新聞他

科学と社会つなぐ人材

20101025 東京新聞

NEWS POD 

情報誌 PEN 購読のご案内PEN の継続的な購読をご希望の方は下記のメールアドレスまでお名前ご所属メールアドレスをご記入の上ご連絡ください登録配信は無料ですnano-penmaistgojp

PEN は原則月 1 回配信しますバックナンバーと PEN の前身【AIST-TOKYO ナノテク情報】をナノシステム研究部門ホームページにて公開しています httpunitaistgojpnrinano-planindexhtml

PEN は皆さまとの情報共有を目的としていますお持ちの情報で共有すべきものがあれば nano-penmaistgojp までお寄せ下さい

いただいた個人情報は産総研 個人情報保護方針(プライバシーポリシー)に基づき大切に管理し情報誌 PEN の運営と私達のイベントのご案内のみに使用させていただきます

科学技術コミュニケーション

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イベント案内

[産学連携研究開発]大阪大学ナノ理工学人材育成産学コンソーシアム 第 3 回ナノ理工学情報交流会場所大阪大学中之島センター 7 階 講義室 3(講師来訪)

   大阪大学東京オフィスサテライト教室

(遠隔講義配信)

   四日市商工会議所内サテライト教室

(遠隔講義配信)については調整中です

コンソーシアム HP にてご確認ください

   ナノテク社会人教育プログラムの開講をされてい

る場合遠隔講義配信に対応可能です事務局まで

ご連絡ください

日時2010 年 12 月 10 日(金)1330 ~ 1900 頃

主催大阪大学ナノ理工学人材育成産学コンソーシアム 

概要ナノ理工学人材育成産学コンソーシアムでは活動

の一環として産学連携のきっかけを提供すべく企業と

大学の双方からテーマに即した研究開発やトピックを紹介

し会員同士の意見交換と情報共有の促進をはかっていま

す第 3 回目となる今回は「光を用いたナノテクノロジー

の新展開」をテーマに開催しますプログラムなどの詳細

は下記の HP をご参照下さい

参加費コンソーシアム会員学生及び大阪大学教職員は

無料(コンソーシアム企業会員の場合社内から何名でも

無料で参加が可能です)

上記以外の方は資料作成費 1000 円が必要になります

参加登録氏名所属連絡先懇談会への出欠を記載の

上メールにて大阪大学ナノ理工学人材育成産学コンソー

シアム事務局(nano-consnanoscienceorjp)へお申込み

下さい

httpwwwnanoscienceorjp

[コミュニケーション]科学コミュニケーション研究会 第 1 回関西支部勉強会日時2010 年 12 月 2 日 1800 ~ 2000

場所京都大学 吉田泉殿

主催科学コミュニケーション研究会 関西支部有志

概要大阪教育大学科学教育センターの中矢史雄氏を講師

に招きオーストラリアの科学技術コミュニケーションに

ついてオーストラリア国立大学科学意識向上センター

での経験なども交えてお話いただきます定員は 25 名で

す事前申し込みが必要です

httpbitlybPmTP9

[展示会]セミコンジャパン 2010日時12 月 1 日~ 3 日

場所幕張メッセ

主催SEMI

概要国内外の最新のマイクロエレクトロニクス技術に関

する情報を入手することのできる世界最大の半導体製造装

置材料展です

httpwwwsemiconjapanorgjaindexhtm

[知財]アジア特許庁シンポジウム日時2010 年 12 月 3 日(金)930 ~ 1210

場所ホテル日航奈良 飛天の間

主催特許庁

概要日本中国韓国インドネシアマレーシアシ

ンガポールの特許庁幹部を招き各国の知財保護強化の取

組みやアジアにおける知財協力を紹介しますまたパ

ネルディスカッションを設けアジアにおける人材育成協

力の方向性について議論します

httpwwwintergroupjp~convasia

[人材育成]応用物理学会 人財育成シンポジウム -日本の危機を科学が救うそのためのリーダー育成を考える-日時2010 年 11 月 29 日(月)1000 ~ 1710

場所東京工業大学デジタル多目的ホール

主催応用物理学会

概要急速に進むグローバル化に対応のできる人材を育成

するための課題や応用物理学会が貢献することのできる

具体的な取り組みについて議論します

イベント案内へ掲載を希望される方は nano-penmaistgojp までご一報ください

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r h t t p w w w j s a p o r j p a c t i v i t i e s e d u c a t i o n

symppt2010symphtml 

[コミュニケーション]科学技術とメディアのより良い関係に向けて日時11 月 26 日 1815 ~ 2030

場所早稲田大学大隈小講堂

主催サイエンスメディアセンター(SMC)

概要英国オーストラリアのサイエンスメディアセ

ンターの関係者米国のサイエンスコミュニケータを交え

て研究者とメディアの有益な関係性構築に向けた取り組

みについて議論します参加費は無料同時通訳がつきま

httpsmc-japanorgp=403 

[異分野連携]医学領域と工学領域連携研究シンポジウム ‐ 未来を拓く医工連携 ‐日時2010 年 11 月 27 日(土)

場所山口大学医学部第 3 講義室

主催日本学術会議中国四国地区会議山口大学

概要がんの個別化医療をメインテーマにこれからの医

工連携のあり方について講演と議論を行います

httpwwwscjgojpjaeventpdf100-t-3pdf 

[人材育成]マイクロナノエンジニアリング シンポジウム ‐ イノベーションと人材育成 ‐日時2010 年 12 月 8 日(水)1300 ~ 1700

場所日本学術会議 講堂

主催日本学術会議 マイクロナノエンジニアリング分

科会日本機械学会 マイクロナノ工学専門会議

概要学際的分野であるマイクロナノエンジニアリング

は大学大学院における教育の整備関連する産業界

学術界での研究開発における分野融合的な取組みが不可欠

です本シンポジウムでは人材育成を軸とした課題につ

いて議論します

httpwwwscjgojpjaeventpdf100-s-3-1pdf

[ 博物館展示 ]自然に学ぶ ネイチャーテクノロジーとライフスタイル展開催中です

場所国立科学博物館 (東京上野公園)

日時2010 年 10 月 26 日~ 2010 年 2 月 11 日

主催東北大学大学院環境科学研究科国立科学博物館

特定非営利活動法人ものづくり生命文明機構

概要蝶や鳥など生き物や自然の仕組みにヒントを得た環

境負荷の低い技術と将来的な応用の可能性から日本文化

に根差した共生型の新しいライフスタイルのあり方につい

て紹介します国立科学博物館の入館料600円が必要です

httpwwwkahakugojpevent201010natureindex

html

[人材育成]シンポジウム「世界を魅せる日本の課題解決型基礎研究~JST 目利き制度とその可能性」日時2010 年 12 月 6 日(月)1000-1800 (0900 受

付開始)

場所東京国際フォーラム B5 ホール

主催(独)科学技術振興機構(JST)

概要JST がこれまでに行ってきた戦略的創造研究推進

事業の成果を振り返りつつ今後の日本の科学技術の発

展に向けた事業のあり方について参加者の皆様と議論しま

httpwwwsenryaku30jstgojp 

[ 持続可能性 ]学術会議シンポジウム「低炭素化に向けた経済社会エネルギーのあり方と実現のシナリオ」日時2010 年 12 月 9 日(木)1330 ~ 1700

場所学術会議講堂

主催土木工学建築学委員会低炭素建築都市分科会

社会資本分科会

概要両分科会は中~超長期のエネルギー消費量削減シ

ナリオ策定に取り組んできました本シンポジウムでは

分科会の検討結果や削減のための様々な取り組みを紹介

し今後のとりまとめ作業に向けた議論を行います

httpwwwscjgojpjaeventpdf104-s-3-6pdf 

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PEN 編集室関谷瑞木阿多誠文独立行政法人産業技術総合研究所 ナノシステム研究部門 305-8568 つくば市梅園 1-1-1 産総研つくばセンター中央第 2 M404Email nano-penmaistgojpTel029-861-5185 Fax 029-861-5339

編集後記

今月 8 日に長野県長野市で開催された第 3 回国際ナノ

ワークショップ「ナノテクノロジーの社会受容~ナノ

材料の工業標準化の国際的な動向と環境影響について

~」の会場で多くの企業の皆様と意見交換をする貴

重な機会を得た目まぐるしい勢いで変わってゆく諸

外国の環境規制策の動向に民間企業の皆様が神経を

とがらせておられることがひしひしと感じられた東

京から新幹線で 1 時間半インターネットでリアルタ

イムに世界とつながることのできる時代とはいえ情

報物人が集積する地である東京とは異なる苦労も

あることもお聞きした美しい山々きれいな空気あ

るいは世界に誇る観光遺産と科学技術を結び付けて

地域振興をはかりたいとの頑張っておいでの方にもお

会いした

月刊という制約はあるもののこうした方々にとって

タイムリーで有用な情報を提供し続けたいと改めて

強く感じた

ちなみにPEN を発行しているつくば市の産総研つく

ばセンターへもつくばエクスプレスと路線バスを乗

り継いで都心からは約 1 時間半かかる

2010 年 11 月 25 日

PEN 編集室一同ウナギツカミ

Page 15: Public Engagement with Nano- PEN November …...5 PEN November 【知財】 中国、10年で特許強国に(2010.11.12) 中国国家知識産権局は11日に「全国特許事業発展戦略

15

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めのグローバル 30 をさらに拡充強化されることを政府に

要望するものでまた予算の縮減などになれば国際社会に

おける日本の信頼が大きく傷つくばかりでなく日本の将

来について致命的な打撃を与えるのではないかと指摘して

いるh t t p w w w o s a k a - u a c j p j a n e w s t o p i c s 2 0 1 0 1 1

files20101116_2pdf

加速する EV 市場電気自動車 (EV) 市場が大きく展開し始めたすでに三菱

自動車は昨年から EV アイミーブを市場に投入している

日産自動車は今年 7 月から EV リーフの試乗会を行ってき

たがいよいよ来 12 月には EV リーフの日米同時の販売

を開始するこれにあわせて 12 月 45 日に横浜市内で

公道上での試乗会が行われる今後は技術提携を進めるフ

ランスのルノー社との技術の共通化が図られる

このような動きに対しトヨタやホンダはこれまで EV に

は慎重な姿勢を維持してきたしかしこの数か月でその姿

勢にも大きな変化が出てきた今月 17 日から開催されて

いるロサンジェルスのモーターショーでトヨタは RAV4

の EV モデルホンダはフィットの EV モデルをそれぞれ

公開しているこれまでハイブリッド技術で覇権を制して

きたトヨタはこの 5 月にカリフォルニアの EV 開発ベン

チャーであるテスラと資本提携スポーツタイプ多目的車

(SUV)をベースとした EV の開発を加速させているテス

ラは 2008 年から時速 200km を誇るロードスターの市場

投入実績を有しておりトヨタ以外にもすでにダイムラー

とも資本提携を行っているまた今月にはパナソニックと

電池の共同開発を開始するなど2015 年の本格的なアジ

ア市場での販売計画に向けて技術開発を加速させている

テスラの技術は家電製品に使われる汎用電池を多数並べて

用いるところに特徴があり現時点では車載用専用の電池

の開発を進める他の EV との差別化を図ることに注力して

いる

このような一連の動きは2012 年のカリフォルニア州に

おける環境規制の施行を見据えたもので2012 年が EV

普及にとってフラグポイントになるアメリカでもゼロエ

ミッション EV の開発が活発に行われ経営破たんしてい

た GM が 11 月 18 日に株式市場に再上場するなどアメ

リカの産業構造も大きく変わりつつあるただモーター周

りの技術に関しては中国企業との共同開発も進められて

いる

このような EV 市場の急展開の様相は日本の経済を支え

てきた自動車産業に大きな質的変化をもたらしつつある

EV は「自動車が家電製品になる」と形容されるように

車載用駆動電源としての 2 次電池の高性能化やリチウム

資源の確保さらには太陽光発電利用やスマートグリッド

まで含めたエネルギーデリバリーシステムや充電インフラ

等々幅広い産業活性化の起爆剤でもあるEV がオフィ

スや家庭の家電とつながればIT 産業にも大きなビジネス

チャンスが到来する自動車産業は家電メーカー総合

商社IT 企業その他さまざまな技術領域を巻き込んだ覇

権争いに突入していこうとしておりこれまで ldquo 城下町 rdquo

と称された日本の垂直統合型自動車産業そのものが大きく

変わりつつあるといっても過言ではない

ところで「モーターをタイヤにした」構造的には内燃機関

式に比べ単純な構造の乗り物でもある EV の市場には新

興国の新規産業が参入しやすいという一面がある上述し

たような 2012~15 年にかけて強まる世界的な環境規制を

追い風に新興国から多くの EV 産業への参入が予想され

る実際に中国広東省のベンチャー企業 BYD などはそ

の急先鋒として成長し続けている日本の産業は1990

年のバブル崩壊以降 20 年にわたって「技術で勝って市

場をとれない」状況に苛まれてきた対処策の一つは技術

開発と経営の基本姿勢である言うまでもなく技術が発展

することは製品の質の向上に結び付くのだがただ「より

良い技術をふんだんに詰め込めばおのずと製品は売れる」

という安易な技術への過信や過剰な技術の詰め込みがイノ

ベーションプロセスに負に作用することも事実であるエ

リアごとに大きく異なる市場のニーズを的確に把握するこ

とと急速に展開する市場に対応した経営意思決定の迅速

化がキーになる

もう一つは国際的な枠組みでのインフラ技術の標準化であ

る一国一票の投票権を持つ国際標準化の策定プロセスで

は欧州が圧倒的な強さを維持しており日本は常に苦戦

を強いられる立場にある国際電気標準会議 (IEC) におけ

る EV インフラ技術の標準化チャデモ協議会といった日

本の対応については週刊エコノミスト 12 月号 40 ~ 41

頁に詳しい

また日刊自動車新聞によると電気自動車普及協議会が

EV の高電圧周りの安全対策などに関するガイドラインの

策定を始めているが緊急性の高い項目は今年度中に情報

公開される模様である

国立研究開発機関(仮称)構想省庁の縦割り政策の弊害を解消して研究開発を効率的に進

めることを目的に文部科学省は 38 の独立行政法人研究

機関の再編統合を図る仮称「国立研究開発機関」構想を

打ち出している海江田科学技術政策相はその設置法案を

来年度の通常国会に提出する考えを明らかにしこれに併

せて発足に向けたスケジュール作りがすでに検討チームの

中で始まっているその一方蓮舫内閣府特命担当大臣(行

16

PEN

Nov

embe

r 政刷新)公務員制度改革担当は文部科学省ではなく内閣

府主導で予算編成を行うべきとの考えを示し行政刷新会

議も「焼け太りは許さない」と文部科学省を牽制設置法

そのものの提出をくい止めたい考えである他の様々な施

策同様これも民主党政権内での軋轢となっている

化学5社化学物質情報伝達を電機大手と共通化中小企業ビジネス支援サイト J-Net21 は11 月 15 日に

日本の化学大手 5 社がアーティクルマネジメント推進協

議会の仕組みを活用して製品に含まれる化学物質の伝達

方法を電機大手と共通化することを発表サプライチェー

ンでの情報伝達の共通化が図られるhttpj-net21smrjgojpwatchnews_tyusentry20101115-10

html

22 年度科学技術関係補正予算閣議決定先月末の 26 日平成 22 年度補正予算 4 兆 8500 億円が

閣議決定された今月 11 日付科学新聞はこのうち科学

技術関係予算を文部科学省のスパコン「京」への 186

億円などを含め約 1500 ~ 2000 億円程度と見積もってい

る経済産業省関係では産学官連携のイノベーション拠点

立地支援事業への支援策が多く盛り込まれているつくば

イノベーションアリーナ中核拠点と位置づけられている産

総研には補正予算 30 億円が配分されている

なお内閣府総合科学技術会議は 11 月 4 日2010 年度

の当初予算額 3 兆 5878 億円に対し補正予算案は 1864

億円経済危機対応地域活性化予備費は 141 億円で

合計は 3 兆 7742 億円となったことを明らかにした補正

予算の詳細については 11 月 4 日「平成 22 年度経済危機

対応地域活性化予備費及び補正予算案(科学技術関係予

算)について」として内閣府から公開された

httpwww8caogojpcstpbudgeth22hoseipdf

ナノボーグの販売軽量化フレキシブル化が進む様々なデバイスをまとめて

身に着けることが可能な服が「ナノボーグ」である東工

大谷岡教授が名付けたもので4 日付日刊工業新聞による

と今月にも太陽電池を電源とするジャケットがアメリカ

のアパレルメーカーから発売される

httpwwwnikkancojpnewsnkx0320101104eaahhtml

ldquoNBCI ナノナビ rdquo 創刊ビジネス環境のグローバル化オープン化に伴って政策

や規制動向研究開発動向の迅速な情報共有への要求が高

まりつつあるこれに応え一般社団法人ナノテクノロジー

ビジネス推進協議会(NBCI)は不定期の情報誌 ldquoNBCI

ナノナビ rdquo を創刊先月末より会員向け配信を開始した

創刊号では標準化の重要な課題であるナノラベリング(使

用ナノ材料の周知目的)の動きナノネット活用等につい

て最新の動向が配信された

httpwwwnbcijp

フラーレンのナノエレ応用脚光を浴びるカーボンナノチューブやグラフェンに比べ

フラーレン(C60)のナノエレクトロニクスへの応用展開

は広がらない状況が続いてきたがこの度 C60 を積層し

た有機トランジスタが開発されたこれは 11 月 1 日付日

経産業新聞が報じたもので大阪大学と山形大学大日本

印刷の共同研究の成果である試作された C60 を含む有

機トランジスタは従来の有機トランジスタより大きな電

流を流すことが出来400 キロヘルツの高速応答が得られ

たとのこと

筑波大に生命科学研究拠点先月末筑波大は先端学際領域研究センター通称 TARA

センターを改組し生命領域学際研究センターを設立浅

島誠氏がセンター長に就任した今後 20 人の研究部隊が

幹細胞研究などに特化した研究を展開する

新規事業への投資を名城ナノカーボン10 月 29 日付の金融専門誌ニッキンは名城ナノカーボ

ンの橋本剛氏をとりあげた同社は 2005 年 4 月に当時

銀行員であった橋本氏が名城大安藤義則教授と共に設立

したカーボンナノチューブの開発製造販売を手がける

名城大発ベンチャー橋本氏は今後 5 ~ 10 年で名城ナノ

カーボンの上場を目指すとし取引金融機関に対して新規

事業への具体的な資金投入を期待している

CNT 生産能力倍増昭和電工10 月 29 日付化学工業日報は昭和電工(株)川崎事業

所におけるカーボンナノチューブ (CNT) の年産 100 トン

から 200 トンへ引き上げ計画を報じた同社はリチウム

イオン 2 次電池向け気相成長 CNT の供給を行っているが

今後はさらに急速な需要拡大が進む可能性もありさらに

生産体制の拡大を図る可能性もある

17

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ovember

宝石という名前の虫

タマムシはタマムシ科の 4 センチメートルほどの甲虫です漢字では玉虫と書きます玉とは宝石のことで

その名のとおり赤い縦の線が走る虹色がかった緑色の金属光沢の美しい翅をもっています

法隆寺所蔵の国宝「玉虫厨子」を教科書などで見たことがある人も多いのではないでしょうか厨子は仏像な

どの礼拝の対象をしまう大切な入れ物のことです天平の世の人々がその大切な厨子の壁面を飾る細工の材料

にタマムシこそが相応しいと思ったのも納得できる美しい甲虫です残念ながら現在では玉虫厨子の壁面の

翅の多くは脱落してしまっていますが往時を再現した複製品から天平の時代の華やかな色が想像できます

タマムシは時代や洋の東西を問わず美しいと思われるようでベルギーにはその美しさに憑かれて宮殿の天

井を大量のタマムシの翅で飾った現代工芸家もいます

タマムシは厨子に使われた翅だけでなく腹部や脚触角なども緑色の光沢を放っていますまた美しい

翅が良くわかるような背面からの写真が多いので米粒型のすんなりした形のイメージが強いですが横から

見た体には以外と厚みがあります成虫は樹冠を飛び回り主にニレ科の広葉樹の葉を食べています幼虫は

カブトムシの幼虫に似た白いずんぐりしたイモムシで餌も葉ではなく木ですそのため害虫に分類されても

います

岐阜県高山市「茶の湯美術館」に玉虫厨子のレプリカが展示されています

httpwwwnakada-netjpchanoyutamamushi_zushihtmtamamushi 

18

PEN

Nov

embe

r

これを批准した結果日本は 1990 年を基準として 6の

温室効果ガス削減を国際的に約束した日本国憲法によれ

ば国際条約は守らなければならないことになっているの

で「チーム -6」などという運動が日本全国にできた

これの何が間違いだったのであろうか以下その根拠を説

明する尚現在の一次エネルギー源は 80以上が化石

燃料によるものであるからエネルギー消費と温室効果ガス

排出はほぼ同義語であるまた国内総生産(GDP) の増

大すなわち経済成長は社会の安定と国民の安心感を支え

る基本的な要素でありその減少は社会の不安定化をもた

らすため増大させることが必須である

日本は 1973 年の第一次石油危機で大きなダメージを受

けそれから「省エネルギー技術」の開発を血眼になって

推進したその結果図 1 に示すように日本は世界一の「省

エネ大国」になったのである図で縦軸は石油換算のエネ

ルギー消費量横軸は GDP をドル換算したもので1995

年のデータを示してある斜目の破線は一定の GDP を作

り出すのに必要なエネルギー量をトン単位で示しており

これが小さいほどエネルギー効率のいい社会であるつま

り使用エネルギーが少なくなるか同じエネルギーを使っ

ても生産額が多くなればエネルギー効率は良くなる

 エネルギー効率=使用エネルギー生産額(GDP)

図から明らかなように日本は 1995 年時点でも既に世

界で一番エネルギー効率の良い国だったのであるドイツ

フランスイタリアなどは日本の 15 倍イギリスは 2 倍

アメリカが 3 倍中国やロシアに至っては何と 10 倍以上

のエネルギーを浪費しているということが一目瞭然であ

る日本がこのようなエネルギー効率の良い状態から更に

エネルギー消費を減らすなどと言うことは被虐趣味以外

の何物でもないちなみに図 1 は小生が京都議定書を見て

「これは誤りである」と確信し直ぐに作成したものであり

13 年前には既に分っていたことである

それでは日本は何を主張すれば良かったのか賢明な読

者は図 1 を見れば直ぐに考え付くであろうそう「世界

の皆さん今後 10 年間でエネルギー効率を高くする努力

をし現在の日本並みとまでいかなくても少なくとも近

付く努力をしてください」と主張すべきだったのだこれ

なら発展途上国も経済発展を保障されるから合意できたで

あろうし何よりも日本の「省エネ技術」を世界標準とし

て輸出可能であったろう昨年中華人民共和国(中国)が

出した指標はまさにこのような考えに基づいたものであろ

うどこかの国の首相が温室効果ガス排出量(=エネル

ギー消費量)の 25の削減を持ち出したのに対し「中国

はエネルギー効率(=使用エネルギー生産額)を 40

向上させる」と主張した図1から見ても彼等は 1995 年

の日本の水準に追いつくだけで 90の削減が可能であり

40などというのは非常に容易な達成目標であることは

明らかであるまさに国際条約を締結する上での基本的

な事項である「自国の利益を最優先する」という原理原

則にも合致している流石は厳しい歴史を体験してきた国

京都議定書が提案されてから既に 10 年以上経過した今

更と思われる方もおられるかも知れないが現在の日本が

抱える様々な矛盾の出発点の一つが京都議定書であると考

えざるを得ない以上ここで改めてその問題点を明らかに

したい環境省のホームページに掲載されている京都議定

書の内容は以下のとおりである

(httpwwwenvgojpearthcop63-2html)

ポイント先進国の温室効果ガス排出量について法的拘束力

 のある数値目標を各国毎に設定

国際的に協調して目標を達成するための仕組みを

 導入(排出量取引クリーン開発メカニズム共同

 実施など)

途上国に対しては数値目標などの新たな義務は導

 入せず

寄稿京都議定書で日本は何を主張すべきであったか東洋大学大学院学際融合科学研究科 教授 和田恭雄

19

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ovember

は違うなどと感心してはいられない

今からでも遅くない「2010 年を基準としてエネルギー

効率の向上を図る」ことを国際的な合意目標に切り替え

るべきである無論為替レートは 2010 年現在の 1 ド

ル= 80 円程度に固定して比較すべきである現在の円

高を考えれば分母が大きくなることが日本の利益につ

ながるからだ国際条約においては「被虐趣味」は最低

の選択であることを忘れてはならない「率先垂範」など

と言う言葉は国際社会では通用しない無論表面上は大

いに賞賛されようが腹の底で「カモが来た」と思われ

食い物にされるだけである他人から褒められるために

自らの競争力を放棄するようなことは止めるべきである

京都議定書を他山の石としてナノテクノロジーの世界

でも「自らの強みを世界の標準にする」という基本的な

姿勢を取るべきであるのは当然のことであるdarr

darr 世界各国のエネルギー消費量と総生産の比較図右下

に行くほどエネルギー効率が高く同じ GDP を創り出す

のに温室効果ガスの排出量が少ないということを示す

日本は 1995 年当時既に世界一の「省エネ大国」であり

西ヨーロッパの 15 倍米国の 3 倍ロシアなどよりも

10 倍以上効率の良い経済体制になっていたことが分か

る世界中の国が日本を手本にすれば温室効果ガスの排

出量を減らしつつ経済成長が可能になり即ち皆がハッ

ピーになれることを示すことができるばかりでなく日

本の省エネ技術を世界標準にすることも主張できる根拠

となる

20

PEN

Nov

embe

r

日本では21 世の始まりと共に科学技術政策に基づ

いてナノテクノロジーの研究開発への戦略的投資が開始

された2001 年度からの第 2 期科学技術基本計画と

2006 年度からの第 3 期科学技術基本計画の都合 10 年

間にわたる優先的戦略的な研究開発の資源の投入も余

すところ4ヶ月となった

21 世紀を担うと期待されたナノテクノロジーには研

究開発側から社会への一方的な応用があたりまえであっ

たこれまでの科学技術とは異なる研究開発の方法論が導

入されたコア技術の研究開発と並行してその技術の社

会的影響を検討しそれをさらにコア技術の研究開発に

フィードバックするという新しい研究開発の方法論であ

る [1]ナノテクノロジーの社会的影響にとって最も重

要で緊急の課題がナノ材料の環境健康影響安全 (EHS)

の課題であった技術の社会的影響を検討しながら進め

られているナノテクノロジーの研究開発がうまくいくか

どうかこのことがナノテクノロジーに続く今後の新興

の科学技術の研究開発のあり方に大きな影響を与えるこ

とになる社会的影響をフィードバックしながら進める

責任ある研究開発がはじめて試みられた日本のナノテク

ノロジーがこれまで 10 年間にわたって戦略的研究開発

投資を続けてきた現在どのような状況にあるのか今回

の特集ではそれを俯瞰的に解析する

まず国内の全ての新聞と雑誌に掲載されたナノテクノ

ロジー関連記事の数を統計的指標としてナノテクノロ

ジーの研究開発に対して日本の社会がどの程度の関心を

示しているのか評価することを試みる図1に日本

のメディアに掲載されたナノテクノロジー関連の記事の

年推移を示すグラフから明らかなようにナノテクノ

ロジーへの戦略的研究開発投資が始まった 2001 年まで

日本のメディアはほとんどナノテクノロジーを取り上げ

ていないただこれは日本にナノテクノロジーの萌芽

的研究開発がなかったということではない

一例をあげるなら工業技術院は産業科学技術研究開発

制度の一環として新エネルギー産業技術総合開発機

構(NEDO)の委託により原子分子極限操作技術の研

究開発プロジェクトを展開した1992 年から 10 年間に

わたり分子原子をボトムアップ的に集積する研究開発

を進めたこのプロジェクトは技術研究組合オングスト

ロームテクノロジー研究機構(ATP)と呼ばれたさらに

ATP と産業技術融合領域研究所は同研究所内にアトム

テクノロジー研究体(JRCAT)を設置して産官学の共同

研究プロジェクトを推進した折しも日本は 1990 年の

バブル経済の崩壊後失われた 10 年と称される経済の停

滞に苦しんでいたまだナノテクノロジーに対する期待

は高まってはいなかったが日本のナノテクノロジーは

着実に萌芽的研究開発を進めていた困難な経済のなか

で日本のナノテクノロジーはその萌芽に向けた着実な

準備をしていたといえるのだがこのような地道な研究

開発が進められていた点はこの統計からは見えにくい

0

500

1000

1500

2000

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2001

2002

2003

2004

2005

2006

2007

2008

2009

図 1

特集

10 年におよぶナノテクノロジー研究成果の発展的継承を 

21

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2001 年度から戦略的な究開発投資が開始されると同時

にナノテクノロジーへの関心は急速に増していった

わずか 2 年後の 2003 年にはその期待は極みに達して

いる上述したとおり我々はこの統計で縦軸をナノテ

クノロジーに対する社会の関心と見なしておりこれは

David M Berube 氏が示した典型的な Hype 曲線の縦軸

「Visibility」と同義とみなせる [2]その類似性を図 2 に

示す

図 2

日本では Nano-Hype と呼べるピークが高性能瞬間湯

沸器よろしく戦略的研究開発投資が開始されたわず

か 2 年後の 2003 年に出現しているのであるまたJ

Fenn らはこのようなピークを図 3 に示すようにイノ

ベーションのハイプサイクルにおける rdquoPeak of Inflated

Expectationsrdquo と表現している [3]

Exp

ect

atio

ns

Time

InnovationTrigger

Trough ofDisillusionment

Slope ofEnlightenment

Plateau ofProductivity

Peak of InflatedExpectations

図 3

この時期はナノテクノロジーの将来価値への大きな期

待の反面研究開発の実態は希薄である実体の伴わな

い過剰な期待を理由に「一部の有力な科学者や政策担当

者がこのような Hype の状況を意図的に作りだした」と非

難する論調もある確かに Nano-Hype はナノテクノロジー

の将来価値への期待が研究開発の実態を上回る状況では

あるがナノテクノロジーに対する社会の関心や期待を

喚起しその期待を背景にナノテクノロジーへの研究開

発投資が漸次増加していったことも事実であるまたナ

ノテクノロジーの事をもっと知りたいという知的欲求も

刺激されそれに応えるためにいくつかの大学ではサイ

エンスコミュニケータやサイエンスインタープリタサ

イエンスジャーナリストの養成講座等が開設されたさ

らに今日年間 2000 回以上のサイエンスカフェが全国各

地で開かれるなどナノテクノロジーのような新興の科

学技術のパブリックエンゲージメントの活動の契機にも

なったNano-Hype と呼ばれる状況がそのような様々

なプラスの効果を日本にもたらしたことも忘れてはなら

2003年

2010年

2003年

22

PEN

Nov

embe

r ない点である

実体の伴わない過剰な期待が徐々に覚めていく Negative-

Hype の状況はHype が極みに達した 2003 年直後の

2004 年から 2007 年にかけて顕著に現れてくる依然

として政府のナノテクノロジー材料領域への研究開発

投資が伸びるなかメディアがナノテクノロジーを取り

上げる頻度は急速に下がり社会の関心は冷めていった

過剰な期待が冷静さを取り戻していく Negative-Hype は

必然であるとしても注目しておかなければならない大

事な点は Negative-Hype がいつ止むかいつ底を打つの

かである図 1 から明らかなように2004 年以降 2007

年まで急速に下降しているものの2008 年から 2009 年

と明らかに Negative-Hype は底を打っている

上述の J Fenn らは新しいハイプサイクルの縦軸の評価尺

度を議論しているのだが図 4 に示すようにハイプサイ

クルのプロフィールが二つの要素からなることを示して

いる [4]この指標を採用すると今年 2010 年の日本の

ナノテクノロジーはHype が終わりエンジニアリング

またはビジネスが徐々にその成熟度を増していくちょ

うどその過渡期にあるとみてよい今後ナノテクノロジー

がITエネルギー環境ライフサイエンスといった様々

な技術分野の基盤技術としてその実用化に貢献していく

現在はちょうどその転換点にあるそのプロセスを確実

に進めていくには中長期的な一貫した科学技術政策に

よりナノテクノロジーの基礎的な研究開発を継続的に

推し進めていくことが肝要である

図 4

そして10 年に及ぶ科学技術政策に基づいたナノテク

ノロジーの戦略的研究開発投資の成果を応用実用化

へ確実につなげていくために取り組まなければならない

もっとも重要な課題が包括的で実態のあるナノテクノ

ロジーのパブリックエンゲージメントの活動である昨

今ナノテクノロジーの研究開発と並行して社会受容

パブリックエンゲージメントの活動の重要性が指摘され

るようになってきたしかしこの課題に関する解釈は

依然としてまとまりを欠いているだけでなく「こういっ

た課題への取り組みが大事である」といったことが最後

の部分に申しわけ程度に記述されている例も多々見受け

られる取り組んでいるという既成事実のために実体の

伴わないパブリックエンゲージメントの活動が進められ

ると将来的にナノテクノロジーへの信頼も失墜しかね

ない多様な課題を含む社会受容パブリックエンゲー

ジメントの活動には包括的な視点で具体的実践的に取

り組んでいく必要がある

ReferenceRoco M C amp Bainbridge W S 2001 ldquoSocietal

Implications of Nanoscience and Nanotechnologyrdquo

Kluwer Academic Publishers

Berube M B amp Roco M C(FRW) 2005 ldquoNano-Hype

The truth behind the nanotechnology buzzrdquo Prometheus

Books

イノベーションのハイプサイクル

「Mastering the Hype Cycle」J Fenn M Raskino

Harvard Business Press 2008

M Raskino J Fenn IT Management(ITM) ITM-09-

37 Research Note 2010 年 2 月 9 日

23

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【CO2 排出量】世 界 的 な 金 融 危 機 に も か か わ ら ず2009 年 の 化 石 燃料 由 来 の 二 酸 化 炭 素 排 出 量 の 減 少 は 小 幅 に と ど ま る

(20101122)国立環境研究所(国環研)

国環研はグローバルカーボンプロジェクト (GCP) が 11

月 22 日の Nature Geoscience 誌の電子版に調査結果を発

表すると速報したその内容は世界金融危機の経済的

影響にも関わらず2009 年における世界の化石燃料由来

の二酸化炭素排出削減量が予測値である 28を下回り

前年比 13にとどまったことで同じく GDP の減少も予

測値を下回っている

httpwwwniesgojpwhatsnew20102010112220101122html

【量子コンピューティング】量子コンピュータ実現への障壁を緩和する誤り耐性方式を開発 (20101124)日本電信電話(株)京都大学

量子コンピュータに必須な量子ゲートは確実に正しい演

算をすることはなくある程度の誤り確率をもつため量

子コンピュータを実現するためには演算の誤り訂正を行

う技術の実現が必須となる演算の誤り訂正を行うために

はある程度誤り確率の低い量子ゲートが必要であると考

えられてきたが今回共同研究チームは誤り確率が非常

に高い量子ゲートを用いても量子計算が可能となる誤り耐

性のある量子計算方式を世界で初めて示した

httpwwwnttcojpnews20101011101124ahtml

【光電変換】ナノギャップ光アンテナにより高効率化した有機超薄膜による光電変換 

(20101122)物質材料研究機構北海道大学

NIMS と北大の共同研究チームは有機超薄膜型の光電変

換分子素子において光吸収電子伝達といった必要な機

能をもつ部品を連結した分子から成る単分子超薄膜を原

子レベルで表面制御した平滑な金電極面と金ナノ粒子で挟

み込むことによってナノギャップ型の光アンテナを導入

することに成功したその結果光アンテナ 1 つあたりで

光誘起電子移動反応が約 50 倍の効率に高まることを実

証した

httpwwwnimsgojpnewspress201011p201011220html

【EV】シンガポール政府と電気自動車の普及に関する覚書を締結

(201011 19)三菱自動車(株)

MMC はシンガポール政府と電気自動車(EV)普及のため

の活動に協力する内容の協定を締結したことを発表した

今回の活動はシンガポールの経済開発庁が中心となり

同国のエネルギー市場監督庁陸上交通庁との間で EV タ

スクフォースを組成し同国の EV 普及を目的としたユー

ザー向け補助金制度や充電インフラ整備などの検証を行う

ものこの活動の中でMMC は CCA を通じ 2011 年より

順次『i-MiEV(アイミーブ)』25 台を供給し実証走行

試験に協力していくhttpwwwmitsubishi-motorscompublishpressrelease_jp

corporate2010newsdetail4407html

【リチウム二次電池】リチウム二次電池の量産化実証工場が竣工 年間生産能力6 万 6000kWh (201011 18)三菱重工業(株)

リチウム二次電池事業への本格参入に向け長崎造船所内

に建設していた同電池の量産化実証工場が17 日竣工し

た年間生産能力は 6 万 6000kWh中型電池換算で約

40 万個に相当する今後各種実証技術に取り組み早期

の本格的な商業量産につなげていくとしている

プレスリリースより

CUTTING-EDGE TECHNOLOGIES

24

PEN

Nov

embe

r httpwwwmhicojpnewsstory1011184999html

【基礎科学物質の起源】動きがのろい冷反水素原子を 38 個も磁気瓶に閉じ込める物質と反物質の違いを知る手がかりとなる冷反物質研究が新段階に (201011 18)物質材料研究機構(NIMS)

NIMS は欧州原子核研究所(CERN)の国際共同研究グルー

プに参加し反物質の代表格である反水素原子を独自に

開発した八重極磁気瓶の中に 38 個も閉じ込めることに世

界で初めて成功した反水素原子の原材料である反陽子(陽

子の反粒子)と陽電子(電子の反粒子)を八重極磁場コ

イルとミラーコイルを組み合わせた磁気瓶の中に蓄積し

そっと混ぜ合わせて冷たい反水素原子を大量に生成した

反水素原子は電気的に中性の小さな磁石なので反水素原

子ができあがったころ(約 1 秒後)を見計らって電圧を

加え残存している反陽子と陽電子をことごとく排除した

その後磁気瓶の磁場を瞬時にゼロにすると磁気瓶内に

とどまっていた反水素原子は装置の壁に当たって消滅し

パイ中間子などのさまざまな粒子を放出するこれらの粒

子を磁気瓶を包む 3 枚の検出器で観測した結果捕捉し

ていた反水素原子を 38 個も確認することができた後述

するように同内容は理化学研究所からもリリースされたhttpwwwrikenjpr-worldinforeleasepress2010101118

indexhtml

【超伝導】ピセンのカリウムドープに伴う電子構造変化の直接観測 

(201011 17)岡山大学

岡山大学の研究グループはピセンおよびカリウムドープ

ピセンの電子構造を実験的に観測する事に世界で初めて成

功したカリウムドープピセンは芳香族炭化水素における

初めての超電導体であるがカリウムドープピセンの超電

導メカニズムまた超電導を誘起する電子構造は解明され

ていない研究グループは光電子分光法を用いピセンのカ

リウムドープに伴う電子構造変化を直接的に観測した結

果ピセンのカリウムドープに伴う電子構造変化を観測

芳香族炭化水素超電導体の超電導メカニズム解明および新

規超電導体探索の指針になると期待されるhttpwwwokayama-unetrenkeidocumentpdfpressrelease

press-101117pdf

【慣性力発電】慣性力(振動)発電技術を商品化 国内最大手エース社のバッグに慣性力発電ユニットを搭載 (201011 17)伊藤忠商事(株)

米国 CIIIS 社の持つ慣性力発電(振動発電)技術を用いて

人体の運動による振動で発電する慣性力発電ユニットを開

発した国内鞄最大手のエース株式会社がこの慣性力発

電ユニットを搭載したバッグの販売を行う

httpwwwitochucojpjanews2010101117html

【生物多様性】多様性進化の背景に『甲状腺機能低下』 (201011 16)東北大学

生物多様性の喪失は現在急速に進んでおり多様性の進化

維持機構を解明することは世界的な課題である生物多様

性の創出は多くの場合新規環境に生き物が侵出すること

によって始まるが生物が新規環境へどのように適応して

行くのかその過程については多くが未解明である東北

大学の研究チームはこのたび新規環境への適応に甲状腺

ホルモンの進化が重要であることを発見したhttpwwwtohokuacjpjapanesenewimgpressimgtohokuuniv-

press_20101116pdf

【ナノ物性】ナノスケールの鉄磁石を電界でコントロール

(201011 01)千葉大学

磁石の N と S 極は磁界を用いることでコントロールでき

るが千葉大学の研究チームはナノスケールの鉄の磁石の

極性をエネルギーの要らない電界でコントロールできるこ

とを見出したhttpwwwchiba-uacjppublicitypresspdf201020101102nano

pdf

【SOFC 関連材料技術】 画期的な電解質材料の開発に成功 固体酸化物燃料電池の商用化に一歩前進 (201011 18 )物質材料研究機構(NIMS)

NIMS の研究グループは電解質材料に必要とされる三つ

の要件イオン伝導性化学的安定性焼結性のすべてを

高いレベルで満足する2種類の材料を開発することに成功

したひとつは10 のプラセオジムを含むイットリウム

添加ジルコン酸バリウム(BZPY)でもうひとつは酸

化ニッケル (NiO) とイットリウム添加ジルコン酸バリウム

25

PEN N

ovember

(BZY) の混合粉末を固めた基板上にプレス成形された BZI

であるhttpwwwnimsgojpnewspress201011201011180

p201011180pdf

【レアアース】微生物でレアアースの回収が可能に バクテリアがレアアースを濃縮する現象を発見 (201011 17)広島大学高エネルギー加速器研究機構高輝度光科学研

究センター

共同研究グループは微生物の細胞表面では微生物が存在

しない周囲部分に比べてレアアースを高濃度に濃縮する現

象を見出したまたレアアースの中でも特に希少価値の高

い元素が選択的に濃縮することを発見その濃縮メカニズ

ムを放射光を用いたX線吸収法により明らかにした

httpwwwkekjpjanewspress2010RareEarthElementshtml

【はやぶさ】はやぶさカプセル内の微粒子の起源が判明(201011 17)宇宙航空研究開発機構

「はやぶさ」のサンプルキャッチャー室から特殊形状のヘ

ラで採集された微粒子を走査型電子顕微鏡にて観察および

分析した結果1500 個程度の微粒子を岩石質と同定した

更にその分析結果を検討したところそのほぼ全てが地

球外物質であり小惑星イトカワ由来であると判断するに

至った

httpwwwjaxajppress20101120101117_sac_hayabusapdf

【超伝導基礎科学】超伝導のメカニズム解明に大きな手がかり ルテニウム酸化物の電子の運動状態を選択的に可視化することに成功 電子対を形成する「のり」の起源を初めて解明

(201011 17)広島大学産総研

1994 年に日本で発見されたルテニウム酸化物超伝導体は

ユニークな超伝導状態を示しこれまで数多くの研究が行

われてきたがいまだにその超伝導のメカニズムは謎のま

まであった超伝導が生じるためには電子と電子を「のり」

で結びつけ「電子対」にする必要がある共同研究グルー

プは放射光の直線偏光特性を活用するため放射光の光

軸のまわりに回転可能な高分解能角度分解光電子分光装置

を開発しルテニウム酸化物超伝導体の超伝導機構解明に

重要な手がかりをつかんだ研究グループが開発した新装

置を用いることによりルテニウム酸化物超伝導体の異な

る運動状態にある電子を選択的に分離しながら精密に分

析することが初めて可能となったその結果物質の電子対

を形成するための「のり」として結晶を作っている原子

の振動が重要な役割を果たしていることその「のり」が

どのくらい強く働いているのか等が明らかとなった httpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101117

pr20101117html

世界最高性能基準光源を開発 安定高精度高速の三拍子そろった光信号の発生に成功 (201011 15) 情報通信研究機構(NICT)国立天文台(NAOJ)

NICT と NAOJ はNICT 独自の高消光比変調技術を利用

し精度を保ったまま周波数範囲を拡大する構成を提案し

たNAOJ の安定度向上技術による制御機能を組み合わせ

ることで世界最高性能の基準信号発生装置を共同開発

し100 ギガヘルツを超える高速信号の長距離伝送を実現

した本装置の方式により従来技術の課題であった安定

性周波数範囲精度の問題を解決した安定性は 2 台の

レーザを用いる従来方式に比べて 10 倍以上を実現し信

号の乱れを 30 万年に 1 秒以下とすることに成功したま

た精度は従来型変調器と比較し 1000 倍以上周波数範

囲は 4 倍を達成したhttpwww2nictgojppubwhatsnewpressh22101115101115

html

【基礎科学レーザ分光】電子の氷を光で融かす一瞬を捉える 光が有機物質を変える瞬間の超高速スナップショット (201011 15)東北大学自然科学研究機構分子科学研究所科学技術振

興機構(JST)

共同研究グループは光の照射によって有機物質の色や

電気伝導度が大きく変化する光誘起相転移現象の最初の瞬

間を捉えることに成功した電場と磁場の振動である光の

振動の3周期分に匹敵する極めて短いパルス光をポンププ

ローブ分光によって二次元有機物質における電荷秩序の

融解のダイナミクスすなわちldquo 電子の氷 rdquo が光によっ

てどのように解け絶縁体から金属へと変化するのかと

いう問題を明らかにしたものこの成果 12 月初めには米

国物理学会誌 Physical Review Letters オンライン版で公開

予定

httpwwwjstgojpprannounce20101117-2indexhtml

【熱電材料】水を使って絶縁体から効率のよい熱電材料を作ることに成

26

PEN

Nov

embe

r 功 希少毒性金属を含まない安価簡便な熱電材料創製に新たな道 (201011 15)科学技術振興機構 (JST)名古屋大学

熱電材料は熱を電気に変換することができることからエ

ンジンの排熱を利用して発電するハイブリッド自動車など

への応用が期待されているが従来の熱電材料はビスマ

スアンチモン鉛テルルといった希少毒性金属など

を含む問題があったJST 課題解決型基礎研究の一環とし

て名古屋大学の研究グループは水の電気分解を利用し

安くてありふれた絶縁体酸化物表面を大きな熱電効果を示

す金属へ変えることに成功した大量に水を含んだ多孔質

ガラスを新規に開発しこの多孔質ガラスを金属チタンと

チタン酸ストロンチウムに挟んで電圧を加えると水の電

気分解によって絶縁体のはずのチタン酸ストロンチウムの

表面に厚さ 3 ナノメートル以下の極めて薄い金属チタン酸

ストロンチウムが生成した通常の金属チタン酸ストロン

チウムに対して 4~5 倍高い電圧を示すことから従来の

熱電材料の約 2 倍の熱電性能が期待できる

httpwwwjstgojpprannounce20101117indexhtml

【基礎科学物質の起源】国際研究チーム反水素原子を瓶の中に閉じこめることに成功(20101118)理化学研究所

8 か国からなる研究チームは欧州合同原子核研究機関

(CERN)の装置を用いて加速器で反陽子と陽電子を作

成し磁場の中に閉じこめたのちに撹拌して反陽子と陽

電子1個ずつを結びつけ反水素原子を生成した反水素

生成後に余った反陽子と陽電子を取り除き反水素原子だ

けを特殊な瓶の中に封じ込めることに成功した計 38 個

の反水素原子が 02 秒間存在したことを確認反物質は

Dan Brown の小説「天使と悪魔」で非常に微量で爆発

を起こす材料として登場するしかし今回の手法では短

時間に消滅してしまい爆弾に使える量をためるのは不可

能だという17 日付の Nature Online 版に掲載

httpwwwrikenjpr-worldinforeleasepress2010101118 

【マックスウェルの悪魔実証】情報をエネルギーに変換することに成功 ldquo マックスウェルの悪魔 rdquo を実験により世界で初めて実現新規ナノデバイスの実現に期待 (201011 15)中央大学東京大学

微細加工技術とサブミクロンスケールのリアルタイム制御

システムを組み合わせ「マックスウェルの悪魔」と呼ば

れる科学史上の重要な概念を世界で初めて実験により実現

した これによって情報をエネルギーに変換できるこ

とを初めて示すとともに情報を媒介して駆動する新規ナ

ノデバイスの実現の可能性を示した マックスウェルの

悪魔は熱力学の根本に関わる概念でありこれを実現でき

た学問的意義は大きいまた科学者以外にもよく知られ

たテーマであり多くの人が興味を持つ話題でもある情

報を媒介して駆動する新規のナノデバイスを実現できる可

能性があり基礎的研究にとどまらずナノサイエンスで

の新しい制御法への応用が期待できるこの成果は 11 月

14 日に Nature Physics Online に公開された

Toyabe Sagawa Ueda Muneyuki and Sano

ldquoExperimental demonstration of information-to-energy

conversion and validation of the generalized Jarzynski

equalityrdquo

httpwwwsu-tokyoacjppresspress-2010-42html

詳細は中央大学 HPhttpwwwchuo-uacjpchuo-unewscontents_jhtmlsuffix=kampmo

de=topamptopics=12513

【基礎科学分子バネ】電子の出し入れで硬さが劇的に変わる分子バネを開発 たった 1 つの電子放出で分子全体の動きやすさが 450 倍も変化 (201011 15)理化学研究所科学技術振興機構(JST)

6 個の炭素原子が環状につながったベンゼン環は有機化

合物において最も基本的な構成ユニットの一つでありベ

ンゼン環をさまざまな形で結合させたものが盛んに研究さ

れてきたしかしベンゼン環を隣り合う炭素の位置で結

合させたオルトフェニレンは単純な構造でありながら合

成が難しいためこれまでほとんど研究がなされておらず

その性質は解明されていなかった理化学研究所の研究グ

ループはベンゼン環 48 個を隣り合った炭素の位置で結

合させたオルトフェニレンを世界で初めて合成したオル

トフェニレンは3 つのベンゼン環が 1 ピッチのらせんを

形成するバネ状の構造をしているがこのようなバネ状の

構造を持った分子はさまざまな機能を発揮するためエ

レクトロニクスや分子機械への応用の可能性が高まってい

る研究グループはこのバネ状分子から電子を 1 つ取

り去るとバネの硬さが劇的に増してらせんの反転速度が

約 450 分の 1 も遅くなることを突き止めたまたこの

1 個の電子の出し入れに応じてバネのピッチが 3263Aring か

ら 3224Aring と変化したこれまで電子が高密度に含まれ

た分子バネは電子を出し入れすることでその振る舞いが

変化することが理論上予想されていたがこのように電子

を多量に含む分子バネの合成は難しく実験的にも証明さ

れていなかった硬さの変化というこれまで実現すること

27

PEN N

ovember

ができなかった応答をする分子バネの登場は応答性分子

の分野に新たなコンセプトをもたらすと注目される本研

究成果はJST 戦略的創造研究推進事業 発展研究 (ERATO-

SORST)「分子プログラミングによる電子ナノ空間の創成

と応用」の一環として行われたものhttpwwwrikenjpr-worldinforeleasepress2010101115

indexhtml

【自己組織化基質選択的会合】分子間の特異的な相互作用による新規材料集積法を開発 分子が好みの分子を見分けて接着 (201011 15)大阪大学科学技術振興機構(JST)

近年分子認識を利用して分子と分子を非共有結合でつな

げることによりさまざまな超分子錯体が合成されさらに

これらを自己集合させる研究が行われているこれらの研

究において形成される集合体は分子の大きさであるナノ

メートルからマイクロメートルの極めて小さなもので高

倍率の顕微鏡を使わなければ見えない分子認識に基づい

て手軽に使えるくらいの大きな自己組織体を作り出すこと

はナノテクノロジー分野において分子を自己組織化さ

せて機能性材料を創製する上で重要な課題であった大阪

大学の研究グループはホスト分子としてシクロデキスト

リンをゲスト分子としてシクロデキストリンが結合する

化合物を用いてそのホスト-ゲスト相互作用を利用して

多様な自己組織化超分子ポリマーの構造体を作りマクロ

スケールで機能を発現させる研究を進めている今回D

NAやタンパク質の分子量決定に広く用いられるアクリル

アミドゲルを土台にしてこのゲルにシクロデキストリン

とゲスト分子をそれぞれ別々に導入し「ホストゲル」と

「ゲストゲル」を合成したこの両者を水中で振動させる

とゲルが接着する挙動が観察されミリメートルからセン

チメートルの大きさの物体を分子認識により自己集積でき

ることを世界で初めて実証したさらにシクロデキストリ

ンとゲスト分子との相互作用の強さの違いによって選択的

に特定のゲル同士を接着させることができることがわかっ

httpwwwjstgojpprannounce20101115indexhtml

【ブタノール分離膜】バイオブタノールの省エネルギー型膜分離精製技術を開発1 wt ブタノール水溶液から80 wt 以上の高濃度ブタノールの回収が可能 (201011 15)産総研

産総研は1 wt 程度の希薄なブタノール水溶液からゼ

オライト系分離膜を用いて 80 wt 以上に濃縮したブタ

ノールを回収できる省エネルギー型のバイオブタノール精

製技術を開発した ブタノールはエタノールと比較して

発熱量が大きいことから地球温暖化対策に貢献できる再

生可能なバイオ液体燃料すなわちポストバイオエタノー

ルとして期待されている今回合成条件の最適化を進め

高いアルコール選択透過性をもつシリカライト分離膜を合

成し膜分離法によって低濃度ブタノール水溶液から高

濃度ブタノールの回収が可能となった従来の分離膜を用

いた場合に比べてブタノール回収のためのエネルギーを

50 ~ 70 程度低減できることが期待される httpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101113

pr20101113html

【分子生物学】 化学合成したペプチドからウイルスの殻構造を組み上げることに成功 新規ナノ材料や医療材料としての応用に期待 (201011 12) 九州大学北九州市立大学

共同研究グループは化学合成したペプチドから約 40 ナ

ノメートルのウイルスの殻構造を組み上げることに世界で

初めて成功した球状の植物ウイルスから遺伝子を除いた

キャプシド構造と呼ばれる殻構造は決まった大きさのナ

ノ空間であることからナノ物質の反応器や運び手として

利用する研究が国内外で盛んに行われているしかしこ

れまでウイルスのキャプシド構造を得るにはウイルス

の遺伝子をバクテリア内に導入して生産させる必要があっ

た本研究では遺伝子やバクテリアを用いない完全化学

合成によってウイルスキャプシドを構築することに成功

した今回ウイルスの殻構造を簡単なペプチドから構築

できたことで様々な機能性ウイルスキャプシドを人工的

に創成する道が拓けたと言えるこのペプチドからなるナ

ノカプセルに適切な化学修飾を施すことによりナノ物質

合成のための反応器や医薬品の運び手人工ワクチンを

創成するための足場材料として応用できるものと期待され

るhttpwwwkyushu-uacjppressrelease20102010-11-12-04pdf

【レアメタル】レアメタル使用量削減技術の実用化を加速(20101110)新エネルギー産業技術総合開発機構 (NEDO)

NEDO はレアアース総合対策の一環として企業が取り

組むレアメタル使用量削減技術の実用化を加速するための

助成事業(事業規模約 100 億円)を 2010 年度補正予算

の成立を前提に行うこの助成事業では短期間で実用化

が期待できる以下の技術開発を対象として①レアメタル

28

PEN

Nov

embe

r を代替する材料の技術開発 ②レアメタルの使用量を削

減する技術開発 ③レアメタルのリサイクルを促進する

技術開発 ④その他のレアメタル消費の削減に資する技

術開発を行うhttpapp3infocnedogojpinformationskoubopressEFnedopre

ss2010-11-068550095069

【導波路型光スイッチ】光スイッチの消費電力を従来の 2 分の 1 に低減 増え続けるネットワーク機器の消費電力問題を解決 (201011 09)( 株 ) 富士通研究所

同社はシリコンフォトニクス技術を適用した導波路型光

スイッチについて世界で初めてシリコンゲルマニウム

(SiGe)細線構造を用いることで従来のシリコン細線構

造に比べて消費電力を約 2 分の 1 に低減することに成

功した幅広い波長に対応して高速に動作できるタイプの

光スイッチ素子としては世界最小の消費電力を実現して

いるhttpprfujitsucomjpnews2010119html

【ナノ構造機能】昆虫が足を擦る秘密をナノテクノロジーで解明 生体模倣による新しい材料機能の開発に活用 (201011 09)物質材料研究機構マックスプランク研究所キール大

共同研究チームは環境問題で循環型社会実現に求められる

「接着と分離」を繰り返せる未来の接合技術の開発研究に

おいてガラスのような平坦な表面を逆さまでも歩行でき

る昆虫の足の裏の優れた接着性に着目し昆虫(ハムシ)

の歩行調査を行いナノテクノロジーを用いた実験により

昆虫が摩擦により汚れを感じていることを突き止めた

httpwwwnimsgojpnewspress201011p201011090html

【超音波流量計半導体プロセス】極微量な流量を精密に測定できる超音波流量計を開発 半導体製造装置の性能を向上させ環境負荷を低減しランニングコストを削減 (201011 09)産総研( 株 ) アツデン東京計装 ( 株 )

3 者は共同で10 mLmin( 誤差plusmn 01 mLmin) 以下の極

微量な流量を精密に測定できる超音波流量計を開発した

この流量計は超音波ガイド波の伝搬に関する基礎理論の

見直しを行い超音波を高周波化し設計を最適化するこ

とにより開発したものでこれまでの超音波流量計では計

測できなかった微小な流速領域での流量測定ができるこ

の超音波流量計は半導体製造装置で利用される薬液の高

精度な制御を可能にし半導体製造装置の高性能化環境

負荷の低減ランニングコスト削減へ貢献すると期待され

る httpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101109

pr20101109html

【研究交流】中国上海における国際交流事業の実施同済大学と大学間学術交流協定を締結 (201011 08)大阪大学

10 月 21 日上海において開催した上海教育研究センター

開所式記念講演会祝賀会には鷲田清一総長をはじめ

とする大阪大学教職員中国の学術交流協定校関係者大

阪大学同窓会会員など約 130 人が列席し盛況の内に終

了した翌 22 日23 日には第 15 回大阪大学上海交

通大学学術交流セミナーが上海交通大学情報ネットワーク

センターを主会場として開催され7つの研究会に約 100

人が参加したさらに 23 日と 24 日の両日上海東亜展

覧館を会場に開催された中国国際教育展に大阪大学のブー

スを出展し100 人を超える留学相談者が本学のブースを

訪れた翌 10 月 22 日鷲田清一総長は上海市内にある

同済大学を訪問裴学長陳副学長ほか大学関係者と懇談

するとともに大学間学術交流協定及び学生交流覚書の調

印式に臨んだこれにより中国の大学との 10 番目の協定

が成立したhttpwwwosaka-uacjpjanewstopics20101120101108_1

httpwwwosaka-uacjpjanewstopics20101120101108_2

【高耐久性セラミック】激しい熱変化にも強度劣化しない窒化ケイ素系セラミックスを開発 窒化ホウ素の微粒子を分散させ耐熱衝撃性を飛躍的に向上 (201011 08)産総研三井金属鉱業(株)

両者は共同で従来品に比べて耐熱衝撃性と高温での強度

を飛躍的に高めた窒化ケイ素系セラミックスを開発した

今回窒化ケイ素(Si3N4)をベースとして高い熱伝導

率をもつ粒界相を形成させるとともにそこに非晶質に近

い窒化ホウ素のナノメートルオーダーの微粒子を分散させ

ることで耐熱衝撃性を飛躍的に向上させた従来の窒化

ケイ素が 1000 の温度差で強度が低下するのに対して

今回の開発材は電気炉で 1400 に加熱した後水中に投

下することを 10 回繰り返してもほとんど強度が劣化しな

かったまたこの開発材について大気中 1200 で高温

29

PEN N

ovember

曲げ試験を行ったところ室温と同程度の強度を保持して

いたセラミックスでは大型化すると小試験片では得られ

た特性が得られず実用化を進める上での課題になること

が多いがこの開発材では焼結条件を最適化することに

よって直径 82 mm 長さ 370 mm の比較的大型の部品で

も試験片と同様の組織物性が得られたまた実際の

製品形状に近い部品の焼成も可能となったhttpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101108

pr20101108html

【ミリ波発信器】ミリ波帯無線通信の実用化にめど 世界最高性能の低雑音局部発振器を開発 (201011 08)東京工業大学

東工大の研究グループは雑音を従来の 100 分の1以下

に低減したミリ波帯局部発振器を開発した20GHz 帯の

発振器と 60GHz 帯の注入同期型直交局部発振器を組み合

わせることにより世界最高の低位相雑音性能を達成した

無線通信の周波数帯ひっ迫を解消する技術として 60GHz

ミリ波帯の利用が注目されているがミリ波帯ではコイル

やコンデンサの損失が大きくなり位相雑音特性が劣化す

るのがネックだった今回はこれを解決したものでミ

リ波無線通信の実用化につながる成果発振器は 65 ナノ

メートルのシリコン CMOS プロセスを利用して試作した

580GHz から 636GHz の周波数範囲で 4 相正弦波出力が

可能でこの発振器により10Gbps(毎秒 100 億ビット)

以上の超高速ミリ波帯無線通信の実現が期待されるh t t p w w w o l d t i t e c h a c j p t o k y o - t e c h - i n - t h e - n e w s j

archives2010111289174400html

【炭素繊維応用】住宅向け外装材「炭素繊維補強サイディング」の本格展開について 優れた強度と耐熱寸法安定性で 15 年の基材保証を実現 (20101105)東レ ACE(株)

東レの子会社東レ ACE は炭素繊維で補強した窯業系サ

イディングを開発し本格販売と市場展開を開始する「炭

素繊維補強サイディング」はセメント質原料に炭素繊維

を添加配合して成型固着させた建物外壁用のセメントボー

ドで従来の窯業系サイディングの優れた防耐火性耐久

性等を維持しつつ更なる強度補強効果や火災高温時の

変形や熱収縮によるひび割れの抑制など耐熱寸法安定性

も向上させることで基材 15 年保証を実現する 本製品

に使用している炭素繊維は軽くて強く優れた高温特性や

耐熱性を有し非常に細い繊維を多く配合できることから

外装材としての強度補強効果も期待できるとしている

httpwwwtoraycojpnewsaffilnr101105html

【光ファイバーナノインプリント】ナノ格子反射防止表面光ファイバー先端に形成ナノ技術で安く製作 (20101105)東北大学

東北大の研究グループは微小な窪みが多数形成された反

射防止構造体を光ファイバーの先端に製作する技術を開発

した光ファイバーは光通信や光分析装置の構成部品とし

て使われており光源受光素子やレンズなどの光部品と

の接続損失を減らすために先端に反射防止膜が形成され

ている従来の反射防止膜は真空装置を使って薄膜を付け

るためコストが問題であった研究グループはナノイン

プリント技術を用いて光ファイバー先端のコア部に 270

ナノメートル間隔で微小な円錐状の窪みを形成し反射損

失を低減することに成功したナノインプリント技術は

基板に塗布したポリマーに原版を押し付けて微細パターン

を転写する技術で高価な露光装置や真空装置が不要なた

めナノ構造を安価に製作することができる今回光ファ

イバー先端にナノ構造を製作するために専用のナノインプ

リント装置を開発した窪みの間隔が光の波長よりも小さ

い場合屈折率が変化し反射波が生じにくくなる反射

率や波長帯域は窪みの形状間隔や高さで決まり従来

の反射防止膜よりも設計の自由度が高いため要求に合わ

せて種々の反射防止表面を製作することが可能 httpwwwtohokuacjpjapanese201011press20101105-2

html

【人工筋肉機能材料】光を運動エネルギーに変える新高分子素材の開発に成功 世界で初めて分子を大面積で 3 次元的に配列させ新機能を実現 (20101105)理化学研究所

光で変形したり電子を流すなどの機能を持った分子を人工

的に規則正しく大面積で集積することができると機能性

材料の性能向上や革新的新機能の発現につながるそのた

め世界中で精力的に開発が行われているがこれまで実現

させた例はなかった理化学研究所の研究グループは光

で構造が変化するアゾベンゼン分子を組み込んだブラシ状

の高分子「ポリマーブラシ」を大面積で 3 次元的に一挙

に配列させる手法の開発に初めて成功したこの規則性の

ある 3 次元集積構造は延伸したテフロンシートにポリ

マーブラシを挟み込みアイロンに似た熱と圧力を加える

といういたって簡単な操作で実現したさらにこのフィ

30

PEN

Nov

embe

r ルムに光を当てるとアゾベンゼン分子の構造変化が一方

向に集約しフィルムが湾曲するという巨視的変形を引き

起こすことを見いだしたすなわちこの新しいフィルム

は光エネルギーを運動エネルギーに変換する機能を持って

おり新たな人工筋肉材料などへの展開が期待されるま

た本技術は有機薄膜太陽電池をはじめとする次世代の機

能材料の開発にも革新をもたらすと期待されるhttpwwwrikenjpr-worldinforeleasepress2010101105

indexhtml

【リチウムイオン電池正極材料】常温プロセスで全固体薄膜リチウムイオン電池の試作に成功 エアロゾルデポジション法による蓄電池製造の新工法開発を本格化 (2010115)産総研

産総研はトヨタ自動車 ( 株 ) と共同で産総研が開発し

たセラミックス材料の常温高速コーティングプロセスであ

るエアロゾルデポジション (AD) 法を用いて酸化物系の

正極材料負極材料固体電解質材料を薄膜積層化して

金属基板上に 3 層構造からなる全固体薄膜リチウム (Li) イ

オン電池を試作蓄電池としての充放電特性を世界で初め

て確認した 従来型の薄膜技術とは異なりAD 法を用い

ると基板の加熱が不要でまた厚膜化も容易であるそ

のため成膜時間が大幅に短縮でき蓄電池の生産性向上

やプロセスコストの大幅な低減が期待される今後は AD

法を用いた本格的な全固体電池の共同開発を進めていく httpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101105

pr20101105html

【記録デバイススピントルク素子】次世代超高密度 HDD に向けたマイクロ波アシスト記録の基本技術を開発 磁気ヘッドに搭載可能なスピントルク素子を用いた磁気情報の書き換えを確認 (2010115)新エネルギー産業技術総合開発機構(NEDO)(株)日

立製作所

NEDO はハードディスク装置(HDD)の開発製造会社で

ある日立グローバルストレージテクノロジーズの協力を得

て従来の磁気記録方式の限界を超えHDD の記録密度

を飛躍的に伸ばす方式として期待されているマイクロ波ア

シスト磁気記録方式の基本技術を開発しその原理を実験

的に確認したマイクロ波アシスト記録では記録媒体の

小領域にマイクロ波帯の高周波磁界を加え磁気情報の書

き込みを容易にする今回開発したのはヘッドに搭載可

能な高周波磁界を発生するスピントルク発振素子でこの

素子を用いて記録媒体上に磁気情報を記録できることを実

験的に確認したこれまで外部のマイクロ波発生装置を

用いたマイクロ波アシスト効果の報告例はあったが今回

微細な発振素子を用いた磁気情報の記録を確認できたこと

により将来この素子を記録ヘッドに搭載しマイクロ波

アシスト記録を実用的に行える可能性が示されたhttpapp3infocnedogojpinformationskoubopressEFnedopre

ss2010-11-029718160145

【基礎科学物性】絶縁体が金属に変わる新原理の解明 超伝導素子や熱電変換素子の開発へ道(20101104)東北大学

東北大学原子分子材料科学高等研究機構の研究グループ

は高品質酸化物薄膜において電気が流れにくい絶縁体

状態から流れやすい金属状態への遷移機構を解明した材

料における電気の流れやすさは電気を流す担い手である

伝導キャリアが物質中にどれだけ含まれるか伝導キャリ

アがどれくらいスムーズに動きまわれるかによって決ま

るつまり伝導キャリアの濃度を増やしたり材料中で

伝導キャリアの動きを妨げる原因になるひずみや欠陥を少

なくすると電気はより流れやすくなる本研究では人

工宝石として知られるチタン酸ストロンチウム (SrTiO3)

の絶縁体を用い伝導電子を生み出すキャリア供給層を

SrTiO3 絶縁体間に挟み込んだ絶縁体層 キャリア供給層

絶縁体層の層状界面構造をもつ高品質超格子構造を作製す

ることで絶縁体層の体積を増加させると反対に電気が流

れやすい金属状態になる現象を発見した最新の電子顕微

鏡技術を用いた原子構造解析と電子状態の理論計算を駆使

して絶縁体を増加させると界面で結晶のひずみが少なく

なり高導電化することを解明した本研究が明らかにした

界面での結晶のひずみを制御することによって絶縁体を金

属状態へ変化できる現象は様々な材料でも普遍的に起こる

と考えられ絶縁体から金属へ変わる境目で性能が向上す

る新超伝導体や新熱電材料の開発に展開することが可能と

期待されるhttpwwwtohokuacjpjapanesenewimgpressimgtohokuuniv-

presspdf

【環状高分子】様々な環状高分子の自在な合成に成功 「かたち」に基づく機能開発に期待(2010112)東京工業大学

東工大の研究グループはこれまで困難とされてきた

種々の含環状高分子の選択的な合成に成功した同研究

グループで開発された単環状高分子合成プロセスである

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Electrostatic Self-Assembly and Covalent Fixation Process

と有機合成化学の新手法であるクリックケミストリー

を組み合わせることで様々な「かたち」の自在な構築

を達成した本手法の開発により近年注目を集めてい

る「かたち」に基づいた高分子物性の探索を加速させる

ものと期待されるhttp wwwo ld t i t e ch ac j p tokyo - t ech - in - the -news j

archives2010111288656000html

【異分野連携オープンイノベーションモデル】応用脳科学コンソーシアム 脳科学及びその周辺領域の学術知見を活用したオープンイノベーションモデルの研究活動を開始 異業種の民間企業と異分野の脳科学研究者が連携し事業性の高い研究テーマを推進 (2010111)アサヒビール(株)(株)NTT データ積水ハウス(株)

(株)竹中工務店帝人(株)凸版印刷(株)日産自動

車(株)(株)博報堂(株)NTT データ経営研究所

NTT データ経営研究所が日本神経科学学会の協力を得て

2010 年 10 月 1 日に創設した「応用脳科学コンソーシア

ム」においてそれぞれの事業活動に関連する独創性の

高い研究テーマについて複数の「応用脳科学 RampD 研究会」

を立ち上げるRampD 研究会では各 RampD 研究会を設置

した特別会員企業が各テーマに関連の深い脳科学及び

その関連領域の研究者を招聘し異業種である他の会員

企業とともに最新の研究知見を活用してオープンイノ

ベーションモデルの研究活動を実施する各社が設置す

る RampD 研究会は現時点で(1)おいしさの総合評価研究

会(アサヒビール)(2)ヘルスケア脳情報クラウド研究

会(NTT データ)(3)インタラクティブ住環境研究会(積

水ハウス株式会社)(4)コミュニケーション空間研究

会(竹中工務店)(5)メディアエンゲージメント研究

会(博報堂)この他の RampD 研究会については今後随

時応用脳科学コンソーシアムのウェブサイト httpwww

keieikencojpcan で公開予定

httpwwwnttdatacojprelease2010110101html

【レーザ技術基礎光物性】熱を加えずに結晶を柔らかくすることに成功 高強度テラヘルツ電磁パルスで分子ネットワーク操作が可能に 

(2010111)京都大学科学技術振興機構(JST)

京都大学はテラヘルツ電磁パルスと呼ばれる新しい光

を物質に照射することで1兆分の1秒の短い時間で結

晶中の分子を大振幅で揺さぶり熱平衡状態では実現で

きないような分子変位を実現することに世界で初めて成

功した実験結果は結晶が実効的にやわらかくなったこ

とを意味するものでさらに強いテラヘルツ電磁パルス

によって高効率で結晶を融解させることを示唆するこ

れは熱による反応を起こすことなく新しい分子間のネッ

トワークやたんぱく質などの巨大分子の立体配位を操作

できることを示しており化学合成における反応促進や

創薬における有機分子結晶の精製での活用が考えられる

今回の成果は JST 戦略的創造研究推進事業日本学術振

興会学術創成プロジェクト「動的相スイッチ機構を内在

する有機電子材料の開拓と非平衡物性科学への展開」お

よび京都大学グローバル COE プログラム「普遍性と創発

性から紡ぐ次世代物理学」によるものhttpwwwjstgojpprannounce20101101indexhtml

【高周波デバイス】透 明 な 高 周 波 デ バ イ ス 見 え な い ア ン テ ナ へ の 道

(20101028)物質材料研究機構太陽誘電(株)

両者は共同で透明な高周波デバイスを製造するための

基本技術である微細な金属配線と酸化物透明導電体から

なるハイブリッド構造を開発した本技術は不透明で

あるが高い伝導性を示す金属と透明ではあるが金属の

100 分の 1 程度の伝導率にとどまる酸化物透明導電体と

を組合せ両者の特性を相補的に活用することにより

透明でありかつ携帯電話をはじめとする無線デジタ

ル通信に用いられるギガヘルツ帯の高周波に対して高い

伝送特性を示す素子構造を実現した

httpwwwnimsgojpnewspress201010p201010280html

【エコ製品環境経営】COP10 に向けた環境配慮型製品技術の取り組み ポリ乳酸繊維 ldquo エコディア rdquo 使用商品の提供や連携事業「メッセナゴヤ 2010」への出展を通じ環境保全の取り組みを強化 (20101028)東レ ( 株 )

同社は10 月 11 日 ( 月 ) から 29 日 ( 金 ) に開催された

生物多様性条約第 10 回締約国会議 (COP10) に向けて

ポリ乳酸繊維 ldquo エコディア rdquo 使用商品の提供などを通じて

環境に配慮した運営に協力したまたCOP10 の連携事

業である環境エネルギーをテーマとした展示会「メッ

セナゴヤ 2010」に出展し環境に配慮した次世代自動車

や最先端航空機向けの先端材料を紹介した

httpwwwtoraycojpnewsfibernr101028html

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NEWS POD 著作権の関係で記事のタイトルと詳細内容は標記できませんので簡略に表示しています詳しい内容に関しては各新聞及び雑誌をご覧ください

ナノテクノロジー

研究開発最前線

20101122 日 刊 工 業 新 聞 News

ウェーブ 21

X 線レーザー

20101121 東京読売新聞

新潟ナノテク研究会

20101120 日本経済新聞

ナノテクとバイオ

20101120 下野新聞

バイオ起業

20101119 朝日新聞

ナノ粒子の構造制御

20101119 日刊工業新聞

水素原子観察

20101119 科学新聞

光ファイバー関連技術

20101119 科学新聞

希少金属対策

20101118 日刊工業新聞

熱電材料

20101117 日経速報ニュース

化学合成でナノ構造

20101117 日経産業新聞

つくばナノテク研究拠点への投資

20101117 日刊工業新聞

分子バネ

20101116 日経速報ニュース

ナノバイオ融合

20101116 日経産業新聞

フレンドオブアースのナノテク評

20101116 エコロジーエクスプレス

クラスターテクノロジー

20101112 産経新聞

実用化助成

20101111 日刊産業新聞

接着のメカニズム

20101110 日経産業新聞

電子材料

20101110 日経産業新聞

ナノ磁石

20101110 東京新聞

高分解能放射線検出器

20101110 化学工業日報

電池電極材料

20101108 日本経済新聞

食の安全性

20101108 日経エコロジー

ナノ磁石実用化

20101105 朝日新聞

ナノテク接着剤

20101105 日刊工業新聞

水素原子の観察

20101105 日刊工業新聞

補正予算案

20101105 科学新聞

ナノ磁石

20101104 日本経済新聞

ナノボーグ

20101104 日刊工業新聞

ITO 電極代替技術

20101104 鉄鋼新聞

レアアース代替材

20101103 日本経済新聞電子版

セクション

ナノ鉄磁

20101103 毎日新聞

有機トランジスタ

20101101 日 経 速 報 ニ ュ ー ス

アーカイブ

有機トランジスタ

20101101 日経産業新聞

ナノムービー

20101101 日経サイエンス

低燃費タイヤ

20101030 朝日新聞

筑波大生命科学研究拠点

20101030 茨城新聞

レアアース代替材

20101029 日経産業新聞

播磨地域

20101029 化学工業日報

ナノ粒子操作

20101029 科学新聞

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NEWS POD 著作権の関係で記事のタイトルと詳細内容は標記できませんので簡略に表示しています詳しい内容に関しては各新聞及び雑誌をご覧ください

中国新5カ年計画

20101028 日本経済新聞

高機能消臭素材

20101028 化学工業日報

環境規制等

終わりの科学

20101201 日経サイエンス

電気自動車の覇権

20101123 週刊エコノミスト

環境規制対応

20101122 日経産業新聞

温暖化ガス排出枠

20101122 日経産業新聞

ロス自動車ショー

20101119 日経産業新聞

EV と環境規制

20101119 朝日新聞

EV

20101119 東京新聞

環境と法規制

20101119 化学工業日報

トヨタとテスラ

20101118 読売新聞速報ニュー

CO2 排出量削減

20101118 日経産業新聞

カリフォルニア州環境規制と EV

20101112 日本経済新聞

環境規制

20101112 日本経済新聞

環境規制

20101112 日経産業新聞

米韓 FTA

20101112 朝日新聞

米韓 FTA

20101112 毎日新聞

顔料

20101112 化学工業日報

レアメタル供給規制

20101111 日本経済新聞

潮冷熱

20101110 日本経済新聞

レアアース生産と環境規制

20101108 ダウジョーンズ中国企

業ニュース

韓米FTA

20101101 中央日報

科学技術政策

競争的資金制度

20101122 日本経済新聞

科学技術関係補正予算案 

20101122 THE DOCTOR

韓国 KIST

20101121 朝鮮日報

科学技術政策

20101119 日本経済新聞電子版

セクション

科学技術政策

20101118 日本経済新聞

科学技術政策

20101118 日経産業新聞

女性研究者

20101117 日経速報ニュース

科学技術予算

20101114 東京読売新聞

トップ1論文

20101112 科学新聞

中国特許強国に

20101112 新華社ニュース

関経連と科学技術政策

20101110 産経新聞 

科学技術産業一体政策

20101109 日刊工業新聞

優れた論文の条件

20101105 毎日新聞

「焼け太り許さぬ」

20101102 朝日新聞

国の研究開発投資目標

20101029 日刊工業新聞

科技政策で提言

20101027 日経産業新聞

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科学への信頼に関する読者調査

20101201 日経サイエンス

「カップリング反応」アニメ化

20101110 朝日新聞東京読売

新聞他

科学と社会つなぐ人材

20101025 東京新聞

NEWS POD 

情報誌 PEN 購読のご案内PEN の継続的な購読をご希望の方は下記のメールアドレスまでお名前ご所属メールアドレスをご記入の上ご連絡ください登録配信は無料ですnano-penmaistgojp

PEN は原則月 1 回配信しますバックナンバーと PEN の前身【AIST-TOKYO ナノテク情報】をナノシステム研究部門ホームページにて公開しています httpunitaistgojpnrinano-planindexhtml

PEN は皆さまとの情報共有を目的としていますお持ちの情報で共有すべきものがあれば nano-penmaistgojp までお寄せ下さい

いただいた個人情報は産総研 個人情報保護方針(プライバシーポリシー)に基づき大切に管理し情報誌 PEN の運営と私達のイベントのご案内のみに使用させていただきます

科学技術コミュニケーション

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イベント案内

[産学連携研究開発]大阪大学ナノ理工学人材育成産学コンソーシアム 第 3 回ナノ理工学情報交流会場所大阪大学中之島センター 7 階 講義室 3(講師来訪)

   大阪大学東京オフィスサテライト教室

(遠隔講義配信)

   四日市商工会議所内サテライト教室

(遠隔講義配信)については調整中です

コンソーシアム HP にてご確認ください

   ナノテク社会人教育プログラムの開講をされてい

る場合遠隔講義配信に対応可能です事務局まで

ご連絡ください

日時2010 年 12 月 10 日(金)1330 ~ 1900 頃

主催大阪大学ナノ理工学人材育成産学コンソーシアム 

概要ナノ理工学人材育成産学コンソーシアムでは活動

の一環として産学連携のきっかけを提供すべく企業と

大学の双方からテーマに即した研究開発やトピックを紹介

し会員同士の意見交換と情報共有の促進をはかっていま

す第 3 回目となる今回は「光を用いたナノテクノロジー

の新展開」をテーマに開催しますプログラムなどの詳細

は下記の HP をご参照下さい

参加費コンソーシアム会員学生及び大阪大学教職員は

無料(コンソーシアム企業会員の場合社内から何名でも

無料で参加が可能です)

上記以外の方は資料作成費 1000 円が必要になります

参加登録氏名所属連絡先懇談会への出欠を記載の

上メールにて大阪大学ナノ理工学人材育成産学コンソー

シアム事務局(nano-consnanoscienceorjp)へお申込み

下さい

httpwwwnanoscienceorjp

[コミュニケーション]科学コミュニケーション研究会 第 1 回関西支部勉強会日時2010 年 12 月 2 日 1800 ~ 2000

場所京都大学 吉田泉殿

主催科学コミュニケーション研究会 関西支部有志

概要大阪教育大学科学教育センターの中矢史雄氏を講師

に招きオーストラリアの科学技術コミュニケーションに

ついてオーストラリア国立大学科学意識向上センター

での経験なども交えてお話いただきます定員は 25 名で

す事前申し込みが必要です

httpbitlybPmTP9

[展示会]セミコンジャパン 2010日時12 月 1 日~ 3 日

場所幕張メッセ

主催SEMI

概要国内外の最新のマイクロエレクトロニクス技術に関

する情報を入手することのできる世界最大の半導体製造装

置材料展です

httpwwwsemiconjapanorgjaindexhtm

[知財]アジア特許庁シンポジウム日時2010 年 12 月 3 日(金)930 ~ 1210

場所ホテル日航奈良 飛天の間

主催特許庁

概要日本中国韓国インドネシアマレーシアシ

ンガポールの特許庁幹部を招き各国の知財保護強化の取

組みやアジアにおける知財協力を紹介しますまたパ

ネルディスカッションを設けアジアにおける人材育成協

力の方向性について議論します

httpwwwintergroupjp~convasia

[人材育成]応用物理学会 人財育成シンポジウム -日本の危機を科学が救うそのためのリーダー育成を考える-日時2010 年 11 月 29 日(月)1000 ~ 1710

場所東京工業大学デジタル多目的ホール

主催応用物理学会

概要急速に進むグローバル化に対応のできる人材を育成

するための課題や応用物理学会が貢献することのできる

具体的な取り組みについて議論します

イベント案内へ掲載を希望される方は nano-penmaistgojp までご一報ください

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r h t t p w w w j s a p o r j p a c t i v i t i e s e d u c a t i o n

symppt2010symphtml 

[コミュニケーション]科学技術とメディアのより良い関係に向けて日時11 月 26 日 1815 ~ 2030

場所早稲田大学大隈小講堂

主催サイエンスメディアセンター(SMC)

概要英国オーストラリアのサイエンスメディアセ

ンターの関係者米国のサイエンスコミュニケータを交え

て研究者とメディアの有益な関係性構築に向けた取り組

みについて議論します参加費は無料同時通訳がつきま

httpsmc-japanorgp=403 

[異分野連携]医学領域と工学領域連携研究シンポジウム ‐ 未来を拓く医工連携 ‐日時2010 年 11 月 27 日(土)

場所山口大学医学部第 3 講義室

主催日本学術会議中国四国地区会議山口大学

概要がんの個別化医療をメインテーマにこれからの医

工連携のあり方について講演と議論を行います

httpwwwscjgojpjaeventpdf100-t-3pdf 

[人材育成]マイクロナノエンジニアリング シンポジウム ‐ イノベーションと人材育成 ‐日時2010 年 12 月 8 日(水)1300 ~ 1700

場所日本学術会議 講堂

主催日本学術会議 マイクロナノエンジニアリング分

科会日本機械学会 マイクロナノ工学専門会議

概要学際的分野であるマイクロナノエンジニアリング

は大学大学院における教育の整備関連する産業界

学術界での研究開発における分野融合的な取組みが不可欠

です本シンポジウムでは人材育成を軸とした課題につ

いて議論します

httpwwwscjgojpjaeventpdf100-s-3-1pdf

[ 博物館展示 ]自然に学ぶ ネイチャーテクノロジーとライフスタイル展開催中です

場所国立科学博物館 (東京上野公園)

日時2010 年 10 月 26 日~ 2010 年 2 月 11 日

主催東北大学大学院環境科学研究科国立科学博物館

特定非営利活動法人ものづくり生命文明機構

概要蝶や鳥など生き物や自然の仕組みにヒントを得た環

境負荷の低い技術と将来的な応用の可能性から日本文化

に根差した共生型の新しいライフスタイルのあり方につい

て紹介します国立科学博物館の入館料600円が必要です

httpwwwkahakugojpevent201010natureindex

html

[人材育成]シンポジウム「世界を魅せる日本の課題解決型基礎研究~JST 目利き制度とその可能性」日時2010 年 12 月 6 日(月)1000-1800 (0900 受

付開始)

場所東京国際フォーラム B5 ホール

主催(独)科学技術振興機構(JST)

概要JST がこれまでに行ってきた戦略的創造研究推進

事業の成果を振り返りつつ今後の日本の科学技術の発

展に向けた事業のあり方について参加者の皆様と議論しま

httpwwwsenryaku30jstgojp 

[ 持続可能性 ]学術会議シンポジウム「低炭素化に向けた経済社会エネルギーのあり方と実現のシナリオ」日時2010 年 12 月 9 日(木)1330 ~ 1700

場所学術会議講堂

主催土木工学建築学委員会低炭素建築都市分科会

社会資本分科会

概要両分科会は中~超長期のエネルギー消費量削減シ

ナリオ策定に取り組んできました本シンポジウムでは

分科会の検討結果や削減のための様々な取り組みを紹介

し今後のとりまとめ作業に向けた議論を行います

httpwwwscjgojpjaeventpdf104-s-3-6pdf 

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PEN 編集室関谷瑞木阿多誠文独立行政法人産業技術総合研究所 ナノシステム研究部門 305-8568 つくば市梅園 1-1-1 産総研つくばセンター中央第 2 M404Email nano-penmaistgojpTel029-861-5185 Fax 029-861-5339

編集後記

今月 8 日に長野県長野市で開催された第 3 回国際ナノ

ワークショップ「ナノテクノロジーの社会受容~ナノ

材料の工業標準化の国際的な動向と環境影響について

~」の会場で多くの企業の皆様と意見交換をする貴

重な機会を得た目まぐるしい勢いで変わってゆく諸

外国の環境規制策の動向に民間企業の皆様が神経を

とがらせておられることがひしひしと感じられた東

京から新幹線で 1 時間半インターネットでリアルタ

イムに世界とつながることのできる時代とはいえ情

報物人が集積する地である東京とは異なる苦労も

あることもお聞きした美しい山々きれいな空気あ

るいは世界に誇る観光遺産と科学技術を結び付けて

地域振興をはかりたいとの頑張っておいでの方にもお

会いした

月刊という制約はあるもののこうした方々にとって

タイムリーで有用な情報を提供し続けたいと改めて

強く感じた

ちなみにPEN を発行しているつくば市の産総研つく

ばセンターへもつくばエクスプレスと路線バスを乗

り継いで都心からは約 1 時間半かかる

2010 年 11 月 25 日

PEN 編集室一同ウナギツカミ

Page 16: Public Engagement with Nano- PEN November …...5 PEN November 【知財】 中国、10年で特許強国に(2010.11.12) 中国国家知識産権局は11日に「全国特許事業発展戦略

16

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r 政刷新)公務員制度改革担当は文部科学省ではなく内閣

府主導で予算編成を行うべきとの考えを示し行政刷新会

議も「焼け太りは許さない」と文部科学省を牽制設置法

そのものの提出をくい止めたい考えである他の様々な施

策同様これも民主党政権内での軋轢となっている

化学5社化学物質情報伝達を電機大手と共通化中小企業ビジネス支援サイト J-Net21 は11 月 15 日に

日本の化学大手 5 社がアーティクルマネジメント推進協

議会の仕組みを活用して製品に含まれる化学物質の伝達

方法を電機大手と共通化することを発表サプライチェー

ンでの情報伝達の共通化が図られるhttpj-net21smrjgojpwatchnews_tyusentry20101115-10

html

22 年度科学技術関係補正予算閣議決定先月末の 26 日平成 22 年度補正予算 4 兆 8500 億円が

閣議決定された今月 11 日付科学新聞はこのうち科学

技術関係予算を文部科学省のスパコン「京」への 186

億円などを含め約 1500 ~ 2000 億円程度と見積もってい

る経済産業省関係では産学官連携のイノベーション拠点

立地支援事業への支援策が多く盛り込まれているつくば

イノベーションアリーナ中核拠点と位置づけられている産

総研には補正予算 30 億円が配分されている

なお内閣府総合科学技術会議は 11 月 4 日2010 年度

の当初予算額 3 兆 5878 億円に対し補正予算案は 1864

億円経済危機対応地域活性化予備費は 141 億円で

合計は 3 兆 7742 億円となったことを明らかにした補正

予算の詳細については 11 月 4 日「平成 22 年度経済危機

対応地域活性化予備費及び補正予算案(科学技術関係予

算)について」として内閣府から公開された

httpwww8caogojpcstpbudgeth22hoseipdf

ナノボーグの販売軽量化フレキシブル化が進む様々なデバイスをまとめて

身に着けることが可能な服が「ナノボーグ」である東工

大谷岡教授が名付けたもので4 日付日刊工業新聞による

と今月にも太陽電池を電源とするジャケットがアメリカ

のアパレルメーカーから発売される

httpwwwnikkancojpnewsnkx0320101104eaahhtml

ldquoNBCI ナノナビ rdquo 創刊ビジネス環境のグローバル化オープン化に伴って政策

や規制動向研究開発動向の迅速な情報共有への要求が高

まりつつあるこれに応え一般社団法人ナノテクノロジー

ビジネス推進協議会(NBCI)は不定期の情報誌 ldquoNBCI

ナノナビ rdquo を創刊先月末より会員向け配信を開始した

創刊号では標準化の重要な課題であるナノラベリング(使

用ナノ材料の周知目的)の動きナノネット活用等につい

て最新の動向が配信された

httpwwwnbcijp

フラーレンのナノエレ応用脚光を浴びるカーボンナノチューブやグラフェンに比べ

フラーレン(C60)のナノエレクトロニクスへの応用展開

は広がらない状況が続いてきたがこの度 C60 を積層し

た有機トランジスタが開発されたこれは 11 月 1 日付日

経産業新聞が報じたもので大阪大学と山形大学大日本

印刷の共同研究の成果である試作された C60 を含む有

機トランジスタは従来の有機トランジスタより大きな電

流を流すことが出来400 キロヘルツの高速応答が得られ

たとのこと

筑波大に生命科学研究拠点先月末筑波大は先端学際領域研究センター通称 TARA

センターを改組し生命領域学際研究センターを設立浅

島誠氏がセンター長に就任した今後 20 人の研究部隊が

幹細胞研究などに特化した研究を展開する

新規事業への投資を名城ナノカーボン10 月 29 日付の金融専門誌ニッキンは名城ナノカーボ

ンの橋本剛氏をとりあげた同社は 2005 年 4 月に当時

銀行員であった橋本氏が名城大安藤義則教授と共に設立

したカーボンナノチューブの開発製造販売を手がける

名城大発ベンチャー橋本氏は今後 5 ~ 10 年で名城ナノ

カーボンの上場を目指すとし取引金融機関に対して新規

事業への具体的な資金投入を期待している

CNT 生産能力倍増昭和電工10 月 29 日付化学工業日報は昭和電工(株)川崎事業

所におけるカーボンナノチューブ (CNT) の年産 100 トン

から 200 トンへ引き上げ計画を報じた同社はリチウム

イオン 2 次電池向け気相成長 CNT の供給を行っているが

今後はさらに急速な需要拡大が進む可能性もありさらに

生産体制の拡大を図る可能性もある

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宝石という名前の虫

タマムシはタマムシ科の 4 センチメートルほどの甲虫です漢字では玉虫と書きます玉とは宝石のことで

その名のとおり赤い縦の線が走る虹色がかった緑色の金属光沢の美しい翅をもっています

法隆寺所蔵の国宝「玉虫厨子」を教科書などで見たことがある人も多いのではないでしょうか厨子は仏像な

どの礼拝の対象をしまう大切な入れ物のことです天平の世の人々がその大切な厨子の壁面を飾る細工の材料

にタマムシこそが相応しいと思ったのも納得できる美しい甲虫です残念ながら現在では玉虫厨子の壁面の

翅の多くは脱落してしまっていますが往時を再現した複製品から天平の時代の華やかな色が想像できます

タマムシは時代や洋の東西を問わず美しいと思われるようでベルギーにはその美しさに憑かれて宮殿の天

井を大量のタマムシの翅で飾った現代工芸家もいます

タマムシは厨子に使われた翅だけでなく腹部や脚触角なども緑色の光沢を放っていますまた美しい

翅が良くわかるような背面からの写真が多いので米粒型のすんなりした形のイメージが強いですが横から

見た体には以外と厚みがあります成虫は樹冠を飛び回り主にニレ科の広葉樹の葉を食べています幼虫は

カブトムシの幼虫に似た白いずんぐりしたイモムシで餌も葉ではなく木ですそのため害虫に分類されても

います

岐阜県高山市「茶の湯美術館」に玉虫厨子のレプリカが展示されています

httpwwwnakada-netjpchanoyutamamushi_zushihtmtamamushi 

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r

これを批准した結果日本は 1990 年を基準として 6の

温室効果ガス削減を国際的に約束した日本国憲法によれ

ば国際条約は守らなければならないことになっているの

で「チーム -6」などという運動が日本全国にできた

これの何が間違いだったのであろうか以下その根拠を説

明する尚現在の一次エネルギー源は 80以上が化石

燃料によるものであるからエネルギー消費と温室効果ガス

排出はほぼ同義語であるまた国内総生産(GDP) の増

大すなわち経済成長は社会の安定と国民の安心感を支え

る基本的な要素でありその減少は社会の不安定化をもた

らすため増大させることが必須である

日本は 1973 年の第一次石油危機で大きなダメージを受

けそれから「省エネルギー技術」の開発を血眼になって

推進したその結果図 1 に示すように日本は世界一の「省

エネ大国」になったのである図で縦軸は石油換算のエネ

ルギー消費量横軸は GDP をドル換算したもので1995

年のデータを示してある斜目の破線は一定の GDP を作

り出すのに必要なエネルギー量をトン単位で示しており

これが小さいほどエネルギー効率のいい社会であるつま

り使用エネルギーが少なくなるか同じエネルギーを使っ

ても生産額が多くなればエネルギー効率は良くなる

 エネルギー効率=使用エネルギー生産額(GDP)

図から明らかなように日本は 1995 年時点でも既に世

界で一番エネルギー効率の良い国だったのであるドイツ

フランスイタリアなどは日本の 15 倍イギリスは 2 倍

アメリカが 3 倍中国やロシアに至っては何と 10 倍以上

のエネルギーを浪費しているということが一目瞭然であ

る日本がこのようなエネルギー効率の良い状態から更に

エネルギー消費を減らすなどと言うことは被虐趣味以外

の何物でもないちなみに図 1 は小生が京都議定書を見て

「これは誤りである」と確信し直ぐに作成したものであり

13 年前には既に分っていたことである

それでは日本は何を主張すれば良かったのか賢明な読

者は図 1 を見れば直ぐに考え付くであろうそう「世界

の皆さん今後 10 年間でエネルギー効率を高くする努力

をし現在の日本並みとまでいかなくても少なくとも近

付く努力をしてください」と主張すべきだったのだこれ

なら発展途上国も経済発展を保障されるから合意できたで

あろうし何よりも日本の「省エネ技術」を世界標準とし

て輸出可能であったろう昨年中華人民共和国(中国)が

出した指標はまさにこのような考えに基づいたものであろ

うどこかの国の首相が温室効果ガス排出量(=エネル

ギー消費量)の 25の削減を持ち出したのに対し「中国

はエネルギー効率(=使用エネルギー生産額)を 40

向上させる」と主張した図1から見ても彼等は 1995 年

の日本の水準に追いつくだけで 90の削減が可能であり

40などというのは非常に容易な達成目標であることは

明らかであるまさに国際条約を締結する上での基本的

な事項である「自国の利益を最優先する」という原理原

則にも合致している流石は厳しい歴史を体験してきた国

京都議定書が提案されてから既に 10 年以上経過した今

更と思われる方もおられるかも知れないが現在の日本が

抱える様々な矛盾の出発点の一つが京都議定書であると考

えざるを得ない以上ここで改めてその問題点を明らかに

したい環境省のホームページに掲載されている京都議定

書の内容は以下のとおりである

(httpwwwenvgojpearthcop63-2html)

ポイント先進国の温室効果ガス排出量について法的拘束力

 のある数値目標を各国毎に設定

国際的に協調して目標を達成するための仕組みを

 導入(排出量取引クリーン開発メカニズム共同

 実施など)

途上国に対しては数値目標などの新たな義務は導

 入せず

寄稿京都議定書で日本は何を主張すべきであったか東洋大学大学院学際融合科学研究科 教授 和田恭雄

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は違うなどと感心してはいられない

今からでも遅くない「2010 年を基準としてエネルギー

効率の向上を図る」ことを国際的な合意目標に切り替え

るべきである無論為替レートは 2010 年現在の 1 ド

ル= 80 円程度に固定して比較すべきである現在の円

高を考えれば分母が大きくなることが日本の利益につ

ながるからだ国際条約においては「被虐趣味」は最低

の選択であることを忘れてはならない「率先垂範」など

と言う言葉は国際社会では通用しない無論表面上は大

いに賞賛されようが腹の底で「カモが来た」と思われ

食い物にされるだけである他人から褒められるために

自らの競争力を放棄するようなことは止めるべきである

京都議定書を他山の石としてナノテクノロジーの世界

でも「自らの強みを世界の標準にする」という基本的な

姿勢を取るべきであるのは当然のことであるdarr

darr 世界各国のエネルギー消費量と総生産の比較図右下

に行くほどエネルギー効率が高く同じ GDP を創り出す

のに温室効果ガスの排出量が少ないということを示す

日本は 1995 年当時既に世界一の「省エネ大国」であり

西ヨーロッパの 15 倍米国の 3 倍ロシアなどよりも

10 倍以上効率の良い経済体制になっていたことが分か

る世界中の国が日本を手本にすれば温室効果ガスの排

出量を減らしつつ経済成長が可能になり即ち皆がハッ

ピーになれることを示すことができるばかりでなく日

本の省エネ技術を世界標準にすることも主張できる根拠

となる

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r

日本では21 世の始まりと共に科学技術政策に基づ

いてナノテクノロジーの研究開発への戦略的投資が開始

された2001 年度からの第 2 期科学技術基本計画と

2006 年度からの第 3 期科学技術基本計画の都合 10 年

間にわたる優先的戦略的な研究開発の資源の投入も余

すところ4ヶ月となった

21 世紀を担うと期待されたナノテクノロジーには研

究開発側から社会への一方的な応用があたりまえであっ

たこれまでの科学技術とは異なる研究開発の方法論が導

入されたコア技術の研究開発と並行してその技術の社

会的影響を検討しそれをさらにコア技術の研究開発に

フィードバックするという新しい研究開発の方法論であ

る [1]ナノテクノロジーの社会的影響にとって最も重

要で緊急の課題がナノ材料の環境健康影響安全 (EHS)

の課題であった技術の社会的影響を検討しながら進め

られているナノテクノロジーの研究開発がうまくいくか

どうかこのことがナノテクノロジーに続く今後の新興

の科学技術の研究開発のあり方に大きな影響を与えるこ

とになる社会的影響をフィードバックしながら進める

責任ある研究開発がはじめて試みられた日本のナノテク

ノロジーがこれまで 10 年間にわたって戦略的研究開発

投資を続けてきた現在どのような状況にあるのか今回

の特集ではそれを俯瞰的に解析する

まず国内の全ての新聞と雑誌に掲載されたナノテクノ

ロジー関連記事の数を統計的指標としてナノテクノロ

ジーの研究開発に対して日本の社会がどの程度の関心を

示しているのか評価することを試みる図1に日本

のメディアに掲載されたナノテクノロジー関連の記事の

年推移を示すグラフから明らかなようにナノテクノ

ロジーへの戦略的研究開発投資が始まった 2001 年まで

日本のメディアはほとんどナノテクノロジーを取り上げ

ていないただこれは日本にナノテクノロジーの萌芽

的研究開発がなかったということではない

一例をあげるなら工業技術院は産業科学技術研究開発

制度の一環として新エネルギー産業技術総合開発機

構(NEDO)の委託により原子分子極限操作技術の研

究開発プロジェクトを展開した1992 年から 10 年間に

わたり分子原子をボトムアップ的に集積する研究開発

を進めたこのプロジェクトは技術研究組合オングスト

ロームテクノロジー研究機構(ATP)と呼ばれたさらに

ATP と産業技術融合領域研究所は同研究所内にアトム

テクノロジー研究体(JRCAT)を設置して産官学の共同

研究プロジェクトを推進した折しも日本は 1990 年の

バブル経済の崩壊後失われた 10 年と称される経済の停

滞に苦しんでいたまだナノテクノロジーに対する期待

は高まってはいなかったが日本のナノテクノロジーは

着実に萌芽的研究開発を進めていた困難な経済のなか

で日本のナノテクノロジーはその萌芽に向けた着実な

準備をしていたといえるのだがこのような地道な研究

開発が進められていた点はこの統計からは見えにくい

0

500

1000

1500

2000

2500

3000

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4000

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5000

1990

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2001

2002

2003

2004

2005

2006

2007

2008

2009

図 1

特集

10 年におよぶナノテクノロジー研究成果の発展的継承を 

21

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2001 年度から戦略的な究開発投資が開始されると同時

にナノテクノロジーへの関心は急速に増していった

わずか 2 年後の 2003 年にはその期待は極みに達して

いる上述したとおり我々はこの統計で縦軸をナノテ

クノロジーに対する社会の関心と見なしておりこれは

David M Berube 氏が示した典型的な Hype 曲線の縦軸

「Visibility」と同義とみなせる [2]その類似性を図 2 に

示す

図 2

日本では Nano-Hype と呼べるピークが高性能瞬間湯

沸器よろしく戦略的研究開発投資が開始されたわず

か 2 年後の 2003 年に出現しているのであるまたJ

Fenn らはこのようなピークを図 3 に示すようにイノ

ベーションのハイプサイクルにおける rdquoPeak of Inflated

Expectationsrdquo と表現している [3]

Exp

ect

atio

ns

Time

InnovationTrigger

Trough ofDisillusionment

Slope ofEnlightenment

Plateau ofProductivity

Peak of InflatedExpectations

図 3

この時期はナノテクノロジーの将来価値への大きな期

待の反面研究開発の実態は希薄である実体の伴わな

い過剰な期待を理由に「一部の有力な科学者や政策担当

者がこのような Hype の状況を意図的に作りだした」と非

難する論調もある確かに Nano-Hype はナノテクノロジー

の将来価値への期待が研究開発の実態を上回る状況では

あるがナノテクノロジーに対する社会の関心や期待を

喚起しその期待を背景にナノテクノロジーへの研究開

発投資が漸次増加していったことも事実であるまたナ

ノテクノロジーの事をもっと知りたいという知的欲求も

刺激されそれに応えるためにいくつかの大学ではサイ

エンスコミュニケータやサイエンスインタープリタサ

イエンスジャーナリストの養成講座等が開設されたさ

らに今日年間 2000 回以上のサイエンスカフェが全国各

地で開かれるなどナノテクノロジーのような新興の科

学技術のパブリックエンゲージメントの活動の契機にも

なったNano-Hype と呼ばれる状況がそのような様々

なプラスの効果を日本にもたらしたことも忘れてはなら

2003年

2010年

2003年

22

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Nov

embe

r ない点である

実体の伴わない過剰な期待が徐々に覚めていく Negative-

Hype の状況はHype が極みに達した 2003 年直後の

2004 年から 2007 年にかけて顕著に現れてくる依然

として政府のナノテクノロジー材料領域への研究開発

投資が伸びるなかメディアがナノテクノロジーを取り

上げる頻度は急速に下がり社会の関心は冷めていった

過剰な期待が冷静さを取り戻していく Negative-Hype は

必然であるとしても注目しておかなければならない大

事な点は Negative-Hype がいつ止むかいつ底を打つの

かである図 1 から明らかなように2004 年以降 2007

年まで急速に下降しているものの2008 年から 2009 年

と明らかに Negative-Hype は底を打っている

上述の J Fenn らは新しいハイプサイクルの縦軸の評価尺

度を議論しているのだが図 4 に示すようにハイプサイ

クルのプロフィールが二つの要素からなることを示して

いる [4]この指標を採用すると今年 2010 年の日本の

ナノテクノロジーはHype が終わりエンジニアリング

またはビジネスが徐々にその成熟度を増していくちょ

うどその過渡期にあるとみてよい今後ナノテクノロジー

がITエネルギー環境ライフサイエンスといった様々

な技術分野の基盤技術としてその実用化に貢献していく

現在はちょうどその転換点にあるそのプロセスを確実

に進めていくには中長期的な一貫した科学技術政策に

よりナノテクノロジーの基礎的な研究開発を継続的に

推し進めていくことが肝要である

図 4

そして10 年に及ぶ科学技術政策に基づいたナノテク

ノロジーの戦略的研究開発投資の成果を応用実用化

へ確実につなげていくために取り組まなければならない

もっとも重要な課題が包括的で実態のあるナノテクノ

ロジーのパブリックエンゲージメントの活動である昨

今ナノテクノロジーの研究開発と並行して社会受容

パブリックエンゲージメントの活動の重要性が指摘され

るようになってきたしかしこの課題に関する解釈は

依然としてまとまりを欠いているだけでなく「こういっ

た課題への取り組みが大事である」といったことが最後

の部分に申しわけ程度に記述されている例も多々見受け

られる取り組んでいるという既成事実のために実体の

伴わないパブリックエンゲージメントの活動が進められ

ると将来的にナノテクノロジーへの信頼も失墜しかね

ない多様な課題を含む社会受容パブリックエンゲー

ジメントの活動には包括的な視点で具体的実践的に取

り組んでいく必要がある

ReferenceRoco M C amp Bainbridge W S 2001 ldquoSocietal

Implications of Nanoscience and Nanotechnologyrdquo

Kluwer Academic Publishers

Berube M B amp Roco M C(FRW) 2005 ldquoNano-Hype

The truth behind the nanotechnology buzzrdquo Prometheus

Books

イノベーションのハイプサイクル

「Mastering the Hype Cycle」J Fenn M Raskino

Harvard Business Press 2008

M Raskino J Fenn IT Management(ITM) ITM-09-

37 Research Note 2010 年 2 月 9 日

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【CO2 排出量】世 界 的 な 金 融 危 機 に も か か わ ら ず2009 年 の 化 石 燃料 由 来 の 二 酸 化 炭 素 排 出 量 の 減 少 は 小 幅 に と ど ま る

(20101122)国立環境研究所(国環研)

国環研はグローバルカーボンプロジェクト (GCP) が 11

月 22 日の Nature Geoscience 誌の電子版に調査結果を発

表すると速報したその内容は世界金融危機の経済的

影響にも関わらず2009 年における世界の化石燃料由来

の二酸化炭素排出削減量が予測値である 28を下回り

前年比 13にとどまったことで同じく GDP の減少も予

測値を下回っている

httpwwwniesgojpwhatsnew20102010112220101122html

【量子コンピューティング】量子コンピュータ実現への障壁を緩和する誤り耐性方式を開発 (20101124)日本電信電話(株)京都大学

量子コンピュータに必須な量子ゲートは確実に正しい演

算をすることはなくある程度の誤り確率をもつため量

子コンピュータを実現するためには演算の誤り訂正を行

う技術の実現が必須となる演算の誤り訂正を行うために

はある程度誤り確率の低い量子ゲートが必要であると考

えられてきたが今回共同研究チームは誤り確率が非常

に高い量子ゲートを用いても量子計算が可能となる誤り耐

性のある量子計算方式を世界で初めて示した

httpwwwnttcojpnews20101011101124ahtml

【光電変換】ナノギャップ光アンテナにより高効率化した有機超薄膜による光電変換 

(20101122)物質材料研究機構北海道大学

NIMS と北大の共同研究チームは有機超薄膜型の光電変

換分子素子において光吸収電子伝達といった必要な機

能をもつ部品を連結した分子から成る単分子超薄膜を原

子レベルで表面制御した平滑な金電極面と金ナノ粒子で挟

み込むことによってナノギャップ型の光アンテナを導入

することに成功したその結果光アンテナ 1 つあたりで

光誘起電子移動反応が約 50 倍の効率に高まることを実

証した

httpwwwnimsgojpnewspress201011p201011220html

【EV】シンガポール政府と電気自動車の普及に関する覚書を締結

(201011 19)三菱自動車(株)

MMC はシンガポール政府と電気自動車(EV)普及のため

の活動に協力する内容の協定を締結したことを発表した

今回の活動はシンガポールの経済開発庁が中心となり

同国のエネルギー市場監督庁陸上交通庁との間で EV タ

スクフォースを組成し同国の EV 普及を目的としたユー

ザー向け補助金制度や充電インフラ整備などの検証を行う

ものこの活動の中でMMC は CCA を通じ 2011 年より

順次『i-MiEV(アイミーブ)』25 台を供給し実証走行

試験に協力していくhttpwwwmitsubishi-motorscompublishpressrelease_jp

corporate2010newsdetail4407html

【リチウム二次電池】リチウム二次電池の量産化実証工場が竣工 年間生産能力6 万 6000kWh (201011 18)三菱重工業(株)

リチウム二次電池事業への本格参入に向け長崎造船所内

に建設していた同電池の量産化実証工場が17 日竣工し

た年間生産能力は 6 万 6000kWh中型電池換算で約

40 万個に相当する今後各種実証技術に取り組み早期

の本格的な商業量産につなげていくとしている

プレスリリースより

CUTTING-EDGE TECHNOLOGIES

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Nov

embe

r httpwwwmhicojpnewsstory1011184999html

【基礎科学物質の起源】動きがのろい冷反水素原子を 38 個も磁気瓶に閉じ込める物質と反物質の違いを知る手がかりとなる冷反物質研究が新段階に (201011 18)物質材料研究機構(NIMS)

NIMS は欧州原子核研究所(CERN)の国際共同研究グルー

プに参加し反物質の代表格である反水素原子を独自に

開発した八重極磁気瓶の中に 38 個も閉じ込めることに世

界で初めて成功した反水素原子の原材料である反陽子(陽

子の反粒子)と陽電子(電子の反粒子)を八重極磁場コ

イルとミラーコイルを組み合わせた磁気瓶の中に蓄積し

そっと混ぜ合わせて冷たい反水素原子を大量に生成した

反水素原子は電気的に中性の小さな磁石なので反水素原

子ができあがったころ(約 1 秒後)を見計らって電圧を

加え残存している反陽子と陽電子をことごとく排除した

その後磁気瓶の磁場を瞬時にゼロにすると磁気瓶内に

とどまっていた反水素原子は装置の壁に当たって消滅し

パイ中間子などのさまざまな粒子を放出するこれらの粒

子を磁気瓶を包む 3 枚の検出器で観測した結果捕捉し

ていた反水素原子を 38 個も確認することができた後述

するように同内容は理化学研究所からもリリースされたhttpwwwrikenjpr-worldinforeleasepress2010101118

indexhtml

【超伝導】ピセンのカリウムドープに伴う電子構造変化の直接観測 

(201011 17)岡山大学

岡山大学の研究グループはピセンおよびカリウムドープ

ピセンの電子構造を実験的に観測する事に世界で初めて成

功したカリウムドープピセンは芳香族炭化水素における

初めての超電導体であるがカリウムドープピセンの超電

導メカニズムまた超電導を誘起する電子構造は解明され

ていない研究グループは光電子分光法を用いピセンのカ

リウムドープに伴う電子構造変化を直接的に観測した結

果ピセンのカリウムドープに伴う電子構造変化を観測

芳香族炭化水素超電導体の超電導メカニズム解明および新

規超電導体探索の指針になると期待されるhttpwwwokayama-unetrenkeidocumentpdfpressrelease

press-101117pdf

【慣性力発電】慣性力(振動)発電技術を商品化 国内最大手エース社のバッグに慣性力発電ユニットを搭載 (201011 17)伊藤忠商事(株)

米国 CIIIS 社の持つ慣性力発電(振動発電)技術を用いて

人体の運動による振動で発電する慣性力発電ユニットを開

発した国内鞄最大手のエース株式会社がこの慣性力発

電ユニットを搭載したバッグの販売を行う

httpwwwitochucojpjanews2010101117html

【生物多様性】多様性進化の背景に『甲状腺機能低下』 (201011 16)東北大学

生物多様性の喪失は現在急速に進んでおり多様性の進化

維持機構を解明することは世界的な課題である生物多様

性の創出は多くの場合新規環境に生き物が侵出すること

によって始まるが生物が新規環境へどのように適応して

行くのかその過程については多くが未解明である東北

大学の研究チームはこのたび新規環境への適応に甲状腺

ホルモンの進化が重要であることを発見したhttpwwwtohokuacjpjapanesenewimgpressimgtohokuuniv-

press_20101116pdf

【ナノ物性】ナノスケールの鉄磁石を電界でコントロール

(201011 01)千葉大学

磁石の N と S 極は磁界を用いることでコントロールでき

るが千葉大学の研究チームはナノスケールの鉄の磁石の

極性をエネルギーの要らない電界でコントロールできるこ

とを見出したhttpwwwchiba-uacjppublicitypresspdf201020101102nano

pdf

【SOFC 関連材料技術】 画期的な電解質材料の開発に成功 固体酸化物燃料電池の商用化に一歩前進 (201011 18 )物質材料研究機構(NIMS)

NIMS の研究グループは電解質材料に必要とされる三つ

の要件イオン伝導性化学的安定性焼結性のすべてを

高いレベルで満足する2種類の材料を開発することに成功

したひとつは10 のプラセオジムを含むイットリウム

添加ジルコン酸バリウム(BZPY)でもうひとつは酸

化ニッケル (NiO) とイットリウム添加ジルコン酸バリウム

25

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(BZY) の混合粉末を固めた基板上にプレス成形された BZI

であるhttpwwwnimsgojpnewspress201011201011180

p201011180pdf

【レアアース】微生物でレアアースの回収が可能に バクテリアがレアアースを濃縮する現象を発見 (201011 17)広島大学高エネルギー加速器研究機構高輝度光科学研

究センター

共同研究グループは微生物の細胞表面では微生物が存在

しない周囲部分に比べてレアアースを高濃度に濃縮する現

象を見出したまたレアアースの中でも特に希少価値の高

い元素が選択的に濃縮することを発見その濃縮メカニズ

ムを放射光を用いたX線吸収法により明らかにした

httpwwwkekjpjanewspress2010RareEarthElementshtml

【はやぶさ】はやぶさカプセル内の微粒子の起源が判明(201011 17)宇宙航空研究開発機構

「はやぶさ」のサンプルキャッチャー室から特殊形状のヘ

ラで採集された微粒子を走査型電子顕微鏡にて観察および

分析した結果1500 個程度の微粒子を岩石質と同定した

更にその分析結果を検討したところそのほぼ全てが地

球外物質であり小惑星イトカワ由来であると判断するに

至った

httpwwwjaxajppress20101120101117_sac_hayabusapdf

【超伝導基礎科学】超伝導のメカニズム解明に大きな手がかり ルテニウム酸化物の電子の運動状態を選択的に可視化することに成功 電子対を形成する「のり」の起源を初めて解明

(201011 17)広島大学産総研

1994 年に日本で発見されたルテニウム酸化物超伝導体は

ユニークな超伝導状態を示しこれまで数多くの研究が行

われてきたがいまだにその超伝導のメカニズムは謎のま

まであった超伝導が生じるためには電子と電子を「のり」

で結びつけ「電子対」にする必要がある共同研究グルー

プは放射光の直線偏光特性を活用するため放射光の光

軸のまわりに回転可能な高分解能角度分解光電子分光装置

を開発しルテニウム酸化物超伝導体の超伝導機構解明に

重要な手がかりをつかんだ研究グループが開発した新装

置を用いることによりルテニウム酸化物超伝導体の異な

る運動状態にある電子を選択的に分離しながら精密に分

析することが初めて可能となったその結果物質の電子対

を形成するための「のり」として結晶を作っている原子

の振動が重要な役割を果たしていることその「のり」が

どのくらい強く働いているのか等が明らかとなった httpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101117

pr20101117html

世界最高性能基準光源を開発 安定高精度高速の三拍子そろった光信号の発生に成功 (201011 15) 情報通信研究機構(NICT)国立天文台(NAOJ)

NICT と NAOJ はNICT 独自の高消光比変調技術を利用

し精度を保ったまま周波数範囲を拡大する構成を提案し

たNAOJ の安定度向上技術による制御機能を組み合わせ

ることで世界最高性能の基準信号発生装置を共同開発

し100 ギガヘルツを超える高速信号の長距離伝送を実現

した本装置の方式により従来技術の課題であった安定

性周波数範囲精度の問題を解決した安定性は 2 台の

レーザを用いる従来方式に比べて 10 倍以上を実現し信

号の乱れを 30 万年に 1 秒以下とすることに成功したま

た精度は従来型変調器と比較し 1000 倍以上周波数範

囲は 4 倍を達成したhttpwww2nictgojppubwhatsnewpressh22101115101115

html

【基礎科学レーザ分光】電子の氷を光で融かす一瞬を捉える 光が有機物質を変える瞬間の超高速スナップショット (201011 15)東北大学自然科学研究機構分子科学研究所科学技術振

興機構(JST)

共同研究グループは光の照射によって有機物質の色や

電気伝導度が大きく変化する光誘起相転移現象の最初の瞬

間を捉えることに成功した電場と磁場の振動である光の

振動の3周期分に匹敵する極めて短いパルス光をポンププ

ローブ分光によって二次元有機物質における電荷秩序の

融解のダイナミクスすなわちldquo 電子の氷 rdquo が光によっ

てどのように解け絶縁体から金属へと変化するのかと

いう問題を明らかにしたものこの成果 12 月初めには米

国物理学会誌 Physical Review Letters オンライン版で公開

予定

httpwwwjstgojpprannounce20101117-2indexhtml

【熱電材料】水を使って絶縁体から効率のよい熱電材料を作ることに成

26

PEN

Nov

embe

r 功 希少毒性金属を含まない安価簡便な熱電材料創製に新たな道 (201011 15)科学技術振興機構 (JST)名古屋大学

熱電材料は熱を電気に変換することができることからエ

ンジンの排熱を利用して発電するハイブリッド自動車など

への応用が期待されているが従来の熱電材料はビスマ

スアンチモン鉛テルルといった希少毒性金属など

を含む問題があったJST 課題解決型基礎研究の一環とし

て名古屋大学の研究グループは水の電気分解を利用し

安くてありふれた絶縁体酸化物表面を大きな熱電効果を示

す金属へ変えることに成功した大量に水を含んだ多孔質

ガラスを新規に開発しこの多孔質ガラスを金属チタンと

チタン酸ストロンチウムに挟んで電圧を加えると水の電

気分解によって絶縁体のはずのチタン酸ストロンチウムの

表面に厚さ 3 ナノメートル以下の極めて薄い金属チタン酸

ストロンチウムが生成した通常の金属チタン酸ストロン

チウムに対して 4~5 倍高い電圧を示すことから従来の

熱電材料の約 2 倍の熱電性能が期待できる

httpwwwjstgojpprannounce20101117indexhtml

【基礎科学物質の起源】国際研究チーム反水素原子を瓶の中に閉じこめることに成功(20101118)理化学研究所

8 か国からなる研究チームは欧州合同原子核研究機関

(CERN)の装置を用いて加速器で反陽子と陽電子を作

成し磁場の中に閉じこめたのちに撹拌して反陽子と陽

電子1個ずつを結びつけ反水素原子を生成した反水素

生成後に余った反陽子と陽電子を取り除き反水素原子だ

けを特殊な瓶の中に封じ込めることに成功した計 38 個

の反水素原子が 02 秒間存在したことを確認反物質は

Dan Brown の小説「天使と悪魔」で非常に微量で爆発

を起こす材料として登場するしかし今回の手法では短

時間に消滅してしまい爆弾に使える量をためるのは不可

能だという17 日付の Nature Online 版に掲載

httpwwwrikenjpr-worldinforeleasepress2010101118 

【マックスウェルの悪魔実証】情報をエネルギーに変換することに成功 ldquo マックスウェルの悪魔 rdquo を実験により世界で初めて実現新規ナノデバイスの実現に期待 (201011 15)中央大学東京大学

微細加工技術とサブミクロンスケールのリアルタイム制御

システムを組み合わせ「マックスウェルの悪魔」と呼ば

れる科学史上の重要な概念を世界で初めて実験により実現

した これによって情報をエネルギーに変換できるこ

とを初めて示すとともに情報を媒介して駆動する新規ナ

ノデバイスの実現の可能性を示した マックスウェルの

悪魔は熱力学の根本に関わる概念でありこれを実現でき

た学問的意義は大きいまた科学者以外にもよく知られ

たテーマであり多くの人が興味を持つ話題でもある情

報を媒介して駆動する新規のナノデバイスを実現できる可

能性があり基礎的研究にとどまらずナノサイエンスで

の新しい制御法への応用が期待できるこの成果は 11 月

14 日に Nature Physics Online に公開された

Toyabe Sagawa Ueda Muneyuki and Sano

ldquoExperimental demonstration of information-to-energy

conversion and validation of the generalized Jarzynski

equalityrdquo

httpwwwsu-tokyoacjppresspress-2010-42html

詳細は中央大学 HPhttpwwwchuo-uacjpchuo-unewscontents_jhtmlsuffix=kampmo

de=topamptopics=12513

【基礎科学分子バネ】電子の出し入れで硬さが劇的に変わる分子バネを開発 たった 1 つの電子放出で分子全体の動きやすさが 450 倍も変化 (201011 15)理化学研究所科学技術振興機構(JST)

6 個の炭素原子が環状につながったベンゼン環は有機化

合物において最も基本的な構成ユニットの一つでありベ

ンゼン環をさまざまな形で結合させたものが盛んに研究さ

れてきたしかしベンゼン環を隣り合う炭素の位置で結

合させたオルトフェニレンは単純な構造でありながら合

成が難しいためこれまでほとんど研究がなされておらず

その性質は解明されていなかった理化学研究所の研究グ

ループはベンゼン環 48 個を隣り合った炭素の位置で結

合させたオルトフェニレンを世界で初めて合成したオル

トフェニレンは3 つのベンゼン環が 1 ピッチのらせんを

形成するバネ状の構造をしているがこのようなバネ状の

構造を持った分子はさまざまな機能を発揮するためエ

レクトロニクスや分子機械への応用の可能性が高まってい

る研究グループはこのバネ状分子から電子を 1 つ取

り去るとバネの硬さが劇的に増してらせんの反転速度が

約 450 分の 1 も遅くなることを突き止めたまたこの

1 個の電子の出し入れに応じてバネのピッチが 3263Aring か

ら 3224Aring と変化したこれまで電子が高密度に含まれ

た分子バネは電子を出し入れすることでその振る舞いが

変化することが理論上予想されていたがこのように電子

を多量に含む分子バネの合成は難しく実験的にも証明さ

れていなかった硬さの変化というこれまで実現すること

27

PEN N

ovember

ができなかった応答をする分子バネの登場は応答性分子

の分野に新たなコンセプトをもたらすと注目される本研

究成果はJST 戦略的創造研究推進事業 発展研究 (ERATO-

SORST)「分子プログラミングによる電子ナノ空間の創成

と応用」の一環として行われたものhttpwwwrikenjpr-worldinforeleasepress2010101115

indexhtml

【自己組織化基質選択的会合】分子間の特異的な相互作用による新規材料集積法を開発 分子が好みの分子を見分けて接着 (201011 15)大阪大学科学技術振興機構(JST)

近年分子認識を利用して分子と分子を非共有結合でつな

げることによりさまざまな超分子錯体が合成されさらに

これらを自己集合させる研究が行われているこれらの研

究において形成される集合体は分子の大きさであるナノ

メートルからマイクロメートルの極めて小さなもので高

倍率の顕微鏡を使わなければ見えない分子認識に基づい

て手軽に使えるくらいの大きな自己組織体を作り出すこと

はナノテクノロジー分野において分子を自己組織化さ

せて機能性材料を創製する上で重要な課題であった大阪

大学の研究グループはホスト分子としてシクロデキスト

リンをゲスト分子としてシクロデキストリンが結合する

化合物を用いてそのホスト-ゲスト相互作用を利用して

多様な自己組織化超分子ポリマーの構造体を作りマクロ

スケールで機能を発現させる研究を進めている今回D

NAやタンパク質の分子量決定に広く用いられるアクリル

アミドゲルを土台にしてこのゲルにシクロデキストリン

とゲスト分子をそれぞれ別々に導入し「ホストゲル」と

「ゲストゲル」を合成したこの両者を水中で振動させる

とゲルが接着する挙動が観察されミリメートルからセン

チメートルの大きさの物体を分子認識により自己集積でき

ることを世界で初めて実証したさらにシクロデキストリ

ンとゲスト分子との相互作用の強さの違いによって選択的

に特定のゲル同士を接着させることができることがわかっ

httpwwwjstgojpprannounce20101115indexhtml

【ブタノール分離膜】バイオブタノールの省エネルギー型膜分離精製技術を開発1 wt ブタノール水溶液から80 wt 以上の高濃度ブタノールの回収が可能 (201011 15)産総研

産総研は1 wt 程度の希薄なブタノール水溶液からゼ

オライト系分離膜を用いて 80 wt 以上に濃縮したブタ

ノールを回収できる省エネルギー型のバイオブタノール精

製技術を開発した ブタノールはエタノールと比較して

発熱量が大きいことから地球温暖化対策に貢献できる再

生可能なバイオ液体燃料すなわちポストバイオエタノー

ルとして期待されている今回合成条件の最適化を進め

高いアルコール選択透過性をもつシリカライト分離膜を合

成し膜分離法によって低濃度ブタノール水溶液から高

濃度ブタノールの回収が可能となった従来の分離膜を用

いた場合に比べてブタノール回収のためのエネルギーを

50 ~ 70 程度低減できることが期待される httpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101113

pr20101113html

【分子生物学】 化学合成したペプチドからウイルスの殻構造を組み上げることに成功 新規ナノ材料や医療材料としての応用に期待 (201011 12) 九州大学北九州市立大学

共同研究グループは化学合成したペプチドから約 40 ナ

ノメートルのウイルスの殻構造を組み上げることに世界で

初めて成功した球状の植物ウイルスから遺伝子を除いた

キャプシド構造と呼ばれる殻構造は決まった大きさのナ

ノ空間であることからナノ物質の反応器や運び手として

利用する研究が国内外で盛んに行われているしかしこ

れまでウイルスのキャプシド構造を得るにはウイルス

の遺伝子をバクテリア内に導入して生産させる必要があっ

た本研究では遺伝子やバクテリアを用いない完全化学

合成によってウイルスキャプシドを構築することに成功

した今回ウイルスの殻構造を簡単なペプチドから構築

できたことで様々な機能性ウイルスキャプシドを人工的

に創成する道が拓けたと言えるこのペプチドからなるナ

ノカプセルに適切な化学修飾を施すことによりナノ物質

合成のための反応器や医薬品の運び手人工ワクチンを

創成するための足場材料として応用できるものと期待され

るhttpwwwkyushu-uacjppressrelease20102010-11-12-04pdf

【レアメタル】レアメタル使用量削減技術の実用化を加速(20101110)新エネルギー産業技術総合開発機構 (NEDO)

NEDO はレアアース総合対策の一環として企業が取り

組むレアメタル使用量削減技術の実用化を加速するための

助成事業(事業規模約 100 億円)を 2010 年度補正予算

の成立を前提に行うこの助成事業では短期間で実用化

が期待できる以下の技術開発を対象として①レアメタル

28

PEN

Nov

embe

r を代替する材料の技術開発 ②レアメタルの使用量を削

減する技術開発 ③レアメタルのリサイクルを促進する

技術開発 ④その他のレアメタル消費の削減に資する技

術開発を行うhttpapp3infocnedogojpinformationskoubopressEFnedopre

ss2010-11-068550095069

【導波路型光スイッチ】光スイッチの消費電力を従来の 2 分の 1 に低減 増え続けるネットワーク機器の消費電力問題を解決 (201011 09)( 株 ) 富士通研究所

同社はシリコンフォトニクス技術を適用した導波路型光

スイッチについて世界で初めてシリコンゲルマニウム

(SiGe)細線構造を用いることで従来のシリコン細線構

造に比べて消費電力を約 2 分の 1 に低減することに成

功した幅広い波長に対応して高速に動作できるタイプの

光スイッチ素子としては世界最小の消費電力を実現して

いるhttpprfujitsucomjpnews2010119html

【ナノ構造機能】昆虫が足を擦る秘密をナノテクノロジーで解明 生体模倣による新しい材料機能の開発に活用 (201011 09)物質材料研究機構マックスプランク研究所キール大

共同研究チームは環境問題で循環型社会実現に求められる

「接着と分離」を繰り返せる未来の接合技術の開発研究に

おいてガラスのような平坦な表面を逆さまでも歩行でき

る昆虫の足の裏の優れた接着性に着目し昆虫(ハムシ)

の歩行調査を行いナノテクノロジーを用いた実験により

昆虫が摩擦により汚れを感じていることを突き止めた

httpwwwnimsgojpnewspress201011p201011090html

【超音波流量計半導体プロセス】極微量な流量を精密に測定できる超音波流量計を開発 半導体製造装置の性能を向上させ環境負荷を低減しランニングコストを削減 (201011 09)産総研( 株 ) アツデン東京計装 ( 株 )

3 者は共同で10 mLmin( 誤差plusmn 01 mLmin) 以下の極

微量な流量を精密に測定できる超音波流量計を開発した

この流量計は超音波ガイド波の伝搬に関する基礎理論の

見直しを行い超音波を高周波化し設計を最適化するこ

とにより開発したものでこれまでの超音波流量計では計

測できなかった微小な流速領域での流量測定ができるこ

の超音波流量計は半導体製造装置で利用される薬液の高

精度な制御を可能にし半導体製造装置の高性能化環境

負荷の低減ランニングコスト削減へ貢献すると期待され

る httpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101109

pr20101109html

【研究交流】中国上海における国際交流事業の実施同済大学と大学間学術交流協定を締結 (201011 08)大阪大学

10 月 21 日上海において開催した上海教育研究センター

開所式記念講演会祝賀会には鷲田清一総長をはじめ

とする大阪大学教職員中国の学術交流協定校関係者大

阪大学同窓会会員など約 130 人が列席し盛況の内に終

了した翌 22 日23 日には第 15 回大阪大学上海交

通大学学術交流セミナーが上海交通大学情報ネットワーク

センターを主会場として開催され7つの研究会に約 100

人が参加したさらに 23 日と 24 日の両日上海東亜展

覧館を会場に開催された中国国際教育展に大阪大学のブー

スを出展し100 人を超える留学相談者が本学のブースを

訪れた翌 10 月 22 日鷲田清一総長は上海市内にある

同済大学を訪問裴学長陳副学長ほか大学関係者と懇談

するとともに大学間学術交流協定及び学生交流覚書の調

印式に臨んだこれにより中国の大学との 10 番目の協定

が成立したhttpwwwosaka-uacjpjanewstopics20101120101108_1

httpwwwosaka-uacjpjanewstopics20101120101108_2

【高耐久性セラミック】激しい熱変化にも強度劣化しない窒化ケイ素系セラミックスを開発 窒化ホウ素の微粒子を分散させ耐熱衝撃性を飛躍的に向上 (201011 08)産総研三井金属鉱業(株)

両者は共同で従来品に比べて耐熱衝撃性と高温での強度

を飛躍的に高めた窒化ケイ素系セラミックスを開発した

今回窒化ケイ素(Si3N4)をベースとして高い熱伝導

率をもつ粒界相を形成させるとともにそこに非晶質に近

い窒化ホウ素のナノメートルオーダーの微粒子を分散させ

ることで耐熱衝撃性を飛躍的に向上させた従来の窒化

ケイ素が 1000 の温度差で強度が低下するのに対して

今回の開発材は電気炉で 1400 に加熱した後水中に投

下することを 10 回繰り返してもほとんど強度が劣化しな

かったまたこの開発材について大気中 1200 で高温

29

PEN N

ovember

曲げ試験を行ったところ室温と同程度の強度を保持して

いたセラミックスでは大型化すると小試験片では得られ

た特性が得られず実用化を進める上での課題になること

が多いがこの開発材では焼結条件を最適化することに

よって直径 82 mm 長さ 370 mm の比較的大型の部品で

も試験片と同様の組織物性が得られたまた実際の

製品形状に近い部品の焼成も可能となったhttpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101108

pr20101108html

【ミリ波発信器】ミリ波帯無線通信の実用化にめど 世界最高性能の低雑音局部発振器を開発 (201011 08)東京工業大学

東工大の研究グループは雑音を従来の 100 分の1以下

に低減したミリ波帯局部発振器を開発した20GHz 帯の

発振器と 60GHz 帯の注入同期型直交局部発振器を組み合

わせることにより世界最高の低位相雑音性能を達成した

無線通信の周波数帯ひっ迫を解消する技術として 60GHz

ミリ波帯の利用が注目されているがミリ波帯ではコイル

やコンデンサの損失が大きくなり位相雑音特性が劣化す

るのがネックだった今回はこれを解決したものでミ

リ波無線通信の実用化につながる成果発振器は 65 ナノ

メートルのシリコン CMOS プロセスを利用して試作した

580GHz から 636GHz の周波数範囲で 4 相正弦波出力が

可能でこの発振器により10Gbps(毎秒 100 億ビット)

以上の超高速ミリ波帯無線通信の実現が期待されるh t t p w w w o l d t i t e c h a c j p t o k y o - t e c h - i n - t h e - n e w s j

archives2010111289174400html

【炭素繊維応用】住宅向け外装材「炭素繊維補強サイディング」の本格展開について 優れた強度と耐熱寸法安定性で 15 年の基材保証を実現 (20101105)東レ ACE(株)

東レの子会社東レ ACE は炭素繊維で補強した窯業系サ

イディングを開発し本格販売と市場展開を開始する「炭

素繊維補強サイディング」はセメント質原料に炭素繊維

を添加配合して成型固着させた建物外壁用のセメントボー

ドで従来の窯業系サイディングの優れた防耐火性耐久

性等を維持しつつ更なる強度補強効果や火災高温時の

変形や熱収縮によるひび割れの抑制など耐熱寸法安定性

も向上させることで基材 15 年保証を実現する 本製品

に使用している炭素繊維は軽くて強く優れた高温特性や

耐熱性を有し非常に細い繊維を多く配合できることから

外装材としての強度補強効果も期待できるとしている

httpwwwtoraycojpnewsaffilnr101105html

【光ファイバーナノインプリント】ナノ格子反射防止表面光ファイバー先端に形成ナノ技術で安く製作 (20101105)東北大学

東北大の研究グループは微小な窪みが多数形成された反

射防止構造体を光ファイバーの先端に製作する技術を開発

した光ファイバーは光通信や光分析装置の構成部品とし

て使われており光源受光素子やレンズなどの光部品と

の接続損失を減らすために先端に反射防止膜が形成され

ている従来の反射防止膜は真空装置を使って薄膜を付け

るためコストが問題であった研究グループはナノイン

プリント技術を用いて光ファイバー先端のコア部に 270

ナノメートル間隔で微小な円錐状の窪みを形成し反射損

失を低減することに成功したナノインプリント技術は

基板に塗布したポリマーに原版を押し付けて微細パターン

を転写する技術で高価な露光装置や真空装置が不要なた

めナノ構造を安価に製作することができる今回光ファ

イバー先端にナノ構造を製作するために専用のナノインプ

リント装置を開発した窪みの間隔が光の波長よりも小さ

い場合屈折率が変化し反射波が生じにくくなる反射

率や波長帯域は窪みの形状間隔や高さで決まり従来

の反射防止膜よりも設計の自由度が高いため要求に合わ

せて種々の反射防止表面を製作することが可能 httpwwwtohokuacjpjapanese201011press20101105-2

html

【人工筋肉機能材料】光を運動エネルギーに変える新高分子素材の開発に成功 世界で初めて分子を大面積で 3 次元的に配列させ新機能を実現 (20101105)理化学研究所

光で変形したり電子を流すなどの機能を持った分子を人工

的に規則正しく大面積で集積することができると機能性

材料の性能向上や革新的新機能の発現につながるそのた

め世界中で精力的に開発が行われているがこれまで実現

させた例はなかった理化学研究所の研究グループは光

で構造が変化するアゾベンゼン分子を組み込んだブラシ状

の高分子「ポリマーブラシ」を大面積で 3 次元的に一挙

に配列させる手法の開発に初めて成功したこの規則性の

ある 3 次元集積構造は延伸したテフロンシートにポリ

マーブラシを挟み込みアイロンに似た熱と圧力を加える

といういたって簡単な操作で実現したさらにこのフィ

30

PEN

Nov

embe

r ルムに光を当てるとアゾベンゼン分子の構造変化が一方

向に集約しフィルムが湾曲するという巨視的変形を引き

起こすことを見いだしたすなわちこの新しいフィルム

は光エネルギーを運動エネルギーに変換する機能を持って

おり新たな人工筋肉材料などへの展開が期待されるま

た本技術は有機薄膜太陽電池をはじめとする次世代の機

能材料の開発にも革新をもたらすと期待されるhttpwwwrikenjpr-worldinforeleasepress2010101105

indexhtml

【リチウムイオン電池正極材料】常温プロセスで全固体薄膜リチウムイオン電池の試作に成功 エアロゾルデポジション法による蓄電池製造の新工法開発を本格化 (2010115)産総研

産総研はトヨタ自動車 ( 株 ) と共同で産総研が開発し

たセラミックス材料の常温高速コーティングプロセスであ

るエアロゾルデポジション (AD) 法を用いて酸化物系の

正極材料負極材料固体電解質材料を薄膜積層化して

金属基板上に 3 層構造からなる全固体薄膜リチウム (Li) イ

オン電池を試作蓄電池としての充放電特性を世界で初め

て確認した 従来型の薄膜技術とは異なりAD 法を用い

ると基板の加熱が不要でまた厚膜化も容易であるそ

のため成膜時間が大幅に短縮でき蓄電池の生産性向上

やプロセスコストの大幅な低減が期待される今後は AD

法を用いた本格的な全固体電池の共同開発を進めていく httpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101105

pr20101105html

【記録デバイススピントルク素子】次世代超高密度 HDD に向けたマイクロ波アシスト記録の基本技術を開発 磁気ヘッドに搭載可能なスピントルク素子を用いた磁気情報の書き換えを確認 (2010115)新エネルギー産業技術総合開発機構(NEDO)(株)日

立製作所

NEDO はハードディスク装置(HDD)の開発製造会社で

ある日立グローバルストレージテクノロジーズの協力を得

て従来の磁気記録方式の限界を超えHDD の記録密度

を飛躍的に伸ばす方式として期待されているマイクロ波ア

シスト磁気記録方式の基本技術を開発しその原理を実験

的に確認したマイクロ波アシスト記録では記録媒体の

小領域にマイクロ波帯の高周波磁界を加え磁気情報の書

き込みを容易にする今回開発したのはヘッドに搭載可

能な高周波磁界を発生するスピントルク発振素子でこの

素子を用いて記録媒体上に磁気情報を記録できることを実

験的に確認したこれまで外部のマイクロ波発生装置を

用いたマイクロ波アシスト効果の報告例はあったが今回

微細な発振素子を用いた磁気情報の記録を確認できたこと

により将来この素子を記録ヘッドに搭載しマイクロ波

アシスト記録を実用的に行える可能性が示されたhttpapp3infocnedogojpinformationskoubopressEFnedopre

ss2010-11-029718160145

【基礎科学物性】絶縁体が金属に変わる新原理の解明 超伝導素子や熱電変換素子の開発へ道(20101104)東北大学

東北大学原子分子材料科学高等研究機構の研究グループ

は高品質酸化物薄膜において電気が流れにくい絶縁体

状態から流れやすい金属状態への遷移機構を解明した材

料における電気の流れやすさは電気を流す担い手である

伝導キャリアが物質中にどれだけ含まれるか伝導キャリ

アがどれくらいスムーズに動きまわれるかによって決ま

るつまり伝導キャリアの濃度を増やしたり材料中で

伝導キャリアの動きを妨げる原因になるひずみや欠陥を少

なくすると電気はより流れやすくなる本研究では人

工宝石として知られるチタン酸ストロンチウム (SrTiO3)

の絶縁体を用い伝導電子を生み出すキャリア供給層を

SrTiO3 絶縁体間に挟み込んだ絶縁体層 キャリア供給層

絶縁体層の層状界面構造をもつ高品質超格子構造を作製す

ることで絶縁体層の体積を増加させると反対に電気が流

れやすい金属状態になる現象を発見した最新の電子顕微

鏡技術を用いた原子構造解析と電子状態の理論計算を駆使

して絶縁体を増加させると界面で結晶のひずみが少なく

なり高導電化することを解明した本研究が明らかにした

界面での結晶のひずみを制御することによって絶縁体を金

属状態へ変化できる現象は様々な材料でも普遍的に起こる

と考えられ絶縁体から金属へ変わる境目で性能が向上す

る新超伝導体や新熱電材料の開発に展開することが可能と

期待されるhttpwwwtohokuacjpjapanesenewimgpressimgtohokuuniv-

presspdf

【環状高分子】様々な環状高分子の自在な合成に成功 「かたち」に基づく機能開発に期待(2010112)東京工業大学

東工大の研究グループはこれまで困難とされてきた

種々の含環状高分子の選択的な合成に成功した同研究

グループで開発された単環状高分子合成プロセスである

31

PEN N

ovember

Electrostatic Self-Assembly and Covalent Fixation Process

と有機合成化学の新手法であるクリックケミストリー

を組み合わせることで様々な「かたち」の自在な構築

を達成した本手法の開発により近年注目を集めてい

る「かたち」に基づいた高分子物性の探索を加速させる

ものと期待されるhttp wwwo ld t i t e ch ac j p tokyo - t ech - in - the -news j

archives2010111288656000html

【異分野連携オープンイノベーションモデル】応用脳科学コンソーシアム 脳科学及びその周辺領域の学術知見を活用したオープンイノベーションモデルの研究活動を開始 異業種の民間企業と異分野の脳科学研究者が連携し事業性の高い研究テーマを推進 (2010111)アサヒビール(株)(株)NTT データ積水ハウス(株)

(株)竹中工務店帝人(株)凸版印刷(株)日産自動

車(株)(株)博報堂(株)NTT データ経営研究所

NTT データ経営研究所が日本神経科学学会の協力を得て

2010 年 10 月 1 日に創設した「応用脳科学コンソーシア

ム」においてそれぞれの事業活動に関連する独創性の

高い研究テーマについて複数の「応用脳科学 RampD 研究会」

を立ち上げるRampD 研究会では各 RampD 研究会を設置

した特別会員企業が各テーマに関連の深い脳科学及び

その関連領域の研究者を招聘し異業種である他の会員

企業とともに最新の研究知見を活用してオープンイノ

ベーションモデルの研究活動を実施する各社が設置す

る RampD 研究会は現時点で(1)おいしさの総合評価研究

会(アサヒビール)(2)ヘルスケア脳情報クラウド研究

会(NTT データ)(3)インタラクティブ住環境研究会(積

水ハウス株式会社)(4)コミュニケーション空間研究

会(竹中工務店)(5)メディアエンゲージメント研究

会(博報堂)この他の RampD 研究会については今後随

時応用脳科学コンソーシアムのウェブサイト httpwww

keieikencojpcan で公開予定

httpwwwnttdatacojprelease2010110101html

【レーザ技術基礎光物性】熱を加えずに結晶を柔らかくすることに成功 高強度テラヘルツ電磁パルスで分子ネットワーク操作が可能に 

(2010111)京都大学科学技術振興機構(JST)

京都大学はテラヘルツ電磁パルスと呼ばれる新しい光

を物質に照射することで1兆分の1秒の短い時間で結

晶中の分子を大振幅で揺さぶり熱平衡状態では実現で

きないような分子変位を実現することに世界で初めて成

功した実験結果は結晶が実効的にやわらかくなったこ

とを意味するものでさらに強いテラヘルツ電磁パルス

によって高効率で結晶を融解させることを示唆するこ

れは熱による反応を起こすことなく新しい分子間のネッ

トワークやたんぱく質などの巨大分子の立体配位を操作

できることを示しており化学合成における反応促進や

創薬における有機分子結晶の精製での活用が考えられる

今回の成果は JST 戦略的創造研究推進事業日本学術振

興会学術創成プロジェクト「動的相スイッチ機構を内在

する有機電子材料の開拓と非平衡物性科学への展開」お

よび京都大学グローバル COE プログラム「普遍性と創発

性から紡ぐ次世代物理学」によるものhttpwwwjstgojpprannounce20101101indexhtml

【高周波デバイス】透 明 な 高 周 波 デ バ イ ス 見 え な い ア ン テ ナ へ の 道

(20101028)物質材料研究機構太陽誘電(株)

両者は共同で透明な高周波デバイスを製造するための

基本技術である微細な金属配線と酸化物透明導電体から

なるハイブリッド構造を開発した本技術は不透明で

あるが高い伝導性を示す金属と透明ではあるが金属の

100 分の 1 程度の伝導率にとどまる酸化物透明導電体と

を組合せ両者の特性を相補的に活用することにより

透明でありかつ携帯電話をはじめとする無線デジタ

ル通信に用いられるギガヘルツ帯の高周波に対して高い

伝送特性を示す素子構造を実現した

httpwwwnimsgojpnewspress201010p201010280html

【エコ製品環境経営】COP10 に向けた環境配慮型製品技術の取り組み ポリ乳酸繊維 ldquo エコディア rdquo 使用商品の提供や連携事業「メッセナゴヤ 2010」への出展を通じ環境保全の取り組みを強化 (20101028)東レ ( 株 )

同社は10 月 11 日 ( 月 ) から 29 日 ( 金 ) に開催された

生物多様性条約第 10 回締約国会議 (COP10) に向けて

ポリ乳酸繊維 ldquo エコディア rdquo 使用商品の提供などを通じて

環境に配慮した運営に協力したまたCOP10 の連携事

業である環境エネルギーをテーマとした展示会「メッ

セナゴヤ 2010」に出展し環境に配慮した次世代自動車

や最先端航空機向けの先端材料を紹介した

httpwwwtoraycojpnewsfibernr101028html

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NEWS POD 著作権の関係で記事のタイトルと詳細内容は標記できませんので簡略に表示しています詳しい内容に関しては各新聞及び雑誌をご覧ください

ナノテクノロジー

研究開発最前線

20101122 日 刊 工 業 新 聞 News

ウェーブ 21

X 線レーザー

20101121 東京読売新聞

新潟ナノテク研究会

20101120 日本経済新聞

ナノテクとバイオ

20101120 下野新聞

バイオ起業

20101119 朝日新聞

ナノ粒子の構造制御

20101119 日刊工業新聞

水素原子観察

20101119 科学新聞

光ファイバー関連技術

20101119 科学新聞

希少金属対策

20101118 日刊工業新聞

熱電材料

20101117 日経速報ニュース

化学合成でナノ構造

20101117 日経産業新聞

つくばナノテク研究拠点への投資

20101117 日刊工業新聞

分子バネ

20101116 日経速報ニュース

ナノバイオ融合

20101116 日経産業新聞

フレンドオブアースのナノテク評

20101116 エコロジーエクスプレス

クラスターテクノロジー

20101112 産経新聞

実用化助成

20101111 日刊産業新聞

接着のメカニズム

20101110 日経産業新聞

電子材料

20101110 日経産業新聞

ナノ磁石

20101110 東京新聞

高分解能放射線検出器

20101110 化学工業日報

電池電極材料

20101108 日本経済新聞

食の安全性

20101108 日経エコロジー

ナノ磁石実用化

20101105 朝日新聞

ナノテク接着剤

20101105 日刊工業新聞

水素原子の観察

20101105 日刊工業新聞

補正予算案

20101105 科学新聞

ナノ磁石

20101104 日本経済新聞

ナノボーグ

20101104 日刊工業新聞

ITO 電極代替技術

20101104 鉄鋼新聞

レアアース代替材

20101103 日本経済新聞電子版

セクション

ナノ鉄磁

20101103 毎日新聞

有機トランジスタ

20101101 日 経 速 報 ニ ュ ー ス

アーカイブ

有機トランジスタ

20101101 日経産業新聞

ナノムービー

20101101 日経サイエンス

低燃費タイヤ

20101030 朝日新聞

筑波大生命科学研究拠点

20101030 茨城新聞

レアアース代替材

20101029 日経産業新聞

播磨地域

20101029 化学工業日報

ナノ粒子操作

20101029 科学新聞

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NEWS POD 著作権の関係で記事のタイトルと詳細内容は標記できませんので簡略に表示しています詳しい内容に関しては各新聞及び雑誌をご覧ください

中国新5カ年計画

20101028 日本経済新聞

高機能消臭素材

20101028 化学工業日報

環境規制等

終わりの科学

20101201 日経サイエンス

電気自動車の覇権

20101123 週刊エコノミスト

環境規制対応

20101122 日経産業新聞

温暖化ガス排出枠

20101122 日経産業新聞

ロス自動車ショー

20101119 日経産業新聞

EV と環境規制

20101119 朝日新聞

EV

20101119 東京新聞

環境と法規制

20101119 化学工業日報

トヨタとテスラ

20101118 読売新聞速報ニュー

CO2 排出量削減

20101118 日経産業新聞

カリフォルニア州環境規制と EV

20101112 日本経済新聞

環境規制

20101112 日本経済新聞

環境規制

20101112 日経産業新聞

米韓 FTA

20101112 朝日新聞

米韓 FTA

20101112 毎日新聞

顔料

20101112 化学工業日報

レアメタル供給規制

20101111 日本経済新聞

潮冷熱

20101110 日本経済新聞

レアアース生産と環境規制

20101108 ダウジョーンズ中国企

業ニュース

韓米FTA

20101101 中央日報

科学技術政策

競争的資金制度

20101122 日本経済新聞

科学技術関係補正予算案 

20101122 THE DOCTOR

韓国 KIST

20101121 朝鮮日報

科学技術政策

20101119 日本経済新聞電子版

セクション

科学技術政策

20101118 日本経済新聞

科学技術政策

20101118 日経産業新聞

女性研究者

20101117 日経速報ニュース

科学技術予算

20101114 東京読売新聞

トップ1論文

20101112 科学新聞

中国特許強国に

20101112 新華社ニュース

関経連と科学技術政策

20101110 産経新聞 

科学技術産業一体政策

20101109 日刊工業新聞

優れた論文の条件

20101105 毎日新聞

「焼け太り許さぬ」

20101102 朝日新聞

国の研究開発投資目標

20101029 日刊工業新聞

科技政策で提言

20101027 日経産業新聞

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科学への信頼に関する読者調査

20101201 日経サイエンス

「カップリング反応」アニメ化

20101110 朝日新聞東京読売

新聞他

科学と社会つなぐ人材

20101025 東京新聞

NEWS POD 

情報誌 PEN 購読のご案内PEN の継続的な購読をご希望の方は下記のメールアドレスまでお名前ご所属メールアドレスをご記入の上ご連絡ください登録配信は無料ですnano-penmaistgojp

PEN は原則月 1 回配信しますバックナンバーと PEN の前身【AIST-TOKYO ナノテク情報】をナノシステム研究部門ホームページにて公開しています httpunitaistgojpnrinano-planindexhtml

PEN は皆さまとの情報共有を目的としていますお持ちの情報で共有すべきものがあれば nano-penmaistgojp までお寄せ下さい

いただいた個人情報は産総研 個人情報保護方針(プライバシーポリシー)に基づき大切に管理し情報誌 PEN の運営と私達のイベントのご案内のみに使用させていただきます

科学技術コミュニケーション

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イベント案内

[産学連携研究開発]大阪大学ナノ理工学人材育成産学コンソーシアム 第 3 回ナノ理工学情報交流会場所大阪大学中之島センター 7 階 講義室 3(講師来訪)

   大阪大学東京オフィスサテライト教室

(遠隔講義配信)

   四日市商工会議所内サテライト教室

(遠隔講義配信)については調整中です

コンソーシアム HP にてご確認ください

   ナノテク社会人教育プログラムの開講をされてい

る場合遠隔講義配信に対応可能です事務局まで

ご連絡ください

日時2010 年 12 月 10 日(金)1330 ~ 1900 頃

主催大阪大学ナノ理工学人材育成産学コンソーシアム 

概要ナノ理工学人材育成産学コンソーシアムでは活動

の一環として産学連携のきっかけを提供すべく企業と

大学の双方からテーマに即した研究開発やトピックを紹介

し会員同士の意見交換と情報共有の促進をはかっていま

す第 3 回目となる今回は「光を用いたナノテクノロジー

の新展開」をテーマに開催しますプログラムなどの詳細

は下記の HP をご参照下さい

参加費コンソーシアム会員学生及び大阪大学教職員は

無料(コンソーシアム企業会員の場合社内から何名でも

無料で参加が可能です)

上記以外の方は資料作成費 1000 円が必要になります

参加登録氏名所属連絡先懇談会への出欠を記載の

上メールにて大阪大学ナノ理工学人材育成産学コンソー

シアム事務局(nano-consnanoscienceorjp)へお申込み

下さい

httpwwwnanoscienceorjp

[コミュニケーション]科学コミュニケーション研究会 第 1 回関西支部勉強会日時2010 年 12 月 2 日 1800 ~ 2000

場所京都大学 吉田泉殿

主催科学コミュニケーション研究会 関西支部有志

概要大阪教育大学科学教育センターの中矢史雄氏を講師

に招きオーストラリアの科学技術コミュニケーションに

ついてオーストラリア国立大学科学意識向上センター

での経験なども交えてお話いただきます定員は 25 名で

す事前申し込みが必要です

httpbitlybPmTP9

[展示会]セミコンジャパン 2010日時12 月 1 日~ 3 日

場所幕張メッセ

主催SEMI

概要国内外の最新のマイクロエレクトロニクス技術に関

する情報を入手することのできる世界最大の半導体製造装

置材料展です

httpwwwsemiconjapanorgjaindexhtm

[知財]アジア特許庁シンポジウム日時2010 年 12 月 3 日(金)930 ~ 1210

場所ホテル日航奈良 飛天の間

主催特許庁

概要日本中国韓国インドネシアマレーシアシ

ンガポールの特許庁幹部を招き各国の知財保護強化の取

組みやアジアにおける知財協力を紹介しますまたパ

ネルディスカッションを設けアジアにおける人材育成協

力の方向性について議論します

httpwwwintergroupjp~convasia

[人材育成]応用物理学会 人財育成シンポジウム -日本の危機を科学が救うそのためのリーダー育成を考える-日時2010 年 11 月 29 日(月)1000 ~ 1710

場所東京工業大学デジタル多目的ホール

主催応用物理学会

概要急速に進むグローバル化に対応のできる人材を育成

するための課題や応用物理学会が貢献することのできる

具体的な取り組みについて議論します

イベント案内へ掲載を希望される方は nano-penmaistgojp までご一報ください

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r h t t p w w w j s a p o r j p a c t i v i t i e s e d u c a t i o n

symppt2010symphtml 

[コミュニケーション]科学技術とメディアのより良い関係に向けて日時11 月 26 日 1815 ~ 2030

場所早稲田大学大隈小講堂

主催サイエンスメディアセンター(SMC)

概要英国オーストラリアのサイエンスメディアセ

ンターの関係者米国のサイエンスコミュニケータを交え

て研究者とメディアの有益な関係性構築に向けた取り組

みについて議論します参加費は無料同時通訳がつきま

httpsmc-japanorgp=403 

[異分野連携]医学領域と工学領域連携研究シンポジウム ‐ 未来を拓く医工連携 ‐日時2010 年 11 月 27 日(土)

場所山口大学医学部第 3 講義室

主催日本学術会議中国四国地区会議山口大学

概要がんの個別化医療をメインテーマにこれからの医

工連携のあり方について講演と議論を行います

httpwwwscjgojpjaeventpdf100-t-3pdf 

[人材育成]マイクロナノエンジニアリング シンポジウム ‐ イノベーションと人材育成 ‐日時2010 年 12 月 8 日(水)1300 ~ 1700

場所日本学術会議 講堂

主催日本学術会議 マイクロナノエンジニアリング分

科会日本機械学会 マイクロナノ工学専門会議

概要学際的分野であるマイクロナノエンジニアリング

は大学大学院における教育の整備関連する産業界

学術界での研究開発における分野融合的な取組みが不可欠

です本シンポジウムでは人材育成を軸とした課題につ

いて議論します

httpwwwscjgojpjaeventpdf100-s-3-1pdf

[ 博物館展示 ]自然に学ぶ ネイチャーテクノロジーとライフスタイル展開催中です

場所国立科学博物館 (東京上野公園)

日時2010 年 10 月 26 日~ 2010 年 2 月 11 日

主催東北大学大学院環境科学研究科国立科学博物館

特定非営利活動法人ものづくり生命文明機構

概要蝶や鳥など生き物や自然の仕組みにヒントを得た環

境負荷の低い技術と将来的な応用の可能性から日本文化

に根差した共生型の新しいライフスタイルのあり方につい

て紹介します国立科学博物館の入館料600円が必要です

httpwwwkahakugojpevent201010natureindex

html

[人材育成]シンポジウム「世界を魅せる日本の課題解決型基礎研究~JST 目利き制度とその可能性」日時2010 年 12 月 6 日(月)1000-1800 (0900 受

付開始)

場所東京国際フォーラム B5 ホール

主催(独)科学技術振興機構(JST)

概要JST がこれまでに行ってきた戦略的創造研究推進

事業の成果を振り返りつつ今後の日本の科学技術の発

展に向けた事業のあり方について参加者の皆様と議論しま

httpwwwsenryaku30jstgojp 

[ 持続可能性 ]学術会議シンポジウム「低炭素化に向けた経済社会エネルギーのあり方と実現のシナリオ」日時2010 年 12 月 9 日(木)1330 ~ 1700

場所学術会議講堂

主催土木工学建築学委員会低炭素建築都市分科会

社会資本分科会

概要両分科会は中~超長期のエネルギー消費量削減シ

ナリオ策定に取り組んできました本シンポジウムでは

分科会の検討結果や削減のための様々な取り組みを紹介

し今後のとりまとめ作業に向けた議論を行います

httpwwwscjgojpjaeventpdf104-s-3-6pdf 

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PEN 編集室関谷瑞木阿多誠文独立行政法人産業技術総合研究所 ナノシステム研究部門 305-8568 つくば市梅園 1-1-1 産総研つくばセンター中央第 2 M404Email nano-penmaistgojpTel029-861-5185 Fax 029-861-5339

編集後記

今月 8 日に長野県長野市で開催された第 3 回国際ナノ

ワークショップ「ナノテクノロジーの社会受容~ナノ

材料の工業標準化の国際的な動向と環境影響について

~」の会場で多くの企業の皆様と意見交換をする貴

重な機会を得た目まぐるしい勢いで変わってゆく諸

外国の環境規制策の動向に民間企業の皆様が神経を

とがらせておられることがひしひしと感じられた東

京から新幹線で 1 時間半インターネットでリアルタ

イムに世界とつながることのできる時代とはいえ情

報物人が集積する地である東京とは異なる苦労も

あることもお聞きした美しい山々きれいな空気あ

るいは世界に誇る観光遺産と科学技術を結び付けて

地域振興をはかりたいとの頑張っておいでの方にもお

会いした

月刊という制約はあるもののこうした方々にとって

タイムリーで有用な情報を提供し続けたいと改めて

強く感じた

ちなみにPEN を発行しているつくば市の産総研つく

ばセンターへもつくばエクスプレスと路線バスを乗

り継いで都心からは約 1 時間半かかる

2010 年 11 月 25 日

PEN 編集室一同ウナギツカミ

Page 17: Public Engagement with Nano- PEN November …...5 PEN November 【知財】 中国、10年で特許強国に(2010.11.12) 中国国家知識産権局は11日に「全国特許事業発展戦略

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宝石という名前の虫

タマムシはタマムシ科の 4 センチメートルほどの甲虫です漢字では玉虫と書きます玉とは宝石のことで

その名のとおり赤い縦の線が走る虹色がかった緑色の金属光沢の美しい翅をもっています

法隆寺所蔵の国宝「玉虫厨子」を教科書などで見たことがある人も多いのではないでしょうか厨子は仏像な

どの礼拝の対象をしまう大切な入れ物のことです天平の世の人々がその大切な厨子の壁面を飾る細工の材料

にタマムシこそが相応しいと思ったのも納得できる美しい甲虫です残念ながら現在では玉虫厨子の壁面の

翅の多くは脱落してしまっていますが往時を再現した複製品から天平の時代の華やかな色が想像できます

タマムシは時代や洋の東西を問わず美しいと思われるようでベルギーにはその美しさに憑かれて宮殿の天

井を大量のタマムシの翅で飾った現代工芸家もいます

タマムシは厨子に使われた翅だけでなく腹部や脚触角なども緑色の光沢を放っていますまた美しい

翅が良くわかるような背面からの写真が多いので米粒型のすんなりした形のイメージが強いですが横から

見た体には以外と厚みがあります成虫は樹冠を飛び回り主にニレ科の広葉樹の葉を食べています幼虫は

カブトムシの幼虫に似た白いずんぐりしたイモムシで餌も葉ではなく木ですそのため害虫に分類されても

います

岐阜県高山市「茶の湯美術館」に玉虫厨子のレプリカが展示されています

httpwwwnakada-netjpchanoyutamamushi_zushihtmtamamushi 

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これを批准した結果日本は 1990 年を基準として 6の

温室効果ガス削減を国際的に約束した日本国憲法によれ

ば国際条約は守らなければならないことになっているの

で「チーム -6」などという運動が日本全国にできた

これの何が間違いだったのであろうか以下その根拠を説

明する尚現在の一次エネルギー源は 80以上が化石

燃料によるものであるからエネルギー消費と温室効果ガス

排出はほぼ同義語であるまた国内総生産(GDP) の増

大すなわち経済成長は社会の安定と国民の安心感を支え

る基本的な要素でありその減少は社会の不安定化をもた

らすため増大させることが必須である

日本は 1973 年の第一次石油危機で大きなダメージを受

けそれから「省エネルギー技術」の開発を血眼になって

推進したその結果図 1 に示すように日本は世界一の「省

エネ大国」になったのである図で縦軸は石油換算のエネ

ルギー消費量横軸は GDP をドル換算したもので1995

年のデータを示してある斜目の破線は一定の GDP を作

り出すのに必要なエネルギー量をトン単位で示しており

これが小さいほどエネルギー効率のいい社会であるつま

り使用エネルギーが少なくなるか同じエネルギーを使っ

ても生産額が多くなればエネルギー効率は良くなる

 エネルギー効率=使用エネルギー生産額(GDP)

図から明らかなように日本は 1995 年時点でも既に世

界で一番エネルギー効率の良い国だったのであるドイツ

フランスイタリアなどは日本の 15 倍イギリスは 2 倍

アメリカが 3 倍中国やロシアに至っては何と 10 倍以上

のエネルギーを浪費しているということが一目瞭然であ

る日本がこのようなエネルギー効率の良い状態から更に

エネルギー消費を減らすなどと言うことは被虐趣味以外

の何物でもないちなみに図 1 は小生が京都議定書を見て

「これは誤りである」と確信し直ぐに作成したものであり

13 年前には既に分っていたことである

それでは日本は何を主張すれば良かったのか賢明な読

者は図 1 を見れば直ぐに考え付くであろうそう「世界

の皆さん今後 10 年間でエネルギー効率を高くする努力

をし現在の日本並みとまでいかなくても少なくとも近

付く努力をしてください」と主張すべきだったのだこれ

なら発展途上国も経済発展を保障されるから合意できたで

あろうし何よりも日本の「省エネ技術」を世界標準とし

て輸出可能であったろう昨年中華人民共和国(中国)が

出した指標はまさにこのような考えに基づいたものであろ

うどこかの国の首相が温室効果ガス排出量(=エネル

ギー消費量)の 25の削減を持ち出したのに対し「中国

はエネルギー効率(=使用エネルギー生産額)を 40

向上させる」と主張した図1から見ても彼等は 1995 年

の日本の水準に追いつくだけで 90の削減が可能であり

40などというのは非常に容易な達成目標であることは

明らかであるまさに国際条約を締結する上での基本的

な事項である「自国の利益を最優先する」という原理原

則にも合致している流石は厳しい歴史を体験してきた国

京都議定書が提案されてから既に 10 年以上経過した今

更と思われる方もおられるかも知れないが現在の日本が

抱える様々な矛盾の出発点の一つが京都議定書であると考

えざるを得ない以上ここで改めてその問題点を明らかに

したい環境省のホームページに掲載されている京都議定

書の内容は以下のとおりである

(httpwwwenvgojpearthcop63-2html)

ポイント先進国の温室効果ガス排出量について法的拘束力

 のある数値目標を各国毎に設定

国際的に協調して目標を達成するための仕組みを

 導入(排出量取引クリーン開発メカニズム共同

 実施など)

途上国に対しては数値目標などの新たな義務は導

 入せず

寄稿京都議定書で日本は何を主張すべきであったか東洋大学大学院学際融合科学研究科 教授 和田恭雄

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は違うなどと感心してはいられない

今からでも遅くない「2010 年を基準としてエネルギー

効率の向上を図る」ことを国際的な合意目標に切り替え

るべきである無論為替レートは 2010 年現在の 1 ド

ル= 80 円程度に固定して比較すべきである現在の円

高を考えれば分母が大きくなることが日本の利益につ

ながるからだ国際条約においては「被虐趣味」は最低

の選択であることを忘れてはならない「率先垂範」など

と言う言葉は国際社会では通用しない無論表面上は大

いに賞賛されようが腹の底で「カモが来た」と思われ

食い物にされるだけである他人から褒められるために

自らの競争力を放棄するようなことは止めるべきである

京都議定書を他山の石としてナノテクノロジーの世界

でも「自らの強みを世界の標準にする」という基本的な

姿勢を取るべきであるのは当然のことであるdarr

darr 世界各国のエネルギー消費量と総生産の比較図右下

に行くほどエネルギー効率が高く同じ GDP を創り出す

のに温室効果ガスの排出量が少ないということを示す

日本は 1995 年当時既に世界一の「省エネ大国」であり

西ヨーロッパの 15 倍米国の 3 倍ロシアなどよりも

10 倍以上効率の良い経済体制になっていたことが分か

る世界中の国が日本を手本にすれば温室効果ガスの排

出量を減らしつつ経済成長が可能になり即ち皆がハッ

ピーになれることを示すことができるばかりでなく日

本の省エネ技術を世界標準にすることも主張できる根拠

となる

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日本では21 世の始まりと共に科学技術政策に基づ

いてナノテクノロジーの研究開発への戦略的投資が開始

された2001 年度からの第 2 期科学技術基本計画と

2006 年度からの第 3 期科学技術基本計画の都合 10 年

間にわたる優先的戦略的な研究開発の資源の投入も余

すところ4ヶ月となった

21 世紀を担うと期待されたナノテクノロジーには研

究開発側から社会への一方的な応用があたりまえであっ

たこれまでの科学技術とは異なる研究開発の方法論が導

入されたコア技術の研究開発と並行してその技術の社

会的影響を検討しそれをさらにコア技術の研究開発に

フィードバックするという新しい研究開発の方法論であ

る [1]ナノテクノロジーの社会的影響にとって最も重

要で緊急の課題がナノ材料の環境健康影響安全 (EHS)

の課題であった技術の社会的影響を検討しながら進め

られているナノテクノロジーの研究開発がうまくいくか

どうかこのことがナノテクノロジーに続く今後の新興

の科学技術の研究開発のあり方に大きな影響を与えるこ

とになる社会的影響をフィードバックしながら進める

責任ある研究開発がはじめて試みられた日本のナノテク

ノロジーがこれまで 10 年間にわたって戦略的研究開発

投資を続けてきた現在どのような状況にあるのか今回

の特集ではそれを俯瞰的に解析する

まず国内の全ての新聞と雑誌に掲載されたナノテクノ

ロジー関連記事の数を統計的指標としてナノテクノロ

ジーの研究開発に対して日本の社会がどの程度の関心を

示しているのか評価することを試みる図1に日本

のメディアに掲載されたナノテクノロジー関連の記事の

年推移を示すグラフから明らかなようにナノテクノ

ロジーへの戦略的研究開発投資が始まった 2001 年まで

日本のメディアはほとんどナノテクノロジーを取り上げ

ていないただこれは日本にナノテクノロジーの萌芽

的研究開発がなかったということではない

一例をあげるなら工業技術院は産業科学技術研究開発

制度の一環として新エネルギー産業技術総合開発機

構(NEDO)の委託により原子分子極限操作技術の研

究開発プロジェクトを展開した1992 年から 10 年間に

わたり分子原子をボトムアップ的に集積する研究開発

を進めたこのプロジェクトは技術研究組合オングスト

ロームテクノロジー研究機構(ATP)と呼ばれたさらに

ATP と産業技術融合領域研究所は同研究所内にアトム

テクノロジー研究体(JRCAT)を設置して産官学の共同

研究プロジェクトを推進した折しも日本は 1990 年の

バブル経済の崩壊後失われた 10 年と称される経済の停

滞に苦しんでいたまだナノテクノロジーに対する期待

は高まってはいなかったが日本のナノテクノロジーは

着実に萌芽的研究開発を進めていた困難な経済のなか

で日本のナノテクノロジーはその萌芽に向けた着実な

準備をしていたといえるのだがこのような地道な研究

開発が進められていた点はこの統計からは見えにくい

0

500

1000

1500

2000

2500

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1990

1991

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2001

2002

2003

2004

2005

2006

2007

2008

2009

図 1

特集

10 年におよぶナノテクノロジー研究成果の発展的継承を 

21

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2001 年度から戦略的な究開発投資が開始されると同時

にナノテクノロジーへの関心は急速に増していった

わずか 2 年後の 2003 年にはその期待は極みに達して

いる上述したとおり我々はこの統計で縦軸をナノテ

クノロジーに対する社会の関心と見なしておりこれは

David M Berube 氏が示した典型的な Hype 曲線の縦軸

「Visibility」と同義とみなせる [2]その類似性を図 2 に

示す

図 2

日本では Nano-Hype と呼べるピークが高性能瞬間湯

沸器よろしく戦略的研究開発投資が開始されたわず

か 2 年後の 2003 年に出現しているのであるまたJ

Fenn らはこのようなピークを図 3 に示すようにイノ

ベーションのハイプサイクルにおける rdquoPeak of Inflated

Expectationsrdquo と表現している [3]

Exp

ect

atio

ns

Time

InnovationTrigger

Trough ofDisillusionment

Slope ofEnlightenment

Plateau ofProductivity

Peak of InflatedExpectations

図 3

この時期はナノテクノロジーの将来価値への大きな期

待の反面研究開発の実態は希薄である実体の伴わな

い過剰な期待を理由に「一部の有力な科学者や政策担当

者がこのような Hype の状況を意図的に作りだした」と非

難する論調もある確かに Nano-Hype はナノテクノロジー

の将来価値への期待が研究開発の実態を上回る状況では

あるがナノテクノロジーに対する社会の関心や期待を

喚起しその期待を背景にナノテクノロジーへの研究開

発投資が漸次増加していったことも事実であるまたナ

ノテクノロジーの事をもっと知りたいという知的欲求も

刺激されそれに応えるためにいくつかの大学ではサイ

エンスコミュニケータやサイエンスインタープリタサ

イエンスジャーナリストの養成講座等が開設されたさ

らに今日年間 2000 回以上のサイエンスカフェが全国各

地で開かれるなどナノテクノロジーのような新興の科

学技術のパブリックエンゲージメントの活動の契機にも

なったNano-Hype と呼ばれる状況がそのような様々

なプラスの効果を日本にもたらしたことも忘れてはなら

2003年

2010年

2003年

22

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Nov

embe

r ない点である

実体の伴わない過剰な期待が徐々に覚めていく Negative-

Hype の状況はHype が極みに達した 2003 年直後の

2004 年から 2007 年にかけて顕著に現れてくる依然

として政府のナノテクノロジー材料領域への研究開発

投資が伸びるなかメディアがナノテクノロジーを取り

上げる頻度は急速に下がり社会の関心は冷めていった

過剰な期待が冷静さを取り戻していく Negative-Hype は

必然であるとしても注目しておかなければならない大

事な点は Negative-Hype がいつ止むかいつ底を打つの

かである図 1 から明らかなように2004 年以降 2007

年まで急速に下降しているものの2008 年から 2009 年

と明らかに Negative-Hype は底を打っている

上述の J Fenn らは新しいハイプサイクルの縦軸の評価尺

度を議論しているのだが図 4 に示すようにハイプサイ

クルのプロフィールが二つの要素からなることを示して

いる [4]この指標を採用すると今年 2010 年の日本の

ナノテクノロジーはHype が終わりエンジニアリング

またはビジネスが徐々にその成熟度を増していくちょ

うどその過渡期にあるとみてよい今後ナノテクノロジー

がITエネルギー環境ライフサイエンスといった様々

な技術分野の基盤技術としてその実用化に貢献していく

現在はちょうどその転換点にあるそのプロセスを確実

に進めていくには中長期的な一貫した科学技術政策に

よりナノテクノロジーの基礎的な研究開発を継続的に

推し進めていくことが肝要である

図 4

そして10 年に及ぶ科学技術政策に基づいたナノテク

ノロジーの戦略的研究開発投資の成果を応用実用化

へ確実につなげていくために取り組まなければならない

もっとも重要な課題が包括的で実態のあるナノテクノ

ロジーのパブリックエンゲージメントの活動である昨

今ナノテクノロジーの研究開発と並行して社会受容

パブリックエンゲージメントの活動の重要性が指摘され

るようになってきたしかしこの課題に関する解釈は

依然としてまとまりを欠いているだけでなく「こういっ

た課題への取り組みが大事である」といったことが最後

の部分に申しわけ程度に記述されている例も多々見受け

られる取り組んでいるという既成事実のために実体の

伴わないパブリックエンゲージメントの活動が進められ

ると将来的にナノテクノロジーへの信頼も失墜しかね

ない多様な課題を含む社会受容パブリックエンゲー

ジメントの活動には包括的な視点で具体的実践的に取

り組んでいく必要がある

ReferenceRoco M C amp Bainbridge W S 2001 ldquoSocietal

Implications of Nanoscience and Nanotechnologyrdquo

Kluwer Academic Publishers

Berube M B amp Roco M C(FRW) 2005 ldquoNano-Hype

The truth behind the nanotechnology buzzrdquo Prometheus

Books

イノベーションのハイプサイクル

「Mastering the Hype Cycle」J Fenn M Raskino

Harvard Business Press 2008

M Raskino J Fenn IT Management(ITM) ITM-09-

37 Research Note 2010 年 2 月 9 日

23

PEN N

ovember

【CO2 排出量】世 界 的 な 金 融 危 機 に も か か わ ら ず2009 年 の 化 石 燃料 由 来 の 二 酸 化 炭 素 排 出 量 の 減 少 は 小 幅 に と ど ま る

(20101122)国立環境研究所(国環研)

国環研はグローバルカーボンプロジェクト (GCP) が 11

月 22 日の Nature Geoscience 誌の電子版に調査結果を発

表すると速報したその内容は世界金融危機の経済的

影響にも関わらず2009 年における世界の化石燃料由来

の二酸化炭素排出削減量が予測値である 28を下回り

前年比 13にとどまったことで同じく GDP の減少も予

測値を下回っている

httpwwwniesgojpwhatsnew20102010112220101122html

【量子コンピューティング】量子コンピュータ実現への障壁を緩和する誤り耐性方式を開発 (20101124)日本電信電話(株)京都大学

量子コンピュータに必須な量子ゲートは確実に正しい演

算をすることはなくある程度の誤り確率をもつため量

子コンピュータを実現するためには演算の誤り訂正を行

う技術の実現が必須となる演算の誤り訂正を行うために

はある程度誤り確率の低い量子ゲートが必要であると考

えられてきたが今回共同研究チームは誤り確率が非常

に高い量子ゲートを用いても量子計算が可能となる誤り耐

性のある量子計算方式を世界で初めて示した

httpwwwnttcojpnews20101011101124ahtml

【光電変換】ナノギャップ光アンテナにより高効率化した有機超薄膜による光電変換 

(20101122)物質材料研究機構北海道大学

NIMS と北大の共同研究チームは有機超薄膜型の光電変

換分子素子において光吸収電子伝達といった必要な機

能をもつ部品を連結した分子から成る単分子超薄膜を原

子レベルで表面制御した平滑な金電極面と金ナノ粒子で挟

み込むことによってナノギャップ型の光アンテナを導入

することに成功したその結果光アンテナ 1 つあたりで

光誘起電子移動反応が約 50 倍の効率に高まることを実

証した

httpwwwnimsgojpnewspress201011p201011220html

【EV】シンガポール政府と電気自動車の普及に関する覚書を締結

(201011 19)三菱自動車(株)

MMC はシンガポール政府と電気自動車(EV)普及のため

の活動に協力する内容の協定を締結したことを発表した

今回の活動はシンガポールの経済開発庁が中心となり

同国のエネルギー市場監督庁陸上交通庁との間で EV タ

スクフォースを組成し同国の EV 普及を目的としたユー

ザー向け補助金制度や充電インフラ整備などの検証を行う

ものこの活動の中でMMC は CCA を通じ 2011 年より

順次『i-MiEV(アイミーブ)』25 台を供給し実証走行

試験に協力していくhttpwwwmitsubishi-motorscompublishpressrelease_jp

corporate2010newsdetail4407html

【リチウム二次電池】リチウム二次電池の量産化実証工場が竣工 年間生産能力6 万 6000kWh (201011 18)三菱重工業(株)

リチウム二次電池事業への本格参入に向け長崎造船所内

に建設していた同電池の量産化実証工場が17 日竣工し

た年間生産能力は 6 万 6000kWh中型電池換算で約

40 万個に相当する今後各種実証技術に取り組み早期

の本格的な商業量産につなげていくとしている

プレスリリースより

CUTTING-EDGE TECHNOLOGIES

24

PEN

Nov

embe

r httpwwwmhicojpnewsstory1011184999html

【基礎科学物質の起源】動きがのろい冷反水素原子を 38 個も磁気瓶に閉じ込める物質と反物質の違いを知る手がかりとなる冷反物質研究が新段階に (201011 18)物質材料研究機構(NIMS)

NIMS は欧州原子核研究所(CERN)の国際共同研究グルー

プに参加し反物質の代表格である反水素原子を独自に

開発した八重極磁気瓶の中に 38 個も閉じ込めることに世

界で初めて成功した反水素原子の原材料である反陽子(陽

子の反粒子)と陽電子(電子の反粒子)を八重極磁場コ

イルとミラーコイルを組み合わせた磁気瓶の中に蓄積し

そっと混ぜ合わせて冷たい反水素原子を大量に生成した

反水素原子は電気的に中性の小さな磁石なので反水素原

子ができあがったころ(約 1 秒後)を見計らって電圧を

加え残存している反陽子と陽電子をことごとく排除した

その後磁気瓶の磁場を瞬時にゼロにすると磁気瓶内に

とどまっていた反水素原子は装置の壁に当たって消滅し

パイ中間子などのさまざまな粒子を放出するこれらの粒

子を磁気瓶を包む 3 枚の検出器で観測した結果捕捉し

ていた反水素原子を 38 個も確認することができた後述

するように同内容は理化学研究所からもリリースされたhttpwwwrikenjpr-worldinforeleasepress2010101118

indexhtml

【超伝導】ピセンのカリウムドープに伴う電子構造変化の直接観測 

(201011 17)岡山大学

岡山大学の研究グループはピセンおよびカリウムドープ

ピセンの電子構造を実験的に観測する事に世界で初めて成

功したカリウムドープピセンは芳香族炭化水素における

初めての超電導体であるがカリウムドープピセンの超電

導メカニズムまた超電導を誘起する電子構造は解明され

ていない研究グループは光電子分光法を用いピセンのカ

リウムドープに伴う電子構造変化を直接的に観測した結

果ピセンのカリウムドープに伴う電子構造変化を観測

芳香族炭化水素超電導体の超電導メカニズム解明および新

規超電導体探索の指針になると期待されるhttpwwwokayama-unetrenkeidocumentpdfpressrelease

press-101117pdf

【慣性力発電】慣性力(振動)発電技術を商品化 国内最大手エース社のバッグに慣性力発電ユニットを搭載 (201011 17)伊藤忠商事(株)

米国 CIIIS 社の持つ慣性力発電(振動発電)技術を用いて

人体の運動による振動で発電する慣性力発電ユニットを開

発した国内鞄最大手のエース株式会社がこの慣性力発

電ユニットを搭載したバッグの販売を行う

httpwwwitochucojpjanews2010101117html

【生物多様性】多様性進化の背景に『甲状腺機能低下』 (201011 16)東北大学

生物多様性の喪失は現在急速に進んでおり多様性の進化

維持機構を解明することは世界的な課題である生物多様

性の創出は多くの場合新規環境に生き物が侵出すること

によって始まるが生物が新規環境へどのように適応して

行くのかその過程については多くが未解明である東北

大学の研究チームはこのたび新規環境への適応に甲状腺

ホルモンの進化が重要であることを発見したhttpwwwtohokuacjpjapanesenewimgpressimgtohokuuniv-

press_20101116pdf

【ナノ物性】ナノスケールの鉄磁石を電界でコントロール

(201011 01)千葉大学

磁石の N と S 極は磁界を用いることでコントロールでき

るが千葉大学の研究チームはナノスケールの鉄の磁石の

極性をエネルギーの要らない電界でコントロールできるこ

とを見出したhttpwwwchiba-uacjppublicitypresspdf201020101102nano

pdf

【SOFC 関連材料技術】 画期的な電解質材料の開発に成功 固体酸化物燃料電池の商用化に一歩前進 (201011 18 )物質材料研究機構(NIMS)

NIMS の研究グループは電解質材料に必要とされる三つ

の要件イオン伝導性化学的安定性焼結性のすべてを

高いレベルで満足する2種類の材料を開発することに成功

したひとつは10 のプラセオジムを含むイットリウム

添加ジルコン酸バリウム(BZPY)でもうひとつは酸

化ニッケル (NiO) とイットリウム添加ジルコン酸バリウム

25

PEN N

ovember

(BZY) の混合粉末を固めた基板上にプレス成形された BZI

であるhttpwwwnimsgojpnewspress201011201011180

p201011180pdf

【レアアース】微生物でレアアースの回収が可能に バクテリアがレアアースを濃縮する現象を発見 (201011 17)広島大学高エネルギー加速器研究機構高輝度光科学研

究センター

共同研究グループは微生物の細胞表面では微生物が存在

しない周囲部分に比べてレアアースを高濃度に濃縮する現

象を見出したまたレアアースの中でも特に希少価値の高

い元素が選択的に濃縮することを発見その濃縮メカニズ

ムを放射光を用いたX線吸収法により明らかにした

httpwwwkekjpjanewspress2010RareEarthElementshtml

【はやぶさ】はやぶさカプセル内の微粒子の起源が判明(201011 17)宇宙航空研究開発機構

「はやぶさ」のサンプルキャッチャー室から特殊形状のヘ

ラで採集された微粒子を走査型電子顕微鏡にて観察および

分析した結果1500 個程度の微粒子を岩石質と同定した

更にその分析結果を検討したところそのほぼ全てが地

球外物質であり小惑星イトカワ由来であると判断するに

至った

httpwwwjaxajppress20101120101117_sac_hayabusapdf

【超伝導基礎科学】超伝導のメカニズム解明に大きな手がかり ルテニウム酸化物の電子の運動状態を選択的に可視化することに成功 電子対を形成する「のり」の起源を初めて解明

(201011 17)広島大学産総研

1994 年に日本で発見されたルテニウム酸化物超伝導体は

ユニークな超伝導状態を示しこれまで数多くの研究が行

われてきたがいまだにその超伝導のメカニズムは謎のま

まであった超伝導が生じるためには電子と電子を「のり」

で結びつけ「電子対」にする必要がある共同研究グルー

プは放射光の直線偏光特性を活用するため放射光の光

軸のまわりに回転可能な高分解能角度分解光電子分光装置

を開発しルテニウム酸化物超伝導体の超伝導機構解明に

重要な手がかりをつかんだ研究グループが開発した新装

置を用いることによりルテニウム酸化物超伝導体の異な

る運動状態にある電子を選択的に分離しながら精密に分

析することが初めて可能となったその結果物質の電子対

を形成するための「のり」として結晶を作っている原子

の振動が重要な役割を果たしていることその「のり」が

どのくらい強く働いているのか等が明らかとなった httpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101117

pr20101117html

世界最高性能基準光源を開発 安定高精度高速の三拍子そろった光信号の発生に成功 (201011 15) 情報通信研究機構(NICT)国立天文台(NAOJ)

NICT と NAOJ はNICT 独自の高消光比変調技術を利用

し精度を保ったまま周波数範囲を拡大する構成を提案し

たNAOJ の安定度向上技術による制御機能を組み合わせ

ることで世界最高性能の基準信号発生装置を共同開発

し100 ギガヘルツを超える高速信号の長距離伝送を実現

した本装置の方式により従来技術の課題であった安定

性周波数範囲精度の問題を解決した安定性は 2 台の

レーザを用いる従来方式に比べて 10 倍以上を実現し信

号の乱れを 30 万年に 1 秒以下とすることに成功したま

た精度は従来型変調器と比較し 1000 倍以上周波数範

囲は 4 倍を達成したhttpwww2nictgojppubwhatsnewpressh22101115101115

html

【基礎科学レーザ分光】電子の氷を光で融かす一瞬を捉える 光が有機物質を変える瞬間の超高速スナップショット (201011 15)東北大学自然科学研究機構分子科学研究所科学技術振

興機構(JST)

共同研究グループは光の照射によって有機物質の色や

電気伝導度が大きく変化する光誘起相転移現象の最初の瞬

間を捉えることに成功した電場と磁場の振動である光の

振動の3周期分に匹敵する極めて短いパルス光をポンププ

ローブ分光によって二次元有機物質における電荷秩序の

融解のダイナミクスすなわちldquo 電子の氷 rdquo が光によっ

てどのように解け絶縁体から金属へと変化するのかと

いう問題を明らかにしたものこの成果 12 月初めには米

国物理学会誌 Physical Review Letters オンライン版で公開

予定

httpwwwjstgojpprannounce20101117-2indexhtml

【熱電材料】水を使って絶縁体から効率のよい熱電材料を作ることに成

26

PEN

Nov

embe

r 功 希少毒性金属を含まない安価簡便な熱電材料創製に新たな道 (201011 15)科学技術振興機構 (JST)名古屋大学

熱電材料は熱を電気に変換することができることからエ

ンジンの排熱を利用して発電するハイブリッド自動車など

への応用が期待されているが従来の熱電材料はビスマ

スアンチモン鉛テルルといった希少毒性金属など

を含む問題があったJST 課題解決型基礎研究の一環とし

て名古屋大学の研究グループは水の電気分解を利用し

安くてありふれた絶縁体酸化物表面を大きな熱電効果を示

す金属へ変えることに成功した大量に水を含んだ多孔質

ガラスを新規に開発しこの多孔質ガラスを金属チタンと

チタン酸ストロンチウムに挟んで電圧を加えると水の電

気分解によって絶縁体のはずのチタン酸ストロンチウムの

表面に厚さ 3 ナノメートル以下の極めて薄い金属チタン酸

ストロンチウムが生成した通常の金属チタン酸ストロン

チウムに対して 4~5 倍高い電圧を示すことから従来の

熱電材料の約 2 倍の熱電性能が期待できる

httpwwwjstgojpprannounce20101117indexhtml

【基礎科学物質の起源】国際研究チーム反水素原子を瓶の中に閉じこめることに成功(20101118)理化学研究所

8 か国からなる研究チームは欧州合同原子核研究機関

(CERN)の装置を用いて加速器で反陽子と陽電子を作

成し磁場の中に閉じこめたのちに撹拌して反陽子と陽

電子1個ずつを結びつけ反水素原子を生成した反水素

生成後に余った反陽子と陽電子を取り除き反水素原子だ

けを特殊な瓶の中に封じ込めることに成功した計 38 個

の反水素原子が 02 秒間存在したことを確認反物質は

Dan Brown の小説「天使と悪魔」で非常に微量で爆発

を起こす材料として登場するしかし今回の手法では短

時間に消滅してしまい爆弾に使える量をためるのは不可

能だという17 日付の Nature Online 版に掲載

httpwwwrikenjpr-worldinforeleasepress2010101118 

【マックスウェルの悪魔実証】情報をエネルギーに変換することに成功 ldquo マックスウェルの悪魔 rdquo を実験により世界で初めて実現新規ナノデバイスの実現に期待 (201011 15)中央大学東京大学

微細加工技術とサブミクロンスケールのリアルタイム制御

システムを組み合わせ「マックスウェルの悪魔」と呼ば

れる科学史上の重要な概念を世界で初めて実験により実現

した これによって情報をエネルギーに変換できるこ

とを初めて示すとともに情報を媒介して駆動する新規ナ

ノデバイスの実現の可能性を示した マックスウェルの

悪魔は熱力学の根本に関わる概念でありこれを実現でき

た学問的意義は大きいまた科学者以外にもよく知られ

たテーマであり多くの人が興味を持つ話題でもある情

報を媒介して駆動する新規のナノデバイスを実現できる可

能性があり基礎的研究にとどまらずナノサイエンスで

の新しい制御法への応用が期待できるこの成果は 11 月

14 日に Nature Physics Online に公開された

Toyabe Sagawa Ueda Muneyuki and Sano

ldquoExperimental demonstration of information-to-energy

conversion and validation of the generalized Jarzynski

equalityrdquo

httpwwwsu-tokyoacjppresspress-2010-42html

詳細は中央大学 HPhttpwwwchuo-uacjpchuo-unewscontents_jhtmlsuffix=kampmo

de=topamptopics=12513

【基礎科学分子バネ】電子の出し入れで硬さが劇的に変わる分子バネを開発 たった 1 つの電子放出で分子全体の動きやすさが 450 倍も変化 (201011 15)理化学研究所科学技術振興機構(JST)

6 個の炭素原子が環状につながったベンゼン環は有機化

合物において最も基本的な構成ユニットの一つでありベ

ンゼン環をさまざまな形で結合させたものが盛んに研究さ

れてきたしかしベンゼン環を隣り合う炭素の位置で結

合させたオルトフェニレンは単純な構造でありながら合

成が難しいためこれまでほとんど研究がなされておらず

その性質は解明されていなかった理化学研究所の研究グ

ループはベンゼン環 48 個を隣り合った炭素の位置で結

合させたオルトフェニレンを世界で初めて合成したオル

トフェニレンは3 つのベンゼン環が 1 ピッチのらせんを

形成するバネ状の構造をしているがこのようなバネ状の

構造を持った分子はさまざまな機能を発揮するためエ

レクトロニクスや分子機械への応用の可能性が高まってい

る研究グループはこのバネ状分子から電子を 1 つ取

り去るとバネの硬さが劇的に増してらせんの反転速度が

約 450 分の 1 も遅くなることを突き止めたまたこの

1 個の電子の出し入れに応じてバネのピッチが 3263Aring か

ら 3224Aring と変化したこれまで電子が高密度に含まれ

た分子バネは電子を出し入れすることでその振る舞いが

変化することが理論上予想されていたがこのように電子

を多量に含む分子バネの合成は難しく実験的にも証明さ

れていなかった硬さの変化というこれまで実現すること

27

PEN N

ovember

ができなかった応答をする分子バネの登場は応答性分子

の分野に新たなコンセプトをもたらすと注目される本研

究成果はJST 戦略的創造研究推進事業 発展研究 (ERATO-

SORST)「分子プログラミングによる電子ナノ空間の創成

と応用」の一環として行われたものhttpwwwrikenjpr-worldinforeleasepress2010101115

indexhtml

【自己組織化基質選択的会合】分子間の特異的な相互作用による新規材料集積法を開発 分子が好みの分子を見分けて接着 (201011 15)大阪大学科学技術振興機構(JST)

近年分子認識を利用して分子と分子を非共有結合でつな

げることによりさまざまな超分子錯体が合成されさらに

これらを自己集合させる研究が行われているこれらの研

究において形成される集合体は分子の大きさであるナノ

メートルからマイクロメートルの極めて小さなもので高

倍率の顕微鏡を使わなければ見えない分子認識に基づい

て手軽に使えるくらいの大きな自己組織体を作り出すこと

はナノテクノロジー分野において分子を自己組織化さ

せて機能性材料を創製する上で重要な課題であった大阪

大学の研究グループはホスト分子としてシクロデキスト

リンをゲスト分子としてシクロデキストリンが結合する

化合物を用いてそのホスト-ゲスト相互作用を利用して

多様な自己組織化超分子ポリマーの構造体を作りマクロ

スケールで機能を発現させる研究を進めている今回D

NAやタンパク質の分子量決定に広く用いられるアクリル

アミドゲルを土台にしてこのゲルにシクロデキストリン

とゲスト分子をそれぞれ別々に導入し「ホストゲル」と

「ゲストゲル」を合成したこの両者を水中で振動させる

とゲルが接着する挙動が観察されミリメートルからセン

チメートルの大きさの物体を分子認識により自己集積でき

ることを世界で初めて実証したさらにシクロデキストリ

ンとゲスト分子との相互作用の強さの違いによって選択的

に特定のゲル同士を接着させることができることがわかっ

httpwwwjstgojpprannounce20101115indexhtml

【ブタノール分離膜】バイオブタノールの省エネルギー型膜分離精製技術を開発1 wt ブタノール水溶液から80 wt 以上の高濃度ブタノールの回収が可能 (201011 15)産総研

産総研は1 wt 程度の希薄なブタノール水溶液からゼ

オライト系分離膜を用いて 80 wt 以上に濃縮したブタ

ノールを回収できる省エネルギー型のバイオブタノール精

製技術を開発した ブタノールはエタノールと比較して

発熱量が大きいことから地球温暖化対策に貢献できる再

生可能なバイオ液体燃料すなわちポストバイオエタノー

ルとして期待されている今回合成条件の最適化を進め

高いアルコール選択透過性をもつシリカライト分離膜を合

成し膜分離法によって低濃度ブタノール水溶液から高

濃度ブタノールの回収が可能となった従来の分離膜を用

いた場合に比べてブタノール回収のためのエネルギーを

50 ~ 70 程度低減できることが期待される httpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101113

pr20101113html

【分子生物学】 化学合成したペプチドからウイルスの殻構造を組み上げることに成功 新規ナノ材料や医療材料としての応用に期待 (201011 12) 九州大学北九州市立大学

共同研究グループは化学合成したペプチドから約 40 ナ

ノメートルのウイルスの殻構造を組み上げることに世界で

初めて成功した球状の植物ウイルスから遺伝子を除いた

キャプシド構造と呼ばれる殻構造は決まった大きさのナ

ノ空間であることからナノ物質の反応器や運び手として

利用する研究が国内外で盛んに行われているしかしこ

れまでウイルスのキャプシド構造を得るにはウイルス

の遺伝子をバクテリア内に導入して生産させる必要があっ

た本研究では遺伝子やバクテリアを用いない完全化学

合成によってウイルスキャプシドを構築することに成功

した今回ウイルスの殻構造を簡単なペプチドから構築

できたことで様々な機能性ウイルスキャプシドを人工的

に創成する道が拓けたと言えるこのペプチドからなるナ

ノカプセルに適切な化学修飾を施すことによりナノ物質

合成のための反応器や医薬品の運び手人工ワクチンを

創成するための足場材料として応用できるものと期待され

るhttpwwwkyushu-uacjppressrelease20102010-11-12-04pdf

【レアメタル】レアメタル使用量削減技術の実用化を加速(20101110)新エネルギー産業技術総合開発機構 (NEDO)

NEDO はレアアース総合対策の一環として企業が取り

組むレアメタル使用量削減技術の実用化を加速するための

助成事業(事業規模約 100 億円)を 2010 年度補正予算

の成立を前提に行うこの助成事業では短期間で実用化

が期待できる以下の技術開発を対象として①レアメタル

28

PEN

Nov

embe

r を代替する材料の技術開発 ②レアメタルの使用量を削

減する技術開発 ③レアメタルのリサイクルを促進する

技術開発 ④その他のレアメタル消費の削減に資する技

術開発を行うhttpapp3infocnedogojpinformationskoubopressEFnedopre

ss2010-11-068550095069

【導波路型光スイッチ】光スイッチの消費電力を従来の 2 分の 1 に低減 増え続けるネットワーク機器の消費電力問題を解決 (201011 09)( 株 ) 富士通研究所

同社はシリコンフォトニクス技術を適用した導波路型光

スイッチについて世界で初めてシリコンゲルマニウム

(SiGe)細線構造を用いることで従来のシリコン細線構

造に比べて消費電力を約 2 分の 1 に低減することに成

功した幅広い波長に対応して高速に動作できるタイプの

光スイッチ素子としては世界最小の消費電力を実現して

いるhttpprfujitsucomjpnews2010119html

【ナノ構造機能】昆虫が足を擦る秘密をナノテクノロジーで解明 生体模倣による新しい材料機能の開発に活用 (201011 09)物質材料研究機構マックスプランク研究所キール大

共同研究チームは環境問題で循環型社会実現に求められる

「接着と分離」を繰り返せる未来の接合技術の開発研究に

おいてガラスのような平坦な表面を逆さまでも歩行でき

る昆虫の足の裏の優れた接着性に着目し昆虫(ハムシ)

の歩行調査を行いナノテクノロジーを用いた実験により

昆虫が摩擦により汚れを感じていることを突き止めた

httpwwwnimsgojpnewspress201011p201011090html

【超音波流量計半導体プロセス】極微量な流量を精密に測定できる超音波流量計を開発 半導体製造装置の性能を向上させ環境負荷を低減しランニングコストを削減 (201011 09)産総研( 株 ) アツデン東京計装 ( 株 )

3 者は共同で10 mLmin( 誤差plusmn 01 mLmin) 以下の極

微量な流量を精密に測定できる超音波流量計を開発した

この流量計は超音波ガイド波の伝搬に関する基礎理論の

見直しを行い超音波を高周波化し設計を最適化するこ

とにより開発したものでこれまでの超音波流量計では計

測できなかった微小な流速領域での流量測定ができるこ

の超音波流量計は半導体製造装置で利用される薬液の高

精度な制御を可能にし半導体製造装置の高性能化環境

負荷の低減ランニングコスト削減へ貢献すると期待され

る httpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101109

pr20101109html

【研究交流】中国上海における国際交流事業の実施同済大学と大学間学術交流協定を締結 (201011 08)大阪大学

10 月 21 日上海において開催した上海教育研究センター

開所式記念講演会祝賀会には鷲田清一総長をはじめ

とする大阪大学教職員中国の学術交流協定校関係者大

阪大学同窓会会員など約 130 人が列席し盛況の内に終

了した翌 22 日23 日には第 15 回大阪大学上海交

通大学学術交流セミナーが上海交通大学情報ネットワーク

センターを主会場として開催され7つの研究会に約 100

人が参加したさらに 23 日と 24 日の両日上海東亜展

覧館を会場に開催された中国国際教育展に大阪大学のブー

スを出展し100 人を超える留学相談者が本学のブースを

訪れた翌 10 月 22 日鷲田清一総長は上海市内にある

同済大学を訪問裴学長陳副学長ほか大学関係者と懇談

するとともに大学間学術交流協定及び学生交流覚書の調

印式に臨んだこれにより中国の大学との 10 番目の協定

が成立したhttpwwwosaka-uacjpjanewstopics20101120101108_1

httpwwwosaka-uacjpjanewstopics20101120101108_2

【高耐久性セラミック】激しい熱変化にも強度劣化しない窒化ケイ素系セラミックスを開発 窒化ホウ素の微粒子を分散させ耐熱衝撃性を飛躍的に向上 (201011 08)産総研三井金属鉱業(株)

両者は共同で従来品に比べて耐熱衝撃性と高温での強度

を飛躍的に高めた窒化ケイ素系セラミックスを開発した

今回窒化ケイ素(Si3N4)をベースとして高い熱伝導

率をもつ粒界相を形成させるとともにそこに非晶質に近

い窒化ホウ素のナノメートルオーダーの微粒子を分散させ

ることで耐熱衝撃性を飛躍的に向上させた従来の窒化

ケイ素が 1000 の温度差で強度が低下するのに対して

今回の開発材は電気炉で 1400 に加熱した後水中に投

下することを 10 回繰り返してもほとんど強度が劣化しな

かったまたこの開発材について大気中 1200 で高温

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ovember

曲げ試験を行ったところ室温と同程度の強度を保持して

いたセラミックスでは大型化すると小試験片では得られ

た特性が得られず実用化を進める上での課題になること

が多いがこの開発材では焼結条件を最適化することに

よって直径 82 mm 長さ 370 mm の比較的大型の部品で

も試験片と同様の組織物性が得られたまた実際の

製品形状に近い部品の焼成も可能となったhttpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101108

pr20101108html

【ミリ波発信器】ミリ波帯無線通信の実用化にめど 世界最高性能の低雑音局部発振器を開発 (201011 08)東京工業大学

東工大の研究グループは雑音を従来の 100 分の1以下

に低減したミリ波帯局部発振器を開発した20GHz 帯の

発振器と 60GHz 帯の注入同期型直交局部発振器を組み合

わせることにより世界最高の低位相雑音性能を達成した

無線通信の周波数帯ひっ迫を解消する技術として 60GHz

ミリ波帯の利用が注目されているがミリ波帯ではコイル

やコンデンサの損失が大きくなり位相雑音特性が劣化す

るのがネックだった今回はこれを解決したものでミ

リ波無線通信の実用化につながる成果発振器は 65 ナノ

メートルのシリコン CMOS プロセスを利用して試作した

580GHz から 636GHz の周波数範囲で 4 相正弦波出力が

可能でこの発振器により10Gbps(毎秒 100 億ビット)

以上の超高速ミリ波帯無線通信の実現が期待されるh t t p w w w o l d t i t e c h a c j p t o k y o - t e c h - i n - t h e - n e w s j

archives2010111289174400html

【炭素繊維応用】住宅向け外装材「炭素繊維補強サイディング」の本格展開について 優れた強度と耐熱寸法安定性で 15 年の基材保証を実現 (20101105)東レ ACE(株)

東レの子会社東レ ACE は炭素繊維で補強した窯業系サ

イディングを開発し本格販売と市場展開を開始する「炭

素繊維補強サイディング」はセメント質原料に炭素繊維

を添加配合して成型固着させた建物外壁用のセメントボー

ドで従来の窯業系サイディングの優れた防耐火性耐久

性等を維持しつつ更なる強度補強効果や火災高温時の

変形や熱収縮によるひび割れの抑制など耐熱寸法安定性

も向上させることで基材 15 年保証を実現する 本製品

に使用している炭素繊維は軽くて強く優れた高温特性や

耐熱性を有し非常に細い繊維を多く配合できることから

外装材としての強度補強効果も期待できるとしている

httpwwwtoraycojpnewsaffilnr101105html

【光ファイバーナノインプリント】ナノ格子反射防止表面光ファイバー先端に形成ナノ技術で安く製作 (20101105)東北大学

東北大の研究グループは微小な窪みが多数形成された反

射防止構造体を光ファイバーの先端に製作する技術を開発

した光ファイバーは光通信や光分析装置の構成部品とし

て使われており光源受光素子やレンズなどの光部品と

の接続損失を減らすために先端に反射防止膜が形成され

ている従来の反射防止膜は真空装置を使って薄膜を付け

るためコストが問題であった研究グループはナノイン

プリント技術を用いて光ファイバー先端のコア部に 270

ナノメートル間隔で微小な円錐状の窪みを形成し反射損

失を低減することに成功したナノインプリント技術は

基板に塗布したポリマーに原版を押し付けて微細パターン

を転写する技術で高価な露光装置や真空装置が不要なた

めナノ構造を安価に製作することができる今回光ファ

イバー先端にナノ構造を製作するために専用のナノインプ

リント装置を開発した窪みの間隔が光の波長よりも小さ

い場合屈折率が変化し反射波が生じにくくなる反射

率や波長帯域は窪みの形状間隔や高さで決まり従来

の反射防止膜よりも設計の自由度が高いため要求に合わ

せて種々の反射防止表面を製作することが可能 httpwwwtohokuacjpjapanese201011press20101105-2

html

【人工筋肉機能材料】光を運動エネルギーに変える新高分子素材の開発に成功 世界で初めて分子を大面積で 3 次元的に配列させ新機能を実現 (20101105)理化学研究所

光で変形したり電子を流すなどの機能を持った分子を人工

的に規則正しく大面積で集積することができると機能性

材料の性能向上や革新的新機能の発現につながるそのた

め世界中で精力的に開発が行われているがこれまで実現

させた例はなかった理化学研究所の研究グループは光

で構造が変化するアゾベンゼン分子を組み込んだブラシ状

の高分子「ポリマーブラシ」を大面積で 3 次元的に一挙

に配列させる手法の開発に初めて成功したこの規則性の

ある 3 次元集積構造は延伸したテフロンシートにポリ

マーブラシを挟み込みアイロンに似た熱と圧力を加える

といういたって簡単な操作で実現したさらにこのフィ

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PEN

Nov

embe

r ルムに光を当てるとアゾベンゼン分子の構造変化が一方

向に集約しフィルムが湾曲するという巨視的変形を引き

起こすことを見いだしたすなわちこの新しいフィルム

は光エネルギーを運動エネルギーに変換する機能を持って

おり新たな人工筋肉材料などへの展開が期待されるま

た本技術は有機薄膜太陽電池をはじめとする次世代の機

能材料の開発にも革新をもたらすと期待されるhttpwwwrikenjpr-worldinforeleasepress2010101105

indexhtml

【リチウムイオン電池正極材料】常温プロセスで全固体薄膜リチウムイオン電池の試作に成功 エアロゾルデポジション法による蓄電池製造の新工法開発を本格化 (2010115)産総研

産総研はトヨタ自動車 ( 株 ) と共同で産総研が開発し

たセラミックス材料の常温高速コーティングプロセスであ

るエアロゾルデポジション (AD) 法を用いて酸化物系の

正極材料負極材料固体電解質材料を薄膜積層化して

金属基板上に 3 層構造からなる全固体薄膜リチウム (Li) イ

オン電池を試作蓄電池としての充放電特性を世界で初め

て確認した 従来型の薄膜技術とは異なりAD 法を用い

ると基板の加熱が不要でまた厚膜化も容易であるそ

のため成膜時間が大幅に短縮でき蓄電池の生産性向上

やプロセスコストの大幅な低減が期待される今後は AD

法を用いた本格的な全固体電池の共同開発を進めていく httpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101105

pr20101105html

【記録デバイススピントルク素子】次世代超高密度 HDD に向けたマイクロ波アシスト記録の基本技術を開発 磁気ヘッドに搭載可能なスピントルク素子を用いた磁気情報の書き換えを確認 (2010115)新エネルギー産業技術総合開発機構(NEDO)(株)日

立製作所

NEDO はハードディスク装置(HDD)の開発製造会社で

ある日立グローバルストレージテクノロジーズの協力を得

て従来の磁気記録方式の限界を超えHDD の記録密度

を飛躍的に伸ばす方式として期待されているマイクロ波ア

シスト磁気記録方式の基本技術を開発しその原理を実験

的に確認したマイクロ波アシスト記録では記録媒体の

小領域にマイクロ波帯の高周波磁界を加え磁気情報の書

き込みを容易にする今回開発したのはヘッドに搭載可

能な高周波磁界を発生するスピントルク発振素子でこの

素子を用いて記録媒体上に磁気情報を記録できることを実

験的に確認したこれまで外部のマイクロ波発生装置を

用いたマイクロ波アシスト効果の報告例はあったが今回

微細な発振素子を用いた磁気情報の記録を確認できたこと

により将来この素子を記録ヘッドに搭載しマイクロ波

アシスト記録を実用的に行える可能性が示されたhttpapp3infocnedogojpinformationskoubopressEFnedopre

ss2010-11-029718160145

【基礎科学物性】絶縁体が金属に変わる新原理の解明 超伝導素子や熱電変換素子の開発へ道(20101104)東北大学

東北大学原子分子材料科学高等研究機構の研究グループ

は高品質酸化物薄膜において電気が流れにくい絶縁体

状態から流れやすい金属状態への遷移機構を解明した材

料における電気の流れやすさは電気を流す担い手である

伝導キャリアが物質中にどれだけ含まれるか伝導キャリ

アがどれくらいスムーズに動きまわれるかによって決ま

るつまり伝導キャリアの濃度を増やしたり材料中で

伝導キャリアの動きを妨げる原因になるひずみや欠陥を少

なくすると電気はより流れやすくなる本研究では人

工宝石として知られるチタン酸ストロンチウム (SrTiO3)

の絶縁体を用い伝導電子を生み出すキャリア供給層を

SrTiO3 絶縁体間に挟み込んだ絶縁体層 キャリア供給層

絶縁体層の層状界面構造をもつ高品質超格子構造を作製す

ることで絶縁体層の体積を増加させると反対に電気が流

れやすい金属状態になる現象を発見した最新の電子顕微

鏡技術を用いた原子構造解析と電子状態の理論計算を駆使

して絶縁体を増加させると界面で結晶のひずみが少なく

なり高導電化することを解明した本研究が明らかにした

界面での結晶のひずみを制御することによって絶縁体を金

属状態へ変化できる現象は様々な材料でも普遍的に起こる

と考えられ絶縁体から金属へ変わる境目で性能が向上す

る新超伝導体や新熱電材料の開発に展開することが可能と

期待されるhttpwwwtohokuacjpjapanesenewimgpressimgtohokuuniv-

presspdf

【環状高分子】様々な環状高分子の自在な合成に成功 「かたち」に基づく機能開発に期待(2010112)東京工業大学

東工大の研究グループはこれまで困難とされてきた

種々の含環状高分子の選択的な合成に成功した同研究

グループで開発された単環状高分子合成プロセスである

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Electrostatic Self-Assembly and Covalent Fixation Process

と有機合成化学の新手法であるクリックケミストリー

を組み合わせることで様々な「かたち」の自在な構築

を達成した本手法の開発により近年注目を集めてい

る「かたち」に基づいた高分子物性の探索を加速させる

ものと期待されるhttp wwwo ld t i t e ch ac j p tokyo - t ech - in - the -news j

archives2010111288656000html

【異分野連携オープンイノベーションモデル】応用脳科学コンソーシアム 脳科学及びその周辺領域の学術知見を活用したオープンイノベーションモデルの研究活動を開始 異業種の民間企業と異分野の脳科学研究者が連携し事業性の高い研究テーマを推進 (2010111)アサヒビール(株)(株)NTT データ積水ハウス(株)

(株)竹中工務店帝人(株)凸版印刷(株)日産自動

車(株)(株)博報堂(株)NTT データ経営研究所

NTT データ経営研究所が日本神経科学学会の協力を得て

2010 年 10 月 1 日に創設した「応用脳科学コンソーシア

ム」においてそれぞれの事業活動に関連する独創性の

高い研究テーマについて複数の「応用脳科学 RampD 研究会」

を立ち上げるRampD 研究会では各 RampD 研究会を設置

した特別会員企業が各テーマに関連の深い脳科学及び

その関連領域の研究者を招聘し異業種である他の会員

企業とともに最新の研究知見を活用してオープンイノ

ベーションモデルの研究活動を実施する各社が設置す

る RampD 研究会は現時点で(1)おいしさの総合評価研究

会(アサヒビール)(2)ヘルスケア脳情報クラウド研究

会(NTT データ)(3)インタラクティブ住環境研究会(積

水ハウス株式会社)(4)コミュニケーション空間研究

会(竹中工務店)(5)メディアエンゲージメント研究

会(博報堂)この他の RampD 研究会については今後随

時応用脳科学コンソーシアムのウェブサイト httpwww

keieikencojpcan で公開予定

httpwwwnttdatacojprelease2010110101html

【レーザ技術基礎光物性】熱を加えずに結晶を柔らかくすることに成功 高強度テラヘルツ電磁パルスで分子ネットワーク操作が可能に 

(2010111)京都大学科学技術振興機構(JST)

京都大学はテラヘルツ電磁パルスと呼ばれる新しい光

を物質に照射することで1兆分の1秒の短い時間で結

晶中の分子を大振幅で揺さぶり熱平衡状態では実現で

きないような分子変位を実現することに世界で初めて成

功した実験結果は結晶が実効的にやわらかくなったこ

とを意味するものでさらに強いテラヘルツ電磁パルス

によって高効率で結晶を融解させることを示唆するこ

れは熱による反応を起こすことなく新しい分子間のネッ

トワークやたんぱく質などの巨大分子の立体配位を操作

できることを示しており化学合成における反応促進や

創薬における有機分子結晶の精製での活用が考えられる

今回の成果は JST 戦略的創造研究推進事業日本学術振

興会学術創成プロジェクト「動的相スイッチ機構を内在

する有機電子材料の開拓と非平衡物性科学への展開」お

よび京都大学グローバル COE プログラム「普遍性と創発

性から紡ぐ次世代物理学」によるものhttpwwwjstgojpprannounce20101101indexhtml

【高周波デバイス】透 明 な 高 周 波 デ バ イ ス 見 え な い ア ン テ ナ へ の 道

(20101028)物質材料研究機構太陽誘電(株)

両者は共同で透明な高周波デバイスを製造するための

基本技術である微細な金属配線と酸化物透明導電体から

なるハイブリッド構造を開発した本技術は不透明で

あるが高い伝導性を示す金属と透明ではあるが金属の

100 分の 1 程度の伝導率にとどまる酸化物透明導電体と

を組合せ両者の特性を相補的に活用することにより

透明でありかつ携帯電話をはじめとする無線デジタ

ル通信に用いられるギガヘルツ帯の高周波に対して高い

伝送特性を示す素子構造を実現した

httpwwwnimsgojpnewspress201010p201010280html

【エコ製品環境経営】COP10 に向けた環境配慮型製品技術の取り組み ポリ乳酸繊維 ldquo エコディア rdquo 使用商品の提供や連携事業「メッセナゴヤ 2010」への出展を通じ環境保全の取り組みを強化 (20101028)東レ ( 株 )

同社は10 月 11 日 ( 月 ) から 29 日 ( 金 ) に開催された

生物多様性条約第 10 回締約国会議 (COP10) に向けて

ポリ乳酸繊維 ldquo エコディア rdquo 使用商品の提供などを通じて

環境に配慮した運営に協力したまたCOP10 の連携事

業である環境エネルギーをテーマとした展示会「メッ

セナゴヤ 2010」に出展し環境に配慮した次世代自動車

や最先端航空機向けの先端材料を紹介した

httpwwwtoraycojpnewsfibernr101028html

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NEWS POD 著作権の関係で記事のタイトルと詳細内容は標記できませんので簡略に表示しています詳しい内容に関しては各新聞及び雑誌をご覧ください

ナノテクノロジー

研究開発最前線

20101122 日 刊 工 業 新 聞 News

ウェーブ 21

X 線レーザー

20101121 東京読売新聞

新潟ナノテク研究会

20101120 日本経済新聞

ナノテクとバイオ

20101120 下野新聞

バイオ起業

20101119 朝日新聞

ナノ粒子の構造制御

20101119 日刊工業新聞

水素原子観察

20101119 科学新聞

光ファイバー関連技術

20101119 科学新聞

希少金属対策

20101118 日刊工業新聞

熱電材料

20101117 日経速報ニュース

化学合成でナノ構造

20101117 日経産業新聞

つくばナノテク研究拠点への投資

20101117 日刊工業新聞

分子バネ

20101116 日経速報ニュース

ナノバイオ融合

20101116 日経産業新聞

フレンドオブアースのナノテク評

20101116 エコロジーエクスプレス

クラスターテクノロジー

20101112 産経新聞

実用化助成

20101111 日刊産業新聞

接着のメカニズム

20101110 日経産業新聞

電子材料

20101110 日経産業新聞

ナノ磁石

20101110 東京新聞

高分解能放射線検出器

20101110 化学工業日報

電池電極材料

20101108 日本経済新聞

食の安全性

20101108 日経エコロジー

ナノ磁石実用化

20101105 朝日新聞

ナノテク接着剤

20101105 日刊工業新聞

水素原子の観察

20101105 日刊工業新聞

補正予算案

20101105 科学新聞

ナノ磁石

20101104 日本経済新聞

ナノボーグ

20101104 日刊工業新聞

ITO 電極代替技術

20101104 鉄鋼新聞

レアアース代替材

20101103 日本経済新聞電子版

セクション

ナノ鉄磁

20101103 毎日新聞

有機トランジスタ

20101101 日 経 速 報 ニ ュ ー ス

アーカイブ

有機トランジスタ

20101101 日経産業新聞

ナノムービー

20101101 日経サイエンス

低燃費タイヤ

20101030 朝日新聞

筑波大生命科学研究拠点

20101030 茨城新聞

レアアース代替材

20101029 日経産業新聞

播磨地域

20101029 化学工業日報

ナノ粒子操作

20101029 科学新聞

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NEWS POD 著作権の関係で記事のタイトルと詳細内容は標記できませんので簡略に表示しています詳しい内容に関しては各新聞及び雑誌をご覧ください

中国新5カ年計画

20101028 日本経済新聞

高機能消臭素材

20101028 化学工業日報

環境規制等

終わりの科学

20101201 日経サイエンス

電気自動車の覇権

20101123 週刊エコノミスト

環境規制対応

20101122 日経産業新聞

温暖化ガス排出枠

20101122 日経産業新聞

ロス自動車ショー

20101119 日経産業新聞

EV と環境規制

20101119 朝日新聞

EV

20101119 東京新聞

環境と法規制

20101119 化学工業日報

トヨタとテスラ

20101118 読売新聞速報ニュー

CO2 排出量削減

20101118 日経産業新聞

カリフォルニア州環境規制と EV

20101112 日本経済新聞

環境規制

20101112 日本経済新聞

環境規制

20101112 日経産業新聞

米韓 FTA

20101112 朝日新聞

米韓 FTA

20101112 毎日新聞

顔料

20101112 化学工業日報

レアメタル供給規制

20101111 日本経済新聞

潮冷熱

20101110 日本経済新聞

レアアース生産と環境規制

20101108 ダウジョーンズ中国企

業ニュース

韓米FTA

20101101 中央日報

科学技術政策

競争的資金制度

20101122 日本経済新聞

科学技術関係補正予算案 

20101122 THE DOCTOR

韓国 KIST

20101121 朝鮮日報

科学技術政策

20101119 日本経済新聞電子版

セクション

科学技術政策

20101118 日本経済新聞

科学技術政策

20101118 日経産業新聞

女性研究者

20101117 日経速報ニュース

科学技術予算

20101114 東京読売新聞

トップ1論文

20101112 科学新聞

中国特許強国に

20101112 新華社ニュース

関経連と科学技術政策

20101110 産経新聞 

科学技術産業一体政策

20101109 日刊工業新聞

優れた論文の条件

20101105 毎日新聞

「焼け太り許さぬ」

20101102 朝日新聞

国の研究開発投資目標

20101029 日刊工業新聞

科技政策で提言

20101027 日経産業新聞

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科学への信頼に関する読者調査

20101201 日経サイエンス

「カップリング反応」アニメ化

20101110 朝日新聞東京読売

新聞他

科学と社会つなぐ人材

20101025 東京新聞

NEWS POD 

情報誌 PEN 購読のご案内PEN の継続的な購読をご希望の方は下記のメールアドレスまでお名前ご所属メールアドレスをご記入の上ご連絡ください登録配信は無料ですnano-penmaistgojp

PEN は原則月 1 回配信しますバックナンバーと PEN の前身【AIST-TOKYO ナノテク情報】をナノシステム研究部門ホームページにて公開しています httpunitaistgojpnrinano-planindexhtml

PEN は皆さまとの情報共有を目的としていますお持ちの情報で共有すべきものがあれば nano-penmaistgojp までお寄せ下さい

いただいた個人情報は産総研 個人情報保護方針(プライバシーポリシー)に基づき大切に管理し情報誌 PEN の運営と私達のイベントのご案内のみに使用させていただきます

科学技術コミュニケーション

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イベント案内

[産学連携研究開発]大阪大学ナノ理工学人材育成産学コンソーシアム 第 3 回ナノ理工学情報交流会場所大阪大学中之島センター 7 階 講義室 3(講師来訪)

   大阪大学東京オフィスサテライト教室

(遠隔講義配信)

   四日市商工会議所内サテライト教室

(遠隔講義配信)については調整中です

コンソーシアム HP にてご確認ください

   ナノテク社会人教育プログラムの開講をされてい

る場合遠隔講義配信に対応可能です事務局まで

ご連絡ください

日時2010 年 12 月 10 日(金)1330 ~ 1900 頃

主催大阪大学ナノ理工学人材育成産学コンソーシアム 

概要ナノ理工学人材育成産学コンソーシアムでは活動

の一環として産学連携のきっかけを提供すべく企業と

大学の双方からテーマに即した研究開発やトピックを紹介

し会員同士の意見交換と情報共有の促進をはかっていま

す第 3 回目となる今回は「光を用いたナノテクノロジー

の新展開」をテーマに開催しますプログラムなどの詳細

は下記の HP をご参照下さい

参加費コンソーシアム会員学生及び大阪大学教職員は

無料(コンソーシアム企業会員の場合社内から何名でも

無料で参加が可能です)

上記以外の方は資料作成費 1000 円が必要になります

参加登録氏名所属連絡先懇談会への出欠を記載の

上メールにて大阪大学ナノ理工学人材育成産学コンソー

シアム事務局(nano-consnanoscienceorjp)へお申込み

下さい

httpwwwnanoscienceorjp

[コミュニケーション]科学コミュニケーション研究会 第 1 回関西支部勉強会日時2010 年 12 月 2 日 1800 ~ 2000

場所京都大学 吉田泉殿

主催科学コミュニケーション研究会 関西支部有志

概要大阪教育大学科学教育センターの中矢史雄氏を講師

に招きオーストラリアの科学技術コミュニケーションに

ついてオーストラリア国立大学科学意識向上センター

での経験なども交えてお話いただきます定員は 25 名で

す事前申し込みが必要です

httpbitlybPmTP9

[展示会]セミコンジャパン 2010日時12 月 1 日~ 3 日

場所幕張メッセ

主催SEMI

概要国内外の最新のマイクロエレクトロニクス技術に関

する情報を入手することのできる世界最大の半導体製造装

置材料展です

httpwwwsemiconjapanorgjaindexhtm

[知財]アジア特許庁シンポジウム日時2010 年 12 月 3 日(金)930 ~ 1210

場所ホテル日航奈良 飛天の間

主催特許庁

概要日本中国韓国インドネシアマレーシアシ

ンガポールの特許庁幹部を招き各国の知財保護強化の取

組みやアジアにおける知財協力を紹介しますまたパ

ネルディスカッションを設けアジアにおける人材育成協

力の方向性について議論します

httpwwwintergroupjp~convasia

[人材育成]応用物理学会 人財育成シンポジウム -日本の危機を科学が救うそのためのリーダー育成を考える-日時2010 年 11 月 29 日(月)1000 ~ 1710

場所東京工業大学デジタル多目的ホール

主催応用物理学会

概要急速に進むグローバル化に対応のできる人材を育成

するための課題や応用物理学会が貢献することのできる

具体的な取り組みについて議論します

イベント案内へ掲載を希望される方は nano-penmaistgojp までご一報ください

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r h t t p w w w j s a p o r j p a c t i v i t i e s e d u c a t i o n

symppt2010symphtml 

[コミュニケーション]科学技術とメディアのより良い関係に向けて日時11 月 26 日 1815 ~ 2030

場所早稲田大学大隈小講堂

主催サイエンスメディアセンター(SMC)

概要英国オーストラリアのサイエンスメディアセ

ンターの関係者米国のサイエンスコミュニケータを交え

て研究者とメディアの有益な関係性構築に向けた取り組

みについて議論します参加費は無料同時通訳がつきま

httpsmc-japanorgp=403 

[異分野連携]医学領域と工学領域連携研究シンポジウム ‐ 未来を拓く医工連携 ‐日時2010 年 11 月 27 日(土)

場所山口大学医学部第 3 講義室

主催日本学術会議中国四国地区会議山口大学

概要がんの個別化医療をメインテーマにこれからの医

工連携のあり方について講演と議論を行います

httpwwwscjgojpjaeventpdf100-t-3pdf 

[人材育成]マイクロナノエンジニアリング シンポジウム ‐ イノベーションと人材育成 ‐日時2010 年 12 月 8 日(水)1300 ~ 1700

場所日本学術会議 講堂

主催日本学術会議 マイクロナノエンジニアリング分

科会日本機械学会 マイクロナノ工学専門会議

概要学際的分野であるマイクロナノエンジニアリング

は大学大学院における教育の整備関連する産業界

学術界での研究開発における分野融合的な取組みが不可欠

です本シンポジウムでは人材育成を軸とした課題につ

いて議論します

httpwwwscjgojpjaeventpdf100-s-3-1pdf

[ 博物館展示 ]自然に学ぶ ネイチャーテクノロジーとライフスタイル展開催中です

場所国立科学博物館 (東京上野公園)

日時2010 年 10 月 26 日~ 2010 年 2 月 11 日

主催東北大学大学院環境科学研究科国立科学博物館

特定非営利活動法人ものづくり生命文明機構

概要蝶や鳥など生き物や自然の仕組みにヒントを得た環

境負荷の低い技術と将来的な応用の可能性から日本文化

に根差した共生型の新しいライフスタイルのあり方につい

て紹介します国立科学博物館の入館料600円が必要です

httpwwwkahakugojpevent201010natureindex

html

[人材育成]シンポジウム「世界を魅せる日本の課題解決型基礎研究~JST 目利き制度とその可能性」日時2010 年 12 月 6 日(月)1000-1800 (0900 受

付開始)

場所東京国際フォーラム B5 ホール

主催(独)科学技術振興機構(JST)

概要JST がこれまでに行ってきた戦略的創造研究推進

事業の成果を振り返りつつ今後の日本の科学技術の発

展に向けた事業のあり方について参加者の皆様と議論しま

httpwwwsenryaku30jstgojp 

[ 持続可能性 ]学術会議シンポジウム「低炭素化に向けた経済社会エネルギーのあり方と実現のシナリオ」日時2010 年 12 月 9 日(木)1330 ~ 1700

場所学術会議講堂

主催土木工学建築学委員会低炭素建築都市分科会

社会資本分科会

概要両分科会は中~超長期のエネルギー消費量削減シ

ナリオ策定に取り組んできました本シンポジウムでは

分科会の検討結果や削減のための様々な取り組みを紹介

し今後のとりまとめ作業に向けた議論を行います

httpwwwscjgojpjaeventpdf104-s-3-6pdf 

37

PEN N

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PEN 編集室関谷瑞木阿多誠文独立行政法人産業技術総合研究所 ナノシステム研究部門 305-8568 つくば市梅園 1-1-1 産総研つくばセンター中央第 2 M404Email nano-penmaistgojpTel029-861-5185 Fax 029-861-5339

編集後記

今月 8 日に長野県長野市で開催された第 3 回国際ナノ

ワークショップ「ナノテクノロジーの社会受容~ナノ

材料の工業標準化の国際的な動向と環境影響について

~」の会場で多くの企業の皆様と意見交換をする貴

重な機会を得た目まぐるしい勢いで変わってゆく諸

外国の環境規制策の動向に民間企業の皆様が神経を

とがらせておられることがひしひしと感じられた東

京から新幹線で 1 時間半インターネットでリアルタ

イムに世界とつながることのできる時代とはいえ情

報物人が集積する地である東京とは異なる苦労も

あることもお聞きした美しい山々きれいな空気あ

るいは世界に誇る観光遺産と科学技術を結び付けて

地域振興をはかりたいとの頑張っておいでの方にもお

会いした

月刊という制約はあるもののこうした方々にとって

タイムリーで有用な情報を提供し続けたいと改めて

強く感じた

ちなみにPEN を発行しているつくば市の産総研つく

ばセンターへもつくばエクスプレスと路線バスを乗

り継いで都心からは約 1 時間半かかる

2010 年 11 月 25 日

PEN 編集室一同ウナギツカミ

Page 18: Public Engagement with Nano- PEN November …...5 PEN November 【知財】 中国、10年で特許強国に(2010.11.12) 中国国家知識産権局は11日に「全国特許事業発展戦略

18

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r

これを批准した結果日本は 1990 年を基準として 6の

温室効果ガス削減を国際的に約束した日本国憲法によれ

ば国際条約は守らなければならないことになっているの

で「チーム -6」などという運動が日本全国にできた

これの何が間違いだったのであろうか以下その根拠を説

明する尚現在の一次エネルギー源は 80以上が化石

燃料によるものであるからエネルギー消費と温室効果ガス

排出はほぼ同義語であるまた国内総生産(GDP) の増

大すなわち経済成長は社会の安定と国民の安心感を支え

る基本的な要素でありその減少は社会の不安定化をもた

らすため増大させることが必須である

日本は 1973 年の第一次石油危機で大きなダメージを受

けそれから「省エネルギー技術」の開発を血眼になって

推進したその結果図 1 に示すように日本は世界一の「省

エネ大国」になったのである図で縦軸は石油換算のエネ

ルギー消費量横軸は GDP をドル換算したもので1995

年のデータを示してある斜目の破線は一定の GDP を作

り出すのに必要なエネルギー量をトン単位で示しており

これが小さいほどエネルギー効率のいい社会であるつま

り使用エネルギーが少なくなるか同じエネルギーを使っ

ても生産額が多くなればエネルギー効率は良くなる

 エネルギー効率=使用エネルギー生産額(GDP)

図から明らかなように日本は 1995 年時点でも既に世

界で一番エネルギー効率の良い国だったのであるドイツ

フランスイタリアなどは日本の 15 倍イギリスは 2 倍

アメリカが 3 倍中国やロシアに至っては何と 10 倍以上

のエネルギーを浪費しているということが一目瞭然であ

る日本がこのようなエネルギー効率の良い状態から更に

エネルギー消費を減らすなどと言うことは被虐趣味以外

の何物でもないちなみに図 1 は小生が京都議定書を見て

「これは誤りである」と確信し直ぐに作成したものであり

13 年前には既に分っていたことである

それでは日本は何を主張すれば良かったのか賢明な読

者は図 1 を見れば直ぐに考え付くであろうそう「世界

の皆さん今後 10 年間でエネルギー効率を高くする努力

をし現在の日本並みとまでいかなくても少なくとも近

付く努力をしてください」と主張すべきだったのだこれ

なら発展途上国も経済発展を保障されるから合意できたで

あろうし何よりも日本の「省エネ技術」を世界標準とし

て輸出可能であったろう昨年中華人民共和国(中国)が

出した指標はまさにこのような考えに基づいたものであろ

うどこかの国の首相が温室効果ガス排出量(=エネル

ギー消費量)の 25の削減を持ち出したのに対し「中国

はエネルギー効率(=使用エネルギー生産額)を 40

向上させる」と主張した図1から見ても彼等は 1995 年

の日本の水準に追いつくだけで 90の削減が可能であり

40などというのは非常に容易な達成目標であることは

明らかであるまさに国際条約を締結する上での基本的

な事項である「自国の利益を最優先する」という原理原

則にも合致している流石は厳しい歴史を体験してきた国

京都議定書が提案されてから既に 10 年以上経過した今

更と思われる方もおられるかも知れないが現在の日本が

抱える様々な矛盾の出発点の一つが京都議定書であると考

えざるを得ない以上ここで改めてその問題点を明らかに

したい環境省のホームページに掲載されている京都議定

書の内容は以下のとおりである

(httpwwwenvgojpearthcop63-2html)

ポイント先進国の温室効果ガス排出量について法的拘束力

 のある数値目標を各国毎に設定

国際的に協調して目標を達成するための仕組みを

 導入(排出量取引クリーン開発メカニズム共同

 実施など)

途上国に対しては数値目標などの新たな義務は導

 入せず

寄稿京都議定書で日本は何を主張すべきであったか東洋大学大学院学際融合科学研究科 教授 和田恭雄

19

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は違うなどと感心してはいられない

今からでも遅くない「2010 年を基準としてエネルギー

効率の向上を図る」ことを国際的な合意目標に切り替え

るべきである無論為替レートは 2010 年現在の 1 ド

ル= 80 円程度に固定して比較すべきである現在の円

高を考えれば分母が大きくなることが日本の利益につ

ながるからだ国際条約においては「被虐趣味」は最低

の選択であることを忘れてはならない「率先垂範」など

と言う言葉は国際社会では通用しない無論表面上は大

いに賞賛されようが腹の底で「カモが来た」と思われ

食い物にされるだけである他人から褒められるために

自らの競争力を放棄するようなことは止めるべきである

京都議定書を他山の石としてナノテクノロジーの世界

でも「自らの強みを世界の標準にする」という基本的な

姿勢を取るべきであるのは当然のことであるdarr

darr 世界各国のエネルギー消費量と総生産の比較図右下

に行くほどエネルギー効率が高く同じ GDP を創り出す

のに温室効果ガスの排出量が少ないということを示す

日本は 1995 年当時既に世界一の「省エネ大国」であり

西ヨーロッパの 15 倍米国の 3 倍ロシアなどよりも

10 倍以上効率の良い経済体制になっていたことが分か

る世界中の国が日本を手本にすれば温室効果ガスの排

出量を減らしつつ経済成長が可能になり即ち皆がハッ

ピーになれることを示すことができるばかりでなく日

本の省エネ技術を世界標準にすることも主張できる根拠

となる

20

PEN

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embe

r

日本では21 世の始まりと共に科学技術政策に基づ

いてナノテクノロジーの研究開発への戦略的投資が開始

された2001 年度からの第 2 期科学技術基本計画と

2006 年度からの第 3 期科学技術基本計画の都合 10 年

間にわたる優先的戦略的な研究開発の資源の投入も余

すところ4ヶ月となった

21 世紀を担うと期待されたナノテクノロジーには研

究開発側から社会への一方的な応用があたりまえであっ

たこれまでの科学技術とは異なる研究開発の方法論が導

入されたコア技術の研究開発と並行してその技術の社

会的影響を検討しそれをさらにコア技術の研究開発に

フィードバックするという新しい研究開発の方法論であ

る [1]ナノテクノロジーの社会的影響にとって最も重

要で緊急の課題がナノ材料の環境健康影響安全 (EHS)

の課題であった技術の社会的影響を検討しながら進め

られているナノテクノロジーの研究開発がうまくいくか

どうかこのことがナノテクノロジーに続く今後の新興

の科学技術の研究開発のあり方に大きな影響を与えるこ

とになる社会的影響をフィードバックしながら進める

責任ある研究開発がはじめて試みられた日本のナノテク

ノロジーがこれまで 10 年間にわたって戦略的研究開発

投資を続けてきた現在どのような状況にあるのか今回

の特集ではそれを俯瞰的に解析する

まず国内の全ての新聞と雑誌に掲載されたナノテクノ

ロジー関連記事の数を統計的指標としてナノテクノロ

ジーの研究開発に対して日本の社会がどの程度の関心を

示しているのか評価することを試みる図1に日本

のメディアに掲載されたナノテクノロジー関連の記事の

年推移を示すグラフから明らかなようにナノテクノ

ロジーへの戦略的研究開発投資が始まった 2001 年まで

日本のメディアはほとんどナノテクノロジーを取り上げ

ていないただこれは日本にナノテクノロジーの萌芽

的研究開発がなかったということではない

一例をあげるなら工業技術院は産業科学技術研究開発

制度の一環として新エネルギー産業技術総合開発機

構(NEDO)の委託により原子分子極限操作技術の研

究開発プロジェクトを展開した1992 年から 10 年間に

わたり分子原子をボトムアップ的に集積する研究開発

を進めたこのプロジェクトは技術研究組合オングスト

ロームテクノロジー研究機構(ATP)と呼ばれたさらに

ATP と産業技術融合領域研究所は同研究所内にアトム

テクノロジー研究体(JRCAT)を設置して産官学の共同

研究プロジェクトを推進した折しも日本は 1990 年の

バブル経済の崩壊後失われた 10 年と称される経済の停

滞に苦しんでいたまだナノテクノロジーに対する期待

は高まってはいなかったが日本のナノテクノロジーは

着実に萌芽的研究開発を進めていた困難な経済のなか

で日本のナノテクノロジーはその萌芽に向けた着実な

準備をしていたといえるのだがこのような地道な研究

開発が進められていた点はこの統計からは見えにくい

0

500

1000

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2000

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2002

2003

2004

2005

2006

2007

2008

2009

図 1

特集

10 年におよぶナノテクノロジー研究成果の発展的継承を 

21

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2001 年度から戦略的な究開発投資が開始されると同時

にナノテクノロジーへの関心は急速に増していった

わずか 2 年後の 2003 年にはその期待は極みに達して

いる上述したとおり我々はこの統計で縦軸をナノテ

クノロジーに対する社会の関心と見なしておりこれは

David M Berube 氏が示した典型的な Hype 曲線の縦軸

「Visibility」と同義とみなせる [2]その類似性を図 2 に

示す

図 2

日本では Nano-Hype と呼べるピークが高性能瞬間湯

沸器よろしく戦略的研究開発投資が開始されたわず

か 2 年後の 2003 年に出現しているのであるまたJ

Fenn らはこのようなピークを図 3 に示すようにイノ

ベーションのハイプサイクルにおける rdquoPeak of Inflated

Expectationsrdquo と表現している [3]

Exp

ect

atio

ns

Time

InnovationTrigger

Trough ofDisillusionment

Slope ofEnlightenment

Plateau ofProductivity

Peak of InflatedExpectations

図 3

この時期はナノテクノロジーの将来価値への大きな期

待の反面研究開発の実態は希薄である実体の伴わな

い過剰な期待を理由に「一部の有力な科学者や政策担当

者がこのような Hype の状況を意図的に作りだした」と非

難する論調もある確かに Nano-Hype はナノテクノロジー

の将来価値への期待が研究開発の実態を上回る状況では

あるがナノテクノロジーに対する社会の関心や期待を

喚起しその期待を背景にナノテクノロジーへの研究開

発投資が漸次増加していったことも事実であるまたナ

ノテクノロジーの事をもっと知りたいという知的欲求も

刺激されそれに応えるためにいくつかの大学ではサイ

エンスコミュニケータやサイエンスインタープリタサ

イエンスジャーナリストの養成講座等が開設されたさ

らに今日年間 2000 回以上のサイエンスカフェが全国各

地で開かれるなどナノテクノロジーのような新興の科

学技術のパブリックエンゲージメントの活動の契機にも

なったNano-Hype と呼ばれる状況がそのような様々

なプラスの効果を日本にもたらしたことも忘れてはなら

2003年

2010年

2003年

22

PEN

Nov

embe

r ない点である

実体の伴わない過剰な期待が徐々に覚めていく Negative-

Hype の状況はHype が極みに達した 2003 年直後の

2004 年から 2007 年にかけて顕著に現れてくる依然

として政府のナノテクノロジー材料領域への研究開発

投資が伸びるなかメディアがナノテクノロジーを取り

上げる頻度は急速に下がり社会の関心は冷めていった

過剰な期待が冷静さを取り戻していく Negative-Hype は

必然であるとしても注目しておかなければならない大

事な点は Negative-Hype がいつ止むかいつ底を打つの

かである図 1 から明らかなように2004 年以降 2007

年まで急速に下降しているものの2008 年から 2009 年

と明らかに Negative-Hype は底を打っている

上述の J Fenn らは新しいハイプサイクルの縦軸の評価尺

度を議論しているのだが図 4 に示すようにハイプサイ

クルのプロフィールが二つの要素からなることを示して

いる [4]この指標を採用すると今年 2010 年の日本の

ナノテクノロジーはHype が終わりエンジニアリング

またはビジネスが徐々にその成熟度を増していくちょ

うどその過渡期にあるとみてよい今後ナノテクノロジー

がITエネルギー環境ライフサイエンスといった様々

な技術分野の基盤技術としてその実用化に貢献していく

現在はちょうどその転換点にあるそのプロセスを確実

に進めていくには中長期的な一貫した科学技術政策に

よりナノテクノロジーの基礎的な研究開発を継続的に

推し進めていくことが肝要である

図 4

そして10 年に及ぶ科学技術政策に基づいたナノテク

ノロジーの戦略的研究開発投資の成果を応用実用化

へ確実につなげていくために取り組まなければならない

もっとも重要な課題が包括的で実態のあるナノテクノ

ロジーのパブリックエンゲージメントの活動である昨

今ナノテクノロジーの研究開発と並行して社会受容

パブリックエンゲージメントの活動の重要性が指摘され

るようになってきたしかしこの課題に関する解釈は

依然としてまとまりを欠いているだけでなく「こういっ

た課題への取り組みが大事である」といったことが最後

の部分に申しわけ程度に記述されている例も多々見受け

られる取り組んでいるという既成事実のために実体の

伴わないパブリックエンゲージメントの活動が進められ

ると将来的にナノテクノロジーへの信頼も失墜しかね

ない多様な課題を含む社会受容パブリックエンゲー

ジメントの活動には包括的な視点で具体的実践的に取

り組んでいく必要がある

ReferenceRoco M C amp Bainbridge W S 2001 ldquoSocietal

Implications of Nanoscience and Nanotechnologyrdquo

Kluwer Academic Publishers

Berube M B amp Roco M C(FRW) 2005 ldquoNano-Hype

The truth behind the nanotechnology buzzrdquo Prometheus

Books

イノベーションのハイプサイクル

「Mastering the Hype Cycle」J Fenn M Raskino

Harvard Business Press 2008

M Raskino J Fenn IT Management(ITM) ITM-09-

37 Research Note 2010 年 2 月 9 日

23

PEN N

ovember

【CO2 排出量】世 界 的 な 金 融 危 機 に も か か わ ら ず2009 年 の 化 石 燃料 由 来 の 二 酸 化 炭 素 排 出 量 の 減 少 は 小 幅 に と ど ま る

(20101122)国立環境研究所(国環研)

国環研はグローバルカーボンプロジェクト (GCP) が 11

月 22 日の Nature Geoscience 誌の電子版に調査結果を発

表すると速報したその内容は世界金融危機の経済的

影響にも関わらず2009 年における世界の化石燃料由来

の二酸化炭素排出削減量が予測値である 28を下回り

前年比 13にとどまったことで同じく GDP の減少も予

測値を下回っている

httpwwwniesgojpwhatsnew20102010112220101122html

【量子コンピューティング】量子コンピュータ実現への障壁を緩和する誤り耐性方式を開発 (20101124)日本電信電話(株)京都大学

量子コンピュータに必須な量子ゲートは確実に正しい演

算をすることはなくある程度の誤り確率をもつため量

子コンピュータを実現するためには演算の誤り訂正を行

う技術の実現が必須となる演算の誤り訂正を行うために

はある程度誤り確率の低い量子ゲートが必要であると考

えられてきたが今回共同研究チームは誤り確率が非常

に高い量子ゲートを用いても量子計算が可能となる誤り耐

性のある量子計算方式を世界で初めて示した

httpwwwnttcojpnews20101011101124ahtml

【光電変換】ナノギャップ光アンテナにより高効率化した有機超薄膜による光電変換 

(20101122)物質材料研究機構北海道大学

NIMS と北大の共同研究チームは有機超薄膜型の光電変

換分子素子において光吸収電子伝達といった必要な機

能をもつ部品を連結した分子から成る単分子超薄膜を原

子レベルで表面制御した平滑な金電極面と金ナノ粒子で挟

み込むことによってナノギャップ型の光アンテナを導入

することに成功したその結果光アンテナ 1 つあたりで

光誘起電子移動反応が約 50 倍の効率に高まることを実

証した

httpwwwnimsgojpnewspress201011p201011220html

【EV】シンガポール政府と電気自動車の普及に関する覚書を締結

(201011 19)三菱自動車(株)

MMC はシンガポール政府と電気自動車(EV)普及のため

の活動に協力する内容の協定を締結したことを発表した

今回の活動はシンガポールの経済開発庁が中心となり

同国のエネルギー市場監督庁陸上交通庁との間で EV タ

スクフォースを組成し同国の EV 普及を目的としたユー

ザー向け補助金制度や充電インフラ整備などの検証を行う

ものこの活動の中でMMC は CCA を通じ 2011 年より

順次『i-MiEV(アイミーブ)』25 台を供給し実証走行

試験に協力していくhttpwwwmitsubishi-motorscompublishpressrelease_jp

corporate2010newsdetail4407html

【リチウム二次電池】リチウム二次電池の量産化実証工場が竣工 年間生産能力6 万 6000kWh (201011 18)三菱重工業(株)

リチウム二次電池事業への本格参入に向け長崎造船所内

に建設していた同電池の量産化実証工場が17 日竣工し

た年間生産能力は 6 万 6000kWh中型電池換算で約

40 万個に相当する今後各種実証技術に取り組み早期

の本格的な商業量産につなげていくとしている

プレスリリースより

CUTTING-EDGE TECHNOLOGIES

24

PEN

Nov

embe

r httpwwwmhicojpnewsstory1011184999html

【基礎科学物質の起源】動きがのろい冷反水素原子を 38 個も磁気瓶に閉じ込める物質と反物質の違いを知る手がかりとなる冷反物質研究が新段階に (201011 18)物質材料研究機構(NIMS)

NIMS は欧州原子核研究所(CERN)の国際共同研究グルー

プに参加し反物質の代表格である反水素原子を独自に

開発した八重極磁気瓶の中に 38 個も閉じ込めることに世

界で初めて成功した反水素原子の原材料である反陽子(陽

子の反粒子)と陽電子(電子の反粒子)を八重極磁場コ

イルとミラーコイルを組み合わせた磁気瓶の中に蓄積し

そっと混ぜ合わせて冷たい反水素原子を大量に生成した

反水素原子は電気的に中性の小さな磁石なので反水素原

子ができあがったころ(約 1 秒後)を見計らって電圧を

加え残存している反陽子と陽電子をことごとく排除した

その後磁気瓶の磁場を瞬時にゼロにすると磁気瓶内に

とどまっていた反水素原子は装置の壁に当たって消滅し

パイ中間子などのさまざまな粒子を放出するこれらの粒

子を磁気瓶を包む 3 枚の検出器で観測した結果捕捉し

ていた反水素原子を 38 個も確認することができた後述

するように同内容は理化学研究所からもリリースされたhttpwwwrikenjpr-worldinforeleasepress2010101118

indexhtml

【超伝導】ピセンのカリウムドープに伴う電子構造変化の直接観測 

(201011 17)岡山大学

岡山大学の研究グループはピセンおよびカリウムドープ

ピセンの電子構造を実験的に観測する事に世界で初めて成

功したカリウムドープピセンは芳香族炭化水素における

初めての超電導体であるがカリウムドープピセンの超電

導メカニズムまた超電導を誘起する電子構造は解明され

ていない研究グループは光電子分光法を用いピセンのカ

リウムドープに伴う電子構造変化を直接的に観測した結

果ピセンのカリウムドープに伴う電子構造変化を観測

芳香族炭化水素超電導体の超電導メカニズム解明および新

規超電導体探索の指針になると期待されるhttpwwwokayama-unetrenkeidocumentpdfpressrelease

press-101117pdf

【慣性力発電】慣性力(振動)発電技術を商品化 国内最大手エース社のバッグに慣性力発電ユニットを搭載 (201011 17)伊藤忠商事(株)

米国 CIIIS 社の持つ慣性力発電(振動発電)技術を用いて

人体の運動による振動で発電する慣性力発電ユニットを開

発した国内鞄最大手のエース株式会社がこの慣性力発

電ユニットを搭載したバッグの販売を行う

httpwwwitochucojpjanews2010101117html

【生物多様性】多様性進化の背景に『甲状腺機能低下』 (201011 16)東北大学

生物多様性の喪失は現在急速に進んでおり多様性の進化

維持機構を解明することは世界的な課題である生物多様

性の創出は多くの場合新規環境に生き物が侵出すること

によって始まるが生物が新規環境へどのように適応して

行くのかその過程については多くが未解明である東北

大学の研究チームはこのたび新規環境への適応に甲状腺

ホルモンの進化が重要であることを発見したhttpwwwtohokuacjpjapanesenewimgpressimgtohokuuniv-

press_20101116pdf

【ナノ物性】ナノスケールの鉄磁石を電界でコントロール

(201011 01)千葉大学

磁石の N と S 極は磁界を用いることでコントロールでき

るが千葉大学の研究チームはナノスケールの鉄の磁石の

極性をエネルギーの要らない電界でコントロールできるこ

とを見出したhttpwwwchiba-uacjppublicitypresspdf201020101102nano

pdf

【SOFC 関連材料技術】 画期的な電解質材料の開発に成功 固体酸化物燃料電池の商用化に一歩前進 (201011 18 )物質材料研究機構(NIMS)

NIMS の研究グループは電解質材料に必要とされる三つ

の要件イオン伝導性化学的安定性焼結性のすべてを

高いレベルで満足する2種類の材料を開発することに成功

したひとつは10 のプラセオジムを含むイットリウム

添加ジルコン酸バリウム(BZPY)でもうひとつは酸

化ニッケル (NiO) とイットリウム添加ジルコン酸バリウム

25

PEN N

ovember

(BZY) の混合粉末を固めた基板上にプレス成形された BZI

であるhttpwwwnimsgojpnewspress201011201011180

p201011180pdf

【レアアース】微生物でレアアースの回収が可能に バクテリアがレアアースを濃縮する現象を発見 (201011 17)広島大学高エネルギー加速器研究機構高輝度光科学研

究センター

共同研究グループは微生物の細胞表面では微生物が存在

しない周囲部分に比べてレアアースを高濃度に濃縮する現

象を見出したまたレアアースの中でも特に希少価値の高

い元素が選択的に濃縮することを発見その濃縮メカニズ

ムを放射光を用いたX線吸収法により明らかにした

httpwwwkekjpjanewspress2010RareEarthElementshtml

【はやぶさ】はやぶさカプセル内の微粒子の起源が判明(201011 17)宇宙航空研究開発機構

「はやぶさ」のサンプルキャッチャー室から特殊形状のヘ

ラで採集された微粒子を走査型電子顕微鏡にて観察および

分析した結果1500 個程度の微粒子を岩石質と同定した

更にその分析結果を検討したところそのほぼ全てが地

球外物質であり小惑星イトカワ由来であると判断するに

至った

httpwwwjaxajppress20101120101117_sac_hayabusapdf

【超伝導基礎科学】超伝導のメカニズム解明に大きな手がかり ルテニウム酸化物の電子の運動状態を選択的に可視化することに成功 電子対を形成する「のり」の起源を初めて解明

(201011 17)広島大学産総研

1994 年に日本で発見されたルテニウム酸化物超伝導体は

ユニークな超伝導状態を示しこれまで数多くの研究が行

われてきたがいまだにその超伝導のメカニズムは謎のま

まであった超伝導が生じるためには電子と電子を「のり」

で結びつけ「電子対」にする必要がある共同研究グルー

プは放射光の直線偏光特性を活用するため放射光の光

軸のまわりに回転可能な高分解能角度分解光電子分光装置

を開発しルテニウム酸化物超伝導体の超伝導機構解明に

重要な手がかりをつかんだ研究グループが開発した新装

置を用いることによりルテニウム酸化物超伝導体の異な

る運動状態にある電子を選択的に分離しながら精密に分

析することが初めて可能となったその結果物質の電子対

を形成するための「のり」として結晶を作っている原子

の振動が重要な役割を果たしていることその「のり」が

どのくらい強く働いているのか等が明らかとなった httpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101117

pr20101117html

世界最高性能基準光源を開発 安定高精度高速の三拍子そろった光信号の発生に成功 (201011 15) 情報通信研究機構(NICT)国立天文台(NAOJ)

NICT と NAOJ はNICT 独自の高消光比変調技術を利用

し精度を保ったまま周波数範囲を拡大する構成を提案し

たNAOJ の安定度向上技術による制御機能を組み合わせ

ることで世界最高性能の基準信号発生装置を共同開発

し100 ギガヘルツを超える高速信号の長距離伝送を実現

した本装置の方式により従来技術の課題であった安定

性周波数範囲精度の問題を解決した安定性は 2 台の

レーザを用いる従来方式に比べて 10 倍以上を実現し信

号の乱れを 30 万年に 1 秒以下とすることに成功したま

た精度は従来型変調器と比較し 1000 倍以上周波数範

囲は 4 倍を達成したhttpwww2nictgojppubwhatsnewpressh22101115101115

html

【基礎科学レーザ分光】電子の氷を光で融かす一瞬を捉える 光が有機物質を変える瞬間の超高速スナップショット (201011 15)東北大学自然科学研究機構分子科学研究所科学技術振

興機構(JST)

共同研究グループは光の照射によって有機物質の色や

電気伝導度が大きく変化する光誘起相転移現象の最初の瞬

間を捉えることに成功した電場と磁場の振動である光の

振動の3周期分に匹敵する極めて短いパルス光をポンププ

ローブ分光によって二次元有機物質における電荷秩序の

融解のダイナミクスすなわちldquo 電子の氷 rdquo が光によっ

てどのように解け絶縁体から金属へと変化するのかと

いう問題を明らかにしたものこの成果 12 月初めには米

国物理学会誌 Physical Review Letters オンライン版で公開

予定

httpwwwjstgojpprannounce20101117-2indexhtml

【熱電材料】水を使って絶縁体から効率のよい熱電材料を作ることに成

26

PEN

Nov

embe

r 功 希少毒性金属を含まない安価簡便な熱電材料創製に新たな道 (201011 15)科学技術振興機構 (JST)名古屋大学

熱電材料は熱を電気に変換することができることからエ

ンジンの排熱を利用して発電するハイブリッド自動車など

への応用が期待されているが従来の熱電材料はビスマ

スアンチモン鉛テルルといった希少毒性金属など

を含む問題があったJST 課題解決型基礎研究の一環とし

て名古屋大学の研究グループは水の電気分解を利用し

安くてありふれた絶縁体酸化物表面を大きな熱電効果を示

す金属へ変えることに成功した大量に水を含んだ多孔質

ガラスを新規に開発しこの多孔質ガラスを金属チタンと

チタン酸ストロンチウムに挟んで電圧を加えると水の電

気分解によって絶縁体のはずのチタン酸ストロンチウムの

表面に厚さ 3 ナノメートル以下の極めて薄い金属チタン酸

ストロンチウムが生成した通常の金属チタン酸ストロン

チウムに対して 4~5 倍高い電圧を示すことから従来の

熱電材料の約 2 倍の熱電性能が期待できる

httpwwwjstgojpprannounce20101117indexhtml

【基礎科学物質の起源】国際研究チーム反水素原子を瓶の中に閉じこめることに成功(20101118)理化学研究所

8 か国からなる研究チームは欧州合同原子核研究機関

(CERN)の装置を用いて加速器で反陽子と陽電子を作

成し磁場の中に閉じこめたのちに撹拌して反陽子と陽

電子1個ずつを結びつけ反水素原子を生成した反水素

生成後に余った反陽子と陽電子を取り除き反水素原子だ

けを特殊な瓶の中に封じ込めることに成功した計 38 個

の反水素原子が 02 秒間存在したことを確認反物質は

Dan Brown の小説「天使と悪魔」で非常に微量で爆発

を起こす材料として登場するしかし今回の手法では短

時間に消滅してしまい爆弾に使える量をためるのは不可

能だという17 日付の Nature Online 版に掲載

httpwwwrikenjpr-worldinforeleasepress2010101118 

【マックスウェルの悪魔実証】情報をエネルギーに変換することに成功 ldquo マックスウェルの悪魔 rdquo を実験により世界で初めて実現新規ナノデバイスの実現に期待 (201011 15)中央大学東京大学

微細加工技術とサブミクロンスケールのリアルタイム制御

システムを組み合わせ「マックスウェルの悪魔」と呼ば

れる科学史上の重要な概念を世界で初めて実験により実現

した これによって情報をエネルギーに変換できるこ

とを初めて示すとともに情報を媒介して駆動する新規ナ

ノデバイスの実現の可能性を示した マックスウェルの

悪魔は熱力学の根本に関わる概念でありこれを実現でき

た学問的意義は大きいまた科学者以外にもよく知られ

たテーマであり多くの人が興味を持つ話題でもある情

報を媒介して駆動する新規のナノデバイスを実現できる可

能性があり基礎的研究にとどまらずナノサイエンスで

の新しい制御法への応用が期待できるこの成果は 11 月

14 日に Nature Physics Online に公開された

Toyabe Sagawa Ueda Muneyuki and Sano

ldquoExperimental demonstration of information-to-energy

conversion and validation of the generalized Jarzynski

equalityrdquo

httpwwwsu-tokyoacjppresspress-2010-42html

詳細は中央大学 HPhttpwwwchuo-uacjpchuo-unewscontents_jhtmlsuffix=kampmo

de=topamptopics=12513

【基礎科学分子バネ】電子の出し入れで硬さが劇的に変わる分子バネを開発 たった 1 つの電子放出で分子全体の動きやすさが 450 倍も変化 (201011 15)理化学研究所科学技術振興機構(JST)

6 個の炭素原子が環状につながったベンゼン環は有機化

合物において最も基本的な構成ユニットの一つでありベ

ンゼン環をさまざまな形で結合させたものが盛んに研究さ

れてきたしかしベンゼン環を隣り合う炭素の位置で結

合させたオルトフェニレンは単純な構造でありながら合

成が難しいためこれまでほとんど研究がなされておらず

その性質は解明されていなかった理化学研究所の研究グ

ループはベンゼン環 48 個を隣り合った炭素の位置で結

合させたオルトフェニレンを世界で初めて合成したオル

トフェニレンは3 つのベンゼン環が 1 ピッチのらせんを

形成するバネ状の構造をしているがこのようなバネ状の

構造を持った分子はさまざまな機能を発揮するためエ

レクトロニクスや分子機械への応用の可能性が高まってい

る研究グループはこのバネ状分子から電子を 1 つ取

り去るとバネの硬さが劇的に増してらせんの反転速度が

約 450 分の 1 も遅くなることを突き止めたまたこの

1 個の電子の出し入れに応じてバネのピッチが 3263Aring か

ら 3224Aring と変化したこれまで電子が高密度に含まれ

た分子バネは電子を出し入れすることでその振る舞いが

変化することが理論上予想されていたがこのように電子

を多量に含む分子バネの合成は難しく実験的にも証明さ

れていなかった硬さの変化というこれまで実現すること

27

PEN N

ovember

ができなかった応答をする分子バネの登場は応答性分子

の分野に新たなコンセプトをもたらすと注目される本研

究成果はJST 戦略的創造研究推進事業 発展研究 (ERATO-

SORST)「分子プログラミングによる電子ナノ空間の創成

と応用」の一環として行われたものhttpwwwrikenjpr-worldinforeleasepress2010101115

indexhtml

【自己組織化基質選択的会合】分子間の特異的な相互作用による新規材料集積法を開発 分子が好みの分子を見分けて接着 (201011 15)大阪大学科学技術振興機構(JST)

近年分子認識を利用して分子と分子を非共有結合でつな

げることによりさまざまな超分子錯体が合成されさらに

これらを自己集合させる研究が行われているこれらの研

究において形成される集合体は分子の大きさであるナノ

メートルからマイクロメートルの極めて小さなもので高

倍率の顕微鏡を使わなければ見えない分子認識に基づい

て手軽に使えるくらいの大きな自己組織体を作り出すこと

はナノテクノロジー分野において分子を自己組織化さ

せて機能性材料を創製する上で重要な課題であった大阪

大学の研究グループはホスト分子としてシクロデキスト

リンをゲスト分子としてシクロデキストリンが結合する

化合物を用いてそのホスト-ゲスト相互作用を利用して

多様な自己組織化超分子ポリマーの構造体を作りマクロ

スケールで機能を発現させる研究を進めている今回D

NAやタンパク質の分子量決定に広く用いられるアクリル

アミドゲルを土台にしてこのゲルにシクロデキストリン

とゲスト分子をそれぞれ別々に導入し「ホストゲル」と

「ゲストゲル」を合成したこの両者を水中で振動させる

とゲルが接着する挙動が観察されミリメートルからセン

チメートルの大きさの物体を分子認識により自己集積でき

ることを世界で初めて実証したさらにシクロデキストリ

ンとゲスト分子との相互作用の強さの違いによって選択的

に特定のゲル同士を接着させることができることがわかっ

httpwwwjstgojpprannounce20101115indexhtml

【ブタノール分離膜】バイオブタノールの省エネルギー型膜分離精製技術を開発1 wt ブタノール水溶液から80 wt 以上の高濃度ブタノールの回収が可能 (201011 15)産総研

産総研は1 wt 程度の希薄なブタノール水溶液からゼ

オライト系分離膜を用いて 80 wt 以上に濃縮したブタ

ノールを回収できる省エネルギー型のバイオブタノール精

製技術を開発した ブタノールはエタノールと比較して

発熱量が大きいことから地球温暖化対策に貢献できる再

生可能なバイオ液体燃料すなわちポストバイオエタノー

ルとして期待されている今回合成条件の最適化を進め

高いアルコール選択透過性をもつシリカライト分離膜を合

成し膜分離法によって低濃度ブタノール水溶液から高

濃度ブタノールの回収が可能となった従来の分離膜を用

いた場合に比べてブタノール回収のためのエネルギーを

50 ~ 70 程度低減できることが期待される httpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101113

pr20101113html

【分子生物学】 化学合成したペプチドからウイルスの殻構造を組み上げることに成功 新規ナノ材料や医療材料としての応用に期待 (201011 12) 九州大学北九州市立大学

共同研究グループは化学合成したペプチドから約 40 ナ

ノメートルのウイルスの殻構造を組み上げることに世界で

初めて成功した球状の植物ウイルスから遺伝子を除いた

キャプシド構造と呼ばれる殻構造は決まった大きさのナ

ノ空間であることからナノ物質の反応器や運び手として

利用する研究が国内外で盛んに行われているしかしこ

れまでウイルスのキャプシド構造を得るにはウイルス

の遺伝子をバクテリア内に導入して生産させる必要があっ

た本研究では遺伝子やバクテリアを用いない完全化学

合成によってウイルスキャプシドを構築することに成功

した今回ウイルスの殻構造を簡単なペプチドから構築

できたことで様々な機能性ウイルスキャプシドを人工的

に創成する道が拓けたと言えるこのペプチドからなるナ

ノカプセルに適切な化学修飾を施すことによりナノ物質

合成のための反応器や医薬品の運び手人工ワクチンを

創成するための足場材料として応用できるものと期待され

るhttpwwwkyushu-uacjppressrelease20102010-11-12-04pdf

【レアメタル】レアメタル使用量削減技術の実用化を加速(20101110)新エネルギー産業技術総合開発機構 (NEDO)

NEDO はレアアース総合対策の一環として企業が取り

組むレアメタル使用量削減技術の実用化を加速するための

助成事業(事業規模約 100 億円)を 2010 年度補正予算

の成立を前提に行うこの助成事業では短期間で実用化

が期待できる以下の技術開発を対象として①レアメタル

28

PEN

Nov

embe

r を代替する材料の技術開発 ②レアメタルの使用量を削

減する技術開発 ③レアメタルのリサイクルを促進する

技術開発 ④その他のレアメタル消費の削減に資する技

術開発を行うhttpapp3infocnedogojpinformationskoubopressEFnedopre

ss2010-11-068550095069

【導波路型光スイッチ】光スイッチの消費電力を従来の 2 分の 1 に低減 増え続けるネットワーク機器の消費電力問題を解決 (201011 09)( 株 ) 富士通研究所

同社はシリコンフォトニクス技術を適用した導波路型光

スイッチについて世界で初めてシリコンゲルマニウム

(SiGe)細線構造を用いることで従来のシリコン細線構

造に比べて消費電力を約 2 分の 1 に低減することに成

功した幅広い波長に対応して高速に動作できるタイプの

光スイッチ素子としては世界最小の消費電力を実現して

いるhttpprfujitsucomjpnews2010119html

【ナノ構造機能】昆虫が足を擦る秘密をナノテクノロジーで解明 生体模倣による新しい材料機能の開発に活用 (201011 09)物質材料研究機構マックスプランク研究所キール大

共同研究チームは環境問題で循環型社会実現に求められる

「接着と分離」を繰り返せる未来の接合技術の開発研究に

おいてガラスのような平坦な表面を逆さまでも歩行でき

る昆虫の足の裏の優れた接着性に着目し昆虫(ハムシ)

の歩行調査を行いナノテクノロジーを用いた実験により

昆虫が摩擦により汚れを感じていることを突き止めた

httpwwwnimsgojpnewspress201011p201011090html

【超音波流量計半導体プロセス】極微量な流量を精密に測定できる超音波流量計を開発 半導体製造装置の性能を向上させ環境負荷を低減しランニングコストを削減 (201011 09)産総研( 株 ) アツデン東京計装 ( 株 )

3 者は共同で10 mLmin( 誤差plusmn 01 mLmin) 以下の極

微量な流量を精密に測定できる超音波流量計を開発した

この流量計は超音波ガイド波の伝搬に関する基礎理論の

見直しを行い超音波を高周波化し設計を最適化するこ

とにより開発したものでこれまでの超音波流量計では計

測できなかった微小な流速領域での流量測定ができるこ

の超音波流量計は半導体製造装置で利用される薬液の高

精度な制御を可能にし半導体製造装置の高性能化環境

負荷の低減ランニングコスト削減へ貢献すると期待され

る httpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101109

pr20101109html

【研究交流】中国上海における国際交流事業の実施同済大学と大学間学術交流協定を締結 (201011 08)大阪大学

10 月 21 日上海において開催した上海教育研究センター

開所式記念講演会祝賀会には鷲田清一総長をはじめ

とする大阪大学教職員中国の学術交流協定校関係者大

阪大学同窓会会員など約 130 人が列席し盛況の内に終

了した翌 22 日23 日には第 15 回大阪大学上海交

通大学学術交流セミナーが上海交通大学情報ネットワーク

センターを主会場として開催され7つの研究会に約 100

人が参加したさらに 23 日と 24 日の両日上海東亜展

覧館を会場に開催された中国国際教育展に大阪大学のブー

スを出展し100 人を超える留学相談者が本学のブースを

訪れた翌 10 月 22 日鷲田清一総長は上海市内にある

同済大学を訪問裴学長陳副学長ほか大学関係者と懇談

するとともに大学間学術交流協定及び学生交流覚書の調

印式に臨んだこれにより中国の大学との 10 番目の協定

が成立したhttpwwwosaka-uacjpjanewstopics20101120101108_1

httpwwwosaka-uacjpjanewstopics20101120101108_2

【高耐久性セラミック】激しい熱変化にも強度劣化しない窒化ケイ素系セラミックスを開発 窒化ホウ素の微粒子を分散させ耐熱衝撃性を飛躍的に向上 (201011 08)産総研三井金属鉱業(株)

両者は共同で従来品に比べて耐熱衝撃性と高温での強度

を飛躍的に高めた窒化ケイ素系セラミックスを開発した

今回窒化ケイ素(Si3N4)をベースとして高い熱伝導

率をもつ粒界相を形成させるとともにそこに非晶質に近

い窒化ホウ素のナノメートルオーダーの微粒子を分散させ

ることで耐熱衝撃性を飛躍的に向上させた従来の窒化

ケイ素が 1000 の温度差で強度が低下するのに対して

今回の開発材は電気炉で 1400 に加熱した後水中に投

下することを 10 回繰り返してもほとんど強度が劣化しな

かったまたこの開発材について大気中 1200 で高温

29

PEN N

ovember

曲げ試験を行ったところ室温と同程度の強度を保持して

いたセラミックスでは大型化すると小試験片では得られ

た特性が得られず実用化を進める上での課題になること

が多いがこの開発材では焼結条件を最適化することに

よって直径 82 mm 長さ 370 mm の比較的大型の部品で

も試験片と同様の組織物性が得られたまた実際の

製品形状に近い部品の焼成も可能となったhttpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101108

pr20101108html

【ミリ波発信器】ミリ波帯無線通信の実用化にめど 世界最高性能の低雑音局部発振器を開発 (201011 08)東京工業大学

東工大の研究グループは雑音を従来の 100 分の1以下

に低減したミリ波帯局部発振器を開発した20GHz 帯の

発振器と 60GHz 帯の注入同期型直交局部発振器を組み合

わせることにより世界最高の低位相雑音性能を達成した

無線通信の周波数帯ひっ迫を解消する技術として 60GHz

ミリ波帯の利用が注目されているがミリ波帯ではコイル

やコンデンサの損失が大きくなり位相雑音特性が劣化す

るのがネックだった今回はこれを解決したものでミ

リ波無線通信の実用化につながる成果発振器は 65 ナノ

メートルのシリコン CMOS プロセスを利用して試作した

580GHz から 636GHz の周波数範囲で 4 相正弦波出力が

可能でこの発振器により10Gbps(毎秒 100 億ビット)

以上の超高速ミリ波帯無線通信の実現が期待されるh t t p w w w o l d t i t e c h a c j p t o k y o - t e c h - i n - t h e - n e w s j

archives2010111289174400html

【炭素繊維応用】住宅向け外装材「炭素繊維補強サイディング」の本格展開について 優れた強度と耐熱寸法安定性で 15 年の基材保証を実現 (20101105)東レ ACE(株)

東レの子会社東レ ACE は炭素繊維で補強した窯業系サ

イディングを開発し本格販売と市場展開を開始する「炭

素繊維補強サイディング」はセメント質原料に炭素繊維

を添加配合して成型固着させた建物外壁用のセメントボー

ドで従来の窯業系サイディングの優れた防耐火性耐久

性等を維持しつつ更なる強度補強効果や火災高温時の

変形や熱収縮によるひび割れの抑制など耐熱寸法安定性

も向上させることで基材 15 年保証を実現する 本製品

に使用している炭素繊維は軽くて強く優れた高温特性や

耐熱性を有し非常に細い繊維を多く配合できることから

外装材としての強度補強効果も期待できるとしている

httpwwwtoraycojpnewsaffilnr101105html

【光ファイバーナノインプリント】ナノ格子反射防止表面光ファイバー先端に形成ナノ技術で安く製作 (20101105)東北大学

東北大の研究グループは微小な窪みが多数形成された反

射防止構造体を光ファイバーの先端に製作する技術を開発

した光ファイバーは光通信や光分析装置の構成部品とし

て使われており光源受光素子やレンズなどの光部品と

の接続損失を減らすために先端に反射防止膜が形成され

ている従来の反射防止膜は真空装置を使って薄膜を付け

るためコストが問題であった研究グループはナノイン

プリント技術を用いて光ファイバー先端のコア部に 270

ナノメートル間隔で微小な円錐状の窪みを形成し反射損

失を低減することに成功したナノインプリント技術は

基板に塗布したポリマーに原版を押し付けて微細パターン

を転写する技術で高価な露光装置や真空装置が不要なた

めナノ構造を安価に製作することができる今回光ファ

イバー先端にナノ構造を製作するために専用のナノインプ

リント装置を開発した窪みの間隔が光の波長よりも小さ

い場合屈折率が変化し反射波が生じにくくなる反射

率や波長帯域は窪みの形状間隔や高さで決まり従来

の反射防止膜よりも設計の自由度が高いため要求に合わ

せて種々の反射防止表面を製作することが可能 httpwwwtohokuacjpjapanese201011press20101105-2

html

【人工筋肉機能材料】光を運動エネルギーに変える新高分子素材の開発に成功 世界で初めて分子を大面積で 3 次元的に配列させ新機能を実現 (20101105)理化学研究所

光で変形したり電子を流すなどの機能を持った分子を人工

的に規則正しく大面積で集積することができると機能性

材料の性能向上や革新的新機能の発現につながるそのた

め世界中で精力的に開発が行われているがこれまで実現

させた例はなかった理化学研究所の研究グループは光

で構造が変化するアゾベンゼン分子を組み込んだブラシ状

の高分子「ポリマーブラシ」を大面積で 3 次元的に一挙

に配列させる手法の開発に初めて成功したこの規則性の

ある 3 次元集積構造は延伸したテフロンシートにポリ

マーブラシを挟み込みアイロンに似た熱と圧力を加える

といういたって簡単な操作で実現したさらにこのフィ

30

PEN

Nov

embe

r ルムに光を当てるとアゾベンゼン分子の構造変化が一方

向に集約しフィルムが湾曲するという巨視的変形を引き

起こすことを見いだしたすなわちこの新しいフィルム

は光エネルギーを運動エネルギーに変換する機能を持って

おり新たな人工筋肉材料などへの展開が期待されるま

た本技術は有機薄膜太陽電池をはじめとする次世代の機

能材料の開発にも革新をもたらすと期待されるhttpwwwrikenjpr-worldinforeleasepress2010101105

indexhtml

【リチウムイオン電池正極材料】常温プロセスで全固体薄膜リチウムイオン電池の試作に成功 エアロゾルデポジション法による蓄電池製造の新工法開発を本格化 (2010115)産総研

産総研はトヨタ自動車 ( 株 ) と共同で産総研が開発し

たセラミックス材料の常温高速コーティングプロセスであ

るエアロゾルデポジション (AD) 法を用いて酸化物系の

正極材料負極材料固体電解質材料を薄膜積層化して

金属基板上に 3 層構造からなる全固体薄膜リチウム (Li) イ

オン電池を試作蓄電池としての充放電特性を世界で初め

て確認した 従来型の薄膜技術とは異なりAD 法を用い

ると基板の加熱が不要でまた厚膜化も容易であるそ

のため成膜時間が大幅に短縮でき蓄電池の生産性向上

やプロセスコストの大幅な低減が期待される今後は AD

法を用いた本格的な全固体電池の共同開発を進めていく httpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101105

pr20101105html

【記録デバイススピントルク素子】次世代超高密度 HDD に向けたマイクロ波アシスト記録の基本技術を開発 磁気ヘッドに搭載可能なスピントルク素子を用いた磁気情報の書き換えを確認 (2010115)新エネルギー産業技術総合開発機構(NEDO)(株)日

立製作所

NEDO はハードディスク装置(HDD)の開発製造会社で

ある日立グローバルストレージテクノロジーズの協力を得

て従来の磁気記録方式の限界を超えHDD の記録密度

を飛躍的に伸ばす方式として期待されているマイクロ波ア

シスト磁気記録方式の基本技術を開発しその原理を実験

的に確認したマイクロ波アシスト記録では記録媒体の

小領域にマイクロ波帯の高周波磁界を加え磁気情報の書

き込みを容易にする今回開発したのはヘッドに搭載可

能な高周波磁界を発生するスピントルク発振素子でこの

素子を用いて記録媒体上に磁気情報を記録できることを実

験的に確認したこれまで外部のマイクロ波発生装置を

用いたマイクロ波アシスト効果の報告例はあったが今回

微細な発振素子を用いた磁気情報の記録を確認できたこと

により将来この素子を記録ヘッドに搭載しマイクロ波

アシスト記録を実用的に行える可能性が示されたhttpapp3infocnedogojpinformationskoubopressEFnedopre

ss2010-11-029718160145

【基礎科学物性】絶縁体が金属に変わる新原理の解明 超伝導素子や熱電変換素子の開発へ道(20101104)東北大学

東北大学原子分子材料科学高等研究機構の研究グループ

は高品質酸化物薄膜において電気が流れにくい絶縁体

状態から流れやすい金属状態への遷移機構を解明した材

料における電気の流れやすさは電気を流す担い手である

伝導キャリアが物質中にどれだけ含まれるか伝導キャリ

アがどれくらいスムーズに動きまわれるかによって決ま

るつまり伝導キャリアの濃度を増やしたり材料中で

伝導キャリアの動きを妨げる原因になるひずみや欠陥を少

なくすると電気はより流れやすくなる本研究では人

工宝石として知られるチタン酸ストロンチウム (SrTiO3)

の絶縁体を用い伝導電子を生み出すキャリア供給層を

SrTiO3 絶縁体間に挟み込んだ絶縁体層 キャリア供給層

絶縁体層の層状界面構造をもつ高品質超格子構造を作製す

ることで絶縁体層の体積を増加させると反対に電気が流

れやすい金属状態になる現象を発見した最新の電子顕微

鏡技術を用いた原子構造解析と電子状態の理論計算を駆使

して絶縁体を増加させると界面で結晶のひずみが少なく

なり高導電化することを解明した本研究が明らかにした

界面での結晶のひずみを制御することによって絶縁体を金

属状態へ変化できる現象は様々な材料でも普遍的に起こる

と考えられ絶縁体から金属へ変わる境目で性能が向上す

る新超伝導体や新熱電材料の開発に展開することが可能と

期待されるhttpwwwtohokuacjpjapanesenewimgpressimgtohokuuniv-

presspdf

【環状高分子】様々な環状高分子の自在な合成に成功 「かたち」に基づく機能開発に期待(2010112)東京工業大学

東工大の研究グループはこれまで困難とされてきた

種々の含環状高分子の選択的な合成に成功した同研究

グループで開発された単環状高分子合成プロセスである

31

PEN N

ovember

Electrostatic Self-Assembly and Covalent Fixation Process

と有機合成化学の新手法であるクリックケミストリー

を組み合わせることで様々な「かたち」の自在な構築

を達成した本手法の開発により近年注目を集めてい

る「かたち」に基づいた高分子物性の探索を加速させる

ものと期待されるhttp wwwo ld t i t e ch ac j p tokyo - t ech - in - the -news j

archives2010111288656000html

【異分野連携オープンイノベーションモデル】応用脳科学コンソーシアム 脳科学及びその周辺領域の学術知見を活用したオープンイノベーションモデルの研究活動を開始 異業種の民間企業と異分野の脳科学研究者が連携し事業性の高い研究テーマを推進 (2010111)アサヒビール(株)(株)NTT データ積水ハウス(株)

(株)竹中工務店帝人(株)凸版印刷(株)日産自動

車(株)(株)博報堂(株)NTT データ経営研究所

NTT データ経営研究所が日本神経科学学会の協力を得て

2010 年 10 月 1 日に創設した「応用脳科学コンソーシア

ム」においてそれぞれの事業活動に関連する独創性の

高い研究テーマについて複数の「応用脳科学 RampD 研究会」

を立ち上げるRampD 研究会では各 RampD 研究会を設置

した特別会員企業が各テーマに関連の深い脳科学及び

その関連領域の研究者を招聘し異業種である他の会員

企業とともに最新の研究知見を活用してオープンイノ

ベーションモデルの研究活動を実施する各社が設置す

る RampD 研究会は現時点で(1)おいしさの総合評価研究

会(アサヒビール)(2)ヘルスケア脳情報クラウド研究

会(NTT データ)(3)インタラクティブ住環境研究会(積

水ハウス株式会社)(4)コミュニケーション空間研究

会(竹中工務店)(5)メディアエンゲージメント研究

会(博報堂)この他の RampD 研究会については今後随

時応用脳科学コンソーシアムのウェブサイト httpwww

keieikencojpcan で公開予定

httpwwwnttdatacojprelease2010110101html

【レーザ技術基礎光物性】熱を加えずに結晶を柔らかくすることに成功 高強度テラヘルツ電磁パルスで分子ネットワーク操作が可能に 

(2010111)京都大学科学技術振興機構(JST)

京都大学はテラヘルツ電磁パルスと呼ばれる新しい光

を物質に照射することで1兆分の1秒の短い時間で結

晶中の分子を大振幅で揺さぶり熱平衡状態では実現で

きないような分子変位を実現することに世界で初めて成

功した実験結果は結晶が実効的にやわらかくなったこ

とを意味するものでさらに強いテラヘルツ電磁パルス

によって高効率で結晶を融解させることを示唆するこ

れは熱による反応を起こすことなく新しい分子間のネッ

トワークやたんぱく質などの巨大分子の立体配位を操作

できることを示しており化学合成における反応促進や

創薬における有機分子結晶の精製での活用が考えられる

今回の成果は JST 戦略的創造研究推進事業日本学術振

興会学術創成プロジェクト「動的相スイッチ機構を内在

する有機電子材料の開拓と非平衡物性科学への展開」お

よび京都大学グローバル COE プログラム「普遍性と創発

性から紡ぐ次世代物理学」によるものhttpwwwjstgojpprannounce20101101indexhtml

【高周波デバイス】透 明 な 高 周 波 デ バ イ ス 見 え な い ア ン テ ナ へ の 道

(20101028)物質材料研究機構太陽誘電(株)

両者は共同で透明な高周波デバイスを製造するための

基本技術である微細な金属配線と酸化物透明導電体から

なるハイブリッド構造を開発した本技術は不透明で

あるが高い伝導性を示す金属と透明ではあるが金属の

100 分の 1 程度の伝導率にとどまる酸化物透明導電体と

を組合せ両者の特性を相補的に活用することにより

透明でありかつ携帯電話をはじめとする無線デジタ

ル通信に用いられるギガヘルツ帯の高周波に対して高い

伝送特性を示す素子構造を実現した

httpwwwnimsgojpnewspress201010p201010280html

【エコ製品環境経営】COP10 に向けた環境配慮型製品技術の取り組み ポリ乳酸繊維 ldquo エコディア rdquo 使用商品の提供や連携事業「メッセナゴヤ 2010」への出展を通じ環境保全の取り組みを強化 (20101028)東レ ( 株 )

同社は10 月 11 日 ( 月 ) から 29 日 ( 金 ) に開催された

生物多様性条約第 10 回締約国会議 (COP10) に向けて

ポリ乳酸繊維 ldquo エコディア rdquo 使用商品の提供などを通じて

環境に配慮した運営に協力したまたCOP10 の連携事

業である環境エネルギーをテーマとした展示会「メッ

セナゴヤ 2010」に出展し環境に配慮した次世代自動車

や最先端航空機向けの先端材料を紹介した

httpwwwtoraycojpnewsfibernr101028html

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Nov

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r

NEWS POD 著作権の関係で記事のタイトルと詳細内容は標記できませんので簡略に表示しています詳しい内容に関しては各新聞及び雑誌をご覧ください

ナノテクノロジー

研究開発最前線

20101122 日 刊 工 業 新 聞 News

ウェーブ 21

X 線レーザー

20101121 東京読売新聞

新潟ナノテク研究会

20101120 日本経済新聞

ナノテクとバイオ

20101120 下野新聞

バイオ起業

20101119 朝日新聞

ナノ粒子の構造制御

20101119 日刊工業新聞

水素原子観察

20101119 科学新聞

光ファイバー関連技術

20101119 科学新聞

希少金属対策

20101118 日刊工業新聞

熱電材料

20101117 日経速報ニュース

化学合成でナノ構造

20101117 日経産業新聞

つくばナノテク研究拠点への投資

20101117 日刊工業新聞

分子バネ

20101116 日経速報ニュース

ナノバイオ融合

20101116 日経産業新聞

フレンドオブアースのナノテク評

20101116 エコロジーエクスプレス

クラスターテクノロジー

20101112 産経新聞

実用化助成

20101111 日刊産業新聞

接着のメカニズム

20101110 日経産業新聞

電子材料

20101110 日経産業新聞

ナノ磁石

20101110 東京新聞

高分解能放射線検出器

20101110 化学工業日報

電池電極材料

20101108 日本経済新聞

食の安全性

20101108 日経エコロジー

ナノ磁石実用化

20101105 朝日新聞

ナノテク接着剤

20101105 日刊工業新聞

水素原子の観察

20101105 日刊工業新聞

補正予算案

20101105 科学新聞

ナノ磁石

20101104 日本経済新聞

ナノボーグ

20101104 日刊工業新聞

ITO 電極代替技術

20101104 鉄鋼新聞

レアアース代替材

20101103 日本経済新聞電子版

セクション

ナノ鉄磁

20101103 毎日新聞

有機トランジスタ

20101101 日 経 速 報 ニ ュ ー ス

アーカイブ

有機トランジスタ

20101101 日経産業新聞

ナノムービー

20101101 日経サイエンス

低燃費タイヤ

20101030 朝日新聞

筑波大生命科学研究拠点

20101030 茨城新聞

レアアース代替材

20101029 日経産業新聞

播磨地域

20101029 化学工業日報

ナノ粒子操作

20101029 科学新聞

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NEWS POD 著作権の関係で記事のタイトルと詳細内容は標記できませんので簡略に表示しています詳しい内容に関しては各新聞及び雑誌をご覧ください

中国新5カ年計画

20101028 日本経済新聞

高機能消臭素材

20101028 化学工業日報

環境規制等

終わりの科学

20101201 日経サイエンス

電気自動車の覇権

20101123 週刊エコノミスト

環境規制対応

20101122 日経産業新聞

温暖化ガス排出枠

20101122 日経産業新聞

ロス自動車ショー

20101119 日経産業新聞

EV と環境規制

20101119 朝日新聞

EV

20101119 東京新聞

環境と法規制

20101119 化学工業日報

トヨタとテスラ

20101118 読売新聞速報ニュー

CO2 排出量削減

20101118 日経産業新聞

カリフォルニア州環境規制と EV

20101112 日本経済新聞

環境規制

20101112 日本経済新聞

環境規制

20101112 日経産業新聞

米韓 FTA

20101112 朝日新聞

米韓 FTA

20101112 毎日新聞

顔料

20101112 化学工業日報

レアメタル供給規制

20101111 日本経済新聞

潮冷熱

20101110 日本経済新聞

レアアース生産と環境規制

20101108 ダウジョーンズ中国企

業ニュース

韓米FTA

20101101 中央日報

科学技術政策

競争的資金制度

20101122 日本経済新聞

科学技術関係補正予算案 

20101122 THE DOCTOR

韓国 KIST

20101121 朝鮮日報

科学技術政策

20101119 日本経済新聞電子版

セクション

科学技術政策

20101118 日本経済新聞

科学技術政策

20101118 日経産業新聞

女性研究者

20101117 日経速報ニュース

科学技術予算

20101114 東京読売新聞

トップ1論文

20101112 科学新聞

中国特許強国に

20101112 新華社ニュース

関経連と科学技術政策

20101110 産経新聞 

科学技術産業一体政策

20101109 日刊工業新聞

優れた論文の条件

20101105 毎日新聞

「焼け太り許さぬ」

20101102 朝日新聞

国の研究開発投資目標

20101029 日刊工業新聞

科技政策で提言

20101027 日経産業新聞

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r

科学への信頼に関する読者調査

20101201 日経サイエンス

「カップリング反応」アニメ化

20101110 朝日新聞東京読売

新聞他

科学と社会つなぐ人材

20101025 東京新聞

NEWS POD 

情報誌 PEN 購読のご案内PEN の継続的な購読をご希望の方は下記のメールアドレスまでお名前ご所属メールアドレスをご記入の上ご連絡ください登録配信は無料ですnano-penmaistgojp

PEN は原則月 1 回配信しますバックナンバーと PEN の前身【AIST-TOKYO ナノテク情報】をナノシステム研究部門ホームページにて公開しています httpunitaistgojpnrinano-planindexhtml

PEN は皆さまとの情報共有を目的としていますお持ちの情報で共有すべきものがあれば nano-penmaistgojp までお寄せ下さい

いただいた個人情報は産総研 個人情報保護方針(プライバシーポリシー)に基づき大切に管理し情報誌 PEN の運営と私達のイベントのご案内のみに使用させていただきます

科学技術コミュニケーション

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イベント案内

[産学連携研究開発]大阪大学ナノ理工学人材育成産学コンソーシアム 第 3 回ナノ理工学情報交流会場所大阪大学中之島センター 7 階 講義室 3(講師来訪)

   大阪大学東京オフィスサテライト教室

(遠隔講義配信)

   四日市商工会議所内サテライト教室

(遠隔講義配信)については調整中です

コンソーシアム HP にてご確認ください

   ナノテク社会人教育プログラムの開講をされてい

る場合遠隔講義配信に対応可能です事務局まで

ご連絡ください

日時2010 年 12 月 10 日(金)1330 ~ 1900 頃

主催大阪大学ナノ理工学人材育成産学コンソーシアム 

概要ナノ理工学人材育成産学コンソーシアムでは活動

の一環として産学連携のきっかけを提供すべく企業と

大学の双方からテーマに即した研究開発やトピックを紹介

し会員同士の意見交換と情報共有の促進をはかっていま

す第 3 回目となる今回は「光を用いたナノテクノロジー

の新展開」をテーマに開催しますプログラムなどの詳細

は下記の HP をご参照下さい

参加費コンソーシアム会員学生及び大阪大学教職員は

無料(コンソーシアム企業会員の場合社内から何名でも

無料で参加が可能です)

上記以外の方は資料作成費 1000 円が必要になります

参加登録氏名所属連絡先懇談会への出欠を記載の

上メールにて大阪大学ナノ理工学人材育成産学コンソー

シアム事務局(nano-consnanoscienceorjp)へお申込み

下さい

httpwwwnanoscienceorjp

[コミュニケーション]科学コミュニケーション研究会 第 1 回関西支部勉強会日時2010 年 12 月 2 日 1800 ~ 2000

場所京都大学 吉田泉殿

主催科学コミュニケーション研究会 関西支部有志

概要大阪教育大学科学教育センターの中矢史雄氏を講師

に招きオーストラリアの科学技術コミュニケーションに

ついてオーストラリア国立大学科学意識向上センター

での経験なども交えてお話いただきます定員は 25 名で

す事前申し込みが必要です

httpbitlybPmTP9

[展示会]セミコンジャパン 2010日時12 月 1 日~ 3 日

場所幕張メッセ

主催SEMI

概要国内外の最新のマイクロエレクトロニクス技術に関

する情報を入手することのできる世界最大の半導体製造装

置材料展です

httpwwwsemiconjapanorgjaindexhtm

[知財]アジア特許庁シンポジウム日時2010 年 12 月 3 日(金)930 ~ 1210

場所ホテル日航奈良 飛天の間

主催特許庁

概要日本中国韓国インドネシアマレーシアシ

ンガポールの特許庁幹部を招き各国の知財保護強化の取

組みやアジアにおける知財協力を紹介しますまたパ

ネルディスカッションを設けアジアにおける人材育成協

力の方向性について議論します

httpwwwintergroupjp~convasia

[人材育成]応用物理学会 人財育成シンポジウム -日本の危機を科学が救うそのためのリーダー育成を考える-日時2010 年 11 月 29 日(月)1000 ~ 1710

場所東京工業大学デジタル多目的ホール

主催応用物理学会

概要急速に進むグローバル化に対応のできる人材を育成

するための課題や応用物理学会が貢献することのできる

具体的な取り組みについて議論します

イベント案内へ掲載を希望される方は nano-penmaistgojp までご一報ください

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r h t t p w w w j s a p o r j p a c t i v i t i e s e d u c a t i o n

symppt2010symphtml 

[コミュニケーション]科学技術とメディアのより良い関係に向けて日時11 月 26 日 1815 ~ 2030

場所早稲田大学大隈小講堂

主催サイエンスメディアセンター(SMC)

概要英国オーストラリアのサイエンスメディアセ

ンターの関係者米国のサイエンスコミュニケータを交え

て研究者とメディアの有益な関係性構築に向けた取り組

みについて議論します参加費は無料同時通訳がつきま

httpsmc-japanorgp=403 

[異分野連携]医学領域と工学領域連携研究シンポジウム ‐ 未来を拓く医工連携 ‐日時2010 年 11 月 27 日(土)

場所山口大学医学部第 3 講義室

主催日本学術会議中国四国地区会議山口大学

概要がんの個別化医療をメインテーマにこれからの医

工連携のあり方について講演と議論を行います

httpwwwscjgojpjaeventpdf100-t-3pdf 

[人材育成]マイクロナノエンジニアリング シンポジウム ‐ イノベーションと人材育成 ‐日時2010 年 12 月 8 日(水)1300 ~ 1700

場所日本学術会議 講堂

主催日本学術会議 マイクロナノエンジニアリング分

科会日本機械学会 マイクロナノ工学専門会議

概要学際的分野であるマイクロナノエンジニアリング

は大学大学院における教育の整備関連する産業界

学術界での研究開発における分野融合的な取組みが不可欠

です本シンポジウムでは人材育成を軸とした課題につ

いて議論します

httpwwwscjgojpjaeventpdf100-s-3-1pdf

[ 博物館展示 ]自然に学ぶ ネイチャーテクノロジーとライフスタイル展開催中です

場所国立科学博物館 (東京上野公園)

日時2010 年 10 月 26 日~ 2010 年 2 月 11 日

主催東北大学大学院環境科学研究科国立科学博物館

特定非営利活動法人ものづくり生命文明機構

概要蝶や鳥など生き物や自然の仕組みにヒントを得た環

境負荷の低い技術と将来的な応用の可能性から日本文化

に根差した共生型の新しいライフスタイルのあり方につい

て紹介します国立科学博物館の入館料600円が必要です

httpwwwkahakugojpevent201010natureindex

html

[人材育成]シンポジウム「世界を魅せる日本の課題解決型基礎研究~JST 目利き制度とその可能性」日時2010 年 12 月 6 日(月)1000-1800 (0900 受

付開始)

場所東京国際フォーラム B5 ホール

主催(独)科学技術振興機構(JST)

概要JST がこれまでに行ってきた戦略的創造研究推進

事業の成果を振り返りつつ今後の日本の科学技術の発

展に向けた事業のあり方について参加者の皆様と議論しま

httpwwwsenryaku30jstgojp 

[ 持続可能性 ]学術会議シンポジウム「低炭素化に向けた経済社会エネルギーのあり方と実現のシナリオ」日時2010 年 12 月 9 日(木)1330 ~ 1700

場所学術会議講堂

主催土木工学建築学委員会低炭素建築都市分科会

社会資本分科会

概要両分科会は中~超長期のエネルギー消費量削減シ

ナリオ策定に取り組んできました本シンポジウムでは

分科会の検討結果や削減のための様々な取り組みを紹介

し今後のとりまとめ作業に向けた議論を行います

httpwwwscjgojpjaeventpdf104-s-3-6pdf 

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PEN 編集室関谷瑞木阿多誠文独立行政法人産業技術総合研究所 ナノシステム研究部門 305-8568 つくば市梅園 1-1-1 産総研つくばセンター中央第 2 M404Email nano-penmaistgojpTel029-861-5185 Fax 029-861-5339

編集後記

今月 8 日に長野県長野市で開催された第 3 回国際ナノ

ワークショップ「ナノテクノロジーの社会受容~ナノ

材料の工業標準化の国際的な動向と環境影響について

~」の会場で多くの企業の皆様と意見交換をする貴

重な機会を得た目まぐるしい勢いで変わってゆく諸

外国の環境規制策の動向に民間企業の皆様が神経を

とがらせておられることがひしひしと感じられた東

京から新幹線で 1 時間半インターネットでリアルタ

イムに世界とつながることのできる時代とはいえ情

報物人が集積する地である東京とは異なる苦労も

あることもお聞きした美しい山々きれいな空気あ

るいは世界に誇る観光遺産と科学技術を結び付けて

地域振興をはかりたいとの頑張っておいでの方にもお

会いした

月刊という制約はあるもののこうした方々にとって

タイムリーで有用な情報を提供し続けたいと改めて

強く感じた

ちなみにPEN を発行しているつくば市の産総研つく

ばセンターへもつくばエクスプレスと路線バスを乗

り継いで都心からは約 1 時間半かかる

2010 年 11 月 25 日

PEN 編集室一同ウナギツカミ

Page 19: Public Engagement with Nano- PEN November …...5 PEN November 【知財】 中国、10年で特許強国に(2010.11.12) 中国国家知識産権局は11日に「全国特許事業発展戦略

19

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は違うなどと感心してはいられない

今からでも遅くない「2010 年を基準としてエネルギー

効率の向上を図る」ことを国際的な合意目標に切り替え

るべきである無論為替レートは 2010 年現在の 1 ド

ル= 80 円程度に固定して比較すべきである現在の円

高を考えれば分母が大きくなることが日本の利益につ

ながるからだ国際条約においては「被虐趣味」は最低

の選択であることを忘れてはならない「率先垂範」など

と言う言葉は国際社会では通用しない無論表面上は大

いに賞賛されようが腹の底で「カモが来た」と思われ

食い物にされるだけである他人から褒められるために

自らの競争力を放棄するようなことは止めるべきである

京都議定書を他山の石としてナノテクノロジーの世界

でも「自らの強みを世界の標準にする」という基本的な

姿勢を取るべきであるのは当然のことであるdarr

darr 世界各国のエネルギー消費量と総生産の比較図右下

に行くほどエネルギー効率が高く同じ GDP を創り出す

のに温室効果ガスの排出量が少ないということを示す

日本は 1995 年当時既に世界一の「省エネ大国」であり

西ヨーロッパの 15 倍米国の 3 倍ロシアなどよりも

10 倍以上効率の良い経済体制になっていたことが分か

る世界中の国が日本を手本にすれば温室効果ガスの排

出量を減らしつつ経済成長が可能になり即ち皆がハッ

ピーになれることを示すことができるばかりでなく日

本の省エネ技術を世界標準にすることも主張できる根拠

となる

20

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日本では21 世の始まりと共に科学技術政策に基づ

いてナノテクノロジーの研究開発への戦略的投資が開始

された2001 年度からの第 2 期科学技術基本計画と

2006 年度からの第 3 期科学技術基本計画の都合 10 年

間にわたる優先的戦略的な研究開発の資源の投入も余

すところ4ヶ月となった

21 世紀を担うと期待されたナノテクノロジーには研

究開発側から社会への一方的な応用があたりまえであっ

たこれまでの科学技術とは異なる研究開発の方法論が導

入されたコア技術の研究開発と並行してその技術の社

会的影響を検討しそれをさらにコア技術の研究開発に

フィードバックするという新しい研究開発の方法論であ

る [1]ナノテクノロジーの社会的影響にとって最も重

要で緊急の課題がナノ材料の環境健康影響安全 (EHS)

の課題であった技術の社会的影響を検討しながら進め

られているナノテクノロジーの研究開発がうまくいくか

どうかこのことがナノテクノロジーに続く今後の新興

の科学技術の研究開発のあり方に大きな影響を与えるこ

とになる社会的影響をフィードバックしながら進める

責任ある研究開発がはじめて試みられた日本のナノテク

ノロジーがこれまで 10 年間にわたって戦略的研究開発

投資を続けてきた現在どのような状況にあるのか今回

の特集ではそれを俯瞰的に解析する

まず国内の全ての新聞と雑誌に掲載されたナノテクノ

ロジー関連記事の数を統計的指標としてナノテクノロ

ジーの研究開発に対して日本の社会がどの程度の関心を

示しているのか評価することを試みる図1に日本

のメディアに掲載されたナノテクノロジー関連の記事の

年推移を示すグラフから明らかなようにナノテクノ

ロジーへの戦略的研究開発投資が始まった 2001 年まで

日本のメディアはほとんどナノテクノロジーを取り上げ

ていないただこれは日本にナノテクノロジーの萌芽

的研究開発がなかったということではない

一例をあげるなら工業技術院は産業科学技術研究開発

制度の一環として新エネルギー産業技術総合開発機

構(NEDO)の委託により原子分子極限操作技術の研

究開発プロジェクトを展開した1992 年から 10 年間に

わたり分子原子をボトムアップ的に集積する研究開発

を進めたこのプロジェクトは技術研究組合オングスト

ロームテクノロジー研究機構(ATP)と呼ばれたさらに

ATP と産業技術融合領域研究所は同研究所内にアトム

テクノロジー研究体(JRCAT)を設置して産官学の共同

研究プロジェクトを推進した折しも日本は 1990 年の

バブル経済の崩壊後失われた 10 年と称される経済の停

滞に苦しんでいたまだナノテクノロジーに対する期待

は高まってはいなかったが日本のナノテクノロジーは

着実に萌芽的研究開発を進めていた困難な経済のなか

で日本のナノテクノロジーはその萌芽に向けた着実な

準備をしていたといえるのだがこのような地道な研究

開発が進められていた点はこの統計からは見えにくい

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2001

2002

2003

2004

2005

2006

2007

2008

2009

図 1

特集

10 年におよぶナノテクノロジー研究成果の発展的継承を 

21

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2001 年度から戦略的な究開発投資が開始されると同時

にナノテクノロジーへの関心は急速に増していった

わずか 2 年後の 2003 年にはその期待は極みに達して

いる上述したとおり我々はこの統計で縦軸をナノテ

クノロジーに対する社会の関心と見なしておりこれは

David M Berube 氏が示した典型的な Hype 曲線の縦軸

「Visibility」と同義とみなせる [2]その類似性を図 2 に

示す

図 2

日本では Nano-Hype と呼べるピークが高性能瞬間湯

沸器よろしく戦略的研究開発投資が開始されたわず

か 2 年後の 2003 年に出現しているのであるまたJ

Fenn らはこのようなピークを図 3 に示すようにイノ

ベーションのハイプサイクルにおける rdquoPeak of Inflated

Expectationsrdquo と表現している [3]

Exp

ect

atio

ns

Time

InnovationTrigger

Trough ofDisillusionment

Slope ofEnlightenment

Plateau ofProductivity

Peak of InflatedExpectations

図 3

この時期はナノテクノロジーの将来価値への大きな期

待の反面研究開発の実態は希薄である実体の伴わな

い過剰な期待を理由に「一部の有力な科学者や政策担当

者がこのような Hype の状況を意図的に作りだした」と非

難する論調もある確かに Nano-Hype はナノテクノロジー

の将来価値への期待が研究開発の実態を上回る状況では

あるがナノテクノロジーに対する社会の関心や期待を

喚起しその期待を背景にナノテクノロジーへの研究開

発投資が漸次増加していったことも事実であるまたナ

ノテクノロジーの事をもっと知りたいという知的欲求も

刺激されそれに応えるためにいくつかの大学ではサイ

エンスコミュニケータやサイエンスインタープリタサ

イエンスジャーナリストの養成講座等が開設されたさ

らに今日年間 2000 回以上のサイエンスカフェが全国各

地で開かれるなどナノテクノロジーのような新興の科

学技術のパブリックエンゲージメントの活動の契機にも

なったNano-Hype と呼ばれる状況がそのような様々

なプラスの効果を日本にもたらしたことも忘れてはなら

2003年

2010年

2003年

22

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embe

r ない点である

実体の伴わない過剰な期待が徐々に覚めていく Negative-

Hype の状況はHype が極みに達した 2003 年直後の

2004 年から 2007 年にかけて顕著に現れてくる依然

として政府のナノテクノロジー材料領域への研究開発

投資が伸びるなかメディアがナノテクノロジーを取り

上げる頻度は急速に下がり社会の関心は冷めていった

過剰な期待が冷静さを取り戻していく Negative-Hype は

必然であるとしても注目しておかなければならない大

事な点は Negative-Hype がいつ止むかいつ底を打つの

かである図 1 から明らかなように2004 年以降 2007

年まで急速に下降しているものの2008 年から 2009 年

と明らかに Negative-Hype は底を打っている

上述の J Fenn らは新しいハイプサイクルの縦軸の評価尺

度を議論しているのだが図 4 に示すようにハイプサイ

クルのプロフィールが二つの要素からなることを示して

いる [4]この指標を採用すると今年 2010 年の日本の

ナノテクノロジーはHype が終わりエンジニアリング

またはビジネスが徐々にその成熟度を増していくちょ

うどその過渡期にあるとみてよい今後ナノテクノロジー

がITエネルギー環境ライフサイエンスといった様々

な技術分野の基盤技術としてその実用化に貢献していく

現在はちょうどその転換点にあるそのプロセスを確実

に進めていくには中長期的な一貫した科学技術政策に

よりナノテクノロジーの基礎的な研究開発を継続的に

推し進めていくことが肝要である

図 4

そして10 年に及ぶ科学技術政策に基づいたナノテク

ノロジーの戦略的研究開発投資の成果を応用実用化

へ確実につなげていくために取り組まなければならない

もっとも重要な課題が包括的で実態のあるナノテクノ

ロジーのパブリックエンゲージメントの活動である昨

今ナノテクノロジーの研究開発と並行して社会受容

パブリックエンゲージメントの活動の重要性が指摘され

るようになってきたしかしこの課題に関する解釈は

依然としてまとまりを欠いているだけでなく「こういっ

た課題への取り組みが大事である」といったことが最後

の部分に申しわけ程度に記述されている例も多々見受け

られる取り組んでいるという既成事実のために実体の

伴わないパブリックエンゲージメントの活動が進められ

ると将来的にナノテクノロジーへの信頼も失墜しかね

ない多様な課題を含む社会受容パブリックエンゲー

ジメントの活動には包括的な視点で具体的実践的に取

り組んでいく必要がある

ReferenceRoco M C amp Bainbridge W S 2001 ldquoSocietal

Implications of Nanoscience and Nanotechnologyrdquo

Kluwer Academic Publishers

Berube M B amp Roco M C(FRW) 2005 ldquoNano-Hype

The truth behind the nanotechnology buzzrdquo Prometheus

Books

イノベーションのハイプサイクル

「Mastering the Hype Cycle」J Fenn M Raskino

Harvard Business Press 2008

M Raskino J Fenn IT Management(ITM) ITM-09-

37 Research Note 2010 年 2 月 9 日

23

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【CO2 排出量】世 界 的 な 金 融 危 機 に も か か わ ら ず2009 年 の 化 石 燃料 由 来 の 二 酸 化 炭 素 排 出 量 の 減 少 は 小 幅 に と ど ま る

(20101122)国立環境研究所(国環研)

国環研はグローバルカーボンプロジェクト (GCP) が 11

月 22 日の Nature Geoscience 誌の電子版に調査結果を発

表すると速報したその内容は世界金融危機の経済的

影響にも関わらず2009 年における世界の化石燃料由来

の二酸化炭素排出削減量が予測値である 28を下回り

前年比 13にとどまったことで同じく GDP の減少も予

測値を下回っている

httpwwwniesgojpwhatsnew20102010112220101122html

【量子コンピューティング】量子コンピュータ実現への障壁を緩和する誤り耐性方式を開発 (20101124)日本電信電話(株)京都大学

量子コンピュータに必須な量子ゲートは確実に正しい演

算をすることはなくある程度の誤り確率をもつため量

子コンピュータを実現するためには演算の誤り訂正を行

う技術の実現が必須となる演算の誤り訂正を行うために

はある程度誤り確率の低い量子ゲートが必要であると考

えられてきたが今回共同研究チームは誤り確率が非常

に高い量子ゲートを用いても量子計算が可能となる誤り耐

性のある量子計算方式を世界で初めて示した

httpwwwnttcojpnews20101011101124ahtml

【光電変換】ナノギャップ光アンテナにより高効率化した有機超薄膜による光電変換 

(20101122)物質材料研究機構北海道大学

NIMS と北大の共同研究チームは有機超薄膜型の光電変

換分子素子において光吸収電子伝達といった必要な機

能をもつ部品を連結した分子から成る単分子超薄膜を原

子レベルで表面制御した平滑な金電極面と金ナノ粒子で挟

み込むことによってナノギャップ型の光アンテナを導入

することに成功したその結果光アンテナ 1 つあたりで

光誘起電子移動反応が約 50 倍の効率に高まることを実

証した

httpwwwnimsgojpnewspress201011p201011220html

【EV】シンガポール政府と電気自動車の普及に関する覚書を締結

(201011 19)三菱自動車(株)

MMC はシンガポール政府と電気自動車(EV)普及のため

の活動に協力する内容の協定を締結したことを発表した

今回の活動はシンガポールの経済開発庁が中心となり

同国のエネルギー市場監督庁陸上交通庁との間で EV タ

スクフォースを組成し同国の EV 普及を目的としたユー

ザー向け補助金制度や充電インフラ整備などの検証を行う

ものこの活動の中でMMC は CCA を通じ 2011 年より

順次『i-MiEV(アイミーブ)』25 台を供給し実証走行

試験に協力していくhttpwwwmitsubishi-motorscompublishpressrelease_jp

corporate2010newsdetail4407html

【リチウム二次電池】リチウム二次電池の量産化実証工場が竣工 年間生産能力6 万 6000kWh (201011 18)三菱重工業(株)

リチウム二次電池事業への本格参入に向け長崎造船所内

に建設していた同電池の量産化実証工場が17 日竣工し

た年間生産能力は 6 万 6000kWh中型電池換算で約

40 万個に相当する今後各種実証技術に取り組み早期

の本格的な商業量産につなげていくとしている

プレスリリースより

CUTTING-EDGE TECHNOLOGIES

24

PEN

Nov

embe

r httpwwwmhicojpnewsstory1011184999html

【基礎科学物質の起源】動きがのろい冷反水素原子を 38 個も磁気瓶に閉じ込める物質と反物質の違いを知る手がかりとなる冷反物質研究が新段階に (201011 18)物質材料研究機構(NIMS)

NIMS は欧州原子核研究所(CERN)の国際共同研究グルー

プに参加し反物質の代表格である反水素原子を独自に

開発した八重極磁気瓶の中に 38 個も閉じ込めることに世

界で初めて成功した反水素原子の原材料である反陽子(陽

子の反粒子)と陽電子(電子の反粒子)を八重極磁場コ

イルとミラーコイルを組み合わせた磁気瓶の中に蓄積し

そっと混ぜ合わせて冷たい反水素原子を大量に生成した

反水素原子は電気的に中性の小さな磁石なので反水素原

子ができあがったころ(約 1 秒後)を見計らって電圧を

加え残存している反陽子と陽電子をことごとく排除した

その後磁気瓶の磁場を瞬時にゼロにすると磁気瓶内に

とどまっていた反水素原子は装置の壁に当たって消滅し

パイ中間子などのさまざまな粒子を放出するこれらの粒

子を磁気瓶を包む 3 枚の検出器で観測した結果捕捉し

ていた反水素原子を 38 個も確認することができた後述

するように同内容は理化学研究所からもリリースされたhttpwwwrikenjpr-worldinforeleasepress2010101118

indexhtml

【超伝導】ピセンのカリウムドープに伴う電子構造変化の直接観測 

(201011 17)岡山大学

岡山大学の研究グループはピセンおよびカリウムドープ

ピセンの電子構造を実験的に観測する事に世界で初めて成

功したカリウムドープピセンは芳香族炭化水素における

初めての超電導体であるがカリウムドープピセンの超電

導メカニズムまた超電導を誘起する電子構造は解明され

ていない研究グループは光電子分光法を用いピセンのカ

リウムドープに伴う電子構造変化を直接的に観測した結

果ピセンのカリウムドープに伴う電子構造変化を観測

芳香族炭化水素超電導体の超電導メカニズム解明および新

規超電導体探索の指針になると期待されるhttpwwwokayama-unetrenkeidocumentpdfpressrelease

press-101117pdf

【慣性力発電】慣性力(振動)発電技術を商品化 国内最大手エース社のバッグに慣性力発電ユニットを搭載 (201011 17)伊藤忠商事(株)

米国 CIIIS 社の持つ慣性力発電(振動発電)技術を用いて

人体の運動による振動で発電する慣性力発電ユニットを開

発した国内鞄最大手のエース株式会社がこの慣性力発

電ユニットを搭載したバッグの販売を行う

httpwwwitochucojpjanews2010101117html

【生物多様性】多様性進化の背景に『甲状腺機能低下』 (201011 16)東北大学

生物多様性の喪失は現在急速に進んでおり多様性の進化

維持機構を解明することは世界的な課題である生物多様

性の創出は多くの場合新規環境に生き物が侵出すること

によって始まるが生物が新規環境へどのように適応して

行くのかその過程については多くが未解明である東北

大学の研究チームはこのたび新規環境への適応に甲状腺

ホルモンの進化が重要であることを発見したhttpwwwtohokuacjpjapanesenewimgpressimgtohokuuniv-

press_20101116pdf

【ナノ物性】ナノスケールの鉄磁石を電界でコントロール

(201011 01)千葉大学

磁石の N と S 極は磁界を用いることでコントロールでき

るが千葉大学の研究チームはナノスケールの鉄の磁石の

極性をエネルギーの要らない電界でコントロールできるこ

とを見出したhttpwwwchiba-uacjppublicitypresspdf201020101102nano

pdf

【SOFC 関連材料技術】 画期的な電解質材料の開発に成功 固体酸化物燃料電池の商用化に一歩前進 (201011 18 )物質材料研究機構(NIMS)

NIMS の研究グループは電解質材料に必要とされる三つ

の要件イオン伝導性化学的安定性焼結性のすべてを

高いレベルで満足する2種類の材料を開発することに成功

したひとつは10 のプラセオジムを含むイットリウム

添加ジルコン酸バリウム(BZPY)でもうひとつは酸

化ニッケル (NiO) とイットリウム添加ジルコン酸バリウム

25

PEN N

ovember

(BZY) の混合粉末を固めた基板上にプレス成形された BZI

であるhttpwwwnimsgojpnewspress201011201011180

p201011180pdf

【レアアース】微生物でレアアースの回収が可能に バクテリアがレアアースを濃縮する現象を発見 (201011 17)広島大学高エネルギー加速器研究機構高輝度光科学研

究センター

共同研究グループは微生物の細胞表面では微生物が存在

しない周囲部分に比べてレアアースを高濃度に濃縮する現

象を見出したまたレアアースの中でも特に希少価値の高

い元素が選択的に濃縮することを発見その濃縮メカニズ

ムを放射光を用いたX線吸収法により明らかにした

httpwwwkekjpjanewspress2010RareEarthElementshtml

【はやぶさ】はやぶさカプセル内の微粒子の起源が判明(201011 17)宇宙航空研究開発機構

「はやぶさ」のサンプルキャッチャー室から特殊形状のヘ

ラで採集された微粒子を走査型電子顕微鏡にて観察および

分析した結果1500 個程度の微粒子を岩石質と同定した

更にその分析結果を検討したところそのほぼ全てが地

球外物質であり小惑星イトカワ由来であると判断するに

至った

httpwwwjaxajppress20101120101117_sac_hayabusapdf

【超伝導基礎科学】超伝導のメカニズム解明に大きな手がかり ルテニウム酸化物の電子の運動状態を選択的に可視化することに成功 電子対を形成する「のり」の起源を初めて解明

(201011 17)広島大学産総研

1994 年に日本で発見されたルテニウム酸化物超伝導体は

ユニークな超伝導状態を示しこれまで数多くの研究が行

われてきたがいまだにその超伝導のメカニズムは謎のま

まであった超伝導が生じるためには電子と電子を「のり」

で結びつけ「電子対」にする必要がある共同研究グルー

プは放射光の直線偏光特性を活用するため放射光の光

軸のまわりに回転可能な高分解能角度分解光電子分光装置

を開発しルテニウム酸化物超伝導体の超伝導機構解明に

重要な手がかりをつかんだ研究グループが開発した新装

置を用いることによりルテニウム酸化物超伝導体の異な

る運動状態にある電子を選択的に分離しながら精密に分

析することが初めて可能となったその結果物質の電子対

を形成するための「のり」として結晶を作っている原子

の振動が重要な役割を果たしていることその「のり」が

どのくらい強く働いているのか等が明らかとなった httpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101117

pr20101117html

世界最高性能基準光源を開発 安定高精度高速の三拍子そろった光信号の発生に成功 (201011 15) 情報通信研究機構(NICT)国立天文台(NAOJ)

NICT と NAOJ はNICT 独自の高消光比変調技術を利用

し精度を保ったまま周波数範囲を拡大する構成を提案し

たNAOJ の安定度向上技術による制御機能を組み合わせ

ることで世界最高性能の基準信号発生装置を共同開発

し100 ギガヘルツを超える高速信号の長距離伝送を実現

した本装置の方式により従来技術の課題であった安定

性周波数範囲精度の問題を解決した安定性は 2 台の

レーザを用いる従来方式に比べて 10 倍以上を実現し信

号の乱れを 30 万年に 1 秒以下とすることに成功したま

た精度は従来型変調器と比較し 1000 倍以上周波数範

囲は 4 倍を達成したhttpwww2nictgojppubwhatsnewpressh22101115101115

html

【基礎科学レーザ分光】電子の氷を光で融かす一瞬を捉える 光が有機物質を変える瞬間の超高速スナップショット (201011 15)東北大学自然科学研究機構分子科学研究所科学技術振

興機構(JST)

共同研究グループは光の照射によって有機物質の色や

電気伝導度が大きく変化する光誘起相転移現象の最初の瞬

間を捉えることに成功した電場と磁場の振動である光の

振動の3周期分に匹敵する極めて短いパルス光をポンププ

ローブ分光によって二次元有機物質における電荷秩序の

融解のダイナミクスすなわちldquo 電子の氷 rdquo が光によっ

てどのように解け絶縁体から金属へと変化するのかと

いう問題を明らかにしたものこの成果 12 月初めには米

国物理学会誌 Physical Review Letters オンライン版で公開

予定

httpwwwjstgojpprannounce20101117-2indexhtml

【熱電材料】水を使って絶縁体から効率のよい熱電材料を作ることに成

26

PEN

Nov

embe

r 功 希少毒性金属を含まない安価簡便な熱電材料創製に新たな道 (201011 15)科学技術振興機構 (JST)名古屋大学

熱電材料は熱を電気に変換することができることからエ

ンジンの排熱を利用して発電するハイブリッド自動車など

への応用が期待されているが従来の熱電材料はビスマ

スアンチモン鉛テルルといった希少毒性金属など

を含む問題があったJST 課題解決型基礎研究の一環とし

て名古屋大学の研究グループは水の電気分解を利用し

安くてありふれた絶縁体酸化物表面を大きな熱電効果を示

す金属へ変えることに成功した大量に水を含んだ多孔質

ガラスを新規に開発しこの多孔質ガラスを金属チタンと

チタン酸ストロンチウムに挟んで電圧を加えると水の電

気分解によって絶縁体のはずのチタン酸ストロンチウムの

表面に厚さ 3 ナノメートル以下の極めて薄い金属チタン酸

ストロンチウムが生成した通常の金属チタン酸ストロン

チウムに対して 4~5 倍高い電圧を示すことから従来の

熱電材料の約 2 倍の熱電性能が期待できる

httpwwwjstgojpprannounce20101117indexhtml

【基礎科学物質の起源】国際研究チーム反水素原子を瓶の中に閉じこめることに成功(20101118)理化学研究所

8 か国からなる研究チームは欧州合同原子核研究機関

(CERN)の装置を用いて加速器で反陽子と陽電子を作

成し磁場の中に閉じこめたのちに撹拌して反陽子と陽

電子1個ずつを結びつけ反水素原子を生成した反水素

生成後に余った反陽子と陽電子を取り除き反水素原子だ

けを特殊な瓶の中に封じ込めることに成功した計 38 個

の反水素原子が 02 秒間存在したことを確認反物質は

Dan Brown の小説「天使と悪魔」で非常に微量で爆発

を起こす材料として登場するしかし今回の手法では短

時間に消滅してしまい爆弾に使える量をためるのは不可

能だという17 日付の Nature Online 版に掲載

httpwwwrikenjpr-worldinforeleasepress2010101118 

【マックスウェルの悪魔実証】情報をエネルギーに変換することに成功 ldquo マックスウェルの悪魔 rdquo を実験により世界で初めて実現新規ナノデバイスの実現に期待 (201011 15)中央大学東京大学

微細加工技術とサブミクロンスケールのリアルタイム制御

システムを組み合わせ「マックスウェルの悪魔」と呼ば

れる科学史上の重要な概念を世界で初めて実験により実現

した これによって情報をエネルギーに変換できるこ

とを初めて示すとともに情報を媒介して駆動する新規ナ

ノデバイスの実現の可能性を示した マックスウェルの

悪魔は熱力学の根本に関わる概念でありこれを実現でき

た学問的意義は大きいまた科学者以外にもよく知られ

たテーマであり多くの人が興味を持つ話題でもある情

報を媒介して駆動する新規のナノデバイスを実現できる可

能性があり基礎的研究にとどまらずナノサイエンスで

の新しい制御法への応用が期待できるこの成果は 11 月

14 日に Nature Physics Online に公開された

Toyabe Sagawa Ueda Muneyuki and Sano

ldquoExperimental demonstration of information-to-energy

conversion and validation of the generalized Jarzynski

equalityrdquo

httpwwwsu-tokyoacjppresspress-2010-42html

詳細は中央大学 HPhttpwwwchuo-uacjpchuo-unewscontents_jhtmlsuffix=kampmo

de=topamptopics=12513

【基礎科学分子バネ】電子の出し入れで硬さが劇的に変わる分子バネを開発 たった 1 つの電子放出で分子全体の動きやすさが 450 倍も変化 (201011 15)理化学研究所科学技術振興機構(JST)

6 個の炭素原子が環状につながったベンゼン環は有機化

合物において最も基本的な構成ユニットの一つでありベ

ンゼン環をさまざまな形で結合させたものが盛んに研究さ

れてきたしかしベンゼン環を隣り合う炭素の位置で結

合させたオルトフェニレンは単純な構造でありながら合

成が難しいためこれまでほとんど研究がなされておらず

その性質は解明されていなかった理化学研究所の研究グ

ループはベンゼン環 48 個を隣り合った炭素の位置で結

合させたオルトフェニレンを世界で初めて合成したオル

トフェニレンは3 つのベンゼン環が 1 ピッチのらせんを

形成するバネ状の構造をしているがこのようなバネ状の

構造を持った分子はさまざまな機能を発揮するためエ

レクトロニクスや分子機械への応用の可能性が高まってい

る研究グループはこのバネ状分子から電子を 1 つ取

り去るとバネの硬さが劇的に増してらせんの反転速度が

約 450 分の 1 も遅くなることを突き止めたまたこの

1 個の電子の出し入れに応じてバネのピッチが 3263Aring か

ら 3224Aring と変化したこれまで電子が高密度に含まれ

た分子バネは電子を出し入れすることでその振る舞いが

変化することが理論上予想されていたがこのように電子

を多量に含む分子バネの合成は難しく実験的にも証明さ

れていなかった硬さの変化というこれまで実現すること

27

PEN N

ovember

ができなかった応答をする分子バネの登場は応答性分子

の分野に新たなコンセプトをもたらすと注目される本研

究成果はJST 戦略的創造研究推進事業 発展研究 (ERATO-

SORST)「分子プログラミングによる電子ナノ空間の創成

と応用」の一環として行われたものhttpwwwrikenjpr-worldinforeleasepress2010101115

indexhtml

【自己組織化基質選択的会合】分子間の特異的な相互作用による新規材料集積法を開発 分子が好みの分子を見分けて接着 (201011 15)大阪大学科学技術振興機構(JST)

近年分子認識を利用して分子と分子を非共有結合でつな

げることによりさまざまな超分子錯体が合成されさらに

これらを自己集合させる研究が行われているこれらの研

究において形成される集合体は分子の大きさであるナノ

メートルからマイクロメートルの極めて小さなもので高

倍率の顕微鏡を使わなければ見えない分子認識に基づい

て手軽に使えるくらいの大きな自己組織体を作り出すこと

はナノテクノロジー分野において分子を自己組織化さ

せて機能性材料を創製する上で重要な課題であった大阪

大学の研究グループはホスト分子としてシクロデキスト

リンをゲスト分子としてシクロデキストリンが結合する

化合物を用いてそのホスト-ゲスト相互作用を利用して

多様な自己組織化超分子ポリマーの構造体を作りマクロ

スケールで機能を発現させる研究を進めている今回D

NAやタンパク質の分子量決定に広く用いられるアクリル

アミドゲルを土台にしてこのゲルにシクロデキストリン

とゲスト分子をそれぞれ別々に導入し「ホストゲル」と

「ゲストゲル」を合成したこの両者を水中で振動させる

とゲルが接着する挙動が観察されミリメートルからセン

チメートルの大きさの物体を分子認識により自己集積でき

ることを世界で初めて実証したさらにシクロデキストリ

ンとゲスト分子との相互作用の強さの違いによって選択的

に特定のゲル同士を接着させることができることがわかっ

httpwwwjstgojpprannounce20101115indexhtml

【ブタノール分離膜】バイオブタノールの省エネルギー型膜分離精製技術を開発1 wt ブタノール水溶液から80 wt 以上の高濃度ブタノールの回収が可能 (201011 15)産総研

産総研は1 wt 程度の希薄なブタノール水溶液からゼ

オライト系分離膜を用いて 80 wt 以上に濃縮したブタ

ノールを回収できる省エネルギー型のバイオブタノール精

製技術を開発した ブタノールはエタノールと比較して

発熱量が大きいことから地球温暖化対策に貢献できる再

生可能なバイオ液体燃料すなわちポストバイオエタノー

ルとして期待されている今回合成条件の最適化を進め

高いアルコール選択透過性をもつシリカライト分離膜を合

成し膜分離法によって低濃度ブタノール水溶液から高

濃度ブタノールの回収が可能となった従来の分離膜を用

いた場合に比べてブタノール回収のためのエネルギーを

50 ~ 70 程度低減できることが期待される httpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101113

pr20101113html

【分子生物学】 化学合成したペプチドからウイルスの殻構造を組み上げることに成功 新規ナノ材料や医療材料としての応用に期待 (201011 12) 九州大学北九州市立大学

共同研究グループは化学合成したペプチドから約 40 ナ

ノメートルのウイルスの殻構造を組み上げることに世界で

初めて成功した球状の植物ウイルスから遺伝子を除いた

キャプシド構造と呼ばれる殻構造は決まった大きさのナ

ノ空間であることからナノ物質の反応器や運び手として

利用する研究が国内外で盛んに行われているしかしこ

れまでウイルスのキャプシド構造を得るにはウイルス

の遺伝子をバクテリア内に導入して生産させる必要があっ

た本研究では遺伝子やバクテリアを用いない完全化学

合成によってウイルスキャプシドを構築することに成功

した今回ウイルスの殻構造を簡単なペプチドから構築

できたことで様々な機能性ウイルスキャプシドを人工的

に創成する道が拓けたと言えるこのペプチドからなるナ

ノカプセルに適切な化学修飾を施すことによりナノ物質

合成のための反応器や医薬品の運び手人工ワクチンを

創成するための足場材料として応用できるものと期待され

るhttpwwwkyushu-uacjppressrelease20102010-11-12-04pdf

【レアメタル】レアメタル使用量削減技術の実用化を加速(20101110)新エネルギー産業技術総合開発機構 (NEDO)

NEDO はレアアース総合対策の一環として企業が取り

組むレアメタル使用量削減技術の実用化を加速するための

助成事業(事業規模約 100 億円)を 2010 年度補正予算

の成立を前提に行うこの助成事業では短期間で実用化

が期待できる以下の技術開発を対象として①レアメタル

28

PEN

Nov

embe

r を代替する材料の技術開発 ②レアメタルの使用量を削

減する技術開発 ③レアメタルのリサイクルを促進する

技術開発 ④その他のレアメタル消費の削減に資する技

術開発を行うhttpapp3infocnedogojpinformationskoubopressEFnedopre

ss2010-11-068550095069

【導波路型光スイッチ】光スイッチの消費電力を従来の 2 分の 1 に低減 増え続けるネットワーク機器の消費電力問題を解決 (201011 09)( 株 ) 富士通研究所

同社はシリコンフォトニクス技術を適用した導波路型光

スイッチについて世界で初めてシリコンゲルマニウム

(SiGe)細線構造を用いることで従来のシリコン細線構

造に比べて消費電力を約 2 分の 1 に低減することに成

功した幅広い波長に対応して高速に動作できるタイプの

光スイッチ素子としては世界最小の消費電力を実現して

いるhttpprfujitsucomjpnews2010119html

【ナノ構造機能】昆虫が足を擦る秘密をナノテクノロジーで解明 生体模倣による新しい材料機能の開発に活用 (201011 09)物質材料研究機構マックスプランク研究所キール大

共同研究チームは環境問題で循環型社会実現に求められる

「接着と分離」を繰り返せる未来の接合技術の開発研究に

おいてガラスのような平坦な表面を逆さまでも歩行でき

る昆虫の足の裏の優れた接着性に着目し昆虫(ハムシ)

の歩行調査を行いナノテクノロジーを用いた実験により

昆虫が摩擦により汚れを感じていることを突き止めた

httpwwwnimsgojpnewspress201011p201011090html

【超音波流量計半導体プロセス】極微量な流量を精密に測定できる超音波流量計を開発 半導体製造装置の性能を向上させ環境負荷を低減しランニングコストを削減 (201011 09)産総研( 株 ) アツデン東京計装 ( 株 )

3 者は共同で10 mLmin( 誤差plusmn 01 mLmin) 以下の極

微量な流量を精密に測定できる超音波流量計を開発した

この流量計は超音波ガイド波の伝搬に関する基礎理論の

見直しを行い超音波を高周波化し設計を最適化するこ

とにより開発したものでこれまでの超音波流量計では計

測できなかった微小な流速領域での流量測定ができるこ

の超音波流量計は半導体製造装置で利用される薬液の高

精度な制御を可能にし半導体製造装置の高性能化環境

負荷の低減ランニングコスト削減へ貢献すると期待され

る httpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101109

pr20101109html

【研究交流】中国上海における国際交流事業の実施同済大学と大学間学術交流協定を締結 (201011 08)大阪大学

10 月 21 日上海において開催した上海教育研究センター

開所式記念講演会祝賀会には鷲田清一総長をはじめ

とする大阪大学教職員中国の学術交流協定校関係者大

阪大学同窓会会員など約 130 人が列席し盛況の内に終

了した翌 22 日23 日には第 15 回大阪大学上海交

通大学学術交流セミナーが上海交通大学情報ネットワーク

センターを主会場として開催され7つの研究会に約 100

人が参加したさらに 23 日と 24 日の両日上海東亜展

覧館を会場に開催された中国国際教育展に大阪大学のブー

スを出展し100 人を超える留学相談者が本学のブースを

訪れた翌 10 月 22 日鷲田清一総長は上海市内にある

同済大学を訪問裴学長陳副学長ほか大学関係者と懇談

するとともに大学間学術交流協定及び学生交流覚書の調

印式に臨んだこれにより中国の大学との 10 番目の協定

が成立したhttpwwwosaka-uacjpjanewstopics20101120101108_1

httpwwwosaka-uacjpjanewstopics20101120101108_2

【高耐久性セラミック】激しい熱変化にも強度劣化しない窒化ケイ素系セラミックスを開発 窒化ホウ素の微粒子を分散させ耐熱衝撃性を飛躍的に向上 (201011 08)産総研三井金属鉱業(株)

両者は共同で従来品に比べて耐熱衝撃性と高温での強度

を飛躍的に高めた窒化ケイ素系セラミックスを開発した

今回窒化ケイ素(Si3N4)をベースとして高い熱伝導

率をもつ粒界相を形成させるとともにそこに非晶質に近

い窒化ホウ素のナノメートルオーダーの微粒子を分散させ

ることで耐熱衝撃性を飛躍的に向上させた従来の窒化

ケイ素が 1000 の温度差で強度が低下するのに対して

今回の開発材は電気炉で 1400 に加熱した後水中に投

下することを 10 回繰り返してもほとんど強度が劣化しな

かったまたこの開発材について大気中 1200 で高温

29

PEN N

ovember

曲げ試験を行ったところ室温と同程度の強度を保持して

いたセラミックスでは大型化すると小試験片では得られ

た特性が得られず実用化を進める上での課題になること

が多いがこの開発材では焼結条件を最適化することに

よって直径 82 mm 長さ 370 mm の比較的大型の部品で

も試験片と同様の組織物性が得られたまた実際の

製品形状に近い部品の焼成も可能となったhttpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101108

pr20101108html

【ミリ波発信器】ミリ波帯無線通信の実用化にめど 世界最高性能の低雑音局部発振器を開発 (201011 08)東京工業大学

東工大の研究グループは雑音を従来の 100 分の1以下

に低減したミリ波帯局部発振器を開発した20GHz 帯の

発振器と 60GHz 帯の注入同期型直交局部発振器を組み合

わせることにより世界最高の低位相雑音性能を達成した

無線通信の周波数帯ひっ迫を解消する技術として 60GHz

ミリ波帯の利用が注目されているがミリ波帯ではコイル

やコンデンサの損失が大きくなり位相雑音特性が劣化す

るのがネックだった今回はこれを解決したものでミ

リ波無線通信の実用化につながる成果発振器は 65 ナノ

メートルのシリコン CMOS プロセスを利用して試作した

580GHz から 636GHz の周波数範囲で 4 相正弦波出力が

可能でこの発振器により10Gbps(毎秒 100 億ビット)

以上の超高速ミリ波帯無線通信の実現が期待されるh t t p w w w o l d t i t e c h a c j p t o k y o - t e c h - i n - t h e - n e w s j

archives2010111289174400html

【炭素繊維応用】住宅向け外装材「炭素繊維補強サイディング」の本格展開について 優れた強度と耐熱寸法安定性で 15 年の基材保証を実現 (20101105)東レ ACE(株)

東レの子会社東レ ACE は炭素繊維で補強した窯業系サ

イディングを開発し本格販売と市場展開を開始する「炭

素繊維補強サイディング」はセメント質原料に炭素繊維

を添加配合して成型固着させた建物外壁用のセメントボー

ドで従来の窯業系サイディングの優れた防耐火性耐久

性等を維持しつつ更なる強度補強効果や火災高温時の

変形や熱収縮によるひび割れの抑制など耐熱寸法安定性

も向上させることで基材 15 年保証を実現する 本製品

に使用している炭素繊維は軽くて強く優れた高温特性や

耐熱性を有し非常に細い繊維を多く配合できることから

外装材としての強度補強効果も期待できるとしている

httpwwwtoraycojpnewsaffilnr101105html

【光ファイバーナノインプリント】ナノ格子反射防止表面光ファイバー先端に形成ナノ技術で安く製作 (20101105)東北大学

東北大の研究グループは微小な窪みが多数形成された反

射防止構造体を光ファイバーの先端に製作する技術を開発

した光ファイバーは光通信や光分析装置の構成部品とし

て使われており光源受光素子やレンズなどの光部品と

の接続損失を減らすために先端に反射防止膜が形成され

ている従来の反射防止膜は真空装置を使って薄膜を付け

るためコストが問題であった研究グループはナノイン

プリント技術を用いて光ファイバー先端のコア部に 270

ナノメートル間隔で微小な円錐状の窪みを形成し反射損

失を低減することに成功したナノインプリント技術は

基板に塗布したポリマーに原版を押し付けて微細パターン

を転写する技術で高価な露光装置や真空装置が不要なた

めナノ構造を安価に製作することができる今回光ファ

イバー先端にナノ構造を製作するために専用のナノインプ

リント装置を開発した窪みの間隔が光の波長よりも小さ

い場合屈折率が変化し反射波が生じにくくなる反射

率や波長帯域は窪みの形状間隔や高さで決まり従来

の反射防止膜よりも設計の自由度が高いため要求に合わ

せて種々の反射防止表面を製作することが可能 httpwwwtohokuacjpjapanese201011press20101105-2

html

【人工筋肉機能材料】光を運動エネルギーに変える新高分子素材の開発に成功 世界で初めて分子を大面積で 3 次元的に配列させ新機能を実現 (20101105)理化学研究所

光で変形したり電子を流すなどの機能を持った分子を人工

的に規則正しく大面積で集積することができると機能性

材料の性能向上や革新的新機能の発現につながるそのた

め世界中で精力的に開発が行われているがこれまで実現

させた例はなかった理化学研究所の研究グループは光

で構造が変化するアゾベンゼン分子を組み込んだブラシ状

の高分子「ポリマーブラシ」を大面積で 3 次元的に一挙

に配列させる手法の開発に初めて成功したこの規則性の

ある 3 次元集積構造は延伸したテフロンシートにポリ

マーブラシを挟み込みアイロンに似た熱と圧力を加える

といういたって簡単な操作で実現したさらにこのフィ

30

PEN

Nov

embe

r ルムに光を当てるとアゾベンゼン分子の構造変化が一方

向に集約しフィルムが湾曲するという巨視的変形を引き

起こすことを見いだしたすなわちこの新しいフィルム

は光エネルギーを運動エネルギーに変換する機能を持って

おり新たな人工筋肉材料などへの展開が期待されるま

た本技術は有機薄膜太陽電池をはじめとする次世代の機

能材料の開発にも革新をもたらすと期待されるhttpwwwrikenjpr-worldinforeleasepress2010101105

indexhtml

【リチウムイオン電池正極材料】常温プロセスで全固体薄膜リチウムイオン電池の試作に成功 エアロゾルデポジション法による蓄電池製造の新工法開発を本格化 (2010115)産総研

産総研はトヨタ自動車 ( 株 ) と共同で産総研が開発し

たセラミックス材料の常温高速コーティングプロセスであ

るエアロゾルデポジション (AD) 法を用いて酸化物系の

正極材料負極材料固体電解質材料を薄膜積層化して

金属基板上に 3 層構造からなる全固体薄膜リチウム (Li) イ

オン電池を試作蓄電池としての充放電特性を世界で初め

て確認した 従来型の薄膜技術とは異なりAD 法を用い

ると基板の加熱が不要でまた厚膜化も容易であるそ

のため成膜時間が大幅に短縮でき蓄電池の生産性向上

やプロセスコストの大幅な低減が期待される今後は AD

法を用いた本格的な全固体電池の共同開発を進めていく httpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101105

pr20101105html

【記録デバイススピントルク素子】次世代超高密度 HDD に向けたマイクロ波アシスト記録の基本技術を開発 磁気ヘッドに搭載可能なスピントルク素子を用いた磁気情報の書き換えを確認 (2010115)新エネルギー産業技術総合開発機構(NEDO)(株)日

立製作所

NEDO はハードディスク装置(HDD)の開発製造会社で

ある日立グローバルストレージテクノロジーズの協力を得

て従来の磁気記録方式の限界を超えHDD の記録密度

を飛躍的に伸ばす方式として期待されているマイクロ波ア

シスト磁気記録方式の基本技術を開発しその原理を実験

的に確認したマイクロ波アシスト記録では記録媒体の

小領域にマイクロ波帯の高周波磁界を加え磁気情報の書

き込みを容易にする今回開発したのはヘッドに搭載可

能な高周波磁界を発生するスピントルク発振素子でこの

素子を用いて記録媒体上に磁気情報を記録できることを実

験的に確認したこれまで外部のマイクロ波発生装置を

用いたマイクロ波アシスト効果の報告例はあったが今回

微細な発振素子を用いた磁気情報の記録を確認できたこと

により将来この素子を記録ヘッドに搭載しマイクロ波

アシスト記録を実用的に行える可能性が示されたhttpapp3infocnedogojpinformationskoubopressEFnedopre

ss2010-11-029718160145

【基礎科学物性】絶縁体が金属に変わる新原理の解明 超伝導素子や熱電変換素子の開発へ道(20101104)東北大学

東北大学原子分子材料科学高等研究機構の研究グループ

は高品質酸化物薄膜において電気が流れにくい絶縁体

状態から流れやすい金属状態への遷移機構を解明した材

料における電気の流れやすさは電気を流す担い手である

伝導キャリアが物質中にどれだけ含まれるか伝導キャリ

アがどれくらいスムーズに動きまわれるかによって決ま

るつまり伝導キャリアの濃度を増やしたり材料中で

伝導キャリアの動きを妨げる原因になるひずみや欠陥を少

なくすると電気はより流れやすくなる本研究では人

工宝石として知られるチタン酸ストロンチウム (SrTiO3)

の絶縁体を用い伝導電子を生み出すキャリア供給層を

SrTiO3 絶縁体間に挟み込んだ絶縁体層 キャリア供給層

絶縁体層の層状界面構造をもつ高品質超格子構造を作製す

ることで絶縁体層の体積を増加させると反対に電気が流

れやすい金属状態になる現象を発見した最新の電子顕微

鏡技術を用いた原子構造解析と電子状態の理論計算を駆使

して絶縁体を増加させると界面で結晶のひずみが少なく

なり高導電化することを解明した本研究が明らかにした

界面での結晶のひずみを制御することによって絶縁体を金

属状態へ変化できる現象は様々な材料でも普遍的に起こる

と考えられ絶縁体から金属へ変わる境目で性能が向上す

る新超伝導体や新熱電材料の開発に展開することが可能と

期待されるhttpwwwtohokuacjpjapanesenewimgpressimgtohokuuniv-

presspdf

【環状高分子】様々な環状高分子の自在な合成に成功 「かたち」に基づく機能開発に期待(2010112)東京工業大学

東工大の研究グループはこれまで困難とされてきた

種々の含環状高分子の選択的な合成に成功した同研究

グループで開発された単環状高分子合成プロセスである

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Electrostatic Self-Assembly and Covalent Fixation Process

と有機合成化学の新手法であるクリックケミストリー

を組み合わせることで様々な「かたち」の自在な構築

を達成した本手法の開発により近年注目を集めてい

る「かたち」に基づいた高分子物性の探索を加速させる

ものと期待されるhttp wwwo ld t i t e ch ac j p tokyo - t ech - in - the -news j

archives2010111288656000html

【異分野連携オープンイノベーションモデル】応用脳科学コンソーシアム 脳科学及びその周辺領域の学術知見を活用したオープンイノベーションモデルの研究活動を開始 異業種の民間企業と異分野の脳科学研究者が連携し事業性の高い研究テーマを推進 (2010111)アサヒビール(株)(株)NTT データ積水ハウス(株)

(株)竹中工務店帝人(株)凸版印刷(株)日産自動

車(株)(株)博報堂(株)NTT データ経営研究所

NTT データ経営研究所が日本神経科学学会の協力を得て

2010 年 10 月 1 日に創設した「応用脳科学コンソーシア

ム」においてそれぞれの事業活動に関連する独創性の

高い研究テーマについて複数の「応用脳科学 RampD 研究会」

を立ち上げるRampD 研究会では各 RampD 研究会を設置

した特別会員企業が各テーマに関連の深い脳科学及び

その関連領域の研究者を招聘し異業種である他の会員

企業とともに最新の研究知見を活用してオープンイノ

ベーションモデルの研究活動を実施する各社が設置す

る RampD 研究会は現時点で(1)おいしさの総合評価研究

会(アサヒビール)(2)ヘルスケア脳情報クラウド研究

会(NTT データ)(3)インタラクティブ住環境研究会(積

水ハウス株式会社)(4)コミュニケーション空間研究

会(竹中工務店)(5)メディアエンゲージメント研究

会(博報堂)この他の RampD 研究会については今後随

時応用脳科学コンソーシアムのウェブサイト httpwww

keieikencojpcan で公開予定

httpwwwnttdatacojprelease2010110101html

【レーザ技術基礎光物性】熱を加えずに結晶を柔らかくすることに成功 高強度テラヘルツ電磁パルスで分子ネットワーク操作が可能に 

(2010111)京都大学科学技術振興機構(JST)

京都大学はテラヘルツ電磁パルスと呼ばれる新しい光

を物質に照射することで1兆分の1秒の短い時間で結

晶中の分子を大振幅で揺さぶり熱平衡状態では実現で

きないような分子変位を実現することに世界で初めて成

功した実験結果は結晶が実効的にやわらかくなったこ

とを意味するものでさらに強いテラヘルツ電磁パルス

によって高効率で結晶を融解させることを示唆するこ

れは熱による反応を起こすことなく新しい分子間のネッ

トワークやたんぱく質などの巨大分子の立体配位を操作

できることを示しており化学合成における反応促進や

創薬における有機分子結晶の精製での活用が考えられる

今回の成果は JST 戦略的創造研究推進事業日本学術振

興会学術創成プロジェクト「動的相スイッチ機構を内在

する有機電子材料の開拓と非平衡物性科学への展開」お

よび京都大学グローバル COE プログラム「普遍性と創発

性から紡ぐ次世代物理学」によるものhttpwwwjstgojpprannounce20101101indexhtml

【高周波デバイス】透 明 な 高 周 波 デ バ イ ス 見 え な い ア ン テ ナ へ の 道

(20101028)物質材料研究機構太陽誘電(株)

両者は共同で透明な高周波デバイスを製造するための

基本技術である微細な金属配線と酸化物透明導電体から

なるハイブリッド構造を開発した本技術は不透明で

あるが高い伝導性を示す金属と透明ではあるが金属の

100 分の 1 程度の伝導率にとどまる酸化物透明導電体と

を組合せ両者の特性を相補的に活用することにより

透明でありかつ携帯電話をはじめとする無線デジタ

ル通信に用いられるギガヘルツ帯の高周波に対して高い

伝送特性を示す素子構造を実現した

httpwwwnimsgojpnewspress201010p201010280html

【エコ製品環境経営】COP10 に向けた環境配慮型製品技術の取り組み ポリ乳酸繊維 ldquo エコディア rdquo 使用商品の提供や連携事業「メッセナゴヤ 2010」への出展を通じ環境保全の取り組みを強化 (20101028)東レ ( 株 )

同社は10 月 11 日 ( 月 ) から 29 日 ( 金 ) に開催された

生物多様性条約第 10 回締約国会議 (COP10) に向けて

ポリ乳酸繊維 ldquo エコディア rdquo 使用商品の提供などを通じて

環境に配慮した運営に協力したまたCOP10 の連携事

業である環境エネルギーをテーマとした展示会「メッ

セナゴヤ 2010」に出展し環境に配慮した次世代自動車

や最先端航空機向けの先端材料を紹介した

httpwwwtoraycojpnewsfibernr101028html

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NEWS POD 著作権の関係で記事のタイトルと詳細内容は標記できませんので簡略に表示しています詳しい内容に関しては各新聞及び雑誌をご覧ください

ナノテクノロジー

研究開発最前線

20101122 日 刊 工 業 新 聞 News

ウェーブ 21

X 線レーザー

20101121 東京読売新聞

新潟ナノテク研究会

20101120 日本経済新聞

ナノテクとバイオ

20101120 下野新聞

バイオ起業

20101119 朝日新聞

ナノ粒子の構造制御

20101119 日刊工業新聞

水素原子観察

20101119 科学新聞

光ファイバー関連技術

20101119 科学新聞

希少金属対策

20101118 日刊工業新聞

熱電材料

20101117 日経速報ニュース

化学合成でナノ構造

20101117 日経産業新聞

つくばナノテク研究拠点への投資

20101117 日刊工業新聞

分子バネ

20101116 日経速報ニュース

ナノバイオ融合

20101116 日経産業新聞

フレンドオブアースのナノテク評

20101116 エコロジーエクスプレス

クラスターテクノロジー

20101112 産経新聞

実用化助成

20101111 日刊産業新聞

接着のメカニズム

20101110 日経産業新聞

電子材料

20101110 日経産業新聞

ナノ磁石

20101110 東京新聞

高分解能放射線検出器

20101110 化学工業日報

電池電極材料

20101108 日本経済新聞

食の安全性

20101108 日経エコロジー

ナノ磁石実用化

20101105 朝日新聞

ナノテク接着剤

20101105 日刊工業新聞

水素原子の観察

20101105 日刊工業新聞

補正予算案

20101105 科学新聞

ナノ磁石

20101104 日本経済新聞

ナノボーグ

20101104 日刊工業新聞

ITO 電極代替技術

20101104 鉄鋼新聞

レアアース代替材

20101103 日本経済新聞電子版

セクション

ナノ鉄磁

20101103 毎日新聞

有機トランジスタ

20101101 日 経 速 報 ニ ュ ー ス

アーカイブ

有機トランジスタ

20101101 日経産業新聞

ナノムービー

20101101 日経サイエンス

低燃費タイヤ

20101030 朝日新聞

筑波大生命科学研究拠点

20101030 茨城新聞

レアアース代替材

20101029 日経産業新聞

播磨地域

20101029 化学工業日報

ナノ粒子操作

20101029 科学新聞

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NEWS POD 著作権の関係で記事のタイトルと詳細内容は標記できませんので簡略に表示しています詳しい内容に関しては各新聞及び雑誌をご覧ください

中国新5カ年計画

20101028 日本経済新聞

高機能消臭素材

20101028 化学工業日報

環境規制等

終わりの科学

20101201 日経サイエンス

電気自動車の覇権

20101123 週刊エコノミスト

環境規制対応

20101122 日経産業新聞

温暖化ガス排出枠

20101122 日経産業新聞

ロス自動車ショー

20101119 日経産業新聞

EV と環境規制

20101119 朝日新聞

EV

20101119 東京新聞

環境と法規制

20101119 化学工業日報

トヨタとテスラ

20101118 読売新聞速報ニュー

CO2 排出量削減

20101118 日経産業新聞

カリフォルニア州環境規制と EV

20101112 日本経済新聞

環境規制

20101112 日本経済新聞

環境規制

20101112 日経産業新聞

米韓 FTA

20101112 朝日新聞

米韓 FTA

20101112 毎日新聞

顔料

20101112 化学工業日報

レアメタル供給規制

20101111 日本経済新聞

潮冷熱

20101110 日本経済新聞

レアアース生産と環境規制

20101108 ダウジョーンズ中国企

業ニュース

韓米FTA

20101101 中央日報

科学技術政策

競争的資金制度

20101122 日本経済新聞

科学技術関係補正予算案 

20101122 THE DOCTOR

韓国 KIST

20101121 朝鮮日報

科学技術政策

20101119 日本経済新聞電子版

セクション

科学技術政策

20101118 日本経済新聞

科学技術政策

20101118 日経産業新聞

女性研究者

20101117 日経速報ニュース

科学技術予算

20101114 東京読売新聞

トップ1論文

20101112 科学新聞

中国特許強国に

20101112 新華社ニュース

関経連と科学技術政策

20101110 産経新聞 

科学技術産業一体政策

20101109 日刊工業新聞

優れた論文の条件

20101105 毎日新聞

「焼け太り許さぬ」

20101102 朝日新聞

国の研究開発投資目標

20101029 日刊工業新聞

科技政策で提言

20101027 日経産業新聞

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科学への信頼に関する読者調査

20101201 日経サイエンス

「カップリング反応」アニメ化

20101110 朝日新聞東京読売

新聞他

科学と社会つなぐ人材

20101025 東京新聞

NEWS POD 

情報誌 PEN 購読のご案内PEN の継続的な購読をご希望の方は下記のメールアドレスまでお名前ご所属メールアドレスをご記入の上ご連絡ください登録配信は無料ですnano-penmaistgojp

PEN は原則月 1 回配信しますバックナンバーと PEN の前身【AIST-TOKYO ナノテク情報】をナノシステム研究部門ホームページにて公開しています httpunitaistgojpnrinano-planindexhtml

PEN は皆さまとの情報共有を目的としていますお持ちの情報で共有すべきものがあれば nano-penmaistgojp までお寄せ下さい

いただいた個人情報は産総研 個人情報保護方針(プライバシーポリシー)に基づき大切に管理し情報誌 PEN の運営と私達のイベントのご案内のみに使用させていただきます

科学技術コミュニケーション

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イベント案内

[産学連携研究開発]大阪大学ナノ理工学人材育成産学コンソーシアム 第 3 回ナノ理工学情報交流会場所大阪大学中之島センター 7 階 講義室 3(講師来訪)

   大阪大学東京オフィスサテライト教室

(遠隔講義配信)

   四日市商工会議所内サテライト教室

(遠隔講義配信)については調整中です

コンソーシアム HP にてご確認ください

   ナノテク社会人教育プログラムの開講をされてい

る場合遠隔講義配信に対応可能です事務局まで

ご連絡ください

日時2010 年 12 月 10 日(金)1330 ~ 1900 頃

主催大阪大学ナノ理工学人材育成産学コンソーシアム 

概要ナノ理工学人材育成産学コンソーシアムでは活動

の一環として産学連携のきっかけを提供すべく企業と

大学の双方からテーマに即した研究開発やトピックを紹介

し会員同士の意見交換と情報共有の促進をはかっていま

す第 3 回目となる今回は「光を用いたナノテクノロジー

の新展開」をテーマに開催しますプログラムなどの詳細

は下記の HP をご参照下さい

参加費コンソーシアム会員学生及び大阪大学教職員は

無料(コンソーシアム企業会員の場合社内から何名でも

無料で参加が可能です)

上記以外の方は資料作成費 1000 円が必要になります

参加登録氏名所属連絡先懇談会への出欠を記載の

上メールにて大阪大学ナノ理工学人材育成産学コンソー

シアム事務局(nano-consnanoscienceorjp)へお申込み

下さい

httpwwwnanoscienceorjp

[コミュニケーション]科学コミュニケーション研究会 第 1 回関西支部勉強会日時2010 年 12 月 2 日 1800 ~ 2000

場所京都大学 吉田泉殿

主催科学コミュニケーション研究会 関西支部有志

概要大阪教育大学科学教育センターの中矢史雄氏を講師

に招きオーストラリアの科学技術コミュニケーションに

ついてオーストラリア国立大学科学意識向上センター

での経験なども交えてお話いただきます定員は 25 名で

す事前申し込みが必要です

httpbitlybPmTP9

[展示会]セミコンジャパン 2010日時12 月 1 日~ 3 日

場所幕張メッセ

主催SEMI

概要国内外の最新のマイクロエレクトロニクス技術に関

する情報を入手することのできる世界最大の半導体製造装

置材料展です

httpwwwsemiconjapanorgjaindexhtm

[知財]アジア特許庁シンポジウム日時2010 年 12 月 3 日(金)930 ~ 1210

場所ホテル日航奈良 飛天の間

主催特許庁

概要日本中国韓国インドネシアマレーシアシ

ンガポールの特許庁幹部を招き各国の知財保護強化の取

組みやアジアにおける知財協力を紹介しますまたパ

ネルディスカッションを設けアジアにおける人材育成協

力の方向性について議論します

httpwwwintergroupjp~convasia

[人材育成]応用物理学会 人財育成シンポジウム -日本の危機を科学が救うそのためのリーダー育成を考える-日時2010 年 11 月 29 日(月)1000 ~ 1710

場所東京工業大学デジタル多目的ホール

主催応用物理学会

概要急速に進むグローバル化に対応のできる人材を育成

するための課題や応用物理学会が貢献することのできる

具体的な取り組みについて議論します

イベント案内へ掲載を希望される方は nano-penmaistgojp までご一報ください

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r h t t p w w w j s a p o r j p a c t i v i t i e s e d u c a t i o n

symppt2010symphtml 

[コミュニケーション]科学技術とメディアのより良い関係に向けて日時11 月 26 日 1815 ~ 2030

場所早稲田大学大隈小講堂

主催サイエンスメディアセンター(SMC)

概要英国オーストラリアのサイエンスメディアセ

ンターの関係者米国のサイエンスコミュニケータを交え

て研究者とメディアの有益な関係性構築に向けた取り組

みについて議論します参加費は無料同時通訳がつきま

httpsmc-japanorgp=403 

[異分野連携]医学領域と工学領域連携研究シンポジウム ‐ 未来を拓く医工連携 ‐日時2010 年 11 月 27 日(土)

場所山口大学医学部第 3 講義室

主催日本学術会議中国四国地区会議山口大学

概要がんの個別化医療をメインテーマにこれからの医

工連携のあり方について講演と議論を行います

httpwwwscjgojpjaeventpdf100-t-3pdf 

[人材育成]マイクロナノエンジニアリング シンポジウム ‐ イノベーションと人材育成 ‐日時2010 年 12 月 8 日(水)1300 ~ 1700

場所日本学術会議 講堂

主催日本学術会議 マイクロナノエンジニアリング分

科会日本機械学会 マイクロナノ工学専門会議

概要学際的分野であるマイクロナノエンジニアリング

は大学大学院における教育の整備関連する産業界

学術界での研究開発における分野融合的な取組みが不可欠

です本シンポジウムでは人材育成を軸とした課題につ

いて議論します

httpwwwscjgojpjaeventpdf100-s-3-1pdf

[ 博物館展示 ]自然に学ぶ ネイチャーテクノロジーとライフスタイル展開催中です

場所国立科学博物館 (東京上野公園)

日時2010 年 10 月 26 日~ 2010 年 2 月 11 日

主催東北大学大学院環境科学研究科国立科学博物館

特定非営利活動法人ものづくり生命文明機構

概要蝶や鳥など生き物や自然の仕組みにヒントを得た環

境負荷の低い技術と将来的な応用の可能性から日本文化

に根差した共生型の新しいライフスタイルのあり方につい

て紹介します国立科学博物館の入館料600円が必要です

httpwwwkahakugojpevent201010natureindex

html

[人材育成]シンポジウム「世界を魅せる日本の課題解決型基礎研究~JST 目利き制度とその可能性」日時2010 年 12 月 6 日(月)1000-1800 (0900 受

付開始)

場所東京国際フォーラム B5 ホール

主催(独)科学技術振興機構(JST)

概要JST がこれまでに行ってきた戦略的創造研究推進

事業の成果を振り返りつつ今後の日本の科学技術の発

展に向けた事業のあり方について参加者の皆様と議論しま

httpwwwsenryaku30jstgojp 

[ 持続可能性 ]学術会議シンポジウム「低炭素化に向けた経済社会エネルギーのあり方と実現のシナリオ」日時2010 年 12 月 9 日(木)1330 ~ 1700

場所学術会議講堂

主催土木工学建築学委員会低炭素建築都市分科会

社会資本分科会

概要両分科会は中~超長期のエネルギー消費量削減シ

ナリオ策定に取り組んできました本シンポジウムでは

分科会の検討結果や削減のための様々な取り組みを紹介

し今後のとりまとめ作業に向けた議論を行います

httpwwwscjgojpjaeventpdf104-s-3-6pdf 

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PEN 編集室関谷瑞木阿多誠文独立行政法人産業技術総合研究所 ナノシステム研究部門 305-8568 つくば市梅園 1-1-1 産総研つくばセンター中央第 2 M404Email nano-penmaistgojpTel029-861-5185 Fax 029-861-5339

編集後記

今月 8 日に長野県長野市で開催された第 3 回国際ナノ

ワークショップ「ナノテクノロジーの社会受容~ナノ

材料の工業標準化の国際的な動向と環境影響について

~」の会場で多くの企業の皆様と意見交換をする貴

重な機会を得た目まぐるしい勢いで変わってゆく諸

外国の環境規制策の動向に民間企業の皆様が神経を

とがらせておられることがひしひしと感じられた東

京から新幹線で 1 時間半インターネットでリアルタ

イムに世界とつながることのできる時代とはいえ情

報物人が集積する地である東京とは異なる苦労も

あることもお聞きした美しい山々きれいな空気あ

るいは世界に誇る観光遺産と科学技術を結び付けて

地域振興をはかりたいとの頑張っておいでの方にもお

会いした

月刊という制約はあるもののこうした方々にとって

タイムリーで有用な情報を提供し続けたいと改めて

強く感じた

ちなみにPEN を発行しているつくば市の産総研つく

ばセンターへもつくばエクスプレスと路線バスを乗

り継いで都心からは約 1 時間半かかる

2010 年 11 月 25 日

PEN 編集室一同ウナギツカミ

Page 20: Public Engagement with Nano- PEN November …...5 PEN November 【知財】 中国、10年で特許強国に(2010.11.12) 中国国家知識産権局は11日に「全国特許事業発展戦略

20

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日本では21 世の始まりと共に科学技術政策に基づ

いてナノテクノロジーの研究開発への戦略的投資が開始

された2001 年度からの第 2 期科学技術基本計画と

2006 年度からの第 3 期科学技術基本計画の都合 10 年

間にわたる優先的戦略的な研究開発の資源の投入も余

すところ4ヶ月となった

21 世紀を担うと期待されたナノテクノロジーには研

究開発側から社会への一方的な応用があたりまえであっ

たこれまでの科学技術とは異なる研究開発の方法論が導

入されたコア技術の研究開発と並行してその技術の社

会的影響を検討しそれをさらにコア技術の研究開発に

フィードバックするという新しい研究開発の方法論であ

る [1]ナノテクノロジーの社会的影響にとって最も重

要で緊急の課題がナノ材料の環境健康影響安全 (EHS)

の課題であった技術の社会的影響を検討しながら進め

られているナノテクノロジーの研究開発がうまくいくか

どうかこのことがナノテクノロジーに続く今後の新興

の科学技術の研究開発のあり方に大きな影響を与えるこ

とになる社会的影響をフィードバックしながら進める

責任ある研究開発がはじめて試みられた日本のナノテク

ノロジーがこれまで 10 年間にわたって戦略的研究開発

投資を続けてきた現在どのような状況にあるのか今回

の特集ではそれを俯瞰的に解析する

まず国内の全ての新聞と雑誌に掲載されたナノテクノ

ロジー関連記事の数を統計的指標としてナノテクノロ

ジーの研究開発に対して日本の社会がどの程度の関心を

示しているのか評価することを試みる図1に日本

のメディアに掲載されたナノテクノロジー関連の記事の

年推移を示すグラフから明らかなようにナノテクノ

ロジーへの戦略的研究開発投資が始まった 2001 年まで

日本のメディアはほとんどナノテクノロジーを取り上げ

ていないただこれは日本にナノテクノロジーの萌芽

的研究開発がなかったということではない

一例をあげるなら工業技術院は産業科学技術研究開発

制度の一環として新エネルギー産業技術総合開発機

構(NEDO)の委託により原子分子極限操作技術の研

究開発プロジェクトを展開した1992 年から 10 年間に

わたり分子原子をボトムアップ的に集積する研究開発

を進めたこのプロジェクトは技術研究組合オングスト

ロームテクノロジー研究機構(ATP)と呼ばれたさらに

ATP と産業技術融合領域研究所は同研究所内にアトム

テクノロジー研究体(JRCAT)を設置して産官学の共同

研究プロジェクトを推進した折しも日本は 1990 年の

バブル経済の崩壊後失われた 10 年と称される経済の停

滞に苦しんでいたまだナノテクノロジーに対する期待

は高まってはいなかったが日本のナノテクノロジーは

着実に萌芽的研究開発を進めていた困難な経済のなか

で日本のナノテクノロジーはその萌芽に向けた着実な

準備をしていたといえるのだがこのような地道な研究

開発が進められていた点はこの統計からは見えにくい

0

500

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2000

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2001

2002

2003

2004

2005

2006

2007

2008

2009

図 1

特集

10 年におよぶナノテクノロジー研究成果の発展的継承を 

21

PEN N

ovember

2001 年度から戦略的な究開発投資が開始されると同時

にナノテクノロジーへの関心は急速に増していった

わずか 2 年後の 2003 年にはその期待は極みに達して

いる上述したとおり我々はこの統計で縦軸をナノテ

クノロジーに対する社会の関心と見なしておりこれは

David M Berube 氏が示した典型的な Hype 曲線の縦軸

「Visibility」と同義とみなせる [2]その類似性を図 2 に

示す

図 2

日本では Nano-Hype と呼べるピークが高性能瞬間湯

沸器よろしく戦略的研究開発投資が開始されたわず

か 2 年後の 2003 年に出現しているのであるまたJ

Fenn らはこのようなピークを図 3 に示すようにイノ

ベーションのハイプサイクルにおける rdquoPeak of Inflated

Expectationsrdquo と表現している [3]

Exp

ect

atio

ns

Time

InnovationTrigger

Trough ofDisillusionment

Slope ofEnlightenment

Plateau ofProductivity

Peak of InflatedExpectations

図 3

この時期はナノテクノロジーの将来価値への大きな期

待の反面研究開発の実態は希薄である実体の伴わな

い過剰な期待を理由に「一部の有力な科学者や政策担当

者がこのような Hype の状況を意図的に作りだした」と非

難する論調もある確かに Nano-Hype はナノテクノロジー

の将来価値への期待が研究開発の実態を上回る状況では

あるがナノテクノロジーに対する社会の関心や期待を

喚起しその期待を背景にナノテクノロジーへの研究開

発投資が漸次増加していったことも事実であるまたナ

ノテクノロジーの事をもっと知りたいという知的欲求も

刺激されそれに応えるためにいくつかの大学ではサイ

エンスコミュニケータやサイエンスインタープリタサ

イエンスジャーナリストの養成講座等が開設されたさ

らに今日年間 2000 回以上のサイエンスカフェが全国各

地で開かれるなどナノテクノロジーのような新興の科

学技術のパブリックエンゲージメントの活動の契機にも

なったNano-Hype と呼ばれる状況がそのような様々

なプラスの効果を日本にもたらしたことも忘れてはなら

2003年

2010年

2003年

22

PEN

Nov

embe

r ない点である

実体の伴わない過剰な期待が徐々に覚めていく Negative-

Hype の状況はHype が極みに達した 2003 年直後の

2004 年から 2007 年にかけて顕著に現れてくる依然

として政府のナノテクノロジー材料領域への研究開発

投資が伸びるなかメディアがナノテクノロジーを取り

上げる頻度は急速に下がり社会の関心は冷めていった

過剰な期待が冷静さを取り戻していく Negative-Hype は

必然であるとしても注目しておかなければならない大

事な点は Negative-Hype がいつ止むかいつ底を打つの

かである図 1 から明らかなように2004 年以降 2007

年まで急速に下降しているものの2008 年から 2009 年

と明らかに Negative-Hype は底を打っている

上述の J Fenn らは新しいハイプサイクルの縦軸の評価尺

度を議論しているのだが図 4 に示すようにハイプサイ

クルのプロフィールが二つの要素からなることを示して

いる [4]この指標を採用すると今年 2010 年の日本の

ナノテクノロジーはHype が終わりエンジニアリング

またはビジネスが徐々にその成熟度を増していくちょ

うどその過渡期にあるとみてよい今後ナノテクノロジー

がITエネルギー環境ライフサイエンスといった様々

な技術分野の基盤技術としてその実用化に貢献していく

現在はちょうどその転換点にあるそのプロセスを確実

に進めていくには中長期的な一貫した科学技術政策に

よりナノテクノロジーの基礎的な研究開発を継続的に

推し進めていくことが肝要である

図 4

そして10 年に及ぶ科学技術政策に基づいたナノテク

ノロジーの戦略的研究開発投資の成果を応用実用化

へ確実につなげていくために取り組まなければならない

もっとも重要な課題が包括的で実態のあるナノテクノ

ロジーのパブリックエンゲージメントの活動である昨

今ナノテクノロジーの研究開発と並行して社会受容

パブリックエンゲージメントの活動の重要性が指摘され

るようになってきたしかしこの課題に関する解釈は

依然としてまとまりを欠いているだけでなく「こういっ

た課題への取り組みが大事である」といったことが最後

の部分に申しわけ程度に記述されている例も多々見受け

られる取り組んでいるという既成事実のために実体の

伴わないパブリックエンゲージメントの活動が進められ

ると将来的にナノテクノロジーへの信頼も失墜しかね

ない多様な課題を含む社会受容パブリックエンゲー

ジメントの活動には包括的な視点で具体的実践的に取

り組んでいく必要がある

ReferenceRoco M C amp Bainbridge W S 2001 ldquoSocietal

Implications of Nanoscience and Nanotechnologyrdquo

Kluwer Academic Publishers

Berube M B amp Roco M C(FRW) 2005 ldquoNano-Hype

The truth behind the nanotechnology buzzrdquo Prometheus

Books

イノベーションのハイプサイクル

「Mastering the Hype Cycle」J Fenn M Raskino

Harvard Business Press 2008

M Raskino J Fenn IT Management(ITM) ITM-09-

37 Research Note 2010 年 2 月 9 日

23

PEN N

ovember

【CO2 排出量】世 界 的 な 金 融 危 機 に も か か わ ら ず2009 年 の 化 石 燃料 由 来 の 二 酸 化 炭 素 排 出 量 の 減 少 は 小 幅 に と ど ま る

(20101122)国立環境研究所(国環研)

国環研はグローバルカーボンプロジェクト (GCP) が 11

月 22 日の Nature Geoscience 誌の電子版に調査結果を発

表すると速報したその内容は世界金融危機の経済的

影響にも関わらず2009 年における世界の化石燃料由来

の二酸化炭素排出削減量が予測値である 28を下回り

前年比 13にとどまったことで同じく GDP の減少も予

測値を下回っている

httpwwwniesgojpwhatsnew20102010112220101122html

【量子コンピューティング】量子コンピュータ実現への障壁を緩和する誤り耐性方式を開発 (20101124)日本電信電話(株)京都大学

量子コンピュータに必須な量子ゲートは確実に正しい演

算をすることはなくある程度の誤り確率をもつため量

子コンピュータを実現するためには演算の誤り訂正を行

う技術の実現が必須となる演算の誤り訂正を行うために

はある程度誤り確率の低い量子ゲートが必要であると考

えられてきたが今回共同研究チームは誤り確率が非常

に高い量子ゲートを用いても量子計算が可能となる誤り耐

性のある量子計算方式を世界で初めて示した

httpwwwnttcojpnews20101011101124ahtml

【光電変換】ナノギャップ光アンテナにより高効率化した有機超薄膜による光電変換 

(20101122)物質材料研究機構北海道大学

NIMS と北大の共同研究チームは有機超薄膜型の光電変

換分子素子において光吸収電子伝達といった必要な機

能をもつ部品を連結した分子から成る単分子超薄膜を原

子レベルで表面制御した平滑な金電極面と金ナノ粒子で挟

み込むことによってナノギャップ型の光アンテナを導入

することに成功したその結果光アンテナ 1 つあたりで

光誘起電子移動反応が約 50 倍の効率に高まることを実

証した

httpwwwnimsgojpnewspress201011p201011220html

【EV】シンガポール政府と電気自動車の普及に関する覚書を締結

(201011 19)三菱自動車(株)

MMC はシンガポール政府と電気自動車(EV)普及のため

の活動に協力する内容の協定を締結したことを発表した

今回の活動はシンガポールの経済開発庁が中心となり

同国のエネルギー市場監督庁陸上交通庁との間で EV タ

スクフォースを組成し同国の EV 普及を目的としたユー

ザー向け補助金制度や充電インフラ整備などの検証を行う

ものこの活動の中でMMC は CCA を通じ 2011 年より

順次『i-MiEV(アイミーブ)』25 台を供給し実証走行

試験に協力していくhttpwwwmitsubishi-motorscompublishpressrelease_jp

corporate2010newsdetail4407html

【リチウム二次電池】リチウム二次電池の量産化実証工場が竣工 年間生産能力6 万 6000kWh (201011 18)三菱重工業(株)

リチウム二次電池事業への本格参入に向け長崎造船所内

に建設していた同電池の量産化実証工場が17 日竣工し

た年間生産能力は 6 万 6000kWh中型電池換算で約

40 万個に相当する今後各種実証技術に取り組み早期

の本格的な商業量産につなげていくとしている

プレスリリースより

CUTTING-EDGE TECHNOLOGIES

24

PEN

Nov

embe

r httpwwwmhicojpnewsstory1011184999html

【基礎科学物質の起源】動きがのろい冷反水素原子を 38 個も磁気瓶に閉じ込める物質と反物質の違いを知る手がかりとなる冷反物質研究が新段階に (201011 18)物質材料研究機構(NIMS)

NIMS は欧州原子核研究所(CERN)の国際共同研究グルー

プに参加し反物質の代表格である反水素原子を独自に

開発した八重極磁気瓶の中に 38 個も閉じ込めることに世

界で初めて成功した反水素原子の原材料である反陽子(陽

子の反粒子)と陽電子(電子の反粒子)を八重極磁場コ

イルとミラーコイルを組み合わせた磁気瓶の中に蓄積し

そっと混ぜ合わせて冷たい反水素原子を大量に生成した

反水素原子は電気的に中性の小さな磁石なので反水素原

子ができあがったころ(約 1 秒後)を見計らって電圧を

加え残存している反陽子と陽電子をことごとく排除した

その後磁気瓶の磁場を瞬時にゼロにすると磁気瓶内に

とどまっていた反水素原子は装置の壁に当たって消滅し

パイ中間子などのさまざまな粒子を放出するこれらの粒

子を磁気瓶を包む 3 枚の検出器で観測した結果捕捉し

ていた反水素原子を 38 個も確認することができた後述

するように同内容は理化学研究所からもリリースされたhttpwwwrikenjpr-worldinforeleasepress2010101118

indexhtml

【超伝導】ピセンのカリウムドープに伴う電子構造変化の直接観測 

(201011 17)岡山大学

岡山大学の研究グループはピセンおよびカリウムドープ

ピセンの電子構造を実験的に観測する事に世界で初めて成

功したカリウムドープピセンは芳香族炭化水素における

初めての超電導体であるがカリウムドープピセンの超電

導メカニズムまた超電導を誘起する電子構造は解明され

ていない研究グループは光電子分光法を用いピセンのカ

リウムドープに伴う電子構造変化を直接的に観測した結

果ピセンのカリウムドープに伴う電子構造変化を観測

芳香族炭化水素超電導体の超電導メカニズム解明および新

規超電導体探索の指針になると期待されるhttpwwwokayama-unetrenkeidocumentpdfpressrelease

press-101117pdf

【慣性力発電】慣性力(振動)発電技術を商品化 国内最大手エース社のバッグに慣性力発電ユニットを搭載 (201011 17)伊藤忠商事(株)

米国 CIIIS 社の持つ慣性力発電(振動発電)技術を用いて

人体の運動による振動で発電する慣性力発電ユニットを開

発した国内鞄最大手のエース株式会社がこの慣性力発

電ユニットを搭載したバッグの販売を行う

httpwwwitochucojpjanews2010101117html

【生物多様性】多様性進化の背景に『甲状腺機能低下』 (201011 16)東北大学

生物多様性の喪失は現在急速に進んでおり多様性の進化

維持機構を解明することは世界的な課題である生物多様

性の創出は多くの場合新規環境に生き物が侵出すること

によって始まるが生物が新規環境へどのように適応して

行くのかその過程については多くが未解明である東北

大学の研究チームはこのたび新規環境への適応に甲状腺

ホルモンの進化が重要であることを発見したhttpwwwtohokuacjpjapanesenewimgpressimgtohokuuniv-

press_20101116pdf

【ナノ物性】ナノスケールの鉄磁石を電界でコントロール

(201011 01)千葉大学

磁石の N と S 極は磁界を用いることでコントロールでき

るが千葉大学の研究チームはナノスケールの鉄の磁石の

極性をエネルギーの要らない電界でコントロールできるこ

とを見出したhttpwwwchiba-uacjppublicitypresspdf201020101102nano

pdf

【SOFC 関連材料技術】 画期的な電解質材料の開発に成功 固体酸化物燃料電池の商用化に一歩前進 (201011 18 )物質材料研究機構(NIMS)

NIMS の研究グループは電解質材料に必要とされる三つ

の要件イオン伝導性化学的安定性焼結性のすべてを

高いレベルで満足する2種類の材料を開発することに成功

したひとつは10 のプラセオジムを含むイットリウム

添加ジルコン酸バリウム(BZPY)でもうひとつは酸

化ニッケル (NiO) とイットリウム添加ジルコン酸バリウム

25

PEN N

ovember

(BZY) の混合粉末を固めた基板上にプレス成形された BZI

であるhttpwwwnimsgojpnewspress201011201011180

p201011180pdf

【レアアース】微生物でレアアースの回収が可能に バクテリアがレアアースを濃縮する現象を発見 (201011 17)広島大学高エネルギー加速器研究機構高輝度光科学研

究センター

共同研究グループは微生物の細胞表面では微生物が存在

しない周囲部分に比べてレアアースを高濃度に濃縮する現

象を見出したまたレアアースの中でも特に希少価値の高

い元素が選択的に濃縮することを発見その濃縮メカニズ

ムを放射光を用いたX線吸収法により明らかにした

httpwwwkekjpjanewspress2010RareEarthElementshtml

【はやぶさ】はやぶさカプセル内の微粒子の起源が判明(201011 17)宇宙航空研究開発機構

「はやぶさ」のサンプルキャッチャー室から特殊形状のヘ

ラで採集された微粒子を走査型電子顕微鏡にて観察および

分析した結果1500 個程度の微粒子を岩石質と同定した

更にその分析結果を検討したところそのほぼ全てが地

球外物質であり小惑星イトカワ由来であると判断するに

至った

httpwwwjaxajppress20101120101117_sac_hayabusapdf

【超伝導基礎科学】超伝導のメカニズム解明に大きな手がかり ルテニウム酸化物の電子の運動状態を選択的に可視化することに成功 電子対を形成する「のり」の起源を初めて解明

(201011 17)広島大学産総研

1994 年に日本で発見されたルテニウム酸化物超伝導体は

ユニークな超伝導状態を示しこれまで数多くの研究が行

われてきたがいまだにその超伝導のメカニズムは謎のま

まであった超伝導が生じるためには電子と電子を「のり」

で結びつけ「電子対」にする必要がある共同研究グルー

プは放射光の直線偏光特性を活用するため放射光の光

軸のまわりに回転可能な高分解能角度分解光電子分光装置

を開発しルテニウム酸化物超伝導体の超伝導機構解明に

重要な手がかりをつかんだ研究グループが開発した新装

置を用いることによりルテニウム酸化物超伝導体の異な

る運動状態にある電子を選択的に分離しながら精密に分

析することが初めて可能となったその結果物質の電子対

を形成するための「のり」として結晶を作っている原子

の振動が重要な役割を果たしていることその「のり」が

どのくらい強く働いているのか等が明らかとなった httpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101117

pr20101117html

世界最高性能基準光源を開発 安定高精度高速の三拍子そろった光信号の発生に成功 (201011 15) 情報通信研究機構(NICT)国立天文台(NAOJ)

NICT と NAOJ はNICT 独自の高消光比変調技術を利用

し精度を保ったまま周波数範囲を拡大する構成を提案し

たNAOJ の安定度向上技術による制御機能を組み合わせ

ることで世界最高性能の基準信号発生装置を共同開発

し100 ギガヘルツを超える高速信号の長距離伝送を実現

した本装置の方式により従来技術の課題であった安定

性周波数範囲精度の問題を解決した安定性は 2 台の

レーザを用いる従来方式に比べて 10 倍以上を実現し信

号の乱れを 30 万年に 1 秒以下とすることに成功したま

た精度は従来型変調器と比較し 1000 倍以上周波数範

囲は 4 倍を達成したhttpwww2nictgojppubwhatsnewpressh22101115101115

html

【基礎科学レーザ分光】電子の氷を光で融かす一瞬を捉える 光が有機物質を変える瞬間の超高速スナップショット (201011 15)東北大学自然科学研究機構分子科学研究所科学技術振

興機構(JST)

共同研究グループは光の照射によって有機物質の色や

電気伝導度が大きく変化する光誘起相転移現象の最初の瞬

間を捉えることに成功した電場と磁場の振動である光の

振動の3周期分に匹敵する極めて短いパルス光をポンププ

ローブ分光によって二次元有機物質における電荷秩序の

融解のダイナミクスすなわちldquo 電子の氷 rdquo が光によっ

てどのように解け絶縁体から金属へと変化するのかと

いう問題を明らかにしたものこの成果 12 月初めには米

国物理学会誌 Physical Review Letters オンライン版で公開

予定

httpwwwjstgojpprannounce20101117-2indexhtml

【熱電材料】水を使って絶縁体から効率のよい熱電材料を作ることに成

26

PEN

Nov

embe

r 功 希少毒性金属を含まない安価簡便な熱電材料創製に新たな道 (201011 15)科学技術振興機構 (JST)名古屋大学

熱電材料は熱を電気に変換することができることからエ

ンジンの排熱を利用して発電するハイブリッド自動車など

への応用が期待されているが従来の熱電材料はビスマ

スアンチモン鉛テルルといった希少毒性金属など

を含む問題があったJST 課題解決型基礎研究の一環とし

て名古屋大学の研究グループは水の電気分解を利用し

安くてありふれた絶縁体酸化物表面を大きな熱電効果を示

す金属へ変えることに成功した大量に水を含んだ多孔質

ガラスを新規に開発しこの多孔質ガラスを金属チタンと

チタン酸ストロンチウムに挟んで電圧を加えると水の電

気分解によって絶縁体のはずのチタン酸ストロンチウムの

表面に厚さ 3 ナノメートル以下の極めて薄い金属チタン酸

ストロンチウムが生成した通常の金属チタン酸ストロン

チウムに対して 4~5 倍高い電圧を示すことから従来の

熱電材料の約 2 倍の熱電性能が期待できる

httpwwwjstgojpprannounce20101117indexhtml

【基礎科学物質の起源】国際研究チーム反水素原子を瓶の中に閉じこめることに成功(20101118)理化学研究所

8 か国からなる研究チームは欧州合同原子核研究機関

(CERN)の装置を用いて加速器で反陽子と陽電子を作

成し磁場の中に閉じこめたのちに撹拌して反陽子と陽

電子1個ずつを結びつけ反水素原子を生成した反水素

生成後に余った反陽子と陽電子を取り除き反水素原子だ

けを特殊な瓶の中に封じ込めることに成功した計 38 個

の反水素原子が 02 秒間存在したことを確認反物質は

Dan Brown の小説「天使と悪魔」で非常に微量で爆発

を起こす材料として登場するしかし今回の手法では短

時間に消滅してしまい爆弾に使える量をためるのは不可

能だという17 日付の Nature Online 版に掲載

httpwwwrikenjpr-worldinforeleasepress2010101118 

【マックスウェルの悪魔実証】情報をエネルギーに変換することに成功 ldquo マックスウェルの悪魔 rdquo を実験により世界で初めて実現新規ナノデバイスの実現に期待 (201011 15)中央大学東京大学

微細加工技術とサブミクロンスケールのリアルタイム制御

システムを組み合わせ「マックスウェルの悪魔」と呼ば

れる科学史上の重要な概念を世界で初めて実験により実現

した これによって情報をエネルギーに変換できるこ

とを初めて示すとともに情報を媒介して駆動する新規ナ

ノデバイスの実現の可能性を示した マックスウェルの

悪魔は熱力学の根本に関わる概念でありこれを実現でき

た学問的意義は大きいまた科学者以外にもよく知られ

たテーマであり多くの人が興味を持つ話題でもある情

報を媒介して駆動する新規のナノデバイスを実現できる可

能性があり基礎的研究にとどまらずナノサイエンスで

の新しい制御法への応用が期待できるこの成果は 11 月

14 日に Nature Physics Online に公開された

Toyabe Sagawa Ueda Muneyuki and Sano

ldquoExperimental demonstration of information-to-energy

conversion and validation of the generalized Jarzynski

equalityrdquo

httpwwwsu-tokyoacjppresspress-2010-42html

詳細は中央大学 HPhttpwwwchuo-uacjpchuo-unewscontents_jhtmlsuffix=kampmo

de=topamptopics=12513

【基礎科学分子バネ】電子の出し入れで硬さが劇的に変わる分子バネを開発 たった 1 つの電子放出で分子全体の動きやすさが 450 倍も変化 (201011 15)理化学研究所科学技術振興機構(JST)

6 個の炭素原子が環状につながったベンゼン環は有機化

合物において最も基本的な構成ユニットの一つでありベ

ンゼン環をさまざまな形で結合させたものが盛んに研究さ

れてきたしかしベンゼン環を隣り合う炭素の位置で結

合させたオルトフェニレンは単純な構造でありながら合

成が難しいためこれまでほとんど研究がなされておらず

その性質は解明されていなかった理化学研究所の研究グ

ループはベンゼン環 48 個を隣り合った炭素の位置で結

合させたオルトフェニレンを世界で初めて合成したオル

トフェニレンは3 つのベンゼン環が 1 ピッチのらせんを

形成するバネ状の構造をしているがこのようなバネ状の

構造を持った分子はさまざまな機能を発揮するためエ

レクトロニクスや分子機械への応用の可能性が高まってい

る研究グループはこのバネ状分子から電子を 1 つ取

り去るとバネの硬さが劇的に増してらせんの反転速度が

約 450 分の 1 も遅くなることを突き止めたまたこの

1 個の電子の出し入れに応じてバネのピッチが 3263Aring か

ら 3224Aring と変化したこれまで電子が高密度に含まれ

た分子バネは電子を出し入れすることでその振る舞いが

変化することが理論上予想されていたがこのように電子

を多量に含む分子バネの合成は難しく実験的にも証明さ

れていなかった硬さの変化というこれまで実現すること

27

PEN N

ovember

ができなかった応答をする分子バネの登場は応答性分子

の分野に新たなコンセプトをもたらすと注目される本研

究成果はJST 戦略的創造研究推進事業 発展研究 (ERATO-

SORST)「分子プログラミングによる電子ナノ空間の創成

と応用」の一環として行われたものhttpwwwrikenjpr-worldinforeleasepress2010101115

indexhtml

【自己組織化基質選択的会合】分子間の特異的な相互作用による新規材料集積法を開発 分子が好みの分子を見分けて接着 (201011 15)大阪大学科学技術振興機構(JST)

近年分子認識を利用して分子と分子を非共有結合でつな

げることによりさまざまな超分子錯体が合成されさらに

これらを自己集合させる研究が行われているこれらの研

究において形成される集合体は分子の大きさであるナノ

メートルからマイクロメートルの極めて小さなもので高

倍率の顕微鏡を使わなければ見えない分子認識に基づい

て手軽に使えるくらいの大きな自己組織体を作り出すこと

はナノテクノロジー分野において分子を自己組織化さ

せて機能性材料を創製する上で重要な課題であった大阪

大学の研究グループはホスト分子としてシクロデキスト

リンをゲスト分子としてシクロデキストリンが結合する

化合物を用いてそのホスト-ゲスト相互作用を利用して

多様な自己組織化超分子ポリマーの構造体を作りマクロ

スケールで機能を発現させる研究を進めている今回D

NAやタンパク質の分子量決定に広く用いられるアクリル

アミドゲルを土台にしてこのゲルにシクロデキストリン

とゲスト分子をそれぞれ別々に導入し「ホストゲル」と

「ゲストゲル」を合成したこの両者を水中で振動させる

とゲルが接着する挙動が観察されミリメートルからセン

チメートルの大きさの物体を分子認識により自己集積でき

ることを世界で初めて実証したさらにシクロデキストリ

ンとゲスト分子との相互作用の強さの違いによって選択的

に特定のゲル同士を接着させることができることがわかっ

httpwwwjstgojpprannounce20101115indexhtml

【ブタノール分離膜】バイオブタノールの省エネルギー型膜分離精製技術を開発1 wt ブタノール水溶液から80 wt 以上の高濃度ブタノールの回収が可能 (201011 15)産総研

産総研は1 wt 程度の希薄なブタノール水溶液からゼ

オライト系分離膜を用いて 80 wt 以上に濃縮したブタ

ノールを回収できる省エネルギー型のバイオブタノール精

製技術を開発した ブタノールはエタノールと比較して

発熱量が大きいことから地球温暖化対策に貢献できる再

生可能なバイオ液体燃料すなわちポストバイオエタノー

ルとして期待されている今回合成条件の最適化を進め

高いアルコール選択透過性をもつシリカライト分離膜を合

成し膜分離法によって低濃度ブタノール水溶液から高

濃度ブタノールの回収が可能となった従来の分離膜を用

いた場合に比べてブタノール回収のためのエネルギーを

50 ~ 70 程度低減できることが期待される httpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101113

pr20101113html

【分子生物学】 化学合成したペプチドからウイルスの殻構造を組み上げることに成功 新規ナノ材料や医療材料としての応用に期待 (201011 12) 九州大学北九州市立大学

共同研究グループは化学合成したペプチドから約 40 ナ

ノメートルのウイルスの殻構造を組み上げることに世界で

初めて成功した球状の植物ウイルスから遺伝子を除いた

キャプシド構造と呼ばれる殻構造は決まった大きさのナ

ノ空間であることからナノ物質の反応器や運び手として

利用する研究が国内外で盛んに行われているしかしこ

れまでウイルスのキャプシド構造を得るにはウイルス

の遺伝子をバクテリア内に導入して生産させる必要があっ

た本研究では遺伝子やバクテリアを用いない完全化学

合成によってウイルスキャプシドを構築することに成功

した今回ウイルスの殻構造を簡単なペプチドから構築

できたことで様々な機能性ウイルスキャプシドを人工的

に創成する道が拓けたと言えるこのペプチドからなるナ

ノカプセルに適切な化学修飾を施すことによりナノ物質

合成のための反応器や医薬品の運び手人工ワクチンを

創成するための足場材料として応用できるものと期待され

るhttpwwwkyushu-uacjppressrelease20102010-11-12-04pdf

【レアメタル】レアメタル使用量削減技術の実用化を加速(20101110)新エネルギー産業技術総合開発機構 (NEDO)

NEDO はレアアース総合対策の一環として企業が取り

組むレアメタル使用量削減技術の実用化を加速するための

助成事業(事業規模約 100 億円)を 2010 年度補正予算

の成立を前提に行うこの助成事業では短期間で実用化

が期待できる以下の技術開発を対象として①レアメタル

28

PEN

Nov

embe

r を代替する材料の技術開発 ②レアメタルの使用量を削

減する技術開発 ③レアメタルのリサイクルを促進する

技術開発 ④その他のレアメタル消費の削減に資する技

術開発を行うhttpapp3infocnedogojpinformationskoubopressEFnedopre

ss2010-11-068550095069

【導波路型光スイッチ】光スイッチの消費電力を従来の 2 分の 1 に低減 増え続けるネットワーク機器の消費電力問題を解決 (201011 09)( 株 ) 富士通研究所

同社はシリコンフォトニクス技術を適用した導波路型光

スイッチについて世界で初めてシリコンゲルマニウム

(SiGe)細線構造を用いることで従来のシリコン細線構

造に比べて消費電力を約 2 分の 1 に低減することに成

功した幅広い波長に対応して高速に動作できるタイプの

光スイッチ素子としては世界最小の消費電力を実現して

いるhttpprfujitsucomjpnews2010119html

【ナノ構造機能】昆虫が足を擦る秘密をナノテクノロジーで解明 生体模倣による新しい材料機能の開発に活用 (201011 09)物質材料研究機構マックスプランク研究所キール大

共同研究チームは環境問題で循環型社会実現に求められる

「接着と分離」を繰り返せる未来の接合技術の開発研究に

おいてガラスのような平坦な表面を逆さまでも歩行でき

る昆虫の足の裏の優れた接着性に着目し昆虫(ハムシ)

の歩行調査を行いナノテクノロジーを用いた実験により

昆虫が摩擦により汚れを感じていることを突き止めた

httpwwwnimsgojpnewspress201011p201011090html

【超音波流量計半導体プロセス】極微量な流量を精密に測定できる超音波流量計を開発 半導体製造装置の性能を向上させ環境負荷を低減しランニングコストを削減 (201011 09)産総研( 株 ) アツデン東京計装 ( 株 )

3 者は共同で10 mLmin( 誤差plusmn 01 mLmin) 以下の極

微量な流量を精密に測定できる超音波流量計を開発した

この流量計は超音波ガイド波の伝搬に関する基礎理論の

見直しを行い超音波を高周波化し設計を最適化するこ

とにより開発したものでこれまでの超音波流量計では計

測できなかった微小な流速領域での流量測定ができるこ

の超音波流量計は半導体製造装置で利用される薬液の高

精度な制御を可能にし半導体製造装置の高性能化環境

負荷の低減ランニングコスト削減へ貢献すると期待され

る httpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101109

pr20101109html

【研究交流】中国上海における国際交流事業の実施同済大学と大学間学術交流協定を締結 (201011 08)大阪大学

10 月 21 日上海において開催した上海教育研究センター

開所式記念講演会祝賀会には鷲田清一総長をはじめ

とする大阪大学教職員中国の学術交流協定校関係者大

阪大学同窓会会員など約 130 人が列席し盛況の内に終

了した翌 22 日23 日には第 15 回大阪大学上海交

通大学学術交流セミナーが上海交通大学情報ネットワーク

センターを主会場として開催され7つの研究会に約 100

人が参加したさらに 23 日と 24 日の両日上海東亜展

覧館を会場に開催された中国国際教育展に大阪大学のブー

スを出展し100 人を超える留学相談者が本学のブースを

訪れた翌 10 月 22 日鷲田清一総長は上海市内にある

同済大学を訪問裴学長陳副学長ほか大学関係者と懇談

するとともに大学間学術交流協定及び学生交流覚書の調

印式に臨んだこれにより中国の大学との 10 番目の協定

が成立したhttpwwwosaka-uacjpjanewstopics20101120101108_1

httpwwwosaka-uacjpjanewstopics20101120101108_2

【高耐久性セラミック】激しい熱変化にも強度劣化しない窒化ケイ素系セラミックスを開発 窒化ホウ素の微粒子を分散させ耐熱衝撃性を飛躍的に向上 (201011 08)産総研三井金属鉱業(株)

両者は共同で従来品に比べて耐熱衝撃性と高温での強度

を飛躍的に高めた窒化ケイ素系セラミックスを開発した

今回窒化ケイ素(Si3N4)をベースとして高い熱伝導

率をもつ粒界相を形成させるとともにそこに非晶質に近

い窒化ホウ素のナノメートルオーダーの微粒子を分散させ

ることで耐熱衝撃性を飛躍的に向上させた従来の窒化

ケイ素が 1000 の温度差で強度が低下するのに対して

今回の開発材は電気炉で 1400 に加熱した後水中に投

下することを 10 回繰り返してもほとんど強度が劣化しな

かったまたこの開発材について大気中 1200 で高温

29

PEN N

ovember

曲げ試験を行ったところ室温と同程度の強度を保持して

いたセラミックスでは大型化すると小試験片では得られ

た特性が得られず実用化を進める上での課題になること

が多いがこの開発材では焼結条件を最適化することに

よって直径 82 mm 長さ 370 mm の比較的大型の部品で

も試験片と同様の組織物性が得られたまた実際の

製品形状に近い部品の焼成も可能となったhttpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101108

pr20101108html

【ミリ波発信器】ミリ波帯無線通信の実用化にめど 世界最高性能の低雑音局部発振器を開発 (201011 08)東京工業大学

東工大の研究グループは雑音を従来の 100 分の1以下

に低減したミリ波帯局部発振器を開発した20GHz 帯の

発振器と 60GHz 帯の注入同期型直交局部発振器を組み合

わせることにより世界最高の低位相雑音性能を達成した

無線通信の周波数帯ひっ迫を解消する技術として 60GHz

ミリ波帯の利用が注目されているがミリ波帯ではコイル

やコンデンサの損失が大きくなり位相雑音特性が劣化す

るのがネックだった今回はこれを解決したものでミ

リ波無線通信の実用化につながる成果発振器は 65 ナノ

メートルのシリコン CMOS プロセスを利用して試作した

580GHz から 636GHz の周波数範囲で 4 相正弦波出力が

可能でこの発振器により10Gbps(毎秒 100 億ビット)

以上の超高速ミリ波帯無線通信の実現が期待されるh t t p w w w o l d t i t e c h a c j p t o k y o - t e c h - i n - t h e - n e w s j

archives2010111289174400html

【炭素繊維応用】住宅向け外装材「炭素繊維補強サイディング」の本格展開について 優れた強度と耐熱寸法安定性で 15 年の基材保証を実現 (20101105)東レ ACE(株)

東レの子会社東レ ACE は炭素繊維で補強した窯業系サ

イディングを開発し本格販売と市場展開を開始する「炭

素繊維補強サイディング」はセメント質原料に炭素繊維

を添加配合して成型固着させた建物外壁用のセメントボー

ドで従来の窯業系サイディングの優れた防耐火性耐久

性等を維持しつつ更なる強度補強効果や火災高温時の

変形や熱収縮によるひび割れの抑制など耐熱寸法安定性

も向上させることで基材 15 年保証を実現する 本製品

に使用している炭素繊維は軽くて強く優れた高温特性や

耐熱性を有し非常に細い繊維を多く配合できることから

外装材としての強度補強効果も期待できるとしている

httpwwwtoraycojpnewsaffilnr101105html

【光ファイバーナノインプリント】ナノ格子反射防止表面光ファイバー先端に形成ナノ技術で安く製作 (20101105)東北大学

東北大の研究グループは微小な窪みが多数形成された反

射防止構造体を光ファイバーの先端に製作する技術を開発

した光ファイバーは光通信や光分析装置の構成部品とし

て使われており光源受光素子やレンズなどの光部品と

の接続損失を減らすために先端に反射防止膜が形成され

ている従来の反射防止膜は真空装置を使って薄膜を付け

るためコストが問題であった研究グループはナノイン

プリント技術を用いて光ファイバー先端のコア部に 270

ナノメートル間隔で微小な円錐状の窪みを形成し反射損

失を低減することに成功したナノインプリント技術は

基板に塗布したポリマーに原版を押し付けて微細パターン

を転写する技術で高価な露光装置や真空装置が不要なた

めナノ構造を安価に製作することができる今回光ファ

イバー先端にナノ構造を製作するために専用のナノインプ

リント装置を開発した窪みの間隔が光の波長よりも小さ

い場合屈折率が変化し反射波が生じにくくなる反射

率や波長帯域は窪みの形状間隔や高さで決まり従来

の反射防止膜よりも設計の自由度が高いため要求に合わ

せて種々の反射防止表面を製作することが可能 httpwwwtohokuacjpjapanese201011press20101105-2

html

【人工筋肉機能材料】光を運動エネルギーに変える新高分子素材の開発に成功 世界で初めて分子を大面積で 3 次元的に配列させ新機能を実現 (20101105)理化学研究所

光で変形したり電子を流すなどの機能を持った分子を人工

的に規則正しく大面積で集積することができると機能性

材料の性能向上や革新的新機能の発現につながるそのた

め世界中で精力的に開発が行われているがこれまで実現

させた例はなかった理化学研究所の研究グループは光

で構造が変化するアゾベンゼン分子を組み込んだブラシ状

の高分子「ポリマーブラシ」を大面積で 3 次元的に一挙

に配列させる手法の開発に初めて成功したこの規則性の

ある 3 次元集積構造は延伸したテフロンシートにポリ

マーブラシを挟み込みアイロンに似た熱と圧力を加える

といういたって簡単な操作で実現したさらにこのフィ

30

PEN

Nov

embe

r ルムに光を当てるとアゾベンゼン分子の構造変化が一方

向に集約しフィルムが湾曲するという巨視的変形を引き

起こすことを見いだしたすなわちこの新しいフィルム

は光エネルギーを運動エネルギーに変換する機能を持って

おり新たな人工筋肉材料などへの展開が期待されるま

た本技術は有機薄膜太陽電池をはじめとする次世代の機

能材料の開発にも革新をもたらすと期待されるhttpwwwrikenjpr-worldinforeleasepress2010101105

indexhtml

【リチウムイオン電池正極材料】常温プロセスで全固体薄膜リチウムイオン電池の試作に成功 エアロゾルデポジション法による蓄電池製造の新工法開発を本格化 (2010115)産総研

産総研はトヨタ自動車 ( 株 ) と共同で産総研が開発し

たセラミックス材料の常温高速コーティングプロセスであ

るエアロゾルデポジション (AD) 法を用いて酸化物系の

正極材料負極材料固体電解質材料を薄膜積層化して

金属基板上に 3 層構造からなる全固体薄膜リチウム (Li) イ

オン電池を試作蓄電池としての充放電特性を世界で初め

て確認した 従来型の薄膜技術とは異なりAD 法を用い

ると基板の加熱が不要でまた厚膜化も容易であるそ

のため成膜時間が大幅に短縮でき蓄電池の生産性向上

やプロセスコストの大幅な低減が期待される今後は AD

法を用いた本格的な全固体電池の共同開発を進めていく httpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101105

pr20101105html

【記録デバイススピントルク素子】次世代超高密度 HDD に向けたマイクロ波アシスト記録の基本技術を開発 磁気ヘッドに搭載可能なスピントルク素子を用いた磁気情報の書き換えを確認 (2010115)新エネルギー産業技術総合開発機構(NEDO)(株)日

立製作所

NEDO はハードディスク装置(HDD)の開発製造会社で

ある日立グローバルストレージテクノロジーズの協力を得

て従来の磁気記録方式の限界を超えHDD の記録密度

を飛躍的に伸ばす方式として期待されているマイクロ波ア

シスト磁気記録方式の基本技術を開発しその原理を実験

的に確認したマイクロ波アシスト記録では記録媒体の

小領域にマイクロ波帯の高周波磁界を加え磁気情報の書

き込みを容易にする今回開発したのはヘッドに搭載可

能な高周波磁界を発生するスピントルク発振素子でこの

素子を用いて記録媒体上に磁気情報を記録できることを実

験的に確認したこれまで外部のマイクロ波発生装置を

用いたマイクロ波アシスト効果の報告例はあったが今回

微細な発振素子を用いた磁気情報の記録を確認できたこと

により将来この素子を記録ヘッドに搭載しマイクロ波

アシスト記録を実用的に行える可能性が示されたhttpapp3infocnedogojpinformationskoubopressEFnedopre

ss2010-11-029718160145

【基礎科学物性】絶縁体が金属に変わる新原理の解明 超伝導素子や熱電変換素子の開発へ道(20101104)東北大学

東北大学原子分子材料科学高等研究機構の研究グループ

は高品質酸化物薄膜において電気が流れにくい絶縁体

状態から流れやすい金属状態への遷移機構を解明した材

料における電気の流れやすさは電気を流す担い手である

伝導キャリアが物質中にどれだけ含まれるか伝導キャリ

アがどれくらいスムーズに動きまわれるかによって決ま

るつまり伝導キャリアの濃度を増やしたり材料中で

伝導キャリアの動きを妨げる原因になるひずみや欠陥を少

なくすると電気はより流れやすくなる本研究では人

工宝石として知られるチタン酸ストロンチウム (SrTiO3)

の絶縁体を用い伝導電子を生み出すキャリア供給層を

SrTiO3 絶縁体間に挟み込んだ絶縁体層 キャリア供給層

絶縁体層の層状界面構造をもつ高品質超格子構造を作製す

ることで絶縁体層の体積を増加させると反対に電気が流

れやすい金属状態になる現象を発見した最新の電子顕微

鏡技術を用いた原子構造解析と電子状態の理論計算を駆使

して絶縁体を増加させると界面で結晶のひずみが少なく

なり高導電化することを解明した本研究が明らかにした

界面での結晶のひずみを制御することによって絶縁体を金

属状態へ変化できる現象は様々な材料でも普遍的に起こる

と考えられ絶縁体から金属へ変わる境目で性能が向上す

る新超伝導体や新熱電材料の開発に展開することが可能と

期待されるhttpwwwtohokuacjpjapanesenewimgpressimgtohokuuniv-

presspdf

【環状高分子】様々な環状高分子の自在な合成に成功 「かたち」に基づく機能開発に期待(2010112)東京工業大学

東工大の研究グループはこれまで困難とされてきた

種々の含環状高分子の選択的な合成に成功した同研究

グループで開発された単環状高分子合成プロセスである

31

PEN N

ovember

Electrostatic Self-Assembly and Covalent Fixation Process

と有機合成化学の新手法であるクリックケミストリー

を組み合わせることで様々な「かたち」の自在な構築

を達成した本手法の開発により近年注目を集めてい

る「かたち」に基づいた高分子物性の探索を加速させる

ものと期待されるhttp wwwo ld t i t e ch ac j p tokyo - t ech - in - the -news j

archives2010111288656000html

【異分野連携オープンイノベーションモデル】応用脳科学コンソーシアム 脳科学及びその周辺領域の学術知見を活用したオープンイノベーションモデルの研究活動を開始 異業種の民間企業と異分野の脳科学研究者が連携し事業性の高い研究テーマを推進 (2010111)アサヒビール(株)(株)NTT データ積水ハウス(株)

(株)竹中工務店帝人(株)凸版印刷(株)日産自動

車(株)(株)博報堂(株)NTT データ経営研究所

NTT データ経営研究所が日本神経科学学会の協力を得て

2010 年 10 月 1 日に創設した「応用脳科学コンソーシア

ム」においてそれぞれの事業活動に関連する独創性の

高い研究テーマについて複数の「応用脳科学 RampD 研究会」

を立ち上げるRampD 研究会では各 RampD 研究会を設置

した特別会員企業が各テーマに関連の深い脳科学及び

その関連領域の研究者を招聘し異業種である他の会員

企業とともに最新の研究知見を活用してオープンイノ

ベーションモデルの研究活動を実施する各社が設置す

る RampD 研究会は現時点で(1)おいしさの総合評価研究

会(アサヒビール)(2)ヘルスケア脳情報クラウド研究

会(NTT データ)(3)インタラクティブ住環境研究会(積

水ハウス株式会社)(4)コミュニケーション空間研究

会(竹中工務店)(5)メディアエンゲージメント研究

会(博報堂)この他の RampD 研究会については今後随

時応用脳科学コンソーシアムのウェブサイト httpwww

keieikencojpcan で公開予定

httpwwwnttdatacojprelease2010110101html

【レーザ技術基礎光物性】熱を加えずに結晶を柔らかくすることに成功 高強度テラヘルツ電磁パルスで分子ネットワーク操作が可能に 

(2010111)京都大学科学技術振興機構(JST)

京都大学はテラヘルツ電磁パルスと呼ばれる新しい光

を物質に照射することで1兆分の1秒の短い時間で結

晶中の分子を大振幅で揺さぶり熱平衡状態では実現で

きないような分子変位を実現することに世界で初めて成

功した実験結果は結晶が実効的にやわらかくなったこ

とを意味するものでさらに強いテラヘルツ電磁パルス

によって高効率で結晶を融解させることを示唆するこ

れは熱による反応を起こすことなく新しい分子間のネッ

トワークやたんぱく質などの巨大分子の立体配位を操作

できることを示しており化学合成における反応促進や

創薬における有機分子結晶の精製での活用が考えられる

今回の成果は JST 戦略的創造研究推進事業日本学術振

興会学術創成プロジェクト「動的相スイッチ機構を内在

する有機電子材料の開拓と非平衡物性科学への展開」お

よび京都大学グローバル COE プログラム「普遍性と創発

性から紡ぐ次世代物理学」によるものhttpwwwjstgojpprannounce20101101indexhtml

【高周波デバイス】透 明 な 高 周 波 デ バ イ ス 見 え な い ア ン テ ナ へ の 道

(20101028)物質材料研究機構太陽誘電(株)

両者は共同で透明な高周波デバイスを製造するための

基本技術である微細な金属配線と酸化物透明導電体から

なるハイブリッド構造を開発した本技術は不透明で

あるが高い伝導性を示す金属と透明ではあるが金属の

100 分の 1 程度の伝導率にとどまる酸化物透明導電体と

を組合せ両者の特性を相補的に活用することにより

透明でありかつ携帯電話をはじめとする無線デジタ

ル通信に用いられるギガヘルツ帯の高周波に対して高い

伝送特性を示す素子構造を実現した

httpwwwnimsgojpnewspress201010p201010280html

【エコ製品環境経営】COP10 に向けた環境配慮型製品技術の取り組み ポリ乳酸繊維 ldquo エコディア rdquo 使用商品の提供や連携事業「メッセナゴヤ 2010」への出展を通じ環境保全の取り組みを強化 (20101028)東レ ( 株 )

同社は10 月 11 日 ( 月 ) から 29 日 ( 金 ) に開催された

生物多様性条約第 10 回締約国会議 (COP10) に向けて

ポリ乳酸繊維 ldquo エコディア rdquo 使用商品の提供などを通じて

環境に配慮した運営に協力したまたCOP10 の連携事

業である環境エネルギーをテーマとした展示会「メッ

セナゴヤ 2010」に出展し環境に配慮した次世代自動車

や最先端航空機向けの先端材料を紹介した

httpwwwtoraycojpnewsfibernr101028html

32

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Nov

embe

r

NEWS POD 著作権の関係で記事のタイトルと詳細内容は標記できませんので簡略に表示しています詳しい内容に関しては各新聞及び雑誌をご覧ください

ナノテクノロジー

研究開発最前線

20101122 日 刊 工 業 新 聞 News

ウェーブ 21

X 線レーザー

20101121 東京読売新聞

新潟ナノテク研究会

20101120 日本経済新聞

ナノテクとバイオ

20101120 下野新聞

バイオ起業

20101119 朝日新聞

ナノ粒子の構造制御

20101119 日刊工業新聞

水素原子観察

20101119 科学新聞

光ファイバー関連技術

20101119 科学新聞

希少金属対策

20101118 日刊工業新聞

熱電材料

20101117 日経速報ニュース

化学合成でナノ構造

20101117 日経産業新聞

つくばナノテク研究拠点への投資

20101117 日刊工業新聞

分子バネ

20101116 日経速報ニュース

ナノバイオ融合

20101116 日経産業新聞

フレンドオブアースのナノテク評

20101116 エコロジーエクスプレス

クラスターテクノロジー

20101112 産経新聞

実用化助成

20101111 日刊産業新聞

接着のメカニズム

20101110 日経産業新聞

電子材料

20101110 日経産業新聞

ナノ磁石

20101110 東京新聞

高分解能放射線検出器

20101110 化学工業日報

電池電極材料

20101108 日本経済新聞

食の安全性

20101108 日経エコロジー

ナノ磁石実用化

20101105 朝日新聞

ナノテク接着剤

20101105 日刊工業新聞

水素原子の観察

20101105 日刊工業新聞

補正予算案

20101105 科学新聞

ナノ磁石

20101104 日本経済新聞

ナノボーグ

20101104 日刊工業新聞

ITO 電極代替技術

20101104 鉄鋼新聞

レアアース代替材

20101103 日本経済新聞電子版

セクション

ナノ鉄磁

20101103 毎日新聞

有機トランジスタ

20101101 日 経 速 報 ニ ュ ー ス

アーカイブ

有機トランジスタ

20101101 日経産業新聞

ナノムービー

20101101 日経サイエンス

低燃費タイヤ

20101030 朝日新聞

筑波大生命科学研究拠点

20101030 茨城新聞

レアアース代替材

20101029 日経産業新聞

播磨地域

20101029 化学工業日報

ナノ粒子操作

20101029 科学新聞

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NEWS POD 著作権の関係で記事のタイトルと詳細内容は標記できませんので簡略に表示しています詳しい内容に関しては各新聞及び雑誌をご覧ください

中国新5カ年計画

20101028 日本経済新聞

高機能消臭素材

20101028 化学工業日報

環境規制等

終わりの科学

20101201 日経サイエンス

電気自動車の覇権

20101123 週刊エコノミスト

環境規制対応

20101122 日経産業新聞

温暖化ガス排出枠

20101122 日経産業新聞

ロス自動車ショー

20101119 日経産業新聞

EV と環境規制

20101119 朝日新聞

EV

20101119 東京新聞

環境と法規制

20101119 化学工業日報

トヨタとテスラ

20101118 読売新聞速報ニュー

CO2 排出量削減

20101118 日経産業新聞

カリフォルニア州環境規制と EV

20101112 日本経済新聞

環境規制

20101112 日本経済新聞

環境規制

20101112 日経産業新聞

米韓 FTA

20101112 朝日新聞

米韓 FTA

20101112 毎日新聞

顔料

20101112 化学工業日報

レアメタル供給規制

20101111 日本経済新聞

潮冷熱

20101110 日本経済新聞

レアアース生産と環境規制

20101108 ダウジョーンズ中国企

業ニュース

韓米FTA

20101101 中央日報

科学技術政策

競争的資金制度

20101122 日本経済新聞

科学技術関係補正予算案 

20101122 THE DOCTOR

韓国 KIST

20101121 朝鮮日報

科学技術政策

20101119 日本経済新聞電子版

セクション

科学技術政策

20101118 日本経済新聞

科学技術政策

20101118 日経産業新聞

女性研究者

20101117 日経速報ニュース

科学技術予算

20101114 東京読売新聞

トップ1論文

20101112 科学新聞

中国特許強国に

20101112 新華社ニュース

関経連と科学技術政策

20101110 産経新聞 

科学技術産業一体政策

20101109 日刊工業新聞

優れた論文の条件

20101105 毎日新聞

「焼け太り許さぬ」

20101102 朝日新聞

国の研究開発投資目標

20101029 日刊工業新聞

科技政策で提言

20101027 日経産業新聞

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科学への信頼に関する読者調査

20101201 日経サイエンス

「カップリング反応」アニメ化

20101110 朝日新聞東京読売

新聞他

科学と社会つなぐ人材

20101025 東京新聞

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PEN は皆さまとの情報共有を目的としていますお持ちの情報で共有すべきものがあれば nano-penmaistgojp までお寄せ下さい

いただいた個人情報は産総研 個人情報保護方針(プライバシーポリシー)に基づき大切に管理し情報誌 PEN の運営と私達のイベントのご案内のみに使用させていただきます

科学技術コミュニケーション

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イベント案内

[産学連携研究開発]大阪大学ナノ理工学人材育成産学コンソーシアム 第 3 回ナノ理工学情報交流会場所大阪大学中之島センター 7 階 講義室 3(講師来訪)

   大阪大学東京オフィスサテライト教室

(遠隔講義配信)

   四日市商工会議所内サテライト教室

(遠隔講義配信)については調整中です

コンソーシアム HP にてご確認ください

   ナノテク社会人教育プログラムの開講をされてい

る場合遠隔講義配信に対応可能です事務局まで

ご連絡ください

日時2010 年 12 月 10 日(金)1330 ~ 1900 頃

主催大阪大学ナノ理工学人材育成産学コンソーシアム 

概要ナノ理工学人材育成産学コンソーシアムでは活動

の一環として産学連携のきっかけを提供すべく企業と

大学の双方からテーマに即した研究開発やトピックを紹介

し会員同士の意見交換と情報共有の促進をはかっていま

す第 3 回目となる今回は「光を用いたナノテクノロジー

の新展開」をテーマに開催しますプログラムなどの詳細

は下記の HP をご参照下さい

参加費コンソーシアム会員学生及び大阪大学教職員は

無料(コンソーシアム企業会員の場合社内から何名でも

無料で参加が可能です)

上記以外の方は資料作成費 1000 円が必要になります

参加登録氏名所属連絡先懇談会への出欠を記載の

上メールにて大阪大学ナノ理工学人材育成産学コンソー

シアム事務局(nano-consnanoscienceorjp)へお申込み

下さい

httpwwwnanoscienceorjp

[コミュニケーション]科学コミュニケーション研究会 第 1 回関西支部勉強会日時2010 年 12 月 2 日 1800 ~ 2000

場所京都大学 吉田泉殿

主催科学コミュニケーション研究会 関西支部有志

概要大阪教育大学科学教育センターの中矢史雄氏を講師

に招きオーストラリアの科学技術コミュニケーションに

ついてオーストラリア国立大学科学意識向上センター

での経験なども交えてお話いただきます定員は 25 名で

す事前申し込みが必要です

httpbitlybPmTP9

[展示会]セミコンジャパン 2010日時12 月 1 日~ 3 日

場所幕張メッセ

主催SEMI

概要国内外の最新のマイクロエレクトロニクス技術に関

する情報を入手することのできる世界最大の半導体製造装

置材料展です

httpwwwsemiconjapanorgjaindexhtm

[知財]アジア特許庁シンポジウム日時2010 年 12 月 3 日(金)930 ~ 1210

場所ホテル日航奈良 飛天の間

主催特許庁

概要日本中国韓国インドネシアマレーシアシ

ンガポールの特許庁幹部を招き各国の知財保護強化の取

組みやアジアにおける知財協力を紹介しますまたパ

ネルディスカッションを設けアジアにおける人材育成協

力の方向性について議論します

httpwwwintergroupjp~convasia

[人材育成]応用物理学会 人財育成シンポジウム -日本の危機を科学が救うそのためのリーダー育成を考える-日時2010 年 11 月 29 日(月)1000 ~ 1710

場所東京工業大学デジタル多目的ホール

主催応用物理学会

概要急速に進むグローバル化に対応のできる人材を育成

するための課題や応用物理学会が貢献することのできる

具体的な取り組みについて議論します

イベント案内へ掲載を希望される方は nano-penmaistgojp までご一報ください

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r h t t p w w w j s a p o r j p a c t i v i t i e s e d u c a t i o n

symppt2010symphtml 

[コミュニケーション]科学技術とメディアのより良い関係に向けて日時11 月 26 日 1815 ~ 2030

場所早稲田大学大隈小講堂

主催サイエンスメディアセンター(SMC)

概要英国オーストラリアのサイエンスメディアセ

ンターの関係者米国のサイエンスコミュニケータを交え

て研究者とメディアの有益な関係性構築に向けた取り組

みについて議論します参加費は無料同時通訳がつきま

httpsmc-japanorgp=403 

[異分野連携]医学領域と工学領域連携研究シンポジウム ‐ 未来を拓く医工連携 ‐日時2010 年 11 月 27 日(土)

場所山口大学医学部第 3 講義室

主催日本学術会議中国四国地区会議山口大学

概要がんの個別化医療をメインテーマにこれからの医

工連携のあり方について講演と議論を行います

httpwwwscjgojpjaeventpdf100-t-3pdf 

[人材育成]マイクロナノエンジニアリング シンポジウム ‐ イノベーションと人材育成 ‐日時2010 年 12 月 8 日(水)1300 ~ 1700

場所日本学術会議 講堂

主催日本学術会議 マイクロナノエンジニアリング分

科会日本機械学会 マイクロナノ工学専門会議

概要学際的分野であるマイクロナノエンジニアリング

は大学大学院における教育の整備関連する産業界

学術界での研究開発における分野融合的な取組みが不可欠

です本シンポジウムでは人材育成を軸とした課題につ

いて議論します

httpwwwscjgojpjaeventpdf100-s-3-1pdf

[ 博物館展示 ]自然に学ぶ ネイチャーテクノロジーとライフスタイル展開催中です

場所国立科学博物館 (東京上野公園)

日時2010 年 10 月 26 日~ 2010 年 2 月 11 日

主催東北大学大学院環境科学研究科国立科学博物館

特定非営利活動法人ものづくり生命文明機構

概要蝶や鳥など生き物や自然の仕組みにヒントを得た環

境負荷の低い技術と将来的な応用の可能性から日本文化

に根差した共生型の新しいライフスタイルのあり方につい

て紹介します国立科学博物館の入館料600円が必要です

httpwwwkahakugojpevent201010natureindex

html

[人材育成]シンポジウム「世界を魅せる日本の課題解決型基礎研究~JST 目利き制度とその可能性」日時2010 年 12 月 6 日(月)1000-1800 (0900 受

付開始)

場所東京国際フォーラム B5 ホール

主催(独)科学技術振興機構(JST)

概要JST がこれまでに行ってきた戦略的創造研究推進

事業の成果を振り返りつつ今後の日本の科学技術の発

展に向けた事業のあり方について参加者の皆様と議論しま

httpwwwsenryaku30jstgojp 

[ 持続可能性 ]学術会議シンポジウム「低炭素化に向けた経済社会エネルギーのあり方と実現のシナリオ」日時2010 年 12 月 9 日(木)1330 ~ 1700

場所学術会議講堂

主催土木工学建築学委員会低炭素建築都市分科会

社会資本分科会

概要両分科会は中~超長期のエネルギー消費量削減シ

ナリオ策定に取り組んできました本シンポジウムでは

分科会の検討結果や削減のための様々な取り組みを紹介

し今後のとりまとめ作業に向けた議論を行います

httpwwwscjgojpjaeventpdf104-s-3-6pdf 

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PEN 編集室関谷瑞木阿多誠文独立行政法人産業技術総合研究所 ナノシステム研究部門 305-8568 つくば市梅園 1-1-1 産総研つくばセンター中央第 2 M404Email nano-penmaistgojpTel029-861-5185 Fax 029-861-5339

編集後記

今月 8 日に長野県長野市で開催された第 3 回国際ナノ

ワークショップ「ナノテクノロジーの社会受容~ナノ

材料の工業標準化の国際的な動向と環境影響について

~」の会場で多くの企業の皆様と意見交換をする貴

重な機会を得た目まぐるしい勢いで変わってゆく諸

外国の環境規制策の動向に民間企業の皆様が神経を

とがらせておられることがひしひしと感じられた東

京から新幹線で 1 時間半インターネットでリアルタ

イムに世界とつながることのできる時代とはいえ情

報物人が集積する地である東京とは異なる苦労も

あることもお聞きした美しい山々きれいな空気あ

るいは世界に誇る観光遺産と科学技術を結び付けて

地域振興をはかりたいとの頑張っておいでの方にもお

会いした

月刊という制約はあるもののこうした方々にとって

タイムリーで有用な情報を提供し続けたいと改めて

強く感じた

ちなみにPEN を発行しているつくば市の産総研つく

ばセンターへもつくばエクスプレスと路線バスを乗

り継いで都心からは約 1 時間半かかる

2010 年 11 月 25 日

PEN 編集室一同ウナギツカミ

Page 21: Public Engagement with Nano- PEN November …...5 PEN November 【知財】 中国、10年で特許強国に(2010.11.12) 中国国家知識産権局は11日に「全国特許事業発展戦略

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2001 年度から戦略的な究開発投資が開始されると同時

にナノテクノロジーへの関心は急速に増していった

わずか 2 年後の 2003 年にはその期待は極みに達して

いる上述したとおり我々はこの統計で縦軸をナノテ

クノロジーに対する社会の関心と見なしておりこれは

David M Berube 氏が示した典型的な Hype 曲線の縦軸

「Visibility」と同義とみなせる [2]その類似性を図 2 に

示す

図 2

日本では Nano-Hype と呼べるピークが高性能瞬間湯

沸器よろしく戦略的研究開発投資が開始されたわず

か 2 年後の 2003 年に出現しているのであるまたJ

Fenn らはこのようなピークを図 3 に示すようにイノ

ベーションのハイプサイクルにおける rdquoPeak of Inflated

Expectationsrdquo と表現している [3]

Exp

ect

atio

ns

Time

InnovationTrigger

Trough ofDisillusionment

Slope ofEnlightenment

Plateau ofProductivity

Peak of InflatedExpectations

図 3

この時期はナノテクノロジーの将来価値への大きな期

待の反面研究開発の実態は希薄である実体の伴わな

い過剰な期待を理由に「一部の有力な科学者や政策担当

者がこのような Hype の状況を意図的に作りだした」と非

難する論調もある確かに Nano-Hype はナノテクノロジー

の将来価値への期待が研究開発の実態を上回る状況では

あるがナノテクノロジーに対する社会の関心や期待を

喚起しその期待を背景にナノテクノロジーへの研究開

発投資が漸次増加していったことも事実であるまたナ

ノテクノロジーの事をもっと知りたいという知的欲求も

刺激されそれに応えるためにいくつかの大学ではサイ

エンスコミュニケータやサイエンスインタープリタサ

イエンスジャーナリストの養成講座等が開設されたさ

らに今日年間 2000 回以上のサイエンスカフェが全国各

地で開かれるなどナノテクノロジーのような新興の科

学技術のパブリックエンゲージメントの活動の契機にも

なったNano-Hype と呼ばれる状況がそのような様々

なプラスの効果を日本にもたらしたことも忘れてはなら

2003年

2010年

2003年

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embe

r ない点である

実体の伴わない過剰な期待が徐々に覚めていく Negative-

Hype の状況はHype が極みに達した 2003 年直後の

2004 年から 2007 年にかけて顕著に現れてくる依然

として政府のナノテクノロジー材料領域への研究開発

投資が伸びるなかメディアがナノテクノロジーを取り

上げる頻度は急速に下がり社会の関心は冷めていった

過剰な期待が冷静さを取り戻していく Negative-Hype は

必然であるとしても注目しておかなければならない大

事な点は Negative-Hype がいつ止むかいつ底を打つの

かである図 1 から明らかなように2004 年以降 2007

年まで急速に下降しているものの2008 年から 2009 年

と明らかに Negative-Hype は底を打っている

上述の J Fenn らは新しいハイプサイクルの縦軸の評価尺

度を議論しているのだが図 4 に示すようにハイプサイ

クルのプロフィールが二つの要素からなることを示して

いる [4]この指標を採用すると今年 2010 年の日本の

ナノテクノロジーはHype が終わりエンジニアリング

またはビジネスが徐々にその成熟度を増していくちょ

うどその過渡期にあるとみてよい今後ナノテクノロジー

がITエネルギー環境ライフサイエンスといった様々

な技術分野の基盤技術としてその実用化に貢献していく

現在はちょうどその転換点にあるそのプロセスを確実

に進めていくには中長期的な一貫した科学技術政策に

よりナノテクノロジーの基礎的な研究開発を継続的に

推し進めていくことが肝要である

図 4

そして10 年に及ぶ科学技術政策に基づいたナノテク

ノロジーの戦略的研究開発投資の成果を応用実用化

へ確実につなげていくために取り組まなければならない

もっとも重要な課題が包括的で実態のあるナノテクノ

ロジーのパブリックエンゲージメントの活動である昨

今ナノテクノロジーの研究開発と並行して社会受容

パブリックエンゲージメントの活動の重要性が指摘され

るようになってきたしかしこの課題に関する解釈は

依然としてまとまりを欠いているだけでなく「こういっ

た課題への取り組みが大事である」といったことが最後

の部分に申しわけ程度に記述されている例も多々見受け

られる取り組んでいるという既成事実のために実体の

伴わないパブリックエンゲージメントの活動が進められ

ると将来的にナノテクノロジーへの信頼も失墜しかね

ない多様な課題を含む社会受容パブリックエンゲー

ジメントの活動には包括的な視点で具体的実践的に取

り組んでいく必要がある

ReferenceRoco M C amp Bainbridge W S 2001 ldquoSocietal

Implications of Nanoscience and Nanotechnologyrdquo

Kluwer Academic Publishers

Berube M B amp Roco M C(FRW) 2005 ldquoNano-Hype

The truth behind the nanotechnology buzzrdquo Prometheus

Books

イノベーションのハイプサイクル

「Mastering the Hype Cycle」J Fenn M Raskino

Harvard Business Press 2008

M Raskino J Fenn IT Management(ITM) ITM-09-

37 Research Note 2010 年 2 月 9 日

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【CO2 排出量】世 界 的 な 金 融 危 機 に も か か わ ら ず2009 年 の 化 石 燃料 由 来 の 二 酸 化 炭 素 排 出 量 の 減 少 は 小 幅 に と ど ま る

(20101122)国立環境研究所(国環研)

国環研はグローバルカーボンプロジェクト (GCP) が 11

月 22 日の Nature Geoscience 誌の電子版に調査結果を発

表すると速報したその内容は世界金融危機の経済的

影響にも関わらず2009 年における世界の化石燃料由来

の二酸化炭素排出削減量が予測値である 28を下回り

前年比 13にとどまったことで同じく GDP の減少も予

測値を下回っている

httpwwwniesgojpwhatsnew20102010112220101122html

【量子コンピューティング】量子コンピュータ実現への障壁を緩和する誤り耐性方式を開発 (20101124)日本電信電話(株)京都大学

量子コンピュータに必須な量子ゲートは確実に正しい演

算をすることはなくある程度の誤り確率をもつため量

子コンピュータを実現するためには演算の誤り訂正を行

う技術の実現が必須となる演算の誤り訂正を行うために

はある程度誤り確率の低い量子ゲートが必要であると考

えられてきたが今回共同研究チームは誤り確率が非常

に高い量子ゲートを用いても量子計算が可能となる誤り耐

性のある量子計算方式を世界で初めて示した

httpwwwnttcojpnews20101011101124ahtml

【光電変換】ナノギャップ光アンテナにより高効率化した有機超薄膜による光電変換 

(20101122)物質材料研究機構北海道大学

NIMS と北大の共同研究チームは有機超薄膜型の光電変

換分子素子において光吸収電子伝達といった必要な機

能をもつ部品を連結した分子から成る単分子超薄膜を原

子レベルで表面制御した平滑な金電極面と金ナノ粒子で挟

み込むことによってナノギャップ型の光アンテナを導入

することに成功したその結果光アンテナ 1 つあたりで

光誘起電子移動反応が約 50 倍の効率に高まることを実

証した

httpwwwnimsgojpnewspress201011p201011220html

【EV】シンガポール政府と電気自動車の普及に関する覚書を締結

(201011 19)三菱自動車(株)

MMC はシンガポール政府と電気自動車(EV)普及のため

の活動に協力する内容の協定を締結したことを発表した

今回の活動はシンガポールの経済開発庁が中心となり

同国のエネルギー市場監督庁陸上交通庁との間で EV タ

スクフォースを組成し同国の EV 普及を目的としたユー

ザー向け補助金制度や充電インフラ整備などの検証を行う

ものこの活動の中でMMC は CCA を通じ 2011 年より

順次『i-MiEV(アイミーブ)』25 台を供給し実証走行

試験に協力していくhttpwwwmitsubishi-motorscompublishpressrelease_jp

corporate2010newsdetail4407html

【リチウム二次電池】リチウム二次電池の量産化実証工場が竣工 年間生産能力6 万 6000kWh (201011 18)三菱重工業(株)

リチウム二次電池事業への本格参入に向け長崎造船所内

に建設していた同電池の量産化実証工場が17 日竣工し

た年間生産能力は 6 万 6000kWh中型電池換算で約

40 万個に相当する今後各種実証技術に取り組み早期

の本格的な商業量産につなげていくとしている

プレスリリースより

CUTTING-EDGE TECHNOLOGIES

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embe

r httpwwwmhicojpnewsstory1011184999html

【基礎科学物質の起源】動きがのろい冷反水素原子を 38 個も磁気瓶に閉じ込める物質と反物質の違いを知る手がかりとなる冷反物質研究が新段階に (201011 18)物質材料研究機構(NIMS)

NIMS は欧州原子核研究所(CERN)の国際共同研究グルー

プに参加し反物質の代表格である反水素原子を独自に

開発した八重極磁気瓶の中に 38 個も閉じ込めることに世

界で初めて成功した反水素原子の原材料である反陽子(陽

子の反粒子)と陽電子(電子の反粒子)を八重極磁場コ

イルとミラーコイルを組み合わせた磁気瓶の中に蓄積し

そっと混ぜ合わせて冷たい反水素原子を大量に生成した

反水素原子は電気的に中性の小さな磁石なので反水素原

子ができあがったころ(約 1 秒後)を見計らって電圧を

加え残存している反陽子と陽電子をことごとく排除した

その後磁気瓶の磁場を瞬時にゼロにすると磁気瓶内に

とどまっていた反水素原子は装置の壁に当たって消滅し

パイ中間子などのさまざまな粒子を放出するこれらの粒

子を磁気瓶を包む 3 枚の検出器で観測した結果捕捉し

ていた反水素原子を 38 個も確認することができた後述

するように同内容は理化学研究所からもリリースされたhttpwwwrikenjpr-worldinforeleasepress2010101118

indexhtml

【超伝導】ピセンのカリウムドープに伴う電子構造変化の直接観測 

(201011 17)岡山大学

岡山大学の研究グループはピセンおよびカリウムドープ

ピセンの電子構造を実験的に観測する事に世界で初めて成

功したカリウムドープピセンは芳香族炭化水素における

初めての超電導体であるがカリウムドープピセンの超電

導メカニズムまた超電導を誘起する電子構造は解明され

ていない研究グループは光電子分光法を用いピセンのカ

リウムドープに伴う電子構造変化を直接的に観測した結

果ピセンのカリウムドープに伴う電子構造変化を観測

芳香族炭化水素超電導体の超電導メカニズム解明および新

規超電導体探索の指針になると期待されるhttpwwwokayama-unetrenkeidocumentpdfpressrelease

press-101117pdf

【慣性力発電】慣性力(振動)発電技術を商品化 国内最大手エース社のバッグに慣性力発電ユニットを搭載 (201011 17)伊藤忠商事(株)

米国 CIIIS 社の持つ慣性力発電(振動発電)技術を用いて

人体の運動による振動で発電する慣性力発電ユニットを開

発した国内鞄最大手のエース株式会社がこの慣性力発

電ユニットを搭載したバッグの販売を行う

httpwwwitochucojpjanews2010101117html

【生物多様性】多様性進化の背景に『甲状腺機能低下』 (201011 16)東北大学

生物多様性の喪失は現在急速に進んでおり多様性の進化

維持機構を解明することは世界的な課題である生物多様

性の創出は多くの場合新規環境に生き物が侵出すること

によって始まるが生物が新規環境へどのように適応して

行くのかその過程については多くが未解明である東北

大学の研究チームはこのたび新規環境への適応に甲状腺

ホルモンの進化が重要であることを発見したhttpwwwtohokuacjpjapanesenewimgpressimgtohokuuniv-

press_20101116pdf

【ナノ物性】ナノスケールの鉄磁石を電界でコントロール

(201011 01)千葉大学

磁石の N と S 極は磁界を用いることでコントロールでき

るが千葉大学の研究チームはナノスケールの鉄の磁石の

極性をエネルギーの要らない電界でコントロールできるこ

とを見出したhttpwwwchiba-uacjppublicitypresspdf201020101102nano

pdf

【SOFC 関連材料技術】 画期的な電解質材料の開発に成功 固体酸化物燃料電池の商用化に一歩前進 (201011 18 )物質材料研究機構(NIMS)

NIMS の研究グループは電解質材料に必要とされる三つ

の要件イオン伝導性化学的安定性焼結性のすべてを

高いレベルで満足する2種類の材料を開発することに成功

したひとつは10 のプラセオジムを含むイットリウム

添加ジルコン酸バリウム(BZPY)でもうひとつは酸

化ニッケル (NiO) とイットリウム添加ジルコン酸バリウム

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(BZY) の混合粉末を固めた基板上にプレス成形された BZI

であるhttpwwwnimsgojpnewspress201011201011180

p201011180pdf

【レアアース】微生物でレアアースの回収が可能に バクテリアがレアアースを濃縮する現象を発見 (201011 17)広島大学高エネルギー加速器研究機構高輝度光科学研

究センター

共同研究グループは微生物の細胞表面では微生物が存在

しない周囲部分に比べてレアアースを高濃度に濃縮する現

象を見出したまたレアアースの中でも特に希少価値の高

い元素が選択的に濃縮することを発見その濃縮メカニズ

ムを放射光を用いたX線吸収法により明らかにした

httpwwwkekjpjanewspress2010RareEarthElementshtml

【はやぶさ】はやぶさカプセル内の微粒子の起源が判明(201011 17)宇宙航空研究開発機構

「はやぶさ」のサンプルキャッチャー室から特殊形状のヘ

ラで採集された微粒子を走査型電子顕微鏡にて観察および

分析した結果1500 個程度の微粒子を岩石質と同定した

更にその分析結果を検討したところそのほぼ全てが地

球外物質であり小惑星イトカワ由来であると判断するに

至った

httpwwwjaxajppress20101120101117_sac_hayabusapdf

【超伝導基礎科学】超伝導のメカニズム解明に大きな手がかり ルテニウム酸化物の電子の運動状態を選択的に可視化することに成功 電子対を形成する「のり」の起源を初めて解明

(201011 17)広島大学産総研

1994 年に日本で発見されたルテニウム酸化物超伝導体は

ユニークな超伝導状態を示しこれまで数多くの研究が行

われてきたがいまだにその超伝導のメカニズムは謎のま

まであった超伝導が生じるためには電子と電子を「のり」

で結びつけ「電子対」にする必要がある共同研究グルー

プは放射光の直線偏光特性を活用するため放射光の光

軸のまわりに回転可能な高分解能角度分解光電子分光装置

を開発しルテニウム酸化物超伝導体の超伝導機構解明に

重要な手がかりをつかんだ研究グループが開発した新装

置を用いることによりルテニウム酸化物超伝導体の異な

る運動状態にある電子を選択的に分離しながら精密に分

析することが初めて可能となったその結果物質の電子対

を形成するための「のり」として結晶を作っている原子

の振動が重要な役割を果たしていることその「のり」が

どのくらい強く働いているのか等が明らかとなった httpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101117

pr20101117html

世界最高性能基準光源を開発 安定高精度高速の三拍子そろった光信号の発生に成功 (201011 15) 情報通信研究機構(NICT)国立天文台(NAOJ)

NICT と NAOJ はNICT 独自の高消光比変調技術を利用

し精度を保ったまま周波数範囲を拡大する構成を提案し

たNAOJ の安定度向上技術による制御機能を組み合わせ

ることで世界最高性能の基準信号発生装置を共同開発

し100 ギガヘルツを超える高速信号の長距離伝送を実現

した本装置の方式により従来技術の課題であった安定

性周波数範囲精度の問題を解決した安定性は 2 台の

レーザを用いる従来方式に比べて 10 倍以上を実現し信

号の乱れを 30 万年に 1 秒以下とすることに成功したま

た精度は従来型変調器と比較し 1000 倍以上周波数範

囲は 4 倍を達成したhttpwww2nictgojppubwhatsnewpressh22101115101115

html

【基礎科学レーザ分光】電子の氷を光で融かす一瞬を捉える 光が有機物質を変える瞬間の超高速スナップショット (201011 15)東北大学自然科学研究機構分子科学研究所科学技術振

興機構(JST)

共同研究グループは光の照射によって有機物質の色や

電気伝導度が大きく変化する光誘起相転移現象の最初の瞬

間を捉えることに成功した電場と磁場の振動である光の

振動の3周期分に匹敵する極めて短いパルス光をポンププ

ローブ分光によって二次元有機物質における電荷秩序の

融解のダイナミクスすなわちldquo 電子の氷 rdquo が光によっ

てどのように解け絶縁体から金属へと変化するのかと

いう問題を明らかにしたものこの成果 12 月初めには米

国物理学会誌 Physical Review Letters オンライン版で公開

予定

httpwwwjstgojpprannounce20101117-2indexhtml

【熱電材料】水を使って絶縁体から効率のよい熱電材料を作ることに成

26

PEN

Nov

embe

r 功 希少毒性金属を含まない安価簡便な熱電材料創製に新たな道 (201011 15)科学技術振興機構 (JST)名古屋大学

熱電材料は熱を電気に変換することができることからエ

ンジンの排熱を利用して発電するハイブリッド自動車など

への応用が期待されているが従来の熱電材料はビスマ

スアンチモン鉛テルルといった希少毒性金属など

を含む問題があったJST 課題解決型基礎研究の一環とし

て名古屋大学の研究グループは水の電気分解を利用し

安くてありふれた絶縁体酸化物表面を大きな熱電効果を示

す金属へ変えることに成功した大量に水を含んだ多孔質

ガラスを新規に開発しこの多孔質ガラスを金属チタンと

チタン酸ストロンチウムに挟んで電圧を加えると水の電

気分解によって絶縁体のはずのチタン酸ストロンチウムの

表面に厚さ 3 ナノメートル以下の極めて薄い金属チタン酸

ストロンチウムが生成した通常の金属チタン酸ストロン

チウムに対して 4~5 倍高い電圧を示すことから従来の

熱電材料の約 2 倍の熱電性能が期待できる

httpwwwjstgojpprannounce20101117indexhtml

【基礎科学物質の起源】国際研究チーム反水素原子を瓶の中に閉じこめることに成功(20101118)理化学研究所

8 か国からなる研究チームは欧州合同原子核研究機関

(CERN)の装置を用いて加速器で反陽子と陽電子を作

成し磁場の中に閉じこめたのちに撹拌して反陽子と陽

電子1個ずつを結びつけ反水素原子を生成した反水素

生成後に余った反陽子と陽電子を取り除き反水素原子だ

けを特殊な瓶の中に封じ込めることに成功した計 38 個

の反水素原子が 02 秒間存在したことを確認反物質は

Dan Brown の小説「天使と悪魔」で非常に微量で爆発

を起こす材料として登場するしかし今回の手法では短

時間に消滅してしまい爆弾に使える量をためるのは不可

能だという17 日付の Nature Online 版に掲載

httpwwwrikenjpr-worldinforeleasepress2010101118 

【マックスウェルの悪魔実証】情報をエネルギーに変換することに成功 ldquo マックスウェルの悪魔 rdquo を実験により世界で初めて実現新規ナノデバイスの実現に期待 (201011 15)中央大学東京大学

微細加工技術とサブミクロンスケールのリアルタイム制御

システムを組み合わせ「マックスウェルの悪魔」と呼ば

れる科学史上の重要な概念を世界で初めて実験により実現

した これによって情報をエネルギーに変換できるこ

とを初めて示すとともに情報を媒介して駆動する新規ナ

ノデバイスの実現の可能性を示した マックスウェルの

悪魔は熱力学の根本に関わる概念でありこれを実現でき

た学問的意義は大きいまた科学者以外にもよく知られ

たテーマであり多くの人が興味を持つ話題でもある情

報を媒介して駆動する新規のナノデバイスを実現できる可

能性があり基礎的研究にとどまらずナノサイエンスで

の新しい制御法への応用が期待できるこの成果は 11 月

14 日に Nature Physics Online に公開された

Toyabe Sagawa Ueda Muneyuki and Sano

ldquoExperimental demonstration of information-to-energy

conversion and validation of the generalized Jarzynski

equalityrdquo

httpwwwsu-tokyoacjppresspress-2010-42html

詳細は中央大学 HPhttpwwwchuo-uacjpchuo-unewscontents_jhtmlsuffix=kampmo

de=topamptopics=12513

【基礎科学分子バネ】電子の出し入れで硬さが劇的に変わる分子バネを開発 たった 1 つの電子放出で分子全体の動きやすさが 450 倍も変化 (201011 15)理化学研究所科学技術振興機構(JST)

6 個の炭素原子が環状につながったベンゼン環は有機化

合物において最も基本的な構成ユニットの一つでありベ

ンゼン環をさまざまな形で結合させたものが盛んに研究さ

れてきたしかしベンゼン環を隣り合う炭素の位置で結

合させたオルトフェニレンは単純な構造でありながら合

成が難しいためこれまでほとんど研究がなされておらず

その性質は解明されていなかった理化学研究所の研究グ

ループはベンゼン環 48 個を隣り合った炭素の位置で結

合させたオルトフェニレンを世界で初めて合成したオル

トフェニレンは3 つのベンゼン環が 1 ピッチのらせんを

形成するバネ状の構造をしているがこのようなバネ状の

構造を持った分子はさまざまな機能を発揮するためエ

レクトロニクスや分子機械への応用の可能性が高まってい

る研究グループはこのバネ状分子から電子を 1 つ取

り去るとバネの硬さが劇的に増してらせんの反転速度が

約 450 分の 1 も遅くなることを突き止めたまたこの

1 個の電子の出し入れに応じてバネのピッチが 3263Aring か

ら 3224Aring と変化したこれまで電子が高密度に含まれ

た分子バネは電子を出し入れすることでその振る舞いが

変化することが理論上予想されていたがこのように電子

を多量に含む分子バネの合成は難しく実験的にも証明さ

れていなかった硬さの変化というこれまで実現すること

27

PEN N

ovember

ができなかった応答をする分子バネの登場は応答性分子

の分野に新たなコンセプトをもたらすと注目される本研

究成果はJST 戦略的創造研究推進事業 発展研究 (ERATO-

SORST)「分子プログラミングによる電子ナノ空間の創成

と応用」の一環として行われたものhttpwwwrikenjpr-worldinforeleasepress2010101115

indexhtml

【自己組織化基質選択的会合】分子間の特異的な相互作用による新規材料集積法を開発 分子が好みの分子を見分けて接着 (201011 15)大阪大学科学技術振興機構(JST)

近年分子認識を利用して分子と分子を非共有結合でつな

げることによりさまざまな超分子錯体が合成されさらに

これらを自己集合させる研究が行われているこれらの研

究において形成される集合体は分子の大きさであるナノ

メートルからマイクロメートルの極めて小さなもので高

倍率の顕微鏡を使わなければ見えない分子認識に基づい

て手軽に使えるくらいの大きな自己組織体を作り出すこと

はナノテクノロジー分野において分子を自己組織化さ

せて機能性材料を創製する上で重要な課題であった大阪

大学の研究グループはホスト分子としてシクロデキスト

リンをゲスト分子としてシクロデキストリンが結合する

化合物を用いてそのホスト-ゲスト相互作用を利用して

多様な自己組織化超分子ポリマーの構造体を作りマクロ

スケールで機能を発現させる研究を進めている今回D

NAやタンパク質の分子量決定に広く用いられるアクリル

アミドゲルを土台にしてこのゲルにシクロデキストリン

とゲスト分子をそれぞれ別々に導入し「ホストゲル」と

「ゲストゲル」を合成したこの両者を水中で振動させる

とゲルが接着する挙動が観察されミリメートルからセン

チメートルの大きさの物体を分子認識により自己集積でき

ることを世界で初めて実証したさらにシクロデキストリ

ンとゲスト分子との相互作用の強さの違いによって選択的

に特定のゲル同士を接着させることができることがわかっ

httpwwwjstgojpprannounce20101115indexhtml

【ブタノール分離膜】バイオブタノールの省エネルギー型膜分離精製技術を開発1 wt ブタノール水溶液から80 wt 以上の高濃度ブタノールの回収が可能 (201011 15)産総研

産総研は1 wt 程度の希薄なブタノール水溶液からゼ

オライト系分離膜を用いて 80 wt 以上に濃縮したブタ

ノールを回収できる省エネルギー型のバイオブタノール精

製技術を開発した ブタノールはエタノールと比較して

発熱量が大きいことから地球温暖化対策に貢献できる再

生可能なバイオ液体燃料すなわちポストバイオエタノー

ルとして期待されている今回合成条件の最適化を進め

高いアルコール選択透過性をもつシリカライト分離膜を合

成し膜分離法によって低濃度ブタノール水溶液から高

濃度ブタノールの回収が可能となった従来の分離膜を用

いた場合に比べてブタノール回収のためのエネルギーを

50 ~ 70 程度低減できることが期待される httpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101113

pr20101113html

【分子生物学】 化学合成したペプチドからウイルスの殻構造を組み上げることに成功 新規ナノ材料や医療材料としての応用に期待 (201011 12) 九州大学北九州市立大学

共同研究グループは化学合成したペプチドから約 40 ナ

ノメートルのウイルスの殻構造を組み上げることに世界で

初めて成功した球状の植物ウイルスから遺伝子を除いた

キャプシド構造と呼ばれる殻構造は決まった大きさのナ

ノ空間であることからナノ物質の反応器や運び手として

利用する研究が国内外で盛んに行われているしかしこ

れまでウイルスのキャプシド構造を得るにはウイルス

の遺伝子をバクテリア内に導入して生産させる必要があっ

た本研究では遺伝子やバクテリアを用いない完全化学

合成によってウイルスキャプシドを構築することに成功

した今回ウイルスの殻構造を簡単なペプチドから構築

できたことで様々な機能性ウイルスキャプシドを人工的

に創成する道が拓けたと言えるこのペプチドからなるナ

ノカプセルに適切な化学修飾を施すことによりナノ物質

合成のための反応器や医薬品の運び手人工ワクチンを

創成するための足場材料として応用できるものと期待され

るhttpwwwkyushu-uacjppressrelease20102010-11-12-04pdf

【レアメタル】レアメタル使用量削減技術の実用化を加速(20101110)新エネルギー産業技術総合開発機構 (NEDO)

NEDO はレアアース総合対策の一環として企業が取り

組むレアメタル使用量削減技術の実用化を加速するための

助成事業(事業規模約 100 億円)を 2010 年度補正予算

の成立を前提に行うこの助成事業では短期間で実用化

が期待できる以下の技術開発を対象として①レアメタル

28

PEN

Nov

embe

r を代替する材料の技術開発 ②レアメタルの使用量を削

減する技術開発 ③レアメタルのリサイクルを促進する

技術開発 ④その他のレアメタル消費の削減に資する技

術開発を行うhttpapp3infocnedogojpinformationskoubopressEFnedopre

ss2010-11-068550095069

【導波路型光スイッチ】光スイッチの消費電力を従来の 2 分の 1 に低減 増え続けるネットワーク機器の消費電力問題を解決 (201011 09)( 株 ) 富士通研究所

同社はシリコンフォトニクス技術を適用した導波路型光

スイッチについて世界で初めてシリコンゲルマニウム

(SiGe)細線構造を用いることで従来のシリコン細線構

造に比べて消費電力を約 2 分の 1 に低減することに成

功した幅広い波長に対応して高速に動作できるタイプの

光スイッチ素子としては世界最小の消費電力を実現して

いるhttpprfujitsucomjpnews2010119html

【ナノ構造機能】昆虫が足を擦る秘密をナノテクノロジーで解明 生体模倣による新しい材料機能の開発に活用 (201011 09)物質材料研究機構マックスプランク研究所キール大

共同研究チームは環境問題で循環型社会実現に求められる

「接着と分離」を繰り返せる未来の接合技術の開発研究に

おいてガラスのような平坦な表面を逆さまでも歩行でき

る昆虫の足の裏の優れた接着性に着目し昆虫(ハムシ)

の歩行調査を行いナノテクノロジーを用いた実験により

昆虫が摩擦により汚れを感じていることを突き止めた

httpwwwnimsgojpnewspress201011p201011090html

【超音波流量計半導体プロセス】極微量な流量を精密に測定できる超音波流量計を開発 半導体製造装置の性能を向上させ環境負荷を低減しランニングコストを削減 (201011 09)産総研( 株 ) アツデン東京計装 ( 株 )

3 者は共同で10 mLmin( 誤差plusmn 01 mLmin) 以下の極

微量な流量を精密に測定できる超音波流量計を開発した

この流量計は超音波ガイド波の伝搬に関する基礎理論の

見直しを行い超音波を高周波化し設計を最適化するこ

とにより開発したものでこれまでの超音波流量計では計

測できなかった微小な流速領域での流量測定ができるこ

の超音波流量計は半導体製造装置で利用される薬液の高

精度な制御を可能にし半導体製造装置の高性能化環境

負荷の低減ランニングコスト削減へ貢献すると期待され

る httpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101109

pr20101109html

【研究交流】中国上海における国際交流事業の実施同済大学と大学間学術交流協定を締結 (201011 08)大阪大学

10 月 21 日上海において開催した上海教育研究センター

開所式記念講演会祝賀会には鷲田清一総長をはじめ

とする大阪大学教職員中国の学術交流協定校関係者大

阪大学同窓会会員など約 130 人が列席し盛況の内に終

了した翌 22 日23 日には第 15 回大阪大学上海交

通大学学術交流セミナーが上海交通大学情報ネットワーク

センターを主会場として開催され7つの研究会に約 100

人が参加したさらに 23 日と 24 日の両日上海東亜展

覧館を会場に開催された中国国際教育展に大阪大学のブー

スを出展し100 人を超える留学相談者が本学のブースを

訪れた翌 10 月 22 日鷲田清一総長は上海市内にある

同済大学を訪問裴学長陳副学長ほか大学関係者と懇談

するとともに大学間学術交流協定及び学生交流覚書の調

印式に臨んだこれにより中国の大学との 10 番目の協定

が成立したhttpwwwosaka-uacjpjanewstopics20101120101108_1

httpwwwosaka-uacjpjanewstopics20101120101108_2

【高耐久性セラミック】激しい熱変化にも強度劣化しない窒化ケイ素系セラミックスを開発 窒化ホウ素の微粒子を分散させ耐熱衝撃性を飛躍的に向上 (201011 08)産総研三井金属鉱業(株)

両者は共同で従来品に比べて耐熱衝撃性と高温での強度

を飛躍的に高めた窒化ケイ素系セラミックスを開発した

今回窒化ケイ素(Si3N4)をベースとして高い熱伝導

率をもつ粒界相を形成させるとともにそこに非晶質に近

い窒化ホウ素のナノメートルオーダーの微粒子を分散させ

ることで耐熱衝撃性を飛躍的に向上させた従来の窒化

ケイ素が 1000 の温度差で強度が低下するのに対して

今回の開発材は電気炉で 1400 に加熱した後水中に投

下することを 10 回繰り返してもほとんど強度が劣化しな

かったまたこの開発材について大気中 1200 で高温

29

PEN N

ovember

曲げ試験を行ったところ室温と同程度の強度を保持して

いたセラミックスでは大型化すると小試験片では得られ

た特性が得られず実用化を進める上での課題になること

が多いがこの開発材では焼結条件を最適化することに

よって直径 82 mm 長さ 370 mm の比較的大型の部品で

も試験片と同様の組織物性が得られたまた実際の

製品形状に近い部品の焼成も可能となったhttpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101108

pr20101108html

【ミリ波発信器】ミリ波帯無線通信の実用化にめど 世界最高性能の低雑音局部発振器を開発 (201011 08)東京工業大学

東工大の研究グループは雑音を従来の 100 分の1以下

に低減したミリ波帯局部発振器を開発した20GHz 帯の

発振器と 60GHz 帯の注入同期型直交局部発振器を組み合

わせることにより世界最高の低位相雑音性能を達成した

無線通信の周波数帯ひっ迫を解消する技術として 60GHz

ミリ波帯の利用が注目されているがミリ波帯ではコイル

やコンデンサの損失が大きくなり位相雑音特性が劣化す

るのがネックだった今回はこれを解決したものでミ

リ波無線通信の実用化につながる成果発振器は 65 ナノ

メートルのシリコン CMOS プロセスを利用して試作した

580GHz から 636GHz の周波数範囲で 4 相正弦波出力が

可能でこの発振器により10Gbps(毎秒 100 億ビット)

以上の超高速ミリ波帯無線通信の実現が期待されるh t t p w w w o l d t i t e c h a c j p t o k y o - t e c h - i n - t h e - n e w s j

archives2010111289174400html

【炭素繊維応用】住宅向け外装材「炭素繊維補強サイディング」の本格展開について 優れた強度と耐熱寸法安定性で 15 年の基材保証を実現 (20101105)東レ ACE(株)

東レの子会社東レ ACE は炭素繊維で補強した窯業系サ

イディングを開発し本格販売と市場展開を開始する「炭

素繊維補強サイディング」はセメント質原料に炭素繊維

を添加配合して成型固着させた建物外壁用のセメントボー

ドで従来の窯業系サイディングの優れた防耐火性耐久

性等を維持しつつ更なる強度補強効果や火災高温時の

変形や熱収縮によるひび割れの抑制など耐熱寸法安定性

も向上させることで基材 15 年保証を実現する 本製品

に使用している炭素繊維は軽くて強く優れた高温特性や

耐熱性を有し非常に細い繊維を多く配合できることから

外装材としての強度補強効果も期待できるとしている

httpwwwtoraycojpnewsaffilnr101105html

【光ファイバーナノインプリント】ナノ格子反射防止表面光ファイバー先端に形成ナノ技術で安く製作 (20101105)東北大学

東北大の研究グループは微小な窪みが多数形成された反

射防止構造体を光ファイバーの先端に製作する技術を開発

した光ファイバーは光通信や光分析装置の構成部品とし

て使われており光源受光素子やレンズなどの光部品と

の接続損失を減らすために先端に反射防止膜が形成され

ている従来の反射防止膜は真空装置を使って薄膜を付け

るためコストが問題であった研究グループはナノイン

プリント技術を用いて光ファイバー先端のコア部に 270

ナノメートル間隔で微小な円錐状の窪みを形成し反射損

失を低減することに成功したナノインプリント技術は

基板に塗布したポリマーに原版を押し付けて微細パターン

を転写する技術で高価な露光装置や真空装置が不要なた

めナノ構造を安価に製作することができる今回光ファ

イバー先端にナノ構造を製作するために専用のナノインプ

リント装置を開発した窪みの間隔が光の波長よりも小さ

い場合屈折率が変化し反射波が生じにくくなる反射

率や波長帯域は窪みの形状間隔や高さで決まり従来

の反射防止膜よりも設計の自由度が高いため要求に合わ

せて種々の反射防止表面を製作することが可能 httpwwwtohokuacjpjapanese201011press20101105-2

html

【人工筋肉機能材料】光を運動エネルギーに変える新高分子素材の開発に成功 世界で初めて分子を大面積で 3 次元的に配列させ新機能を実現 (20101105)理化学研究所

光で変形したり電子を流すなどの機能を持った分子を人工

的に規則正しく大面積で集積することができると機能性

材料の性能向上や革新的新機能の発現につながるそのた

め世界中で精力的に開発が行われているがこれまで実現

させた例はなかった理化学研究所の研究グループは光

で構造が変化するアゾベンゼン分子を組み込んだブラシ状

の高分子「ポリマーブラシ」を大面積で 3 次元的に一挙

に配列させる手法の開発に初めて成功したこの規則性の

ある 3 次元集積構造は延伸したテフロンシートにポリ

マーブラシを挟み込みアイロンに似た熱と圧力を加える

といういたって簡単な操作で実現したさらにこのフィ

30

PEN

Nov

embe

r ルムに光を当てるとアゾベンゼン分子の構造変化が一方

向に集約しフィルムが湾曲するという巨視的変形を引き

起こすことを見いだしたすなわちこの新しいフィルム

は光エネルギーを運動エネルギーに変換する機能を持って

おり新たな人工筋肉材料などへの展開が期待されるま

た本技術は有機薄膜太陽電池をはじめとする次世代の機

能材料の開発にも革新をもたらすと期待されるhttpwwwrikenjpr-worldinforeleasepress2010101105

indexhtml

【リチウムイオン電池正極材料】常温プロセスで全固体薄膜リチウムイオン電池の試作に成功 エアロゾルデポジション法による蓄電池製造の新工法開発を本格化 (2010115)産総研

産総研はトヨタ自動車 ( 株 ) と共同で産総研が開発し

たセラミックス材料の常温高速コーティングプロセスであ

るエアロゾルデポジション (AD) 法を用いて酸化物系の

正極材料負極材料固体電解質材料を薄膜積層化して

金属基板上に 3 層構造からなる全固体薄膜リチウム (Li) イ

オン電池を試作蓄電池としての充放電特性を世界で初め

て確認した 従来型の薄膜技術とは異なりAD 法を用い

ると基板の加熱が不要でまた厚膜化も容易であるそ

のため成膜時間が大幅に短縮でき蓄電池の生産性向上

やプロセスコストの大幅な低減が期待される今後は AD

法を用いた本格的な全固体電池の共同開発を進めていく httpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101105

pr20101105html

【記録デバイススピントルク素子】次世代超高密度 HDD に向けたマイクロ波アシスト記録の基本技術を開発 磁気ヘッドに搭載可能なスピントルク素子を用いた磁気情報の書き換えを確認 (2010115)新エネルギー産業技術総合開発機構(NEDO)(株)日

立製作所

NEDO はハードディスク装置(HDD)の開発製造会社で

ある日立グローバルストレージテクノロジーズの協力を得

て従来の磁気記録方式の限界を超えHDD の記録密度

を飛躍的に伸ばす方式として期待されているマイクロ波ア

シスト磁気記録方式の基本技術を開発しその原理を実験

的に確認したマイクロ波アシスト記録では記録媒体の

小領域にマイクロ波帯の高周波磁界を加え磁気情報の書

き込みを容易にする今回開発したのはヘッドに搭載可

能な高周波磁界を発生するスピントルク発振素子でこの

素子を用いて記録媒体上に磁気情報を記録できることを実

験的に確認したこれまで外部のマイクロ波発生装置を

用いたマイクロ波アシスト効果の報告例はあったが今回

微細な発振素子を用いた磁気情報の記録を確認できたこと

により将来この素子を記録ヘッドに搭載しマイクロ波

アシスト記録を実用的に行える可能性が示されたhttpapp3infocnedogojpinformationskoubopressEFnedopre

ss2010-11-029718160145

【基礎科学物性】絶縁体が金属に変わる新原理の解明 超伝導素子や熱電変換素子の開発へ道(20101104)東北大学

東北大学原子分子材料科学高等研究機構の研究グループ

は高品質酸化物薄膜において電気が流れにくい絶縁体

状態から流れやすい金属状態への遷移機構を解明した材

料における電気の流れやすさは電気を流す担い手である

伝導キャリアが物質中にどれだけ含まれるか伝導キャリ

アがどれくらいスムーズに動きまわれるかによって決ま

るつまり伝導キャリアの濃度を増やしたり材料中で

伝導キャリアの動きを妨げる原因になるひずみや欠陥を少

なくすると電気はより流れやすくなる本研究では人

工宝石として知られるチタン酸ストロンチウム (SrTiO3)

の絶縁体を用い伝導電子を生み出すキャリア供給層を

SrTiO3 絶縁体間に挟み込んだ絶縁体層 キャリア供給層

絶縁体層の層状界面構造をもつ高品質超格子構造を作製す

ることで絶縁体層の体積を増加させると反対に電気が流

れやすい金属状態になる現象を発見した最新の電子顕微

鏡技術を用いた原子構造解析と電子状態の理論計算を駆使

して絶縁体を増加させると界面で結晶のひずみが少なく

なり高導電化することを解明した本研究が明らかにした

界面での結晶のひずみを制御することによって絶縁体を金

属状態へ変化できる現象は様々な材料でも普遍的に起こる

と考えられ絶縁体から金属へ変わる境目で性能が向上す

る新超伝導体や新熱電材料の開発に展開することが可能と

期待されるhttpwwwtohokuacjpjapanesenewimgpressimgtohokuuniv-

presspdf

【環状高分子】様々な環状高分子の自在な合成に成功 「かたち」に基づく機能開発に期待(2010112)東京工業大学

東工大の研究グループはこれまで困難とされてきた

種々の含環状高分子の選択的な合成に成功した同研究

グループで開発された単環状高分子合成プロセスである

31

PEN N

ovember

Electrostatic Self-Assembly and Covalent Fixation Process

と有機合成化学の新手法であるクリックケミストリー

を組み合わせることで様々な「かたち」の自在な構築

を達成した本手法の開発により近年注目を集めてい

る「かたち」に基づいた高分子物性の探索を加速させる

ものと期待されるhttp wwwo ld t i t e ch ac j p tokyo - t ech - in - the -news j

archives2010111288656000html

【異分野連携オープンイノベーションモデル】応用脳科学コンソーシアム 脳科学及びその周辺領域の学術知見を活用したオープンイノベーションモデルの研究活動を開始 異業種の民間企業と異分野の脳科学研究者が連携し事業性の高い研究テーマを推進 (2010111)アサヒビール(株)(株)NTT データ積水ハウス(株)

(株)竹中工務店帝人(株)凸版印刷(株)日産自動

車(株)(株)博報堂(株)NTT データ経営研究所

NTT データ経営研究所が日本神経科学学会の協力を得て

2010 年 10 月 1 日に創設した「応用脳科学コンソーシア

ム」においてそれぞれの事業活動に関連する独創性の

高い研究テーマについて複数の「応用脳科学 RampD 研究会」

を立ち上げるRampD 研究会では各 RampD 研究会を設置

した特別会員企業が各テーマに関連の深い脳科学及び

その関連領域の研究者を招聘し異業種である他の会員

企業とともに最新の研究知見を活用してオープンイノ

ベーションモデルの研究活動を実施する各社が設置す

る RampD 研究会は現時点で(1)おいしさの総合評価研究

会(アサヒビール)(2)ヘルスケア脳情報クラウド研究

会(NTT データ)(3)インタラクティブ住環境研究会(積

水ハウス株式会社)(4)コミュニケーション空間研究

会(竹中工務店)(5)メディアエンゲージメント研究

会(博報堂)この他の RampD 研究会については今後随

時応用脳科学コンソーシアムのウェブサイト httpwww

keieikencojpcan で公開予定

httpwwwnttdatacojprelease2010110101html

【レーザ技術基礎光物性】熱を加えずに結晶を柔らかくすることに成功 高強度テラヘルツ電磁パルスで分子ネットワーク操作が可能に 

(2010111)京都大学科学技術振興機構(JST)

京都大学はテラヘルツ電磁パルスと呼ばれる新しい光

を物質に照射することで1兆分の1秒の短い時間で結

晶中の分子を大振幅で揺さぶり熱平衡状態では実現で

きないような分子変位を実現することに世界で初めて成

功した実験結果は結晶が実効的にやわらかくなったこ

とを意味するものでさらに強いテラヘルツ電磁パルス

によって高効率で結晶を融解させることを示唆するこ

れは熱による反応を起こすことなく新しい分子間のネッ

トワークやたんぱく質などの巨大分子の立体配位を操作

できることを示しており化学合成における反応促進や

創薬における有機分子結晶の精製での活用が考えられる

今回の成果は JST 戦略的創造研究推進事業日本学術振

興会学術創成プロジェクト「動的相スイッチ機構を内在

する有機電子材料の開拓と非平衡物性科学への展開」お

よび京都大学グローバル COE プログラム「普遍性と創発

性から紡ぐ次世代物理学」によるものhttpwwwjstgojpprannounce20101101indexhtml

【高周波デバイス】透 明 な 高 周 波 デ バ イ ス 見 え な い ア ン テ ナ へ の 道

(20101028)物質材料研究機構太陽誘電(株)

両者は共同で透明な高周波デバイスを製造するための

基本技術である微細な金属配線と酸化物透明導電体から

なるハイブリッド構造を開発した本技術は不透明で

あるが高い伝導性を示す金属と透明ではあるが金属の

100 分の 1 程度の伝導率にとどまる酸化物透明導電体と

を組合せ両者の特性を相補的に活用することにより

透明でありかつ携帯電話をはじめとする無線デジタ

ル通信に用いられるギガヘルツ帯の高周波に対して高い

伝送特性を示す素子構造を実現した

httpwwwnimsgojpnewspress201010p201010280html

【エコ製品環境経営】COP10 に向けた環境配慮型製品技術の取り組み ポリ乳酸繊維 ldquo エコディア rdquo 使用商品の提供や連携事業「メッセナゴヤ 2010」への出展を通じ環境保全の取り組みを強化 (20101028)東レ ( 株 )

同社は10 月 11 日 ( 月 ) から 29 日 ( 金 ) に開催された

生物多様性条約第 10 回締約国会議 (COP10) に向けて

ポリ乳酸繊維 ldquo エコディア rdquo 使用商品の提供などを通じて

環境に配慮した運営に協力したまたCOP10 の連携事

業である環境エネルギーをテーマとした展示会「メッ

セナゴヤ 2010」に出展し環境に配慮した次世代自動車

や最先端航空機向けの先端材料を紹介した

httpwwwtoraycojpnewsfibernr101028html

32

PEN

Nov

embe

r

NEWS POD 著作権の関係で記事のタイトルと詳細内容は標記できませんので簡略に表示しています詳しい内容に関しては各新聞及び雑誌をご覧ください

ナノテクノロジー

研究開発最前線

20101122 日 刊 工 業 新 聞 News

ウェーブ 21

X 線レーザー

20101121 東京読売新聞

新潟ナノテク研究会

20101120 日本経済新聞

ナノテクとバイオ

20101120 下野新聞

バイオ起業

20101119 朝日新聞

ナノ粒子の構造制御

20101119 日刊工業新聞

水素原子観察

20101119 科学新聞

光ファイバー関連技術

20101119 科学新聞

希少金属対策

20101118 日刊工業新聞

熱電材料

20101117 日経速報ニュース

化学合成でナノ構造

20101117 日経産業新聞

つくばナノテク研究拠点への投資

20101117 日刊工業新聞

分子バネ

20101116 日経速報ニュース

ナノバイオ融合

20101116 日経産業新聞

フレンドオブアースのナノテク評

20101116 エコロジーエクスプレス

クラスターテクノロジー

20101112 産経新聞

実用化助成

20101111 日刊産業新聞

接着のメカニズム

20101110 日経産業新聞

電子材料

20101110 日経産業新聞

ナノ磁石

20101110 東京新聞

高分解能放射線検出器

20101110 化学工業日報

電池電極材料

20101108 日本経済新聞

食の安全性

20101108 日経エコロジー

ナノ磁石実用化

20101105 朝日新聞

ナノテク接着剤

20101105 日刊工業新聞

水素原子の観察

20101105 日刊工業新聞

補正予算案

20101105 科学新聞

ナノ磁石

20101104 日本経済新聞

ナノボーグ

20101104 日刊工業新聞

ITO 電極代替技術

20101104 鉄鋼新聞

レアアース代替材

20101103 日本経済新聞電子版

セクション

ナノ鉄磁

20101103 毎日新聞

有機トランジスタ

20101101 日 経 速 報 ニ ュ ー ス

アーカイブ

有機トランジスタ

20101101 日経産業新聞

ナノムービー

20101101 日経サイエンス

低燃費タイヤ

20101030 朝日新聞

筑波大生命科学研究拠点

20101030 茨城新聞

レアアース代替材

20101029 日経産業新聞

播磨地域

20101029 化学工業日報

ナノ粒子操作

20101029 科学新聞

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NEWS POD 著作権の関係で記事のタイトルと詳細内容は標記できませんので簡略に表示しています詳しい内容に関しては各新聞及び雑誌をご覧ください

中国新5カ年計画

20101028 日本経済新聞

高機能消臭素材

20101028 化学工業日報

環境規制等

終わりの科学

20101201 日経サイエンス

電気自動車の覇権

20101123 週刊エコノミスト

環境規制対応

20101122 日経産業新聞

温暖化ガス排出枠

20101122 日経産業新聞

ロス自動車ショー

20101119 日経産業新聞

EV と環境規制

20101119 朝日新聞

EV

20101119 東京新聞

環境と法規制

20101119 化学工業日報

トヨタとテスラ

20101118 読売新聞速報ニュー

CO2 排出量削減

20101118 日経産業新聞

カリフォルニア州環境規制と EV

20101112 日本経済新聞

環境規制

20101112 日本経済新聞

環境規制

20101112 日経産業新聞

米韓 FTA

20101112 朝日新聞

米韓 FTA

20101112 毎日新聞

顔料

20101112 化学工業日報

レアメタル供給規制

20101111 日本経済新聞

潮冷熱

20101110 日本経済新聞

レアアース生産と環境規制

20101108 ダウジョーンズ中国企

業ニュース

韓米FTA

20101101 中央日報

科学技術政策

競争的資金制度

20101122 日本経済新聞

科学技術関係補正予算案 

20101122 THE DOCTOR

韓国 KIST

20101121 朝鮮日報

科学技術政策

20101119 日本経済新聞電子版

セクション

科学技術政策

20101118 日本経済新聞

科学技術政策

20101118 日経産業新聞

女性研究者

20101117 日経速報ニュース

科学技術予算

20101114 東京読売新聞

トップ1論文

20101112 科学新聞

中国特許強国に

20101112 新華社ニュース

関経連と科学技術政策

20101110 産経新聞 

科学技術産業一体政策

20101109 日刊工業新聞

優れた論文の条件

20101105 毎日新聞

「焼け太り許さぬ」

20101102 朝日新聞

国の研究開発投資目標

20101029 日刊工業新聞

科技政策で提言

20101027 日経産業新聞

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embe

r

科学への信頼に関する読者調査

20101201 日経サイエンス

「カップリング反応」アニメ化

20101110 朝日新聞東京読売

新聞他

科学と社会つなぐ人材

20101025 東京新聞

NEWS POD 

情報誌 PEN 購読のご案内PEN の継続的な購読をご希望の方は下記のメールアドレスまでお名前ご所属メールアドレスをご記入の上ご連絡ください登録配信は無料ですnano-penmaistgojp

PEN は原則月 1 回配信しますバックナンバーと PEN の前身【AIST-TOKYO ナノテク情報】をナノシステム研究部門ホームページにて公開しています httpunitaistgojpnrinano-planindexhtml

PEN は皆さまとの情報共有を目的としていますお持ちの情報で共有すべきものがあれば nano-penmaistgojp までお寄せ下さい

いただいた個人情報は産総研 個人情報保護方針(プライバシーポリシー)に基づき大切に管理し情報誌 PEN の運営と私達のイベントのご案内のみに使用させていただきます

科学技術コミュニケーション

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イベント案内

[産学連携研究開発]大阪大学ナノ理工学人材育成産学コンソーシアム 第 3 回ナノ理工学情報交流会場所大阪大学中之島センター 7 階 講義室 3(講師来訪)

   大阪大学東京オフィスサテライト教室

(遠隔講義配信)

   四日市商工会議所内サテライト教室

(遠隔講義配信)については調整中です

コンソーシアム HP にてご確認ください

   ナノテク社会人教育プログラムの開講をされてい

る場合遠隔講義配信に対応可能です事務局まで

ご連絡ください

日時2010 年 12 月 10 日(金)1330 ~ 1900 頃

主催大阪大学ナノ理工学人材育成産学コンソーシアム 

概要ナノ理工学人材育成産学コンソーシアムでは活動

の一環として産学連携のきっかけを提供すべく企業と

大学の双方からテーマに即した研究開発やトピックを紹介

し会員同士の意見交換と情報共有の促進をはかっていま

す第 3 回目となる今回は「光を用いたナノテクノロジー

の新展開」をテーマに開催しますプログラムなどの詳細

は下記の HP をご参照下さい

参加費コンソーシアム会員学生及び大阪大学教職員は

無料(コンソーシアム企業会員の場合社内から何名でも

無料で参加が可能です)

上記以外の方は資料作成費 1000 円が必要になります

参加登録氏名所属連絡先懇談会への出欠を記載の

上メールにて大阪大学ナノ理工学人材育成産学コンソー

シアム事務局(nano-consnanoscienceorjp)へお申込み

下さい

httpwwwnanoscienceorjp

[コミュニケーション]科学コミュニケーション研究会 第 1 回関西支部勉強会日時2010 年 12 月 2 日 1800 ~ 2000

場所京都大学 吉田泉殿

主催科学コミュニケーション研究会 関西支部有志

概要大阪教育大学科学教育センターの中矢史雄氏を講師

に招きオーストラリアの科学技術コミュニケーションに

ついてオーストラリア国立大学科学意識向上センター

での経験なども交えてお話いただきます定員は 25 名で

す事前申し込みが必要です

httpbitlybPmTP9

[展示会]セミコンジャパン 2010日時12 月 1 日~ 3 日

場所幕張メッセ

主催SEMI

概要国内外の最新のマイクロエレクトロニクス技術に関

する情報を入手することのできる世界最大の半導体製造装

置材料展です

httpwwwsemiconjapanorgjaindexhtm

[知財]アジア特許庁シンポジウム日時2010 年 12 月 3 日(金)930 ~ 1210

場所ホテル日航奈良 飛天の間

主催特許庁

概要日本中国韓国インドネシアマレーシアシ

ンガポールの特許庁幹部を招き各国の知財保護強化の取

組みやアジアにおける知財協力を紹介しますまたパ

ネルディスカッションを設けアジアにおける人材育成協

力の方向性について議論します

httpwwwintergroupjp~convasia

[人材育成]応用物理学会 人財育成シンポジウム -日本の危機を科学が救うそのためのリーダー育成を考える-日時2010 年 11 月 29 日(月)1000 ~ 1710

場所東京工業大学デジタル多目的ホール

主催応用物理学会

概要急速に進むグローバル化に対応のできる人材を育成

するための課題や応用物理学会が貢献することのできる

具体的な取り組みについて議論します

イベント案内へ掲載を希望される方は nano-penmaistgojp までご一報ください

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PEN

Nov

embe

r h t t p w w w j s a p o r j p a c t i v i t i e s e d u c a t i o n

symppt2010symphtml 

[コミュニケーション]科学技術とメディアのより良い関係に向けて日時11 月 26 日 1815 ~ 2030

場所早稲田大学大隈小講堂

主催サイエンスメディアセンター(SMC)

概要英国オーストラリアのサイエンスメディアセ

ンターの関係者米国のサイエンスコミュニケータを交え

て研究者とメディアの有益な関係性構築に向けた取り組

みについて議論します参加費は無料同時通訳がつきま

httpsmc-japanorgp=403 

[異分野連携]医学領域と工学領域連携研究シンポジウム ‐ 未来を拓く医工連携 ‐日時2010 年 11 月 27 日(土)

場所山口大学医学部第 3 講義室

主催日本学術会議中国四国地区会議山口大学

概要がんの個別化医療をメインテーマにこれからの医

工連携のあり方について講演と議論を行います

httpwwwscjgojpjaeventpdf100-t-3pdf 

[人材育成]マイクロナノエンジニアリング シンポジウム ‐ イノベーションと人材育成 ‐日時2010 年 12 月 8 日(水)1300 ~ 1700

場所日本学術会議 講堂

主催日本学術会議 マイクロナノエンジニアリング分

科会日本機械学会 マイクロナノ工学専門会議

概要学際的分野であるマイクロナノエンジニアリング

は大学大学院における教育の整備関連する産業界

学術界での研究開発における分野融合的な取組みが不可欠

です本シンポジウムでは人材育成を軸とした課題につ

いて議論します

httpwwwscjgojpjaeventpdf100-s-3-1pdf

[ 博物館展示 ]自然に学ぶ ネイチャーテクノロジーとライフスタイル展開催中です

場所国立科学博物館 (東京上野公園)

日時2010 年 10 月 26 日~ 2010 年 2 月 11 日

主催東北大学大学院環境科学研究科国立科学博物館

特定非営利活動法人ものづくり生命文明機構

概要蝶や鳥など生き物や自然の仕組みにヒントを得た環

境負荷の低い技術と将来的な応用の可能性から日本文化

に根差した共生型の新しいライフスタイルのあり方につい

て紹介します国立科学博物館の入館料600円が必要です

httpwwwkahakugojpevent201010natureindex

html

[人材育成]シンポジウム「世界を魅せる日本の課題解決型基礎研究~JST 目利き制度とその可能性」日時2010 年 12 月 6 日(月)1000-1800 (0900 受

付開始)

場所東京国際フォーラム B5 ホール

主催(独)科学技術振興機構(JST)

概要JST がこれまでに行ってきた戦略的創造研究推進

事業の成果を振り返りつつ今後の日本の科学技術の発

展に向けた事業のあり方について参加者の皆様と議論しま

httpwwwsenryaku30jstgojp 

[ 持続可能性 ]学術会議シンポジウム「低炭素化に向けた経済社会エネルギーのあり方と実現のシナリオ」日時2010 年 12 月 9 日(木)1330 ~ 1700

場所学術会議講堂

主催土木工学建築学委員会低炭素建築都市分科会

社会資本分科会

概要両分科会は中~超長期のエネルギー消費量削減シ

ナリオ策定に取り組んできました本シンポジウムでは

分科会の検討結果や削減のための様々な取り組みを紹介

し今後のとりまとめ作業に向けた議論を行います

httpwwwscjgojpjaeventpdf104-s-3-6pdf 

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PEN 編集室関谷瑞木阿多誠文独立行政法人産業技術総合研究所 ナノシステム研究部門 305-8568 つくば市梅園 1-1-1 産総研つくばセンター中央第 2 M404Email nano-penmaistgojpTel029-861-5185 Fax 029-861-5339

編集後記

今月 8 日に長野県長野市で開催された第 3 回国際ナノ

ワークショップ「ナノテクノロジーの社会受容~ナノ

材料の工業標準化の国際的な動向と環境影響について

~」の会場で多くの企業の皆様と意見交換をする貴

重な機会を得た目まぐるしい勢いで変わってゆく諸

外国の環境規制策の動向に民間企業の皆様が神経を

とがらせておられることがひしひしと感じられた東

京から新幹線で 1 時間半インターネットでリアルタ

イムに世界とつながることのできる時代とはいえ情

報物人が集積する地である東京とは異なる苦労も

あることもお聞きした美しい山々きれいな空気あ

るいは世界に誇る観光遺産と科学技術を結び付けて

地域振興をはかりたいとの頑張っておいでの方にもお

会いした

月刊という制約はあるもののこうした方々にとって

タイムリーで有用な情報を提供し続けたいと改めて

強く感じた

ちなみにPEN を発行しているつくば市の産総研つく

ばセンターへもつくばエクスプレスと路線バスを乗

り継いで都心からは約 1 時間半かかる

2010 年 11 月 25 日

PEN 編集室一同ウナギツカミ

Page 22: Public Engagement with Nano- PEN November …...5 PEN November 【知財】 中国、10年で特許強国に(2010.11.12) 中国国家知識産権局は11日に「全国特許事業発展戦略

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embe

r ない点である

実体の伴わない過剰な期待が徐々に覚めていく Negative-

Hype の状況はHype が極みに達した 2003 年直後の

2004 年から 2007 年にかけて顕著に現れてくる依然

として政府のナノテクノロジー材料領域への研究開発

投資が伸びるなかメディアがナノテクノロジーを取り

上げる頻度は急速に下がり社会の関心は冷めていった

過剰な期待が冷静さを取り戻していく Negative-Hype は

必然であるとしても注目しておかなければならない大

事な点は Negative-Hype がいつ止むかいつ底を打つの

かである図 1 から明らかなように2004 年以降 2007

年まで急速に下降しているものの2008 年から 2009 年

と明らかに Negative-Hype は底を打っている

上述の J Fenn らは新しいハイプサイクルの縦軸の評価尺

度を議論しているのだが図 4 に示すようにハイプサイ

クルのプロフィールが二つの要素からなることを示して

いる [4]この指標を採用すると今年 2010 年の日本の

ナノテクノロジーはHype が終わりエンジニアリング

またはビジネスが徐々にその成熟度を増していくちょ

うどその過渡期にあるとみてよい今後ナノテクノロジー

がITエネルギー環境ライフサイエンスといった様々

な技術分野の基盤技術としてその実用化に貢献していく

現在はちょうどその転換点にあるそのプロセスを確実

に進めていくには中長期的な一貫した科学技術政策に

よりナノテクノロジーの基礎的な研究開発を継続的に

推し進めていくことが肝要である

図 4

そして10 年に及ぶ科学技術政策に基づいたナノテク

ノロジーの戦略的研究開発投資の成果を応用実用化

へ確実につなげていくために取り組まなければならない

もっとも重要な課題が包括的で実態のあるナノテクノ

ロジーのパブリックエンゲージメントの活動である昨

今ナノテクノロジーの研究開発と並行して社会受容

パブリックエンゲージメントの活動の重要性が指摘され

るようになってきたしかしこの課題に関する解釈は

依然としてまとまりを欠いているだけでなく「こういっ

た課題への取り組みが大事である」といったことが最後

の部分に申しわけ程度に記述されている例も多々見受け

られる取り組んでいるという既成事実のために実体の

伴わないパブリックエンゲージメントの活動が進められ

ると将来的にナノテクノロジーへの信頼も失墜しかね

ない多様な課題を含む社会受容パブリックエンゲー

ジメントの活動には包括的な視点で具体的実践的に取

り組んでいく必要がある

ReferenceRoco M C amp Bainbridge W S 2001 ldquoSocietal

Implications of Nanoscience and Nanotechnologyrdquo

Kluwer Academic Publishers

Berube M B amp Roco M C(FRW) 2005 ldquoNano-Hype

The truth behind the nanotechnology buzzrdquo Prometheus

Books

イノベーションのハイプサイクル

「Mastering the Hype Cycle」J Fenn M Raskino

Harvard Business Press 2008

M Raskino J Fenn IT Management(ITM) ITM-09-

37 Research Note 2010 年 2 月 9 日

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【CO2 排出量】世 界 的 な 金 融 危 機 に も か か わ ら ず2009 年 の 化 石 燃料 由 来 の 二 酸 化 炭 素 排 出 量 の 減 少 は 小 幅 に と ど ま る

(20101122)国立環境研究所(国環研)

国環研はグローバルカーボンプロジェクト (GCP) が 11

月 22 日の Nature Geoscience 誌の電子版に調査結果を発

表すると速報したその内容は世界金融危機の経済的

影響にも関わらず2009 年における世界の化石燃料由来

の二酸化炭素排出削減量が予測値である 28を下回り

前年比 13にとどまったことで同じく GDP の減少も予

測値を下回っている

httpwwwniesgojpwhatsnew20102010112220101122html

【量子コンピューティング】量子コンピュータ実現への障壁を緩和する誤り耐性方式を開発 (20101124)日本電信電話(株)京都大学

量子コンピュータに必須な量子ゲートは確実に正しい演

算をすることはなくある程度の誤り確率をもつため量

子コンピュータを実現するためには演算の誤り訂正を行

う技術の実現が必須となる演算の誤り訂正を行うために

はある程度誤り確率の低い量子ゲートが必要であると考

えられてきたが今回共同研究チームは誤り確率が非常

に高い量子ゲートを用いても量子計算が可能となる誤り耐

性のある量子計算方式を世界で初めて示した

httpwwwnttcojpnews20101011101124ahtml

【光電変換】ナノギャップ光アンテナにより高効率化した有機超薄膜による光電変換 

(20101122)物質材料研究機構北海道大学

NIMS と北大の共同研究チームは有機超薄膜型の光電変

換分子素子において光吸収電子伝達といった必要な機

能をもつ部品を連結した分子から成る単分子超薄膜を原

子レベルで表面制御した平滑な金電極面と金ナノ粒子で挟

み込むことによってナノギャップ型の光アンテナを導入

することに成功したその結果光アンテナ 1 つあたりで

光誘起電子移動反応が約 50 倍の効率に高まることを実

証した

httpwwwnimsgojpnewspress201011p201011220html

【EV】シンガポール政府と電気自動車の普及に関する覚書を締結

(201011 19)三菱自動車(株)

MMC はシンガポール政府と電気自動車(EV)普及のため

の活動に協力する内容の協定を締結したことを発表した

今回の活動はシンガポールの経済開発庁が中心となり

同国のエネルギー市場監督庁陸上交通庁との間で EV タ

スクフォースを組成し同国の EV 普及を目的としたユー

ザー向け補助金制度や充電インフラ整備などの検証を行う

ものこの活動の中でMMC は CCA を通じ 2011 年より

順次『i-MiEV(アイミーブ)』25 台を供給し実証走行

試験に協力していくhttpwwwmitsubishi-motorscompublishpressrelease_jp

corporate2010newsdetail4407html

【リチウム二次電池】リチウム二次電池の量産化実証工場が竣工 年間生産能力6 万 6000kWh (201011 18)三菱重工業(株)

リチウム二次電池事業への本格参入に向け長崎造船所内

に建設していた同電池の量産化実証工場が17 日竣工し

た年間生産能力は 6 万 6000kWh中型電池換算で約

40 万個に相当する今後各種実証技術に取り組み早期

の本格的な商業量産につなげていくとしている

プレスリリースより

CUTTING-EDGE TECHNOLOGIES

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embe

r httpwwwmhicojpnewsstory1011184999html

【基礎科学物質の起源】動きがのろい冷反水素原子を 38 個も磁気瓶に閉じ込める物質と反物質の違いを知る手がかりとなる冷反物質研究が新段階に (201011 18)物質材料研究機構(NIMS)

NIMS は欧州原子核研究所(CERN)の国際共同研究グルー

プに参加し反物質の代表格である反水素原子を独自に

開発した八重極磁気瓶の中に 38 個も閉じ込めることに世

界で初めて成功した反水素原子の原材料である反陽子(陽

子の反粒子)と陽電子(電子の反粒子)を八重極磁場コ

イルとミラーコイルを組み合わせた磁気瓶の中に蓄積し

そっと混ぜ合わせて冷たい反水素原子を大量に生成した

反水素原子は電気的に中性の小さな磁石なので反水素原

子ができあがったころ(約 1 秒後)を見計らって電圧を

加え残存している反陽子と陽電子をことごとく排除した

その後磁気瓶の磁場を瞬時にゼロにすると磁気瓶内に

とどまっていた反水素原子は装置の壁に当たって消滅し

パイ中間子などのさまざまな粒子を放出するこれらの粒

子を磁気瓶を包む 3 枚の検出器で観測した結果捕捉し

ていた反水素原子を 38 個も確認することができた後述

するように同内容は理化学研究所からもリリースされたhttpwwwrikenjpr-worldinforeleasepress2010101118

indexhtml

【超伝導】ピセンのカリウムドープに伴う電子構造変化の直接観測 

(201011 17)岡山大学

岡山大学の研究グループはピセンおよびカリウムドープ

ピセンの電子構造を実験的に観測する事に世界で初めて成

功したカリウムドープピセンは芳香族炭化水素における

初めての超電導体であるがカリウムドープピセンの超電

導メカニズムまた超電導を誘起する電子構造は解明され

ていない研究グループは光電子分光法を用いピセンのカ

リウムドープに伴う電子構造変化を直接的に観測した結

果ピセンのカリウムドープに伴う電子構造変化を観測

芳香族炭化水素超電導体の超電導メカニズム解明および新

規超電導体探索の指針になると期待されるhttpwwwokayama-unetrenkeidocumentpdfpressrelease

press-101117pdf

【慣性力発電】慣性力(振動)発電技術を商品化 国内最大手エース社のバッグに慣性力発電ユニットを搭載 (201011 17)伊藤忠商事(株)

米国 CIIIS 社の持つ慣性力発電(振動発電)技術を用いて

人体の運動による振動で発電する慣性力発電ユニットを開

発した国内鞄最大手のエース株式会社がこの慣性力発

電ユニットを搭載したバッグの販売を行う

httpwwwitochucojpjanews2010101117html

【生物多様性】多様性進化の背景に『甲状腺機能低下』 (201011 16)東北大学

生物多様性の喪失は現在急速に進んでおり多様性の進化

維持機構を解明することは世界的な課題である生物多様

性の創出は多くの場合新規環境に生き物が侵出すること

によって始まるが生物が新規環境へどのように適応して

行くのかその過程については多くが未解明である東北

大学の研究チームはこのたび新規環境への適応に甲状腺

ホルモンの進化が重要であることを発見したhttpwwwtohokuacjpjapanesenewimgpressimgtohokuuniv-

press_20101116pdf

【ナノ物性】ナノスケールの鉄磁石を電界でコントロール

(201011 01)千葉大学

磁石の N と S 極は磁界を用いることでコントロールでき

るが千葉大学の研究チームはナノスケールの鉄の磁石の

極性をエネルギーの要らない電界でコントロールできるこ

とを見出したhttpwwwchiba-uacjppublicitypresspdf201020101102nano

pdf

【SOFC 関連材料技術】 画期的な電解質材料の開発に成功 固体酸化物燃料電池の商用化に一歩前進 (201011 18 )物質材料研究機構(NIMS)

NIMS の研究グループは電解質材料に必要とされる三つ

の要件イオン伝導性化学的安定性焼結性のすべてを

高いレベルで満足する2種類の材料を開発することに成功

したひとつは10 のプラセオジムを含むイットリウム

添加ジルコン酸バリウム(BZPY)でもうひとつは酸

化ニッケル (NiO) とイットリウム添加ジルコン酸バリウム

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(BZY) の混合粉末を固めた基板上にプレス成形された BZI

であるhttpwwwnimsgojpnewspress201011201011180

p201011180pdf

【レアアース】微生物でレアアースの回収が可能に バクテリアがレアアースを濃縮する現象を発見 (201011 17)広島大学高エネルギー加速器研究機構高輝度光科学研

究センター

共同研究グループは微生物の細胞表面では微生物が存在

しない周囲部分に比べてレアアースを高濃度に濃縮する現

象を見出したまたレアアースの中でも特に希少価値の高

い元素が選択的に濃縮することを発見その濃縮メカニズ

ムを放射光を用いたX線吸収法により明らかにした

httpwwwkekjpjanewspress2010RareEarthElementshtml

【はやぶさ】はやぶさカプセル内の微粒子の起源が判明(201011 17)宇宙航空研究開発機構

「はやぶさ」のサンプルキャッチャー室から特殊形状のヘ

ラで採集された微粒子を走査型電子顕微鏡にて観察および

分析した結果1500 個程度の微粒子を岩石質と同定した

更にその分析結果を検討したところそのほぼ全てが地

球外物質であり小惑星イトカワ由来であると判断するに

至った

httpwwwjaxajppress20101120101117_sac_hayabusapdf

【超伝導基礎科学】超伝導のメカニズム解明に大きな手がかり ルテニウム酸化物の電子の運動状態を選択的に可視化することに成功 電子対を形成する「のり」の起源を初めて解明

(201011 17)広島大学産総研

1994 年に日本で発見されたルテニウム酸化物超伝導体は

ユニークな超伝導状態を示しこれまで数多くの研究が行

われてきたがいまだにその超伝導のメカニズムは謎のま

まであった超伝導が生じるためには電子と電子を「のり」

で結びつけ「電子対」にする必要がある共同研究グルー

プは放射光の直線偏光特性を活用するため放射光の光

軸のまわりに回転可能な高分解能角度分解光電子分光装置

を開発しルテニウム酸化物超伝導体の超伝導機構解明に

重要な手がかりをつかんだ研究グループが開発した新装

置を用いることによりルテニウム酸化物超伝導体の異な

る運動状態にある電子を選択的に分離しながら精密に分

析することが初めて可能となったその結果物質の電子対

を形成するための「のり」として結晶を作っている原子

の振動が重要な役割を果たしていることその「のり」が

どのくらい強く働いているのか等が明らかとなった httpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101117

pr20101117html

世界最高性能基準光源を開発 安定高精度高速の三拍子そろった光信号の発生に成功 (201011 15) 情報通信研究機構(NICT)国立天文台(NAOJ)

NICT と NAOJ はNICT 独自の高消光比変調技術を利用

し精度を保ったまま周波数範囲を拡大する構成を提案し

たNAOJ の安定度向上技術による制御機能を組み合わせ

ることで世界最高性能の基準信号発生装置を共同開発

し100 ギガヘルツを超える高速信号の長距離伝送を実現

した本装置の方式により従来技術の課題であった安定

性周波数範囲精度の問題を解決した安定性は 2 台の

レーザを用いる従来方式に比べて 10 倍以上を実現し信

号の乱れを 30 万年に 1 秒以下とすることに成功したま

た精度は従来型変調器と比較し 1000 倍以上周波数範

囲は 4 倍を達成したhttpwww2nictgojppubwhatsnewpressh22101115101115

html

【基礎科学レーザ分光】電子の氷を光で融かす一瞬を捉える 光が有機物質を変える瞬間の超高速スナップショット (201011 15)東北大学自然科学研究機構分子科学研究所科学技術振

興機構(JST)

共同研究グループは光の照射によって有機物質の色や

電気伝導度が大きく変化する光誘起相転移現象の最初の瞬

間を捉えることに成功した電場と磁場の振動である光の

振動の3周期分に匹敵する極めて短いパルス光をポンププ

ローブ分光によって二次元有機物質における電荷秩序の

融解のダイナミクスすなわちldquo 電子の氷 rdquo が光によっ

てどのように解け絶縁体から金属へと変化するのかと

いう問題を明らかにしたものこの成果 12 月初めには米

国物理学会誌 Physical Review Letters オンライン版で公開

予定

httpwwwjstgojpprannounce20101117-2indexhtml

【熱電材料】水を使って絶縁体から効率のよい熱電材料を作ることに成

26

PEN

Nov

embe

r 功 希少毒性金属を含まない安価簡便な熱電材料創製に新たな道 (201011 15)科学技術振興機構 (JST)名古屋大学

熱電材料は熱を電気に変換することができることからエ

ンジンの排熱を利用して発電するハイブリッド自動車など

への応用が期待されているが従来の熱電材料はビスマ

スアンチモン鉛テルルといった希少毒性金属など

を含む問題があったJST 課題解決型基礎研究の一環とし

て名古屋大学の研究グループは水の電気分解を利用し

安くてありふれた絶縁体酸化物表面を大きな熱電効果を示

す金属へ変えることに成功した大量に水を含んだ多孔質

ガラスを新規に開発しこの多孔質ガラスを金属チタンと

チタン酸ストロンチウムに挟んで電圧を加えると水の電

気分解によって絶縁体のはずのチタン酸ストロンチウムの

表面に厚さ 3 ナノメートル以下の極めて薄い金属チタン酸

ストロンチウムが生成した通常の金属チタン酸ストロン

チウムに対して 4~5 倍高い電圧を示すことから従来の

熱電材料の約 2 倍の熱電性能が期待できる

httpwwwjstgojpprannounce20101117indexhtml

【基礎科学物質の起源】国際研究チーム反水素原子を瓶の中に閉じこめることに成功(20101118)理化学研究所

8 か国からなる研究チームは欧州合同原子核研究機関

(CERN)の装置を用いて加速器で反陽子と陽電子を作

成し磁場の中に閉じこめたのちに撹拌して反陽子と陽

電子1個ずつを結びつけ反水素原子を生成した反水素

生成後に余った反陽子と陽電子を取り除き反水素原子だ

けを特殊な瓶の中に封じ込めることに成功した計 38 個

の反水素原子が 02 秒間存在したことを確認反物質は

Dan Brown の小説「天使と悪魔」で非常に微量で爆発

を起こす材料として登場するしかし今回の手法では短

時間に消滅してしまい爆弾に使える量をためるのは不可

能だという17 日付の Nature Online 版に掲載

httpwwwrikenjpr-worldinforeleasepress2010101118 

【マックスウェルの悪魔実証】情報をエネルギーに変換することに成功 ldquo マックスウェルの悪魔 rdquo を実験により世界で初めて実現新規ナノデバイスの実現に期待 (201011 15)中央大学東京大学

微細加工技術とサブミクロンスケールのリアルタイム制御

システムを組み合わせ「マックスウェルの悪魔」と呼ば

れる科学史上の重要な概念を世界で初めて実験により実現

した これによって情報をエネルギーに変換できるこ

とを初めて示すとともに情報を媒介して駆動する新規ナ

ノデバイスの実現の可能性を示した マックスウェルの

悪魔は熱力学の根本に関わる概念でありこれを実現でき

た学問的意義は大きいまた科学者以外にもよく知られ

たテーマであり多くの人が興味を持つ話題でもある情

報を媒介して駆動する新規のナノデバイスを実現できる可

能性があり基礎的研究にとどまらずナノサイエンスで

の新しい制御法への応用が期待できるこの成果は 11 月

14 日に Nature Physics Online に公開された

Toyabe Sagawa Ueda Muneyuki and Sano

ldquoExperimental demonstration of information-to-energy

conversion and validation of the generalized Jarzynski

equalityrdquo

httpwwwsu-tokyoacjppresspress-2010-42html

詳細は中央大学 HPhttpwwwchuo-uacjpchuo-unewscontents_jhtmlsuffix=kampmo

de=topamptopics=12513

【基礎科学分子バネ】電子の出し入れで硬さが劇的に変わる分子バネを開発 たった 1 つの電子放出で分子全体の動きやすさが 450 倍も変化 (201011 15)理化学研究所科学技術振興機構(JST)

6 個の炭素原子が環状につながったベンゼン環は有機化

合物において最も基本的な構成ユニットの一つでありベ

ンゼン環をさまざまな形で結合させたものが盛んに研究さ

れてきたしかしベンゼン環を隣り合う炭素の位置で結

合させたオルトフェニレンは単純な構造でありながら合

成が難しいためこれまでほとんど研究がなされておらず

その性質は解明されていなかった理化学研究所の研究グ

ループはベンゼン環 48 個を隣り合った炭素の位置で結

合させたオルトフェニレンを世界で初めて合成したオル

トフェニレンは3 つのベンゼン環が 1 ピッチのらせんを

形成するバネ状の構造をしているがこのようなバネ状の

構造を持った分子はさまざまな機能を発揮するためエ

レクトロニクスや分子機械への応用の可能性が高まってい

る研究グループはこのバネ状分子から電子を 1 つ取

り去るとバネの硬さが劇的に増してらせんの反転速度が

約 450 分の 1 も遅くなることを突き止めたまたこの

1 個の電子の出し入れに応じてバネのピッチが 3263Aring か

ら 3224Aring と変化したこれまで電子が高密度に含まれ

た分子バネは電子を出し入れすることでその振る舞いが

変化することが理論上予想されていたがこのように電子

を多量に含む分子バネの合成は難しく実験的にも証明さ

れていなかった硬さの変化というこれまで実現すること

27

PEN N

ovember

ができなかった応答をする分子バネの登場は応答性分子

の分野に新たなコンセプトをもたらすと注目される本研

究成果はJST 戦略的創造研究推進事業 発展研究 (ERATO-

SORST)「分子プログラミングによる電子ナノ空間の創成

と応用」の一環として行われたものhttpwwwrikenjpr-worldinforeleasepress2010101115

indexhtml

【自己組織化基質選択的会合】分子間の特異的な相互作用による新規材料集積法を開発 分子が好みの分子を見分けて接着 (201011 15)大阪大学科学技術振興機構(JST)

近年分子認識を利用して分子と分子を非共有結合でつな

げることによりさまざまな超分子錯体が合成されさらに

これらを自己集合させる研究が行われているこれらの研

究において形成される集合体は分子の大きさであるナノ

メートルからマイクロメートルの極めて小さなもので高

倍率の顕微鏡を使わなければ見えない分子認識に基づい

て手軽に使えるくらいの大きな自己組織体を作り出すこと

はナノテクノロジー分野において分子を自己組織化さ

せて機能性材料を創製する上で重要な課題であった大阪

大学の研究グループはホスト分子としてシクロデキスト

リンをゲスト分子としてシクロデキストリンが結合する

化合物を用いてそのホスト-ゲスト相互作用を利用して

多様な自己組織化超分子ポリマーの構造体を作りマクロ

スケールで機能を発現させる研究を進めている今回D

NAやタンパク質の分子量決定に広く用いられるアクリル

アミドゲルを土台にしてこのゲルにシクロデキストリン

とゲスト分子をそれぞれ別々に導入し「ホストゲル」と

「ゲストゲル」を合成したこの両者を水中で振動させる

とゲルが接着する挙動が観察されミリメートルからセン

チメートルの大きさの物体を分子認識により自己集積でき

ることを世界で初めて実証したさらにシクロデキストリ

ンとゲスト分子との相互作用の強さの違いによって選択的

に特定のゲル同士を接着させることができることがわかっ

httpwwwjstgojpprannounce20101115indexhtml

【ブタノール分離膜】バイオブタノールの省エネルギー型膜分離精製技術を開発1 wt ブタノール水溶液から80 wt 以上の高濃度ブタノールの回収が可能 (201011 15)産総研

産総研は1 wt 程度の希薄なブタノール水溶液からゼ

オライト系分離膜を用いて 80 wt 以上に濃縮したブタ

ノールを回収できる省エネルギー型のバイオブタノール精

製技術を開発した ブタノールはエタノールと比較して

発熱量が大きいことから地球温暖化対策に貢献できる再

生可能なバイオ液体燃料すなわちポストバイオエタノー

ルとして期待されている今回合成条件の最適化を進め

高いアルコール選択透過性をもつシリカライト分離膜を合

成し膜分離法によって低濃度ブタノール水溶液から高

濃度ブタノールの回収が可能となった従来の分離膜を用

いた場合に比べてブタノール回収のためのエネルギーを

50 ~ 70 程度低減できることが期待される httpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101113

pr20101113html

【分子生物学】 化学合成したペプチドからウイルスの殻構造を組み上げることに成功 新規ナノ材料や医療材料としての応用に期待 (201011 12) 九州大学北九州市立大学

共同研究グループは化学合成したペプチドから約 40 ナ

ノメートルのウイルスの殻構造を組み上げることに世界で

初めて成功した球状の植物ウイルスから遺伝子を除いた

キャプシド構造と呼ばれる殻構造は決まった大きさのナ

ノ空間であることからナノ物質の反応器や運び手として

利用する研究が国内外で盛んに行われているしかしこ

れまでウイルスのキャプシド構造を得るにはウイルス

の遺伝子をバクテリア内に導入して生産させる必要があっ

た本研究では遺伝子やバクテリアを用いない完全化学

合成によってウイルスキャプシドを構築することに成功

した今回ウイルスの殻構造を簡単なペプチドから構築

できたことで様々な機能性ウイルスキャプシドを人工的

に創成する道が拓けたと言えるこのペプチドからなるナ

ノカプセルに適切な化学修飾を施すことによりナノ物質

合成のための反応器や医薬品の運び手人工ワクチンを

創成するための足場材料として応用できるものと期待され

るhttpwwwkyushu-uacjppressrelease20102010-11-12-04pdf

【レアメタル】レアメタル使用量削減技術の実用化を加速(20101110)新エネルギー産業技術総合開発機構 (NEDO)

NEDO はレアアース総合対策の一環として企業が取り

組むレアメタル使用量削減技術の実用化を加速するための

助成事業(事業規模約 100 億円)を 2010 年度補正予算

の成立を前提に行うこの助成事業では短期間で実用化

が期待できる以下の技術開発を対象として①レアメタル

28

PEN

Nov

embe

r を代替する材料の技術開発 ②レアメタルの使用量を削

減する技術開発 ③レアメタルのリサイクルを促進する

技術開発 ④その他のレアメタル消費の削減に資する技

術開発を行うhttpapp3infocnedogojpinformationskoubopressEFnedopre

ss2010-11-068550095069

【導波路型光スイッチ】光スイッチの消費電力を従来の 2 分の 1 に低減 増え続けるネットワーク機器の消費電力問題を解決 (201011 09)( 株 ) 富士通研究所

同社はシリコンフォトニクス技術を適用した導波路型光

スイッチについて世界で初めてシリコンゲルマニウム

(SiGe)細線構造を用いることで従来のシリコン細線構

造に比べて消費電力を約 2 分の 1 に低減することに成

功した幅広い波長に対応して高速に動作できるタイプの

光スイッチ素子としては世界最小の消費電力を実現して

いるhttpprfujitsucomjpnews2010119html

【ナノ構造機能】昆虫が足を擦る秘密をナノテクノロジーで解明 生体模倣による新しい材料機能の開発に活用 (201011 09)物質材料研究機構マックスプランク研究所キール大

共同研究チームは環境問題で循環型社会実現に求められる

「接着と分離」を繰り返せる未来の接合技術の開発研究に

おいてガラスのような平坦な表面を逆さまでも歩行でき

る昆虫の足の裏の優れた接着性に着目し昆虫(ハムシ)

の歩行調査を行いナノテクノロジーを用いた実験により

昆虫が摩擦により汚れを感じていることを突き止めた

httpwwwnimsgojpnewspress201011p201011090html

【超音波流量計半導体プロセス】極微量な流量を精密に測定できる超音波流量計を開発 半導体製造装置の性能を向上させ環境負荷を低減しランニングコストを削減 (201011 09)産総研( 株 ) アツデン東京計装 ( 株 )

3 者は共同で10 mLmin( 誤差plusmn 01 mLmin) 以下の極

微量な流量を精密に測定できる超音波流量計を開発した

この流量計は超音波ガイド波の伝搬に関する基礎理論の

見直しを行い超音波を高周波化し設計を最適化するこ

とにより開発したものでこれまでの超音波流量計では計

測できなかった微小な流速領域での流量測定ができるこ

の超音波流量計は半導体製造装置で利用される薬液の高

精度な制御を可能にし半導体製造装置の高性能化環境

負荷の低減ランニングコスト削減へ貢献すると期待され

る httpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101109

pr20101109html

【研究交流】中国上海における国際交流事業の実施同済大学と大学間学術交流協定を締結 (201011 08)大阪大学

10 月 21 日上海において開催した上海教育研究センター

開所式記念講演会祝賀会には鷲田清一総長をはじめ

とする大阪大学教職員中国の学術交流協定校関係者大

阪大学同窓会会員など約 130 人が列席し盛況の内に終

了した翌 22 日23 日には第 15 回大阪大学上海交

通大学学術交流セミナーが上海交通大学情報ネットワーク

センターを主会場として開催され7つの研究会に約 100

人が参加したさらに 23 日と 24 日の両日上海東亜展

覧館を会場に開催された中国国際教育展に大阪大学のブー

スを出展し100 人を超える留学相談者が本学のブースを

訪れた翌 10 月 22 日鷲田清一総長は上海市内にある

同済大学を訪問裴学長陳副学長ほか大学関係者と懇談

するとともに大学間学術交流協定及び学生交流覚書の調

印式に臨んだこれにより中国の大学との 10 番目の協定

が成立したhttpwwwosaka-uacjpjanewstopics20101120101108_1

httpwwwosaka-uacjpjanewstopics20101120101108_2

【高耐久性セラミック】激しい熱変化にも強度劣化しない窒化ケイ素系セラミックスを開発 窒化ホウ素の微粒子を分散させ耐熱衝撃性を飛躍的に向上 (201011 08)産総研三井金属鉱業(株)

両者は共同で従来品に比べて耐熱衝撃性と高温での強度

を飛躍的に高めた窒化ケイ素系セラミックスを開発した

今回窒化ケイ素(Si3N4)をベースとして高い熱伝導

率をもつ粒界相を形成させるとともにそこに非晶質に近

い窒化ホウ素のナノメートルオーダーの微粒子を分散させ

ることで耐熱衝撃性を飛躍的に向上させた従来の窒化

ケイ素が 1000 の温度差で強度が低下するのに対して

今回の開発材は電気炉で 1400 に加熱した後水中に投

下することを 10 回繰り返してもほとんど強度が劣化しな

かったまたこの開発材について大気中 1200 で高温

29

PEN N

ovember

曲げ試験を行ったところ室温と同程度の強度を保持して

いたセラミックスでは大型化すると小試験片では得られ

た特性が得られず実用化を進める上での課題になること

が多いがこの開発材では焼結条件を最適化することに

よって直径 82 mm 長さ 370 mm の比較的大型の部品で

も試験片と同様の組織物性が得られたまた実際の

製品形状に近い部品の焼成も可能となったhttpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101108

pr20101108html

【ミリ波発信器】ミリ波帯無線通信の実用化にめど 世界最高性能の低雑音局部発振器を開発 (201011 08)東京工業大学

東工大の研究グループは雑音を従来の 100 分の1以下

に低減したミリ波帯局部発振器を開発した20GHz 帯の

発振器と 60GHz 帯の注入同期型直交局部発振器を組み合

わせることにより世界最高の低位相雑音性能を達成した

無線通信の周波数帯ひっ迫を解消する技術として 60GHz

ミリ波帯の利用が注目されているがミリ波帯ではコイル

やコンデンサの損失が大きくなり位相雑音特性が劣化す

るのがネックだった今回はこれを解決したものでミ

リ波無線通信の実用化につながる成果発振器は 65 ナノ

メートルのシリコン CMOS プロセスを利用して試作した

580GHz から 636GHz の周波数範囲で 4 相正弦波出力が

可能でこの発振器により10Gbps(毎秒 100 億ビット)

以上の超高速ミリ波帯無線通信の実現が期待されるh t t p w w w o l d t i t e c h a c j p t o k y o - t e c h - i n - t h e - n e w s j

archives2010111289174400html

【炭素繊維応用】住宅向け外装材「炭素繊維補強サイディング」の本格展開について 優れた強度と耐熱寸法安定性で 15 年の基材保証を実現 (20101105)東レ ACE(株)

東レの子会社東レ ACE は炭素繊維で補強した窯業系サ

イディングを開発し本格販売と市場展開を開始する「炭

素繊維補強サイディング」はセメント質原料に炭素繊維

を添加配合して成型固着させた建物外壁用のセメントボー

ドで従来の窯業系サイディングの優れた防耐火性耐久

性等を維持しつつ更なる強度補強効果や火災高温時の

変形や熱収縮によるひび割れの抑制など耐熱寸法安定性

も向上させることで基材 15 年保証を実現する 本製品

に使用している炭素繊維は軽くて強く優れた高温特性や

耐熱性を有し非常に細い繊維を多く配合できることから

外装材としての強度補強効果も期待できるとしている

httpwwwtoraycojpnewsaffilnr101105html

【光ファイバーナノインプリント】ナノ格子反射防止表面光ファイバー先端に形成ナノ技術で安く製作 (20101105)東北大学

東北大の研究グループは微小な窪みが多数形成された反

射防止構造体を光ファイバーの先端に製作する技術を開発

した光ファイバーは光通信や光分析装置の構成部品とし

て使われており光源受光素子やレンズなどの光部品と

の接続損失を減らすために先端に反射防止膜が形成され

ている従来の反射防止膜は真空装置を使って薄膜を付け

るためコストが問題であった研究グループはナノイン

プリント技術を用いて光ファイバー先端のコア部に 270

ナノメートル間隔で微小な円錐状の窪みを形成し反射損

失を低減することに成功したナノインプリント技術は

基板に塗布したポリマーに原版を押し付けて微細パターン

を転写する技術で高価な露光装置や真空装置が不要なた

めナノ構造を安価に製作することができる今回光ファ

イバー先端にナノ構造を製作するために専用のナノインプ

リント装置を開発した窪みの間隔が光の波長よりも小さ

い場合屈折率が変化し反射波が生じにくくなる反射

率や波長帯域は窪みの形状間隔や高さで決まり従来

の反射防止膜よりも設計の自由度が高いため要求に合わ

せて種々の反射防止表面を製作することが可能 httpwwwtohokuacjpjapanese201011press20101105-2

html

【人工筋肉機能材料】光を運動エネルギーに変える新高分子素材の開発に成功 世界で初めて分子を大面積で 3 次元的に配列させ新機能を実現 (20101105)理化学研究所

光で変形したり電子を流すなどの機能を持った分子を人工

的に規則正しく大面積で集積することができると機能性

材料の性能向上や革新的新機能の発現につながるそのた

め世界中で精力的に開発が行われているがこれまで実現

させた例はなかった理化学研究所の研究グループは光

で構造が変化するアゾベンゼン分子を組み込んだブラシ状

の高分子「ポリマーブラシ」を大面積で 3 次元的に一挙

に配列させる手法の開発に初めて成功したこの規則性の

ある 3 次元集積構造は延伸したテフロンシートにポリ

マーブラシを挟み込みアイロンに似た熱と圧力を加える

といういたって簡単な操作で実現したさらにこのフィ

30

PEN

Nov

embe

r ルムに光を当てるとアゾベンゼン分子の構造変化が一方

向に集約しフィルムが湾曲するという巨視的変形を引き

起こすことを見いだしたすなわちこの新しいフィルム

は光エネルギーを運動エネルギーに変換する機能を持って

おり新たな人工筋肉材料などへの展開が期待されるま

た本技術は有機薄膜太陽電池をはじめとする次世代の機

能材料の開発にも革新をもたらすと期待されるhttpwwwrikenjpr-worldinforeleasepress2010101105

indexhtml

【リチウムイオン電池正極材料】常温プロセスで全固体薄膜リチウムイオン電池の試作に成功 エアロゾルデポジション法による蓄電池製造の新工法開発を本格化 (2010115)産総研

産総研はトヨタ自動車 ( 株 ) と共同で産総研が開発し

たセラミックス材料の常温高速コーティングプロセスであ

るエアロゾルデポジション (AD) 法を用いて酸化物系の

正極材料負極材料固体電解質材料を薄膜積層化して

金属基板上に 3 層構造からなる全固体薄膜リチウム (Li) イ

オン電池を試作蓄電池としての充放電特性を世界で初め

て確認した 従来型の薄膜技術とは異なりAD 法を用い

ると基板の加熱が不要でまた厚膜化も容易であるそ

のため成膜時間が大幅に短縮でき蓄電池の生産性向上

やプロセスコストの大幅な低減が期待される今後は AD

法を用いた本格的な全固体電池の共同開発を進めていく httpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101105

pr20101105html

【記録デバイススピントルク素子】次世代超高密度 HDD に向けたマイクロ波アシスト記録の基本技術を開発 磁気ヘッドに搭載可能なスピントルク素子を用いた磁気情報の書き換えを確認 (2010115)新エネルギー産業技術総合開発機構(NEDO)(株)日

立製作所

NEDO はハードディスク装置(HDD)の開発製造会社で

ある日立グローバルストレージテクノロジーズの協力を得

て従来の磁気記録方式の限界を超えHDD の記録密度

を飛躍的に伸ばす方式として期待されているマイクロ波ア

シスト磁気記録方式の基本技術を開発しその原理を実験

的に確認したマイクロ波アシスト記録では記録媒体の

小領域にマイクロ波帯の高周波磁界を加え磁気情報の書

き込みを容易にする今回開発したのはヘッドに搭載可

能な高周波磁界を発生するスピントルク発振素子でこの

素子を用いて記録媒体上に磁気情報を記録できることを実

験的に確認したこれまで外部のマイクロ波発生装置を

用いたマイクロ波アシスト効果の報告例はあったが今回

微細な発振素子を用いた磁気情報の記録を確認できたこと

により将来この素子を記録ヘッドに搭載しマイクロ波

アシスト記録を実用的に行える可能性が示されたhttpapp3infocnedogojpinformationskoubopressEFnedopre

ss2010-11-029718160145

【基礎科学物性】絶縁体が金属に変わる新原理の解明 超伝導素子や熱電変換素子の開発へ道(20101104)東北大学

東北大学原子分子材料科学高等研究機構の研究グループ

は高品質酸化物薄膜において電気が流れにくい絶縁体

状態から流れやすい金属状態への遷移機構を解明した材

料における電気の流れやすさは電気を流す担い手である

伝導キャリアが物質中にどれだけ含まれるか伝導キャリ

アがどれくらいスムーズに動きまわれるかによって決ま

るつまり伝導キャリアの濃度を増やしたり材料中で

伝導キャリアの動きを妨げる原因になるひずみや欠陥を少

なくすると電気はより流れやすくなる本研究では人

工宝石として知られるチタン酸ストロンチウム (SrTiO3)

の絶縁体を用い伝導電子を生み出すキャリア供給層を

SrTiO3 絶縁体間に挟み込んだ絶縁体層 キャリア供給層

絶縁体層の層状界面構造をもつ高品質超格子構造を作製す

ることで絶縁体層の体積を増加させると反対に電気が流

れやすい金属状態になる現象を発見した最新の電子顕微

鏡技術を用いた原子構造解析と電子状態の理論計算を駆使

して絶縁体を増加させると界面で結晶のひずみが少なく

なり高導電化することを解明した本研究が明らかにした

界面での結晶のひずみを制御することによって絶縁体を金

属状態へ変化できる現象は様々な材料でも普遍的に起こる

と考えられ絶縁体から金属へ変わる境目で性能が向上す

る新超伝導体や新熱電材料の開発に展開することが可能と

期待されるhttpwwwtohokuacjpjapanesenewimgpressimgtohokuuniv-

presspdf

【環状高分子】様々な環状高分子の自在な合成に成功 「かたち」に基づく機能開発に期待(2010112)東京工業大学

東工大の研究グループはこれまで困難とされてきた

種々の含環状高分子の選択的な合成に成功した同研究

グループで開発された単環状高分子合成プロセスである

31

PEN N

ovember

Electrostatic Self-Assembly and Covalent Fixation Process

と有機合成化学の新手法であるクリックケミストリー

を組み合わせることで様々な「かたち」の自在な構築

を達成した本手法の開発により近年注目を集めてい

る「かたち」に基づいた高分子物性の探索を加速させる

ものと期待されるhttp wwwo ld t i t e ch ac j p tokyo - t ech - in - the -news j

archives2010111288656000html

【異分野連携オープンイノベーションモデル】応用脳科学コンソーシアム 脳科学及びその周辺領域の学術知見を活用したオープンイノベーションモデルの研究活動を開始 異業種の民間企業と異分野の脳科学研究者が連携し事業性の高い研究テーマを推進 (2010111)アサヒビール(株)(株)NTT データ積水ハウス(株)

(株)竹中工務店帝人(株)凸版印刷(株)日産自動

車(株)(株)博報堂(株)NTT データ経営研究所

NTT データ経営研究所が日本神経科学学会の協力を得て

2010 年 10 月 1 日に創設した「応用脳科学コンソーシア

ム」においてそれぞれの事業活動に関連する独創性の

高い研究テーマについて複数の「応用脳科学 RampD 研究会」

を立ち上げるRampD 研究会では各 RampD 研究会を設置

した特別会員企業が各テーマに関連の深い脳科学及び

その関連領域の研究者を招聘し異業種である他の会員

企業とともに最新の研究知見を活用してオープンイノ

ベーションモデルの研究活動を実施する各社が設置す

る RampD 研究会は現時点で(1)おいしさの総合評価研究

会(アサヒビール)(2)ヘルスケア脳情報クラウド研究

会(NTT データ)(3)インタラクティブ住環境研究会(積

水ハウス株式会社)(4)コミュニケーション空間研究

会(竹中工務店)(5)メディアエンゲージメント研究

会(博報堂)この他の RampD 研究会については今後随

時応用脳科学コンソーシアムのウェブサイト httpwww

keieikencojpcan で公開予定

httpwwwnttdatacojprelease2010110101html

【レーザ技術基礎光物性】熱を加えずに結晶を柔らかくすることに成功 高強度テラヘルツ電磁パルスで分子ネットワーク操作が可能に 

(2010111)京都大学科学技術振興機構(JST)

京都大学はテラヘルツ電磁パルスと呼ばれる新しい光

を物質に照射することで1兆分の1秒の短い時間で結

晶中の分子を大振幅で揺さぶり熱平衡状態では実現で

きないような分子変位を実現することに世界で初めて成

功した実験結果は結晶が実効的にやわらかくなったこ

とを意味するものでさらに強いテラヘルツ電磁パルス

によって高効率で結晶を融解させることを示唆するこ

れは熱による反応を起こすことなく新しい分子間のネッ

トワークやたんぱく質などの巨大分子の立体配位を操作

できることを示しており化学合成における反応促進や

創薬における有機分子結晶の精製での活用が考えられる

今回の成果は JST 戦略的創造研究推進事業日本学術振

興会学術創成プロジェクト「動的相スイッチ機構を内在

する有機電子材料の開拓と非平衡物性科学への展開」お

よび京都大学グローバル COE プログラム「普遍性と創発

性から紡ぐ次世代物理学」によるものhttpwwwjstgojpprannounce20101101indexhtml

【高周波デバイス】透 明 な 高 周 波 デ バ イ ス 見 え な い ア ン テ ナ へ の 道

(20101028)物質材料研究機構太陽誘電(株)

両者は共同で透明な高周波デバイスを製造するための

基本技術である微細な金属配線と酸化物透明導電体から

なるハイブリッド構造を開発した本技術は不透明で

あるが高い伝導性を示す金属と透明ではあるが金属の

100 分の 1 程度の伝導率にとどまる酸化物透明導電体と

を組合せ両者の特性を相補的に活用することにより

透明でありかつ携帯電話をはじめとする無線デジタ

ル通信に用いられるギガヘルツ帯の高周波に対して高い

伝送特性を示す素子構造を実現した

httpwwwnimsgojpnewspress201010p201010280html

【エコ製品環境経営】COP10 に向けた環境配慮型製品技術の取り組み ポリ乳酸繊維 ldquo エコディア rdquo 使用商品の提供や連携事業「メッセナゴヤ 2010」への出展を通じ環境保全の取り組みを強化 (20101028)東レ ( 株 )

同社は10 月 11 日 ( 月 ) から 29 日 ( 金 ) に開催された

生物多様性条約第 10 回締約国会議 (COP10) に向けて

ポリ乳酸繊維 ldquo エコディア rdquo 使用商品の提供などを通じて

環境に配慮した運営に協力したまたCOP10 の連携事

業である環境エネルギーをテーマとした展示会「メッ

セナゴヤ 2010」に出展し環境に配慮した次世代自動車

や最先端航空機向けの先端材料を紹介した

httpwwwtoraycojpnewsfibernr101028html

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NEWS POD 著作権の関係で記事のタイトルと詳細内容は標記できませんので簡略に表示しています詳しい内容に関しては各新聞及び雑誌をご覧ください

ナノテクノロジー

研究開発最前線

20101122 日 刊 工 業 新 聞 News

ウェーブ 21

X 線レーザー

20101121 東京読売新聞

新潟ナノテク研究会

20101120 日本経済新聞

ナノテクとバイオ

20101120 下野新聞

バイオ起業

20101119 朝日新聞

ナノ粒子の構造制御

20101119 日刊工業新聞

水素原子観察

20101119 科学新聞

光ファイバー関連技術

20101119 科学新聞

希少金属対策

20101118 日刊工業新聞

熱電材料

20101117 日経速報ニュース

化学合成でナノ構造

20101117 日経産業新聞

つくばナノテク研究拠点への投資

20101117 日刊工業新聞

分子バネ

20101116 日経速報ニュース

ナノバイオ融合

20101116 日経産業新聞

フレンドオブアースのナノテク評

20101116 エコロジーエクスプレス

クラスターテクノロジー

20101112 産経新聞

実用化助成

20101111 日刊産業新聞

接着のメカニズム

20101110 日経産業新聞

電子材料

20101110 日経産業新聞

ナノ磁石

20101110 東京新聞

高分解能放射線検出器

20101110 化学工業日報

電池電極材料

20101108 日本経済新聞

食の安全性

20101108 日経エコロジー

ナノ磁石実用化

20101105 朝日新聞

ナノテク接着剤

20101105 日刊工業新聞

水素原子の観察

20101105 日刊工業新聞

補正予算案

20101105 科学新聞

ナノ磁石

20101104 日本経済新聞

ナノボーグ

20101104 日刊工業新聞

ITO 電極代替技術

20101104 鉄鋼新聞

レアアース代替材

20101103 日本経済新聞電子版

セクション

ナノ鉄磁

20101103 毎日新聞

有機トランジスタ

20101101 日 経 速 報 ニ ュ ー ス

アーカイブ

有機トランジスタ

20101101 日経産業新聞

ナノムービー

20101101 日経サイエンス

低燃費タイヤ

20101030 朝日新聞

筑波大生命科学研究拠点

20101030 茨城新聞

レアアース代替材

20101029 日経産業新聞

播磨地域

20101029 化学工業日報

ナノ粒子操作

20101029 科学新聞

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NEWS POD 著作権の関係で記事のタイトルと詳細内容は標記できませんので簡略に表示しています詳しい内容に関しては各新聞及び雑誌をご覧ください

中国新5カ年計画

20101028 日本経済新聞

高機能消臭素材

20101028 化学工業日報

環境規制等

終わりの科学

20101201 日経サイエンス

電気自動車の覇権

20101123 週刊エコノミスト

環境規制対応

20101122 日経産業新聞

温暖化ガス排出枠

20101122 日経産業新聞

ロス自動車ショー

20101119 日経産業新聞

EV と環境規制

20101119 朝日新聞

EV

20101119 東京新聞

環境と法規制

20101119 化学工業日報

トヨタとテスラ

20101118 読売新聞速報ニュー

CO2 排出量削減

20101118 日経産業新聞

カリフォルニア州環境規制と EV

20101112 日本経済新聞

環境規制

20101112 日本経済新聞

環境規制

20101112 日経産業新聞

米韓 FTA

20101112 朝日新聞

米韓 FTA

20101112 毎日新聞

顔料

20101112 化学工業日報

レアメタル供給規制

20101111 日本経済新聞

潮冷熱

20101110 日本経済新聞

レアアース生産と環境規制

20101108 ダウジョーンズ中国企

業ニュース

韓米FTA

20101101 中央日報

科学技術政策

競争的資金制度

20101122 日本経済新聞

科学技術関係補正予算案 

20101122 THE DOCTOR

韓国 KIST

20101121 朝鮮日報

科学技術政策

20101119 日本経済新聞電子版

セクション

科学技術政策

20101118 日本経済新聞

科学技術政策

20101118 日経産業新聞

女性研究者

20101117 日経速報ニュース

科学技術予算

20101114 東京読売新聞

トップ1論文

20101112 科学新聞

中国特許強国に

20101112 新華社ニュース

関経連と科学技術政策

20101110 産経新聞 

科学技術産業一体政策

20101109 日刊工業新聞

優れた論文の条件

20101105 毎日新聞

「焼け太り許さぬ」

20101102 朝日新聞

国の研究開発投資目標

20101029 日刊工業新聞

科技政策で提言

20101027 日経産業新聞

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科学への信頼に関する読者調査

20101201 日経サイエンス

「カップリング反応」アニメ化

20101110 朝日新聞東京読売

新聞他

科学と社会つなぐ人材

20101025 東京新聞

NEWS POD 

情報誌 PEN 購読のご案内PEN の継続的な購読をご希望の方は下記のメールアドレスまでお名前ご所属メールアドレスをご記入の上ご連絡ください登録配信は無料ですnano-penmaistgojp

PEN は原則月 1 回配信しますバックナンバーと PEN の前身【AIST-TOKYO ナノテク情報】をナノシステム研究部門ホームページにて公開しています httpunitaistgojpnrinano-planindexhtml

PEN は皆さまとの情報共有を目的としていますお持ちの情報で共有すべきものがあれば nano-penmaistgojp までお寄せ下さい

いただいた個人情報は産総研 個人情報保護方針(プライバシーポリシー)に基づき大切に管理し情報誌 PEN の運営と私達のイベントのご案内のみに使用させていただきます

科学技術コミュニケーション

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イベント案内

[産学連携研究開発]大阪大学ナノ理工学人材育成産学コンソーシアム 第 3 回ナノ理工学情報交流会場所大阪大学中之島センター 7 階 講義室 3(講師来訪)

   大阪大学東京オフィスサテライト教室

(遠隔講義配信)

   四日市商工会議所内サテライト教室

(遠隔講義配信)については調整中です

コンソーシアム HP にてご確認ください

   ナノテク社会人教育プログラムの開講をされてい

る場合遠隔講義配信に対応可能です事務局まで

ご連絡ください

日時2010 年 12 月 10 日(金)1330 ~ 1900 頃

主催大阪大学ナノ理工学人材育成産学コンソーシアム 

概要ナノ理工学人材育成産学コンソーシアムでは活動

の一環として産学連携のきっかけを提供すべく企業と

大学の双方からテーマに即した研究開発やトピックを紹介

し会員同士の意見交換と情報共有の促進をはかっていま

す第 3 回目となる今回は「光を用いたナノテクノロジー

の新展開」をテーマに開催しますプログラムなどの詳細

は下記の HP をご参照下さい

参加費コンソーシアム会員学生及び大阪大学教職員は

無料(コンソーシアム企業会員の場合社内から何名でも

無料で参加が可能です)

上記以外の方は資料作成費 1000 円が必要になります

参加登録氏名所属連絡先懇談会への出欠を記載の

上メールにて大阪大学ナノ理工学人材育成産学コンソー

シアム事務局(nano-consnanoscienceorjp)へお申込み

下さい

httpwwwnanoscienceorjp

[コミュニケーション]科学コミュニケーション研究会 第 1 回関西支部勉強会日時2010 年 12 月 2 日 1800 ~ 2000

場所京都大学 吉田泉殿

主催科学コミュニケーション研究会 関西支部有志

概要大阪教育大学科学教育センターの中矢史雄氏を講師

に招きオーストラリアの科学技術コミュニケーションに

ついてオーストラリア国立大学科学意識向上センター

での経験なども交えてお話いただきます定員は 25 名で

す事前申し込みが必要です

httpbitlybPmTP9

[展示会]セミコンジャパン 2010日時12 月 1 日~ 3 日

場所幕張メッセ

主催SEMI

概要国内外の最新のマイクロエレクトロニクス技術に関

する情報を入手することのできる世界最大の半導体製造装

置材料展です

httpwwwsemiconjapanorgjaindexhtm

[知財]アジア特許庁シンポジウム日時2010 年 12 月 3 日(金)930 ~ 1210

場所ホテル日航奈良 飛天の間

主催特許庁

概要日本中国韓国インドネシアマレーシアシ

ンガポールの特許庁幹部を招き各国の知財保護強化の取

組みやアジアにおける知財協力を紹介しますまたパ

ネルディスカッションを設けアジアにおける人材育成協

力の方向性について議論します

httpwwwintergroupjp~convasia

[人材育成]応用物理学会 人財育成シンポジウム -日本の危機を科学が救うそのためのリーダー育成を考える-日時2010 年 11 月 29 日(月)1000 ~ 1710

場所東京工業大学デジタル多目的ホール

主催応用物理学会

概要急速に進むグローバル化に対応のできる人材を育成

するための課題や応用物理学会が貢献することのできる

具体的な取り組みについて議論します

イベント案内へ掲載を希望される方は nano-penmaistgojp までご一報ください

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r h t t p w w w j s a p o r j p a c t i v i t i e s e d u c a t i o n

symppt2010symphtml 

[コミュニケーション]科学技術とメディアのより良い関係に向けて日時11 月 26 日 1815 ~ 2030

場所早稲田大学大隈小講堂

主催サイエンスメディアセンター(SMC)

概要英国オーストラリアのサイエンスメディアセ

ンターの関係者米国のサイエンスコミュニケータを交え

て研究者とメディアの有益な関係性構築に向けた取り組

みについて議論します参加費は無料同時通訳がつきま

httpsmc-japanorgp=403 

[異分野連携]医学領域と工学領域連携研究シンポジウム ‐ 未来を拓く医工連携 ‐日時2010 年 11 月 27 日(土)

場所山口大学医学部第 3 講義室

主催日本学術会議中国四国地区会議山口大学

概要がんの個別化医療をメインテーマにこれからの医

工連携のあり方について講演と議論を行います

httpwwwscjgojpjaeventpdf100-t-3pdf 

[人材育成]マイクロナノエンジニアリング シンポジウム ‐ イノベーションと人材育成 ‐日時2010 年 12 月 8 日(水)1300 ~ 1700

場所日本学術会議 講堂

主催日本学術会議 マイクロナノエンジニアリング分

科会日本機械学会 マイクロナノ工学専門会議

概要学際的分野であるマイクロナノエンジニアリング

は大学大学院における教育の整備関連する産業界

学術界での研究開発における分野融合的な取組みが不可欠

です本シンポジウムでは人材育成を軸とした課題につ

いて議論します

httpwwwscjgojpjaeventpdf100-s-3-1pdf

[ 博物館展示 ]自然に学ぶ ネイチャーテクノロジーとライフスタイル展開催中です

場所国立科学博物館 (東京上野公園)

日時2010 年 10 月 26 日~ 2010 年 2 月 11 日

主催東北大学大学院環境科学研究科国立科学博物館

特定非営利活動法人ものづくり生命文明機構

概要蝶や鳥など生き物や自然の仕組みにヒントを得た環

境負荷の低い技術と将来的な応用の可能性から日本文化

に根差した共生型の新しいライフスタイルのあり方につい

て紹介します国立科学博物館の入館料600円が必要です

httpwwwkahakugojpevent201010natureindex

html

[人材育成]シンポジウム「世界を魅せる日本の課題解決型基礎研究~JST 目利き制度とその可能性」日時2010 年 12 月 6 日(月)1000-1800 (0900 受

付開始)

場所東京国際フォーラム B5 ホール

主催(独)科学技術振興機構(JST)

概要JST がこれまでに行ってきた戦略的創造研究推進

事業の成果を振り返りつつ今後の日本の科学技術の発

展に向けた事業のあり方について参加者の皆様と議論しま

httpwwwsenryaku30jstgojp 

[ 持続可能性 ]学術会議シンポジウム「低炭素化に向けた経済社会エネルギーのあり方と実現のシナリオ」日時2010 年 12 月 9 日(木)1330 ~ 1700

場所学術会議講堂

主催土木工学建築学委員会低炭素建築都市分科会

社会資本分科会

概要両分科会は中~超長期のエネルギー消費量削減シ

ナリオ策定に取り組んできました本シンポジウムでは

分科会の検討結果や削減のための様々な取り組みを紹介

し今後のとりまとめ作業に向けた議論を行います

httpwwwscjgojpjaeventpdf104-s-3-6pdf 

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PEN 編集室関谷瑞木阿多誠文独立行政法人産業技術総合研究所 ナノシステム研究部門 305-8568 つくば市梅園 1-1-1 産総研つくばセンター中央第 2 M404Email nano-penmaistgojpTel029-861-5185 Fax 029-861-5339

編集後記

今月 8 日に長野県長野市で開催された第 3 回国際ナノ

ワークショップ「ナノテクノロジーの社会受容~ナノ

材料の工業標準化の国際的な動向と環境影響について

~」の会場で多くの企業の皆様と意見交換をする貴

重な機会を得た目まぐるしい勢いで変わってゆく諸

外国の環境規制策の動向に民間企業の皆様が神経を

とがらせておられることがひしひしと感じられた東

京から新幹線で 1 時間半インターネットでリアルタ

イムに世界とつながることのできる時代とはいえ情

報物人が集積する地である東京とは異なる苦労も

あることもお聞きした美しい山々きれいな空気あ

るいは世界に誇る観光遺産と科学技術を結び付けて

地域振興をはかりたいとの頑張っておいでの方にもお

会いした

月刊という制約はあるもののこうした方々にとって

タイムリーで有用な情報を提供し続けたいと改めて

強く感じた

ちなみにPEN を発行しているつくば市の産総研つく

ばセンターへもつくばエクスプレスと路線バスを乗

り継いで都心からは約 1 時間半かかる

2010 年 11 月 25 日

PEN 編集室一同ウナギツカミ

Page 23: Public Engagement with Nano- PEN November …...5 PEN November 【知財】 中国、10年で特許強国に(2010.11.12) 中国国家知識産権局は11日に「全国特許事業発展戦略

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【CO2 排出量】世 界 的 な 金 融 危 機 に も か か わ ら ず2009 年 の 化 石 燃料 由 来 の 二 酸 化 炭 素 排 出 量 の 減 少 は 小 幅 に と ど ま る

(20101122)国立環境研究所(国環研)

国環研はグローバルカーボンプロジェクト (GCP) が 11

月 22 日の Nature Geoscience 誌の電子版に調査結果を発

表すると速報したその内容は世界金融危機の経済的

影響にも関わらず2009 年における世界の化石燃料由来

の二酸化炭素排出削減量が予測値である 28を下回り

前年比 13にとどまったことで同じく GDP の減少も予

測値を下回っている

httpwwwniesgojpwhatsnew20102010112220101122html

【量子コンピューティング】量子コンピュータ実現への障壁を緩和する誤り耐性方式を開発 (20101124)日本電信電話(株)京都大学

量子コンピュータに必須な量子ゲートは確実に正しい演

算をすることはなくある程度の誤り確率をもつため量

子コンピュータを実現するためには演算の誤り訂正を行

う技術の実現が必須となる演算の誤り訂正を行うために

はある程度誤り確率の低い量子ゲートが必要であると考

えられてきたが今回共同研究チームは誤り確率が非常

に高い量子ゲートを用いても量子計算が可能となる誤り耐

性のある量子計算方式を世界で初めて示した

httpwwwnttcojpnews20101011101124ahtml

【光電変換】ナノギャップ光アンテナにより高効率化した有機超薄膜による光電変換 

(20101122)物質材料研究機構北海道大学

NIMS と北大の共同研究チームは有機超薄膜型の光電変

換分子素子において光吸収電子伝達といった必要な機

能をもつ部品を連結した分子から成る単分子超薄膜を原

子レベルで表面制御した平滑な金電極面と金ナノ粒子で挟

み込むことによってナノギャップ型の光アンテナを導入

することに成功したその結果光アンテナ 1 つあたりで

光誘起電子移動反応が約 50 倍の効率に高まることを実

証した

httpwwwnimsgojpnewspress201011p201011220html

【EV】シンガポール政府と電気自動車の普及に関する覚書を締結

(201011 19)三菱自動車(株)

MMC はシンガポール政府と電気自動車(EV)普及のため

の活動に協力する内容の協定を締結したことを発表した

今回の活動はシンガポールの経済開発庁が中心となり

同国のエネルギー市場監督庁陸上交通庁との間で EV タ

スクフォースを組成し同国の EV 普及を目的としたユー

ザー向け補助金制度や充電インフラ整備などの検証を行う

ものこの活動の中でMMC は CCA を通じ 2011 年より

順次『i-MiEV(アイミーブ)』25 台を供給し実証走行

試験に協力していくhttpwwwmitsubishi-motorscompublishpressrelease_jp

corporate2010newsdetail4407html

【リチウム二次電池】リチウム二次電池の量産化実証工場が竣工 年間生産能力6 万 6000kWh (201011 18)三菱重工業(株)

リチウム二次電池事業への本格参入に向け長崎造船所内

に建設していた同電池の量産化実証工場が17 日竣工し

た年間生産能力は 6 万 6000kWh中型電池換算で約

40 万個に相当する今後各種実証技術に取り組み早期

の本格的な商業量産につなげていくとしている

プレスリリースより

CUTTING-EDGE TECHNOLOGIES

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embe

r httpwwwmhicojpnewsstory1011184999html

【基礎科学物質の起源】動きがのろい冷反水素原子を 38 個も磁気瓶に閉じ込める物質と反物質の違いを知る手がかりとなる冷反物質研究が新段階に (201011 18)物質材料研究機構(NIMS)

NIMS は欧州原子核研究所(CERN)の国際共同研究グルー

プに参加し反物質の代表格である反水素原子を独自に

開発した八重極磁気瓶の中に 38 個も閉じ込めることに世

界で初めて成功した反水素原子の原材料である反陽子(陽

子の反粒子)と陽電子(電子の反粒子)を八重極磁場コ

イルとミラーコイルを組み合わせた磁気瓶の中に蓄積し

そっと混ぜ合わせて冷たい反水素原子を大量に生成した

反水素原子は電気的に中性の小さな磁石なので反水素原

子ができあがったころ(約 1 秒後)を見計らって電圧を

加え残存している反陽子と陽電子をことごとく排除した

その後磁気瓶の磁場を瞬時にゼロにすると磁気瓶内に

とどまっていた反水素原子は装置の壁に当たって消滅し

パイ中間子などのさまざまな粒子を放出するこれらの粒

子を磁気瓶を包む 3 枚の検出器で観測した結果捕捉し

ていた反水素原子を 38 個も確認することができた後述

するように同内容は理化学研究所からもリリースされたhttpwwwrikenjpr-worldinforeleasepress2010101118

indexhtml

【超伝導】ピセンのカリウムドープに伴う電子構造変化の直接観測 

(201011 17)岡山大学

岡山大学の研究グループはピセンおよびカリウムドープ

ピセンの電子構造を実験的に観測する事に世界で初めて成

功したカリウムドープピセンは芳香族炭化水素における

初めての超電導体であるがカリウムドープピセンの超電

導メカニズムまた超電導を誘起する電子構造は解明され

ていない研究グループは光電子分光法を用いピセンのカ

リウムドープに伴う電子構造変化を直接的に観測した結

果ピセンのカリウムドープに伴う電子構造変化を観測

芳香族炭化水素超電導体の超電導メカニズム解明および新

規超電導体探索の指針になると期待されるhttpwwwokayama-unetrenkeidocumentpdfpressrelease

press-101117pdf

【慣性力発電】慣性力(振動)発電技術を商品化 国内最大手エース社のバッグに慣性力発電ユニットを搭載 (201011 17)伊藤忠商事(株)

米国 CIIIS 社の持つ慣性力発電(振動発電)技術を用いて

人体の運動による振動で発電する慣性力発電ユニットを開

発した国内鞄最大手のエース株式会社がこの慣性力発

電ユニットを搭載したバッグの販売を行う

httpwwwitochucojpjanews2010101117html

【生物多様性】多様性進化の背景に『甲状腺機能低下』 (201011 16)東北大学

生物多様性の喪失は現在急速に進んでおり多様性の進化

維持機構を解明することは世界的な課題である生物多様

性の創出は多くの場合新規環境に生き物が侵出すること

によって始まるが生物が新規環境へどのように適応して

行くのかその過程については多くが未解明である東北

大学の研究チームはこのたび新規環境への適応に甲状腺

ホルモンの進化が重要であることを発見したhttpwwwtohokuacjpjapanesenewimgpressimgtohokuuniv-

press_20101116pdf

【ナノ物性】ナノスケールの鉄磁石を電界でコントロール

(201011 01)千葉大学

磁石の N と S 極は磁界を用いることでコントロールでき

るが千葉大学の研究チームはナノスケールの鉄の磁石の

極性をエネルギーの要らない電界でコントロールできるこ

とを見出したhttpwwwchiba-uacjppublicitypresspdf201020101102nano

pdf

【SOFC 関連材料技術】 画期的な電解質材料の開発に成功 固体酸化物燃料電池の商用化に一歩前進 (201011 18 )物質材料研究機構(NIMS)

NIMS の研究グループは電解質材料に必要とされる三つ

の要件イオン伝導性化学的安定性焼結性のすべてを

高いレベルで満足する2種類の材料を開発することに成功

したひとつは10 のプラセオジムを含むイットリウム

添加ジルコン酸バリウム(BZPY)でもうひとつは酸

化ニッケル (NiO) とイットリウム添加ジルコン酸バリウム

25

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(BZY) の混合粉末を固めた基板上にプレス成形された BZI

であるhttpwwwnimsgojpnewspress201011201011180

p201011180pdf

【レアアース】微生物でレアアースの回収が可能に バクテリアがレアアースを濃縮する現象を発見 (201011 17)広島大学高エネルギー加速器研究機構高輝度光科学研

究センター

共同研究グループは微生物の細胞表面では微生物が存在

しない周囲部分に比べてレアアースを高濃度に濃縮する現

象を見出したまたレアアースの中でも特に希少価値の高

い元素が選択的に濃縮することを発見その濃縮メカニズ

ムを放射光を用いたX線吸収法により明らかにした

httpwwwkekjpjanewspress2010RareEarthElementshtml

【はやぶさ】はやぶさカプセル内の微粒子の起源が判明(201011 17)宇宙航空研究開発機構

「はやぶさ」のサンプルキャッチャー室から特殊形状のヘ

ラで採集された微粒子を走査型電子顕微鏡にて観察および

分析した結果1500 個程度の微粒子を岩石質と同定した

更にその分析結果を検討したところそのほぼ全てが地

球外物質であり小惑星イトカワ由来であると判断するに

至った

httpwwwjaxajppress20101120101117_sac_hayabusapdf

【超伝導基礎科学】超伝導のメカニズム解明に大きな手がかり ルテニウム酸化物の電子の運動状態を選択的に可視化することに成功 電子対を形成する「のり」の起源を初めて解明

(201011 17)広島大学産総研

1994 年に日本で発見されたルテニウム酸化物超伝導体は

ユニークな超伝導状態を示しこれまで数多くの研究が行

われてきたがいまだにその超伝導のメカニズムは謎のま

まであった超伝導が生じるためには電子と電子を「のり」

で結びつけ「電子対」にする必要がある共同研究グルー

プは放射光の直線偏光特性を活用するため放射光の光

軸のまわりに回転可能な高分解能角度分解光電子分光装置

を開発しルテニウム酸化物超伝導体の超伝導機構解明に

重要な手がかりをつかんだ研究グループが開発した新装

置を用いることによりルテニウム酸化物超伝導体の異な

る運動状態にある電子を選択的に分離しながら精密に分

析することが初めて可能となったその結果物質の電子対

を形成するための「のり」として結晶を作っている原子

の振動が重要な役割を果たしていることその「のり」が

どのくらい強く働いているのか等が明らかとなった httpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101117

pr20101117html

世界最高性能基準光源を開発 安定高精度高速の三拍子そろった光信号の発生に成功 (201011 15) 情報通信研究機構(NICT)国立天文台(NAOJ)

NICT と NAOJ はNICT 独自の高消光比変調技術を利用

し精度を保ったまま周波数範囲を拡大する構成を提案し

たNAOJ の安定度向上技術による制御機能を組み合わせ

ることで世界最高性能の基準信号発生装置を共同開発

し100 ギガヘルツを超える高速信号の長距離伝送を実現

した本装置の方式により従来技術の課題であった安定

性周波数範囲精度の問題を解決した安定性は 2 台の

レーザを用いる従来方式に比べて 10 倍以上を実現し信

号の乱れを 30 万年に 1 秒以下とすることに成功したま

た精度は従来型変調器と比較し 1000 倍以上周波数範

囲は 4 倍を達成したhttpwww2nictgojppubwhatsnewpressh22101115101115

html

【基礎科学レーザ分光】電子の氷を光で融かす一瞬を捉える 光が有機物質を変える瞬間の超高速スナップショット (201011 15)東北大学自然科学研究機構分子科学研究所科学技術振

興機構(JST)

共同研究グループは光の照射によって有機物質の色や

電気伝導度が大きく変化する光誘起相転移現象の最初の瞬

間を捉えることに成功した電場と磁場の振動である光の

振動の3周期分に匹敵する極めて短いパルス光をポンププ

ローブ分光によって二次元有機物質における電荷秩序の

融解のダイナミクスすなわちldquo 電子の氷 rdquo が光によっ

てどのように解け絶縁体から金属へと変化するのかと

いう問題を明らかにしたものこの成果 12 月初めには米

国物理学会誌 Physical Review Letters オンライン版で公開

予定

httpwwwjstgojpprannounce20101117-2indexhtml

【熱電材料】水を使って絶縁体から効率のよい熱電材料を作ることに成

26

PEN

Nov

embe

r 功 希少毒性金属を含まない安価簡便な熱電材料創製に新たな道 (201011 15)科学技術振興機構 (JST)名古屋大学

熱電材料は熱を電気に変換することができることからエ

ンジンの排熱を利用して発電するハイブリッド自動車など

への応用が期待されているが従来の熱電材料はビスマ

スアンチモン鉛テルルといった希少毒性金属など

を含む問題があったJST 課題解決型基礎研究の一環とし

て名古屋大学の研究グループは水の電気分解を利用し

安くてありふれた絶縁体酸化物表面を大きな熱電効果を示

す金属へ変えることに成功した大量に水を含んだ多孔質

ガラスを新規に開発しこの多孔質ガラスを金属チタンと

チタン酸ストロンチウムに挟んで電圧を加えると水の電

気分解によって絶縁体のはずのチタン酸ストロンチウムの

表面に厚さ 3 ナノメートル以下の極めて薄い金属チタン酸

ストロンチウムが生成した通常の金属チタン酸ストロン

チウムに対して 4~5 倍高い電圧を示すことから従来の

熱電材料の約 2 倍の熱電性能が期待できる

httpwwwjstgojpprannounce20101117indexhtml

【基礎科学物質の起源】国際研究チーム反水素原子を瓶の中に閉じこめることに成功(20101118)理化学研究所

8 か国からなる研究チームは欧州合同原子核研究機関

(CERN)の装置を用いて加速器で反陽子と陽電子を作

成し磁場の中に閉じこめたのちに撹拌して反陽子と陽

電子1個ずつを結びつけ反水素原子を生成した反水素

生成後に余った反陽子と陽電子を取り除き反水素原子だ

けを特殊な瓶の中に封じ込めることに成功した計 38 個

の反水素原子が 02 秒間存在したことを確認反物質は

Dan Brown の小説「天使と悪魔」で非常に微量で爆発

を起こす材料として登場するしかし今回の手法では短

時間に消滅してしまい爆弾に使える量をためるのは不可

能だという17 日付の Nature Online 版に掲載

httpwwwrikenjpr-worldinforeleasepress2010101118 

【マックスウェルの悪魔実証】情報をエネルギーに変換することに成功 ldquo マックスウェルの悪魔 rdquo を実験により世界で初めて実現新規ナノデバイスの実現に期待 (201011 15)中央大学東京大学

微細加工技術とサブミクロンスケールのリアルタイム制御

システムを組み合わせ「マックスウェルの悪魔」と呼ば

れる科学史上の重要な概念を世界で初めて実験により実現

した これによって情報をエネルギーに変換できるこ

とを初めて示すとともに情報を媒介して駆動する新規ナ

ノデバイスの実現の可能性を示した マックスウェルの

悪魔は熱力学の根本に関わる概念でありこれを実現でき

た学問的意義は大きいまた科学者以外にもよく知られ

たテーマであり多くの人が興味を持つ話題でもある情

報を媒介して駆動する新規のナノデバイスを実現できる可

能性があり基礎的研究にとどまらずナノサイエンスで

の新しい制御法への応用が期待できるこの成果は 11 月

14 日に Nature Physics Online に公開された

Toyabe Sagawa Ueda Muneyuki and Sano

ldquoExperimental demonstration of information-to-energy

conversion and validation of the generalized Jarzynski

equalityrdquo

httpwwwsu-tokyoacjppresspress-2010-42html

詳細は中央大学 HPhttpwwwchuo-uacjpchuo-unewscontents_jhtmlsuffix=kampmo

de=topamptopics=12513

【基礎科学分子バネ】電子の出し入れで硬さが劇的に変わる分子バネを開発 たった 1 つの電子放出で分子全体の動きやすさが 450 倍も変化 (201011 15)理化学研究所科学技術振興機構(JST)

6 個の炭素原子が環状につながったベンゼン環は有機化

合物において最も基本的な構成ユニットの一つでありベ

ンゼン環をさまざまな形で結合させたものが盛んに研究さ

れてきたしかしベンゼン環を隣り合う炭素の位置で結

合させたオルトフェニレンは単純な構造でありながら合

成が難しいためこれまでほとんど研究がなされておらず

その性質は解明されていなかった理化学研究所の研究グ

ループはベンゼン環 48 個を隣り合った炭素の位置で結

合させたオルトフェニレンを世界で初めて合成したオル

トフェニレンは3 つのベンゼン環が 1 ピッチのらせんを

形成するバネ状の構造をしているがこのようなバネ状の

構造を持った分子はさまざまな機能を発揮するためエ

レクトロニクスや分子機械への応用の可能性が高まってい

る研究グループはこのバネ状分子から電子を 1 つ取

り去るとバネの硬さが劇的に増してらせんの反転速度が

約 450 分の 1 も遅くなることを突き止めたまたこの

1 個の電子の出し入れに応じてバネのピッチが 3263Aring か

ら 3224Aring と変化したこれまで電子が高密度に含まれ

た分子バネは電子を出し入れすることでその振る舞いが

変化することが理論上予想されていたがこのように電子

を多量に含む分子バネの合成は難しく実験的にも証明さ

れていなかった硬さの変化というこれまで実現すること

27

PEN N

ovember

ができなかった応答をする分子バネの登場は応答性分子

の分野に新たなコンセプトをもたらすと注目される本研

究成果はJST 戦略的創造研究推進事業 発展研究 (ERATO-

SORST)「分子プログラミングによる電子ナノ空間の創成

と応用」の一環として行われたものhttpwwwrikenjpr-worldinforeleasepress2010101115

indexhtml

【自己組織化基質選択的会合】分子間の特異的な相互作用による新規材料集積法を開発 分子が好みの分子を見分けて接着 (201011 15)大阪大学科学技術振興機構(JST)

近年分子認識を利用して分子と分子を非共有結合でつな

げることによりさまざまな超分子錯体が合成されさらに

これらを自己集合させる研究が行われているこれらの研

究において形成される集合体は分子の大きさであるナノ

メートルからマイクロメートルの極めて小さなもので高

倍率の顕微鏡を使わなければ見えない分子認識に基づい

て手軽に使えるくらいの大きな自己組織体を作り出すこと

はナノテクノロジー分野において分子を自己組織化さ

せて機能性材料を創製する上で重要な課題であった大阪

大学の研究グループはホスト分子としてシクロデキスト

リンをゲスト分子としてシクロデキストリンが結合する

化合物を用いてそのホスト-ゲスト相互作用を利用して

多様な自己組織化超分子ポリマーの構造体を作りマクロ

スケールで機能を発現させる研究を進めている今回D

NAやタンパク質の分子量決定に広く用いられるアクリル

アミドゲルを土台にしてこのゲルにシクロデキストリン

とゲスト分子をそれぞれ別々に導入し「ホストゲル」と

「ゲストゲル」を合成したこの両者を水中で振動させる

とゲルが接着する挙動が観察されミリメートルからセン

チメートルの大きさの物体を分子認識により自己集積でき

ることを世界で初めて実証したさらにシクロデキストリ

ンとゲスト分子との相互作用の強さの違いによって選択的

に特定のゲル同士を接着させることができることがわかっ

httpwwwjstgojpprannounce20101115indexhtml

【ブタノール分離膜】バイオブタノールの省エネルギー型膜分離精製技術を開発1 wt ブタノール水溶液から80 wt 以上の高濃度ブタノールの回収が可能 (201011 15)産総研

産総研は1 wt 程度の希薄なブタノール水溶液からゼ

オライト系分離膜を用いて 80 wt 以上に濃縮したブタ

ノールを回収できる省エネルギー型のバイオブタノール精

製技術を開発した ブタノールはエタノールと比較して

発熱量が大きいことから地球温暖化対策に貢献できる再

生可能なバイオ液体燃料すなわちポストバイオエタノー

ルとして期待されている今回合成条件の最適化を進め

高いアルコール選択透過性をもつシリカライト分離膜を合

成し膜分離法によって低濃度ブタノール水溶液から高

濃度ブタノールの回収が可能となった従来の分離膜を用

いた場合に比べてブタノール回収のためのエネルギーを

50 ~ 70 程度低減できることが期待される httpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101113

pr20101113html

【分子生物学】 化学合成したペプチドからウイルスの殻構造を組み上げることに成功 新規ナノ材料や医療材料としての応用に期待 (201011 12) 九州大学北九州市立大学

共同研究グループは化学合成したペプチドから約 40 ナ

ノメートルのウイルスの殻構造を組み上げることに世界で

初めて成功した球状の植物ウイルスから遺伝子を除いた

キャプシド構造と呼ばれる殻構造は決まった大きさのナ

ノ空間であることからナノ物質の反応器や運び手として

利用する研究が国内外で盛んに行われているしかしこ

れまでウイルスのキャプシド構造を得るにはウイルス

の遺伝子をバクテリア内に導入して生産させる必要があっ

た本研究では遺伝子やバクテリアを用いない完全化学

合成によってウイルスキャプシドを構築することに成功

した今回ウイルスの殻構造を簡単なペプチドから構築

できたことで様々な機能性ウイルスキャプシドを人工的

に創成する道が拓けたと言えるこのペプチドからなるナ

ノカプセルに適切な化学修飾を施すことによりナノ物質

合成のための反応器や医薬品の運び手人工ワクチンを

創成するための足場材料として応用できるものと期待され

るhttpwwwkyushu-uacjppressrelease20102010-11-12-04pdf

【レアメタル】レアメタル使用量削減技術の実用化を加速(20101110)新エネルギー産業技術総合開発機構 (NEDO)

NEDO はレアアース総合対策の一環として企業が取り

組むレアメタル使用量削減技術の実用化を加速するための

助成事業(事業規模約 100 億円)を 2010 年度補正予算

の成立を前提に行うこの助成事業では短期間で実用化

が期待できる以下の技術開発を対象として①レアメタル

28

PEN

Nov

embe

r を代替する材料の技術開発 ②レアメタルの使用量を削

減する技術開発 ③レアメタルのリサイクルを促進する

技術開発 ④その他のレアメタル消費の削減に資する技

術開発を行うhttpapp3infocnedogojpinformationskoubopressEFnedopre

ss2010-11-068550095069

【導波路型光スイッチ】光スイッチの消費電力を従来の 2 分の 1 に低減 増え続けるネットワーク機器の消費電力問題を解決 (201011 09)( 株 ) 富士通研究所

同社はシリコンフォトニクス技術を適用した導波路型光

スイッチについて世界で初めてシリコンゲルマニウム

(SiGe)細線構造を用いることで従来のシリコン細線構

造に比べて消費電力を約 2 分の 1 に低減することに成

功した幅広い波長に対応して高速に動作できるタイプの

光スイッチ素子としては世界最小の消費電力を実現して

いるhttpprfujitsucomjpnews2010119html

【ナノ構造機能】昆虫が足を擦る秘密をナノテクノロジーで解明 生体模倣による新しい材料機能の開発に活用 (201011 09)物質材料研究機構マックスプランク研究所キール大

共同研究チームは環境問題で循環型社会実現に求められる

「接着と分離」を繰り返せる未来の接合技術の開発研究に

おいてガラスのような平坦な表面を逆さまでも歩行でき

る昆虫の足の裏の優れた接着性に着目し昆虫(ハムシ)

の歩行調査を行いナノテクノロジーを用いた実験により

昆虫が摩擦により汚れを感じていることを突き止めた

httpwwwnimsgojpnewspress201011p201011090html

【超音波流量計半導体プロセス】極微量な流量を精密に測定できる超音波流量計を開発 半導体製造装置の性能を向上させ環境負荷を低減しランニングコストを削減 (201011 09)産総研( 株 ) アツデン東京計装 ( 株 )

3 者は共同で10 mLmin( 誤差plusmn 01 mLmin) 以下の極

微量な流量を精密に測定できる超音波流量計を開発した

この流量計は超音波ガイド波の伝搬に関する基礎理論の

見直しを行い超音波を高周波化し設計を最適化するこ

とにより開発したものでこれまでの超音波流量計では計

測できなかった微小な流速領域での流量測定ができるこ

の超音波流量計は半導体製造装置で利用される薬液の高

精度な制御を可能にし半導体製造装置の高性能化環境

負荷の低減ランニングコスト削減へ貢献すると期待され

る httpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101109

pr20101109html

【研究交流】中国上海における国際交流事業の実施同済大学と大学間学術交流協定を締結 (201011 08)大阪大学

10 月 21 日上海において開催した上海教育研究センター

開所式記念講演会祝賀会には鷲田清一総長をはじめ

とする大阪大学教職員中国の学術交流協定校関係者大

阪大学同窓会会員など約 130 人が列席し盛況の内に終

了した翌 22 日23 日には第 15 回大阪大学上海交

通大学学術交流セミナーが上海交通大学情報ネットワーク

センターを主会場として開催され7つの研究会に約 100

人が参加したさらに 23 日と 24 日の両日上海東亜展

覧館を会場に開催された中国国際教育展に大阪大学のブー

スを出展し100 人を超える留学相談者が本学のブースを

訪れた翌 10 月 22 日鷲田清一総長は上海市内にある

同済大学を訪問裴学長陳副学長ほか大学関係者と懇談

するとともに大学間学術交流協定及び学生交流覚書の調

印式に臨んだこれにより中国の大学との 10 番目の協定

が成立したhttpwwwosaka-uacjpjanewstopics20101120101108_1

httpwwwosaka-uacjpjanewstopics20101120101108_2

【高耐久性セラミック】激しい熱変化にも強度劣化しない窒化ケイ素系セラミックスを開発 窒化ホウ素の微粒子を分散させ耐熱衝撃性を飛躍的に向上 (201011 08)産総研三井金属鉱業(株)

両者は共同で従来品に比べて耐熱衝撃性と高温での強度

を飛躍的に高めた窒化ケイ素系セラミックスを開発した

今回窒化ケイ素(Si3N4)をベースとして高い熱伝導

率をもつ粒界相を形成させるとともにそこに非晶質に近

い窒化ホウ素のナノメートルオーダーの微粒子を分散させ

ることで耐熱衝撃性を飛躍的に向上させた従来の窒化

ケイ素が 1000 の温度差で強度が低下するのに対して

今回の開発材は電気炉で 1400 に加熱した後水中に投

下することを 10 回繰り返してもほとんど強度が劣化しな

かったまたこの開発材について大気中 1200 で高温

29

PEN N

ovember

曲げ試験を行ったところ室温と同程度の強度を保持して

いたセラミックスでは大型化すると小試験片では得られ

た特性が得られず実用化を進める上での課題になること

が多いがこの開発材では焼結条件を最適化することに

よって直径 82 mm 長さ 370 mm の比較的大型の部品で

も試験片と同様の組織物性が得られたまた実際の

製品形状に近い部品の焼成も可能となったhttpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101108

pr20101108html

【ミリ波発信器】ミリ波帯無線通信の実用化にめど 世界最高性能の低雑音局部発振器を開発 (201011 08)東京工業大学

東工大の研究グループは雑音を従来の 100 分の1以下

に低減したミリ波帯局部発振器を開発した20GHz 帯の

発振器と 60GHz 帯の注入同期型直交局部発振器を組み合

わせることにより世界最高の低位相雑音性能を達成した

無線通信の周波数帯ひっ迫を解消する技術として 60GHz

ミリ波帯の利用が注目されているがミリ波帯ではコイル

やコンデンサの損失が大きくなり位相雑音特性が劣化す

るのがネックだった今回はこれを解決したものでミ

リ波無線通信の実用化につながる成果発振器は 65 ナノ

メートルのシリコン CMOS プロセスを利用して試作した

580GHz から 636GHz の周波数範囲で 4 相正弦波出力が

可能でこの発振器により10Gbps(毎秒 100 億ビット)

以上の超高速ミリ波帯無線通信の実現が期待されるh t t p w w w o l d t i t e c h a c j p t o k y o - t e c h - i n - t h e - n e w s j

archives2010111289174400html

【炭素繊維応用】住宅向け外装材「炭素繊維補強サイディング」の本格展開について 優れた強度と耐熱寸法安定性で 15 年の基材保証を実現 (20101105)東レ ACE(株)

東レの子会社東レ ACE は炭素繊維で補強した窯業系サ

イディングを開発し本格販売と市場展開を開始する「炭

素繊維補強サイディング」はセメント質原料に炭素繊維

を添加配合して成型固着させた建物外壁用のセメントボー

ドで従来の窯業系サイディングの優れた防耐火性耐久

性等を維持しつつ更なる強度補強効果や火災高温時の

変形や熱収縮によるひび割れの抑制など耐熱寸法安定性

も向上させることで基材 15 年保証を実現する 本製品

に使用している炭素繊維は軽くて強く優れた高温特性や

耐熱性を有し非常に細い繊維を多く配合できることから

外装材としての強度補強効果も期待できるとしている

httpwwwtoraycojpnewsaffilnr101105html

【光ファイバーナノインプリント】ナノ格子反射防止表面光ファイバー先端に形成ナノ技術で安く製作 (20101105)東北大学

東北大の研究グループは微小な窪みが多数形成された反

射防止構造体を光ファイバーの先端に製作する技術を開発

した光ファイバーは光通信や光分析装置の構成部品とし

て使われており光源受光素子やレンズなどの光部品と

の接続損失を減らすために先端に反射防止膜が形成され

ている従来の反射防止膜は真空装置を使って薄膜を付け

るためコストが問題であった研究グループはナノイン

プリント技術を用いて光ファイバー先端のコア部に 270

ナノメートル間隔で微小な円錐状の窪みを形成し反射損

失を低減することに成功したナノインプリント技術は

基板に塗布したポリマーに原版を押し付けて微細パターン

を転写する技術で高価な露光装置や真空装置が不要なた

めナノ構造を安価に製作することができる今回光ファ

イバー先端にナノ構造を製作するために専用のナノインプ

リント装置を開発した窪みの間隔が光の波長よりも小さ

い場合屈折率が変化し反射波が生じにくくなる反射

率や波長帯域は窪みの形状間隔や高さで決まり従来

の反射防止膜よりも設計の自由度が高いため要求に合わ

せて種々の反射防止表面を製作することが可能 httpwwwtohokuacjpjapanese201011press20101105-2

html

【人工筋肉機能材料】光を運動エネルギーに変える新高分子素材の開発に成功 世界で初めて分子を大面積で 3 次元的に配列させ新機能を実現 (20101105)理化学研究所

光で変形したり電子を流すなどの機能を持った分子を人工

的に規則正しく大面積で集積することができると機能性

材料の性能向上や革新的新機能の発現につながるそのた

め世界中で精力的に開発が行われているがこれまで実現

させた例はなかった理化学研究所の研究グループは光

で構造が変化するアゾベンゼン分子を組み込んだブラシ状

の高分子「ポリマーブラシ」を大面積で 3 次元的に一挙

に配列させる手法の開発に初めて成功したこの規則性の

ある 3 次元集積構造は延伸したテフロンシートにポリ

マーブラシを挟み込みアイロンに似た熱と圧力を加える

といういたって簡単な操作で実現したさらにこのフィ

30

PEN

Nov

embe

r ルムに光を当てるとアゾベンゼン分子の構造変化が一方

向に集約しフィルムが湾曲するという巨視的変形を引き

起こすことを見いだしたすなわちこの新しいフィルム

は光エネルギーを運動エネルギーに変換する機能を持って

おり新たな人工筋肉材料などへの展開が期待されるま

た本技術は有機薄膜太陽電池をはじめとする次世代の機

能材料の開発にも革新をもたらすと期待されるhttpwwwrikenjpr-worldinforeleasepress2010101105

indexhtml

【リチウムイオン電池正極材料】常温プロセスで全固体薄膜リチウムイオン電池の試作に成功 エアロゾルデポジション法による蓄電池製造の新工法開発を本格化 (2010115)産総研

産総研はトヨタ自動車 ( 株 ) と共同で産総研が開発し

たセラミックス材料の常温高速コーティングプロセスであ

るエアロゾルデポジション (AD) 法を用いて酸化物系の

正極材料負極材料固体電解質材料を薄膜積層化して

金属基板上に 3 層構造からなる全固体薄膜リチウム (Li) イ

オン電池を試作蓄電池としての充放電特性を世界で初め

て確認した 従来型の薄膜技術とは異なりAD 法を用い

ると基板の加熱が不要でまた厚膜化も容易であるそ

のため成膜時間が大幅に短縮でき蓄電池の生産性向上

やプロセスコストの大幅な低減が期待される今後は AD

法を用いた本格的な全固体電池の共同開発を進めていく httpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101105

pr20101105html

【記録デバイススピントルク素子】次世代超高密度 HDD に向けたマイクロ波アシスト記録の基本技術を開発 磁気ヘッドに搭載可能なスピントルク素子を用いた磁気情報の書き換えを確認 (2010115)新エネルギー産業技術総合開発機構(NEDO)(株)日

立製作所

NEDO はハードディスク装置(HDD)の開発製造会社で

ある日立グローバルストレージテクノロジーズの協力を得

て従来の磁気記録方式の限界を超えHDD の記録密度

を飛躍的に伸ばす方式として期待されているマイクロ波ア

シスト磁気記録方式の基本技術を開発しその原理を実験

的に確認したマイクロ波アシスト記録では記録媒体の

小領域にマイクロ波帯の高周波磁界を加え磁気情報の書

き込みを容易にする今回開発したのはヘッドに搭載可

能な高周波磁界を発生するスピントルク発振素子でこの

素子を用いて記録媒体上に磁気情報を記録できることを実

験的に確認したこれまで外部のマイクロ波発生装置を

用いたマイクロ波アシスト効果の報告例はあったが今回

微細な発振素子を用いた磁気情報の記録を確認できたこと

により将来この素子を記録ヘッドに搭載しマイクロ波

アシスト記録を実用的に行える可能性が示されたhttpapp3infocnedogojpinformationskoubopressEFnedopre

ss2010-11-029718160145

【基礎科学物性】絶縁体が金属に変わる新原理の解明 超伝導素子や熱電変換素子の開発へ道(20101104)東北大学

東北大学原子分子材料科学高等研究機構の研究グループ

は高品質酸化物薄膜において電気が流れにくい絶縁体

状態から流れやすい金属状態への遷移機構を解明した材

料における電気の流れやすさは電気を流す担い手である

伝導キャリアが物質中にどれだけ含まれるか伝導キャリ

アがどれくらいスムーズに動きまわれるかによって決ま

るつまり伝導キャリアの濃度を増やしたり材料中で

伝導キャリアの動きを妨げる原因になるひずみや欠陥を少

なくすると電気はより流れやすくなる本研究では人

工宝石として知られるチタン酸ストロンチウム (SrTiO3)

の絶縁体を用い伝導電子を生み出すキャリア供給層を

SrTiO3 絶縁体間に挟み込んだ絶縁体層 キャリア供給層

絶縁体層の層状界面構造をもつ高品質超格子構造を作製す

ることで絶縁体層の体積を増加させると反対に電気が流

れやすい金属状態になる現象を発見した最新の電子顕微

鏡技術を用いた原子構造解析と電子状態の理論計算を駆使

して絶縁体を増加させると界面で結晶のひずみが少なく

なり高導電化することを解明した本研究が明らかにした

界面での結晶のひずみを制御することによって絶縁体を金

属状態へ変化できる現象は様々な材料でも普遍的に起こる

と考えられ絶縁体から金属へ変わる境目で性能が向上す

る新超伝導体や新熱電材料の開発に展開することが可能と

期待されるhttpwwwtohokuacjpjapanesenewimgpressimgtohokuuniv-

presspdf

【環状高分子】様々な環状高分子の自在な合成に成功 「かたち」に基づく機能開発に期待(2010112)東京工業大学

東工大の研究グループはこれまで困難とされてきた

種々の含環状高分子の選択的な合成に成功した同研究

グループで開発された単環状高分子合成プロセスである

31

PEN N

ovember

Electrostatic Self-Assembly and Covalent Fixation Process

と有機合成化学の新手法であるクリックケミストリー

を組み合わせることで様々な「かたち」の自在な構築

を達成した本手法の開発により近年注目を集めてい

る「かたち」に基づいた高分子物性の探索を加速させる

ものと期待されるhttp wwwo ld t i t e ch ac j p tokyo - t ech - in - the -news j

archives2010111288656000html

【異分野連携オープンイノベーションモデル】応用脳科学コンソーシアム 脳科学及びその周辺領域の学術知見を活用したオープンイノベーションモデルの研究活動を開始 異業種の民間企業と異分野の脳科学研究者が連携し事業性の高い研究テーマを推進 (2010111)アサヒビール(株)(株)NTT データ積水ハウス(株)

(株)竹中工務店帝人(株)凸版印刷(株)日産自動

車(株)(株)博報堂(株)NTT データ経営研究所

NTT データ経営研究所が日本神経科学学会の協力を得て

2010 年 10 月 1 日に創設した「応用脳科学コンソーシア

ム」においてそれぞれの事業活動に関連する独創性の

高い研究テーマについて複数の「応用脳科学 RampD 研究会」

を立ち上げるRampD 研究会では各 RampD 研究会を設置

した特別会員企業が各テーマに関連の深い脳科学及び

その関連領域の研究者を招聘し異業種である他の会員

企業とともに最新の研究知見を活用してオープンイノ

ベーションモデルの研究活動を実施する各社が設置す

る RampD 研究会は現時点で(1)おいしさの総合評価研究

会(アサヒビール)(2)ヘルスケア脳情報クラウド研究

会(NTT データ)(3)インタラクティブ住環境研究会(積

水ハウス株式会社)(4)コミュニケーション空間研究

会(竹中工務店)(5)メディアエンゲージメント研究

会(博報堂)この他の RampD 研究会については今後随

時応用脳科学コンソーシアムのウェブサイト httpwww

keieikencojpcan で公開予定

httpwwwnttdatacojprelease2010110101html

【レーザ技術基礎光物性】熱を加えずに結晶を柔らかくすることに成功 高強度テラヘルツ電磁パルスで分子ネットワーク操作が可能に 

(2010111)京都大学科学技術振興機構(JST)

京都大学はテラヘルツ電磁パルスと呼ばれる新しい光

を物質に照射することで1兆分の1秒の短い時間で結

晶中の分子を大振幅で揺さぶり熱平衡状態では実現で

きないような分子変位を実現することに世界で初めて成

功した実験結果は結晶が実効的にやわらかくなったこ

とを意味するものでさらに強いテラヘルツ電磁パルス

によって高効率で結晶を融解させることを示唆するこ

れは熱による反応を起こすことなく新しい分子間のネッ

トワークやたんぱく質などの巨大分子の立体配位を操作

できることを示しており化学合成における反応促進や

創薬における有機分子結晶の精製での活用が考えられる

今回の成果は JST 戦略的創造研究推進事業日本学術振

興会学術創成プロジェクト「動的相スイッチ機構を内在

する有機電子材料の開拓と非平衡物性科学への展開」お

よび京都大学グローバル COE プログラム「普遍性と創発

性から紡ぐ次世代物理学」によるものhttpwwwjstgojpprannounce20101101indexhtml

【高周波デバイス】透 明 な 高 周 波 デ バ イ ス 見 え な い ア ン テ ナ へ の 道

(20101028)物質材料研究機構太陽誘電(株)

両者は共同で透明な高周波デバイスを製造するための

基本技術である微細な金属配線と酸化物透明導電体から

なるハイブリッド構造を開発した本技術は不透明で

あるが高い伝導性を示す金属と透明ではあるが金属の

100 分の 1 程度の伝導率にとどまる酸化物透明導電体と

を組合せ両者の特性を相補的に活用することにより

透明でありかつ携帯電話をはじめとする無線デジタ

ル通信に用いられるギガヘルツ帯の高周波に対して高い

伝送特性を示す素子構造を実現した

httpwwwnimsgojpnewspress201010p201010280html

【エコ製品環境経営】COP10 に向けた環境配慮型製品技術の取り組み ポリ乳酸繊維 ldquo エコディア rdquo 使用商品の提供や連携事業「メッセナゴヤ 2010」への出展を通じ環境保全の取り組みを強化 (20101028)東レ ( 株 )

同社は10 月 11 日 ( 月 ) から 29 日 ( 金 ) に開催された

生物多様性条約第 10 回締約国会議 (COP10) に向けて

ポリ乳酸繊維 ldquo エコディア rdquo 使用商品の提供などを通じて

環境に配慮した運営に協力したまたCOP10 の連携事

業である環境エネルギーをテーマとした展示会「メッ

セナゴヤ 2010」に出展し環境に配慮した次世代自動車

や最先端航空機向けの先端材料を紹介した

httpwwwtoraycojpnewsfibernr101028html

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NEWS POD 著作権の関係で記事のタイトルと詳細内容は標記できませんので簡略に表示しています詳しい内容に関しては各新聞及び雑誌をご覧ください

ナノテクノロジー

研究開発最前線

20101122 日 刊 工 業 新 聞 News

ウェーブ 21

X 線レーザー

20101121 東京読売新聞

新潟ナノテク研究会

20101120 日本経済新聞

ナノテクとバイオ

20101120 下野新聞

バイオ起業

20101119 朝日新聞

ナノ粒子の構造制御

20101119 日刊工業新聞

水素原子観察

20101119 科学新聞

光ファイバー関連技術

20101119 科学新聞

希少金属対策

20101118 日刊工業新聞

熱電材料

20101117 日経速報ニュース

化学合成でナノ構造

20101117 日経産業新聞

つくばナノテク研究拠点への投資

20101117 日刊工業新聞

分子バネ

20101116 日経速報ニュース

ナノバイオ融合

20101116 日経産業新聞

フレンドオブアースのナノテク評

20101116 エコロジーエクスプレス

クラスターテクノロジー

20101112 産経新聞

実用化助成

20101111 日刊産業新聞

接着のメカニズム

20101110 日経産業新聞

電子材料

20101110 日経産業新聞

ナノ磁石

20101110 東京新聞

高分解能放射線検出器

20101110 化学工業日報

電池電極材料

20101108 日本経済新聞

食の安全性

20101108 日経エコロジー

ナノ磁石実用化

20101105 朝日新聞

ナノテク接着剤

20101105 日刊工業新聞

水素原子の観察

20101105 日刊工業新聞

補正予算案

20101105 科学新聞

ナノ磁石

20101104 日本経済新聞

ナノボーグ

20101104 日刊工業新聞

ITO 電極代替技術

20101104 鉄鋼新聞

レアアース代替材

20101103 日本経済新聞電子版

セクション

ナノ鉄磁

20101103 毎日新聞

有機トランジスタ

20101101 日 経 速 報 ニ ュ ー ス

アーカイブ

有機トランジスタ

20101101 日経産業新聞

ナノムービー

20101101 日経サイエンス

低燃費タイヤ

20101030 朝日新聞

筑波大生命科学研究拠点

20101030 茨城新聞

レアアース代替材

20101029 日経産業新聞

播磨地域

20101029 化学工業日報

ナノ粒子操作

20101029 科学新聞

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NEWS POD 著作権の関係で記事のタイトルと詳細内容は標記できませんので簡略に表示しています詳しい内容に関しては各新聞及び雑誌をご覧ください

中国新5カ年計画

20101028 日本経済新聞

高機能消臭素材

20101028 化学工業日報

環境規制等

終わりの科学

20101201 日経サイエンス

電気自動車の覇権

20101123 週刊エコノミスト

環境規制対応

20101122 日経産業新聞

温暖化ガス排出枠

20101122 日経産業新聞

ロス自動車ショー

20101119 日経産業新聞

EV と環境規制

20101119 朝日新聞

EV

20101119 東京新聞

環境と法規制

20101119 化学工業日報

トヨタとテスラ

20101118 読売新聞速報ニュー

CO2 排出量削減

20101118 日経産業新聞

カリフォルニア州環境規制と EV

20101112 日本経済新聞

環境規制

20101112 日本経済新聞

環境規制

20101112 日経産業新聞

米韓 FTA

20101112 朝日新聞

米韓 FTA

20101112 毎日新聞

顔料

20101112 化学工業日報

レアメタル供給規制

20101111 日本経済新聞

潮冷熱

20101110 日本経済新聞

レアアース生産と環境規制

20101108 ダウジョーンズ中国企

業ニュース

韓米FTA

20101101 中央日報

科学技術政策

競争的資金制度

20101122 日本経済新聞

科学技術関係補正予算案 

20101122 THE DOCTOR

韓国 KIST

20101121 朝鮮日報

科学技術政策

20101119 日本経済新聞電子版

セクション

科学技術政策

20101118 日本経済新聞

科学技術政策

20101118 日経産業新聞

女性研究者

20101117 日経速報ニュース

科学技術予算

20101114 東京読売新聞

トップ1論文

20101112 科学新聞

中国特許強国に

20101112 新華社ニュース

関経連と科学技術政策

20101110 産経新聞 

科学技術産業一体政策

20101109 日刊工業新聞

優れた論文の条件

20101105 毎日新聞

「焼け太り許さぬ」

20101102 朝日新聞

国の研究開発投資目標

20101029 日刊工業新聞

科技政策で提言

20101027 日経産業新聞

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科学への信頼に関する読者調査

20101201 日経サイエンス

「カップリング反応」アニメ化

20101110 朝日新聞東京読売

新聞他

科学と社会つなぐ人材

20101025 東京新聞

NEWS POD 

情報誌 PEN 購読のご案内PEN の継続的な購読をご希望の方は下記のメールアドレスまでお名前ご所属メールアドレスをご記入の上ご連絡ください登録配信は無料ですnano-penmaistgojp

PEN は原則月 1 回配信しますバックナンバーと PEN の前身【AIST-TOKYO ナノテク情報】をナノシステム研究部門ホームページにて公開しています httpunitaistgojpnrinano-planindexhtml

PEN は皆さまとの情報共有を目的としていますお持ちの情報で共有すべきものがあれば nano-penmaistgojp までお寄せ下さい

いただいた個人情報は産総研 個人情報保護方針(プライバシーポリシー)に基づき大切に管理し情報誌 PEN の運営と私達のイベントのご案内のみに使用させていただきます

科学技術コミュニケーション

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イベント案内

[産学連携研究開発]大阪大学ナノ理工学人材育成産学コンソーシアム 第 3 回ナノ理工学情報交流会場所大阪大学中之島センター 7 階 講義室 3(講師来訪)

   大阪大学東京オフィスサテライト教室

(遠隔講義配信)

   四日市商工会議所内サテライト教室

(遠隔講義配信)については調整中です

コンソーシアム HP にてご確認ください

   ナノテク社会人教育プログラムの開講をされてい

る場合遠隔講義配信に対応可能です事務局まで

ご連絡ください

日時2010 年 12 月 10 日(金)1330 ~ 1900 頃

主催大阪大学ナノ理工学人材育成産学コンソーシアム 

概要ナノ理工学人材育成産学コンソーシアムでは活動

の一環として産学連携のきっかけを提供すべく企業と

大学の双方からテーマに即した研究開発やトピックを紹介

し会員同士の意見交換と情報共有の促進をはかっていま

す第 3 回目となる今回は「光を用いたナノテクノロジー

の新展開」をテーマに開催しますプログラムなどの詳細

は下記の HP をご参照下さい

参加費コンソーシアム会員学生及び大阪大学教職員は

無料(コンソーシアム企業会員の場合社内から何名でも

無料で参加が可能です)

上記以外の方は資料作成費 1000 円が必要になります

参加登録氏名所属連絡先懇談会への出欠を記載の

上メールにて大阪大学ナノ理工学人材育成産学コンソー

シアム事務局(nano-consnanoscienceorjp)へお申込み

下さい

httpwwwnanoscienceorjp

[コミュニケーション]科学コミュニケーション研究会 第 1 回関西支部勉強会日時2010 年 12 月 2 日 1800 ~ 2000

場所京都大学 吉田泉殿

主催科学コミュニケーション研究会 関西支部有志

概要大阪教育大学科学教育センターの中矢史雄氏を講師

に招きオーストラリアの科学技術コミュニケーションに

ついてオーストラリア国立大学科学意識向上センター

での経験なども交えてお話いただきます定員は 25 名で

す事前申し込みが必要です

httpbitlybPmTP9

[展示会]セミコンジャパン 2010日時12 月 1 日~ 3 日

場所幕張メッセ

主催SEMI

概要国内外の最新のマイクロエレクトロニクス技術に関

する情報を入手することのできる世界最大の半導体製造装

置材料展です

httpwwwsemiconjapanorgjaindexhtm

[知財]アジア特許庁シンポジウム日時2010 年 12 月 3 日(金)930 ~ 1210

場所ホテル日航奈良 飛天の間

主催特許庁

概要日本中国韓国インドネシアマレーシアシ

ンガポールの特許庁幹部を招き各国の知財保護強化の取

組みやアジアにおける知財協力を紹介しますまたパ

ネルディスカッションを設けアジアにおける人材育成協

力の方向性について議論します

httpwwwintergroupjp~convasia

[人材育成]応用物理学会 人財育成シンポジウム -日本の危機を科学が救うそのためのリーダー育成を考える-日時2010 年 11 月 29 日(月)1000 ~ 1710

場所東京工業大学デジタル多目的ホール

主催応用物理学会

概要急速に進むグローバル化に対応のできる人材を育成

するための課題や応用物理学会が貢献することのできる

具体的な取り組みについて議論します

イベント案内へ掲載を希望される方は nano-penmaistgojp までご一報ください

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r h t t p w w w j s a p o r j p a c t i v i t i e s e d u c a t i o n

symppt2010symphtml 

[コミュニケーション]科学技術とメディアのより良い関係に向けて日時11 月 26 日 1815 ~ 2030

場所早稲田大学大隈小講堂

主催サイエンスメディアセンター(SMC)

概要英国オーストラリアのサイエンスメディアセ

ンターの関係者米国のサイエンスコミュニケータを交え

て研究者とメディアの有益な関係性構築に向けた取り組

みについて議論します参加費は無料同時通訳がつきま

httpsmc-japanorgp=403 

[異分野連携]医学領域と工学領域連携研究シンポジウム ‐ 未来を拓く医工連携 ‐日時2010 年 11 月 27 日(土)

場所山口大学医学部第 3 講義室

主催日本学術会議中国四国地区会議山口大学

概要がんの個別化医療をメインテーマにこれからの医

工連携のあり方について講演と議論を行います

httpwwwscjgojpjaeventpdf100-t-3pdf 

[人材育成]マイクロナノエンジニアリング シンポジウム ‐ イノベーションと人材育成 ‐日時2010 年 12 月 8 日(水)1300 ~ 1700

場所日本学術会議 講堂

主催日本学術会議 マイクロナノエンジニアリング分

科会日本機械学会 マイクロナノ工学専門会議

概要学際的分野であるマイクロナノエンジニアリング

は大学大学院における教育の整備関連する産業界

学術界での研究開発における分野融合的な取組みが不可欠

です本シンポジウムでは人材育成を軸とした課題につ

いて議論します

httpwwwscjgojpjaeventpdf100-s-3-1pdf

[ 博物館展示 ]自然に学ぶ ネイチャーテクノロジーとライフスタイル展開催中です

場所国立科学博物館 (東京上野公園)

日時2010 年 10 月 26 日~ 2010 年 2 月 11 日

主催東北大学大学院環境科学研究科国立科学博物館

特定非営利活動法人ものづくり生命文明機構

概要蝶や鳥など生き物や自然の仕組みにヒントを得た環

境負荷の低い技術と将来的な応用の可能性から日本文化

に根差した共生型の新しいライフスタイルのあり方につい

て紹介します国立科学博物館の入館料600円が必要です

httpwwwkahakugojpevent201010natureindex

html

[人材育成]シンポジウム「世界を魅せる日本の課題解決型基礎研究~JST 目利き制度とその可能性」日時2010 年 12 月 6 日(月)1000-1800 (0900 受

付開始)

場所東京国際フォーラム B5 ホール

主催(独)科学技術振興機構(JST)

概要JST がこれまでに行ってきた戦略的創造研究推進

事業の成果を振り返りつつ今後の日本の科学技術の発

展に向けた事業のあり方について参加者の皆様と議論しま

httpwwwsenryaku30jstgojp 

[ 持続可能性 ]学術会議シンポジウム「低炭素化に向けた経済社会エネルギーのあり方と実現のシナリオ」日時2010 年 12 月 9 日(木)1330 ~ 1700

場所学術会議講堂

主催土木工学建築学委員会低炭素建築都市分科会

社会資本分科会

概要両分科会は中~超長期のエネルギー消費量削減シ

ナリオ策定に取り組んできました本シンポジウムでは

分科会の検討結果や削減のための様々な取り組みを紹介

し今後のとりまとめ作業に向けた議論を行います

httpwwwscjgojpjaeventpdf104-s-3-6pdf 

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PEN 編集室関谷瑞木阿多誠文独立行政法人産業技術総合研究所 ナノシステム研究部門 305-8568 つくば市梅園 1-1-1 産総研つくばセンター中央第 2 M404Email nano-penmaistgojpTel029-861-5185 Fax 029-861-5339

編集後記

今月 8 日に長野県長野市で開催された第 3 回国際ナノ

ワークショップ「ナノテクノロジーの社会受容~ナノ

材料の工業標準化の国際的な動向と環境影響について

~」の会場で多くの企業の皆様と意見交換をする貴

重な機会を得た目まぐるしい勢いで変わってゆく諸

外国の環境規制策の動向に民間企業の皆様が神経を

とがらせておられることがひしひしと感じられた東

京から新幹線で 1 時間半インターネットでリアルタ

イムに世界とつながることのできる時代とはいえ情

報物人が集積する地である東京とは異なる苦労も

あることもお聞きした美しい山々きれいな空気あ

るいは世界に誇る観光遺産と科学技術を結び付けて

地域振興をはかりたいとの頑張っておいでの方にもお

会いした

月刊という制約はあるもののこうした方々にとって

タイムリーで有用な情報を提供し続けたいと改めて

強く感じた

ちなみにPEN を発行しているつくば市の産総研つく

ばセンターへもつくばエクスプレスと路線バスを乗

り継いで都心からは約 1 時間半かかる

2010 年 11 月 25 日

PEN 編集室一同ウナギツカミ

Page 24: Public Engagement with Nano- PEN November …...5 PEN November 【知財】 中国、10年で特許強国に(2010.11.12) 中国国家知識産権局は11日に「全国特許事業発展戦略

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r httpwwwmhicojpnewsstory1011184999html

【基礎科学物質の起源】動きがのろい冷反水素原子を 38 個も磁気瓶に閉じ込める物質と反物質の違いを知る手がかりとなる冷反物質研究が新段階に (201011 18)物質材料研究機構(NIMS)

NIMS は欧州原子核研究所(CERN)の国際共同研究グルー

プに参加し反物質の代表格である反水素原子を独自に

開発した八重極磁気瓶の中に 38 個も閉じ込めることに世

界で初めて成功した反水素原子の原材料である反陽子(陽

子の反粒子)と陽電子(電子の反粒子)を八重極磁場コ

イルとミラーコイルを組み合わせた磁気瓶の中に蓄積し

そっと混ぜ合わせて冷たい反水素原子を大量に生成した

反水素原子は電気的に中性の小さな磁石なので反水素原

子ができあがったころ(約 1 秒後)を見計らって電圧を

加え残存している反陽子と陽電子をことごとく排除した

その後磁気瓶の磁場を瞬時にゼロにすると磁気瓶内に

とどまっていた反水素原子は装置の壁に当たって消滅し

パイ中間子などのさまざまな粒子を放出するこれらの粒

子を磁気瓶を包む 3 枚の検出器で観測した結果捕捉し

ていた反水素原子を 38 個も確認することができた後述

するように同内容は理化学研究所からもリリースされたhttpwwwrikenjpr-worldinforeleasepress2010101118

indexhtml

【超伝導】ピセンのカリウムドープに伴う電子構造変化の直接観測 

(201011 17)岡山大学

岡山大学の研究グループはピセンおよびカリウムドープ

ピセンの電子構造を実験的に観測する事に世界で初めて成

功したカリウムドープピセンは芳香族炭化水素における

初めての超電導体であるがカリウムドープピセンの超電

導メカニズムまた超電導を誘起する電子構造は解明され

ていない研究グループは光電子分光法を用いピセンのカ

リウムドープに伴う電子構造変化を直接的に観測した結

果ピセンのカリウムドープに伴う電子構造変化を観測

芳香族炭化水素超電導体の超電導メカニズム解明および新

規超電導体探索の指針になると期待されるhttpwwwokayama-unetrenkeidocumentpdfpressrelease

press-101117pdf

【慣性力発電】慣性力(振動)発電技術を商品化 国内最大手エース社のバッグに慣性力発電ユニットを搭載 (201011 17)伊藤忠商事(株)

米国 CIIIS 社の持つ慣性力発電(振動発電)技術を用いて

人体の運動による振動で発電する慣性力発電ユニットを開

発した国内鞄最大手のエース株式会社がこの慣性力発

電ユニットを搭載したバッグの販売を行う

httpwwwitochucojpjanews2010101117html

【生物多様性】多様性進化の背景に『甲状腺機能低下』 (201011 16)東北大学

生物多様性の喪失は現在急速に進んでおり多様性の進化

維持機構を解明することは世界的な課題である生物多様

性の創出は多くの場合新規環境に生き物が侵出すること

によって始まるが生物が新規環境へどのように適応して

行くのかその過程については多くが未解明である東北

大学の研究チームはこのたび新規環境への適応に甲状腺

ホルモンの進化が重要であることを発見したhttpwwwtohokuacjpjapanesenewimgpressimgtohokuuniv-

press_20101116pdf

【ナノ物性】ナノスケールの鉄磁石を電界でコントロール

(201011 01)千葉大学

磁石の N と S 極は磁界を用いることでコントロールでき

るが千葉大学の研究チームはナノスケールの鉄の磁石の

極性をエネルギーの要らない電界でコントロールできるこ

とを見出したhttpwwwchiba-uacjppublicitypresspdf201020101102nano

pdf

【SOFC 関連材料技術】 画期的な電解質材料の開発に成功 固体酸化物燃料電池の商用化に一歩前進 (201011 18 )物質材料研究機構(NIMS)

NIMS の研究グループは電解質材料に必要とされる三つ

の要件イオン伝導性化学的安定性焼結性のすべてを

高いレベルで満足する2種類の材料を開発することに成功

したひとつは10 のプラセオジムを含むイットリウム

添加ジルコン酸バリウム(BZPY)でもうひとつは酸

化ニッケル (NiO) とイットリウム添加ジルコン酸バリウム

25

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(BZY) の混合粉末を固めた基板上にプレス成形された BZI

であるhttpwwwnimsgojpnewspress201011201011180

p201011180pdf

【レアアース】微生物でレアアースの回収が可能に バクテリアがレアアースを濃縮する現象を発見 (201011 17)広島大学高エネルギー加速器研究機構高輝度光科学研

究センター

共同研究グループは微生物の細胞表面では微生物が存在

しない周囲部分に比べてレアアースを高濃度に濃縮する現

象を見出したまたレアアースの中でも特に希少価値の高

い元素が選択的に濃縮することを発見その濃縮メカニズ

ムを放射光を用いたX線吸収法により明らかにした

httpwwwkekjpjanewspress2010RareEarthElementshtml

【はやぶさ】はやぶさカプセル内の微粒子の起源が判明(201011 17)宇宙航空研究開発機構

「はやぶさ」のサンプルキャッチャー室から特殊形状のヘ

ラで採集された微粒子を走査型電子顕微鏡にて観察および

分析した結果1500 個程度の微粒子を岩石質と同定した

更にその分析結果を検討したところそのほぼ全てが地

球外物質であり小惑星イトカワ由来であると判断するに

至った

httpwwwjaxajppress20101120101117_sac_hayabusapdf

【超伝導基礎科学】超伝導のメカニズム解明に大きな手がかり ルテニウム酸化物の電子の運動状態を選択的に可視化することに成功 電子対を形成する「のり」の起源を初めて解明

(201011 17)広島大学産総研

1994 年に日本で発見されたルテニウム酸化物超伝導体は

ユニークな超伝導状態を示しこれまで数多くの研究が行

われてきたがいまだにその超伝導のメカニズムは謎のま

まであった超伝導が生じるためには電子と電子を「のり」

で結びつけ「電子対」にする必要がある共同研究グルー

プは放射光の直線偏光特性を活用するため放射光の光

軸のまわりに回転可能な高分解能角度分解光電子分光装置

を開発しルテニウム酸化物超伝導体の超伝導機構解明に

重要な手がかりをつかんだ研究グループが開発した新装

置を用いることによりルテニウム酸化物超伝導体の異な

る運動状態にある電子を選択的に分離しながら精密に分

析することが初めて可能となったその結果物質の電子対

を形成するための「のり」として結晶を作っている原子

の振動が重要な役割を果たしていることその「のり」が

どのくらい強く働いているのか等が明らかとなった httpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101117

pr20101117html

世界最高性能基準光源を開発 安定高精度高速の三拍子そろった光信号の発生に成功 (201011 15) 情報通信研究機構(NICT)国立天文台(NAOJ)

NICT と NAOJ はNICT 独自の高消光比変調技術を利用

し精度を保ったまま周波数範囲を拡大する構成を提案し

たNAOJ の安定度向上技術による制御機能を組み合わせ

ることで世界最高性能の基準信号発生装置を共同開発

し100 ギガヘルツを超える高速信号の長距離伝送を実現

した本装置の方式により従来技術の課題であった安定

性周波数範囲精度の問題を解決した安定性は 2 台の

レーザを用いる従来方式に比べて 10 倍以上を実現し信

号の乱れを 30 万年に 1 秒以下とすることに成功したま

た精度は従来型変調器と比較し 1000 倍以上周波数範

囲は 4 倍を達成したhttpwww2nictgojppubwhatsnewpressh22101115101115

html

【基礎科学レーザ分光】電子の氷を光で融かす一瞬を捉える 光が有機物質を変える瞬間の超高速スナップショット (201011 15)東北大学自然科学研究機構分子科学研究所科学技術振

興機構(JST)

共同研究グループは光の照射によって有機物質の色や

電気伝導度が大きく変化する光誘起相転移現象の最初の瞬

間を捉えることに成功した電場と磁場の振動である光の

振動の3周期分に匹敵する極めて短いパルス光をポンププ

ローブ分光によって二次元有機物質における電荷秩序の

融解のダイナミクスすなわちldquo 電子の氷 rdquo が光によっ

てどのように解け絶縁体から金属へと変化するのかと

いう問題を明らかにしたものこの成果 12 月初めには米

国物理学会誌 Physical Review Letters オンライン版で公開

予定

httpwwwjstgojpprannounce20101117-2indexhtml

【熱電材料】水を使って絶縁体から効率のよい熱電材料を作ることに成

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r 功 希少毒性金属を含まない安価簡便な熱電材料創製に新たな道 (201011 15)科学技術振興機構 (JST)名古屋大学

熱電材料は熱を電気に変換することができることからエ

ンジンの排熱を利用して発電するハイブリッド自動車など

への応用が期待されているが従来の熱電材料はビスマ

スアンチモン鉛テルルといった希少毒性金属など

を含む問題があったJST 課題解決型基礎研究の一環とし

て名古屋大学の研究グループは水の電気分解を利用し

安くてありふれた絶縁体酸化物表面を大きな熱電効果を示

す金属へ変えることに成功した大量に水を含んだ多孔質

ガラスを新規に開発しこの多孔質ガラスを金属チタンと

チタン酸ストロンチウムに挟んで電圧を加えると水の電

気分解によって絶縁体のはずのチタン酸ストロンチウムの

表面に厚さ 3 ナノメートル以下の極めて薄い金属チタン酸

ストロンチウムが生成した通常の金属チタン酸ストロン

チウムに対して 4~5 倍高い電圧を示すことから従来の

熱電材料の約 2 倍の熱電性能が期待できる

httpwwwjstgojpprannounce20101117indexhtml

【基礎科学物質の起源】国際研究チーム反水素原子を瓶の中に閉じこめることに成功(20101118)理化学研究所

8 か国からなる研究チームは欧州合同原子核研究機関

(CERN)の装置を用いて加速器で反陽子と陽電子を作

成し磁場の中に閉じこめたのちに撹拌して反陽子と陽

電子1個ずつを結びつけ反水素原子を生成した反水素

生成後に余った反陽子と陽電子を取り除き反水素原子だ

けを特殊な瓶の中に封じ込めることに成功した計 38 個

の反水素原子が 02 秒間存在したことを確認反物質は

Dan Brown の小説「天使と悪魔」で非常に微量で爆発

を起こす材料として登場するしかし今回の手法では短

時間に消滅してしまい爆弾に使える量をためるのは不可

能だという17 日付の Nature Online 版に掲載

httpwwwrikenjpr-worldinforeleasepress2010101118 

【マックスウェルの悪魔実証】情報をエネルギーに変換することに成功 ldquo マックスウェルの悪魔 rdquo を実験により世界で初めて実現新規ナノデバイスの実現に期待 (201011 15)中央大学東京大学

微細加工技術とサブミクロンスケールのリアルタイム制御

システムを組み合わせ「マックスウェルの悪魔」と呼ば

れる科学史上の重要な概念を世界で初めて実験により実現

した これによって情報をエネルギーに変換できるこ

とを初めて示すとともに情報を媒介して駆動する新規ナ

ノデバイスの実現の可能性を示した マックスウェルの

悪魔は熱力学の根本に関わる概念でありこれを実現でき

た学問的意義は大きいまた科学者以外にもよく知られ

たテーマであり多くの人が興味を持つ話題でもある情

報を媒介して駆動する新規のナノデバイスを実現できる可

能性があり基礎的研究にとどまらずナノサイエンスで

の新しい制御法への応用が期待できるこの成果は 11 月

14 日に Nature Physics Online に公開された

Toyabe Sagawa Ueda Muneyuki and Sano

ldquoExperimental demonstration of information-to-energy

conversion and validation of the generalized Jarzynski

equalityrdquo

httpwwwsu-tokyoacjppresspress-2010-42html

詳細は中央大学 HPhttpwwwchuo-uacjpchuo-unewscontents_jhtmlsuffix=kampmo

de=topamptopics=12513

【基礎科学分子バネ】電子の出し入れで硬さが劇的に変わる分子バネを開発 たった 1 つの電子放出で分子全体の動きやすさが 450 倍も変化 (201011 15)理化学研究所科学技術振興機構(JST)

6 個の炭素原子が環状につながったベンゼン環は有機化

合物において最も基本的な構成ユニットの一つでありベ

ンゼン環をさまざまな形で結合させたものが盛んに研究さ

れてきたしかしベンゼン環を隣り合う炭素の位置で結

合させたオルトフェニレンは単純な構造でありながら合

成が難しいためこれまでほとんど研究がなされておらず

その性質は解明されていなかった理化学研究所の研究グ

ループはベンゼン環 48 個を隣り合った炭素の位置で結

合させたオルトフェニレンを世界で初めて合成したオル

トフェニレンは3 つのベンゼン環が 1 ピッチのらせんを

形成するバネ状の構造をしているがこのようなバネ状の

構造を持った分子はさまざまな機能を発揮するためエ

レクトロニクスや分子機械への応用の可能性が高まってい

る研究グループはこのバネ状分子から電子を 1 つ取

り去るとバネの硬さが劇的に増してらせんの反転速度が

約 450 分の 1 も遅くなることを突き止めたまたこの

1 個の電子の出し入れに応じてバネのピッチが 3263Aring か

ら 3224Aring と変化したこれまで電子が高密度に含まれ

た分子バネは電子を出し入れすることでその振る舞いが

変化することが理論上予想されていたがこのように電子

を多量に含む分子バネの合成は難しく実験的にも証明さ

れていなかった硬さの変化というこれまで実現すること

27

PEN N

ovember

ができなかった応答をする分子バネの登場は応答性分子

の分野に新たなコンセプトをもたらすと注目される本研

究成果はJST 戦略的創造研究推進事業 発展研究 (ERATO-

SORST)「分子プログラミングによる電子ナノ空間の創成

と応用」の一環として行われたものhttpwwwrikenjpr-worldinforeleasepress2010101115

indexhtml

【自己組織化基質選択的会合】分子間の特異的な相互作用による新規材料集積法を開発 分子が好みの分子を見分けて接着 (201011 15)大阪大学科学技術振興機構(JST)

近年分子認識を利用して分子と分子を非共有結合でつな

げることによりさまざまな超分子錯体が合成されさらに

これらを自己集合させる研究が行われているこれらの研

究において形成される集合体は分子の大きさであるナノ

メートルからマイクロメートルの極めて小さなもので高

倍率の顕微鏡を使わなければ見えない分子認識に基づい

て手軽に使えるくらいの大きな自己組織体を作り出すこと

はナノテクノロジー分野において分子を自己組織化さ

せて機能性材料を創製する上で重要な課題であった大阪

大学の研究グループはホスト分子としてシクロデキスト

リンをゲスト分子としてシクロデキストリンが結合する

化合物を用いてそのホスト-ゲスト相互作用を利用して

多様な自己組織化超分子ポリマーの構造体を作りマクロ

スケールで機能を発現させる研究を進めている今回D

NAやタンパク質の分子量決定に広く用いられるアクリル

アミドゲルを土台にしてこのゲルにシクロデキストリン

とゲスト分子をそれぞれ別々に導入し「ホストゲル」と

「ゲストゲル」を合成したこの両者を水中で振動させる

とゲルが接着する挙動が観察されミリメートルからセン

チメートルの大きさの物体を分子認識により自己集積でき

ることを世界で初めて実証したさらにシクロデキストリ

ンとゲスト分子との相互作用の強さの違いによって選択的

に特定のゲル同士を接着させることができることがわかっ

httpwwwjstgojpprannounce20101115indexhtml

【ブタノール分離膜】バイオブタノールの省エネルギー型膜分離精製技術を開発1 wt ブタノール水溶液から80 wt 以上の高濃度ブタノールの回収が可能 (201011 15)産総研

産総研は1 wt 程度の希薄なブタノール水溶液からゼ

オライト系分離膜を用いて 80 wt 以上に濃縮したブタ

ノールを回収できる省エネルギー型のバイオブタノール精

製技術を開発した ブタノールはエタノールと比較して

発熱量が大きいことから地球温暖化対策に貢献できる再

生可能なバイオ液体燃料すなわちポストバイオエタノー

ルとして期待されている今回合成条件の最適化を進め

高いアルコール選択透過性をもつシリカライト分離膜を合

成し膜分離法によって低濃度ブタノール水溶液から高

濃度ブタノールの回収が可能となった従来の分離膜を用

いた場合に比べてブタノール回収のためのエネルギーを

50 ~ 70 程度低減できることが期待される httpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101113

pr20101113html

【分子生物学】 化学合成したペプチドからウイルスの殻構造を組み上げることに成功 新規ナノ材料や医療材料としての応用に期待 (201011 12) 九州大学北九州市立大学

共同研究グループは化学合成したペプチドから約 40 ナ

ノメートルのウイルスの殻構造を組み上げることに世界で

初めて成功した球状の植物ウイルスから遺伝子を除いた

キャプシド構造と呼ばれる殻構造は決まった大きさのナ

ノ空間であることからナノ物質の反応器や運び手として

利用する研究が国内外で盛んに行われているしかしこ

れまでウイルスのキャプシド構造を得るにはウイルス

の遺伝子をバクテリア内に導入して生産させる必要があっ

た本研究では遺伝子やバクテリアを用いない完全化学

合成によってウイルスキャプシドを構築することに成功

した今回ウイルスの殻構造を簡単なペプチドから構築

できたことで様々な機能性ウイルスキャプシドを人工的

に創成する道が拓けたと言えるこのペプチドからなるナ

ノカプセルに適切な化学修飾を施すことによりナノ物質

合成のための反応器や医薬品の運び手人工ワクチンを

創成するための足場材料として応用できるものと期待され

るhttpwwwkyushu-uacjppressrelease20102010-11-12-04pdf

【レアメタル】レアメタル使用量削減技術の実用化を加速(20101110)新エネルギー産業技術総合開発機構 (NEDO)

NEDO はレアアース総合対策の一環として企業が取り

組むレアメタル使用量削減技術の実用化を加速するための

助成事業(事業規模約 100 億円)を 2010 年度補正予算

の成立を前提に行うこの助成事業では短期間で実用化

が期待できる以下の技術開発を対象として①レアメタル

28

PEN

Nov

embe

r を代替する材料の技術開発 ②レアメタルの使用量を削

減する技術開発 ③レアメタルのリサイクルを促進する

技術開発 ④その他のレアメタル消費の削減に資する技

術開発を行うhttpapp3infocnedogojpinformationskoubopressEFnedopre

ss2010-11-068550095069

【導波路型光スイッチ】光スイッチの消費電力を従来の 2 分の 1 に低減 増え続けるネットワーク機器の消費電力問題を解決 (201011 09)( 株 ) 富士通研究所

同社はシリコンフォトニクス技術を適用した導波路型光

スイッチについて世界で初めてシリコンゲルマニウム

(SiGe)細線構造を用いることで従来のシリコン細線構

造に比べて消費電力を約 2 分の 1 に低減することに成

功した幅広い波長に対応して高速に動作できるタイプの

光スイッチ素子としては世界最小の消費電力を実現して

いるhttpprfujitsucomjpnews2010119html

【ナノ構造機能】昆虫が足を擦る秘密をナノテクノロジーで解明 生体模倣による新しい材料機能の開発に活用 (201011 09)物質材料研究機構マックスプランク研究所キール大

共同研究チームは環境問題で循環型社会実現に求められる

「接着と分離」を繰り返せる未来の接合技術の開発研究に

おいてガラスのような平坦な表面を逆さまでも歩行でき

る昆虫の足の裏の優れた接着性に着目し昆虫(ハムシ)

の歩行調査を行いナノテクノロジーを用いた実験により

昆虫が摩擦により汚れを感じていることを突き止めた

httpwwwnimsgojpnewspress201011p201011090html

【超音波流量計半導体プロセス】極微量な流量を精密に測定できる超音波流量計を開発 半導体製造装置の性能を向上させ環境負荷を低減しランニングコストを削減 (201011 09)産総研( 株 ) アツデン東京計装 ( 株 )

3 者は共同で10 mLmin( 誤差plusmn 01 mLmin) 以下の極

微量な流量を精密に測定できる超音波流量計を開発した

この流量計は超音波ガイド波の伝搬に関する基礎理論の

見直しを行い超音波を高周波化し設計を最適化するこ

とにより開発したものでこれまでの超音波流量計では計

測できなかった微小な流速領域での流量測定ができるこ

の超音波流量計は半導体製造装置で利用される薬液の高

精度な制御を可能にし半導体製造装置の高性能化環境

負荷の低減ランニングコスト削減へ貢献すると期待され

る httpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101109

pr20101109html

【研究交流】中国上海における国際交流事業の実施同済大学と大学間学術交流協定を締結 (201011 08)大阪大学

10 月 21 日上海において開催した上海教育研究センター

開所式記念講演会祝賀会には鷲田清一総長をはじめ

とする大阪大学教職員中国の学術交流協定校関係者大

阪大学同窓会会員など約 130 人が列席し盛況の内に終

了した翌 22 日23 日には第 15 回大阪大学上海交

通大学学術交流セミナーが上海交通大学情報ネットワーク

センターを主会場として開催され7つの研究会に約 100

人が参加したさらに 23 日と 24 日の両日上海東亜展

覧館を会場に開催された中国国際教育展に大阪大学のブー

スを出展し100 人を超える留学相談者が本学のブースを

訪れた翌 10 月 22 日鷲田清一総長は上海市内にある

同済大学を訪問裴学長陳副学長ほか大学関係者と懇談

するとともに大学間学術交流協定及び学生交流覚書の調

印式に臨んだこれにより中国の大学との 10 番目の協定

が成立したhttpwwwosaka-uacjpjanewstopics20101120101108_1

httpwwwosaka-uacjpjanewstopics20101120101108_2

【高耐久性セラミック】激しい熱変化にも強度劣化しない窒化ケイ素系セラミックスを開発 窒化ホウ素の微粒子を分散させ耐熱衝撃性を飛躍的に向上 (201011 08)産総研三井金属鉱業(株)

両者は共同で従来品に比べて耐熱衝撃性と高温での強度

を飛躍的に高めた窒化ケイ素系セラミックスを開発した

今回窒化ケイ素(Si3N4)をベースとして高い熱伝導

率をもつ粒界相を形成させるとともにそこに非晶質に近

い窒化ホウ素のナノメートルオーダーの微粒子を分散させ

ることで耐熱衝撃性を飛躍的に向上させた従来の窒化

ケイ素が 1000 の温度差で強度が低下するのに対して

今回の開発材は電気炉で 1400 に加熱した後水中に投

下することを 10 回繰り返してもほとんど強度が劣化しな

かったまたこの開発材について大気中 1200 で高温

29

PEN N

ovember

曲げ試験を行ったところ室温と同程度の強度を保持して

いたセラミックスでは大型化すると小試験片では得られ

た特性が得られず実用化を進める上での課題になること

が多いがこの開発材では焼結条件を最適化することに

よって直径 82 mm 長さ 370 mm の比較的大型の部品で

も試験片と同様の組織物性が得られたまた実際の

製品形状に近い部品の焼成も可能となったhttpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101108

pr20101108html

【ミリ波発信器】ミリ波帯無線通信の実用化にめど 世界最高性能の低雑音局部発振器を開発 (201011 08)東京工業大学

東工大の研究グループは雑音を従来の 100 分の1以下

に低減したミリ波帯局部発振器を開発した20GHz 帯の

発振器と 60GHz 帯の注入同期型直交局部発振器を組み合

わせることにより世界最高の低位相雑音性能を達成した

無線通信の周波数帯ひっ迫を解消する技術として 60GHz

ミリ波帯の利用が注目されているがミリ波帯ではコイル

やコンデンサの損失が大きくなり位相雑音特性が劣化す

るのがネックだった今回はこれを解決したものでミ

リ波無線通信の実用化につながる成果発振器は 65 ナノ

メートルのシリコン CMOS プロセスを利用して試作した

580GHz から 636GHz の周波数範囲で 4 相正弦波出力が

可能でこの発振器により10Gbps(毎秒 100 億ビット)

以上の超高速ミリ波帯無線通信の実現が期待されるh t t p w w w o l d t i t e c h a c j p t o k y o - t e c h - i n - t h e - n e w s j

archives2010111289174400html

【炭素繊維応用】住宅向け外装材「炭素繊維補強サイディング」の本格展開について 優れた強度と耐熱寸法安定性で 15 年の基材保証を実現 (20101105)東レ ACE(株)

東レの子会社東レ ACE は炭素繊維で補強した窯業系サ

イディングを開発し本格販売と市場展開を開始する「炭

素繊維補強サイディング」はセメント質原料に炭素繊維

を添加配合して成型固着させた建物外壁用のセメントボー

ドで従来の窯業系サイディングの優れた防耐火性耐久

性等を維持しつつ更なる強度補強効果や火災高温時の

変形や熱収縮によるひび割れの抑制など耐熱寸法安定性

も向上させることで基材 15 年保証を実現する 本製品

に使用している炭素繊維は軽くて強く優れた高温特性や

耐熱性を有し非常に細い繊維を多く配合できることから

外装材としての強度補強効果も期待できるとしている

httpwwwtoraycojpnewsaffilnr101105html

【光ファイバーナノインプリント】ナノ格子反射防止表面光ファイバー先端に形成ナノ技術で安く製作 (20101105)東北大学

東北大の研究グループは微小な窪みが多数形成された反

射防止構造体を光ファイバーの先端に製作する技術を開発

した光ファイバーは光通信や光分析装置の構成部品とし

て使われており光源受光素子やレンズなどの光部品と

の接続損失を減らすために先端に反射防止膜が形成され

ている従来の反射防止膜は真空装置を使って薄膜を付け

るためコストが問題であった研究グループはナノイン

プリント技術を用いて光ファイバー先端のコア部に 270

ナノメートル間隔で微小な円錐状の窪みを形成し反射損

失を低減することに成功したナノインプリント技術は

基板に塗布したポリマーに原版を押し付けて微細パターン

を転写する技術で高価な露光装置や真空装置が不要なた

めナノ構造を安価に製作することができる今回光ファ

イバー先端にナノ構造を製作するために専用のナノインプ

リント装置を開発した窪みの間隔が光の波長よりも小さ

い場合屈折率が変化し反射波が生じにくくなる反射

率や波長帯域は窪みの形状間隔や高さで決まり従来

の反射防止膜よりも設計の自由度が高いため要求に合わ

せて種々の反射防止表面を製作することが可能 httpwwwtohokuacjpjapanese201011press20101105-2

html

【人工筋肉機能材料】光を運動エネルギーに変える新高分子素材の開発に成功 世界で初めて分子を大面積で 3 次元的に配列させ新機能を実現 (20101105)理化学研究所

光で変形したり電子を流すなどの機能を持った分子を人工

的に規則正しく大面積で集積することができると機能性

材料の性能向上や革新的新機能の発現につながるそのた

め世界中で精力的に開発が行われているがこれまで実現

させた例はなかった理化学研究所の研究グループは光

で構造が変化するアゾベンゼン分子を組み込んだブラシ状

の高分子「ポリマーブラシ」を大面積で 3 次元的に一挙

に配列させる手法の開発に初めて成功したこの規則性の

ある 3 次元集積構造は延伸したテフロンシートにポリ

マーブラシを挟み込みアイロンに似た熱と圧力を加える

といういたって簡単な操作で実現したさらにこのフィ

30

PEN

Nov

embe

r ルムに光を当てるとアゾベンゼン分子の構造変化が一方

向に集約しフィルムが湾曲するという巨視的変形を引き

起こすことを見いだしたすなわちこの新しいフィルム

は光エネルギーを運動エネルギーに変換する機能を持って

おり新たな人工筋肉材料などへの展開が期待されるま

た本技術は有機薄膜太陽電池をはじめとする次世代の機

能材料の開発にも革新をもたらすと期待されるhttpwwwrikenjpr-worldinforeleasepress2010101105

indexhtml

【リチウムイオン電池正極材料】常温プロセスで全固体薄膜リチウムイオン電池の試作に成功 エアロゾルデポジション法による蓄電池製造の新工法開発を本格化 (2010115)産総研

産総研はトヨタ自動車 ( 株 ) と共同で産総研が開発し

たセラミックス材料の常温高速コーティングプロセスであ

るエアロゾルデポジション (AD) 法を用いて酸化物系の

正極材料負極材料固体電解質材料を薄膜積層化して

金属基板上に 3 層構造からなる全固体薄膜リチウム (Li) イ

オン電池を試作蓄電池としての充放電特性を世界で初め

て確認した 従来型の薄膜技術とは異なりAD 法を用い

ると基板の加熱が不要でまた厚膜化も容易であるそ

のため成膜時間が大幅に短縮でき蓄電池の生産性向上

やプロセスコストの大幅な低減が期待される今後は AD

法を用いた本格的な全固体電池の共同開発を進めていく httpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101105

pr20101105html

【記録デバイススピントルク素子】次世代超高密度 HDD に向けたマイクロ波アシスト記録の基本技術を開発 磁気ヘッドに搭載可能なスピントルク素子を用いた磁気情報の書き換えを確認 (2010115)新エネルギー産業技術総合開発機構(NEDO)(株)日

立製作所

NEDO はハードディスク装置(HDD)の開発製造会社で

ある日立グローバルストレージテクノロジーズの協力を得

て従来の磁気記録方式の限界を超えHDD の記録密度

を飛躍的に伸ばす方式として期待されているマイクロ波ア

シスト磁気記録方式の基本技術を開発しその原理を実験

的に確認したマイクロ波アシスト記録では記録媒体の

小領域にマイクロ波帯の高周波磁界を加え磁気情報の書

き込みを容易にする今回開発したのはヘッドに搭載可

能な高周波磁界を発生するスピントルク発振素子でこの

素子を用いて記録媒体上に磁気情報を記録できることを実

験的に確認したこれまで外部のマイクロ波発生装置を

用いたマイクロ波アシスト効果の報告例はあったが今回

微細な発振素子を用いた磁気情報の記録を確認できたこと

により将来この素子を記録ヘッドに搭載しマイクロ波

アシスト記録を実用的に行える可能性が示されたhttpapp3infocnedogojpinformationskoubopressEFnedopre

ss2010-11-029718160145

【基礎科学物性】絶縁体が金属に変わる新原理の解明 超伝導素子や熱電変換素子の開発へ道(20101104)東北大学

東北大学原子分子材料科学高等研究機構の研究グループ

は高品質酸化物薄膜において電気が流れにくい絶縁体

状態から流れやすい金属状態への遷移機構を解明した材

料における電気の流れやすさは電気を流す担い手である

伝導キャリアが物質中にどれだけ含まれるか伝導キャリ

アがどれくらいスムーズに動きまわれるかによって決ま

るつまり伝導キャリアの濃度を増やしたり材料中で

伝導キャリアの動きを妨げる原因になるひずみや欠陥を少

なくすると電気はより流れやすくなる本研究では人

工宝石として知られるチタン酸ストロンチウム (SrTiO3)

の絶縁体を用い伝導電子を生み出すキャリア供給層を

SrTiO3 絶縁体間に挟み込んだ絶縁体層 キャリア供給層

絶縁体層の層状界面構造をもつ高品質超格子構造を作製す

ることで絶縁体層の体積を増加させると反対に電気が流

れやすい金属状態になる現象を発見した最新の電子顕微

鏡技術を用いた原子構造解析と電子状態の理論計算を駆使

して絶縁体を増加させると界面で結晶のひずみが少なく

なり高導電化することを解明した本研究が明らかにした

界面での結晶のひずみを制御することによって絶縁体を金

属状態へ変化できる現象は様々な材料でも普遍的に起こる

と考えられ絶縁体から金属へ変わる境目で性能が向上す

る新超伝導体や新熱電材料の開発に展開することが可能と

期待されるhttpwwwtohokuacjpjapanesenewimgpressimgtohokuuniv-

presspdf

【環状高分子】様々な環状高分子の自在な合成に成功 「かたち」に基づく機能開発に期待(2010112)東京工業大学

東工大の研究グループはこれまで困難とされてきた

種々の含環状高分子の選択的な合成に成功した同研究

グループで開発された単環状高分子合成プロセスである

31

PEN N

ovember

Electrostatic Self-Assembly and Covalent Fixation Process

と有機合成化学の新手法であるクリックケミストリー

を組み合わせることで様々な「かたち」の自在な構築

を達成した本手法の開発により近年注目を集めてい

る「かたち」に基づいた高分子物性の探索を加速させる

ものと期待されるhttp wwwo ld t i t e ch ac j p tokyo - t ech - in - the -news j

archives2010111288656000html

【異分野連携オープンイノベーションモデル】応用脳科学コンソーシアム 脳科学及びその周辺領域の学術知見を活用したオープンイノベーションモデルの研究活動を開始 異業種の民間企業と異分野の脳科学研究者が連携し事業性の高い研究テーマを推進 (2010111)アサヒビール(株)(株)NTT データ積水ハウス(株)

(株)竹中工務店帝人(株)凸版印刷(株)日産自動

車(株)(株)博報堂(株)NTT データ経営研究所

NTT データ経営研究所が日本神経科学学会の協力を得て

2010 年 10 月 1 日に創設した「応用脳科学コンソーシア

ム」においてそれぞれの事業活動に関連する独創性の

高い研究テーマについて複数の「応用脳科学 RampD 研究会」

を立ち上げるRampD 研究会では各 RampD 研究会を設置

した特別会員企業が各テーマに関連の深い脳科学及び

その関連領域の研究者を招聘し異業種である他の会員

企業とともに最新の研究知見を活用してオープンイノ

ベーションモデルの研究活動を実施する各社が設置す

る RampD 研究会は現時点で(1)おいしさの総合評価研究

会(アサヒビール)(2)ヘルスケア脳情報クラウド研究

会(NTT データ)(3)インタラクティブ住環境研究会(積

水ハウス株式会社)(4)コミュニケーション空間研究

会(竹中工務店)(5)メディアエンゲージメント研究

会(博報堂)この他の RampD 研究会については今後随

時応用脳科学コンソーシアムのウェブサイト httpwww

keieikencojpcan で公開予定

httpwwwnttdatacojprelease2010110101html

【レーザ技術基礎光物性】熱を加えずに結晶を柔らかくすることに成功 高強度テラヘルツ電磁パルスで分子ネットワーク操作が可能に 

(2010111)京都大学科学技術振興機構(JST)

京都大学はテラヘルツ電磁パルスと呼ばれる新しい光

を物質に照射することで1兆分の1秒の短い時間で結

晶中の分子を大振幅で揺さぶり熱平衡状態では実現で

きないような分子変位を実現することに世界で初めて成

功した実験結果は結晶が実効的にやわらかくなったこ

とを意味するものでさらに強いテラヘルツ電磁パルス

によって高効率で結晶を融解させることを示唆するこ

れは熱による反応を起こすことなく新しい分子間のネッ

トワークやたんぱく質などの巨大分子の立体配位を操作

できることを示しており化学合成における反応促進や

創薬における有機分子結晶の精製での活用が考えられる

今回の成果は JST 戦略的創造研究推進事業日本学術振

興会学術創成プロジェクト「動的相スイッチ機構を内在

する有機電子材料の開拓と非平衡物性科学への展開」お

よび京都大学グローバル COE プログラム「普遍性と創発

性から紡ぐ次世代物理学」によるものhttpwwwjstgojpprannounce20101101indexhtml

【高周波デバイス】透 明 な 高 周 波 デ バ イ ス 見 え な い ア ン テ ナ へ の 道

(20101028)物質材料研究機構太陽誘電(株)

両者は共同で透明な高周波デバイスを製造するための

基本技術である微細な金属配線と酸化物透明導電体から

なるハイブリッド構造を開発した本技術は不透明で

あるが高い伝導性を示す金属と透明ではあるが金属の

100 分の 1 程度の伝導率にとどまる酸化物透明導電体と

を組合せ両者の特性を相補的に活用することにより

透明でありかつ携帯電話をはじめとする無線デジタ

ル通信に用いられるギガヘルツ帯の高周波に対して高い

伝送特性を示す素子構造を実現した

httpwwwnimsgojpnewspress201010p201010280html

【エコ製品環境経営】COP10 に向けた環境配慮型製品技術の取り組み ポリ乳酸繊維 ldquo エコディア rdquo 使用商品の提供や連携事業「メッセナゴヤ 2010」への出展を通じ環境保全の取り組みを強化 (20101028)東レ ( 株 )

同社は10 月 11 日 ( 月 ) から 29 日 ( 金 ) に開催された

生物多様性条約第 10 回締約国会議 (COP10) に向けて

ポリ乳酸繊維 ldquo エコディア rdquo 使用商品の提供などを通じて

環境に配慮した運営に協力したまたCOP10 の連携事

業である環境エネルギーをテーマとした展示会「メッ

セナゴヤ 2010」に出展し環境に配慮した次世代自動車

や最先端航空機向けの先端材料を紹介した

httpwwwtoraycojpnewsfibernr101028html

32

PEN

Nov

embe

r

NEWS POD 著作権の関係で記事のタイトルと詳細内容は標記できませんので簡略に表示しています詳しい内容に関しては各新聞及び雑誌をご覧ください

ナノテクノロジー

研究開発最前線

20101122 日 刊 工 業 新 聞 News

ウェーブ 21

X 線レーザー

20101121 東京読売新聞

新潟ナノテク研究会

20101120 日本経済新聞

ナノテクとバイオ

20101120 下野新聞

バイオ起業

20101119 朝日新聞

ナノ粒子の構造制御

20101119 日刊工業新聞

水素原子観察

20101119 科学新聞

光ファイバー関連技術

20101119 科学新聞

希少金属対策

20101118 日刊工業新聞

熱電材料

20101117 日経速報ニュース

化学合成でナノ構造

20101117 日経産業新聞

つくばナノテク研究拠点への投資

20101117 日刊工業新聞

分子バネ

20101116 日経速報ニュース

ナノバイオ融合

20101116 日経産業新聞

フレンドオブアースのナノテク評

20101116 エコロジーエクスプレス

クラスターテクノロジー

20101112 産経新聞

実用化助成

20101111 日刊産業新聞

接着のメカニズム

20101110 日経産業新聞

電子材料

20101110 日経産業新聞

ナノ磁石

20101110 東京新聞

高分解能放射線検出器

20101110 化学工業日報

電池電極材料

20101108 日本経済新聞

食の安全性

20101108 日経エコロジー

ナノ磁石実用化

20101105 朝日新聞

ナノテク接着剤

20101105 日刊工業新聞

水素原子の観察

20101105 日刊工業新聞

補正予算案

20101105 科学新聞

ナノ磁石

20101104 日本経済新聞

ナノボーグ

20101104 日刊工業新聞

ITO 電極代替技術

20101104 鉄鋼新聞

レアアース代替材

20101103 日本経済新聞電子版

セクション

ナノ鉄磁

20101103 毎日新聞

有機トランジスタ

20101101 日 経 速 報 ニ ュ ー ス

アーカイブ

有機トランジスタ

20101101 日経産業新聞

ナノムービー

20101101 日経サイエンス

低燃費タイヤ

20101030 朝日新聞

筑波大生命科学研究拠点

20101030 茨城新聞

レアアース代替材

20101029 日経産業新聞

播磨地域

20101029 化学工業日報

ナノ粒子操作

20101029 科学新聞

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NEWS POD 著作権の関係で記事のタイトルと詳細内容は標記できませんので簡略に表示しています詳しい内容に関しては各新聞及び雑誌をご覧ください

中国新5カ年計画

20101028 日本経済新聞

高機能消臭素材

20101028 化学工業日報

環境規制等

終わりの科学

20101201 日経サイエンス

電気自動車の覇権

20101123 週刊エコノミスト

環境規制対応

20101122 日経産業新聞

温暖化ガス排出枠

20101122 日経産業新聞

ロス自動車ショー

20101119 日経産業新聞

EV と環境規制

20101119 朝日新聞

EV

20101119 東京新聞

環境と法規制

20101119 化学工業日報

トヨタとテスラ

20101118 読売新聞速報ニュー

CO2 排出量削減

20101118 日経産業新聞

カリフォルニア州環境規制と EV

20101112 日本経済新聞

環境規制

20101112 日本経済新聞

環境規制

20101112 日経産業新聞

米韓 FTA

20101112 朝日新聞

米韓 FTA

20101112 毎日新聞

顔料

20101112 化学工業日報

レアメタル供給規制

20101111 日本経済新聞

潮冷熱

20101110 日本経済新聞

レアアース生産と環境規制

20101108 ダウジョーンズ中国企

業ニュース

韓米FTA

20101101 中央日報

科学技術政策

競争的資金制度

20101122 日本経済新聞

科学技術関係補正予算案 

20101122 THE DOCTOR

韓国 KIST

20101121 朝鮮日報

科学技術政策

20101119 日本経済新聞電子版

セクション

科学技術政策

20101118 日本経済新聞

科学技術政策

20101118 日経産業新聞

女性研究者

20101117 日経速報ニュース

科学技術予算

20101114 東京読売新聞

トップ1論文

20101112 科学新聞

中国特許強国に

20101112 新華社ニュース

関経連と科学技術政策

20101110 産経新聞 

科学技術産業一体政策

20101109 日刊工業新聞

優れた論文の条件

20101105 毎日新聞

「焼け太り許さぬ」

20101102 朝日新聞

国の研究開発投資目標

20101029 日刊工業新聞

科技政策で提言

20101027 日経産業新聞

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PEN

Nov

embe

r

科学への信頼に関する読者調査

20101201 日経サイエンス

「カップリング反応」アニメ化

20101110 朝日新聞東京読売

新聞他

科学と社会つなぐ人材

20101025 東京新聞

NEWS POD 

情報誌 PEN 購読のご案内PEN の継続的な購読をご希望の方は下記のメールアドレスまでお名前ご所属メールアドレスをご記入の上ご連絡ください登録配信は無料ですnano-penmaistgojp

PEN は原則月 1 回配信しますバックナンバーと PEN の前身【AIST-TOKYO ナノテク情報】をナノシステム研究部門ホームページにて公開しています httpunitaistgojpnrinano-planindexhtml

PEN は皆さまとの情報共有を目的としていますお持ちの情報で共有すべきものがあれば nano-penmaistgojp までお寄せ下さい

いただいた個人情報は産総研 個人情報保護方針(プライバシーポリシー)に基づき大切に管理し情報誌 PEN の運営と私達のイベントのご案内のみに使用させていただきます

科学技術コミュニケーション

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PEN N

ovember

イベント案内

[産学連携研究開発]大阪大学ナノ理工学人材育成産学コンソーシアム 第 3 回ナノ理工学情報交流会場所大阪大学中之島センター 7 階 講義室 3(講師来訪)

   大阪大学東京オフィスサテライト教室

(遠隔講義配信)

   四日市商工会議所内サテライト教室

(遠隔講義配信)については調整中です

コンソーシアム HP にてご確認ください

   ナノテク社会人教育プログラムの開講をされてい

る場合遠隔講義配信に対応可能です事務局まで

ご連絡ください

日時2010 年 12 月 10 日(金)1330 ~ 1900 頃

主催大阪大学ナノ理工学人材育成産学コンソーシアム 

概要ナノ理工学人材育成産学コンソーシアムでは活動

の一環として産学連携のきっかけを提供すべく企業と

大学の双方からテーマに即した研究開発やトピックを紹介

し会員同士の意見交換と情報共有の促進をはかっていま

す第 3 回目となる今回は「光を用いたナノテクノロジー

の新展開」をテーマに開催しますプログラムなどの詳細

は下記の HP をご参照下さい

参加費コンソーシアム会員学生及び大阪大学教職員は

無料(コンソーシアム企業会員の場合社内から何名でも

無料で参加が可能です)

上記以外の方は資料作成費 1000 円が必要になります

参加登録氏名所属連絡先懇談会への出欠を記載の

上メールにて大阪大学ナノ理工学人材育成産学コンソー

シアム事務局(nano-consnanoscienceorjp)へお申込み

下さい

httpwwwnanoscienceorjp

[コミュニケーション]科学コミュニケーション研究会 第 1 回関西支部勉強会日時2010 年 12 月 2 日 1800 ~ 2000

場所京都大学 吉田泉殿

主催科学コミュニケーション研究会 関西支部有志

概要大阪教育大学科学教育センターの中矢史雄氏を講師

に招きオーストラリアの科学技術コミュニケーションに

ついてオーストラリア国立大学科学意識向上センター

での経験なども交えてお話いただきます定員は 25 名で

す事前申し込みが必要です

httpbitlybPmTP9

[展示会]セミコンジャパン 2010日時12 月 1 日~ 3 日

場所幕張メッセ

主催SEMI

概要国内外の最新のマイクロエレクトロニクス技術に関

する情報を入手することのできる世界最大の半導体製造装

置材料展です

httpwwwsemiconjapanorgjaindexhtm

[知財]アジア特許庁シンポジウム日時2010 年 12 月 3 日(金)930 ~ 1210

場所ホテル日航奈良 飛天の間

主催特許庁

概要日本中国韓国インドネシアマレーシアシ

ンガポールの特許庁幹部を招き各国の知財保護強化の取

組みやアジアにおける知財協力を紹介しますまたパ

ネルディスカッションを設けアジアにおける人材育成協

力の方向性について議論します

httpwwwintergroupjp~convasia

[人材育成]応用物理学会 人財育成シンポジウム -日本の危機を科学が救うそのためのリーダー育成を考える-日時2010 年 11 月 29 日(月)1000 ~ 1710

場所東京工業大学デジタル多目的ホール

主催応用物理学会

概要急速に進むグローバル化に対応のできる人材を育成

するための課題や応用物理学会が貢献することのできる

具体的な取り組みについて議論します

イベント案内へ掲載を希望される方は nano-penmaistgojp までご一報ください

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Nov

embe

r h t t p w w w j s a p o r j p a c t i v i t i e s e d u c a t i o n

symppt2010symphtml 

[コミュニケーション]科学技術とメディアのより良い関係に向けて日時11 月 26 日 1815 ~ 2030

場所早稲田大学大隈小講堂

主催サイエンスメディアセンター(SMC)

概要英国オーストラリアのサイエンスメディアセ

ンターの関係者米国のサイエンスコミュニケータを交え

て研究者とメディアの有益な関係性構築に向けた取り組

みについて議論します参加費は無料同時通訳がつきま

httpsmc-japanorgp=403 

[異分野連携]医学領域と工学領域連携研究シンポジウム ‐ 未来を拓く医工連携 ‐日時2010 年 11 月 27 日(土)

場所山口大学医学部第 3 講義室

主催日本学術会議中国四国地区会議山口大学

概要がんの個別化医療をメインテーマにこれからの医

工連携のあり方について講演と議論を行います

httpwwwscjgojpjaeventpdf100-t-3pdf 

[人材育成]マイクロナノエンジニアリング シンポジウム ‐ イノベーションと人材育成 ‐日時2010 年 12 月 8 日(水)1300 ~ 1700

場所日本学術会議 講堂

主催日本学術会議 マイクロナノエンジニアリング分

科会日本機械学会 マイクロナノ工学専門会議

概要学際的分野であるマイクロナノエンジニアリング

は大学大学院における教育の整備関連する産業界

学術界での研究開発における分野融合的な取組みが不可欠

です本シンポジウムでは人材育成を軸とした課題につ

いて議論します

httpwwwscjgojpjaeventpdf100-s-3-1pdf

[ 博物館展示 ]自然に学ぶ ネイチャーテクノロジーとライフスタイル展開催中です

場所国立科学博物館 (東京上野公園)

日時2010 年 10 月 26 日~ 2010 年 2 月 11 日

主催東北大学大学院環境科学研究科国立科学博物館

特定非営利活動法人ものづくり生命文明機構

概要蝶や鳥など生き物や自然の仕組みにヒントを得た環

境負荷の低い技術と将来的な応用の可能性から日本文化

に根差した共生型の新しいライフスタイルのあり方につい

て紹介します国立科学博物館の入館料600円が必要です

httpwwwkahakugojpevent201010natureindex

html

[人材育成]シンポジウム「世界を魅せる日本の課題解決型基礎研究~JST 目利き制度とその可能性」日時2010 年 12 月 6 日(月)1000-1800 (0900 受

付開始)

場所東京国際フォーラム B5 ホール

主催(独)科学技術振興機構(JST)

概要JST がこれまでに行ってきた戦略的創造研究推進

事業の成果を振り返りつつ今後の日本の科学技術の発

展に向けた事業のあり方について参加者の皆様と議論しま

httpwwwsenryaku30jstgojp 

[ 持続可能性 ]学術会議シンポジウム「低炭素化に向けた経済社会エネルギーのあり方と実現のシナリオ」日時2010 年 12 月 9 日(木)1330 ~ 1700

場所学術会議講堂

主催土木工学建築学委員会低炭素建築都市分科会

社会資本分科会

概要両分科会は中~超長期のエネルギー消費量削減シ

ナリオ策定に取り組んできました本シンポジウムでは

分科会の検討結果や削減のための様々な取り組みを紹介

し今後のとりまとめ作業に向けた議論を行います

httpwwwscjgojpjaeventpdf104-s-3-6pdf 

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ovember

PEN 編集室関谷瑞木阿多誠文独立行政法人産業技術総合研究所 ナノシステム研究部門 305-8568 つくば市梅園 1-1-1 産総研つくばセンター中央第 2 M404Email nano-penmaistgojpTel029-861-5185 Fax 029-861-5339

編集後記

今月 8 日に長野県長野市で開催された第 3 回国際ナノ

ワークショップ「ナノテクノロジーの社会受容~ナノ

材料の工業標準化の国際的な動向と環境影響について

~」の会場で多くの企業の皆様と意見交換をする貴

重な機会を得た目まぐるしい勢いで変わってゆく諸

外国の環境規制策の動向に民間企業の皆様が神経を

とがらせておられることがひしひしと感じられた東

京から新幹線で 1 時間半インターネットでリアルタ

イムに世界とつながることのできる時代とはいえ情

報物人が集積する地である東京とは異なる苦労も

あることもお聞きした美しい山々きれいな空気あ

るいは世界に誇る観光遺産と科学技術を結び付けて

地域振興をはかりたいとの頑張っておいでの方にもお

会いした

月刊という制約はあるもののこうした方々にとって

タイムリーで有用な情報を提供し続けたいと改めて

強く感じた

ちなみにPEN を発行しているつくば市の産総研つく

ばセンターへもつくばエクスプレスと路線バスを乗

り継いで都心からは約 1 時間半かかる

2010 年 11 月 25 日

PEN 編集室一同ウナギツカミ

Page 25: Public Engagement with Nano- PEN November …...5 PEN November 【知財】 中国、10年で特許強国に(2010.11.12) 中国国家知識産権局は11日に「全国特許事業発展戦略

25

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(BZY) の混合粉末を固めた基板上にプレス成形された BZI

であるhttpwwwnimsgojpnewspress201011201011180

p201011180pdf

【レアアース】微生物でレアアースの回収が可能に バクテリアがレアアースを濃縮する現象を発見 (201011 17)広島大学高エネルギー加速器研究機構高輝度光科学研

究センター

共同研究グループは微生物の細胞表面では微生物が存在

しない周囲部分に比べてレアアースを高濃度に濃縮する現

象を見出したまたレアアースの中でも特に希少価値の高

い元素が選択的に濃縮することを発見その濃縮メカニズ

ムを放射光を用いたX線吸収法により明らかにした

httpwwwkekjpjanewspress2010RareEarthElementshtml

【はやぶさ】はやぶさカプセル内の微粒子の起源が判明(201011 17)宇宙航空研究開発機構

「はやぶさ」のサンプルキャッチャー室から特殊形状のヘ

ラで採集された微粒子を走査型電子顕微鏡にて観察および

分析した結果1500 個程度の微粒子を岩石質と同定した

更にその分析結果を検討したところそのほぼ全てが地

球外物質であり小惑星イトカワ由来であると判断するに

至った

httpwwwjaxajppress20101120101117_sac_hayabusapdf

【超伝導基礎科学】超伝導のメカニズム解明に大きな手がかり ルテニウム酸化物の電子の運動状態を選択的に可視化することに成功 電子対を形成する「のり」の起源を初めて解明

(201011 17)広島大学産総研

1994 年に日本で発見されたルテニウム酸化物超伝導体は

ユニークな超伝導状態を示しこれまで数多くの研究が行

われてきたがいまだにその超伝導のメカニズムは謎のま

まであった超伝導が生じるためには電子と電子を「のり」

で結びつけ「電子対」にする必要がある共同研究グルー

プは放射光の直線偏光特性を活用するため放射光の光

軸のまわりに回転可能な高分解能角度分解光電子分光装置

を開発しルテニウム酸化物超伝導体の超伝導機構解明に

重要な手がかりをつかんだ研究グループが開発した新装

置を用いることによりルテニウム酸化物超伝導体の異な

る運動状態にある電子を選択的に分離しながら精密に分

析することが初めて可能となったその結果物質の電子対

を形成するための「のり」として結晶を作っている原子

の振動が重要な役割を果たしていることその「のり」が

どのくらい強く働いているのか等が明らかとなった httpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101117

pr20101117html

世界最高性能基準光源を開発 安定高精度高速の三拍子そろった光信号の発生に成功 (201011 15) 情報通信研究機構(NICT)国立天文台(NAOJ)

NICT と NAOJ はNICT 独自の高消光比変調技術を利用

し精度を保ったまま周波数範囲を拡大する構成を提案し

たNAOJ の安定度向上技術による制御機能を組み合わせ

ることで世界最高性能の基準信号発生装置を共同開発

し100 ギガヘルツを超える高速信号の長距離伝送を実現

した本装置の方式により従来技術の課題であった安定

性周波数範囲精度の問題を解決した安定性は 2 台の

レーザを用いる従来方式に比べて 10 倍以上を実現し信

号の乱れを 30 万年に 1 秒以下とすることに成功したま

た精度は従来型変調器と比較し 1000 倍以上周波数範

囲は 4 倍を達成したhttpwww2nictgojppubwhatsnewpressh22101115101115

html

【基礎科学レーザ分光】電子の氷を光で融かす一瞬を捉える 光が有機物質を変える瞬間の超高速スナップショット (201011 15)東北大学自然科学研究機構分子科学研究所科学技術振

興機構(JST)

共同研究グループは光の照射によって有機物質の色や

電気伝導度が大きく変化する光誘起相転移現象の最初の瞬

間を捉えることに成功した電場と磁場の振動である光の

振動の3周期分に匹敵する極めて短いパルス光をポンププ

ローブ分光によって二次元有機物質における電荷秩序の

融解のダイナミクスすなわちldquo 電子の氷 rdquo が光によっ

てどのように解け絶縁体から金属へと変化するのかと

いう問題を明らかにしたものこの成果 12 月初めには米

国物理学会誌 Physical Review Letters オンライン版で公開

予定

httpwwwjstgojpprannounce20101117-2indexhtml

【熱電材料】水を使って絶縁体から効率のよい熱電材料を作ることに成

26

PEN

Nov

embe

r 功 希少毒性金属を含まない安価簡便な熱電材料創製に新たな道 (201011 15)科学技術振興機構 (JST)名古屋大学

熱電材料は熱を電気に変換することができることからエ

ンジンの排熱を利用して発電するハイブリッド自動車など

への応用が期待されているが従来の熱電材料はビスマ

スアンチモン鉛テルルといった希少毒性金属など

を含む問題があったJST 課題解決型基礎研究の一環とし

て名古屋大学の研究グループは水の電気分解を利用し

安くてありふれた絶縁体酸化物表面を大きな熱電効果を示

す金属へ変えることに成功した大量に水を含んだ多孔質

ガラスを新規に開発しこの多孔質ガラスを金属チタンと

チタン酸ストロンチウムに挟んで電圧を加えると水の電

気分解によって絶縁体のはずのチタン酸ストロンチウムの

表面に厚さ 3 ナノメートル以下の極めて薄い金属チタン酸

ストロンチウムが生成した通常の金属チタン酸ストロン

チウムに対して 4~5 倍高い電圧を示すことから従来の

熱電材料の約 2 倍の熱電性能が期待できる

httpwwwjstgojpprannounce20101117indexhtml

【基礎科学物質の起源】国際研究チーム反水素原子を瓶の中に閉じこめることに成功(20101118)理化学研究所

8 か国からなる研究チームは欧州合同原子核研究機関

(CERN)の装置を用いて加速器で反陽子と陽電子を作

成し磁場の中に閉じこめたのちに撹拌して反陽子と陽

電子1個ずつを結びつけ反水素原子を生成した反水素

生成後に余った反陽子と陽電子を取り除き反水素原子だ

けを特殊な瓶の中に封じ込めることに成功した計 38 個

の反水素原子が 02 秒間存在したことを確認反物質は

Dan Brown の小説「天使と悪魔」で非常に微量で爆発

を起こす材料として登場するしかし今回の手法では短

時間に消滅してしまい爆弾に使える量をためるのは不可

能だという17 日付の Nature Online 版に掲載

httpwwwrikenjpr-worldinforeleasepress2010101118 

【マックスウェルの悪魔実証】情報をエネルギーに変換することに成功 ldquo マックスウェルの悪魔 rdquo を実験により世界で初めて実現新規ナノデバイスの実現に期待 (201011 15)中央大学東京大学

微細加工技術とサブミクロンスケールのリアルタイム制御

システムを組み合わせ「マックスウェルの悪魔」と呼ば

れる科学史上の重要な概念を世界で初めて実験により実現

した これによって情報をエネルギーに変換できるこ

とを初めて示すとともに情報を媒介して駆動する新規ナ

ノデバイスの実現の可能性を示した マックスウェルの

悪魔は熱力学の根本に関わる概念でありこれを実現でき

た学問的意義は大きいまた科学者以外にもよく知られ

たテーマであり多くの人が興味を持つ話題でもある情

報を媒介して駆動する新規のナノデバイスを実現できる可

能性があり基礎的研究にとどまらずナノサイエンスで

の新しい制御法への応用が期待できるこの成果は 11 月

14 日に Nature Physics Online に公開された

Toyabe Sagawa Ueda Muneyuki and Sano

ldquoExperimental demonstration of information-to-energy

conversion and validation of the generalized Jarzynski

equalityrdquo

httpwwwsu-tokyoacjppresspress-2010-42html

詳細は中央大学 HPhttpwwwchuo-uacjpchuo-unewscontents_jhtmlsuffix=kampmo

de=topamptopics=12513

【基礎科学分子バネ】電子の出し入れで硬さが劇的に変わる分子バネを開発 たった 1 つの電子放出で分子全体の動きやすさが 450 倍も変化 (201011 15)理化学研究所科学技術振興機構(JST)

6 個の炭素原子が環状につながったベンゼン環は有機化

合物において最も基本的な構成ユニットの一つでありベ

ンゼン環をさまざまな形で結合させたものが盛んに研究さ

れてきたしかしベンゼン環を隣り合う炭素の位置で結

合させたオルトフェニレンは単純な構造でありながら合

成が難しいためこれまでほとんど研究がなされておらず

その性質は解明されていなかった理化学研究所の研究グ

ループはベンゼン環 48 個を隣り合った炭素の位置で結

合させたオルトフェニレンを世界で初めて合成したオル

トフェニレンは3 つのベンゼン環が 1 ピッチのらせんを

形成するバネ状の構造をしているがこのようなバネ状の

構造を持った分子はさまざまな機能を発揮するためエ

レクトロニクスや分子機械への応用の可能性が高まってい

る研究グループはこのバネ状分子から電子を 1 つ取

り去るとバネの硬さが劇的に増してらせんの反転速度が

約 450 分の 1 も遅くなることを突き止めたまたこの

1 個の電子の出し入れに応じてバネのピッチが 3263Aring か

ら 3224Aring と変化したこれまで電子が高密度に含まれ

た分子バネは電子を出し入れすることでその振る舞いが

変化することが理論上予想されていたがこのように電子

を多量に含む分子バネの合成は難しく実験的にも証明さ

れていなかった硬さの変化というこれまで実現すること

27

PEN N

ovember

ができなかった応答をする分子バネの登場は応答性分子

の分野に新たなコンセプトをもたらすと注目される本研

究成果はJST 戦略的創造研究推進事業 発展研究 (ERATO-

SORST)「分子プログラミングによる電子ナノ空間の創成

と応用」の一環として行われたものhttpwwwrikenjpr-worldinforeleasepress2010101115

indexhtml

【自己組織化基質選択的会合】分子間の特異的な相互作用による新規材料集積法を開発 分子が好みの分子を見分けて接着 (201011 15)大阪大学科学技術振興機構(JST)

近年分子認識を利用して分子と分子を非共有結合でつな

げることによりさまざまな超分子錯体が合成されさらに

これらを自己集合させる研究が行われているこれらの研

究において形成される集合体は分子の大きさであるナノ

メートルからマイクロメートルの極めて小さなもので高

倍率の顕微鏡を使わなければ見えない分子認識に基づい

て手軽に使えるくらいの大きな自己組織体を作り出すこと

はナノテクノロジー分野において分子を自己組織化さ

せて機能性材料を創製する上で重要な課題であった大阪

大学の研究グループはホスト分子としてシクロデキスト

リンをゲスト分子としてシクロデキストリンが結合する

化合物を用いてそのホスト-ゲスト相互作用を利用して

多様な自己組織化超分子ポリマーの構造体を作りマクロ

スケールで機能を発現させる研究を進めている今回D

NAやタンパク質の分子量決定に広く用いられるアクリル

アミドゲルを土台にしてこのゲルにシクロデキストリン

とゲスト分子をそれぞれ別々に導入し「ホストゲル」と

「ゲストゲル」を合成したこの両者を水中で振動させる

とゲルが接着する挙動が観察されミリメートルからセン

チメートルの大きさの物体を分子認識により自己集積でき

ることを世界で初めて実証したさらにシクロデキストリ

ンとゲスト分子との相互作用の強さの違いによって選択的

に特定のゲル同士を接着させることができることがわかっ

httpwwwjstgojpprannounce20101115indexhtml

【ブタノール分離膜】バイオブタノールの省エネルギー型膜分離精製技術を開発1 wt ブタノール水溶液から80 wt 以上の高濃度ブタノールの回収が可能 (201011 15)産総研

産総研は1 wt 程度の希薄なブタノール水溶液からゼ

オライト系分離膜を用いて 80 wt 以上に濃縮したブタ

ノールを回収できる省エネルギー型のバイオブタノール精

製技術を開発した ブタノールはエタノールと比較して

発熱量が大きいことから地球温暖化対策に貢献できる再

生可能なバイオ液体燃料すなわちポストバイオエタノー

ルとして期待されている今回合成条件の最適化を進め

高いアルコール選択透過性をもつシリカライト分離膜を合

成し膜分離法によって低濃度ブタノール水溶液から高

濃度ブタノールの回収が可能となった従来の分離膜を用

いた場合に比べてブタノール回収のためのエネルギーを

50 ~ 70 程度低減できることが期待される httpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101113

pr20101113html

【分子生物学】 化学合成したペプチドからウイルスの殻構造を組み上げることに成功 新規ナノ材料や医療材料としての応用に期待 (201011 12) 九州大学北九州市立大学

共同研究グループは化学合成したペプチドから約 40 ナ

ノメートルのウイルスの殻構造を組み上げることに世界で

初めて成功した球状の植物ウイルスから遺伝子を除いた

キャプシド構造と呼ばれる殻構造は決まった大きさのナ

ノ空間であることからナノ物質の反応器や運び手として

利用する研究が国内外で盛んに行われているしかしこ

れまでウイルスのキャプシド構造を得るにはウイルス

の遺伝子をバクテリア内に導入して生産させる必要があっ

た本研究では遺伝子やバクテリアを用いない完全化学

合成によってウイルスキャプシドを構築することに成功

した今回ウイルスの殻構造を簡単なペプチドから構築

できたことで様々な機能性ウイルスキャプシドを人工的

に創成する道が拓けたと言えるこのペプチドからなるナ

ノカプセルに適切な化学修飾を施すことによりナノ物質

合成のための反応器や医薬品の運び手人工ワクチンを

創成するための足場材料として応用できるものと期待され

るhttpwwwkyushu-uacjppressrelease20102010-11-12-04pdf

【レアメタル】レアメタル使用量削減技術の実用化を加速(20101110)新エネルギー産業技術総合開発機構 (NEDO)

NEDO はレアアース総合対策の一環として企業が取り

組むレアメタル使用量削減技術の実用化を加速するための

助成事業(事業規模約 100 億円)を 2010 年度補正予算

の成立を前提に行うこの助成事業では短期間で実用化

が期待できる以下の技術開発を対象として①レアメタル

28

PEN

Nov

embe

r を代替する材料の技術開発 ②レアメタルの使用量を削

減する技術開発 ③レアメタルのリサイクルを促進する

技術開発 ④その他のレアメタル消費の削減に資する技

術開発を行うhttpapp3infocnedogojpinformationskoubopressEFnedopre

ss2010-11-068550095069

【導波路型光スイッチ】光スイッチの消費電力を従来の 2 分の 1 に低減 増え続けるネットワーク機器の消費電力問題を解決 (201011 09)( 株 ) 富士通研究所

同社はシリコンフォトニクス技術を適用した導波路型光

スイッチについて世界で初めてシリコンゲルマニウム

(SiGe)細線構造を用いることで従来のシリコン細線構

造に比べて消費電力を約 2 分の 1 に低減することに成

功した幅広い波長に対応して高速に動作できるタイプの

光スイッチ素子としては世界最小の消費電力を実現して

いるhttpprfujitsucomjpnews2010119html

【ナノ構造機能】昆虫が足を擦る秘密をナノテクノロジーで解明 生体模倣による新しい材料機能の開発に活用 (201011 09)物質材料研究機構マックスプランク研究所キール大

共同研究チームは環境問題で循環型社会実現に求められる

「接着と分離」を繰り返せる未来の接合技術の開発研究に

おいてガラスのような平坦な表面を逆さまでも歩行でき

る昆虫の足の裏の優れた接着性に着目し昆虫(ハムシ)

の歩行調査を行いナノテクノロジーを用いた実験により

昆虫が摩擦により汚れを感じていることを突き止めた

httpwwwnimsgojpnewspress201011p201011090html

【超音波流量計半導体プロセス】極微量な流量を精密に測定できる超音波流量計を開発 半導体製造装置の性能を向上させ環境負荷を低減しランニングコストを削減 (201011 09)産総研( 株 ) アツデン東京計装 ( 株 )

3 者は共同で10 mLmin( 誤差plusmn 01 mLmin) 以下の極

微量な流量を精密に測定できる超音波流量計を開発した

この流量計は超音波ガイド波の伝搬に関する基礎理論の

見直しを行い超音波を高周波化し設計を最適化するこ

とにより開発したものでこれまでの超音波流量計では計

測できなかった微小な流速領域での流量測定ができるこ

の超音波流量計は半導体製造装置で利用される薬液の高

精度な制御を可能にし半導体製造装置の高性能化環境

負荷の低減ランニングコスト削減へ貢献すると期待され

る httpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101109

pr20101109html

【研究交流】中国上海における国際交流事業の実施同済大学と大学間学術交流協定を締結 (201011 08)大阪大学

10 月 21 日上海において開催した上海教育研究センター

開所式記念講演会祝賀会には鷲田清一総長をはじめ

とする大阪大学教職員中国の学術交流協定校関係者大

阪大学同窓会会員など約 130 人が列席し盛況の内に終

了した翌 22 日23 日には第 15 回大阪大学上海交

通大学学術交流セミナーが上海交通大学情報ネットワーク

センターを主会場として開催され7つの研究会に約 100

人が参加したさらに 23 日と 24 日の両日上海東亜展

覧館を会場に開催された中国国際教育展に大阪大学のブー

スを出展し100 人を超える留学相談者が本学のブースを

訪れた翌 10 月 22 日鷲田清一総長は上海市内にある

同済大学を訪問裴学長陳副学長ほか大学関係者と懇談

するとともに大学間学術交流協定及び学生交流覚書の調

印式に臨んだこれにより中国の大学との 10 番目の協定

が成立したhttpwwwosaka-uacjpjanewstopics20101120101108_1

httpwwwosaka-uacjpjanewstopics20101120101108_2

【高耐久性セラミック】激しい熱変化にも強度劣化しない窒化ケイ素系セラミックスを開発 窒化ホウ素の微粒子を分散させ耐熱衝撃性を飛躍的に向上 (201011 08)産総研三井金属鉱業(株)

両者は共同で従来品に比べて耐熱衝撃性と高温での強度

を飛躍的に高めた窒化ケイ素系セラミックスを開発した

今回窒化ケイ素(Si3N4)をベースとして高い熱伝導

率をもつ粒界相を形成させるとともにそこに非晶質に近

い窒化ホウ素のナノメートルオーダーの微粒子を分散させ

ることで耐熱衝撃性を飛躍的に向上させた従来の窒化

ケイ素が 1000 の温度差で強度が低下するのに対して

今回の開発材は電気炉で 1400 に加熱した後水中に投

下することを 10 回繰り返してもほとんど強度が劣化しな

かったまたこの開発材について大気中 1200 で高温

29

PEN N

ovember

曲げ試験を行ったところ室温と同程度の強度を保持して

いたセラミックスでは大型化すると小試験片では得られ

た特性が得られず実用化を進める上での課題になること

が多いがこの開発材では焼結条件を最適化することに

よって直径 82 mm 長さ 370 mm の比較的大型の部品で

も試験片と同様の組織物性が得られたまた実際の

製品形状に近い部品の焼成も可能となったhttpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101108

pr20101108html

【ミリ波発信器】ミリ波帯無線通信の実用化にめど 世界最高性能の低雑音局部発振器を開発 (201011 08)東京工業大学

東工大の研究グループは雑音を従来の 100 分の1以下

に低減したミリ波帯局部発振器を開発した20GHz 帯の

発振器と 60GHz 帯の注入同期型直交局部発振器を組み合

わせることにより世界最高の低位相雑音性能を達成した

無線通信の周波数帯ひっ迫を解消する技術として 60GHz

ミリ波帯の利用が注目されているがミリ波帯ではコイル

やコンデンサの損失が大きくなり位相雑音特性が劣化す

るのがネックだった今回はこれを解決したものでミ

リ波無線通信の実用化につながる成果発振器は 65 ナノ

メートルのシリコン CMOS プロセスを利用して試作した

580GHz から 636GHz の周波数範囲で 4 相正弦波出力が

可能でこの発振器により10Gbps(毎秒 100 億ビット)

以上の超高速ミリ波帯無線通信の実現が期待されるh t t p w w w o l d t i t e c h a c j p t o k y o - t e c h - i n - t h e - n e w s j

archives2010111289174400html

【炭素繊維応用】住宅向け外装材「炭素繊維補強サイディング」の本格展開について 優れた強度と耐熱寸法安定性で 15 年の基材保証を実現 (20101105)東レ ACE(株)

東レの子会社東レ ACE は炭素繊維で補強した窯業系サ

イディングを開発し本格販売と市場展開を開始する「炭

素繊維補強サイディング」はセメント質原料に炭素繊維

を添加配合して成型固着させた建物外壁用のセメントボー

ドで従来の窯業系サイディングの優れた防耐火性耐久

性等を維持しつつ更なる強度補強効果や火災高温時の

変形や熱収縮によるひび割れの抑制など耐熱寸法安定性

も向上させることで基材 15 年保証を実現する 本製品

に使用している炭素繊維は軽くて強く優れた高温特性や

耐熱性を有し非常に細い繊維を多く配合できることから

外装材としての強度補強効果も期待できるとしている

httpwwwtoraycojpnewsaffilnr101105html

【光ファイバーナノインプリント】ナノ格子反射防止表面光ファイバー先端に形成ナノ技術で安く製作 (20101105)東北大学

東北大の研究グループは微小な窪みが多数形成された反

射防止構造体を光ファイバーの先端に製作する技術を開発

した光ファイバーは光通信や光分析装置の構成部品とし

て使われており光源受光素子やレンズなどの光部品と

の接続損失を減らすために先端に反射防止膜が形成され

ている従来の反射防止膜は真空装置を使って薄膜を付け

るためコストが問題であった研究グループはナノイン

プリント技術を用いて光ファイバー先端のコア部に 270

ナノメートル間隔で微小な円錐状の窪みを形成し反射損

失を低減することに成功したナノインプリント技術は

基板に塗布したポリマーに原版を押し付けて微細パターン

を転写する技術で高価な露光装置や真空装置が不要なた

めナノ構造を安価に製作することができる今回光ファ

イバー先端にナノ構造を製作するために専用のナノインプ

リント装置を開発した窪みの間隔が光の波長よりも小さ

い場合屈折率が変化し反射波が生じにくくなる反射

率や波長帯域は窪みの形状間隔や高さで決まり従来

の反射防止膜よりも設計の自由度が高いため要求に合わ

せて種々の反射防止表面を製作することが可能 httpwwwtohokuacjpjapanese201011press20101105-2

html

【人工筋肉機能材料】光を運動エネルギーに変える新高分子素材の開発に成功 世界で初めて分子を大面積で 3 次元的に配列させ新機能を実現 (20101105)理化学研究所

光で変形したり電子を流すなどの機能を持った分子を人工

的に規則正しく大面積で集積することができると機能性

材料の性能向上や革新的新機能の発現につながるそのた

め世界中で精力的に開発が行われているがこれまで実現

させた例はなかった理化学研究所の研究グループは光

で構造が変化するアゾベンゼン分子を組み込んだブラシ状

の高分子「ポリマーブラシ」を大面積で 3 次元的に一挙

に配列させる手法の開発に初めて成功したこの規則性の

ある 3 次元集積構造は延伸したテフロンシートにポリ

マーブラシを挟み込みアイロンに似た熱と圧力を加える

といういたって簡単な操作で実現したさらにこのフィ

30

PEN

Nov

embe

r ルムに光を当てるとアゾベンゼン分子の構造変化が一方

向に集約しフィルムが湾曲するという巨視的変形を引き

起こすことを見いだしたすなわちこの新しいフィルム

は光エネルギーを運動エネルギーに変換する機能を持って

おり新たな人工筋肉材料などへの展開が期待されるま

た本技術は有機薄膜太陽電池をはじめとする次世代の機

能材料の開発にも革新をもたらすと期待されるhttpwwwrikenjpr-worldinforeleasepress2010101105

indexhtml

【リチウムイオン電池正極材料】常温プロセスで全固体薄膜リチウムイオン電池の試作に成功 エアロゾルデポジション法による蓄電池製造の新工法開発を本格化 (2010115)産総研

産総研はトヨタ自動車 ( 株 ) と共同で産総研が開発し

たセラミックス材料の常温高速コーティングプロセスであ

るエアロゾルデポジション (AD) 法を用いて酸化物系の

正極材料負極材料固体電解質材料を薄膜積層化して

金属基板上に 3 層構造からなる全固体薄膜リチウム (Li) イ

オン電池を試作蓄電池としての充放電特性を世界で初め

て確認した 従来型の薄膜技術とは異なりAD 法を用い

ると基板の加熱が不要でまた厚膜化も容易であるそ

のため成膜時間が大幅に短縮でき蓄電池の生産性向上

やプロセスコストの大幅な低減が期待される今後は AD

法を用いた本格的な全固体電池の共同開発を進めていく httpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101105

pr20101105html

【記録デバイススピントルク素子】次世代超高密度 HDD に向けたマイクロ波アシスト記録の基本技術を開発 磁気ヘッドに搭載可能なスピントルク素子を用いた磁気情報の書き換えを確認 (2010115)新エネルギー産業技術総合開発機構(NEDO)(株)日

立製作所

NEDO はハードディスク装置(HDD)の開発製造会社で

ある日立グローバルストレージテクノロジーズの協力を得

て従来の磁気記録方式の限界を超えHDD の記録密度

を飛躍的に伸ばす方式として期待されているマイクロ波ア

シスト磁気記録方式の基本技術を開発しその原理を実験

的に確認したマイクロ波アシスト記録では記録媒体の

小領域にマイクロ波帯の高周波磁界を加え磁気情報の書

き込みを容易にする今回開発したのはヘッドに搭載可

能な高周波磁界を発生するスピントルク発振素子でこの

素子を用いて記録媒体上に磁気情報を記録できることを実

験的に確認したこれまで外部のマイクロ波発生装置を

用いたマイクロ波アシスト効果の報告例はあったが今回

微細な発振素子を用いた磁気情報の記録を確認できたこと

により将来この素子を記録ヘッドに搭載しマイクロ波

アシスト記録を実用的に行える可能性が示されたhttpapp3infocnedogojpinformationskoubopressEFnedopre

ss2010-11-029718160145

【基礎科学物性】絶縁体が金属に変わる新原理の解明 超伝導素子や熱電変換素子の開発へ道(20101104)東北大学

東北大学原子分子材料科学高等研究機構の研究グループ

は高品質酸化物薄膜において電気が流れにくい絶縁体

状態から流れやすい金属状態への遷移機構を解明した材

料における電気の流れやすさは電気を流す担い手である

伝導キャリアが物質中にどれだけ含まれるか伝導キャリ

アがどれくらいスムーズに動きまわれるかによって決ま

るつまり伝導キャリアの濃度を増やしたり材料中で

伝導キャリアの動きを妨げる原因になるひずみや欠陥を少

なくすると電気はより流れやすくなる本研究では人

工宝石として知られるチタン酸ストロンチウム (SrTiO3)

の絶縁体を用い伝導電子を生み出すキャリア供給層を

SrTiO3 絶縁体間に挟み込んだ絶縁体層 キャリア供給層

絶縁体層の層状界面構造をもつ高品質超格子構造を作製す

ることで絶縁体層の体積を増加させると反対に電気が流

れやすい金属状態になる現象を発見した最新の電子顕微

鏡技術を用いた原子構造解析と電子状態の理論計算を駆使

して絶縁体を増加させると界面で結晶のひずみが少なく

なり高導電化することを解明した本研究が明らかにした

界面での結晶のひずみを制御することによって絶縁体を金

属状態へ変化できる現象は様々な材料でも普遍的に起こる

と考えられ絶縁体から金属へ変わる境目で性能が向上す

る新超伝導体や新熱電材料の開発に展開することが可能と

期待されるhttpwwwtohokuacjpjapanesenewimgpressimgtohokuuniv-

presspdf

【環状高分子】様々な環状高分子の自在な合成に成功 「かたち」に基づく機能開発に期待(2010112)東京工業大学

東工大の研究グループはこれまで困難とされてきた

種々の含環状高分子の選択的な合成に成功した同研究

グループで開発された単環状高分子合成プロセスである

31

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Electrostatic Self-Assembly and Covalent Fixation Process

と有機合成化学の新手法であるクリックケミストリー

を組み合わせることで様々な「かたち」の自在な構築

を達成した本手法の開発により近年注目を集めてい

る「かたち」に基づいた高分子物性の探索を加速させる

ものと期待されるhttp wwwo ld t i t e ch ac j p tokyo - t ech - in - the -news j

archives2010111288656000html

【異分野連携オープンイノベーションモデル】応用脳科学コンソーシアム 脳科学及びその周辺領域の学術知見を活用したオープンイノベーションモデルの研究活動を開始 異業種の民間企業と異分野の脳科学研究者が連携し事業性の高い研究テーマを推進 (2010111)アサヒビール(株)(株)NTT データ積水ハウス(株)

(株)竹中工務店帝人(株)凸版印刷(株)日産自動

車(株)(株)博報堂(株)NTT データ経営研究所

NTT データ経営研究所が日本神経科学学会の協力を得て

2010 年 10 月 1 日に創設した「応用脳科学コンソーシア

ム」においてそれぞれの事業活動に関連する独創性の

高い研究テーマについて複数の「応用脳科学 RampD 研究会」

を立ち上げるRampD 研究会では各 RampD 研究会を設置

した特別会員企業が各テーマに関連の深い脳科学及び

その関連領域の研究者を招聘し異業種である他の会員

企業とともに最新の研究知見を活用してオープンイノ

ベーションモデルの研究活動を実施する各社が設置す

る RampD 研究会は現時点で(1)おいしさの総合評価研究

会(アサヒビール)(2)ヘルスケア脳情報クラウド研究

会(NTT データ)(3)インタラクティブ住環境研究会(積

水ハウス株式会社)(4)コミュニケーション空間研究

会(竹中工務店)(5)メディアエンゲージメント研究

会(博報堂)この他の RampD 研究会については今後随

時応用脳科学コンソーシアムのウェブサイト httpwww

keieikencojpcan で公開予定

httpwwwnttdatacojprelease2010110101html

【レーザ技術基礎光物性】熱を加えずに結晶を柔らかくすることに成功 高強度テラヘルツ電磁パルスで分子ネットワーク操作が可能に 

(2010111)京都大学科学技術振興機構(JST)

京都大学はテラヘルツ電磁パルスと呼ばれる新しい光

を物質に照射することで1兆分の1秒の短い時間で結

晶中の分子を大振幅で揺さぶり熱平衡状態では実現で

きないような分子変位を実現することに世界で初めて成

功した実験結果は結晶が実効的にやわらかくなったこ

とを意味するものでさらに強いテラヘルツ電磁パルス

によって高効率で結晶を融解させることを示唆するこ

れは熱による反応を起こすことなく新しい分子間のネッ

トワークやたんぱく質などの巨大分子の立体配位を操作

できることを示しており化学合成における反応促進や

創薬における有機分子結晶の精製での活用が考えられる

今回の成果は JST 戦略的創造研究推進事業日本学術振

興会学術創成プロジェクト「動的相スイッチ機構を内在

する有機電子材料の開拓と非平衡物性科学への展開」お

よび京都大学グローバル COE プログラム「普遍性と創発

性から紡ぐ次世代物理学」によるものhttpwwwjstgojpprannounce20101101indexhtml

【高周波デバイス】透 明 な 高 周 波 デ バ イ ス 見 え な い ア ン テ ナ へ の 道

(20101028)物質材料研究機構太陽誘電(株)

両者は共同で透明な高周波デバイスを製造するための

基本技術である微細な金属配線と酸化物透明導電体から

なるハイブリッド構造を開発した本技術は不透明で

あるが高い伝導性を示す金属と透明ではあるが金属の

100 分の 1 程度の伝導率にとどまる酸化物透明導電体と

を組合せ両者の特性を相補的に活用することにより

透明でありかつ携帯電話をはじめとする無線デジタ

ル通信に用いられるギガヘルツ帯の高周波に対して高い

伝送特性を示す素子構造を実現した

httpwwwnimsgojpnewspress201010p201010280html

【エコ製品環境経営】COP10 に向けた環境配慮型製品技術の取り組み ポリ乳酸繊維 ldquo エコディア rdquo 使用商品の提供や連携事業「メッセナゴヤ 2010」への出展を通じ環境保全の取り組みを強化 (20101028)東レ ( 株 )

同社は10 月 11 日 ( 月 ) から 29 日 ( 金 ) に開催された

生物多様性条約第 10 回締約国会議 (COP10) に向けて

ポリ乳酸繊維 ldquo エコディア rdquo 使用商品の提供などを通じて

環境に配慮した運営に協力したまたCOP10 の連携事

業である環境エネルギーをテーマとした展示会「メッ

セナゴヤ 2010」に出展し環境に配慮した次世代自動車

や最先端航空機向けの先端材料を紹介した

httpwwwtoraycojpnewsfibernr101028html

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r

NEWS POD 著作権の関係で記事のタイトルと詳細内容は標記できませんので簡略に表示しています詳しい内容に関しては各新聞及び雑誌をご覧ください

ナノテクノロジー

研究開発最前線

20101122 日 刊 工 業 新 聞 News

ウェーブ 21

X 線レーザー

20101121 東京読売新聞

新潟ナノテク研究会

20101120 日本経済新聞

ナノテクとバイオ

20101120 下野新聞

バイオ起業

20101119 朝日新聞

ナノ粒子の構造制御

20101119 日刊工業新聞

水素原子観察

20101119 科学新聞

光ファイバー関連技術

20101119 科学新聞

希少金属対策

20101118 日刊工業新聞

熱電材料

20101117 日経速報ニュース

化学合成でナノ構造

20101117 日経産業新聞

つくばナノテク研究拠点への投資

20101117 日刊工業新聞

分子バネ

20101116 日経速報ニュース

ナノバイオ融合

20101116 日経産業新聞

フレンドオブアースのナノテク評

20101116 エコロジーエクスプレス

クラスターテクノロジー

20101112 産経新聞

実用化助成

20101111 日刊産業新聞

接着のメカニズム

20101110 日経産業新聞

電子材料

20101110 日経産業新聞

ナノ磁石

20101110 東京新聞

高分解能放射線検出器

20101110 化学工業日報

電池電極材料

20101108 日本経済新聞

食の安全性

20101108 日経エコロジー

ナノ磁石実用化

20101105 朝日新聞

ナノテク接着剤

20101105 日刊工業新聞

水素原子の観察

20101105 日刊工業新聞

補正予算案

20101105 科学新聞

ナノ磁石

20101104 日本経済新聞

ナノボーグ

20101104 日刊工業新聞

ITO 電極代替技術

20101104 鉄鋼新聞

レアアース代替材

20101103 日本経済新聞電子版

セクション

ナノ鉄磁

20101103 毎日新聞

有機トランジスタ

20101101 日 経 速 報 ニ ュ ー ス

アーカイブ

有機トランジスタ

20101101 日経産業新聞

ナノムービー

20101101 日経サイエンス

低燃費タイヤ

20101030 朝日新聞

筑波大生命科学研究拠点

20101030 茨城新聞

レアアース代替材

20101029 日経産業新聞

播磨地域

20101029 化学工業日報

ナノ粒子操作

20101029 科学新聞

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NEWS POD 著作権の関係で記事のタイトルと詳細内容は標記できませんので簡略に表示しています詳しい内容に関しては各新聞及び雑誌をご覧ください

中国新5カ年計画

20101028 日本経済新聞

高機能消臭素材

20101028 化学工業日報

環境規制等

終わりの科学

20101201 日経サイエンス

電気自動車の覇権

20101123 週刊エコノミスト

環境規制対応

20101122 日経産業新聞

温暖化ガス排出枠

20101122 日経産業新聞

ロス自動車ショー

20101119 日経産業新聞

EV と環境規制

20101119 朝日新聞

EV

20101119 東京新聞

環境と法規制

20101119 化学工業日報

トヨタとテスラ

20101118 読売新聞速報ニュー

CO2 排出量削減

20101118 日経産業新聞

カリフォルニア州環境規制と EV

20101112 日本経済新聞

環境規制

20101112 日本経済新聞

環境規制

20101112 日経産業新聞

米韓 FTA

20101112 朝日新聞

米韓 FTA

20101112 毎日新聞

顔料

20101112 化学工業日報

レアメタル供給規制

20101111 日本経済新聞

潮冷熱

20101110 日本経済新聞

レアアース生産と環境規制

20101108 ダウジョーンズ中国企

業ニュース

韓米FTA

20101101 中央日報

科学技術政策

競争的資金制度

20101122 日本経済新聞

科学技術関係補正予算案 

20101122 THE DOCTOR

韓国 KIST

20101121 朝鮮日報

科学技術政策

20101119 日本経済新聞電子版

セクション

科学技術政策

20101118 日本経済新聞

科学技術政策

20101118 日経産業新聞

女性研究者

20101117 日経速報ニュース

科学技術予算

20101114 東京読売新聞

トップ1論文

20101112 科学新聞

中国特許強国に

20101112 新華社ニュース

関経連と科学技術政策

20101110 産経新聞 

科学技術産業一体政策

20101109 日刊工業新聞

優れた論文の条件

20101105 毎日新聞

「焼け太り許さぬ」

20101102 朝日新聞

国の研究開発投資目標

20101029 日刊工業新聞

科技政策で提言

20101027 日経産業新聞

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科学への信頼に関する読者調査

20101201 日経サイエンス

「カップリング反応」アニメ化

20101110 朝日新聞東京読売

新聞他

科学と社会つなぐ人材

20101025 東京新聞

NEWS POD 

情報誌 PEN 購読のご案内PEN の継続的な購読をご希望の方は下記のメールアドレスまでお名前ご所属メールアドレスをご記入の上ご連絡ください登録配信は無料ですnano-penmaistgojp

PEN は原則月 1 回配信しますバックナンバーと PEN の前身【AIST-TOKYO ナノテク情報】をナノシステム研究部門ホームページにて公開しています httpunitaistgojpnrinano-planindexhtml

PEN は皆さまとの情報共有を目的としていますお持ちの情報で共有すべきものがあれば nano-penmaistgojp までお寄せ下さい

いただいた個人情報は産総研 個人情報保護方針(プライバシーポリシー)に基づき大切に管理し情報誌 PEN の運営と私達のイベントのご案内のみに使用させていただきます

科学技術コミュニケーション

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イベント案内

[産学連携研究開発]大阪大学ナノ理工学人材育成産学コンソーシアム 第 3 回ナノ理工学情報交流会場所大阪大学中之島センター 7 階 講義室 3(講師来訪)

   大阪大学東京オフィスサテライト教室

(遠隔講義配信)

   四日市商工会議所内サテライト教室

(遠隔講義配信)については調整中です

コンソーシアム HP にてご確認ください

   ナノテク社会人教育プログラムの開講をされてい

る場合遠隔講義配信に対応可能です事務局まで

ご連絡ください

日時2010 年 12 月 10 日(金)1330 ~ 1900 頃

主催大阪大学ナノ理工学人材育成産学コンソーシアム 

概要ナノ理工学人材育成産学コンソーシアムでは活動

の一環として産学連携のきっかけを提供すべく企業と

大学の双方からテーマに即した研究開発やトピックを紹介

し会員同士の意見交換と情報共有の促進をはかっていま

す第 3 回目となる今回は「光を用いたナノテクノロジー

の新展開」をテーマに開催しますプログラムなどの詳細

は下記の HP をご参照下さい

参加費コンソーシアム会員学生及び大阪大学教職員は

無料(コンソーシアム企業会員の場合社内から何名でも

無料で参加が可能です)

上記以外の方は資料作成費 1000 円が必要になります

参加登録氏名所属連絡先懇談会への出欠を記載の

上メールにて大阪大学ナノ理工学人材育成産学コンソー

シアム事務局(nano-consnanoscienceorjp)へお申込み

下さい

httpwwwnanoscienceorjp

[コミュニケーション]科学コミュニケーション研究会 第 1 回関西支部勉強会日時2010 年 12 月 2 日 1800 ~ 2000

場所京都大学 吉田泉殿

主催科学コミュニケーション研究会 関西支部有志

概要大阪教育大学科学教育センターの中矢史雄氏を講師

に招きオーストラリアの科学技術コミュニケーションに

ついてオーストラリア国立大学科学意識向上センター

での経験なども交えてお話いただきます定員は 25 名で

す事前申し込みが必要です

httpbitlybPmTP9

[展示会]セミコンジャパン 2010日時12 月 1 日~ 3 日

場所幕張メッセ

主催SEMI

概要国内外の最新のマイクロエレクトロニクス技術に関

する情報を入手することのできる世界最大の半導体製造装

置材料展です

httpwwwsemiconjapanorgjaindexhtm

[知財]アジア特許庁シンポジウム日時2010 年 12 月 3 日(金)930 ~ 1210

場所ホテル日航奈良 飛天の間

主催特許庁

概要日本中国韓国インドネシアマレーシアシ

ンガポールの特許庁幹部を招き各国の知財保護強化の取

組みやアジアにおける知財協力を紹介しますまたパ

ネルディスカッションを設けアジアにおける人材育成協

力の方向性について議論します

httpwwwintergroupjp~convasia

[人材育成]応用物理学会 人財育成シンポジウム -日本の危機を科学が救うそのためのリーダー育成を考える-日時2010 年 11 月 29 日(月)1000 ~ 1710

場所東京工業大学デジタル多目的ホール

主催応用物理学会

概要急速に進むグローバル化に対応のできる人材を育成

するための課題や応用物理学会が貢献することのできる

具体的な取り組みについて議論します

イベント案内へ掲載を希望される方は nano-penmaistgojp までご一報ください

36

PEN

Nov

embe

r h t t p w w w j s a p o r j p a c t i v i t i e s e d u c a t i o n

symppt2010symphtml 

[コミュニケーション]科学技術とメディアのより良い関係に向けて日時11 月 26 日 1815 ~ 2030

場所早稲田大学大隈小講堂

主催サイエンスメディアセンター(SMC)

概要英国オーストラリアのサイエンスメディアセ

ンターの関係者米国のサイエンスコミュニケータを交え

て研究者とメディアの有益な関係性構築に向けた取り組

みについて議論します参加費は無料同時通訳がつきま

httpsmc-japanorgp=403 

[異分野連携]医学領域と工学領域連携研究シンポジウム ‐ 未来を拓く医工連携 ‐日時2010 年 11 月 27 日(土)

場所山口大学医学部第 3 講義室

主催日本学術会議中国四国地区会議山口大学

概要がんの個別化医療をメインテーマにこれからの医

工連携のあり方について講演と議論を行います

httpwwwscjgojpjaeventpdf100-t-3pdf 

[人材育成]マイクロナノエンジニアリング シンポジウム ‐ イノベーションと人材育成 ‐日時2010 年 12 月 8 日(水)1300 ~ 1700

場所日本学術会議 講堂

主催日本学術会議 マイクロナノエンジニアリング分

科会日本機械学会 マイクロナノ工学専門会議

概要学際的分野であるマイクロナノエンジニアリング

は大学大学院における教育の整備関連する産業界

学術界での研究開発における分野融合的な取組みが不可欠

です本シンポジウムでは人材育成を軸とした課題につ

いて議論します

httpwwwscjgojpjaeventpdf100-s-3-1pdf

[ 博物館展示 ]自然に学ぶ ネイチャーテクノロジーとライフスタイル展開催中です

場所国立科学博物館 (東京上野公園)

日時2010 年 10 月 26 日~ 2010 年 2 月 11 日

主催東北大学大学院環境科学研究科国立科学博物館

特定非営利活動法人ものづくり生命文明機構

概要蝶や鳥など生き物や自然の仕組みにヒントを得た環

境負荷の低い技術と将来的な応用の可能性から日本文化

に根差した共生型の新しいライフスタイルのあり方につい

て紹介します国立科学博物館の入館料600円が必要です

httpwwwkahakugojpevent201010natureindex

html

[人材育成]シンポジウム「世界を魅せる日本の課題解決型基礎研究~JST 目利き制度とその可能性」日時2010 年 12 月 6 日(月)1000-1800 (0900 受

付開始)

場所東京国際フォーラム B5 ホール

主催(独)科学技術振興機構(JST)

概要JST がこれまでに行ってきた戦略的創造研究推進

事業の成果を振り返りつつ今後の日本の科学技術の発

展に向けた事業のあり方について参加者の皆様と議論しま

httpwwwsenryaku30jstgojp 

[ 持続可能性 ]学術会議シンポジウム「低炭素化に向けた経済社会エネルギーのあり方と実現のシナリオ」日時2010 年 12 月 9 日(木)1330 ~ 1700

場所学術会議講堂

主催土木工学建築学委員会低炭素建築都市分科会

社会資本分科会

概要両分科会は中~超長期のエネルギー消費量削減シ

ナリオ策定に取り組んできました本シンポジウムでは

分科会の検討結果や削減のための様々な取り組みを紹介

し今後のとりまとめ作業に向けた議論を行います

httpwwwscjgojpjaeventpdf104-s-3-6pdf 

37

PEN N

ovember

PEN 編集室関谷瑞木阿多誠文独立行政法人産業技術総合研究所 ナノシステム研究部門 305-8568 つくば市梅園 1-1-1 産総研つくばセンター中央第 2 M404Email nano-penmaistgojpTel029-861-5185 Fax 029-861-5339

編集後記

今月 8 日に長野県長野市で開催された第 3 回国際ナノ

ワークショップ「ナノテクノロジーの社会受容~ナノ

材料の工業標準化の国際的な動向と環境影響について

~」の会場で多くの企業の皆様と意見交換をする貴

重な機会を得た目まぐるしい勢いで変わってゆく諸

外国の環境規制策の動向に民間企業の皆様が神経を

とがらせておられることがひしひしと感じられた東

京から新幹線で 1 時間半インターネットでリアルタ

イムに世界とつながることのできる時代とはいえ情

報物人が集積する地である東京とは異なる苦労も

あることもお聞きした美しい山々きれいな空気あ

るいは世界に誇る観光遺産と科学技術を結び付けて

地域振興をはかりたいとの頑張っておいでの方にもお

会いした

月刊という制約はあるもののこうした方々にとって

タイムリーで有用な情報を提供し続けたいと改めて

強く感じた

ちなみにPEN を発行しているつくば市の産総研つく

ばセンターへもつくばエクスプレスと路線バスを乗

り継いで都心からは約 1 時間半かかる

2010 年 11 月 25 日

PEN 編集室一同ウナギツカミ

Page 26: Public Engagement with Nano- PEN November …...5 PEN November 【知財】 中国、10年で特許強国に(2010.11.12) 中国国家知識産権局は11日に「全国特許事業発展戦略

26

PEN

Nov

embe

r 功 希少毒性金属を含まない安価簡便な熱電材料創製に新たな道 (201011 15)科学技術振興機構 (JST)名古屋大学

熱電材料は熱を電気に変換することができることからエ

ンジンの排熱を利用して発電するハイブリッド自動車など

への応用が期待されているが従来の熱電材料はビスマ

スアンチモン鉛テルルといった希少毒性金属など

を含む問題があったJST 課題解決型基礎研究の一環とし

て名古屋大学の研究グループは水の電気分解を利用し

安くてありふれた絶縁体酸化物表面を大きな熱電効果を示

す金属へ変えることに成功した大量に水を含んだ多孔質

ガラスを新規に開発しこの多孔質ガラスを金属チタンと

チタン酸ストロンチウムに挟んで電圧を加えると水の電

気分解によって絶縁体のはずのチタン酸ストロンチウムの

表面に厚さ 3 ナノメートル以下の極めて薄い金属チタン酸

ストロンチウムが生成した通常の金属チタン酸ストロン

チウムに対して 4~5 倍高い電圧を示すことから従来の

熱電材料の約 2 倍の熱電性能が期待できる

httpwwwjstgojpprannounce20101117indexhtml

【基礎科学物質の起源】国際研究チーム反水素原子を瓶の中に閉じこめることに成功(20101118)理化学研究所

8 か国からなる研究チームは欧州合同原子核研究機関

(CERN)の装置を用いて加速器で反陽子と陽電子を作

成し磁場の中に閉じこめたのちに撹拌して反陽子と陽

電子1個ずつを結びつけ反水素原子を生成した反水素

生成後に余った反陽子と陽電子を取り除き反水素原子だ

けを特殊な瓶の中に封じ込めることに成功した計 38 個

の反水素原子が 02 秒間存在したことを確認反物質は

Dan Brown の小説「天使と悪魔」で非常に微量で爆発

を起こす材料として登場するしかし今回の手法では短

時間に消滅してしまい爆弾に使える量をためるのは不可

能だという17 日付の Nature Online 版に掲載

httpwwwrikenjpr-worldinforeleasepress2010101118 

【マックスウェルの悪魔実証】情報をエネルギーに変換することに成功 ldquo マックスウェルの悪魔 rdquo を実験により世界で初めて実現新規ナノデバイスの実現に期待 (201011 15)中央大学東京大学

微細加工技術とサブミクロンスケールのリアルタイム制御

システムを組み合わせ「マックスウェルの悪魔」と呼ば

れる科学史上の重要な概念を世界で初めて実験により実現

した これによって情報をエネルギーに変換できるこ

とを初めて示すとともに情報を媒介して駆動する新規ナ

ノデバイスの実現の可能性を示した マックスウェルの

悪魔は熱力学の根本に関わる概念でありこれを実現でき

た学問的意義は大きいまた科学者以外にもよく知られ

たテーマであり多くの人が興味を持つ話題でもある情

報を媒介して駆動する新規のナノデバイスを実現できる可

能性があり基礎的研究にとどまらずナノサイエンスで

の新しい制御法への応用が期待できるこの成果は 11 月

14 日に Nature Physics Online に公開された

Toyabe Sagawa Ueda Muneyuki and Sano

ldquoExperimental demonstration of information-to-energy

conversion and validation of the generalized Jarzynski

equalityrdquo

httpwwwsu-tokyoacjppresspress-2010-42html

詳細は中央大学 HPhttpwwwchuo-uacjpchuo-unewscontents_jhtmlsuffix=kampmo

de=topamptopics=12513

【基礎科学分子バネ】電子の出し入れで硬さが劇的に変わる分子バネを開発 たった 1 つの電子放出で分子全体の動きやすさが 450 倍も変化 (201011 15)理化学研究所科学技術振興機構(JST)

6 個の炭素原子が環状につながったベンゼン環は有機化

合物において最も基本的な構成ユニットの一つでありベ

ンゼン環をさまざまな形で結合させたものが盛んに研究さ

れてきたしかしベンゼン環を隣り合う炭素の位置で結

合させたオルトフェニレンは単純な構造でありながら合

成が難しいためこれまでほとんど研究がなされておらず

その性質は解明されていなかった理化学研究所の研究グ

ループはベンゼン環 48 個を隣り合った炭素の位置で結

合させたオルトフェニレンを世界で初めて合成したオル

トフェニレンは3 つのベンゼン環が 1 ピッチのらせんを

形成するバネ状の構造をしているがこのようなバネ状の

構造を持った分子はさまざまな機能を発揮するためエ

レクトロニクスや分子機械への応用の可能性が高まってい

る研究グループはこのバネ状分子から電子を 1 つ取

り去るとバネの硬さが劇的に増してらせんの反転速度が

約 450 分の 1 も遅くなることを突き止めたまたこの

1 個の電子の出し入れに応じてバネのピッチが 3263Aring か

ら 3224Aring と変化したこれまで電子が高密度に含まれ

た分子バネは電子を出し入れすることでその振る舞いが

変化することが理論上予想されていたがこのように電子

を多量に含む分子バネの合成は難しく実験的にも証明さ

れていなかった硬さの変化というこれまで実現すること

27

PEN N

ovember

ができなかった応答をする分子バネの登場は応答性分子

の分野に新たなコンセプトをもたらすと注目される本研

究成果はJST 戦略的創造研究推進事業 発展研究 (ERATO-

SORST)「分子プログラミングによる電子ナノ空間の創成

と応用」の一環として行われたものhttpwwwrikenjpr-worldinforeleasepress2010101115

indexhtml

【自己組織化基質選択的会合】分子間の特異的な相互作用による新規材料集積法を開発 分子が好みの分子を見分けて接着 (201011 15)大阪大学科学技術振興機構(JST)

近年分子認識を利用して分子と分子を非共有結合でつな

げることによりさまざまな超分子錯体が合成されさらに

これらを自己集合させる研究が行われているこれらの研

究において形成される集合体は分子の大きさであるナノ

メートルからマイクロメートルの極めて小さなもので高

倍率の顕微鏡を使わなければ見えない分子認識に基づい

て手軽に使えるくらいの大きな自己組織体を作り出すこと

はナノテクノロジー分野において分子を自己組織化さ

せて機能性材料を創製する上で重要な課題であった大阪

大学の研究グループはホスト分子としてシクロデキスト

リンをゲスト分子としてシクロデキストリンが結合する

化合物を用いてそのホスト-ゲスト相互作用を利用して

多様な自己組織化超分子ポリマーの構造体を作りマクロ

スケールで機能を発現させる研究を進めている今回D

NAやタンパク質の分子量決定に広く用いられるアクリル

アミドゲルを土台にしてこのゲルにシクロデキストリン

とゲスト分子をそれぞれ別々に導入し「ホストゲル」と

「ゲストゲル」を合成したこの両者を水中で振動させる

とゲルが接着する挙動が観察されミリメートルからセン

チメートルの大きさの物体を分子認識により自己集積でき

ることを世界で初めて実証したさらにシクロデキストリ

ンとゲスト分子との相互作用の強さの違いによって選択的

に特定のゲル同士を接着させることができることがわかっ

httpwwwjstgojpprannounce20101115indexhtml

【ブタノール分離膜】バイオブタノールの省エネルギー型膜分離精製技術を開発1 wt ブタノール水溶液から80 wt 以上の高濃度ブタノールの回収が可能 (201011 15)産総研

産総研は1 wt 程度の希薄なブタノール水溶液からゼ

オライト系分離膜を用いて 80 wt 以上に濃縮したブタ

ノールを回収できる省エネルギー型のバイオブタノール精

製技術を開発した ブタノールはエタノールと比較して

発熱量が大きいことから地球温暖化対策に貢献できる再

生可能なバイオ液体燃料すなわちポストバイオエタノー

ルとして期待されている今回合成条件の最適化を進め

高いアルコール選択透過性をもつシリカライト分離膜を合

成し膜分離法によって低濃度ブタノール水溶液から高

濃度ブタノールの回収が可能となった従来の分離膜を用

いた場合に比べてブタノール回収のためのエネルギーを

50 ~ 70 程度低減できることが期待される httpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101113

pr20101113html

【分子生物学】 化学合成したペプチドからウイルスの殻構造を組み上げることに成功 新規ナノ材料や医療材料としての応用に期待 (201011 12) 九州大学北九州市立大学

共同研究グループは化学合成したペプチドから約 40 ナ

ノメートルのウイルスの殻構造を組み上げることに世界で

初めて成功した球状の植物ウイルスから遺伝子を除いた

キャプシド構造と呼ばれる殻構造は決まった大きさのナ

ノ空間であることからナノ物質の反応器や運び手として

利用する研究が国内外で盛んに行われているしかしこ

れまでウイルスのキャプシド構造を得るにはウイルス

の遺伝子をバクテリア内に導入して生産させる必要があっ

た本研究では遺伝子やバクテリアを用いない完全化学

合成によってウイルスキャプシドを構築することに成功

した今回ウイルスの殻構造を簡単なペプチドから構築

できたことで様々な機能性ウイルスキャプシドを人工的

に創成する道が拓けたと言えるこのペプチドからなるナ

ノカプセルに適切な化学修飾を施すことによりナノ物質

合成のための反応器や医薬品の運び手人工ワクチンを

創成するための足場材料として応用できるものと期待され

るhttpwwwkyushu-uacjppressrelease20102010-11-12-04pdf

【レアメタル】レアメタル使用量削減技術の実用化を加速(20101110)新エネルギー産業技術総合開発機構 (NEDO)

NEDO はレアアース総合対策の一環として企業が取り

組むレアメタル使用量削減技術の実用化を加速するための

助成事業(事業規模約 100 億円)を 2010 年度補正予算

の成立を前提に行うこの助成事業では短期間で実用化

が期待できる以下の技術開発を対象として①レアメタル

28

PEN

Nov

embe

r を代替する材料の技術開発 ②レアメタルの使用量を削

減する技術開発 ③レアメタルのリサイクルを促進する

技術開発 ④その他のレアメタル消費の削減に資する技

術開発を行うhttpapp3infocnedogojpinformationskoubopressEFnedopre

ss2010-11-068550095069

【導波路型光スイッチ】光スイッチの消費電力を従来の 2 分の 1 に低減 増え続けるネットワーク機器の消費電力問題を解決 (201011 09)( 株 ) 富士通研究所

同社はシリコンフォトニクス技術を適用した導波路型光

スイッチについて世界で初めてシリコンゲルマニウム

(SiGe)細線構造を用いることで従来のシリコン細線構

造に比べて消費電力を約 2 分の 1 に低減することに成

功した幅広い波長に対応して高速に動作できるタイプの

光スイッチ素子としては世界最小の消費電力を実現して

いるhttpprfujitsucomjpnews2010119html

【ナノ構造機能】昆虫が足を擦る秘密をナノテクノロジーで解明 生体模倣による新しい材料機能の開発に活用 (201011 09)物質材料研究機構マックスプランク研究所キール大

共同研究チームは環境問題で循環型社会実現に求められる

「接着と分離」を繰り返せる未来の接合技術の開発研究に

おいてガラスのような平坦な表面を逆さまでも歩行でき

る昆虫の足の裏の優れた接着性に着目し昆虫(ハムシ)

の歩行調査を行いナノテクノロジーを用いた実験により

昆虫が摩擦により汚れを感じていることを突き止めた

httpwwwnimsgojpnewspress201011p201011090html

【超音波流量計半導体プロセス】極微量な流量を精密に測定できる超音波流量計を開発 半導体製造装置の性能を向上させ環境負荷を低減しランニングコストを削減 (201011 09)産総研( 株 ) アツデン東京計装 ( 株 )

3 者は共同で10 mLmin( 誤差plusmn 01 mLmin) 以下の極

微量な流量を精密に測定できる超音波流量計を開発した

この流量計は超音波ガイド波の伝搬に関する基礎理論の

見直しを行い超音波を高周波化し設計を最適化するこ

とにより開発したものでこれまでの超音波流量計では計

測できなかった微小な流速領域での流量測定ができるこ

の超音波流量計は半導体製造装置で利用される薬液の高

精度な制御を可能にし半導体製造装置の高性能化環境

負荷の低減ランニングコスト削減へ貢献すると期待され

る httpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101109

pr20101109html

【研究交流】中国上海における国際交流事業の実施同済大学と大学間学術交流協定を締結 (201011 08)大阪大学

10 月 21 日上海において開催した上海教育研究センター

開所式記念講演会祝賀会には鷲田清一総長をはじめ

とする大阪大学教職員中国の学術交流協定校関係者大

阪大学同窓会会員など約 130 人が列席し盛況の内に終

了した翌 22 日23 日には第 15 回大阪大学上海交

通大学学術交流セミナーが上海交通大学情報ネットワーク

センターを主会場として開催され7つの研究会に約 100

人が参加したさらに 23 日と 24 日の両日上海東亜展

覧館を会場に開催された中国国際教育展に大阪大学のブー

スを出展し100 人を超える留学相談者が本学のブースを

訪れた翌 10 月 22 日鷲田清一総長は上海市内にある

同済大学を訪問裴学長陳副学長ほか大学関係者と懇談

するとともに大学間学術交流協定及び学生交流覚書の調

印式に臨んだこれにより中国の大学との 10 番目の協定

が成立したhttpwwwosaka-uacjpjanewstopics20101120101108_1

httpwwwosaka-uacjpjanewstopics20101120101108_2

【高耐久性セラミック】激しい熱変化にも強度劣化しない窒化ケイ素系セラミックスを開発 窒化ホウ素の微粒子を分散させ耐熱衝撃性を飛躍的に向上 (201011 08)産総研三井金属鉱業(株)

両者は共同で従来品に比べて耐熱衝撃性と高温での強度

を飛躍的に高めた窒化ケイ素系セラミックスを開発した

今回窒化ケイ素(Si3N4)をベースとして高い熱伝導

率をもつ粒界相を形成させるとともにそこに非晶質に近

い窒化ホウ素のナノメートルオーダーの微粒子を分散させ

ることで耐熱衝撃性を飛躍的に向上させた従来の窒化

ケイ素が 1000 の温度差で強度が低下するのに対して

今回の開発材は電気炉で 1400 に加熱した後水中に投

下することを 10 回繰り返してもほとんど強度が劣化しな

かったまたこの開発材について大気中 1200 で高温

29

PEN N

ovember

曲げ試験を行ったところ室温と同程度の強度を保持して

いたセラミックスでは大型化すると小試験片では得られ

た特性が得られず実用化を進める上での課題になること

が多いがこの開発材では焼結条件を最適化することに

よって直径 82 mm 長さ 370 mm の比較的大型の部品で

も試験片と同様の組織物性が得られたまた実際の

製品形状に近い部品の焼成も可能となったhttpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101108

pr20101108html

【ミリ波発信器】ミリ波帯無線通信の実用化にめど 世界最高性能の低雑音局部発振器を開発 (201011 08)東京工業大学

東工大の研究グループは雑音を従来の 100 分の1以下

に低減したミリ波帯局部発振器を開発した20GHz 帯の

発振器と 60GHz 帯の注入同期型直交局部発振器を組み合

わせることにより世界最高の低位相雑音性能を達成した

無線通信の周波数帯ひっ迫を解消する技術として 60GHz

ミリ波帯の利用が注目されているがミリ波帯ではコイル

やコンデンサの損失が大きくなり位相雑音特性が劣化す

るのがネックだった今回はこれを解決したものでミ

リ波無線通信の実用化につながる成果発振器は 65 ナノ

メートルのシリコン CMOS プロセスを利用して試作した

580GHz から 636GHz の周波数範囲で 4 相正弦波出力が

可能でこの発振器により10Gbps(毎秒 100 億ビット)

以上の超高速ミリ波帯無線通信の実現が期待されるh t t p w w w o l d t i t e c h a c j p t o k y o - t e c h - i n - t h e - n e w s j

archives2010111289174400html

【炭素繊維応用】住宅向け外装材「炭素繊維補強サイディング」の本格展開について 優れた強度と耐熱寸法安定性で 15 年の基材保証を実現 (20101105)東レ ACE(株)

東レの子会社東レ ACE は炭素繊維で補強した窯業系サ

イディングを開発し本格販売と市場展開を開始する「炭

素繊維補強サイディング」はセメント質原料に炭素繊維

を添加配合して成型固着させた建物外壁用のセメントボー

ドで従来の窯業系サイディングの優れた防耐火性耐久

性等を維持しつつ更なる強度補強効果や火災高温時の

変形や熱収縮によるひび割れの抑制など耐熱寸法安定性

も向上させることで基材 15 年保証を実現する 本製品

に使用している炭素繊維は軽くて強く優れた高温特性や

耐熱性を有し非常に細い繊維を多く配合できることから

外装材としての強度補強効果も期待できるとしている

httpwwwtoraycojpnewsaffilnr101105html

【光ファイバーナノインプリント】ナノ格子反射防止表面光ファイバー先端に形成ナノ技術で安く製作 (20101105)東北大学

東北大の研究グループは微小な窪みが多数形成された反

射防止構造体を光ファイバーの先端に製作する技術を開発

した光ファイバーは光通信や光分析装置の構成部品とし

て使われており光源受光素子やレンズなどの光部品と

の接続損失を減らすために先端に反射防止膜が形成され

ている従来の反射防止膜は真空装置を使って薄膜を付け

るためコストが問題であった研究グループはナノイン

プリント技術を用いて光ファイバー先端のコア部に 270

ナノメートル間隔で微小な円錐状の窪みを形成し反射損

失を低減することに成功したナノインプリント技術は

基板に塗布したポリマーに原版を押し付けて微細パターン

を転写する技術で高価な露光装置や真空装置が不要なた

めナノ構造を安価に製作することができる今回光ファ

イバー先端にナノ構造を製作するために専用のナノインプ

リント装置を開発した窪みの間隔が光の波長よりも小さ

い場合屈折率が変化し反射波が生じにくくなる反射

率や波長帯域は窪みの形状間隔や高さで決まり従来

の反射防止膜よりも設計の自由度が高いため要求に合わ

せて種々の反射防止表面を製作することが可能 httpwwwtohokuacjpjapanese201011press20101105-2

html

【人工筋肉機能材料】光を運動エネルギーに変える新高分子素材の開発に成功 世界で初めて分子を大面積で 3 次元的に配列させ新機能を実現 (20101105)理化学研究所

光で変形したり電子を流すなどの機能を持った分子を人工

的に規則正しく大面積で集積することができると機能性

材料の性能向上や革新的新機能の発現につながるそのた

め世界中で精力的に開発が行われているがこれまで実現

させた例はなかった理化学研究所の研究グループは光

で構造が変化するアゾベンゼン分子を組み込んだブラシ状

の高分子「ポリマーブラシ」を大面積で 3 次元的に一挙

に配列させる手法の開発に初めて成功したこの規則性の

ある 3 次元集積構造は延伸したテフロンシートにポリ

マーブラシを挟み込みアイロンに似た熱と圧力を加える

といういたって簡単な操作で実現したさらにこのフィ

30

PEN

Nov

embe

r ルムに光を当てるとアゾベンゼン分子の構造変化が一方

向に集約しフィルムが湾曲するという巨視的変形を引き

起こすことを見いだしたすなわちこの新しいフィルム

は光エネルギーを運動エネルギーに変換する機能を持って

おり新たな人工筋肉材料などへの展開が期待されるま

た本技術は有機薄膜太陽電池をはじめとする次世代の機

能材料の開発にも革新をもたらすと期待されるhttpwwwrikenjpr-worldinforeleasepress2010101105

indexhtml

【リチウムイオン電池正極材料】常温プロセスで全固体薄膜リチウムイオン電池の試作に成功 エアロゾルデポジション法による蓄電池製造の新工法開発を本格化 (2010115)産総研

産総研はトヨタ自動車 ( 株 ) と共同で産総研が開発し

たセラミックス材料の常温高速コーティングプロセスであ

るエアロゾルデポジション (AD) 法を用いて酸化物系の

正極材料負極材料固体電解質材料を薄膜積層化して

金属基板上に 3 層構造からなる全固体薄膜リチウム (Li) イ

オン電池を試作蓄電池としての充放電特性を世界で初め

て確認した 従来型の薄膜技術とは異なりAD 法を用い

ると基板の加熱が不要でまた厚膜化も容易であるそ

のため成膜時間が大幅に短縮でき蓄電池の生産性向上

やプロセスコストの大幅な低減が期待される今後は AD

法を用いた本格的な全固体電池の共同開発を進めていく httpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101105

pr20101105html

【記録デバイススピントルク素子】次世代超高密度 HDD に向けたマイクロ波アシスト記録の基本技術を開発 磁気ヘッドに搭載可能なスピントルク素子を用いた磁気情報の書き換えを確認 (2010115)新エネルギー産業技術総合開発機構(NEDO)(株)日

立製作所

NEDO はハードディスク装置(HDD)の開発製造会社で

ある日立グローバルストレージテクノロジーズの協力を得

て従来の磁気記録方式の限界を超えHDD の記録密度

を飛躍的に伸ばす方式として期待されているマイクロ波ア

シスト磁気記録方式の基本技術を開発しその原理を実験

的に確認したマイクロ波アシスト記録では記録媒体の

小領域にマイクロ波帯の高周波磁界を加え磁気情報の書

き込みを容易にする今回開発したのはヘッドに搭載可

能な高周波磁界を発生するスピントルク発振素子でこの

素子を用いて記録媒体上に磁気情報を記録できることを実

験的に確認したこれまで外部のマイクロ波発生装置を

用いたマイクロ波アシスト効果の報告例はあったが今回

微細な発振素子を用いた磁気情報の記録を確認できたこと

により将来この素子を記録ヘッドに搭載しマイクロ波

アシスト記録を実用的に行える可能性が示されたhttpapp3infocnedogojpinformationskoubopressEFnedopre

ss2010-11-029718160145

【基礎科学物性】絶縁体が金属に変わる新原理の解明 超伝導素子や熱電変換素子の開発へ道(20101104)東北大学

東北大学原子分子材料科学高等研究機構の研究グループ

は高品質酸化物薄膜において電気が流れにくい絶縁体

状態から流れやすい金属状態への遷移機構を解明した材

料における電気の流れやすさは電気を流す担い手である

伝導キャリアが物質中にどれだけ含まれるか伝導キャリ

アがどれくらいスムーズに動きまわれるかによって決ま

るつまり伝導キャリアの濃度を増やしたり材料中で

伝導キャリアの動きを妨げる原因になるひずみや欠陥を少

なくすると電気はより流れやすくなる本研究では人

工宝石として知られるチタン酸ストロンチウム (SrTiO3)

の絶縁体を用い伝導電子を生み出すキャリア供給層を

SrTiO3 絶縁体間に挟み込んだ絶縁体層 キャリア供給層

絶縁体層の層状界面構造をもつ高品質超格子構造を作製す

ることで絶縁体層の体積を増加させると反対に電気が流

れやすい金属状態になる現象を発見した最新の電子顕微

鏡技術を用いた原子構造解析と電子状態の理論計算を駆使

して絶縁体を増加させると界面で結晶のひずみが少なく

なり高導電化することを解明した本研究が明らかにした

界面での結晶のひずみを制御することによって絶縁体を金

属状態へ変化できる現象は様々な材料でも普遍的に起こる

と考えられ絶縁体から金属へ変わる境目で性能が向上す

る新超伝導体や新熱電材料の開発に展開することが可能と

期待されるhttpwwwtohokuacjpjapanesenewimgpressimgtohokuuniv-

presspdf

【環状高分子】様々な環状高分子の自在な合成に成功 「かたち」に基づく機能開発に期待(2010112)東京工業大学

東工大の研究グループはこれまで困難とされてきた

種々の含環状高分子の選択的な合成に成功した同研究

グループで開発された単環状高分子合成プロセスである

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Electrostatic Self-Assembly and Covalent Fixation Process

と有機合成化学の新手法であるクリックケミストリー

を組み合わせることで様々な「かたち」の自在な構築

を達成した本手法の開発により近年注目を集めてい

る「かたち」に基づいた高分子物性の探索を加速させる

ものと期待されるhttp wwwo ld t i t e ch ac j p tokyo - t ech - in - the -news j

archives2010111288656000html

【異分野連携オープンイノベーションモデル】応用脳科学コンソーシアム 脳科学及びその周辺領域の学術知見を活用したオープンイノベーションモデルの研究活動を開始 異業種の民間企業と異分野の脳科学研究者が連携し事業性の高い研究テーマを推進 (2010111)アサヒビール(株)(株)NTT データ積水ハウス(株)

(株)竹中工務店帝人(株)凸版印刷(株)日産自動

車(株)(株)博報堂(株)NTT データ経営研究所

NTT データ経営研究所が日本神経科学学会の協力を得て

2010 年 10 月 1 日に創設した「応用脳科学コンソーシア

ム」においてそれぞれの事業活動に関連する独創性の

高い研究テーマについて複数の「応用脳科学 RampD 研究会」

を立ち上げるRampD 研究会では各 RampD 研究会を設置

した特別会員企業が各テーマに関連の深い脳科学及び

その関連領域の研究者を招聘し異業種である他の会員

企業とともに最新の研究知見を活用してオープンイノ

ベーションモデルの研究活動を実施する各社が設置す

る RampD 研究会は現時点で(1)おいしさの総合評価研究

会(アサヒビール)(2)ヘルスケア脳情報クラウド研究

会(NTT データ)(3)インタラクティブ住環境研究会(積

水ハウス株式会社)(4)コミュニケーション空間研究

会(竹中工務店)(5)メディアエンゲージメント研究

会(博報堂)この他の RampD 研究会については今後随

時応用脳科学コンソーシアムのウェブサイト httpwww

keieikencojpcan で公開予定

httpwwwnttdatacojprelease2010110101html

【レーザ技術基礎光物性】熱を加えずに結晶を柔らかくすることに成功 高強度テラヘルツ電磁パルスで分子ネットワーク操作が可能に 

(2010111)京都大学科学技術振興機構(JST)

京都大学はテラヘルツ電磁パルスと呼ばれる新しい光

を物質に照射することで1兆分の1秒の短い時間で結

晶中の分子を大振幅で揺さぶり熱平衡状態では実現で

きないような分子変位を実現することに世界で初めて成

功した実験結果は結晶が実効的にやわらかくなったこ

とを意味するものでさらに強いテラヘルツ電磁パルス

によって高効率で結晶を融解させることを示唆するこ

れは熱による反応を起こすことなく新しい分子間のネッ

トワークやたんぱく質などの巨大分子の立体配位を操作

できることを示しており化学合成における反応促進や

創薬における有機分子結晶の精製での活用が考えられる

今回の成果は JST 戦略的創造研究推進事業日本学術振

興会学術創成プロジェクト「動的相スイッチ機構を内在

する有機電子材料の開拓と非平衡物性科学への展開」お

よび京都大学グローバル COE プログラム「普遍性と創発

性から紡ぐ次世代物理学」によるものhttpwwwjstgojpprannounce20101101indexhtml

【高周波デバイス】透 明 な 高 周 波 デ バ イ ス 見 え な い ア ン テ ナ へ の 道

(20101028)物質材料研究機構太陽誘電(株)

両者は共同で透明な高周波デバイスを製造するための

基本技術である微細な金属配線と酸化物透明導電体から

なるハイブリッド構造を開発した本技術は不透明で

あるが高い伝導性を示す金属と透明ではあるが金属の

100 分の 1 程度の伝導率にとどまる酸化物透明導電体と

を組合せ両者の特性を相補的に活用することにより

透明でありかつ携帯電話をはじめとする無線デジタ

ル通信に用いられるギガヘルツ帯の高周波に対して高い

伝送特性を示す素子構造を実現した

httpwwwnimsgojpnewspress201010p201010280html

【エコ製品環境経営】COP10 に向けた環境配慮型製品技術の取り組み ポリ乳酸繊維 ldquo エコディア rdquo 使用商品の提供や連携事業「メッセナゴヤ 2010」への出展を通じ環境保全の取り組みを強化 (20101028)東レ ( 株 )

同社は10 月 11 日 ( 月 ) から 29 日 ( 金 ) に開催された

生物多様性条約第 10 回締約国会議 (COP10) に向けて

ポリ乳酸繊維 ldquo エコディア rdquo 使用商品の提供などを通じて

環境に配慮した運営に協力したまたCOP10 の連携事

業である環境エネルギーをテーマとした展示会「メッ

セナゴヤ 2010」に出展し環境に配慮した次世代自動車

や最先端航空機向けの先端材料を紹介した

httpwwwtoraycojpnewsfibernr101028html

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NEWS POD 著作権の関係で記事のタイトルと詳細内容は標記できませんので簡略に表示しています詳しい内容に関しては各新聞及び雑誌をご覧ください

ナノテクノロジー

研究開発最前線

20101122 日 刊 工 業 新 聞 News

ウェーブ 21

X 線レーザー

20101121 東京読売新聞

新潟ナノテク研究会

20101120 日本経済新聞

ナノテクとバイオ

20101120 下野新聞

バイオ起業

20101119 朝日新聞

ナノ粒子の構造制御

20101119 日刊工業新聞

水素原子観察

20101119 科学新聞

光ファイバー関連技術

20101119 科学新聞

希少金属対策

20101118 日刊工業新聞

熱電材料

20101117 日経速報ニュース

化学合成でナノ構造

20101117 日経産業新聞

つくばナノテク研究拠点への投資

20101117 日刊工業新聞

分子バネ

20101116 日経速報ニュース

ナノバイオ融合

20101116 日経産業新聞

フレンドオブアースのナノテク評

20101116 エコロジーエクスプレス

クラスターテクノロジー

20101112 産経新聞

実用化助成

20101111 日刊産業新聞

接着のメカニズム

20101110 日経産業新聞

電子材料

20101110 日経産業新聞

ナノ磁石

20101110 東京新聞

高分解能放射線検出器

20101110 化学工業日報

電池電極材料

20101108 日本経済新聞

食の安全性

20101108 日経エコロジー

ナノ磁石実用化

20101105 朝日新聞

ナノテク接着剤

20101105 日刊工業新聞

水素原子の観察

20101105 日刊工業新聞

補正予算案

20101105 科学新聞

ナノ磁石

20101104 日本経済新聞

ナノボーグ

20101104 日刊工業新聞

ITO 電極代替技術

20101104 鉄鋼新聞

レアアース代替材

20101103 日本経済新聞電子版

セクション

ナノ鉄磁

20101103 毎日新聞

有機トランジスタ

20101101 日 経 速 報 ニ ュ ー ス

アーカイブ

有機トランジスタ

20101101 日経産業新聞

ナノムービー

20101101 日経サイエンス

低燃費タイヤ

20101030 朝日新聞

筑波大生命科学研究拠点

20101030 茨城新聞

レアアース代替材

20101029 日経産業新聞

播磨地域

20101029 化学工業日報

ナノ粒子操作

20101029 科学新聞

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NEWS POD 著作権の関係で記事のタイトルと詳細内容は標記できませんので簡略に表示しています詳しい内容に関しては各新聞及び雑誌をご覧ください

中国新5カ年計画

20101028 日本経済新聞

高機能消臭素材

20101028 化学工業日報

環境規制等

終わりの科学

20101201 日経サイエンス

電気自動車の覇権

20101123 週刊エコノミスト

環境規制対応

20101122 日経産業新聞

温暖化ガス排出枠

20101122 日経産業新聞

ロス自動車ショー

20101119 日経産業新聞

EV と環境規制

20101119 朝日新聞

EV

20101119 東京新聞

環境と法規制

20101119 化学工業日報

トヨタとテスラ

20101118 読売新聞速報ニュー

CO2 排出量削減

20101118 日経産業新聞

カリフォルニア州環境規制と EV

20101112 日本経済新聞

環境規制

20101112 日本経済新聞

環境規制

20101112 日経産業新聞

米韓 FTA

20101112 朝日新聞

米韓 FTA

20101112 毎日新聞

顔料

20101112 化学工業日報

レアメタル供給規制

20101111 日本経済新聞

潮冷熱

20101110 日本経済新聞

レアアース生産と環境規制

20101108 ダウジョーンズ中国企

業ニュース

韓米FTA

20101101 中央日報

科学技術政策

競争的資金制度

20101122 日本経済新聞

科学技術関係補正予算案 

20101122 THE DOCTOR

韓国 KIST

20101121 朝鮮日報

科学技術政策

20101119 日本経済新聞電子版

セクション

科学技術政策

20101118 日本経済新聞

科学技術政策

20101118 日経産業新聞

女性研究者

20101117 日経速報ニュース

科学技術予算

20101114 東京読売新聞

トップ1論文

20101112 科学新聞

中国特許強国に

20101112 新華社ニュース

関経連と科学技術政策

20101110 産経新聞 

科学技術産業一体政策

20101109 日刊工業新聞

優れた論文の条件

20101105 毎日新聞

「焼け太り許さぬ」

20101102 朝日新聞

国の研究開発投資目標

20101029 日刊工業新聞

科技政策で提言

20101027 日経産業新聞

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科学への信頼に関する読者調査

20101201 日経サイエンス

「カップリング反応」アニメ化

20101110 朝日新聞東京読売

新聞他

科学と社会つなぐ人材

20101025 東京新聞

NEWS POD 

情報誌 PEN 購読のご案内PEN の継続的な購読をご希望の方は下記のメールアドレスまでお名前ご所属メールアドレスをご記入の上ご連絡ください登録配信は無料ですnano-penmaistgojp

PEN は原則月 1 回配信しますバックナンバーと PEN の前身【AIST-TOKYO ナノテク情報】をナノシステム研究部門ホームページにて公開しています httpunitaistgojpnrinano-planindexhtml

PEN は皆さまとの情報共有を目的としていますお持ちの情報で共有すべきものがあれば nano-penmaistgojp までお寄せ下さい

いただいた個人情報は産総研 個人情報保護方針(プライバシーポリシー)に基づき大切に管理し情報誌 PEN の運営と私達のイベントのご案内のみに使用させていただきます

科学技術コミュニケーション

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イベント案内

[産学連携研究開発]大阪大学ナノ理工学人材育成産学コンソーシアム 第 3 回ナノ理工学情報交流会場所大阪大学中之島センター 7 階 講義室 3(講師来訪)

   大阪大学東京オフィスサテライト教室

(遠隔講義配信)

   四日市商工会議所内サテライト教室

(遠隔講義配信)については調整中です

コンソーシアム HP にてご確認ください

   ナノテク社会人教育プログラムの開講をされてい

る場合遠隔講義配信に対応可能です事務局まで

ご連絡ください

日時2010 年 12 月 10 日(金)1330 ~ 1900 頃

主催大阪大学ナノ理工学人材育成産学コンソーシアム 

概要ナノ理工学人材育成産学コンソーシアムでは活動

の一環として産学連携のきっかけを提供すべく企業と

大学の双方からテーマに即した研究開発やトピックを紹介

し会員同士の意見交換と情報共有の促進をはかっていま

す第 3 回目となる今回は「光を用いたナノテクノロジー

の新展開」をテーマに開催しますプログラムなどの詳細

は下記の HP をご参照下さい

参加費コンソーシアム会員学生及び大阪大学教職員は

無料(コンソーシアム企業会員の場合社内から何名でも

無料で参加が可能です)

上記以外の方は資料作成費 1000 円が必要になります

参加登録氏名所属連絡先懇談会への出欠を記載の

上メールにて大阪大学ナノ理工学人材育成産学コンソー

シアム事務局(nano-consnanoscienceorjp)へお申込み

下さい

httpwwwnanoscienceorjp

[コミュニケーション]科学コミュニケーション研究会 第 1 回関西支部勉強会日時2010 年 12 月 2 日 1800 ~ 2000

場所京都大学 吉田泉殿

主催科学コミュニケーション研究会 関西支部有志

概要大阪教育大学科学教育センターの中矢史雄氏を講師

に招きオーストラリアの科学技術コミュニケーションに

ついてオーストラリア国立大学科学意識向上センター

での経験なども交えてお話いただきます定員は 25 名で

す事前申し込みが必要です

httpbitlybPmTP9

[展示会]セミコンジャパン 2010日時12 月 1 日~ 3 日

場所幕張メッセ

主催SEMI

概要国内外の最新のマイクロエレクトロニクス技術に関

する情報を入手することのできる世界最大の半導体製造装

置材料展です

httpwwwsemiconjapanorgjaindexhtm

[知財]アジア特許庁シンポジウム日時2010 年 12 月 3 日(金)930 ~ 1210

場所ホテル日航奈良 飛天の間

主催特許庁

概要日本中国韓国インドネシアマレーシアシ

ンガポールの特許庁幹部を招き各国の知財保護強化の取

組みやアジアにおける知財協力を紹介しますまたパ

ネルディスカッションを設けアジアにおける人材育成協

力の方向性について議論します

httpwwwintergroupjp~convasia

[人材育成]応用物理学会 人財育成シンポジウム -日本の危機を科学が救うそのためのリーダー育成を考える-日時2010 年 11 月 29 日(月)1000 ~ 1710

場所東京工業大学デジタル多目的ホール

主催応用物理学会

概要急速に進むグローバル化に対応のできる人材を育成

するための課題や応用物理学会が貢献することのできる

具体的な取り組みについて議論します

イベント案内へ掲載を希望される方は nano-penmaistgojp までご一報ください

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r h t t p w w w j s a p o r j p a c t i v i t i e s e d u c a t i o n

symppt2010symphtml 

[コミュニケーション]科学技術とメディアのより良い関係に向けて日時11 月 26 日 1815 ~ 2030

場所早稲田大学大隈小講堂

主催サイエンスメディアセンター(SMC)

概要英国オーストラリアのサイエンスメディアセ

ンターの関係者米国のサイエンスコミュニケータを交え

て研究者とメディアの有益な関係性構築に向けた取り組

みについて議論します参加費は無料同時通訳がつきま

httpsmc-japanorgp=403 

[異分野連携]医学領域と工学領域連携研究シンポジウム ‐ 未来を拓く医工連携 ‐日時2010 年 11 月 27 日(土)

場所山口大学医学部第 3 講義室

主催日本学術会議中国四国地区会議山口大学

概要がんの個別化医療をメインテーマにこれからの医

工連携のあり方について講演と議論を行います

httpwwwscjgojpjaeventpdf100-t-3pdf 

[人材育成]マイクロナノエンジニアリング シンポジウム ‐ イノベーションと人材育成 ‐日時2010 年 12 月 8 日(水)1300 ~ 1700

場所日本学術会議 講堂

主催日本学術会議 マイクロナノエンジニアリング分

科会日本機械学会 マイクロナノ工学専門会議

概要学際的分野であるマイクロナノエンジニアリング

は大学大学院における教育の整備関連する産業界

学術界での研究開発における分野融合的な取組みが不可欠

です本シンポジウムでは人材育成を軸とした課題につ

いて議論します

httpwwwscjgojpjaeventpdf100-s-3-1pdf

[ 博物館展示 ]自然に学ぶ ネイチャーテクノロジーとライフスタイル展開催中です

場所国立科学博物館 (東京上野公園)

日時2010 年 10 月 26 日~ 2010 年 2 月 11 日

主催東北大学大学院環境科学研究科国立科学博物館

特定非営利活動法人ものづくり生命文明機構

概要蝶や鳥など生き物や自然の仕組みにヒントを得た環

境負荷の低い技術と将来的な応用の可能性から日本文化

に根差した共生型の新しいライフスタイルのあり方につい

て紹介します国立科学博物館の入館料600円が必要です

httpwwwkahakugojpevent201010natureindex

html

[人材育成]シンポジウム「世界を魅せる日本の課題解決型基礎研究~JST 目利き制度とその可能性」日時2010 年 12 月 6 日(月)1000-1800 (0900 受

付開始)

場所東京国際フォーラム B5 ホール

主催(独)科学技術振興機構(JST)

概要JST がこれまでに行ってきた戦略的創造研究推進

事業の成果を振り返りつつ今後の日本の科学技術の発

展に向けた事業のあり方について参加者の皆様と議論しま

httpwwwsenryaku30jstgojp 

[ 持続可能性 ]学術会議シンポジウム「低炭素化に向けた経済社会エネルギーのあり方と実現のシナリオ」日時2010 年 12 月 9 日(木)1330 ~ 1700

場所学術会議講堂

主催土木工学建築学委員会低炭素建築都市分科会

社会資本分科会

概要両分科会は中~超長期のエネルギー消費量削減シ

ナリオ策定に取り組んできました本シンポジウムでは

分科会の検討結果や削減のための様々な取り組みを紹介

し今後のとりまとめ作業に向けた議論を行います

httpwwwscjgojpjaeventpdf104-s-3-6pdf 

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PEN 編集室関谷瑞木阿多誠文独立行政法人産業技術総合研究所 ナノシステム研究部門 305-8568 つくば市梅園 1-1-1 産総研つくばセンター中央第 2 M404Email nano-penmaistgojpTel029-861-5185 Fax 029-861-5339

編集後記

今月 8 日に長野県長野市で開催された第 3 回国際ナノ

ワークショップ「ナノテクノロジーの社会受容~ナノ

材料の工業標準化の国際的な動向と環境影響について

~」の会場で多くの企業の皆様と意見交換をする貴

重な機会を得た目まぐるしい勢いで変わってゆく諸

外国の環境規制策の動向に民間企業の皆様が神経を

とがらせておられることがひしひしと感じられた東

京から新幹線で 1 時間半インターネットでリアルタ

イムに世界とつながることのできる時代とはいえ情

報物人が集積する地である東京とは異なる苦労も

あることもお聞きした美しい山々きれいな空気あ

るいは世界に誇る観光遺産と科学技術を結び付けて

地域振興をはかりたいとの頑張っておいでの方にもお

会いした

月刊という制約はあるもののこうした方々にとって

タイムリーで有用な情報を提供し続けたいと改めて

強く感じた

ちなみにPEN を発行しているつくば市の産総研つく

ばセンターへもつくばエクスプレスと路線バスを乗

り継いで都心からは約 1 時間半かかる

2010 年 11 月 25 日

PEN 編集室一同ウナギツカミ

Page 27: Public Engagement with Nano- PEN November …...5 PEN November 【知財】 中国、10年で特許強国に(2010.11.12) 中国国家知識産権局は11日に「全国特許事業発展戦略

27

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ができなかった応答をする分子バネの登場は応答性分子

の分野に新たなコンセプトをもたらすと注目される本研

究成果はJST 戦略的創造研究推進事業 発展研究 (ERATO-

SORST)「分子プログラミングによる電子ナノ空間の創成

と応用」の一環として行われたものhttpwwwrikenjpr-worldinforeleasepress2010101115

indexhtml

【自己組織化基質選択的会合】分子間の特異的な相互作用による新規材料集積法を開発 分子が好みの分子を見分けて接着 (201011 15)大阪大学科学技術振興機構(JST)

近年分子認識を利用して分子と分子を非共有結合でつな

げることによりさまざまな超分子錯体が合成されさらに

これらを自己集合させる研究が行われているこれらの研

究において形成される集合体は分子の大きさであるナノ

メートルからマイクロメートルの極めて小さなもので高

倍率の顕微鏡を使わなければ見えない分子認識に基づい

て手軽に使えるくらいの大きな自己組織体を作り出すこと

はナノテクノロジー分野において分子を自己組織化さ

せて機能性材料を創製する上で重要な課題であった大阪

大学の研究グループはホスト分子としてシクロデキスト

リンをゲスト分子としてシクロデキストリンが結合する

化合物を用いてそのホスト-ゲスト相互作用を利用して

多様な自己組織化超分子ポリマーの構造体を作りマクロ

スケールで機能を発現させる研究を進めている今回D

NAやタンパク質の分子量決定に広く用いられるアクリル

アミドゲルを土台にしてこのゲルにシクロデキストリン

とゲスト分子をそれぞれ別々に導入し「ホストゲル」と

「ゲストゲル」を合成したこの両者を水中で振動させる

とゲルが接着する挙動が観察されミリメートルからセン

チメートルの大きさの物体を分子認識により自己集積でき

ることを世界で初めて実証したさらにシクロデキストリ

ンとゲスト分子との相互作用の強さの違いによって選択的

に特定のゲル同士を接着させることができることがわかっ

httpwwwjstgojpprannounce20101115indexhtml

【ブタノール分離膜】バイオブタノールの省エネルギー型膜分離精製技術を開発1 wt ブタノール水溶液から80 wt 以上の高濃度ブタノールの回収が可能 (201011 15)産総研

産総研は1 wt 程度の希薄なブタノール水溶液からゼ

オライト系分離膜を用いて 80 wt 以上に濃縮したブタ

ノールを回収できる省エネルギー型のバイオブタノール精

製技術を開発した ブタノールはエタノールと比較して

発熱量が大きいことから地球温暖化対策に貢献できる再

生可能なバイオ液体燃料すなわちポストバイオエタノー

ルとして期待されている今回合成条件の最適化を進め

高いアルコール選択透過性をもつシリカライト分離膜を合

成し膜分離法によって低濃度ブタノール水溶液から高

濃度ブタノールの回収が可能となった従来の分離膜を用

いた場合に比べてブタノール回収のためのエネルギーを

50 ~ 70 程度低減できることが期待される httpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101113

pr20101113html

【分子生物学】 化学合成したペプチドからウイルスの殻構造を組み上げることに成功 新規ナノ材料や医療材料としての応用に期待 (201011 12) 九州大学北九州市立大学

共同研究グループは化学合成したペプチドから約 40 ナ

ノメートルのウイルスの殻構造を組み上げることに世界で

初めて成功した球状の植物ウイルスから遺伝子を除いた

キャプシド構造と呼ばれる殻構造は決まった大きさのナ

ノ空間であることからナノ物質の反応器や運び手として

利用する研究が国内外で盛んに行われているしかしこ

れまでウイルスのキャプシド構造を得るにはウイルス

の遺伝子をバクテリア内に導入して生産させる必要があっ

た本研究では遺伝子やバクテリアを用いない完全化学

合成によってウイルスキャプシドを構築することに成功

した今回ウイルスの殻構造を簡単なペプチドから構築

できたことで様々な機能性ウイルスキャプシドを人工的

に創成する道が拓けたと言えるこのペプチドからなるナ

ノカプセルに適切な化学修飾を施すことによりナノ物質

合成のための反応器や医薬品の運び手人工ワクチンを

創成するための足場材料として応用できるものと期待され

るhttpwwwkyushu-uacjppressrelease20102010-11-12-04pdf

【レアメタル】レアメタル使用量削減技術の実用化を加速(20101110)新エネルギー産業技術総合開発機構 (NEDO)

NEDO はレアアース総合対策の一環として企業が取り

組むレアメタル使用量削減技術の実用化を加速するための

助成事業(事業規模約 100 億円)を 2010 年度補正予算

の成立を前提に行うこの助成事業では短期間で実用化

が期待できる以下の技術開発を対象として①レアメタル

28

PEN

Nov

embe

r を代替する材料の技術開発 ②レアメタルの使用量を削

減する技術開発 ③レアメタルのリサイクルを促進する

技術開発 ④その他のレアメタル消費の削減に資する技

術開発を行うhttpapp3infocnedogojpinformationskoubopressEFnedopre

ss2010-11-068550095069

【導波路型光スイッチ】光スイッチの消費電力を従来の 2 分の 1 に低減 増え続けるネットワーク機器の消費電力問題を解決 (201011 09)( 株 ) 富士通研究所

同社はシリコンフォトニクス技術を適用した導波路型光

スイッチについて世界で初めてシリコンゲルマニウム

(SiGe)細線構造を用いることで従来のシリコン細線構

造に比べて消費電力を約 2 分の 1 に低減することに成

功した幅広い波長に対応して高速に動作できるタイプの

光スイッチ素子としては世界最小の消費電力を実現して

いるhttpprfujitsucomjpnews2010119html

【ナノ構造機能】昆虫が足を擦る秘密をナノテクノロジーで解明 生体模倣による新しい材料機能の開発に活用 (201011 09)物質材料研究機構マックスプランク研究所キール大

共同研究チームは環境問題で循環型社会実現に求められる

「接着と分離」を繰り返せる未来の接合技術の開発研究に

おいてガラスのような平坦な表面を逆さまでも歩行でき

る昆虫の足の裏の優れた接着性に着目し昆虫(ハムシ)

の歩行調査を行いナノテクノロジーを用いた実験により

昆虫が摩擦により汚れを感じていることを突き止めた

httpwwwnimsgojpnewspress201011p201011090html

【超音波流量計半導体プロセス】極微量な流量を精密に測定できる超音波流量計を開発 半導体製造装置の性能を向上させ環境負荷を低減しランニングコストを削減 (201011 09)産総研( 株 ) アツデン東京計装 ( 株 )

3 者は共同で10 mLmin( 誤差plusmn 01 mLmin) 以下の極

微量な流量を精密に測定できる超音波流量計を開発した

この流量計は超音波ガイド波の伝搬に関する基礎理論の

見直しを行い超音波を高周波化し設計を最適化するこ

とにより開発したものでこれまでの超音波流量計では計

測できなかった微小な流速領域での流量測定ができるこ

の超音波流量計は半導体製造装置で利用される薬液の高

精度な制御を可能にし半導体製造装置の高性能化環境

負荷の低減ランニングコスト削減へ貢献すると期待され

る httpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101109

pr20101109html

【研究交流】中国上海における国際交流事業の実施同済大学と大学間学術交流協定を締結 (201011 08)大阪大学

10 月 21 日上海において開催した上海教育研究センター

開所式記念講演会祝賀会には鷲田清一総長をはじめ

とする大阪大学教職員中国の学術交流協定校関係者大

阪大学同窓会会員など約 130 人が列席し盛況の内に終

了した翌 22 日23 日には第 15 回大阪大学上海交

通大学学術交流セミナーが上海交通大学情報ネットワーク

センターを主会場として開催され7つの研究会に約 100

人が参加したさらに 23 日と 24 日の両日上海東亜展

覧館を会場に開催された中国国際教育展に大阪大学のブー

スを出展し100 人を超える留学相談者が本学のブースを

訪れた翌 10 月 22 日鷲田清一総長は上海市内にある

同済大学を訪問裴学長陳副学長ほか大学関係者と懇談

するとともに大学間学術交流協定及び学生交流覚書の調

印式に臨んだこれにより中国の大学との 10 番目の協定

が成立したhttpwwwosaka-uacjpjanewstopics20101120101108_1

httpwwwosaka-uacjpjanewstopics20101120101108_2

【高耐久性セラミック】激しい熱変化にも強度劣化しない窒化ケイ素系セラミックスを開発 窒化ホウ素の微粒子を分散させ耐熱衝撃性を飛躍的に向上 (201011 08)産総研三井金属鉱業(株)

両者は共同で従来品に比べて耐熱衝撃性と高温での強度

を飛躍的に高めた窒化ケイ素系セラミックスを開発した

今回窒化ケイ素(Si3N4)をベースとして高い熱伝導

率をもつ粒界相を形成させるとともにそこに非晶質に近

い窒化ホウ素のナノメートルオーダーの微粒子を分散させ

ることで耐熱衝撃性を飛躍的に向上させた従来の窒化

ケイ素が 1000 の温度差で強度が低下するのに対して

今回の開発材は電気炉で 1400 に加熱した後水中に投

下することを 10 回繰り返してもほとんど強度が劣化しな

かったまたこの開発材について大気中 1200 で高温

29

PEN N

ovember

曲げ試験を行ったところ室温と同程度の強度を保持して

いたセラミックスでは大型化すると小試験片では得られ

た特性が得られず実用化を進める上での課題になること

が多いがこの開発材では焼結条件を最適化することに

よって直径 82 mm 長さ 370 mm の比較的大型の部品で

も試験片と同様の組織物性が得られたまた実際の

製品形状に近い部品の焼成も可能となったhttpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101108

pr20101108html

【ミリ波発信器】ミリ波帯無線通信の実用化にめど 世界最高性能の低雑音局部発振器を開発 (201011 08)東京工業大学

東工大の研究グループは雑音を従来の 100 分の1以下

に低減したミリ波帯局部発振器を開発した20GHz 帯の

発振器と 60GHz 帯の注入同期型直交局部発振器を組み合

わせることにより世界最高の低位相雑音性能を達成した

無線通信の周波数帯ひっ迫を解消する技術として 60GHz

ミリ波帯の利用が注目されているがミリ波帯ではコイル

やコンデンサの損失が大きくなり位相雑音特性が劣化す

るのがネックだった今回はこれを解決したものでミ

リ波無線通信の実用化につながる成果発振器は 65 ナノ

メートルのシリコン CMOS プロセスを利用して試作した

580GHz から 636GHz の周波数範囲で 4 相正弦波出力が

可能でこの発振器により10Gbps(毎秒 100 億ビット)

以上の超高速ミリ波帯無線通信の実現が期待されるh t t p w w w o l d t i t e c h a c j p t o k y o - t e c h - i n - t h e - n e w s j

archives2010111289174400html

【炭素繊維応用】住宅向け外装材「炭素繊維補強サイディング」の本格展開について 優れた強度と耐熱寸法安定性で 15 年の基材保証を実現 (20101105)東レ ACE(株)

東レの子会社東レ ACE は炭素繊維で補強した窯業系サ

イディングを開発し本格販売と市場展開を開始する「炭

素繊維補強サイディング」はセメント質原料に炭素繊維

を添加配合して成型固着させた建物外壁用のセメントボー

ドで従来の窯業系サイディングの優れた防耐火性耐久

性等を維持しつつ更なる強度補強効果や火災高温時の

変形や熱収縮によるひび割れの抑制など耐熱寸法安定性

も向上させることで基材 15 年保証を実現する 本製品

に使用している炭素繊維は軽くて強く優れた高温特性や

耐熱性を有し非常に細い繊維を多く配合できることから

外装材としての強度補強効果も期待できるとしている

httpwwwtoraycojpnewsaffilnr101105html

【光ファイバーナノインプリント】ナノ格子反射防止表面光ファイバー先端に形成ナノ技術で安く製作 (20101105)東北大学

東北大の研究グループは微小な窪みが多数形成された反

射防止構造体を光ファイバーの先端に製作する技術を開発

した光ファイバーは光通信や光分析装置の構成部品とし

て使われており光源受光素子やレンズなどの光部品と

の接続損失を減らすために先端に反射防止膜が形成され

ている従来の反射防止膜は真空装置を使って薄膜を付け

るためコストが問題であった研究グループはナノイン

プリント技術を用いて光ファイバー先端のコア部に 270

ナノメートル間隔で微小な円錐状の窪みを形成し反射損

失を低減することに成功したナノインプリント技術は

基板に塗布したポリマーに原版を押し付けて微細パターン

を転写する技術で高価な露光装置や真空装置が不要なた

めナノ構造を安価に製作することができる今回光ファ

イバー先端にナノ構造を製作するために専用のナノインプ

リント装置を開発した窪みの間隔が光の波長よりも小さ

い場合屈折率が変化し反射波が生じにくくなる反射

率や波長帯域は窪みの形状間隔や高さで決まり従来

の反射防止膜よりも設計の自由度が高いため要求に合わ

せて種々の反射防止表面を製作することが可能 httpwwwtohokuacjpjapanese201011press20101105-2

html

【人工筋肉機能材料】光を運動エネルギーに変える新高分子素材の開発に成功 世界で初めて分子を大面積で 3 次元的に配列させ新機能を実現 (20101105)理化学研究所

光で変形したり電子を流すなどの機能を持った分子を人工

的に規則正しく大面積で集積することができると機能性

材料の性能向上や革新的新機能の発現につながるそのた

め世界中で精力的に開発が行われているがこれまで実現

させた例はなかった理化学研究所の研究グループは光

で構造が変化するアゾベンゼン分子を組み込んだブラシ状

の高分子「ポリマーブラシ」を大面積で 3 次元的に一挙

に配列させる手法の開発に初めて成功したこの規則性の

ある 3 次元集積構造は延伸したテフロンシートにポリ

マーブラシを挟み込みアイロンに似た熱と圧力を加える

といういたって簡単な操作で実現したさらにこのフィ

30

PEN

Nov

embe

r ルムに光を当てるとアゾベンゼン分子の構造変化が一方

向に集約しフィルムが湾曲するという巨視的変形を引き

起こすことを見いだしたすなわちこの新しいフィルム

は光エネルギーを運動エネルギーに変換する機能を持って

おり新たな人工筋肉材料などへの展開が期待されるま

た本技術は有機薄膜太陽電池をはじめとする次世代の機

能材料の開発にも革新をもたらすと期待されるhttpwwwrikenjpr-worldinforeleasepress2010101105

indexhtml

【リチウムイオン電池正極材料】常温プロセスで全固体薄膜リチウムイオン電池の試作に成功 エアロゾルデポジション法による蓄電池製造の新工法開発を本格化 (2010115)産総研

産総研はトヨタ自動車 ( 株 ) と共同で産総研が開発し

たセラミックス材料の常温高速コーティングプロセスであ

るエアロゾルデポジション (AD) 法を用いて酸化物系の

正極材料負極材料固体電解質材料を薄膜積層化して

金属基板上に 3 層構造からなる全固体薄膜リチウム (Li) イ

オン電池を試作蓄電池としての充放電特性を世界で初め

て確認した 従来型の薄膜技術とは異なりAD 法を用い

ると基板の加熱が不要でまた厚膜化も容易であるそ

のため成膜時間が大幅に短縮でき蓄電池の生産性向上

やプロセスコストの大幅な低減が期待される今後は AD

法を用いた本格的な全固体電池の共同開発を進めていく httpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101105

pr20101105html

【記録デバイススピントルク素子】次世代超高密度 HDD に向けたマイクロ波アシスト記録の基本技術を開発 磁気ヘッドに搭載可能なスピントルク素子を用いた磁気情報の書き換えを確認 (2010115)新エネルギー産業技術総合開発機構(NEDO)(株)日

立製作所

NEDO はハードディスク装置(HDD)の開発製造会社で

ある日立グローバルストレージテクノロジーズの協力を得

て従来の磁気記録方式の限界を超えHDD の記録密度

を飛躍的に伸ばす方式として期待されているマイクロ波ア

シスト磁気記録方式の基本技術を開発しその原理を実験

的に確認したマイクロ波アシスト記録では記録媒体の

小領域にマイクロ波帯の高周波磁界を加え磁気情報の書

き込みを容易にする今回開発したのはヘッドに搭載可

能な高周波磁界を発生するスピントルク発振素子でこの

素子を用いて記録媒体上に磁気情報を記録できることを実

験的に確認したこれまで外部のマイクロ波発生装置を

用いたマイクロ波アシスト効果の報告例はあったが今回

微細な発振素子を用いた磁気情報の記録を確認できたこと

により将来この素子を記録ヘッドに搭載しマイクロ波

アシスト記録を実用的に行える可能性が示されたhttpapp3infocnedogojpinformationskoubopressEFnedopre

ss2010-11-029718160145

【基礎科学物性】絶縁体が金属に変わる新原理の解明 超伝導素子や熱電変換素子の開発へ道(20101104)東北大学

東北大学原子分子材料科学高等研究機構の研究グループ

は高品質酸化物薄膜において電気が流れにくい絶縁体

状態から流れやすい金属状態への遷移機構を解明した材

料における電気の流れやすさは電気を流す担い手である

伝導キャリアが物質中にどれだけ含まれるか伝導キャリ

アがどれくらいスムーズに動きまわれるかによって決ま

るつまり伝導キャリアの濃度を増やしたり材料中で

伝導キャリアの動きを妨げる原因になるひずみや欠陥を少

なくすると電気はより流れやすくなる本研究では人

工宝石として知られるチタン酸ストロンチウム (SrTiO3)

の絶縁体を用い伝導電子を生み出すキャリア供給層を

SrTiO3 絶縁体間に挟み込んだ絶縁体層 キャリア供給層

絶縁体層の層状界面構造をもつ高品質超格子構造を作製す

ることで絶縁体層の体積を増加させると反対に電気が流

れやすい金属状態になる現象を発見した最新の電子顕微

鏡技術を用いた原子構造解析と電子状態の理論計算を駆使

して絶縁体を増加させると界面で結晶のひずみが少なく

なり高導電化することを解明した本研究が明らかにした

界面での結晶のひずみを制御することによって絶縁体を金

属状態へ変化できる現象は様々な材料でも普遍的に起こる

と考えられ絶縁体から金属へ変わる境目で性能が向上す

る新超伝導体や新熱電材料の開発に展開することが可能と

期待されるhttpwwwtohokuacjpjapanesenewimgpressimgtohokuuniv-

presspdf

【環状高分子】様々な環状高分子の自在な合成に成功 「かたち」に基づく機能開発に期待(2010112)東京工業大学

東工大の研究グループはこれまで困難とされてきた

種々の含環状高分子の選択的な合成に成功した同研究

グループで開発された単環状高分子合成プロセスである

31

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Electrostatic Self-Assembly and Covalent Fixation Process

と有機合成化学の新手法であるクリックケミストリー

を組み合わせることで様々な「かたち」の自在な構築

を達成した本手法の開発により近年注目を集めてい

る「かたち」に基づいた高分子物性の探索を加速させる

ものと期待されるhttp wwwo ld t i t e ch ac j p tokyo - t ech - in - the -news j

archives2010111288656000html

【異分野連携オープンイノベーションモデル】応用脳科学コンソーシアム 脳科学及びその周辺領域の学術知見を活用したオープンイノベーションモデルの研究活動を開始 異業種の民間企業と異分野の脳科学研究者が連携し事業性の高い研究テーマを推進 (2010111)アサヒビール(株)(株)NTT データ積水ハウス(株)

(株)竹中工務店帝人(株)凸版印刷(株)日産自動

車(株)(株)博報堂(株)NTT データ経営研究所

NTT データ経営研究所が日本神経科学学会の協力を得て

2010 年 10 月 1 日に創設した「応用脳科学コンソーシア

ム」においてそれぞれの事業活動に関連する独創性の

高い研究テーマについて複数の「応用脳科学 RampD 研究会」

を立ち上げるRampD 研究会では各 RampD 研究会を設置

した特別会員企業が各テーマに関連の深い脳科学及び

その関連領域の研究者を招聘し異業種である他の会員

企業とともに最新の研究知見を活用してオープンイノ

ベーションモデルの研究活動を実施する各社が設置す

る RampD 研究会は現時点で(1)おいしさの総合評価研究

会(アサヒビール)(2)ヘルスケア脳情報クラウド研究

会(NTT データ)(3)インタラクティブ住環境研究会(積

水ハウス株式会社)(4)コミュニケーション空間研究

会(竹中工務店)(5)メディアエンゲージメント研究

会(博報堂)この他の RampD 研究会については今後随

時応用脳科学コンソーシアムのウェブサイト httpwww

keieikencojpcan で公開予定

httpwwwnttdatacojprelease2010110101html

【レーザ技術基礎光物性】熱を加えずに結晶を柔らかくすることに成功 高強度テラヘルツ電磁パルスで分子ネットワーク操作が可能に 

(2010111)京都大学科学技術振興機構(JST)

京都大学はテラヘルツ電磁パルスと呼ばれる新しい光

を物質に照射することで1兆分の1秒の短い時間で結

晶中の分子を大振幅で揺さぶり熱平衡状態では実現で

きないような分子変位を実現することに世界で初めて成

功した実験結果は結晶が実効的にやわらかくなったこ

とを意味するものでさらに強いテラヘルツ電磁パルス

によって高効率で結晶を融解させることを示唆するこ

れは熱による反応を起こすことなく新しい分子間のネッ

トワークやたんぱく質などの巨大分子の立体配位を操作

できることを示しており化学合成における反応促進や

創薬における有機分子結晶の精製での活用が考えられる

今回の成果は JST 戦略的創造研究推進事業日本学術振

興会学術創成プロジェクト「動的相スイッチ機構を内在

する有機電子材料の開拓と非平衡物性科学への展開」お

よび京都大学グローバル COE プログラム「普遍性と創発

性から紡ぐ次世代物理学」によるものhttpwwwjstgojpprannounce20101101indexhtml

【高周波デバイス】透 明 な 高 周 波 デ バ イ ス 見 え な い ア ン テ ナ へ の 道

(20101028)物質材料研究機構太陽誘電(株)

両者は共同で透明な高周波デバイスを製造するための

基本技術である微細な金属配線と酸化物透明導電体から

なるハイブリッド構造を開発した本技術は不透明で

あるが高い伝導性を示す金属と透明ではあるが金属の

100 分の 1 程度の伝導率にとどまる酸化物透明導電体と

を組合せ両者の特性を相補的に活用することにより

透明でありかつ携帯電話をはじめとする無線デジタ

ル通信に用いられるギガヘルツ帯の高周波に対して高い

伝送特性を示す素子構造を実現した

httpwwwnimsgojpnewspress201010p201010280html

【エコ製品環境経営】COP10 に向けた環境配慮型製品技術の取り組み ポリ乳酸繊維 ldquo エコディア rdquo 使用商品の提供や連携事業「メッセナゴヤ 2010」への出展を通じ環境保全の取り組みを強化 (20101028)東レ ( 株 )

同社は10 月 11 日 ( 月 ) から 29 日 ( 金 ) に開催された

生物多様性条約第 10 回締約国会議 (COP10) に向けて

ポリ乳酸繊維 ldquo エコディア rdquo 使用商品の提供などを通じて

環境に配慮した運営に協力したまたCOP10 の連携事

業である環境エネルギーをテーマとした展示会「メッ

セナゴヤ 2010」に出展し環境に配慮した次世代自動車

や最先端航空機向けの先端材料を紹介した

httpwwwtoraycojpnewsfibernr101028html

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r

NEWS POD 著作権の関係で記事のタイトルと詳細内容は標記できませんので簡略に表示しています詳しい内容に関しては各新聞及び雑誌をご覧ください

ナノテクノロジー

研究開発最前線

20101122 日 刊 工 業 新 聞 News

ウェーブ 21

X 線レーザー

20101121 東京読売新聞

新潟ナノテク研究会

20101120 日本経済新聞

ナノテクとバイオ

20101120 下野新聞

バイオ起業

20101119 朝日新聞

ナノ粒子の構造制御

20101119 日刊工業新聞

水素原子観察

20101119 科学新聞

光ファイバー関連技術

20101119 科学新聞

希少金属対策

20101118 日刊工業新聞

熱電材料

20101117 日経速報ニュース

化学合成でナノ構造

20101117 日経産業新聞

つくばナノテク研究拠点への投資

20101117 日刊工業新聞

分子バネ

20101116 日経速報ニュース

ナノバイオ融合

20101116 日経産業新聞

フレンドオブアースのナノテク評

20101116 エコロジーエクスプレス

クラスターテクノロジー

20101112 産経新聞

実用化助成

20101111 日刊産業新聞

接着のメカニズム

20101110 日経産業新聞

電子材料

20101110 日経産業新聞

ナノ磁石

20101110 東京新聞

高分解能放射線検出器

20101110 化学工業日報

電池電極材料

20101108 日本経済新聞

食の安全性

20101108 日経エコロジー

ナノ磁石実用化

20101105 朝日新聞

ナノテク接着剤

20101105 日刊工業新聞

水素原子の観察

20101105 日刊工業新聞

補正予算案

20101105 科学新聞

ナノ磁石

20101104 日本経済新聞

ナノボーグ

20101104 日刊工業新聞

ITO 電極代替技術

20101104 鉄鋼新聞

レアアース代替材

20101103 日本経済新聞電子版

セクション

ナノ鉄磁

20101103 毎日新聞

有機トランジスタ

20101101 日 経 速 報 ニ ュ ー ス

アーカイブ

有機トランジスタ

20101101 日経産業新聞

ナノムービー

20101101 日経サイエンス

低燃費タイヤ

20101030 朝日新聞

筑波大生命科学研究拠点

20101030 茨城新聞

レアアース代替材

20101029 日経産業新聞

播磨地域

20101029 化学工業日報

ナノ粒子操作

20101029 科学新聞

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NEWS POD 著作権の関係で記事のタイトルと詳細内容は標記できませんので簡略に表示しています詳しい内容に関しては各新聞及び雑誌をご覧ください

中国新5カ年計画

20101028 日本経済新聞

高機能消臭素材

20101028 化学工業日報

環境規制等

終わりの科学

20101201 日経サイエンス

電気自動車の覇権

20101123 週刊エコノミスト

環境規制対応

20101122 日経産業新聞

温暖化ガス排出枠

20101122 日経産業新聞

ロス自動車ショー

20101119 日経産業新聞

EV と環境規制

20101119 朝日新聞

EV

20101119 東京新聞

環境と法規制

20101119 化学工業日報

トヨタとテスラ

20101118 読売新聞速報ニュー

CO2 排出量削減

20101118 日経産業新聞

カリフォルニア州環境規制と EV

20101112 日本経済新聞

環境規制

20101112 日本経済新聞

環境規制

20101112 日経産業新聞

米韓 FTA

20101112 朝日新聞

米韓 FTA

20101112 毎日新聞

顔料

20101112 化学工業日報

レアメタル供給規制

20101111 日本経済新聞

潮冷熱

20101110 日本経済新聞

レアアース生産と環境規制

20101108 ダウジョーンズ中国企

業ニュース

韓米FTA

20101101 中央日報

科学技術政策

競争的資金制度

20101122 日本経済新聞

科学技術関係補正予算案 

20101122 THE DOCTOR

韓国 KIST

20101121 朝鮮日報

科学技術政策

20101119 日本経済新聞電子版

セクション

科学技術政策

20101118 日本経済新聞

科学技術政策

20101118 日経産業新聞

女性研究者

20101117 日経速報ニュース

科学技術予算

20101114 東京読売新聞

トップ1論文

20101112 科学新聞

中国特許強国に

20101112 新華社ニュース

関経連と科学技術政策

20101110 産経新聞 

科学技術産業一体政策

20101109 日刊工業新聞

優れた論文の条件

20101105 毎日新聞

「焼け太り許さぬ」

20101102 朝日新聞

国の研究開発投資目標

20101029 日刊工業新聞

科技政策で提言

20101027 日経産業新聞

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科学への信頼に関する読者調査

20101201 日経サイエンス

「カップリング反応」アニメ化

20101110 朝日新聞東京読売

新聞他

科学と社会つなぐ人材

20101025 東京新聞

NEWS POD 

情報誌 PEN 購読のご案内PEN の継続的な購読をご希望の方は下記のメールアドレスまでお名前ご所属メールアドレスをご記入の上ご連絡ください登録配信は無料ですnano-penmaistgojp

PEN は原則月 1 回配信しますバックナンバーと PEN の前身【AIST-TOKYO ナノテク情報】をナノシステム研究部門ホームページにて公開しています httpunitaistgojpnrinano-planindexhtml

PEN は皆さまとの情報共有を目的としていますお持ちの情報で共有すべきものがあれば nano-penmaistgojp までお寄せ下さい

いただいた個人情報は産総研 個人情報保護方針(プライバシーポリシー)に基づき大切に管理し情報誌 PEN の運営と私達のイベントのご案内のみに使用させていただきます

科学技術コミュニケーション

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イベント案内

[産学連携研究開発]大阪大学ナノ理工学人材育成産学コンソーシアム 第 3 回ナノ理工学情報交流会場所大阪大学中之島センター 7 階 講義室 3(講師来訪)

   大阪大学東京オフィスサテライト教室

(遠隔講義配信)

   四日市商工会議所内サテライト教室

(遠隔講義配信)については調整中です

コンソーシアム HP にてご確認ください

   ナノテク社会人教育プログラムの開講をされてい

る場合遠隔講義配信に対応可能です事務局まで

ご連絡ください

日時2010 年 12 月 10 日(金)1330 ~ 1900 頃

主催大阪大学ナノ理工学人材育成産学コンソーシアム 

概要ナノ理工学人材育成産学コンソーシアムでは活動

の一環として産学連携のきっかけを提供すべく企業と

大学の双方からテーマに即した研究開発やトピックを紹介

し会員同士の意見交換と情報共有の促進をはかっていま

す第 3 回目となる今回は「光を用いたナノテクノロジー

の新展開」をテーマに開催しますプログラムなどの詳細

は下記の HP をご参照下さい

参加費コンソーシアム会員学生及び大阪大学教職員は

無料(コンソーシアム企業会員の場合社内から何名でも

無料で参加が可能です)

上記以外の方は資料作成費 1000 円が必要になります

参加登録氏名所属連絡先懇談会への出欠を記載の

上メールにて大阪大学ナノ理工学人材育成産学コンソー

シアム事務局(nano-consnanoscienceorjp)へお申込み

下さい

httpwwwnanoscienceorjp

[コミュニケーション]科学コミュニケーション研究会 第 1 回関西支部勉強会日時2010 年 12 月 2 日 1800 ~ 2000

場所京都大学 吉田泉殿

主催科学コミュニケーション研究会 関西支部有志

概要大阪教育大学科学教育センターの中矢史雄氏を講師

に招きオーストラリアの科学技術コミュニケーションに

ついてオーストラリア国立大学科学意識向上センター

での経験なども交えてお話いただきます定員は 25 名で

す事前申し込みが必要です

httpbitlybPmTP9

[展示会]セミコンジャパン 2010日時12 月 1 日~ 3 日

場所幕張メッセ

主催SEMI

概要国内外の最新のマイクロエレクトロニクス技術に関

する情報を入手することのできる世界最大の半導体製造装

置材料展です

httpwwwsemiconjapanorgjaindexhtm

[知財]アジア特許庁シンポジウム日時2010 年 12 月 3 日(金)930 ~ 1210

場所ホテル日航奈良 飛天の間

主催特許庁

概要日本中国韓国インドネシアマレーシアシ

ンガポールの特許庁幹部を招き各国の知財保護強化の取

組みやアジアにおける知財協力を紹介しますまたパ

ネルディスカッションを設けアジアにおける人材育成協

力の方向性について議論します

httpwwwintergroupjp~convasia

[人材育成]応用物理学会 人財育成シンポジウム -日本の危機を科学が救うそのためのリーダー育成を考える-日時2010 年 11 月 29 日(月)1000 ~ 1710

場所東京工業大学デジタル多目的ホール

主催応用物理学会

概要急速に進むグローバル化に対応のできる人材を育成

するための課題や応用物理学会が貢献することのできる

具体的な取り組みについて議論します

イベント案内へ掲載を希望される方は nano-penmaistgojp までご一報ください

36

PEN

Nov

embe

r h t t p w w w j s a p o r j p a c t i v i t i e s e d u c a t i o n

symppt2010symphtml 

[コミュニケーション]科学技術とメディアのより良い関係に向けて日時11 月 26 日 1815 ~ 2030

場所早稲田大学大隈小講堂

主催サイエンスメディアセンター(SMC)

概要英国オーストラリアのサイエンスメディアセ

ンターの関係者米国のサイエンスコミュニケータを交え

て研究者とメディアの有益な関係性構築に向けた取り組

みについて議論します参加費は無料同時通訳がつきま

httpsmc-japanorgp=403 

[異分野連携]医学領域と工学領域連携研究シンポジウム ‐ 未来を拓く医工連携 ‐日時2010 年 11 月 27 日(土)

場所山口大学医学部第 3 講義室

主催日本学術会議中国四国地区会議山口大学

概要がんの個別化医療をメインテーマにこれからの医

工連携のあり方について講演と議論を行います

httpwwwscjgojpjaeventpdf100-t-3pdf 

[人材育成]マイクロナノエンジニアリング シンポジウム ‐ イノベーションと人材育成 ‐日時2010 年 12 月 8 日(水)1300 ~ 1700

場所日本学術会議 講堂

主催日本学術会議 マイクロナノエンジニアリング分

科会日本機械学会 マイクロナノ工学専門会議

概要学際的分野であるマイクロナノエンジニアリング

は大学大学院における教育の整備関連する産業界

学術界での研究開発における分野融合的な取組みが不可欠

です本シンポジウムでは人材育成を軸とした課題につ

いて議論します

httpwwwscjgojpjaeventpdf100-s-3-1pdf

[ 博物館展示 ]自然に学ぶ ネイチャーテクノロジーとライフスタイル展開催中です

場所国立科学博物館 (東京上野公園)

日時2010 年 10 月 26 日~ 2010 年 2 月 11 日

主催東北大学大学院環境科学研究科国立科学博物館

特定非営利活動法人ものづくり生命文明機構

概要蝶や鳥など生き物や自然の仕組みにヒントを得た環

境負荷の低い技術と将来的な応用の可能性から日本文化

に根差した共生型の新しいライフスタイルのあり方につい

て紹介します国立科学博物館の入館料600円が必要です

httpwwwkahakugojpevent201010natureindex

html

[人材育成]シンポジウム「世界を魅せる日本の課題解決型基礎研究~JST 目利き制度とその可能性」日時2010 年 12 月 6 日(月)1000-1800 (0900 受

付開始)

場所東京国際フォーラム B5 ホール

主催(独)科学技術振興機構(JST)

概要JST がこれまでに行ってきた戦略的創造研究推進

事業の成果を振り返りつつ今後の日本の科学技術の発

展に向けた事業のあり方について参加者の皆様と議論しま

httpwwwsenryaku30jstgojp 

[ 持続可能性 ]学術会議シンポジウム「低炭素化に向けた経済社会エネルギーのあり方と実現のシナリオ」日時2010 年 12 月 9 日(木)1330 ~ 1700

場所学術会議講堂

主催土木工学建築学委員会低炭素建築都市分科会

社会資本分科会

概要両分科会は中~超長期のエネルギー消費量削減シ

ナリオ策定に取り組んできました本シンポジウムでは

分科会の検討結果や削減のための様々な取り組みを紹介

し今後のとりまとめ作業に向けた議論を行います

httpwwwscjgojpjaeventpdf104-s-3-6pdf 

37

PEN N

ovember

PEN 編集室関谷瑞木阿多誠文独立行政法人産業技術総合研究所 ナノシステム研究部門 305-8568 つくば市梅園 1-1-1 産総研つくばセンター中央第 2 M404Email nano-penmaistgojpTel029-861-5185 Fax 029-861-5339

編集後記

今月 8 日に長野県長野市で開催された第 3 回国際ナノ

ワークショップ「ナノテクノロジーの社会受容~ナノ

材料の工業標準化の国際的な動向と環境影響について

~」の会場で多くの企業の皆様と意見交換をする貴

重な機会を得た目まぐるしい勢いで変わってゆく諸

外国の環境規制策の動向に民間企業の皆様が神経を

とがらせておられることがひしひしと感じられた東

京から新幹線で 1 時間半インターネットでリアルタ

イムに世界とつながることのできる時代とはいえ情

報物人が集積する地である東京とは異なる苦労も

あることもお聞きした美しい山々きれいな空気あ

るいは世界に誇る観光遺産と科学技術を結び付けて

地域振興をはかりたいとの頑張っておいでの方にもお

会いした

月刊という制約はあるもののこうした方々にとって

タイムリーで有用な情報を提供し続けたいと改めて

強く感じた

ちなみにPEN を発行しているつくば市の産総研つく

ばセンターへもつくばエクスプレスと路線バスを乗

り継いで都心からは約 1 時間半かかる

2010 年 11 月 25 日

PEN 編集室一同ウナギツカミ

Page 28: Public Engagement with Nano- PEN November …...5 PEN November 【知財】 中国、10年で特許強国に(2010.11.12) 中国国家知識産権局は11日に「全国特許事業発展戦略

28

PEN

Nov

embe

r を代替する材料の技術開発 ②レアメタルの使用量を削

減する技術開発 ③レアメタルのリサイクルを促進する

技術開発 ④その他のレアメタル消費の削減に資する技

術開発を行うhttpapp3infocnedogojpinformationskoubopressEFnedopre

ss2010-11-068550095069

【導波路型光スイッチ】光スイッチの消費電力を従来の 2 分の 1 に低減 増え続けるネットワーク機器の消費電力問題を解決 (201011 09)( 株 ) 富士通研究所

同社はシリコンフォトニクス技術を適用した導波路型光

スイッチについて世界で初めてシリコンゲルマニウム

(SiGe)細線構造を用いることで従来のシリコン細線構

造に比べて消費電力を約 2 分の 1 に低減することに成

功した幅広い波長に対応して高速に動作できるタイプの

光スイッチ素子としては世界最小の消費電力を実現して

いるhttpprfujitsucomjpnews2010119html

【ナノ構造機能】昆虫が足を擦る秘密をナノテクノロジーで解明 生体模倣による新しい材料機能の開発に活用 (201011 09)物質材料研究機構マックスプランク研究所キール大

共同研究チームは環境問題で循環型社会実現に求められる

「接着と分離」を繰り返せる未来の接合技術の開発研究に

おいてガラスのような平坦な表面を逆さまでも歩行でき

る昆虫の足の裏の優れた接着性に着目し昆虫(ハムシ)

の歩行調査を行いナノテクノロジーを用いた実験により

昆虫が摩擦により汚れを感じていることを突き止めた

httpwwwnimsgojpnewspress201011p201011090html

【超音波流量計半導体プロセス】極微量な流量を精密に測定できる超音波流量計を開発 半導体製造装置の性能を向上させ環境負荷を低減しランニングコストを削減 (201011 09)産総研( 株 ) アツデン東京計装 ( 株 )

3 者は共同で10 mLmin( 誤差plusmn 01 mLmin) 以下の極

微量な流量を精密に測定できる超音波流量計を開発した

この流量計は超音波ガイド波の伝搬に関する基礎理論の

見直しを行い超音波を高周波化し設計を最適化するこ

とにより開発したものでこれまでの超音波流量計では計

測できなかった微小な流速領域での流量測定ができるこ

の超音波流量計は半導体製造装置で利用される薬液の高

精度な制御を可能にし半導体製造装置の高性能化環境

負荷の低減ランニングコスト削減へ貢献すると期待され

る httpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101109

pr20101109html

【研究交流】中国上海における国際交流事業の実施同済大学と大学間学術交流協定を締結 (201011 08)大阪大学

10 月 21 日上海において開催した上海教育研究センター

開所式記念講演会祝賀会には鷲田清一総長をはじめ

とする大阪大学教職員中国の学術交流協定校関係者大

阪大学同窓会会員など約 130 人が列席し盛況の内に終

了した翌 22 日23 日には第 15 回大阪大学上海交

通大学学術交流セミナーが上海交通大学情報ネットワーク

センターを主会場として開催され7つの研究会に約 100

人が参加したさらに 23 日と 24 日の両日上海東亜展

覧館を会場に開催された中国国際教育展に大阪大学のブー

スを出展し100 人を超える留学相談者が本学のブースを

訪れた翌 10 月 22 日鷲田清一総長は上海市内にある

同済大学を訪問裴学長陳副学長ほか大学関係者と懇談

するとともに大学間学術交流協定及び学生交流覚書の調

印式に臨んだこれにより中国の大学との 10 番目の協定

が成立したhttpwwwosaka-uacjpjanewstopics20101120101108_1

httpwwwosaka-uacjpjanewstopics20101120101108_2

【高耐久性セラミック】激しい熱変化にも強度劣化しない窒化ケイ素系セラミックスを開発 窒化ホウ素の微粒子を分散させ耐熱衝撃性を飛躍的に向上 (201011 08)産総研三井金属鉱業(株)

両者は共同で従来品に比べて耐熱衝撃性と高温での強度

を飛躍的に高めた窒化ケイ素系セラミックスを開発した

今回窒化ケイ素(Si3N4)をベースとして高い熱伝導

率をもつ粒界相を形成させるとともにそこに非晶質に近

い窒化ホウ素のナノメートルオーダーの微粒子を分散させ

ることで耐熱衝撃性を飛躍的に向上させた従来の窒化

ケイ素が 1000 の温度差で強度が低下するのに対して

今回の開発材は電気炉で 1400 に加熱した後水中に投

下することを 10 回繰り返してもほとんど強度が劣化しな

かったまたこの開発材について大気中 1200 で高温

29

PEN N

ovember

曲げ試験を行ったところ室温と同程度の強度を保持して

いたセラミックスでは大型化すると小試験片では得られ

た特性が得られず実用化を進める上での課題になること

が多いがこの開発材では焼結条件を最適化することに

よって直径 82 mm 長さ 370 mm の比較的大型の部品で

も試験片と同様の組織物性が得られたまた実際の

製品形状に近い部品の焼成も可能となったhttpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101108

pr20101108html

【ミリ波発信器】ミリ波帯無線通信の実用化にめど 世界最高性能の低雑音局部発振器を開発 (201011 08)東京工業大学

東工大の研究グループは雑音を従来の 100 分の1以下

に低減したミリ波帯局部発振器を開発した20GHz 帯の

発振器と 60GHz 帯の注入同期型直交局部発振器を組み合

わせることにより世界最高の低位相雑音性能を達成した

無線通信の周波数帯ひっ迫を解消する技術として 60GHz

ミリ波帯の利用が注目されているがミリ波帯ではコイル

やコンデンサの損失が大きくなり位相雑音特性が劣化す

るのがネックだった今回はこれを解決したものでミ

リ波無線通信の実用化につながる成果発振器は 65 ナノ

メートルのシリコン CMOS プロセスを利用して試作した

580GHz から 636GHz の周波数範囲で 4 相正弦波出力が

可能でこの発振器により10Gbps(毎秒 100 億ビット)

以上の超高速ミリ波帯無線通信の実現が期待されるh t t p w w w o l d t i t e c h a c j p t o k y o - t e c h - i n - t h e - n e w s j

archives2010111289174400html

【炭素繊維応用】住宅向け外装材「炭素繊維補強サイディング」の本格展開について 優れた強度と耐熱寸法安定性で 15 年の基材保証を実現 (20101105)東レ ACE(株)

東レの子会社東レ ACE は炭素繊維で補強した窯業系サ

イディングを開発し本格販売と市場展開を開始する「炭

素繊維補強サイディング」はセメント質原料に炭素繊維

を添加配合して成型固着させた建物外壁用のセメントボー

ドで従来の窯業系サイディングの優れた防耐火性耐久

性等を維持しつつ更なる強度補強効果や火災高温時の

変形や熱収縮によるひび割れの抑制など耐熱寸法安定性

も向上させることで基材 15 年保証を実現する 本製品

に使用している炭素繊維は軽くて強く優れた高温特性や

耐熱性を有し非常に細い繊維を多く配合できることから

外装材としての強度補強効果も期待できるとしている

httpwwwtoraycojpnewsaffilnr101105html

【光ファイバーナノインプリント】ナノ格子反射防止表面光ファイバー先端に形成ナノ技術で安く製作 (20101105)東北大学

東北大の研究グループは微小な窪みが多数形成された反

射防止構造体を光ファイバーの先端に製作する技術を開発

した光ファイバーは光通信や光分析装置の構成部品とし

て使われており光源受光素子やレンズなどの光部品と

の接続損失を減らすために先端に反射防止膜が形成され

ている従来の反射防止膜は真空装置を使って薄膜を付け

るためコストが問題であった研究グループはナノイン

プリント技術を用いて光ファイバー先端のコア部に 270

ナノメートル間隔で微小な円錐状の窪みを形成し反射損

失を低減することに成功したナノインプリント技術は

基板に塗布したポリマーに原版を押し付けて微細パターン

を転写する技術で高価な露光装置や真空装置が不要なた

めナノ構造を安価に製作することができる今回光ファ

イバー先端にナノ構造を製作するために専用のナノインプ

リント装置を開発した窪みの間隔が光の波長よりも小さ

い場合屈折率が変化し反射波が生じにくくなる反射

率や波長帯域は窪みの形状間隔や高さで決まり従来

の反射防止膜よりも設計の自由度が高いため要求に合わ

せて種々の反射防止表面を製作することが可能 httpwwwtohokuacjpjapanese201011press20101105-2

html

【人工筋肉機能材料】光を運動エネルギーに変える新高分子素材の開発に成功 世界で初めて分子を大面積で 3 次元的に配列させ新機能を実現 (20101105)理化学研究所

光で変形したり電子を流すなどの機能を持った分子を人工

的に規則正しく大面積で集積することができると機能性

材料の性能向上や革新的新機能の発現につながるそのた

め世界中で精力的に開発が行われているがこれまで実現

させた例はなかった理化学研究所の研究グループは光

で構造が変化するアゾベンゼン分子を組み込んだブラシ状

の高分子「ポリマーブラシ」を大面積で 3 次元的に一挙

に配列させる手法の開発に初めて成功したこの規則性の

ある 3 次元集積構造は延伸したテフロンシートにポリ

マーブラシを挟み込みアイロンに似た熱と圧力を加える

といういたって簡単な操作で実現したさらにこのフィ

30

PEN

Nov

embe

r ルムに光を当てるとアゾベンゼン分子の構造変化が一方

向に集約しフィルムが湾曲するという巨視的変形を引き

起こすことを見いだしたすなわちこの新しいフィルム

は光エネルギーを運動エネルギーに変換する機能を持って

おり新たな人工筋肉材料などへの展開が期待されるま

た本技術は有機薄膜太陽電池をはじめとする次世代の機

能材料の開発にも革新をもたらすと期待されるhttpwwwrikenjpr-worldinforeleasepress2010101105

indexhtml

【リチウムイオン電池正極材料】常温プロセスで全固体薄膜リチウムイオン電池の試作に成功 エアロゾルデポジション法による蓄電池製造の新工法開発を本格化 (2010115)産総研

産総研はトヨタ自動車 ( 株 ) と共同で産総研が開発し

たセラミックス材料の常温高速コーティングプロセスであ

るエアロゾルデポジション (AD) 法を用いて酸化物系の

正極材料負極材料固体電解質材料を薄膜積層化して

金属基板上に 3 層構造からなる全固体薄膜リチウム (Li) イ

オン電池を試作蓄電池としての充放電特性を世界で初め

て確認した 従来型の薄膜技術とは異なりAD 法を用い

ると基板の加熱が不要でまた厚膜化も容易であるそ

のため成膜時間が大幅に短縮でき蓄電池の生産性向上

やプロセスコストの大幅な低減が期待される今後は AD

法を用いた本格的な全固体電池の共同開発を進めていく httpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101105

pr20101105html

【記録デバイススピントルク素子】次世代超高密度 HDD に向けたマイクロ波アシスト記録の基本技術を開発 磁気ヘッドに搭載可能なスピントルク素子を用いた磁気情報の書き換えを確認 (2010115)新エネルギー産業技術総合開発機構(NEDO)(株)日

立製作所

NEDO はハードディスク装置(HDD)の開発製造会社で

ある日立グローバルストレージテクノロジーズの協力を得

て従来の磁気記録方式の限界を超えHDD の記録密度

を飛躍的に伸ばす方式として期待されているマイクロ波ア

シスト磁気記録方式の基本技術を開発しその原理を実験

的に確認したマイクロ波アシスト記録では記録媒体の

小領域にマイクロ波帯の高周波磁界を加え磁気情報の書

き込みを容易にする今回開発したのはヘッドに搭載可

能な高周波磁界を発生するスピントルク発振素子でこの

素子を用いて記録媒体上に磁気情報を記録できることを実

験的に確認したこれまで外部のマイクロ波発生装置を

用いたマイクロ波アシスト効果の報告例はあったが今回

微細な発振素子を用いた磁気情報の記録を確認できたこと

により将来この素子を記録ヘッドに搭載しマイクロ波

アシスト記録を実用的に行える可能性が示されたhttpapp3infocnedogojpinformationskoubopressEFnedopre

ss2010-11-029718160145

【基礎科学物性】絶縁体が金属に変わる新原理の解明 超伝導素子や熱電変換素子の開発へ道(20101104)東北大学

東北大学原子分子材料科学高等研究機構の研究グループ

は高品質酸化物薄膜において電気が流れにくい絶縁体

状態から流れやすい金属状態への遷移機構を解明した材

料における電気の流れやすさは電気を流す担い手である

伝導キャリアが物質中にどれだけ含まれるか伝導キャリ

アがどれくらいスムーズに動きまわれるかによって決ま

るつまり伝導キャリアの濃度を増やしたり材料中で

伝導キャリアの動きを妨げる原因になるひずみや欠陥を少

なくすると電気はより流れやすくなる本研究では人

工宝石として知られるチタン酸ストロンチウム (SrTiO3)

の絶縁体を用い伝導電子を生み出すキャリア供給層を

SrTiO3 絶縁体間に挟み込んだ絶縁体層 キャリア供給層

絶縁体層の層状界面構造をもつ高品質超格子構造を作製す

ることで絶縁体層の体積を増加させると反対に電気が流

れやすい金属状態になる現象を発見した最新の電子顕微

鏡技術を用いた原子構造解析と電子状態の理論計算を駆使

して絶縁体を増加させると界面で結晶のひずみが少なく

なり高導電化することを解明した本研究が明らかにした

界面での結晶のひずみを制御することによって絶縁体を金

属状態へ変化できる現象は様々な材料でも普遍的に起こる

と考えられ絶縁体から金属へ変わる境目で性能が向上す

る新超伝導体や新熱電材料の開発に展開することが可能と

期待されるhttpwwwtohokuacjpjapanesenewimgpressimgtohokuuniv-

presspdf

【環状高分子】様々な環状高分子の自在な合成に成功 「かたち」に基づく機能開発に期待(2010112)東京工業大学

東工大の研究グループはこれまで困難とされてきた

種々の含環状高分子の選択的な合成に成功した同研究

グループで開発された単環状高分子合成プロセスである

31

PEN N

ovember

Electrostatic Self-Assembly and Covalent Fixation Process

と有機合成化学の新手法であるクリックケミストリー

を組み合わせることで様々な「かたち」の自在な構築

を達成した本手法の開発により近年注目を集めてい

る「かたち」に基づいた高分子物性の探索を加速させる

ものと期待されるhttp wwwo ld t i t e ch ac j p tokyo - t ech - in - the -news j

archives2010111288656000html

【異分野連携オープンイノベーションモデル】応用脳科学コンソーシアム 脳科学及びその周辺領域の学術知見を活用したオープンイノベーションモデルの研究活動を開始 異業種の民間企業と異分野の脳科学研究者が連携し事業性の高い研究テーマを推進 (2010111)アサヒビール(株)(株)NTT データ積水ハウス(株)

(株)竹中工務店帝人(株)凸版印刷(株)日産自動

車(株)(株)博報堂(株)NTT データ経営研究所

NTT データ経営研究所が日本神経科学学会の協力を得て

2010 年 10 月 1 日に創設した「応用脳科学コンソーシア

ム」においてそれぞれの事業活動に関連する独創性の

高い研究テーマについて複数の「応用脳科学 RampD 研究会」

を立ち上げるRampD 研究会では各 RampD 研究会を設置

した特別会員企業が各テーマに関連の深い脳科学及び

その関連領域の研究者を招聘し異業種である他の会員

企業とともに最新の研究知見を活用してオープンイノ

ベーションモデルの研究活動を実施する各社が設置す

る RampD 研究会は現時点で(1)おいしさの総合評価研究

会(アサヒビール)(2)ヘルスケア脳情報クラウド研究

会(NTT データ)(3)インタラクティブ住環境研究会(積

水ハウス株式会社)(4)コミュニケーション空間研究

会(竹中工務店)(5)メディアエンゲージメント研究

会(博報堂)この他の RampD 研究会については今後随

時応用脳科学コンソーシアムのウェブサイト httpwww

keieikencojpcan で公開予定

httpwwwnttdatacojprelease2010110101html

【レーザ技術基礎光物性】熱を加えずに結晶を柔らかくすることに成功 高強度テラヘルツ電磁パルスで分子ネットワーク操作が可能に 

(2010111)京都大学科学技術振興機構(JST)

京都大学はテラヘルツ電磁パルスと呼ばれる新しい光

を物質に照射することで1兆分の1秒の短い時間で結

晶中の分子を大振幅で揺さぶり熱平衡状態では実現で

きないような分子変位を実現することに世界で初めて成

功した実験結果は結晶が実効的にやわらかくなったこ

とを意味するものでさらに強いテラヘルツ電磁パルス

によって高効率で結晶を融解させることを示唆するこ

れは熱による反応を起こすことなく新しい分子間のネッ

トワークやたんぱく質などの巨大分子の立体配位を操作

できることを示しており化学合成における反応促進や

創薬における有機分子結晶の精製での活用が考えられる

今回の成果は JST 戦略的創造研究推進事業日本学術振

興会学術創成プロジェクト「動的相スイッチ機構を内在

する有機電子材料の開拓と非平衡物性科学への展開」お

よび京都大学グローバル COE プログラム「普遍性と創発

性から紡ぐ次世代物理学」によるものhttpwwwjstgojpprannounce20101101indexhtml

【高周波デバイス】透 明 な 高 周 波 デ バ イ ス 見 え な い ア ン テ ナ へ の 道

(20101028)物質材料研究機構太陽誘電(株)

両者は共同で透明な高周波デバイスを製造するための

基本技術である微細な金属配線と酸化物透明導電体から

なるハイブリッド構造を開発した本技術は不透明で

あるが高い伝導性を示す金属と透明ではあるが金属の

100 分の 1 程度の伝導率にとどまる酸化物透明導電体と

を組合せ両者の特性を相補的に活用することにより

透明でありかつ携帯電話をはじめとする無線デジタ

ル通信に用いられるギガヘルツ帯の高周波に対して高い

伝送特性を示す素子構造を実現した

httpwwwnimsgojpnewspress201010p201010280html

【エコ製品環境経営】COP10 に向けた環境配慮型製品技術の取り組み ポリ乳酸繊維 ldquo エコディア rdquo 使用商品の提供や連携事業「メッセナゴヤ 2010」への出展を通じ環境保全の取り組みを強化 (20101028)東レ ( 株 )

同社は10 月 11 日 ( 月 ) から 29 日 ( 金 ) に開催された

生物多様性条約第 10 回締約国会議 (COP10) に向けて

ポリ乳酸繊維 ldquo エコディア rdquo 使用商品の提供などを通じて

環境に配慮した運営に協力したまたCOP10 の連携事

業である環境エネルギーをテーマとした展示会「メッ

セナゴヤ 2010」に出展し環境に配慮した次世代自動車

や最先端航空機向けの先端材料を紹介した

httpwwwtoraycojpnewsfibernr101028html

32

PEN

Nov

embe

r

NEWS POD 著作権の関係で記事のタイトルと詳細内容は標記できませんので簡略に表示しています詳しい内容に関しては各新聞及び雑誌をご覧ください

ナノテクノロジー

研究開発最前線

20101122 日 刊 工 業 新 聞 News

ウェーブ 21

X 線レーザー

20101121 東京読売新聞

新潟ナノテク研究会

20101120 日本経済新聞

ナノテクとバイオ

20101120 下野新聞

バイオ起業

20101119 朝日新聞

ナノ粒子の構造制御

20101119 日刊工業新聞

水素原子観察

20101119 科学新聞

光ファイバー関連技術

20101119 科学新聞

希少金属対策

20101118 日刊工業新聞

熱電材料

20101117 日経速報ニュース

化学合成でナノ構造

20101117 日経産業新聞

つくばナノテク研究拠点への投資

20101117 日刊工業新聞

分子バネ

20101116 日経速報ニュース

ナノバイオ融合

20101116 日経産業新聞

フレンドオブアースのナノテク評

20101116 エコロジーエクスプレス

クラスターテクノロジー

20101112 産経新聞

実用化助成

20101111 日刊産業新聞

接着のメカニズム

20101110 日経産業新聞

電子材料

20101110 日経産業新聞

ナノ磁石

20101110 東京新聞

高分解能放射線検出器

20101110 化学工業日報

電池電極材料

20101108 日本経済新聞

食の安全性

20101108 日経エコロジー

ナノ磁石実用化

20101105 朝日新聞

ナノテク接着剤

20101105 日刊工業新聞

水素原子の観察

20101105 日刊工業新聞

補正予算案

20101105 科学新聞

ナノ磁石

20101104 日本経済新聞

ナノボーグ

20101104 日刊工業新聞

ITO 電極代替技術

20101104 鉄鋼新聞

レアアース代替材

20101103 日本経済新聞電子版

セクション

ナノ鉄磁

20101103 毎日新聞

有機トランジスタ

20101101 日 経 速 報 ニ ュ ー ス

アーカイブ

有機トランジスタ

20101101 日経産業新聞

ナノムービー

20101101 日経サイエンス

低燃費タイヤ

20101030 朝日新聞

筑波大生命科学研究拠点

20101030 茨城新聞

レアアース代替材

20101029 日経産業新聞

播磨地域

20101029 化学工業日報

ナノ粒子操作

20101029 科学新聞

33

PEN N

ovember

NEWS POD 著作権の関係で記事のタイトルと詳細内容は標記できませんので簡略に表示しています詳しい内容に関しては各新聞及び雑誌をご覧ください

中国新5カ年計画

20101028 日本経済新聞

高機能消臭素材

20101028 化学工業日報

環境規制等

終わりの科学

20101201 日経サイエンス

電気自動車の覇権

20101123 週刊エコノミスト

環境規制対応

20101122 日経産業新聞

温暖化ガス排出枠

20101122 日経産業新聞

ロス自動車ショー

20101119 日経産業新聞

EV と環境規制

20101119 朝日新聞

EV

20101119 東京新聞

環境と法規制

20101119 化学工業日報

トヨタとテスラ

20101118 読売新聞速報ニュー

CO2 排出量削減

20101118 日経産業新聞

カリフォルニア州環境規制と EV

20101112 日本経済新聞

環境規制

20101112 日本経済新聞

環境規制

20101112 日経産業新聞

米韓 FTA

20101112 朝日新聞

米韓 FTA

20101112 毎日新聞

顔料

20101112 化学工業日報

レアメタル供給規制

20101111 日本経済新聞

潮冷熱

20101110 日本経済新聞

レアアース生産と環境規制

20101108 ダウジョーンズ中国企

業ニュース

韓米FTA

20101101 中央日報

科学技術政策

競争的資金制度

20101122 日本経済新聞

科学技術関係補正予算案 

20101122 THE DOCTOR

韓国 KIST

20101121 朝鮮日報

科学技術政策

20101119 日本経済新聞電子版

セクション

科学技術政策

20101118 日本経済新聞

科学技術政策

20101118 日経産業新聞

女性研究者

20101117 日経速報ニュース

科学技術予算

20101114 東京読売新聞

トップ1論文

20101112 科学新聞

中国特許強国に

20101112 新華社ニュース

関経連と科学技術政策

20101110 産経新聞 

科学技術産業一体政策

20101109 日刊工業新聞

優れた論文の条件

20101105 毎日新聞

「焼け太り許さぬ」

20101102 朝日新聞

国の研究開発投資目標

20101029 日刊工業新聞

科技政策で提言

20101027 日経産業新聞

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PEN

Nov

embe

r

科学への信頼に関する読者調査

20101201 日経サイエンス

「カップリング反応」アニメ化

20101110 朝日新聞東京読売

新聞他

科学と社会つなぐ人材

20101025 東京新聞

NEWS POD 

情報誌 PEN 購読のご案内PEN の継続的な購読をご希望の方は下記のメールアドレスまでお名前ご所属メールアドレスをご記入の上ご連絡ください登録配信は無料ですnano-penmaistgojp

PEN は原則月 1 回配信しますバックナンバーと PEN の前身【AIST-TOKYO ナノテク情報】をナノシステム研究部門ホームページにて公開しています httpunitaistgojpnrinano-planindexhtml

PEN は皆さまとの情報共有を目的としていますお持ちの情報で共有すべきものがあれば nano-penmaistgojp までお寄せ下さい

いただいた個人情報は産総研 個人情報保護方針(プライバシーポリシー)に基づき大切に管理し情報誌 PEN の運営と私達のイベントのご案内のみに使用させていただきます

科学技術コミュニケーション

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PEN N

ovember

イベント案内

[産学連携研究開発]大阪大学ナノ理工学人材育成産学コンソーシアム 第 3 回ナノ理工学情報交流会場所大阪大学中之島センター 7 階 講義室 3(講師来訪)

   大阪大学東京オフィスサテライト教室

(遠隔講義配信)

   四日市商工会議所内サテライト教室

(遠隔講義配信)については調整中です

コンソーシアム HP にてご確認ください

   ナノテク社会人教育プログラムの開講をされてい

る場合遠隔講義配信に対応可能です事務局まで

ご連絡ください

日時2010 年 12 月 10 日(金)1330 ~ 1900 頃

主催大阪大学ナノ理工学人材育成産学コンソーシアム 

概要ナノ理工学人材育成産学コンソーシアムでは活動

の一環として産学連携のきっかけを提供すべく企業と

大学の双方からテーマに即した研究開発やトピックを紹介

し会員同士の意見交換と情報共有の促進をはかっていま

す第 3 回目となる今回は「光を用いたナノテクノロジー

の新展開」をテーマに開催しますプログラムなどの詳細

は下記の HP をご参照下さい

参加費コンソーシアム会員学生及び大阪大学教職員は

無料(コンソーシアム企業会員の場合社内から何名でも

無料で参加が可能です)

上記以外の方は資料作成費 1000 円が必要になります

参加登録氏名所属連絡先懇談会への出欠を記載の

上メールにて大阪大学ナノ理工学人材育成産学コンソー

シアム事務局(nano-consnanoscienceorjp)へお申込み

下さい

httpwwwnanoscienceorjp

[コミュニケーション]科学コミュニケーション研究会 第 1 回関西支部勉強会日時2010 年 12 月 2 日 1800 ~ 2000

場所京都大学 吉田泉殿

主催科学コミュニケーション研究会 関西支部有志

概要大阪教育大学科学教育センターの中矢史雄氏を講師

に招きオーストラリアの科学技術コミュニケーションに

ついてオーストラリア国立大学科学意識向上センター

での経験なども交えてお話いただきます定員は 25 名で

す事前申し込みが必要です

httpbitlybPmTP9

[展示会]セミコンジャパン 2010日時12 月 1 日~ 3 日

場所幕張メッセ

主催SEMI

概要国内外の最新のマイクロエレクトロニクス技術に関

する情報を入手することのできる世界最大の半導体製造装

置材料展です

httpwwwsemiconjapanorgjaindexhtm

[知財]アジア特許庁シンポジウム日時2010 年 12 月 3 日(金)930 ~ 1210

場所ホテル日航奈良 飛天の間

主催特許庁

概要日本中国韓国インドネシアマレーシアシ

ンガポールの特許庁幹部を招き各国の知財保護強化の取

組みやアジアにおける知財協力を紹介しますまたパ

ネルディスカッションを設けアジアにおける人材育成協

力の方向性について議論します

httpwwwintergroupjp~convasia

[人材育成]応用物理学会 人財育成シンポジウム -日本の危機を科学が救うそのためのリーダー育成を考える-日時2010 年 11 月 29 日(月)1000 ~ 1710

場所東京工業大学デジタル多目的ホール

主催応用物理学会

概要急速に進むグローバル化に対応のできる人材を育成

するための課題や応用物理学会が貢献することのできる

具体的な取り組みについて議論します

イベント案内へ掲載を希望される方は nano-penmaistgojp までご一報ください

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PEN

Nov

embe

r h t t p w w w j s a p o r j p a c t i v i t i e s e d u c a t i o n

symppt2010symphtml 

[コミュニケーション]科学技術とメディアのより良い関係に向けて日時11 月 26 日 1815 ~ 2030

場所早稲田大学大隈小講堂

主催サイエンスメディアセンター(SMC)

概要英国オーストラリアのサイエンスメディアセ

ンターの関係者米国のサイエンスコミュニケータを交え

て研究者とメディアの有益な関係性構築に向けた取り組

みについて議論します参加費は無料同時通訳がつきま

httpsmc-japanorgp=403 

[異分野連携]医学領域と工学領域連携研究シンポジウム ‐ 未来を拓く医工連携 ‐日時2010 年 11 月 27 日(土)

場所山口大学医学部第 3 講義室

主催日本学術会議中国四国地区会議山口大学

概要がんの個別化医療をメインテーマにこれからの医

工連携のあり方について講演と議論を行います

httpwwwscjgojpjaeventpdf100-t-3pdf 

[人材育成]マイクロナノエンジニアリング シンポジウム ‐ イノベーションと人材育成 ‐日時2010 年 12 月 8 日(水)1300 ~ 1700

場所日本学術会議 講堂

主催日本学術会議 マイクロナノエンジニアリング分

科会日本機械学会 マイクロナノ工学専門会議

概要学際的分野であるマイクロナノエンジニアリング

は大学大学院における教育の整備関連する産業界

学術界での研究開発における分野融合的な取組みが不可欠

です本シンポジウムでは人材育成を軸とした課題につ

いて議論します

httpwwwscjgojpjaeventpdf100-s-3-1pdf

[ 博物館展示 ]自然に学ぶ ネイチャーテクノロジーとライフスタイル展開催中です

場所国立科学博物館 (東京上野公園)

日時2010 年 10 月 26 日~ 2010 年 2 月 11 日

主催東北大学大学院環境科学研究科国立科学博物館

特定非営利活動法人ものづくり生命文明機構

概要蝶や鳥など生き物や自然の仕組みにヒントを得た環

境負荷の低い技術と将来的な応用の可能性から日本文化

に根差した共生型の新しいライフスタイルのあり方につい

て紹介します国立科学博物館の入館料600円が必要です

httpwwwkahakugojpevent201010natureindex

html

[人材育成]シンポジウム「世界を魅せる日本の課題解決型基礎研究~JST 目利き制度とその可能性」日時2010 年 12 月 6 日(月)1000-1800 (0900 受

付開始)

場所東京国際フォーラム B5 ホール

主催(独)科学技術振興機構(JST)

概要JST がこれまでに行ってきた戦略的創造研究推進

事業の成果を振り返りつつ今後の日本の科学技術の発

展に向けた事業のあり方について参加者の皆様と議論しま

httpwwwsenryaku30jstgojp 

[ 持続可能性 ]学術会議シンポジウム「低炭素化に向けた経済社会エネルギーのあり方と実現のシナリオ」日時2010 年 12 月 9 日(木)1330 ~ 1700

場所学術会議講堂

主催土木工学建築学委員会低炭素建築都市分科会

社会資本分科会

概要両分科会は中~超長期のエネルギー消費量削減シ

ナリオ策定に取り組んできました本シンポジウムでは

分科会の検討結果や削減のための様々な取り組みを紹介

し今後のとりまとめ作業に向けた議論を行います

httpwwwscjgojpjaeventpdf104-s-3-6pdf 

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PEN N

ovember

PEN 編集室関谷瑞木阿多誠文独立行政法人産業技術総合研究所 ナノシステム研究部門 305-8568 つくば市梅園 1-1-1 産総研つくばセンター中央第 2 M404Email nano-penmaistgojpTel029-861-5185 Fax 029-861-5339

編集後記

今月 8 日に長野県長野市で開催された第 3 回国際ナノ

ワークショップ「ナノテクノロジーの社会受容~ナノ

材料の工業標準化の国際的な動向と環境影響について

~」の会場で多くの企業の皆様と意見交換をする貴

重な機会を得た目まぐるしい勢いで変わってゆく諸

外国の環境規制策の動向に民間企業の皆様が神経を

とがらせておられることがひしひしと感じられた東

京から新幹線で 1 時間半インターネットでリアルタ

イムに世界とつながることのできる時代とはいえ情

報物人が集積する地である東京とは異なる苦労も

あることもお聞きした美しい山々きれいな空気あ

るいは世界に誇る観光遺産と科学技術を結び付けて

地域振興をはかりたいとの頑張っておいでの方にもお

会いした

月刊という制約はあるもののこうした方々にとって

タイムリーで有用な情報を提供し続けたいと改めて

強く感じた

ちなみにPEN を発行しているつくば市の産総研つく

ばセンターへもつくばエクスプレスと路線バスを乗

り継いで都心からは約 1 時間半かかる

2010 年 11 月 25 日

PEN 編集室一同ウナギツカミ

Page 29: Public Engagement with Nano- PEN November …...5 PEN November 【知財】 中国、10年で特許強国に(2010.11.12) 中国国家知識産権局は11日に「全国特許事業発展戦略

29

PEN N

ovember

曲げ試験を行ったところ室温と同程度の強度を保持して

いたセラミックスでは大型化すると小試験片では得られ

た特性が得られず実用化を進める上での課題になること

が多いがこの開発材では焼結条件を最適化することに

よって直径 82 mm 長さ 370 mm の比較的大型の部品で

も試験片と同様の組織物性が得られたまた実際の

製品形状に近い部品の焼成も可能となったhttpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101108

pr20101108html

【ミリ波発信器】ミリ波帯無線通信の実用化にめど 世界最高性能の低雑音局部発振器を開発 (201011 08)東京工業大学

東工大の研究グループは雑音を従来の 100 分の1以下

に低減したミリ波帯局部発振器を開発した20GHz 帯の

発振器と 60GHz 帯の注入同期型直交局部発振器を組み合

わせることにより世界最高の低位相雑音性能を達成した

無線通信の周波数帯ひっ迫を解消する技術として 60GHz

ミリ波帯の利用が注目されているがミリ波帯ではコイル

やコンデンサの損失が大きくなり位相雑音特性が劣化す

るのがネックだった今回はこれを解決したものでミ

リ波無線通信の実用化につながる成果発振器は 65 ナノ

メートルのシリコン CMOS プロセスを利用して試作した

580GHz から 636GHz の周波数範囲で 4 相正弦波出力が

可能でこの発振器により10Gbps(毎秒 100 億ビット)

以上の超高速ミリ波帯無線通信の実現が期待されるh t t p w w w o l d t i t e c h a c j p t o k y o - t e c h - i n - t h e - n e w s j

archives2010111289174400html

【炭素繊維応用】住宅向け外装材「炭素繊維補強サイディング」の本格展開について 優れた強度と耐熱寸法安定性で 15 年の基材保証を実現 (20101105)東レ ACE(株)

東レの子会社東レ ACE は炭素繊維で補強した窯業系サ

イディングを開発し本格販売と市場展開を開始する「炭

素繊維補強サイディング」はセメント質原料に炭素繊維

を添加配合して成型固着させた建物外壁用のセメントボー

ドで従来の窯業系サイディングの優れた防耐火性耐久

性等を維持しつつ更なる強度補強効果や火災高温時の

変形や熱収縮によるひび割れの抑制など耐熱寸法安定性

も向上させることで基材 15 年保証を実現する 本製品

に使用している炭素繊維は軽くて強く優れた高温特性や

耐熱性を有し非常に細い繊維を多く配合できることから

外装材としての強度補強効果も期待できるとしている

httpwwwtoraycojpnewsaffilnr101105html

【光ファイバーナノインプリント】ナノ格子反射防止表面光ファイバー先端に形成ナノ技術で安く製作 (20101105)東北大学

東北大の研究グループは微小な窪みが多数形成された反

射防止構造体を光ファイバーの先端に製作する技術を開発

した光ファイバーは光通信や光分析装置の構成部品とし

て使われており光源受光素子やレンズなどの光部品と

の接続損失を減らすために先端に反射防止膜が形成され

ている従来の反射防止膜は真空装置を使って薄膜を付け

るためコストが問題であった研究グループはナノイン

プリント技術を用いて光ファイバー先端のコア部に 270

ナノメートル間隔で微小な円錐状の窪みを形成し反射損

失を低減することに成功したナノインプリント技術は

基板に塗布したポリマーに原版を押し付けて微細パターン

を転写する技術で高価な露光装置や真空装置が不要なた

めナノ構造を安価に製作することができる今回光ファ

イバー先端にナノ構造を製作するために専用のナノインプ

リント装置を開発した窪みの間隔が光の波長よりも小さ

い場合屈折率が変化し反射波が生じにくくなる反射

率や波長帯域は窪みの形状間隔や高さで決まり従来

の反射防止膜よりも設計の自由度が高いため要求に合わ

せて種々の反射防止表面を製作することが可能 httpwwwtohokuacjpjapanese201011press20101105-2

html

【人工筋肉機能材料】光を運動エネルギーに変える新高分子素材の開発に成功 世界で初めて分子を大面積で 3 次元的に配列させ新機能を実現 (20101105)理化学研究所

光で変形したり電子を流すなどの機能を持った分子を人工

的に規則正しく大面積で集積することができると機能性

材料の性能向上や革新的新機能の発現につながるそのた

め世界中で精力的に開発が行われているがこれまで実現

させた例はなかった理化学研究所の研究グループは光

で構造が変化するアゾベンゼン分子を組み込んだブラシ状

の高分子「ポリマーブラシ」を大面積で 3 次元的に一挙

に配列させる手法の開発に初めて成功したこの規則性の

ある 3 次元集積構造は延伸したテフロンシートにポリ

マーブラシを挟み込みアイロンに似た熱と圧力を加える

といういたって簡単な操作で実現したさらにこのフィ

30

PEN

Nov

embe

r ルムに光を当てるとアゾベンゼン分子の構造変化が一方

向に集約しフィルムが湾曲するという巨視的変形を引き

起こすことを見いだしたすなわちこの新しいフィルム

は光エネルギーを運動エネルギーに変換する機能を持って

おり新たな人工筋肉材料などへの展開が期待されるま

た本技術は有機薄膜太陽電池をはじめとする次世代の機

能材料の開発にも革新をもたらすと期待されるhttpwwwrikenjpr-worldinforeleasepress2010101105

indexhtml

【リチウムイオン電池正極材料】常温プロセスで全固体薄膜リチウムイオン電池の試作に成功 エアロゾルデポジション法による蓄電池製造の新工法開発を本格化 (2010115)産総研

産総研はトヨタ自動車 ( 株 ) と共同で産総研が開発し

たセラミックス材料の常温高速コーティングプロセスであ

るエアロゾルデポジション (AD) 法を用いて酸化物系の

正極材料負極材料固体電解質材料を薄膜積層化して

金属基板上に 3 層構造からなる全固体薄膜リチウム (Li) イ

オン電池を試作蓄電池としての充放電特性を世界で初め

て確認した 従来型の薄膜技術とは異なりAD 法を用い

ると基板の加熱が不要でまた厚膜化も容易であるそ

のため成膜時間が大幅に短縮でき蓄電池の生産性向上

やプロセスコストの大幅な低減が期待される今後は AD

法を用いた本格的な全固体電池の共同開発を進めていく httpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101105

pr20101105html

【記録デバイススピントルク素子】次世代超高密度 HDD に向けたマイクロ波アシスト記録の基本技術を開発 磁気ヘッドに搭載可能なスピントルク素子を用いた磁気情報の書き換えを確認 (2010115)新エネルギー産業技術総合開発機構(NEDO)(株)日

立製作所

NEDO はハードディスク装置(HDD)の開発製造会社で

ある日立グローバルストレージテクノロジーズの協力を得

て従来の磁気記録方式の限界を超えHDD の記録密度

を飛躍的に伸ばす方式として期待されているマイクロ波ア

シスト磁気記録方式の基本技術を開発しその原理を実験

的に確認したマイクロ波アシスト記録では記録媒体の

小領域にマイクロ波帯の高周波磁界を加え磁気情報の書

き込みを容易にする今回開発したのはヘッドに搭載可

能な高周波磁界を発生するスピントルク発振素子でこの

素子を用いて記録媒体上に磁気情報を記録できることを実

験的に確認したこれまで外部のマイクロ波発生装置を

用いたマイクロ波アシスト効果の報告例はあったが今回

微細な発振素子を用いた磁気情報の記録を確認できたこと

により将来この素子を記録ヘッドに搭載しマイクロ波

アシスト記録を実用的に行える可能性が示されたhttpapp3infocnedogojpinformationskoubopressEFnedopre

ss2010-11-029718160145

【基礎科学物性】絶縁体が金属に変わる新原理の解明 超伝導素子や熱電変換素子の開発へ道(20101104)東北大学

東北大学原子分子材料科学高等研究機構の研究グループ

は高品質酸化物薄膜において電気が流れにくい絶縁体

状態から流れやすい金属状態への遷移機構を解明した材

料における電気の流れやすさは電気を流す担い手である

伝導キャリアが物質中にどれだけ含まれるか伝導キャリ

アがどれくらいスムーズに動きまわれるかによって決ま

るつまり伝導キャリアの濃度を増やしたり材料中で

伝導キャリアの動きを妨げる原因になるひずみや欠陥を少

なくすると電気はより流れやすくなる本研究では人

工宝石として知られるチタン酸ストロンチウム (SrTiO3)

の絶縁体を用い伝導電子を生み出すキャリア供給層を

SrTiO3 絶縁体間に挟み込んだ絶縁体層 キャリア供給層

絶縁体層の層状界面構造をもつ高品質超格子構造を作製す

ることで絶縁体層の体積を増加させると反対に電気が流

れやすい金属状態になる現象を発見した最新の電子顕微

鏡技術を用いた原子構造解析と電子状態の理論計算を駆使

して絶縁体を増加させると界面で結晶のひずみが少なく

なり高導電化することを解明した本研究が明らかにした

界面での結晶のひずみを制御することによって絶縁体を金

属状態へ変化できる現象は様々な材料でも普遍的に起こる

と考えられ絶縁体から金属へ変わる境目で性能が向上す

る新超伝導体や新熱電材料の開発に展開することが可能と

期待されるhttpwwwtohokuacjpjapanesenewimgpressimgtohokuuniv-

presspdf

【環状高分子】様々な環状高分子の自在な合成に成功 「かたち」に基づく機能開発に期待(2010112)東京工業大学

東工大の研究グループはこれまで困難とされてきた

種々の含環状高分子の選択的な合成に成功した同研究

グループで開発された単環状高分子合成プロセスである

31

PEN N

ovember

Electrostatic Self-Assembly and Covalent Fixation Process

と有機合成化学の新手法であるクリックケミストリー

を組み合わせることで様々な「かたち」の自在な構築

を達成した本手法の開発により近年注目を集めてい

る「かたち」に基づいた高分子物性の探索を加速させる

ものと期待されるhttp wwwo ld t i t e ch ac j p tokyo - t ech - in - the -news j

archives2010111288656000html

【異分野連携オープンイノベーションモデル】応用脳科学コンソーシアム 脳科学及びその周辺領域の学術知見を活用したオープンイノベーションモデルの研究活動を開始 異業種の民間企業と異分野の脳科学研究者が連携し事業性の高い研究テーマを推進 (2010111)アサヒビール(株)(株)NTT データ積水ハウス(株)

(株)竹中工務店帝人(株)凸版印刷(株)日産自動

車(株)(株)博報堂(株)NTT データ経営研究所

NTT データ経営研究所が日本神経科学学会の協力を得て

2010 年 10 月 1 日に創設した「応用脳科学コンソーシア

ム」においてそれぞれの事業活動に関連する独創性の

高い研究テーマについて複数の「応用脳科学 RampD 研究会」

を立ち上げるRampD 研究会では各 RampD 研究会を設置

した特別会員企業が各テーマに関連の深い脳科学及び

その関連領域の研究者を招聘し異業種である他の会員

企業とともに最新の研究知見を活用してオープンイノ

ベーションモデルの研究活動を実施する各社が設置す

る RampD 研究会は現時点で(1)おいしさの総合評価研究

会(アサヒビール)(2)ヘルスケア脳情報クラウド研究

会(NTT データ)(3)インタラクティブ住環境研究会(積

水ハウス株式会社)(4)コミュニケーション空間研究

会(竹中工務店)(5)メディアエンゲージメント研究

会(博報堂)この他の RampD 研究会については今後随

時応用脳科学コンソーシアムのウェブサイト httpwww

keieikencojpcan で公開予定

httpwwwnttdatacojprelease2010110101html

【レーザ技術基礎光物性】熱を加えずに結晶を柔らかくすることに成功 高強度テラヘルツ電磁パルスで分子ネットワーク操作が可能に 

(2010111)京都大学科学技術振興機構(JST)

京都大学はテラヘルツ電磁パルスと呼ばれる新しい光

を物質に照射することで1兆分の1秒の短い時間で結

晶中の分子を大振幅で揺さぶり熱平衡状態では実現で

きないような分子変位を実現することに世界で初めて成

功した実験結果は結晶が実効的にやわらかくなったこ

とを意味するものでさらに強いテラヘルツ電磁パルス

によって高効率で結晶を融解させることを示唆するこ

れは熱による反応を起こすことなく新しい分子間のネッ

トワークやたんぱく質などの巨大分子の立体配位を操作

できることを示しており化学合成における反応促進や

創薬における有機分子結晶の精製での活用が考えられる

今回の成果は JST 戦略的創造研究推進事業日本学術振

興会学術創成プロジェクト「動的相スイッチ機構を内在

する有機電子材料の開拓と非平衡物性科学への展開」お

よび京都大学グローバル COE プログラム「普遍性と創発

性から紡ぐ次世代物理学」によるものhttpwwwjstgojpprannounce20101101indexhtml

【高周波デバイス】透 明 な 高 周 波 デ バ イ ス 見 え な い ア ン テ ナ へ の 道

(20101028)物質材料研究機構太陽誘電(株)

両者は共同で透明な高周波デバイスを製造するための

基本技術である微細な金属配線と酸化物透明導電体から

なるハイブリッド構造を開発した本技術は不透明で

あるが高い伝導性を示す金属と透明ではあるが金属の

100 分の 1 程度の伝導率にとどまる酸化物透明導電体と

を組合せ両者の特性を相補的に活用することにより

透明でありかつ携帯電話をはじめとする無線デジタ

ル通信に用いられるギガヘルツ帯の高周波に対して高い

伝送特性を示す素子構造を実現した

httpwwwnimsgojpnewspress201010p201010280html

【エコ製品環境経営】COP10 に向けた環境配慮型製品技術の取り組み ポリ乳酸繊維 ldquo エコディア rdquo 使用商品の提供や連携事業「メッセナゴヤ 2010」への出展を通じ環境保全の取り組みを強化 (20101028)東レ ( 株 )

同社は10 月 11 日 ( 月 ) から 29 日 ( 金 ) に開催された

生物多様性条約第 10 回締約国会議 (COP10) に向けて

ポリ乳酸繊維 ldquo エコディア rdquo 使用商品の提供などを通じて

環境に配慮した運営に協力したまたCOP10 の連携事

業である環境エネルギーをテーマとした展示会「メッ

セナゴヤ 2010」に出展し環境に配慮した次世代自動車

や最先端航空機向けの先端材料を紹介した

httpwwwtoraycojpnewsfibernr101028html

32

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embe

r

NEWS POD 著作権の関係で記事のタイトルと詳細内容は標記できませんので簡略に表示しています詳しい内容に関しては各新聞及び雑誌をご覧ください

ナノテクノロジー

研究開発最前線

20101122 日 刊 工 業 新 聞 News

ウェーブ 21

X 線レーザー

20101121 東京読売新聞

新潟ナノテク研究会

20101120 日本経済新聞

ナノテクとバイオ

20101120 下野新聞

バイオ起業

20101119 朝日新聞

ナノ粒子の構造制御

20101119 日刊工業新聞

水素原子観察

20101119 科学新聞

光ファイバー関連技術

20101119 科学新聞

希少金属対策

20101118 日刊工業新聞

熱電材料

20101117 日経速報ニュース

化学合成でナノ構造

20101117 日経産業新聞

つくばナノテク研究拠点への投資

20101117 日刊工業新聞

分子バネ

20101116 日経速報ニュース

ナノバイオ融合

20101116 日経産業新聞

フレンドオブアースのナノテク評

20101116 エコロジーエクスプレス

クラスターテクノロジー

20101112 産経新聞

実用化助成

20101111 日刊産業新聞

接着のメカニズム

20101110 日経産業新聞

電子材料

20101110 日経産業新聞

ナノ磁石

20101110 東京新聞

高分解能放射線検出器

20101110 化学工業日報

電池電極材料

20101108 日本経済新聞

食の安全性

20101108 日経エコロジー

ナノ磁石実用化

20101105 朝日新聞

ナノテク接着剤

20101105 日刊工業新聞

水素原子の観察

20101105 日刊工業新聞

補正予算案

20101105 科学新聞

ナノ磁石

20101104 日本経済新聞

ナノボーグ

20101104 日刊工業新聞

ITO 電極代替技術

20101104 鉄鋼新聞

レアアース代替材

20101103 日本経済新聞電子版

セクション

ナノ鉄磁

20101103 毎日新聞

有機トランジスタ

20101101 日 経 速 報 ニ ュ ー ス

アーカイブ

有機トランジスタ

20101101 日経産業新聞

ナノムービー

20101101 日経サイエンス

低燃費タイヤ

20101030 朝日新聞

筑波大生命科学研究拠点

20101030 茨城新聞

レアアース代替材

20101029 日経産業新聞

播磨地域

20101029 化学工業日報

ナノ粒子操作

20101029 科学新聞

33

PEN N

ovember

NEWS POD 著作権の関係で記事のタイトルと詳細内容は標記できませんので簡略に表示しています詳しい内容に関しては各新聞及び雑誌をご覧ください

中国新5カ年計画

20101028 日本経済新聞

高機能消臭素材

20101028 化学工業日報

環境規制等

終わりの科学

20101201 日経サイエンス

電気自動車の覇権

20101123 週刊エコノミスト

環境規制対応

20101122 日経産業新聞

温暖化ガス排出枠

20101122 日経産業新聞

ロス自動車ショー

20101119 日経産業新聞

EV と環境規制

20101119 朝日新聞

EV

20101119 東京新聞

環境と法規制

20101119 化学工業日報

トヨタとテスラ

20101118 読売新聞速報ニュー

CO2 排出量削減

20101118 日経産業新聞

カリフォルニア州環境規制と EV

20101112 日本経済新聞

環境規制

20101112 日本経済新聞

環境規制

20101112 日経産業新聞

米韓 FTA

20101112 朝日新聞

米韓 FTA

20101112 毎日新聞

顔料

20101112 化学工業日報

レアメタル供給規制

20101111 日本経済新聞

潮冷熱

20101110 日本経済新聞

レアアース生産と環境規制

20101108 ダウジョーンズ中国企

業ニュース

韓米FTA

20101101 中央日報

科学技術政策

競争的資金制度

20101122 日本経済新聞

科学技術関係補正予算案 

20101122 THE DOCTOR

韓国 KIST

20101121 朝鮮日報

科学技術政策

20101119 日本経済新聞電子版

セクション

科学技術政策

20101118 日本経済新聞

科学技術政策

20101118 日経産業新聞

女性研究者

20101117 日経速報ニュース

科学技術予算

20101114 東京読売新聞

トップ1論文

20101112 科学新聞

中国特許強国に

20101112 新華社ニュース

関経連と科学技術政策

20101110 産経新聞 

科学技術産業一体政策

20101109 日刊工業新聞

優れた論文の条件

20101105 毎日新聞

「焼け太り許さぬ」

20101102 朝日新聞

国の研究開発投資目標

20101029 日刊工業新聞

科技政策で提言

20101027 日経産業新聞

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PEN

Nov

embe

r

科学への信頼に関する読者調査

20101201 日経サイエンス

「カップリング反応」アニメ化

20101110 朝日新聞東京読売

新聞他

科学と社会つなぐ人材

20101025 東京新聞

NEWS POD 

情報誌 PEN 購読のご案内PEN の継続的な購読をご希望の方は下記のメールアドレスまでお名前ご所属メールアドレスをご記入の上ご連絡ください登録配信は無料ですnano-penmaistgojp

PEN は原則月 1 回配信しますバックナンバーと PEN の前身【AIST-TOKYO ナノテク情報】をナノシステム研究部門ホームページにて公開しています httpunitaistgojpnrinano-planindexhtml

PEN は皆さまとの情報共有を目的としていますお持ちの情報で共有すべきものがあれば nano-penmaistgojp までお寄せ下さい

いただいた個人情報は産総研 個人情報保護方針(プライバシーポリシー)に基づき大切に管理し情報誌 PEN の運営と私達のイベントのご案内のみに使用させていただきます

科学技術コミュニケーション

35

PEN N

ovember

イベント案内

[産学連携研究開発]大阪大学ナノ理工学人材育成産学コンソーシアム 第 3 回ナノ理工学情報交流会場所大阪大学中之島センター 7 階 講義室 3(講師来訪)

   大阪大学東京オフィスサテライト教室

(遠隔講義配信)

   四日市商工会議所内サテライト教室

(遠隔講義配信)については調整中です

コンソーシアム HP にてご確認ください

   ナノテク社会人教育プログラムの開講をされてい

る場合遠隔講義配信に対応可能です事務局まで

ご連絡ください

日時2010 年 12 月 10 日(金)1330 ~ 1900 頃

主催大阪大学ナノ理工学人材育成産学コンソーシアム 

概要ナノ理工学人材育成産学コンソーシアムでは活動

の一環として産学連携のきっかけを提供すべく企業と

大学の双方からテーマに即した研究開発やトピックを紹介

し会員同士の意見交換と情報共有の促進をはかっていま

す第 3 回目となる今回は「光を用いたナノテクノロジー

の新展開」をテーマに開催しますプログラムなどの詳細

は下記の HP をご参照下さい

参加費コンソーシアム会員学生及び大阪大学教職員は

無料(コンソーシアム企業会員の場合社内から何名でも

無料で参加が可能です)

上記以外の方は資料作成費 1000 円が必要になります

参加登録氏名所属連絡先懇談会への出欠を記載の

上メールにて大阪大学ナノ理工学人材育成産学コンソー

シアム事務局(nano-consnanoscienceorjp)へお申込み

下さい

httpwwwnanoscienceorjp

[コミュニケーション]科学コミュニケーション研究会 第 1 回関西支部勉強会日時2010 年 12 月 2 日 1800 ~ 2000

場所京都大学 吉田泉殿

主催科学コミュニケーション研究会 関西支部有志

概要大阪教育大学科学教育センターの中矢史雄氏を講師

に招きオーストラリアの科学技術コミュニケーションに

ついてオーストラリア国立大学科学意識向上センター

での経験なども交えてお話いただきます定員は 25 名で

す事前申し込みが必要です

httpbitlybPmTP9

[展示会]セミコンジャパン 2010日時12 月 1 日~ 3 日

場所幕張メッセ

主催SEMI

概要国内外の最新のマイクロエレクトロニクス技術に関

する情報を入手することのできる世界最大の半導体製造装

置材料展です

httpwwwsemiconjapanorgjaindexhtm

[知財]アジア特許庁シンポジウム日時2010 年 12 月 3 日(金)930 ~ 1210

場所ホテル日航奈良 飛天の間

主催特許庁

概要日本中国韓国インドネシアマレーシアシ

ンガポールの特許庁幹部を招き各国の知財保護強化の取

組みやアジアにおける知財協力を紹介しますまたパ

ネルディスカッションを設けアジアにおける人材育成協

力の方向性について議論します

httpwwwintergroupjp~convasia

[人材育成]応用物理学会 人財育成シンポジウム -日本の危機を科学が救うそのためのリーダー育成を考える-日時2010 年 11 月 29 日(月)1000 ~ 1710

場所東京工業大学デジタル多目的ホール

主催応用物理学会

概要急速に進むグローバル化に対応のできる人材を育成

するための課題や応用物理学会が貢献することのできる

具体的な取り組みについて議論します

イベント案内へ掲載を希望される方は nano-penmaistgojp までご一報ください

36

PEN

Nov

embe

r h t t p w w w j s a p o r j p a c t i v i t i e s e d u c a t i o n

symppt2010symphtml 

[コミュニケーション]科学技術とメディアのより良い関係に向けて日時11 月 26 日 1815 ~ 2030

場所早稲田大学大隈小講堂

主催サイエンスメディアセンター(SMC)

概要英国オーストラリアのサイエンスメディアセ

ンターの関係者米国のサイエンスコミュニケータを交え

て研究者とメディアの有益な関係性構築に向けた取り組

みについて議論します参加費は無料同時通訳がつきま

httpsmc-japanorgp=403 

[異分野連携]医学領域と工学領域連携研究シンポジウム ‐ 未来を拓く医工連携 ‐日時2010 年 11 月 27 日(土)

場所山口大学医学部第 3 講義室

主催日本学術会議中国四国地区会議山口大学

概要がんの個別化医療をメインテーマにこれからの医

工連携のあり方について講演と議論を行います

httpwwwscjgojpjaeventpdf100-t-3pdf 

[人材育成]マイクロナノエンジニアリング シンポジウム ‐ イノベーションと人材育成 ‐日時2010 年 12 月 8 日(水)1300 ~ 1700

場所日本学術会議 講堂

主催日本学術会議 マイクロナノエンジニアリング分

科会日本機械学会 マイクロナノ工学専門会議

概要学際的分野であるマイクロナノエンジニアリング

は大学大学院における教育の整備関連する産業界

学術界での研究開発における分野融合的な取組みが不可欠

です本シンポジウムでは人材育成を軸とした課題につ

いて議論します

httpwwwscjgojpjaeventpdf100-s-3-1pdf

[ 博物館展示 ]自然に学ぶ ネイチャーテクノロジーとライフスタイル展開催中です

場所国立科学博物館 (東京上野公園)

日時2010 年 10 月 26 日~ 2010 年 2 月 11 日

主催東北大学大学院環境科学研究科国立科学博物館

特定非営利活動法人ものづくり生命文明機構

概要蝶や鳥など生き物や自然の仕組みにヒントを得た環

境負荷の低い技術と将来的な応用の可能性から日本文化

に根差した共生型の新しいライフスタイルのあり方につい

て紹介します国立科学博物館の入館料600円が必要です

httpwwwkahakugojpevent201010natureindex

html

[人材育成]シンポジウム「世界を魅せる日本の課題解決型基礎研究~JST 目利き制度とその可能性」日時2010 年 12 月 6 日(月)1000-1800 (0900 受

付開始)

場所東京国際フォーラム B5 ホール

主催(独)科学技術振興機構(JST)

概要JST がこれまでに行ってきた戦略的創造研究推進

事業の成果を振り返りつつ今後の日本の科学技術の発

展に向けた事業のあり方について参加者の皆様と議論しま

httpwwwsenryaku30jstgojp 

[ 持続可能性 ]学術会議シンポジウム「低炭素化に向けた経済社会エネルギーのあり方と実現のシナリオ」日時2010 年 12 月 9 日(木)1330 ~ 1700

場所学術会議講堂

主催土木工学建築学委員会低炭素建築都市分科会

社会資本分科会

概要両分科会は中~超長期のエネルギー消費量削減シ

ナリオ策定に取り組んできました本シンポジウムでは

分科会の検討結果や削減のための様々な取り組みを紹介

し今後のとりまとめ作業に向けた議論を行います

httpwwwscjgojpjaeventpdf104-s-3-6pdf 

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PEN N

ovember

PEN 編集室関谷瑞木阿多誠文独立行政法人産業技術総合研究所 ナノシステム研究部門 305-8568 つくば市梅園 1-1-1 産総研つくばセンター中央第 2 M404Email nano-penmaistgojpTel029-861-5185 Fax 029-861-5339

編集後記

今月 8 日に長野県長野市で開催された第 3 回国際ナノ

ワークショップ「ナノテクノロジーの社会受容~ナノ

材料の工業標準化の国際的な動向と環境影響について

~」の会場で多くの企業の皆様と意見交換をする貴

重な機会を得た目まぐるしい勢いで変わってゆく諸

外国の環境規制策の動向に民間企業の皆様が神経を

とがらせておられることがひしひしと感じられた東

京から新幹線で 1 時間半インターネットでリアルタ

イムに世界とつながることのできる時代とはいえ情

報物人が集積する地である東京とは異なる苦労も

あることもお聞きした美しい山々きれいな空気あ

るいは世界に誇る観光遺産と科学技術を結び付けて

地域振興をはかりたいとの頑張っておいでの方にもお

会いした

月刊という制約はあるもののこうした方々にとって

タイムリーで有用な情報を提供し続けたいと改めて

強く感じた

ちなみにPEN を発行しているつくば市の産総研つく

ばセンターへもつくばエクスプレスと路線バスを乗

り継いで都心からは約 1 時間半かかる

2010 年 11 月 25 日

PEN 編集室一同ウナギツカミ

Page 30: Public Engagement with Nano- PEN November …...5 PEN November 【知財】 中国、10年で特許強国に(2010.11.12) 中国国家知識産権局は11日に「全国特許事業発展戦略

30

PEN

Nov

embe

r ルムに光を当てるとアゾベンゼン分子の構造変化が一方

向に集約しフィルムが湾曲するという巨視的変形を引き

起こすことを見いだしたすなわちこの新しいフィルム

は光エネルギーを運動エネルギーに変換する機能を持って

おり新たな人工筋肉材料などへの展開が期待されるま

た本技術は有機薄膜太陽電池をはじめとする次世代の機

能材料の開発にも革新をもたらすと期待されるhttpwwwrikenjpr-worldinforeleasepress2010101105

indexhtml

【リチウムイオン電池正極材料】常温プロセスで全固体薄膜リチウムイオン電池の試作に成功 エアロゾルデポジション法による蓄電池製造の新工法開発を本格化 (2010115)産総研

産総研はトヨタ自動車 ( 株 ) と共同で産総研が開発し

たセラミックス材料の常温高速コーティングプロセスであ

るエアロゾルデポジション (AD) 法を用いて酸化物系の

正極材料負極材料固体電解質材料を薄膜積層化して

金属基板上に 3 層構造からなる全固体薄膜リチウム (Li) イ

オン電池を試作蓄電池としての充放電特性を世界で初め

て確認した 従来型の薄膜技術とは異なりAD 法を用い

ると基板の加熱が不要でまた厚膜化も容易であるそ

のため成膜時間が大幅に短縮でき蓄電池の生産性向上

やプロセスコストの大幅な低減が期待される今後は AD

法を用いた本格的な全固体電池の共同開発を進めていく httpwwwaistgojpaist_jpress_releasepr2010pr20101105

pr20101105html

【記録デバイススピントルク素子】次世代超高密度 HDD に向けたマイクロ波アシスト記録の基本技術を開発 磁気ヘッドに搭載可能なスピントルク素子を用いた磁気情報の書き換えを確認 (2010115)新エネルギー産業技術総合開発機構(NEDO)(株)日

立製作所

NEDO はハードディスク装置(HDD)の開発製造会社で

ある日立グローバルストレージテクノロジーズの協力を得

て従来の磁気記録方式の限界を超えHDD の記録密度

を飛躍的に伸ばす方式として期待されているマイクロ波ア

シスト磁気記録方式の基本技術を開発しその原理を実験

的に確認したマイクロ波アシスト記録では記録媒体の

小領域にマイクロ波帯の高周波磁界を加え磁気情報の書

き込みを容易にする今回開発したのはヘッドに搭載可

能な高周波磁界を発生するスピントルク発振素子でこの

素子を用いて記録媒体上に磁気情報を記録できることを実

験的に確認したこれまで外部のマイクロ波発生装置を

用いたマイクロ波アシスト効果の報告例はあったが今回

微細な発振素子を用いた磁気情報の記録を確認できたこと

により将来この素子を記録ヘッドに搭載しマイクロ波

アシスト記録を実用的に行える可能性が示されたhttpapp3infocnedogojpinformationskoubopressEFnedopre

ss2010-11-029718160145

【基礎科学物性】絶縁体が金属に変わる新原理の解明 超伝導素子や熱電変換素子の開発へ道(20101104)東北大学

東北大学原子分子材料科学高等研究機構の研究グループ

は高品質酸化物薄膜において電気が流れにくい絶縁体

状態から流れやすい金属状態への遷移機構を解明した材

料における電気の流れやすさは電気を流す担い手である

伝導キャリアが物質中にどれだけ含まれるか伝導キャリ

アがどれくらいスムーズに動きまわれるかによって決ま

るつまり伝導キャリアの濃度を増やしたり材料中で

伝導キャリアの動きを妨げる原因になるひずみや欠陥を少

なくすると電気はより流れやすくなる本研究では人

工宝石として知られるチタン酸ストロンチウム (SrTiO3)

の絶縁体を用い伝導電子を生み出すキャリア供給層を

SrTiO3 絶縁体間に挟み込んだ絶縁体層 キャリア供給層

絶縁体層の層状界面構造をもつ高品質超格子構造を作製す

ることで絶縁体層の体積を増加させると反対に電気が流

れやすい金属状態になる現象を発見した最新の電子顕微

鏡技術を用いた原子構造解析と電子状態の理論計算を駆使

して絶縁体を増加させると界面で結晶のひずみが少なく

なり高導電化することを解明した本研究が明らかにした

界面での結晶のひずみを制御することによって絶縁体を金

属状態へ変化できる現象は様々な材料でも普遍的に起こる

と考えられ絶縁体から金属へ変わる境目で性能が向上す

る新超伝導体や新熱電材料の開発に展開することが可能と

期待されるhttpwwwtohokuacjpjapanesenewimgpressimgtohokuuniv-

presspdf

【環状高分子】様々な環状高分子の自在な合成に成功 「かたち」に基づく機能開発に期待(2010112)東京工業大学

東工大の研究グループはこれまで困難とされてきた

種々の含環状高分子の選択的な合成に成功した同研究

グループで開発された単環状高分子合成プロセスである

31

PEN N

ovember

Electrostatic Self-Assembly and Covalent Fixation Process

と有機合成化学の新手法であるクリックケミストリー

を組み合わせることで様々な「かたち」の自在な構築

を達成した本手法の開発により近年注目を集めてい

る「かたち」に基づいた高分子物性の探索を加速させる

ものと期待されるhttp wwwo ld t i t e ch ac j p tokyo - t ech - in - the -news j

archives2010111288656000html

【異分野連携オープンイノベーションモデル】応用脳科学コンソーシアム 脳科学及びその周辺領域の学術知見を活用したオープンイノベーションモデルの研究活動を開始 異業種の民間企業と異分野の脳科学研究者が連携し事業性の高い研究テーマを推進 (2010111)アサヒビール(株)(株)NTT データ積水ハウス(株)

(株)竹中工務店帝人(株)凸版印刷(株)日産自動

車(株)(株)博報堂(株)NTT データ経営研究所

NTT データ経営研究所が日本神経科学学会の協力を得て

2010 年 10 月 1 日に創設した「応用脳科学コンソーシア

ム」においてそれぞれの事業活動に関連する独創性の

高い研究テーマについて複数の「応用脳科学 RampD 研究会」

を立ち上げるRampD 研究会では各 RampD 研究会を設置

した特別会員企業が各テーマに関連の深い脳科学及び

その関連領域の研究者を招聘し異業種である他の会員

企業とともに最新の研究知見を活用してオープンイノ

ベーションモデルの研究活動を実施する各社が設置す

る RampD 研究会は現時点で(1)おいしさの総合評価研究

会(アサヒビール)(2)ヘルスケア脳情報クラウド研究

会(NTT データ)(3)インタラクティブ住環境研究会(積

水ハウス株式会社)(4)コミュニケーション空間研究

会(竹中工務店)(5)メディアエンゲージメント研究

会(博報堂)この他の RampD 研究会については今後随

時応用脳科学コンソーシアムのウェブサイト httpwww

keieikencojpcan で公開予定

httpwwwnttdatacojprelease2010110101html

【レーザ技術基礎光物性】熱を加えずに結晶を柔らかくすることに成功 高強度テラヘルツ電磁パルスで分子ネットワーク操作が可能に 

(2010111)京都大学科学技術振興機構(JST)

京都大学はテラヘルツ電磁パルスと呼ばれる新しい光

を物質に照射することで1兆分の1秒の短い時間で結

晶中の分子を大振幅で揺さぶり熱平衡状態では実現で

きないような分子変位を実現することに世界で初めて成

功した実験結果は結晶が実効的にやわらかくなったこ

とを意味するものでさらに強いテラヘルツ電磁パルス

によって高効率で結晶を融解させることを示唆するこ

れは熱による反応を起こすことなく新しい分子間のネッ

トワークやたんぱく質などの巨大分子の立体配位を操作

できることを示しており化学合成における反応促進や

創薬における有機分子結晶の精製での活用が考えられる

今回の成果は JST 戦略的創造研究推進事業日本学術振

興会学術創成プロジェクト「動的相スイッチ機構を内在

する有機電子材料の開拓と非平衡物性科学への展開」お

よび京都大学グローバル COE プログラム「普遍性と創発

性から紡ぐ次世代物理学」によるものhttpwwwjstgojpprannounce20101101indexhtml

【高周波デバイス】透 明 な 高 周 波 デ バ イ ス 見 え な い ア ン テ ナ へ の 道

(20101028)物質材料研究機構太陽誘電(株)

両者は共同で透明な高周波デバイスを製造するための

基本技術である微細な金属配線と酸化物透明導電体から

なるハイブリッド構造を開発した本技術は不透明で

あるが高い伝導性を示す金属と透明ではあるが金属の

100 分の 1 程度の伝導率にとどまる酸化物透明導電体と

を組合せ両者の特性を相補的に活用することにより

透明でありかつ携帯電話をはじめとする無線デジタ

ル通信に用いられるギガヘルツ帯の高周波に対して高い

伝送特性を示す素子構造を実現した

httpwwwnimsgojpnewspress201010p201010280html

【エコ製品環境経営】COP10 に向けた環境配慮型製品技術の取り組み ポリ乳酸繊維 ldquo エコディア rdquo 使用商品の提供や連携事業「メッセナゴヤ 2010」への出展を通じ環境保全の取り組みを強化 (20101028)東レ ( 株 )

同社は10 月 11 日 ( 月 ) から 29 日 ( 金 ) に開催された

生物多様性条約第 10 回締約国会議 (COP10) に向けて

ポリ乳酸繊維 ldquo エコディア rdquo 使用商品の提供などを通じて

環境に配慮した運営に協力したまたCOP10 の連携事

業である環境エネルギーをテーマとした展示会「メッ

セナゴヤ 2010」に出展し環境に配慮した次世代自動車

や最先端航空機向けの先端材料を紹介した

httpwwwtoraycojpnewsfibernr101028html

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ナノテクノロジー

研究開発最前線

20101122 日 刊 工 業 新 聞 News

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環境規制等

終わりの科学

20101201 日経サイエンス

電気自動車の覇権

20101123 週刊エコノミスト

環境規制対応

20101122 日経産業新聞

温暖化ガス排出枠

20101122 日経産業新聞

ロス自動車ショー

20101119 日経産業新聞

EV と環境規制

20101119 朝日新聞

EV

20101119 東京新聞

環境と法規制

20101119 化学工業日報

トヨタとテスラ

20101118 読売新聞速報ニュー

CO2 排出量削減

20101118 日経産業新聞

カリフォルニア州環境規制と EV

20101112 日本経済新聞

環境規制

20101112 日本経済新聞

環境規制

20101112 日経産業新聞

米韓 FTA

20101112 朝日新聞

米韓 FTA

20101112 毎日新聞

顔料

20101112 化学工業日報

レアメタル供給規制

20101111 日本経済新聞

潮冷熱

20101110 日本経済新聞

レアアース生産と環境規制

20101108 ダウジョーンズ中国企

業ニュース

韓米FTA

20101101 中央日報

科学技術政策

競争的資金制度

20101122 日本経済新聞

科学技術関係補正予算案 

20101122 THE DOCTOR

韓国 KIST

20101121 朝鮮日報

科学技術政策

20101119 日本経済新聞電子版

セクション

科学技術政策

20101118 日本経済新聞

科学技術政策

20101118 日経産業新聞

女性研究者

20101117 日経速報ニュース

科学技術予算

20101114 東京読売新聞

トップ1論文

20101112 科学新聞

中国特許強国に

20101112 新華社ニュース

関経連と科学技術政策

20101110 産経新聞 

科学技術産業一体政策

20101109 日刊工業新聞

優れた論文の条件

20101105 毎日新聞

「焼け太り許さぬ」

20101102 朝日新聞

国の研究開発投資目標

20101029 日刊工業新聞

科技政策で提言

20101027 日経産業新聞

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PEN

Nov

embe

r

科学への信頼に関する読者調査

20101201 日経サイエンス

「カップリング反応」アニメ化

20101110 朝日新聞東京読売

新聞他

科学と社会つなぐ人材

20101025 東京新聞

NEWS POD 

情報誌 PEN 購読のご案内PEN の継続的な購読をご希望の方は下記のメールアドレスまでお名前ご所属メールアドレスをご記入の上ご連絡ください登録配信は無料ですnano-penmaistgojp

PEN は原則月 1 回配信しますバックナンバーと PEN の前身【AIST-TOKYO ナノテク情報】をナノシステム研究部門ホームページにて公開しています httpunitaistgojpnrinano-planindexhtml

PEN は皆さまとの情報共有を目的としていますお持ちの情報で共有すべきものがあれば nano-penmaistgojp までお寄せ下さい

いただいた個人情報は産総研 個人情報保護方針(プライバシーポリシー)に基づき大切に管理し情報誌 PEN の運営と私達のイベントのご案内のみに使用させていただきます

科学技術コミュニケーション

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PEN N

ovember

イベント案内

[産学連携研究開発]大阪大学ナノ理工学人材育成産学コンソーシアム 第 3 回ナノ理工学情報交流会場所大阪大学中之島センター 7 階 講義室 3(講師来訪)

   大阪大学東京オフィスサテライト教室

(遠隔講義配信)

   四日市商工会議所内サテライト教室

(遠隔講義配信)については調整中です

コンソーシアム HP にてご確認ください

   ナノテク社会人教育プログラムの開講をされてい

る場合遠隔講義配信に対応可能です事務局まで

ご連絡ください

日時2010 年 12 月 10 日(金)1330 ~ 1900 頃

主催大阪大学ナノ理工学人材育成産学コンソーシアム 

概要ナノ理工学人材育成産学コンソーシアムでは活動

の一環として産学連携のきっかけを提供すべく企業と

大学の双方からテーマに即した研究開発やトピックを紹介

し会員同士の意見交換と情報共有の促進をはかっていま

す第 3 回目となる今回は「光を用いたナノテクノロジー

の新展開」をテーマに開催しますプログラムなどの詳細

は下記の HP をご参照下さい

参加費コンソーシアム会員学生及び大阪大学教職員は

無料(コンソーシアム企業会員の場合社内から何名でも

無料で参加が可能です)

上記以外の方は資料作成費 1000 円が必要になります

参加登録氏名所属連絡先懇談会への出欠を記載の

上メールにて大阪大学ナノ理工学人材育成産学コンソー

シアム事務局(nano-consnanoscienceorjp)へお申込み

下さい

httpwwwnanoscienceorjp

[コミュニケーション]科学コミュニケーション研究会 第 1 回関西支部勉強会日時2010 年 12 月 2 日 1800 ~ 2000

場所京都大学 吉田泉殿

主催科学コミュニケーション研究会 関西支部有志

概要大阪教育大学科学教育センターの中矢史雄氏を講師

に招きオーストラリアの科学技術コミュニケーションに

ついてオーストラリア国立大学科学意識向上センター

での経験なども交えてお話いただきます定員は 25 名で

す事前申し込みが必要です

httpbitlybPmTP9

[展示会]セミコンジャパン 2010日時12 月 1 日~ 3 日

場所幕張メッセ

主催SEMI

概要国内外の最新のマイクロエレクトロニクス技術に関

する情報を入手することのできる世界最大の半導体製造装

置材料展です

httpwwwsemiconjapanorgjaindexhtm

[知財]アジア特許庁シンポジウム日時2010 年 12 月 3 日(金)930 ~ 1210

場所ホテル日航奈良 飛天の間

主催特許庁

概要日本中国韓国インドネシアマレーシアシ

ンガポールの特許庁幹部を招き各国の知財保護強化の取

組みやアジアにおける知財協力を紹介しますまたパ

ネルディスカッションを設けアジアにおける人材育成協

力の方向性について議論します

httpwwwintergroupjp~convasia

[人材育成]応用物理学会 人財育成シンポジウム -日本の危機を科学が救うそのためのリーダー育成を考える-日時2010 年 11 月 29 日(月)1000 ~ 1710

場所東京工業大学デジタル多目的ホール

主催応用物理学会

概要急速に進むグローバル化に対応のできる人材を育成

するための課題や応用物理学会が貢献することのできる

具体的な取り組みについて議論します

イベント案内へ掲載を希望される方は nano-penmaistgojp までご一報ください

36

PEN

Nov

embe

r h t t p w w w j s a p o r j p a c t i v i t i e s e d u c a t i o n

symppt2010symphtml 

[コミュニケーション]科学技術とメディアのより良い関係に向けて日時11 月 26 日 1815 ~ 2030

場所早稲田大学大隈小講堂

主催サイエンスメディアセンター(SMC)

概要英国オーストラリアのサイエンスメディアセ

ンターの関係者米国のサイエンスコミュニケータを交え

て研究者とメディアの有益な関係性構築に向けた取り組

みについて議論します参加費は無料同時通訳がつきま

httpsmc-japanorgp=403 

[異分野連携]医学領域と工学領域連携研究シンポジウム ‐ 未来を拓く医工連携 ‐日時2010 年 11 月 27 日(土)

場所山口大学医学部第 3 講義室

主催日本学術会議中国四国地区会議山口大学

概要がんの個別化医療をメインテーマにこれからの医

工連携のあり方について講演と議論を行います

httpwwwscjgojpjaeventpdf100-t-3pdf 

[人材育成]マイクロナノエンジニアリング シンポジウム ‐ イノベーションと人材育成 ‐日時2010 年 12 月 8 日(水)1300 ~ 1700

場所日本学術会議 講堂

主催日本学術会議 マイクロナノエンジニアリング分

科会日本機械学会 マイクロナノ工学専門会議

概要学際的分野であるマイクロナノエンジニアリング

は大学大学院における教育の整備関連する産業界

学術界での研究開発における分野融合的な取組みが不可欠

です本シンポジウムでは人材育成を軸とした課題につ

いて議論します

httpwwwscjgojpjaeventpdf100-s-3-1pdf

[ 博物館展示 ]自然に学ぶ ネイチャーテクノロジーとライフスタイル展開催中です

場所国立科学博物館 (東京上野公園)

日時2010 年 10 月 26 日~ 2010 年 2 月 11 日

主催東北大学大学院環境科学研究科国立科学博物館

特定非営利活動法人ものづくり生命文明機構

概要蝶や鳥など生き物や自然の仕組みにヒントを得た環

境負荷の低い技術と将来的な応用の可能性から日本文化

に根差した共生型の新しいライフスタイルのあり方につい

て紹介します国立科学博物館の入館料600円が必要です

httpwwwkahakugojpevent201010natureindex

html

[人材育成]シンポジウム「世界を魅せる日本の課題解決型基礎研究~JST 目利き制度とその可能性」日時2010 年 12 月 6 日(月)1000-1800 (0900 受

付開始)

場所東京国際フォーラム B5 ホール

主催(独)科学技術振興機構(JST)

概要JST がこれまでに行ってきた戦略的創造研究推進

事業の成果を振り返りつつ今後の日本の科学技術の発

展に向けた事業のあり方について参加者の皆様と議論しま

httpwwwsenryaku30jstgojp 

[ 持続可能性 ]学術会議シンポジウム「低炭素化に向けた経済社会エネルギーのあり方と実現のシナリオ」日時2010 年 12 月 9 日(木)1330 ~ 1700

場所学術会議講堂

主催土木工学建築学委員会低炭素建築都市分科会

社会資本分科会

概要両分科会は中~超長期のエネルギー消費量削減シ

ナリオ策定に取り組んできました本シンポジウムでは

分科会の検討結果や削減のための様々な取り組みを紹介

し今後のとりまとめ作業に向けた議論を行います

httpwwwscjgojpjaeventpdf104-s-3-6pdf 

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PEN N

ovember

PEN 編集室関谷瑞木阿多誠文独立行政法人産業技術総合研究所 ナノシステム研究部門 305-8568 つくば市梅園 1-1-1 産総研つくばセンター中央第 2 M404Email nano-penmaistgojpTel029-861-5185 Fax 029-861-5339

編集後記

今月 8 日に長野県長野市で開催された第 3 回国際ナノ

ワークショップ「ナノテクノロジーの社会受容~ナノ

材料の工業標準化の国際的な動向と環境影響について

~」の会場で多くの企業の皆様と意見交換をする貴

重な機会を得た目まぐるしい勢いで変わってゆく諸

外国の環境規制策の動向に民間企業の皆様が神経を

とがらせておられることがひしひしと感じられた東

京から新幹線で 1 時間半インターネットでリアルタ

イムに世界とつながることのできる時代とはいえ情

報物人が集積する地である東京とは異なる苦労も

あることもお聞きした美しい山々きれいな空気あ

るいは世界に誇る観光遺産と科学技術を結び付けて

地域振興をはかりたいとの頑張っておいでの方にもお

会いした

月刊という制約はあるもののこうした方々にとって

タイムリーで有用な情報を提供し続けたいと改めて

強く感じた

ちなみにPEN を発行しているつくば市の産総研つく

ばセンターへもつくばエクスプレスと路線バスを乗

り継いで都心からは約 1 時間半かかる

2010 年 11 月 25 日

PEN 編集室一同ウナギツカミ

Page 31: Public Engagement with Nano- PEN November …...5 PEN November 【知財】 中国、10年で特許強国に(2010.11.12) 中国国家知識産権局は11日に「全国特許事業発展戦略

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PEN N

ovember

Electrostatic Self-Assembly and Covalent Fixation Process

と有機合成化学の新手法であるクリックケミストリー

を組み合わせることで様々な「かたち」の自在な構築

を達成した本手法の開発により近年注目を集めてい

る「かたち」に基づいた高分子物性の探索を加速させる

ものと期待されるhttp wwwo ld t i t e ch ac j p tokyo - t ech - in - the -news j

archives2010111288656000html

【異分野連携オープンイノベーションモデル】応用脳科学コンソーシアム 脳科学及びその周辺領域の学術知見を活用したオープンイノベーションモデルの研究活動を開始 異業種の民間企業と異分野の脳科学研究者が連携し事業性の高い研究テーマを推進 (2010111)アサヒビール(株)(株)NTT データ積水ハウス(株)

(株)竹中工務店帝人(株)凸版印刷(株)日産自動

車(株)(株)博報堂(株)NTT データ経営研究所

NTT データ経営研究所が日本神経科学学会の協力を得て

2010 年 10 月 1 日に創設した「応用脳科学コンソーシア

ム」においてそれぞれの事業活動に関連する独創性の

高い研究テーマについて複数の「応用脳科学 RampD 研究会」

を立ち上げるRampD 研究会では各 RampD 研究会を設置

した特別会員企業が各テーマに関連の深い脳科学及び

その関連領域の研究者を招聘し異業種である他の会員

企業とともに最新の研究知見を活用してオープンイノ

ベーションモデルの研究活動を実施する各社が設置す

る RampD 研究会は現時点で(1)おいしさの総合評価研究

会(アサヒビール)(2)ヘルスケア脳情報クラウド研究

会(NTT データ)(3)インタラクティブ住環境研究会(積

水ハウス株式会社)(4)コミュニケーション空間研究

会(竹中工務店)(5)メディアエンゲージメント研究

会(博報堂)この他の RampD 研究会については今後随

時応用脳科学コンソーシアムのウェブサイト httpwww

keieikencojpcan で公開予定

httpwwwnttdatacojprelease2010110101html

【レーザ技術基礎光物性】熱を加えずに結晶を柔らかくすることに成功 高強度テラヘルツ電磁パルスで分子ネットワーク操作が可能に 

(2010111)京都大学科学技術振興機構(JST)

京都大学はテラヘルツ電磁パルスと呼ばれる新しい光

を物質に照射することで1兆分の1秒の短い時間で結

晶中の分子を大振幅で揺さぶり熱平衡状態では実現で

きないような分子変位を実現することに世界で初めて成

功した実験結果は結晶が実効的にやわらかくなったこ

とを意味するものでさらに強いテラヘルツ電磁パルス

によって高効率で結晶を融解させることを示唆するこ

れは熱による反応を起こすことなく新しい分子間のネッ

トワークやたんぱく質などの巨大分子の立体配位を操作

できることを示しており化学合成における反応促進や

創薬における有機分子結晶の精製での活用が考えられる

今回の成果は JST 戦略的創造研究推進事業日本学術振

興会学術創成プロジェクト「動的相スイッチ機構を内在

する有機電子材料の開拓と非平衡物性科学への展開」お

よび京都大学グローバル COE プログラム「普遍性と創発

性から紡ぐ次世代物理学」によるものhttpwwwjstgojpprannounce20101101indexhtml

【高周波デバイス】透 明 な 高 周 波 デ バ イ ス 見 え な い ア ン テ ナ へ の 道

(20101028)物質材料研究機構太陽誘電(株)

両者は共同で透明な高周波デバイスを製造するための

基本技術である微細な金属配線と酸化物透明導電体から

なるハイブリッド構造を開発した本技術は不透明で

あるが高い伝導性を示す金属と透明ではあるが金属の

100 分の 1 程度の伝導率にとどまる酸化物透明導電体と

を組合せ両者の特性を相補的に活用することにより

透明でありかつ携帯電話をはじめとする無線デジタ

ル通信に用いられるギガヘルツ帯の高周波に対して高い

伝送特性を示す素子構造を実現した

httpwwwnimsgojpnewspress201010p201010280html

【エコ製品環境経営】COP10 に向けた環境配慮型製品技術の取り組み ポリ乳酸繊維 ldquo エコディア rdquo 使用商品の提供や連携事業「メッセナゴヤ 2010」への出展を通じ環境保全の取り組みを強化 (20101028)東レ ( 株 )

同社は10 月 11 日 ( 月 ) から 29 日 ( 金 ) に開催された

生物多様性条約第 10 回締約国会議 (COP10) に向けて

ポリ乳酸繊維 ldquo エコディア rdquo 使用商品の提供などを通じて

環境に配慮した運営に協力したまたCOP10 の連携事

業である環境エネルギーをテーマとした展示会「メッ

セナゴヤ 2010」に出展し環境に配慮した次世代自動車

や最先端航空機向けの先端材料を紹介した

httpwwwtoraycojpnewsfibernr101028html

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PEN

Nov

embe

r

NEWS POD 著作権の関係で記事のタイトルと詳細内容は標記できませんので簡略に表示しています詳しい内容に関しては各新聞及び雑誌をご覧ください

ナノテクノロジー

研究開発最前線

20101122 日 刊 工 業 新 聞 News

ウェーブ 21

X 線レーザー

20101121 東京読売新聞

新潟ナノテク研究会

20101120 日本経済新聞

ナノテクとバイオ

20101120 下野新聞

バイオ起業

20101119 朝日新聞

ナノ粒子の構造制御

20101119 日刊工業新聞

水素原子観察

20101119 科学新聞

光ファイバー関連技術

20101119 科学新聞

希少金属対策

20101118 日刊工業新聞

熱電材料

20101117 日経速報ニュース

化学合成でナノ構造

20101117 日経産業新聞

つくばナノテク研究拠点への投資

20101117 日刊工業新聞

分子バネ

20101116 日経速報ニュース

ナノバイオ融合

20101116 日経産業新聞

フレンドオブアースのナノテク評

20101116 エコロジーエクスプレス

クラスターテクノロジー

20101112 産経新聞

実用化助成

20101111 日刊産業新聞

接着のメカニズム

20101110 日経産業新聞

電子材料

20101110 日経産業新聞

ナノ磁石

20101110 東京新聞

高分解能放射線検出器

20101110 化学工業日報

電池電極材料

20101108 日本経済新聞

食の安全性

20101108 日経エコロジー

ナノ磁石実用化

20101105 朝日新聞

ナノテク接着剤

20101105 日刊工業新聞

水素原子の観察

20101105 日刊工業新聞

補正予算案

20101105 科学新聞

ナノ磁石

20101104 日本経済新聞

ナノボーグ

20101104 日刊工業新聞

ITO 電極代替技術

20101104 鉄鋼新聞

レアアース代替材

20101103 日本経済新聞電子版

セクション

ナノ鉄磁

20101103 毎日新聞

有機トランジスタ

20101101 日 経 速 報 ニ ュ ー ス

アーカイブ

有機トランジスタ

20101101 日経産業新聞

ナノムービー

20101101 日経サイエンス

低燃費タイヤ

20101030 朝日新聞

筑波大生命科学研究拠点

20101030 茨城新聞

レアアース代替材

20101029 日経産業新聞

播磨地域

20101029 化学工業日報

ナノ粒子操作

20101029 科学新聞

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NEWS POD 著作権の関係で記事のタイトルと詳細内容は標記できませんので簡略に表示しています詳しい内容に関しては各新聞及び雑誌をご覧ください

中国新5カ年計画

20101028 日本経済新聞

高機能消臭素材

20101028 化学工業日報

環境規制等

終わりの科学

20101201 日経サイエンス

電気自動車の覇権

20101123 週刊エコノミスト

環境規制対応

20101122 日経産業新聞

温暖化ガス排出枠

20101122 日経産業新聞

ロス自動車ショー

20101119 日経産業新聞

EV と環境規制

20101119 朝日新聞

EV

20101119 東京新聞

環境と法規制

20101119 化学工業日報

トヨタとテスラ

20101118 読売新聞速報ニュー

CO2 排出量削減

20101118 日経産業新聞

カリフォルニア州環境規制と EV

20101112 日本経済新聞

環境規制

20101112 日本経済新聞

環境規制

20101112 日経産業新聞

米韓 FTA

20101112 朝日新聞

米韓 FTA

20101112 毎日新聞

顔料

20101112 化学工業日報

レアメタル供給規制

20101111 日本経済新聞

潮冷熱

20101110 日本経済新聞

レアアース生産と環境規制

20101108 ダウジョーンズ中国企

業ニュース

韓米FTA

20101101 中央日報

科学技術政策

競争的資金制度

20101122 日本経済新聞

科学技術関係補正予算案 

20101122 THE DOCTOR

韓国 KIST

20101121 朝鮮日報

科学技術政策

20101119 日本経済新聞電子版

セクション

科学技術政策

20101118 日本経済新聞

科学技術政策

20101118 日経産業新聞

女性研究者

20101117 日経速報ニュース

科学技術予算

20101114 東京読売新聞

トップ1論文

20101112 科学新聞

中国特許強国に

20101112 新華社ニュース

関経連と科学技術政策

20101110 産経新聞 

科学技術産業一体政策

20101109 日刊工業新聞

優れた論文の条件

20101105 毎日新聞

「焼け太り許さぬ」

20101102 朝日新聞

国の研究開発投資目標

20101029 日刊工業新聞

科技政策で提言

20101027 日経産業新聞

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科学への信頼に関する読者調査

20101201 日経サイエンス

「カップリング反応」アニメ化

20101110 朝日新聞東京読売

新聞他

科学と社会つなぐ人材

20101025 東京新聞

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   大阪大学東京オフィスサテライト教室

(遠隔講義配信)

   四日市商工会議所内サテライト教室

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   ナノテク社会人教育プログラムの開講をされてい

る場合遠隔講義配信に対応可能です事務局まで

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日時2010 年 12 月 10 日(金)1330 ~ 1900 頃

主催大阪大学ナノ理工学人材育成産学コンソーシアム 

概要ナノ理工学人材育成産学コンソーシアムでは活動

の一環として産学連携のきっかけを提供すべく企業と

大学の双方からテーマに即した研究開発やトピックを紹介

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す第 3 回目となる今回は「光を用いたナノテクノロジー

の新展開」をテーマに開催しますプログラムなどの詳細

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参加費コンソーシアム会員学生及び大阪大学教職員は

無料(コンソーシアム企業会員の場合社内から何名でも

無料で参加が可能です)

上記以外の方は資料作成費 1000 円が必要になります

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[コミュニケーション]科学コミュニケーション研究会 第 1 回関西支部勉強会日時2010 年 12 月 2 日 1800 ~ 2000

場所京都大学 吉田泉殿

主催科学コミュニケーション研究会 関西支部有志

概要大阪教育大学科学教育センターの中矢史雄氏を講師

に招きオーストラリアの科学技術コミュニケーションに

ついてオーストラリア国立大学科学意識向上センター

での経験なども交えてお話いただきます定員は 25 名で

す事前申し込みが必要です

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[展示会]セミコンジャパン 2010日時12 月 1 日~ 3 日

場所幕張メッセ

主催SEMI

概要国内外の最新のマイクロエレクトロニクス技術に関

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場所ホテル日航奈良 飛天の間

主催特許庁

概要日本中国韓国インドネシアマレーシアシ

ンガポールの特許庁幹部を招き各国の知財保護強化の取

組みやアジアにおける知財協力を紹介しますまたパ

ネルディスカッションを設けアジアにおける人材育成協

力の方向性について議論します

httpwwwintergroupjp~convasia

[人材育成]応用物理学会 人財育成シンポジウム -日本の危機を科学が救うそのためのリーダー育成を考える-日時2010 年 11 月 29 日(月)1000 ~ 1710

場所東京工業大学デジタル多目的ホール

主催応用物理学会

概要急速に進むグローバル化に対応のできる人材を育成

するための課題や応用物理学会が貢献することのできる

具体的な取り組みについて議論します

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場所早稲田大学大隈小講堂

主催サイエンスメディアセンター(SMC)

概要英国オーストラリアのサイエンスメディアセ

ンターの関係者米国のサイエンスコミュニケータを交え

て研究者とメディアの有益な関係性構築に向けた取り組

みについて議論します参加費は無料同時通訳がつきま

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[異分野連携]医学領域と工学領域連携研究シンポジウム ‐ 未来を拓く医工連携 ‐日時2010 年 11 月 27 日(土)

場所山口大学医学部第 3 講義室

主催日本学術会議中国四国地区会議山口大学

概要がんの個別化医療をメインテーマにこれからの医

工連携のあり方について講演と議論を行います

httpwwwscjgojpjaeventpdf100-t-3pdf 

[人材育成]マイクロナノエンジニアリング シンポジウム ‐ イノベーションと人材育成 ‐日時2010 年 12 月 8 日(水)1300 ~ 1700

場所日本学術会議 講堂

主催日本学術会議 マイクロナノエンジニアリング分

科会日本機械学会 マイクロナノ工学専門会議

概要学際的分野であるマイクロナノエンジニアリング

は大学大学院における教育の整備関連する産業界

学術界での研究開発における分野融合的な取組みが不可欠

です本シンポジウムでは人材育成を軸とした課題につ

いて議論します

httpwwwscjgojpjaeventpdf100-s-3-1pdf

[ 博物館展示 ]自然に学ぶ ネイチャーテクノロジーとライフスタイル展開催中です

場所国立科学博物館 (東京上野公園)

日時2010 年 10 月 26 日~ 2010 年 2 月 11 日

主催東北大学大学院環境科学研究科国立科学博物館

特定非営利活動法人ものづくり生命文明機構

概要蝶や鳥など生き物や自然の仕組みにヒントを得た環

境負荷の低い技術と将来的な応用の可能性から日本文化

に根差した共生型の新しいライフスタイルのあり方につい

て紹介します国立科学博物館の入館料600円が必要です

httpwwwkahakugojpevent201010natureindex

html

[人材育成]シンポジウム「世界を魅せる日本の課題解決型基礎研究~JST 目利き制度とその可能性」日時2010 年 12 月 6 日(月)1000-1800 (0900 受

付開始)

場所東京国際フォーラム B5 ホール

主催(独)科学技術振興機構(JST)

概要JST がこれまでに行ってきた戦略的創造研究推進

事業の成果を振り返りつつ今後の日本の科学技術の発

展に向けた事業のあり方について参加者の皆様と議論しま

httpwwwsenryaku30jstgojp 

[ 持続可能性 ]学術会議シンポジウム「低炭素化に向けた経済社会エネルギーのあり方と実現のシナリオ」日時2010 年 12 月 9 日(木)1330 ~ 1700

場所学術会議講堂

主催土木工学建築学委員会低炭素建築都市分科会

社会資本分科会

概要両分科会は中~超長期のエネルギー消費量削減シ

ナリオ策定に取り組んできました本シンポジウムでは

分科会の検討結果や削減のための様々な取り組みを紹介

し今後のとりまとめ作業に向けた議論を行います

httpwwwscjgojpjaeventpdf104-s-3-6pdf 

37

PEN N

ovember

PEN 編集室関谷瑞木阿多誠文独立行政法人産業技術総合研究所 ナノシステム研究部門 305-8568 つくば市梅園 1-1-1 産総研つくばセンター中央第 2 M404Email nano-penmaistgojpTel029-861-5185 Fax 029-861-5339

編集後記

今月 8 日に長野県長野市で開催された第 3 回国際ナノ

ワークショップ「ナノテクノロジーの社会受容~ナノ

材料の工業標準化の国際的な動向と環境影響について

~」の会場で多くの企業の皆様と意見交換をする貴

重な機会を得た目まぐるしい勢いで変わってゆく諸

外国の環境規制策の動向に民間企業の皆様が神経を

とがらせておられることがひしひしと感じられた東

京から新幹線で 1 時間半インターネットでリアルタ

イムに世界とつながることのできる時代とはいえ情

報物人が集積する地である東京とは異なる苦労も

あることもお聞きした美しい山々きれいな空気あ

るいは世界に誇る観光遺産と科学技術を結び付けて

地域振興をはかりたいとの頑張っておいでの方にもお

会いした

月刊という制約はあるもののこうした方々にとって

タイムリーで有用な情報を提供し続けたいと改めて

強く感じた

ちなみにPEN を発行しているつくば市の産総研つく

ばセンターへもつくばエクスプレスと路線バスを乗

り継いで都心からは約 1 時間半かかる

2010 年 11 月 25 日

PEN 編集室一同ウナギツカミ

Page 32: Public Engagement with Nano- PEN November …...5 PEN November 【知財】 中国、10年で特許強国に(2010.11.12) 中国国家知識産権局は11日に「全国特許事業発展戦略

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PEN

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NEWS POD 著作権の関係で記事のタイトルと詳細内容は標記できませんので簡略に表示しています詳しい内容に関しては各新聞及び雑誌をご覧ください

ナノテクノロジー

研究開発最前線

20101122 日 刊 工 業 新 聞 News

ウェーブ 21

X 線レーザー

20101121 東京読売新聞

新潟ナノテク研究会

20101120 日本経済新聞

ナノテクとバイオ

20101120 下野新聞

バイオ起業

20101119 朝日新聞

ナノ粒子の構造制御

20101119 日刊工業新聞

水素原子観察

20101119 科学新聞

光ファイバー関連技術

20101119 科学新聞

希少金属対策

20101118 日刊工業新聞

熱電材料

20101117 日経速報ニュース

化学合成でナノ構造

20101117 日経産業新聞

つくばナノテク研究拠点への投資

20101117 日刊工業新聞

分子バネ

20101116 日経速報ニュース

ナノバイオ融合

20101116 日経産業新聞

フレンドオブアースのナノテク評

20101116 エコロジーエクスプレス

クラスターテクノロジー

20101112 産経新聞

実用化助成

20101111 日刊産業新聞

接着のメカニズム

20101110 日経産業新聞

電子材料

20101110 日経産業新聞

ナノ磁石

20101110 東京新聞

高分解能放射線検出器

20101110 化学工業日報

電池電極材料

20101108 日本経済新聞

食の安全性

20101108 日経エコロジー

ナノ磁石実用化

20101105 朝日新聞

ナノテク接着剤

20101105 日刊工業新聞

水素原子の観察

20101105 日刊工業新聞

補正予算案

20101105 科学新聞

ナノ磁石

20101104 日本経済新聞

ナノボーグ

20101104 日刊工業新聞

ITO 電極代替技術

20101104 鉄鋼新聞

レアアース代替材

20101103 日本経済新聞電子版

セクション

ナノ鉄磁

20101103 毎日新聞

有機トランジスタ

20101101 日 経 速 報 ニ ュ ー ス

アーカイブ

有機トランジスタ

20101101 日経産業新聞

ナノムービー

20101101 日経サイエンス

低燃費タイヤ

20101030 朝日新聞

筑波大生命科学研究拠点

20101030 茨城新聞

レアアース代替材

20101029 日経産業新聞

播磨地域

20101029 化学工業日報

ナノ粒子操作

20101029 科学新聞

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NEWS POD 著作権の関係で記事のタイトルと詳細内容は標記できませんので簡略に表示しています詳しい内容に関しては各新聞及び雑誌をご覧ください

中国新5カ年計画

20101028 日本経済新聞

高機能消臭素材

20101028 化学工業日報

環境規制等

終わりの科学

20101201 日経サイエンス

電気自動車の覇権

20101123 週刊エコノミスト

環境規制対応

20101122 日経産業新聞

温暖化ガス排出枠

20101122 日経産業新聞

ロス自動車ショー

20101119 日経産業新聞

EV と環境規制

20101119 朝日新聞

EV

20101119 東京新聞

環境と法規制

20101119 化学工業日報

トヨタとテスラ

20101118 読売新聞速報ニュー

CO2 排出量削減

20101118 日経産業新聞

カリフォルニア州環境規制と EV

20101112 日本経済新聞

環境規制

20101112 日本経済新聞

環境規制

20101112 日経産業新聞

米韓 FTA

20101112 朝日新聞

米韓 FTA

20101112 毎日新聞

顔料

20101112 化学工業日報

レアメタル供給規制

20101111 日本経済新聞

潮冷熱

20101110 日本経済新聞

レアアース生産と環境規制

20101108 ダウジョーンズ中国企

業ニュース

韓米FTA

20101101 中央日報

科学技術政策

競争的資金制度

20101122 日本経済新聞

科学技術関係補正予算案 

20101122 THE DOCTOR

韓国 KIST

20101121 朝鮮日報

科学技術政策

20101119 日本経済新聞電子版

セクション

科学技術政策

20101118 日本経済新聞

科学技術政策

20101118 日経産業新聞

女性研究者

20101117 日経速報ニュース

科学技術予算

20101114 東京読売新聞

トップ1論文

20101112 科学新聞

中国特許強国に

20101112 新華社ニュース

関経連と科学技術政策

20101110 産経新聞 

科学技術産業一体政策

20101109 日刊工業新聞

優れた論文の条件

20101105 毎日新聞

「焼け太り許さぬ」

20101102 朝日新聞

国の研究開発投資目標

20101029 日刊工業新聞

科技政策で提言

20101027 日経産業新聞

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PEN

Nov

embe

r

科学への信頼に関する読者調査

20101201 日経サイエンス

「カップリング反応」アニメ化

20101110 朝日新聞東京読売

新聞他

科学と社会つなぐ人材

20101025 東京新聞

NEWS POD 

情報誌 PEN 購読のご案内PEN の継続的な購読をご希望の方は下記のメールアドレスまでお名前ご所属メールアドレスをご記入の上ご連絡ください登録配信は無料ですnano-penmaistgojp

PEN は原則月 1 回配信しますバックナンバーと PEN の前身【AIST-TOKYO ナノテク情報】をナノシステム研究部門ホームページにて公開しています httpunitaistgojpnrinano-planindexhtml

PEN は皆さまとの情報共有を目的としていますお持ちの情報で共有すべきものがあれば nano-penmaistgojp までお寄せ下さい

いただいた個人情報は産総研 個人情報保護方針(プライバシーポリシー)に基づき大切に管理し情報誌 PEN の運営と私達のイベントのご案内のみに使用させていただきます

科学技術コミュニケーション

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PEN N

ovember

イベント案内

[産学連携研究開発]大阪大学ナノ理工学人材育成産学コンソーシアム 第 3 回ナノ理工学情報交流会場所大阪大学中之島センター 7 階 講義室 3(講師来訪)

   大阪大学東京オフィスサテライト教室

(遠隔講義配信)

   四日市商工会議所内サテライト教室

(遠隔講義配信)については調整中です

コンソーシアム HP にてご確認ください

   ナノテク社会人教育プログラムの開講をされてい

る場合遠隔講義配信に対応可能です事務局まで

ご連絡ください

日時2010 年 12 月 10 日(金)1330 ~ 1900 頃

主催大阪大学ナノ理工学人材育成産学コンソーシアム 

概要ナノ理工学人材育成産学コンソーシアムでは活動

の一環として産学連携のきっかけを提供すべく企業と

大学の双方からテーマに即した研究開発やトピックを紹介

し会員同士の意見交換と情報共有の促進をはかっていま

す第 3 回目となる今回は「光を用いたナノテクノロジー

の新展開」をテーマに開催しますプログラムなどの詳細

は下記の HP をご参照下さい

参加費コンソーシアム会員学生及び大阪大学教職員は

無料(コンソーシアム企業会員の場合社内から何名でも

無料で参加が可能です)

上記以外の方は資料作成費 1000 円が必要になります

参加登録氏名所属連絡先懇談会への出欠を記載の

上メールにて大阪大学ナノ理工学人材育成産学コンソー

シアム事務局(nano-consnanoscienceorjp)へお申込み

下さい

httpwwwnanoscienceorjp

[コミュニケーション]科学コミュニケーション研究会 第 1 回関西支部勉強会日時2010 年 12 月 2 日 1800 ~ 2000

場所京都大学 吉田泉殿

主催科学コミュニケーション研究会 関西支部有志

概要大阪教育大学科学教育センターの中矢史雄氏を講師

に招きオーストラリアの科学技術コミュニケーションに

ついてオーストラリア国立大学科学意識向上センター

での経験なども交えてお話いただきます定員は 25 名で

す事前申し込みが必要です

httpbitlybPmTP9

[展示会]セミコンジャパン 2010日時12 月 1 日~ 3 日

場所幕張メッセ

主催SEMI

概要国内外の最新のマイクロエレクトロニクス技術に関

する情報を入手することのできる世界最大の半導体製造装

置材料展です

httpwwwsemiconjapanorgjaindexhtm

[知財]アジア特許庁シンポジウム日時2010 年 12 月 3 日(金)930 ~ 1210

場所ホテル日航奈良 飛天の間

主催特許庁

概要日本中国韓国インドネシアマレーシアシ

ンガポールの特許庁幹部を招き各国の知財保護強化の取

組みやアジアにおける知財協力を紹介しますまたパ

ネルディスカッションを設けアジアにおける人材育成協

力の方向性について議論します

httpwwwintergroupjp~convasia

[人材育成]応用物理学会 人財育成シンポジウム -日本の危機を科学が救うそのためのリーダー育成を考える-日時2010 年 11 月 29 日(月)1000 ~ 1710

場所東京工業大学デジタル多目的ホール

主催応用物理学会

概要急速に進むグローバル化に対応のできる人材を育成

するための課題や応用物理学会が貢献することのできる

具体的な取り組みについて議論します

イベント案内へ掲載を希望される方は nano-penmaistgojp までご一報ください

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PEN

Nov

embe

r h t t p w w w j s a p o r j p a c t i v i t i e s e d u c a t i o n

symppt2010symphtml 

[コミュニケーション]科学技術とメディアのより良い関係に向けて日時11 月 26 日 1815 ~ 2030

場所早稲田大学大隈小講堂

主催サイエンスメディアセンター(SMC)

概要英国オーストラリアのサイエンスメディアセ

ンターの関係者米国のサイエンスコミュニケータを交え

て研究者とメディアの有益な関係性構築に向けた取り組

みについて議論します参加費は無料同時通訳がつきま

httpsmc-japanorgp=403 

[異分野連携]医学領域と工学領域連携研究シンポジウム ‐ 未来を拓く医工連携 ‐日時2010 年 11 月 27 日(土)

場所山口大学医学部第 3 講義室

主催日本学術会議中国四国地区会議山口大学

概要がんの個別化医療をメインテーマにこれからの医

工連携のあり方について講演と議論を行います

httpwwwscjgojpjaeventpdf100-t-3pdf 

[人材育成]マイクロナノエンジニアリング シンポジウム ‐ イノベーションと人材育成 ‐日時2010 年 12 月 8 日(水)1300 ~ 1700

場所日本学術会議 講堂

主催日本学術会議 マイクロナノエンジニアリング分

科会日本機械学会 マイクロナノ工学専門会議

概要学際的分野であるマイクロナノエンジニアリング

は大学大学院における教育の整備関連する産業界

学術界での研究開発における分野融合的な取組みが不可欠

です本シンポジウムでは人材育成を軸とした課題につ

いて議論します

httpwwwscjgojpjaeventpdf100-s-3-1pdf

[ 博物館展示 ]自然に学ぶ ネイチャーテクノロジーとライフスタイル展開催中です

場所国立科学博物館 (東京上野公園)

日時2010 年 10 月 26 日~ 2010 年 2 月 11 日

主催東北大学大学院環境科学研究科国立科学博物館

特定非営利活動法人ものづくり生命文明機構

概要蝶や鳥など生き物や自然の仕組みにヒントを得た環

境負荷の低い技術と将来的な応用の可能性から日本文化

に根差した共生型の新しいライフスタイルのあり方につい

て紹介します国立科学博物館の入館料600円が必要です

httpwwwkahakugojpevent201010natureindex

html

[人材育成]シンポジウム「世界を魅せる日本の課題解決型基礎研究~JST 目利き制度とその可能性」日時2010 年 12 月 6 日(月)1000-1800 (0900 受

付開始)

場所東京国際フォーラム B5 ホール

主催(独)科学技術振興機構(JST)

概要JST がこれまでに行ってきた戦略的創造研究推進

事業の成果を振り返りつつ今後の日本の科学技術の発

展に向けた事業のあり方について参加者の皆様と議論しま

httpwwwsenryaku30jstgojp 

[ 持続可能性 ]学術会議シンポジウム「低炭素化に向けた経済社会エネルギーのあり方と実現のシナリオ」日時2010 年 12 月 9 日(木)1330 ~ 1700

場所学術会議講堂

主催土木工学建築学委員会低炭素建築都市分科会

社会資本分科会

概要両分科会は中~超長期のエネルギー消費量削減シ

ナリオ策定に取り組んできました本シンポジウムでは

分科会の検討結果や削減のための様々な取り組みを紹介

し今後のとりまとめ作業に向けた議論を行います

httpwwwscjgojpjaeventpdf104-s-3-6pdf 

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PEN 編集室関谷瑞木阿多誠文独立行政法人産業技術総合研究所 ナノシステム研究部門 305-8568 つくば市梅園 1-1-1 産総研つくばセンター中央第 2 M404Email nano-penmaistgojpTel029-861-5185 Fax 029-861-5339

編集後記

今月 8 日に長野県長野市で開催された第 3 回国際ナノ

ワークショップ「ナノテクノロジーの社会受容~ナノ

材料の工業標準化の国際的な動向と環境影響について

~」の会場で多くの企業の皆様と意見交換をする貴

重な機会を得た目まぐるしい勢いで変わってゆく諸

外国の環境規制策の動向に民間企業の皆様が神経を

とがらせておられることがひしひしと感じられた東

京から新幹線で 1 時間半インターネットでリアルタ

イムに世界とつながることのできる時代とはいえ情

報物人が集積する地である東京とは異なる苦労も

あることもお聞きした美しい山々きれいな空気あ

るいは世界に誇る観光遺産と科学技術を結び付けて

地域振興をはかりたいとの頑張っておいでの方にもお

会いした

月刊という制約はあるもののこうした方々にとって

タイムリーで有用な情報を提供し続けたいと改めて

強く感じた

ちなみにPEN を発行しているつくば市の産総研つく

ばセンターへもつくばエクスプレスと路線バスを乗

り継いで都心からは約 1 時間半かかる

2010 年 11 月 25 日

PEN 編集室一同ウナギツカミ

Page 33: Public Engagement with Nano- PEN November …...5 PEN November 【知財】 中国、10年で特許強国に(2010.11.12) 中国国家知識産権局は11日に「全国特許事業発展戦略

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中国新5カ年計画

20101028 日本経済新聞

高機能消臭素材

20101028 化学工業日報

環境規制等

終わりの科学

20101201 日経サイエンス

電気自動車の覇権

20101123 週刊エコノミスト

環境規制対応

20101122 日経産業新聞

温暖化ガス排出枠

20101122 日経産業新聞

ロス自動車ショー

20101119 日経産業新聞

EV と環境規制

20101119 朝日新聞

EV

20101119 東京新聞

環境と法規制

20101119 化学工業日報

トヨタとテスラ

20101118 読売新聞速報ニュー

CO2 排出量削減

20101118 日経産業新聞

カリフォルニア州環境規制と EV

20101112 日本経済新聞

環境規制

20101112 日本経済新聞

環境規制

20101112 日経産業新聞

米韓 FTA

20101112 朝日新聞

米韓 FTA

20101112 毎日新聞

顔料

20101112 化学工業日報

レアメタル供給規制

20101111 日本経済新聞

潮冷熱

20101110 日本経済新聞

レアアース生産と環境規制

20101108 ダウジョーンズ中国企

業ニュース

韓米FTA

20101101 中央日報

科学技術政策

競争的資金制度

20101122 日本経済新聞

科学技術関係補正予算案 

20101122 THE DOCTOR

韓国 KIST

20101121 朝鮮日報

科学技術政策

20101119 日本経済新聞電子版

セクション

科学技術政策

20101118 日本経済新聞

科学技術政策

20101118 日経産業新聞

女性研究者

20101117 日経速報ニュース

科学技術予算

20101114 東京読売新聞

トップ1論文

20101112 科学新聞

中国特許強国に

20101112 新華社ニュース

関経連と科学技術政策

20101110 産経新聞 

科学技術産業一体政策

20101109 日刊工業新聞

優れた論文の条件

20101105 毎日新聞

「焼け太り許さぬ」

20101102 朝日新聞

国の研究開発投資目標

20101029 日刊工業新聞

科技政策で提言

20101027 日経産業新聞

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科学への信頼に関する読者調査

20101201 日経サイエンス

「カップリング反応」アニメ化

20101110 朝日新聞東京読売

新聞他

科学と社会つなぐ人材

20101025 東京新聞

NEWS POD 

情報誌 PEN 購読のご案内PEN の継続的な購読をご希望の方は下記のメールアドレスまでお名前ご所属メールアドレスをご記入の上ご連絡ください登録配信は無料ですnano-penmaistgojp

PEN は原則月 1 回配信しますバックナンバーと PEN の前身【AIST-TOKYO ナノテク情報】をナノシステム研究部門ホームページにて公開しています httpunitaistgojpnrinano-planindexhtml

PEN は皆さまとの情報共有を目的としていますお持ちの情報で共有すべきものがあれば nano-penmaistgojp までお寄せ下さい

いただいた個人情報は産総研 個人情報保護方針(プライバシーポリシー)に基づき大切に管理し情報誌 PEN の運営と私達のイベントのご案内のみに使用させていただきます

科学技術コミュニケーション

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イベント案内

[産学連携研究開発]大阪大学ナノ理工学人材育成産学コンソーシアム 第 3 回ナノ理工学情報交流会場所大阪大学中之島センター 7 階 講義室 3(講師来訪)

   大阪大学東京オフィスサテライト教室

(遠隔講義配信)

   四日市商工会議所内サテライト教室

(遠隔講義配信)については調整中です

コンソーシアム HP にてご確認ください

   ナノテク社会人教育プログラムの開講をされてい

る場合遠隔講義配信に対応可能です事務局まで

ご連絡ください

日時2010 年 12 月 10 日(金)1330 ~ 1900 頃

主催大阪大学ナノ理工学人材育成産学コンソーシアム 

概要ナノ理工学人材育成産学コンソーシアムでは活動

の一環として産学連携のきっかけを提供すべく企業と

大学の双方からテーマに即した研究開発やトピックを紹介

し会員同士の意見交換と情報共有の促進をはかっていま

す第 3 回目となる今回は「光を用いたナノテクノロジー

の新展開」をテーマに開催しますプログラムなどの詳細

は下記の HP をご参照下さい

参加費コンソーシアム会員学生及び大阪大学教職員は

無料(コンソーシアム企業会員の場合社内から何名でも

無料で参加が可能です)

上記以外の方は資料作成費 1000 円が必要になります

参加登録氏名所属連絡先懇談会への出欠を記載の

上メールにて大阪大学ナノ理工学人材育成産学コンソー

シアム事務局(nano-consnanoscienceorjp)へお申込み

下さい

httpwwwnanoscienceorjp

[コミュニケーション]科学コミュニケーション研究会 第 1 回関西支部勉強会日時2010 年 12 月 2 日 1800 ~ 2000

場所京都大学 吉田泉殿

主催科学コミュニケーション研究会 関西支部有志

概要大阪教育大学科学教育センターの中矢史雄氏を講師

に招きオーストラリアの科学技術コミュニケーションに

ついてオーストラリア国立大学科学意識向上センター

での経験なども交えてお話いただきます定員は 25 名で

す事前申し込みが必要です

httpbitlybPmTP9

[展示会]セミコンジャパン 2010日時12 月 1 日~ 3 日

場所幕張メッセ

主催SEMI

概要国内外の最新のマイクロエレクトロニクス技術に関

する情報を入手することのできる世界最大の半導体製造装

置材料展です

httpwwwsemiconjapanorgjaindexhtm

[知財]アジア特許庁シンポジウム日時2010 年 12 月 3 日(金)930 ~ 1210

場所ホテル日航奈良 飛天の間

主催特許庁

概要日本中国韓国インドネシアマレーシアシ

ンガポールの特許庁幹部を招き各国の知財保護強化の取

組みやアジアにおける知財協力を紹介しますまたパ

ネルディスカッションを設けアジアにおける人材育成協

力の方向性について議論します

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[人材育成]応用物理学会 人財育成シンポジウム -日本の危機を科学が救うそのためのリーダー育成を考える-日時2010 年 11 月 29 日(月)1000 ~ 1710

場所東京工業大学デジタル多目的ホール

主催応用物理学会

概要急速に進むグローバル化に対応のできる人材を育成

するための課題や応用物理学会が貢献することのできる

具体的な取り組みについて議論します

イベント案内へ掲載を希望される方は nano-penmaistgojp までご一報ください

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r h t t p w w w j s a p o r j p a c t i v i t i e s e d u c a t i o n

symppt2010symphtml 

[コミュニケーション]科学技術とメディアのより良い関係に向けて日時11 月 26 日 1815 ~ 2030

場所早稲田大学大隈小講堂

主催サイエンスメディアセンター(SMC)

概要英国オーストラリアのサイエンスメディアセ

ンターの関係者米国のサイエンスコミュニケータを交え

て研究者とメディアの有益な関係性構築に向けた取り組

みについて議論します参加費は無料同時通訳がつきま

httpsmc-japanorgp=403 

[異分野連携]医学領域と工学領域連携研究シンポジウム ‐ 未来を拓く医工連携 ‐日時2010 年 11 月 27 日(土)

場所山口大学医学部第 3 講義室

主催日本学術会議中国四国地区会議山口大学

概要がんの個別化医療をメインテーマにこれからの医

工連携のあり方について講演と議論を行います

httpwwwscjgojpjaeventpdf100-t-3pdf 

[人材育成]マイクロナノエンジニアリング シンポジウム ‐ イノベーションと人材育成 ‐日時2010 年 12 月 8 日(水)1300 ~ 1700

場所日本学術会議 講堂

主催日本学術会議 マイクロナノエンジニアリング分

科会日本機械学会 マイクロナノ工学専門会議

概要学際的分野であるマイクロナノエンジニアリング

は大学大学院における教育の整備関連する産業界

学術界での研究開発における分野融合的な取組みが不可欠

です本シンポジウムでは人材育成を軸とした課題につ

いて議論します

httpwwwscjgojpjaeventpdf100-s-3-1pdf

[ 博物館展示 ]自然に学ぶ ネイチャーテクノロジーとライフスタイル展開催中です

場所国立科学博物館 (東京上野公園)

日時2010 年 10 月 26 日~ 2010 年 2 月 11 日

主催東北大学大学院環境科学研究科国立科学博物館

特定非営利活動法人ものづくり生命文明機構

概要蝶や鳥など生き物や自然の仕組みにヒントを得た環

境負荷の低い技術と将来的な応用の可能性から日本文化

に根差した共生型の新しいライフスタイルのあり方につい

て紹介します国立科学博物館の入館料600円が必要です

httpwwwkahakugojpevent201010natureindex

html

[人材育成]シンポジウム「世界を魅せる日本の課題解決型基礎研究~JST 目利き制度とその可能性」日時2010 年 12 月 6 日(月)1000-1800 (0900 受

付開始)

場所東京国際フォーラム B5 ホール

主催(独)科学技術振興機構(JST)

概要JST がこれまでに行ってきた戦略的創造研究推進

事業の成果を振り返りつつ今後の日本の科学技術の発

展に向けた事業のあり方について参加者の皆様と議論しま

httpwwwsenryaku30jstgojp 

[ 持続可能性 ]学術会議シンポジウム「低炭素化に向けた経済社会エネルギーのあり方と実現のシナリオ」日時2010 年 12 月 9 日(木)1330 ~ 1700

場所学術会議講堂

主催土木工学建築学委員会低炭素建築都市分科会

社会資本分科会

概要両分科会は中~超長期のエネルギー消費量削減シ

ナリオ策定に取り組んできました本シンポジウムでは

分科会の検討結果や削減のための様々な取り組みを紹介

し今後のとりまとめ作業に向けた議論を行います

httpwwwscjgojpjaeventpdf104-s-3-6pdf 

37

PEN N

ovember

PEN 編集室関谷瑞木阿多誠文独立行政法人産業技術総合研究所 ナノシステム研究部門 305-8568 つくば市梅園 1-1-1 産総研つくばセンター中央第 2 M404Email nano-penmaistgojpTel029-861-5185 Fax 029-861-5339

編集後記

今月 8 日に長野県長野市で開催された第 3 回国際ナノ

ワークショップ「ナノテクノロジーの社会受容~ナノ

材料の工業標準化の国際的な動向と環境影響について

~」の会場で多くの企業の皆様と意見交換をする貴

重な機会を得た目まぐるしい勢いで変わってゆく諸

外国の環境規制策の動向に民間企業の皆様が神経を

とがらせておられることがひしひしと感じられた東

京から新幹線で 1 時間半インターネットでリアルタ

イムに世界とつながることのできる時代とはいえ情

報物人が集積する地である東京とは異なる苦労も

あることもお聞きした美しい山々きれいな空気あ

るいは世界に誇る観光遺産と科学技術を結び付けて

地域振興をはかりたいとの頑張っておいでの方にもお

会いした

月刊という制約はあるもののこうした方々にとって

タイムリーで有用な情報を提供し続けたいと改めて

強く感じた

ちなみにPEN を発行しているつくば市の産総研つく

ばセンターへもつくばエクスプレスと路線バスを乗

り継いで都心からは約 1 時間半かかる

2010 年 11 月 25 日

PEN 編集室一同ウナギツカミ

Page 34: Public Engagement with Nano- PEN November …...5 PEN November 【知財】 中国、10年で特許強国に(2010.11.12) 中国国家知識産権局は11日に「全国特許事業発展戦略

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PEN

Nov

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r

科学への信頼に関する読者調査

20101201 日経サイエンス

「カップリング反応」アニメ化

20101110 朝日新聞東京読売

新聞他

科学と社会つなぐ人材

20101025 東京新聞

NEWS POD 

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PEN は皆さまとの情報共有を目的としていますお持ちの情報で共有すべきものがあれば nano-penmaistgojp までお寄せ下さい

いただいた個人情報は産総研 個人情報保護方針(プライバシーポリシー)に基づき大切に管理し情報誌 PEN の運営と私達のイベントのご案内のみに使用させていただきます

科学技術コミュニケーション

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PEN N

ovember

イベント案内

[産学連携研究開発]大阪大学ナノ理工学人材育成産学コンソーシアム 第 3 回ナノ理工学情報交流会場所大阪大学中之島センター 7 階 講義室 3(講師来訪)

   大阪大学東京オフィスサテライト教室

(遠隔講義配信)

   四日市商工会議所内サテライト教室

(遠隔講義配信)については調整中です

コンソーシアム HP にてご確認ください

   ナノテク社会人教育プログラムの開講をされてい

る場合遠隔講義配信に対応可能です事務局まで

ご連絡ください

日時2010 年 12 月 10 日(金)1330 ~ 1900 頃

主催大阪大学ナノ理工学人材育成産学コンソーシアム 

概要ナノ理工学人材育成産学コンソーシアムでは活動

の一環として産学連携のきっかけを提供すべく企業と

大学の双方からテーマに即した研究開発やトピックを紹介

し会員同士の意見交換と情報共有の促進をはかっていま

す第 3 回目となる今回は「光を用いたナノテクノロジー

の新展開」をテーマに開催しますプログラムなどの詳細

は下記の HP をご参照下さい

参加費コンソーシアム会員学生及び大阪大学教職員は

無料(コンソーシアム企業会員の場合社内から何名でも

無料で参加が可能です)

上記以外の方は資料作成費 1000 円が必要になります

参加登録氏名所属連絡先懇談会への出欠を記載の

上メールにて大阪大学ナノ理工学人材育成産学コンソー

シアム事務局(nano-consnanoscienceorjp)へお申込み

下さい

httpwwwnanoscienceorjp

[コミュニケーション]科学コミュニケーション研究会 第 1 回関西支部勉強会日時2010 年 12 月 2 日 1800 ~ 2000

場所京都大学 吉田泉殿

主催科学コミュニケーション研究会 関西支部有志

概要大阪教育大学科学教育センターの中矢史雄氏を講師

に招きオーストラリアの科学技術コミュニケーションに

ついてオーストラリア国立大学科学意識向上センター

での経験なども交えてお話いただきます定員は 25 名で

す事前申し込みが必要です

httpbitlybPmTP9

[展示会]セミコンジャパン 2010日時12 月 1 日~ 3 日

場所幕張メッセ

主催SEMI

概要国内外の最新のマイクロエレクトロニクス技術に関

する情報を入手することのできる世界最大の半導体製造装

置材料展です

httpwwwsemiconjapanorgjaindexhtm

[知財]アジア特許庁シンポジウム日時2010 年 12 月 3 日(金)930 ~ 1210

場所ホテル日航奈良 飛天の間

主催特許庁

概要日本中国韓国インドネシアマレーシアシ

ンガポールの特許庁幹部を招き各国の知財保護強化の取

組みやアジアにおける知財協力を紹介しますまたパ

ネルディスカッションを設けアジアにおける人材育成協

力の方向性について議論します

httpwwwintergroupjp~convasia

[人材育成]応用物理学会 人財育成シンポジウム -日本の危機を科学が救うそのためのリーダー育成を考える-日時2010 年 11 月 29 日(月)1000 ~ 1710

場所東京工業大学デジタル多目的ホール

主催応用物理学会

概要急速に進むグローバル化に対応のできる人材を育成

するための課題や応用物理学会が貢献することのできる

具体的な取り組みについて議論します

イベント案内へ掲載を希望される方は nano-penmaistgojp までご一報ください

36

PEN

Nov

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r h t t p w w w j s a p o r j p a c t i v i t i e s e d u c a t i o n

symppt2010symphtml 

[コミュニケーション]科学技術とメディアのより良い関係に向けて日時11 月 26 日 1815 ~ 2030

場所早稲田大学大隈小講堂

主催サイエンスメディアセンター(SMC)

概要英国オーストラリアのサイエンスメディアセ

ンターの関係者米国のサイエンスコミュニケータを交え

て研究者とメディアの有益な関係性構築に向けた取り組

みについて議論します参加費は無料同時通訳がつきま

httpsmc-japanorgp=403 

[異分野連携]医学領域と工学領域連携研究シンポジウム ‐ 未来を拓く医工連携 ‐日時2010 年 11 月 27 日(土)

場所山口大学医学部第 3 講義室

主催日本学術会議中国四国地区会議山口大学

概要がんの個別化医療をメインテーマにこれからの医

工連携のあり方について講演と議論を行います

httpwwwscjgojpjaeventpdf100-t-3pdf 

[人材育成]マイクロナノエンジニアリング シンポジウム ‐ イノベーションと人材育成 ‐日時2010 年 12 月 8 日(水)1300 ~ 1700

場所日本学術会議 講堂

主催日本学術会議 マイクロナノエンジニアリング分

科会日本機械学会 マイクロナノ工学専門会議

概要学際的分野であるマイクロナノエンジニアリング

は大学大学院における教育の整備関連する産業界

学術界での研究開発における分野融合的な取組みが不可欠

です本シンポジウムでは人材育成を軸とした課題につ

いて議論します

httpwwwscjgojpjaeventpdf100-s-3-1pdf

[ 博物館展示 ]自然に学ぶ ネイチャーテクノロジーとライフスタイル展開催中です

場所国立科学博物館 (東京上野公園)

日時2010 年 10 月 26 日~ 2010 年 2 月 11 日

主催東北大学大学院環境科学研究科国立科学博物館

特定非営利活動法人ものづくり生命文明機構

概要蝶や鳥など生き物や自然の仕組みにヒントを得た環

境負荷の低い技術と将来的な応用の可能性から日本文化

に根差した共生型の新しいライフスタイルのあり方につい

て紹介します国立科学博物館の入館料600円が必要です

httpwwwkahakugojpevent201010natureindex

html

[人材育成]シンポジウム「世界を魅せる日本の課題解決型基礎研究~JST 目利き制度とその可能性」日時2010 年 12 月 6 日(月)1000-1800 (0900 受

付開始)

場所東京国際フォーラム B5 ホール

主催(独)科学技術振興機構(JST)

概要JST がこれまでに行ってきた戦略的創造研究推進

事業の成果を振り返りつつ今後の日本の科学技術の発

展に向けた事業のあり方について参加者の皆様と議論しま

httpwwwsenryaku30jstgojp 

[ 持続可能性 ]学術会議シンポジウム「低炭素化に向けた経済社会エネルギーのあり方と実現のシナリオ」日時2010 年 12 月 9 日(木)1330 ~ 1700

場所学術会議講堂

主催土木工学建築学委員会低炭素建築都市分科会

社会資本分科会

概要両分科会は中~超長期のエネルギー消費量削減シ

ナリオ策定に取り組んできました本シンポジウムでは

分科会の検討結果や削減のための様々な取り組みを紹介

し今後のとりまとめ作業に向けた議論を行います

httpwwwscjgojpjaeventpdf104-s-3-6pdf 

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PEN 編集室関谷瑞木阿多誠文独立行政法人産業技術総合研究所 ナノシステム研究部門 305-8568 つくば市梅園 1-1-1 産総研つくばセンター中央第 2 M404Email nano-penmaistgojpTel029-861-5185 Fax 029-861-5339

編集後記

今月 8 日に長野県長野市で開催された第 3 回国際ナノ

ワークショップ「ナノテクノロジーの社会受容~ナノ

材料の工業標準化の国際的な動向と環境影響について

~」の会場で多くの企業の皆様と意見交換をする貴

重な機会を得た目まぐるしい勢いで変わってゆく諸

外国の環境規制策の動向に民間企業の皆様が神経を

とがらせておられることがひしひしと感じられた東

京から新幹線で 1 時間半インターネットでリアルタ

イムに世界とつながることのできる時代とはいえ情

報物人が集積する地である東京とは異なる苦労も

あることもお聞きした美しい山々きれいな空気あ

るいは世界に誇る観光遺産と科学技術を結び付けて

地域振興をはかりたいとの頑張っておいでの方にもお

会いした

月刊という制約はあるもののこうした方々にとって

タイムリーで有用な情報を提供し続けたいと改めて

強く感じた

ちなみにPEN を発行しているつくば市の産総研つく

ばセンターへもつくばエクスプレスと路線バスを乗

り継いで都心からは約 1 時間半かかる

2010 年 11 月 25 日

PEN 編集室一同ウナギツカミ

Page 35: Public Engagement with Nano- PEN November …...5 PEN November 【知財】 中国、10年で特許強国に(2010.11.12) 中国国家知識産権局は11日に「全国特許事業発展戦略

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イベント案内

[産学連携研究開発]大阪大学ナノ理工学人材育成産学コンソーシアム 第 3 回ナノ理工学情報交流会場所大阪大学中之島センター 7 階 講義室 3(講師来訪)

   大阪大学東京オフィスサテライト教室

(遠隔講義配信)

   四日市商工会議所内サテライト教室

(遠隔講義配信)については調整中です

コンソーシアム HP にてご確認ください

   ナノテク社会人教育プログラムの開講をされてい

る場合遠隔講義配信に対応可能です事務局まで

ご連絡ください

日時2010 年 12 月 10 日(金)1330 ~ 1900 頃

主催大阪大学ナノ理工学人材育成産学コンソーシアム 

概要ナノ理工学人材育成産学コンソーシアムでは活動

の一環として産学連携のきっかけを提供すべく企業と

大学の双方からテーマに即した研究開発やトピックを紹介

し会員同士の意見交換と情報共有の促進をはかっていま

す第 3 回目となる今回は「光を用いたナノテクノロジー

の新展開」をテーマに開催しますプログラムなどの詳細

は下記の HP をご参照下さい

参加費コンソーシアム会員学生及び大阪大学教職員は

無料(コンソーシアム企業会員の場合社内から何名でも

無料で参加が可能です)

上記以外の方は資料作成費 1000 円が必要になります

参加登録氏名所属連絡先懇談会への出欠を記載の

上メールにて大阪大学ナノ理工学人材育成産学コンソー

シアム事務局(nano-consnanoscienceorjp)へお申込み

下さい

httpwwwnanoscienceorjp

[コミュニケーション]科学コミュニケーション研究会 第 1 回関西支部勉強会日時2010 年 12 月 2 日 1800 ~ 2000

場所京都大学 吉田泉殿

主催科学コミュニケーション研究会 関西支部有志

概要大阪教育大学科学教育センターの中矢史雄氏を講師

に招きオーストラリアの科学技術コミュニケーションに

ついてオーストラリア国立大学科学意識向上センター

での経験なども交えてお話いただきます定員は 25 名で

す事前申し込みが必要です

httpbitlybPmTP9

[展示会]セミコンジャパン 2010日時12 月 1 日~ 3 日

場所幕張メッセ

主催SEMI

概要国内外の最新のマイクロエレクトロニクス技術に関

する情報を入手することのできる世界最大の半導体製造装

置材料展です

httpwwwsemiconjapanorgjaindexhtm

[知財]アジア特許庁シンポジウム日時2010 年 12 月 3 日(金)930 ~ 1210

場所ホテル日航奈良 飛天の間

主催特許庁

概要日本中国韓国インドネシアマレーシアシ

ンガポールの特許庁幹部を招き各国の知財保護強化の取

組みやアジアにおける知財協力を紹介しますまたパ

ネルディスカッションを設けアジアにおける人材育成協

力の方向性について議論します

httpwwwintergroupjp~convasia

[人材育成]応用物理学会 人財育成シンポジウム -日本の危機を科学が救うそのためのリーダー育成を考える-日時2010 年 11 月 29 日(月)1000 ~ 1710

場所東京工業大学デジタル多目的ホール

主催応用物理学会

概要急速に進むグローバル化に対応のできる人材を育成

するための課題や応用物理学会が貢献することのできる

具体的な取り組みについて議論します

イベント案内へ掲載を希望される方は nano-penmaistgojp までご一報ください

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r h t t p w w w j s a p o r j p a c t i v i t i e s e d u c a t i o n

symppt2010symphtml 

[コミュニケーション]科学技術とメディアのより良い関係に向けて日時11 月 26 日 1815 ~ 2030

場所早稲田大学大隈小講堂

主催サイエンスメディアセンター(SMC)

概要英国オーストラリアのサイエンスメディアセ

ンターの関係者米国のサイエンスコミュニケータを交え

て研究者とメディアの有益な関係性構築に向けた取り組

みについて議論します参加費は無料同時通訳がつきま

httpsmc-japanorgp=403 

[異分野連携]医学領域と工学領域連携研究シンポジウム ‐ 未来を拓く医工連携 ‐日時2010 年 11 月 27 日(土)

場所山口大学医学部第 3 講義室

主催日本学術会議中国四国地区会議山口大学

概要がんの個別化医療をメインテーマにこれからの医

工連携のあり方について講演と議論を行います

httpwwwscjgojpjaeventpdf100-t-3pdf 

[人材育成]マイクロナノエンジニアリング シンポジウム ‐ イノベーションと人材育成 ‐日時2010 年 12 月 8 日(水)1300 ~ 1700

場所日本学術会議 講堂

主催日本学術会議 マイクロナノエンジニアリング分

科会日本機械学会 マイクロナノ工学専門会議

概要学際的分野であるマイクロナノエンジニアリング

は大学大学院における教育の整備関連する産業界

学術界での研究開発における分野融合的な取組みが不可欠

です本シンポジウムでは人材育成を軸とした課題につ

いて議論します

httpwwwscjgojpjaeventpdf100-s-3-1pdf

[ 博物館展示 ]自然に学ぶ ネイチャーテクノロジーとライフスタイル展開催中です

場所国立科学博物館 (東京上野公園)

日時2010 年 10 月 26 日~ 2010 年 2 月 11 日

主催東北大学大学院環境科学研究科国立科学博物館

特定非営利活動法人ものづくり生命文明機構

概要蝶や鳥など生き物や自然の仕組みにヒントを得た環

境負荷の低い技術と将来的な応用の可能性から日本文化

に根差した共生型の新しいライフスタイルのあり方につい

て紹介します国立科学博物館の入館料600円が必要です

httpwwwkahakugojpevent201010natureindex

html

[人材育成]シンポジウム「世界を魅せる日本の課題解決型基礎研究~JST 目利き制度とその可能性」日時2010 年 12 月 6 日(月)1000-1800 (0900 受

付開始)

場所東京国際フォーラム B5 ホール

主催(独)科学技術振興機構(JST)

概要JST がこれまでに行ってきた戦略的創造研究推進

事業の成果を振り返りつつ今後の日本の科学技術の発

展に向けた事業のあり方について参加者の皆様と議論しま

httpwwwsenryaku30jstgojp 

[ 持続可能性 ]学術会議シンポジウム「低炭素化に向けた経済社会エネルギーのあり方と実現のシナリオ」日時2010 年 12 月 9 日(木)1330 ~ 1700

場所学術会議講堂

主催土木工学建築学委員会低炭素建築都市分科会

社会資本分科会

概要両分科会は中~超長期のエネルギー消費量削減シ

ナリオ策定に取り組んできました本シンポジウムでは

分科会の検討結果や削減のための様々な取り組みを紹介

し今後のとりまとめ作業に向けた議論を行います

httpwwwscjgojpjaeventpdf104-s-3-6pdf 

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PEN 編集室関谷瑞木阿多誠文独立行政法人産業技術総合研究所 ナノシステム研究部門 305-8568 つくば市梅園 1-1-1 産総研つくばセンター中央第 2 M404Email nano-penmaistgojpTel029-861-5185 Fax 029-861-5339

編集後記

今月 8 日に長野県長野市で開催された第 3 回国際ナノ

ワークショップ「ナノテクノロジーの社会受容~ナノ

材料の工業標準化の国際的な動向と環境影響について

~」の会場で多くの企業の皆様と意見交換をする貴

重な機会を得た目まぐるしい勢いで変わってゆく諸

外国の環境規制策の動向に民間企業の皆様が神経を

とがらせておられることがひしひしと感じられた東

京から新幹線で 1 時間半インターネットでリアルタ

イムに世界とつながることのできる時代とはいえ情

報物人が集積する地である東京とは異なる苦労も

あることもお聞きした美しい山々きれいな空気あ

るいは世界に誇る観光遺産と科学技術を結び付けて

地域振興をはかりたいとの頑張っておいでの方にもお

会いした

月刊という制約はあるもののこうした方々にとって

タイムリーで有用な情報を提供し続けたいと改めて

強く感じた

ちなみにPEN を発行しているつくば市の産総研つく

ばセンターへもつくばエクスプレスと路線バスを乗

り継いで都心からは約 1 時間半かかる

2010 年 11 月 25 日

PEN 編集室一同ウナギツカミ

Page 36: Public Engagement with Nano- PEN November …...5 PEN November 【知財】 中国、10年で特許強国に(2010.11.12) 中国国家知識産権局は11日に「全国特許事業発展戦略

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symppt2010symphtml 

[コミュニケーション]科学技術とメディアのより良い関係に向けて日時11 月 26 日 1815 ~ 2030

場所早稲田大学大隈小講堂

主催サイエンスメディアセンター(SMC)

概要英国オーストラリアのサイエンスメディアセ

ンターの関係者米国のサイエンスコミュニケータを交え

て研究者とメディアの有益な関係性構築に向けた取り組

みについて議論します参加費は無料同時通訳がつきま

httpsmc-japanorgp=403 

[異分野連携]医学領域と工学領域連携研究シンポジウム ‐ 未来を拓く医工連携 ‐日時2010 年 11 月 27 日(土)

場所山口大学医学部第 3 講義室

主催日本学術会議中国四国地区会議山口大学

概要がんの個別化医療をメインテーマにこれからの医

工連携のあり方について講演と議論を行います

httpwwwscjgojpjaeventpdf100-t-3pdf 

[人材育成]マイクロナノエンジニアリング シンポジウム ‐ イノベーションと人材育成 ‐日時2010 年 12 月 8 日(水)1300 ~ 1700

場所日本学術会議 講堂

主催日本学術会議 マイクロナノエンジニアリング分

科会日本機械学会 マイクロナノ工学専門会議

概要学際的分野であるマイクロナノエンジニアリング

は大学大学院における教育の整備関連する産業界

学術界での研究開発における分野融合的な取組みが不可欠

です本シンポジウムでは人材育成を軸とした課題につ

いて議論します

httpwwwscjgojpjaeventpdf100-s-3-1pdf

[ 博物館展示 ]自然に学ぶ ネイチャーテクノロジーとライフスタイル展開催中です

場所国立科学博物館 (東京上野公園)

日時2010 年 10 月 26 日~ 2010 年 2 月 11 日

主催東北大学大学院環境科学研究科国立科学博物館

特定非営利活動法人ものづくり生命文明機構

概要蝶や鳥など生き物や自然の仕組みにヒントを得た環

境負荷の低い技術と将来的な応用の可能性から日本文化

に根差した共生型の新しいライフスタイルのあり方につい

て紹介します国立科学博物館の入館料600円が必要です

httpwwwkahakugojpevent201010natureindex

html

[人材育成]シンポジウム「世界を魅せる日本の課題解決型基礎研究~JST 目利き制度とその可能性」日時2010 年 12 月 6 日(月)1000-1800 (0900 受

付開始)

場所東京国際フォーラム B5 ホール

主催(独)科学技術振興機構(JST)

概要JST がこれまでに行ってきた戦略的創造研究推進

事業の成果を振り返りつつ今後の日本の科学技術の発

展に向けた事業のあり方について参加者の皆様と議論しま

httpwwwsenryaku30jstgojp 

[ 持続可能性 ]学術会議シンポジウム「低炭素化に向けた経済社会エネルギーのあり方と実現のシナリオ」日時2010 年 12 月 9 日(木)1330 ~ 1700

場所学術会議講堂

主催土木工学建築学委員会低炭素建築都市分科会

社会資本分科会

概要両分科会は中~超長期のエネルギー消費量削減シ

ナリオ策定に取り組んできました本シンポジウムでは

分科会の検討結果や削減のための様々な取り組みを紹介

し今後のとりまとめ作業に向けた議論を行います

httpwwwscjgojpjaeventpdf104-s-3-6pdf 

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PEN N

ovember

PEN 編集室関谷瑞木阿多誠文独立行政法人産業技術総合研究所 ナノシステム研究部門 305-8568 つくば市梅園 1-1-1 産総研つくばセンター中央第 2 M404Email nano-penmaistgojpTel029-861-5185 Fax 029-861-5339

編集後記

今月 8 日に長野県長野市で開催された第 3 回国際ナノ

ワークショップ「ナノテクノロジーの社会受容~ナノ

材料の工業標準化の国際的な動向と環境影響について

~」の会場で多くの企業の皆様と意見交換をする貴

重な機会を得た目まぐるしい勢いで変わってゆく諸

外国の環境規制策の動向に民間企業の皆様が神経を

とがらせておられることがひしひしと感じられた東

京から新幹線で 1 時間半インターネットでリアルタ

イムに世界とつながることのできる時代とはいえ情

報物人が集積する地である東京とは異なる苦労も

あることもお聞きした美しい山々きれいな空気あ

るいは世界に誇る観光遺産と科学技術を結び付けて

地域振興をはかりたいとの頑張っておいでの方にもお

会いした

月刊という制約はあるもののこうした方々にとって

タイムリーで有用な情報を提供し続けたいと改めて

強く感じた

ちなみにPEN を発行しているつくば市の産総研つく

ばセンターへもつくばエクスプレスと路線バスを乗

り継いで都心からは約 1 時間半かかる

2010 年 11 月 25 日

PEN 編集室一同ウナギツカミ

Page 37: Public Engagement with Nano- PEN November …...5 PEN November 【知財】 中国、10年で特許強国に(2010.11.12) 中国国家知識産権局は11日に「全国特許事業発展戦略

37

PEN N

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PEN 編集室関谷瑞木阿多誠文独立行政法人産業技術総合研究所 ナノシステム研究部門 305-8568 つくば市梅園 1-1-1 産総研つくばセンター中央第 2 M404Email nano-penmaistgojpTel029-861-5185 Fax 029-861-5339

編集後記

今月 8 日に長野県長野市で開催された第 3 回国際ナノ

ワークショップ「ナノテクノロジーの社会受容~ナノ

材料の工業標準化の国際的な動向と環境影響について

~」の会場で多くの企業の皆様と意見交換をする貴

重な機会を得た目まぐるしい勢いで変わってゆく諸

外国の環境規制策の動向に民間企業の皆様が神経を

とがらせておられることがひしひしと感じられた東

京から新幹線で 1 時間半インターネットでリアルタ

イムに世界とつながることのできる時代とはいえ情

報物人が集積する地である東京とは異なる苦労も

あることもお聞きした美しい山々きれいな空気あ

るいは世界に誇る観光遺産と科学技術を結び付けて

地域振興をはかりたいとの頑張っておいでの方にもお

会いした

月刊という制約はあるもののこうした方々にとって

タイムリーで有用な情報を提供し続けたいと改めて

強く感じた

ちなみにPEN を発行しているつくば市の産総研つく

ばセンターへもつくばエクスプレスと路線バスを乗

り継いで都心からは約 1 時間半かかる

2010 年 11 月 25 日

PEN 編集室一同ウナギツカミ