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Oracle ® SAP ® T E C H N O L O G Y U P D A T E for Oracle database for SAP is safe, reliable and scalable - the Grid enabled platform No. 18 Oracle for SAP, May 2009 www.oracle.com/sap 日本語版 SAP顧客のためのOracle Index Compression NEW

SAP顧客のためのOracle Index Compression · Oracle 10g RAC for SAP - ニュー・サウス・ウェールズ消防隊 Oracle 10g RAC for SAP‐Kuwait Petroleum Q8 Oracle RAC

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Oracle® SAP ®

T E C H N O L O G Y U P D A T E

for

Oracle database for SAPis safe, reliable andscalable

- the Grid enabledplatform

No. 18 Oracle for SAP, May 2009www.oracle.com/sap

日本語版

SAP顧客のためのOracle Index CompressionN E W

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C O N T E N T S

Oracle for SAPis safe, reliable and scalable– the Grid enabled platform

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ご挨拶 SAP顧客の皆様へ

SAP顧客向けのOracle Database 11g Release 2の展望

SAP製品に対応したOracle Databaseの機能に関するアップデート情報

大規模データベースの管理性とOracle Index Compression

Oracle 10g RAC for SAP - ニュー・サウス・ウェールズ消防隊

Oracle 10g RAC for SAP‐Kuwait Petroleum Q8

Oracle RAC for SAP - National Gas Company of Trinidad and Tobago

SAP認定のRACシステム構成(Windows and Linux)

Oracle 10g RAC for SAP - Gottwald Port Technology GmbH

Oracle 10g RAC for SAP - Deutsche Telekom

Oracle 10g RAC for SAP - Indian Express

Oracle 10g RAC for SAP‐ASE Group

Oracle 10g RAC for SAP‐ASE DIEHL Informatik

Oracle検索キー圧縮‐Bauerfeind

Oracle Table Compression - カプコン

SGIとSAP on Oracle Database‐MTU Aero Engines

Oracle 10g for SAP‐Chevron Corporation

SAP on Oracle Database Consulting‐ALL4it

Oracle Advanced Customer Services for SAP 

SAP on Oracleで役に立つリンク集

SAP顧客の皆様へオラクル・コーポレーションとSAP AGは現在、共通の顧客を対象とした取り組みを進めており、長期にわたるリセラーおよび顧客サポート契約を締結しました。この契約は、Oracle Databaseテクノロジーへのアクセス機能を拡張し、顧客サービスの改善を図るものです。Oracle Databaseは、安全で信頼性がありスケーラブルなデータベースとして、20年以上にわたりSAP顧客に選ばれてきました。Oracle DatabaseはSAPアプリケーション向けに最適化が続けられ 、世界中の中小規模から大規模に至るまで、SAP顧客の60%が、業種を問わずOracle Database上にSAPアプリケーションをインストールしています。顧客は、

すべての主要なオペレーティング・システム上で、Oracle DatabaseとSAPアプリケーションを稼動させています。この冊子では、SAP on Oracle Databaseの顧客に特に利益をもたらす最も重要なテクノロジーに焦点を当てます。SAP顧客に以下のメリットを提供できるのは、Oracle Databaseのみです。

最高のパフォーマンスとスケーラビリティ、優れたロッキングと同時実行性、Real Application Clusters(RAC) Oracle Databaseは、SMPとクラスタの両方の環境でSAP SDベンチマークを行った結果、優れた拡張性を示す世界記録を達成しました。マルチバージョンの読取り一貫性とは、読込みが書込みをブロックせず、書込みも読込みをブロックしないことを意味します。これは、最高のデータベース・パフォーマンスを達成するための主要コンポーネントです。Oracle Real Application Clusters(RAC)は、SAPアプリケーションに対して、ほぼリニアのスケーラビリティ(拡張性)を達成するための柔軟な機能を提供します。RACを使用することにより、顧客はデータベース・サーバー・レイヤーの拡大または縮小を選択できるようになりました。すべてのRACノードはアクティブです。そのため、SAP顧客が本番システムのワークロード要件を満たすために役立ちます。多くの顧客が採用しているOracle RACは、すべてのSAP製品向けに認証され、誰もが利用できるクラスタ・データベース・ソリューションです。

OSに対する高い柔軟性 最も広範なプラットフォームをサポート。UNIX - Linux - Windows - 「Oracle is Oracle is Oracle」。すべてのオペレーティング・システムでコード・ベースが同じです。これは、すべてのハードウェア・プラットフォームとオペレーティング・システムでOracleの機能やツールが同じであることを意味します。顧客は、自社の環境で最もコスト効率の良いプラットフォームを選択できます。顧客がオペレーティング・システムを変更する必要がある場合、Oracleは高速で効率的なOracle-to-Oracle(O2O)移行サービスを提供します。

最高の可用性と信頼性、Real Application Clusters(RAC)、Data Guard(DG) RAC for SAPは、データベース・サーバーが障害の単一障害点にならないようにし、様々な業種の顧客が採用するあらゆるプラットフォームで拡張されたパフォーマンスとスケーラビリティを提供しています。Oracle Data Guard(DG)は、Oracle RACとフラッシュバック・テクノロジーを補完します。世界中のSAP顧客によって最適な障害リカバリソリューションとして使用されています。RACとData Guardを併用することにより、SAPデータはハードウェア障害やデータ・センターの障害から保護されます。

大規模データベースに最適なサポート Oracle Databaseのディスク領域使用の効率の良さは、すでに多くの人が知っています。SAP顧客にとって、飛躍的に増大し続けるデータベース・サイズは非常に重要な問題です。Unicodeは、今や新しいSAP製品にとって必須な上、その移行にはデータの完全なアンロードおよびロードが要求されます。オラクルの最適化により、最も高速なSAP Unicode移行が実現されます。この移行は、データ転送レートが1テラバイト/時間で行われ、完全にSAP製品に統合されます。最大規模の数テラバイトのデータベースでも、1回の週末で移行が完了します。Oracle Databaseを使用するSAP顧客は、追加費用なしで索引キーの圧縮機能を利用して、ディスク領域を節約することもできます。膨大な、しかも増え続けるデータは、システム・パフォーマンスに影響を与え続けます。パーティショニングを実現するオラクルの様々な機能によって、I/Oを削減し、パフォーマンスを改善することができます。HP Oracle Exadata Storage ServerへのSAPのインストールについては、SAPによるOracle Database 11g Release 2の公式な出荷開始後に評価されます。

最高のデータベース・セキュリティ 法令遵守(コンプライアンス)とセキュリティの重要性は、かつてないほど高まっています。Oracle DatabaseのAdvanced Security Optionに含まれるTransparent Data Encryption(TDE)は、ディスクへの書込み時にデータを透過的に暗号化することで、機密データを暗号化します。Oracle Database Vaultは、職務分掌を実現させることにより、顧客が法令遵守の要件を満たすことを支援する製品です(詳細については、Oracle for SAP TECHNOLOGY UPDATE No. 17を参照)。

最高のデータベース管理性とSAPの自己管理機能 SAP DBA Cockpit、SAP BR*Tools for Oracleは、Oracle Automatic Workload Repository(AWR)を使用しています。AWRでは、ワークロードとパフォーマンスの統計情報が自動的に保存されます。そのため、管理者やサポート担当者は、根本的な原因がいつ発生してもパフォーマンスの問題を分析し短時間で解決することができます。この冊子では、これらの機能と顧客のサクセス・ストーリーを紹介します。また、データベース移行、パフォーマンス・チューニング、ヘルス・チェック、および内部トレーニングのワークショップを含めた、SAP顧客向けのOracle Advanced Customer Services(ACS。Oracleレスキュー・サービス for SAP)についても、詳細をご確認ください。詳細な技術情報は、www.oracle.com/sap(英語版)または、www.oracle.co.jp/sap(日本語版)を参照ください。ご意見、ご質問は、SNSサイトmix.oracle.com/groups/15251にお寄せください。

Sincerelyオラクル・コーポレーション(米国)SAPアライアンス担当シニア・ディレクター

ゲルハルト・カップラー

3Oracle Database for SAP - 安全で信頼性が高く、スケーラブルでSAP顧客のために最適化された最高のデータベース

4 5

現在、Oracle Database 11g Release 2のテストがSAPで実施されています。これまでの認定と同様、SAPでは自社製品を使用してOracle Database 11g Release 2を認定します。Oracle Database 11g Release 2には、SAP顧客に大きなメリットをもたらす機能があります。この章では、現在SAPで利用を計画している機能を示します。これらの機能は、SAPによるOracle Database 11g Release 2の認定後に実装される予定です。

• Secure Files

Secure Filesは、非構造化データを格納するための新しいアーキテクチャを実現し、旧バージョンのデータベースのLOBデータ型に取って代わります。Secure Filesは、LOBを超えるパフォーマンスとスケーラビリティを提供し、ディスク領域を削減する再複製機能も提供しています。

• オプティマイザの拡張と統計のメンテナンス

Oracle Database 11g Release 2のオプティマイザは、SAP BIクエリーのパフォーマンスを拡張し、SAP ERPのSQLステートメント内の値の変更を高精度で認識します。特にパーティション化されたオブジェクトの統計のメンテナンスが強化され、旧バージョンのデータベースと比較して統計計算の精度と速度が大幅に改善されています。

• 自動インターバル・パーティショニング

パーティション化されたオブジェクトのメンテナンスは完全に自動化され、データベース・サーバーが自動でパーティションを管理します。

• OLTP表の圧縮

Advanced Compressionオプションの一環として、表データを圧縮し、ディスク領域を削減して問合せのパフォーマンスを向上させます。索引キーの圧縮とSecure File圧縮の組合せにより、Oracle Database内のすべてのタイプのデータを圧縮して保存できます。

• Secure File圧縮

リレーショナル表データだけでなく、非構造化データもOracle Database内で圧縮できます。Secure File圧縮機能はAdvanced Compressionオプションに含まれます。Oracle Database 11g Release 2は、Secure Filesに保存されているSAPの名前付き表、索引および非構造化データが使用するすべてのデータ型を圧縮できる唯一のデータベースです。

• オンラインでのパッチ適用

オラクル独自の特許取得済みテクノロジーにより、データベースの稼動中でも単一または一連のパッチが適用できます。これによって、データベースの停止時間が劇的に削減します。オンラインからのパッチ適用は、シングル・インスタンスやRACの共有Oracle HOMEインストールをSAPで利用する場合に使用できます。

• ディクショナリのみの列追加

SAPアプリケーションで、新しい列を追加する必要がある場合、11gより前のバージョンでは、表の各列に対して更新文を生成するために、列追加アクティビティで著しく時間がかかりました。Oracle Database 11g Release 2では、このようなことはありません。アプリケーションが列にアクセスしたときのみ、新しい列のデータが移入されます。このため、SAPアプリケーションから実行される列の追加は瞬時に完了し、Oracle Database 11g Release 2以前のバージョンのように、数分または数時間かかることはありません。

SAP顧客向けのOracle Database 11g Release 2の展望

4 5

• 空のオブジェクトに対するセグメントの割当て

Oracle Database 11g以前のバージョンでは、オブジェクトにデータが含まれていない場合も、必ず各オブジェクト(索引、表、パーティション)に初期エクステントが割り当てられていました。Oracle Database 11gでは、データがオブジェクトに挿入されるとエクステントが割り当てられますが、空のオブジェクトの場合、エクステントは割り当てられません。インストール後は、多くのオブジェクトが空であるため、これはSAPインストールに有益です。この機能により、SAPのインストール時間が短縮され、初期のディスク領域要件も大幅に少なくなりました。

• Direct NFS

Oracle Database 11gには、認証済みのNASシステムからデータベース・カーネルに直接NFSファイルシステムをマウントできる機能があります。この最適化により、従来からのNFSクライアントのオーバーヘッドが回避され、認証済みのNASシステム上にあるOracle Databaseのスループットが改善されます。

• 表領域の暗号化

Oracle Database 11gのAdvanced Security オプションには、表領域内のすべてのデータを暗号化するテクノロジーが含まれています。特にSAPシステムでは、機密データの暗号化が非常に簡単になりました。

SAP における Oracle 11g の展望とサポートされる 10g の機能

6 7

はじめにOracle Database 10gは、エンタープライズ・グリッド・コ

ンピューティング向けに設計された最初のデータベース

です。低コストのコンポーネントの利用とリソースの使用

率の大幅な向上により、ハードウェアのコストを削減し、

SAPの「Adaptive Computing Infrastructure」という

コンセプトを実現します。SAP顧客がOracle Database

10g Release 2を使用できるようになってから、10gの採

用がSAP顧客の間で急速に広がっています。Oracle

10g RACは、2009年1月から、すべてのプラットフォームの

SAPバージョン4.6C以降で使用できるようになりました。

次に、SAP顧客が現在利用できる重要な機能の一部を

示します。

Multiple Oracle Patch(MOPatch)ユーティリティ

多数のSAPインストールを処理する場合、UNIXや

Linuxプラットフォーム上のデータベース用の単一パッ

チのメンテナンス作業は、時間がかかり面倒です。とく

にデータベースのパフォーマンスについてカスタマー・サ

ポート・センターに寄せられる多数の問合せから判断す

ると、データベースはかならずしも推奨されるパッチ・レベ

ルになっていません。この領域でデータベース管理者を

サポートするために開発された新しいパッチ・ユーティリ

ティMOPatchにより、SAPアプリケーション用のOracle

DatabaseはSAPが認定したパッチの最新セットを必ず

使用する運用がしやすくなります。MOPatchの使用方

法は、SAP Note 1027012を参照してください。

ROWID分割

SAP Unicode移行では、R3loadを使用しデータベース

全体を完全にエクスポートおよびインポートする必要があ

ります。一般的に、エクスポートやインポートにかかる時間

は、いくつかの単一の表の大きさに左右されます。とくに

RFBLG、COEP、GLPCAなどの表は、データベース内の

他の表と比べることができないほど大きなサイズの表で

す。エクスポートおよびインポートにかかる時間を短縮す

るには、これらの表を小さく分割し、表部分ごとに単一の

R3loadジョブで作業を行います。ROWID分割をしない

場合は、各部分の範囲の計算に非常に時間がかかり、多

くのリソースを消費します。

各表部分のWHERE句の開始ポイントとエンド・ポイント

の計算は、表全体または索引全体のスキャンのいずれか

が必要になります。そのため多くのコストがかかります。列

値によるWHERE句を使用したR3loadエクスポートは、

索引と表の両方のデータにアクセスする必要があります。

そのため、この場合も多くのコストがかかります。

Oracle Database用のROWID分割テクノロジーは、索

引へのアクセスとROWID範囲の生成を回避するため、

データを物理的にディスクから読み取ることができます。

ROWID分割には、2つの重要な利点があります。まず、

範囲はわずか数秒で計算されます。これは、Oracleデー

タ・ディクショナリに格納されている物理構造情報を使用

するためで、数分または数時間かかる列へのWHERE

句の使用に比べ、大幅な時間短縮になります。次に、実

際のR3loadエクスポートは索引を使用しません。ディスク

から物理的な順序でデータを読み取るため、劇的な速さ

で完了します。顧客環境の実績として、ROWID範囲を

使用したR3loadエクスポートは、10~20倍高速で、CPU

使用率が低いことが判明しています。ROWID分割を使

用したUnicode移行は、エクスポートおよびインポートで

高速化を実現しました。

索引キーの圧縮

B*Tree索引をディスクやメイン・メモリーに効率的に保存

し、ディスク領域の削減と問合せのパフォーマンスを向上

させます。索引用の領域は70%までディスクに削減でき、

問合せのパフォーマンスも最大で30%向上します。

SAP環境で索引圧縮機能を使用する方法は、SAP

Note 1109743を参照してください。

Instant Client

Instant Clientを使用すれば、標準のOracleクライアント

をインストールしたり、ORACLE_HOMEを作成したりせ

ずにアプリケーションを実行することができます。SAPなど

のOCIベースのアプリケーションは修正なしで動作し、使

用する領域も大幅に減少します。

SAPの新規カーネル4.6D_EXT2と6.40_EXT2のリリー

スに伴い、Instant Clientは4.6C以降のすべてのバー

ジョンのSAPシステムで使用できます。詳細は、SAP

Note 1086956および1058988を参照してください。

SAP製品に対応したOracle Databaseの機能に関するアップデート情報

6 7

Oracle Advanced Security Network Encryption

Oracle Advanced Security Network Encryption

は、Oracle Databaseとの双方向通信を保護する設定

が容易なソリューションを提供します。これには、標準ベー

スのネットワーク暗号化、ネイティブで堅牢な暗号化アル

ゴリズムと整合性アルゴリズムが使用されます。

NetWeaver 2004ベースのすべてのSAP製品で、

ABAP、Javaのアプリケーション・サーバーとOracle

Databaseを結ぶネットワーク通信を暗号化できます。

Oracle Advanced Security Transparent Data

Encryption(TDE)

ディスクへの書込み時にデータを透過的に暗号化するこ

とで、機密データを暗号化します。

表領域の名前変更

表領域名が変更できます。表領域を新規作成して古い

表領域からコンテンツをコピーし、古い表領域を削除する

といった煩雑な手順は必要ありません。この機能により、

たとえばディクショナリ管理表領域からローカル管理表領

域への変換や、同じ名前の表領域を持つ表領域のデー

タベースへの追加など、MCOD環境における操作が簡

単になります。

オンライン・セグメントの縮小

空き領域を持つ表や索引のセグメントをオンラインかつ同

じ領域で圧縮することにより、領域の使用効率を向上さ

せます。

エンド・ツー・エンドのアプリケーション・トレース

多層環境におけるパフォーマンス上の問題が簡単にデ

バッグできます。この機能は、新しいバージョンのSAPソフ

トウェアでのみ使用でき、既存のバージョンでは使用でき

ません。

LONG型からLOB型へのオンライン移行

このリリースでは、多数のSAPアプリケーションで使用さ

れているLONGおよびLONG RAWデータを持つ表を、

SAPのBR*SPACEユーティリティ内からLOBデータへオ

ンラインで移行できます。

オプティマイザ統計情報の自動収集

この機能は、オブジェクトのオプティマイザ統計情報の収

集を自動化します。古い統計のオブジェクトや統計情報

のないオブジェクトは自動的に分析されるため、管理者は

分析対象のオブジェクトを追跡したり、手作業で分析を

実行したりする必要がありません。

変更を認識する増分バックアップ

新しいタイプのログ・ファイルを使用して、データベース内

で変更されたブロックを追跡することにより、RMANで

は、増分バックアップ時にデータファイル全体のスキャン

を回避できます。スキャンされるデータ量は、変更された

データ量に比例します。

Flashback Database

Flashback Database機能は、Oracle Database全体を

過去のある時点まで迅速に戻すことができます。1つの表

を過去のある時点に戻すこともできます。SAP環境でこ

の機能を使用する方法は、SAP Note 1125923を参照し

てください。

Data Pump ExportおよびImportユーティリティ

Data Pump ExportユーティリティおよびData Pump

Importユーティリティは、データベース間でデータとメタ

データを高速バルク移動します。これらのユーティリティに

は、もとのExportユーティリティおよびImportユーティリ

ティと比較して、大きなメリットがあります。たとえば、エクス

ポート・ジョブおよびインポート・ジョブの完全な再起動機

能、長時間実行されているジョブの切断と再接続機能、

エクスポート・ジョブが消費する領域の算出機能、ネット

ワークを介したエクスポート操作およびインポート操作の

サポート、オブジェクトとオブジェクト・タイプに基づく詳細な

オブジェクト選択のサポートなどです。

新しいData Pump ExportユーティリティおよびData

Pump Importユーティリティはパラレル実行が可能な

ため、データとメタデータのロードおよびアンロードのパ

フォーマンスが向上します。

クロス・プラットフォームのトランスポータブル表領域

トランスポータブル表領域機能により、異なるプラットフォー

ム間で表領域を転送でき、SAP顧客のプラットフォーム移

行がさらに容易になりました。

データベース全体に対するBEGIN BACKUPコマンド

個別のコマンドを発行して各表領域をホット・バック

アップ・モードに移行する必要がありません。ALTER

DATABASE文を使用して、すべての表領域をバック

アップ・モードに設定できます。また、BEGIN BACKUPコ

マンドの実行速度が高速化されました。

SAP における Oracle 11g の展望とサポートされる 10g の機能

ここでは、SAP BIユーザーに大きなメリットをもたらす新

機能について説明します。すべてのSAP BI顧客は、これ

らの機能をすぐに使用できます。

表の削除および切捨ての高速化

データベース・バッファ・キャッシュにアクセスする際のア

ルゴリズムが改善され、表の削除および切捨て(dropと

truncate)が高速化されました。特に、SAP BIで頻繁に

使用する小さい表で顕著です。

メモリー内Undo

データベース・サーバーによる短いトランザクションのブロッ

ク変更の管理方法が改善され、CPUサイクルが短縮さ

れました。

パーティション化されたオブジェクトのスケーラビリティの

向上

バッファ・キャッシュ内でパーティション化されたオブジェ

クトのブロックを識別し、これらのブロックを消去するア

ルゴリズムが新しくなったことで、パーティション化され

た表や索引の削除が大幅に高速化されました。SAP

BIアプリケーションでは、パーティション化されたオブ

ジェクトの削除が頻繁におこなわれるため、最大の効

果が得られます。

1,000以上のパーティションを持つ表で問合せを使用して

おこなったテストでは、パーティショニング・メタデータを共

有するOracle 10gの新しい方式により、SGA内のSQLメ

モリー使用量が減少しました(9.2.0.6:52KB、10.2:11KB)

つまり、この表の各問合せで使用するメモリーは5分の1

になります。

ODM Connector 2.1

Oracle Data Mining Connector 2.1は、Oracle

Database 10g Data Miningオプションの高度なすべて

のデータ・マイニング・アルゴリズムを活用します。Oracle

Data Mining Connector 2.1は、Analysis Process

Designerと完全に統合され、BW 3.5顧客とBI 7.0顧客

にとってセキュアでスケーラブル、かつデータベース上で

稼働する分析エンジンとなります。

Oracle Real Application Clusters(RAC)により、

Oracle Databaseでは、クラスタリングされたサーバー

上ですべてのパッケージ・アプリケーションやカスタム・ア

プリケーションを変更せずに実行できます。これにより、

最高レベルの可用性と最も柔軟なスケーラビリティを実

現します。コストを低く抑えるためには、標準化されたコ

モディティ製品で最高性能のシステムを構築することも

可能です。Oracle RAC 10g は、オラクルのエンタープ

ライズ・グリッド・コンピューティング・アーキテクチャの基

盤を提供します。

Oracle RACテクノロジーにより、低コストのハードウェア・

プラットフォームで、最も高価なSMPのメインフレームで得

られる可用性とスケーラビリティを超える高品質のサービ

スが実現します。Oracle RAC 10g は、4.6C以降のSAP

システムのすべてのプラットフォーム上で使用できます。

統合クラスタウェア

Oracle RAC 10g は、完全なクラスタウェア管理ソリュー

ションを提供します。このソリューションは、Oracle 10g が

稼働するすべてのプラットフォームで使用できるOracle

RAC 10g にとって不可欠な構成要素です。クラスタウェ

ア機能には、クラスタの接続、メッセージ交換とロック、クラ

スタ管理とリカバリ、サービスのプロビジョニングを行うフ

レームワークなどのメカニズムが含まれます。サード・パー

ティのクラスタウェア管理ソフトウェアを購入する必要はあ

りません。ただし、オラクルは、特定のプラットフォーム上で

精選されたサード・パーティ製のクラスタウェアも引き続き

サポートします。

Oracle Database 10g Release 2では、Oracle以外の

処理をOracle Clusterware内の高可用性フレームワー

クで制御できるように、高可用性APIが提供されます。

8 9

SAP B I 7.0の新機能 Oracle10g Real Application Clusters(RAC)

SAP Control(SAPCTL)

Oracle Clusterwareは、SAPリソースに対してOracle

リソースと同様の高可用性を提供します。オラクルで

は、SAPの高可用性リソースを簡単に管理できるSAP

Control(SAPCTL)というOracle Clusterwareツール

を開発しました。SAPCTLは、リソース、スクリプト、Oracle

ClusterwareとSAPの高可用性コンポーネント間の依

存性を管理する使いやすいインタフェースを提供しま

す。SAPCTLでは、ABAPとJava用のSAP Enqueue

Service、ABAPとJava用のSAP Replication Service、

ABAPとJava用のSAP Enqueue Serviceで使用する

追加の仮想IPアドレスを簡単に管理でき、Oracleのコマ

ンドライン・ツールの機能を統合します。さらに、SAPCTL

はメッセージ・サーバーとダイアログ・インスタンスにも対応

します。

SAPCTLの導入により、6.40以降のカーネルをベースと

したSAPシステム(現在、このツールを利用できるのは

LinuxとAIXのみ)では、重要なSAPサービスの管理と

制御にサード・パーティ製ソフトウェアは必要ありません。

EMC Celerra NFSサーバーの追加サポート

Linuxプラットフォーム上でSAP/RACをインストールする

SAP認証済みのNetApp NFSサーバーに加え、SAP顧

客はNFSを使用してEMCのNASシステムCelerraを利

用できます。

単一システム・イメージ管理

Oracle 10g Enterprise Managerの大幅な機能拡張

により、クラスタ・データベースのインストールを単一のシス

テム・イメージで管理できます。Enterprise Managerのク

ラスタ・データベース・ページには、複数のノードにわたるシ

ステム・ステータスが単一ビューで表示されます。必要に

応じて、個別インスタンスに直接ドリルダウンすることもでき

ます。

新しいクラスタ構成検証ツールとOracle9i から導入され

た診断ツールの機能拡張により、問題を回避したり、発生

した問題を迅速に解決することができます。

Oracle Data Guardの統合による障害時リカバリ

Oracle Enterprise Manager 10gでは、Oracle Data

Guardの管理コンポーネントであるData Guard Broker

がRACに完全に統合されます。

Oracle RACデータベースを含むOracle Data Guard

の障害時リカバリ環境は、データベースの単一インスタン

スを使用している環境と同様、簡単に管理できます。

Oracle Database Vault

Oracle Database Vaultは、法令遵守やインサイダーの

脅威に対して強力な内部統制をおこないます。Oracle

Database Vaultを実装すれば、DBAはユーザー・デー

タを調べる権限が無くなります。

700カーネルベースのSAPアプリケーション(ECC 6.0、

BI 7.0など)をOracle Database 10g 10.2.0.4で実行し

ているすべてのSAP顧客は、2009年7月末よりOracle

Database Vaultを使用できるようになりました。

結論

Oracle Database 10gは、変化を続けるビジネス環境に

SAPを対応させるために必要なインフラを提供します。

低コストのサーバーとディスクでも、エンタープライズ・グ

リッド・コンピューティングを実現できる柔軟性が得られま

す。エンタープライズ・グリッド・コンピューティングは、SAPの

「Adaptive Computing Infrastructure」のコンセプト

を補完する概念です。Oracle Database 10g は、リスク

の軽減というメリットをもたらすと同時に、管理コストを削

減し、スケーラビリティと予測可能性を高め、最高レベル

の可用性を実現します。

8 9SAP における Oracle 11g の展望とサポートされる 10g の機能

はじめに最近まで、「1テラバイト以上のサイズのデータベース

は、世界広しと言えども上位10個だけである」と言わ

れていました。事実、一部の科学者は『Proceedings

of the International Conference on Very Large

Databases (VLDB)』などの定期刊行物に論文を発表し

ました。インターネットではしばしば、Taming the Beasts

(猛獣を飼いならす)についての記事を見かけましたが、

誰も巨人や怪物を見たことがないように、このような指摘

はおとぎ話に過ぎないと思われていました。

しかし今日の世界には、巨人や怪物が溢れています。

SAP世界では、1テラバイト(1TB)のデータベースはロー

エンドであると見なされ、現在ハイエンドの顧客は、20~

50テラバイトのデータベースを管理しています。これらの

顧客の何社かが、100テラバイトに到達するのはそう遠い

ことではないでしょう。

意思決定(DSS)データベースが、常にOLTPデータ

ベースと比較して非常に大きいという定説も、最近ではな

くなりました。データベースが巨大になるという思いも寄ら

ない出来事はかならず、そして唯一DSSデータベースで

起こる、というのが暗黙の了解でした。このため、大量の

データを処理できるテクノロジーについて心配しなけれ

ばならないのは、DSSシステムの設計者のみで、OLTP

システムについては、何の問題もないというのが当然の

結論でした。

現在、様々な業種(小売、ユーティリティなど)の多くの

SAP顧客は、自社のSAP ERPシステムのデータベース・

サイズが、SAP BIシステムのデータベース・サイズと同じ

か、それよりも大きいことに気が付いています。また、ERP

システムは、BIシステムのように大量のデータを処理でき

ないことにも気が付いています。

上記により、今日のSAP顧客の多くが2つの密接に関連

する問題に直面していることを物語っています。最初の

問題は一般的な問題で、データベースが肥大化するス

ピードが以前より加速しているため、データベースをコント

ロールできるテクノロジーやツールを緊急に必要としてい

ることです。

ふたつめの問題は特別な問題です。大容量データの

潜在的な脅威を、ERPシステムの開発者が事実上無

視しているため、これらの環境でデータベースは扱いに

くい「野獣」になりがちだということです。つまり、怪物は

現実のものとなり、データベース管理者の悪夢も現実に

なります。

本当にそうでしょうか。

一般的な考慮事項

データベース増大の理由

なぜ、データベースは短期間で肥大化するのでしょうか。

取るに足らない質問ですが、質問の答えは誰もがよく

知っています。

• より詳細な情報がOLTPシステムに保存されるように

なったためです。小売業者は文字通りビールを1瓶ず

つ追跡し、輸送業者は小包の経路を1つずつ追跡しま

す。Webベースの取引では、取引の詳細をすべてデー

タベースに保存する必要があります。

• データベースが肥大するもう1つの理由は、統合です。

以前は独立していたローカルまたは部門のシステム

が、真の単一のソースとしてのグローバルなシステムを

作成するために統合されています。また、企業間の買

収が進み古いシステムと新しいシステムを統合する必

要が生じています。

• 規制要件により、企業は履歴データを数か月間、また場

合によっては数年間もデータベースに保存することが

義務づけられています。

• 顧客は、電子メールやPDFファイルなどの非構造化

データを、より大量に保存する必要があります。

それでもやはり、「なぜこのデータベースは、こんなに肥

大するのか」と自問することが大切です。なぜならほとん

どの場合、この質問の答えに解決のヒントが隠されてい

るからです。もし履歴データの量がその問題の中心で

あったならば、データベース管理者は履歴データの日常

10 11

大規模データベースの管理性とOracle Index Compression- Oracle索引圧縮、SAPパーティショニング・エンジン、バックアップ・テクノロジー

業務への影響を最小限にするための戦略を探すこと

です。もし、企業の買収がその理由の中心であったなら

ば、データベース統合後でもこれまで独立していたデー

タを論理的に分離する方法を模索することが役立つで

しょう。

問題点

データベースが大規模に、さらに巨大になっていくと多くの企

業は、いずれ少なくとも次の3つの問題で苦戦し始めます。

• 一番はっきりした問題は、ディスク領域や他のハード

ウェア・コンポーネントにかかる費用の増加です。確か

にハードディスクは、より安価になっていますが、SAPの

世界では、開発システムとテスト・システムを備えた本

番データベースは高可用性ソリューションであり、バック

アップ・メディアが必要です。このためほぼすべての顧

客にとって、データベースそのもののサイズが1TB増加

すると、実際8~10TBの追加ディスク容量が必要にな

ります。さらに、データベース・サーバー・マシンにも、追

加メモリーとCPUパワーが必要になるでしょう。

• 増加するデータ量と増加する複雑なアプリケーションの数

が、パフォーマンスを低下させている可能性があります。

• 最後に、データベース管理者は、「管理性の矛盾」と呼

ばれるものに直面します。データ量が増加すると、メン

テナンスの時間が長くなりますが、現実にはメンテナン

スに使用できる時間はどんどん短くなっています。それ

は、グローバルに使用されるシステムの可用性への要

求が加速しているためです。

ここでは、管理性という側面を中心に説明します。TCO

やパフォーマンスには触れないということではありません。

メンテナンスの時間を短くするための機能や戦略が、コス

トの削減やパフォーマンスを向上させる場合があります。

しかし、ここで考慮する対象は、データベース管理者と管

理性の矛盾への対処方法です。

また、オラクルのデータベース・テクノロジーについても説

明します。データベース・テクノロジーは、アプリケーション

やストレージの設計と完全に分離させることはできませ

ん。しかし、管理者が今日のデータベースに取り組むとき

に役立つオラクルのテクノロジーを知っておくことは、言う

までもなく有益でしょう。

一般的戦略

それぞれのテクノロジーを検証する前に、データベース

肥大化に対応する一般的な方法、つまりテクノロジー選

択の方針を検討することが必要です。

最も一般的なアプローチは、3語に集約されます。Buy

more Hardware(より多くのハードウェアの購入).費用

の増加に対する苦言にもかかわらず、これは今もって一

般的なアプローチです。理由はアプリケーションやデータ

ベースの再設計が必要ないという、少なくとも一番簡単

な方法だからです。使い慣れたタイプのハードウェア・コン

ポーネントをいくつか追加するだけで済みます。

このアプローチは、一定の限度内であれば特に問題あ

りません。データベースにはディスク領域は必要ですし、

データベース・サーバーにはメモリーとCPUが必要です。

しかし、ハードウェア・レイヤーのみを検討する場合、この

アプローチは危険でもあります。データベースのフラグメン

ト化が進みすぎている場合や、いくつかの単純な結果を

検索するためにアプリケーションが大量のデータをスキャ

ンしなければならない場合など、大量のメモリーを投入し

ても期待できるほど改善は見られません。

2番目のアプローチは、Shrink the Database(データ

ベースの縮小)は有益であるという考え方に基づいてい

ます。このアプローチには、2つの主な特色があります。1

つは、アーカイブ化です。定期的に、履歴データ(まれに

アクセスするか、まったくアクセスしないデータ)をデータ

ベースからアーカイブに移動します。この操作は、ディス

ク容量を解放し、データベース応答時間を一定に保ちま

す。これによりデータベースの肥大化が減速します。もう1

つは、圧縮です。この基本的な考え方は、少なくともデー

タの一部を、よりコンパクトに保存することにより、データ

ベースのサイズを縮小することです。

これらの戦略は確かに役立ちますが、欠点もあります。

SAPの世界では、SAPによってアルゴリズムとツールが

提供されているため、ここでアーカイブ化について多く

のことを述べる必要はありませんが、アーカイブ化には、

特に法的ないくつかの制限があります。企業は独自で、

データをアーカイブする時期を決定できません。いつ

アーカイブするかは法的な要求事項に従う必要があり

ます。また、アーカイブ化には副作用もあります。この副

作用については、オラクル・テクノロジーの項で説明しま

すが、最も顕著で危険な副作用は、データのアーカイブ

10 11SAP 顧客向けの Oracle 索引圧縮

12 13

化によるデータベースのフラグメント化です。

圧縮の場合も同様です。オラクルには、最も包括的な圧

縮機能のセットを提供しているという自負があります。しか

し、データベース・ベンダーの中には、肥大するデータベー

スの唯一の対応方法が圧縮で、データベース全体を単

純に圧縮することが洗練された領域管理戦略だと顧客

に信じ込ませようとするベンダーもいます。そして、顧客

がその巨人をともかく締め続けられれば、おそらくデータ

ベースは小さくなります。しかしここで忠告します。現実を

直視せよと。圧縮には代償があります。適切に使用され

た場合は、パフォーマンスに若干のオーバーヘッドが生じ

ます。不適切に使用された場合は、パフォーマンスに深

刻な影響が生じます。

さらに、データベースの肥大化は圧縮では止められま

せん。単に肥大する速度が遅くなるだけです。圧縮神

話を信じて、別の戦略を探すことをしなかった場合、2

~3年後には問題が再発し、そのとき事態はもっと悪化

しています。

この弱点に対する追加の戦略は、有名な言葉に要約で

きます。Divide and Conquer(分割統治)です。重要な

要素は、管理するエンティティを単純に個別の単位にす

る考えをやめることです。そのかわり、論理構造を探し実

装して使用します。1個のデータベース、1個の表、1個の

索引、そして1個のアプリケーションでさえも、個別のブロッ

クではありません。注意して見れば、これらはすでに内部

構造を提供しているか、少なくとも構造を実装するチャン

スを提供します。このような構造には、独立して取り扱うこ

とができる、より小さな部分に分割可能であるという利点

があります。データベース(表、索引)を圧縮すべきでしょ

うか、それとも圧縮しないままにした方が良いでしょうか。

データを安価なディスクに保存すべきでしょうか、より高価

なディスクに保存すべきでしょうか。毎日データをバックアッ

プすべきでしょうか。これらの疑問(これだけではありませ

ん)に共通する特徴は、疑問の焦点が絞られていないた

め、納得のいく答えができないことです。

次のように自問することで、より的確な答えが得られるで

しょう。データベース(表、索引)のどの部分を圧縮すべき

でしょうか。データのどの部分を安価なディスクに保存し、

どの部分を高価なディスクに保存すべきでしょうか。デー

タベースのどの部分を毎日バックアップすべきでしょうか。

統合プロジェクトの結果として、非常に巨大になったデー

タベースの場合は、危険な点が特に明確です(図1参

照)。独立したいくつかの「情報の島」がひとつに統合さ

れたグローバル・データベースは、特に企業管理の面で

ユーザーにとって大きな利点があります。グローバル・デー

タベースは、真の単一ソースであるため重要な疑問に

対する有意義な答えを提供してくれます。もちろん、デー

タベース管理者は、すでに述べたように管理性の矛盾と

いう欠点にもすぐ気が付くでしょう。しかし、肥大したデー

タベースが脅威になり、データベース・サイズが管理者に

とって問題になるのは、すでにプロジェクトも最終段階で

統合が完了し、「真の単一ソース」が「単一の構造化も

分割もされていないブロック」である場合だけです。デー

タベースが構造化され、独立して管理できる仮想単位が

確立されると、管理性の矛盾は解消します。これが目標

であれば、仮想構造が以前と同じ物理構造であるか、完

全に異なる構造であるかは問題になりません。

データベースの構造化は、データベースの爆発的な肥大、管理性の矛盾、管理者の悪夢といったデータベースのあらゆる問題を解決する源になります。ここでいうデータベースの構造化とは、物理的なデータベース部分の作成を意味しているわけではありません。シェアード・ナッシング・アーキテクチャではなく、仮想構造の実装です。これは、分割されずに残ったデータベース内の複数の仮想構造の組合せであってもかまいません。データベースの構造化は、テクノロジーや機能ではなく概念です。そしてOracle Databaseが提供するいくつかのテクノロジーや機能の基礎でもあります。中でも表や索引のパーティション化は、最も代表的なひとつでしょう。この機能を使用して大規模データベースを扱うときに役立つオラクル・テクノロジーを最初に説明する理由は、ここにあります。

統合されていないローカル・データベース

1.

構造化されていない統合データベース

2.

構造化された統合データベース3.

図1 データベースの進化

12 13

表と索引のパーティション化

パーティション化 - 仕組み

パーティション化の基本的な考え方は、非常に単純で

す。1つ(または複数)の列のある値に基づいた1つの

「表」の行をグループとし、各グループを「副表」として格

納します。

この定義には、3つの注釈が必要です。

• 前述の説明でわざわざ表をかぎ括弧で囲いましたが、

これはOracleが表のパーティション化の他に、索引の

パーティション化もサポートしているためです。このた

め、データベース設計者は行または索引(リーフ)ブロッ

ク内のエンティティを1つの表にグループ化し、結果を

「パーティション」と呼ばれる仮想サブセットとして格納

できます。言うまでもなく、必要なときに表または索引は1

つのオブジェクトとしてアクセスできます。

• アプリケーションのニーズに応じて、表の索引をパーティ

ション化する(「ローカル索引」)ことも、パーティション化

しないままに保つ(「グローバル索引」)こともできます。

通常のSAPシステムでは表に複数の索引が存在する

場合がありますが、これらの一部をローカルとし、一部を

グローバルにすることができます。

• 1つまたは複数の列内の「値に基づいて」行をグルー

プ化することは、非常に一般的なパーティション化方法

です。オラクルは、この作業を正確に行うための戦略を

多数提供します。SAP環境で最も重要な戦略は、リス

ト・パーティション化とレンジ・パーティション化です。リス

ト・パーティション化を実装するためには、各値(たとえ

ば、国、地域)を明示的に示す値リストを作成する必要

があります。レンジ・パーティション化を実装するために

は、開始と終了(たとえば、January 1-31、February

1-28など)を指定して範囲を定義する必要があります。

Oracle Partitioningの利点

パーティション化は、ユーザーと管理者の両方に利点が

あります。

ユーザーにとっての主な利点は、パフォーマンスの向上

です(ユーザーが快適であるため、管理者にとっても利

点となります)。このパフォーマンス向上の技術的な根拠

は、「パーティション・プルーニング」と呼ばれます。たとえ

ば、月でパーティション化された表と、この表に基づいた月

別レポートを生成するアプリケーションがあるとします。リク

エストを受信すると、Oracle Databaseは考慮対象のす

べてのパーティションの中から必要なデータが単一パー

ティション内にあることを認識し、このパーティションのみ

をスキャンします。これにより、I/O、メモリー使用率およ

びCPUのワークロードが大幅に減少し、顧客のパフォー

マンスは5倍、10倍、あるいはそれ以上向上します。週別

レポートを生成する必要がある場合でも、表パーティショ

ンとローカル(つまりパーティション化された)索引の組

合せにより、同様の結果が得られます。これは、スキャン

する必要のある索引パーティションは、パーティション化

されていない索引より、はるかに小さいからです。

管理者にとってパーティション化は、パーティションを独立

して個別に管理できるという大きな利点があります。表が

90%の履歴データと10%のアクティブ・データで構成され、

その履歴データとアクティブ・データがパーティション化で

分離されている場合、毎日のバックアップや再編成など

の管理手順をアクティブ・データのパーティションに限定し

て実行できます。これにより、不要なワークロードだけでは

なく、これらの作業時間も減らすことができます。さらに、

パーティションは個別に、またオンラインで作成、削除また

はマージできます。そのため、メンテナンスの停止時間は

増加しません。

企業全体にとっての大きな利点は、コストを削減できるこ

とです。アクティブ・データと履歴データが分離されていれ

ば、アクセス回数がすくない履歴データをより低速なディ

スク、つまり安価なディスクに移動できます。さらに、圧縮

などのテクノロジーを追加で利用し、必要なディスク領域

の量を一層削減することができます(図2参照)。この時、

圧縮を選択的に使用して最適な結果を得ることができま

す。たとえば、履歴パーティションを圧縮して、ディスク領域

を節約する一方で、アクティブ・パーティションは圧縮せず

に、CPUのオーバーヘッドを回避します。

SAP 顧客向けの Oracle 索引圧縮

SAP製品向けのOracle Partitioning

SAPはすでに何年も前から、特に表と索引をパーティショ

ン化するとパフォーマンスが向上する利点に気が付いて

いました。このため、SAPはOracle PartitioningをSAP

ERPのようなOLTPシステムの他に、SAP BIシステムで

もサポートしています。

しかし、これらには違いがあります。SAP BIの場合、

Oracle Partitioningはサポートされているだけでなく、実

装もされています。これは、どの表をどういう方法でパー

ティション化するかという疑問にSAPが答えを出している

ことを意味します。このパーティション機能は、インストール

14 15

図2 - データベースの領域管理

手順5 : 履歴パーティションの圧縮

手順1 : 非構造化単位としてのオブジェクト

手順3 : レンジ・パーティション化の実装

手順2 : データの分析

手順4 : 異なる種類のディスクの使用

と設定プロセス中に実装され、SAPが提供するパーティ

ション管理ツールで利用できます。パーティション化する表

と方法が決まっているため、すべてのSAP BIシステムで

同じように実行できます。これに対して、SAP ERPの場合

はサポートのみで、SAPが提供するデフォルトの実装はあ

りません。この理由は明白ですが、ERPの場合、パーティ

ション化する表や方法が顧客やシステムによって異なる

からです。

しかし、SAP ERPでは、データベースのサイズが10、20、

そして30TB(さらにそれ以上)になっており、データの

90%が多くの巨大な表に格納されています。このため、

SAP ERPデータベースでは緊急にソリューションが必要

です。過去2年間に開発されたソリューションは、2つの部

分で構成されています。1つは、オラクルが提供するパー

ティショニングで、もう1つはSAPが提供する管理インタ

フェースです。

オラクルが提供するSAP ERP向けのパーティション化

SAP ERPシステムの一部であるデータベースにOracle

Partitioningを実装するには、次の2つの質問に答える

必要があります。パーティション化によって最も恩恵を受け

る表(および索引)はどれでしょうか。さらに、これらの表や

索引をどのようにパーティション化すればよいでしょうか。

最初の質問は、比較的簡単です。一般的に、最も大き

い表とこれらの表に定義されている索引が最も大きい

恩恵を受けます。従って、必要となるのは簡単な表サ

イズの分析のみです。さらに、過去の実装プロジェクト

の経験から、何万もの表を考慮する必要はなく限定的

な候補のセット(30~40個の表)で十分であることがわ

かっています。

Oracle PartitioningをSAP ERPシステムに実装すると

きの問題は、適切なパーティション・キーを見つけることで

す。ほぼすべてのレンジ・パーティション化では、範囲定

義に使用可能な時間ベースの列が存在する必要があり

ます(詳細は、オラクル・ホワイト・ペーパー『Partitioning

for SAP R/3. A Guide for Planning and Setup of

Oracle Partitioning in SAP R/3 Systems(日本語版

の提供は2009年末予定)』を参照してください)。パーティ

ション化対象のいくつかの表にはこの列が含まれていま

すが、ほとんどの表には含まれていません。

そのために、利用できる他の時間関連の情報を探す必

要があります。幸いにも、このような種類の情報は存在し

ます。法的要件に準拠するために、いくつかの種類のド

キュメントには、必ず昇順の番号を途切れずに付けるこ

とが義務付けられています。SAPではNRIVと呼ばれる

特別な表を使用します。この表が、使用可能な番号を管

理し、ソリューションのキーになります。パーティション化対

象のすべての表にはタイム・スタンプ列がなくても、資料、

注文書、またはドキュメントのいずれかに対応する番号が

かならずあります。これはNRIVベースの番号ジェネレー

タによって提供されています。この番号はn+1という形式

で、番号nの後に生成されるため、間接的な時間情報と

してパーティション化に使用できます。

これが手順1です。

もちろん、この時間情報とタイム・スタンプとでは違いがあり

ます。NRIVベースの番号ジェネレータは、連続的で構造

化されていない番号のストリームを生成しますが、実時間

のタイム・スタンプには年や月など、事前定義された副単

位が付けられます。事前定義された副単位は、パーティ

ション化の条件(年、月などで表をパーティション化する)

として使用できるため、この違いは重要です。手順2の作

業で、NRIVを利用してパーティション化する表を分析す

る必要があります。たとえば、表を月でパーティション化す

るとします。この表に対して毎月平均100,000個のNRIV

ベースの異なる番号が生成される場合、単純に、各パー

ティションを100,000個のレコードに対するパーティション・

スキーマとして実装します。これで、この表は「月」でパー

ティション化されます。

SAPパーティショニング・エンジン

ここまでの話を難しいと思いますか?難しい話ではありま

すが、複雑な分析とメンテナンスの作業を自動化できると

いう利点があります。オラクルはプロジェクトの初期フェー

ズで、Oracle Database独自のテクノロジー(主にPL/

SQLプロシージャ)に基づいたツールのセットを開発しまし

た。このツールは、いくつかの顧客で問題なく動作しまし

た。これはコンサルティングベースのソリューションで、非

標準のSAP要件には役立ちましたが、標準環境には必

要ありませんでした。より多くの顧客が前述の革新的な

方法を利用できるように、SAPはオラクルが提供する概念

を基に独自のソリューションを開発しました。

14 15SAP 顧客向けの Oracle 索引圧縮

このSAPのソリューションは、SAPパーティショニング・エン

ジンという名前で、SAPシステムに完全に統合されていま

す。次の3つの主要な部分があります。

• まず第一番目はトランザクションです。このトランザクショ

ンはパーティション化されていない表をパーティション化

された表に変換するために使用されます。このトランザ

クションは組込み機能であり、既知のSAP表のリストと

これらの表のパーティションキー、及びパーティション・サ

イズの自動調整が含まれています。このリストは、SAP

標準テーブルの大部分と、サイズが大きくなる傾向のあ

る一部の表を網羅しています。また、このトランザクショ

ンでは特別な目的のためにユーザーの要件に合せ

パーティション化のプロパティを調整できる高度な拡張

機能が用意されています。この最初のステップでは、ま

ず、事前定義されたルールのセットに基づいて表が分

析され、その後この表の適切なパーティション・レイアウ

トや正しい索引定義を作成するためのDDL文が生成

されます。最終的に表を変換するためには、brspace

ユーティリティを使用できます。新しいコマンドライン・オ

プションを使用することで、brspaceはこのDDL文を

データベースからフェッチし、これによりオンライン再編

成を実行することで、既存の表をパーティション化され

た表に変換します。また、brspaceは、新しくパーティショ

ン化された表の正しい統計を管理します。

• 表のパーティション化後、新規作成された行に対応す

るために、必要に応じて新しいパーティションを作成す

る必要があります。これはソリューションの2番目の部分

で、自動化されています。このSAPトランザクションは、

表内の現在のデータ量と、表のパーティション化の現

在のステータスを比較します。必要に応じて、新しい表

データを格納するために、オンラインで空のパーティショ

ンが新規作成されます。この操作は、非常に高速で任

意の時点で実行できます。また実行中のSAPシステム

に影響を与えることはありません。

• 表がアーカイブ化されると、最も古いパーティションに格

納された行の数が減ります。SAPパーティショニング・エ

ンジンのトランザクションでは、これらのパーティションの

中の使用されない領域が解放されます。領域解放は、

最も古いパーティションに対してマージ操作を実行しま

す。その結果、残りの行を含む小さな1つのパーティショ

ンと表領域で大量の空き領域ができます。新しいパー

ティションは、この空き領域を使用して作成されます。

このトランザクションは、SAPの実行中でも実行できます。

SAPパーティショニング・エンジンを使用することで、

Oracleのプログラミング知識がないSAP顧客でも、

Oracle Partitioningテクノロジーを活用できます。また、

パーティション化できる表が事前定義されているため、経

験の少ないOracleユーザーも、この革新的なアプローチ

の恩恵を受けることができます。

表および索引の圧縮

ストレージの効率性

爆発的に肥大化するデータベースをどのように管理する

かという質問に、一部のデータベース・ベンダーは即座に

圧縮テクノロジーを説明するでしょう。圧縮を最初の考慮

事項にしてはならない理由と最初に構造化データベース

の実装が必要なことについては、すでに説明しましたが、

これを完全に考慮し、ディスク容量の最も効率的な使用

に役立つ新しいテクノロジーに興味があっても、圧縮技

術や圧縮率などのトピックには飛びつかないことです。そ

のかわりに、ストレージの効率性という総合的な見方をし

てください。

「圧縮」は必ず管理者の介入が必要であるというのが、

圧縮技術に対する現在の認識です。管理者は、圧縮す

るかどうかを決定します。圧縮が必要な場合は、圧縮に

使用するオブジェクトを決定し実装する必要があります。

この定義を受け入れた場合、ストレージの効率性と圧縮

では実際に大きな違いがあります。それはデータベース・

システムが「暗黙的な圧縮」と呼ばれたテクノロジーを提

供できるかという違いです。「暗黙的な圧縮」は、データ

の格納に最小限のディスク容量を使用することを確実に

するテクノロジーです。このテクノロジーはデフォルトでオ

ンになっているため、自動で実行されています。

16 17

この違いを簡単な例で明確にしましょう。D1(ベンダーX

が提供するソフトウェアをベースとする)とD2(ベンダーY

が提供するソフトウェアをベースとする)という2つのデー

タベースに、まったく同一のデータをロードしたとします。

「暗黙的な圧縮」機能の違いにより、このデータを格納

するために、D1では1,000GBのディスク容量が必要で、

D2では1,500GBのディスク容量が必要です。必要なディ

スク容量を低減するために、最初のロード後に圧縮が使

用され、D1は2.5倍(60%)圧縮でき、D2は3倍(67%)圧

縮できるとします。

この場合、D1では最終的なサイズは400GBになり、D2で

は最終的なサイズは500GBになります。これは、次のこと

を意味します。圧縮率はD2の方が高いのですが、全体

的なストレージの効率性はD1の方が優れています。

Oracle 10gには、最も包括的な「暗黙的な圧縮」機能の

セットが組み込まれ、新しいバージョンごとに新機能が追

加されています。最も重要な機能を次に示します。

• 数値の可変長表示(固定長のかわり)

• 可変長文字列の最も効率的な表示

• 可変長Unicodeの表示(UTF-16のかわりにUTF-8)

• 高圧縮されたビットマップ索引

結果として、Oracleでは他のデータベースと比較して、例

で使用した同一のデータの格納に(暗黙的な)圧縮を使

用しなくても最大で40%少ないディスク容量で済みます。

しかしそれだけでは、急速に肥大するOracle Database

の管理者には役に立ちません。そして、その状態は刻々

と悪化している可能性があります。

現実的な予想に立った設定

Oracle(または他のデータベース)が提供する圧縮技術

を詳細に検討する前に、考慮すべき2番目のトピックがあ

ります。「圧縮」について書かれた多くの記事があります

が、その中にはデータの圧縮で実現できることを過大評

価しているものがあります。ほんの少し実状に目を向ける

ことは、現実的な予想に立った設定をするために大切な

事です。

まず、圧縮はデータベース・レベルではなく、オブジェクト・レ

ベル(個別の表や索引など)に対してアクティブ化される

ということに気付くことが重要です。「オブジェクトを圧縮

することで、ディスク容量をXパーセント節約できる」と言

われたら、オブジェクト・レベルか、データベース・レベルか

問い返すことが必要です。

次に、多くの本番の圧縮テストでは、データベースの単純

なコピーが使用されます。しかし、誰もが知っていますが、

データベースはライフ・タイムの間に、削除などの操作で

ディスクが断片化し徐々に効率が悪くなります。ディスク

容量は、単純なデータベースの再編成により20~30%を

節約できます。これらは、「データベース全体」を圧縮する

ことで、40~50%のディスク容量を節約できると言われた

ときのために留意しておいてください。

3番目に、データベース全体を圧縮したいと思う管理者は

いません。この作業は、数万もの表を圧縮するために手

間がかかるだけではなく、すべての表や索引は非常に小

さく効率的に圧縮できないため、無駄な努力に終わりま

す。大部分の顧客は、大きい表を10個、20個、50個、また

は100個と選択し、その表に定義されている索引も一緒

に圧縮します。

最後になりましたが一番大事なことです。「データベー

ス」は大量の異なるデータです。したがって、「データベー

スそのもの」を圧縮する方法はありません。

広い意味で、データベースは索引データと表データから

構成され、表データは順番に構造化データ(数値、文字

列)と非構造化データ(LONG、LOB)に分けられます。

現在、圧縮が利用可能なすべてのデータベースにおい

て、これら3種類のデータに対する個別の圧縮アルゴリズ

ムがあり、その各圧縮アルゴリズムからは異なる圧縮結

果が得られます。

大まかな見積りですが、SAP ERPシステムの一部であ

16 17SAP 顧客向けの Oracle 索引圧縮

るOracle Databaseでは、割り当てられたディスク領域の

33%を索引データ、55%を構造化データ、12%を非構造

化表データがそれぞれ使用します。この例は極端です

が、すべてのオブジェクトを圧縮し、オブジェクト・レベルの

圧縮率が平均70%であるとした場合、データベース・レベ

ルでは、最大で索引データの圧縮で23%、構造化表デー

タの圧縮で39%、非構造化表データの圧縮で8%節約で

きます。また、より現実的な例では最大のオブジェクト(ま

たは割り当てられたディスク領域の80%)を圧縮し、平均

圧縮率が60%だとした場合、現実的な目標は索引データ

で15%、構造化データで25%、非構造化表データで5%に

なります。

索引キーの圧縮

Oracleの索引キー圧縮を使用すると、B*Tree索引(ビッ

トマップ索引は不可)のリーフ・ブロック内の繰返し値を、

より短いトークンに置き換えられます。

索引が元表の1つの単一列に定義されていれば、「繰

返し値」が意味するものは明確であるため、圧縮された

索引の作成は簡単です。しかし、複数の列に索引が定

義されている場合はやや複雑になります。たとえば、表T

の5つの列(C1、C2、C3、C4、C5)に索引が定義されてい

るとします。繰返し値は、C1のみ、C1+C2、C1+C2+C3、

C1+C2+C3+C4、またはC1+C2+C3+C4+C5で検索す

ることができます。ディスク容量の達成可能な節約率は、

これら5つの選択肢で異なることは明らかです。さらに悪

いことに、より多くの列を対象にしてもより多くのディスク容

量を節約できるという保証はありません。これまでの経験

から、最適な状態は中間位であることが多いようです(図

3参照。よりわかりやすくするためにすべての値の長さを

同じにしました)。

これは、次のことを意味します。圧縮に適した索引を見つ

ける必要があるのは、データベース管理者だけではあり

ません。SAP環境では、ごく一般的に複数の列に索引が

定義されています。この場合は、列の値を繰返し値の検

索に使用する先頭部分(接頭辞)と圧縮しない残りの部

分(接尾辞)に分ける方法を決める必要があります。オラ

クルはこの作業のために、最もディスク容量を節約する

ように接頭辞/接尾辞の比率を計算するツール(IND_

COMP)を提供しています。

SAP環境でOracle Databaseを圧縮する場合、最初に

使用する機能として索引キー圧縮をお薦めします。これ

は、簡単で効率的なだけでなく、Oracle Database 10g

からOracle Database 11gにアップグレードする際に、ア

ルゴリズムや内部ストレージ構造の大きな変更が必要あ

りません。そのため、それまで行った作業が無駄になりま

せん。

データ圧縮

表の列内の構造化データ(数値、文字列)を圧縮する場

合、3つの手順が必要になります。

• 圧縮の候補となる値 - 繰返し値を見つける。

• これらの候補値のリストを作成し、それぞれに番号を付

ける(シンボル表の作成)。

• 繰返し値の各出現を適切な数値に置き換える。

数値は元の値よりはるかに短いため、このアプローチで

70%近いディスク容量を節約できます。

これは一般的アプローチで、標準と言っても良いかもしれ

ません。Oracle実装で固有なのは、単一ブロックごとにシ

ンボル表が作成され格納されることです。より正確に表

現すると、表(セグメント)ごとのシンボル表は、1つのみで

はありません。異なる小さな多数のシンボル表がそれぞ

れ単一ブロック内のデータから作成され、特定のブロック

に格納されます。Oracleはグローバルなシンボル表を使

用せず多数のローカルなシンボル表を使用します。つま

り、分割統治です(図4を参照)。

このアプローチは、グローバルなシンボル表によるアプ

ローチより、優れた点があります。

• 個々のシンボル表は、少数のエントリで構成されてい

ます。

したがって、圧縮されていない値のポインタとして使用さ

れる数値が非常に少なくなります。さらに、圧縮できる値

の全体数を制限する必要もありません。

18 19

18 19

図3 - Oracle索引キー圧縮

手順1 : 圧縮されていない索引

手順3 : 圧縮された索引(接頭辞 = 2)

手順5 : 圧縮された索引(接頭辞 = 4)

手順2 : 圧縮された索引(接頭辞 = 1)

手順4 : 圧縮された索引(接頭辞 = 3)

手順6 : 圧縮された索引(接頭辞 = 5)

SAP 顧客向けの Oracle 索引圧縮

• ユーザーがレコードを読み取る場合は、圧縮済みの値

を解凍する必要があります(ポインタは元の値に置き換

えられます)。Oracle Databaseの実装では、この操作

に必要なすべてのデータは、1つの単一ブロックに配置

されます。他社のように、グローバルなシンボル表を使

用した場合、ブロックは少なくとも2つ必要になります。し

たがって、Oracle Databaseのアプローチでは少ない

I/Oで済み、パフォーマンスが向上します。

• グローバルなシンボル表は静的です。いったん作成

すると変更されません。ただし、表に挿入される値は

変更されます。たとえば、シンボル表が3月末に作成さ

れたとします。この場合、シンボル表内の「January」、

「February」および「March」は圧縮できます。しかし、

「April」と「May」は圧縮できません。つまり、時間の

経過に伴い圧縮率が低下します。

• ただし、データベース管理者がシンボル表を再作成し

た場合は、このかぎりではありません。しかし、ここでも

Oracle Databaseの方が有利であることは明白です。

個別のブロックごとにローカルな圧縮ディクショナリが作

成されるため、Oracleは4月に作成されたすべてのブ

ロックに値「April」を含めます。管理者の介入は不要

です。したがって、Oracleはより柔軟で管理作業が少

ないアプローチを選択しているといえます。

多数のローカルなシンボル表の欠点は、より多くのディスク

容量が必要になることです。しかし、変更された値を自動

で適用するOracleのデータ圧縮アルゴリズムの機能は、

この欠点を補って余りあることを顧客の経験が物語って

います。

Oracle Database 10gのデータ圧縮は、DSSシステム

の履歴データ用に設計されました。したがって、データ

圧縮はバッチ・ロードに役立ちますが、シングル・レコード

の挿入や更新には使用できません。その結果、Oracle

Database 10gのデータ圧縮はSAP BIシステムのみで、

SAP ERPなどのOLTPシステムでは使用できませんで

した。このため、Oracle Database 11gでは、完全に新し

いアルゴリズムが採用されました。ユーザーが挿入した

圧縮されていない形式のデータは、非同期に、バックグラ

ウンド・プロセスで圧縮されます。これらのプロセスでは、

データの挿入が単一行でもバッチ・ロードでも区別されま

せん。また、Oracle Database 11gは、非構造化データの

圧縮もサポートしています。

しかし、これらの新機能は、このドキュメントの最初のセク

ションで説明した一般的なデータ管理に対するルールを

無視するものではありません。Oracle Database 11gに

アップグレードすると、あらゆる種類のシステムのすべて

の表を圧縮できますが、これだけでは名案でもベスト・プラ

クティスでもありません。なぜなら、Oracle Database 11g

の能力は「組織化されていない」巨大なデータを大量に

処理するためにあるのではなく、賢明な領域管理やデー

タ管理の戦略の確立のためにあるからです。

バックアップとリカバリ

データベース保護の主要な要件

VLDBのバックアップとリカバリで対応する必要のある大

きな問題を次に示します。

• 納得できる時間枠内でバックアップ/リカバリする方法

• アプリケーションまたはビジネス・オブジェクト・レベルでリ

カバリする方法

• 無停止環境でデータを保護する方法

• データの保護/障害リカバリにかかるソフトウェア、インフ

ラストラクチャ、および運用のコストを管理する方法

バックアップとリカバリは、データベースに特有のトピックで

はありません。

最適で全体を包括するソリューションには、適切なデータ

ベース・ストレージとバックアップ・メディアの選択も不可欠

ですが、最も効率的なOracle Databaseのバックアップ

機能とリカバリ機能を選択することも重要です。

Oracle Recovery Manager

Recovery Manager(RMAN)は、Oracle Databaseク

ライアントで、バックアップとリカバリのタスクを実行し、バッ

クアップ戦略の管理を自動化します。これにより、データ

ベース・ファイルのバックアップ、リストアおよびリカバリが簡

素化されます。RMANは、データを損失から保護するた

めにバックアップまたはリストアの前後に、基本構成のす

べてのデータベース・プロシージャを処理します。RMAN

は、異なるホスト上のオペレーティング・システムにまたが

るバックアップ・タスクの共通インタフェースを提供し、バッ

クアップ/リカバリのデータ・ストリームのパラレル化、バック

アップ・ファイルの保存方針、およびすべてのバックアップ

の詳細な履歴など、ユーザー管理メソッドでは得られな

い機能を提供します。

20 21

20 21

図4 - 構造化された表データの圧縮

実装オプション1:データ・セグメント(表)ごとに1つのグローバルなシンボル表が専用ブロックに格納される

実装オプション2:それぞれ単一ブロックから作成された多数のローカルなシンボル表が、その特定ブロックに格納される

SAP 顧客向けの Oracle 索引圧縮

シンボル表

シンボル表

データ・ブロック

データ・ブロック

データ・ブロック

データ・ブロック

データ・ブロック

データ・ブロック

R M A N は 、S A P が 提 供 するB R B A C K U P 、

BRARCHIVE、BRRESTOREおよびBRRECOVERな

どのデータベース管理ツールと統合されています。

BR*Toolsのバージョンとパッチ・レベルによっては、新しい

RMAN機能を統合して、セキュリティ、柔軟性および安

全性を改善できます。

Oracle Recovery Managerは、Oracle Database専

用に設計されているためRDBMSと統合できます。した

がって、RMANは他のリストア/リカバリ管理ツールに優

る、次のような利点があります。

• 物理的および論理的なデータベース破損の検出:他

のバックアップ・ツールと比較して、RMANを使用して

いるユーザーが経験できる利点は、バックアップ中の

データファイル破損のチェックです。データベース・ブ

ロックの論理的および物理的エラーは、自動的に認識

されます。

• 増分バックアップ:RMANによるデータファイルのバッ

クアップは、全体バックアップまたは増分バックアップの

いずれかです。[全体バックアップ]は、ファイル内の使

用されたすべてのブロックを対象にします。全データ

ファイルのバックアップがイメージ・コピーとして作成さ

れた場合、ファイル・コンテンツ全体がそのまま再現され

ます。[増分バックアップ]は、特定の時点以降に変更さ

れたブロックのイメージがキャプチャされます。この特

定の時点とは、通常は前回、全体バックアップまたは増

分バックアップが行われた時点です。

• ブロック・チェンジ・トラッキングを使用した高速増分

バックアップ:増分バックアップは、Oracle 8からサポー

トされています。他の増分ソリューションと同様に、キー

ポイントは「何が変更されたか」を見つける方法です。

以前のバージョンでは、変更されたブロックの判別に

すべてのデータファイルをチェックする必要がありまし

たが、Oracle Database 10g以降、ブロック・チェンジ・

トラッキングが使用されています。増分バックアップで

使用するRMANのブロック・チェンジ・トラッキング機能

は、ブロック・チェンジ・トラッキング・ファイル(BCTF)に

記録された変更済みのブロックを利用します。このファ

イルは非常に小さく(ブロック・アドレスのビットマップ表

現のみ)、ファイルサイズはデータベースのサイズと有

効化されているREDOスレッドの数に比例します。チェ

ンジ・トラッキングが有効な場合、RMANはBCTFを使

用して増分バックアップが必要な変更済みのブロック

を識別します。データファイル内のすべてのブロックを

スキャンする必要はありません。

• バックアップ・サイズの軽減:1度も変更されたことがな

い未フォーマットのデータベース・ブロックは、RMANが

作成するバックアップには含まれません。これにより、純

粋なデータファイル・コピーより、バックアップ・ファイルの

サイズが小さくなります。この形式の圧縮は、未使用ブ

ロックの圧縮と呼ばれます。

• REDOログ情報の軽減:RMANを使用してオンライ

ン・バックアップを実行しているときは、BEGIN/END

BACKUPコマンドは必要ありません。RMANは他

のすべてのOracleシャドウ・プロセスのように、データ

ファイルからデータ・ブロックを読み取るため、データ・

ブロックのコピーをREDOログ・バッファに置く必要が

ありません。

• アーカイブ・ログとバックアップの圧縮:RMANは、バ

イナリ圧縮形式でバックアップ・セットを書き込むため、

バックアップ・セットのサイズが小さくなります。圧縮され

たバックアップ・セットを使用することで、ストレージ領

域が節約できるだけではなく、ネットワークを介したバッ

クアップのネットワーク帯域幅も節約できます(SAP

Notes 968507および1101530を参照)。

• バックアップの検証:データベースのバックアップを続

けるうちに、時にはバックアップ自体もエラーとは無縁

ではないことに驚かされるのではないでしょうか(ネッ

トワーク、テープ・デバイス、バックアップ・ソフトウェアの

バグなど)。バックアップの有効性を確保しバックアッ

プをリストアとして使用できるようにするには、時々バッ

クアップを検証する必要があります。RMANでは、

BACKUP VALIDATEコマンドを使用して、バック

アップの検証チェックを実行できます。

Oracleフラッシュバック・テクノロジー

多くの調査によれば、アプリケーションの機能停止の40%

は、オペレータまたはユーザーのエラーが原因です。人

間は、間違いを犯します。しかし、このエラーの回避は非

常に難しく事前の計画や正しいテクノロジーを使用しな

かった場合、リカバリが困難です。このエラーは、「論理

的な」データの破損や、ITインフラストラクチャの1つ以

上のコンポーネントが機能停止する原因になります。個

別のコンポーネントの故障を修正することは比較的簡単

ですが、重要なデータを間違って削除するなど、論理的

なデータの破損の検出や修正作業は時間がかかり、業

務の生産性に大きな損失を与えます。重要なデータを間

違って削除した、違うデータや表を削除したといったこと

が、ユーザーによる一番多いエラーです。

22 23

フラッシュバック・データベースは、過去のある時点まで

Oracle Databaseを迅速に戻し、論理的なデータの破

損やユーザー・エラーが原因の問題を修正します。フラッ

シュバック・データベースは、データベースの「巻戻しボタ

ン」と言えるでしょう。これは、ユーザーがデータベースの

バックアップをリストアしていなくても、データベースのポイ

ント・イン・タイム・リカバリを提供します。データベース・バッ

クアップをテープからリストアする必要がないため、デー

タベースのポイント・イン・タイム・リカバリが高速におこな

えます。フラッシュバック・データベース機能は、RMANと

SQL*Plusの両方からFLASHBACK DATABASEコ

マンドを使用してアクセスできますが、その効果は標準

的なポイント・イン・タイム・リカバリと同じです。この機能を

使用することで、データベースを過去の最新の時点の状

態に戻します。

フラッシュバック・データベース機能を有効にすると、次の

ようなメリットがあります。

• バックアップのリストアに必要な時間を削減できます。

壊滅的な問題でデータベースが停止すると、企業の

業務も停止し何百万ドルもの損失が発生します。

• スタンバイ・データベースのREDO Apply遅延を削

減します。

フラッシュバック・データベースは、Data Guardとシーム

レスに統合されています。スタンバイ・データベースは、

即座に任意の時点まで簡単にフラッシュバックができ

るため、REDO Applyによる遅延は発生しません。

詳細は、SAP Notes 937492、966073、966117および

1125923を参照してください。

Oracle Data Guard

Oracle Data Guardは、複数のスタンバイ・データベース

の作成、メンテナンス、監視ができます。企業のデータを

故障、災害、エラー、破損などから保護します。スタンバ

イ・データベースは、本番データベースの同期化されたコ

ピーとして保存されます。スタンバイ・データベースは、本

番データ・センターの場所とは別の障害時リカバリ・サイト

に配置することができます。また同じ都市、キャンパスま

たはビルに配置することもできます。計画停止または計

画外停止によって本番データベースが利用できなくなる

と、Data Guardはスタンバイ・データベースを本番ロール

に切り替え、機能停止に伴うダウンタイムを最小限に押さ

え、あらゆるデータ損失を防止します。

Data Guard for SAPが活躍する代表的な2つのクリ

ティカルな例を示します。

• プライマリ・データベースがクラッシュ。SAPアプリケー

ション・インスタンスなど他のコンポーネントはすべて問

題がない。この場合は、簡単にSAPアプリケーション・

サーバーをオープンなスタンバイ・データベースとの接

続に切り替えることができます。また、保護モードによっ

ては、データ変更の適用を待つ必要がありません。

SAPインスタンスのフェイルオーバーは、事前に準備さ

れた指定のSAPプロファイルを使用して円滑に行われ

ます。また、データベース・サーバーの仮想IPアドレスを

使用すると、さらに迅速に行うことができます。

• データベースとSAPアプリケーションがオフライン。デー

タ・センター全体が停止。スタンバイ・データベースを同

期していない場合は同期化を完了させます。スタンバ

イ・データベースを含め事前に準備されたSAPシステ

ムを起動します。

スタンバイ・データベースは、フラッシュバック・データベー

スの機能を用いることで、一旦読取り/書込みデータ

ベースとしてテスト、トレーニング、またはレポート作業に

使用したデータベースを巻き戻すことが可能です。テスト

等の作業が完了した後、データベースを元の状態に巻

き戻し、作業前のように潜在的な障害に対するリカバリ・

サイトとして使用することができます。

RMANやフラッシュバック・データベースと同様に、

Oracleのスタンバイ・データベース機能は、SAPが提供

する管理ツールと統合できます。

• オフラインREDOログ・ファイルをプライマリ・インスタン

スからスタンバイ・インスタンスに転送する場合に、SAP

ツールのBRARCHIVEを使用するというシナリオも考

えられます。

• プライマリ・データベース(本番データベース・システ

ム)のバックアップが必要ないということが、スタンバイ・

データベースの一番の利点です。そのかわりに、スタ

ンバイ・データベースを使用してスタンバイ・データベー

スのデータファイルをバックアップします。データベー

ス・バックアップは、どのような場合でもプライマリ・デー

タベース・インスタンスのホストの負荷を増加させませ

ん。スタンバイ・データベースでは本番の操作をしない

ため、すべてのホスト・リソースをデータベース・バック

アップに使用できます。SAPツールのBRBACKUP

は、スタンバイ・データベースでデータをバックアップす

るときに役立ちます。

22 23SAP 顧客向けの Oracle 索引圧縮

ニュー・サウス・ウェールズ消防隊(NSWFB)は、約

3,900人のフルタイムの消防士、3,300人のパートタイ

ムの消防士、5,500人のボランティア・メンバーからな

るオーストラリアで最大の消防隊で、Oracle Real

Application Clusters(RAC)でSAPを使用して

います。Oracleのデータベース・クラスタ・テクノロ

ジーは、NSWFBにはいくつかの大きなメリットをも

たらしました。

ニュー・サウス・ウェールズ州は、オーストラリアの南東沿

岸にあり、全面積は800,640平方キロメートルになります。

これは、英国の3倍の広さです。ニュー・サウス・ウェール

ズは、オーストラリアの経済にとって最も重要な州です。

沿岸の都市シドニーは、この地域の重要な産業の中心

の1つで、州内に340箇所の消防署を展開するニュー・サ

ウス・ウェールズ消防隊の統括管理オフィスがあります。

NSWFBに所属する数千人のフルタイムとパートタイムの

消防士は、火災、レスキュー、危険物による緊急事態など

の事件に対応し、他の政府機関と連携して、低木地帯の

火災、洪水、地震またはテロリストによる攻撃などの事件

にも対応します。

1日24時間活動するニュー・サウス・ウェールズ州の機関

NSWFBの組織にとって、情報テクノロジーを含めたテ

クノロジーが重要な役割を果たします。このテクノロジー

は、救命作業を行うために緊急時のコミュニケーションと

情報共有に利用されるだけではなく、700台近い消防車

のメンテナンスと管理、人員の配置、財務および人的資

源などの管理にも利用されます。

活動内容の基礎

ニュー・サウス・ウェールズ消防隊では、2008年以来、将

来を見据えた新しいITの方向性を取り入れています。

2009年の初めから2010年の終わりまでに、新しいITシス

テムとソリューションが徐々に実用化されます。すでにIT

の近代化は大きく進歩を遂げています。「私たちのIT環

境とインフラストラクチャの一部は1990年代からのもので、

もはやその当時とは異なる今日の要件を満たしていませ

ん。一部の分野では、すでに新しいITソリューションを活

用しています。」と、NSWFBのビジネス・インテリジェンス・

マネージャのRoss Barratt氏は述べています。

いくつかの重要なマイルストーンは、すでに管理業

務で実現され、これらは組織の運営支援部門が提

供しています。これには、SAP ERPアプリケーション・

システムの実装が含まれ、Financials(FI)、Human

Capital Management(HR)、およびSAP Netweaver

Business WarehouseとOracle Databaseまたは

Oracle RACが使用されています。ニュー・サウス・ウェー

ルズ消防隊のIT戦略は、OracleをEnterprise Content

Managementシステムとして使用することを計画してい

ます。

24 25

「Oracle RACにより、私たちの要件はすべて実装できました。Oracleのおかげで、非常に快適かつ安全な環境に

なりました。」― ROSS BARRATT氏NSWFBのビジネス・インテリジェンス・マネージャ

ORACLE 10g REAL APPLICATION CLUSTERS (RAC) FOR SAP:ニュー・サウス・ウェールズ消防隊にとって不可欠で信頼できる基盤高い安定性、パフォーマンスを向上させ、SAPのTCOを最小限に抑える

ニュー・サウス・ウェールズ消防隊

オラクル社の製品およびサービス:・ Oracle RAC 10.2.0.4 EE・ Oracle Database 10g・ Oracle Clusterware(OCFS/共有

Oracleホーム)・ Oracle Data Guard・ Oracle RMAN・ Oracleサポート

円滑なRACの実装

「SAPを使用する場合、データベースの重要な役割を

無視することはできません。1日の業務の終わりに、データ

ベースはあらゆるSAPシステムの重要な構成要素である

ことがわかります。」とBarratt氏は強調します。概念の計

画段階に考慮した主要な問題は、SAPとともに使用する

データベースの安定性、安全性、コスト効率性でした。こ

れらがOracle RACを選択した主な理由です。

Oracle Databaseのクラスタ・テクノロジーで達成された

ことを鑑みると、NSWFBの決定は的を得たものであっ

たと言って間違いありません。「Oracle RACにより、私た

ちの要件はすべて実装できました。」NSWFBがOracle

RACと併せて最初に使用したアプリケーションは、SAP

ソリューションのFinance(FI)とNetweaver Business

Warehouse(BI)でした。

Oracle RAC(10.2.0.4 EE)は、EMC Clariionストレー

ジ・システムとNovell社製のオペレーティング・システム

Suse Linux Enterprise Server(SLES10)とともに、

Dell R900サーバー(4個のコアCPUを持つ双方向サー

バー)の3ノード・クラスタに実装されました。Barrett氏は、

「Oracle RACの導入は非常に円滑に進行し、6週間し

かかかりませんでした。」と説明しています。

付加価値 - 「もし」や「しかし」の排除

Oracle Real Application Clusterを使用することは、1

つのパッケージで複数のメリットがあり、現実的な付加価

値をもたらします。

まず、スタッフはSAPを使用するシステムが非常に安定し

ていることに満足しました。何らかの理由でデータベース・

クラスタ内のノードが故障すると、そのノードのジョブはシ

ステムを中断することなく、別のノードに引き継がれます。

NSWFBはOracle RACに加えて、障害およびリカバリ管

理のためにOracle Data Guardも使用しています。これ

により、プライマリ・システム環境に障害が発生した場合な

どに、保存されているデータを効率的にバックアップでき

ます。リカバリ管理は、OracleソリューションのRMANを

使用しています。

また、Barratt氏は次の点にも満足しています。「Oracle

RACは、私たちの給与支払いプロセスを高速化すること

にも役立ちました。給与支払いの作業には時間がかかり

ますが、今では数分で終わります。」

また、Barratt氏はOracle RACの導入により、SAP ITイ

ンフラストラクチャのコストも最小限に抑えられ、結果的に

所有コスト(TCO)の総額も削減できたという事実もメリッ

トとして挙げています。「私たちのインフラストラクチャのコ

ストは、他のアプローチと比較して非常に低いものです。

たとえば、システム全体を拡張したい場合でも、サーバー

を交換する必要はありません。RAC環境を使用して、柔

軟かつ安全に環境を拡張できます。」とBarrat氏は述べ

ています。

この点でも、NSWFBはOracle RACでエンタープライズ・

グリッドを設定し使用するという選択でメリットを得ていま

す。NSWFBでは、グリッド・コンピューティングと呼ばれる

システムを複合ワークロードとして設定しました。SAP、BI

などのデータベースが同一クラスタ内で稼動しています。

RACを使用し続けるプランを確定

Oracle RACを使用することで、NSWFBは現在および

将来の課題に取り組む準備が十分整っています。そし

て、こうして達成できたことを「Oracle RACを導入したこ

とで、安定を得られた」と表現しています。

IT戦略によれば、将来のNSWFBのデータベース・プラッ

トフォームはOracle Real Application Clustersが適し

ています。これは、常に非常に高い安定性と最適なシス

テム・パフォーマンスを確保することに重点が置かれてい

ます。

24 25ニュー・サウス・ウェールズ消防隊の Oracle 10g RAC for SAP

「Oracle RACの導入は非常に円滑に進行し、6週間しかかかりませんでした。」

― Ross Barratt氏

NSWFBのビジネス・インテリ

ジェンス・マネージャ。

広範囲のIT近代化

イタリアをドライブすると、マルチカラーの帆が2つ描かれ

たQ8のロゴをよく目にします。Kuwait Petroleum Italia

(Kupit)は、Kuwait Petroleum International(KPI)

のイタリア支社で、クウェート国外でKuwait Petroleum

Corporationのダウンストリーム活動をコーディネイトする

従業員4,700人の国際企業です。Q8ブランドを掲げたガ

ソリンスタンドを2,750箇所以上運営し、650人以上を雇

用するKupitは、国際的なグループ企業内で特に重要な

業務を担当しています。インストールされたSAPは一部の

既存アプリケーションを含め、企業全体で使用されていま

す。最近の主なエレメントは、SAP ERP 6.0(IS Oil使用)

と、SAP NetWeaver Business Intelligence 7.0です。

チームとSAP CCCテクニカル・コーディネータのFausto

Capelletti氏にとって、2007年は企業のIT史における重

要な節目でした。合計3つの新しいITの方向性が取り入

れられ、成功裏に実装されたのです。3つの方向性は、

すべてSAPシステムとの関連で考える必要があり、企業

にとって様々なメリットが得られる最適化を意味します。

まず、標準サーバー(Dell)とLinux Red Hatオペレー

ティング・システムを基礎に、Unixシステム・ランドスケープ

をLinuxシステムに交換し、次にSAP R/3をSAP ERP

6.0に、SAP BW 3.1をSAP NetWeaver Business

Intelligence 7.0に移行します。さらに、現在Q8はOracle

Real Application Clustersとともに新しいSAPアプリ

ケーションを使用しています。

Fausto Capelletti氏が説明するように、「最新のバー

ジョンとテクノロジーを使用することは、継続的な改善を

意味し、この改善は様 な々形をとります。初期段階に新し

い手法を取り入れ、さらに発展させることで早い時期にメ

リットが得られます。SAP環境では、関連するコンポーネン

トや要素すべてを考慮し、継続的な改善プロセスに集中

することが必要です。」

Oracle RACを使用して得る最高の経験

Kuwait PetroleumがOracle RACとSAP ERP 6.0

アップグレードの組合せを選択したのは偶然ではあり

ません。Kuwait Petroleumでは、すでにOracle Real

Application ClustersとSAP以外の既存アプリケーショ

ン(Oracle Databaseを基礎にしたCRMまたはデータ・

ウェアハウス)とで、非常に良好な経験がありました。

「SAPを使用した場合でも、Oracle RACのメリットを享

受できるようにしようと思いました。明白な答えは、Oracle

RACとSAP ERPアップグレードを使用することでした。」

と、ITエキスパートのCapellettiは述べています。数年前

にSAPのデータベースをInfomixからOracle Database

に切り替えて以来、オラクルはKuwait Petroleumの戦

略的ITパートナーです。

26 27

業種:KUWAIT Petroleum S.p.A社の社外のダウンストリーム(精製およびマーケティング)活動

従業員:約4700人(全社)

オラクル社の製品およびサービス:・ Oracle Database 10g・ Oracle Real Application Clusters(RAC)10.2

・ Oracle Clusterware SAPCTL/Control Utility

・ Oracle サポート

主なメリット:・ より柔軟かつスケーラブルなSAP

の活用・ SAPの安定性/高可用性の向上・ パフォーマンスの向上・ 新しいテクノロジーによる拡張の

基盤

「我々はOracle RACをSAPと組み合せて使うことを決定しました。SAP ERPアップグレードと新しいITインフラスト

ラクチャは、計画を実現するために必要な機会を提供してくれます。Oracle RACを使用することで私たちは、より柔

軟になりました。コストを削減し、パフォーマンスを向上させ、SAPの高可用性を最適化できました。」

― FAUSTO CAPELLETTIDirection IT & Innovations - IT Operations, SAP CCCテクニカル・コーディネータ、Kuwait Petroleum Q8, Italia SpA

Kuwait Petroleum Q8は、SAP ERPアップグレードとOracle Real Application Clusters(RAC)を組み合せて使用

Oracle RACの導入は、テストも含め約3ヶ月で完了しま

した。SAPと、ミラノ(イタリア)に基盤を置くオラクル・パー

トナーのTechEdgeが協力し、ウォルドルフ(ドイツ)にあ

るオラクルのGlobal Technology Center for SAPの

支援を得て、このプロジェクトは計画された時間内に実

装されました。Kuwait Petroleumの計画では、2ノード

のRACクラスタ(SAPの高可用性を得るためにOracle

ClusterwareをベースにしたOracle Clusterware

SAPCTL)内で、2X4 AMD Opteron CPU(それぞれ

32GBのRAMを装備)を使用するDell社製ハードウェア

が稼動します。ストレージ・システムはNetApp社製です。

どちらのシステムも、Oracle RAC上でSAP ERP(ECC

6.0と業種別ソリューションIS Oil)とSAP NetWeaver

Business Intelligence 7.0を実行します。データベース

(Oracle 10.2)は、それぞれサイズが1TBを超えます。

合計で、SAPユーザーは1,100人を超え、アプリケーション

は、複数の言語で使用されます。Kuwait Petroleumで

は、11月からOracle RACがR/3およびBW後継バージョ

ンとともに実行されています。

将来にも対応できる安定した基礎

Oracle RACを実装することで、Kuwait Petroleum

はあらゆる種類の向上を見込めるポジションに達しま

した。「SAPアプリケーションの可用性をさらに改善で

きるだけではありません。現在は、SAPアプリケーション

を標準サーバーとLinuxオペレーティング・システムとと

もに使用しています。2つのデータベース・インスタンス

のうち、1つに障害が発生しても、もう1つがそのタスク

を引き継ぎます。Oracle Real Application Clusters

に変換することにより、より大きな柔軟性とスケーラビリ

ティを得ることができ、パフォーマンスが向上し、将来を

見据えたテクノロジーを活用できます。」と、ITコーディ

ネイタのCapelletti氏は述べ、さらにこう付け加えまし

た。「Oracle RACは、費用便益をもたらし総所有コス

トを削減します。」Kuwait Petroleumは中期的には、

Oracle RACと他のSAPアプリケーションを組み合せて

使用することを計画しています。

全体として、Kuwait Petroleumは新しいハードウェア展

望、SAP ERPアップグレード、Oracle RACという大掛か

りな3段階の変更を見事に成し遂げました。新しいIT環

境は、必要なときに拡張可能な将来にも対応した安定性

のある基礎を提供しています。またKuwait Petroleum

は、グローバルな石油産業にとってメリットのある最新の

機能とテクノロジーを活用しています。

26 27Kuwait Petroleum の Oracle 10g RAC for SAP

「S A Pを使 用した場 合でも、Oracle RACのメリットを享受できるようにしようと思いました。明白な答えは、Oracle RACをSAP ERPアップグレードと組み合せて使用することでした。」

― Fausto Capelletti氏

Direction IT & Innovations - IT

Operations, SAP CCC

毎年、トリニダード・トバゴ共和国から採掘される石油と

天然ガスは、国のGDPの34%以上に寄与し、2007年

度で27億米ドルにのぼります。1975年、トリニダード・トバ

ゴ政府はNational Gas Company of Trinidad and

Tobago Limited(NGC)を設立しました。その業務は、

国の財源として国内の天然ガス資源の獲得、輸送、お

よび販売です。

事業開始から30年経った2005年、NGCは非効率的なソ

フトウェア・アプリケーションの影響が出始めたため、処理

能力を追加することで臨時に対応しました。データ・インフ

ラストラクチャを精査するために、コアとなるEnterprise

Resource Planning(ERP)アプリケーションをアップグ

レードすることを決定し、IT機能を大幅に簡素化、信頼

性とスケーラビリティを高めることに主眼を置きました。

Andre Edwards氏は「私たちは、高い可用性とスケーラ

ブルな環境を必要としていました。」と述べています。「ま

た、環境を拡張可能にしておき、必要なとき以外は処理

能力を追加したくありませんでした。」

ITインフラストラクチャ変更の方向性を決定するにあ

たって、簡素化という方針が示されました。同時に、オー

プン・ソースのLinuxオペレーティング・システム、Oracle

Database、ERPアプリケーションの新しいSAPスイートと

いう、NGCが望むコンポーネントをシステムに短期間で実

装する簡単な方法はありませんでした。その解決策は、

Oracle Real Application Clusters(RAC)をベースに

した環境を構築することでした。

ハードウェアではなくノード

他のあらゆるエネルギー供給者と同様に、NGCは消費量

の周期的な拡張と縮小に対応する必要がありました。さ

らに、NGCは基本業務である天然ガスの獲得、販売、輸

送から業務を大幅に拡大していました。今日のNGCは、

ガス・パイプライン、工場用地、ガス生産、港湾インフラス

トラクチャ、液状天然ガス、液化天然ガス(LNG)の経営

と、戦略的投資を行う多角的なグループ企業です。

28 29

「Oracle Real Application Clustersを選択した大きな理由の1つは、私たちがOracleプラットフォームに慣れ親

しんでおり、その経験からこのプラットフォームには高い信頼性があることを知っているからです。」

― ANDRE EDWARDS氏マネージャ、情報管理サービス、National Gas Company of Trinidad and Tobago Limited

National Gas Company of Trinidad and Tobago Limitedは、信頼性とスケーラビリティを向上させつつインフラストラクチャを簡素化

N a t i o n a l G a s C o m p a n y o f Trinidad and Tobago LimitedPoint Lisas Industrial Estate、コウバ、トリニダード・トバゴ共和国

www.ngc.co.tt

業種:天然ガス

年間収益:1億7,400万米ドル

従業員:750人

オラクル社の製品およびサービス:・ Oracle Database・ Oracle Real Application Clusters

主なメリット:・ 信頼性が高く、スケーラブルで柔

軟なIT環境を構築・ Linuxで稼動するSAPアプリケー

ションで信頼性の高いパフォーマンスを得られる

・ 即 時 性 が あり完 全 なフェイルオーバーを確保する

・ ハードウェアとメンテナンスのコスト削減

NGCは、これらの変動と増加に対応するために、より多く

のコンピュータ装置を購入したため、IT環境が非常に複

雑になっていました。そのため、2006年にNGCはOracle

RACのエンタープライズ・グリッド・コンピューティング・テク

ノロジーを使用して、IT操作の合理化を決定しました。

Oracle DatabaseのオプションであるOracle RACは、従

来型の共有ディスク・アプローチの限界を打ち破った共

有キャッシュ・テクノロジーを使用するクラスタ・データベー

スです。

「Oracle RACの代替は、3つの個別のデータベースの

管理、バックアップの管理、スケジュールのバックアップ、3

つの別個のデータベースのあらゆるパフォーマンス・コー

ド測定のパッチ作業を行うはずでした。」とEdwards氏

は述べています。「現在、私たちが手にしている環境に

比較できる環境はありません。これは、基本的に1つの

データベースで5つのノードに対応しています。」

より良い障害時計画

カリブ海諸島の熱帯性低気圧は、あらゆる業務にとって

予測できない脅威です。NGCにとって、システム障害は

ガス供給サービスの中断を意味し、市民と企業に不便を

強いることになり経済的にも大きな損害を与えます。NGC

では、ソリューションを評価する際にフェイルオーバー機

能は重要な要素でした。「Oracleを検討していくうちに、

Oracleには障害時リカバリという点で、私たちに役立つ

機能があることがわかりました。」とEdwards氏は説明し

ました。

Oracle RACの障害検出およびリカバリ・システムは、ノー

ド間の負荷分散を利用するため、シングル・ポイント障害

を排除します。シングル・ポイント障害がなければ、1つの

ノードの障害が他のノードのプロセス・トランザクション機

能に影響を与えることはありません。データベースは、障

害が発生していない残りのインスタンスで継続して利用

できるため、損失や停止時間を回避できます。

またNGCは、定期的なサービス停止期間中に負荷分

散を利用することも希望していました。Edwards氏は、

「利用中に本番データベースのシャットダウンをおこなう

ことは、常に我々の心配の種でした。」と説明しています。

「Oracle RACには5つのノードがあるため、テストしてみ

たところ何の問題も起きませんでした。OracleとSAPは、

問題なく稼働し続けていました。可用性に影響を与えず

にノードを停止できることが、私たちにとって重要なので

す。」とEdwards氏は付け加えました。

Oracleを選択した理由

NGCのプロジェクトは複雑でした。NGCが導入を望ん

でいたのは、新しいSAPアプリケーションを含めて、複

数のベンダーのアプリケーションとシステムを組み合せ

たアーキテクチャの構築でした。より高いレベルで、将来

的に複雑になるのではなくシンプルで安定し標準化さ

れたスケーラブルなアーキテクチャを希望していました。

Edwards氏によれば、これらの目的を満たす唯一のソ

リューションがOracle RACでした。

「私たちの意図は、あらゆるミッション・クリティカルな用途

にOracle Databaseを活用することで、標準化された環

境を作り上げることでした。」とEdwards氏は説明しまし

た。「これらの重要なアプリケーションの一部は、SAPで

しょう。今後、アプリケーションが組織全体で使用されるこ

とに留意する必要がありました。したがって、これらの可

用性と信頼性を確かなものにしなければならなかったの

です。」

最終的に、NGCは成長が加速するたびに、製図板やシ

ステム製造業者に戻らなければならない状態を望んでい

ませんでした。「私たちは、冗長性や高可用性があり、信

頼できる環境を提供するソリューションを望んでいました。

将来、より多くの処理能力が必要になったときに、いつで

も短期間かつ低コストで拡張できるように、スケーラブル

なソリューションを求めていました。」

28 29NGC における Oracle RAC for SAP

「OracleのReal Application Clustersを使用すると、必要に応じて拡張できます。事前に大量の追加機器を購入しておかなくても、必要な時に追加機器を購入するだけで済みます。」

― Andre Edwards氏

マネージャ、情報管理サービス

実装プロセス

5つのノードを持つNGCのOracle RAC環境は、2006

年1月に開始され夏に完了しました。約600のユーザー

が使用するこの環境には、Dell OptiPlexデスクトップ

と、SAPアプリケーション用のMicrosoft Windowsおよ

びデータベース用のRed Hat Linuxを実行するDell

PowerEdgeサーバーが含まれています。

一般リリースには、Oracle-SAP-Dell-Linux構成はな

かったため、NGCで実装の成功はすべての関係者の

協力にかかっていました。「プロセスと環境の認証という

点で、OracleとSAPはともに広い範囲に渡って私たちの

役に立ってくれました。」とEdwards氏は述べています。

「最初は、いくらかの懸念がありましたが、パートナーと

作業を進めるうちに、すべての懸案事項を解決できまし

た。」

NGCは、最初の実装が困難であったとしていますが、そ

れに続くOracle-RACの2ノードによるミラー・システムの実

装には、2週間しかかかりませんでした。「基本的に、何を

すべきかがわかっていたので、簡単でした。」とEdwards

氏は説明しました。

Edwards氏によれば、Oracle RACを配置したことで

NGCはアーキテクチャを簡素化するという目的を達成しま

した。「基本的に、現在5つのコンピューティング・ノード上

に1つのデータベースがあります。」Edwards氏はさらに

続けて「Oracle RACを使用してから、これまでより簡単

に既存の環境を管理できるようになったと思います。」と

述べています

National Gas Company of Trinidad and Tobago

Limitedからのアドバイス

• 新しいシステムに投資する前に、グリッド・コンピューティ

ング・テクノロジーなど、新しいテクノロジーをビジネス・

ニーズに取り入れることができるか検討すると良いで

しょう。このようなテクノロジーにより、後で不要になる

ハードウェアを大量に購入する必要がありません。

• 使用されない過剰なテクノロジーを購入するより、必要

に応じて拡張できるインフラストラクチャに投資します。

• ある構成を使用できないからといって、その構成を実

現できないとはかぎりません。私たちの経験から、望み

の製品を入手でき、それらを併用できることがわかりま

した。

トリニダード・トバゴ政府は、1975年8月にNational Gas Company of Trinidad and Tobago Limited(NGC)を設立しました。NGCは、ガス・パイプライン、港湾インフラストラクチャ、工場用地、石油およびガスの製造、LNGおよび液状天然ガスの運営と戦略投資を行う多角的なグループ企業です。

30 31

「Oracle RACを使用してから、これまでより簡単に既存の環境を管理できるようになったと思います。」

― Andre Edwards氏

マネージャ、情報管理サービス

30 31

SAP認定のOracle RACシステム構成Windows、Linuxで構成が異なります。詳細は、SAP Note 527843をご覧ください。

Microsoft Windowsにおける一般出荷構成 Red HatまたはSuSE Linuxにおける一般出荷構成

Oracle RAC 10.2 on Windows x86, x86_64 and IA64

• Oracle Database 10.2.0.4• OCFS 10.2.0.4 (Oracle Clusterwareソフトウェアに組込み)• Windows 2003 Release 2 EE, Service Pack 2• SAP Enqueue ReplicationのMicrosoft Cluster Servicesによ

る保護(SAP Central InstanceとRAC instanceは同一筐体へ配置可能)

• iSCSIは最大4ノード

サポート対象外:

– インターコネクト用のクロスケーブル構成– Infiniband– ASM– RAWデバイス

Oracle RAC 10.2 on Linux x86, x86-64, IA64, Power – RHEL4, RHEL5, SLES9, SLES10

• Oracle Database 10.2.0.4• OCFS2 1.2.3以上

(データベース、Oracleソフトウェア、SAPソフトウェア用)• OCFS2 1.4.x SLES 10 Support Package 2 または RHEL 5.2• EMC Celerra NFS

(データベース、Oracleソフトウェア、SAPソフトウェア用)• NetAppliance NFS

(データベース、Oracleソフトウェア、SAPソフトウェア用)• SAP Enqueue ReplicationのOracle Clusterwareによる保護

(2ノード構成の場合、SAP Central InstanceとRAC Instanceは同一筐体へ配置可能)

• SAP Enqueue ReplicationのHP Service Guardによる保護(最低4ノード必要、SAP Central InstanceとRAC Instanceは同一筐体へ配置不可)

サポート対象外:

– iSCSI– FireWire– インターコネクト用のクロスケーブル構成– InfiniBand– Red Hat GFS– Veritas CFS– ASM– RAWデバイス– IBM GPFS

SAP 認定の Oracle RAC システム構成

32 33

発明の精神でグローバル・マーケットに対応

デュッセルドルフ(ドイツ)に本部を置くGottwald Port

Technology GmbHは、Demag Cranes AGの支社で

港湾用クレーンと港湾自動化テクノロジーのサプライヤで

す。可動港湾クレーンを発明し、コンテナ荷役の自動化の

先導役になったGottwald Port Technology GmbHは

90カ国以上に顧客がいます。2007/2008会計年度の生

産高は、3億2,550万ユーロで、従業員は約800人です。

世界中で約1,300台に及ぶ可動港湾クレーン装置が設

置されており、Gottwald Port Technology GmbHはこ

の市場で世界を主導しています。可動港湾クレーンと同

様に、Gottwald Port Technology GmbHは璧岸クレー

ンとクレーン船も開発し、Gottwald社のポートフォリオに

は、無人搬送車(AGV)、自動スタッククレーン(ASC)お

よび様 な々構台が含まれています。

あらゆるレベルでの体系的なアプローチ

Gottwald Port Technology GmbHは、プランニング、シ

ミュレーション、試運転、日常業務の制御など、港湾自動

化の取り組み全般にわたるシステム・サプライヤとして世

界市場で名声を博しています。

ITレベルでは、適切なハードウェアとソフトウェアを含めた

システム・ソリューション、ならびに港湾施設における円滑

な自動操作を確保するための個別対応のナビゲーション

および管理ソフトウェア・ソリューションも提供しています。

製品の範囲は、ターミナルの計画、設計、容量評価を行

うための最新のシミュレーション・テクノロジーとエミュレー

ション・テクノロジーにまで及びます。

これらにより、計画投資に先だって将来のターミナルの構

造と性能をリアルに描くことができ、投資決定を検証でき

ます。

Gottwald Port Technology GmbHは、企業の中心的

業務である、海や内陸部の港湾における機械や大規模

プロジェクトの物流ソリューションの開発に加え、ビジネス

管理問題に必要な重要性を付加し、最先端のソフトウェ

ア・ソリューションによって論理的に相互接続する方法

を提供します。自社製品に付加する技術設計の高い基

準、性能と信頼性も、組織内のERPシステムに反映され

ています。信頼性の高いHPハードウェア・プラットフォーム

にOracle DatabaseとSAPエキスパートを組み合せるこ

とにより、業務管理の観点から持続性が得られます。

Gottawald Port Technology GmbH のSAP on Oracle 10g RAC

G o t t w a l d P o r t Te c h n o l o g y GmbH

本部:デュッセルドルフ

業種:港湾およびインターモーダル出荷テクノロジー、ハードウェアおよびソフトウェア

売上高:3億2,550万ユーロ

従業員:800人

32 33Gottwald の Oracle 10g RAC for SAP

スケーラビリティによって得られる柔軟性と将来への対応性

Gottwald Port Technology GmbHは、ERPにおいて

はクラスタとして設計された開発システム、統合システム、

および生産システムという3つのレベルによる一般的なシ

ステム・ランドスケープを持っています。Gottwald Port

Technology GmbHでは、1996年から、SAP on Oracle

Databaseを実行するHP Unix環境に取り組んでいま

す。古くなったハードウェアは使用しながら新世代のハー

ドウェアに順次交換していましたが、Gottwald Port

Technology GmbHでは、従来型のクラスタを使用する

データベースで高可用性を実現するという目的を十分に

達成できませんでした。特に、Demag Cranes AGに提

出する月次報告書の作成といった重要なタイミングでは、

システムの停滞は損失につながりかねない状況でした。

ハードウェアのメンテナンス契約の期限が2007年春まで

であるのを契機に、Andreas Rogge氏が率いるITチー

ムは状況分析を行いました。その結果、SAP上の高可

用性データベースを使用して、完全にフェイルセーフなシ

ステム・ランドスケープに移行する最適な方法は、Oracle

RACを使用することであると判明しました。

「オラクル社と状況をじっくり話し合うまで、バッチ・ジョブ

の実行時やダイアログ・プロセスの許容できない応答時

間などで、改善の余地があることに気が付きませんでし

た。」と、情報技術部門のSAP BasisのITマネージャ

Andreas Rogge氏は2007年当時の状況を振り返って

述べています。

この分析は、ソフトウェアの選択に影響を与えただけで

なく、ハードウェア戦略の変更も招きました。システム・ラン

ドスケープの一般的な構造では、以前にも増してIntel

ベースのLinuxシステムが計画的に組み込まれることが

多くなりました。包括的なコスト/利益の分析から、Oracle

RACとDELL PowerEdge 2950プロセッサの組合せ

が、多大な利益を生むことがわかりました。十分に考慮

した結果、関連するコストと複雑さの点から、HP-UXと

RAC、またはHP-UXとSGクラスタを使用したソリューショ

ンが投入されました。

システム・ランドスケープ:2007年の初期状況

「次に、私たちはクラスタ・テクノロジー が 高 可 用 性を意 味するだけではなく、スケーラビリティも意味することを理解しました。考え得るかぎり、私たちのシステム・ランドスケープに大きな利益をもたらすのはRACです。」

― Andreas Rogge氏

SAP BasisのITマネージャ

34 35

エキスパートとパートナーシップの組合せ

2008年の初め、Andreas Rogge氏は一般オブジェクト

の実装、特にSAP ERPシステムを移行するために探

していたエキスパート・プロジェクトのパートナーを見つ

けました。Rogge氏と彼が率いるチームは、ミュンヘンを

ベースにしたIS4IT形式のNetApp Switched Metro

Cluster上でOracle RACとSAP ERPを稼動させる環

境に必要な知識を持つ熟練したパートナーを見つけまし

た。このパートナーは、すでにミュンヘンのクリニカル・セン

ターで同様のプロジェクトの実装を成功させていました。

2008年5月初め、認定パートナーのもとにDELLハード

ウェアが届けられ、プロジェクトは具体化し始めました。6

月中頃にはプロジェクトが進行中で、開発システムが移

行されテスト・フェーズが成功裏に完了しました。実際の

統合システム移行に先駆け、本番システムのプロジェクト

の複雑さを評価するために、統合システムがコピーされ

ました。

本番システムの移行に最適な日として、以前から2008年8

月の第1週と第2週の週末が選択されていました。SAPシ

ステムのサービス契約期限に合せた選択でした。さらに、

月次報告書をDemag Cranes AGに提出する関係で、

システムの停止時間は許されませんでした。

嬉しい驚き

2008年12月、移行の結果はまだ最終的に数値化できる

状態ではありませんでした。しかし、Andreas Rogge氏は

「達成される結果の分析は結果そのものが語る」と信じ

ていました。

「ハードウェアによって実現できることが、突然増えたこと

に驚きました。現在は、HP-UX環境で稼働させていたハー

ドウェアより、もっと多くのハードウェアを稼動させていま

す。さもなければ、システムの停滞を繰り返しながら稼動さ

せていたことでしょう。CPU負荷という点で、現在の私たち

のシステムはオーバーロードというよりアンダーロードと言

えるでしょう。」

また、その他にも様々な点が改善され、IT部門が正しい

戦略決定を行ったことを示しています。以前は、2~3秒

かかっていたダイアログの応答時間が90%低減され、現

在は300マイクロ秒未満です。バックアップの実行時間も

一部で90%削減されましたが、バックアップの実行に必要

な合計時間は、ほぼ同じです。データベースの高可用性

という点では、フェイルオーバー・テストで確認されている

ようなエラーは発生しません。全体的に、ITランドスケー

プの新しい柔軟性、信頼性およびパフォーマンスは期待

をはるかに超え、コストも大幅に削減できました。

システム・ランドスケープ:2008年の目標状況

34 35

Deutsche Telekomはコア・アプリケーションをLinux

に移動

ボン(ドイツ)に基盤を置く電気通信業界の巨人は、

Linuxオープン・ソース・オペレーティング・システムが実行

されているIntelサーバーに、世界最大級のSAPインス

トールの1つである収益管理システムを移行しました。

Deutsche Telekomは、自社内のITサービス・プロバイ

ダであるT-Systemsを通じて、Linuxプラットフォームを

より多くの基幹業務アプリケーションに使用しています。

「私たちは、プロセスのより多くの部分をできるかぎり自

動化し、工業化する戦略を推進しています。」と、会計シ

ステムの操作および技術インフラストラクチャを担当する

Christoph Böhm氏は説明します。「Linuxを使用する

と、完全にメーカーに依存することがなくなり、最短のコー

スでこの目標を達成できます。」

SUSE Linuxで稼動するIntelサーバー

Deutsche Telekomは、収益管理をオープン・ソースの

オペレーティング・システムに移行することで、企業戦略

の節目を迎えました。これを達成するために、Deutsche

TelekomはSAPソフトウェアRM-CA(SAP Revenue

Management - Contract Accounting)を使用して

います。サーバー・プラットフォームはSUSE Linuxと

Oracle 10g RACデータベースを実行するx86 Fujitsu

- Siemensコンピュータが提供しています。収益管理とほ

ぼすべての企業顧客は、ドイツの通信会社から請求され

ます。唯一の例外は、特別なコスト・センター構造を持つ

主要法人の顧客で、これらは別のシステムに割り当てら

れています。会計システムは、約4,000万件の得意先顧

客に対して年間約5億件の支払いトランザクションを処理

します。

2005年のLinux移行計画

2005年Deutsche Telekomは、会計アプリケーション・シ

ステムの全体的な概念を作成し、この移行を開始しまし

た。IT戦略の主要な問題点は、次のとおりです。

- Linuxに移行できるシステムと移行時期

- Linuxが完全にサポートされていないため、Unix派生

製品で実行しつづける必要のあるシステムの特定

Böhm氏は、「現在使用しているシステムの3分の1は、ま

だLinuxに対応していないことが明らかになりました。」と

述べています。これが、特別なアプリケーションの実態で

した(『How Linux is pushing out the Unix system』

も参照)。

Deutsche TelekomにおけるSAP on Oracle 10g RACComputerwoche(IDG)の翻訳

― Wolfman Herrmann訳2008年8月18日

出典:

http://www.computerwoche.de/knowledge_center/open_source/1871078/

36 37Deutsche TelekomのSAP on RACに関するComputerwoche(IDG)の記事

他のすべてのアプリケーションは、オープン・ソースのオペ

レーティング・システムに移行しましたが、このプロセスは

進行中です。最大の移行プロジェクトの1つは、収益管理

でした。2001年から2004年の間に、ITチームは以前分

散していた15個のシステムを単一のプラットフォームに統

合しました。プロセスの一部として、Deutsche Telekom

は15個のUNIXベースのハードウェア・プラットフォーム

を、Sun Microsystems社製のSPARC 4+プロセッサ

130個で構成された高パフォーマンス・クラスタに交換し

ました。Böhm氏は次のように説明します。「このプラッ

トフォームは、莫大な償却費用がかかりました。私たち

は古いUNIX環境の償却期間を終了させ、切り替えた

T-Systemは、動的な使用率ベースのホスティング・コンセ

プトを実現させました。」

この場合、動的とはITサービス・プロバイダが実際の使

用率に基づいて処理能力とメモリーに課金することを

意味します。Deutsche Telekomは、これが経費削減

につながったと言います。また、Deutsche Telekomは、

T-Systemによってバッチ・プロセスを20%高速化できたと

公式に発表しています。

Böhm氏は「Linuxの処理能力により、収益管理段階の

処理が20%から40%高速化されました。」と述べていま

す。「SAPを同時に使用する5,000のユーザーに対して、

約2秒強の平均応答時間を達成しました。」

UnixからLinuxへの主なステップ

ITマネージャが述べているように、移行プロジェクトにまっ

たく問題がなかったわけではありません。「ホスティング・プ

ロバイダがDeutsche Telekomの収益管理システムレ

ベルのアプリケーションをLinuxプラットフォームに移行す

るときには、大変勉強になりました。結局のところ、慣れ親

しんだUNIXシステムに比べてより小さなLinuxシステム

で十分運用されているわけです。」T-Systemsは実稼働

を開始しました。企業内のITサービス・プロバイダによる

と、この「動的サービス」の60%以上がLinuxシステム上

で運用されています。

しかし、Deutsche Telekomのテクニカル・エキスパート

でさえ、1点だけ再考する必要がありました。2007年の初

頭、ビジネス・プロセス・ロジックをテストしました。Böhm氏

は次のように説明しています。「多数のプロセス段階を

改善するために、計画的なシステム切替えを採用しまし

た。現在、このビジネス・プロセスは、最適化する前に必要

だったリソースの約40%しか必要としていません。」

Deutsche TelekomのITの歴史

かつての端末ごとのSAPインストールは、Deutsche

TelekomのITの歴史を物語ります。

1990年代の初め、Deutsche Telekomはドイツの各地

域を結び、IBMのUNIXであるAIXを実行する15個の

SAP会計システムのネットワークを構築しました。当時の

IT担当者は、これはその時点のハードウェアに十分なス

ケーラビリティがなかった結果であると説明しています。

しかし、顧客の移動や移転などによる頻繁なデータ統合

は、許容範囲を超えるコストがかかりました。長年の間に

必要となった様々な変更により、メンテナンス費用も増大

しました。

36 37

背景

Indian Express Groupは、インドで最も知られたメディ

ア企業で、数々の有名な出版物を発行しています。この

グループは、優れた調査報道を推進し「Journalism of

Courage(勇気の報道)」というスローガンを掲げている、

The Indian Expressを所有しています。また、インド経済

に焦点を当てた経済新聞「Financial Express」、マラー

ティー語の日刊新聞「Loksatta」、ヒンディー語の日刊新

聞「Jansatta」、インドのエンターテインメント業界を対象と

したタブロイド紙の「Screen」も所有しています。

目的

インドのメディア業界は、非常に競争が激しく、変化する

消費者の要求と技術的な発展に応じて絶え間なく変

化し続けています。2004年後半には、Indian Express

Groupでさえ、ジャーナリズムに新しい基準を確立しよう

と、ITインフラストラクチャをコスト効率良く拡大することに

取り組んでいました。

全国紙の新聞として、Indian Express Groupは国内の

19箇所以上に拠点があり、品質に妥協することなく出版

物を迅速に発行できる堅固なITインフラストラクチャを必

要としていました。競走で優位に立つために、グループは

長年に渡って様々なソフトウェアとハードウェアを配置し

てきたため、情報の分散化、多数のPoint-to-Pointインタ

フェース、一貫性のないビジネス・プロセスが問題になっ

ていました。

Indian Express GroupのバックボーンであるLAN

サーバーでは、クライアント・ライセンス数に制限のある

Novell Netware 3.12 OSが使用され、メッセージ配信

には.cc:Mail 8.2を使用していました。即時性が極めて重

要な業界において、これらのアプリケーションは、グループ

の敏捷さに影響を与えていただけではなく、複雑でメンテ

ナンスにコストがかかっていました。コスト効率良く既存の

ニーズを満たすだけではなく、将来に必要な信頼性を得

るために、グループがソリューションを評価する必要があ

るのは明白でした。

「私たちが優先したかったのは、画一性、標準化、および

操作の互換性を確保しつつ、将来もテクノロジーやベン

ダーの制限を受けることなく、迅速に成長するためのIT

基盤を構築することでした。」と、Indian Express Group

のCIO、Tridib Bordoloi氏は説明しています。

「私たちが優先したかったのは、画一性、標準化および操作の互換性を確保しつつ、将来もテクノロジーやベン

ダーの制限を受けることなく、迅速に成長するためのIT基盤を構築することでした。」

― TRID B BORDOLOI氏CIO、Indian Express Group

SAP on Oracle10g RAC:Indian Expressは、Red Hatソリューションを選択して、レガシー・インフラストラクチャについて将来を見据えたプラットフォームに変換

Indian Express Group

業種:メディア

地域:インド

目的:既存のレガシー・インフラストラクチャを将来を見据えたソリューションに変換することは、既存の投資を保護しながら、グループがコスト効率の改善を促進する土台を築くことになります。

移行パス:Novell Netware 3.12 OSからRed Hat Enterprise Linux 5へ

ソフトウェア:O r a c l e D a t a b a s e 1 0 gとR e a l Application Clustersを使用するRed Hat Enterprise Linux 5

ハードウェア:Dell PowerEdge 1900、2800、2900サーバー・シリーズ、64ビットIntel Xeonプロセッサ

利点:Red Hat Enterprise Linux 5の実装は、Indian Expressに高可用性の安全で信頼性の高いプラットフォームを提供しました。ベンダーに依存しないこのプラットフォームは、ハードウェアの追加投資がなく高いコスト効率で拡張できます。

38 39Indian Express Group の Oracle 10g RAC for SAP

ソリューション

将来の成長に貢献する正しいインフラストラクチャを評価

する際、考慮すべき4つの事柄がありました。「メディア業

界では、停止時間を許されません。このため、高可用性

は不可欠な要件です。私たちは、TCO、将来への即応

能力および拡張性という点からもプラットフォームを評価し

ました。」とBordoloi氏は述べています。

最終的に、チームがファイル・サーバーとプリント・サーバー

を効率的に運用しているRed Hat Enterprise Linux

に習熟していたことから、迅速な決断が下されました。実

際、グループのITチームのほぼすべてのメンバーがRed

Hat Enterprise Linuxの使用と実装のトレーニングを受

けていました。

Indian Express Groupは、Linuxを中心に一連の現

代化を主導することを計画しました。ビジネス・プロセスを

合理化し完全にコントロールして、国内全体で情報の透

明性を達成するために、Red Hat Enterprise Linux

5上で稼動するSAPを実装しました。Indian Express

Groupは、素材管理、メディア広告管理、会計および管

理、メディアの販売および配布を行うために、4つのSAP

モジュールをインストールしました。

「Red Hat Enterprise Linux 5を選択することは疑

いの余地がありませんでした。将来を見据えたプラット

フォームを構築するための要件すべてを満たすからで

す。私たちは、オープン・スタンダードを支持します。また、

単一ベンダーの制約も受けたくありませんでした。Red

Hatは、必要に応じて、別のハードウェア・プラットフォーム

に変更できる柔軟性があります。」とBordoloi氏は述べ

ています。

さらに、SAPはRed Hat Enterprise Linux 5を認定し

ています。そのため、 Red HatソリューションとSAPのす

べてのモジュールとが完全な互換性を持つために必要

なすべての条件が満たされています。

利点

使いやすく、既存の投資を保護し、ハードウェアに追

加投資せずにコスト効率良く拡張できる。Red Hat

Enterprise Linux 5によりIndian Express Groupは、

テクノロジーの制約を受けずにビジネス目標に向かって

前進できるようになりました。国内の他の新聞と同様、組

織で場所を問わずに円滑に記事とページを転送できるこ

とは極めて重要です。現在、これは代理店への供給を含

めて、ワークフロー全体により実現されています。結果とし

て印刷の品質を落とさずに、最新の号外ニュースに対応

できるゆとりも生まれます。

「高可用性と信頼性についても、Red Hat Enterprise

Linux 5は、サード・パーティ製のソリューションを追加購

入することでクラスタ化や仮想化などの機能にも手が届

きます。」とBordoloi氏は説明しています。

Indian Express Groupは、Oracle Real Application

Clusters(RAC)10gをデータベースとし、Red Hat

Enterprise Linux 5をプラットフォームとして使用してい

ます。この組合せにより、グループの柔軟性が向上し、運

用コストを大幅に削減できます。たとえば、現在のIndian

Express Groupでは、動的にノード、ストレージまたは

CPUを設定して、コストを抑え使用率を改善できます。

「コスト、柔軟性、信頼性を兼ね備えたRed Ha t

Enterprise Linux 5は本当に、私たちの期待以上でし

た。現在ある他のソリューションと比較し、TCOを非常

に低く抑えることができます。それ以上に重要なのは、

毎日のように新しい脆弱性や脅威に直面している他の

プラットフォームとは異なり、Security-Enhanced Linux

(SELinux)機能を使用したRed Hatのセキュリティ

機能が、私たちに安心をもたらしてくれたことです。」と

Bordoloi氏は述べました。

「Indian Express Groupは、常にメディアの自由という価値を支え続けています。それはまるで、オープンな精神が、オープン・ソースを支えているようなものです。」

― Tridib Bordoloi、CIO、

Indian Express Group

38 39

Indian Express Groupについてさらに何が特別かと言

うと、このグループがオープン・ソース・テクノロジーの使用

という流行を作り出したことです。メール・サーバー、ファ

イル・サーバー、SAP、さらに企業のWebサイトに至るま

で、Indian Express GroupはバックエンドにRed Hat

Enterprise Linuxを使用しています。賞賛の言葉は、

これで終わりません。「Indian Express Groupは、地域

で最も早くSAP on RACを使い始めたユーザーなので

す。」とBordoloi氏は述べています。

Bordoloi氏は、「Indian Express Groupは、社会を前向

きに変革できる品質の高い記事を発行する最前線であ

り続けてきました。最新のNetwork Worldテストでは、同

一ハードウェア上のWindows 2008より12%消費電力が

少ないことが明らかになり、Red Hat Enterprise Linux

が最もエコロジーなオペレーティング・システム(Greenest

Operating System)として選ばれたときに、私たちは良

い選択をしたことと、住みやすい世界にするために、小さ

な貢献ができたことを喜びました。」と説明しました。

Indian Express Groupは、4C Plusによって開発されたNewsWrap編集システムを実装することで

(一昔前のfoxpro/DOSレガシーから脱却)、インド全域のすべての出版物の編集業務を合理化しました。この統合システムは、編集業務のすべてを網羅した完全なワークフローです。これは、支局や代理店など、あらゆるソースからの供給物を取り込み、使用する広告ページ企画があらかじめ準備されたQuarkXpressの関連ページに情報を流し込み編集作業を行います。

広告ページ企画は、やはり4C plus社製のLayout-Xページ企画システムを使用します。Layout-Xは、SAP IS/MAMおよびNewsWrapとシームレスに統合されています。

Layout-Xは、所定の日に編集が予定されている広告をピックアップして、広告ダミー(ページ企画)を動的に作成します。Layout-Xが提案したページ企画の仕上げでは、手作業で修正が行われることもあります。ページ公開の締切りごとに、ページ企画を編集できます。緊急にページ企画が変更された場合は、ページ更新のオンライン通知が編集ユーザーに送信されます。最終的に広告を配置する位置がピックアップされ、SAP IS/MAMでは、広告請求の更新が行われます。

前述のユーティリティは、両方ともOracle 10gをデータベースとし、RHEL 5xをプラットフォームとして使用しています。

40 41

ASE Groupは、半導体の製造検査および組立てサー

ビスの独立系世界最大手プロバイダです。ASE Group

のソリューションには、総合的な回路試験プログラムの

設計、フロントエンドのエンジニアリング試験、ウェハー・プ

ローブ、ウェハー・バンプ、回路基板の設計および供給、

ウェハー・レベル・パッケージ、フリップ・チップ、システムイン

パッケージ、最終試験と設計製造サービスが含まれます。

ASE Groupのグローバルなデプロイ能力は、競合他社

を押え大きく優位に立っています。この組織の主力企

業であるASE Kaohsiungは、台湾で第2の都市に工

場を持ち、その収益はグループ全体の60%以上を占め

ています。

2007年、ASE KaohsiungはOracle Database 10gと

Oracle Real Application Clusters(RAC)を基盤に

した新しいデータベースを実装し、企業リソース計画の

配置をサポートし一連のシステム問題を解決しました。

この中には、パフォーマンス上のボトルネックと、ファイル・

アーカイブ化の問題がありました。高可用性ハードウェ

ア・アーキテクチャからOracle RACへの移行により、パ

フォーマンスと管理機能が向上し、工場の投資収益が

増加しました。

ASE Groupの広報担当者は、次のように述べています。

「Oracle Database 10g とOracle RACをベースにし

た新しいシステム・アーキテクチャは、パフォーマンスと信

頼性が一体化されています。」

「ユーザーの反応も良好で、顧客サービスを拡大し続け

ることができます。」

売上成長が要求するITパフォーマンスの向上

ASE Groupは、世界中に展開しています。台湾の施設

には、カオシュン工場と、半導体の総合的な製造サービス

を提供するチュンリーでの事業が含まれます。

ASE Groupは、単一サプライ・チェーンから統合サービス

を提供することで、競合他社との差別化を図っています。

フロントエンドの試験と設計、ウェハー・プローブ、パッケー

ジ設計、回路基板の設計と製造、パッケージ・サービス、

製造試験、およびシステム組立てを提供することで、ASE

Groupは顧客の処理期間の短縮、製品の高い収益と信

頼性の確保に貢献しています。このパフォーマンスにより

売上は著しく伸びましたが、出荷要件の複雑さも増加し

ました。ASE Groupが製造する各ロットは規格品ではあ

りません。そのため各顧客の指示や要件に基づいて、個

別に梱包する必要があります。

ASE Groupカオシュン、台湾www.aseglobal.com

業種:ハイ・テクノロジー

歳入:3億300万米ドル

従業員:13,000人

Oracleの製品およびサービス:Oracle DatabaseOracle Real Application Clusters

主なメリット:・ 二次機器の利益拡大を含めた、

ハードウェア・リソースの使用拡充

• システムの可用性に影響を与えずに、新しいハードウェア・ノードをシームレスに追加できる可能性を獲得

・ オンライン・アーカイブとデータ再編成により、ITの管理、メンテナンス、運用にかかるワークロードを低減

「Oracle Database10gとOracle Real Application Clustersをベースにした新しいシステム・アーキテクチャは、

パフォーマンスと信頼性が一体化されています。ユーザーの反応も良好で、顧客サービスを拡大し続けることがで

きます。」― 広報担当者、ASE GROUP

ASE Group は、新しいシステム・アーキテクチャに変更し、パフォーマンスとサービス品質を向上

40 41

ASEのカオシュン工場は、ほぼ年中無休で製品を出荷し

ています。出荷ごとに、工場の企業リソース計画システム

の会計および他の関連コンポーネントで一連のプロセス

が開始されます。しかし、データ・アーカイブの不備やボト

ルネックによって頻繁に低下するパフォーマンスなど、一

連の問題は生成されるデータ量が原因でした。

ASE Kaohsiungは、サーバー・ハードウェアを拡張して

急増する需要に対応する方法が、企業にとって財務の

大きな負担になることに気が付きました。企業リソース計

画システムとデータベースは、本番サーバーとバックアッ

プ・サーバーにまたがる高可用性アーキテクチャで実行さ

れています。アクティブ/パッシブなクラスタとして稼働する

この2ノードのシステムでは、バックアップ・サーバーがオン

ラインに保たれていますが、アプリケーションやサービスを

エンド・ユーザーに提供していません。

2004年に初めて企業リソース計画システムを実装した

際に、ASE Kaohsiungはシステム管理用にOracle

Databaseをインストールしました。しかし、元のアーキテ

クチャはデータの急増に対応できなかったため、ASE

Kaohsiungはデータベースと企業リソース計画システ

ムの両方で、包括的にアップグレードすることを選択し

ました。

ASE Kaohsiungは、必要なハードウェアを購入し企

業リソース計画システムの最新バージョンとOracle

Database 10gおよびOracle RACをインストールしま

した。

データベースのメンテナンスと運用の強化

ASE Kaohsiungは、Oracle RACならびに、Oracle

Database 10gの新しい技術的フレームワークと機能

の柔軟性によって得られるパフォーマンスの改善に着

手しました。「新しいデータベースで改善された管理お

よびオンライン機能により、私たちのデータベース管理

のワークロードが低減されました。」と広報担当者は述

べています。

かつて、ASE Kaohsiungの情報テクノロジー・スタッフ

は、本番システムを中断しないようにサーバーをオフライン

にし手動でファイル作業を再編成しなければなりませんで

した。Oracle Database 10gにより、オンラインでのファイ

ル・アーカイブが可能になり、スタッフのワークロードが低減

されました。

システム・アップグレードとアーキテクチャの変更プロジェク

トの最も熱心な支援者であったユーザーは、改善された

パフォーマンスと応答時間の恩恵を受けています。

「Oracle Database 10gとOracle RACで構築された新

しい環境は、このミッションを首尾よく果たしました。」と広

報担当者は述べています。

Oracleを選択した理由

ASEは、2007年1月にアップグレード・プロジェクトを開始し

ました。このプロジェクトでは、企業リソース計画システム、

データベースのアップグレードとOracle RACの実装が行

われ7月末に完了しました。この新システムは、8月1日に運

用を開始しました。

ASEがOracle Database 10gを選択した理由は、業務

の鍵となるプラットフォームとしてOracle Databaseには

定評があるためです。また、Oracle Databaseは、市場

最高のシェアを持つ業界を主導するブランドです。これら

の要素により、ASEは競合他社のソリューションは一切

評価せずに決定を下しました。

広報担当者は、「Oracle RACは完成された製品で、一

連の主要機能を提供してくれます。」と述べています。

現在、Oracle Database 10gとOracle RACをインス

トールしているのは、ASE Kaohsiungのみで、ASEの

他の業務部門はまだ独自のシステムを使用しています。

「Oracle RACの卓越したパフォーマンスを基盤として、

私たちは他の業務でもこの環境を再現したいと思ってい

ます。」と広報担当者は述べています。

「Oracle Database 10gとOracle RACをベースにした私たちの新システムは、パフォーマンスと信頼性が結合されたものになりました。」

― 広報担当者、

ASE Group

ASE Taiwan の Oracle 10g RAC for SAP

42 43ASE Taiwan の Oracle 10g RAC for SAP

実装プロセス

ASE Kaohsiungは、プロジェクトの一環として事前に6ヶ

月かけ概念実証を行い、最高のシステム・パフォーマンス

を得るための方法を特定しました。この工場では、オラク

ルの支援を受けながら、最大の投資回収率を得る方法

を追求しました。新しい環境は、2007年8月1日に稼働を

開始。Oracle RACは、元の高可用性環境に見事に置き

換わり、工場はハードウェア・リソースを十分に引き出すこ

とができるようになりました。

「古い高可用性アーキテクチャでは、2つのサーバーを

購入しても、片方は本番用、もう一方は待機用として控え

ていました。」と広報担当者は説明しています。「Oracle

RACを実装してからは、両方のシステムが同時に実行さ

れるため、両方のシステムの可能性を有効に使用できま

す。最も重要なことは、パフォーマンスが改善されたことで

す。」

ASE Kaohsiungは、Oracle RACのスケーラビリティも

歓迎しています。情報テクノロジー・マネージャは、クラスタ

にハードウェア・ノードを追加して、システムの可用性を低

下させることなく、リソースを増加できます。OracleのRAC

ソフトウェアの機能により、複数のハードウェア・プラット

フォームがサポートされただけではなく、ASE Kaohsiung

の選択肢も拡大しました。

ASE Kaohsiungは、ASE Groupの半導体製造テストおよび組立てを専門とする主力事業です。ASE Kaohsiungの工場には、グループのR&Dセンターがあり、ワールドクラスの組立て、ウェハー・バンプ、および試験サービスを行っています。ASE Kaohsiungは、回路基板の設計と製造能力を含めた、完全なターンキー・サービスを提供します。

42 43

プロファイル:DIEHL Informatik AG

情報および通信システムのコンサルタントと運営を行う企

業として、DIEHL InformatikはDiehlグループ内の他

の企業や外部の製造業、商業、サービスなどの企業を支

援しています。DIEHL Informatikでは、85人のスタッフ・

メンバーが働き、企業コンサルタント、情報管理システム、

企業システム(SAP®)、E-Businessシステム、電子アー

カイブ・システム、PCシステム、インターネット/イントラネット・

サービス、システム統合、システム移行および運用、電気

通信、ITセキュリティ、トレーニングおよびハードウェア/ソ

フトウェア配布などの分野を取り扱っています。Webサイ

トは、www.diehl-informatik.deです。

Diehlグループは、ニュルンベルクに基盤を置いています。

この国際的なテクノロジー企業は、金属、制御、防衛、お

よび航空システムの4部門で編成されています。従業員

は約11,000人で、年間取引高は2億2,000万ユーロです。

直面した問題

内部的、外部的なSAPシステムのアップグレードとメン

テナンスにかかる労力が大きいことから、この管理作業

を長期的に効率良く最適化する方法を探し始めまし

た。まず、いくつかのSAPシステムの管理の複雑さを排

除するために、SAP MCOD(Multiple Components

in One Database)を導入しました。これにより、複数の

SAP Basisシステムのデータを物理的に単一のOracle

Databaseに格納できるようになりました。しかし、このアプ

ローチでは、データベース・サーバーに障害が発生したと

きに、複数のSAPシステムを使用できなくなる危険があり

ました。そこで、DIEHL InformatikはMCODアーキテク

チャの可用性を高める方法を探し始めました。

また、DIEHL Informatikは将来に備えて設備を増強

し、さらにシステムのスケーラビリティ、パフォーマンス、およ

び一般的な安定性を改善したいと考えていました。

従来型の高可用性の概念では、一般的に複数のサー

バーを重複させる必要があるため、管理作業が複雑に

なり、エラーが発生しがちでした。DIEHL Informatik

は、これを望んでいませんでした。かわりに、Oracle

Databaseに満足している顧客として、自社の要件に理

想的なソリューションをOracle RAC(Real Application

Clusters)に見出したのです。

単刀直入に言えば、Oracle RACを使用することでより

高い安定性と容易な管理が実現しました。また、複数の

データベース・ノードの負荷分散は、スケーラビリティを

大幅に向上させました。Diehl Informatikは、既存の

管理チームでこれまでより多くのシステムを管理できるよ

うになりました。これがどのようにして実現されたか説明

しましょう。

「驚くほど短期間で実装し、安定性とスケーラビリティが向上し、以前より少ない労力と時間でSAPリリースをアッ

プグレードできるようになりました。全体的に最高の結果が得られました。」

― ZORAN STRLJIC、DIEHL Informatik GmbHのプロジェクト・マネージャ兼SAP Basisチーム・リーダー

DIEHL InformatikのWindowsで稼動するSAPとOracle Ral Application Clusters(RAC)

DIEHL Informatik

業種/ビジネス分野:Diehlグループのメンバーで、情報および通信システムのコンサルタントと運営を行う企業です。

従業員:DIEHL Informatikで85人Diehlグループでは11,000人

Oracle製品:・ Oracle RAC・ Oracle Database 10.2.0.2・ RAC上でのMCOD構成

得られたメリット:・ 安定性の向上・ より少ないサーバーで、より大き

なスケーラビリティ・ 低減された管理作業、リリース・

アップデートにかかる時間の短縮

・ システムの拡張性の向上・ 将来も保証されるシステム

SAP:・ SAP Business Suite(ECC6.0)・ SAP BI・ SAP CRM・ NetWeaver 2004s・ MCOD・ Solution Manager

インフラストラクチャ:・ FSC PRIMERGY BX620S4(Intel

Quad-Core)・ MS Windows Server 2003・ NetApp iSCSIクラスタ

44 45DIEHL Informatik の Oracle 10g RAC

一石二鳥以上の効果

このソリューションのアプローチは、次のとおりです。防

衛部門では、SAP BIとSAP CRMでUnicodeを使用

するSAP Business Suiteの拡張を準備するために、

中規模のSAP ERPシステム(ECC 6.0、700ユーザー、

Oracle Database 10g、MS Windows Server 2003)

が必要でした。Oracle RACの導入目的は、このSAP

MCODシステムの安定性を高めることでした。しかし、IT

は新しいデータ・センターへの移転と同時に、既存の古

いマルチサーバー・ランドスケープは、Fujitsu Siemens

Compu t e r s社製の新しい強力なPRIMERGY

BX620S4 Intel quad-coreブレード・サーバーに変更さ

れました。このストレージ・ランドスケープには、SCSIイーサ

ネットを使用した最新のNetApp FAS3070クラスタが用

意されました。

SAPのアップグレード、Oracle RACの導入、インフラスト

ラクチャの更新など同時に多くの変更が行われました。

しかし、Diehl InformatikのSAP Basisのチーム・リー

ダー兼プロジェクト・マネージャのZoran Strljic氏は、まっ

たく心配していませんでした。入念な準備とLNW-Soft

GmbHのLenard Buday氏という熟練したRAC/SAP

実装パートナーにより、このチームは2つのOracle RAC

データベース・ノードに4つのインスタンスを持つSAP本

番システムをわずか8週間足らずで実装しました。これに

は、すべてのテスト・システムと本番システムのSAPリリー

スのアップデート作業と、システムを新しいサーバーに移

動させる作業も含まれていました。全体的に、比較的短

期間で完了しました。現在、Fischer氏率いる管理チーム

は、2008年7月以降から、システムが「円滑かつ非常に安

定して」稼動していることを確認しています。

現在までの経験と得られたメリット

RACのみを実装するためにかかった時間(つまり、SAP

リリースとハードウェア・インフラストラクチャ・サーバー・アッ

プデートを含まない)を考慮に入れると、この作業には、6

週間しかかかっていません。これは、予想より短く作業の

途中で問題が発生することもありませんでした。Oracle

RACにより得られた副次的効果として、日常業務の安定

性が大きく改善されたことがわかっています。このような

効果には、突出したレベルのスケーラビリティも含まれま

す。このため、負荷要件が増加すると、他のデータベー

ス・ノードを迅速かつ簡単に追加できます。SAPインスタ

ンスの割当ても柔軟で、特定のOracle RACデータベー

ス・ノードに対するMCOD領域およびプロセスも改善さ

れました。そして忘れてはならないのは、安定性を増す

ために使用してきた従来の方法と比較して、管理作業

が少なくなりました。このシステムを新しいハードウェアと

組み合せたことで、アップグレードにかかる時間も短縮さ

れました。

節約できた時間で、管理チームは経費と生産性の主要

要素であるSAPシステムを今まで以上にサポートできるよ

うになりました。これは、SAPのエンド・ユーザーが以前よ

り高速かつ高い信頼性で、新しい機能を使用できるよう

になったということです。

大きなメリットを経験した結果、DIEHL Informatikでは

SCM、APO(このケースでは、LivecacheなしのOracle

Database)および独自エンジンを使用するPLMなど、他

のSAPアプリケーションをOracle RACに実装することを

検討しています。

向上した持続性

Diehl InformatikのSAPチームは、全体的にOracle

RACの持続性が向上し、より迅速かつ柔軟に新しい問

題に対応できるようになったと報告しています。結果とし

て、企業の新しい目標をコスト効率良く、高い信頼性で支

援を動的に提供できるようになりました。

「Oracle RACは私たちに期待以上の結果をもたらし、私たちの持続性と競争力の両方を向上させてくれました。」

― Zoran Strljic、

Diehl Informatik GmbHのプ

ロジェクト・マネージャ兼SAP

Basisチーム・リーダー

44 45

プロファイル:Bauerfeind AG

Bauerfeind AGは、圧縮靴下、サポーター、整形器具、

矯正用インソール、義肢などの医療補助具を製造する、

業界リーダーの1社です。また、関連計測システムも供給

しています。ドイツで1929年に設立された中規模の同族

会社で、従業員は約1,800人、ドイツに3箇所、ヨーロッパ、

中東、および米国に15箇所の支社があります。

この企業のモットーの「動くことは人生である」は、地域

および海外のスポーツに対する強い関わりを示していま

す。世界中のトップ・アスリートがBauerfeind社の高品質

な製品を信頼しています。2008年、ヨーロッパで最も成功

しているステア・レーサーは、世界で最も高いビルの1つ

Taipei 101の2,046段の階段を登るレースで優勝しまし

た。このとき、彼は医療用圧縮靴下を着用していました。

この企業は、2001年からドイツのオリンピック・チームの公

式サプライヤを務め、関連業務としての整形外科サー

ビスも北京オリンピックに同行しました。Bauerfeind社の

製品は、高品質の医療用品販売店で販売されているた

め、誰でもがトップ・アスリートの愛用する製品を購入でき

ます。

www.bauerfeind.com

伝統と革新の融合

Bauerfeindには、革新という伝統があります。この企

業の知識と経験は、1999年に開設されたInnovation

Centerでの患者やアスリート達との協業から得られ、そ

こから新製品の開発や改善のアイディアが生まれまし

た。IT部門は、「ITはビジネスを駆動する」というモットー

で、Bauerfeind社の製品が市場で成功するために大き

な役割を果たしました。

絶え間ない成長は結果として、複数のサイトと異なるIT

システムの運用という問題を生み出しました。2002年、

Bauerfeind AGの設立を機会に、Zeulenrodaの中央

サイトで標準SAP ERPソリューションを使用して統合

することを決定しました。現在、ほぼすべてのモジュー

ル(GTS、CRM Mobile Sales、およびBI)が40以上の

システムで稼働しています。すぐにBauerfeindは、IBM

AIXインフラストラクチャだけでなく、Oracle Databaseを

企業の主要な標準とすることのメリットを確信しました。

成長管理

言うまでもなく、国際的に成功をおさめた中規模の企業

では、絶え間ないデータの増加を経験します。2008年に

は、最大規模のOracle Databaseで管理するデータ量

が2TB前後になりました。これは決して巨大ではありませ

んが(一部の企業では20TBを管理し、そのデータは増

え続けています)、週におよそ2GBずつデータが増加し、

バックアップとリカバリに非常に時間がかかるようになり

ました。そこで、Data Centre/SAP Basisマネージャの

Alexander Käferlein氏と彼のチームは最適化を検討

「Oracleの索引キー圧縮は、最小限の労力で効果的なデータベースの最適化が実現できる素晴らしい方法で

す。Oracle/SAP Global Technology Centerからのプロフェッショナル・サポートが、非常に短期間で将来の拡

張を視野に入れた私たちのプロジェクト実現に力を貸してくれました。すべての面で期待通りでした。」

― ALEXANDER KÄFERLEIN、Bauerfeind AGのData Centre/SAP Basisマネージャ

「動くことは人生だ - BauerfeindにおけるOracle索引キー圧縮」

Bauerfeind AG + Projektwww.bauerfeind.com

業種:医療補助具の製造業者(整形器具をサポートする圧縮靴下、矯正用インソールおよび靴、人口装具の部品および素材)

従業員:1800人(全世界)

Oracle製品:Oracle Database 10.2.0.2、索引キー圧縮前のサイズは2TB

主なメリット:データベース・サイズを15%削減、索引を50%削減、高品質、2週間という短期間で実装、将来の拡張性を確保、Oracleがサポートするプロフェッショナル・プロジェクト

SAP:40のセントラル・システム、ERP

(ECC6.0)、Internet Sales 5.0、CRM 4.0、NetWeaver 2004s、BI 7.0、CO、GTS、すべてのモジュールがアクティブ

インフラストラクチャ:I B M P o w e r 5 / J S 2 2 B l a d e Power6、AIX 5.3 TL7 / 6.1 SP2、LPAR’s uncapped

46 47Bauerfeind 社の Oracle 索引キー圧縮

し始めました。このチームは、計画されているUnicodeへ

の切替えを前に、エクスポート/インポート時間を最小限

に抑えるために、よりスリムなデータベースを必要としてい

ました。

バックアップのソリューションはすぐに見つかりました。パ

ラレル化を改善することで、バックアップ時間を11時間か

ら4.5時間に削減できました。しかし、リカバリにはまだ8時

間以上かかります。この時間を最小限に抑える必要があ

ります。SDN(SAP Developer Network)の支援とウォ

ルドルフのSAP/Oracle Technology Centerの有益な

アドバイスにより、答えはすぐに見つかりました。それは、

Oracleの索引キー圧縮です。

Oracle索引キー圧縮 - 最適化の方法

Oracleが提供するのは、データベース表の最適化だ

けではありません。Oracle8以降は、Linux/UNIX/

Windowsオペレーティング・システムで索引キー圧縮を

提供しています。名前が示すように、このプロセスには索

引エントリ(索引ブロック)から重複する値を削除するプ

ロセスが含まれます。これは、ディスク領域を節約し、パ

フォーマンスを改善するための重要な方法です(この冊

子の18ページを参照してください)。このプロセスは、メン

テナンス要件がなく完全に透過的です。

通常、SAP環境では索引は表サイズの約50~60%、

データベース全体の30~40%になります。そのため、合

計サイズを20~30%削減できます。索引の場合は、最大

75%まで削減が可能です。これは、検討する価値があり

ます。たとえば、10TBのデータベースでは最高3TBまで

削減できることになります。これはディスク容量、バックアッ

プ、アップデートおよびリカバリ、すべての点で大きなメリッ

トがあります。

短時間での実装と明らかなメリット

Oracleの索引キー圧縮の認定と有用性についてSAP

からアドバイスを受けた後、2008年2月からERP、BIお

よびCRMシステムの最も大きいデータベースのパイロッ

ト・プロジェクトが開始されました。通常、SAPは新しい

機能を初めて使用する顧客には、パイロット・プロジェク

トの手順を指定します。100以上の顧客からの確実な

経験をもとに、SAPはGAステータス(一般出荷)として

います。

Bauerfeindのパイロット・プロジェクト中も、ウォルドルフに

あるOracle/SAP開発チームと電話や電子メールで直

接連絡(電話や電子メール)を取り合いました。Oracle/

SAP開発チームは、顧客固有の要件とシステム・ランドス

ケープに簡単に適用できる、事前定義されたスクリプトを

提供しました。オラクルは、レポートの最適化と確認を支援

しましたが、現場ではそれ以上のアドバイスやサービスは

必要ありませんでした。

Alexander Käferlein氏によれば、有用なヒントやリアルタイムで提供される迅速な応答など、Oracleは最高のサポートを提供しました。このプロジェクトは、わずか2週間で問題なく完了しまし

た。プロジェクトを通し、費やした労力は得られたメリットと

比較して最小限でした。

結果

2008年の開始時点:SAP ERPの最大データベースは約

2TB、3~4個のCPUが割り当てられており、リカバリ時間

は、8時間でした。

「Oracleの索引キー圧縮は、最小限の労力で効果的なデータベースの最適化が実現できる素晴らしい方法です。」

― Alexander Käferlein、

Bauerfeind AGのData Centre/

SAP Basisマネージャ

46 47

圧縮に適した約400個の「索引候補」を選択し、スクリプ

トを起動すると、平均して約40~50%索引を圧縮できま

した。これには、データベースを2TBから1.7TB、つまり

300GB=15%縮小する(表を参照)効果がありました。

DBTABLOG(120GB)やCOEP(47GB)などの表は、

索引圧縮の良い例です。DBTABLOGの索引部分

は、23GB/17GBから15GB/6GBに縮小しました。これ

は、35~65%の削減になります。COEPの場合、索引は

8GB/6GBから2GB/1GBに削減されました。これは、75~

84%の削減になります。

さらに、AIX LPAR仮想化のCPUロードは2分の1CPU

に軽減されました。これらの有意義な結果は、日常業務、

システム全体の管理容易性、応答時間、領域要件、バッ

クアップとリカバリにかかる時間などでプラスの効果があ

りました。最も恩恵を受けたのは、システムに接続された

支社や工場の日常的な国際間のビジネスです。

Oracleとの将来

Oracle索引キー圧縮を使用し、確かな経験と実益を短

時間で手に入れたAlexander Käferleinのチームは、特

にSAP BIと2008年末に予定していたSAPのUnicode

への変換で、このテクノロジーをより大規模に使用するこ

とを決定しました。

2009年、Bauerfeindではシステム全体の高可用性をさ

らに改善するために、別の革新的なOracle Databaseオ

プションを導入する計画を立てています。それは、Oracle

RACです。

Oracle Databaseのファースト・クラスの機能、品質、サ

ポートで、計画しているOracle RACの稼動も必ず成功

することでしょう。

SAP ERP 索引 圧縮前 圧縮後 削減率

DBTABLOGA 23GB 15GB 35%

B 17GB 6GB 65%

COEPA 8GB 2GB 75%

B 6GB 1GB 84%

48 49

信頼性を重視し、Oracle9i Databaseを採用

SAP BW活用による、データ量の増大解決のために

データ・セグメント圧縮により、平均40%削減

家庭用ゲームソフトの開発・販売を中核事業として

成長を続ける株式会社カプコンでは、基幹システム

としてSAP R/3を導入、さらにSAP BWを活用し、

さまざまなデータを分析し経営に反映させている。

そして、それらのシステムを支えるデータベースとし

て、Orac le9 i Databaseを採用している。今回は

Oracle9i Database採用の経緯から、SAP BW利

用時に必ず直面するであろう課題と、その解決手段、

さらに今後の展望などについて、同社IT統括情報シ

ステム室 システムインフラチーム長 水野和人氏にお

話を伺った。

信頼性重視でOracle9i Databaseを採用

カプコンでは基幹システムとしてSAP R/3を採用

し、Windowsサーバ上で利用している。SAP R/3

のデータベースとして採用しているのがOrac le9 i

D a t a b a s eだ。最 近の流れとして、S A P R / 3を

Windows上で使うケースでは、データベースはSQL

Serverを採用するケースも少なくない。カプコンが

Oracle Databaseを採用する理由について、水野

氏は次のように語る。「私自身データベースの選択に

はこだわりを持っています。それは、基幹システムのよ

うな信頼性が求められるシステムについては、データ

ベースにも相応の性能が必要だということです。SAP

R/3の場合も、データベースにはいくつかの選択肢

がありますが、信頼性や細かな設定が可能なチュー

ニング性などを考えると、安心できるのはOracle9 i

Databaseということになりますね」。

カプコンでは以前、基幹システムを旧システムから

新システムへ移行した際に、データベースをOracle

DatabaseからSQL Serverへ移行することも検討し

たという。

社内から管理が楽だという意見があったためである。

しかし、基幹システムという用途を考えた場合、やはり

前述の通り、データベースにもサーバと同様の信頼性

を求めることとなり、最終的にはOracle Databaseを

利用し続けることを選択した。

当時の経緯について、水野氏は次のように振り返る。

「確かに一般的には、WindowsサーバにはSQL

Serverという図式があるように思います。

基 幹 システム( U N I X サ ー バ )に は O r a c l e

Database、基幹ほどの信頼性が必要ではないシス

テム(Windowsサーバ)にはSQL Server、という

意味も持っているのではないでしょうか。しかし、昨

今はWindowsサーバの信頼性、可用性が向上した

ことから、基幹システムをWindowsサーバで構築す

ることが当たり前になりました。基幹システムであって

も、プラットフォームがWindowsということで、データ

ベースに SQL Serverを選んでしまいがちですが、

これはUNIXとWindowsの役割分担がはっきりし

ていた過去の記憶を引きずっているように思えます。

プラットフォームが問題なのではなく、その用途が問

題なのです。

そこで、たとえW i n d o w sサーバであってもS A P

R/3、つまり基幹システムを動かす以上は、データ

ベースとしての信頼性を重視し、Oracle Database

の利用を継続する決断をしたというわけです」。

データ・セグメント圧縮によるストレージ・コストの削減

Capcom Co., Ltd.http://www.capcom.co.jp/

―水野 和人氏

株式会社 カプコン

IT統括 情報システム室

48 49

SAP BW運用でストレージ容量が課題に

カプコンではビジネスインテリジェンスツールとして、

SAP BWを2003年に導入し、主に管理会計、経営

管理などに活用しているほか、シェアや人気商品の

地域差の分析などマーケティングにも活用している。

こちらもWindowsサーバ上で動いており、データ

ベースとしてOracle9i Databaseを採用しているが、

利用を進めるに従い、データのストレージ容量が問題

となってきた。もちろん、SAP BWのようなビジネスイ

ンテリジェンスツールを使う以上、分析対象のデータ

は増大し、いつかストレージ容量の問題が出てくるこ

とは当初からわかっていた。そのため、導入時点では

1年後をめどにストレージ容量を見直すことを織り込

み、まずは250GBのストレージ領域をSAP BW用に

確保していた。そして導入から1年が経った頃、当初

の予想どおりのデータ増大に対応するため、ストレー

ジ増設を検討することとなった。しかし、カプコンはスト

レージの増設を選択しなかった。「確かに以前にくら

べ、最近はストレージ価格が下落し、ずいぶん導入し

やすくなりました。でも、だからと言ってストレージを増

設すればそれで良いのだろうかという疑念が残りま

した。やはり基幹システムで利用するデータである以

上、データのバックアップは欠かせません。つまり、スト

レージが増え、データがさらに増えると、そうした運用

フェーズでの手間、バックアップ用テープのコストは間

違いなく増大します。いくら導入コストが安くなったと

はいえ、ストレージの増設は長い目で見て慎重に行う

べきであろうという結論に達したのです」。

データ増大に対処するために

「データ・セグメント圧縮」機能を利用

それではカプコンは一体どのようにしてデータ増大の

問題を解決したのだろうか。実はカプコンがストレージ

増設を検討していた頃、日本オラクルからOracle9i

Databaseの機能の一つである「データ・セグメント圧

縮」、いわゆるデータ圧縮を行ってはどうかということ

が提案されていた。それはデータを圧縮することで、

データ容量を減らし、ストレージをより効率的に利用す

ることで、データ増大に対応しようという、ストレージの

増設とはまったく異なるアプローチによる解決手法で

あった。水野氏は期待と不安、入り交じる気持ちでこ

の提案を聞いたという。「私の固定観念かもしれませ

んが、『圧縮』を行うと、データ容量という部分では当

然メリットがあるものの、CPUに負荷をかけることにな

り、レスポンスが低下するだろうと思っていたのです。

しかし詳しい説明を聞くと、Oracle9i Databaseの

データ・セグメント圧縮機能はOracle9i Database内

で完結するためCPUに負荷をかけることがなく、使い

方によってはレスポンスの向上も見込めるということで

した。この話を聞いて、技術者としてとても好奇心がく

すぐられましたね」

その後カプコン社内でもデータ圧縮の採用が認可さ

れ、実際に圧縮作業が行われることとなった。圧縮

作業を行う上でポイントになってくるのは、どのデー

タを、どの程度圧縮するかということだ。この部分の

チューニング具合で、レスポンスに差が出てくる。そ

こで、圧縮の基本的な部分については日本オラクル

が検証を行い、開発サーバ、評価サーバ、本番サー

バの3台を用意し、さまざまな圧縮パターンを試して

みることとなった。これらの作業についてはサーバ

メーカーの日本HPからのサポートもあり、非常にス

ムーズに進み、最終的には1ヵ月程度で運用を開始

することができた。

データ圧縮の結果、データ容量は約60%に

さまざまな検証を行った結果、カプコンでのSAP BW

運用には、上位5テーブルのみ圧縮するという対応が

もっとも効果的であることがわかった。そして、その圧

縮により、全体のデータ容量は約60%となり、40%分

のストレージが開放されたのだ。実際はこれ以上に圧

縮が可能なデータもあったものの、運用上あまり意味

のない部分の圧縮は見送られた。そして現在、さす

がに導入から4年が経ったこともあり、現在のストレー

ジ容量は400GBまで増加している。しかし、導入後の

データ増加の推移を見る限り、仮にデータ圧縮を行っ

ていなかったとしたら、現在テラバイトクラスのストレー

ジが必要になっていたことも予想されるそうだ。こうし

た結果を踏まえ水野氏は圧縮機能の導入について、

このように感じている。「結果的にストレージの増設を

行ったものの、400GBで済んでいるということは、デー

タ圧縮が非常に効果的だったということだと思いま

す。またユーザからも特にレスポンスが低下したという

話しもなく、非常に満足しています。」

SAP、Oracle Databaseのバージョンアップを予定

カプコンでは現在、SAP R3からSAP ECC、SAP

BWからSAP BI 7.0へのバージョンアップを予定し

ている。さらに同じタイミングでデータベースも現行の

Oracle9i DatabaseからOracle Database 10gへ

カプコンの BW データ圧縮

50 51

移行する予定だ。そして、まずはこれらの移行を滞り

なく完了させることと、移行後もこれまで同様にデー

タ圧縮を行っていくことが、現在もっとも重要なミッショ

ンとなっている。またこれとは別に、何らかのカタチで

ディザスタリカバリ環境を構築していきたいとも考えて

いるそうだ。今後日本オラクルに期待することとして、

水野氏は次のように述べている。「今回のデータ・セグ

メント圧縮機能もそうですが、Oracle Databaseの良

さのひとつに、『○○したい』と思った時に、多くの場

合それを実現する機能が用意されているという点が

あります。手さえ動かせば、いかようにもチューニング

することができるのです。ただし、そうした機能がなか

なか紹介されていないように感じます。ぜひそうした

情報を、提案や、宣伝といったカタチで提供してもらえ

ればと思います。また、経営層にも理解しやすい、例え

ば「管理が楽になる」というだけでなく、その結果管理

コストがこれだけ削減できるといったところまで踏み込

んだ情報であると嬉しいですね」。

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OracleデータベースA社B社C社

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52 53

10年以上前から、MTU Aero Enginesは複雑な技術

面のIT業務に、SGI®サーバーを使用していました。最

近、MTUは製造計画に使用しているSAP®コンポーネン

トとSAP Advanced Planning & Optimization-SAP

APOを既存のLinux® OSベースのSGI® Altix® サー

バー・プラットフォームに移行することで、データベース環

境をさらに最適化しました。その結果、SAP APOに必要

とされる高リソース要件を満たしたまま、これまでのアーキ

テクチャと比較して20%以上の運用コストを削減できまし

た。現在MTUは、SGIの潜在能力をさらにSAPソリュー

ションに活用するために、SGI Altixプラットフォームに追

加のSAPコンポーネントを統合することを計画していま

す。MTUは、データベース・システムにOracle Database

10gを使用しています。それは、特にBWの要件に必要な

安定性とパフォーマンスが不可欠だからです。

エンタープライズ・マーケットの要件を満たす

科学分野の高パフォーマンスな計算用に設計されたSGI

Altixサーバーは、MTUなどの企業顧客からのニーズが

高くその配置が増えています。

「私たちは国際的な展開をしています。SGIプラット

フォームにより、変化し成長し続ける世界市場の要求に

応えるITインフラストラクチャを採用できます。」と、MTU

の技術部門、ITマネージャのNorbert Diehl氏は説明

しています。

「私たちのITシステムは、毎日膨大な数のトランザクション

を処理し、複雑なモニタリング、レポート、および分析作業

ができる能力とスケーラビリティが要求されます。SGIは、

私たちのように国際的な企業の要件を満たすために必

要なパフォーマンスを与えてくれます。」

段階的な移行

MTUは、2005年中頃にSAP APOプロジェクトに着手

しました。プロジェクトの管理に、MTU ITテクノロジー、

サービス・プロバイダのT-Systems、SGIのエキスパート

が集められチームが結成されました。このチームの共同

作業により、わずか6か月で新しいシステムの設計と実装

が完了しました。

プロジェクトの最初の段階で、チームはすでにMTUで

使用されていた3台のSGI® Altix® 3450サーバーを

アップグレードしました。新しいSAPアプリケーション用に

サーバーを最適化するための構成は、1台目のサーバー

をSAP APOコンポーネントのライブ操作に使用し、2台目

を品質管理と開発用に変更し、3台目を並行で運用される

「ホット・スタンバイ」システムとして配置しました。

「比較的新しいハードウェア・プラットフォームをリサイクル

することで、これらの寿命を4~5年延ばすことができまし

た。」とNorbert Diehl氏は述べています「このリサイクル

だけで、15~30%のコスト削減になりました。」

「SGIプラットフォームは、私たちにとって技術的なITアプリケーションに最高のプラットフォームであることがすで

に証明されています。独自のプラットフォームと比較し大量のデータが集中する環境でも、高速な実行と高い安定

性を持つこのプラットフォームは、私たちのビジネス分野の非常に複雑な要件を満たす柔軟さがあります。」

― NORBERT DIEHL、MTU Aero EnginesのITテクノロジー部門の責任者

SGIとSAP on Oracle Databaseにより、MTU Aero Engines向けに最適化されたITインフラストラクチャは、変化し成長し続ける世界市場の要件を満たす

MTU Aero Engines

52 53MTU Aero Engines における SGI と SAP on Oracle

SGI Altix 3450サーバーでのOracle Databaseのテスト

は問題なく完了し、SAP APOコンポーネントのインストー

ルも完了しました。さらにテストされ本番システムと並行で

運用が開始されました。次に、このチームはシステムの高

可用性機能を設定およびテストし、ユーザー数を限定し

て新しいITインフラストラクチャにアクセスできるようにしま

した。2006年11月には、SAP APOの全機能が使用可能

になりました。現在、MTUでは約150人の従業員がSGI

Altix 450サーバーのSAP APOを使用しています。

テスト段階のすばらしい結果

SGIコンピュータ・テクノロジーがパフォーマンスと可用性

の最大化で力を発揮するのは、非常に大規模なSAP

on Oracle Databaseであることは、テスト段階ですぐに

明らかになりました。

「SGIプラットフォームは、私たちにとって技術的なITアプ

リケーションに最高のプラットフォームであることがすでに

証明されています。」とDiehl氏は述べています。「独自の

プラットフォームと比較し大量のデータが集中する環境で

も、高速な実行と高い安定性を持つこのプラットフォーム

は、私たちのビジネス分野の非常に複雑な要件を満たす

柔軟さがあります。SAPとSGIを組み合せたソリューション

は、運用開始からすばらしい結果を出しました。」

非常に高速なデータ転送の推進

SGI Altixサーバーは、高パフォーマンスNUMAflex®

接続と、® Itanium® プロセッサで実行され、グローバル

に共有されているメモリー・アーキテクチャとオープン・ソー

スのLinuxオペレーティング・システムの組合せです。

NUMAflexは、ノード間でシステム・メモリーをグローバル

に共有できる独自な設計です。その結果、データ・レコード

は各プロセッサで処理されないため、小さいグラグメント

に分割する必要がありません。かわりに、1つの均一なアド

レス可能メモリー領域があり、システム環境内のすべて

のプロセッサは、この領域で一緒にデータを処理します。

これは、従来のクラスタより200倍高速にデータを転送で

きることを意味します。これにより、非常に複雑な計算問

題でもレコード・タイムで解決できます。

このグローバルな共有メモリーというアプローチにより、

SGI Altixプラットフォームはアプリケーションに高レベル

なパフォーマンス、スケーラビリティ、可用性を提供しつつ、

リアルタイムで複雑なデータ・レコードにアクセスできます。

そのため、レコードの管理とメンテナンスが容易になりまし

た。また、グローバルにアクセス可能なメモリーは、企業の

総所有コスト(TCO)の削減や、投資利益率(ROI)の最

大化を可能にしました。

SGIテクノロジーとスケーラビリティの高いLinuxオペレー

ティング・システムを組み合せることで、さらにコストを削減

できます。オープン・ソースのLinuxプラットフォームの使用

は、既存のITリソースの統合をより効率的にし、新しいテ

クノロジーの実装をより簡単にします。企業は変化するビ

ジネス要件に応じて、IT戦略を柔軟に調整できます。

SAP on Oracle Databaseの良好なパートナーシップ

動的に拡張できる計算プラットフォームが必要な世界中

のSAPの企業顧客は、MTUと同様にSGIサーバーを選

択しています。SGIとSAPは、ともにアップグレードが簡単

で強力かつ可用性の高いテクノロジーをユーザーに提

供します。この2つの企業は包括的なテクノロジーを提供

しています。このテクノロジーは顧客が変化する市場の

要求に対応し、より収益性の高い、より高速で組織だった

作業ができるようにします。

「Altixサーバーは、企業顧客に対しSAP on Oracle Database・システムのパフォーマンス、高可用性、および安定性を確保し、動的に拡張できる強力なコンピュータを提供します。」

― Norbert Diehl、

MTU Aero EnginesのITテクノロ

ジー部門の責任者

54 55

SGIとSAPは、ともにオープン・ソース・テクノロジーに対

応しています。オープン・ソース・テクノロジーは、クローズ

ドなオペレーティング・システムと比較すると、ITコストを

直接的、間接的に大幅に削減できます。SGIは、SAP

LinuxLabの長年のメンバーです。SAP LinuxLabでは

SAPはパートナーとの共同作業で、企業顧客にLinuxの

最高のパフォーマンスと機能を提供します。

SAP認定により、SGI Altix企業顧客はLinux OSベース

のサーバー・ラインのメリットを活用し、最も高度なSAPシ

ステム・ランドスケープを運用することもできます。

「SGIは、SAP LinuxLabの重要なハードウェア・パート

ナーです。」と、SAP LinuxLabの開発マネージャである

Helge Deller氏は述べています。「Altixサーバーは、

企業顧客に対しSAPシステムのパフォーマンス、高可用

性、および安定性を確保し、動的に拡張できる強力なコン

ピュータを提供します。」

Linuxを選択したMTU

MTUは、オープン・ソース・テクノロジーのメリットをさらに

活用することを計画しています。技術的なアプリケーショ

ンの移行が成功した結果、MTUは他の業務ITシステム

のハードウェア・プラットフォームもLinux OSベースに変更

し、他のSAPコンポーネントをSGI Altixサーバーに移行

することを計画しています。

「私たちの最初の大きなSAP移行プロジェクトによ

り、Linuxを企業の市場に展開できることがわかりま

した。」と、MTUのITサービス・テクノロジー(FIS)の

Friedemann Ost博士は述べています。さらに博士は

「SGIはLinuxの標準プラットフォームを使用し、私たち

のSAPプロセスを価値連鎖全体に統合できるようにして

くれました。」と付け加えました。「これにより、企業環境に

高パフォーマンス・システムを提供し、エンジニアリングと企

業の分野間でノウハウを統合できます。そして、私たちの

システム・ランドスケープの品質を大幅に改善できます。」

MTU Aero Engines

ドイツのミュンヘンに本社があるMTU Aero Enginesは、

あらゆる推進力と出力カテゴリの商業用および軍事用

の航空エンジンと定置式産業用ガス・タービンを開発、製

造、販売しています。また、MTUは軍事分野でも大きな

役割を果たしています。Bundeswehrの主要産業パート

ナーであるドイツ国軍に対して、ドイツ防衛軍が操縦する

航空機のほぼ全機種の航空エンジンを供給しています。

MTUは、すべての主要地域と市場に支社を展開する

国際的な企業で、世界中で6,700人の従業員が働いてい

ます。Webサイトは、www.mtu.deです。

Linux OSベースのSAP-APOアーキテクチャ

54 55

大規模石油企業 - 巨大データベース

Chevron Corporation(www.chevron.com)は、米国

で業界2番目の総合エネルギー企業で、世界でも最大規

模の企業の1社です。本社をカリフォルニアのサン・ラモン

に置くChevronは、59,000人以上の従業員が働き、180ヶ

国で事業を展開しています。

急 速に成 長しているエネルギー企 業のリーダー

Chevronは、石油と天然ガス業界のあらゆる分野でそ

の業務をグローバルに展開しています。調査および製

造業務の「アップストリーム」と精製、マーケティングおよ

び輸送業務の「ダウンストリーム」のデータは莫大な量

になります。

「石油業界には、ITが不可欠です。」と、Chevronの

システム・アナリストのPaul Brody氏は述べています。

Chevronエンタープライズ全体のあらゆる情報を統合

するのは、SAP R/ 3、複数のマルチテラバイトOracle

Database、および4テラバイトのビジネス・ウェアハウスを

ベースにしたグローバルなERPシステムです。HPサービ

スから積極的なサポートを受け、活力があるインフラスト

ラクチャは、99.999パーセントの可用性を維持し、数千の

ユーザーはビジネス・クリティカルな情報にいつでも簡単に

アクセスできます。

テラバイト単位の成長

Chevronは、統合や買収などによって、グローバルな拡

大とビジネスの急速な成長路線を進めてきました。拡大

は、アプリケーションとユーザーの急速な増加とともに、分

析・管理するデータ・ストリームも増大させることになりまし

た。これらのデータのソースは、自動化されたウェル・モニ

ター、耐震解析、販売拠点のガス・ステーション・システム

などです。

この肥大化に取り組み、将来の肥大化に対応するERP

インフラストラクチャの拡張を主導するBrody氏は、「私た

ちのOracleリポジトリは、それぞれ毎年1テラバイト以上

増加します。」と説明しています。

Chevronは、可能なかぎり最も混乱が少なく最もコスト効

率の高い方法で、より高いパフォーマンスとより多くの容量

を達成したいと考えています。

「私たちの最大の挑戦は、成長するERPデータとシステムに対応することでした。私たちには、パフォーマンスの改

善も必要でしたが、サーバーの統合も必要でした。そのため、データ・センターを再構築できませんでした。HP-

UX 11iを実行するHP Integrityプラットフォームにより、大規模な移行や業務を停止することなくこれら両方を実

現できました。」― PAUL BRODY、システム・アナリスト、Chevron Corporation

国際的なエネルギー業界のリーダー企業が急速な成長に対応してERPを投入米国で業界2番目のエネルギー企業は、管理コストを削減しつつ、

Oracle Database上で稼動するSAPプラットフォームのパフォーマンスと容量を3倍にしたChevron Corporation

業種:石油とガス

目標:より柔軟でコスト効率の高いERPインフラストラクチャの実装は、世界の急速な発展、統合、買収に対応できるようにします。

アプローチ:複数拠点にあった50のSAPインスタンスをひとつのデータセンター上のHP Integrity サーバー(HP-UX 11i v2、Oracle DB)に統合

ITの改善点:・ 新しいサーバーにより、ERPイン

フラストラクチャのパフォーマンスと容量が3倍になる

・ 新しい設置面積はスペースが3分の2になる

・ SLAを超える一貫した99.999%の可用性

ビジネス上のメリット:・ ビジネス・インテリジェンスに対

する、より高速な適用とアクセスにより、生産性と意思決定が改善される

• よりスケーラブルでありながら合理化されたプラットフォームは、企業成長をサポートし、統合や買収によるデータの統合を容易にする

・ サーバー統合により、管理、運用、およびフロアスペースのコストが削減でき、より戦略的な指導力で人員とリソースを移動できる

56 57Chevron における SAP on Oracle Database と HP

グローバルなSAPインスタンスの統合

ChevronはHPと協働し、HP-UX 11i v2オペレーティン

グ・システムを実行するHP Integrityサーバーに、グロー

バルなERPオペレーションを統合しました。

「統合サーバーにより、物理的にホスティングしている世

界中のシステムを単一のデータ・センターと共通プラット

フォームに統合できました。」とBrody氏は述べていま

す。新しいプラットフォームは、マルチテラバイトのOracle

DatabaseとERP用の50個以上のSAPインスタンスだけ

でなく、Chevronの中核機能である財務、HR、開発、品

質管理などをホスティングします。

HPのミッション・クリティカルとプロアクティブ・サービスを

採用したことで、ChevronのITチームは一貫して、ERP

インフラストラクチャで99.999パーセントの可用性を達成

しました。

3倍になったパフォーマンス

Brody氏は「統合プラットフォームにより、即座にパフォー

マンスが3倍になりました。」と述べています。「3時間か

かっていた作業が1時間で終わります。時には、それより

短い時間で終わることもあります。」

より高速にビジネス・インテリジェンスを検索、共有、使用

できることにより、世界中のChevronの従業員は、自身

の才能、時間および企業の資産をより有効に活用でき

るようなりました。たとえば会計グループは、これまで月次

処理のために夜中まで仕事をするのが当たり前でした。

現在は、毎月通常の勤務時間内に処理を完了すること

ができます。

「重要なのはプロセッサの速度だけではありません。高速

なバス、I/O速度、および低いメモリー待機時間などを含

むHPが提供するパッケージ全体です。」とChevronの

ERPプロジェクトで技術設計を担当するSteve Wilson

氏は説明しています。「私たちは、大きなI/Oパイプと高

速なバスが必要な巨大データベースを運用しているので

す。」Oracleは、統合サーバーでより高速に動作します。

また、HPはより高いパフォーマンスとより低いメモリー待

機時間を引き続き提供してくれます。」と、Wilson氏は続

けて述べています。「ウェアハウスをテラバイトに拡張し

たため、Dual-Core Intel® Itanium® 2プロセッサが

搭載されたこの統合サーバーは、私たちのハイエンドに

適しています。」

より多くの作業を - より少ないコストで

多数のサーバーを統合しプラットフォームを簡素化するこ

とは、管理システムを簡単にしてコスト削減も実現します。

「私たちは、エンド・ユーザーが経験するパフォーマンス

を改善し信頼性を向上させ、多数の追加システムをサ

ポートしましたが、これによってコストが増えることはあり

ませんでした。」とBrody氏は述べています。「私たちの

サポート・チームは、数と設備投資の均衡を保ち続けるこ

とができます。」

さらにWilson氏は次のように付け加えています。「新しい

統合サーバーは、古いシステムの設置面積の3分の1に

収まりました。既存のスペースを、より有効活用できます。」

収支の面で、Brody氏は「この新しいITインフラストラク

チャを運用するために、より多くの経費を会社に要求する

必要はありませんでした。」と説明しました。

「 長 年 に渡ってH P は 偉 大 なパートナーです。HPサービスとは密接な関係を保っています。毎月、ミーティングで環境の変化を再検討しています。」

― Steve Wilson、

技術設計者、

Chevron Corporation

56 57

99.999%の可用性

Chevronでは、ERPアプリケーションとデータのパフォーマ

ンスと管理容易性を向上させつつ、これらのビジネス・クリ

ティカルなリソースの確実なセキュリティと可用性も必要

でした。

「これらは、大きく重要な資産です。」「これらは、私たちの

企業全体の情報を統合しています。停止させるわけには

いきません。」とBrody氏は述べています。

ChevronのITチームが、HP-UX 11i v2環境に組み込

まれている信頼性と効率性を活用し、HP OpenView

管理ソフトウェアとHP Mission Critical and Proactive

Servicesを採用したことで、SLAの可用性は常に99.999

パーセントを達成しています。

「私たちは、HPサービスと密接な関係を保っています。私

たちは毎月ミーティングで環境の変化を再検討していま

す。」とWilson氏は説明しています。

HPは、セキュリティとシステム管理を自動化するツールを

使用して、HP-UX 11iオペレーティング・システムの拡張

を続けています。たとえば、HP-UXのIPフィルタ機能を多

数使用して、サーバーに接続できるポート番号とIPアドレ

スを制限しました。」

「私たちは、HP OpenView管理ソフトウェアの周りに、モ

ニタリング・インフラストラクチャを構築しました。」Wilson

氏は続けて、次のように説明しています。「これは、事前

定義した測定基準を外れて正しく設定されていないコン

ポーネントや機能があった場合に、SAPシステム管理者

に警告を出します。OpenViewは、エンド・ユーザーに影

響を与える前に、何度も対応すべき問題に関する警告を

出してくれました。」

またWilson氏は、HPによってChevron固有のスクリプトと

プロセスがHP OpenViewシステムに組み込まれたこと

を付け加えています。

2時間で統合システムに移行

H Pおよび S A Pのエンジニアとの共同作 業により

ChevronのITチームは、グローバルなERP環境をPA-

RISCベースのHP 9000サーバーから64ビットのHP

Integrityプラットフォームに転送しました。

HPは、HP-UX 11i UNIX®オペレーティング環境のデー

タ互換性と共通リリースを、HP 9000と統合プラットフォー

ムの両方に提供するため、統合サーバーへの転送では

データ移行が必要ありませんでした。

Brody氏は、「このプロセスは、週末の2時間で終わり、業

務の停止時間も発生しませんでした。」と述べています。

Brody氏は、「データのエクスポートやコードの書直しは

必要ありませんでした。そして、トランジションは、ユーザー

に透過的でした。ユーザーが気付いたのは、処理速度

が3倍になったことだけです。」と続けて説明しています。

HP-UX 11i v2とHP Integrityサーバーのプラットフォームにより、ChevronのグローバルなERPインフラストラクチャは、急速に増大するデータおよび操作にコスト効率良く対応できます。

プライマリ・アプリケーション

• Enterprise Resource Planning

プライマリ・ハードウェア

• HP Integrity rx4640サーバー

プライマリ・ソフトウェア

• HP-UX 11i v2オペレーティング・システム• HP OpenView v7.1管理ソリューション• HP OpenView Storage Area Manager• SAP R/3• Oracle Database・バージョン9.2.0.5, 9.2.0.7およ

び10.2.0.2

サービス

• HPビジネス・インフラストラクチャ・サポート• HPミッション・クリティカルおよびプロアクティブ・サー

ビス

58 5958 59Chevron における SAP on Oracle Database と HP

生産性コラボレーション

ChevronのITチームは、HPとの密接な作業で「来るべき

もの」の傾向を理解し、方向付けを行いました。Chevron

は、IntegrityサーバーにインストールされたOracleおよ

びSAPのソフトウェアのベータテストに参加し、人員、プロ

セス、テクノロジーなどのITリソースの生産性を向上する

新しい方法について、HPエンジニアとHPサービス・コン

サルタントと協力して取り組んでいます。

「10年前から、私たちはHPが製造した最大のサーバー

を使用し始めました。」とWilson氏は説明しています。

「現在は、多数のユーザーのサポートに、より小型の

Integrityシステムを稼動しています。これは十分強力で

す。HPの製品とサービスは、常に原価目標を含めた私た

ちの要件の先を見通しています。」

SAP仮想パーティション

また、Wilson氏はHP-UX 11iベースのIntegrityサー

バーが、要件の変更に対応できる各種のサイズで展開さ

れていることにも満足しています。「ITの要件は、いつも

予測できるわけではありません。企業の買収が突然行わ

れかもしれません。そして唐突に、他社の全データをビジ

ネス・ウェアハウスに入れる必要が生じることもあります。」

「それぞれのIntegrityサーバーはモジュラー環境で、

様 な々方法で構成できます。」Wilson氏は続けて次のよ

うに説明しています。

「メモリー、ディスク・ドライブ、およびCPUは、すべてシステ

ム間で簡単に交換できます。」HP-UX 11i v2の仮想化

機能については、「複数のSAPアプリケーションの専用環

境を、コスト効率良くすべて単一のサーバー上で維持で

きます。」とWilson氏は付け加えました。

成長の後押し

「Chevronにとっては、ビジネスの新たなニーズに対応す

るために、効率的かつ効果的にITを拡大することが重

要でした。HPとHPのIntegrityサーバーとの協働で、私

たちはコスト面での競争力を維持しつつ、拡大を達成し

ました。」

「私たちは、単一のサーバーの容量の50%を使用して、

複数のSAPインスタンスとOracle Databaseを稼働させ

ています。このため、成長に対応できる余地は十分にあり

ます。」とWilson氏は説明しています。

さらに、「Integrityアーキテクチャは、他の64ビットx86

ベースのプラットフォームで達成できる限界をはるかに

超えた拡張が可能です。」とWilson氏は付け加えて

います。

Chevronは、ERP環境を業務と同様に動的なビジネス資

産に変換させました。順応性があるインフラストラクチャ

は、従来より大きなデータ・ストリームに合せて円滑にコスト

効率良く対応できます。

Brody氏は次のように述べて締めくくりました。「将来の

展望として、まだこれから大きな成長を見込んでいます。

「このIntegrityプラットフォームとHPが作り出す他の資

産は、将来の成長に役立ち、楽にコスト管理をしながら必

要な信頼性とパフォーマンスを提供するだろうと確信して

います。」

58 5958 59All4it Group

All4itは数人のシニア・コンサルタントにより1997年に創業

され、コンサルティング、テクノロジー、およびアウトソーシン

グなどSAP用Oracle Databaseを中心とした高付加価

値テクノロジーの顧問サービスを提供しています。

企業レベルの大規模プロジェクトを通じて、現在のAll4it

は物理的インフラストラクチャから情報システムのビジネ

ス境界まで、一連の垂直型サービスを提供しています。

特に、All4itは巨大データベースとインフラストラクチャ

SAPを使用するプロジェクトをサポートし、顧客のコア・ビ

ジネスの強化につながるこの市場に注目してきました。

All4itは実際、SAP ERPおよびBIサポートのルールに

準拠して、多くのECC/Oracle Database移行や、新し

いOracle機能(RAC、パーティション化、Unicodeマイ

グレーション、環境の分割/結合、キー索引圧縮、フラッ

シュバック、Data Guard、Database Vault)の主要な

実装を成功させています。

Oracle DatabaseやSAPとAll4itのパートナーシップに

は歴史があります。まず、All4itの従業員たちの原点がス

タートでした。次にOracleが提供するテクノロジーを活用

して、恒常的に顧客のニーズにもっと対応したいという気

持ちに引き継がれていきました。最近では、スポーツ用品

の流通リーダーであるDecathlonは、2007年の革新によ

りSAP賞を受賞しました。All4itとの共同作業で行われ

たECC5.0の移行に対する受賞です。今日、戦略パート

ナーの一環としてOracleは、エンドツーエンド・プロジェクト

の管理能力が要求される際にAll4itを選択します。

All4itは現実に、Oracle for SAP Organizationのプロ

グラムに投資しています。

Global Technology CenterのRACベータ・テスト・プロ

グラムは、永続的なベスト・プラクティスとされています。

昨年秋のイベントである「Palais des Congres」(FSC-

Future IT)にFujitsu-Siemensが参加しましたが、

All4itはRAC 10g/SAP ECC6を実装して、FlexFrame

for SAP Solutionの機能をデモンストレーションしました。

要約すると、All4itの成功は次の主要な推進力の上に

築かれています。

- 顧客の調査と設計のアップストリーム・フェーズの問題を

理解している

- プロジェクトのモニタリングと管理

- 最高のテクノロジー、連合、実装、スキルの提案

- IBM、HPなど、製造業者が提供するテクノロジーの統

予算の軽減を目的とした操作のアウトソーシングによる最

適化の提案

All4itは、Oracle Database上のSAP ERPで得られるソリューションに提案の焦点を当てた

戦略と変換:All4itの戦略的IT有効化のプロフェッショナル達は、企業の投資を最適化し性能を変換して、そこからより大きなビジネス価値を得ることを支援しました。

All4it Group

業種:コンサルティングとアウトソーシング

場所:・ ルクセンブルグ・ ベルギー・ フランス

年間収益:1億2,500万ユーロ

従業員:135人

60 61

Oracle DatabaseとSAP

中規模からハイエンドまでのすべてのSAP顧客の3分の

2以上は、信頼してOracle Databaseにデータを預けてい

ます。世界中の10,000箇所に散らばった約200万人の登

録ユーザーは、Oracle DatabaseがもたらすSAP環境

での最高のテクノロジーとパフォーマンスに期待を寄せ

ています。この卓越したパフォーマンス・レベルは、SAPと

Oracle Databaseの長年にわたる強力なパートナーシッ

プの必然的な結果です。

しかし、SAPとOracle Databaseの提携は、データベー

ス・テクノロジーの統合のみではありません。顧客のサ

ポートと満足度は、現在も続くパートナーシップから生まれ

る具体的な日々 のメリットです。

この特別なレベルの顧客サポートが実現したのは、SAP

が恒常的なOracleサポート・スタッフを要求した結果で

す。このグループには、開発レベル・サポート・キューが配

属され、広範囲なアクティビティやセミクリティカルからクリ

ティカルな「本番停止」状況まで、各種の問題に対し即

時に支援を提供します。SAPサポートとOracleのサービ

ス・グループは、SAPに的を絞ったこの顧客サポート・チー

ムをコーディネイトしスタッフを配属するために作成されま

した。ウォルドルフ(ドイツ)、パロ・アルト(米国)、東京(日

本)を拠点にしたワールドワイドなサービス・グループで、あ

らゆる角度からSAP運用を支援します。より具体的な作

業の範囲は、肥大化するデータ量の管理、パフォーマン

ス最適化、高可用性ソリューションの設定、安全なインタ

フェースを介したSAPシステムと他のOracle Database

間のデータ交換などです。

SAPを使用した統合サポートの他に、多くの顧客は

Oracleサポートを直接依頼することを選択し、SAP-

Oracle構成環境からより高いパフォーマンスを得るため

に役立てます。これらのサービスは、OracleのAdvanced

Customer Services(ACS)組織から利用できます。

Advanced Customer Servicesのエキスパートは、世

界中の顧客固有のサービスを直接提供して、すべての

Oracleシステムのパフォーマンスを最大に引き出し、生産

性を向上させます。最近、Oracle Advanced Customer

Servicesは、SAP環境でOracle Databaseを使用する

顧客向けに、固有のサービスのポートフォリオを形式化し

ました。

「SAPは、Oracleとパートナーシップを組んで作業する

ことで、品質システムのサポートを提供します。しかし、

私たちの共通の顧客の多くは、Oracleの性能を最大限

に活用するためにデータベース環境に対するより高い

レベルのサポートを求めています。私たちの年間サービ

スは、サポートを次のレベルに押し上げます。」とOracle

Advanced Customer Servicesの副社長であるLarry

Abramson氏は説明しています。

このサービスは、年間の運用サポート、対象をカスタマイ

ズしたエンゲージメント、オンサイトのテクニカル・スキル・

ワークショップという3つのレベルで提供されます。SAP環

境向けのAdvanced Customer Services Database

Servicesは、すべてOracleサポートのエキスパートによっ

て提供されます。このエキスパート達は、全体的なシステ

ムのパフォーマンス、安定性およびリカバリの可能性に寄

与するオラクル・テクノロジーを最大限に利用する力があ

ります。Oracle Advanced Customer ServicesはSAP

と協力して、20年以上Oracle Databaseで運用される

SAPソリューションを提供してきたパートナーシップの経験

を活用します。

顧客のビジネスにカスタマイズされたOracle with SAP

のエキスパート・ガイド

SAP環境のデータベース・サービスは、3つのレベルの年

間サービスを提供していますが、これは、顧客固有の要

件に合ったサービスと組み合せることができます。

Oracle Advanced Customer Services for SAPSAP環境向けのデータベース・サービス

60 61

Advanced Support Assistance - これは、単一の連

絡先を通じてサービス要求を円滑に促進します。担当の

Service Delivery Manager(SDM)は、有意義なアク

ション計画に沿った正しい人員配置と組織により、より効

率的で効果的に問題を解決します。

Business Critical Assistance - 積極的なアドバイス

や顧客固有の運用やプロジェクトに合せてカスタマイズ

した支援と、サービス要求のソリューションを組み合せま

す。担当のSDMは、顧客のバックグラウンド機能とIT目標

を開発するエンジニアのチームをコーディネイトし、各プロ

ジェクトが成功するように支援します。

Solution Support Center - 最も包括的なサービスを

提供します。固有の環境、運用やプロジェクトをよく理解し

たエンジニアだけのチームが担当します。この専門的な

エンジニアのチームは、重要なサービス要求と評価や根

本原因の分析など、一連の積極的なサービスの支援を

提供します。専用のアクセス・ホットラインを使用します。

選択したレベルに応じてOracle Advanced Customer

は、SAPに習熟したService Delivery Manager

(SDM)の専門的なエキスパートを派遣し、Oracleサポー

トの中心として役立つサポート・プロセスを提供します。

SDMは、顧客と一緒に主要ビジネス要件の識別、サポー

ト・プロセスの調整、年間サポート計画、共同計画情報の

文書化を含めた年間サポート計画を作成すると同時に、

既存のSAPサポート・モデル機能を組み込みます。

担当SDMの役割の1つは、「high」または「very high」

(SAPの重大度レベル)問題解決アクティビティおよび

エスカレーションを処理することです。また、SDMはサー

ビス要求に複数の関連インシデントがある場合や共通の

問題や現象に結び付ける動作パターンがある場合、また

は個別の問題の標準エスカレーション・プロセスが顧客

固有のビジネス・ニーズに対応しない場合にエキスパート

によるガイドを提供します。

担当SDMは、サポート・アナリストやSAP環境のスペシャ

リストなどのエキスパートで強化されたチームを活用しま

す。SDMはそれぞれ担当する地域の言語を話します。ま

た、顧客固有のビジネスおよびITの内容を理解し、その

内容をエスカレーションに適用して問題を確認し効率的

に解決します。担当SDMは状況に応じて、サービス要求

を迅速に適切な方法で解決するために踏み込んだ対応

もします。

また、SDMは四半期ごとの正式なレビューで、ベスト・プラ

クティス・スタンダードに対するパフォーマンスを評価しま

す。顧客のビジネス計画と技術計画について話し合いエ

スカレーションを予測して回避し、Oracleリレーションシッ

プから最大限の価値を引き出す方法を提供します。

SAP Aware Service Delivery

オラクルのサービス計画を使用しているSAP顧客は、ダ

イレクトなリレーションシップを通してより迅速にオラクルに

アクセスできます。Oracle Database・ソフトウェアから、機

能、安定性、可用性を最大限に引き出すには、Oracleと

Oracle with SAPの両方の専門知識が必要です。これ

は、SAPアプリケーションとOracle Database・ソフトウェア

間で複雑な相互運用性の要素があるためです。

Advanced Customer Servicesは、パッチ作業やシス

テム構成の変更を行うためのOracleおよびSAPの情報

を解析するプロセスを合理化することで、顧客のITスタッ

フの生産性向上に役立ちます。顧客は、固有の環境や

バージョンを対象とした推奨事項に焦点を当てることがで

きます。標準的なSAPのインストールの場合、利用できな

いOracle機能もあるためOracle Advanced Customer

Servicesは、SAP認定構成を維持しながら常時新しい

機能を利用できるように支援します。

Oracle Advanced Customer Services for SAP

62 63

Oracle/SAP指向のワークショップと取り組み

ITスタッフの能力を高め、SAP環境のOracle Database

の最適化を確かにするためにワークショップが作られ、

SAPアプリケーションとOracle Databaseの相互運用に

関する専門家が担当します。SAPとの長年にわたる技

術的パートナーシップに基づいて、オラクルは次のテクニ

カル・スキル・ワークショップを提供します。

- Fundamentals of Oracle database for SAP ERP

(Level I)

- Oracle Advanced Performance Tuning for SAP

ERP(Level II)

- Oracle Expert for SAP(Level III)

- Oracle database 10g for SAP Environments

- Oracle database Administration for SAP

Business Warehouse

- Oracle Real Application Clusters for SAP

- SAP ERP ABAP Tuning with Oracle database

Platform

さらに価値を高めるために、これらのテクニカル・スキル・

ワークショップは、顧客固有の状況や目標に合せて変更、

拡張できます。顧客固有のテクニカル・スキル・ワークショッ

プは可用性を基本に計画されますが、適用される地域

は限定されることがあります。

多くの顧客は、アップグレード、移行および他のインフラスト

ラクチャへの変更の際に、より多くの経験や専門知識が

必要なことに気が付きます。オラクルは、このような支援を

提供するため支援サービスのレベルに応じて作業明細

書を作成します。支援サービスは、オラクルのSAPエンジ

ニアから個別の支援が必要な顧客向けのサポート・アド

バイス・サービスです。このサービスは、SAPのアプリケー

ション・システム、ツール、プロシージャ、そして最も重要な

SAPを使用するOracle Databaseに関して熟練した

Oracleエンジニアを派遣します。顧客を担当するOracle

エンジニアが、事前に指定した期間、顧客との合意の上

で、SAPアプリケーション環境で稼動するOracleソフト

ウェアを効率的に操作および管理するサポート・サービス

を実施します。

最も一般的には、次のような取り組みがあります。

- データベースの計画および構成

- データベースのヘルス・チェック

- データベースのパーティション化

- SAP ERP管理概念

- 概念の再検討と証明

- ホット・スタンバイ/Data Guardの実装

- バックアップ/リストア/リカバリ

- RACセットアップ支援

- HW移行「O2O」/プロバイダとしてのOra c l e

Advanced Customer Services

- HW移行支援「O2O」パッケージ

- アドバイスおよび支援としてのOracle Advanced

Customer Services

- データベースの移行支援「R3LOAD」

- データベースの再編成

SAP環境のAdvanced Customer Servicesを利用す

ることで、オラクルの分野別のエキスパート、ITプロフェッ

ショナルや開発者と良好な関係を築き、Oracle環境の価

値を最大限に引き出すことができます。次に、いくつかの

取り組みのタイプを説明します。

SAPシステムのデータベースの計画および構成

SAPプロジェクトの開始時、ほとんどのアクティビティは主

にアプリケーションの設計と実装に充てられます。この期

間は、データベースを将来のニーズに合せて最適かつ柔

軟に構成し、確実な構成や設計を実現する上で非常に

重要です。不適切な構成は、運用上の効率や管理の点

で余計な努力が必要になります。データベースの準備お

よび構成には、SAPプロジェクトの初期段階で適切なリ

ソースを選択し、現在のベスト・プラクティスと設計目標に

留意することをお薦めします。

62 63

データベースのヘルス・チェック/パフォーマンス分析

すべてのSAP顧客にとって、パフォーマンスはSAPシステ

ムの導入と運用を成功させる重要なポイントの1つです。

オラクルの熟練したスタッフは、Oracle Databaseの詳細

な知識があるだけでなく、SAP環境におけるOracleの複

雑さも熟知しています。したがって、このようなスタッフがパ

フォーマンス問題を分析しソリューションの提供をします。

たとえば、これらのソリューションには索引設計、パラメー

タ最適化、ABAP最適化、オペレーティング・システム・パ

ラメータの適用などの分野があります。また、オラクルのス

タッフは各SAPソリューション固有の機能にも対応できま

す。SAP ERPまたはBI/BWシステムのパフォーマンス

問題の発生する形は様々です。それを解決するソリュー

ションのアプローチも多種多様です。

高可用性/バックアップ概念

SAPシステムの可用性の低下は、ほぼすべての顧客で

深刻な問題(物流や財務)になります。ミッション・クリティカ

ルな環境で、不意の停止時間が発生する危険性をでき

るだけ押さえるために、IT組織はフェイルオーバーやリカ

バリの可能性を積極的に計画しておく必要があります。

ただし、この領域には多様なアプローチがあり、それぞれ

に利点と欠点があります(ハードウェア・クラスタ、ミラー技

術、スタンバイ・データベース、RAC、Data Guardなど)。

Oracle ACSは、顧客に最適なアプローチ戦略をアドバイ

スし、選択したソリューションを実装する間も支援をおこた

りません。

SAP向けのOracle RACの対応

オラクルは、「Real Application Clusters」(RAC)オプ

ションを提供します。このオプションを使用して、個別の

サーバー(ノード)のデータベース・インスタンスを分散で

きます。これにより、Oracle Database・システムの高可

用性の点で新しい可能性が提供され、システム・リソー

スのディメンション化においてより高い柔軟性が得られ

ます(スケーラビリティ)。オラクルは、顧客のSAP環境で

RACが使用できるようにプロフェッショナルなサービスで

支援します。これらのサービスには、ワークショップ、計画

立案およびRACソフトウェアの実装が含まれます。

SAP向けのデータベース移行サービス

すべてのSAP ERP実装の多くは、Oracle Database

で実行されています。Oracle Advanced Customer

Services for SAPグループは、データベース移行に関し

てSAPから認定されています。そのため、SAP Business

SuiteインストールをOracle以外のデータベースから

Oracleに移行する企業を支援することができます。この

移行サービスが顧客から高く評価されている理由の1つ

は、DBAの観点で変更に習熟していることです。Oracle

Advanced Customer Servicesの支援を受け、顧客の

スタッフは移行計画を実施でき、新しいデータベース操作

を習得できます。

OracleからOracleへのデータベース移行(O2O) -

SAPシステムの非常に高速で円滑なデータベース移行、異

機種環境のデータベース移行

標準ツールでは転送時間が48時間以上になるため、オラ

クルは「O2O」移行サービスを提供しています。サービス

のセット、プロシージャおよびツールを基盤として、Oracle

ACSでは非常に短時間でプロセスを完了できます。通

常、これは1時間あたり100~150GBの速度で実行され

ます。つまり、これまで使用していた標準ツールでは処理

できなかった方法でシステムを移行できます。このオラク

ル・テクノロジーがベースのサービス・セットは、SAP ERP

とBI/BWシステムの移行をサポートします。この高度な

移行アプローチを使用したシステムは、完全にSAPのサ

ポート対応要件を満たします。

SAP顧客向けのOracleパーティショニング

Oracleパーティショニングは、Oracle Database 10g

Enterprise Editionのオプションです。技術レベルでは、

Oracleパーティショニングにより、データベース内の表お

よび索引はより小さい部分に分割されます。Oracleでは

値の範囲で表を「パーティション化」できるため、たとえば

2009年1月1日から2009年1月31日までのデータは、この

データ独自のパーティションに常駐します。Oracleは値リ

ストで表をパーティション化することもできます。たとえば、

北アメリカのデータを1つのパーティションにし、ヨーロッパ

のデータを別のパーティションにすることができます。大規

模データベースの管理には、パーティション化が不可欠

です。

Oracle Advanced Customer Services for SAP

64 65

大規模データベースのパーティションを行うときに、肥大

は基本的な問題になります。Oracleパーティショニングで

は、データベース内の大きな表、特に肥大した表に「分割

統治」技術を使用できます。現在のデータベースが来年

はその2倍に肥大したからと言って、エンド・ユーザーはア

プリケーションの実行速度が半減することを受け入れま

せん。それだけでなく、データベースの完全メンテナンス

やバッチ処理に使用される時間が2倍に増えても許され

ません。ITマネージャがハードウェア予算を倍にしてくれ

るわけでもありません。

パーティション化は、一貫したパフォーマンスを維持しなが

ら、非常に大きいデータセットに合せてデータベースを増

減できる機能で、ハードウェア・リソースや管理作業が極

度に増加することはありません。Oracleパーティショニン

グは、コア・データベース・エンジンに組み込まれ、Oracle

の管理ツールがサポートしています。SAPアプリケーショ

ンから見ると、パーティション化は完全に透過的です。

パーティショニングを使用するために、アプリケーションや

SQL文を変更する必要はありません。

SAPのパーティション機能は、SAPリリース4.6C(SAP

Note 742243参照)、SAPカーネル6.20からサポートさ

れています。詳細とCoop Switzerlandのパーティショ

ン化の成功例は、www.oracle.com/sapを参照して

ください。

Oracle Database 11gの準備

SAP AGは、Oracle Database 11g Release 1をスキッ

プし、Oracle Database 11g Release 2を認定します。こ

れは、Oracle Database 10gが拡張サポート・サイクルに

入る少なくとも12箇月前になります。

OracleとSAPは、Oracle Database 11gのサポート対

応性の改良とテスト統合を行うため、Oracle Advanced

Customer Servicesは、このアップグレード・アクティビティ

のサービス提供準備を継続します。Oracle Advanced

Customer Servicesは、Oracle Database・バージョン間

のアップグレード計画の準備に関して顧客のスタッフを支

援します。Oracle Advanced Customer Servicesは、

SAPとの継続的なサポートとパートナーシップを通じて、ま

たは顧客のIT組織から直接、SAP環境の複雑さを熟知

した個別サービスを提供します。

詳細は下記にお問合せください。

SAP環境におけるOracle Advanced Customer

Servicesは、日本では「Oracleレスキュー・サービス for

SAP」の別称で、ご提供しています。

ヨーロッパ、中東およびアフリカ

[email protected]

北アメリカ

[email protected]

アジア、太平洋

[email protected]

日本

[email protected]

ラテン・アメリカ

[email protected]

Oracle Advanced Customer Services for SAP

64 65Useful links Oracle Database for SAP customers

Oracle Global Technology Center for SAPhttp://www.oracle.com/sap

Oracle サポート・サービス for SAPhttp://www.oracle.co.jp/sap/support/

日本オラクルSAPユーザー向け情報http://www.oracle.co.jp/sap

Oracle for SAPhttps://www.sdn.sap.com/irj/sdn/orahttp://service.sap.com/PAM

Oracle/SAP向け重要Note1021844 Oracle 9.2: 拡張サポートの無償期間 (終了: 2008/7/31)105047 + 742243 + 722188 SAP 環境での Oracle 機能のサポート156548 SAP カーネル 4.6x ORACLE 用にリリースされた OS407314 SAP R/3 カーネル 6.x ORACLE 用にリリースされた OS524816 スタンドアロンエンキューサーバー527843 SAP 環境での Oracle RAC サポート581312 Oracle データベース: ライセンス制限581320 FAQ: Oracle Real Application Cluster (RAC)592393 FAQ: Oracle に関するよくある質問と回答 1125923 + 966117 + 966073 フラッシュバック・データベース598678 Oracle 9i: 新機能669902 Oracle9i: 国別文字セットを UTF8 に設定701235 Oracle 圧縮と BW の使用705608 Oracle 9/Oracle RAC のデータベースモニタ720886 Oracle Database 10g: SAP 環境での統合740897 Oracle ライセンスの対象範囲情報: 必須 Oracle オプション819655 追加情報:SAP NW 2004s ABAP ORACLE へのアップグレード819829 Oracle Database 10g: UNIX での Instant Client 10.x819830 Oracle Database 10g: アップグレードに関する追加情報: UNIX820062 Oracle Database 10g: 10.1.0 用パッチセット/パッチ871096 Oracle データベース 10g: 10.2.0 用パッチセット/パッチ828268 Oracle データベース 10g: 新機能830576 Oracle 10g: パラメータの推奨事項830982 SAP recommendations for Oracle RAC 9.2.0.x Config.836517 Oracle データベース 10g: SAP アップグレードの準備838725 Oracle Database 10g: 新規データベース統計841728 Oracle Database 10g: ソフトウェアインストールでの障害 10.2.0885167 Add. info.: Upgrade to SAP NW 2004s Java ORACLE921594 Inst. SAP NetWeaver 7.0 (2004s) SR1 - UNIX:Oracle925871 Oracle 9.2 に対する “カスタマケアサポート” の終了932722 データベースコピー時の Oracle 10.2 へのアップグレード940794 旧 SAP バージョンに対する Oracle 10.2 のリリース940811 Oracle Database 10g: Migration from 32-bits to 64-bits973450 Oracle Advanced Security: Network encryption974876 Oracle Advanced Security: Transparent Data Encryption (TDE)998004 Windows での Oracle Instant Client の更新551542 FAQ:Oracle inst/upgrade/移行/ソフトウェア再リンク97953 UNIX: Oracle 実行可能ファイルの再リンク1027012 MOPatch # 1 回の実行での MOPatch のインストール1109743 Use of Index Key Compression for Oracle Databases1086956 + 1058988 Instant Client142635 Oracle のバックアップライブラリのインストール968507 Considerable enhancements to backups using BR Tools 7.00964619 Oracle Database 10g: ブロック変更追跡機能1016173 RMAN を使用したデータベース/アーカイブログファイルの検証1101530 Support for RMAN save sets for backups and hard disk148535 データベースバックアップ失敗 (RMAN-04005/ORA-0103)170013 BRBACKUP の “ALL” と “FULL” の違い620803 Oracle 9i: 自動セグメント領域管理910389 FAQ: Oracle セグメント縮小646681 BRSPACE を使用したテーブルの再編成355771 Oracle: 新規表領域レイアウトの説明1043381 Performance problems with Indexes in ASSM table spaces896717 ASSM 表領域使用時にテーブル VBDATA エントリが増加する983230 ASSM での NOCACHE LOB の LOB 破損 (ORA-1555/ORA-22924)1037755 ASSM 表領域でのパフォーマンス問題1124639 Long runtime for DSO1166242 10g: “enq: HW contention” の ASSM TBS での LOB 挿入の待機859841 Uninstall of Oracle Partitioning software option937492 FAQ: Oracle フラッシュバック602843 UNIX: R/3/Oracle での環境変数設定1033126 BR*Tools support for Oracle 10g RAC905359 Oracle RAC データベースでの BR* ツールの使用562403 FAQ: Oracle Net830578 Oracle Database 10g: Unix 環境変数1339724 Oracle 10.2: 拡張サポートの無償期間 (終了: 2011/7/31)

66 M e m o

本冊子は、2009年Oracle Corporation, Oracle for SAP Global Technology Center発行「Oracle for SAP Technology Update No.18」を一部翻訳、再構成したものです。

お問い合わせ窓口

〒107-0061 東京都港区北青山2-5-8オラクル青山センターoracle.com/jp

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T E L

日本オラクル株式会社 代理店名

Copyright © 2009, Oracle. All rights reserved.本カタログの情報は、2009年8月現在のものです。実際の製品とは内容が異なる場合があります。*Oracle、PeopleSoft、JD Edwards及びSiebelは米国オラクル・コーポレーション及びその子会社、関連会社の登録商標です。他社名又は製品名は、それぞれ各社の商標である場合があります。