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銀河系中心Sgr A領域50km/s分子雲の フィラメント状構造 発表 : 上原顕太 (東京大学) 坪井昌人, 北村良実 (ISAS/JAXA), 宮脇亮介(桜美林大学), 宮崎敦史(NAOJ/JSF) 1

銀河系中心Sgr A領域 分子雲の フィラメント状構造takahasi/Project_H_pdf/BHH...Sgr B Sgr C 銀河系中心〜500pc以内の分子雲複合体(Central Molecular Zone:CMZ)

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銀河系中心Sgr A領域50km/s分子雲のフィラメント状構造

発表 : 上原顕太 (東京大学)

坪井昌人, 北村良実 (ISAS/JAXA), 宮脇亮介(桜美林大学), 宮崎敦史(NAOJ/JSF)

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Outline

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1. Introductioni. 円盤領域の分子雲のフィラメント, ii. CMZ, iii. 50km/s分子雲

2. 観測

3. CS J=2-1のイメージi. チャンネルマップ, ii. フィラメント状構造

4. 50MCの分子雲コア(H13CO+)i. コア質量関数,    ii. ΔV-size relation

Outline

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1. Introductioni. 円盤領域の分子雲のフィラメント, ii. CMZ, iii. 50km/s分子雲

2. 観測

3. CS J=2-1のイメージi. チャンネルマップ, ii. フィラメント状構造

4. 50MCの分子雲コア(H13CO+)i. コア質量関数,    ii. ΔV-size relation

円盤領域の分子雲のフィラメント状構造

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Miville-Deschênes+2010

Polaris Flare

250µm

分子雲のparsec-scaleのフィラメント状構造についてはこれまで30年間様々な研究によって指摘されてきた.

Herschelのサーベイ観測(Pilbratt+2010など)から円盤部の分子雲で沢山のparsec-scaleのフィラメントが見つかり,円盤部では分子雲が普遍的にフィラメント状になっていることが明らかになった.

フィラメントは重力的に束縛されておらず星形成も起きていないところでも関係なく存在している.

Arzoumanian+2011では活動的星形成領域と星形成の起きていない領域のフィラメントを同定し,それらの幅が星形成の有無や柱密度(1桁以上の差がある)に関係なく〜0.1pc程度であると指摘した

Padoan+2001では,フィラメントは高密度なpost-shockガスと一致しているというシナリオが提唱されている.

柱密度の広がりは大きい

Arzoumanian+2011

Arzoumanian+2011

銀河系中心領域の分子雲

Oka et al. 1998

CMZ (Central Molecular Zone)

CO(J=1-0)

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Sgr A

Sgr B Sgr C

銀河系中心〜500pc以内の分子雲複合体(CentralMolecularZone:CMZ)は円盤部の分子雲に比べ,密度が大きく,暖かく,速度幅が大きい(表1)など,円盤部の分子雲の環境と大きく異なる.CMZでもALMAの観測によってフィラメント状構造を持った分子雲が発見されている(Rathborne+ 2015)が,銀河系中心領域ではまだこの1例のみなので,銀河系中心の分子雲が普遍的にフィラメント状構造になっているのか分かっていない.

Density (/cc) Temp. (K) ΔV (km/s) B (mG)

CMZ >~1000 ~10 - ~100 ~15 - ~50 ~1

Disk ~100 ~15 ~1-5 < ~0.1

G0.253+0.016The Brick

Rathborne+2015

銀河系中心SgrA領域50km/s分子雲を観測した

50km/s分子雲(50MC)

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NRO45+

NMA

SgrA領域で電波で最も目立つ分子雲の1つで,分子雲衝突による大質量星形成の候補である(Tsuboi+2015).これまで,野辺山45m望遠鏡,野辺山ミリ波干渉計(NMA)などで観測されている(Tsuboi+1999,2009).NMAでは角度分解能Δθ~10”~0.4pcで37個の分子雲コアが同定された(Tsuboi+2012)が,フィラメント状構造は発見されていなかった.

ALMAを用いた高角度分解能の観測を行なった.

Tsuboi et al. 1999 Tsuboi et al. 2009

Outline

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1. Introductioni. 円盤領域の分子雲のフィラメント, ii. CMZ, iii. 50km/s分子雲

2. 観測

3. CS J=2-1のイメージi. チャンネルマップ, ii. フィラメント状構造

4. 50MCの分子雲コア(H13CO+)i. コア質量関数,    ii. ΔV-size relation

観測

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12marray,ACA,TP(単一鏡)を使って,50MC全体のモザイク観測を行なった.

得られたデータはCASAを用いてリダクションとマップ作成を行ない,得られたマップは先行研究(Tsuboi+2009,2012)に比べ,広範囲で空間分解能が10倍程度向上している.

干渉計データと単一鏡データをFeatheringによって合成し,広がった構造を補っている.

観測周波数は4つのIFに分かれており,多くの分子輝線を含んでいる.

Source The 50MC (@~8.5kpc)Obs. Region 330”x330” (whole of the 50MC)Angular Resolution ~1.5"x1.5" (~0.06pc×0.06pc)

mosaic pointing

138pointing (12m)52pointing (7m)

Frequency

Four IFs of Band 3(~85 - 100GHz)CS (J=2-1), SiO(J=2-1), H13CO+ (J=1-0), C34S(J=2-1), CH3OH, SO, H42α, etc...

ALMA cycle 1 data (2012.1.00080.S,PI M.Tsuboi)

今回はCS(2-1),H13CO+(1-0)についての結果をまとめた.

Outline

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1. Introductioni. 円盤領域の分子雲のフィラメント, ii. CMZ, iii. 50km/s分子雲

2. 観測

3. CS J=2-1のイメージi. チャンネルマップ, ii. フィラメント状構造

4. 50MCの分子雲コア(H13CO+)i. コア質量関数,    ii. ΔV-size relation

CS J=2-1のチャンネルマップ

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velocity range = -150km/s~150km/s in VLSR(ΔV=2km/s) line = CS (J=2-1)

詳細な構造に分解され,多くのフィラメント状構造を確認することが出来る.

これらのフィラメント状構造を円盤部と比較していく.

銀河系中心領域で2例目

銀河系中心領域でも円盤部同様に分子雲が普遍的にフィラメントで存在していることを強く示唆している.

50MCのフィラメント状構造

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50MCのフィラメント状構造

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フィラメントの幅50MC

Arzoumanian+2011

Disk Region

⇢50MC = 0.14± 0.06 [pc]Disk = 0.10± 0.03 [pc]

フィラメントの柱密度⇢50MC = (3.22± 2.05)⇥ 1021 [cm�2]Disk = ⇠ 1020�22 [cm�2]

フィラメントの単位長さあたりの質量⇢50MC = 8.5± 6.3 [M�/pc]Disk = ⇠ 11 [M�/pc]円盤部とconsistentな結果となった

Summary

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ALMA cycle 1で銀河系中心SgrA領域50km/s分子雲の高角度分解能の輝線観測を行なった. 得られたマップから確認されたフィラメント状構造の存在は, 銀河系中心領域においても円盤部と同様に, 分子雲がフィラメントの状態で存在していることを強く示唆している.

さらに, 環境 (密度,速度幅など) が大きく違うにもかかわらず円盤領域と銀中領域のフィラメントの幅や柱密度は同程度であることが分かった.

今後...フィラメントの同定を数値的に行ない(模索中), より正確に統計的な議論をしていく. CSで分子雲コアの同定を行ない, H13CO+の結果や先行研究との比較をする.

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