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概要 SolidWorks® ソフトウェアでは、衝撃の解析のための計算がマイクロ秒以下の結果を得るために、短期間に数万ステ ップも計算する必要があるにもかかわらず、設計者が設計前段階で簡単に、そして迅速に落下試験を行えるようにな りました。このホワイトペーパーはユーザーが必要な試験の実行、結果の取得、そのためのシミュレーションの技術 を記しています。ユーザーは、SolidWorks による他の解析と同様の画面や操作感で落下試験を実行することができます。 SolidWorkSによる 落下試験解析 ホワイトペーパー

SolidWorkSによる 落下試験解析cad.weblike.jp/3d-solidworks/Whitepaper/SIM_DropTest_WP...SolidWorksを使った落下試験解析 4 ステップ3 - シミュレーションの実行と結果の考察

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  • 概要SolidWorks® ソフトウェアでは、衝撃の解析のための計算がマイクロ秒以下の結果を得るために、短期間に数万ステップも計算する必要があるにもかかわらず、設計者が設計前段階で簡単に、そして迅速に落下試験を行えるようになりました。このホワイトペーパーはユーザーが必要な試験の実行、結果の取得、そのためのシミュレーションの技術を記しています。ユーザーは、SolidWorks による他の解析と同様の画面や操作感で落下試験を実行することができます。

    SolidWorkSによる 落下試験解析

    ホ ワ イ ト ペ ー パ ー

  • スタディの定義 あなたがPdA や携帯電話を地面に落としてしまった場合、それらの可動部を保護することができますか? もし、クレーンがストレージタンクを落としてしまった場合、その構造に何が起こるでしょう? 従来は、そのような事故の結果を知るには、構造物を破壊する耐久テストを行うか、または自動車事故をシミュレートするための非常に難しい非線形および動的応答解析を実行することを必要としました。SolidWorks Simulationでは、落下試験の設定を他のスタディの設定と同様に行えます。

    ステップ1 - スタディ定義と材料の選択 ユ ー ザ ー が ス タ デ ィ を 開 き 、 落 下 試 験 を 選 択 し ま す 。 次 に 、 材 料 がSolidWorksモデルにおいて既に定義されていない場合、ユーザーは異なった材料をアセンブリのそれぞれの構成部品に割り当てることができます。そして、ユーザーは設定メニューに進みます。

    図 1: SolidWorksで定義された材料は、落下試験のスタディで即座に利用することができ、貴重な時間を節約できます。

    ステップ2 - 落下高さ、床の向き、床の硬さを指定 設定において、ユーザーは、落下高さもしくは衝撃速度を選択する必要があります。もし落下高さを選択した場合、次に、中心(物体の重心)もしくは物体の最下部から測定するかどうかを定義し、また、重力方向を入力するか、落下する床の向きを入力します。落下高さを指定した場合、プログラムは衝突速度を√2gh として自動的に計算します。物が落下する床もしくは他の表面のデフォルト角度は重力を基準としています。しかしながら、床との衝突時に、落下物の角度が変わるように摩擦を入力することも可能です。この摩擦は物体が落下する面、言いかえればアスファルトまたはコンクリートの材料に依存します。また、デフォルトの床は落下物より相対的に固いもの

    (もしくは剛体)と仮定されています。ユーザーは硬さを指定し、柔軟性のある床にすることができます。-- 木製の床が、カーペットの敷いてある床と異なる硬さを持っているように。ユーザーは、衝撃の後にアセンブリ(図 4 参照)の中に互いに接触する可能性がある構成部品の面と面を指定することによって、構成部品間の相互作用をシミュレートすることができます。

    SolidWorksを使った落下試験解析 2

    SolidWorksソフトウェアでは、設計者が設計前段階において、簡単そして迅速に落下試験ができるようになりました。落下試験の設定は他のスタディの設定と同様に行えます。

  • 落下試験解析は 1-2-3 の手順で簡単にできます。

    1. スタディを定義し、材料を選択します。

    2. 落 下 高 さ、 床 の 向 き、 床 の 硬 さ を 指定します。

    3. 解析を実行し、結果を考察します。

    SolidWorksを使った落下試験解析 3

    図 2:SolidWorksにおける携帯電話の落下試験

    図 3:落下高さや床の向きは簡単に定義できます。

    図 4:この双眼鏡の例ではピンを通して双眼鏡の片方からもう片方へと、応力が伝達しています。

  • SolidWorksを使った落下試験解析 4

    ステップ3 - シミュレーションの実行と結果の考察 解析を実行する前に、設定を活用するための、いくつかの疑問に直面するかもしれません。

    A. 衝撃後の時間はどのくらいにするべきでしょうか?衝撃後のシミュレーション時間はマイクロ秒で測定されます。総継続時間はバウンド後、物体にすべての衝撃応力が通過するのに、どのくらいの時間が経過するかに依存します。もし、ユーザーが二次衝撃も考慮したい場合は、その時間を継続時間に加えなければいけません。物体が床に当たると、応力波が着地点から発生し、物体の長さ分を伝わり、その後反射します。この現象は、石を池に落とし入れたときの波及効果と同様です。SolidWorks Simulationソフトウェアは内部的に、この波が一瞬で固体の長さを伝わり、数回行き来するために要する時間を計算します。そして、その時間内にすべての主要な応力イベントが起こると仮定し、結果が保存されます。

    おもちゃのグライダーが先端から床に衝突すると考えてください。応力波は、床と当たったグライダーの先端から発生し、次に、主翼と尾翼に向かって伝わります。

    シミュレーションは二次衝撃を考慮するためには、かなり長い時間実行する必要があります。例えば、下のものは簡単にモデル化されたおもちゃの自動車です。これを落下させると、後輪が最初に床と当たり、次に前輪が続き、一次、そして二次の衝撃が起こります。

    SolidWorksは一次衝撃と二次衝撃の両方を計算できます。

  • SolidWorksを使った落下試験解析 5

    B. 結果を保存するための時間ステップはどのくらいにすべきですか?SolidWorks のデフォルトでは、すべての節点の結果を 25 ステップ、主要なステップ毎に特定位置の結果を 20 ステップ保存します。これは、それぞれのシミュレーションは何万の時間ステップを持つことができ、その全てにコンピューターリソースを費やすより、重要なものだけを保存するためです。ユーザは最初の結果を得るために、デフォルト設定を使用すると、解析時間を節約できることがあります。その場合、全体の時間を節約した再設定のための、選択可能な再設定を要求するウィンドウが表示されます。

    図 5:モデル上の2つの異なった位置における応力の時間変化です。

    C. なぜSolidWorksでの落下試験が必要ですか?図 6 のようなプロパン・ボンベを例とします。危険な物質を入れた容器は異なった向きで落下するための異なった設計必要条件を持っています。しかし、それを容易に検証しながら、設計することが、従来は困難でした。SolidWorks では簡単に物体を異なった向きで落下させ考察できます。製品の安全性や機能性は、より多角的な検証が必要ですが、それを実行できるだけの機能と操作性を持つ数少ないツールが SolidWorks なのです。

    また、SolidWorks の落下試験は、弾塑性をサポートしています。技術者は衝突後にへこむような永久変形を判断できます。プラスチックと金属は、応力が降伏点を越えた場合、永久変形を起こします。例えば、ペーパークリップはある点を越えて曲げることにより、クリップの形ではなくなります。このように落下試験は衝撃解析の結果と同様の材料特性を表現することができます。

  • SolidWorksを使った落下試験解析 6

    SolidWorksでは物体を異なった向きで落下させ、衝突させることが簡単にできます。

    図 6:異なった向きで落下させたプロパン・ボンベはかなり異なった応力結果を示します。

    落下試験解析を支える技術経験豊富なSolidWorksユーザーには、落下試験の実行手順が身近であることがわかりますが、それらを支える技術は、見た目より複雑です。物体が落下し硬い面に当たるシミュレーションをするために、ソフトウェアは以下の方程式を繰り返し解く必要があります。それは物体が落下し、床に当たると力と剛性が変化し続けるためです。

    [M]{a} + [C]{v} + [k]{x} = {F} この式において:M = 質量マトリクス a = 加速ベクトルC = 減衰マトリクス v = 速度ベクトルk = 剛性マトリクス x = 変位ベクトル F= 外力ベクトル

    FEA(有限要素法)はこの方程式を解くために2 つのアプローチ方法を使用することができます。 それらは陰解法と陽解法を呼ばれます。SolidWorksの落下試験シミュレーションは陽解法を使用しています。どちらの方法も等しく正確ですが、陰解法は落下試験などの衝撃問題を解析するために多くの時間がかかります。なぜなら、陰解法は、最初に剛性マトリクスを逆にして変位「x」を計算します。すべてのコンピュータは行列乗法より逆行列を一生懸命、そして長い時間かけて計算しなければなりません。これが陰解法によって使用されたアプローチです。

    陽解法は、加速度を計算して、質量マトリクス(これは対角行列なので、はるかに簡単です)を逆にするだけです。ただし、陽解法は、安定した解を提供するために、非常に小さな時間の増分を必要とする欠点があります。

    現実問題は一般にどちらの方法でも解くことができますが、問題の性質によって、一つの解法の方がもう一方よりも速い場合があります。静的な荷重が与えられる線形解析では陰解法を使用することにより、時間コストに優れ、より速く解くとこができます。しかしながら、衝撃や落下試験のような短時間に載荷されるような問題は陽解法が効果的です。また、剛性マトリクスが定期的に更新されるような非線形問題でも陽解法が効果的です。

    まとめ

    FEAでは落下試験の方程式を解くために2つのアプローチ方法があります。それは陰解法と陽解法です。SolidWorksの落下試験では陽解法を使用し、計算します。両方とも正確に解くことができますが、陰解法ではこの場合、とても長い計算時間を必要とします。

  • 技術とSolidWorksソフトウェアの使い易さで得られたスピードは、ユーザーが簡単に落下試験を設計上で実行できるようになり、シミュレーション全体を通じて設計を新たな次元へと導くことになるでしょう。衝撃の解析のための計算がマイクロ秒以下の結果を得るために、短期間に数万ステップも計算する必要があるにもかかわらず、設計者が設計前段階で簡単に、そして迅速に落下試験を行えるようになりました。ユーザーは、SolidWorksの他の解析と同様の画面や操作感で落下試験を実行することができます。落下試験の設定は、他のスタディの設定と同様に行えます。

    SolidWorksは米国ソリッドワークス社の登録商標です。また、それ以外に記載されている会社名及び商品名も各社の商標又は登録商標です。 ©2011 dassault Systèmes. All rights reserved. MkSdtWPJPN1210

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