12
(C) 1992 The Japanese Society for Synchrotron Radiation Research r __.) SR-SAXS Analysis for Mor iP ho1ogy f' ormaHon Jn Polymer AUoys. huicl >i Noji l1l 8 and Tamaichi Ashlda Depanment of Biotechnology. School of Engineering. :-.I agoya UniversilY The of morphology fonnation in polymer nlloys has been obse lV ed by s mal-angle X-rayscaueringemploying synchrolronradia1ion(SR-SAXS).The systemsusedare (1) a c rysta 1 ine- diblock copolymer , andmicrophaseseparalion lakeplacesimultaneouslyand(2)a b inary blend, wherec l)' slalュ lizalion andliquid-l iquid separntionoccur. The melhodhasrevealedncw typcs of morphologi caJ rransition in thcse polymer alloys nol be obse lV ed by the SAXS lechnique. 34. (Polymer -31-

SR-SAXS法による合成高分子系の 構造形成過程の解 …放射光 (1992年) SR・SAXS法によるポリマーアロイ中の 構造形成過程の解析 前節で示したように,高分子系では他の材料に

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Page 1: SR-SAXS法による合成高分子系の 構造形成過程の解 …放射光 (1992年) SR・SAXS法によるポリマーアロイ中の 構造形成過程の解析 前節で示したように,高分子系では他の材料に

(C) 1992 The Japanese Society for Synchrotron Radiation Research

扱射光第 5巻第4号 <1 992年}

に r L レーzτ1 __.) ~ I ...... .J / .,... I- ..~γ

SR-SAXS法による合成高分子系の構造形成過程の解析

野島修一,芦田玉一

名r!i区点字 ・ 工学部 . 1:物機能 I

SR-SAXS Analysis for MoriPho1ogy f'ormaHon Jn Polymer AUoys.

huicl>iNojil1l8 and Tamaichi Ashlda

Depanment of Biotechnology. School of Engineering. :-.Iagoya UniversilY

The proc部sof morphology fonnation in polymer nlloys has been obselVed by small-angle

X-ray scauering employing synchrolron radia1ion (SR-SAXS). The systems used are (1) a

c rysta 11 ine-amo叩hous diblock copolymer, whe陀 crystallizat io.n and microphase separalion

lake place simultaneously and (2) a binary Cl)'5lalline/amo巾hous blend, where cl)'slalュ

lizalion and liquid-liquid phぉe separntion occur. The SR・SAXS melhod has revealed ncw

typcs of morphologicaJ rransition in thcse polymer alloys whichωn nol be obselVed by the

∞nventional SAXS lechnique.

34.

1 . は じめに

新しい物性 ・ 段能を発出する材料として, ボリ

マーアロイ. (Polymer Alloy) が陀円を集めてい

る 。ポりマーアロイとは, 合成高分子1虫特の多

純多織な一次構造{分子ß. 分子44i分布.分岐

度, プロック ・ グラフト共重合体. 結晶性 . 1産品

性 ・ 」ド品性など)と系qJに形成するナノレベルて

の徴細械造(または. I局次』躍進)とを厳密に制御

することにより , 有益な性質の充mを口的とした

ρi分子新払材である。近年の:H乍技術の~~越な克

展,特に. 指定された一次構造を持つ!日分千を作

るための各何台成法の進W~ と微細川造形成過12

を非蹴端的に追跡可能にした控訴J的過W1I とがこ

の分野の店舵 ・ 応月l研究を飛躍的に発展させた。

従来からMn中の微細桃造を調べる刀法のーっと

して X線小1fj~乱 (SAXS) 法が用いられてきた。

しかし入射 X 緯強度が弱< 1 恒jの iJllJ定中に棉追

が大きく変化してしまうため,椅造形成過密の場

-31-

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348

跡には不適当であった。シンクロトロン放射 (SR)

が利用可能となり測定時聞が極端に短縮されたの

で, SR-SAXS 法は構造形成過程の追跡に最有力

な方法となった。この結果,ポリマーアロイ系の

構造形成過程の研究がにわかに盛んになり, SR-

SAXS 法を測定手段とする数多くの論文が目につ

くようになった。さらにここで紹介するように,

SR-SAXS 法により初めて観察できた新しい構造

形成過程もある 4)O

本稿では,ポリマーアロイ系の微細構造形成過

程の最近の研究成果について,専門分野外の方々

に分りやすく紹介する。このために,まず,高分

子系での微細構造の特異性と一般性とを概観し,

次に,筆者らの最近の研究成果である相転移の複

合効果による構造形成過程について解説する。な

お, SR-SAXS 測定は筑波・高エネルギー物理学

研究所・放射光実験施設 (Photon Factory , PF)

BL-IOC において行なわれたものである。 X線小

角散乱法の原理や PFにおける装置の仕様等につい

ては成書を参考にされたい 5).ω 。

2. ポリマーアロイの微細構造形成因子

ポリマーアロイは高分子多成分系と訳される

が,厳密な定義はそれを扱っている立場により異

なる。一般的には図 1 に示すように, (a)各種合成

高分子の混合系, (b)異種高分子鎖を共有結合でつ

ないだ A- B (または, A-B-C,…等)型ブロ

ック共重合体, (c)主鎖とは異なる化学組成の枝高

分子鎖を共有結合でつないだ A(B)n型クゃラフト共

重合体,などを含む7) 0 A , B , C等はほぼ任意

に選ぶことができるが,合成技術の点で必ずしも

すべての組み合わせが可能なわけではない。な

お, (b) , (C)系は分子量分布を無視すれば熱力学

的には l 成分系である。これらポリマーアロイの

材料としての特徴は, (1) (分子量や分子量分布を

含めた)一次構造の多様性に加えて, (2) 各種相

転移が一次構造のわずかな相違(化学組成や分子

量などのわずかな相違)に対して敏感であるこ

Fig.1

放射光 第 5 巻第 4 号 (1992年)

+

fr戸、\,,~.ノ

、、-・.、

f戸、、,ノ J、_'"眠、-ノ

b

c

(/,\ [~r ... し/】./ ¥ {、-/、,.... ¥ 三〉く\{、1 ~ 仁、LJJ,

、,""、 1 I )1

,.....、〉 a二 J ,J 、_/,、-""'_..~ r デ \ I 、、, ,-、、_1 ( ~ 、ー句、..'

Classification of the polymer alloy.

(a) physical blend of homopolymers

copolymers).

(b) A-B type block copolymer.

(c) A(B)n type graft copolymer.

(or

と, (3) 相転移が極めてゆっくりと進行するた

め,各段階での非平衡構造を容易に凍結できるこ

と,にある。したがって,ポリマーアロイ中に形

成する微細構造は無数であり,考えも及ばない特

異なd性質を持つ材料の出現を期待させてくれる。

ポリマーアロイ中の代表的な微細構造形成因子

としては, (1)成分高分子鎖の結晶化, (2) ブロ

ック・グラフト共重合体のミクロ相分離, (3) 成

分間の液-液相分離などがある。高分子系の特徴

に焦点を当てて,まずこれらの因子により形成す

る微細構造について概観する。

2. 1 結晶化8)

1 本の高分子は非常に長く,溶融状態ではちょ

うど、スパゲ、ッティのように分子が互いにからまっ

ている。 (図 2- a) この状態から高分子が結晶化す

る際には,低分子や金属の場合の様な完全結晶を

作ることはほとんどない。これは,結晶化が系中

の局部的な自由エネルギーの減少にともない進行

-32-

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放射光第 5 巻第 4 号 (1992年)

a b

mTlJllil[T

J1111件1RTIIl

国-Fig.2 Schematic illustration of (a) homopolymer

melt and (b) alternating structure of lamellae

and amorphous layers after cryst副lization. L

represents the long spacing measured by

SAXS.

し,系全体の熱力学的安定状態ヘ向って進行する

のではないからである。この結果,出現する微細

構造は図 2- b に示すように,完全結晶相(ラメ

ラ)と無定形相とのくり返し構造であり, SAXS

法ではこのくり返し周期(長周期, L) に対応す

る波数位置に散乱極大が観察できる。 l 本の高分

子は,ある部分はラメラ中に,また別の部分は無

定形相中にある。系全体の結晶化度(ラメラの割

合)は通常 70%以下である。ラメラの厚さや結晶

化度は結晶化条件(例えば,結晶化温度や用いた

溶媒等)に密接に依存する。系中に異種分子(例

えば,非品性高分子や非品性フ守ロック鎖)が存在

する場合, これらは結晶化にともなってラメラ外

に排出される。これらの異種分子は,結晶化の際

の熱、力学的因子と動力学的因子との折衷により,

ラメラ聞の無定形相にとどまるか,または,さら

に大きな構造(例えば,球晶構造)の外に排除さ

れる。

349

このように高分子系の結晶化の特徴は,同じ合

成高分子でもわずかな結晶化条件の相違により,

大きく異なる微細構造が形成する点である。

2. 2 ミクロ相分離9)

A-B フ守ロック共重合体の A , B ブロック聞に

斥力が働く場合, これらのブロックは互いに分離

しようとする。しかし異種ブロック鎖同士は共

有結合でつながれているので,マクロな相分離は

できない。この結果,図 3 に概念的に示すような

種々のミクロ相分離構造が出現する。共重合体中

の A ブロックの割合が増加するにつれて, A球→

A シリンダー→A , B 交互ラメラ→B シリンダー

→B球と微細構造が変化する。分子量の整ったブ

ロック共重合体では図 3 のミクロ相分離構造は非

常に規則的になり, SAXS 法では高次の回折ピー

クまで観察できる。均一状態とミクロ相分離構造

問の転移温度 Ts はブロック鎖間の相互作用パラ

メーターの大きさとブロック共重合体全体の分子

量の積により決定される。したがって,分子量を

調節することにより,任意のむを持つフゃロック共

重合体を得ることが可能である。

フやロック・グラフト共重合体の作るミクロ相分

離構造の研究は近年盛んに行なわれている。特

に, フ守ロック比の変化にともなう各構造問の転移

現象や,構造の代表的な大きさの分子量依存性が

研究の対象である。

2.3 液一液相分離 1ω

複数の高分子成分(単独重合体やブロック共重

盛野 岬((tJ 仰A A A. ゚ B B I;R シリンダー ラメラ シリンダー I:R

Fig.3 Schematic illustration of microphase structures. The structure

depends on the block ratio in the copolymer 9l•

-33 ー

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放射光 (1992年)

SR・SAXS 法によるポリマーアロイ中の

構造形成過程の解析

前節で示したように,高分子系では他の材料に

第 5 巻第 4 号

ることも可能である。

3.

は見られない独特な微細構造形成因子がある。こ

れまでのポリマーアロイ系の構造研究は,

因子が作用する系の微細構造や構造形成過程を扱

ってきた。そこでは,実験結果を各種相転移理論

や金属・無機系での結果と比較することにより,

高分子系の相転移の特殊性と一般性とを議論して

きた。しかし,実用的なポリマーアロイ系はほと

んど多成分混合系であり,複数の相転移が協同し

て働く結果,想像を絶するほど複雑な微細構造が

形成されるはずである。したがって,協同的な相

l つの

合体)を含むポリマーアロイでは,通常の多成分

系材料の場合と同様,成分間の(マクロな)相分

離を行なう場合がある。すなわち,スピノーダル

分解,または,核化・成長により相分離が始ま

り,粗大化のメカニズムを経てマクロな 2相に分

かれようとする。ポリマーアロイ系では,温度を

降下すると相分離する系(上限臨界共溶温度型,

UCST型)だけでなく,温度を上昇すると相分離

する系(下限臨界共溶温度型,

350

LCST 型) ,およ

び, UCST と LCST とを同時にもつ系も数多く存

在する。(図 4) LCST型相分離は成分高分子の自

由体積の差に起因していると解釈されている。こ

れら UCST , LCST型相図を持つポリマーアロイ

系の相分離過程,特に,スピノーダル分解の初期

過程は格好の研究対象であり,たくさんの研究例

転移による構造形成過程の研究は,相転移現象に

対する学問的興味を引くだけでなく,実用的にも

有益な情報を提供する。 SR-SAXS 法はこの構造

形成過程の追跡に最適な方法である。以下では,

筆者らによる SR-SAXS 法を用いた構造形成過程

の最近の研究例を紹介する。

がある。

ポリマーアロイ系の相分離の特徴は,この液一

液相分離が完了せず相分離過程のある段階で微細

構造が実質的に凍結することである。逆に,相分

離の適当な段階で構造を凍結させ,同じ化学構造

を持つ材料から異なる物性を持つ高分子材料を作

ブロック共重合体の結晶化とミクロ相分3. 1

離 11) ー 16)

結品性鎖を含むブロック共重合体では,共重合

体自身のミクロ相分離(図 3) とフゃロック鎖の結

晶化(図 2) とが同時に起こり,特異な構造形成

過程出現の可能性がある。

ε ーカフ。ロラクトン-ブタジエン(結晶性-非晶

two phases

LCST 。』コ“mw』oaF-OLF

性) 2元ブロック共重合体 (PCL-b-PB) は,そ

の分子量とブロック比とを適当に調節することに

より,種々のミクロ相分離構造を作り出すことが

できる。また,ブロック共重合体のミクロ相分離

温度 Ts を PCL鎖の融解温度 Tm より低く(また

は,高く)することも可能である 14) 。この系を高

温(均一状態)から急冷した時の微細構造形成過

程の例を図 5-a , b に示す。図 5-a は Ts と Tm と

がともに 400

C付近にある共重合体での SR-SAXS

44‘

円べU

one phase

Typical phase diagram of the polymer alloy showing LCST-and UCST-types phase sepaュration.

UCST

two phases

Composition

Fig.4

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放射光第 5 巻第 4 号 (1992年)

。 100 200 300 400 500

channel number

b

351

。 100 200 300 400 500

channel number

Fig.5 Time司resolved SAXS curve plotted against channel number for the

PCしb-PB copolymers quenched from ca. 550

C into (a) 28.7 and (b) 21.0 oC 14). The rnelting temperature of the PCL block is about 42 oc .

The spinodal temperature of microphase separation Ts is ca. 400

C

for (a) and below 20 oC for (b). Channel number 258 corresponds to

the zero angle, and the SAXS curve is symmetrical against this

channel. The numerals in the figure represent the time after the

sample was quenched from the melt.

曲線の時間変化である。融解状態 (Tm 以上の温度)では,均一ブロック共重合体の Correlation

Hole Effect に起因する散漫散乱ピークが有限の角

度に観察される。急冷直後,この散漫散乱ピーク

は鋭い回折ピークへと変化し (65sec) ,系中に規

則的なミクロ相分離構造が形成したことを示す。

さらに時間が経過すると,この回折ピーク強度は

徐々に減少し,同時に低角側に強い散乱ピークが

出現する。 (250sec) この低角側の散乱ピークは,

熱測定の結果より, PCL鎖の結晶化にもとづいて

いることが分かり,系中には図 2-bのラメラくり

返し構造が形成している。最終的には回折ピーク

は消え, ミクロ相分離構造がラメラ繰り返し構造

に完全に置き換わる。 (850sec) すなわち,ラメラ

くり返し樽造C方均三ミクロ相分離構造に比べ,熱

力学的に安定な状態である。ミクロ相分離はエネ

ルギー障壁のない自発的な相転移である。一方,

結晶化は核形成のための誘導時聞が必要である。

この短い誘導時間の問だけ系中にミクロ相分離構

造が出現し,やがて結晶化によりこのミクロ相分

Fhu

円ベU

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352

離構造は破壊される。 SR-SAXS 法により初めて

観察できた構造転移過程である。一方,図 5-b は

TsがTmより十分低いところにある共重合体での結

果である。融解状態では,図 5-a と同様,均一ブ

ロック共重合体からの散漫散乱ピークが現われ

る。急冷後しばらくすると,さらに低角側に強い

散乱が現われ,時間と共にその強度が増大してい

く。最終的には低角側の強い散乱のみになる。図 5

に示した SR-SAXS 曲線の時間変化が意味する微

細構造変化と電子密度変化は図 6 の様に概念的に

描くことができる。図 5-a の試料では急、冷にとも

ない,系中の微細構造が図 6-a→ b→ c と変化す

る。一方,図 5-b の試料では,図 6-a→ c と変化

a d

ρE

r

e

ρe

r

f

ρe

r

Fig.6 Schematic illustration of the morphology and

the corresponding electron density profile

during phase transition of the present copoュ

lymer 14l• The copolymer in a homogeneous

state (a) changes into a micellar structure (b)

just after quenching and finally into an

alternate structure consisting of lamellae and amorphous layers (c). 111 pa吋s (d) 一(f), the

ordinate is the eleclron density ρe and the

abscissa is the distance r.

放射光第 5 巻第 4 号 (1992年)

し, ミクロ相分離構造は出現しない。

以上の様に,結晶性鎖を持つブロック共重合体

系では,最終微細構造はブロック鎖の結晶化のみ

に依存し, ミクロ相分離構造の影響は現われな

い。しかし次に示すように,構造形成の途中に出

現するミクロ相分離構造は,構造形成過程の個性

として現われてくる。

(ラメラくり返し構造にもとづく)散乱ピーク強

度と(ミクロ相分離構造にもとづく)回折ピーク

強度の時間依存性の例を図 7 に示す。散乱ピーク

強度は時間と共に S字状に増加する。一方,回折

ピーク強度は逆 S字状に減少し,両者はちょうど

その強度が 1/2 になる所で交わる。このことはミ

クロ相分離構造からラメラくり返し構造へ移行す

る際には,広範囲にわたる第 3 の構造(例えば,

均一状態)が出現しないことを示す。散乱ピーク

強度が最終値の半分になるまでの時間以(すなわ

ち,回折ピーク強度が初期値の半分になるまでの

時間)は構造形成速度の目安となる。図 8 はこの

tYzを種々の分子特性をもっ PCL-b-PB について構

造形成温度Tc に対してプロットしたものである。

いずれの共重合体も Tcの増加と共に著しく結晶化

速度が遅くなる。また,フやロック共重合体の結晶

化は,同一Tcでの PCL単独重合体の結晶化に比べ

T I

/\」側\一

/。。。\」側

、ヘ。/一

。\./一

O

K.J

O

ト.♂一

2

、いい111111トlili-­

n

U

R

U

1

o

hzωcφ#C一刀@N=mwE』OZ

よ800 1000

Time (sec)

Fig.7 Normalized intensities for the microphase

separation (・) and crystallization (0)

plotted against time at Tc = 26.5 oC 14l• The

curves meet each other at half of their

maximum intensities.

nhu

円。

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放射光第 5 巻第 4 号 (1992年)

1500

1000

• • 刷

、F

一戸

• A

500

0 '15 20 30 35 25

Temperature (・c)

Fig.8 Half-time of crystallization , tY2' plotted against Tc for the PCL -b -PB copolymers 14).

The open symbols (0,ム) represent the

result for the copolymers with the microュ

phase separation just before crystallization

and c10sed symbol (・) represents the result

for the copolymer with no microphase sepaュ

ration.

て極めて遅いが,結晶化前にミクロ相分離する共

重合体の方がミクロ相分離しない共重合体よりも

結晶化が速い。結晶化前にミクロ相分離する共重

合体では,結晶性成分はすでに凝集している。一

方,均一なフゃロック共重合体では,結晶化のため

に結晶性成分が拡散・凝集しなければならない。

この差が結晶化速度の相違に寄与しているのであ

ろう。さらに,結晶化前にどのようなミクロ相分

離構造が形成しているかが以後の結晶化過程に重

大な影響を及ぼすはずである。なぜならば,構造

の再配列の速度は,前もって存在する構造の形状

等に依存するからである。現在,これらの解析が

進行中である mo

3.2 結晶性/非品性 2成分ポリマーアロイ系の構

造形成過程 18) 辺)

非相溶な結晶性高分子/非品性高分子 2成分系

では,成分高分子の結晶化(図 2) と成分間の液

-液相分離(図 4) とが同時に起こり得る。この

様な相転移は金属・無機系で数多く知られている

が,高分子系には次の様な特徴がある。(1)高分

353

子の結晶化では完全結晶が形成されず,結晶(ラ

メラ)と結品との聞に無定形相が形成される。こ

の無定形相は熱力学的な安定相ではないが,結晶

化の際には必ず現われ,あたかも 1 つの独立相の

様に振るまい構造形成過程をより複雑にしてい

る。 (2) 構造形成に要する時聞は無限であり,実

質的にはある段階でその構造が凍結してしまう。

したがって,ラメラ聞の無定形相を考慮に入れた

微細構造形成過程を完全に把握できれば,構造を

制御・凍結することにより,様々な物性を持つポ

リマーアロイ系を作り出すことが可能である。

ポリ (ε ーカフ。ロラクトン) (PCL,結晶性)/ポ

リスチレンオリゴ、マー (PSO,非品性) 2成分系は

UCST型相図を持つポリマーアロイである 19)20)O

PCL ホモポリマーと PCL/PSO = 60/40 の試料を

PCLの融点以上の均一状態から急冷した時の SR­

SAXS曲線の時間変化を図 9に示す。両試料の SR­

SAXS 曲線とも S-0.07nm- 1 付近にラメラくり返

し構造に起因する散乱ピークが現われ,時間と共

にその強度は増大していく。すなわち,結晶化が

進行し,系中に高分子独特の微細構造(図 2-b)

が増加しつつあることを示している。ポリマーア

ロイの場合にはこの散乱ピークに加えて,低角側

にも強い散乱が現われ,時間と共にその強度が強

くなっていく。微細構造の詳細な解析により,系

中に形成する微細構造を図 10のように概念的に描

くことができる。図 9- b の低角側の散乱は(ラメ

ラくり返し構造からなる)結晶領域と(ラメラを

含まない)無定形領域との電子密度差から生じて

いると解釈でき,一方, S "'" 0.07nm-1 付近の散乱

ピークは結晶領域中のラメラと無定形相とのくり

返し構造に起因するものである。

散乱強度曲線の時間変化を詳細に検討すること

により,ポリマーアロイ系の構造形成過程を評価

することができる。図 11 はラメラくり返し構造か

ら生づる散乱ピーク強度の時間依存性を示してい

る。図から明らかなように,非品性成分の割合が

増加するほど,また,結晶化温度が高くなるほど

ウー

丹、υ

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354

a

放射光第 5 巻第 4 号 (1992年)

b

-・... _ 260 sec • ..・・mJ:.・.p ・.

…-・7 ・. べ・・......山・・・~--dNN • J ~. ・・.・"・ー ・ 1,270 sec •. 230 ・ ......・心.- ・ ......九日.

…......'デ・・・・ 「・・...九%、.....・・・........・山・・. ..・・ .... ...... .._.. 1 , 1手0

... ・ ........_-- ~~,?._.. ...・P・----- -... ・ -・・・・・ .・6 ・ .・. . .・ ・・ ・・~ ・ . .1,930

170 .......・・ .....・・M・M・..............・.......・H・.." ..... .....・ 910 ...... ・ .・・・・・・._. "'...・・....・・・・・・.............,・

・・.・'. 140 ・ ....... .. ..~・.......・. ・ ・川.........__._.. -_...て90.

-・・ ........_....___.. .___ ._.~1~..

-句. . .

"叩…..山..… 〆H山山……..内叩….句附..山......句.

λ h叩.......〆f〆......刊〆.............九..へ..ヘ....、h句.......句川.句~句h円....山......山.

山52.. ・…........山・~・山・・山川・・・・・・・・・H・H ・-23E

。 0.1

S (nぽ)0.2 0 0.2 0.1

S (nnf1)

Fig.9 Time-resolved SAXS profiles during morphology formation at 40 oc for the blend with (a) PCL/PSO = 100/0 and (b) = 60/40 間. The SAXS

intensity is corrected for the Lorentz factor. The numerals in the

figure represent time from the beginning of morphology formation.

、A­

‘.am .,.且-

a一

、A

一n

一O

d

一e

一n

・司・--­

'・・A­

司自且-

a一

4L

一s-r

一C

Fig.10 Schematic illustration showing the twoュ

phase structure consisting of the crystalline

and amorphous regions 21l• The crystalline

region comprises alternate stacks of lamelュ

lae and amorphous layers. The amorphous region is mainly composed of amorphous

component, PSO. The proportion of this

two-phase structure in the system inュ

creases with time from the beginning of

morphology forrnation.

微細構造形成に時間がかかる。しかし構造形成

に要する時間を各組成・温度に固有の値で還元す

ると, これらの曲線は図 12に示すように 1 本のマ

スターカーブとなる。このマスターカーブ中に

句E

』OZ

〉、 1.0吟d

ω c ω ..... c

て3

~ 0.5

300 900 1200 1500 600

Time (sec)

Fig.11 Normalizecl intensity maximum plotted

against time for the blend crystallized at T c

= 400

C with PCL/ PSO = 100/0 (0) , 90/10 (・) , 80/20 (<>), 70/30 (圃) , and 60/40 (口)22)

は, PCL単独重合体の結晶化過程も含まれている

ので, (成分間の相分離ではなく) PCL鎖の結晶

化がポリマーアロイ中の構造形成速度を支配して

いると結論できる。

一方,形成する微細構造の詳細は, PCLの結晶

化と成分間の液-液相分離との折衷により決定さ

れる。図 13 は系全体の結晶領域の割合(・)と 2相

内ぺU

Page 9: SR-SAXS法による合成高分子系の 構造形成過程の解 …放射光 (1992年) SR・SAXS法によるポリマーアロイ中の 構造形成過程の解析 前節で示したように,高分子系では他の材料に

355

存する。高分子系の場合完全結晶相は形成され

ず,図 2 に概念的に示すラメラくり返し構造が必

ず出現する。この無定形相も構造形成過程におい

である程度まで非品性成分を収容することが可能

図 15の Mで示すように,

メラ聞の無定形相を相図に加えることは,構造形

成過程で起こる現象を理解するのに有用であろ

この第 3 の相は,熱力学的に安定ではなく,

-フ

Intensity maximum (s21)max (・) (proporュ

tional to the crystalline region) and e (t) (0) (proportional to the amorphous region

in the two-phase structure) plotted against

time for the blend with PCL/ PSO = 60/40 at Tc = 40.0 OC22). e (t) is almost constant

throughout the morphology formation within

the experimental error.

。(∞) plotted against Tc for the blend with

PCL/ PSO = 80/20 (ム) and against PCL

composition , φ陀L' at Tc = 40.0 oC (0)22).

一8

「 -lfJ

3000

44

1.0 0.9

1000 2000

Time (sec)

0.8 0.7

φPCL

T (OC)

したがって,

0.6

0 0.5

24 10

5

である。

Fig.13

Fig.14

(.3.3K

E-

つ。

QU

円ぺU

〉、

ω

1.0 ~ c

.。

ω N

0.5 � 0

or"~""" ぽ I Z J P

向島d品。

♂'':6

Normalized intensity maximum plotted

against reduced time, t / t ]12・ In the upper

curve, the data points are obtained frorn the blends crystallized at 40 oC with PCL/ PSO

= 100/ 0 ( 0) , 90/ 1 0 (・) , 80/ 20 (<)) , 70/30 (圃) , and 60/40 (口) • In the lower curve, the data points are from the blend with PCL/ PSO == 80/20 crystallized at Tc = 30.0 (0) , 35.0 (.), 39.5 (<)), 41.0 (圃) and 42.5 oc (口)

領域(結晶領域と無定形領域)中での無定形領域

の割合 e (0) の時間変化を表わしている。前述の

結晶領域の割合は時間と共に増加し,

て一定となる。一方, 。は構造形成過程を通じで

ほぼ一定である。これは構造形成の初期より図 10

の微細構造が出現し, 2相領域に対する無定形領

域の割合をほぼ一定に保ったまま,系中の 2相の

やが

の組成依存性と温度依存性を示す。 θ は組成に対

して大きく変化するが,温度に対しての変化は小

これらの解析結果より,微細構造形成過程

の細部や最終構造は PCLの結晶化と成分間の液­

液相分離が互いに親密に影響を及ぼした結果であ

一液相分

Cの 3相が共

以上の結果をもとに,金属・無機材料における

相図例を参考にして本系での相図を描くと図 15の

様になる。ここで, Lは均一領域, Ll +L2 は液­

液相分離領域, L 十 C は固(完全結晶)

割合が増加していくことを示している。図 14 に θ

0 4

よ3

B ,

(1992年)

離領域である。温度T1 では A ,

よ2

t I tl/2

第 5 巻第 4 号

ることが分かる。

1.0ト

0.5ト

放射光

Fig.12

さい。

様に,

hH一ωzoHC一宮wN一一旬E』OZ

Page 10: SR-SAXS法による合成高分子系の 構造形成過程の解 …放射光 (1992年) SR・SAXS法によるポリマーアロイ中の 構造形成過程の解析 前節で示したように,高分子系では他の材料に

(1992年)第 5 巻第 4 号放射光356

a

@』3制帽』@aE@」F

L

Schematic illustration of the phase diagram

with crystallization and liquid-liquid phase separation 22).

E

Tl 1- 一一,I /A B¥ ..., 1 c

T� 1-一一一一一一一一一一一一一一一一一一、一一一一一--ムーー

Tcl l.-一一一一一一一一一一一一一一一一斗一一- ~j_-i L+C 州

リc

Volume Fraction of PCL

L1 + L2

φb

ω』コ一F伺』ωaE』ωト

Fig.15 Volume Fractlon of Homopolymer

b

L

M+ し

@』三伺』@aE@LF

構造形成の際の動力学因子によってその組成が変

化し得る。たとえば, Eの均一試料を F に急冷し

た場合,系中には PCLラメラ,組成。cを持つ(ラ

メラ聞の)無定形相,組成ゆbを持つ無定形領域の

3相が出現する。この相図をもとに考えると,今ま

で得られた結果(例えば,図 14) はすべて矛盾な

く説明可能である。従来ポリマーアロイ系での構

造形成過程は,結晶性高分子がまず結晶化し,非

Volume Fraction of Homopolymer

c

品性高分子はラメラ間や結品領域外に強制的に追

い出され,最終的に結晶領域と無定形領域とから

なる微細構造が形成されると考えられてきた。

-SAXS法を用いた本研究の結果,

SR

ポリマーアロイし

@』3制酬と@az-@

しF

系においても結晶化と液-液相分離が同時に作用

その微妙なバランスにより最終微細構造が形し,

成していくことが明かとなった。

ブロック共重合体/ホモポリマーアロイ3.3

マ丈 23) -26) ;'1 、

ブロック共重合体/ホモポリマー 2成分ポリ

マーアロイ系では,フ会ロック共重合体のミクロ相 Volume Fraction of Homopolymer

Schematic illustration of phase diagrams

expected for the mixture of styreneュ

butadiene diblock copolymer with polystyュ

rene24). Diagrams. (a), (b) , and (c) represent

cases with successively lower molecular

weight polystyrene.

Fig.16

円U4

4A

分離(図 3) と成分間の液一液相分離(図 4) とが

協同的に作用する可能性がある。それぞれの相転

移は成分高分子の分子量やブロック比に大きく依

存するので,構成成分が同じでも様々なタイプの

相図が予想される。

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放射光第 5 巻第 4 号 (1992年)

スチレンーブタジエン 2元ブロック共重合体/ポ

リスチレン 2成分系で予想される相図を図 16 に示

す。図 16-a , b , c は同ーのフ守口ック共重合体を

用い,ポリスチレンの分子量を徐々に減少させた

時の予想される相図の変化である。ここで, Ll +

L2 は成分間の液一液相分離領域を, L+Mは液相

とミクロ相分離相との共存相を, M1 +M2は 2種類

のミクロ相分離相の共存領域を表わす。予想され

る相図は非常に複雑で,成分の分子量を変えただ

けでも大きくその様相がかわることが分かる。

これらの系での構造形成過程に関する研究は現

在まったく行なわれていない。図 16 に示す相図の

妥当性が十分に吟味されていないこと, ミクロ相

分離領域の厳密な測定が困難なこと,相図の奥深

くへ急冷することが難しいこと,などによる。今

後これらの複雑な相図を持つポリマーアロイ系で

の微細構造や構造形成過程の研究が進展するであ

ろう。

4. おわりに

本稿では, SR-SAXS 法を用いた筆者らの最近

の研究例を中心に紹介した。これらはポリマーア

ロイ中の微細構造や構造形成過程に関する研究例

のほんの一部であり,まだ手のっけられていない

数多くの興味ある現象がある。 SR-SAXS 法はこ

こ数年で本格的な利用が可能となった新しい測定

手段であり,この方法を用いた構造形成過程の研

究がますます増加するであろう。これにともな

い,新しい機能・物性を持つポリマーアロイ系が

開発されるばかりでなく,要求された機能を発揮

できるようなポリマーアロイの材料設計も近い将

来現実となろう。この分野の今後の進展に期待し

fこし'1 0

本稿で記した研究を遂行するにあたり,研究の

様々な段階でお世話になった多くの方々に感謝し

ます。 SR-SAXS測定は PF共同利用実験課題 (90

-061 , 91 -245) として行なわれたものです。

357

PF ・小林克己先生,および, PF BL-10C ワーキ

ンググループの方々にも深く感謝します。

5. 文献

1) 例えば,高分子学会編:先端高分子材料シリーズ

3 高性能ポリマーアロイ(丸善, 1991).

L. A. Utracki 著 西敏夫訳:ポリマーアロイとポリ

マーブレンド(東京化学同人, 1991).

2) 例えば,鶴田禎二, JI[上雄資:高分子設計, (日刊

工業新聞社, 1992).

3) 例えば, R. Gehrke: Top. Curr. Chem. , 171, 111

(1989).

4) 野島修一:高分子加工, 41, 321 (1992).

5) 例えば, O. Glatter and O. Kratky, Eds.: Small Angle

X-ray Scattering, (Academic Press, New York, 1981).

6) 高エネルギー物理学研究所放射光実験施設共同利

用実験応募資料.

7) 例えば,高分子の相溶化と評価技術, (技術情報協

会, 1992).

8) 例えば, L. Mandelkern : Crystallization of Polymers,

(Mcgraw-Hill , 1964).

9) 例えば, S. L. Aggarwal Ed: Block Copolymers,

(Plenum Press, 1970).

10) 例えば, T. Nose: Phase Transitions, 8, 245 (1987).

11) K. C. Douzinas , R. E. Cohen , and A. F. Halasa:

Macromolecules, 24, 4457 (1991)

12) C. A. Veith, R. E. Cohen, and A. S. Argon : Polymer,

32, 1545 (1991)

13) S. Ishikawa, K. Ishizu, and T. Fulくutomi: Polym.

Comm. , 32, 374 (1991).

14) S. Nojima, K. Kato , S. Yamamoto, and T. Ashida,

Macromolecules: 25, 2237 (1992)

15) S. Nojima, M. Ono , and T. Ashida: Polymer Journal, 24,

1271 (1992).

16) B. Li and B. Huang: 1. Polym. Sci. , Polym. Phys. Ed. ,

30, 727 (1992).

17) S. Nojima , H. Nakano , and T. Ashida: manuscript in

preparatlOn.

18) W. R. Burghardt: Macromolecules, 22, 2482 (1989).

19) H. Tanaka and T. Nishi: Phys. Rev. , A39 , 783 (1989)

20) S. Nojima, Y. Terashima, and T. Ashida: Polymer, 27,

-41-

Page 12: SR-SAXS法による合成高分子系の 構造形成過程の解 …放射光 (1992年) SR・SAXS法によるポリマーアロイ中の 構造形成過程の解析 前節で示したように,高分子系では他の材料に

358

l∞7 (1986)

21) S NOJlma, K Saloh. and T Ash冝a MacromoletλJles ,

24, 942 (1991)

22) S. NOJlma. K. Kato. M Ono , and T Ashlda

Mdcromolecules. 25. [922 (1992).

23) R J Roe and D. Rigby Adv. Polyrn. SCI. R2. 103

(1987)

政射光館 5 巻第4号 (1992年)

24) S NOJlma and R J. Ro<:. MacTomolecules. 却. 1866

(1987)

25) S. N句ima , R. J. Roe. 0 Ri且by. and C C. Han:

Macromolecules 23, 4却ヨ{同~)

26) C K Kang and W. C. Zln' Macromolccules. 25, 3039

(1992)

さいわーど

相互作用パラメーター (ln1e.... actlon Parnm¥'ter)

品分子博被を記述するための幡子四面 (Flory.Huggl ns

E論)で導入された.見括るセグメントIHJの制圧作JIJ

エネルギーに閲する因子。無次JEi立であり. x パラ

メーターとも呼ばれる。見事Eセグメン卜聞に斥力が働

く糊合はX>O. 引力が働く場合は X く oである。ぷ際

には.格子班論で骨子価が不十分なエントロピー的寄与

も含まれている。ポリマーアロイ系での(ミクロ,ま

たは. マクロ)栂分障の臨界温度は応分チ全体の盛合

lírを N とすると XNで決定される。

COl1"Cl.oUon Hole EffcC-1

均 帽状態にある A- B2 )Í:プロ γ ク A喧合体中での四

度ゆら吉の大きさは.このl勾分子のコンフォメーシ ョ

ンと笛接l二関l!I!してt 唱。すなわち. 1 ~与の共市合{み

の慣性半径をR,とすると A > 凡なるゆらぎAは,共ill

合体が引き伸ほされた2 ンフす t ーショ ンをとらはけ

ればならず. 起こりにくい。したがって, 均一ブロ J

ク共重合体からの散乱樹立 1 (ψはむに対応する波散

(1 m で最大値をとる。なお.この倣乱強l弘曲線 b

Ornslem-Zern ike型 l(q)'" I (q 111) I ( I . 1・ f! (q - qrr):)で近似

できる。

-42-