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STARC 寄附講座「SoC 設計技術」実習の概要 STARC寄附講座「SoC設計技術」実習の概要 1 講座の狙い 性能、コスト、開発期間など、SoC(System On a Chip)にまつわる数多くの制約条件の中で、最適な HW(ハ ードウェア)や SW(ソフトウェア)を設計するリーダとしての SoC アーキテクトの重要性は日に日に増していま す。「SoC 設計技術」実習は、STARC 寄附講座「SoC 設計技術 B,C,D」が講義に続けて、実際に企業で行われ ている設計を体験することによって、講義内容の理解を深めると共に、システム全体を設計する技術を習得し、 SoC アーキテクトを育成することを狙いとします。更に、アルゴリズムからの SoC 設計にも言及する学生のた めにアルゴリズム設計編の講義と実習も用意しています。 2 講座の特長 先端分野の設計モチーフを体験 - 画像や音声などを扱うデジタル機器や無線制御を用いたロボット操作をモチーフとしているので、自 分で設計したものを操作して、動かす楽しみ、ならびに達成感を味わえます。 システム仕様から始まる設計を体験 - 要求仕様に基づき、トップダウンに設計と検査を積み重ねることを通じて、期間・性能・機能のバラン スの取れた設計を体験できます。 最先端の設計環境を体験 - 設計手法、教材、品質管理など、実際に企業で利用している技術やツールを使用できます。 チーム設計を体験 - 設計チームの一員としてコミュニケーション、ネゴシエーションを行いながら、役割分担やリーダシッ プ、各専門分野にまたがる横断的な共同設計を理解できます。 設計分野で6つのコース - 音声アルゴリズム設計、制御アルゴリズム設計、画像アルゴリズム設計、システム設計、LSI 設計、 組込み SW 設計の6コースを用意しており、各設計の関係と位置づけを理解できます。音声アルゴリ ズム設計、システム設計、LSI 設計は、DVD プレーヤのモチーフを、制御アルゴリズム設計と組込み SW 設計は、ロボットの無線制御のモチーフを、画像アルゴリズム設計は、車線画像認識モチーフを 用います。複数のコースを受けることにより、技術の基本への理解が深まります。 2009/12/25

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STARC 寄附講座「SoC 設計技術」実習の概要

STARC寄附講座「SoC設計技術」実習の概要

1 講座の狙い

性能、コスト、開発期間など、SoC(System On a Chip)にまつわる数多くの制約条件の中で、最適な HW(ハ

ードウェア)や SW(ソフトウェア)を設計するリーダとしての SoC アーキテクトの重要性は日に日に増していま

す。「SoC 設計技術」実習は、STARC 寄附講座「SoC 設計技術 B,C,D」が講義に続けて、実際に企業で行われ

ている設計を体験することによって、講義内容の理解を深めると共に、システム全体を設計する技術を習得し、

SoC アーキテクトを育成することを狙いとします。更に、アルゴリズムからの SoC 設計にも言及する学生のた

めにアルゴリズム設計編の講義と実習も用意しています。

2 講座の特長

・ 先端分野の設計モチーフを体験

- 画像や音声などを扱うデジタル機器や無線制御を用いたロボット操作をモチーフとしているので、自

分で設計したものを操作して、動かす楽しみ、ならびに達成感を味わえます。

・ システム仕様から始まる設計を体験

- 要求仕様に基づき、トップダウンに設計と検査を積み重ねることを通じて、期間・性能・機能のバラン

スの取れた設計を体験できます。

・ 最先端の設計環境を体験

- 設計手法、教材、品質管理など、実際に企業で利用している技術やツールを使用できます。

・ チーム設計を体験

- 設計チームの一員としてコミュニケーション、ネゴシエーションを行いながら、役割分担やリーダシッ

プ、各専門分野にまたがる横断的な共同設計を理解できます。

・ 設計分野で6つのコース

- 音声アルゴリズム設計、制御アルゴリズム設計、画像アルゴリズム設計、システム設計、LSI 設計、

組込み SW 設計の6コースを用意しており、各設計の関係と位置づけを理解できます。音声アルゴリ

ズム設計、システム設計、LSI 設計は、DVD プレーヤのモチーフを、制御アルゴリズム設計と組込み

SW 設計は、ロボットの無線制御のモチーフを、画像アルゴリズム設計は、車線画像認識モチーフを

用います。複数のコースを受けることにより、技術の基本への理解が深まります。

2009/12/25

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STARC 寄附講座「SoC 設計技術」実習の概要

3 実習のモチーフ

モチーフとして、DVDプレーヤを簡単化したシステム、リモコンでロボットを無線制御するシス

テム、およびカメラ映像から車線を認識するシステムを採用しました。

パケットデータ

AV機器

SP TV SP

DVDディスク(蓄積メディア)

画像 音声 文字 デコード デコード デコード

画像 音声 文字 デコード デコード デコード

画像圧縮 MPEG2

PCカード(Compact Flash)

検証

パケット転送エラー 擬似パケット転送エラー追加可能

画像圧縮 Motion JPEG パケットデータ

疑似D

VD

メディア

AV

再生制御

実習向けに

簡略化

プレーヤG

UI

(a) 本来のデジタル機器 (b) 実習用の簡易版

図1 サンプル・システム:DVDプレーヤ

モータ

センサ

ZigBee

ZigBee

トルク

距離

ZigBee トルク

モータ

センサ

ZigBee距離

(a) 遠隔制御リモコン用ボード (b) ロボット

図2 サンプル・システム:ロボットの無線制御

2

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STARC 寄附講座「SoC 設計技術」実習の概要

4 実習で使用する教材

4.1 実習で使用するボード ボード

(a) ビデオカメラ (b) 画像処理用ボード

車線認識 入力画像 車線認識アルゴリズム実装

図3 サンプル・システム:車線画像認識

T-Engine拡張バス

ARM926EJ-S

Memory-C

SDRAM

Buff

FlashROM

32

32

CPL PCMCI

PCCARD

USB-H

Touch Key

LCD-C

16

&

32

16 16 8

FPGA

FPGA

32

32

AC97

USB

DVD同期処理 Or

無線制御処理

JPEGデコーダ実装

デコーダ実装 Or

UART実装

富士通MB87Q1100搭載T-Engine/ARM926-MB8

Coreボード

T-Engine/ARM926-MB8

Baseボード

LCDボード

音声再生

外部SP

ストリームコンテンツ用

図4 (B,C,D,E1,E2)実習システムの構成

機能拡張FPGA開発ボード

μT-Engine用

T-Engine/

3

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STARC 寄附講座「SoC 設計技術」実習の概要

図5 (B,C,D,E1,E2)T-Engine実習システム

NTSC 画像信号

画像キャプチャ回路

画像成分抽出

YCbCr → RGB 変換

インタレース →プログレッシブ変換

画像処理回路

入力画像用メモリ

出力画像用メモリ

画像表示回路

LCD 制御LCD画像

画像処理部

メモリデバック回路

信号制御部

JTAG UART

ターミナル

図6 (E3)実習システムの構成

図7 (E3)実習ボード

4

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STARC 寄附講座「SoC 設計技術」実習の概要

4.2 実習で使用するソフトウェアツール環境

HW

/SW分割

論理合成ISE/Quartus

等価検証動作合成(C→RTL)eXCite

Cレベルの機能シミュレーションVisualSpec機能仕様書作成テンプレート機能

論理シミュレーションModelSim

RTL構文チェックSpyGlass機能をRTL記述機能仕様書論理

タイミング解析

両モデル(HW実装とSW実装)の性能差を確認し、実装手段を判断

音声、制御、画像処理アルゴリズムの検証

概要

配置配線

システムのHW/SWチャネル接続を変更し、両モデルを作成

音声、制御、画像処理アルゴリズムの設計

概要 ツールツール

ISE/QuartusISE/Quartusレイアウト

VisualSpec

CoMET

VisualSpec

MATLAB/

Simulink

MATLAB/

Simulink

アルゴリズム

設計 検証実習環境

HW/SW分割

論理合成ISE/Quartus

等価検証動作合成(C→RTL)eXCite

Cレベルの機能シミュレーションVisualSpec機能仕様書作成テンプレート機能

論理シミュレーションModelSim

RTL構文チェックSpyGlass機能をRTL記述機能仕様書論理

タイミング解析

両モデル(HW実装とSW実装)の性能差を確認し、実装手段を判断

音声、制御、画像処理アルゴリズムの検証

概要

配置配線

システムのHW/SWチャネル接続を変更し、両モデルを作成

音声、制御、画像処理アルゴリズムの設計

概要 ツールツール

ISE/QuartusISE/Quartusレイアウト

VisualSpec

CoMET

VisualSpec

MATLAB/

Simulink

MATLAB/

Simulink

アルゴリズム

設計 検証実習環境

5 実習の構成

実習は、RTL設計を行うBコース(LSI設計編)、組込みSWの開発を対象とするCコース(組込みSW設計編)、

HW、SWを統合した設計を対象とするDコース(システム設計編)、音声制御アルゴリズムからHWへの実装設

計を対象とするE1コース(アルゴリズム設計編1)、制御アルゴリズムから組込みSWへの実装を対象とするE2

コース(アルゴリズム設計編2)、画像アルゴリズムからHWへの実装を対象とするE3コース(アルゴリズム設

計編3)の6コースからなります。6つのコースはそれぞれ独立した内容になっており、独立した受講が可能で

す。

①実習の目的:システムイノベータの育成・複雑化する電子システムのアルゴリズム

設計から実装までを理解し、SoC設計のコアとなって活躍する人材育成

②シラバス概要・Bコース:ハードウェア(RTL)設計・Cコース:組込みソフトウェア設計・Dコース:システム設計・E1コース:アルゴリズム設計(音声)・E2コース:アルゴリズム設計(制御)・E3コース:アルゴリズム設計(画像)

③Tipsの役割:SoC設計のコツの纏め・実際の設計現場でも役立つコツを掲載

アナログ設計(開発中)

Dコース:システム設計

Cコース:組込みソフトウェア設計

Bコース:ハードウェア(RTL)設計

Eコース:アルゴリズム設計

ボード実装体験ボード実装体験

(開発中)

疑似DVDの設計(B,D,E1) ロボットの無線制御(C,E2) 車線認識(E3)

①実習の目的:システムイノベータの育成・複雑化する電子システムのアルゴリズム

設計から実装までを理解し、SoC設計のコアとなって活躍する人材育成

②シラバス概要・Bコース:ハードウェア(RTL)設計・Cコース:組込みソフトウェア設計・Dコース:システム設計・E1コース:アルゴリズム設計(音声)・E2コース:アルゴリズム設計(制御)・E3コース:アルゴリズム設計(画像)

③Tipsの役割:SoC設計のコツの纏め・実際の設計現場でも役立つコツを掲載

アナログ設計(開発中)

Dコース:システム設計

Cコース:組込みソフトウェア設計

Bコース:ハードウェア(RTL)設計

Eコース:アルゴリズム設計

ボード実装体験ボード実装体験

(開発中)

アナログ設計(開発中)

Dコース:システム設計

Cコース:組込みソフトウェア設計

Bコース:ハードウェア(RTL)設計

Eコース:アルゴリズム設計

ボード実装体験ボード実装体験

(開発中)

疑似DVDの設計(B,D,E1) ロボットの無線制御(C,E2) 車線認識(E3)

図8 各コースの位置付け

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STARC 寄附講座「SoC 設計技術」実習の概要

5.1 実習B:LSI設計者向けコース

5.1.1 概要

・ システムの動作との関連を把握しながら RTL 設計を行います。

・ RTL 以下の LSI 設計技術から T-Engine ボードへの実装までの実習を行います。

5.1.2 趣旨

・ ハードウェアで実現する機能(音声データのデコード)を VHDL で設計します。

5.1.3 受講対象者

・ 「プログラミング」、「論理回路」、「アーキテクチャ」などの基礎を習得済みであることが前提です。

・ 基礎実験「ハードウェア記述言語」などで VHDL を習得していることが望ましいです(事前にマルチメディ

ア教材を利用して VHDL を習得します)。

5.1.4 習得できるスキル

・ VHDL によるハードウェア設計の実際

・ HW/SW 協調検証の実際

5.1.5 実習内容

・ 受講者には大きな開発組織に属する一チームとしての役割を体験します。

・ LSI 設計チームの一員として、システムレベルで定義された仕様を基に、RTL で設計をします。

・ 音声デコーダ部分の VHDL 設計を行います。

・ デコーダ回路とバスインタフェース(HS2-BUS)制御回路を設計します。

・ シミュレータにより単体検証を行います。

・ 教材として用意されているアーキテクチャ設計モデルと組み合わせて HW/SW 協調検証を行います。

・ 設計した VHDL を使用して、論理合成->FPGA レイアウトを行います。

・ 時間に余裕があれば、拡張機能として音声フォーマット自動判別機能の追加を検討します。

・ 設計した VHDL を FPGA 実装し、T-Engine ボードで動作を確認します。

6

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STARC 寄附講座「SoC 設計技術」実習の概要

5.1.6 Bコースの実習計画

講座 教材 工程 作業結果

Bコース向け

ベースモデル

アーキテクチャ

設計仕様 ③~④

基本設計

③ 実習内容説明

④ グループ討議

仕様検討 RTL仕様書

⑤ DR1 レビュー レビュー結果

⑥~⑧

詳細設計

⑨ 検証

⑩ DR2

テストデータ

RTL設計

RTL検証

協調検証 HW/SW検証モデル

RTLコード

レビュー レビュー結果

⑪~⑭

実装

評価

論理合成

レイアウト

実装

実機評価

レビュー レビュー結果

HW/SW実装モデル

⑮ DR2

グループ討議

図 9 B コースの実習計画

※ 実習は 5 日間で行われます。

※ 図中、講座の①~⑮はコマ数です。

7

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STARC 寄附講座「SoC 設計技術」実習の概要

5.2 実習C:組込みSW設計者向けコース5.2 実習C:組込みSW設計者向けコース

5.2.1 概要

・ HW やシステムの構造を把握しながら組込み SW の開発を行います。

・ SoC 設計のための組込 SW 作成技術(リアルタイムシステム、割り込み、ミドルウェア、デバイスドライバ、

同期)を、モチーフを通じて実習します。

・ SILS(Software In the Loop Simulation)を用いて、SW モデルの検証方法を学習します。

・ T-Engine ボードへの組込み SW 実装を行います。

5.2.2 趣旨 ・ 機能をシステム記述言語(SpecC)で記述し、SILS 環境でロボットの制御を検証します。

・ 通信プロトコルのミドルウェア、デバイスドライバを設計し、組込み SW を設計します。

・ T-Engine ボードに SW を実装し、ロボットを無線制御することにより、組込み SW 実装を体験します。

5.2.3 受講対象者 ・ C/C++によるソフトウエア設計の経験者

5.2.4 習得できるスキル

・ システム記述言語(SpecC)の概念とプログラミング

・ 組込み SW の基本技術(リアルタイムシステム、割り込み、ミドルウェア、デバイスドライバ、同期)

5.2.5 実習内容

・ 受講者には大きな開発組織に属する一チームとしての役割を体験します。

・ 組込み SW 設計チームの一員として、システムレベルで定義された仕様を基に、SoC 設計のための組込

み SW 設計を設計します。

・ 制御モデル(SpecC)の SILS 環境に、通信プロトコルの組込み SW を追加設計します。

・ SoC への組込み SW のための、デバイスドライバ(HW の初期化や HW-SW 同期処理)を設計します。

・ UART(RTL)の実装と組込み SW の実装を行い、SoC 設計の全体の設計フローを習得します。

8

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STARC 寄附講座「SoC 設計技術」実習の概要

5.2.6 Cコースの実習計画 講座 教材 工程 作業結果

Cコース向け

ベースモデル

アーキテクチャ

設計仕様 ③~⑤

基本設計

① 実習内容説明

② グループ討議

仕様検討

⑥ DR1

⑦~⑨

組込みSW設計

⑩ 単体試験

⑪ DR2

テストデータ

組込みSW設計

組込みSW検証

協調検証 HW/SW検証モデル

Cコード

レビュー レビュー結果

⑫~⑭

実装

評価

FPGA

実装

実機評価

レビュー レビュー結果

UART(RTL)

⑮ DR2

デバイス

ドライバ

設計

SW実装

レビュー レビュー結果

仕様書

グループ討議

図10 C コースの実習計画

※ 図中、講座の①~⑮はコマ数です。

9

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STARC 寄附講座「SoC 設計技術」実習の概要

5.3 実習D:システム設計者向けコース 5.3.1 概要

・ システム全体から HW、SW を統合した設計を対象とします。

・ 要求仕様定義からアーキテクチャまでの SoC 設計、動作合成、検査、システム記述言語を使った仕様モ

デルの作成、仕様やアーキテクチャのトレードオフ検討、要求仕様を満たすアーキテクチャ設計を、モチ

ーフを通じて実習します。

・ T-Engine ボードの実装まで行います。

5.3.2 趣旨

・ 機能をシステム記述言語(SpecC)で記述し検査を行います。

・ HW/SW 分割や動作合成など、ツールによってシステム設計データを T-Engine ボードで動作可能なレベ

ルまで具体化できることを体験します。

5.3.3 受講対象者

・ HW 設計(VHDL)、もしくはソフトウェア設計(C/C++)の経験があることが望ましいです。

5.3.4 習得できるスキル

・ システム記述言語(SpecC)の概念とプログラミング

・ 動作合成ツールの実際

・ HW/SW 協調検証の実際

5.3.5 実習内容について

・ 受講者には大きな開発組織に属する一チームとしての役割を体験します。

・ 仕様設計チームの一員として、SoC の要求定義から、システム仕様の定義、アーキテクチャの検討まで

のシステム設計を行います。

・ 教材として用意されているシステム設計モデルに、新たに機能を拡張します(既存のシステム設計モデル

は「電源」、「再生」、「停止」が動作します)。

・ 必須機能を設計する。機能は「早送り」、「巻戻し」、「一時停止」、「音量調整」を設計します。

・ 必須機能まで実装したシステム設計モデルに対し、HW/SW 分割を行い、HW 部分については動作合成を

行ってVHDLコードを生成し、SW部分についてはシステム設計モデルから生成したCソースファイルをコ

ンパイルしてバイナリを生成します。

・ 生成した VHDL コードとバイナリとを組み合わせてアーキテクチャ設計モデルを作成し、アーキテクチャ

性能検証を行います。

・ 生成した VHDL を使用して、論理合成と FPGA レイアウトを行います。

・ 時間に余裕があれば、拡張機能として、「音量調節の HW 化」、「フェードイン・フェードアウト」機能の追加

を検討します。

・ レイアウトファイルとシステム・モデルから生成した C ソースファイルを用いて T-Engine ボードへ実装しま

す。

10

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STARC 寄附講座「SoC 設計技術」実習の概要

5.3.6 Dコースの実習計画

講座 教材 工程 作業結果

Dコース向け

ベースモデル

アーキテクチャ

設計仕様 ③~④

基本設計

① 実習内容説明

② グループ討議

仕様検討

⑤ DR1

⑥~⑦

システム仕様定義

と機能検証

⑧~⑩

アーキテクチャ設

計と協調検証

⑪ DR2

システム設計

機能検証

HW/SW分割

システム設計モデル

レビューレビュー結果

⑫~⑭

実装

評価

実機評価

レビュー レビュー結果

実装

レイアウト

論理合成

動作合成

協調検証

VHDL

⑮ DR3

レビュー レビュー結果

追加機能仕様書

グループ討議

図 11 D コースの作業工程

※ 図中、講座の①~⑮はコマ数です。

11

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STARC 寄附講座「SoC 設計技術」実習の概要

5.4 実習E1:信号処理アルゴリズム設計者向けコース 5.4.1 概要 ・ 3コマの講義と12コマの実習からなります。

・ 信号処理の理論アルゴリズムから、機能アルゴリズム、実装アルゴリズム、動作合成、論理合成、

レイアウト、実装までの設計を対象とします。

5.4.2 趣旨

・ MATLAB で記述した信号処理の理論アルゴリズムから、SoC 実装までの設計、検証を行います。

・ 周波数シフトとピッチシフトと言う2つのアルゴリズムから、音源の変換まで具体化します。

5.4.3 受講対象者

・ 大学でのアルゴリズム講義修了生、または SoC 設計の経験があるほうが望ましいです。

5.4.4 習得できるスキル

・ MATLAB でのアルゴリズム設計の実際

・ アルゴリズムから実装までの設計フローと留意点

5.4.5 講義・実習内容について

・ 3コマの講義では、アルゴリズム設計原論と実装概論により、アルゴリズムの全体像を習得します。

・ 2コマの個人実習で、一人一台の PC で、MATLAB でのアルゴリズム設計を体験します。

・ 10コマで、チーム運営を体験します。アルゴリズム仕様設計チームの一員として、要求定義から、アルゴ

リズム設計、システム設計、動作合成、実装までの設計を行います。

・ 周波数シフトは音源に対し一定の周波数分シフトするアルゴリズムで、設計・実装を通じて、S/N 比の最

適化のためのフィルタ設計や実装のための固定小数点化等を習得できます。

・ ピッチシフトは、周波数を整数倍するアルゴリズムで、時間領域から周波数領域に変換してアルゴリズム

を考える利点を体験し、実装アルゴリズムの設計、動作合成、実装と一連の設計フローを体験できます。

12

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STARC 寄附講座「SoC 設計技術」実習の概要

5.4.6 E1 コースの作業工程

講座 教材 工程 作業結果

E講座テキスト

④~⑥

個人実習

①~③

講義

講義

機能・実装

アルゴリズム設計

機能・実装

アルゴリズム

ブロック線図

⑦モチーフ講義

グループ討議

⑫ DR1

検証

グループ討議

仕様検討

レビュー

実機評価

レビュー レビュー結果 ⑮ DR2

実装

レイアウト

論理合成

動作合成

理論アルゴリズム

(周波数シフト)

アルゴリズム設計

仕様書

レビュー結果

アルゴリズム設計

検証

⑧~⑪

仕様設計

実装

実機評価

⑬~⑭

動作合成

図 12 E1 コースの作業工程

※ 図中、講座の①~⑮はコマ数です。

13

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STARC 寄附講座「SoC 設計技術」実習の概要

5.5 実習E2:制御アルゴリズム設計者向けコース 5.5.1 概要 ・ 3コマの講義と12コマの実習からなります。

・ 制御の理論アルゴリズムから、機能アルゴリズム、実装アルゴリズム、組込みSW設計、実装までの

設計を対象とします。

5.5.2 趣旨

・ MATLAB で記述した制御の理論アルゴリズムから、SoC 実装までの設計、検証を行います。

・ ロボットの操作距離を無線制御する組込みSW設計を行います。制御のアルゴリズムは、古典制御です。

5.5.3 受講対象者

・ 大学でのアルゴリズム講義修了生、C 言語設計の経験があるほうが望ましいです。

5.5.4 習得できるスキル

・ MATLAB でのアルゴリズム設計の実際

・ アルゴリズムから組込み SW 実装までの設計フローと留意点

・ デバイスドライバによる HW の初期化方法や同期処理

5.5.5 講義・実習内容について

・ 3コマの講義では、アルゴリズム設計原論と実装概論により、アルゴリズムの全体像を習得します。

・ 2コマの個人実習で、一人一台の PC で、MATLAB でのアルゴリズム設計を体験します。

・ 10コマで、チーム運営を体験します。アルゴリズム仕様設計チームの一員として、要求定義から、アルゴ

リズム設計、システム設計、組込みSW設計、実装までの設計を行います。また無線通信のためのHW実

装も体験します。

・ 制御アルゴリズムは、ロボットを1mの目標距離で停止させるもので、PID 制御で実現します。ロボットは、

リモコンにより無線制御されるため、PID 制御アルゴリズムの SW 実装のみならず、無線通信用のミドル

ウェア、デバイスドライバも設計します。

・ 理論アルゴリズムから機能アルゴリズム、実装アルゴリズムへと具現化を通じて、実装のための固定小

数点化等を習得できます。

・ 時間に余裕があれば、ロボットの倒立二輪走行と言った現代制御も体験できます。

14

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STARC 寄附講座「SoC 設計技術」実習の概要

5.5.6 E2 コースの作業工程

講座 教材 工程 作業結果

E講座テキスト

④~⑤

個人実習

①~③

講義

講義

機能・実装

アルゴリズム設計

機能・実装

アルゴリズム

⑥モチーフ講義

グループ討議

仕様書作成

⑦ DR1

検証

グループ討議

仕様検討

レビュー

実機評価

レビュー レビュー結果

デバドラ設計

SW

設計

仕様書

理論アルゴリズム

(PID制御)

⑬~⑭

デバイスドライバ

⑧~⑪

ミドルウェア設計

RTL実装

⑫ DR2

RTL

実装

レビュー レビュー結果

設計

実機評価

⑮ DR3

レビュー結果

図 13 E2 コースの作業工程

※ 図中、講座の①~⑮はコマ数です。

15

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STARC 寄附講座「SoC 設計技術」実習の概要

5.6 実習E3:画像アルゴリズム設計者向けコース 5.6.1 概要 ・ 3コマの講義と12コマの実習からなります。

・ 画像処理の理論アルゴリズムから、機能アルゴリズム、実装アルゴリズム、動作合成、論理合成、

配置配線、HW実装までの設計を対象とします。

5.6.2 趣旨

・ MATLAB で記述した画像の理論アルゴリズムから、SoC 実装までの設計、検証を行います。

・ グレースケール変換、エッジ検出、白線候補抽出、車線処理等のアルゴリズムを用い具現化します。

5.6.3 受講対象者

・ 大学でのアルゴリズム講義修了生、FPGA実装の経験があるほうが望ましいです。

5.6.4 習得できるスキル

・ MATLAB でのアルゴリズム設計の実際

・ アルゴリズムからHW実装までの設計フローと留意点

5.6.5 講義・実習内容について

・ 3コマの講義では、アルゴリズム設計原論と実装概論により、アルゴリズムの全体像を習得します。

・ 2コマの個人実習で、一人一台の PC で、MATLAB でのアルゴリズム設計を体験します。

・ 10コマで、チーム運営を体験します。アルゴリズム仕様設計チームの一員として、要求定義から、アルゴ

リズム設計、システム設計、HW実装までの設計を行います。

・ 画像アルゴリズムは、実際の動画像から画像の特徴点を認識し、白線を抽出し、走行車線を認識します。

各アルゴリズムは、実際の画像処理でも広く活用されているものです。

・ 理論アルゴリズムから機能アルゴリズム、実装アルゴリズムへと具現化を通じて、実装のための留意点

を習得できます。

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Page 17: STARC寄附講座「SoC設計技術」実習の概要STARC寄附講座「SoC設計技術」実習の概要 4 実習で使用する教材 4.1 実習で使用するボボーードド

STARC 寄附講座「SoC 設計技術」実習の概要

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5.6.6 E3 コースの作業工程

講座 教材 工程 作業結果

E講座テキスト

④~⑤

個人実習

①~③

講義

講義

理論

アルゴリズム設計

理論 理論アルゴリズム

図 14 E3 コースの作業工程

※ 図中、講座の①~⑮はコマ数です。

アルゴリズム

⑥モチーフ講義

グループ討議

アルゴリズムの

具現化

⑦ DR1

検証

グループ討議

仕様検討

レビュー

(車線認識仕様)

実機評価

レビュー レビュー結果 ⑮ DR3

仕様書

レビュー結果

⑧~⑪

機能、実装アルゴ

リズム設計

機能、実装

アルゴリズム設計

機能、実装

アルゴリズム設計

理論

アルゴリズム

レビュー レビュー結果 ⑫ DR2

⑬~⑭

実装設計(動作合

成、論理合成、配

置配線)

実機評価

実装設計 C,RTL,gate