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近年、ビジネスの確立した領域やモデルに対して、ITを駆使した新たな価値の創造により破壊的イノベーションをもたらす“Digital Disruption(デジタル・ディスラプション)”と呼ばれる現象が発生しています。そこでは、市場における支配的企業ですら業際的なイノベーションの具現者と競合関係にあります。これは、移動や宿泊、あるいはコミュニケーションなど“体験”にITを活用して新たな価値を創造したスタートアップ企業の事例や、2010年以降、S&P 500企業の平均寿命が 20 年を下回る傾向にあることからも明らかです。今後、 AI、IoTといった文脈で語られる新たなITが社会やビジネスやライフスタイルに浸透することにより、Digital Disruptionはさらに加速されるでしょう。 この状況をチャンスに変えるには、潜在的または顕在化した顧客が求める価値や体験を継続的に提供する必要があります。成功した企業には、世の中の変化に対応する驚異的なスピードで、顧客の行動をフィードバックとして機敏に反映させることで顧客へ価値や体験を提供しているという共通点があります。つまり、現在におけるビジネスの成長を牽引するITとは、スピードとフィードバックに対するアジリティ(機敏さ)を実現するITであるということです。そして、ビジネスの成功に向けて、組織とIT運営に大してスピードとフィードバックによる継続的改善を導入・実現するのがDevOpsです。
DevOpsはその根本にAgileがありますが、いくつかの点でAgileをより進化させたものです。それは、リードタイム全体の短縮にLeanの考え方を導入した点、Biz/Dev/Opsの組織全体を対象としている点、そして、顧客価値の探索を重視している点です。 リードタイム全体(アイデア~リリース)の短縮や顧客の行動変化を起点としたフィードバックサイクルの効果・効率の向上のためには、それぞれ責務や目標が異なる組織(事業部門、開発部門、運用部門など)を横断的に連携させる必要があり、Lean開発手法と Agile開発手法の組織横断的な導入はこのための有効なアプローチだと言えます。 DevOpsの実践には、システム特性によって向き不向きがあります。たとえばECサイトでは、商品の検索システム、カートシステム、決済システムがあり、カートシステムと決済システムは、短期間で要求が大きく変わることはありません。 一方で、検索システムはECサイトの要であり、顧客に与える体験や価値が売上を左右します。このため、顧客が購入に至るストー
リーにおける動機と行動の因果関係に関する仮説と検証のサイクルを効果的・効率的に反映することで、ビジネス機会の拡大が可能になります。つまり、アイデア(仮説)をリリースし顧客行動の変化から分析・学習(検証)し、それをまたフィードバック(新たな仮説)するサイクルを迅速に回すことで、顧客が真に求める価値や体験を提供することができるようになります。フィードバックによる継続的改善によって、より直接的にビジネスに貢献するという特性を持つ検索システムは、DevOpsを実践するべきシス テムと言えます。
DevOpsは、Infrastructure as Code、 Si te Reliability Engineering、Linuxコンテナ技術、クラウド技術、API化、マイクロサービス 等のプラクティスや新たなテクノロジーを積極的に活用することで Agile/Leanを加速させます。レッドハットは、DevOpsの中核となるテクノロジースタックとして、Linuxコンテナの基盤であるOpenShift、オンプレミスでIaaS を実現するOpenStack、IT Automationを実現するAnsible等をオープンハイブ リッドクラウドのビジョンと共に提供しており、DevOpsの実践を強力に支えます。
レッドハットは、上記のテクノロジーに加えて、DevOpsディスカバリーワークショップ、コンサルティングの3つを提供することで、お客様のDevOps実践を支援します。 ワークショップは、Biz/Dev/Opsを横断して参加いただき、 DevOpsの目的や主要成功要因について共通理解を持っていただきます。また、アイデア創出からリリースまでのValue Stream Mappingを実施し「ムリ」「ムラ」「ムダ」の見える化を行います。続いて、
Dev/Opsの方々を対象にDevOps主要成功要因「Agile/Leanの実践」「テスト戦略」「インフラ戦略」「コンテナ戦略」「CI/CDの実践」「アーキテクチャ戦略」「メトリクス戦略」の詳細な解説を行い、お客様の具体的なシステムを対象に参加者と共に議論して個々の主要成功要因に関する課題整理を行います。これらの課題や改善策と改善のためのマイルストーンをレポートしてご提示いたします。 コンサルティングサービスでは、ワークショップで得られた課題と改善策に対して、具体的なご支援を提供させていただきます。 レッドハットは、お客様にDevOps導入までのプロセスを正しく理解していただくところから始め、具体的な課題の整理と実践方法の提案から最新技術の提供までの一貫した支援体制で、お客様自身がイノベーションを起こすためのお手伝いをいたします。 お客様自身によるイノベーションには、ビジネスを牽引するITの実現と、ビジネスの成功に向けて参加・関与するIT組織の2つが必要不可欠です。IT組織の問題は難しい問題ですが、DevOpsの実践を通じて効果と成功を積み重ねることが、さまざま問題を自ら打開する力となり、ひいては強い組織と文化の礎となるでしょう。 また、DevOpsに着手する以前にさまざまな問題があるかもしれません。しかし、始める前に歩みを止め考えるのではなく、走りながら問題に対処し改善する、これこそDevOpsの本質です。
■ ビジネス環境とITのかつてない変化が、テクノロジーカンパニーへのシフトを要求している
―はじめに、直近の10年というスパンで見た時、企業のビジネス環境とそれを支えるITはどのように変
わってきていると見ていますか。
今のビジネス環境は、変化のスピードが10年前とは比べものにならないほど劇的に速くなっています。そこでユーザー企業の各事業部門が求めている能力は“アジリティ”、つまり、より“俊敏に動くことができる力”です。例えば自分たちの業務プロセスをより速く回していきたい、顧客や市場の要求に合わせてより速くサービスを改善したいというニーズで、それはそのままITに求められる能力でもあります。 特に現在は、アプリケーションが“ビジネスそのものの核”を成すようになってきており、ITソリューションを提供している会社だけがIT企業という時代では
なくなってきています。あらゆるユーザー企業が“テクノロジーカンパニー”への転換を余儀なくされている状況で、IT部門が果たすべき役割は以前にも増してより大きくなったと言えるでしょう。
―IT部門は、各事業部門からの多種多様な要件により速く、より柔軟に対応していかなければならないということですね。
その通りです。もう過去のモデルに戻ることはできません。新しいテクノロジーを2年後に提供する、あのアプリケーションの更新を3年後に行う、という姿勢では通用しなくなってきているということです。さらにIT部門は、事業部門に提供したソリューションをセキュアかつ効率的に運用管理するだけでなく、継続的にアプリケーションの更新をサポートしていく必要もあります。果たすべき役割が増えたことで業務範囲が拡大し、さらに複雑化してきているのです。
―そうした環境変化の中で、企業が“テクノロジーカンパニー”への転換を目指すために、IT部門にはどのような姿勢が求められるのでしょうか。
アジリティを求める事業部門は、自分たちが変わらなければならないことに気づき始めています。IT部門が手伝ってくれようとくれまいと、実際に自分たちが欲しいもの、必要とするものを次々と取り入れ始めており、その後の運用やサポートはIT部門に任せるという状況を生み出しています。 このままではいけないという認識をIT部門も当然持っているのだと思いますが、選択肢としてどんなものがあるのか、まずはIT部門自身が事業部門に先立って把握し、実践していく必要があります。テクノロジーカンパニーへのシフトを主導するのは、IT部
門をおいて他にはないのですから。
―IT部門が理解しておくべき昨今のテクノロジーの変化として、具体的にはどのようなことが挙げられますか。
新しい技術を迅速に取り入れ、競争優位性を生み出すアプリケーションを作り上げる。環境変化が生じたなら、都度速やかにアップデートしていく。まずはこうした流れを実現できる環境を整備することが何よりも重要です。そのためには、次の大きな3つの変化を理解しておく必要があります。 まず1つめは“インフラが変わってきていること”です。今では物理サーバーだけでなく、仮想化環境も多用されており、プライベートクラウド、さらにアプリケーションによってはパブリッククラウドで運用されています。まさに、ハイブリッドクラウドの環境です。 2つめは“アプリケーション開発環境の変化”です。インフラが多様化したことで、アプリケーション開発者はそのメリットを最大限に享受するために、新しいツールや開発プラットフォーム、開発プロセスを必要としています。それが、例えばDevOpsといった開発手法や、効率的なアプリケーション開発や実装を可能にするLinuxコンテナといったテクノロジーです。 そして3つめが“インフラの管理方法の変化”です。今はインフラの変化に伴ってアプリケーションの運用環境も多種多様であり、アプリケーションの開発環境も変わってきている。セキュアで効率的なIT環境を維持し続けるためには、各インフラのモニタリングやインフラ変更の自動化、運用の自動化も考えていかなければなりません。 今のITの世界は、これら“3つの大きなうねり”が同時に起きているという、過去に例のない状況にあるのです。そのことを、IT部門はしっかり認識する必要
があるでしょう。
■ レッドハットは、オープンハイブリッドクラウド戦略を通じてIT部門をサポートする
―その3つの大きなうねりに対応していくために、鍵となるテクノロジーやトレンドとはどのようなものになりますか?
ベースとなるインフラ部分では、プライベートクラウドとパブリッククラウドの両方を賢く使いこなすハイブリッドクラウド環境が大前提になります。複雑になりがちなハイブリッドクラウド環境において、事業部門が求めるサービスを迅速に提供すると同時に、安定的に管理し、セキュリティを担保し、さらに稼働後の保守やサポートを提供していかなければなりません。つまりIT部門は、事業部門にアジリティを提供するためのハイブリッドクラウド環境をトータルでコーディネートしていく必要があるということです。 ハイブリッドクラウド環境で利用されるテクノロジーが、まさにLinuxコンテナです。インフラ担当者は物理、仮想、プライベートクラウド、パブリッククラウドと多様なインフラ環境において、一貫性のあるアプリケーション実行環境を提供することができます。そして開発担当者は、コンテナ単位でサービスを実装することで、アプリケーションの開発や改修を迅速かつ柔軟に実現できるようになります。Linuxコンテナによって、開発したアプリケーションをハイブリッドクラウド環境のどこででも動作させられるようになるのです。 そしてもう1つ、価値あるアプリケーションを迅速に開発するために必要となる手法が、Linuxコンテナを活用したDevOpsです。環境の変化に影響を受けるアプリケーションは、ウォータフォール方式では要件変更に柔軟に対応することができません。そこで開発担当者と運用担当者が一体となり、ニーズを随時取り入れながら、ビジネスそのものの核となっているアプリケーションをブラッシュアップしていくというやり方が現実的となるのです。 事業部門のアジリティを支えるIT部門としては、ハイブリッドクラウド環境とLinuxコンテナ、そしてDevOpsは欠かすことのできない要素だと言えるでしょう。
―そうしたIT部門の取り組みに対して、レッドハットにできることは何ですか。
この10年間の変化に合わせて、レッドハット自身も大きな進化を遂げてきました。まずオープンソースのOSとして20年以上も前に開発が始まったLinuxは、今ではユーザー企業でもごく当たり前に利用されています。 そしてそのオープン性を拠り所として、Linux上で多くの新たなテクノロジーや今まさに台頭しているトレンドが生まれました。たとえばクラウドやビッグデータ、Linuxコンテナは、OSSのLinuxを基盤とするがゆえに実現可能になったものです。ハイブリッドクラウドの核となるコンテナ技術は、Linuxそのものの技術(Container is Linux)です。その1つがLinuxコンテナであり、エンタープライズの要求に耐えるLinuxコンテナを提供できるのは、レッドハットだけです。つまり、こうしたIT業界の変化を常に牽引してきたのが、まさにレッドハットだということです。 これらを踏まえて、レッドハットはハイブリッドクラウド環境をロックインなく活用可能とするオープンハイブリッドクラウドを提唱し、以下の大きな3つの方向性でIT部門を支援していきます。
まず1つめが、言うまでもなく多岐にわたるOSS製品のラインナップです。 コンテナプラットフォームのRed Hat OpenShift Container Platformは、世界で最も利用されているエンタープライズ向けKubernetesです。Red Hat Enterprise Linux(以下、RHEL)をはじめ、すべてのRed Hat JBoss Middlewareはコンテナ対応を完了しており、OpenShift上で動作させることができます。Red Hat Storageも、Linuxコンテナ対応が進んでいます。また、プライベートクラウドを実現するプラットフォームであるRed Hat OpenStack Platformは、OpenStack市場でリーダーのポジションを獲得しています。こうした多様なOSS製品の提供で、IT部門による先進テクノロジーの導入を牽引していきます。 続いて、統合プラットフォームレベルでの管理サポートです。これは物理サーバーや仮想化環境、プライベートクラウド、パブリッククラウド、さらにはコンテナ環境であろうとも、レッドハットのソリューションを利用していただくことですべての管理が容易になるということです。Red Hat CloudFormsは、レッドハットが提供するプラットフォームだけでなく、AWSやMicrosoft Azure、Google Cloud Platformなどのパブリッククラウドをシームレスに管理することができます。またRed Hat Ansible Automationによって、これらすべての構成管理等の作業を自動化することが可能です。 そして3つめとなるのが、ソリューション活用に際してのサポートです。現在、世界各国で「Red Hat Open Innovation Labs」という施設を設立しています。同施設では、ハンズオン形式で、レッドハットのソリューションをどう活用すればビジネスの課題を解決でき、さらにはイノベーションを誘発することができるのかをお客様と共に考え、実践します。アジア太平洋地域では2017年10月に初めてシンガポールに開設され、今後も他地域にて展開予定です。
■ IT部門の新たなリスクテイクの姿勢が、ビジネスの成否を左右する
―アジリティのために、ハイブリッドクラウド環境をLinuxコンテナで活用し、アプリケーション開発をDevOpsで進める。こうした取り組みは、日本企業にとってかなりのチャレンジに思えますが、どのような点に留意して進める必要があるでしょうか。
IT部門は、事業部門のアジリティに対する要求を、自分たちへの要求と捉えて受け入れていく必要があります。抵抗を感じているのは、決して日本の企
業だけではなく、他国の企業でも同様です。従来は、変化に対応しないことでITリスクを担保する手法も通用しました。しかし、アプリケーションがビジネスの核となる領域において変化を拒否することは、仮にITリスクが減少したとしてもビジネスリスクを抱えることになります。利用されなくなったアプリケーションに存在価値はないのです。 つまり、リスクの取り方を考え直す時が来たということです。大きな失敗を防ぐために小さな失敗からより多くを学習する、現状を是とせずに改善し続ける。それらの考え方は、日本の製造業における取り組みを参考に生み出されたことを思い出してください。そして、OSSの世界に存在するより良いテクノロジー、文化、プロセスには、自社のビジネスを支えるための数多くのヒントがあります。 新しい技術を積極的に取り入れ、同時にセキュリティと品質も担保する。5年先は難しくとも、2~3年のレンジで将来を予測し、どんな最新テクノロジーを取り入れていくべきかを考え、実際に試し、検証し、実装していくことで、事業部門の要求に応えられるようにする。IT部門のそうした新たなリスクテイクの姿勢が、自社ビジネスの成否を大きく左右することになると思います。 加えて、システムインテグレーターの皆様も、ユーザー企業から依頼されたシステムを迅速に構築するだけでなく、自分たちの顧客が、ビジネス面で成果を上げるためにどんなテクノロジーが必要なのかを深く考え、提案し、アジリティを発揮できる新しいIT環境、ひいては新しいビジネスにいざなっていく。それがこれからのあるべき姿だと思います。 そして重要なのは、我々皆がお互いに協力し合えば、必ず成功させることができるということです。
■ 引き続きレッドハットは、企業のビジネスイノベーションを支援していく
―今後レッドハットは、どんなテクノロジー戦略を取ることで、企業の未来をサポートしていくのでしょうか。
オープンハイブリッドクラウド戦略を通じて、レッドハットは必要なインフラやアプリケーションの開発能力、管理能力を提供します。そして事業部門のニーズをいち早く実現し、企業としてアジリティを獲得することを強力に支援できると確信しています。 またプロダクトラインナップを進化させていくという観点で言うと、例えば現在、各OSSコミュニティではAIを活用したさまざまな試みが行われています。レッドハットは2015年6月、RHEL環境の定期的な情報収集を行い、AIベースでその環境構成のリスクの予知と通知、レポーティングを行う「Red Hat Insights」というシステム分析サービスの提供を開始しました。また2017年5月には、OpenShift上で、Web統合開発環境やデプロイ環境などをWebブラウザ経由で利用可能にするクラウドサービス「OpenShift.io」を発表しましたが、ここでもAIが使われており、最適なプログラムコードの推奨を実現しています。今後、他の製品にもさらにAIの技術を盛り込んでいく予定です。 企業の未来、というと遠い将来を指し示すように聞こえますが、そんなことはありません。未来はもう始まっているのです。”Future is Now”、すなわち未来とは、まさに今この瞬間のことに他ならないのです。レッドハットとしては、今から将来に向けて継続的に、あらゆるOSSの技術を携えてお客様を支援していきます。そしてハイブリッドクラウド環境を実現するために、RHEL、Linuxコンテナ、OpenStack、OpenShiftなどの技術がユーザー企業におけるITの主流となるよう、精力的にお客様のお手伝いをしていくつもりです。
2017年10月に開催された「RED HAT FORUM TOKYO 2017」に合わせて、米国レッドハットで製品・テクノロジー部門全体を統括するポール・コーミアが来日した。レッドハット全体のテクノロジー戦略を主導するコーミアは、昨今のビジネス環境の変化をどのように捉え、ビジネスを支援するテクノロジーの在り方をどのように考えているのか、また今後のIT部門には、どのような取り組み姿勢が求められるのか。数年ぶりの来日となったコーミアに話を聞いた。
Future is Now! 来るべき未来は、もう始まっている。あらゆる産業の成長企業は、アジリティを獲得するために“テクノロジーカンパニー”へとシフトする
ポール・コーミア
米国レッドハットエグゼクティブバイスプレジデント/製品・テクノロジー部門 社長
アプリケーションが“ビジネスの核”を成す時代、すべての企業が“テクノロジーカンパニー”への転換を余儀なくされている
Success story for your business Red Hat K.K. EDITORIAL 2018
OPEN EYE 28vol.2018 January
オープンソースの新時代を築く、サクセスストーリー
INDEX
エグゼクティブビュー
Future is Now! 来るべき未来は、もう始まっている。あらゆる産業の成長企業は、アジリティを獲得するために"テクノロジーカンパニー”へとシフトする
ユーザー事例 Success Story
スピード経営を支えるシステム開発の新しい手法としてDevOpsを実践。成果は生産性向上と開発チームの成長
ソフトバンク株式会社
○レッドハット 最新レポートユーザー事例 Success Story
企業のデジタル変革を後押しする新たな事業創出に向け、コンテナ技術を活用したアプリケーション開発環境を構築
株式会社IDCフロンティア
RED HATExecutive
View
新たなソフトウェア開発手法の導入が企業の成長を左右する~ レッドハットが考えるDevOpsとは ~
エグゼクティブビュー
■ ビジネス環境とITのかつてない変化が、テクノロジーカンパニーへのシフトを要求している
―はじめに、直近の10年というスパンで見た時、企業のビジネス環境とそれを支えるITはどのように変
わってきていると見ていますか。
今のビジネス環境は、変化のスピードが10年前とは比べものにならないほど劇的に速くなっています。そこでユーザー企業の各事業部門が求めている能力は“アジリティ”、つまり、より“俊敏に動くことができる力”です。例えば自分たちの業務プロセスをより速く回していきたい、顧客や市場の要求に合わせてより速くサービスを改善したいというニーズで、それはそのままITに求められる能力でもあります。 特に現在は、アプリケーションが“ビジネスそのものの核”を成すようになってきており、ITソリューションを提供している会社だけがIT企業という時代では
なくなってきています。あらゆるユーザー企業が“テクノロジーカンパニー”への転換を余儀なくされている状況で、IT部門が果たすべき役割は以前にも増してより大きくなったと言えるでしょう。
―IT部門は、各事業部門からの多種多様な要件により速く、より柔軟に対応していかなければならないということですね。
その通りです。もう過去のモデルに戻ることはできません。新しいテクノロジーを2年後に提供する、あのアプリケーションの更新を3年後に行う、という姿勢では通用しなくなってきているということです。さらにIT部門は、事業部門に提供したソリューションをセキュアかつ効率的に運用管理するだけでなく、継続的にアプリケーションの更新をサポートしていく必要もあります。果たすべき役割が増えたことで業務範囲が拡大し、さらに複雑化してきているのです。
―そうした環境変化の中で、企業が“テクノロジーカンパニー”への転換を目指すために、IT部門にはどのような姿勢が求められるのでしょうか。
アジリティを求める事業部門は、自分たちが変わらなければならないことに気づき始めています。IT部門が手伝ってくれようとくれまいと、実際に自分たちが欲しいもの、必要とするものを次々と取り入れ始めており、その後の運用やサポートはIT部門に任せるという状況を生み出しています。 このままではいけないという認識をIT部門も当然持っているのだと思いますが、選択肢としてどんなものがあるのか、まずはIT部門自身が事業部門に先立って把握し、実践していく必要があります。テクノロジーカンパニーへのシフトを主導するのは、IT部
門をおいて他にはないのですから。
―IT部門が理解しておくべき昨今のテクノロジーの変化として、具体的にはどのようなことが挙げられますか。
新しい技術を迅速に取り入れ、競争優位性を生み出すアプリケーションを作り上げる。環境変化が生じたなら、都度速やかにアップデートしていく。まずはこうした流れを実現できる環境を整備することが何よりも重要です。そのためには、次の大きな3つの変化を理解しておく必要があります。 まず1つめは“インフラが変わってきていること”です。今では物理サーバーだけでなく、仮想化環境も多用されており、プライベートクラウド、さらにアプリケーションによってはパブリッククラウドで運用されています。まさに、ハイブリッドクラウドの環境です。 2つめは“アプリケーション開発環境の変化”です。インフラが多様化したことで、アプリケーション開発者はそのメリットを最大限に享受するために、新しいツールや開発プラットフォーム、開発プロセスを必要としています。それが、例えばDevOpsといった開発手法や、効率的なアプリケーション開発や実装を可能にするLinuxコンテナといったテクノロジーです。 そして3つめが“インフラの管理方法の変化”です。今はインフラの変化に伴ってアプリケーションの運用環境も多種多様であり、アプリケーションの開発環境も変わってきている。セキュアで効率的なIT環境を維持し続けるためには、各インフラのモニタリングやインフラ変更の自動化、運用の自動化も考えていかなければなりません。 今のITの世界は、これら“3つの大きなうねり”が同時に起きているという、過去に例のない状況にあるのです。そのことを、IT部門はしっかり認識する必要
があるでしょう。
■ レッドハットは、オープンハイブリッドクラウド戦略を通じてIT部門をサポートする
―その3つの大きなうねりに対応していくために、鍵となるテクノロジーやトレンドとはどのようなものになりますか?
ベースとなるインフラ部分では、プライベートクラウドとパブリッククラウドの両方を賢く使いこなすハイブリッドクラウド環境が大前提になります。複雑になりがちなハイブリッドクラウド環境において、事業部門が求めるサービスを迅速に提供すると同時に、安定的に管理し、セキュリティを担保し、さらに稼働後の保守やサポートを提供していかなければなりません。つまりIT部門は、事業部門にアジリティを提供するためのハイブリッドクラウド環境をトータルでコーディネートしていく必要があるということです。 ハイブリッドクラウド環境で利用されるテクノロジーが、まさにLinuxコンテナです。インフラ担当者は物理、仮想、プライベートクラウド、パブリッククラウドと多様なインフラ環境において、一貫性のあるアプリケーション実行環境を提供することができます。そして開発担当者は、コンテナ単位でサービスを実装することで、アプリケーションの開発や改修を迅速かつ柔軟に実現できるようになります。Linuxコンテナによって、開発したアプリケーションをハイブリッドクラウド環境のどこででも動作させられるようになるのです。 そしてもう1つ、価値あるアプリケーションを迅速に開発するために必要となる手法が、Linuxコンテナを活用したDevOpsです。環境の変化に影響を受けるアプリケーションは、ウォータフォール方式では要件変更に柔軟に対応することができません。そこで開発担当者と運用担当者が一体となり、ニーズを随時取り入れながら、ビジネスそのものの核となっているアプリケーションをブラッシュアップしていくというやり方が現実的となるのです。 事業部門のアジリティを支えるIT部門としては、ハイブリッドクラウド環境とLinuxコンテナ、そしてDevOpsは欠かすことのできない要素だと言えるでしょう。
―そうしたIT部門の取り組みに対して、レッドハットにできることは何ですか。
この10年間の変化に合わせて、レッドハット自身も大きな進化を遂げてきました。まずオープンソースのOSとして20年以上も前に開発が始まったLinuxは、今ではユーザー企業でもごく当たり前に利用されています。 そしてそのオープン性を拠り所として、Linux上で多くの新たなテクノロジーや今まさに台頭しているトレンドが生まれました。たとえばクラウドやビッグデータ、Linuxコンテナは、OSSのLinuxを基盤とするがゆえに実現可能になったものです。ハイブリッドクラウドの核となるコンテナ技術は、Linuxそのものの技術(Container is Linux)です。その1つがLinuxコンテナであり、エンタープライズの要求に耐えるLinuxコンテナを提供できるのは、レッドハットだけです。つまり、こうしたIT業界の変化を常に牽引してきたのが、まさにレッドハットだということです。 これらを踏まえて、レッドハットはハイブリッドクラウド環境をロックインなく活用可能とするオープンハイブリッドクラウドを提唱し、以下の大きな3つの方向性でIT部門を支援していきます。
まず1つめが、言うまでもなく多岐にわたるOSS製品のラインナップです。 コンテナプラットフォームのRed Hat OpenShift Container Platformは、世界で最も利用されているエンタープライズ向けKubernetesです。Red Hat Enterprise Linux(以下、RHEL)をはじめ、すべてのRed Hat JBoss Middlewareはコンテナ対応を完了しており、OpenShift上で動作させることができます。Red Hat Storageも、Linuxコンテナ対応が進んでいます。また、プライベートクラウドを実現するプラットフォームであるRed Hat OpenStack Platformは、OpenStack市場でリーダーのポジションを獲得しています。こうした多様なOSS製品の提供で、IT部門による先進テクノロジーの導入を牽引していきます。 続いて、統合プラットフォームレベルでの管理サポートです。これは物理サーバーや仮想化環境、プライベートクラウド、パブリッククラウド、さらにはコンテナ環境であろうとも、レッドハットのソリューションを利用していただくことですべての管理が容易になるということです。Red Hat CloudFormsは、レッドハットが提供するプラットフォームだけでなく、AWSやMicrosoft Azure、Google Cloud Platformなどのパブリッククラウドをシームレスに管理することができます。またRed Hat Ansible Automationによって、これらすべての構成管理等の作業を自動化することが可能です。 そして3つめとなるのが、ソリューション活用に際してのサポートです。現在、世界各国で「Red Hat Open Innovation Labs」という施設を設立しています。同施設では、ハンズオン形式で、レッドハットのソリューションをどう活用すればビジネスの課題を解決でき、さらにはイノベーションを誘発することができるのかをお客様と共に考え、実践します。アジア太平洋地域では2017年10月に初めてシンガポールに開設され、今後も他地域にて展開予定です。
■ IT部門の新たなリスクテイクの姿勢が、ビジネスの成否を左右する
―アジリティのために、ハイブリッドクラウド環境をLinuxコンテナで活用し、アプリケーション開発をDevOpsで進める。こうした取り組みは、日本企業にとってかなりのチャレンジに思えますが、どのような点に留意して進める必要があるでしょうか。
IT部門は、事業部門のアジリティに対する要求を、自分たちへの要求と捉えて受け入れていく必要があります。抵抗を感じているのは、決して日本の企
業だけではなく、他国の企業でも同様です。従来は、変化に対応しないことでITリスクを担保する手法も通用しました。しかし、アプリケーションがビジネスの核となる領域において変化を拒否することは、仮にITリスクが減少したとしてもビジネスリスクを抱えることになります。利用されなくなったアプリケーションに存在価値はないのです。 つまり、リスクの取り方を考え直す時が来たということです。大きな失敗を防ぐために小さな失敗からより多くを学習する、現状を是とせずに改善し続ける。それらの考え方は、日本の製造業における取り組みを参考に生み出されたことを思い出してください。そして、OSSの世界に存在するより良いテクノロジー、文化、プロセスには、自社のビジネスを支えるための数多くのヒントがあります。 新しい技術を積極的に取り入れ、同時にセキュリティと品質も担保する。5年先は難しくとも、2~3年のレンジで将来を予測し、どんな最新テクノロジーを取り入れていくべきかを考え、実際に試し、検証し、実装していくことで、事業部門の要求に応えられるようにする。IT部門のそうした新たなリスクテイクの姿勢が、自社ビジネスの成否を大きく左右することになると思います。 加えて、システムインテグレーターの皆様も、ユーザー企業から依頼されたシステムを迅速に構築するだけでなく、自分たちの顧客が、ビジネス面で成果を上げるためにどんなテクノロジーが必要なのかを深く考え、提案し、アジリティを発揮できる新しいIT環境、ひいては新しいビジネスにいざなっていく。それがこれからのあるべき姿だと思います。 そして重要なのは、我々皆がお互いに協力し合えば、必ず成功させることができるということです。
■ 引き続きレッドハットは、企業のビジネスイノベーションを支援していく
―今後レッドハットは、どんなテクノロジー戦略を取ることで、企業の未来をサポートしていくのでしょうか。
オープンハイブリッドクラウド戦略を通じて、レッドハットは必要なインフラやアプリケーションの開発能力、管理能力を提供します。そして事業部門のニーズをいち早く実現し、企業としてアジリティを獲得することを強力に支援できると確信しています。 またプロダクトラインナップを進化させていくという観点で言うと、例えば現在、各OSSコミュニティではAIを活用したさまざまな試みが行われています。レッドハットは2015年6月、RHEL環境の定期的な情報収集を行い、AIベースでその環境構成のリスクの予知と通知、レポーティングを行う「Red Hat Insights」というシステム分析サービスの提供を開始しました。また2017年5月には、OpenShift上で、Web統合開発環境やデプロイ環境などをWebブラウザ経由で利用可能にするクラウドサービス「OpenShift.io」を発表しましたが、ここでもAIが使われており、最適なプログラムコードの推奨を実現しています。今後、他の製品にもさらにAIの技術を盛り込んでいく予定です。 企業の未来、というと遠い将来を指し示すように聞こえますが、そんなことはありません。未来はもう始まっているのです。”Future is Now”、すなわち未来とは、まさに今この瞬間のことに他ならないのです。レッドハットとしては、今から将来に向けて継続的に、あらゆるOSSの技術を携えてお客様を支援していきます。そしてハイブリッドクラウド環境を実現するために、RHEL、Linuxコンテナ、OpenStack、OpenShiftなどの技術がユーザー企業におけるITの主流となるよう、精力的にお客様のお手伝いをしていくつもりです。
ハイブリッドクラウド環境、Linuxコンテナ、そしてDevOpsが事業部門のアジリティを支える
Paul Cormier
2 OPEN EYE
Success story for your business
■ ビジネス環境とITのかつてない変化が、テクノロジーカンパニーへのシフトを要求している
―はじめに、直近の10年というスパンで見た時、企業のビジネス環境とそれを支えるITはどのように変
わってきていると見ていますか。
今のビジネス環境は、変化のスピードが10年前とは比べものにならないほど劇的に速くなっています。そこでユーザー企業の各事業部門が求めている能力は“アジリティ”、つまり、より“俊敏に動くことができる力”です。例えば自分たちの業務プロセスをより速く回していきたい、顧客や市場の要求に合わせてより速くサービスを改善したいというニーズで、それはそのままITに求められる能力でもあります。 特に現在は、アプリケーションが“ビジネスそのものの核”を成すようになってきており、ITソリューションを提供している会社だけがIT企業という時代では
なくなってきています。あらゆるユーザー企業が“テクノロジーカンパニー”への転換を余儀なくされている状況で、IT部門が果たすべき役割は以前にも増してより大きくなったと言えるでしょう。
―IT部門は、各事業部門からの多種多様な要件により速く、より柔軟に対応していかなければならないということですね。
その通りです。もう過去のモデルに戻ることはできません。新しいテクノロジーを2年後に提供する、あのアプリケーションの更新を3年後に行う、という姿勢では通用しなくなってきているということです。さらにIT部門は、事業部門に提供したソリューションをセキュアかつ効率的に運用管理するだけでなく、継続的にアプリケーションの更新をサポートしていく必要もあります。果たすべき役割が増えたことで業務範囲が拡大し、さらに複雑化してきているのです。
―そうした環境変化の中で、企業が“テクノロジーカンパニー”への転換を目指すために、IT部門にはどのような姿勢が求められるのでしょうか。
アジリティを求める事業部門は、自分たちが変わらなければならないことに気づき始めています。IT部門が手伝ってくれようとくれまいと、実際に自分たちが欲しいもの、必要とするものを次々と取り入れ始めており、その後の運用やサポートはIT部門に任せるという状況を生み出しています。 このままではいけないという認識をIT部門も当然持っているのだと思いますが、選択肢としてどんなものがあるのか、まずはIT部門自身が事業部門に先立って把握し、実践していく必要があります。テクノロジーカンパニーへのシフトを主導するのは、IT部
門をおいて他にはないのですから。
―IT部門が理解しておくべき昨今のテクノロジーの変化として、具体的にはどのようなことが挙げられますか。
新しい技術を迅速に取り入れ、競争優位性を生み出すアプリケーションを作り上げる。環境変化が生じたなら、都度速やかにアップデートしていく。まずはこうした流れを実現できる環境を整備することが何よりも重要です。そのためには、次の大きな3つの変化を理解しておく必要があります。 まず1つめは“インフラが変わってきていること”です。今では物理サーバーだけでなく、仮想化環境も多用されており、プライベートクラウド、さらにアプリケーションによってはパブリッククラウドで運用されています。まさに、ハイブリッドクラウドの環境です。 2つめは“アプリケーション開発環境の変化”です。インフラが多様化したことで、アプリケーション開発者はそのメリットを最大限に享受するために、新しいツールや開発プラットフォーム、開発プロセスを必要としています。それが、例えばDevOpsといった開発手法や、効率的なアプリケーション開発や実装を可能にするLinuxコンテナといったテクノロジーです。 そして3つめが“インフラの管理方法の変化”です。今はインフラの変化に伴ってアプリケーションの運用環境も多種多様であり、アプリケーションの開発環境も変わってきている。セキュアで効率的なIT環境を維持し続けるためには、各インフラのモニタリングやインフラ変更の自動化、運用の自動化も考えていかなければなりません。 今のITの世界は、これら“3つの大きなうねり”が同時に起きているという、過去に例のない状況にあるのです。そのことを、IT部門はしっかり認識する必要
があるでしょう。
■ レッドハットは、オープンハイブリッドクラウド戦略を通じてIT部門をサポートする
―その3つの大きなうねりに対応していくために、鍵となるテクノロジーやトレンドとはどのようなものになりますか?
ベースとなるインフラ部分では、プライベートクラウドとパブリッククラウドの両方を賢く使いこなすハイブリッドクラウド環境が大前提になります。複雑になりがちなハイブリッドクラウド環境において、事業部門が求めるサービスを迅速に提供すると同時に、安定的に管理し、セキュリティを担保し、さらに稼働後の保守やサポートを提供していかなければなりません。つまりIT部門は、事業部門にアジリティを提供するためのハイブリッドクラウド環境をトータルでコーディネートしていく必要があるということです。 ハイブリッドクラウド環境で利用されるテクノロジーが、まさにLinuxコンテナです。インフラ担当者は物理、仮想、プライベートクラウド、パブリッククラウドと多様なインフラ環境において、一貫性のあるアプリケーション実行環境を提供することができます。そして開発担当者は、コンテナ単位でサービスを実装することで、アプリケーションの開発や改修を迅速かつ柔軟に実現できるようになります。Linuxコンテナによって、開発したアプリケーションをハイブリッドクラウド環境のどこででも動作させられるようになるのです。 そしてもう1つ、価値あるアプリケーションを迅速に開発するために必要となる手法が、Linuxコンテナを活用したDevOpsです。環境の変化に影響を受けるアプリケーションは、ウォータフォール方式では要件変更に柔軟に対応することができません。そこで開発担当者と運用担当者が一体となり、ニーズを随時取り入れながら、ビジネスそのものの核となっているアプリケーションをブラッシュアップしていくというやり方が現実的となるのです。 事業部門のアジリティを支えるIT部門としては、ハイブリッドクラウド環境とLinuxコンテナ、そしてDevOpsは欠かすことのできない要素だと言えるでしょう。
―そうしたIT部門の取り組みに対して、レッドハットにできることは何ですか。
この10年間の変化に合わせて、レッドハット自身も大きな進化を遂げてきました。まずオープンソースのOSとして20年以上も前に開発が始まったLinuxは、今ではユーザー企業でもごく当たり前に利用されています。 そしてそのオープン性を拠り所として、Linux上で多くの新たなテクノロジーや今まさに台頭しているトレンドが生まれました。たとえばクラウドやビッグデータ、Linuxコンテナは、OSSのLinuxを基盤とするがゆえに実現可能になったものです。ハイブリッドクラウドの核となるコンテナ技術は、Linuxそのものの技術(Container is Linux)です。その1つがLinuxコンテナであり、エンタープライズの要求に耐えるLinuxコンテナを提供できるのは、レッドハットだけです。つまり、こうしたIT業界の変化を常に牽引してきたのが、まさにレッドハットだということです。 これらを踏まえて、レッドハットはハイブリッドクラウド環境をロックインなく活用可能とするオープンハイブリッドクラウドを提唱し、以下の大きな3つの方向性でIT部門を支援していきます。
まず1つめが、言うまでもなく多岐にわたるOSS製品のラインナップです。 コンテナプラットフォームのRed Hat OpenShift Container Platformは、世界で最も利用されているエンタープライズ向けKubernetesです。Red Hat Enterprise Linux(以下、RHEL)をはじめ、すべてのRed Hat JBoss Middlewareはコンテナ対応を完了しており、OpenShift上で動作させることができます。Red Hat Storageも、Linuxコンテナ対応が進んでいます。また、プライベートクラウドを実現するプラットフォームであるRed Hat OpenStack Platformは、OpenStack市場でリーダーのポジションを獲得しています。こうした多様なOSS製品の提供で、IT部門による先進テクノロジーの導入を牽引していきます。 続いて、統合プラットフォームレベルでの管理サポートです。これは物理サーバーや仮想化環境、プライベートクラウド、パブリッククラウド、さらにはコンテナ環境であろうとも、レッドハットのソリューションを利用していただくことですべての管理が容易になるということです。Red Hat CloudFormsは、レッドハットが提供するプラットフォームだけでなく、AWSやMicrosoft Azure、Google Cloud Platformなどのパブリッククラウドをシームレスに管理することができます。またRed Hat Ansible Automationによって、これらすべての構成管理等の作業を自動化することが可能です。 そして3つめとなるのが、ソリューション活用に際してのサポートです。現在、世界各国で「Red Hat Open Innovation Labs」という施設を設立しています。同施設では、ハンズオン形式で、レッドハットのソリューションをどう活用すればビジネスの課題を解決でき、さらにはイノベーションを誘発することができるのかをお客様と共に考え、実践します。アジア太平洋地域では2017年10月に初めてシンガポールに開設され、今後も他地域にて展開予定です。
■ IT部門の新たなリスクテイクの姿勢が、ビジネスの成否を左右する
―アジリティのために、ハイブリッドクラウド環境をLinuxコンテナで活用し、アプリケーション開発をDevOpsで進める。こうした取り組みは、日本企業にとってかなりのチャレンジに思えますが、どのような点に留意して進める必要があるでしょうか。
IT部門は、事業部門のアジリティに対する要求を、自分たちへの要求と捉えて受け入れていく必要があります。抵抗を感じているのは、決して日本の企
業だけではなく、他国の企業でも同様です。従来は、変化に対応しないことでITリスクを担保する手法も通用しました。しかし、アプリケーションがビジネスの核となる領域において変化を拒否することは、仮にITリスクが減少したとしてもビジネスリスクを抱えることになります。利用されなくなったアプリケーションに存在価値はないのです。 つまり、リスクの取り方を考え直す時が来たということです。大きな失敗を防ぐために小さな失敗からより多くを学習する、現状を是とせずに改善し続ける。それらの考え方は、日本の製造業における取り組みを参考に生み出されたことを思い出してください。そして、OSSの世界に存在するより良いテクノロジー、文化、プロセスには、自社のビジネスを支えるための数多くのヒントがあります。 新しい技術を積極的に取り入れ、同時にセキュリティと品質も担保する。5年先は難しくとも、2~3年のレンジで将来を予測し、どんな最新テクノロジーを取り入れていくべきかを考え、実際に試し、検証し、実装していくことで、事業部門の要求に応えられるようにする。IT部門のそうした新たなリスクテイクの姿勢が、自社ビジネスの成否を大きく左右することになると思います。 加えて、システムインテグレーターの皆様も、ユーザー企業から依頼されたシステムを迅速に構築するだけでなく、自分たちの顧客が、ビジネス面で成果を上げるためにどんなテクノロジーが必要なのかを深く考え、提案し、アジリティを発揮できる新しいIT環境、ひいては新しいビジネスにいざなっていく。それがこれからのあるべき姿だと思います。 そして重要なのは、我々皆がお互いに協力し合えば、必ず成功させることができるということです。
■ 引き続きレッドハットは、企業のビジネスイノベーションを支援していく
―今後レッドハットは、どんなテクノロジー戦略を取ることで、企業の未来をサポートしていくのでしょうか。
オープンハイブリッドクラウド戦略を通じて、レッドハットは必要なインフラやアプリケーションの開発能力、管理能力を提供します。そして事業部門のニーズをいち早く実現し、企業としてアジリティを獲得することを強力に支援できると確信しています。 またプロダクトラインナップを進化させていくという観点で言うと、例えば現在、各OSSコミュニティではAIを活用したさまざまな試みが行われています。レッドハットは2015年6月、RHEL環境の定期的な情報収集を行い、AIベースでその環境構成のリスクの予知と通知、レポーティングを行う「Red Hat Insights」というシステム分析サービスの提供を開始しました。また2017年5月には、OpenShift上で、Web統合開発環境やデプロイ環境などをWebブラウザ経由で利用可能にするクラウドサービス「OpenShift.io」を発表しましたが、ここでもAIが使われており、最適なプログラムコードの推奨を実現しています。今後、他の製品にもさらにAIの技術を盛り込んでいく予定です。 企業の未来、というと遠い将来を指し示すように聞こえますが、そんなことはありません。未来はもう始まっているのです。”Future is Now”、すなわち未来とは、まさに今この瞬間のことに他ならないのです。レッドハットとしては、今から将来に向けて継続的に、あらゆるOSSの技術を携えてお客様を支援していきます。そしてハイブリッドクラウド環境を実現するために、RHEL、Linuxコンテナ、OpenStack、OpenShiftなどの技術がユーザー企業におけるITの主流となるよう、精力的にお客様のお手伝いをしていくつもりです。
OSSの世界が有するテクノロジー、文化、プロセスには、ビジネスを支えるための数多くのヒントがある
RED HAT® JBOSS®
MIDDLEWARE
RED HAT®
ENTERPRISE LINUX®
RED HAT®
ENTERPRISE LINUX®
RED HAT®
GLUSTER STORAGERED HAT®
CEPH STORAGE
RED HAT®
CLOUDFORMS
RED HAT®
VIRTUALIZATIONRED HAT®
OPENSTACK®
PLATFORM
OtherPublic Clouds
Google AWS MicrosoftAzure
RED HAT®
SATELLITERED HAT®
INSIGHTS
開発者環境 & ツール
ミドルウェア
コンテナプラットフォーム
LINUX 基盤 (OS プラットフォーム)
ソフトウェアデファインドストレージ
物理OS 仮想化 プライベートクラウド パブリッククラウド
管理 & 自動化
OPEN EYE 3
Red Hat K.K. EDITORIAL 2018
IDCフロンティア(以下IDCF)は、ヤフーグループのデータセンター事業を担う戦略ITインフラプロバイダーとして、クラウド、ビッグデータ分析、ネットワークセキュリティ、ハウジングなどのサービスを提供している。首都圏・東日本・西日本の3つの地域で8ヵ所のデータセンターを運営、国内屈指の高速大容量ネットワークと最新鋭設備で顧客の事業継続を支えている。 近年IDCFが強力に推し進めているのが、インフラ提供からデータ活用へのビジネス領域の拡大だ。堅牢で大規模な設備と豊富なノウハウを背景に“データ集積地構想”を打ち出し、データを処理する仕組みを提供するだけでなく、集まったデータを中心に据えたサービス開発に取り組むことで、ビジネスモデルの変革を急いでいる。 こうした成長戦略の一環として、クラウドサービスの枠組みで提供するデータ活用サービスとは一線を画す、新しい取り組みが本格的に始動した。この取り組みは、IDCFが顧客と積極的に関わり、顧客や外部企業などと協力してデータ活用のアプリケーションを自ら開発するという、従来のデータセンター事業者の立ち位置とは大きく異なるものだ。
データ活用を軸とした新事業の創出というテーマは、数年前から検討されてきた。長年顧客のデータを扱ってきたデータセンター事業者の老舗として、データ爆発によるパラダイムシフトによって、あらゆるビジネス活動はデータ中心になると早くから気づいていたからだ。
しかし、事業化に至る検討段階や実証実験においては、開発リソースへの大きな投資は難しい。基盤システムの構築にしても、アプリケーションの開発にしても、少ない人数や外部との協業で効率的に進められる環境の整備が必須だった。 この新事業創出の取り組みをリードするデータビジネス本部 基盤開発部 部長の大屋誠氏は、「新事業として想定していたIoTや機械学習などAIを取り入れたデータ分析サービスの開発は、PoC(Proof of Concept:概念実証)を何度も行い、修正と変更を繰り返してサービスを拡張することが必要です。一方で、他社と共同で実証実験を進めていく段階では開発スピードも求められますし人数も限られますので、小さく始められ、かつ効率的に運用できる環境が強く求められました」と当時を振り返る。
そこで、基盤技術として注目したのがコンテナだ。コンテナはアプリケーションと必要なリソースをパッケージ化し、それぞれのアプリケーションを独立した空間で動作させる技術である。コンテナ単位で機能の修正や変更が行えるので、アプリケーションの開発・改善サイクルを大幅に短縮し、高品質なサービスを素早く市場に投入できるメリットがある。 コンテナ技術採用の理由を、データビジネス本部 基盤開発部 主任研究員 大和喜一氏は次のように説明する。「1ヵ月で構築できて改良なしに使い続けられるアプリケーションなら、いわゆるウォーターフォール開発の方がスムーズかもしれません。しかし、特に最新のデータを大量に扱うようなアプリケーションは、新しい技術を素早く取り込んで改善していかないと、すぐに時代遅れになり市場から取り残されてしまいます。価値あるサービスを数多く迅速に生み
出すためのベストな技術がコンテナだったのです」 顧客のフィードバックを得ながらPoCを繰り返し、アプリケーションの開発・改善サイクルを高速化できるコンテナ技術。コンテナという小さな単位で開発が進められるため、新しくプロジェクトに参加してもコードを見ればすぐに開発が始められるという環境も作りやすい。
スピードが要求される新しいサービス開発に対し、コンテナ技術の採用は既定路線とも言える選択だったが、次に問題となったのが具体的にどんな開発プラットフォーム製品を用意するかという点だ。コンテナ型の仮想化技術であるDockerやコンテナのオーケストレーションツールであるKubernetesといった有力なオープンソースソフトを使えば、ライセンスコストはかからない。しかし、こうしたオープンソースソフトのオリジナル版を自前で使うのは、運用の負担が大きい。バージョンアップが頻繁で、機能追加や仕様変更のサイクルも速いからだ。 いくつかの製品を比較検討した結果、DockerやKubernetesなどのオープンソースソフトを企業システム向けに最適化した統合プラットフォームであるRed Hat OpenShift Container Platform(以下OpenShift)の導入を決定。その理由について大屋氏は、「この分野は技術の進歩が速く、コミュニティから出てくる情報に追従するだけでも大変です。もちろんOpenShiftも日進月歩で進化していますが、レッドハットの技術サポートに大きな安心感がありました。すぐに使い始められる環境を整える必要があったのです」と話す。 また、IoTまわりのゲートウェイや通信機能の実装も重要な選定ポイントになったという。こうしてOpenShiftの導入が正式に決定した。
その後、IDCFの新規事業創出の取り組みを支えるアプリケーション開発環境が、OpenShiftを用いて構築された。IDCFが持つクラウド基盤上にOpenShiftがインストールされ、現在数多くの実証実験プロジェクトのサービス開発が東京と福岡の2拠点並行で行われている。 構築段階では、クラウドで使われている基盤ソフトウェアとの親和性や冗長化、認証など各種の技術的な課題をクリアする必要があったが、基本的な環境ができあがった後は安定して運用できているという。「IDCFのクラウド環境にOpenShiftをどう実装するかというアーキテクチャの設計は、かなり綿密に行いました。パッケージ製品としてアップデートやバグ修正もしっかりしているので、安定して利用できています」(大和氏)。 また、アプリケーション開発環境にデプロイされたシステムのクローンを当日中に作成するなど、コンポーネントを利活用できる点も魅力だ。 さらに機能のアップデートへの対応を繰り返すことで知識も深まり、開発メンバーのスキル向上とノウハウの蓄積にもつながった。開発メンバーは、DevOpsやマイクロサービスなどへの関心の高まりも見せ始めているという。
2017年1月から3月までの間、北九州市の高齢者介護施設において、IoTセンサーとビッグデータ分析を活用した行動認識実証実験が行われた。IDCFがOpenShiftで構築したアプリケーション基盤を使って
手がけた最初のプロジェクトである。介護事業を手掛けるウチヤマホールディングスおよび九州工業大学と共同で実施した。 具体的には、介護職員と看護職員に装着したIoTセンサーやスマートフォン、施設の各部屋に設置されたセンサーから行動データを収集し、そのデータをもとに業務行動の分析・推定を行うというものだ。今回開発した機械学習・行動認識アプリケーションによって、収集した約12億レコードのビッグデータを分析して業務行動の推定を行い、職員の経験年数、業務内容と時間の相関関係などの可視化に成功。職員の行動実態を定量的に把握し、業務改善や作業効率化に役立てる方向だ。 この機械学習・行動認識アプリケーションのほか、ユーザー認証やデータクレンジングを行うIoTアプリケーションと、データの格納と分析を担うビッグデータアプリケーションが、OpenShiftを用いて開発された。今後も検証を重ねて行動認識の分析精度を高め、本格的なサービス提供につなげたい考えだ。
他にも、島根県の酒造会社で、酒造工程における温度変化などのセンサーデータと職人の業務記録をスマートフォンで共有・監視するIoTアプリケーションの開発がパートナー企業と共同実施された。この他にも複数のプロジェクトが進んでいる。 ますます本格化する実証実験やプロジェクトの成功に向けて、IDCFがキーポイントとして挙げたのはマイクロサービス化の推進だ。コンテナによるアプリケーション開発をさらに先に進め、アプリケーション同士が疎結合して動作するマイクロサービスの本格的な展開を見据えている。それにはコンテナ技術のさらなる成熟が不可欠だという。
この点について大屋氏は、「介護施設での実証実験は一つの建物で行いましたが、複数の建物や遠隔地も含めたサービス展開も予想されます。こうした場合も、マイクロサービスとしてアプリケーションを構築すれば、コンテナを再利用することで簡単に拡張できます。コンテナはオープンソースによって技術革新が進んでいますが、企業システムとして安心して使うには信頼性の担保が重要です。この点でレッドハットの果たす役割に大いに期待しています」と語る。
インフラ提供からデータ活用へ、従来のデータセンター事業者の枠を超えた新しいビジネスに舵を切るIDCF。2017年4月にはデータビジネス本部が設置され、組織としての体制も充実した。 今後の展開について、エンジニアが才能と情熱を発揮できる場を創造していきたいと語る大屋氏はこう強調した。「介護施設や酒造会社もそうですが、これまでテクノロジーや先進技術のイメージがない企業もデジタル化を避けて通れない時代です。あらゆる企業がテクノロジーの力で新しい価値や利便性を生み出すことを迫られています。企業にインフラを提供し続けてきたIDCFが、今度はそのテクノロジー基盤を活かして、現場に密着した新たなサービスでお客様の問題解決に貢献していくことに、大きな意味があると確信しています」 強固なインフラとデータ活用のノウハウで、企業のデジタル変革を後押しする新しいIDCF。今後の躍進に大きな期待が寄せられている。
Yahoo! JAPANのグループ企業であるIDCフロンティアが、新たな事業創出に向けた取り組みを強化している。主力のデータセンター事業を基盤としたクラウドサービスやビッグデータ分析サービスのノウハウを活用し、IoTや機械学習などの最先端技術を組み合わせて、顧客志向の新しいデータ活用サービスの開発を推進する。同社では、この新しい取り組みの基盤技術としてコンテナ技術を採用し、アプリケーションの開発・実行環境に「Red Hat OpenShift Container Platform」を導入した。すでに北九州市において、介護施設従事者のIoTによる行動認識実証実験を産学連携で実施したほか、企業のデジタル変革を後押しする様々な実証実験プロジェクトが進められている。
企業のデジタル変革を後押しする新たな事業創出に向け、コンテナ技術を活用したアプリケーション開発環境を構築
Red Hat OpenShift Container Platformの導入
01 背景 02 課題 03 システム要件 04インフラ提供からデータ活用へ、従来の枠を超えた新事業の創出に挑むIDCF
小さく始められ、効率的で俊敏なアプリケーション開発
開発・改善サイクルを高速化するコンテナ技術
有力なオープンソースソフトを技術サポート付きで使える安心感
背景インフラ提供からデータ活用へ、従来の枠を超えた新事業の創出に挑むIDCフロンティア
課題小さく始められ、効率的で俊敏なアプリケーション開発
システム要件開発・改善サイクルを高速化するコンテナ技術
OpenShiftを選んだ決め手有力なオープンソースソフトを技術サポート付きで使える安心感
・オープンソースソフトを企業システム向けに最適化した統合プラットフォーム
・IoTまわりのゲートウェイや通信機能の実装
・顧客のフィードバックを得ながら価値あるサービスを迅速に提供
・コードを見ればすぐに開発が始められる環境の構築
・少ない人数や分業によって効率的に開発が進められる体制の整備
・修正と変更を繰り返してサービスを拡張していく開発手法の実践
・データを中心に据えた新しいサービス開発への取り組み
・顧客や外部企業と協力してアプリケーションを自ら開発
OpenShiftを選んだ決め手
4 OPEN EYE
Success story for your business
ユーザー事例Success Story
IDCフロンティアRed Hat OpenShift
Container Platformの導入
IDCフロンティア(以下IDCF)は、ヤフーグループのデータセンター事業を担う戦略ITインフラプロバイダーとして、クラウド、ビッグデータ分析、ネットワークセキュリティ、ハウジングなどのサービスを提供している。首都圏・東日本・西日本の3つの地域で8ヵ所のデータセンターを運営、国内屈指の高速大容量ネットワークと最新鋭設備で顧客の事業継続を支えている。 近年IDCFが強力に推し進めているのが、インフラ提供からデータ活用へのビジネス領域の拡大だ。堅牢で大規模な設備と豊富なノウハウを背景に“データ集積地構想”を打ち出し、データを処理する仕組みを提供するだけでなく、集まったデータを中心に据えたサービス開発に取り組むことで、ビジネスモデルの変革を急いでいる。 こうした成長戦略の一環として、クラウドサービスの枠組みで提供するデータ活用サービスとは一線を画す、新しい取り組みが本格的に始動した。この取り組みは、IDCFが顧客と積極的に関わり、顧客や外部企業などと協力してデータ活用のアプリケーションを自ら開発するという、従来のデータセンター事業者の立ち位置とは大きく異なるものだ。
データ活用を軸とした新事業の創出というテーマは、数年前から検討されてきた。長年顧客のデータを扱ってきたデータセンター事業者の老舗として、データ爆発によるパラダイムシフトによって、あらゆるビジネス活動はデータ中心になると早くから気づいていたからだ。
しかし、事業化に至る検討段階や実証実験においては、開発リソースへの大きな投資は難しい。基盤システムの構築にしても、アプリケーションの開発にしても、少ない人数や外部との協業で効率的に進められる環境の整備が必須だった。 この新事業創出の取り組みをリードするデータビジネス本部 基盤開発部 部長の大屋誠氏は、「新事業として想定していたIoTや機械学習などAIを取り入れたデータ分析サービスの開発は、PoC(Proof of Concept:概念実証)を何度も行い、修正と変更を繰り返してサービスを拡張することが必要です。一方で、他社と共同で実証実験を進めていく段階では開発スピードも求められますし人数も限られますので、小さく始められ、かつ効率的に運用できる環境が強く求められました」と当時を振り返る。
そこで、基盤技術として注目したのがコンテナだ。コンテナはアプリケーションと必要なリソースをパッケージ化し、それぞれのアプリケーションを独立した空間で動作させる技術である。コンテナ単位で機能の修正や変更が行えるので、アプリケーションの開発・改善サイクルを大幅に短縮し、高品質なサービスを素早く市場に投入できるメリットがある。 コンテナ技術採用の理由を、データビジネス本部 基盤開発部 主任研究員 大和喜一氏は次のように説明する。「1ヵ月で構築できて改良なしに使い続けられるアプリケーションなら、いわゆるウォーターフォール開発の方がスムーズかもしれません。しかし、特に最新のデータを大量に扱うようなアプリケーションは、新しい技術を素早く取り込んで改善していかないと、すぐに時代遅れになり市場から取り残されてしまいます。価値あるサービスを数多く迅速に生み
出すためのベストな技術がコンテナだったのです」 顧客のフィードバックを得ながらPoCを繰り返し、アプリケーションの開発・改善サイクルを高速化できるコンテナ技術。コンテナという小さな単位で開発が進められるため、新しくプロジェクトに参加してもコードを見ればすぐに開発が始められるという環境も作りやすい。
スピードが要求される新しいサービス開発に対し、コンテナ技術の採用は既定路線とも言える選択だったが、次に問題となったのが具体的にどんな開発プラットフォーム製品を用意するかという点だ。コンテナ型の仮想化技術であるDockerやコンテナのオーケストレーションツールであるKubernetesといった有力なオープンソースソフトを使えば、ライセンスコストはかからない。しかし、こうしたオープンソースソフトのオリジナル版を自前で使うのは、運用の負担が大きい。バージョンアップが頻繁で、機能追加や仕様変更のサイクルも速いからだ。 いくつかの製品を比較検討した結果、DockerやKubernetesなどのオープンソースソフトを企業システム向けに最適化した統合プラットフォームであるRed Hat OpenShift Container Platform(以下OpenShift)の導入を決定。その理由について大屋氏は、「この分野は技術の進歩が速く、コミュニティから出てくる情報に追従するだけでも大変です。もちろんOpenShiftも日進月歩で進化していますが、レッドハットの技術サポートに大きな安心感がありました。すぐに使い始められる環境を整える必要があったのです」と話す。 また、IoTまわりのゲートウェイや通信機能の実装も重要な選定ポイントになったという。こうしてOpenShiftの導入が正式に決定した。
その後、IDCFの新規事業創出の取り組みを支えるアプリケーション開発環境が、OpenShiftを用いて構築された。IDCFが持つクラウド基盤上にOpenShiftがインストールされ、現在数多くの実証実験プロジェクトのサービス開発が東京と福岡の2拠点並行で行われている。 構築段階では、クラウドで使われている基盤ソフトウェアとの親和性や冗長化、認証など各種の技術的な課題をクリアする必要があったが、基本的な環境ができあがった後は安定して運用できているという。「IDCFのクラウド環境にOpenShiftをどう実装するかというアーキテクチャの設計は、かなり綿密に行いました。パッケージ製品としてアップデートやバグ修正もしっかりしているので、安定して利用できています」(大和氏)。 また、アプリケーション開発環境にデプロイされたシステムのクローンを当日中に作成するなど、コンポーネントを利活用できる点も魅力だ。 さらに機能のアップデートへの対応を繰り返すことで知識も深まり、開発メンバーのスキル向上とノウハウの蓄積にもつながった。開発メンバーは、DevOpsやマイクロサービスなどへの関心の高まりも見せ始めているという。
2017年1月から3月までの間、北九州市の高齢者介護施設において、IoTセンサーとビッグデータ分析を活用した行動認識実証実験が行われた。IDCFがOpenShiftで構築したアプリケーション基盤を使って
手がけた最初のプロジェクトである。介護事業を手掛けるウチヤマホールディングスおよび九州工業大学と共同で実施した。 具体的には、介護職員と看護職員に装着したIoTセンサーやスマートフォン、施設の各部屋に設置されたセンサーから行動データを収集し、そのデータをもとに業務行動の分析・推定を行うというものだ。今回開発した機械学習・行動認識アプリケーションによって、収集した約12億レコードのビッグデータを分析して業務行動の推定を行い、職員の経験年数、業務内容と時間の相関関係などの可視化に成功。職員の行動実態を定量的に把握し、業務改善や作業効率化に役立てる方向だ。 この機械学習・行動認識アプリケーションのほか、ユーザー認証やデータクレンジングを行うIoTアプリケーションと、データの格納と分析を担うビッグデータアプリケーションが、OpenShiftを用いて開発された。今後も検証を重ねて行動認識の分析精度を高め、本格的なサービス提供につなげたい考えだ。
他にも、島根県の酒造会社で、酒造工程における温度変化などのセンサーデータと職人の業務記録をスマートフォンで共有・監視するIoTアプリケーションの開発がパートナー企業と共同実施された。この他にも複数のプロジェクトが進んでいる。 ますます本格化する実証実験やプロジェクトの成功に向けて、IDCFがキーポイントとして挙げたのはマイクロサービス化の推進だ。コンテナによるアプリケーション開発をさらに先に進め、アプリケーション同士が疎結合して動作するマイクロサービスの本格的な展開を見据えている。それにはコンテナ技術のさらなる成熟が不可欠だという。
この点について大屋氏は、「介護施設での実証実験は一つの建物で行いましたが、複数の建物や遠隔地も含めたサービス展開も予想されます。こうした場合も、マイクロサービスとしてアプリケーションを構築すれば、コンテナを再利用することで簡単に拡張できます。コンテナはオープンソースによって技術革新が進んでいますが、企業システムとして安心して使うには信頼性の担保が重要です。この点でレッドハットの果たす役割に大いに期待しています」と語る。
インフラ提供からデータ活用へ、従来のデータセンター事業者の枠を超えた新しいビジネスに舵を切るIDCF。2017年4月にはデータビジネス本部が設置され、組織としての体制も充実した。 今後の展開について、エンジニアが才能と情熱を発揮できる場を創造していきたいと語る大屋氏はこう強調した。「介護施設や酒造会社もそうですが、これまでテクノロジーや先進技術のイメージがない企業もデジタル化を避けて通れない時代です。あらゆる企業がテクノロジーの力で新しい価値や利便性を生み出すことを迫られています。企業にインフラを提供し続けてきたIDCFが、今度はそのテクノロジー基盤を活かして、現場に密着した新たなサービスでお客様の問題解決に貢献していくことに、大きな意味があると確信しています」 強固なインフラとデータ活用のノウハウで、企業のデジタル変革を後押しする新しいIDCF。今後の躍進に大きな期待が寄せられている。
05 OpenShiftを導入した効果1 06 OpenShiftを
導入した効果2 今後の展望1 07 08 今後の展望2
安定したアプリケーション開発環境の実現
介護施設のIoT・ビッグデータ分析で実証実験を実施
コンテナ技術活用をさらに進めて、マイクロサービス化を推進
強固なインフラとデータ活用のノウハウで、企業のデジタル変革を後押し・従来のデータセンター事業者の枠を超えた新たなビジネスの展開
・現場に密着したデータ活用サービスの開発で顧客の問題解決に貢献
・マイクロサービス化を意識したプロジェクトの遂行・コンテナ技術の信頼性確保に対するレッドハットの役割に期待
・機械学習・行動認識アプリケーションなどをコンテナ技術で開発・約12億レコードの分析・推定・可視化に成功
・IDCFのクラウド環境にOpenShiftを実装
・アップデートへの対応を通じてスキルとノウハウが蓄積
OpenShiftを導入した成果1安定したアプリケーション開発環境の実現
OpenShiftを導入した成果2介護施設のIoT・ビッグデータ分析で
実証実験を実施
今後の展望1コンテナ技術活用をさらに進めて、マイクロサービス化を推進
今後の展望2強固なインフラとデータ活用のノウハウで、
企業のデジタル変革を後押し
OPEN EYE 5
Red Hat K.K. EDITORIAL 2018
大屋 誠 氏
株式会社IDCフロンティアデータビジネス本部 基盤開発部 部長
大和 喜一 氏
株式会社IDCフロンティアデータビジネス本部 基盤開発部 主任研究員
旭日酒造
老舗酒造の製造IoT開発製造現場の温度・湿度といった環境変化をスマートフォンからチェックできることで、蔵人(くらびと)間でいつでも情報共有ができ、情報を遠隔地から把握できるようになります。その結果、仕込み期間である12月~3月に蔵人が酒蔵を片時も離れられないというような物理的制約を解決し、働き方の刷新につながると考えられています。
IDCフロンティアが実施した実証実験
介護施設従事者のIoTによる行動認識介護・看護職員の個々人が保有する業務ノウハウの共有や改善を、業務行動を記録し可視化する視点からアプローチしています。介護や看護の通常業務を妨げないよう、職員が身に付けた市販の小型センサーデバイスとAndroidスマートフォンを組み合わせ、加速度、地磁気、照度、気圧、温湿度などのデータを取得しています。介護付き有料老人ホーム「さわやか海響館」にて
ソフトバンクのビジネスは、主力の通信事業の他、スマートロボット、IoT、AIといった新しい領域にも次々に参入し、次世代技術への投資も活発だ。 同社が提供するサービスは、ますます多岐にわたっている。 これらのサービスを支えるシステムは大小含めて800システムにのぼり、社員と協力会社を合わせて常時5,000名近くがその開発・保守・運用に携わる。新しい価値創造にチャレンジし続けるビジネスに呼応して、システム開発にもスピード感と高い開発効率が求められている。 テクノロジーユニット IT統括 IT本部 プラットフォーム統括部 プラットフォーム開発部 部長の山下豊文氏は、システム開発の方向性について次のように話す。「当社のIT部門であるIT統括では、開発コストは半分、生産性は2倍を目指して業務改革に取り組んでいます。既存システムは、この目標を達成しながらサービスレベルを維持する。新たに生み出されたリソースは新規事業に振り向け、ビジネスの成長を支える。これがIT統括の使命です」
しかし、ここまで大規模な開発体制の中で、開発生産性を劇的に向上させるのは簡単ではなかった。作業工程を時系列に進めていくウォーターフォール型で様々な開発プロジェクトが進められており、既存システムの保守中心の開発も多くなるなど、抜本的な改革に踏み込めない状態が続いていたという。 一方で、ソフトバンクのIT部門には大きなプラットフォーム構想がある。Global IT Platform(GIP)戦
略だ。多くの企業買収を経て現在のソフトバンクが形成されているが、それぞれのシステムは別々に構築されているのがほとんどだ。今後は、国内で作ったシステムをグループ企業で使う方向で開発が進められる。「GIP戦略では、これまでと全く異なる新しいアーキテクチャで世界に通用するシステムを作ります。その開発は何が何でも新しい手法で取り組もうという機運がIT統括全体で高まってきていたのです」(山下氏) 開発生産性向上という普遍的な命題とGIPという戦略の実行、この2つの課題解決が待ったなしとなったタイミングを好機ととらえ、新しい開発手法の導入に踏み切ることを決定する。選択された開発手法は、以前から情報収集と検討を重ねていたDevOpsだ。
DevOpsはアジャイル開発の流れから生まれた開発手法で、開発(Development)と運用(Operation)が互いに連携して開発・テスト・運用の工程を短期間で進め、CI/CD(継続的インテグレーションおよび継続的デリバリー)の実践などによりデプロイの回数を劇的に増やすことができる。メンバーが情報共有しながら協力して作業を進めるスクラム開発により、小規模な開発チームでも実行可能な手法という特徴もある。 「DevOpsの採用には、CI/CDとテストの自動化がキーになると考えていました。これらの作業のベストプラクティスやツールが揃ってきたこのタイミングで一歩踏み出そうと決意しました」(山下氏) DevOpsによる最初のプロジェクトとして白羽の矢が立ったのは、AI系アプリケーションの管理システムとして開発が決定していたPersonal Agent
Manager(PAM)だ。ソフトバンクのAIプロジェクトは40を数える※2。店頭での問い合わせ対応などを想定した自動回答アプリケーションの開発もその中の一つで、PAMはこのアプリケーションの設定や回答作成などを行う管理者向けシステムである。
ソフトバンクのシステムは自社開発が基本だ。長年にわたりシステムの内製化に取り組み、オープンソースを積極活用する開発戦略をとっている。レッドハット製品も5年ほど前から本格的に採用が始まり、今では導入範囲も広がってきた。今回のDevOpsの取り組みも、レッドハットによるワークショップの開催が出発点となっている。 このワークショップにおいてレッドハットのコンサルティングチームは、DevOpsを成功に導く実践項目を紹介し、各項目における現状とあるべき姿の洗い
出しを行った。さらに、各実践項目の作業内容と成果物を定義することで具体的なロードマップを示した。 テクノロジーユニット IT統括 IT本部 プラットフォーム統括部 プラットフォーム開発部 プラットフォーム推進課 課長の杉村亜矢氏は、「懸案だったCI/CDやテストの自動化など、やるべきことを体系的に整理し、具体的なアウトプットを明示してくれたので、DevOpsやスクラム開発のメリットを短時間で理解できました」とワークショップの効果を評価している。
ワークショップは2016年9月に4回にわたり実施した。その内容をベースに議論を重ね、12月に始まるPAMのプロジェクトで正式にレッドハットのコンサルティングサービスを利用することを決定する。 レッドハットは、アジャイル開発、CI/CDのパイプライン、テストの自動化など、DevOpsを進める上での7つの実践項目をあらためて提示し、各項目に個別の専任コンサルタントを配置するチーム編成を行った。ソフトバンクの開発チームとレッドハットのコンサルティングチームはプロセスと成果物を共有し、共同で作業を進めた。開発は予定通り、2017年3月に成功裡に終了した。 「ウォーターフォール型の手法では、開発が終了するまでシステムの品質への不安から解放されませんでした。今回はエキスパートの実践的なアドバイスを受けて、作業を一つひとつ確認しながら進められましたし、スクラム開発でメンバーの作業状況が共有され、いつ何ができるかが明確なので、開発期間中は常に安心してプロジェクトに取り組めました」と語るのは、PAM開発のプロジェクトマネージャーを務めたプラットフォーム開発課の原田拓磨氏だ。 プラットフォーム推進課の佐々木拓哉氏は、「これだけエキスパートを揃えられるのはレッドハットの強みだと思います。共同で作業を進めることで、レッドハットが持つノウハウも吸収できました。コンサルティングを活用したからこそ、DevOpsの手法を短期間で習得し、開発を成功させることができたと実感しています」とコンサルティングサービスを利用したメリットについて話している。
DevOpsの実践に重要な役割を果たす技術がコンテナだ。OS上のアプリケーションに独立した実行環境を与える仮想化技術である。アプリケーションとライブラリを一つのイメージとして持ち運べるので、コンテナ単位で機能の修正や変更を行える。アプリケーションの開発サイクルを短縮し、高品質なサービスを素早く市場に投入できる。
今回のPAM開発では、このコンテナ技術を活用した。製品として採用されたのはRed Hat OpenShift Container Platform(以下OpenShift)である。コンテナ管理ソフトのDockerやコンテナのオーケストレーション機能を提供するKubernetesを含む統合基盤ソフトウェアだ。 「DevOps実現のための一つのカギはコンテナの利用です。しかし、これまで社内であまり使ったことがなく、スキルも蓄積されていませんでした。コンテナの仕組みの学習から始めていたら、プロジェクトのスケジュールに間に合いません。OpenShiftはコンテナ利用に必要な機能がすべて搭載されていて、レッドハットの手厚いサポートもあったため、効率よく開発が進められました」(佐々木氏)
今回のPAMのプロジェクトでDevOpsに取り組んだ成果は、開発現場の声に集約されている。開発生産性に関する定量的な効果と開発チームの運営に関わる定性的な効果について、プロジェクトの中心メンバーである原田氏と佐々木氏は次のように語ってくれた。 「DevOpsに取り組んで得られた明確な効果の一つは、CI/CDの実践によるものです。作業の手戻りが大幅に改善されたほか、テストの自動化率もアップしました。その結果、一度の開発工程でのデプロイ回数が、以前は2週間に1回だったのが、118回にまで向上しました」(原田氏) 「スクラム開発でメンバーの仕事が可視化されるので、助け合って仕事を進めようという空気が生まれました。メンバー同士のコミュニケーションが活発になり、チームの雰囲気も格段に良くなりました。こうした技術面以外の効果も、開発生産性を高めるのに好影響があったと確信しています」(佐々木氏)
開発生産性の向上に加えて、チームワークの強化とコミュニケーションの活性化という成果を得た今回のプロジェクトをきっかけに、「IT統括内でDevOpsに取り組む開発チームが着実に増えている」(杉村氏)という。DevOps推進とスキル底上げを担う組織横断的なタスクチームも設立されるなど、DevOpsの本格的な適用に向けたムードも高まってきた。 今後の取り組みについて、山下氏は次のように語っている。「今回のPAM開発の成功は、DevOpsについての社内の関心を大きく喚起しました。プロジェクトを通じて、開発者一人ひとりが率先して品質や効率を考えるようになりました。個人の意識改革が進み、チームの成長にもつながっています。2018
年度完了予定のGIP戦略では全システムの半数以上をDevOpsで開発する見通しで、その先においてはITライフサイクルの完全自動化を目指す動きもあります。その実現のためにも、今回の成果を足掛かりに、開発標準としてDevOpsを定着させたいと考えています」
※2 SoftBank World 2017の基調講演資料より
最先端テクノロジーを活用したビジネスを世界に展開するソフトバンクグループ。2017年3月末時点で連結ベースの従業員数は約68,000名、子会社・関連会社は約900社と、積極的な投資戦略や新しい事業分野への果敢な挑戦を続けている。今や押しも押されもせぬグローバル企業となった同グループの中核企業であるソフトバンクが、その多彩なサービスの基盤となるシステム開発において、新たな取り組みに着手した。開発と運用が連携してスピーディーにシステム構築を行う手法として注目されるDevOpsを新たに導入。レッドハットのコンサルティングサービスと製品を活用して実施された最初のプロジェクトは、開発生産性の向上のみならず、チームワークの強化とコミュニケーションの活性化という大きな付加価値を生み出した。
スピード経営を支えるシステム開発の新しい手法としてDevOpsを実践。成果は生産性向上と開発チームの成長
DevOps実践までの流れ
01 背景 02 課題 03 適用プロジェクトの決定 04“開発コストは半分、生産性は2倍”を掛け声に、ビジネスの成長をサポートするIT部門
開発生産性の向上と世界共通基盤の構築、2つの課題を解決する新しい開発手法の導入
AI系アプリケーション管理システムの開発でDevOpsを実践
DevOps実践のための具体的な実践項目を明示したワークショップ
背景“開発コストは半分、生産性は2倍”を掛け声に、ビジネスの成長をサポートするIT部門
課題開発生産性の向上と世界共通基盤の構築、2つの課題を解決する新しい開発手法の導入
適用プロジェクトの決定AI系アプリケーション管理システムの
開発でDevOpsを実践
レッドハットをパートナーとして選んだ決め手DevOps実践のための具体的な実践項目を明示したワークショップ
・実践項目を体系的に整理し、具体的な成果物を定義
・DevOpsやスクラム開発の効果をわかりやすく解説
・CI/CDとテスト自動化におけるベストプラクティスとツールが充実・Personal Agent Managerの開発にDevOpsを適用
・ウォーターフォール型からの脱却による開発生産性の向上・Global IT Platform(GIP)戦略の実現
・新しい価値創造にチャレンジし続けるソフトバンクのビジネス・システム開発に求められるスピード感と高い開発効率
レッドハットをパートナーとして選んだ決め手
6 OPEN EYE
Success story for your business
ユーザー事例Success Story
ソフトバンク新システム開発手法DevOpsを実践
DevOpsとは?ビジネスの価値や競争力の向上を目的として、リードタイムを短縮し、継続的な改善を進めるための文化・組織・プロセス・技術の確立のこと。Agile, Lean原則に則ったBiz/Dev/Opsの横断的なIT運営を目指します。
顧客への価値
製品
戦略
要求
開発検証
データ リリース
運用
Ops
Biz
Dev
ソフトバンクのビジネスは、主力の通信事業の他、スマートロボット、IoT、AIといった新しい領域にも次々に参入し、次世代技術への投資も活発だ。 同社が提供するサービスは、ますます多岐にわたっている。 これらのサービスを支えるシステムは大小含めて800システムにのぼり、社員と協力会社を合わせて常時5,000名近くがその開発・保守・運用に携わる。新しい価値創造にチャレンジし続けるビジネスに呼応して、システム開発にもスピード感と高い開発効率が求められている。 テクノロジーユニット IT統括 IT本部 プラットフォーム統括部 プラットフォーム開発部 部長の山下豊文氏は、システム開発の方向性について次のように話す。「当社のIT部門であるIT統括では、開発コストは半分、生産性は2倍を目指して業務改革に取り組んでいます。既存システムは、この目標を達成しながらサービスレベルを維持する。新たに生み出されたリソースは新規事業に振り向け、ビジネスの成長を支える。これがIT統括の使命です」
しかし、ここまで大規模な開発体制の中で、開発生産性を劇的に向上させるのは簡単ではなかった。作業工程を時系列に進めていくウォーターフォール型で様々な開発プロジェクトが進められており、既存システムの保守中心の開発も多くなるなど、抜本的な改革に踏み込めない状態が続いていたという。 一方で、ソフトバンクのIT部門には大きなプラットフォーム構想がある。Global IT Platform(GIP)戦
略だ。多くの企業買収を経て現在のソフトバンクが形成されているが、それぞれのシステムは別々に構築されているのがほとんどだ。今後は、国内で作ったシステムをグループ企業で使う方向で開発が進められる。「GIP戦略では、これまでと全く異なる新しいアーキテクチャで世界に通用するシステムを作ります。その開発は何が何でも新しい手法で取り組もうという機運がIT統括全体で高まってきていたのです」(山下氏) 開発生産性向上という普遍的な命題とGIPという戦略の実行、この2つの課題解決が待ったなしとなったタイミングを好機ととらえ、新しい開発手法の導入に踏み切ることを決定する。選択された開発手法は、以前から情報収集と検討を重ねていたDevOpsだ。
DevOpsはアジャイル開発の流れから生まれた開発手法で、開発(Development)と運用(Operation)が互いに連携して開発・テスト・運用の工程を短期間で進め、CI/CD(継続的インテグレーションおよび継続的デリバリー)の実践などによりデプロイの回数を劇的に増やすことができる。メンバーが情報共有しながら協力して作業を進めるスクラム開発により、小規模な開発チームでも実行可能な手法という特徴もある。 「DevOpsの採用には、CI/CDとテストの自動化がキーになると考えていました。これらの作業のベストプラクティスやツールが揃ってきたこのタイミングで一歩踏み出そうと決意しました」(山下氏) DevOpsによる最初のプロジェクトとして白羽の矢が立ったのは、AI系アプリケーションの管理システムとして開発が決定していたPersonal Agent
Manager(PAM)だ。ソフトバンクのAIプロジェクトは40を数える※2。店頭での問い合わせ対応などを想定した自動回答アプリケーションの開発もその中の一つで、PAMはこのアプリケーションの設定や回答作成などを行う管理者向けシステムである。
ソフトバンクのシステムは自社開発が基本だ。長年にわたりシステムの内製化に取り組み、オープンソースを積極活用する開発戦略をとっている。レッドハット製品も5年ほど前から本格的に採用が始まり、今では導入範囲も広がってきた。今回のDevOpsの取り組みも、レッドハットによるワークショップの開催が出発点となっている。 このワークショップにおいてレッドハットのコンサルティングチームは、DevOpsを成功に導く実践項目を紹介し、各項目における現状とあるべき姿の洗い
出しを行った。さらに、各実践項目の作業内容と成果物を定義することで具体的なロードマップを示した。 テクノロジーユニット IT統括 IT本部 プラットフォーム統括部 プラットフォーム開発部 プラットフォーム推進課 課長の杉村亜矢氏は、「懸案だったCI/CDやテストの自動化など、やるべきことを体系的に整理し、具体的なアウトプットを明示してくれたので、DevOpsやスクラム開発のメリットを短時間で理解できました」とワークショップの効果を評価している。
ワークショップは2016年9月に4回にわたり実施した。その内容をベースに議論を重ね、12月に始まるPAMのプロジェクトで正式にレッドハットのコンサルティングサービスを利用することを決定する。 レッドハットは、アジャイル開発、CI/CDのパイプライン、テストの自動化など、DevOpsを進める上での7つの実践項目をあらためて提示し、各項目に個別の専任コンサルタントを配置するチーム編成を行った。ソフトバンクの開発チームとレッドハットのコンサルティングチームはプロセスと成果物を共有し、共同で作業を進めた。開発は予定通り、2017年3月に成功裡に終了した。 「ウォーターフォール型の手法では、開発が終了するまでシステムの品質への不安から解放されませんでした。今回はエキスパートの実践的なアドバイスを受けて、作業を一つひとつ確認しながら進められましたし、スクラム開発でメンバーの作業状況が共有され、いつ何ができるかが明確なので、開発期間中は常に安心してプロジェクトに取り組めました」と語るのは、PAM開発のプロジェクトマネージャーを務めたプラットフォーム開発課の原田拓磨氏だ。 プラットフォーム推進課の佐々木拓哉氏は、「これだけエキスパートを揃えられるのはレッドハットの強みだと思います。共同で作業を進めることで、レッドハットが持つノウハウも吸収できました。コンサルティングを活用したからこそ、DevOpsの手法を短期間で習得し、開発を成功させることができたと実感しています」とコンサルティングサービスを利用したメリットについて話している。
DevOpsの実践に重要な役割を果たす技術がコンテナだ。OS上のアプリケーションに独立した実行環境を与える仮想化技術である。アプリケーションとライブラリを一つのイメージとして持ち運べるので、コンテナ単位で機能の修正や変更を行える。アプリケーションの開発サイクルを短縮し、高品質なサービスを素早く市場に投入できる。
今回のPAM開発では、このコンテナ技術を活用した。製品として採用されたのはRed Hat OpenShift Container Platform(以下OpenShift)である。コンテナ管理ソフトのDockerやコンテナのオーケストレーション機能を提供するKubernetesを含む統合基盤ソフトウェアだ。 「DevOps実現のための一つのカギはコンテナの利用です。しかし、これまで社内であまり使ったことがなく、スキルも蓄積されていませんでした。コンテナの仕組みの学習から始めていたら、プロジェクトのスケジュールに間に合いません。OpenShiftはコンテナ利用に必要な機能がすべて搭載されていて、レッドハットの手厚いサポートもあったため、効率よく開発が進められました」(佐々木氏)
今回のPAMのプロジェクトでDevOpsに取り組んだ成果は、開発現場の声に集約されている。開発生産性に関する定量的な効果と開発チームの運営に関わる定性的な効果について、プロジェクトの中心メンバーである原田氏と佐々木氏は次のように語ってくれた。 「DevOpsに取り組んで得られた明確な効果の一つは、CI/CDの実践によるものです。作業の手戻りが大幅に改善されたほか、テストの自動化率もアップしました。その結果、一度の開発工程でのデプロイ回数が、以前は2週間に1回だったのが、118回にまで向上しました」(原田氏) 「スクラム開発でメンバーの仕事が可視化されるので、助け合って仕事を進めようという空気が生まれました。メンバー同士のコミュニケーションが活発になり、チームの雰囲気も格段に良くなりました。こうした技術面以外の効果も、開発生産性を高めるのに好影響があったと確信しています」(佐々木氏)
開発生産性の向上に加えて、チームワークの強化とコミュニケーションの活性化という成果を得た今回のプロジェクトをきっかけに、「IT統括内でDevOpsに取り組む開発チームが着実に増えている」(杉村氏)という。DevOps推進とスキル底上げを担う組織横断的なタスクチームも設立されるなど、DevOpsの本格的な適用に向けたムードも高まってきた。 今後の取り組みについて、山下氏は次のように語っている。「今回のPAM開発の成功は、DevOpsについての社内の関心を大きく喚起しました。プロジェクトを通じて、開発者一人ひとりが率先して品質や効率を考えるようになりました。個人の意識改革が進み、チームの成長にもつながっています。2018
年度完了予定のGIP戦略では全システムの半数以上をDevOpsで開発する見通しで、その先においてはITライフサイクルの完全自動化を目指す動きもあります。その実現のためにも、今回の成果を足掛かりに、開発標準としてDevOpsを定着させたいと考えています」
05 レッドハットのコンサルティングを活用したメリット 06 OpenShiftを
活用したメリット DevOpsを実践した効果07 08 今後の展望
実践項目ごとに専門家を配置する分厚いチーム編成
コンテナ技術を容易に活用できるDevOps向け統合基盤ソフトウェア
CI/CDによるデプロイ回数の飛躍的な向上に加え、開発チームのコミュニケーションが活性化
将来的なITライフサイクルの完全自動化も視野に入れ、DevOpsを開発標準に・DevOpsへの取り組みのさらなる推進
・GIP戦略の全システムの半数以上をDevOpsで開発
・デプロイ回数が2週間に118回まで向上
・スクラム開発による作業の可視化でチームワーク強化が実現
・コンテナ利用に必要な機能をすべて搭載した使いやすいツール・開発サイクルの短縮とサービス投入の迅速化
・実践項目ごとに配置された専門家による実践的なアドバイス
・レッドハットのコンサルティングチームとの共同作業
レッドハットのコンサルティングを活用したメリット実践項目ごとに専門家を配置する
分厚いチーム編成
OpenShiftを活用したメリットコンテナ技術を容易に活用できるDevOps向け統合基盤ソフトウェア
DevOpsを実践した効果CI/CDによるデプロイ回数の飛躍的な向上に加え、開発チームのコミュニケーションが活性化
今後の展望将来的なITライフサイクルの完全自動化も視野に入れ、DevOpsを開発標準に
OPEN EYE 7
Red Hat K.K. EDITORIAL 2018
山下 豊文 氏
ソフトバンク株式会社テクノロジーユニット IT統括 IT本部 プラットフォーム統括部
プラットフォーム開発部 部長
杉村 亜矢 氏
ソフトバンク株式会社テクノロジーユニット IT統括 IT本部 プラットフォーム統括部
プラットフォーム開発部 プラットフォーム推進課 課長
佐々木 拓哉 氏
ソフトバンク株式会社テクノロジーユニット IT統括 IT本部 プラットフォーム統括部
プラットフォーム開発部 プラットフォーム推進課
原田 拓磨 氏
ソフトバンク株式会社テクノロジーユニット IT統括 IT本部 プラットフォーム統括部
プラットフォーム開発部 プラットフォーム開発課
OPEN EYE Vol.282018年1月 発行
発行:レッドハット株式会社東京都渋谷区恵比寿4-1-18tel:03(5798)8500
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近年、ビジネスの確立した領域やモデルに対して、ITを駆使した新たな価値の創造により破壊的イノベーションをもたらす“Digital Disruption(デジタル・ディスラプション)”と呼ばれる現象が発生しています。そこでは、市場における支配的企業ですら業際的なイノベーションの具現者と競合関係にあります。これは、移動や宿泊、あるいはコミュニケーションなど“体験”にITを活用して新たな価値を創造したスタートアップ企業の事例や、2010年以降、S&P 500企業の平均寿命が 20 年を下回る傾向にあることからも明らかです。今後、 AI、IoTといった文脈で語られる新たなITが社会やビジネスやライフスタイルに浸透することにより、Digital Disruptionはさらに加速されるでしょう。 この状況をチャンスに変えるには、潜在的または顕在化した顧客が求める価値や体験を継続的に提供する必要があります。成功した企業には、世の中の変化に対応する驚異的なスピードで、顧客の行動をフィードバックとして機敏に反映させることで顧客へ価値や体験を提供しているという共通点があります。つまり、現在におけるビジネスの成長を牽引するITとは、スピードとフィードバックに対するアジリティ(機敏さ)を実現するITであるということです。そして、ビジネスの成功に向けて、組織とIT運営に大してスピードとフィードバックによる継続的改善を導入・実現するのがDevOpsです。
DevOpsはその根本にAgileがありますが、いくつかの点でAgileをより進化させたものです。それは、リードタイム全体の短縮にLeanの考え方を導入した点、Biz/Dev/Opsの組織全体を対象としている点、そして、顧客価値の探索を重視している点です。 リードタイム全体(アイデア~リリース)の短縮や顧客の行動変化を起点としたフィードバックサイクルの効果・効率の向上のためには、それぞれ責務や目標が異なる組織(事業部門、開発部門、運用部門など)を横断的に連携させる必要があり、Lean開発手法と Agile開発手法の組織横断的な導入はこのための有効なアプローチだと言えます。 DevOpsの実践には、システム特性によって向き不向きがあります。たとえばECサイトでは、商品の検索システム、カートシステム、決済システムがあり、カートシステムと決済システムは、短期間で要求が大きく変わることはありません。 一方で、検索システムはECサイトの要であり、顧客に与える体験や価値が売上を左右します。このため、顧客が購入に至るストー
リーにおける動機と行動の因果関係に関する仮説と検証のサイクルを効果的・効率的に反映することで、ビジネス機会の拡大が可能になります。つまり、アイデア(仮説)をリリースし顧客行動の変化から分析・学習(検証)し、それをまたフィードバック(新たな仮説)するサイクルを迅速に回すことで、顧客が真に求める価値や体験を提供することができるようになります。フィードバックによる継続的改善によって、より直接的にビジネスに貢献するという特性を持つ検索システムは、DevOpsを実践するべきシス テムと言えます。
DevOpsは、Infrastructure as Code、 Si te Reliability Engineering、Linuxコンテナ技術、クラウド技術、API化、マイクロサービス 等のプラクティスや新たなテクノロジーを積極的に活用することで Agile/Leanを加速させます。レッドハットは、DevOpsの中核となるテクノロジースタックとして、Linuxコンテナの基盤であるOpenShift、オンプレミスでIaaS を実現するOpenStack、IT Automationを実現するAnsible等をオープンハイブ リッドクラウドのビジョンと共に提供しており、DevOpsの実践を強力に支えます。
レッドハットは、上記のテクノロジーに加えて、DevOpsディスカバリーワークショップ、コンサルティングの3つを提供することで、お客様のDevOps実践を支援します。 ワークショップは、Biz/Dev/Opsを横断して参加いただき、 DevOpsの目的や主要成功要因について共通理解を持っていただきます。また、アイデア創出からリリースまでのValue Stream Mappingを実施し「ムリ」「ムラ」「ムダ」の見える化を行います。続いて、
Dev/Opsの方々を対象にDevOps主要成功要因「Agile/Leanの実践」「テスト戦略」「インフラ戦略」「コンテナ戦略」「CI/CDの実践」「アーキテクチャ戦略」「メトリクス戦略」の詳細な解説を行い、お客様の具体的なシステムを対象に参加者と共に議論して個々の主要成功要因に関する課題整理を行います。これらの課題や改善策と改善のためのマイルストーンをレポートしてご提示いたします。 コンサルティングサービスでは、ワークショップで得られた課題と改善策に対して、具体的なご支援を提供させていただきます。 レッドハットは、お客様にDevOps導入までのプロセスを正しく理解していただくところから始め、具体的な課題の整理と実践方法の提案から最新技術の提供までの一貫した支援体制で、お客様自身がイノベーションを起こすためのお手伝いをいたします。 お客様自身によるイノベーションには、ビジネスを牽引するITの実現と、ビジネスの成功に向けて参加・関与するIT組織の2つが必要不可欠です。IT組織の問題は難しい問題ですが、DevOpsの実践を通じて効果と成功を積み重ねることが、さまざま問題を自ら打開する力となり、ひいては強い組織と文化の礎となるでしょう。 また、DevOpsに着手する以前にさまざまな問題があるかもしれません。しかし、始める前に歩みを止め考えるのではなく、走りながら問題に対処し改善する、これこそDevOpsの本質です。
○ レッドハットからの提言
新たなIT運営プラクティスの導入が企業の成長を左右する
スピードとフィードバックによる顧客の体験や価値に対する訴求
レッドハットのDevOpsとは
レッドハットのDevOps実践支援とは?
Copyright 2018 Red Hat Inc. All Rights Reserved. "Red Hat"、"Red Hat Enterprise Linux"、"JBoss"、"OpenShift"および"Shadow Man"ロゴは、米国およびその他の国における Red Hat, Inc. の登録商標です。Linuxは、Linus Torvalds氏の登録商標です。OpenStackR Word MarkとOpenStackのロゴは、米国とその他の国における OpenStack Foundation の登録商標/サービスマークまたは商標/サービスマークのいずれかであり、OpenStack Foundation の許諾の下に使用されています。Red Hat は、OpenStack FoundationやOpenStack コミュニティの系列企業ではなくまた、支持や出資を受けていません。
レッドハット株式会社DevOpsリード シニアアーキテクト
山田 義和
DevOps実践におけるお客様の課題 Red HatのDevOps実践支援
組織、人、文化の課題
プロセスの課題
テクノロジーの課題
コンサルティングサービス● ディスカバリーワークショップによる お客様課題とゴールの明確化● 課題の解決とゴール達成のための実践的な支援
テクノロジー● コンテナオーケストレーション ● ハイブリッドクラウド● インフラ自動化 ● マイクロサービス
Success story for your business Red Hat K.K. EDITORIAL 2018
~ レッドハットが考えるDevOpsとは ~