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Swift 衛星の硬X線 サーベイデータに基づく、 ブレーザーの logN-logS 分布の構築
戸田 皓陽(広島大学)
井上 芳幸(ISAS), 田中 康之(広島大学), 深澤 泰司(広島大学)
2016.9.14 天文学会秋季年会@愛媛大学
2
ジェット
ブレーザー
ブレーザー
活動銀河核のうち、ジェットが視線方向を向いているもの
電波からγ線まで明るく輝く
可視光域の全ての輝線の等価幅が5Å以上、 明るく、遠方に多い
FSRQ
観測から2つの分類
可視光域のいくつかの輝線の等価幅が5Å以下 暗く、近傍に多い
BL Lac
3
FSRQの宇宙論的進化
1. Ajello, M., Shaw, M. S., Romani, R. W., et al. 2012, apj, 751,108 2. Ajello, M., Constamante, L., Sambruna, R. M., et al. 2009, apj, 699,603
• FSRQ 168個 をサンプルとして使用 • FSRQは z = 1-2 のあたりに多く存在
Swift衛星(X線)のデータを使用 (Ajello+’09 )
• Swiftの22ヵ月間の観測で得られた26個のFSRQをサンプルとして使用
• FSRQは z = 4 のあたりに多く存在
ガンマ線とX線で宇宙論的進化が異なる
X線のサンプル数はガンマ線の 7分の1
X線での研究結果にはサンプル数が少ないという問題を抱えている
赤方偏移
FSR
Q数
密度
(Gpc−
3)
Fermi衛星(γ線)のデータを使用 (Ajello+’12) 1
2
Ajello+’09 (Swift/BAT) Ajello+’12
(Fermi/LAT)
4
研究の目的
Swift衛星の最新の天体カタログを使用し、ブレーザーの宇宙論的進化を解明する
Swift BAT 70month Hard X-ray Survey カタログ を使用
FSRQ:41天体 BL Lac:27天体
※Ajello+’09では26天体 ※Ajello+’09では12天体
70ヶ月間でSwift衛星BAT検出器が検出したX線天体、1210天体を記載
光度と赤方偏移が分かっているもの
銀緯 ±15° の天体は除去
5
Detection Efficiency (Sky Coverage) あるフラックスの天体を検出できる観測領域の大きさを表したもの
Flux S (erg/s/cm2)
deg
2
22ヵ月間観測(Ajello+’09) 70ヵ月間観測(今回)
Swift/BAT で 22ヵ月間・70ヵ月間 観測したとき
6
logN-logS 分布
あるフラックス 𝑆 以上の天体の個数分布 𝑁 > 𝑆
傾き −1.87 ± 0.07
傾き −1.32 ± 0.13
Flux S (erg/s/cm2)
N(>
S)
(deg
−2)
FSRQ BL Lac
22ヵ月データ (Ajello+’09)
FSRQ の傾き −𝟐. 𝟎𝟖 ± 𝟎. 𝟐𝟕
BL Lac の傾き −𝟏. 𝟔𝟗 ± 𝟎. 𝟑𝟐
70ヵ月データ (今回)
FSRQ の傾き −𝟏. 𝟖𝟕 ± 𝟎. 𝟎𝟕
BL Lac の傾き −𝟏. 𝟑𝟐 ± 𝟎. 𝟏𝟑
ブレーザーは より近傍に分布
22ヵ月データ 70ヵ月データ 𝑁 = 𝐴𝑆𝐵のフィット
Flux S (erg/s/cm2)
7
光度関数Φ(LX, z) 単位赤方偏移・単位光度あたりの天体数
光度関数モデル
Single power-law (1pow)
𝚽(𝐋𝐗, 𝐳 = 𝟎) =𝑨
𝑳∗
𝑳𝑿𝑳∗
−𝜸𝟐
Modified Pure Luminosity Evolution (MPLE)
𝚽 𝑳𝑿, 𝒛 = 𝚽𝑳𝑿
𝟏 + 𝒛 𝒌+𝜸𝒛, = 𝟎
Broken power-law (2pow)
𝚽(𝐋𝐗, 𝐳 = 𝟎) =𝑨
𝐥𝐧 𝟏𝟎 𝑳𝑿
𝑳𝑿𝑳∗
𝜸𝟏
+𝑳𝑿𝑳∗
𝜸𝟐 −𝟏
Modified Pure Density Evolution (MPDE)
𝚽 𝑳𝑿, 𝒛 = 𝚽 𝑳𝑿, 𝒛 = 𝟎 × 𝟏 + 𝒛𝒌+𝜸𝒛
𝛾 = 0 に固定するモデル(PDE,PLE)も加えて全8パターン
最尤法でパラメーターを決定し、KS検定でモデルを棄却
8
KS検定の結果
𝐾𝑆検定の結果、棄却できない光度関数モデルは、
2pow+MPDE , 2pow+MPLE , 2pow+PDE, 2pow+PLE
光度(1044erg/s) 赤方偏移
累積
確率
分布
光度、赤方偏移ごとにKS検定を行う
9
Swift/BAT 70monthデータに基づくFSRQの数密度分布
logLX=47.3—48.3
logLX=46.3—47.3
FSRQの数密度分布と 2pow+MPDE の比較
赤方偏移 FSR
Q数
密度
(Mpc−
3)
2pow+MPDEモデルなら より近傍にFSRQが 多く存在している
赤方偏移
FSR
Q数
密度
(Gpc−
3) Ajello+’09 (Swift/BAT)
Ajello+’12 (Fermi/LAT)
10
まとめ
• 最新の Swift/BAT 天体カタログを用いて、ブレーザーの宇宙論的進化過程を決定
• logN-logS の図によると、今回の結果では Ajello+’09 のときよりもブレーザーは近傍に多く分布する
• FSRQの数密度分布が Ajello+’09 より近傍にピークを持つ
得られた光度関数から、ブレーザーの宇宙MeVガンマ線背景放射への寄与も解明する
今後
11
Appendix
12
Sky coverage(Detection efficiency)
FSRQ
BL Lac
13
研究の目的
最新は、Swift衛星が70ヵ月間観測した天体カタログ
• 先行研究に比べ、記載天体数が約2.5倍に増加
Swift衛星の最新の天体カタログを使用し、ブレーザーの宇宙論的進化の傾向を掴む
先行研究と比べブレーザーサンプル数も増加している
14
天体の選別
Swift衛星の天体カタログとして、 Swift BAT 70month Hard X-ray Survey カタログ を使用
70ヶ月間でSwift衛星BAT検出器が検出したX線天体、1210天体を記載
BZCATカタログ
ブレーザー3561天体 FSRQ か BLLac に分類
赤経・赤緯が70monthカタログと ±0.3∘で一致するもの
赤方偏移が一致しているもの 銀緯±15∘以内の天体は除外
FSRQ:41天体 BL Lac:27天体
※先行研究では26天体 ※先行研究では12天体
15
KS検定 選んだ光度関数が観測データを表すモデルとして最適なものかどうかを KS検定 で調べる
ベストフィットなモデル関数 𝑃 𝑥 と 実データ の差の最大値 𝐷 より大きな値が偶然得られる確率
KS検定で得られるもの・・・
P(x)
D 𝑄𝐾𝑆 𝜆 = 2 − 𝑗−1𝑒−2𝑗2𝜆2
∞
𝑗=1
Probability(D > observed) = 𝑄𝐾𝑆( 𝑁𝐷)
16
最尤法 を用いて、光度関数の各パラメータを決定する
最尤法
パラメータ 𝜃 が 𝜃0 のときに、実際に観測した事象が起きる確率が 𝐿 𝜃0 なら、𝐿 𝜃0 が最大となる 𝜃0 がもっともらしい最適なパラメータ
実測データが 𝐴 のとき、
𝐿 𝜃1 → 0.09
𝜃 = 𝜃1 のとき実測値が 𝐴 になる確率は 9%
𝐿 𝜃2 → 0.98 𝐿 𝜃3 → 0.4
𝜃 = 𝜃2 のとき実測値が 𝐴 になる確率は 98%
𝜃 = 𝜃3 のとき実測値が 𝐴 になる確率は 40%
最尤法
17
光度関数モデルとして、以下の二つが一般的によく使われる
1 powerlaw
Φ(𝐿𝑋, z = 0) =𝐴
𝐿∗
𝐿𝑋𝐿∗
−𝛾2
2 powerlaw
Φ(𝐿𝑋, 𝑧 = 0) =𝐴
ln 10 𝐿𝑋
𝐿𝑋𝐿∗
𝛾1
+𝐿𝑋𝐿∗
𝛾2 −1
対して進化の形は
Pure Luminosity Evolution (PLE) 天体の典型的な光度が、赤方偏移とともに変化する進化モデル
Φ 𝐿𝑋, 𝑧 = Φ𝐿𝑋𝑒 𝑧
, 𝑧 = 0
Pure Density Evolution (PDE) 天体の典型的な密度のみが、赤方偏移とともに変化する 進化モデル
Φ 𝐿𝑋, 𝑧 = Φ 𝐿𝑋, 𝑧 = 0 × 𝑒(𝑧)
ただし、𝑒 𝑧 = 1 + 𝑧 𝑘+𝛾𝑧
Luminosity Dependence Density Evolution (LDDE) 天体の密度とともに光度も赤方偏移によって変化する進化モデル
光度関数Φ(LX, z)
18
光度関数Φ
KS検定の結果
𝑲𝑺𝒛 𝑲𝑺𝑳
1pow +MPDE 0.179 0.021
1pow +MPLE 0.000 0.000
2pow +MPDE 0.413 0.582
2pow +MPLE 0.779 0.119
1pow+PDE 0.232 0.019
1pow+PLE 0.000 0.000
2pow+PDE 0.514 0.649
2pow+PLE 0.174 0.098
𝐾𝑆𝑍, 𝐾𝑆𝐿 の両方で、優位確率が5%を超えているのは、 2pow+MPDE , 2pow+MPLE , 2pow+PDE, 2pow+PLE
19
FSRQの数密度分布
20
FSRQの数密度分布
LogL=47.3—48.3
LogL=46.3—47.3
LogL=44.3—46.3
LogL=47.3—48.3
LogL=46.3—47.3
LogL=44.3—46.3
LogL=47.3—48.3
LogL=46.3—47.3
LogL=44.3—46.3
LogL=47.3—48.3
LogL=46.3—47.3
LogL=44.3—46.3
2pow+PLE 2pow+PDE
2pow+MPLE 2pow+MPDE
21
FSRQの数密度分布
LogL=47.3—48.3
LogL=46.3—47.3
LogL=44.3—46.3
LogL=47.3—48.3
LogL=46.3—47.3
LogL=44.3—46.3
2pow+MPLE 2pow+MPDE
赤方偏移 赤方偏移
FSR
Q数
密度
(Mpc−
3)
FSR
Q数
密度
(Mpc−
3)
FSR
Q数
密度
(Mpc−
3)
赤方偏移
LogL=47.3—48.3
LogL=47.3—48.3 LogL=47.5—47.9
2pow+MPLEモデルなら、z~4 2pow+MPDEモデルなら、z~3
のところにFSRQが多く存在している
22
赤方偏移
Flux(10−12𝑒𝑟𝑔/𝑠 /𝑐𝑚2) 光度(1044𝑒𝑟𝑔/𝑠)
23
FSRQの宇宙論的進化
1. Ajello, M., Shaw, M. S., Romani, R. W., et al. 2012, apj, 751,108 2. Ajello, M., Constamante, L., Sambruna, R. M., et al. 2009, apj, 699,603
• FSRQ 168個 をサンプルとして使用 • FSRQは z = 1-2 のあたりに多く存在
Swift衛星(X線)のデータを使用 (Ajello+’09 )
• Swiftの22ヵ月間の観測で得られた26個のFSRQをサンプルとして使用
• FSRQは z = 4 のあたりに多く存在
ガンマ線とX線で宇宙論的進化が異なる
X線のサンプル数はガンマ線の 7分の1
X線での研究結果にはサンプル数が少ないという問題を抱えている
赤方偏移
FSR
Q数
密度
(Mpc−
3)
logLX=47.3-48.3
logLγ=47.9-49.4
Fermi衛星(γ線)のデータを使用 (Ajello+’12) 1
2
Ajello+’09 (Swift/BAT) Ajello+’12 (Fermi/LAT)
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Swift/BAT 70monthデータに基づくFSRQの数密度分布
logLX=47.3—48.3
logLX=46.3—47.3 FSRQの数密度分布と 2pow+MPDE の比較
赤方偏移
FSR
Q数
密度
(Mpc−
3)
logLX=47.3-48.3
logLγ=47.9-49.4
FSR
Q数
密度
(Mpc−
3)
赤方偏移
This work! (Swift/BAT 70month)
Ajello+’12 (Fermi/LAT)
Ajello+’09 (Swift/BAT 22month)
logLX=47.3-48.3
2pow+MPDEモデルなら より近傍にFSRQが 多く存在している