18
2-1-3.観測定線(T2-B3)における水温、塩分、密度(σt)、クロロフィル蛍光、濁度、溶存酸 素飽和度の経時変化(つづき)

T2-B3)における水温、塩分、密度(σt)、クロロフィル蛍光 ......はT2を除く各定点で表層と底層との水温差が大きくなり成層の形成がうかがえた。

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Page 1: T2-B3)における水温、塩分、密度(σt)、クロロフィル蛍光 ......はT2を除く各定点で表層と底層との水温差が大きくなり成層の形成がうかがえた。

図 2-1-3.観測定線(T2-B3)における水温、塩分、密度(σt)、クロロフィル蛍光、濁度、溶存酸

素飽和度の経時変化(つづき)

Page 2: T2-B3)における水温、塩分、密度(σt)、クロロフィル蛍光 ......はT2を除く各定点で表層と底層との水温差が大きくなり成層の形成がうかがえた。

図 2-1-4.干潟縁辺域(T13) における底層潮流振幅の 3 乗と

7 月~9 月における DO3mg/L 未満の累積時間との関係

図 2-1-5.筑後川における平均流量と干潟縁辺域(T13)における

底層潮流振幅の 3 乗との関係

Page 3: T2-B3)における水温、塩分、密度(σt)、クロロフィル蛍光 ......はT2を除く各定点で表層と底層との水温差が大きくなり成層の形成がうかがえた。

図 2-1-6.沖合域(P6) における底層潮流振幅の 3 乗と

7 月~9 月における DO3mg/L 未満の累積時間

図 2-1-7.筑後川における平均流量と沖合域(P6)における

底層潮流振幅の 3 乗との関係

Page 4: T2-B3)における水温、塩分、密度(σt)、クロロフィル蛍光 ......はT2を除く各定点で表層と底層との水温差が大きくなり成層の形成がうかがえた。

2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018140

145

150

155

160潮

位振

幅(c

m) M

2潮流振幅(P6)

f×M2潮汐振幅(大浦)

0

2

4

6

8

10

12

14

16

18

潮流

振幅

(cm

/se

c)

図 2-1-8.潮汐振幅(大浦)と底層潮流振幅(P6)の経年変化

表 2–1–2.有明海奥部西側海域における貧酸素化の予察結果

予察⽇(7⽇後を予察) 予察内容 検証結果

2017年7⽉2⽇(⼩潮期)⼤⾬による出⽔と底層⽔の貫⼊で、湾奥の密度成層が強化され、湾奥部の貧酸素化が急速に進む。

2017年7⽉9⽇(⼤潮期)P1やP6の貧酸素状態は、⼤きな時化が無い限り継続。

2017年7⽉17⽇(⼩潮期)P1やP6の貧酸素状態は、⼤きな時化が無い限り継続。⼀部の定点では今後無酸素化(溶存酸素飽和度0.5%未満)する。

2017年7⽉24⽇(⼤潮期) T2やT13は再び貧酸素化。 ○

2017年8⽉1⽇(⼩潮期)台⾵の影響により、底層溶存酸素は上昇する。

2017年8⽉9⽇(⼤潮期)T2やT13の底層は貧酸素化する。P6やP1はT2やT13よりもゆっくり溶存酸素は低下する

×

2017年8⽉17⽇(⼩潮期)⼤規模な貧酸素⽔塊が形成する可能性がある。

△(P6周辺のみ貧酸素状態)

2017年8⽉30⽇(⼩潮期)

T2やT13では次の⼤潮期に底層溶存酸素飽和度は上昇し、貧酸素状態から回復する。時化や海⽔交換等により密度成層の解消がなければ、P6やP1では、貧酸素状態が継続する。

×(台⾵により貧酸素状態からの回復)

2017年9⽉7⽇(⼤潮期)筑後川流量が増加しているため、時化が無ければ、T2やT13の底層は貧酸素化する可能性がある。

×(時化により貧酸素化しなかった)

2017年9⽉21⽇(⼤潮期)密度成層を解消するような時化がなければ、来週の⼩潮期にはT2からP6周辺まで貧酸素化する可能性がある。

×(溶存酸素濃度は低下したが、貧酸素化しなかった)

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2)有明海奥部西側海域における植物プランクトンの推移

①有明海湾奥西部(T2、T13、P6、P1、B3)における植物プランクトン細胞密度の推移

6 月 11 日から 9 月 27 日までの各定点、各層における Chattonella spp.(Chattonella

antiqua、marina、ovata)、鞭毛藻類(Chattonella spp.を除く)及び珪藻類の細胞密度の推移を

図 2-1-9 に示す。Chattonella spp.は 8 月 23 日に P6 の表層と 2 m 層および P1 の 2 m 層で初認

(1~2 cells/ml)された。8 月 30 日には T2 を除く定点で出現が確認され(最高値は P1 の表

層と 2 m 層の 14 cells/ml)、9 月 7 日には全定点で出現が確認され、広域化するとともに各定

点の最高値は 34~593 cells/ml と高密度化した。その後、9 月 13 日には各定点の最高値は 0~

490 cells/ml と減少傾向となり、9 月 21 日以降は出現が確認されなかった。

Chattonella spp.の最高値(593 cells/ml)は 9 月 7 日に T13 の表層で確認された。Chattonella

spp.が広域で高密度化した 9 月 7 日には、Cochlodinium polykrikoides の出現が全定点で確認さ

れ、各定点の最高値は 9~565 cells/ml であり、Chattonella spp.と高密度状態で混合した。9 月

13 日には、湾奥部の T2、T13、P6 で Ceratium furca が 85~280 cells/ml と高密度で出現した。

Chattonella spp.とC. polykrikoidesが混合して高密度出現した 9月 7日の珪藻類の出現は最高値

が 138 cells/ml と調査期間中最も低密度であった。

②有明海湾奥西部(T2、T13、P6、P1、B3)における水温及び塩分の推移

6 月 11 日から 9 月 27 日までの各定点、各層における水温の推移を図 2-1-10 に、また参考

として図 2-1-9 の表層部分も並べて示す。表層では、T2 は 22.4~30.5 ℃、T13 は 22.2~29.9 ℃、

P6 は 21.6~29.8 ℃、P1 は 21.3~29.1 ℃、B3 は 21.7~29.3 ℃、底層では、T2 は 22.3~29.2 ℃、

T13 は 22.1~28.9 ℃、P6 は 21.2~27.1 ℃、P1 は 20.8~26.8 ℃、B3 は 21.3~27.3 ℃の範囲で

推移した。表層水温の最高値(30.5 ℃)は 8 月 30 日に T2 で記録された。底層水温は 6 月 18

日から 7 月 9 日までの間、22~25 ℃(全定点平均値)で推移した。7 月 24 日と 8 月 30 日に

は T2 を除く各定点で表層と底層との水温差が大きくなり成層の形成がうかがえた。

6 月 11 日から 9 月 27 日までの各定点、各層における塩分の推移を図 2-1-11 に、また参考

として図 2-1-9 の表層部分も並べて示す。表層では、T2 は 10.3~30.5、T13 は 10.3~31.0、P6

は 11.6~31.7、P1 は 18.5~31.8、B3 は 23.1~31.8、底層では、T2 は 17.5~30.8、T13 は 20.4

~31.4、P6 は 29.2~32.1、P1 は 29.9~32.4、B3 は 29.3~32.0 の範囲で推移した。表層塩分は

7 月 9 日に著しく低下(10.3)した。7 月 9 日には B3 を除く各定点、7 月 16 日には P6 と P1

で表層と底層との塩分差が大きくなり成層の形成がうかがえた。

③気象の変動

佐賀市における 6 月上旬から 10 月上旬までの平均気温、全天日射量、平均風速及び降水量

の旬別の推移を図 2-1-12 に、また参考として図 2-1-9 の表層部分も並べて示す。気温は、7 月

上旬から 8 月上旬と 8 月下旬に高かった。全天日射量は、6 月中旬、7 月中旬および 8 月下旬

に高く、9 月中旬に低かった。風速は、6 月下旬、7 月下旬および 8 月中旬に低く、7 月上旬

と 8 月上旬に高かった。降水量は、7 月上旬(261.5 mm)に平年を上回る降雨があった。

④まとめ

・ Chattonella spp.は 8 月 23 日に湾奥部(P1 と P6)で初認(1~2 cells/ml)され、9 月 7 日に

Page 6: T2-B3)における水温、塩分、密度(σt)、クロロフィル蛍光 ......はT2を除く各定点で表層と底層との水温差が大きくなり成層の形成がうかがえた。

広域化、高密度化(最高値は~593 cells/ml)した後に減少傾向になり、9 月 21 日以降は確

認されなかった。

・ Chattonella spp.が広域で高密度化した 9 月 7 日には、C. polykrikoides の出現が広域で確認さ

れ(最高値 565 cells/ml)、Chattonella spp.と混合した。

・ Chattonella spp.と C. polykrikoides が混合して高密度出現した 9 月 7 日の珪藻類の出現は調

査期間中で最も低密度であった。

・ Chattonella spp.の減少がみられた 9 月 13 日には、湾奥部(T2、T13、P6)で Ceratium furca

が 85~280 cells/ml と高密度で出現した。

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図 2-1-9.有明海湾奥西部における植物プランクトン細胞密度の推移

Page 8: T2-B3)における水温、塩分、密度(σt)、クロロフィル蛍光 ......はT2を除く各定点で表層と底層との水温差が大きくなり成層の形成がうかがえた。

図 2-1-10.有明海湾奥西部における水温の推移(及び表層プランクトン)

Page 9: T2-B3)における水温、塩分、密度(σt)、クロロフィル蛍光 ......はT2を除く各定点で表層と底層との水温差が大きくなり成層の形成がうかがえた。

図 2-1-11.有明海湾奥西部における塩分の推移(及び表層プランクトン)

Page 10: T2-B3)における水温、塩分、密度(σt)、クロロフィル蛍光 ......はT2を除く各定点で表層と底層との水温差が大きくなり成層の形成がうかがえた。

図 2-1-12.佐賀市における旬別の気温、風速、全天日射量、降水量の推移(及び表層プ

ランクトン)

Page 11: T2-B3)における水温、塩分、密度(σt)、クロロフィル蛍光 ......はT2を除く各定点で表層と底層との水温差が大きくなり成層の形成がうかがえた。
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2)有明海における夏季の栄養塩動態の把握

福岡県水産海洋技術センター有明海研究所

井手浩美・小谷正幸・藤井直幹

国立研究開発法人水産研究・教育機構西海区水産研究所

中野 善・岡村和麿

1.全体計画

(1)目的

全体計画に同じ

2.平成29年度計画及び結果

(1)目的

有明海奥部西側海域において、貧酸素水塊発生と大きく関わるとされるシャットネラやケ

イ藻などのプランクトンが形成する赤潮の発生機構を解明するために、その発生の主要因の

1つと考えられる栄養塩の動態を把握するとともに、水質、気象等の環境条件との関係も検

討する。

(2)試験等の方法

図 2-1-1 に示す観測定線上の観測点 2、13、P6、P1、B3 の各層(観測点 2 は 0 m 層・B-1 m

層)で採取した海水について、海洋観測指針に準拠した空気分節方式を用いて、溶存無機態

窒素(硝酸態窒素、亜硝酸態窒素、アンモニア態窒素)、リン酸態リン、ケイ酸態ケイ素の濃

度を以下の方法で測定した。

・硝酸態窒素:銅・カドミウム還元-ナフチルエチレンジアミン吸光光度法

・亜硝酸態窒素:ナフチルエチレンジアミン吸光光度法

・アンモニア態窒素:インドフェノール青吸光光度法

・リン酸態リン:モリブデン青吸光光度法

・ケイ酸態ケイ素:シリカモリブデン青吸光光度法

(3)結果及び考察

1)溶存無機態窒素

調査期間における溶存無機態窒素濃度(以下、DIN と記す)の推移を図 2-2-1 に示す。

6 月中は、浅海域(観測点 2、13)では全層で同調していたが、沖合域(観測点 P6、P1、

B3)では 0、2 m 層と B-1 m 層が異なる挙動を示した。7 月上旬まで、浅海域の全層および沖

合域の 0、2 m 層では、増減を繰り返していたが、沖合域の B-1 m 層では、漸増傾向を示した。

7 月 9 日には、観測点 13、P6、P1 の 0、2 m 層で、一時的に高い値を示した(観測点 13 の 0 m

層で最大値 37.10 μM)。その後、0、2 m 層は低下したものの、沖合域の B-1 m 層では、8 月

下旬まで大きな変動は見られず、他の層に比べて高めに推移した(>6.03 μM)。また、観測

点 2、13、P6 の 0、2 m 層では 8 月中旬に、大幅に上昇した(観測点 13 の 0 m 層で最大値 35.00

μM)。9月上旬には、層間の濃度差は無くなり、全点の全層において低い値を示した(<5.41μM)。

Page 13: T2-B3)における水温、塩分、密度(σt)、クロロフィル蛍光 ......はT2を除く各定点で表層と底層との水温差が大きくなり成層の形成がうかがえた。

その後は、9 月の中旬から湾奥~湾央(観測点 2、13、P6)で上昇傾向を示した。

2)リン酸態リン

調査期間におけるリン酸態リン濃度(以下、PO4-P と記す)の推移を図 2-2-2 に示す。

PO4-P の推移は、基本的に DIN の推移と同調していた。7 月上旬まで、浅海域(観測点 2、

13)では全層で増減を繰り返していたが、沖合域(観測点 P6、P1、B3)の B-1 m 層では漸増

傾向を示した。7 月 17 日には、沖合域の 0、2 m 層では大幅に低下したものの(<0.09 μM)、

B-1 m 層では 1.5 μM 以上の高い値を示し、0、2 m 層の値を大きく上回り、7 月 24 日は、観

測点 13 で B-1 m 層の値が 0、2 m 層を上回った。その後は 8 月 17 日には、観測点 2、13、P6

の主に 0 m 層で高い値を示した(>2.29 μM)。観測点 13、P6、P1、B3 で確認された層間の

濃度差は、DIN 同様、9 月の上旬にはほぼ無くなった。その後は、9 月の中旬から湾奥~湾央

(観測点 2、13、P6)で上昇傾向を示した。

3)ケイ酸態ケイ素

調査期間におけるケイ酸態ケイ素濃度(以下、SiO2-Si と記す)の推移を図 2-2-3 に示す。6

月中は、観測点 2、13、P6、P1 では 7 月中旬まで、B3 では 7 月中旬以降まで上昇傾向を示し、

その後は漸減した。8 月 17 日には、主に観測点 13、P6 の 0、2 m 層で一時的に高い値を示し

たが(>125.25 μM)、観測点 B3 では全層で低下していた(<40.77 μM)。その後は、微増減

を繰り返し、9 月の中旬から湾奥~湾央(観測点 2、13、P6)で上昇傾向を示した。

筑後川からの淡水流入は、6 月下旬まで 100 m3/s 未満と小さかったが、7 月 4 日からの大雨

により 7 月 6 日の筑後大堰直下流量は 2000 m3/s を越えた。これにより、7 月 9 日の観測時に

は、DIN 、PO4-P 、SiO2-Si の濃度が一時的に上昇したものと考えられる。そして、この大量

の淡水流入によって、強い密度成層が形成され、7 月上旬から 8 月上旬までの小潮期には底

層の溶存酸素飽和度が低下したことが確認されている。DIN、PO4-P が、7 月から 8 月に B-1 m

層で高い値が継続したのは、貧酸素化による底質からの栄養塩溶出速度の増大が起因した可

能性がある。9 月以降は、台風の接近や季節風による北寄りの風が連吹したことにより、B-1

m 層の溶存酸素飽和度は大きく低下することはなかったことから、層間の濃度差が解消され

たと考えられる。また、筑後大堰直下流量が増加したことで、栄養塩濃度は湾奥~湾央で上

昇傾向を示したものと考えられる。

Page 14: T2-B3)における水温、塩分、密度(σt)、クロロフィル蛍光 ......はT2を除く各定点で表層と底層との水温差が大きくなり成層の形成がうかがえた。

0

20

40

60

6/11 6/19 6/25 7/2 7/9 7/17 7/24 8/1 8/9 8/17 8/23 8/30 9/7 9/13 9/21 9/27

DIN(μM)

St.2

0m

B‐1m

0

20

40

60

6/11 6/19 6/25 7/2 7/9 7/17 7/24 8/1 8/9 8/17 8/23 8/30 9/7 9/13 9/21 9/27

DIN(μM)

St.13

0m

2m

5m

B‐1m

0

20

40

60

6/11 6/19 6/25 7/2 7/9 7/17 7/24 8/1 8/9 8/17 8/23 8/30 9/7 9/13 9/21 9/27

DIN(μM)

St.P6

0m

2m

5m

B‐1m

0

20

40

60

6/11 6/19 6/25 7/2 7/9 7/17 7/24 8/1 8/9 8/17 8/23 8/30 9/7 9/13 9/21 9/27

DIN(μM)

St.P1

0m

2m

5m

B‐1m

0

20

40

60

6/11 6/19 6/25 7/2 7/9 7/17 7/24 8/1 8/9 8/17 8/23 8/30 9/7 9/13 9/21 9/27

DIN(μM)

St.B3

0m

2m

5m

B‐1m

図 2-2-1.有明海奥部西側海域における溶存態無機窒素の経時変化

Page 15: T2-B3)における水温、塩分、密度(σt)、クロロフィル蛍光 ......はT2を除く各定点で表層と底層との水温差が大きくなり成層の形成がうかがえた。

0

1

2

3

4

6/11 6/19 6/25 7/2 7/9 7/17 7/24 8/1 8/9 8/17 8/23 8/30 9/7 9/13 9/21 9/27

PO4‐P(μM)

St.2

0m

B‐1m

0

1

2

3

4

6/11 6/19 6/25 7/2 7/9 7/17 7/24 8/1 8/9 8/17 8/23 8/30 9/7 9/13 9/21 9/27

PO4‐P(μM)

St.13

0m

2m

5m

B‐1m

0

1

2

3

4

6/11 6/19 6/25 7/2 7/9 7/17 7/24 8/1 8/9 8/17 8/23 8/30 9/7 9/13 9/21 9/27

PO4‐P(μM)

St.P6

0m

2m

5m

B‐1m

0

1

2

3

4

6/11 6/19 6/25 7/2 7/9 7/17 7/24 8/1 8/9 8/17 8/23 8/30 9/7 9/13 9/21 9/27

PO4‐P(μM)

St.P1

0m

2m

5m

B‐1m

0

1

2

3

4

6/11 6/19 6/25 7/2 7/9 7/17 7/24 8/1 8/9 8/17 8/23 8/30 9/7 9/13 9/21 9/27

PO4‐P(μM)

St.B3

0m

2m

5m

B‐1m

図 2-2-2.有明海奥部西側海域におけるリン酸態リンの経時変化

Page 16: T2-B3)における水温、塩分、密度(σt)、クロロフィル蛍光 ......はT2を除く各定点で表層と底層との水温差が大きくなり成層の形成がうかがえた。

0

50

100

150

200

6/11 6/19 6/25 7/2 7/9 7/17 7/24 8/1 8/9 8/17 8/23 8/30 9/7 9/13 9/21 9/27

SiO2‐Si(μM)

St.2

0m

B‐1m

0

50

100

150

200

6/11 6/19 6/25 7/2 7/9 7/17 7/24 8/1 8/9 8/17 8/23 8/30 9/7 9/13 9/21 9/27

SiO2‐Si(μM)

St.13

0m

2m

5m

B‐1m

0

50

100

150

200

6/11 6/19 6/25 7/2 7/9 7/17 7/24 8/1 8/9 8/17 8/23 8/30 9/7 9/13 9/21 9/27

SiO2‐Si(μM)

St.P6

0m

2m

5m

B‐1m

0

50

100

150

200

6/11 6/19 6/25 7/2 7/9 7/17 7/24 8/1 8/9 8/17 8/23 8/30 9/7 9/13 9/21 9/27

SiO2‐Si(μM)

St.P1

0m

2m

5m

B‐1m

0

50

100

150

200

6/11 6/19 6/25 7/2 7/9 7/17 7/24 8/1 8/9 8/17 8/23 8/30 9/7 9/13 9/21 9/27

SiO2‐Si(μM)

St.B3

0m

2m

5m

B‐1m

図 2-2-3.有明海奥部西側海域におけるケイ酸態ケイ素の経時変化

Page 17: T2-B3)における水温、塩分、密度(σt)、クロロフィル蛍光 ......はT2を除く各定点で表層と底層との水温差が大きくなり成層の形成がうかがえた。

4)Chattonella 赤潮及び珪藻ブルームと環境との関係

平成 29 年(2017 年)は、有明海において昨年とほぼ同規模の Chattonella 赤潮が発生した。

しかし、昨年とは異なり発生時期が遅くなった。これらを含め Chattonella 赤潮の消長の要因

について、定期観測による結果を昨年と比較することで解明を試みた。

測点 T13、P6、P1 における、表層の水温、塩分、栄養塩(DIN)、珪藻類および Chattonella

の細胞密度、佐賀市の全天日射量(気象庁佐賀地方気象台)、筑後大堰直下流量(水資源機構

筑後大堰管理室)の経時変化を図 2-2-4 に示す。Chattonella antiqua の好適増殖水温・塩分は

25~30℃・≧15、競合種とされる珪藻のうち有明海で夏季に優占する Skeletonema costatum の

好適増殖水・塩分は 15~25℃・≧15 と報告されている(紫加田ほか,2010)。これをもとに、

2017 年夏季水温、塩分の経時変化をみると、水温は全測点で 6 月 18 日~6 月 25 日の間に C.

antiqua の好適増殖水温の 25℃以上になり、測点 T13 では 7 月 17 日に 29.9℃、測点 P6、P1

では 7 月 24 日にそれぞれ 29.8℃、29.1℃と最高値を示した。それ以降、水温は多少の増減は

あるものの減少傾向を示し、8 月 30 日から 9 月 7 日にかけて、急激に減少して行き、9 月 13

日から 21 日にかけて 25℃を下回った。塩分は 7 月 2 日~9 日の間で、大規模出水の影響によ

り全測点において減少し、測点 T13、P6 では 15 未満を示した。その後、塩分は 7 月 9 日~17

日の間に 15 以上に再び戻った。8 月 17 日、30 日には小規模出水の影響により全測点で塩分

は減少(8 月 17 日に測点 P6 で 23.7、8 月 30 日に測点 T13 で 25 まで低下)したが、それ以外

では 28~31 の間で変動した。これらの値から、7 月 17 日以降 9 月 13 日から 21 日の間まで

の期間に Chattonella の増殖に適した環境になったと考えられる。また、好適環境の下限水温

の 25℃以上で Chattonella シストの発芽は最大値を示す(今井,1990)。

実際の観測と検鏡では、8 月 23 日の測点 P6、P1 の表層において Chattonella が初認されて

おり、好適環境になってから 36 日目(1 ヶ月以上後)であった。初認後 14 日目の 9 月 7 日

に赤潮(測点 T13、P6、P1 でそれぞれ 593、560、189 細胞/ml)を形成した後、9 月 13 日に

は測点 T13 では消滅したほか、測点 P6、P1 でもそれぞれ 270、290 細胞/ml に減少し、9 月

21 日には測点 P6、P1 でも消滅した。栄養塩(DIN)は、筑後川の小規模~大規模出水後の低

塩分水の流入時に増加した。特に、九州北部豪雨後の 7 月 9 日、8 月 17 日および 9 月 13 日

以降に塩分低下と共に DIN は大きく増加し、7 月 9 日、8 月 17 日では次の観測時に急激に減

少した。一方、8 月 30 日の小規模出水時には塩分の低下はみられたものの DIN の増加は見ら

れなかった。低塩分の流入時の 7 月 9 日には珪藻(S. costatum)は測点 T13、P6 で 2,500 細胞

/ml 以上を示し、8 月 17 日には全測点で 1,500 細胞/ml 以上、8 月 30 日には測点 T13 で 1,850

細胞/ml、測点 P6、P1 ではそれぞれ 890、970 細胞/ml を示した。また、9 月 21 日以降の測点

P6、P1 では 1,000 細胞/ml 以上を示した。全天日射量は 7 月 12 日~17 日(7 日間)、7 月 25

日~8 月 8 日(15 日間)、8 月 17 日~9 月 3 日(18 日間)において、平均で 20MJ/m2/d を上

回っており、高日射量の日が断続的に長く続いたことになる。

Page 18: T2-B3)における水温、塩分、密度(σt)、クロロフィル蛍光 ......はT2を除く各定点で表層と底層との水温差が大きくなり成層の形成がうかがえた。

図 2-2-4.定期観測(約 1 回/週)で得られた 2017 年有明海奥部の測点 T13、P6、P1 の表層にお

ける水温、塩分、栄養塩(DIN)、Skeletonema spp.および Chattonella spp.の細胞密度、佐賀

市の全天日射量(気象庁佐賀地方気象台)、筑後大堰直下流量(水資源機構筑後大堰管理室)

の経時変化

次に、昨年(2016 年)夏季の測点 P6 における、表層の水温、塩分、栄養塩(DIN)、珪藻

類および Chattonella の細胞密度、佐賀市の全天日射量(気象庁佐賀地方気象台)、筑後大堰直

下流量(水資源機構筑後大堰管理室)の経時変化を図 2-2-5 に示す。Chattonella antiqua の好

適増殖水温・塩分は 25~30℃・≧15、競合種とされる珪藻のうち有明海で夏季に優占する

Skeletonema costatum の好適増殖水・塩分は 15~25℃・≧15 と報告されている(紫加田ほか,

2010)。これをもとに、2016 年夏季水温、塩分の経時変化をみると、水温は 6 月 28 日~7 月

5 日の間に C. antiqua の好適増殖水温の 25℃以上になり、8 月 18 日に 29.4℃と最高値を示し

た。それ以降、最後の観測日(10 月 6 日)まで 25℃を下回ることはなかった。塩分は 6 月

28 日~7 月 5 日の間で 15 未満を示した後、7 月 19 日に 17.1、9 月 19 日に 16.5 と低い値を示

した以外は 23~31 の間で変動した。これらの値から、7 月 19 日以降に Chattonella の増殖に