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● in-situ FT-IR 測定による触媒性能の評価
Catalyst characterization using in-situ FT-IR spectroscopy
[概 要]
触媒表面のキャラクタリゼーションのひとつに触媒
作動環境を模擬した条件下での測定、すなわち in-situ
分析があります。なかでも FT-IR 法による in-situ 分析
は最も一般的に利用される手法であり、触媒表面におけ
るプローブ分子の吸着脱離といった挙動観察により触
媒表面の物理化学的性質、触媒活性能、選択性能、及び
触媒表面で起こる触媒反応素過程について知ることが
できます。
[事例①] Ru 担持触媒上への CO 吸着
固体表面の酸化状態や吸着サイトの性能を知
るために CO をプローブとして吸着させる手法
がよく利用されます。
図-2 は Ru 担持触媒上に CO を吸着飽和させ
た後、He にて排気を行ったものです。2123cm-1
と 2051cm-1に見られる吸収は Ru0~δ+上に複数配
位したCOに、1991cm-1は Ru0上の直鎖型COに、
1657cm-1 は多座配位 CO に対応すると言われま
す。He 排気過程の脱離挙動より、直鎖型 CO が
比較的安定に存在していることがわかります。
[事例②] NO 気流中での熱走査 FT-IR
自動車排ガス触媒は有害物質を分解する活性金属、有害物
質を吸着する吸着剤、反応を効率的に進める高表面積担体か
ら成っており、排ガス処理性能評価には各材料の性能評価が必
要です。
図-3 は室温付近から 500℃まで熱走査した時の、Pt 担持ア
ルミナと NOx との反応性を観察したものです。60℃から
100℃にかけては NO2が優先的に吸着しており、100℃以上で
は直鎖型(m-)、二座型(b-)、架橋型(B-)の硝酸塩の吸着が観察
されます。NOx の吸着は 240℃付近で最大になり、以降は NO
流通下であっても吸着量が減少していき、400℃以上でほぼ完
全に吸着が起こらなくなります。
TN185
図-1 in-situ FT-IRイメージ
1100130015001700wavenumber/cm-1
AB
S
図-3 NO気流中の熱走査FT-IR
NO2
m- or b-NO3
-
B-NO3-
b-NO3-
m-NO3-
60℃
500℃
図-2 Ru担持触媒上に吸着したCO
2051
2123
1991
1657
-0.005
0.000
0.005
0.010
0.015
0.020
0.025
0.030
0.035
0.040
0.045
0.050
0.055
0.060
0.065
0.070
0.075
Kube
lka-
Mun
k
1600 1800 2000 2200 2400 Wavenumbers (cm-1)
2051
2123
1991
1657
-0.005
0.000
0.005
0.010
0.015
0.020
0.025
0.030
0.035
0.040
0.045
0.050
0.055
0.060
0.065
0.070
0.075
Kube
lka-
Mun
k
1600 1800 2000 2200 2400 Wavenumbers (cm-1)
H e流通
1 分後
2 分後
20 分後
40分後Ru
OC
Ru Ru
OC
Ruδ+
OC
OC
Technical News
[事例③] 二酸化炭素とメタノールのからのジメチルカーボネート(DMC)直接合成反応
近年、CO2 固定化技術としてアル
コールとの合成による有機カーボネ
ート類の合成反応が注目されていま
す。
図-4 は CeO2上での CO2とメタノ
ールの合成反応を観察したものです。
CeO2 上には直鎖型や架橋型の水酸基、
ネストと呼ばれる水酸基の集合体が
存在します(左図)。メタノールを吸着
させると直鎖型と架橋型の水酸基上
に選択的に吸着が起こります。メタ
ノール吸着に続いて CO2 を流通させ
ると、直鎖型メトキシ(直鎖型 OH 上に吸着したメタノール)が消費され、DMC の中間体のモノメチルカーボ
ネートが生成していく様子が観察できます。
[事例④] NH3による選択触媒還元(NH3-SCR)
自動車排ガス処理技術のひとつ
に還元剤を用いて触媒上で効率的
に NOx を還元する選択触媒還元
(SCR)があります。様々な還元剤の
中で NH3 を用いた SCR は数多く研
究されています。
図-5 はゼオライト上での NH3 を
用いた NOx の SCR 反応を in-situ
FT-IR にて観察した結果です。高温
で排気したゼオライト上にNH3を吸
着させると 1440cm-1 付近に酸性水
酸基上に吸着したアンモニウムイオンの吸収が観察され(右図)、3500~3700cm-1に見られる吸着サイトの水酸
基は消失します(左図)。
NH3吸着に続いてゼオライト上に NO と O2の混合気を流通させると SCR が進行し、NH3に由来する吸収が
減少していき、NH3の吸着サイトである水酸基の吸収が回復していく様子が観察できます。
[キーワード]
有機合成、燃料電池、Liイオン電池、電極触媒、三元触媒、貴金属触媒、CO被毒
300035004000
wavenumber/cm-1
KM
80010001200140016001800
wavenumber/cm-1
ネストOH
架橋型OH
直鎖型OHメタノール
吸着後
メタノール吸着前
メタノール吸着後
CO2流通
モノメチルカーボネート生成
直鎖型メトキシ消失
図-4 DMC合成反応(左図:水酸基、右図:メチルカーボネート)
-0.2
-0.15
-0.1
-0.05
0
0.05
0.1
0.15
0.2
0.25
300035004000wavenumber/cm-1
ABS
0
0.05
0.1
0.15
0.2
0.25
1300150017001900wavenumber/cm-1
図-5 ゼオライト上でのNOxのNH3-SCR
水酸基の回復
B酸点上のアンモニウムイオン
硝酸塩
アンモニア
図-4 DMC 合成反応(左図:水酸基、右図:メチルカーボネート)
図-5 ゼオライト上での NOXの NH3-SCR
当社ホームページ :https://www.scas.co.jp/ 技術事例 :https://www.scas.co.jp/technical-informations/technical-news/
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