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これは繊維学部の前身、蚕糸専門学校開校から間もない大正初期に構内を南から撮影した写真と思われ る(撮影時期の詳細は不明)。手前には植えたばかりの桑畑が広がっていて背景は太郎山と虚空蔵山(こくぞ うさん)方面である。写真左の二階建の建物が本館で一階には校長室、会議室等、二階中央部に講堂および 両側に教室があった(今の講堂は当時はまだ無い)。本館のさらに左に蚕室および左端(白い屋根)に雨天体 操場の一部が写っている。中央の白く見える5連屋根の建物は工場(紡織、機械、色染など)と思われる。 右端に近い二階造りの貯繭庫(赤レンガ倉庫)のみが今も構内に現存する建物で、その場所も変わっていな い。本館の手前、写真では中央部を左右(東西)に祢津街道が通っていて本館正面前が正門であった。背景 は一見すると今とほとんど変わりないように見えるが市内の高い建物も無く、また太郎山の斜面は良くみると、 かなり高いところまで開墾され畑作が行われていた状況が伺える。 (繊維学部図書館保管の手札判ガラス乾板より) THE CHIKUMAKAIHO 千曲会報 編集発行人 北 條 舒 正 長野県上田市常田 3 丁目 8 番 37 号 発 行 所 社団法人 千 曲 会 電 話 ( 0 2 6 8 )2 2 - 4 4 6 5 FAX ( 0 2 6 8 )2 2 - 4 4 6 0 http://www.chikumakai.org JUN.2010 No.296 主な記事 ・新学部長挨拶 ・学部長退任挨拶 ・100周年記念行事の概要と案内 平成21年度卒業証書・学位記授与式 ・学 8 回 卒業 50 周年記念事業 ・平成21年度 就職状況

THE CHIKUMAKAIHO 千曲会報 Noではございますが、繊維学部の発展に向けて精一杯任務 を遂行したいと思っております。千曲会の皆様におかれ

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Page 1: THE CHIKUMAKAIHO 千曲会報 Noではございますが、繊維学部の発展に向けて精一杯任務 を遂行したいと思っております。千曲会の皆様におかれ

これは繊維学部の前身、蚕糸専門学校開校から間もない大正初期に構内を南から撮影した写真と思われ

る(撮影時期の詳細は不明)。手前には植えたばかりの桑畑が広がっていて背景は太郎山と虚空蔵山(こくぞ

うさん)方面である。写真左の二階建の建物が本館で一階には校長室、会議室等、二階中央部に講堂および

両側に教室があった(今の講堂は当時はまだ無い)。本館のさらに左に蚕室および左端(白い屋根)に雨天体

操場の一部が写っている。中央の白く見える5連屋根の建物は工場(紡織、機械、色染など)と思われる。

右端に近い二階造りの貯繭庫(赤レンガ倉庫)のみが今も構内に現存する建物で、その場所も変わっていな

い。本館の手前、写真では中央部を左右(東西)に祢津街道が通っていて本館正面前が正門であった。背景

は一見すると今とほとんど変わりないように見えるが市内の高い建物も無く、また太郎山の斜面は良くみると、

かなり高いところまで開墾され畑作が行われていた状況が伺える。

(繊維学部図書館保管の手札判ガラス乾板より)

THE CHIKUMAKAIHO

千 曲 会 報編集発行人 北   條   舒   正 長野県上田市常田3丁目8番37号発 行 所 社団法人 千 曲 会 電 話 ( 0 2 6 8 )2 2 - 4 4 6 5

FAX ( 0 2 6 8 )2 2 - 4 4 6 0http://www.chikumakai.org

JUN.2010

No.296

主な記事

・新学部長挨拶

・学部長退任挨拶

・100周年記念行事の概要と案内

・平成21年度卒業証書・学位記授与式

・学8回 卒業50周年記念事業

・平成21年度 就職状況

Page 2: THE CHIKUMAKAIHO 千曲会報 Noではございますが、繊維学部の発展に向けて精一杯任務 を遂行したいと思っております。千曲会の皆様におかれ

千 曲 会 報(2) 第 296 号 平成 22 年 6 月 1 日

繊維学部長就任のご挨拶

信州大学繊維学部長

濱田 州博

本年 4 月1日付けで信州大学繊維学部長を拝命致しま

した。平成 25 年 3 月31日まで 3 年間の任期の間、非力

ではございますが、繊維学部の発展に向けて精一杯任務

を遂行したいと思っております。千曲会の皆様におかれ

ましては、これまでの学部長同様ご指導ご鞭撻を賜ります

ようお願い申し上げます。

さて、学部長就任に当たりまして、まずは自己紹介をさ

せていただきます。昭和 34 年神戸市で生まれ、小中高校、

予備校を含め、19 年間を同市にて過ごしました。昭和 53

年に東京工業大学 3 類に入学し、昭和 57 年に同大学工

学部高分子工学科を卒業、昭和 59 年に同大学大学院理

工学研究科修士課程高分子工学専攻を修了、昭和 62 年

に同大学大学院理工学研究科博士課程高分子工学専攻を

修了しました。修了後、昭和 62 年より通商産業省(現経

済産業省)工業技術院繊維高分子材料研究所研究員を経

て、昭和 63 年 6 月1日付けで信州大学繊維学部素材開

発化学科に助手として赴任してきました。以来 22 年間信

州大学繊維学部でお世話になっております。

赴任してきた昭和 63 年は、いわゆるバブル景気のまっ

ただ中で、担当学生が企業見学に出向く際に、なぜか一

緒に見学に行ったことが思い出されます。その後、バブ

ルが崩壊して就職氷河期となり、再度就職状況が平成 18

年頃から売り手市場となったものの、サブプライムローン

問題を引き金とする世界的金融危機の影響により再度就

職氷河期に突入していることはご存知の通りです。まさに

金融資本主義に翻弄された 20 年であったと感じておりま

す。この時代だからこそ、科学技術に裏付けられた取り組

みがますます重要性を増しているのではないでしょうか。

この間、繊維学部では、平成 10 年度から「先端繊維技

術科学研究拠点形成」が文部省科学研究費補助金(COE

形成基礎研究費)に採択され、学内外の協力によりグルー

プで研究を推進し、高い評価を得ております。それに引

き続き、平成 14 年度から「先進ファイバー工学研究教育

拠点」が文部科学省 21 世紀 COEプログラムに採択され、

大学改革の推進、優れた若手研究者の育成、新たな学問

分野の開拓や研究水準の向上などが図られてきました。

さらに、平成 19 年度から「国際ファイバー工学教育研究

拠点」が文部科学省グローバル COEプログラムに採択さ

れ、ファイバー工学分野において、最先端の研究活動を通

じて国際的に第一級の力量をもつ研究者、技術者を育成

するとともに、国際的な中核的教育研究拠点として、人

材・技術のネットワークを活用できる機能や情報のハブと

なる機能を確立し、繊維産業の発展を目指しております。

まさに、繊維学部にとっては、ファイバー工学分野で真の

国際的教育研究拠点になるべく取り組んだ期間であった

と思います。この取り組みをさらに実のあるものとするた

めに、今後も歩みを進めていきたいと思います。

一方、学部の教育に関しては、平成 20 年度に改組を行

い、7 学科体制から 3 系 9 課程体制に移行しております。

基礎科学技術を十分に習得した上で、その応用科学技術

について学び、さらに“ファイバー工学”を基盤にした最先

端科学技術を学ぶことができます。改組から 2 年以上が

経過し、よりよい教育体制にするため不断の見直しを行っ

ているところです。また、建物の改修工事もほとんど終了

し、新たな教育研究環境が整ったところです。

本年(平成 22 年、2010 年)、信州大学繊維学部は、前

身の上田蚕糸専門学校設立(明治 43 年、1910 年)から

100 周年の節目を迎えます。この節目に、繊維学部資料館

を整備し、100 年の歴史を広く周知できる体制を整えまし

た。また、新しい繊維に関しては「疾走するファイバー展」

を日本科学未来館より移設し、常設展示しております。こ

れらとともに、繊維学部の教育研究活動に関する展示を

行い、情報発信をしていきたいと考えております。さらに、

農工連携を目指した植物工場研究開発拠点とファイバーイ

ノベーション・インキュベーター棟が平成 22 年度内に竣工

し、次世代ファイバー工学を国際的に展開するハブ拠点

として活動を開始します。

次の 100 年に向けて、新時代の“ファイバー工学”をさ

らに進化させるべく活動を活性化していきたいと思いま

す。豊かな自然に抱かれた蚕都上田で新たな歴史を共に

刻むことができるよう、皆様方のご支援、ご協力を切にお

願い申し上げます。

Page 3: THE CHIKUMAKAIHO 千曲会報 Noではございますが、繊維学部の発展に向けて精一杯任務 を遂行したいと思っております。千曲会の皆様におかれ

千 曲 会 報 第296 号 (3)平成 22 年 6 月 1 日

繊維学部 教授 平井 利博

8 年前に評議員に選出され、5 年前に学部長に選任さ

れてより、早 2 期、5 年が経過し、任期満了となりました。

ここに至り得たのも皆様の支援があればこそであり、厚く

御礼申し上げる次第です。

この8 年間、大学のシステムが全く替わり、かつての国立大

学のイメージからはほど遠い法人組織となりました。しかも、第

一期中期目標計画の終了に併せるように退任ということです。

正直のところホッとしています。今、改めて、この間のストレスを

噛み締め、よく持ちこたえたと思っているのが本音です。

当初は、大学院改組に関わり、続いて法人化の中で、人件

費縮減の流れの中、学部の改組が、教育組織を堅持するた

めに不可欠であると判断し、山本巌先生などの支援を頂きな

がら、推進しました。外からの撹乱によって教育体制が揺らぐ

ことを抑制するために大括りの教員組織が望ましく、また、教

員のサバティカル研修などを可能にすることも見越しての取組

でした。教育面では、「繊維の基礎」を一年次生から全員に

課すことで、ファイバー工学の概要を把握してもらい、上級学

年で多様な分野へ移行後、その知識が多様な展開を見るこ

とを期待しての改革でした。多様な分野を学びたいという学

生への配慮も取り込んだ改組でした。小生も、三つの系を兼

務しています。一部、見解のもつれが、充分な改組結果を生

み出すことの障害になっていますが、いずれ解消され、本来の

目的を達成するものと期待しております。学生が自由に大きく

広く羽ばたくためのトレーニングを支援するための教育システム

の構築が必要であります。それは学生、父兄、就職先などス

テークホルダーの評価と支援を得ながら進められるべきもので

す。それぞれの高い見識の積分値としての理念が、そこに集

約されていなければなりません。とくに、繊維学部の場合、我

国で唯一のファイバー工学拠点として、当該分野を俯瞰する

オピニオンリーダーとしての見識が不可欠です。

もともとの構想は将来計画委員を務めていた 12 年以上

前から持っていました。また、この過程で、第一期の中期目

標計画の立案を行うことになり、その中に学部としてやりた

いことやるべきことを殆ど網羅的に記載しました。法人化な

ど本気にしていなかった多くの教職員からは殆ど関心を惹

きませんでした。同時に、これらが、まさか自らの関わりの中

で実現に取組むことになるとは予期しておりませんでした。

ここで止めておけば、こんなでもなかったろうにということも事

実です。白井汪芳先生が先生の研究成果を基盤にスタート

させたCOEプロジェクトの 2期目(21 世紀 COEプログラム)

の完了を控えたところであり、この高い活動状況を継続するた

めにはということで、リスク回避のためにいくつもの大型プロジ

ェクトを申請することとしました、榎本教授、粂井教授、阿部

(康)教授、下坂教授、大口教授、村上教授、杉本准教授、

木村准教授などの支援を受けて、神森、菅藤の若手事務職

員等の協力を得ながら、体力の限界に近い努力を払いました。

書き直し回数はそれぞれ 20 回近くになるでしょうか。素案を

ボロボロに改編し、コンセプトを転換するなど、大変なエネルギ

ーを費やしました。その結果、すべて採択されるという快挙を

成し遂げることになりました。快挙?!ということに、暴挙という

見解もあろうかと思いますが、文書作成でなし得る成果では

ありません。背景となる実績があってのことであり、教職員の

日頃の研鑽の結実であると自負し、感謝しております。

その後も、ファイバーイノベーションインキュベータ(Fii)構想を

経産省の技術ロードマップ委員会で披瀝し、一部の委員から

失笑を買いながらも継続的にそれを首唱しまた。失笑した委

員も本意ではこの考え方を支持してくれていました。そして、関

東経済局の「このようなものを求めていた!」との見解を得るに

いたり、それに向けての血のにじむような実に様 な々取組の結

果、今日、Fii の建設が現実のものとなっています。戸谷副学

部長、東間副学部長補佐のご尽力に深謝しております。

折しも、百周年を迎えるこの年にFii の完成を見るに至り

ますことはこの上ない喜びです。この施設は、世界的に見て

も相当レベルの高い施設であり、その目的とするところも(1)

パイロット試作レベルの装置を導入する、(2)インターンシップ

を含む学生/院生のトレーニングの場、人材育成機能を持

つ、(3)産学協働を通じたビジネスフォーメーションを国際的な

視点で推進することができる階層的な情報ハブ機能を持つ、

という挑戦的なものです。こうした仕掛けが十全の機能を発

揮し、真に新たなファイバー工学拠点としてその国際的な役

割を果たすにはまだまだ多くの障壁があることは承知してお

りますが、学部創立100年を迎えるときにあたり、これは次の

大きなステップへの布石となると信じています。20年前に先

輩方が想起した巨大な拠点に向けての一歩として極めて重

要です。そうした大きな夢があったればこそ、構想として提案

でき、時を得て実現の運びとなったものです。

学部長退任にあたり、想いを述べる機会を与えて頂き

ましたこと、厚く御礼申し上げますとともに、学部の更な

る発展を心より祈念いたします。

学部長退任にあたって

Page 4: THE CHIKUMAKAIHO 千曲会報 Noではございますが、繊維学部の発展に向けて精一杯任務 を遂行したいと思っております。千曲会の皆様におかれ

千 曲 会 報(4) 第 296 号 平成 22 年 6 月 1 日

千曲会員の皆様には、100 周年記念事業募金活動に多

大なご協力をいただいておりますことに対し心よりお礼申

し上げます。100 周年を記念する各種事業及び行事への

取組みが進展しておりますのでご報告いたします。

1.前夜祭

日時:10 月22日(金) 16:30 ~ 18:30

場所:繊維学部講堂 

会費制:2,000 円(立食パーティー形式)

主な内容:同窓生、在学生の寮生が参加し、校歌、校

友歌、寮歌、応援歌などを皆で歌い、交流を図ること、

この歌声を録音して保存することを主旨に実施いたし

ます。多数の皆様の参加をお待ちしています。

2.記念講演会 

日時:10 月23日(土) 12:30 ~ 14:30

場所:上田市文化センター

講演Ⅰ 『繊維産業の現在・未来(仮題)』

東洋紡績(株)代表取締役社長 坂元 龍三 氏

(繊維工学科 S45 卒、大学院 S47 卒)

講演Ⅱ 『環境浄化とクリーンエネルギー創製への挑

戦 ―多くの人 と々の出会いを通して―』

大阪府立大学 副学長・理事 安保 正一 氏(繊

維工業化学科 S45 卒)

3.記念式典

日時:10 月23日(土) 15:00 ~ 16:30

場所:上田市文化センター

4.祝賀会

日時:10 月23日(土) 17:30 ~ 19:30

場所:上田東急イン・国際 21 クリスタルホール

3F「信濃の間」

会費制:10,000 円

5.100 周年記念事業・ホームカミングデー記念講演会

日時:10 月24日(日) 10:00 ~ 

場所:繊維学部講堂

講演 『日本のシルク産業と上田蚕糸専門学校の創立』

元シルク博物館 部長 小泉 勝夫 氏(養蚕学科

S34 卒)

※もう1件講演を予定しています(現在検討中)。

尚、午後からはウエルカムパーティー、研究室公

開・学内ツアーを予定しています。

6.繊維学部アーカイブ特別展示

日時:10 月16日(土)~ 24日(日) 9:00 ~ 17:00

場所:繊維学部総合研究棟 1階、2階、7階

展示内容:「繊維学部の過去・現在・未来」展を行いま

す。7階には、上田蚕糸専門学校以来の貴重な資料を

一挙に展示します。併せて、上田蚕糸専門学校の創立

に尽力され、創立後の教授にもなられた三吉米熊関係

の資料の展示も行われます。現在の学部の研究等に

関しては、7階に教員・学生の研究発表のポスターを、

製品化された研究成果は 1 階に展示します。また、2

階には、繊維学会・日本科学未来館より移管された

「疾走するファイバー」展の資料を公開します。さらに、

繊維学部資料館(レンガ庫)の常設展示場には、針塚

校長の書、織物見本帳、生糸商標、などを展示します。

7.100 周年記念講座・見学会

・講堂修復作業の見学会(日時は未定)

繊維学部講堂

・「お蚕さんと桑の見学」(仮題)

金勝廉介教授(8月20日(金) 13:00 ~ 15:00)

於:附属農場研究棟

・「怖い遺伝子組換え、怖くない遺伝子組換え」

林田信明教授(9月17日(金)13:00 ~ 15:00)

於:繊維学部資料館

・「織物機械の見学と『織物見本帳』特別公開」

(11 月16日(火)13:00 ~ 15:00)

於:繊維学部資料館

8.講堂の修復 7 月着工、9月竣工予定です。

9.エコキャンパス整備

外灯の省エネ化、キャンパスの緑化、雨水地下水の利用

など、多様な計画案が出ており、詳細について検討中。

10.記念誌編纂  原稿が出揃い編集作業中です。

【お願い】 7月中旬に記念事業事務局から、催し物等

のご案内とこれらの催しへのご参加有無のお問合せ

の文書を、会員、学生保護者の皆様へお送りします。

このご返事を基に参加人数の把握や準備の予定を立

てますので、必ず期限までにご返事くださるようお願

いいたします。なお、参加できるかどうか現時点でわ

からなくても、参加のご希望がある方は参加としてご

返事ください。

繊維学部創立100周年記念事業

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千 曲 会 報 第296 号 (5)平成 22 年 6 月 1 日

繊維学部創立 100 周年に合わせて、「疾走す

るファイバー展」の常設展示と「繊維学部資料館」

の開館を祝う記念式典が、盛大に開かれました。

記念式典は、平成 22 年 4月24日(土)に総合研究棟7階

ミーティングルームで、山沢学長をはじめとする大学関係者や、

磯田文部科学省研究振興局長、富吉経済産業省製造産業

局繊維課長,母袋上田市長,小中日本科学未来館副館長,

鞠谷繊維学会副会長という多くの来賓のご臨席のもとで行

われました。式典後、「疾走するファイバー展」のテープカット、

「繊維学部資料館」の看板除幕式というオープニングセレモニ

ーを華やかに行い、各展示を見学していただきました。

「疾走するファイバー展」は、平成 16 年夏に日本科学未

来館と繊維学会が共同企画・開催した特別展で、平成 18

年からは巡回展として国内外 17 ヶ所を巡回することで、

延べ 8.4 万人が最先端のファイバーテクノロジーを体験し

た展示です。これからは繊維学部に常設展示することで、

学生の教育のみならず地域の科学教育の素材としても活

用が期待されています。

日本科学未来館からの寄贈を記念して、この日には日本

科学未来館科学コミュニケーション推進室の竹内恵室長

による記念講演「科学コミュニケーションの現場から~日

本科学未来館の取り組み~」も行われ、一般市民も含む

180 名近くが聴講しました。

「繊維学部資料館」は,「繊維学部資料館」は,明治 44

年(1911 年)竣工のレンガ造りの繭倉庫を改修し,前身で

ある上田蚕糸専門学校以来の貴重資料を中心に,繊維

学・技術教育関係の資料を展示しています。また,展示品

には,榎本祐嗣教授(当時)が繊維学部へ寄贈された「榎

本コレクション」の資料が多く含まれています。「榎本コレ

クション」は,榎本教授が個人的に収集されてきた蚕糸や

科学の歴史的資料を、平成 20 年度に寄贈されたものです。

榎本祐嗣(えのもと ゆうじ)

元信州大学繊維学部創造工学系機能機械学課程 教授

在職 平成 15 年 4 月1日~平成 21 年 3 月31日

繊維学部資料館の展示品の多くは,「繊維学部デジタル

アーカイブ」としてインターネットでも公開しています。織

物見本帳,生糸商標,草創期の上田蚕糸専門学校の写真

や教材,榎本コレクションの貴重書・上田蚕糸専門学校関

連絵葉書・蚕織錦絵などが,精細な画像でご覧いただけ

ます。信州大学の学内に限定して,さらに高精細の,織物

の織り目まではっきりわかる画像を提供しています。

http://www.tex-shinshu-u-da.jp/ からどうぞごらんくだ

さい。

「疾走するファイバー展」と「繊維学部資料館」は、この後

4月25日から 30日までの 6日間、毎日午前 10 時から午後

5 時までの一般公開を行いました。合わせて、以前から要

望の高い講堂内部も公開し、のべ 700 名以上の市民・卒

業生などの方々にご来学いただきました。この間、テレビ

ニュースや何紙もの新聞記事に取り上げられて、繊維学部

の現状と創立 100 周年事業の PRに大いに寄与しました。

「疾走するファイバー展」と「繊維学部資料館」は、今後

も機会を設けて一般公開を行いますので、卒業生の方々、

また近隣の方々にぜひお越しいただきたいと存じます。

Page 6: THE CHIKUMAKAIHO 千曲会報 Noではございますが、繊維学部の発展に向けて精一杯任務 を遂行したいと思っております。千曲会の皆様におかれ

千 曲 会 報(6) 第 296 号 平成 22 年 6 月 1 日

信州大学繊維学部創立100周年記念事業募金納入者名簿卒業生関係学科別一覧    平成21年12月1日~平成22年4月30日

募金に対し多大なご協力を頂き誠にありがとう御座いました。敬称は省略させていただきましたのでご了承下さい。募金者全員のお名前は、信州大学繊維学部のホームページに掲載されておりますので、そちらをご覧下さい。

【蚕】上野 義和船田 敏夫鈴木 公人松岡 重之久保山保雄茨木 宣雄

【糸】岡部伝一郎樫山 幹男高橋 孝治島津 幸久佐久間政志内藤 忠男

【紡】中畠 義一笠原 義昭越川 治文竜口 昭夫

【化】半田 幸彦田中 英明石森  秀

【農】安田圭三郎大月 敬造大泉 英明北村 貴幸大沢 和夫

【教婦】寺嶋けさ代越坂ミツエ

【専修】星島 謹一阿良田卓三

【学蚕・学農】上條 敬典塩沢  長柳沢 孝雄米澤 秀衛片井 弘雄武井 隆三�木 弘子小泉 勝夫関川 利治石黒 善夫小松  勉小山 詔雄松原  極中村 全夫阿部 富雄窪田 一仁田中眞由美山口  武宮下 周子野末 雅之小穴 善一金山 茂男畑 恵三(3口)西田  学鈴木 順子

【蚕別・糸別】桜井 友吉小林 忠行安達 弘信新井 輝昭上原 芳友小川 保治清水  康薄葉 孝雄松山 勝衛石川 光也

【学糸・学紡糸】田中 重臣本田  修池田  勉山岸 照武山辺 祐一嶋倉 宏光蒲生 昌明渡辺 正俊鈴木  猛宮坂 照彦南澤 建三秋元 義弘

【学紡】清水 重貞宮島 栄一竹内 次志池内才八郎篠原  大市川 義規武井 武文古平 善蔵和田今朝春中村 忠美轟  道彦宮崎 利夫河西 敏勝増田 正義神野 勝之西山  聡池田 嘉邦※匿名 1名

【大院前・後】本吉谷二郎山本 博規西田 綾子

【学工】伊藤 佼二本多 英夫山田 勲野倉 忠好花岡 昌和村山 定光藤木 信夫片岡 明正藤原 平和諸岡 英雄小沢 文弘富永 和雄内田 吉一山本 正宏徳永 達夫西  史郎田中 保至渡辺 真吾土屋陽一郎小林 勝政小嶋 啓二山� 昭徳※匿名 3名

【学化】石橋  博北沢  諭河井 邦雄小笠原真次白井 英男山浦源太郎尾和 勝俊小川善之助清水 克正宮下 周次遠藤 正雄

【学化】戸崎 近雄木藤  茂福家 駿吉森橋 孝之小山  修伊藤  忠鷲見 繁樹桜井 重信神 ちひろ竹花 周一野口 賢治小林 順子伊藤 茂樹穂刈 英幸望月よしえ新井 由紀永井 善彦中田  信丸山 英俊松永 公子内山 良太

【機】石橋  武松原 隆生法橋 侯博柳澤 敏美平林 壮紀水沢  武池田 明文白沢 秀則長尾  勇武内 克己三井 利宣志田  彰仲吉 安隆入沢  徹

【機】伊藤 雄二滝川 高志小林 一利中村 幸彦神谷  篤市川 利通岩崎 真明坂井希世志

【応生】代田ちぐさ佐藤 美晴北村 有里中沢 宜彦大浪 澄子

【システム】青木三枝子杉浦 隆樹宮埼  哲井口 伸作夏目 裕司秋山 二郎

【素化】若杉 幸宏鈴木 真二※匿名 1名

【機能機】安井 誠二青木 知生林  洋介河合 健一松井 元輝匿名 1名

【化工・精素】三浦袈裟弘井出祐三郎平野 荘二塚田 茂男桐野さち子冨田 友一�井 裕孝春原 正幸芦田 良一伊藤  実杉本 泰隆天野 誠之寺澤 潤二※匿名 1名

【機高】楠  幹夫小山 敏道佐藤 正喜小山 俊樹久保  進江馬  弘千石 高史筈井 洋光桑原 康郎久米  亮宇都 博人一戸  節小林  聡和田 一美前山 優子三木 徳俊※匿名 1名

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千 曲 会 報 第296 号 (7)平成 22 年 6 月 1 日

繊維学部を中心に行われる主な行事予定

(平成 22年 7月から 10 月まで)

繊維学部を中心に,あるいは繊維学部主催で行われる 7月から 10月までの各種行事を以下に記しました.千曲会員はじめ一般市民が参加できるものにつきましては皆様の積極的なご参加をお待ちしています.

・7月24日:第 1回オープンキャンパス・7 月 15 日~ 17 日: International Conference ofFuture Textile・8 月5日:サイエンスパートナーシッププログラム(大町高校)・8月20日:創立 100 周年「記念講座」開催(要予約)・8月22日:第 2回オープンキャンパス・8 月26日~ 28日:UCLA - Nagoya University -Shinshu University Joint Workshop・9 月17日:創立 100 周年「記念講座」開催(要予約)

・9月30日:卒業証書・学位記授与式(9月卒業)・10 月16日~ 17日:学園祭「東雲祭」・10 月23日~ 24日:繊維学部 100 周年記念式典・10 月24日:繊維学部ホームカミングデー創立100周年「記念講座」に関するお申し込み・お問い合わせ(0268-21-5313、繊維学部図書館)

平成 22 年 4 月にオープンしました「疾走するファイバー展」と「繊維学部資料館」を次の日程で公開します。ファイバーの最先端と繊維学部のルーツをあわせてご覧ください。・7月24日*/8月22日*/8月23日~29日**/9月17日**

・10 月16 ~ 24日*

(*:9:00 ~ 17:00、 **:10:00 ~ 17:00)

上記行事の詳細および上記以外の行事については,随時繊維学部のホームページで(下記 URL)に掲載しますので,そちらも併せて参照ください.(http://www.shinshu-u.ac.jp/faculty/textiles/)

信州大学繊維学部創立 100 周年記念事業で発刊される

「信州大学繊維学部創立 100 周年記念誌」を、社団法人千

曲会が希望者への頒布を担当することとなっており、購入

希望者を募っています。

現在、記念事業実行委員会記念誌編集部会で編集を進

めており、最終的な印刷部数を確定しなければならない時期

の迎えました。発行部数は、記念事業へ 10 万円以上ご寄付

された方々等への記念品贈呈分を含めた実行委員会の必

要部数と頒布希望部数との合計部数の限定発行となります。

記念誌のご購入をご希望の方は、至急下記によりお申

込みいただきますようお願いいたします。

■購入申込み メール([email protected])、ファックス

(0268-22-4460)又はハガキに、氏名、卒業学科・卒業年、購入部数、お届け先住所、ご連絡先電話番号を記載して�千曲会宛にお送りください。申込み期限は平成 22 年 7月30日

とします。お申込みの方には、後日請求書と振込用紙をお

届けしますので、この用紙で代金を振込んでください。

■記念誌の仕様等内容:グラビア24 頁、本文 350 頁(予定)

第 1章 「過去」(仮称)・創立 100 年のあゆみ、寄稿コラム

第 2章 「現在」(仮称)・教育・研究・産学官連携等の現状

第 3章 「未来」(仮称)・繊維学部の将来構想、未来への望み

装丁:A4版、横書き二段組、上装本(表紙布クロス、背

文字箔押し、ケース入り)

編集:繊維学部創立 100 周年記念事業実行委員会記念誌編集部会

発行:社団法人千曲会

刊行:平成 22 年 9 月末(予定)

■頒布価格・送付時期 頒布予定価格 4,000円(送料込み・

800 部発行の場合)、発送時期 平成 22 年 10月~ 11月

頒布価格は、発行部数によって変動しますことをご了解ください。

「繊維学部創立100周年記念誌」頒布希望者再募集

繊維学部 100周年記念事業募金【同窓生募金目標と現況】

注)この集計表は、大学口座納入と千曲会口座納入を合せて集計してあります。一層のご協力をお願いいたします。

2010/4/30 現在

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千 曲 会 報(8) 第 296 号 平成 22 年 6 月 1 日

国立大学法人東京工業大学教授(大学院理工学研究科)

碇屋隆雄氏(学化 19、北條研出身)は「協奏機能分子触媒

の開拓と応用」の研究で 3 月27日、近畿大学本部キャン

パスで開催された(社)日本化学会春季年次大会で日本の

化学分野で最高の「日本化学会賞」を受賞しました。

碇屋氏は独自の発想により協奏機能分子触媒さらに超臨

界流体触媒反応化学を相次いで開拓し、高度分子変換の

化学のみならず有機合成化学や反応化学の発展に大きく貢

献したことが高く評価され今回の受賞になりました。特に、

不斉錯体触媒を用いる水素化反応の研究で BINAP-ルテ

ニウム触媒の開発と実用化に世界に先駆けて成功し“碇屋

触媒”と呼ばれノーベル化学賞を受賞した野依 BINAP-ル

テニウム触媒発見の礎となったことは有名です。

もうお一人、国立大学法人東北大学大学院理学研究科

教授小林長夫氏(学化 21,故遠藤研、修士早川研出身)の

「フタロシアニン系色素の吸収波長調節に関する研究」が

平成 22 年度科学技術分野の文部科学大臣表彰をこの 4

月に受賞しました。

フタロシアニン(Pc)は 1928 年スコットランドの染料会社

で発見された色素ですが、染料・顔料、複写機電荷発生

物質、ガンの光化学治療薬、酵素機能型消臭剤、殺菌及

び抗菌剤、光ディスク等への応用で実用化され「化合物の

王様」ともいわれています。

小林氏はこれらの機能と密接に関連する Pc の吸収波

長について、Pc 分子のサイズ、対称性、置換基の電子供

与性・吸引性と数、位置に注目し、主吸収帯の位置、強度、

形で吸収波長を調節できることを理論と実験で示し、この

分野で世界を先導した業績が高く評価されました。

なお、氏の Pc 誘導体はガンの光化学治療やコンパクト

ディスクの表面に用いられています。

以上、二つの受賞は繊維学部化学系における大きな快

挙であり百周年にふさわしく大変喜ばしいことであります。

4 月 3, 4 日に日

本蚕糸学会全国大

会が木口憲爾実行

委員長のもと、繊

維学部で開催され

ました。第 80 回記

念大会ということ

ですが、これは特

別珍しい巡り合わ

せというわけでは

ありません。蚕糸

学会は東京を中心

とする関東支部の

他、東北、中部、東

海、関西そして九

州の 6 支部で活動しております。関東支部に所属する主

だった研究機関 5機関とその他の 5支部の中心的機関が

交互に全国大会を担当する習慣です。そのため信州大学

繊維学部の担当回は常に「何十回大会」になるのです。実

際、10 年前には 70 回大会を、さらに 20 年前には 60 回大

会を受け持っています。

それでも今回はいろいろな企画を織り込みました。記

念シンポジウムは「蚕糸科学研究におけるこれまでとこれ

から」のテーマで、2 題の講演をお願いしました。とくに、

「これまで」に相当するセクションでは本学部名誉教授の

嶋崎昭典先生に製糸技術からみた蚕糸科学の進歩・変遷

について興味ぶかいお話をしていただきました(写真)。

このシンポジウムは一般市民も対象にした公開で行わ

れ、私たちの学部の宝物である講堂を会場にして開かれ

ました。幸いなことに関心の高い数多くの近隣市民に聴

講していただくことができました。

一般講演会場になった講義棟には、図書館で整備され

ている「繊維学部アーカイブズ」の所蔵品展示コーナーが

特設され、隣り合った藤本紬工房の展示・販売ブースとと

もに、大変に好評でした。

なお、他にも学部の多くの方々から協力をいただけた

ことはうれしいことでした。若手実行委員を中心にして企

画したジャガード織りの記念品は、繊維教育実験実習施

設のご尽力で制作していただきました。緯糸にシルクを

使った小品で、配られた参加者たちが今後これをどのよ

うに活用してくれるか、楽しみな気持ちです。

今回の開催にあたっては、上田繊維科学振興会より多

大な補助をいただきました。おかげ様で、記念大会にふ

さわしい多彩な企画を不自由なく実現でき、参加者に満

足して頂けたものと信じております。企画準備段階から真

摯に議論し、共に悩みかつ尽力してくれた実行委員会の

同僚たちを代表し、改めて貴会に感謝の意を表します。

繊維学部創立100周年に繊維工業化学科卒業生、碇屋隆雄氏、小林長夫氏が快挙

日本蚕糸学会 第80回記念大会生物資源・環境科学課程 金勝 廉介

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千 曲 会 報 第296 号 (9)平成 22 年 6 月 1 日

平成 22 年 3 月24日(火)、繊維学部講堂において信州

大学繊維学部卒業証書・学位記授与式、信州大学大学院

工学系研究科ならびに大学院総合工学系研究科学位記授

与式が執り行われました。まず大学院総合工学系研究科

(博士)・大学院工学系研究科(修士)の学位記授与式で始

まり、開式のことば、学位記の授与、山沢清人学長の挨拶、

閉式のことばで式は終了しました。続いて、学部卒業生

に入れ替え信州大学繊維学部卒業証書・学位記授与式が

行われ、開式のことば、卒業証書授与、学長あいさつ、来

賓祝辞、平井利博学部長あいさつ、針塚賞授与の後、信

州大学交響楽団による演奏がなされ、「蛍の光」斉唱をし

て全ての式典が終了しました。

今回の卒業式には繊維学部第 8 回卒業生が来賓として

列席されましたが、これらの方々を含めた来賓は以下の

通りです。

上田副市長:石黒豊、(社)千曲会理事長・名誉教

授:北條舒正、第 1回卒業生:村山守生、名誉教授:篠

原昭、山本巌、佐渡山亜兵、中本信忠、谷口彬雄、白井

汪芳、繊維学部第 8回卒業生代表:中沢賢(名誉教授)、

高沼重義

平井利博学部長 挨拶全文

「今日のこの良き日に卒業を迎えられた皆さん、おめで

とう。

また、今日まで皆さんを支え、導いてこられたご両親、

ご家族、関係者の皆様のご努力に敬意を表すとともに、似

た年頃の息子を持つ一人の親として、お喜びと安堵の気

持ちに深く共感するものでございます。

皆さんが、入学された 4 年前、私は学部長の 2 年目を

迎えたときでした。今日は、2 期 5 年の任期を終え、私も

退任するときにあたります。それだけに、皆さんを送るに

あたって、感慨も一入です。4年前に、希望に胸を膨らま

せて入学したときを思い出してください。そして、それぞ

れの積み重ねを経て、今日、新たな旅立ちを迎えている

皆さん。時代のうねりを感じ、不安に押しつぶされそうな

人もいるでしょう。心配することはありません。時代は皆

さんとともに動くのですから。皆がそうなのですから。昔、

私もそうでした。就職もなく、…。でも、不思議に平気で

した。向かっていったからです。今もそういう時代ですが、

自然を含む地球規模の極めて速い動きになっている点が

異なります。

さて、困難な時代、不確実な時代などと言いますが、本

来、生き物は置かれた環境の中で最適化された状況を作

り出しながら繁栄し、また、適応に失敗すれば衰退の流れ

の中で次の機会を待ちながら自らを適応させて変容するこ

とで継続を図って、今日の姿を形成してきたのであります。

この 70 年近く、我国は直接的に戦争等の人為的な災禍

に見舞われることなく殆どの人々が過ごしてきたのであり

ます。そのため、しばしば与えられた幸せな環境をあた

かも当然の権利の様に享受してきたのであります。しかし

ながら、世界に目を向ければ、周知の様に、人々の間の殺

戮は頻発しており、決して総体として安寧が保たれてはお

りません。我国においても、交通事故などで不慮の死を

遂げる人々は米国で銃の犠牲になる人々の数に匹敵する

程度に達します。戦争の技術や武器の開発は残念ながら

技術開発の負の側面です。戦争が技術を高めるなどと言

う輩もいますが、誤った見解です。必要が技術を高める

のです。誤った資金の投入が結果的にそうした技術革新

を強要しているだけのことです。本当に人類社会に必要

な技術として戦略的に技術開発を行うことが本来の姿で

あるべきです。

皆さんが、生きて行くこれからの時代は、人類が今まで

経験したことのない新たなステージを迎えることになりま

す。平和、安全、安心など基盤的な要望は、人類の歴史

の中で、今までそうであったように、これからも努力なし

には継続されません。これらの基本的な要望は決して、

権利として自然に与えられているものではなく、皆さんの

知恵と努力で初めて獲得されるものなのです。

社会的な課題以外に、自然の変容との対峙が求められ

る時代になっています。人類の数は、地球の保持能力を

平成21年度繊維学部卒業証書・学位記授与式

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千 曲 会 報(10) 第 296 号 平成 22 年 6 月 1 日

超えるレベルに達しつつあることはすでに 40 年以上前に

ローマクラブの「成長の限界」に指摘されています。そし

て、資源、エネルギー、環境といった問題のすべてが同

時的に極めて深刻な状況を迎えていることはご存知の通

りです。加えて経済システム自体も怪しくなっています。

世界的な規模で、高いレベルでの教育が施され、その

結果として人類の総意として合理的な対応が図られない

限り、悲劇的な状況を強いられる多くの人々の苦悩を減

らすことはできません。また、これらを看過することで己

だけ生き延びようとする生き方も、決して我国の継続的な

安寧を担保することにはなりません。国際的な協調と連

携の中でのみ発展と安定が達成されるのです。

皆さんが、この学生時代に培ってきた知識や経験は決

して充分なものではありませんが、皆さんが、育んできた

と思われる「論理的にものごとを考える能力」と「学び取

ろうとする意欲」は、強力なツールとなる筈です。

ところで、(はなむけの言葉として)、少し古くなりますが、

九州大学医学部名誉教授の池見酉次郎先生の言葉を、古

今の哲人の言葉と合わせて、私なりに言い換えて送りた

いと思います。

(現代の人々に対する警告として)、皆さんが「社会を先

導する者」としてこれから生きていく上で、心に留め置い

て頂きたいと思います。

現代の社会は大衆社会であり、文化も大衆文化である。

それは生きる上で縦軸ではなく、平面的な横軸をめぐる

人間の営み関わるものである。大衆においては幸福追求

が熾烈、直接的で、問答無用の観があり、「勝つことが正

義」といった割り切り方が多い。ヤスパースによると「大衆

は待つことを嫌う」ため、大衆文化は性急な現実主義、快

楽主義、実用主義へ向かいながら、立ち止まって考える

ことを知らないため、混乱と悲劇に終わりがちである。自

己を支えるべき縦軸としての主体性の欠落がある。

現代の社会、文化は技術支配の社会でもあります。科

学も技術も人類の生存と発展のために測り知れない貴重

な意味を持つことは自明でもある。しかし、大衆文化の直

中で、華やかな成果を挙げて実用化される場合、人々は

一も二もなく洗脳され、安価な実証主義(個人主義)に憂

き身をやつすことになることは必至である。

そこでは、「科学する心」や「技術的な創造」は問題では

なく、成果だけを貪ろうとする陶酔が社会を支配する。

人間は、自らの「心の背丈」をもっと伸ばして、人間を窒息

させる安易な科学思想や、排他的な考え方を乗り越え、

人間としてふさわしい謙虚さの徳を回復しなければなら

ない。

「論理が一切の決定力をもち、実存の内部にある諸々

の矛盾を捨象し、生きるために苦悶する人間の姿を見失

う」といった(ヘーゲル流の考え方)ことのないように俯瞰

的な視点をもつ主体的な生き方を探らなければならない。

結果的に、「人になれた人というのは、苦悩を受け入れ

ることを学んだ人々であり、苦しみの重大さに見合う意義

を見いだし、その重荷を負える人」である。

重苦しいことばではありますが、要は、「自らの足でしっ

かり立ち、自らの未来をしっかり見据え、臆することなく

決然として生きろ」ということです。「自らを律し、多様性に

寛容をもち、協調しながら総体として正しく導き、生きる」

ことです。

日本国内のみならず、世界は、人類史上、あるいは地球

史の中で、初めて経験する大きなうねりの中にあります。

今年、創立 100 年を迎える繊維学部も皆さんとともに、

これからの 100 年に向け、衣食住のすべてに関わるファ

イバー工学を基盤とした科学技術を「世界をつなぎ、未来

を紡ぎ」ながらその新しい歴史を世界史の中に刻んでい

きます。来年、供用開始となる国際的規模のファイバーイ

ノベーションインキュベーターの設置と、産学官連携によ

る研究開発教育を実施する組織の発足は世界の注目する

取組です。

私たちは、これまでと同様に、皆さんの切り開く未来とと

もにあります。サミュエル・ウルマンの言葉を借りるなら、

青春や若さは、疑念(worry, cynicism 冷笑主義)、恐怖

(fear)、失望(self-distract, pessimism)とともに衰退し、信

念(convection)、自信(confidence)、希望(hope, desire,

aerials up and catche waves of optimism 楽観主義)とと

もに若さと活力が生まれるのです。未来は希望とともにあ

るのです。希望を持つ限り途はあり、未来は拓けるのです。

輝かしい未来が皆さんとともにあらんことを祈ります。

ご卒業、おめでとう。

くわえて、この 5 年間、皆さんとともに多様なご支援を

頂きました、皆様に深く感謝いたします。皆さんとともに

卒業です。ありがとうございました。

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千 曲 会 報 第296 号 (11)平成 22 年 6 月 1 日

私ども学部第 8 回卒業生は今春卒業して 50 年になる。

これを記念して学部卒業式に参列する行事を中心とする

記念事業を行った。その概要は次の通りである。

Ⅰ.4科合同記念同期会の開催学部卒業式の前日、3月23日夜、別所温泉「上松屋」に

て開催。全国から 29 名の仲間が集合。当時を回想し、

近況を語り合い至福の時を過ごした。10 年前に同じ 4科

合同の同期会を今は亡き同期生兎束伴之さん経営のホテ

ル「藤屋」で行っている。このときの出席者は 35 人、この

10 年間でなくなられた方が 5名。哀惜の想い止みがたく、

しばし時の流れを感じた。

Ⅱ.母校の後輩への奨学寄付金の募集事業これまでの先輩学年の卒業 50 年の記念事業にならい、母

校の後輩のために奨学寄付金の募集を行った。在学生の勉

学と研修活動の援助として多数の同輩が浄財を寄せた。

Ⅲ.卒業 50周年記念母校訪問行事1.母校見学

卒業式当日、3 月24日朝、別所から旅館のマイクロ

バスで一同懐かしい繊維学部へ直行。午前 9 時 30 分

より10 時 40 分まで、繊維学部の教育組織、研究プロ

ジェクト等の説明を受けた。我々の頃は学科は養蚕、

製糸、紡織、繊維化学の 4 学科であったが、現在は社

会のニーズに合わせ創造工学、化学・材料、応用生物

学の 3学系に括られる9学課程(学科に相当)になって

いる。今年は特にお願いして、先進ファイバー研究棟に

おける実験装置と実験の状況を見学させて頂いた。大

型複合溶融紡糸装置では 600WCO2レーザー装置が

紡糸線に設置されており、高速加熱による超高強度ポ

リエステル繊維の製造などが研究されていた。また静

電気力を利用してナノサイズの繊維を作るエレクトロス

ピニング法については、金属蒸着のナノファイバーの研

究、溶媒フリーのレーザーエレクトロスピニング法によ

る繊維直径 1 μ m以下の繊維による不織布の製造に

関する研究などが行われていた。他に最近話題の一着

丸ごと編み上げる島精機製の編み機も設置されており、

学生の実験に使われていた。我々が学生であった 50

年前と比べると隔世の観がある。優れた装置で最先端

の研究,教育が行われていることを実感した。

2.卒業式参列

11 時からは卒業式。我々 50 年前の卒業生一同は来

賓として丁重な案内を頂き、講堂二階左奥にかしこま

って着席した。今春の卒業生は 294 名とのこと。我々

の卒業時は 107 名であったから 3 倍近くの増加であ

る。思い思いにドレスアップした女子学生の姿が目に

付く。二階のバルコニーは我が子の卒業式を一目見よ

うと全国から集まった父母達で埋まっている。バルコ

ニーの手摺りは我々の頃は木製であったものが、真新

しい真鍮製に付け替えられている。講堂創設当時は

真鍮製であったが六十数年前の戦時中軍に供出され

木製になってしまっていた。それが今回学部創立 100

周年に合わせ、本来の真鍮製に付け替えられたのだと

言う。演壇の垂れ幕も新調されている。会場全体が

華やいだ平和な風景である。市長代理および北條同

窓会長の来賓挨拶に続いて、卒 50 年の同期生を代表

して中沢賢が贈る言葉を述べ、高沼重義が奨学寄付

金目録を学部長に手渡した。

奨学寄付金の贈呈

卒 50年生の学部卒業式列席風景

今年は学部創立 100 周年を迎える記念すべき年で

ある。この年に我々大学第 8 回卒業生は卒業 50 周年

を迎えた。100 年の歴史の中のちょうど真ん中で卒業

したことになる。誠に奇しき縁である。卒業したのは

遠い昔と感慨にふけりながらも、ふと卒業したのはつ

い最近のような幻想に引き込まれる。

学8回 卒業50周年記念事業報告

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千 曲 会 報(12) 第 296 号 平成 22 年 6 月 1 日

応用生物学系

木口 憲爾

繊維学部に平成 6 年 4 月

から 16 年間お世話になり、

去る 3 月末に定年退職しま

した。まさに光陰矢のごとしで時の経つ速さには驚くばか

りです。とはいえ一方では、任期中に思いがけない国立

大学の法人化や学部再編などがあり、時代の転換点とも

いえる激動の長い 16 年間であったようにも思われます。

この間、応用生物科学科の学科長を 2 期 4 年間、評議員

を 3期 6 年間及び付属農場長を 3期 5 年間勤めさせてい

ただきました。力不足でご期待に沿えずご迷惑をおかけ

したことも多々あったことと存じますが、なんとか役割を

終えて定年を迎えることができたのは、ひとえに先輩諸氏、

教職員及び卒業生・学生の皆様方のご指導・お力添えに

よるものであり、感謝の気持ちで一杯です。心から厚く御

礼申上げるとともに、至らなかった点について幾重にもお

詫び申上げます。

改めてこの 16 年間を振り返って、つくづく思うのは縁の

不思議さと有難さです。東京農工大学出身の私が信州大

学繊維学部にお世話になろうとは思いもよらないことでし

た。学生時代に三大学体育祭のバレーボールの試合で上

田にお邪魔したこと、農林省蚕糸試験場に赴任して最初に

研究の手ほどきをしていただいた上司が信州大学ご出身

の大井秀夫さんだったこと、長島栄一先生がまだ駆け出し

の私を上田にお呼びいただき学生と一緒に歓待して下さ

ったこと、学位を指導していただいた吉武成美先生(東京

大学)が信州を愛し「信州大学に移りたいものだ」と常々話

しておられたこと、そして武井隆三先生からお誘いのお便

りをいただいたことなどが、次 と々懐かしく思い出されます。

どれもこれもみな一本の縁という不思議な糸で繋がってい

たような気がしてなりません。信州大学にお世話になって

からも、多くの教職員の方々、そしてたくさんの学生の皆さ

んと一緒に仕事・研究をすることができました。研究所勤

務だけでは広がらない縁の世界です。いま、夫神岳、女神

岳や独鈷山に囲まれた塩田平に住まい、時おりやってくる

近くに嫁いだ娘夫婦と孫を見やりながら、縁の不思議さと

有難さをつくづく思っている次第です。

今年、繊維学部は最も望ましい形で創立 100 周年を迎

えていると思います。楽しみにしているのは、繊維学部の

さらなる発展と、縁あって一緒に過ごした卒業生・学生の

みなさんの一層の活躍です。世の中厳しさを増すなかご

苦労も多いと存じますが、くれぐれも健康に留意されご活

躍下さいますようお願い申しあげます。

末筆ながら、お世話になった皆様方に再度御礼申し上

げ、退職の挨拶に代えさせていただきたいと思います。

誠にありがとうございました。

■退職の挨拶

3.記念昼食会

午後 1時頃より学内マルベリーホール 1階の食堂に

おいて、北条舒正先生、一志淑夫先生、白井汪芳元学

部長、平井利博学部長、濱田州博次期学部長(4月より)

にご出席いただき、それぞれ近況やら学部の状況など

についてお話を伺った。仲間のスピーチなどもあり、

和やかな楽しいひとときを過ごした。

今回の事業は地元(長野県)在住の同期生が幹事を引

き受け、独断専行でやらせて頂いた。ご協力をいただい

た関係各位に厚く御礼を申し上げます。

幹 事 養 蚕 科:和田宗昭、高沼重義

製 糸 科:久保幸彦、関本健一

紡 織 科:若林英雄、中沢 賢

繊維化学科:山田邦男、塚原保人

上田市中央1丁目7-16(横町) TEL.0268-22-0443・24-1248

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千 曲 会 報 第296 号 (13)平成 22 年 6 月 1 日

㈱アイネス〈2〉,アリコジャパン,㈱カイゲン,カネ美

食品㈱,カバレディースクリニック,㈱環境科学コーポ

レーション,サイトサポート・インスティテュート㈱,

CRC 出版,自衛隊,塩野義製薬㈱,シミック㈱,高崎

市役所,㈱ツルヤ,東京 CRO ㈱,栃木県(高校教諭),

日穀製粉㈱,新田ゼラチン㈱,日本ミルクコミュニティ

㈱,㈱野村総研,ファイザー㈱〈2〉,不二製油㈱,㈱マ

ツヤ,マルコメ㈱,丸善食品工業㈱,みたけ食品工業㈱,

㈱ミノヤランチサービス,ローマイア㈱,愛知時計電機

㈱,アグレックス㈱,石川県工業試験場,エア・ウォー

ター㈱,賢島グランドホテル,㈱キッツ,�協和精機製

作所,サカイオーベックス㈱〈2〉,山洋電気㈱〈2〉,シ

チズン電子㈱,ダイシン工業㈱,ダイワボウポリテック

㈱,㈱タチエス,タビオ奈良㈱,テルモ㈱,㈱電算,東

海染工㈱,東芝㈱〈3〉,東芝 IT コントロールシステム

㈱,長野県警察〈2〉,長野電子工業㈱,長野日本無線㈱,

�日本紡績検査協会〈2〉,長谷虎紡績㈱,花村産業㈱,

㈱日立情報システムズ,ポリマテック㈱,松山㈱〈2〉,

㈱ワコール,アイシン AW㈱,アヴァシス㈱,アブラ

イトマテリアルジャパン㈱,維科控股集団股個有限公司

(VEKEN),イベント企画,㈱今仙電機製作所,SUS㈱,

㈱ NTT データー・ソルフィス,㈱ NTT ネオメイト,

㈱NTTデーター,エムケー精工㈱,㈱岡村製作所,㈱

コガネイ,KOHO HOME TEXTILE,三洋電機㈱,シ

ャープ㈱,㈱情報システム工学,スズキ㈱,セイコーエ

プソン㈱,ダイハツ工業㈱,大陽日酸㈱,多摩川精機㈱,

デジタルプロセ㈱,東京エレクトロン㈱,長野市役所,

鍋林㈱,日興製薬㈱,日本電産サンキョー㈱,日本電子

㈱,日本特殊陶業㈱,パナソニック㈱オートモーティブ

システムズ社,㈱日立エンジニアリングアンドサービス,

フタバ産業㈱,本田技研工業㈱〈3〉,㈱マキタ,㈱丸信

製作所,三井造船㈱,三菱電機エンジニアリング㈱,三

菱レイヨン㈱,ミネベア㈱,㈱安川電機,YKK㈱〈2〉,

アドバンテック㈱,㈱アービック,㈱クレハ,KBセー

レン㈱,㈱コーワ,昭和興産㈱,昭和電線ホールディン

グス㈱,㈱ソトー,WDB エウレカ㈱,㈱丹羽鉄工所,

東セロ㈱,長野県上級職員,南部化成㈱,日星電気㈱,

�日本化学繊維検査協会〈2〉,日本電気硝子㈱,㈱ハイ

本年 3 月に卒業いたしました繊維学部,学部,大学院学生の就職先は,次に示しました 211

の企業,財団法人,公的機関です.諸先輩方のご指導,何卒よろしくお願いいたします.

(企業名は順不同です.〈 〉内の数字は就職人数です.〈 〉のないものは 1名です)

テック〈2〉,㈱パスカル,㈱半導体エネルギー研究所,

㈱富士通コンピュータテクノロジーズ,富士フィルムグ

ラフィックシステムズ㈱,藤森工業㈱,㈱ホーライ,マ

ルアイ石灰工業㈱,㈱メンテック,㈱リンテック,

YKK AP ㈱,アイシン化工㈱,アイシン高丘㈱,旭テ

ック㈱〈2〉,伊藤忠エネクスホームライフ中部㈱,オリ

オン機械㈱,㈱倉本産業,新光電気工業㈱〈5〉,住友電

装㈱,㈱スリーボンド,㈱第一テクノ,㈱大気社,大日

本印刷㈱〈2〉,TDK ㈱,東芝ソリューション㈱,

DOWAホールディングス㈱,長野計器㈱,ニイミ産業

㈱,日揮プロジェクトサービス㈱,(財)日本染色検査

協会,日本バイリーン㈱〈2〉,富士石油㈱,メタウォー

ター㈱,森川産業㈱,ルビコン㈱,㈱ロイネ,オリンパ

ス㈱,キッセイ薬品工業㈱,㈱キミカ,共栄樹脂㈱,共

和レザー㈱,三洋精密㈱,JR 東日本㈱,JA群馬電算セ

ンター,シキボウ㈱〈2〉,㈱ジーシー,神東塗料㈱,㈱

鈴木,スズラン㈱,住友大阪セメント㈱,積水化学工業

㈱,積水メディカル㈱,センコー㈱,ソニーエナジーデ

バイス㈱,ダイセル化学工業㈱,大八化学工業㈱,中部

電力㈱,中菱エンジニアリング㈱,帝国ピストンリング

㈱,電気化学工業㈱,東京応化工業㈱,凸版印刷㈱,長

野オリオン販売㈱〈2〉,日信工業㈱,日本郵政㈱,㈱日

立ディスプレイズ,富士通インターコネクトテクノロジ

ー㈱〈2〉,ぺんてる㈱,三重県労働者住宅生活協同組合,

横浜ゴム㈱〈2〉,アツギ㈱,㈱オカムラ物流,㈱クレオ,

カシオ計算機㈱,カテナ㈱,㈱河合楽器製作所,㈱啓明

商事,㈱サイゼリヤ〈2〉,JA全農長野〈2〉,㈱ JAL エ

ンジニアリング,生活協同組合コープながの,ゼブラ㈱,

大成建設㈱,㈱ダイフク,大和ハウス工業㈱,タカラベ

ルモント㈱〈2〉,㈱デサント,長野県厚生農業共同組合

連合会,�日本繊維製品品質技術センター,阪和興業㈱,

㈱日立システムアンドサービス〈2〉,福助㈱,㈱富士通

長野システムエンジニアリング,�ベターリビング,明

治安田生命保険�,安井家具㈱,楽天㈱

〈進学〉信州大学大学院工学系研究科: 182 名,信州大

学大学院総合工学系研究科: 5名,信州大学繊維学部研

究生: 4名,信州大学外進学: 24 名

平成21年度 繊維学部,学部,大学院学生就職先

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千 曲 会 報(14) 第 296 号 平成 22 年 6 月 1 日

平成 22 年 4 月 6 日に松本市総合体育館にて信州大学

合同入学式が行われました。繊維学部には本年度は創造

工学系 97 名、化学材料系 110 名、応用生物学系 77 名、

合計 294 名のが入学しました。また、平成 22 年 4 月 9

日には長野県民文化会館にて大学院工学系研究科 200

名、大学院総合工学系研究科 14 名の入学式が執り行わ

れました。新入生の皆様、ご入学おめでとうございます。

信州大学では、課外活動の振興に功績があった者、社

会活動において優れた評価を受け本学の名誉を高めた者

などに対して学生表彰が行われています。去る 4月 6日

(火)、入学式に引き続き学生表彰状授与式が開催され、

繊維学部関係では以下の 2件が表彰されました。

【学長賞】オンデマンドリメイク(代表:信州大学大学院工学系

研究科感性工学専攻 1年 大重幸人);ハナカサ軍手ィ

(ぐんてぃ)プロジェクトによる上田地域の商店・小学

校への貢献に対して表彰

【功労賞】信州大学ベンチャー・ビジネス・ラボラトリーの P-

DEX(Project-Device Expert 活動)(応用生物科学科 4

年 和泉文徳、素材開発化学科 3年 栗林奈津子、戸谷

佑衣、鈴木佑佳、感性工学科 3年 渡辺 新、応用化学

課程 2年 清水 良);液体クロマトグラフ質量分析装

置(LCMS)部門所属の学生による論文が Analytical

Sciences 誌に記載されたことに対して表彰

平成22年度 繊維学部、工学系研究科、総合工学系研究科入学式

信州大学 学生表彰において 繊維学部関係2件が表彰される

2009年 日本感性工学会大会で「大会優秀発表賞」を受賞

大学院工学系研究科感性工学専

攻修士 2年の角田真希さんは、2009

年 9 月8日~ 10日に芝浦工業大学

において行われた 2009 年日本感性

工学会大会において、前年度に行わ

れた発表に対し、「大会優秀発表賞」

を受賞しました。発表題目は、「ブラ

ンド用衣服素材価値検討のための基礎研究-海外ブランド

素材の構造と物性の特徴-」です。

日本セラミックス協会第22回シンポジウムで「ポスター賞」を受賞

工学系研究科精密素材工学専攻

修士 1 年の加藤久登さんは、2009

年 9 月16日~ 18日に愛媛大学で行

われた日本セラミックス協会第 22

回シンポジウムにおいて、「α-

NaFeO2 型酸化ルテニウムナノシー

ト透明導電膜の作製」と題する発表

を行い、「ポスター賞」を受賞しました。

学生の学会賞受賞 (受賞者の学年は、受賞時)

第40回 中部化学関係学協会支部連合秋季大会で、「高分子学会東海支部優秀学生発表賞」を受賞

工学系研究科精密素材工学専攻

修士 1 年の関 崇史さんは、2009

年 11 月7日~ 8日に岐阜大学工学

部で行われた第 40 回中部化学関

係学協会支部連合秋季大会におい

て、「ポリアニリンナノチューブへの

金属ナノ粒子の坦持とその電磁気

特性」と題する発表を行い、「高分子学会東海支部優秀学

生発表賞」を受賞しました。

第52回 自動制御連合講演会で「優秀発表賞」を受賞

繊維学部繊維システム工学科 4

年の奥本理沙さんは、2009 年 11 月

21日~ 22日に大阪大学で行われた

第 52 回自動制御連合講演会にお

いて、「レーザスペックル法による植

物状態計測」と題する発表を行い、

優秀発表賞を受賞しました。加藤久登さん

角田真希さん 関 崇史さん

奥本理沙さん

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千 曲 会 報 第296 号 (15)平成 22 年 6 月 1 日

1.緒言睡眠の快適性は、睡眠時の心身状態、寝具の特性およ

び睡眠環境によって決定される。さらに、人間の体型や身

体の硬さも加わり、総合して寝心地に関する生理心理状

態に至ると考えられる。人間が寝具上に寝れば、生体内

に変形が生じる。人間は接触による生体内変形を検出す

ることによって感覚を得ているため、寝具上に寝たときに

生じる生体内の変形や応力ひずみを知ることができれば、

有益な情報になり得る。よって、生体内変形を推定可能

なコンピュータシミュレーションは有効であると考えられ

る。そこで本研究では、体型と身体の硬さといった身体

的要因と寝具の材料特性、特に、ベッドマットレス硬さの

関係に注目し、コンピュータシミュレーション手法の一つで

ある有限要素法を用いて、人体とベッドマットレスの二次

元モデルを構築し、寝心地に関する解析を行った。

2.方法産業技術総合研究所の人体寸法データベースを参照

し、平均値データを用いて男性および女性の二次元人体

有限要素モデルを構築した。女性の人体寸法は大腿厚の

み男性の人体寸法より大きく、他の寸法は男性が大きいと

いう特徴があり、男女間で体型の違いがある。人体モデ

ルは骨・靭帯・椎間板および生体軟組織(皮膚や筋肉など

をまとめて生体軟組織とした)から構成され、マットレスモ

デルは均一な素材とし、簡易な二次元モデルとした(図 1)。

図 1 二次元有限要素モデル(男性モデル)

骨・靭帯・椎間板は文献値を用いて、ヤング率とポアソ

ン比を設定した。人間が寝ている状態を再現できるよう

に重力加速度をかけ、人体とマットレス間に接触要素を導

入した。von Mises 相当応力を寝心地の評価指標として、

腰部周辺の生体軟組織の応力が減少すると、負担が減少

し、寝心地が向上すると仮定した。本研究では、生体軟

組織のヤング率を 0.1MPa から 1.0MPa まで仮想的に設

定した後に、ベッドマットレスのヤング率を変化させなが

ら反復有限要素解析を行い、腰部の応力が最も低いとき

のマットレスのヤング率(負担の少ないマットレス硬さに相

当)を求めた。解析ソフトはANSYS Ver.10 を用いた。

3.結果と考察解析結果からマットレスのヤング率が低すぎても高すぎ

ても腰部に発生する応力が大きくなった。よって、適度な

硬さのベッドマットレスが好ましいと推定される(図 2は生

体軟組織とマットレスのヤング率がそれぞれ 0.5MPa と

0.02MPa の際の応力分布)。

図 2 有限要素解析結果(応力分布)

図 3 は、生体軟組織のヤング率を仮想的に設定したと

き、反復有限要素解析によって求められた腰部の最小応

力を発生させるベッドマットレスのヤング率を、生体軟組

織のヤング率に対してプロットしたものである。図 3 から

生体軟組織の硬さの違いにより負担の少ないベッドマット

レス硬さは異なることが分かる。また、男女間で比較する

と、同じ生体軟組織の硬さでも負担の少ないベッドマット

レス硬さが異なっており、これは男女間で体型が異なるこ

とが一つの要因だと考えられる。よって、体型や生体軟組

織の硬さの違いによって負担の少ないベッドマットレス硬

さは異なると推察される。

図 3 生体軟組織とマットレスのヤング率の関係

0 0.36MPa

ベッドマットレスの寝心地に関する研究�上田繊維科学振興会研究助成報告

創造工学系 吉田 宏昭

Page 16: THE CHIKUMAKAIHO 千曲会報 Noではございますが、繊維学部の発展に向けて精一杯任務 を遂行したいと思っております。千曲会の皆様におかれ

千 曲 会 報(16) 第 296 号 平成 22 年 6 月 1 日

田口印刷株式会社 長野県上田市殿城425-1 〒386-0004 TEL(0268)22-0680 FAX(0268)24-7757 E-mail:taguchi425@po14.ueda.ne.jp

○平成 21年 3月 31 日付 退職教員

応用生物学系 教授 木口 憲爾

助教 矢嶋 征雄

ヒト環境科学研究支援センター 助教 福島 達也

創造工学系  助手 岩佐 昌征

○平成 21年 3月 31 日付 事務系職員退職者

繊維学部学務G 主査 清水 洋一

○平成 21年 4月 1日付教員採用者

応用生物学系 教授 西川  敦

○平成 21年 4月 1日付 教員異動

繊維学部学部長 濱田 州博

繊維学部評議員 下坂  誠

繊維学部評議員 森川 英明

繊維学部副学部長 阿部 康次

繊維学部副学部長 橋本  稔

繊維学部学部長補佐 平林 公男

繊維学部学部長補佐 上條 正義

創造工学系長  西松 豊典

化学・材料系長 本吉谷 二郎

応用生物学系長 保地 眞一

○平成 21年 4月 1日付 事務系職員異動

繊維学部副学部長補佐(事務担当) 山田  隆

繊維学部主査(学務G) 小野 英二

繊維学部主査(学務G) 藤沢 智恵

繊維学部主任(研究支援・会計G) 赤川 雅志

繊維学部主任(研究支援・会計G) 大山  繁

○平成 21年 4月 1日付 昇進

応用生物学系 教授 梶浦 善太

○平成 21年 5月 1日付 教員採用者

応用生物学系 准教授 堀江 智明

■「千曲会のホームページ更新完成」

長らくご不便をお掛けしておりました千曲会のホーム

ページの更新が完成しました。出来る限り最新の情報

を掲載するように努力致しますのでご覧ください。支会

総会、同期会、サークルなどの連絡にもご利用ください。

書込み方法は千曲会事務局へおたずね下さい。

■「千曲会報No.297 号の発刊日変更」

千曲会報は、1 月、6 月、10 月の下旬にお届けしてい

ますが、本年は 10 月を 9 月に繰上げてお届けすること

になりました。本年の 9 月号には、10 月下旬に開催さ

れる繊維学部創立 100 周年記念事業の詳細なご案内

を掲載いたします。

4月1日に濱田新学部長が就任されました。繊維学部は

濱田学部長のもとさらなる発展を目指して進んでいきます。

いよいよ信州大学繊維学部創立 100 周年記念式典・

講演会(10月23 ~ 24日)が近づいてきました。本会報に

は 100 周年記念事業の概要と御案内についての記事を

掲載しました。また、記事にあるように既に 100 周年記念

事業として「疾走するファイバー」展常設展示および「繊維

学部資料館」開館記念式典が行われました。「繊維学部

資料館」は明治 44 年竣工のレンガ倉庫(旧貯繭庫)を改

装したものです。創立 100 周年記念で御来学する際のご

参考になれば幸いです。

【千曲会報編集委員】

藤松  仁 河村  隆 林  光彦 滝沢 辰洋

渡辺 真志 藤本 哲也 寺本  彰 田中 稔久

児山 祥平 野川 優洋

繊維学部人事異動

編集後記千曲会事務局からのお知らせ