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WTO ドーハ・ラウンド交渉 大臣官房国際部

WTOドーハ・ラウンド交渉 - maff.go.jp · 2019-04-12 · WTOドーハ・ラウンドの流れ(農業交渉を中心に) 05年 12 月 04年 7月 01年 月 11月 00年 3月

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平 成 2 6 年 9 月

WTOドーハ・ラウンド交渉

大臣官房国際部

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○ 農業、鉱工業、サービスの自由化のみならず、貿易円滑化、アンチ・ダンピング等のルールの策定、強化も含んだ、包括的な貿易交渉。2001年にカタールのドーハで交渉が開始されたことから、ドーハ開発アジェンダ(ドーハ・ラウンド)という。

○ 貿易を通じた途上国の開発が最重要課題の一つ。

主な交渉分野

農 業 関税・国内補助金の削減、輸出補助金の撤廃等に関する交渉

NAMA (鉱工業品分野)

鉱工業品及び林水産品の関税・非関税障壁の削減等に関する交渉

ルール ダンピング防止及び補助金(漁業補助金を含む)及び地域貿易協定についてのルールに関する交渉

サービス サービスの市場アクセス(外資規制等)、国内規制(免許制等)、サービス分野におけるルール(セーフガード等)に関する交渉

TRIPS (知的財産権)

地理的表示(GI)の多国間通報登録制度の設立

開 発 途上国に対する「特別かつ異なる待遇」(S&D)の検討等

貿易円滑化 税関手続の透明性・予見可能性・公平性の向上、簡素化・迅速化の促進を目的とする交渉

環 境 環境物品の関税等の削減・撤廃等

ドーハ・ラウンド交渉とは

(下線は農林水産関係分野)

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<米国と新興国との対立>

新興国

●自分達は途上国であり、各種の柔軟性が認められるべき(開発ラウンド)

●米国がさらに求めるなら、バランス上先進国は農業の補助金をさらに削減するべき

WTOドーハ・ラウンドの流れ(農業交渉を中心に)

05年 12月

04年 7月

01年 11月 12月

00年 3月

枠組み合意

ドーハ閣僚会議

(輸出補助金撤廃・

LDC対策等を決定)

農業交渉開始

香港閣僚会議

閣僚会議

08年 7月

第8回閣僚会議

11年 12月

第9回閣僚会議

(インドネシア・バリ)

1年以内に残された課題等について、作業計画を作成する。

(「多様な農業の共存」

を主張)

米国

●新興国はその経済規模に見合った責任を負うべき

●今のモダリティ案では新興国市場から何が得られるか不明確(鉱工業品・農業・サービス)

対立

カンクン閣僚会議

03年 9月

○2004年の枠組み合意以降、モダリティ確立を目指すも、米国と新興国との対立等により合意に至らず。

○2012年以降、近い将来の一括合意(モダリティ合意)を諦め、部分合意を追求。

○2013年12月、農業分野の一部、貿易円滑化、開発の3分野からなる「バリ・パッケージ」に合意。

<基本的な交渉の流れ>

① 枠組み交渉

関税削減方式の考え方など、モダリティの前提となる大枠を設定

② モダリティ交渉

関税削減率など、具体的な数値や詳細な要件などが入った各国共通ルール(モダリティ)の確立

③ 譲許表交渉

「品目Aの関税率はX%とする」など、各国ごとに、具体的な約束を決定

(モダリティ合意に失敗)

(ラウンド立上げ)

(モダリティ合意決裂)

13年 12月

(農業分野を含む「バリ・

パッケージ」に合意)

(部分合意をめざす

と確認)

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○ 農業交渉においては、米国・EU等の主要国のほか、食料純輸入国で構成するG10、有力途上国が属するG20、途上国の特別扱い(S&D)に関心の高いG33、食料輸出国で構成するケアンズ・グループ等 が存在。

○ 我が国はG10に所属。G10諸国と連携し、食料純輸入国としての立場を交渉のあらゆる場面で主張。

(有力途上国グループ)

【輸入国】

【輸出国】

EU

【先進国】

【途上国】

米国

G20

インド

ブラジル

中国

カナダ

豪州

ケアンズ・グループ

G10

(食料輸入国グループ)

G33

インドネシア

(途上国の優遇措置に関心が高いグループ)

(食料輸出国

グループ)

G10

・日本 ・スイス ・ノルウェー ・韓国 ・台湾 ・アイスランド ・イスラエル

・リヒテンシュタイン ・モーリシャス

各国の立場

農業交渉をめぐる主要国・グループ

農業の

多面的機能を重視

3

交渉にのぞむ我が国の考え方: 多様な農業の共存

・食料安全保障の確保 ・農業の多面的な機能への配慮

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分野 交渉の目的

市場アクセス

関税削減や関税割当(低関税輸入枠)の拡大などにより、農産物等の貿易機会を実質的に改善。

国内支持

価格支持政策や生産刺激的補助金など、貿易に歪曲的な影響を及ぼす国内農業施策を実質的に削減。

輸出競争 輸出補助金など、輸出の競争力に歪曲的な影響を及ぼす補助金の撤廃。

0%

600%

400%

200%

800%

コメ 小麦 大麦 脱脂粉乳 バター でん粉 粗糖 雑豆

55円/kg(252%)

29.8%+ 985円/kg(360%)

71.8円/kg(328%) 21.3%+

396円/kg(218%)

119円/kg

タピオカでん粉(583%)

341円/kg (精米:778%)

39円/kg(256%)

354円/kg

小豆(403%)

我が国における高関税品目の例

国土条件などにより、外国と国内で特に価格差が大きいコメ、小麦、乳製品等一部の品目は高関税。

農業交渉(主要3分野)

※()内は従価税換算値。従価税換算値は、ドーハ・ラウンドで各品目の関税削減率を検討するため、加盟国で合意された統一ルールに従い、99~01年の輸入価格等を基に換算したもの。

○ ドーハ・ラウンドでは、①市場アクセス、②国内支持、③輸出競争を主要3分野として農業交渉が行われている。

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第9回閣僚会議の決定内容(バリ閣僚宣言:2013年12月)

○ 農業の一部、貿易円滑化、開発の3分野からなる「バリ・パッケージ」及びポスト・バリの作業計画の作成に合意。

○ 特に、貿易円滑化については、1995年のWTO設立以来、加盟国全体で合意された初めての協定であり、停滞するWTO交渉の信頼回復に寄与するものと期待。

○ 開発と後発途上国(LDC):WTO各種協定の途上国への優遇措置に関するモニタリング・メカニズムの立ち上げ、LDC向け特恵原産地規則ガイドライン、サービス特恵具体化のための手続き、無税無枠に向けた改善努力を決定。

○ 貿易円滑化協定:税関手続きの透明性の確保、簡素化、迅速化の推進等を規定した

協定。(ただし、一般理事会の下に貿易円滑化準備委員会を設置し、協定条文の法的レビューを今後実施)。

農 業

貿易円滑化

開 発

○ 公的備蓄:途上国の食料安全保障を目的とした公的備蓄政策について、紛争解決手続きに訴えない例外的な暫定措置。2017年までに恒久措置の採択を目指す。

○ 関税割当の運用:関税割当について、割当手続の透明性の向上等を通じて運用改善を図る措置。4年以内に全体レビューを行い、2019年のMC12で運用改善の見直し。

○ 輸出競争:2013年末までに輸出補助金を撤廃するとした香港閣僚宣言を踏まえ、輸出補助金等の抑制を促進。年に一度、農業委員会で進捗状況を検証。

○ 貿易交渉委員会において、1年以内に、DDAの残された課題について作業計画を作成。農業、開発及びLDCの課題に関する今回の閣僚会議の決定やドーハ・マンデートのその他のすべての課題を念頭に置き作成。

1.バリ・パッケージ

3.その他:イエメンの新規加盟の承認(160番目の加盟国)等。 5

2.ポスト・バリの作業

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参考資料

・WTO全般に関する資料・・・・7

・農業に関する資料・・・・・・・10

・農業以外の交渉に関する資料・・14

・バリ合意に関する資料・・・・・19

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複数国間協定 ITA委員会

(機構図)

○ 1995年にスイス・ジュネーブに設立された、国際貿易に関するルールを取り扱う唯一の包括的な国際機関。

○ 2014年6月現在、160カ国・地域が加盟(2014年にはイエメンが正式加盟)。

○ 主な業務は、①世界共通の貿易ルールづくりのための貿易交渉、②貿易に関する紛争解決など。

WTO(世界貿易機関 World Trade Organization)

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:報告 :情報提供

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WTO加盟国一覧 1.アジア地域

インド、インドネシア、カンボジア、シンガポール、スリランカ、タイ、大韓民国、日本、パキスタン、バングラデシュ、フィリピン、ブルネイ、香港、マカオ、マレーシア、ミャンマー、モルディブ、モンゴル、中華人民共和国、台湾、ネパール、ベトナム、ラオス、タジキスタン

2.北米地域

アメリカ合衆国、カナダ

3.中南米地域

アルゼンチン、アンティグア・バーブーダ、ベネズエラ、ウルグアイ、エクアドル、エルサルバドル、ガイアナ、キューバ、グアテマラ、グレナダ、コスタリカ、コロンビア、ジャマイカ、スリナム、セントビンセント、セントクリストファー・ネーヴィス、セントルシア、チリ、ドミニカ、ドミニカ共和国、トリニダード・トバゴ、ニカラグア、ハイチ、パナマ、パラグアイ、バルバドス、ブラジル、ベリーズ、ペルー、ボリビア、ホンジュラス、メキシコ

4.欧州地域(NIS諸国含む)

アイスランド、アイルランド、アルメニア、欧州共同体(EC)、イタリア、ウクライナ、エストニア、オーストリア、オランダ、ギリシャ、キルギス、キプロス、スイス、スウェーデン、スペイン、スロバキア、スロベニア、チェコ、デンマーク、ドイツ、ノルウェー、ハンガリー、フィンランド、フランス、ブルガリア、ベルギー、ポーランド、ポルトガル、マルタ、ラトビア、リトアニア、リヒテンシュタイン、ルーマニア、ルクセンブルク、英国、グルジア、アルバニア、クロアチア、モルドバ、マケドニア、モンテネグロ

5.大洋州地域

オーストラリア、ソロモン、ニュージーランド、パプアニューギニア、フィジー、トンガ、サモア、バヌアツ

6.中東地域

アラブ首長国連邦、イスラエル、カタール、クウェート、トルコ、バーレーン、ヨルダン、オマーン、サウジアラビア、イエメン

7.アフリカ地域

アンゴラ、ウガンダ、エジプト、ガーナ、カーボヴェルデ、ガボン、カメルーン、ガンビア、ギニア、ギニアビサウ、ケニア、コンゴ共和国、コンゴ民主共和国、ザンビア、シエラレオネ、ジブチ、ジンバブエ、スワジランド、セネガル、コートジボワール、タンザニア、チャド、中央アフリカ、チュニジア、トーゴ、ナイジェリア、ナミビア、ニジェール、ブルキャナファソ、ブルンジ、ベナン、ボツワナ、マダガスカル、マラウイ、マリ、南アフリカ共和国、モーリシャス、モーリタニア、モザンビーク、モロッコ、ルワンダ、レソト

合計160の国と地域(2014年6月時点、2014年に新たにイエメンが正式加盟。)

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○ケネディ・ラウンド(1964~67)

EEC(ECの前身の一部)の成立への対処。鉱工業品関税の一括引き下げが中心

○東京ラウンド(1973~79)

米国の国際収支悪化、競争力低下に端を発する保護主義への圧力への対処。

補助金やダンピング防止など非関税障壁のルールを追加。

○ウルグアイ・ラウンド(1986~94)

NAFTAや米国の一方的貿易政策への対処。

新しい分野の拡大(サービス、農業、知的財産権)、高度な自動性を持った紛争解決手続きを導入。

○ドーハ・ラウンド(2001~)

これまでの主な貿易交渉(GATT~WTO)

○ 最恵国待遇: 全ての加盟国に同等の貿易条件を与えること。 ○ 内国民待遇: 輸入品を国産品と同様に扱うこと。

2大原則

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ガット・ウルグアイラウンド農業合意の概要

1995~2000年までの6年間(実施期間)に、①国内支持、②市場アクセス、③輸出競争の3分

野の保護をそれぞれ引き下げていくことを約束。

10

区 分 削減対象 削減方式(1995~2000年の6年間で実施)

国内支持

価格支持

補助金等

① 生産を増加させる効果のある政策措置について助成合計量を計算し、実施期間中に20%削減

② 生産を増加させない補助金(環境補助金等)は削減の対象外

市場アクセス 関 税

① 原則として、輸入数量制限等全ての関税以外の国境措置を内外価格差を基に関税に置換え(関税化)。

② 農産物全体で関税を平均36%(品目毎に最低15%)削減。

<カレント・アクセスとミニマム・アクセスの設定>

関税化品目については、最低限の輸入機会の提供が義務付けられた。基準期間(1986~88年)の国内消費量に対する平均輸入数量が、

① 5%以上のものは、その輸入数量を維持すること(カレント・アクセス機会)、

② 5%未満だったものは、実施期間の1年目に国内消費量の3%、6年目に5%の輸入数量とすること(ミニマム・アクセス機会)、

が設定された。

(コメは、関税化の例外として、実施期間の1年目に4%、6年目に8%の輸入数量とすることを約束したが、5年目(1999年)に関税化したため、現在は7.2%の輸入数量となっている。)

輸出競争 輸出補助金 金額で36%、対象数量で21%削減(我が国はなし)

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貿易歪曲性がないか最小限 ・試験研究 ・基盤整備 ・生産に関連しない収入支持 等

(農業協定に要件が詳細に列挙されている)

緑の政策

農業生産額の5%以下の助成

(生産全体に大きな影響は与え

ないという位置付け)

デミニミス

直接支払いのうち、生産調整等の要件を満たすもの

(「黄」と「緑」の中間との位置付け)

青の政策

最も貿易歪曲的な国内支持

(デミニミス、青、緑以外)

黄の政策(AMS)*

・市場価格支持

・不足払い 等

○ 国内支持:国内農業のために用いられる補助金のほか、市場価格支持(価格保証)など。

○ 黄の政策(AMS):ウルグアイ・ラウンド合意で、貿易に悪影響があるとして、削減対象となった国内助成のこと。市場価格支持や不足払いなど。

WTO現行協定における国内支持に関する規律の概要

*AMS: Aggregate Measurement of Support(助成合計総量)

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各国の黄色の政策(AMS)の水準

日本 (2012) 米国 (2011) EU (2010)

約束水準の9%

(91%削減)

約束水準の24%

(76%削減)

約束水準の15%

(85%削減)

7,559 〔2.0%〕 3,714

〔1.2%〕

303,901

6,089 〔7.0%〕

87,183

39,729

農業総産出額 2000年約束水準 AMS実績(億円)

○ 最も貿易歪曲的な補助金(「黄」の政策)について、我が国は農政改革により、既に約束水準の15%

まで削減。

<日本、米国及びEUにおける国内支持の実績値(億円)>

注:WTO通報に基づく。〔 〕内の数値は農業総産出額に占める割合。

日本(2012年) 米国(2011年) EU(2010年)

緑の政策 99,856 79,115 18,768

青の政策 0 3,653 1,552

デミニミス 7,753 1,619 2,199

黄の政策(AMS) 3,714 7,559 6,089

合計 111,323 〔36.6%〕 91,946 〔24.2%〕 28,608 〔32.8%〕

379,978

83,989

15,246

12

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現行農業協定 モダリティ案

・ 実施期限の定めなし(いつまででも輸出禁止・制限措置を維持することが可能)

・ 現行の措置は実施初年度に撤廃

・ 新規の措置は原則1年以内に撤廃

・ 輸出禁止・制限措置を新設する国は、農業委員会に実行可能な限り事前かつ速やかに通報

・ 新規の措置を導入する加盟国は通報後、関心国と協議し、農業委員会に報告※

・ 農業委員会における輸出禁止・制限措置に対する監視機能の強化※

※我が国とスイスの 共同提案を反映

輸出規制に対する規律

○ 輸出規制とは、自国の農産物等の輸出を抑制する輸出禁止・制限措置のこと。

○ 我が国は、食料安全保障の観点から、主要3分野に加え輸出規制を交渉の対象とすることを主張。

○ 輸出禁止・制限措置について、規律強化を求める我が国とスイスの共同提案が現行モダリティ案(2008年12月)に反映された。

農産物の輸出禁止等の状況(2014年4月現在)

【インドネシア】コメ

【ネパール】コメ、小麦、豆類

【ボリビア】小麦、とうもろこし

【アルゼンチン】

小麦、とうもろこし、大豆、牛肉等

【バングラデシュ】コメ

【フィリピン】 コメ、とうもろこし

【台湾】 コメ

【ミャンマー】 コメ

【ヨルダン】砂糖、コメ、小麦

【インド】 小麦、コメ等

【レバノン】小麦

【ラオス】 コメ

【ケニア】とうもろこし

【エジプト】砂糖

【ナイジェリア】とうもろこし

【モロッコ】コメ、小麦等

輸出規制

【イラン】小麦、コメ

【キルギス】小麦

【ザンビア】 とうもろこし

13

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○ 農産品以外のすべて(鉱工業品及び林水産品)に関する関税及び非関税障壁の撤廃・削減に関する

交渉。

○ 我が国としては、各国の事情も踏まえつつ、欧米の高関税品目の関税引下げ、途上国の高関税引下

げによる世界的な関税格差の是正が交渉の主眼。

○ 基本的な交渉の構図としては、新興市場に関心のある先進国と、様々な背景・主張を有する途上国との対立。

途上国

全体として高関税。

政策余地の維持、

自国産業保護及び関税収入確保の観点から、関税引下げには消極的。

工業品で優位。

全体として、低関税。

途上国の関税を引き下げたい。

先進国

新興市場に関心

途上国も一様でない(それぞれの主張も各論では異なる。)

・新興途上国

・新規加盟国

・小規模脆弱経済国

・LDC

基本的な交渉の構図

非農産品市場アクセス(NAMA)交渉

14

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○ 交渉プロセス及び枠組みについて協議 → 2012年12月会合で、「枠組みペーパー」に合意

○ 有志国の既存のFTA・EPAの積み上げを基本とし、海運、情報サービス等の自由化水準の向上

○ 有志国間の協定「複数国間(プルリ)協定」としてスタートするものの、今後加盟国を拡大し全WTOメンバーが加盟することを志向

○ 将来的に途上国から利益を得られる分野(外資規制撤廃等)を狙いとして交渉が行われる見込み

○ DDAのサービス交渉が停滞する中、2012年12月、21の有志国が今までのFTA等で達成した水準を基に新協定(新サービス貿易協定:Trade in Services Agreement)を作成する交渉を開始することで合意。

○ 日、米、EU、諾、豪、加、香港、パナマ、コロンビア、アイスランド、墨、イスラエル、NZ、リヒテンシュタイン、土、台湾、韓、スイス、コスタリカ、ペルー、チリ(計21地域・国)が自由化約束のオファーを提出済み。条文・附属書の議論を継続中。今後、リクエスト・オファーにつき交渉予定。

サービス交渉

新サービス貿易協定(TiSA)交渉推進国(日、米、EU 等)

○ 有志国会合に不参加の途上国(特にインド等の新興国)は、WTOにおける多国間主義(マルチ)に反するとして異論あり。中国は方針転換し2013年11月会合で参加の意図を表明

したが、野心の水準は参加国共通の関心事であり、その確保の観点から日、米は中国の参加に慎重。 15

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○ TRIPS理事会においては、GI(地理的表示)の保護物品拡大や多国間通報登録制度について議論。

○ EUやスイスでは、固有の地理的表示保護制度を通じ、特定の地域でしか生産できない農産物に 「地名」を冠することを認め、表示規制を行っている。

○ 米国等では商標制度を通じ、商品に関する地理的表示を保護。

○ GIの保護物品の拡大 ワイン・スピリッツについては、現行の協定でも消費者が誤解するかどうかにかかわらず、地名を使った以下のような表示を禁止。

例) × ボルドー風日本産ワイン、 × スコッチ・ウィスキーMADE in U.S.A.

EU、スイス 米国、豪州、 カナダなど

全産品のGIの表示について、ワイン ・スピリッツと同じように強く保護してほしい。

EUのGIと同じ名前の国産商品があるので現在のままが良い。 日本、韓国な

ど中立

○ GIの多国間通報登録制度 ワインやスピリッツに関する通報制度の各国の義務やその規律について対立。 ドーハ閣僚宣言において一括受諾の交渉事項として規定。

EU、スイス 日本、米国、 豪州など ・登録されれば、

各国の国内法において保護する義務。 ・GIではないと主張する者が立証責任を負う。

・登録された情報を各国での保護のために参考として活用。 ・GIだと主張する者が立証責任を負うべき。

TRIPS交渉

16

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○ DDAにおいて交渉が停滞する中、APECでは、2012年に環境物品54品目の関税削減に合意。

○ 2014年7月、推進国グループ(日米EUを含む14ヵ国地域)は、この合意をテコに、プルリ(全加盟国ではなく有志国間)交渉の開始を発表。

○ 交渉の枠組など詳細は決まっていないが、再生可能エネルギー関連製品など工業品を対象に関税撤廃を目指していくこととなる。

環境物品の関税削減・撤廃

先進国(推進国)

・ 再生可能エネルギー関連製品等の市場アクセスの拡大を期待。

・ 07年に153品目のリストを提出。

12年9月 APEC合意

○ APEC21エコノミーは、15年末までに実行関税率を5%以下とするAPEC環境物品リストに合意。

○ APEC環境物品は、太陽光パネル、風力発電用装置等、54品目(農林水産品は竹製品1品目)。

途上国

・ 環境保護に用いられない製品にまで対象品目が拡大され、輸入が増加することを懸念。

・ 一部の途上国は、農産品(バイオエタノール原料、有機)を提案。

○ 14の有志国・地域(日、米、EU、加、豪、NZ、スイ

ス、ノルウェー、中、韓、星、台湾、香港、コスタリカ)は、プルリ交渉の立上げを発表。

○ APEC合意を基に、対象品目拡大を含め、環境物品の関税撤廃を議論。

(対象品目の選定方法、他国への参加呼びかけ、交渉期限など、交渉の具体的な進め方はジュネーブで議論中)

14年7月 環境物品プルリ交渉開始

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○ ITA(情報技術協定)は、1997年に29ヵ国・地域により、IT製品の関税を2000年までに撤廃することを目的に発効(WTO全加盟国ではなく、複数国間(プルリ)の協定)。現在は、日、米、EU、印、中を含む78カ国が参加。

○ 技術革新に伴い、協定の対象外の新製品・複合機能製品が登場していることを受けて、対象製品の拡大に向けたITA見直しを行うべく、2012年5月以降実質的な交渉が開始。2013年中の妥結を目指したが、中国の対応が不十分であることから、2013年11月の会合で決裂し、再開の見込みは不明。

情報技術協定(ITA: Information Technology Agreement)拡大

現行ITA品目の例

半導体、PC、携帯電話 デジタルカメラ(静止画用) プリンター、FAX 等

拡大交渉において議論 になりうる品目の例

新型集積回路

リチウムイオン電池 医療機器(電子内視鏡等) デジタルテレビカメラ 等 対象品目拡大交渉

○ ITA参加国のうち、55ヵ国・地域が、ITA対象品目に追加すべき品目の統合リストについて、約260品目の拡大対象品目候補の品目絞込みの議論を実施(中国が約150のセンシティブ品目を登録するなど困難な議論)。

○ なお、インドは自国の産業政策が未決定として、品目拡大の議論には参加しないなど、一部の新興国は消極的。

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バリ合意:農業① 公的備蓄

適用期間

対象施策

セーフガード

対象品目

作業計画

透明性確保

恒久的な解決策については農業委員会で作業計画を作成。

食料安全保障を目的とする公的備蓄政策(行政価格での政府買入)。

途上国の伝統的な主要食糧(品目数は明記せず)。

通報等により情報提供することで透明性を確保。

公的備蓄が貿易を歪曲せず、他国の食料安全保障に悪影響を

与えないことを確保。

途上国の食料安全保障を目的とした公的備蓄政策について、削減対象となる

貿易歪曲的な国内支持が約束水準を超えた場合であっても、農業協定不整合と

して紛争解決手続きに訴えない例外的な暫定措置。

※ 緑の政策の「一般的な役務」の解釈に関する確認的な閣僚決定も採択

恒久的措置が決定されるまでの暫定措置。2017年の第11回閣僚

会議(MC11)までに、恒久的措置の採択を目指す。

今後の作業

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バリ合意:農業② 関税割当運用

○ 消化率が低い品目について、その要因を関心国と協議し、

先着順等への割当方法の変更も含めて運用改善を行う。

○ 割当手続に関する情報の早期公表、当該手続の迅速化等。

未消化メカニズム

透明性の向上

関税割当について、割当手続の透明性の向上等を通じて運用改善を図る措置。

ただし途上国には、これらの運用改善を義務づけない特別の扱い(S&D)を適用。

○ 4年以内にS&Dを含む全体のレビューを開始し、2019年の

MC12で見直し。

○ MC12で正式に延長等が決定されない場合にも、あらかじ

め留保した国(米国等5ヶ国)以外の国には引続き適用。

今後の作業

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バリ合意:農業③ 輸出競争

○ 以下の3点の確保のため最大限努力。

① 全ての形態の輸出補助金の並行的撤廃及びこれと同等

の効果を持つ輸出措置の規律強化を推進

② 輸出補助金の水準は、輸出補助金約束を相当程度下回

るよう維持

③ 輸出補助金と同等の輸出措置についても同様の水準を

維持

○ 輸出補助金、輸出信用、食料援助、輸出国家貿易企業につ

いて、通報することで透明性をさらに向上させる。

○ 加盟国の権利義務や各協定の解釈に影響を与えないと明

記。

(注) 輸出競争には、「輸出補助金」、「輸出信用」、「食料援助」、「輸出国家貿易企業」が含まれる。

輸出補助金等 の抑制

法的拘束力のない 政治的宣言

透明性の向上

2013年末までに全ての形態の輸出補助金を撤廃するとした2005年の香港閣僚

宣言を踏まえ、輸出補助金等の抑制を促進。

○ 年に一度、農業委員会で進捗状況を検証。

今後の作業

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バリ合意:貿易円滑化協定

○ WTO設立以来初の多国間協定の合意として「貿易円滑化協定」に関する交渉を完結。

○ 一般理事会の下に貿易円滑化準備委員会を設置(条文の法的レビューの実施)

○ 2014年7月までに一般理事会が同協定を採択(※インド等一部の国の反対により、2014年9月22日現在、採択に至っていない)、2015年7月まで各国による受託手続のために開放。

GATT5条(通過の自由)、8条(輸出入の手続・手数料)、10条(貿易規則の公表)の明確化・改善を行うことにより、税関手続の簡素化、迅速化、透明性及び公平性の向上を図る。

目 的

協定の内容

第1部(具体的な取決め)

手続の公表、制度変更時の事前協議、事前教示、不服申立、手数料又は課徴金、貨物の引取と通関、国境官庁の協力、通過の自由、税関協力等

第2部(途上国の優遇措置(S&D)) 各途上国が、実施能力に応じ、第1部の措置を以下に分類。 各カテゴリーについて、途上国は協定発効前に、LDCは協定発効後1年以内に提出。

・カテゴリーA:協定発効と同時に実施 ・カテゴリーB:実施のために、移行期間が必要 ・カテゴリーC:実施のために、移行期間と技術支援が必要

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○ 各協定のS&D条項の実施状況をモニタリングする機関の立ち上げに合意(ただし、既存の貿易と開発委員会の専門会合で対応)。

○ S&D実施状況に問題がある場合は、その改善策の検討等を個別委員会に勧告。 ○ モニタリングメカニズムによる勧告は,加盟国の権利義務に影響を与えるものではなく、個別 委員会による最終決定を制限しない。

特恵原産地規則

バリ合意:開発と後発途上国

○ LDC特恵の原産地ルールについて拘束力のないガイドライン(原産地を判定するための基準等についてLDCを優遇する措置)に合意。

○ MC8で決定したウェーバーの今後の具体化のための手続きに合意。

○ MC10までに、LDCへの97%以上の供与に努力することに合意。

○ 綿花に関する輸出補助金、市場アクセス、開発支援等について、引き続き議論を行うことに合意。

LDCパッケージ

サービス分野における優遇措置(ウェーバー)の運用

綿花

無税無枠措置

S&D実施状況の監視機関の設立(モニタリングメカニズム)

○ 今次ラウンドは、「ドーハ開発アジェンダ」として、開発がその中心的課題。

○ WTO各種協定の中には、S&D(開発途上国の優遇措置)が設けられており、 その実効性強化に向けた取組みに合意。

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